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2014年3月19日 第15回先進医療技術審査部会

(了)


第15回先進医療技術審査部会

(1) 日 時:平成26年3月19日(水) 17:00~18:43
(2) 場 所:中央合同庁舎第5号館 共用第8会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号TEL:03-5253-1111)
(3) 出席者:
猿田座長、山口座長代理、石川構成員、一色構成員、
伊藤構成員、柴田構成員、関原構成員、大門構成員、
田島構成員、直江構成員、山中構成員
  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 課長補佐
医薬食品局審査管理課 課長補佐

議 題:
1. 継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2. 新規申請技術の評価結果について
3. 試験実施計画の変更について
4. 協力医療機関の追加について
5. 先進医療の取り下げについて
6. 第1回先進医療評価委員会(評価対象:「医療上の必要性の高い
未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性が高いと
された抗がん剤)の開催について(報告事項)
7. 国家戦略特区における先進医療制度の運用について(報告事項)
8. 平成26 年度先進医療技術審査部会開催予定日について
9. その他

議事録:
○猿田座長
 時間がまいりましたので、第15回先進医療技術審査部会を始めさせていただきます。先生方におかれましては年度末でお忙しいところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。今日はいろいろ案件がございますので始めさせていただきます。
 まず、本日の構成員の出席状況ですが、佐藤構成員、竹内構成員、藤原構成員、山本構成員、金子構成員の5名の方が欠席ということでございます。11名の構成員がお集まりですので、本日の会議は成立していることを申し添えます。
 それから、本日は審議案件でひとつ、高橋技術委員にお願いしてあるのですが、高橋先生が今日は出席することができないということで御連絡を頂いています。コメントを頂いていますので後ほど紹介させていただきます。
 それでは、まず事務局から資料の確認をよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 配付資料につきまして確認させていただきます。議事次第から始まりまして座席表、開催要綱、構成員及び技術委員名簿と続きます。次に【継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について】として、資料1-1~資料1-10がございます。次に【新規申請技術の評価結果について】として、資料2-1~資料2-6がございます。次に【試験実施計画の変更について】として、資料3がございます。次に【協力医療機関の追加について】として、資料4-1、4-2がございます。次に【先進医療の取り下げについて】として、資料5-1、5-2がございます。次に【第1回先進医療評価委員会の開催について】として、資料6がございます。次に【国家戦略特区における先進医療制度の運用について】として、資料7がございます。次に【平成26年度先進医療技術審査部会開催予定表】として、資料8がございます。最後に、参考資料1、2となります。会議資料の最終ページは144ページになります。また、机上配付資料として、本日はホチキス止めの資料を1部配付させて頂いています。最終ページは8ページになっています。本日の資料は、以上でございます。乱丁、落丁等がございましたら事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。
 それから、利益相反についてです。申請医療機関との関係や対象となる医薬品及び医療機器の企業等について、資料1-1(P11)、資料2-1(P61)に記載しております申請医療機関、医薬品・医療機器情報を御覧ください。
 申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業に関して事前に確認させていただいております。直江構成員、山口座長代理、山中構成員からは、11ページの技術について利益相反の届出がございました。参考資料2、141ページにお付けしております「先進医療会議における利益相反の対応について」を適用いたします。3名の先生におかれましては、当該技術に関する検討に御参加いただき、議事のとりまとめにも御参加いただくこととさせていただきます。
 なお、事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、該当なしとして進行させていただきます。
 また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。届出書類等についてはタブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容とは一部異なっておりますので、発言者は、あらかじめ会議資料の何ページ又はタブレットの何ページということで発言をお願いいたします。
 なお、本日の御発言の際は挙手の上、トークボタンを押していただいて御発言いただきますようお願いします。また、発言の終了後にはトークボタンをもう一度押していただいて、スイッチオフの状態にしていただきますようお願いいたします。以上でございます。
○猿田座長
 ありがとうございました。先生方、よろしいでしょうか。今日はマイクの関係で押して発言していただくことになります。それでは、時間の関係もございますので、さっそく、議題1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 事務局より説明させていただきます。なお、撮影されている傍聴者の方は、ここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。
 資料1-1(P11)を御覧ください。今回、先進医療Bとして再評価していただく技術は、整理番号024「腹膜播種を伴う胃癌に対する二次治療としてのS-1/オキサリプラチン+パクリタキセル腹腔内投与併用療法」です。適応症は腹膜播種を伴う胃癌となっております。申請医療機関は東京大学医学部附属病院です。審査担当構成員として、主担当が第13回と同様で山中構成員、副担当として金子構成員、佐藤構成員です。高橋技術委員にも審議に御参加いただきましたが、本日は欠席でございます。
 資料1-6(P41)を御覧ください。審議に先立ちまして、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より説明させていただきます。
 まず、実施責任医師の要件としまして、診療科は外科又は内科が必要、資格としては外科専門医又は内科認定医が必要、当該診療科の経験年数は10年以上が必要、当該技術の経験年数も経験症例数も不要ですが、レジメンを問わない抗癌剤の腹腔内投与の験が1例以上必要となっています。
 また、医療機関の要件として、診療科は外科又は内科が必要で、実施診療科の医師数は経験年数10年以上の医師が3名以上必要とされています。他診療科の医師数として麻酔科の常勤医師が1名以上必要、また当直体制は必要、緊急手術の実施体制も必要、24時間実施体制が備わっている院内検査も必要とされています。その他の要件として、頻回な実績報告は不要とされています。以上でございます。
○猿田座長
 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、さっそくですけれども、024の再評価結果につきまして、まず主担当の山中先生から御説明をお願いいたします。
○山中構成員
 主担当の山中でございます。今回、再評価をいたしまして、その結果について御報告をさせていただきます。治療のレジメン等も含めまして複雑ですので、最初にそのことを整理させていただきまして、次いで、金子先生、佐藤先生、高橋先生からコメントいただき、最後に私から総括をさせていただきたいと思います。
 この机上配付の1ページ目に開発状況とございます資料、8ページほど作成したのですが、御確認ください。申請者との間でやり取りを繰り返しまして、そのことをサマライズした資料です。
 最初に開発状況について、もう一度確認の意味も含めまして御説明をさせていただきたいと思います。既に、腹膜播種を有する進行胃癌の一次治療としまして、TS-1,PTX ivを全身化学療法としまして、それにPTX ip腹腔内投与を上乗せする治療法、これを旧高度医療評価制度下で評価しています。第2相試験は既に完了して論文の発表済み、第3相試験も登録を完了して現在追跡中で、来年に結果がリリースされる予定と聞いております。今後、Oxaliplatinが登場する予定ですが、このPTX ivをOxaliplatinに代えた医療技術が第13回の部会で審議されました。これで大きな有効性の上昇があるとは考えにくいのですが、ただ、PTX ivを二次治療以降に使えるようになるなど有用であると思われますので、第13回の会議で「条件付き適」といたしました。
 今回、改めて再審査をいたしましたのは、資料の最後の所に書いてある二次治療です。今、考えられているのは、TS-1,PTX ivを全身化学療法としてPTX ip腹腔内投与を上乗せし、この一次治療に抵抗性になった患者さんを対象としています。二次治療として何らかの全身化学療法が入りますが、パクリタキセルの腹腔内投与も継続して、腹膜播種の制御をそのまま続けようという治療戦略の医療技術です。全身化学療法+PTX ipが二次治療として使われるわけですが、今回、これの審査をした次第です。副担当の先生からのコメントを頂きたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○猿田座長
 事務局のほうで読んでいただくとして、まず金子先生のをよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 分かりました。金子構成員の評価結果について申し上げます。資料1-2(P13)を御覧ください。金子構成員におかれましては、実施体制の評価として1.、2.、3.について評価をいただきました。コメント欄を御覧いただくと、パクリタキセル腹腔内投与については、既に複数の臨床試験が実施されていることから、技術的成熟度と実施体制については問題がないと考えるということで、責任医師の体制、実施医療機関の体制、医療技術の有用性等、全て「適」との御判断を頂いております。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。続きまして、本日、御欠席ですけれども、技術のほうをお願いした高橋技術委員からのコメントをお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 高橋技術委員におかれましても、実施体制の評価を頂きました。コメント欄、14ページを御覧いただきますと、特に問題ありませんとのことで、金子構成員に続いて高橋構成員におかれましても、実施責任医師の体制、実施医療機関の体制、医療技術の有用性等について、全て「適」との御判断を頂いております。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。続きまして、倫理的観点からということで、佐藤構成員からのコメントをお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 佐藤構成員からは意見書の提出がありますので、資料1-5(P39)を御覧ください。39ページの中段以降、「再評価案件ですが、前回も、倫理的観点は問題とはなりませんでしたので、その際の評価と変わりありません。説明事項は、前回の評価の際に適切に改訂されております。患者相談等の対応も適切です。補償は、病院の賠償責任保険を使うことになっていますが、抗がん剤の臨床研究であってやむを得ないものと考えています。以上のことから、倫理的には本件を認めることに差し支えはないと判断いたしました」。
 その結果を受けまして、もう一度14ページにお戻りいただき、倫理的観点からの評価として佐藤構成員は、同意に係る手続、同意文書、補償内容、いずれも「適」との御判断を頂いています。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。続きまして、山中構成員から、試験実施計画書等の評価をお願いします。
○山中構成員
 もう一度、先ほどの机上配付資料を御覧ください。現在、一次治療でパクリタキセルの腹腔内投与を評価しています。これが薬事承認されて保険収載された場合、PTX ipが胃癌全体に対して使えるようになるかもしれませんので、その場合は今回の二次治療で使用するということは、保険の範囲内ということになりますからいいのですが、どの治療ラインで承認されるのかは分かりませんので、一次治療以降のこういった二次治療を今から評価しておくということも、先進医療として可能だと思っています。
 ただ、デザイン上、特に全身化学療法の部分をどうするかということについて、申請者との間でやり取りをさせていただいたのですが、以下に、ちょっと長くなりますけれども、私の考えを述べさせていただきたいと思います。
 2ページ目を御覧ください。「二次治療を対象とした本申請の位置づけ」というスライドです。一次治療におけるPTX ip療法が、現在、研究段階にあります。「その研究段階にあるものを二次治療で継続使用する」という、更に研究的な治療を行うことになります。
 今回の二次治療において試験実施の根拠となるような直接のデータは、特に提出されているわけではありません。ただし、柔軟な立場に立てば、PTX ipをやって腹膜播種が一次治療でコントロールできていれば、そのまま継続して二次治療以降でも腹膜播種の制御の継続を目指すというコンセプト自体は、現時点で否定されるものではないと思います。
 また、腹膜播種例ですので予後が非常に不良です。特に二次治療ですのでそうだと思います。治療選択肢も限られていますので、先進医療を活用して今からこういった治療開発に踏み込んでおくことは、意義が高いと私は判断しております。改めて強調しておきたいのは、十分なデータはあるわけではないが一定のラショナーレがあるものであれば、先進医療を活用して治療開発するということは、柔軟な立場に立てば必ずしも否定されるものではないと私は考えています。
 今回は第2相試験ですけれども、2相試験においてPTX ip療法を継続することのコンセプトの証明、“Proof-of-Concept(POC)”を評価できるような試験デザインが、第一義的に望まれると考えます。
 続きまして、3ページ目を御覧ください。こちらが当初の申請計画1です。申請されたデザインです。腹膜播種を有する進行胃癌において、二次治療としてTS-1,Oxaliplatinを行い、PTX ip療法は継続して行おうというもので、特に一次治療でTS-1+PTX ivを使用した患者さんを対象とされています。この場合の二次治療としては、Irinotecanを使用することが一般的だろうと思います。ただし、腹膜播種例ですので腹水が貯留して、Irinotecanを使用できない症例というのは一定割合存在するだろうと思います。そういった一定割合の症例に対しては、事実上、標準的な全身化学療法がないということになります。最近、一次治療でTS-1+Oxaliplatinが良い成績を示しましたので、Oxaliplatinを二次治療で使おうというコンセプトです。TS-1に関しては一次治療で使用しており、耐性ということになりますけれども、TS-1をそのまま継続使用するというレジメンです。
 まとめますと、二次治療の全身化学療法として、TS-1+Oxaliplatin、それに、今回、検討したいPTX ipを上乗せするというデザインとなっています。
 4ページ目の申請計画2を御覧ください。この計画の一番の問題点は、登録される全症例に対してTS-1+Oxaliplatinが使われる予定になっていることです。標準治療のIrinotecanを使用できる集団に対してもIrinotecanを使わずにTS-1+Oxaliplatinを使おうとしています。一次治療にTS-1を使い、そのまま腫瘍が増悪した後も使い続けるということは、3相試験の結果から否定されています。ですから、もしかしたらTS-1+Oxaliplatinというのは、単にOxaliplatinだけを投与していることになるかもしれない。Oxaliplatinというのは単剤では効きませんので、結局、そうなると、もしかしたらTS-1+Oxaliplatinは何も投与しないということになる可能性があります。
 一次治療のTS-1耐性後に、TS-1+Oxaliplatinを行い、このTS-1+Oxaliplatinの効果も同時に見たい、PTX ipだけでなくTS-1+Oxaliplatinという全身化学療法の効果も同時に評価したい、という意図があるのかもしれませんけれども、今はPTX ipのPOCを見る段階で、TS-1+Oxaliplatinの効果を同時に見ようとするのは、試験デザイン上、無理があると思います。POCを見るためには、あくまで標準的な化学療法にPTX ipを上乗せして、その効果を全身化学療法単独と比較したPTX ipの効果を評価するべきであると思います。倫理的な観点からも、標準的な化学療法が使用できる患者さんには、標準的な化学療法を投与し、その上でPTX ipを投与すべきだろうと思います。以上、デザインとその問題点について御説明しました。
 これを踏まえて、5ページ目です。胃癌の腹膜播種例と言ってもかなりブロードですので、整理をしてくださいと私のほうからお願いしました。まず標準治療のイリノテカンを投与できる対象があります。また、腸管麻痺や腸閉塞等で、そもそもイリノテカン投与が禁忌な症例というのがあります。それから、投与禁忌ほどではないけれども腸管の通過障害とか、比較的多めの腹水や胸水が溜まっていて、イリノテカンを慎重投与にならざるを得ないだろうと。今回の集団は大ざっぱに3つの集団に分けられるだろうと思います。
 このうち、黄緑のイリノテカン投与禁忌例においては、そもそも臨床試験に登録すべき集団ではないと思いますので、今回の臨床試験にも含めるべきではありません。さらに、オレンジのイリノテカンの慎重投与例と、あとイリノテカン投与可能例が残るわけですが、そのそれぞれについて全身化学療法を整理していただきました。それが次の6ページ目です。
 このように、腹膜播種例と言ってもかなり広いので区分をして、それぞれにベースとなる全身化学療法を考えていただきました。まず、一番右の「イリノテカン投与禁忌」に関しては、臨床試験の対象外にする、という回答を頂いています。それから、イリノテカンの投与可能な症例については、標準治療のイリノテカンを行い、それにパクリタキセルの腹腔内投与を行う、イリノテカンの慎重投与例には、当初の予定どおりTS-1+Oxaliplatinを全身化学療法とするという回答を得ています。
ただ、この新たに提案された修正計画では、TS-1+Oxaliplatinを評価したいためか、真ん中のオレンジのイリノテカン慎重投与例だけを試験対象にする、という回答を得ています。この真ん中の部分がどれくらいの割合を占めるのかというのは、この後で議論したいのですが、PTX ipの有効コンセプトを見る試験で、一番左の標準治療を投与できるところが省かれるというのはおかしいだろうと思いました。
 そこで私からの修正案1ですけれども、7ページ目です。やはりイリノテカンを投与できる症例は試験に含めなければいけないだろうと思います。ただ、イリノテカン投与できないところには、試験的にTS-1+Oxaliplatinを使うこともやむを得ないかもしれない、ただ、あくまで、そういったイリノテカン投与可能例とイリノテカン慎重投与例は、全部引っくるめた上で評価をすべきだろうと思います。それから、TS-1+Oxaliplatinの症例については、TS-1+オキサリ単独でどのような成績になるのかというのは、正直分かりません。基本的にはランダム化をして、そこで“Proof-of-Concept”を見るのが妥当なのではないかと考えています。ここまで必要かどうかというのは、この後、先生方と議論させていただきたいと思います。
 ここまで申し上げたのですが、今は、一次治療のPTX ipが有効であるという前提で開発を進めていますが、一次治療のPTX ipがもし有効であるならば、腹膜播種はある程度、制御できているはずです。腹膜播種がある程度制御できているのであれば腹水、胸水も溜まっていないはずで、少なくとも二次治療でイリノテカンを投与できる症例というのは、決して少なくないと言うべきであろうと思います。そもそもイリノテカン慎重投与症例にTS-1+Oxaliplatinを投与することになっているのですが、イリノテカン投与困難な程度にまで進行している症例であれば、それは通過障害があるでしょうし、消化管狭窄もあるでしょうし、経口のTS-1はそもそも飲めないだろうと思います。したがって、イリノテカン慎重投与例に対して、TS-1+Oxaliplatinをやると言っているのですが、そもそもTS-1+Oxaliplatinというレジメンが成り立つのかどうかという疑問はあります。
 そこで、そうであれば一番シンプルに、標準治療のイリノテカンに対して、PTX ipのOn/Offを検討するのが一番シンプルなのではないか。8ページ目のデザインが一番シンプルなのではないかと思います。標準治療に対して、評価したいものをランダム化してOn/Offする。まずフィージビリティを見るという観点で、標準治療をベースに、それのOn/Offでシングルアームかランダムかはともかく、評価すべきであろうと思います。
 一応、現時点では修正案1を代替案として提案しています。この条件のもとに「条件付き適」という判断をしています。この後、最終的にどのような形が望ましいのかということを議論させていただきたいと思います。私からは以上です。
○猿田座長
 ありがとうございました。経過から非常に詳しく御説明いただき、特に今、お話がありました修正案1がどうだろうかということと、一応、修正案2というのも伺いましたが、特に修正案1でどうだろうかということです。これに対して構成員の皆様方から御意見を頂きたいと思います。よろしくお願いします。山口先生、どうぞ。
○山口座長代理
 私も山中先生と少しディスカッションしたので補足をしようと思います。1つの問題はS-1failureの考え方に対して引き続き投与するというのは、割と外科系のドクターに引き続きやってもいいのではないかという意見があります。しかし、エビデンスにははっきりしたものがないということで、普通のメディカルオンコロジストの方は割に否定的なのです。そこが1つ問題なのです。イリノテカンをまだ使っていないのですから、それを使ったほうがいいのではないかということなのですが、外科のドクターはあまり使い慣れない薬は使いたくないという気持が少しあるのです。エビデンスに基づききちっとディスカッションすると、山中先生の御意見に従うべきだと思っています。
○猿田座長
 ありがとうございました。ほかに、どなたか。直江先生、どうぞ。
○直江構成員
 少し確認ですが、修正案のほうでは、腹膜播種はコントロールされているけれども、恐らくその腫瘍の進展というのは遠隔転移が大きくなってきたというのも、対象にしてはどうかという案だと思います。もともとのオリジナルというか、申請者が出された選択基準では、腹膜播種が制御されているけれどもという前書きがないということで、先生の提案では、対象者をもう少し絞ったらどうかと、そういうような。
○山中構成員
 おっしゃるとおりです。その点につきましては、一次治療でパクリタキセルの腹腔内投与をやったにもかかわらず、腹膜播種が進展した症例には継続する意義が今はないのではいかと。少なくともランダム化2相試験でPOCを見る段階です。それであれば、より効果がシャープに出るところで評価をすべきで、一次治療でPTX ipが効かなかった症例に、より継続するということは、2相試験の段階ではやめたほうがいいのではないかと提案して、申請者のほうからも了解を頂きました。
○直江構成員
 ありがとうございます。私もそのほうがいいのではないかと。効かない治療、つまりやっていても、腹膜播種をしているのに腹腔内投与をその後も継続するというのは、どうなのかなと思っているのですが、ありがとうございます。
○猿田座長
 ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。今、山口先生、直江先生からも修正案1でどうだろうかということで、プロトコールの変更ということですが、ほかにどなたか、御意見はございますか。これだけの修正をしていただくと継続審議ということで……。
○山中構成員
 山口先生にお尋ねしたいのですが、先ほど申し上げたイリノテカン投与困難例に対して、通過障害とかでTS-1を飲めない症例がかなりになるのではないかと思うのですけれども、その辺は臨床的にいかがですか。
○山口座長代理
 そういう可能性は十分にあるかと思います。
○山中構成員
 だとすると、そういった標準治療であるイリノテカンをベースに考えることにして、イリノテカン投与困難例は今回の2相試験では組み入れずに、イリノテカン投与可能例だけで評価していただくのが、一番いいのではないかと思いますけれども。
○山口座長代理
 そのとおりだと思います。
○猿田座長
 ほかに構成員の先生方、御意見はありますでしょうか。
○山中構成員
 最後に1点だけ、TS-1+Oxaliplatinの開発は、将来的には意義が出てくる可能性はあると思います。治療選択肢がない二次治療の状況でTS-1を継続し、更に今度出てくる可能性のあるオキサリプラチンを併用して治療を行う戦略というのは、必ずしも否定されるものではありません。ただし、PTX ipの継続を見るという試験で、その意義を評価しようとする試験ですので、標準治療を投与すべきだろうと判断し、今回の修正案を提示させていただいた次第です。
○猿田座長
 ありがとうございます。伊藤先生、何かございますか。
○伊藤構成員
 難しい議論になっていると感じます。癌をおやりになる方は標準治療を大切にされるのだなというのが一番の印象です。
○猿田座長
 ほかに先生方、御意見がなければ、今、山中先生の御提案部分、山口先生、直江先生、皆さん方、その形で7ページの修正でいくのはどうだろうということです。もしよろしければこの形を進めて、そうなると継続審議ですね。
○山中構成員
 ランダム化という点につきましては、いかがでしょうか。
○山口座長代理
 それが望ましいと思います。
○山中構成員
 そこは申請者の間で持ち寄っているとおりですかね。ありがとうございます。
○医政局研究開発振興課治験推進室長
 1点だけ確認ですが、7ページの一番最初の●にも書いてありますが、一次治療のパクリタキセルの腹腔内投与が有効であるという前提で、二次治療を進めているということですけれども、この二次治療まで投与がある程度妥当であると判断するのは、いかがなものでしょう。一次治療がある程度エビデンスがあって、多分、今やっているのだけれども、それを二次治療まで拡大するということについての見解は。
○山中構成員
 私もそう考えました。おっしゃるとおりです。ただ、先ほど直江先生がおっしゃったように腹膜播種例ですと、一次治療でやって腹膜播種が進展する症例というのがかなり多いはずなのですが、これまでのデータを見ているとPTX ipで腹膜播種が制御できている可能性がある、そうであれば今は可能性の段階ですけれども、POCを測るためにPTX ip継続の意義を先進医療の中で評価するというのは、柔軟な立場に立てばあり得るのではないかと判断いたしました。ですから、PTX ipで腹膜播種が制御できている症例というのが、今回のPOCを見る上では必要なのだろうと思います。その上でipの継続の意義を評価していただこうという判断です。
○直江構成員
 議論は終わりたいですけど、よく考えると、腹膜播種はパクリの腹腔内投与でコントロールされているだろうと。だけど遠隔転移があるので二次治療をイリノテカンと併用でやる。腹腔内投与を続けたほうがいいのかどうかを見るために、一部の半分の群は効いているだろうと思っているものを、あえてやめるという判断になるわけですね。新しい抗癌剤は全身投与しますから、そこが患者さんとしてはというか、ある程度倫理的にちょっとどうなのかなという部分は引っ掛かるのです。
○山中構成員
 一次治療で、PTX ipの効果は証明されているわけでもないですので、今の標準治療のPTX ip+イリノテカンを、イリノテカンに対してランダム化比較して評価するべきだろうと思ったのですが、先生のおっしゃっているのは、シングルアームで評価したほうがいいということですか。
○直江構成員
 いや、今の時期は、しばらく待てばip投与が有効かどうか来年分かるという段階ですので、この段階でランダム化までしなければいけない。一次投与で有効かどうかも分かっていないのに、二次投与でランダム化するほどのことがあるのかなと。多分、そういう患者さんがいらっしゃるという、こういうニーズがあっての提案だろうということを少し思うと、本当に二次治療でこれを、今の戦略は試すというわけでなく、一部の患者さんに関しては抗癌剤を切り替えて、ipをやめるという選択を迫られるというのは。
○山中構成員
 ランダム化する場合に、ですね。
○直江構成員
 ランダム化する場合はね。だから、そこまでする必要があるかなと。もしあれだったら、ip投与とイリノテカンの上乗せの有効性を二次治療で見るというだけでも、試験として成り立つのではないでしょうか。この辺はどうでしょう。
○山中構成員
 多分、こういう薬剤継続の意義を見るような臨床試験には全て共通なのだろうと思いますが、シングルアームでやると患者の選択バイアスが大きく出てくると思います。つまり、一次治療をしてPTX ipがものすごくよく効いている症例を、選択的にシングルアームの試験に登録すると、効果をオーバーエスティメイトしてしまう可能性はあると思います。POCを見る治験であれば、ランダム化のほうがいいのではないかと思っている次第です。
○山口座長代理
 ただ、イリノテカンとPTX ipというのは、今までの患者さんでまだ誰もやっていないのです。ということは、初めての併用化学療法ということもあるので、慎重にということも考え方としてはあるのではないか。
○山中構成員
 シングルアームで、まず安全性を見る試験というのは十分あり得ると思います。有効性を見るのであれば何らかのランダム化、1対1割付けか1対2割付けか分からないですけれども、何らかのコントロール、同時対照が必要ではないかと思います。
○山口座長代理
 この試験は、恐らく被験者のほうは、ipは引き続きある程度効果があるのだと、それに今、一番新しい治療を組み合わせたいということだと思います。
○山中構成員
 そうだと思います。だから、2つ評価したいのですね。
○山口座長代理
 欲張りというか。そこが、今の議論をお聞きいただいて、そのあたりは現場の人が受け止めて提案していただければいいと思います。
○山中構成員
 改めてランダム化するかどうかに関しましては、引き続き申請者と議論したいと思います。
○猿田座長
 今までのそれも読ませていただくと、両方の差とかよく分かるのですけれども、事務局、何かありますか。
○医政局研究開発振興課専門官
 それでは、今の御議論を踏まえまして、申請医療機関に対しまして指摘事項としてお伝えすることにさせていただきます。私からの質問ですが、会議資料の37ページ、38ページが概要図とロードマップになっています。今回の会議資料はオキサリプラチンの有用性を検討するための概要図になっていますので、今の御意見を踏まえて、こちらも改訂をお願いすることとさせていただくことで、よろしいでしょうか。
○山中構成員
 はい。
○医政局研究開発振興課専門官
 あと、タイトルもオキサリプラチンの有用性を検討するとなっていますので、今日の指摘事項を踏まえて、イリノテカンであったりPTX ipの腹腔内投与の有用性を見る試験デザインに変わった場合は、タイトル、概要図、ロードマップも含めて変更していただくことにします。よろしいでしょうか。
○猿田座長
 申請施設にとってはちょっと大変ですけど、一応、その形のほうは今の議論を生かしていただいてということです。そちらから、この案件は継続審議という形で決めさせていただき、あとは対応していくということで、よろしいでしょうか。それでは時間も過ぎましたので、そういう形でここは継続審議ということで、特に申請機関に話して下さい。
○医政局研究開発振興課専門官
 調整させていただきます。
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは続きまして、整理番号025です。「根治切除可能な漿膜浸潤を伴う胃癌に対する周術期パクリタキセル腹腔内投与併用療法」です。事務局からよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 猿田座長から御紹介いただいた2件目の継続審議案件について紹介いたします。資料1-1、11ページの下段の案件です。申請医療機関は近畿大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が山口座長代理、副担当が竹内構成員、田島構成員です。審議に先立ち、本件についても先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より説明させていただきます。資料1-10、59ページです。
 まず、実施責任医師の要件として、診療科は外科が必要、資格は外科専門医が必要、当該診療科の経験年数は10年以上必要、当該技術の経験年数は不要ではありますが、当該技術の経験症例数は20例以上となっています。その他、レジメンを問わない抗癌剤腹腔内投与の経験が1例以上とされています。
 医療機関の要件は、外科の診療科が必要、実施診療科の医師数は、経験年数10年以上の医師が3名以上、他診療科の医師数が、麻酔科の常勤医が1名以上必要、以下、当直体制必要、緊急手術の実施体制必要、24時間実施できる院内検査も必要とされています。頻回の実績報告は不要とされています。以上です。
○猿田座長
 主担当の山口座長代理、お願いします。
○山口座長代理
 資料1-7です。前回御報告したように、TS-1のパクリタキセルのiv、ipを利用した治療方法は、第1相試験、第2相試験が、ここに書いてある症例数が行われて、相当画期的な数字が出ています。例えば1年生存率が78%、細胞診のみ陽性例だったら100%という数字が出ているのです。これは先進医療にふさわしい画期的なものであるということです。
 先ほど二次治療をどうしようかというお話が出ましたが、これは、更にもう少しそのような腹膜播種があったり細胞診陽性ではなくて、もう少し手前の漿膜浸潤があるような、これは相当回復するわけですが、そういうレベルで、つまりミクロのレベルで存在するかもしれない播種に対してそういう治療を組み合わせた試験です。
 内容は一緒なのですが、主要評価項目は治療完遂率、つまり手術に組み合わせてやりますので、例えば合併症が増えないかとか、治療がどれぐらい可能かということが実際に実践的であったことを評価して、次は比較試験というプロセスになっています。
 副次評価項目としては、やはり奏功率をある程度見たいと。つまり手応えがどんなものかを見たいという治験です。一番問題になったのが、副次評価をするために、かなり観察期間が長くて、最終的には8年ぐらいたたないと結果が出てこないというお話なのです。もともと、かなり有望な数字は出ていますから、手術に併用するに当たっての要件が延期されれば、つまり、もともと主要評価項目さえ評価できれば、副次評価の奏功率の生存率に関しては、余り納得感を追う必要はないのではないかということで、その辺りを考え直していただきたいということです。
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは、試験実施計画等についての評価です。本日は御欠席ですが、竹内構成員からコメントが来ていますので、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 会議資料の44ページです。本日欠席の竹内構成員からの評価結果を説明いたします。竹内構成員におかれては、6番から16番について評価を頂きました。全て「適」となっていますが、実施条件欄では「本臨床試験は、登録完了後約6か月で解析データは固定されます。その後5年間の追跡を実施します。追跡中に後治療等の影響で生存期間にバイアスが生じる可能性があるのではないかと危惧いたします」というコメントでした。以上です。
○猿田座長
 ありがとうございます。続いて、倫理的な観点から田島構成員お願いします。
○田島構成員
 倫理的観点について、前回、「不適」と評価した説明文書については、指摘に沿って全て所要の修正がなされましたので、今回はこの点も含めて、全て「適」といたしました。
○猿田座長
 ありがとうございました。主担当の山口座長代理にまとめをお願いします。
○山口座長代理
 52、53ページの辺りのやり取りがあります。解析を早くして、なるべく早く評価するという御回答となっています。もう一つ問題が出てきたのは、術後補助化学療法については決まりがないということです。今、標準治療はTS-1の内服を1年間やりますが、それをやるか、やらないかがばらばらになっているのです。一応、生存率の評価を行う場合に、基準が分からないことになるので、そこはきちんと決めるほうがいいのではないかと竹内先生の御指摘があり、私も賛成ですので、もしそれが規定されれば「適」と思います。
○猿田座長
 ありがとうございました。どなたか御意見はありますか。そうすると、今、山口先生から御指摘いただいたとおり、「条件付き適」ということでよろしいでしょうか。もし皆様方がお認めいただくならば、これは「条件付き適」という形にしたいと思います。
(異議なし)
○猿田座長
 ありがとうございました。それではそういう形で了承しました。
 続いて、新規申請技術の評価について事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料2-1、61ページです。先ほどは継続審議案件でしたが、今回は新規申請技術の評価として、整理番号027、ゲムシタビン耐性胆道癌患者を対象としたアキシチニブ単剤療法の第2相試験です。適応症は胆道癌です。申請医療機関は杏林大学医学部附属病院です。審査担当構成員として、主担当が伊藤構成員、副担当として大門構成員、佐藤構成員です。本件についても、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より説明させていただきます。会議資料2-6、79ページです。
 実施責任医師の要件として、診療科は腫瘍内科又は消化器内科又は肝胆膵内科を必要とします。資格は、日本臨床腫瘍学会暫定指導医又は日本消化器病学会指導医が必要とされています。当該診療科の経験年数は10年以上、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数も不要とされています。その他として、胆道癌化学療法の実施が100例以上の経験を有することが必要とされています。
 医療機関の要件としては、診療科として腫瘍内科又は消化器内科又は肝胆膵内科が必要です。実施診療科の医師数として、いずれかの診療科に3名以上の医師がいることが必要、他診療科の医師数としては、特に求めず不要ということです。その他、当直体制は、夜間・休日の緊急対応が可能な体制が必要、緊急手術の実施体制も必要、24時間実施できる院内検査も必要とされています。
 他の医療機関との連携体制について、患者様の容態急変時で、当該医療機関への受診が困難な場合の対応などが必要とされています。また、頻回の実績報告は不要とされています。以上です。御審議をお願いいたします。
○猿田座長
 それでは、主担当の伊藤構成員からよろしくお願いします。
○伊藤構成員
 本治療は大変予後の厳しい病気で、胆道癌です。ゲムシタビンベースの化学療法で耐性となった切除不能の再発胆道癌患者さんを対象にした分子標的薬のアキシチニブの有効性と安全性を検討する試験です。
 経口VEGF阻害薬であるアキシチニブの有効性が期待されることについての根拠になっているのは、病理組織で胆道癌におけるVEGFの発現率が59.2%という結果があります。Br J Cancerに掲載されています。
 一方で、全世界のこういった治療法を検索すると、ゲムシタビン、オキサリプラチンに加えて、VEGF阻害薬のベバシズマブを使った試験では、もしかすると有効かもしれないというデータが唯一ある状況ですので、経口のVEGF阻害薬に対して期待を持つことを否定するものではないと思っています。
 ただ、文献上、アキシチニブの有効性を示唆した論文はないということでした。自分でも検索してみましたが出てきませんでした。有効性が認められた事例は、資料の970ページにありますが、提出された3例しか投与例がないと理解しています。
 こういった中で、この治療法についてどう判断するのかというのは、大変悩ましい状況だと考えています。ほかの先生方の意見を聞いて最終的な判断をすべきと思っていますが、なかなか難しい治療法ではないかと思って資料をはいけんしたところです。ほかの先生方の御意見を聞いた上で、また最後に結論を述べさせていただければと思います。
○猿田座長
 ありがとうございました。本日は御欠席ですが、佐藤構成員からのコメントを事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料2-5、77ページです。佐藤構成員から意見書が提出されていますので御紹介いたします。
 「説明文書は、薬剤の金銭負担がないことなど一部分かりにくい所がありましたが、適切に修正されました。利益相反への対応は説明されています。健康被害に対する金銭補償はありませんが、抗癌剤の試験という性質上やむを得ないものと考えています。以上のことから、倫理的に本件を認めることに差し支えはないものと判断いたしました」とのことです。
 64ページにお戻りください。これらを踏まえて、倫理的観点からの御評価としては、同意にかかる手続、同意文書、補償内容、いずれも「適」との御判断を頂いています。
○猿田座長
 続いて、大門構成員から試験実施計画等についての評価をお願いいたします。
○大門構成員
 試験実施計画等の評価を行いました。資料2-3、69ページに申請者への私の確認事項とそれに対する回答が示されています。特に気になった点は、当試験の検出力は、慣例的な値と比較すると70%程度と低めであり、プロトコル治療が有望である場合に、そのことを見落してしまうリスクが増えてしまいます。この点が気になりましたが、申請者は指摘事項に対する回答に示されるとおり、そのリスクを認識した下で、症例数を増やすことで試験期間が延長することを避けて、副次評価項目の結果も参照しながら次相へのgo/no goかを迅速に判断することを優先する立場をとっていると理解しています。
 また、アキシチニブは御説明があったとおり、VEGF受容体を選択的に阻害する分子標的薬であるわけですが、VEGFRの陽性・陰性の決定方法や、VEGFRは、文献からは予後因子ではあるのでしょうが予測因子であるかについては、現時点では明らかにされていない状況にあると思います。それゆえ、二次使用として有効かどうかを広く評価を行うことを考えれば、VEGFRに関係する項目を被験者の適格基準へ組み込まなかったと理解しております。
 しかしながら、この点は伊藤先生からも先ほどコメントがあったように、アキシチニブの作用機序、それから本治療法の予後の改善程度、閾値が2か月、期待PFSが3か月といった改善程度を意識すると議論の余地があろうかとは思います。そのほかの事前の私方の確認事項に関しては、適切な対応がなされたと考えて、試験実施計画書の評価の観点だけで見る限りは、適とさせて頂いております。
○猿田座長
 ありがとうございました。今、コメントを頂きましたが、この薬は欧米においては腎臓癌に対する結果が取られていますが、今度のような肝臓癌患者を対象とした試験はこれが初めてということです。そういったことで、先ほど伊藤先生からもお話がありましたが、3例の報告がなされて、この3例でいいかということ。
 もう1つ。御存知のとおり、今まででも臨床研究中核病院では、症例が少なくてもいいだろうということなのですが、この施設はそういった施設ではないということで、3例でどうするかということの辺りが、伊藤先生は問題だということです。そう思われますが、いかがでしょうか。
○伊藤構成員
 これは、背景で大変気にしているのは、昔、日本医師会の治験促進センターがサポートした医師主導治験で、再発あるいは治療抵抗性のc-kitあるいはPDGFR陽性肉腫に対して、c-kitチロシンキナーゼ阻害剤のイマチニブを投与した試験でしたが、残念ながら期待された有効性が出ずに中止しています。ですので、こういったVEGFの受容体があるから、だから有効であると一義に言えないのがどうも引っ掛かっています。この病理の結果で期待ができそうだというのはその通りだろうと思います。
 また、静注薬であるベバシズマブも有効性があるかもしれないという話が出ているので、経口で同じように有効かもしれない、かすかな期待はありますが、期待の性質が、PFSを2か月から3か月に伸ばすという点と、実際にここに出ている有効性が認められた症例の3例が、1例においては途中で休薬をして、その後亡くなっていたりとか、このデータを見たときに、本当に有効なのだろうかという懸念があります。ここ場で先進医療として承認をするところまで至っているのだろうかと思いました。それで、一応、評価表にはそういった視点で書かせていただいたのですが、もう少し有効性を示唆するデータがないと、個人的にはいいと言うのは厳しいのではないかと思った次第です。
○猿田座長
 ありがとうございました。今、先生が御指摘されたように、42歳の方と68歳の方、78歳の方の3症例を拝見すると、確かに2名の方が投与してから2、3か月のうちに亡くなって、1名の方だけ生存という形なのですが、非常に難しいところです。このままで、とにかくも先進医療に入っていいだろうかという点が一番議論になると思います。
○山口座長代理
 これはそれほど難しい問題ではなくて、伊藤先生のおっしゃったとおり、この3例のどれを見ても、はっきりとした効果が得られていません。理論的には確かに、分子標的薬が効く可能性が発現しているものもありますが、ただそれだけだと、あらゆる分子標的薬が先進医療に自動的に入るということになってしまうわけです。そういう意味では、ちょっとこれは症例数がなさ過ぎというか、この3つに奏功例があればとは思いますが、ちょっとこれは早過ぎるのではないか。先進医療にしてはまだ未熟だと思います。
○猿田座長
 今までの検討例を見るというところでは、もうちょっと症例を検討して効果を見てからというのが多かったのですが。山口先生、どうですか。
○直江構成員
 この対象疾患が非常に難治性なので、医学的ニーズはあると。アンメットニーズは認めると思いますが、今、伊藤先生はじめ、先生方に御議論いただいているように、この3例をもって先進の取組の中でこれをやるかというと、少し早いのではないかと思います。これが、もう少し症例を蓄積して、もう少し有効例が出てくれば、確かにこれはやる意味がある。
 その場合に、ここではバイオマーカーという言葉が使われていますが、組織の方向、内容をもう少し検討されてやったほうがいいのではないか。これを見ると、前臨床の、例えば動物モデルなどのデータは余りないような、先ほどの組織免疫で発現しているということだけをもって、来ているのではないかということは、少し短絡的ではないかと思います。その辺りは、VEGF-VEGFRアキシスに、相当、胆道癌が依存しているというものであれば、もう少しいいのでしょうが、そこまでのデータがなさそうですので、おっしゃるように、少し早いのではないか、まだ判断は難しいのではないかという印象を持ちました。
○猿田座長
 ありがとうございました。ほかに構成員の先生方からありますか。
○柴田構成員
 国がんの柴田です。私は違う意見を述べさせていただきます。確かに、この3例から何が分かるのだということになると、現時点で分からないこともあると思いますが、漫然と症例経験を積み重ねるだけではこのものの有効性・安全性を評価することは困難であろうと思います。ですが、これが細胞障害性の抗癌剤であればレスポンスが出るとか、そういうことによって、少数の患者さんのケースレコードから見込みを立てて、臨床試験を計画することは可能かもしれません。
 ただし、作用機序を考えた場合に、そういう形の評価指標は困難である、評価指標に基づいて有効性の見立てをすることは困難だろうと考えられる状況です。次善の策としては、しっかりとした計画を立てて、前向きに患者さんを登録して、統一の基準に基づいてプログレッションなりサバイバルなりを評価してデータを集めて、それに基づいてそれ以降の開発を継続するかしないかを判断するのも1つの選択肢ではないかと考えます。
 先ほど伊藤先生がおっしゃった、イマチニブをc-kit陽性の肉腫に使った試験、医師主導治験の結果、これは確かにネガティブトライアルになってしまったということで、残念な結果ではありました。が、逆に言うと、あれはきちんと臨床試験を実施したお陰で、漫然と適応外使用をされることを避けることができた重要な研究だった。また、それに対しては、日本医師会治験促進センターは重要なサポートをされたということになると思います。
 ですので、1つの考え方としては、こういった、実績ゼロであればまた違いますがそれなりの施設での実績はあったということなので、評価可能な形で前向きにデータを収集するのも1つの方針ではないかという考えです。
○猿田座長
 貴重な御意見、ありがとうございます。本当に、もうちょっと検討症例数があればもう少し分かるかなということで、ちょっと早いのではないかという感じなのです。
○山口座長代理
 柴田先生の御意見はもっともだと思うのですが、それを先進医療でやるかどうか。つまり、メーカーが投資して10例でもいいですから、きちんと評価する責任もあるのではないかと思います。この先進医療で進めるかどうかについては、私は余り、今までの結果からでは賛成できない。
○柴田構成員
 確かにメーカーが開発すべきであろうと、私も個人的には思います。一方で、そのような形でメーカーではうまくいかない領域、希少疾患領域に関する治療開発は、なかなか進まずに放置されてきたということも、実際に我々に責任がある課題でもあります。それを解決するための手段を確立するためにいろいろな施策が取られてきたという経緯も考えなければいけないと思います。
 研究者主導でやることが妥当なのかということは、議論としては常になされるべきであるとは思いますが、ここで、胆道癌に対する開発の見込みが立たないようであれば、まず、見込みがあるというデータを確認する段階まで研究者に担ってもらって、そうであるという見込みがあるとなれば、以降を企業に見ていただくということも、1つの選択肢なのではないかと、個人的には思います。山口先生がおっしゃるところもよく分かります。
○猿田座長
 私としても、もう少し症例の検討があっていただくと一番いいのですが、これだと、どうも読み切れないところがあるものですから。
○山中構成員
 特に胆道癌は希少な疾患でありますし、再発例となればなおさらです。ただ、欧米に比べれば、胆道癌は日本に多い病気で、日本が主導して開発する責任はあると思うのです。今回、アンメットニーズの評価という意味では、先進医療で評価をして、ただ、効かないものを続けるわけにはいかないので、何か無効中止を早くできるような仕組みを作っていただいて、先進医療の中で評価していただくのは1つの案なのではないかと思います。
○猿田座長
 先進医療で1つ引っ掛かるのは、これは混合診療で、全部患者さんの負担になるわけです。ですから、その辺りをもうちょっとしっかりしたやられたほうが、本当はいいのです。その辺りが私としては引っ掛かるのです。事務局は何かありますか。
○医政局研究開発振興課長
 やるのは先進医療でやりますので、有効性がある、期待できるという条件が付いていると間違いなく先進医療に乗せられると思います。柴田構成員がおっしゃるような、簡単な形式でも医師主導治験のではないかと思います。
○山口座長代理
 私は胆道癌が希少な病気だとは余り認識していません。結構、症例数はあると思うので、それぐらいやっていただいてもいいのではないかと思います。
 簡単には、余り可能性が低いものは全面的に手を出さないようにして、本当に確実なものだけ自分たちで開発して、そのほかは先進医療でやってもらったらという話にならないようにしてもらったほうがいいのではないかと思います。
○関原構成員
 これは私の個人的な体験です。私の友人でカナダに住んでいた日本人の話です。2005年に国立がんセンターで胆管癌の手術を受け、1年後に肺転移したのです。余命も限られていましたから、死に場所はカナダでということで、トロントのプリンスマーガレットでの化学治療を選びました。プリンスマーガレットの標準的な治療とは、日本(ジムザールの単独投与)と異なりジムザーブに加えてゼローダの併用でした。この化学治療は奏功して、再発してから5年間ふつうの生活をし、半年ごとに来日し、国立がんセンターの小菅先生の診察を受け、先生も「不思議だ、不思議だ」「こんなによく効くのか」という驚いておられました。手術に際してセカンドオピニオンをお願いした幕内先生も「これは珍しいケース」と。しかし、日本では腎臓がん以外ではゼロオーダーは使えない。今回の案件はゲムシタビン耐性患者へのアキシチニブ単剤投与ですから、治療法の一つとして参考になればと思いお話しました。これは国立がんセンターの患者のケースですから間違いない話です。
○猿田座長
 ありがとうございました。もうちょっと症例を検討していただくと。
○関原構成員
 カナダでは、これは標準であって、今までは数百人の患者があったけれども、全快は2人、レスポンスがあったケースは大体2割から3割というのが、腫瘍内科医の説明なのです。それなりに効果があるのかなという感じがします。
○医政局研究開発振興課専門官
 ちょっと、まとめというか確認をさせていただきたいのですが、今回、伊藤構成員の御発言の中で、最初に、ベバシズマブを使った試験で有効性が示唆されるということでしたが、今回、アキシチニブを使っているのですが、その背景がタブレットの1029と1030ページに書かれています。彼らはなぜアキシチニブを使ったかというと、選択的にVEGFを阻害するアキシチニブを使うことによって、これまであった副作用が軽減されることが期待されるということでアキシチニブを選択したとしています。動物実験でもそういう対象疾患にアキシチニブを使うと有効性が示唆されたということで、今回、立案されたわけです。例えば、これがベバシズマブで、ヒューマンにおいて有効性が一次治療において認められていますので、ベバシズマブであれば許容されるのか否かと言うと、それも、やはり何例かやっていただいて有効性を見たほうがよいということでよろしいでしょうか。即ち、ベバシズマブに変更すると、これは杏林大学ですので、研究の段階で数例の実績を積んでいただかないといけないとは思うのですが。ベバシズマブへの変更も考慮されるのかどうかについては、申請医療機関に考えていただくということなのでしょうか。ちょっとその辺りを御教授いただければと思います。
○伊藤構成員
 病理組織でVEGFのレセプターが出ていることと、文献上ですが、類似の効果を持っている薬のベバシズマブで、これも、PETで有効というぐらいだけで、本当にリジットに有効であるかどうかの保証はない状況だと認識しているのですが、そういう意味では、VEGFの分子標的薬ということについて大変甘く評価をしても、このデータだけでは先進医療にはまだちょっと早いという印象を持っています。
 ですから、この胆道癌を対象にする治療としてVEGFそのものの阻害薬が本当に効くのかどうかも、まだ国際的にはコンセンサスが得られていない中で、逆にこちらから、ベバシズマブを使えばという提言ができる状況ではないと思います。
○猿田座長
 ありがとうございました。いろいろ御意見はあると思いますが、全体的に、本日の先生方の御意見からはまだ少し早いのではないかということです。それでは、この件は伊藤先生が言われるように、一応、この場では「不適」とさせていただいて、申請機関ともう一回よく詰めていただいて、もうちょっと症例を展開して効果を見ていただくということとします。これは非常に重篤な患者さんですので大切ですので、その辺りをよく検討しておくことが一番妥当ではないかと思います。そういう形でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○猿田座長
 それではそういう形でいきます。どうもありがとうございました。一応、本日審議していただく案件は以上です。ありがとうございました。次に入ります。
 続いて、試験実施計画の変更ということで、事務局からよろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料3の81ページを御覧ください。先進医療Bの試験実施計画の変更について、大阪大学医学部附属病院から変更申請がありました。大臣告示番号は045、自己口腔粘膜を用いた培養上皮細胞シートの移植術です。適応症は、角膜上皮幹細胞疲弊症です。本件は、予定症例数10例に対して、現在までの登録は8例です。
 主な変更を希望する内容です。1、患者登録期間の変更。2、1に伴い、説明文書における研究期間の表記に関する補足の文言追加。3、人員の変更がありましたので、人員配置等について変更を認めていただきたいということです。
 続いて、82ページを御覧ください。変更申請の理由が記載されています。承認時の実施計画書では、患者登録期間を3年間としていましたが、同意取得後に除外規準に抵触することが判明した症例があり、本登録に至る症例が見込みを下回った。そのため、予定症例数の登録未了により、患者登録期間を4年間にしてほしいということです。御審議をお願いいたします。
○猿田座長
 ただいまの資料の説明について、これはこのような形でお認めいただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○猿田座長
 ありがとうございました。認めていただくということにいたします。
 続いて、協力医療機関の追加について、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料4-1、83ページを御覧ください。これまで大臣告示されている3つの技術について、協力医療機関の追加申請がありました。先進医療名、適応症、申請医療機関、追加協力医療機関は記載のとおりです。
 資料4-2、85~87ページを御覧ください。協力医療機関として提出のあった先進医療実施届出書等を事務局において確認した結果、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式9号)を満たしていますので、協力医療機関の追加として御了承いただきたいと存じます。特に御意見がなければ、追加の手続を進めたいと思います。以上です。
○猿田座長
 今の説明で、この3つの所の資格に関してはしっかり見ていただいています。御意見がなければ、認めるということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは、これをお認めいただいたということにいたします。
 次は、先進医療の取下げについて、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料5-1、89ページを御覧ください。先進医療Bの取下げについて説明いたします。告示番号5番の徳島大学、28番の信州大学医学部附属病院、34番の大阪医科大学附属病院について、試験の予定症例に到達し、試験が終了したため、取下げの申請が出ています。
 なお、28番については、欧米のデータ及び高度医療のデータが薬事承認申請の参考資料として活用され、薬事承認されたことをここに御報告申し上げます。
 また、41番は大阪大学医学部附属病院からの技術ですが、取下げ理由は、企業の薬事承認申請に係る戦略変更のためとなっています。具体的には、本医療機器は米国のゴア社の製品ですが、海外の治験データとその後の市販後データを収集することで、国内の薬事申請をするよう企業の開発戦略が変更されたため、先進医療を取り下げたいという申出です。以上です。
○猿田座長
 今の説明のとおり、5番、28番、34番は試験が終了したため、それから、41番は薬事申請の戦略が変更されたためということです。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○猿田座長
 では、お認めいただいたということにいたします。
 続いて、先進医療Bに係る継続審議案件の申請書の取下げについて、これも事務局から説明してください。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料は91ページです。先ほどは先進医療を実施していた案件の取下げでしたが、こちらは継続審議案件となっていた案件で、東北大学から申請のあった血管性間歇性跛行患者に対する体外衝撃波治療の取下げについてです。申請者らの取下げ理由は中段にあるとおり、「先進医療技術審査部会の指摘事項について検討していたところ、臨床研究の実施体制に大幅な変更が生じたため、届出書に記載した臨床研究の遂行が困難であると判断したため」、取り下げたいとの申出がありました。以上です。
○猿田座長
 91ページに書かれているとおり、東北大学から、こういうことだというので、これもお認めいただくことでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○猿田座長
 ありがとうございました。お認めいただいたということにいたします。
 次に移ります。第1回先進医療評価委員会が開催されまして、山口先生ほかが御参加されていますが、その報告について事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料6、93ページを御覧ください。平成26年3月11日(火)、第1回先進医療評価委員会が開催されました。これは、評価対象は「医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上必要性が高いとされた抗がん剤について、外部医療機関が事務局を務め、そこで迅速審査をしていただくということで発足した委員会です。議事次第を御覧ください。「先進医療評価委員会の概要について」「座長の選出について」「候補薬の進捗について」が当日に議論されました。
 94、95ページは評価委員会の構成員名簿です。我々、先進医療Bの技術審査部会のメンバーである佐藤構成員、大門構成員、田島構成員、直江構成員、山口座長代理は、先進医療評価委員会にも所属していただいて、活発な議論をしていただきました。なお、山口座長代理は先進医療評価委員会で座長の労をお取りいただいています。また、直江構成員は座長代理の労をお取りいただいています。以上です。
○猿田座長
 先生方、お忙しいところ、また委員会も大変だと思いますが。
○山口座長代理
 そもそも、こういう委員会がなぜできたのか、よく理解していなかったのですが、御説明いただいてようやく分かりました。要するに、評価するほうのレベルを高くして、申請するほうもある程度絞る。そういうものであれば迅速にやる、そういう特別なハイウェイを作ろうということだったのです。走る車も良い車で道路も良いコースだと、そのように私は理解しました。
○猿田座長
 ありがとうございました。委員の先生方は大変だと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 次は、先日の先進医療でも出ましたが、国家戦略特区における先進医療制度の運用について、事務局から説明してください。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料7、97ページを御覧ください。国家戦略特区における先進医療制度の運用については、右肩にあるとおり、平成26年3月12日に中医協で審議され、了承されたものです。 
 まず、「規制改革事項のポイント」として、臨床研究中核病院等と同水準の国際医療拠点で医療水準の高い国で承認されている医薬品等について、国内未承認の医薬品等の保険外併用の希望がある場合、国家戦略特区において速やかに評価できる仕組みを構築するということです。
 「基本的な枠組みの整理」、どういう機関で実施するかについては、臨床研究中核病院等と同水準の国際医療拠点である医療機関で実施する。実施する療養の要件は、医療水準の高い国で承認されている医薬品等を用いる技術。対象の技術は限定しないとしています。
 医療水準の高い国というのは、英国、米国、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリア。未承認薬・適応外薬検討会議の基準と同様の6か国で既に承認されている案件について、制度改革をしようということになっています。
 先進医療の審査で、具体的にどのような特例を与えるかについては、より迅速な審査を行うため、対象となり得る病院と一体となって体制や計画を作成するなど、通常よりも手厚い特別事前相談を行うとしています。また、先進医療技術審査部会と先進医療会議とは別々に行っていましたが、合同審査を開催することにより審査を迅速化するということです。
 特区の指定範囲です。これはいわゆるバーチャル特区ではなく、特区域指定の二類型のうち、「都道府県又は一体となって広域的な都市圏を形成する区域指定」として、比較的広域、広い領域を想定しているものです。
 98ページの下のポンチ絵を御覧ください。左が通常の先進医療の審査の流れです。国家戦略特区の案件については右のスキームで審査をするということです。通常は、保険医療機関から申請があれば、事務局で前さばきとして事前相談を行います。その上で先進医療技術審査部会で審査していただきまして、「適」との御判断を頂ければ、先進医療会議で更に審査し、先進医療が実施されることになります。これはおおむね6か月とされています。一方、国家戦略特区の先進医療の審査の流れでは、これまで事前相談はこちらに来ていただいていましたが、事務局などが特別に手厚い事前相談を実施します。また、審査においても合同開催をすることによって審査期間を短縮するという試みが考えられています。以上が中医協で審議されて了承されましたことを御報告いたします。以上です。
○猿田座長
 これはもう最終決定なのでしょうか。その辺りはどうなのでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官
 この資料は3月12日の中医協で審議されて了承されているということですので、アウトラインと言いますか、中身の運用についてはこれから詰めていく必要があると思いますが、おおむね、アウトラインは了承されているという理解でよろしいと思います。
○猿田座長
 そうすると、今までの先進医療技術会議や専門会議とは別に、これが乗ってくるということですか。
○医政局研究開発振興課専門官
 そうです。国家戦略特区がこれから最終的に確定されると思いますが、そこから出てくる案件については、98ページの右のシェーマで示したように、事務局がこれまでよりも手厚い事前相談をする、また、会議を合同開催するという方向で検討しています。
○猿田座長
 なかなか分かりにくいと思いますが、どなたか御質問ございますか。
○山口座長代理
 先ほどの先進医療評価委員会との関係はどうなるのですか。何か同じことをやっているのではないかという感じがします。
○医政局研究開発振興課専門官
 例えば未承認薬検討会議で医療上必要とされた抗がん剤を、国家戦略特区の申請医療機関が申請してきた場合、山口座長代理が運営する会議で審査されるのか合同会議をするのかということだと思いますが、それについては引き取らせていただきます。どのような仕組みでいくのかというのは、これからの検討になると思います。とにかく、心掛けていることは、余り申請者や、その先に待っている患者様をお待たせすることのないように、適切に運用して進めていきたいということです。その辺をもう少し詰めたいと思います。
○猿田座長
 もう少し詰まったら、その辺りをしっかりクリアにしておかないと、先生方も混乱すると思います。
○一色構成員
 これはデバイス・ラグについては、もう関係ないのでしょうか。「医薬品等」と書いてあるものについて、今回は医療機器は対象とされていないのですか。
○医政局研究開発振興課専門官
 医療機器も含まれています。
○山口座長代理
 医療機器と薬剤関係とは全然違うものなので、分けて審査すべきだと思います。と言うのは、医療技術というのは開発された当初と5年後とでは全然効率が違います。薬というのは、開発されて製剤ができたときから10年たっても同じです。例えば、5年前の腹腔鏡の手術というのは、今と全然、安全性も効率も違います。そういうものを同じような括りでやるというのは、そもそも難しい。この先進医療評価委員会はデバイスについて対応できるような体制とは到底思えません。主に薬剤だと私は理解していました。やるとすれば、もう少し考えないと、また後が難しいのではないかと思います。やはり将来は分けて考える必要があるのではないかと思います。
○医政局研究開発振興課専門官
 山口先生、御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり、現在、未承認薬検討会議で医療上必要性が高いとされた抗がん剤は外部評価の対象として、いわゆる「先進医療C」という形で先生にお願いさせていただきましたが、今後は、再生医療の分野と医療機器の分野について、事務局は我々が担当しますが、評価体制については、それに精通する先生方にこのような会議体を構成していただいて審議をお願いする方向で進めています。
○柴田構成員
 今の山口先生のお話に補足します。医療機器と医薬品では評価方法も全然違っています。プロトコルの作り方も違います。ですから、審議すべきポイントも違ってくる。それは整理していく必要があると思います。同じ土俵で、同じ文言で使用経緯を求めるなどということでは厳しいところが出てくると思います。先ほどの話を蒸し返すわけではなくて、一般論としてのコメントですが、薬においても、薬を使った1人の患者の反応から薬の効果が分かるケースと、例えばPFSやOSを延長する薬のように、1人の患者を見ていても効いたか効いていないかが分からず、集団で確認せざるを得ないという薬があります。一方で、デバイスなどは薬とは違う判断で評価するしかない。それを一緒くたにせずに議論をする必要があると思います。そうしないと、うまく進まないと思います。
○猿田座長
 ほかに御意見ございますか。こういう方向で進んでいますので、もう少ししっかりクリアにしていただきたいと思います。時間も大分過ぎましたので、次回の予定について説明してください。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料8、117ページを御覧ください。来年度の予定が確定しましたので提示しています。太字の所が第1候補です。2番目に、出席状況の良かった日を△にしています。予定を変更すると皆さんの予定が変更になるので、恐らく△の日への変更はないとお考えいただきまして、皆さんのスケジュール調整をお願いいたします。
 また、これまでは16時半スタートでしたが、来年度からは16時スタートとさせていただきます。時間と日にちについてスケジュール確保をお願いいたします。
○猿田座長
 有効な定足数は過半数ですか。
○医政局研究開発振興課専門官
 そうです。
○猿田座長
 よろしいでしょうか。平成26年度はこのような感じでやっていくということです。本日は大分時間がたってしまいましたが、最後に、委員の先生方から何か特別な御意見がございますか。では、事務局から連絡事項をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 来月の予定をお知らせです。4月の開催予定は24日(木)16時~18時とさせていただきます。場所は別途御連絡いたします。また、本日の議事録については、作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後、公開いたします。併せてお願いいたします。以上です。
○猿田座長
 それでは、本日は閉会いたします。どうもありがとうございました。

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