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2006年5月26日 第2回 標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会健診分科会(議事録)

健康局総務課生活習慣病対策室

○日時

平成18年5月26日(金)14時45分~16時45分


○場所

(財)日本教育会館 8階 第1会議室
 東京都千代田区一ツ橋2-6-2


○議題

(1) 標準的な健診プログラムの在り方について
(2) その他


○議事

○出席構成員及び専門構成員(敬称略・五十音順)

 (構成員)内田健夫、大江和彦、河原和夫、窪寺健、小山和作、酒巻哲夫、池主憲夫、津下一代、中村健二、久道茂、水嶋春朔、山口鶴子、吉池信男、渡辺清明

 (専門構成員)小池啓三郎、椎名正樹、島本和明、田中一哉、松田一美、水口忠夫、諸江正義

 

○厚生労働省出席者

 中島健康局長、中島大臣官房参事官(社会保険・健康担当)、矢島健康局総務課生活習慣病対策室長、野村健康局総務課保健指導室長、一瀬健康局総務課健康フロンティア戦略推進室長、姫野保険局総務課課長補佐

 

○次第

1.開会

2.議題

 (1)標準的な健診プログラムの内容について

 (2)その他

3.閉会

 


矢島生活習慣病対策室長 定刻となりましたので、これより標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会、健診分科会、第2回目の会議を開会いたします。構成員の皆様方には御多忙のところ、お集まりいただきましてお礼を申し上げます。

 まず出欠状況でございますが、中山構成員、松田晋哉構成員、門脇専門構成員、松澤専門構成員からは御欠席の連絡をいただいております。また渡辺構成員につきましては、遅れるとの連絡が入っております。それでは以降の進行を、久道分科会長にお願いいたします。

 久道分科会長 それではよろしくお願いしたいと思います。前回の3月に行われました、第1回の健診分科会では、渡辺構成員に代理として議長役を進行していただきました。ありがとうございます。それでは議事に入る前に、事務局から資料の確認をしていただきます。よろしくお願いします。

 事務局 それでは事務局より、資料の確認をさせていただきます。お手元にありますクリップを1つ外していただきますと、ステイプラーで3つ留められたものがあるかと思います。

 まず1番目。標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会、第2回健診分科会と書いてありますもの。これが議事次第になります。

 次に標準的な健診・保健指導プログラム、暫定版(構成案)とございます。これが資料になります。

 その次に新健診案と各種健診の健診項目の比較、右肩には別紙1と書いてあるものです。この3点で資料となっております。

 その他テーブルの上に参考資料としまして、標準的な健診・保健指導プログラム暫定版というのを置かせていただいております。以上です。不足があるようでしたらお知らせください。

久道分科会長 よろしいでしょうか。それでは早速議事に入りたいと思います。今日は終わりの時間が限られております。16時45分ぴったりに終了する予定ですので、よろしく御協力のほどお願いしたいと思います。

 それでは議題1の「標準的な健診プログラムの内容について」に入りたいと思います。事務局から説明をお願いします。

 矢島生活習慣病対策室長 それでは御説明申し上げます。前回3月20日、第1回分科会におきましては、標準的な健診プログラムの骨格及び論点について御検討をいただきました。本日は特に重要な事項として資料にございます、標準的な健診プログラム(暫定版)(構成案)の表紙のところをご覧いただきたいと思います。四角で囲みました第2編健診のところでございます。第2章から第5章につきまして、御議論をいただきたいと思います。

 各章ごとに関連します3つのワーキンググループにおいて、作業をさせていただきまして、ワーキンググループでおまとめいただきました結果をもとに事務局案として、記述させていただいております。ワーキンググループのメンバーにつきましては、資料の中に参考として添付しております。

 3つのワーキンググループ、保健指導階層化基準ワーキンググループ、2番目が健診データの電子的管理ワーキンググループ、3番目は検査値標準化ワーキンググループでございます。

 それでは順に説明を申し上げます。まず第1章の内臓脂肪症候群に着目する意義につきましては、前回提示いたした論点及び御議論いただきましたものをそのまま記述しております。

その次の第2章のところですが、健診の内容でございます。(1)健診項目(検査項目及び質問項目)でございます。前回の論点整理、御議論それからワーキンググループの先生方の御意見を踏まえまして、1)基本的な考え方、2)具体的な健診項目、3)質問項目、4)健診項目の基本的な見直しという形で、まとめさせていただいております。資料は、3ページにあります。それから別紙1のところに、健診項目、別紙2に質問項目というものを併せて付けております。簡単にここのところだけ、流れを御説明させていただきます。

 3ページのところですが、基本的な考え方では、有病者・予備群を減少させるためには、保健指導を必要とするものを抽出するための健診であるということと、質問項目につきましては、リスク評価をするためのものである。それから階層化をする際の「情報提供」の内容を決定する際に活用するというような考え方に基づいております。

 それから過去の健診項目との比較ですとか、既に実施されてきております他の健康診断、そういうものとの関係について整理することも必要ではないかというふうに書いています。

 具体的な健診項目、これは別紙1のところに基本的な健診項目を具体的に載せております。

 それから2.詳細な健診項目、これは精密健診になりますが、これは現行の老人保健事業・基本健康診査における判断基準を踏まえ、一定の基準の下、医師が必要と判断したものを選択するという考え方でございます。

 質問項目につきましても、別紙2で具体的に御提案させていただいております。以上でございます。

 久道分科会長 どうもありがとうございます。いかがでしょうか。第2章(1)健診項目、簡単に概要を説明いただきましたけれども、御意見はございますでしょうか。

 津下構成員 あいち健康の森の津下です。今回別紙1を見ますと、廃止になった項目として総コレステロール値、それから新規にLDL、新規に尿酸、尿蛋白が選択、新規に腹囲ということで入っております。腹囲についてはメタボリックシンドロームの診断または保健指導へのつながりということで、必須項目だというふうに思います。

 総コレステロールについては、今まで総コレステロール全体で測り込んでおりまして、HDLが高く、LDLが高くない総コレステロールの、特に更年期以降の女性をかなりつかまえすぎてしまったということがありました。総コレステロールについては、判定から外すということが望ましいのではないかというふうに思います。

 それから尿酸値なんですけれども、これはメタボリックシンドロームの対策をする上で関連の深い項目として入れたらどうかというのが、提案の趣旨になるかと思います。

 ヘモグロビンA1cなんですけれども、これまでは選択でということだったのですが、空腹時血糖と同時に測定することによって、より診断の確率を高める。正診率を高めるという目的がある。それから食後に採血される場合もあるということで、これは必須項目として判定に用いたらどうだろうということで、これからの保健指導につながる検査項目の選定として適切ではないのかなというふうに思います。

 久道分科会長 この記載でよろしいとそういうことですね。

 津下構成員 はい。ですからコレステロール値が今ではかなり高脂血症で220とか、総コレステロールでの判定が変わるということで、有病者の数が随分変わると思いますけれども、これは必要な観点だというふうに思います。

 久道分科会長 ほかにございませんでしょうか。

 池主構成員 基本的なものが相当決まっている中で、原則的な話に戻るのかもしれませんけれども、例えばここの基本的な検査項目の中に、口腔の検査というような項目が入っていないわけです。このままこれが制度としてどんどん広がったときに、今までやられていた口腔の部分が飛んでしまったままいってしまうという可能性を非常に危惧します。

 ここに明確に入れるべき具体的なものという観点なのか。それともより基本的な質問項目の中に口腔の問題を入れるのかというのが、ちょっとまだ明確になっていないところがあるんですけれども。少なくとも口腔の問題が抜けたままいくというのは、我々がどこで関与したらいいのかわからなくなるという問題がありますので、御検討いただきたいと思います。

 久道分科会長 歯科領域の口腔の項目ですね。これに関して何か御意見はございますか。

 矢島生活習慣病対策室長 今回はメタボリックシンドロームを中心にということでございますので、私どもは健康日本21は、国民全体の健康を考えている立場もございますので、今回メタボリックシンドロームの中で考えていくのか、全体の中で考えていくのかということもあります。そこも含めまして、御指摘の点も大事な点かと思います。また関係者ともいろいろと調整させていただきながら、また御議論いただければと考えております。

 久道分科会長 はい。今池主構成員から出た意見については、検討させていただくということにさせていただきます。

 椎名専門構成員 つかぬことをお伺いします。別紙1の表の中で、尿・腎機能のカテゴリーでクレアチニン、ちょっと上の方で代謝系で尿酸とあります。これは、血中尿酸、血中クレアチニンですよね。

 矢島生活習慣病対策室長 そうです。

 椎名専門構成員 こういう機能的な分類の中で、血中なのかあるいは尿中なのか誤解がないような形で明記していただければありがたい。そのように思います。

 矢島生活習慣病対策室長 明確に血中で、特に尿と関係があるということですね。ここは表現の仕方を血中というふうに。

 椎名専門構成員 よろしくお願いします。

 久道分科会長 尿と書いてあるからですね。どうもありがとうございます。

 島本専門構成員 確かに僕も、これは尿と思っていたので、クレアチニンは尿中と思っていたので、確かにその点は。

 それから尿蛋白の備考のところで、尿酸とクレアチニンである程度腎障害が判定できると書いてあるんですけれども、尿酸で腎障害の判定は、全然できないと思うんです。

 矢島生活習慣病対策室長 ここはちょっと表現が。

 島本専門構成員 それは全く異質のものですから、備考のところはクレアチニンではもちろんできますが、尿酸は除いた方が。

 矢島生活習慣病対策室長 そうですね。ここは表現が不備な点があると思いますので、直させていただきます。

 久道分科会長 ここは直す必要がありますね。松田委員。

 松田構成員 1点確認なんですけれども、別紙2の1-3から6番までの項目なんですけれども、今回の基本的な考え方、つまり有病者・予備群を減少させるという予防を目的とする場合に、この問診項目があるということは、保健指導の対象者から外すという裏の目的があっての項目なのかどうかということをちょっとお尋ねしたいと思います。

 矢島生活習慣病対策室長 ここは後でまた出てくるのですが、医療機関との関係を、後でまた御議論いただく予定になっています。まずこれは今までの糖尿病実態調査でもそうですし、国民健康栄養調査でも、要するに現在治療しているかどうかということが、大事なポイントです。当然治療していれば検査結果が良くなっている可能性があるわけです。

 検査結果だけでは判定できないわけですから、そこも含め治療しているのかどうか。投薬をしているのかどうかも含めて、一応ここで必ずチェックしておくという考えです。

 今、医療機関との関係をどうするかというのは、また別のところで御議論させていただくことにしています。

 久道分科会長 よろしいですか。では椎名委員。

 椎名専門構成員 詳細な健診。こういう項目を医師が必要と判断したものを選択するというようなことですけれども、ここで教えていただきたいのは、詳細な健診、あるいは医師と、これはどこでどういう医師でという、その辺のイメージがわかったら教えていただきたい。

 例えば健診をやったところのドクターなのか。あるいは例えば我々保険者にいる医師とか、あるいは事業主の産業医とか、どういうところにいるドクターなのか。その辺のイメージがわかったら教えていただきたいのです。

 矢島生活習慣病対策室長 まず健診につきましては、過去の健診データもあるわけですから、例えば前年度の健診結果を見て、医療保険者なり、それからまた職場の労働安全衛生の部門とも連携しないといけないのですが。そちらの方での判断とかいろいろと情報をいただきながら、まず健診項目を計画を立てる段階で、過去の健診の結果で、そこまで必要かどうかということを判定される方もいらっしゃるでしょう。それから健診をする仕方にもよるんですけれども、健診会場の中でそういうことができるようなことであれば、健診の場で、医師がそこで必要だということになったときに、そちらの方の健診も同じ会場でできるのであればやるということも、できるのではないかというふうに思っています。

 ここのところあまり厳格にこうでなければいけないというところまでは、今この段階では決めていませんが、逆にしっかり明確にすべきであるというふうな議論であれば、そういうふうな形で、整理をすることも可能だと思います。あまり今の段階で細かいところまでは決めない方がいいのではないかと考えております。

 久道分科会長 何かいい表現ということはありますか。医師というところで。

 椎名専門構成員 今言われたようなことを簡潔な形で入れていただければありがたい。

 矢島生活習慣病対策室長 もう少し説明をつけておいた方がいいということですね。

 椎名専門構成員 ある程度自由度があるという趣旨のようですから、その辺を入れていただければ結構です。

 津下構成員 関連してです。今の「医師の判断で」ということなんですけれども、最新の科学的知見に基づく健診のあり方等の研究班が、どういう健診項目を追加項目として、どういう対象者にするのがいいのかというエビデンスを検証しております。そのような知見を活用して一通りのガイドラインを出すことが必要です。判定する医師によってあまり大きなぶれがないようにするために、ぜひ検討していただきたい。

 矢島生活習慣病対策室長 このところは今老人保健事業でも、例えばこういう項目についてというのが具体的に決められています。今回はその資料を入れていないのですが、一応老人保健事業で現在やっています、詳細な健診、精密な健診をやるときの基準みたいなものを、ここにも書いてございますけれども、そこを一応基本的には念頭に置いて、やらせていただくという形になっています。

 久道分科会長 よろしいですね、山口委員どうぞ。

 山口構成員 この健診は確か40歳から74歳までが対象ということで、この別紙2の質問書を見せていただきますと、介護予防健診が65歳から、今年度始まっているかと思いますけれども、それとはどんなふうに使い分けていくでしょうか。

 矢島生活習慣病対策室長 そこのところも別の、例えば75歳以降、これは厳格には40~74歳までが対象の御議論をまずしていただいておりますが、この議論が終わりました段階で、75歳以上ですとか40歳未満をどうするかということも御議論いただく予定です。

 今御指摘のあった、介護の予防事業との関係をどうするかということも、そこで議論をさせていただく予定にしております。

 水嶋構成員 国立保健医療科学院の水嶋でございます。血圧測定に関してですが、血圧は重要な指標なんですけれども、回数を明記していただきたいというのが、1つあります。現状では1回だけで終わるところもあれば、高い人についてだけ2回目を測って、低い方を採用したり。あるいは人間ドック等では2回測ってそのまま等がございます。

私がフィールドにしております千葉県の某地区で2,000名全員2回測りましたところ、1回目140以上を呈した人は44%で、2回目140以上の人は39%ございました。ところが、1回目140以上の人についてもう1回測って、さらに140以上の人というのは、36%に減るわけです。

 したがいまして、全員1回しか測らない場合と、高い人だけ2回測る場合。あるいは全員2回測る場合で、集団としての有所見率に8%も差が出てしまうわけです。44%から36%へ8%も減少するということは、高血圧有所見者20%減少の達成率にも相当するわけです。

 したがいまして血圧の場合は、特に測定の作法、高血圧学会等の測り方等ございますので、そちらの基準をかんがみながら、ぜひ打ち出していただきたいというふうに思います。

 久道分科会長 この中に入れる必要はないかもしれませんけれども、血圧測定のガイドラインみたいなものにはきちんと書くようにと、そういうことですね。

 矢島生活習慣病対策室長 一応6ページのところに血圧測定、腹囲計測については、測定法を統一するため、これまでの国民健康栄養調査で行われた測定手法をもとに検討を進めていくということです。今の御指摘も踏まえまして基本的な標準的な方法は、具体的なところでお示しさせていただく。場所によって測定方法が違わないような形でやらせていただければというふうに考えています。

 久道分科会長 そういうことでよろしいですね。

内田構成員 これは今回の議論の対象にはなっていないかと思うんですけれども、別紙1の胸部X線のところで医師会としての意見を述べさせていただきます。

1つはやはり禁煙対策ということが、今ほど言われていることはないので、これが40~74歳までということになりますと、やはりCOPDの早期発見、予防というのを、非常に大きく考える必要があるのではないか。それからさらには、高血圧、動脈硬化といった生活習慣病の関係でも胸部のX線で心肥大、あるいは動脈硬化それから動脈癌といったもののチェックというのも、非常に有用ではないかというふうに思います。

 それからもう1つ申しますと、アスベストが恐らく今後10年から15年、非常に疾患がふえてくる可能性がありますので、アスベスト関連疾患の早期発見という点に関しましても、胸部X線は落とせないところではないかなという気がしております。これは必須項目とは申しませんけれども、3年から5年で1回の選択項目として、ぜひ取り上げていただければというふうに考えます。

 久道分科会長 別紙1、これは必須項目になっている。

 矢島生活習慣病対策室長 これは現在胸部X線は、労働安全衛生法ではやるということになって、必須項目になっております。これも、労働安全衛生法の方で、どうするかというような御議論が今後あるようなことも、情報で承っております。この胸部X線については、私どもも生活習慣病の対策だけでなく、ほかの部局ともいろいろとかかわりがございます。そういうようなところの意見も聞きながらやっていかなければいけない部分があるので、私どもの中だけで断定的に申し上げるのはできないのかなと思いますけれども。御意見を承りましたので、そこについてはどうしたらいいかを検討させていただきます。

 少なくとも今回のメタボリックシンドロームとは、直接関係がないのではないかというふうに思っております。

 久道分科会長 では必須項目にするかどうかということと、それからするとすれば間隔の問題とか検討するということでよろしいですね。

 池主構成員 先ほどの介護保険等の関連、それから今のに関連するんですけれども、この前の保健指導分科会でも出ていた問題なんですけれども、要するにいわゆる母子保健法あるいは学校保健法とか、そういう関連の、今までの健診を主にやっていたところが、今度のいわゆるメタボリックシンドローム中心のとらえ方が、現場において結構混乱を起こす可能性があると危惧されます。限りなく予防効果を追求することでのメタボリックシンドロームという概念であれば、当然そういうところとのリンクがないと、極めて問題が混乱してしまうのではないかという認識があるんですけれども、その辺の整理が必要なのではないでしょうか。

 矢島生活習慣病対策室長 一番最初に申し上げましたけれども、私ども健康日本21ということで母子保健、学校保健も含め、生涯を通じた健康づくりという観点で、対策を考えております。

 今回の医療制度改革で40歳から74歳の糖尿病等の生活習慣病予防対策に何が必要かという観点で、まずは御議論をいただいているということでございます。その議論をまず今回は最初にお願いするということを、最初に申し上げさせていただいた経緯がございます。

 それと先ほどからいろいろと御議論がございます、75歳以上はどうするか。40歳未満はどうするのか。それから介護予防事業のところはどうするのかということも、当然これから御議論させていただかなければならないところだと思っておりますが、まずは、この40歳から74歳の部分について、まず核となるものをお決めいただきながら、ただいまいろいろ縷々御指摘をいただきました歯科の問題ですとか、胸部X線の問題も含め、それはいろいろなところと、関連してくるところがございますので、そこはまたそのときにもいろいろと御議論をいただける方法もあるのではないかというふうに思っております。

 久道分科会長 まだ御意見もあろうかと思いますが、一旦進めます。それからあと全体を振り返って、また御意見をいただくという時間をとりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次の方の説明を事務局、お願いします。

 矢島生活習慣病対策室長 では次の第2章のところは、申しわけございませんが、渡辺構成員がちょっと遅れていますので、第3章の保健指導対象者の選定と階層化の基準のところを先にやらせていただきます。第2章の健診内容のところは、渡辺構成員がお見えになってから議論させていただければと思います。

 3章の(1)保健指導対象者の選定と階層化の基準でございます。前回の論点整理、ワーキンググループの先生方の御意見を踏まえまして、基本的な考え方、具体的な選定・階層化の基準、質問票による階層区分の変更、対象者が治療中の場合をまとめてございます。これについて資料の7ページからになります。

 まず階層化の基準、内臓脂肪型肥満を伴う場合、1)基本的考え方、2)具体的な選定・階層化の基準ということでございます。内臓脂肪型肥満を伴う場合の選定。内臓脂肪型肥満を伴わない場合の選定の基準、それから健診項目の判定基準という形で、これは具体的にワーキンググループの先生方からいただいた検討を踏まえ、それから各学会におけますいろいろなガイドラインのデータを踏まえ、ここのところをまとめさせていただいたものでございます。

 8ページでございますけれども、質問票によります階層化区分ということでございますが、ここのところは生活習慣の状況による質問票により対象者区分を行うというような考え方でございます。

 それから対象者が治療中の場合については、ここにございますが、対象者が現在医療機関において治療を行っている場合の保健指導につきましては、事例ごとの特性を踏まえた上で、主治医との連携の下に行うことが望ましい。

 それから現在治療を行っている医療機関。これも治療を行っているわけでございますので、例えば診療報酬におきましては、生活習慣病管理料というのがございます。また管理栄養士によります、外来栄養食事指導料ですとか、集団栄養指導料等がございます。こういうふうなものも積極的に活用していただくことが望まれるのではないかということで、まとめをさせていただいております。以上でございます。

 久道分科会長 今の第3章のところですが、何か御意見はございますか。

 中島参事官 少し補足的に説明をしたいと思っております。健診項目それから保健指導対象者の選定についてでございます。ある意味先ほどから矢島室長の方から申し上げておりますように、メタボリックシンドロームという概念を導入して、まさに内臓脂肪型肥満に着目をして、いわゆる発症リスクの高い人に重点的、効率的に保健指導をしていくということで、この健診項目なり、保健指導対象者の選定をさせていただいたわけです。

 しかし、基本的にメタボリックシンドロームのみの健診しかしないということではないということは、十分御理解をいただきたい。少なくとも別紙1に掲げております健診項目のところでも、現行の老人保健事業を踏まえつつ、決して健診水準、健診内容の後退をもたらすようなものとはなっていないと、私ども事務局としては思っております。

 7ページのところの保健指導対象者の選定につきましても、内臓脂肪型肥満を伴わない形での糖尿病、高血圧症等についても、きちんと健診段階でピックアップできるという形になっています。そしてまたそれに応じた保健指導といったものを展開していけるように考えていきたいと思っております。従来の健診水準、健診内容といったものを踏まえつつ、その中にメタボリックシンドロームという概念を導入して、これから特に大きな問題になっていくであろう内臓脂肪型肥満の人たちを、効率的、効果的に抽出する要素を加味したということでございます。そういう点をお含みおきいただいて御議論いただければ、大変ありがたいという補足説明でございます。

 久道分科会長 どうもありがとうございます。ただいまの補足も含めて、この第3章(1)のところ、ございませんでしょうか。

 水嶋構成員 保健指導対象者のお話をいただきましたけれども、健診対象者の年齢の区分については、すでに御説明いただいております、40~74歳と理解しております。それが全員なのかどうかお教え下さい。例えば生活習慣病の治療を受けながら、適切な指導をされている方にとっては、二重の、同じような検査や指導の繰り返しになり、先月やったばかりの方という方も想定し得るわけですし、現場ではかなりいらっしゃるわけです。

 それが医療保険者それごとの判断に任せられるのか。ある程度優先順位づけとしては、まだ医療機関にかかっておられなくて、健診、ヘルスアセスメントプラス指導が必要な人を対象にするのかという、その辺のお考えを教えていただきたいのですが。

 矢島生活習慣病対策室長 実は我々は今の段階では、すべての方を一応対象というふうに考えています。それをもとにして、事業計画を立てていただくということにしています。というのは、今回の健診保健指導の評価をするときに、75歳以上に今考えております、後期高齢者医療制度の支援金を、加算減算システムがあるのですが、そこのところは、この健診保健指導を一生懸命頑張っていただいたところについては、減算の考え方。あまり頑張っていただけないところは、加算をする。要するに多く負担していただくというふうな考え方のところがございまして、そこのところとの整合性をとりながらやっていかなければいけない問題もあるものですから。なるべく対象者を幅広く押さえていくという観点も必要なのではないかと思っております。

  久道分科会長 これはがん検診もそうでした。対象者を検討する場合、20何種類も対象者を選ぶ方法ができちゃって、大分苦労しました。効果を判定するために。今の問題も当然あります。変なことにならないように、少し議論をする必要があろうかと思います。

 吉池構成員 今のことにもつながることですが、8ページに対象者が治療中の場合にいろんなケースがあるという具体的な事例をお示しいただいているわけです。いろんな事例の中で、ここの表現や御説明を見ると、医療と保健のはざまの中では、できるだけ医療の中で、いろんな診療報酬などを活用して行うという意味合いで、ここが書かれているのでしょうか。

 矢島生活習慣病対策室長 まず医療機関にかかっている場合は、ここにありますような診療報酬で実際にやっていただくことも、実際に現場でやっているわけですから、それはまずしっかりやっていただくということが大事だと思います。

 ただお話を聞いていますと、ここにもありますが、自分の専門分野、例えば循環器をやっている現場の先生が、糖尿病の患者さんがかかってきたときに、本当は自分では管理栄養士さんによる食事指導をしてもらいたいけれども、自分のクリニックにはいないと。そういうときには例えば地域の栄養士会とかそういうところから、管理栄養士さんに協力をしてもらって、食事指導するようなシステム、そういうふうなものもやりながら、なるべく治療も大事ではありますけれども、保健指導、要するに食事指導もやっていくような仕組みをうまく作っていくことが、これから大事なんだというふうに思っております。

 吉池構成員 ここで3点考えないといけないのは、診療報酬といったような仕組み上のコスト負担と、あとは実質的なコスト負担の話で、医療費の方へ流れるコストがあります。もう1つは仕組みによって、例えば医療サイドでやる栄養指導と、保健サイドでやるときに求められる質とか資格とか、そういうものが異なってくると思うので、その辺の整合性は慎重に考えないといけないと思います。

 矢島生活習慣病対策室長 そこのところが一番大事なポイントだというふうに思っております。そこの御指摘のところが一番大事なところで、後でまた出てきますけれども、何かしつこいといわれるぐらい丁寧に書かせていただいているところです。

 池主構成員 今の件に関して、歯科部門も相当関与するのではないかと思うのは、口腔の歯周病などで難治例があります。そこで糖尿病の関与を疑われるケースが非常にあって、そこを早目に、内科等に紹介をして、チェックしてもらうとか、そういう流れができてくれば、ある意味では僕らのところで無理な治療をずっと続けていくというのをかなりカバーできるでしょうし。ある意味では早期に糖尿病を発見できる1つの大きなルートになるなど、多部門の横の連携みたいなものも非常に大事ではないかと思いますが、その辺はいかがでしょう。

 矢島生活習慣病対策室長 今回は基本的に糖尿病のところのチェックは、血液検査ですとかそういうふうなものをもとにして、基本的にはデータで、ヘモグロビンA1cですとか、空腹時血糖とか随時血糖とか、そういうものを1つの基準として、数値として評価をしていくようなシステムを導入させていただければというふうに考えています。

 御指摘のような点が今後またいろいろと配慮しなければならいこともあるかと思いますので、一応そういうような御指摘もあったということは、しっかり検討させていただければというふうに思っております。

津下構成員 7ページの表のところで、血糖値がそれぞれの項目について、情報提供、保健指導、受診勧奨というふうに分けられているんですけれども、この受診勧奨の範囲だからといって、保健指導をしないというわけではありません。あとの9ページ以降の重なりをきちんと見ていただくと、そのあたりも保健指導の対象者だということが明確になるのですが。この表だけが一人歩きをしますと、この人たちは受診勧奨すれば、保健指導をしなくてもいいんだというふうに受け止められないように、きちんと保健指導をした上で、結果を確認するために受診も勧めるとかそういうような、この数字イコール受診だから保健指導の対象者ではないという受け止め方にならないように、配慮する必要があると思います。

 矢島生活習慣病対策室長 わかりました。多分今のは、後ろにいらっしゃるマスコミの方も含めて、この表の部分だけを抜き出して、この部分だけの表でいろんな資料を作ると誤解を招く恐れがあるという。先ほど吉池委員からも御指摘がありましたように、保健指導との関わりは、後でまた詳しく出てくるものですから。この表だけで見て判断をされないでいただくこと。それからマスコミの方にもお願いをして、この表だけが一人歩きをするような説明ですと、かえって誤解を招くので、そこのところは逆に我々の方も誤解を招かないような資料の作り方をしなければいけないと思います。御指摘を踏まえて、資料の作り方を工夫させていただきます。

 久道分科会長 今質問が出たので、関連して、階層化の方に進んでそれから。あと渡辺先生がいらしたので、基準値の方に戻りますので、お願いします。

矢島生活習慣病対策室長 では階層化のところが関連もございますので、引き続き、前のところとの関連がございます。今御説明をさせていただきましたけれども、保健指導の対象者の選定というものは、内臓脂肪の蓄積の程度とリスク要因の数に着目するという考え方です。このところは腹囲とBMIも配慮しつつ、ですから腹囲で、男性85以上、女性90以上でまず(1)のグループ。

それから腹囲は85、90には達していないけれども、BMIが25以上の方。

そうでない方々。先ほど参事官の方からも御説明をさせていただきましたけれども、メタボリックシンドロームの腹囲の基準を満たした人だけが対象かというとそうではなくて、幅広く保健指導の対象者を、ここで拾っているつもりでございます。

その方々に対してステップ2にございますけれども、検査結果、特に血液検査ですとかそれから、質問票の質問項目により、それから場合によってはLDLコレステロール、喫煙歴ですとか、尿酸の結果とかそういうものも含めて、今後の保健指導の階層化をしていくということでございます。10ページでございますけれども、リスクの数を1つの目安にして、積極的支援、動機づけ支援レベルを決めていくというふうな考え方です。

 (3)の場合には、内臓脂肪の蓄積がないわけでございますので、内臓脂肪減少を目的としたプログラムではなく、個人個人の病態に応じた対応が必要になります。

 それから同時に質問票に生活習慣の改善の必要性を判定し、検診結果の支援レベルと質問結果の生活習慣改善の必要性との関係から、追加的に保健指導のレベルを判定するということで、10ページの下にございます生活習慣改善の必要性を判定するための質問票を5項目追加させていただきまして、この項目を踏まえて、その合計点数を踏まえ、情報提供レベル、動機づけ支援レベル、積極的支援レベルにつきまして、それぞれ保健指導の判定を補正というんでしょうか、そういうふうなものをさせていただいております。

 このときに、対象者が医療機関で治療中の場合でも、医療機関との連携を図りながら、医療機関で保健指導が十分できない場合には、主治医の指示のもと必要な保健指導が確保されるように調整を行うことが望ましいということ。

 なお現在治療を行っている医療機関におきましては、先ほどと同じでございますが、診療報酬上の生活習慣病管理料ですとか管理栄養士によります外来栄養食事指導料ですとか、集団栄養食事指導料等を積極的に活用することが望ましい。これは先ほど私が例示で御説明させていただきましたけれども、例えば循環器の関係で、高血圧の治療で、循環器の専門の先生のところで、治療を行っている。ただし健診で血糖にリスクがあるということが出てきて、糖尿病予防のための保健指導が必要であるけれども、やはり先生のところでは、例えば管理栄養士ですとか、保健師ですとかが確保できない場合に、例えば地域の看護協会とか地域の栄養士会とかそういうところとも連携しながら、保健師とか管理栄養士。特に食事指導については、管理栄養士を確保できるような仕組みというものが、今後重要になってくるのではないかというふうに思っています。

 それから詳細な健診ですが、これも先ほど御指摘がありました。これは現行の老人保健事業・基本健康診査において判定基準がございます。それを踏まえた一定の基準の下、重症化の進展を早期にチェックするため、医師が必要と判断した場合は、詳細な健診、精密健診として眼底検査、心電図等のうちから選択的に行うというような形ではいかがかということでございます。

それから受診勧奨でございますが、ここのところは各専門学会のガイドライン等の数値を用いまして、ここにありますような数値の場合が受診勧奨になります。特に糖尿病の場合には、治療中断だとかそういうようなことの問題も指摘されています。

ですから治療が行われていない場合は特に心血管病の進行予防(心疾患、脳卒中等)の重症化予防のために治療が必要であることを指導し、治療の中断による重症化が起きないような保健指導を継続することが重要であると考えています。

 なお治療中であってもという形で、これも保健指導との関係につきましては、先ほどと繰り返しになりますけれども、このところになります。それから医療機関で保健指導が十分にできない場合等におきましては、保健指導が確実に確保されるよう、保健指導の実施につき、医療機関と調整することが望ましいというようなことを、ここを入れさせていただいております。以上でございます。

 久道分科会長 ちょっと説明が早すぎて、まだずっと10ページを開いている人もいますから、ページ数をちゃんと言ってください。

 矢島矢島生活習慣病対策室長 失礼いたしました。

 久道分科会長 ちょっと早目の説明でしたけれども、何か御意見がございませんでしょうか。

 水嶋構成員 10ページの、生活習慣改善の必要性を判断するための質問表です。せっかく今腹囲が話題となっております。例えば10年前に比べて腹囲が5センチ以上増えていないかなど、今思いつきで言っていますけれども、腹囲に着目したものの言い方として1つあるのかと思います。

 また食事に関してですが、私の調査の方でも、腹囲が85センチ以上の方の特徴は早食いである、脂身が好きである、運動しない。この3点でほとんど説明できるんです。したがって一般的な問診のところは、確か食べ方の話が出てきたと思うんですけれども、既にできているので追加ということであると思うんですけれども、いろいろな肥満との関係での疫学調査等がございますので、そこから適切な問診項目を整理していただければと思います。

 矢島生活習慣病対策室長 ここにつきましては、保健指導分科会の方からいただいた御議論をもとに作ってしまったものですから、次回以降、親検討委員会で一緒に御議論をいただくことを検討していますので、そこも含めて、またそのときに御議論をいただければと思います。

野村保健指導室長 保健指導分科会で、この5項目に絞って、食事の関係の質問は、情報提供に必要な問診のみ落とした。食事の関係の問診項目についても議論をしておりまして、食事の質問については、エビデンスが十分ではないということでしたので、保健指導階層化の判定をする問診の項目には入れなかったということがございます。

いずれにしても食生活に問題がある場合には、体重が10キロ以上増加しているという結果に出てくるので、ここを押さえれば、食事の質問をとらなくてもチェックできるのではないかといった考え方で、5つに絞った経緯がございます。

 栄養の鈴木委員がおられたときに、そういったディスカッションをいたしました。

 久道分科会長 水嶋委員もワーキンググループの委員でしょう。

 水嶋構成員 いや、私は指導分科会には入っておりません。

 久道分科会長 そうですか。それでちょっと。

 津下構成員 保健指導分科会の中で議論になったことは、お手元の参考資料のところの暫定版のプログラム51ページのところには、早食いだとか夜食、間食、朝食とか、情報提供の内容を判断するための問診としては、こういうものが必要だろうということであったんですけれども、階層化を判断する根拠としては弱いのではないかと。体重の増減、腹囲の測定値が健診項目の中にあるので、そちらを優先してとったらいいのではないかというのが、保健指導分科会での栄養士さんの立場での意見だったということです。情報提供の内容の問診には入るけれども、階層化としてはこれをあえてとらなくてもいいのではないかという考え方だったと思います。

 久道分科会長 なるほど。これは水嶋委員、どうですが、今階層化ということで、何か。

 水嶋構成員 先ほど野村室長からエビデンスはないということがあったんですけれども、実際にデータを出している論文、調査等がありますので、もしそういった意見交換の場がありましたら、実際データでお示ししたいと思います。

 久道分科会長 それではそれは後で参考にしていただくということで、よろしいですね。

 小山構成員 11ページの脂質の中性脂肪の問題。受診勧奨というところなんですが。これはもちろんワーキンググループで十分検討された結果だろうとは思いますが、私たちが健診を日ごろやっていますと、中性脂肪で150を超えるのは、いっぱいおります。しかもその人たちは、お酒をちょっと減らすだけで簡単に減ります。運動をちょっとするだけで簡単に減ります。そういう意味ではこういうのを受診勧奨の対象になるのかなと、ちょっと。日ごろやっている人間としては、疑問に思うのですが、いかがでしょうか。

 矢島生活習慣病対策室長 このところも多分学会の方のガイドラインの考え方とも整合性をとらないといけないのですが。後でまた出てきますが、今回の健診データ、精度管理をきっちりしていく、いろいろなデータの標準化をする、それから電子データも標準化をするというようなことで、データが蓄積されて、御議論があったようなことが出てきますと、またそこのところの学会等がお決めいただくガイドラインにも、その辺のところを踏まえた見直しがしていただけるのではないかというふうに思っています。

 ですからそういう意味では、私どもは、この健診のシステムをしっかり作って、データがいろんな意味で、標準化されたデータで評価できるような議論が出てくることによって、また学会の方の基準等にも御検討をいただくというのでしょうか。そういうような連携をうまくとりながら、先生から御指摘をいただいたようなことも踏まえて、なるべくそういうふうなしっかりした形で、根拠あるような形で説明ができるようなものにもっていくことができればというふうに思っております。

 津下構成員 関連です。今の受診勧奨なんですけれども、受診勧奨されると、対象者というか受診者は、薬がいるものだと思って受診をしてしまう。そして「まだいいよ」と言われるということで、病院へ行ってもしょうがなかったという話があるわけです。ですから受診勧奨というものの定義、薬物治療がすぐ必要なものではない、150を超えたからといってすぐに必要ではなくて、むしろ生活習慣改善で、非常に効果があるわけですから、今は学会のガイドラインに準拠するということで、これが動かせないとすれば、受診勧奨イコール薬物治療のような受け止め方をされないような記述、または保健指導をして、生活習慣改善をして、3カ月後に受診をして結果を確認するための受診とか。そのレベルをきちんと整理していくことが必要だろうというふうに思います。

 矢島生活習慣病対策室長 今津下先生が御指摘のことは、学会のガイドラインにもそのようなことが書いてございます。もう少しここのところの説明を、今の御指摘を踏まえまして、もう少し丁寧にさせていただくと、誤解がないようにできるのかもしれません。そこはまたちょっと工夫をさせていただければと思います。

 久道分科会長 そうですね。受診の意味がです。

 それでは戻りまして、健診の内容と基準値の標準化ですか。そこをお願いします。

 矢島生活習慣病対策室長 それでは先ほど飛ばさせていただいたところです。5ページから6ページになります。第2章(2)の健診項目の基準値等の標準化です。検査値標準化ワーキンググループを中心に御検討いただきましたものを、ここのところでお示しさせていただきます。別添の資料は、別紙3をあわせてご覧いただければと思います。判定基準のところでございます。

 この考え方ですが、従来先生方から御指摘をいただきましたのは、健診の実施機関ごとに、検査方法ですとか検査機器、試薬等の違いによりまして、いろんな基準が異なっているということでございます。今回は医療保険者に健診を義務づけるわけでございまして、医療保険者がデータベースを持ってそこでデータを一元的に管理をするということがございます。5ページの上のところに書いてございます。

 そういう意味で異なった健診機関から出てきたものの、共通の健診判定値というものを設定しませんと、その辺のところの評価が十分できないということもございます。学会のガイドラインとの整合性を確保しながらやっていくということも必要ということです。

 具体的な標準化の内容ですが、先ほどの健診の項目でございます。血液の10項目でございますが、これにつきましては独立行政法人産業技術総合研究所等の協力を得まして、可能な限り、これは今お話をさせていただきました、なるべく20年度までに標準物質の開発を行っていただけるというふうなことのお話がございます。そういう意味で検査測定値の標準化を行うことができるようにするということで、ここに書かせていただいております。

 現在その制度が始まります平成20年度までに、これらの標準物質を開発していただけるということでございます。

 では具体的に、基準値等を標準化するための標準化物質の考え方ですが、ここでは技術的に可能な範囲で保健指導の必要性などの判断に用いるための判定値でございます「健診判定値」、先ほどちょっと議論が出ました。要するに保健指導の対象とする値、それから受診勧奨の対象とする値のところの具体的な健診の判定値、例えばヘモグロビンA1cでございますと5.5%、それから6.1%。これが1つの保健指導、受診勧奨の基準の標準値になるわけでございます。この値について、この値を持つ標準物質を開発していただくということによって、かなり精度管理を厳格にやることができるのではないかと、ワーキンググループの先生方からまとめていただきました。

 大事なことは次の6ページでございます。その標準物質を作っても使っていただけないとまずいわけでございます。健診機関は原則としてこれらの標準物質を使用し、トレーサビリティーも含めた十分な精度管理を行うことが必要であるということが、あるのではないかというふうに思っております。

 それから先ほどちょっと飛ばしてしまったところでございますが、血圧測定、腹囲測定につきまして、ここのところで国民健康栄養調査等で行われてきた測定手法をもとに、標準的なものをやっていく必要があるだろうし。

 3)でございますが、学会ガイドラインとの整合性を保つ必要がある。それから基準値等につきましては定期的な見直しをしていくことが必要ではないかということでございます。

 別紙3のところに具体的な項目名ですとか、この10項目、それから判定値、データ基準のところでございます。それから検査方法はここに列挙してございますが、これも検討班でそれぞれの検査法につきまして、それぞれの項目ごとに90%以上のシェアをカバーできる検査方法というものを、ここに具体的に列挙させていただきました。要するにこの辺のところは標準的な検査方法ではなかろうかということを、具体的にイメージさせていただいたものを、この中に表示させていただきました。以上でございます。

 久道分科会長 ワーキンググループの座長をしていただいた渡辺先生、何か補足説明がございますか。

 渡辺構成員 特にございませんけれども、現在この10項目につきまして、すべてが標準物質があるわけではございません。例えばLDLコレステロールなどはまだ難しい。もしかしたら平成20年度の4月までには間に合わないかもしれない。そういう場合にはコレステロールとHDLで計算で、LDLの数値を出すとかいうことも必要だと思います。

 現在ほとんどこの10項目、LDL以外に、さっき御説明がなかったですけれども、日本臨床検査標準協議会というところと、さっき言いました産総研とで、標準物質を開発しております。現在それは確保できることになっております。ただ標準物質といってもいろいろなものがございます。一次標準物質、つまりこれは1メートルなら1メートル原器みたいなものとか。そういうふうなものがあるというんだけれど、それを全部合わせるのは難しい。

 それから一次標準物質といいますか、それに合わせたようなものを、各メーカーさんに、availabilityを持たせて、各健診機関にそれをきちんと配布して、そこで標準物質に値を合わせるというふうなことをするのが、具体的には一番よろしいのではないかというふうに思います。

 我々のデータですと、40施設でやったんですけれども、標準物質がある場合は、この10項目ぐらいについては、5%内外ぐらいの誤差で互換性が確保されるということ。それは1つのデータとしてわかっていますので、多分この形でいけば、そんなに大きな臨床検査値のばらつきとか、各施設によってばらつくということはないというふうに考えております。以上です。

 久道分科会長 今のところで御意見はございませんか。よろしいでしょうか。また何かありましたら、戻ってお聞きしますので、そのときに御意見をいただきます。

 それでは次は第4章、お願いします。

 矢島生活習慣病対策室長 それでは、12~13ページになります。精度管理でございますが、内部精度管理と外部精度管理の実施ということでございます。まず内部精度管理につきましては、今御説明をさせていただきました、独立行政法人産業技術総合研究所が開発しました標準物質を使うということです。先ほど私がコメントの中で読み忘れましたけれども、この物質は、渡辺構成員からも御指摘がございましたけれども、特定非営利活動法人、日本臨床検査標準協会と独立行政法人産業技術総合研究所が連携をいたしまして、臨床検査用の標準物質を開発していただいているわけでございます。

 この標準物質を使用し、トレーサビリティーも含めた十分な内部精度管理が定期的に行われているということが、1つの内部精度管理としての考え方として定着させることが必要ではないかという考え方と。

 それから外部精度管理につきましては、現在例えばいろいろな精度管理事業としまして、日本医師会、日本臨床衛生検査技師会、全国労働衛生団体連合会などが、外部精度管理として定期的に行っているものがございます。こういうふうなものを定期的に受けているということがやはり大事なことではないだろうかというふうに思っております。以上でございます。

 久道分科会長 いかがでしょうか、ここについての御意見はございませんか。

 矢島生活習慣病対策室長 すいません。精度管理について13ページの説明を外してしまいました。13ページは参考に、「健康増進事業実施者に対する健康審査の実施等に関する指針」ということでございます。これは主に精度管理に関する事項が書いてございます。これにつきましても、健診実施者は、精度管理に関する事項に準拠して、精度管理を行うということが大事だという説明を飛ばしてしまいました。申しわけございません。

 久道分科会長 既にあるものですね。

 矢島生活習慣病対策室長 そうです。既にあるものでございます。

椎名専門構成員 ここは精度管理について記載されているのですけれども、精度管理を含めた健診、あるいは保健指導の質の評価については、前回の保健指導分科会でも若干の議論がありました。本体の参考資料の115ページに、まだこれは論点整理的な書きぶりですけれども、健診保健指導に当たる民間事業者等の質の管理、評価を行う第三者機関が必要ではないかと問題提起があります。

 精度管理をきちんとやってもらうのは当然ですが、そういったことも含めた第三者評価機関、これをぜひ早急に具体化していただきたいと思います。これを早急に作ってもらうと我々保険者としても、その評価に基づいて選択できるわけです。そういう意味でぜひ具体的な検討をお願いしたいと思います。

 矢島生活習慣病対策室長 これは第4編体制基盤整備ということで、健診分科会だけでなく、今椎名構成員からもございましたけれども、保健指導分科会のところとも関連してくるものですから、できれば親検討会でここを改めて御議論をいただいて、多分今日の御議論も踏まえて、健診だけでなく保健指導も含めた形で、また親検討会の方で御議論をいただければと思っております。

 久道分科会長 この委員会ですね。

 矢島生活習慣病対策室長 この健診分科会ではなくて、親の全体の両方合わせたところで御議論をいただければというふうに思っております。

 久道分科会長 わかりました。次は、第5章ですか。

 矢島生活習慣病対策室長 それではお手元の資料の14ページでございます。別紙資料は、4、5、6を合わせてご覧いただければと思います。

 14ページ、基本的な考え方でございますが、今回の新たな健診における健診データの流れといたしまして、基本的には別紙4にございますように大きく4つの流れがございます。1~4という形で、お示しさせていただきました4つの流れと、それから5番目といたしまして、国、都道府県、支払基金等に実施状況を報告する。左上のところにございます。番号は振っていませんが、実施状況報告というものの流れがあるというふうに考えております。

 これらにつきましては、当然のことながら、電子データでやりとりするということが重要だと考えています。データの互換性を確保することが大事です。医療保険者のところに継続的にこのデータが蓄積されていくということが大事だと思います。

 もちろん個人情報の保護には十分留意することが必要でございますので、そのことを含めた上で、この辺のところをどういうふうに標準的な様式を作っていったらいいだろうかということで、具体的には別紙の5-1のところに、電子的標準様式のイメージを書かせていただいております。

 それから別紙5-2は、実際にシステムを開発するときのデータ範囲のチェックでございます。データを外れた場合に、入力の警告をするための入力最小値、最大値、そういうような考え方。それを超えた場合に、この入力最大値を越えたり、最小値を下回った場合にどういうふうにするのかとか。実際に検査をしない場合には、どうするのかというルール、そういうふうなもの標準的に定めさせていただいたものでございます。

 基本的にはここにございますような形で、この特徴は個人情報の保護に配慮するために、具体的には、受診した方の名前はどこにもございません。名前は入っておりません。健診データ登録番号という形で、実際に医療保険者から番号をいただき、それを健診機関で確認しながら、そこのところはまた名前の情報管理は、別の形でさせていただく。少なくともデータのやりとりをするところにつきましては、個人の名前が出てこないような仕組みを考えるというようなものでございます。

 ここは労働安全衛生法のところの健診とのデータのやりとりができるというイメージで、そちらの方の項目についても、一緒に載せさせていただいております。

 別紙5-1の左のところに条件というところがございます。その条件のところに労働安全衛生法で必要とされる項目と、今回の特定健診で必要とされる項目について、印をつけさせていただいています。それぞれの意味づけをさせていただいております。もちろん特定健康審査に必要なものだけのデータでいいわけですが、実際先ほどの1~4の流れの中で、労働安全衛生法に基づきます健診を実施した事業者から保険者の方にデータが来る場合もございますので、そういうことを踏まえまして、データの標準的な様式のイメージというものをこういうような形で作らせていただきました。

それから別紙6のところでございますが、では実際にメーカーがソフト開発をするということになるわけですが、これはこういうふうな場合には特定のメーカーのハード、ソフトに依存しない形式にすることが必要であります。将来システムの変更があった場合にも対応が可能な形式にする必要がございます。それから健診機関、保険者等の関係者が、対応できる方式にするということが必要でございます。

そういうことも踏まえまして、別紙6に電子的な健診データフォーマットのイメージ案というものを作らせていただきました。実はこれはわかりやすくするために、日本語でかなり漢字を使って書いていますが、括弧の不等号の中、これはタグ名というそうでございますが、実際にはこれは、国際的な流れですとかそういうことも踏まえて、英語表記になる可能性もございます。わかりやすくするためにあえて日本語の漢字を使って、ここのところはイメージを作らせていただいています。このような形で、データフォーマットというものをやることによって、メーカーのハード、ソフトに依存しないような形式にすることができると思っています。

それから研究班で作成しましたフリーソフトを配布することによりまして、例えば健診機関、保険者が独自にソフトを開発することの手間を省くようなことができるのではないかというふうに考えています。

 それから14ページの下のところですが、先ほどの4つの大きな流れのほかに、5番目といたしまして、国、都道府県においては健康日本21及び都道府県健康増進計画の見直し、及び進捗状況の把握のために、各保険者から健診保健指導実施状況報告、これが必要でございます。そのための標準様式。今回は示していませんが、これも必要な形になってきます。この標準的な様式が定まれば、基本的にはこの形をベースにして、その標準様式もつくることができるというふうに考えております。以上でございます。

 久道分科会長 どうもありがとうございます。このワーキンググループの座長をされた大江先生、何か補足ございますか。

 大江構成員 別紙6で今御説明をいただきましたけれども、これはイメージをつかんでいただくためにこのように作ってございます。基本的には、実際にコンピューター同士でやりとりされるデータフォーマットは、こんな感じのものになるというのが、御提案ですが、大事なことは今後の項目の追加や変更、あるいはもう少し細かいコメントを入れたいというようなことに対しても、柔軟にこの構造を変えずに利用できるということです。そういうことに最も対応しやすい形式、これはXML形式というふうに一般的に呼ばれていますが、それにほぼ合わせた形になっています。

 恐らくこのような形は、よく使われる表集計のExcelプログラムとかそういった形でつくられるものと見比べますと、見慣れない形式かとは思いますが、そういう一般的な形式とこの形の間での相互変換のプログラムというのは簡単に開発することができます。これは先ほどもお話がありましたように、研究班等で使いやすいものをフリーで開発をして自由にお使いいただけるような形で、データの相互変換は気軽に、特にITのコストをかけずにできるというふうな工夫をしてあるつもりでございます。

 久道分科会長 どうぞ。

 中村構成員 埼玉県です。全国衛生部長会の代表で参加しております。イメージということで資料5-1に項目名が出ておりますので、またいろいろ御検討いただけると思っております。

 別紙4に戻っていただきたいと思うのですけれども、都道府県としては保険者から実施状況報告ということで、データをいただく流れになっております。ここでこのデータをいただくに当たって、別紙5-1のイメージの中に住所地の情報をぜひ入れていただけると整理がしやすい。それを入れていただかないと整理ができません。

 それともう1つ要望ですけれども、別紙4の保険者は、できれば個々の保険者ということではなく、個々というのは事業所ごとの保険者ということではなく、例えば国保中央会とか健保連とかで一度全部まとめていただいたものを、都道府県に分けていただけると、住所地別にデータ整理というか集計がスムーズにいくと考えていますので、御検討いただければと思います。

 久道分科会長 これはまとめるのはだれがまとめるの。

 矢島生活習慣病対策室長 このところはデータを、多分都道府県に行くときにどうするかという御議論かと思いますか、一度国で集めてから都道府県別に整理してから都道府県にお渡しするという方法も選択肢としてあるかと思います。ここはこれから具体的に、なるべくどういうふうなやり方が一番、せっかく電子的な形になるわけですから、ここのところうまくやれる方法というものを、今後検討させていただく必要があるのではないかと思います。

 そういう意味ではまだ今御指摘がありましたようなことも踏まえて、住所地が分けられるような形になっていかないと、都道府県単位に分けられないわけでございます。そういうことも含めた形は、配慮させていただきたいと思います。

 久道分科会長 そうですね。他にございませんか。

 池主構成員 本文の方で、3つに分けた、国、都道府県、支払 基金というのがあるんですが、この図式の中には支払基金というのは、特に関係しないのですか。データのこちら側のところで。

 矢島生活習慣病対策室長 このところは、特にこのデータの形であれば、特に問題はないというふうに、我々は認識していますが、これはまた今後詰めていく段階で、もし必要があれば、先ほどありましたけれども、このフォーマットでありますと、追加、削除、順番の変更だとかが可能なものになっております。そこは適宜また議論を踏まえて、必要があればまた追加ですとか、そういうことも可能かと思います。

 久道分科会長 ほかにはございませんか。

 椎名専門構成員 健診データと書いてあるんですけれども、この範囲を教えていただきたい。つまり健診の項目だけに限るのか、あるいは問診、質問票ですか、そういった項目を含むのか。あるいはさらに何か含むものがあるのかどうか教えてください。

 矢島生活習慣病対策室長 別紙の5-1のところ、説明が不十分で申しわけなかったのですが。下の方をずっと見ていただきますと、番号が1番からになっていますが、101番からでございます。ここが先ほど出ました質問票のところの質問項目のところに相当するものが入る予定でございます。これだけを見ますと、なかなかイメージがわかなかったので申しわけないのですが。質問項目については101番から入ってきます。それから、101~112までのところが大体それに相当します。

それからまた下のところ、これはまた、今後評価のところでも出てくるかもしれませんが、例えばどういうふうな保健指導をするのかということについて、これは今後また具体的な中身が詰まりました段階で、また見直さなければいけませんが、今の段階では、例えば積極的支援、動機づけ支援、情報提供というようなものが入るとすればこのようなイメージなのかなと。

 それから実施の効果。例えば腹囲が減った、体重が減ったということを見るのであれば、こういうことかなということで、とりあえずの項目はこのような形で入れさせていただいております。これは今後、項目、何をデータとして入れるのかということの議論を踏まえて、ここのところも、追加、削除、順番の変更、そういうことも一応可能なものになっております。

 久道分科会長 よろしいですね。ほかにどうぞ。

 内田構成員 個人情報の保護に関してですけれども、電子化の話が出ますと、必ずこのことが話題になります。ここには個人情報の保護には十分に留意するという、一行が入っているだけですけれど。ともするとこういう電子化、標準化というときには、保険者やあるいは医療提供者の利便性、あるいは効率、経済性といったものが優先されて、個人情報の保護というものが、必ずしも十分担保されない場合が出てくるというふうに思います。この点十分留意して進めていただきたいと思います。

 矢島生活習慣病対策室長 今回の法律でも先ほどの1から4を含め、すべて法律に関係して、根拠のところは守秘義務がかかっています。先ほどの表の別紙4のところで、法番号で、それぞれのところのデータの流れについては、どの法律の第何条を根拠にしてということを書いています。このところにつきましては、守秘義務がかかっていますので、そういうことでまず個人情報の保護について、確実に確保される方法。

 それから国、都道府県にくるところにつきましては、実施状況報告でございますので、特に個人が特定される必要はございません。二次加工をしたデータでいいというものが、国、都道府県に出てくるという形になります。あくまでも個人情報、個人のところにつきましては、医療保険者の中だけにとどまるような形に配慮するような、御指摘も踏まえまして、そこのところ十分留意させていただく形でシステムを組ませていただくように考えています。

 久道分科会長 今の話題は、(4)に入って。

 矢島生活習慣病対策室長 そうですね。かかわってきます。

 久道分科会長 ではそこへいってください。

 矢島生活習慣病対策室長 よろしいですか。途中の健診項目の標準コードとかそこも(2)と(3)がまだ抜けているのですが、もし差し支えがなければ、今(4)の議論が出てきましたので、(2)と(3)は似たような形なので、あわせて御説明させていただきます。

 まず先ほどのような様式を定めることによりまして、従来ありませんでした標準コードというものを電子的にフォーマットを決めるためには、項目についても標準コードを設定することが重要になってきます。前回血液の検査データにつきましては、日本臨床検査医学会が策定いたしました。JLAC10、これを標準的なものとしてはいかがかという御提案をさせていただきました。これについては特に御議論がなかったわけでございますので、それをベースに標準コードの設定を考えております。

 それから質問票につきましては、これは標準コードはございませんが、これにつきましても例えば質問項目、それから身長等そういうふうないろいろな理学的な検査の所見につきましても、JLAC10コードのない項目につきましては、ワーキンググループでJLAC10のコード体系に準じたコードを検討していただきまして、標準的なコードを設定することを考えております。

 具体的に先ほど申しました10項目の血液検査につきましては、JLAC10の運用コードでいたしますと、ここにありますような6けたのコードというものが、JLAC10で定められております。こういうふうなものを実際に使ってデータの中で、標準コードとして使っているということを考えています。

 次の16ページ(3)もあわせて御説明させていただきます。健診機関、それから保健指導機関のコードというものも必要になってきます。名称だけですと、なかなか同じような名称であったりということもございます。漢字の表記の問題もございますので、このところはコードの設定が必要だというふうに考えています。

 具体的な考え方といたしましては、例えば保険医療機関の場合には、既存の保険医療機関コードというものがございます。こういうふうなものを活用する方法もございます。例えば健診だけをやっている医療機関の場合ですと、その保険医療機関コードというものは持ってないわけでございますので、例えば1つの考え方として、これは例示ですが、既存の健診機関が持っています電話番号、そういうふうなものを使ったりする方法も考えられるのではないだろうかというふうに考えます。

 いろんな考え方がございますが、こういうふうな設定の手順をするような形で、なるべく負担がかからない形で、健診機関のコードの設定をするということ。

 それからこの健診機関のコードにつきましては、特に都道府県ごとで、保険者協議会等があるわけでございます。例えばそういうようなところにおきまして、上記の手順にしたがったコードの設定を行っていただき、健診機関の情報収集、整理、要するに、台帳の整理というのでしょうか。そういうふうなことも御検討していただく価値があるのではないかというふうに考えております。

 (4)は後ほど説明させていただくということで、(2)(3)について御議論をいただければありがたいと思います。

 久道分科会長 コードの関係はあまりないだろうと思うのですが。留意点です。先ほど個人情報保護に関係したことで御意見が出ました。いかがでしょうか。

 矢島生活習慣病対策室長 それでは(4)も一緒に御説明させていただきます。あわせて御議論をいただいて結構なのですが。生涯を通じた健診情報のデータ管理を行う場合の留意点ということで、ここのところが先ほど内田構成員から御指摘がございました、一番配慮しなければいけないところだと思っています。そういう意味で、健診データと個人名が一緒にならないような工夫というものが必要でございます。一方では保険者においてはデータを蓄積し、それを分析評価して活用するということも大事でございます。

 そういう意味でここで健診データ登録番号というふうな考え方を、1つ提案させていただきまして、(2)番にございますけれども、保険者は被保険者ごとに健診データを整理するため、一定のルールに基づき一意性を保つことができる登録番号の設定を、以下の手順で行ってはいかがかという方法でございます。

 例えば既存の保険者番号。これは法別番号と都道府県別番号を含んだ8桁の数字がございます。それと一意性のある個人の固有番号、例えば1つの例として現在被保険者が使用している被保険者番号ですとか、それから職場の職員番号ですとか、健診整理番号などいろいろなものがあると思います。どういうものを使ってもいいかと思いますが、そういうふうな個人の固有番号と合わせて、健診データの登録番号とするという、1つの考え方。

 それからこの固有番号は一度に一個人に発行した後は、同じ番号は別の人には再発行しないということが必要でございます。例えば仮に被保険者番号を使った場合には、当然この被保険者番号は、その方が退職されたり移ったりした場合には、その番号が次の方に使われる可能性がありますので、発行年度の西暦の下2けたを頭に追加することによって、必ず一個人に1つの番号になるような工夫のしかたというものもできるのではないかというふうに考えています。

それから被保険者番号では個人ごとの番号でない場合もございます。枝番号を追加するというようなことも、方法としては考えられるだろう。それから保険者間を移動した場合には、前保険者で使用していた健診データ登録番号、例えば平成20年度4月1日現在所属していた保険者で公布された番号と、健診データとともにこれは持ち運ばれることになります。移動後の保険者は、被保険者の健診データを管理することが可能となるわけでございますので、そこのところをよく考えなければいけないということです。

 それから被保険者の希望により、移動したところでは全く新しい番号を発行するということも可能になるということでございます。かなりここのところは、個人情報につきましてはいろんな意味で、今御提案をさせていただきましたことをやることによって、かなり個人情報についてのいろんな配慮というものができるのではないかというふうに考えております。以上です。

 久道分科会長 (2)(3)(4)のところを一括して、説明していただきました。御意見をいただきます。いかがでしょうか。

 山口構成員 別紙5-1でデータがどんなふうにデータベースに乗っていくのかということを御説明をいただいたんですけれども、これが健診を受けられた方、個人にはどんなふうに返すことを考えていらっしゃるのか、考えていらっしゃれば教えていただきたい。

 矢島生活習慣病対策室長 これがまた別の機会になるかと思いますけれども、実際にわかりやすく提供しなければいけませんので、基本的な形ができました段階で、また具体的にどういうふうな形で、利用者に示したらいいかということは、別の機会で。

 イメージとしては、最初のところで、きょうの資料の1ページのところをごらんいただきたいと思います。標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)の(構成案)という1ページの紙がございますが、保健指導における学習教材の具体例。この中で具体的にもう少しわかりやすい形でお示しさせていただくことを考えております。

 久道分科会長 これは後で検討ということですね。ほかにどうぞ。

 小山構成員 個人情報保護の問題が、先ほどから出まして、大変難しい問題かもしれませんが、今の話を私なりに考えましたところ、個人情報、つまり個人のデータは保険者としてもちゃんと認識できるようになっていると思いますが、その個人がどういう受診状況にあるのかということとは、くっつけてわかるようにはなるんでしょうか。例えばこの人がどういう病院にかかって、どうしているかということとは、くっつけられるんでしょうか。

 矢島生活習慣病対策室長 これは、この検討会だけで議論できる話ではないと思います。平成23年までにすべてのレセプトが原則、電子化、オンライン化されることが予定されております。医療保険者は、健診データとレセプトのデータを突合することは、我々は重要だと思っています。そのデータを活用することは、重要だと思っています。

 これは次回でも健診保健指導計画作成及び評価のためのデータ分析ですとか、データ管理のところで、これは私ども御議論をいただこうと思っています。レセプトデータを活用して、例えば糖尿病については、治療中断というのが大きな問題だというふうに、我々も認識しています。医療機関を受診したはずですけれども、医療機関の方からすれば、来られなくなったのが引越しをして来られなくなったのか。また別の医療機関に行くことによって来られなくなったのか、ということが判断できないわけです。そういう意味で医療保険者のところで、数ヶ月後ではありますけれども、レセプトのデータということで確認をすることができます。特にそういうところも含めて、受診の状況とレセプトの状況と健診データをうまく活用しながら、最終的には糖尿病等の生活習慣病が予防できる、重症化を予防するということも含めて、そういうことのシステムが重要になってくると認識をしております。

 小山構成員 全くそれは大事なことだと私が思っているのは、むしろ保険者の方々が、これだけ健診を受けたのにもかかわらず、この人が健康になったかということの評価を何でするかといったら、要するに病気があるかないかということだし。もっと言うならば、医療費がどうなったかということと絡んでくるわけでしょから。そういう形で保健指導をきちんとやったかどうかということにも繋がってくるということかなと思っております。

 久道分科会長 今のは、かなり重要な話なんです。今健診情報のデータを有効性評価のために、だれが使うことができるのかということと関連するわけです。例えば厚生労働省の作った研究班ができるのか。あるいは特定の疫学者が何らかの研究計画を立てて、公的な資金を使って、こういう研究をしたいというふうなことまでできるのかどうか。これの議論がかなり必要だと思います。

 水嶋委員はかなり関心があるはずだと思うのですが。これはどうですか。これは、結論をすぐ出すのは難しいのですが、これは定期的に、評価のための検討といいますか、研究はする予定があるのですか。

 矢島生活習慣病対策室長 そこのところも重要な問題だと思っています。それから今日のところの14ページをお開きいただきたいと思います。先ほど別紙4のところの1~4以外、5番目の流れです。国、都道府県のところに提出していただく流れがあるわけです。国や都道府県においては健康日本21及び都道府県健康増進計画の見直し及び進捗状況の把握のため、各保険者から健診・保健指導実施状況等の報告が必要であります。

 ですからまずいろんな意味での分析をする必要があります。これをやることによって、糖尿病と生活習慣病の方を着実に減らすということが求められているわけでございますので、そういうことがしっかり評価できる仕組みをつくらなければいけないと思っています。もちろんここは個人情報の保護に、十分留意をした上で個人が特定できないような方法で、二次加工されたデータで、しっかりここのところを評価できるような報告の仕方というのでしょうか、分析のようなものが必要ではなかろうかと思っています。

中島参事官 久道先生がおっしゃったように、ここが大変重要なところだと思います。レセプトも今後は電算化ということになりますので、やはり事務局としては、この健診データというのは、ぜひとも最初からしっかり電子化をする形で進めていくことが大切と考えています。

そのねらいは、2つあります。まず直接的には各医療保険者が、自分たちの保険者集団としての健康課題がどこにあるのかということを見極めていただく。そしてその健康課題を解決していくために、どのような健診、保健指導していけばいいのか。そしてその結果、効果が上がっているのかどうかということをまずしっかり知っていただくというためにも、やはり電子化というものが必要であり、レセプトとの突合もいるのだろうということが、1つであります。

 それから2つ目が、久道先生がおっしゃいましたように、よりよい健診のあり方、よりよい保健指導のあり方を考えていく。いわゆる疫学的な、公衆衛生学的な観点から、そういうことを考えていくためにも、もっと広いオールジャパン的な意味で、きちんと電子化をして医療費まで含めて分析できることが、こういう健診項目でやれば、確実に対象者を発見できる確率が上がるとか、こういう保健指導をするとかなりこちらの保健指導手法よりも効果が上がるということができ、より新しいプログラムの開発にも資するだろうという、2つの次元があるのだろうと思います。

そういう点ではきょう御議論がありましたように、個人情報の保護には当然、矢島室長の方からも説明がありましたように、守秘義務という形で、法律上はっきりしているとともに、システム的にも個人情報の漏れがないような形でやっていかなければならない。

 そのためには、必要でない情報というのは、むやみに拡散させないということも極めて重要というふうに考えています。そういう観点から、電子化、かつ個人情報の保護にはしっかり配慮ということでやっていければと思っております。

 久道分科会長 どうもありがとうございます。どうぞ。

 椎名専門構成員 ちょっと些細なことになりますけれども、17ページの登録番号のところです。被保険者ごとに健診データ云々、あるいは16ページの上の方に被保険者の健診データをとありますけれども、これは、被扶養者も当然同じなんですよね、という質問なんです。

 矢島生活習慣病対策室長 すいません。同じでございます。すべてという意味で、被扶養者も入っております。

 久道分科会長 ほかにはございませんか。どうぞ。

 中村構成員 関連になりますが、地域で健診の受診率を指標にして、いろいろ健康増進計画の実践をしていくわけですけれども、その際の分母になる数が、今の被扶養者も含めて登録されて、まず全部の、この地域にこのくらいの人数(性別、年齢階級別等の)データがいただけるというイメージを持っていいのでしょうか。個人情報保護の関係があると思いますけれども。

 矢島生活習慣病対策室長 これはまさに、別紙4のところの流れで、各医療保険者から、これは先に国が一括して集める形がいいのか、都道府県ごとを経由して国へ、がいいのかという御議論はありますが、そこのところもどういうふうなやり方がいいのかというところの中に、保険者の方から例えば対象者の数をいただければ、分母が確定できるわけです。

最終的には健康日本21ですから、都道府県の健康増進計画に必要なデータというものを医療保険者からいただくときに、対象者、要するに40歳~74歳の方々の被保険者、被扶養者の数も含めて出していただくことによって、分母を確定することができると思います。実際に健診を受けていただいた数を出していただくことで、受けたかどうかということで受診の数を把握することもできると思っています。具体的には実施状況の報告をどういう様式にするのかというのは、これから詰めていかなければいけない問題だと思います。

 それから大事なことは、やはり健康日本21、それから都道府県の健康増進計画を含め、本当に予防ができるような、それをしっかり進捗状況を把握することができるような数値というものは、どういう形で把握することが必要なのかということも含めて議論をして、ここのところの実施状況の報告という形を、標準的な様式というものを定めることが必要なのではないかというふうに思っております。

 酒巻構成員 もう少し先の議論になるのかもしれないですけれども、実施状況を報告した上で、概数として妥当であるかどうかという部分についても、どのように検証していくのかということをやはりどこかで詰めていかないと、どこかから数が、一部分抜けているというようなことが起こるかもしれないので、そのような検討もされてはいかがでしょうか。

 矢島生活習慣病対策室長 はい。御指摘の点も踏まえまして、やはり評価というものは、大事でございますので、しっかり評価ができるためにはどういうふうな情報が必要かということも含めて、検討させていただければと思います。

 久道分科会長 どうぞ。

 水嶋構成員 先ほど座長から評価の件に関して、話題を振っていただきまして、ありがとうございます。こういう健診事業の有効性評価の点では、何を指標として評価するかということが一番重要でございます。参加者の自己満足度、CSだけではないわけです。そのときのエンドポイントといいますか、アウトカム指標としては、やはり1つは医療費適正化のこともあります。介護予防に資するシステムになっているのかどうか。それを経た健康寿命の延伸かどうかです。これはやはりきちんとコホート化といいますか、集団をきちんと他の重要なデータとリンケージできるような仕掛けを作るというのが最も重要です。

 逆にそういうことをすることによって、国民の公衆衛生の向上に資することを、厚生労働省としては進めていますということを、各報道機関を通して、確実に国民の方に御理解をいただいた上で、いろんな御意見をいただきながら、日本の世界一の健康寿命はこのようなシステムによってさらに安定していくのだということを、お互い分かち合うことが重要だと思います。

 今別のところで議論のありますような、例えばがん登録の制度なども、国民の方にとって、私の知らないところで勝手に自分の病名が動いているというような疑心暗鬼になりますと、やはりうまくいきませんので、日本としてはこういうシステムで、皆さんの健康増進のために、皆さんの情報を使っているということを公明正大に、いろんなオープンなディスカッションができればと思っております。コメントだけさせていただきました。

 久道分科会長 どうもありがとうございます。ほかにございませんか。

 諸江専門構成員 共済組合連盟の諸江です。電子データのことで、ちょっと確認をしたいのですけれども。この健診データというのは、個人個人の健診結果とそれから統計的な諸情報と、二通り考えられますけれども、両方とも入っているというふうな理解でしょうか。

 矢島生活習慣病対策室長 はい、そうです。

諸江専門構成員 そうしますとある保険者のある被保険者がどこかで、健診を受けた。100人なら100人が受けたとしますと、その100人の健診結果が電子データでもって保険者に届く、そういうことでよろしいですか。

 矢島生活習慣病対策室長 健診結果が電子データで届くということです。

諸江専門構成員 ですから個人の健診結果というのは、紙といいましょうか、電子データ、電子媒体を通じないで保険者に。

 矢島生活習慣病対策室長 違います。説明が不十分で申しわけございません。別紙4のところでございますが、まず1のところ、健診機関から保険者にデータが行きます。これは先ほどのところでございますが、データのやりとりがまず法律で定められています。このデータは、今回お示しさせていただいた様式の5-1をイメージした形で、ここのところにある健診項目のものが入った形で、このような形の電子データでお届けする形になります。

ですから仮にExcelみたいな、皆さん方がよく使っています表計算ソフトで、こういうふうな形で確認をすることができます。ソフトの開発が必要ですが。具体的なイメージとしては、別紙6にあるような形の構造のプログラムを使うことによって健診機関から医療保険者に、データをお渡しする形になります。

そのやり方につきましては、先ほど御説明をさせていただきましたが、研究班の方でデータのやりとりができるところについては、フリーソフトを提供させていただくことを考えております。

 ですからこのソフトからそれぞれの保険者が持っていただいておりますコンピューターにデータを取り込んで、それぞれの医療保険者の中で、データの蓄積をしていただくことが可能になります。

 諸江専門構成員 くどいようですけれども、そうしますと例えば医療費の場合はレセプトが、本来紙で来る。それを今IT化しようとやっているわけですけれども、本件につきましては、健診結果をレセプトというふうに考えますと、そのレセプトのかわりに紙ではなく、電子媒体を通じて保険者に届けられると。

 矢島生活習慣病対策室長 はい、そういう形を考えております。

 諸江専門構成員 そうしますとその手法、要するに電子媒体は、オンラインではなく。

 矢島生活習慣病対策室長 オンラインも含め、どういうやり方が可能か。これはこれからの議論になります。オンラインの場合ですと、いろんなセキュリティの問題が。

 諸江専門構成員 わかりました。例えば今支払基金でやっているのは、オンラインは先ほどおっしゃったように、平成23年という話がありますけれども、現在はそうではなく、CD-ROMとかそういう電子媒体でやりとりをしようとしているわけです。そうすると本件についても、あるいはそこは今後の検討課題かもしれませんけれども、現時点で考えられているのはどういう方法ですか。

 矢島生活習慣病対策室長 この様式であれば、フロッピーディスクでもCDでもMOでも、いろんな電子媒体を使って、データを提出させていただくことが可能です。それをパソコン等に読む込むことも可能だと考えています。

 諸江専門構成員 そうしますと個々の医療機関が、それぞれの保険者にフロッピーディスクならフロッピーディスクを送ってという形で健診結果を報告すると。

 矢島生活習慣病対策室長 具体的にどういうふうなやり方をするかというのは、これからまた詰めなければいけませんが、医療機関等の健診機関からは、電子的にデータを出していただくという形。それから医療保険者の方は、そのデータを電子的に受け取っていただくということを考えています。

 これにつきましては、具体的に今年度の準備事業で、全国数カ所の都道府県で、実際に準備事業をやって、今御指摘がありましたような健診機関、医療機関からデータを出して、それからそれぞれの保険者にデータがどういうふうに行くかということも含めて、準備事業をして、いろいろな課題とかそういうふうなものを整理させていただくことを考えています。

 久道分科会長 よろしいですね。ほかにございませんか。なければ最後の(5)保存年限のことです。

 矢島生活習慣病対策室長 それでは最後のところでございます。18ページでございます。蓄積されたデータにつきましては、医療保険者において、健診データを蓄積をしていただくことになります。生涯を通じた健康管理という観点から、継続的なデータ管理というものが必要だというふうに考えております。

そういうことで具体的な保存年限の考え方ですが、参考のところをごらんいただきたいと思います。資料の18ページの真ん中のところに、他制度における保存年限ということで、いろんな制度によりまして、それぞれ年限が定められております。今回の特定健診を受けます健診結果の保存年限につきましては、40歳~74歳までの被保険者被扶養者が加入となっている限りは、当該保険者が保存するというものが必要なのではないかという議論がございます。

それから保険の加入者でなくなった以降は、次の保険に引き継がれるわけですが。例えばその引き継ぎまでの間、例えば前の保険者がどの程度の期間保存するかということも考えなければいけません。空白期間ができないようにするためには、例えばですけれども、1年程度は保存をしておいて、1年たってから消去するというようなことが必要なのではないだろうか。次の保険者に適切に引き継がれるまでは。原則40歳以上の全データは、次の保険者に引き継ぐことが必要ではないかというような考えがございます。そのようなことを踏まえ、保険者と、ここはこれから御議論をさせていただかないといけませんが、保存年限というものを設定してはどうかということでございます。ここはまだ調整ができたわけではございませんが、考え方としては、こういうふうな考え方が必要ではないだろうかというふうに思っています

それから18ページの一番下、これは1つの例示としまして、兵庫県尼崎市役所における職員の健診記録でございます。ここは在籍している限り、保存することとなっています。この長期保存データを後ろ向きに見た場合、心筋梗塞等の重症化したものは、10年以上も前から肥満があって、中性脂肪も合わせて高いことなどが確認されています。早期の段階で介入すれば、予防することができたのではないかという評価が可能になります。

さらに今後同様の状況にある者に対しても優先的に介入するなどの戦略を立てることができますので、そういう意味ではかなり長期間のデータを保存しておくということに、意味があるのではないであろうかというふうに、私どもは認識をしているところでございます。以上でございます。

 久道分科会長 この保存年限の設定は、また議論があろうかと思うのですが、今の時点で何か御意見はございませんか。これは今までのような書類での保存だったら、大変だけれども、電子媒体だとそう難しいことではないですね、長い期間も。

 矢島生活習慣病対策室長 そうですね。データがデジタルですので、そこのところはしっかりバックアップしておくシステムができれば、スペースもとらずに保存することは可能かと思います。

 酒巻構成員 どこかではデータを二重化しておくという文言をぜひとも入れておいていただいた方がいいのではないかと。違う場所に二重化しておいておくように。

 矢島生活習慣病対策室長 保存の考え方ですね。

久道分科会長 バックアップのことですね。何かほかにございませんか。

一応今日の予定の検討項目は、これで終わりましたけれども、大分急いだ関係もありまして、時間が少し余裕が出ました。振り返って、最初の項目からちょっと言い忘れたというふうな御意見がございましたら、10分ぐらいの余裕がありますので、何か。

 椎名専門構成員 別紙2ですけれども、標準的な質問票、あるいはこちらの暫定版、構成案の10ページ、生活習慣改善の必要性を判断するための質問票と、幾つかの質問票があるわけです。基本的に、この質問票はだれが書くのでしょうか。つまり面接方式で、だれか他者がやるのか。あるいは自記式でやるのか、その辺を教えていただきたい。またそれを明記していただきたいんです。

 野村保健指導室長 質問票については、健診を受ける前に、各自が、受ける人が自分で書くということを考えております。健診に来て、面接をしながらということではなく、その前に書いてきてもらう、自記式を考えています。

 椎名専門構成員 後ろの方の問診は。この5項目の質問項目がありますね。

 久道分科会長 別紙2ですか。

 矢島生活習慣病対策室長 10ページですね。これもこの中と重なっておりますので、自分で。

 椎名専門構成員 これも自記式。ではその場合、選択肢がイエスとノーの2つしかないわけですね。イエス・ノーで答えられる項目もあるんですけれども、どちらに○をつけていいのか困ってしまう項目もあるんです。ですから自記式でしたら、特に書いてもらう人がよく理解できるような解説なり、そういったものが必要じゃないかと思います。

 矢島生活習慣病対策室長 ここにつきましては、また多分御指摘のことはQ&Aみたいな形で質問を受けたりすることがあるというふうに我々は認識していますので。こういうときにはどうするのかというようなQ&Aになるのかとは思いますけれども、そういうものをしっかり整備して。

 例えばタバコを吸っているというのは、昨日まで吸っていたけれども今日は吸っていないのはどうするのかとか。1年前まで吸っていたけれど、今年になって吸っていないのはどうするのかとか、いろいろな疑義が出てきたりするかと思います。そういうことも含めたQ&Aみたいな形で、しっかりそういうものを整理しておく必要があるのではないかと思っております。

 久道分科会長 原則自記式ということですね。

小山構成員 一番最後にありました、例のデータの管理の問題のところと絡んでくるんですけれども、先ほど中島参事官が特に強調されましたけれども、メタボリックシンドロームを中心としたいわゆる新健診のほかの健診もちゃんとやりますという話がございました。

実は私どものところは、人間ドックをやっているわけです。人間ドックというのは当然新健診も全部含まれてしまうわけです。そうした場合には、人間ドックを受けているから私はもういいでしょうという人だって結構出てくるわけです

つまり人間ドックのデータも含めて、ほかの健診のデータも全部できれば、Aという人なら、Aという人のデータをすべて保管する、保存する。それも一緒に、生涯にわたる健診の一環としてとらえてもらうような仕組みを、新健診だけでなく、一緒にやっていただきたいなと思います。

 そうしないとそこだけ受けてないでぽっと欠けるかもしれない。私はあれを受けているからいいだろうと欠けてはまずいなと思いますので、そこをちょっとお願いしたいと思います。

 矢島生活習慣病対策室長 大事な御指摘でございます。本日、これで御了解をいただきましたならば、この標準的な電子フォーマットができます。そうしますと例えば今御指摘のありました、人間ドックの関係の方々ですとか、実際にやって、これ以上もっときめ細かな健診の項目をやっている機関もございますので、そういうところの方々も、多分この様式をうまく活用していただくことによって、項目の追加ですとか、そういうふうなことも可能になるかと思います。そういう方々の意見をまた踏まえさせていただいて、この基本的なフォーマットに乗れば、そのデータは同じような形で処理することができるのではないだろうかというふうに思っています。

 人間ドックも含め幅広いところの方々の意見も、また聞かせていただきながら対応できるような方法というものも、少し検討しなければいけないというふうに思っております。

 池主構成員 今の御質問と関連するのかもしれませんけれども、先ほど酒巻委員が御質問されていました対象者の数という問題です。一次予防という考え方からいったら、初期段階の健診は極力多くの人を対象にするという考え方が基盤になっているように思うんですけれども、それは間違いないでしょうか。

 矢島生活習慣病対策室長 受診率をどこまで上げられるかということはございますけれども、40歳~74歳の方を対象に考えています。それで細かい議論は、またあるのですが、基本的には医療保険者では、そういう方々がもれなく計画的に受診率をアップしていただくということを考えています。

 池主構成員 自分が健康だと思っている人も含めて、初期の段階から対応するというのが、原則にあるのではないかという意味です。

 矢島生活習慣病対策室長 そうです。自分が健康だと思っておられても、やはり対象になるという考え方であります。

 椎名専門構成員 これはお願いなんですけれども、保健指導も含めて、全体をわかりやすい形で見直していただきたい。特に保健指導などでもいろいろとカタカナが出てきたり。あるいはちょっと表現がくどくて、図にしてもらった方がいいようなところもあります。

 要は保険者としては基本的に専門職あるいは事務職がいるわけです。健保ですと例えば常務理事とか事務局長とか、そういった一般職でも、つまり非専門職以外の方でも、それなりに読んでみてわかるような、あるいはイメージができるような、全体を通じてそういった形でわかりやすくしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 矢島生活習慣病対策室長 ぜひ、それは検討させていただきたいと思います。

 久道分科会長 それはいっぱいあります、カタカナを使いすぎるとかそういうのがありますから。それは直すようにしましょう。

 津下構成員 先ほど山口構成員も健診データの本人への返し方について言われたのですけれども、健診データが経年的に長期に保管される。このことは保険者とか行政にとって必要な情報だけでなく、本人にとって本当に必要な保健指導の材料になるということになります。保険者が移管しても、そのあたりの保健指導に活用できる。個人が自分の健診データをずっと、自分自身の宝じゃないですけれども、自分自身のものとしてずっと見られるような長期のデータの活用の仕方も、今後保健指導の中で検討していただきたいというふうに思います。

久道分科会長 今のは非常に重要で、実は母子手帳から始まって、生涯にわたる健康手帳というものをどういうふうに作るかというのを、部会でいろいろ議論されたことがあります。それとの関連も、実は議論してもらう必要があるのではないかと思います。ただ項目が多すぎることが多すぎる。手帳に作るにはです。

ですからそういうことをどうするか。基本的なデータを受けた人自身が、どういうふうに活用するかということも含めて、これから議論の中に入れた方がいいのではないでしょうか。

 矢島生活習慣病対策室長 今回は40~74歳の、今回の制度改革にかかるところを中心に御議論をいただきましてけれども、75歳以上、40歳未満も含め。それから母子保健、学校保健も含めて、この基本的な考え方ができれば、これは同じような考え方で広げていくことができると思っております。

 例えば血液検査の標準化の考え方にしても、それからいろいろな質問項目の考え方とかデータの扱い方についても、かなりここで標準的なものをお示しさせていただくことができたと思います。できるだけこれを1つの核にして、いろいろな意味で広げていくことができればありがたいと思っています。そのときにはまたいろいろと、先生方から御指導をいただければありがたいというふうに思っています。

 久道分科会長 時間になりました。どうしてもという人は。

 田中(一)専門構成員 すいません。どうしてもでなく、遅れてきてから全体の議論を聞かないで申しわけございませんけれども、質問させていただきたいのですが。1つだけ、データの保存年限の話です。津下さんの話を聞くと、データが多ければ多いほど長期間あればあるほど保健指導に効果的だとおっしゃっているんですけれども、僕はそこは本当にそうなのかというふうに思わないこともないんです。

 要するにこれまでのいろんな情報というものが、保存年限は3年から5年がほとんどなんです。僕は多分それなりの科学的エビデンスを持って、そういった年限が決められたのではないかと思います。それは間違っていたのかということを、1つ聞きたいということ。

 ただこういった尼崎市の事例1つをもって、いわゆるこういった多年、各制度がやってきた保存年限を覆すということは、僕はどうも納得がいかないわけなんです。そういうことが1つ。

 それから30年から35年という、多年にわたる情報を管理するというふうなことが、要するに制度間の移動とか住所地の移動、生死、あらゆる条件が、たくさんの事例が発生するわけです。これを管理していくということに対して、どういったふうに理解されているのか。

 そこらあたり、多ければ多いほどがいい、長ければ長いほどいいというふうに、単純には僕は思わないわけなんです。それはこれまでの保健活動を全面否定するということにもなりかねないので、そこらあたりについてちょっと御意見を伺いたいのですけれども。

 矢島生活習慣病対策室長 まずはいろいろな制度で年限を決めている。これは今までは、紙を原則にしていたということがあるので、やはり場所をとるとか、紙の保存の状態がどうなのかとか、いろいろなこともあったんだと思います。保管場所の確保ということも含めて、いろんな過去の経緯があったのだと思います。

 そういう意味で今回電子化するということを打ち出したことによって、その辺の考え方を変える必要があるのかどうかというものと。

 それから今御指摘がありましたが、データはどれくらい前からのデータが本当に意味を持つのかというのは、そこは難しいです。過去10年前、20年前、30年前のデータが、本当にそれだけ意味があるのかということは、かなり議論しなければいけないというふうに思っています。

 そういう意味でここのところ18ページ、今そのような御指摘もあるのではないかということも十分実は私どもも念頭において、ここのところはほかのところと、文章がちょっと違う書き方をしています。「保険者と調整の上、保存年限を設定してはどうか」と。ここは、御指摘のあったようなことも踏まえまして、今後またいろんな御議論があるかと思いますので、そこも含めてぜひ御議論をさせていただければありがたいというふうに思っています。

 久道分科会長 よろしいですね。検討するようですから。調整の上。それではこれで今日の議論は終わりたいと思います。いろいろいただきました御意見をまた最後のまとめのときにはきちんと入れて、さらにまた議論を膨らませるということになろうかと思います。

 それでは事務局から今後の進め方とスケジュールの説明をお願いしたいと思います。

 矢島生活習慣病対策室長 今後のスケジュールについてでございますけれども、本日御議論いただきました項目について、修正を加えた上で、さらに健診の実施に関しますアウトソーシング、それから保健指導の実施に関しますアウトソーシング、健診、保健指導計画作成及び評価のためのデータ分析とデータ関連の項目を、重点的に保健指導分科会と合同の親検討において御議論をいただきたいと思います。

本日もかなり保健指導分科会とも整合性をとらないといけないようなところも出てきましたので、次回は保健指導分科会と合同の親検討会において、御議論をいただきたいと思っています。

 開催日時につきましては、既に先生方から日程案をいただきました。その中で、6月19日月曜日午後3時から午後5時が一番先生方の御出席の数が多いということがありました。大変恐縮なのですが。6月19日月曜日午後3時から午後5時ということで、ぜひお願いをしたいと思っております。場所はまだ未定ですが、追って御連絡をさせていただきたいと思います。以上でございます。

 久道分科会長 どうもありがとうございます。以上で第2回の健診分科会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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