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2013年11月8日 第35回医療部会

医政局

○日時

平成25年11月8日(金)13:00~15:07


○場所

厚生労働省省議室


○議題

○医療政策企画官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第35回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席くださいまして、まことにありがとうございます。
 まず、本日の御出欠について御報告申し上げます。
 遠藤委員、大西委員、尾形委員から御欠席との連絡をいただいております。
 また、今村委員よりおくれて御出席をされるとの御連絡をいただいております。
 それでは、議事に入ります前にお手元の資料の確認をさせていただきます。
 お手元に、議事次第、座席表、委員名簿のほか、
 資料1 チーム医療の推進等について
 資料2 「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」における議論   
    の状況について
 資料3 医療事故に係る調査の仕組み等について
 資料4 平成26年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)
をお配りしています。
 また、荒井委員提出資料、参考資料の1から4までをお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。
 それでは、議事に入りますが、以降の進行は部会長にお願いしたいと思います。
 報道の方で、冒頭カメラ撮りなどをしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(報道関係者退室)
○永井部会長 では、議題に入ります。
 「チーム医療の推進等について」議論をお願いいたします。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。
○医事課長 医事課長でございます。
 資料1「チーム医療の推進等について」をお開きいただきたいと思います。
 2ページをごらんいただきたいと存じます。「法律改正に係るチーム医療推進会議の検討結果について」ということでございますが、これまでの議論といたしましては、平成23年当部会におきます意見の中で、各医療職種の役割分担を見直し、チーム医療を推進していくべきであるといったところが触れられております。また(2)にございますように、看護師、診療放射線技師等の業務範囲について、意見として取りまとめをいただいております。
 次の3ページをごらんください。8月6日、国民会議の報告書の中でも、真ん中あたりの下線ですが「医療職種の職務の見直しを行うとともに、チーム医療の確立を図ることが重要である」。
 それから一番下の行ですが「医師の業務と看護業務の見直しは早急に行うべきである」といったことが盛り込まれております。
 4ページでございますが、「『法制上の措置』の骨子について」の中におきまして、「3医療職種の業務範囲及び業務の実施体制の見直し」について、盛り込まれています。また、一番下ですが「必要な法律案を平成26年通常国会に提出することを目指す」と、このように書かれているところでございます。
 次のページをごらんください。5ページでございます。これまで、チーム医療の推進につきましては、下の2ですが、平成22年の医政局長通知におきまして、医師以外の医療スタッフが実施することができる業務を整理した通知をお示ししております。
 また、23年6月には、「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的な事例集」を取りまとめております。
 また、23年から今年度にかけまして、チーム医療の実証事業、推進事業といったものが行われておりまして、これらにつきましては、後ろのほうの20ページ、21ページに、その事業について概要をお示しさせていただいております。
 このように、チーム医療の推進につきましては、種々取り組んできたところでございますが、5ページの上段のほうになりますが、「チーム医療推進のための検討体制」といたしまして、チーム医療推進会議を置きまして、そのもとに推進方策検討WG、看護業務検討WG、それぞれにおきまして、そこに書いてありますような内容につきまして、御検討をいただいておるところでございます。
 このチーム医療推進会議における検討結果といたしまして、6ページに取りまとめをしておりまして、大きく5点ほどまとめております。
 1つ目が「特定行為に係る看護師の研修制度の創設」でございます。
 診療報酬のうち、実践的な理解力等を要し、かつ高度な専門知識及び技能を持って行う必要のある行為、特定行為を明確化するとともに、医師等の指示のもと、プロトコールに基づき、特定行為を実施する看護師に係る研修制度を創設するということでお取りまとめいただいております。
 「2.の診療放射線技師の業務範囲の見直し」ですが、これは検査に伴い必要となる造影剤の血管内投与等の行為について、診療の補助として医師の指示を受けて行うものとして、業務範囲に追加する。
 「3.臨床検査技師の業務範囲の見直し」ですが、これはインフルエンザの検査の際の鼻腔拭い液による検体採取などについては、その後の検査と一貫して行うことによりまして、高い精度と迅速な処理が期待されることから、診療の補助として医師の具体的指示を受けて行うものとして、業務範囲に追加する。
 「4.歯科衛生士の業務実施体制の見直し」でございます。
 これはフッ化物の塗布や歯石除去等の予防処置について、歯科衛生士が歯科医師の「直接の」指導(立ち会い)のもとに実施することと現在されておりますが、これを歯科医師の指導のもと、歯科医師との緊密な連携を図った上で歯科衛生士がこれらの行為を行うことを認めるといった方向でまとめています。
 このほか、法律の条文の中に「女子」という言葉が出ておりますが、男性の歯科衛生士もふえているといった状況を踏まえまして、「女子」という言葉を「者(もの)」に改める改正ということも盛り込まれております。
 「5.患者(居宅)における薬剤師の調剤業務等の見直し(参考)」とありますが、これは法律ではなくて省令事項でございますので、参考としておりますが、在宅医療を行う上で、薬剤師が患家(居宅)において実施可能な調剤業務として、処方した医師または歯科医師の疑義照会を行った上で、調剤量の変更を行うことを追加するなどの見直しを行うといったものでございます。
 若干補足として、次のページ以降で御説明させていただきます。
 次の7ページをごらんください。「特定行為に係る看護師の研修制度について」でございます。
 この特定行為につきましては、一番上の○の4行目ですが、この特定行為の具体的な内容については、省令等で定めることとしておりますが、この具体的な内容につきましては、法律が通りましたならば、その後に設置される予定の常設の審議の場におきまして、検討した上で決定するということで考えたいと思っております。
 次の○のポチですけれども、医師等の指示のもと、プロトコール、プロトコールというのは手順書でございますけれども、これに基づきまして特定行為を行おうとする看護師につきましては、厚労大臣が指定する研修機関において、指定研修の受講を義務づける。それから、指定研修の受講が義務づけられていない、特定行為を行う看護師については、医療安全の観点から、保助看法上の資質の向上に係る努力義務として、研修を受けることを追加する。
 それから3つ目の○ですけれども、大臣は研修機関の指定を行う場合については、審議会の意見を聞く。
 また、特定行為に応じた研修の枠組み、教育内容であるとか単位等につきましては、指定研修機関の指定基準として省令等で定める。これにつきましても、審議会で検討した上で決定したいということでございます。
 最後の○ですけれども、厚労大臣は指定研修を修了した看護師からの申請によりまして、当該研修を修了した旨を看護師籍に登録するとともに、登録証を交付するといったものでございます。
 なお、※にありますが、指定研修機関における研修を修了したことの看護師籍への登録は、あくまで研修を修了したことを確認するためのものでございまして、国家資格に相当するものではないといったことでございます。
 次の8ページ、9ページにつきましては、チーム医療推進会議で、この3月29日に特定行為に係る看護師の研修制度としておまとめいただいた内容についておつけをしております。
 10ページをごらんいただきたいと思います。
 看護師以外の職種に係る部分でございまして、先ほど申し上げた診療放射線技師の業務範囲の見直しにつきましては、2の改正内容の1は、先ほど申し上げたところですが、それ以外に2の下部消化管検査に関する業務、3の画像誘導放射線治療に関する業務についても、それぞれここに書いてある業務について追加をする。その下ですけれども、このほか、診療放射線技師がX線検診車でX線撮影を行う際に、医師または歯科医師の立ち会いを不要とすることにつきましては、検診車におけるX線照射のリスクについて検証をした後に検討していきたいと考えております。
 また、※ですが、上記のほか、23年の部会でもお示ししておりますが、画像による診断のための装置を用いた検査として、RI検査、核医学検査を追加するといったこともございます。
 3ですが、検査等の関連行為を安全かつ適切に行うために、教育内容等につきましても、所用の見直しを行っていきたいと考えております。
 11ページ「臨床検査技師の業務範囲の見直しについて」でございます。
 これも、先ほどインフルエンザ等の検査については御説明いたしましたが、そのほかの検査といたしまして、2の2と3にございますような、表在組織から皮膚などの直接採取、あるいはスワブを用いて肛門部から便を直接採取する、こういった行為につきましては、検査と一貫して行うといった観点から、診療の補助として検査技師の業務の範囲に追加するといったことを示しております。教育内容等の見直しについては、先ほどの診療放射線技師で御説明した点と同じでございます。
 12ページは、先ほど御説明した「歯科衛生士の業務実施体制の見直しについて」でございます。
 13ページにつきましては、薬剤師の調剤業務等の見直しということでございます。
 ここまでが、チーム医療の推進に係る御説明でございまして、「その他の資格関連に係る見直しについて」ということで、14ページ、15ページにお示しをしております。
 まず、15ページをお開きいただきたいと存じます。まず初めに「外国医師等の臨床修練制度の見直しに係るこれまでの議論」とありますが、これは23年12月の当部会におきまして、既にお示しをさせていただいておりますけれども、現在、臨床修練制度といったものがございますが、これについては、厳格な審査を前提として、手続面での簡素化を図るべきである。また、臨床修練に加えまして、教授・研究の中で外国の医師等が診療を行うことを認めるべきである。高度な技術を持った医師の診療についても認めるべきであるといったことが示されております。
 また、日本再興戦略におきましても、5の2の下から4行目でございますけれども、「臨床修練制度」については、医療法等の改正法案の一部として今年度中に提出するといったことで盛り込まれているところでございます。
 具体的な内容につきましては、16ページ、17ページにお示しをしておりますが、まず16ページにございますとおり、年限の弾力化につきましては、現行許可の有効期間につきましては、最長2年間とされておりますけれども、例えば大学院に進学されて、一般的に4年というようなこともございますので、そういった正当な理由があると認められる範囲、最長2年間ですが、許可の有効期間の更新を認めることとしてはどうか。最長2年プラス2年の4年といったことで見直してはどうか。
 それから「手続・要件の簡素化」といったところでございますけれども、これは2つ目の○にございますが、現在は本人の要件の確認、それから修練に来られたドクターの指導を行う指導医についても個別に認定をしておりますが、これを受入病院の責任におきまして、外国医師等の能力水準であるとか、あるいは指導体制等について、その病院の責任において行うという仕組みに改めるとともに、大臣が関与する手続等の簡素化を図るといったこととしてはどうかということでございます。
 次の17ページでございますが、3つ目の見直しにつきましては、現行は医療の研修を目的に来日される医師を受け入れておるところでございますけれども、今後、例えば高度な医療技術を有する外国の医師などが日本に来られて、日本の医師等に対して教授するために来日するケース、あるいは日本の研究者と共同して臨床研究を実施するために来日するケース、こういったことも想定されますので、受入病院が一定の要件を満たす場合には、現行の臨床修練制度と同じように認めてはどうかということでございまして、具体的な内容につきましては、下の左側の表にございますような要件、こういったものを満たした場合については、教授・臨床研究を目的とした医師の受け入れを行ってはどうかといった内容でございます。
 続きまして、18ページでございますが、これは「歯科技工士法改正に関する資料」とありますが、歯科技工士の国家試験の全国統一化でございます。
 現在、歯科技工士の国家試験につきましては、都道府県知事が行うといったことになっております。しかしながら、3つ目の○ですが、近年、インプラントなどの精密な技術が必要とされる歯科技工物の需要が増加しておりますが、地域によってはこのような高度な技術に係る試験問題を作成できる試験委員の確保、それから出題をすることが困難な状況にあるといった状況を踏まえまして、改正の方向性としては、国が実施するように改めてはどうか。それが1点目でございます。
 また、試験実施の体制でございますが、改正の方向性でございますけれども、大臣が実施することとされております歯科技工士国家試験を指定の試験機関においても実施できるようにしてはどうか。また、歯科技工士の登録の実施等に係る事務を指定の登録機関においても実施できるようにしてはどうかといった改正の内容についての御提案でございます。
 説明については以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 御質問・御意見をお受けしようと思いますが、その前に、荒井委員から御意見が出ております。この件に関するところだけ、まず御説明いただけますか。お手元の資料がありますが、チーム医療に関するところの御意見をお願いいたします。
○荒井委員 恐縮ですが、1枚紙、表裏がございますが、1が、表題が間違っております。「都道府県」ではなくて「チーム医療の推進」ということでございます。3つパラグラフがございますので、この部分を意見として申し述べさせていただきます。
 ここに書いてございますが、医療行為が必要となる現場が、医療機関内だけでなく、在宅、居宅、老健施設等多様になっているように思います。一方、医師不足とか、医師の過酷な勤務環境が続いておりますので、改善を要する事態が存在していると思います。今回、「チーム医療」という概念のもとでの医療関係職種の業務範囲の見直しと協働を提案されておりますのは、喫緊の課題と思います。
 他方、ADRという仕組みが、法律関係の紛争処理のために用意されました。このADRの仕組みができるときに、参議院議員として関与したことがあるのを比べますと、失礼な言い方でございますが、医療のほうがオールターナティブの行為を進展するのには多少おくれているように思って見守っておりました。法制上「チーム医療」の体制を確立していただくのが重要かと思うところでございます。法律のほうは、非弁行為の代替策措置を各法で確立するのが続いてきておりますが、この医療のほうでは、医師不在の現場における医療行為の代替措置を法制上確立するというようにもお見受けいたしますので、極めて大事なことが、今、議論されているように思います。
 その中で、具体的な項目が上がっております。医師の業務負荷軽減のための特定行為に係る看護師の研修制度の創設と、研修修了者の看護師籍登録は極めて大事だと思います。その他の技師などの業務範囲、業務実施体制の見直しは必要であろうかと思いますので、この点、チーム医療推進会議の考え方を支持したいという意見でございます。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、御質問・御意見をお願いします。
 はい、中川委員。
○中川委員 今の特定行為についてなのですが、看護業務検討WGがまとめた案、41だと思いますが、これは10月28日付で日本麻酔医科学会から緊急声明が出るといったことなど、これから慎重に検討しなければならない項目が結構あると思うのです。この案の位置づけなのですが、あくまでも、これはたたき台という認識でいいのかどうか。そうあるべきだと思っていますが、その確認です。いかがでしょうか。
○永井部会長 事務局、御説明お願いします。
○看護課長 看護課長でございます。
 委員御指摘のとおり、10月29日のチーム医療推進会議で、それまで検討してまいりましたワーキング・グループの案として、41の特定行為案が報告されたところでございます。今後、法律が改正されました後に設置された審議会での議論のたたき台として、案として了承されたものでございます。したがって、特定行為の範囲につきましては、関連学会の御意見、また、プロトコールの試行事業をしておりますので、その結果も踏まえて、改めて審議会の場で議論して決定をしていく予定でございます。
○永井部会長 はい、どうぞ。
○中川委員 わかりました。よろしくお願いします。
 もう一つですが、7ページの一番最後の○に「厚生労働大臣は、指定研修を修了した看護師からの申請により、当該研修を修了した旨を看護師籍に登録するとともに、登録証を交付する」とあります。そして、「国家資格を新たに創設するものではない」とわざわざ※で書いてあるのですが、これはどうして看護師籍に登録することが必要なのでしょうか。これは文脈的に無理があると思いますが、御説明をお願いします。
○永井部会長 はい。
○看護課長 指定研修につきましては、プロトコールに基づいて、特定行為を行う看護師に課せられた法的義務ということを考えております。ですので、研修修了によって、その義務を看護師が履行したという法的効果が発生するものです。
 特定行為の内容は、将来見直されるということも想定されますし、また、研修機関や学会、民間の主体が登録を実施してまいりますと、その組織の解散ということも想定されます。看護師籍というのは、看護師の名簿で、国が持っております名簿でございますけれども、そこで研修修了の情報を一元的に管理して、そして登録をしたということの証明として登録証を交付することが望ましいと考えております。医師の場合も、臨床研修を修了された場合、医籍にその旨登録されているということもございます。
○永井部会長 はい、どうぞ。
○中川委員 医籍登録は、ほぼ全ての医師が登録するのです。ここに書いている看護師籍は、研修を修了した人と、していない看護師と、2つのグループができますね。そこで、医療機関内で、あなたは看護師籍に登録している看護師ですね、あなたはしていない看護師ですねということになります。その問題点は想像できませんか、看護課長。
○看護課長 問題点というところをもう少し詳しくお聞かせいただきたいと思っておりますが、研修の義務がかかる方については、登録。
 もう一方で、指定研修を受けずに、医師の指示のもとで特定行為を実施する方については、研修の努力義務が課せられるわけですけれども、義務が課せられた方について登録をするということです。
 実際には、医師が指示をする場合、その看護師に能力があるかどうかということは、一例一例、その場その場で医師が能力を勘案して、プロトコールに基づいて指示を出す場合は、研修が修了している看護師に指示を出すということになるかと思っております。
○永井部会長 はい、荒井委員。
○中川委員 ちょっと待ってください。続きです。
 私が心配しているのは、登録している看護師、登録していない看護師、准看護師と、看護師が3種類に分類されて、そして一番上が登録している看護師、その次がしていない看護師、准看護師というような階層ができる心配があるのではないか。医療機関内で差別感が生じるのではないかという心配をしているのです。それについてどうですか。
○永井部会長 看護課長、どうぞ。
○看護課長 今、看護業務を行う者としては、看護師と准看護師とございますけれども、指定研修を修了した看護師というのは、資格ではございませんので、3種類になるということは考えておりません。
○永井部会長 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 医療のほうで、この特定行為、ADRが進まなかった原因をかいま見るような気がいたしますが、看護師さんの医療の特定行為を受ける側からすると、「あなた特定行為できる研修受けたのですか」と聞いたときに、曖昧では困るのです。利用者の方から見たら、これは必要な行為だと思います。
 それと、これは、看護師さんは嫌がっている制度なのですか。看護師さんが望んでおられると、私聞いていますが、看護師さんが望んでおられる制度を医師のほうからいちゃもん入れるというのは、何か変な現場だなと思います。
 以上です。
○中川委員 部会長、今言われましたことに答えさせてください。
○永井部会長 ちょっと広く。山口委員、どうぞ。
○山口委員 患者の立場から見ますと、実際に看護師が今、行っている行為の中に、診療の補助に含まれるかどうかが曖昧、不明なままになっているものがあると書いてあるのですが、やはりそれを明確にして、きちんと研修を受けた方であるということを明確にしていただくほうが、患者にとっても安心につながるのではないかなと私は考えております。今まで何もかも全て医師に集中していたことで、現場の疲弊感につながっていたということからしますと、やはりこれからもう一歩進んだチーム医療ということでは、これは患者の立場の安全を確保していただくためにも不可欠かと思っております。
○永井部会長 では、藤本委員。
○藤本委員 この制度では、まず最初に研修を受けられた看護師さんに対して、その都度具体的な指示を行うか、それともいわゆるプロトコールに基づいた包括的な指示を行うかということは、ドクターが判断することとなっておりますから、資格を持った看護師さんがイコール全部包括的な指示で動くと決まっているわけではない。つまり、最終的な裁量権はドクターにあるというところで、安全性は担保されると私は思っております。やはり、在宅とか、なかなかドクターが現場に来られない、タイムラグができてしまうような現場では、看護師さんが包括的な指示のもとに患者さんに対応できるということは、患者にとってもとてもよいことだと思いますので、ぜひこの制度を推進していただければと思います。以上です。
○永井部会長 山崎委員。
○山崎委員 特定看護師の特定行為は、専門看護師の業務と、認定看護師の業務との線引きはどういうふうにするのですかというのが1点。
 それともう一点は、特定看護師が特定行為を行って、医療事故が発生したときの責任は、指示をした医師なのか、実際に業務を行った看護師なのか、どちらなのでしょううか。
○永井部会長 特定看護師という名称はありません。特定行為の研修を終えた人ということですね。その上で、看護課長、今の質問にお願いします。
○看護課長 専門看護師、認定看護師、今、1万人以上の方が活躍されておりますけれども、これは日本看護協会による認定制度です。この研修制度案は、特定行為についての研修制度ですので、指定研修を修了した看護師と、現場では混乱が起きないように整理すべきだと思ってはいますが、この特定行為をプロトコールに基づいて実施するために研修を受けた看護師で、専門看護師、認定看護師は、別の役割を持って活躍されていると考えております。
○山崎委員 認定を受けた看護師というのは、専門看護師とか、認定看護師の業務と明らかに違うということですか。
○看護課長 専門看護師や認定看護師の方が、プロトコールに基づいて特定行為を実施しようというときは、指定研修を受けていただく必要があります。
○永井部会長 つまりこれは、包括的指示を受けるためには、それなりの研修を受けるということですね。ですから、具体的指示であれば、一定の研修は必要ですけれども今回議論されている特別な研修は必要ないということになります。
○山崎委員 それと2番目の質問について。
○永井部会長 はい、どうぞ。
○看護課長 2点目の御質問ですけれども、事故が起きた場合ということですけれども、これについては、司法判断によるものですので、一概にお答えはできませんが、特定の行為というのは診療の補助です。事故が発生した場合には、包括的指示をした医師と、その指示によって患者の病態の確認をして、特定行為を実施した看護師で、それぞれの行為内容における過失の程度で個別に判断されることになると思われます。
○永井部会長 今村委員。
○今村委員 この制度を実際に現場で運用するときにぜひお願いしたいことは、先ほどから、患者さんにとって大事な制度だというお話が非常にありましたが、その看護師さんが特定行為の研修を受けた看護師であるのか、あるいは具体的な指示に基づいて医療行為を行う看護師なのかということは、正直言って、そのままではわからないということがあります。
 それから、患者さんからすると、最終的に審議会でふえたり減ったりするのでしょうけれども、自分が受けている医療行為が今41ある特定行為なのかどうかなどということが本当にわかるのでしょうか。これは、ある看護師さんが行った場合に、今、自分は、特定行為を行える研修を行った、看護師籍に登録されている看護師が行っている特定行為なのか、そうではなくて、具体的な指示に基づいて、医師の指示で行っているのかなんて判断はできないわけですね。ただ、こういうところでは、皆さんよくわかっている方が議論している話なのですが、そうではなくて、実際医療を受ける方たちというのは、そんなことはわからなくて、我々が言っているのは、本当に安全な行為なのかどうかということをきちんと研修の中で、そして審議会の中で決めてくださいということを強く申し上げているということだけは、御理解いただければと思います。
 それから、荒井委員が先ほどおっしゃった、全ての看護師さんが、全ての行為を賛成されているわけでは決してなくて、結構医療界もそうですし看護界も、いろいろな意見が多様に分かれているというのが現状です。したがって、慎重に行っていただきたいということだけ申し上げておきます。
○永井部会長 はい、山口委員どうぞ。
○山口委員 確かに、患者が理解できるかというと、そんなことは理解できないという方も多いと思います。ただ、だからと言って公表する必要はないということではないと思いますので、このような特定行為によって、研修を終えた看護師がおりますということは、ぜひ医療機関の中で公表していくべきだと思います。ただ、今、そういう研修もないままに、曖昧なままに行われているところと、そうではないところがあるのだとしたら、それがどういう問題点なのかということを、こういう項目をしっかりと立てた上で、安全性をきちんと確保できるような研修をしていただくことが安全につながるのではないか、そういう思いでおります。
○永井部会長 議論の始まりのときに、チーム医療はどうあるべきかという議論と、現実に行われているところをどう整理するかという問題があったものですから、項目を明確にして、教育もしっかりしましょうということだったと思います。
 菊池委員、どうぞ。
○菊池委員 チーム医療については、推進すべきと考えておりまして、看護師だけではなく各職種の役割拡大について期待をしております。こちらの特定行為に係る看護師の研修制度につきましては、3年にわたり、調査や試行事業を踏まえて議論が重ねられて、推進会議の結果をいただいております。安全で質の高い医療を受けたいという国民のニーズに責任を持って応えるためには、ぜひ制度化していただきたいと考えております。私どもも、看護職当事者として、またチーム医療の一員として、ほかの職種と連携をとりながら、さらに役割を発揮できるように力を尽くしたいと考えております。
 それから、今度こういう研修を受ける方がいるということで差別感が生まれるのではないかというお話もございましたけれども、それにつきましては、既に看護師と准看護師で明らかに免許が違うということで、それなりの役割を発揮しておりますし、これまでも専門看護師、認定看護師という、国家資格ではありませんけれども、違う教育を積み重ねた人たちと同じチームの中で医療を提供しておりまして、それぞれの役割、何ができる人かということがわかっていれば、強みを生かして活躍していただくというチームのとり方をしておりますので、プロトコールで特定行為ができる看護師が明確になれば、それはそれで、チームとしてきちっと連携をとってやっていくことができると思っております。既に、業務試行事業などで実施をしておりますと、そこができているという結果が得られておりますので、もし制度化されましたら、御心配の点は、こちらとしても、きちっとやっていきたいと考えております。
 以上です。
○永井部会長 加藤委員。
○加藤委員 ちょっと論点がずれるかもしれないのですけれども、私は、この研修を受ける看護師さんがたくさんふえることを望みます。
 それはどういうことかというと、いつもここで話し合われておりますけれども、地域、または過疎地域で医師が不足しているという状況において、こういう能力を持った看護師が、医師の一定の指示のもとに、医師のやる仕事を看護師ができる体制ということなので、これは多分、最初は、せっかくこういう看護師さんができても、大きな病院にしか配置されないのではないかと私は想定しているのです。でもそれは非常にもったいないことで、やはり医師が過疎しているような地域、または医師不足をしているところに、ぜひこういう看護師さんたちが活躍して、地域医療に活躍していただきたいと私は考えます。
○永井部会長 はい、では手短にどうぞ。
○花井委員 特定行為を行う看護業務の範囲の拡大には、私も基本的に賛成したいと思います。さまざま意見が出されていますが、キャリア形成ですとか、キャリアアップの観点からも重要ではないかと思います。ただ、現場に強制されるのではないかという不安感があることも間違いなく、そのことにつきましては、以前この場で確認したところ、強制するものではないということでしたので、十分な研修と現場への周知をお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、放射線技師につきましても、カテーテル挿入について、大変不安の声が寄せられております。それもあわせまして、研修と職場への周知をお願いしておきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 では、樋口委員、続いて邉見委員。
○樋口委員 いやいや、花井さんが何度も手を挙げられているのが目立たなかったので、アシストというか。では一言だけ。
 先ほど、今村先生がおっしゃったことというのは、本当にそのとおりで、この問題が本当に患者にわかるか、それから何かができたときに患者にわかるかというのは、なかなか難しい問題だと私も思います。だからこそ、7ページ目のところですが、これがスタートすると、これで審議会ができるわけですね。そこに「医師、歯科医師、看護師等の専門家により」と書いてありますが、やはり社会に向けて発信するという意味では、この「専門家により」という中に、やはり何らかの形で社会にアピールするような方も一人は、一人と限らなくていいのですが、とにかく入れておくのがよろしいのではないかなと、今村先生の意見を聞いて思いました。
○永井部会長 邉見委員。
○邉見委員 先ほど、加藤委員がおっしゃいましたように、我々、地方の自治体病院は医師不足で非常に悩んでおります。動機不純かもわかりませんが、こういう特定の行為ができる看護師がふえることを私たちも望んで、6年前に機関決定をしております。
 それから、荒井委員がおっしゃいましたように、医師の中にも反対ばかりではないです。賛成しておる人はたくさんいます。ただ、責任とか、周りの法整備がおくれているというか、できてから法整備というものは起こるものだと思いますけれども、例えば、最後は医師の裁量権があるわけですから、それは中川先生が恐れているようなことにはならぬのではないかと。研修医が横におって、特定看護師とどちらにやらそうかと思ったら、私は、その力を見てどちらかにやらせます。それから、准看護師と看護師がおっても、看護師のほうが偉いとは私は思っていません。経験のある准看護師にやらせます。これが患者のためです。資格なんというのは全く無関係です。
○永井部会長 では、和田委員、続いて西澤委員。そろそろ次の議題に入りたいので、手短にお願いします。
○和田委員 根本的というか、確認だけ事務局にいたしたいと思います。今、歯科診療所というのは、国立がん研究センターと連携をしたり、あるいは周術期の口腔機能管理が導入されているところですけれども、地域においては、病診あるいは診診連携等の医科歯科連携がやっと実態として展開され始めているという状況です。資料1にあるチーム医療ということについて、歯科としては、当然、医科歯科連携も含まれるものと認識をしていますけれども、事務局としてはそういう認識でよろしゅうございますか。
○歯科保健課長 歯科保健課長でございます。
 先生御指摘の医科歯科連携でございますが、当然、チーム医療の推進の中に含まれていると認識しております。23年6月にチーム医療推進の基本的な考え方が取りまとめられておりますが、そのときにも医科歯科連携というのはある程度の位置づけをされるものという形でまとめられているところでございます。
○永井部会長 では、西澤委員、最後に相澤委員。先に西澤委員から。
○西澤委員 実は、この制度が始まったとき、最初、特定看護師という名称のことだと思いますが、私たちは反対いたしました。反対した理由は、要するに、看護師免許の中で、かなりの業務ができるのに、どうして教育を受けた者だけがさらにほかの業務をできるようにする必要があるのかということです。
 すなわち、私たちが主張したのは、看護師の免許があれば、ある程度のレベルのことは、例えば今回の特定行為にしても、看護師免許があれば全員ができるぐらいの教育をしてほしいという意味で言いました。
 ですから、このような制度をつくる前に考えてほしいのは、看護の基礎教育をもっと充実してくれと。きちっと充実することによって、今の看護師免許の中でできることがレベルアップすれば、この特定行為の範囲も縮まります。そのことをぜひやってもらいたいと思います。
 今回この研修制度ができることを認めたにしても、条件としましては、看護の基礎教育の充実、これを望みたいと思います。特に、今、養成所から看護大学にどんどん変わっておりますが、名前だけ大学、教育が3年から4年になっていても、実は中身はほとんど変わっていないという話も聞いております。そのあたり、ぜひ教育の充実ということはお願いしたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 相澤委員。
○相澤委員 一番の目的は、医療の安全と安心を確保するということにあるわけですから、それをきちんと担保できるような仕組みをつくっていただきたいということだと思います。それに関して、私が少し気になりますのは、やはり研修機関をきちんと認定して、そして一回認定しただけではなくて、繰り返し大丈夫かどうかをしっかりと担保していくということが私は大事ではないかなと思っておりますので、ぜひその点だけはよろしくお願いをしたいなと思います。
○永井部会長 ありがとうございます。まだ御議論おありかと思いますが、また次回引き続き検討したいと思います。
 では、次の議題にまいります。
 「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会における議論の状況について」であります。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。
○総務課長 医政局総務課長でございます。
 お手元に、横長の資料でございますけれども、「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会における議論の状況について」御報告いたしまして、御議論いただければと存じます。
 表紙の裏でございますけれども、平成23年12月の当審議会の意見書におきまして、幾つかの御指摘をいただいたということでございます。特定機能病院及び地域医療支援病院の承認要件の見直し、それから意見書の抜粋をつけておりますけれども、2つ目の○でございまして、特定機能病院につきましては、質の継続的な確保という観点から、更新制度を導入するなど、評価のあり方を検討する必要があると、こういった御指摘をいただきまして、検討会におきまして議論をしてきたところでございます。
 その過程におきまして、6月20日のこの医療部会におきまして、御審議をいただく皮切りとしまして、事務局のほうから改正案のたたき台、概要をお示しいたしました。その中にも、更新制度の導入という提案をさせていただいたという経過がございます。あわせまして、検討会では引き続き御議論いただいておりますので、その審議状況を報告するということで御説明いたしておりましたけれども、本日までに、ちょうど10月30日、先月末でございますけれども、第8回の検討会を開催していただきまして、おおむね取りまとめる方向、最終段階に来たということで、本日御報告をさせていただくものでございます。
 まず、両病院の承認要件の見直しの方向性ということでございます。
 特定機能病院につきましては、標榜科、専門医の配置、紹介率、論文数について見直すということでございます。標榜科につきましては、原則として16全ての診療科を標榜することを要件化をすること、専門医の配置につきましては、医師の配置基準の半数以上とすること、紹介率につきましては、これまで逆紹介の実施と同一の算定式で評価をしていたということでございますけれども、これを別々にいたしまして、基準値を厳格化する方向で御議論いただいているところでございます。
 また、研究の質の担保という観点では、論文数につきまして、これまでは、使用言語を問わず、年間100件以上ということでございましたけれども、質を高めるという観点から、英語論文、それから件数につきましては、さまざま議論ございますけれども、おおむね70件以上とする方向で最終的な調整をいただいている状況でございます。
 2枚目にまいりまして、地域医療支援病院の承認要件の主な見直しの方向性ということでございますけれども、紹介率につきましては、紹介患者への対応と、救急患者への対応、これを別々に評価をし、厳格化を図るという方向でございます。
 救急医療の提供につきましては、救急医療圏の5%以上、あるいは年間1,000件以上の搬送患者の受け入れを要件化する方向になっているところでございます。
 また、研修実績につきましては、地域の医療従事者への研修実績につきまして、年間12回以上という具体的な基準を設定する方向で御議論をいただいているところでございます。
 当医療部会との関係では、法律改正事項をどのようにするのかということがポイントになるわけでございます。特定機能病院の承認後の対応ということで、10月30日に事務局からお諮りいたしました資料の抜粋でございますけれども、現行制度におきましても、業務報告、立入検査等によりまして、その都度確認をし、承認要件を満たさなくなった場合には、取り消すことは可能になっているということでございます。
 あわせまして、今後、特定機能病院に対する報告徴収、立入検査等を都道府県に委譲するという議論が、現在、政府部内でなされているということでございます。一番下の参考のところに書いてございます。内閣に地方分権改革推進本部というものが設置をされまして、国、自治体の事務について、広く地方分権という観点から対応方針を議論しているということでございます。その中の一つの方向性といたしまして、特定機能病院に対する報告聴取等につきまして、都道府県の事務・権限を委譲する方向で検討されているところでございます。いわば、都道府県のお力をおかりいたしまして、監視、指導体制の充実を図っていこうということでございます。そうしたことも勘案いたしますと、また、私どものほうでも業務報告書の見直し等々行いまして、これまで以上のチェック機能が可能になるのではないかということでございます。
 こうしたことを全体的に踏まえますと、必ずしもすぐに更新制度を導入しなくとも、医療部会の意見書の趣旨に沿ったチェック機能の充実は可能ではないかということで、一応の御了解をいただいたということでございます。
 なお、その検討会におきましても、更新制の議論は、引き続き継続をするということ、あるいは特定機能病院のあり方全体をさらに見直す必要性といったようなことも指摘をいただいているところでございますので、最終的な報告書には、そうしたことも盛り込む方向で今後調整いただけるものと理解をしているところでございます。
 以上、検討会の状況を報告させていただきました。よろしくお願い申し上げます。
○永井部会長 ありがとうございました。
 それでは荒井委員に、先ほどの意見書の中で、この件に関するところを御説明いただきたいと思います。
○荒井委員 恐縮でございますが、患者さんは、やはりよい病院を求められていると思います。それを特定機能病院として監視をして、更新制度をつくっていただくことに賛成でございます。都道府県が何がしか役割を果たすことができれば、それも大事かと思います。よい病院を選んで、広くコーチする意味がございますが、反面、最初に看板だけとって悪くなる病院をどう排除するかというテクニックが必要でございます。更新制にするのか、排除機能を強化するのかという2択になると思いますが、更新制のほうがスムーズにいくのではないかと今は思っております。
 以上でございます。
○永井部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの件につきましてどうぞ。
 はい、加藤委員どうぞ。
○加藤委員 課長から、最後のほうで御意見が出たとは思いますが、確認に近い御質問になります。それと、私なりの意見を1つだけお願いします。
 高度な医療の提供を行う特定機能病院は、我が国の医療提供体制におきまして、重要な役割を担っております。特定機能病院の質の継続的な担保の観点から、法改正によって更新制度を導入すべきであるという当初の事務局案は意義があるという考えに基づきまして、私は以前、このことについて賛同の意見を述べたところでございます。
 しかしながら、当検討会での議論は、特定病院の承認要件の見直しについて検討が進められているものの、法改正を含めた特定病院のあり方そのものの見直しではないと見受けられます。
 今回の見直しが現行法の中で行われ、下のページにありますような特定機能病院の承認後の対応に記されているように、現状でも一定の承認がなされることを踏まえると、更新制度を法改正決定する必要はないというようにも考えられますけれども、当初の更新制度を法改正により導入すべきとの議論は継続されるのかどうか。いつそれを決定するのか。更新制度の必要性に関して、今後の医療施設サイドでのより一層の機能分割とも関連した上で、ぜひとも明確なお答えをお願いいたします。それが御質問であります。
 それから、私個人の意見よろしいですか。下の承認要件の件ですけれども、これは大きな問題ではないのですけれども、論文の数を、医療の質の指標となるかどうかということは非常に疑問がありますし、それが年間何件あるかどうかということも非常に問題が多いところですが、それはそれとして別に置いておいて、英論文にしたということでありますが、英論文であったとしても、私個人としては、その英論文はやはりオリジナルな原著であることと、査読をされた欧米紙に乗せられているもの、または国内の学会雑誌に掲載されたもの、そういうような論文を、論文として認めてほしいということが私の個人的見解でございます。
 それが御質問と、私の個人的な意見です。以上です。
○永井部会長 今の御質問の件いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。
○総務課長 承認要件からまず先に申し上げますと、検討会の議論では、研究論文の質を確保する観点、もちろんさまざまな角度の議論はできようかと思いますけれども、一応、英語論文に限定をし、あとは件数をどの程度とするのかということを、実態を見ながら御検討いただいているということでございます。個人的意見ということもございますけれども、まだ検討会が終わったわけではございませんので、当部会での御意見等は検討会にフィードバックをしまして、最終的に御判断いただくようにさせていただきたいと存じます。
○加藤委員 よろしいですか。その前に、このシステムでいけば、更新制度は不必要ではないかと思うのですが。
○総務課長 済みません。御質問から先ということだったものですから。
 結論から申し上げますと、更新制の議論は継続をするということでございます。ただ、今回はさまざまな観点、それから更新制度に係る国の事務負担ということも考えまして、今すぐ導入するというのは見送りますけれども、荒井委員からも御指摘いただきましたとおり、質を定期的に確保すると、これは重要なことは論をまたないわけでございますので、その議論は継続をするということでございますし、さらにあり方につきましても検討が必要でないかということで、検討会のほうでも御議論いただいておりますので、そうした形でおまとめいただけるものと考えております。ただ、いつまでということは、更新制ということになりますと、これは次の法律改正ということになりますので、なかなか現時点でいつまでに結論を出すということは、申し上げるのは難しいということは御理解いただければありがたいと存じます。
○永井部会長 白鳥委員、続いて和田委員。
○白鳥委員 この承認要件の主な見直しのところの、先ほど先生が御指摘した、英語論文が年間70件以上が適正かということで書かれているのですけれども、この数字の根拠というのが全く漠然としていて、どういう実態からこの70件というのが出てきたのかということをちょっと教えていただきたかったのです。
○総務課長 70件というのは、例えば1足す1でこうという根拠はないわけでございまして、現状の特定機能病院における論文の状況を見まして、何と言いますか、適当な、次のハードルはどの辺なのかということを各委員から御議論、御意見をいただきまして、現時点ではおおむね70件ぐらいを次の見直し目標にしていただくのが適当だろうという方向になってきているということでございますので、最終的には、次の検討会でお決めいただきたいと、事務局としては考えているものでございます。
○白鳥委員 ということは、結局70件ぐらいだったら、今までの特定機能病院はおおよそパスするという数字の考え方なのですか。
○総務課長 次のハードルですので、現状では、当然のことながら、全ての特定機能病院がこれを達成しているということではございません。達成していない病院も一定程度あるということでございますので、そこは経過措置等適切な期間中に達成していだけるように努力をしていただくという前提でございます。
○永井部会長 和田委員、どうぞ。
○和田委員 今回、特定機能病院の見直しで、病院機能の承認要件の16診療科の中に歯科を入れていただいたということは、私どもは大変感謝をいたしております。この後、私ども、もう一つ地域医療支援病院にという思いがございまして、これは、地域の中で歯科診療所が、いわゆる訪問診療を実施するということが大分実態として出てまいりました。そういう意味の後方支援として、地域医療支援病院という、いわゆる病院の中にぜひ歯科という標榜が、あるいは歯科外来はなくても、歯科が標榜されるということを大変望んでおります。
 現に、地域医療支援病院は、いわゆる373病院のうち153病院には歯科は存在をしておりません。これは、もちろん病院の先生方はおわかりのことと思いますが、余りにも不採算ということで、まず歯科というのは抹殺ではないのですけれども、要らないねという話になってまいりまして、徳島県も病院の中で1つしかないというような、これも県立中央病院がかろうじて復活したというような状況でございます。特定病院の部分でも、できれば、がんであるとか、特定疾患の部分でも、今後放射線治療、あるいは化学療法の中で、口の中は大変悪くなるというようなことも含めて、病院における口腔管理の機能も充実させていく意味合いからも、ぜひこういう地域支援病院にも歯科がかかわってくるような体制をおつくりをいただきたいということでございます。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、相澤委員。
○相澤委員 ぜひお願いしたいことは、特定機能病院にしろ、地域医療支援病院にしろ、当時つくられた目的は、もう陳腐化しているのではないかなと私は感じております。今後、この日本において、特定機能病院、地域医療支援病院が、どういう形のものがどうして必要なのか。そのミッションは何なのか。もう一度根本的に考え直す時期に来ているのではないかと私は思います。これから医療提供体制、大きく変わろうとしている中で、ここだけが別枠でいくのは、私は非常に疑問に感じておりますので、ぜひそれをお願いしたいことが第1点。
 第2点で、議論のところであった、都道府県に移行するというのは、私は論理的に極めておかしいのではないかなと思います。承認をしたところが都道府県であれば、都道府県がしっかりと審査をすべきです。しかし、特定機能病院は国が承認しています。承認した責任のあるところが、きっちりとやっているかどうかを見るのは当たり前であって、これを都道府県におろすのは、いかにもとしか思えません。
 以上です。
○永井部会長 はい、藤本委員。
○藤本委員 私も、今、相澤委員と同じことを考えていまして、都道府県に事務権限を委譲すると、ある意味、都道府県と承認を受ける病院というのは利害が一致しているところがあるように私には見えるのです。そうすると、この承認自体、要は立ち入りの検査、あるいは報告といったものが国に上がると、国としてはよほどのことがない限り、そのまま都道府県の報告どおりに承認・更新ということになると思いますので、せっかく更新制度をつくっても、その制度自体がまた骨抜きになるのではないかなという、そういう素朴な感覚を持っております。
 ですから、やはり先ほどの相澤委員の御意見のように、きちんと報告、あるいは調査といったものも含めて、国が責任を持ってやるべきであって、それを国ができないというのであれば、都道府県のようなところではなくて、何か別の機関をつくって、そしてきちんと調査をしたほうがいいのではないかと感じました。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 はい、荒井委員どうぞ。
○荒井委員 都道府県は割と信用がないということがよくわかりましたが、大事な点だと思います。それで、今回もありますし、ほかの制度でも、国と都道府県知事の役割というのは大きな議論ですので、それを議論していただくのは大変意義深いといつも感じております。都道府県にも、いろいろ地域差があることは事実でありますし、行政の地域差があることも事実でありますし、都道府県知事が一部の公立病院とぴったりしたり、医師会とぴったりしたり、けんかしたりしているのも事実であります。それが制度的に悪いようにならないようにというのは、我々の知恵の出しどころと思います。
 では、国で全部やってもらったらいいのか、国のやり方でいいのかというのか、日本の制度は国と地方がうまく組み合わさっている分野の制度は進んでいると思います。それが切って、勝手にしろとか、責任はこちらだと言い合っているところの分野の制度は、割と穴があっていかんというふうに、日ごろいろいろな分野で関係していますので、感じております。今回の議論は、国と都道府県が役割分担をしっかりしようという議論をされているようにお見受けして、とても心強く思って聞いているところであります。
○永井部会長 ちょっと手短にお願いします。
○荒井委員 ここのところは、都道府県に権限委譲する仕方によると思います。承認が国だったら、その承認の取り消しも国だと。そのときに、都道府県はその条件を維持しているかどうかという調査を任されるのだったら、調査を任すというのも、今、ほかでもありますし、その調査の結果が客観的かどうか検証する仕組みも要るかと思います。それは都道府県レベルか、国レベルかということになると思います。検証と実施を分けるというのも一つの手法だと思います。知恵が出る分野だと思います。
○永井部会長 では最後に、邉見委員。
○邉見委員 この議論に加わっている者なのですけれども、これにちょっと出ていませんけれども、第三者機関が両病院群とも審査を受けるということがありますので、多分、今御心配のようなことはなくなるのではないかなとは思っております。
○永井部会長 まだ御議論あるお方もいますが、次の議題にまいります。
 「医療事故に係る調査の仕組み等について」であります。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○総務課長 続きまして、資料3「医療事故に係る調査の仕組み等について」ということでございます。
 おめくりいただきまして、2ページ「これまでの経緯」ということでございます。平成19年以来、今日まで、間に2度の政権交代があったわけでございますけれども、前の自民党政権時代から、自民党のほうでまずは御議論をいただいたいものにつきまして、厚生労働省のほうで大綱案を示して議論してきたという経緯がございます。結果としましては、この大綱案につきましては、さまざまな懸念が寄せられるとともに、平成21年に政権交代ということもありまして、これはなかなかこのまま成案にはならないといったような結論となったということでございます。
 こうした中、平成23年以降、私ども、大臣政務官の主催ということで「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会」を設置したということでございますけれども、その中でも、その前提となる医療事故調査制度の見通しをつけるべきと、そうした意見、これを踏まえまして、今回、議題となっております仕組みの基本的な考え方を検討部会の方でおまとめいただいたという経過でございます。
 13回開催されまして、25年5月に基本的なあり方というものをまとめていただいたという経過でございます。
 その検討部会の概要は、3ページでございます。
 それから、基本的なあり方は、4ページ、5ページということでございますけれども、これから御説明します論点と当然共通しておりますので、個別の説明は省略をさせていただきたいと存じます。
 6ページに飛んでいただきまして、本日の御論議をお願いする論点ということでございます。端的に申しますと、この検討部会の取りまとめに沿って、医療法上の位置づけをお願いできないかということでございます。
 具体的には、医療安全を確保するための措置と、既に医療法の中に、医療安全の確保の措置というパートがございますけれども、そうしたところに基本的には大きく2つの事項を位置づけるということでございます。
 1つ目には、医療事故が発生した医療機関、これは病院、診療所、または助産所ということでございますけれども、まずは院内調査を位置づけるということでございます。
 2つ目に、その調査報告を民間の第三者機関が収集・分析することで、再発防止につなげるための具体的な仕組み、これを合わせて医療法上に位置づけるということでございます。
 対象院内調査、それから7ページのほうで第三者機関ということで、私どもできるだけ法律的な整理をして、法律のイメージが出るような形で文書化したつもりでございます。ただ、今後内閣法制局等々と政府部内の調整ということもございますので、一言一句というわけではございませんけれども、できるだけ法的な整理をすると、このような書き方になるのではないかということで、概要にまとめたものでございます。
 まず、対象の医療事故ということでございますけれども、検討部会の取りまとめによりまして、行った医療または管理に起因し、または起因すると疑われる死亡ということでございますけれども、法的整理をしますと、死産は厳密には死亡とは異なりますので、「死亡または死産」ということで記述をしているものでございます。いずれにいたしましても、予期しなかったものに限るということでございます。
 それから、院内調査ということでございますけれども、このような対象事案が発生した場合には、医療機関は、次のような措置を講ずるということでございます。
 1つ目に、まず遺族に御説明をいただき、後述の第三者機関に届け出なければならないこととするということでございます。
 2つ目に、医療機関は、速やかに必要な調査を行うことでございます。調査に当たりましては、都道府県の医師会、医療関係団体、あるいは大学病院等々、外部の医療の専門家に必要な協力を求めるものとするということでございます。
 3つ目に、医療機関は、調査結果を遺族に御説明するとともに、第三者機関に報告をするということでございます。
 次のページにまいりまして、第三者機関、仮称でございますけれども、医療事故調査・支援センターというふうにしておりますが、いずれにいたしましても、検討部会の報告で、独立性、専門性、中立性等を有する民間の組織ということでございますので、そうしたイメージで法律に位置づけるということでございます。
 医療事故の調査、あるいは医療機関の支援を行う、医療安全の確保に資することを目的としまして、検討部会で指摘されました業務を適切かつ確実に行うことができると認められる民間の法人を指定、あるいはそのほかの方法によりまして、医療法上位置づけるというものでございます。
 主要な業務は5項目でございます。これも検討部会の御報告に沿ったものでございますけれども、院内調査の際の医療機関からの求めに応じて行う助言、医療機関が行った医療調査の結果報告の確認・検証・分析、これはいずれにいたしましても、基本となる業務ということでございます。
 それから、院内調査の後に、御遺族、あるいは医療機関から調査の求めというものがあった場合には、この第三者機関が調査を行うということでございます。
 それから、事例を収集いたしまして、再発防止策を広く周知をしていくという意味で、普及啓発というのが4点目でございます。そのほか、関係職員の研修等々を業務として予定されているということでございます。
 2つ目の○でございますけれども、これら求めに応じて行う調査につきましては、繰り返しになりますけれども、遺族、医療機関から申請があった場合に行うというものでございまして、その結果は、遺族及び医療機関に通知をするということでございます。
 それから、この第三者機関でございますけれども、1つの団体だけでは必ずしも十分な業務ができないということも十分に想定されるところでございますので、その業務の一部を外部の医療の専門家の団体等に委託することができるという規定を設けてはどうかということでございます。
 それから、最後の○でございますけれども、この第三者機関の調査につきましては、医療機関は協力すべきものとするということでございます。万一ということだと思いますけれども、協力が得られず調査ができないといったような状況が生じた場合には、第三者機関は、その旨を医療機関名とともに公表することができるという規定を設けてはどうかということでございます。
 最後に、8ページで「留意事項」ということでございまして、必ずしも法律事項ということではございませんけれども、報告書に沿った重要な指摘を改めて記述をしたということでございます。
 第三者機関から行政への報告、あるいは警察への通報は行わないものとするということでございますので、そうした規定は設けないということでございます。
 医師法21条の件につきましては、従前どおりということでございます。
 それから、この調査の仕組みに係る議論でございますけれども、今後、ガイドラインを策定をするということでございます。既に実績のある専門団体のこれまでの事業実績、あるいは知見を踏まえながら、実務的に検討をしていくということでございます。院内調査の項目、内容、結果報告事項、院内調査の手順等々ということでございます。
 資料の最後に、従前使いましたガイドラインの検討事項の案を参考までに添付しているところでございます。
 その次のページでございますけれども、費用負担につきましても、検討部会の報告で御指摘いただいたラインに沿いまして、今後検討をしていくということでございます。学会・医療関係団体からの負担金、あるいは国からの補助金に加えまして、調査を申請した者からも負担を求めると。そうは言いながらも、制度の趣旨を踏まえ、申請を妨げることとならないよう十分配慮して検討することにさせていただきたいと存じます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○永井部会長 それでは、委員の皆様からどうぞ。
 では、日野委員、藤本委員、山口委員。
○日野委員 出席の医療関係の方には、こういうことを言うと叱られるかもわかりませんが、この事故調に関しましては、医療安全とそれから原因究明という2つのことがございます。どうも我々被害者意識を持ちがちなのは、原因究明が日本の国民性に合っているみたいで、マスコミに時に大々的に報道される、めったに起こらないような医療事故が大きく出て、しかも個人の名前が出て、責任者である院長とか理事長とか、その任に当たる者が頭を下げるというシーンが出てまいりますが、それをイメージからは外していただいて、今回の原案は、運営のやり方をきちんとしていただければ、とてもよいものになると私は思うのですが、もう一つの目的である医療安全を高めるということで、システムエラーなどで代表されるような医療安全のほうに重点を置いて、この案をうまく育てれば、病院のレベルが上がります。
 正直に申しますと、民間の中小病院で、事故調査委員会を持っているところはほとんどありません。それができていくこと自体、大変な進歩だと思いますし、その方向で進めていただきたいと思います。
 温かい思いやりというのは、決して甘くするという意味ではございませんが、犯人捜しばかりはしないよというのは、最近はマスコミも少しやわらかくなってきましたが、風潮になりますと、中川先生のお好きな「やさしい医療」という方向にいくわけで、そうなりますと、今、現実に起こっております救急の崩壊の一番大きな原因が、訴えられるということにあり、あるいはマスコミに書かれることを怖がることにあるので、それを、緩和ではなくて正当化して、客観的に書いてほしいと思います。そういう意味で評価したいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 荒井委員から御意見いただいていません。先に御説明いただいて、その後藤本委員。
○荒井委員 申しわけありません。
 今、言いたかった点を日野委員がおっしゃっていただきましたが、ペーパー出しておりますが、医療事故防止のためには、事故原因者追究のための、これは捜査になりますが、よりも事故原因発見、特定のための調査を重視するのは鉄則であろうかと思います。ちょっと不満はありますが、今回の三者機関の設立は大きな一歩だと思います。再発防止のためには、事故原因の究明と調査が大事だと、「ヒヤリ・ハット」も含めたスイスチーズの法則は、事故原因、再発防止のための鉄則でありますので、ほかの交通事故でしましたけれども、交通事故調査委員会ができて、死亡事故が1万5,000になるものが5,000を切るようになりました。これは原因が特定して、その再発防止の仕組みができてくるからであります。医療は、必ずできると思いますので、調査は特に大事だと思います。
 2つ目の点ですが、都道府県の関与の仕方ですけれども、医療法25条で立入検査ができますが、奈良県では山本病院事件という大変悪質な事故がありましたが、そのとき立入検査をしたのですが、医療法上は構造設備がいいかどうかという、こういう中途半端な権限、実は困るのです。国の手先みたいな感じで、形だけの権限というのは、知事会に大きな不満があります。実質的な責任とその監視、都道府県の医療監視というシステムをちゃんと確立していただきたいということでございますが、そのために、今度の調査委員会ができたときに、調査権限、多少なりともある調査をしたときの報告・分析を中央の集中的にデータ蓄積と分析能力の高い調査機関に運ぶことができるという仕組みをつくっていただきたいというのが、私の願いであります。
 最後に、簡単でありますが、そのような結果は、公表することによって、頭におられる遺族の方も満足される。再発はしないよということはわかりましたと。システム改善しますよというところに結びつけると。犯人捜しではなしに、システム改善こそが最も大事な目的だということで、日野委員の意見に同意しつつ、御意見を申し上げさせていただきます。
○永井部会長 では先に、藤本委員。
○藤本委員 「医療事故に係る調査の仕組み等にかかる論点(3)」で、留意事項の1つ目のところに「医療事故調査・支援センター(仮称)から行政への報告や警察への通報は行わないものとする」ということで、これは調査をきっちりするためには大変大事な配慮だなと思いました。これは検討委員会のほうに出席された方がいらっしゃいましたら教えていただきたいのですけれども、調査結果を受け取った、亡くなられた患者さんの御遺族が、司法に訴えたいというときに、資料の提供とか、そういった調査結果の司法への扱いなどについて御議論がありましたら、伺いたいのですけれども、いかがでしょうか。
○永井部会長 事務局。
○医療安全推進室長 医療安全推進室長の大坪でございます。
 これまで、13回の議論の中でもそういったお話はありましたし、検討会の中に、きょう樋口委員が委員でいらっしゃって、法曹界の観点からも御意見があったかと思います。この制度は、紛争とは全く切り離していて、本人の過失認定もいたしませんし、医療界としてまず何ができるかという立場から、御検討いただいたところですので、この制度の中で、あえて紛争という状況になった場合には、それはこの制度の外という話で、この資料に関してどのような扱い方をするかということをこの制度として制限するものではないという見解を出しております。
○永井部会長 樋口委員、追加ありますか。
○樋口委員 今のだけ、ちょっと追加ですけれども、ごもっともな御疑問であり、むしろ医療者の方から、結局何かつくっても、そういうところにつながるのではないか。大綱案のときにもそれが一番心配だと言われていたものですから。ただ、他方で、その後の動きを見ていると、もちろん私が全部の医療事故の遺族の方を知っているわけではない。しかし、患者の会の方を何人か知っていて、やはり警察に持って行って、本当に遺族に満足が得られるだろうかというと、初めに原因究明という話がありましたけれども、原因究明が警察にはできないようなものだということが広くわかってこられたのではないだろうか。本当にちゃんとしたところで原因究明をしてもらって、それが再発防止につながるのだったら、自分のところである種の犠牲が出たことも、何らかの形で報いられるのではないかという方向に行ってくださる遺族の方が何人もいらっしゃり、患者団体もいらっしゃり、それでこの方向と考えております。
○永井部会長 山口委員。
○山口委員 この取りまとめの検討部会に参加した一人として、そして、23年間、5万件を超える電話相談をお聞きしてきた立場として意見を述べたいと思います。
 第三者機関の設置が実際に動き出せば、恐らくいろいろな課題や問題点も出てくるとは思いますけれども、こういう第三者機関をつくるということ自体、患者が医療に対する信頼性を高めていく新たな一歩ではないかなと思います。特に、中立性と透明性を担保することは、今、避けては通れないことではないかと思っています。まして、院内調査と第三者調査という2つの枠がつくられました。院内調査がおこなわれ、その結果をお聞きすることで御納得される方も私は多いのではないかなと考えています。ですから、むしろ院内調査をしっかりおこない、さらに第三者機関を設置することによって、訴訟がふえるのではないかという危惧は、私は逆ではないかと思っています。産科医療補償制度ができたことによって、訴訟は実際に減っているのと同様のことが言えるのではないでしょうか。
 5万件の中には医療を受けた結果、納得いかないと訴える御相談も多く届いています。では、どうして法的な解決をお求めになるのかというと、第三者の専門家の意見を聞いたり、調査をするとなると、弁護士さんに頼むしかないのです。ですから、仕方なく弁護士のもとを訪ねている方もいらっしゃる。実際に弁護士さんが調査をするときに、どれぐらい専門家の意見を聞いていらっしゃるかというと、恐らくお一人がほとんどで、多くても2人ぐらいの意見しか聞いていらっしゃらない。今回、設置しようとしている第三者機関では、おそらく複数の専門家の方が議論して調査することになると思いますから、より客観的な報告が期待できるのではないかと私は思っています。
 さらに、確かに原因究明とか、再発防止は大切な今回の目的でもあるのですけれども、だからといって、白黒はっきりつくことがほとんどだと私は思いません。中には、院内調査の結果と、第三者機関の調査結果が一緒ということも当然ながらあると思いますし、原因究明したところで原因がわからなかったというものも数多く出てくるのではないかなと思います。
 一般的に、原因究明というと患者側は、何か答えが出るのではないかと思っていると思います。しかし、むしろ白黒はっきりすることのほうが少ないのだということを、私たち患者や、国民の側が受け止めて、理解を積み重ねることによって、医療を適切に理解して、冷静に医療を見る視点が養っていけるのではないかなと思っています。ですので、患者側が不確実性と限界ということを理解して、冷静な目を医療に向けるためにも、この第三者機関の設置をぜひ前向きに進めていただきたいなと思います。
 もう一つだけ、先ほど司法のお話がありましたけれども、私たちの相談にも、警察に行ったという方いらっしゃいます。ところが、警察に捜査をお願いすると、警察が資料を持って行って、なかなか見せてもらえないということで、逆に困ったことになるということをおっしゃる方が多いので、むしろ患者側から見ても、司法に結びつけることはマイナスにしかならないのではないかなと思っております。
○永井部会長 西澤委員。
○西澤委員 今、いろいろ委員の意見を聞きましたが、私たち医療側の意見は、日野先生が代表して言ってくださったと思います。そして、患者団体の方からいろいろな意見をいただきました。大綱案ができたときから、議論してかなり変わってきたと思っています。私たち医療側は、ともすれば、国民からは余り信頼されていなかったと思いますが、それが国民、患者さんのほうから医療機関を信用しようという姿勢に変わってきたとすごく感じました。
 そういうことでは、私たちはこの制度ができることによって、原因究明、再発防止に全力を挙げて取り組んでいかなればならないと、そういう意味では、今まで以上に医療安全に対する責任というのは、我々に課せられるのだなと思っております。そういう我々の決意も踏まえまして、この案に今回賛成したいなと思っています。
 ありがとうございます。
○永井部会長 今村委員。
○今村委員 お願いです。簡潔に申し上げます。第三者機関がつくられることは、大変大事なことだと思っていますけれども、もう一つの柱、院内できちんとした調査が行われるということがとても大事だと、これは医療界として積極的に行わなければいけないという視点だと思っています。この第三者機関の仕事の中に、例えば外部の事故調査に携わる者への研修というのはあるのですけれども、例えば、院内の調査に携わる方たちへの研修等支援ということが積極的に第三者機関の仕事として位置づけていただければ、大変ありがたいなと思っています。
 それからもう一つ、都道府県に置かれている医師会なり、あるいは医療団体等の役割というのは、2つ明記されていて、1つは院内調査を行うときに協力をする。
 もう一つは、第三者機関が調査を行う場合の委託を受けて行う。
 この先という県内の、いわゆる部門というものは、同一という考えでいいのか、それは別々であっても構わないということなのか、今、まだ決まっていないのかもしれませんけれども、事務局的な整理というか、現時点でのお考えを教えていただければと思います。
○総務課長 法的には別ということでございます。ただ、運用上どうするのかというのは、ガイドラインの中で具体的な運用を検討するということでございますので、また、さまざまな方の御意見をいただきながら決めていくということになろうかと思います。
○永井部会長 高智委員。
○高智委員 ただいまのお2人の委員、山口委員と日野委員から御提示がございましたけれども、私も大枠で賛成でございます。賛成の中身でございますけれども、特に、医療事故に関する分野は、私ども国民的に見ても、まだ非常に経験の浅い分野であり、また、この課題は真新しいものが続々と出てきている。そういう実態に着目いたしますと、やはり駒を一歩進めていこうという姿勢が大事ではないかと思います。個別に見ますと、問題だらけだと捉えられるところは多々あると思いますけれども、まずは一歩駒を進めて前に出るという姿勢を皆さんで確認できればありがたいということでございます。その一方で、やはり基本的に院内調査をしっかりと、今、今村委員からも御発言がございましたが、全く同感でございまして、これからの基本の姿勢としては、遺族に対して納得性、それから透明性を高めて、十分に説明すること、そこだけは忘れてはならない。その横に、先ほど犯人捜しというような表現もあったわけでございますけれども、そういう意味で言えば、いろいろな問題が多々出ようということは、予見するまでもなく、間違いなくそういうことになっていくと思いますが、まずは構築した意義を認めていきたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 花井委員。
○花井委員 私も、大変多くの方が時間をかけてまとめられようとしているこの制度につきまして、基本的に賛成したいと思います。その上で、幾つか質問ですか、5ページの真ん中に「第三者機関は、全国に一つの機関とし」という、この「全国に一つの機関」という意味がいま一つわからないのと、支援法人、それから組織と一体となってとあるのですが、そしてその後に、この支援センター、第三者機関といわれる組織の業務の内容が書いてありまして、業務の一部を都道府県医師会等々に委託することができるとなっています。全国に一つというイメージと、支援法人、組織のところに、ややもすると丸投げになってしまって、第三者機関の役割がおざなりになってしまうのではないかという懸念があるものですから、そのあたり、どのような議論があるのか、どのようなことが構想されて、全国に一つの機関というふうになっているのか教えていただきたいと思います。
○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○医療安全推進室長 お答えします。
 第三者機関の役割として、まだこれから検討します別添としまして、「医療事故に係るガイドライン」という資料をつけさせていただいていますが、まだ院内事故調の調査の手順ですとか、第三者機関の具体的な助言内容ですとか、これから検討させていただくことにしていますが、いずれにおきましても、全国で起こります事故に関しまして、質の担保と言いますか、助言の内容の担保ですとか、項目に関する内容ですとか、そういったことがどこで起こってもきちんと、同じところで、同じ質で行うことが大事なのではないかという観点から、一つの組織ということをイメージをしております。
○永井部会長 よろしいでしょうか。
○樋口委員 その「一つ」というのは、建物とか事務室が東京に1カ所あってというイメージではないのだと私は理解しております。検討会でも、これは山口先生という内科の先生ですが、私が質問して確認していたのは、一つの組織にはちゃんと、例えば、それぞれの地域で何か事故が起きたときに、その地域の実情を知った上で助言、それから人的なネットワークをつくって、こういう人が外部からちゃんとした人だからということをやろうとしているわけです。だから、そういう意味では、支部のようなものが当然一つの組織の中の支部としてあっていいだろうというようなことはもちろん言われています。しかし全体として一つの組織として動いていくのは当たり前。
 2つ目にですが、ただ、一番初めにそうやってかかわったところと、後で第三者機関が院内調査が出てきたときに、それをもう一回再検証することになっていますね。同じ人たちが、結局また再検証しているのではだめなので、そういう意味では、イメージとして、そうなるかどうかはこれからの問題なのでしょうけれども、ある支部のところで責任をもってやっているのだけれども、報告のほうは中央のほうで別の専門家がちゃんと報告書を読むというような形で、だから、誰が見てもきちんとしたことを医療界はやっているではないかと思ってもらえるような仕組みを、ここでつくっていこうとしているのだと私は理解しております。
 その上で、一つだけ発言していいですか。
○永井部会長 はい、手短に。
○樋口委員 このことは、日野先生とか、荒井先生とか、もうみんな言ってくださったから私が言うことはないのですが、言うことはないのに言ってしまうということが問題なのですけれども、きょうはこれ平成19年からの話と経緯が出ていますが、本当はもう少し前からあるわけです。
 その中で、医療安全というのが、やはり社会的にも大きなテーマになって、それをどういうふうに解決したらいいかという形で、その間、私は医者でないから、そういうふうに申し上げますけれども、やはり医療界が本気になってくれたと思っているのです。
 このモデル事業というのに、私はたまたま関与してきましたが、そこで努力されて、手弁当でこういう原因調査に当たってこられたような法医学者、病理学者、あるいは臨床の先生方は、まさに原因究明、そこから何かを学んで、同じようなことが行われないようにという、そういう努力を傾注してきたのであって、その実績の上に、それを評価してくださったと思うのですけれども、そこが第三者機関になるかどうかわかりませんが、日本医療安全調査機構というところには、今、70を超える医療団体、医療団体は、もちろん内科学会、外科学会、それから医師会、看護師会、薬剤師会、歯科医師会、それから病院団体含めて、本当に本気になってこれをちゃんとやろうということを示してくださっているので、それを制度化する本当にいいチャンスだろうと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
○永井部会長 では最後に、邉見委員。
○邉見委員 5ページの一番上の○なのですけれども、「院内調査の報告者は、遺族に十分説明の上、開示しなければならないものとし、院内調査の実施費用は医療機関の負担とする」と。その後ろですが、今、樋口委員がおっしゃいましたように、「解剖や死亡時画像診断に対する支援」というのですが、ここは非常に日本の医学はおくれていまして、解剖学者も、法医学者も、病理学者も物すごく少ないのです。青森県は数名しかいない。だから、全部弘前大学に送らなくてはいけないとかいうことで、この辺のところ、実際的に、臨床もそうですけれども、診療科の偏在と地域偏在を防がないと、うまくいかないと思います。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。
 それでは、次の議題にまいります。「平成26年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)」についてであります。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○医療課長 保健局医療課長でございます。
 診療報酬の改定に当たりましては、こちらの社会保障審議会医療部会及び医療部会で基本方針を作成していただくこととなってございます。
 以前に、社会保障・税一体改革関連のみ先行して御議論いただいて、それを9月6日に中間的な整理としてまとめさせていただいたところでございますが、こちらの医療部会では10月11日、それから医療保険部会では10月23日に、その一体改革分以外のものを中心に御議論いただきました。
 そういった御議論、それから従来から改定に向けて基本方針としてまとめさせていただいている柱立て、そういうものを踏まえて、今回、骨子の案というものを作成させていただいたところでございます。それが資料の4でございます。
 従来から、課題として4つの柱、それが2ページ目の改定の視点に書いてございますけれども、それと1つ、あるいは2つの重点課題、あるいは緊急課題という形で、従来からまとめてございますので、そういう形式に従ってまとめさせていただいております。
 資料4の1ページ目でございますが、基本認識の案ということでございます。
 アとして、社会保障・税一体改革における地域包括ケアシステムの構築を図ることなどが書いてございます。
 イとしまして、医療機関の機能分化・強化と連携に当たって、患者が必要な医療を受けられない事態が生じないよう、急性期後の受け皿となる病床整理、在宅医療等充実する必要と。
 ウでは、診療報酬と補助金の適切な組み合わせ。
 エでは、こういった入院・外来含めた機能分化・強化と連携、在宅医療の充実に取り組むということが書かれてございます。
 重点課題としては、この社会保障・税一体改革における医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実というものを取り上げさせていただいております。
 2ページ目でございますが、改定の視点の案としては、従来からの4本柱を参考に、充実が求められる分野を適切に評価していく視点。
 それから、患者等から見てわかりやすく納得でき、安心・安全で生活の質にも配慮した医療を実現する視点。
 医療従事者の負担を軽減する視点。
 そして、効率化余地があると思われる領域を適正化する視点。この4点を立てさせていただいております。
 そして、3ページで、もう少し具体的なものが書かれてございますが、重点課題の中では、入院医療、外来医療、在宅医療、そして連携ネットワークの4項目、それから改定の視点ですけれども、まず1点目の「充実が求められる分野を適切に評価していく視点」として、がんから医薬品、医療材料等におけるイノベーションの適切な評価等。
 そして、4ページ目でございますが、患者等から見てわかりやすく納得できという視点については、医療安全対策等の推進など、それから医療従事者の負担を軽減する視点については、この3項目、そして効率化余地については、こちらにあります4項目が書かれてございます。
 それから来年は、ちょうど4月に消費税が8%に上がるということで、この8%への引き上げに伴う対応についてということも項目立てさせていただいております。
 さらに、将来に向けた課題についてということで、費用対効果の評価も含めて、2項目ほど挙げさせていただいております。
 説明については、以上でございます。
○永井部会長 それでは、御質問、御意見。
 はい、田中委員からどうぞ。
○田中部会長代理 いきなり各論的に、消費税の話で申しわけありませんが、5番のところです。薬価を含めた消費税対応分の改定率は、恐らく1%を超えると思います。昨今の診療報酬のネットの改定率を見ると、1%は結構大きい値ですね。ですから、消費税対応の引き上げに当たっては、通常の報酬改定とは別立ての改正であることが明確になるように、トータルの改定率についても、基本診療料や調剤基本料等への上乗せについても、消費税増税分を区分して示すべきだと考えます。そうしないと、今後の検証等ができなくなります。
 6番の将来に向けた課題になりますが、来年度の改定に関係しないものの、10%に消費税が上がる事態に備えて、後で慌てて時間制約に追われた対応とならぬように、関係者は前もって議論を進めておくべきだと考えます。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 では、安部委員。
○安部委員 改定の基本方針案、全体的にはこれで大変よく取りまとまっていると思いますが、少し各論としてお話をさせていただきたいと思っております。
 3ページ目の項目4.検討の方向についてというところの改定の視点について、3つほど意見と要望を述べさせていただきと思っております。
 まず、1ページ目の基本認識の中では、医療機能の連携、在宅医療の充実が示されているわけでありますが、地域における医療サービスと地域包括ケアの一体的な連携と充実が求められている中、地域の薬局、薬剤師においては、地域にしっかりと根づいて、そのかかりつけ機能を基盤に、地域住民、医療職種、介護職種、行政等と的確な連携関係を構築して、医薬品の供給と一元的な薬学管理の充実、在宅医療の参加などの取り組みをこれまで以上に重視し、推進する必要があると認識しております。
 その上で、3ページにございます改定の視点の中で、今後、地域に密着したかかりつけ機能を推進する観点から、この項目の中に「患者個々の薬歴を踏まえた的確な薬学的管理指導の推進」という項目をできれば追加していただきたいと考えております。
 2つ目でございます。チーム医療の推進、これも4ページの改定の視点の中に記載してございますが、前回の改定でありますとか、法整備の成果によって、薬剤師がチーム医療の一員として病棟薬剤管理業務や、在宅医療に参加することが徐々に進んでおります。病棟薬剤管理業務実施加算を算定している病院は約1,000カ所、在宅患者調剤加算の算定薬局が5,000薬局となっております。次回改定においても、薬剤師のチーム医療がより一層促進する仕組みと評価のあり方について、引き続き御検討いただきたいと思っております。
 それから、最後の一点であります。同じく改定の視点の中の効率化の余地の中に含まれております、後発医薬品の使用促進に関してでございます。
 後発医薬品の使用については、一般名処方の進展でありますとか、薬剤師の説明、そのほか多方面の取り組みによって、24年度中に後発医薬品調剤率の目標値であります30%、これはおおむね達成することができております。今後は、厚生労働省の後発医薬品のさらなる使用促進のロードマップに示されました新たな目標数値に向けて、不断の取り組みを継続することが必要となります。次期改定に向けては、後発医薬品の使用状況調査、を評価・分析して、さらに使用促進に向けた仕組みや評価のあり方について、検討していただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 まず、藤原委員、続いて菊池委員、高智委員、中川委員。
○藤原委員 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います
 1点目は、1ページ目にあります重点課題のところでございますが、この重点課題を、医療機関の機能分化・強化と連携に一本化していただいたこと、これは国民会議の報告書や、今回の国会に出ておりますプログラム法で掲げられました方針に沿っているものでありまして、国民に対しても、医療界全体でこの提供体制を詰めていくのだということを訴えるためにも非常に有意義ではないかと思いますので、ぜひこの方向で進めていただきたいと思います。
 それから2点目は、4ページ目、4の4、効率化余地があると思われる領域についてでございますけれども、ここに医療のICT化の促進による医療提供体系体制の効率化という項目を入れていただきたいと思っております。
 ICT化が進めば、医療データに基づく重複検査、重複投薬の排除といった給付の重点化、効率化を図ることができると思いますので、非常に重要だと思っております。中でも、遠隔診療については、ことし6月に閣議決定されました規制改革実施計画の中でも、中医協において、次期診療報酬改定であわせて検討するよう指示があるということでございますので、ぜひ明記をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 では、菊池委員、高智委員。
○菊池委員 2ページの改定の視点の負担の大きな医療従事者の負担を軽減する視点につきまして、まだまだ医療の現場は厳しい状況がございますので、引き続き重点課題としていただきたいと考えております。今、設けられている負担軽減のための基準を後退させることのないようにお願いしたいと思います。特に夜勤交代制勤務の上限につきましては、整備を進めていただきたいと思います。
 それから、3ページの検討の方向につきまして、3点ほど。
 イの外来医療につきましては、大学病院の専門外来について、がん看護とか、看護の専門性を生かした外来の評価も重要と考えます。
 また、エの連携ネットワークにつきましては、ネットワーク化の手段を構築することが重要で、インフラ整備の一環としてICTの推進に取り組むべきだと思います。
 最後に、改定の視点の、挙げられております、がん医療など、大事なことだということで賛同いたしますが、これらに加えまして、患者の生活の質の維持と向上の観点から、重症化予防の視点を入れるべきと考えます。
 以上です。
○永井部会長 高智委員、中川委員、どうぞ。
○高智委員 4点ほど、お願いいたします。
 まず、2ページと4ページに、負担の大きな医療従事者の負担軽減という表現があるわけですが、書き方としては随分と幅広に感じ取れるわけであります。これまでの議論では、病院勤務医と、中でも疲弊の進んでいる診療科目に焦点を当てた対応が基軸だったと認識しております。今回の御提案では、医療従事者という記述で、対象範囲と概念が拡大されてきております。このようにお書きになった背景事情などございましたら、ポイントだけ教えてもらいたいと思います。医療従事者となると診療所の医師まで包含するものではないと思いますが、あわせてお尋ねしたいと思います。
 それから、3ページのウの在宅医療でございます。その中で、在宅薬剤管理指導の推進とあるわけでございますが、集合住宅への対応等で乱用が生じることのないよう、不適正な事例の発生防止に万全を期していただきたい。
 それから、エの連携ネットワークでは切れ目のない連携と記述されておりますけれども、地域包括ケアを推進していくのだという強い意志が感じられる一文を追加していただければありがたいと思います。
 それから、(1)の個別項目、医薬品、医療機器等のイノベーションの適切な評価等とありますけれども、イノベーションの評価につきましては、費用対効果の視点も含めた十分な検討が求められてしかるべきだと思います。定量的な評価という視点が大切かと認識しております。
 先ほど、経団連さんからも御意見ありましたけれども、4ページの2のエの患者データの提出については今後の医療提供体制を具体的かつ緻密に検討していく上でも非常に重要なことと受けとめております。一歩一歩着実進めていく必要があろうかと思っております。
 最後に、効率化の観点から1点だけお願いします。外来医療におきましては、主治医機能を評価した上で、必要性を肯定しがたい長期・頻回受診の是正や重複検査の是正などに取り組むべきだと思います。
 以上でございます。
○永井部会長 事務局、今の質問の点いかがですか。
○医療課長 保健局医療課長でございます。
 今、医療従事者についてお尋ねございましたけれども、確かに以前の場合、勤務医の負担軽減ということで出されていたことがございました。もちろん勤務医の負担ということ、まだ解消されたとは完全には言い切れないと思いますけれども、こういった医療機関で勤務しているのは、医師だけではなくて、最近はむしろチーム医療とか、そういう概念で、他の職種の方々も一緒になって働くというようなことがございますので、あえて医師のみ、あるいは看護師のみということで限定することなく、少し幅広い書き方にしたということでございます。
○永井部会長 よろしいですか。
 では、中川委員、続いて花井委員。
○中川委員 1つ質問と、1つは日本医師会としての強いお願いと、2点を述べさせていただきます。
 まず、田中先生おっしゃった、消費税対応分の改定と、従来の改定と明確にすべきだということが物すごく大事でして、技術的に可能なのかという心配をしています。今までの消費税引き上げ時は、主に期中改定でしたね。今度、薬価材料引き下げがあり、かつ消費税引き上げ分の上乗せがあり、年末の予算編成で技術的にどういうふうにやるのか。可能なのかどうかと。財務省としては一緒にしたほうがいいと思っているのではないかという心配があるので、その心配をまず払拭していただきたいというのが一つ。
 それから、強いお願いですが、1ページの基本認識のアのところに、医療提供体制の再構築と地域包括ケアシステムの構築ということに関しては、当然賛成です。
 そういう意味で、3ページの重点課題の、入院医療のところに、急性期と回復期、そして在宅というふうになるのですが、最近の改定では、慢性期医療の評価ということがどうも忘れられているのではないかと思うのです。やはり地域包括ケアシステムの構築と医療提供体制の再構築には、慢性期医療も大事なのだということを一文書いていただきたいなと思います。
 以上です。
○医療課長 医療課長でございます。
 消費税の対応分と従来の改定分を明確に分けることが可能かどうかという御質問だったと思うのですけれども、そこのところについては、結果としては最終的な改定率としてしか出てこないと思うのですけれども、実際、それがどういうふうに分けることが可能かどうかというのは、今後消費税分科会などでも議論が進められると思いますので、そういうものを見ながら、可能かどうかということは検討されていくと思います。
○永井部会長 では、花井委員どうぞ。
○花井委員 2点ほど、要望したいと思います。
 まず1点目が、3ページの改定の視点として1の認知症対策の推進があります。認知症対策が今後ますます重要になってくると思われますが、この中に、ぜひとも若年性認知症の視点も落とさないでいただきたいと思います。
 次の4ページですが、2の表題ですが「安心・安全で生活の質にも配慮した医療を実現する視点」とありますが、生活の質が重要なことは当然そうなのですが、もう一つ、質の高い医療の実現という視点も必要ではないかと思います。例えば、ADLの低下であるとか褥瘡の問題とか、さまざまな感染症等々ありまして、やはり質の高い医療を実現するという小見出しか、オとするのか、それはいろいろ選択があるかと思いますが、ぜひその視点を追加していただきたいと思います。
 以上です。
○永井部会長 では、山崎委員、和田委員、西澤委員の順でお願いします。
○山崎委員 1ページの基本認識のウのところで、診療報酬と補助金を適切に組み合わせてという表現になっているわけですが、いままでこの補助金の配分の仕方というのが非常に不適切だと思っています。というのは、過去に耐震化整備資金とか、あるいは地域医療再生資金が数百億円ずつ出たわけですが、この財源が公立病院を中心にして、ほとんど流れてしまっていて、民間病院、有床診療所に回っていないのです。
 したがって、配分の仕方を、私は病院の代表なのですけれども、有床診療所の耐震化とか、あるいは防火対策というのは、非常に大事だと思っていまして、最近でも、九州で有床診療所で火事があったということがありますもので、公立病院中心に整備をするということではなくて、今回は個人の中小病院と有床診療所を中心に配分していただきたいと思います。
○永井部会長 和田委員、続いて西澤委員。
○和田委員 歯科のほうからお願いと言いますか、診療報酬の基本方針のウの部分、診療報酬と補助金を適切に組み合わせつつということでございますが、以前、地域医療再生基金等の場合に、歯科が含まれていないような受け取り方を都道府県がしたということもございますので、もし基金の後継といいますか、そういった基金がつくられるときには、ぜひ歯科医療も含めてちゃんと活用ができるようにということを明記をいただきたいと思います。
 それから、先ほども病院のことで申し上げましたけれども、病院における歯科というのは、余りにも採算が悪いということで崩壊をしていくぐらい、4割の地域医療支援病院にしかないということでございまして、今後、在宅あるいは医療の連携の中で、病院の歯科が果たす役割というのは大変大きいと考えております。病院の中で、今まで歯科疾患に関する外来患者が中心であったと思いますが、病院の中で口腔ケアも含む口腔管理の重要性が大変増していると考えておりまして、そこからいわゆる在宅までの流れの中に、歯科口腔に関する情報がちゃんと流れていくというか、退院時カンファレンス等々についても、歯科情報がちゃんと伝わっていかないと、介護の現場で口腔内が崩壊しているということもございます。そういう意味で、連携と、病院と地域を結ぶもの、あるいは医科歯科連携についてぜひ評価をいただきたいと考えております。
○永井部会長 では、西澤委員、安部委員、今村委員の順でお願いします。
○西澤委員 2つ要望でございます。基本認識の中のウで、医療法改正による対応に先駆けて診療報酬改正に取り組むということと、重点項目、医療機関の機能分化・強化と連携についてでございます。
 これは、時間軸を見ると診療報酬のほうが先ですから、これでいいと思いますが、気をつけていただきたいことは、参考資料の1にもございますが、11月4日に基本的な考え方を示したその中で、病床機能報告制度とできる限り整合性が図られるよう留意しながら検討とあります。診療報酬のほうが先行すると思いますが、ぜひ方向性を同じ方向、あとで気づいたら別な方向に列車は向かったということのないようにしていただきたい、そこだけ注意していただきたいと思います。
 それから、機能分化と連携ですが、これも先ほどの参考資料の(2)のウにございますが、「私的医療機関が多い我が国では、診療報酬により、医療機関の自発的行動や経営努力を促すことが好ましいが、行き過ぎたインセンティブとならないよう注意する必要がある」と書かれております。ぜひこのことを考えながら、私たちは機能分化と連携に反対するものではありませんが、今言ったようなことを十分留意して、診療報酬改定を行っていただきたい、以上2点でございます。
○永井部会長 安部委員、どうぞ。
○安部委員 先ほど、高智委員のほうから在宅医療について、薬剤管理指導について施設をきちんとしろという御発言がございました。在宅医療については、居宅であれ、施設であれ、きちんと管理をしなければいけないのは当然のことであります。薬剤師の訪問管理指導について御承知ない方がいらっしゃるかもしれませんが、これは薬剤師が勝手に行きたいと思って行けるものではありません。連携の中で、医師の訪問指示を受け、それに基づいて訪問をし、訪問した結果を医師、それからケアマネジャーに報告する制度になっております。
 そういった意味で、なぜ薬剤管理に特化してそういう御発言をなさったか、理解に苦しみます。もちろんそういった何らか問題が発生した場合にはきちんと対応していきたいと思いますけれども、そういう制度であることを十分に御理解いただきたいと思います。
○永井部会長 では最後に、今村委員どうぞ。
○今村委員 1点、藤原委員がおっしゃったICTの医療への活用というのは元も大事な視点だと我々は思っておりますし、医療機関同士の連携の中で医療情報を共有するために、規格を統一していただいて、診療所と病院の医療情報がきちんと連結できるようにしていただきたいと、まずこれがあります。それで書く場所は、私は御指摘のあった効率化の余地の場所ではないと思っています。
 患者と医療の関係というのは、やはり患者さんに私たちが直接触れるとか、においがどうだとかという、本当に温かい人間関係の中で医療が行われるものであって、テレビの画面を通して行われるような医療は、あくまで医療が受けられない遠隔地でのものに限るべきだと考えておりますので、この効率化の場所ではないところに書いていただきたい。
 以上です。
○永井部会長 ありがとうございます。
 最後にもう一つ議題がございます。その他で「医療法人の事業展開等に関する検討会」の資料でございます。御説明をお願いします。
○指導課長 参考資料4でございます。一番下に1枚だけ紙がございます。
 8月の医療部会で、この秋の医療部会の検討スケジュールをお示ししました際に、医療法人の関係につきましては、別途専門的な検討会を設けて検討するというふうに申しました。その関係で、検討会がここに記載してあるような、下のほうに委員名簿もついておりますが、この部会からも4名の委員の方入っていただいて、田中先生に座長をお願いしておりますけれども、第1回は今週11月6日に開催をいたしまして、検討スケジュールに書いてありますのは、まずは(3)(4)(2)とありますが、(3)の国際展開のところから検討を開始しております。
 第2回は今月28日ということで順次検討を進めていくという形にしています。また適宜、この部会で御報告したいと思っております。
 以上です。
○永井部会長 この件、何か御質問、御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。そろそろ予定の時間になりましたので、本日の議論の内容につきましては、意見書、診療報酬改定の基本方針の取りまとめに向けまして、事務局で整理をしていただくことになっております。
 最後に、事務局から補足等ありましたらお願いいたします。
○医療政策企画官 次回の開催については追って御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○永井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

(了)

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