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2014年2月10日 第4回体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成26年2月10日(月)16:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○議題

1.患者登録システムの在り方について
2.その他

○議事

○事務局 定刻より少し早いですが、先生方がお揃いですので、ただ今から「第 4 回体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会」を開催いたします。前回まで、再生医療製品の患者登録システムの検討会と合同で開催してまいりましたが、今回から埋植型医療機器単独での開催となります。

 本日は、検討会構成員 6 名中 5 名に御出席いただいており、検討会の開催要領 4.(3) を満たし、会議が成立していることをお知らせいたします。これ以降は議事に入りたいと思いますので、カメラ撮り等ありましたら、ここまでとさせていただきたいと思います。それでは、以後の議事進行を、永井座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○永井座長 お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。では、最初に事務局から本日の配布資料の説明をお願いいたします。

○事務局 お手元の議事次第を御用意いただければと思います。中段から下が、配布資料一覧となっております。議事次第、座席表がありまして、資料 1 「患者登録システムの在り方に関する論点整理 ( ) 」、資料 2-1 「新規性の高い医療機器に関する患者登録システムの各項目整理 ( ) 」、資料 2-2 「新規性の高い医療機器に関する患者登録システムのイメージ ( ) 」です。以下は、参考資料になります。参考資料 1 、体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会構成員等名簿。参考資料 2 、体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会開催要領。参考資料 3 、前回議事録となっております。以上、不足等ありましたら、事務局までお知らせいただければと思います。

○永井座長 よろしいでしょうか。では、議事に入りたいと思います。議題 1 「患者登録システムの在り方について」です。まず、前回の合同検討会で議論いたしました論点整理の資料について、事務局で修正いただいております。その点について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 お手元の資料 1 を御用意いただければと思います。「患者登録システムの在り方に関する論点整理 ( ) 」ということで、再生医療製品も含めた全体としての資料となっております。前回の合同検討会において、御指摘等いただいた点についての修正、追加の事項を中心に、説明いたします。論点 1-1 から説明いたします。目的については、前回から追加、修正は入っていないのですが、おさらいの意味でも、 2 ページの取りまとめの方向性案について説明いたします。

 患者登録システムの目的としては、市販後の使用状況や患者の予後等のデータの収集、迅速な安全対策や、新たな製品開発等を通じて、医療の向上に役立てることにあるのではないか、としております。再審査期間、あるいはそれに準ずる期間における断面的な評価を主眼とするか、あるいは更に長期にわたった評価を主眼とするかなど、対象とする製品のタイプに応じたデータの項目やフォローの仕組みを考慮して、システムを構築する必要があるのではないか。 3 点目として、登録システムによって収集されたデータは、医薬品医療機器等法に基づく承認の際に、企業に課される使用成績調査等にも活用できるようにする必要があること。各ステークホルダーそれぞれにメリットが感じられるようにすることとともに、過度の負担を強いることのないように、システムの肥大化・複雑化を回避する必要があるのではないか。登録システムの運営開始に関しては、各ステークホルダーへのメリットの説明を含めた周知のための広報が必要ではないか、といったところを、論点 1-1 としてまとめているところです。

 続いて、論点 1-2 です。こちらも、追加事項は特にありませんが、取りまとめの方向性 ( ) としては、医薬品医療機器等法に基づく「再生医療等製品」及び「埋植型医療機器」を施用された患者を登録の対象とする、ということが適当ではないかということで、いわゆる「再生医療等の安全性の確保に関する法律」に基づく医療としての再生医療については、別途、検討なされるべきではないかという形にしております。再生医療等製品については、「条件・期限付き承認」の段階から登録対象とするのが適当ではないか。埋植型の医療機器については、既存の医療機器とこれから承認されてくるような新規性の高い医療機器に分けて、それぞれの特徴を踏まえたシステムを検討すべきではないか。新規性の高い医療機器については、以下のような観点から総合的に登録システムの対象とすべきか判断するのが適切ではないかということで、 3 点、医薬品医療機器等法に基づく「使用成績評価」の対象となるようなもの。生命維持の目的で使用されるようなリスクの高い医療機器。国内に初めて導入される医療機器で、国内での使用経験が少ないといったようなものが対象と考えられるのではないか。

4 ページに行きまして、登録を継続する期間として、当面は再審査期間又はそれに準ずる期間を念頭に置くこととし、それ以後については、登録の意義や目的が異なってくることが考えられるため、改めてその際に検討する必要があるのではないか、といったところでまとめております。

 論点 1-3 ですが、登録するデータの種類、あるいはシステムの機能ということで、こちらについては幾つか追加修正をしている項目があります。検討のポイントの所で、再生医療等製品に関して、 1 つの製品が様々な診療領域や医療機関において施用される場合も考えられ、そうした製品であっても実行可能な登録データの項目・内容を設定する必要があるということで、検討のポイントを追加しております。申し遅れましたが、下線が引いてある部分が追加修正をしている部分です。

 続いて、取りまとめの方向性 ( ) です。 1 点目としては、各登録データの項目を羅列しておりますが、それぞれシステムの肥大化・複雑化を回避するため、必須項目と任意項目を設けた上で、最小限に絞るべきではないか。 2 点目が、一部追加がありますが、全ての製品に共通の基本項目、患者の情報などといったところと、製品や製品群、診療領域など、特有の項目とに分けて設定する必要があるだろうといったところで、前回コメントとしてありました画像データとしては、全ての医療機関の症例で収集することは困難ではないかといったところも踏まえて、追記をしております。また、具体的な登録データの選定に当たっては、前回、学会等の関与といったところでコメントをいただきましたが、登録システムの運営主体において、関係する学会の有識者や企業、行政関係者等のステークホルダーが参画する「運営委員会」を設置し、検討を行った上で決定することを基本としてはどうか、と追記しております。

 次の項目としては、海外で類似の登録システムが運用されている場合は、それらと整合を図るといったこと。 5 ページは、新たに承認された製品を対象するといったところで、既存のシステムをフレキシブルに改修が行えるよう、拡張性を考慮したシステムを設計するべきではないか。データセンターとしての機能については、入力データの品質を確保するため、入力エラーの検出などのデータ入力のサポート機能のほか、参加施設への監査の機能を備える必要があるのではないかといったところです。

 次の項目は、入力されたデータの項目・内容の検索・抽出、さらには入力されたデータの集計、その結果の公開が求められるのではないか。次が追加をしていますが、データの集計及び結果の公開に関しても、運営主体において設置される「運営委員会」で、具体的な集計方法や、その結果の公開に当たっての留意点等について検討を行うことを基本としてはどうかとしております。

 続いて、 2 、患者登録システムの運営、登録管理、利活用です。論点 2-1 について説明いたします。こちらは、前回から一部文言の修正をしている所があります。取りまとめの方向性 ( ) の説明をいたします。 1 つ目の項目としては、再生医療等製品について、当面は運営に係る費用も含めて、厚生労働省で負担を検討するといったところで、 PMDA を運営主体として登録システムを構築するのが適当ではないかとしております。その上で、医薬品医療機器等法に基づき、当該製品の企業に義務付けられた使用成績調査等への利用に応じて、当該企業に登録システムの運営に係る費用の一部を負担させる仕組みが必要ではないか、とまとめております。

 埋植型の医療機器については、対象となる医療機器の関係学会が設置しております「登録データベース事務局」を運営主体とすることとしてはどうかとしております。例えば、既存の医療機器としては、人工関節などについては人工関節学会が運営しております日本人工関節登録制度などを想定しているところです。新規性の高い医療機器については、関連学会で運営又は関与することを念頭に置き、新たに登録システムを構築する、あるいは既存の登録システムを活用するとしてはどうかという形にしております。新規性の高い医療機器については、当該医療機器の企業が登録システムの構築、主には既存システムの改修を想定しておりますが、それに要する費用を負担することを基本としてはどうかと考えております。

 埋植型医療機器については、対象となる医療機器の企業及び関係学会が運営費用を負担することを基本としてはどうかといった形にしております。ヘルプデスクについては、ここに追加をしておりますが、運営主体の事務局に置くこととし、データ入力に関するサポート等を行うこととしてはどうか。その他、データ利用に関する問合せ等の窓口を担ってはどうかとしております。

 論点 2-2 ですが、検討のポイントの所で幾つか追加を行っております。登録率を高める必要があるといった所のただし書きとして、どの程度までしっ皆性を追求するかは、対象とする製品や収集するデータの種類、市販後調査の目的等によって異なる、といった所を追記しております。また、患者データについて、登録する医療機関側において、カルテ情報と連結可能である以外、登録システムの運営主体においては、対応表等を保有せず、連結不可能匿名化された状態となることが前提ということで、追記をしております。

 取りまとめの方向性 ( ) については、データ入力は、原則として製品を施用した医療機関側で行うこと。製品情報については、製品コードの入力やバーコードの読み取りなど、簡易な方法で行えるようにする、あるいは企業側でも入力できるような形を検討してはどうか。登録率を確保するため、データ入力者に対するインセンティブや一定の拘束力を設ける必要があるのではないか。インセンティブとしては、現段階では学会の認定医・専門医制度・研修施設等の要件との連動や、集積されたデータのフィードバックなどが考えられるのではないかという形にしております。

 一定の拘束力については、新規性が高く、安全性等の確認のため承認条件が付されるような品目に関しては、施設要件としてデータの登録を課す ( 企業が、当該要件を満たす医療機関に対してのみ製品が導入されるようにする ) といったようなことが考えられるのではないかとしております。このあと追記をしておりますが、さらに保険診療における施設要件と連動させることも検討すべきではないかという形にしております。また、インセンティブの所では、保険に関する御意見等をいただいておりますが、引き続きこちらはどういった方向性ができるか、検討を進めたいと思っております。

 一定の拘束力を設ける場合には、必要とされる安全対策がなされる限りにおいて、製品の普及を妨げられることのないよう、留意する必要があるのではないかといったコメントがありましたので、反映しております。患者側の了承を得る方法として、同意書に記載して、個々に説明を取るやり方と、そのほか、施設内の掲示のやり方も考えられるのではないかと記載しております。

 続いて、 8 ページに移ります。ここも同意に関する項目ですが、患者側から了承の得られない場合、データ入力が困難な場合にあっても、使用症例としてカウントすることができるよう、最小限の登録を求める必要があるのではないか。データ入力に関して、必要な安全管理措置を講じた上で、原則、 web 上で行うこととしてはどうか。また、コメントがあった点に追記しておりますが、可能な限り、電子カルテ上の入力情報から必要な情報、登録項目を抽出、データ転送できるような仕組みが利用できるよう、システムを構築することとしてはどうか。入力されたデータの品質を確保するためのチェックは、運営主体の役割とし、参加施設への監査機能を備える必要があるのではないか。データ登録を行う施設の要件に、そうした監査を受け入れることも含めてはどうか。登録システムの品質確保に関して、運営主体において設置されている「運営委員会」で具体的な品質確保の方策や、参加施設に対する監査を実施する場合の留意点等について検討を行うことを基本としてはどうか、といったところを追記しております。

 企業による使用成績調査等の信頼性の確保をするための基準、いわゆる GPSP 省令がありますが、こちらとの整合は別途整理するということで、我々のほうで研究班を立てて検討する予定としています。データ入力者に対するガイダンス・教育については、データ登録を行う施設の要件として、定期的な情報発信やチュートリアル等を行う機会を設けることとしてはどうかとしております。

 最後に、論点 2-3 ですが、アウトプットとしての利活用です。取りまとめの方向性 ( ) は、 1 つ目の項目を追記しております。企業は、運営主体が定めたルールの範囲内において、登録されたデータのうち、自社製品に関するデータを入手することができ、使用成績調査等に活用化できることとしてはどうかとしております。登録されたデータについては、運営主体において分析・評価を行い、当該分析・評価の結果を定期的に公表することとしてはどうかとしております。データ入力者やその他研究者からデータの利用の希望があった場合については、申請を行う方式とし、運営主体において、運営委員会等での検討を踏まえ、その適否を評価・決定するとしてはどうか。運営主体において、詳細なルール等を定めることという形にしております。

 前回からの修正点を中心に説明いたしましたが、議論をお願いしたいと思っております今回の資料 2-1 2-2 は、新規性の高い医療機器について今回特に議論をいただくということです。まずは、資料 1 で前回の検討会での修正等を踏まえた御意見等をいただければと思います。説明は以上です。

○永井座長 それでは、ただ今の説明について、御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○本村構成員 運営母体というのは、恐らく再生医療と埋植型の医療機器によって区別して扱われているということで、運営費用も別個取り扱っていく方向であるのは、決定されていることですか。それとも、今後議論がなされるのでしょうか。

○永井座長 それは、まだ議論ということですね。その辺りは、いかがでしょうか。

○事務局 再生医療については、既存のデータベースや登録システムが現状はないということで、 PMDA にその基盤を作って対応していきたいと考えているところです。埋植型医療機器については、様々な学会等での取組みで、既存のデータベースが存在していることで、それをうまく活用していけないかと考えていますので、運営の費用については、基本的にはどちらにしてもメーカー、企業の費用が中心になってくるとは思うのですが、データベースを PMDA に構築する関係上、多少運営の仕方も変わってくるかなとは思っております。

○本村構成員 どこの運営母体も、相当火の車だものですから、どのようにそれを方向付けしていただけるのかが議論になるかと思っております。

○永井座長 まずは、枠組みをおおよそ作り、それから費用の問題を議論したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。むしろ、この後資料 2 と関連してまいりますので、先に資料 2 を説明いただき、併せてこれまでのまとめも議論したいと思います。

○事務局 資料 2-1 2-2 を御用意いただければと思います。資料 1 の中で、医療機器、埋植医療機器については、例えば人工関節や PCI のような、既に承認されて使用されている医療機器のレジストリのほか、今後新たに承認されてくるような新規性の高い医療機器に関するレジストリについて、それぞれ目的等が異なってくると思いますので、分けて議論すべきといった方向性を示しておりました。そのうち、新規性の高い医療機器に関する患者登録システムの主な論点を整理したものが、資料 2-1 になります。項目ごとに、順に説明いたします。

 まず、「目的・必要性・効果」です。新医療機器などで実施される医薬品医療機器等法に基づく「使用成績評価」のための調査について、質の高い効率的な調査とするためのツールとして活用する。迅速かつ的確な安全対策の実施のほか、よりよい治療法の選択や診療ガイドラインや治療指針の策定などに資する信頼性の高いデータの収集を、目的あるいは効果として挙げております。「使用成績評価」という言葉については、前回も説明をいたしましたが、これまで医療機器については再審査制度があり、そのための使用成績調査が実施されており、新医療機器において一律に期間を 3 年、あるいは 4 年など設定し、調査をした上で再審査を行っておりましたが、新しい医薬品医療機器等法においては、新医療機器に限らずなのですが、使用成績評価を対象とし、一定期間調査をおいて評価をする制度ができることとなりました。これについては、期間はその目的に応じて長くも短くも設定することができる形になっております。

 続いて、「対象範囲」です。新医療機器として承認された埋植型医療機器のうち、以下の項目を総合的に考慮して判断する形にしております。こちらは、先ほどの資料 1 の中にも記載があったとおりですが、医薬品医療機器等法に基づく「使用成績評価」の対象となるもの、生命維持の目的で使用されるようなリスクの高い医療機器、国内に初めて導入される医療機器であって、国内での使用経験の少ないもの ( 市販前の臨床データが限られているもの ) を挙げております。また、以前に新規性の高い医療機器の定義ということでコメントがあったことも踏まえ、※で新規性としては以下の類型が考えられるということで、1全く新しいコンセプトのもの、2既存コンセプトではありますが、大きな改良が加えられているようなものといった形で、記載をしております。また、新医療機器との比較の対象として、必要に応じて既存の医療機器も併せて登録対象とすることもあり得ることも記載しております。こちらは、 J-MACS における体外式の VAD を登録しているといったような事例もあります。

3 番目として、「具体的検討対象」です。こちらは、今後新たに承認されてくる新医療機器を想定しているということで、枠組みや考え方、あるいは必要な事項などを整理するガイドライン、指標、指針のような形を想定しており、特定の医療機器を想定したものではないと考えております。

4 番目の「データベースの構築」です。こちらは、承認するに当たり、厚生労働省から依頼をして、関係学会で施設要件等が定められ、その要件の中に患者登録システムへのデータの登録が課されるといった場合を想定しております。主に、関係学会等で運営される既存のレジストリを活用することを想定しております。関係学会等で活用できる既存レジストリがない場合は、関係学会等に新規に構築することも想定はしております。

5 番目として、「主な調査項目」です。こちらは、使用成績評価のときに求められる有効性、安全性に関する項目で、 PMDA での承認審査の中で、審査側と企業で市販後に集めるべき情報、項目が決まってきますので、その項目を対象とする。 2 点目として、新規性の高い医療機器が臨床現場に導入される際に、学会等で必要とされる項目ということで、関係学会等の指導の下で、使用成績評価に必要な項目も含めた形で調査項目を選定する形で考えております。調査項目は、入力者の負担も考慮し、必要最低限の項目に限ること。また、海外でのレジストリや調査など、国際的な整合の観点も含め、項目は考慮するといったことを記載しております。

6 点目の「調査期間」です。調査の対象となる医療機器ごとに、調査目的、調査項目に応じて、必要な調査期間を設定することにしております。使用成績評価が課される医療機器については、その期間を基本とします。期間の経過後は、調査項目を絞った上で、調査を継続するなり、調査の終了なども含めて、改めて検討する形を考えております。

 続いて、「運営体制、運営資金等」です。関係学会が中心となり、登録システムの運営を行っていただきます。データベースの構築に当たっては、調査項目等の設定、運営に当たっての事務局機能、監査機能、収集されたデータの公開機能などを備える必要があることとしております。具体的には、事務局のほか、運営委員会などの各種委員会を備えた体制が必要であろうと考えております。主として、新規医療機器を製造販売する企業による負担を想定しておりますが、独自に使用成績評価のためのシステム構築を行うよりも、安価かつ効率的なシステムを構築する必要があると考えております。

 続いて、 8 の「登録率の確保」です。承認条件として、学会等と連携して施設要件を定める際、登録システムへのデータ登録を要件として盛り込むことにより、 100 %の登録率が確保されるだろうと。施設要件を保険の要件と連動させることも、 J-MACS などで行われておりますが、そういったことも検討するとしております。

 最後に「その他」ですが、収集されたデータは、使用成績評価に使用することが想定されるため、そのデータの信頼性の確保が必要となります。その要件は、別途厚生労働科学研究において検討する予定としております。

 以上の点を踏まえ、全体の患者登録システムのイメージをまとめたものが、資料 2-2 になります。厚生労働省から、機器の使用のガイドラインや施設認定基準等の策定を、関連学会等に依頼をし、関連学会等で検討いただいた後、施設の基準を満たす医療機関を認定いただくと。関連学会は、データベースセンターと連携し、登録データの項目の選定等を行っていただきます。データベースセンターについては、この場合は独立したものとして記載をしておりますが、関連学会等の中に設置されるケースもあるかと思います。認定された医療機関からは、機器の埋め込みや手術のデータ、患者追跡データの登録などを、データベースセンターに行っていただき、そのデータベースセンターでは各種診療情報が含まれるデータベースサーバーから企業の市販後調査専用のサーバーにデータが移される形になります。企業からは、市販後の調査の契約をした上で、費用の負担等も行っていただき、構築システムを構築する費用を負担していただくような形で、自社の製品データの提供を受けるといった形を考えております。企業は、その提供されたデータを基に、不具合の報告、年度報告、再審査という言葉は新法では変わってしまいますが、 PMDA に評価の申請を行うといった形のイメージを考えております。

 具体的には、こういった形のイメージで、現在経カテーテル的大動脈弁置換術、いわゆる TAVR TAVI と呼ばれる医療機器について、このような形でシステムの構築が行われているところで、これが今後新しく承認される新医療機器についても、応用できるのではないかと考えており、このようなスキームを参考に、関係学会等、各企業、行政も含めて連携した形で、市販後の調査を行っていけないかと考えております。説明は以上です。

○永井座長 御質問、御意見を頂きたいと思いますが、ちなみに今の TAVI とか J-MACS の運用はどこで資金を調達しているか先生は御存じですか。前にお聞きしたかもしれませんが。

○中谷構成員  J-MACS は、今のところ事務局は PMDA 中にあって、事務局業務も PMDA が担当しています。また、業務委員会の委員長は研究代表者である私ですけれども、実際のデータ上の問題点等々に対応しています。資金は、 PMDA の資金に加えて、市販後調査であることより企業の供出金が用いられています。

○永井座長  TAVI はいかがですか。

○本村構成員  TAVI に関しては、今走り出したところで、基本的には企業が出すということです。ただ、既存のレジストリ、データベース、 JACVSD NCD を使うということで、基本のランニングコストはそこのも使いつつ、プラスアルファのところは企業が支出するということになりつつあります。

○永井座長 ちなみにどのぐらいの費用がエクストラにかかっているのでしょうか。

○本村構成員 初期が一番お金がかかるものですから、やはり数千万は立ち上げには要るだろうということになっています。

○永井座長 今後も、既存のシステムを使うにしても、新しいものを作ると、初期は数千万単位ではかかるということですか。

○本村構成員 そうです。そうなるかと思います。ただ、他の事例などでは億かかるというものに比べると、 1 桁安いのでできるのではないか。

○永井座長 全く一から作ったら数億になってしまうと。

○本村構成員 はい。

○永井座長 枠組みについてはいかがでしょうか。この対象範囲ですが。まずは新医療機器を対象としていくということです。もちろん既存のものも必要かもしれませんけれども、大きな枠としては新医療機器として承認された埋植型医療機器のうち、以下の項目を考慮して判断するということですが、この点で何かありますか。

○事務局 既存の医療機器については、次回に資料をまとめて、また御議論いただきたいと思っております。今回は、新医療機器を対象とした御議論をいただければと考えております。

○中谷構成員 質問なのですが、この場合の新規というのは、まとめられた今年の 4 月からのものだけなのでしょうか。現時点で補助心臓の植込型は既に始まっていますが、現時点ではまだ新規と言えます。あるいは人工骨なども入ってくるのでしょうか。 TAVI もある面では既に始まっていますから、そういう意味では新規という言葉でどこまで含めるのか、今一よく分からないところがある感じがするのです。

○事務局 なかなかイメージしにくくて申し訳ないのですけれども、 TAVI については最初の製品が今承認されて、システムの構築をしていただいておりますが、正にそういうものを想定しております。今後当面の間は同じような製品も新医療機器として承認されてくる形にはなると思うのです。そういうものも、新医療機器という対象で考えております。例えば、既存のものというのは承認されてからかなり時間もたっていて、現場である程度定着しているような製品群ということで人工関節であったり、冠動脈ステントであったりということを考えております。

 当然今後新医療機器として承認されてくる人工関節もあり得るとは思うのです。そういう場合には、既存のほうでカバーできるものなのか、あるいは全く独立して新しく新医療機器として評価すべきものなのか、その辺りはものによって変わってくるとは思っています。

○永井座長 これまでにも議論がありましたけれども、このデータベースの目的は、いろいろな合併症や耐用性などです。それは機能の評価ということにもなるわけです。しっ皆性でクロスセクショナルにデータベースを作るか、もう少し時間軸を入れるかという問題があると思うのです。ちなみに TAVI とか LVAD は当然時間軸が入っているわけです。今後、新しい医療機器のデータベースを作るときには時間軸、長い短いはあるとは思いますけれども、それは必要になりますね。それができる仕組みは必要なのだろうと思うのです。しっ皆性を求めていくときと、時間軸を求めていくときでは、対象施設が違ってきますが、それはいかがでしょうか。

○中谷構成員 確かに先生が言われるとおりで、補助人工心臓も装着してその当座というよりも 2 年、 3 年後の経過が重要です。当初は Bridge to Transplant で、せいぜい 2 年、 3 年を想定していましたが、現実的には 4 年、 5 年までなろうとしています。承認においても既に用いる期間は長いということをある程度想定していましたと。結局時間軸がないと、次の発展にはつながらないことになってきます。ただ、その時に調査項目をどうするかというのが次の問題としてあると思うのです。しかし何よりも、まず時間軸がなく手術及び周術期だけの話では意味がないということだと思います。

○永井座長 そこが、薬の副作用のデータベースと違うところがあるのではないかと思うのです。副作用のときには何パーセントで起きたということも、ある程度断面で分かれば、それはそれで意味があるのでしょう。ただ、医療機器になるとかなり時間軸の問題が出てきます。耐久性も半年で問題を起こすのか、 5 年なのかということも非常に重要になってくるわけです。ただ、余り時間軸を追いかけると数は登録できないことになります。その辺をどう考えたらいいのかです。

○事務局 いわゆる新医療機器として承認されるものについては、承認審査の中で有効性・安全性を評価して、評価しきれなかった部分や、市販後に追加で調査が必要な部分については使用成績評価という形で承認条件として付される形になってくるかと思うのです。そういう場合に、その製品に応じて長期を見るべきもの、あるいは国内での使用経験が少なくて、どういう不具合が出るのかを短期で見るようなものなど様々なパターンがあるのかと思っております。使用成績評価の計画について、承認審査の際に、 PMDA の審査部と企業でどういう項目を見るべきかが調整されることになるかと思います。

 今回ここで示している枠組みというのは、そのどちらの場合でも対応できる形というか、それぞれの調査期間とか、調査項目を考慮して、学会と企業と、行政のほうで連携した形で進める枠組みのようなものを示すというようなイメージを考えています。それなので、新規性の高い領域に関する患者登録システムについてはしっ皆性を求めるのか、長期のフォローを求めるのかを限定した形にはしないようにしたいと思っております。

○永井座長 件数にも依存すると思うのですが、埋植機器であれば、年間数千とか数万というのはないのかもしれない。どの程度の規模を考えておけばよいのか。秋山先生どうでしょうか。

○秋山構成員 人工関節に関しては、全体的では新規はなしにしても、膝と股関節で 12 万入っています。トータルで手術されています。

○永井座長 年間どのぐらいですか。

○秋山構成員 年間 12 万です。

○永井座長 年間 12 万ですか。

○秋山構成員 はい。新しい人工関節といっても、全然デザインの違うものも膝とかでは出てきますし、あとは材質がどんどん変わってきていて、それで良くなければ市場から淘汰されていけばいいのですけれども、ある程度微妙なところはそのまま使われ続けて残っていますので、そういうのが一番問題になります。

 先ほどの期間ですけれども、今外国で訴訟になっているものに関しても、 3 年ぐらいからある程度差が出てきます。はっきりしてくるのは 7 年、 8 年たちます。そうすると不都合が起こってきたのが 5 分の 1 20 %の義肢に起こってきたというのが、明らかに誰の目でもはっきりしているのは数年単位になってきます。

○永井座長  10 万人以上のデータベースというのは、先生方の所とは違う規模ですね。でも、もし新しいペースメーカーなどが出てきたときには、一色先生どうですか。循環器領域でも 10 万単位というのは。

○一色構成員 ペースメーカーの件数自体はあれですけれども、ただかなりの件数になっていることは間違いないと思います。先ほども話がありましたけれども、既存のものを導入するときには、非常に違ったシステムを考えないとなかなか難しい部分があります。前にも申し上げましたが、ステントも 20 万件ありますので、そういうものと新規の、いわゆる比較的レアケースに入る TAVI のようなものではかなり違ってくると思います。

 逆に既存のもののお話をすると、ステントとか PCI は位置付け的に特殊治療ではなくなってしまっているのです。学会に入っていない施設でも入れられる。現実に何件を学会が把握できるかというと、学会が縛ったとしても縛りきれない件数が現実に存在している現状ですので、かなりニュアンスが違ってくると思うのです。 TAVI の場合はほぼ全例登録して、全例フォローということが決まってできる、そういう体制で始めたということもありますから、できるということだと思うのです。それでも、例えば特定機能病院に厚生労働省から勧告されているのは、慢性的に患者さんが良くなってきた場合には、近隣の施設で管理はしていただくようにという指導がされてきています。

 現実に TAVI をやって、ものすごく調子良くなった方というのは、恐らく紹介元に返されて御覧になっていただくということで、そういう体制になったときに、どのぐらいきちんとデータを取っていただけるか。当初私たちが思っているようなデータをきちんと取っていただけるのか。私たちのほうから問合せをするか、来ていただくということをやって集める努力はするのでしょうけれども、先ほどの数が少ないとは言いながら、どのぐらい完璧のデータベースを取っていけるのかどうかということについても考えておかなければいけないかもしれないと思っています。

○永井座長 ただ、数が多ければ多いほどいいのでしょうけれども、目的は飽くまでも医薬品・医療機器の安全性の確保ということです。ですから、ある程度のフォローができる範囲において、集めるだけ集めるということで、しっ皆性ということがアプリオリにあるわけではないのだと思うのです。でも多ければ多いほど、頻度の低い現象は捉えられるわけです。

 それから人工関節のように、いずれどの機器が良いか優劣を問われるということはあるわけです。例えば、ステントでも新しいタイプのステントが今度どんどん出てきます。バイオディグレーダブルなどが、本当に良いのかということは何年か見ないと分からないだろうと思います。また内科系と外科系とでも見方が違うかもしれません。

○本村構成員 やはり今おっしゃったように、新規のものでもどれぐらいの数が出るのかによって随分変わっていくと思うのです。 TAVI みたいに比較的数が少ないものであればよろしいのですけれども、人工関節とかステントのようなものは膨大な数になりますので、そうなるとしっ皆性というのはある程度犠牲にされるのは仕方ないと思います。だから、新しいものに対してフォローアップをしていって、それを全体で何例ぐらいやったらいいのだろうかと。そうすると、新しいものを積極的にやる施設と、それを見ながら後から付いてくる施設というのは随分温度差があります。

 同じようにさせてあげるのもどうかと思いますので、最初のところにダーッとデータを出してもらって、それで安全だと分かれば新しい病院でも新規のものを自由にといいますか、やってもらえるというような、数をある程度決めておいてあげれば、全例で、例えばステントであれば 1 万件とか 2 万件ぐらいはとにかくフォローアップをしっかりしてみようと。全体は 20 万件あるのだけれども、あとの 8 万件ぐらいのところは、それを見ながらフォローアップを少し緩めてあげようとか、そのような数によって扱い方を変えてあげるのがいいのかなと。

○一色構成員 とても建設的な考え方だと思うのですけれども、ただ、今の現状とはかなり違う運営をすることになるので、そういうものの縛りをこのデータベースのシステムを動かすときに付けられるか。今までの習わしと違って、新しいデバイスが出たらすぐに使いたい人がたくさんいる現状の中で、このデバイスは 2 年間は特定の施設でしか使えませんということを、その学会主導で認めさせること自体がかなり難しいのではないでしょうか。

○本村構成員 特定の病院というよりも、とにかく最初は全部やってもらう必要があって。

○一色構成員 きちんとしたデータを出すということですかね。

○本村構成員 でも、最初は 2 万件ぐらい集まったら、どこの病院にかかわらずフォローアップはちょっと緩めてあげましょうとか、そのような温度差を付けてあげればいいのかと一応考えています。

○一色構成員 それは、今でもいわゆる市販後、確かステントは 2,000 件フォローの期間があってデータは出るように、年間 1,000 例ずつ出すようになっているかと思いますので、それの形を少し変えることになりますね。

○本村構成員 そうです。

○一色構成員 それは十分できるだろうと思うのです。私から質問させていただきますが、このイメージ案の中の左側の端に、施設認定業務が「関連学会等」になっているのですけれども、この図だと施設認定作業が、学会等の組織に任せられるというイメージだと思うのです。ここには費用が全く考慮されていないようなイメージになってしまっています。恐らくデータベース・センターとこの学会等というのが同じ TAVI のように、比較的一連のものとしてできているものの場合はいいのかもしれないのです。

 例えば、特定の学会が主体になって運営しているようなときに、認定作業はこれだと手弁当でやるのかというイメージにこの図からはなってしまうので、その辺はどのようにお考えなのかをお聞きしたいのです。

○中谷構成員  J-MACS における状況についてですが、植込型補助人工心臓の装着に関する施設及び医師の認定については、金額的には安いのですが、審査を受けるということで審査料を課しています。認定作業は、補助人工心臓治療に関連する学会、研究会で作った協議体で行っています。

 この認定を受けることにより、健康保険下に植込型補助心臓の臨床応用ができることになり、その施設は使えるというメリットが生じるわけです。そういう意味での費用の按分を、受けるほうにもある程度行うことも視野に入れておく必要があります。人工心臓ではそういう形で今のところ手弁当といえば手弁当ですけれども、そういう形で進めています。それを広げるときにどうするのかというのは考えておかなければいけないと思います。ただ、日本のシステムでは施設に大きな負担をかけることは大きな問題だと思うのです。いわゆる受益者負担ではないけれども、そういう話も出さないと、企業側に一方的に払えだけでは済まないところがあるのではないかという気がします。

○秋山構成員 我々の人工関節もそういう話をしていて、現在の運営は京大のお金から出しています。 4 月以降来年度からは、日本整形外科学会と人工関節学会、あとは企業もサポートしてくれるということになっています。それでも全ての運営費用は賄えないです。それで最終的にどうするかを考えれば、やはり医療機関にも少し、非常に少ないお金だと思いますけれども、例えば一部のお金をワンコインとかサポートしていただくというようなことは考えていかなければ、長いこと何年間単位で安定した運営費用を確保するのはどの登録もなかなか難しいのではないかと私たちは思っています。

○永井座長 ちなみに、各医療機関にはどのぐらいの負担がかかると想定していますか。

○秋山構成員 人工関節に関して試算してみると、大体 1 例当たり 200 円ぐらいでいいと思います。結局は人件費を確保することになりますので。

○一色構成員 本村先生がよく御存じだと思うのですけれども、 TAVI は施設認定の認定作業に来ていただくための費用等は実費として病院側が負担することになっています。ただ、書面とかの活動を事務局でなさっているその辺の費用については業者が出しているという理解なのでしょうか。

○本村構成員 こちらの認定業務には関わっていません。すみません、存じ上げていないです。

○一色構成員 それなりに費用は間違いなくかかるものだと思います。

○永井座長 逆に規模の大きいものであれば、 1 件当たりは低価格で済むことになります。これからはどんなものが出てきますか。思い付くのはインペラだとか、マイトラクリップとか、ああいうのは当然対象になってくると思います。

○一色構成員 インペラは埋植ではないので大丈夫だと思います。マイトラクリップとか、あと出てくる可能性があるのはパラシュートという、心室内に、左室瘤の中に置いてくるデバイスとか、あとは、 AF の左心耳に血栓予防で入れるデバイスとか、ちょっと考えただけでも埋植型のデバイスは幾つか出てくると思います。

○永井座長 新しいタイプのステントですね。

○一色構成員 そうです。これは、既に治験のルートには乗っています。

○永井座長 外科の先生方は、いろいろな医療機器がこれから出てきますね。人工弁にしても。

○本村構成員 そうですね、人工弁はおっしゃるとおりで、どこまでをそのような範疇に入れるべきかというのは、まだ余りコンセンサスが得られていないのではないでしょうか。このような制度で行きますよというのを、外科医がどこまで認知しているかどうかです。

○永井座長 目的は、まずは安全性確保のためのデータだということですね。

○本村構成員 はい。飽くまでこれは企業が関わっているものです。心臓弁で使うものとなると、自己のものを応用して使うとなると、企業が全く関係ないという、ニューアイディアによるニューデバイスによるニュープロシージャーということになってきて、それはまた別の括りになってしまうと思うのです。

○事務局 我々のほうで考えている新医療機器というか、新規性の高いデバイスというのは薬事法で、法律名が変わって医薬品医療機器等法になるかと思いますが、その中で新医療機器として承認されて、新規性の高いものとして、市販後の調査が課せられるようなものといった、ちょっと漠然としたイメージになってしまうかと思います。この法律の体系の中で新しいものというイメージになってきてしまうのかと思います。そういうものを、この登録システムの中で対象としていくというイメージかと思っています。

○永井座長 いわゆる市販後調査とも違う位置付けになるわけですね。

○事務局 大きな市販後調査という言葉の中では、同じくその中に入ってくる調査になるかと思うのです。市販後調査については、企業が自主的にやるものもあるかと思いますし、いろいろなケースがあるかと思うのです。今回我々として対象と考えているのは、使用成績評価ということで、その審査の中で行政側として市販後に評価すべき対象が残っているという言い方はあれですけれども、市販後に引き続き調査を進めるべきだと考えられる項目があるものについてという形になるかと思います。

○永井座長 そうすると、承認のときにそういう付帯条件が付くということですか。このケースについては登録事業に入るとか。

○事務局 そうです。各製品ごとに承認する際に、市販後にどういう調査を、どれぐらいの期間で調査すべきかというのは、 PMDA の審査のほうと企業のほうで、もちろんその領域の専門の先生方との議論を踏まえて決められる形になります。その調査を行うときに、こういう枠組みというか、システムを活用していけないかというイメージです。

○永井座長 埋植型のものでも、付かないものもあるわけですね。

○事務局 はい。

○中谷構成員 今言われたように、医療機器・体外診断薬部会では、 PMDA から出てきた審査報告のまとめのところで、その辺は結構議論になっています。市販後調査をどうするかかなり深く検討するものと、比較的あっさりと通常どおりというような形のものがあり、最近特に深く検討するものが多くなってきたように思うのです。実際に承認課程においてそれなりの議論がされています。だから、埋植型機器において全く議論する場所がないわけではありません。

○事務局 中谷先生におっしゃっていただいたように、医療機器体外診断薬部会で、新医療機器の承認の最終的な審議をしていただく審議会がありますので、そこで得られた結論でこういう調査が必要とされたものについて、この枠組みを活用していただくというイメージです。実際に使用成績評価の対象とするか否かについては、 PMDA での審査、その審議会での審議で御議論いただくことになるかと思います。

○永井座長 それでも立ち上げのときに、システムを作るのにお金はかかりますよね。簡単なものでもすぐに数千万ですね。その費用をどこが負担するかが、すぐに問題がになります。でも、企業に初めからそういうことを言っておけば、ある程度は負担してくれる可能性はあると思うのです。承認された後に、いきなり言われると難しいかもしれませんが、審査の過程で、こういう制度がこれから始まりますということを言っておけば、いかがでしょうか。

○事務局  TAVI のようなものであれば、市販後にどれぐらい、販売数に応じてそのシステムを組めるかどうかという計算もできるのかもしれません。例えば、小児に使うようなデバイスで、年間数十例というようなものについて、何千万かけてシステムを組むということに関しては、恐らく当該企業もそういった対応はしないだろうと思います。この指針を出すことによって、企業に対して強制するというよりは、こういうシステムを構築したほうがより良いケースについては、こういう考え方で活用してくださいというのは、この新医療機器に関する患者登録システムのイメージで考えております。

○中谷構成員 人工心臓は、確かにモデルと言われているのですけれども、実は認可を促進するためにも J-MACS みたいなシステムを作らないと、今までみたいな症例数を求められたらとても認可に時間がかかりすぎるということがありました。承認審査を促進するための施設認定とか、適応に関しては厚生労働省からの提案もあって補助人工心臓に関連する学会・研究会の間で検討が進みました。その中で市販後レジストリーの話もあって、それにたまたま米国における補助人工心臓に関する市販後レジストリーとしての INTERMACS が進んでいて、 HBD Harmonization By Doing )で市販後レジストリーが取り上げられ、アメリカからの情報も得られた。その中で INTERMACS の日本版として J-MACS が設立されました。この J-MACS では、 PMDA 、関連学会、医療機関及び補助人工心臓企業によって構成されます。経費に関しては、 PMDA と企業が一定程度のものを持つ話がされていました。ただ、企業丸々という話ではなかったのは事実です。

 だから、ある程度ひな型を作って、こういう形でというのにしておかないと、今言われた小さな母体で始まるところまで、同じような形を求めるようになるとものすごく大変なことになってしまうと思います。

 なお、呈示されたイメージで、認定医療機関がデータベースにただ単にデータを入れるだけになっているのですけれども、システムのイメージとしては医療機関側も入れた分に関しては、そのデータが企業みたいに戻ってくるというものです。インセンティブとしては少なくとも入れた分としてのまとめはできるということが、最低限その医療機関側にこのようなインセンティブがないとイメージとしては問題があると思いますので、その辺はお願いいたします。

○事務局 御指摘はごもっともで、こちらの資料のほうには入っていませんでした。しかし、そういうフィードバックも考えておりますので、そこは対応したいと思います。

○内閣官房健康・医療戦略室企画官 オブザーバーですけれども 1 点発言させてください。この絵なのですけれども、スタートは一体どこなのかというのが分からないのです。具体的に言うと、新医療機器でメーカー側が新しいものを作りますと。そのときに臨床研究の段階で MD の先生と組まれますよね。その段階で、先生は関連学会の中に、例えばこういうものが今後出ていくので、その後に施設認定も含めて準備をするというような形で今までのものというのを先生方はやられてきたのでしょうか。それでないと、いきなりポンと何かが出ると、その出た情報が学会に行って、学会はよろしくお願いしますというのではなかなかこれは回らないと思うのですが、その辺どうなのですか。

○中谷構成員 一例として補助人工心臓に関しては、国産のもので治験が始まりました。 2005 年に始まったのですけれども、従来だと臨床治験が始まってから、実際に保険に載るまで 8 年かかっていました。以前には実際に 8 年かかったがために、日本の制度では最初のときの 8 年前のシステムを使うことが求められていましたから、当時のいわゆる第一世代のバッテリーを用いました。既に第三世代が用いられていましたので、供給体制の維持が困難となり、結局、バッテリーが供給できなくなって、認可された補助人工心臓自体の供給も止まってしまいました。このため学会としても何とか早く承認する体制にしてほしいと要望を上げていました。

 厚生労働省としても、新しい医療機器の導入の必要性から医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会が設立され、そこでまずこれを承認してもらうように学会側から働きかけました。厚生労働省側も関係学会に新しい植込型補助人工心臓導入に関して検討しなさいという形でのコメントがあって、関連学会・研究会が補助人工心臓治療関連学会協議会を作ってその検討を始めました。

 厚生労働省と経済産業省が新しい植込型補助人工心臓の早期承認にはガイドラインがないと進まないということで、審査ガイドラインと開発ガイドラインまで作って、二重三重に早期承認に向けた準備が進められ、かつ症例数を何とか絞ろうということで審査ガイドラインで、新規のものでもパイロット 5 例、ピボタル 15 例、計 20 例で認められるようになりました。しかし、承認後の市販後調査として J-MACS というのをちゃんと作っていますよとすることが重要でした。そのような体制を整えることで、審査のほうも早めてもらい、臨床試験の症例数も少なくすることとなりました。また、少数例での承認となるためにその使用施設には認定は要るということで、今度は保険償還に合わせて医師と施設の認定を行いました。

 そういうことで、保険にも取り込んでもらうようになりました。最後のところはかなり駆け込みだったのです。その結果保険での Bridge to Transplant の償還には、認定施設でないと下りないというシステムで始まったのです。その時に J-MACS は、既に先行してデータ収集を開始していました。このために当初は埋込型がないために体外設置型が使われているので、先行してシステムを動かすという意味で始めました。このような産官学に病院も加わって一体化して進めた経緯があります。

○内閣官房健康・医療戦略室企画官 となると、この絵でいうと、全部ドーンと書いてあるけれども、同時進行的にいろいろな所がバーンと動いて、最終的には使用成績評価というものが、データベースをベースに動くような形に、ドーンと一気に作り込まなければいけないというようなイメージでよろしいのですか。

○事務局 このイメージ案の中には、承認申請・審査の段階以前のものは入っていない形になっています。一番最初は、企業から PMDA のほうに承認申請がなされ、それの審査が進められていくうちに、市販後にどういうものを評価する必要があるか、国内の医療現場に出すためにどういう対応が必要であるかというのを、審査の中で検討していって、その間 PMDA 、あるいは厚生労働省のほうから学会にアクセスして、学会との調整を踏まえた上で承認というタイミングに至る形になります。

 もうすぐ承認できそうだといったところで、学会に対してガイドラインを作っていただいたり、施設認定の基準を作っていただいたりという依頼につながっていくという流れです。その前段階が一応あるという形になります。

○永井座長 この絵の中に「保険者」というのが出てこないのですけれども、医療費の中で技術料というのか、一種のデータベース料というのは保険者からデータベース・センターに流れるルートは難しいですか。これは、保険局と相談しないといけないと思いますけれども。

○事務局 そうですね、ちょっと現段階では。

○永井座長 アメリカでは、保険者が少し負担していると思います。

○事務局 海外では、かなり保険者のほうがシビアといいますかそういうところもありますので、そういう評価をかなり保険者のほうがしているということになるかと思います。

○中谷構成員 そういう意味でいったら、 INTERMACS は、 CMS として、メディケア・メディケードが運営体の中に入った形になっています。会計上は別だと思うのですけれども、そのデータはちゃんと使っている形で、最初から組み込まれています。 J-MACS には、先生の言われるとおり保険者は組み込まれていません。

○永井座長 診療報酬が、一度認定医療機関に動いてしまうと、後でそれを集めるのがなかなか大変です。そこへ行く前に、保険者から直接、データベース・センターへ行けば抵抗感は小さいのではないかと思います。是非一度保険局と、全く不可能なのかどうか相談されたらいかがかと思います。

○事務局 相談のほうは進めさせていただきたいと思います。

○永井座長 つまり、 1,000 円でも 2,000 円でも負担していただければ、かなり違うと思います。特に人工関節で 12 万件あれば、 100 円、 200 円を保険者のほうで上積みしておく、一種の技術料みたいなものです。それで足りなければ、また業者なり病院から更に負担していただくということで、最低限のところは、保険者が支払ってしまう。これからの時代は、データによる医療システムの制御が非常に重要になりますので、是非御考慮いただければと思います。

 他にはいかがでしょうか。先ほどの、どこがスタートかという質問ですけれども、これは承認のときに厚生労働省、あるいは PMDA から指示が出るということでよろしいですか。

○事務局 そうです。ここのイメージ案の中で抜けている部分というのは、治験とかそういう段階からかもしれないのですけれども、製造販売業者が、 PMDA にまず承認申請をするという段階で、 PMDA が承認審査を進めて、その承認審査を進める段階で、市販後に必要な事項について関係学会等との調整を行うという部分がこの絵には表現されておりません。それがスタートという形になるかと思います。その後、厚生労働省のほうから学会等に、基準の策定依頼などを行う手続に入ってきますので、一番上の矢印がスタートしていく形になります。

○安全対策課安全使用推進室長 補足させていただきます。今、審査の過程の中でというお話をさせていただきましたが、ものによっては場合によりますけれども、企業と PMDA の、例えば機器の開発相談みたいなものの段階から、こういうものを検討するというものもあるのかもしれないとは思います。

○一色構成員 ちょうど良い例で、 TAVI の話でちょっと戻るのですけれども、現実に今おっしゃったような流れで、今何が起こっているかというと、施設認定が遅れている現状があります。 10 月に認可されているのに、まだたくさんの待機施設が残っている。クリアはしているのだけれども、認定作業が遅れている現状があります。

 それから、これは本村先生が補足してくださるといいのですが、データベースもまだ完全に出来上がっていないと言われていて、恐らく後から追加で入力する項目が出てくるのかと思うのです。時間的に今の流れでいくと、承認がほぼ決まった段階から、学会等で作ってくださいという形になると、そこからシステムを作り始めて、認可のシステムをどうするのかというのをやっていると、現実にはこのデバイスが認可されてから、実際に使えるまでの時間は少し遅れてくるのかと思うのです。この辺は、そのためのシステムを作っていらっしゃるのだろうとは理解するのですけれども、そこがうまく円滑に動けるようにしないと、実際上の許認可業務が、実質的には時間がかかってしまうことにつながる可能性があるかなという印象を持っています。本村先生、システムのほうは結構大変なのではないかと思うのですけれども。

○本村構成員 そうです、おっしゃるとおりです。要するにその項目と定義をどこまで盛り込むかというところが少し時間がかかったのです。一旦そこさえクリアされると、後は慣れた SE にやらせるとできてしまいます。そこがちょっとディレーがあったものですから、今回少し御迷惑をかけているところではあります。

 ただ、項目に入力すること自体は紙ベースでも、先行する施設では可能ではありますので、 Web ベースでリアルタイムに入力するというところがちょっと遅れを取ってしまったということではあります。ただ、 1 つこういうことがうまくいくと、あと 2 つ目、 3 つ目というのは非常にスムーズに、どこで手間取るかというのが分かりましたので、非常にスムーズに行くのではないかとは思っています。

○永井座長 御質問はありますか。そういたしますと今後の進め方ですが、本日頂いた御意見を踏まえ、事務局で適宜修正・追加していただいて、次回のこの検討会で資料の提出をお願いすることになります。次回は、修正点などの確認と、既存医療機器の患者登録システムという、もう 1 つ大きな課題がありますので、それについて議論を進めていきたいと思います。まだ時間はありますが、もしよろしいようでしたら議題 3 「その他」で事務局が用意しているものはありますか。

○事務局 その他に事務局のほうで用意している議題はありません。

○永井座長 全体を通じていかがでしょうか。次回の既存医療機器の登録システムというのも大きな問題です。個別の研究もよいのですけれども、そう何もかもというわけにはいきません。もう少し大きな枠組みの中で考える、私は医療費のことも考えないといけないのではないかと思うのです。

○本村構成員 おっしゃるとおりで、人工弁などはどこまでやったらいいのかとか、ステントはどこまでやったらいいのか、それを誰が、どこでいつ決めるのだと。

○永井座長 初めは面白いし、業績になるから良いのですけれども、軌道に乗ってしまった後は、当事者の負担が大きくなり、誰もやりたがらないということが起こってきます。立ち上げた人は良いでしょうけれども、若い人がそういうことに参加してくれるかどうかです。

○本村構成員 そうですね。

○一色構成員 今の項目でさえなかなか入らなくて、学会自体は困っているのです。おっしゃったように、最初のデバイスが出て、最初の 2 年間だけとか、そういうことであればまだ特定の決まった施設でそれを努力目標としてできるだけ入れるというのはできると思います。永井先生がおっしゃったように、予後調査まで入ってくると、途端に敷居が高くなってくるのではないかと思います。その辺が検討課題かと思います。

○永井座長 あとは研究費や事業費を当てにするのでしょうけれども、これも、本当に意味があるかという議論になります。そうすると、そう長い間は期待できませんので、何か別の枠組みを考えないといけないと思います。

 確かに学会がある程度の負担をするということはあるのだと思うのです。学会の責務としてです。でも、全部ではないし、ある程度公的なものも必要です。是非保険局に、一件一件は大した額ではないのだということを伝えていただくのがよいように思うのです。

 社会保障改革国民会議の報告書にも強調されていますけれども、日本の医療提供体制は、市場原理ではなく、また、政府の通知一本で動くわけでもない。そうすると、データによってシステムを制御するしかないということです。これを基にして、皆が相談しながら方向性を決めるということですから、データがないままでは、右往左往してしまいます。関係者が納得できるデータを基にして、日本の医療システムを動かしていく。これができないと、より強権的な体制に行く可能性があります。そういう意味でもデータを集めることが、この何年間は、非常に重要だと思います。

 他に御発言はありませんか。もしないようでしたら、ちょっと早めですが本日の議論は終了といたします。事務局から連絡事項等をお願いいたします。

○事務局 本日は御議論ありがとうございました。本日の速記録は、出来次第構成員の皆様に御連絡し、確認・修正を経て、厚生労働省のホームページに掲載するほか、次回の検討会の資料とさせていただきます。次回の予定ですが、 3 28 ( ) 10 時からを予定しております。その際には、先ほど永井先生から御説明いただきましたけれども、既存医療機器に関する患者登録システムの資料を御提出させていただいて、御議論いただければと思います。

 また参考として、再生医療製品の検討会ですが、次回は 2 13 ( ) に予定されております。以上です。

○永井座長 それではこれで終わりにいたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課
(代表電話)03-5253-1111

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