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2014年1月20日 第2回 医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成26年1月20日(月)
18:00〜


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○議事

○事務局 定刻になりましたので、第 2 回医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会を開催いたします。

 本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」「座長及び座長の命をうけた事務局職員の指示にしたがうこと」など、申込み時の留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日、御出席の構成員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日、 13 名中 13 名全員が御出席ですので、本検討会の開催要綱に基づき、定足数に達しており、会議は成立していることを御報告いたします。なお、前回山口構成員が御欠席でしたので、御紹介させていただきます。東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野教授の山口拓洋構成員です。

○山口構成員 山口です。よろしくお願いいたします。

○事務局 続いて、事務局から 1 人紹介いたします。医薬食品局安全対策課課長補佐の和田です。

○事務局 和田と申します。よろしくお願いいたします。

○事務局 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。それでは、以後の議事進行については、永井座長にお願いいたします。

○永井座長 それでは、最初に事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。

○事務局 お配りしている資料の確認をいたします。一番上に座席表があり、次に議事次第があります。裏をめくっていただきますと、配布資料一覧がありますので、併せて御確認ください。開催要綱と構成員名簿。資料 1 、検討課題と主な議論等。資料 1( 参考 ) 、第 1 回医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会の主な議論等 ( 概要 ) 。資料 2-1 、赤沢構成員からの資料で、検討課題に関する意見。資料 2-2 、山口構成員からの資料で、検討課題に関する意見。資料 2-3 、山本構成員からの資料で、医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会、医療情報の立場から。資料 2-3( 参考 1)( 参考 2) 、山本構成員の参考資料が 2 つ続いてあります。最後に、資料 3 、今後の検討スケジュールがあります。

 また、構成員のお手元には、当日配布資料として、未定稿の前回の議事録案をお配りしております。もう 1 点、参考資料としてファイルでとじてあります。前回の資料を加えておりますが、参考資料は前回と同様です。以上です。

○永井座長 では、議事に入ります。まず、前回御了解いただきました本検討会における検討課題と、前回の主な議論等について確認し、情報を共有したいと思います。その後、構成員からの意見提供と意見交換として、本日の検討課題に関係する事項について、赤沢構成員、山口構成員、山本構成員から資料を提出いただいております。それに従って、御説明をいただきたいと思います。 3 名からの御説明の後に、まとめて質疑応答を行いたいと思います。まず事務局から、検討課題と前回の主な議論等について、説明をお願いします。

○事務局 資料 1 を御用意ください。本検討会における検討課題と、前回の主な議論等について、確認の意味も含めて簡単に説明申し上げます。なお、前回資料 3 としてお示しした内容については、右上に再掲と示しております。

 資料 1 のスライド 2 を御覧ください。前回説明しましたとおり、本検討会設置の背景として、 6 14 日に閣議決定された「日本再興戦略」があります。この中で、本事業のデータベースに関して、「データ収集の拠点となる病院の拡充や地域連携の推進を図ることにより、利活用できる十分な情報を確保し」とし、推進を求められている一方で、 6 21 日に実施された行政事業レビュー公開プロセスの結果、事業全体の抜本的改善との厳しい評価を受け、「データベースの規模や達成時期等の検証・明確化、手法の再検討、費用負担の在り方の検証を念頭に更なる見直しを行い、概算要求へ適切に反映させることが必要」との指摘がありました。

 これらの課題等についても、有識者の先生方に御検討・御提言いただきたく、本検討会としては、開催要綱の「目的」に示しますとおり、「本事業における進捗や状況の変化に伴い対応が必要となる各種の課題を改めて整理し、今後の本事業のあり方について検討し、今後の政策に反映する」ことを目的とし、本事業のあり方、協力医療機関・連携医療機関に関する拡充等のあり方などについて、御検討をお願いいたします。

 スライド 3 を御覧ください。前回は、第 1 回ということで、抽出される課題について確認いただいた上で総論的に御議論いただきましたが、今回より各論について意見交換と検討を行っていただき、課題の整理、課題解決の方向性を示していただきたく、よろしくお願いいたします。

 スライド 4 を御覧ください。本日の検討課題ですが、この資料 1 の項目でいいますと、主に上の 4 点、 (1) 本事業のあり方、 (2) データベースの必要な規模、 (3) データの代表性 ( 一般化可能性 ) (4) 地域連携のあり方 ( 実効性 ) という課題について、拠点病院の拡充のあり方という観点も含め、御検討をお願いいたします。なお、地域連携については、前回、医療情報の連携と特定の患者の追跡可能性の問題で、それぞれ課題があるという御指摘があったかと思います。

 次回、第 3 回については、主に下の 4 点について検討いただきますが、本日の課題であるデータベースの規模やその達成時期などについては、 (7) の本事業の運営等のあり方のところで、事業の進捗や経費の問題にも密接に絡む課題かと思いますので、必要に応じ、次回にも引き続いて検討いただければと考えております。

 スライド 5 を御覧ください。まず、 (1) 本事業のあり方についてです。上段の枠内に示すのは、行政事業レビューにおける外部有識者のコメントですが、このような御指摘も踏まえ、現状を把握し、本事業として取り組むべき課題を整理いただいた上で、本検討会では最終的に本事業の継続性、他のデータベースの連結やシステムの統合の実効性などについて分析・考察いただき、それを取りまとめていただきたいと考えております。

 前回の主な御意見としては、次のスライド 6 に示しますように、医療情報データベースには限界がありながらも副作用の解析等が期待できる点や、レセプトデータとの違いについて、また、本検討会における議論と並行して医療情報の取扱いに関する法整備が重要であるとの御意見がありました。

 医療情報の取扱いに関する厚労省としての取組について、担当部署に確認いたしましたが、現状としては、平成 28 1 月から施行される予定である社会保障・税番号制度の動向や、内閣官房 IT 戦略本部で進められている個人情報保護法制の見直しの議論の状況を踏まえながら、検討を進めることとしているものと聞いております。

 スライド 7 を御覧ください。次に、データベースの必要な規模についてです。行政事業レビューでは、 1,000 万人達成に向けたシステム構築、試行の全体像や、必要とする理由が不明確といった指摘がありましたが、本日、疫学や統計の専門家の先生方にも御意見を頂きますが、今後の議論等を踏まえ、最終的に医療情報データベースとして必要な規模について御提言いただければと考えております。

 前回の主な意見としては、次のスライド 8 に示しますように、医療情報は日常診療の臨床データですので、厳密なデータというよりは、大規模なデータを集積することの強みや、医療情報の保存期間の問題に関して、長期に追跡することの必要性について御意見がありました。

 スライド 9 を御覧ください。データの代表性 ( 一般化可能性 ) の課題についてです。行政事業レビューでの指摘に対して、前回の主な意見としては、スライド 10 に示しますように、大学病院には生活習慣病の患者も非常に多く通院されていて、それ以外の医療機関を受診する患者の治療方針と、それほど特殊な違いはなく、 10 の大学病院のデータを集めることで、非常に大きな N 数が短期間で確保できるという意味では、事業のスタートとしては間違っていないのではないか。このデータベースの質をきちんと評価して、何ができるかをまず得ることが大事であり、どう改善していけばいいのかという議論をしていくことが大事ではないか、といった御意見や、データベースの価値 ( 利用可能性 ) や、データソースの医療圏の情報の重要性などについて御意見がありました。

 このような現状の考察を踏まえて、データベースの規模・代表性等について御検討いただき、最終的に拡充が必要と考えられる場合、そのあり方の提言、本事業の趣旨に合致した医療機関の選定基準を提示いただければと考えております。

 スライド 11 を御覧ください。次に、地域連携のあり方についてです。行政事業レビューでは、保険者からレセプトデータを収集し、特定個人が複数の医療機関で受診した結果を追いかけられるようにするべきではないか、といった御意見がありました。本事業の現状としては、 10 病院においてはレセプトデータも収集しておりますが、データの利活用に際して、別の情報源のデータと連結して、医療機関をまたいで患者単位で追跡することはできないという現状があります。このような状況と課題を踏まえて、最終的に地域連携のあり方 ( 実効性 ) について御提言いただければと考えております。

 前回の主な御意見としては、スライド 12 のように、地域の診療所等の医療情報連携という点での実効性については、データの標準化やメンテナンスの人材などの問題も含め、すぐには難しいのではないか。また、特定の患者を追跡するため、保険者に集まるレセプトデータを利用することについては、それ自体にもハードルがあるため、まずは一定の方向性が出せるのかの議論の必要性について御意見がありました。

 スライド 13 を御覧ください。次に、本事業に参加する協力医療機関のメリット等についてです。ここからは、次回の検討課題として予定しておりますが、前回の主な意見について簡単に御紹介いたします。

 スライド 14 を御覧ください。前回は、データの利活用への期待として、医薬品の有効性の評価への利用、また利活用者が取り扱える情報の粒度の妥当性に関する御指摘を受け、これまで平成 23 年度の事業開始以来、ワーキンググループでいろいろと議論を重ね、現実的な落とし所として議論を反映させた形で構築されてきた経緯について説明がありました。

 スライド 16 を御覧ください。次に、データベース活用 ( 試行 ) による実績の提示については、 PMDA MIHARI プロジェクトの試行調査等も参考に、 300 万人規模からでもまずは成果を示していくことの重要性について、御意見がありました。

 続いて、スライド 18 を御覧ください。本事業の運営等のあり方については、本事業に安全対策拠出金という形で、半分の資金を拠出しています製薬企業・団体なども含め、将来的に本格運用後における顧客を想定した視点でも、データベースの価値を議論していく必要性について御意見がありました。

 スライド 20 を御覧ください。最後にその他として、行政事業レビューの指摘について、中には誤解によるものもあるように思われるが、今後そのような誤解を与えないような説明をしていく必要があるのではないか、といった御指摘もありました。

 スライド 21 を御覧ください。受益者について、本事業の運営費の一部を利用者が負担することを想定した際には、データベースの利用者ということかと思いますが、そもそもの大前提として、本事業の受益者は最終的には国民である、ということも御指摘がありました。

 資料 1 についての説明は以上ですが、続いて本日の検討課題に関連する部分として、ファイルとしてお配りしている参考資料の一部について説明いたします。ファイルの参考資料 3-2 を御覧ください。平成 23 3 25 日付けの「医療情報データベース基盤整備事業協力医療機関の公募について」を御覧ください。 1 枚めくりますと、申請に関する諸条件等がありまして、協力医療機関の申請条件として、選定対象の医療機関として、 (1) に示す者が開設する各種の医療機関を広く募集いたしました。ただし、その下の条件として、 (2) に示しますように、事業への理解と協力や、疫学研究状況、病院の規模、医療情報の保有実績、電子化の状況、地域への拡大といった点が条件となっており、 6 番の選定方法等の (2) の審査項目に示すような項目を審査した結果、現在の大学病院等の 10 病院が選定された経緯があります。

 続いて、参考資料 5 に飛びます。行政事業レビューのときに使用された資料のうち参考資料 5-2 、事業概要のページ、下のページ数でいいますと 7 ページの「医療情報データベース事業」のページを御覧ください。スライド 4 を御覧ください。こちらは、前回も説明しました大規模医療情報データベースの必要性を示した資料です。今後、副作用報告制度に加え、データベースに集積された医療情報を利活用することにより可能となる安全対策の例として、母集団が明らかな集団における副作用発生頻度の調査や、医薬品が投与されていない患者との比較、また安全対策の措置の前後の比較などを行い、定量的な安全性評価をもとに、安全対策につなげる方策を実施したいと考えております。

 スライド 5 を御覧ください。米国、欧州等では、既に 1,000 万人から数千万人規模のデータベースが存在しており、医薬品の安全対策に積極的に利用されております。

 スライド 13 を御覧ください。こちらには、日本のセンチネル・プロジェクトの提言において、データ規模の目標の設定根拠の 1 つとして指摘された、「最近の医薬品の安全対策上の課題として、 1 万分の 1 程度の頻度で発生する重大なリスクの検出、また、リスクの精密な比較評価」の点を踏まえ、 0.01 %程度で発生する稀な副作用のリスクを検証する場合について、「必要なデータベースの規模の考え方」の例を示しております。

 データベースから比較する 2 剤、 A 薬と B 薬の投与された患者群を抽出して、ある副作用が A 薬群で 0.02 %に上昇した 2 倍の差を検出するには、統計的に A 薬の投与群として 24 万人、コントロールの B 薬群で 24 万人のデータが必要であり、それを確保するためには、少なくともデータベースには 1,000 万人のデータが集積されている必要があります。例えば、解熱鎮痛薬のプラノプロフェンの使用割合は約 2.3 %で、ようやくこの 2 剤の差を検出できるわけですので、スライド 14 に示す糖尿病薬のように更に使用者数の少ない医薬品にあっては、稀な副作用を検出するためには、母集団となるデータベースとしては、更なるデータ集積が必要となってきます。

 次のスライド 15 の協力医療機関のポイントについては、先ほど参考資料 3-2 について説明したとおりです。事務局からの説明は以上となります。

○永井座長 御質問をお受けしたいと思いますが、私から 1 つよろしいでしょうか。先ほどの資料 1 5 枚目のスライドの「本事業のあり方」、レビューのコメントですが、「そもそもナショナルレセプトデータの構築が狙いであったならば、原点に立ち戻るべき」とあります。どうも、この点が非常に重要な論点になっているようですが、そこに行き違いがあるとボタンの掛け違いが起こると思います。このデータベースはナショナルレセプトデータの構築がそもそもの狙いだったのですか。

○事務局 別の事業と考えております。

○永井座長 そうすると、ここでもう既に行き違いが起こっているようです。レセプトデータベースも、できたら統合して活用したいという話はあったと思いますが、そもそもの狙いがナショナルレセプトデータの構築であったと言われれば、全部この事業は意味がないと評価されてしまいますね。

○安全使用推進室長 そうですね。もともとは、この「医薬品の安全対策等における医療関係データベースの活用方策に関する懇談会」の中で、いろいろなデータベースのあり方等を御検討いただいているわけですが、その中のナショナルレセプトデータベースというのも 1 つ取り上げられております。これの連携というようなものも、議論の中には出てきております。しかし、連携であって、それを構築するというのがこの事業の目的ではないということだと理解しております。

○永井座長 そうすると、今のスライドの下から 4 行目に「レセプトと連携していない状態では効果がないこと」、という意見が出てしまうわけですね。そこで、更に次の行き違いが起こっているわけです。これは、本当にレセプトと連携しないと効果がないのですか。ですから、そもそもの目的がレセプトデータの構築が狙いだということになれば、そういう議論もあるかと思いますが、そうでないならば、レセプトデータと連携していない状態では効果がないということが適切なメッセージかどうか、そこの御意見はいかがですか。大江先生、いかがですか。レセプトと連携しないといけないのですか。

○大江構成員 そもそも、この事業で構築している各医療機関のデータベースは、検査結果や処方のデータ以外に、既にそれぞれの医療機関のレセプトのデータが入っているわけです。そういう意味では、その医療機関内では連携はもう連結された状態で解析できるようになっていますので、私はこの「ナショナルレセプトデータの構築が狙いであったならば」というのは、そもそも間違っていますし、ナショナルレセプトデータベースと連結はもともとできないことが分かっていてこの事業はされていますので、見当違いの意見だろうと思っています。もし万が一この事業とナショナルレセプトデータベースを将来連結して、更に副次的な効果を得ようというのであれば、これはナショナルレセプトデータベースが匿名化をするやり方を変えないことには連結しようがない話で、相手の話だと私は思いますが。

○永井座長 各病院のレセプトデータは、連結しているわけですよね。

○大江構成員 そうですね。

○永井座長 そこをよく整理しないと、この議論が全く噛み合っていない。 2 3 行目の、当初の狙いから乖離しとか、有効性も怪しい事業であるなどということを言われてしまうわけですね。まず何が論点か、議論のフレームがどうなっているかを、やはりレビュー側ともう 1 回整理しないといけないと思います。これは、全くの誤解で、あらぬ批判を受けているように思いますが。そこをよく反論しないと、行き違いのまま続いてしまうと思いますね。それは、よろしいですか。

○安全使用推進室長 今回、このような形で有識者の先生からも御意見を頂きましたので、きちんとそのようなことを踏まえて説明をしていくのかなとは思います。継続的に、何かそれについて解釈をやり取りするようなものが続いているということではなく、今は結果としての指摘に対する事業レビューのようなものの、その後のフォローアップみたいなものはありますが、そういった中で、きちんと今回検討会の中で御意見もあり、そもそもの誤解の部分をきちんと解いていくようなことをしていかないといけないと思っております。

○永井座長 それから、意味があるかないかということは、ナショナルレセプトデータベースとリンクしているかどうかということではないですね。そうすると、もっと具体的な例を言わないと伝わらないと思います。そういう具体的な例、例えばこの背景には 1 万人に 1 人ぐらい起こる重篤な事象をつかまえようということだったわけですね。 1 万人に 1 人というと、先ほど川上先生、土屋先生にお聞きすると、いわゆる TEN (スティーブンス・ジョンソン症候群)が大体 1 万人に 1 人ぐらいなのですが。そうすると、いろいろな薬剤について 1 万人に 1 人つかまえようと思ったら、その薬剤についてやはり数十万人ぐらいは調べないといけないですね。その薬を飲んでいる人が全体の何パーセントかを考えると、母集団としての登録が 500 万人、 1,000 万人になるだろうと思います。つまり、そのぐらいないと、スティーブンス・ジョンソン症候群が本当にその薬に特異的に起こっているかどうか、あるいはどのぐらいの頻度で起こっているかが分からない、というような反論をしないといけない。具体的な例を挙げて、数字を挙げて言わないといけないと思いますが、いかがですか。

○川上構成員 座長のおっしゃるとおりです。薬剤性の肝障害や腎障害のような比較的頻度が高くて見やすいようなものもありますが、アレルギー的な機序を介する造血障害や、今、先生がおっしゃった TEN のような皮膚障害となってきますと、大体 1,000 人に 1 人以下、 1 万人に 1 人ぐらいのものがつかまえられるようなデータベースの規模が必要ではないかと思います。

○永井座長 タミフルで飛び降りが多いのか、少ないのか、これはインフルエンザでタミフルを飲んでいる方、数十万人から 100 万人ぐらいの規模でみなければならない。インフルエンザでタミフルを飲んでいない人を 100 万人、数百万人で比較しないと分からないわけですね。大規模データベースがないと、こういうことが分からないのです、という説明をしないといけないと思いますが。その辺りは、よろしいですか。そういう反論を是非していっていただきたいと思います。

○安全使用推進室長 ありがとうございます。

○永井座長 いかがでしょうか。何か構成員の方々から御意見はありますか。よろしいでしょうか。また追々、いろいろな御意見を頂きたいと思います。では、続いて各構成員からの意見提供と意見交換です。まず、赤沢構成員から、薬剤疫学の専門家の立場として御意見を頂きたいと思います。

○赤沢構成員 資料 2-1 を御覧ください。まず、私は薬剤疫学の研究をやっている立場から、まず事業のあり方の中で、今、話題になったナショナルレセプトデータべースと、検討を進めている医療情報データベースを、研究する立場から見たときの比較からさせていただきます。

 薬剤疫学研究は、基本的には薬剤と副作用の関係性を定量的に評価するときに、 1 つは服用している患者の中でどのぐらい副作用が起こるかという発現率の話と、その発現率がほかの薬剤と比べてどのぐらい高いかという、いわゆる絶対的な評価と相対的な評価の両方をやります。簡単に図を描きましたが、対象者、対象集団、ばく露と言われている薬剤使用、アウトカムと言われている副作用。そして、比較するときに、その他の説明できる要因 ( 交絡因子 ) が特に大事になります。下の表はそれごとにまとめてあります。

 マル1の対象集団に関しては、ナショナルレセプトデータベースというのは、全ての保険医療を受けた患者を対象にしているので代表性としては高い。ただ、今回の検討している医療情報データベースのほうは参加していただける拠点病院が中心ですので、ここは低いと言わざるを得ない。

 マル2のばく露、薬剤を使用しているかどうかに関しては、両方のデータベース、薬剤、処方されている薬に関しては、どちらでもつかまえることができます。後で話が出てきますが、ばく露ということを考えたときに、例えば初めてその薬を使った患者かどうか、どこまでその薬を使ったかという投与期間を考えたときに、例えばナショナルレセプトデータベースですと、それを使う場合は最初に処方があって、過去 1 年間にあるかないかを見て、ばく露がないから初回投与という判断とか、投与最終処方からその後はずっと処方がないので、ここでやめているという判断はできますが、拠点病院だけの場合だと、例えばほかの病院で処方されて薬を飲んでいた人が転院してきた場合とか、どちらかの病院に移った場合は、本当に使っていなかったのか、それとも情報上、得られないのかということが分からない。

 一番気を付けなければいけないのは、ばく露があったか、ないかということで、あるものに関してはどちらのデータベースでも分かりやすいのですが、ないということを証明するのはなかなか難しい。そういう点でナショナルレセプトデータベースと比べると、現状のものは少し弱いかなと考えます。

 一方、アウトカム ( 副作用 ) に関しては、やはり医療情報、例えば診断名とか検査値とかいろいろな医学情報がある医療情報データベースのほうが定義をする。その定義の正しさを確認するには非常に優れている。ただ、問題が 1 つだけあって、本当にイベントがあったか、なかったかという判断に関しては、例えばその病院に来ないでよその病院に行ってしまったとか、前からそういう症状があったのに、そういう方が拠点病院では診断がなかったみたいなものですと、そこは誤解を招く原因になります。ないことを証明するのは、ここでもちょっと難しいと思っています。

 マル4の比較検討するという交絡の要因ですが、一番大事なところは重症度になります。重症度に関しては、医療情報がきちんとある医療情報データベースに勝るものはないと思っています。合併症、併用薬に関しては、薬剤のばく露とほぼ同じです。どちらでもいい、若しくは強化は可能です。ただ、交絡因子によくある生活習慣とか、提供された医療機関に関しては、今の診療情報、医療情報データベースのほうであれば、情報の取り方によっては、そういう交絡因子が確認できる。

 大事なところは、データベース研究を行ったときに、データが不十分だと間違った結論を導く可能性があるというところが一番怖いと感じています。当然、海外ではよく使われているようなデータベースの研究においても、今言ったような薬剤のばく露の確認、あったか、ないか。若しくはイベントが発生したか、しなかったか。相対的な評価をするときに交絡因子の影響はなかったかどうかが、必ず問題になります。

 当然、論文か何かを出しますと、レビューアーから必ずこの点を御指摘いただくので、ないということが分かるという意味、つまり交絡因子の影響はないですよ、ばく露の定義は間違っていません、アウトカム定義は問題ないですよと言えるかどうかというところで、このデータベースの重要性、いわゆる利用可能性が結構大きく作用されると考えています。

 そういう意味では、ある意味で 2 つのデータベース、先ほどの話にも戻りますが、お互いに良い所と悪い所があるので、今は難しいかもしれませんが、将来的にはくっ付けていくような話ができれば、今、海外のデータベースで問題になっているような点に関しては、日本で新しいデータベースを作ったという優位性が言えるのかなと研究者の立場では考えています。

(2) は「データベースに必要な規模」です。こちらは先ほど説明があった話と全く一緒で、服用した人の中で副作用の件数がどうかという話です。もう 1 つ考えていただきたいのは服用期間です。つまり、普通、分母に当たる情報は、服用した患者という場合もありますが、服用した患者がどのぐらい使ったかという人年という表現で分母を定義する場合もあります。例えば新しく使い始めた薬で評価する場合は、 N 数はかなり多くなければいけませんが、ある程度長い期間使用している薬であれば、もしかしたら少なくてもいいかもしれません。ですから、どのタイミングでどういうことを評価したいか。つまり、ばく露の期間がどのぐらいかということも含めた上で適正な数をと思っています。

 ただ、先ほど申しましたように、相対的なものに関しては、実はサンプルサイズ、数を増やしたとしても余り改善されない。むしろデータが正確かどうかということ。つまり、比較可能性、若しくは専門用語で内部妥当性と言いますが、そちらのほうがより大事だと思っています。前回の会議でも話したように、服用期間の問題も含めますと、どのぐらいデータが保管されていて、長い期間、患者を追跡できるかというほうが、私はサンブルサイズよりも大事だと思っています。これは繰り返しになります。

(3) の代表性に関してです。一般化の可能性を考える場合、私は 2 つあると思っています。図に描いてありますが、 1 つは代表となる集団から検討集団を選んできて、その中で薬を使った人を定義します。その中で副作用が起こりましたよという話で発現率をという話になりますが、これは本当にどの集団を選んでくるかというところと、一般化可能性というのは直接関係します。

 もう 1 つの考え方としては、最後の右側ですが、薬を使った人と比較対照の人たちを比較して、発現率、つまりリスクの比とか、相対的なリスクに関して得られた結果は、こちらは代表的なサンプルではなくても、きちんと薬剤のリスクが評価できるのであれば反映できるだろう。これはいわゆる通常の一般の臨床試験、治験などでやられているのと全く同じ議論になります。

 そう考えたときに、海外のデータベース、特にアメリカなどですと、そもそも国民を代表したようなデータベースはないのです。例えば保険で考えたら、お年寄りとか貧しい方とか退役軍人とかそれぞれデータベースの対象者が異なっています。ですから、一般の代表性を語るというのは、どういう集団を対象にやった研究か、若しくは評価かということさえ説明できれば、どこから持ってきたデータかは余り問題にならない。ただ、比較可能性という点においては、観察研究とバイアスの影響はかなりありますので、これを取り除くためにはどうしたらいいかが重要になってくるかと思います。

 繰り返しになりますが、比較可能性を高めるということは、ばく露の定義、副作用の定義、交絡の定義みたいなことが、きちんとできるような情報があるかどうかということに、かなり依存してくると考えています。

 もう 1 つ、私がやった経験で、例えば評価をするときに、あらかじめ仮説を立てて、この薬を使ったら副作用は上がるだろうという予測の下でやったときに、そのとおりの結果が出た場合は余り問題がない。ただ、予測に反したような結果が出たときは、いろいろな分野、これはサイエンスですのでそういうことはあり得ます。そのときに、どういう理由で仮説と違った結果が出るのだろうということを調べるのは結構大変なのです。

 つまり、追加情報とか交絡が十分把握できているかどうかです。そういうのを全部把握した上で「やはりこれは予想していたのと違う結果ですよ」と自信を持って言えないと、安全性の情報としては余り意味がない。いわゆる誤解を与えるようなものを提供するしかなくなってしまうというのが怖いので、その辺は全部研究者が最初からアクセスできる必要はないのですが、何か問題があったときに、例えば前回お話したように、医療機関の情報、患者の追加情報が分かる、若しくは評価していただいて、ある程度追加情報を頂けるような柔軟な運営をしていただけると、やるほうとしては非常に助かるということです。

 最後は地域連携のあり方の実効性です。これは最初のデータベースの比較でも申し上げたとおり、医療情報データベースでは把握できないもの、つまり、無いということを証明するのがなかなかできないところが結構あるものですから、そういうところの問題点はあります。全部とは言いませんが、一部でもデータを連結できるような環境があれば、無いかどうかという判断はできるはずですので、ないという情報を確認することによって、どのぐらい追加情報、いわゆる情報として意味があるものを提供できるか。これも実績というか、エビデンスを示していくことによって、このデータベース、プラス地域連携のフレームを使った上で、意味のあるデータが提供できるという議論が進むと、私としては非常にうれしいと考えています。

 まとめになりますが、今いろいろ難しい問題もあって、どんなデータを提供できるかという議論が多いのですが、安全対策の強化に対してこのデータベースを使うという視点で、きちんと御意見をまとめていただければと考えております。以上です。

○永井座長 ありがとうございました。御議論は後ほどお願いするということで、続いて山口構成員から、統計の専門家のお立場から御意見いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○山口構成員 東北大学の山口と申します。前回欠席させていただき、前回の議論は十分把握できていないところがありますが、今回、検討課題として 4 つ頂きました。最初の「本事業のあり方」については、先ほど永井座長がおっしゃっていましたが、私もそのとおりで、そもそもこの事業、 NDB というかナショナルレセプトデータの構築が狙いであるとは私も全く思っておりませんでした。そもそも、これはレビューアー側の見当違いだと把握しております。

 その上で、 2 番目、 3 番目、 4 番目とデータベースの必要な規模等々に関して、メモを作りましたので簡単にメモに沿って御説明したいと思います。資料 2-2 (1) データベースの必要な規模ですが、 (2) データの代表性でも述べますが、まずは本事業においては内的妥当性というか正確性を確保することが重要で、その上でデータの精度は考慮すべきかと思っております。データの精度を向上させるためには、当然数を増やすとか品質管理が重要だと思いますが、先ほど具体例ということで、実際に事務局側も出されている事例として、アクトスと膀胱がん発症との因果関係の例があったと思います。これは因果関係の証明にアメリカとかフランスのデータベース研究が実際に使われております。米国ですと、約 20 万人のコホート研究のデータからで、ただし、これは元が Kaiser のデータベース、 FDA がもともと要求して作ったデータベースですが、もともとは 3,200 万人加入しているデータベースです。そこから該当するような方を 20 万人引っ張ってきて、そのデータを基にコホート研究を行った結果からです。

 フランスの例ですと、フランスの 6,500 万人ぐらいが加入している国民健康保険データベースが基で、その中から 150 万人のデータベースのコホート研究を使って、膀胱がんの発生リスクが増加する傾向があることを、証明というと言い過ぎかもしれませんが、検討しているという実例があります。

 これも赤沢先生が先ほどおっしゃっていましたが、もちろんターゲットとする事象、イベントの発症とか薬剤のばく露の頻度、これは定時的なものではなくて、もちろん経時的な変化も当然考慮すべきで、そういったものを考慮して具体的に数字を当然計算する必要があると思いますので、ケース・バイ・ケースによって何人ぐらい必要かというのは変わってくるかと思います。いずれにせよ、アクトスの例を見ても、数千万規模のデータベースが利用できることのメリットは非常に大きいと考えています。データベースの必要な規模に関して、そのような意見を持っております。

(2) のデータの代表性とか一般化可能性という話です。先ほど申し上げたとおり、データの内的妥当性というか正確性とか集積可能性の担保を、私は優先したほうがいいのではないかと思っています。その後に数の問題、精度の問題が重要だと思っており、代表性とか一般化可能性の議論を今すぐに十分する必要があるのかどうか。優先順位としては後のほうではないかと、個人的には思っています。個人的には先ほど申し上げたような内的妥当性とか精度の問題、数の問題あるいはインフラの問題の辺りが、ある程度整備されてからの議論でも遅くはないのかなと思っています。

 あとは、大学病院だからという話も前回出たようです。東大病院は別かもしれませんが、ほかに加わっている大学病院が非常に特殊な患者層であるか。個人的にはそうとも言い切れない側面がありますし、徳洲会グループは微妙ですが、今後は NTT グループ等も入ってきますので、代表性うんぬんということで、本事業の有用性が否定されるのは本末転倒ではないかと思っています。

 あとは内的妥当性を保つ工夫として、アメリカで CCS という既に 2009 年に終わっているのですが、そういう病院ベースのデータを集める研究があります。これは病院の周囲、近い人たちだけ、 50 マイルの人たちに限ることによって、先ほど赤沢構成員から話のあった比較可能性を高めるような工夫をするアイディアが使われていたりといったところで、まずは優先順位を考えて、最初から代表性にだけこだわる必要性もないのかなと思っております。

(3) 地域連携のあり方です。これは実効性を含むフォローアップの重要性ということですが、次ページの裏面を見ていただければと思います。私は東北大学に移る前に、現在も兼担しているのですが、東京大学病院でデータ管理の仕事をしております。そういった関係で、東大の薬剤疫学の久保田教授と幾つか研究をさせていただいているのですが、久保田教授が過去に実施された研究で、東大病院のデータで糖尿病の患者の透析への移行を見ようとしたことがあります。当時、東大病院には入院中の患者のための透析施設しかなくて、透析が近づくと外来の患者が次々に別の大きな透析施設のある病院に移っていってしまい、透析への移行を見ることがなかなか難しくなったという結論になったと聞いております。

 そういった意味も含めてですが、医療情報データベースを用いた研究においても、ヘルシンキ宣言 (30 ) にも書いてありますが、結果の完全性とその正確性の説明責任をきちんと研究者が負うという観点から、特定個人を見失わずに追跡し続けなければ、結果の正確性を保てない研究です。そういう研究は研究自体を行う価値がなくて倫理的ではないと、個人的には考えております。フォローアップがすごく重要だと思っております。

 ということなので、幾つか工夫をする手立てが必要で、例えば久保田教授らと以前やった研究ですと、大学のデータだけを使って、何とか比較的長期間のフォローをしたいと考えて、観察開始前の 1 年間を前期 6 か月と後期 6 か月とに分けて、両方とも来ている方を repeat user 、どちらかだけ来ている方を temporal user と分けて観察してみたら、東大病院の外来患者はおおむね半分ぐらいずつに分かれて、観察期間 3 年としたときに、平均の観察期間は repeat user だと 2.2 年で、 temporal user だと 0.8 年ということで、繰り返し来られた方を対象にして、比較的長期の観察が必要な稀なイベントを見たという研究をやったことがあるそうです。このような工夫ができると思いますので、幾つかの工夫によって長期のフォローアップもできるのではないかということが 1 つです。

 それから、ほかの医療機関のデータを得ないと正確なイベント発生が不明な状況もあるかと思うのですが、完全に正確でなくても、ある程度自院で把握できて、かつ把握できない程度が比較した 2 群間で大きく異ならないと考えられるような状況であれば、ある程度の比較は許されるのではないかという状況もあるかと思います。ということで、まずはデータを収集、蓄積していくという観点がすごく重要ではないかと考えております。

 あとフォローアップの問題に関しては、例えば途中で脱落、フォローアップから漏れた方とそうではない方とで、どういった背景要因が異なるのかとか、そういった検討を行うのは今後は有用かと考えております。

 今後、本事業の医療情報データベースのみならず、先ほどナショナルレセプトデータベースも出てきましたが、これは将来的な課題だと思いますが、ほかの様々なデータベース同士、必要に応じて互いにつなげて、正確性・信頼性の高い最終アウトカムを得ることが可能な臨床・疫学研究が盛んに実施され、国民の生活の向上、体制づくりを進めるべき、将来的な目標だと思いますが、そのような観点からの議論も多少は必要かと思っています。申し上げたいことは先ほど述べたとおりで、まずは優先順位をきちんと考えていく必要があるのかと思っております。

 最後に、何のためのデータベース事業なのかというところに常に立ち返って議論をさせていただければと思っております。以上です。

○永井座長 ありがとうございました。続いて山本構成員から、医療情報の専門家のお立場から、また前回、最後に御提案いただいた「パーソナルデータに関する検討会」における取りまとめの方向・概要等について、御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山本座長代理 資料 2-3 を御覧ください。それから資料 2-3 の参考 1 2 がありますが、適宜御参照いただければと思います。大江先生、松村先生がいらっしゃる所で、私が医療情報を書いてもおこがましいのですが、前回お約束したように、個人情報保護法制の見直しの方向性を報告させていただくことも踏まえて報告いたします。

 スライドの 2 枚目に「論点」と書いてありますが、最初は前回言った話です。こういった議論はきちんとしたエビデンスに基づいてやるべきで、まだ十分分析も始まっていない状態で、机上の空論ばかり闘わせても余り意味がないと思います。ですから、まずはしっかりと稼働させて、何が限界なのかを客観的につかまえられる形で出すべきだと考えております。その次に個人情報保護法制の見直しからお話をさせていただきたいと思います。

 スライドの 3 枚目を御覧ください。これが昨年 12 22 日に IT 総合戦略本部で決定された制度見直し方針です。この概略がスライド 3 にありますが、少し細かいのがスライド 4 に目次だけ挙げており、 I II III IV と分かれていますが最初は背景で、現在の個人情報保護法制下で様々な問題が起こってきています。 1 つはデータの利活用が十分に進んでいないということと、諸外国と我が国とは制度が少し違っているといったことが問題意識として捉えられてきています。

 方向性としては、フェアユースというか、ちゃんとしたデータの利用は促進するのだと。その一方で国民にとって、プライバシーが保護されているということを安心していただくための法制度にするといったことが言われています。

 具体的な見直し事項ですが、 1 2 3 4 とあります。ここでちょっと分かりにくいのですが、少し濃い字と薄い字があります。濃い字で書かれている所が間違いなくやると決めた所で、薄い字で書かれている所は検討するということを決めていて、スライド 3 の「今後のスケジュール」にあるように、今年の 6 月に大綱決定をして、パブリックコメントを出すわけですが、それまでの間に検討を行って、実際に大綱にどう反映させるかはまだ確定ではありません。

 あまり詳しい話をすると時間ばかり取られますので、少し我々にとって重要であろうと思われるところをかいつまんで申し上げます。まず一番大きなのは、今までの主務大臣制だけではなく、第三者機関、プライバシー・コミッショナーの体制の整備が決められたこと。これによってブライバシー保護の司令塔が統合されるというか、ここで様々な実際の指針とか、そういったことが議論されて公布されることになろうかと思います。

III.2 にある「個人データを加工して個人が特定される可能性を低減した」というのは、ものすごく持って回った言い方をしていますが、要は匿名化という言葉が余り現実的に定義できないことがあって、匿名化という言葉をできるだけ使わないようにしようということで、「個人が特定される可能性を低減したデータ」、これを一体どうすれば扱えるのかということの取扱いを決めていこうということです。

 この事業として最も大きいのは、今まで我が国の個人情報保護法には機微性の概念がなかったのです。つまり、センシティブなデータなのか、あるいは単に個人が識別できるだけの住所、氏名みたいなデータなのかということが区別されていなかったのですが、センシティブデータの概念を導入するということは決まりました。では、センシティブなデータをどう扱うか、どうやって決めるのかは別途検討ということになっていますので今後の議論になります。それがスライドの 5 で少し詳しく説明しております。

 個人が特定できるか、特定できないかはこういうデータベースを使った検討では非常に重要になるわけですが、これを検討したパーソナルデータの利活用に関する検討会には「技術検討ワーキング」というのがあって、東北大学の佐藤先生が座長をされていましたが、そこで匿名化という言葉の再検討をされました。これがスライドの 6 です。

 そこに書かれているように、いかなる個人情報に対しても、非識別、非特定。識別というのは誰か分かる、特定は 1 人であることが分かるという意味ですが、こういった加工できる汎用的な方法は存在しないということで、一般的にそういうことを言うのはやめましょう。そうではない状況に対して合理的な特定性の低下とか、合理的に個人を特定できる可能性を下げた場合に、どう扱ったらいいのかということを改めて検討すべきであると言われています。今後はこれに従って、今年の 6 月に大綱が作られて、来年 1 月の通常国会に法案を提出するというスケジュールになっています。

 御承知というか御存知の方も多いと思いますが、厚生労働省では個人情報保護法の医療個別法の検討がなされておりましたが、今、一応この動きを踏まえてということになって、止まっています。こちらのほうが確たる方針が定まった、方向性が定まった時点で、ではどうすればいいのかという議論がまた始まるのではないかと考えております。

 もう 1 つのテーマである対象を拡充するためにどうするべきかということで、これは赤沢先生、山口先生から薬剤疫学あるいは統計学の立場からのお話がありましたので、私は単に情報を扱うということからお話したいと思います。

 今、大江先生が座長をされているワーキンググループで、 10 の病院あるいは医療機関グループが情報を一定の標準化をして、つまり比較できるような形にして集めるという作業をするだけで、ものすごく大きな作業量が生じていて、そう簡単ではないのです。これを地域連携、つまりその病院が属している診療所あるいは小規模医療機関も含めて、その情報を利用できる形で、つまり正確性を確保したきちんと評価できる形で集めてくるのは、口で言うほど簡単ではないと私は思っています。

 口で言うほど簡単な状態がいつまでも続けばいいのかというと、そうではないと思いますので、少しアメリカの事例を紹介したいと思います。それがスライド 8 HealthIT.gov というページで、こういった省庁があるわけではなくて HHS の一部です。ここで様々な医療機関というか、実質的には診療所がターゲットですが、診療所に対して EHR を導入することに対してインセンティブを与えるという政策を実行しているところで、米国の場合は相当の額の予算を掛けております。

 これは御承知かと思いますが、米国の場合、診療所の IT 化はほとんど行われていなかったのですが、この政策がとられてから急速に進んでいます。なおかつ、ない所に入れたという強みがあるのですが、スライド 9 にある HITECH Act Meaningful Use of Health IT とありますが、ここに Stage1 Stage2 Stage3 というのがあって、目的が定められています。こういったことが実現できるようなシステムを入れると、インセンティブを与える。 5 年たったら、こういったことが実現できるシステムを入れてない所にはディスインセンティブを与えるという政策をとって、この 2 3 年見ていると、相当程度進んだと思います。やっていない所がやるときに、ちゃんとしたのを入れるというのは、今まで日本の近隣でもたくさんあって、我々としては反面教師になってしまったみたいなところがあります。

 では、我が国の場合どうかというと、ほとんどの医療機関には IT システムが入っているのです。入っているのですから、逆に言うと、莫大なインセンティブを与える必要はなくて、ごく僅かなインセンティブによって誘導可能だと考えれば、そろそろこういう明確な目的を持った政策を打つべきではないか。これを 5 6 年やっていれば、 5 6 年で情報システムが入れ替えられると考えられますと、 10 年もたてば多くの医療機関が一定程度の正確性を確保したデータを出そうと思えば出せる状態。つまり、必ず出すというわけではなくて、出そうと思えば出せる状態にできるのだろうと思います。

 スライド 10 とスライド 11 はドイツです。私は 2007 年でしたか、ドイツに行って話をしたときに、日本に比べると考え方の点でかなり保守的で遅れていたような気がしたのですが、ここ数年で国を挙げた医療情報の活用のシステムがものすごく進んでおり、ドイツの場合は、日本でいう保険者ですが、疾病金庫を活用して、疾病金庫が全加入者に対して一定の能力を持つ IC カードを配布し、去年の最後には 99 %ぐらい配布し終わったのです。

11 ページにあるようなプロフェッショナル側のカードも既に配布し終わっていますので、この 2 つを使って、患者の意思を明確に確認した状態での情報の取扱いができる仕組みを実現した。フランスはもう少し早く実現していましたが、ドイツも実現したということで、これも我々は議論はずっとやっているのですが、なかなか実行できていないというところで、いつまでたっても患者の意思を IT システム上で合理的に確認できない状況が続いています。

 最後は、もしも米国のような Meaningful Use なものを進めた場合に、診療所とか小規模病院は、このデータベースでも非常に重要なファクターである検体検査を、自分たちの施設ではほとんどやっていないのです。やっていない施設に標準化をしろというのは非常に大きな負荷になりますので、臨床検査センター、検査会社等にその情報の標準化をやっていただこうというシステムの仕組みで、これはいわゆるクラウドシステムとして経産省の事業で作って、今、かなり詳細な仕様を公開しているところで、こういうのを使っていけば、そんなにコストを掛けずに進めることが可能ではないかと思います。部品は大分そろってきていると考えていいと思います。

 こういうことをやっていかないと、薬剤疫学に使えるようなデータを、地域からきちんと集めることはそう簡単にはいかないのではないか。むしろこうやっていくのが大変なように見えますが、一番近道ではないかと考えています。以上です。

○永井座長 ただ今から意見交換を行います。時間の都合もありますので、論点を整理しながら、課題ごとに御意見を伺います。この事業の継続必要性の評価、廃止やむなしというレビューが出ていましたけれども、これまで前回からいろいろ御意見を頂いておりますけれども、基本的にはこの事業は有用であるという御意見が多かったように思います。行政事業レビューを受けた見直しとして、この件について御意見を頂きたいと思います。

 現在は 10 拠点で構築が進められております医療情報データベース基盤整備事業ですが、このデータを活用することによって、副作用の自発報告の限界を補うということ。更に医薬品等の安全対策の実施につながるという目的から考えると、これは有用である、必要であるということでいかがでしょうか。もちろん限界はあるわけです。何でも分かるわけではない。しかし、こういうものを基盤としてどう使うかということ、そしてここから更に充実していくということではないかと思いますが、そういう整理でいかがでしょうか。

 よろしいでしょうか、ここがずれると後の話が噛み合わなくなります。これは、やはり診療データを使った観察研究ということですので、そう何もかも厳密に分かるわけではないのです。しかし、数を増やすことによって、いろいろな問題はある程度カバーできるだろうということと、更に精緻化していけば、もっと良くなるだろうということかと思います。先ほども数字が出ましたけれども、 1 万人に 1 人起こるかどうかという話を分析していくには、やはりこういうことを進めていかないといけないと思います。そこはよろしいでしょうか。

○青木構成員 すみません、御質問の意図を確認したいのです。資料 1 のスライド 5 にある、先生がおっしゃられたのは、マル2のことを質問していらっしゃるのか。少し気になるのはマル3の、「マル2が満たされるとして、国がどこまで国費を投入すべきか」ということも含めて合意を問うていらっしゃるのかを確認したいのです。

○安全使用推進室長 事務局から補足させていただきます。国費をどこまで投入すべきかの所については、確かに事業のあり方の中でも課題としては挙がっております。次回議論していく中でも出てくる事項かと思いますので、そのときにまた具体的な議論をさせていただければと思っております。

○青木構成員 その意味であれば、マル2については全く合意です。

○永井座長 この効果が見込めるかどうかというところに議論のずれが起こっていたのだと思うのです。つまり、そもそもの狙いがナショナルレセプトデータの構築ということで効果が見込めるかと言われたら、それは論点が違うのではないかということだと思うのです。マル2については、 1 万人に 1 人に起こる重大な事象をつかまえるには、まずこの程度のことはやらなければいけないだろうと。そういう意味で私は、マル2は何の効果と言われれば、 1 万人に 1 人の重大なイベント効果が見込めるということです。

 ナショナルレセプトデータの構築を効果と言うのだったら、これは見込めないということになります。ただ、国費をどこまで投入すべきかというのはまた別の議論になりますので、それは事務局から説明をしていただけるということです。

○安全使用推進室長 運営のあり方なども今後関わってくる部分かと思いますので、次回以降の議論とさせていただければと思います。

○永井座長 分かりました。それは後ほど議論することにしたいと思います。続いて、今も少し議論になりましたナショナルレセプトデータベースとの関連性についてはどうかということです。御指摘が、行政事業レビューであったわけです。赤沢構成員から、それぞれの特徴について御説明がありました。両者は補完的な関係であるということ、将来的にリンケージが可能となれば、お互いのメリットを最大限生かすことができるということです。ただ、このリンケージの可能性については、山本構成員から御意見を頂けますでしょうか。

○山本座長代理 ナショナルレセプトデータベースの構築が決まって、実際にその設計に入る頃に、私は内閣官房の医療評価委員会の座長をやっていました。そのときに、匿名化は絶対反対であると。議事録に残る形ではあまり言っていないのですけれども、事務局に対して、出す以上はそれは絶対にやめたほうがいいということを言い続けて、随分保険局をいじめたので、多分後にナショナルレセプトデータベースの有識者会議をやらされているのだと思うのです。個人的には使う、使わないという問題は先に置いておいて、データベースに蓄積する時点で匿名化をしてしまうというのは、私は絶対に反対です。もし、これが何かあった場合に、絶対に患者さんには戻らないデータベースなわけです。ですから、これは絶対に反対だと言い続けておりますし、今でも言い続けています。

 これは、リンケージをするかどうかとは全く別問題でということを大前提に申し上げますけれども、今回の次期 NDB の調達には、個人を識別できる ID が作成された場合には、それを格納する領域を考慮することというのが入っていたと記憶しています。したがって、今更その名前や保険番号をハッシュから外すというのはなかなか難しいのですけれども、それにプラス個人が識別できる情報を格納する可能性は十分にあると考えています。

 ただし、そうはしてもリンケージをしていいか、あるいは使ってもいいかというのとは全く別問題の話です。そうするためには、それによって生ずるプライバシーリスクであるとか、あるいは医療機関に対する斜めから見た批判であるといったことが起こっては、誰も協力をしてくれなくなって、データベース自体が崩壊することになりかねないわけです。そこが十分に検討されて、そういうことは間違いなく起こらないことが確認できた上で議論をする、というように考えていきたいと考えております。

 したがって、先ほどの個人情報保護法の関連とか、私は個人情報保護法だけではなかなか難しいと思っているのですが、そういう制度整備、あるいは周りの理解等が十分に進んだ状態で、これはリンケージの有無というようなことは改めて考えていきたい。ただ、やろうと思ったときに絶対できないというようなことは避けたいと考えています。

○永井座長 今の状況では、やろうと思ってもできないということですか。

○山本座長代理 今は全く無理です。

○永井座長 データベースには、断面的なデータベースと、時間軸の入った長軸的なデータベースとあるわけです。 ID がないと時間軸は絶対に入らないわけです。

○山本座長代理 そういう意味では、ナショナルレセプトデータベースは、現状では特定健診とレセプトをつなぐのは大変難しいのですけれども、レセプトだけでしたら比較的時間軸は入っています。保険者が変わって、名前も変わってしまうと駄目なのですけれども、そうでなければ一応追えるようにはなっています。特定健診との紐付けはかなり悲観的です。

○永井座長 今回の副作用との紐付けはできないと。

○山本座長代理 それはできないです。

○永井座長 時間軸はある程度はできるけれども、他の情報とのリンクはできないと、かなり限定的なものであるということですね。こちらは、このデータの中では正確に時間のフォローアップができると、時間軸を入れられるということですね。ちょっと構造が違うものだということです。

○大江構成員 もう 1 つ、この 2 つのデータベースの非常に大きな違いは、この検査値のところだと思うのです。ここはあまり議論されないことが多いのです。特に本事業の副作用をどう捉えるかなのです。必ずしも病名や治療行為にまで変化が起こるような大きな副作用ではなくて、検査値の異常がある程度続いて元に戻るというような変動は、この検査値がないと捉えようがないわけです。そういうところをもっと生かすような利用の仕方を考えることも大事でしょう。

 道具というのは、全く同じ特性を持って、同じところが得意で、同じところが苦手な道具を 2 個持っていてもしようがないのでしょうけれども、このデータベースのように検査値が豊富に入っているデータベースは、他のデータベースでは全くできない特性を持っていますから、この道具をいかに組み合わせて、道具をどのように上手に使うのかというのが必要なのであって、そういう道具は要らないというのは、そもそも議論がおかしいと私は思います。

○永井座長 例を挙げると、コレステロールを下げる薬にスタチンというのがありますけれども、それは筋肉の障害を起こします。激しい場合には、横紋筋融解症とか、急性腎不全が起こります。そういう病名が付いたら、非常に貴重なデータですけれども、病名がない、あるいは発症しない場合、クレアチンキナーゼという酵素値、あるいは何らかの肝機能の数字が軽度上がっている、中等度上がっている、でも症状はないという人がどのぐらいの頻度でいるのか、それを知るだけでも非常に意味があるわけです。そうすると、レセプトデータがなくても検査値でいろいろな分析ができる、むしろそちらのほうがより鋭敏に検出できる可能性があります。いろいろなことが検査値から分かってくるということだと思います。

○大江構成員 もう 1 つは、赤沢先生が御説明くださった 1 ページ分の表の中で、 1 つだけもしかすると実情と違うかなと思う所は、アウトカムの病名の所で、レセプトに比べて医療情報 DB の信頼性が高いと書かれているのですが、ここはそうあればいいのですけれども、現実には多分医療情報 DB の傷病名レコードの傷病名と、レセプトの傷病名レコードはほぼ 1 1 で同じ状況にあることが多いので、必ずしもレセプトに比べて信頼性が高いとは言い切れないかと思います。

 ただ、本当はそうあってほしいですし、こういう新しいデータベースの価値を高める上でも、恐らくこういうデータベースが使えることで、やはり電子カルテの中の記録する傷病名と、レセプトの傷病名をきちんと区別できるように記録していかないといけないのだということが認識されていくと、良くなってくるのではないかと思います。

○赤沢構成員 ありがとうございます。私も、正しいという意味で書いたのではなくて、確認するすべがあるという意味で、いわゆるレセプトデータベースでは全く確認が取れませんけれども、こちらではいろいろな情報を集めて検討ができるだろうという意味です。

○大江構成員 総合的に照合・検証ができるということですか。

○赤沢構成員 はい、そうです。

○青木構成員 先回も、一般化可能性の問題よりもむしろ重要視したいのは価値の問題であると発言させていただきました。その趣旨というのは、リンケージを必ず必要かというと、これは必ずしもそうではなくて、適材適所でこのデータの長所を使っていけばいいというのは全く賛成です。先ほど永井先生がおっしゃられたような、例えばクレアチニンを筋障害の確認として見るというアプローチをする際においても、例えば筋障害の既往のある患者さんと、そうでない患者さんを比べようとしたときに、これは安全監視としてなかなかうまくいかない部分がある。

 これは、本事業のあり方のそもそもの後に続く言葉がナショナルレセプトデータということではなくて、飽くまでも安全性監視、医薬品の安全性の監視が狙いなのであって、安全性の監視にとって損なうものがどれぐらいあるか、価値のあるものがどれぐらいあるか、その中で議論すべきかと思いますが、いかがでしょうか。

○永井座長 すみません、論点がよく分からなかったのですが。

○青木構成員 リンケージは必須ではないということは賛成なのですが、例えば、仮にクレアチニンの検査値を確認するとしても、その患者さんの以前の治療としてどのような治療がなされていたとか、既応歴があるかどうかを確認して、その患者さんの補正をするというアプローチがどうしてもデータベース研究の比較研究の場合は必要になることがあります。

 その際に、リンケージがないことが安全性監視上大きな痛手になることは確かにある。今後の議論の中で国費をどこまで投入すべきかという議論でむしろすべきだと思うのですけれども、リンケージをすべきであるとか、すべきではないということではなくて、議論の焦点は、このデータのそもそもは何か、医薬品の安全性監視の視点でどれぐらいの価値があるものか、という議論の視点が重要ではないかと思ったのです。

○永井座長 先ほどの筋障害というのは、クレアチニンキナーゼです。これは、別に過去の既応がなくても、ベースラインは大体安定していて、薬を飲んで、どこかの時点で上がってきたという人がどのぐらいいるかということですから、必ずしもリンケージは必要ないのだと思います。リンケージがなくても、いろいろなことが分かる。そういう例をたくさん挙げる必要はあると思います。薬剤疫学で土屋先生はいかがですか。先生はいろいろ見てこられたと思いますが、安全性ということです。

○土屋構成員 私も、こういうことが必要だというのが、ずっと昔からいろいろやってきても、とにかく分子の話で、例えば先ほどのタミフルでもそうですけれども、異常行動を起こした人のうち、タミフルを飲んでいる人が何人、飲んでいない人が何人と幾ら言われても、それを判定することは全くできないわけです。今までやってきた話が全く無駄だとは言いませんけれども、やはり科学性をきちんと持たせるためには、きちんとしたデータを出してきて判断しないことには無理だということがあるわけです。

 そのときに、いわゆるナショナルデータベースのほうの特性が使えるものもあれば、特性が使えないものもある。最近だと常用量を使うということであっても、基本的には常用量かもしれないけれども、それの検査値が悪ければ、やはりこの常用量を使うこと自体がオーバードースになってしまっていることと同じ意味があるとか、そういうことがいろいろありますので、やはりここでの議論としては、こういうものの必要性というのは疑う余地はないのではないか。

○永井座長 リンケージができて悪いことはないのです。

○土屋構成員 そうです。

○永井座長 先ほどのクレアチニンキナーゼで、例えばレセプトデータで横紋筋融解症という名前が付いていると、更に意味が出てくると思います。それがないまま、 CK だけの数字を見ていると、何もなくても特発性高 CK 血症という方も結構いて、その人たちとの区別ができない。レセプトデータで横紋筋融解症を見たときに、頻度が高ければもっと意味が出てきます。精緻化していく上では、情報はあって悪くはない。

○赤沢構成員 私が先ほど説明した中で、本当にこのデータベースを使うことによって有害事象の確認、発現頻度、比較可能性的なものはできると思います。ただ、そのときに何か予想と違ったり、他に説明できないようなこと、若しくは測定できないものが影響するかどうかという判断をするときに、無いということを証明するのは非常に難しいということを、例えばその病院だけを使っているのか、そうでないのかという話は判断できないので、そこをきちっと把握した上で議論すればいいかと思っています。だから、決して無駄という意味ではなくて、非常に有効だと思っています。

 ただ限界もありますということですし、各国で先行されている研究も、その点は非常に皆さん苦労されているのです。先人に学ぶというか、今まで海外でどういうことが行われて議論されてきてという話も踏まえた上で、このデータベースをどうやって使っていったらいいのかということを議論していただければ、恐らく一番いいのではないかと考えます。

○永井座長 まだ議論があると思いますが、後ほど戻っていただきたいと思います。データベースの必要な規模についてはいかがかということです。赤沢構成員から、副作用発現頻度を求めるにも、服用患者数、あるいは期間は薬剤ごとに異なるということで、一概にどの規模であるかという妥当性は言えないということ。また、山口構成員からは、データの正確性が重要であり、データの精度を向上させるために、サンプルサイズを増やすことが重要だということでした。また、因果関係の証明には、欧米のように数千万人規模のデータベースの有用性がある、という御意見を頂いております。

 データの規模については、薬学研究のお立場から、川上構成員が、日本のセンチネル・プロジェクトの提言をなさった懇談会の委員でもありますので、御意見を頂きたいと思います。

○川上構成員 資料 1 5 つ目のスライドにもある「本事業のあり方」とも関連するのですが、行政事業レビューの指摘でも、「データ数もせいぜい数百万人分しか集まらず、廃止すべき」という御意見の根拠にもなっていると思うのです。今、この基盤整備事業を行っていて、最初が 100 万人、あるいは数百万人規模のデータベースであったとしても、基盤を整備するためにはどういう取組が必要であるのか、そこから具体的にどういうことが言えるのか、ということを具体的な事例として示すことが、我々がゴールとして設定した一千万人規模のデータベースを構築していくことの意義やメリットを導き出すことにつながると思うのです。現時点としては、本事業のデータベースはまだその規模に達していないからといって「廃止すべき」というのは、ちょっと時期尚早な結論ではないかと考えます。

○永井座長 過去に象徴的な出来事として、アクトスの膀胱がんの話がありました。数百万人のデータで、フランスで調査したときに膀胱がんがやや多いということだったと思います。そういうデータが出たのはともかくとして、日本がこれに対して何も反論しなかったのです。一千万人あればもちろんよいでしょうけれども、 50 万人を調べたところこうだったぐらいを言わないといけない。ところが全く発言しなかったわけです。だからあの報道が本当かどうか、日本の状況がどうなっているかということは我々も分からないわけです。

 つまり情報化時代というのは、いろいろな情報が飛び交う。それに対して完璧な論理、完璧に正確なデータでなくても、取りあえず現状としてどうだということを言わないといけないのだと思うのです。それが日本は今できていないという現実があるということです。製薬団体連合会ではいかがですか。

○青木構成員 私はそのアクトスを販売している会社の者ではないのですけれども、やはり反論したかったという声を聞きます。その中で、日本におけるデータベースが価値のある形で使えるものがないということを嘆いているという意味で、このプロジェクトに関しては、是非貢献したいという考え方で一致しております。

○永井座長 一千万人あったらもちろんよいのですけれども、 300 万人だから意味がないということではなかったと思うのです。フランスもせいぜい 200 300 万人のデータからものを言っているわけです。

○青木構成員 ここは山口先生も、赤沢先生もおっしゃられていますけれども、例えばアクトスの膀胱がんの場合はリスクが発症するのが随分遅くなるということの問題があって、観察期間の長いものをやろうとすると、これはかなり限界があるのではないかというのが正直なところです。この事例でいうと、少しリンケージがないことの残念さというのはあると思います。

 本日の御議論にあるように、例えば投与 1 か月以内の間質性肺疾患のような、ものによっては非常に大きな問題もなくやれるものもあるでしょうし、長期観察が必要なものの場合は、特段観察期間がそれほど長いものがないことに加えて、脱落が無作為性でないというのでしょうか。山口先生に少し補完していただきたいのですけれども、要するに患者さんが転院するということが、無作為に発症するわけではないこともあって、そのことが情報のゆがみを生じてしまうようなことがあって、その点からすると、もしアクトスの膀胱がんをこのデータベースでどれだけ補完できるかというと、少し疑問なところがあると思います。

○永井座長 その真実は何かという話と、現状はどうかという話を分けて考える必要があって、真実は今すぐ分からなくても、現状はこうだという説明はあって然るべきではないかと思うのですけれども、山口先生はいかがですか。

○山口構成員 青木先生がおっしゃるとおりで、脱落 1 つ取っても単純な、本当にランダムなというか、引っ越してしまったとか、いわゆるその情報がないような脱落ではなくて、アクトスのケースの場合は何かしら多分情報があった上での脱落で、そういう意味で先ほど申し上げたとおり、正しいほうの正確かつ精密性、精度が高いアウトカムを得るためにはフォローアップも重要です。

 ただ、できる範囲のことというのは限界がありますので、現状としてここまでできて、ここまで言える、ここから先は言えないというそこの判断根拠も含めて、たとえまだ一千万人までいっていなくても、数百万人でも現状でこのような形の規模で事業を続けていく必要性というか、重要性を私はすごく認識しています。

○永井座長 いかがでしょうか、何か御発言はありますか。

○赤沢構成員 先ほど、リンケージがなければいけないという話をちょっとしてしまったのですけれども、実はお互いのデータベースは先ほど補完的だと言ったように、あるきちっとした臨床情報が必要で、きちっと評価したいようなものはこのデータベースは非常に使えます。今言ったような長期的な評価で、ある程度アウトカムの信頼性は薄いかもしれないけれども、長くいろいろなことを評価したいということであれば、ナショナルレセプトデータベースというものがある。

 例えば副作用の問題に対して、どちらのデータベースを使ったらいいかということも含めて議論した上で、やはり今この評価に関しては、この診療情報データベースが必要だという話があるのかと考えています。我々もやるときは、今はレセプトベースでできるものと、診療情報がなければできないものと分けて、どちらを使おうかということを考えます。そういう意味ではリンクしなくても、補完的に使える可能性は非常に高いと考えています。

○永井座長 今の点はよろしいでしょうか。少なくとも、一千万人でないから意味がない、中止すべしということではないのだということです。赤沢構成員からお話が出ました、医療情報の保存期間の問題です。長期間追跡調査が可能なデータとするためには、保存期間の問題があるということです。現在、医療機関における電子データの保存状況、保存期間の運用実態、あるいはこの事業のデータベースの保存期間について大江構成員からお願いいたします。

○大江構成員 本事業は始まったばかりですので、保存期間は今のところ過去データを削除するというようなことは想定されていないと思います。あとは、今後どれぐらいこの事業が続くかということにかかっているのではないかと思います。ただ、それの基になる医療機関側の電子カルテのデータベースは、私の所も含めて通常は、例えば 5 年たったから、 6 年以上前のものはデータベースからわざわざ削除するといった、大変手間のかかることはしていないのが普通ですから、蓄積され続けている所が多いのではないかと思います。ただ、全ての電子カルテ医療機関がそうかと言われると、今すぐに調査結果を持っていませんので分かりません。松村先生、大阪大学などはいかがでしょうか。

○松村構成員 システム構築以来 20 何年間のデータが全部溜まっています。

○永井座長 できるだけ長期間保存するということですね。

○赤沢構成員 先週お話したとおり、長い間使っていって、これから蓄積していったときに、いわゆるばく露期間が長い、いわゆる後から使って出てくる副作用が発現できるということもあります。この 1 つの目標として、例えば政策的に安全性情報が出たときに、どのように使い方が変わったみたいな話も結構目的の 1 つとしてあったと思います。

 そのときに、添付文書が変わったからどういう影響をしたのだろうと、過去のデータを見ると、ほとんど今使えるようなデータベースには過去の情報がないので、既にその評価はできないのです。ただ、これからどんどん蓄積していくと、添付文書が変わったことによって使い方がどう変わったか、若しくは副作用がどう軽減したかという政策の評価みたいなことにも使えると思いますので、是非長く記録していただいたほうが、いろいろなことができるのではないかと考えています。

○青木構成員 先ほどの 24 万という数字を参考資料で提示していただきましたが、これは飽くまで無作為化臨床試験のように、比べたい 2 つの治療が全く同じ背景であったことを想定している数字であって、現実性の問題とすると、かなりレベル感が違うなと思っています。

 例えば、患者さんの容体で恐らく処方が違うので、それを 9 1 ぐらいの重い方にはこちら、軽い方にはこちらというような処置を、患者さんの容体として補正すると、例数が数倍に増えると思うのです。その辺のところもきちんと国民に誤解のないようにお話していただいたほうがいいかと思います。

○永井座長 先へまいります。データの代表性について、一般化可能性です。前回、大江構成員から、レビューにおける指摘で、東大が特殊であるということについて、大学病院で、私もたくさんの患者さんを診ていましたけれども、普通の患者さん、生活習慣病の患者さんがたくさん受診されています。

 山口構成員がおっしゃった、糖尿病から透析への移行をチェックできないということですが、これは東大病院だけではなくて、大学病院というのは普通そういうところは難しいと思います。できることと、できないことがあるということです。それから赤沢構成員、山口構成員から、このようなデータベースを利用した欧米の研究でも、いろいろなアプローチで、一般化可能性の確保のための工夫がされているということで御紹介いただきました。松村構成員からは、医学研究のお立場で御意見を頂けますか。一般化可能性ということです。

○松村構成員 今回一番検討したい事項は、薬の有効性というよりは、むしろ有害事象の発症ということかと思います。そうすると、背景因子をどこまできっちり押さえなければいけないかというと、有効性評価よりはもう少し緩やかでもいいのではないかと感じております。したがって、例えば東大病院の患者さんだからとか、そういうことはあまり関係がなくて、要するにその薬が投与されているということ自身が一番大事なのであって、その背景因子が何か関係があるのではないかということをどれほど議論しなければいけないのかというのが、この話では私としては疑問を感じます。

 逆に言うと、しっかりデータが集まる所でまずやってみることのほうが重要であって、今の時点で一般性ということ、特にこの事業についてはそんなに深く考える必要はないのではないかというのが私の個人的な意見です。

○永井座長 一般化と言われたときに、これは日本全国しっ皆調査をやらないと分からないのが本当なのだろうと思うのです。でも、ある程度限られた施設の中で、おおよそでもよいからデータを取ってみる。特に今回の事業は電子カルテから標準化した形でデータを集める、レセプトデータにしても、検査データでも、こういうことを大規模に行ったケースは今までなかったのではないですか。そういうモデルを作るということでも、重要な意味があるように思うのですが、その点は松村先生はいかがですか。

○松村構成員 逆に言うと、こういう事業をやらずにどうやって調べるのだということだと思うのです。例えばレセプトから分かることは、薬がどう投与されたかということはかなりしっかり分かると思うのです。どういう有害事象が発生したかということに関しては極めて曖昧といいますか、限定的だということになると思います。まずはその有害事象がどう発生しているかということを押さえることが重要ですから、それができる方法としては、こういう方法しかないのだと思うのです。これをやる、やらないという議論よりは、精度を高めるために更にどう工夫するかということを議論しないといけないのだと、私は認識しています。

○永井座長 複数の病院をこういう形でつないだという画期性ということも、もうちょっと認識していただきたかったという感じがいたします。ただ、これから精度を高めること、拠点をどう増やしたらよいのか、拠点病院のあり方や、拡充を具体的に公募していくのか、選定基準をどう決めていったらよいか、この辺についてはいかがでしょうか。どういう医療機関に入っていただくかということも含めて御意見を頂けますか。松村先生、最初にいかがですか。

○松村構成員 少なくとも国立大学病院は参加しろと言えば、参加するのではないかと感じました。当然、我々はこういう調査こそしっかり協力しないといけないという意識はあるでしょう。特にそれを拒むものではないと思います。ただ問題はかかる費用が当然あると思いますので、そこは病院負担でというと、ちょっと躊躇するところがあるのかもしれません。もし躊躇するとしたら、その点だけではないかと私は感じています。

○永井座長 いかがでしょうか。医療費から少し回していただくなどというのも 1 つの方法のように思います。すぐには実現しないかもしれませんが、これは医療の質の管理、クオリティコントロールの一環という意味もあるのではないかと思います。

○赤沢構成員 一般化ということを考えたときに、大病院とか大学病院だけではなくて、北は北海道から南はとか、人口がたくさんいる所と少ない所とか、ある意味でいうと、いろいろな種類の、いろいろな病院から出てきたものが、どこでも同じようなリスクが出ますということがあれば、それはかなり強い一般化のエビデンスにはなると思います。施設によってとか、地域によって違うということもある可能性があるので、そのときにこれはこういう理由ですということが説明できると、一般化という意味では強いエビデンスになるのではないかと思いますので、是非可能な所から参加していただくのは当然なのですけれども、いろいろな多様性ということも考えていただけるといいかな、というのは個人的に考えています。

○松村構成員 本調査は、薬に対する安全性評価ということですので、あるタイプの病院群、例えば大学病院と結果が違うということになったときに、患者背景が違うと考えるのか、何かそのデータ抽出過程において何らかの問題点があったと考えるのか、その両方が必要だと思うのです。むしろ可能性としたら後者のほうが高くて、つまり先ほど申し上げたとおり、薬の副作用の発現ということに関して、そんなに大きな地域差が出るとは思いにくいので、むしろ標準的なきちっとした形でデータが出せているかどうかの確認ということになるのではないかと感じます。

○永井座長 今の点はよろしいでしょうか。もう 1 つの論点は、拠点病院と地域の中の中小病院・診療所等との医療情報連携、あるいは特定の患者さんの追跡可能性に関する実効性というところも問題になっているわけです。前回、地域連携については難しいという御意見がありましたけれども、本日は赤沢構成員から、一部で試行的な調査の実施についての御提案を頂いております。山本構成員からは、国内外の地域連携の取組について御紹介いただきました。医療情報提供という観点から考えると、患者の追跡可能性ということが非常に重要ですけれども、本事業でそのような地域連携の実効性があるかどうか、医療情報のお立場で秋山構成員から御意見を頂けますか。

○秋山構成員 地域連携に関しては、前回の検討会の際に大江先生が整理していただいて、言葉がちょっと混乱を招くということだったと思うのです。 2 つあって、 1 つは本日も十分議論がありましたナショナルレセプトデータベースとのリンケージに関しては、否定するものではないけれども、それを前提にするものではないということ。今回のデータベースが地域において、いわゆる PHR personal health record )のような形で用いられるものを前提にしているわけではないと考えれば、そういう使い方をするのではないということに入ると思います。

 他方で、病院の立場に立ってみると、ナショナルレセプトデータベースにデータを出す、それからこの医療情報データベースに出す、様々な所にデータを出しているわけです。 DPC 然りです。そういう場合に、もう 1 点は山本構成員の資料にもありましたが、地域連携は 200 か所ぐらいで起こっていると。私のおります岡山県でもネットワークを作っております。私の所属している大学病院でも数千万円かけて、補助金はありましたけれどもネットワークに接続するゲートウェイサーバーを立てています。そこでもこういう形式で出しているのだけれども、今度新たにこの拠点病院として加わろうとすると、またデータベースを作らなければいけないな、ゲートウェイサーバーを作らなければいけないの、というようなことがあってはいけないということを、前回問題提起させていただきました。

 ですから、 10 個の拠点病院につなぐのも結構大変だという話が今ありましたが、後から増やしていく際に、こういうところに注意しておけば、それぞれの医療機関はそれほど負担なく、例えばシステムを更新する際に、こういうところに気を付けておけばいけるという形にしておいていただけると有り難いと考えています。

○永井座長 確かに地域医療ネットワークというのはあるわけです。あのデータと、今進めている事業のデータがリンクできるかというと必ずしもそうなっていない。基本的に SS-MIX などを使うのでしょうけれども、どうも対応できる範囲があって、これは出せるけれども、これは出せないとかいろいろな問題があります。中小病院や地域の診療所と、地域医療ネットワークでつながっていてもまだ難しい段階だと思います。いずれネットワークがつながれば、長期の追跡も可能になってくるのではないかと思いますが、大江先生はその御事情に詳しいと思うのですが。

○大江構成員 私も、最近いろいろヒアリングをして知ったことがあります。例えば地域医療連携で導入された SS-MIX のストレージでは、全ての患者さんの情報を入れているのではなくて、連携に同意した患者さんのだけを入れている、という標準ストレージもあるようです。事業によって、座長がおっしゃったように、格納している患者さんの範囲だとか、あるいは格納している情報の種類の範囲が異なっているということはどうもあると聞いています。少し時間がかかるのでしょうけれども、これからはある程度多目的を想定したストレージに発展させていくことは必要ではないかと思います。

 もう 1 つは、その上で今回の医療情報データベース基盤整備事業は、標準ストレージも含めて全部この事業で新たに導入しますというやり方でしたので、既にある、既にそういうストレージが入っている医療機関においても、また 2 つ目を入れるというようなことがありました。これは初期の導入ですのでやむを得ないと思っています。今後は、既にあるものをできる限り生かして、コンパクトな拡大導入を図ることが、医療機関を増やしていく重要なポイントではないかと思います。

○冨山構成員 地域医療連携は、私の立場でも多職種連携の推進に向けて重要だと思っています。本事業においては、まずは、 5 年で 300 万程度集まりますので、その中で有用性の検討を先にやるべきと思います。将来的な発展として医療連携はあると思いますが、まずはこのシステムをきちっと構築するほうを考えていただくのがいいかと思います。

○永井座長 中小病院、診療所とつながっていないから意味がないということは言えないということは、結論できると思います。大体時間になってまいりました。本日の議論を少し整理いたします。本事業の継続の必要性でありますが、現在の 10 協力医療機関の基盤整備事業は、医薬品等のリスク・ベネフィット評価を含めた、特に安全対策の向上には有用で、継続実施が必要である。ここはよろしいでしょうか。

 それから、ナショナルレセプトデータベースとの関係性ですが、確かに今つながってはいないということ、現状ではリンクは不可能でありますけれども、薬剤疫学研究で利用可能なデータソースとしてはお互いに補完関係にあるということ。しかし、残念ながら今はつながっていないということです。これは、この事業だけの問題でないのだということです。中長期的にやっていかないといけないわけで、社会的な合意とか、法整備とか環境整備が必要になるということ。将来的に可能になった場合は当然対応することが大事だということかと思います。

 データベースの必要な規模ですが、確かに数千万人規模のデータベースを目指すべきで、まずは一千万人規模を目指す。しかし、 300 万人だから意味がないということではないのだということです。

 保存期間については、一定期間経過後に削除するというのはむしろ考えにくい。本事業の標準ストレージ、統合データソースに蓄積するデータの削除というのは今のところ想定していないということです。

 データの代表性、一般化可能性については、確かにレビューのいうとおり、全国民を代表するデータを提供するものではないということではありますが、それは非常に大きな話で、全部を代表するというのは大きな課題で、まず第一歩として、この事業をきっちり行っていくということ。将来的には、地域の中核病院、中小病院、診療所ともつないでいくということ。今回の事業は第一歩として、またモデルとして標準化したデータを蓄積することができるという意味として非常に重要ということです。

 拠点病院の拡充のあり方、特性については、まず 10 拠点でしっかり作っていくことが重要です。今後は異なる地域、対象疾患、グループ病院の参加を考えていくということかと思います。

 地域連携との関係は先ほどお話しましたように、地域の医療機関における受診データ、処方データは非常に有用でありますけれども、まずは 10 拠点のデータをしっかり作っていくことです。更に今後は地域医療ネットワークとの関係を試行的な調査研究から検討を始める。

 そのような御議論だったと思いますが、何か落ちている点がありましたら御指摘いただけますか。事務局のほうで、あと何か足りない点がありましたら御指摘いただけますか。よろしいでしょうか。そうしましたら、こういう論点を基にして、今後の取りまとめを行っていきたいと思います。今後の検討会に向けて整理をお願いし、また準備もお願いいたします。今後のスケジュールについて事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料 3 の今後のスケジュールを御覧ください。前回、御提示したものと同じものです。第 3 回は 2 24 日を予定しております。先ほど示しましたように、今後は医療機関等における参加の意義・メリット等について、本事業の運営のあり方等について御議論いただく予定になっております。第 4 回は 4 2 日、第 5 回については 5 月から 6 月頃をめどとしているというスケジュールになっております。

○永井座長 以上ですが、本日は時間がありませんので、もしお気付きの点、御意見等がありましたらメール等で事務局へお寄せいただければと思います。本日の検討会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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