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2013年12月12日 第4回 たばこの健康影響評価専門委員会(議事録)

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成25年12月12日(木)13:00〜15:00


○場所

厚生労働省共用第9会議室(19階)


○出席者

出席委員 (敬称略・五十音順)

井上 真奈美 (東京大学大学院医学系研究科健康と人間の安全保障(AXA)寄附講座特任教授)
奥村 二郎 (近畿大学医学部環境医学・行動科学教室教授)
欅田 尚樹 (国立保健医療科学院生活環境研究部長)
山海 知子 (筑波大学医学医療系保健医療学域准教授)
◎谷川 武 (愛媛大学大学院医学系研究科公衆衛生・健康医学分野教授 【委員長】)
望月 友美子 (独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターたばこ政策研究部長)
大和 浩 (産業医科大学産業生態科学研究所健康開発科学研究室教授)

参考人

津金 昌一郎 (独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究部長)
藤原 久義 (兵庫県立尼崎病院・塚口病院 院長)

○議題

(1)たばこ自体の健康影響について
(2)その他

○議事

○長坂補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第4回「たばこの健康影響評価専門委員会」を開催いたします。

 開会に当たりまして、本専門委員会の委員に東京大学大学院医学系研究科の井上真奈美先生に御就任いただいたことを御報告させていただきます。

 また、本日は参考人として津金昌一郎先生、藤原久義先生に御出席をいただいていることをあわせて御報告させていただきます。

 なお、蒲生委員におかれましては本日欠席との御連絡を受けております。

 資料の確認をいたします。お手元の資料をごらんください。

 一番上にまず座席図がございまして、一くくりにしてありますが、上から議事次第、「たばこの健康影響評価専門委員会の設置について」、その裏に委員名簿、資料は真ん中の下にページが打ってありますが、1ページ目から資料1、9ページ目から資料2、69ページ目から資料3、83ページ目から資料4、以上のようなつくりになっております。

 資料の確認は以上でございますが、もしお手元にないもの、あるいは落丁等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 それでは、撮影はここまでとさせていただきます。

 以後の進行につきましては、谷川委員長、よろしくお願いいたします。

○谷川委員長 皆様、こんにちは。それでは、よろしくお願いいたします。

 まず早速ですが、議題1「たばこ自体の健康影響評価について」を議論していきたいと思います。

 本日は望月先生と津金先生からたばこ自体の健康影響評価、また藤原先生からたばこと循環器疾患の因果関係について御説明いただきます。まず、それぞれの先生方に御説明いただきました後、最終的に総合的な議論をしていきたいと思います。

 では、まず資料1につきまして望月委員さんから説明をお願いします。

○望月委員 国立がん研究センターの望月です。

 きょうはスライドを使わせていただこうと思っていますが、中身はお手元の紙の資料と全く同じです。

 前回から3回にわたってさまざまな資料を提出させていただいているのですけれども、まず今までの総まとめというか、さまざまな資料がその都度出されているので、委員の先生方、私自身もそうなのですけれども、どういうことだったのかという再構成をして総括したい。

 それから、たばこの健康影響の医学的な根拠の一つの集大成として、ちょうど10年前になるのですけれども、「Tobacco free*Japan:ニッポンのたばこ政策への提言」というプロジェクトを立ち上げまして、その一部は前回も御紹介したのですけれども、それに関連してどんなことだったのかということを御紹介します。

 3つ目は、特にメンソールたばこ、前回も評価の対象物質としてメンソールを追加で議論したのですけれども、なぜメンソールが問題なのかということに関しての最新の知見。

 4番目は、ちょうどきょうなのですけれども、こちらの傍聴席にいらっしゃる会社から新製品が発売されまして、何とタイミングよく、きのうだったら手に入れられたかもしれないのですけれども、それが販売された。前回はスヌースという口腔内で使うたばこがやはり8月に発表されまして、それについての学術会議の提言を御紹介しましたけれども、今回はまた新しいタイプのものが出てきたということの現在的な意味について少しお話しをしたいと思います。委員の先生方には机上に配付させていただいている赤い本がありますけれども、後ほど御紹介します。

 1回〜3回目にさまざまな膨大な資料が出されていまして、これは何だったのか私なりに再構成してみました。

 まずはたばこ問題の概観について。たばこ問題は個人の健康の問題であるように見えて、実は社会の問題もあるし、それを売っている会社、産業の問題も、もちろん行政とか政治の問題もあるというような問題のポジショニングを行いました。それから、今回の審議会の課題が健康影響評価ということですけれども、これも2つの意味合いがあって、英語ですとhealth risk appraisal、もう一つ、health impact assessmentriskimpactと両方の用語がありまして、それがどちらも日本語では健康影響評価となります。今回の専門委員会のミッションは一体何だったのかということを振り返ってみますと、設置要綱にもありますが、まずリスクのほうをアセスメントするということであろうかと思いますけれども、そのリスクをアセスメントして次のアクションが誰によるアクションなのか、アクションがなされたことの社会とか経済とかさまざまなものに対するインパクト、もちろん健康影響へのインパクトもあるので、これは実は表裏一体となるのではないかと私のプレゼンの中で御紹介しました。

 その中で委員の先生が、バックグラウンドがそれぞれありますので、私どものように公衆衛生とか医学の分野の人間としてはたばこの健康影響は十分わかっているのではないか、ただほかの分野から見ました場合にはそこが共有されていないということで、それを共有するためのサマリーを行いました。世界的な健康影響のさまざまなレビューの中で1つ重要なプログラムがありまして、それは米国のSurgeon General、公衆衛生総監の報告書というプロジェクトであります。これは1964年からアメリカの保健省がずっとやっていることなのですけれども、それが国内のみならず世界的なたばこ対策の科学的な根拠の一つの重要なプロジェクトとしてどっしりとある。それは因果関係の解明がミッションになって、因果関係を解明し、しかも2010年の報告書ではメカニズムまで解明するところまで踏み込んでいる。さらにそれをもとに対策が行われているということを概括しました。それから、アメリカだけではなしに、WHOの一つの機関であります国際がん研究機構(IARC)もがんに対するレビューを行っているので、それも紹介しつつ、日本ではきょう津金先生がいらっしゃいますけれども、日本におけるがんに関する影響の評価のプロジェクトだとか、次に御紹介しますTobacco free*Japanなどで日本でもここまでわかっているということをサマリーしました。

 3つ目は、日本もFCTCというたばこ規制枠組み条約の締約国ですので、特に今回のテーマに関連した条項は何か、これは欅田先生からも資料提供がございましたけれども、第9条、第10条が非常に関連したものである。それに関連して、実はたばこの製品の中身については何度も事務局に確認させていただいていますし、文言でもそうなのですけれども、財務省に行っても中身については所管外である、では厚労省はというと、厚労省も今のところそういう枠組みを持っていないということで、全くブラックボックスの製品を我々はというか、消費者は日々摂取している状況があります。これは多くの国がそうなので、それに対してどのような公衆衛生上の取り組みが可能なのかということが条約の中で、ガイドラインにもなっています。

 それから、今、もしかして世界で一番進んでいるのがアメリカのFDAのたばこ製品規制のプログラムになります。これは20年来のアメリカのプロジェクトで、1つ政権が変わればプロジェクトが解散したりということなのですけれども、今、Center for Tobacco ProductsCTPという大きなセクターができていて、これが法律にのっとって公衆衛生上の問題がないような形でたばこの製品にさまざまな規制をかけたり教育を行っている。そのことも御紹介しました。

 今回特にたばこの成分について幾つかの分析対象を設けようということで、奥村委員のほうから現在どういう分析の手法があるかを御紹介いただいたり、あるいは先行研究として既にアメリカあるいはオランダとかWHOなどでたばこ製品に関するさまざまな分析手法が開発され、それが研究成果として出ているようなことも御紹介しました。それを日本で一からやるのかどうなのかということがディスカッションポイントだったと思います。

HRAといったときにどういう物質を対象にするのか。たばこにはわかっているだけで7,000種以上の化学物質が入っていて、それを一からやるのですかという話になったときに、雲をつかむような類いの話ではなしに、例えばFDAharmful and potentially harmful constituentsといって有害成分に関してFDAの観点から選んだ93品目というか、93物質があります。そのリストを眺め渡してその中から日本としてアプローチしようというディスカッションもあったと思います。プラスアルファということで、FDAの考え方には入っていないけれども重要ではないかというようなことで、アルファについても物質の候補を挙げています。

 一番実は情報を持っているであろうたばこ産業が、この審議会の設営に当たって前もって局長宛てに内容に協力してもいいというようなことをおっしゃっていたようなのですけれども、その協力を受け入れるのか、あるいは情報を求めるのか、それはFCTCの条約の5.3条ガイドラインにはたばこ産業もそういう情報を求められるべきみたいに書いてあったので、それに関連してもこの委員会として、あるいは厚労省の事務局として、あるいは厚労省の事務局から財務省に通じてたばこ産業が提供してもいいという情報に関して得ることはできないだろうかとお問い合わせしました。そうしたら、今のところそれはないということだったので、もしそういうことが可能であればぜひ我々もたくさんの知見を持っている会社からも情報開示があってもいいと思います。

 この「特例」というのが私は日本語の使い方を間違っていますけれども、一つのトピックスとしてポロニウムの質問主意書がこの委員会設置のきっかけであったと思うのですけれども、ポロニウムがたばこ製品に含まれるということに対して 欅田 先生のほうで既に分析もしていらっしゃる、海外でポロニウムに関してどういうことがあるのかということを、一つの特集的なトピックスとしてポロニウムについて情報の固まりがありました。

 それから、先ほども申し上げた、8月に発売された、日本にとっては非常にユニークな形のスヌースという製品に関しての学術会議での政策提言、実物も前回共有して、皆さん初めて見るような感じでしたけれども、スヌースの状況。

 先ほどのFDAHPHCは、FDAとしては既にアメリカのさまざまな規制対象になっているような物質の中でたばこの中に入っているものを絞り込んでいって93だったので、では逆に日本でそういう物質は日本のどういう規制の既存の枠組み、例えば労働安全衛生法だとか薬事法、大気汚染防止法などの、環境とか、あるいは薬事、食品に関する日本が既に持っているような規制の対象物質としてどうあるかということをクロスして、実は多くの物質が既に日本でも別の枠組みの中で規制されているということを一つのトピックスとして提供したということが1回〜3回目の資料における総括です。

 次に、たばこの健康影響の系統的レビューなのですけれども、これは実は10年前のプロジェクトですけれども、ここでお示ししたような多くの先生方に御協力いただきました。ことの発端は、やはりいろいろなエビデンスが散らばっていて統合されていない、そういう中でデシジョンメーキングしていくのは非常に大変なわけですので、その基礎をつくろうということで、特に条約が策定され、日本も批准するかどうかのそのタイミングの2003年という年にこのプロジェクトが完成しました。やはりたばこの流行を阻止する上で重要なポイントであったということ、多くの科学的なエビデンスが日本においてはまとめられていなく、共有されてもいない。FCTCは科学的根拠に基づいた条約ですので、日本でどのくらいのエビデンスがあるのかということを海外の状況と照らし合わせながら構成したものです。本来はそういうプロジェクトはたばこ規制のための政府機関によって作成されることが最も望まれるところであるが、当時はそういうミッションを持つ組織がなかった、たばこ対策専門官というポストもなかったような状況ですので、複数の組織、特にナショナルセンターとかナショナルインスティテュートに関連するような先生方を集めてやりました。それから、レビューパネル、アドバイザリーボードには日本看護協会や医師会のトップの方々にも入っていただき、それは将来的に日本がこのような科学的なエビデンスを統合する仕組みを持ってほしいという一つの理念のもとに立ち上げたものです。これはまだホームページは残っておりまして、レポートはフルにダウンロードできます。www.tobaccofree.jpというところで、今、委員の先生方にお配りしたような報告書は実はCD-ROMの中でデジタル媒体で入っているのですけれども、もう一つのみそは、たばこフリージャパンデータベースという、国内の当時可能だった700の研究論文を全部データベースに入れて、利用者が自由自在にいわゆるエビデンステーブルをつくったり、用量反応関係などのグラフを作成するようなものもつくりました。残念ながら10年間更新していないので、この10年の歩みについては津金委員などからアップデートがあると思います。

 たばこというのはどういうものなのか、たばこの流行というのはどういうものなのかということをchapter1に入れました。

 2番目はその健康リスクについて。

 3番目は健康だけでなしに、社会経済的なインパクトがあろう。

 4番目は規制政策とプログラム、この当時は条約は策定中であって、一応条約の条項などは、ドラフトは意識したのですけれども、余りそれに引きずられることなく、やはりエビデンスから導かれるような規制政策あるいは諸外国で既に成功事例があるようなものについての勧告の一つ手前のレビューを行いました。

 5つ目が勧告で、日本の国内に向けての勧告だったのですけれども、70近くの項目の勧告、いわば政策メニューみたいなものなのですけれども、その後10年間で半分くらい達成しています。

chapter1ですけれども、たばことか喫煙について国際的な視点をまず持つといったときに、当時既にたばこはニコチンデリバリーシステムという位置づけであります。たばこはたばこなのですけれども、大もとは何なのか。これは私の1回目の資料にしつこいぐらい書いたのですけれども、コンシューマー、利用者が本当に欲しいのは何なのか、ニコチンである、そういう位置づけによって今も国際的にはそういう流れの中で、あるいは産業のほうもそういう流れの中で製品デザインを行っていると思いますけれども、紙巻きたばこがある。たばこはそれを喫煙者にデリバーする目的を持って高度に設計され操作された製品である。産業による製品デザインの操作とか、いわゆる低タール・低ニコチンたばこはそうではない、実はリスクは低くないというわなとか、安全なたばこはないと。

 そういう国際的な視点がある一方で、では日本はどうなのか。日本はまだまだそういう視点が共有されていなくて、むしろ戦後復興と経済成長による急増期があり、1970年代はたばこのリスクがだんだんわかってきて、タールが悪いのではないかというころにはむしろどんどん消費がふえていった。ところが、1975年にたばこの価格が何と50%も上がった時期があって、そのときにようやく頭打ちになった。80年代は本来はそこでピークになっていろいろな知見とか対策も行われていった時期なのですけれども、実は消費が増大していって、それが市場の自由化のみならず、たばこ産業の製品力と書きましたけれども、製品力とか宣伝力とかマーケティング力になる。

 この四角の中にはいわゆるライト、マイルドというような消費者を欺くようなディセプティブ、そういうブランドが80年代半ばから非常にシェアとしてふえていったというようなことをレビューしました。

 今度喫煙による健康リスクのほうなのですけれども、因果関係の解明は実は1930年ごろから国際的にはなされていて、喫煙者で急増する肺がんの原因解明、平均寿命の短縮というのは何と1938年に既にアメリカでそういう報告があるなど、戦前からいろいろな研究はなされていた。日本でも実は基礎研究でこういう国際的な流れに貢献する研究もあるのですけれども、ほとんど埋もれてしまっている。その後、戦後の特にコホート研究などが充実していって、それでも50年代には喫煙と肺がんの因果関係については研究会ではコンセンサスがあった。その後、さまざまな研究がふえていって、確固たる証拠というところまで行ったのが、60年代以降のイギリスとかアメリカあるいはWHOなどによる独立したレビューで証拠が揺るぎないものになって、いわゆるたばこ病と言われる喫煙が原因の疾病リストは年々延長している、伸びていっている状況です。

 右端はちょっと細かいのですけれども、例えば肺がんの因果関係がいつ公衆衛生総監のレポートで結論されたかということを収めました。

 日本はどうなのかというと、能動喫煙が国際的に既に喫煙との因果関係についてエスタブリッシュされているものについては多くの疾患と関連することが当時集められた日本の研究によっても確実に示された。ところが、一部のがんについていうと、相対危険度が低いこともありましたし、あるいは病気によっては研究が少ないこともありました。十分日本の研究だけで結論を出すところまでは行かなかったのですけれども、さまざまな研究をレビューしたときに、ほかの国の喫煙者と比べて違うメカニズムかというと、そういう根拠はない。

 1つこの中でハイライト的なのは、実は日米の肺がんリスクの差は国際的にも非常に大きな関心を持って見られているのですけれども、1つの説明要因としては50年の累積喫煙指数で見てみたら実は同じ直線あるいは曲線に乗ったということなので、そういう国によるリスクの差はもしかしたら累積喫煙本数の違いだけではもちろんないのですけれども、違いによっても説明できるということも記載しました。

 日本の研究によるエビデンス、今度は受動喫煙についていうと、日本は男性喫煙率が高いので、非常に多くの家庭とか職場でさらに非喫煙者の大部分を占める女性と子供はそういうたばこの煙を避けられない状況である。能動喫煙について入手済みのエビデンスを既に得られている受動喫煙のリスクに関する情報に照らして解釈すると、同じような結論が支持されるのではないか。

 このように日本でも十分なエビデンスは実はある。にもかかわらず、2003年ですので、まだまだ今のような対策が充実していない状況でしたけれども、おくれた原因として1つは政府の中あるいは外にたばこ対策を担当する機関がなかったという構造的な問題があるのではないか。ほかの政策的な構造の問題ももちろんあるのですけれども、例えばこれも1つの問題である。エビデンスに基づいた警告が仮に出されたとしても、対応して動けなかったというような指摘もいたしました。その後、条約の発効を機に、2005年ですが厚生労働省にはたばこ対策専門官のポスト、国立保健医療科学院にはたばこ政策情報室長というポストが2つできたこともあるので、そういう組織ができたことによって恐らく今後政策の実現のスピードは速まったのではないかと思います。

 この10年の集大成がほとんど手つかずであり、一つのアプローチとしては津金先生たちのグループががんについてはエビデンスを集積しているのですけれども、やはりそれ以外の領域でもたくさんのエビデンスがむしろ指数関数的にふえてきていますので、それをベースにこの10年分のエビデンスを集積することが健康影響評価の審議の基礎となるのではないかと思います。

 3つ目、メンソールたばこについてですけれども、実は日本のメンソールたばこはこの10年間で2倍のシェアに膨らんでいる。その中で今、日本人の喫煙者の2025%くらいがメンソールたばこを吸っている。特に若い世代ではそのシェアが大きいということがあります。ここに書いていませんけれども、未成年を対象にした調査によると、やはり未成年の間でもメンソールたばこを消費する割合がこの10年で非常にふえていることがあります。これは国際的にも同じ状況で、多くの関係者が関心を持っているのですけれども、ではなぜ問題なのか。今、アメリカのFDAでは禁止も視野に入れて検討しています。FDAの視野は、先ほど言ったように若い人たちの喫煙の開始を早めるとかふやす、依存性を強めるのではないか、禁煙のさまざまな取り組みに対して阻害的な影響があるのではないかということで、今、検討中で非常に分厚い報告書が出ているのですけれども、その報告書に関してのパブコメ中です。

 メンソールというのはこのように非常にシンプルな構造を持ったもので、いわゆるはっかに含まれているようなもので、皆さんもいろいろなところから摂取していると思うのですけれども、たばこの中に製造工程でいろいろな形で入れられています。

 これはドイツがんセンターのファクトシートとその他の情報を集めて再構成したチャートなのですけれども、メンソールは普通すっとする、それは受容体を刺激することで、別にそこの温度を下げているわけではないのですけれども、冷感作用がある。それから、軽い麻酔作用があるので、痛みの緩和がある。ニコチンへの反応とか耐性とか、そのあたりにもどうも関連しているらしい。ニコチンの代謝阻害という作用もあるらしい。それらによってたばこの煙の肺への吸収をふやす、末梢の気道を拡張させるようなことも、きっとほかの添加物と相まっているのですけれども、吸収がふえる。発がん物質分解の阻害もどうもあるらしい。メンソールはほとんど気化してそのまま吸収されるのですけれども、一部が燃焼して新たにベンゾピレンとかベンゼンなどの発がん物質を生成してしまうというようなことから、まず上の2つの作用によって、たばこの煙がいらいらしたり辛いという刺激をマスクしてしまうことで、すっと一緒に吸ってしまう。真ん中のことでは依存形成能が増大するということは、逆に言えば、やめにくい状況もつくってしまう。最後の3つはがんのリスク増大。それから、メンソールはいろいろな製品に入っていまして、植物としてもグリーンで非常にさわやかなので、何か安全だとかヘルシーだという錯覚を心理的に及ぼすのではないかという観点からメンソールが問題になっています。

 4つ目なのですけれども、新規たばこ製品の動向。これは新たに今、たくさんの種類のたばこ製品が市場に出ているので、それをこうやって分類してみました。今までのシガレットというのは燃焼してたばことして吸うものなのですけれども、燃焼する形式でもシガーとかパイプとか、日本はキセルもありましたし、水パイプもある。そういう形からだんだん進化というか、変化していって、あるいはローカルには紙たばことかかぎたばこのような全く別の様式で摂取するようなこともあるのですけれども、非加熱から加熱、燃焼という3つの有効成分の抽出様式があると思います。

 その中でたばこが入っていると、葉たばこが原料になっているとたばこ事業法の中で製造たばこなのですけれども、たばこが入っていないと事業法から外れる。そういう観点から、たばこが入っている入っていないで分けて、しかも数年前に日本で電子たばこが問題になったときに、ニコチンが入っていると薬事法になる、だけれどもニコチンが入っていないものもあって、それは薬事法にはかからないみたいなことがあるので、このマトリックスをつくって中に入れてみました。そうすると、その中で20世紀型の加熱式のたばこは既に日本でもアメリカでもあったのですけれども、余り売れ行きがよくなかった。ちょっと時期尚早だったのかもしれません。先ほど申し上げた本日発売の21世紀型の加熱式たばこは全く違う様式をとっていて、後でお示ししますけれども、それがもしかして未来型のものになるかもしれません。電子たばこが国際的にも問題になっていますし、日本でももう既に普通にネットで買えるような状況になっているのですが、それに関するものでいうと、電子たばこについていうと、ニコチンが入っていると薬事法なのですけれども、今のところこれらのものは日本では薬事法未承認です。ただ、ネットではニコチン入りのものも堂々と売られるということがある。そういうようなことがあります。

 プルームなのですけれども、実は出てくるときまでずっとアクセスしていたのですけれども、混み合っているのかまだ準備中ということで、オンラインショップがもしかしたら今くらいにオープンかもしれませんけれども、オンラインで売るのです。情報がほとんどなかったので、アメリカのサイトとオーストリアのサイトなどについて調べてみました。オーストリアはちょっと間違ってしまったのですけれども、4月にプレスリリースがあって、5月2日に販売が開始されたそうです。韓国では先月ということで、これは見た目は前のゼロスタイルに似ているなと思うのですけれども、中にいろいろなヒーターなどが入っていて、非常にハイテクの製品です。これは日本では中に入っているポッドと言われる、ネスプレッソカプセルに非常に似ているのですけれども、葉たばこの粉末状のものが入ったものがパイプたばこというふうに財務省で承認を受けているとありましたので、分類上はパイプたばこになる。これは非常にきれいな、今までのパイプたばこでもないし、今までの電子たばこはたばこのまがいもの的な装いだったのですけれども、全く違うものが出ています。これはプルーム社の出ているようなものなので、後でプロモーションビデオをお見せします。

 まとめは、やはりFCTCFDAのたばこ製品規制の考え方や動向と日本の状況は余りにもギャップがある。それを何とか研究面でも政策面でも埋める必要があるのではないか。

 健康影響については日本と世界とで同様のエビデンスが蓄積されてきたのですけれども、それが過去10年間アップデートされていない。一部はアップデートされていると思いますけれども、包括的にはされていない。

 それから、先ほど御紹介したメンソールたばこはシェアが倍増しているようなものであって、特に若年者でのシェアが大きい。それから、メンソールを好んで吸うような人たちもいる。これは製品とか消費者の特性を踏まえた研究と対策が必要であろう。

 4番目の新しい製品は製品スローガンが「Rethink tobacco」、たばこを考え直そうというような、「Think different」にかけているのかなと思ったのですけれども、新しいものを問いかけている。これはたばこ対策が進む環境下でどうやって生き延びるかという大いなる実験というよりも、挑戦というか、本当にサバイバル戦略ではないかと思うのですが、特に未成年を含めた若年者への浸透、メンソールがそうであったように若年層への浸透が懸念されると同時に、ここには書きませんけれども、今の喫煙者が喫煙者である認識がだんだん薄れてきて、時々喫煙者とかもらいたばこの喫煙者とかやめようかなという不満層というか、流動層、浮動層ももしかして取り込んでいくのではないかなと思います。

 最後に、これはJTIオートリアが発表して、非常にスタイリッシュなもので、写真もオリジナルをダウンロードできるというのでオリジナルをダウンロードしてきました。

(映像上映)

○望月委員 これはアメリカのサイトからアップされているものなのですけれども、非常にポップな、非常におしゃれな、今までのたばことは全く雰囲気の違うプロモーションで、私が好きなのはと言ってはいけないのですけれども、右端で、本当にきれいな、カラフルなあれで、こういうものが使われている。やはり今までシガレットに対して規制が進んで、屋内とか、あるいは人前では吸わないようなソーシャルノームあるいは規制が始まっているところに入っていくというようなものなので、将来的には大きなポテンシャルというか、リスク上のポテンシャルもあるような一つの製品ではないかなと。今までの電子たばこではないとたばこ産業も言っているのですけれども、たばこはたばこである、だけれども今までの概念とは違うところに存在している。これはニューヨークですね、イエローキャブの中でも吸ってしまうのですけれども、いいのかということなので、今後こういうことはどんどん起こってくるであろうと思います。特定の製品を推奨するのではございませんけれども、一つの事例として御紹介しました。

 以上です。

○谷川委員長 望月先生、本当に広範な範囲を概説していただきましてありがとうございました。

 議論は後ほどまとめて行いたいと思いますので、続きまして資料2につきまして津金先生のほうから御説明をよろしくお願いいたします。

○津金参考人 本日は私どもの研究班の活動を紹介する機会を与えていただきまして、どうもありがとうございました。

 9ページ目からパンフレットがあるのですけれども、これは国立がん研究センターのがん予防・検診研究センター予防研究グループのホームページからダウンロードできるものでもあります。

 これはがん研究開発費という国立がん研究センターのインハウス研究費に基づいて行われている研究で、以前は2003年にがん予防・検診研究センターが国立がんセンターに設置される際にできた厚労科研費で、その後それが第3次対がんの研究費に変わりましたけれども、そこで私が主任研究者として、喫煙だけではなくていろいろな因子とがんとの関係を評価するという研究班をやっておりました。昨年度からはがん研究開発費ということになっています。

 タイトルは「科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」ということで、予防のガイドラインを政策提言していくことを目的としています。発がん性・がん予防効果の評価は国際的にも例えばIARCが行っていますけれども、IARCがやっているのはいわゆる人類におけるハザードの評価でありますので、では日本人においてリスクになっているのかというようなことを評価することがこの研究班の目的です。

 次のページをめくっていただくと、研究から予防へということで、いわゆるがん研究の科学的根拠に基づいてがん予防に結びつけていくというようなことで、ある意味では予防分野のトランスレーショナルリサーチであると我々は考えているということです。

 次のページをめくっていただくと、「研究の背景」は省略しまして、評価方法としては基本的には文献レビューに基づいています。しかも今回の場合は日本人を対象とした疫学研究をベースにしていて、それに生物学的な機序とか国際的な疫学研究のデータに基づいて、最終的に日本人においてがんの原因になるかどうかというような因果関係を評価しているということであります。

 「A.科学的根拠としての信頼性の強さ」として、国際的な手順と同様にグレーディングで評価していて、「確実である」「ほぼ確実である」「可能性がある」「十分ではない」という4段階による評価になっています。

 それは何に基づいてこういうグレーディングの評価をするかというと、要因とがんとの関連の強さについての疫学研究のレビューです。「B.要因とがんとの関連の強さ」では、上3本とか下3本、こういう形でリラティブリスクが0.5より小さいか2より大きくて、かつ統計学的に有意である場合は3本というようなことで、そうではない場合は2本とか1本とか、0.71.5で統計的な有意差がないということであれば「ない」と評価するということです。

 ただ、基本的にこういうものは1.2倍とか1.3倍というリスクが往々にしてあるものなのですけれども、そういうものはものすごい大規模な研究でないとなかなか統計的には有意にはならないというようなことで、若干謙虚な評価になっているかとは考えます。

 次が、これは2013年3月時点の評価ですけれども、一番上が喫煙で、全がん、肺がん、胃がん、食道がん、すい臓がん、子宮頸がんのリスクを上げることが日本人でも「確実である」。それから、肝がんは「ほぼ確実」。肝がんに関してはほかのいろいろなC型肝炎とか強いリスクがあることなどからこのような「ほぼ確実」、大腸がんに関しては、直腸がんに関しては「可能性あり」、乳がんに関しては「可能性あり」というような評価になっています。そのほかの要因に関してはきょうはテーマではないので省きます。

 次をめくっていただくと、左側は日本人のためのがん予防法で、今までの日本人の疫学研究に基づく因果関係評価において日本人ががんを予防するために大事な要因をここに上げている6つに絞り込んでいるということです。

 次は喫煙です。喫煙に関しては18ページをあけていただくと、まず能動喫煙に関していえば、国際評価の現状はIARCが人類のハザードとして評価をしていますけれども、肺がん、口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、大腸、すい臓、肝臓、腎臓、尿路、膀胱、子宮頸部、鼻腔、副鼻腔、卵巣のがん及び骨髄性白血病に対していわゆるグループ1というか、発がん性ありと評価しているのが現状です。禁煙によってリスクが下がるのが口腔、喉頭、食道、胃、肺、膀胱、子宮頸部ということになるかと思います。そのほか循環器疾患にも関係ありますということです。

 きょう御紹介させていただくのが、日本人を対象とした研究の系統的レビューによる因果関係評価ですけれども、先ほどの評価結果なのですが、それは何に基づいているかというと、20ページ以降に実際の因果関係評価をするときに基本的に研究班として最終的にエビデンスに基づいて評価しますが、それをピアレビューの論文にして、さらに第三者の評価を受けて論文として掲載した結果を日本語で概要としてまとめたものです。

 例えば21ページの喫煙と全がんリスクに関していえば、全がんなので主にコホート研究が中心ですけれども、ほとんど上に矢印が向いていることがおわかりだと思います。

 次の23ページの肺がんは、コホート研究はほとんど「強い」、一番少なくても2本、あとは3本の矢印が上を向いていることがわかるかと思います。

 次の症例対症研究もほとんどの研究が上を向いている。もちろん腺がんに限って関連がないという研究もあるし、3番目の研究は女性ではリスクが下がるという形であらわされているようなものもありますが、大勢はほとんどみんな強い関連があるということになる。そのために因果関係ありと評価しています。

 肝がんに関しては26ページにありますけれども、上矢印が多いですが、はっきり検出できていないところがあったり、強いC型肝炎、B型肝炎ウイルスの補正という問題で少しグレードを下げた「ほぼ確実」という評価をしているということです。

 次が胃がんですが、胃がんもほとんど上を向いているという研究がコホートでも症例対症研究でもあるので確実だと評価しています。

 肺がんのところに戻っていただいて、23ページです。日本人の研究に基づいたメタアナリシスもやっています。肺がんに関しては、男性では4.4倍、女性では2.8倍というようなことが評価された。これはアメリカ人が10倍、20倍というのに比べれば低い。これはいろいろな理由が上げられていますけれども、実際累積の喫煙本数とかいうことが関係しているのではないかと言われています。

 肝がんはまだ不安定なので、メタアナリシスは行われていません。

 胃がんに関していえば、29ページの下のほうにメタアナリシスがありますけれども、男性で1.8倍、女性で1.2倍、全体では1.6倍という評価です。

 大腸がんに関してはやはりはっきりしないです。直腸がんに関して上を向いているものがあるし、ケースコントロールスタディーでも最近の研究では上を向いているのですが、昔の研究では結腸で下を向いているということがあります。そういう意味で直腸がんでは「可能性がある」という評価でとどまっている。ただ、最近の治験としてよくわかっていることは、喫煙と大腸腺腫との関係はすごく強くあって、大腸がんになると弱くなるので、恐らく発がんの初期の段階に関係しているのだろうと考えられています。大腸がんとの関係でも、どれだけ長く吸っているかによってリスクになることがわかっているので、そういう意味でIARCは大腸がんのリスクとして「確実である」と評価しているということだと思います。

33ページは乳がんですけれども、乳がんはコホート1本でリスクが上がるというものしかないので、症例対症研究は上がるというものも幾つかありますが、十分なエビデンスが必ずしもないということで「可能性あり」という評価にとどめている。

 次、35ページからは食道がんですけれども、大体上を向いているということです。症例対症研究もほとんど上を向いている。

37ページの右側にメタアナリシスの結果がありますけれども、相対リスクは3倍で、カレントスモーカーでは3.7倍、フォーマースモーカーでは2.2倍という評価をしています。

 次が膵がんです。最初のページが抜けてしまっていますけれども、膵がんも多くは上向きの研究で、最終的には38ページの下にメタ解析をしていますけれども、男女合わせて1.68倍、男性では1.57倍、女性では1.83倍ということで明らかにリスクが上がる。

 まだ論文にはなっていないのですが、エビデンステーブルは子宮頸がんに関しておつけしていますが、子宮頸がんはほとんど全ての研究で上を向いているということで、子宮頸がんリスクを上げるのも確実。

 次は肺がんと受動喫煙、これもまだ論文にはなっていないのですけれども、評価として可能性があると評価している根拠は、コホート研究の女性においてそうではないという研究もありますけれども、多くが上を向いているということと、ケースコントロールスタディーも上を向いているというようなことで、「確実」といってもいいのかもしれませんけれども、やはりまだいろいろな 交絡要因とかそういうものの可能性があるので、少しコンサバティブに受動喫煙に関しては肺がんは「ほぼ確実」の評価にとどまっているということです。

42ページは乳がんです。乳がんはリスクを上げるという研究もあれば、関係ないという研究もあり、下げるという研究もあるという現状から、ただ乳がんに関しては国際的にはかなりリスクである、特に閉経前の女性におけるリスクであるということが明らかになっているので、「可能性がある」というような評価をしているということであります。

 実際我々の研究班の取り組みが44ページで、「要因」と「がんの種類」をクリックすることによって論文の一覧とかを見ることができます。右にこういう形で今までの日本人を対象としたたばことの関連の論文の一覧がつけてあります。

 そういうことで、たばこや受動喫煙はがんのリスクになることが日本人においても間違いないということで、我々はガイドラインとしては禁煙しましょう、受動喫煙を避けましょうということをメッセージとして上げています。

 また、パンフレットの最初のところに戻っていただいて、18ページです。何らかのがんという形で、相対リスクを5つのコホート研究のメタアナリシスにより1.5倍というようなことで、それから、死亡をエンドポイントとした複数のコホート研究のプール解析では男性2倍、女性1.6倍と推計されているので、控え目に見ても1.5倍なので、たばこをやめることによって自分のリスクは3分の2まで下がることが期待できることになります。

 対策の効果は、日本人がどれだけ喫煙者がいるかということと相対リスクとで合わせて推計しますと、本人の喫煙ががん罹患・死亡に寄与する割合は男性で30%、死亡だと肺がんが多くなるので34%です。女性では5%、6.2%と試算されているということです。

 受動喫煙に関していえば、大体非喫煙女性の肺がんのリスクは、夫が非喫煙者である場合に比べて喫煙者は肺腺がんで2倍、肺がんで1.3倍、この1.3倍は有意ではないのですけれども、1.3倍という数字はいわゆる国際的なメタアナリシスの結果の約1.3倍というとほとんど同じですので、大体1.3倍リスクが上がるのだろうということになるかと思います。乳がんに関しては、コントロールとして女性の場合ほとんどの人が受動喫煙があるので、受動喫煙がない女性をリファレンスにとると乳がんのリスクも2.6倍高くなることが示されていますが、恐らく乳がんに対する受動喫煙のリスクもあるだろうということで「可能性がある」と今は評価しているという段階、さらなるエビデンスが必要だろうということです。

 受動喫煙の対策の効果に関しては、受動喫煙の暴露者が多いのと、受動喫煙者の肺がんだけに対して今のところにリスクになっているので、全がんに対してということになると相対的に割合は低くなって、男性では0.20.4、女性では1.21.6ということで、ただ1%くらいあるとしても年間60万人ががんになっていますから、6,000人とかいう数字になるという、受動喫煙が日本人においても無視できない大きさの被害者をもたらしているだろうということが推測できるということです。

 たばこに関してはもう基本的に閾値なしで、吸うことによって受動喫煙のレベルでも日本人にリスクだろうということであるので、余り用量反応関係のための統合解析は積極的にはやっていないのですが、54ページから片野田先生がやった3つのコホート研究のプール解析の結果の論文を示しています。このパンフレットにもこれに関するサマリーは書いています。

 例えば飲酒とか肥満度とかいうものに関しては、用量反応関係が健康リスクという意味においては全くリニアに上がるという用量反応関係ではないということで、アベイラブルな日本人のコホート研究を6つプールして30万人という形の統合解析によって用量反応関係のエビデンスや何かをつくって論文や何かに報告しているということです。

 喫煙に関しては以上でございます。どうも御清聴ありがとうございました。

○谷川委員長 津金先生、本当にさまざまなデータをお示ししていただきましてありがとうございました。

 時間が押していますので、引き続きまして藤原先生のほうから資料3につきまして御説明いただきまして、その後総合的に討論したいと思います。

 藤原先生、よろしくお願いします。

○藤原参考人 私のタイトルは「たばこと循環器疾患の因果関係について」ということであります。ここに私のあれで、禁煙推進学術ネットワーク委員長と書かれていますけれども、この黄色いあれで、裏を見ていただくと、これは19学会でやっている、オフィシャルに代表を出してもらってたばこ対策について検討しましょうということですので、裏だけ見ておいてください。

 因果関係というと、私も因果関係を説明しろと言われたときはなぜ今ごろという気もあったのですけれども、よく考えてみたら多分受動喫煙の問題かなということで、主に受動喫煙についてお話しさせていただきます。

69ページです。まず疫学・臨床データと因果関係で、当然エビデンスレベルはあるわけですけれども、私も循環器の医者なので、本来なら本当に学問的にやろうとすればランダム化試験が必要なのでしょうけれども、ランダム化試験はたばこに対してはこれだけ毒性がはっきりしているものに対してできませんので、登録・調査研究ということになると思います。後ろ向きとか前向き複数試験あるいはメタ解析、そういうものになると思います。また、量的・時間関係があるのかとか、介入、この場合は禁煙ですけれども、禁煙の結果が期待されるように改善されているのか、あとはメカニズムについてヒト・動物・細胞実験で合理的説明ができるのかというようなことだと思います。

70ページをあけていただくと「能動喫煙と循環器疾患」、この点については私がここで説明する必要もないことでありますけれども、ここに出ているように量的関係もはっきりしていますし、またやめれば、禁煙すれば危険率は減少することも、欧米のデータでも日本のデータでも全く同じ結果であります。

 さらに循環器疾患の場合は合併症がありまして、例えば高血圧とたばこが合併することはしょっちゅうあるのです。その場合には71ページにあるように、リスクが非常に高くなるということであります。高血圧と喫煙の場合は3.86、喫煙のみに比較すれば2.5倍くらい高くなる。さらに喫煙とコレステロール血症と高血圧が合併すれば、喫煙よりもさらに3倍ないし4倍高くなることが下に出ています。高血圧も高コレステロール血症も非常にポピュラーな疾患ですので、しばしばこの3つ、2つが合併することがあるということであります。

72ページをあけていただくと、「危険因子に関連した我が国の非感染性疾患及び傷害による成人死亡数」ということですけれども、これで見ていただくとわかるように、成人死亡の主な原因は喫煙と高血圧であるということなのですが、ここで見ていただきたいのはcardiovascular diseases、循環器疾患においてスモーキングが薄緑になっていますけれども、これと高血圧が非常に大きなリスクで、一般的に言われている高コレステロール血症、LDLコレステロールの関与が欧米では大きいのですけれども、日本の場合はLDLコレステロールよりはスモーキングのほうが関与が大きいということで、日本の循環器疾患に関してはスモーキングが問題になっているということであります。

 そういうことで、次に「受動喫煙と循環器疾患」ということでお話しさせていただきますと、受動喫煙の害が73ページに、これは副流煙ですので、いろいろな害、ニコチンとか一酸化炭素とかアンモニアが多くなるということなのですが、循環器疾患の絡みでいうと一酸化炭素は非常に重要なのです。酸素濃度が減れば、当然虚血の状況が強くなるということですし、ニコチンは血管収縮作用があって冠動脈を攣縮させるというようなことがあって、循環器にとっては副流煙は非常に大きな問題であるということであります。

74ページをあけていただくと、受動喫煙によるリスクが書かれていますけれども、心筋梗塞は1.2倍とか脳卒中は1.8倍ということが書かれています。これは日本でも同じなのですけれども、さらに74ページの下を見ていただくと、量的関係が出ていますけれども、量的な関係もあるというようなことです。

 ここまではほぼ一致した見解なのですけれども、これまでデータが出ていなかったのが、受動喫煙をやめた場合、禁煙した場合に本当にリスクが下がるのですかということが非常に重要で、そのデータが10年くらい前から出だしたということであります。

75ページを見ていただくと、モンタナ州ヘレナ、人口6万8,140人の町と書いてありますけれども、こういう山の中にある町なので、患者さんはこの病院にしか来ないということであります。そこでここの町の市長さんが受動喫煙防止条例をつくったのですが、下のページを見ていただくと、アメリカモンタナ州ヘレナからの入院患者が黄色で、緑が同じモンタナ州ヘレナ以外からの入院患者ということで、黄色いほうが受動喫煙防止条例の地域、緑のほうが受動喫煙防止条例でない地域ですけれども、そうすると受動喫煙防止条例をやった途端に急性心筋梗塞の入院患者が減ったということであります。しかも減り方が半分くらい減っているのです。一方、受動喫煙防止条例をやっていない地域から来ている患者さんは減っていないということです。ところが、アメリカで当時受動喫煙防止条例は憲法違反ではないかという時代でありまして、そういうことが裁判所に訴えられて、裁判所が受動喫煙防止条例は憲法違反であるという判決を出しましたので、受動喫煙防止条例は6カ月間で廃止になったということであります。廃止になると、また急性心筋梗塞の入院患者がふえたということであります。

 このペーパーが出たときには、私もこんなに早くきれいなデータが出るものではないだろうということで、ちょっと疑いの目で何かおかしいバイアスがかかっているのではないかと思っていたのですけれども、76ページを見ていただくと、ヘレナのデータの次にプエブロ、ニューヨーク、インディアナ、サスカートンとかローマとか全て追試が始まったわけですけれども、個々のデータでやはり同じような結果が多かったのですが、トータルとしてメタ解析をすると、2009年のJACCですけれども、17%減少しているということであります。

 また、同じ年の『Circulation』というジャーナルにメタ解析が出ていまして、これは19%減少。これはメタ解析の対象になった場所が若干違いますので、一方は17%で19になっていますけれども、いずれにしろ1719%減るのだなということであります。

 ところが、これらは大体後ろ向き研究だったのですけれども、前向き研究が77ページに出たのです。ここに「スコットランド:ACSの減少」と書いてあります。急性心筋梗塞と不安定狭心症という2つの病気を循環器ではACSと言っているわけですけれども、これはメカニズムが同じだからであります。それで見ると、これはプロスペクティブ、前向き研究でもきっちりされた研究なのですけれども、前の年の6月〜3月をコントロールにして、次の年の6月〜3月までのデータを見たものであります。受動喫煙防止条例をスコットランドでやったわけですけれども、そうすると施行直後から減っているということであります。

 さらに下を見ていただくと、これはプロスペクティブスタディーなのでこういうことができますけれども、喫煙者と過去喫煙者と非喫煙者に分けてリスクがどのくらい下がったかを見ているのです。喫煙者も14%下がって、過去喫煙者が19%、最も下がったのが非喫煙者で21%であるということであります。

 ここに循環器でない方もおられるかもしれないのでACSについて若干説明しますと、80ページを見ていただくと、動脈硬化という病気からどうして心筋梗塞とか不安定狭心症が起こるかということが書かれています。心臓を養っている冠動脈の動脈硬化の一部分が亀裂が起こってラプチャーするのです。ラプチャーして血栓ができる。血栓が完全閉塞すれば心筋梗塞になって、一部の部分的な狭窄の場合は不安定狭心症になる。さらに狭窄の程度が非常に軽い場合は症状が出ない。いずれにしろ不安定狭心症と心筋梗塞はメカニズムが同じなので、今の循環器ではこの2つの病気は同じメカニズムで起こる病気なので同じように扱いましょうということであります。治療法もほとんど同じで、緊急PCI、心臓カテーテル検査があってPCIを行う、風船療法で詰まっている血管を開通させるという治療法であります。循環器領域の中では一番重要な病気であります。

78ページを見ていただくと、スコットランドの研究では本当に受動喫煙は減少したのかについても検討しているのですけれども、1週間当たり受動喫煙時間をゼロ時間と1ないし5時間と6時間以上に分けて検討すると、防止条例の施行前はゼロ時間は57、1〜5時間が26%なのですが、施行後になるとゼロ時間が78%で、1ないし5時間が9%、6時間以上浴びたのは13%に下がったということで、これも有意差がある。確かに受動喫煙はスコットランドでは減っているというような調査もついでに行われたことで、スコットランドのデータが出てからは Acute coronary syndrome 、心臓発作が減るということを疑う人はいなくなったということであります。

78ページの下のほうでは、さらに2012年の Circulation』の「受動喫煙防止法による心・脳・呼吸器疾患入院の予防−メタ解析」が出ていますけれども、それによればここに書かれているように心筋梗塞はマイナス15%減りますし、これは職場だけの禁煙、職場とレストランの禁煙、職場プラスレストランプラスバーの禁煙の3つに分けているのです。職場とレストランプラスバーの禁煙が一番濃いグリーンになっていますけれども、職場、レストラン、バーの禁煙を全部やると肝疾患は心筋梗塞等は15%減って、狭心症・急死等が39%減って、脳卒中も19%、呼吸器疾患も24%減りますよというメタ解析が出ています。

79ページを見ていただくと、今度は受動喫煙防止法によるどういう疾患なのかという疾患の具体的なものも出ていますけれども、これも職場、レストラン両方とも禁煙にした場合は心筋梗塞、急性冠症候群、急性冠イベント、虚血性心疾患が減りますよと。それから、職場、レストラン、バーにした場合は、狭心症、冠状動脈性心疾患、心臓突然死が減りますよ、脳卒中も減ります、TIAは減りません、慢性COPDは影響を受けないけれども、気管支ぜんそくとか肺炎は減ります、自然気胸についてはクエスチョンマークというようなことが出ています。

 そういうことで、疫学とか臨床データから見れば、受動喫煙防止条例は循環器疾患を減らすことについてはまず間違いないのではないかと思います。そのメカニズムですけれども、80ページを見ていただくと、先ほど言ったように、こういう冠動脈疾患は動脈硬化ができるだけでは起きないので、その動脈硬化が何らかの原因によって亀裂が起こって破裂する、そこに血栓形成が起こるということで起こるわけであります。したがって、この3つのファクターに対してたばこがどういう影響を持つかということなのですけれども、御承知のようにたばこは粥腫を悪化させますし、先ほど言った冠動脈がスパズムして血圧を上げるということで、プラークのラプチャーを促進しますし、血栓形成も促進するということです。さらにまた一たん心筋虚血に陥った場合は血圧上昇とか心拍数増加、心筋収縮力増大による心筋酸素需要の高進とか、血中一酸化炭素増加と酸素低下による心筋酸素供給の低下ということで、悪化もさせるということであります。

 そこでラプチャーの一つの原因として非常に重要ではないかと思われているのは血圧の変動とともに冠動脈がスパズムするということで、冠動脈が痙攣するのです。痙攣すると痙攣するタイプの狭心症が起こるのです。それは81ページにありますけれども、このスパズムは日本で非常に多いので、日本でもそういうことが起こっているのではないかということであります。このスパズムはたばこと最も関連がある病気でありまして、特に男性のスパズムのほとんどが喫煙者であります。

 私の今、いる兵庫県では、神奈川県に次いで2番目に受動喫煙防止条例をことしからやったところで、その資料を皆さん方に提供しますのでまた見ていただいたらいいのですけれども、ぜひ兵庫県でこのスタディーをやってみようということで、81ページの下のほうにありますけれども、兵庫県受動喫煙防止条例ということでやっています。この受動喫煙防止条例は私と井戸知事さんと相談してやった条例なのです。条例の内容についてはいろいろコメントがあるかと思いますけれども、いずれにしろ今、こういうスタディーが進行していまして、兵庫県阪神地区、神戸市、淡路島、これは大体人口で300万くらいなのです。約300万の人口で全ての循環器施設というか、心臓カテーテル検査、要するに Acute coronary syndrome を扱える循環器施設は33施設ありましたので、それ全部をカバーしています。それから、コントロールとしては受動喫煙防止条例を施行していない地域ということで、私は前、岐阜大学の教授で岐阜にいたので、岐阜県の循環器施設20施設ということであります。期間は2012年〜2015年の3年間。なぜ3年かというと、兵庫県の受動喫煙防止条例がことしからスタートしたのですけれども、ことしからスタートしたのは官公庁と学校と病院だけなのです。来年の4月から全県挙げてやることになっていますので、平成12年、去年の4月からことしの3月まではコントロール、ことしの4月から来年の3月までは官公庁と病院と学校を受動喫煙防止条例の対象にしたデータ、来年の4月から次の年の3月までが全県挙げての受動喫煙防止条例ということで、3年間でやってみようということで、今、研究をスタートしているところであります。一応現在までのところ非常に順調にいっています。

 最後、まとめですけれども、今まで述べたように、循環器疾患に関して能動喫煙、受動喫煙ともに因果関係があるということで、受動喫煙防止条例は急性冠症候群、急性心筋梗塞と不安定狭心症の予防効果があることは海外においては既にエスタブリッシュされているということであります。

 以上であります。

○谷川委員長 藤原先生、循環器疾患との因果関係につきまして詳細な御説明をありがとうございました。

 それでは、3人の先生方にお話しいただきまして、これから総合的な議論を行っていきたいと思います。どうぞ委員の皆様、忌憚のない御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。

 皆さん、なかなか、3人非常に広範な範囲をそれぞれ御説明いただきましたけれども、大和先生はこの委員会が初めてなので、先生のお話も伺いたいと思うので、いかがでしょう。

○大和委員 私はずっと暴露濃度を調査している人間なので、今回ここに示されたように職場や飲食店、さらにバーまで禁煙化されれば病気がこれだけ下がるというのは、こういう場所で働いている人たちがどれだけ高い濃度を受けているかという私たちのデータと完全に一致するので、1日も早くこのようなバーや居酒屋まで含めた法令が必要だろうと常々思っています。

○谷川委員長 要するに禁煙することによって受動喫煙も減りますし、そういう場の空間分、完全にそこは吸わないということにするのですね。

○大和委員 特に2009年から環境省がPM2.5の基準をつくったあたりから、私たちの調査も全てPM2.5ではかっているのですけれども、居酒屋などでは大体500600800マイクログラム/㎥ということで、環境基準の10倍〜20倍に達するところがほとんどなので、実感としてもこういう結果は完全に一致すると思います。

○谷川委員長 ありがとうございました。

 そういう実際に現場で測定されている先生からの御意見もありましたけれども、順番に当てていくのも何だと思うので、どなたかお手を挙げていただけると助かるのですけれども、どうぞ。

○望月委員 今の大和先生のお話を受けて藤原先生に御質問なのですけれども、先生の今度されるスタディーは非常に画期的で楽しみにしていますが、環境測定は組み合わせてはいなかったのでしょうか。やはり兵庫の条例も神奈川の条例もあるのですけれども、実際に禁煙の空間がどこまでできたかというと、なかなかまだら状態でもあるので、住民をサンプルしてバックグラウンドの汚染状況というか、暴露状況は何か補完的なデータをお持ちですか。

○藤原参考人 実際今の日本では Acute coronary syndrome は必ず入院するのです。カテまで全部やるので、PCIという風船療法も全部やるのです。だから入院している患者さんについてはきっちりいろいろなスタディーをとれるのですけれども、一般の状況でどのくらい減っているかというようなことについての調査は研究対象にはなっていないのです。

○望月委員 入院患者さん本人の喫煙状況とか受動喫煙の暴露状況はとっていらっしゃるのですか。

○藤原参考人 それは全部調べます。あとは受動喫煙は評価が非常に難しくて、日によっても違うし、どう評価したらいいのかわからないけれども、一応ある程度は評価することになっています。ただし、たばこを何本吸っているかとかいうことについての調査は全部入っています。

○望月委員 やはりがんももちろん受動喫煙との関係があるのですけれども、循環器だとこれだけ早く急性に出てくる。本当に多分秒とか分の単位で内皮細胞とかそういうところに影響が出てくると思うので、御紹介いただいた成果をまた日本でさらに追試ができるといいと思うのですけれども、まさにだから条例が必要だし、条例の効果も早く出るという意味で重要だと思います。ただ、津金先生の御発表にもあったように、受動喫煙についての日本のエビデンスはあるのだけれども、海外のように豊富にないので、さらに散らばっている情報を特に循環器系でもサマライズしてバックアップデータとして政策形成に生かせたらなと思います。

 神奈川の条例、兵庫の条例、そのほかの大阪とか京都府でも条例化までは行かないのですけれども、受動喫煙対策は進んでいるようではあるのですけれども、どうしても分煙を認めるような形になってしまっていて、厚労省が前、健康局で検討会を走らせたときに、局長通知にも原則全面禁煙が望ましいということを実際に影響を受ける業界の団体の方も含めて一応合意形成してある、だから極めて困難な場合にはという限定つきなのですけれども、それが何となくいつのまにか分煙がデフォルト的に世の中なっていっているようにも思います。やはりWHOの条約に基づいていうと、受動喫煙という言葉はむしろないくらいで、たばこの煙にさらされることは喫煙者も非喫煙者も等しく影響があるわけなので、そういう観点からいうと、ガイドラインにもきちんと記載されているように、分煙は本当は公衆衛生上の効果はない、吸い続ける人をそのままさらに濃度の高いところに押し込めていくので公衆衛生上のインパクトもないし、技術的に本当にゼロにはできないはずですし、もしゼロにするような施設ができ上がるとしたら非常にコストもかかるような問題なので、やはり今の流れはどこかでギアが変わってしまったようにも思います。なのでエビデンスと、それに本当にどれだけのコストがかかって、最も公衆衛生上の最大のインパクトを求めるような政策につながっていったらいいなと思います。御質問とコメントでした。

○藤原参考人 今のことに私のほうからコメントしてもいいですか。このスタディーについては、私は循環器なので、とにかく循環器の医者としてはどうしてもこれはやらなければだめだということでかなり無理をしながらやっているのです。厚労省のほうからもちょっとサポートしてもらってもいいのではないかと思っているのだけれども、その辺はまたお願いするかもしれません。資金的に非常に乏しい状況の中でやっていますので、またぜひよろしくお願いします。

 もう一つ、分煙のことについては、兵庫県の受動喫煙の条例をつくる委員会の委員長を私は井戸知事と相談しながらやったのですけれども、山本先生もおられて、私どもが出したものには分煙は余り出ていなかったけれども、とにかく分煙でないとだめだと議会がものすごく言うのです。その一番の根拠は、やはり厚労省の受動喫煙防止条例とか何かのコメントなのです。要するに国が分煙ということを認めているのです。予算までつけているのです。兵庫県は3億円の予算ですよ。議会のやりとりで知事さんが非常に困ったのは、分煙と喫煙室の設置と、喫煙室を設置したことに対して補助金を出さないと通さないというような意見を議員から大分言われて、知事さんとしては結局この条例を通すか、それとも受動喫煙室の設置を認めて、補助金も出すということも認めた上で通すか、それともこの条例をやめるかというような状況まで追い込まれて本当に気の毒だったと思うのですけれども、井戸知事としては1ステップずつやっていこうということでこういうことになったのです。だけれども、議員さんもそうだけれども、何か言うのは、全ての根拠は厚労省の条例で書かれている、あるいは何とか通知とありますね、ああいうものに全部書かれている厚労省自身が分煙を認めていて、喫煙室設置を認めているところが最大の根拠になっているので、これはちょっと何とかしてもらわないと困ったので、兵庫県でも喫煙室設置に予算を毎年3億円計上しています。

○谷川委員長 細かい話なのですけれども、これは先生のデータになるわけですね、「冠動脈スパズムの主要な危険因子」という、このときに非常におもしろいと思いますのは、smokingの値がsubjects with vasospasmsの中で84.3%と相当高いですね。にもかかわらず、body mass indexが、これだけsmokingが多くて、片や50smokingが少なかったらもうちょっと痩せていてもおかしくないと思うのですけれども、冠動脈スパズムのある人も結構BMI23を超していますので、割と小太りというか。ですから先生がおっしゃる冠動脈スパズムとかプラークの崩壊に何か例えば無呼吸とかほかの因子も絡んで、だから無呼吸プラスたばこが一番危ないのではないかなとぴんと思うのですけれども、できたら次の研究にぜひともパルスオキシメータとか何かをつけたらどうかなと思います。

○藤原参考人 この程度のたばこをのんでいる人は一般的に全然痩せていませんね。

○欅田委員 先ほどの藤原先生が提示いただいた今後の兵庫県の条例に基づく研究デザインに関連してですけれども、神奈川県のほうが先行して実施しているわけですね。神奈川県のほうがヘレナのような顕著なデータが得られているかどうかということを私自身見てみると、余り変化はないみたいで、その背景は今、議論がありましたように、除外規定がいっぱいあるものですから完全に受動喫煙防止ができていないところが影響するのかなと思うのですけれども、そこらはきちんと評価されているものがあるのですか。

○藤原参考人 神奈川県で受動喫煙防止条例ができた後、私は横浜市立大学の循環器の教授としゃべってやろうということにしたのです。実際スタートはしたのです。だけれども、出ているプロセスでいろいろな問題点がわかって、どういうやり方をしたかというと、横浜市大のグループでやったのです。そうすると、地域の全数調査ができないのです。いろいろな大学がまだらに入ってしまって、ある病院は途中から循環器がなくなったり、ある病院は途中から循環器ができたり、そういうものを全部網羅できていないので、それで余りにも信頼性がないので、データ発表をやめようかということにしました。私はその研究にダイレクトにタッチしてやらせていただきましたので、それで発表は控えさせてもらうと。ある地域はものすごく差が出ているのです。だけれども、そうでない地域は全然ないとか、その反省を踏まえて今回は阪神地区は大体人口175万あるのです。尼崎、西宮、芦屋とか、三田、宝塚、伊丹とか。それと神戸市が150万くらいでしょう。それと淡路。これを全部合わせて約300万の人口なのですけれども、そこの循環器で心臓カテーテルをやっている病院、 Acute coronary syndrome が入院する病院は全て網羅したという形で漏れなくやってみましょうというスタディーでプロトコルを組ませていただいて、したがって大学も神戸大学、私は京都大学だけれども、大学も神戸大学も兵庫医大も大阪大学関係も全部、この地域の全ての病院が協力する、大学も全部入るという形でやらせていただいていますので、そういう反省の上でやっているということです。

○谷川委員長 奥村先生、何か御意見はいかがでしょうか。

○奥村委員 この委員会でこれまで健康影響評価ということで個別の多数の物質とかポロニウムなども話が出ましたけれども、有害性の評価をしてきて、量反応関係と暴露の評価なども一部してきたのですけれども、きょうはたばこ全体のどういうリスクがあるかという話が出てきて非常に参考になったので、1点お尋ねしたいのは、津金先生が一連のお話をされた中で、個別に有害性があるなしというのはIARCなどでも評価されているのですけれども、量反応関係についてどういうふうにたばこ全体として評価されているか、きょうの資料にもしあれば説明していただければと思います。

○津金参考人 個別の研究ではいわゆるパックイヤーとか1日当たりの喫煙本数とがんのリスクとの関係というものでは上げられています。本来であればもう少し安定したデータという意味でプール解析で量反応関係を評価したほうがいいのですが、きょうつけた片野田先生の論文では量反応関係ではなくて、あくまでも喫煙か否かというような定性評価でpopulation attributable fractionとかを出していて、これをもう少し、恐らくもう当たり前というか、用量反応関係で余りリスクにならないような暴露量を設定する意味がたばこに関してはないわけです。ほかの例えばアルコールとかだったら、ある意味では心筋梗塞とかいろいろなことを考えればリスクが上がらない量を設定できるのですけれども、たばこに関しては受動喫煙レベルでもなっているので、一生懸命用量反応関係のカーブを出す意味自体がなくて、基本的には禁煙、ゼロにするというようなことなので、そういう学問的な興味がそれほどないということからこういうものがないのかもしれません。プール解析で出そうとは思うのですけれども、基本的にもうたばこの健康影響はあるものと仮定しているので、そこまで進んでいないということです。リクエストがあれば、そこら辺はコホート研究のプール解析のデータは持っているので、喫煙に関連して用量反応関係を示すことはできますけれども、多分ここまではオーケーという量は切れないと思います。

○谷川委員長 先生、今の話を聞いていまして、あと先ほどの藤原先生も示されたように、循環器のほうに関しては短期間の暴露が非常にきいているという話がありました。がんは恐らくそうではなくて、蓄積であったり過去の喫煙が相当関係するのではないかと思うのですが、1960年代にうちのもう亡くなった父がハイライトとか、じいさんがピースとかホープとかを吸っていましたけれども、それが低タール、低のたばこに変えてきた。望月先生はそれも同等の健康影響があるはずだとおっしゃっていましたけれども、例えば1950年代、60年代のころの喫煙者のコホートの結果と、1980年代以降とか70年代以降の少し低タールのたばこが主になったときのがんだったら何か差があるのかないのかというのはもう出ているかと思うのですけれども、そういう検討はされていますでしょうか。

○津金参考人 私は余り詳しくはわからないのですけれども、相対リスクに関しては比較的昔と同じようなデータが出ていることは出ています。それから、いわゆる肺がんのタイプ、昔は扁平上皮がんというがんが多かったのですけれども、それが腺がんに有意に変わってきているというようなことで、それはフィルターとかそういうものの影響ではないかというようなことを、そういう関連に関してはディスカッションされている。

○藤原参考人 循環器についていいますと、昔というか、30年、40年前に比べて欧米では心筋梗塞から狭心症から確実に減っているのです。その原因として何が言われているかといったら、治療法の進歩とか食事療法とか、そういうことが徹底していっているのではないかということです。日本の場合はリスクファクター、特に脂質とか糖尿病とか、そういったものについてはものすごく上がっているのです。日本のコレステロール値も今までは欧米に比べてものすごく低かったけれども、今や欧米並みになっていますし、だけれどもそれにもかかわらず横ばいなのです。だから恐らく本来なら高くなるべきところが高くなっていない。その理由としては高血圧に対する治療とか脂質に対する治療といったこと、それから、たばこの喫煙率も下がっていますので、そういうことではないかと。さらにこの数年間を見ていると、まだ統計ははっきりしたものは出ていないけれども、 Acute coronary syndrome が確実に減っているのではないかという気は循環器の医者はみんなしていると思います。

○谷川委員長 それは高年齢化しているにもかかわらずですか。

○藤原参考人 そうです。その理由としては、やはりスタチンとか高血圧に対してものすごく治療していますし、今、高脂血症と言わなくて脂質異常症というのだけれども、脂質異常症に対する治療もものすごくエネルギッシュにやっているので、そういうことではないかなと思います。

○欅田委員 治療法とか診断のほうは今、藤原先生からの話もありましたけれども、今、座長が言われた低タール・低ニコチンになって、それがハームリダクションとして影響が減ったのではないかというイメージの質問でしたけれども、それに関しては実態としては最初の第1回、第2回などで私からも提示させていただいたように、暴露量としては全然変わっていないものである、それは細工された状況であるというのは認識されていると思いますし、FCTCなどでもそういったものではないのですよということは言われているところなので、パッケージ表示されているものの数値だけを見て、それを評価するのは誤った理解になってくるかと思います。

○望月委員 私の1回目の資料の「変貌するたばこ製品 changing cigaretts」というタイトルで、10ページ目なのですけれども、やはり同じように製品デザインがどんどん変化していっている、50年代のたばこ製品のレシピのとおりのものをたばこ産業がつくっていて、それしか吸っていない人がもしいたとしたら、先生のようなスタディーというか、関心はできるのですけれども、その間にどんどん製品も変わり、消費者はそれに対していろいろなたばこを吸う。あと成分のことも、製品のデザインが変わることによって出てくる煙中の発がん物質などの組成もどんどん変わってきていることもあります。それから、もちろん業界側も行政側もリスクを低減しようという努力は行われているとは思うのですけれども、実際の効果でいうと、例えばフィルターがついたことによってタールとかニコチンは除去されるのではないかという期待があった。ところが見かけのマシン測定というか、それだけは低減していったけれども、代償喫煙というようなことが起こっていて、たくさん吸うようになった。それから、やはりフィルターにいろいろなものを添加していく中で、それが体の中に入ってきて肺の中皮腫が起こったなどということもあったり、低タール製品のリスク認知、そこが消費者がミスリードされてしまうこともある。添加物のことでいうと、レシピがどんどん変わってきているわけなので、新しい添加物が入ってきている中に分析が恐らくついていっていないと思うのです。非常に複雑であることは間違いないけれども、結果的にはそういう製品のデザインの変更によるリスク低減効果を証明することは難しい。今回の新しい製品とかゼロスタイルについても、たばこ産業側がそういう知見のデータを多分持っていると思いますし、この間学会発表などでもありましたので、バイオマーカーでもし押さえているとしたらぜひそういうことは出してほしいと思います。ただ、それが将来的にどういうがんになるのか、がんが減るのか、そこまで何年も我々は追いかけていくのですかという倫理上の問題もありますので、もしそういうことがあるのであれば、学会発表しているレベルであれば当然出されていいと思いますし、今、知見を募集中だということなので、その関連については興味があります。

○谷川委員長 私が申し上げましたのは、決して低タールだから安全ではないかという趣旨ではなくて、こういうたばこというパッケージがどんどん変貌しています。今回も新しいたばこが出てきましたけれども、やはりたばこ産業のほうとしては先ほど望月先生が言われたように、低リスクなたばこをこれから開発せざるを得ないような状況に追い込まれてきている。今までの話を聞きますと、従来のたばこであると誰が見ても健康に害があるということは明らかである、そうなったときに日本の政府はどうするか、たばこを一切廃止してしまいますと、恐らく昔のアル・カポネの禁酒法と同じで、たばこがどこかから密輸されたりするに決まっているわけですから、やはり禁煙をしっかりするという対策とともに低リスクのたばこを提供するようなことを待つしかないのかなと私は思うのですけれども、そのあたりは望月先生はどういうふうに、今回の趣旨と違うかもしれませんが、健康影響ということになってきますと、全くやめてしまえばいいという議論もありますけれども。

○望月委員 やはり1、2回目にアメリカの紹介をしたときに、当時の座長が何で日本はおくれているのだと。私の答えはアカデミアがさぼっているのだろうと。津金先生はレギュラトリーサイエンスが日本にないのではないかと。両方真実だと思います。だからレギュラトリーサイエンスというふうな枠組みの中で我々がどういう知見をもとにデシジョンメーキングをしていく一助になるのか、そういう観点がない限り、あくまでも先生のようなこともおっしゃられるかもしれないし、レギュラトリーフレームワークを設定した上で、そのレギュラトリーオーソリティーをどこが持つかはまた別だと思うのですけれども、少し発想を変えていかないと、製品はどんどん進化していく、我々は常に後手後手に回る、疫学データは何年も何十年も待たなければいけない、それで日々亡くなっている人の命を救えるのかということなので、私はいきなり禁止というスタンスをとっているわけでは決してありませんけれども、むしろどうレギュレーションの網をかけていって、最終的には公衆衛生上のベネフィットを享受するような世の中をつくっていきたいと思います。

○谷川委員長 まずは未成年に絶対に吸わせないという、先ほど先生が言われたように、パッケージがよくなってくると未成年がお菓子感覚で吸っていくとかいうことは避けないといけない。それについてはやはりもう少しパッケージにも規制みたいなものが要るとか、そういうことも先生はお考えですか。

○望月委員 むしろ前回FDAHPHCの主な日本法への適用状況という大きな細かい表を出したのですけれども、たばこの中に入っているからみんな見過ごしているたくさんの危険物質があるわけです。発がん物質そのものも。だけれども、ほかのレギュラトリーフレームワークの中ではきちんとした対応がなされている。物質によっては禁止されている、物質によっては基準がある、物質によってはまだ追いついていないという視点を、ほかの環境とか食品とか薬事の分野で、あるいは労働衛生かもしれない、持ち得るのに、何でたばこだけが全くの空白地帯なのかというのが私の視点です。

○谷川委員長 逆に言えば、そういう物質を出さないたばこでないと認めないとかいうほうに持っていくことを考えるのですか。

○望月委員 それも一つの方法ではありますし、多分FDAが考えているようなこともそうかもしれません。有害物質を取り除ける、減らせるものであればそういうものもあってもいいかもしれないけれども、どういうスタンスでレギュレーションのフレームをつくるのかは、それこそレギュラトリーオーソリティーの枠組みの中で考えるべきだと思います。

○谷川委員長 津金先生。

○津金参考人 先ほど用量反応関係について御質問を受けて、我々のプール解析においてはまだ示していないというようなことをお示ししましたけれども、いろいろな個別研究とか今までのいろいろなデータを見ていうと、基本的には例えば肺がんとの関係はキメラティブドースというか、どれだけ長く吸っているかというようなことが用量反応研究として極めてきれいに出てきて、そのとき何本吸っているかというよりも、どれだけ長い間吸っているかと関係があります。それから、リスクが下がるのも、禁煙してから何年たつかによってリスクが下がってきて、やめた年齢にももちろんよりますけれども、10年〜20年くらいたつともともと吸わない人のレベルに近づく。一方、心筋梗塞でいえば、キメラティブドースというよりもそのときどれだけ吸っているかとか、そのとき吸っているかどうかがきいてくるのと同時に、やめてからすぐ、1年とかそういう期間でリスクが下がるということが認められているということだと思います。

○藤原参考人 ちょっと誤解のないように言いますと、先ほど言ったように、心筋梗塞とか不安定狭心症という病気は動脈硬化だけで起こるのではなくて、粥状動脈硬化にプラスアルファしてそれが破裂するということが重要なのです。だから粥状動脈硬化の進行には長い時間がかかるのです。だからたばこは2種類のファクターがあって、粥状動脈硬化に対しての効果は時間がかかるので、やめてもそれがすぐ短縮するということはないので、かなり時間がかかると思う。これはがんほどではないかもしれないけれども、似たようなものではないかと思う。『Circulation』に最近出たペーパーでも、リスクが1になるには30年くらいかかるかもしれないけれども、15年くらいかもしれないというペーパーもあるのです。そのことと、それから、ラプチャーして実際病気が発症するというほうにはたばこをやめればその部分だけ消えるという2つありますので、ちょっと誤解のないように。

○谷川委員長 ありがとうございます。

 それでは、委員の先生方でまだ御発言されていませんけれども、山海先生、循環器の疫学の立場からきょうの議論を踏まえて何か御発言はありますでしょうか。

○山海委員 ありがとうございます。これまでの議論の中で私の分野と少し離れた分野でしたので余りお話しする機会がなかったのですが、今回藤原先生のお話は特に興味深く聞かせていただきました。私は地域単位のコホート研究をずっとしておりまして、主に研究対象としておりますのが脳血管疾患の発生、罹患の因果関係にかかわるもの、リスクファクターの分析をしておりまして、主にコホートが秋田、茨城、高知も一部入りましたが、農村地域の住民なのです。農村地域の住民の発症状況も逐一といいますか、ほぼ全例を地域ごとに脳卒中、脳血管疾患と虚血性心疾患、心筋梗塞、狭心症と急性死をずっと、ある地域は50年、ある地域は30年モニタリングしておりまして、その動向を見ておりますと、確かに少しずつふえているかどうかというところは難しいのですけれども、ポピュレーションベースドで見ますと、先生もおっしゃられたように、心筋梗塞といいますか、そちらが余りふえていない傾向がありまして、やはり地域においては脳卒中の重要性といいますか、そちらがどうもクローズアップされるような感覚があります。

 先生にお聞きしたいのは、先生がこれから始められる前向き調査なのですけれども、こちらの兵庫県阪神地域といいますと、脳卒中と虚血性心疾患の発生はなかなかつかみにくいと思うのですが、先生は循環器疾患といいますと、脳卒中となると脳外科の領域ということで余り御存じないでしょうか。

○藤原参考人 このプロトコルを組むときに脳卒中も本当はやりたかったのです。向こうの、海外のデータでは脳卒中に対しては余り効果がないというになっているのです。だけれども、実際にそのデータを出したかったのです。やりたいとは思ったのだけれども、病院がそれぞれ全然違うのです。これはとにかくある地域、約350万くらいの地域の全数調査をきっちりやりましょうというスタディーで組みましたので、そうするとはっきり言ってしまうと、やはり私の影響力のある病院でないとだめなのです。ちょっと無理してでもしつこくデータを出してもらわなければだめなのです。こちらもそんなにお金があるわけではないのでお金でどうのこうのということはできないし、だからこれも症例に関しての提出は全部無料でやっています。そういうこともあって、それから、病院が全然違いますし、循環器領域と神経内科、脳外科領域とは単科の病院も全部違うのです。そういうことでできなかったということです。ぜひやるべきだと思います。

○山海委員 やはり政策といいますと、こういうことを言うと本当に失礼ですけれども、一般住民の中でどれくらい重要性があるかということをついつい考えてしまうものですから、私たちが対象としている地域が農村地域であるということも、高齢者が多いということもあるのですけれども、どうしても脳卒中のことが気になって、ずっと私どももそちらの分析をしていましたけれども、そうしますとやはり欧米と日本の脳卒中、脳血管疾患、虚血性心疾患の発生状況は違うのですね。

○藤原参考人 違うというよりも、全然違うのですよ。アメリカは今もって第一の死亡原因は心疾患なのです。白人と日本人でも全然違うので、日本人の場合の心筋梗塞の発生頻度でも対人口当たり4分の1くらいです。みんな奇妙に思っているのは、昔は、私が若いころはリスクファクターが違うからだろうと。つまり食事がコレステロールが低いとか。だけれども、コレステロールが同じになっても、今、ほとんどコレステロールレベルは同じですよ、脂質レベルでも。糖尿病も同じでしょう。にもかかわらず、今もって4分の1くらいなのです。だから遺伝的なそういうものがあるのではないかとみんな思っています。脳卒中は御存じのように日本で最も重要な病気で、欧米より多いでしょう。だから全然違うのですよ。

○山海委員 脳卒中の中も、私の研究の分野ですと病型も違うということを示しまして。

○藤原参考人 ただし頻度はそうなのだけれども、絶対数の病気の数はやはり循環器疾患は多いのです。

○山海委員 先生の分野でいらっしゃる心臓のほうということですか。

○藤原参考人 というのは、狭心症とか、そういうものを入れてしまうので。そうすると、極めてポピュラーな病気で、今もって外来にかかる患者で一番多いのは循環器内科です。

○谷川委員長 ありがとうございます。確かに先生がおっしゃるように疾病構造も変わってきていますけれども、ただ何せ我々のよく読む論文ではまだまだ彼らのBMIのレベルは日本よりはるかに上ですし、まだコレステロールのレベルも相当高いのではないかなと一般住民レベルでは思っていますので、やはり向こうは高いのではないかと思います。

 最後に井上先生、きょうからお越しいただきましたけれども、きょうの話をお聞きいただきましてコメントが何かございますでしょうか。

○井上委員 井上と申します。よろしくお願いいたします。

 きょう津金先生のほうからのお話がまさに私のバックグラウンドでこれまでやってきた話なので、がんに関してはもう議論の余地なくたばこの健康影響は当然あるということで、そちらというよりはむしろそこから先のエビデンスをどう対策につなげていくかというほうにかじ取りをしていったほうがいいのではないかという気がしています。きょうのお話の中でかじ取りをするに当たって健康影響のエビデンスをどう出していったらかじ取りがしやすくなるのかという点を考えながら聞いていたのですけれども、途中で大和先生から発言がありました、私は畑違いで全然知らなかったことなのですけれども、今、もうたばこの健康影響をPM2.5ではかっているようなことをおっしゃっていましたけれども、そういうようなほかのことで世の中騒がれていて、普通の人が考える印象として明らかに危険だというような数字を、実は喫煙でもこうなのだというふうに出して、しかも比較しながら出していくとすごくインパクトが大きいと思いまして、今後たばこの影響評価に関してPM2.5とかそういうようなものがどのくらい普及されていくかというか、そういうことを今、フロントに立っていらっしゃる先生としてお伺いできればと思うのです。

○大和委員 これまでPM2.5のデジタル粉じん計はアメリカ製しか使えなかったのですけれども、日本で一番ポピュラーな会社の柴田科学が4月からそれも日本で発売し始めました。値段も従来のPM10をはかっているものと全然変わらないので、今後日本の室内の環境を測定するときにはPM2.5ではかっていくことが重要なのではないかなと思っているのです。そうすれば少なくとも大気環境と同じレベル、つまり年平均で15、日平均で35というところまで落とすことが目標になりますので、屋内での喫煙は自動的にできなくなるような状況になります。そういう方面から、ことしの流行語大賞にもノミネートされたPM2.5で世間の皆さんたちとコミュニケーションをとっていければいいなと思っています。

○谷川委員長 そういう意味では非常に新しい暴露指標としてPM2.5をどこでもはかれるということは非常に大きな進歩ですね。

○大和委員 追加でいいますと、室内にはPM2.5から10までの間のものはほとんど存在しないのです。沈降速度が速いので、小一時間もすると全部落下、沈降してしまうのです。ですから、従来のPM10ではかっても、PM2.5ではかっても、結果はほぼ同じなのです。ですから、もしかしたら既にどの作業環境測定機関でも持っている従来の粉じん計とPM2.5ではかるやつの間の係数か何かを、橋渡しできるようなものをつくって、従来の粉じん計をどんどん活用しながらいくほうが早道かもしれません。

○望月委員 質問をいいですか。PM2.5というのは結局粒径で切っているわけですね。そうすると、その中のPM2.5を構成する物質の特性というか、そこまでは問われない指標ですか。

○大和委員 2.5というのはサイズの話ですから、ただ屋内でPM2.5の発生源はほとんどたばこ以外ないのです。

○望月委員 電子たばこはどうですか。

○大和委員 済みません、電子たばこはやったことがないです。

○望月委員 きょう発売のプルームとか、そういったものも、要は目に見える白煙を出すというところがみそなので。

○大和委員 白いということは1ミクロン以上あるということなのです。ですから、プルームを見てもおもしろいと思います。

○谷川委員長 確かにたばこの暴露状況をPM2.5ではかるということは非常に新しい概念でいいと思います。

 お2人さん、どうぞ。

○奥村委員 井上先生の御発言ですけれども、今までこの会議で個別の物質についていろいろなところで評価されているデータが出てきて、それと今、言われたようにほかの分野、大気環境とかいろいろな分野で規制がかかっているというのも出てきたので、きょうPM2.5もどちらかというと全体像、たばこの全体を評価する。ちょうどある程度まとまってきているので、これをまとめて今、リスクコミュニケーションの機関みたいなものも必要なので、ある程度まとめて外に出して、それをこの委員会でまとめていくというのをしていったほうが現実的に次のステップに行けると思います。これを考慮したほうがいいと思いました。

○谷川委員長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○欅田委員 ちょうど今、奥村先生のほうからリスクコミュニケーションという話がありましたけれども、リスクコミュニケーションをやる手法の一つとして、ほかのリスクを比べるというのは使い方を気をつけておかないと、今、PM2.5が社会的に随分話題になっているのでそれを持ち出してやっていますけれども、ほかのものとの比較は評価の仕方をきちんとしておかないと誤った情報を提示することになりますので、そこは考えておかないといけないなと。特に環境中のPM2.5に関しましていえば、谷川先生なども御存じだと思うのですけれども、昔のほうがはるかに高い状態で、日本のPM2.5はすごく下がってきているのですが、知らない言葉が新たに出てきて、今、社会的には隣国からの影響とかも含めて話題になっているところですけれども、そこの理解を間違わないようにメッセージを出さないと大きな問題になるかと思います。

○谷川委員長 ですから、あくまでのこの場合のPM2.5は屋内におけるたばこの暴露量の代替物として考えたらどうなのですか。

 大和先生、それでよろしいですか。

○大和委員 はい。

○谷川委員長 非常に議論が活発になってきまして、もう時間切れなのですけれども、どなたか最後にまだこれを言い足りないというのは、望月先生、ないですか。

○望月委員 きょう資料がヘビーだったので持ってこなかったのですけれども、この間のFDAHPHCをまた見て、環境リスクの初期評価があって、結構基礎研究から疫学まで網羅しているプロジェクトが11年次まで報告書があるのです。その中で要は最初この委員会が一つ一つの物質についてそれをやるのか、それは絶対無理ですよということなので、代替データ、先ほどのPM2.5も代替データですね、どのくらい代替するかはまた非常に難しい問題だと思うのですけれども、それをどれくらい使えるものがあるのかといったら、33物質について環境分野で初期評価のレポートがありました。それもデータベースに入れてつくってしまったので、この間の規制のほうとアセスメントの情報も我々が委員の中で、あるいは厚労省の資料として提供することで、それも一つの議論の出発点になり得る。どういう物質がどのくらい環境とか健康に影響があるのかは非常に厳密な評価がされているので、そんなものも使っていったらいいと思います。

○谷川委員長 ぜひ次回以降そういうものを入れていただければと思います。

 非常に活発に御議論いただきまして、またきょうは藤原先生と津金先生にお越しいただきまして、専門的なお立場から議論いただきましてありがとうございました。また、引き続きこの会議を進めていきたいと思います。

 きょうはあとかぎたばこ・スヌースへの対応につきまして事務局から御報告をお願いいたします。

○野田専門官 たばこ対策専門官の野田でございます。

 資料4をごらんください。資料83ページになります。

 平成251028日に都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部局長宛てに無煙たばこ・スヌースの健康影響についてのがん対策・健康増進課長名による通知を出させていただいております。これにつきましては近年たばこ製品である無煙たばこが世界的に広がってきているということ、さらに平成25年8月30日には日本学術会議から無煙たばこ製品による健康被害を阻止するための緊急提言が出されたことを踏まえまして、厚生労働省の対応として情報提供をさせていただきました。

 具体的には学術会議から出されました提言を踏まえまして記載させていただき、さらに学術会議から出されております緊急提言を紹介させていただくということで対応させていただいております。なお、この通知につきましてはお示ししております都道府県、保健所設置市、特別区のほかに、財務省、文部科学省、警察庁にも情報提供させていただいております。

 以上でございます。

○谷川委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、今回は時間をオーバーして申しわけありませんけれども、本日の議論はここまでといたします。

 最後に、今後のスケジュールにつきまして事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○長坂補佐 事務局ですが、次回第5回専門委員会の日程に関しましては後日また改めて御連絡を差し上げたいと思っております。

○谷川委員長 このリーフレットの説明はもうよろしいでしょうか。

○藤原参考人 はい。

○谷川委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、本日はこれにて閉会としたいと思います。先生方、活発な御意見をいただきましてまことにありがとうございました。


(了)

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