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2006年3月20日 第1回 標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会健診分科会(議事録)

健康局総務課フロンティア戦略推進室、生活習慣病対策室

○日時

平成18年3月20日(月)15時00分~17時00分


○場所

厚生労働省 7階 専用第15会議室


○議題

(1) 標準的な健診プログラムの内容について
(2) その他

○議事

○ 出席構成員及び専門構成員(敬称略・五十音順)

(構成員)石井みどり、大江和彦、河原和夫、窪寺健、小山和作、酒巻哲夫、土屋隆、中村健二、中山健夫、水嶋春朔、中西好子(山口鶴子代理)、吉池信男、渡辺清明

( 専門構成員)門脇孝、小池啓三郎、椎名正樹、島本和明、田中一哉、松澤佑次、水口忠男、諸江正義

 

○厚生労働省出席者

 梅田大臣官房参事官(健康担当)、中島大臣官房参事官(社会保険、健康担当)、矢島健康局総務課生活習慣病対策室長、野村健康局総務課保健指導室長、大島保険局総務課保険システム高度化推進室長、古畑栄養・食育指導官

 

○次第

1.開会

2.議題

(1) 標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会の設置について

(2) その他

3.閉会


 事務局(生活習慣病対策室長) 定刻となりましたので、これより標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会の第1回健診分科会を開催いたします。

 構成員の皆様方には、御多忙のところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。

 まず、出欠状況でございますが、本日、急遽、久道分科会長が体調不良のためお休みとの御連絡を受けました。そして、分科会長代理といたしまして、渡辺清明構成員を御指名いただきました。そのため、渡辺構成員には、突然で申しわけございませんが、分科会長代理をお願いして御了承を得ております。

 そのほかの御欠席でございますが、津下構成員、松田一美専門構成員からは御欠席の連絡をいただいております。

 また、山口構成員の代理といたしまして、中西江東区保健所長に御出席をいただいております。

 それでは、以後の進行を渡辺分科会長代理にお願いをいたします。

 渡辺分科会長代理 皆様、よろしくお願いします。今日、先ほど急にこの代理をお願いされまして、要領を得ないかもしれませんが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

 事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 クリップでとめてある資料を外していただきますと、ホッチキスでとめた資料が4部ございます。1つは、「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会第1回健診分科会」と書いてあります議事次第でございます。議事次第は3ページになっておりまして、名簿及び今回の座席表でございます。それから、「資料」といたしまして、「標準的な健診・保健指導プログラム論点整理」という20ページぐらいのペーパーがございます。それから、「別紙」といたしまして、「別紙5」まで含んでおります資料が1セットございます。最後に、「参考資料」といたしまして、先日、15日に行われました「標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会第1回保健指導分科会資料」でございます。

 資料は以上でございます。不足等がございましたら、事務局の方に申し出ていただければと思います。

 渡辺分科会長代理 よろしいでしょうか。

 それでは、早速、議事に入りたいと思います。

 議題1の「標準的な健診プログラムの内容について」でございます。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

 事務局(生活習慣病対策室長) それでは、お手元の資料の「標準的な健診・保健指導プログラム論点整理」に基づきまして、説明をさせていただきます。

 本日は第1回の健診分科会でございますので、先日、2月15日でございますが、親検討会においての議論で了解された事項をもとにいたしまして、標準的な健診プログラムのイメージ及び論点について整理をさせていただきました。また、分科会長の御了解を得て、保健指導階層化の考え方について作業グループを立ち上げまして、御意見をいただいております。

 資料の別紙3がそれに相当します。別紙1、別紙2は前回御提示をさせていただきました資料ですが、別紙3が「保健指導対象者の選定と階層化の考え方」ということで、ここのところについてワーキングの作業グループを立ち上げまして、御意見をいただいております。作業グループの構成員は、門脇先生、島本先生、津下先生、松澤先生、水嶋先生、渡辺先生でございます。このワーキンググループを含めたものが今回入っておりますし、これから大江先生を中心にいたしまして健診情報の標準化につきましてもワーキングを立ち上げる予定としております。

 それでは、お手元の資料を1枚お開きいただければと思います。標準的な健診・保健指導プログラムの構成案ということで、全体の目次がここに示されております。これは、保健指導分科会とも整合性をとらなければいけない部分でございます。この作成の過程で、先週行われました保健指導分科会と若干齟齬があるところがございまして、ここは今後調整をさせていただかなければいけないところだと思っておりますが、基本的には、ここにありますような形で構成案を考えて作成をさせていただいております。

 次のページですが、これは前回、2月15日のときの資料にもつけさせていただいたものですけれど、健診から保健指導への流れということで、イメージ図でございます。この流れを踏まえた形で今回の論点整理をつけさせていただきますので、御確認の意味でこの資料をつけさせていただいております。

 それから、この健診分科会では、第2編の健診編と第4編の体制・基盤整備・総合評価及び第1編の保健指導分科会と共通な事項につきまして御議論をいただきたいと思っておりまして、最初の目次の構成案のところにお戻りいただきたいと思いますが、第3編の保健指導の部分につきましては保健指導分科会のところで御議論をいただいています。第2編の健康編と第4編の体制・基盤整備・総合評価のところを中心にお願いしたいと思いますし、また、第1編の健診・保健指導の理念の展開のところにつきましては、これは保健指導分科会でも議論が行われていますので、そこのところと整合性をとらせていただきながら御議論いただければと考えております。

 これからの進め方ですが、最初に全体的な流れを御説明させていただきますので、章ごとに順番に御議論をいただければと考えております。

 それでは、まず、資料の1ページをお開きいただきたいと思います。第1編の健診・保健指導の理念の転換でございます。

 第1章は新たな健診・保健指導の方向性ということで、ここは保健指導分科会とも要調整のところでございます。

 参考資料としまして、これは保健指導分科会で行われました第1回の資料をおつけさせていただいております。この部分については、保健指導の分科会でも議論がされておりますので、こちらの資料もごらんいただきながら、こちらの方向性について御議論をいただければと思っております。簡単にこの流れについて御説明をさせていただきます。

 これまでの健診・保健指導の現状と課題でございますが、昭和53年から「第一次国民健康づくり対策」が進められておりまして、昭和63年から「第二次国民健康づくり対策」、平成12年度からは「健康日本21」という形で施策を進めてきております。

 昨年の9月に厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会で中間取りまとめが行われておりまして、下の○のところでございますが、この中で、課題という形で、「生活習慣病予備群の確実な抽出と保健指導の徹底が不十分である」という御指摘、また、「科学的根拠に基づく健診・保健指導の徹底が必要である」という御指摘、「健診・保健指導の質のさらなる向上が必要である」ということ、「国としての具体的な戦略やプログラムの提示が不十分である」という御指摘、「現状把握・施策評価のためのデータの整備が不十分である」といった課題が上げられているところでございます。

 これらを踏まえまして、私どもは今回の制度改革の中で政策目標といたしまして、2015年には、2008年と比較して、糖尿病等の生活習慣病有病者・予備群の25%を減少させるという政策目標を掲げておりまして、この政策目標を達成するために、標準的な健診・保健指導プログラム、健診・保健指導のデータの管理方策、そういうものを検討するということをこの1ページの下のところに書いております。

 2ページ、(3)標準的な健診・保健指導プログラムの特徴でございますが、これは有病者・予備群の減少という観点から、内臓脂肪症候群の概念を導入した標準的なプログラムの構築が必要であるということと、危険因子、リスクファクターの保有状況により対象者を階層化していくということ。

 それから、リスクの重複のある対象者に対して、早期に介入し、確実に行動変容を促すということでございますので、対象者が健診結果に基づいてみずからの健康状態を認識した上で、代謝等の身体のメカニズムと生活習慣の関係を理解し、生活習慣の改善をみずからが選択し、行動変容に結びつけられるような、そういうプログラムが必要になるということでございます。

 3ページでございます。新たな健診・保健指導の進め方として、別紙2にフロー図が書いてございます。これも前回の資料のときにおつけをしたものと同じでございまして、計画を作成し、健診を実施し、対象者の選定をし、階層化する。そして、保健指導し、それを評価するということがここにまとめてございます。これは前回の親検討会で御説明したものをここに記述させていただいたものでございます。

 4ページ、第3章の健診・保健指導従事者が有すべき資質でございます。これも保健指導分科会でも同様の議論をしていますので、ここは要調整のところでございます。

 (1)健診・保健指導事業の企画・立案では、1.データを分析し、優先課題を見極める能力が求められると思っていますし、そういう意味で、医療費データ(レセプト)と健診データの突合分析が必要であると思っています。

 2.企画・調整能力ということで、社会資源を効率的に活用し、必要な資源を開発するということも求められているわけでございまして、健診受診率、保健指導実施率向上のための効果的な方策、企画能力が求められているということです。

 3.評価能力でございますが、アウトカム評価など各種評価を行い、次年度の企画・立案につなげることができる能力が必要である。また、民間事業者へ委託をする場合には、費用対効果ですとか、結果の出る保健指導機関の選択、こういうものが求められているという御意見がございます。こういうところをどのように考えていくかが重要なポイントだと思っております。

 (2)対象者に対する健診・保健指導でございます。実際に健診・保健指導を実施する従事者としての有すべき資質ということでございます。

 1.支援能力として、1)知識・技術の習得として、健診結果から代謝の変化ですとか血管の変化など、進行段階をしっかり押さえて、健診内容を十分に理解し、納得できる説明を実施する能力が求められていると思っております。

 そのために、内臓脂肪症候群の機序・病態等と健診データを本人の生活習慣に結びつけて対象者にわかりやすく説明し、行動変容を促すことができる技能の習得などが求められているということでございます。

 5ページでございますが、くどくなりますけれど、例えば、高血糖状態などで糖尿病等になる前の段階で早期に介入して保健指導により行動変容につなげていくことが、疾病の発生予防について重要であるということと、これはまた後で御議論があると思いますが、糖尿病等になって合併症を発生した場合は、その後でも、医療機関と連携し、保健指導も継続できるということで、さらなる重症化を予防するような支援が必要だという御意見がございます。

 2)対象者に応じた健診・保健指導の実施ということで、例えば、積極的支援の対象者が多い場合に、効率的に健診・保健指導を実施し、糖尿病等の生活習慣病有病者・予備群の減少の目標を達成するためには、過去の健診結果等も十分に加味し、発症・重症化する恐れのある方を優先的に抽出していく能力も求められていくのではないかということ。

 2.学習教材の検討・開発ということで、具体的な事例をもとにして事例検討会などを実施することも必要ではないだろうかということ。

 3.評価能力ということで、健診結果及び問診による対象者の選定が正しかったかどうかということの評価ができるような、そういうことが求められるのではないだろうかということでございます。

 6ページ、第2編の健診でございます。今まではどちらかというと、今までの議論を踏まえたものを書きつづらせていただきました。もちろんいろいろな意味で御議論いただければありがたいと思いますが、この2編の健診の第1章の意義のところからは、ぜひ御議論いただきたいものを、例えば下にありますように、「1.」という形で、点線で四角く枠をつくらせていただいています。

 1.対象とする生活習慣病は内臓脂肪症候群、糖尿病、高血圧、高脂血症等の有病者・予備群が考えられるが、その他にはどのような疾患の検討が必要と考えられるか。

 ここのところはきちんと押さえておく意味で、御議論していただければと思っております。

 7ページ、第2章の健診の内容でございます。

 (1)健診項目(検査項目及び問診項目)でございますが、これは先ほど資料の別紙3のところでも御説明させていただきました階層化のところとも関係をしてきます。どのような健診項目が必要かという議論。また、基本的な健診の項目としての考え方、詳細な健診としての考え方、判定基準をどのように考えるか。また、75歳以上の方の場合はどのような考え方が必要かもあわせて御議論いただければと思っております。

 (2)健診項目の基準値と判定基準等の標準化でございます。この話をさせていただくときによく出てくる話が、統一した基準がぜひ必要だということでございまして、判定基準については、関係する学会のガイドラインとの整合性を確保する必要がありますし、また、学会との連携のもと、定期的に見直しを行うシステムが必要ではないかという御議論がございます。このところについてもいろいろと御議論を深めていただければありがたいと思っております。

 (3)対象者に提供する健診結果等ですが、具体的な学習教材も含めまして、健診結果の通知をどのような仕様で共通化していく必要があるか。

 また、健康手帳というものがございますが、その健康手帳にはどういう項目を載せるべきかということ。

 保健指導における具体的な学習教材については、このプログラムに添付させていただければと思っております。これも私どもの研究班でつくりましたいろいろなものがございますので、別途また議論の過程でそういうものも御議論いただければと考えております。

 8ページ、第3章として保健指導対象者の選定と階層化の基準でございます。これが先ほどの別紙3のところになるわけでございます。ただし、このときに御議論がありましたのは、内臓脂肪症候群の概念を導入することが大事なのですが、内臓脂肪型肥満を伴わない糖尿病等の個別の生活習慣病の予備群を見落とす恐れはないかという御議論がございます。

 また、(2)階層化の基準のところでございますが、リスクの数に着目するということと、階層化により、「情報提供」、「動機づけ支援」、「積極的支援」を判定することになりますけれど、そういうことでよろしいかということ。

 それから、現に主治医がいて、治療が行われている対象者に保健指導を行う場合、主治医の指示のもとに保健指導が行われるべきではないかという御議論。

 また、糖尿病、高血圧、高脂血症に対する治療の一環として、医療機関等で既に保健指導が行われている場合は、健診の判定結果に基づき行われる保健指導は、主治医と連携して重複しないようにすることが必要ではないかという御議論がございます。

 そのときに、階層化を行った場合、生活習慣改善が非常に有効な段階である「生活習慣改善優先群」ともいうべき対象者は、主治医と連携の上、生活習慣改善の効果を確認しながら、必要がある場合には薬物併用療法を行うことが重要ではないかということで、学会等のガイドラインにもございますが、すぐ薬物併用療法ということではなくて、生活習慣の改善を優先していく、その場合にはどういうことに留意しなければいけないかということが大事だという御指摘でございます。

 それから、検査データが基準値を超えている場合は、基本的には私どもも保健指導が大事だと思っていますが、保健指導より薬物療法が優先されるべき場合があります。その場合には、主治医と連携をとりながら、その場合でも保健指導が継続されることが重要ではないかという御意見がございます。このようなことを踏まえて、この辺のところをよく現場の先生方にも御理解いただきながら、整合性をとっておく必要があると思っております。

 それから、(3)保健指導対象者の選定と階層化の考え方ということで、別紙3でございますが、これは今回新しい資料でございますので、これについて若干御説明をさせていただきます。これは今御説明させていただきました考え方で整理をさせていただいたものです。

 まず、内臓脂肪症候群の概念でやるということで、ステップ1として、腹囲とBMIで内臓脂肪蓄積のリスクを判定する。ただし、先ほどもございましたが、内臓脂肪だけにとらわれていると、そうでない糖尿病等になる予備群の人たちを見落とす恐れがあるということで、(1)、(2)以外の(3)の場合、腹囲が男性で85以上、女性で90以上、これがメタボリックシンドロームの判定基準となるわけですが、それ以外にも、BMIも入れつつ、そうでない場合もちゃんとここに位置づける必要があるのではないかということで、ワーキンググループの方で御意見をまとめさせていただきました。

 ステップ2としては、検査結果、問診結果より追加リスクをカウントするということで、1.血糖、2.脂質、3.血圧といった健診項目、それから治療歴(問診)などで判定するということと、1~3以外にも検討すべき項目として、LDLコレステロール、尿酸等がリスクとして考えられるのではないかという御議論もいただいていまして、このようなものをどう考えるかということでございます。

 ステップ3といたしまして、ステップ1、ステップ2から保健指導対象者をグループ分けするわけですが、(1)、(2)、(3)はそれぞれ内臓脂肪の蓄積のリスクがあるわけでございますので、まずそこと比較しつつ、追加リスクもカウントしつつ、これの数に基づいて、「積極的支援」レベル、「動機づけ支援」レベル、「情報提供」レベルを考える必要があるのではないか。

 (3)の場合の支援方法は、内臓脂肪の蓄積というリスクではないわけでございますので、内臓脂肪減少を目的としたプログラムではなく、個人個人の病態に応じた対応が必要ではないかという御指摘でございます。そのような考え方でございます。

 戻っていただきまして、9ページ、第4章として健診の精度管理でございます。

 (1)内部精度管理と外部精度管理についてですが、これは別紙4をつけさせていただいておりますけれど、現在はここにありますような形で、登録衛生検査所で、要するに医療機関外で受託をお願いする場合、それから、医療機関の中に受託業務を実施する場合がございますし、医療機関が自分で実施する場合もございます。このような形で精度管理の考え方がございますが、これについてはどのような留意点があるかということの御議論をいただければと思っております。

 (2)検査基準値の標準化及び互換性のあるデータの蓄積でございますが、医療保険者が継続的に健診のデータを蓄積することになるわけですけれど、その蓄積するデータが互換性のある検査値である必要があると思っています。そういう意味で、この血液検査の検査値につきましては、標準的な正規化された値に変換するなど、学会のガイドライン等の判定基準に合うような標準化が必要だと考えられますが、その辺はどうかということでございます。

10ページ、第5章として健診データ等の電子化でございます。

 (1)健診データを提出する場合の電子的標準様式として、健診機関から医療保険者に、医療保険者がかわった場合には保険者から保険者にデータを提供することが必要になりますので、その場合の標準的なフォーマットなどが必要なのではないか。

 (2)健診項目の標準コードでございますが、例えば、血液データにつきましては、日本臨床検査医学会が作成したJLAC10(ジェイラックテン)という標準コードがございまして、基本的にはこのJLAC10がいいというふうに考えているわけですが、ほかにも検討すべき標準コードがあるのかないのかということ。

 また、問診につきましても、標準コードがございませんので、そういうものの設定が必要ではないか。その場合にはどのようなやり方がいいのだろうかということの御議論。

 (3)健診機関のコードですが、今、コードがないわけでございますので、こういうものはどうするかということと、例えば医療機関の場合には既に保健医療機関としてのコードがございますので、こういうものを活用するということも考えられるのではないだろうかということでございます。

 (4)生涯を通じた健診情報のデータ管理を行うということがございます。この場合に、「生涯を通じた」ということが大事なのですが、医療保険者、例えば被保険者が生涯を通じて健康情報を活用できるような、例えば健康管理番号のような、そういうものの設定がないとなかなか生涯を通じてできないのではないだろうかという御議論。また、その場合には個人情報保護の観点からどのような配慮が必要かということ。また、被保険者が医療保険者を異動した場合、これがすごく大事なわけでございまして、医療保険者を異動した場合のデータの互換性が保たれる方策をどのようにしたらいいかということがすごく大事な点だと思っています。

11ページ、第6章はアウトソーシング基準でございます。健診の委託基準ですとか、医療保険者が健診データの管理を民間等に委託する場合の留意点、こういうものの基準については今検討中ということで、後日改めて用意させていただきます。

12ページ、第3編の保健指導でございます。これは保健指導分科会で検討しておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。

13ページからは、第4編の体制・基盤整備・総合評価でございます。

 第1章の人材育成体制の整備として、(1)国の役割として、例えば、1.国立保健医療科学院の活用ですとか、(2)都道府県の役割としまして関係団体と協力していろいろな人材育成をお願いできないか、(3)市町村の役割として都道府県との人材交流等を積極的に進める必要があるのではないか、また、ボランティアの活用をする必要があるのではないかという御議論。(4)医療保険者の役割として、医療保険者に所属いたします保健師、管理栄養士の資質の向上を図るための研修にどのような留意が必要かという考え方。(5)医療関係団体の方々には、地域のそういう従事される方々の資質の向上のための研修・講習会を積極的に開催していただく必要があるのではないかという御議論。

14ページでございますが、医療機関等で例えば保健師・管理栄養士が確保できない場合のいろいろな方策ですとか、また、その場合には都道府県の看護協会ですとか都道府県の栄養士会のいろいろな役割などの御議論があってもいいのではないだろうかという御指摘がございます。

15ページ、第2章として、最新の知見を反映した健診・保健指導内容の見直しのための体制整備でございます。

 (1)例えば学会・研究班等の活用として、例えばデータのコホート追跡ですとか疫学分析の話、蓄積された健診保健データをもとにした例えば健診項目の見直しですとか、いろいろな診断基準ですとか、そういった健診項目の見直しの御議論。

 (2)国立保健医療科学院、国立健康・栄養研究所の役割。

 (3)地域・職域連携推進協議会、保険者協議会の役割。

 (4)その他といたしまして、都道府県の健康増進計画との連携をどのようにするかということ。また、民間事業者等のシステムの評価を行うような第三者評価のような考え方。市町村の国保部門と市町村の衛生部門との連携をどのように図っていく必要があるのかといった御議論。そのようなものをいただいております。

16ページ、第3章として健診・保健指導に関連する標準的なデータ評価と管理でございます。

 (1)健診データとレセプトデータの突合と健康課題を抽出・分析ということで、実際にどのようなやり方がいいのか。何でもかんでも病名をということではなく、今回の内臓脂肪症候群に関連するような病名に着目して評価をしなければいけないと思いますし、病名コードにつきましても、標準化するという意味で、ICD分類に基づいたコーディングが必要ではないかということ。

 (3)レセプトについても何でもかんでもということではなく、健康課題を明確にできるようなレセプトというものを分けて考えるべきではないかということ。

17ページ、(4)健診・保健指導の総合的な評価でございますが、糖尿病等の生活習慣病有病者・予備群の減少の評価としてどのようなものが必要かということ。

 3.保険者の方々からは、投入した費用と医療費への効果がわかるような仕組みにしていただきたいという御意見。

 4.都道府県比較ですとか医療保険者間比較ができるようなデータの標準化が必要ではないかという御議論。

 保健指導の関係でございますが、腹囲ですとか体重・血圧等の個別のデータの改善が評価できるようにしなければいけないのではないかという御議論と、本人の努力によって、例えば腹囲が増加しないとか、体重が増加しないということ、こういう現状維持も評価に値するのではないだろうかという御議論もございます。

 (5)医療情報の管理については、先ほど御説明させていただきます。

18ページ、最後に、18年度に実施をいたします準備事業についても、いろいろな御議論をいただければと思います。

 本日は第1回目でございますのでかなり盛りだくさんの内容になっております。いろいろな意味で御議論いただければと思っていますし、また、今日御議論いただいたものだけで終わりということではございませんので、また引き続き議論を深めていただくということもありますので、何が何でも今日この場で言わなければ意見が反映できないということでもございませんし、時間も限られておりますので、議論を進めていただければありがたいと思っております。

 では、第1編の第1章につきましては先ほど御説明をさせていただきましたが、保健指導分科会とも同じような記述がございますので、そこは最終的には調整させていただきますが、まず最初に、第1編第1章のところから御議論をいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

 渡辺分科会長代理 どうもありがとうございました。それでは、1章ずつということでございますので、御意見をそれぞれの章でいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 では、まず、第1編第1章について御意見はございますでしょうか。

 水嶋構成員 国立保健医療科学院の水嶋でございます。第1編第1章に関して、一番初めの資料の2枚目の流れ図ですが、対象者の考え方についてもう一度確認させていただきたいのですけれど、年齢については4074歳までですね。それで、老健事業における基本健康診査におきましては、対象となる住民のうち、治療中のものを除くとかというものがあったかと理解しておりますが、この辺については既に何らかの治療を始めている人間について、職域においては含まれておりまして、その辺の整合性について確認したいのですけれど。

 事務局(生活習慣病対策室長) そこのところは健診から保健指導への流れ図のところにもございますが、基本的には健診はすべての医療保険者が対象者を健診・保健指導するという考え方がございますので、その考え方からすると、今、治療中かどうかということもなかなかそこだけで見ることはできませんので、そこのところは幅広く御議論いただければと思っております。ただ、後の方で出てきますが、現に治療が行われている方に対してどのような配慮が必要かということは議論があるかと思いますけれど、少なくとも保健指導はそこはうまく連携していく必要があるのではないか。保健指導がすごく重要じゃないかとは思っております。

 水嶋構成員 わかりました。健診によっては、簡単な健診項目ですと、通常の医療機関で既に治療中の方が年に1~2回受けているようなものとかぶる場合もあるかなと思いまして、その効率性の観点から、むしろ生活習慣の確認・改善に重きを置いて、健診項目がかぶるようであれば、そこは毎年ではなく、節目をきちんとするという考え方もあるのかなと思っております。ありがとうございます。

 渡辺分科会長代理 ほかにございますか。

 酒巻構成員 群馬大学の酒巻といいます。1ページのところに、前回も出ていましたけれど、予備群を25%減少させるという目標が立っていますが、これは具体的にはどういうことをもって25%なのか、何かイメージがおありなのでしょうか。あるいは、どこかの年齢層で25%ということを考えておられるのかとか。25%にした根拠というものがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

 事務局(生活習慣病対策室長) ここのところは、健康フロンティア戦略のところで既に議論されているところで、25%をどうするかということをここで御議論をお願いするというよりは、我々厚生労働省としてまず対象者をどの程度減少させるかという議論が別なところでございまして、そのときに25%を目指して頑張るということの議論をまずさせていただいているところであります。

 対象者については、今回の医療制度改革で対象とするということになります。有病者と予備群ということになるわけですが、基本的にはメタボリックシンドロームの、これから健診のところで御議論させていただくことになりますけれど、先ほどの別紙3のところで対象となる方々が一つの考え方になってくるだろう。ここのところの方々が予備群からの人たちになってくると我々は思っております。そういう対象者の方々——予備群、有病者の方々を25%減らすことが大事なことだと我々は思っております。

 渡辺分科会長代理 ほかにございますか。

 中村構成員 1ページの(2)の2節目で、「この政策目標を達成するためには、医療保険者が効果的・効率的な健診・保健指導を実施する必要があることから」のところに、もう少し言葉を足していただけると、我々が市町村なり保険者協議会の御支援をする際に納得がいくところではないかなと思いますので、よろしくお願いします。

 事務局(生活習慣病対策室長) それは具体的に御意見をいただければと思います。

 渡辺分科会長代理 よろしいでしょうか。

 それでは、次の第2章に移らせていただきます。御意見をお願いいたします。

 吉池構成員 国立健康・栄養研究所の吉池でございます。(1)の計画の策定の第2パラグラフの「また」ということで、未受診者等に対するアプローチ、どう受診率を上げるかというのが最初のステップで最も大事なことになるかと思いますが、これを拝見すると、創意工夫はしなければいけないのだろう、そして各実施体制の計画の中に盛り込まれる必要があると思うのですが、制度的にこれらの未受診者を減らしていくような何か議論というのはされているのでしょうか。

 事務局(生活習慣病対策室長) これにつきましては、本日の資料にはついていないのですが、これから医療保険者の責務になるわけでございまして、医療保険者が健診・保健指導を、具体的なメルクマールとして受診率などになると思いますが、健診・保健指導を実施していただけば実施していただくほど、今回の医療制度改革で出ています後期高齢者の医療制度——これは各医療保険者から支援金という形でお金を出していただくことになっていまして、一生懸命に健診・保健指導を頑張っていただいたところは、支援金を出していただく金額が少な目に、どちらかというと努力していただかなかったところにはやや多目にということで、インセンティブが働くことになっておりますので、今回はこの制度改革の中で医療保険者に責務を明確にしていただいたということで、分母となる対象者が明確になると思います。

 そういう意味では、今までの老人保健事業のときにはここのところが一番のネックになっていたわけが、医療保険者の方々ということで分母が明確になるということで、ここのところが未受診者対策がわかりやすくなってくるのではないだろうかと考えております。

 吉池構成員 受診をするかどうかを決める個人に対するインセンティブというのは、制度上は何か考えられるのでしょうか。

 事務局(生活習慣病対策室長) 現段階ではそこまでの議論は聞いておりません。

 吉池構成員 わかりました。

 渡辺分科会長代理 ほかにございますか。

 よろしければ、次は、第3章に移らせていただきます。第3章の健診・保健指導従事者が有すべき資質について、御意見はいかがでしょうか。

 小山構成員 日赤熊本の小山でございます。この項目は大変大事だと思っております。これまで健診とか保健指導というのは決してやっていなかったわけではなくて、やっているんですが、成果が上がっていないということなんですよね。問題は、やっている人が何をやったかということがもう少し問われなければいけない。ただ教科書を読むようにして保健指導をやっただけではいいわけはないし、言葉は悪くて申しわけありませんが、よく健診屋さんといわれるように、健診さえすればいい、健診しかやらないということでは、成果は決して上がらないわけですから。

 10年程前、人間ドック学会を私のところで主催してやりましたときに、健保連の幹部の方がおいでになって、「人間ドックは病人をつくっている」と言われたのです。つまり、「ドックをやりっぱなしだから病人がふえる一方なのだ。人間ドックというのは病人を減らすためにやるべきではないのか。その結果がこうじゃないか」とデータまで示して、話された。それはドックの中の胃の健診なのですが、要精密検査の率が非常に高かったのです。それで、「これはあくまでも病人を掘り起こしているだけじゃないか」とおっしゃる。本当に病人だったらそれは掘り起こさなければいけないでしょうけれど、「病人をわざわざつくっているんじゃないか」という話まで出ました。こういうことはもう問題外だと。こういうことをやってしまっては困るぞと。それは1つの病院だけではなくて、「東京都内の病院はこんなだ」とズラズラと出してくれましてね。こういうことを予防医学という名のもとにやられては困るということなんですよね。

 だから、だれがどういう理念をもってやるのかが重要です。私は、臨床医学と予防医学の基本的な違いは理念にあると思うのです。技術的には同じかもしれないけれど、何をもって理念とするか、その理念をしっかりわきまえた方に仕事をしてもらわなければいけない。それは非常に時間のかかることかもしれませんけれど、そこからやっていかなければいけない気がしております。今まではどちらかというと大学の教育の中では、臨床医学を教えることが多く、予防医学の本当の理念を教育するのは少なかったような気がしてならないのです。そういう意味ではドクターばかりではございません。保健師だって栄養士だって同じです。そういう意味の従事者の資質をきちっとやっていく。では、どこでそういう人たちを養成していくかということも、この中できちっとしなければいけないのかなと考えます。

 実は私が所属する人間ドック学会で、人間ドックについて、その内容がピンからキリまでレベルがあるものですから、その機能評価をしようというのが今、始まっております。その中には当然施設だけではなくて、そこで従事する人間も、それに後のフォローをどれだけやっているのかということなどを基準にして、評価をやっているのですが、確かに民間でもかなりしっかりとした評価の機構を持ったところがございますが、行政なり、あるいはこういう委員会なりがむしろもっと口出しして、「きちっとやれよ!」ということを言っていくべきかなということを考えております。

 松澤専門構成員 この企画・立案で戦略を立てるという、非常に大事なところなのですが、少なくともメタボリックシンドロームのアウトカムの予防としては、心筋梗塞、脳梗塞という血管病であるという視点があって、対象者にモチベーションを与えるというところがかなりあるわけですね。糖尿病、高血圧、高脂血症という生活習慣病を予防するということは当然ですが、最終的にそこのところが非常に大きなアウトカムとしての結果が出やすいといいますか、それが非常に大きな効果になるとか、医療費の節減につながる。保険者のところでそれを十分理解した形の戦略を立てていただくニュアンスをここに盛り込んでいただいた方が、糖尿病の予防などだけでいいのかということがあるので、そういうところを少し強調していただいた方がやる側にも力が入る。その方針でやってきっちり結果が出ているという事例が十分ありますので、ぜひそういうことをよろしくお願いいたします。

 中村構成員 県の立場から市町村の保健事業をされている方を見ての発言ですが、健診・保健指導を従事者としてしっかりしたいという気持ちはあるのですが、環境が整っていません。1人職種であったり、地域に健診で出なければいけません。そういう働く職場の理解といいますか、環境が整わないと、職能としていろいろ能力を求められても、実際にはなかなか厳しいものがあります。ここか、後の体制のところかで御議論があると思いますが、健診・保健指導従事者が機能するための環境の章立てといいますか、健診・保健指導ができるためにはこういう環境がないとまずいけない、その中で、働いている人たちはこういうことができる必要があるいう組み立てもあっていいんじゃないかと考えます。これだと、現場の保健師さんたちは頑張っているけれど、まだ足りないという形になります。足りないところもあるかもしれませんが市町村も小さな役所にということでどんどん人が削られていますので、人が足りない辺をサポートしてあげるような文言もあってもいいかなと思います。

 事務局(生活習慣病対策室長) それは、13ページ、第4編の第1章の人材育成体制の整備のところでまたその御意見をいただければと思います。

 渡辺分科会長代理 それでは、この議論はよろしいですか。今、事務局の方から、この保健指導従事者に関しましては、理念やその内容・目的、あるいは環境についてもう少しきちんとしていただきたいということだったと思いますが、そこはまた別に議論してよろしいですか。

 事務局(生活習慣病対策室長) はい。

 渡辺分科会長代理 ほかにございますか。

 それでは、次の第2編の健診に移らせていただきます。

 まず、第1章の内臓脂肪症候群に着目する意義というところで御意見をいただきたいと思います。ここからは、この四角で囲んだところを中心にぜひ御議論いただければと思いますので、よろしくお願いします。

 事務局(生活習慣病対策室長) 先ほど松澤先生から、脳卒中、心筋梗塞などをもう少し明確に出した方がわかりやすいという御指摘がありました。それについては少し工夫をさせていただきたいと思います。

 中山構成員 京都大学の中山と申します。内臓脂肪症候群を重点で行かれるということは十分認識していますが、現場が書いてあることしかやらなくなってしまう危惧を若干持っております。先ほど、肥満を伴わない、今回の別紙3でまとめてくださったようなことは、やはり十分強調しておく必要があるかと思います。

 高血圧の中のかなりの部分は、肥満と独立に、飲酒によって起因するものですし、御存じのように、喫煙は肥満ではなくてやせ傾向を助長するものですので、喫煙のことなども、文章的には見当たらないので、何か御検討いただければと思います。

 門脇専門構成員 糖尿病の患者のBMIの平均は24ですので、BMI25とか、あるいは腹囲で来ると半数以上見逃してしまうということになりますので、内臓脂肪型肥満に起因する糖尿病の予防は可能である、生活習慣指導で可能であるというのは当然ですけれど、内臓脂肪型肥満を伴わない糖尿病も生活習慣指導で予防可能ですから、この文章は必ずしも正確ではないところがあると思います。

 松田構成員 産業医大の松田でございます。健診項目については大きな異議はないのですが、でも、これは一時点の評価でございますよね。私どもは、以前、職域で時系列に対象者を追いかけていったことがあるのですが、それぞれの基準値で見るという考え方に加えて、時系列で個人の変化——今、先生からお話がありましたけれど、肥満度では24だけれど、前年から比べると1上がっているとか、2上がっているとか、そういう時系列での評価ということもやらないと、境界域の対象者というのはうまくつかまえられないのではないかと思います。

 渡辺分科会長代理 時系列は、また別の項にデータベースとかありますね。どうもありがとうございました。

 ほかに御意見はございますか。基本的にこれがいいかということでございますので、ぜひ御意見をいただきたいと思います。

 松澤専門構成員 さっきの御意見はごもっともで、後でお話ししようと思っていたのですが、こういうメタボリックシンドロームとほかと分けるのはどういう意味があるかというと、その二つで保健指導の質が違ってくるということだと思います。メタボリックシンドロームは内臓脂肪を減らすという、いわゆる本当にダイレクトなダイエットなどに非常に重点を置くわけですが、やせている人に同じことをやっても効果が少い。だから、実際には生活習慣の改善だけできるものと、そうでない部分というのが別紙3で明確に段階分けしていますので、そういうニュアンスもこの文章の中に入れていただきたいと思います。その指導管理の質が違うということで。

 今まではそれを全部十把一からげでやっていたので効果が出なかったので、これからははっきりと生活習慣を改善するとインセンティブのある人もひろい出す、例えば糖尿病の人はメタボリックシンドローム型のものと、最初から、ジェネティックな非常に日本的なやせたままで起こるというのとを明確に分けるというのが必要で、何でもかんでも内臓脂肪でやるということは逆に非常に誤解ももたらしますので。そういうニュアンスはいろいろなところで散りばめていただいた方が、わかりやすいんじゃないかと思います。

 渡辺分科会長代理 事務局の方はそれでよろしいでしょうか。

 事務局(生活習慣病対策室長) はい、結構です。具体的にまた御相談をさせていただきたいと思います。

 渡辺分科会長代理 ほかにございませんか。

 それでは、もしよろしければ、次の第2章の健診の内容についてでございます。ここは四角で囲った部分が多うございますので、よろしくお願いいたします。御意見をどうぞ。

 事務局(生活習慣病対策室長) 追加をさせていただきますと、75歳以上の場合も、これは一部には、例えば75歳になると予備群というのはさすがにいないんじゃないかという御意見もあったものですから、4074歳までと75歳以上という、この辺の考え方がどうなのかということも、もしできましたら御議論いただけると大変ありがたいと思っております。

 渡辺分科会長代理 いかがでしょうか。松澤先生、いかがですか。

 松澤専門構成員 私どもの患者さんなどを診ていると、90歳ぐらいでもかくしゃくとしている人がおられるわけです。ですから、75歳でも予備群として予防してより健康寿命を延ばすという目的だと、75歳で切ってしまって、そこからは保健指導の対象にならないのかというのもどうかと思います。ここらあたりは非常に微妙なところで、我々医療の側からは余りそこで区別していないというのが実情です。ですから、そこのところは行政的な考えもあると思いますので、少し検討していただいたらと思います。

 最近、75歳というのは、男性の平均寿命は7778といってもそこでバタバタ亡くなるのではなくて、若いときに亡くなられる人がいるからそうで、90ぐらいまで元気で、そこから糖尿病がずっと出てくる人とかいろいろな人がおられるわけですから、そこらあたりは、年齢というのは、ここで区切って保健指導による予防をしなくていいかどうかというのは、我々医療の立場からは余り制限していないということですけれど。

 小山構成員 高齢者の皆さん方の肥満、特に内臓肥満ですけれど、それがどれだけの意味があるのかというので、調査したことがあります。私どものところに人間ドックでおいでになった方を対象にしてみたのですが、肥満に伴う生活習慣病発生の率を見ると、若い人では明らかに肥満があれば疾病率が高いわけです。ところが、高齢者の場合は、肥満があってもその異常を持っている率というのが若い人ほどにはないんです。今おっしゃったような意味では、元気だからそこまで来られたという意味もあるのでしょうけれど、ほかの病気は少ない。

 ですから、保健指導の上では、75歳を過ぎた方々には余りやかましいことを言うと、お年寄りというのは非常にまじめですから、まじめにやってしまうんですね。そうすると、かえってQOLを落としてしまうんです。ですから、そういう意味では、保健予防的な立場から言えば、75歳以上は、それ以下の若い人たちに比べてそれほど厳しくする必要はないのではないかというのが私の持論なのですけれど、どうでしょうか。

 中山構成員 現場ではかなりマンパワーが限られているというのが非常に懸念するところです。優先順位をつけて指導する場合には、どうしても若い方を優先する必要性があるかなと思ってお聞きしておりました。

 水嶋構成員 今の中山先生の発言と同趣旨ですが、地域保健の現在の基本健康診査の対象者は70以上の方が多く占めていまして、70歳あるいは75歳以上の方のほとんどが何らかの形で医療機関にかかっているわけですね。そうしますと、保健活動のための予算なのに、医療状況の確認に使われている——と言うと変な言い方ですが、そこが対象と健診を必要としている人に対する事業提供のミスマッチがあるのではないかという感想を持っておりますので、基本は、4074歳をきちんとした、毎年ということも一つ議論の課題だと思いますが、それと生活習慣の是正の対策。

 それから、75歳以上の方は、特に何らかの医療機関で治療を受けている方は、医療機関における指導を中心にしていただいて、それでそれを補完するような事業体系という、そういう濃さ、薄さの2つに分けてもいいのではないかなという気がしております。

 門脇専門構成員 年齢によっておのずからメリハリはあるとは思いますが、例えば「健康日本21」では、20歳以上の1日の歩数というものを男女ごとに決めているわけですけれど、それとは別に、70歳以上の方の男女とも1日の歩数の目標を決めて取り組んでいるわけですが、残念ながら、この中間評価を見ますと、この5年間でそれぞれ数百歩ずつ減っているという状況があります。

 したがって、70歳以上の方でも、例えば身体活動量をふやすとか、そういう生活習慣上の指導は、「健康日本21」のコンセプトからいってもやはりしなければいけないので、その生活習慣の指導に余り重きを置く必要はないのではないかという議論は、当たらないような気がいたします。

 島本専門構成員 一般に、75歳以上といいますと、後期高齢者になってまいりますよね。ですから、多くの生活習慣病に対しても、介入の仕方は少し変わってくる部分だと思います。例えば、高血圧のガイドラインでも、後期高齢者の場合は生活習慣の改善を若い人と同じように強力にやれないことの方が多いし、それが先ほどありましたようにQOLを落とすようなこともあり得ますから、僕は、さっきお話がありましたように、75歳以上だからと外す理由はないと思うのです。少なくとも、もし75歳以上で病院にかかっていない方は補完的には救うべきだろうと思うのですが、むしろやったとしても、介入の仕方で少しグレードが分かれていますから、そこを少し軽くしていくような介入の仕方とか、いろいろなやり方で差はあってもいいと思いますが、基本的には、75歳だから落とすというのはどうかなと思います。

 松澤専門構成員 もう一つ言いますと、特に女性の場合の肥満度とか肥満者の率は、50代から60代ぐらいまでは日本の場合は国民栄養調査でも年々減ってきつつあるわけですよね。ですから、どちらかというと、美容なのかどうか、そちらの別の目的かも知れませんせんが、そんなにどんどん肥満がふえていない。ただ、60歳を超えた女性はやはり着実に肥満がふえていっているわけで、先ほど門脇先生がおっしゃったように、そういう方にも運動不足がどんどん出てきて、やはり同じような最終の心筋梗塞や脳梗塞になるような状態がある可能性はあると思います。

 ですから、75歳以上で女性が保健指導から切られると、本来、メタボリックシンドロームの女性の場合は大体そちらの方が、ウエスト90なんていうのも、そこらあたりの人が多いので、アウトカムが出ることを目的とするとしたら、そこらあたりの人に一度やった方が出るかなという感じはします。

 門脇専門構成員 繰り返しになる部分もありますけれど、BMIから見ると、ある年齢を過ぎると男性は頭打ちになります。また、女性は、50代から70代まで変わらないか、緩やかにふえるのだろうと思いますが、実際には内臓脂肪蓄積を見ると、年齢に従って直線的に内臓脂肪の量というのは同じ体重でもふえていくということが指摘されています。

 ですから、内臓脂肪蓄積というのは、高齢者では同じ体重でも問題だということが指摘されていますので、島本先生がおっしゃったように、例えば「健康日本21」でも20歳以上の歩数の目標は、男性は9,200歩、女性は8,300歩ですけれど、70歳以上は5,000歩台であるとか、もともと年齢に見合って値を違えているわけですが、その値でもこの5年間で数百歩ずつ減っているというのは、高齢者にも身体活動の低下という状況が蔓延しているということで、これに対しては対策を打つ必要があるという意味で申し上げました。

 吉池構成員 島本先生がおっしゃったように、医療機関と受診していない75歳以上の方に基本的な検査の道を閉ざすということは、余り望ましくない方向だと思います。ただし、保健指導を考えたときには、当然次のステップとしてアプローチの仕方も違いますし、また、制度的には、要介護予防の方で今後プログラムが動きますので、そこは1回切り分けた上で、ミニマムセットあるいは介護予防の仕組みとの兼ね合いできちんと議論をすべきだろう。

 特に食生活といったときのアプローチの仕方は、おのずと生活習慣病対策というところとは変わってくるところもありますので、そこはまず1回線は引いて、より効率的に全体の事業として行うべきだと思います。

 中村構成員 関連してですけれど、行政の立場から見ると、先ほど水嶋先生から御指摘もありましたけれど、病気を早く見つけるための受診と治療をするための受診と、同じような検査をしている場合があります。どちらも公費が入っていて、それぞれの目的をしっかりしてほしいという意見が議会などでもあります。年齢で切るというのは今の議論をお聞きしていて難しいというのはよくわかりますが、健診も今は医療機関に行って受けます。

 一方、その方々も別の疾患なり何らかの形で個別に病院へ行っています。それが健診で行っているのか治療で行っているのかよくわからなくなってしまい、たまには健診で受けてみるか、無料だからということにもなってしまいがちな指摘もございます。健診の目的といいますか、個別健診だけれど、治療とはこういう意味で違うというような明確化ができると、そこら辺の混乱がなくなっていいなというのが県の立場であります。

 渡辺分科会長代理 ありがとうございました。

 年齢のことで今御議論いただきましたが、時間がございませんので、それ以外のところで何か御意見はございますか。

 大江構成員 東京大学の医療情報の大江です。(2)の1.で、血液検査の基準値が異なる場合に、統一した基準にするためにはどのような方法が考えられるかとありますが、このあたりは、この後で出てくるデータのフォーマットの標準化などとも直結してくる問題ですけれど、今、コンセンサスの形成が可能なこういう統一した基準に変換する方法というのは、学会などでもう既に提唱されているものがあるのでしょうか。

 渡辺分科会長代理 私はその関連でございますが、現在は、学会で、例えば今のメタボリック症候群の検査値について、例えばそれに補正をかけて全部統一するという、そういう動きはございません。ですから、今後、これを至急に検討していかなければいけないと思います。

 ほかにございますか。

 酒巻構成員 上にあるような問診項目というのは、この(2)にもかかってきていると考えてよろしいのですか。問診項目については余り議論がされなかったわけですが、当然、判定基準等もこういうところに持ち込むと考えていいですか。

 事務局(生活習慣病対策室長) 標準的な問診ということも一応俎上に上げさせていただきたいと思っております。それはまた後で出てきます。

 酒巻構成員 もう1点は、年齢と性別ということが当然判定基準にもかかってくると思うのですが、この点についてもある程度階層化しながら標準化をしていくという考え方でよろしいでしょうか。

 事務局(生活習慣病対策室長) 渡辺先生のところ、また、データにつきましてもいろいろなところにお願いして、今御指摘があったようなものができるだけ出せればと思っておりますが、基本的には、まず統一した基準にするためにはどういうやり方が考えられるだろうかということを御議論していただいて、その方向に向けて、今、関係のところと、いろいろなデータ等をいただきながら、なるべく標準化に向けて持っていければと思っております。

 松澤専門構成員 その階層化基準の4.の下のところに書いてあることが、この前、ワーキングでも一番話題になって、保健指導というレベルと医療への転換というのは明確にしないと、ごっちゃに両方でやるのか、あるいは、本来医療でやるべきものが保健指導だけで1年に1回だけというのが問題ではないか。少なくともメタボリックシンドロームの診断基準は、医療の疾患概念として設定したものであって、動脈硬化、血管も医療として詳細にチェックしなければならないということで診断基準です。厚労省の「死の四重奏」もそういう形で、とにかく血管をチェックしましょうということでやっているわけです。

 ですから、ここのところを階層別で保健指導するだけでいいのかどうか、ここは医療でチェックしてもらわなければいけないことがかなりあるところを誤解がないように内容を検討していただいた方がいいかなと思います。

 渡辺分科会長代理 この間の分科会でも御議論いただきましたが、今の松澤先生の御意見について、厚労省の方はいかがですか。

 事務局(生活習慣病対策室長) 例えば血圧測定の方法であるとか、今、御議論のあったところについて、健診でやるレベルの話と医療でやるレベルとの話をどのように整合性をとるかということであれば、そこのところは我々は議論を詰めさせていただきたいと思っております。今の段階ではまず御意見を承って、そこのところを整理させていただいた上で、次のステップでもう少し具体的なものをお出しさせていただければと思っております。

 渡辺分科会長代理 この健診の内容につきまして、ほかにございますか。

 諸江専門構成員 共済組合連盟の諸江です。健診の結果と保健指導との関係が具体的には判断しにくい部分があると思います。要するに、健診をやって、その健診の結果はこれから報告書の、あるいは通知書の仕様をどうするかということがテーマになっておりますけれど、その健診の結果を見て、だれかがこの人は保健指導が必要かどうかということを判断するのだろうかということです。健診結果の中には、先ほどのお話にありましたように、医療行為として何かやらなければいけない部分、あるいは保健指導だけで済む部分、あるいは両方が混在している部分と、要するに健診の結果によってその対応の仕方がいろいろと変わってくると思います。

 そこがある程度具体化しないと、今度は保健指導をやる側が、医療行為上何か問題があるとすれば、保健指導というよりもまず医療行為が優先するということに当然なるのでしょうし、その辺の判断がどうやってなされていくのだろうかと。

 あるいは、医療機関と連絡をとってと、それは言葉では「連絡をとって」と言えるかもしれませんけれど、現実問題としてそんなことはできるのだろうかと。

 したがって、健康診査と保健指導との関連する部分、そこが非常に重要な要素ではないかなという感じがいたします。

 事務局(生活習慣病対策室長) 今の御指摘もこの過程でよく聞く御指摘でございまして、次の第3章のところが、まさに階層化基準のところで御指摘があった、現に医療を受けている主治医がいる場合、現に医療を受けている場合の扱いの仕方をどうするのかということで、これについても御議論を踏まえまして、私どもはいろいろな基準の考え方についてなるべく関係者の方々で合意がいただけるような基準をつくっていければと思っております。

 渡辺分科会長代理 これはある程度基準をつくっていくということでよろしいですか。

 事務局(生活習慣病対策室長) できるだけ関係者の方々の合意がいただけるような方向で持っていければと思っております。

 小山構成員 日赤の小山です。今のお話を聞きながら私は思いましたけれど、今回のこのメタボリックシンドロームを中心にして実施したいというのは、健診の中に大きく2つありまして、病気探しの健診と健康づくりのきっかけづくり健診の2つあると私は思っているのですが、これはあくまでも健康づくりのきっかけづくりのための健診なんです。ですから、病気探しの健診は別になければいけないんです。はっきり言うと、結核であるとかがんであるとかというのは、別にしないわけではなくて、それはなさるわけですから。この試案の一番の根本的ねらいは医療費抑制ですから、医療費抑制が一番しやすいのはこのメタボリックなんです。

 ですから、これをするには保健指導が一番大事です。だから、これはそのきっかけをつくるための健診なのだというふうに位置づけていますし、我々もそう認識してそのように持っていかなければいけないと思っています。すぐに医療機関に渡す云々というのは、確かに疾病としてはいろいろあると思います。この中でも、重症の糖尿病を保健指導でやるわけでは決してありません。しかし、それもベースに入れなければいけない。私はそういう認識ですが、いかがでしょうか。

 事務局(生活習慣病対策室長) 今回、別紙3の基本的な階層化の考え方をいただきましたらば、これでまた具体的な次のステップについて先生方から御議論をいただきまして、今御指摘があったようなことも踏まえていろいろとたたき台をつくらせていただければと思っております。

 渡辺分科会長代理 さっきは非常に基本的な御議論でしたけれど、これが疾患を見つけるものか、その健康のあれかと、その基本的な部分は御説明いただいた方がいいと思いますが。

 事務局(生活習慣病対策室長) それであれば、別紙1のところで、これは親委員会のところで御説明させていただいたと思いますが、今回の健診・保健指導の基本的な考え方ということで、まず、健診の位置づけにしましても、先ほど御議論がありましたが、従来は健診をやってそれだけで終わっていたとか、保健指導は付加した形でしかなかったということではなくて、あくまでも保健指導を必要とするものを抽出するための健診ということで、要するに予防というのでしょうか、対象者を明確にするためにこの健診を位置づけるべきだということでは、先ほどの健康づくりという言葉がいいのかどうか、私も言葉の概念を少し整理をしなければいけないのですが、少なくとも、予防のための保健指導に必要とするものを抽出できるような健診項目と、その判定基準というものを標準化していくということが、まず大事なのではないだろうかと考えております。

 水嶋構成員 ただいまの健診の定義に関してですけれど、「スクリーニング」と言った場合は日本語では「検診」で、がんとか結核等の疾病を見つけることでございますが、循環器系の場合には、そもそもの昭和40年代の血圧を一回も測定したことがない人を集めて、本格的な重症高血圧者を見つけるという段階では、確かに疾病発見が目的だったのでしょうけれど、今の段階での循環器疾患あるいはこういった健診は、ヘルス・リスク・アセスメントとしてとらえるべきだと理解しておりまして、つまり、おっしゃられたように、健康づくりのきっかけとして自分の生活習慣におけるメタボリックシンドロームの概念を中心とした生活習慣のリスクを把握して、それで必要に応じた改善に持っていくという意味でございますので、疾病探しはあきらめたというよりは、本当にそこで見つける人もいるでしょうけれども、これはオール・オア・ナッシングではなく、連続的に上がっていくわけでございますので、その程度に応じた改善を振り分けるということで意味があると理解しております。

 渡辺分科会長代理 どうもありがとうございました。ほかに御意見はございますか。

 それでは、次に、第3章に移ります。8ページ、保健指導対象者の選定と階層化の基準でございます。御意見をお願いします。

 吉池構成員 別紙の3で、ステップ1、2、3ということでも御説明いただいたわけですが、このステップ1で上流のところをまず1に置いて、次にリスクで、血糖、脂質、血圧を見ていくということには異論はございませんが、表現ぶりとして、上流とその中間的なステップ2のところは、平面をきちんと分けて考えないと、特に予備群という概念がややわかりにくいような伝わり方がされているように思います。

 ある県で議論があったときに、内臓脂肪を伴わない、肥満を伴わない血圧単独のリスクが予備群のような、原因と結果を逆にしているというか、概念自体が理解されていないような事柄があると思います。そういう意味で、例えばステップ1でリスクがあって、ステップのリスクというのは平面が違うものであって、それで追加リスクで同じ平面でカウントしてしまうと誤解を招くような気がしますので、その辺のところの整理はお願いしたいと思います。

 渡辺分科会長代理 どうもありがとうございました。

 ほかにございますか。

 それでは、もしよろしければ次に移りたいと思います。第4章の健診の精度管理でございます。これはいかがでしょうか。

 事務局(生活習慣病対策室長) ここはまだ準備が十分できなかったところですので、関係の学会などからいろいろと話を聞かせていただいて、少し肉づけをさせていただければと思います。

 渡辺分科会長代理 それでは、次は第5章の健診データ等の電子化についてでございます。いかがでしょうか。

 大江構成員 それぞれの項目についてコメントがありますが、まず一番重要なことから申し上げますと、(4)にありますユニークコードの問題でありまして、生涯を通じて、健診データと治療を受けたときの医療データを1人のデータとして後で認識できるようにする、特にその疫学的な活用を考えますと、1人を1人と見なせる、そして異なる人をきちっと異なると解析できるという意味で、こういうユニークコードというものは恐らく必須であると考えます。

 ただ、これを新たなこういう番号として発番する準備をするのか、それとも何か既存の組み合わせでユニーク性が保てるような番号があれば、そういうものを活用する。どちらでもいいと思いますが、この点については極めて重要なことであると認識しますので、ぜひ積極的に考えていただきたいと思います。

 それから、同じ視点で、(3)の「3.」の医療機関の場合のコードというのも非常に重要ですが、保健医療機関コードの1つの問題点というのは、発番の一意性が保たれていないわけで、各自治体に若干発番がゆだねられているということから、これを活用するのであれば、その発番が二度と二重発番が起こらないような仕組みを簡単な方法で実現できると思いますので、それを担保していただくようお願いしたいと思います。

 土屋構成員 生涯を通じた健診情報あるいは健康管理ということですが、「生涯」と申しますのは40歳以上ではないわけですね。今までも何回か出てきましたけれど、母子保健あるいは学校保健から始まって、産業保健、また地域に戻っての地域の保健——老人保健事業に基づく基本健康診査みたいなものはそれにつながるものだと考えています。

 私ども日本医師会では、今申し上げたような生涯を通じた健康管理をするに当たってどういうことが必要かを検討いたしておりますが、その中では、先ほど出てまいりましたけれど、その健診項目の選択からそれぞれの時代における、例えば小・中・高と分けて、さらには産業保健と申しますか、今の労働安全衛生法に基づく定期健康診断みたいなものも含めて、どういうものが一番エビデンスを持って有効な健診項目となり得るかということまで、現在、検討いたしているところであります。この際、こういうコーディングをする場合に、この部分だけを考えて何かよかれと思ってやったことが、その前後とつながらないということにならないように、この制度だけにのっとった——今、制度は大きく変わらんとしておりますが、老人保健法に基づく基本健康診査みたいなものも大きく変わってまいります。これは従来通りやるのだと言っていますが、しかし、これは介護予防に資するためのデータを得るということから、また別の項目も入ってくるわけですね。

 そういうことを含めてこれは検討しないと、このことだけにとらわれていると、整合性がとれないことになるのではないかと思いますので、お考えいただいておくことが必要ではないかと思います。

 事務局(生活習慣病対策室長) 私どもの方は、母子保健から学校保健も含め、健康増進法の中で一つの一貫した基準をつくる指針というものを持っておりますので、そういうものを活用させていただきながら、今御指摘がありましたような形で、生涯を通じた形でどのような方法ができるのかということも、まずこの部分で大筋御了解がいただければ、またそちらの方に発展していろいろな議論も私たちはすることができるのではないだろうかとは思っております。

 窪寺構成員 (2)ですが、確かに臨床検査データの標準コードというのはもうこれでよろしいかと思いますけれど、今回、健診のそれ以外の項目の流通というものを考えますと、問診、判定などもつくっていかなければいけないと思いますので、別途これを検討する組織なりグループをぜひおつくりいただきたいと思います。中心はJLACでいいと思っておりますので、プラスアルファーのところが必要だと思います。

 渡辺分科会長代理 これは検討中ですか。

 事務局(生活習慣病対策室長) はい、今検討中でございます。

 土屋構成員 (1)の健診データの電子化の件でありますが、先ほどの御説明の中では、医療費データと健診データを突合・分析するというお話でありました。そうしますと、これは過日の医療保険でも保険請求をするに当たってIT化ということが大変議論になりました。でも、方向としてはそうであろうということのようでありまして、これは我々は十分理解できるのでありますが、先ほどもお話に出ましたように、個別健診ということになりますと、車健診で健診屋さんみたいなものにアウトソーシングして、それがワーッと来て一度にバンバンとやって引き揚げていくようなことではなくて、本当にこれが意味あるものにするためには、先ほどお話がございましたように、主治医のある人もいらっしゃるでしょうし、こういう個別の場合に、健診データをIT化するとなりますと、これはまたそれなりの準備をしなければなりません。

 そういう環境整備を考えますと、健診機関と一口に言いましても、診療所みたいなところもございましょうし、病院でやるとしましても、それなりにまた新たなIT化というものがこの健診データをきちんと分析、あるいは保険者に報告するために必要になってくるということが考えられるわけですね。

 こういう場合に、例えばその地域の医師会がそのデータをまとめて保険者に提出するということも考えられるわけですが、そうではないとするなら、集検的な考えでないとこの考えはなじまないということになりますが。

 事務局(生活習慣病対策室長) そういうことも含めて、電子的なデータ提出をどのようにしたら実現可能かということで、そういう具体的な方法がもしあれば、いろいろと教えていただければ、我々もぜひ関係のところと調整をさせていただければと思っております。

 田中専門構成員 1点だけ、(4)の生涯を通じたというところですが、これは以前、健診のことに関して委員会が持たれたときにも、年齢・職業というものを異動しますけれど、そういう継続性の議論があったときに、やはり同じようなことが話題になったのですが、「生涯を通じた」ということを本気でやるのだったら、年齢とか職業というものがどんなに異動してもいつでもデータというのは一定のところに管理できる、こういう体制がまず必要ではないか。それはどこなのだと。それは医療保険者でもないし、特定な機関でもないと私は思います。それはやはり市町村ではないかと思っています。国民であれば常にどこかの市町村に住所を有するわけですので、確実に確認できるということです。

 それから、同じように、データというものは、被保険者番号などが問われなくても、常に一定のところに一発で行く。田中という者がどこに動いても、どういう職業になっても、常に田中のデータというものがスッと一発で行くと。そのためには、例えば住民基本台帳番号に全部番号を合わせる。これは先々の話ですが、医療保険についても、健保の番号だ、国保の番号だではなくて、全部、住民基本台帳の番号を使えば、年金番号もそうですが、全部一発で行くんですね。

 こういう形のことを本気でやらない限りは、結局、どういう形をとろうとも、むだの多いシステムにならざるを得ないのではないかと思います。

 中山構成員 後でまた出てくるかと思いますが、個人情報保護との絡みで、関係する機関としては健診機関と保険者と市町村がデータを共有するときには、匿名ではない個人情報になると思うのですが、二次利用で大学が研究したり、都道府県の方に報告されたりするときには、匿名データになるのかなというイメージを持っています。この場合に、個人情報管理者というのは、保険者の責任者になるのでしょうか。

 事務局(生活習慣病対策室長) 今度の新しい制度では、医療保険者が責任を持ってデータを管理していただくことになっております。

 中山構成員 ありがとうございます。

 渡辺分科会長代理 ほかにございますか。

 松澤専門構成員 これは国を挙げてデータを利用するということはやるわけですか。

 事務局(生活習慣病対策室長) データの活用方法はまた別途いろいろと議論させていただければと思っておりますが、個人情報との関係をいかにクリアにしていくかという課題もやりながら、加工して個人が特定できないような仕組み、それを明確にすることが大事だと思っております。

 松澤専門構成員 もしこれが本当に国家レベルでやるとしたら、ものすごい予算が要るでしょうけれど、データベース化できれば非常に大きな医療の分析ができるわけですよね。今日本で一番欠けているのがこういうデータベースであるということで、何か大きな予算化をするとか、総合科学技術会議でも言っているわけで、これを本当に健診とあわせてやれば、直接個人的な保健指導などとはまたちょっと違いますが、こういうデータベース化するということが本当に可能ならば非常に大きな進歩になりますけれど、予算は大丈夫なんですか。

 事務局(生活習慣病対策室長) いろいろと解決しなければいけない課題がたくさん残っているとは思いますが、それだけ有効なものであるということを示せるようなものにしないと、ついてくるものもついてこないのではないかと思っております。

 渡辺分科会長代理 大切な問題だと思いますが、リサーチするに、個人情報保護法というのはかなり重要なものですから、さっきおっしゃったようなことはどのくらいの期間で解決できるかというのは、何かございますか。

 事務局(生活習慣病対策室長) 先ほど申しましたけれど、生涯を通じたものをどのようにつくっていくかという作業もこれからやらせていただかなければいけないと思っていますし、ただ単にデータを集めても、それは単なるごみになってしまう可能性があるので、先ほど出たユニークコードの話も含めて、意味がある形でできない限り有効な活用はできないと思っていますので、そこのところも含めて、関係者の間で合意ができて、なおかつ個人情報保護もちゃんとできてということが守られることが大事だと思っていますし、データを活用するにしても、どういう仕組みでやればちゃんとした形で活用できるのかというのは、結構詰めなければいけない点はあるのだと思っております。

 中村構成員 先ほどの田中委員の御指摘についてですが、健診とはちょっと離れますけれど、保険料の未納の問題でも同じように、市町村からさらに越えて、特に埼玉県のような人口の流動性の高いところでは追い切れないという問題を解決するために、今、田中委員が言われたような追跡できるシステムがあると非常に有効だという話も出ております。この健診のコード化とあわせて御議論いただけると、この場ではないと思いますけれど、有用性が高いと思いますので、発言させていただきました。

 小山構成員 先般の全体会議でもちょっと発言しましたけれど、これは経済産業省も力を入れてやっているようでございまして、私どもは経済産業省と一緒になって「私の健康履歴」という形で進めておりますが、むしろ健診データの方が一番扱いやすいんです。普通の医療機関における診療データというのはなかなか入れるのは難しいのですが、健診データは項目が限られていますから、これは意外と扱いやすいのではないかなと。

しかも、それを子供のときからのデータも含めながら入れていけばできるかなということでやっておりますし、これは松澤先生が大変御心配なさっていらっしゃいますが、このプロジェクトは厚生労働大臣なのでしょうけれど、ITの方は本部長は総理大臣ですから、内閣総理大臣が本部長で、IT新改革戦略というものが進められておりますので、大いに期待したいと思っておりますが、いかがでしょうか。

 水嶋構成員 個人情報に関して1点だけですが、今、個人情報に関して過度に保護の風潮がございまして、もともと個人情報保護法の本体からも、公衆衛生の向上に資するものは除外するということがありますので、この制度自体は公衆衛生の向上に資するものを国の責務としてやっているわけでございますので、国民の一般の方々にも、健診やそれぞれいろいろな体制の連結可能なデータベース構築が、根拠に基づく有効な体制を推進する上で不可欠だということを、事あるごとに発信していただきたいなと思っております。

 渡辺分科会長代理 ほかにございませんか。

 では、第6章と第3編のすべては省略させていただきまして、次は、第4編の第1章の人材育成体制の整備でございます。

 吉池構成員 第1章で、主には行政及び保険者の人材育成が書かれておりますが、アウトソーシングについてはこれから整理されるので書いていないと思いますけれど、現実を考えると、例えば、受ける側の民間の方は競争原理でやってください、事業者を選ぶ方は費用対効果の結果の出る事業者を実施主体が自己責任で選んでくださいということになると、保健指導と恐らくセットで考えていかなければいけないので、全体の質の担保ですとか、本当の意味での効率化が図りにくいと思うので、アウトソーシングされるという前提で、その辺の体制整備についても十分な書き込みを保健指導とあわせて行う必要があると思います。

 小池専門構成員 私学事業団の小池と申します。第1章で、都道府県、市町村及び医療保険者の役割について書かれていますが、この中で、例えば私どもの場合、私学事業が保険者としての役割を担う一方、実際の場面では学校法人が設置者として都道府県等と協力して行うという隘路の部分がございますので、医療保険者と都道府県及び市町村との連携というものが、この人材育成の整備の中で総括的に記されたらいかがかなというのが1点でございます。

 それから、この人材育成の中で、研修に重きを置かれているのは非常に効果的な表現だと思いますが、今後マンパワーの確保という観点から、学校教育の場面で人材育成を進めていく必要があることを織り込まなくていいのかどうかということも、少し御検討いただければと思います。

 松田構成員 まさにこの人材育成体制のところの整備というのは非常に重要だと思うのですが、例えば、アメリカなどですと、健康教育指導者という、いわゆるヘルス・エデュケーターというものが専門的につくられているわけですが、そういう健康教育とか健康指導、保健指導をするための専門職の体系的な教育体制というものがあるわけですけれど、日本では今、例えば保健師の教育とか、学校における養護教諭みたいなものがあるのかもしれませんが、健康教育の指導とか、それらに関する標準的なカリキュラムというのはございますのでしょうか。もしないのであれば、アメリカなどにおけるような人材育成の体系などを少し参考にするようなことができるのではないかと思うのですが。

 事務局(健康局総務課保健指導室長) 保健指導室長の野村でございます。人材育成の体系は、今、松田先生から御指摘のような健康教育を専門とするような教育体系というものは、現段階ではないかと思います。ですが、今、人材育成体系をどのように20年に向けてやっていこうかというところの議論を少しずつ始めておりまして、そこの中ではそういうものも必要ではないかなとか、どういう体系でやっていくかということもこれからも検討してまいりたいと思っております。

 松田構成員 うちの大学などもそうですが、そういう健康指導の専門職としては日本は保健師というのが非常に重要だと思うのですけれど、保健師教育におけるカリキュラムなどについては、いろいろなところで育てられていると思うのですが、そういう教育のカリキュラムみたいなものは把握されているのでしょうか。

 事務局(健康局総務課保健指導室長) 現在、保健師の教育は、多くは4年制の看護大学の方で基礎教育が行われておりまして、それぞれのところでの基本的などんな教育をするかというところは、法律的にもそういう教育のカリキュラムはどういう項目かということの押さえはできておりますが、細かく押さえられているわけではないので、どこまでそれぞれの大学がこういうことに関して教育をしているかということは十分把握できていないのではないかと思います。

 小山構成員 現場で見ますと、保健師さんは立派な方がいらっしゃる——と言うと変な言い方ですが、よく頑張っていらっしゃるのですけれど、問題は栄養士さんですね。このメタボリックシンドロームの中で栄養士の役割というのは非常に大事だと私は思っていますが、残念ながら、栄養士さんがまだだと私は申し上げたいと思います。それは、名前を取り上げてどうかと思いますけれど、国家試験を通って得た資格の中で、栄養士さんだけが「士」さんなんですね。ほかはみんな「師」がついている。

 これはそれなりの意味があるのかなと思っているのですが、日本健康栄養システム学会で、これではいかん、もっと本気で栄養士さんを養成しなければいかんと。先ほどアメリカの云々の話が出ましたけれど、アメリカなどでも相当教育しているわけですから、そういうアメリカ並みの「臨床栄養師」というものをつくろうと、そういうカリキュラムをつくってやろうとしておりますので、私もその一人としてやっているだけですが、皆さん方もぜひ栄養士さんの教育をもっと力を入れてやりたいと思います。これはみんなで力を合わせて押し上げていかなければできないかなと思っているので、私からよろしくお願い申し上げたいと思います。

 事務局(栄養・食育指導官) 今のお話の「管理栄養士」、栄養士のカリキュラム、教育はどうなっているのかということでございますが、平成12年の栄養士法の改正でカリキュラムの大改正を行っており、平成14年施行でちょうど今年が完成年度にあたるわけです。そういう意味では、これから期待される「管理栄養士」が社会に出ていくのだと思っております。ぜひこれからも御支援のほどをお願いしたいと思います。

 田中専門構成員 医療保険者から、研修育成という前に、まずは保険者としては体制の整備が最大の課題でありまして、せっかく役割を書いていただくのでしたら、保健師の増員を市町村の役割にするのか、医療保険者の役割にするのか、どちらでも構いませんけれど、保健師の倍増計画を盛り込んでもらわない限りは、どうにも対応できないということであろうかと思います。ですから、そのことについて一言触れてもらえるとそういう勢いが出てくると思いますので、ぜひそれをお願いしたいと思います。

 水口専門構成員 今の御意見に関連してですけれど、保険者に期待されると、その財政をどうするのだという話になりますよね。私は地方公務員の関係ですけれど、我々でいう短期給付、保険財政は現状でも非常に厳しいわけですから、それで確かに体制も決して十分ではないと私も思いますけれど、ただ、保険者でそういうことを手当てするとなると、財政的には大変だなと思います。ですから、その辺をどのように変えていただけるか、それを私自身も注視しています。

 渡辺分科会長代理 ほかにございませんか。ここのところはよろしいですか。

 中村構成員 先ほど申し上げましたけれど、例えば、生活保護のケースワーカーで標準人員のような、例えば1人当たり例えば60人とか80人とか、そういうことで今まで人を配置していたような福祉の方の例があります。実際に保険者が健診をしていく際に1人どのくらいできるのか、標準的にこういう人数が必要なのだというくらいのものも示していただけると、市町村として採用の目安を今後議論できるのではないかという感じがします。

 それから、市町村の方といろいろお話をすると、財政調整交付金に今度県がかかわるようになって、保健事業に関してそういう人材に財源として使えるように県が采配を振るえるようになるのですが、実際にもらう方にしてみると、全部特別会計に入ってしまう関係で、保健事業についていようが、給付についていようが、もらえるものをもらえればそれでおしまいという、なかなか見えにくいところがあるのが実態なので、そこら辺は一般財源から本当に保健師を雇うと、「こんなにお金がもらえるんだ」という仕組みができれば、市町村も人材を雇うということに関して議会の承認を得やすいというお話も聞いておりますので、それができにくいことはわかっていますけれど、そういうことを呼び水とするための書きぶりもここに書いていただけると、県としてはありがたいなと思います。

 渡辺分科会長代理 どうもありがとうございます。

 それでは、時間の関係で次に移らせていただきます。次は、第4編、第2章の最新の知見を反映した健診・保健指導内容の見直しのための体制整備でございます。この件につきまして御意見をよろしくお願いします。

 水嶋構成員 (1)学会・研究班の役割ですが、今、お隣の松田教授も私も研究班のそれぞれ主任研究者としてここに座らさせていただいておりますけれど、研究班の年限が短こうございまして、大きな制度をつくるときの人間と経過を評価する人間がかわったり、あるいは違ったりする面もあります。それがいいことの場合と悪い場合と両方ありますので、ある程度恒常的なところで基本的なデータを集約して、基礎材料をしていただいて、そして解釈する人間はその時期で適切な人を選んでいただければいいと思います。

 そういう意味では、研究班も大切でありますが、例えばアメリカにしろイギリスにしろ、少し公的なところでデータベースセンターみたいなものがございまして、それに基づいたエビデンスベースの研修のあり方の指針等を出しておりますので、そういう構築等もあわせて検討していただければと思っております。

 松澤専門構成員 これはさっきのデータベースの問題と非常に関連しますよね。ですから、これは非常に大事なことで、基準値などの見直しなどにこれを積極的に使うということを盛り込んでいただけたら、そこにかなり予算的なことも考えていただくということで、いいんじゃないでしょうか。

 渡辺分科会長代理 これも経産省とかいろいろ関係があるでしょうから、厚労省、経産省、いろいろ連携をとっていただいてこういうものをつくっていただくと本当にいいと思います。

 松田構成員 この体制整備の見直しのための体制整備の評価ということで、データ分析ということになると思うのですが、今、ここにいらっしゃる大学の社会学系の先生方なども、各市町村や都道府県がやっているいろいろな医療計画などの分析の手伝いなどをしていると思いますけれど、それは結構個別にばらばらでやられています。日本は1県1医大というか、すべての都道府県に医学部あるいは医療系、あるいは看護系の大学がございますので、そういう地域にある大学の責務というものもあるだろうと思います。そういうところにいる人材を積極的に活用するという枠組みもやはり必要だと思いますので、この中に地域の大学の役割というものも書いていただけたらと思います。

 田中専門構成員 (4)その他の3.で、市町村国保と一般衛生との連携が記述されたことはありがたいと思いますし、ぜひお願いしたいのですが、先ほどの水口委員の発言にちょっと関連しますけれど、医療保険者だけではどうも手に負えないことがたくさんあるわけでございますから、国保だけが市町村一般衛生と連携するということではなく、社会保険も一般衛生と連携するという視点をしっかり持って対応しないと、こういった医療保険者に特定の保健業務というものを義務づけられてもなかなかうまくいかないのではないかと思っておりますので、そこあたりは御考慮いただけたらと思います。

 渡辺分科会長代理 時間がいっぱいでございますので、申しわけありませんが、最後に移らせていただきます。

 次は、第3章でございます。何か御意見はございますか。

 松澤専門構成員 (2)のレセプトデータ分析、レセプト病名ですが、このメタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群というのがレセプト病名になるかならないかで、せっかくこれをベースとしてやるときに、疾患概念としてここに入っていないと、拾い上げて幾つか重なっているというのではちょっと不充分です。ここの病名は、肥満症、糖尿病、高血圧といろいろありますが、メタボリックシンドロームあるいは内臓脂肪症候群というのは、今後どういう位置づけになるのでしょうか。

 事務局(生活習慣病対策室長) レセプトの電算に使う病名の一覧表があるのですが、これは大江先生の方がお詳しいかと思いますけれど、その中には、ことしの1月付でメタボリックシンドロームはたしか入っていたように私は記憶しているのですが、あれはレセプトで使えるという理解でよろしかったでしょうか。

 大江構成員 レセプトに病名として使ってもいいのですけれど、それ単独で保険が通るということを保証しているわけではないんです。

 松澤専門構成員 診断してくれるだけでもいいとは思いますけれど。統計上、そういう概念で診断されているということで拾い上げていくとすれば、意味があると思いますので。

 松田構成員 今回のこのシステムで一番重要になってくるのは、私は保健指導だろうと思っています。アメリカのディジーズ・マネジメントとかヘルス・サポート・プログラムを見ていると、保健指導をどのようにやっていくかというのは非常に重要だと思いますので、そうすると、この保健指導を評価していく仕組みというのが一番重要になってくるのではないかと思います。

 ただ、その保健指導というのは、こちらの参考資料にもございますが、非常に個別性の強いものですので、それをまとめることは非常に難しいだろうと思いますので、ストラクチャーでもプロセスもそうですけれど、類型化して事後の評価に使えるような枠組みというものをつくらないといけないのではないかなと思います。それをぶんせきすることで、健診項目の見直しとか、タイミングの見直しとか、管理の仕方、あるいはシステムに関する見直し方法も出てくると思いますので、この保健指導の評価方法についてぜひ御検討いただけたらと思います。

 島本専門構成員 細かいことですけれど、16ページの(2)2の例の中にいろいろ病名がありますけれど、この中で虚血性心疾患で狭心症は含まないというのは、何か意味があるのでしょうか。

 渡辺分科会長代理 事務局の方、いかがですか。

 事務局(生活習慣病対策室長) ここのところは御議論があれば少し検討はできるのですが、今のところは、虚血性心疾患の中にどうしても狭心症のような概念がまざってしまっているところがあるものですから、先ほど議論がありましたけれど、あくまでもメタボリックシンドロームが一番リスクの高い問題となるところの脳卒中、要するに心筋梗塞、そういうところを予防するというのを前面に出すために、この辺のところは分けて議論をさせていただいた方がいいのではないかということで出てきたと思いますが、もしここのところを入れた方がいいという御議論であれば、入れるという概念があるかとは思いますけれど、ここはあくまでもそういうお話があったということだけの例示でございますので、決まったわけではないと思っております。

 島本専門構成員 心筋梗塞の名前の状態は狭心症になりますから、それを除くのは一般的にはきついんじゃないかなと思いますが。診断が難しいという意味で一般に除かれているんですよね。ただ、病態を考えると、除くのは難しいかなとも思います。

 門脇専門構成員 私も、松田先生と同じ意見で、この保健指導の評価をどのように具体化していくかというのは、一番大事なことの一つではないかなと思います。そういう点で、3ページの一番下の第2章の(4)評価のところに、最終的にはアウトカム評価が一番大事なわけですが、これは「糖尿病等の生活習慣病有病者・予備群の減少数」、ここに結びつくのが最終的に評価、あるいは心筋梗塞や脳卒中ということだと思いますが、その前のアウトプット評価、あるいはプロセス評価、ストラクチャー評価、このあたりが具体的にどう保健指導の評価にそれぞれの現場で具体化されるかというのが非常に大事で、このあたりをもう少し具体的にお示しいただけるといいかなという感じがいたします。

 事務局(健康局総務課保健指導室長) 保健指導の評価については、本日お配りしている参考資料の「保健指導分科会資料」の後半の6の保健指導の評価というところがございまして、そこで4ページにわたってその内容の押さえは一応してございます。

 渡辺分科会長代理 どうもありがとうございます。

 ほかにございますか。

 諸江専門構成員 1つ教えていただきたいのですが、例えば16ページの(1)の3のところで、ほかにも類似の表現はありましたけれど、「医療保険者に所属する医師、保健師、管理栄養士」という表現がありますが、例えば、産業医などの場合ですと、労働安全衛生法でしょうか、配置義務というものが法令上ありますけれど、この保健師とか栄養士についてのそういう法令上の何か規定があるとすれば、参考までに教えてください。

 事務局(生活習慣病対策室長) ちょっと確認しなければいけませんが、法令上のそういうものはなかったように記憶をしております。調べて御返事をさせていただきたいと思います。

 諸江専門構成員 結局、法令上の規定がないとしても、保険者が保健師や栄養士と特別な契約関係を持っているとか、そういう実態を表現しているのでしょうかね。

 事務局(大臣官房参事官) ここで書いていますのは、医療保険者にまず最低限やっていただかなければいけないこととして、健診・保健指導をどのように組み立てていくかということを考えていただかなければならないわけです。そういう意味で、医療保険者が自分たちの持っているデータを分析・評価をして、何を優先課題として健診をし、そして保健指導をアウトソーシングする場合にはどういうアウトソーシング先が良いのかということを御判断いただかなければならない。その限りにおいて、いわゆる医療保険者の中に保健師さんとか管理栄養士さんというプロの方を擁しておられるということも必要なのかなと。

 ただ、そこも含めて、外にゆだねられるということも可能性としてはあるのかなと思いますが、私どもとしては、そうした企画立案をしていただく人材といったものが医療保険者の中には要るのだろうと。そして、そのときに典型的と思えるものが保健師、管理栄養士さんではないかな、という趣旨でここは書かせていただいているということです。

 松澤専門構成員 細かいことになりますが、17ページの保健指導における健診受診者個人の評価というのは、ふえなければ評価するかという問題ですけれど、これは非常に明確でありまして、別紙3の、このカテゴリーはまだこれからもう少し変えるとしても、まずカテゴリー1と2は、基本的にリスクがゼロの場合はそのまま体重やウエストは維持していただいたらいいと。それはそういうことで評価できるわけです。ただ、リスクがある場合には、腹囲を減らす、体重を減らすということでないとだめだと、そういう評価で、非常にシンプルに考えられると思います。

 肥満学会の場合は、内臓脂肪がたまっているだけでコモビティーがゼロでも、それが続けばいろいろなことが起こる可能性があるので、減らすということが一番の目標になっていますが、少なくとも保健指導においては、リスクがなければふえなければいいと考えてもよい。これは非常にシンプルでいいと思いますので、余りディスカッションされる必要もないと思います。

 田中専門構成員 レセプト分析について、せっかくの機会ですのでぜひ取り上げていただきたいと思いますのは、レセプト上、疾病名を拾い出すのにどういう作業をしているかといいますと、レセプトを1枚1枚めくりながら、それで拾い出すわけです。べらぼうなエネルギーが要ります。そのレセプトの枚数は膨大な数です。要するに、レセプトデータをもし本当に疾病名で出すとすると、これを一定の期間でやらなければいけないとか、毎月やるとか、そういう話になったときの労力たるや、今のレセプトの提出内容・記述状況では無理だということが1つです。

 では、どうするかというと、疾病名を記号化してもらいたいんです。主疾病、副疾病、これを番号化してもらうと、処理上は非常に簡単にいきます。これはレセプト上の医者、機関の記述の問題ですから、そこを徹底してもらうと有効にかつ円滑に使えることにつながるのではないかと思いますので。要望でございます。

 渡辺分科会長代理 どうもありがとうございました。

 時間になりましたので、きょうは、論点整理をもとに、健診及び保健指導プログラムの中の特に健診部分につきまして、盛り込むべき事項、考え方、あるいは方向性などにつきましてたくさん御意見をいただきました。どうもありがとうございました。

 時間がございませんし、私も突如座長に指名されましたので、要領を得ませんで大変失礼いたしましたが、最後に、事務局から今後の進め方やスケジュールについて御説明いただければと思います。

 事務局(生活習慣病対策室長) どうもありがとうございました。今後のスケジュールについてでございますが、本日御議論いただきました検討項目に関しまして、必要な事項については分科会長とも相談の上、それぞれ担当ワーキンググループをつくり作業を進めていきたいと考えております。その後、ワーキンググループの進捗状況にもよりますが、できれば4月中に第2回の健診分科会を開催したいと考えております。分科会の日程等につきましては調整を至急させていただきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 渡辺分科会長代理 それでは、以上で、標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会の第1回健診分科会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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