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2014年2月7日 第60回労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成26年2月7日(金)
16時00分~18時00分


○場所

厚生労働省専用第23会議室(6階)


○出席者

【公益代表】菊池委員、武石委員、中川委員、松爲委員、山川委員
【労働者代表】伊藤委員、榎本委員、桑原委員、斗内委員、冨高委員
【使用者代表】栗原委員、塩野委員、平岡委員
【障害者代表】阿部(一)委員、竹下委員、堤委員、宮武委員
【事務局】岡崎職業安定局長、内田高齢・障害者雇用対策部長、藤枝障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、田窪主任障害者雇用専門官、境障害者雇用対策課長補佐、田崎職業能力開発局能力開発課長補佐

○議題

(1)障害者雇用対策基本方針の改正について
(2)2013年度の年度目標に係る中間評価について
(3)平成26年度予算案及び税制改正事項について(報告)
(4)障害者雇用関係の研究会の開催について(報告)
(5)その他

○議事

○障害者雇用対策課長

 それでは、定刻になりましたので、はじめさせていただきます。障害者雇用対策課長の藤枝でございます。よろしくお願いいたします。ただいまから「第 60 回労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。委員の皆様方には、本日はお忙しいところを御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、昨年 4 月に行われました委員改選後の初めての分科会となりますので、分科会長が決まるまで、私のほうで進行を務めさせていただきます。座って進めさせていただきます。よろしくお願いします。

 まず初めに、この障害者雇用分科会の運営に当たりまして、これは従来からですが、委員の皆様にお願いがございます。障害をお持ちの方への情報保障の観点から、御発言等をされる場合には、まず発言者の方が必ず挙手をしていただくこと、挙手をした発言者に対して座長から指名をいただくこと、指名を受けた発言者の方は氏名を名乗ってからお話いただくことを徹底したいと考えておりますので、御協力のほどをよろしくお願い申し上げます。

 それでは、議事に入ります前に、改選等によって新しく委員に御就任された方を紹介させていただきます。お手元、お配りしている資料の参考資料 1 、後ろから 3 つ目ぐらいの資料になりますが、参考資料 1 「労働政策審議会障害者雇用分科会委員等名簿」でございます。新しく委員に御就任された方につきまして、下線を引いております。私のほうから順に御紹介申し上げます。

 まず、公益代表の委員です。本日、所用により御欠席ですが、中央大学経済学部教授の阿部正浩委員でございます。続きまして、田園調布学園大学人間福祉学部教授の中川正俊委員でございます。東京大学大学院法学政治学研究科教授の山川隆一委員でございます。

 次が労働者代表の委員ですが、日本労働組合総連合会総合労働局雇用法制対策局長の伊藤彰久委員でございます。全日本自治団体労働組合社会保障局長の榎本朋子委員でございます。

 続いて、使用者側の委員です。株式会社日立製作所人事勤労本部担当本部長の平岡真一委員でございます。次に、本日は所用により御欠席ですが、株式会社アイネット代表取締役の本郷滋委員でございます。

 次に、障害者代表の委員です。公益社団法人全国精神保健福祉会連合会理事の堤年春委員でございます。本日、若干遅れていらっしゃるということですが、社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会事務局長の宮武秀信委員でございます。

 以上、新たに御就任された方を紹介させていただきました。なお、本日は使用者側の高橋委員も御欠席でございます。また、夏に役所のほうの異動がありまして、報告させていただきます。高齢・障害者雇用対策部長の内田でございます。それと、私、藤枝でございます。よろしくお願いします。

 続きまして、分科会長の選任を行いたいと思います。分科会長は労働政策審議会令に基づきまして、本分科会、この障害者雇用分科会に属する公益代表の労働政策審議会の本審の委員のうちから、本分科会に属する本審委員の間で選出をいただくことになっております。本分科会につきましては、阿部正浩委員、冨高裕子委員、山川隆一委員が労働政策審議会本審の委員でして、御三方に御相談をいただきまして、その結果、山川委員に分科会長として御就任いただくこととなりました。つきましては、ここからは山川分科会長に議事進行をお願いしたいと思います。山川分科会長、よろしくお願いします。

○山川分科会長

 山川でございます。不慣れな点が多々あろうかと思いますが、精一杯務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 それでは早速ですが、まず、分科会長代理を選任します。労働政策審議会令第 6 条第 8 項の規定に基づき、分科会長代理は分科会長が指名することになっておりますので、私から指名させていただきます。分科会長代理には、本日は御欠席ですが、阿部正浩委員を指名したいと思います。皆様、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○山川分科会長

 ありがとうございます。それでは、阿部正浩委員に分科会長代理をお願いすることといたします。よろしくお願いします。

 では、早速議事に入ります。本日は、議事次第にありますように 5 点、第 1 に「障害者雇用対策基本方針の改正について」、第 2 に「 2013 年度の年度目標に係る中間評価について」、第 3 として「平成 26 年度予算案及び税制改正事項について ( 報告 ) 」、第 4 「障害者雇用関係の研究会の開催について ( 報告 ) 」、第 5 「その他」となっております。これらのうち、まず議題 1 の「障害者雇用対策基本方針の改正について」、事務局から御説明をお願いします。では調査官、どうぞ。

○調査官

 障害者雇用対策課調査官の松永でございます。それでは、今、議題にあった障害者雇用対策基本方針について説明します。

 まず資料 1-1 を御覧ください。基本方針とは何かについて説明しております。障害者雇用促進法第 7 条に基づいて、障害者の雇用の促進及びその職業の安定に関する施策の基本となるべき事項について厚生労働大臣が策定するもの、これが基本方針です。中身としては「具体的事項」にありますが、第 1 「障害者の就業の動向に関する事項」を筆頭にして、大きく 4 つの柱で記載しております。

 その下の「運営期間」です。基本方針は、これまでおおむね 4 年あるいは 5 年程度の運営期間を設けて策定してきております。現行の基本方針については昨年度末に期限を迎えていたわけですが、御承知のとおり、当時は法律改正の議論と時期が重なっていたために、 1 年間延長させていただきました。このため、今年のこの時期に見直しを行うことになったものです。

 具体的な改正内容について説明をしたいと思います。次の資料 1-2 の新旧対照表を御覧ください。今回の基本方針の改正について、現行の基本方針から変更した点を中心に説明します。まず 1 つ目が「方針の目的」です。ここは特に修正はしておりません。この基本方針は、今後の障害者雇用対策の展開の在り方について示すこと等により、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図ることを目的としております。

2 として「方針のねらい」です。ここでは、現行の基本方針の運営期間中に行った主な取組を総括しつつ、今後の期間中に取り組む施策を総括的に記載しています。まず冒頭は、昨年 9 月に策定されました、障害者基本計画 ( 3 ) の基本的な考え方を踏まえて、表現を修正しております。基本的な考え方として、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」としております。

 次の段落では、これまでの障害者雇用対策での取組を記載しております。平成 20 年の法律改正、除外率の引下げ、昨年 4 月にありました法定雇用率 2 %への引上げといった制度改正に加えて、障害者の就労意欲の向上、企業における CSR への関心の高まり等を背景に、障害者雇用は着実に推進しているとしております。

 その下の「一方」以下の記載ですが、ここでは先般の障害者雇用促進法改正について記載しております。障害者権利条約への対応、法定雇用率の算定基礎に精神障害者を追加すること等を内容とする、障害者雇用促進法の一部改正を実施した旨を記載しております。

 次、 2 ページになります。また書きの所ですが、そこは障害保健福祉分野での法律改正を記載しております。平成 24 年の障害者総合支援法、平成 25 年の精神障害者福祉法の改正がありまして、今後も障害者の就業ニーズは一層高まることが予想される旨を記載しております。こうした中、昨年 9 月には障害者基本計画の改定が行われまして、雇用に関してはできる限り一般雇用に移行できるように、総合的な支援を推進することとされております。

 こうした動きを踏まえまして、この下の「このため」以降で、今後の主な取組方針を記載しております。大きな取組としましては、その下にあるように、ハローワークにおける雇用率達成指導の実施。それから「さらに」の段落のくだりですが、改正障害者雇用促進法の円滑な施行に向けた取組。それから、その下の段落、福祉、教育、医療の関係機関が密接な連携を図ることによって一般雇用への移行を促進する、といったことを記載しております。次、 3 ページを御覧ください。上の「このほか」の段落ですが、最後に、障害者虐待防止法についても記載しております。

 次に、 3 「方針の運営期間」です。ここは通常 5 年間でやっているものですが、先ほども説明したとおり、現行の方針の運営期間を 1 年間延長していることも踏まえて、今回は 4 年間の運営期間としております。なお、平成 29 年度までというこの 4 年間は障害者基本計画の計画期間で、これは平成 25 年度から 29 年度までとなっておりますが、これとも整合をとったものです。

 次に、第 1 「障害者の就業の動向に関する事項」です。まず、 1 「障害者人口の動向」です。ここでは、身体障害者、知的障害者、精神障害者の人口の動向を記載しております。詳細な数値についての説明は省略しますが、身体、知的、精神障害者のいずれも、 5 年前よりも数値が増加している状況です。

 次、 4 ページに飛んでください。真ん中ほどに 2 「障害者の就業の動向」とあります。まず、 (1) 障害者の就業状況です。障害種別の就業率については、身体障害が 45.5 %、知的が 51.9 %に比べて、精神障害者が 28.5 %ということで、精神が若干低い数値となっておりますが、精神障害者の就業率は近年伸びている状況です。

 その下の (2) が障害者の雇用状況です。障害者の雇用状況につきましては、昨年 6 1 日現在の 6 1 報告によれば、雇用障害者数が約 40.9 万人、実雇用率が 1.76 %ということで上昇しております。ただ一方で、雇用率 2 %に引き上げた影響によりまして、達成企業割合については 42.7 %と減少しております。また、中小企業における取組が今後の課題となっております。

 次、 5 ページを御覧ください。段落の「一方」からのくだりですが、ここからはハローワークにおける職業紹介状況について記載しております。有効求職者数を見ますと、知的障害、精神障害の占める割合が年々増加している状況です。それから、就職件数についてですが、これも精神障害の占める割合が大きくなっている状況です。「さらに」のくだりですが、解雇者数の状況です。こちらは最近の景気動向も反映して、減少傾向にある状況です。

 次が 2 つ目の大きな柱です。第 2 「職業リハビリテーションの措置の総合的かつ効果的な実施を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項」です。まず、 1 「障害の種類及び程度に応じたきめ細かな支援技法等の開発、推進」の所です。こちらは 6 ページになります。この上のほうですが、高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する障害者職業センターと、福祉、教育、医療等の関係機関との連携について、強調して記載をしております。

 その下が 2 「きめ細かな支援が必要な障害者に対する職業リハビリテーションの推進」です。ここでは、職場定着における医療機関との連携を強調するとともに、下のほうですが、ハローワークが中心となって、就職から職場定着まで一貫した支援を行う「チーム支援」の一層の充実と、ハローワークのマッチング機能の強化や、障害者トライアル雇用事業の拡充を実施するとした旨を記載しております。

 その下ですが、特別支援学校等の関係です。特別支援学校等から企業への就労を進めるために、在学中における職場実習の実施とか、卒業後における職場定着の推進を図るなど、きめ細かな支援を実施する旨を記載しております。

 最後の段落ですが、ハローワークの障害特性に対応した専門職員の配置を進めておりまして、引き続きその体制の充実を図る旨を記載しております。

 次が 3 「職業能力開発の推進」です。ここでは、職業訓練上特別な支援を要する障害者等に対して、障害者職業能力開発校が職業訓練を実施する旨を記載しております。また、特に求職者の増加が著しい精神障害、発達障害等に対応した訓練科目の設定等を推進する旨を記載しております。

 次、 7 ページになります。また書きの所ですが、一般の公共職業能力開発施設におきましても、障害者に対する職業訓練技法等の普及を推進することにより、障害者に配慮した訓練科目の設置等を進める旨を記載しております。

 その次の段落ですが、企業等を活用した委託訓練を幅広く実施する中で、特に精神障害等に対する職業訓練機会を拡充するために、障害特性に配慮した訓練カリキュラムや指導技法等の普及を促進する旨を記載しております。

 さらに、「あわせて」以降のくだりですが、障害者の職業能力開発を効果的に行うために、雇用、福祉、教育等の関係機関が、連携の強化を図りながら職業訓練を実施する。また、障害者の能力開発・向上の重要性の啓発に努める旨を記載しております。

 次の 4 が「実施体制の整備」です。障害者の職業的自立を進めるために、企業のニーズも踏まえつつ、きめ細かな職業リハビリテーションの措置を提供していく旨を記載しております。また、下のほう「特に」以降のくだりですが、障害者就業・生活支援センターの計画的な設置を進めるとともに、就業支援担当者の加配等による支援体制の充実や、障害者、企業双方のニーズに迅速に対応するためのコーディネート機能の強化、ネットワーク形成の促進等による支援水準の向上を図る旨を記載しております。

 次、 8 ページを御覧ください。上のほうの「さらに」のくだりですが、精神障害者等を中心に就労意欲が高まっているとともに、定着支援ニーズが拡大していることから、ジョブコーチの質的な充実と量的な拡大を図る旨を記載しております。

 次が 5 「専門的知識を有する人材の育成」です。職業リハビリテーションに従事する人材の養成と質的向上を、引き続き推進する旨を記載しております。そして、特に精神障害者等への対応の拡大を図る旨を記載しております。また、地域障害者職業センターにおきましては、医療機関や教育機関等就労支援に携わる機関や人材の多様化に対応した研修内容の見直し等を行う旨を記載しております。

 次の 6 「進展する IT の積極的活用」です。 IT の活用というのも重要でして、ここは引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 次の大きな柱、第 3 「事業主が行うべき雇用管理に関して指針となるべき事項」です。ここでは、事業主が障害者の適正な雇用管理を行うに当たって配慮すべき事項を記載しております。中を御覧いただければ分かるかと思いますが、ここでの記載は、前回の障害者雇用促進法の改正で盛り込まれた、合理的配慮に関するものが含まれております。今日、この後の議題でもありますが、合理的配慮については現在、研究会で、指針に盛り込むべき内容をどうするかについて議論をしていただいています。このため、今般、この指針の改正に当たり、この第 3 の部分につきましては、基本的には時点修正のみとしたいと考えております。

 次、 13 ページを御覧ください。大きな柱の 4 本目です。第 4 「障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項」です。まず、 1 つ目が「障害者雇用率制度の達成指導の強化」です。ここでは、法定雇用率の引上げにともない、法定雇用率未達成企業が増加している状況を踏まえて、企業の求人充足に向けた支援を推進する旨を記載しております。

 次が 14 ページになります。 2 つ目の「事業主に対する援助・指導の充実等」です。ここの 2 パラグラフ目、「また」以降ですが、中小企業における職場実習や企業見学会等を活用し、障害者雇用に取り組むきっかけづくりを行う旨を記載しております。それから、「さらに」以降のくだりですが、障害者トライアル雇用事業の拡充や就職面接会の充実、コンサルティングの実施により、中小企業に対する支援の充実を図る旨を記載しております。

 次が 3 「障害者の雇用の維持、解雇の防止と再就職対策の強化」です。「また」以降のくだりですが、「障害者優先調達推進法」に基づいて、公契約について、競争に参加する者の資格を定めるに当たっては、法定雇用率を満たしていること等に配慮する等の措置を講ずるよう努める旨を記載しております。

 次が 4 「重度障害者の雇用・就労の確保」です。特例子会社等の、重度障害者を多数雇用する事業所が重度障害者の受け皿になっている、という分科会意見書の指摘も踏まえて、引き続き取組を行う旨を記載しております。

 次、 15 ページを御覧ください。 5 「精神障害者の雇用対策の推進」です。法定雇用率の算定基礎に精神障害者が加えられることを踏まえて、企業に対する支援の強化、それから、精神障害者に対する更なる就労支援の充実を図る旨を記載しております。具体的には、障害者を対象とする障害者トライアル雇用期間を、精神障害者については最大 12 か月まで延長するとか、各種助成措置の充実を図ることとしております。また、精神障害者雇用トータルサポーターによるきめ細やかな人的支援を行う旨も記載しております。最後の「この他」以降のくだりですが、雇用ノウハウの蓄積のためのモデル事業とか、医療機関における就労支援の取組・連携を促進するモデル事業を実施する旨を記載しております。

 次が 6 「発達障害者、難病患者等に対する支援」です。発達障害者については体系的支援プログラムがありまして、これを全国で実施するとともに、難病患者については難病患者就職サポーターをハローワークに配置しておりまして、その活用を図っていきたいと考えます。

 次、 16 ページを御覧ください。 7 「多様な雇用・就労形態の促進」です。ここでは短時間労働や在宅就労について記載しております。最後のくだりの所ですが、障害者優先調達推進法に基づいて、在宅就業障害者等からの優先調達を実施する旨を記載しております。

 次が 8 「適切な雇用管理の確保等」です。ここでは、合理的配慮等に関しまして、昨年の障害者雇用促進法に基づいて指針の策定を行い、障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保、それから、障害者の有する能力の有効な発揮を図る旨を記載しております。

9 「関係機関との連携等」です。ここでは、福祉、教育に加えて、医療等との関係機関との連携・支援を強化する旨を記載しております。

 次、 17 ページを御覧ください。 10 「障害者雇用に関する啓発、広報」です。今後、障害者雇用事例等の情報提供を充実させていく必要がある中で、高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する、障害者雇用リファレンスサービスの充実等を図っていく旨を記載しております。

 次、 11 「研究開発等の推進」です。職場リハビリテーションの関係者や事業主にとって利用しやすいマニュアル等を作成する、それから、難病患者等の職業生活上の困難さを把握・判断するための研究を行う旨を記載しております。

 最後、 12 「国際交流、国際的な取組への対応等」です。ここでは、障害者権利条約を踏まえて、改正障害者雇用促進法の着実な実施を図る旨を記載しております。

 以上が改正案についての説明でございます。なお、今日お配りしている資料の中で、参考資料 2 というのも別途用意しております。こちらは、今説明した基本方針の中にも出てきますデータについて、もう少し詳細なものを載せています。詳細な説明は割愛しますが、議論の参考にしていただければと思います。私からの説明は以上でございます。

○山川分科会長

 それでは、ただいま説明いただいた基本方針案について御質問、御意見がありましたらお願いします。

○竹下委員

 竹下です。何点か質問と要望をさせていただきます。第 1 2 (1) では、身体障害者の就業者の割合は 45 %となっていますが、その中で視覚障害者の就業割合は全く見えてこないので、ここに修正することが困難であれば、身体障害者の障害別の就業率も政策実施に当たっては重要な指標となると思いますので、資料としてどこかで御用意いただければと思います。

 続けて、 (2) では第二次障害者雇用対策基本方針の実績を書いていますが、その中で身体障害者は 26 8,000 人から 30 4,000 人に増加していると記載されています。この点についても、視覚障害者の実雇用人数がどう変化しているのかということも、基本方針の中で今後の施策を検討する上で重要な指標になるかと思いますので、資料等でどこかで準備いただければと思っております。私の認識としては、残念ながら視覚障害者はこの部分では減っているのではないかと危惧しております。

 職安の就職者数のうち、身体障害者は約 2 万人となっていますが、ここにおいても視覚障害者の動向がどのように推移しているかということも、資料としてどこかで御用意いただければと思います。

 第 3 については基本的に修正しないと先に言われてしまったので、それはそれでも構いませんが、この記載を見ると、少し今の社会情勢に合わなくなっているのではないかと思います。視覚障害者に限定して言えば、パソコンが一切入ってこないのです。すなわち、補助機器、あるいはその他の試験のときの配慮にせよ、就労における支援にせよ、パソコンは極めて重要な役割、位置付けになっていると思いますので、そうした現代の情勢に応じた部分として、パソコンの位置付けをきちんとしていただくことが大事なのではないかと思います。

 最後に、第 4 の前文に「ノーマライゼーションの理念を一層浸透させる」とありますが、これは今回の改正との関わりで少し気になります。昨年は障害者権利条約の批准を含めて、キーワードになっているのはノーマライゼーション (Nomalization) ではなくインクルーシブ (Inclusive) なのです。これは、社会形成においても差別の禁止においても常に基本的な概念になりつつあるわけです。その点で、これを置き換えることでもかまいませんし、ノーマライゼーションを残すことに異論はありませんが、せめてノーマライゼーション及びインクルーシブという表現で、今の権利条約の批准された、ましてや今月の 19 日から効力が発行されるわけですから、情勢に合わせることも必要ではないかと思います。

○山川分科会長

 幾つか御質問、御意見を頂きました。特に第 3 の「事業主が行うべき雇用管理に関して指針となるべき事項」については、資料 1-1 で改正障害者雇用促進法の合理的配慮の提供義務に係る規定の施行に際して、一定の整理を行うことを前提にしての対応であるということであったかと思いますが、御質問もありましたので、もし事務局から何かありましたらお願いします。

○主任障害者雇用専門官

 主任障害者雇用専門官の田窪と申します。冒頭に視覚障害者の数字的な動きについて、資料をということで 3 点御指摘を頂いたと思います。これは従来から、委員からずっと御指摘いただいている点かと思います。 3 つの御質問に正確にお答えすることにはなっていないかと思いますが、企業における障害者の雇用者数については、御承知のように、毎年 6 1 日現在での雇用状況ということで、各企業から御報告を頂いております。その中で、分類自体が「身体障害」「知的障害」「精神障害」という分類しか取っていないので、そこの部分の詳細な資料はありません。

 ただ、視覚障害者の就職促進についてその動向が重要だということで、従来から御指摘いただいており、平成 23 年度から、ハローワークにおける職業紹介で身体障害のある方の障害部位別の数字は集計・公表しております。そこだけ簡単に御説明しますと、身体障害者の中で視覚障害の方の就職件数は、平成 24 年度が 2,555 件となっております。平成 23 年度の数字が 2,108 件ですので、ハローワークにおける職業紹介での就職件数は、平成 24 年度は平成 23 年度と比べて増加している状況にあります。別途、必要な部分については資料を提供させていただきます。

○山川分科会長

 ありがとうございました。ほかの点は御要望が多かったかと思います。

○宮武委員

 全日本育成会の宮武です。私どもは知的障害者の親の会です。「事業主に対する援助・指導の充実等」の 14 ページのまた書きから入る所で、新しく中小企業における職場実習や企業見学等で、更に障害についての理解を進めましょうと。これは大変結構ですが、知的障害、発達障害、あるいは精神障害の方についての障害理解は非常に遅れているのです。この間も NHK で放送がありましたが、グループホームを作るときに反対運動があって、なかなか作れないという現状もあります。雇用している企業の見学会というのも大事だと思いますが、同時に、就労移行支援事業所や特別支援学校等に、実際にどういう訓練をしているのかということで、企業の方が接する機会がとても大事だと思うのです。是非ここに並べて、就労移行支援事業所や特別支援学校等の見学会も入れてほしいと思います。

 私が育成会の就労移行支援事業所にいたときに、ハローワークの指導で、未達成企業に対して就労移行支援事業所の見学会や特別支援学校の見学会をやるのです。人事の方が福祉事業所に見えて、皆さん硬い表情で座っていましたが、実際にやっている利用者の作業の様子を見ていただいて、今度はグループに分かれて、利用者と実際にいろいろなお話をしてもらうのです。そういう中で、知的障害でしたが、実際に接してお話してみて通じるものがあるわけです。そういう形で、実際に接していただく機会を作った上で、そのことが即雇用に結び付くわけではありませんが、その機会を通して何年後かに求人いただくといったことにもつながります。せっかく新しく改正するわけですから、是非盛り込んでいただきたいと思います。

○伊藤委員

 伊藤です。先ほど、竹下委員から第 3 について言及がありましたが、私もそこについて確認したいと思います。今回、資料 1-1 の中で方針の運営期間は平成 29 年度までの 4 年間とされていますが、資料 1-1 に書いてあるとおり、合理的配慮の提供義務については、平成 28 4 月から施行されることに伴い、「一定の整理を行う予定」と説明されています。こう考えると、計画期間 4 年の間に明らかに基本方針の内容に変更を加えることが予定されている中で、あえて平成 29 年度までの計画とする理由を教えていただきたいと思います。

○山川分科会長

 今の点は御質問ですので、境課長補佐からお願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

 課長補佐の境です。運営期間は、これまでおおむね 5 年としてきておりました。 4 年という運営期間になっているのは、もともと 5 年のものが 6 年に延びたがゆえに、本来であれば 5 年でいけば終わるであろう年度で終わらせているという考え方で、 5-1=4 にしているという例外的な状況です。そのような今までの考え方から、 1 年延長しなければその次の 5 年間は平成 29 年度ですので、 1 年延長した関係でこちらが 4 年になったということです。

 確かに、合理的配慮の指針との関係もありますが、法律上は、計画期間中に変更することが可能な規定になっているので、あえてこの時点で 3 年にするのか、計画期間内に変更することは可能なので変更という手続でやるのか、そこは御議論のあるところではないかと考えております。

○障害者雇用対策課長

 課長の藤枝です。補足させていただきます。もう 1 点、冒頭で御説明しましたが、政府の障害者基本計画も平成 25 年から平成 29 年までの 5 年間、中長期的な目標を定めて政府として対応していこうという方向性があり、障害者雇用の分野においても、政府の基本計画に合わせた形で中長期的に方向性は出していただきたいということでお願いしております。ただ、その期間の中で変更すべき事態が生じたら、またこの分科会で御議論いただきたいと思っておりますので、そういう形で進められればと思って提案させていただきました。

○伊藤委員

 伊藤です。意見ですが、あらかじめ変更を加える必要があることが分かっているわけですので、現在検討されている指針の内容を踏まえて基本方針の改定を含めた検討を行う旨を記載する必要があると思います。

○堤委員

 「みんなネット」の堤です。 2 件ほど質問します。 1 つは、 8 ページで「精神障害者を中心とした障害者の就労意欲の高まりとともに、定着支援ニーズが拡大していることから、職場における人的支援を強化するため職場適応援助者 ( ジョブコーチ ) の質的な充実及び量的な拡大を図る」とあって、本当に有り難いと思っております。前も研究会で、特に中小企業では支援をお願いしたいという意見があったと思います。量的な拡大を図るということですが、現在、ジョブコーチは何名ぐらいいて、どの程度まで拡大を考えているのかが、この場では返事ができないかもしれませんが、もし分かればお願いします。

 もう 1 点は、先ほどの説明の中で、精神障害者のトライアル雇用の期間を最大 12 か月まで延長することを検討されているということでしたが、精神障害者としては本当に有り難い話だと思っております。どうしても精神障害の当事者たちは不安定な状態にあるので、その中で延長していただければ、途中で仕事を辞めることもなくなるかと思います。 15 ページの 5 「精神障害者の雇用対策の推進」で、松永さんからお話がありましたが、ここにはトライアル雇用期間は、精神障害者については最大 12 か月延長するということがうたわれていないと思うのです。御説明があったかと思いますが、是非うたっていただきたいと思いました。

○山川分科会長

12 か月という点は

○堤委員

 すみません。ありました。

○山川分科会長

 それでは、第 1 点、ジョブコーチの量的な拡大に関連して御質問がありましたので、境課長補佐からお願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

 目標ですが、今、ジョブコーチの養成数は、平成 24 年の末時点で約 5,300 人となっています。目標とした平成 29 年度に、このジョブコーチの養成数を 9,000 人にするという目標を掲げております。

○堤委員

 分かりました。

○斗内委員

 斗内です。よろしくお願いします。今のことに関連して質問をさせていただきます。 8 ページの 5 「専門的知識を有する人材の育成」ですが、今回の基本方針の改定については、精神障害にかなり重きを置いていただいているというか、年々増え続けている状況に対して対応をきちんとしていこう、ということが見えるのではないかと思います。

 そういう意味では、 5 の最初のくだりで、発達障害、難病等に起因する障害、高次脳機能障害等々が書かれています。その障害に対応するためには、きめ細かにリハビリテーションの措置を講じること等を行っていくために、障害の特性や措置に関する専門的知識を有する人材が重要なのだと書かれています。更に次のくだりでは、そういったものに対応するために、人材の養成と資質向上をより一層積極的かつ着実に推進する、とあって、その後に「特に精神障害者等」と書かれていますが、上の段落のきめ細かな職業リハビリテーションの措置を講ずる等々の課題認識の中で、精神障害についても触れる必要があるのではないかと思うのです。つまり、上の段落でも精神障害ということを明記しておくべきではないかと思います。

 また、最後のくだりに「特に精神障害者等」とあります。前のページもそうですが、一部「精神障害者」と書いている所と、「等」と表現している所があります。何かその違いがあるのかということを質問します。

○山川分科会長

2 点あって、最初の点は御要望ないし御意見かと思います。 2 番目の点については、「精神障害者」と「精神障害者等」と使い分けられているようですが、その趣旨は何かという御質問であったかと思います。事務局から何かありますか。

○障害者雇用対策課長補佐

 課長補佐の境です。精神障害者等の人材育成のところですが、これは後ほど御説明する地域就労支援の研究会において、視覚や聴覚もかなり専門的な支援が求められるのではないかという問題提起を頂いており、そういったものも含めて「等」と書いております。

○山川分科会長

 今、御指摘のあった「特に精神障害者等」の「等」を付けた趣旨ですが、よろしいでしょうか。

○斗内委員

 そうすると、 7 ページの 4 の「加えて」と下線が引かれている所の 3 行目にも「精神障害者等」と書かれていますが、同じような意味合いでしょうか。

○山川分科会長

 すみません、どの場所でしょうか。

○斗内委員

7 ページの 11 行目の後ろに、「精神障害者等に対する職業訓練機会を拡充するために」というくだりがあります。

○山川分科会長

 それでは、能力開発課長補佐からお願いします。

○職業能力開発局能力開発課長補佐

 職業能力開発局の田崎です。委員が御指摘の職業訓練の「精神障害者等」の「等」については、求職者がかなり増えてきている発達障害をお持ちの方を「等」で表現しております。

○山川分科会長

 そうすると、場所によってやや趣旨の違う部分があるのでしょうか。

○障害者雇用対策課長

 記載の仕方の問題で混乱を招いて申し訳ございません。同じ「精神障害者等」という言葉で意味が違うということで誤解を招きますので、ここは事務局で一度預って整理します。

○山川分科会長

 よろしくお願いします。

○竹下委員

 竹下です。 1 点は、質問というか、少し御検討いただいたほうがいいかと思いますが、第 4 1 の障害者雇用率の記載です。未達成企業に対し、特例子会社制度や協同組合等に関わる算定の特例を云々という記載を見ていると、嫌な言い方をすると、雇用率未達成の悪い所には姑息な手段でアドバイスをするかのように読めるのは私だけでしょうか。もう少し表現を考えたほうがいいのではないかと思いますので、意見になるか質問になるか分かりませんが、それが 1 点です。

 もう 1 点は、全体を通じて、就労中の中途障害についてはこの基本方針ではどういう形で受け止め、あるいは雇用管理の中に含めようとしているのかについて、私が見つけられていないのかもしれないので教えてください。

○山川分科会長

2 つ御発言がありました。 1 つ目は御意見かと思いますが、 2 点目の中途障害に関する点は御質問の趣旨かと思います。

○障害者雇用対策課長補佐

 中途障害に関する記載についてのお尋ねと理解しました。例えば 11 ページですが、第 3 2 (1) のヘで、中途障害についての配慮を記載しております。また、同じ第 3 2 (3) 「精神障害者」のホでは、企業に採用された後に精神疾患を有するに至った者への配慮を記載しております。さらに第 4 10 3 行目で、障害者が一定の配慮・支援があれば就労や職場復帰が十分可能であるということについて理解を高めることが不可欠としており、中途障害に対する記載は盛り込んでいるという理解です。

○竹下委員

 だからこそ気になったのは、視覚障害や肢体不自由もそうですが、就労中の中途障害者は、必然的にとは言いませんが、不可避的に発生すると思うのです。そういう意味では、中途障害に対する記載は包括する形での工夫があったほうがいいのではないかと思いました。もし、修文上工夫ができるようであればお願いします。

○桑原委員

 桑原です。 1 つ質問をさせてください。 15 ページの 5 「精神障害者の雇用対策の推進」の最後の追加された文章ですが、「雇用ノウハウの蓄積のためのモデル事業」と、「医療機関における就労支援の取組・連携を促進するモデル事業」と記載されています。これは具体的にどういうものなのかが分からないので、解説をいただければと思います。

○地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田です。今お尋ねのあった雇用ノウハウの蓄積のモデル事業と医療機関における就労支援の取組のモデル事業については、参考資料 3 4 ページを御覧ください。これは平成 26 年度から予定しているもので、対象として精神障害者・発達障害者の雇用ノウハウの蓄積を図るために 20 社にお願いして、精神障害者・発達障害者の雇用に取り組む意欲はあるものの、経験やノウハウが十分でない企業に対して取り組んでいただいて、委託費として 500 万円を上限として払うということです。目的は、精神障害者・発達障害者の雇用に関する職場内の理解の促進や、どうやって雇用管理をしたらいいかということにモデル的に取り組んでもらうものです。

 もう 1 つは医療モデルですが、 9 ページを御覧ください。「医療機関と連携した精神障害者の就労支援モデル事業の実施」ということで、医療機関で就労支援に取り組んでいる所、ノウハウを持っている所が少ないので、医療機関に就労支援に取り組んでもらい、それを傘下の医療機関や地域に広めていただきたいという趣旨で、 1 つは医療機関や社会福祉法人等に委託する。 2 つ目は医療機関を傘下に抱える団体に委託する。もう 1 つは、これは平成 25 年度に実施していますが、実施の結果を普及してもらうということで、 3 つの大きな委託を想定しております。目的としては、医療機関が就労支援のノウハウがないということで、それを普及・啓発していただくという趣旨です。

○桑原委員

 雇用ノウハウの蓄積についてですが、委託数 20 社で、平成 26 年度新規事業ということですが、 20 社というのはほぼ目処がついているのか、これからの話なのか。また、医療機関については、平成 25 年度に実施したということもあるので、マル1については 7 機関、マル2については 3 機関、マル3については 5 機関というのもほぼ決まっているのか、これからの話なのかということを追加質問します。

○地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田です。 4 ページの雇用ノウハウの蓄積を図るためのモデル事業の 20 社ですが、まだ決まっておりません。今後、 20 社を選定していくことになります。

9 ページの医療機関と連携した精神障害者の就労支援モデル事業ですが、昨年は 10 機関でやっていました。その中から 5 機関で普及・啓発を行っていただくということがマル3です。この 15 機関の実施機関はまだ決まっておりませんが、公示をしております。ただ、これは平成 26 年度の予算が確定してからの契約になるかと思います。

○桑原委員

 こういうモデル事業は大切だと思うので、目標の 20 社なり残りの所が選定できるように進めていただければと思います。よろしくお願いします。

○伊藤委員

 伊藤です。基本方針の取扱いについて教えていただきたいのですが、目的などは資料 1-2 の「はじめに」にきちんと書いてありますが、この基本方針に即して障害者雇用政策が行われているのかということのチェックは行われているのでしょうか。通常、基本方針など、一定の期間を定めて方針を策定する場合は、それがそのとおり実施されているのかをチェックする、フォローアップするのが一般的ではないかと思います。この方針が絵に描いた餅になっては意味がないと思いますので、この活用方法のチェックはどのように行うのかについて質問させていただきます。

○山川分科会長

 御質問ですので、松永調査官からお願いします。

○調査官

 障害者雇用対策課の松永です。今の伊藤委員からの御指摘ですが、雇用政策の関係は、これは次の議題とかかわりますが、基本方針を踏まえながら毎年の目標設定を行い、運用実績について評価をしていただいております。また、先ほど少し御紹介がありましたが、障害者基本計画の中でも具体的な取組内容を定めて、毎年進捗を把握するといったこともやっております。

 そういった中で、これは次の議題でまた御紹介することになりますが、ハローワークでの就職件数や精神障害者関係のトータルサポーターの取組等々いろいろな指標を定め、点検・評価をしております。ここ最近、非常に障害者の雇用ないし就職件数は伸びており、我々としても今後ともこのような流れを途切れさせないような取組をしていきたいということで、今回この基本方針の案を作成し、御議論いただいているということです。

○伊藤委員

 伊藤です。それでは、毎年度の年度目標を定める際に、この分科会でも何らかの議論が行われる機会があるのではないかと思いますが、その際には基本方針を資料としても提示して、こうなっていたということをその都度確認できるようにしていく必要があると思いますので、そのような対応を今後ともよろしくお願いします。

○山川分科会長

 以上はこの分科会後の運営の方向に関する御意見、御要望と受け止めました。ほかに何かありますか。

○榎本委員

 榎本です。資料の質問でもよろしいですか。

○山川分科会長

 若干、時間が押してはおりますが、どうぞ。

○榎本委員

 予算案の関係は後の議論ですか。

○山川分科会長

 はい。

○榎本委員

 それでは後で質問します。

○山川分科会長

 ほかに、この議題についてはよろしいでしょうか。御質問のほかに様々な御要望、御意見を頂きました。そうした御意見等を踏まえて、私と事務局で相談し、今回は基本方針の案ですので、修正案を作成して、次回の分科会のときに改めてお示ししたいと思っております。

 それでは、次の議題に移ります。議題 2 2013 年度の年度目標に係る中間評価について」、既にお話が出ていますが、事務局から説明をお願いします。

○調査官

 障害者雇用対策課の松永でございます。 2 つ目の議題、「 2013 年度の年度目標に係る中間評価について」説明いたします。資料 2-1 です。政策評価については、従来、労働政策審議会の本審の下に点検評価部会が置かれて、この点検評価部会の下で労働政策に関する目標についての評価を一元的に行っておりましたが、今年度からは点検評価部会を廃止して、各所管の分科会において目標設定・評価を行って、それを本審に報告することになっております。

 障害者雇用の関係では、資料 2-2 にありますが、 3 つの目標を立てております。これについては、昨年の夏に各委員の皆様にお送りして、御了解いただいたところです。今般、目標に対する中間的な評価を行っていただくというものです。順次、説明いたします。

 資料 2-2 です。 3 つ指標がありまして、 1 つ目はハローワークにおける障害者の就職件数です。今年度の目標は前年度 6 8,321 件、これは過去最高だったわけですが、それ以上を目指すというものです。これは 10 月までの実績ですが、 4 6,970 件ということで、前年同期は 4 万件程度でしたので、大きく上回っている状況です。この就職件数については、企業における障害者雇用への理解が進んだということ、就職を希望している障害者が増加したということ、何よりも昨年 4 月から法定雇用率が 2 %に引き上げられたことの影響もありまして、前年同期を大きく上回る実績となっております。今年度、目標水準を上回ることが期待できるところです。引き続きハローワークが中心となって取り組んでいきたいと思っております。

2 つ目が、障害者雇用率達成企業割合です。この達成企業割合については、実際の評価は来年の 6 1 報告の結果が出た時点で改めて評価を行いたいと思っております。ただ、下のなお書きにありますが、昨年度も同様の目標を設定しており、昨年度の時点でこの評価はできておりませんでしたので、ここで評価をしております。昨年度の目標は 43 %以上としておりましたが、昨年の 6 1 報告では 42.7 %ということで、ほぼ同水準ではあったのですが、わずかに届かないという状況でした。これは昨年 4 月に法定雇用率が引上げとなったことが理由として考えられるところですが、今後、企業からの求人の充足を的確に行うとか、厳正な雇用率達成指導を実施することを通じて、目標達成に向けて頑張っていきたいと思っております。

3 つ目が、精神障害者雇用トータルサポーターの取組です。これはトータルサポーターの相談支援を終了した方のうち、就職に向けた次の段階に移行した者の割合を指標にしております。今年度の目標を 60 %以上としておりますが、これは 4 月から 9 月の実績で 69.5 %と、前年同期は 54.5 %でしたので、大きく上回っている状況です。これについては、今申し上げたような 60 %以上という目標、進捗を意識した業務実施を指示したこと、トータルサポーターの経験交流会などを開催して、支援ノウハウの共有を図るといった取組の成果かと思っております。これも目標の水準を上回ることが期待できるところです。今後とも目標の達成に向けて、引き続き総合的な支援を着実に実施していきたいと考えております。以上が中間評価案の説明です。私からは以上です。

○山川分科会長

 ただいまの中間評価案の説明について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○冨高委員

 冨高です。この年度目標の中に直接入っているわけではないのですが、この審議会の中でも、先ほどの基本方針の中でも、定着が大切であるということで、もちろん雇用がされることがまずは重要だと思うのですが、その後、定着していくことが働く者の安心感という意味でも、非常に重要になってくると思います。そういった意味でいうと、雇用率もそうですが、定着をしているかどうかを見ていくことも必要ではないかと思います。定着率をどのように見るかについては、実態把握は難しいのかもしれないですが、その視点を今後の検討の中に入れていただければと思います。これは意見ということで、お伝えしたいと思います。以上です。

○山川分科会長

 ほかにありますか。この中間評価案そのものについては、特段の御異議はなかったようですので、この分科会としての中間評価については御了承いただくということでよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○山川分科会長

 ありがとうございます。こちらの中間評価案については、改めて本審へ御報告することになろうかと思います。そういうことで、よろしくお願いいたします。

 次は議題 3 、議題 4 、いずれも報告案件ですが、議題 3 は「平成 26 年度予算案及び税制改正事項について」で、議題 4 は「障害者雇用関係の研究会の開催について」となっております。この議題 3 、議題 4 について、事務局から説明をお願いいたします。松永調査官どうぞ。

○調査官

 障害者雇用対策課の松永でございます。 2 つの議題について、資料を順次、説明いたします。まず、来年度の予算の関係です。資料 3 になります。今、国会でも議論いただいております予算案ですが、そのうちの障害者雇用施策の関係です。総額は 258 億余りとなっております。大きく 5 本の柱になっておりますが、大きな所はローマ数字2とローマ数字3以降になります。

 ローマ数字2ですが、「精神障害、発達障害、難病などの障害特性に応じた就労支援の推進」ということです。 1 つ目は、精神障害者への大幅な就労支援の強化です。 1 つは先ほどの基本方針の中でもありましたが、障害者の試行雇用事業、トライアル雇用事業の関係です。現行では試行雇用期間は 3 か月ということでやっておりますが、精神障害者の試行雇用期間は最大 12 か月に拡充するといった取組をしております。

 ハローワークの「精神障害者雇用トータルサポーター」についても拡充して、専門的支援の強化を図りたいと思っております。

3 つ目について、これは先ほどの議論の中でもありますが、精神障害者や発達障害者の雇用ノウハウの蓄積を図るということで、来年度は地域、企業規模、産業等に応じてモデル事業を実施することとしております。

 次は、発達障害者・難病患者への就労支援の着実な実施ということです。これについては、ハローワークに発達障害の関係ですと「就職支援ナビゲーター」、難病の関係ですと「難病患者就職サポーター」を配置して、障害特性に応じたきめ細かな支援を実施することとしております。

 ローマ数字3ですが「中小企業に重点を置いた支援策の充実や地域の関係機関との連携による福祉・教育・医療から雇用への移行促進」です。 1 つ目は、中小企業に対するコンサルティング等を実施するものです。 2 つ目は、地域の関係機関との連携による福祉、教育、医療から雇用への移行促進です。

1 つ目は、中小企業の障害者雇用の不安等を解消するための職場実習とか事業所見学会の実施です。中小企業の障害者雇用の不安解消のためには、職場実習とか事業所見学会の実施が効果的とされております。このために、労働局に専門のコーディネーターを配置して、関係機関と連携しながら職場実習に向けたマッチングとか事業所見学会を行うとしております。

 次は、就業面と生活面の一体的な支援を行う「障害者就業・生活支援センター」です。こちらは職場定着支援の担当者の配置を通じて、機能の強化を図っていきたいと思っております。

3 つ目が医療機関を活用した精神障害者の就労支援のモデル事業の実施です。これも先ほどのやり取りの中でありましたが、そういったモデル事業に取り組むというものです。

 ローマ数字4ですが、「障害者雇用の更なる促進のための環境整備」です。ここでは、ハローワークと地域の関係機関が連携して、就職から職場定着まで一貫した支援を行う「チーム支援」の実施体制の強化などのハローワークのマッチング機能の強化、先ほど申し上げた「障害者トライアル雇用事業」の改革・拡充を実施するものです。

 最後は、ローマ数字5「障害者の能力開発支援の強化」ということです。以上、駆け足でしたが、予算案の説明です。

 これの関係で、 2 枚目以降に今の説明の詳細があります。説明は割愛しますが、参考までにということです。参考資料 3 でも、今説明した予算措置のうち主な事業について、ポンチ絵を配布しているところです。こちらはまた御覧いただければと思います。

 次に、税制改正の関係について説明します。資料 4 です。具体的には表題にありますように、「障害者を雇用する場合の機械等の割増償却制度の適用期限の延長」です。これは障害者を多数雇用する事業所、具体的には左下に「要件」とありますが、マル1従業員に占める障害者の割合が 50 %以上、マル2雇用する障害者数が 20 人以上で、かつ従業員に占める障害者の割合が 25 %以上、マル3法定雇用率を達成している事業主で、雇用している障害者が 20 人以上、かつそのうち重度障害者の割合が 50 %以上、このいずれかを満たす企業について、過去 5 年間に取得した機械等について割増償却を認めるものです。

 これは今年度末までの時限措置とされていたわけですが、今般の税制改正により、平成 27 年度末までの 2 年間の延長が認められたものです。ただし、割増償却の対象となる資産からは、構築物、これは造船業のドッグですが、そういったものとか、車両運搬具、これはタクシーとかハイヤー業で用いる障害者用の車両ですが、こういったものについては近年、利用実績がなかったこともありまして、今回の延長にあたり対象資産から除外されることになっております。以上が税制の改正の説明です。

 次に、研究会の関係の説明をいたします。資料 5 です。現在、障害者雇用の関係で 2 つの研究会を開催しているところです。資料 5 と資料 6 を使って、順次その概要について説明いたします。

 資料 5 は、「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」です。御承知のとおり、昨年の通常国会で障害者雇用促進法が改正されて、障害者に対する差別の禁止とか、合理的配慮の提供に関する規定が新たに盛り込まれたところです。この差別禁止や合理的配慮については、厚生労働大臣のほうで指針を定めることになっており、この指針に盛り込むことが必要な事項についての検討を行うために、この研究会を開催しているところです。

 この研究会の参集者は 2 ページにあります。公益、労働、使用者、障害者の各関係者に参画いただいており、この分科会の委員の皆様からも阿部一彦委員、阿部正浩委員、伊藤委員、栗原委員、塩野委員、武石委員、本郷委員、それから山川分科会長にも御参画いただいて議論しているところです。

3 ページは、これまでの研究会の開催状況です。これまで障害者とか経済団体、労働組合からヒアリングを行っており、その後、差別禁止指針の在り方について具体的な議論を行っており、現在は合理的配慮の指針の在り方について議論を行っているところです。今後 5 月か 6 月ぐらいまでに、研究会として一定の議論の整理を行うこととしております。この研究会での議論も踏まえて、また障害者雇用分科会でも議論をお願いしたいと考えております。また、研究会の報告がまとまったところで、この分科会にも御報告をさせていただきたいと思っております。

 資料 6 です。「地域の就労支援の在り方に関する研究会 ( 2 ) 」についてです。こちらの研究会も、先般の障害者雇用促進法の改正を受けたものですが、法改正時のこの分科会の意見書の中で、そこの趣旨にもありますが、障害者就業・生活支援センター制度やジョブコーチ制度については、企業等からのニーズが高い一方で、量的な拡大・質的な充実双方の面から課題を抱えていることから、障害者雇用促進制度の見直しも踏まえつつ、両制度の在り方について検討することが必要であるとされたところです。

 地域の就労支援の在り方については、この研究会の前、平成 23 年から平成 24 年にかけても議論してきたところですが、そのときの議論も踏まえつつ、特にジョブコーチ制度、障害者就業・生活支援センター制度の在り方等について検討を行うために、この研究会を開催しているところです。

2 ページに、この研究会の参集メンバーを記載しております。障害者就業・生活支援センターの関係者、ジョブコーチ支援の関係者、企業の関係者、高・障・求機構の方に参画いただき、この分科会からも菊池委員、中川委員、松爲委員に御参画いただいているところです。

3 ページは、現在までの研究会の開催状況です。ジョブコーチ支援、障害者就業・生活支援センター事業に携わっておられる委員からのヒアリングを行って、その後、ジョブコーチの在り方、障害者就業・生活支援センターの在り方について議論を行って、今年度中に研究会報告をまとめることにしております。こちらについても、研究会の報告書がまとまったところで、この分科会にも御報告させていただきたいと思っております。長くなりましたが、私からの説明は以上です。

○山川分科会長

 議題 3 、議題 4 について御説明いただきましたが、御質問等があればお願いいたします。先ほど榎本委員のご質問は、こちらの議題に回していただきましたので、お願いいたします。

○榎本委員

 榎本でございます。資料 3 の予算の関係で、少しお聞かせいただきたいと思います。資料 3 と書いてあるポンチ絵といいますか、一番頭の所ですが、ローマ数字3で◇の 1 つ目、「労働局に専門のコーディネーターを配置し」と記載がありますが、これはどのぐらいの割合といいますか、人数といいますか、全国でどの程度の配置を見込まれておられるのか。また多分、全ハローワークなり労働局にはならないかと思いますが、どのぐらいのスパンで増やしていくことを考えていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。

 もう 2 つ、 5 ページ、左下のローマ数字3ですが、「中小企業に重点を置いた支援等の実施」という記載があります。ここについて、中小企業では、障害者等を雇用することはなかなか難しい課題を抱えているのが現状です。障害者の雇用管理や企業が抱える障害者雇用に関する課題等についてのコンサルティングを行うとしておりますが、このコンサルティングはどういうものを予定していらっしゃるのか、内容が決まっていらっしゃればお聞かせいただきたいと思います。

 もう 1 点、 6 ページの 2 (2) 「障害者就業・生活支援センターの設置の推進及び職場定着支援の強化」です。これについて内容の記載が、配置をすることにより強化をすると書かれております。現在の設置状況、今後の見通しというか、どのようなスパンで配置されていくのかという状況がもし決まっていれば、お教えいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○竹下委員

 今の質問に重なるので、予算のローマ数字3で、中小企業に対する「コンサルティング等」とあるわけですが、そのイメージを質問があったので、それと併せて、これは中小企業に限定した事業としてなされるのでしょうか。すなわち、大手企業を含めたコンサルティングはこの予算の中には含まれない、あるいは事業としては存在しないのかどうかも、併せて説明をお願いします。

○山川分科会長

 御質問ということですので、金田室長、お願いします。

○地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田でございます。まず、「福祉、教育、医療から雇用への移行推進事業」という資料が参考資料 3 7 ページにあります。こちらで大きく企業就労理解促進事業、障害者に対する職場実習推進をやっていくわけです。先ほどコーディネーターの数について、今後どういう方向かというお尋ねでした。この推進事業は大きく 2 つ、企業理解促進と職場実習推進、これをコーディネートしていくために、労働局に現在 32 人コーディネーターを付けております。今後、 40 人を予定しております。全労働局に配置していきたいと考えております。

 ナカポツセンターのことで、今後どういう設置の状況になるかというお問合せでした。これは障害福祉圏域が全国で 362 圏域ありまして、全圏域に設置することを目指しておりますが、現段階においては 319 圏域に設置されております。こちらも着実に充実してまいりたいと思っております。以上です。

○山川分科会長

 あと、中小企業に重点を置いた、という点についてもご質問があったかと思いますが、藤枝課長。

○障害者雇用対策課長

 課長の藤枝でございます。コンサルティング事業については、私から説明します。これは平成 26 年度新規要求という形で、今、まさにお願いしている事業で、具体的なポンチ絵はお付けしておりません。申し訳ございません。中小企業を中心に、まだまだ障害者雇用、特に精神や発達といった障害特性に応じた対応が難しい中で、企業の人事管理、あるいは職場の配置の問題といったところを、いろいろな経験を持った方からコンサルティングをしていただく。こういった事業をしたいと思っております。具体的には障害者雇用の経験のある事業主、例えば特例子会社などを経験された方などにコンサルタントをお願いして、そういった形で中小企業からの相談に応じていきたいと思っております。ただ、事業の内容としては中小企業に限るということはしないつもりでおりますので、企業規模に限らず、相談があれば答えられるようにしていきたいと思っております。

 補足ですが、先ほど金田から説明した「福祉、教育、医療からの雇用への移行推進事業」ですが、先ほど基本方針の議論の中で、宮武委員から就労支援機関とか特別支援学校における就労移行への理解も重要だという御指摘があったと思いますが、この事業の中で、そういった企業就労についての理解を進めるため、就労支援機関や特別支援学校向けにセミナーを開催したりということもやっておりますので、御紹介させていただきます。

○山川分科会長

 榎本委員、竹下委員、よろしいでしょうか。ほかにいかがですか。堤委員、お願いします。

○堤委員

 堤です。資料 3 1 ページの一番下です。「障害者雇用の更なる促進のための環境整備」で、「就職から職場定着まで一貫した支援を行う『チーム支援』の実施体制の強化等」とありますが、チーム支援というのは具体的にどういうチームを組まれるのか、分かりましたら教えていただきたいと思います。以上です。

○山川分科会長

 主任障害者雇用専門官どうぞ。

○主任障害者雇用専門官

 主任専門官の田窪と申します。チーム支援と申しますのは、それぞれの障害者のために必要な支援を、いろいろな機関が集まって支援申し上げましょうということで、参考資料 3 10 ページの左側に、参画いただく機関の代表的なものを考えられる例として書いております。一番上にハローワークということで書いていて、副主査と書いてありますが、現実的に障害者を支援していただいているような機関には当然入っていただいて、その後、定着という部分もありますので、障害者就業・生活支援センターに入っていただいたり、障害者職業センター等関係するような所、それぞれ御支援を差し上げるべき機関が全て入るように配慮しながら対応しているところです。

○山川分科会長

 よろしいでしょうか。阿部一彦委員。

○阿部 ( ) 委員

 日本身体障害者団体連合会の阿部です。様々な障害に応じた就労支援の在り方が盛り込まれていて、とても大事なことだと思います。難病の団体、患者団体といろいろ意見交換をすることが多いのですが、難病患者団体は個別の疾病の団体に様々な相談が蓄積しています。ただ、そこからほかにつなげる力がまだ少ないように思います。ここにも難病相談支援センターということも書いてありますが、全国的規模の難病団体でも、様々な相談を受けて、それをうまくつなぐ機能を持てれば、就労関係の相談について、もっと細やかに支援できると思います。

 今回盛られた中、例えば地域の相談支援の在り方に関する研究会、いわゆる自助団体というか、ピアサポートがこの中に捉えられているのか。なければ、これからそのような検討も大事なのかなと思います。難病の方々は何となくこれまでは疾病ということだったために、就労に関しての課題が多いにもかかわらず、それが患者会の中だけでとどまっていることのないように、取り組んでいただきたいと思います。要望も含めてです。

○山川分科会長

 御要望と、一部、御質問もあったかと思いますが、地域就労支援室長、お願いします。

○地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田でございます。難病サポーターのことについて御質問がありました。現在、 15 のハローワークに難病サポーターを付けて、難病相談支援センターとの連携とか、難病患者との相談に当たっております。この難病サポーターが看護師とか難病患者の就労支援を行った方だけでなく、これまでピア支援を行っておられた経験のある方も含まれておりますので、そういった意味ではこの中にはピア支援も入っていることもあるということです。

○阿部 ( ) 委員

 確認です。ピア支援ということは、当事者が関わってやっている仕組みがあるということですよね。

○地域就労支援室長

 そうです。

○阿部 ( ) 委員

 ありがとうございます。もっと広がっていくといいなと思いました。

○山川分科会長

 先ほどの個別の難病の疾病団体をいわばつなげていくようなことも考えていただきたいという点は御要望ということでしょうか。

○阿部 ( ) 委員

 はい。

○山川分科会長

 藤枝課長。

○障害者雇用対策課長

 課長の藤枝でございます。難病対策の関係は、御案内のように難病新法を今国会に提出する予定で準備中で、その中では福祉施策、あるいは就労支援施策と連継した、政府一体となった支援対策を講じていくという思想が盛り込まれているところです。その政策の浸透を見ながら、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

○阿部 ( ) 委員

 ありがとうございました。よろしくお願いします。

○栗原委員

 栗原でございます。資料 3 、資料 4 を見ますと、非常に素晴らしい成果が書かれています。皆さん余りこの成果について言われないので言わせていただきます。トライアル雇用を 3 か月から 1 年にしていただいたのは、素晴らしいことだと思います。予算がない中で、前年比 4 倍近くの予算を付けて、トライアルを延ばしていただいた。確かに精神障害に限定をされているということはありますが、非常に素晴らしい内容だと思っています。諸手を挙げて賛成だと思います。

トライアルの人数について質問なのですが、例えば 1 社に限って何人で駄目よとか、そのような限度があるのでしょうか。

 もう 1 つは資料 4 ですが、障害者割増償却、 24 %の割増しがあります。これが無くなるであろうと意見があった中、それを 2 年間だけ延長していただいた。これも本当に素晴らしい御努力だと思います。実際、私どもの会社はこれに該当します。あえて言わせていただければ、 50 %というのは少々ハードルが高いのです。これが 30 %になれば、今 28 %の所が「もう 2 %か、じゃあ頑張ろう」となったり、これが 40 %であれば、 38 %、 37 %の所が「じゃあ、もうちょっと頑張って雇用率を上げよう」というような目標にもなるのではないか。 2 年間延ばしていただいたことは非常に大変だったと思います。ですが、今後はできればそういうことも頭の中に入れていただいて、もう少し割合の低い所に割増償却できるように、またそういう企業が頑張れる目標にしていただけるようなところまで下げていただければなという私のお願いです。以上です。

○冨高委員

 冨高です。今の栗原委員の御意見に関連するところなので、 1 点質問です。トライアル雇用の期間についてです。これは最大 12 か月に拡充ということで、奨励金のお話はされていなかったのですが、奨励金も 12 か月になるということでよろしいのか、確認をさせていただきたいと思います。あと、最大 12 か月とする根拠といいますか、理由があれば、併せてお知らせいただきたいと思います。

○山川分科会長

 栗原委員からの御質問も、今の冨高委員の御質問と併せて、トライアル雇用に関して、人数の限度に関する御質問がありました。宮武委員から関連してご発言でしょうか。

○宮武委員

 トライアルの件ですが、私どもは今、こちら雇用対策課の「働く知的障害者からのメッセージ発信事業」を受託しまして、その中で就労相談もやっているのです。特例子会社を立ち上げて、トライアル雇用を使って非常に効果があったと。それが今、予算的に厳しくて使えないと。特例というのですか、奨励金は 3 か月で 4 万円ですよね。「奨励金は要らないから、トライアルだけやらせてもらえないか」というように、ハローワークに話をしたのですが、「それは駄目ですよ」と言われた。その辺の制度がどのようになっているのか。雇用を拡大していくのに、トライアル雇用は企業にとっても安心感、あるいはチャレンジする障害を持った方にとっても安心感がある制度で、拡大されるのは期待しているのです。

 今、実際に昨年度でもいいのですが、企業がやりたいと手を挙げて、「いや、お金ないから駄目ですよ」という件数がどのぐらいあったのか。実際 19 億円ですか。去年は幾らで、どのぐらい割増しになったのか。その辺、本当にトライアルを希望する企業に全部、奨励金だとか、その辺がわたるような予算になっているのか。その辺を教えていただきたいのです。

○山川分科会長

 御質問は 3 点ということですが、主任専門官どうぞ。

○主任障害者雇用専門官

 主任専門官の田窪でございます。トライアル雇用の関係で御質問いただいた点について、お答え申し上げたいと思います。参考資料 3 1 ページに、新年度、予定しているものとして図を示しております。現状等を含めていろいろ御質問いただいたところですので、簡単に、まず現状のところから説明申し上げます。現在、トライアル雇用の奨励金の対象となっております事業主は、現在、障害者を雇用していなくて障害者雇用についてのノウハウがない所で、このトライアルをやっていただく場合に、最大 3 か月、奨励金を支給させていただく。期間自体が 3 か月が最大となっておりますが、そういう形をとらせていただいています。

 ただ、実際の制度運用の中で、特に精神障害の方などは、 1 回採用いただいたとしても、人によって大きく違うという部分もありまして、それは経済界からも御要望等いただいたことを踏まえて、現行としては、奨励金は出ませんがそういうトライアル雇用もできますということで、幅広に対応させていただいているところです。

 来年度以降の大まかなところを申し上げますと、 1 ページに書いてありますが、先ほど口頭で申し上げた、現在、雇用しているか、していないかという文字が消えています。従来は現在、雇用していないという現状がなければ出なかったのですが、雇用していたとしても使えるような形に、大きく転換できないだろうかということで考えております。

 また書きで書いてありますが、トライアル雇用奨励金については、額は変更ありません。また、最大 3 か月という部分は変更しておりません。逆にいいますと、精神の部分、トライアル雇用期間は 12 か月まで延長していただくことは可能にはしますが、 12 か月にしていただいた場合であっても、奨励金自体は 3 か月ということでの対応で考えているのが現状です。

 人数の制限があるのかということがありましたが、その人数の制限は特に考えてはいない状況です。

 ちゃんと全部使えるのか、希望があったときに対応できるのかという趣旨の御質問があったかと思いますが、過去の実績の最高時点よりも上回る予算額は確保できないかということで、政府予算案の中に入れさせていただいているところです。以上です。

○冨高委員

 冨高です。ありがとうございます。「初めて」という要件が取れて、門戸が広がり、拡充ではあると思ったのですが、結局、今、精神障害者に関しては、この報告の資料の中にもありますが、短時間トライアル雇用に係る奨励金があって、こちらについては多分、今回の奨励金と働く時間が違うという整理だと思うのです。短時間トライアル雇用については、金額は減りますが、例えば 2 万円を最長 12 か月支給ということで、もう既に制度としてあるわけです。厚生労働省として既にこういう制度がある中で、新しい仕組みを作ることにどのような狙いがあるのか、制度的にどちらがふさわしいのかというところがちょっと見えづらいというか、そもそも説明がなかったので、そのあたりについて、もし何かあればお伺いしたいということです。

 先ほど 12 か月の理由がなかったので、恐らく精神障害者の今の短時間トライアル雇用に関するものと合わせているとは思うのですが、そこについてお伺いしたいと思います。

○山川分科会長

 主任専門官どうぞ。

○主任障害者雇用専門官

 それはちょっとお答えの順番が逆になってしまうかも分かりませんが、 12 か月の部分については、現実的に精神障害を雇用いただいているような企業の方々から、 12 か月が 1 つの区切りではないかというお話を頂いたことがありましたので、実際上の企業の経験を踏まえて、我々としても 12 か月という部分にさせていただいているところがあります。

 参考資料 3 2 ページに、短時間トライアルを書かせていただいています。ここの所は精神障害の方と発達障害の方で、最初からは週 20 時間以上はちょっと難しい方については 20 時間未満で、まず雇用するような状況を作っていただいて、順次、時間をかけて 20 時間以上のほうに行けるように御支援できるような形として設けています。もともとのトライアルは、最初から 20 時間以上が大丈夫な方を念頭に置いているということで、精神障害の中でも、働くという観点で見たときに、厳しい状況にある方が短時間トライアルのほうで順次時間を伸ばしていくということで考えているところです。

○冨高委員

 冨高です。ありがとうございます。仕組みとして、幾つかのツールができて、支援の形が広がるのは良いことだと思うのですが、活用される事業主がきちんと分かるように説明、またリーフレット等を作っていただければと思っております。それから、先ほど宮武委員からも、お金がなくてもトライアルをやらせていただきたいという御意見がありましたが、全体として見たときに、本当に奨励金の期間を延長しないことが精神障害者の雇用促進につながるのかについては、引き続き、きちんと検証していただきたいということはお願いしたいと思います。

 当然のことなのですが、トライアル期間中に就労ができるという判断がされた場合には、 12 か月を待たずに速やかに正規雇用されていくように御指導いただけるよう、これはお願いをしたいと思います。以上です。

○山川分科会長

 ありがとうございました。ほかに何かありますか。特段ないようですので、こちらで用意した議題は以上です。今後の分科会の日程について、事務局からお願いいたします。

○障害者雇用対策課長補佐

 事務局です。次回は、 3 7 ( )14 時から 16 時を予定しております。場所は決まり次第、御連絡いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○山川分科会長

 議事録の署名については、委員が一新されておりますので、本日、参考資料 1 として配布されております名簿の順で、御出席の方にお願いしたいと思います。労働者代表は伊藤委員、使用者代表は栗原委員、障害者代表は阿部一彦委員に議事録の署名をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。本日の分科会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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