ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護給付費分科会)> 第4回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会議事録(2014年3月26日)




2014年3月26日 第4回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成26年3月26日(水)13:00~15:00


○場所

航空会館 7階 大ホール


○出席者

粟田、今村、大島、河口、川越、熊坂、椿原、藤井、松田、松原、森本(敬称略)

○議題

1.平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成25年度調査)の結果について(概要)
2.平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成26年度調査)の進め方について
3.平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成26年度調査)の実施内容について
4.その他

○議事

○松岡介護保険データ分析室長 それでは、定刻となりましたので「第4回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会」を開催させていただきます。

 初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、田中委員、堀田委員は、御欠席との御連絡をいただいております。また、松田委員におかれましては、途中で御退席されることになっております。老健局長は、国会用務で遅れて参加するとのことでございます。審議官は、用務で途中退席をさせていただきますが、御了承いただきたいと思います。

 次に、会の開催に当たりまして、昨年9月の第3回委員会以降、新たに2名の方に委員にお入りいただきましたので、御紹介いたします。

 奈良県立医科大学教授の今村知明委員でございます。

 

○今村委員 今村です。よろしくお願いいたします。

 

○松岡介護保険データ分析室長 立教大学教授の森本佳樹委員でございます。

 

○森本委員 森本です。よろしくお願いします。

 

○松岡介護保険データ分析室長 では、報道の方におかれましては、写真は御遠慮いただきたいと思います。

 では、以降の進行は大島委員長にお願いいたします。

 

○大島委員長 大島でございます。よろしくお願いいたします。

 早速、議事に入りたいと思います。まず、議事に入ります前に、私から一言だけ御報告したいことがございます。新年度に入りますと、次期の介護報酬改定に向けた議論について、介護給付分科会を中心に行われることになります。その開催とあわせて当委員会も運用を行っていく必要があると思います。したがいまして、今後より柔軟な開催を可能とするためには、どうしたらいいかということを考えまして、田中分科会長や事務局とも相談した上で、委員長代理を置きたいと決めました。その職を、きょうこちらに来ていただきましたけれども、熊坂委員にお願いすることに決めましたので、よろしく御了承をお願い申し上げたいと思います。一言お願いいたします。

 

○熊坂委員 今、大島委員長からお話がありました熊坂です。微力ではありますが、皆さんのご指導の下に本委員会を盛りたてて参りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○大島委員長 ありがとうございました。

 それでは、早速議事に入りたいと思いますので、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。

 

○松岡介護保険データ分析室長 それでは、お手元の資料を確認させていただきます。

 皆様のお手元には資料1-1といたしまして「平成 24 年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成 25 年度調査)の結果について(案)」がございます。

 資料1-2といたしまして、評価シートがございます。これは束になっております。

 資料2といたしまして「平成 24 年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成 26 年度調査)の進め方について(案)」がございます。

 資料3-1といたしまして「平成 24 年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成 26 年度調査)の実施内容について(案)」。

 資料3-2といたしまして「介護保険サービスにおける質の評価に関する調査研究事業結果概要(案)」がございます。

 参考資料は1~5までございます。参考資料1は、回収率についての資料でございます。

 参考資料2は、質の評価について以前、検討委員会でまとめられた資料でございます。

 参考資料3は、第3回の本委員会におきまして主に行われた議論と、その対応についての1枚紙でございます。

 参考資料4は「平成 24 年度介護報酬改定検証・研究委員会における調査の実施について(案)」でございます。

 参考資料5は、今回の 13 個研究を行っていただきました実施一覧でございます。

 資料の不足等がございましたら、事務局までお申しつけくださいますよう、お願いいたします。

 以上でございます。

 

○大島委員長 いかがでしょうか、よろしいでしょうか。何かあれば御指摘いただきたいと思います。

 それでは早速、議事に入らせていただきたいと思います。議題1、平成 24 年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成 25 年度調査)の結果について、事務局から説明をお願いします。

 

○松岡介護保険データ分析室長 それでは、私から1~ 13 の研究につきまして、一度にまとめて概要を御報告させていただきたいと思います。

 皆様のお手元の束にあります1から順番に行ってまいりたいと思います。

 集合住宅における定期巡回・随時対応サービスの提供状況に関する調査研究事業。

 実施団体は、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング。検討組織の委員長は、藤井先生でございました。

 調査結果の概要でございます。

 事業所の特徴といたしまして、集合住宅事業所は社会福祉法人の割合が地域展開事業所と比べ低い。訪問看護、通所介護事業所を併設している事業所の割合が高い。また、介護・看護一体型の割合が4割と地域展開事業所に比べ高い。

 利用者の特徴でございます。

 地域展開、集合住宅事業所いずれも要介護1・2の割合は約5割となっております。

 集合住宅事業所では、利用者の6割以上が、医師の指示書に基づく訪問看護(介護)を利用している。

 サービス提供の特徴。

 定期訪問について、1人一日当たりの平均訪問回数は、地域展開事業所が 2.1 回、集合住宅事業所が 5.7 回となっている。

 随時対応について、1人1カ月当たりの平均コール件数は、地域展開事業所が 6.6 回、集合住宅事業所が 38.4 回となっている。また、コール件数に対する訪問対応の割合は、集合住宅事業所では9割以上が訪問対応を行っている。

 地域展開、集合住宅事業所について、定期訪問の総訪問時間を比較すると、要介護1・3・4では差が見られるが、要介護5の定期訪問では差が見られない。

 定期訪問の訪問時間帯は、集合住宅事業所が7時、 17 時台に加え、0時台の訪問割合も高い。深夜帯の提供ケア内容を見ると、集合住宅事業所は訪問の 29.1 %が見守り・安否確認のみとなっていることがわかりました。

 事業ナンバー2でございます。複合型サービスにおけるサービス提供実態に関する調査研究事業。

 実施団体は、みずほ情報総研。検討組織委員長は、松原先生でございました。

 概要でございます。複合型サービス事業所の状況につきまして。

 平成 25 10 月1日現在、指定訪問看護事業所の指定も受けている、いわゆる2枚看板の事業所が 63 %であった。

 看護職員数(常勤換算)は平均 4.3 人だった。看護職員数(常勤換算)が 5.0 人以上の事業所では、複合型サービス事業所を開設する前に訪問看護ステーションのみ実施していた事業所が比較的多かった。

 利用者の 85 %が何らかの医療ニーズを有し、小規模多能型居宅介護事業所の 62 %に比べて高かった。

 平成 25 年9月1カ月間に特別管理加算を算定した登録利用者数の割合は事業所によってばらつきがあった。看護職員数(常勤換算)が多い事業所ほど特別管理加算を算定する事業所の割合が高かった。

 複合型サービスの効果は、従来であれば入院等していた利用者がしなくて済むようになったという 47 %が最も多かった。

 複合型サービスの開設意向についての調査です。

 平成 25 10 1 日現在、複合型サービス事業所の開設予定がある小規模多能、訪問看護ステーションはいずれも3%だった。

 開設上の課題は、小規模多能型居宅介護事業所、訪問看護ステーションともに看護職員の新規確保が最も多かった。

 自治体の整備意向でございます。

 自治体にとっての複合型サービス事業所の整備上の課題は、「開設を希望する事業者がいない」 65 %が最も多かったという結果でございました。

 事業ナンバー3でございます。集合住宅における訪問系サービス等の評価のあり方に関する調査研究事業。

 実施団体は、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング。検討組織の委員長は、松原先生でございました。

 概要でございます。

 同一建物の集合住宅併設の訪問看護ステーションの特徴は、開設主体は医療法人、営利法人が多かった。また、訪問介護事業所の運営が併設なしに比べ高かった。

 同一建物に居住する利用者の特徴や訪問介護の状況の内容につきまして。

 独居が約7割を占めました。認知症の割合が高かったです。特別管理加算の算定割合は同一建物以外に比べ低かった。

 訪問介護と訪問診療・往診の利用率が同一建物以外に比べ高かった。

 訪問1回当たりの職員の滞在時間は同一建物のほうが短く、利用者一人当たりの平均訪問回数(1カ月当たり)は同一建物のほうが多かった。

 同一建物での医療処置は、服薬介助、口・鼻腔内吸引、経管栄養(胃瘻・腸瘻)が比較的高かった。

 同一建物での療養上の世話は、歯磨き・口腔内ケア、体位変換、起居の援助が比較的高かった。

20 分未満(短時間)の訪問看護の提供実態です。

20 分未満の訪問看護の利用者は、独居が比較的高かった。認知症や糖尿病が比較的高かった。

 短時間の訪問(滞在時間)の場合、移動時間も比較的短かった。

 短時間の訪問では、服薬介助、注射、経管栄養(胃瘻・腸瘻)の実施率が比較的高かった。

 短時間の訪問では、療養上の世話の実施率は低かったという結果でございました。

 事業ナンバー4でございます。介護老人保健施設の在宅復帰支援に関する調査研究事業。

 実施団体は、医療経済研究機構。検討組織委員長は、松田先生でございました。

 調査結果の概要です。

 施設の特性と在宅復帰につきまして。

 訪問サービスを運営する施設、入所時アセスメントを行う施設、居宅サービス費用が高い地域の施設は、在宅復帰率、ベッド回転率が高い施設が多い。ターミナルケア対象者が多い施設は、ベッド回転率が低い施設がやや多いという結果がありました。

 利用者の属性と在宅復帰でございます。

 入所者に占める退所見込みありの人の割合の平均は 26.2 %、退所見込みなしの人の占める割合の平均は 53.5 %でございました。

 退所見込みのない入所者(本人の状態像が原因で退所困難な入所者)は、要介護度が高い人、認知症が重度の人、常食を摂取できない人の割合が高かった。

 老健退所後の状況でございます。

 自宅退所者の 12 %、医療機関退所者の 35 %は退所後1~3カ月以内に元の老健に戻っております。医療機関から再入所した人(過去に同一施設に入所実績あり)の方の退所先は、自宅6%、医療機関 71 %であり、自宅復帰者が少ないことがわかりました。

 在宅復帰支援の現状と課題でございます。

 介護老人保健施設サービス費の在宅強化型を算定するのは 7.3 %。平成 24 年度改定を受けて在宅復帰支援に熱心な施設がふえましたが、現在、在宅復帰支援に熱心とはいえないと回答した施設も 33.2 %ございました。

 事業ナンバー5、訪問介護サービスにおける短時間の身体介護の提供状況に関する調査研究事業でございます。

 実施団体は、三菱総研。検討組織委員長は、河口先生でございました。

 調査結果概要でございます。

 算定事業所の特徴は、利用者数が比較的多く、運営主体の法人等がサービス付高齢者向け住宅等を持っている割合が高いことがわかりました。

 日中の届出をしている事業所は 14.6 %と少なく、 20 分未満の身体介護利用者は1事業所当たり平均 9.2 人いることがわかりました。

20 分未満の身体介護の利用者の特徴でございます。

 要介護4~5が 60.9 %を占め、重度者の割合が高い。居住は外部サービス利用型が 46.5 %、サービス付高齢者向け住宅等が 22.6 %と多く、持ち家は 12.2 %でした。早朝・夜間のみに 20 分未満の身体介護を利用している人が 48.3 %と多いことがわかりました。

 事業者への効果は、先を見越した迅速な対応ができるようになった、業務効率が高まった(シフト作成など)でした。

 利用者への効果は、家族の負担軽減につながった、本人・家族の安心感が高まった、一日の生活リズムが整ったなどがございました。

20 分未満の身体介護のサービス内容でございます。

 サービス提供内容としては、排泄介助、起床・就寝介助、洗面等、身体整容、更衣介助の順番に多いことがわかりました。

 定期巡回・随時対応サービスとの比較でございます。

 定期巡回では、朝、昼、夜に訪問が多く、その他の時間帯も一定の割合で訪問していますが、 20 分未満の身体介護では、早朝・夜間に訪問が集中しており、日中は 20 分以上の訪問介護で訪問している割合が高いことがわかりました。

 非算定の理由でございます。

 非算定理由といたしましては、希望する利用者がいないというのが 65.6 %、日中の要件を満たすことができないが 42.2 %と多くございました。

 算定事業所が日中の届出をしていない理由としては、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の指定(計画)が 47.8 %と最も多かったということがわかっております。

 事業ナンバー6、リハビリテーション専門職と介護職との連携に関する調査研究事業でございます。

 実施団体は、三菱総研。検討組織委員長は、川越先生でございます。

 調査結果概要でございます。

 算定事業所・利用者の状況でございます。

 算定事業所のうち、以前から同行訪問を実施していた割合は、訪問リハ 61 %、訪問介護 45 %でございました。

 利用者の要介護度は、要介護2~5がほぼ同程度(約2割)でございました。

 連携プロセスについての報告です。

 連携の提案者はケアマネジャーが最も多かった。また、利用者宅でのサービス担当者会議にリハ職とサービス提供責任者が出席し、その場で連携の必要性を確認した上で同行訪問の実施が決定づけられていた。

 ケアマネジャーに対するリハ職/サービス提供責任者からの計画署提供率は約8割であった。

 同行訪問時は、歩行・移動の動作確認や、サービス提供責任者への介助方法の助言が多く行われていた。

 連携の効果・評価・課題でございます。

 各関係者は連携をよかったと評価しております。サービス提供責任者から見た利用者への効果は、身体状態が改善(または悪化防止)したが多く、ヘルパーへの効果は、以前より安全にかかわれるようになったが多くございました。

 加算算定の阻害要因は、日程調整の手間、訪問リハ事業所の不足、サービス提供に比べた報酬の低さ、ケアマネジャーへの報酬の未設定、算定要件の周知の不十分さなどが挙げられました。

 事業ナンバー7、予防サービスの提供に関する実態調査でございます。

 実施団体は、三菱総研。検討組織委員長は、川越先生でございます。

 調査結果概要です。

 利用者特性です。

 利用者の ADL を見ると、おおむね介助を必要とはせず、 IADL を見ると、介助を必要する者が一定程度おりました。認知症対応型通所介護・短期入所系・居住系サービスの利用者は、他サービスと比較すると介助を必要とする者が多かったです。

 サービス内容でございます。

 訪問介護の内容は生活支援サービスが中心で、その内容は掃除、買い物が多かった。

 通所における個別機能訓練/個別リハ受給者割合は、通所介護約5割、通所リハ 76 %でございました。

 サービスマネジメントについてです。

 機能/状態の向上を目標設定した割合は、訪問リハでは 68 %、通所リハでは 34 %で高く、訪問介護では 17 %、認知症対応型通所介護では4%と低かったです。訪問介護は維持が約7割を占めていたことがわかっております。

 社会参加(事業所内)を目標設定した割合は、通所介護で 25 %、認知症対応型通所介護で 46 %と高かったです。

 地域での社会参加を目標設定した場合は、各サービスとも5%程度にとどまっておりました。

 短期入所時の配慮内容を見ると、日常生活の継続、転倒防止などがありました。

 短期目標の達成率は、目標が維持中心のサービスより、向上中心のサービスのほうが低かったことがわかっております。

 地域支援事業の受託状況でございます。

 受託率は訪問リハ、通所介護、通所リハで1割強でございました。

 事業ナンバー8、認知症対応型共同生活介護のあり方に関する調査研究事業でございます。

 実施団体は、株式会社富士通総研。検討組織委員長は、藤井先生でございます。

 調査結果概要でございます。

 ケアの状況です。

 食事・入浴・排泄の介助では、7~9割の事業所が入居者本人の意思や状態等に応じた支援を実施しておりました。

 約3分の2の事業所は認知症の専門医師による訪問診療や往診を実施しております。

 看取りまでの継続支援を行う意欲のある事業所は 84 %と多かったですが、実施できている事業所は2割であったことがわかりました。

 職員体制やスキル、育成についてです。

 職員の 36.6 %は介護福祉士を保有しておりまして、医療的資格を有する職員の配置は数パーセントにとどまりました。

 介護従事者の 68 %は常勤、常勤職員比率が8割以上の事業所は 41.1 %でございました。

 必要とされる研修は職員の 38.6 %が修了。事業所内外での現任者向けの研修は8割超の事業所で実施していることがわかりました。

 今後評価すべき機能・類型でございます。

 制度創設時からの個別ケアの理念を遵守し適切に運営する事業所群A群、加えて ADL の重度化にも対応し看取りまで支援する事業所群B群を抽出いたしました。

 抽出された事業所群については、それぞれ入居者の状態や職員体制などで特徴が現れております。

 認知症かつ認知症以外の精神科疾患のある者や精神科病院からの退院・再入院を支援する事業所群についても試行的に特徴等を分析しております。

 事業ナンバー9でございます。認知症の人に対する通所型サービスのあり方に関する調査研究事業でございます。

 実施団体は、社会福祉法人浴風会。検討組織委員長は、粟田先生でございます。

 調査結果概要でございます。

 認知症の専門的ケアの実践状況でございます。

 回答のあった事業所の多くは認知症の専門的ケアについて実践できていると回答し、認知症の症状が軽減されたケースが多かったです。また、他の介護保険サービスを断られた経験のある人の受け皿として、認デイが利用されているという報告がございました。

 医療的措置が必要な人への対応でございます。

 受け入れは積極的に行われており、聞き取り調査では看護職が行っているとの報告がありました。

 事業所経営の課題といたしまして、稼働率の全体平均は 58 %で、回答者の主観として黒字と回答した事業所は約 41 %、赤字と回答した事業所は約 35 %でございました。

 利用者確保や利用者の欠席に困っていると回答した事業所の割合が6割を超えております。利用者確保に困難を感じる理由として、入院や入所となる利用者が多いこと、区分支給限度基準額により、ショートステイや通所介護の利用を優先する家族が多い等の報告がございました。また、欠席の理由としては体調不良が最も多く、次いでショートステイの利用、通院となっております。

 家族支援の実施状況です。

 個別の介護アドバイスは実施率 94.2 %でございまして、個別の相談受付(同 95.6 %)は実施率が高いのですが、介護者勉強会の開催は 29.8 %にとどまっております。しかし、聞き取り調査では、介護者にケアの手法や対応の仕方などを伝えることで家族が認知症に対する理解を深め、心理的負担が軽減することや、本人への対応に変化が見られたといった報告がございました。

 事業ナンバー 10 、介護サービス事業所における医療職のあり方に関する調査研究事業でございます。

 実施団体は、三菱総研。検討組織委員長は、松田先生でございます。

 調査結果の概要でございます。

 通所介護・通所リハ事業所タイムスタディ調査結果でございます。

 一日の業務時間に占める個別機能訓練/個別リハの割合は、通所介護で2割、通所リハで4割でした。多職種(2職種以上)が一堂に会したカンファレンスの実施状況は、通所介護では4割強、通所リハビリテーションでは9割強でございました。また、調査当日に、通所介護では8割強、通所リハで9割弱の事業所が、機能訓練指導員あるいはリハビリ専門職が介護職員への指導業務を行っていなかったことがわかっております。

 看護職員タイムスタディ調査でございます。

 看護職員の一日の総業務時間に占める、看護職員が実施する必要性区分別の割合について見てみますと、介護老人福祉施設、特定施設入居者生活介護ともに、一日の業務時間の 60 %以上が看護職員が実施することが法令等で定められている業務を行っている事業所の割合が9割を超えており、短期入所生活介護では8割、複合型サービスでは7割を超えておりました。通所介護・認知症対応型通所介護・小規模多能型居宅介護では4割程度、訪問入浴介護では3割程度でございました。ただし、訪問入浴介護の入浴業務においては、看護職員による介入が必要な業務の占める時間がおおむね9割程度であったこともわかっております。

 事業ナンバー 11 、生活期リハビリテーションに関する実態調査でございます。

 実施団体は、みずほ情報総研。検討組織委員長は、川越先生でございました。

 概要でございます。

 利用者特性(在宅サービス)についてでございます。

 通所リハと通所介護を比較すると、要介護度はほぼ同じであった。自立度の組み合わせでは、通所リハは両自立度とも軽度の割合が約 20 %、通所介護は両自立度とも重度の割合は約 16 %と高かったです。

 訪問リハ利用者は、通所リハ、通所介護と比べて要介護3~5の割合が多かったことがわかっています。

 訪問リハ、短期入所療養介護は、他サービスに比べ要介護5の医療処置(経管栄養など)を必要とする者の割合が多かったです。

 サービスマネジメントです。

 訪問リハでは機能等の向上を、短期入所療養介護、短期入所生活介護では、維持を目標とした割合が多かったです。各サービスとも社会参加(地域)を目標に設定した割合は少なかったということがわかっております。

 短期目標の達成率は、目標が維持中心のサービスより、向上中心のサービスのほうが低かったことがわかっています。

 在宅サービスの提供の効果とリハ職配置状況から見た影響です。

 両自立度とも軽度の利用者の要介護度の軽度化率を見ると、訪問リハ 15 %、通所リハ 14 %、通所介護 11 %でございました。

 通所介護では、リハ2職種以上配置で、リハ職なし、リハ1職種配置に比べ、要介護度の軽度化率が高かったこともわかっております。

 老人保健施設における退所支援状況でございます。

 自宅復帰率(定員に占める自宅退所者の割合)を見ると、在宅強化型老健では平均7%、在宅復帰・在宅療養支援加算取得老健では平均5%でございました。

 事業ナンバー 12 、集合住宅における小規模多能型居宅介護の提供状況に関する調査研究事業でございます。

 実施団体は、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングでございます。検討組織委員長は、森本先生でございました。

 概要です。

 事業所の基本情報、同一建物内にある住まいの状況でございます。

 事業所と同一建物内にサ高住等がある事業所は 15.8 %でございました。

 一事業所当たり職員数は平均 11.2 人、利用登録者数は平均 18.3 人でございました。

 過去1年以内に事業所内で看取りを実施した事業所は 14.9 %でした。

 サービス提供回数、提供パターンでございます。

 サ高住等の利用者に対しては、通いプラス訪問のサービス提供パターンが多く、宿泊はほとんど提供されておりません。

 要介護度が軽い場合は、通いを含む利用パターンが多く、要介護度が重いと宿泊を含むパターンが多いこともわかりました。

 1カ月間の宿泊回数は0回が約半数を占め、他方、1カ月間宿泊を継続する利用者も 11.2 %おりました。

 住居の形態別に見た利用者の特性やサービス提供状況でございます。

 サ高住等では独居の割合が高く、介護できる人がいないという割合が高かったです。

 利用開始前の居場所は、サ高住等で市外が 10.1 %、利用開始までの紹介経路は病院がやや高かったという傾向があります。

 他のサービス利用について、サ高住等で往診・訪問診療、居宅療養管理指導が比較的高かったことがわかっています。

 特養待機の利用者では、戸建ての方がサ高住に比べ、やや高かった。

 サ高住等の利用者では送迎がない割合が高かった。

 1週間の合計サービス提供時間は戸建てで 3,674 分、サ高住等で 2,330 分であったことがわかっています。

 事業ナンバー 13 、有床診療所における医療・介護の提供実態に関する調査でございます。

 実施団体は、三菱総研でございます。検討組織委員長は、今村先生でございました。

 概要でございます。

 介護療養病床を有する有床診療所は、その6割強が在宅療養支援診療所の届出をしており、在宅医療の拠点としての機能を果たしている診療所が 67.3 %、通所リハや短期入所療養介護等を提供している施設が約4割見られております。一方、介護療養病床を有さない有床診療所は、専門医療を担い、病院の役割を補完する機能を有している施設が5割超でございました。

 有床診療所(介護療養病床あり)では、8割弱が介護サービスの提供をふやしたいあるいは現状のまま維持したいとしておりましたが、短期入所療養介護の受け入れについては、地域でのニーズが見込めないこと、事務手続の煩雑さ、採算がとれないことなどから、今後、積極的な受け入れは行わない施設が4割に上っております。

 一方、有床診療所(介護療養病床なし)の 25 %は、何らかの形で介護サービス提供にかかわる意向を示しておりますが、診療所において短期入所療養介護サービスを提供できることを知らないという施設が半数を超えておりました。また、短期入所療養介護の提供意向については、6割が今後の提供に対して否定的でございまして、その理由として採算がとれないため、事務手続が煩雑なためというものが挙げられております。

 病床転換については、介護療養病床を医療療養病床に転換を考えているという回答が多かったということがわかりました。

 資料1-2もつけております。これは、評価シートでございまして、1~ 13 の事業につきまして行っていただきました検討組織委員長が、自己評価という形で評価を行っております。結果から導かれる結論の妥当性につきましては、最終報告が出た段階で改めてつけることになっておりますので、現在の段階ではブランクになっているところでございます。

 私からは以上でございます。

 

○大島委員長 ありがとうございました。

 時間の限りがある中で、膨大なデータの概要を説明いただきましたので、数字がうわっと並んでいますから、いきなり言われてもこの数字をどう解釈していいのかというのは、なかなか普通の人にはわかりにくいと思います。

 1番目の議題については、結果が一応こういう状態であったというのを数字を中心に出されたわけですが、調査内容、調査方法については、随分これまでの会議の中で検討されて、そして、具体的にそれを調査する研究者については、こういったことについて責任を持ってやることのできる、実績のある研究者を委員長、委員に選んで行ってきたと。これは全てオープンにして、こういった形でやりますということで行われてきましたので、基本的にこの研究調査事業というのは、信頼できるという前提に立って考えていただかなければいけないと思いますし、これがもし信じられなければ、何も信じることができないことになります。

 まず、その前提に立って、しかし、それでもきょう聞いて、あるいはきょう初めてこの調査を見て、専門家の方たちから見て、これはちょっと疑問だぞとか、これは納得いかないとか、あるいはこれはどういうことなのか説明していただきたいという点があれば、御議論をいただきたいと思います。次にこれをどう使っていくかというのは、次の議題で検討いただきますので、調査の結果を見て疑問だ、あるいは納得いかないということがあれば、専門家の目から見て御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 熊坂委員どうぞ。

 

○熊坂委員 ただいま大島委員長からお話がありましたけれども、私からは納得いかないということではなくて、納得いくというお話をまずさせていただきたいと思います。

 注目していました回収率ですけれども、一般的な回収率ですと大体4割、少なくとも3割いけば信頼に足るということになっていますので、ほとんど4割以上いっていますし、高いものに関しては6割、7割いっていますので、十分信頼に値するデータだと考えます。その上で、各専門家の委員長さんがいろいろと努力されて纏めていますので、私も今、大島委員長が言われたとおりの意見です。次期介護報酬改定のとても重要な資料になりますので、この資料自体が十分に議論の信頼足り得ることを、まず私自身も確認させていただいたところです。

 以上です。

 

○大島委員長 ありがとうございます。

 ほかに御意見いかがでしょうか。今村委員どうぞ。

 

○今村委員 結果や調査のフレームそのものについては妥当であると考えております。回収率5割を超えていることからも、非常にいい調査結果だと思っております。

 ただ、その中で、全体に基本情報を全部の調査で書いてもらっていまして、回収された施設の法人の率や医療法人の率が出てきているのですけれども、これを本来、全数調査は国のほうで統計情報部によってされていますので、その比率とここに出てきた比率を確認すると、抽出がうまくいっているかどうかがわかりますので、それぞれのところで基本情報として今回の調査で回収された入所者の介護度の割合とか出ていますので、それと全国の数字とを比較して妥当かどうかをまず見てもらうのが必要だと思います。調査結果そのものは大体よく反映されていると思いますけれども、それでもどうしても大規模なところばかり返ってきている可能性はあって、ある程度偏っている可能性があると思います。偏っているのだったら、偏っている前提で後ろの調査結果を読む必要があると思いますので、調査は成功していると思うのですけれども、偏りがあるかないかを基本情報の中でもう少し加筆していただいて、それを後ろの調査の読み方として書いてもらうことを少し今後の出し方の、特に概要の部分で工夫していただければと考えます。

 

○大島委員長 事務局、何か御意見はありますか。

 

○松岡介護保険データ分析室長 ありがとうございます。基本的な情報と、既存のデータが合っているか合っていないかは当然見ることが必要だと思います。委員の先生方も妥当性については一度検討してやるということで、9月のときだったと思いますけれども、皆さん合意されていると思いますので、その手法については先生方にお任せするという話になっていたと私は記憶しておりまして、今後の最終報告をまとめる中で、必要に応じてそういったことをやっていただくのだろうと思っておりますので、そういうことでよろしゅうございますか。

 

○大島委員長 基本情報の提供そのものは難しい話ではないですよね。

 今村委員どうぞ。

 

○今村委員 基本情報は公共情報なので、確認はそれぞれのところでしていただいていると思います。ただ、今回これを見させていただいて、我々が見たときに一緒かどうかは見られないので、基本情報の対比になるような部分をここに書いてもらったほうがいいという話です。

 

○大島委員長 それはそう難しい話ではないですよね。何か首をかしげているのは。

 

○迫井老人保健課長 老人保健課長でございます。

 本日は、まずは調査結果がまとまりましたという御報告ですから、今、松岡室長から説明させていただきましたけれども、改めまして、先程の御指摘も含めて、今後、最終報告書をまとめる段階で、それぞれの研究チームといいますか作業の中で確認させていただきたいという趣旨でございます。基本的には、今のような御指摘は以前もございましたので、個々の委員長にお知らせしておりますけれども、改めましてもう一度お願いした上で最終報告で対応させていただきたいと思っております。

 

○大島委員長 よろしいですか。

 ほかにいかがでしょうか。松田委員どうぞ。

 

○松田委員 各調査、非常によく頑張っていただいて、いい結果が出ていると思うのですけれども、多分、全体図が必要なのだろうと思います。要するに、個々の研究がお互いにどう関係しているのかがわかるような全体図をつくっていただくなりして、まとめていただくと、多分第三者がお読みになって活用されるときに有用だと思いますので、相互の関連がわかるような形のまとめ方をしていただければと思います。

 

○大島委員長 今の松田委員の御提案については、いかがですか。

 

○迫井老人保健課長 御指摘の点、可能な限り対応させていただけるように、事務局と松田委員とで御相談させていただきながら作業を進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 

○大島委員長 ほかに御意見いかがでしょうか。

 いきなり結論めいたことを言うようですが、非常にいいと言うと言い過ぎかもわかりませんが、よく頑張っていただいて、おおむねデータについては妥当であるとお認めいただいたということで、先へ進めさせていただくということでよろしいでしょうか。

 

(「はい」と声あり)

 

○大島委員長 ありがとうございました。

 それでは、議題2。では、このデータをこれから一体どのように使っていくのかという方向に進ませていただきたいと思います。

 議題2、3を一括して、平成 24 年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成 26 年度調査)の進め方について、そして、平成 24 年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成 26 年度調査)の実施内容について、説明をお願いします。

 

○松岡介護保険データ分析室長 それでは、事務局より御説明させていただきます。今から使います資料は資料2、資料3-1、資料3-2、参考資料4を使わせていただきます。

 皆様のお手元にあります資料2をまず御説明いたします。

 今後のスケジュールでございますが、本日、平成 26 年度調査の内容、先ほど皆様におまとめいただきました平成 25 年度調査の概要結果につきましては、あした開かれます「介護給付費分科会」におきまして御報告させていただきます。もし、御了承が得られますれば、これから御説明いたします平成 26 年度調査についてスイッチが入るということになります。

 4月・5月に、仕様書を作成し、受託機関を決定します。6月に、受託機関が決定した後、調査票などをつくりまして、7月に調査票の決定・了承というプロセスを経ます。8月・9月に集計・分析・検証を行いまして、 10 月に一旦、速報値を報告させていただく研究もあろうかと思います。これにつきましては、若干早く出たものにつきましては、やるということもあるだろうということで、このような機会を設けております。 11 月・ 12 月におきましては分析・検証を行い、2月まで続けられます。3月以降につきましては、きょう、あした行われるようなプロセスがもう一度繰り返されまして、調査研究に対する評価、評価の了承というプロセスを経て進んでいきます。

 平成 26 年度調査はどのようなものをということでございますが、参考資料4「平成 24 年度介護報酬改定検証・研究委員会における調査の実施について(案)」がございますが、これはずっと昔の資料ですので「(案)」がとれているのですが、2番にありますように、審議報告で検討が必要とされた項目がございます。この項目を解き明かすために、今回の調査研究が行われているとお考えいただければと思います。

 これを仕上げるためにということがございまして、今までやってきたものに積み上げるような形で調査研究事業を平成 26 年度に行わせていただくものが、資料3-1の「2.調査項目」の ( ) ( ) までは大体積み上げだとお考えいただければと思います。 ( ) 集合住宅の入居者を対象としたケアマネジメントの実態に関する調査研究事業、 ( ) 複合型サービスにおけるサービス提供実態に関する調査研究事業、 ( ) 介護老人保健施設の在宅復帰支援に関する調査研究事業、 ( ) 介護サービス事業所における医療職の勤務実態および医療・看護の提供実態に関する横断的な調査研究事業、 ( ) リハビリテーションにおける医療と介護の連携に係る調査研究事業というものでございます。

 そして、もう一つ、これらに含まれていないといいますか、昨今、調査が必要だと考えられておりますものといたしまして事務局から提案させていただきたいものは ( ) ( ) です。 ( ) は介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業でございます。これにつきましては、後ほどまた少し御説明させていただきます。もう一つは ( ) 中山間地域等における訪問系・通所系サービスの評価のあり方に関する調査研究事業です。 ( ) につきましては、地域包括ケアシステムを全国津々浦々でやるに当たって、中山間地域におけるサービス提供実態がどのようなものであるかについて知見を得るものでございます。

 最後に回しました、 ( ) 介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業について、若干補足的な説明をさせていただきます。

 資料3-2をごらんいただければと思います。横紙でございます。

 この結果概要と書いております調査研究事業は、今回皆さんに御審議いただいております改定検証・研究委員会のフレームワークではなく、独自の事業として厚生労働省が行った事業でございます。質の評価に関する調査研究事業を行うに至った理由といたしまして、1ページから御説明させていただきます。

 1パラグラフ目を見ていただければと思います。平成 18 年度より今後の課題ということで、質の評価は位置づけられてきたわけでございます。平成 21 年度には検討委員会を設置し、検討が行われたところでございますが、また、日本経済再生本部の「産業競争力会議」でも同様に、これはきちんとやらないといけないという形で指摘されております。

 このような背景がございまして、私どもといたしましても、質の評価についてもう一度調査を行わなければならないということを考えて、今回、基礎的な土台となるような調査研究をやったものでございます。

 この調査研究は、質の評価の検討におきまして、持続的・現実的に収集可能なデータ及び収集の仕組みについて検討を行うことを目的として実施されております。

 また、これまでの質の評価に関する検討は、基本的に利用者に対するサービスが単一の施設から提供されている施設サービスを対象として実施されてきていますが、今後は居宅サービスについての質の評価に関する検討も重要であることから、施設サービスと居宅サービスを対象として実施しています。

 このようなことで、今回のこの調査研究におきましては、介護老人保健施設と通所介護、居宅介護支援を対象として調査研究が行われております。

 2ページでございます。検討組織を設置して、この研究は行われております。この検討組織の中には、本検証・研究委員会に御参加区いただいております川越先生、藤井先生、松田先生にも加わっていただき、松田先生には委員長をお願いしております。

 3ページです。調査対象と方法ということですが、3つの視点でやっております。1つ目は、国内におけるプロセス・アウトカム評価に向けた先行的な取り組みの精査ということでございまして、3つのサービスにおいてデータ収集がどのようになされているのかという基礎的なデータをとったものでございます。

 先行的な取り組みといたしまして、介護老人保健施設における R4 システム。通所介護事業所の一部でやられている MILK システム。それから、居宅介護支援におけるアセスメント項目の整理とデータ収集があります。

 2つ目といたしまして、持続的にデータ収集が可能な仕組みの検討ということで、どのような形でデータをとっていけば持続的にデータがとれるのかということを検討しております。

 3つ目が、海外の介護サービスの質の評価の取り組みの整理ということで、海外9か国の取り組みについて整理しております。

 詳細につきましては、時間もないのではしょらせていただきまして、最後のまとめにまいります。 12 ページでございます。

 まず、3つある事業のうちの1つ目でございます。先行的な事例などについての整理でございますが、(マル1)ケアの質を評価するための項目(評価指標)の考え方についてということでございます。

 本研究では、現在の仕組みで収集することが困難なプロセス・アウトカム情報として提供されているサービス内容及び精神及び身体・精神状況の情報を収集し、持続的に蓄積・分析が可能かどうかの検討を行っております。

 その結果といたしまして、今後、現実的に収集可能な情報及びそれを活用したサービスの質の評価手法の検討に向けた可能性を明らかにしております。

 ただし、先行的に取り組まれている事例によるデータでは、記録の定量化などの面で課題が指摘されておりまして、今後、介護保険制度に導入する項目については留意が必要になるというまとめがなされております。

 例えばということで、下に今回調査を行いました介護老人保健施設、通所介護、局宅介護支援における可能性と課題をまとめているところでございます。

 次の 13 ページでございます。(マル2)評価指標活用のためのスキームについてというまとめをしております。

 データ項目を長期的に蓄積し、具体的なケアの質の評価手法を検討可能とするためには、提供元である施設・事業所から継続的に情報収集を行えるような現実的な枠組みが必要である。

 サービス利用者個人別のデータを蓄積する同様の仕組みとしては、介護保険総合データベースがございます。同様に、介護報酬請求の仕組みを活用し、要支援・要介護認定情報、介護給付費請求情報と照合可能な形式で蓄積することが考えられないか。

 仮に、このような請求の仕組みを活用する場合には検討すべき事項はまだまだありますので、サービスの質の評価手法とあわせて検討を進める必要があるということでございます。

 (マル3)海外の介護サービスの質の評価の取り組みの整理でございますが、これにつきましては、アメリカから韓国まで9カ国についての公表情報をもとに、どのような質の評価の取り組みが行われているかについてまとめたものでございます。

 これらにつきまして、私どもは非常に短い時間ではありましたが、基本的な議論の土台となるようなデータを収集させていただきましたので、これをもとに平成 26 年度1年間かけて、介護保険サービスにおける質の評価をどのように考えるのかを議論させていただきたいと思います。この検証・研究委員会の中で取り上げていただき、調査などを行わせていただきたいというところでございます。

 以上でございます。

 

○大島委員長 ありがとうございました。

 ただいまの説明について、何か御質問・御意見等ございますか。椿原委員どうぞ。

 

○椿原委員 質の評価をするということですので、利用する障害者側の状態がどれくらい変化するのかという客観的なデータがやはり必要になると思うのですが、この調査では例えば ADL であるとか QOL であるとか、そういった変化までとらえる予定でいらっしゃるのか、その点はいかがでしょうか。

 

○松岡介護保険データ分析室長 非常に厳密な ADL IADL を計測しようとすると FIM とかいろいろな方法があるだろうと思いますけれども、介護現場で用いられるものでございますので、非常に厳密で専門家しか使えないような指標というのは、なかなか取り組みにくいのだろうというのは想像にかたくないのかなと思っております。私どもが今回、先行的な事例として見させていただいたのは、 ICF ステージングのような手法を使ったような R4 MILK というものでございますけれども、これらがどこまで科学的に厳密性があるのかについては、もう少し我々も情報を得なければいけないと思っておりますし、逆に、厳密な科学性を少し失ったとしても、現場で使えてきちんと利用者の状況変化をとらえるものであるならば、使うことは可能なのかもしれないとは思っています。しかし、私どもとしては余り余談を持ってある評価方法がいいとか悪いということは言わず、全部とりあえず見てみて、どのようなものを現場で実際に使っていくのか、使えるのかについて検討させていただきたいと思っております。

 

○大島委員長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

 今村委員どうぞ。

 

○今村委員 質の評価の内容について、これをやっていくことは賛成ですし、必要なことだと思います。その上で、 15 年くらい前に介護度を決めた際に、私はデータの提供や評価のことをさせていただいた経験があって、今の介護度を決めるときに、どの調査をベースにするかという議論の際にはいろいろとあって、たしか MDS-HC をベースに考えようということになったと思うので、今の介護度の指標というのは MDS-HC をベースにつくられていると思います。ですので、これで質を評価していく方法を新たに考えていくということは、介護度を考えた経緯そのものを考えると、もう一遍介護度に返っていくと考えていくのですか。それとは別に介護度は今までどおり残して、その結果としての質だけを見ようということなのでしょうか。今まで全て MDS-HC をベースに考えてきたと思うので、その辺の整理が必要なのかなと思って聞かせていただきました。

 

○迫井老人保健課長 今の御指摘、要介護認定の要介護度との関係についての御指摘ですが、私ども今回は、サービスの質の評価という切り口、要介護認定の制度とは全く切り離して、認定制度、要介護の判定自体は基本的には現行制度の運用を前提としております。それとは別に、介護報酬で今、評価している報酬体系がございますけれども、そこと最終的にどういうふうに絡めるのかというのは、次なるステップですので、また別の次元だとは思いますけれども、まずは先ほど松岡室長が経緯でも御説明させていただいたとおり、介護の質を高めて、よりサービスの充実を図る上で質の評価が不可欠であると。それに対する答えとしてどのようなフレームワークが可能かを、これまでも検討してまいりましたけれども、引き続きさらに幾つかの視点を加えて検討させていただきたいという趣旨でございますので、要介護認定の制度とは切り離した形で検討させていただきたいということでございます。

 

○大島委員長 よろしいですか。いかがでしょうか。

 政策に落とし込むという場合には、いわゆる学術的な要素だけではなくて、ほかの要素が物すごく複雑に絡み合ってきますので、その中で全体のマジョリティーのより多くの人によりいい結果が得られるのは、一体どういう指標がいいのかというところに多分いくのだろうと思いますけれども、それをやり始めると多分物すごい議論になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 松田委員、これをまとめられて、今のような議論も含めて、あるいは問題点あるいはこれからどうしていくかという概括的なことも含めて何か御意見があれば。

 

○松田委員 基本的には非常に短時間での調査でしたので、よくここまできれいにまとめていただけたなと思っているのですけれども、やはり質の評価をするためには基盤になるものとしてアセスメントがないといけないわけですが、これで調べていただいているのですが、アセスメント項目がからかなりバラバラになっているという現状があります。

 あとは、アセスメントした結果と大体 MDS-HC とかそうですけれども、トリガーと言ってこの項目がチェックされると大体こういうサービスが必要ではないかという対応表があるのですが、必ずしも日本のアセスメント表というのはそういう形でつくられていないという問題があるので、そういうものを少し海外の事例なども考えながら、現行集めている調査や、現行で集めることができるような項目で、どのような質の評価手法を海外の事例などを参考にしながらできるのかということを考えていくことが次年度の調査になってくるのだろうと思います。

 ただ、いろいろ海外の事例を見てみても、国内でいろいろな主体でやられている質の評価のプロジェクトも、大体方向性としては同じようなところをやってきているので、それほど難しい作業にはならないのではないかと考えています。

 

○大島委員長 ありがとうございました。いかがでしょうか。御意見ほかにございますか。

 熊坂委員どうぞ。

 

○熊坂委員 先ほど質問しようと思ったのですけれども、松田委員も私も健康日本 21 (第2次)の策定委員だったのですが、松田委員が先ほど全体のまとめの必要性について、介護保険データ分析室長さんに答えていただきましたけれども、私もすごく大事だなと思っています。委員が今の発言に絡んでイメージしている全体のまとめというのは、多分、前回の健康日本 21 (第1次)の結果がパッとしなかったことを踏まえ、健康日本 21 (第2次)では全体を俯瞰できるチャートをつくったと私なりに理解しているのですけれども、ああいったイメージで考えられたのでしょうか。

 

○松田委員 いろいろなことを考えてしまっているのですけれども、例えば、 ADL とか IADL の変化そのものを目標にしてしまうと、加齢とともに下がってきてしまうものですから、そうすると加齢の要因を除かなければいけないという技術的な問題があります。諸外国ではそういうことを補正するために、いわゆる予測モデルをつくっていて、例えば、この集団、個人レベルでもいいのですけれども、何もしなければこうなっていくという設定をして、実際にそれに対してどのくらい下がらないかという技術論的なことがあるのですけれども、多分、そういうことも少し考えていかなければいけないのだろうと思っています。

 その上で、医療と違って非常に難しいところが、介護保険の場合には同じ状態像の患者さんに対して、その人の ICF 的な見方に従って、複数のサービスの張りつけ方があるわけです。医療の場合、例えば胃がんなら胃がんというものに対して、こういう手術をしてどうだという、割とストレートファードに指標の設定ができるのですけれども、介護の場合には、同じ状態像の人にその人のいろいろなものに従って、複数のサービスを組み合わせていくというものがありますので、ここで今、先生がおっしゃられたことに関係してくるのですけれども、その複数のサービスを組み合わせるときに、組み合わせることができるサービスは地域の資源によってくるという制約要件が出てきます。そうすると、介護の質の評価というのは、恐らく2つ分けて考えなければいけないのだろうと思います。それは既に前回の報告書に出ていますけれども、多分、個別の介護技術の評価と、介護技術がうまくいくためのシステムとしての評価。多分これはどちらかというと、地域包括ケアをどう実現していくかという、仕組みとしての評価と個別の技術論としての評価の2つを分けて考えていく必要があるのだろうと思います。先生が今おっしゃられたことはどちらかというと、仕組みとしての評価をどうやるかということになりますので、そうすると、そこにあるサービスの利用可能性とか、そこに対するアクセスのしやすさ、組み合わせのやりやすさとか、そういうものを評価するという指標になってくるのだと思います。それと別に、個々の事業者の個々のサービス技術を評価するという指標をどうつくっていくかという、多分この2本立てで介護の質の評価の体系をつくっていくこにとなるのではないかと考えております。

 

○大島委員長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

 こういった調査結果や研究結果というものを政策に落とし込むというのは本当に難しいなとつくづく思うんです。特に、高齢化に向けて、高齢者の状態あるいは要介護と一言で言うのは簡単ですけれども、高齢者の多様性や個別性、そして今のお話にも出ましたけれども、地域による資源の状況、それに対する対応のあり方、文化といったものまで含めていくと、こういったいろいろな変数の中で、 100 %なんて絶対にあり得ないことはだれもわかっているわけで、そうすると、効果を最大化しようと思うと、本当に不確定な要因の中のどの部分をどういうふうに合わせると効果が最大化して出てくるのだろうかを常に考えなければいけない。そこで、専門家が本当に頭をひねらせて、今挙げられてきたような幾つかの調査結果と、そこから出てくる数字と、調査のあり方の信頼性を総合的に考えて、これが今考えられる一番いいものだろうというものをひねり出すしかないのだろうと思います。

 そういう状況の中で、きょう出された調査結果をどういうふうに利用していったらいいのかというところで今、専門家が頭をひねっているという状況かと思いますが、いかがでしょうか。

 今村委員どうぞ。

 

○今村委員 今のことに関連して、最初の質問ですけれども、介護度を決めるときの議論と、今の議論は非常に似ていて、同じようにたくさんの介護度をはかるための指標がずっと並んでいて、そのうちどれを選びますかと、どれが一番質を代表しますかということを議論していって、結局、全部一長一短で、最後は政策的にどれか決めなければいけなくなって、この MDS-HC ということになって、その最後のさまざまなサービスの組み合わせがあるから、最終的には合計サービス金額ということに集約しようという話になって介護度が決まっていったという議論の経緯があると思います。質を触っていくということは、結局そのときの議論をもう一回繰り返していくよう形になると思うので、一番最初に介護度を決めたときの議論は教訓として踏まえていただいて、その上で今のことを議論していく必要があるのではないかと。本当に 15 年ぐらい前のフラッシュバックがあるような気がいたしますので、そういった面もぜひ考えていただく必要があると思います。

 

○大島委員長 いかがでしょうか。

 今の今村委員の御意見というのは非常に重要な御意見だと思います。一方で、全く制度がない状況の中でどういう制度を設計するのかという状況と、一旦制度が走り始めてしまった中で、その制度をマイナーチェンジをするというのはそんなに難しいことではないと思いますが、制度として一応定着してしまうと、その影響度というのは物すごく大きいんですね。これを根本から変えようということになると、よほど説得力のあるというか、よほどマイナス面が強調されて、極端なことを言えば、こんなことでは全く意味がないというぐらいの状況であれば、制度の改編は避けられませんが、一方で定着しているものをを変えようというのは大変なエネルギーと、大変な状況が出てくるというのは事実だろうと思います。かといって知らん顔をしていればいいのかという話ではもちろんないのですが、そういう一旦決まった制度を改変しようと思うと、それぐらいの大変な状況があることを充分に理解して見ていかなければいけないとも思います。しかし、では、そうだから何もやらないでいいのかというと、話は全く別だと思います。

 いかがでしょうか。松田委員どうぞ。

 

○松田委員 幾つかあるのですけれども、1つは、今回の調査をどう生かしていくかという話ですが、自分の担当以外のところをしっかり見られているわけではないのですが、例えば、医療職の役割についてやった調査ですと、結局、状況に応じて医療の必要性が違うということを示唆する結果が出てきています。ということは、多分、今の日本の介護保険制度のアセスメントでは、必ずしもアセスメントの項目とトリガーされた対応は明示的にはないわけですけれども、実際には利用者の状態に応じて、医療の必要度みたいなものが違うサービスが実際には提供されているという事実が一方であります。

 その一方で、諸外国や老健協会がやっている今までの調査結果を見ると、医療的なイベントというのが要介護度が悪化していくのに非常に重要な要因になっている。それを防ぐことが多分、要介護度が悪化していかないためにも重要な視点であると、これが多分質の評価の指標になっていくのだろうと思います。

 そうすると、私が担当したところで言うと、状態に応じて医療の提供状態がどうも違うということと、この質の評価と組み合わせていけば、諸外国でやっているように医療という介護の中での医療サービスに近いところでいろいろな指標をつくってくることができるのかなと思います。そうすると今回の調査結果を踏まえて、そういうものに対応したような評価指標を質問票に入れていただいて、それをとるということでやっていただければいいのではないかと思います。

 ですから、今回いろいろとやられた結果が、例えば、老健施設の在宅復帰などでも、地域の状況に応じてかなり在宅復帰率が違ってくるというのが出てきています。そうすると、地域の状況を踏まえたものをネットワークをどう評価するかという話になってくるのだろうと思います。例えば、今アメリカではペイシェントセンタード・メディカル・ホームというネットワークそのものを認証して、それに対してお金をつけるということをやられていますが、そのネットワークに対してそれが認証されるためには一定の質をクリアーしないといけないということがあります。そうすると多分、先ほどの熊坂委員のお話にも関係してくるのですけれども、ネットワークの質と個々のサービスの質という形で、多分2つの種類の指標がつくれてくるのだろうと思います。そういう形で、今回の結果を整理していただいて、来年度の調査の中での仮の指標がわかるようなものを組んでいただければいいのではないかと思います。

 

○大島委員長 非常に貴重な御意見だと思いますが、いかがでしょうか。

 粟田委員どうぞ。

 

○粟田委員 介護の質を評価するために状態像を総合的にアセスメントしていく、障害をアセスメントしていくというのは、私も正しいやり方だと思います。しかし、これまで介護の質に影響を与えてきた一つの要因として、障害の背景にあるものをきちんと把握してこなかったという問題が大きいのではないかと思います。先ほど医療の話も出ましたが。特に、今回の調査で予防サービスの調査結果について、私は大変感銘を受けて聞かせていただいたのですけれども、今回、予防サービスを受けている方の多くが身体的 ADL は保持されているけれども、 IADL が障害されている人が非常に多いという結果でした。これは認知症対応型の通所介護や共同生活介護に限らず、一般の予防給付のサービスを使っている方たちでも IADL が障害されている人の出現頻度が多いということで、その背景に何があるかということが評価されていない。そのことが予防サービスの質に非常に大きく影響を与えているのではないかと思われます。恐らく相当数の方は軽度の認知症である可能性があり、かなりの部分の方が精神機能、例えば、うつ病などで精神機能が低下している人たちである可能性があり、そういう人たちの背景、例えば、認知症であるということを評価しないでサービスを提供すると、効果的なサービスにはならないのではないかと思います。今回せっかく介護の質をアセスメントしようということですので、医療との連携の中で背景に何があるかということをアセスメントするという視点が必要かと思います。

 

○大島委員長 非常に貴重な御意見だと思いますが、いかがでしょうか。

 松田委員どうぞ。

 

○松田委員 今の御意見は非常に重要だと思っていまして、今、全国で日常生活圏域ニーズ調査をやっています。あのデータをもし国である程度集めることができて、それを分析することができれば、今の IADL のいろいろな問題に関係するいろいろな背景要因がある程度は分析できるだろうと思っています。私たちも少しそういうことをグループでやっているのですが、例えばですが、閉じこもりというようなことがあった場合に、非常にいろいろなことを聞いているのですけれども、例えば、過去の転倒経験というのは今までどおり出てきます。それから、実際に分析してみると、男性も女性も尿失禁の経験があると閉じこもってくると。そういういろいろな背景要因が出てきます。そういう意味で、日常生活圏域ニーズ調査のデータというのは、かなり使い勝手のあるデータですので、もし厚労省で余裕があるのであれば、あれはほとんどの自治体で今やっていますので、あれを少し集めさせていただいて分析するということをやると、今、先生が言われたような、いろいろな要因はある程度明らかにできるのではないかと思います。そういうことも少し考えていただいていいのではないかと思います。

 

○大島委員長 いかがでしょうか。

 本当にこういうお話を伺っていると、私は専門家ではないので、その周辺のところでうろうろと実態を眺めているばかりですけれども、長寿医療センターにいるものですから、そういう話だけはしょっちゅう聞いてきて、いろいろなところで見るだけは見ているのですが、知れば知るほど本当に一体どうなるんだろうということを考えざるを得ません。日本がとにかくこの状況の中で世界の一番先端にいて、結局日本のやることが、いいにつけ悪いにつけ、すばらしいモデルをつくるのか、あんなことは絶対にやってはいかんぞという悪例を示すことになるのかは別にして、とにかく世界のモデルをつくっていくと。それは言葉を変えて言えば、全てが実験であると言えるような状況にあるのだろうと思わざるを得ないと思うんです。そういう中にあって、それこそきょうお集まりいただいている先生方の知恵が日本の高齢社会の全てではありませんけれども、非常に大きな部分のあり方を決めていくということになるわけですので、考えてみるとすごく恐ろしいことをやっているなという感じもあるのですが、いかがでしょうか。

 椿原委員どうぞ。

 

○椿原委員 先ほど機能評価のことを言いましたけれども、今回の調査の中で機能評価をとるというのは非常に難しいと思いますが、例えば、 ADL の評価を適切に行っているかどうかとか、あるいは IADL を評価しているかどうかとか、あるいは連携のためのカンファレンスをしっかり持っているかどうかとか、アセスメントとしてどういうことを考えているのかとか、そういったことを各施設が施行しているかどうかという調査は大事であると思います。そういった評価を適切に行っている施設は、恐らくいいアウトカムを出しているだろうということが予測できます。評価も何もしていない、ただ単にサービスを提供しているだけであるというところは、もしかしたらいい結果を生み出していない可能性があると思います。医療の側で私は働いているので言えることですが、今回も医療の診療報酬改定で、例えば嚥下障害であると、嚥下の機能をきちんと評価した上で治療すれば点数が高くなっているのですが、これは現実にきちんと評価している施設のほうが、患者さんに対する治療の効果が非常に高いと医学的にわかっているからです。福祉分野でも、そういった評価をきちんとできているかどうかを調査するというのは、重要ではないかと思います。

 

○大島委員長 今、御指摘の議論はいつもある議論なのですが、いかがでしょうか。こういう場でそのことを疑い出すと、また議論が紛糾してしまうという、非常に本質的な議論ではあるけれどもということがあって、そこは専門家がある研究組織なりあるいは調査組織をつくるときには、そういったことに十分に配慮してつくっていただくという前提に立ってやると。しかし、それでも調査結果を見ると余りにもおかしいから、その点は、それでいいのかということを指摘せざるを得ないという例も多々あるかと思いますが、最初の議題1でそういったことも含めて御議論をいただいたと思っていますが。

 課長どうぞ。

 

○迫井老人保健課長 大変重要な御指摘を幾つかいただいて、大変ありがたく思っております。

 今、御議論をいただいております平成 26 年度の調査、合計7課題ございます。御説明させていただいたとおり、5つは基本的に平成 24 年改定の後も調査を要する事項の継続的な対応でございますので、今回御報告をさせていただいたものと関連があるものがほとんどでございます。新規にお願いしているものの中で、特に質の評価に関する御指摘あるいは御意見が非常に多いように思いますので、実際にこれを本日お認めいただいて、また明日分科会でお諮りして御了解いただいたときに、改めまして資料3-1の別紙1にございますけれども、こういった具体的な調査のスキームを作成する段階で参考にさせていただき、また改めまして、確認していただくことになろうかと思います。

 念のためにもう一言だけ明確化するためにお話しさせていただきますと、資料3-2で松岡室長から御説明させていただきましたが、今回、資料3-2をめくっていただいた調査研究の背景と目的、こういう経緯で過去やられてきた、今の問題意識を踏まえて、3ページですが、今回まずは実際に来年度取り組んでいこうという前提となるさまざまな資料や、現に今どういう状況なのかを整理させていただいたということでございます。

 今、最終的に7つの課題で確認させていただこうとしている資料3-1の別紙1に少し具体的に書いてございますけれども、先ほど幾つか御指摘をいただいた御意見や留意事項の中には、どちらかといいますと質の評価をしていくに当たって、総論的・全体的に重要な御指摘を幾つかいただいております。私どもとしましては、そういったことを念頭に置きつつも、先ほど御説明させていただいた資料3-2の記載にかかわるのですが、まずは現時点で取り組んでいただいているものを整理させていただいた、現時点で比較的そういった取り組みが進んでいるであろう、例えば、施設の中であれば先ほど居宅で御指摘がありましたとおり、幾つかのサービスが複合的に影響しますし、それから、家庭・御家族いろいろな要因が絡みますので、そういった評価には要素としては非常に多岐にわたると。そこで、施設の中で行われている評価、先行事例としては老健施設でやっておられる、それを一つ取り上げたというのが資料3-2の3ページの(マル1)でございます。

 それから、同様に、通所サービスについてさまざまな御指摘、これは「産業競争力会議」でもそうですし、あるいは地域によって先行事例で評価が行われていることもありますので、そういう一般的にニーズと御関心が高いという意味で通所サービスを取り組む必要があるよねということで(マル2)を選んでみた。

 それから、(マル3)の居宅介護支援におけるアセスメント項目は、先ほど松田委員が御指摘されましたけれども、介護サービス全体にベースとなるアセスメントをしっかり押さえることが、まず、そもそもの基盤になるはずだということで、その問題意識も踏まえて(マル3)という都合3の先行事例をまずは整理させていただいております。

 それが前提となって資料3-1の別紙1に整理させていただいておりますけれども、一応その3つの先行事例あるいは着眼点を発展させる形で、来年度、調査をさせていただこうということでございます。したがいまして、ある程度具体的に調査客体でございますとか、項目については、一応今年度の調査、過去の取り組みを踏まえて来年度やらせていただこうという一定の具体性を持った形での御提案でございますので、一応そのあたりお含み置きいただいて、最終的には御了解いただければと思っております。

 事務局からは以上でございます。

 

○大島委員長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 松田委員、余りこれにこだわると、このこと自体を議論し始めると尽きないのですが、一言だけ。質の担保については調査研究などで、全体のクオリティーを担保しようということについては検討されているのでしょうか。

 

○松田委員 クオリティーというのは、調査そのもののクオリティーですか。

 

○大島委員長 今言われたようなことも含めてです。

 

○松田委員 クオリティーのコントロールは、それぞれ担当されている専門委員の先生の仕事になってくると思いますけれども、私が説明することもないと思いますが、専門委員として入っている先生は、それぞれの調査主体になった総研さんとは何ら利害関係のない人間ですので、そういう意味ではきちんと客観的に、私のところもそうですし、ほかのところもそうだと思いますけれども、かなり総研さんにとっては嫌なことも随分私たちは言ってきています。そういうことが言える感じでやってきています。そういう意味では、クオリティーのコントロールはできているのだろうと思っています。

 ただ、難点を1つだけ挙げれば、いかんせん時間が短過ぎるので、もう少し時間的な余裕があっていろいろディスカッションできると、もっといいなと思いますけれども、ただ、中立性とか質のクオリティーのコントロールに関しては、それなりにできているだろうと思います。今回、今村委員も先ほど説明されていましたけれども、かなり回収率が高い調査になっていますので、あと、先ほど御指摘があったように、全体の分布との確認だけをしていただければ、それなりに信頼性がある結果になるのではないかと。それから、今回は多分初めての試みだったと思いますけれども、全体で調査を始める前に、この事業を受けた各事業者の方たちが一堂に会して1回話し合うということをやっていますので、そういう意味では調査の視点をそろえたという点でもよかったのではないかと思っています。

 

○大島委員長 ありがとうございます。

 調査研究あるいは研究自体がどれほどクオリティーが担保されているのか。特に、こういったたぐいの社会的要素が非常に強いような研究というのは、そのこと自体を証明することが物すごく難しいです。それは研究者の良心というか、研究者の姿勢というか、あるいはそれまでの実績といったものを踏まえて、それに対して社会全体が信頼をしていくということを前提としたものでなければ、基本的には成り立たないところがありますので、これを本当に疑い始めてしまうと、何も信用できないということにつながりかねないものですから、しかし、余りにもおかしいときには一体何だということは、きちんとした場で徹底的に追求するということも必要だろうと思います。

 全体を通しまして、ほかにはいかがでしょうか。藤井委員どうぞ。

 

○藤井委員 今、質の議論がされていたのですけれども、それと離れまして、今、説明いただいているところで言いますと、来年度の事業ということで7本の御説明があったと思いますけれども、これに入れるか入れないかというのは政策的な判断ということになると思いますが、ことしの調査を得て気になっている点が2点と、別途もう一点ございます。

 2点目は、横串という言い方になるのでしょうか。今年度の 13 本の調査のうち3本が集合住宅におけるというテーマでございます。私も1つ担当させていただきましたが、サ高住という政策的に集合住宅がつくられていく中で、これがどういったものになっていくのか、そこにどういうサービスが提供されていくのかというのは、まだ未知数のところがございます。そういう発展的な状況の中でことし調査がやられたということなのですが、例えば、私の担当させていただきました資料1-1の別紙1になりますけれども、3ページ目の事業所の法人種別というものを見ていただきますと、集合住宅のみにサービス提供というのが医療法人で多くなっているという傾向がございます。これが訪問看護あるいは小規模多機能ではほとんど差がない。ただ、nが大きいので統計学的には差が出るのではないかと思うのですけれども、政策的には余り意味のない差だろうと思います。

 もう一点、3本には関係ないのですけれども、 ( ) の訪問介護サービスにおける短時間の身体介護についても、短時間訪問介護をやっておられるのは併設住宅があるところであるということになっておりまして、サ高住といったような住宅に対してどういうサービスがされるか、今、私が医療法人を申し上げましたのは、これが全てではないと思いますけれども、一部に医療住宅的な退院の受け皿的な住宅といったものを見ることがございまして、私が担当しました定期巡回・随時対応で言いますと、明らかに併設住宅と地域に展開するもののサービスのやり方が違うと。したがって、併設住宅にやっているものと地域にやっているものでは、まず人の兼務も難しいといったような話がございまして、このあたりを今回で言いますと別々に ( ) ( ) と( 12 )あるいは ( ) でも、そこの部分はデータが出せるのかもしれませんが、別々に見られたのですけれども、来年度やられるか、今あるデータを使うかは別といたしまして、集合住宅に向けてどういうサービスがされているのかという集合住宅側から見る検討・研究が必要ではないかというのが1点でございます。

 もう一点は、その並びでございまして、認知症ということで言いますと、私が担当させていただいた中にグループホームがございまして、あと、いわゆる認知症のデイが挙がっておりますが、別途御検討で精神科医療との関係といった話もやられているようでございまして、この認知症の方のケアのあり方がオレンジプランというところに大まかな考え方があるのですが、例えば、小規模多機能の中でも認知症ケアということが言われておりますし、それぞれの機能、地域ごとによって資源も違いますから、機能を決め打ちするということではないと思いますけれども、どういう役割を果たし得るか、私が担当しましたグループホームでは、看取りであるとか医療ニーズに応えることをグループホームとしてやっておられるところがあると。これをどう評価していくのだろうかという議論がございましたけれども、これも横串刺しにしていくことが必要なのではないかというのが2点目でございます。

 3点目ですが、これは全然違うテーマで、どこにも書かれていないのですけれども、今回、特別養護老人ホームで要介護3以上に限定していこうということで、これはいわゆるナーシングホームというものに近づくといいますか、また現場の実態にも近づいているということで、特に大きな混乱はないと思っているのですけれども、よく言われます在宅で適切なケアを受けていない方が施設に入ってこられて、それなりのケアや栄養を受けて非常に要介護度がよくなるといった話を現場の方が話されますし、現にそういうことを受けまして品川区ではインセンティブをつけるといったことをやっておられまして、要介護3に限定するということがどういった問題を生むのか、あるいはこれは報酬のつけ方にもよるのだろうと思います、あるいは制度のつくり方にもよるのだろうと思いますので、今年度やる事業ではないのかもしれませんけれども、現に、ほとんどの施設では要介護3以上しかいないということではございますが、2、1の方がいらっしゃるという現状を考えますと、どうなっていくのだろうかということは、少しデータとして押さえておく必要があるかなと思っております。

 以上です。

 

○大島委員長 ありがとうございました。

 ただいまの御意見について、何か御意見ございますか。いかがでしょうか。非常に具体的な御提案ですが。課長、もうちょっと後でいいですか。ほかからちょっと御意見をいだいて。

 今村委員どうぞ。

 

○今村委員 集合住宅の話で、今回の診療報酬改定で往診の値段が随分下がってしまって、大分現場の往診していただいている先生方の間に動揺が広がっているという状況で、まだどれだけ影響が出るかというのはわからないと思いますが、一番影響が出てくるのは介護の現場だと思います。もし、集合住宅をやっていくとすれば、また違う局の話と重なる話ではあるのですけれども、今回の往診の改定の影響というのが本当に出ているのかどうかというのは、現場を知る人間としてはちょっと心配しておりますので、そういったことも考えていただければいいかなと思います。

 

○大島委員長 ほかにいかがでしょうか。細かいというわけではありませんけれども、問題点を具体的に挙げるとなると、多分 10 20 ではきかないだろうと思います。その中で、この7項目が相当吟味されて出されていることはもちろんだと思いますし、それに加えてどうしてもこれは必要だぞという御意見が出てくる、これは極めて大歓迎でして、ただ、その御意見が、皆さん当然それはやるべきだという形で大きな御賛同が得られれば、それに限らずということになるのだろうと思います。

 迫井課長どうぞ。

 

○迫井老人保健課長 委員長に少し遮られましたが、前提となる委員会の位置づけも御説明しておきませんと議論が拡散しますので、あえて申し上げさせていただきたいのですが、この検証研究の枠組みは、基本的には前回改定で実際に対応させていただいた政策効果を評価する、それから、それを次の改定に結びつけるというのがミッションでございます。これは何度か似たような機会で申し上げさせていただいているのですが、介護保険サービス全般の課題を洗い出して何を調査するのかという趣旨で御議論いただくことは非常に重要だと認識した上で、この調査は今、お話しさせていただいたように一定のミッションがございますし、逆に言いますと、それは予算も含めまして、特に申し上げておきたいのは、来年度は時間的制約が極めて厳しいということです。といいますのは、介護報酬改定の議論に基本的に資する形で調査させていただきたいので、委託の関係やさまざまな事務手続を考えますと、スケジュールで冒頭御説明させていただきましたが、7月に調査して、8月・9月に中間報告を得て、それがギリギリそれ以降の介護報酬の議論に間に合うと。したがいまして、余り大きなといいますか、本来今まで取り組んだことのないような形のものを調査設計してやるというのは正直ございませんで、基本的には過去2年間でやらせていただいた調査のフォローアップ兼どうしてもここが足らざるものであるということについてやらせていただきたいという趣旨でございます。

 したがいまして、7つのうちの5本はそういう趣旨です。2本は、るる御説明させていただいた、我々としてはニーズがあるということで調査させていただきたいという趣旨でございます。

 したがいまして、委員長の御意向に私どもとしては水を差すつもりはないのでございますが、一応念頭に置いておいていただきたいのは、時間的制約、それから、この検証研究の枠組みのそもそもの制約、特に時間的な要素も含めて御検討いただきたいというのが総論でございます。

 各論的に、先ほど特に藤井委員と今村委員に御指摘いただきましたので、これもあらかじめ申し上げておかなければいけないと私の職責として申し上げますけれども、要介護度の問題、特に特別養護老人ホームについては非常に重要な問題だろうと御指摘としては受け止めております。その上で、先ほど申し上げましたとおりですが、これをこの検証研究で取り上げさせていただくのかどうかついては、少し慎重な整理が要るのかなと思っております。

 それと、横串の議論はおっしゃるとおりでございまして、現在得られた2年分の調査研究を整理する中で、少なくとも横串の議論をさせていただきたいと思いますし、それから、集合住宅の件は今回の御提案の中の2番目で関連する調査を行うことにしておりますので、藤井委員の御指摘はどこまで反映できるかわかりませんけれども、基本的には御相談させていただきたいと思っております。

 それと、今村委員の御指摘と関連しますが、確かに診療報酬の改定を今回いろいろな対応をされている中で、集合住宅と在宅医療の関係がいろいろ取りざたされております。私どもの理解は、診療報酬改定も同様な改定検証の枠組みがございますので、たしか附帯決議だったと思いますが、そういったことをしっかりやっていくと整理されておりますので、基本的には診療報酬の改定検証の枠組みでやっていただくものを重視しつつ、私どものほうでむしろ今回の改定に向けた作業というよりは、引き続きの流れの中で、必ずしもこの改定検証だけではないと思いますけれども、さまざまな調査スキームを使いながら、それは重要な話ですのでフォローさせていただけないかなと、そのように考えております。

 

○大島委員長 ありがとうございました。いかがでしょうか。

 松原委員どうぞ。

 

○松原委員 話が前後するのですけれども、サービスの質の評価に関する調査についてです。この重要性は大変理解しております。ただ、一方で、質を評価すると、評価を低めそうな利用者、例えば、転倒回数を評価指標にすると、転倒しそうな人はなるべく利用者から外そうとか、そういう逆選択が始まるようなことがないように、どうしたらいいのかも御配慮いただければと思います。

 先進国のほとんどで、報酬と質の評価を結びつけているところは非常に少ないのですけれども、あるのも事実なので、そういった国ではその点どのような配慮をしているのか、またそういう点もあるけれども、チャレンジングにまずは取り入れているのか、その辺の実態がわかるようでしたら教えていただきたいですし、まだ調査していないようでしたら、その点もぜひ追加で重要な点かと思いますので、来年度にでも調べていただきたいなと思っております。

 

○大島委員長 どんな制度をつくっても、必ずそのモラルハザード的なことは起こるのですが、そういったことに対する配慮というのは、今回はどれくらいあるのかという御意見かと思いますが、答えられるかどうかわかりませんけれども。

 松岡室長どうぞ。

 

○松岡介護保険データ分析室長 先生のおっしゃることは確かにそうでございまして、いわゆるスクリームスピングというような話でございますけれども、先ほど私から少し御説明に使わせていただきました参考資料2でございますが、これは平成 23 10 月7日の分科会に出された検討委員会報告でございまして、この 16 ページの第1パラグラフ目の最後に、そのような懸念は表明されております。つまり、リスク調整の指標の検討が必要であると。これは、リスク調整手法が確立しないと、報酬とかに安易に結びつけてはいけないということを言っておりまして、我々もそれは重々わかった上で、このこと自体をつまり評価の結果自体を報酬に結びつけるかについては、慎重に考えないといけないと。その上で、この調査報告によりますと、以下の2点として、1つは、アウトカム指標と関連のあるストラクチャーとかプロセスを見ていくという手法があるのではないですかというお話と、もう一つは、アウトカム・プロセス指標を報告し、可視化する Pay for Reporting という手法もあるのではないかというようなオルタナティブを提示されている報告書にはなっております。ですから、私どもはこれを土台というか基盤に置いて、今後調査や検討などを進めてまいりたいと思っております。

 

○大島委員長 藤井委員どうぞ。

 

○藤井委員 松田委員が退室なさったので、私もこの委員会に加わっておりましたので補足させていただきますと、今、御説明がありました資料の時点でも、研究の時点でも、いわゆるゲーミングと言われるインセンティブが働くことについては議論がございました。そのときから言われたことで、今回は海外のことを調査するという中ですが、松原委員が言われたリスクのある人を回避するということに関しては、基本的に海外でやられている Pay for Performance の中で言いますと、大きな考え方としてはリスクのある方の中でどれくらい起きるか。ですから、 ADL が歩行ができないという方は分母から除くという形でリスクを外すといったことがやられているというような話は既に参考にはされておりますので、海外で現にやられている国、それから、試行が始まっている国、考えられている国と、これは日本がむしろ遅れているほうでございますので、そういったところを今回も調査させていただいているということだと思います。

 

○大島委員長 ありがとうございました。

 熊坂委員どうぞ。

 

○熊坂委員 委員の先生方の御指摘は、私も一々納得するものがあります。私も今回のこの委員会に出席するに当たって、いろいろと悩みました。結果としては、大島委員長が言われたように、それぞれ専門家の良心に従ってこの調査の中で解釈していくということしかできないのではないかと思うのです。そういう意味では、今回の調査研究事業については非常に貴重なデータだと思いますし、その中で御指摘があったようないろいろな問題についてはこれから検討されていくと思いますけれども、それは現時点でいわゆる専門家の良心に従って提案も含めてやっていくということしか私たちにはできないのではないかと考えます。個々に指摘された問題は勿論あるのですが、まず、この7つの中でやってみて、その中で提案していくことが大事だと思いました。

 

○大島委員長 ありがとうございました。いかがでしょうか。

 川越委員どうぞ。

 

○川越委員 資料2の調査の進め方で一つお願いがあります。ことしは仕様書がある程度固まり、受託機関が決まった後に委員長に依頼がくるという形で仕事が始まりました。調査を行っていく中で思ったのが、仕様がかなり固まった後からかかわると、委員長としてやりたいことが少し制約される部分があったかなという印象を受けております。したがって、資料2の4月・5月のところで仕様書をある程度つくって受託機関を決めるプロセスに、関係する委員も含めて頂いて、仕様書の中身を詰めながらやられたほうが、委員長も多分仕事を進めやすいのではないかということを感じたので、この点、少し御配慮いただければと思います。

 

○大島委員長 具体的にはどういうことですか。

 

○川越委員 仕様書の作成段階で、既に委員長になられる方ないしは関係者の方々で、仕様書の中身を研究者の意見も入れた形でつくっていただければと思います。

 

○大島委員長 それはいかがですか。

 

○迫井老人保健課長 重要な御指摘ありがとうございます。可能な限り御指摘に添えるように改善していきたいと思っております。ありがとうございました。

 

○大島委員長 ほかに御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 この分野の専門家の方が、何が今問題なのかという面からアプローチするのと、制度としてどう考えていくのかという枠組みの中から見ていくのとでは、必ずしも同心円になるわけではなくて、あくまで制度というのは最大多数に対して、いかにいい仕組みをつくっていくのかということが基本になっていますので、その中において専門的見地からどのような提案ができるのか、その根拠は一体何なのかということを、その制度の中にどう生かしていくのかということになるかと思います。その接点、境目は一体どうなのかと言われると、これはなかなか難しい議論になります。特に、専門家側からいけば制度の枠組みはこうだからと言われても、その影響力の大きさを考えると納得しがたいということがあるかもわかりませんけれども、枠組みとしてはそういう部分がどうしてもあります。したがって、この委員会のミッションというのはここまでが限度だと。言葉で言えばそうなのですけれども、中身が接点のところであっちかこっちかというのがあるのは当然です。きょうもそういった御議論があって、特に影響力が大きいと考えられることについては、積極的にこういう場で出していただいて、今回それからすぐに制度に反映されるというのは難しいかもしれませんが、次にどう生かしていくのかという意味では非常に貴重な御意見だと思いますので、これからもそういう意味で積極的に自由に専門的な立場から、しかし、委員会というのはある一定のミッションがあって、そのミッションをどう理解して、そのミッションをどう達成していくのかというところに、余りいい言葉ではないかもわかりませんが、一定の枠組みがあるということも十分に御理解いただきたいと思います。

 ということで、きょうの御議論はこのあたりで止めたいと思います。きょう御議論いただいた平成 26 年度調査の進め方、平成 26 年度調査事項については、事務局から提案があった7本の調査を基本的に実資することといたしまして、当委員会で御了承いただいたものとさせていただきたいと思います。

 先ほど来ずっと御議論させいただいた平成 25 年度調査の結果とあわせまして、あす「介護給付費分科会」がございますので、そこで御報告を申し上げたいと思います。具体的にこういった研究内容より、もう少しこういう研究内容もやったらどうかというような御議論もありましたが、きょう全体としてほかの委員の方からそれを積極的にやるべきだという強い御賛同の意見もありませんでしたので、問題としては十分に大きな問題であるということを認識した上で、今回は先ほど課長から説明がありましたように、いろいろな制約事項がありますので、それを踏まえた上で次回以降にきちんと考えさせていただく、あるいは参考にさせていただくということで整理させていただきたいと思います。

 あと、細かいと言っては何ですけれども、いろいろ貴重な御意見あるいは御指摘をいただきましたので、そういった御意見をどういう扱いにするのか、あるいはどういう形で文面に落としていくのかについては、私、委員長に一任させていただくということでよろしいでしょか。

 

(「はい」と声あり)

 

○大島委員長 ありがとうございます。皆さんから「結構だ」という余り強い声が出てまいりませんが、そういった形で整理をさせていただくということで進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、これで本日の会議は終了させていただきたいと思います。

 局長が見えましたので、最後に一言いただけたらと思います。

 

○原老健局長 御熱心な御議論ありがとうございました。

 昨年は、どちらかというと介護保険制度、制度改正の議論をずっとやってまいりましたけれども、今年は法案の早期成立という大きな課題も残っておりますけれども、一応提案は役所としてしましたので、いよいよ今度は介護報酬改定ということが大きな課題でございまして、今日の御議論はある意味キックオフのような感じがいたしております。いろいろな調査研究の結果、あるいは今日の御議論を踏まえまして、来年度の介護報酬改定にしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、引き続き御協力をお願いしたいと思います。

 本当にありがとうございました。

 

○大島委員長 それでは、これで終了いたします。

 


(了)

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