ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> 原爆症認定制度の在り方に関する検討会> 第26回原爆症認定制度の在り方に関する検討会議事録(2013年12月4日)




2013年12月4日 第26回原爆症認定制度の在り方に関する検討会議事録

健康局総務課

○日時

平成25年12月4日(水)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○議題

1.開会

2.議事
 (1)検討会報告書(案)について
 (2)その他

3.閉会

○議事

○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 開会に先立ちまして、傍聴者の方におかれましてはお手元にお配りしています「傍聴される皆様への留意事項」をお守りくださいますようお願い申し上げます。

 これ以降の進行は、神野座長にお願いいたします。

○神野座長 それでは、ただいまより第26回「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。

 委員の皆様方には、お忙しいところお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。

 早いもので既に年の瀬でございますので、何かと御多用のみぎりだとは存じますが、御参集いただきましたことに伏して御礼を申し上げる次第でございます。

 それでは、議事に入ります前に、事務局から委員の出席状況の報告と資料の確認をお願いいたします。

○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 本日の出席状況でございますが、草間委員、高橋滋委員から欠席との連絡をいただいております。

 次に、お手元の資料について御確認をさせていただきます。

 議事次第、資料一覧に続きまして、

 資料1 第25回検討会における主な発言

 資料2 原爆症認定制度の在り方に関する検討会報告書(案)

 資料3 「原爆症認定制度の在り方に関する検討会報告書(案)」の修正案

 資料4 田中委員提出資料

以上でございます。

 また、委員の方には、もう一つ参照資料としまして、机上配付資料を配付させていただいております。

 資料に不足、落丁がございましたら、事務局までお願いいたします。

 カメラの方はここまででお願いいたします。

○神野座長 済みません、カメラの方、御協力をお願いできればと思います。

(報道関係者退室)

○神野座長 ありがとうございました。

 前回は、私の責任において、事務局でおまとめいただきました報告書(案)について、御議論を頂戴いたしました。

 各委員から、さまざまな御指摘をいただき、さらに田中委員からは修正案の提出を頂戴いたしましたので、それらに基づきながら私のほうから事務局にお願いをして、前回の案から修正作業をお願いいたしております。

 この修正案について、事務局から御説明いただければと思いますので、よろしくお願いします。

○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 それでは、資料についてでございます。

 まず資料1「第25回検討会における主な発言」でございますが、御確認いただければと思います。今回は、説明は省略させていただきたいと思います。

 続きまして、資料2「原爆症認定制度の在り方に関する検討会報告書(案)」でございます。これは前回から修正したものでございます。

 具体的な修正箇所につきましては、資料3「『原爆症認定制度の在り方に関する検討会報告書(案)』の修正案」という形で記載させております。それでございますので、資料3を中心に、本日は御説明申し上げたいと思います。

 なお、委員の方々には机上配付資料というのを最後に入れさせていただいております。そちらも適宜参照しながらごらんいただければと思います。

 それでは、資料3について説明を開始させていただきます。

 まず、前回の報告書(案)が左側、そして修正箇所が右側という形で対照させていただいております。

 一番最初の「1.はじめに」ということでございますが、修正箇所を読み上げますと、

「たとえ一命をとりとめた被爆者にも、生涯いやすことのできない傷跡と後遺症を残し、不安のなかでの生活をもたらした」。田中委員から修正案を頂戴しました。被爆者援護法の前文の引用でございますので、そのまま反映させていただいております。

 そして、少し飛んでいただきまして、4というところでございます。

 「それまでの検討会の議論をまとめ、おおむねの方向性を示し、認識を共有するものとして『中間取りまとめ』を報告した」。この後、田中委員からの指摘を踏まえつつ、中間取りまとめにより正確な形で追記させていただいております。「この『中間取りまとめ』では、さらに議論が必要とされた点やその他の事項について、具体的な制度設計に向け、掘り下げた議論を行う、とされたところである」ということでございます。

 続きまして、その下の5というところでございますが、今回ですと「計13回の議論を行い」ということで数字を入れさせていただいております。

 その次「2.基本的な考え方(総論)」1というところでございます。

 国の責任論に関する部分でございますが、修正案としまして「被爆者援護法前文(参照1)において、原子爆弾の投下の結果として生じた放射能に起因する健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊な被害であることにかんがみ、国の責任において、被爆者に対する総合的な援護対策を講じることとされているなど」と修正させていただいております。

 田中委員から何カ所か国の責任に関する修文をいただいております。これにつきまして、前回の検討会の御議論も踏まえまして、基本的に被爆者の援護法から引用するという形で修正しております。

 また、この援護法につきましては、前文を書くということで「参照」という形で報告書の3ページから4ページにかけまして、前文を報告書に盛り込ませていただいているところでございます。

 続きまして、次のところでございます。

 「医療費の自己負担分が無料になること、原爆症と認定されると特別な給付があることについて、上記の趣旨を国民に説明し、理解を得られるようにすることが必要である」と、田中委員からの御指摘も踏まえて修正させていただいております。

 その次のページに進んでいただきまして、5ページの2でございます。

 「悪性腫瘍を中心に司法判断と行政認定の乖離が縮小したものの、一部の非がん疾病について乖離がみられる。」ということでございます。

 こちらも田中委員からの御指摘を受けてでございますが、特に新しい審査の方針の後につきましては裁判例が少なく、かつ国の敗訴事例が心筋梗塞等に限られているということを踏まえまして、かかる修文とさせていただいております。

 その次の3というところでございます。

 こちらは、右側をごらんいただきまして、「行政認定は、厳密な学問的裏付けを求めるあまり、過度に厳格な運用となっているのに対し、司法判断は被曝の実態と放射線影響研究の流れを前提に、被爆者援護法の趣旨を踏まえ救済の観点から科学的知見を広くとらえ、個別事情と併せて総合的に考慮するなどしており、法治国家である以上、行政はこうした司法判断に従って、その判断を行政認定に反映させるべき、との意見が出された」と、田中委員の修正を踏まえて、そのまま反映させていただいております。

 その下でございます「3.各論」の2というところです。

 「これに対して、日本原水爆被爆者団体協議会の提言(参照2)を基に、全ての被爆者を対象として手当を支給すべきとの意見が出された」と、田中委員の修正意見を踏まえて修正させていただいております。

 また、この提言につきましても、報告書6ページに「前文を参照に」という形で記載させていただいているところでございます。

 続きまして、3ということでございます。

 「被爆者援護法を改正して支給される各種手当を一本化し、被爆者健康手帳を有するすべての者に支給する被爆者手当の創設を図るとともに、これまで放射線の影響が認められ

ている一定の疾病について」ということで、田中委員の指摘を踏まえて修正させていただいております。

 次のページに続いていきまして、5というところでございます。

 「放射線起因性の範囲については様々な意見があったが、いずれにしても、放射線起因

性を前提として、認定の在り方を考えていくことが適当であると考えられる」ということでございますが、こちらは先ほどの3の修正ともリンクしますが、放射線起因性という言葉を前提とするということについて全員一致ということではなく、多数少数意見ということでございますので、削除させていただいております。

 続きまして、7の(2)の1、2でございます。

 1につきましては「距離等の被曝状況に関する要件の拡大について議論が行われた。」

 「2これに関しては、既に科学的には放射線の影響が不明確な範囲まで積極的な認定を広げており、現状以上に緩和することは慎重に考えるべきとの意見が多数であった」と修正させていただいております。

 この点に関しまして、田中委員から全文削除の意見が出ておりましたが、かなり本検討会で議論したところであり、また、ほかの多くの方の意見でもございますので、このまま一部修正の上、載せさせていただいているということでございます。

 次のところでございます。

 「こうした状況の中、残留放射線については、内部被曝を含めて考慮するべきであるとして、近距離の地上誘導放射線や、黒い雨地域といった限られた地域に限定して例外的に考慮に入れている行政認定の在り方を改め、被曝実態や裁判所の多くの判決に従って認定を行うべきとの意見が出された」ということで、田中委員の御指摘を踏まえて修正させていただいております。

 なお、前半部分は科学的な事実ということで取り扱われておりますので、記載としてはそのまま、意見とは別の形で残させていただいております。

 2つ飛ばしていただきまして、5というところでございます。

 「これを正確に把握することが望ましい形ではあるが、現行の実務においては、総合的な判断の枠組みのもと、被曝当時の情報が限られている中で、国際的に広く認められている知見に基づき、距離等によって推計し、一定の外形的な標準を満たしたものを認定する方法をとることを基本としている」。田中委員からの御指摘を踏まえつつ、箇所についてはちょっと文章の流れの中で若干ずらしておりますが、記載させていただいております。

 その次でございます。

 「趣旨を分かりやすく明示することが望ましいという意見が多数であった」ということで、田中委員の御指摘を踏まえまして多数という形で修正させていただいております。

 次のページに進んでいただきまして、「なお、これに対し、個人の被曝状況に応じて認定する仕組みを廃止し、法改正をして被曝実態に沿って、被爆者全員に健康管理手当相当額を支給し、これまで放射線の影響が認められている疾病に罹患した場合に手当を加算するという制度に改めるべきだという意見が出された」。田中委員から意見を頂戴しまして、追加させていただいております。

 その次でございます。長瀧委員の御意見等の後でございますが、

 「客観的に説明できるようにすべきとの認識や」に加えまして「放射線による健康被害が他の戦争被害と異なる特殊な被害であるという認識に立って援護を行うべきだという認識が共有された」ということで、田中委員から修文意見を頂戴しまして修正させていただいております。

 その次、5つ飛ばしていただきまして、「これらの副甲状腺機能亢進症を除く非がん疾病については」と、田中委員から御指摘を頂戴しまして、そのとおり修文させていただいております。

 その次3でございますが、

  こうした状況の中で、「新しい審査の方針実施後の多くの裁判例が科学的知見の全体的流れを踏まえ認めているとおり、非がん疾病についてもしきい値がなく、悪性腫瘍と区別して取り扱う理由がないので、非がん疾病について、爆心地から3.5km以内の直接被曝等の積極認定の範囲の被曝については、『放射線』ないし『放射線起因性の認められる』との条件を削除して悪性腫瘍等と同様に全て放射線起因性を認め、認定すべき」との意見があった。

 しかし、裁判例を一般化するのは困難であること、非がん疾病について、しきい値がないとの考え方は科学的知見に反すること、今日の科学的知見では、比較的低線量でも影響を受ける可能性がある悪性腫瘍等と異なり、非がん疾病については、低線量での影響は認められていないことから、悪性腫瘍等と非がん疾病と同様の取扱いを行うことは適当ではないとの意見が多数であった。

前半部分につきまして、田中委員から追記の意見を頂戴しまして、それを反映させていただいております。

 バランスをとる観点から、本検討会で出された議論を踏まえまして、後半部分に2カ所若干の追記をさせていただいているところでございます。

 続きまして、5ページでございます。

 「他方」というところで「非がん疾病の放射線起因性に関する認定要件が抽象的であり」ということで、草間委員の御意見を踏まえて修正させていただいております。

 そして最後「なお、外形的な標準を定めるに当たっては、これまでの認定範囲を狭めることがあってはならないと考える」と、西藤委員からの御意見を踏まえて追記させていただいているところでございます。

 その後、11の1、2につきまして、特に2につきまして「科学的知見の確立されていないものも含め更に多くの疾病を追加すべきとの意見もみられたが、明らかに対象とすべきものは既に含まれているとの意見が多数であった」と、田中委員から削除意見がございましたが、多くの方の意見ということで、そのまま残させていただいております。

 2つ飛ばしていただきまして、4でございます。

 「原爆症認定を取り巻く状況の変化を踏まえて判断すべきであると考えられる」の後、「なお、その際、高齢化の進行している被爆者に対する保健、医療及び福祉にわたる総合的な援護対策を講ずるとしている被爆者援護法の趣旨に留意すべきである」ということで、田中委員からの御指摘を踏まえて修正させていただいております。

 また、次のところ、「1 国が敗訴した多数の判決においては、科学的知見にも幅や限界があり、未解明の部分が少なくないことを踏まえて個別の事情を総合的に考慮すべきということが指摘されており、こうした判決の考え方を踏まえて認定の方法を改めるべきとの意見がみられた」。田中委員からの御指摘を踏まえて修正させていただいております。

 次、6ページでございます。

 「これに対し、裁判では個別の事情に基づいて判断が行われるのに対し」と、前回荒井委員からの御指摘をいただきましたので、修正をさせていただいております。

 1つ飛ばしていただきまして、4でございます。

 「非がん疾病の認定要件が抽象的であり」ということで、草間委員の意見を踏まえて修正させていただいております。

 「分かりづらいことなども一因であるとの意見があった」と、田中委員からの御指摘を踏まえて修文させていただいております。

 その後、「5 これについては、」ということで、「丁寧に説明する等の運用を改善するべきである。こうした取り組みが、ひいては司法判断と行政認定の乖離を縮めることになるという意見が多数であった。一方、「放射線起因性がある」という要件自体を削除することが司法判断と行政認定の乖離を埋めることであるとする意見もあった」と、田中委員の御指摘も踏まえて修正させていただいております。

 1つ飛ばしていただきまして、2のところ、左側の欄をごらんください。

 「客観的に確認する方策を導入することが適当である」の「方策を導入する」を削除させていただいております。田中委員からの御指摘を踏まえて修正させていただいております。

 その後、2つ飛ばして「(7)国民の理解など」ということでございますが、これは、財政負担を担う国民の視点に関しての御意見でございますが、先日のように「放射線起因性については引き続き要件とすることが必要であるとの意見が多数であった」というふうに修正させていただいております。

 そして、1つ飛ばしていただきまして、7ページでございます。

 「3 あわせて、放射線による健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊な被害であることなどから、国の責任において、総合的な援護対策を講じており、一般の福祉施策とは異なる理由があることに留意し、その旨、国民に説明し、十分な理解を得ることが肝要である」ということで、これも田中委員からの御指摘を踏まえて修正させていただいているところでございます。

 その次でございます。「科学に限界があり、現在知り得る被曝当時の情報も限られていることを踏まえて施策を考えていくことが必要である」と、前回の検討会での御指摘を踏まえて修正させていただいております。

 2つ飛ばしていただいて、最後のところですが、「より良い方向に制度を見直していくべきとの認識はすべての委員に共有されていた。今後も、本検討会で意見が一致しなかった点を含め、科学の進歩や環境の変化等を踏まえつつ、制度をより良いものとしていく努力を継続すべきである」。前回の坪井委員の御指摘を踏まえて追記をさせていただいております。

 以上が、前回からの修正でございます。

○神野座長 どうもありがとうございました。

 資料3でもって、前回からの修正点を御説明いただきましたが、でき上がりのほうは資料2のほうの報告書になっておりますので、ここに例えば参照などを入れた体裁になっております。これも御確認いただければと思います。

 それでは、以上、説明していただいたことを念頭に置きながら、報告書(案)につきまして、委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。

 いかがでございましょうか。

 田中委員、どうぞ。

○田中委員 まず最初に、大変たくさん修正を採用していただきましてありがとうございました。

 かなり私どもの言いたいことを入れていただいて喜んでおりますが、まず、どうしても削除されたところで加えていただきたいところがあります。

 それは、冒頭の部分の2のところで、最高裁の判決を私どもは入れてほしいということを申し上げておりました。机上配付のほうのところに、どういうふうに要請していたかというと「これらの施策の背景には、最高裁判決が指摘する特殊な戦争被害について、戦争の遂行主体であった国が自らの責任において、救済を図るという国家補償的な配慮が根底にある」ということをつけ加えてほしいと、ここでも申し上げたと思いますけれども、修正意見でも出しておりましたが、その部分が、前文を全部入れるということのためにその文が削除されてしまっているのですが、この表現は非常に重要なことだと思っておりますので、ぜひ復活させていただきたいと思っております。

 この文言自体は、第1回の検討会のときにたくさん資料が配られましたので、見過ごしてしまう部分があったのですが「『基本懇』答申」というのが1980年だったかにあるのですが、その中で国の被爆者行政のあり方についてるる説明をされているわけですが、ぜひ見ていただければありがたいのですけれども、一番最初のあたりです。

 ここの部分に基本懇がいろいろ言っておりまして、例えばまず概要の部分が、基本理念というところが箇条書きに書いてありまして、そこのところでどう言っているかというと「しかしながら原爆被爆者の受けた原爆放射線による健康被害は、一般の戦争被害とは一線を画すべき特別な被害、犠牲であり、広い意味における国家補償の見地に立って被害の実態に即応した対策を講ずべきものと考える」ということを述べておりまして、その本文のところには、最高裁の判決があったということに触れながら、国家補償的な配慮があるということを言っておるのです。

 基本懇の答申部分の4ページになりますが「原子爆弾の被曝による健康上の障害はかつて例を見ない特異かつ深刻なものであること」と並んで、「かかる障害がさかのぼれば戦争という国の行為によってもたらされたものであり、しかも被爆者の多くは今なお生活上、一般の戦争被害者よりも不安定な状態に置かれているという事実を見逃すことはできない。原爆医療法は」、原爆医療法というのは今の法律につながるわけです。現法の場合ですね。

 「原爆医療法はこのような特殊な戦争被害について、戦争遂行主体であった国が、みずからの責任によってその救済を図るという一面を有するものであり、その点では実質的に国家補償的配慮は制度の根底にあることは、これを否定することができないのである」というのが、最高裁の判決文であります。

 それを受けて、基本懇は「戦争被害に着目した一種の戦争損害救済制度と解すべきであり、これを単なる社会保障制度と考えるのは適当ではない」というふうに言って、国は原爆被害者に対し「広い意味における国家補償の見地に立って被害の実態に即応する、適切妥当な措置、対策を講ずべきものと考える」という形で答申をしておりますので、これ基本懇の言葉をたくさん並べていくと大変なわけですが、基本懇がこういうふうに現行法をきちんと位置づけるに当たっては、孫振斗裁判でしたけれども、裁判の判決があったということでありますので、その判決の中の一番主要な部分「実質的に国家補償的配慮が制度の根底にある」ということをぜひ加えておいていただきたい。

 これが入っているか入っていないか、常に被爆者対策にこのことが考慮されるかどうかということは非常に重要なことだと考えておりますので、削除されたのですけれども、ぜひ復活して入れていただきたい。これに関する表現は、あと次の部分にも2カ所ぐらい出てきますので、あわせて復活させていただければありがたいと思っております。

 以上です。

○神野座長 これは、ここでの検討会での共有された認識を書いているところでございまして、少なくともここは共有できているということで前文を引いているという構成にしております。

 私、法律の専門家ではありませんが、ここら辺のことについてはさまざまな角度から議論がこれまでもあったかと思いますので、できれば出発点でございますので、ベーシックといいますか、土台として共有している認識を書くということにとどめさせていただければということでこういう書き方にしておりますが、これについて何かほかの委員の方から御意見あれば頂戴したいと思います。

○荒井委員 田中委員の御指摘、修正意見が前にお出しになったことは承知していたのですけれども、結論から言うと、ここでの修正での御意見で「国家補償的配慮」という言葉を入れるかどうかということなのですね。

 歴史的な経過だから言うと、三十何年か前の基本懇でそういう言葉が使われたことは、これは我々もよく承知しているわけですが「国家補償的配慮」「国家補償的な」という言葉、いろいろな意味合いを持つということで、これは田中委員も御承知のように国会でも随分議論された経過がありました。私の意見としては、言葉は「国家補償的」ということを入れるかどうかというのは確かに大事なところかもしれませんが、逆に言うと、そこには異論といいますか「国家補償」の意味合いについての意見がかなり幅のあるところだと。

 最終的には、この援護法のときに前文が今回の修正文で入れられていますけれども、国の責任においてということで全部くくってしまったわけですね。

 その「国の責任において」ということは、この報告書のわざわざ前文を引用しているということが一つと、ちょっと私、何ページだったか覚えていませんが「国の責任において」ということは、次の文章にもどこかで使われたと思うのです。

 そういうことで「国家補償的」という言葉を、若干理解の仕方が違うという言葉をあえて入れないほうがむしろいいのではないか。「国の責任において」という言葉がきちんと整理して採用されておりますので、これでまとめたほうがいいのではないか。そこは恐らく入れることについて強い反対ということは言いにくいわけですが、三十数年前のものをここでもう一遍同じ言葉を入れたいというのは、若干私には抵抗感があるわけです。

 ということで、修正の御意見は承知はしておりましたけれども、これはこれでまとめてもらっていいのではないかと私は思います。

○神野座長 いかがでしょうか。

○田中委員 これ、法の性格を言っていることになるのですね。だから解釈の問題ではなくて、そういう側面があるというのは事実なわけですから、それに対しても私は全く問題ないと思っているのですね。

孫振斗さんの場合には、被爆者対策の場合、単なる援護だけではなくて国籍条項もないということを含めて、だからそういう側面があるということを言っているわけですね。

 それから医療対策についても、全面的な施策を行うということをやはり「国家補償的」だと言っている。「国家補償」だとは言ってはいないのですね。私どもが「国家補償」であってほしいということを求めているときには、被爆者対策を必ず入れろということを付随させて言っていたわけで、その被爆者対策を除いた部分であるので「国家補償的」だという用語を使っているのだと思いますので「国家補償」とはまた違うわけだから、被爆者対策の部分については、これをやはりきちんと位置づけておいたほうが、行政側にとっても被爆者側にとっても私はいいのではないかというふうに思っているのです。

○荒井委員 これは議論をしても仕方がないところなのですが、要するに「国の責任において」ということで、今の被爆者援護法が基本的に考えている精神といいますか、それは表現されて「国の責任において」ということは最大公約数的な表現だということではないでしょうか。

 国会の議論を覚えているわけですけれども、なぜその「国家補償的な」ということを使わないかということで、若干、多義的な面があるからという議論がありましたね。「国の責任において」という言葉のほうを使ったのだということではないでしょうか。

 だから、なぜ入れないかということについて、反対だということはある意味で言いにくいことなのですが、そこまで書かなくてもいいのではないか、むしろ「国の責任において」という、万人が反対できない異論のないところでまとめていただくほうが、私はいわば通りがいいというふうに思います。

○神野座長 よろしいですか。

○田中委員 「国の責任において」という言葉が入ったということは私どもも知っておりました。現行法が1994年にできたときにそういう言葉で入れられたということを知っておりまして、そのこと自体、あの表現自体、前文のその表現にはかなり私ども批判をしたのですね。「国の責任」というのは曖昧である。行政をやるのは全部国の責任でやるわけですから、特別に被爆者対策だけが国の責任でやられるわけではないのであって、そこの「国家補償的な配慮がある」という部分を「国の責任において」という言葉で、言葉は悪いですけれども、ごまかしてしまったという部分があるというのが私たちの認識なわけですから、だから、それが入っていればいいという荒井委員の意見には賛成しかねるのですが。

○荒井委員 だから、そこの言葉への期待の濃淡があるということが、とりもなおさずそれぞれ理解が違うというところがあるので、ここの報告書の一番前書きのところで皆さん異論のないところでまとめるということになれば、やはり「国の責任において」という言葉でまあ満足していくしかないのではないかと、ここの報告書としてはですね。そういうふうに私は思います。

 何と言いますか、理屈の上で悪いとか何かではなくて、今おっしゃったように国会の議論でさえ、国民の代表が集まっている国会の議論でさえ、多義的なところがあるから国の責任においてと、田中委員のおっしゃるように、ある意味で玉虫色というのか、ごまかし的なということをおっしゃいましたけれども、それでいわばみんなの意見を集約したという経過だったのではないでしょうか。

 だから、ここでそこをあえて強調するというところが、逆に万人がなかなかすんなり落ち着かないというところになるので、議論の経過は私もよく承知しておりますが、ここはこの辺でまとめてもらうしかないのではないかと思います。

 私から言えるのはそのぐらいです。

○田中委員 もう一つだけ、裁判で国は実はたくさん負けましたね。その裁判で判断したときの裁判官の意図しているところがかなりその部分にあるのですね。判決文を読むと、その部分を引用しながら国の施策が間違っていると、法の趣旨を踏まえていないという判断をしているわけです。だから法の趣旨はそういうふうに国の責任と書いてあるにもかかわらず、それを正しく運用していないではないかというのが、裁判の判断で改めるという指示をしているわけですね。その裁判官が、国家補償的配慮がある法律であるということを明言して、自分たちの判断の根拠にしているわけですから、この司法と行政の乖離を埋めようという場合には、本来大前提になるところだったと私は思っているのです。

○神野座長 ここでもいろいろ根底について議論をしてまいりましたし、御見解があることは承知しておりますが、ちょっとその制定されたときの村山総理のこの法案のところを読ませていただくと、こういうことですね。これは、私がまた言うこともないと思いますが、国家補償という言葉をあえて使わなかったのは、やはりいろいろな意見がありまして、国家補償という言葉の解釈、概念というものが必ずしも明確になっていないという面があるわけです。したがいまして、もっと定義が明確になるような形でもって示したほうがいいという意味で、国の責任というものを明確にして、今、申し上げましたような論点に着目して、そして援護法を制定したと、当時の総理の説明でございますので、そういう意味で、ここでもいろいろ意見があったということは承知しておりますが、ここはまたこれが多数少数と書くのではなく、共有したスタートとして出発したいので、誰もが出発できるのはこの文章そのものだろうということで書かせていただいているところです。

 つまり、国民はそれを見て理解をするわけですので、問題は、ちょっと法律学者ではないですが、国民が法をどう理解しているのかというふうに推定すると、総理もちゃんと国会で説明されているということを踏まえて説明されているだろう、理解しているだろうと思いますので、法律そのものを引用するということで、それについていろな価値観を入れないでそのまま書くということで、ここについては意見が対立しておりますので、書かせていただいたというところですね。

○坪井委員 「国家補償的配慮」というのは、これどこをとるかということですが、私は頭が悪いからでしょう、あの言葉のあと、ずっとアメリカが問題になるのですよ。私に言わせると。サンフランシスコ条約から、最高裁ですら国家補償せよとは言わない、よう言えないのですよ。だから「的」をつけたりすると私は見ている。

 したがって、これは最高裁といえども何といえども、本心とはちょっと違うところがあって、外交的な言葉になっているような点もあるのですよ。だから、我々フリーだったら国家補償せよと言いたいですよ。「的」は入れませんと。

 そんなことを思うのですが、したがって、国の責任とかいう言葉も何もいろいろあるのですよ。そういう意味では、国民全体が、我々のいろいろな思いを理解してもらうのが第一ですので。私は余り拘泥はしない。むしろ、やるとすれば、それは基本懇にしても何にしても、皆、あのサンフランシスコ条約が問題になるのだからと私は思って、そこらまで皆やることになったらこういう場ではないですから、私は難しいなとは思っております。

○神野座長 ありがとうございます。

 そういう御趣旨も含めて、法そのものを引用させていただくということでさせていただければと思います。

 よろしいですか。

○田中委員 もしそういうことでありましたら、これ確かに初めの部分の書き出しということですので、文章のバランスということがあるのであれば、この文言はほかにもたくさん使ったのですね。私、発言でも使っていたので、そこのところではちゃんとそういう意見があったとか、そういう明確な記述を復活して、たしかどこかで。

○神野座長 おっしゃる意味は「国家補償的配慮」という言葉を、田中委員が使って説明された箇所があるのではないかと。

○田中委員 あります。

○神野座長 そういうところで、ここに関連するところがあれば、そこでこういう意見もあったということで引いてもらえないかと、こういう御趣旨と理解していいですか。

○田中委員 そうです。その場合には、必ずそれを復活させてほしいと。

○神野座長 わかりました。

 ということで、ちょっと事務局のほう、見つけておいていただけませんか。

 

○田中委員 例えば「基本的な考え方」の一番冒頭部分にも出てくるのですね。そこに入ってからでもいいのですけれども、後は余り問題ないような。

○神野座長 ありがとうございます。

 ほか、いかがでございましょうか。よろしいですか。

 できれば、前回お話しいたしましたように、きょう取りまとめたいと思いますので。長瀧委員、何か。よろしいですか。何かございましたら。

○山崎委員 ベースキャンプはともにしたけれども、目指す頂は別の頂であったという印象を受けております。ただ、ベースキャンプをともにしたという価値はそれなりにあるのではないかと思っております。

 座長には本当に、皆さんの意見を辛抱してよくお聞きいただいて、よく取りまとめの努力をしていただいたと思います。どうもありがとうございました。

(傍聴人より「山崎先生のが聞こえない」と声あり)

○神野座長 山崎委員、もう一度。

○山崎委員 中間取りまとめで、ベースキャンプはともにしたわけでございまして、ただ、その先目指す頂が別のところにあったということで残念でございますが、ベースキャンプをともにしたという価値はとても大事だと思います。

 それと、神野座長には、本当に取りまとめに当たって、最後まで努力していただいたと思います。お疲れ様でした。

 以上でございます。

○神野座長 どうもありがとうございました。

 ほか、いかがでございましょうか。

○石委員 やはり一言感想というか意見を述べておきたいのですが、私も数多くの審議会にこれまで出てまいりました。この最終段階で、田中さんの御意見、御熱心にいろいろほかの委員以上に提案されたからそれだけ採用されたということだと思いますが、ほかの委員がサボっていたかもしれません。それだけ知識がなかったというべきか経験が不足していたというべきかもしれません。

 そういうわけで、山崎さんがおっしゃったように、ちょっと考えていた方向ではない点も多々あるのかもしれませんが、田中トーンが大体7~8割支配しているのではないですか。この報告書の方向づけというか中身というか。そういう格好でまとめられたのは仕方がないと思いますが、正直言って若干、最初から見ていて私はしらけたなという、私の個人的な感想ですけれどもね。

 そういう意味で、これ以上また田中さんがいろいろ注文つける余地が、先ほど国家的補償とございましたけれども、あるのかなというぐらいに御意見が通っているのではないかと思いますが、これは田中さんの御意見が通るということは、他の人の意見がトーンダウンするということなのですね、はっきり言って。そういう意味で、この案は恐らくこれ以上やってもしようがないと思いますが、荒井さんが先ほどおっしゃったように、もうこれ以上議論してもしようがない問題が多々ある中でつくられて、神野さん大変苦労されたと思っていますが、山崎さんと同じように御苦労を謝して終わりにしたいと思います。

○神野座長 ありがとうございます。

○潮谷委員 私はこの会に参加して、長瀧先生のお話を通し、この原爆問題というものを客観視することができたということが一つです。

 そして、さらに長瀧先生のお話の中に、幾多の原爆に遭われた方々、この犠牲がこの制度に大きくかかわって今日まで来たということですから、今回のこの検討会の報告書というものも今後ともそういったことを私たちがしっかりと認識をし、結論のところにもありますけれども、今後新しい知見あるいは新しい方向、こういったものの改正が必要というようなときには、それは柔軟に対応していくというその姿勢を大事にしつつ、この修正案を受け入れていきたいと、思います。

 さらに、神野座長の森先生から引き継がれた後の、本当にいろいろな方々の意見を受け入れつつ頑張ってくださったということにもお礼を申し上げたいと思います。

 ただ、一点気がかりなのは、長崎市そして広島市、そのお二方が市を代表しておいでになっている立場の中でこの修正案をどのように受けとめられるのか、そのあたりのことはぜひお伺いしたいという希望がございます。

 以上です。

○神野座長 ありがとうございます。

○高橋進委員 私はこの委員会の委員になったとき、もちろん門外漢でございましたけれども、26回にわたって勉強させていただきました。

 そのときに考えたことは、科学一辺倒にならないように、温かい行政の視点というのを考えながら被爆者に寄り添うという視点、これを大事にしながらやはり考えていかなくてはいけないのではないかということでずっと考えてきました。

 そういう意味で、できるだけ客観的ですが温かみのあるようなレポートができるようにということで考えてきたつもりです。私は自分としてはしっかりやってきたつもりで、結果として意見が分かれたというのは、それはそれで致し方ないかなというふうに思っております。

 以上でございます。

○神野座長 ありがとうございます。

 それでは、先ほどの潮谷委員の御発言もございましたのでよろしくお願いいたします。

○三藤委員 私としては、司法判断と行政判断の乖離を埋めることがこの検討会の役割だという認識を当初から持っておりまして、その前提では、いわゆるグレーゾーンに対する議論というものを何とかこの最終取りまとめの中にも出していきたいという気持ちが強かったのですけれども、検討会としてのまとめが、こういう形で被団協の意見もかなり取り入れられてまとめられたこと自体については、これはまとめとしては受け入れざるを得ないのではなかろうかという考え方を持っています。

 ただ、最後に一つ申し上げておきたいのは、やはりグレーゾーンの場合も議論になったのは、科学の限界の問題だと思うのです。だから、科学の限界が援護の限界になってほしくないと、これは今後報告書が出た後も、私どもとしても厚労省等にお願いをしてまいりたいと思っていますし、厚労省のほうでもその辺のところをぜひ検討していただきたいと思っております。

○神野座長 ありがとうございます。

○西藤委員 私も途中からメンバーに加わりましたので議論に参加させていただきましたが、両論併記になった部分もかなり多うございますが、この報告を踏まえて今度国のほうにおいてどのように検討されるかということになりますので、この報告書の「むすび」の冒頭にありますように、御高齢になられた被爆者の方々に寄り添うという視点を何より大切にしていただきまして、国において認定範囲が現状よりも広がるような、よりよい制度になるよう努力していただきたいと思っております。

 それから「むすび」の最後のほうに「今後も」ということで、今回つけ加わっておりますが「本検討会で意見が一致しなかった点を含め、科学の進歩や環境の変化等を踏まえつつ、制度をより良いものにしていく努力を継続するべきである」ということに関しては、被爆者の方はかなり御高齢になられていることも踏まえまして、決して先送りにならないように常に前向きに御努力をお願いしたいと思っております。

○神野座長 長瀧委員はよろしいですか。

○長瀧委員 感想みたいになりますが、私としては、科学の立場ということをかなり客観的にわかったこと、わからないこと、できるだけ御理解いただくように、そしてそれを共有していただくと。その上で各利害関係者の方がここで集まって、それぞれの立場から議論していくわけでありますので、私の立場としては十分に共有していただいた上で皆様がそれぞれの立場で議論していただいた。

 その結果、非常に大変な議論をこの委員会でよくここまでまとめていただいたと、神野座長に本当にお礼といいますか、御苦労様でしたという気持ちを表現したいと思います。事務局ももちろんですけれども、座長、どうもありがとうございました。

○荒井委員 遅くなって恐縮ですが、感想を一つ申し述べたいと思います。

 大変な議論で、先ほど来、出ていますように、報告書としては田中委員が最初から御主張になっておられた被団協の方々の意見がそのまま採用されるということにはならなかったと思いますけれども、ここで議論をしてきたことというのは、傍聴の方々を含めて一生懸命みんな議論したということだけはわかっていただけるのではないかと思うのですね。

 私の認識では、御指摘になったところで本当に最大限、最終的には報告書の文面の中に取り入れられたと理解しております。

 さらに一言つけ加えさせていただきますと、田中委員のかなり厳しい御意見と、一方でその御認識は共通だと思うのですが、坪井委員がさらに高いお立場で発言をしておられたということに私は敬意を表したいと思うのです。

 報告書はこういう形で、ここの議論を最大限忠実に反映してもらったと、それは神野座長なり事務局の御苦労に私も感謝したいと思うのですが、あえて言えば、これは実は見直しの議論としてはスタートなのですね。こういう報告書を踏まえて、私はこれから極力この報告書に書かれてあることを具体的にどういうふうに実現していくのかという段階で、なるべくここの意見を踏まえた形で、これは主として厚生労働省の作業ということになるかと思うのですが、できるだけ今回の報告書の趣旨が生かされるように今後具体的な検討を進めていただきたいなと思います。これはむしろ主として事務局に対するお願いであり、注文だということでございます。ありがとうございます。

○神野座長 最後に坪井委員にお言葉いただきますが、田中委員の御意見を頂戴する前に、先ほどの修文といいますか、これはちょっと委員の皆様方全員に聞いていただかなければならないのですが、ページで言いますと資料2の3ページでございまして、一番最初の黒丸がある固まりがございますね。「2.基本的な考え方(総論)」の下に「原爆症認定制度の在り方に関しては」云々と始まる文章のあとポツとして。
○田中委員 資料2ですか。前文かと思って。

○神野座長 「すべきである」とありますよね。最後が。一番上のポツが「異なる理由があることに留意すべきである」という文章で終わってございますね。

○田中委員 はい。

○神野座長 その後に「なお、被爆者援護対策については、昭和55年の最高裁判所の判決で指摘されているように、国家補償的な配慮が根底にあるとの意見もある」と入れて「参照2」として、この基本懇の、先ほど田中委員が引いた最高裁の判決の箇所がございますね。

○田中委員 はい。

○神野座長 そこ(参照2)を入れると。そこの箇所は、田中委員はお手元にあるかと思いますが。

○荒井委員 よろしいですか。

 先ほど、田中委員が引用された基本懇の文章ではなかったのですか。

○神野座長 基本懇の文章です、これ。

○田中委員 基本懇の文章の中に最高裁判決が入っている。

○神野座長 ですから、この基本懇の文章の4ページです。委員の皆様方、見ていただければ。4ページの引用されている箇所がございますね。つまり、上から数えるとかなり行くのですが、11の最後のほうからですね。大丈夫ですか、田中委員。

○田中委員 ここが私が読んだところですね。

○神野座長 そこの「原爆医療法は、このような特殊の戦争被害について戦争遂行主体であった国がみずからの責任によりその救済を図るという一面をも有するものであり、その点では実質的に国家補償的配慮が制度の根底にあることが、これを否定することができないのである」というところまで参照として引いて、先ほどの「なお」の文章を入れるということでいかがでしょうか。

○田中委員 それは、最初のあれですか。一番初めの2のところにということでしょうか。ではないのですね。後で削除したところでしょう。

○神野座長 ちょっと待ってくださいね。

○田中委員 2カ所ぐらいあるのですね、削除されたところが。

○石委員 今、どういうことが問題なのかキャッチできないのだけれども、この最終報告案の中に、新たな文章を入れたいという御提案なのですか。

○神野座長 そうです。

○石委員 神野さんが今、言った文句を全部ここに、何か何十行かあるよね。それを突っ込むの。今の段階から。

○神野座長 そうです。

○石委員 そういうこと。問題だな、それ。やはり今の段階で抵抗ありますね、それは。

○神野座長 では、御意見ちょっと頂戴できれば。

○石委員 このままでいいのではないかと思いますよ。このフォームのままで。

○田中委員 今、一番上のところを、私が最初に発言したところではないところという意味ですよね。

○神野座長 そうです。

○田中委員 そこを、私はだから、そこでもし一番最初の冒頭の2にところに、もしどうしてもバランスとかそういうことで入れていただけないのだったら、文章の発言しているようなところがありますので、そこにというふうに申し上げたのですね。

○神野座長 そうです。

○田中委員 今、提案があったのはそこだと思うのです。この机上配付を見ていただいたほうがいいのかな、机上配付のところの1ページの下から2つ目と3つ目のところにも同様の文章が私どもの意見に入っていて、それが消されていたわけです。それを復活していただけるかというのを最初に言ったのですけれども、今の提案は多分、その3つ目のところの文章に消した部分を、そのままではないのですけれども入れたものでしょうという御提案ですね。

○神野座長 

 石先生、どうぞ。

○石委員 最初に初めのところで田中さんの御提案があって、国家的補償云々の文句が、ここでは入れないけれども、後のほうでどこか救済できるところがあったら入れてくれというお話だったでしょう。それがこの箇所なのですか。

○神野座長 今のところ、事務局のほうではこの箇所というか。

○潮谷委員 田中委員がおっしゃっていた趣旨と、今、事務局側が対応しようとしている趣旨の間には違いがあるような気がいたします。ですから、修文という形でいくのか、あるいは田中委員が最初におっしゃったように、この「国家補償的配慮」という発言のところをこういう論議があったという形でいくのか、そこのあたりが問われてしかるべきかなという気がします。

○神野座長 そうなのですが。

 適当な箇所がないの。入れるところに。枕言葉として入れるだけというのがないのですか。

○潮谷委員 だから、事務局の姿勢がちょっと明確でないという感じがするのです。

○神野座長 私がちょっとオーダーしたのは、枕言葉で入らないかと、つまり「国家配慮的な補償」というのが田中委員の。

○石委員 枕言葉で言えば、せいぜい1行か2行で、せいぜい15字ぐらいで、今、10行以上文章読み上げていたのではないか。あれ枕言葉ではない。修正ですよ、それは。大修正ですよ。

○神野座長 田中委員の発言しているところで、その箇所のところに。

○佐藤健康局長 ちょっとなかなか入れるような状況にないです。

○石委員 ここに入れたいのですか。

○神野座長 そうです。「国家補償的配慮」というのをですね。

○潮谷委員 「国家補償的配慮」を入れたいと、文章の中に入れたいということではなくて、論議の中で、田中委員はこういう発言をしているということをこの資料3のところででもよろしいので入れたほうがいいと、こういう御趣旨であったのではないかなと思うのですが。

○神野座長 そういう御趣旨ですか。

○田中委員 そういう趣旨だったのですけれども、今の説明を受けたらもともと入れていたところで、削除されている部分は、そうではなくて。

○神野座長 わかりました。

 では、委員の皆様方の御意見のほうがもっともなので、私はちょっと聞き違えて、田中委員が発言していらっしゃるところの文章の中に入れ込むのかなと思ったのですが、そうではなくて資料3のほうでいいということであれば、そこに明確にきちっと書かせていただくと。

○荒井委員 よろしいですか。

 この基本懇なり最高裁判決を部分的にしろ、注で引用するまでの必要は私はないと言いますか不適当だと思います。

 あえて、田中委員の、ここに盛り込むべきではないかという御趣旨を、もし受けとめるとすれば、言葉として言えば最高裁53年の判決及び基本懇の中で指摘されたように、国家補償的配慮が根底にあるということを銘記すべきであると、そういう御意見があったというような言い方が限度かなと思うのですね。

○神野座長 ちょっと済みません、私が田中委員の御意見を勘違いしたところがそもそもの間違いで、潮谷委員の御指摘が正しい田中委員の理解だと思いますので、報告書(案)については修正をしない。それで、そういう発言があったということを明確に、資料3。資料3といってもどこに入れるの。記録に残したいということですね。

○田中委員 事務局が用意されるようですから、それをちょっと待って議論したほうが錯綜しないかと思います。

○神野座長 いや、ちょっと私が。出していただいてもいいのですが。

○石委員 むしろ空中分解しますよ。またやれば。

○神野座長 ちょっと済みません、私の全くの不手際で、田中委員の御趣旨を勘違い。

○田中委員 だから私が理解しましたのは、資料3の下から3番目のところの文章がありますね。

○神野座長 資料3の下から3番目は1ページでいいのですか。

○田中委員 1ページです。「2.基本的な考え方(総論)」の1のところで、ここの部分に実は私は修正の意見を入れていたのですね。それは今、申しましたこれで、それを今、多分事務局は頭に置いていたのをお尻に持ってきたらどうかという提案をされたように理解しているのです。

○田中委員 というのは、多分ここを読んでいきますと「被爆者に寄り添うという視点に立つとともに」といって「国の責任において、被爆者に対する総合的な援護対策を講じることとされているなど、国家補償的な配慮が制度の根底にあって、一般の福祉政策とは異なる理由があることに留意すべきである」多分そういうふうに修正を提案された。違いますか。

○神野座長 ちょっと混乱しているのですが、田中委員の趣旨を、潮谷委員の趣旨でよろしいのでしょうか。

 つまり、本文というか報告書は修正しなくていいのだと。そういう意見があったということを記録として残してほしいという御趣旨ですか。私はどこかに入れ込むのかと思って探すようにと言ったのですが。

○田中委員 大変申しわけございません。多分、私が最初に発言したことを、潮谷先生がおっしゃっていると思うのですが、私は私の意見として記載されていると理解していたのですが、そういう格好で記載されていないというのを読んでいきましてわかりましたので、私の発言としてということではなくて、基本的なものとしてしかるべきところに復活させていただければありがたい。

○潮谷委員 報告書の中にということ。

○田中委員 そうです。もちろんそうです。

○潮谷委員 今、また修正されたというふうに。

○神野座長 またちょっと潮谷委員の概説と違うということですね。

○潮谷委員 今の田中委員の御発言は、当初の御意見としては御自身が発言なさった「国家補償的配慮」、この発言をきちっと取り上げていただきたいという、そういう御趣旨だったのですが、今の御発言の中では、むしろ今の論議の流れの中で、報告書の中に、どこかに表現をしていただくということが望ましいという、そういう田中委員の意見に変わったわけでございますよね。そうではないのですか。

○田中委員 私の発言としてということであれば、それは報告書に当然載るのですよ。それを前提にして言っているわけですから。報告書と前提に私の発言があった部分に、というのはあり得ないわけですので。

 ただ、私の発言があったという文章を挿入するような箇所はちょっと見てありませんので、そうではなくて、私どもが提言したところで削除されているところがあるのです。それは机上配付を見ていただければわかるのですが、その一つを復活させてほしいというふうに最初言ったのです。

○潮谷委員 最初おっしゃったのですね。

○田中委員 冒頭で載せないのはいいけれども、そういう部分で入れてほしいということになります。

○神野座長 つまり、既に適当な箇所でいいですね。枕言葉として中に入れ込むということがなければ新たな文を追求するということ。

 ちょっと、事務局側の案を聞いていただけませんか。

○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 今から、各委員に配付をさせていただきます。

 その前に、1点だけ事務局から補足的に説明をさせていただきますと、確かに田中委員がおっしゃるように、要はこの「基本的な考え方(総論)」というのは、中間報告の記載をベースにした共有の箇所というところでございましたので、田中委員御自身の発言ということをちょっと前提に発言されたわけですが、基本的にはここは中間報告で共有された考え方を記載されている箇所であるというのが、まず一つ。

 その上で、それ以下のところを見ましても、ちょうど国家補償について田中委員の発言あるいはほかの誰か個人の発言を取り上げるような箇所は今のところはないということがもう一つでございます。これを前提としまして、今、基本的には共有されているところに、一委員の意見という形で記載する案を今、作成させていただきましたので、皆様に配付した上で、もう一回御議論いただきたいということでございます。

○石委員 共有してきたときに、そういう意見をまたつけ加えるの、少数意見、お一人の意見が。共有した意味がないじゃない。共有というのは、皆さんが一般的に理解した、田中さんの御意見を生かすなら後のほうでやらないと意味がないですよ。こんなところに突っ込んだら共有の意味がないじゃないですか。

○神野座長 これは完全に「なお」で始まっている文章だから、入れようと思えばどこにも入るのではないの。

○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 そういう意味ではどこでも入ります。

○神野座長 ですよね。そうすると、もっと適切な位置はないですか。申しわけありません、一緒に見られないので。

(事務局資料作成)

○榊原原子爆弾被爆者援護対策室長 では、今から、今の石先生の御意見も踏まえて修正案を作成させていただきます。

 入れる箇所が、報告書のページで言いますと14ページの「(7)国民の理解など」というところでございます。こちらのところに各委員の意見もございますが、「あわせて」というところで、

 「あわせて、放射線による健康被害が他の戦争被害とは異なる特殊な被害であることな どから、国の責任において、総合的な援護対策を講じており、一般の福祉施策とは異なる理由があることに留意し、その旨、国民に説明し、十分な理解を得ることが肝要である。」

その後に「また」ということで「被爆者援護施策については、53年の最高裁判決で指摘されている国家補償的な配慮が制度の根底にあるとの意見があった」と、こういう形で入れるというのが一つかなと思います。

 まず、イメージを持っていただくために、すぐに作業しまして、まずは1回配付させていただきたいと思います。

○神野座長 では、ちょっと議事を中断させていただきます。

(議事中断)

○神野座長 それでは、議事を再開させていただきますが、先ほど事務局のほうから読みましたように、14ページの(7)、つまり「国の責任において」というのが「あわせて」の後に出てくる後に「なお」と、こういうふうに入れるということでいかがでしょうかという修正案ですね。

○田中委員 私がずっと発言していることと趣旨が違いますので、私は基本的な考え方をそこを踏まえないといけないのではないですかということを言っていたわけですから、資料3のページ3のポツ1ですね。ポツ1のところに「なお」か何かを入れてほしいというのを最後は言っていたのですが。

○神野座長 資料3でいいのですか。本文のページ数がちょっと変わりますので、資料2で言っていただけませんか。

○田中委員 資料2の3ページ「2.基本的な考え方(総論)」というのがありまして、ポツが3つありますが、このポツの一番最初のもの、最初のもののところに「国の責任において、被爆者に対する総合的な援護対策を講じることとされており」ですね。そして、最高裁のあれを、被爆者対策については最高裁判決に指摘されているというのを入れていただきたいということを言ったのです。

○神野座長 ただ、委員の方々から、余りにも大きな修正になるのでという御意見もありましたので、とりあえず先ほどの事務局案のうち、参考資料としてそのまま参照として載せるというのではなくて、今の文章だけを入れるというお話でいいですね。

○田中委員 何か荒井委員が先ほどおっしゃいましたよね、こういう文章で入れたらどうだというふうに。それがここでしたよね。

○神野座長 では、文章だけでいいですね。

○荒井委員 文章の位置は私は言及しておりません。

○石委員 田中さんは御意見をまたもとに戻したわけですよ。あのとき、ここに入れてくれという話があって、荒井さんの話があって、座長が引きとって、ここには入れないけれども後のところに入れたらどうかというふうに話がいって、事務局が今みたいに「国民の理解など」のほうに入れたんですよ。それに対して、もう一回田中さんがここで再度入れてくれという御提案ですよね。違うの。

○田中委員 もとに入れてくれと、私が触りましたのは、一番最初、初めのところに入れてくれと言ったのです。

○石委員 ですから、この「基本的な考え方」の総論の中に「なお」を入れてくれというお話ですよね。

○神野座長 石先生のお話が正しくて、私というか事務局の提案は、田中委員がおっしゃったところに入れるということに対して荒井委員がむしろ反論されたわけです。それで、私は「国民の理解など」のところの出てくる箇所でどうでしょうかと御提案申し上げたと、それに対して田中委員は、つまりまたもとに戻せと、そういう理解でいいですかということを石先生がおっしゃっている。

○田中委員 それがもとであれば、もとに戻してほしいという。

○石委員 それはもう議論が終わってまた戻るわけですよ。いつまでたってもエンドレスですよ、そんなことをしていたら。

○田中委員 最初議論したのは、初めの部分のところで議論していたのですよ。ここで入れてもらえなければ別のところで入れてほしいと私は言ったのです。それは、皆さんにも配られておりますけれども、ここをこういうふうに入れてほしいという案が出してありましたので、そこの1つを復活させてほしいと今。それは総論の「基本的な考え方」の一番最初の部分です。だから、それをどういう格好で入れるかはお任せしますけれども。もとに戻したつもりは私はありません。

○神野座長 先ほど、それは一応御理解いただいたというつもりですが。それで、ここへというお話。どこかないでしょうかという御提案が田中委員からあって、私のほうで田中委員の発言でどこかないでしょうかと言って、事務局がここでいかがでしょうかと。

○田中委員 最初、事務局が提案されたときに、それでいいのかなと思っていたのですけれども、話が錯綜始めたので、時間を置かせてもらいました。

○荒井委員 どこかの場所に入れる、どこが適当かという前に、事務局案の文章というのは前に入れるか後ろに入れるかにかかわらず、ほぼ同じような文章ですね。だから、私に言わせれば、どこに入れるかよりも、田中委員の御指摘のような表現をそもそもこの報告書に入れるかどうかが一番問題だろうと思うのです。

 入れるということになれば、恐らく田中委員の御発言から言えば、終わりの「国民の理解など」のところではなくて、前のほうの「基本的な考え方」にふさわしいということは私もわかります。いずれも、この「国の責任」ということを報告書に書いたその流れの後になお書きでという御趣旨なのですね。

 この時間になって、書き入れることは絶対反対というのはどうもむしろ進行の妨げになりかねないので、私も入れることについては結構だと私は思います。入れるとすれば、前のほうだと思います。さらに言えば、3ページのポツの、これは共有してきたということでずっと書いてありまして、ポツが。だから、途中の最初のポツのところで、国の責任において留意すべきであると、その流れで書くと共有意見ということにどうも受けとめられる。したがって、もしここの3ページに入れるとすれば、3つあるポツの一番最後のところになお書きで書くのが無難かなと思います。

 それから、さらに私の個人的な意見ですが「最高裁判決で指摘されている国家補償的な配慮が制度の根底にあるとの意見があった」というのは、意見というよりも田中さんがおっしゃりたいことは制度の根底にあることを明記すべきであると、こういうことではないのでしょうか。

 だから、根底にあることの意見があったというのは、根底にあるということを、田中さんが初めておっしゃるような印象になるのですね。そうではなくて、最高裁判決で補償的配慮があるということを言っているじゃないか、それを制度の設計に当たってはよくよく頭に置いてやるべきであると、そうすると根底にあることを理解すべきだとか銘記すべきであると、そういう趣旨、表現のほうが多分、田中さんのお気持ちに合うのではないでしょうか。

○田中委員 そのとおりです。銘記というのを肝に銘ずるべきであると。

○荒井委員 そういう意味合いの銘記ですね。

○田中委員 はい。

○荒井委員 恐らく、場所的には前のほうがいいのではないでしょうか。前の一番最後のポツの後に。

○神野座長 ただ、これはあれですね。明記すべきとの意見があったと、やはり意見はつけないと成り立たないので。明記すべきとの意見があったということでよろしいですか。

○田中委員 意見があったではないほうがよろしい。銘記すべきであると言ってもらったほうがいい、荒井委員がおっしゃったとおりのほうが私の気持ちに一番沿っていますし、事実だと思います。

○神野座長 田中委員の御主張は重々わかりました。

 では、そういうことでよろしいですかね、この件につきましては。

○石委員 荒井さんは意見を変えたの。

○荒井委員 要らないという意見なのですけれども、座長はどうもそれでおまとめのような。

○神野座長 いや、僕はそうは言っていないです。どこか適当な入るところがあれば見つけてほしいと。

○石委員 荒井さんは、聞いていたら、なくていいのでないかと御主張しているのかと思っていたら。

○荒井委員 いや、もともとなくても。

○石委員 進行上、この辺で具体的に処理したいということで御提案になったということですね。それならわかりますよ。

○神野座長 よろしいでしょうかね。

 荒井委員の御提案は、主として入る位置と、それから文章にかかわってきますが、お手元にいっているかもしれませんが、2ポツの共有してきたというのが3つ並んでいるのだけれども、そこにやや行数を離して「なお」ということで「被爆者援護施策については、昭和53年の最高裁判決で指摘されている国家補償的な配慮が制度の根底にあることを銘記すべきであるとの意見があった」と。

○田中委員 いや、荒井委員は意見があったというのはおっしゃっていないので、これは共有してきたのですから、意見があったというのは共有と違いますので「銘記すべきである」でくくっていただいたら。

○荒井委員 それは私は言わなかっただけのことで、もちろん意見があったという文章につながるべきだと思います。

○神野座長 これでよろしいですか。

○石委員 我々共有していないですよ、それだけは。

○神野座長 共有していないので、わかるように「なお」ということで。

○石委員 なお書きで。

○潮谷委員 何かそれちょっと。

○高橋進委員 なお書きでいれるのはいいと思うのですが、場所は一番最後がいいのでしょうか。「まずは、こうした現行制度をより良いものにしていくということを基本として、制度の在り方について見直しを行っていくべきである。」この後ろということですよね。

○神野座長 ここまでは共有しているという趣旨ですね。荒井委員の御意見は。

○潮谷委員 総論のほうに入る。

○高橋進委員 総論のほうに。ここなのですかね。

○潮谷委員 ちょっと意見ですけれども、やはり共有された意見と、それから新たに出された、先ほど田中委員が言われたこと、このことはやはりなお書きのところで続けていくという形ではなくて、共有された意見のほかにこういうようなものがあったという形で区分していかないとちょっといけないのではないかなと感じがするのですが、そこはどうでしょう、なお書きの中で処理されていってよろしいのでしょうか。

○神野座長 「なお、共有された意見のほかに」と書きますか。

○潮谷委員 ええ。

○荒井委員 よろしいでしょうか。

 共有してきたというのは、ポツ、ポツ、ポツなのですね。

○潮谷委員 そう、3つだけ。

○荒井委員 それで、行を変えて文字の頭を変えてありますね。ですから、一応共有してきた中身とは文章としてはこれ区別しているという表現にはなっていると思うのですが。

○田中委員 でも、基本懇が言っていることは、どうして私たちに共有できないのでしょうかね。

○神野座長 それは、先ほど来、最初の書くところはよろしいのですね。

○田中委員 だから「銘記すべきである」といったら共有していることになるのですけれども、それはおかしくないのでしょう。

○神野座長 この国家補償的配慮等々の議論は、ずっとここでもやってきましたし、それから、そもそも法ができるときの議論でも多義的であるということもあったので、共有して出発のスタートとして、出発台としては共有できていないのでここからは外してありますということを御説明したわけですね。

 よろしいですか。そこまではよろしいですよね。

 坪井委員からもそれについては御理解を示すような意見を頂戴したので、田中委員のほうから、それだったら自分の意見のところで何カ所か言っているからそこで入れてほしいという御提案があったので、今その作業の一環としてやっているという私の理解です。

○田中委員 済みません、それは撤回しまして、意見として入れてほしいというのは違うというのを撤回しましたので、それをぜひ。申しわけありませんけれども。

○神野座長 意見があったというのは、私は潮谷委員がおっしゃったのではなく、本文のところに入れると理解した上で、ほかの、ここでいわば多数と言われていない意見の中に適切な箇所があればそこに入るところがないかということを事務局にお願いしたのです。よろしいですか、そこまでは。それで、その後、今のようなお話。

○山崎委員 これを切れということではないですか。

○神野座長 いえ、田中委員がおっしゃっているのはまたちょっと違って、共有認識としてどうしてできないのかということをおっしゃっているのですよね。

○田中委員 今はそういう点です。

○神野座長 これは共有した意見だからというふうにしてくれということをおっしゃっているので、それは繰り返し御説明申し上げ、御納得いただいたのではないですかということを私は申し上げていると。

○田中委員 余り時間を超えたくはないのですけれども。

○荒井委員 よろしいですか。

 これは意見共有でまとめるのは、田中委員、無理ではないですか。そもそもそこまでになったら全部削ったほうがいいという意見に私自身なってしまいますから。せいぜい、そういう意見があったということをあらわすのが私は限度だろうと思います。

○神野座長 よろしいですか。ですから、どういたしますかということをお聞きして。

 つまり、共有の意見でないということであれば書かなくていいとおっしゃっているのか、それとも少数意見として載せる工夫をしてくれという御意見かなと思ったのでそのようにしたのです。

○田中委員 ちょっと迷っています。正直言うと。

 そうですね、だから基本的な考え方としてこうあるべきだということを私は言ってきましたので、載せるのであればこの「基本的な考え方」の総論のところで触れないのであれば、こういう格好で明記しておくということが私はいいかと思います。

○神野座長 こういう形でというのは、先ほど私が読ませていただいた文章でということでよろしいですか、箇所も。3ページの3つ、これ事務局のほうに行っていますか。少し段を変えた形でいいのではないかと。ただ、これでも少し心配なのでという御意見もあって、入れるとすれば「なお、共有された意見以外に」「共有してきた考え方以外に」というふうに。

○田中委員 それは恥ずかしいと思いますよ。「とおっしゃった方がいる」ということが明記されるのは恥ずかしいことだと思います。これ、最高裁で判決として言葉としてありますし、基本懇がこういう判決があって、それを踏まえて被爆者対策はこうあるべきだということを言っているわけですから、それを共有できなかったということを明記される、書くというのは恥ずかしいと思いますよ、委員会として。

○神野座長 それは、繰り返すようですけれども田中委員の御意見としては御主張を何度もお聞きいたしました。ところが、ここでは合意がとれていないので、それを共通の意見として。

○田中委員 だから「銘記すべきであるとの意見があった」でいいと私は思います。これに反対する意見があったなんていうのは本当に恥ずかしいことになると思いますよ。
○神野座長 ちょっと、潮谷委員のおっしゃったのは「なお」の後に「共有された考え方以外に」ということを加えたほうがいいのではないかという、そういう御提案だというふうに理解しております。

○潮谷委員 そうです。

○田中委員 それを書くことは恥ずかしいことになりますよ。このことを共有しなかったということを明言することになりますから。

○潮谷委員 ですから、そういう形になってくると解釈論の中で、実はここのところの項目も前段の考え方を共有してきたという流れの中におさまっていくのではないかと、それが私は気がかりということであります。

○荒井委員 恥ずかしいかどうかはそれぞれの受けとめ方だろうと思うのですね。私はやむを得ないと思うのです。だからこそ、法律の中には「国の責任において」という表現にとどめたわけでしょう。ですから、ここで共有してきたという意見の中身として銘記すべきだとか根底にあるということを、私は書くわけにはまいらない。

 しかし、田中委員が強調されてきた御意見の中にこういう御指摘があったわけだから、それを報告書の中に残すとすれば、この共有してきた意見3種類のほかに行を変えて、一番最後のところにそういう御意見があったことを書くということが限度ではないでしょうか。「なお、共有された意見のほかに」というふうにあえて書くまでもなく、行を変えているわけですから、それはやはりあえて言えば共有されていない意見だということは読めばわかるのではないかというのが私の理解です。

○神野座長 よろしいですか。

○田中委員 ですから、荒井委員の意見のほうがかえっていいでしょうというわけで、共有しなかった部分があるなというのはよくないでしょうということです。

○潮谷委員 それでは、私としても、やや解釈論のところでどうなのかという不安はありますけれども、この委員会の中で今の荒井委員の意見が共有という形の、そしてまた行を変えてこういう意見があったという処理のされ方であるということがはっきりいたしますならば撤回をいたします。

○神野座長 では、それでよろしいですか。

○田中委員 いいです。

○神野座長 では、そのお手元に配られているのが、私が読んだままでいっていると思いますが、箇所及び「なお、」というところから始める3行の文を入れるということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○神野座長 ほかになければ、坪井委員、いいですか。最後にお言葉。

○坪井委員 結構ですよ。しゃべりだしたら1時間ぐらい話してしまう。いいです。

○神野座長 そうですか。わかりました。

 ほか、いかがございましょうか。よろしいですか。

○田中委員 まだたくさん意見言う必要あったのですが、私も時間すごく心配になるのですが、多少修正していただきたい部分があるのですが。

○神野座長 ちょっと普通、私の常識では、今の修正ぐらいが最大で、普通の審議会の常識から言うとこの段階ではとても。その前には田中委員からはペーパーをいただいていて、なおそれに事由を付して、この箇所は修正できるけれども、この箇所はできないとお答えして、今のもちょっと私にとって異例で、逆に言えば座長不信任というような、いわばあれだと普通に了解はしますが、もちろん意見を圧殺するつもりはありませんので、修正に応じられるかどうかということについては留保させていただいた上で、ではお述べいただいて構いません。

 ただ、できればポイントだけ、こことここ、たくさんあるというとちょっと困るので。

○田中委員 大したことではないのですけれども、荒井委員もおっしゃっていたのですが、判決でたくさん国が負けましたね。ここのところは「多くの」という書き方をしているものがあるのですが、それは圧倒的な多数がというようなことをやはり言っていただいたほうがいいのではないかというような修正なのです。

 それは荒井委員が発言されていましたけれども、新しい基準ができた後ほとんど却下されていないのではないかというお話だったと、それは事実と違いますので、その事実を今、数を挙げていくとまた時間がかかりますから。

○神野座長 それはちょっと少し、今の段階で価値判断を加えたような、圧倒的かどうか、では圧倒的というのは何%超えたかとかですかと議論になりますよね。

○田中委員 八十何%は圧倒的ですよね。

○神野座長 ということになりますよね。そうすると、ここで多数と表現している、こういう意見が多数だったというところも圧倒的とかですね、ほぼ全面的にとかと書かないといけない場合があり得ない話ではなくなりますから、この期に及んで価値観を入れるというのは余りちょっと賛成できないと思うのですが。委員の方、御意見ちょっと。

○石委員 支持します。

○神野座長 これはちょっとその手の修正ではなく、おっしゃりたいことの中で何かあれば。

○田中委員 もう一つは、削除してほしいというところを私の意見として出していたのですが、それをそのまま復活しているのが理解ができない部分がありましたので、それを削除してほしいと言っていたのですね。

 例えば、各論の中の2。

○石委員 何ページですか。

○田中委員 2というときは修正案のほうを見ないといけないのですね。各論の2。2の2ですね。

○神野座長 各論の(2)ですか。3ページということでしょうか。資料3のほうで。

○田中委員 これの2。「これに対し、既に科学的には放射線の影響が不明確な範囲まで積極的な認定範囲を広げており、現在以上に緩和することは慎重に考えるべきとの意見が多数であった」。ちょっと違いますね。

○石委員 座長、もうまとめの段階ですから、修正を入れられないかもしれないけれども言ってくださいと言っているわけですよね。田中さん、すぐさまどこだか指示がないわけだから、もうまとめてくださいよ。

○神野座長 いいですか、田中委員のほうから、ここをこういうふうに修正しろというようなことがあればあれですが。

○田中委員 いや、私、被団協が言ったような表現で、それはよくないみたいに書いたところがあるのですね。だから、私が言った意見だったのか、グレーゾーンでいろいろなごちゃごちゃとした議論をしていましたので、山崎委員がおっしゃったことについてのあれかなという部分があったので、それを正してと思ったのです。

○石委員 これ、最後のまとめるという段階で、御自分にちょっと気になる点があるとか不正確であるとか、皆さん多々あるのですよ。そういう中でまだどんどん挙げていかれるとまとまらないですよ、これ。だから、大体僕はもう田中さんの御意見は100%近く入っているのではないかと思いますから、さらにということになるとほかの委員の人も何か別な意見をまた言うとこの報告書がまとまらなくなる可能性がありますから、あとは僕は座長に一任したいと思います。

○神野座長 よろしいですか。

 それでは、本当に熱心に御議論を頂戴したことを感謝申し上げます。

 それで、一応御意見を伺った上で、この修正案、先ほど修正した部分も含めてでございますが、これをもって、この検討会の報告書(案)として取りまとめたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

○田中委員 最後に私、意見を述べさせてください。

○神野座長 済みません、「報告書」といたします。

○田中委員 ちょっと1分だけ。

○神野座長 最後ですね。

○田中委員 本検討会は、本来、法改正を伴う認定制度の抜本的改善を目的として設置されたはずなわけです。だからこそ私どもは改善の提言もしました。しかし、今回提案される検討会の報告は多数意見という名のもとに現行制度が温存されているということと、現行の実務が司法と乖離している問題を解決することになっていないということがあります。むしろ、現状より後退するという心配が私どもにあります。被爆者の願いと期待に背く内容となったことは極めて私としては遺憾に思っております。

 特に被爆者を代表してこの検討会に参加しましたので、こういう格好で報告書を委員の1人としてまとめざるを得なくなったというのは、非常に残念に思います。特に議論がきちんと積み上げられてこなかった。まず第一に司法と行政の乖離はどこにあるのかということを明らかにして、それを解決するという議論をすべきでなかったかということです。

 それから認定はどうあるべきかということを、きちんとその上で議論すべきであったと思うのですね。認定はこうあるべきだということが出てきたら、それでは認定された被爆者にどういう手当を、今、医療特別手当というものを出されていますけれども、そのままでいいのかどうか、そういう議論をすべきであったろうと思っているのです。

 私はそういう議論がされて、いい改善の結論が出るということを期待して、石委員は最初から両論並立になるのではないかとおっしゃっていましたが、そうしないように頑張ってくださいというふうに申し上げた記憶がございますが、結局それに近い形になって、なおかつ中身が正直言って何もないという印象を私は持っております。

 だから、そういう意見を申し上げた上で、この「むすび」の最後のところの最後の3段目ですね、ここのところに修正、追加をちょっと入れていただきたいというのを私の最後の意見にします。

 ごらんいただきたいと思うのですが「4.むすび」のところに「本報告に記載されているとおり、全ての委員が同じ意見で一致していたわけではない」ここから加筆していただきたいのですが、「とりわけ、被爆者を代表する委員からは本検討会は、本来、法改正を伴う認定制度の抜本的な改善を目的としたものであったにもかかわらず、今回の検討会報告は司法と行政の乖離を解決するものではなく、むしろ現状からの後退も危惧される内容となったことは極めて遺憾であるとの意見が出された」。これだけの文章を加筆していただきたいと思うのです。その上で、「しかし、より良い方向に制度を見直していくべきとの認識はすべての委員に共有されていた。今後も、本検討会で意見が一致しなかった点を含め、科学の進歩や環境の変化等を踏まえつつ、制度をより良いものにしていく努力を継続すべきである」というふうにくくっていただきたいという提案です。

○石委員 田中さんが記者会見か何かでおっしゃることだと思いますね。記者会見で今のような御意見を言っていただいて、最後に今、かなり長文ですよね。それをつけ加えるということを今から御提案になると、まさにこの検討会は空中分解しますね。

○神野座長 これ、いずれにしても報告書は先ほど、このまま御承認いただいたので、さらにそのアペンディックスみたいな形にするのかどうかわかりませんが。

○田中委員 私は、報告書の「むすび」の中に入れてほしいというふうに言いましたので、それは入れることができないという皆さんの御意見であればそれはしようがないですけれども、座長がまとめられたということになって、そのまとめる前に私、今、発言。

○神野座長 いや、そうではないですよ。私、了解とりましたよ。だって、今の御意見は了解をとって報告書だということが明確に決まってから、それに対する評価をおっしゃっているので。

○田中委員 違います。

○神野座長 ちょっと理解ができませんね。だから石委員は、それはここの場以外のところで御発言すべき話ではないかと、内部的な議論ではないでしょうというふうにおっしゃっているという理解でよろしいのですよね。

○田中委員 いや、石委員はそうおっしゃっています。そうおっしゃっていますけれども、私は加筆していただきたい。

○荒井委員 まとめた後の御意見かどうかということはさておいて、今、田中委員がおっしゃったことの中身が、またこれまとめの意見として仮に時間をかけることをするとしても、私はやはり無理があると思うのです。

 例えば法改正を前提にしての議論ということは、我々認識にはないので、中身によって、場合によったら法改正もあるかもしれないということで、そこは当然法改正をするということを前提にしてここで議論してきたわけではないと思います。これは司法と行政との乖離の問題については、もう本当にたくさん議論をして、報告書の中でもニュアンスをいろいろ書く努力の後が出ているのではないでしょうか。だから、今おっしゃったことを報告書の中に盛り込むことは私は無理だと思います。手続論は別としましても。

○神野座長 ほかの委員の方、いかがでございましょうか。

 私としては、今の御意見はとりわけ私に対する不信任とか、例えば運営の仕方がまずいということであれば承っておきますが、それはひとえに私の責任であって、まずミッションを取り違えているというお話ですが、私が亡くなられた森先生から受け継いだ後もそうですし、それから開催要綱その他見ていただいても、法の改正のためのというようなことは一切出てきておりません。

 それから、中間報告等々、これは厚生労働大臣に御報告申し上げたときもそういう御説明ですね、それを前提としているのだというような御説明等々は入っておりませんので、ミッションは私は取り違えて運営してきたというつもりはないと思っております。

○田中委員 済みませんが、そのミッションを取り違えるようにしたのは私は事務方だというふうに思っているのですね。あのとき政権も変わっていましたけれども、大臣も法律改正で改善するしかないのではないだろうかという発言もされましたね。それは政治家の発言だと石委員はおっしゃったこともありましたが、大方は、やはり法律を改正しないと抜本的な改善にはならないのではないかというのが根底にあったと思うのです。恐らく委員の皆様方もそうあったと思うのですね。でも、途中では法改正はほとんど念頭になかったように私も見受けられましたけれども。ですから、中身は何もほとんど改善につながるような報告になっていませんね、これは。残念ながらそう思いますので。

○荒井委員 それは田中委員、もうちょっと気持ちを広く持っていただきたいと思うので、御意見そのままとられたわけではないけれども、今よりもよくしようということでいろいろ書き込まれているではないでしょうか。そういう気持ちで読むべきではないかと思うのです。先ほどおっしゃった御意見の中に、むしろ後退が心配だというような御趣旨の、これも前回でしたか御意見があって、外形標準でいくとしても今よりも後退させるべきではないというような、これは一委員の御意見ではなくて、一応みんなの共通意見として何ページだったか。

○神野座長 修正しております。

○荒井委員 ですから、今、御指摘になったところは法改正の問題はちょっとみんなの認識と違いますから、それは違う。

 司法と行政のギャップをどう埋めていくかということについて、具体的なところは意見が違ったことはやむを得ないですけれども、それなりに頑張って知恵を出し合ってきたのではないでしょうか。だから、御自分の意見と違うからといって何か全否定するというのでは、ちょっとそれはひどいのではないでしょうか。私から言わせれば。

○石委員 議事進行で、今、田中さんが最終段階で大変重要な問題提起をされましたから、きょうはもう5時ですから、私ちょっと講演頼まれていますのでここで失礼しますが、しかし、これだけの問題を田中さん引っ込められないならば、やはりもう一回開いてもらってミッションの取り扱い云々に関して、きょう2人来ていませんからまた。議論する必要があるかどうか、それは神野座長の取り扱いにお任せしますけれども、僕は荒井さんの意見と全く同じで、審議会で自分の意見が100%答申、報告書にない、普通なのですよ。だからといって、こうこうこうこう書き込んでくれというのは僕はちょっと行き過ぎなのではないかと思います。

 失礼しました。

○神野座長 どうもありがとうございました。 前回もお話をいたしましたけれども、先ほど私は通ったつもりだったのですが、今回を最終回にしたいと思いまして、先ほど修正をした内容をもって、この検討会の報告書として取りまとめさせていただくということについて御同意いただけないかということを御提案申し上げ、それをいただいたと思って。

○田中委員 私は同意できません。

○神野座長 そうですか。

○田中委員 だから、どこかに明記していただければ。

○神野座長 いや、同意できないと明記ではなくて、成立しなかったということにさせていただくということですね。

○田中委員 そうです。

○山崎委員 つまり、この報告書は取りまとめしないということですね。

○神野座長 しないということですね。

○山崎委員 むしろ後退だという御意見で。先ほど、むしろ後退だと。

○神野座長 取りまとめはしないと。

○山崎委員 つまり、この報告書はないほうがいいとおっしゃるのですか。

○田中委員 私はないほうがいいと思います。

○山崎委員 それを含めて座長に一任しますよ。

○神野座長 いずれにしても。

○田中委員 多数で決めていただいてもいいのですよ。

○神野座長 いえ、決めていただいてもいいのですよとはどういう意味ですか。

○田中委員 多数であったと、田中委員は賛成しなかったということで。

○神野座長 いや、それは。

○田中委員 坪井委員、同じ被団協から出ている委員として。

○神野座長 坪井委員、どうぞ。

○坪井委員 この会がもう3年近い会合を持って、本当に真剣に話し合ったということは、これは誰もが認めるところですね。

 ただ、時々これはこの会ではない、よその、いわゆる分科会のほうのものであり、これは厚生省の問題を我々は頭に入れながらやることもあったわけです。さらに法律改正の問題もちょろちょろは出ていても、我々は検討会でやはりそれは外れちゃいかぬと思いますが、私、今回の場合、それは全面的な大賛成というわけにはいかぬですよ。被爆者としては物足りないところがたくさんあります。

 ただ、皆さんに一言言っておきたいのは、そういうことを言いながらも、私たちはまだまだ諦めておりませんので、皆さんが少しでも被爆者に理解をしていただいたと思っておりますので、それを大事に育てたいと。我々はまだ、被爆者の問題というのはたくさんあるわけです。この問題だけではないですから。核兵器の問題も山ほど、大きいのがあるわけです。あるいはこの次に、この問題とよく似たようなものだけれども、あるいは法改正、援護法の改正まで各議員さんを叱咤激励してやることも考えられるのです。我々がやらないかぬ。それは、ここの問題ではないわけですが、しかし、いろいろこれから被爆者として頑張り通さなければいけないことがたくさんありますが、せっかくここで我々の気持ちもわかっていただいたのですから、難しい面もありましたが、わかっていただきました。

 今後、我々がいろいろなところで行動を起こしますが、その点のときに御協力をお願いして私の最後の言葉にいたします。

○潮谷委員 座長、済みません、私も飛行機の時間がありますので、

あとは座長に一任するということで、この席を辞させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○神野座長 ありがとうございました。申しわけありませんでした。

 それでは、今の坪井委員の御発言を受けて、私としては一応この報告書をもってこの検討会の取りまとめとさせていただきたいというふうに思っております。

 田中委員が御反対だというお気持ちは重々わかっておりますが、ストレートにまとめさせていただきたい。反対であるということを後で表明するのを中に入れ込むというわけにもいかないと思いますので、これは報告書としてはこれで終わらせていただく。

 もちろん、先ほど石委員からありましたけれども、対外的に御発言いただくということは構いませんが、私どもの報告書(案)としてはこれをもって取りまとめさせていただきたい。

 これは内閣からの要請もあり、タイムプレッシャー、時間の圧力のもとで私ども議論しておりますので、ほぼ最終段階の時期に来ていることを考えると、きょうをもって取りまとめさせていただきたいと思っていますので、伏してその面については御了解いただければと思います。

 よろしいですか。

○田中委員 結論を待っている被爆者がたくさんいると思うのですね。私、3年もかかると思わなかったので、私としても大変、そういう被爆者に申しわけないという気持ちがあります。なおかつ、その結果がこういう結果になったのかという、非常に残念に思っております。その上で、やはりここで、これでいいですというふうにはなかなか言いがたいので反対しますけれども、これを大臣に報告されるということについて私は別に抵抗はいたしませんので。

○神野座長 わかりました。それでは、それをもって報告書(案)として大臣に報告させていただくということについては御了解いただいたということにさせていただきます。

 申しわけありません、私の不手際で時間をオーバーしてしまったということを伏しておわび申し上げる次第です。

 私、図らずも、本当に図らずも座長を仰せつかりました。こういう形でまとまったということを亡くなられた、私の高校の先輩でもあります森前座長に御報告申し上げなければならないと思っております。

 今、思うと、私が座長代理としてここの運営をしていたときにもベッドの脇で先生から御指示をいただいて運営をしてきました。できるだけ多くの委員の合意をとって進めるようにというのが森先生のお言葉でしたので、そうあるべく努めてまいったつもりでございます。

 とりあえず、本日、田中委員からは御不満のこともございますが、大臣に報告をするということについて御了解をいただいたということをもって、この会合としてとりあえず、検討会として取りまとめられたと考えさせていただきます。

 委員の皆様方には、多くの御協力を得て、私、至りませんでしたけれども、どうにか取りまとめることができた、さらに多くの委員から温かいお言葉をいただいたということを重ねて感謝を申し上げる次第でございます。

 それでは、以上をもちまして、この検討会を閉じさせていただきますが、最後に健康局長から御挨拶を頂戴できるということでございますので、よろしくお願いいたします。

○佐藤健康局長 神野座長初め委員の皆様方におかれましては、最後の最後まで御熱心に御討議をいただきまして、ありがとうございます。

 この日を迎えるに当たっては、これまで座長初め委員の先生方からいろいろな思いや、長い年月がかかったことをお話しになりましたので私から繰り返しはしませんけれども、本当に大変貴重なお時間をとっていただき、また、貴重な御意見を承ったと承知をしております。

 先ほど、神野座長のお話にもありましたように、私どもとしましても、きょう取りまとめていただきました報告書を大臣に御報告をし、厚生労働省として検討を進めてまいりたいと考えております。

 いずれにしましても、先ほど坪井委員のほうからお話がありましたように、原爆被爆者問題をめぐってはたくさんの問題がまだございますので、これで終わりということではなく、引き続きこの被爆者援護政策に取り組んでまいりたいと考える所存でございます。

 最後に、今後とも厚生労働省への御指導、御鞭撻をお願いし、また、改めまして座長初め委員の御労苦に御礼を申し上げまして、終わりの挨拶とさせていただきます。

 本当にありがとうございました。

○神野座長 どうもありがとうございました。

 それでは、これにて解散いたしますけれども、委員の皆様方に重ねて御礼を申し上げるとともに、至らない私を支えてくれた事務局にも、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。

 


(了)

照会先
健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室
代表: 03-5253-1111
内線: 2317・2319

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