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2014年3月10日 第7回労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会議事録

職業能力開発局能力評価課

○日時

平成26年3月10日(月)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(19階) 
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)


○出席者

参集者

阿部参集者(座長代理)
大久保参集者
北浦参集者
黒澤参集者
谷口参集者
内藤参集者
松浦参集者

事務局

杉浦職業能力開発局長
尾形総務課長
伊藤能力評価課長
篠嵜主任技能検定官
小野能力評価課企画調整専門官
鈴木職業安定局派遣・有期労働対策部企画課長

○議題

(1)報告書(案)について
(2)その他

○議事

○小野専門官 定刻を過ぎましたので、ただいまから第7回労働政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会を開会いたします。

 本日、今野座長はよんどころない事情により、急遽御欠席との連絡を頂いております。事務局としては座長と御相談の上、本日の座長代理を阿部委員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

○小野専門官 それでは、座長代理を阿部委員にお願いしたいと思います。阿部座長代理におかれましては、今後の議事進行をよろしくお願い申し上げます。

○阿部座長代理 不慣れではありますが、御指名ですので、議事進行役を努めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速ですが、本日の議事に入りたいと思います。本日は前回の報告書骨子案の議論等を踏まえ、事務局に報告書()を用意していただいていますので、説明をいただいて、その後、議論したいと思います。まずは事務局から、その他の委員の出欠状況及び資料について説明をお願いいたします。

○小野専門官 出欠状況から申し上げます。本日、笹井委員は御欠席との連絡を頂いています。北浦委員におかれましては、15分程遅れて到着される見込みです。

 続きまして配付資料の確認です。資料1は前回の議論の概要、資料2から資料4につきましては、前回の骨子案議論を踏まえ作成しました、報告書()の概要、本文及び参考資料です。資料5は、前回資料2として提出しました職業能力評価体系整備の全体像イメージ図の修正版です。資料は以上となっています。

○阿部座長代理 資料の順にしたがって始めたいと思います。最初に、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○伊藤課長 それでは、私のほうから資料を一括して御説明申し上げます。最初の資料の1は前回私ども事務局のほうで準備をさせていただきました骨子案に係る、委員の皆様方から頂戴した意見の概要です。能力評価制度のあり方全般に関わり、大変幅広いまた、重要な御意見、御指摘を頂戴したところです。いただいた御意見に関しては、可能な限り、この後御説明申し上げます報告書()に反映ということで、そちらのほうで逐次御紹介させていただきたいと思います。

 次に資料2、資料3です。資料3が今日御審議をいただく研究会報告書()そのもの。資料2がこの内容を、概要として私どものほうで取りまとめをさせていただいた1枚紙です。はじめに資料の3の報告書()について御説明いたします。前回それまでの御議論を踏まえ、報告書()にかなり近い形での骨子案を提示申し上げまして、資料の1にありますような、幅広い御議論を頂戴したところです。前回頂戴した、これら具体的な御意見に関しては、可能な限りこの報告書()に反映をさせていただいたつもりです。また、今回この報告書()、行政報告書に取りまとめということで、その報告書()にふさわしい文章整理、また、それぞれの記述に関わるデータ、出典、根拠条文、その他のいわば脚注的な記述の補強、字句修正、その他記述内容に正確を期する観点からの若干の修正。また、念のため省内、関係機関、関係部局に報告書()の内容について、それぞれ確認をしてもらい、正確を期するという観点からの若干の技術的な加筆・修正をさせていただいている部分があります。今日は時間の関係もありますので、これら前回の骨子案から加筆・修正をした主な事項、また全体の論旨を確認いただく観点で、この資料の3報告書()全体について、一通り御説明申し上げたいと思います。

1はじめに、(1)労働市場の構造的変化です。前回の御議論を踏まえ、我が国産業の生産性・競争力の向上を図る観点からも、人材力強化の必要性が一層高まっている状況。また、中段の、非正規雇用労働者の近年の増加の現状等々について慨観をさせていただいております。またメインテーブルの皆様にお配りしている資料上は、前回の御議論を踏まえた主な修正箇所について、赤字で書かせていただいていますので、念のため付け加えさせていただきます。

 次に、(2)労働市場における職業能力評価の位置付けです。産業競争力会議(雇用・人材分科会)、また、雇用政策研究会という、現在進行中、あるいはごく最近取りまとめされた、労働市場政策に係る主な議論のポイントを引用させていただき、その上で、いずれの視点からも、下段ですが、職業経験、教育訓練を通じた能力開発、その成果たる職業能力の適正な評価・見える化、さらに職業能力開発と能力評価の整合的な整備などの重要性と、さらに次の8ページの、昨年6月の閣議決定の、「日本再興戦略」の中でも、「職業能力の見える化」促進が喫緊の課題となっているという点を抑えた上で、こうした労働市場政策の観点から、現行検定をはじめとする職業能力検定制度の意義、課題を検証するとともに、今後の能力評価制度・体系のあり方全般について検討を行い、論点、方向性の明確化を図るため、今般本研究会を開催することとした、という研究会の位置付けについて触れています。

 次の2、検討の基本的視点です。(1)職業能力その評価に係る近年の議論・検討の概要として、能力評価に関連する近年の主な国内の議論、本研究会の委員の皆様方も関わっていらっしゃるものも多いわけですが、非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会、成長のための人的資源の活用の、今後の方向性についてなどの、関連するエッセンスということで、これも前回の御議論を踏まえて、骨子案から一部加筆させていただいています。8から9ページにかけて、経済社会の成長、生産性向上の源泉となる人的資本蓄積を促すために、人的資本を適切に評価し、これを活用する社会のあり方が重要といった点。また、その少し下ですが、個人の職業能力を活かした円滑な労働移動を支援する上で、ハローワーク民間職業紹介機関などにおける能力評価制度の積極的活用の意義、という点について触れています。

 また諸外国における近年の能力評価制度に関わる取組。後ほどヒアリング概要も詳しく触れますが、ここでも概括的に言及をさせていただいています。

 次の9ページ下段から、(2)労働市場政策上評価の対象とすべき職業能力の構造と要素の捉え方。いわゆる大系図でお示しをしましたような職業能力の構造と、本研究会におけるその捉え方、基本的な考え方について、次の10ページにかけて触れています。ここは前回の骨子案から大きな変更はありません。

 次に10ページ下段以下、(3)労働市場政策上の職業能力評価制度のあり方検討の重点分野設定の整理。前回特に多岐にわたる御指摘・御議論をいただいたところです。必要性、緊急性、有効性、実効性と、主に3つの観点から重点分野の設定の考え方を整理しております。この中では、特に11ページの必要性、緊急性の観点から、非正規雇用労働者等の能力開発、能力評価の重要性、そのロジックを明確化するという観点から、黒澤委員をはじめ、各委員から御指摘をいただいた内容を踏まえ、整理させていただいた記述、これが11ページの上の○の部分です。非正規雇用労働者等の教育訓練(人材育成)は、個人、企業いずれの立場でも投資のインセンティブが生じにくい構造にある。具体的には個人の立場で見た場合、能力開発の投資を行ってもその成果が転職先等に評価されにくく、投資の負担能力を有しない、投資を行うにふさわしい分野の判断材料に欠ける場合が多いといった、複合的な制約課題が存する。

 他方、企業の立場で見た場合も継続就業の可能性が相対的に低いこれら層に教育訓練やその成果の評価を行うインセンティブは生じにくく、また、職務上必要最小限の教育訓練が行われても、その成果は転職時に評価され難く、労働者個人に還元されるというよりも、転職先の企業に帰属する可能性、いわば外部性の高い構造にある。これらのことが労働者個人による訓練、企業による訓練をともに過小にさせる要因になっている。このため業種・職種固有の知識・技能が、業界内の共通性を備えたものとして、労働市場に評価され得る分野に着目し、その見える化に資する検定を整備するとともに、国()の財政面、技術面を含めた政策アプローチによる活用促進を図ることで、外部性を補うことが考えられるものである、という整理をしています。

 また、中段以下の内容としては、骨子案から大きな変更はありませんけれども、記述ぶりに関して、原案の中で業界検定を前提とした記述がありましたけれども、必ずしも表現としてふさわしいものではないのではないかという御指摘もいただき、中段下段にかけて、客観性、標準性に重きを置いた評価を念頭に置いた場合の能力評価の重点設定と、また、業界検定等の手法を念頭に置いた場合の留意点などについて、下段にかけて整理しています。

 次の12ページ以下、職業能力評価やその関連制度の現状・課題分析です。この第3章に関しては、全体として前回から大きな変更はありませんで、正確を期すという観点からの加筆、肉付けをさせていただいています。(1)能力開発促進法上の能力評価制度の体系です。資料などでも確認いただきましたように、現行の能力開発促進法、職業訓練と能力検定、いわば二本柱とした構造、コンセプトになっているところです。

 また13ページ中段の少し上ですが、現行の能力開発施策の中期計画、第9次能開基本計画でも能力評価システムの整備は、重要な取組課題に位置付けられ、教育訓練との体系的な結びつけの重要性が指摘されているところで、その次の雇用対策上、能力評価、能力評価基準、重層的な構造になっています。そういった中で、現行の能力検定に係る仕組みについて、マッチング等にも活用できるという観点での仕組みについては未確立の現状にあるという点について、後ほど具体的なデータ等の分析もあるわけですが、ごく簡単に現況を書かせていただいています。

 次に、(2)技能検定制度の現状、成果と課題です。委員の皆様から御指導いただきながらこの研究会で初めて技能検定制度の検定、合格、すなわち技能試に関わる初めての推計、あるいは分析など、いくつか試みさせていただいたところでして、こうしたデータ分析も含めて、現行の技能検定制度のカバレッジなども含めた現状について、次の1415ページにかけて慨観をさせていただいています。この中で、14ページの中段の上ですが、技能検定の利点については、骨子案でも能力開発基本調査のデータを運用し、労働者の職業意識、能力向上に役立つという回答が最も多いという点については触れていましたが、前回の御議論も含めて、職種等級に応じ、入職促進や企業活動上のアピール等の利点も認識をされているという点についても、加筆をさせていただいています。また、技能検定制度の現行、対象分野に関わる記述、次の15ページにかけてですが、製造業、建設業といったものづくり技能職、いわゆる知的専門職などに親和性が高く、現実にもこれら性格を異にする職種が対象職種の大多数を占めるという点について、15ページにかけて触れています。

15ページの下段からが、技能検定以外の諸制度です。(3)は、認定技能審査等について、認定技能審査または認定社内検定といった仕組み、また、具体的な対象となっている団体等の数について触れています。

 次の16から17ページにかけて、ビジネス・キャリア制度、もともとは厚生労働省が中心となり、ホワイトカラーを対象とした業種横断の職業能力評価の仕組みとして整備をされ、様々な技能を経て、現在は自主事業の、制度ではなく、検定として運用されているという点について触れています。

1718ページにかけて、先ほど重層的といったことも御紹介申し上げましたが、能力検定のベースとなっている職業能力評価基準や、生涯職業能力開発体系の位置付けなどについて触れています。

 また、1819ページにかけて、特定分野における主要な職業能力評価に関わる取組で、キャリア段位、IT分野で活用されていますITスキルスタンダード、キャリア段位については先週末、介護プロフェッショナルの今後の展開が一部報道もされていたところですが、それぞれのコンセプト、展開の現状などについて、慨観をさせていただいています。

 次の19ページ以下、(5)国内職業資格制度等全体の俯瞰として、以上、(1)(4)で触れましたような職業能力評価の仕組みも含めての、職業資格の全体像について、慨観しています。19ページ中段の少し上に、職業に関する資格について、明確な定義はないが、一般には一定の職務の遂行に必要な知識、技能等の能力の水準を国などの第三者が特定の名称を与え、社会的に交渉し、その知識・技能を公証する特定の職業行為が社会的に円滑に行われるような仕組みという、一般的な解釈について触れた上で、国家資格、公的資格、民間資格といった分類、あるいは、19ページの下段にかけて、その効力という観点からのライセンス、業務独占、名称独占、能力検定といった一般的な分類に触れています。またその上の部分ですが、前回御指摘をいただいたように、民間の資格検定の現状についても、慨観をする必要があるのではないかという御指摘も踏まえ、これ以外のすなわち国家資格以外の資格検定の数について、文科省の分析なども踏まえながら、正式に確認をされたものはないけれども、全国に1,000種類以上、詳細に見ると5,000種類以上といったボリューム。また、これら国家資格以外の職業資格については、性格も多種多様と。職種というよりも、特定の職務遂行に係る知識や技能の一部を評価する設計となっているものが多いと。様々な制約の下で労働市場における機能については現状では限定的ではないかという点について触れています。

 また、次の20ページにかけても引き続き必置といった分類も含めての職業資格全体のサーベイ。またこの研究会報告書の中で職業資格、また検定という言葉はそれぞれ使っていますので、中段の少し上の部分で、職業資格のうちの検定の一般的な意味合いということで、一般に、判定上、何らかの試験を用い、また、特定の能力水準に到達しているか否か、合否のみならず、能力水準の階層性まで評価表示する形態といった、一般的な解釈をお示ししています。

 次したこと(6)業界・企業における職業資格と職業能力評価の活用実態課題です。業界団体、あるいは検定に関わる団体からのヒアリングなどの結果も踏まえながら整理をさせていただいた部分です。広い意味での職業能力評価と技能検定に絞ってということで、前半、後半と整理をしています。全体総じて現行の技能検定なども含めた能力評価の仕組み。従業員の能力開発の目標設定、動機付け、教育訓練の成果向上等の観点では、積極的に活用されているけれども、マッチング場面での活用については限定的であるという現状分析。また、次の21ページにかけて、その要因分析ということで、これが後半の施策、提言編に結びついてくるわけですけれども、検定の中身の問題、設計がクローズ型になったり、あるいは受験機会が限定をされているという側面があるのではないか。民間資格に関しての信頼性普及の問題といった主要な課題について触れています。21ページ下段以下、諸外国における能力評価制度の現状、インプリケーション等々です。ヒアリングに御協力いただいた谷口委員、JILPTの皆さん、また、大久保委員からも関連する幅広い治験を頂戴したこと改めて御礼を申し上げたいと思っております。

 次の2223ページにかけて、EUにおけるEQF資格枠組みの枠組み整備といった全体的な動向を踏まえながら、今回ヒアリングの対象とさせていただいた、英国、ドイツ、米国における把握をされました最新の現状について、それぞれポイントを触れさせていただいた上で、23ページの下段の、主要国の能力評価制度の共通的な特徴として、教育訓練との連動性が重視されていること。求人先行要件の位置付けは、ごく一部の業種・職種に限定をされること。主要な活用対象レベルはそれぞれの目的等に応じ、ばらばらであるという点。これら共通をする評価と教育訓練の連動を重視とした点は我が国における制度設計・運用上大いに参考になるのではないかという点。あるいは今野座長から御指摘も頂戴したわけですが、いずれにしても非正規雇用労働者などのキャリアアップにも資する、実践的な能力評価体系は国際的に見ても前例がないと言えるのではないかという点について触れています。

24ページ4、これが政策提言編に該当する部分です。(1)今後の労働市場政策上の能力評価制度に期待される役割、体系のあり方のポイントとして、前回御指摘いただきましたように、13がいささか長いというようなこともありまして、13を通じて言えるポイントについて、冒頭の部分で入念的に加筆をさせていただきました。上記により、労働市場施策における能力評価制度のあり方という観点から、再興戦略などに示された労働市場施策の方向性、その中での能力評価に期待される役割、我が国の能力評価制度の体系その活用実態、課題。諸外国の能力評価制度の特徴、我が国にとってのインプリケーション等、通覧したがこれら分析全体を通じて、改めて能力評価の労働市場政策上の重要な意義役割として教育訓練の目標、マッチングを効率的に行うためのインデックス、採用から配置、処遇など一貫して行う共通言語、枠組み、特に非正規労働者などを重点分野とした、キャリアアップのラダーとしての客観的、実践的な能力評価の仕組み、整備の必要性、その実現に向けた課題が明確となったといった点を概括的に触れています。そこ以下の部分がこの23回にわたり重点的に御議論いただいた能力評価の仕組みの枠組みに関わる基本的な考え方、軸、どの部分が今後の整備のターゲットといった基本的な考え方を文章化させていただいたものです。ちなみに前回、前々回御議論いただいた枠組み資料そのものの最新版については、本日の資料5で再掲的に付けております。上のレベルが業界検定と技能検定で不揃いといった部分について微修正をさせていただきました。

 能力評価のあり方を規定する職業能力の特性の軸と、それに基づくいわゆる4分野、峻別されるものではないけれども、大まかな4つの分類。その中でこの枠組図でいうと、左から3番目、文章でいうと、ここでは、cというように表記をさせていただいていますが、対人人サービス等分野、現状では公的で市場性を備えた検定等の評価整備には至っていないけれども、産業構造の変化等の下で労働市場における比重が拡大をし、同時にキャリア形成上の課題がより顕在化をしている分野ということで、これら分野を重点とした、新たな能力評価の仕組みの整備の必要性といった点について、25ページにかけて触れています。その上で、25ページがこれら分野における、いわゆる業界検定方式に期待される役割、重点分野、制度設計・運用のポイントという点について、この間多岐にわたる御提議をいただいた内容の取りまとめをさせていただいたものです。

 次の26ページにかけて、前回多くの委員から様々な御指摘を頂戴いたしました、この対人サービス等の分野における業界検定とした新たな仕組みの整備に関わる基本的な考え方、前回いただいた御議論を反映するとともに、少し1文が長くなってしまったものですから、箇条書的に考え方のポイントを整理させていただきました。分野の特徴である顧客ニーズ等に応じ、多様で常に変化が求められる職業能力に関し、これらが発揮される生産・サービスの現場を有し、事業運営を通じこれを自ら把握・反映し得る立場にあり、また採用選考・人事の主体である業界団体などが開発・運用の主体となるべき、といった点。また、転職などの場面でも有効に活用されるよう、言い替えると、外部性を内部化できるように関係企業の幅広い参画や、また必要に応じ、教育機関の協力を得るなどの、「広がり」をもった体制を敷くという点。さらに採用選考・人事でその基準として、積極的に活用する方針を予め明確化するといった、業界検定のいわば基本的なコンセプトについて、この間の御議論を反映してのまとめ的な記述をさせていただいた上で、以下、検定の多様な手法、求められる能力が変化するということで、この評価について何がしかの継続的質保証の仕組みが必要といった点。アウトサイダーなども含めた受験機会の開放性、国、公が実質的にも、また外形上も質保証を行うことで信頼性、普及を図る。その際にリジットな基準を用いるのではなく、多様性、弾力性を内包した、いわばプロセス指向の基準を用いる意義。さらに27ページにかけて、社会的効果・信頼性という観点からの合格者の称号などの具体化の必要性、弾力的な活用の必要性等々これら業界検定の設計運用に関わる基本コンセプトのポイントとなる点についてここでお示しをしています。

 また、これに併せて27ページ以下、(3)議能検定など現行能力評価制度の位置付けの確認ということで、今申しました業界検定また、現行の技能検定も含めて、外部労働市場においても活用可能という観点からの質保証の仕組み、27ページ中段からの、最小限必要な共通的なレベル設定や、あるいはそれぞれの検定等が評価の対象としている能力の相互関係の確認、情報公開など必要最小限満たすべき要件という点。また、技能検定について、内部労働市場型の「コア・コンピタンス」というものを再確認をしながら、先ほども触れたような労働市場の機能強化の観点から、技能検定制度に関しても中段の下からのように、試験実施方法、試験内容の見直し、「入口」に当たる3級などの裾野の拡大、受験機会の確保等々の観点からの様々な見直しの必要性、さらに業界検定制度の際に現行技能検定の仕組みの中での指定試験機関方式等との相互関係について整理をすべきという論点をここで示しています。

28ページ下段以下が、能力評価等、訓練キャリア形成支援、マッチングなど関連施策との関連付けのあり方に関してです。くり返し御議論いただきました、29ページにありますように、能力評価訓練の側から見ても、「入口・出口」両面で必要不可欠な仕組みであるということを確認をした上で、前回御議論もいただきましたように、必要な能力を明確化し、さらに能力評価、訓練に関わる機関間で共有化をした上で、一体的な開発、運用、計画的なプログラムの設定等に努める必要性。また、教育訓練と能力評価の仕組みを含め、対象層ごとに典型的なキャリアアップの道筋を示したり、これに併せた、赤字の部分ですが、受験の支援を行う必要性という点。また、教育訓練に関わる質保証の取組と能力評価に関わる取組の総合効果をもった取組の必要性という点。また、前回の骨子案が少し誤解を招く表現ということで微修正をしていますけれども、「職業能力の見える化」施策、有効性全体の観点から、いわゆるハイエンド層に関わる対企業を含めた高度なコンサルティングなどを通じたアプローチといった、業界検定などとは少し性格を異にするアプローチの必要性。さらに30ページにかけて、ジョブ・カード、これは御案内のようにもともと「職業能力の見える化」ツールとして、整備引用しているものですけれども、ジョブ・カードなどを活用しての、「職業能力の見える化」、具体的には能力評価を含む求職者情報の積極的な発信。さらに30ページの下ですが、ハローワークなど官民の職業紹介機関などにおける、マッチング上の能力評価の的確、積極的な活用の必要性。さらに業界検定などが弾力性をもった仕組みであることが必要ということを前半のほうで述べていますので、能力評価とこれら労働市場施策上の支援メニューの制度上の関連付けについても、検定自体に求められる多様性を反映した弾力的な仕組みとする意義、という点に触れています。また、3031ページにかけて、現在基準局が事務局となって開催しています「多様な正社員」モデルの有識者会議といった場の政策議論と、この「職業能力の見える化」との連動付けの必要性の点について触れています。

 一番最後の31ページ以下、(6)その他課題として、これまでの議論を踏まえ職業能力評価を外部労働市場で有効に機能させるために、企業の人事管理、内部労働市場にも的確に反映させる連続性をもった設計の運営が重要ということで、おそれいりますがこの○の最後の2行が本来赤字で表示すべきものでした。国によるこれら実態の把握・分析、労使を含めたコンセンサスの形成が今後の課題という点について触れています。また、能力評価に関わる専門人材の像の明確化、その養成、さらにこの部分は文科省とも協議をして若干加筆・修正をしていますけれども、教育との連動性ということで、現在検討が進められている職業資格などの入学試験における評価事項としての位置付け、学校教育の活性化の手段。また、検定の受検要因として、教育歴を活用するといったことの意義。さらに次のページにかけて、これら能力評価制度の政策評価のあり方。さらに一番最後の部分ですが、本研究会では、主に業種・職種固有で「企業特殊性」の低いジョブ型能力に着目をしての検討を進めてきたけれども、労働市場政策における能力評価あり方全体を考える上では、基盤的能力、コンピテンシー、企業特殊能力などにも着目をして、より複眼的アプローチが求められるという点。また、技能検定制度の見直しに関し、本研究会で御議論いただいた労働市場政策の観点、プラス幅広い人材育成政策の観点からも議論がなされ、今後の制度設計の運用に反映されるべきといった点を、最後のまとめ的な形で触れさせていただいております。時間が若干オーバーしてしまいましたが、以上が前回までの御議論を踏まえての報告書()全体の構成です。

 通しの7ページの資料3の冒頭に戻りまして、今申し上げましたような内容のいわばキャッチフレーズ編的なものとして、報告書()の下段ですが、新たな業界検定の整備などによる、「職業能力の見える化」を通じ、培われた職業能力が適正に評価され、キャリアアップ、人材力強化が図られる労働市場実現を目指して、といったサブタイトル的な記述をここで盛り込んでいます。

 また、その前の資料の2番が今申し上げましたような、内容を比較的素直に要約化をした1枚紙の概要です。ポイントとなる着眼点と政策提言の部分ができるだけ浮き立つように、という観点で構造的な議論がありましたので、必要最小限のこの間御議論いただいたツールスキームなどもここで触れています。また、後半の参考資料は、この間せっかくの委員の皆様方の御指摘を踏まえ、様々な資料整理なり、分析もされていただいたということで、この間提出した資料の全てではありませんが、議論のプロセス、論拠に関わるような主な資料に関して、資料の4の形で、かなり大部ですけれども、ヒアリングの結果なども含めて添付しており、最終的にはこうした関連の成果物データなどについても、広く関係者にお目通しをいただくという形で発信をさせていただければと思っております。以上、いささか長くなってしまいましたが、前回までの御議論を踏まえ、本日御審議をいただきたいと考えています報告書()と、その概要、関連資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○阿部座長代理 前回の議論をかなり反映させた報告書()となっており、取りまとめていただいた事務局には私からも感謝申し上げたいと思います。その上で、これから報告書()について議論していただきたいと思います。最初は、今、行っていただいた資料説明そのものについて何か御質問等があればお出しいただきたいと思います。もしなければ、報告書()について議論をしていただければと思います。今回も前回と同様、3つにテーマを分けて議論していければと思います。最初は、報告書()1「はじめに」から3「職業能力評価やその関連制度の現状・課題分析」のところまで、まず議論をしていただいて、その次に4「今後の職業能力評価制度のあり方」のうち、(1)(3)まで。最後に(4)から最後までということで、3つに分けて議論していきたいと思います。そこで、(1)「はじめに」から(3)「職業能力評価やその関連制度の現状・課題分析」まで。ですから、7ページから24ページについて、御議論を頂ければと思います。もし何かありましたら御発言ください。よろしいですか。もしよろしければ、また振り返って、最後にもし何かあれば戻ります。

○黒澤参集者 本当にありがとうございます。いろいろと意見を反映していただき、大変ありがたく、また、非常に盛りだくさんですが、全て入っておりましす。11ページの一番最後の○の一番上のポツですが、「高齢者や有期雇用の者は、企業の立場では職業能力評価のインセンティブが働きにくい」と書いてあって、(内部性が確保し難い)とありますが、ここの「内部性」というのはどういう意味で使われているのか。外部性から来た内部性という発想。「外部性」を「内部化する」という言い方をしますが、これも意味が分からなかったので、確認だけお願いします。

○伊藤課長 今、御指摘いただいた11ページの下から4行目の部分、ここでは説明の中でも申し上げましたように、必要性・緊急性・有効性、実効性、それぞれ違う視点から、分析ということで、結果的にはほぼ同じようなことを若干繰り返し申し上げているという構造になっていることを申し上げた上で、第3回の研究会だったかと記憶しておりますが、重点にかかる議論の中で、種々御議論を頂いたことをできるだけ盛り込もうということで整理させていただいております。

 今、繰り返し的要素が多いと申し上げましたが、有期雇用ということで、実は改めて考えてみると、前回、黒澤委員からも非常に具体的な御指摘、御提言を頂いて整理をさせていただきました。先ほど読み上げた上の○で言っていることとほぼ一緒です。高齢者に関しては総じて、当該企業における雇用期間、それこそ、残された就業期間、あるいはその可能性が総体的に低い、短いといったことで、いわば上の非正規労働者等にも着目して書かせていただいたような、企業の立場での職業能力開発、人材育成のインセンティブが働きにくいという観点からの記述をもともとここで入れております。

 改めて、黒澤委員から御指摘を頂いて考えてみますと、ここでまず1つは、「能力評価のインセンティブ」といきなり言っていますが、上のほうの考え方の整理からしてみると、ここは整理が狭いなと。上の整理を踏まえてここに当てはめるならば、やはり教育訓練、人材育成そのもののインセンティブが働きにくいという観点から整理すべきではないかということです。

 それから、「内部性が確保し難い」というのも、その時点で整理したものを、そのまま表現として置かせていただきましたが、前回の御議論、その後の議論の整理を踏まえるならば、上の非正規雇用労働者に関わる記述と、概念整理のワーディングを合わせたほうが、ワーディングを異なるものにすると、別なことを言っている印象になってしまう気もしますので、もし、黒澤委員以外の委員の皆様からも御賛同いただけるのであれば、この文の表現については、上の非正規労働者に関わる表現、概念整理とできるだけ合わせた形で整理させていただければと、今、説明をしながら思っております。

○黒澤参集者 あるいは、ここがなくても、今、赤字で直していただいた次の段落で、ミドルとかシニアの話も入っていますので、そういう意味においては、この文章はなくてもいいのかなという気がします。なぜかというと、その次からおっしゃっていることは、こうした一連の評価を行うに当たって気を付けなければいけないということから入っているので、その根拠については、前の段階でおっしゃっているので、根拠はここで、それを運用に当たって気を付けなければいけないのはこういうことだということであれば、これはあえて必要ないのかなという気はしたのですが。すみません、細かいことで。

○伊藤課長 シニアについても同様の人材育成教育訓練のインセンティブに係る課題が存する。例えば、そういうふうな記述ですね。

○黒澤参集者 あるいは、それを「さらにこうした仕組みを」の「新規求職者、子育て中のシニア」と書いてある段落に入れ込むかということですね。

○伊藤課長 はい。

○阿部座長代理 そうですね。それは適宜修正をしていただきたいと思います。ほかに何かありますか。

○北浦参集者 10ページから11ページにかけて、非常に重要な所がよく整理されていると思います。ターゲットは何かということですが、10ページの終わりから、11ページの初めにかけて、これは再興戦略を引いて、非正規をターゲットにということで、ジョブ型と共通能力があるものという整理になっているわけです。それで、充実として非正規の話が出てくるわけです。その後に、「さらに」として、展開を広げているわけです。下から3つ目の○の所で、そこでまた再興戦略で示された何とかを置いていくということで、エントリーから上のほうまでいって、ここで拡張されているわけです。そして、これこれと列挙されて、重点として想定されると。こうした主旨はよく分かるのですが、初めに書いた重点からと後に書いた点に重点が拡張されてますので、そこまで拡張すべきだということであれば、そのようにニュアンスを書き込んだほうがいいのかなと。再興戦略からいえくれば非正規が重点となるなので、それを中心に考えるのでよいでしょうすが、「さらに」を受けて、そういうところまで拡張して考え得るものであると。これはなぜ申し上げているかというと、具体的に業界検定を設計するときに、非正規中心でいくのか、「さらに」書きの所でいくのか。そういったことにも関わります。ので、当面は出発点が非正規ということでしたから、それを念頭に置いていろいろ探すけれども、実際にはどう選んでいくかまあということですね。これは具体的な業界の選定基準にも関わってくるので、その辺は少し整理したほうがいいかと思います。

○阿部座長代理 それでは、そのように少し修正をお願いしたいと思います。ほかにはありますか。私からも少し、20ページ、私だけが理解できていない可能性もあるのですが、(6)の上の○の「本研究会では、学術的なもの等で職業能力を測ることを目的としない資格は検討の対象とせず、あくまで、職業との関連で資格を捉える立場であるが」という所が、ちょっと私は理解ができなかったのです。つまり、何をどのようなものを対象としているのかというところが。

○伊藤課長 前半のほうで資格、あるいは能力評価の捉え方、カバレッジについて、委員の皆様から御指摘を頂く中で、資格、あるいは検定と言われるものについて、職業能力に関わるもの、それ以外のもの、中間的なもの。それ以外のものとして、ここでは代表的なものとして「学術的なもの」と書いておりますが、それ以外に、いわゆる生涯学習に関わるもの、趣味的なもの、そういった幾つかの資格、あるいは検定に係る中身という意味での分類があり得るかと思います。正に研究会のタイトルにあるように「労働市場政策における職業能力評価制度のあり方」ということで、労働市場において実際に活用されることが期待される、すなわち職業能力に着目した資格であり、検定のあり方という観点からすると、それと無関係のもの、あるいは関わりがゼロではないが、薄いものに関しては積極的に検討の対象としない。飽くまでも職業との関連で資格検討を捉える立場にあるといった点を、ここでは入念的に記述させていただいたという意図です。ただ、ここでの学術的なもの等というのが、今申し上げたようなことを読み取りにくいという趣旨の御指摘であるならば、先ほど申し上げたような生涯学習、趣味といった職業に関わるもの以外の具体的な類型についても、更に具体的に記述することによって、この意図がもう少し明確になるかと思っているところです。

○阿部座長代理 これは例えば「職業能力を測ることを目的としない学術的なもの等の資格は」のほうが、もう少し分かってくるかなと。あるいは、もっと具体的に、今おっしゃったような趣味、生涯学習等を入れたほうが、むしろ我々には分かる気がしました。

○伊藤課長 阿部座長代理の御指摘の趣旨を踏まえてさせていただきます。

○阿部座長代理 ほかにはいかがですか。それでは、特になければ次の部分です。24ページ、4(1)から28ページの一番下までの(3)技能検定等現行能力評価制度の位置付けの確認、今後のあり方の部分まで、御意見がありましたら御発言ください。

○大久保参集者 いろいろあるのですが、まず、25ページの上から2つ目の○の「その際、ジョブ型労働市場が」という所ですが、ここで新たに業界検定を作って、測定しようとしているのは、実際に現場に立って仕事をしたときに、その仕事ができるという、実践的な職業能力技能を測ろうとしているわけですが、そういうことが余りうまく伝わっていないかと思います。

2行目に「知識・技能・実践力」と書いてありますが、これは多分余り伝わらないような気がします。もう少し平たい言葉で、実践的な職業能力、実際にやってそれができるという職業能力を評価しないと、ジョブ型労働市場で使えないということが言いたいはずなので、そういうふうに表現を変えたほうがいいのではないかと思います。それに関連して、資料24で、「多様かつ実践的な評価ツールの整備」と書いてあって、右側下には、「実践的で信頼性がある能力評価の仕組み」で、実践のことが全部仕組みの話にいってしまうのです。ですから、これで全体が伝わりにくくなっていると思いますので、少し表現の仕方を考えていただきたいというのが1点です。

2つ目は、26ページの最初の○の所で、「なぜ業界検定なのか」という話をしているところです。そこで、多様で変化があるということを1つの理由としているのはいいのですが、多分、その評価をするときに、「対人サービス業」だと、あらかじめ評価するというのがなかなか難しくて、実際には、商品をあらかじめ生産しておくわけではなくて、顧客と向き合ってのやり取りの中でサービスは生産されるという、それがサービスの性格なのです。実際、顧客接点の場でどうなのかということを見ないと評価ができない。そのためには、非常に近しい立場にいるところでないとその評価がうまくできない、ということがすごく大事なポイントだと思います。

 それがこの中にはうまく吸収されている感じがなくて、その視点を業界検定の必要性の観点では書いたほうがいいのではないかという感じがしています。これはキャリア段位で散々議論したもので、介護プロフェッショナルというのは、介護している現場を見ないと評価のしようがないので、それでアッセーを作ってチェックさせているのです。これは同じことだと思うので、それが表現されていたほうが、業界検定の合理性が伝わるのではないかと思います。

3点目は、これは同じパラグラフに書いてあるようで、そうでないのかもしれなくてはっきりしないのですが、今回の職業能力評価制度を作るのは何でなのかということなのです。この文章を読んだ後に、もう1回全体の資料2を見ると、「採用等の基準としての活用を前提に」と簡単に書いてあるのです。つまり、今回、この業界検定を作るのは、採用基準にする前提で作るということが書かれていて、業界はそれを採用とか人事の当事者でもあるから、だから業界検定なのだと書いてあります。この表現は、本当にこれでいいのだろうかと思っています。確かに最終的に採用に使うというのは、究極のゴールのような感じがするのですが、実際には、職業能力基準に纏わる体系がいろいろあると思うのです。それはこれまでヒアリングで随分吸収してきたことで、もともと評価体系を作ったりとか、検定を作ることによって、先ほど来から出ているように、育成投資に関するインセンティブになると。従来では育成投資をしていなかった非正規の人に対して、そういう教育機会を作ろうではないかというインセンティブになって、その結果として、非正規の人たちのエンプロイアビリティが高まっていくことが第1段階にあると。育成に活用するということで、社内の組織内に浸透しているので、今度は非正規の人を正社員登用するときの基準として活用する可能性が出てきたりとか、あるいは処遇を決めるときの1つの材料として使われる可能性が出てきたりとか、その先の採用基準にも使われるというふうにステップしていくような感じがするのです。その中の仕掛けの構造みたいなものが、余りうまく伝わらずに、採用に使うことを前提にという言葉だけになってしまうと、今回これを作っていることの主旨がなかなか伝わりにくいのではないかと。これはどこを変えるというより、その部分の説明不足ではないかと思います。以上3点です。

○阿部座長代理 3つありましたが、どうしましょうか。主旨は多分伝わっていると思います。

○伊藤課長 1点目に関しては、26ページの最初の○の部分、前回も同種の御指摘を頂いて、「これらが発揮される生産・サービスの現場を有し」、「これを自ら把握・反映し得る立場にあり」といった点は加筆をしたわけです。これでもまだ先ほど大久保委員がおっしゃったような主旨が。

○大久保参集者 それを意味しているのですか。

○伊藤課長 はい。

○大久保参集者 若干伝わりにくいなと。

○伊藤課長 表現ぶりがまだ伝わりにくいということですね。先ほど御指摘がありました対人サービス分野の職業能力の特徴として、あらかじめ評価し難いとか、非定型とか、そういった解説も少し付け加えながら、御指摘いただいたようなことがより分かりやすく伝わるような表現に工夫をしてみたいと思います。3点目は、より本質的な点だと思いました。資料2に関しては、サマリーということもありまして、結果として、いささか重要な点がもしかしたら少し薄くなってしまったのかもしれません。資料2に関しても、具体的には、4の最初の○の2行目から3行目については、どういう性格を備えた職業能力評価の仕組みができ、どういうプロセスを経ることによって、結果としてのマッチング作用との基準の活用が、恐らく、ペーパーの性格上は余り多くの字数を費やすことはできないと思いますが、そこは工夫をしてみたいと思います。反射的に本文のほうも点検をしてみて。

○大久保参集者 本文は文字数は入るので、本文のほうで丁寧に説明したほうかいいと思います。

○伊藤課長 その上でさらにエッセンスをもう1行ぐらいという感じですかね。分かりました。

1点目に関して、私どももこの間に議論を頂いた実践性ということは、常に頭に入れて整理したつもりでしたが、これもついつい評価の仕組みの実践性と狭く捉えられる記述になってしまったのかなと、今の御指摘を踏まえて認識をしております。もちろん検定の仕組み、評価ツールが実践的で必要であることは言うまでもないことです。評価する能力そのものも実践的なものであると。表面的なスキルの立地というだけではなく、実際に現場でできる能力、もちろん手法とのいろいろな制約はあるわけですが、可能な限り評価し得る仕組み。それが言い換えれば、実践的な評価ツールということだと思いますが、その両面が伝わるような表現。これは本文と資料2の要訳の両面で工夫してみたいと思います。

○阿部座長代理 今の大久保委員の第3番目の御指摘に関係するかもしれませんが、8ページの上から2つ目の○が、今のに関連する表現がある部分です。何で職業能力評価制度が存在すべきか、あるいは存在しているのかといったところを、多分この辺で書いているのですが、もう少しこの辺も含めて、記述をされたらいいのかなと思いました。

○黒澤参集者 これに関連して、正にずっとそこが気になっていて、以前一度皆さんで議論したときに、最初のころだったと思いますが、誰のための能力評価指標なのだという話をしたときに、労働者のため、それとも企業のためという議論になったと思います。確か大久保委員とそこで若干のずれがあったのを覚えています。私がそのとき申し上げたのは、そもそも、今までの潮流を考えると、職業能力を付与すること、その投資自体も、その評価も大体企業の中でやられていたと。ですから、外へ出てしまうと、評価がないから投資のオーソライズが起こらない状況が起こっていたという話で、それを企業はやらなくなってきたので、非正社員とか、企業によってなされない人たちがだんだん増えてきた。そういう人たちが自分たちでも能力の投資をするインセンティブが生まれるように評価をしようよと。でも、その評価がそれこそ実践的というか、有効に活用されるためには、企業内でも使えるような評価でないといけない。そういう意味において、企業内でも使われるような評価を作らないといけない。

 結局は、個人が労働市場で使えるような評価ができてきたら、先ほど大久保委員がおっしゃったように、最終的には企業内での非正社員から正社員への登用、そして採用といったところにまで使われていくようになる。それが最終的なゴールなのだと。ですから、それに対して皆さんから御同意を頂けるかどうか分かりませんが、例えば8ページのところでも、その辺りが、今、非常に曖昧なままなのです。誰のためということをここできちんと整理することは、逆に危ういかもしれない、リスクなのかもしれない。その意味では、そうしてくれとは申し上げませんが、やはり、順番といいますか、これをすることによってどうなるのか、誰が期待されるのか。それが有効になるためにはどうしたらいいのか、その部分をもう少し整理する必要があると思います。

 そこで最小限やらなければいけないのは、8ページの2番目の○の「職業能力評価制度は」の部分と、その次に続く「しかしながら」の部分の整理をもう少し充実して、説明を補う必要があると思います。特に「職業能力評価云々」の所は、企業内でも活用されるためにということですが、今から使うものは、企業内でも活用されるし、市場でも活用されるという感じで並列的ですが、実はそうではないというか、つまり、市場で活用されるためには、企業内でも通用するものでないといけないのだと。しかし、そもそもは労働者が自分たちの投資がやりやすいように作るものなのだということを明確にすべきです。そうやって考えると、「しかしながら」の段落にそういった展開があってほしいなと私的には思います。最後のほうにいくと、「キャリアアップの機会が乏しくなりがちなことから、能力評価制度が有効に機能しがたい現状となっている」となっているのです。

 これは実は、能力評価制度が有効に機能しないからこそ、これまでは市場に通用するようなスキルでさえも、企業が労働者に投資するインセンティブがあったのです。ですから、キャリアアップの機会が乏しくなりがちなことからではなくて、これまで能力評価制度が有効に労働市場で機能しなかったから、キャリアアップの機会が乏しくなるというか、キャリアアップをするインセンティブは生まれないということなので、ここのロジックはちょっと逆ではないかと思います。余りうまく言えなくて申し訳ないのですが。この辺りは、その点も加味しながら充実して整理していただけると大変嬉しいです。

○大久保参集者 今の黒澤さんのお話は基本的に同意です。私が1個引っかかっているのは、たくさんヒアリングをした結果、どれを見ても、採用に使っていないということです。つまり、そこで採用に使うために何か問題があるのです。それは何なのかということがはっきりしないと、「採用で使われることを前提に」と書いたときに説得力がないと思います。今、黒澤さんが整理していただいたようなことで、実際には機能していないとしても、採用になぜいかないのかという本質を確認しなければいけないのではないか、ということが引っかかり続けてくるのです。

○阿部座長代理 どのように8ページなり、その後の所をどう書いていくかというのは、すぐには思いつかないのですが。確かに今大久保委員が言われた点も大事ですが、この研究会では、そこを深掘りして議論した記憶がないような気がします。最終的に採用に至るかどうかは、また別の話で、しかし、今回の職業能力評価制度が整備され、そして企業が活用されるようになれば、様々な点で、今、労働市場にある課題を解決できる可能性はあると思います。その1つが採用であったり、あるいは処遇の改善ということで、私は期待できるなと思っているのは、例えば非正規雇用者の均衡処遇に1歩、2歩近付ける可能性も、能力が見えてくればあるわけです。

 そういったところも、なぜ整備するかの背景として、そういう整備をすると、こういうことが可能になる可能性があるということでもいいかと思ったのですが。

 なぜそんなことを言っているかというと、今どういう状況なのかというのを余り分析的にやってこなかった。つまり、評価制度がなぜ採用の場面で使われていないのかということを、余り分析的には議論してこなかったので、少し雑というか、あまり精致ではないかもしれないですが、整備することによって、こういう課題は解決できないかという書き方もあるのかなとは思ったのですが、皆さん、いろいろお考えかもしれません。どうでしょうか。

○伊藤課長 今、大久保委員、また座長代理から御指摘いただいた現行の検定と資格が、採用等の場面で十全に活用されていないということの要因分析に関しては、確かにこの間のヒアリングあるいはここでいろいろ議論をいただく中でも、決定打としてはこれが要因なのです。逆に言うと、これにアプローチをすれば間違いなく使えますというところまでの整理には至っていないのだろうなと、私自身も事務局の立場で思っています。ただ、そういった中で現状分析という意味では、今回の報告書()の中でいいますと、21ページ、業界独自の検定、また構造的にはかなり似ている部分もあるわけですが、技能検定制度に関して採用選考等の場面での活用が十全に至っていない要因について、先ほど説明の中でも少し触れましたが、設計の解放性の問題、それから試験の中身、手法の実践性の問題、信頼性の問題、それから教育訓練との連動性の問題。いわば、何か1つの要因によって十全な活用に至っていないというところまでの焦点の絞り込みは難しいけれども、ここに書かせていただいたような幾つかの要因は、間違いなく今の検定が外部労働市場において十全に活用されていないということに、某かのネガティブな起用をしていて、そこの部分に関しては、それぞれ一定の改善が見られるような新たな業界検定の設定あるいは運用をしていくべきというような考え方の下で、後半の政策的な辺りに係る業界検定、運用の中で、あるいは設計の中でこういった点は少なくとも抑えていくべきであるというような議論をいただき、そのポイントをまとめさせていただいたのかなと、先ほどの御指摘に関しては思っているところです。

○大久保参集者 やはり資料2を読みますと、一番最初の○の所で採用等の基準としての活用を前提と書いて、そのあと技能検定制度の所でも、採用等での活用を前提に見直す、と書いてあるのです。これは、採用に使えるように作るし見直すのだということを相当押されて書いてあります。そうすると、採用に使えるにはどうしたらいいのだというのは、これを見れば必然的にみんなが疑問に思うのだと思います。採用に使うということは、職業能力評価制度が機能していることの象徴的な形だと思います。その前のプロセスもたくさんありますので、本当にこれだけを強調して書いていいのかと。逆に言うと、そういう気持にもなりますね。

○阿部座長代理 今の大久保委員の御指摘も踏まえて、多分この評価制度が活用されるようになると、様々な利点があると。そういうものを、ある程度例示しながら、今、採用だけではないといったところを強調したほうが、むしろいいのかなという気はします。

○伊藤課長 どういうステップを踏んでいけば。先ほどの大久保委員の言葉を借りますと、いわば究極の目的としての採用等の活用にも至ると。そこのステップを、より丁寧に表現することによって、結果的あるいは反射的にどうすれば採用等の場面でも活用されるのかという課題が、余りそこだけに課題として浮き立ってこないという反射的な効果も生まれるということです。

○大久保参集者 もう1つ補足しますと、現状の日本の採用は、いわゆる社員を採用するときはパートナーシップ型で採るわけで、採ってから育成をしようという発想がどうしても強いじゃないですか。パートタイマーについても、一部の職種についてはそうではないかもしれませんが、パートナーシップ型でパートタイム採用をしているケースも多いのですね。派遣の一部の職種などは、ジョブ型かもしれませんが、全体に言えば今ジョブ型労働市場は多様な正社員の議論の中でも出てきていますが、どちらかというとこれから整備される話をしているものであり、現在の日本の労働市場の主体がジョブ型労働市場ではないと。そうすると、やはりそのジョブによってそのレベルが高ければ採用するのだというような形には、簡単には結び着きにくいのだろうと思うのです。ですから、実際の採用場面では、業務独占資格以外は余り強い効力を発揮していないと。現状がそういう状態なので、多分制度の設計上の問題だけではなくて、市場の性格も非常に大きく影響しているのだと思うのですね。

○伊藤課長 最終的には、今、大久保委員から出ている市場の成熟あるいは、先ほど座長代理からも話がありましたような職、そのもののあり用といったものと足並みが揃って、初めて十全に活用されることになるのであろうと。それが、全部揃ってから載る許可の仕組み、整備ではなく、ある種同時並行的なアプローチも必要であろうということで、また諸環境が全て揃っているわけでは必ずしもないけれども、職業能力評価に今回焦点を当てる中では、少なくともこういう制度設計なり運用が必要ではないかといった辺りが、今回おまとめいただく労働市場政策における能力評価の前提になるのかなとも改めて思っております。そのような観点で、原案文で言い尽せない部分については、それぞれ頂戴した議論をしっかり反映するように工夫してみたいと思います。

○阿部座長代理 折角いい報告書なので、これが「採用?」で読まれなくなることは、避けたいところですので、今のこの一連の議論を少し参考にしながら修正をお願いしたいと思いますし、またその点については国澤、大久保委員からいろいろと御指示なりをいただければと思いますので、よろしくお願いします。ほかにありますか。

○北浦参集者 

今の採用の問題のところは、先ほども申し上げたように再興戦略を前提にして、この報告書ができてきていますので、多分その色を引っ張ってしまっているので、こうなっているしまったのだと思うのですね。ですから、純粋に議論をしていけば、確かにおっしゃっているようにジョブ型労働市場そのものも完成されているわけではないですし、それが一体何であるのかもこれからの話です。、そこに有効であるというような、要は結果としてとか結論として、この検定制度が効くのだという言い方に導けばいいのだろうと思います。何か、目的と結果がやや混同しているところが若干あると思います。それは、感想です。

 言いたいことは、26ページなのですが、先ほど大久保委員が言われたように、正にこれは実践的なという所がポイントだろうと思うのですね。その意味で、下から2つ目に、「国が実質的にも外形上も質保証を行う仕組みが不可欠」これが非常に重要だと思いますので、これから制度設計を行うところで、ここの部分が私は非常に重要だと思っているのです。ところが、これがやや不透明になっていて、下の「具体的に」という所で書き起こされるわけです。これは、確かに業界検定の効力をどの辺に置くのかによって、設計が全く全然変わってきてしまうことはあります。ただ、それにしても、やはりある程度の客観性は担保していかないといけません。取り分け、実践に近づけば近づくほど、そこはばらばらになっていく可能性が高いと。これは、現行技能検定制度においても、例えば実技試験の評価基準は、検定制度そのものによって皆ばらばらになっていますし、なかなかそこをに確定したものとして的に作っていくのは、現実的には非常に難しいわけですね。技能検定実技試験ですら、そういう難しさがありますが、段階です。更に、それを実践的なということになりますと、いろいろな価値基準が入ってくると思います。それを担保するものとして、具体的にと示されたの所にあるように、対象能力や体制というような言い方にしているのですが、実はこれは審査委員という所が一番重要で、本当は審査委員をどう作っていくのか、それをどうそこのところについて教育なり講習をしていくのかが非常に大事だろうと思います。そういった点も含めて、この対象能力、体制・方法という言い方で結構ですが、この部分についてもっと上のほうの○で言及していただいて、具体的にはという所では、ただしそれが余り今の技能検定制度のような画一基準を突っ走ってしまうと、活きてこないこれは死んでしまう可能性があるので、そこのところはこのような観点からの弾力的な要素も入れなさい、と書き分けたらよろしいのではないかと思います。

 いずれにしても、そこの質の保証の仕組みのところは、今回はそれ以上の議論ができていませんが、恐らく設計上では一番ここが重要な点だと思います。以上です。○阿部座長代理 事務局は何かありますか。よろしいですか。では、そのようにお願いします。ほかに、何かありますか。

○松浦参集者 報告書を精緻にまとめていただいて、ありがとうございます。26ページの1つ目の○の2つ目に「転職等の場面でも有効に活用されるよう、関係企業の幅広い参画を得、また、必要に応じ教育訓練専門機関等との協力を得るなど「広がり」をもった体制を敷き」と書いて頂いており、私の懸念点は、おそらくこのなかで払拭していただいている気もしますが、念のため。業種・職種固有の後の、「かつ業界共通性の高い能力」という部分について、業界団体が主体になるのである程度そうなるとは思うのですが、少なくとも職種固有については、必ずしも業界内だけではなく、業界外にも共通性ももった能力になる可能性が高いと考えられます。例えば、事務系専門職などの業務検定については、業界内だけでの活用に留まるのではなく、業界外でも、あの業界検定を持っている事務職であれば、自社で雇おうという企業が出てくるような世界が、目指すべき方向ではないかと思います。また、業界内のクローズ性のようなものが課題として書かれているので、そこを今回の業界検定でどうクリアするかも一つのポイントになってきます。「広がり」をもった体制」にクローズ性への対応の意図が包含されるのかもしれませんが、全体を読ませていただきますと、例えば27ページの3つ目の○の2つ目「運営上のオープン性確保」のところで、「会員企業従業員以外の者の受検機会の確保」とあります。これを裏返して読むと、業界の中の非会員企業の従業員までが広がりの範囲のようにも読めるのですが、必ずしもそうではなくて、業界外の従業員まで対象を広げていくこともポイントになります。さらに、企業を通じた周知・広報は、特に対象が非正社員の場合企業のインセンティブが低くなる懸念があるので、非正社員に対して直接周知、広報していくルートも必要で、その1つとして、教育訓練専門機関等の協力等が重要になってくるのではないかと思います。

○伊藤課長 まず、この報告書()の取りまとめという意図の観点で申し上げますと、今、2627ページにわたって御指摘いただいた、例えば27ページでいうとオープン性確保の中の括弧書きをしております「会員企業従業員以外の者」ということで念頭に置いております。確かに、御指摘も踏まえていいますと、何か非会員企業従業員だけとも狭く読まれてしまいがちかなと思いました。意図としては、求職者、即ちいずれの企業の従業員でもない者、教育訓練受講者。それから、ほかの業界の方も当然含まれ得ると。そうでなければ、外部労働市場における活用ということで、それは十全に果たせないということですので、今の御指摘を踏まえて、少なくとも27ページのオープン性確保の記述に関しては、もともとの意図よりも狭く捉えられないようなそういう考え方での加筆をしてみたいと思っております。

○阿部座長代理 多分もう1つあり、業界というのが今まのイメージですと、やはり業種、業界というイメージが先行すると思うのですが、そうではなくて、例えば事務系職種のように、業界横断的なものもありますよといったところも、多分読んだときにそれが分かるような形に修正もということではないかと思うのですね。

○伊藤課長 26ページのここの部分ですね。考え方としては、いわゆる典型的な業界団体、業種、業態別の団体ということだけではなく、もう少し広い経済団体あるいはこの議論のプロセスの中で職能団体的な所が主体となる可能性もあるのではないかという御指摘もありました。もちろん、そこはフィージビリティーはこれから実践を通じて検証だと思います。可能性レベルとしては、当然そういう可能性もありますし、そういう形態でなければここで議論いただいていますような幅広さ、労働市場における十全な活用を期すことができない職種というものは存するということも私どもは認識しておりますので、簡潔さも損わないような範囲内で今の点については26ページの3つ目のポツ辺りの部分で加筆を試みてみたいと思います。

○阿部座長代理 よろしくお願いします。ほかにはありますか。もしなければ、次の(4)28ページの下から最後の所までですが、何か御意見がありましたら御発言ください。

○北浦参集者 30ページの(4)の下から2つ目、ページの下から3つ目の○のところからマッチングの結びつきの説明になるわけです。赤字はいいと思うのですが、「さらに」書き自体が非常に複雑でよく分からないと思うのですね。これを、もう少し分かりやすく書いていただけるといいなと思います。それから、もう1つは、「紹介機関等にあっても、マッチング上、積極的活用が図られることで、はじめてキャリアラダーとしての役割発揮が図られる」と。キャリアラダーとしての役割発揮が初めて役に立つためには、要するに紹介機関のマッチングのところの活用がないといけませんよという趣旨で書かれたのですよね。それにしては、何かそこのところがすっきりしないような形がするので、ここの真意は、ハローワークでいわばマッチングを図る上において、この能力評価を的確に積極的に活用しなさいという趣旨だけであれば、もう少しさらっと書いてもいいような気がします。それから、もう1つ下にある業界検定だけではなくて、ここでもっと拡張してしまうわけですね。職業能力評価情報のより詳細な把握とか有効活用というように、かなり広がってしまっているところがあるので、何かこの部分について、今まで言っている叙述とややつながりが悪いような感じがしますので、今は感想めいた言い方なのですが、いずれにしてももう少しここは分かりやすく書いていただいたほうがよろしいのではないかと思います。

○伊藤課長 北浦委員から、何点かにわたる御指摘をいただきました。最後のほうでお話がありました、ここでは業界検定に限定しない書き方になっている点に関しては、これは業界検定の様々な職種のうちのあるグルーピングが対象ということです。逆に言いますと、それ以外の分野については、それにふさわしい別の資格の仕組み、ライセンスであったり、ものづくり技能であれば技能検定というものがあります。ライセンスに関しては、現状でも使われているという前提にたってもいいのだと思います。技能検定などに関しても、前の部分でありますように、外部市場型の活用も期待されるということで、そういったことも趣旨として含めた記述であることが1点です。

 ただ、その上で「はじめて」という辺りは、確かに御指摘を踏まえて再度こうして見ますと、少し誤解を招くおそれがある表現なのかなと。あるいは、ここの部分も随分いろいろなことを数行の中に圧縮している部分もあります。そういう意味では、御指摘いただいた「はじめて」という辺りの表現整理プラス、ここで言わんとしていること、例えば箇条書き化するなど、少し分かりやすい整理を試みてみたいと思っております。

○北浦参集者 1点だけ補足してもよろしいですか。マッチング上、能力評価の的確でより積極的活用という部分が分かりにくいのだと思います。これは、余り深掘りをすると、先ほどの採用の議論と近づいてしまうので、そこまでの議論は別にしませんが、やはりマッチングの上において能力評価をどう使うのですかというイメージが出てこないと、恐らくそれはまだ確定的な議論がされていないのと、ここでの本題でなかったこと。それから、業界検定についてはまだできてもいませんから、そういう意味においてこれがどう役に立つのかも分かりません。ですから、そのような能力評価を積極的に活用すべきということを言って、その際にはこのようないろいろな情報等の把握や準備が必要だとして、将来に向けてという課題であるということを整理したほうが、ここは分かりいいのではないかと思います。

○阿部座長代理 では、よろしくお願いします。ほかにはいかがですか。

○谷口参集者 一番関連がある所は、恐らく30ページの中程辺りかなと思います。今、焦点化されている業界検定に限ったことではないのですが、いわゆる職業能力評価制度そのものについての労働者側の正しい認識といいますか、そういうことへの啓蒙が、何かの機会を通じて必要な気がするのですね。というのは、例えばその機会として、ジョブ・カードにおけるキャリアコンサルティングなどで、職業能力評価がどういう意味があるのか、どういう位置付けになるのか、どういう効果があるのかを正しく理解していただくことが、これからジョブ型労働市場というものの方向性を仮に行政サイドで進めていくならば、そういう啓蒙的な活動は必要なのではないかと思います。というのも、実は昨日、一昨日と指導員研修をやっていまして、中小企業の技能検定の話になり、私も中小企業をたくさん回ってきました。中小企業が結構技能検定そのものを従業員に対して支援するわけですね。例えば、時間や検定料などですね。受講者から、実はこんな面白い話がありまして、従業員が仮に企業を辞める際に、その企業から支援を受けた技能検定の証書を置いていけと。本来ならば、個人に寄贈すべきものなのですが、企業側の感覚からすると、応援してあなたが自分1人で取ったものではないという感覚がそこにあるわけですね。そうしたことに対して、労働者側、従業員側がどのように考えるか。これは、現場レベルでいうと、何もできていないと思うのですよね。ですから、そういう啓蒙的な制度を進めていく上で必要なのではないかと思いました。

○阿部座長代理 なるほどなと思うわけですが、多分(4)は職業能力評価とその他の関連施策との効果的な関連付けのあり方で、啓蒙をここに入れるべきなのか、それともその他今後の課題として6番目に入れるのか、少し事務局でも整理していただきたいと思います。多分、非常に重要な視点かと思いましたので、うまく入れていただければと思います。

○伊藤課長 能力評価が、労働者個人の立場で職業紹介にわたる資産として重要な意味を持つといった辺りの趣旨だろうと理解したいと思います。座長代理が整理いただいたように、確かに(4)の中の流れで入れ込むというやり方と別の視点で(6)で書くというやり方が両方あり得ると思いますので、それはどちらが、今、谷口委員から御指摘いただいたことが伝わりやすいかという観点で整理をしてみたいと思っております。

○阿部座長代理 では、よろしくお願いします。

○大久保参集者 29ページの頭の所の話かなと思うのですが、職業訓練と職業能力評価は、2つの両軸みたいなものだという話があったと思います。採用にも活用したいのだという話もあったので、例えば公共職業訓練や委託訓練や求職者訓練などの内容が、今回整備される業界検定とある種連動していて、そういうものの連動を取ることによって、それがサービス業に入社するときの最初の導入訓練などを、実質的にはクリアしている状態だと認識されて、その訓練を受けた人たちは就職がしやすくなると。その道筋がすごく大事だと思うのですが、何か一番身近なところが書かれていないような感じがするのですが、その辺りは少し書いていただいたほうがいいと思いました。

○伊藤課長 どちらかというと、次の○の所をもう少し丁寧に書くというイメージでしょうか。

○大久保参集者 そうですね。

○伊藤課長 教育訓練プログラムと評価の対応関係は当然あるわけで、こういうレベルの人がこういう分野を目指す場合には、標準的にはこの形態のこの分野のプログラムを受講した上で評価をクリアすれば、就職に結びつきやすいという考え方で、この2つ目の○はもともと書かせていただいております。

○大久保参集者 特に、技能検定のほうも、エントリーレベルを整備していくという話がありましたので、やはりエントリーレベルの所できちんと接続しておくというニュアンスも入れていただいたほうがいいのかなと思いました。

○伊藤課長 もともと、技能検定にしても業界検定にしても、正にエントリーレベルが教育訓練あるいは外部労働市場との接合の部分だと思います。そういう意図がより明確になるように、この2つ目の○について加筆をしてみたいと思っています。

○阿部座長代理 では、よろしくお願いします。ほかにはいかがですか。

○北浦参集者 あえて直していただいてということではないのですが、1つ関わるとすれば、31ページの一番下の○の所で、「今後の検討課題である」という所で、下から3行目から「例えば」書きがいろいろ出ています。こういった所も、よく調べて、そういうようなところも見て検討する、と書いてあるのですが、これは働きぶり評価と書いてあるのですが、一番重要なことは処遇、賃金だと思います。これは、なかなか書きづらかったのかなと思うのですが、処遇ぐらいは書いておいてもいいと。これは、技能検定でも実はそこのところが分からないということで、いろいろ調べようではないかと。やはり、そこに結びついて、初めてこの評価制度は何点ということが出てくると思いますので、そこを研究していけばいいのではないかと思いました。その点は、もし検討いただければと思います。

 それと別に、もっとそれを拡張してしまうと、これは31ページで言及いただいたのですが、(6)の最初の○の所で、最後に「労使を含めたコンセンサス形成」。、労働者の啓発の問題もそうですが、労使を含めたコンセンサス形成の中でこれは形成していかなければいけないと。それを社会的に引き延ばしてきたときには、労使関係論的に言えば、これは一種社会的基準まで持っていくのかという議論があるわけです。これは、別に書いてほしいわけではありません。そのためには、労働組合がもう少し意識を持たないといけないと思いので、それであえてこういう書き方をしていただいたので、私は今回はこの程度でよいかないいと思いまうのです。もっと、これを例えば技能検定制度の沿革や経緯起こりなども考えてみますと、評価された結果としてそこの処遇というものが最終的には最後に企業の経営側の判断の中で封じ込められている。そこのところに、やはり労働者としてのこの制度に対しての不満感もあったというようなことが当初は言われていました。ところが、日本においては、内部性の論理が強かったので、実際にはそこのところがはうまくバランスを取って出てきたところがあるのだと思います。

 今後において、どのような労使関係論が出てくできるのか、あるいはどのような労働市場ができるのかによりますが、もし社会的な公平性などを考えるのだとすると、もっとここのところは労使を含めてこういった基準がやはり外部的な公平性を持つものであることが担保されないと、こういった制度は本当は生きてこないということになるのだろうと思います。この辺りが難しいところで、社会的な賃金決定論などとつながっていくところなのですが、恐らくこれはそういう議論になつながっていく話だと思います。ので、その意味で、是非こうしたれは制度を実現していく上では、労使を含めた議論が必要だと思います。、特に労働組合に対してのものが、単に企業内の能力評価制度ではなく、もっと社会的な意味での1つの能力評価基準との、今後の議論にあたっては、これはヒアリングの中でもあったと思うのですがことで、今回はそこまでいかないと思いまのですが、単に企業内の能力評価制度ではなく、もっと社会的な意味での1つの能力評価基準とのそことの関わり合いがあるのだの中で議論をしているのだという認識を持ってもらうことが大事だと思います。感想です。

○黒澤参集者 今の北浦委員のおっしゃったことは、大変重要な点だと思いました。先ほど、私はリスクが伴うのではないかという話をしたのですが、この職業能力評価の議論はジョブ型労働市場になったときにというような話ぶりが少しあるのです。実は、この評価基準が、先ほどの北浦委員の労使の話合いの中で、本当に有効性を持つものになっていくと、これをやることでジョブ型労働市場に移行させてしまうのですよね。ですから、実はここで言っていることが本当にワンダフルにうまく機能してしまうと、本当にジョブ型労働市場に関わる人たちが増えて、企業がますます労働者の能力に投資しない世界になっていくわけですね。それは、しかし望ましいとか望ましくないということではなく、今までと少し違ってくるということです。ただ、その辺りを意識をもって書くべきなのか、書かないべきなのかみたいなところがあり、もしその意識があるのであれば、最後の展望のところにジョブ型労働市場に、こういうこともなっていってしまうのだよというようなニュアンスを含めたような今後の課題として書くかどうかが、書かなくてもいいと思うのですが、可能性としては考えられるのではないかと。そのように考えると、何が必要になってくるかというと、つまり評価だけをボンと打ち立てるのではなく、そうすると個人がやらなければいけない部分が増えるのだよということなのですね。そうすると、その部分もきちんと支援してあげないといけないのだと。これは、何ども申し上げておりますが、その辺りはやはりすごく大事なところで、それと同時に、企業への支援もやはり続けなければいけないというのがすごくあります。それから、外部性がいわゆる企業の労働者への投資をやりたくなくなる部分。先ほどの技能検定でもそうですが、労働市場でも分かってしまうと持っていかれてしまう部分が多くなってしまうので、それでもやってもらう部分がある程度必要なわけで、その辺りのポリシーミックスの重要性のようなものは、大局としては念頭に踏まえた上でのこの報告書ありきなのではないかと。この報告書は、今までの報告書と違って本当にその辺りの大局をきちんと捉えて、いろいろな部分の補完性などを捉えた包括的ですばらしいものだと思うのですね。だからこそ、これは理論的なので、どうなるかは実践的にやってみないと分からないけれども、その可能性もやはりどこかで何かニュアンス的に触れていただけると、もっといいかなと思うのですが。

○阿部座長代理 非常に大事な、だけれどもかなり難しい問題かと思います。今、北浦委員、黒澤委員からいろいろと感想をいただきましたが、それも含めて少しまた考えていただければと思います。いろいろ議論をしていただいて、これまで幾つか修正点がありましたので、事務局にもう一度検討、整理をしていただき、そのプロセスの中で、もしかしたら委員の先生方にも御教示なり御指示を仰ぐことがあるかと思いますが、その際はよろしくお願いします。そして、最終的な報告書については、今野座長と私とに一任していただきたいと思っておりますが、そのような形でよろしいでしょうか。

(異議なし)

○阿部座長代理 ありがとうございます。それでは、その他の字句の修正等についても、今野座長と私に一任いただいて、報告書の取りまとめをしたいと思います。

○伊藤課長 それでは、今後の実務的な段取りですが、今、阿部座長代理から方向性をおまとめいただきましたが、確認的に事務局の立場から申し上げます。本日も、報告書()に大変重要な御指摘を頂戴したところですので、座長また阿部先生の御助言、御指導をいただきながら、まずは事務局にて報告書の最終修正案をまとめ、またその過程で座長、座長代理にも御相談しながら、今、整理をいただきましたように、今日御指摘をいただいた委員とも適宜御相談をさせていただきたいと思っております。いずれにしても、取りまとめ・公表をする際には、委員の皆様方全員にほぼ最終のものを御連絡差し上げたいと考えております。

 事務局としては、ただいま申し上げたような段取りを踏んだ上で、年度中のこの報告書の取りまとめ・公表を、折角今年度9月から集中的に議論をいただいてきましたので、年度末は1つの節目ですし、今後の様々な議論、取組みに反映をする意味でも、年度中の取りまとめ・公表が意味あるものだと思っておりますので、そういったスケジュール感の下でこの取りまとめ・公表の作業を進めていきたいと考えているところですので、阿部先生はじめ、各委員の皆様方のまとめに向けての引き続きの御指導、御助力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

○阿部座長代理 それでは、報告書については、そのように進めたいと思います。では、最後に杉浦職業能力開発局長から一言御挨拶をお願いいたします。

○杉浦局長 最後に、一言御礼の御挨拶を申し上げたいと思います。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、昨年9月から7回にわたる大変熱心な議論をいただきまして、本当にありがとうございました。お陰様をもちまして、最終的な調整はあるものの、おおむね一定の方向性として、この報告書をまとめる形を取ることができました。

 この職業能力評価の問題については、なかなか私どもも技能検定という制度を持っていながら、そのほかの分野についてまでこういった形で幅広く、概観も含めて検討する機会が、正直いって余りなかったように思っております。そういう意味で、今回職業訓練との関連性も含めて、非常に幅広くかつ濃密な深掘りをした議論をいただき、まとめることができたことに対して、改めて御礼を申し上げたいと思います。

 業界検定の進め方については、会議の中でも話がありましたように、来年度からスタートアップ事業ということで、幾つかのモデル的なケースとして進めていきたいと思っています。この実施に当たっては、今、この研究会で出された方向性、留意点を含めて、身のあるような形にもっていきたいと思っていますし、更にそれがほかの業界の分野にも広がっていくことを期待するものです。

 それから、この研究会の中でも何度も御意見が出ましたが、職業訓練との一体性という言葉を、正に私どももよく身にしみて思っているところです。そういう意味で、頂いた研究会報告を基に、今後は改めて職業能力開発行政全体の中の位置付けとして、制度面も含めて、どういった方向で検討していくべきかを更に私どもは考えて進めてまいりたいと思っております。ただ、すぐに法律改正というような話になるかどうかは分かりません。また、政府の動きも非常に早い形で進んでおりますので、そういった流れも見ながらやっていきたいと思っております。この「職業能力の見える化」という大きなテーマについて、一定の方向性を出していただいたことは本当に有り難いと思っておりますので、これを十分参考にしながら進めていきたいと思っております。繰り返しになりますが、御参集いただきました皆様のこれまでの御尽力に、改めて御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

○阿部座長代理 それでは、本研究会はこれで終了といたします。ありがとうございました。


(了)

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