ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 議事録(2014年1月29日)
2014年1月29日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 議事録
医薬食品局食品安全部
○日時
平成26年1月29日(水)10:00~12:11
○場所
中央合同庁舎5号館12階専用第15~16会議室
○出席者
食品衛生分科会員(敬称略)
安藤 言枝 | 大澤 真木子 | 大野 泰雄 |
岸 玲子 | 岸田 一男 | 栗山 真理子 |
河野 康子 | 古野 純典 | 西島 正弘 |
毛利 資郎 | 山内 明子 | 若林 敬二 |
渡邉 治雄 |
事務局
新村 和哉(食品安全部長) |
高島 泉(大臣官房審議官) |
國分 隆之(企画情報課長) |
加地 祥文(食品監視分析官) |
長谷部 和久(基準審査課長) |
滝本 浩司(監視安全課長) |
西村 佳也(食中毒被害情報管理室長) |
鷲見 学(国際食品室長) |
山本 圭子(課長補佐) |
他 |
○議題
1.開会
2.議題
(1)審議事項
(2)報告品目
(3)文書による報告品目等
3.報告事項
(1)農薬(マラチオン)を検出した冷凍食品への対応について
(2)食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会の中間取りまとめについて
(3)と畜場法施行規則及び食鳥検査法施行規則の一部改正に係る食品健康影響評価の依頼について
(4)平成26年度輸入食品監視指導計画(案)について
(5)食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
4.閉会
○議事
○山本補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会」を開催いたします。
本日は、石川委員、大前委員、春日委員、寺本委員、西委員、山本委員、西内委員から御欠席との御連絡をいただいております。
また、栗山委員は電車の事故により少々おくれられるということです。
現在の分科会委員総数20名のうち、現時点で12名の御出席をいただいており、出席委員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。
本日の議題につきましては、お手元の議事次第にございますように、食品中の農薬の残留基準設定、食品の添加物の指定等、清涼飲料水等の規格基準の一部改正について御審議いただき、その後、報告品目等の報告をさせていただきます。
なお、審議事項の食品添加物において利益相反の確認対象となる案件がありますが、退室が必要または議決には参加できない委員はいないことを確認しております。
では、お手元の資料の確認をさせていただきます。
委員の皆様のお手元には、資料1として「審議事項に関する資料」。
資料2が、「報告品目に関する資料」。
資料3が、「文書による報告品目等に関する資料」。
資料4が、「報告事項に関する資料」。
これらに加え、参考資料1~5の厚いハードファイル、及び分科会の基礎資料のハードファイルをお配りしております。
資料の不足や落丁等がございましたら、事務局までお申しつけいただきますようお願い申し上げます。
以降の進行につきましては、岸分科会長にお願いいたします。
○岸分科会長 それでは、審議に入ります。
まず、食品中の農薬の残留基準設定につきまして、事務局のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○大田補佐 それでは、事務局のほうから御説明させていただきます。
資料は、机上に置いてあります青いファイルの「参考」と書かれているものでございます。
参考資料1の3ページをごらんください。農薬シアントラニリプロールについて説明させていただきます。
本剤は、新規に農薬取締法に基づく登録申請がなされたこと、及びインポートトレランス申請がなされたことにより、残留基準の設定について御審議いただくものでございます。
概要ですが、本剤はアントラニリックジアミド系の殺虫剤であり、昆虫の筋肉細胞内のカルシウムチャンネルに作用し、カルシウムイオンを放出させ、筋収縮を起こすことにより殺虫効果を示すものと考えられています。
「化学名」及び「構造式及び物性」については、記載のとおりです。
4ページから、「適用の範囲及び使用方法」について記載しております。稲、野菜、果実等の幅広い作物に適用が申請されています。
8ページより、「作物残留試験」について記載しています。分析対象の化合物として、シアントラニリプロール本体のほかに各種代謝物の分析が行われております。分析方法については、記載のとおりです。
結果につきましては12~17ページ、別紙1-1及び別紙1-2に記載しております。ほとんどの代謝物は定量限界未満、あるいは親化合物と比較して非常に低い残留量となっております。
10ページに戻っていただきまして、食品安全委員会における「ADIの評価」でございます。イヌの1年間の慢性毒性試験における無毒性量をもとに、ADIは0.0096mg/kg体重/dayという評価になっております。
「諸外国における状況」ですが、JMPRにおける評価はなされておらず、国際基準も設定されておりません。諸外国においては、カナダで基準値が設定されており、米国では基準設定の手続中と聞いております。
続いて、「基準値案」でございます。「残留の規制対象」をシアントラニリプロールのみとする案としております。国内及び海外の作物残留試験において、先ほど申し上げたとおり、各種代謝物はいずれも定量限界未満、あるいは親化合物と比較して十分に低い残留量であることから、代謝物は残留の規制対象には含めないこととしております。
なお、食品安全委員会においても農産物中の暴露評価対象物質をシアントラニリプロール本体のみとしております。
「基準値案」は、18ページの別紙2になります。
これら基準値案で暴露評価を行ったものが、20ページの別紙3でございます。EDI試算により、一番高い幼少児で58.5%のADI占有率となっております。
最後のページが、「答申(案)」となります。
続きまして2剤目、フルキサピロキサドについて説明させていただきます。資料は106ページからとなります。
本剤は、インポートトレランス申請がなされたことによりまして基準値設定について御審議いただくものです。概要ですが、本剤はカルボキシアミド系殺菌剤であり、ミトコンドリア内呼吸鎖複合体IIを阻害することにより、殺菌効果を発現させると考えられています。
化学構造については、記載のとおりでございます。
次ページに、「適用の範囲及び使用方法」を記載しております。国内での登録は、非食用作物に限定されております。ここでは、インポートトレランス申請のあったアメリカでの使用方法を示しております。
続いて、109ページに「作物残留試験」について示しております。フルキサピロキサド及びその代謝物3種類を分析対象化合物としております。分析法は、記載のとおりでございます。
作物残留試験の結果については、115~118ページの別紙1に示しております。
110ページに戻りまして、「畜産物への推定残留量」についてです。フルキサピロキサドのほかに、代謝物2種類を分析対象としております。分析法の概要は、記載のとおりです。乳牛及び産卵鶏における残留試験が実施され、その結果、得られた各組織の最大残留量を111ページの表1及び112ページの表2に記載しております。
これらの結果と、MTDBより推定しました各組織の推定残留量を、112ページの表3-1及び表3-2に示しております。
続きまして、食品安全委員会による「ADIの評価」ですが、ラットを用いた2年間慢性毒性発がん性併合試験の無毒性量を根拠としまして、安全係数100で除し、ADIは0.021mg/kg体重/dayと設定されております。
なお、ADIの設定根拠となりました、ラットを用いた2年間慢性毒性発がん性併合試験において、肝臓腫瘍、甲状腺腫瘍及び甲状腺がんの増加が認められておりますが、メカニズム試験及び遺伝毒性試験の結果から、腫瘍発生機序は遺伝毒性メカニズムによるものとは考えがたく、評価に当たり閾値を設定することは可能であると結論づけられております。
「諸外国における状況」につきましては、2012年にJMPRにおいて毒性評価が行われ、ADI、0.02mg/kg体重/dayが設定されております。現在、穀類、野菜、果実及び畜産物等の多くの食品に国際基準が設定されております。
また、アメリカ、カナダ、EU、オーストラリアにおいても基準が設定されております。
「基準値案」ですが、残留の規制対象についてはフルキサピロキサドと設定しております。
JMPR及び米国においては、農産物及び畜産物の規制対象を同様にフルキサピロキサドとしております。また、食品安全委員会においても農産物、畜産物の暴露評価対象物質をフルキサピロキサドとして設定しております。
農薬動物用医薬品部会におきまして、農産物は代謝物の残留が定量限界未満、あるいは親化合物と比較して十分に低いこと、それから畜産物の代謝物の残留につきましては、代謝物008というものがございますけれども、中間体であり、脱メチル化によりさらに代謝分解されることから、規制対象をフルキサピロキサド本体のみとすることで了承が得られております。
基準値案は119~120ページの別紙2をごらんください。インポートトレランス申請に基づき基準を設定するほかに、基準値案を黒い太枠で囲った部分につきましてはコーデックス基準を採用する案としております。
これらの基準値案により暴露評価を行いましたのが、121ページの別紙3でございます。TMDI試算により、最も高い幼少児で57.4%のADI占有率となっております。
事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いします。
○岸分科会長 ありがとうございました。
分科会での議論に入る前に、部会での審議の状況について特段に御報告いただくことがありましたら、部会長の大野先生お願いいたします。
○大野委員 シアントラニリプロールについては、追加の話はございません。
今、御説明いただいたフルキサピロキサドについては、資料の121ページのところを見ていただくと、その他の野菜を介した暴露が非常に多く出ているんです。それで、その他の野菜というのは非常にあいまいな印象を受けましたので、そういうあいまいなものでこれだけ多く暴露されているということで、それについてそれに詳しい人に御意見をいただきました。そうしましたところ、その他の野菜については葉野菜が主に含まれるのだというお話でした。
それで、その他の野菜でそこだけ暴露が多いものについてはもう少し小分けして分類したほうがよろしいのではないかという意見がございましたけれども、今回のこの適用作物で葉野菜に関する基準はてんさいの葉っぱのデータをもって設定されたわけですが、てんさいの葉っぱ以外にはそういったものは適用作物としてないということで、今回は問題にならないのじゃないかということでございます。以上です。
○岸分科会長 ありがとうございました。
それでは、分科会での審議をいたしたいと思います。いかがでしょうか。御意見、質問、何でも結構でございます。
では、毛利先生どうぞ。
○毛利委員 1つ教えてください。シアントラニリプロールのたまねぎとねぎの基準値で随分差が激しいのですけれども、これはどのように考えたらよろしいのでしょうか。
○大野委員 済みません。ちょっと聞き取れなかったので、もう一度お願いします。
○毛利委員 例えば、18ページでシアントラニリプロールの基準値案を設定している別紙2ですけれども、そこにはたまねぎが0.04ppm、ねぎが8ppmと随分差があるのですが、これは基準値案の設定時にどういう考え方、もしくはどうして差がこんなに出ているのかということを確認させていただきたいと思います。
○大野委員 これについては、作物残留試験の結果がその右のほうに載っていますけれども、この残留試験の結果で、ねぎについてはかなり高い。最大で4.1という残留試験結果が得られたということで、それに基づいて8という設定をされたものですけれども、大きな差が出たというのは確認していませんが、多分使用方法が違うのじゃないかと思います。
事務局、いかがでしょうか。
○岸分科会長 いかがですか。
○大田補佐 今、大野部会長のほうから御説明させていただいたとおりでございまして、資料はこちらの青いファイルで、参考資料1の13ページのところに、どういう使用方法で試験を行って、実際の残留試験がどうなっているかということが詳しく載っております。13ページの下から2段がねぎで、その上の2段がたまねぎになっております。
たまねぎは土の中でできる作物でして、ねぎは地上に出ていまして表面積も非常に大きいですので、一般的には残留量が葉物とかねぎとかは非常に多目になります。
○毛利委員 ありがとうございました。
○岸分科会長 ほかにいかがでしょうか。
先ほど、2剤目のフルキサピロキサドのそのほかの野菜で葉物野菜がということを大野部会長が御説明されたのですけれども、やはり同じことなのでしょうか。適用といいますか、農薬を使っている状況が葉物は多く。
○大野委員 そうだと考えております。大体、葉っぱで食べるようなものについては葉っぱに直接農薬をかけますので残留量が非常に多くなるという結果が今まで多かったと思うんです。
○岸分科会長 ありがとうございました。
委員の皆様から、ほかに御意見とか御質問とかございますでしょうか。ほかにないようでしたら、分科会としてこれで了承ということでよろしゅうございますか。
(異議なし)
○岸分科会長 ありがとうございます。
次の品目に移ります。食品添加物の指定等につきまして、これも事務局から説明をよろしくお願いします。
○竹内補佐 それでは、添加物につきまして御説明をさせていただきます。
本日は、添加物といたしまして継続審議ということで1品目、あとは今回新たに新規の指定及び使用基準及び成分規格の設定等に関する品目として3品目、計4品目について御審議をお願いしたいと思います。
まず1品目は、前回からの継続となっておりますポリビニルピロリドンにつきまして御説明させていただきます。資料のほうは、資料1の20ページをごらんください。
ポリビニルピロリドンにつきましては、10月30日に開催されました本分科会におきましてこの資料1の10ページ、11ページを中心に御説明をさせていただいたところでございますが、その際に委員のほうから、いわゆる健康食品の用途に対して使用を認めるという案につきまして、食品用途だけでなく医薬品用途で使用されるポリビニルピロリドンについても摂取量を勘案して評価すべきではないかという御指摘をいただきました。そのため、いただいた御意見に関しまして検討させていただいた資料が20ページでございます。
まず摂取量のほうでございますが、食品の関係で申し上げますと2.の「PVPの摂取量に関して」というところをごらんいただければと思います。食品安全委員会の食品健康影響評価では、ADIを特定する必要はないと評価されておりますので、JECFAのほうのADIを参考とさせていただいております。JECFAのADIといたしまして、50mg/kg体重/日というものが設定されておりまして、今回の摂取量推計、1日12錠を摂取するという推計のもとで、対ADI比で10~20%と試算されております。このため、ADI比として最大20%ということでございますので、ADI比100%分の錠剤を摂取すると勘案した場合に、60錠になるという計算になると思います。
一方、医薬品添加剤の摂取量に関しまして、業界団体等を初めとして、確認をさせていただきましたが、公的及び民間における統計調査の結果というものが公表されていないということから、今回PVPの医薬品添加剤としての推定摂取量を正確に求めることは困難でございました。
なお、参考といたしまして、この資料の脚注の2番にも書かせていただいておりますが、PVPを医薬品添加剤として配合している製剤の割合に関しまして、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページの添付文書の検索のページというものがございますので、そちらのほうで医薬品添加剤としてポリビニルピロリドンが使用されている医薬品の割合を調べましたところ、医療用医薬品及び一般用医薬品とも全体の5%程度であるということが判明いたしました。
このため、今回60錠、ADI比で100%というのが60錠という推計でございますが、医薬品に関しまして全体で5%ということでございますので、医薬品の観点から申し上げますと、全てをPVPが入ったものを摂取するという可能性は低いのではないかと考えております。
一方、3.のほうでございますが、今回ADIの設定の根拠となっております毒性試験でございますが、ラットを用いた2年間の反復投与毒性試験でございます。そちらの結果で、最高投与群ということで、ラット1kg体重当たり5gを投与して試験を実施しておりますが、特に毒性所見が認められていないという結果が得られております。
この5gというものにつきましては、OECDの毒性試験のテストガイドラインのほうで1日試験動物1kg体重当たり1gというものを最高用量として設定している中で、それを超えて試験をやっていても特に毒性が出ていないということを示している結果であると考えております。
このため、今回ADIとして設定されているものというのは、いわゆる毒性の閾値というような観点から設定されているものではないものと考えております。
加えまして、今回PVPの中に不純物として生成されるヒドラジンにつきまして、ヒドラジンの濃度が1mg/kg以下であるということで、その濃度でのヒドラジン暴露による発がん作用は問題ないという評価がJECFAのほうでなされております。
この結果を踏まえまして、今回私どもで指定する成分規格の案の中で、同じ規格として1mg/kgという基準値を設定することとしております。
以上の結果をもちまして、PVPが使用された健康食品及び医薬品、双方を同時に摂取、服用したとしても、安全性に影響を及ぼすおそれはないものと考えておりますので、資料1の11ページにございますような現行基準の案、いわゆる健康食品への使用を認めるという案で進めさせていただければと考えております。
ポリビニルピロリドンにつきましては、以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。
それでは、今回これは2度目の審議でございますが、部会での審議の状況についてまず若林先生から何か加えることがございましたら。
○若林委員 前回の審議を受けまして部会のほうでも検討しまして、今、事務局が説明しましたように健康食品及び医薬品、双方を摂取したとしても問題にならないだろうというようなことで確認しております。以上です。
○岸分科会長 ありがとうございました。
前回の審議のときに、栗山委員、大澤委員などから御意見があったと記憶しております。両委員はいかがですか。何か意見などがございましたらお願いいたします。
○大澤委員 納得いたしました。
○栗山委員 疑問に丁寧に答えていただいてありがとうございました。
○岸分科会長 では、質問をどうぞ。
○河野委員 今回お示しいただきました安全性の評価については、私も十分納得するところでございます。
ただ、今回医薬品ではなく食品に使用するというときに、例えば20ページの経緯の上から2行目ですけれども、「PVPを使用する対象を健康食品とすることに関して」と、健康食品という言葉が使われています。それから、12ページの使用基準案のところに「カプセル、錠剤等、通常の食品形態でない食品」と、このあたりはどういうふうに理解したらいいのか。
つまり、使うものは大体わかっているのですが、健康食品とは一体何なのかというところとか、それから「カプセル、錠剤等、通常の食品形態でない食品」というものはこういうものであろうと思いますが、なかなか理解ができないので、このあたりをもう少しわかるように説明していただきたいと思っています。
○岸分科会長 この点については、事務局から御説明をお願いします。
○竹内補佐 今、御説明した中で、いわゆる健康食品という表現を使わせていただいておりますが、具体的に健康食品という定義があるというものではないというところから、今回の使用基準の案では少しわかりにくいところではありますが、「通常の食品形態でない食品以外の食品」という表現を使わせていただいております。
いわゆる健康食品のことを指しているのですけれども、こちらの使用基準案だとわかりづらいという御指摘もありますので、この部分につきましては指定をする際の通知で、具体的にこれがどういうものを指しているかということを明示させていただくようにしたいと考えております。
○岸分科会長 よろしいですか。
○河野委員 はい。
○岸分科会長 ありがとうございます。
それでは、この件は一応了承ということでよろしゅうございますか。
(異議なし)
○岸分科会長 次に移らせていただきます。アドバンテームについてお願いします。
○竹内補佐 では、続きましてアドバンテームにつきまして御説明をさせていただきます。資料のほうは、資料1の21ページをごらんください。
本剤は、事業者からの指定等の要請により、指定の手続を進めてきたものでございます。
本剤の「用途」は、甘味料でございます。こちらは甘味料ということで、既存のアスパルテームというものと3-ヒドロシキン-4-メトキシフェニルプロピオンアルデヒドからの合成反応によりできているジペプチドメチルエステル誘導体ということで、「構造式」のほうをごらんいただければと思うのですけれども、構造式の右側が既存の甘味料であるアスパルテームの構造を有しているものでございます。
こちらにつきましては、食品の種類等により異なりますが、砂糖の1万4,000倍から4万8,000倍、アスパルテームの約100倍の甘味度を有するものとされております。
「諸外国での状況」でございますが、JECFAのほうでは昨年ADIとして5mg/kg体重/日というものを設定しておりまして、今後コーデックスにおいて基準が設定されていくことになります。
一方、米国のほうではフレーバーエンハンサーとしての用途が認められておりますが、今回指定が要請されております甘味料としての用途につきましては現在評価が進められていると聞いております。
一方、EUのほうではEFSAによる安全性評価が終了した段階でございます。オーストラリア及びニュージーランドでは、使用が現在認められている状況でございます。
続きまして、22ページのほうをごらんください。「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」でございます。ウサギの出生前発生毒性試験の結果を踏まえまして、ADIを5.0mg/kg体重/日と設定してございます。
続きまして、摂取量の推計でございます。砂糖類の年間需要量を踏まえまして、全てアドバンテームに置きかわると仮定した場合、3.57mg/人/日と見積もられております。
以上を踏まえまして、22ページ中ほどの「使用基準案」でございます。食品安全委員会における食品健康影響評価の結果、及び摂取量推計においてADIに比べて低いということから、使用基準の案を設定しないこととしたいというふうに考えております。
「成分規格案」につきましては、23ページ以降でございます。
22ページに戻りまして「意見聴取の状況」でございますが、今後、WTO通報及びパブリックコメントの実施に向けた手続を進めてまいりたいと考えております。
「答申(案)」につきましては、23ページ上段に記載させていただいているとおりでございます。
アドバンテームについては、以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岸分科会長 ありがとうございました。
アドバンテームにつきまして、部会長のほうから何か御説明はございますでしょうか。
○若林委員 アドバンテームについて今、事務局から説明されたような議論が行われましたけれども、つけ加える点としましては、アドバンテームの甘味度の評価の表示のところが少しわかりづらいということで議論になりまして、そこのところは修正をして、非常にきれいによく皆様が理解できるような表示になったというところです。
それから、アスパラテームのところにフェニルアラニンがありますので、フェニルアラニンがこのアスパラテームを摂取することによって増加して、フェニルケトン尿症の人たちにも影響するのではないかというような議論もありましたけれども、そこのところに関しましても、あったとしても非常に微量なフェニルアラニンの生成量であるのでそこも問題ないというようなことで、特にアドバンテームに関しては総合的には問題がないというような結論になりました。
○岸分科会長 ありがとうございました。
分科会の先生方の御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
(異議なし)
○岸分科会長 それでは、この剤につきまして承認、了承ということにさせていただきます。
続きまして、β-アポ-8´-カロテナールについて説明を事務局からお願いいたします。
○竹内補佐 続きまして、β-アポ-8´-カロテナールにつきまして御説明させていただきます。資料は、資料1の32ページをごらんください。
本剤は、国際汎用添加物としまして国が主体的に指定の手続を進めてきた品目でございます。
本剤の「用途」は、着色料でございます。
β-アポ-8´-カロテナールにつきましては、天然に野菜、果実に痕跡量程度存在しているものであること、また、生体内でのビタミンAの変換経路においてビタミンAの主要前駆代謝物質の中間代謝物の一つであると考えられております。
「諸外国での状況」でございますが、JECFAでは本剤及びβ-カロテンを含む4品目につきましてグループADIとして5mg/kg体重/日というふうに設定しております。
一方、EUのほうではEFTAが2012年にADIを0.05mg/kg体重/日と設定しておりましたが、つい先日、見直しが行われまして、ADIが0.3mgという形で再設定がなされております。
コーデックス委員会、米国及びEUのほうでは上限を定めた上で、各食品に対しての使用が認められてございます。
続きまして、「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」でございます。資料は、33ページをごらんください。
こちらにつきまして、ラットの90日間反復投与毒性試験の結果を踏まえておりますが、今回毒性試験の根拠となったデータが最小毒性量ということで、安全係数に追加の係数2を掛けまして、1日摂取ADIを0.05mg/kg体重/日と評価しております。
続きまして、「摂取量の推計」でございます。マーケットバスケット調査におきまして、β-カロテンの推定1日摂取量が算出されており、β-カロテンがβ-アポ-8´-カロテナールに全て置きかわると考えた場合に、0.36mg/人/日と見積もられております。
以上を踏まえまして、「使用基準案」が33ページの中ほどにございます。類似の添加物であるβ-カロテンを含めまして、着色料全般に関しまして食品の品質、鮮度等に関して消費者の判断を誤らせるおそれがないように、記載にございます食品に対して使用のない旨の規定が設定されております。今回、β-アポ-8´-カロテナールにつきましても着色料ということで、同様の使用基準を設定させていただきたいと考えております。
「成分規格案」でございますが、34ページから38ページに記載させていただいている形で設定をしたいと考えております。
33ページに戻りまして「意見聴取の状況」でございますが、WTO通報及びパブリックコメントの実施に向けて現在手続を進めているところでございます。
「答申(案)」につきましては、34ページ上段にございます案とさせていただいております。
β-アポ-8´-カテロナールにつきましては、以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岸分科会長 ありがとうございました。
こちらの剤につきましても、部会の審議の御様子を伺いたいと思います。
○若林委員 β-アポ-8´-カロテナールについては特に大きな問題点は指摘されていませんでしたけれども、あえていえばこのカロテナール化合物は非常に軽微なメスのラットに腎の毒性が見られたけれども、この使用している量の範囲では全く問題にならないだろうというようなことで、総合的には特に大きな問題点はないというような結論になりました。
○岸分科会長 ありがとうございます。
分科会の委員の皆様の御意見、御質問がございましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。もしないようでしたら、この34ページの使用基準案、答申案で承認、了承ということでよろしゅうございますか。
先生、どうぞ。
○古野委員 ちょっと私がわからなかったのは、34ページの使用基準案で、わかめとか茶、のりとか、特定の食品に使用してはならないということですが、これは、どうしてこういうふうになるのですか。のりの表面にちょっとつけていたらいけないのか。私はここの意味がよくわからなかったのですけれども、これは全て穀類とかには使用していいということになるのですか。
○竹内補佐 はい。穀類については使用していいということにはなりますけれども、わかめ類については使用してはいけないということになります。
○古野委員 それはどうしてですか。
○竹内補佐 その理由としましては、先ほど簡単に御説明させていただきましたが、消費者が鮮度の誤認をするおそれがあるということで、着色料全般についてこれらのものについては使用してはならないという規格を置かせていただいているということと、類似の同じく着色料として使われておりますβ-カロテンにも同じ使用基準が設定されているということから、同じ基準を置かせていただいているというものでございます。
○古野委員 失礼しました。
○岸分科会長 先生の疑問はもっともだと思います。実際に、こんぶとか食肉とか鮮魚、お茶、のり、その辺は着色料として使用すると鮮度を見誤るおそれがあるのでということですね。それで、使用基準案としてはそういうものには使用してはならないということで、やはりすごく言葉とか、実際にどうかということを考えながら進めていく必要がありますので、疑問の点がありましたらぜひ御意見を出していただければと思います。
では、どうぞ。
○河野委員 評価については、私も異論はございません。
それで、この使用基準のところに、これには使ってはいけないというふうに書いてございますね。カロテン類は着色料にはこれまでもそういう基準があるので、これには使ってはいけないというふうに書いています。その使ってはいけないという基準がいつできたのかということと、現在これ以外にもしかしたら消費者が使われて見誤るかもしれないものがあるかもしれませんが、そのあたりの見直しというのは考えていらっしゃらないのかどうか、教えてください。
○竹内補佐 いつこのような基準が設定されたのかということでございますが、古い話にはなるのですけれども、昭和44年に最初はタール系色素に対して必要性の少ない添加物の使用を排除するという目的で、当初は食肉ですとか鮮魚介類、豆類、野菜類について使用しないという形で設定された形になっております。
昭和44年になぜそれをしたかということですけれども、実際に着色の必要のないようなものにまで使われている実態があったということがもともとの背景としてあるようでございます。
その結果を踏まえまして、さらに添加物の再点検というものを行っておりまして、各種食品に対しての着色料の実態調査というものを行いまして、追加でその必要のないものということでこんぶとか茶、のりといったようなものが昭和46年に追加されたという経緯がございます。
今御指摘いただいた、本当にこれでいいのかどうか。対象とする食品がどうかという部分につきましては、先ほどこんぶ、わかめ類をどう使うのかというようなお話もございましたので、その部分についてはこれでいいのかということは検討していきたいと考えております。
○岸分科会長 ありがとうございました。
やはりいろいろ実際に使われている状況を考えながら、あるいは厚労省のほうで調査も時々やっていただくのが私たちも安心かと思います。よろしくお願いいたします。
次に、ヒマワリレシチンでございます。御説明をお願いいたします。
○竹内補佐 最後の品目、ヒマワリレシチンでございます。資料1の39ページをごらんください。
本剤は、事業者等からの指定等の要請に基づき指定を進めてきた品目でございます。
本剤の「用途」は、乳化剤でございます。レシチンにつきましては動植物界に広く分布しているもので、生体膜の構成に関与している物質として知られております。食品添加物であるレシチンにつきましてはリン脂質を主成分とし、脂肪酸を含む混合物の総称としてレシチンという名前を使用しております。既に我が国では既存添加物として基原の違いにより「植物レシチン」、または「卵黄レシチン」というのが収載されておりますが、「植物レシチン」につきましてはアブラナ及び大豆、種子由来に限るとされておりますことから、ヒマワリについても使用が可能となるよう要請されてきたという経緯がございます。
「諸外国での状況」でございますが、JECFAのほうでは基原動植物を限定せずにレシチンとしてADIを特定しないという評価がされておりまして、食品全般に対してGMPで必要量を使用するということが認められてございます。
EUにつきましても同様で、基原動植物を特定せずにチョコレート製品等に対しての使用が認められてございます。
一方、米国のほうではヒマワリレシチンについてはGRASということで使用が認められております。
続きまして40ページでございますが、「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」でございます。添加物として適正に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、ADIを特定する必要はないと評価いただいております。
続きまして「摂取量の推計」でございますが、食品由来のレシチンの1日摂取量が1.6±0.9g/人/日であることから、ヒマワリレシチンはこれよりも少なくなるであろうと推定されることから、過少評価とならないように1.6±0.9g/人/日をヒマワリレシチンの推定摂取量としております。
以上を踏まえまして使用基準の案でございますが、使用基準は設定しないとしたいと考えております。
理由といたしまして、欧米等では既に使用されておりますが、おおむね使用基準というものが設定されていないことと、既存添加物である「植物レシチン」についても使用基準が設定されていないことから設定しないという案にさせていただいております。
成分規格でございますが、41ページ、42ページのほうに記載がございます。既に「植物レシチン」「卵黄レシチン」「分列レシチン」につきましては、「レシチン」として現在ここに記載しております「レシチン」の規格がございますので、今回新たに指定される「ヒマワリレシチン」についても同じ規格で設定したいと考えております。
40ページに戻りまして「意見聴取の状況」でございますが、WTO通報及びパブリックコメントの実施に向けて手続を進めております。
「答申(案)」につきましては、41ページ上段にございます答申案のとおりとさせていただきたいと考えております。
ヒマワリレシチンにつきましては、以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岸分科会長 ありがとうございました。
やはり、これも部会での審議の様子を若林部会長からお願いいたします。
○若林委員 ヒマワリレシチンに関しましては、既に植物レシチン、卵黄レシチンが既存の名簿に収載されているというような観点、あとはいろいろな特性の観点から特に問題にならないという結論になりました。
○岸分科会長 それでは、このヒマワリレシチンにつきまして委員の皆様から質問とか御意見とかいかがでしょうか。
では、どうぞ。
○西島委員 39ページの「概要」のところでレシチンの定義なのですけれども、「レシチンは、グリセロリン脂質の一つであり」と、化学的にレシチンというのはグリセロリン脂質の一つに対する名称なんですね。それで、具体的にはコリンを含むグリセロリン脂質をレシチンというふうに化学的には呼んでいます。それで、ここに「グリセロリン脂質の一つであり」と書かれているわけです。
ところが、食品につきましてはそれから3行目以降ですね。「食品添加物としてのレシチンは、リン脂質を主成分として、その他に脂肪酸等を含む混合物」、それをこの食品のレシチンについては総称として定義しているということで、非常にこの定義がある意味矛盾しているわけです。私などは、こういったことを専門にしておりますので、ヒマワリレシチンと言ってしまうと非常に化学的には誤解を招くところがある。これは、昔からあると思うんです。
それで、希望としてはヒマワリレシチンということではなくて、その総称であるということを含むような形での表現に今後できないかということを思っておりますが、その点そういうことについて何か今後検討していただくことができるかどうかということが1点です。
あとは、今、卵黄レシチンとか、そのほかいろいろレシチン類が出ているわけですけれども、そういう中で恐らく卵黄レシチンとヒマワリレシチン、あるいはほかの植物のレシチンとは成分が当然違ってくると思うのですけれども、そういう中にあって今までのレシチン類と同じ純度試験でやって、それで本当に正しい規格ができるかどうかということを疑問に思いましたので、その点お答えいただければと思います。よろしくお願いします。
○岸分科会長 非常に大事な点かと思いますが、事務局のほうでいかがでしょうか。
○竹内補佐 まず1点目の御質問でございますが、レシチンというものが油糧種子、または動物原料から得られたもので、その主成分はリン質であるという定義しか現在はされておりません。このため、先生がおっしゃったように厳密にいえばフォスファチジルコリンのようなものを指しているということではあるんですけれども、これまで植物レシチンとか卵黄レシチンが既存添加物として、混合物として流通してきているという実態がございますので、先生がおっしゃるとおり、化学的に若干違うのじゃないかという御指摘はそのとおりだとは思うのですけれども、商用的にはその混ざったものということで認識がされているということですので、なかなかそこを直すということは難しいのかなと考えております。
また、2点目の御質問でございますが、今回成分規格の中で定めていますものとしまして、先ほど申し上げた定義などの中で基本的に今回有効性を見るという観点でリン脂質含量ですとか、その他の構成比という観点で比較をさせていただいているのですけれども、今回のヒマワリレシチンと既存の植物レシチンとの成分比に大きな変化はないということから、同様の効果を発揮するだろうということで、今回指定をさせていただければと考えております。
○西島委員 わかりました。動物レシチンと植物のレシチンとでは、規格は一緒なんですか。
○竹内補佐 はい。レシチンとして規格は一本でございますので、今の卵黄レシチンですとか植物レシチンは一本の規格という形で設定されております。
○西島委員 多分、組成比などは随分違うと思うのですけれども、ここで書いてある酸化とか過酸化物価等の値についてはこういうことで規格してあって、恐らくこれでよろしいかと思いますが、そういうことであれば納得いたします。
○若林委員 追加事項ですけれども、いろいろなレシチンの規格などに加えて、このヒマワリレシチンに関してはほかの植物レシチン、卵黄レシチンと同じように遺伝毒性ですとか一般毒性でも全く毒性の所見は認められておりません。
○岸分科会長 ありがとうございました。
関連でしょうか。どうぞ。
○栗山委員 乳化剤としてのレシチンということで、ここに用途はチョコレートと書いてあるのですが、乳化剤としてのレシチンでちょっと思い出すのが、食品偽装とか、誤表示なのかはあれなんですが、お肉の結着剤みたいなものとして大豆レシチンが使われていた。
ごめんなさい。あいまいな記憶で申しわけないのですが、それが大豆レシチンだったりしたときに大豆アレルギーの人には影響があるんじゃないかという話が出ていたかと思うのですが、大豆レシチンとヒマワリレシチンではそういう人たちに対する影響というのはどうなんでしょうか。それから、これが食品表示されるときにはどんな形でされるのでしょうか。
○竹内補佐 表示そのものは消費者庁の所掌というところがありますので、わかる範囲でという形になるかと思いますけれども、大豆そのものについては現在、表示上、任意表示という形にはなっているかと思うのですが、現状ですと乳化剤(大豆由来)というような書き方はされているかと思いますので、大豆についてはそういう形で表示がされるかと思います。
ヒマワリについては、今後消費者庁のほうで表示をするのかどうかといったような検討がされるのではないかと考えております。
○栗山委員 ありがとうございました。
○岸分科会長 ありがとうございました。そのほか、御意見ございませんでしょうか。
もし格段の御意見がないようでしたら、分科会として了承ということにいたしたいと思います。よろしゅうございますか。
(異議なし)
○岸分科会長 それで、先ほど私は農薬のところでも申し上げなかったのですが、合わせまして今後のWTO通報、パブリックコメントの結果について事務局から分科会の皆様に送付して御確認いただくというやり方でよろしくお願いいたします。
また、食品添加物の指定につきましても、そのほか経過につきまして次回以降の分科会で御報告ということにいたします。
ここまでまいりまして、3番目が清涼飲料水等の規格基準の一部改正についてでございます。事務局からの説明をよろしくお願いいたします。
○飯塚専門官 それでは、清涼飲料水等に係る規格基準の一部改正について御説明申し上げます。資料1の43ページをごらんください。
まずは「現状」からです。食品、添加物等の規格基準の各条において規定されております「清涼飲料水」につきましては、現行では成分規格、製造基準及び保存基準が定められておりまして、その中でミネラルウォーター類、これは「水のみを原料とする清涼飲料水」と定義されております。冷凍果実飲料、原料用果汁、ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水の区分により、それぞれ規格基準が定められております。
以後、ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水につきましてはその他の清涼飲料水と表現させていただきます。
このうち、「ミネラルウォーター類」及びその他の清涼飲料水につきましては、製造基準において原水の基準が定められておりまして、それぞれミネラルウォーター類は平成6年当時のナチュラルミネラルウォーターに関するコーデックス・ヨーロッパ地域食品規格を引用して定められております。その他の清涼飲料水につきましては、平成5年当時の水道法の水質基準を引用して項目及び基準値が設定されております。
また、同じく告示の各条に規定される粉末清涼飲料につきましても、成分規格、製造基準、保存基準が定められております。
一般的にミネラルウォーターは水そのものですので、その製造におきまして殺菌、または除菌以外の処理を行わないものがほとんどであります。成分規格と原水基準の双方による現行の規制は必ずしも実態に即しておらず、また、現在の水道法で規定される水質基準等とも乖離が生じている状況にあります。このため、これまでのコーデックス委員会におけるナチュラルミネラルウォーター等の規格の設定及び我が国の水道法の水質基準改正の動きを受けまして、規格基準の改正について審議が行われた結果、以下のように結論が取りまとめられております。
「規格基準改正内容」でございます。
「1.飲用適の水の規定の法令上の整理」で、参考1をごらんいただきながらお願いいたします。参考1の上半分が現行の規制になってございます。現行のその他の清涼飲料水の製造基準において規定されております「飲用適の水」の基準を、下半分の改正後でございますが、「食品一般の製造、加工及び調理基準」において規定いたしまして、その名称を「食品製造用水」といたします。
なお、その際、同じく各条中の他の複数の個別食品の製造基準等並びに乳及び乳製品の成分規格等に関する省令において規定されております「飲用適の水」の名称につきましても、「食品製造用水」とするということといたします。これはあくまでも法令上の整備でございまして、含まれる項目内容には変更はなく、現行であっても改正後におきましてもリスクの程度が変わるものではございません。
丸の2でございます。現行の「飲用適の水」の表で規定されております化学物質等の項目に係る試験法は告示から削除いたしまして、通知で示すということといたします。
2番になります。「清涼飲料水の規格基準の枠組みの見直し及び基準設定項目の見直し」でございます。
参考2の横のポンチ絵をごらんいただきながらお願いいたします。まず、上半分が現行になっておりますけれども、右側のミネラルウォーターの製造基準であります。ミネラルウォーター類につきましては、現行の告示では原則殺菌・除菌が必要でありまして、一定の条件を満たす水につきましては殺菌、除菌が不要であるとされております。改正後は、明確に『ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)』と『ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)』に区分いたしまして、それぞれに規格基準を設定することといたします。
ミネラルウォーター類の殺菌・除菌有につきましては、製造基準は現行で殺菌または除菌を要するとされているミネラルウォーター類の規定を維持いたしまして、つまりは加熱条件など、細かな製造方法につきましては変えずに、現行のミネラルウォーター類の原水基準を成分規格として、別紙1のとおり規定することといたします。
別紙1をごらんいただきますと、「ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)の化学物質等の成分規格」の表になってございます。こちらで現在16項目となってございますが、これが39項目に強化されることになります。
後半の網掛けとなっております物質につきましては、このまま現行の数値を成分規格として適用いたしますが、今後、食品安全委員会の評価結果を踏まえて随時見直していく予定としております。
この設定につきまして、鉄、硬度、塩素イオン、蒸発残留物、陰イオン界面活性剤、フェノール類、pH値、有機物等及び有機リンにつきましては、ヒトへの健康影響という観点で設けられたものではなく、水の性状関連項目として定められているものですので、今回の成分規格としては規定しないことといたします。
これに伴いまして、化学物質等に係る試験法につきましては、現在告示で定められておりますが、告示から削除いたしまして通知で示すということといたします。
また、製造基準におきまして、原水に規定する細菌数及び大腸菌群に係る検体採取及び試料調整並びに測定法、試験法については細かく規定することといたします。
次に、『ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)』につきましては、製造基準は現行で「殺菌又は除菌を要しない」とされているミネラルウォーターの規定、これも細かく製造方法などは変えずに成分規格といたしましてミネラルウォーター類の製造基準において原水に規定されている項目を別紙2のとおり規定するというものでございます。
別紙2をごらんいただきますと、「ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)の化学物質等の成分規格」の一覧表となってございます。こちらにつきましても、網掛けの物質につきましては、今後、食品安全委員会の評価結果を踏まえて見直しすることとしておりますので、現在の数値をそのまま適用してございます。
有機物等及び硫化物につきましては、性状関連項目であるため規定しないということでございます。
製造基準におきまして、泉源の衛生性等に関する規定といたしまして別紙3として示すことにいたします。こちらにつきましては、現行の製造基準でも規定がございますが、別途通知で示している項目を新たに加えまして整理をし直して告示できちんと示すというものでございます。こちらは、先ほどの別紙2の化学物質の項目につきましても、告示から削除いたしまして通知で示すということでございます。また、微生物に係る検体採取、試料調製などにつきましてもきちんと告示で規定いたします。
参考1に戻っていただきまして、参考1の現行、上半分ですが、その他の清涼飲料水の製造基準において「飲用適の水」として規定をしてございますが、改正後につきましてはこの「飲用適の水」の規定を削除いたしまして、原料として用いる水として、水道水のほかミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)、またはミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)の成分規格を満たす水を規定するということでございます。これは、それぞれ安全性が確保されるミネラルウォーター類の水を使用するという非常にシンプルな改正となってございます。
3番で、「清涼飲料水一般及び粉末清涼飲料の成分規格の見直し」です。
丸1、清涼飲料水一般及び粉末清涼飲料の成分規格において規定されているカドミウムの規格を削除いたします。これは、カドミウムの摂取量調査におきまして、清涼飲料水から摂取するカドミウムというものは非常に限定されておりまして、規格を設定して管理するということは不要とされたことから削除に至ったものでございます。
丸2、清涼飲料水一般及び粉末清涼飲料水の成分規格において規定されているスズの規格を缶入りのものに限定して適用する。
丸3、清涼飲料水一般及び粉末清涼飲料の成分規格において規定されているスズ、またはパツリンに係る試験法は、告示から削除いたしまして通知で示すことといたします。
4番ですが、「食品健康評価の結果」です。厚生労働省は、食品安全基本法に基づきまして25年4月9日付で食品安全委員会委員長宛てに意見を求めました。食品安全委員会からは、食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でない、またはヒトの健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるということで答申をいただいてございます。
事務局からの説明は、以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岸分科会長 ありがとうございました。
本件につきまして抜本的にいろいろ見直しをされたようですが、御意見とか御質問は委員の皆様からございますでしょうか。
では、若林委員どうぞ。
○若林委員 教えていただきたいのですけれども、46ページと47ページにミネラルウォーター類の化学物質等の成分規格のところがあります。一番下の味と、47ページの臭気、ここのところに関してはどのような資格の方がどういう体制でチェックをするということになっているのでしょうか。
○飯塚専門官 こちらは、実際に検査を行うのは厚生労働大臣が指定した登録検査機関というものがございまして、そちらで検査を行うということになりますが、そちらの試験が標準作業書にのっとってされるということになっております。それで、実際に具体的な試験法というものは告示では示しておりません。
○岸分科会長 ほかにございますか。
○西島委員 質問ですけれども、51ページの参考1のところで改正後ですが、ミネラルウォーター類で殺菌・除菌なしの場合、原水として微生物基準のほかに泉源と書いてありますけれども、この泉源というのは具体的にはどういうものなのでしょうか。
○飯塚専門官 こちらの泉源につきましては別紙3でお示ししてございますが、実際にミネラルウォーター類の殺菌・除菌無に使うような水につきましては汚染がないものということで、非常にきれいな水を使うということが定められておりますので、実際にこの泉源という表現は泉源の管理に関する基準があるという意味でございます。
○西島委員 わかりました。
○岸分科会長 そのほか、いかがでしょうか。
○渡邊委員 説明があったのかもしれないですけれども、ちょっと確認です。同じ原料とする水を使っているのに、殺菌ありなしで化学物質の成分規格が違うというのはどうしてなのか、教えてもらえますか。
○飯塚専門官 殺菌・除菌無のものにつきましては項目が少なくなっておりますけれども、こちらにつきましては先ほどの別紙3でお示しした製造基準というものがございます。それで、こちらの製造基準をクリアしたような非常に汚染のないきれいな水を使うということが条件となっておりますので、項目として少なくなっております。
こちらは、コーデックスでもナチュラルミネラルウォーター類の基準がございまして、こちらに準拠したようなものになってございます。それで、殺菌・除菌有のものにつきましては、使われる水についての制限がございませんので、項目としては水質基準並びに増やしたということでございます。
○渡邊委員 参考1の図で、清涼飲料水で、右のほうに水のみを原料とする清涼飲料水に一括された中にミネラルウォーター類の殺菌・除菌ありなしと書いてあるのは、使っている水としての品質は同じものを使うという意味ではないのですか。
○飯塚専門官 実際にこちらに書かれているのは、カテゴリーとして明確に分けたということでございまして、使われる水というものは一緒ではございません。
○渡邊委員 一緒じゃないんですか。
○飯塚専門官 一緒ではないです。
○岸分科会長 では、よろしゅうございますか。殺菌・除菌ありとなしで、最初から明確に分けて基準がこれからはいくということになりますね。
○飯塚専門官 そのとおりでございます。
○岸分科会長 ほかにございますか。もしなければ、分科会として了承ということにしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(異議なし)
○岸分科会長 ありがとうございます。
それでは、事務局には答申に向けた手続を進めていただきます。WTO通報やパブコメの結果につきましても、分科会の皆様に送付して御確認ということでよろしくお願いいたします。また、経過につきましても次回以降御報告いたします。
それでは、ちょっと時間が押しております。報告事項に入りますが、農薬につきまして7剤報告をお願いいたします。
○大田補佐 それでは、報告品目、農薬等7剤について御説明させていただきます。
資料2をごらんください。資料2の1ページ、1.3-ジクロロプロペンから御説明させていただきます。
農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされ、農作物に基準を設定するとともに、ミネラルウォーター類に設定された暫定基準見直しを行うものでございます。
本剤は、土壌燻蒸用に使用される殺線虫剤です。国際基準は設定されておりませんが、米国、EUで基準が設定されております。
食品安全委員会における評価では、ラットを用いた慢性毒性/発がん性併合性試験の無毒性量を用いまして、ADIは0.02mg/kg体重/dayと設定されております。
規制対象1.3-ジクロロプロペンとしまして、基準値案は次ページの別紙1に示しております。
農作物については、作付け前に使用されること、及び残留試験の結果、全て定量限界未満であったことから、全て0.01ppmとする基準値案としております。また、ミネラルウォーター類につきましては国際基準を設定する案といたしました。
これらの基準値案により暴露評価を行いますと、TMDI試算により幼少児で0.7%のADI占有率となっております。
続きまして、2剤目はアゾシクロチン及びシヘキサチンで、資料のほうは4ページになります。こちらは、インポートトレランス申請がなされたことにより基準を設定するものです。また、当該成分は食品衛生調査会の再評価の結果、催奇形性に関して無毒性量が評価できず、ADIが取り消され、平成6年6月より不検出基準が設定されておりましたが、今般ADIが設定されたことから不検出基準の見直しを行っております。
アゾシクロチン及びシヘキサチンは殺ダニ剤であり、日本では過去に登録されておりましたが、現在は使用されておりません。
JMPRでは評価が行われ、国際基準が設定されております。また、EU、ニュージーランドにおいても基準が設定されております。
食品安全委員会による評価では、アゾシクロチン及びシヘキサチンのグループADIとしまして0.0026mg/kg体重/dayが設定されております。
残留の規制対象物質はアゾシクロチン及びシヘキサチンとしていますが、両物質は分析時にエチル化等により同じ物質になりますことから、国際基準と同様にシヘキサチン含量に換算して基準を設定しております。
基準値案は、次の別紙1のとおりでございます。こちらの基準値案により暴露評価を行いますと、TMDI試算により幼少児で27.1%のADI占有率となっております。
なお、暴露評価にはシヘキサチンより毒性が高いアゾシクロチン量に換算して行っております。
続きまして、3剤目はエトキシキンになります。資料のほうは、9ページをごらんください。本剤は、魚介類への基準設定及び暫定基準の見直しを行うものでございます。
本剤は抗酸化剤であり、日本だけではなく米国、EUにおいても飼料添加物として使用が認められております。また、飼料原料となる魚粉につきまして海上輸送における自然発火防止のため、国際条約でエトキシキンを含む抗酸化剤の添加が義務づけられており、エトキシキンが汎用されております。
農薬としては、りんごやなしのやけ病防止のために使用されますが、国内での登録はございません。JMPRで農薬として評価されており、果実のなしにコーデックス基準が設定されております。
食品安全委員会の評価では、イヌの2世代生殖毒性試験の最小毒性量をもとに、安全係数を300としましてADI、0.0083mg/kg体重/dayと設定されております。
規制対象はエトキシキンとし、基準値案は次ページからの別紙1のとおりでございます。
暴露評価では、EDI試算により幼少児で67.4%のADI占有率となっております。
4剤目は、シプロジニルでございます。資料は、15ページになります。魚介類への基準設定、インポートトレランス申請による基準設定、それから暫定基準の見直しを行うものでございます。
本剤は殺菌剤であり、日本でも小麦、りんご等の果実に使用が認められています。また、JMPRにおいても評価がなされ、国際基準が設定されており、米国、オーストラリア、EU等でも多くの食品に基準が設定されております。
食品安全委員会の評価では、ADIが0.027mg/kg体重/dayと設定されています。
規制対象はシプロジニルとし、基準値案は次ページからの別紙1のとおりでございます。
暴露評価では、EDI試算により幼少児で39.8%のADI占有率となっております。
続きまして、5剤目はセファゾリンでございます。資料は、22ページからになります。薬事法における使用基準の改正等について農林水産省から意見聴取があったこと、合わせて暫定基準の見直しを行うものです。
本剤はスファロスポリン系抗生物質で、日本では牛への使用製剤が承認されております。
食品の残留基準につきましては、EUにおいて設定されております。
食品安全委員会の評価では、毒性学的ADIと微生物学的ADIがそれぞれ算出されており、より値が小さい微生物学的ADIを用いまして0.0012mg/kg体重/dayがADIとして設定されております。
規制対象物質はセファゾリンとし、次ページの別紙1のとおり基準値案を設定しております。
暴露評価は、TMDI試算により幼少児でADI占有率が54.5%となっております。
続きまして6剤目、モネンシンでございます。資料は25ページになります。こちらは、暫定基準の見直しを行う抗生物質でございます。日本では飼料添加物として指定されておりますが、海外では飼料添加物としてだけではなく動物用医薬品としても用いられております。
食品への残留についてはJECFAにおいて評価がなされ、コーデックス基準が設定されております。また、米国、EU、オーストラリアなどにおいても基準が設定されています。
食品安全委員会の評価では、ADIが0.003mg/kg体重/dayと設定されております。
規制対象は、主要成分でありますモネンシンAとし、基準値案は次ページの別紙1に記載しております。主に、国際基準を採用する案としております。
暴露評価では、TMDI試算により幼少児で57.9%のADI占有率となっております。
最後に、7剤目はモネンシンでございます。資料のほうは、28ページになります。魚介類への基準設定及び暫定基準の見直しを行うものです。
本剤は除草剤であり、日本では水稲に使用されることから、魚介類についても基準設定の依頼がございました。JMPRでは評価はされていませんが、EU、オーストラリアにおいて基準が設定されております。
食品安全委員会の評価では、ADIが0.0021mg/kg体重/dayと設定されています。
規制対象はモリネートとし、基準値案は別紙1のとおりとなっております。
定量限界をもとに設定されました暫定基準は削除されます。
暴露評価は、EDI試算により幼少児で23.5%のADI占有率となっております。
説明は以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。
ただいまの報告品目、農薬につきまして御意見、御質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、お願いいたします。
○大野委員 部会での報告で1つ大きな問題がございましたので、報告させていただければと思います。
エトキシキンの審議ですけれども、当初添付されていた資料では特に問題ないかと思っていたのですが、そのときにエトキシキンそのものの残留だけではなくて、エトキシキンがダイマーになったものが残留するという報告がございました。それも、ダイマーがサケでできるというような報告だったのですけれども、かなり親化合物が減っていてもダイマーは残る。親化合物の半減期は短いのですけれども、ダイマーは半減期が14日以上と結構長いんです。
ところが、ダイマーの安全性評価はなされていないということで、どうしようかということで一度9月に審議して、その後また11月と2回審議をいたしました。
結果として、ダイマーの毒性はモノマーとそれほど変わらないのじゃないかという想定があったわけです。それと、ダイマーが生ずるのはサケと、あとはなしでもできるということがございました。一方、動物実験の結果を見てみますと、哺乳類ではアイソトープでラベルしたもので、そのラベル自体が数日のうちにかなりの量が排泄されるということで、少なくとも哺乳類についてと、あとは鳥類も同じようで、鳥類はもっと早かったのですけれども、1日で99%くらい排泄されるという話だったと思います。鳥類とか哺乳類は、ダイマーが蓄積することはないというようなことがございました。
ただ、ほかの農作物とか、そういうものでできないのかというようなことも疑問にあったのですけれども、なしとサケ以外はデータ上はそういうものは示されていませんでしたが、それは測っていなかったのじゃないかというような疑問もございました。
そういうことで、哺乳類や鳥類では残留しないと思われるということで、データは一部足りないところはあるけれども、この使用用途が飼料中に混ぜて火災を防ぐというような用途になって、これが現在も使用されていて、それをとめたりした場合には大きな問題が起きる可能性もあるということで、そういうことの議論もございました。
それで、足りないデータは早急に厚生労働省のほうの指導でつくられていったということを前提に、承認してもよいのではないかということになりました。以上です。
○岸分科会長 どうも詳しい御説明をありがとうございました。
今のお話ですと、やはりいろいろな兆候がないとなかなか大変なのはよくわかりました。鳥の脂肪のところで、基準値がかなり7ppmとか高い。肝もそうですが、牛とか豚に比べても高いのは、蓄積は種差があるということなんですか。
○大野委員 薬物動態的には非常に大きな種差があるということで、どうしてダイマーがサケで生ずるかわからないんです。その辺が私もわからないところということで、きちんとした精査をしないと、ほかの動植物とか、そういったもので本当にないのかとか、そういうことも判断しにくいというところもございます。
○岸分科会長 御説明ありがとうございました。ほかの委員の方から御質問とかございませんか。
ありがとうございました。これは審議事項ではないのですが、このことは重要かと思います。ありがとうございます。
次に進めさせていただきまして、文書による報告項目に入ります。これは農薬と、それから組換えDNA技術応用食品の手続に一部改正がございますが、文書による報告品目は事前に委員の皆様のところに郵送で配付されていると思いますので、農薬につきましては特別の御意見がなければ次に移らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
そして、組換えDNA技術応用食品及び添加物安全性審査の手続の一部改正につきましては、事務局から報告をお願いしたいと思います。
○木阪専門官 組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続の一部改正につきまして、御報告を申し上げます。
資料の41ページをお願いいたします。こちらにございますように、組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続につきまして、安全性審査の対象となるものの範囲の明確化について新開発食品調査部会で審議が行われ、取りまとめがされました。
42ページをお願いいたします。まず「経緯」でございますが、現状遺伝子組換え食品及び添加物につきましては、食品衛生法上の規定に基づきまして全例個別に食品安全委員会の意見を聞き、安全性の審査を行うことが義務づけられております。
今回、取り扱いの明確化を進めましたのは2事案ございまして、中ほどにございますようなセルフクローニング及びナチュナルオカレンスに該当する微生物を用いて製造されました添加物及び食品についてと、もう一つが42ページの後段にございます安全性の審査を経た旨の公表がなされた品種同士の掛け合わせ品種のうち、組換えDNA技術により新たに獲得された形質が宿主の代謝系に影響を及ぼすものでないもの同士の掛け合わせについてです。
まず、セルフクローニング及びナチュラルオカレンスに該当する微生物を用いて製造された添加物及び食品ですが、こちらは、これまで厚生労働省が全例、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼し、食品安全委員会では、「安全性評価の対象ではない」と判断されてきたものでございます。
また、当該掛け合わせ品種につきましても、全例、厚生労働省から食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼しておりましたが、食品安全委員会では、「改めて安全性の確認を必要とするものではない」と判断がなされてきたものでございます。
これらの事案につきまして、44ページにありますように告示の内容を整理したいと考えております。
「セルフクローニング、ナチュラルオカレンス」につきましては、判断基準を可能な範囲で示した上で、下線部にございますように組換えDNA技術の定義を整理するというものでございます。また、掛け合わせ品種の取り扱いにつきましては、現在の「安全性の審査を経た旨の公表がなされた品種と、従来品種を伝統的な育種の手法を用いて掛け合わせた品種の取り扱い」と同様に変更するというものでございます。こちらにつきましては、商品化の際に事業者から報告を受けることを考えております。
なお、本改正によりまして、遺伝子組換え食品及び添加物として規制の対象となるものの範囲が変更されるものではございません。また、本改正につきましては、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼しておりまして、その結果、ヒトの健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるときに該当するとの回答を得ております。
今後は、パブリックコメント等を経まして告示改正の手続を進めてまいりたいと考えております。
説明は以上です。
○岸分科会長 ありがとうございました。
この調査会に出席されていた委員もおられますので、少し審議の御様子も伺えればと思いますが、いかがでしょうか。栗山委員、古野委員などが御出席されておりますが、何かございますか。
○古野委員 一言ですが、これは大変言葉が難しくて委員会で理解するのは困難さを覚えた、一生でも記憶にずっと残る委員会だと思っておりますけれども、従来から安全性が確認されているものとほとんど変わらないような商品になっているものの承認を簡略化するということで問題ないと理解したんです。失礼しました。
○岸分科会長 ありがとうございます。
栗山委員は、何かございますか。
○栗山委員 特にありません。
○岸分科会長 分科会の委員の先生方から、質問とか意見とかございますか。よろしいでしょうか。
やはり組換えDNAにつきましては大変周囲も関心が高いところですので、説明をいただきました。ありがとうございます。
続きまして報告事項ですが、きょうは報告事項がたくさんございます。
まず、農薬(マラチオン)を検出した冷凍食品の自主回収につきましてお願いいたします。
○梅田補佐 それでは、農薬(マラチオン)を検出いたしました冷凍食品の自主回収事案への対応について御報告させていただきます。
年末から話題になっておりますこの事案につきまして、資料1-1をごらんください。12月29日夕刻に、株式会社マルハニチロホールディングス及びその連結子会社である株式会社アクリフーズから記者発表が行われたということでございます。内容としましては、アクリフーズの群馬工場が生産した冷凍食品について、11月13日以降、臭気があるとの苦情があって、その後、調査を行っていたわけでありますけれども、検査の結果、商品の一部から農薬(マラチオン)を検出したこと、また、同工場で生産している全製品を、賞味期限にかかわらず自主回収するというものでございます。
これまでの対応について、かいつまんで御報告させていただきます。発表のございました29日の夜に、私どものほうから群馬県に対しまして原因究明など、必要な調査を行うよう指示してございます。
翌30日には、群馬県が立ち入り調査を実施しているということでございまして、当該製造施設における製造工程で汚染された可能性は低いという判断をしております。
30日になりまして、当初、事業者がマラチオンの毒性について過小評価していたということもございまして、私どものほうから急性参照用量を毒性評価の指標として採用するよう事業者に指導しています。これを受けまして、未明に事業者が記者会見を行ったということは報道等でもされているとおりです。
1枚めくっていただきますと、年が明けまして4日には県警による工場の立入調査等が行われております。
6日には、私どものほうから全国の自治体に対しまして自治体が公表した事例について、私どものほうに情報提供するように通知を発出して、7日に自治体が公表している事例について取りまとめて情報提供を開始しております。
9日には、国際的な食品安全問題に関する情報共有ネットワーク、INFOSANというのがございますけれども、そこへ情報提供を行っております。
1月25日になりまして、アクリフーズの契約社員が業務妨害の疑いで逮捕されたというのは御承知のとおりだと思います。
3番にございますように、私どもで取りまとめを行っております、健康被害が疑われる事例の状況でございます。
まず、事業者において、12月29日の公表までに寄せられた情報というのが20件ございました。そのうち、9件からマラチオンが検出したということでございます。
また、厚生労働省において、各自治体における公表事例を取りまとめておりますけれども、そこに挙がっておりますとおり、1月27日17時現在まで有症事例の相談件数が2,357件、有症者数が2,849件ということでございまして、そのうち残品等が残っていて検査可能なもののうち、検査結果が判明した検体数が984件ございますが、いずれもマラチオン検出という事例はございません。
あくまでもこの数字につきましては因果関係について調査中でございまして、自主回収の対象食品が原因と確認されたものではないということです。
「今後の対応」でございますが、厚生労働省としては引き続き群馬県と連携いたしまして、有症苦情情報の集約等を実施するとともに、必要な情報提供を行ってまいりたいと考えてございます。以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。
このマラチオンを検出した冷凍食品の自主回収につきまして、委員の皆様のほうから御質問とか御意見をどうぞ。
○大澤委員 確認させていただきたいのですけれども、1-2の3番の表の中の数字のことですが、有症事例の相談件数が2,357で有症者数が2,849ということは、1つの相談件数の中に複数の有症者がいたということでしょうか。
○梅田補佐 そういうことでございます。
○岸分科会長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○栗山委員 ここの審議事項ではないのかもしれないので、もしなかったらカットしていただきたいのですが、「今後の対応」で「必要な情報提供を行う」と、今後の対応としても必要な情報提供を行うということは大事だと思いますが、消費者にとって必要な情報提供というのはどういうものかということをちょっと御検討いただけたらと思います。
というのは、マルハニチロホールディングスとかアクリフーズというのは、確かに書いてあることではありましょうが、これは間違っていたらごめんなさい。プライベートブランドだと伺っているのですが、そうなると消費者はどこで買ったとか、どこの製品とかということが結構大きい。自分が食べたものが該当するか、しないかを判断するときの大きな判断材料になると思っています。
そこで、化学的な物質名ということも大事なのでしょうが、必要な情報提供といったときの情報提供の内容を御検討いただければと思いました。
○梅田補佐 ありがとうございます。私どものほうで消費者に対して呼びかけておりますのは、この間、回収が行われている対象商品を手元にもしお持ちであれば、それは決して食べないように呼びかけているということでございます。
また、1月3日とかにも書いてございますけれども、事業者からもその自主回収対象商品の写真とか、製品名のわかりやすい公表ということで提供がございましたので、私どものほうからそういった情報も提供しております。
○岸分科会長 どうぞ。
○河野委員 今回は本当に重大食品事件だと思っているのですけれども、まず幾つか確認したいことがあるのですが、厚労省さんが今回のこの混入事件をお知りになったのは、事業者が報道発表をした後で、厚労省さんに特別に今こういう状況にあると実際に通知がきたのかどうか。つまり、報道を見て知ったのか、最初に知られた経緯というのを教えてください。
それから、農薬の毒性に関しての発表が、最初は非常に危険を消費者にとってみて誤らせるような情報が出されたわけですけれども、それを訂正してくださったということで非常に的確な処置だったと思いますが、その事業者さんが農薬の毒性等に関する知識を披露することも含めまして、厚労省さんは日常的にそういった情報提供ですとか確認等をしていらっしゃるのかどうか。
それから、健康被害が疑われる事例に関しましては、先ほど御報告があったように因果関係については調査中ということで、実際のところ調べたものの中では不検出が多いということで、時期的にもさまざまな症状が出たと思いますが、これはしっかりやっていただきたいと思います。
それから、今後の対応ですけれども、今後フードディフェンスというか、今までは中国の餃子事件で他国のことのように思っていたこういう事例に対して、厚生労働省さんとするとどのような対策というか、抜本的な対策を考えていらっしゃるのかというあたりを教えてください。
○岸分科会長 いかがでしょうか。
○梅田補佐 ありがとうございます。
まず、経緯でございますけれども、事業者のほうが29日の夕刻17時から記者会見を行っておりますが、私どもには群馬県を通じてその記者会見中に情報が伝わったというような状況でございます。
それから、農薬の毒性につきまして、当初、事業者の毒性評価の指標としてはLT50を使っているということでございまして、子どもさんがコロッケを60個食べるぐらいでないと危険性がないというような過小評価をしていたということでございまして、それについては先ほど申し上げたとおり、今回のような場合には急性参照用量を指標として用いるべきだということで、私どものほうから訂正するように指示をしたということでございます。
その毒性評価等々につきましては、これまでの情報等を踏まえまして適時指導しているということでございます。また、安全委員会のほうとも情報交換しながらということで、今後も的確に対応してまいりたいと考えております。
それから健康被害の情報でございますけれども、因果関係について御指摘がございましたように、この商品を食べたことによる健康被害かどうかということについては、この時期インフルエンザ等々ございますので精査が必要だということで、今、群馬県と連携しながら調査を行っているところでございまして、紹介しましたように検査可能なもののうち検査を実施したところ、今のところマラチオン自体は検出されていない状況であるということでございまして、引き続きこの扱いについては精査をしていくということで考えてございます。
それから、今後のフードディフェンスのお話がございましたけれども、対応といたしまして厚労省としてどう考えるかということでございますが、今回の事例につきましては現在県警による捜査、あるいは事業者による検証、先ほど申し上げた群馬県による調査等々が行われておりますので、そういった調査等において明らかになる事案の詳細を検証いたしまして、私どもの立場としては食品衛生上の観点から何らかの教訓とすべきことがないか、検討してまいりたいと考えているところでございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。
皆さんもお考えのところかと思いますが、11月13日に工場内では苦情があって、それが12月29日に報道発表でというあたりはこれでいいのかどうか、もう少し厚労省的にも考えていただければありがたいかなという印象を持っておりますが、いかがでしょうか。
○梅田補佐 ありがとうございます。
私どものほうへの保健所を通じた報告、事業者からの保健所への通報についてのタイミングのお話でございますけれども、これにつきましても事業者において検証されるということもございますので、そういった内容を含めまして事業者としての対応に問題がなかったかどうかということについては、私どもとしても検証していく必要があると考えているところでございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
では、どうぞ。
○渡邉委員 商品の一部から農薬(マラチオン)を検出したと書いてあるのですけれども、これは事業者自身で検出したのですか。
○梅田補佐 はい。事業者が検出しております。
○岸分科会長 いろいろ御質問もあろうかと思いますが、よろしゅうございますか。
それでは、あと幾つかあります。浜松市で発生したノロウイルスの食中毒事例につきましての報告をお願いいたします。
○梅田補佐 浜松市で発生しましたノロウイルス食中毒事例につきまして、御報告させていただきます。
1月16日に浜松市が嘔吐、下痢症状による小学校の学級閉鎖を公表してございまして、その後の調査、同日に共通食品でございますパン製造所に立入調査を実施いたしておりまして、その疫学調査から食パンを原因とする食中毒として翌17日に断定したということでございます。
これまでの対応についてはそこに書いてございますとおりでありまして、検査結果が下のほうに書いてございますけれども、従事者の便からノロウイルス、あるいは製造施設の女子トイレのスリッパからウイルスが検出されたというようなことが事実としてわかっております。それからまた、パンからもウイルスが検出されたということでございます。
1枚めくっていただきますと、今シーズンのノロウイルスによる食中毒の発生状況でございます。これまでの年次推移で申し上げますと、平成18/19年シーズン、並びに24/25年シーズン、昨シーズンですね、ノロウイルスによる食中毒が多発しているということがございますが、今シーズン、25/26年シーズンにつきましては事件数、患者数とも、現時点におきましてはデータとしては平年並みということが言えようかと思います。
その折れ線グラフの中でいうと、今シーズンは三角の太い線になっていますけれども、12月までの情報でございますが、平年並みということでございます。
これまでも対策としては各種講じてきておりまして、大量調理施設衛生管理マニュアルの改正でございますとか、また食品等事業者が実施すべき管理運営基準等に関する指針といったものを改正しまして対策を講じてきたところです。
また、今シーズンは例年やっております、年末一斉取り締まりで、特に注意すべき食品等について立入調査等を監視依頼してございますけれども、例年より1か月前倒しをいたしまして11月に開始をして、さらなるノロウイルス食中毒の発生防止の徹底を図るということで、大量調理施設等に対する監視指導の強化、また食品取扱事業者に対して普及啓発をお願いしているところでございます。
引き続き、対策を講じていくことが必要だと思っておりますけれども、当面、現行の対策のさらなる徹底ということで、今月27日にこの浜松の事例を受けまして手洗いの徹底、手袋の適切な交換等々について再度徹底するように通知をしたということでございます。
また、2番目にございますように、専門家の御意見なども伺いながら今後の対策につなげていきたいということでございまして、来月4日に食中毒部会を開催いたしまして、この浜松の事例を含め、現状のノロウイルスの発生状況等について御議論いただければということでございます。これを踏まえまして、改めて適切な手洗い、あるいは塩素消毒等の普及啓発をお願いしていきたいと考えております。
なお、昨日も記者勉強会ということで、国立医薬品食品衛生研究所の野田先生にもお越しいただいて勉強会を実施いたしました。14社25名の方に参加いただいて、適切な手洗い、塩素消毒等の普及啓発について周知をお願いしたというところでございます。以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。
御意見や御質問はございますでしょうか。
○河野委員 時間がないところ、申しわけありません。
非常に大勢の方が発症したということで報道にもあるのですけれども、私がこれまでノロウイルス対策として伺ってきたさまざまな、口から物を食べてそこで発症するというのは全然変わらないと思うのですが、汚染経路がすごく変化しているのではないかと感じています。
広島では、食品ではなく食器だったのではないかという報道を聞いていますし、千葉でも店内で飲食された方は大丈夫だったけれども、持ち帰り容器に入れて帰った方がやはり発症されたというふうな報道もありますので、多様な汚染経路というところを改めて整理していただいて新たな対策につなげていただければというふうに感じております。
○岸分科会長 ありがとうございました。ほかにはよろしゅうございますか。
では、どうぞ。
○大澤委員 教えていただきたいのですけれども、1月24日のところに「事業者の営業禁止を解除」とありますが、この事業者の営業禁止を1月24日に解除したという判断基準を教えていただけますか。
○梅田補佐 ありがとうございます。市のほうで施設に対しまして立入調査を行っておりまして、それに基づきまして食品等の取り扱い、あるいはその従事者の管理等々について立入調査の中で判明した不備と推定されるといいますか、不備と考えられる点について指導しておりまして、その指導を踏まえまして営業者が改善を行い、その確認を行って再開に至ったと聞いております。
○大澤委員 違和感を覚えましたのが、24日にノロウイルスの検出がまだある状況で、同じ日にちに営業禁止を解除しているというのがちょっと気になったのですけれども、また何かあったら教えてください。
○梅田補佐 承知しました。
○岸分科会長 それでは、この件はよろしゅうございますか。
(異議なし)
○岸分科会長 ありがとうございました。
続きまして、食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会の中間取りまとめにつきまして、お願いいたします。
○梅田補佐 HACCPの普及に取り組んでおります状況を御報告させていただきます。
前回の分科会で、検討会での審議の状況を御説明させていただきました。その後の状況でございますが、11月7日に第3回の検討会を開催いたしまして、その議論を踏まえまして中間取りまとめを取りまとめたところでございます。これが、12月22日でございます。その内容については3-2に概要がございまして、3-3のところに中間取りまとめ本文を掲載してございます。
同日付で食品安全委員会に諮問を行っております。それが、資料4-2になります。今回のHACCPによる工程管理の普及につきましては、一般食品と食肉、食鳥肉に2つに分けられまして、そのうち、食肉、食鳥肉についてはと畜場情報及び食鳥検査法の施行規則の一部改正を行うこととしておりますので、その改正に当たりましては食品安全委員会のほうに諮問するということになっております。
12月12日に諮問いたしまして、16日に食品安全委員会で審議が行われまして、同日付で答申をいただいております。
答申の結果につきましては、資料4-6にございます。今回、既存のと畜場情報施行規則及び食鳥検査法の施行規則の一般衛生管理に当たります規則の基準がございますけれども、そこにHACCPを取り入れた基準を設け、選択性を導入するということでございますけれども、答申の結果といたしましては、導入しても食肉の摂取による人の健康へのリスクが高まるとは考えがたいということでいただいております。
その際に、なお書きとして、「リスク管理機関においては、HACCPの適切な運用を通じて、より適切な衛生管理が行われるよう、事業者を指導、監督すべき」ということも付されてございます。
これを受けまして今後のスケジュールでございますけれども、一般食品と、それからと畜、食鳥の基準改正につきましてパブリックコメントの手続に入らせていただく予定としております。その手続を経まして、できれば今年度中に通知、省令改正を行いまして、来年4月から施行できればというふうなスケジュールで考えているところでございます。以上でございます。
○岸分科会長 ただいまの件につきまして、御意見や御質問はございますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。
次に、平成26年度輸入食品監視指導計画(案)につきまして御説明をお願いいたします。
○今川補佐 それでは、平成26年度輸入食品監視指導計画(案)につきまして、御報告申し上げます。
この輸入食品監視指導計画は、食品衛生法に基づき毎年度策定することとなっております。この計画に基づきまして、厚生労働省の検疫所が輸入食品の監視指導を食品に対して、あるいは輸入者に対して行っていくといったことでございます。
資料といたしましてはページ数5-1、それから5-2が実際の計画案の概要になります。計画本体といたしましては5-3からございますけれども、計画本体は若干分量がございますので、5-1と5-2で概要をまとめさせていただいているというものでございます。
計画の主な部分の例えば検査、どういうときに検査を強化して、あるいは解除して、あるいは違反が発見された場合の対応、こういったところの基本的な部分は特に変更はございませんけれども、特に26年度に重点的に監視指導していくというような項目が資料5-1の概要の一番上のほうに下線部を引いてございます。主に、4点ございます。
1つ目といたしましては、「経済連携協定等を踏まえた諸外国の食品衛生にかかる情報収集及び輸入動向に応じた監視体制の整備」、これは現在TPP、あるいは日EUなどといった経済連携協定が進んでいるのですけれども、これが仮に締結、妥決された場合には、例えば今まで関税が高くかかっていて輸入がなかなかできなかったようなものが、関税がなくなれば輸入がふえるということも想定されますので、そういった今まで輸入がなかったようなものにつきまして、例えばその食品の諸外国における安全情報ですとか、あるいはそういった輸入動向に応じまして監視体制を整備していく必要があるといったものでございます。
次に、「病原微生物に係るモニタリング検査の着実な実施」というものです。これは昨今、諸外国の事例とかを見ていましても病原微生物の検出事例が非常に多くございます。今、行っています25年度の監視指導計画でも、かなり病原微生物の検査を強化しておりますけれども、引き続きこの病原微生物について強化、そして着実な実施をしていくといったものでございます。
3つ目としまして、「ポジティブリスト制度の着実な施行及び過去の検査実績等を踏まえた検査の見直し」ということでございますけれども、ポジティブリスト制度施行以降、残留農薬、あるいは残留動物用医薬品といった検査項目は非常に多く検査しているところでございますけれども、検出事例があるものは引き続き検査を実施していく。逆に、検出事例がないものもございますので、こういったものにつきましても検査を見直しまして効果的・効率的に実施していきたいというものでございます。
それから4つ目ですけれども、「安全性審査を経ていない遺伝子組換え作物が使用された加工食品の輸入、販売事案に基づき、輸入者に対し、自主的な安全管理推進の徹底を指導」というものでございます。これは、例えば今年度、タイ産の未承認の遺伝子組換えパパイヤの検出事例がございました。こういったものにつきまして、輸入時の検査を強化することは引き続き行っていくのですけれども、例えばパパイヤの加工食品、加工度が高くなればなるほど輸入時の食品そのものでの検査というのは非常に難しくなってまいります。したがいまして、そういったものにつきましても、現地でのまだ加工されていない原材料の段階でしっかりそういったものが混入しないようにということの輸入者に対する指導を徹底していきたいということでございます。
こういった主に重点的に監視指導していくといった項目を踏まえまして、来年度、約9万4,000件のモニタリング検査を想定してございます。この監視指導計画の案につきまして現在パブリックコメント中でございまして、2月20日までの予定でございます。このパブリックコメントの結果なども踏まえまして、今年度中に平成26年度の輸入食品監視指導計画を策定し、それに基づき、4月以降の輸入食品に係る監視指導を実施していきたいと考えてございます。
また、平成25年度の輸入食品監視指導計画の実施、今まさに行っているものですけれども、この結果につきましても恐らく8月前後になると思いますが、取りまとめが終わり次第、またこの分科会の場で御報告申し上げたいと考えてございます。以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。
委員の皆様から、御意見や御質問はございますでしょうか。輸入食品の監視はこれから一層重要と思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
山内委員、どうぞ。
○山内委員 1点、質問です。5-3のところに、中間報告の結果、検査件数10万5,000件に対して違反件数562とございますが、この数値の割合は平年と比べてどんな状況か、教えてください。
○今川補佐 これは、平年と比べて特に何が大きいというか、全般的にはほぼ平年どおりかと今のところは考えてございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。それでは、引き続きお願いいたします。
次に、食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況につきまして報告をお願いいたします。
○横田補佐 それでは、食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について御報告申し上げます。資料4の最後から1ページめくっていただいて、ページ番号6-1、6-2に基づいて説明させていただきます。
全体としましては2ページにわたりまして、前回10月30日の審議及び報告品目として33件ございます。
内容としましては、農薬21件、動物用医薬品6件、動物用医薬品及び飼料添加物として3件、対象外物質の削除1件及び添加物の2件という内容になっております。
まず、農薬及び動物用医薬品、飼料添加物につきましては全体として31件ございますが、最初の3件が審議品目ということで分科会の先生方に送付すべきものではございますけれども、パブリックコメント等の実施が最近まで続いていたもの、まだ実施していないものですので、まだ未送付になっております。ですので、また今後送付させていただきたいと思っております。
残りが報告品目でございまして、28品目ございますが、そのうち22件がパブリックコメントの対象となっております。こちらも若干パブリックコメントの実施がおくれていて、意見確認中というものの数がありますけれども、整理が終わっているものが現在10件でございます。これらにつきましては、特に基準値等を変更すべきデータの添付等はございませんでしたので、現在のところ基準値の変更等はなしと考えております。
現在、整理中のものは12品目ございますけれども、そのうち6-1ページの下から8番目のところにクロチアニジンというものがございます。これにつきましては意見が多く寄せられているということもあり、現在精査中でございます。そのほか、実施してまだ整理がついていないものが11件ございますけれども、これらを含めまして次回改めて報告をさせていただければと思っております。
6-2ページ、最後のページの下から2つが添加物でございます。これらは審議品目でございまして、既に送付させていただいておりますので内容は見ていただいているかと思いますけれども、そのうち一番下の酢酸カルシウムにつきましては試験法に関する修正意見がございまして、内容が妥当ということで試験法の変更をさせていただいております。
以上でございます。
○岸分科会長 ありがとうございました。委員の皆様から、御意見や御質問はございますか。
では、どうぞ。
○河野委員 先ほどもお話になっていましたけれども、消費者の間で非常に関心が高かったクロチアニジンのことです。意見がたくさんあったということですが、今、整理中だというふうに理解しておりますけれども、ほかのたくさんあるものに比べてどの程度あったのかという数を教えていただければ、その関心が高かった度合いがわかると思うんですが、それと傾向とするとどんな意見が多かったのか。もし、お話していただければ伺いたいと思います。
○横田補佐 数につきましては、約千数百件というところでございます。
中身につきましてはまだ精査中ですので、次回改めて詳細をお話させていただきますので、この場では控えさせていただきます。
○岸分科会長 ありがとうございました。1,000通を超えているというのは結構多いかと思いますので、よろしくお願いいたします。ほかにはございませんでしょうか。
ありがとうございました。最後に、事務局から連絡事項等がございましたらお願いいたします。
○山本補佐 本日は、長時間にわたりありがとうございました。
次回の分科会については、後日また日程の調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。今のところ、年度明けを考えております。よろしくお願いいたします。
○岸分科会長 長時間にわたって、いろいろ重要な審議をしていただいてありがとうございました。ちょっと時間がオーバーいたしまして、私の不手際で申しわけございません。これで散会いたします。ありがとうございました。
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