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2013年12月16日 第5回 地域の就労支援の在り方に関する研究会(第2次)

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成25年12月16日(月)  10:00~12:00


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室(12階)


○出席者

【委員】

松爲座長、井口委員、石原委員、小川委員、金塚委員、眞保委員、清家委員、高井委員、玉栄委員、中川委員、成澤委員

【事務局】

内田高齢・障害者雇用対策部長、藤枝障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、新井地域就労支援室長補佐、近藤地域就労支援室長補佐、竹中地域就労支援室長補佐

○議題

1.障害者就業・生活支援センターの在り方について
2.その他

○議事

○松爲座長

 おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまから、第 5 回地域の就労支援の在り方に関する研究会を開催いたします。カメラは御遠慮のほど、よろしくお願いいたします。本日欠席されている委員は、岡元委員、菊池委員、鈴木委員の 3 名です。前回同様、発言される場合には手を挙げて名前を言っていただき、それから発言するという手続を踏まえたいと思いますので、よろしく御協力をお願いいたします。

 早速、本日の議題に入ります。本日はお手元に資料と議事次第が 2 つあります。 1 「障害者就業・生活支援センターの在り方について」、 2 「その他」です。

 それでは、事務局から第 1 番目の議題について説明をよろしくお願いいたします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 地域就労支援室の近藤でございます。資料について御説明させていただきます。このたびの資料についても、前回の資料と同様の構成とさせていただいており、第 1 回で御議論いただいた論点について、これまで皆様からいただいた御意見から、その対応の方向性を幾つか挙げさせていただく形になっております。

 参考 1 は、前回と同様、第 3 回までの皆様の御意見を載せておりますので、必要に応じて御参照ください。

 それでは、 1 「質的課題」についてです。対応が難しく、かつ、数も増加している精神障害者等への対応をどのようにすべきかです。御意見としては、利用者一人一人をアセスメントすることが必要であるが、そのためには人材育成が必要。支援員の能力向上が必要。研修は整備されているが少な過ぎる。精神障害・発達障害については、専門性のある人材を確保又は育成することが必要。医療機関への働き掛けが必要、といったものを頂いております。

 これらをまとめて対応の方向としては、マル1研修の強化を図るべきではないか。マル2医療機関にいる外部専門家の活用促進を図るべきではないかとさせていただいております。

 「職場定着支援の強化」についてです。御意見としては、大都市圏では、社会的資源が複数存在するので、障害者就業・生活支援センターの役割を明確にして、コーディネート役を行っていくことが重要。場面ごとに支援者が代わると企業もどこに相談してよいか分からなくなるので、障害者就業・生活支援センターにコーディネート力を期待する。会社との連携が重要であり、ときにジョブコーチを活用することも有効。他機関との連携も必要。障害の評価や課題ごとにどこを利用すべきか困っており、これをコンサルティングする機関が必要とのこと。また、圏内全域でくまなくジョブコーチ支援をするためには、例えば、障害者就業・生活支援センターにジョブコーチを配置してはどうかといった御意見。スタッフが少なく、体制の見直しが必要といった御意見がありました。

 これを受けて、マル1障害者就業・生活支援センターの定着支援機能や、コーディネート機能の更なる強化を図るべきではないか。マル2このために経験豊富なジョブコーチを障害者就業・生活支援センターに配置してはどうかとさせていただいております。

 障害者就業・生活支援センターの支援水準の引き上げ関係です。現行の経験交流会を地域特性や対象者に多い障害特性等の観点で類似するところを集めて開催するなどの工夫をしてはどうかという御意見。都道府県単位の情報共有、研修等の工夫を行ってはどうかという御意見。また、評価は数字の定義等を統一したり、支援実態等を把握することが必要。就職件数等の数のみで判断すべきではなく、支援の質も考慮すべき。受託法人の理念や地域格差があり、それが結果の差につながるのはある程度は当然といった御意見がありました。

 以上から、マル1障害者就業・生活支援センター間の情報共有、ネットワーク形成のための取組を充実させてはどうか。マル2障害者就業・生活支援センターの実績の適正な評価のための評価方法を検討してはどうかとしております。

 

○松爲座長

 この後、量的な分に関しては、また後で説明していただくとして、第 1 番目のテーマ、質的課題について皆さんの御意見を伺いたいと思います。御自由にどこからでも結構ですので、どうぞ御発言ください。どうでしょうか。

 

○眞保委員

 高崎健康福祉大学の眞保です。( 1 )の特定の障害への対応強化の所なのですが、一番最後に書かれている御意見、石原委員、高井委員がおっしゃった件で、私もちょっと考えるところがありまして、今、企業が精神障害者を雇用する際などは医療との連携を必ずやっていますが、その際に、単に通院の日、あるいは時間を設けるということではなく、短時間勤務を推進していく中で、空いている日にち、あるいは午前午後等でデイケアを活用し、デイケアのソーシャルワーカーと連携して医療と密接に関わっているというようなこともありますので、医療機関への働き掛けの際にデイケアの活用、あるいはデイケアで就労に携わっているソーシャルワーカーの方に、何らかの働き掛けをしていくようなことが必要ではないかと思っています。以上です。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。医療機関との連携は非常に大きな課題になっていますが、皆さん、どうでしょうか。

 今のお話で、医療機関を利用しているデイケアの人たちが、短時間就労で活用するということですね。そういった事例は何かありますか。皆さん何か経験は。あるいは初めてお聞きになるような話ですかね。

 

○清家委員

 ワーキングトライの清家です。医療機関、デイケアから就職につながっていくとか、デイケアの人たちが私たちのようなナカポツセンターに御相談に来られることがとても多いですね。これまでもお話してきましたが、逆にナカポツセンターが医療機関の中に入っていき、デイケアの利用者の方たちに就労支援センターはこのような支援をしていますとか、このような制度がありますというようなお話を、メンバーとスタッフの方たちにお伝えすることをしております。これから精神の方たちをたくさん就職につなげるという上では、私たちはどんどん医療機関に出向いていくというか、入っていく必要があると思います。

 

○松爲座長

 分かりました。おっしゃるとおり、デイケアというのは医療中心ですから、就労に関してはこういう機関があるなどの情報が、まずないということと、デイケアを利用している人たちが働くことのイメージがどこまでできているか分かりませんから、逆にこちらから積極的に出掛けていって、情報を提供するという機能は十分考えられることなのですね。ほかにどうでしょうか、デイケアの活用については。

 

○金塚委員

 金塚です。今、清家委員がおっしゃられたように私たちから医療に出ていくという部分ですよね。前回と、前々回のヒアリングでも少しお話させていただきましたが、医療機関への出前講座であったり、まさに今年度大阪精神科診療所協会で受託し実施している、厚労省の医療と連携した精神障害者の就労支援モデル事業がまさに医療に出かけていき連携をすることだと考えます。その中で、医療機関も就労支援の必要性を感じる、感じていただく中で連携がよりスムーズになってくるという傾向が見られています。先ほどのお話でしたら週 3 日ぐらいの勤務で、その残りの日というか、空いた日をデイケアを利用するというようなパターンは、まだ私どものほうでは経験がありません。基本的にはデイケアである程度その就労準備性を高めて、就ポツであったり、就労移行という流れを私たちはイメージをし、医療機関にも働き掛けています。でも、間の日をそういった医療機関でしっかり支援してもらえることはとても良いことだと今、お話を聞いて思いました。

 

○松爲座長

 今のことでちょっと私、疑問というか、確認しておきたいことは、その就労支援機関がデイケアへ来て、デイケアの利用者に対して、就労に関する情報を提供することは、それはやろうと思えばできるのですね。逆ができるかどうかなのです。実際、デイケアの人たちが短時間就労をやっていて、企業に行くときにデイケアの職員の人たちが、ジョブコーチじゃないけれど、企業へ出掛けて行ってサポートするとか、そういう形のものは可能なのですか。これは中川委員どうですか。保険点数も含めて。

 

○中川委員

 これは可能なのですが、ただ、そういう動きが診療報酬に反映されていないということで、実際に許される医療機関は非常に少ないと思いますね。

 

○金塚委員

 金塚です。実際にデイケアの中で就労支援プログラムを持っている所、私たちと同じような就労移行支援事業所と同じとまでは言いませんが、それに近い動きをされている医療機関は大阪でありました。結構、地方にもあると私は把握しております。

 

○松爲座長

 デイケアが、外へずっと出て行けるということですね。

 

○金塚委員

 そうですね。アウトリーチという形で。もっと具体的なことで言えば、デイケアのプログラムの中で座学を行い、実際、その座学で学んだことを OJT で、その OJT は私たちで言う体験実習の形で企業と連携してやられている所もあります。

 

○松爲座長

 なるほど。

 

○清家委員

 東京も病院によって様々で、今、金塚さんがおっしゃったような取組をされているところもありますが、私たちのような就労支援センターと連携を持ちながらのところのほうが多いです。

 

○松爲座長

 なるほどね。デイケアを含めた医療機関が就労支援をやってくれれば。

 

○清家委員

 そうですね。

 

○眞保委員

 具体的な企業名や病院名は差し控えたいと思いますが、実際東京では、そういう形でなさっているところがありまして、例えば、リワークなどをやられているデイケアなどでは本当に外へ出て、企業の方と人事の方とお話をするということは日常的にされており、そんなに珍しくはないのではないのかと、実態は。

 

○金塚委員

 デイケアから就職する場合は多分、 2 通りがあって、 1 つは、御本人さんの病状の安定や病状の理解度にもよるのでしょうが、そのままハローワークにいかれて就職される方と、トレーニングを積んで就職をされる方法を医療機関の方が提案され、実際そういうパターンをつくっているデイケアがあります。ですが、基本的にはデイケアでやれることというのはやはり、就職準備性の向上であると考えます。就職するためには最低限はこういうことが必要なのですよという基本的な事柄などです。特に病状の理解や障害の理解などのことをしっかり理解させておいていただければ就労移行支援事業所なり、就ポツに来たときにスムーズに就労までもっていけるということが、実感としてあります。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワークの高井です。確かにデイケアを利用して就職をされている方もいらっしゃいます。

 質問なのですが、ずっと以前からジョブガイダンス事業をハローワークが中心に医療機関等と連携して実施していたと思うのですが、最近、聞きません。ジョブガイダンス事業は機能しているのですか。こんな事業を充実させてうまく活用することにより、医療機関との連携や段階を追ってしっかりと就職準備をして移行することができるのではないかと思います。

 

○松爲座長

 事務局、その件に関して、どうぞ。

 

○金田地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田でございます。現在、ジョブガイダンスがどうなっているか、活用されていないのではないのかという御質問でした。

 ジョブガイダンスについては、平成 25 年度から福祉、教育、医療から雇用への移行推進事業に組替えて、医療機関、ジョブガイダンスの機能をその中に入れ込んでおり、ジョブガイダンスの機能はなくなったわけではないものです。一般雇用移行推進事業と私どもは呼んでいますが、その中で、ジョブガイダンスを実施するような立て付けに組替えたところでした。

 今後、実施状況については、しっかりその点が機能するように地方を指導してまいりたいと思います。

 

○松爲座長

 実質的には動いているということなのですか。

 

○金田地域就労支援室長

 はい。

 

○玉栄委員

 トーマツチャレンジドの玉栄です。私どもも精神障害者や、発達障害を多く採用しているのですが、その中で強く感じるのは、医療の就労に対する意識に非常に格差があり、退院したばかりなのに、「すぐ就職できるとドクターが言ったので、大丈夫です」という場面にあったり、本人の認識がずれているのか、本当にドクターが言ったのかはその辺が分からないのですが、そういうことが、実際にあります。東京ですと医療機関も多く、小さい所から大きい所まであり、先ほどおっしゃったデイケアをもっているところもあればないところもあり、心療内科に通っている方もいらっしゃったりと様々です。企業の立場でお話をさせていただくと、精神の方は非常に揺れが大きいので、長く訓練を受けていらっしゃる方が安心であり、うちの採用はフルタイムですので、最初からフルタイムで働いていただくことを前提で採用しています。そのときに支援機関の支援が非常に重要になることと、また、無理をしすぎないように調整するとか、長く細く続けていただけるかということを頭に置いています。

 実は本日、 15 名ほど精神障害の方が入社するのですが、その一連の採用活動等の中で強く感じたのは、精神保健福祉士や臨床心理士が会社にいるということだけで、非常に安心感を持たれる印象を持ちました。その辺をうちは手厚くさせていただきました。

 先日もナカポツから、医療機関側に働くということのイメージがなかなかわかないようなので、私にそこでお話をしてもらえないかという要望がありました。都合が付かなくて、行けなかったのですが、そういった格差がもう少し縮小していくようにすること、中でも余りにも極端というかそういうことが窺える場面があるので、そういった医療機関の底上げが必要ではないかと思っております。

 

 ○成澤委員

 良品計画の成澤です。前回、お話させていただきましたが、当社の雇用する障害者の 70 %が精神障害者です。先ほどデイケアの話が出ましたが、当社でも短時間というのは実際に 20 時間ぐらいの方で、 3 1 以上おりますが、デイケアの方は、まだ就職への準備ができていない方が多いのが現状です。面接も私は何人もさせていただいておりますが、なかなか現状としては厳しく、各医療機関のデイケア等で、社会人になるために指導をきちんとしてくださっているところとそうではないところがあり、その辺を整理していただかないと企業としても受入れるのが難しいのかと思っております。

 また、当社でも全国のナカポツや医療機関と関わっておりますが、今まで関わった中で広島市のクリニックの取組みがすばらしいと思いました。クリニックにおいて、就職支援担当が設けられていて、精神保健福祉士の方がコーディネート役を担っており、ナカポツやハローワークとネットワークの構築をしています。また、企業へのアドバイスもしてくれます。ただ、なかなか医療機関の中に精神保健福祉士がいらっしゃって就労支援を専門にやってくださるところはまだ本当に少ないとは思いますが、こういった方がいらっしゃると企業としてもとても助かります。

 先日どこでも解決が難しかった方に対しても、精神保健福祉士の方がうまくコーディネートしてくれたことがありました。こういった方が今後どのように位置付けされるのか、このまま医療に位置付けされるのか、それともナカポツにそういった方が配置されるのか、どの方法が一番よいのかはこれから検討していただく必要があると思いますが、そういった意味で PSW の方たちの専門的な知識は今後重要になってくると思います。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。今、お伺いしていて 1 つ思うのは、コーディネーターが極めて大事ではないですか。特に医療と企業の間をつなぐナカポツセンター。必ずしもナカポツセンターがコーディネーターでなくても、デイケアの中で優秀な就労支援担当者がいて、医療ベースにしてできますよね。

 先ほどちょっと思ったのは、高井さんの所を含めてナカポツセンターが今、さんざん委員会で議論していて、非常に多忙というか、業務が大変なので、そうすると、どうしても今言ったコーディネーター的なことは必要なのですが、医療機関などでコーディネートできるのですかね。今言ったような就労に関しては。そこはどのように考えますか。できなかったら例えばナカポツでやらなければいけないので。

 

○金塚委員

 私が知る限り、北海道の札幌市にあるクリニックですが、デイケアのワーカーさんたちがコーディネーター役になっていて、地域をまとめて精神障害者の就労支援を進めているというのが実際にあります。

 先ほどコーディネーターの話がありましたが、私、第 2 回目のヒアリングのときにお話させていただきましたが、精神障害のジョブコーチの 1 つのこれからのポイントは、コーディネートをいかにできるかだと思っています。

 

○清家委員

 できると思います。私自身も大分昔になりますが、医療機関で仕事をしていたときに、入院患者さんたちの就労支援とか、地域との連携を今のような形ではないかもしれませんがやっておりましたし、医療機関を見ていて、そういう力をお持ちの方たちはたくさんいらっしゃると思います。

 

○成澤委員

 先ほどお話ししました医療機関の就労支援では、障害者の方がどういうことに困っているか確認するために企業に赴くときには、診療報酬の対象にはならず、全ての就労支援を無報酬でやっているとか聞いています。時間もとられますし、それを無料でというのは、そこの医院長の理解があるのでできることです。今の医療制度の中では無報酬でやっている部分がかなりあることをお聞きしているので、もっとこれから精神障害者の雇用が増えていかなければいけない中で、必要になってくるのはそこの整備かと思います。

 

○中川委員

 結局温度差があることが一番の問題点なのですね。特に病院でデイケアなどをやっていて、デイケアの中で就労支援のプログラムがあれば、そのプログラムの仕事として動きやすいのですが、それがないデイケアでは動けないことがある。

 例えば、 PSW を採用しているような医療機関はいいのですが、クリニックでデイケアをやっていなくて PSW もないと、それは絶対無理なわけですよね。

 

○松爲座長

 そうですね。

 

○中川委員

 一部の就労を積極的にやっている医療機関とは連携を強化することでいいのですが、それは一部であって、ただ、診療報酬などそういうことを考えないで、いわゆる医院長とかそういう人たちの積極的な姿勢に任せるだけでは、これは全体の動きとしては全く進んでいかないと思います。

 

○松爲座長

 ありがとうございます。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。今の 1 点、コーディネートに関しては、コーディネートと一口で言っても、どこまでの範囲のコーディネートなのかを押さえておく必要が私はあると思っております。

 医療機関からダイレクトでハローワークや、あるいは企業面接にもっていける方なのか、就労移行支援事業を 1 回入れなければならない方なのか、その手前でデイケアを使わなければならない方なのかの見立てがきちんとできるコーディネート力が必要で、就労支援の全体の複雑な動きと、長期のフォローアップに入っていき、そこでのコーディネートはナカポツであったり、あるいは長期に関わる就労移行支援事業であったり、何というか、役割分担を前提にした、医療機関のコーディネートを考える必要があるのではないかと思っていることが 1 点。

 それから、ここでの論点は、確かに医療機関との連携でデイケアの充実とか、もちろん重要なことは認識しておりますが、ここで就労移行支援事業の話題が出てこないところがちょっと、全体のまとめの所で大丈夫かなと思っており、精神障害の方たちが利用しやすい就労移行支援事業の存在と、そこにきちんとつなげていける医療機関のコーディネート力。また、就労移行支援事業を使わなくて、きちんとできるデイケアがあれば、それに越したことはないのですが、ケースバイケースになっていくと思いますので、地域の中に精神障害の方たちが使いやすい就労移行支援事業があり、そこにきちんとつなげていける医療機関のコーディネート力があって、そこの重要性を押えておく必要があると思います。

 

○松爲座長

 石原委員、今のお話の移行支援事業関連ではどうですか。

 

○石原委員

 電機神奈川福祉センターの石原です。私どもは精神障害を対象とした経験が十分ではないものですから、なかなかコメントできないので、よく勉強したあとで発言させていただきたいと思います。関連して、定着支援に絡めて。

 

○松爲座長

 今言った 2 番目、 3 番目のテーマで少しいこうと思っていたので、良い機会なので定着支援のほうで石原委員のほうからどうぞ。

 

○石原委員

 ナカポツと医療機関の問題とか、幾つか出てきた中で、ナカポツの業務をしっかり役割を明確にして、整備する必要があるのではないか。先ほども、そういう意味でおっしゃったということではないと思いますが、とにかく働けなければ、ナカポツに相談して、ナカポツに面倒を見させておけばいいではないかというような理解を一般的な方々はすぐされますが、その観点が正しいのか。資料の 3 ページに、ナカポツセンターの概念図があります。ここで今医療機関の問題がテーマに上がっていますが、ナカポツとしての連絡調整機関として、医療機関に対して、矢印のベクトルはナカポツセンターから医療機関に向けられていますよね。

 就労移行支援事業は、双方向でベクトルがあって、かつこの線の太さも、細かいことを言うようですが、これはやはり意味があると思うのです。今、医療機関が取り上げられていますが、例えば、福祉事務所や保健所は、生活支援の問題も全てナカポツが担うということではないはずです。

 特に業務の内容で、「就業及びそれに伴う日常生活」という定義があります。それに伴う日常生活の支援。これが現場の意見から聞かされるのですが、この名称が、「就労・生活支援」ですから、併置で捉えられる地域の方々が多く、就労も生活も、お宅のセンターは面倒を見てくれるのでしょうと言われてしまう。しかし、ナカポツセンターは、就業及びそれに伴う日常生活及び社会生活上の支援なのです。これが何でもかんでも持ち込まれて、学校の先生や福祉事務所、保健所、あるいは就労に関するハローワークのスタンスも、ハローワークに来ていて、まだ仕事は難しいから、ナカポツとしてサポートしてあげてくれないかという形で、ハローワークからも投げられてくるのですが、細かいことを言えば、この矢印のベクトルはどちらを向いていますか。ハローワークとの関係は求職活動支援の問題でしょう。そこにハローワークから個別的な生活の問題を持ち込まれてしまうと、現場が本来やるべき就業及び就業に伴う生活支援が、数が多くて、もういっぱいいっぱいになっているのに、全てここに持ち込まれてしまうとパンクしてしまうのです。

 ですから、私どもは認識していて、外側に向かって言うのですが、外側の周辺の人たちは、「お宅はナカポツで就業と生活を支援するのでしょう」と言われてしまうと、断われない世界なのです。

 私が疑問に思うのは、 4 ページの平成 14 5 月の改正障害者雇用促進法で、 1 行目の「雇用、保健、福祉、教育等の地域の関係機関との連携の下」の「連携」というのは、何でもかんでも同一レベルで連携することではないはずです。それが、 3 ページの矢印のベクトルの向きであったり、太さであったり、この定義付けをしっかり押さえた上でないと、全て関係機関との間で連携しないといけないのかということです。ここに現場の混乱があるのではないか。

 もっと言うと、厚労省が定めているナカポツセンターの意義、役割と、地域におけるナカポツセンターに対する期待感にギャップがあるところに、今ものすごく混乱が起こっている。かつ量も増えてきている。もう一度この原点を是非確認していただいて、まず周りの人たちに理解してもらわないと、これはナカポツに言っても、ナカポツのミッションではありませんと。そこの振り分けというか、役割は、先生がおっしゃったような定義付けと割り振りということです。一概にコーディネートと言ってしまうと、そういうことですが、しっかりとした理念で割り振らないとナカポツは苦労するだけと思います。ちょっと長話をしました。以上です。

 

○松爲座長

 今の精神のほうは、大体それで一段落して、 2 番目の問題と 3 番目の問題が、今お話を伺っていると課題になります。特にナカポツセンターの支援の強化の定着支援の中で、生活支援との関係をどうするのか。それを含めて、いわゆるネットワークの在り方というのも、見方を変えれば役割分担をもう少しお互いにちゃんと認識すべきという感じにもなるかもしれませんが。これに関してはどうでしょうか。特に高井委員のほうで、ナカポツでいろいろな課題を相変わらず抱えているというお話がありますので。

 

○高井委員

 難しいですね。全国就業支援ネットワークの高井です。役割を明確にするということですが、全国に 318 センターあって、都会のナカポツセンターの果たす役割と、地方都市や人口の少ない地域などでは果たす役割はかなり違っていると思います。

 都会では、石原委員や清家委員から就労支援機関が乱立しているという報告もあったと思います。しかし、地方では決してそうではありませんし、社会資源の状況も違います。ナカポツの業務内容を見ても、自ら全ての支援に関わらなければ地域の就労支援を支えられない状況もあって、ここまでがナカポツセンターの役割で、ここからは違いますというのは、なかなか一口では言いづらい部分はあると思っています。

 ただ、就業と就業に伴う生活支援というところでは、やはり明確にすべきと思っています。福祉サイドの制度で、相談事業や地域生活支援センターとか、そういった地域生活と相談業務に関わるような事業もたくさんあり、「就職」といえば何でもかんでも、ナカポツに相談が来てしまって、現場が混乱しているところがあります。そういった意味では、ナカポツセンターの役割として、就業と就業に伴う生活支援をする所であるということを、ハローワークをはじめ、関係機関に対しても知っていただきたいと思いますし、理解していただけるための活動をし続けることが大切です。この部分が明確になれば、少し業務の整理ができるのではないかと感じております。

 

○松爲座長

 今、お伺いしていて、石原委員のお話を聞いて、この図をもう 1 回確認しますと、聞いてみたら、地活の 1 型、 2 型、 3 型というのは、これにはどこにも出ていないのです。本当の生活支援との関係です。これは、清家委員どうですか、いわゆる地活支援センターなどの連携は、実態はどういう格好になっているのですか。

 

○清家委員

 清家です。今のお話を受けて、私たちはいろいろな地域で活動しておりますが、それぞれの地域で私たちが持っているナカポツと、皆さんが考えているナカポツのイメージのギャップがあったりします。

 ナカポツの役割を、こういうことをやると忙しくなるのではないかと言われてしまうのですが、ワーキング・トライでは、ナカポツセンターはこういうセンターです、就労に伴う生活支援をしていますなど、ここでもどんどん外へ出て行って、保健所であったり、福祉事務所のワーカーさんであったり、国が考えていて、自分たちが行う就労支援はこういうものですよということを伝えていく作業を、もう 10 何年、人が代わると受け止め方が変わってしまったりするので、毎年のようにいろいろな所に行って、就労支援の話をすることが、最初の 1 歩のところです。ハローワークも人がぐるぐる代わってしまうので、毎年のようにやり取りをしながら、自分たちはこういうセンターなのですと。地方と都会ではまた違いはあると思いますが、そういう意味ではしつこく出向いては、自分たちの役割を皆さんに理解していただくということをやる必要があると思います。

 

○松爲座長

 金塚委員、どうぞ。

 

○金塚委員

 私も以前就ポツに関わっておりました。その当時、福祉圏域全体の運営会議とか、市町村の運営会議をやっている中で、地域の就ポツの在り方とか、連携の仕方というのは、地域ごとに違うと思います。先ほど来、都会と地方という話が出ていましたが、社会資源がたくさんある所とない所では、就ポツの機能はどう考えても違ってきます。地域ごとに、就ポツを含めた関係機関が作り上げていかないといけないものと考えています。

 

○松爲座長

 もう 1 回確認しますが、生活支援の 1 型、 2 型、 3 型の連携は全然ないのですか。実際、どうなのですか。

 

○清家委員

 連携は非常にあります。やはり、相談を受けて、生活の部分で大変なところは、地活の応援をもらって、一旦、地活に渡して、またそこで整理をして戻ってくるという、そんな行ったり来たりをしながらということです。

 

○松爲座長

 地活のほうで、継続的な生活支援もやってくれるということなのですね。

 

○清家委員

 もちろんです。

 

○松爲座長

 そうですよね。当然、そういう機能ですものね。ほかはどうですか。

 

○眞保委員

 高崎健康福祉大学の眞保です。私がずっと 10 何年関わっている施設は、移行支援事業をやっておりますが、一部、ナカポツの仕事を役割分担として、今、金塚委員が正におっしゃったように、地域でどういう連携の仕方をしておくのが一番やりやすいかという、作り上げた形の 1 つの姿として、私が関わっている施設は比較的あとの定着支援等、生活支援を任せられる移行支援事業所なので、もしかしたら清家委員の所や石原委員の所では、ナカポツに御相談が来てしまう内容かもしれませんが、ずっと移行支援事業所が長年関わって、定着支援もしているという事例があります。

 これに関しては、実際は費用的には持ち出しということになるかと思います。しかし、企業側からも最初にコーディネートしたときに、当然実習を絡めてコーディネートしていますので、ナカポツも入り、移行支援事業所も入り、御本人も入り、企業も入りという形で始まっているのです。その際に、今回のケースではナカポツの担当者ではなく、移行支援の出し元のほうが、ずっと見てくれる環境を企業側が感じると、企業は一番合理的なほうにお願いをしていくので、むしろその現場の中で、企業がどなたが相談しやすいかという側面も絡めて、地域で作り上げた姿として出し元が定着支援をしている。ある意味、ジョブコーチのような役割も担っています。今までお話を聞いていて思ったのは、ジョブコーチの研修を受けたジョブコーチの力のある人が、一体どこに配置されて、どこでその役割を担っていくのかと。それは金塚委員がおっしゃったように、地域で作り上げていくものもあるでしょうし、企業側が選んでいく。先ほどのように、デイケアのワーカーがいいと思えば、デイケアのワーカーと連携していきますし、ナカポツがいいと思えば、ナカポツと連携していきます。あるいはナカポツのほうから、ここは移行支援事業所が大丈夫なので、この方とお願いしますというコーディネートはされていると思います。むしろナカポツのほうで、地域の中で今回のケースはこちら、今回のケースはこちらという交通整理のようなことをしていくことが大切かと思います。

 

○松爲座長 

地域間格差と一概に言って、役割分担を明確にすると言いながらも、実は役割分担は明確でない隙間があります。多分、隙間を実際みんな埋めているのです。移行支援事業にしても、ナカポツ的な機能、要するに誰もいないから隙間を埋めていきましょうではないですか。そうすると、制度の谷間というか、隙間をどうやってみんなが埋めていくような、そういった人材に成り立つかというほうが、私は大事なような気がします。そういった研修は何かないのですか。聞いているわけではないです。自問自答です、ごめんなさい。この辺を感じるということですかね。ほかはどうでしょうか。

 

○成澤委員

 成澤です。今、お話に出ているように、企業でも、最初に就職された方がどこにつながっていくのかが、やはり混乱している。ナカポツに頼んでいいのか、どこに頼んでいいのか、多くの会社が困っていると思います。そのためにナカポツの役割を明確に決めてもらったほうが、企業もやりやすいです。

当社で就労移行支援事業から就職されている方がとても多いのですが、

 就労移行支援事業所の支援は、基本的には半年とお話しされていますが、事業所によっては、 2 年支援されるところもあります。就労移行支援事業所は就労に関するいろいろなことを学ばせているので、就労支援は就労支援移行事業所に任せ、ナカポツの方たちは、活動することが多い中で、就業支援も生活支援もやるのでは、本当に大変だと思いますので、生活支援に関してナカポツに相談に乗ってほしいと思います。

 

○石原委員

 電機神奈川福祉センターの石原です。今、眞保先生からも、成澤委員からも、就労移行支援事業所の定着支援に対する役割は、非常に期待が高いという話がありました。ヒアリングのときにも申し上げましたが、ジョブコーチを移行支援事業所に配置したほうが、私たちが運営している事業の形態からいうと、いいのではないかとお答えしたのです。

 今も御指摘にあったとおり、出した側がしっかり面倒を見ていくということも、定着率はものすごくいいのです。そういうデータ結果が出ているので、半年間という話が出ましたが、この期間を延長することを考えていただく必要があるのではないか。そういうほうが効果的ではないかと思っております。関連して要望しておきたいと思います。

 

○松爲座長

 定着支援については、出す側がもう少しね。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。今、石原委員の話とは関連しなくて、元のポイントです。全体としては、準備がきちんと整っていない方たちが、雇用現場、あるいはナカポツやハローワーク、雇用にすぐつなげる所を、結構メインの役割にしてすぐ紹介されて、そこが混乱していることを、まず抑えておくことが必要かと思います。

 精神障害の方たちの特徴は、その手前の相談と方向付けと、一定期間の準備を整えるというところが、今までの身体や知的の方たちよりも、より行きつ戻りつして、時間がかかることが 1 つの障害の特徴かと考えています。

 そこのところで、全部ナカポツに集中しがちなところを、医療機関で PSW が少し就労に関する専門性を持つという対策が 1 つ打ち出されていること。それから、就労移行支援事業がより充実して、連携をきちんと取るべきということ。やはり、相談支援事業や市町村の窓口、発達障害者支援センター、いわゆる一次的に相談を受ける所が方向付けを誤って、すぐ雇用だ、すぐハローワークだ、すぐナカポツだというところに持っていかずに、適切な準備、あるいは相談を長期に行う機関に、適切な人たちがそういう所を紹介できるような仕組みを作ることによって、ナカポツの負担を軽減して、ナカポツが本来の機能を発揮できるような仕組み作りを目指さないと、例えば、ハローワークからナカポツに生活面の依頼が起こることや、多分、様々な逆のベクトルも起きてくると思います。それはその方向性があってはいけないのではなくて、準備不足の方たちがそういう所にトンと行くので、逆の流れが起きているので、準備をきちんと整えて、相談はできるだけ段階を追って、プロセスを作り上げるという方向性のまとめが必要ではないかと思います。

 

○松爲座長

 確かに、そういった意味では、関係機関のネットワークに関する矢印のフローチャートの条件を、少し丁寧に整理しなければいけないという気がします。

 

○玉栄委員

 トーマツチャレンジドの玉栄です。小川先生のおっしゃることも、眞保先生のおっしゃることも、本当にごもっともだと思います。うちはすごく定着率がいいのですが、私はナカポツセンターがどういう役割をするのかとか、就労移行支援事業所がどういう役割をするかということが余り分かっておらず、やはり信頼できる所にお任せしたいというのが本音です。ですから、眞保先生のおっしゃるとおりで、そこがたまたまナカポツだった。あるいは移行支援事業所だったということで、今のところ、うちに来ている障害者の方が所属していた移行支援事業所はどこも非常に熱心に支援をしてくださっているので、定着率がすごくいいのだと思います。

 その辺で、先ほど小川先生がおっしゃられていた整理もしていく必要があり、ナカポツセンターは少しコーディネート力を持って、一人の人をどの時点でどこに振っていくことが大切かという力があるとよいのではと思います。

 以前に、親御さんも障害をお持ちという場合に、生活支援がどうしても必要になってくる、そのときに別々の方がずらずらと 6 人ぐらい並ばれて、生活支援はここです、余暇支援はここですなどと言われたときは、本人も、私たちも非常に混乱したという例があります。

 また、精神の方が一番頼りにするのは医療です。まず、医療機関へ行くというのが一般的に感じられ、そこでどこに振っていただくかということが非常に重要で、まだ就労段階ではないので、準備期間はここに行ったほうがいいですよという御案内をしていただかないと、やはり精神の方は、過去に働けていた状況が頭の中にあって、すぐ働きたいとか、そういう方向に走りがちなので、そこで訓練が必要ですよということを悟していただきたいと思う気持ちがあります。そういったことがないと、面接に来たときに蕩々と過去の実績を 1 時間述べて帰る方とか、いろいろな方が出てしまうのだと思います。

 それと同時に、もう 1 つ私が心配しているのは、都市圏に多いと思いますが、支援機関が乱立しているというお話で、株式会社も、人材紹介会社も結構できてきております。その中で、全く準備ができていない方をどんどん紹介されるケースが、ある企業ではあったりします。そのフォローをナカポツに頼るしかなくなってしまう。そういったところを多少整備する必要があるのではないかと思います。

 

○松爲座長

 そうですね。どうですか、ほかには。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワークの高井です。窓口というか、就業の相談支援の入口、交通整理はやはりナカポツセンターが担っていくのだと思っています。その中で、コーディネート力をしっかり持つことによって、必要な所に振り分けができるのではないかと感じています。

 また一方では、障害福祉サイドの相談支援事業の役割として、障害福祉サービスや地域生活に関わる相談については、相談支援事業所が担う窓口と並立連携していく感じになってくるのではないかとも思います。それから、発達障害者支援センターともうまく連携することによって、交通整理が今まで以上に明確になるのではないかと感じております。

 

○松爲座長

 確かにそれぞれの役割機関をもう 1 回明確にすると同時に、コーディネートとか交通整理をどこでやるのですかと。企業の場合は来た人たちでやるのですが、むしろ今聞いていると、福祉の相談事業所のほうがもう少し就労支援を含めたコーディネート力を付けていただけるといいと思うのですが、相談支援事業所に関するコーディネートの研修はここまで入るのですか。ごめんなさい。余計なことを言ってしまいまして。よく分からないので、疑問点です。申し訳ないですが。

 

○障害保健福祉課

 障害福祉課の平川です。相談支援事業で平成 27 年度から、全員にサービス等利用計画を作るということになっております。今のところ、相談支援事業者の研修の項目に確か就労系の項目は入っていなかったと思います。ただ、平成 27 年度から、移行事業や、 A 型、 B 型も、利用するためにはサービス等利用計画を作ることになります。ですから、何らかの就労系のアセスメントは必要になってくるとは思いますので、それはこれから整備をしていかないといけないと思っております。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。急に振って申し訳ありませんでした。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。これまでの議論を聞いていて、意見というか、感想が 2 つあります。 1 つは、精神障害者の職リハ、就労支援において、最近、 IPS というアメリカの就労支援モデルの考え方が浸透してきています。 IPS の基本方針の中の 1 つに、重度の精神障害者であっても、職業準備訓練を受けることなしに、就職できるという考え方があると聞いております。

 これは多分、十分な支援体制があってこそ、そういう方針が成り立つと思うのですが、すぐにも企業で働くことができるという誤解があって、そのことで企業の方に負担が及んだり、あるいはナカポツセンターの方がそのことで苦労したりという現状があるのではないかという危惧が 1 点あります。

 もう 1 点は、ナカポツセンターの概念図です。私もナカポツセンターを作った当時の議論を間接的に知っておりますが、多分、概念図はその頃のものとほとんど変わっていないのではないかと思います。就業とそれに伴う生活の相談を行いながら、必要な支援をあっせんするという概念図です。一方、支援をあっせんするということは、その先に返ってくるという面がナカポツにはあって、そこでナカポツセンターの方は非常に苦労されているという感想を持っております。

 

○中川委員

 田園調布学園大学の中川です。今、井口委員の発言から少し外れるかもしれませんが、非常に準備不足の方が、企業の面接に来て困るという話があります。 IPS のように、なるべく迅速に現場に入ってからそこでの支援をしていくことが、今の理念になっています。

 一時、レディネスということが随分言われていました。職業準備性ということが随分言われていて、ある程度のレディネスが整ってから就職すると言われていたのですが、 IPS は迅速に place then train のほうが就労の効果がよろしいということで、余りレディネスが議論されなくなってしまったということがあると思います。

 結局、医療機関も非常に両極端です。就労に対して保守的で、まだ駄目だよという主治医もいれば、ポンといいよと、まだレディネスが整っていないのに何でもいいよと言ってしまって困るという、両極端に分かれています。

 もう一度、精神障害者の就労レディネスというのはどういうことか整理しないと、医療機関のほうも就労についてよく分かっていないので、何を基準にいいと言っていいのか、主治医はこれを判断できないです。もう一度、最低限のレディネスを整理して、そういうことが交通整理にも役に立つのではないかと思います。

 

○松爲座長

 今、 IPS の話が出てきましたが、 IPS を翻訳した当事者ですから、コメントさせてもらいますと、実は IPS を翻訳したときに、アメリカの概念の place then train の概念が非常に入り過ぎたような気がするのです。日本の実情に余り合わない。問題なのは、 place then train place の中身をどう捉えるかという中で、例えば、 OJT みたいな、その実習訓練的な、その中で働くとか、それと含めて place を考えなければ駄目だと思うのです。

 アメリカの場合、例えば、ほんの短時間とか 1 時間でも、雇用関係を持ってしまえば、一応契約ということになっています。しかし、日本の状況からすると、日本の雇用慣行とか、会社の中ではそれはなかなか難しいような気がします。確かに今 IPS の格好で、 place then train で散々学会でも盛んに言っていますが、本当は、今、中川委員がおっしゃるように、準備性の中身をどう捉えるかということを、どの場面でやっていくかを考えていかないと、問題がなかなか難しくなるような気がします。余計なコメントを入れて申し訳ありませんが。

3 番目の部分につきまして、もう少し皆さんの御意見を伺いたいところがあります。まだ少し議論が足りないという気がします。支援水準を引き上げることについてはどうでしょうか。石原委員のコメントが、実態や支援内容を把握した上でやるべきだということですが、これをもう少し改めて解説していただけますか。実績報告の項目や定義の数字の根拠が統一されていないために、過大に見えたり、過小に見えたりする云々というところです。

 

○石原委員

 電機神奈川福祉センターの石原です。現場から聞かされているのですが、求められる報告と、本来ナカポツが担う業務、本来業務との間にギャップがある。したがって、我々の頑張る指導は、例えば丁寧に企業に行って、時間をかけて支援する、そのことを評価してもらいたいのですが、別な所では、電話 1 本で、これも同じ 1 件に上げてしまって処理されると。

 ですから、評価するに当たって、本来業務がしっかりやれているかどうかというところをしっかり見てほしい。そういう問題指摘が現場ではあるようです。

 

○松爲座長

 ごめんなさい。意図は分かりましたが、本来業務というのは、例えば具体的に評価項目というのは、イメージとして何かあるのでしょうか。清家委員でも金塚委員でも、実際、現場の支援センターをする側からの、形になるような評価の指標は何か考えられるのですか。

 

○石原委員

 全然別件ですが、社会保障審議会の障害者部会の中で、基本計画、指標を、例えば、就労移行支援事業所であれば、こういう視点で評価していきましょう、目標に対して、どういうふうに実績を挙げたか、そういうことをきちんとチェックしましょうというので、確か 10 項目ぐらい上がっていたと思います。

○松爲座長

 どうでしょうか。支援水準引き上げに関する議論の中で、ほかの委員から何かありますか。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワークの高井です。自センターのことを思うと、実績に差が生じて水準が低い所があるというのが、なかなか実感として湧きませんし、どういう状況を捉えて水準が低いというのか分かりません。一つ一つの評価の報告は莫大です。毎月の報告それを元にした4半期報告も大変ですが、年次報告はもっと大変で、手計算しなければならないこともたくさんあります。しかし、報告は事業評価なので仕方がないとも思っています。ただお願いしたいことは報告書をころころ変えないでいただきたいです。過去には年度が始まってから変更されることもありました。もし報告書を変えるのであれば、多少に関わらず年度中、 12 月頃までには言ってもらわないと対応できないと思っています。

 一つ一つの数字については、例えば定着支援を挙げても、私は 1 人の支援対象者にまた1事業所にどんな支援をしても、 1 1 件のカウントでいいと思っています。報告書には、対象者別、手段別、内容別にあげています。確かに相談件数は増加しますが要は支援の中身です。支援報告欄にしっかり記録することだと思います。 ただ、その中身はどうなのかと。本当に中身のある支援をしているのか、目標件数が達成できているのか等は、毎年、県の労働局が監査に来られるのですから、そのときにしっかり事業評価していただきたいです。委託費の数字のことばかりではなく、本当にその地域で必要な支援ができているか見ていただきたいです。それで水準が低いのであれば、指導したりそれでもダメであれば次年度は指定しなければいいと思います。

 

○松爲座長

 分かりました。支援水準の支援の中身というよりも、評価の在り方がそのまま支援水準の均一化、格上げにつながるような話になるのですよね。 1 2 3 の各項をやりましたが、もし補足意見があればどうぞ。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。( 2 )に戻る内容も含まれるかと思いますが、ナカポツセンターに経験豊富なジョブコーチの配置という、前回のジョブコーチで議論されたポイントは、やはりナカポツセンターのいわゆる就労支援というか、幅広い生活支援ではない部分の強化に非常に有効ではないかなと思っています。( 2 )では「職場定着支援の強化」というタイトルになっていますが、やはり精神障害の方の雇用に当たり、企業側の負担が大きくなるかと思いますので、対企業支援のところにこの経験豊富なジョブコーチを配置するというのを有効に使っていく必要があるかと考えます。そこで今後の検討課題として、この経験豊富なジョブコーチの配置が実現した場合には、そこの業務の範囲をどのように定めるか。ナカポツセンターは確かに地域によっていろいろな役割の違いはありますが、この経験豊富なジョブコーチを配置した場合には、そのジョブコーチの業務の範囲はある程度限定されるものなのか。それともいわゆるナカポツセンターの職員の加配ということで、ありとあらゆる業務ができるような形にすべきことなのか。ここについては検討が必要なポイントではないかなと思っています。個人的にはやはり職場に訪問し、職場だけではなくてもいいのですが、やはり就業をかなり中心にした企業支援のカラーが強いものになるべきではないかなと考えています。

 

○石原委員

 電機神奈川福祉センターの石原です。全く同じでこの経験豊富なジョブコーチの定義付け、あるいはメンター、そういった水準をどう考えるか。そういったところを是非、検討していただき示していただきたい。我々もそれに向けて準備しなければいけないと思っております。法人全体の運営を考えたときに、ナカポツにおけるそのナカポツの特殊な業務になると、法人全体の私の立場で言うと、人的配置、キャリアパスなどそういったものでかなり制約を受けるのではないかと懸念を持っていますので、決して否定するつもりはございませんが、どのような枠組みで考えていくのかを検討していただいて示していただきたい。最後にいろいろ申し上げましたが、与えられている業務を排除しよう、忙しいのを楽しよう、そういう気持で言ったのではなく、本来やりたい就労支援のところ、リクエストで手が挙がっていると、そこに集中して障害のある方を面倒みてあげたいという、そういう思いから言っていますので、是非、御理解をよろしくお願いします。

 

○松爲座長

 今の経験豊富なジョブコーチという話は、前のジョブコーチの議論でも結構出てきたので、改めてもう 1 回最後の書きぶりの所で少し皆で丁寧に考えていきましょう。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワークの高井です。経験豊富なジョブコーチをナカポツセンターに配置するというのはありがたいと思っております。ただ資料の 5 ページにあるナカポツセンターの実施体制充実のためにという目的で、就業支援担当者の加配状況の表があると思いますが、全国 318 センターの中で通常の加配が 97 人、震災対応で 22 人、そして精神の人たちが増えてくるということで、職場定着支援加配が平成 25 年度から 30 人加配されています。この加配と、今回の経験豊富なジョブコーチを置くということがどのようにリンクされていくのか心配です。この加配とは全く別ものでなければ意味がありませんね。全国のナカポツセンターの状況は一口に言ってマンパワー不足だというのは何度も何度も申し上げているとおりです。経験豊富なジョブコーチを置くときに企業支援も含めて、地域のジョブコーチをうまくコーディネートしていくために、ナカポツにというようなことが議論されていったと思いますので、新たな役割がまたナカポツには加わるということですので、これを置いたので、職場定着支援加配はもうやめたと言われるようでは困ると思いますので、その辺を十分に御配慮いただきたいと思っております。

 

○金田地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田です。現在、資料 5 ページにあるそれぞれの加配については、それぞれの目的をもって予算要求をして付けていますので、また新たな目的のためということで、どうするかは新たな目的のための措置を講ずる必要があるのではなかろうかと思います。今回の研究会での報告を受けて、どうするかは今後検討していきたいと思います。基本的には今までの加配についてのそれぞれのセオリーをもって付けてきたのだということで御理解いただきたい。

 

○高井委員

 はい、よろしくお願いします。

 

○藤枝障害者雇用対策課長

 障害者雇用対策課長です。この研究会の御意見を踏まえて、今後予算要求等をやっていく中で、これまでの加配の在り方も多少見直す部分も出てくるかもしれませんが、考え方としては基本的に今のナカポツセンターの状況は人手不足で厳しいという認識に立っておりますので、そこはしっかり踏まえてやっていきたいと思っております。

 

○松爲座長

 心強いお言葉を頂きました。

 

○高井委員

 ありがとうございます。

 

○松爲座長

 では時間もきましたので、次の量的課題について事務局から説明をお願いします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 事務局の近藤です。続いて「量的課題」について御説明いたします。障害者就業ナカポツ支援センターは、全障害福祉圏域に設置することを目標としておりますが、特にマル1人口が少ない地域についてマル2人口が多い地域についてマル3支援員の配置数について、どのようにすべきか、という論点です。いただいた御意見としては、ほかの機関との併設等でもいいので、未設置圏域をなくすことが基本。人口規模や地域に存在する資源を考慮し、実情に応じた予算配分を行ったり、配置基準を設定することが必要。地域によって利用可能な社会的資源に差があるが、社会福祉圏域に 1 か所の設置であり、運用が地域に応じて柔軟にできないので、これを可能とすることが必要。人口比に応じた設置数が望ましく、複数設置する場合は自治体独自の就労支援機関の設置状況等に合わせて、別法人に同一機能のセンターを委託する、または既存のセンターの人員を増配して、支店形式で地域をカバーするなど、設置については柔軟な対応が望ましい。

 大都市圏では就業支援担当者の数を増やすだけでなく、窓口が複数あることが必要といったものがありました。

 

○松爲座長

 その他についてはまた後でやることにいたします。では焦点を絞って今度は量的な課題について皆さんの御意見を伺いたいと思います。御自由にどうぞ。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワークの高井です。量的なものは、資料の 16 ページに都道府県別の設置状況が書いてあります。未設置圏域が 44 か所ですが、例えば長崎県はあと 4 か所未設置です。この 4 か所は全部離島です。今は近隣のナカポツセンターが支援に入りとても苦労しています。人口が少ないということは、会社も少ない、人も少ない、でもとっても場所が広いのです。ですからそれだけ時間やパワーも要るということだと思います。ですからどんな形かは別としても、できるだけ就労支援がしやすい体制を作るためには、例えば福祉サービスと一緒に、例えば相談支援事業のようなものと一緒にできるような体制でもいいのではないかなと思います。

 

○松爲座長

 なるほど。ほかはどうですか。

 

○金田地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田です。前回の研究会でも全国的にナカポツの機能が提供されるようにするべきではないかというような御意見を頂きました。それを踏まえて、資料 5 ページ、先ほど加配の状況があったページです。これまで基本的にはナカポツセンターでは就業支援担当者が 2 人、生活担当者が 1 人という 3 名体制できていましたが、なかなかやはり高井委員が御指摘のようにいくつかの県で設置が進まない状況があり、現実に設置をするための要件緩和をしてほしいという要望がありました。それを踏まえて委託先の要件の下の小規模センターで、平成 25 年度から昨年の研究会を踏まえて、こういうような取扱いをしたということで、フルスペックの通常センターの 2 分の 1 の要件にして設置しやすい形にしたという取組みをしています。実際にこの小規模センターを活用して、島根県の隠岐圏域で 1 か所、この 8 月に設置されました。こういったことをやることと、加配の中で隣の圏域のナカポツセンターがしっかり面倒が見られるような体制について留意していきたいと思っております。

 

○松爲座長

 私も小規模センターを今、初めて確認しました。例えばこれは既に設置されている圏域の中で複数箇所というときも、小規模を作っていいのですか。保健圏域に 1 か所ずつで足りないからということで、特に大都市圏などではそうですが、そういう場合には大丈夫なのですか。

 

○金田地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田です。ナカポツセンターは県知事が指定することになっておりまして、県知事が指定された所に対して、国としてセンター機能を委託して行ってもらうことになっています。今の状況を前提にお話すると、知事の指定による所には委託できます。ちなみに小規模センターであっても知事の指定が必要ですので、これが大都市圏となると今の状況で申し上げると、知事が指定していただき、そこに設置していくというのが現状です。

 

○松爲座長

 もう 1 つ確認したいのは、例えば小規模でまず小回りで作って、それでもう本格的に機能がいいから通常に拡大しようという、そういうこともできるのですか。

 

○金田地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田です。そのワンランクアップですね、フルスペックのセンターに昇格するのは当然考えられる話です。ただフルスペックのセンターに上がったものの、実績が悪いから小規模センターに後戻りさせてくれというのは、排除しています。

 

○松爲座長

 分かりました。何か新しい量的な拡大として、こういうものを含めてほかに御意見はございますか。

 

○清家委員

 すみません、小規模センターについてもう少し質問させていただいてよろしいですか。ここで就業支援担当者 1 名配置ですが、生活支援担当は小規模はどうなりますか。

 

○金田地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田です。生活のほうは 1 名付いておりますので、 2 人体制。就業支援 1 人、生活 1 人というような状況です。先ほど松爲先生から御指摘があった、大都市圏で複数について大丈夫かについては、先ほど現行ではと申し上げましたが、研究会での議論の結果を私どもも留意したいと思っております。

 

○松爲座長

 ほかにどうでしょうか。量的な拡大という意味では。マル1人口の小さい地域マル2多い地域、そして支援員の配置、それらは全部込みになって、今、小規模という話になりましたが、ほかにマル1マル2マル3の量的課題に対して、こういったことに触れるべきだ、こういったことが足りないなどもしありましたらどうぞ。

 

○金塚委員

 先ほどの話に少し戻るのかもしれませんが、平成 12 年に就ポツを始めて、まず何をやっていいか分からなかったという記憶があります。その当時大阪では準備センター連絡会という就ポツに指定されるための準備センターが何か所かあり、そこは 2 3 か月に 1 回集まって、こういうことをするんだねという確認をし、この連絡会をしながら就ポツに指定されたという経緯があって、あれはとてもその仕事をする上で安心感がありましたし、自分たちの立ち位置であったり、方向性が明確になったという記憶があります。なので小規模センターであったり、今、都道府県でどれくらいの研修がされているかは存じ上げませんが、先ほどの所に戻ると言いましたのは、研修等の回数を増やし、量の拡大を図るとともに質の向上をする必要があるのかなと思います。

 

○松爲座長

 なるほど、それについては先ほどの( 3 )の一番上で、高井委員の所、ブロックごとの研究、経験交流会、センター立ち上げ会等々があると書いてありますが、ここをもう少し、高井委員、補足説明をしていただけますか。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワークの高井です。経験交流会は毎年 1 10 月か 11 月にブロックごとに実施していただいております。これは近畿ブロックなら 2 4 県のほぼ全センターが集まるのですが、原則 1 名しか参加できません。複数で参加しても 1 名分の旅費しかでません。他センターの担当者と共に自分たちの仕事を確認するという場が 1 回では少なすぎます。一方、都道府県単位、兵庫県では連絡協議会を作って活動しています。まだまだ中身の充実が必要ですが 10 圏域みんなが定期的に出会い

地域情報の共有や自分たちのノウハウ、事例で困っていることなど、その地域が持っている課題も含めて話し合えるのでよいと思うのです。こんな形で既にやっている県は結構あります。これを好事例という形で伝えて、どの都道府県でもこのような連絡協議会が活発に活動することにより、質の向上にもつながるのではないかなと思っております。

 

○松爲座長

 確かにおっしゃるとおりですね。ほかにこれに関してはどうでしょうか。もしないようでしたら、最後の部分「その他」がまだ残っておりますので、事務局からお願いします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 最後に 3 「その他」として、委託費に関して御意見をまとめております。単年度契約を複数年度契約にできないか、事務管理の職員を配置できないか。参加できる研修が限定的である、委託費は使途制限が多く持ち出しとなる、退職金積立が対象外経費となっている、等の御意見を今まで頂いております。委託費についてはこの事業の問題というより国の会計制度があるので、そちらを踏まえつつになりますが、可能な見直しを検討してはどうかとしております。

 

○松爲座長

 さて、皆さんどうでしょうか。要望するのは、議事録に残りますから要望してもいいです。報告書に載るかは保証しませんが。第 1 回の委員会からこれに関しては皆さん話をしていますから、もう 1 回言い直しますか。

 

○成澤委員

 質問になりますが、上から 3 番目の参加できる研修が限定的で能力向上を図れないというところで、この研修の中身で、今、精神の方、発達が難しい方が多い中で、特別にその人に対しての研修、例えば医療の人が医療機関の方、ドクターが説明したり、 PSW の方が御説明して、研修、コーチングなど、そういうことは現在あるのでしょうか。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワークの高井です。ドクターであるとか、 PSW の方から研修を受ける機会はあります。ただその主催者がどこかという点で、対象外経費なのか、対象経費なのかが決定されます。例えば、職親会などが主催者でそこに総会などが付いていた場合、中身がどんなに精神に特化した良い内容であっても、それは対象外経費と判断されます。それから今、精神の方が働き続けるためには、生活支援を充実しなければならない、生活支援が必要だとずっと言われていますが、生活支援ワーカー研修に参加しても参加費の経費が認められません。全国就業支援ネットワークで生活支援ワーカー研修をやりました。そのときも研修名が悪くて、対象外経費になってしまいました。以後「就業生活支援ワーカー研修」ということにしています。就業生活を支えるということでは人材育成が特に必要です。もちろん地域障害者職業センターでいい研修をしていただいていますが、地域障害者職業センターは生活支援の研修はありません。地域で生活支援も含めた就業生活支援の研修は是非もっと自由に参加できるようにしていただくことによって、ワーカーの支援力向上につながっていくものと思っております。

 

○松爲座長

 事務局からどうぞ。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 研修に関しては、もともと定められているのは参考資料の 12 に書いております就業支援担当者研修、就業支援スキルアップ研修、主任就業支援担当者研修ですが、それ以外についても例えば、担当者の資質の向上に資すると認められるものであれば参加することも可能であるということですので、現在でも可能なこともあるかと思います。この点の周知等を図っていきたいと思っております。

 

○松爲座長

 それでは最後にその他、それ以外で何か御意見をどうぞ。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。委託費はやはり法人がなかなか経験のある人材を長期に抱えきれない、本当に業務量に応じた人員配置ができないことが、これまでの議論の中でずいぶん出てきた問題ではないかなと思っています。 1 つの視点で、前回、一般就労の人材に関する研究会、人材研究会と言われていますが、この厚労省の研究会でそのタイミングでこれは障害者雇用対策課が行ってくださった調査だと思いますが、移行支援事業、 1 号ジョブコーチ、それからナカポツというこの 3 つの法人等に委託されている就労支援の機能で、ナカポツが非常勤率が 32.8 %で一番高かったのです。一番コーディネート力などを今日も要求されている所がなかなか厳しい状況にある。 5 年以上の就労支援の経験年数のある職員はどうかという質問に対して、 1 号ジョブコーチはそのときには 39.5 %で、ナカポツが 35.8 %、移行支援事業は制度が始まったばかりということもあったのでしょうか、 15.8 %。先ほどナカポツの評価についても幾つかの議論がありましたが、やはり業務の内容、質を丁寧に評価していくのはなかなか地域によって役割は違って難しいかと思います。就労支援というのは、就労支援を中心にした生活支援、それから就労支援、ここは一定の専門性とその蓄積が必要で、正規研修をいくら打っていっても人がころころ変わっては、なかなか積み重ねにならないのです。 1 つの定点の調査として、行ってくださったような、こういう調査を定期的に行って、それでナカポツ、 1 号ジョブコーチ、あるいは今後検討されているナカポツへのジョブコーチ、そこの人材がどういう定着状況になっているのかの調査を定期的に是非、見ていただき、そこがどのように改善されていくのかを見ないと、前回研修の在り方、それから費用の問題が議論されるばかりでなかなかそれがどう改善されていっているのかの評価の基準が見えにくいので、 1 つの基準の見方として就労支援を専門にしている職員がどれくらいその組織に長期的にいるのかを、こういう研究会で確実に見ていきたいと思っていますので、是非、よろしくお願いします。

 

○松爲座長

 研究会を継続しつつ、毎回数年単位で調査をきちんと出していこうという話です。

 

○小川委員

 調査に関しては是非。

 

○松爲座長

 調査ですね。どうですか、事務局、それに関しての見解はありますか。

 

○金田地域就労支援室長

 地域就労支援室長の金田です。研究会の御意見として承りまして、今後、何がどのようにできるかを検討したいと思います。

 

○松爲座長

 どうですか、ほかにいかがですか。

 

○金塚委員

 金塚です。 2 つありまして、 1 点は感想のようになりますが、今回の論点はジョブコーチと就ポツで、両事業に共通するのが精神障害者、発達障害者の対応。今回の冒頭、医療との連携の話がありました。私たち本当に医療機関にもしっかり就労に対する理解もしていただきたいし、就労に対しての認識を深めていただきたいのはもちろんですが、小川委員からも少し出たかもしれませんが、福祉側がもっと力をつけていかないといけないということを改めて思っています。医療に対してものを言っていくときに対しても、私たちの力不足で医療が理解できていないというようなところが現場にいる中で感じるところが 1 点です。

 もう 1 点は、感想というよりもこういう数字があるのかどうかお聞きしたいのですが、就労移行支援事業所、就ポツから就職された方の勤続年数の数字は出ているのですか。そういうものが出ているのであれば、私が知らないだけであれば、お示しいただけたらと思います。定着を考える上で、就労移行から、石原委員からも出ましたが、送り出した所がしっかりと支援している所は、定着率がいいという話がありましたとおり、その辺についての調査のようなことができるのであれば、していただきたいというお願いです。

 

○松爲座長

 特に送り出す側が、今、人材が大事になってきますから。送り出す側が定着を含めて、基本的にきちんとデータがあるといいのですが。そこはデータはどうでしょうか。

 

○金田地域就労支援室長

 ナカポツセンターについての勤続年数について把握はしておりません。就労移行支援事業所については、担当が確認いたします。

 

○松爲座長

 さて、いろいろな御意見があり、幾つか事務局にお願いしたいことも加えてありましたが、そろそろ議論が尽きたということで、少し予定より早くなりますが、一応ここで終わりにして、事務局から最後によろしくお願いします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 次回は第 6 回、 1 17 日(金)になります。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。では今回の第 5 回の研究会は終わりたいと思います。長い時間ありがとうございました。お疲れさまでした。


(了)

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