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2013年12月26日 第97回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成25年12月26日(木) 16:00~17:30


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1・2会議室


○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

○岩村部会長 ただいまから、第97回「雇用保険部会」を始めることにいたします。

 皆様、年末のお忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の出欠状況でございますけれども、全委員が御出席でございます。

 それでは、議事に移ることにいたします。なお、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきたいと思います。撮影の方は御退室をお願いいたします。

 お手元の議事次第に沿いまして進めてまいりたいと思います。本日の議題でございますけれども、「雇用保険制度について」ということでございます。委員の皆様から御指摘いただきました点について資料が用意されております。また、前回までの議論というものを踏まえて修正を加えた報告書案を資料2としまして事務局のほうで用意いただいているところです。

 それでは、まず事務局から資料に沿って説明をいただき、その後質疑に入るということにいたしたいと思います。では、よろしくお願いいたします。

○高島補佐 雇用保険課の高島でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 1点、最初にちょっと事務的なお話なのですが、きょう、ちょっとマイクがいつもと違うものでして、御発言をいただく際にはボタンを押していただいて、赤く点きます。その後、終わられましたら、恐縮ですけれども、もう一度ボタンを押していただければ。幾つもマイクが点けられないもので、大変申しわけないですけれども、よろしくお願いします。

 それでは、資料につきまして御説明させていただきます。今、部会長からもお話をいただきましたとおり、本日、2つの資料を用意させていただいております。1つ目、資料1が前回の雇用保険部会で委員の皆様からいただいた御指摘に関して資料を準備させていただいております。資料2、そして参考資料ですけれども、こちら、前回、雇用保険部会報告の素案を準備させていただきまして、御議論いただいた際に委員の皆様からいただいた御意見をもとに反映いたしまして、案として用意させていただいたものが資料2、変更点をわかるようにしておりますのが参考資料となっております。これらにつきまして御説明させていただければと思います。

 まず、資料1をおめくりください。前回の部会で委員の皆様からいただいた点に関する資料でございます。1つ目は「特定受給資格者の基準の見直しについて」でございます。前回の雇用保険部会の中で、現在の雇用保険、基本手当については、解雇・倒産等の特定受給資格者とそれ以外の一般の受給資格者と2通りありますけれども、現在の基準上、一般の受給資格者になっているけれども、実際は解雇・倒産等の特定受給資格者と同じように、必ずしも本人の準備し切れない部分によって離職された方もいるのではないかということで、基準の見直しの案を提示させていただきました。その際に部会長からちょっと御意見をいただいた部分がございまして、それについて資料を修正させていただいたものでございます。

 1ページでございますけれども、時間外労働・過重労働の要件緩和に関してです。前回、雇用保険部会で御説明させていただいた際は、もともと現在の基準が45時間超の時間外労働が離職日の属する月の3月間において連続している場合でございましたが、それについての見直し案として、1月に100時間を超える時間外労働があった場合ということを御提示させていただきました。

今回それにつけ加えまして、【見直し案】というところで下線を引いている部分の3でございますけれども、2~6月平均で月80時間を超える場合などにもあわせて特定受給資格者に該当するというように基準の見直しをさせていただければと思います。

 このように、1月100時間超、あるいは2~6月平均で80時間超というものにつきましては、現在の厚生労働省の業務におきましては労災の認定基準などと基準をあわせた形となっております。

 下の「周知の強化」につきましては、前回御説明させていただいた内容と同じでございますけれども、このような基準の見直しが行われた際には、きちんと周知を実施いたしまして、労働者、事業者の方々にとって、基準を知らないで特定受給資格者になり損ねるといったことにならないように周知を徹底していきたいと考えております。

 2ページ目は参考としておつけしております特定受給資格者の基準です。

 3ページ目でございますけれども、こちら、前回の部会で新谷委員から御意見をいただいた部分でございます。雇用保険制度改正に伴う財政影響、前回の雇用保険部会で御説明させていただきましたところでございますが、財政影響のもととなった対象の人員やその考え方について整理すべきというお話をいただきまして、今回、この3ページに表の形で整理させていただいたものでございます。

 見直し項目として4つほど書いております。再就職手当、暫定措置の重点化、中長期的なキャリア形成支援、育児休業給付。

 財政影響で書いております数字は前回の雇用保険部会で提示させていただいた数字と同じものとなっております。

再就職手当でございますが、制度改正に伴う支出増が約900億円、対象となる人員がどれぐらいになるのかというところでございますが、この手当を新しく受け取られる方は約34万人になると見込んでおります。そしてまた、再就職手当を強化する際に、基本手当を受給されている方の早期再就職はより進むと仮定して推計いたしておりまして、その効果が約340億円。これは再就職の促進が約13万人の方について図られるということを見込んで計算しております。こちらは早期再就職者のうち賃金が低下する者の割合、現在の雇用保険のデータで把握できるものを基礎として試算しております。また、平成23年度の給付率の引上げ時の実績なども踏まえまして、早期再就職が進む方の人数を見込んで試算いたしておる次第でございます。

 2つ目の暫定措置の重点化でございますが、財政影響として250億円ほどの重点化、圧縮が行われると見込んでいます。その対象人員として約8万人と見込んでおりまして、この考え方としましては、3点の重点化を行うことをもとにして試算しております。こちら、前回も御説明させていただいた内容と重なりますが、1つ目が、現在、求人倍率等が悪い地域を指定しているものでございますが、こちら、現在の全国平均をベースとして地域の指定を行っていたものにつきまして、リーマンショック時の全国平均で判定する。リーマンショック時の全国平均の求人の状況などは当然悪いものでございますので、そのときと比べてよいか悪いかということで判定する。そして、またもう一つ、45歳未満の方については、年長フリーター層に支援を重点化する見直しを行う。また、3つ目でございますけれども、こちら、個別延長給付を受け取られるに当たっては、基本手当を受給されている間に一定回数の応募を要件としておりましたが、その応募要件を厳格化していく、そういったことによって重点化を行うこととしておりまして、その規模がこのような数字になると考えています。

 3つ目、中長期的キャリア形成支援でございますけれども、こちらは約890億円の財政影響になる。この対象人員としては、毎年約19万人の方がこの中長期的なキャリア形成支援を活用されると見込んでおります。こちらは過去に教育訓練給付の給付率が80%であったころの受給者数の実績なども踏まえて試算を行っているものでございます。

 そして最後に育児休業給付でございますが、こちら、財政影響、約800億円と見込んでおります。このような拡充後の育児休業給付を受け取られる方は約29万人程度いらっしゃると見込んでおりまして、こちらは平成19年に4割から5割に給付率を引き上げた際、あるいは、平成22年にイクメンプロジェクトを実施した際に、男性の育児休業取得者などがふえているなどもございますので、そうした実績を踏まえて試算を行っているというものでございます。

 資料1の説明は以上になりまして、続きまして、雇用保険部会の報告につきまして御説明させていただきます。前回、雇用保険部会報告書の素案を提示させていただきました。素案から委員の皆様から御意見をいただいた点につきまして反映いたしますとともに、前回の部会で御議論をお願いした財政に関する部分ですね。そちらにつきまして今回の資料の中では書き込んでおりますので、御説明させていただきたいと思います。

 参考資料のほうで変更点がわかるようになっておりますので、こちらを主に用いまして、この部会の場では御説明させていただければと考えております。

 参考資料をごらんください。1ページ目に「雇用保険制度等の現状」がございます。こちらにつきましては前回御説明させていただいた内容と同じでございまして、20年度以降の雇用保険制度の見直しの状況、求職者支援制度の創設、現在の雇用情勢、二事業の財政状況につきまして触れられております。

 第2で「雇用保険制度等の見直しの背景」について触れております。1つ目が暫定措置の期限が来るという話、2つ目が日本再興戦略に関する話、3つ目が社会保障制度改革国民会議報告書に関する話、4つ目、求職者支援制度についての検討規定を踏まえた検討の話を書いておりまして、最後に、今回御意見として追加いたしております部分。

 「なお、労働者代表委員からは、今後の雇用保険制度の見直しを含めて、職業安定政策の立案に当たっては、ILO88号条約等に照らし、公労使三者による主体的な検討が尊重されるべきであるとの意見があった。」ということを追加させていただいております。

 第3ですけれども、「雇用保険制度等の見直しの方向」でございます。その中の1つ目の基本手当の(1)暫定措置についてでございますが、最後の部分に、使用者代表委員からの御意見を追加いたしております。3ページ目の下から2つ目の○でございますが、「使用者代表委員からは、上記措置はあくまで雇用失業情勢を踏まえた暫定的なものであることに十分留意して延長期間を設定し、延長期間中もその実績について定期的に確認し、本部会においても必要に応じて議論を行うべきであるとの意見があった。」ということを追加いたしております。

 続きまして(2)でございますが、4ページのところで前回いただいた御意見を踏まえまして修正をいたしております。4ページ目の2つ目の○でございます。基本手当をめぐる労働者代表委員、使用者代表委員の御議論の主張に関する部分です。労働者代表委員についての修正でございますが、平成12年及び平成15年の法改正について言及いたしております。「1平成12年及び15年の法改正に伴う所定給付日数や給付率の見直しの影響により、基本手当の平均受給日数や平均受給額などの低下が見られること」と修正いたしております。

 2つ目でございますが、「特定受給資格者以外であっても、様々な理由からやむを得ず離職を選択した者もおり、必ずしも離職前から再就職の準備ができているわけではないこと」ということを追加いたしております。

 使用者代表委員の御意見に関する修正でございます。1つ目でございますが、「平成12年及び15年の制度改正による基本手当の所定給付日数や給付率の見直しは基本手当受給者の再就職状況に大きな影響を与えていないこと」という修正をいたしております。

そして2つ目でございますが、「これらの制度改正以降、就職が厳しい者に対しては個別延長給付等の暫定措置」に加えまして、「求職者支援制度による手当てがなされており、セーフティネットは整備されているとの意見があった。」ということを追加いたしております。

 続きまして5ページ、再就職手当に関する修正でございます。再就職手当の最後のパラグラフのところに使用者代表委員からの御意見を追加いたしております。「使用者代表委員からは、本措置により早期再就職の促進が適切に図られるよう、制度開始後、その実績について定期的に確認し、本部会においても必要に応じて議論を行うべきであるとの意見があった。」ということを追加いたしております。

 続きまして3番、中長期的なキャリア形成措置でございますが、こちらにつきまして、1つ目の修正が6ページの2つ目の段落でございますが、部会の中で御説明させていただいた部分につきまして改めて報告書に反映したものでございます。給付の頻度、サイクルについての部分です。「当該給付は教育訓練の受講状況を確認の上で定期的(例えば6月ごと)に支払うこととすべきである。」ということを追加いたしております。

 加えまして、7ページのところに労使の代表委員からの御意見をつけ加えさせていただいております。7ページ目、1つ目のパラグラフでございますが、「労働者代表委員及び使用者代表委員からは、本措置は雇用保険制度のみならず、一般会計によっても支援すべきではないかとの意見があった。また、使用者代表委員からは、安易な複数回受講を防ぐ措置として、給付回数制限措置を設けることを検討すべきではないかとの意見があった。」ということをつけ加えております。

そして最後に、部会長からもお話あった部分ですけれども、「本措置については、従来の教育訓練給付に加え、対象となる教育訓練と給付水準の拡大を伴うものであることから、制度開始後、その実績について定期的に確認し、雇用保険制度における支援措置として適切なものとなるよう、本部会においても必要に応じて議論を行うべきである。」ということを追加いたしております。

続きまして、4番の育児休業給付に関する修正点です。9ページのところ、労使の委員の方々の御意見として追加いたしております。財源についての部分です。9ページ目の2つ目のパラグラフの部分の真ん中のあたりでございますが、「育児休業給付の見直しによる育児休業の取得促進が少子化対策にも資するものであることから、育児休業期間中の経済的支援については、雇用保険財源によらず、本来は国の責任により一般会計で実施されるべきものであり」、そして加えまして、特に今般の給付率の引上げ、休業最初の6月について67%に引き上げるというものでございますが、この「引上げに係る財源については、全額一般会計により賄うべきではないかとの意見があった。」ということをつけ加えております。

また、労働者代表委員の意見をつけ加えておりまして、「期間雇用者や中小企業の労働者が育児休業を取得しやすくするための育児休業制度の改善や育児休業給付の取得要件緩和を含めた環境整備」というふうに修正をいたしております。

求職者支援制度につきましては、修正をいたしておりません。

10ページ目から始まる財政運営につきましては、前回の部会の御議論の内容を盛り込ませていただいております。財政運営、3つの項目がございます。1つ目が、失業等給付の財政運営の中の国庫負担のあり方に関する部分です。現在の国庫負担につきましては、平成19年度から暫定措置として本則の55%ということになっております。こちらにつきまして、雇用保険の保険事故である失業は、政府の経済政策・雇用対策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきであるということから、求職者支援制度も同じですので、そこも含めですけれども、雇用保険法附則に現在ございます「できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする」との規定に基づく措置を講ずるべきであるといたしております。

2つ目、保険料率についてでございますけれども、こちら、平成24年度、平成25年度について弾力条項に基づきまして、現行制度の下限である10/1000と失業等給付の保険料率はしておりますけれども、平成26年度につきましても、「給付の見直しの内容及び財政影響並びに今後5年間の失業等給付の積立金の推移の見通しを踏まえると、引き続き、10/1000とすることが適当である。」といたしております。

(2)雇用保険二事業に関する部分です。雇用保険二事業については、これまでの雇用調整助成金などの支出の状況、また、法改正を行って積立金から借り入れを行ったということを記載いたしております。11ページのほうには24年の改正に伴う部会の報告の内容が盛り込まれております。

12ページの部分でございますけれども、平成24年の改正以後の取り組みによりまして、雇用調整助成金については支給要件を段階的に見直し、リーマンショック発生前の数字に戻したという状況がございます。

また、雇用保険二事業全体につきまして、PDCAサイクルに基づき不断の見直しを行った結果、平成24年度決算において積立金からの借り入れの返済を完了したものであるということを触れております。

最後の部分でございますが、「雇用保険二事業については、引き続き、PDCAサイクルにより適切な財政運営を行うべきである。一方で、これまでの取組と現在の財政状況に鑑みると、借入れに係る暫定措置、ちょうど今年度末が期限となっておりますが、その役目を終えており、延長の必要はないと考えられる。」と記載いたしております。

(3)は求職者支援制度の運営について記載いたしております。「求職者支援制度の財源については、雇用保険法の本則で、労使負担1/2、国庫負担1/2とされ、更に国庫負担については暫定措置として本則の55%(27.5%)とされている。」

「費用負担の在り方については、制度の利用が、安定した就職を促進し、雇用状況の改善につながるものであることから、雇用保険制度の附帯事業として位置付けられている。厳しい財政状況等を踏まえると、当面この位置付けを継続することはやむを得ないが、政府は引き続き一般財源確保の努力を行っていくべきである。」と記載いたしております。

7番の部分につきましては特段変更ございません。

これらを全て反映いたしておりますのが資料2の雇用保険部会の報告(案)でございます。こちらにつきまして御議論いただければと思います。よろしくお願いします。

資料についての説明は以上となります。

○岩村部会長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただいたところにつきまして御意見、あるいは御質問がありましたらお願いしたいと思います。

 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 まず、資料1につきましては、お願いしておりました資料を出していただきましてありがとうございました。

 資料2の雇用保険部会の報告に当たって、労働側としての最後の意見を申し上げたいと思っております。

これまで幾つかの点で労使の間に懸隔の大きな点がございましたけれども、雇用保険部会報告という形でまとめていただきましたことに対しまして、特に公益委員の先生方に感謝申し上げたいと思っております。

 さて、今回の報告書でございますけれども、労働側として幾つか主張してきましたが、特に失業等給付に係る暫定措置の延長や再就職手当の拡充、さらには賃金の不払い、過重労働等によりやむを得ず離職する方への対応としての特定受給資格者の認定要件の見直し等々、雇用保険制度の充実強化に資する内容が盛り込まれたことに対しましては評価したいと思っております。

 しかし、これまで、かなり論議をいたしましたけれども、労働側として、今回の制度見直しの第一義的に捉えるべきであると強く主張しておりました、2000年及び2003年の法改正によって引き下げられた基本手当の改善が盛り込まれなかったことについては、極めて遺憾であるということを言わざるを得ないと思っております。

 また、今回の見直し論議の中では多くの時間を割きました、中長期的なキャリア形成支援措置についてでありますけれども、報告書の2ページの記載にありますように、もともと日本再興戦略の中で、社会人の学び直しを促進するために雇用保険制度を見直すとされたことから今回の検討がスタートしたわけでありまして、これが与件となって労政審での論議が始まったということについては、労働側の意見にもつけさせていただきましたように、このプロセスについて、私どもとしては決して納得したものではないということを改めて申し上げておきたいと思います。

 ただ、非正規労働者はもともと、キャリア形成、教育訓練の機会が乏しいと言われておりますので、非正規労働者を中心に、キャリアアップに資する訓練の受講を支援する制度を今回まとめられたということについては、評価をしたいと思っております。

 一方、これまでも主張してきましたように、この支援措置が全額労使の保険料を財源とする以上、支援の対象となる訓練については、失業予防や早期再就職を目的としたものに限定するべきであると思っております。この点、対象訓練の具体的な内容については、職業能力開発分科会での検討事項となっておりますけれども、この検討を急ぐべきであると思っております。

また、国庫負担についても、これも繰り返し申し上げてきましたように、雇用政策に関する国の責任を示すものであるということから言えば、財源問題はこの報告の中にも盛り込まれましたけれども、求職者支援制度も含めまして、一日も早く法律の本則に戻すべきであるということは言うまでもないと思っております。厚生労働省には現行の暫定措置の廃止に向けてぜひ道筋をつけていただきたいということも重ねて申し上げておきたいと思います。

 最後に、この報告をもとに、今後、法律案要綱や法律条文の作成が行われるということになりますけれども、事務局におかれては、この法律案要綱、法律条文にこの報告の内容を正確に反映していただくように強くお願い申し上げまして、労働側としては、この報告について了承したいということを申し上げたいと思います。

 以上であります。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。

 では、遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 前回の素案から本日の最終案に至るまで、ぎりぎりの御調整をいただきましたことにつきましては、部会長、公益の先生方、また事務局の皆様方には御礼を申し上げたく思います。使用者側委員といたしましては、本内容につきまして了承することといたしたく存じます。

その上で、3点ほどお願いさせていただければと存じます。1つは、今回新たな枠組として給付増になるものが幾つか取り入れられております。こういった新しい枠組につきましては、その趣旨、あるいは目的にかなうような効果が出てきたのかどうなのかということは、ぜひ検証していただきたく思います。検証の上、必要な対応を図っていただくということをまず1点目のお願いとさせていただきたく思います。

 次に、この報告書案の中にないことですので、次年度以降という形になりますが、1つは、長期にわたって求職活動を行っている方々への対応です。長期とは、例えば1年以上というようなくくりがあり得るかと思いますけれども、現行の枠組の中で工夫次第でできることがあるのではないだろうかという思いが強くいたしています。ぜひこの辺の議論をさせていただきたい。

 それからもう一点でございますが、やはり失業等給付の積立金のあり方についての御議論を来年度以降させていただきたく思っております。その際には弾力条項について、発動にかかわる計算式ですけれども、支出見合いで見ていくのか、それとも収入見合いで見ていくのかといったようなこと等々も整理させていただいた上で、ぜひ議論もさせていただきたく思っておるところです。

 以上3点、お願いごとを差し上げましたが、この内容につきましても使側の一致したお願い事であるとお受け取りいただければ幸いでございます。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。報告書そのものについては、労使それぞれから、この内容で了承するということでございますが、そのほかにございますでしょうか。

 では、青山委員、どうぞ。

○青山委員 ありがとうございます。私からは、この雇用保険部会のこれまでの議論、それから今後の議論の在り方について、課題としてお考えいただきたいことを申し上げたいと思います。

 今回の雇用保険部会は、かなり幅広のテーマで議論してきたと認識しております。と申しますのは、雇用保険に係る本質的な問題は当然でありますけれども、それ以外のテーマ、例えば他分科会での議論、それから他省にわたる議論がどうしても必要になってくる事態が出てきたと思いますし、今後も恐らくそういうテーマが出てくるだろうと想定されます。

 そのような議論のときに、この雇用保険部会としてはどのような議論をしていくべきなのか、ということが検討課題として残っているのではないかという認識を持っております。この報告書とは直接は関係ございませんけれども、この部会の議論のあり方、取り扱いテーマといった、本質的な問題に係るかと思います。この点、今後の方向性を、委員の皆様方、部会長、それから事務局のほうに御検討をお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございました。御意見として承っておきたいと思います。ほかにいかがでございましょうか。

では、小林委員、どうぞ。

○小林委員 ちょっと報告書案には書かれてないのですけれども、財政運営に関連して、緊急人材育成事業基金の残高の取り扱いについてちょっとお伺いしたいのです。

以前、3大臣合意や労働政策審議会の建議において緊急人材育成事業基金の残額を求職者支援制度に活用するということになっているわけですけれども、会計検査院から基金残高の取り扱いについて指摘があり、以前の部会でも私からお尋ねしたことがあったかと思います。その後、改めて会計検査院からの報告について説明があったのですけれども、その後、また厚生労働省としてどのような対応をしているのか、ちょっとお伺いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

○岩村部会長 では、新谷委員、どうぞ。

○新谷委員 関連して申し上げたいと思います。今、小林委員から御質問がありましたけれども、この基金の残高の取り扱いについては、私どもも非常に関心を持って見ております。これはまさしく労使の保険料の残高とも直接関係する内容ですし、非常に巨額の金額の扱いということでもあります。

今、小林委員の御発言にあったように、私からも1029日の第93回雇用保険部会において発言させていただきました。もともとこの基金の残高の取り扱いについては、以前にまとめたこの労政審の建議の中で、基金事業が終了した後も、この基金の残高については全て求職者支援制度の財源として活用し、23年度は実質的に全額国庫負担、その後当分の間は、実質的に国庫負担2分の1を確保するべきとされています。要するに暫定措置との差額部分にこの基金の残高を全て充てるというのが、3大臣合意を受けたこの労政審での建議の内容であったと思います。

 第93回雇用保険部会では、企画課長から、この3大臣合意と労政審の建議については求職者支援制度をつくった前提であり、最大限尊重して今後の対応を図っていきたいという御答弁もいただいております。今、小林委員からありましたように、私どもも、非常にこの残高の取り扱いについては関心を持っておりますので、厚生労働省の現在の取り組み状況について確認をさせていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 労使それぞれから、この基金事業の残高の問題についての御質問ありましたので、事務局のほうでお答えをお願いいたします。

○岡崎局長 では、労使それぞれから、いわゆる基金事業の残高の状況についてという御質問がありました。既に政府予算案、補正予算案も決まったという段階でございますので、現在の状況について御説明したいと思います。

 1つは、基金事業の残高そのものでございますが、これについては、それぞれ御指摘がありましたように、会計検査院からの指摘もあり、使う見込みのなくなったものについては返還するようにということでございます。当該事業につきましては、訓練や給付に係る支払いを既に終了しております。一部、融資の関係で必要な額を残さなければいけないということでありますが、それ以外につきましては返還が必要だということでございます。

 これにつきましては、最終的に精算して、752億円が余っていたということでございますが、昨日付、1225日付で国庫への返納手続をしております。そういう意味では、基金への指摘はもう既に解消されているということであります。

一方で、これを3大臣合意とか、あるいはこの雇用保険部会で、今ほどもありましたように、求職者支援制度で活用するということになっていたわけでございます。これを最大限活用するということで、まず補正予算の中では、1つは、求職者支援制度の見直しの中で現行の枠組みでは訓練の受講に踏み切れない方への配慮が必要ではないかということを御議論いただいていたわけでございますが、これにつきましては、求職者支援制度の中で新たにそういうコースをつくると、また労使、保険者の負担にもなるわけでありますが、これは別途補正予算の中で全額国庫負担というような措置で対応するということで、そちらのほうで実現するという形で、全額、一般財源のもので活用することにしたということ。

 それから、平成25年度の労使負担分につきましても、最大限、一般会計から補填するというような経費も盛り込みました。それから、それとともに、本年度予算におきます一般会計からの繰り入れも別途行うという3つの措置によりまして、合わせて290億円につきましてはこの関係で活用するということでございます。いろいろありましたけれども、そういう形の中で最大限努力させていただいたということであります。

 一方では、やはり厳しい財政状況というのもありましたし、それから、求職者支援制度、当初想定していたものと比べますと、いろんな状況の中で執行額が少なかったということで、補填に必要な額も、そういう意味では少なくなったということもあって、基金残高全部を活用することにならなかったということにつきましてはおわび申し上げたいと思いますが、こういう形で御理解いただければと思います。

○岩村部会長 ありがとうございました。いかがでございましょうか。何かございますか。

 よろしゅうございますか。

 この基金の活用ということにつきましては、制度をつくりましたときのこの部会におきましても、財源問題とあわせて建議の中に盛り込まれたものでありまして、その活用状況についてはたびたびこの部会においても御質問をいただいたりしてきたところでございます。もともとは3大臣合意という、この部会での公労使による議論というのとは別の形で方針が示されてしまったということに由来するものでありますが、今後こういったことが二度と起きないようにぜひしていただきたいと思います。今回、基金の残額を国庫に返納しまして、あわせて他方で一定額を活用することに至ったということでございますので、これにつきまして、厚生労働省のこうした取り組みを評価したいと考えるところでございます。

 そのほか、報告書につきまして何か御意見等ございましょうか。

 よろしゅうございましょうか。

 ありがとうございます。それでは、この報告書案で当部会としてはとりまとめるということにさせていただきまして、きょう、この後に開催されます職業安定分科会へ報告させていただきたいと考えますけれども、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、そのようにさせていただきまして、後ほど開催されます職業安定分科会へ報告させていただきたいと思います。

事務局のほうで分科会への報告案文の配付をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(報告案文配付)

○岩村部会長 今お手元に事務局のほうから報告文案を配っていただいたところでございますが、この内容で職業安定分科会へ報告するということにしたいと存じますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○岩村部会長 ありがとうございます。それでは、そのように取り計らうことにさせていただきたいと思います。

 ここで、岡崎局長から御発言があるということでございますので、よろしくお願いいたします。

○岡崎局長 今年の5月以来でございますが、雇用保険制度につきまして精力的な御議論をいただきました。そして、ただいま部会長からもありましたように、報告書をとりまとめていただきました。委員の皆様方に感謝申し上げたいと思います。

 この報告書、これから分科会に報告されて、そこでの了承が必要ではございますが、私どもとしましては、分科会を経た上で、この報告に基づきます法案、そして、今回の中身では暫定措置の延長ということも入っておりますので、当然、今年度中に成立を目指さなければいけない法律になると思っておりますので、そういう形で法案要綱を用意して、またこの部会にお諮りした上で成立を図っていきたいと考えております。

 最後に、労使双方からいろんな今後に向けての御意見をいただきました。それにつきましては、また部会長とも相談しながら真摯に対応していきたいと思っております。

 いずれにしましても、報告をまとめていただきましてありがとうございました。

○岩村部会長 ありがとうございました。

それでは、以上をもちまして本日の部会は終了したいと思います。

本日の署名委員でございますけれども、雇用主代表につきましては福田委員に、それから労働者代表については亀崎委員にそれぞれお願いいたします。

 次回の日程につきましては、事務局のほうから改めて委員の皆様に御連絡を差し上げるということになろうと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、皆さん、お忙しい中今日はありがとうございました。これで閉会といたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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