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2013年11月1日 第3回 地域の就労支援の在り方に関する研究会(第2次)

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成25年11月1日(金) 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館専用第23会議室(6階)


○出席者

【委員】

松爲座長、石原委員(小川代理)、井口委員、岡元委員、小川委員、鈴木委員、清家委員、玉栄委員、成澤委員

【事務局】

内田高齢・障害者雇用対策部長、藤枝障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、新井地域就労支援室長補佐、近藤地域就労支援室長補佐、竹中地域就労支援室長補佐

○議題

1.委員からのヒアリング
 (1)企業からのヒアリング
     岡元 眞弓  氏(株式会社きものブレイン取締役副社長)
     成澤 岐代子 氏(株式会社良品計画総務人事担当)
 (2)ジョブコーチ養成研修実施機関からのヒアリング
     鈴木 修 氏(NPO法人くらしえん・しごとえん代表理事)
 (3)高齢・障害・求職者雇用支援機構からのヒアリング
     井口 修一 氏(同機構職業リハビリテーション部次長)
 (4)ジョブコーチ養成研修修了者に対するヒアリング結果等
      小川 浩 氏(大妻女子大学人間関係学部人間福祉学科教授)

2.その他

○議事

○松爲座長

 おはようございます。定刻となりましたので、第 3 回の地域就労支援の在り方に関する研究会を開催させていただきたいと思います。カメラの方は終了となりますので、よろしく御協力をお願いいたします。

 まず最初に本日、欠席されている委員は石原委員、金塚委員、菊地委員、眞保委員、高井委員、中川委員です。また、石原委員の代理としまして社会福祉法人電機神奈川福祉センター総合センター長の小川様に御出席いただいています。

 

○石原委員 ( 小川代理 )

 本日、石原の代理でまいりました小川と申します。どうぞ、よろしくお願いします。

 

○松爲座長

 前回同様に、発言をされるときには手を挙げて名前を言っていただき、それから発言をするということにさせていただきたいと思っています。

 それでは本日の議題に入ります。御手元の議事次第にございますように、本日は 5 名の委員の方々からヒアリングをさせていただきたいと思います。まず最初に ( ) きものブレインの岡元様、良品計画の成澤様、それからジョブコーチの NPO 法人くらしえん・しごとえんの鈴木様、そして機構の職業リハビリテーション部から井口様、そして大妻女子大の小川様です。

 既に御承知かと思いますけれど、御発表いただく各委員の方々には最大 20 分ということでよろしくお願いします。後のディスカッション時間を十分に取りたいと思いますので、よろしく御協力をお願いします。それでは、この順番どおりで行きたいと思いますのでよろしくお願いします。

 まず最初に、株式会社きものブレイン取締役副社長、岡元眞弓委員のほうからよろしくお願いします。

 

○岡元委員

 皆さん、おはようございます。それでは、発表させていただきます。

 まず、当社の説明を概略させていただきます。当社は新潟県十日町市にあります織物産地のにある会社です。 1976 年に夫婦で創業いたしまして、着物販売業を行っておりました。 1983 年に消費者の声を聞き、着物のアフターケアを日本で初めて起業化した会社です。資本形成としては全くの個人会社ということで、今 248 名の社員が働いております。

 それでは本題に入りたいと思います。まず、ローマ数字1「障害者雇用について」です。障害者を雇用して定着させるために行っている対策についてですが、業種は着物専門の加工業

で多くの職種があります。業務の専門化と細分化で仕事を創出しています。また、新分野での職域開発も行っています。 1989 年に雇用を開始し、 1993 年に「重度障害者多数雇用事業所」に係る助成金の認定を受けまして、重度障害者を一挙に 10 名雇用しました。今までの障害者と合わせて 14 人となり、全社員 64 名で操業を開始しました。現在では 27 名の障害社員が働いています。実雇用率は 15.9 %です。会社は全館バリアフリーで車椅子社員も安心して働けます。これを契機に全ての作業環境を見直しし、改善して誰でも働きやすい施設としました。

 しかし実際は、視覚障害者以外の全障害種別の人がおり、困難なことが多くありました。当時は雇用時の定着支援制度の整備が手薄で、手探り状態での開始でした。その後に、新潟県障害者職業センターから重度知的障害者の支援のため、その当時はジョブコーチという言葉がなく、初めて職場適応援助者ということで派遣を受けました。また、社内では多くの重度障害者に適切に支援するためにはとにかくマンパワーが必要でして、当初は少人数の協力者を抜擢し、研修会などに参加させ、人材の養成を行いました。また、障害特性と本人特性に配慮した仕事へのマッチング、適材適所に配置しました。知的障害者への職域開発も行い、一人一人に合わせた柔軟な育成方法を試行し、実行しています。

 一方、社内では支援ネットワーク「障害者支援委員会」を設置し、特定の専門家だけが支援するのではなく、全員参加型の組織を機能させました。委員数は約 25 人で任期は 2 年ですが、再任は妨げず、特に新入社員には全員参加を必須としました。それにより、多くの社員が障害社員に関心を持ち、体験型の意識啓発の場となっています。

 また、県の障害者職業センターのジョブコーチ、障害者就業・生活支援センターの支援ワーカー、社内の第 2 号ジョブコーチ、人事担当者、指導担当者等々との連携により、現在では全種別の障害者がおるためにあらゆる種別の障害者に対して継続的な雇用ができてきています。

2 番ですが、雇入れ、定着支援についての課題についてです。精神障害者に対しての配慮が一番必要ということで、面接時から障害者職業センターのベテランジョブコーチより支援をしていただいています。面接時には同席をしてもらい、本人の障害特性や職歴、また現況、得意な仕事や失敗事例、配慮して欲しいことなどを聞き取りします。

 統合失調症の人には不安を取り除くことに心を砕きます。発達障害者が今 2 人おりますが、 1 人は極端に数字が苦手で 2 桁の足し算が限界であるという、数字が不要な職場を発見するのに大変苦労しました。パソコン等、一切できないので、それを使わないローテクな仕事を見つけて、配置しています。もう 1 人はコミュニケーションが極端に苦手ですが、何種類かの組み合わせた仕事ができるということで、ジョブコーチから、発達障害の特性や指示の出し方、対応力などを学ぶことができました。

 統合失調症の人は 1 年のステップアップ雇用を過ぎますと、突然、本人の申し出で、時間延長したいということと少し仕事の責任を与えたために負荷をかけたようで、翌日から欠勤し、 2 週間休みました。その解決のためには地域のナカポツセンターの担当支援ワーカーから自宅まで出向いていただき、本人の状況を聞き不安を解消して、その後、 2 週間後には出社できたようなケースもあります。

 問題解決には、定期的な専門家のフォローアップが必要であります。また、ほんの少しのことでも不安を抱える障害なので、社内でも気軽にメールで質問や気持ちを伝えてもらうことも行っています。第三者任せだけにせず、社内で信頼のできる人を作ることが必要だと思っています。

3 は、課題が発生した際にはどこに相談しますかの質問に対してですが、まず社内で情報を共有できる人たちと解決策を探ります。解決できることは社内で対処したいということが一つの方針です。専門家に相談したほうがスムーズにいくと思う場合には、まず地域の障害者就業・生活支援センターに相談し、対処法を探ります。しかし、多方面にわたる問題の場合は、県のジョブコーチや当社担当者も入り、三者で連携し、解決に当たっています。

 本人の障害特性、また本人の性格的特性、持病、家族関係、また職歴やカウンセリング記録などのあらゆる本人の情報を持っているということもあり、解決しやすいと考えています。

 ローマ数字2ローマ数字2の「ジョブコーチ支援について」です。 1 、第1号ジョブコーチ関係、マル1のマル1その利点と課題についてですが、県の障害者職業センターのジョブコーチを活用しています。当社は知的障害者については長年の経験もありますし、第 2 号ジョブコーチもいるため対応できています。

 しかしながら、精神障害者、特に発達障害者への接し方や対処法につきましては専門的な知識が必要な上、障害の特性も一様ではありませんので、経験が豊富なジョブコーチからの適切な助言を得て解決に当たっています。職業センターのジョブコーチは様々な事例を持っている上、必要なときには就業・生活支援センターの支援ワーカーや当社人事担当者、 2 号ジョブコーチなどを集め、ケース会議を開き情報交換を行い、解決の方法を検討し探っています。

 マル2マル2は外部支援が終了した後の企業内での定着支援についてですが、支援期間が終了した後は、社内で定着するための方法を相談します。本人、指導担当者、部門長のそれぞれが業務日報に記入し、確認します。 1 週間経過すると週報として人事担当者に提出されます。それによって、本人からのサインなどを見逃さないようにします。また、人事担当者とメールでのやり取りもあり、不安を取り除き孤立させないようにしています。しかし、重大な変化があったときには、すぐに地域の就業・生活支援センターか職業センターのジョブコーチに連絡を取り、一緒に解決に当たっていただくこともあります。支援期間が終了しても、精神障害者の場合には一定期間の定期的なフォローアップが必要であると強く感じています。

2 の第 2 号ジョブコーチの関係ですが、マル1のマル1 2 号ジョブコーチを配置して、その利点と課題についてです。利点は長年、障害者雇用に関わってきており、理解と経験があります。また、障害者一人一人の特性を把握しており、素早いケアができる。様々な経験をしているためそのケースごとの対処ができる。課題は、精神障害者に対して経験が少ないため、難しい。また、発達障害者に対しても知識や経験がないため難しい。

 マル 2 マル2は、 2 号ジョブコーチの課題ですが、先ほどと重なりますけど、知的障害者の経験は豊富ですが、精神障害者への専門的な知識が浅く経験が少ない。職業センターのジョブコーチなどと連携して解決に当たりたい。ただ、今後はもう 1 人、社内に第 2 号ジョブコーチを作り、精神障害者を担当してもらい、更なる雇用に対応したいと思っています。

3 は、企業としてジョブコーチに期待することですが、これは全体的なことなのですが、就職が困難な障害者のハードルを下げてくれるのがジョブコーチであると思います。また、企業も詳しい情報もなく、いきなり採用することは不安であります。職場実習などを経験してもらい、トライアル雇用に移行していくことが可能となるため、ジョブコーチの活用は本人にとっても企業にとっても非常に有効で必須であると考えています。

 ここでちょっと追加発表をしたいと思っています。第 2 号ジョブコーチをなぜ配置したのかなど、それに対する目的を発表したいと思います。ペーパーがありませんが、口頭で申し上げます。

 当社が 2 号ジョブコーチを配置しようと思ったきっかけは、重度の知的障害者が加齢化とともに就労意欲も減退し、暴力的な言動が見られました。本人や保護者と何回も面談をしましたが、よい効果が見られなかったんですね。そんなとき、センターのジョブコーチに相談に乗ってもらいたいと思ったのですが、そのときにジョブコーチの抱えている支援対象者が非常に多いという情報がありました。また、障害者雇用を 20 年以上やっているので社内で発生した問題は社内で解決できたらいいと思っています。実際に県の職業センターから聞いた情報では、現在、新潟県の全体の支援件数は非常に増えてまして、平成 25 1 月末で 102 件と、大活躍されています。配置型のジョブコーチは 6 名しかいないという中で、人数が足りないのではないかなというふうに感じました。

 それで外部からの支援が必要ですが、積極的に雇用を継続していくためには、社内に 2 号ジョブコーチの配置が重要ではないかと考えています。ジョブコーチの人材については、経験豊富な社員の中から選びました。もちろん、自分の業務と兼任で専任ではありません。

  支援のポイントとしましては、 2 号ジョブコーチだけに任せきりにしない。社内に障害の特性別の定着支援チームがありまして、先ほど申し上げました障害者支援委員会を作っています。支援チームとして、知的、精神、聴覚、車椅子、身体、内部の 6 つの支援チームがあります。また、職業生活相談員の有資格者が 4 人おりまして、各職場に配置されています。また、委員会活動の主力メンバーとなったり、指導担当者にもなっており、社内で支援の源になっています。精神障害者、特に発達障害者への支援は少人数の特定者で支援することが有効ではないかということで、そのときにやっぱりアドバイザーとして職業センターのジョブコーチに依頼して、こちらも大いに学びたいという状況です。

 こんな方法であれば、他の会社も第 2 号の配置を積極的に取り入れることができるのではないかということで事例を発表させていただきました。

 次に、ローマ数字 3 の「障害者就業・生活支援センターについて」です。 1 、その利点と課題ですが、地元で近いということで問題が起きたときには速やかに対応してもらえるということです。発達障害の場合には、本人が会社では言いにくいことを直接にメールでやり取りをしたり、内容については私的なことなどを中心として、おしゃべり感覚でメールをしてくる。また、精神障害者の場合にも、誰に話していいのか分からないようなことがあると訪問して、担当の支援ワーカーに相談するというケースもありました。会社の人事の担当者とセンターの支援ワーカーを使い分けて本人も相談しているようです。どちらかで、心の不安を解消できるのであればと考えています。課題はやっぱり人材不足で、相談が特定の人に偏ってしまうということです。

2 の課題ですが、また同じことですが。その中で、体調不良や、心の不調になったときに医療機関にすぐに行くのではなくて、その前段階でカウンセリング的な役割を果たしてくれると非常にありがたいと感じています。

3 番の期待することですが、やっぱり先程と同じです。不調になったときにはカウンセリング的な役割を果たしてほしい。そして、企業だけでは解決が困難な問題に対して、第三者機関として偏らない公平な判断と指導的役割を期待しています。

 最後に、ローマ数字 4 「その他」ですが、障害者雇用には、まずとトップの熱い思いと理解が必要であると考えています。特に我々のような個人会社の場合には、それが非常にやりやすいところもあります。そして、共に働く社員の支援が必要であることも事実です。また、それを継続するためには助成制度や支援制度も必要であります。障害者も就労することにより社会貢献ができ、この好循環が社会の活性化につながるのではないかと。そして今後も、より時代やニーズに合わせた支援策を実施されることを願っています。以上です。ありがとうございました。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。質疑応答は皆さんの発表が終わった後でまとめて議論したいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、続きまして、株式会社良品計画業務管理部長の成澤岐代子委員にお願いします。

 

○成澤委員

 良品計画の成澤と申します。どうぞよろしくお願いします。まず、良品計画の会社についての概要です。別紙に書きました。当社は無印良品という専門店の事業の運営をしていて、今、全国に直営店が 262 店舗で全国展開をしています。障害者の雇用状況としては、本社で 29 名、店舗で 128 名で計 157 名の方が良品計画で働いています。この内訳について、障害の種別がうちの特徴ですが、こちらに記載していますように、精神障害の方が全体の 70 %、本部と店舗に分けると、店舗は 128 名のうち 102 名の方が精神障害で全体の 80 %を占めています。そういう状況の中で、今回のいろいろな課題についてお話をしたいと思います。

 まず、ローマ数字1の 1 番目についてです。自らが障害者を雇用し、定着させるに当たって行っている対策で、役立っているものはありますかということですが、当社は 2000 年に障害者の雇用のスタートをしました。その 2000 年のときは、やはり身体、知的が主で、本当に入力業務からスタートをしましたが、店舗が全国的にドンドン大きくなる中、分母のほうがパート社員がとても増えてきて、現在で 3,800 人という人数の中で、本部だけでは支えきれないところと、それから、 1 か所に本部のみで集中している障害者雇用が本当に良いことなのかも考えて、 2009 年にハートフルプロジェクトを発足させました。

 こちらでは、会社全体で雇用推進を取り組もうということで、良品集会という大きな場で社長自ら雇用を進めていこうというお話をしてもらい、その大きな集会のときには、実際に「ハートフルモデル店舗」というのを任命して、実際に雇用しているのですが、そちらの店舗の任命式といった形で、そこからドンドン広げていこうというのがこのハートフルプロジェクトの始まりでした。これは、もちろん、今まで義務的に障害者雇用をスタートしていたのを、企業の良品ビジョンという理念がありますが、そちらの理念にもこの障害者雇用はとても合致していたので、その達成のためにもハートフルプロジェクトの成功のために今も頑張っているところです。

 今、お話したように、雇用の場を本部 1 か所ではなく全国の店舗にと拡大している中で、 1 か所に今まであったときは本部の目もありましたが、全国に、北海道から九州まで採用している中で一番困ることは、やはり問題が起きたとき、そうしたときにどうするかで、一番これの解決と定着に当たって行っている対策が、 3 番目にある就労支援機関とつながっていることを採用の条件にはしています。

 実際には、今 150 名いる中で、店舗の 128 名のうち約 105 名の方には就労支援機関、それから、障害者職業センターのカウンセラーの方とか、様々の機関の方、就労、その中に移行支援事業の方もいますが、何かしら機関とつながっていることを条件としています。そういう所が、実際に今進めている中で、離れている場所で皆さん働いている中の問題点をうまく解決をしてこうして進めていくことができているのは、支援機関の方、それからジョブコーチの方の支援があったからこそ、今までこうして 3 %という数字にも結び付いているのかと思っています。

 やはり、全国の各店舗の店長は若い店長で、 25 歳から店長になってしまうので、その中で障害者を雇用するのはとても不安な面をたくさん持っています。そうしたところでの問題点とかを解決してくれるのは、この就労支援の機関とか、ジョブコーチとか、どのように指導していいのかを教えてくれるためには、このジョブコーチ等の機関はとても必要だと私は思っています。

 もう 1 つ、定着に当たってとてもうちで重要視しているところが、プロフィール表の作成という 4 番目にあります。このプロフィール表の作成は、基本的には支援機関の方に書いてもらっていますが、もちろん御本人の了解を得ています。御本人によっては、例えば各店舗で採用したときに、みんなにきちんと自分のことを理解してもらいたいということで自己紹介文として書いてくれる方もいます。基本的には支援機関の方が入ってくれるのですが、もう 100 機関あるといろいろなプロフィール表が挙がって来ます。たったこれだけの内容でこの方を理解するのは難かしいのではないかという機関もあれば、本当にとてもすごく細かくアセスメントシートという形で、例えば、その人の個人的な情報以外に外部の実習の経験から、能力に関しても基礎学力を、例えば国語的な能力とか数学的な能力、指示、コミュニケーションはどうなのかとか、身辺の処理能力として、例えば着替えとか持ち物、食事、そういった清潔な生活面についても細かく記載をしてくれるセンターもあります。

 それから、もちろん、性格や行動の特徴、そういったところも細かく記載してくださることにより、初めて障害者を受け入れる各店舗においては、このシートがとても大活躍をしています。特に、やはり不安を覚えている店長もいます。その中で、いろいろなマニュアルが出ています。例えば、精神障害のマニュアルはたくさん氾濫しているのですが、その本を見ているだけだとやはりどちらかと言うと心配な点ばかり出てきます。その中で、こうしたプロフィール表を各機関が作成してくださることにより、まず、簡単に障害者の特徴を書いてくれて、その後に、ではこの人は具体的にどういうところが特徴であり個性なのか、そして、仕事的にはこういうところをサポートしてくれると本当にうまくいきますよと書いてくださっていることが、とても定着につながっているかと思います。

 定着のための当社が行っているもう 1 つのポイントとして、 6 番目に書いてありますが、 3 つあります。これは、やはりお互い、会社と障害者の方相互に向かい合うというところがあります。働きやすさのための 3 つとして、まず 1 番目に、勤務パターンの多様化で、精神障害の方がとても多いので、体調の管理がなかなか難しく、勤務時間としては大体 1 週間に 20 時間というところがほとんどの方です。 30 時間を超えるのはなかなかハードルとして難しいようです。その中で、やはり、最初に 20 時間、 1 日では 4 時間の 5 日間と決めても、なかなかそこから定着というか変更も多いです。そのときは、やはりそれぞれ皆さんの体調、生活に合わせて無理のないシフトをお互いに共同で作っていきます。お店にはきちんと決まったシフトがありますが、そういったシフトに合わせるのではなく、障害者の方の都合に合わせる、店舗の都合ではなくて皆さんの都合に合わせるのが 1 つあります。

2 番目として、業務の要求値の多様化です。業務のレベルは、皆さんそれぞれ障害の特性とか個性に合わせて異なります。お店には様々な仕事があって、通常のパートナー社員とかアルバイトは決まった仕事をやっていきますが、やはり、それぞれの個々のレベル、特徴に合わせて無理のない仕事を共同で作っていく、なので、店舗とかでこういう仕事をやってもらいたいというのが優先するのではなくて、個人のレベルに合わせていくことをやっています。

3 番目は、これも重要なのですが、スキルの客観判断で、これはやはり 2 番目にも関わってきますが、できないことを無理矢理やるのでは本人にとってもとても負担になります。そして、客観判断で、実際御本人がやりたいこととできることの判断は差があります。御自身ではとても接客が好きなのでやりたいとお話をしても、やはり慣れるまで商品のことをまず覚えて品出しをしてからということもあります。そういった意味で、個人の思いは尊重しながらも、実際にはこの仕事は判断的にはまだ難しいのではないかというときは、そのときは店舗で客観的な判断をして、もう少し慣れてからこの仕事をしてみようという形でやっています。これが一応 3 つの定着のためのポイントとなっています。

 こうした施策により障害者雇用を今現在進めていますが、これは障害者にとってもやりがい甲斐をもっていただく、そして、会社にとっても、こちらに記載しているようにいろいろなメリットも出てきています。

2 番目です。障害者の雇入れ、定着支援について課題と感じていることは何ですかです。まず、雇入れについて、当社に知的、精神の方、様々な方がいますが、特に精神障害の方が 70 %を占めている中で、やはり、精神障害の方はなかなか症状が安定していない方が多いです。特に、面接のときは、その症状を一切隠す方が多いです。何か配慮することはありますかと聞いても、ほとんどの方が大丈夫です、何も配慮することはありませんと言います。もちろん採用していただきたいという気持ちがあるからというのは分かるのですが、面接の段階でお互いに確認をして、そして解決策があればそこで一緒に雇用して考えていくという方法もあるのですが、そこがなかなか開示されません。

 一緒に同席をしてくれる支援機関の方も多くあるのですが、そちらの方も、そういった就職に結び付けようという気持ちが大きくて正しい症状を御存知でも開示してくれないこともあります。それから、医師の就労可能な意見書をよくお持ちになります。これはハローワークに相談するときに提出をしているということで、面接会のときに企業にも提出をします。就労可能で 1 日フルタイムで勤務可能と書いてある意見書もありますが、実際に採用してみると 1 8 時間というのは全く難しく、 1 4 時間、 5 時間で無理なくスタートしましょうといってスタートしても、やはりブランクがあったりしますと、もう 1 週間経った時点で体調が悪くなられるという方もいますので、そうした就労可能の可否の基準が企業からするとなかなか不明確な部分があるので、採用のときにはとても悩んでしまう場合があります。

 実際にそうした就労の入口だけではなくて、定着支援に関しても、症状が精神障害の方で不安定な場合があるので、求職の繰り返しが多くなります。当初パートナー社員で採用しているのですが、就労継続の見極めが、例えば 1 か月勤務しました、しかし、次に 2 か月休みます、また 1 か月来ましたけれど 3 か月休むといったように、繰り変しの方も出て来ます。そうした中で、この方が、今本当に会社と結び付いて働くことを目標にして頑張りたいという気持ちは分かるけれど、本当にそれでこの人のためになるのだろうか、無理して 1 か月また 1 週間来ることが症状を悪化させているのではないかというところで、会社としてはなかなか困難を来しています。そうしたときに、やはり支援機関が重要な懸け橋になっているのではないかと思っています。

 そして、またもう 1 つ支援に関して問題点が当社の中であるのは、当社で支援機関とつながってくださいというお話をしている中で、ではつながりますということですぐに登録をしてくれるのですが、登録はしますが支援機関とのつながりがなかなか浅いために、お互いに信頼関係を結ぶことが難しくなります。そうした方に関しては、お互いが難しい、分からないといった困難なときがあります。

 それから、独り暮らしの方は生活面が不安でというのがあります。無断欠勤等をされたときに、こちらから連絡をしても連絡がつかないというときにどのようにしたらいいのかは、やはり支援機関によくお願いをすることはあります。こうしたことの問題点の中で解決に必要なことは、先ほどからお話しているように、就労支援機関とか、医療機関、そういう所でまず就労可能の判断を入口できちんとすることによって、安定した雇入れができて、短期間での離職は減少すると思っています。それから、症状の開示についても、医療機関の御協力を得て、きちんとその障害をお互いに双方確認した中で働くことが定着につながるのではないかと思っています。

3 番目にあるように、定着支援に関しての相談は、先ほどから出てきていますが、支援機関、ハローワークにも相談をしています。そこで支援機関等に適切なアドバイスを頂いています。ハローワークも、もし離職につながることがあれば、次の就職に関してハローワークの方もその方と相談をきちんとしてくれていますので、いろいろな意見の立場で皆さんで相談をしていくことが解決の道かなと思っています。

 次に、ローマ数字2「ジョブコーチ支援について」です。第 1 号ジョブコーチは実際に利用しています。 2009 年のハートフルプロジェクトから、今、回数として 36 名の方が入口の部分で集中的な 3 か月のジョブコーチを利用しています。件数は、職業センターの配置型が 30 件、 1 号が 6 件という形になっています。利点は、企業は特に店舗に関しては、始めて受け入れるに当たってどのような指示の出し方をしていいのかが、なかなか本を見ているだけ、マニュアルを見ているだけでは分からないので、そうした意味で、ジョブコーチの本当にきちんとした教え方をしていただくことによりいろいろな解決ができます。

 実際に、当社で品出しという一番簡単な基礎の仕事があるのですが、その中で、簡単な品出しにつまずいた障害者の方がいました。そのときに、ジョブコーチのアドバイスにより、御本人の問題だけではなくて、教える側、企業側の伝える側にも分かりづらい伝え方があったということをジョブコーチの方が気付かせてくれました。それによって、こちらも双方お互いに分かり合えることでは、ジョブコーチの支援は本当にとても必要だと思っています。

 支援の進捗方向ということで報告を受けることが途中段階でありますし、 3 か月の集中支援の後に、まだ問題点がある方はそのまま引き続き支援もしてくれています。ただこれは、やはり機関だとか支援のセンターによって、職業センターでも全国いろいろ当社も使っていますので、なかなかそこが統一されないのがあります。

 課題としては、 2009 年から利用しているのですが、 2009 年当時はまだそこが余り浸透していなかったのか、ジョブコーチをこちらが利用するときは、本当にすぐにこちらの要望に沿って来てくれることがあったのですが、今は、支援のコーチをする方がいろいろな機関から、企業から要望があるせいかなかなか派遣が難しい。特にうちは土、日曜日は小売なので、小売の営業のそこに日程を合わすことができない、契約日の初日に来てもらうことができないことがやはり問題点かなと思っています。

2 番目の、終了した後の企業内の定着支援についてです。 3 か月で集中してやってもらうことにより、その期間、コーチの方によってはきちんとマニュアルを作ってくれたりとか、これは、もう企業と一緒になって指導方法についてマニュアルを作っているので、そうした意味で、それをきちんとジョブコーチから受けた指導方法を引き継ぐことが定着につながっていくのではないかと思っています。

 第 2 号ジョブコーチについてです。当社では、実際配置はしていません。その理由は、こちらの 2 番目に書いてありますが、本部の場合は今 29 名の方がいますので、こちらに配置することは可能ですが、実際に今、本部では、相談員で、聴覚障害の方もいますので手話のできる方、それから、そういった勉強を専門的にしてきた方を配置していますので、本部はジョブコーチというよりかそういった支援の相談員という形でやっています。

 ただ、店舗の場合は、なかなかこちらに記載していますように、 1 店舗 20 名程度のスタッフです。そしてまた、そこの本社員と呼ばれる者が 2 3 名で、あとはパートナー社員、それからアルバイトという人員構成ですので、その中に 1 名の第 2 号の配置は現実的ではありません。そうしたところで、当社では実際に置いていませんし、以前ジョブコーチを配置したときに、やはりジョブコーチばかりに頼ってしまうところもあって、なかなか仲間として一緒に働くという当社のビジョンから少し外れてしまったりすることもあるので、店舗では現実として難しい環境状況にあることと、当社の企業理念ということも結び付いて今は配置はしていません。

 今後、例えば国で 2 号ジョブコーチをこれから義務化しなければいけないといったときに、うちとして考えているのは、各店舗ごと、各障害者ごとにスタッフ、ジョブコーチを配置するのは難しいので、やはり、うちは各エリアに分かれているので、エリアごとにエリアのスタッフ、例えばこうした育児時間を使っている社員をうまく活用して、エリアで 1 人、ジョブコーチの資格を持っている者をそこに配置をする。もちろん兼務なのですが、そういったことはできるのかなとは思ってはいますが、現実としては店舗数もまだこれからドンドン広げていく中なので、今のところは考えてはいません。

 企業としてジョブコーチに期待することですが、障害者が長く安定して働くためにジョブコーチの存在はとても重要ですので、今後もずっと活用をしていきたいと思っています。

 ローマ数字3の「障害者就業・生活支援センターについて」です。実際の利用は、今 100 か所の支援機関とつながっている中で、ナカポツ生活支援センターは今 10 か所の利用があります。実際に課題となることは何ですかということですが、いろいろ私も接している中で、スタッフの人数が本当にいつも、これだけの少ない人数の中でどうやっていらっしゃるのか、特に、障害者の中でも精神の方は、例えば 9 時~ 17 時で終わるような仕事ではなく、その後にフォローしたりとか生活面でフォローをしていただいたりしているので、なかなかこの人数でどうやっているのかなということがあります。やはり企業側からすると、そういった実情が分かりながらも、問題が起きたときに、生活面のところは特にそうなのですが、就労の面というよりか生活面で相談に乗りたいと思っていることが特に強いので、そういった意味で、優先することは、人数の確保の配置をしていただけると企業にとってはとてもここと結び付いていることが 1 つの安心感にもなるかと思っています。

 企業として期待することは何ですかなのですが、先ほどお話したように、理想はもちろん全ての就業から、就職前から就業にかかって、そして、生活の全ての面とか、医師との連携などといったことはもちろん一箇所で全部やっていただいたら本当に企業にとって分かりやすいのですが、全てというのは難しいと思うので、お互いのそれぞれの企業も含めていろいろな機関を結び付けていくコーディネート力を期待しています。ですので、そこはこれから皆さんもこういった場で解決をしていっていただけると本当に有り難いことかと思います。

 ローマ数字4の「その他」でいくつか書きましたが、今回の議題から外れているので、これは参照していただき、また御覧になっていただければと思います。

 最後です。やはり 150 名近くの障害者の方がいて、毎日いろいろな問題点はあります。小さなことから大きなことまでありますが、障害者を中心にいろいろ支援の機関だとか、生活支援センターとかジョブコーチの方、そういったところがそれぞれ思いとか考えが違うことがあり、なかなかそこがうまく連携しないことも現実にはあります。そうしたところで、それぞれが目指すところは、障害者が安心して働くというただ 1 つだけの目的だと思うので、そういった思いが実現するために協力して連携して、そして国の支援を頂きながらこれから企業としてもやっていきたいと思っています。以上となります。どうもありがとうございました。

 

○松爲座長

 時間を守っていただきありがとうございました。続きまして、 NPO 法人くらしえん・しごとえんの代表理事であります鈴木修委員からよろしくお願いいたします。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木修です。よろしくお願いいたします。本日は、職場適用援助者養成研修機関連絡会として御報告をさせていただきます。なお、会の名称については、以下連絡会と称させていただきたいと思っています。

 まず、連絡会について簡単に説明させていただきます。この連絡会ですが、平成 18 年度に民間における職場適応援助者養成研修が始まりました。ジョブコーチ・ネットワーク、大阪障害者雇用支援ネットワークの 2 機関です。翌平成 19 年度から、私どもくらしえん・しごとえん、そして、平成 20 年度から全国就業支援ネットワークが研修に取り組むようになりました。

 その後、それぞれの機関は全く別々に養成研修に取り組んでまいりましたが、平成 23 年より、やはりお互いに意見交換をすることが必要ではないかという声が上がり、意見交換を重ねるということをしてまいりました。

 職場適応援助者の制度、養成研修、支援の方法と技術等についての情報交換と連絡調整を目的として、平成 24 4 月に作られたのが本連絡会です。 4 機関の研修修了者が交流し、支援の方法と技術の向上を図るために本年の 5 月には、神戸で第 1 回ジョブコーチカンファレンスを開催したりしています。

 その後、本研究会に向けても大阪、札幌、名古屋、福島で 1 号ジョブコーチで活動している方々からのヒアリングを実施したりもしています。このヒアリングを踏まえたことについてのまとめは、後ほど大妻女子大学の小川先生より、詳しく御報告されることとなっています。

 また現在、全国では民間の研修機関としては、私ども 4 機関のほかに北海道と九州の 2 機関、計 6 機関が養成研修に取り組んでいます。ただ、これについては、私どもは連絡会もスタートしたばかりということもありまして、まずは 4 機関での連絡会となっています。その点については御承知おきいただけたらと思っています。以上を踏まえて本題に入らせていただきます。

 まず、ローマ数字1の「質的課題」に関してです。精神障害者・発達障害者・視覚障害者・聴覚障害者への対応、それに伴う現行カリキュラムの見直しということですが、これについては、第 1 回の研究会で金塚委員より各養成研修機関が精神障害者に対してどのような対応をしているかとの質問がありました。

 これについては、 4 機関とも基本的に同じ対応ということでして、金塚委員からの質問に対する回答も含めて記載させていただいています。まず、言語カリキュラムの見直しについてですが、現在の基本はモデルカリキュラムについては、ジョブコーチとして活動をしていく上で必要な支援全体についてのスキルを身に付けるための基本が押さえられてるカリキュラムだと私たちは考えています。

 実際、限られた時間制約のある中で、研修開始当初、 6 7 年前とどこが変わっているのか、対応はどうしているかということですが、演習・事例などでの取上げの比率は、圧倒的に高くなっているということです。

 以下、具体的に書いてありますが、連絡会の各機関とも講義のコマですね、それが一つ。講義の実際、その他の一般のそれぞれの講義の中の事例の紹介なども、やはり精神障害者、発達障害者、更に高次脳機能障害であるとか、確実に増えている。更に、演習事例等でのケースの取上げ、雇用事業所での実習の際も、やはりそのようなところが現場としても多くなっている。これは大きな変化です。

1 番下にも、触れてありますが、やはりこれは特定の障害の対応スキルの向上ということについては、ベースとなる基本的な現場経験とか、ジョブコーチとしての基本的なスキルの上に乗っていくものではないかと思っています。

 そうしたことで、より高度な 2 番目ですが、ジョブコーチを育成するための研修はということになるわけですが、 1 でも報告したように、それと同様に現在のカリキュラムについては、 1 号、 2 号の基礎研修としては妥当であるという考え方をしています。

 それの上に立ってということですが、以下のマル1マル2マル1、2、3。実際にジョブコーチとしての活動、そして、一定期間後のフォローアップ、スキルアップ研修。更に、上級ジョブコーチという流れが必要ではないのか。簡単に言うと、現場に出てさまざまな課題に直面し、フォローアップ、スキルアップをし、その上の更なる目指すべき姿としての上級ジョブコーチというような組立てというのが必要ではないかと。特に、障害特性に応じた専門的な知識や対応スキルなど、各種法令だとか、事業所内での雇用管理や環境調整へのアドバイス、経験の浅いジョブコーチへのスーパーバイズと。それらが求められていくのであろうと思います。その中で、以前の研究会からも指摘されておりますが、資格制度の導入なども、やはり検討していくことが必要ではないかというところです。

3 番になりますが、スキルアップ研修や新たな研修についての追加研修を新設した場合の当該研修等を民間養成研修機関でも実施することは可能かどうかということですが、これについては「可能」と私どもは考えています。というのも、各機関とも地域で実績を持った就労支援機関とのつながりがあるということ。そして、やはりジョブコーチ支援の現状を踏まえて、現時点でもフォローアップ研修、スキルアップ研修等、実際に取り組んでいます。

 特に、養成研修の修了者が基になって、また養成研修の実習の 2 号ジョブコーチであれば、実習の受入先になったりなど、また地域におけるジョブコーチのセミナーであるなど、そういうことの中核になっていく、就労支援の核作りとして、本当に地域での実践に基づいている。そういうところが、一番地域におけるこうした民間での研修の良さではないかと思います。

 ただ、そこにあるように開催に当っては、受講生の要件や受講後のインセンティブであるとか、開催に当たっての費用面についての検討は必要ではないかと思っています。例えば現在、幕張でもあるスキル向上研修などをやっていった場合に助成金支給対象になったりとか、そのような形でなっていますが、そういう意味での受講生もそうですが開催における費用面についてはという点は検討が必要ではないかということです。

 次にローマ数字2の「量的課題」の問題についてです。ここの点については、やはり非常に難しいというか、本当に次のステージに向かうことではないのかというのを思っています。養成機関の要件について緩和できるところということで、 1 回目の資料にもありましたが、就業・生活支援センターの業務 3 年以上であるとか、第 1 号の認定法人としての 3 年以上というような要件があるわけですが、この要件自体は全国各地で非常に多く要件に該当する機関はあるのではないかと思います。

 実際、要件の緩和のことについては、本研修というのは座学中心ではなくて、現場での豊富な実践とか経験というものが非常に重要な研修であると思っています。そういう意味で現状の中でハードルとなっているのは養成機関の要件そのものではなくて、研修開催に見合う講師の確保、要するに、質を担保する講師の問題、ここが非常に重要になってきているのではないのかと思っています。

 さらに、そこに触れていますが、やはりジョブコーチというものは歴史自体が非常に浅い分野でありますし、実践経験というのは本当に今蓄積していくところ、体系化されていこうとしているところであると思っています。事実、これまで連絡会の私どもの各機関に対して、養成研修をちょっとやってみたいという問い合わせ、相談があったりした場合も講師を紹介してくださいとか、逆にそれぞれの機関の講師をお願いしたりというような紹介、さらには、本当に講師の依頼自体もあると。演習とか実施、更に運営についても、まだまだ十分なノウハウが蓄積されているとは言えないのではないかと思っています。養成研修の機関の要件の緩和ということを講師要件の面で考えると、これは養成研修の質の担保の問題として、非常に大きな課題ではないのかと考えています。

 その中で、 2 番にある養成研修の開催地域が限られていることについては、これは連絡会としては、各地からの要望があれば積極的に開催をしていく必要性を感じています。お声かけがあればやっていきましょうということです。ただそれも、これまで実施してきた各地域での開催については、毎年開催するほどのニーズがどこまであるのかということは、非常に危惧されるところです。また毎年開催するということ、確かに開催することにより、受講生の裾野が広がるというのはいいかもしれません。ただ、ジョブコーチ、職場適応援助者としての活動、それを中心にしていくジョブコーチを養成するのか、一体何なのかということで、裾野の広がりすぎということは、質の低下ということにもつながるということを危惧 しています。

 私どももいろんな各地域で声も掛けられたりもすることも多いわけですが、この開催に当たっては「地域の受入体制」と「費用面」の 2 点は課題となります。特にマル1の地域の受入体制というのは、開催地域の核となる機関の存在というのが必要になってくる。他の地域で開催される場合には、これは非常に大きな問題となっています。

 それと、実習の受入事業所の確保の問題があります。 8 時間の時間を確保して、各地域の、この実習の受入れというのは、これはジョブコーチ、職場適応援助者における支援の実際という科目になっています。単なるこれは、企業での雇用の見学ではないわけですので、本当に先ほども少し触れましたが、実際に各地域で、一定の地域で他地域と開催が重なってる。研修修了者がその地域で核になる。さらに、 2 号の方たちなどは、今度は受け入れる側になって、研修を実際に理解している方たちが、ジョブコーチの受入れとか、ジョブコーチはこうなんだということを伝えていくということは行っているわけです。その点から見ても、本当に受入事業所の確保というのが非常に難しい問題ではないかと思っています。

2 番目にある、事務局とか講師の移動費用とか、事前の打ち合わせ等、これは研修の趣旨を理解していただくということで非常に大事なことかと思っています。地域での開催は、前向きに考えつつも、地域開催のニーズというのはどのくらいなのか、どのようなものなのかというのは検討を要する点ではないかと思っています。連絡会の地域開催時の開催要請を受けた団体へのアンケートについては、別途の資料として、いろいろ声をまとめさせていただいてます。それも併せて後ほど御覧いただければと思います。

3 番になります。第 1 号ジョブコーチを養成する際の課題です。まず、大前提ですが、一番上に書かせていただいていますが、課題としては第 1 号、第 2 号研修を民間の研修機関が修了したけれども、助成金を活用しての活動数が少ないということは課題であると、もちろん思っています。

 一方で、今まで私たちの養成研修機関がいろいろやってきた就労支援の基礎研修とジョブコーチの知識・方法・技術を各地域で広げてきたということは、これは非常に重要なことではないかと思っています。今後も就労支援の裾野を広げていく、数を増やしていくことはもちろん重要です。同時に、単に数を多くするだけではどうなのかということです。量的な増加 ( 裾野の広がり ) とセットとして、以下の点が解決策として求められるということは、ローマ数字1の質的な問題と重複もしますが、やはりマル1として、認定法人自体が増えていくことは、 1 号が活動する上で一番必要だと思います。

 マル2として、ジョブコーチ支援事業の紹介もそうですが、全国各地で意外と「認定法人」自体が各地域で知られてないという実態もあるのではないかと思います。ジョブコーチについては、地域の身近な所で 1 号の認定法人で、ジョブコーチを配置していますよということを知らせていくことも重要ではないかと思います。

 マル3は、ローマ数字1番の大きな所にもありますが、上級ジョブコーチの制度的な検討です。 1 号が広がっていけばいくほど、スーパーバイズ、他機関との連携等が必要なことになっていくと思います。

 次に、 4 番として 2 号ジョブコーチを養成する際の課題はありますかという点については、実際 1 号以上に 2 号の助成金については要件が活動数としては上がっていないと。これは、第 1 回のときにも私は触れましたが、助成金として活動してる数というより、 2 号のジョブコーチの数というのは、どのように考えるかということも一つあるかと思います。ただ、そのような中で数が少ないという中で、私たちとしても開催形態自体は、今は 6 日連続、 7 日連続というのを企業の方たちについては 3 日連続の掛ける 2 というような形態ですとか、そういうことも考えないといけないと。

 また、 2 番目に他の助成金との整合性の見直し。次に、障害者職業生活相談員との整合性です。さらに、障害者雇用に取り組む企業の評価など、企業を紹介する中において、 2 号ジョブコーチが配置されている企業などが分かれば、支援期間としても「あそこの企業さんには、 2 号ジョブコーチがいるんだ」ということも分かって、 1 号と 2 号が話をする、就労支援が話をするとか、そういうことがまた周知徹底されていけばいいのではないかと思っています。

 そのような中で、ローマ数字3の「その他」、何か御意見がということですが、養成研修機関連絡会としてはジョブコーチの必要性、果たす役割の拡大などを考えると、人数を増やすことの重要性と質の向上ということは強く考えています。マル1、2、3、活動できる制度・環境づくり、継続的なスキル向上、上級ジョブコーチ、この 3 つについては、本当に大事なことであろうかと思っています。そのような中で最後になりますが、私どものくらしえん・しごとえんは養成研修機関であると同時に、認定法人として、ジョブコーチ支援事業にも取り組んできています。

 そのような中で、現場にも出たり実際どんな人たちを養成していくのかということで、やはり雇用現場においては、本当にいろんな方が働いているわけでして、障害のある人が働くだけでなく、そこで一緒に働くという人たちの、働くということに目をしっかり見つめないといけないのだろうと。それは、取りも直さず、私たち自身がジョブコーチとしてしっかり働くということを根底に据えないといけないのではないかと思うこと。それが一つと、また、ジョブコーチというのは、本当に雇用現場においてさまざまな対応を求められます。臨機応変にその都度、その都度の判断が本当にその障害のある人だけではなく、そこで一緒に働いてる方たちへの人生に関与していくような、そのような責任を負っていると思います。

 そういう意味で、だからこそプロとしてのジョブコーチというのは、本当に必要ではないかと思います。本当の最後の最後になってしまいますが、私たち自身が自らの仕事をし、しっかり働けるプロのジョブコーチこそ、私たちは養成研修機関としても養成していく、そのようなときが来ているのではないかと思います。以上をもちまして、私の報告を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。それでは、続きまして独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部次長の井口修一委員に御発表をお願いします。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。お手元のヒアリングの資料と、パワーポイントで作成した参考 1 2 の資料を使って、地域障害者職業センターの業務を担当するという立場から、御説明を申し上げたいと思います。以下、地域障害者職業センターを地域センターと呼ばせていただきます。本題に入る前に、まず参考 1 、パワーポイントの資料を御覧ください。私ども地域センターのジョブコーチ支援の現状を、簡単に御紹介させていただきます。

 まず左上の支援体制です。御存じの方も多いと思いますが、障害者職業カウンセラーが支援のマネージメントを行って、配置型ジョブコーチが直接支援を行うという体制です。右上のグラフですが、これは私ども配置型ジョブコーチによる支援の状況の推移です。棒グラフは過去 5 年間の実績の推移です。支援件数は年々増加して、 5 年間で約 2 割増加しているところです。

 それから、障害種類別には知的障害が減少して、精神、発達等の方の割合が増加しているという状況です。 6 か月後の定着率はここ 3 年、 87 %前後で推移しているという状況です。

 左側の下ですが、私どもの配置型ジョブコーチと第 1 号ジョブコーチとの連携です。左の棒グラフは、今説明した配置型ジョブコーチのグラフの上に第 1 号のみの支援の実績を追加したものです。全体の支援が増加する中で、協同支援の支援件数も年々増加しています。私ども地域センター支援の全体の約 55 %を占めているという状況です。

 右側の円グラフは、私どもが協同支援をさせていただいた第 1 号法人のほうに、「協同支援をした結果、皆さん方の今後の支援に役に立ちましたか」という調査をしていますが、「大変役に立った」 64 %、「役に立った」 33 %、合わせて 97 %の方から役に立ったという御回答を頂いています。自由記述では、ここには書いていませんが、一部「とても忙しそうで、なかなか連絡がつかない」という御意見もありましたが、「カウンセラーの方と連絡を取り合い、支援の方向性や支援の仕方についてかなり勉強になりました」という意見もたくさんいただいています。

 右下は「ジョブコーチ支援を推進するための取組」として 4 点あります。 1 点目は左上から、支援推進協議会の定期的な開催です。県内のジョブコーチにお集まりいただいて、ケーススタディ等によるノウハウの共有や連携方法等の検討を行っているところです。 2 点目は協同支援の推進ということで、先ほど申し上げたような状況ですが、協同支援を積極的に行っているということです。 3 点目は左下、精神障害者、発達障害者に対する支援の重点化です。 4 点目はセーフティネットとして、第 1 号ジョブコーチの支援が及ばない地域での支援の実施などを行っているところです。

 それでは、元のヒアリングの資料に戻っていただいて、御説明を申し上げたいと思います。大きなローマ数字1の「質的課題」の 1 、特定の障害についての支援課題についてです。精神障害者の支援課題としては、皆さん御存じのように、従来の知的障害者主体の支援モデルというのが、例えばこれはイメージかもしれませんが、横にジョブコーチがついて仕事を分かりやすく教えるとか、あるいは最初、集中的に支援をして、徐々に支援頻度を減らしていくというモデルがありますが、精神障害者の現状の支援を見ていますと、職務遂行の支援というよりも、マル1疲労・ストレス・体調のセルフマネージメントに関する支援ですとか、マル2職場での状況を振り返り、自身の課題や認知特性の気づきを促し、課題改善のための相談や不安軽減のための相談による支援が重要になっているという状況があります。

 ですから支援頻度も、最初は多く段々少なくなるというよりも、最初から定期的に週に 1 2 回とか、それが最初から最後まで続くという状況が見られます。そういう意味では支援モデルというのが、従来とは少し変わってきているのではないかという考えを持っています。

 発達障害者についても、今申し上げたマル1マル2に加えて、発達障害者特有のコミュニケーションの支援ですとか、職場のルール等の理解に関する支援が課題になっていると考えています。

 それらの支援課題への解決方法についてですが、 4 点あります。まず 1 点目は、今申し上げたとおり、精神障害者の障害特性に合わせた支援モデルを再検討する必要があるのではないかと考えています。そういうことから私ども地域センターでは、来年度から 2 年間、精神障害者の雇用促進・雇用継続のためのモデル事業というのを、今考えています。これは企業が安心して精神障害者を雇用していただくために必要な支援を一貫して行うという視点から考えているものですが、その中で精神障害者のジョブコーチ支援モデル等についても検討することを予定しています。 2 点目、 3 点目は当然のことながら、そういう支援課題にノウハウを持った方からのスーパーバイズ、あるいは支援技術に関する研修を行うということです。

 もう 1 点は、他の委員からも御指摘があったかと思いますが、医療機関との連携が重要です。特に何といっても主治医との連携が必要だと考えています。私ども地域センターでは職場復帰支援、リワーク支援と呼んでいますが、そういう支援の中で最初の支援計画を作る段階から、御本人、企業、主治医に参画していただいて、その後、支援期間中、主治医が必要があれば支援者や、あるいは企業の方に直接アドバイスをしていただくという仕組みを取り入れています。精神障害者の雇用支援にも、そういう仕組みが必要ではないかと考えていますので、 1 点目に申し上げたモデル事業の中で、主治医が、例えば企業に直接アドバイスをしていただけるような仕組みというものも、試してみたいと考えています。

 次に視覚障害者の支援課題です。年間の実施数はそれほど多くはありませんが、やはり事務作業の支援が主体になるということもありますので、就労支援機器・ソフトの活用を含む事務作業環境の設定等に関する支援に、専門知識が必要なケースがあるということです。

 それから、聴覚障害者の支援課題についてですが、筆談や文章理解が苦手な方の場合は、コミュニケーションに関する支援に特別な配慮が必要なケースがあるということがあります。このような支援課題に対しては、私どもの機構では所沢と岡山県の吉備に広域センター、これは職業評価から職業訓練まで実施している施設ですが、そこで重度視覚障害者や聴覚障害者を受け入れて、職業訓練をやっています。そこでのノウハウも含めて、ノウハウの蓄積を更に進めて、そういうノウハウを広めていくというのが重要だと考えています。

2 番目は、機構の関与がなくても単独でできると思われる業務ということで、第 1 号ジョブコーチのみによる支援の実施、ジョブコーチ支援計画の作成、あるいは研修講師、経験が浅いジョブコーチへのスーパーバイズというものが可能だと思っています。

3 番目はジョブコーチ支援の要否の判断についてですが、最初のポツは、私どもの地域センターでのやり方として、障害者職業カウンセラーが判断をしているということもありますので、フォローアップ期間経過後の一時的な支援についても、ジョブコーチが迅速にニーズを把握して、カウンセラーがケース会議を行った上で、カウンセラーが支援の要否を判断することにしています。

 問題は今後の企業からの支援ニーズに、どのように対応しなければいけないかという観点だと思いますが、そういう点については、支援要請への迅速な対応という面と、それから支援の必要性、これは要否と言うよりも、どのような支援が適切なのか、ジョブコーチ支援だけが支援ではありませんので、それ以外の支援も含めて、どのような支援が適切かという両方の観点から、検討する必要があるのではないかと考えています。

 ローマ数字2が「量的課題」です。養成研修の要件緩和については、これは当然のことながら、質を確保するためには相応の実績のある法人が研修を行うのが重要だと考えていますので、要件緩和の検討においても、この考え方を踏まえた検討が必要であると考えています。

 それから、養成研修の地域開催の問題ですが、私どもの養成研修は、御存じのように障害者職業総合センターと、各都道府県の地域センターで行っています。また、ここには書いていませんが、一定の経験者を対象にしたスキル向上研修というのも、障害者職業総合センターで年 1 回、ジョブコーチの種類ごとに行っています。

 問題は多分幕張の総合センターで行う養成研修だと思うのですが、これを例えば首都圏以外の大都市での開催ということも、以前検討した経緯はありますが、既に民間の養成機関がやられているということ、あるいはコストの非効率さ、そういうことから当機構が新たな地域で養成研修を開催する必要性は、今のところ低いと考えています。

3 は第 1 号ジョブコーチの養成課題ですが、研修の中身と言うよりも、やはり第 1 号ジョブコーチ認定法人の管理者の半数以上が、これは障害者職業総合センターの調査研究の結果で出ていますが、制度面の課題として、月ごとに活動日数が変動するので、常時雇用が難しいなどの理由を挙げられています。このようなこともあり、他業務を兼任する第 1 号ジョブコーチの方が全体の 9 割を超えているとか、あるいは多くの法人では、人事異動等により、 4 年以内に第1号ジョブコーチがその職務から離れる状況が見られます。したがって、第 1 号ジョブコーチの量的拡大を図るためには、このような課題について検討する必要があると考えています。

 それから 4 番目、第 2 号ジョブコーチの養成課題ですが、私どもの養成研修は、第 2 号のジョブコーチ助成金の活用を前提として受講していただいていますので、年間受講者数は非常に少ない状態が続いています。受講者の方のお話を聞きますと、ジョブコーチになるということも当然目的であるとは思いますが、ジョブコーチ的視点を持った支援ノウハウ、雇用管理ノウハウの習得を主目的として、受講されている方も少なくない状況が見られますので、そのような状況をどのように考えるかという視点が必要だと思います。

 ローマ数字3「その他」です。 1 点目は配置型ジョブコーチの状況 ( 全国・地域別 ) ということで、小川委員から御要望がありました件について、パワーポイントの 2 枚目、参考 2 で御説明します。上が全国の状況、下が地域別の状況です。まず全国の状況の、配置型ジョブコーチ 1 人当たりの年間担当平均数が 17.6 人です。

 協同支援等の状況は、これは全国のデータですが、配置型のみが全体の 36 %、協同支援が 44 %、第 1 号のみが 20 %となりますので、配置型ジョブコーチが関与している支援、これをカバー率と呼ばせていただきますと、配置型のみと協同支援を合わせた 80 %が、全体の配置型ジョブコーチのカバー率ということです。

 右が経験年数ですが、 5 年以上の方が全体の約 60 %、 3 年以上までを見ますと、全体の 73 %という状況です。同じデータを地域別に示したのが下のものですが、左から人口規模によって、大都市地域、中規模地域、小規模地域に分けています。人口が多い 1 番目から 5 番目を大都市地域の 5 センター、中規模地域は人口の 22 番目から 26 番目の地域、小規模地域は人口の 43 番目から 47 番目の地域、各 5 センターの同じデータを示したものです。

 ジョブコーチ 1 人当たりの年間担当平均数は、御覧のとおりほとんど 17. 何人台という、同じような水準です。協同支援の状況ですが、 3 つの円グラフを比べてみますと、大都市地域に比べて中規模、小規模と、配置型のみの割合が高くなっているというのが、お分かりになるかと思います。配置型のカバー率は、中規模、小規模とも 90 %前後です。協同支援の割合は、これは推測ですが、第 1 号ジョブコーチの配置数の状況によって増減するというところがあるのではないかと考えています。経験年数を地域別に見ますと、大都市地域に比べて中規模、小規模のほうが、経験年数が明らかに長くなるという傾向が見て取れます。

 元の資料の「その他」の所に戻ってください。「その他」の 2 つ目の○、精神障害に関係する養成研修の内容、これは金塚委員から御要望のあった点ですが、現行の養成研修では、障害別の「障害特性と職業的課題」において、そういう講義を実施していますし、その他、それ以外のコマでも精神障害者の事例を取り上げることがあります。また、今後、各種講義・演習に、精神障害者支援に関する内容を増やす方向で調整を行うことにしていますし、特にスキル向上研修については、このようなことを進めてまいりたいと考えています。

3 つ目の○は、都道府県内の支援ニーズに対応したコーディネート機能の強化ということですが、今後予想される企業からの支援ニーズの増大に適切に対応するためには、個々の支援機関がバラバラに動くのではなく、都道府県内の支援ニーズを実施機関が共有し、協同支援等のコーディネート機能を充実・強化する必要があると考えています。そのため、先ほど御紹介しました、地域センターが開催する「ジョブコーチ支援事業推進協議会」における協同支援等のコーディネート機能を一層強化することが必要ではないかと考えています。

4 つ目の○は、企業担当者への学習機会の提供です。これはこの研究会の前の研究会でも、報告書に記載されていることですが、改めて第 2 号ジョブコーチの養成研修の受講状況を見ますと、障害者を雇用する企業の担当者が学習する機会をもっと増やす必要があるのではないかと考えています。

 最後に資料にはありませんが、前回、小川委員から御要望がありました、配置型ジョブコーチの勤務形態について御説明します。配置型ジョブコーチには、通常の勤務時間のほかに、早出勤務と遅出勤務の 3 つの勤務時間を設定しており、支援時間の必要に応じて、早出をしていただいたり、遅出をしていただいているという状況があります。私からの説明は以上です。

 

○松爲座長

 最後に、大妻女子大学人間関係学部人間福祉学科教授の小川浩委員から、発表をお願いいたします。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川です。今回は、通常のヒアリングに加えて、職場適応援助者養成研修機関連絡会としてのヒアリングのまとめを発表させていただく機会を与えてくださいまして、委員長並びに事務局に感謝を申し上げます。

 私は NPO 法人ジョブコーチ・ネットワークの代表をしておりますので、今回は、職場適応援助者養成研修機関連絡会としての発表ということになります。当連絡会では以下の 4 か所、大阪、北海道、愛知、福島、ここでヒアリング会議を開催しました。そのヒアリングでは、当連絡会が作成したヒアリングシート、この内容は組織の基本情報であるとか、ジョブコーチの配置状況や支援の状況といった基礎情報に加えて、特に現状でジョブコーチ制度に対して感じている課題、制度の改善についての必要性の要望、そのような内容になっております。そうしたヒアリングシートに沿って、各機関に発表していただきました。

 今回は、その結果を 1 本にまとめることは困難ですので、職場適応援助者養成研修機関連絡会として、それらの意見をベースにまとめたものを発表します。お手元の資料の後半は、各ヒアリングで出された意見の代表的なものを例示したものですので、後ほど御参考にしていただければと思います。個別のヒアリングシートについては、非公開を希望されているものもありますので、個別のヒアリングシートに関しては、参考資料として後ほど厚生労働省にお出ししたいと思っております。

 内容ですが、以下 7 点に整理して、要点を発表いたします。まず「助成金の問題」です。助成金については、現行の 1 号ジョブコーチの助成金では、規定の職員定数外で人員を雇用してジョブコーチを配置することは難しい、困難という意見が圧倒的に多くありました。また、同時に就労移行支援事業所等の定数内の職員は、ジョブコーチ支援を兼務できないという規定がありますので、これも加えると、ほかの財源で 1 号ジョブコーチの人件費を十分補填できる組織でないと、 1 号ジョブコーチを配置することは困難ということになってまいります。 1 号ジョブコーチの量・質の担保には、基本的には助成金額を増やすか、これも人件費を十分補てんするまで金額を増やすのは難しいかと思いますので、一方で兼務禁止を緩和するか、どちらかが必要という意見が大変多く出ておりました。

 また、今年度は、 1 3 月期の支給請求を翌年度まで待つよう指示がありましたが、これはやはり 1 号ジョブコーチの認定法人からすると、 1 号ジョブコーチに対してどのように給料を支払えばよいのかということで、運営上の大変重要な問題であると。安定財源の確保を是非お願いしたいという意見が出ております。

2 点目で、 1 号ジョブコーチについて、様々なので、ここでは 3 つのタイプに整理をして、後ほどのディスカッションにつなげていきたいと思いますが、 1 つが地域型です。これは専ら地域のジョブコーチ支援のニーズに応えるもので、その地域からのジョブコーチ支援ニーズはナカポツであったり、地域障害職業センターからの紹介が多い。ナカポツ配置が多いのですが、移行支援事業に配置された 1 号ジョブコーチが専ら地域のニーズに対応しているという所もあるようです。

2 つ目は移行支援完結型で、これは移行支援事業所に配置されていて、専ら自分の所の施設の利用者の移行支援だけを行う。地域からのニーズについては、ほとんど応えないというタイプです。 3 つ目がバランス型、若しくはミックス型ということで、自施設の移行支援と、地域からのニーズの両方に取り組むと。ただ、どちらにウエイトを置くかは、それぞれ機関によって特色があるということです。

3 点目で「地域型ジョブコーチの拡充」ですが、以上のような 3 つの整理を前提にすると、やはり各地のヒアリングで共通していた問題は、特に地方において、県庁所在地からちょっと離れると、地域にジョブコーチが不足しているということです。各地で配置型ジョブコーチがかなり長い移動距離をカバーして活躍なさっている様子、またそこでペア支援でいろいろスーパーバイズをしていただいているという様子もありましたが、中央から離れた全域をカバーすることで、一定の限界はあるように感じます。

 質の高いジョブコーチが、一定の圏域ごとに存在することが必要という意見が多くありました。この地域型ジョブコーチを一定の圏域に、どのように存在するようにするかという具体策ですが、これについてはナカポツに配置したらどうか。あるいは、ナカポツにジョブコーチの配置を義務付けたらどうかという意見もありました。ただ、一方で今、ナカポツの業務量は大変多くなって、業務量的にいっぱいであるとか、あるいはこれ以上、赤字事業を抱えることは難しいとか、それを敬遠する意見ももちろんありました。また、既に就労移行支援事業等で地域型ジョブコーチの役割を担っているところもありますので、地域型ジョブコーチの所属先をどのようにするか。地域型ジョブコーチの前線基地をどこに置くかということについては、今後、様々な観点から検討が必要かと思います。いずれにしても、この地域型ジョブコーチは、地域のニーズに安定して対応することが求められますので、現在の 1 号ジョブコーチとは違う仕組み、すなわち年間の収入予測ができて、専任で人員配置が可能な方法が望まれると考えられます。

4 番目は、「ジョブコーチの支援力向上」についてです。これは処遇、 On the Job Training(OJT) 、それから研修の 3 点から考える必要があると思います。処遇は経験年数や支援実績等に応じて、助成金額が上がる仕組みが必要であると、認定法人から意見がありました。特に先ほど申し上げた地域型ジョブコーチについては、経験豊富で実績のあるジョブコーチが配置されるよう促進策をとる必要があると思います。この地域型ジョブコーチについては、経験年数、あるいは年数だけではなくて、支援の回数とか、そうした実務経験と上位研修、これは後ほどシニアジョブコーチという言葉も使いますが、シニアジョブコーチに応じた研修です。そのようなものを要件として、助成金額又は委託費が上の種別になることが望まれます。

 次に、 OJT ですが、これは職業カウンセラーや配置型ジョブコーチによるスーパーバイズを、今後も十分活用するとともに、地域における OJT 力の強化も必要かと思います。先ほど配置型ジョブコーチの状況について御説明がありましたが、やはり配置型ジョブコーチの業務量が年々増えていて、そこにかなり限界が出ているのではないかと思います。シニアジョブコーチの役割に、地域の 1 号ジョブコーチのスーパーバイズを位置付け、地域でシニアジョブコーチと 1 号ジョブコーチ間でペア支援が行われることを通して、地域のジョブコーチ支援力の向上を図っていくことが必要と考えられます。

 研修については、先ほど申し上げたシニアジョブコーチという処遇向上策と一体的に、それに対応する上位研修を位置付けて、通常の 1 号ジョブコーチの研修と差別化を図ることが必要かと思います。また、このシニアジョブコーチ研修については、現在の 1 号ジョブコーチ研修も、助成金で稼働しないものも受講可能となっていますが、同様にシニアジョブコーチについても、その制度の下で活動しなくても、要件を満たせばこの研修を受講できて、研修を修了している、シニアジョブコーチを持っていることに価値を持たせることが、全体の就労支援の支援力向上にもつながっていくのではないかと考えられます。

5 点目は、「精神障害者等の支援に向けて」です。これは様々な意見があった中から、精神障害者の支援力向上につながるようなものをピックアップしました。第 1 点がフォローアップの問題です。ジョブコーチ制度の下でのフォローアップをより長期的に、柔軟に行えることが重要であるとされています。現行の制度については、 1 年間のフォローアップ期間修了後も、ニーズが上がったときに支援に動こうとすると、手続の問題とか、助成金の対象範囲なのかの判断等で、タイムリーに動けないという状況があるという意見もありました。 1 年間のフォローアップ期間が終了した後も、一定頻度の職場訪問、危機介入等を柔軟に行える仕組みが必要だと思われます。そもそもフォローアップ期間を延長したほうがいいという意見もありましたが、フォローアップについては、やはり期間を現状のように定めておいて、それを過ぎた後も必要な支援があれば、とにかく柔軟に動けるような仕組みを作ればいいのではないかという意見もありました。

 続いて、アセスメント期間の問題です。精神障害の方の場合には、これまで以上にアセスメントを丁寧に行うことが適切なマッチングと定着につながります。そういった意味で、事前支援の段階で、資料に書いてある様々な支援がありますが、これらについて支給対象に位置付けてほしいという意見も多く出ておりました。ただ、障害者雇用納付金という財源の対象となるものは何かとか、慎重な検討も必要かと思いますが、改めて見直しが必要かと思います。もう 1 点、これらは精神障害だけに限定した取扱いとすべきではなく、全ての障害に効果的な修正かと思いますので、全ての障害に共通したものとして修正されていくことが望まれます。

6 点目は、「助成金支給対象及び区分等の修正」です。ジョブコーチ支援に関連する活動は多岐にわたっており、請求事務とか支援計画の作成、支援ツールの作成、記録、現場でジョブコーチが支援したり、あるいは移動以外にも、ジョブコーチはかなりたくさんの時間を支援に費やします。実際には、これらの活動のうち助成金対象にならない活動が多くありますので、もう一度、助成金対象の業務はどういうものなのかについて見直しをお願いしたいという意見があります。

 次に、時間区分の修正ですが、これもある意味、精神障害の支援強化につながる問題です。精神障害者等の支援では、短時間の支援を 1 日に複数回行う性格の支援が増えてまいります。したがって、例えば 2 時間程度を 1 単位として、 1 日に複数回の短時間支援を行った場合には、 1 単位×支援の箇所数ということで算定をしていただくような方法、幾つかの具体的な案が考えられるかと思います。やはり支援の箇所数が増えると、それぞれの支援計画、それぞれの準備、それぞれの記録、そのような業務量が増えますので、それは箇所数ごとに算定をしていただきたいという意見です。また、こうした短時間の支援以外に、特に初期の集中支援では、 6 時間以上 8 時間以内のような支援も多くありますので、それも含めた支援の見直しをお願いしたいということです。公的機関の支援要請が増えておりますので、公的機関の場合には現在の 1 号助成金は対象になりませんが、何らかの特別措置を御検討いただきたいということです。

 最後に、「 2 号ジョブコーチについて」です。 2 号ジョブコーチについては、他の助成金との併用ができないために、非常に多くの企業が、助成金としては他の助成金を選択して、 2 号の助成金には魅力を感じていない。一方で、これまでも企業様から御意見を頂きましたが、研修としては 2 号ジョブコーチのようなスキル、専門性を身に付ける必要性が上がっているように思います。特例子会社等を中心に、研修としてのニーズは高まっており、民間の研修機関では 2 号ジョブコーチの申込者が非常に増えております。研修としての普及・受講の促進を図ることが望まれます。今後、特に合理的配慮の提供に関連して、助成金全体の見直しも行われるかと思いますので、助成金というこの視点からは、 2 号ジョブコーチ助成金と障害者介助等助成金等の整合性整理、それから 2 号ジョブコーチ研修を普及させる方向での研修要件の整理、この辺が必要かと思われます。

 また、現在、 1 号研修修了者は、一定の実務経験があれば 2 号助成金の対象の要件とみなされるのに対して、 2 号研修修了者は、 2 号の実務経験があっても 1 号助成金の対象とはみなされないような、一方通行があることに対して、 2 号ジョブコーチから、この方向性について双方向、平等にしていただきたいという意見も上がっています。以上、発表を終わらせていただきます。ありがとうございます。

 

○松爲座長

5 名の方々から発表が終わりましたので、限られた時間ですが、この後、質疑応答等をやりたいと思います。今 5 名の方々を見ていますと、最初の岡元委員及び成澤委員は企業側の意見ですね。企業の方々と、今言った鈴木委員以下についてはジョブコーチ等々の話になりますから、まず、最初の企業側からのヒアリングに関しての御質問、御意見等ありましたらということで、先にそれを進めたいと思いますので、皆さんどうぞ御自由に御発言をお願いします。玉栄委員、企業の点に関して何か補足することがありますか。

 

○玉栄委員

 玉栄です。特に意見ということはないのですが、ここに 3 企業そろっていますが、企業の形態とか文化とか、やっている業種によって、これほど要求するものが違うのだということを実感しました。配置型の存在が必要な所も多ければ、 1 号がほしい所もあれば、うちのように機密保持が非常に厳しいと、 1 号に入っていただくことが難しく、 2 号の必要性を感じていたりといった、今、社会が多様化しているので、やはり 1 号ジョブコーチ配置型、また先ほど小川委員がおっしゃっていた地域性といったものをいかしたことが網羅できると本当にいいのだなということは実感いたしました。

 

○松爲座長

 松爲でございます。岡元委員のほうで、先ほどの資料にない補足であったのですが、相談員 4 名が入って、ジョブコーチが入っていますと。 2 号ジョブコーチ以外に相談員 4 名がいますね。企業の中での役割分担みたいなものは、何か考えていらっしゃるのですか。

 

○岡元委員

 まず、生活相談員の位置付けですが、 1 回の受講をして修了すると、生活相談員という、認定をいただけると思うのです。でも、その後企業の中で育てていかないと、その場だけの受講内容だけでは実際、非常にもの足りないものがあると思うのです。そういうことで、私どもは社内で、先ほども触れましたが、支援委員会の中で中心的な役割を担ってもらったり、チームもありますので、そこで勉強した方が少なくとも障害者特性や対処法を学び。各職場に配置されているわけですが、ほかにジョブコーチもおります。

 あと、同じように学んで、その制度を導入して 15 年ぐらいたちますので、全社員に近い人が支援委員会の経験者です。経験者ということは、そんなに深い知識がなくても、障害者自身と関わっていく、知的障害者にはどのように対応すればいいのかとか、以前、てんかんの人もおりましたし、てんかんが起きた場合にはどのようにするとか、精神障害の人も体調不良があります。過去に、 5 年以内で辞めてしまったりというケースもあり、その事例に携わった人もおります。体系的に生活相談員の人を社内で教育を続けるということではないのですが、場合によったら生活相談員のフォローアップ研修などをやってもらうと、生活相談員の意義といいますか、質が上がって、スキルアップできるのではないかと考えています。

 

○松爲座長

 成澤委員にちょっとお聞きしたいのですが、今言った岡元委員と違って、ある 1 つの企業だけではなくて、全国に店舗を展開しているではないですか。そのときに、例えば障害者雇用に関するノウハウとか、精神に関するトラブルなどは、会社全体のノウハウとしてどういう格好で集約してしまうのですか。それぞれの店舗ごとに独自にそういった問題はあったにしても、本社は本社の人事部全体でそういったノウハウを蓄積するようなシステムはないのでしょうか。

 

○成澤委員

 全国に今、配置というか、雇用している中で、最初の入口としてここの店舗に配属したとするときに、人事、私のほうから店長に説明をする際に、何か問題があったら自分の所に抱えずに、会社全体としてハートフルプロジェクトを行っているので、まず人事に相談しましょうということで、その問題点が、すぐその場で相談がいろいろ私のほうにきますので、いろいろな経験からこうしたほうがいいと。会社の問題であれば、すぐに解決できる問題であればそこで解決しますし、それではなくて、やはりもっと根本的な障害の特性などといったことであれば、もちろんすぐ支援機関の方を呼ぶとかといった方法で、もっと討議をするという場を設ける形なので、全国にいろいろ配置、雇用している中で、いろいろな問題点は人事には一応、相談をということで話をしてもらっています。

 

○松爲座長

 各店舗のバックアップ機能として、人事がコンサルタントではないけれども、そういう形にはなっているということですね。

 

○成澤委員

 はい、そうです。

 

○松爲座長

 なるほど、分かりました。ジョブコーチ関連のことについて、皆さん、御意見、御質問等ありましたらどうぞ。清家委員、何かありますか。

 

○清家委員

 清家です。小川先生の報告の中で、「精神障害者等の支援に向けて」というところで、話を聞いていると、ジョブコーチが行う範囲と、私たちナカポツセンターの職員が行っている範囲が同じというか、近くなっていて、その辺はどうなのかなと思いながら伺っていました。ジョブコーチ、地域の支援機関の職員それぞれの役割をどのように考えていけばいいのか疑問に思いました。

 

○松爲座長

 小川委員、何かありますか。

 

○小川委員

 今回のヒアリングに限らず、各地の様子を見ますと、本当に地域によってあるいは法人によって、ナカポツの役割範囲、それからジョブコーチの役割範囲、随分違ってきていますよね。こういう検討を通して、ナカポツの基本的な在り方と、ジョブコーチの基本的な在り方というのは、一度、確認をすることは必要かと思いますが、基本的には各地域がそれぞれの地域の社会資源の状況などを見ながら、それぞれの制度を使いこなして必要な支援を行っていくというのが、地域の就労支援の在り方かと思います。また、東京と大阪の違い、それから本当に社会資源がない地方での支援の違い、いろいろ差があることは、ある意味致し方ないというか、それがあってもいい。ただ、基本としてはこういうものだというのを、もう少し固めていったほうがいいのかもしれないと私も思います。

 

○松爲座長

 鈴木委員、何かありますか。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木でございます。 1 つだけ、逆に言いますと、就業生活支援センターの支援員の関わり方とジョブコーチがどう関わるかということ。特に私たちなどは、ジョブコーチの現場でも最前線で、絶えず定期訪問とおっしゃられましたが、定期訪問の頻度もそうですが、そこで一緒に働く人、パートの方たちとかいろいろな従業員の方、奥の深さとか、それが微妙に違うのかなと、私自身はそれぞれの地域によってはあるのだろうとは感じます。深さとか浅さとか広さということで、今、小川委員もありましたが、地域差においてどこが違うのか。でも、やはり基本となるところはきちんとここだというところは、こういう研究会で論議されて、整理されていくことは、逆に私自身も期待するところではあります。以上です。

 

○松爲座長

 岡元委員どうぞ。

 

○岡元委員

 小川委員がおっしゃった中で、 2 号ジョブコーチについての助成金とコンサルタントの助成金とのバッティングによって、申込み受講者が少ないというお話だったと思うのですが、私どもからしますと、助成金が目的ではなくて、スキルを磨くために企業にジョブコーチを置きたいという理念で申し込んでいるのです。助成金は別物ではないかという考え方ができたら、永久資格とは言いませんが、対象者が仮にいなくても、社内でいろいろな問題が起きたときに対応できるような、少なくとも社内でのプロフェッショナルを育てるためには、助成金だけの問題ではないような資格を与えていただいたほうがいいかなと思いました。

 

○松爲座長

 先ほど井口委員も指摘したことですね。そうなると、企業に対する研修をどう作っていくかということになりますね。なるほど。小川委員、何かありますか。

 

○小川委員

 おっしゃられているとおりで、多くの企業様は、助成金としては職業コンサルタント等のほうを選ばれるけれども、研修としては 2 号ジョブコーチのニーズがかなり上がっていると認識しておりますので、実際に多くの企業様が先ほどおっしゃられたような考え方で、 2 号ジョブコーチを捉えているのだと思います。

 

○松爲座長

 今のお話を聞いていて、小川さん、どうですか。いきなり振って申し訳ないけれども。

 

○石原委員 ( 小川代理 )

 確かに社内でジョブコーチ、 2 号ジョブコーチがいらっしゃる所に対して、私たちも話がすごくしやすいですし、窓口がはっきりしていて、日常の様子、仕事の様子が分かりやすいというところでは有り難いと思っています。そう考えると、社内で 2 号ジョブコーチがたくさん広がっていただけると、ナカポツの負担ではないのですが、やりやすさは増えるかと思うので、そういったところを高障機構で拡大していただけるといい部分でもあるなと。それは全国で是非やっていただきたいと、今お話を伺いながら感じました。

 

○松爲座長

2 号ジョブコーチについては、どうしてもそういうことがある。一番大きな問題は、 1 号ジョブコーチの扱いですよね。これをどうするか。何人かの委員にお話しましたように、育成等々を含めていろいろあったのです。例えば鈴木委員の話をしますと、ちょっと質の低下を招くことがあるから、ノウハウを蓄積されていないことに関して、養成の緩和、講習要件の緩和ということが困難だ、難しいと。ただ、一方では、量的にも質的にも、とにかく数をどういう格好で増やしていくか。それが一方で大きな課題になりそうな気がするのです。そこのところはどういう格好で、アイディアか何かであるのでしょうかね。これは小川委員も含めて、この委員会か研修会か何々研究会が、責任を持ってある程度考えていただけると有り難いのですが、どうでしょうか。まず、鈴木委員のほうから。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木でございます。今、本当にそこの数をどうやって増やす。しかも、質を上げつつというところについては、本当に一番の頭を悩ますところだと思っております。ただ、今 1 つだけ感じているのは、確かに養成研修、ジョブコーチを養成するということはありますが、就労支援全体に関わる人たちが、この間、圧倒的に数が増えてきていると。そこが問題の 1 つ、整理されないといけないところではないかと。

 実際、就労支援の基礎研修という形で、本当に余りにも整理されないようなところがあるので、やはりジョブコーチスキルが非常に重要だという、これは 1 つ大事なことだとは思っております。それでの研修の受講ニーズということ。ただ、そうなると本当に経験のない方たちが、いろいろな相談支援であるとか、就労にちょっと関わるようになったから、それを知らないといけないのでという形で、ジョブコーチ、そのようなことで研修受講、そういう人たちがどんどん増えていくときは、それは当然、質の問題として、量は確かに増えるかもしれませんがということだと思います。ですから、一定の研修のそれぞれの層であるとか、その辺は整理をしていくところではないかとは思っております。以上です。

 

○松爲座長

 なるほど。小川委員、どうですか。

 

○小川委員

1 号ジョブコーチの研修については、民間のほうでもかなり数は増やしてきています。そして、地方で開催させていただいて、それも同じ地域で複数、開催したりすると、受講者の方たちの層が、就労支援に直接携わる方たちではなく、その周辺のジョブコーチに興味があって、何かに使えたらという方たちの受講層も入ってきております。これを考えますと、裾野を広げることは重要なのですが、裾野を広げるための研修で、 1 号ジョブコーチ研修がどこまで広がったらいいのかということが課題になります。

 一方で、本来 1 号ジョブコーチ研修は、ジョブコーチとしての専門研修という性格を持っておりますので、現状の数と開催地のバランスは、裾野を広げるための研修とジョブコーチとしての専門研修のちょうど真ん中辺のバランスをとったところを、何とかキープしている状態かというように個人的には考えています。

 それから、数を増やすことについては、恐らく研修の話ではなくて、助成金で活動するジョブコーチという視点が必要かと思います。今回のヒアリングをして改めて感じたのが、一定の圏域の中に安定したジョブコーチがそれなりの数存在することが、まず重要かと思いますので、ただ数を増やすということではなく、一定の圏域にどんどん異動してしまうのではなく、それなりの安定性を持ったジョブコーチをどのように配置したらいいかという視点で、助成金の在り方を検討していくことが必要かと思います。

 

○松爲座長

 井口委員、 1 号に関しての在り方、あるいは研修の在り方に関して、もし御意見がありましたらお願いします。

 

○井口委員

1 号ジョブコーチを量的拡大するための意見は、先ほど申し上げた課題があると認識しております。ですから、例えば私どもの立場から見ると、地域センターから離れた所の地域に支援が必要であれば、できれば近くの 1 号ジョブコーチが支援に入るのが望ましい場合もあるわけですが、それがないと、どうしても私どもが行かなければいけない。そういう意味で、そういう地域に 1 号ジョブコーチを増やすための努力を我々もしているところなのですが、なかなかそれが進まないという現状があります。

 

○松爲座長

 併せて井口委員にちょっと確認しておきたいのですが、参考資料 2 を見て、非常に関心のあるところです。 1 号ジョブコーチの経験年数と配置型ジョブコーチの経験年数は、極めて違うではないですか。配置型の場合ですと、 5 年以上の人たちはもうここで 6 割近くですよね。ところが、 1 号に関しては、もう 5 年以上は 20 %行くかどうか。言い換えますと、配置型ジョブコーチは、それだけ地域のベテランの人たちが優先的に配置されているという格好で理解していいのですか。この違いは、どう理解すればいいのだろう。

 

○井口委員

 私どもの配置型ジョブコーチは、古くからずっと勤務をしていただいている方が多いわけですが、何年で区切って交代させるとか、そういうことは一切しておりませんので、勤務していただける方には引き続きやっていただくということで、こういう結果が出ているということです。 1 号は、これは調査研究結果でも明らかなように、多くの法人で人事異動でジョブコーチを代えているという現状があるようです。

 

○松爲座長

 私は勘違いしているのですが、例えば先ほど言いましたシニアジョブコーチというか、小川委員が言ったような地域型ジョブコーチ、ああいう形で地域のベテランのジョブコーチをコンサルタントとかスーパーバイザー的なものにおいて、それでもってこういった未経験の人たちに対する、 1 号ジョブコーチに対する、更にフォローアップ研修といった機能を果たすために、今、経験年数のベテランの配置型ジョブコーチがそういった機能をできるかなと思ったのですが、それは難しいという話なのですか。言い換えると、今言った小川委員とか鈴木委員に確認しますが、配置型ではなくて、いわゆるスーパーバイズ的な形のジョブコーチをどういう格好で育成し、どういう格好で配置するのがアイディアとして出てくるのだろうか。そこのところを皆さんにお聞きしたかったのですが、これはどう考えればいいのだろう。

 おっしゃるように量的な確保と同時に、質の担保をしなければいけない。質の担保をするときに、もちろん一方では上級のジョブコーチがいるにしても、スーパーバイズ的な形のものがもっとあって然るべきだという気はするのですけれどもね。そういったことはできるのでしょうかね。どうでしょうか。ちょっと難しい質問で申し訳ないけれども、もしよければ皆さんのアイディアを。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木です。的確なお答えになるか、本当にイメージの段階かもしれませんが、井口委員の参考 1 の資料ということであるように、地域センターは、障害者職業カウンセラーの指導の下で配置のジョブコーチが動いていく形のときに、イメージなのですが、カウンセラーが全国転勤の中で、本当に地域の実情というものが。どちらかというと職業センターは地域センターで横軸的な全国展開。それで、地域の 1 号などは縦軸といいますか、本当に地域のところでの長年の。 1 例を挙げますと、例えば 2 年、 3 年で異動されていった場合、前のときの経過とか地域の実情などを、職業センターのカウンセラーがもう 1 回、自分の中で咀嚼し直さなければいけないとか、そのようなことでのタイムラグであるとか、地域性という問題。そこをうまくやっていったときに、今、松爲先生がおっしゃられたように、配置型ジョブコーチの経験が長いから、それですぐさま地域のことを指導できるかどうかというところについては、まだいろいろな工夫など必要ではないのかと、そんなことを個人的には感じております。

 

○松爲座長

 小川委員どうぞ。

 

○小川委員

 本当にこの委員会でもう少し時間をかけて検討をしていくことになると思うのですが、配置型ジョブコーチのところに経験年数が高い方たちがいて、 1 号と差があるというのは歴然です。配置型ジョブコーチが地域の 1 号ジョブコーチを育てる形で、いろいろ活動してくださっていて、地域の 1 号ジョブコーチにはそれを必要としている地域も多いことも事実だと思います。ただ、全体の今の状況としては、ジョブコーチの手法でいうと、ある程度育ってきたらだんだんフェードアウトして自立してもらうことができずに、その手前である程度育つと、あるいは育つ前に人事異動が起きて、 1 号ジョブコーチが代わってしまうということで、配置型の業務量がどんどん上がっている。

 そこで様々な限界が出ているということだと思いますので、今回、地域型のジョブコーチの必要性を提案させていただいたのは、全ての地域の 1 号ジョブコーチの、例えば助成金単価を上げるとか、そこの身分保障を確実にするというのは、財源的にも現実的にいろいろ難しい問題があると思いますので、地域の中に少しターゲットを定めて、配置型ジョブコーチのスキルを移転できる。地域の中のスーパーバイザーを育てるという意味で、この地域型ジョブコーチという名称を使わせていただいています。そこには、今の 1 号ジョブコーチの助成金ではやや人材の安定が難しいので、何らかの別な方策をとり、そこの配置の基地をどこにするかということで、ナカポツなのか、それとも移行支援事業でやれている所なのか、そういうところは様々な検討が必要だろうなと感じています。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口でございます。先ほどカウンセラーの人事異動という話も出ましたが、 2 3 年で代わるからスーパーバイズができないという一面的な見方は、ちょっとどうかなという気がしております。私どもの参考 1 の資料の有用度調査にもありましたように、私どものカウンセラー、配置型ジョブコーチによるスーパーバイズがお役に立っているという方が大多数ですので、その辺は誤解のないようにお願いをしたいということと、もう 1 点よろしいでしょうか。

 小川委員の資料の中に、私どもに対する御意見もいただいておりますので、それは私どもとして真摯に受け止めて、もし誤解があるなら誤解を解く努力をしなければいけないと考えております。一つ一つコメントするつもりはありませんが、助成金の中で、これは私が知る限りですが、例えば支援計画の策定が助成金の対象外と書かれていますが、それは全くの誤解だと思います。これは小川委員の誤解ではなしに、そういう意見を言われた方の誤解だと思いますので、念のため申し添えます。

 

○松爲座長

 ジョブコーチに関して、やはり清家委員と小川委員、最後に何か御質問、御意見等ありましたら、せっかくですからどうですか。ないですか。申し訳ありません。時間がほぼ予定どおり来ましたので、これにて第 3 回目の委員会を終わりたいと思います。長い時間、お疲れさまでした。事務局から何かありますか。日程等をお願いします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 次回ですが、第 4 回は 11 26 ( ) になります。これまでの委員の皆様からのヒアリングを踏まえて、ジョブコーチの在り方について、御議論いただくことを予定しております。以上です。

 

○松爲座長

 これをもちまして、本日の研究会を終了いたします。長い時間お疲れさまでした。ありがとうございました。


(了)

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