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2013年11月29日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成25年11月29日(金)14:00~17:00


○場所

経済産業省別館1111会議室


○出席者

委員

大野委員(部会長)、石井委員、延東委員、斉藤委員、佐藤委員、根本委員、宮井委員、由田委員、吉成委員、鰐淵委員

事務局

長谷部基準審査課長、横田課長補佐、大田課長補佐、中西課長補佐、小川専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局農産安全管理課 峯戸松専門官、 畜水産安全管理 山木専門官

○議題

○食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について
 ・動物用医薬品ブロノポール
 ・動物用医薬品ピルビン酸メチル
 ・農薬及び飼料添加物エトキシキン
 ・農薬及び動物用医薬品エトキサゾール
 ・農薬スピネトラム
 ・農薬シアントラニリプロール
 ・農薬アゾシクロチン及びシヘキサチン
 ・農薬グルホシネート
 ・農薬フルキサピロキサド
 ・農薬プロチオコナゾール
 ・農薬ミルベメクチン

○議事

○事務局 ただ今から「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を開催いたします。
 まず、事務局で人事異動がありましたので、この場をお借りして御紹介させていただきます。11月1日付で基準審査課に配属になりました飯野でございます。
○事務局 飯野です。皆様、よろしくお願いいたします。
○事務局 本日は尾崎委員、高橋委員、永山委員、山内委員より御欠席との連絡をいただいておりますが、農薬・動物用医薬品部会の委員14名中10名の御出席をいただいており、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。
 また、利益相反に関し、本日の部会で御審議いただくこととしております品目において、今回確認を必要とするものの申請者との利害関係について各委員に対し事前の確認を行ったところ、該当される委員はいらっしゃらなかったことも併せて御報告させていただきます。
 それでは、以後の進行は大野部会長にお願いいたします。
○大野部会長 議事に入りたいと思います。最初に事務局から配布資料の確認をお願いします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、お配りしました資料はまず、議事次第と配布資料一覧、さらに委員名簿と関係省庁の方の出席者の名簿を付けた資料がございます。その後ろに座席表があります。その後ろに本日御審議いただく品目につきまして、それぞれ資料1-1、2-1というように報告書を資料11まで配布させていただいております。その後ろに資料1-2、資料2-2というように、食品安全委員会の評価書についても同様に資料11まで配布しております。
 さらに、委員及び事務局のみに配布しております資料として資料3の参考資料「エトキシキンの二量体を含めた暴露評価について」の1枚紙、「食品衛生分科会における確認事項」の横1枚紙がございます。不足している資料等がありましたら事務局までお願いします。
○大野部会長 ありがとうございます。皆さん、よろしいでしょうか。
 それでは、審議に入らせていただきたいと思います。本日は平成25年9月12日、10月11日及び11月22日付で薬事・食品衛生審議会へ諮問された動物用医薬品について2剤、農薬及び動物用医薬品について1剤、農薬及び飼料添加物1剤、それから農薬7剤について御審議いただきます。なお、報告書の作成に当たりましては、関係委員の先生方にあらかじめ資料を送らせていただいて、御検討いただいているところです。いろいろ修正していただきました、どうもありがとうございます。
 それでは、議題1の食品中の残留農薬等の基準設定についてです。まず、動物用医薬品のブロノポールについての審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 ブロノポールについて説明させていただきます。資料1-1を御覧ください。まず最初に、用途の記載について修正をさせていただきます。(2)用途の4行目の最後になりますけれども、「魚卵消毒」の後の「を目的とした薬浴」までを削除して、「孵化を目的としたニシン目魚類の魚卵消毒剤が承認されている」という記載に修正させていただければと思います。
 それでは説明させていただきます。ブロノポールにつきましては、本成分を有効成分とする製剤に関する薬事法に基づく承認事項の変更について農林水産大臣から意見聴取がなされたことに伴い、食品安全委員会における食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、本部会で御審議いただくものです。
 概要です。ブロノポールは殺菌剤であり、作用機序については完全に解明されておりませんが、細菌のチオール基を含む酵素の活性を阻害し、菌体の細胞膜を変成・破壊させることにより静菌的又は殺菌的に作用すると考えられております。
 国内では動物用医薬品として、孵化を目的としたニシン目魚類の魚卵消毒剤が承認されております。ヒト用としては、感染創用の外用薬として使用されるほか、化粧品の保存剤、冷却水塔消毒等の目的で広く使用されているものです。海外では1999年にデンマーク領フェロー諸島で動物用医薬品と承認されて以来、EU諸国、カナダ、チリ等の12か国で承認・販売されております。
 化学名、構造式及び物性につきましてはその下に記載したとおりです。
 続いて2ページ目、(5)適用方法及び用量についてです。これまでニシン目魚類の魚卵についてのみ使用が認められておりましたが、今回、カレイ目魚類の稚魚について適用させる申請がなされております。使用方法につきましては、ブロノポールとして40mg/Lの濃度の薬液に1日1回、2時間で3日間薬浴するというものです。
 続いて、2.対象動物における残留試験についてです。分析対象の化合物ですが、親化合物であるブロノポールは速やかに代謝され組織中から検出されなかったという結果を踏まえ、組織中の主要な残留物である2-ニトロプロパン-1,3-ジオールという物質を測定しております。分析方法の概要につきましては2に記載しております。
 分析法の記載につきまして、永山委員から修正の指示をいただきまして修正させていただきます。3行目のカラムの記載なのですが、水酸化ポリスチレンジビニルベンゼンコポリマーカラムの「コポリマー」を「共重合体」と修正させていただきます。
 次のページの(2)組織における残留についてです。1、2の残留試験において養殖ひらめの代謝物1の測定が行われております。
 次のページの記載になりますが、薬浴終了14日後においては、いずれの試験においても代謝物Aが一律基準未満の量となっており、統計学的解析を行った結果でも0.01ppm以下となる期間は最長で薬浴終了後17日と推定されております。また、本製剤を使用するひらめにつきましては体重50g以下の稚魚であり、成魚として食用に供されるまでに一般的に数か月から1年以上を要することから、本製剤を所定の用法・用量で使用される限りにおいて、主剤であるブロノポール及び代謝物が食品中に残留する可能性は無視できると考えられました。
 続きまして、3.食品健康影響評価についてです。食品安全委員会における評価においては、孵化を目的としたニシン目魚類の魚卵用消毒剤として使用する場合、本製剤は魚卵が発眼するまでの間の消毒に、1日1回、30分で連日又は隔日若しくは3日に1度、薬浴されるのみであります。また、カレイ目魚類の稚魚の滑走細菌症による死亡率の低下を目的として使用する場合、本製剤の使用対象となるひらめは体重50g以下の稚魚であります。魚卵中にブロノポールが蓄積される可能性は低く、たとえ薬浴中に薬剤の魚卵中への分配が生じたとしても魚卵の容積は小さいこと、成魚による薬浴試験及びひらめ稚魚における残留試験の結果から魚体における蓄積性が認められないこと、また、いずれも食品として供されるまで少なくとも数か月を要することから、所定の用法・用量で使用される限りにおいて、主剤であるブロノポール及び代謝物が食品に残留する可能性は無視できると考えられております。
 溶解補助剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルが含有されておりますが、これについても遺伝毒性、発がん性、発生毒性及び蓄積性のいずれもないと評価されております。これらのことから、ブロノポールを有効成分とする孵化を目的としたニシン目魚類の魚卵用消毒剤及びカレイ目魚類稚魚の薬浴用消毒剤が適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると評価されております。
 基準値の取扱いについてですが、食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を設定しないとする案としています。
 最後のページが答申(案)になります。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございます。これは3回目の審議ですが、久しぶりですので一応いつものやり方で御審議いただきたいと思います。まず化学名、構造、物性、そのあたりについて吉成先生、コメントはございますでしょうか。
○吉成委員 ありません。
○大野部会長 ありがとうございます。薬理作用や用途、その辺のところはコメントをいただいて修正したということでしょうか。宮井先生、よろしいでしょうか。
○宮井委員 はい。
○大野部会長 ありがとうございます。それから、代謝のところではほとんど脱ブロモ体になるということですが、吉成先生、よろしいでしょうか。
○吉成委員 問題ないと思うのですが、一点細かい点、代謝物Aという構造が2ページに書かれています。正確に記載するのであれば、窒素のNに+が恐らく書かれていると思いますが、Oのほうに-が入ると思います。ただ、1ページの親化合物の構造がNO2と略されているのでNO2と略して、1ページで統一してもいいかなとは思います。それ以外は特に問題ありません。
○大野部会長 ありがとうございます。これは枝が途中で切れたりして、こちらはどうかな、ああ、そうですね。それも合わせてきれいに書いていただければと思います。お願いします。
 一つ細かいところなのですが、4ページ目の「以上の試験結果」というところから2行目の「0.01μg/gの代謝物Aが検出されているものの、統計学的解析を行った結果では」というところが気に入らないんですね。半減期を見て、それからどんどん低下していくので、薬浴終了後17日後には0.01μg/g以下になるというようなことなのですが、これは統計学的な解析ではなくて薬物動態学的な解析ですね。下がっていくのをシュミレーションして0.01μg以下になるので。
 ただ、これが全てのひらめがということなのですか、特定のひらめはもうそれ以下になってしまっているので。その辺、薬物動態学的な解析を行った結果では、いずれのひらめでも0.01μg/g以下になる期間はということでした。いずれのひらめでも、という点を追加していただければと思います。吉成先生、どうですか。先生のお考えは。
○吉成委員 そういうことだと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。ほかの先生方、今までのところで御意見ございますでしょうか。
 それでは、安全性の面でいかがでしょうか。総合としてはそれほど安全なものではないと思いますけれども、残っていなければいいと思うのですが、鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 結構だと思います。
○大野部会長 よろしいですか、ありがとうございます。分析法のところで、先生方からコメントをいただいて修正されましたけれども、その修正を含めて分析法のところで御意見はございますでしょうか。先ほど、修正のところは今日いただいた資料の2ページのところにもう反映されているのですね。
○事務局 分析法の記載ですか、反映されておりませんので修正させていただければと思います。
○大野部会長 ゆっくり話してください、どこを修正するのか。
○事務局 分析法の3行目のところ、カラム名が現在、「水酸化ポリスチレンジビニルベンゼンコポリマーカラム」となっておりますけれども、この「コポリマーカラム」の「コポリマー」を「共重合体」という日本語表記に記載の修正ということでございます。
○大野部会長 ありがとうございます。そういうように御意見をいただいたということですが、いかがでしょうか。よろしいですか、ありがとうございます。それでは、これについては特にきちんと設定する必要がないということですが、その結論についていかがでしょうか。よろしいですか。全体として表現とか、細かい点でも結構ですので、何か修正すべきところはございませんでしょうか。それでは今、事務局から御説明があった用途のところで修正、分析法のところの修正、それから私が指摘させていただいたところの修正という。
○農林水産省峯戸松専門官 先ほどの統計学的解析のところの修正なのですが、部会長がおっしゃった薬物動態学的解析というのは個々のひらめについて、半減期等から、このぐらいで0.01未満になるだろうとの推計をしたという修正ということでしょうか。この統計解析なのですが、実際に分析した値から減衰曲線を作って、その解析をしたという意味なので、個々のひらめの濃度が0.01未満になるところを解析したという意味ではないのです。
○大野部会長 95%、信頼限界を含めてもそれ以下になるという。
○農林水産省峯戸松専門官 そうです、そういう意味です。
○大野部会長 減少していくというのは薬物動態的な解析なのですね。
○農林水産省峯戸松専門官 そうですね。ちょっと意味合いとして、ここでやったひらめが0.01未満になったという意味ではないので。
○大野部会長 ええ、そうですね、それが推定されるという。
○農林水産省峯戸松専門官 そうですね、修正される表現によってあれかなと思ったので。多分この統計解析という言葉は農林水産省の通知のほうを多分引用して書かれているのだと思います。
○大野部会長 食品安全委員会の報告もこういう表現でした。
○農林水産省峯戸松専門官 もし、意図が伝わっていなかったらあれだなと思って発言させていただきました。
○大野部会長 ありがとうございます。
○農林水産省峯戸松専門官 よろしくお願いします。
○大野部会長 3行目のところ、「と推定された」と書いてあるのでよろしいかなと思います。大体、4σぐらいの範囲にも入らないので大丈夫かなと思いました。
○農林水産省峯戸松専門官 そういう意味では、実際のひらめがいずれも超えないように推計したという意味ではあります。この試験のひらめではなくて。
○大野部会長 御指摘ありがとうございました。ほかの先生方、よろしいでしょうか。それでは、修正したものをこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 次の品目、動物用医薬品のピルビン酸メチルについての御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 ピルビン酸メチルについて説明させていただきます、資料2-1を御覧ください。今般の残留基準の検討につきましては、本成分を有効成分とする製剤に関する動物用医薬品としての製造販売の承認申請がなされたことに伴い、御審議いただくものであります。
 ピルビン酸メチルの用途としては寄生虫駆除。作用機序は不明ですが、2001年にピルビン酸メチルがフグ目魚類の体表面に寄生する外部寄生虫であるシュードカリグス・フグに対し駆虫効果があることが発見されました。
 ピルビン酸メチルを有効成分とする動物用医薬品及びヒト用医薬品は、国内外を問わず使用されておりません。国内においては、ピルビン酸メチルは指定添加物に区分され、香料として用いる場合に限り使用が認められています。また、EU諸国においては食品添加物として使用が認められております。
 化学名及び構造、物性についてはその下に記載したとおりです。
 次のページの(5)適用方法及び用量についてです。ピルビン酸メチルを有効成分とする薬浴剤につきまして、使用方法として水1m3当たり300mLを添加した薬液中で15分間薬浴することとなっており、休薬期間は1日となっております。
 2.「対象動物における薬物動態試験」についてです。とらふぐ25尾をピルビン酸メチル添加海水中で30分間薬浴し、薬浴終了後、0.5、1、2及び4時間後の血液、皮膚、筋肉、腎臓、肝臓中のピルビン酸メチル及び乳酸メチル濃度をガスクロマトグラフ・質量分析計により測定しております。
 肝臓を除く各組織中のピルビン酸メチル濃度は、いずれの時点でも検出限界未満という結果が得られております。乳酸メチルにつきましては、投与直後と0.5時間後において全ての観測時点で一定量認められております。
 3ページの2、とらふぐをピルビン酸メチル添加海水中で15分間薬浴した後、清浄海水に収容して、薬浴直後、1及び3日後の血液、皮膚、筋肉及び腎臓中の乳酸メチル濃度をGC-MSにより測定しました。血液及び腎臓は、5尾をプールして試料に用いました。乳酸メチルは、薬浴終了直後に血液、皮膚、筋肉及び腎臓からそれぞれ検出されましたが、薬浴終了1日後には検出限界未満となりました。
 続きまして「対象動物における残留試験」についてです。分析対象の化合物はピルビン酸メチルと乳酸メチルになっています。分析法の概要につきましてはその下に記載したとおりです。
 次のページの(2)組織における残留についてです。1、2、いずれもとらふぐをピルビン酸メチルに15分間薬浴した後、1、2、3及び5日後の筋肉及び皮膚中のピルビン酸メチル濃度及び乳酸メチル濃度を測定しております。筋肉において一定量残留が認められておりますが、これらの試料について再度、2回分析した結果、いずれも定量限界未満となっております。
 次に、5ページの「食品安全委員会における食品健康影響評価」についてです。本製剤の主剤であるピルビン酸メチルは、日本において、食品添加物のうち指定添加物に区分され、香料の用途として使用が認められております。薬物動態試験及び残留試験の結果から、主剤であるピルビン酸メチルは薬浴中の海水でも経時的にピルビン酸に分解されており、各組織中のピルビン酸メチル濃度は薬浴直後でも検出限界未満であることから、とらふぐの体内におけるピルビン酸メチルとして吸収された量は少なく、吸収されたものについては体内で速やかに代謝・分解されていると考えられた。このことから、食品安全委員会では、ピルビン酸メチルのADIを設定する必要はないと判断されております。
 ピルビン酸メチルの代謝物である乳酸メチルにつきましては、日本において食品添加物としてピルビン酸メチルと同じ用途としての使用が認められております。
 また、乳酸メチルは生イワシ等の食品にも含まれる成分です。薬物動態試験及び残留試験において検出された乳酸メチルは、飼料由来又はとらふぐの体内で生成される内因性のものである可能性が示唆されました。用法及び用量の2倍量のピルビン酸メチルの薬浴終了後、1日以降に検出された乳酸メチル濃度は天然とらふぐと同程度でした。これらのことから、食品安全委員会において乳酸メチルにおいてもADIを設定する必要はないと判断されております。以上のことから、本製剤が適切に使用される限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると評価されております。
 6ページ、「基準値の取扱い」についてです。ピルビン酸メチルの動物用医薬品としての使用実態、食品安全委員会における評価結果及び残留試験結果を踏まえ、ピルビン酸メチル及び乳酸メチルにつきましては、残留基準を設定しない案としております。ただし、フグ目魚類や生イワシ等、ピルビン酸メチル又は乳酸メチルを自然に含む食品につきましては、食品、添加物等の規格基準の第1食品の部A食品一般の成分規格8で規定している「農薬等の成分である物質が自然に食品に含まれる物質と同一であるとき、当該食品において当該物質が含まれる量は、当該食品に当該物質が通常含まれる量を超えてはならない」という規定が適用されることとなります。
 最後のページは答申(案)になります。事務局からの説明は以上です、御審議のほどお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。これはこの部会では初めてですよね、ありがとうございます。それでは、順に御審議をお願いいたします。まず化学名と化学構造、そのあたりについていかがでしょうか。
○吉成委員 問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。用途とか薬理作用、その辺はいかがでしょうか。宮井先生、よろしいですか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。代謝や残留、そのあたりではいかがでしょうか。吉成先生、その辺はよろしいですか。
○吉成委員 問題ないと思います。ただ、測定のところに入ってしまって1つ気になったところがあって、結果についてです。4ページの下から3行目がよく分からなかったのですが、「再度、2回分析した結果いずれも定量限界未満」というのは検出されたのか、されなかったのかというのは結局、どういう判断になっているのかが分からなかったので。
○大野部会長 そうですね。先に進んでしまうのですが、同じような表現が。
○吉成委員 上にもありますね。
○大野部会長 上の1のところ、表3の上、3行目にもあります。「これらの試料について再度、2回分析した結果」というのが、そのことですよね。
○吉成委員 はい、そうです。
○大野部会長 これを見ると、分析法をきちんとバリデーションしてやったのか、それとも保存している間に分解してしまうのかなどいろいろな疑問が出てきてしまう。
○吉成委員 体内動態としては問題ないと思うのですけど。
○大野部会長 それについては、またあとで、分析の先生方にお伺いすることにして、代謝のところはよろしいですか。私が見たところ、内容的な、文章の表現上でちょっと分かりにくかったところがあるのです。2ページ目の2.の1の「とらふぐをピルビン酸メチルに30分薬浴し、清浄海水に収容して、薬浴終了後」というところが読んでいてすぐつながらなくて。「30分間薬浴し、」のあとの「清浄海水に収容して」の部分を「薬浴終了直後、清浄海水に収容して」、そちらに持ってきたら0.5、1、2及び4時間後の血液何とかとしてはどうか。そうすると、私どもはスムーズに読めるので、そうしていただければと思うのですが。
○吉成委員 直後にもサンプリングしていますので、先生の今の表現だとちょっと。
○大野部会長 では、「30分間薬浴し、その後」と入れればいいのでしょうか。「その後、清浄海水に収容」して、よろしいですか。さっきの「移す」を移さないで、「30分間薬浴し、その後清浄海水に収容して」、「その後」を入れるだけでか。
○吉成委員 大丈夫です。
○大野部会長 ありがとうございます。ほかの先生、今までのところはよろしいでしょうか。それでは、安全性の所は特に問題ないかなと思うのですがよろしいですか。ありがとうございます。
 分析法のところ、先ほど吉成先生から御指摘があった点はいかがでしょうか。なぜ、2回目の測定のところを入れたのか。気持は分かるのですが、何となくほかの問題が出てきてしまうかなと思いました。根本先生、いかがですか。
○根本委員 やはり、一度目の検査で定量限界以上の数値が出ているということであれば、それを一応最終結果にすべきではないかと思います。2回やったら今度は定量限界未満になったという、ちょっと大野先生も心配されているように、分析法の解釈として少し矛盾があるかなとは思います。
○大野部会長 そうすると、この所は削除ということでしょうか。
○根本委員 ですかね。実際、ほとんど定量限界ぎりぎりの数字なので、評価に影響ないのだろうとは思いますので。
○大野部会長 ほかの先生、いかがでしょうか。
○延東委員 かまいません。
○大野部会長 よろしいですか。それでは、4ページの1の表3の上、上から3行目の「これらの試料について再度、2回分析した結果、いずれも定量限界未満となった」というところ、それから4ページの一番下の行、「乳酸メチルが定量限界を超えた試料について再度、2回分析した結果、いずれも定量限界未満となった」、この2つのところを削除ということでよろしいですか。事務局、よろしいですか。
○事務局 承知いたしました、記載を削除するということで。
○大野部会長 はい、そうです。
○事務局 修正いたします。
○大野部会長 ありがとうございました。分析結果のところはいかがでしょうか、特に問題ないでしょうか。それでは、食品安全委員会の評価のところでいろいろ理由を書いてくださって、「それらのことから、本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると考えられる」ということで基準値を設定しないということです。よろしいでしょうか。それでは、全体を通して御意見はございますか。
○延東委員 言葉の問題なのでちょっと気が引けるのですが、魚の名前が平仮名だったり片仮名だったりしてとても読みにくい。とらふぐが平仮名になっていたり、イワシが片仮名になっていたりいろいろあります。一般的には片仮名で書くのが普通なのです。特にヒト用医薬品の「ヒト」は片仮名で書いてあります。ですから、この場合も魚の名前は片仮名にしていただけると読みやすいかなと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。宮井先生もお詳しいですが、片仮名でよろしいですか。
○宮井委員 はい、その方がよろしいと思います。
○大野部会長 事務局はいかがでしょうか、動物の名前。魚とかは片仮名で書くという。
○事務局 はい、全て片仮名に修正いたします。
○大野部会長 よろしいですか。ありがとうございます。そのように修正をお願いいたします。ほかに何かございますでしょうか。
○吉成委員 細かいのですが、3ページ目のガスクロのこと、いつも御指摘ありますが「フィー」ではなく「フ」だと思います。3ページ目の上から3行目、GC-MS、この3ページの一番下ではガスクロマトグラフ・質量分析計になっていますが、どちらが正しいのでしたっけ。
○大野部会長 どちらが正しいのでしたっけ。
○事務局 これは「グラフ」です。
○大野部会長 ありがとうございます。延東先生、斉藤先生、よろしいですか。「フィー」ではなく「フ」と。それでは、ガスクロマトグラフで統一してくださるようお願いいたします。ほかにございますでしょうか。
○根本委員 私が十分資料を読んでいないせいかもしれないのですが、最後の6ページ、乳酸メチルは自然に含まれる可能性があるということで、一般規格8の規定が適用されるということだと思っていたのですが、ピルビン酸メチルについても天然の食品に残っているということはあるのでしょうか。食品添加物として添加する以外、天然由来ということも報告があるのでしょうか。
○事務局 資料には載せていないのですが、こちらで事前に調査した結果、ハチミツやパイナップル、マンゴーの缶詰等に微量ながら含まれているという情報はいただいています。ただ、実際、どの程度含まれるかというまでは情報がないのですが、自然に含まれるという情報はございました。
○根本委員 そうすると、「又は」と書くとちょっと意味が取りづらいかなと思ったのです。「ピルビン酸メチル及び酢酸メチルについては」みたいなことになるのかなと思ったのですが。
○大野部会長 「又は」ではなくて、どうしたらよろしいですか。
○根本委員 「ピルビン酸メチル及び酢酸メチルについては」ということではないかと思うのですが、「又は」と言うとちょっと曖昧かなという気がしました。
○大野部会長 ありがとうございます。
○事務局 記載を「及び」に修正するということで。
○大野部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。
○事務局 部会長、今の記載についてもう一度確認させていただいてよろしいでしょうか。この「又は」という記載につきましては、ピルビン酸メチルだけ自然に含む食品についても該当しますし、乳酸メチルのみを自然に含む食品についても該当するということになります。御指摘いただきましたように、「及び」というように修正してしまうと、ピルビン酸メチルと乳酸メチルを両方含む食品についてというように解釈されてしまう恐れがあるかなと思うのですが。このとおり「又は」という記載でいかがでしょうか。
○大野部会長 どういうように読まれるかですね。皆さん、いかがですか。
○斉藤委員 原文のままでいいでしょう。
○大野部会長 原文のままでよろしいですか、ありがとうございます。では、原文のままということでお願いいたします。ほかにございますでしょうか。それでは、いくつか修正していただきましたけれども、それをもってピルビン酸メチルについての報告書(案)をこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます、そのようにさせていただきます。
 次の品目、エトキシキンについての説明をお願いします。
○事務局 それでは、エトキシキンについて説明いたします。資料3-1です。エトキシキンについては、9月24日の当部会で一度御審議いただきました。その際、魚類において、エトキシキンよりもその代謝物である二量体のほうが多く残留するという情報をいただき、二量体の残留も考慮したエトキシキンの部会報告書となるよう再度検討することとしました。今般、頂いた情報を踏まえ、部会報告書の修正を行いましたので、改めて御審議いただくものです。
 部会報告書の修正箇所については、暴露評価に関する記載についてなのですが、これについて机上に配布させていただいた「エトキシキンの二量体を含めた暴露評価について」という一枚紙に沿って説明させていただきます。
 まず最初に、二量体の残留についてどうするのかということですが、得られた情報から、二量体の残留については知見が限られており、二量体についての基準値設定は難しいのではないかという判断になりました。規制対象はエトキシキンのみとし、暴露評価において、二量体を含めた評価を行い、食品から摂取されるエトキシキン及び二量体の合計量がエトキシキンのADIの8割に収まることを確認することで、その安全性を担保するという考えになりました。
 二量体の毒性については、食品安全委員会の評価書にも記載がありますが、資料3-2の57ページの最後のパラグラフから、二量体の毒性について記載されています。
○斉藤委員 奇数ページがないですね。
○事務局 すみません。資料を至急用意しますので、一旦これは後回しでお願いします。
○大野部会長 それでは、エトキシキンについては後回しということで、次の品目について御審議をしていただきたいと思います。
 次の品目は、農薬及び動物用医薬品のエトキサゾールです。エトキサゾールについての御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、4剤目のエトキサゾールです。資料4-1です。
 今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされたこと、及び、動物用医薬品としての製造販売の承認がなされたことに伴う基準値設定です。なお、今回で2回目の審議となります。前回は平成20年6月に審議が行われています。
 まず概要です。本剤はオキサゾリン環を有する殺虫剤・殺ダニ剤であり、キチン生合成を阻害する昆虫発育制御物質として作用し、孵化及び脱皮を阻止することにより殺虫効果を示すと考えられています。化学名及び構造式については記載のとおりです。
 2ページの「適用の範囲及び使用方法」です。今回、適用拡大申請がなされた作物、製造販売の承認申請がなされた鶏について四角で囲んで示しております。
 4ページの「作物残留試験」です。分析対象の化合物として、エトキサゾール、代謝物R7及び代謝物R3について分析が行われています。分析方法については記載のとおりです。結果については、11ページからの別紙1-1及び別紙1-2に記載しております。
 ページを戻っていただいて、4.乳牛における残留試験、及び、5.産卵鶏における残留試験については、前回から、構造式を追記しておりますが、内容については変更等ありません。
 6.動物用医薬品の対象動物における残留試験です。牛における試験については前回から変更はありません。
 7ページから、今回承認申請がなされた鶏における残留試験を記載しております。これらの残留試験結果から、皮膚、脂肪、卵黄については、統計学的解析により得られた残留最大許容濃度の上限を9ページに示しております。肝臓については、統計学的解析に必要なデータ数が不足していることから、平均値に標準偏差の3倍を加えた値で算出しております。
 続いて、7.ADIの評価です。ADIは0.04mg/kg体重/dayという評価となっています。この値は、前回の部会で御審議いただいたときと変更はありません。
 なお、9ページに示していますように、評価に供された遺伝毒性試験のin vitro試験の一部で陽性の結果が得られたが、小核試験をはじめ、in vivo試験では陰性の結果が得られたので、エトキサゾールは生体にとって問題となる遺伝毒性はないと、食品安全委員会においても評価されています。
 「諸外国における状況」ですが、2010年にJMPRでの評価がなされており、ADIが設定されています。国際基準は、リンゴ等に設定されており、諸外国においても記載のとおり基準値が設定されています。
 これらを踏まえて、「基準値案」ですが、残留の規制対象としてエトキサゾール親化合物のみとする案としております。
 作物残留試験において、エトキサゾール、代謝物R7及び代謝物R3の分析が行われており、代謝物R7については、エトキサゾールと比較して同程度の残留が認められていますが、急性毒性試験及び遺伝毒性試験において、生体にとって特段問題は認められないこと、代謝物R3については、エトキサゾールと比較して十分に低い残留量であること、及び、JMPRにおいて農産物の規制対象をエトキサゾール親化合物のみとしていることから、代謝物について農産物の規制対象としては含めないこととしました。
 また、畜産物においても残留試験において主要な残留物は、エトキサゾールであることから、畜産物についても親化合物のみを規制対象とすることとしております。
 なお、食品安全委員会における食品健康影響評価においても、農産物中の暴露評価対象物質としてエトキサゾール親化合物のみを設定しております。これらの内容については、前回御審議いただいた内容と変更はありません。
 基準値案ですが、15ページからの別紙2を御覧ください。今回、基準値設定申請がなされたかんしょについて、提出された国内の作物残留試験データを基に基準値を設定しております。また、鶏の脂肪、肝臓、食用部分、卵については、動物用医薬品を使用した場合の残留試験を基に、基準値を上方修正しております。
 そのほかの基準値を変更した食品に関しては、基準値案の所を太枠で囲って示しておりますが、国際基準を参照して基準値を設定したものです。
 これら基準値案を用い、暴露評価を行ったものが、17ページの別紙3です。TMDI試算によって一番高い幼小児で13.1%のADI占有率となっています。最後のページが答申案となります。事務局からの説明は以上です。御審議のほどをよろしくお願いいたします。
○大野部会長 これは2回目ということです。一応、まだ2回目ですので、順次御審議していただきたいと思います。化学名、化学構造などについては、前に修正したことを確認していただけたと思いますが、追加で何かありますでしょうか。
○吉成委員 特にありません。
○大野部会長 よろしいでしょうか。用途、薬理作用の辺りで、宮井先生、いかがでしょうか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。代謝のところなど、吉成先生、いかがでしょうか。
○吉成委員 動植物とも非常に多くの代謝物が出て、植物で比較的残留するR7という代謝物が少し気になるのですが、恐らく構造の中心にある5員環の所が切れた代謝物なのですが、そのせいか毒性が低い、安全性が高いということですので、この案のとおり、これを含まないという方向で良いのではないかと思います。
 ほかの測定されている代謝物に関しては、分解物であったり、残留性が非常に低いということで、特に問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。私もR7がちょっと気になりました。急性毒性の面と遺伝毒性の両方の面から特に問題がないということだったのですが、急性毒性だけで判断していいのかなというところがちょっとありまして、今までもそういう判断をしたことはあるのですが、その辺りは鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 本来ならば急性毒性だけですることはなかなか難しいのですが、まず遺伝毒性がないということが一番大きなところで、閾値を設定できるというのがベースにありますので、これも、もともと基に含まれている物と、代謝物と鑑みた場合に、基本的には親化合物以下であればという形でしていますので、問題ないかなと考えます。
○大野部会長 ありがとうございます。私は、毒性的な記録はちょっと判断できなかったのですが、これも暴露量としてTMDI比ではかなり低いということもあるので、もしR7を入れたとしても大して増えるわけではないので、十分余裕があるから特に問題にならないかなと思ったのですが、その辺りはいかがですか。
 今はTMDI比で最大でも13.1%となっていますが、もしこれがADI比でもかなり8割に近いところになってきたら、R7の毒性などをもうちょっときちんと調べないといけなくなるのではないかと思ったのですが、吉成先生、お願いします。
○吉成委員 私は、この農薬個別に特に詳しいわけではないのですが、用途のところから見ると、この中心にあるオキサゾリン環という構造が、多分、薬理活性に重要なのではないかと思うのですが、このR7という代謝物はそこが切れた代謝物ですので、恐らくは本来有するであろう薬理活性は生じないと考えられますので、その点からも、もちろん試験がないので何とも言えませんが、問題ないのではないかと思います。
○大野部会長 分かりました。どうもありがとうございます。今までのところで、先生方、御意見ありますでしょうか。よろしいですか。それでは、残留の規制対象物質というところでは、前回と同じくエトキサゾールというところでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 分析法、分析結果、その他についていかがでしょうか。今回はそれほど多くのものについて新たに加わったわけではありませんが。
○斉藤委員 1つよろしいですか。
○大野部会長 お願いします。
○斉藤委員 5ページの4.乳牛における残留試験で、方法は何を用いたかなどは余り詳しい記載が見当たらないのですが、これはどうなっているのでしょうか。
○事務局 すみません、5ページの乳牛の残留試験と、6ページの5.産卵鶏における残留試験なのですが、前回の部会で御審議いただいていた内容で、詳しい資料は確認できていないのです。構造式については文書中に出てきていましたので、この報告書でも確認して追加させていただいているのですが、詳細な分析法などについては、前回は確認されていたのかもしれませんが、今回は構造式を追記したというものです。
○大野部会長 いかがでしょうか。石井先生、何かありますか。
○石井委員 6ページの分析法の概要のところで、ガスクロマトグラフで残留性が検証されている、という一文があると思うのですが、どういう方法でなされているかというのが具体的に書いていないのが、ちょっと検討できないかなと思います。
○事務局 6ページの6.動物用医薬品の対象動物における残留試験については、もう少し詳しい分析法の記載は確認できる資料はあると思いますので、申し訳ありませんが、こちらについては追加させていただきたいと思います。部会後にでも修正した案を御確認いただければと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。斉藤先生が御指摘になったところについては、方法は詳しく資料に書いていなかったということですね。書きたいけれども書けなかったということで、斉藤先生、御承認いただけますでしょうか。
○斉藤委員 はい。
○大野部会長 6ページの分析法の概要については詳しく書いてくださるということですので、その内容について石井先生、後で確認していただけますでしょうか。
○石井委員 はい。
○大野部会長 お願いします。
 それでは、基準値のところはいかがでしょうか。かんしょについて新たに加わったということと、かぼちゃ、ぎんなん、お茶、その他のハーブ、その他について国際基準に基づいて数値を変えたということです。全体としての暴露量はTMDI比で13.1%という基準値ですが、特に問題ないでしょうか。よろしいですか。
 ほかに全体を通して御意見はありますか。若干、追記していただくところがありましたが、追記したものについては石井先生に確認していただくということでよろしいでしょうか。では、確認していただいたものをこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。

○事務局 すみません、次のスピネトラムなのですが、資料に不備がございましたので後回しにさせていただければと思います。
○大野部会長 分かりました。それでは6番目、シアントラニリプロールについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 シアントラニリプロールの審議です。資料6-1です。
 今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請がなされたこと、及び、関連企業からインポートトレランス申請がなされたことに伴う基準値設定について御審議いただくものです。
 概要ですが、本剤はアントラニリックジアミド系の殺虫剤であり、昆虫の筋肉細胞内のカルシウムチャンネル(リアノジン受容体)に作用し、カルシウムイオンを放出させ、筋収縮を起こすことにより殺虫効果を示すものと考えられています。化学名及び構造式等については記載のとおりです。
 2ページから5ページに「適用の範囲及び使用方法」について記載しております。4ページの「海外での使用方法」なのですが、宮井先生より御指摘いただいていまして、ばれいしょの使用方法の「散布(地上散布、航空散布)」となっていますが、この下の記載と合わせるように「地上散布及び航空散布」と修正させていただきたいと思います。
 6ページの「作物残留試験」です。分析対象の化合物として、国内についてはシアントラニリプロール代謝物B及び代謝物Oについて、海外についてはシアントラニリプロール代謝物C、I、J、K、Qについて分析が行われています。分析方法については記載のとおりです。結果については10ページから15ページの別紙1-1及び別紙1-2に記載しております。
 8ページに戻っていただいて「ADIの評価」です。ADIは0.0096mg/kg体重/dayという評価となっています。
 「諸外国における状況」ですが、JMPRにおける評価はなされておらず、国際基準も設定されていません。諸外国においては、記載のとおり基準値が設定されています。
 これらを踏まえて、6.「基準値案」です。残留の規制対象をシアントラニリプロールのみとする案としております。国内及び海外の作物残留試験において、各種代謝物の分析が行われていますが、いずれも定量限界未満、あるいは、親化合物と比較して十分に低い残留量であることから、代謝物は残留の規制対象には含めないこととしております。
 なお、食品安全委員会においても、農産物中の暴露評価対象物質をシアントラニリプロール(親化合物のみ)としております。
 次に「基準値案」ですが、16ページの別紙2です。国内の作物残留試験成績に基づき、米、ブロッコリー等について基準値を設定しております。また、登録の有無の欄に「IT」と記載してあるものについては、カナダの基準値を参照しております。
 これら基準値案で暴露評価を行ったものが18ページの別紙3です。EDI試算により一番高い幼小児で58.5%のADI占有率となっています。最後のページが「答申案」となります。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 これは1回目の審議ということですよね。化学名、化学構造、物性の辺りについて吉成先生、いかがでしょうか。
○吉成委員 特に問題ないと思うのですが、細かいのですが、IUPACの名称のダッシュが、これでもいいとは思うのですが、いつものは違うなというのがあります。いつも全角っぽいものだったのですが、プライムなのかちょっと分かりにくいです。見た目はこれでも構わないのですが、もし統一するのであれば統一していただければと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。用途と薬理作用の辺りはいかがでしょうか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。尾崎先生からは特にコメントは来ていませんか。
○事務局 特に頂いておりません。
○大野部会長 それでは、代謝や残留の辺りについて吉成先生、いかがでしょうか。
○吉成委員 この剤は、動植物で非常に多くの代謝物が出て、実際に分析されています。この中で代謝物Q、Kであったり、Bというのは比較的出るのですが、構造からすると水溶性の代謝物ですので、特に問題ないのではないかと思います。作残試験からの、例えばBなどですと、残留量が少ないということで、対象にも含めなくていいのではないかと思います。それが全体的な意見です。
 細かいところでもう1点だけ、ちょっと修正というか、代謝物Kの構造なのですが、右上のほうにOが付いているのですが、これは水酸基なはずなのでOHにしていただければと思います。
 もう1つ、Q、Kも同じようなのですが、左の中央辺りにOが出ているのですが、それも水酸化の反応です。このようにQとKはともに水酸化反応で、その後、両方ともに水酸化が入るような代謝が行くのですが、ですから特に問題はないのかなと思います。
○大野部会長 ありがとうございました。私が見た場合も、代謝試験では親化合物と代謝物Bが主に多いものとして残っていたので、その2つについてフォローすればいいのではないかと思いましたが、作残試験では、今、吉成先生から御指摘があったように、代謝物Bについては親化合物と比べてかなり少ないということで、親化合物だけのフォローでいいのではないかと思いました。
 今までのところで、先生方、御意見はありますでしょうか。安全性の面で、鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 まず、これは遺伝毒性等々、重篤な毒性が見られないということで、十分NOAELが取れていますので大丈夫だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、分析法、分析結果、その他について、いかがでしょうか。特にありませんか。
 それに基づいて設定された基準値と、その国際的整合性も含めて御意見はありますか。全体としての暴露量がEDI比で最大でも58%ぐらいであるということですが、よろしいでしょうか。
 それでは、全体を通していかがでしょうか。
○宮井委員 今気が付いたのですが、ちょっとよろしいですか。
○大野部会長 お願いします。
○宮井委員 細かい所ですが、5ページに2つ表がありますが、1回当たりの「製剤使用量」となっているのですが、前の1、2は単に「使用量」になっているので、「製剤」を取って統一した表現にしておいたほうがよろしいかと思います。
○大野部会長 よろしいですか。
○事務局 修正させていただきます。
○大野部会長 お願いいたします。ほかに御指摘はありますか。
 それでは、今、宮井先生から御指摘があった所と吉成先生から御指摘があった所について修正したものをこの部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。
 次はアゾシクロチンに入ってよろしいですか。アゾシクロチン及びシヘキサチンについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いします。
○事務局 アゾシクロチン及びシヘキサチンについて説明させていただきます。資料7-1です。
 今般の残留基準の検討については、関連企業からインポートトレランス申請がなされたことに基づき、残留基準の設定要請がなされたことに伴い、そして、ポジリス制度導入時に新たに設定された食品において「不検出」とされる農薬等の成分である物質の見直しを含め、御審議を頂くものです。当該成分は、ポジリス施行前の前の平成6年の6月から、全て不検出という基準になっているものです。
 概要です。まず、品目名はアゾシクロチンとシヘキサチンです。用途ですが、宮井委員からコメントがありましたので、ちょっと修正させていただきます。まず「殺虫剤」は「殺ダニ剤」になります。作用ですが、3行目の所が少し変わるのですが、以下、読ませていただきます。「アゾシクロチン及びシヘキサチンは有機錫系の殺ダニ剤である。ジニトロフェノールのアンカップリング部位における酸化的リン酸化を阻害して、ATP生成を抑制することにより殺虫効果を示すものと考えられている」と修正したいと思います。
 化学名と構造式及び物性は記載のとおりです。
 次のページの2.適用の範囲及び使用方法です。こちらは今回申請のあったブラジルの残留試験データの根拠となった使用方法のかんきつとコーヒーです。
 3.作物残留試験です。分析の概要です。分析対象の化合物をシヘキサチン代謝物Dとし、分析法の概要は記載のとおりです。また、これを基に実施された作物残留試験結果は、6、7ページの別紙1です。オレンジとコーヒーのデータが提出されています。
 4.ADIの評価です。食品安全委員会は、両者の総合的な評価として、毒性のより強く現れるアゾシクロチンに基づく評価を適用するのが適当であると判断し、アゾシクロチンで設定した0.0026mg/kg体重/dayをアゾシクロチン及びシヘキサチンのグループのADIと設定しました。
 なお、本剤については、発がん性が疑われていたことから、食品において「不検出」とされる農薬等の成分と定められていました。現在、前述のとおり、食品安全委員会の評価で、また、国際機関及び諸外国においても発がん性が否定されているため、部会としても基準値を設定することとしました。
 5.諸外国における状況です。JMPRにおいても複数回評価が行われており、ADIが設定されています。国際基準はりんご、ぶどう等に設定されており、諸外国における残留基準値等は記載のとおりです。
 6.基準値案です。残留の規制対象をアゾシクロチン及びシヘキサチンとし、「ただし、アゾシクロチン及びシヘキサチンをシヘキサチン含量に換算したものの和とする」という案にしております。
 残留試験成績においては、代謝物Dの分析が行われているのですが、毒性が低いことから、残留の規制対象からは外すこととしました。なお、食品安全委員会における健康影響評価においても、暴露評価の対象物質として親化合物のみアゾシクロチン及びシヘキサチンを設定しております。
 これらを踏まえた基準値案が、別紙2の8ページからになります。「登録有無」の所に、IT(インポートトレランス申請)と書いてあるものが、今回、設定の要請があったもので、それ以外にも、コーデックス基準を採用できるところは採用しております。
 これらを踏まえた暴露評価が、11ページの別紙3です。TMDI試算で一番高い幼小児で24.0%のADI占有率です。
 これらを踏まえた基準値案が、13ページの答申案となります。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 御審議をお願いします。まず、化学構造、化学名、物性の辺りについて、吉成先生、いかがでしょうか。
○吉成委員 特に問題はないのですが、見た目だけの問題で、2ページのシヘキサチンの構造をOHの所をもうちょっとはっきり分かるように書いていただければと思います。それぐらいです。
○大野部会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 修正いたします。
○大野部会長 用途と薬理作用の辺りについて、宮井先生に御修正していただきましたが、ほかにありますか。
○斉藤委員 1点だけ。つまらないところなのですが、用途の所で殺虫剤を殺ダニ剤と変更されているということで、最後のほうの文章が「ATP生成を抑制することにより」、その次は「殺虫」でよろしいのでしょうか。
○宮井委員 ちょっと曖昧なのですが、「虫」というものを広く捉えて、ダニも含めて殺虫効果ということで、ダンゴムシなども殺虫効果と言ったりするもので。
○斉藤委員 そうすると、項目タイトルが「殺ダニ」で限定してあるのですが、もし広い意味なのであれば、用途は「殺虫」のほうがいいのではないでしょうか。
○宮井委員 ほとんどダニを対象にしたものなので、この場合「殺ダニ剤」でいいかと思います。剤によっては、確かにダニと昆虫とか、ダンゴムシだとか、昆虫以外のものも入っていても「殺虫剤」と言ったりなどと、ちょっと曖昧なところがあるのですが、余り厳密に区別した使い方をしていなくて、その時々によって変わるのですが、「殺ダニ剤」であっても効果は「殺虫効果」と普通に言うもので、それで特に問題ないかと思います。
○斉藤委員 その辺は私には分からないのですが、項目タイトルと中身が一致していなかったので、ちょっと疑問を呈したまでです。
 同じく、そこの最初の行の所の「有機錫系」ですが、これは食品安全委員会の資料を見ると「スズ」と片仮名表記になっているのですが、あえて変更されたのは何か理由があったのでしょうか。
○事務局 特に理由はありません。修正させていただきます。
○大野部会長 お願いします。
 私から聞きたかったのですが、私が学生の頃の知識で申し訳ないのですが、ジニトロフェノールというと、そのアンカップリング部位というのは、この表現では特定のタンパクとか、そういう所に作用しているように見えてしまうのですが、今は同定されたのですか。
○吉成委員 されていると思いますけれども。
○宮井委員 これはちょっと古いですね。
○大野部会長 何かミトコンドリアの膜の底に入って、それで、水素イオン濃度に影響を与えて作用を現すというふうに学生のときには習ったのですが、今はそうではなくて、ということなのでしょうか。
○吉成委員 教科書を見れば、多分、タンパク質の名前を書けると思います。多分、ジニトロフェノールの対象の化合物は、タンパクが決まっていると思うのですが。
○大野部会長 そうですか。ではこれは正しいわけですね。
○吉成委員 合っているとは思いますけれども、今までもミトコンドリアの何に作用してというのは書いてあったので。
○宮井委員 書いていましたね。
○吉成委員 多分、調べれば分かるのではないかと思います。今すぐには出てきませんけれども。
○宮井委員 もし調べて分かるようでしたら、書いてみたらよろしいかと思いますが。
○大野部会長 ただ、特定の部位が今は同定されているのであれば、この表現でいいと思います。よろしいでしょうか。
 次に、このものの代謝と測定対象物質についての関係で、吉成先生、いかがでしょうか。
○吉成委員 代謝物は測定されているものしか出ないのですが、代謝物のDというのが、ちょっと安全性のところが分からないのですが、作残試験の結果からは、比較的多く出るのですが、有機スズの毒性からSNに二重結合のOが付いたものは、恐らく毒性が低いということで、対象としないことは問題がないことには、一応同意いたします。入れなくてもいいのではないかと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。私も同様に考えました。この場合、代謝物Dは90日間の反復投与毒性実験をやっているので、親化合物よりもかなりNOAELが高いところにあるということで、毒性は弱いのかなということでよろしいかと思いました。
 安全性の面で、鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 記載のとおりで結構だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 分析法と分析結果についてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それに基づいて設定した基準値と、国際的整合正についてはいかがでしょうか。
○石井委員 ちょっと分からないので教えていただきたいのですが、食品安全委員会のほうの毒性ADIの評価というのが、アゾシクロチンのほうが毒性が強いということで、それでADIを評価しているのですが、基準値の設定の所では、アゾシクロチン及びシヘキサチンをシヘキサチンに換算して基準値を設定しているのです。これはアゾシクロチンに換算しなくてもいいものなのでしょうか。
○事務局 シヘキサチンになります。アゾシクロチンはエチル化でシヘキサチンと同一物質に変化するので、また、その変化もかなり速やかに進むようなので、シヘキサチンとしての基準にされています。
○大野部会長 そうすると、アゾシクロチンの毒性に基づいて決定された無毒性量、ADIと矛盾してきてしまうのではないかと思うのですが。実際に測定するのは、最終的にシヘキサチンについて測定するというのは分かるのですが、シヘキサチンの無毒性量も続いてADI比などを決めるのであれば一貫していると思うのです。
○事務局 食品安全委員会の評価書、資料7-2「総合評価」の所に記載があるのですが、一応、それぞれに評価はしているのですが、その上で、アゾシクロチンは水の存在下でシヘキサチンに容易に分解されること等を考慮して総合評価を実施して、それぞれの結果を出したのですが、同一物質に変化するということで、今回のような記載としたのです。
○大野部会長 アゾシクロチンのほうが毒性が強いということでADIを決めているので、そのアゾシクロチンのADIをシヘキサチンの分子量に換算して、もうちょっと低めにADIを設定しないと。それと暴露との比較をしないと矛盾が出てしまうのではないかと思ったのです。石井先生と同じ指摘だと思うのですが、そういうことですよね。
○石井委員 はい。ADI占有率が変わってきてしまうのではないかと思うのです。
○事務局 すみません。こちらの認識不足でした。御指摘のとおりなので、分子量換算して、また修正し報告させていただきたいと思います。
○大野部会長 ここのところは、石井先生が御指摘してくださったように、6.基準値案の「ただし」の所、「アゾシクロチン及びシヘキサチンを、アゾシクロチン含量に換算したものの和」とすれば、全然矛盾はなくなると思うのですが。
○事務局 はい。換算させていただいて。
○事務局 6.の(1)の文章のただし書きの所の「シヘキサチン含量に換算したものの和とする」という所を「アゾシクロチン含量に換算したもの」と修正をさせていただきます。多分、ADIの占有率も若干変わってくるかと思いますので、そこも計算し直して修正させていただきたいと思います。
○大野部会長 よろしくお願いいたします。危なくそれを忘れるところでした。石井先生、ありがとうございます。
 ほかに先生方から何かありますか。それでは、用途の所の表現について御指摘によって修正するということ。それから、今、御指摘があった、基準値案の残留の規制対象の所の表現を変えるということ。それから、それに基づいて暴露評価の所の数値が変わっていくようだったらそれを修正していただくということです。そういったところで、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
○事務局 エトキシキンの資料が用意できましたので、今、配布させていただきます。
○大野部会長 それでは、エトキシキンについて審議を再開させていただきます。事務局には、先程の続きから説明をお願いします。
○事務局 先ほどお配りした資料3の、食品安全委員会の評価資料の57ページを御覧ください。57ページの一番下のパラグラフからが二量体の毒性について記載があります。その中で58ページの上から3行目、知見は限られておりますが、二量体の毒性について、未変化体より強い可能性は低いと考えられると評価されておりますし、国際的な評価機関であるJECFAにおいても、暴露評価を行う際に、毒性が明らかになっていない代謝物については、親化合物と同等の毒性を持つと仮定するように勧められております。以上のことから、エトキシキンの二量体を含めた暴露評価においては、二量体がエトキシキンと同等の毒性を含むものと仮定し、エトキシキンの残留量に、エトキシキンと二量体の残留比を掛けたもので、二量体を含めた暴露評価を行うと考えました。
 詳細につきましては、配布資料の後半の「魚介類」に記載していますが、同じ食品安全委員会の評価書23ページを御覧ください。7さけの混餌投与試験についてです。異なるエトキシキン濃度の餌をさけに投与し、最終投与後0日及び14日後の残留比を比較した結果が、表9に記載されております。この107ppm投与群において、Aの欄が最終投与後0日の結果でして、Bの結果が最終投与後14日後の結果になっております。休薬0日のところで、エトキシキンの残留量が410ppb、二量体の残留量が560ppb、合計で967ppbとなっております。
 一方、最終投与後14日後、Bの欄においてはエトキシキンの残留量が10ppb、二量体の残留量が951ppbという結果になっております。この比を用いて、エトキシキンの暴露評価において、二量体を含めた量に換算するという方法を採りました。もともとエトキシキンの暴露評価において、暴露評価に用いた数値は、部会報告書、ブリの残留試験の試験開始前の残留量、0.36ppmという数値を用いておりました。これに今回、Aの欄の数値、エトキシキン410対二量体560の比を用いまして、二量体を含めた推定残留量は、0.36掛(0.56+0.41÷0.41)ということで、0.85ppmという数値を暴露評価に使う値としました。
 これに関しましては、部会報告書資料3-1の7ページの暴露評価のEDI占有率の表の下にも記載させていただきました。
 続きまして、資料3-1の11ページ、別紙2になりますが、魚介類については二量体を含めた残留量として0.85の数値に変更し、日本なし、洋なし、農作物については、JMPRにおいて用いられた総残留のSTMRが5ppmと評価されておりましたので、そちらの数値に変更しております。これらのことで、二量体を含めた暴露評価を行ったところ、EDI試算によりまして、一番高い幼小児で67.4%のADI占有率となりました。二量体を含めて暴露評価を行っても、ADIの8割に収まることを確認できましたので、このように修正した上で、エトキシキンの基準値案は変更せず、今回の部会報告書とさせていただければと考えております。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。9月に審議していただいて、二量体の存在が問題になって、継続審議になったわけです。御説明がありましたように、二量体の問題については、今御説明があったような形で対応するということですが、先生方、御意見ございますか。
○吉成委員 どう判断したらいいか分からないのですが、食品安全委員会の資料の23から24ページにかけて御説明いただいたのですが、前回に指摘したかどうか忘れましたが、二量体の体内動態が非常に気になるのですけれども、先ほど御説明いただいた表9の107ppmの投与群で、Aが投与最終日、Bが休薬後14日間で、もちろん筋肉注射測定結果が出ていませんので、何とも言えないのですが、筋肉中ですとエトキシキンと二量体が410と560ppbでそのぐらいして、あとは967と。14日間休薬しても、エトキシキンはなくなるのですが、二量体は951ということで、筋肉の中でほとんど二量体になっているのかもしれませんし、二量体が筋中に蓄積するかもしれませんけれども、ほとんど抜けないと。実際、表10でも、半減期が14日以上、測定できないぐらい、恐らく魚の体内から抜けないのではないかと思うのですけれども、こういう物質に関して、今まで毒性は化合物より低い、あるいは同等か、かなり低いとは考えられますけれども、全く抜けなさそうな化合物に関して、今までどのように扱ってきたのかということに関して、今まで私が委員になってから出たもので、これだけ抜けなかったものはなかったような気がするのですが、どのように考えるのかというところで何か先生方のほうから御意見をいただければと思うのですが。
○大野部会長 事務局からそういうことがあったかどうか、それについてどう解釈、判断したのか、もしそういう経緯があったら御説明いただきたいのですけれども。
○吉成委員 更に気になるのですけれども、例えば表9の18ppm辺りのところを見ると、二量体とエトキシキンの含量よりも、休薬後の総和よりも、休薬後の二量体の含量が多くなっているということは、体内に回っている、生成される二量体が、恐らくどんどん筋中に蓄積していることだと思います。14日間で更に増えていますので、半減期は出せないぐらい。ですから長期の試験でどのぐらい休薬期間を置けば体内から抜けるのかというのは不明で、14日間で2倍になっているということは、2件しかないので、統計学的手法とか、モデリングしても難しいとは思いますが、どのぐらいで抜けるのか分からないようなものができてしまっているということが、なおかつ、それを暴露評価に使っているわけですので、どう判断されてきたのかなということを、もし事務局のほうでも、あれば御意見をいただきたいのですが。
○大野部会長 これは非常に不思議なところだと私も思ったのですが、動物ではそんなに残留しているわけではないみたいですよね。ラットなどでの体内動態試験を見ると、確か結構排泄されていたのですね。ああ、そうか。それでも投与したときに、食品安全委員会の報告書の10ページに、ラットの薬物動態試験で、これはエトキシキンそのものですけれども、RIで標識したものを投与すると、58%が尿中に出て、30から40%は糞便中に出るというのです。
○吉成委員 親化合物は多分、構造的にも出やすいのだと思うのです。二量体は魚類に選択的に生成して、魚類で、非常に水溶性が高くなるような構造になりますの。官能基がつぶれますので残りやすいのかなと思うのですが。
○大野部会長 動物については、同じように蓄積することはないのかなと思ったのです。
○吉成委員 二量体の。
○大野部会長 これは単体と二量体です。RI量だけで検討していますので、全体も含めて出ているのではないかと思うのです、もし生成したとしても。
○吉成委員 動物では生成しないのです。二量体は。確かそういう試験だったような気がするのです。
○大野部会長 はい。これ、生成しないのですかね。
○吉成委員 しないはずです。
○大野部会長 それはなぜ。
○吉成委員 それは魚ですから。
○大野部会長 なしで成長するとされています。
○吉成委員 そうです。なしもあります。
○大野部会長 そこがちょっとなぜ。動物でも出るのではないかと思っていたのですが。その辺、いかがですか。
○事務局 部会長、よろしいでしょうか。動物における二量体の知見についてなのですけれども、生成されないというわけではなくて、動物について二量体を測定した結果がないと認識しております。なので、記載されていない。
○大野部会長 そういうことと、ちょっと論文で見ると、さけで測った結果だと、ずっと同じものが反復投与されていれば、二量体が排泄されなければ全体的に増えてくるはずですよね。蓄積してきて。それがある程度プラトーに達しているのですよね。それがどうも分かりにくいですね。二量体も含めてプラトーになるのですよね。ダイオキシンだと、どんどん溜まってきますよね。そういうふうになるのかなと思ったら、そうならないのですね。どうも分かりにくいなと。ダイマーのほうがずっと多いですけれども、プラトーに達しているというのが、このBohneという人が書いた“Food and Chemical Toxicology”の論文にそうなっているのですよね。これ、どうしましょうかね。
 それから、質問なのですが、餌として使うもの、餌の中に入れる量というのは、何ppmを使うのですか。餌の中に入れる量ですけれども。
○事務局 餌の中にエトキシキンは150ppm以下というのが規定でございます。
○大野部会長 ありがとうございます。
○事務局 また、国内ではないのですが、海外における餌の実態については、食品安全委員会の評価書の25ページの表11に記載されております。
○大野部会長 大体107ppmぐらいのデータを基に計算してもそれほどおかしくないと、それほどずれていないということですね。
 それと、もう1つ考慮しなければいけないことがあったかなと思いますが、この課題は、緊急性があると思ったのですが、これは火災を防止するために入れているのであると。
○事務局 そうです。餌の原材料となる魚粉を海上輸送する際は、エトキシキンを魚粉の発火防止の目的で添加しなければいけないという国際条約がありまして、そのために魚粉に高濃度のエトキシキンが入っているという状況です。ですので、エトキシキンを飼料に意図的に添加するというものではなくて、つまり魚粉に含まれているエトキシキンを魚用飼料にするときに、一定濃度以下に抑えなければならないというような規制がされているというように理解しています。
○大野部会長 そういうことで、これが使用されないと、事故が起こる可能性があるというようなところで、吉成先生が言われたような疑問は皆さんも持っているのではないかと思うのですが、放置しておくと、事故が起こるかもしれないというようなことを懸念したのですが、それは考えなくてもいいのですか。取りあえずはそういう形で、ある程度の合意ができたらそこで決めておいて、あとでもう少し余裕を持って考えるというようなことが許されるのかどうかです。
○事務局 そうですね。二量体のデータにつきましては、御指摘のとおり、いろいろと不足したことが多いため、いろいろ科学的な、理論的に説明しにくい箇所もあるかと思いますが、今後、二量体の動態や残留試験、毒性試験等、いろいろな所と協力しながら実施する方向で検討していきたいというようには考えております。
 その上で、再度、基準値案の変更等必要になれば、再度部会で審議いただくかと思っておりますが、現段階においては、得られた情報から代謝物について換算係数等を用いて、暴露評価させていただいたということです。畜産物につきましては、情報が得られていないので、現段階ではエトキシキンのみの暴露評価ということです。そのようなことでいかがでしょうか。
○大野部会長 いかがでしょうか。半減期がどのぐらいになるかとか、どのぐらい蓄積する可能性があるのかとか、そういうことが重要だと思うのですが、皆さんの所へ配られているかわからないですが、Bohneさんの論文だと、ある程度のレベル以上にはならず、ずっと蓄積されてくるというものでもないですよね。この値からみると非常に蓄積性が高いとは見えないと。一方、論文には間違もあるのですね、この論文で。表10に書かれているエトキシキンの半減期が2.6日と書いてありますが、論文には書いてなかったのです。あれっと思ったら表が間違っていた。そういう曖昧なところがあるのですけれども、先ほどお話したように、船で輸送中に自然発火してしまうとか、そういうことを防ぐための必要性とかを考えると、とりあえず今あるデータで、最善の値を決めておいて、あと足りないところを検討していただくというような形でいったらどうかなと思ったのですが、事務局、そういうことは可能ですか。
○事務局 部会長のお話のとおり私どもとしては、現在ある範囲で、最大限安全なところで基準値を設定させていただいて、今後、エトキシキンに関する追加の検証データ、若しくはマーケット・バスケット等によるデータの収集等をして、基準値に更に問題等あるようであれば、改めて先生方に御審議いただきたいのですが。
○大野部会長 現時点でもダイマーについてどのぐらいあるかということについて、数は少ないのですが、データはあるので、それに基づいて大体このくらいの比率だという推定も行っていますね。それをもう少し幅広く測ると。それから、例えば魚介類の中での体内動態について、もう少しデータを集めるというようなことをお願いするということで、吉成先生、いかがですかね。
○吉成委員 暴露評価の方法とか、安全性に関しては全然問題がなくて、非常に半減期が長そうなものについて、特別な行為は必要なのかどうかというところが伺いたかっただけですので、先生の言われる、まず決めるということには賛成です。
○大野部会長 ほかの先生方、いかがでしょうか。それでは、先ほど事務局から説明していただきましたけれども、私のサマリーがいいかどうか分かりませんが、現在の単体での毒性試験結果に基づいてADIは設定されていて、それに基づいて単体の残量に基づいて、基準値を決められるという。基準値は二量体も含めて計算したのでしたっけ。
○事務局 基準値はエトキシキンのみで設定しております。
○大野部会長 暴露評価のときの数値は。
○事務局 数値は二量体も含めて計算する方法です。
○大野部会長 どのくらいの含量が含まれている可能性があるということを推定して、二量体のものも含めた上で、暴露評価をしている。その結果が、ADI比でいくらになったのでしたっけ。EDI比ですか。
○事務局 EDI試算で幼小児が67.4%となっております。
○大野部会長 そうすると、かなり80%に近いですね。調査をなるべく早くやっていただいて、曖昧な状況が長く続かないようにしていただくと。結果に基づいて、きちんと評価をし直すというようなことになるかと思いますが、そういった形でいくということでいかがでしょうか。
○佐藤委員 やはり結論としては今のようになるのでしょうけれども、二量体もデータが少な過ぎると思うのです。先ほどラットではないというお話、確かに分析した部位ではないのですけれども、これも例えば表1の脂肪を見ると、結構高いのです。脂肪組織が筋肉の10倍、8倍ぐらいですか。多分恐らく脂肪組織の分析はしていなくて、放射能だけ測っているので、まあ、高いなという話なのですが、もしかしてこれを分析したら、二量体かもしれないのです。そういうデータがやはりまだちょっと足りないということがあります。魚についても食品安全委員会の評価書を見ると、魚種によっては二量体がないということがあって、これを見ても脂肪への蓄積性がこの二量体が高いのではないかと思います。そういう意味で、もうちょっとデータを収集して、現段階では規制対象がエトキシンでよろしいのでしょうけれど、二量体自体もまだ構造がよく分かっていないような感じがするのです。評価書の23ページの一番下の「さけにおけるエトキシキン代謝物の二量体がCN結合であることが確認されている」と。原文を読んだわけではないのですが、恐らくCN結合ではあるのですけれども、どういう化合物か分かっているのか、この文書だけではよく分かりません。ラットと同じかどうかとか、まだまだデータが少ないですので、収集をする必要があると思います。
○大野部会長 緊急に調査をするということで、対応していただきたいと思いますが、そういったことで佐藤先生、よろしいですかね。ほかの先生、いかがでしょうか。やむを得ないというところで、気持ち悪い状況がなるべく長くならないようにしていきたいと思いますので、事務局のほうで緊急に対応してくださるよう、お願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。至急調査等できるように進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大野部会長 よろしくお願いいたします。
○宮井委員 2ページ目の適用方法及び用量の所で、国内での飼料中の含有量が150g以下/飼料1t。その後ろに括弧して有効成分の合計量と書かれているのですが、送ってもらった資料を見てみますと、エトキシキンのほかに2つ抗酸化剤が飼料添加物に指定されていて、そのエトキシキンと合わせて3つの合計量であるような書き方をしているのですが、これだけだとその点がよく分からないので、こういう書き方でよろしいのかどうかということなのですが。海外のほうもちょっとよく分からないのですけれども、EUに関しては抗酸化剤の総合計として150g以下というような記述になっていると思うのですけれども、そういう点を書いておいたほうが親切ではないかと思うのですが。
○事務局 他の抗酸化剤の規制もかかってくる旨は分かるようにして修正させていただきたいと思います。具体的な成分名をここに記載して合量で150g以下というような記載に修正するような形でいいでしょうか。
○宮井委員 そうですね。
○事務局 ありがとうございます。
○大野部会長 ほかにございますでしょうか。それでは、ただ今修正していただいたところをもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。次はスピネトラムについての御審議をお願いします。事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料5-1を御覧ください。スピネトラムです。今般の残留基準の検討については、インポートトレランス申請に伴う基準値設定です。なお、前回は本年の4月の当部会で、国内の適用拡大申請について審議が行われ、その基準値案については10月に改正されております。1.概要。本剤は、土壌放線菌が産生する活性物質(スピノシン)に由来するマクロライド系殺虫剤であり、スピネトラム-J及びスピネトラム-Lの混合物です。シナプス後膜に存在するアセチルコリン受容体とγ-アミノ酪酸受容体のイオンチャンネルに作用し、神経活動に異常を引き起こすことにより、殺虫効果を示すものと考えられております。化学名及び構造式等については、1~2ページにかけて記載しているとおりです。
 2.適用の範囲及び使用方法。5ページからは、海外のスピネトラムの使用方法、7ページからはスピネトラムの類似化合物であるスピノサドの使用方法を示しております。
 13ページの3.作物残留試験です。分析対象の化合物として、スピネトラム-J、Lに加え、代謝物B、C、D、Eを分析対象としております。分析法の概要は、記載のとおりです。
 14ページの2)スピノサドの作物残留試験結果の利用です。先ほど少し申しましたように、スピノサドはスピネトラムの類似化合物であり、今回インポートトレランス申請がありました米国においては、スピノサドの作物残留試験結果を読み替えて、スピネトラムに基準値を設定しております。17ページの頭にかけて、分析法の概要と比較試験結果を記載しております。こちらの内容については、前回、前々回と御審議いただいたときと変更はありません。記載しておりますように、過去の当部会において、りんご等の幾つかの作物で、米国の基準値を参照しております。ただ、今回の申請については、作物が大幅に拡大していることから、米国の評価に用いられた比較試験結果に加え、より多くの作物への残留の類似性を確認する必要があることから、参考データではありますが、追加作物での残留試験データについて検証いたしました。その結果を表に示しております。
 今回の追加の比較データと、米国で評価された残留性の比較データについて、スピネトラム、スピノサド各試験の最大残留濃度の平均値の使用量当たりの比を算出した結果を、表3に示しております。これらの比較試験結果から、比較試験で使用した作物については、スピネトラムとスピノサドの残留量は、全体として見た場合にほぼ同様の傾向を示すと考えられること。比較試験では、使用した作物は幅広い作物群で実施されており、スピネトラムとスピノサドは構造的にも類似していることから、比較試験を行っていない他の作物の残留量もほぼ同様の傾向を示すことが推定されること。製剤間での残留量も検討され、読み替え可能であることが米国において評価されていることを踏まえ、スピノサドの残留試験結果をスピネトラムの作物残留の評価に利用することは可能であると考えております。
 なお、食品安全委員会による食品健康影響評価においても、スピネトラムの残留結果をスピノサドに読み替えることは可能であると評価されております。詳細な結果については、22~30ページの作物残留試験結果として示しております。
 4.畜産物への推定残留量については、前回御審議いただいた内容と変更はありません。
 続いて、ADIの評価です。ADIは、0.024mg/kg体重/dayという評価になっております。この内容は、前回部会で御審議いただいたときと変更はありません。
 6.諸外国における状況です。2008年にJMPRでの評価がなされており、ADIが設定されております。国際基準はレタス、トマト等に設定されており、諸外国においても記載のとおり基準値が設定されております。
 これらを踏まえ、7.基準値案です。残留の規制対象をスピネトラム、親化合物のみとする案としております。食品安全委員会においても、同様に評価しており、この内容は前回御審議いただいた内容と変更はありません。
 基準値案ですが、31ページからの別紙2を御覧ください。「登録有無」の欄にITと記載してあるものについて、米国の基準を参照しております。なお、大豆、クランベリー、パイナップルについては、米国のスピノサドの基準値とスピネトラムの基準値が異なっております。これら3つの作物については、定量下限付近の残留量であることから、米国ではスピノサドの基準値にスピネトラムの代謝物の影響を考慮し、スピネトラムに基準値を設定しておりますが、日本では規制対象は親化合物のみとされておりますので、スピノサドの基準値をそのまま持ってきたものです。また、「基準値案」の欄で太枠で囲んだ作物については、国際基準を参照して基準値を設定しております。これら基準値案及び作物残留試験データを用いて暴露評価を行ったものが、34ページの別紙3です。TMDI試算により、一番高い幼小児で73.3%のADI占有率となっております。最後のページが、答申(案)となります。事務局からの説明は、以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、順を追って審議をお願いいたします。これについては非常に複雑な構造をしておりますが、化学名、化学構造、その他について、吉成先生いかがでしょうか。
○吉成委員 前回確認してあるものと変わっていなければ、大丈夫だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。薬理作用、用途については、いかがでしょうか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 代謝はいかがですか。
○吉成委員 いろいろな代謝物ができてしまうのは、親化合物ということで問題はないと思います。ただ、実際のところはスピノサドを参照していますので、その点に関しても今回追加の資料をいただいて、問題ないのかなと。評価書中に、スピノサドの構造が出ているのですが、前回も申しましたように、ほとんど構造が変わりませんので、エチル基がメチル基になっている程度の構造の違いですので、代謝のパターンも同じようなパターンをたどるだろうということも想像されますので、読み替えの部分についてもよりデータが明確になり、作残試験の結果も比較で出てきましたので、特に問題はないような気がいたします。
 1点だけ、事前にも事務局の方に確認していたのですが、今後このような読み替えというか、結果を参照する際に1つ気になったのは、例えば18ページの表3で、おおむねのパターンは似ていて当然かと思うのですが、一番上にある例えばリーフレタスですと比が0.06ということで1対16ぐらいになってしまいます。このものに関しては、ほかのパターンも似ているので私はいいと思うのですが、今後このような農薬等が出てきたときには、例えばこのリーフレタスの場合1対16でも認めたのではないかというようなことではなく、全体のパターンが似ていなければ駄目ということで、今後も対応するという理解でよろしいのですか。それだけは、事務局に確認したいと思うのですが。
○事務局 確かに、リーフレタスは、1つ極端なデータではあるのですが、例えば似たようなレタスやほうれんそうなど葉物についても、同じような残留結果が得られていることから、全体的に見てこのように読み替えることは可能ではないかということです。明確に、どのぐらいの比率で読み替え可能ということを1つ1つの作物で判断しているわけではありませんが、こういった幅広い作物群で行われて残留性が類似しているだろうということ、その基準値を採用したとしても、ADIの範囲内に収まっているということで採用するものです。
○大野部会長 吉成先生、よろしいですか。
○吉成委員 はい。
○大野部会長 この点について、佐藤先生、何か御意見はありますか。
○佐藤委員 今のリーフレタスの件ですが、補足説明になるかもしれませんが、何かこの辺りの作残のデータが実際はLOQ近辺のものが多く、誤差が大きかったという試験です。リーフレタス、メロン、すももの3つが余り信頼性のない、比較できるようなデータではなかったというようなことだと思います。全体的には、0.56から1.4ぐらいということで、ほぼ比較すると同じような残留性で,これは構造がほとんど一緒ですので、そういうことになるかと思います。
○大野部会長 今の点について、ほかの先生方、御意見はありますか。
○石井委員 私も、同じ所が気になって、10倍以上の開きがあるという表の下に、比較試験で使用した作物については同様の傾向を示すと言っていいのかなという気がしています。比較試験のところで、先ほど佐藤先生がおっしゃった、これはどうもLOD付近で余り当てにはならないというか、非常にばらつきが大きい数字で、というような種類の作物については、表から除くことも検討されてはいかがでしょうか。
○大野部会長 場合によっては、そこに注を付けるとかはいかがでしょうか。LOQに近かったのは、リーフレタスと、何でしたか。
○佐藤委員 誤差が大きかったのはメロンと、あと一番下の。
○大野部会長 すももですか。ありがとうございます。その辺りについて確認していただいて、定量限界に近くなったということでしたら、それを注に入れれば理解しやすいと思うのですね。
○事務局 そうですね。そういう特別なというか、外れ値が分かるような記載を追記させていただいて、御確認いただきたいと思います。
○大野部会長 石井先生、それでよろしいでしょうか。
○石井委員 はい。
○大野部会長 ありがとうございます。佐藤先生も、それでよろしいですか。
○佐藤委員 はい。
○大野部会長 ありがとうございます。少し遡りますが、代謝の所で私が見たところでは、レタスやかぶなどでの代謝試験では、代謝物のBやDが出ていたのですが、作残試験をやりましたらその辺りが非常に低いという結果が出ていました。そういうことで、測定対象物質は親化合物だけでよろしいのかなと思いました。今までのところで、ほかに御意見はありますか。鰐渕先生、安全性の面でいかがでしょうか。
○鰐渕委員 記載のとおりで結構です。
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、今までの議論と重なりますが、分析法、分析結果について、追加の御意見、御質問はありますか。よろしいですか。それでは、先ほどの議論とスピノサドとの関係も踏まえて、基準値が設定されたわけですが、それについての御意見はありますか。国際的な整合性も含めて御意見をいただければ有り難いです。よろしいですか。全体的に御意見はありますか。それでは、これについて若干表記の追加がありましたが、それをもってこの部会の報告としてよろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。
 次は、グルホシネートについて審議をお願いします。事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料8-1を御覧ください。グルホシネートについて説明いたします。今回で部会は3回目です。前回は、平成24年3月に報告を行っております。今般の残留基準の検討については、農薬取締法に基づく適用拡大申請が行われたことに伴い、その基準についてこの部会で御審議いただくものです。グルホシネート-Pで、ぎぼうしで、その他のゆり科野菜への基準値設定の適用拡大申請です。
 概要です。グルホシネートは、アミノ酸系除草剤です。グルタミン合成酵素阻害によりアンモニアが蓄積し、植物の生理機能を阻害して殺草活性を示すと考えられています。化学名、構造式及び物性は、記載のとおりです。3ページからが使用方法になります。今回適用拡大申請されたのは、11ページにあるぎぼうしで、四角で囲ってある所です。12ページの(2)が、海外での使用方法です。
 続いて、3.作物残留試験です。分析対象の化合物グルホシネートにおいては、グルホシネートと代謝物B及びZ、グルホシネート-Pではグルホシネート-Pと代謝物Bを分析対象とし、分析法の概要は記載のとおりです。これに基づき、作物残留試験を実施したものが、18ページからの別紙1-1、1-2、1-3になりますが、今回の追加分は23ページのセルを色付けしてある「ぎぼうし(可食部)」となっている箇所です。
 4.畜産物の推定残留量ですが、こちらは前回の審議内容と変更はありません。
 16ページの5.ADIの評価です。グルホシネートの農薬としての活性成分は光学異性体のL体ですが、両者の毒性試験の比較から、動物における毒性発現も主にL体によるものと推察されます。食品安全委員会は、両者の総合的な評価として、(「評価」の2文字の抜けはあとで加筆)L体を選択的に含有して、毒性も強く現われるグルホシネート-Pに基づく評価を適用するのが適当であると判断し、グルホシネート-Pで設定した0.0091mg/kg体重/dayをグルホシネートのADIと設定しました。
 6.諸外国における状況です。JMPRにおける毒性評価が行われ、ADIが設定されております。国際基準もアスパラガス、ばれいしょ等に設定されており、諸外国における基準は記載のとおりです。
 7.基準値案です。こちらも、規制対象は前回の報告と一緒です。残留の規制対象を穀類、豆類、種実類及びてんさいにあってはグルホシネート、代謝物B及び代謝物Zとし、その他の食品にあってはグルホシネート及び代謝物Bとする、という案となっております。
 代謝物Zは、グルホシネート耐性の遺伝子組換え作物に特有のものであることから、穀類、豆類、種実類及びてんさいについてはZを含めることとしました。残留量は、グルホシネートアンモニウム塩に換算した上記代謝物とグルホシネート(アンモニウム塩)の合計量で示すこととしております。また、食品安全委員会における暴露評価対象物質としても、グルホシネート代謝物B及びZを設定しております。
 基準値案です。26ページからの別紙2です。今回申請のあったものは、26ページの「その他のゆり科野菜」で、ぎぼうしの残留試験データに基づき、0.1ppmとする案としております。これらを踏まえた暴露評価の結果が、29、30ページの別紙3です。EDI試算において一番高い幼小児で64.7%のADI占有率となっております。33ページからは、答申(案)となります。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。これについては、既に2回審議をしていただきました。また今回は、ぎぼうしの追加だけですので、簡単に審議していただけたらと思います。今、16ページのADIの評価の所で修正がありましたが、先生方、全体を通して御意見はありますか。
○吉成委員 化学構造と化学名の所で、細かい点で申し訳ないのですが、事前に気づかなかった所かもしれません。1つは、1ページの(3)ですが、グルホシネート-PのほうのIUPACのSodiumのあとにLとつながっておりますが、そこの間にスペースを入れていただきたいです。それから、構造式なのですが、(4)にグルホシネートアンモニウム塩とグルホシネートPナトリウム塩が両方載っているのですが、体裁を統一していただければと思います。イオンの形の書き方ですが、グルホシネートのほうが全体のイオンをつなぐ形になっているので、アミノ酸の書き方を統一していただければと思います。もちろん、Pのほうは光学異性が特定されていますので、そう書いて、アミノ酸の書き方はそれでよろしいのですが、イオンの書き方だけをどちらかに統一していただければと思います。
○大野部会長 アンモニウム塩の統一ですか。そちらのほうがよろしいですか。
○吉成委員 アンモニウム塩のほうの統一の仕方でいいのかなと思っております。
○大野部会長 よろしいですね。
○吉成委員 そうですね。それと、アンモニウム塩の構造の所のNH4+の+も、本当は上付きになるはずだと思います。なっていないのではないかと思いますので、それも修正していただければと思います。
○大野部会長 事務局、お分かりですか。
○事務局 アンモニウム塩に合わせる形でよろしいですね。
○大野部会長 そうですね。
○吉成委員 マイナスイオンの所からで、グルホシネートそのものの書き方をアンモニウム塩のほうに合わせていただきたいのですが、ただPのほうはもちろん光学異性体が特定されますので、そこだけは明確にして書いていただければと思います。
○事務局 承知しました。
○大野部会長 よろしくお願いします。ほかにはいかがでしょうか。暴露評価の所で、EDI比で最大の所の幼小児での64.7%ということで、これは前回の審議のときよりも確か数値が下がったのですね。
○事務局 部会長のおっしゃるとおりで、精緻化で再度計算したため、少し低くなっております。ちなみに、値を今申し上げてよろしいですか。
○大野部会長 はい、お願いします。
○事務局 国民平均が、前回は32.6%、幼小児が68.5%、妊婦が26.7%、高齢者が30.1%でした。
○大野部会長 ありがとうございます。計算方法が精緻化したということで、その結果として低く見積もられるようになったということです。ほかに、先生方御意見はありますか。それでは、先ほど事務局から指摘があった修正と、吉成先生の指摘による構造式の若干の整理をしたものをもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、次に農薬のフルキサピロキサドについて、審議をお願いします。事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、農薬フルキサピロキサドです。資料9-1、部会報告書案を御覧ください。フルキサピロキサドについては、関連企業からインポートトレランスの設定要請がなされたことに伴う基準値設定について、御審議いただくものです。
 概要ですが、本剤はカルボキシアミド系殺菌剤であり、ミトコンドリア内呼吸鎖複合体IIを阻害することにより、殺菌効果を発現させると考えられています。直前に宮井委員よりコメントを頂きまして、今、申し上げました文末の所を「殺菌効果を発現するものと考えられている」と修正させていただきたいと思います。また、化学構造、構造式等については、記載のとおりです。
 適用の範囲及び使用方法ですが、本剤は国内での登録は、芝などの非農耕地用に限定されており、ここではインポートトレランス申請のあった米国での使用方法を示しています。こちらに示しました表についても、2点ほど修正をさせていただきたいと思います。2ページの表です。こちらの仁果類と乾燥豆類の表の「使用方法」が空欄になっているのですが、これは上に記載している方法と同じですので、この罫線を削除ということで対応させていただきたいと思います。
 作物残留試験ですが、フルキサピロキサド代謝物F002、F008、及びF048を分析対象化合物、そして分析が行われています。分析の方法は記載のとおりですが、後ほどまとめて紹介しようと思っていたのですが、畜産物の試験法も記載しているのですが、実は直前になって委員から御指摘を頂きまして、今回、通常よりも少し詳しく記載をさせていただいています。ですが、通常、ここまで詳しくは記載しません。内容自体に変更はありませんので、通常どおりもう少し概略になるように、コンパクトに記載を変更しようと思っていますので、お伝えしておきます。提出された作物残留試験の結果については、10ページの別紙1に示しています。
 畜産物への推定残留量ですが、分析の概要として、分析対象はフルキサピロキサド、代謝物はF002及びF008になります。概要については記載のとおりですが、先ほど申し上げましたように、もう少し簡略化した記載に変更しようと考えています。乳牛及び産卵鶏における残留試験が実施されていまして、その結果得られた各組織の最大残留量を表1及び表2に記載しています。これらの結果と最大理論的飼料由来負荷より推定した各組織の推定残留量を表3-1及び表3-2に示しています。
 食品安全委員会によるADIの評価ですが、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量2.1mg/kg体重/dayを根拠とし、安全係数100で除しまして、ADIは0.021mg/kg体重/dayと設定されています。
 なお、ADIの設定根拠となったラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験において、肝臓腫瘍、甲状腺腫瘍、及び甲状腺がんの増加が認められていますが、メカニズム試験及び遺伝毒性試験の結果から、腫瘍発生機序は遺伝毒性メカニズムによるものとは考え難く、評価に当たり閾値を設定することは可能であると結論付けられています。また、遺伝毒性試験において、in vitro試験の一部で陽性の結果を得られていますが、in vivo試験では陰性の結果が得られたことから、生体にとって問題となる遺伝毒性はないと結論付けられています。
 諸外国の状況ですが、2012年にJMPRにおいて毒性評価が行われ、ADIが設定されており、現在、小麦、大豆等に国際基準が設定されています。また、米国、カナダ、EUにおいて各種農作物、並びに畜産物において基準値が設定されています。
 基準値案ですが、残留の規制対象についてはフルキサピロキサドと設定しています。なお、JMPR及び米国においては、農産物及び畜産物の規制対象をフルキサピロキサドとしています。また、食品安全委員会において、農産物、畜産物の暴露評価対象物としてフルキサピロキサドを設定しています。
 基準値案ですが、14ページの別紙2を御覧ください。今回、新たに提出された作物残留試験成績に基づき、基準値を設定しています。「IT」と記載のある所が、申請のあった所です。これら基準値案により暴露評価を行いましたのが、16ページの別紙3です。TMDI試算により最も高い幼少児で57.4%のADI占有率となっています。
 最後のページが答申(案)となります。事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○大野部会長 ありがとうございます。前回、今年やったのでしたか。今回、初めてですか。
○事務局 はい、初めてです。
○大野部会長 分かりました。順々に御審議をお願いします。化学名、構造式、物性、その他について、いかがでしょうか。
○吉成委員 化学名と構造式に問題はないのですが、もう少し見映えのよい構造式にしていただければと。見にくい所が実際にありますので、はっきりしていただければと思います。
○大野部会長 では、お願いします。用途と薬理作用の所については、修正していただいたということですが、宮井先生、よろしいでしょうか。
○宮井委員 はい、よろしいです。
○大野部会長 代謝については、いかがでしょうか。
○吉成委員 動植物とも非常に代謝は受けまして、実際、今回、測定されている002、008、048ができます。でも、作残試験で非常に低いこと。ただ、008が比較的残るのですが、代謝反応としては脱メチル反応で更に分解される方向に行く中間体ですので、規制対象には入れなくてもよいのかなと判断しました。ですので、親化合物だけということで問題ないように思います。
○大野部会長 ありがとうございます。私も農作物ではそういうことで、F002が代謝試験では出ているということですが、作残試験で親化合物がかなり少なかったということで、親のみでOKと思います。先生方、今の所で御意見はありますか。よろしいですか。安全性の所で鰐渕先生、いかがですか。
○鰐渕委員 発がん性はあるのですが、もともと遺伝毒性が陰性ということが分かっていますので、この記載のとおりで結構かと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。分析法の所はいかがでしょうか。先ほど修正をしていただくということですが、分析方法を簡略化するということですよね。それについては、簡略化したものを分析の先生に見ていただいて、確認することでいかがでしょうか。
○事務局 はい。
○石井委員 細かい所で、3.(1)の2の「分析法の概要」と4の2もそうですが、「有機相」は「相」ではなくて。
○事務局 はい、分かりました。修正します。
○大野部会長 お願いします。修正したものを分析の先生に見ていただいて、それで確認してください。そういうことでよろしいでしょうか。その分析結果と基準値、その辺りについては、いかがでしょうか。よろしいですか。基準値と国際的整合性、その辺りについては、いかがでしょうか。ただ、気になったのが、「その他の野菜」でIT申請のデータに基づいて、7と基準値案が決定されていますが、「その他の野菜」の所で、国民平均の暴露量が基準値案を7にしたことによって、88.2と非常に高くなっていますよね。これは間違いないと思うのですが、その他の野菜といったら、結構、主要なもの以外のものという意識があるのですが、それでこんなに暴露量が多くなってしまうのは、何となく変な感じがするのですが、由田先生、こういうのはかなりいろいろなものが含まれているのですかね。
○由田委員 その他の野菜というのは、基本的に緑黄色野菜以外のものがその他の野菜に入りますので、いろいろな白い野菜。ですから、実際に全体を食べている量は緑黄色野菜よりも多いので、そういう解釈になると思います。
○大野部会長 分かりました。そうすると、場合によってはその他の野菜と十把一絡げにしてしまうのも、将来は余りよくない気がしますが。全体の何パーセントかね。かなりの量を占めてしまうのですね。全体が279で、そのうちの88ということになると、3分の1ぐらいになってしまうのですね。
 ほかに先生方から御意見、御質問はありますか。全体を通していかがでしょうか。特にないようでしたら、御指摘があった化学構造をもう少しきれいなものにしていただきたいということ。分析法について修正、簡略化したものについて、先生方に見ていただいて確認をすること。それだけでしたかね。そうしたものをもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。石井先生から御指摘の所による修正もありましたね。それも踏まえてということでお願いします。時間は、横田さん、どうしましょうか。あと2品目残っているのですが。
○事務局 もし先生方、よろしければ、このまま続けさせていただければと思いますが。
○大野部会長 先生方、よろしいでしょうか。では、申し訳ありませんが、5時を若干回ってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。次の品目、プロチオコナゾールについて、御審議をお願いします。
○事務局 10剤目のプロチオコナゾールです。資料10-1「部会報告書案」を御覧ください。プロチオコナゾールについては、関連企業からのインポートトレランス設定要請がなされたことに伴う基準値設定について御審議いただくものであり、今回が2回目の審議になります。概要ですが、改めて。本剤は、トリアゾリンチオン構造を有するトリアゾール系殺菌剤であり、脂質生合成を阻害することにより殺菌効果を発現すると考えられています。
 適用の範囲及び使用方法ですが、本剤は国内では農薬登録はなされておらず、ここではインポートトレランス申請のあった米国での使用方法を2ページ、3ページの表に記載しています。この表について宮井委員から御指摘がありましたので、修正点について報告します。2ページの表、「総使用量」を「栽培期間中総使用量」に修正します。また、3ページの(1)の表「1回当たりの製品使用量」を「1回当たり使用量」に修正します。(2)の表「製品使用量」を「使用量」に修正します。
 作物残留試験です。プロチオコナゾール、代謝物M07及び代謝物M17を分析対象化合物として分析が行われており、記載内容については大きく、前回からの変更はありません。なお、提出された作物残留試験の結果については、9ページの別紙1にて示していまして、今回網掛けしているとうもろこし、ばれいしょの試験成績が追加で提出されています。
 畜産物への推定残留量ですが、前回部会において親化合物であるプロチオコナゾールを乳牛及び産卵鶏に投与した試験を記載していましたが、改めてJMPRの評価においては、食物代謝試験の結果において、親化合物の残留量が少ないことから、主な代謝物であるM17を投与した試験に基づいて基準値を設定しています。そのため、今回はJMPRと同様にM17を投与した試験結果に基づいた基準設定について説明します。
 分析法についてですが、代謝物M17、M20、及びM21を分析対象化合物として分析が行われています。分析法の概要については、記載のとおりです。乳牛に代謝物M17を投与した残留試験が実施されていまして、その結果、得られた各組織の最大残留量を6ページ上の表1に示しています。これらの結果と最大理論的飼料由来負荷より推定した各組織の推定残留量を表2に示しています。
 食品安全委員会によるADIの評価ですが、この点については前回から評価の変更はありません。諸外国における状況ですが、改めて2008年にJMPRにおいて毒性評価が行われ、ADIが設定されており、現在、大麦、てんさい等に国際基準が設定されています。また、米国、カナダ、EU、ニュージーランドにおいて、農作物又は畜産物において基準値が設定されています。
 7.基準値案、残留の規制対象については、農産物にあってはプロチオコナゾール及び代謝物M17とし、畜産物に当たっては先ほども説明した背景も踏まえまして、代謝物M17と設定しています。ただし、畜産物については、抱合体を含むこととしています。農産物については、作物残留試験において代謝物M07についても分析は行われていますが、代謝物M07は親水性が高く、毒性が低いこと、食物代謝試験において残留量が少ないことから、規制対象物質としてプロチオコナゾール及び代謝物M17を設定しています。
 一方、畜産物については、農作物におけるプロチオコナゾールの残留量が少ないことから、国際基準においては代謝物M17のみを投与した残留試験に基づき基準値を設定しており、代謝物M17のみを規制対象としていることから、規制対象物質として代謝物M17を設定しています。
 なお、食品安全委員会においては、農産物及び畜産物中の暴露評価対象物質として、プロチオコナゾール及び代謝物M17を設定しています。
 基準値案については、12ページの別紙2を御覧ください。新たに提出された作物残留試験成績、「IT」と記載がされている作物になりますが、こちらの成績とコーデックス基準を踏まえて基準値を設定しています。畜産物については、先ほど来説明していますように、規制対象等の見直しがありますので基準値が見直されています。これらの基準値案により暴露評価を行いましたものが、13ページの別紙3です。TMDI試算により一番高い幼少児で35.9%のADI占有率となっています。最後のページは、答申(案)となります。事務局からの説明は、以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○大野部会長 ありがとうございます。これについては2回目ということです。化学名、化学構造、その辺で見直してみて何かありますか。よろしいですか。用途、薬理作用、その所では、宮井先生、よろしいでしょうか。
○宮井委員 よろしいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。代謝の所はいかがでしょうか。
○吉成委員 事務局から説明があったとおり、代謝物M17を考慮するということで問題ないと思うのです。
○大野部会長 ありがとうございます。私も同様に考えます。M7の所が気になったのですが、7ページで基準値案の規制対象の第2パラグラフの「農産物については、作物残留試験において代謝物M07についても分析が行われているが、代謝物M07は親水性が高く毒性が低いこと及び植物代謝試験において残留量が少ないことから」ということが書いてあったので、あれっと思ったのは、こういった代謝物は結構あるではないか。わざわざ書く必要はないではないかと思ったのですが、毒性が低いというのは、食品安全委員会の報告に書いてなかったのですね。
 ただ、よく見てみると、企業からの申請書には毒性が低いことがあるのですね。食品安全委員会のほうで、なぜ代謝物M07の評価が抜けてしまっていたのかが分からないのですが、いつも企業からの報告書では代謝物M07の毒性を調べていて、これが親化合物と比べてかなり低いことが書かれていましたので、この表現でいいと思いました。
 先生方、今までの所で御意見はありますか。安全性の所で鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 記載のとおりで結構だと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。分析法の所は特に余り変わっていないのではないかと思いますが、見直してみて何かありますか。
○佐藤委員 5ページの分析対象の化合物で「代謝物M17及びその酸抱合体」と書いてあるのですが、これはグルクロン酸抱合体かと思いますので、御確認をお願いします。
○事務局 これはもともと確かに「グルクロン酸抱合体」ということで記載させていただいていたのですが、他の抱合体も存在し得るということで、事前の確認の段階で、「その抱合体」と特定せずに記載してはどうかと指摘をいただき修正したのですが、「酸」という文字が削除されずに残ったもので、失礼しました。削除します。
○大野部会長 削除ですね。ほかにありますか。分析結果と基準値、その辺りについては、いかがですか。あと、国際的整合性ですね。よろしいですか。全体を通して御意見はありますか。
○根本委員 教えていただきたいのですが、7ページで残留の規制対象ということで、畜産物にあっては代謝物M17ということですが、従来までは親化合物のプロチオコナゾールが入っていたのです。今回、親化合物を削除して代謝物M17だけになったということです。畜産物には、今回、基準値が設定された牛、豚、乳、こういったものに関しての規制対象としてはM17のみを測ることは問題ないかと思うのですが、今回、畜産物として基準値が設定されていない、鶏、卵、ハチミツも含まれると思うのですが、これは飽くまでこの基準値が設定された食品についての規制対象ということであって、基準値が設定されていない他の畜産物についてはまだ未評価であるということで、今回はそれについては対象外という理解でよろしいのでしょうか。
○事務局 御指摘のように、今回、基準値、規制対象の根拠になったのは、作物における残留のパターンであったりとか、畜産物における残留試験の結果を踏まえたものですので、それが適用される範囲は自ずと限られてくると思います。御指摘のあったハチミツとか水産物については、もちろん適用はできませんので、これらについては評価はできてい
ないことになると思います。
○根本委員 ありがとうございました。
○大野部会長 ほかにありますか。幾つか修正がありましたが、修正していただいたものをこの部会の報告としていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。
 次の品目ですが、ミルベメクチンについて御審議をお願いします。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 資料11-1を御覧ください。ミルベメクチンについて説明させていただきます。今回、3回目の審議となります。農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴いまして、あんずとすももの2種類の作物に残留基準の設定を行うものです。
 概要は、ミルベメクチンは16員環マクロライド骨格を有する殺虫剤です。作用機序は、昆虫等の神経-筋接合部位の塩素イオンチャンネルにアゴニストとして作用し、殺虫活性を示すものと考えられています。化学名、構造式、及び物性は御覧のとおりです。
 3ページより、適用の範囲及び使用方法を示しています。今回、申請のありました作物については、小粒核果類として3ページ中ほどに使用方法が記載されています。
 1点修正ですが、6ページ中ほどの3「2%ミルベメクチン水和剤(つづき)」と書いていますが、こちらを削除してください。
 作物残留試験については、別紙1-1に記載しています。10ページの下から5行目にすもものデータが追記されています。
 7ページに戻りまして、ADIの評価は、イヌを用いた1年間の慢性毒性試験の無毒性量を用いていまして、ADIを0.03mg/kg体重/dayとしていまして、前回部会のADIと変更はありません。
 諸外国における状況については、記載のとおりJMPRにおいては評価されておらず、国際基準は設定されていません。オーストラリア、ニュージーランドにおいて、基準が設定されています。
 基準値案については、前回部会と同様に規制対象をミルベメクチンA3及びA4としています。基準値案は、13ページの別紙2を御覧ください。あんずとすももに基準を設定しています。これらの基準値案によって暴露評価を行いますと、結果を別紙3に示しています。TMDI試算によりまして、最も高い幼少児のADI比は12.7%となっています。17ページが答申(案)となります。事務局からの説明は、以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○大野部会長 ありがとうございます。今回、3回目の拡大申請への対応です。事前に今まで2回にわたって審議していただきましたので、特に問題のある所について御指摘していただいて、議論していただきたいと思います。全般、化学構造、薬理作用、適用、その辺について何かありますか。よろしいですか。代謝についても、特に前と変わった所はなかったですが、よろしいですか。安全性についても、同様でよろしいですか。分析法の所は、よろしいでしょうか。分析結果は、よろしいですか。
○斉藤委員 細かいことであります。どうでもいいのですが、7ページの3の(1)2「分析法の概要」の下のほうの「高速液体クロマトグラフ(FL)」は、少し略がおかしいのではないかと。LCFLとか、蛍光検出器付き液体クロマトグラフだったらこれでいいのですが、高速液体クロマトグラフだけでFLとおっしゃると、少し何か略として不適切だと思うので、それはほかのと統一したほうがいいかと思います。
○事務局 はい、分かりました。
○大野部会長 これは取ってしまったほうがいいのですかね、それとも追加したほうがいいのですかね。
○斉藤委員 後ほかに出てこないから、取ってしまっても構わないですね。
○大野部会長 取っていいですか、はい。
○事務局 ほかの報告書の事例を参考にして修正しまして、またお知らせしたいと思います。
○大野部会長 お願いします。吉成先生、それでいいですか。
○吉成委員 例えば、エトキシキンでも同じようにフルオレッセンス(蛍光)を使っているのですが、LCの場合はどうしてか分かりませんが、「括弧に検出方法も入れる」という書き方でずっと来ているので、多分これが今までの部会の報告書案の書き方ではないですかね。
○大野部会長 では、今までの事例を参考に修正していただくということでお願いします。そのほか、すももが加わっただけですが、そのほかも見渡してみて、基準値についていかがでしょうか、国際的整合性も含めてですね。よろしいですか。今回、それほど加わっていませんので。それでは、分析法の所について、事例を参考にして必要な修正をしていただくというところだけだったと思いますが、それをしていただいたものをもって、この部会の報告とさせていただいてよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。ほかのものについても幾つか修正箇所がありましたが、特に石井先生に見ていただく所と分析法の先生に見ていただく所とありましたが、そのほかの所について修正があったものについての確認は。
○鰐渕委員 ちょっと見逃していたというか、勘違いしていた所があるのです。資料7-1、アゾシクロチン及びシヘキサチンのADIの記載の所は、「無毒性量が0.26mg/kg体重/day(発がん性は認められなかった)」と書いてあるのですが、評価書を見直しますと、これは3つぐらい試験をしていて、「0.26」と表記されている所では、雌の肝臓の腫瘍が増えていますので、これは発がん性がなかったことにはならない。
 さらに、後ろに「なお、本剤については発がん性が疑われていたことから」うんぬんの所ですが、ここの「なお」以降の所は入れておいてもいいのですが、本来、これは腫瘍自身が増えていますので、「遺伝毒性がない」とか、「メカニズム的に異常がなかった」ということが評価書のほうにも書いてありますので、そちらのほうを入れてもらったほうがいいと思います。
○事務局 はい、御指摘ありがとうございました。評価書のほうに合わせて修正させていただきます。
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのように修正をお願いいたします。
○事務局 同じ資料でもう1点修正をお願いしたいのですが、4ページの6.基準値案のただし書きで、「アゾシクロチン及びシヘキサチンをシヘキサチン含量に換算したもの」の所を「アゾシクロチン含量に換算したものの和とする」という修正をさせていただいたのですが、シヘキサチンによる作残試験で基準値が設定されていることと、あと、国際基準がシヘキサチンで基準値が設定されていますので、基準値の対象化合物としては、シヘキサチン含量に換算したもので基準値を設定させていただきたいと思います。
 ただ、ADIの占有率、いわゆる暴露評価の所については、ADIがアゾシクロチンのADIで計算されていますので、別紙3の暴露評価をしている所の表の下に基準値案の数字を、いわゆる暴露評価をする数値をアゾシクロチンに換算したもので暴露評価を行うと、そういう形で修正させていただければと思います。
○大野部会長 分かりました。先生方、よろしいでしょうか。では、先生方にそういう修正を認めていただいたことにいたします。そういうことで、先ほど申し上げたほかの所の修正、先生方に見ていただくもの以外の修正については、私にお任せいただけますでしょうか。ありがとうございました。では、そうさせていただきます。本日の審議結果の食品衛生分科会での取扱いについて、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 平成22年3月3日に了解されました食品衛生分科会における確認事項に基づきまして、本日の部会で御審議いただきました動物用医薬品2剤、農薬及び動物用医薬品1剤、農薬及び飼料添加物1剤、農薬7剤についての食品衛生分科会での審議又は報告の取扱案につきまして、原案を用意させていただきました。こちらの横一枚紙を御覧ください。
 本日、御審議いただきました品目のうち、シアントラニリプロール及びフルキサピロキサドについては、新たに残留基準を設定するものであることから、区分1としています。アゾシクロチン及びシヘキサチン、並びにエトキシキンにつきましては、既に設定されている残留基準の一部改正に該当することから、区分3という案にさせていただいています。エトキサゾール、グルホシネート、スピネトラム、プロチオコナゾール、ミルベメクチンについては、いずれも食品安全委員会での評価の結果に変更がないことから、区分4とする案としています。ピルビン酸メチル及びブロノポールにつきましては、残留基準を設定しないこととする可否に該当することから、区分5とする案としました。
○大野部会長 先生方、そういう案ですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特にないようですので、当部会としてそのような扱いでよろしいかということで、分科会長にお話して了解を得たいと思います。今後の手続についての御説明を、事務局からお願いいたします。
○事務局 本日、御審議いただきました動物用医薬品2剤、農薬及び動物用医薬品1剤、農薬及び飼料添加物1剤、農薬7剤につきましては、食品安全委員会からの通知を受けていますことから、何品目か修正が必要なものはありますが、御確認いただいた修正版をもって部会報告書とさせていただきます。今後の手続につきましては、パブリックコメント、WTO通報、消費者庁協議等、必要な手続を進める予定としています。
○大野部会長 そのほか議事はありますか。ないですか。次回の予定をお願いいたします。
○事務局 次回の本部会の開催日程につきましては、平成26年1月17日(金)午後を予定しています。出欠につきましては、後日確認させていただきます。また、詳細につきましても、追って御連絡申し上げます。本日は、資料に不備があり、大変申し訳ありませんでした。
○大野部会長 先生方、長く御審議をどうもありがとうございました。これで部会を終了いたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省食品安全部基準審査課
03-5253-1111 内2921

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