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2014年3月17日 第13回 緩和ケア推進検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成26年3月17日
16:00~18:00


○場所

ホテルフロラシオン青山 1階 はごろも
(東京都港区南青山4-17-58)


○議題

(1)「拠点病院の緩和ケア提供体制における実地調査に関するワーキンググループ」の報告について
(2)その他

○議事

○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第13回緩和ケア推進検討会」を開催いたします。

 構成員の先生方の出席状況について御報告をいたします。

 本日の会議には、武藤構成員から御欠席との御連絡をいただいております。また、中川構成員におかれては、少しおくれて御出席いただけるとのことでございます。

 また、本日新たに任命されました構成員の方を御紹介させていただきます。

 大西秀樹構成員が日本サイコオンコロジー学会の理事長を退任されまして、本検討会の委員についても退任されたため、後任として日本サイコオンコロジー学会より理事長の東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科心療・緩和医療学分野教授の松島英介構成員に新しく御参画をいただいております。

○松島構成員 皆様、よろしくお願いいたします。

 この会議、実は向こうの傍聴席のほうでずっと聞かせていただいていまして、大体の流れはわかっているつもりでございます。また、お顔を拝見して御存じの方も多いので。ただ、きょうは一応これで最後の締めみたいな感じなのですが、また続いてあるようでしたら、よろしくお願いいたします。(拍手)

○がん対策推進官 また、公益社団法人日本薬剤師会から、安部好弘構成員に新たに御参画をいただいております。

○安部構成員 日本薬剤師会常務理事の安部でございます。

 地域医療や在宅医療を担当させていただいている関係で、こちらの会議に参加させていただいております。

 私も、これまでこの検討会の議事録は随分読ませていただいておりますが、今後、この検討会議で引き続き議論をされる際に、地域の薬局も麻薬の取り扱いですとか、今、技術的に進めておりますし、在宅でありますとか地域医療の中での疼痛緩和、緩和ケアそういったものに少しでもお役に立てるように、こちらでの検討会の議論をきちんと持ち帰りたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。(拍手)

○がん対策推進官 ありがとうございます。

 それでは、資料の御確認をお願いいたします。

 机上の資料でございますけれども、座席表と議事次第に続きまして、資料1として「緩和ケア推進検討会構成員名簿」。

 資料2「平成26年度がん対策予算案の概要」。

 資料3「平成26年度診療報酬改定の概要(緩和ケア関連部分の抜粋)」。

 資料4「がん診療連携拠点病院等の整備について」。

 資料5「拠点病院の緩和ケア提供体制における実地調査に関するワーキンググループ報告書」。

 参考資料1「がん対策推進基本計画(緩和ケア関連部分の抜粋)」。

 参考資料2「がん診療連携拠点病院等の整備について」。

 その他、構成員の皆様には机上配付資料として池永構成員の机上配付資料、それから最近の国会での議論の概要をお配りしておりますので、御確認いただければと思います。

 以上でございます。資料に不足、落丁等がございましたら事務局までお申しつけください。

 それでは、以上をもちまして冒頭のカメラ撮りは終了とさせていただきます。御協力のほど、お願いを申し上げます。

(報道関係者退室)

○がん対策推進官 この後の進行は、花岡座長にお願いいたします。

○花岡座長 皆さん、こんにちは。よろしくお願い申し上げます。

 東京では、非常に雪に見舞われましたが、ようやく春の兆しが目に入るようになりました。

 本日は昨年8月以降、約半年ぶりの会議でございますが、よろしくお願い申し上げます。

 この間、進捗のございました予算や診療報酬、拠点病院の新たな指定要件などにつきまして、事務局より御説明いただくとともに、昨年9月より「拠点病院の緩和ケア提供体制における実地調査に関するワーキンググループ」におきまして進めてまいりました実地調査にて整理されました現場の課題につきまして、ワーキンググループの座長を務められました池永構成員より御報告いただきまして、意見を交換する予定にしておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず事務局より資料2~4についての御説明をお願いしたいと思います。

○がん対策推進官 資料2を用いまして「平成26年度がん対策予算案の概要」について御説明をさせていただきます。現在、国会で御審議をいただいている来年度の予算案でございます。

 がん対策全体の予算案としては、今年度の235億円に対しまして230億円と、ほぼ同様の金額となっております。

 中身をごらんいただきますと、緩和ケアに関連をする部分としては「1.放射線療法、化学療法、手術療法の更なる充実」といったところでは「(2)がん診療連携拠点病院の機能強化」というところで予算を増額させていただいております。

 1ページおめくりいただいて、1ページと書いてあるところ、詳細のほうをごらんいただきますと、1で囲んだところの(主な事業)の2段落目でございますが、「また、がん診療連携拠点病院がない2次医療圏を中心に『地域がん診療病院(仮称)』を設置するというようなことで、これまでがん診療連携拠点病院が設置できなかった、100ぐらいそういった2次医療圏がございますが、こういったところでも緩和ケアなど基本的ながん診療をしっかりやっていただくという目的で、地域がん診療病院を設置する予算を計上いたしております。

 また、お戻りいただいて「2.がんと診断されたときからの緩和ケアの推進」というところでは、(1)で3.8億円から5.3億円というふうにしておりますが、またおめくりいただいて中の1ページのところをごらんいただきますと「・緩和ケア推進事業(がん診療連携拠点病院機能強化事業費)」といたしまして、

 都道府県がん診療連携拠点病院に設置している「緩和ケアセンター」について、財政支援の対象を地域がん診療連携拠点病院に拡充するとともに、地域において専門的緩和ケアの基盤づくりを行う活動を支援する。

 表紙にお戻りいただいて、がん対策全体の中では、このほか、がん登録法が成立したことを踏まえまして、がん登録の推進として施行に向けたデータベースの構築等に予算を計上、増額しておるほか、検診につきましては、補正予算のほうに予算の一部を移しております。

 また、研究につきましても大幅に増額をいたしまして、96億円から138億円ということでがん研究を強力に推進していくこととしております。

 予算につきましては、以上でございます。

○事務局 続きまして、資料3を用いて、平成26年度診療報酬改定におけるがん対策関連部門、緩和ケア関連部分の概要について御報告を申し上げます。

 今回の改定においては「がん患者指導管理の充実」といたしまして、がん患者の精神的なケア、抗悪性腫瘍剤の副作用などの管理の重要性、こういったことが増してきていることを踏まえまして、医師または看護師が行う心理的不安を軽減するための介入及び医師または薬剤師が行う抗悪性腫瘍剤の副作用等の指導管理を新たに評価することが盛り込まれております。

 具体的な内容に関しましては、資料の最終ページ、横長の資料になっている部分を御確認いただければと思いますが、これまで「医師と看護師が共同して治療方針等について話し合い、その内容を文書等により提供した場合」に算定可能であった「がん患者カウンセリング料」これの見直しを図りまして「医師又は看護師が心理的不安を軽減するための面接を行った場合」の評価と「医師又は薬剤師が抗悪性腫瘍剤の投薬又は注射の必要性等について文書により説明を行った場合」の評価を新設するものでございます。

 中医協等における検討では、看護師によるカウンセリングによって、患者の鬱症状であるとか苦痛・苦悩の改善が期待できるということ、そして医師の負担軽減や在宅看取りの推進につながるということが期待できるということ、また、薬剤師の指導により治療薬に対する患者の理解の向上、副作用の発現や予防法に対する理解の向上、治療に対する不安の軽減、こういったことが期待できるのだといったようなデータが示されまして、今回の改定へとつながりました。

 平成24年6月に閣議決定をされております第2期のがん対策推進基本計画におきましても、がんと診断されたときからの緩和ケア、これが重点的に取り組むべき課題として掲げられておりますが、本検討会においても、診断時からの緩和ケアを進めるための具体的施策として、看護師を初めするような医師以外の職種による指導・カウンセリングの重要性については、これまでも多くの御意見をいただいてきたところでございます。

 今回、こういったことが診療報酬といった形で評価をされまして、これまで以上に看護師、薬剤師による指導・カウンセリングが推進され、がん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持・向上につながることが期待されると考えております。

 御報告は以上です。

 続きまして、資料4に移りたいと思います。「がん診療連携拠点病院等の整備について」という資料でございます。

 1月10日に、新たな「がん診療連携拠点病院等に関する通知」を健康局から発出いたしました。

 1枚めくっていただきますと「新たながん診療提供体制の概要」とまとめた資料がございますが、大きな変更点としては、拠点病院間の格差が存在していたといったような課題を受けまして、拠点病院の指定要件の強化を図る、質の底上げを図ると、こういったことがまずあります。

 次に、拠点病院が未設置であった空白の2次医療圏に対しては、拠点病院と連携を確保した上で「地域がん診療病院」こういった制度を新設しております。

 また、特定のがん種に特化した診療を行う病院がこれまでもございましたが、国の制度として評価をされていなかったということを受けまして、特定のがん種に対して高い診療実績を持つ施設、都道府県内でその特定のがん種に対して拠点的役割を持つ施設を対象として「特定領域がん診療連携拠点病院」これを新設しております。

 もう一つは「がん診療提供体制に関するPDCA体制の構築」に関する規定が盛り込まれたと、こういったところでございます。

 右下の3ページ目以降、具体の内容について記載をしてございますが、今回は緩和ケアを中心に御紹介させていただきたいと思いますので、4ページを御確認いただければと思います。

 「(2)がんと診断されたときからの緩和ケア」といたしまして、「目標」としては患者とその家族などががんと診断された時から身体的・精神心理的・社会的苦痛などに対して適切に緩和ケアを受け、こうした苦痛が緩和されることを目指す。このように目標を設定しているところでございます。

 「拠点病院指定要件の主な改定点」でございますが、右の赤い枠で書いている「ねらい」を受けて、真ん中の「求められる主な取組」といったところを要件に盛り込んでいるといったようなところです。

 例えば患者の苦痛の拾い上げの強化を図る、患者自身が苦痛を表現できるような環境を整備するといったことを目指しまして「苦痛のスクリーニングの徹底」としておりますが「診断時から外来及び病棟での系統的な苦痛のスクリーニングの実施を義務化」したということがございますし「がんと診断されたときから患者が切れ目のないケアを受けられる。」といったことを目指しまして「緩和ケアチームの看護師による外来看護業務の支援・強化」を図っております。

 「全ての診療従事者により苦痛への系統的な対応を行う。」といったようなところでは、施設ごとに苦痛への対応方針、これは緩和ケアチームへの診療の依頼方法であったり、具体の対応であったり、こういったことを一定程度明確化する。そして、患者とその家族に診療方針を提示するということを規定しております。

 続きまして「患者の立場に立って苦痛をできるだけ早く緩和する」といった観点からは「迅速な苦痛の緩和」と銘打ちまして、全ての診療従事者と緩和ケアチームの連携による迅速な対応を義務化したところでございます。

 「入院時の緩和ケアが退院後も継続して提供される体制を構築する」と、こういったことも大きな課題目標としてあるかと思いますので「症状緩和に係る院内パスに準じた地域連携パス、マニュアル等の整備」というのを位置づけたところでございます。

 最後に研修会のことですが「自施設のがん診療に携わる全ての医師が緩和ケア研修を終了する」こういったことを目指しまして、若手医師が緩和ケア研修会を終了する体制を拠点病院でも整備すること、こういった規定を新たに新設しております。

 そして、こういった狙いを実現するための緩和ケアチームの人員配置といたしまして、新項目が赤字の部分でございますが、専従の看護師に関して「がん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師、がん性疼痛看護認定看護師」のいずれかの配置を緩和ケアチームの人員の中に義務化をする。こういったところが今回、新しく設けた要件でございます。

 そのほかのページにも、相談支援・情報収集であったり医療提供体制であったりといったところでまとめてございますので、御確認いただければと思います。

 8ページには、参考として「新指針による診療従事者に関する要件の変更について」をまとめてございます。

 9ページは、今後の大きな流れですが、新しく人員配置を初めとする指定要件を義務づけておりますので、経過措置を一定程度設けてございます。これを見ていただくと、今26年3月ですが、これから1年の間においては、経過措置といたしまして新しい要件ではなくて、今までの要件を満たしていれば、みなし期間と申しますか拠点病院としてみなされる期間を設ける。そして、27年4月以降、実際に新たな指定要件に沿った医療提供体制を確保していただくこととしております。

 ただ、人的要件に関しましては、かなりハードルが高いところもございますので、もう1年間の経過措置を設けるといったところで、都道府県を通じて現在、既存の拠点病院であるとか、新たに拠点病院を目指されている施設において調整をしていただいているところです。

 以上でございます。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 以上が予算、診療報酬、拠点病院の新たな指定要件についてのお話でございましたが、御質問や御意見のある方は御発言をお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。

 新たな指定要件についても、暫定期間を設けてクッション役といいますか、うまくソフトランディングできるような形でいきたいというようなことが見えていますが、いかがでございましょうか。

 松本構成員、どうぞ。

○松本構成員 済みません、1つだけお尋ねをいたします。

 2ページのところに書いてあるのですが、都道府県拠点病院による各拠点病院への実地調査等という項目がありますけれども、これは例えば緩和ケアの領域で何か具体的にお考えのところが事務局としてありましたら教えていただけますか。

○事務局 緩和ケアに特化してこういう体制で進めていくのだということの具体が、今、詰まって制度になっているということはありませんが、27年度以降はこういったPDCAサイクルの確保というのを各拠点病院に求めているところでございますので、それまでに研究班等を活用して、モデル的なPDCAサイクルであったり、そういった検討というのは別途進めることになるかとは思います。具体に緩和ケアに関してこうするというものが決まっているものではありません。

○花岡座長 よろしゅうございますか、松本構成員。

 小川構成員、どうぞ。

○小川構成員 同じく、ただいまの2ページですが、地域がん診療病院をつくるということですが、この選定の方法あるいは申請の方法等についてはどんなようにお考えですか。

○事務局 これまでも拠点病院に関しては都道府県を通じて国が推薦をいただいて、それを国の検討会で審議をして、最終的に指定の可否を決定するというプロセスを経てきておりますので、新設した制度に関しても同様に審査のプロセスを踏んでいくことになるかと思います。

○花岡座長 よろしゅうございますか。

 松島構成員、どうぞ。

○松本構成員 これは、ここの検討会で検討するべきことではないかもしれませんが、先ほどの資料3のところの最後のページ「緩和ケアを含むがん医療の推進について」ということで、新しい「がん患者診療管理料」ということが改定されてこういうふうに載っておりますが、2のところの要件として一番下のところに、対象患者のスクリーニングについてあります。その中でSTAS-Jとか、あるいはDCSというふうな評価尺度を用いてこれにかかる患者さんに対して行うというようなことが書いてあるのですが、これはここの検討会でなければまた別のところで御質問するしかないのかもしれませんが、どういう経緯でこの評価尺度が用いられるようになったのかというのが、私どもは学会の構成員にいろいろ聞いてみたのですけれども、余りなじみがないものですから、教えていただけたらと思うのですが。

○花岡座長 いかがでございましょうか。

○がん対策推進官 これにつきましては、診療報酬改定は中医協で大枠が決まって、その調整の中でこうした施設基準や対象患者についても決まってきたということで、何か御意見、御質問があればお伝えをするようにはいたしたいと思いますが、ちょっとここでお答えは難しいということで御了承いただければと思います。

○松島構成員 よろしくお願いいたします。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。大体よろしゅうございますか。

 それでは、本日の議題に移りたいと思いますので、よろしくお願いします。

 今回、ワーキンググループにおきまして、拠点病院の緩和ケア提供体制に関する実施調査を行っていただきました。

 現場に出なければわからないような実情など、新しく見えてきた部分も多くあったかと思います。

 今回、さまざまな観点から課題整理を行っていただいております。このような課題につきまして事務局に引き継いだ上で、今後の解決策に関する検討が進められていくことになるかと思いますが、本日はこの抽出された課題につきまして、ワーキンググループの座長を務められた池永構成員から御発表いただきまして意見交換をしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 資料5の報告書の中では、総論と各論として1~9の項目に整理が行われておりますので、関連する項目ごとに区切りながら説明していただきたいと思います。

 説明と意見交換を交互に進めていきたいと思いますので、池永構成員、よろしくお願い申し上げます。

○池永構成員 ありがとうございます。ワーキンググループの座長をいたしました池永でございます。

 資料のほうを見ていただきたいと思いますが、資料5でございます。報告書の全体的な構成をお話させていただきます。

 まず、9ページのほうにワーキンググループの開催要綱を示しており、10ページにそのワーキングの構成員の名簿をつけております。

 そして、前半部分が報告書になっておりまして、まず「1.はじめに」ということと総括、あと各論として幾つかの分野に分けて実地調査の報告書を作成しております。

 構成員の皆様にはお配りしております机上配付の資料でございますが、今回の訪問に関しましては、個別の施設の評価を目的とはしておりませんでした。ただ、そのときのメンバーのメモ書きを付加させていただきまして、また参考にしていただけたらということで机上配付にしております。

 ただ、今回はそれはメモというふうなことで、その報告書についての議論をいただけたらと考えております。

 まず初めに、9ページのほうから全体的な今回のワーキンググループの開催要項についてお話をいたしますが、これまで緩和ケアの推進検討会のほうで取りまとめ等が行われてまいりましたが、今回この具体的な施策が医療現場でどのように進められているかということを把握するという現状の把握と、まだ検討会で議論され尽くしていない残された課題がないかということを抽出することを目的としまして、拠点病院の訪問というワーキンググループで報告させていただいております。

 したがいまして、今回の報告書は、いわゆる現状の課題ということと課題に対する解決方法についての意見を、構成員のメンバーの意見から報告書にまとめております。

 構成員は、この10ページにありますとおり、医師と看護師と市民の患者会の方々に出席していただきまして構成されております。

 まず報告書の2ページ、まず「1.はじめに」というところで御説明をさせていただきます。「1.はじめに」という部分と〈総括〉のところまで御説明させていただきます。その後1~3、4・5、6・7、8・9、「3.おわりに」という5項目まとめさせていただきまして、質疑応答等をしていただけたらと考えております。

 2ページ目「1.はじめに」というところでございますが、先ほどお話しましたとおり、これまで具体的な施策が推進されてまいりましたが、今回その推進の状況を把握するとともに、この実効性について評価し、残された課題を抽出するということで実地調査を行っております。

 対象施設の抽出でございますが、昨年9月から12月にわたりまして、6カ所の拠点病院を対象に実地調査をしております。

 訪問いたしました拠点病院に関しては、現況報告のデータをもとに緩和ケアチームの活動の実績の低い施設、また、緩和ケア外来患者数の少ない施設、緩和ケア関連の診療報酬の算定数の少ない施設を中心に、地域性や施設の規模、また、施設の設立団体等を考慮いたしまして決定しております。

 その訪問によりまして、今後、検討すべき課題の整理をいたしておりますが、その個別の評価をするのではなくて、その課題の中から一般化し、全体に還元できるような改善策についても提案させていただいております。

 この各実地調査は、本ワーキンググループのほうからおよそ医師が2名、看護師1名、患者会代表の方が1名と、4名の構成員で1つの施設を訪問しております。

 一番初めに施設の管理者を含めた集団面接をさせていただきまして、その後個別のヒアリングというものを大変重視して実地調査を行いました。特に、現場で診療に当たっている医師や看護師、また、緩和ケアチームの担当者の生の声を聞きたいということで、個別のヒアリングに約2時間強を使って訪問をしております。このような形で6施設を実地調査したということでございます。

 「2.実地調査から抽出・整理された課題」について、〈総括〉の点について御説明をさせていただきます。

 〈総括〉について【課題整理】でありますが、拠点病院の指定要件や診療報酬等で規定されている事項と理念が、現場において浸透・実践されることが不可欠ではございますが、実地調査した限りにおいては、これらが浸透・実践されているとは考えがたいという状況でございました。

 特に、診断時からの緩和ケアに関しまして、現場の医師の人員が不足する中、緩和ケアチームの専従の看護師が中心として苦痛のスクリーニング管理、また、院内院外の連携調整機能、相談支援機能等が緩和ケアを提供する上では大変重要であり、必要不可欠な要素になっておりました。非常に医師の人員が少ない中、緩和ケアチームの専従看護師が本当に現場で孤軍奮闘し、病院内の緩和ケアの推進にかかわっているということが見えてまいりました。

 したがいまして、こういった活動を円滑に進めるためにも、この「がんと診断された時からの緩和ケア」について、病院をあげて取り組むことが必要不可欠であるということが考えられました。

 このような【課題解決に向けた提案】でございますが、人員不足と即座に解決することができない困難な課題が山積しております。特に地方の施設等では深刻な問題であるということもございました。その中で、国や都道府県の施設の方針と理念が現場レベルにおいて共有される体制を整備することが必要であろうということであります。

 その観点から、施設管理者や医務・看護管理者を出席者として、病院全体の運営体制の中で緩和ケアの提供について監視する緩和ケア委員会等の設置義務づけてはどうかということでございます。特に、病院として管理者が緩和ケアを理解し、緩和ケアの担当メンバーをサポートしていくというような風土をつくっていくことが非常に重要ではないかという意見が出ております。

 また、院内の緩和ケアの提供体制の現状を把握した上で改善策を各施設で講じるというようなPDCAサイクルの確保、このような機能を評価・支援することが重要ではないかということでございます。

 院内のみならず、地域における緩和ケアの提供体制を担うことが拠点病院としての重要な役割であるということ、それを施設全体としての認識として促すという働きかけ、拠点病院だからこそ地域においての緩和ケアに責任を負っていくという働きというのが今後、課題として必要ではないかということで挙げられております。

 「1.はじめに」と〈総括〉については、以上でございます。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 どちらかというと、活動実績の低い施設を中心に回っていただいたということでございますが、6拠点病院を対象にしてやられたということで「1.はじめに」と〈総括〉というところで先に行きたいと思いますが、何かこれにつきまして御質問、御意見等ございますでしょうか。

 小川構成員、どうぞ。

○小川構成員 いつかの議論で、例えば拠点病院の中で、決定権のある責任者のようなものの有無というのは、この緩和医療を推進できるかどうかの1つの要因だったというような議論があったと思いますが、今回6施設の中で、そういう問題点というのはいかがでございましたでしょうか。

○池永構成員 幾つかの施設においては、そのような問題点がございました。

 地域におきましては、決してがんの専門病院ではなくて、例えば市民病院等、地域の救急医療にどうしても力を入れていかないといけない中で、がんに対して、特に緩和ケアに対しても行っていかないとという人員不足というのが、調査ではあらわれていたと思います。

○花岡座長 よろしゅうございますか。ほかにはいかがでございましょうか。

 ヒアリングは2時間強かけてやられたということですが、施設もそれぞれの、例えば外来を見るとかということもやられておられますでしょうか。

○池永構成員 施設のハード面は見ているのですが、ただ、そこには余り時間をかけないようにいたしました。やはり、いいところばかり見せていただいても現場の声が聞けないということで、どちらかというと1対1の、いわゆる管理者のいない中でのヒアリングということに、お一人約20分や30分程度時間を使っております。

○花岡座長 ありがとうございます。

 どうぞ、加賀谷構成員。

○加賀谷構成員 このメンバー構成の中で医師・看護師と、あと患者会の方いうことですが、チーム医療の実態の中で、例えば緩和に関しては薬剤師もチーム加算の算定要件に入っておりますので、このヒアリング等では薬剤師の声は聞けたのでしょうか。いかがでしょうか。

○池永構成員 薬剤師にも御意見等、今、困っておられることというふうなことを、チームのメンバーとして登録されている方がいらっしゃいましたので、聞いております。

 ただ、なかなか病院全体として、積極的に薬剤師が緩和ケア専任で人員が出せていないという施設も多うございまして、また、緩和ケアチームの薬剤師がいわゆる病棟薬剤師とうまく連携してということも、余り十分には見えてこなかったというところもございます。

○加賀谷構成員 ありがとうございました。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 どうぞ、小松構成員。

○小松構成員 1つ総括のところで、解決に向けた提案というところの一番初めの丸のところにありますように、横断的に「施設管理者や医務・看護管理者を出席者とし、病院全体の運営体制の中で緩和ケアの提供について監視する緩和ケア委員会等の設置を義務づける。」という提案があるのですが、具体的にはどういうふうなことを検討するのかといったところを教えていただければと思います。

○池永構成員 多くの施設において、どうしても緩和ケアチームが院内全体の緩和ケアの情報収集、また課題解決をしていることが多かったのですが、なかなかその内容が病院管理者には伝わらない。看護部もなかなか十分理解してもらえなくて、専従看護師がひとりで頑張っているというところもございました。

 したがいまして、病院あげて、特に緩和ケアチームはどちらかというと現場での働きを、そして院内全体の緩和ケアの質ということを監視するのには管理者がかかわって、管理者も十分理解した上で進めていただいたほうがいいいだろうという御意見でございます。

○花岡座長 よろしゅうございますか。

 これは先生、例えば監視するだけの役目の緩和ケア委員会になるのですか。それとも、緩和ケア委員会とは、通常は上下一緒にやるような委員会を設置していると思うのですが、別の緩和ケア監視委員会みたいな、そういう意味の類いでございましょうか。

○池永構成員 そういうわけではございませんで、現場のスタッフと、管理者というふうな、全体と現場の意見をつなぐということだと思います。

○花岡座長 ありがとうございます。

 ほかにはよろしゅうございますか。

 それでは〈各論〉のほうに移りたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○池永構成員 もちろん質疑応答だけでも結構なのですが、何か課題解決のための御意見等がございましたら、また教えていただけたらと思います。

 それでは〈各論〉の1~3まで御説明をさせていただきます。

 「1,告知、病状説明における患者とその家族への配慮」という課題でございますが、その中におきまして出てまいりました問題点、課題が、告知や病状を説明するときの個室などの適切な面談環境、場所がないと、整備されていないという課題がございました。

 ある施設におきましては、病棟にも面談室はなくて、カンファレンスルームであったり、病棟内の詰所ということがまだ残されていたということでございます。

 あとは、説明後のフォローアップ体制が十分ではない。各職種の役割分担や人員配置、各科横断的な体制が十分整備されていない。また、がん患者カウンセリング、特にカウンセリング料がたまに算定されていない施設を選んでいたためということもありますが、十分に実施されていないということがございました。

 また、外来等では極端に看護師の配置が少ない施設も、今の医療制度の中で生まれております。その外来の少ない看護師の体制の中で、十分なフォローアップができていない施設が見られたということでございます。

 あとは、患者と家族のそれぞれの個別の状況に合わせた説明体制というものも、とられていないということでございます。

 これらの【課題解決に向けた提案】でございますが、プライバシーに配慮した面談場所の設置確保を進めていかなければならないということでございます。

 また、医師からの告知や病状の説明の際には、看護師等、他の職種が同席して継続的なケアを提供するということでございます。また、医師に対して、患者の理解度や説明の追加の希望などの情報を医師に迅速に還元するという体制も必要だろうということであります。この点につきましては、拠点病院の新たな指定要件の中に反映されている事項でもございます。

 あとは、がん患者カウンセリングを系統的に行う院内システムの整備と人員確保を進めるということでございます。

 その専門看護師、認定看護師が医師の説明後も定期的にがん患者とその家族の辛さと意思決定に際するサポートと行うことに対して、診療報酬等の評価についても検討を進めるということでございますが、この辺につきましては、来年度の診療報酬改定において、がん患者指導管理料として反映されているということであります。

 「2,苦痛のスクリーニング」という点でございます。

 【課題整理】でありますが、院内で一貫した定期的また系統的な苦痛のスクリーニングが実施されていないということでありました。また、院内の患者さん御家族や診療従事者が抱えている困り事を拾い上げるシステムが確保されず、一人一人の医師や看護師の力量に負っているという点が見られました。

 また、外来や外来化学療法室で十分な苦痛のスクリーニング体制が確保されていない。特に、看護師を初めとした人員確保や系統的な運営体制が行われていないということであります。

 また、各スタッフやリンクナース等、リンクナースは下に示しているとおり、各種専門チームや医療委員会と病棟の看護師をつなぐ役割を持つ、病棟や外来の看護師を指しますが、リンクナースなどの個々の力量不足が見られたということでございます。

 これらの課題解決におきまして、拠点病院の新しい新たな指定要件にも盛り込まれておりますが、苦痛のスクリーニングの系統的な実施を必須化するということです。少なくとも入院中では週1回、外来では受診時に何らかの記録を残すというような形で評価ツール、マニュアルを整備していくことが重要であると考えられました。

 また、緩和ケアチームとの連携を確保するリンクナースを育成する。また、それを各部署に配置することを行い、各部署での対応を強化していったらどうかということでありますが、これについては拠点病院の新たな指定要件に反映されている事項になっております。

 次に、病棟など各部署においてスクリーニングした苦痛とその対応策について、情報共有や協議を行う体制の整備でありますが、スクリーニングをするだけで終わるのではなくて、その後どう対応するのかということ、また、それを各職種で協議できる場をつくることが必要であるという提案でありますが、これも指定要件に反映されている内容になっております。

 次に、外来化学療法や放射線治療部などでの苦痛のスクリーニングということの強化について、これも指定要件に反映されている内容です。

 あと、苦痛のスクリーニングを初めとする緩和ケアに関する院内の研修会、特に苦痛の拾い上げについての院内研修会の実施を推進してはどうかという件です。

 次に、家族とその家族の立場から、苦痛について院内の誰に、どこに訴えればいいのかということを明確に広報するということ。また、苦痛を訴えやすい環境を整備する必要があるということであります。

 引き続きまして「3,基本的緩和ケアの提供体制」についての課題整理であります。

 課題としては、基本的な緩和ケアの提供や、緩和ケアチームに連携するタイミング、そしてその手法等について院内で統一された体制はつくられていない。個人の力量に基づき基本的な緩和ケアが提供され、なおかつ緩和ケアチームに紹介されるということが個々ばらばらであるという課題が見られました。

 これについての提案でありますが、症状緩和に関するマニュアルの整備、また、緩和ケアを提供する上での院内でのルールづくり、その普及を図る必要性があると考えられましたが、この辺についても指定要件に反映されている内容になっております。

 あとは、医師に対する緩和ケアの研修や、その他緩和ケアに関する院内の研修の実施をさらに推進するということ。

 最後に、院内の医師の修了者、また、受講率の定期的な把握を行う体制をつくるべきだろうという提案が挙げられております。

 1~3までは、以上の内容です。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 「1,告知、病状説明における患者とその家族への配慮」「2,苦痛のスクリーニング」「3,基本的緩和ケアの提供体制」ということで1~3をまとめていただきましたが、課題整理それから提案の中では、多くの提案が新たな指定要件に反映された事項ということでここに記載されておりますが、いかがでございましょうか。何か御意見、御質問等ございますでしょうか。

 どうぞ、小川構成員。

○小川構成員 共通する問題として、専門性の高い医療従事者の不足というのが非常に浮き彫りにされているような気がいたします。

 それと、専門性があっても、その専門性が低いというようなことも指摘されていることになりますと、そういうのが浮かび上がってくるのですが、資料2の予算の概要の一番上の「がん医療に携わる専門的な医療従事者の育成」というのが、予算から見ると一番重要なところが少ないのではないかというように今、印象を受けましたので、ここをさらに充実したほうがいいのかなという気がいたしましたので、ちょっと御意見申し上げました。

○花岡座長 これは事務局のほう、いかがでございましょうか。何か御提案ございますか。

○がん対策推進官 御指摘は受けとめたいと思いますが、この予算だけで行われているというわけではなくて、さまざま診療報酬での誘導ですとか、あるいは学会等を通じたやり方とかいろいろございますので、そういった意味でここの予算だけではなくて、医療従事者が育成にいろいろな方々、いろいろな機関の御協力をいただきながらやっていくという考え方でおります。

○花岡座長 ありがとうございます。

 今のところはリンクナースの育成ということですが、リンクナースというのは、どちらかというと自分で手を挙げるのか、それとも上のほうからなりなさいと言われるのか、これはいかがな状況でございましたでしょうか。

○小松構成員 日本看護協会の川本理事と私も、このリンクナースの教育に関しては、厚生労働省の委託事業ということで看護協会が進めつつありまして、そこにパイロット的にその教育プログラムを受けた人たちが2月に200人ほど今、出て行っているということがあります。

 ですから、教育の標準的なものは、そういうものを使って各施設でそれを持ち帰っていただいたリーダー的な人が波及するというところについての道筋は少しずつ整ってくると思うのですが、要するに拠点病院の指定要件の中に出ているのは、リンクナースを置くことが望ましいというレベルですので、それをどういうふうに施設が受けとめていくかということになってくると思うのです。

 ですから、委託事業によって、そのリーダーとなるような認定看護師や専門看護師が、それを持ち帰って各施設でリンクナースをつくるような教育の働きをするというのは、また認定看護師、専門看護師のこの肩にぐんと重くなっていくということが実態としてはありますので、望ましいというレベルで置かれていてもなというのが、個人的には非常に心配なことがあるので、委託事業をする中でも地域ごとにネットワークをつくって補い合うということなどを入れているのですが、今後その要件のところでは、もうちょっと例えばプログラムを取り入れていくことが要件になるとか、何かそういうふうなことで少し強化をしていくことが必要ではないかなと個人的には思っております。

○花岡座長 ありがとうございます。

 リンクナースも各フロアごととなると、かなりの病院にリンクナースを持たなければいけない状況になると思いますし、その数の確保というのも非常にこれから大変だと思います。

 あとはいかがでございましょうか。松本構成員、どうぞ。

○松本構成員 ありがとうございます。

 苦痛のスクリーニングの点で、2点お尋ねしたいと思います。

 まず一つは、このスクリーニングをどうしていくのかというのが、どこの病院でも非常に大きな課題になっているということを漏れ聞いておりますが、この机上配付資料の「E病院 緩和ケアの提供評価」の部分で、好事例としてスクリーニングを実施されているというようなことが書かれておりますが、どのような好事例であったのかということをもう少し詳しく御説明をいただきたいという点が1点でございます。

 同じく苦痛のスクリーニングの点でもう一点は、患者とその家族の立場から、苦痛についてどのように訴えればいいかという環境を整備するべきだという御提案がありますけれども、これについて、例えば前川構成員は実地調査も行かれたと思うのですが、このような好事例があったということがもしありましたら教えていただければと思います。

 以上の2点、お願いいたします。

○花岡座長 前川構成員、いかがでございましょうか。

○前川構成員 ちょっと待ってください。

○松本構成員 先にスクリーニングのほうを。

○花岡座長 では、池永構成員お願いいたします。

○池永構成員 このE病院自体は私が行っているところではないので、ちょっと細かな内容についてはわからないのですが、例えば挙げられたところは外来の化学療法室、時間もあるし、治療中にゆっくりと話を聞くことができるところでありながら、十分にスクリーニングが行われていないということがございましたので、そういう時間があり、患者さんが多く集まるところで系統的なスクリーニングを実施していたということがよかったということでございます。

 各施設において、苦痛のスクリーニングをやっていることはさまざまで、各施設ごとにつくっている痛みの評価表であるとか、つらさの評価表であるとか、幾つかの評価表がありましたけれども、先ほどありましたSTAS-Jで行っているというところもありました。

 ただ、そのスクリーニングが電子カルテ上は用意されているのだけれども、誰にいつ使うかということはほとんど決まっていないという施設が大部分でありましたので、そういうものがあったとしても実際どういうときに使うか、どういうときにチームに相談するのかというふうな体制は、ほとんどつくられていないという現状でございました。

○花岡座長 よろしゅうございますか。

 前川構成員、お願いいたします。

○前川構成員 済みません、私に振られると思わなかったので、しっかり聞いていなかったので、もう一度お願いできますか。

○松本構成員 済みません、突然お願いをしまして申しわけありません。

 苦痛のスクリーニングのことで、患者のその家族の立場から苦痛について院内の誰に。

○前川構成員 何ページですか。

○松本構成員 4ページです。資料5の4ページの一番下のところです。

 「患者とその家族の立場から、苦痛について院内の誰に、何処に、訴えればいいかを明確に広報するなど」このような環境を整備するということが御提案されていますが、もしも実地調査に行った中で、好事例を見聞きした例がありましたら教えていただければと思います。もし、そういうのがないから提案をなさっているのであれば、その旨お教えいただければと思います。

○前川構成員 実際に患者さんとお話しすることは余りなかったので、看護師さんとお話しはできました。看護師さんは、苦痛のスクリーニングしてますとおっしゃって、その一言だけで自分はできているというようなお答えでしたけれども、全体的に見て、患者さんが訴えているという雰囲気を感じられなかったということだと思います。

 そういう訴える環境にない、そういう病院ばかりに行ったような感じですね。訴えられるような病院だったら行かなかったのかもしれないので。済みません。

○花岡座長 今回は全体的に余り活発でないところを訪問されているのです。だから、そういうことで全体的な底上げが必要であろうということで、訴えやすいというのは雰囲気もあるし、明示することもあると思うのです。ハード面もあると思いますが、その両方からそういう環境をつくらなければいけないというようなことだと思いますが。いかがでございましょうか。田村構成員、どうぞ。

○田村構成員 ありがとうございます。

 この「告知、病状説明における患者とその家族への配慮」というあたりのところの御提案で、場所の設置確保を進めるというふうに書いてくださっていますが、実際にそういう病状説明や告知を常に同席しているという立場と、それからそういうことを受けた患者さん家族の相談をお受けしている立場では、この進めるということだけでは絶対に整備されないだろうなというのがあって、十分にそこで配慮ができる環境を整えるための何らかの、もう少し拘束力というか何かがないと、そこで十分に配慮されるようなことが進まないなというのはハードの部分ではあるのですが、必ず必要になってくるところかなと思うのですが、それに関する、このたびは難しくても、今後そのようなところでの何かお考えがありましたら、お教え願えたらありがたいです。

○花岡座長 これは池永構成員、事務局のほうですか。

○田村構成員 両方です。

○池永構成員 いろいろな現場がございました。1つは、医療安全の立場から医師の面談には全て看護師が同席しているという施設がございましたけれども、管理者の方がそうおっしゃっていましたが、医療安全の立場からと言っておられました。

 もう一つは、大変若い先生等が活発な施設でありましたが、医師の面談がどうしても準夜勤帯になる。昼間の仕事が終わって夕方、夜にやってきて面談をするという意味で、なかなか看護師がそのときに一緒に同席することが難しいというような施設もございました。

 現場では、なかなか看護師が同席してということが、確かに何らかの形で具体的に支援していかないと、同席するというのが難しい現状にあるのだなとは感じました。

○花岡座長 ありがとうございます。

 ソフトの面といいますか、その同席ということについては指定要件の中に入っていますが、場所を設置するということは、同席するためには場所がいるのでしょうけれども、事務局のほうとしては、これは一緒の案件と考えてよろしいでしょうか。場所をつくることに対しての必要性といいますか。

○事務局 そうですね。今回、指定要件の中で具体的にこういった場所を確保しなさいということに関する言及はないものになっております。

 具体的なこういう場所が必要なのだというような御提案であったり、こういう場所を確保してやっているのだという好事例がございましたら、いろいろ教えていただけると助かるかと思います。

○花岡座長 いかがでございましょうか。

 なかなか、この場所というのは、例えば後ろへ逃げるような設備ですね、何かあったときに怖いので後ろに逃げなければいけないというようなことで、出口を後ろにもついて前もついてというような、そういうこともございますが、そうすると、声が外へ聞こえてくるのですね。プライバシーがちょっと守れないとかいろいろございますけれども、基本的な場所とその具体的なイメージというのは、どんなものを考えておられるのでしょうか。事務局は何かそういうイメージございますか。

○事務局 済みません、事務局で具体的に告知であるとか面談を行う際の理想的な環境ということに関して、まだ具体に詰まっているものがないものですので、いろいろ御意見を伺えればと思います。

○花岡座長 お願いいたしたいと思いますけれども。構成員の皆様ではどういう場所をイメージされているか、何か御意見ございますでしょうか。

 どうぞ、田村構成員。

○田村構成員 済みません、この意図は、配慮ということをしていく上には、やはり場所と時間というのは絶対確保されないと難しいというところが絶対にあると思うので、方向としてはそういうことも考慮しながら、この推進というところは必要だなと思っているという意見です。

○花岡座長 ほかには何かございますか。よろしゅうございますか。

 どうぞ、中川構成員。

○中川構成員 遅くなりまして、ひょっとしたらもう議論が出てしまった点なのかもしれませんが、今後この調査は継続されていかれるのか。また、その場合には、今回は比較的足りないところが目立つところを選ばれたということですが、逆に、例えば都道府県の拠点病院について見てみるとか、何かそういう今後のお考えがあればお聞かせいただきたい。

○花岡座長 これは事務局のほうの考えになりますでしょうか。

○事務局 この検討会の、今の先生方の任期が終わった後にも、また検討の場を設けることを考えております。そういった中で、実地調査といった情報収集も必要だとは思っております。まだ具体にいつ、どうということは決まっているわけではないですけれども、今後も何らかの形で行うことを含めて検討したいと思っております。

○花岡座長 ありがとうございます。

 どうぞ、安部構成員。

○安部構成員 1点教えていただきたいのですが、机上配付資料1を見て、ちょっとびっくりはいたしたのですが、この評価というのが、緩和ケア提供体制の観点から見ると、この幾つかの病院で評価が3だとか数字であらわされているわけですが、例えばこの病棟もしくは病院に入院されている患者さんの苦痛、疼痛緩和でありますとか、肉体的それから精神的なコントロールもできていなかったということでしょうか。それともコントロールは一定別な方法ではできているけれども、いわゆる緩和ケアを提供する体制としてはできていなかったという評価でございましょうか。

○池永構成員 今回この机上配付資料については、非常に各実地調査メンバーの個人的なメモということでございますので、あと評価段階も何か客観的なもので示しているものではなくて、構成員の皆さんの方が理解しやすいようにということで御用意させていただいた内容でございます。

 当然、実際に患者さんの苦痛がどの程度改善しており、痛みの程度がどの程度なのかというような客観的なツールをもって評価し、各施設を判断したものではございません。あくまで提供体制が十分であるのか、それとも何らかの提供体制に課題を持っているのかということを、現場の声をもとに評価しているというような内容であります。

 当然、我々が指摘したというよりも、各現場の方々が課題として、ここは十分できていない、なかなか病院として難しいのだというような、非常に孤軍奮闘している専従看護師からの意見等もございますので、そういう観点から評価した内容でございます。

○花岡座長 よろしゅうございますでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。

 それでは、時間の関係もございますので次のステップに移りたいと思います。

 2の4、5でございます。よろしくお願いいたします。

○池永構成員 次は、緩和ケアチームと専門的緩和ケアの提供体制のポイントでございます。

 「4,緩和ケアチームへの診療依頼のあり方」でありますが、課題といたしまして「緩和ケアチームへ診療を依頼する基準が明確化されていない。」ということです。

 各担当医もしくは看護師の個人的な判断で紹介されたりされなかったりということもあり、基準が明確でないということが指摘されました。

 「緩和ケアチームの専門的緩和ケアの提供能力が低いために診療を依頼されない」というような問題点もございました。実際、緩和ケアチームもさほど専門的な緩和ケア提供能力がないために担当医から紹介が出ず、自分で判断し自分で行ったほうが早いという御意見等もございました。

 【課題解決に向けた提案】でございますが、緩和ケアチームの役割や診療依頼の基準を明確化するとともに、院内でその基準を周知し、また、外来を含めた簡便な診療依頼方法、紹介の方法の手順が外来ではどうしても時間が少ないので簡単に紹介できる方法、また連絡がとれるような体制、リンクナースを活用したアクセスをルール化することが重要ではないかということでございます。この点につきまして、指定要件に反映されている事項と一致すると考えられます。

 あとは、がん患者のカウンセリングを活用して、早い段階から緩和ケアチームの看護師が患者・家族と顔を合わせておく。緩和ケアチームがスムーズにかかわっていくことができるように、その担当看護師も早い段階からかかわっていくことも重要ではないかということでございます。

 「5,専門的緩和ケアの提供体制」でございます。

 【課題整理】といたしまして、全ての拠点病院において、現状では専門性の高い緩和ケアチームの医師を確保することは、やはり困難ではないかということが推測されました。

 また、緩和ケアチームの活動は主には専従看護師を中心とし、その専従看護師が苦痛のスクリーニング管理、また、院内院外の連携調整、相談支援機能等、多種にわたる緩和ケアの提供に不可欠な存在要素になっており、その専従看護師の負担も非常に大きなものとして感じられました。この活動をいかに発展させていくかが課題とも言えるということであります。

 あと、看護師や相談員等の人材が適正に配置されていないのではないかということです。

 また、看護師も十分な数が確保されていなかったり、相談員も十分な数が配置されていないことも見受けられました。

 緩和ケアチームの診療後の対応について、主治医との役割分担の不足等がありました。特に主治医が対応するのか、緩和ケアチームが対応するのかというような役割分担が明確ではないということで、実際、症状緩和がおくれたりすることがあるということでございます。

 緩和ケア外来の院内掲示が不明確な施設もありました。実際、緩和ケア外来がやっているのかやっていないのか、院内の掲示だけでは十分わからない、また、どこにあるのかということも患者・家族に情報が行き渡らないということでございます。この点の周知というものが十分ではありませんでした。

 これらの【課題解決に向けた提案】でありますが、どうしても院内施設の医師だけであると、十分な専門的緩和ケアを提供することが難しいだろうということが示されましたので、単一の施設内だけではなくて、施設間の連携において医師を確保するということであります。地域で緩和ケアの専門家を確保する等の取り組みを進めてみてはどうかということです。院内では、人員が十分に対応できない苦痛に対して、地域連携の中で確保するということであります。

 ある施設は、以前その病院に勤務していて、他の病院に移動した緩和ケアの専門家が日にちを決めてその施設のサポートに入るというような、他の施設の緩和ケアの専門家が他院のサポートに回るというような活動も見受けられました。

 人員の少ない地域においては、従来の緩和ケア診療加算、緩和ケアチームの加算でありますが、これらの算定基準を緩和した措置を設けたらどうかということです。

 あと、医師のみならず看護師を初めとした他職種の活動を円滑に進めていくために、診療報酬や制度、また、政策的な支援を進めてはどうかということであります。

 専門医や専門・認定看護師等各施設の専門職のキャリアアップの体制を明確にし、病院内で計画的な人材育成を図ることも重要だろうということであります。多くの施設は、全く認定看護師が1人で活動しているということもありましたので、やはり院内でサポートしていただきたいということが見受けられました。

 施設の管理者は、緩和ケアチームの専従看護師に対してキャリアアップの支援を行い、緩和ケアセンターにございますようなジェネラルマネージャーのように、緩和ケアにおける院内の資源の活用や関係者間の連携調整役を担う体制を構築するということです。

 特に、その施設の管理者の協力のもと、院内の緩和ケアをレベルアップするような働きというものも必要だということであります。これは都道府県拠点病院に求められている緩和ケアセンターが、より広い拠点病院で求められるのではないかということでございます。

 医師を初めとする診療従事者の能力の向上のために、他の施設であったり、緩和ケア病棟での実地臨床や講習会の開催等、人材交流を進めるということであります。

 ある緩和ケアチームの担当医は、全く違う施設での緩和ケアの状況であったり、緩和ケア病棟も見に行ったことがないというような緩和ケアチームの担当医もございましたので、そういう人材交流をもっと進めたほうがよいのではないかということであります。

 主治医と緩和ケアチームの役割分担、特に主治医が手術や外来等で動けないときの麻薬の処方について、緩和ケアチームの協力等も可能になればということでありますが、この点については、指定要件のほうで反映されている事項に一致すると考えられます。

 緩和ケア外来は、わかりやすい場所に設置されている、また、明確に表示されている、全ての患者・家族に対して外来の存在が周知されるような体制を確保する必要があるのではないかというような提案でございます。

 以上でございます。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 「4,緩和ケアチームへの診療依頼のあり方」及び「5,専門的緩和ケアの提供体制」ということについてのお話でございますが、何か構成員のほうから質問、コメント等ございますでしょうか。

 どうぞ、前川構成員。

○前川構成員 ワーキンググループの一員としてではなくて、緩和ケア検討会の構成員としての発言をさせていただきます。

 専門的緩和ケアと、あと基本的緩和ケアいろいろここにあり方が書いてありますけれども、もちろん制度上の問題で、患者のほうから依頼はできないことはわかっているのですが、この文章を読んでいますと患者が不在なのです。患者はどこに声を上げればいいのだろうか、それは医療者がきちっと吸い上げてくださればいいのですが、痛くてもどこへ言っていいか、主治医を信頼してれば主治医がきちんと痛みをとってくださると思いながら、痛みにもだえ苦しんで亡くなるというのが何度も聞いていることなのですが、どのようにこれはすればいいのでしょうか。患者のほうから声を上げることができない、上げても吸い上げられない場合。どうなのでしょう。

○花岡座長 いかがでございましょうか。

 これはなかなか難しい問題で、患者さん自身がどこかに行く道というのがわかればいいのですね。それがわからないというところが多くの問題を残しているように思いますけれども、基本的な形としては、国民全体がそういうものであるというような認識が植えつけてくるようになれば大分違ってくるかなという気がいたしますが、いかがでございましょうか。

 がんと診断されたときからの緩和ケアの関与ということで今、そういうふうにうたってはいるのですが、なかなかそのような概念といいますか、そういうのが進んでいかない状況もあるのかもしれませんけれども、患者さんとしてもそういうものがあるのだ、存在しているのだと、すぐ緩和ケアという言葉を、チームというような言葉が出てくれば、それで患者さんのほうからの御提案も受け入れれば非常にスムーズな動きができるのではないかというような感じはいたしますが。

 どうぞ、細川構成員。

○細川構成員 細川でございます。

 今、前川さんおっしゃったのですが、なかなか患者さん家族というのは、主治医、医師に対してはやはりちょっと敷居が高いというか、なかなか言えないところがあって遠慮されているケースが非常に多いと思うのです。

 この4月から看護協会のほうで、看護師の緩和ケア教育が始まると思うのですが、その目的の1つがリンクナースという形なのです。つまり病棟にいる一般看護師で基本的な緩和ケア、痛みも含めてそういったことに対して患者と主治医の橋渡し的な役割を担う、もしくは緩和ケアチームとの橋渡しを担うというようなことを教育していくことになると思いますし、我々見ていても、医師になかなかしゃべらなくても看護師さんに対しては結構話される患者・家族さん等多いと思いますので、できれば今のような内容のことに関しましては、この4月から始まる看護師の緩和ケア教育の中に織り込んでいただいて、そういう立場であるということを教育していただくというような形で、徐々に解決していけるかというふうに考えます。

○花岡座長 ありがとうございます。

 どうぞ、小松構成員。

○小松構成員 今、細川構成員から御指摘ございました、もう2月にパイロット的にリンクナースを指導する指導者研修というのが、看護協会の特別委員会のメンバーを中心にして進めているところでございまして、前川さんがすごく気にしていらした、なかなか誰にどういうふうに言えばいいのかというところがすくい上げられるような、橋渡しをするためのツールもその中でテキストとしてはつくりまして、それを持ちながらリンクナースが橋渡し専門的なところに、どういうタイミングでどういう状況で必要なのかといったところは教育のツールはできあがっていて、それが波及していくということが一つできればなと思っていますが、多分、もう一つ前川さんがおっしゃるのは、やはり患者側も専門的な緩和ケアチームあるいはリンクナースがどこにいるのかとか、どういう役割をするのかといった、そういうことがわかる、わからないといけないというところも一方ではしないといけないと思っていて、看護協会でこれは今、検討中ですが、リンクナースになった人がわかるように何かバッジでも何でもいいのですけれども、それをつけて固定の場所が無理ならば、人が動いているときにわかるようなものということをやってアピールしていくことも重要かなという話は、先日出たところでございます。

○前川構成員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

○花岡座長 よろしゅうございますか。

 川本構成員、どうぞ。

○川本構成員 先ほどから看護職の期待をいただきまして、ありがとうございます。

 今、小松委員からも御説明いただきましたように、日々、今、努力しているところではございますが、今回の報告書を見ておりまして、孤軍奮闘している認定看護師とか専門看護師の過酷な状況が見え、逆にすごく心配になってきております。今は、おそらく使命感だけで責務を果たそうとしていると思いますので、そのうち燃え尽きてしまわなければよいが、とちょっと不安を感じております。

 先日の研修のときも、小松委員にすごく企画でご苦労いただきました。結局1人で就業すると、孤立し、燃え尽きてしまうようなことも起こってくるかもしれないということで、同じ地域の方が研修においてもつながっていけるよう研修会場で座る場所を工夫したりとか、連携づくりに留意して研修を進めて、なるべく研修生同士がつながれるようにということで頑張っているところではございますが、今から少しずつというところになるかと思います。

 それから、先日私はちょっと衝撃的な事実を知りました。正確な数字が言えないのですが、認定看護師、専門看護師のその能力や活動実績が、給与に反映しているかというと、別枠でいただいているということがなくて、認定看護師はたしか3千円ぐらい。専門看護師でも5千円ぐらいで、むしろいただいていない方が多いという事実が出てきておりました。きょう御説明するつもりではなかったので、正確な数字は持ち合わせておりませんけれども、このような事実がございまして、ぜひ看護職が燃え尽きないような形でのいろいろな支援というか、せっかくの今の動きを途絶えさせることのないような御支援もいただきたいなと思っております。

 以上でございます。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 あとはいかがでしょうか。

 この「緩和ケアチームの専門的緩和ケア提供能力が低いため診療を依頼されない」というのは、これはそのチームの人たちが自分で認識しておっしゃったことなのですか。

○池永構成員 ある施設では、そういう認識もある担当医の方もいらっしゃいました。施設から、やることになって、けれども外に勉強しに行ったこともないし、教育を専門的に受けたわけでもない中でやらざるを得ないという現状もあり、ほかの担当医と自分がさほど能力の差というものを余り感じずに担当医を行っているという施設もございました。

○花岡座長 自助努力が必要だということが言えるところでございましょうけれども、依頼するほうと依頼されるほうがあるわけで、依頼するほうから見てもちょっとと思うと依頼しないし、依頼されるほうも何か依頼されるときに非常に不安だということであれば、やはりこのようなところの提供体制が非常に難しいということになってくるのだと思いますが、いかがでしょうか。

 池永構成員、どうぞ。

○池永構成員 特に緩和ケアチームが、いわゆるこのエンド・オブ・ライフケアの例えば症状緩和であったり、調整能力がないというふうな点で、なかなか活用されないというところも見受けられました。追加でございます。

○花岡座長 ありがとうございます。

 あとはいかがでしょうか。どうぞ、松本構成員。

○松本構成員 「5,専門的緩和ケアの提供体制」についての部分で、6ページの御提案の最初のところに、施設間連携による医師の確保など、地域連携の中で確保するというような御提案がありました。

 先ほど、ある施設ではそこにかつていたドクターがかかわることによって補完しているというお話がありましたが、それは恐らく極めてレアケースだろうと私は思います。私は地方に住んでおりまして、本当に緩和ケアのドクターが次々と病院を去って行くという、この春もそのような現状がありまして不安に思っているのですが、何かその地域連携の中でもう少し普遍化できるような何かいい案というか、そういうものを構成員の先生方の中でお持ちであれば御提示いただければと思いますが、いかがでしょうか。

○花岡座長 いかがでございましょうか。

 そういう地域連携の中でうまくやりくりをやっているというところの御経験はございますでしょうか。

○池永構成員 この施設間連携という点については木澤構成員が提案してくれた内容なので、何か御提案あったらお願いいたします。

○木澤構成員 木澤でございます。

 私自身が実践しているわけではないのですが、今も提案があったように、いわゆる地域自体に緩和ケアの専門家が本当に少ない数しかいない場合、例えば電話やメール等でも利用して症例を相談し合ったりとか、場合によっては患者さんの移動を含めてそちらで見てもらったほうがいいのではないかというような連携を含めて、例えばホスピス緩和ケア病棟を利用したり、在宅の医療機関を利用したりということで、施設全体を見通して患者さんのケアを行うという視点を持ちながらやっている地域もありますので、そのようなことを考えてこのような文章を書いていただいたということになります。

 以上です。

○花岡座長 お医者さんも動くことがあるかもしれませんが、患者さん自身も動くことがございますので、動かれたときには、そういう意味での地域だけではなくて、かなり広い範囲を考えなければいけないような、そういうケースも出てくる可能性もございますね。

 それでは、お時間の関係がございますので、次の6、7のほうに移りたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○池永構成員 6と7は相談支援と地域連携の課題でございます。

 「6,相談支援の提供体制」ですが、相談支援に関して、がん患者とその家族に対する広報が不足しているということが見られました。

 あと、相談支援センターの設置場所が、そもそも患者・家族にとってわかりにくかったり、地域連携センターとの区別がつきにくいといいますか、いろいろな相談室がたくさんあって、医療相談室、がん相談支援センター、地域連携室というようないろいろな窓口があって患者・家族がわかりにくいということもございました。

 相談支援センターの中に、プライバシーの保つことのできる個室が確保されていないということも課題として挙げられています。若干、スペースに限界のある中、狭い場所で相談支援を行わざるを得ないという施設も見受けられました。

 その後の継続的な介入も、十分にはなされていないということもあるということであります。

 【課題解決に向けた提案】でありますが、相談支援に関して、利用者目線の掲示、活動の強化、患者の利用を第一に考えた推進ということで、わかりやすい窓口であったり、統一されたものが必要ではないかということであります。

 あとは面談環境の確保ということでございます。窓口を1つ設置し、その窓口に行けばあらゆる部署・専門家と連携できるような体制を確保するということであります。

 相談支援センターに対応した患者とその家族に対して、緩和ケアチームや外来化学療法室、地域連携室の他部門のメンバーが定期的に情報共有するというようなシステム、院内で有機的に連携をしていくというような機能の確保というものが重要ではないかということを提案しております。

 「7,2次医療圏内の医療機関との連携」でございます。

 緩和ケアチームと院内の地域連携部門とが十分に連携されていないということ、緩和ケアに関しては、地域連携は緩和ケアチームであったりする施設もある、またその逆だったりして、それぞれの役割が十分に協同されていないということがございました。

 あとは地域においての拠点病院と、その他の医療機関との役割分担が整理されていないということ。

 拠点病院から地域に対しての連携、構築の働きかけが不足しており、ある施設では拠点病院でも最後まで診る、外来も入院もという形で地域に帰す働きかけ、また、緩和ケア病棟等と連携するということも不足していることが見受けられました。

 提案でございますが、いわゆるこの在宅医と退院調整会議で顔を合わせる機会をできるだけ設けるということ。これが指定要件に反映されておりますが、そのような地道な対応が必要だろうということであります。

 あと、拠点病院と地域の医療機関とのコミュニケーションの場を確保するということ。定期的に顔の見える関係づくりということであります。

 また、登録制度をつくって地域連携体制を強化する取り組みをしてはどうかということであります。これも指定要件に反映されている内容でありますが、いわゆる地域の診療所のリストやマップづくり等を通して、コミュニケーションを進めていくのが重要ではないかということ。また、一つ一つの事例について検討会等を開催することも有効ではないかということを提案として挙げさせていただいております。

 以上です。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 「6,相談支援の提供体制」「7,2次医療圏内の医療機関との連携」というお話でございますが、先生方のほうで何かコメント等ございますでしょうか。

 どうぞ、田村構成員。

○田村構成員 たびたび恐れ入ります。

 先ほどの発言の意図と同じなのですが、面接環境の確保を必須条件とするということで、これは特に反映はこのたびされていないのですけれども、ここで行われている相談が単なる情報提供というよりは非常に感情を扱う内容が非常に多くて、ケアする側がそういうことを配慮しながら声がけしても、声をかけてもらった患者さんや御家族は、こんな場所で思いを揺さぶられるということが、とても侵襲的に感じられたり、非常にそれはケアにならないという、環境が整わないためにつながらないということを多くの相談で承ることがあるので、必須条件というふうに一応書いてくださっていますし、意見をいただいて出してくださっていますので、まず整備をするという方向で、今後とも、ぜひ推進の1つにしていただけたらと思います。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 事務局のほう、いかがでしょうか。この点につきましては、前向きの姿勢で進んでおられるのでしょうか。

○がん対策推進官 ここでこうした形で提案としていただきましたので、そのことを踏まえて今後の扱いについて検討したいと思います。

○花岡座長 ありがとうございます。

 どうぞ、岩瀬構成員。

○岩瀬構成員 岩瀬でございます。

 7番の【課題解決に向けた提案】の2つ目に、拠点病院と地域の医療機関とのコミュニケーションの場を確保して、それぞれの役割分担を明確化ということが書いてあるのですが、日々、私も退院、在宅に移行する患者さんの調節をして送り出すような仕事を毎日しておるのですけれども、その役割分担を明確化するというのは非常に難しい問題と感じておりまして、ここに対しても今後、指針のようなものをつくっていかないと、単に役割分担を明確化しろというだけではちょっと難しいように思いますので、来年度以降の検討会に準ずる検討会のようなものができるのであれば、ぜひ、そこの課題として議論をしていただければと思います。

 以上です。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 この役割分担というのは、具体的に何かイメージがございますのでしょうか。

○岩瀬構成員 私どもの場合、個々の患者さんによって連携する在宅医療のチームと役割分担が変わってくるのです。それは御家族のダイナミクスが違ったり、住んでらっしゃる場所の医療資源が違うということがありますので、我々自身がいつも同じ役割分担をしておるのではなくて、その家族ごとに役割分担が変わってまいりますので、そういったテクニックといいますか、そういった指針を専門家がつくって出していくことが必要なのではないかと思います。

○花岡座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 やはり広報不足というところも、施設がないと広報もできにくいのでしょうけれども、どうしても相談支援ということに対する一般的な方々の認識というのは、余りまだつくられていないと思いますが、医師会のほうで、道永先生、こういうものに対する、例えばポスターを張ってくださいとか何とか、そういう議論ございませんでしょうか。相談センターがありますよとか緩和ケアがありますよとか。

○道永構成員 日本医師会には、がん対策推進委員会というものがありまして、先日、答申をまとめたのですが、都道府県医師会、あと郡市区医師会にアンケート調査をしました。

 相談支援センターに関しては、医師会が余り関与していないところが多いと聞いています。残念なことなのですが、それでこの場でちょっと意見を言わせていただきますけれども、医療機関、在宅を専門にしている医療機関だけでなく、いわゆる在宅をやっている先生方がいますので、今、岩瀬先生がおっしゃったみたいな、そういったきめ細かい調整ができるということは、それには医師会が関与できると思っていますので、そこでぜひ医師会を利用して、いわゆるネットワークを利用していただければと思っております。

 あと、この拠点病院の実地調査で、ある程度指定要件がみんな決まっているはずですね。それを、実地調査をやってこれだけちょっと悲惨な状態というのは、非常にびっくりしました。

 指定要件をつくって病院を指定することはいいのですが、その後の検証というのがとても大事で、今後も抜き打ち検査でもいいのですけれども、やる必要があるのかなと、この報告書を見て思いました。

○花岡座長 ありがとうございます。

 なかなか一定レベルに持ち上げるというのは難しいのですが、まず芽が出なければ種をまかないといけないものですから、種をまいて芽が出て、それから花が咲くというところで同じような土俵に乗ればというふうには思っていますけれども、事務局のほうは、こういうことに関して何か御意見ございますか。

○がん対策推進官 おっしゃるとおりで、肥料も必要でございますので事務局としても一生懸命頑張っていきたいと思います。

○花岡座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでございましょうか。

 それでは、次の2の8、9ですね。「3.おわりに」も含めて検討したいと思います。よろしくお願いします。

○池永構成員 最後まで御説明をさせていただきます。

 「8,緩和ケアに関する院内PDCAサイクル」の課題でありますが【課題整理】といたしまして、苦痛のスクリーニングの実施や緩和ケアチーム自体の運営体制など、院内の緩和ケア提供体制に対する情報整理と評価体制の確立というのが不足しております。緩和ケアチーム自体がいろいろなデータ収集と評価をしているけれども、それが院内全体に周知されていない。また、管理者も十分把握していないということがあります。

 また、現況報告書を拠点病院は提出していますが、現況報告書でどのような内容が書かれているかということを現場のスタッフも余りよく知らない。事務方だけで整理されていて院内で共有されていないという問題点も見受けられました。

 【課題解決に向けた提案】でありますが、院内の緩和ケアの提供体制を管理する体制を確保するということであります。これについて、指定要件に反映されているという内容でもございます。

 あと、現況報告書によって緩和ケアの提供体制を正確に評価することは不可能であるのではないかという印象も受けております。必ずしも、現況報告書の内容が実態に十分沿った形で出されていない。また、少しニュアンスの問題で正確に記載されていないということも見受けられました。

 外部からの評価を受けることを義務づけるなど、実効性のある評価の実施体制を検討していく必要性があるのではないかということであります。

 特に、外部から評価を受けるということは、今回の実地調査でもありましたが、非常にそれに伴っていろいろなツールであるとか、データをそろえたりということも見受けられました。1日2日でつくったのではないかというような印象のものもあったのですが、少なくともそれが整備されているであったり、あと、特に現場での問題点を合同面接の中で、合同ヒアリングの中で管理者にも訴えることができるということで、逆に緩和ケアチームから後日感謝されたという施設もございました。こういう場をつくって管理者に伝えることができてよかったということでもあります。

 そのような点からも、外部からの評価、また、実地調査というものは有効な可能性がある。現況報告書では、十分ではないという課題も見えてきております。

 「9,その他」でありますが【課題整理】といたしまして、拠点病院として緩和ケアを提供する考えが必ずしも現場で十分に浸透していないということが随所に感じられました。

 当然、地域の拠点病院におきましては、先ほども申したとおり、がんだけが対象ではなくて、地域での救急医療やさまざまな疾患に対応しないといけないという課題もありますが、ただ、拠点病院としての緩和ケアというふうに考えますと、不十分さ、また、意識の低さを感じざるを得ないという課題がございました。また、医療用麻薬、緩和ケアという言葉を恐れる患者さんと御家族もいまだ多いということであります。

 【課題解決に向けた提案】でありますが、院内での意識統一と、現場の診療従事者や緩和ケアチームメンバーからの意見を上にくみ上げるような体制づくり、管理者との意思統一ということは非常に重要だろうと考えられました。

 あと、人材交流や講演会、講習会など、他の医療機関においての医療提供の現状を知る機会をふやしていく必要性があるのではないかということです。

 患者さん、御家族に対しては、苦痛について医療従事者に表現する必要があるということを明確に伝える。また、診療従事者に対しては患者と家族の苦痛について確認する義務がある。また、苦痛に対して迅速に対応する義務がある。それは拠点病院だからこそ、そういう必要性があるのだということを、ポスターなどを活用して周知徹底する必要性があるのではないかということです。

 患者さんから訴えていただく、訴えられた苦痛に対して確認し対応する医療従事者の体制づくりということが、必要不可欠ということであります。

 「3.おわりに」でありますが、今回の実地調査は、確かに緩和ケアチーム活動や外来患者数や診療報酬の算定の低い施設を中心に調査したことも多うございますが、達成度はばらつきがあるものの、全体としては極めて不十分と言っても過言ではない結果も得られています。

 当然、現況報告書では、拠点病院として要件を満たしていると報告されているにもかかわらず、現状が伴っていないのではないかと思われるようなケースも散見されました。

 また、専任の身体症状を緩和する医師も大変忙しい状況で、自身の専門分野の診療も行いながら緩和ケアチームの仕事もしないといけないという現状。また、専従看護師が1人で頑張っているという現状を速やかに解決していく必要、課題を解決していかなければならないと感じております。

 今回の実地調査では、現場の状況を把握して課題整理を行うことを当初の目的としていましたが、個々の施設の立場から、緊張感を持って実地施設の緩和ケアの提供体制を見直し、組織の管理者と現場の実務者が同じ場所で意見交換をすることにより、取り組みが改善するという好循環を生むケースも見受けられました。

 緩和ケアに関する各施設の取り組みを改善し、維持していくためには、今回の実地調査のように、がん患者を初めとする国民を含む外部の視点を組み込んだ評価体制を確立することが有効であり、現況報告による自己評価だけではなくて、国民や都道府県内外の専門家による外部評価を組み込んだPDCAサイクルの構築が求められていると考えられました。

 以上のような報告をさせていただきます。ありがとうございました。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 非常に詳しい報告で、内容もしっかりしていると思います。

 「8,緩和ケアに関する院内PDCAサイクル」及び「9,その他」ということでまとめていただきましたが、この外部評価というのは、今のお話にございましたように、国民を含む、がん患者さんも含むと、そういう意味での評価体制というようなイメージでございますね。

○池永構成員 今回、訪問において患者目線、また、市民の目線で見る方々がおられたことが、非常に我々医療従事者だけでは気づかないような点も多くございました。

 また、特に受診しておられる患者さんの生の声を、どうしても医療従事者はそれっぽく見えるので聞けないのですが、患者会代表の方が少しインタビューしたりして、生の声も聞けたというのは有効だったと思われます。

○花岡座長 ありがとうございます。

 いかがでございましょうか。この件ににつきましての御意見、御質問等ございますでしょうか。

 松本構成員、どうぞ。

○松本構成員 たびたび済みません。

PDCAサイクル、外部評価のことについてですけれども、先ほど道永構成員からも継続した外部評価というのが必要ではないかというような御意見がありました。

 都道府県拠点病院が地域の拠点病院へ実地調査をする点については、まだ今後の取り組みであるということを先ほど事務局から伺いましたので、恐らくこれについてはなかなかこの緩和ケアの領域についてそれを実行するというのは、どちらにとっても難しいことなのだろうなということを思いました。

 先日、地元の病院の先生から伺ったのですが、国立病院機構の中で、感染対策と医療安全の領域について、相互訪問調査というものが行われているというのを聞いたことがあります。幾つかの病院がチームになって相互訪問するというシステムがあるということを聞いたことがありますので、こういったものを緩和ケアに、PDCAに何かかませることができないのだろうかということを思いましたので、何かそういったことも含めて、今後継続した外部のチェックというものが必要ではないかと思います。

 いずれにしましても、今回のこの調査によって、私どもも拠点病院のいろいろな問題点というのを目の当たりにすることができまして、ワーキンググループの御参加の先生方に心から敬意を表したいと思います。どうもありがとうございました。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 どうぞ、加賀谷構成員。

○加賀谷構成員 WHOでは、医療麻薬の消費量がその国の緩和医療の進展、度合いの1つの指標にしています。いつもいろいろな統計・資料等で、我が国の医療用麻薬消費量が先進国の中では非常に低迷しているという報告が毎年出てきます。

 そういう意味で、がん拠点病院等での麻薬の消費がどのように変わっているのかということを調査項目の中に今後入れていただいたほうが、もっと具体的な推進につながるのではないかという気がするのですけれども、池永先生いかがでしょうか。

○池永構成員 その点につきましては、私も余り明確な意見が出ないのですが、1つの評価方法として、麻薬の使用量の推移という点においては有効なのかもしれません。

 ただ、到達目標というのがどのぐらいの量なのかとか、海外と日本との差というのは、ちょっと私にもわかりませんので、ただ単に絶対値だけでは評価できないのかもしれません。それと今回の実地調査では、そこまで明確には変化というのは認めておりません。

○花岡座長 よろしゅうございますか。

 事務局のほうとしては、例えば拠点病院の麻薬の使用量の変遷というような、そういうことはつかめるものなのですか。

○細川構成員 今、幾つかの病院でちょっと調べにかかっているのですが、まずWHOが出しているものにしても国内で出しているものにしても、薬屋さんというか製薬会社の窓口から出ているオピオイドの量というところで、各国がどれだけ使用しているかというのが判断になっているのです。

 一般的な方は御存じと思うのですが、例えばフェンタニルですね、フェンタニルなんかというのは、どちらかというとがんの痛みに使っている分よりも、手術の麻酔や術後鎮痛に今、使われているケースが非常に多いのがまず一点です。

 医療の中でも、モルヒネにしろオキシコンチンにしろ何にしろ、非がん性疼痛に使用されている量が随分多いのですけれども、それとそのがんに使われている分だけの仕分けというのはほとんどできないのです。

 実際には、今、我々の病院でもちょっと薬剤師さん入っていただいてコンピューター室の方入ってもらってやっているのですが、がんという名前のついている人に使ったそのオピオイドだけでやったとしても、手術をされていると、その中に手術のときに使ったオピオイドが入ってしまうのです。

 だから、ほとんど正確な数字、海外も全部どの国も同じような形で出しているかというとそうでもないし、例えばアメリカなんかは非がん性に使っているほうが90%を超えているような状況ですので、全く比較できない。ただ、先ほどおっしゃったように、各診療拠点病院で緩和ケアチームができたり、そういうことを認定されてからどれだけ使用量が変わってきたかということは多少の目安にはなると思うので、それは単独ではちょっとできない。

 それと、他のドイツやイギリスの方々と話をすると、全く在宅においても患者さんたちの意識が違って、例えばスペインなんかですと、大体一般の患者さんが開業医の方に1日かかると平均の労働者の1月分の給料が飛んでしまうぐらいなお金がかかるので、1回来たら2カ月後、3カ月後というようなことなのです。かなりのオーダーを出しますし、イギリスは「ゆりかごから墓場まで」と言われていながら、自分のかかりつけ医にかかるのに39度の熱を出しても次のあなたの予約は3週間後というようなものが現状でございますので、国によって大分違うところがあるので、かなりきめ細かくやらないと、その数字だけがすっと先走りするというのは、僕はちょっとよくないのではないかと考えております。

○花岡座長 ありがとうございます。

 事務局、今のお話全体お聞きして何か御意見ございますか。拠点病院だけの変遷というのはできるものですか。

○事務局 初めの御質問にお答え申し上げますと、この報告書の中にも何回も出てきている現況報告というツールが事務局の手段としてあります。

 現状、麻薬の使用量という項目を設けて、どの施設でどれだけ使われているということを把握はしておりません。いろいろ御議論をいただければ、そういったツールを今後、発展的に活用することもできるかもしれません。

○花岡座長 ありがとうございます。

 ほかには、いかがでしょうか。前川構成員、どうぞ。

○前川構成員 この中でワーキンググループに参加したのが3名ですか、その中でちょっと私が行ったときの感想というか、そういうのをちょっとお話させていただきます。

 厚労省のほうから行きますというのを前もって伝えているので、素知らぬふりをして入っても、もう向こうは待ち構えているという感じでした。先生方は、やはり先生のオーラが出ているので、すぐ見つかったのですけれども、私の場合はするっと入って、がん相談支援センターと、2カ所そこはあったのですが、何気なく聞いて、あら、ここわかりにくいなという感じだったのですが、余り早くから行きますと言うと、病院側は準備されます。先ほど道永構成員がおっしゃられたように、こういう状態とびっくりしましたとおっしゃられましたけれども、本当にこういう状態。でも、ほかにも日本中たくさんこういう状態のところがあると思います。

 ですから、用意した分ではなくて、日常の病院、本来の業務を見せていただくという感じで今後、これをスタートとして、いいきっかけとして今後、継続していただければなという思いがします。

 それと、県の方も一緒に行かれたのですが、初めて来ましたという方がいるところが、私が行ったところはあったのですね。行政ががん拠点病院に初めて足を入れたということが私はとても驚きでした。ですから、行政と病院との溝というか、実態を行政、県ですよ、これは厚労省ではなくて。知らないということに非常にびっくりしました。ですから、これをスタートとしていい方向に向けばと思っております。

○花岡座長 ありがとうございます。

 木澤構成員も何か御意見ございますか。今回の訪問に関して。

○木澤構成員 全く用意をしていなかったので、うまいこと言えませんけれども、1つ思いましたのは、自分はある程度予想していた範囲だったなと思いました。どなたかも、多分、池永構成員もおっしゃられたと思うのですが、数日前につくっただろうなというような書類や、僕は別に予定していたわけではないのですが、数時間前に入ってなかった掲示物ができていたりとか、そういうこともありましたので、やはりそういう部分はあるだろうなと感じたわけですけれども、でも、一つポジティブな、池永構成員もおっしゃっていたのですが、それをきっかけに新たに組織が見直されたりであるとか、例えば看護師さんたちがかなり組織横断的に動けるような体制ができたりとか、新たなポストをつくろうと病院の管理者が決めたりというような動きがあったということを聞いていますので、一定の価値があるので、こういう実践を続けていくべきだということを痛感いたしました。

 以上です。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 どうぞ、田村構成員。

○田村構成員 このレポートを読ませていただいて、私、現場で一線のいろいろな相談をお受けしていて、本当にこのとおりだなというふうに、何も驚くことはなかったです。

 これが実際なのですけれども、これをオープンにできたというのが物すごく大きな価値だったと思いますし、このように何が起きているのかがわかることでここから考えていけるというところがあるので、ぜひそのように状況をみんなで明らかにしてオープンにして考えるという、この仕組みで少しずついいものにできるような体制を、みんなでつくっていけたらなと本当に思います。ありがとうございました。

○花岡座長 どうもありがとうございました。

 ほかには何か。

 どうぞ、中川構成員。

○中川構成員 今回の調査は物すごく大変だったはずで、11名のワーキンググループの委員の先生方が10回会合されてという物すごい負荷がかかったであろうなと。それだけの意義があったと思うのですが、先ほど事務局側から、来年度も続くというようなことを伺ったわけですが、そのときに今のようなワーキングの形でやるのか、また、先ほど来、外部評価という話が出ていますね。外部評価という緊張感というのは物すごく重要で、そういう意味では資料5の8ページの最後のところにあります「自己評価のみならず」というところですね「国民や都道府県内外の専門家による」という、この外部評価というのは非常に重要だと思うのですが、緊張感という意味では、できるだけいわゆるピアレビューに近いような、例えば都道府県の拠点病院がその県の拠点病院を見に行くというようなことよりは、恐らく県をまたいで、できれば隣り合わせないような、そういう手法はよく我々は使っているのですが、そういう県の中でというよりは、県をまたぐような形できちっと、まさに外部評価、緊張感があるような外部評価ができるような仕組みが、来年度求められるのではないかなと感じます。

○花岡座長 どうもありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 本当にこのワーキンググループの先生方にはお世話になりまして、第1回が25年、昨年の9月からですか、ことしの1月の終わりまでかけまして第10回という、お忙しい回数の会議を開いていただきまして、ここまでまとめていただきましたこと、非常に感謝したいと思います。

 それでは、そろそろ時間になりましたので、本日の検討会はここまでにしたいと思います。

 どうぞ、細川構成員。

○細川構成員 今回、年度最後ということなのでお礼を申し上げたいのですが、私はここの構成員に加えていただきましてから、がんの初期の緩和ケアの研修を受ける人たちが減ってきているというようなところで、できれば研修医の2年間の間に受講することを義務づけていただきたいという話をしたのですが、早速がん診療連携拠点病院指定の研修の実施体制の中に、施設に所属する初期臨床2年目から臨床研修終了後3年目まで、つまり5年以内の先生方の全てですね、当該研修を終了する体制を整備することというのを加えていただきまして、非常に感謝しております。ことしから非常に多くの方々が研修を受けることに多分なると思いますので、どうもありがとうございました。

 あと、もう一点なのですが、実は入院時の緩和ケア、つまり早期からの緩和ケアが退院後も継続して提供される体制という中で、今どうしても退院後の継続した緩和ケアというものが終末期の部分でやられているばかりで、以前にも申し上げましたけれども、がんと診断されて最初に治療を受ける、それが化学療法であれ手術であれ放射線療法であれ、多分2カ月ぐらいで一旦は片づくと思うのですが、そこから退院された後が日本の体制ですと、いわゆるかかりつけ医がおられないものですから、少し咳でも出たら患者さんたちはやはり肺に転移しているのではないかと思われますし、背中が痛くなれば骨に転移したのではないかと心配されるわけですね。心配して活動的な方はすぐに主治医のところへ行かれる。そうすると手術を専門にしたり放射線を専門にしている先生方のかなりの負担になってくる部分があります。そういった方々を見ていただくかかりつけ医というのを、これ私、実はうちの病院で話をしたら、地域連協の婦長に随分、また私たちの仕事がふえるじゃないと怒られたのですが、これは諦めていただいて、できればがん診療拠点病院から最初の治療で退院される方には、かかりつけ医を紹介していただくということをしていただきたいのが1点。

 それと、きょうちょうど医師会の先生おられますので、これもお願いなのですが、大体のがんですね、そのステージに合わせた死亡率や再発率の高さとか、どういったがんがどういうところに転移しやすいとか、どういった治療でどういうサイド・エフェクトがあるかということはある程度決まってきますので、これも実は日本医師会、もちろん各がんに関連した学会が協力することになると思うのですが、ある程度がんに特化した、診られる診療医の先生方の教育といいますか、養成なんかを地域医師会とかをめぐらせて体系づくりをしていただければと実は考えているので、よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○花岡座長 道永構成員、いかがですか。

○道永構成員 ありがとうございます。

 かかりつけ医が非常に大事だということを認めていただいて感謝いたします。

 思っていますのは、クリティカルパスというのがせっかくあるのに、なぜそれが余り活用されないかということです。

 例えば咳が出てすぐに主治医の、手術してくれた先生のところに行ってしまうよりも、まず地元で診ていただいて肺の写真を撮ってもらえば安心だし、そういうところとは医師会のほうで面倒を見たいと思っております。ありがとうございました。

○花岡座長 ありがとうございました。

 最後にどなたか。どうぞ、岩瀬構成員。

○岩瀬構成員 かかりつけ医の話が出ましたので、最後なので要望を言いたいと思います。

 日々、がんの患者さんが退院され、在宅医の先生と連携しているのですが、その「かかりつけ医」の先生方のお考えですとか、それが非常にまちまちで、そこでいつも苦労といいますか調節が難しくなるという現実があります。

 本検討会は、がん拠点病院の緩和ケアチームを推進するための検討会ではなくて、緩和ケア全体の推進の検討会だったはずなので、今後のテーマは地域の緩和ケアチームですとか、医師会が主導の地域の緩和ケアの充実というものが目標になるのではないかと思いますので、ぜひ医師会のほうにも御指導いただいて、在宅緩和ケアの推進をよろしくお願いしたいと思います。

○花岡座長 ありがとうございました。

 それでは、時間がまいりますので、本日の検討会はここまでにいたしますが、その他事務局のほうから連絡事項等ございますでしょうか。

○がん対策・健康増進課長 がん対策・健康増進課長の椎葉でございます。

 先生方とは、たしか8月にお会いしてから本当に久々でございますが、その間ワーキンググループの先生方、本当に実態調査をしていただきまして、ありがとうございました。

 きょうのワーキンググループの報告書でございますが、大変、本当に私たちも切実に受けとめているところでございまして、今後また新しい体制でやらせていただきたいと思いますが、本当に本腰を入れまして、我が国の緩和ケア体制、かなりがん拠点病院を中心にうまくいってきたように思っていたのですが、そうではないということがよくわかりましたので、本当にしっかりと一歩一歩踏みしめていきたいと思っております。

 例えば医療用麻薬の話でありますとか、それから苦痛のスクリーニングをみんなやるとか、リンクナースの活用だとか、いろいろなことを御提案いただきましたけれども、いろいろ受けとめまして今後しっかりとやらせていただきたいと思います。

 本当に2年間、ありがとうございました。また、引き続きいろいろな体制でやらせていただきますので、そのときは御協力をお願いしたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

○花岡座長 それでは、お時間がまいりましたので、検討会を終了したいと思います。

 構成員の皆々様、本当にありがとうございました。


(了)

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