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2014年2月28日 第2回障害児支援の在り方に関する検討会(議事録)

社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室

○日時

平成26年2月28日(金)
15:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用23会議室(6階)


○出席者

【構成員】

加藤構成員  宮田構成員  田中 齋構成員  朝貝構成員  岡田構成員  片桐構成員  田中 正博構成員  石橋構成員  高木構成員  柏女構成員  大塚構成員   柘植構成員  佐藤構成員  松浦構成員  田畑構成員  大南構成員

○議題

・地方公共団体からのヒアリング 等

○議事

【障害児支援の在り方に関する検討会(第2回)】

○柏女座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回「障害児支援の在り方に関する検討会」を開催させていただきたいと思います。

 きょうは、これまでの大雪とは打って変わって暖かい日で、我が家の周辺の梅も一気にほころんで、もう間もなく咲くなという感じで待ち遠しい気持ちがいたします。

 そうは言いながらも、この間の雪では被害に遭われた方もいらっしゃるのではないかと思います。心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席をいただきましてまことにありがとうございます。

 最初に、事務局から構成員の出欠状況の御説明をお願いしたいと思います。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 事務局でございます。

 まず、本日の構成員の御出席でございますが、今回、大南構成員に初めて御参加いただいておりますので、紹介させていただきます。

 全国特別支援教育推進連盟理事長、大南英明構成員でございます。

○大南構成員 よろしくお願いいたします。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 なお、本日は辻井構成員及び渡辺構成員から、御欠席の御連絡をいただいております。また、市川構成員のかわりに加藤参考人に御出席をいただいております。

 本日は、まず、地方公共団体における障害児支援に関する取り組み状況のヒアリングを実施したいと思っております。

 まずは、松浦構成員から湖南市の状況を御説明いただきます。

 次に、三重県の状況についてヒアリングをさせていただきます。三重県からお越しいただいているお二方の御紹介をさせていただきます。

 まず、三重県健康福祉部子ども・家庭局子育て支援課長の田中規倫様でございます。

○田中規倫参考人 田中でございます。よろしくお願いいたします。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 続きまして、三重県立小児(こども)診療センターあすなろ学園園長、西田寿美様でございます。

○西田参考人 西田です。よろしくお願いします。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 続きまして、資料の確認だけ簡単にさせていただきます。

 本日、資料の1から資料の5まで配付をさせていただいております。また、それに加えまして、朝貝構成員から提出いただきました新聞記事のコピーがございます。著作権の関係で席上配付のみとさせていただいておりまして、資料とは別に配付させていただいていると思いますので、御確認いただければと思います。

 また、最後に御説明申し上げますが、次回以降の検討会の日程につきましても、席上配付させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

 座長、よろしくお願いいたします。

○柏女座長 ありがとうございます。

 きょうの議事は大きく3つということになりますが、2つ目の議事で、地方公共団体からのヒアリングということで予定をさせていただいております。松浦さんには、済みませんが、ぜひよろしくお願いをします。

 それから、田中さん、西田さんには、御遠方おいでいただきまして本当にありがとうございました。貴重な御意見を勉強させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速ですけれども、議事の2の「(1)第1回検討会で出された質問事項等について」に入りたいと思いますので、まず、事務局のほうから御説明をお願いしたいと思います。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 前回の検討会におきまして各構成員の方々からいただいた御意見、また、御質問に対しての資料を幾つか添付してございます。

 私、障害児・発達障害者支援室の川島と申します。よろしくお願いいたします。

 では、2ページ目の資料になりますが、前回の検討会におきまして、子ども・子育て支援の新制度で、居宅訪問型保育、利用者支援など、障害児支援に資するサービスが検討されている。また、その障害児支援の仕組みと連携が必要であるといった御意見をいただきましたので、子ども・子育て支援新制度の関係資料をつけさせていただいてございます。

 1ページは、子ども・子育て支援法に基づく給付、または事業の全体像を示したものになってございます。この図の左側になりますが「子ども・子育て支援給付」として、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付である施設型給付。

 2つ目になりますが、小規模保育、家庭的保育等への給付である地域型保育給付。 

 最後に、現金給付である児童手当というものがあります。

 右側の表になりますが、教育・保育・子育て支援などを円滑に利用できるように、情報提供、また、助言を行う利用者支援、子育ての相談や親子同士の交流ができる地域子育て支援拠点、一時預かり・放課後児童クラブなど市町村が行う事業を、新制度では地域子ども・子育て支援事業として法律上に位置づけているというものになってございます。

 新制度におきましては、障害児を含めて全ての子どもを対象にしているというものになってございますが、資料につきましては、新制度の中で特に障害児支援、障害児のほうに配慮されている部分について、新たに検討されているところを中心につけているところでございます。

 つけているものにつきまして、赤でアンダーラインを(1)から(4)まで引かさせていただいておりまして、次のページにまた(1)から(4)と項目立てしているので、その番号に対応したものとなっているところでございます。

 2ページ目をごらんいただきまして、「(1)幼稚園・保育所等における障害児の受入促進について」でございます。

 幼稚園、保育所等におきましては、障害児を受け入れた場合には従来財政措置がなされているというところでございますが、質の改善という観点から、施設型給付におきまして、障害児等の特別な支援が必要な子どもを受け入れて、また、主幹教諭・主任保育士が関係機関との連携、また相談対応を行う場合に、地域の療育支援を補助する者(非常勤)を幼稚園・保育所等に配置する。また、地域型保育事業についても、障害児を受け入れた場合に、保育士1人を配置するといったことが新たに検討されているというところでございます。

 次に「(2)居宅訪問型保育(地域型保育事業の一事業)」についてでございます。

 居宅訪問型保育につきましては、地域型保育事業の一事業として位置づけられているところでございます。4ページに地域保育事業についての概要もあわせて添付しておりますので、こちらのほうもごらんいただければと思います。

 居宅訪問型保育につきましては、保護者・子どもの居宅において、1対1を基本とする保育を行うものとなってございます。障害や疾病がある子どもの個別ケアを行う場合には、児童発達支援事業所、障害児入所施設、医療機関などの連携施設を市町村が必ず設定するとされているところでございます。

 次に「(3)利用者支援事業」についてでございます。こちらにつきましても5ページのほうに概要資料をつけておりますので、あわせてごらんいただければと思います。

 利用者支援事業につきましては、教育・保育施設、また、地域の子育て支援事業などを円滑に利用できるよう、身近な実施場所で情報の収集、また、提供を行いまして、関係機関との連絡調整を行うものとして創設されるというものになってございます。

 障害児を養育する家庭からの相談につきましても、福祉事務所、障害児施設などと連携し、適切な対応を図ることとしているところでございます。

 「(4)一時預かり事業〈訪問型〉」についてでございます。こちらにつきましても、資料が飛んでしまって申しわけないのですが、6ページのほうに、一時預かり事業の現状と新制度を整理した概要をつけているところでございます。

 こちらの事業につきましては「家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児を保育所等で一時的に預かる事業」となっておりまして、これまでの類型を見直しまして、一般型(基幹型加算)、余裕活用形、幼稚園型、訪問型に再編したというものになってございます。

 訪問型につきましては、児童の居宅において一時預かりを実施するものとして新たに創設されたものでございますが、これによりまして障害児、また過疎地域などにも対応できる体制の充実を目指しているというものになってございます。

 資料のほうが飛びまして、7ページでございます。

 前回の検討委員会で、児童相談所の役割、関与について御意見をいただきましたので、児童相談所の役割の概要資料を添付してございます。

 児童相談所の設置目的につきましては、資料の1として記載させていただいておりますが、子どもに関する家庭などからの相談に応じ、子どもが有する問題、ニーズ、環境の状況を的確に捉え、最も効果的な援助を行い子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護することを目的として設置されたものでございます。

 業務といたしましては、相談、調査、診断、判定、援助決定。また、在宅指導、児童福祉施設入所措置、里親委託、一時保護などとなっているところでございます。

 相談の種類につきましては5のところで記載させていただいていますが、養護相談、保健相談、障害相談、非行相談、育成相談となってございます。

 次のページに相談の対応件数の推移を載せておりますので、ごらんいただければと思います。

24年度の相談対応件数となりますが、全体では384,000件となってございます。その中で、障害相談が割合的に最も多いものとなってございます。次に多いのが虐待の相談を含む養護相談でありまして、各相談の中で唯一ふえ続けているといった状況になってございます。

 この資料には記載がございませんが、障害相談の24年度の175,000件のうち、約8割が知的障害児に関する相談となってございます。障害相談が一番件数が多い理由につきましては、この調査で相談内容については調査していないために詳細は不明というところでございますが、療育手帳の申請、再認定に係るものが多いためと聞いているところでございます。

 続きまして、9ページのほうに行きまして、これは障害児入所施設以外の児童福祉施設に障害児がどのぐらい入所しているのかという、19年度のデータになってございます。この調査につきましては、厚生労働省の雇用均等・児童家庭局という部署で5年ごとに調査しているものでございまして、24年度分の調査につきましては現在集計中というところなので、19年度のデータを載せさせていただいております。

 なお、ファミリーホームにつきましては21年度から制度化されておりますので、この19年度のデータには入っていないというところになってございます。

 この入所児童のデータで調査結果を見ますと、入所児童のうち障害を有する児童の割合につきましては、里親につきましては18%、児童養護施設につきましては23%、情緒障害児短期治療施設については71%、児童自立支援施設については35%、乳児院が32%、母子生活支援施設が16%という状況になっているところでございます。

 続きまして、10ページにまいりまして、こちらにつきましては、措置を含めた入所児童数と通所の児童数、利用児童数の数字になってございます。

 前回の検討会でお示ししました利用児童数のデータにつきましては、契約による利用児童数のみでございましたので、今回、2512月1日現在の契約及び措置による利用児童者数について新たに調査を行ったものでございます。

 表の上段になりますが、入所全体では利用児童数1万852人のうち、措置による児童が4,710人、割合で言いますと43%、契約による児童数は6,142人、割合で言いますと57%という状況になってございます。

 その中の福祉型障害児入所施設におきましては、入所児童数6,697人のうち、56%に当たる3,764人が措置による入所になっているところでございます。

 通所支援におきましては、ほぼ契約による利用となっている状況でございます。

 続きまして、11ページになります。こちらにつきましては、入所施設の入所に係る契約か措置の判断に係る関係通知を参考につけさせていただいております。

 入所に当たりまして、契約か措置かの判断につきましては、資料の上段に抜粋を載せさせていただいていますが、部長通知の中で示しております。

 措置が適当であるという場合といたしまして

(1)保護者が不在であることが認められ、利用契約の締結が困難な場合

(2)保護者が精神疾患等の理由により、制限行為能力者又はこれに準ずる状態にある場合

(3)保護者の虐待等により、入所が必要であるにもかかわらず利用契約の締結が困難と認

  められる場合

としているところでございます。

 また、資料の下段に運用についての通知のポイントを書かせていただいておりますが、各都道府県におきまして、契約と措置の取り扱いに差が生じないように課長通知を発出しておりまして、この通知の中では、自治体におきまして特に判断に差が生じておりました虐待の取り扱いにつきまして「・虐待のおそれがある場合も含めて柔軟に対応」すること。また「保護者に『契約』の意思があっても『措置』で対応」すること。また、利用者が利用料を滞納している場合の取り扱いについても「滞納だけをもって措置とするのではなく、児童の虐待等の状況等を勘案し判断」することなど、具体的な運用方法を示しまして、全国的に適切な判断が行われるように促しているところでございます。

 続きまして、12ページになります。前回の検討会におきまして、ショートステイの利用状況についてもデータを示してほしいといった御意見がありましたので、ショートステイの障害児の利用状況のほか、総合支援法で規定されているホームヘルプサービスなどのデータもあわせまして、直近の国保連の2510月のデータにより再編をしたものでございます。

 上から5つ目になりますが、「短期入所(ショートステイ)」の利用児童数につきましては5,817名、1人当たりの使用額は6万9,496円といった状況になってございます。

 下から2つ目の「計画相談支援」につきましては、※で記載をさせていただいておりますが、利用額と1人当たりの利用額につきまして国保連データでは障害児のみというデータを取り出すことができないこともありまして、こちらについては「者」も含んだ数字となっております。

 続きまして、13ページをごらんください。こちらは、本検討会の論点におきまして、児童発達支援センターの地域支援機能として、保育所等訪問支援、また、障害児相談支援を実施することを必須とするかどうかというところを御議論いただきたいと考えておりますので、児童発達支援センター等の保育所等訪問支援などの実施状況につきまして、26年1月1日時点について調査した結果を載せさせていただいてございます。

 全体の数で申しますと、福祉型児童発達支援センター、医療型センター、児童発達支援事業所、放課後デイサービスのうち、保育所等訪問支援は443カ所、障害児相談支援につきましては、合計で606カ所が行っているという状況になってございます。

 福祉型児童発達支援センターの状況を見ますと、410カ所のうち、保育所等訪問が211カ所、障害児相談が190カ所行っている状況となってございます。一方、医療型の支援発達センターにつきましては、全体で116カ所。そのうち、保育所訪問が16カ所、障害児相談が21カ所行っている状況になってございます。

 なお、補足でございますが、1ページ資料を戻っていただきまして、先ほど「障害児が利用可能な支援の体系」というところで資料をお示ししておりましたが、そちらの中ほどに「障害児通所系」との一番下に「保育所等訪問支援」がありますが、そこの施設事業者数というものを239カ所掲載していますが、そちらについては、請求があった事業者数という形になってございます。

13ページに戻っていただきまして、こちらの箇所数につきましては、今年の1月時点で指定を受けている事業者数となっておりまして、前のページとは視点が違うことに加えまして、数の扱いも異なっているというものになってございます。

 続きまして、14ページにまいります。この資料につきましては、26年1月1日時点で存在する事業所につきまして、児童福祉法改正前、24年3月以前はどういった施設であったかというのを調査した結果になってございます。前回の検討会の資料におきましても、全国児童発達支援協議会が行った移行状況調査の結果をつけておりましたが、直近の状況について再調査をしたというものになってございます。

 結果を見ますと、福祉型児童発達支援センター、410カ所につきましては、知的障害者通所支援が大勢を占めておりまして、医療型児童発達支援センターは肢体不自由児通園施設から、児童発達支援事業所、放課後デイサービスは、児童デイサービスの移行が大勢を占めているという状況になってございます。

 なお、この表につきまして「その他」で数字が載ってございますが、これは主に24年4月から新たに参入した事業所と思っていただければと思います。

 続きまして、15ページをごらんいただきたいと思いますが、こちらにつきましては、前回の検討会におきまして海外との発達障害の定義の違いについて御意見がございましたので、アメリカなど海外の定義等を整理したものとなってございます。

 この資料につきましては、本日御欠席となってございますが、市川構成員に相談の上、資料を作成したものでございます。市川構成員におきましては、発達障害者支援法制定との関係で、我が国における発達障害の定義について具体的に検討を行った際の検討チームに参加されております。また、現在WHOで検討が進んでおります国際疾病分類、ICDの改訂の中で、発達障害についてどのような扱いになっているかというのをフォローする厚生労働科学研究の主任研究者をお願いしております。

 資料のほうでは、最初に「アメリカでの定義のポイント」というところでまとめさせていただいておりますが、アメリカの発達障害者支援権利法の規定をまとめてございます。

 その権利法の中では、定義といたしまして「重篤であり慢性の障害」。これにつきましては、身体障害を含むとされているところでございます。

 また「22歳以前に出現する」「『言語理解と発話』『移動』『学習」『自立生活能力』などの7項目のうち3つ以上において相当の機能的制約がある(9歳までの乳幼児については一定条件下で3つ未満でも認められる場合あり)」ということになってございます。そして「ADHD、自閉症スペクトラム、知的障害、脳性まひ、聴覚障害、視覚障害、筋ジストロフィー等広範囲の障害を含む」というものになっております。

 アメリカの定義におきましては、※で記載をさせていただいておりますが「機能障害である"disorder"ではなく、その結果として社会生活上の制約が生じる"disability"の側面で捉えられていると考えられる」というところでございます。

 また「イギリスでの定義」につきましては「法律上『developmental disability』という形で定義されているというものは見当たらず、『自閉症』『読字障害(dyslexia)』など一部の障害について定義されているものがあるのみ」となってございます。

 また、日本における定義におきましては、「(参考)」といたしまして発達障害者支援法の規定の該当部分を記載しておりますが、ICD10におけるF8F9がその対象になっております。ICD10F8F9につきましては、次のページから2ページ、参考につけさせていただいているところでございます。

 発達支援法の定義につきましては、ICDと同様に機能障害であるdisorderの側面で捉えられている概念と考えられるというところで整理してございます。

 事務局からの説明は以上になります。

○柏女座長 ありがとうございました。前回、皆さん方から提示された資料要求に対して、丁寧にまとめていただきましたことを感謝を申し上げたいと思います。

 その後にも、前回申し上げましたけれども、現在、内閣府で検討が行われている子ども・子育て支援新制度において、障害児固有のサービスや給付、あるいは事業などが検討されております。そこでは、こちらの議論のテーマになっている児童発達支援事業や、あるいは児童発達支援センターが、向こうの子ども・子育て支援新制度の給付の連携施設としてバックアップを行うといったようなことも既に議論がなされております。

 新制度のほうのメンバーには、いわゆる障害児支援の当事者、あるいはステークホルダーが入っていないという状況の中で検討が進められておりますので、私は委員としてかかわっておりますので、こうした議論をしていく際には、障害児支援当事者や、あるいはステークホルダーの方々の意見をちゃんと聞いた上で議論を進めてほしいということを検証の中でも意見としても述べております。

 重ねて、障害福祉課のほうにも既に述べておりますけれども、ぜひこうした新制度の議論中で、障害児に固有のサービスが議論される、あるいはその施策の優先度が議論される際には、障害福祉課のほうでもぜひ強くかかわりを持っていただいて、当事者の方々、あるいはステークホルダーの方々の御意見を生かしていただくように御尽力をお願いしたいと思います。

 では、今、説明がございました件について、何か御質問等はございますでしょうか。

○加藤構成員 御丁寧な説明と、また、座長からはフォローをどうもありがとうございました。

 そこで、今の座長のお話にもありました2ページの子ども・子育て支援会議ですが、これについては、前から私たち障害児支援関係にかかわる者としても、ぜひその場に参画させてほしいという提案といいますか、要請をさせていただいて、実現できていないわけですが、最終的には国のこの子ども・子育て会議に参画できなかったことが、結果として各自治体あるいは市町村レベルの会議にも、右にならえでほとんど多分入れていないのではないかと思います。そういう意味でも、国に入れなかった影響は非常に大きいのではないかと思うので、今後、その辺についても、ぜひ積極的に所管におかれてもアプローチを続けていっていただけたらということを切望いたします。

 それから、2点目ですが、9ページの、これはこの会の中でもきっと話題になる入所支援のあり方と絡んでくるかと思うのですが、養護施設等に入所している障害児ということでこのデータが出ているわけですけれども、それぞれの機関によって、障害のあるお子さんの割合が違っているのはなぜなのかということです。これは箇所数的にいけばかなりの数がありますので、これだけ箇所数があると、太平洋側と日本海側というような、一般的に特に障害関係の地域間格差云々ということで議論される要素というのはほとんどないのではないかと推測するのですが、そうした中でサービスごとにこれだけ比率がいろいろばらつくということは、何に起因しているのか、その辺について、もし何かわかるところがあれば教えていただけたら助かります。よろしくお願いします。

○柏女霊峰座長 ありがとうございます。1点目は御意見ということで、2点目の御質問については、いかがでしょうか。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長補佐 済みません。事務局でございます。

 正直申し上げまして、今のところ我々も情報は持ち合わせておりませんが、例えば、情緒障害児の関係ですと、まさにそういう障害のある子どもさんである可能性がやはり高いということもあって、割合ということでいうと、恐らく一番高いのだろうというぐらいは想定できますが、それ以外のところにつきましては、今はちょっと情報は持ち合わせてございません。ただ、恐らくそれぞれの施設の受け入れの対象児童の一般的な状況によりまして、いろいろ変わってくるのだと思いますので、そこはできる限り確認をして、また次回にでも御報告させていただければと思います。

○柏女霊峰座長 加藤さん、よろしいでしょうか。この議論は恐らく入所支援の関係で必要になってくると思いますので、よろしくお願いいたします。

 ほかはいかがでしょうか。

 岡田さん、お願いいたします。

○岡田構成員 発達障害に関する詳細な資料をご用意いただきありがとうございます。ただ、ICDに基づく説明だった点についてお願いがあります。ICDは疾病分類ですが、ここでの私たちの立場は、疾病について論ずるよりも、障害児の生活や人生を考える立場にいると思われますので、むしろ、ICFを基本とした立場の方が大切だと思います。ICFでは、医学モデルと社会モデルの双方を重視した統合モデルを提唱しております。その意味で、私たちはICFについての理解と対応も必要だと考えます。

○柏女霊峰座長 この件については、事務局のほうではいかがでしょう。後日また整理した資料をお願いできますか。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長補佐 ICFとの関係につきましては、実際には発達障害者支援法が施行されたときの「発達障害」の定義の議論の中では、専門家の方々の意見を踏まえてICDに基づいた分類をするという形になっているものと考えております。

 さらに申し上げますと、発達障害者支援法という法律そのものは議員立法でございますので、政府として提案しているものではございませんけれども、議員立法の中で国会議員の先生方によりましてこういう形での定義をするという、まさに法律の枠組みの中でこういう形で整理しているということでございますので、ICFとの関係をどう理解するのかというのを一義的に資料を出すのはなかなか難しいとは正直思いますが、いずれにしろ、今、この場では具体的なところではございませんので、また確認をさせていただければと思います。

○柏女霊峰座長 ありがとうございます。今後のこの検討会の論点の中の理念の中で、障害をどう捉えるかという議論が入っておりますので、むしろ細かな分類ができなくても、ICFについての共通理解を図るための資料というのはお願いできればと思います。

 岡田さん、よろしいでしょうか。

○岡田構成員 はい。

○柏女霊峰座長 ありがとうございます。

 他はいかがでしょう。よろしいでしょうか。

 それでは、今後の議論の参考にしていただければと思います。

 続きまして「地方公共団体からのヒアリング」という議事の2に入らせていただきたいと思います。

 まずは、松浦さんのほうから滋賀県湖南市の状況について御説明をお願いします。限られた時間で申しわけありませんが、15分程度でお願いできればと思います。

○松浦構成員 それでは、失礼します。

 滋賀県湖南市が発達支援システムを機能させた中で、早期発見・早期対応にどのように取り組んできたかといったことで紹介をさせていただきます。このような機会を与えていただきましてまことにありがとうございます。

PP

 湖南市は、人口5万5,000人。市章を見ていただきますと、上のブルーが琵琶湖なのです。その琵琶湖の南部に位置しております。

PP

 湖南市では、公立私立を問わず市内全ての校園が、これからお話しします発達支援システムに組み込まれております。保健・福祉・医療・教育・就労といった各関係機関の横の連携による支援と、個別の指導計画による縦の連携とを機能的に関連させながら、早期発見、早期対応を進めています。市長部局と教育部局の間で柔軟な取り組みを展開しています。

PP

 きょうは、この早期発見、それから早期発達支援の部分について、ライフステージを通じて一貫した支援の早期のごく一部なのですけれども、そこのところについてお話をさせていただきます。

 このシステムの裏づけとなりますのが、別紙1が別の資料にあるかと思います。「障がいのある人が地域でいきいきと生活できるための自立支援に関する湖南市条例」が裏づけとなっています。各ライフステージごとの支援の充実について定めております。

 早期発見、早期発達支援について考える上で、参考となるデータを別紙の2に御用意させていただきました。この中で特に着目していただきたいデータが、保育園、幼稚園に通っている子どもの割合。3歳時が74.9、4歳児が97.6、5歳児が97.9%といったように、4歳、5歳児でほぼ100%が園に通っております。また、園において合理的配慮を実施していると考えられる対象人数。これは個別の指導計画を作成し、支援していることを根拠としています。3歳児10.7、4歳児17.4、5歳児は22.2%であります。

 後ほど詳しく述べますが、療育教室、それから、ことばの教室という就学前に通所できる専門機関へ通っている割合は、3歳児で3.3、4歳児で9.5、5歳児17.0%となっています。

PP

 次に、発達支援関係各課、あるいは関係機関を統括しています発達支援室の役割について、簡単にお話しをさせていただきます。

 役割としては、資料にありますように大きく4つです。湖南市では、義務教育終了後の人にも継続的な支援を実現するに当たって、学校教育課では直接的にかかわれるのは中学校3年生までですので、教育部ではなく、健康福祉部に発達支援室を置いています。中学校卒業後の人の相談は、発達支援室で担っています。

PP

 このうち特にきょう述べます早期発見・早期対応の部分で、発達支援室が中心となって運営しているのが、発達支援センター会議であります。発達支援室は障害児通所支援事業を行うとともに、発達相談・療育教室・ことばの教室(幼児部・学齢部)のサービス内容について統括をしています。早期発見を早期対応につなぐためには、市内校・園での取り組みについても共通理解が必要ですので、発達支援センター会議には子育て支援課、保育所の管轄です。それから、学校教育課。幼稚園・小中学校・ことばの教室・適応指導教室の管轄が、どちらも参加をしております。

 発達支援室は、発達支援センターを統括し、かつ義務教育終了後の人の支援体制を構築しています。そのため学齢期終了後の人をイメージしながら、それぞれのステージに求められる支援や、関係機関同士の連携のあるべき姿について提案をしています。

 また、もう一つ、発達支援室が中心となって運営していますのが、この「発達支援センター就学前サービス調整会議」であります。この会議では、発達相談後の支援について検討するため、毎月1回開催をしています。ここで言うサービスとは、療育教室・ことばの教室幼稚部への通級のことであります。早期発見が早期対応に生かせるようにしたいというそれぞれの願いは、保護者と支援者という立場の違いもあって、一致して進まないこともあります。そこでこの会議では、次の視点に基づいて、支援について検討をしています。

 1つ目は、その子どもの発達状況はどうか。

 2つ目は、園での状況はどうか。

 3つ目は、保護者の、我が子の発達についての理解度はどうであるか。

 4つ目は、サービスにつなぐのに適したタイミングであるかどうかということであります。

 特に3点目につきましては、発達相談を受けることを園から進められて承諾した保護者であっても、その承諾の仕方については、発達相談員が実際に会ってみて話をしないとわからないことがあります。このため発達相談員との懇談は、サービスを受けることについての保護者の積極性を知るためにも重要であります。

 調整会議の結果としては、発達相談の継続であったり、発達相談経過を受けて園での取り組みを強化するために、巡回相談の要請があったり、療育教室やことばの教室につないだり、保護者相談を発達支援室で実施するといったことが例として挙げられます。

PP

 さて、このお話をさせていただいている私ですけれども、もともと小学校の教員です。

 「教員身分を室長として配置する意義」について、説明をさせていただきます。

 湖南市、それから、隣の甲賀市からなる甲賀地域は、糸賀一雄氏を初めとする多くの先達が、障害がある人の働きや暮らしを支える地域づくりに尽力されてきました。おおむね18歳となる時点で働きや暮らしを支える力が、ある一定地域にあるということが考えられるこうがでありますが、そこまでにつなぐのは教育の力であります。教育が中心となってかかわる間に、不適応を起こしていた子どもが数多く見られた以前の状況。問題行動や不登校の頻発、特別支援教育が進んでいなかったころは、幾ら卒業後の支援体制が整っていても、そこへつなぐまでに至らなかったということが問題でありました。

PP

 そこで湖南市では、発達支援室長に教員身分の者を置き、保健・福祉・医療・就労との連携を図るのはもちろんのこと、その連携から見える教育における体制整備をどのようにすればいいのかということを提案し続けております。

PP

 次に、支援に至る経路について説明します。

 上から「気づき」「相談」「調整会議」そして「各機関での対応」となっています。

 「気づき」の初めは、やはり保健。乳幼児健診であったり、保護者が何か気になると思うことであります。湖南市では保護者の困り感をより早期に受けとめ、子どもの課題に気づき、保護者支援、子どもへの支援ができるように、子育てに何か困ったら保健師に相談したらいいという、そういった出会いを重ねております。その場面は、母子手帳の交付のときから始まっています。

 新生児訪問は、生後60日までの間に保健師や助産師が全数行っております。長期間の里帰りをされる方については、帰宅後4カ月健診までに訪問をしています。

 4カ月、10カ月、1歳半、2歳半、3歳半の健診のときですが、子どもの健やかな育ちと精神発達を中心に、疾病や発達治療の課題の早期発見・早期対応に努めています。

 健診で発達上の課題がある場合や、保護者が育てにくさを感じている場合にも、子どもの自尊感情の育ちを応援するようなかかわりができるように支援をしています。そのことが、次の「ゆうゆう親子教室」や「発達相談」につながっていきます。

 各健診の受診率は96%前後と高い受診率であります。未受診児についても、次の月の検診の案内をしたりして、家庭訪問等で子どもたちの成長を確認しています。

 ゆうゆう親子教室では、親子遊びや母子分離の活動を通じて、保護者が感じる育てにくさやかかわりにくさを共有し、その子にあった成長発達のペースを意識し、かかわるポイントを知り、対応できるようになることを目的としています

 子育ての相談は、健診だけではなく、赤ちゃんホットライン、電話相談、子育て支援センター、あるいは各地での集いの広場での相談、子育てアドバイス等を行っております。

 発達相談の実施に当たっては、子どもとその保護者にできるだけ負担の少ないよう、また、市のサービスに円滑につなげられるように、担当発達相談員や実施場所を考慮しております。必要に応じて地区担当保健師も同席をしています。

 発達相談では、保護者の方の日々の悩みや生活の様子を聞かせていただき、子どもの言動の意味を一緒に考え、かかわり方を提案しています。相互的なやりとりを楽しめるようになれば、関係が変わり、生活が変わり、子どもの様子も変化していきます。そうなるためには、子どもの様子、保護者の思いを丁寧に把握し、適したタイミングで発達相談へつなぐことが大切です。そして、子どもを理解しようとする視点、保護者を支えようとする姿勢を支援者が引き継ぎながら、決して焦らずに次のステージにつないでいくことを大切にしています。

PP

 次に「ぞうさん教室」について説明をします。

 児童発達支援事業の対象としているのは、生活全般において丁寧なかかわりを必要とする子どもで、療育手帳の有無は問いません。初めてぞうさん教室に通うときには、原則として個別療育から開始をしています。

 発達検査を受けた子どもは、発達におくれや偏りがあるために、子育てには工夫が必要な場合が多いです。ただ、子どもの年齢も幼く、保護者が子どもの弱さに気づきにくい場合、遊びの中で発達相談員が子どもの発達を見きわめ、子どもの課題を把握し、子育ての工夫を提案するためにも、親子に合わせての療育を実施しています。

 さらに、発達相談員と懇談を重ねる中で、保護者が子どもの発達的な特徴を理解して子育てをしていけるように働きかけています。

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 また、園に通っている子どもの情報交換は、年2回のケース会議、それから個別の指導計画をもとに考え合ったり、湖南市発達ITネットワークで双方向のやりとりをしています。

 障害のある子ども、あるいはその疑いのある子どもを育てるということは、ただでさえ大変な子育てが、孤独な子育てになる可能性が高いです。子どもの将来が見えにくく、どのように育てていけばいいのかと迷い悩む時期に、ぞうさん教室に通っている子どもの保護者同士が支え合い、思いを分かち合い、子育ての工夫を持ち寄る姿があります。ぞうさん教室は子育てのよりよいやり方を提案する場としてだけでなく、保護者同士の仲間を育てる場にもなっています。

 ぞうさん教室、湖南市通所支援センターは、保育所等訪問支援についても児童福祉法で定める指定障害児通所支援事業者の指定を受けています。実施方法については、資料に書いてあるとおりです。

 子どもは療育教室という限定された場だけで成長するわけではなく、安定した家庭生活と、他の児童との集団生活の中で成長をしていきます。発達に課題のある子どもにとっては、集団生活で過ごすことの難しさを抱えている場合が多く、実際の保育場面を参観し、かかわる保育士と課題を共有しつつ、保育現場でもできる工夫をともに追求し、地域支援の強化につなげていけるように心がけています。

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 ことばの教室幼児部は、学校教育課の管轄です。これは、市内3小学校に開設されている通級指導教室、ことばの教室学齢部に併設して設置されています。就学前サービス調整会議でことばの教室となった、主に4歳、5歳の子どもが保護者同伴のもとで利用をしています。園での集団内支援とは別に、県と連携を図りながら個別支援の場としてサービスを提供しています。

 子どもたちへの合理的配慮を充実するためには、園での集団指導とことばの教室での個別指導との連携がとても重要です。ことばの教室幼児部では、年2回、各園を訪問しています。日々の様子のやりとりをITネットワークで行うことや、個別の指導計画をもとに情報交換することはぞうさん教室と同様です。

 また、ことばの教室では、幼児部と学齢部が併設されていますので、情報交換が非常にスムーズであります。

 来年度からは就学支援委員会。これは、会議の内容の実態に則した名称になります。就学指導委員会でことばの教室としての意見を述べますので、通級している年長児全員について、全指導員が共通理解をしています。

 就学支援につきましては、特に就学前にかかわる園長先生を中心に御理解いただいています。園でどのように支援を継続し、就学後、その支援を継続するにはどのような合理的配慮、また、基礎的環境整備が望ましいのかを、個別の指導計画をもとに作成した資料によって考える場となっています。

 発達支援に必要な情報交換のために、ITネットワークも利用しています。関係者間の連絡調整、それから、保護者の了解をもとに子どもの状況や指導記録を蓄積しています。利用のためのガイドラインを設け、厳正に運用しています。

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 園では、在園時については、個別の指導計画を作成し支援している子どもは、その計画をもとに加配保育士、あるいは加配教員の配置の検討をしています。また、新入園児については、保護者の了解のもと保健や医療から情報を得て、加配の配置の必要性を検討しています。

 湖南市の発達支援システムは、隣の市である甲賀市と、障害者総合支援法に定められた協議会として位置づけられる甲賀地域障害児・者サービス調整会議においても連動しています。特にこの特別支援教育部会、教育の部会が設置されていることが甲賀圏域の協議会の特徴であります。

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 その部会が作成しましたのが、発達支援ファイル「ここあいパスポート」です。これを有効な資料にするために、校園からは個別の指導計画を提供することになっています。

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 湖南市では、発達支援システムが機能することによって、早期対応、早期支援が充実してきています。このことによって2次障害の防止につながっているものと確信をしています。

 また、校園では、保健や福祉サービス、相談支援事業所、専門機関とのつがなりを柔軟に持つことができるようになってきました。これは就労や社会自立を見据えた取り組みですけれども、このような視点を持つことができるようになってきたこと自体が成果であると考えております。

 湖南市では、療育、保育、教育の目指すところは、自分は大切にされているのだと実感できる自尊感情を育むことであると考えています。

 これから、このシステムを改善しながら、そしてまた継続させていていくのか。そういったことを考えながら、また、先ほどの資料の中に書いてある地域課題。これを克服しながら個々のケースによりよい手立てをどう提示していくか、まだまだ道は半ばと考えています。しかし、理解者と実践者をふやし、さらに進めていきたいと考えています。

 なお、本日お話しさせていただいたことの詳細は、構成員さんのほうにお配りさせていただきました本に就労のところまでずっと書いておりますので、またごらんいただきたいと思います。

 以上、大変急ぎましたけれども、湖南市の取り組みをお伝えさせていただきました。御清聴ありがとうございました。

○柏女霊峰座長 松浦さん、ありがとうございました。

 皆様方にも御意見、御質問等があろうかと思いますけれども、三重県のほうからの御報告を続けてさせていただきまして、その後御意見、御質問をいただく時間をつくりたいと思います。

 それでは、田中さん、西田さん、どうぞよろしくお願いいたします。時間が15分ほどで限られておりますけれども、よろしくお願いいたします。

○田中規倫参考人 三重県の田中です。どうぞよろしくお願いいたします。

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 「三重県の途切れのない支援システムの構築」につきまして、時間の中で許す限りで御紹介をさせていただきたいと思います。このような機会をいただきましてどうもありがとうございます。

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 三重県のプロフィールですけれども、南北に長い県土でございます。人口約180万人でございまして、合併後1415町ということで、29市町の基礎自治体がございます。

 ちょっとこちらに書いてございませんが、現在、年間の出生数は約1万5,000人というような県でございます。

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 三重県の組織図を出しておりますが、○で「県立 小児 ( こども ) 診療診療センターあすなろ学園」というものを記載しています。

 このあすなろ学園というのは、昭和37年に県立の高茶屋病院という病院の児童部門として開設されて以降、児童青年精神科の外来入院治療に取り組んでいる病院でございます。昭和60年に高茶屋病院のほうから分離独立して、現在に至っております。

 現在は、80床の病床を有します児童精神科単科の病院でございまして、また、医療型障害児入所施設でございます。外来患者の約8割以上は発達障害、また、行動及び情緒障害という患者さんでございます。

 県立小児診療センターあすなろ学園は、県の地域機関として健康福祉部の子ども・家庭局が所管をしております。平成7年ごろから地域連携事業を強化・拡充をしていく取り組みできているところでございます。

 ちなみに「あすなろ学園」の上に「草の実リハリビリテーションセンター」というのも記載しておりますけれども、こちらは60床を有します小児の整形外科、従来の肢体不自由児の病院でございまして、こちらも医療型障害児入所施設でございます。

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 「三重県の次世代育成支援(子ども・家庭局)」の中の位置づけでございますが「“子育ち”を支える視点」と「“とぎれのない支援”という視点」を、次世代育成支援行動計画の基本的な視点として位置づけております。

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 ちょっとこちら飛ばしますけれども「ライフステージに応じた困り感」、次のページが「発達障がい児にかかる課題」として認識しているところでございます。時間の関係で飛ばさせていただきます。

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 こうした課題を解決するための発達障害児の支援システムというものにつきましては、地域の身近なところで保護者が相談しやすく、専門性を有する総合的な支援が途切れなく続くものであることが大切だと考えております。

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 三重県では、平成19年度から次世代育成支援施策の一環といたしまして、あすなろ学園の中の「こどもの発達総合支援室」という中に「市町支援課」、当時はグループと表しましたけれども、この課を設けまして、発達障害児への途切れのない事業展開を図るということとしております。

 平成19年度から平成21年度までの3カ年、厚生労働省のモデル事業としまして、発達障害者開発支援事業というものに取り組みまして一定の成果を得られたため、平成23年度からは別の補助事業を受けながらその後も継続して、この後説明をいたします3つの柱で取り組みを進めているところでございます。

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 子どもの気になる行動に対しまして、医療機関を受診する前に子育て支援として保育所、幼稚園、学校等、こうした敷居の低いところで適切な早期支援を途切れなく行うということによって、問題行動を予防、成長が期待できると考えております。

 この発達障害支援システムの構築の目的ですが、県内の全自治体29市町に対しまして、発達障害支援システムの構築を促して、冒頭申しましたあすなろ学園が長年培ってきた発達障害児に対する治療療育の臨床スキルを市町のほうに波及をさせ、早期の支援体制を図ることを目指しております。

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 以下、次から、具体的に取り組みのポイントを説明をいたします。

 3つの柱を取り組みの柱としております。

 1つが、市町における「発達総合支援室・機能の設置」でございます。

 2点目が「みえ発達障がい支援システムアドバイザー研修」ということで、市町の核となる人材の育成でございます。

 3点目が、CLM、チェック・リスト・イン三重というのですが、それと個別の指導計画によります、保育所・幼稚園におけます早期支援の取り組みでございます。

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 まず、市町におけます「発達総合支援・機能の設置」についてでございます。三重県、あすなろ学園が考えますここで言う発達総合支援室とは、まず、子育ての総合相談支援機能として、保健・福祉・教育がチームとなったワンストップの窓口を設置し、市町に生まれ育つ全ての子どもの駆け込み寺のような機能の設置を働きかけております。

 また「発達障がいについての専門支援機能」ということで「発達障がい児当事者、保護者、保育所・学校等の保育士、教員等の相談・支援」ということで、他の機関の専門家、医療機関ですとか他の専門機関を紹介する前に、それぞれの市町の専門支援機能を高めていこうというものでございます。

 当然ながら発達障害等についての専門的な知識・技術が求められますので、この次に紹介させていただきますシステムアドバイザーということで、保健師、保育士、教師等の養成を行っております。

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こちらは三重県におきます現在、今年度4月における発達総合支援室機能の構築がされたということで考えている市町の数でございます。29市町のうち18市町ということになってございます。

 例えば、今年度からの取り組みとしまして、上の一番北のほうに東員町という町がございますが、2.5万人の人口の町でございます。こちらでは、発達支援室というところで室長のもと、保健師、それから、そのほかにあすなろで研修を受けたアドバイザーとして保育士、教員の2名を配置して今年度からスタートをしております。

 また、その少し下、鈴鹿市。F1で有名な鈴鹿市でございますが、人口約20万人の市でございますが、従来子ども家庭支援室、児童福祉部門で児童相談、また、教育研究所で教育についての相談ということでばらばらに受けておりましたけれども、こうした相談を子ども家庭支援室に一元化をして、心理士、保健師、保育士、教員など、計15名の室で一元化を図っております。このうち、4名があすなろで研修を受けたアドバイザーを配置されております。

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 次は、アドバイザー研修の養成についてでございます。市町の核となる人材を育成するために、保健師、保育士、教員の方を1年間あすなろ学園に受け入れまして、発達障害に関する専門支援を学んでいただいております。研修後は、今、申し上げました各市町の発達総合支援室というのに配置され、活躍をしてもらうことを狙いとしております。

 繰り返しになりますが、1年間、あすなろ学園の内外でみっちり研修をしていただきまして、終了後は三重県として、みえ発達障がいシステムアドバイザーとしての認定を行っております。

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 少し飛ばしますが、研修についての内容の一部を記載したスライドでございます。

 入院児童・生徒が通学する小学校、中学校におきましては、特別支援教育のアセスメントですとか、個別の指導計画による支援方法の実習・研修を受けます。このような研修を通じて、個別ケースの支援能力の向上と、関係機関との調整能力の向上を目指してまいります。

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 こちらの地図が、これまでのアドバイザーの配置の状況でございます。県内20の市町で、計42名のアドバイザーが配置をされております。

 今年度も、少し表でつけておりますが、4市町4名の方が研修を受講しております。

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 3点目が「『CLMと個別の指導計画』による保育・幼稚園での早期支援」でございます。

 医療において診断がつく、また、診断がつけられる前から身近なところで、子どもが毎日通います保育園、幼稚園におきまして、早期に適切な支援が受けられるように、CLMと個別の指導計画というものによって、早期支援への取り組みを行っているというものでございます。

 通常保育の中で気になるお子さんがふえているとか、担任がどのように保育・教育をしてよいかわからないということ、課題に対しまして、日常の保育、教育場面を活用して、気になる姿を観察するツール。これがCLM(チェック・リスト・イン三重)というもので、あすなろ学園で開発したツールでございます。

 また、右側ですが、子どもの自尊感情の育成、また回復が期待できる担任のための支援のシナリオというものが個別の指導計画という位置づけでございます。

 ちなみに、CLMにつきましては、3歳時クラス用と4、5歳児クラス用の2種類がございまして、ルールといたしまして、診断名をつけたり障害を特定したりするための使用はしないということとしております。

 こうした取り組みの狙いとしましては、保育・幼児教育から始めて、学校、小学校教育に引き継いでいくというための仕掛けということが1点。また、もう1点としましては、保育士等の人材の育成というところを狙いにおいております。

 ちょっと長くなりましたが、手順といたしまして、就学前に保育所等で、先ほどの市町の発達総合支援室の保健・福祉・教育に関する職員と、小学校から校長ですとか養護教諭の先生に来ていただきまして、CLMと個別の指導計画を作成する。そこにあすなろ学園が巡回指導という形で助言等に加わっております。

 具体的には、事前に担任がCLMを用いましてチェック、それから、プロフィールですとか気になるエピソードを記載して、当日、今、申し上げました参加者が、集団でCLMを使ってチェック、それから、個別の指導を受けることを検討するという手順で進めております。

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 ちょっと見にくくて恐縮なのですが、CLMの中のシートの一部の例でございます。

 このように「Aくんの姿」ですとか「クラスの姿」。それから、集団のCLMを使ったチェックによって絞り込まれたチェック項目。こちらの場合は「(8)どんな場面でもよくしゃべる」というようなチェック項目を絞り込んでおります。また、エピソード等が記載をされております。

 その右側に、何でそういうことになるのだろう、要因や気持ちについての分析をした案内が記載をされております。

 そして、目標を定めます。この場合であれば「朝の会で担任が1日のスケジュールを話している時、喋らずに最後まで聞くことができるようになる」という具体的な目標を定めております。その下に「具体的な指導方法」ということで、要因や気持ちに対して、根拠のある具体的な指導の方法を2つに分けて〈クラス環境の整えとクラス全体の支援〉という部分と〈個別の支援〉という部分について具体的な指導を決めていきます。

 それについて、右側「結果・評価」というところで取り組んだ結果を評価していくわけですが、最長でも2週間というようなことで、短期間で取り組み、また、その結果を評価することとしております。

 また、評価会の計画、こうした取り組みの終了後にやったという中でも、発達総合支援室の職員、それから、学校の先生たちが集まってやるということと、小学校への引き継ぎの際にも、引き継ぎ会というものを就学前、春休みに具体的な引き継ぎを行っております。これには保育所の担任のほか、小学校、それから本人児童、保護者の方も入って、子どもの目の前で下にあるような、例えばですけれども、支援アイテム等の引き継ぎというようなことと、キーパーソンであります担任の移行というようなことを子どもの目の前でやる。それから、小学校に上がってから、1年生訪問というようなことも行われております。

 これが、適切な支援を保育から始めて、教育に引き継ぐ仕掛けとしてのCLMと、個別の指導計画のポイントです。

 もう一点、人材育成という意味では、こうしたCLMのチェックですとか、エピソードの抽出、要因分析、また、要因に対して根拠のある支援を考えるというプロセスによりまして、それぞれ保育所担任の力量アップにもつながっていくという評価をいただいているところでございます。

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 こちらは研修会におけますアンケートの結果で、97%の方々が「大いに効果があると効果がある」と回答いただいております。

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 こちらも県内、大分取り組みが普及してきておりまして、市町内の100%の全園で実施している市町で7市町、50%以上の園で実施している6市町ということで広がってきておりまして、何らか実施している園があるという市町は27市町ということで、県内全域に普及しつつあるところでございます。

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 おさらいになりますが、これが全体の図でございます。三重県の場合は保育・幼稚園の段階でCLMを普及することによって、早期に子どもが保育園や幼稚園でよくわかる保育、規律のある保育を受けられて、問題行動を起こさずに過ごすことができる。それが1次支援と考えますと、2次支援としまして、市町の市役所の中にワンストップの窓口を設置していく。そこに在籍する職員は、1年間あすなろ学園でトレーニングを受けた者であるということでございます。

 また、このアドバイザーについては、保育所・幼稚園でのCLMの取り組みに対して支援をしたり、あすなろ学園のノウハウを学んだ療育を市町において受けられるようにするといったことになっております。

 さらに、保護者の方々からの直接の相談支援についても充実が図られるというところが、敷居の低いところでより専門的なサービスを受けることができるように、あすなろ学園における市町の支援というところでございます。

 市町でのサービス以上に多様な専門性、支援を必要とする場合には、ちょっとこちらは書いてございませんが、3次支援として県域、障害福祉県域等で児童発達支援センター、児相、それから発達障害者支援センターともに相談支援を行う。三重県の場合は、さらに幼児支援といった、あすなろ学園におきまして児童精神の医療におけます診察治療、また、外来、デイケア、入院治療といったことが受けられるというのが、三重県におけます発達支援のシステムの全体像でございます。

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 最後に、3つ市の例をつけております。

 1つ目A市ですけれども、例えば3歳児健診に集団健診を取り入れて、アドバイザーであります保健師が気になる子の観察をしております。そして、その子の通う保育所・幼稚園に、アドバイザーである保健師と保育士、そして教育委員会の指導主事が訪問をして、CLMをもとに個別に指導計画を作成して、個々の子どもに応じた適切な支援を行っているというような例でございます。

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 次にB市でございます。B市はアドバイザーである保育士と、保健師、教育委員会指導主事が、保育所・幼稚園を訪問しまして、CLMをもとに個別の指導計画を作成したり、療育を行ったりというような形での支援を行っております。

 そして、就学前の児童につきましては、先ほど申し上げたように園に訪問した保健・福祉・教育の3者が入学先の小学校に出向いて、保育所園の先生とともに、園での具体的な支援方法について学校のほうに引き継いでいくということを行っております。

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 最後にC市でございますが、C市は保護者が市町の支援室に子どものことで相談に見えておりますが、市町の支援室では、例えば保健師が家庭訪問をして、対応の仕方等を助言しております。また、保健師とアドバイザーであります指導主事、保育士が学校等を訪問しまして、指導プログラムの提案・助言等を行っております。担任の先生につきましても、市町の支援室を訪れて指導の仕方、保護者対応について相談を行っている。

 このように、市町の支援室で保健・福祉・教育がチームとなって、途切れのない支援を構築しているところでございます。これに対しまして、必要に応じてあすなろ学園等が助言・指導等を行っていくという形でございます。

 ちょっと時間が押してしまって申しわけないのですが、最後にあすなろ学園の園長の西田が本日同行しておりますので、少し補足をさせていただきたいと思います。

○西田参考人 あすなろ学園の西田です。

 今、これを見てもらいますと、医療が中心にいろいろなことをやっているように思われているかもしれませんけれども、あすなろ学園は52年ぐらい歴史がありますが、当初1年ぐらいで17人の小学生の子を入院させて、日本で初めて自閉症の子の入院治療をしたのです。その後、年長児の治療をしましたけれども、その中で見えてきたことは、病院の中で幾らいい治療をしても、子どもたちの変化というのはそんなにない。本来は、やはりどんな障害を持った子どもたちも、地域で子どもとしての普通の生活ができるようにするのが第一だということで、あすなろ学園を創設した十亀史朗が、地域に帰すことを目的に方向転換をしていました。病棟も、自閉症の子の専門の病棟をつくって、3年ぐらいで、今度は不登校の子どもたち、普通の神経症の子どもたちと同じ病室にして生活を始めました。

 この歴史の中で私たちが考えたのは、専門機関だけで子どもを見るのではなくて、子どもの生活の質を上げるために、地域と連携をしながら医療を利用してもらったらいいのではないか。この市町支援の取り組みは、その延長にあります。

 今、特別支援学校での教育も始まって、地域でのいろいろなサービスが充実した今だからこそ、地域の中で、どんな障害があっても子育て支援として、身近なところでいいかかわり合いをしてもらう。そのことによって自閉症状、発達障害の症状が軽くなって、地域の中で生きられる。そこでなかなか難しい人も数パーセント、10%ぐらいいるのかもしれませんけれども、その人たちは専門機関で一時期お預かりして、そこからまた地域に帰して本来の生活に戻る。そういうことを理想としています。

 それが52年ぐらいの歴史の中で見えたことで、何々療法で子どもたちはよくなるのではなくて、やはり子ども、家族、子育ての現場の困り感、それに寄り添う形でいい子育てのアドバイスができれば、子どもたちは障害を持っても、ハンデを持っても、地域の中でそれなりの中に生活ができるのではないかなというのが私たちの支援で、それがやはり県として市町村への人材育成をしないと、市町村のそういう専門者というのは今、少ないので、それがこの事業の一つの目的だと理解していいただきたいと思います。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。

 今、湖南市、そして三重県の担当者の方から、貴重な実践の御報告をいただきました。

 ちょっと時間が押しておりますので、御意見にわたる部分は3番の「主な検討課題について」というところでしていただくことにして、この場では、御質問等がございましたらお願いをしたいと思います。

 では、宮田さん、お願いします。

○宮田構成員 2つの御発表、どうもありがとうございました。

 湖南市の松浦さんにお聞きしたいのですけれども、4ページの専門機関の通所率なのですが、かなり高いと思うのです。湖南市として、1学年、恐らく500人弱ぐらいだと思うのですけれども、そうすると、まず5歳児で17%という、障害の子どもだけではない子どもも通っておられるのかどうかということ。

 それから3歳、4歳、5歳児を入れると150人ぐらいの子どもを対象にされていると思うのですけれども、ぞうさん教室と訪問の部分とでどの程度のいわゆる通所率で対応されているのかということをお聞きしたいと思います。

○松浦構成員 ぞうさん教室の対象となっている子どもについては、療育手帳を持っている子もいれば持っていない子もいますし、ことばの教室についても、診断とかそういうことが前提になっているわけではなく、やはり子どもの困り感というところで通っているということで、17%ということになっています。

 それで、ぞうさん教室につきましては、集団は週に1回親子で通園をしています。それから、ことばの教室の幼児部については、基本、原則週1回1時間なのですが、子どもさんの状況によっては2週間に1回だとか、子どもに合わせた指導ということでやっております。

 十分な答えでないかもしれません。

○柏女霊峰座長 よろしいでしょうか。

 では、大塚さん、大南さん、お願いします。

○大塚構成員 大塚です。よろしくお願いします。

 湖南市と三重県の大変興味深いお話を伺いました。地域に支援体制をつくっているときに、都道府県と市町村の役割をどんなふうに分担しながらやっているかということは、非常に重要なことだと思います。

 湖南市にお聞きしたいのですけれども、印象としては、滋賀県という、相談支援事業を県域レベルにおいて早い時期から充実してきた。それから、発達障害者支援センターについても専門性があったり、あるいは発達障害者キーパーソン養成事業等、発達障害に取り組んでいる県の役割があるのですけれども、見たところ県域レベルの調整会議はあるけれども、湖南市にとっては余り県は必要ないと言いますと失礼なのですが、自前でできる。つまり人と仕組みがあれば市町村レベルでつくってしまって、必要に応じて県の応援を頼むけれども、ほとんど市町村でできると考えているのか、その関係性についてちょっとお聞きしたいということです。

 それから、反対に三重県は、むしろ市町村全県を視野に入れながら、発達障害者支援センターでもあったわけですから、市町村のレベルを上げていくということ。県の立場からこういうことだと思うのですけれども、ただ、それを始めるに当たって市町村はどう考えていたか、それをどう誘導してきたかですね。市町村の職員を半年研修させるその経費を市町村はどう考えて、あるいは県単独でいろいろな予算をつけてやっていたのかどうか。うまくその仕組みに乗せるまでの苦労だとかその経過。どういうふうにしたら市町村と一緒に支援体制を構築できるかということのお話を、それぞれいただきたいと思います。

○松浦構成員 市と、それから県の関係でというところで、今、あすなろ学園さんのお話を聞いたときに、湖南市で求めているのはこういう学園さんだなと思うのです。これはやはり県レベルでないとできないことだなと思いますし、あるいは発達障害者支援センター、県での支援センターというのも、やはりアドバイザーという形で入っていただいていますので、両輪が必要かなと思います。本人さんの直接の支援はやはり市レベルでタイムリーにやるというところが必要ですし、さっきのあすなろ学園さんの病院というところ。そこは本当に欲しいなと思いました。

○西田参考人 このシステムができる前に私たちから話しかけたというよりは、亀山市さんが、自分のところの子どもたちは、あすなろに送り込むのではなくて、できたら自分のところで見たいという市の助役さんの熱い思いがあったのです。それで保育士さんを1年間研修してくれないか、自分たちで自前で持つからということで1人みえたのです。その人が帰って行かれて、やはりそうしたらもう一人ということで3名を送り込まれて、そのころに、私たちがその人たちが働きやすい場をつくらないと、1人で来て1人で帰っても、幾ら優秀な人でも、地域の中でまたどこかに消えてしまうのです。そのときにシステムをつくろうということで、こういうベンチマーキングから始まったのです。

 そこで、亀山市さんが、亀山市の中でやはり親御さんたちがちゃんと見てもらえるようになった、保育園でもちゃんと先生がわかってくれるようになったというふうな満足感が伝わって、そのところがほかの市に伝わったということです。でも、なかなか自前を切ってというのが難しくて。でも、後で思ったのですけれども、自前を切って出された人は優秀でした。やはりそれまでいろいろな研修制度を使って来ていただいたのですけれども、予算を取ってきた人たちというのはなかなかちょっと。そうすると、それだけお金をかけた人を有効に使おうと市のほうが考えられましたね。それはおもしろかったです。それが苦労でしたけれどもね。

 それから、やはり亀山市さんだからできるとかいうふうな風潮は大分あって。でも、あるところから幾つか熱心にやるところが4カ所ぐらいできて、そこの親御さんたちの評価が強くなって、うちはどうしてやってくれないのだということで追い風がだっと吹きました。だから、5年ぐらいたってからちょっとよくなりました。

○柏女霊峰座長 では、大南さん、お願いします。

○大南構成員 大南です。どうもありがとうございました。

 湖南市さんに3つ御質問、三重県さんに1つ御質問いたしますが、先ほど大塚さんがおっしゃったように、滋賀県というのは、4445年前から早期の相談であるとか療育ということに各市が取り組んでおられて、また、今回湖南市の新しい情報をいただけたわけですが、まず最初に2ページと1516ページにありますことばの教室の幼児部門と、それから、小学校以降の部門もあるわけですが、ここの指導者の資格というのはどういうふうにされているのか。これが第1点です。

 第2点は、その2ページの図の中に、早期発達支援から特別支援教育へのところで、両方に個別の指導計画があるわけですが、今、どこの区市も苦労しているのは、就学前のところの個別の指導計画なり個別の支援計画が学校へうまく伝わっていかない、あるいは手渡しができないというところを苦労しているわけなので、ここのところがどういうふうに円滑に行われているのか。これが第2点。

 第3点は、19ページにここあいパスポートがあったのですが、これも全国の各市でつくっているところは結構あるのですが、いつ、どこで、どのような方法で必要な方に手渡していくのかという、この辺が大変苦労されているようなので、ここもうまくいけているところをぜひお教えいただきたいと思います。

 それから、三重県さんのほうには、三重県は自閉症の療育教育のメッカの一つだったわけですね。その中で、発達障害についても取り組まれているわけですが、22ページ、24ページに、保育所・幼稚園と学校との引き継ぎということを、的確というか簡略な言葉で表現されているのですけれども、具体的には、例えばどういう資料を使いながら。例えば、先ほど湖南市では個別の指導計画というのがあったのですけれども、何をここでお使いになっているのか、例示で結構でございますのでお教えいただきたい。

 以上でございます。

○松浦構成員 1点目ですけれども、ことばの教室の職員なのですが、10名おります。3つの教室に10名。3名は県費の通級児の教室、いわゆる小学校の教員。そして、2名は湖南市の職員で、5名が嘱託職員。資格については、言語聴覚士であったり、あるいは保育士であったり、あるいは特別支援教育士を持っていたり、これがないとなれないということではなくて、幅広く教員免許もオーケーですよという形で採用させていただいています。

 それからもう一つ、個別の指導計画なのですけれども、例えば保育園・幼稚園から小学校へ上がっていくというそこの引き継ぎなのですが、小学校のコーディネーターが幼稚園や保育園のほうに出向いて、まさにこの時期に引き継ぎを行います。

 何でこんなに通りがよいかというと、中学校区ごとに保育園・幼稚園・小学校・中学校のコーディネーターが連絡会議を行います。これも全て教育長の名前で招集する。全て就学してくる子どもですので、健康福祉部、教育部関係なく教育長が招集をしています。

 ちなみに、中学校から高校へも計画を送っています。それが先ほどの本の126ページ、127ページにあります。中学校3年生までは個別の指導計画をずっと学年に引き継いでいきますが、中学校3年生では本人も参加をしまして、いわゆる自己理解を深めるということで、個別支援移行計画を作成して高校のほうに引き継ぎをしています。中学校と高校のコーディネーターが一堂に会して引き継ぎ会議をするというのが、3月の末に行われます。

 それから、ここあいパスポートにつきましては、ホームページからダウンロードもできますし、あるいは社会福祉課、あるいは発達支援室、あるいは学校の研修会で持つというのか、どなたが持つこともできます。これも障害があるとかないとか、そういったことに関係なく持つことができます。

 これの有効な広まり方というのは、やはり専門機関にかかっている子どもさんについて保護者にお勧めさせていただいて、何よりよかったなと思うのは、ここあいパスポートに挟むために、個別の指導計画を学校や園から必ずもらっておこうねということが有効な手段になっています。

 以上です。

○西田参考人 御質問ありがとうございます。

 あすなろは自閉症の療育のメッカとおっしゃるのは本当にありがとうございます。

 ただ、50年ぐらいの歴史をちょっと振り返りますと、前半の20年ちょっとは、あすなろはどんな大変な子もちゃんと引き受けて、入院治療をしてくれるぐらいだったと思います。それで、子どもは帰っていかないのです。外来で軽い人はいろいろ連携しながら、訪問しながらやっていましたけれども、その後、入院治療した子を地元に帰すようになってから、この子たちもこんなふうに変わるのだというふうに見ていただいた。その後、ちょうど軽度の知的障害のない発達障害の子どもさんの地域での暴言・暴力とか、家庭内でのいろいろな問題の子どもさんを入院治療をして、また地域に帰すようになったときに、具体的な支援をしたことが評価されているのだと思います。

 この子にどんな支援をしたらこの子の問題がどう変わるかというのが、結局個別の支援指導計画のポイントだと思うのです。こうあればいいという目標ばかりで変わった変わらないではなくて、こういう問題にどう、立ち歩く子にどういうふうに指導すれば座るようになった、それをどんなふうにしたということを具体的に引き継いでいったと思うのです。だから初めの問題点と、それがどんなふうに変わったか、何を具体的にしたかというのを担任の先生に引き継ぐようにさせてもらったことがよかったのか。だから一般化することがなかなかできなくて。

 それで、このCLMのポイントは、なぜそうなるかという要因分析の力をつけることが一番のテーマなのです。それがないと、ただシールを張ったら変わるのだというわけではないのですね。その目ききのところの指導を重点的にやることで人材育成になる。それを具体的に引き継いでいくと今度は小学校につながっていくと思うのですけれども、小学校の先生たちの指導計画を見ますと、目標があるのですけれども、どんなふうにやったらどう変わったというのが余りなくて、保育園から引き継いでも、その辺を先生たちが見て参考にする姿勢がまだ余り三重県でもないのですね。そこを今、一生懸命先生たちにやっているという状況です。

○柏女霊峰座長 よろしいでしょうか。

 まだまだもしかしたら御質問、たくさんあるのではないかと思うのですが、時間があと30分という形になりますが、次回からヒアリングという形になると、ここでいわば検討課題を出し切っておいたほうがいいのではないかと思いますので、ちょっとここで切らせていただいて、ちょっと加藤委員とか佐藤さん、残念そうな顔をしていらっしゃるのが見えるのですけれども、後でまた御意見の中で御質問していただいて結構だと思いますので、一つここで切らせていただきたいと思います。

 貴重な実践の御紹介を本当にありがとうございました。

 田中さん、西田さんについては、もしお時間ございましたらこの後もお聞きいただければと思いますし、またもしかしたら御質問があるかもしれませんので、そのときは対応いただければと思います。

 それから、済みません。皆様方にちょっとお諮りをしたいのですけれども、予定ですとあと30分ということになりますが、検討課題について御説明をしていただいて御意見をいただくということになりますと、少し時間を延長させていただいたほうがいいかなと思いました。皆様方の御了解をいただければ、15分程度。御予定のある方もいらっしゃると思いますので、15分か20分、最大20分ぐらい延長させていただきたいと思いますがよろしいでしょうか。

 申しわけありません。5時にどうしても出なければいけないという方は、早目にさっと手を挙げていただいて、御発言をお願いしたいと思います。

 それでは、議事の3「主な検討課題について」に入りたいと思いますので、事務局のほうから資料の説明を、少し簡潔にお願いをできればと思います。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 では、資料4につきまして御説明させていただきます。

 主な検討課題につきまして、前回たたき台として資料としておつけしておりましたが、構成員からの御意見を踏まえまして、それを肉づけしたものとしているところでございます。

 1の基本的な視点につきましては、(1)から(4)の4つの柱立てを新たにつけ加えているところでございます。

 「(1)障害児支援の基本理念」につきましては、前回の検討会の御意見といたしまして、子どもとしてどう捉えるか、気になる子を含めて障害児の範囲をどうするか、家族支援については、障害児支援の枠組みで行うべきといった御意見を踏まえまして、その下の小項目について書き加えているところでございます。

 小項目につきましては「支援の対象となる『障害児』をどのように捉えるか(対象範囲、障害の無い児童との関係等)」。また「『療育』『児童発達支援』などの概念をどのように捉えるか」「『共生社会』を目指す観点から、障害児の地域生活支援をどのように考えるか」「家族支援の位置づけをどのように考えるか」、最後に「障害児支援を行う人材の専門性として何が必要か」というものを書き加えているところでございます。

 なお、前回の検討課題のたたき台で、論点でトピック別に記載しておりました家族支援につきましては、この項目で整理させていただければということで記載してございます。

 次に「(2)子育て支援施策全体の中での障害児支援の位置づけ」につきましては、子ども・子育て支援体系の中で検討すべきといった御意見や、また、障害児支援は子ども・子育て支援の後方支援・上乗せ支援であるべき、気になる段階での支援について、母子保健、子育て支援との連携の中で整理すべき。また、保育所や児童養護施設を利用・入所している障害児に対して、障害児支援の専門性からどのような支援ができるのかといった御意見を踏まえまして、こちらについても小項目を追加してございます。

 「障害児支援の在り方を、子育て世帯に障害者がいる場合の支援という観点からどのように捉えるか。また、障害児支援全体と新たな子ども・子育て支援制度の関係をどのように整理するか」「早期発見・早期療育(母子保健との連携等)を進めるために何を行うべきか」、また「ライフステージを通じて一貫した支援を(就学前→学齢期、学齢期→成人期への移行に伴う支援の連携を含む)進めるために何を行うべきか」、最後に「一般的な子育て支援や児童養護等での障害児の受入の在り方及び障害児支援制度としての関与の在り方をどのように考えるか」というものを追加しているところでございます。

 こちらにつきましても、前回トピック別論点に記載しておりました早期発見・早期療育、また、保育との連携については、こちらで整備させていただいております。

 次に「(3)教育施策との関係での障害児支援の位置づけ」につきましては、前回の検討会におきまして、教育施策との連携、また、個別支援計画と教育支援計画との連携が必要といった御意見を踏まえまして、小項目といたしまして「特別支援教育との連携をどのように進めるか(個別支援計画と教育支援計画の連携等」「教育現場での障害児の受入の在り方、障害児支援制度のとしての関与のあり方をどのように考えるか」といったものをつけ加えさせていただいております。

 最後に「(4)子育て支援及び教育との連携も含めた『グランドデザイン』」という項目を加えておりますが、これにつきましては、どの地域においても支援される仕組み、教育とも連携した「グランドデザイン」を描くべきといった御意見を踏まえまして項目立てしております。内容につきましては、(1)から(3)の内容を踏まえたものになるのではと想定しているところでございます。

 次のページの「2.論点(支援類型別)」でございますが、「(1)児童発達支援センターの役割」「(2)その他障害児通所支援の在り方」「(3)障害児入所支援の在り方」といった柱立てにつきましては、前回お示しした検討課題のたたき台と変更はないところでございます。

 これにつきましても、御意見をいただいたところにつきまして、小項目に書き加えたというものになってございます。

 「(1)児童発達支援センターの役割」につきましては、センターは障害別の専門性ではなく、多様な障害に対応する専門性を有するべきといった御意見や、地域の子育て支援の役割を果たす施設としてどうあるべきか、一般施策の中での専門的なサポートを行う地域支援を明確に位置づけるべき、ケアワーク中心で養成されてきた保育士にどのようなソーシャルワークを位置づけるのかなどといった御意見を踏まえまして、小項目に幾つか書き込んでございます。

 「(1)センターの地域支援機能に係る基本的考え方」につきましては「センターの位置づけ・役割」、また「地域支援の具体的機能・役割、子育て支援施策一般との役割分担」、また「センターの職員が有すべき専門性」についてどのように考えるかというものを追加してございます。

 「(2)保育所等訪問支援事業、障害児相談支援事業等の位置づけ」につきましては、「センターの必須事業とするか」「関連の予算事業(巡回相談支援等)の実施についてはどのように考えるか」というものを加えてございます。

 「(3)他の分野も含めた関係機関との連携」につきましては、「児童相談所、障害児入所施設、発達障害者支援センター、医療機関との連携」ということにしてございます。

 続きまして「(2)その他障害児通所支援の在り方」につきましては、医療型児童発達支援、また、児童発達支援センターの人員配置が曖昧ではないかということや、放課後等児童デイサービスの地域格差、また、保育所等訪問支援の実施数が少ない、進んでいないといった御意見を踏まえまして、「(1)現在の事業体系の検証」のところでは「医療型の児童発達支援・センターの人員配置基準等」についてどう考えるかというところと、「放課後等デイサービスの在り方」についてどう考えるかというのを追加してございます。

 「(2)新たな政策課題の検討」といたしまして「保育所等訪問支援の推進方策」ということで加えているところでございます。

 次のページの「(3)障害児入所支援の在り方」につきましては、福祉型の障害児入所施設における虐待等の社会的養護につきましては大きな課題であるといったことや、肢体不自由児の専門医が育っていないといった御意見を踏まえまして、「(2)新たな政策課題の検討」のところに「障害児入所施設の社会的養護機能(被虐待児の受入等)」とはいうところと「肢体不自由児の入所施設における職員の確保」という項目を加えさせていただいてございます。

 「(4)障害児支援の在り方」につきましては、前回のたたき台には記載がなかったところですが、御意見といたしまして、障害児相談支援のあり方については論点として追加すべき、また、気づきの段階から支援が受けられるように、子育て支援の中で相談支援に位置づけるべきといった意見や、相談支援は大人と子どもでは質的に異なる、気になる段階での対応は技術が必要といった御意見を踏まえまして、新たに(4)として柱立てをしたというところでございます。

 その項目といたしましては「障害児支援の中で相談支援の位置づけ(障害者に対する相談支援との相違点等)」はどう考えるのとかというところと、「障害児相談支援の体制整備を進めるための方策」、また「『気になる』段階での対応を進めるための方策、各自治体の事業(一般的な子育て支援施策を含む)との連携」をどう考えるのかというところをつけ加えているところでございます。

 最後に「3.論点(トピック別)」につきましては、「(1)発達障害児の支援の在り方」「(2)重症心身障害児の支援の在り方」というところの2項目になってございますが、前回の検討会におきましては、時間の制約もございまして、この項目につきましては特に御意見はいただけなかったというところでございますが、事務局としましてそれぞれ「(1)地域で支援するためにどのような体制が必要か」「(2)発達障害児の支援に当たって医療との連携はどのように進めるべきか」というところをそれぞれの項目に加えさせていただいているところでございます。

 論点について前回の意見を反映させたものについては、以上の説明になります。

○柏女霊峰座長 かいつまんでの御報告、ありがとうございました。

 この主な検討課題についての御意見、御質問等がございましたら、3040分時間がとれるかと思いますので、ぜひ出していただければと思います。

 なお、既に文書で御意見を出していただいている構成員の方もいらっしゃいますけれども、御発言の際に、それらの何ページということを提示をしていただきながら御報告をいただけると、わかりやすいかと思います。

 それでは、どなたからでもどうぞお願いいたします。

 では、大塚さん、お願いします。

○大塚構成員 大塚です。

 「1.障害児支援を進めるに当たっての基本的な視点」の「(1)障害児支援の基本理念」であるとか、あるいは「(4)子育て支援及び教育との連携も含めた『グランドデザイン』」、その次のページの「(1)児童発達支援センターの役割」などに関係するのですけれども、日本のどこに住んでいても、地域における障害のある子どもの一貫した支援体制を関係者や関係機関が連携してどのように構築していくかということがやはり基本だと思うのです。この体制をどのようにつくっていくか、そのところで発達支援センターの役割だとか、連携のあり方だとか、あるいは人材の育成とかが出てくるので、この一番中心になる骨組みは、私のイメージだとやはり地域における一貫した支援体制ということだと思っていますので、これを基本理念のところに書き加えていただきたいと思います。

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。

 では、佐藤さん、田中さん、お願いいたします。

○佐藤構成員 私も基本的な考え方について意見を述べたいと思います。

 発達障害者支援法ができて以来、言葉は少し過ぎるかもしれませんけれども、早期発見・早期対応、ないしは療育ということが亡霊のように復活してきたという認識を持っています。私自身は、40年ほど障害を持つ子どもの発達の支援、あるいは地域生活の支援に取り組む仕事とかかわってきましたけれども、ちょうど私がこの業界で仕事を初めてしたころに養護学校の義務制が実施されて、いわゆる通園施設のあり方というのはがらっと変わりました。それまでは就学猶予や免除になった子どものケアをするための施設だったわけで、法的にもそう位置づけられていましたけれども、そういう子がいなくなったものですから、さあどうしようということで、早期発見・早期療育ということがいわゆる通園施設の業界の中では重要なテーマにならざるを得なかったし、事実なってきたわけです。

 しかし、その後ずっと、例えば今、行われているような保育園、幼稚園での支援等々が広がっていく中で、余りそういうことが強調されなくなった。つまり、一方では「早期発見」「早期療育」という言葉が当たり前になったということもあるのですけれども、一方では、障害があるからといって、早く見つけ出してやって早く手を打たなければ、この子は手おくれになってしまうという風潮から少しずつ人々が解放され始めて、どの子もちゃんと行き届いた子育てをしていこうというシステムの中で支援をしていくことが重要なのだというふうに風潮が随分変わってきて、余り早期発見・早期療育ということが言われなくなった。

 ですが、さっき申し上げたように、この10年、急速にそれが復活してきて、前回も申し上げましたように、いろいろなパターンの通所支援がありますが、全国の整備の箇所数も非常にふえてまいりました。そこに通所・通園を含めた利用をする子どもたちの数が爆発的にふえたといってもよいと思います。それが批判されるべきことなのかどうかということをまさにここで議論をしていくことになるのだろうと思います。とにかく現状としてはそういうことになってきているので、発達支援、イコール、早期発見・早期療育ということをアプリオリに考えないで、もう少し注意深く、もう少し緩やかに、先ほど来、意見があるように、地域で子どもが育つということは、発達支援という文脈からも非常に重要な内容を持っているのではないかということを含めて、できるだけ幅広く議論をしていきたい。

 ついては「療育」という言葉についてですけれども、長い間この言葉は使われてきたわけですが、先ほどの湖南市の報告を聞きますと、5人に1人、22%の子どもたちが個別支援計画の対象とされこのことを合理的配慮というのは、少し違和感があるのですけれども、とにかく5人に1人もの子どもを対象に物を考えなければいけない状況の中で、「療育」という言葉を使う必要があるのかということなのです。もっと普通に「発達支援」という言い方のほうがいいのではないか。「療育」という言葉を使うことによって、あたかもそこには特別な知識・技術の体系があって、しかも、それは非常に専門的なものであるということで、結果として一種の排外主義のようなことが起きていないか。利用者の側からいえば、アクセスしにくくなっているということにならないだろうか。これは「療育」という言葉についてのみですけれども、法を変えるところまでやれというのは、時間がかかり過ぎて大変だと思いますが、今後、厚労省からのいろいろな施策や政策、方向性の提案について「療育」という言葉を削っていったほうが現状にはふさわしくなるのではないかということも思っています。

 繰り返しになりますけれども、30年前の話ですが、ある方にこう言われたのです。早期発見が非常に重要だということはよくわかる。だけど、子どもにとってみたら、3歳以下であろうが、5歳であろうが、10歳であろうが、その子の人生にとってはいつだって大事な時期なのだと。それを、もう3歳を過ぎてしまったら手おくれになるとか、5歳までにせめてやらないと後の育ちが大変厳しくなるとか、そういうことを言われて大変腹立たしい思いになったという親御さんの話を聞いて、はっと気づかされたこともあるのです。そういう意味で、早期からの対応が大切だということに何らの異論はありませんけれども、それを議論していく上で、必要以上に精緻を極めるようなシステムをつくることが重要なのかどうかということについて議論をしていきたいと思います。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。

 それでは……。

○松浦構成員 済みません。

○柏女霊峰座長 関連してということでよろしいですか。

○松浦委員 はい。関連して。

○柏女霊峰座長 では、田中さん、ちょっとお待ちください。

○松浦委員 今の療育という考えなのですけれども、湖南市で療育の対象となっていますのは、別紙2のこちらの数なのです。ぞうさん教室に「個別」と「集団」と書いてありますので、例えば、5歳児ですと10人といった形で、先ほどおっしゃいました発達支援というのが「ことばの教室」と見ていただけるとありがたいです。

 それから、今おっしゃいました早期の発見ですが、そこのところは早期の発見、イコール、早期の指摘という考えではうまくいかないということを共通理解しております。それも54ページのほうに書いておりますので、またごらんいただけるとありがたいです。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。

 宮田さんも関連してですか。

○宮田構成員 いえ、違います。

○柏女霊峰座長 では、田中さん。その次に、宮田さん、お願いします。

○田中(齋)構成員 福祉協会の田中です。

 論点全体の議論を受けて再整理していただいたことに感謝を申し上げたいと思います。市町村や都道府県で一番課題になっているのは、医療ケアを要する人たちの数が少ないこともあって、そのシステムがつくれないということがあります。今回の論点をみると、医療ケアを要することが通所は通所のところで議論をしましょう、入所は入所で、それで3の論点の重心の方でまとめていくようになっているので、医療ケアを要する支援について、一つに括って議論をしたらどうかということで意見を出させてもらいました。

○柏女霊峰座長 なるほど。ちょっと御検討をいただきたいと思います。

 それでは、宮田さん、朝貝さん、お願いいたします。

○宮田構成員 失礼します。我々児童発達支援協議会は、発達支援と家族支援と地域支援という3本柱で協議会を進めております。この発達支援に関しては、先ほどから「療育」という言葉が出ているのですけれども、「療育」も過去の言葉だよねという話で発達支援というのを提唱してきたのですけれども、障害者基本法でまた子どもの部分に「療育」という見出しがついてしまって悲しかったわけですけれども、これは、平成15年、16年に岡田先生が主任をされて支援費制度における施設のあり方ということを検討されたときに、私たちは障害児通園施設の部分を分担させていただきました。

 そのときに定義させていただいたのですけれども、障害のある子ども、また、その可能性のある子どもが地域で育つときに生じるさまざまな問題を解決していく努力の全て(障害のある子どもの育児への支援や発達の基盤である家庭生活への支援も含む)。その目標は、地域での健やかな育ちと成人期の豊かな生活ということで、発達支援をここで提唱させていただいて、初めて「発達支援センター」という名称が出たのがこの報告書だと思っておるわけですけれども、そういう形で、やはり「発達支援」という言葉の中で子どもの全体的な発達ということを支援していきたい。

 それから、家族支援については、今回、提出資料で出させていただいているのですけれども、我々の通園・通所施設の中でも、やはり4分の1以上が養護的な課題を持っている、もしくは保護者支援が非常に強く必要な子どもたちであるということで、そういった意味では、これからの保護者のカウンセリングも含めた、そして、育児支援を強力に押し出すような施設のあり方というものが考えられなければいけないし、通所施設にも加算などをつけて、しっかりとその機能を位置づけるような方向性が欲しいと思います。

 それから、地域支援については、先ほど西田先生が言われたように、特に発達障害に関しては集団の中で起こってくる障害ですので、そういった意味では、我々のところに通所しているときにはかなり落ちついてしっかりいろいろなことができるようになっても、保育所に戻せば、非常にたくさんの刺激の中でまた混乱してくる。そういった意味では、専門機関から地域の機関への支援のシステムを構築しなければならないだろう。課題の中にもありますけれども、保育所等訪問支援事業は、これからの施設の大きな責任で推進していかなければならないのではないかと思います。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございます。

 それでは、朝貝さん、お願いします。続いて、田畑さんですね。

○朝貝構成員 「障害児入所支援の在り方」のところの「現在の事業体系の検証」というところで、医療型障害児入所施設になったわけですけれども、その中で肢体不自由の訓練・治療機能が低下してきているということを御指摘したいと思いまして資料5-1をつくってまいりましたので、見ていただきたいと思います。我々の肢体不自由の入所施設が、今どのような機能を持っているかというところを、緊急のアンケート調査をしまして新しい情報が出ておりますので、ごらんになっていただきたいと思います。

 総合療育機能、それから、2ページ目の多機能への展開というところがキーワードになると思います。

 論点のところですけれども「(1)現在の事業体系の検証」のところに書かせていただきましたが、少子高齢化が急激に進んで、地方の過疎地域を中心に、障害児、特に肢体不自由児の在宅支援のための入所機能を維持することが困難になってきている。その理由は、肢体不自由が減少しているということと、重心児が中心になっている。これは運営上の理由が大きいわけですけれども、それから、重症化によって運動機能を最大限引き出すという観点が薄れてきて、なかなかそういう運動機能の面の整形外科の専門医の参入がなくなってきているということが挙げられると思います。

 3ページ目には被虐待児のことが書いてありまして、334人という合計が出ていますが、かなりこういう子どもたちの入所もふえてきている。

 4ページ目のところには、我々の仲間の医師の高齢化とか、後継者がいないとか、そういうことがアンケートで出ております。

 それから、肢体不自由児入所の減少が5ページ目に出ておりますが、主な理由は、重症化に対応してマンパワーをふやしてきたけれども、そのために在宅支援のための短期入院集中訓練の適用があっても、給付費の関係で肢体不自由児を入所させることがなかなかできなくなっている。実際に重心判定を受けている児童が130人もふえたということがございます。

 重心児の入所が優先される理由というのが1~3までに書いてありますが、我々が行っている短期入院集中訓練は1~2カ月の入院ですけれども、1~2カ月で1年間で1つのベッドを埋めなくてはいけないとなると、6~12名の子どもさんを準備しないといけない。それも急に健康を害してキャンセルになったりとか、訓練所は大変なのでなかなかそちらに向かないということがございます。

 7ページ、図1ですけれども、これが実際の肢体不自由の減少です。児数が減っているというよりも、重心施設を併設して肢体不自由児の数が減ってきたというのが実態だと思います。

 それから、図2ですけれども、これは集中訓練をしたときに入院だと実線で示されているように機能が向上していますが、例えば、右端の重症度GMFCSレベル4は座位が不安定な子どもです。これは大島の分類ですと運動機能は重心に当たるわけですけれども、この中には知的には重心に当たらないようなお子さんもいまして、運動機能が重症であっても、10歳ごろまでに集中訓練をすると機能が上がっていくということが実証されていますので、我々としては、この短期集中訓練で地元に戻って、その機能を日常で使っていただくというところまで機能を高めたいと考えております。

 6ページ、最後のまとめですけれども、我々は学校を隣接・併設しているわけですが、今回の制度改正で在宅支援のための訓練治療施設としての機能が弱体化してきて、危ない状況になっている。対応策を幾つか書かせていただきましたので、参考にしていただきたいと思います。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。

 では、田畑さん、お願いします。

○田畑構成員 済みません、田畑です。

 基本的な視点にかかわる論点と、それから、具体的な論点という形で資料を出させていただきましたので、20ページから見ていただきまして、少し発言をさせていただきたいと思います。

 まず、基本的視点に関する論点のところなのですけれども、前回の議論でもありましたように、児童福祉法に一元化されるという中で、やはりインクルーシブな支援を基本に置きながら、障害児である前に一人の子どもであるという、いわゆる「CHILD FIRST」ということを原則とした支援のあり方というのがまず大前提として必要ではないかと思います。

 2点目は、そうなってきますと、子ども・子育て支援法との関係性をどうしても整理しないといけない。いわゆる子育ての総合的な支援のあり方における障害児の支援のグランドデザインという形で整理をする必要があるだろうと思います。

 3点目には、子育てしやすい地域づくりということも大きな課題になると思いますので、システムとツール、プラス、やはり人材の確保・育成という点ですね。整理していただいた検討課題の中には「障害児支援を行う人材の専門性」という言葉があるのですけれども、やはり人材の確保と育成をしていく。その中に専門性も含まれてくるということになるかと思います。

 4点目は、障害児の相談支援というものが始まったわけですので、子どもの相談支援そのものはどうあるべきなのか、その中で障害児の相談支援はどうあるべきなのか、これもやはり総合的な相談のあり方という点でも議論が必要だと思います。

 大きくはその4点を基本的な論点として検討していただけたらと思っています。

 具体的な点では重複するところもありますけれども、1つは、障害児等療育支援事業がどう活用されてきたのか、これからどうあるべきなのか。非常に大きな役割を果たしていくかと思いますので、その辺につきましても少し整理をしたらどうかなと思っています。

 最後に、行政組織のあり方ということで、私の資料の一番最後に漠然とした図を出していますけれども、母子保健から始まる気づきの支援、その後、どういう形で行政の組織をつないでいくのかという行政組織のあり方についても論点ではないかと思いますので、少し整理していただきたいと思います。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。具体的な論点の提示をしていただきました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 では、大南さん、加藤さん、お願いします。

○大南構成員 大南です。ありがとうございます。

 特別支援学校の高等部の生徒のことを考えますと、卒業後の進路の一つとして就労があるわけで、就労支援についてもぜひ検討をいただいて、例えば、学校と企業との間の橋渡しをどのような形にしていくかということが必要ではないかと思います。

 以上でございます。

○柏女霊峰座長 新しい論点として、またこれの検討をお願いいたします。

 では、加藤さん、お願いします。

○加藤構成員 理念のところの最初の文章が「障害児」という形で鍵括弧でくくられている。この在り検のタイトルも「障害児支援」という言葉をキーワードとしているわけですけれども、やはりどうしても私自身は、就学前の子どもたちの状況を考えたときに「障害児」と断定的に捉えることの問題性というのは大きいと思うのです。そういう意味では、先ほど来、いろいろな方から発言がありますように「発達支援を必要とする子どもたち」という捉え方でこの問題をこれから議論していっていただきたいと思います。

 といいますのは、やはり彼らの場合、年齢的にも鑑別診断をするにはまだ早かったり、あるいは症状がどんどん動いていたり、あるいは後天的なさまざまなアプローチで変化・変容していくこともあったりということがあり得ますので、断定的に「障害児」という形でくくってしまうことの問題性といいますか、このことによって敷居が格段に高くなってしまって、結果として必要なサービスが利用できなかったり、あるいは拒否されたり、認知されなかったり、さまざまなネガティブな、結果として子どもとその家族に不利益を生ずることになりかねないということを懸念します。

 そういう意味では、例えばここでも「障害の無い児童との関係等」と表現されているのですけれども、障害のない児童とは誰のことかということです。障害のある子どもとは誰のことか。前から申し上げていますように、みんなそれぞれグラデーションがあって、程度問題でお互いさまみたいな話なわけで、要は、支援の必要性の濃度、範囲、期間、そういうものが違うだけの程度問題、相対的な違いの中で存在しているにすぎないと思うのです。ですから、そういう意味では、余り「障害」と言われてしまうと、何か少し本質を踏み外すのではないか。行政的にこの言葉を使わないとといういろいろな問題があるかもしれませんが、一応、そのことをぜひ申し上げておきたいということです。

 それから、先ほど質問をしたかったのですけれども、できなかった中身で、きょう、2カ所のヒアリングをして、本当に参考になった、すばらしい実践をされていると思うのですが、そこでのキーワードの一つというのは、ここの今の(2)の中にもありますように、やはりつながるサービスとか、途切れないサービスということだと思います。大南先生もおっしゃったのですけれども、そのためのサービスの工夫というのはきっとあると思うのです。それがさまざまな支援シートであったりとか、それぞれのステージごとに、あるいは行政ごとに持っているさまざまな個人情報を一元化することが大事かなと思います。

 そして、その所有者は誰か。今の既存のものは、縦割り行政の中でいろいろな機関がそれぞれに勝手勝手に一人の子どもの情報をモザイク的にえぐり取って持っているわけで、それが全然収れんしていないという事態が起きていて、結果として親たちも非常に苦々しい思いの中で子育てをさせられている事態にあろうかと思うのですが、やはりこれはあくまでも当事者の所有物である。当事者が持つべき情報で、当事者が本人の権利と責任において開示したり、クローズにしたりということができるような体制が構築されていくことが、ライフステージをまたがっての一貫した情報のいろいろな意味での共有、結果として本人のプラスにつながる形になるのではないかなと思いますので、その辺のこともぜひこの場で議論をしていっていただけたらと思います。

○柘植構成員 関連していいですか。

○柏女霊峰座長 それでは、柘植さん、お願いします。

○柘植構成員 教育の立場におりまして、今の加藤構成員のお話の後半のところを非常に興味深く聞かせていただきました。1枚目の下のほうの「(3)教育施策との関係での障害児支援の位置づけ」の最初の1行目で、連携をどのように進めるかということで、個別支援計画と教育支援計画の連携等ということがあります。まさに、このあたりを御発言されたと思うのですが、先ほどの湖南市さんですと「ここあい」ですかね。それから、三重ですと「支援ファイルの共有化」という言葉があって、その説明もしてくださったのですが、先ほど加藤構成員がおっしゃったように、一つに一元化してしまうという方法が少し弱いかなという気がします。ただ、全部それがそういう形ではなくて、それぞれでつくっていて、それをうまいぐあいにつないでいくことで連携をしているようなところもあるように思いますので、形はどうでもいいのですけれども、ざくっとした言い方をすれば、きちんと二極連携してつないでいってほしいなという、その辺のところが込められるといいかなと思いました。

 それは、ひいては障害児支援の質を担保するものであって、なぜさまざまな計画を一元化するのだと。それは、途切れのないようにつないでいくということもあるのですけれども、それぞれの段階での支援の質をきちんと担保するのだということが裏に大きくあるのだということを忘れないでいたいなと思います。

 先ほど三重の西田様がこんなことをおっしゃっていたのですね。ちょっとずばりの言い方は忘れてしまいましたのであれなのですけれども、その子どもにどんなニーズがあって、だからどんな支援をしたら、どう成果があったのか。計画は計画なのだけれども、広い意味の計画の中には、どういう手だてでどういう支援をしたら、どう子どもが変わったのかという、そこが盛り込まれなければいけないのですね。ところが、それが、教育のほうをいろいろ見てみると弱い部分もあって、これをやっています、これをやっていますどまりになっているのも時々見るものですから、やはり先ほどの支援の質ということを考えたときに、さまざまな計画をつないで一元化していったりしていくのですけれども、そこにエビデンスに基づいたプラクティスを目指すという志を持って、どんな子どもにどんな支援をしたら、どういう成果があったのかということを丁寧に書き込んでいく習慣化みたいなものも、この1行の中に込めてほしいなと思いました。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございます。もしかしたら、今おっしゃったことと、情報や記録のつながりとか共有の問題は、横串の問題として論点を一つ立てたほうがいいかもしれないかなと思いながら、とても大事な問題で、連携だけの問題ではないような気がしましたので、ちょっと事務局にもお考えをいただければと思います。ありがとうございました。

 では、田中正博さん、お願いいたします。

○田中(正)構成員 全日本育成会の田中です。

 先ほど宮田さんのほうからも出ましたが、家族支援について、障害児支援の中での家族支援の位置づけとなっておりますので、そこを深めていくときには、子どものために親としての子育て力を支援するということで、宮田さんの資料の27ページ、4の1)の「ペアレントトレーニング」という表現で、子育て力を支援することの一環に位置づくのかなと理解しております。

 それと、私のほうで資料を用意させていただきました、育成会のほうでつくっている資料の15ページからですね。151617と見開きで左右と行くので読みにくいのですけれども、この中で「家族支援ワークショップ」という表現で、家族機能の強化という視点の特にカウンセリングの視点ですね。これも宮田さんの資料にも載っておりましたが、基本的には親子ともどもの自尊心、自己肯定感を高めていくということで位置づけられるものと理解しておりますけれども、このような親子関係を親子ともどもがともに育まれていくという視点で家族支援ということを考えていくと、「児」という枠組みでの今回の検討ですが、ライフサイクル全般を見渡していく必要もあるのではないかと思っています。特に子どもの自立が親の子育ての卒業になるということを前提にした家族支援にしていかないと、幾つになっても親が見続けるための家族支援というふうに置きかわってしまうと、大分本末転倒になってしまうだろうと思っています。ですから、距離感のある円滑な親子関係というのを児童期からも育めるような家族支援ということを念頭に整理させていただければと思っています。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。

 あと最大5分ぐらいにしたいと思います。

 では、石橋さん、片桐さんの順でお願いいたします。

○石橋構成員 全肢連の石橋です。

 私は、前回の資料を読みまして、きょうもなかなか頭の回転が進まないのは「発達障害」という言葉をどう使っておられるのかなと感じております。発達障害者支援法の「発達障害」なのか、全ての子どもたちの発達という意味から「発達障害」と捉えているのかということについては、なかなか議論ができておりませんでした。何とかついていこうとは思っております。

 それで、前回の資料を読んでも父親というものが出てこないのですね。田中さんのところから家族支援とありましたけれども、どう文字面を読んでも、どうしてもほぼ母親主体の文言に行ってしまうということで、男親としまして、そのときは母親に負荷をかけたのかなと感じております。

 この検討会のメンバーになったときに若いお母さん方にお聞きしましたら、やはりドクターが次につなげるお仕事をされているということで、特に肢体不自由の場合は、出生時に障害ということがわかりますと、もうほとんどドクターが次のステージにつなげてくれていると。先ほどありましたように、やはり専門医が物すごく少なくなっているものですから、また、健診のときにも保健師さんの豊富な知識がないがために先送り、先送りとなって、結局、気づきもさることながら親の受容がずっとおくれてしまって、結果的には子どもにとっては不利益になっているという実態もありますので、そういう意味では、今回、いろいろと見直していただきましてありがたいと思っております。

 最後に、先ほど田中さんからあったかもしれませんが、これは地域によって違うのかもしれませんけれども、個別の教育支援計画は、神奈川県においては所有者は保護者となっております。保護者がそれを持って、社会に出るときにその先へそのものを提出する。全て保護者となっておりますから、学校が保管するということではなくて、保護者が保管する。だから、保護者がどう使うかというところにもう来ていると私どもは認識しております。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。

 関連して、では、短くお願いします。

○朝貝構成員 私の参考資料が専門医の不足に関連したもので、先天性股関節脱臼のように数が少ない疾患ですと、一般の整形外科医が扱えなくなっていまして、保健師も扱う機会が少ないという中で、肢体不自由も同様の状態になっております。

○柏女霊峰座長 ありがとうございます。後でまた皆さんに参考にしていただければと思います。

 では、片桐さん、お願いいたします。

○片桐構成員 先ほど佐藤構成員がおっしゃられた「療育」、それから、加藤構成員がおっしゃられた「障害児」という言葉の取り扱いについて思うところがあります。

 私も今、小さな子どもを育てている親の立場でもあるのですけれども、周りの同世代でやはり障害がどうもあるという相談も仕事柄受けます。その中で「療育」という言葉の持つ肩にのしかかる重みというのは、やはりなかなかしんどいものだなということを感じながら、今、現場で仕事もさせていただいています。

 それから、先ほど佐藤構成員がおっしゃったことは全くそうで、何か療育というものを受けると、あしたから何か生まれ変わる言葉が要るのではないかとか、何かたくさんの期待があるのですけれども、実はもっと緩やかな、年齢等の自然な発達の中で育まれる中での適用とか、いろいろなものがあるという中で、「療育」という言葉が今この時代に果たして合っているのだろうかということは、実は現場にいる人間としては思っておりました。

 それから「障害児」という言葉の中で、今までのくくりの中では定義することができない困難を抱えるお子さんたちの支援ということになると、もはやこれも「障害児」という言葉でくくることもかなり難しくなってきている時代かなとも思っております。

 そうすると、先ほど加藤先生がおっしゃったような発達に支援が必要な子どもたちという表現が、いいかどうかはわからないのですけれども、恐らく「障害児」という言葉の取り扱いだったり「療育」という言葉、それは言葉遊びになってしまったり、何か目をそらしていくみたいなこともおっしゃられる方もいるのですが、例えば、養護学校は特別支援学校となっていったり、なつかしいところでいうと、精神分裂病が統合失調症と名を変えて少しイメージが変わっていくとか、受け入れが少し変わっていくみたいなところもあるので、どこまで議論できるかわからないのですけれども、そういったところも視点として議論できればと思いました。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。これも用語はまさに理念をあらわすわけですので、そこにも入っているかと思います。ありがとうございました。

 もう大分時間が過ぎて、これくらいにさせていただければと思いますが、どうしてもという方、大丈夫でしょうか。

 ありがとうございました。まだまだ会は続きますので、意見書として出していただく分には大歓迎でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 また、今日出ました意見については、事務局のほうでしかるべく検討した上で、今後の議論の反映していただくようにお願いをしたいと思います。

 それでは、今後の予定について、事務局のほうから説明をしていただければと思います。。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 事務局でございます。

 本日は、皆様お忙しいところ御議論いただきまして、まことにありがとうございました。

 本日いただいた御意見、そして既に文書で提出いただいている意見につきましては、今後、引き続き事務局におきまして集約した上で、論点整理を進めていきたいと考えております。

 また、次回以降、第3回から第5回までの検討会におきましては、第1回でリストをお示しいたしましたこの検討会の構成員を御推薦いただいている各団体及びその他の関係団体の方々からのヒアリングを実施する予定ですので、あわせてよろしくお願いいたします。

 本日、席上配付をさせていただいております「今後の検討会の日程について」というペーパーでございますが、それにございますように、今後4月14日及び23日、そして5月9日の3回にわたりまして、団体からのヒアリングを実施したいと考えております。また、5月20日、6回目からは、各論点についての議論を再開させていただければと考えております。

 それで、全3回のうち、これはここに御出席いただいていない団体も含めてございますが、どこでヒアリングをお願いするかというところにつきましては、恐縮ながら既に今回団体推薦で来ていただいている方々の御出席の状況を確認している状況ですとか、あとは分野のいろいろな類似性なども考慮の上で、まずは事務局において仮の割り振り案を、要するに1回目はどこの団体にお願いします、2回目はどこにお願いしますというような形での仮の割り振り案をお示しさせていただいて、それで御都合がよろしければ確定させていただき、また、それで御都合が悪いということであれば、ちょっと別の修正をさせていただくという形で調整をさせていただければと思っております。追って、恐らく来週できるだけ早いうちに御連絡をさせていただきまして、調整をさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 23日の日にちが正しくて、曜日が間違っているだけですので、恐縮です。

○柏女霊峰座長 今、事務局のほうからヒアリングの団体等、順番等について、日時等については調整をさせていただくのだけれどもということで御提案がありましたけれども、そのような方式でよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○柏女霊峰座長 ありがとうございました。

 それでは、ヒアリング等も含めてタイトなスケジュールになるかと思いますが、御協力をお願いいたします。

 きょうは、本当に三重県から、御遠方から田中さん、西田さん、おいでいただきまして、貴重な御報告をいただきましてありがとうございました。

 また、松浦さんもありがとうございました。

 それでは、以上で「障害児支援の在り方に関する検討会」第2回を終了させていただきます。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
障害児・発達障害者支援室 障害児支援係
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
電話: 03-5253-1111(内線3037)
FAX: 03-3591-8914

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