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2013年12月26日 社会保障審議会障害者部会(第54回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成25年12月26日(金) 15:00~


○場所

専用第18~20会議室(中央合同庁舎第5号館17階)


○出席者

駒村康平部会長、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員 石原康則委員、伊藤たてお委員、伊豫雅臣委員、大濱眞委員、大原裕介委員、小澤温委員、河崎建人委員、菊池馨実委員、君塚葵委員、清原慶子委員(伊藤幸寛参考人)、久保厚子委員、小西慶一委員、佐藤進委員、竹下義樹委員、橘文也委員、玉木幸則委員、藤堂栄子委員、中板育美委員、中村耕三委員、野沢和弘委員、葉梨之紀委員、樋口輝彦委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、湯崎英彦委員

○議事

○駒村部会長 

定刻になりましたので、ただいまから、第54回社会保障審議会障害者部会を開会いたします。委員の皆様方には、御多用のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。議事に入る前に、1119日付けで委員の異動がありましたので、御報告いたします。三上裕司委員が辞任され、新たに、公益社団法人日本医師会常任理事の葉梨之紀氏が委員に就任されました。葉梨委員は若干遅れているということですので、後ほど御紹介したいと思います。

 それでは、事務局より、委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。

 

○井上企画課長 

委員の出席状況ですが、本日は全員御出席との御連絡をいただいております。清原委員は御出席の予定ですが、遅れる旨の御連絡をいただいております。清原委員がいらっしゃるまでの代理として、伊藤参考人に御出席をいただいております。それから、今、部会長のほうからありましたが、葉梨委員が少し遅れているようでございます。

 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元の資料を御覧ください。まず資料1-1「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案について」です。次に、資料1-2「改正精神保健福祉法の施行事項について」、資料2-1「平成27年度に向けた障害福祉計画に係る基本指針の見直し()」、資料2-2「基本指針への記述のポイント()」、資料2-3「基本指針の見直しに関する参考資料」、資料2-4「第4期障害福祉計画(基本指針)における成果目標の参考資料」、資料2-5「障害福祉計画に係る基本指針原稿」、資料3-1「消費税率の引上げ等に伴う障害福祉サービス等報酬の取扱いについて()」、資料3-2「障害福祉サービス等報酬に関する消費税の取扱い等について()」、資料3-3「生活介護における医師配置の見直しについて()」、資料3-4「障害者支援施設における医師配置の取扱いについて(参考資料)」、資料4「今後の障害児支援の在り方に関する検討の進め方について()」です。以上、お手元にあるでしょうか。過不足等があれば事務局等にお申し付けください。事務局からは以上でございます。

 

○駒村部会長 

それでは、本日の議題に入りたいと思います。まず、事務局から議題1について、資料1-1と資料1-2の説明をお願いします。

 

○北島精神・障害保健課長 

精神・障害保健課長の北島でございます。資料1-1を御覧ください。「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案について」です。本年6月に精神保健福祉法が改正されて、厚生労働大臣が定めることとされたものです。7月から11月にかけて計7回、検討会を開催しまして、1218日に検討会としての指針案を取りまとめ、公表しております。入院医療中心の精神医療から地域生活を支えるための精神医療の実現に向け、精神障害者に対する保健医療福祉に携わる全ての関係者が目指すべき方向性を定める指針として策定を予定しております。

 この資料1-1は指針の概要です。四角で囲んである14については、指針に定める事項として法律に定められているものです。1番目の「精神病床の機能分化に関する事項」ですが、機能分化は段階的に行い、人材・財源を効率的に配分するとともに、地域移行をさらに推進する。結果として、精神病床は減少する。

2つ目の○ですが、地域の受け皿づくりの在り方や病床を転換することの可否を含む具体的な方策の在り方について、精神障害者の意向を踏まえつつ、様々な関係者で検討する。この文言は第6回、第7回の検討会で議論され、追加されたものです。このこと自体は検討会構成員の中でも賛否がありましたが、議論をすることは必要ということで、このことについて、検討会の下で、来年の早いうちから議論をスタートしたいと考えております。

3つ目の○ですが、急性期の患者に手厚い医療を提供するため、医師、看護職員は一般病床と同等の配置を目指す。在院期間が1年を超えないうちに退院できるよう、多職種によるチーム医療を提供する。1年以上の長期在院者の地域移行を推進するため、多職種による退院促進に向けた取組を推進する。

2番目ですが、「精神障害者の居宅等における保健医療サービス及び福祉サービスの提供に関する事項」です。外来・デイケア等での適切な医療を受けながら地域で生活できるよう、外来医療体制の整備及び充実、地域医療連携を推進する。2つ目の○ですが、アウトリーチを推進すること。3つ目としては、24時間365日対応できる医療体制の確保や身体疾患を合併する精神疾患患者の受入体制の確保等により、精神科救急医療体制を整備する。4つ目ですが、一般の医療機関との連携強化。そして5つ目、保健所や精神保健福祉センター等における相談や訪問支援を通して、早期に必要な医療に適切にアクセスできる体制の整備と関係機関の連携を進める。6つ目ですが、障害福祉サービス事業者等と医療機関との連携を推進すること、などが規定されました。

3番目ですが、「医療従事者と精神障害者の保健福祉に関する専門的知識を有する者との連携に関する事項」です。ここには、多職種との適切な連携の確保、そして、チームで保健医療福祉を担う人材の育成と質の向上の推進を記載しております。

4番目ですが、「その他良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供の確保に関する重要事項」です。保健所の有する機能を最大限有効に活用するための方策を、市町村等の他の関係機関の在り方も含めて検討すること。そして2つ目、精神障害者の人権に最大限に配慮すること。3つ目として、自殺、依存症等多様な精神疾患・患者像に対応した医療を提供すること。4つ目として、国民の心の健康づくりを推進することを記載しております。この指針につきましては、本日、部会で御了承いただければパブリックコメントを行い、年度内に個口としてお示しする予定となっております。次のページ以降に指針の本文が付けてあります。

 次に、資料1-2です。精神保健福祉法の改正につきましては、この資料1-21ページにあるように、(1)から(4)の改正が行われております。1つ目は指針の策定、2つ目は保護者制度の廃止、3つ目は医療保護入院の見直しとしまして、医療保護入院における手続等の見直しと、精神科病院の管理者への3つの義務付け、そして、(4)としまして、精神医療審査会に関する見直しです。現在、これらの施行、来年41日に、(1)から(3)について施行する予定となっておりまして、施行に向けた作業を行っています。

 次のページ以降は、これらの施行に向けた運用に関する、様々な通知や省令事項について取りまとめたものです。2ページ目を御覧ください。「医療保護入院における家族等の同意に関する運用の考え方(骨子案)」です。「改正の内容」は、保護者制度の廃止に伴いまして、医療保護入院について、精神保健指定1名の診断とともに、家族等のうちのいずれかの者の同意を必要とすることとしたものですが、「改正の趣旨」は、適切な入院医療へのアクセスを確保しつつ、医療保護入院における精神障害者の家族等に対する十分な説明とその合意の確保、精神障害者の権利擁護等を図るものであるというものです。

 「医療保護入院の厳格な適用」を行っていくということのために、3ですが、可能な限り、本人に対して入院医療の必要性等について十分な説明を行い、その同意を得て、任意入院となるように努めなければならない。また、「家族等の同意の原則的な運用」としては、4番目ですが、医療保護入院においては、その診察の際に付き添う家族等が、通例、当該精神障害者を身近で支える家族等であると考えられることから、原則として、診察の際に患者に付き添う家族等に対して入院医療の必要性等について十分な説明を行い、同意を得ることが適当であると示しております。

 お時間の関係で主な所を御説明申し上げますが、8番目を御覧ください。3ページ目です。「医療保護入院時に家族等の間の意見が一致していない場合」としまして、精神障害者に対する医療やその後の社会復帰には家族等の理解と協力が重要であることを踏まえると、医療保護入院はより多くの家族等の同意の下で行われることが望ましいとしております。可能な限り、家族等の間の意見の調整が図られることが望ましく、管理者は医療保護入院の必要性等について説明することが望ましいとしております。

11番目ですが、「医療保護入院後における入院に反対する家族等への対応」です。医療保護入院後に管理者が当該入院に反対の意思を有する家族等の存在を把握した場合には、当該家族等に対して、入院医療の必要性や手続の適法性等について説明することが望まれる。その上で、当該家族等が依然として反対の意思を有するときは、管理者は、都道府県知事に対する退院請求を行うことができる旨を教示するとしております。

 これらは通知として、施行に向けて準備をしたいと思いまして、今、いろいろな方々、団体等の御意見を伺いながら作成中のものです。これらの事項以外にも、施行に当たりましては、自治体や医療関係者等から寄せられた質問にQAを作成して、これ以外の項目についても対応することとしております。

5ページ目を御覧ください。改正精神保健福祉法の項目に医療保護入院の見直しというのがありまして、これに伴い、管理者に3つの義務付けが行われることになりました。1つ目は、「退院後生活環境相談員」の設置です。この点線の□で囲ってあるとおり、管理者は退院後生活環境相談員を選任し、その者に医療保護入院者の退院後の生活環境に関し、医療保護入院者及びその家族等からの相談に応じさせ、指導させなければならないとされております。これにつきまして、1つ目としては、退院後生活環境相談員となる者の資格として、精神保健福祉士、そして、看護職員、作業療法士、社会福祉士であって精神障害者に関する業務に従事した経験を有する者、そして、精神障害者及びその家族等との退院後の生活環境に関する相談及び指導について3年の経験を有する者で、厚生労働省が指定する研修を受けた者、これらの方々が退院後生活環境相談員となる者の資格としています。そして2つ目の、選任時期ですが、当該医療保護入院者の入院から7日以内に相談員を選任することとしております。その他としまして、医療保護入院から任意入院に切り替わった者についても、できる限り地域生活に移行するまでの間は引き続き相談・指導を行うことが望ましいことを通知で規定したいと考えます。

 次に、義務付けの2番目の項目です。「地域援助事業者」についてです。この点線の□の中にあるとおり、精神障害者又はその家族等からの相談に応じ必要な情報の提供、助言その他の援助を行う事業を行うことができると認められる者として厚生労働省令で定める者(地域援助事業者)を紹介するよう努めなければならないことが義務付けられております。地域援助事業者の範囲ですが、1つ目としては、一般相談支援事業者及び特定相談支援事業者(相談支援専門員の配置される事業者)です。2つ目としては、居宅介護支援事業者等(介護支援専門員の配置される事業者)です。紹介の方法については、書面の交付やその他適切な方法で、できるだけ丁寧に御紹介いただければと考えております。

 次のページを御覧ください。管理者への義務付けの3つ目です。「医療保護入院者退院支援委員会」の開催です。□の中にありますように、管理者は、医療保護入院者の退院による地域における生活への移行を促進するために、必要な体制の整備その他の地域生活への移行を促進するための措置を講じなければならないとされております。この委員会における審議事項ですが、来年4月以降、入院届に入院計画書というものを添付していただくこととなります。この様式については8ページ以降にありますので、後ほど御覧いただきたいと思いますが、この入院計画書に記載された「推定される入院期間」を超えて継続して入院する必要性の有無、引き続き入院が必要な場合の「推定される入院期間」、退院に向けた取組等が審議事項となります。

2つ目としては、医療保護入院者退院支援委員会の対象者です。入院後1年を経過するまでの医療保護入院者であって、入院届に記載された「推定される入院期間」又は医療保護入院者退院支援委員会で設定された「推定される入院期間」を終える者が対象となります。また、入院後1年以上経過している医療保護入院者であって、病院の管理者が委員会での審議が必要と認める者もこの対象となります。施行前の入院者につきましては、病院の管理者が審議が必要と認める者を対象とする経過措置を規定したいと考えております。開催時期ですが、「推定される入院期間」を超える前又は超えた後速やかということで、概ね2週間以内に、当該者について委員会で審議を行うものと考えます。

 この委員会の参加者ですが、参加を必須とする者としては、主治医、看護職員、退院後生活環境相談員、病院の管理者が参加が必要と認める者でして、本人の希望等に応じ参加する者としましては、医療保護入院者本人、その家族と地域援助事業者その他退院後の生活環境に関わる者です。

 管理者への3つの義務付けにつきましては、省令事項が多く含まれておりまして、既に126日から15日までの期間でパブリックコメントを実施中です。年度内に省令改正を行うとともに、関連の通知を発出したいと考えます。

 次のページを御覧ください。法改正の4つ目の柱、「精神医療審査会の効率化」です。保護者制度の廃止により、退院等の請求について入院者本人とともに家族等が規定され、退院等の請求数の増加による精神医療審査会の負担増が想定されます。このため、精神医療審査会の負担の軽減、機能強化を図るため、精神医療審査会運営マニュアルを見直します。見直しの主な内容は以下のとおりです。これより後のページに、この改正に伴い、幾つか様式の変更、作成がされますので、御参考までに添付しております。私からの説明は以上でございます。

 

○駒村部会長 

本議題については、「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」で、計7回にわたり御議論いただいたものとなっております。その座長を務められました樋口委員にまず御発言を頂きたいと思います。

 

○樋口委員 

この検討会の座長を務めさせていただきました樋口と申します。

 ただいま事務局からの説明にもありましたように、この指針案は本年7月以降、7回にわたって検討会を開催してまいりました。その中で、指針に記載されている以外のものとして、例えば先ほどの、今後の地域移行をどのように進めていくのかということに関しても、もう少し議論を深めていく必要があるのではないかといったようなことが、検討会の構成員から出されておりました。そういったもので合意できた内容について、告示に盛り込むということで記載されたところです。検討会といたしましては、今日示されているように、これからの全般的な指針を基に、具体的な施策等に持っていっていただきたいという内容がほとんど盛り込まれたものと理解しています。

 

○駒村部会長 

ありがとうございました。それでは、皆様から御質問、御意見がありましたらお願いします。なお、御発言はできるだけ簡潔に、23分程度でお願いします。

 

○伊藤委員 

では、簡単に3点ほどお伺いしたいと思います。

1つはこの指針案の資料1-11の機能分化に関する事項で、結果として精神病床が減少するとか、精神障害者の意向を踏まえつつ、様々な関係者で検討するというのは、何か非常に消極的な印象を受けていますが、そういうことでいいのか、そうでないのか教えていただきたいと思います。

2点目は、資料1-18ページで、「多様な精神疾患・患者像への医療の提供」、これはもっともなのですが、例えば2の若年性認知症を含む認知症等、あるいはてんかん、高次脳機能障害というところまで手を広げているというのは、精神科の医療の領域ではないようなものも感じておりまして、私はこれを精神科の医療の範疇に入れるのは不適切ではないかと。もう少し医学的なアプローチも必要なのではないかと感じました。

 それから、資料1-25ページなのですが、ほかの所では「相談支援」と書いてあるのですが、1の「退院後生活環境相談員」の所では、3か所ほど「指導」となっているのです。支援なのか指導なのか、ここのあたりが精神科医療のあり方の何か問題があるのではないかと感じまして、指導でいいのかということについてお伺いしたいと思います。以上です。

 

○竹下委員 

質問は指針の第四の二に関するものです。第四の二に関する概要の○の2つ目は非常に問題だと思います。なぜならば、ここには「可能な限りインフォームドコンセントに努める」と書いてあります。この「可能な限り」というのは極めて不当な言葉です。なぜならば、本文の第四の二を読んでください。どこにも「可能な限り」という言葉は出てきません。それどころか明確に本文ではこう書いてあるわけです。「最小の範囲とし」、そのあとです。「また、インフォームドコンセントに努める等」としかないです。これにもかかわらず、概要の所には「可能な限り」というのは、これは絶対に誤解を招くので削除すべきです。

 それから、同じく第四の二の身体の拘束の関係ですけれども、ここで単に身体拘束を最小限にすると。「最小の範囲とし」しか書いていないのです。これはその点自身が非常に曖昧なので気にはなるのですが、仮にこの表現に人権の観点からの表現だとしても、最低必要なのは、最小の範囲とし、かつ期間は最も短い期間で終えるようにするという期間の表現は絶対必要だと思います。この2点です。

 

○阿由葉委員 

資料1-17ページです。2の市町村の所で、これまでも市町村においては精神障害者地域生活支援センター等が、精神障害者の対応を専門とする機関として、地域できちんとした活動をされてきたと思います。今回、指針案の中に地域包括支援センターが含まれているのですが、精神障害者地域生活支援センターは含まれていません。地域の精神障害者と精神科医とつなぐパイプ役として重要な役割を果たしてきたと思いますので、指針案に「精神障害者地域生活支援センター等」を含めていただければと思います。よろしくお願いします。

 

○玉木委員 

資料1-1の機能分化に関する事項を入れてもらえるということで、特に機能分化を検討すると書かれているのですが、機能分化する際に、今回、参議院で批准することが承認された国連の権利条約と、19条の1項、2項、3項をきっちりと遵守する形で、機能分化ということを検討していただければ非常にいいかなということが1点です。

 それから、退院促進に関わることでいくと、一方で相談を含めた地域移行支援が進んでいく中で、やはり精神科病院の管理者の権限というのが強いかなという気がするので、管理的な視点だけではなく、本人中心の支援ということをどう位置づけていくのかということを、検討事項として盛り込んでいただきたいと思います。

 

○大濱委員 

今の玉木委員の発言とも関係しますが、資料1-142つ目の○で、精神障害者の人権を最大限配慮することを前面に出すのであれば、病棟転換型居住系施設は、この理念にそぐわないと思います。私が耳にしたところでは、精神科病院の医師の配置基準481を、この施設では961ぐらいにしようという話も出ているそうです。さらに、今回の指針案では、病床を転換することの可否を含め、来年にかけて検討するとあります。ですが、私に言わせれば、先進国の日本として恥ずかしい議論で、これは検討する価値もないのではないかと私は考えます。以上です。

 

○広田委員 

私は精神の検討会の委員です。先ほど樋口委員からおおむね合意があったということで、私以外は合意でしょう。なぜかというと、委員で精神医療の被害者は私1人ですから。13年、厚生労働省の委員に入っていますが、前回もグリーンの服を着て「進めたい」と言ったのですが、全然進んでいないのです。これは今日、止めなければいけない。

 私は自公の時代に入って、今日、民主党のPTのヒアリング資料を出していますが、自立支援法ができたときに、国会に参考人で出ています。そのときも言っていますが、指針の1の初めのAの「社会的入院の解放」です。

 今年、大野萌子さんという人がお亡くなりになりました。彼女は、障害を持ち死刑判決を受けたが冤罪が証明された人を救済した人です。彼女は行政に恐れられていた人です。今まで2回しか会っていませんが、出会った日本の精神障害者の中で一番尊敬しています。彼女は政治的な背景もあったと伺っていますが、そういうものは抜きにして、精神障害者の彼女と出会ったのは20年前の417日、全国の精神障害者の結成大会。私は総合司会者をして大野さんから声をかけられました。「現在35万人入院しているあの鍵と鉄格子の仲間を忘れてはいけない」と私たちは手を取り合って泣いたのです。

 前回の検討会を86分の熱を出して休みましたが、30年間精神科医療に行っていて、前半の20年間のカルテの開示請求をしました。一番最初の女医さんは私と同じ年で、不倫をされていて妊娠中という、極めてドラマティックな人生。私は韓国の男性と。あちらは不倫愛、こちらは恋愛。同じ10歳年下。ところがその先生は私を恋愛妄想に見立てた。「アメリカに行きたい」と言ったらそれも妄想にした。全て妄想にして観察していたのです。治療ではなくて。そこに保護者規定が加わって、母親が愚痴を私の知らない間に言いに行っていた。そして悲劇が起きた。本人に診察なしで1本の注射が打たれた。精神分裂病の注射です。ところが2本と書いてある。それも私は一切争いません。多くの人に「裁判をおこすよう」に言われた。これは必ず勝てると思います。でも私のケース、日本のマスコミは精神のそういうものは取り上げませんね、その当時は。今でこそ出てくるかもしれない。でも先生のスキャンダルで恐らく週刊誌ネタですものね。家族を巻き添えにするから不幸な思いをあちらにはさせたくないということで、先生の実名もずっと伏せています。その後同じ病院の先生は駄目でした。前任の先生の影響を受けていて、カルテでもわかります。

 その後出会った4人の男の尾久先生、近藤先生、鹿野先生、鶴先生によって私は精神医療を信頼できた。その先生方によって「分裂病ではない」と本人に言ったけれど、本人は、活動する上において精神分裂病が必要だ」と、私が言ったと、当時の状況がカルテに書いてありました。つまり「分裂病ではない。あなたは単なる不眠症だ」と言われたときに、私は「それは困ります。既に分裂病の注射を打たれて、被害者だから。分裂病じゃないと困ります」と迫ったときがあります。そのままの状態でリアルに書いてあります。それといろいろなところで彼女は頭がいいとか、これが彼女のアイデンティティ、つまりプラスで書いています。

 人に向き合う仕事をする人は、対等で心が健康でいないと駄目だということが、最初の女医さんの教訓として生まれ、後の先生たちは本人の個性や良いところを見た。これが精神の世界に欠けています。私はこの検討会にずっと出ていて感じたのは、患者の視点が抜けているのです。福祉関係者だったら事業者の仕事にするか、いかにハローワークにするかですよ。先ほど北島課長が早い段階で相談の人が入院の所に行くといったのだけれど、私は入院している所に来てほしくない。例えば長いこと入院している人でも退院して、ホームヘルパーさんに来てもらって、買物に行って生活に馴れた頃、昼間どこかに行こうかなというのが普通の考えで、入院中にがたがた外からやってきて、退院後の話をされても全然イメージが湧かない。早期に外から入ることに賛成した人は、患者の視点に立っていない。大野萌子さんと涙を流しながら言った、30年、40年の社会的入院になってしまいましたよ、今や。

 それで、厚労省の村木厚子さんは、いわゆる刑務所の中に何百日か入ったということで、3,000万円もらったという、毎日新聞の記事が送られてきました。私がいろいろな意見をもらう。電話がかかってくる話の中から「余りにも相談、相談、相談事業所から厚労省に金が流れているのではないか」と発言したら、記者たちが、「そうではない、むしろ次官になった村木さんが国から何千万もらって、団体に寄付している」と言い、知らない人が匿名で封書を2枚送ってきた中身がその記事でした。

 片方は何百日刑務所に入って何千万もお金を取っている。社会的入院で30年間入院した私の仲間も大勢います。その人たちに一本釣りで、国家賠償請求をしようという会が立ち上がっています。竹下弁護士。でもその患者のほうが、非常に見識があって今のところ断っているのです。そういう謝罪の持っていき方でなくて、要するに国がこの国のマスコミに煽られて取った隔離収容施策が間違いだった、ここで方向転換しますよということを、一度も打っていないのです。

 自立支援法の与党側参考人のときも、尾辻厚生労働大臣に迫ったけれど、全党揃っていましたよ、共産党さん、民主党、自民党、社民党、公明党まで。でも誰もそれに賛同してくれる人がいなくて、この間、国は一度も間違っていたということを言ってこなかった。でも私は国が言わなくても、私が打たれた注射の責任の病院は、岩成前院長が、228か月経って謝罪をしてくれた。

 先月私は10日間ワシントンに行ってきましたが、今の主治医は、「病院のみんなが広田さんに迷惑をかけました」。本当に迷惑がかかったのです、ここでは時間がないので言いませんが。帰国したときに先生に言ったのは、「先生がアメリカに行く前に言ってくださった、「この病院のみんなが迷惑をかけました」というその言葉と、岩成先生の謝罪の言葉は広田和子にとって小さな一歩だったけれど、とても癒されました。これが全国の精神障害者、とりわけ精神医療で被害を受けた仲間たちに波及されれば大きな前進となります」と言ったぐらいの、大きな問題です。私よりひどい体験をしながら、まだ鍵と鉄格子の中にいる多くの仲間を考えたときに、私はこんなものを通してはいけないと思う。先ほどの病棟転換の話。今日会場にDPIの尾上君も来ているけれど、何年か前に企画課の人と夜中までやっていました。検討会を立ち上げることに、私は反対はしません。でもここに転換という文言を入れることに私は反対です。地域の住宅受け皿。全く住宅施策を打てなかったから、社会的入院が存在して、72,000人という数字だけ一人歩きをして、全然退院できていないのですよ、この国は。住宅施策が出ていないのです。

 ちょっと時間がかかりますよ、検討会を休んでいましたし。この部会で話したことが全然反映されていませんから、前回グリーンの服を来たときの。何で診療報酬まで言うかというと、私の仲間、相談者です。121日に亡くなりました。80錠の薬を飲んで総合病院に搬送されましたが、精神科がありながら精神科に行かずに、結果的に亡くなりました。警察が司法解剖して、まだ原因は解明できていません。私も時間があればいつでも事情聴取に応じますし、事情聴取される人の中で希望があれば、私が付き添いますということを言っています。

 総合病院からどんどん精神科が撤退しています。これは自殺対策基本法を持ち出すまでもなく、自殺がうつから始まるとか言いながら、総合病院の精神科が整備されていない。何が問題かと言えば診療報酬が安いからなんです。診療報酬が安いから嫌がられている。追い出されている。閉鎖されている。ソウルには25の精神科が総合病院の中にありました。神奈川の圏域では、政令市を除けばやっとこの間1つできたのです。そういうふうに診療報酬が安いことが、現在日本の国家的課題である、自殺対策基本法にもマッチしない、ましてや安かろう悪かろうですよ。精神科特例とか、そのために鍵と鉄格子が存在している。中の人が危険だからではない。少ない人手で、そして鍵や鉄格子を備え、安い診療報酬に抑え、その中で収容です。そして私よりひどい体験を受けながら、この瞬間にも、ピザもたこ焼きも食べられない。私は本当に何も、13年間、無力です。被害を訴え続けたって何にも変わっていない。そんなことでこれを通していいのですか。

 それで福祉と言ったら、住宅を立てないでやたら作業所みたいなものを立てるけど、自立もしていないPSWが、行政の中で大した仕事もできなかった人が教授になって、どんどん送り出して、その仕事先ですよ。そして共依存ですよ。そんな中で仲間が死んだり、いろいろなことが起きてます。社会貢献もできません。ピアサポートも育ちません。だから私はこの中にピアサポートを立ててと言いました。ピアサポートが立っていなければ、本来のピアサポートは育たない。私は横浜市内の生活支援センターピア相談担当です。今年度でひきますが、3,000万税金投入して、職員が多過ぎて、相談・相談で話を聞く。電話で、「お天気がいいじゃないですか、ここへちょっと寄ってください」ってそれでいいのに。「近くに公園ありますか」って、それだけの話でいいのに別の部屋に入って長々と話し相手になっているのです。それが実態です、お金が余っている横浜市は。

 申し訳ないけれど、専門家と名乗っているピアサポート以下の専門家たちが、本人の可能性を奪っている。そして働きに行こうと思えば、今日はちょうどハローワークの担当の方が見えていますが、ハローワークは使いものにならない。PSWが行って、意見書を取ったりして、精神の悪しき慣習を持ち込んでいる。そして悪しき慣習が最後に出てきます。10ページ目です。私はこの見出しをこう言いました。「心の健康づくりの推進及び知識の普及啓発」なんて国民にする必要はない。数年前から神奈川県警の課題はうつです。恐らく都道府県警の課題もうつです。マスコミもうつです。2001119日、ここの委員に日本の歴史上初めて精神障害者として“精神医療サバイバー”の肩書きで入った私をひと欄で取り上げた朝日新聞の科学部デスクはうつで辞めました。そして朝日を辞めたら治りました。厚生労働省の課題もうつです。財務省はもっと多い。自衛隊も人民解放軍が来たら米軍と自衛隊が戦う前に、自衛隊はうつで自滅かしらと思うぐらい、各職域でうつが多発している。それらはやはりマスコミの、野沢さんがさっき、「仲良くしようよ、広田さん、たまには俺に優しいことを言ってよ、厳しいことばかり言わないで。」

 

○野沢委員 

そんなこと言ってないですよ。

 

○広田委員 

こういうふうに反論ができますから。いいですね。要するに野沢さんも見えているし、会場にもマスコミも見えているけれど、日本のマスコミが余りにもいろいろたたきすぎることが原因でぎすぎすしています。子どもから高齢者まで、特に男性。この間10日間アメリカに行ってきたけれど、アメリカには、DV法もストーカー法もありませんでした。ぎすぎすした中で、日本人が働き過ぎている。厚生労働省も。働き過ぎてうつを国中で作り出している。

 一方で滞日外国人女性は「世界一暮らしやすい」と言っている、昨日もそうした女性が、私が行った先の警察に「子供を奪い返したい」と訴えていた。「永住権と子供が欲しい」外国人の女性が日本にいっぱいいます。そういう南北問題という時代的背景や自殺対策基本法の時代。かつては10代で統合失調症が発症し、行政よりも、スタッフよりもいろいろな体験が乏しかったかもしれないけれど、現在では多くの行政やスタッフよりも高学歴、高社会体験歴、高職歴の精神障害者が増大している。私も精神科に行く前は、学歴はないけれど、職歴、社会体験歴は豊富です。そういう人に対応できる、質と共に、人間として尊厳を持って接することのできる、対等に向きあえるスタッフが少ない。そして自殺のところで言えば、私はずっと生活保護の仲間と福祉事務所に付き添って行ってますが、福祉事務所で生活保護を利用している人のほうが、利用していない人よりも自殺率が高いという報道を本当に痛感しています。なぜこういうことが起きるか。経済的な問題がクリアできるはずです、憲法25条で。ところがものすごい人権侵害です。例えば5万円ずつのアパートに暮らしているという二人から「結婚した」という報告を受けて、「よかったわね、二人で暮らすと最大69,800円の住宅枠で暮らせます、だからいい所を探して幸せに暮らしてね、福祉事務所に行ってきたら。不安だったら一緒に行きますよ」と、「不安だから」と言われ、三人で行ったら、ワーカーがこういいました。「結婚は同居の理由になりません。」「でも、二人で暮らせば5万円づつが。」

 

○駒村部会長 

そろそろまとめていただかないと。

 

○広田委員 

分かりました。こういうことなのです。聞く耳持てないのだと思います。いいです。とにかく生活保護の関わる側の姿勢が変わらない限り、人間として対等になって、北島さんはすてきな旦那がいるからいい、辺見さんとかが懲戒免職になって、無罪でなかった場合、それこそ私もホームレスになる可能性があるのかもしれないという視点で、福祉事務所のワーカーなり管理職が、私もと相手の立場にたった視点を持たない限り、これからも生活保護者の自殺率は減らない。そういう意味で、本当に今、人間性が問われ、全ての人が人間としての尊厳を持って接しない限り、国連の権利条約とか、障害者虐待防止法とか、差別解消法ができたりしてきているけれど、法律を振りかざさなければ暮らせない社会はぎすぎすします。もっと人間的に愛を持って、優しさを持って35万人が今この瞬間も。

 

○駒村部会長 

そろそろまとめていただかないと。

 

○広田委員 

もう終わりですから。そういう人たちがいるということを、皆さんが肝に命じてやらない限り、私はこの国の精神障害者が一人の人間として尊厳を持って暮らせないと思います。以後発言しないで帰ります。被害者の声を、きちんと真摯に受け止めることが。私は幸せです、今。いつ何を辞めても幸せです。これからも幸せに暮らしていける。今年度で7役職と1保佐人をひきますが、いちばん大変な所、是非精神科病院に足を運んでください。連携ネットワークというのも竹下さんが前回質問していましたが、私は要らないと思う。それは力量のないもたれあいです。私は夜中まで十数年間神奈川県警の警察の現場に行っています。又、危機介入活動も1年中やってます。そんな連携ネットワークではない、自分で判断してやっています。以上です。長くなってすみません。私はここで止めますが、今お話ししたことは少なくとも次回までに直して、この部会に出していただきたいと思います。以上です。言えない所は事務局に言います。

先ほど帰りますと言いましたが、最後までいて、皆さんの意見を伺いたいと思います。

 

○葉梨委員 

日本医師会から葉梨です。精神科医療については、前任の三上委員が担当しておられたものですから、馴れるまで今までのことを読ませていただいたりして、それから参加したいと思います。よろしくお願いします。

 

○湯崎委員 

この精神病床の機能分化と、地域移行を進めていくことになるわけですが、それに当たっては、地域の受け皿づくりは非常に重要だと思うわけです。病床機能の選択を検討する期間を十分に取っていただき、地域の受け皿づくりが併せて進められるように、実際の現実としての進め方には十分な配慮をお願いしたいなと思います。

 そういう意味で、いろいろ議論になっていますが、受け皿づくりのあり方を検討するということになっておりますが、それも確かに早期に検討する必要があるというか、実際にそれを用意する時間というのも非常にかかると思いますので、その分も配慮をして進めていただければと思います。

 

○石野委員 

石野です。検討会はこれまで7回積み重ねてきました。皆さんの御意見にもいろいろありましたように、賛否両論いろいろな意見が出ています。未だにまとまっていないと思いますが、初めの頃は障害者の権利条約がまだ批准されていない頃でしたが、124日に障害者の権利条約を批准することが決まりましたので、これからは更に新しい状況になっていくだろうと思います。障害者の権利条約に沿った形で、是非とも検討していきたいと考えております。

2つ目は、精神障害者と言いましても、聞こえる方ばかりではありません。聞こえない障害とあわせて知的障害、あるいは視覚障害の人たちも精神障害の方たちがいます。資料1-2になりますが、2ページ目のところに、「医療保護入院における家族等」という所ですが、ここの文言について、実は私の場合、今まで仕事の関係で短期入院、長期入院に関わる仕事をしてまいりました。長期入院については、聴覚障害の方もいます。家族もいない、親戚も知人もいないという方の場合、本人は実は精神障害ではなく、耳が聞こえなくて、コミュニケーションが通じないということで、精神障害と見られ入院をしてきた方がいます。その辺りをきちんと確認してほしいと思います。家族や関係者がいればいいのですが、全くいない場合に、誰が代弁をするのかということを、是非検討していただきたいと考えています。以上です。

 

○野沢委員 

先ほど来から、病床の転換ということについて、非常に批判が強く出ていますので、私も精神の検討会に入って議論した者として、少し説明したいのですが、病床の転換はワーディングがやはり問題かなと思うのです。どうも一人歩きして勝手にレッテルを張られて、批判が行われているような気がして。そのときに私が発言したのは、単なる看板の付け替えは絶対反対ですと。それを前置きした上で、病棟の外側から批判しているだけでは全然変わらないので、経営の中に踏み込んで経営を変えていこうではないかと、そういう提案をしました。

 というのは、ある所に100数十床の病棟を持った病院があるのですが、ここは数年前から外にデイサービスを作ったり、グループホームを作ったり、あるいはホームヘルプをやったり福祉のほうの資源でいろいろ作ってきている。患者をどんどん退院させている。アパートにももちろん暮らしてもらったりとかして、就労継続だとか、生活介護などの事業をやっている。働けるようにして、暮らせるようにしていったわけです。病棟で働いていたスタッフも外へ出して再訓練して、外で働けるようにしていく。その結果、来年辺りほとんど入院患者は0になるようですけれども、経営は続いている。働いている人もクビにしていません。つまり、経営のあり方を変えて、外に出していくことによって、こういうことができる。先月も行ってきましたけれども、60代、70代の女性4人が外に出て、アパートで共同生活をしていた。どのぐらい入院していたかというと10年から20年です。70代で20年も入院している人がこんなふうな生活ができるのだと、私は大変感動した覚えがあるのです。こういうことを是非やっていただきたいのです。そのために経営を変えていただきたいのです。

 こういうことをやりたいと思っている経営者は何人もいるはずなのです。いるけれども、どうすればこういうことができるのかというのが分からないから、現状に執着しているのではないですかね。私が知っている所だって、別にみんながみんなこんなことができるというわけではないと思います。やはり経営センスだとか、いろんな手腕だとか、しかも地域でこういうことに協力してくれている福祉の資源や、地域づくりを町ぐるみでやっていますから、こういう人たちと連携しているからできるのですよね。みんながみんなこんなことはできない。だから、こういう成功モデルを幾つも集めて、どうすればこのようなことができるのか、経営を変えていこうではないかと。そういう議論をしたいのです。それを発言したわけです。

 でも何か病床の転換って、過去のいろいろな経緯があるのは知っていますが、どうしてもただ単に看板の付け替えのようなイメージを持たれて批判されて、こういう議論さえできないというようなことは、ちょっと不幸ではないかなと思います。ですから、ワーディングをちょっと変えて、こういう議論はしていきたいと思うのですが、これも駄目でしょうか。

 

○駒村部会長 

一回りしたのではないかと思いますが、多様な意見、あるいは指針案に対する議論もあったので、文言の修正をすることになると、樋口先生からも少し頂かなければいけないかもしれませんが、まず事務局からお願いします。

 

○北島精神・障害保健課長 

伊藤委員から機能分化の所で、結果として精神病床は減少するという表現について、消極的なのではないかという御意見がありました。それについては検討会の中でも大変長時間を要して議論をしているところでございます。私どもが最も申し上げたいのは、前文の地域移行を更に進めるということで、決して消極的なものではないということを申し上げたいと思います。

 それから、認知症やてんかん、高次脳機能障害などについてですが、これらについては御指摘のとおり、総合的な対応が必要な疾患であると考えております。国際疾病分類(ICD10)においても、それらの疾病が精神疾患にも含まれておりますので、精神科医療としての対応を整理したというもので、これが対応の全てではないというように考えております。

 それから、支援と指導という文言ですが、精神保健福祉法の法律用語で、指導という言葉が使われておりまして、告示としてお示しするときにこんな表現になってしまうのかなとは考えておりますが、今後の課題とさせていただきたいと思います。

 また、竹下委員から、「可能な限り」という言葉を削除すべきという御意見を頂戴いたしました。概要ペーパーの修文ミスでございまして、本文のとおりとさせていただきたいと思います。

 それから、身体拘束を最小にするという点です。最も短かい期間を考慮すべきという御意見でしたが、最小という表現に、行動も期間も含まれていると考えておりますが、大変重要な御指摘だと思っております。

 それから、市町村の地域生活支援センターについてですが、市町村の機能については、今後の検討課題だと思いますので、御意見として頂戴したいと思います。

 それから、玉木委員の御意見ですが、国連の条約に基づいた機能分化を進めてほしいという、十分これらを踏まえて対応させていただきたいと思います。

 また、管理者の権限が大き過ぎるという点ですが、先ほど御説明申し上げました、3つの点につきましては、権限というよりは、義務付けでございまして、当然、こういった支援につきましては、本人の意向を踏まえて行うこととなるものと考えております。

 それから、大濱委員の御意見ですが、人権を配慮するという点から言えば、病床の転換は馴染めないのではないかという御指摘だったと思います。広田委員、野沢委員からもいろいろな御意見を頂きましたが、検討会の中でもこのこと自体には非常に大きな議論が賛否ございました。ただ、野沢委員からも御意見がありましたように、どのように病床から地域に向けて移行していくのかということを、具体的に議論する必要があるという多くの意見がありまして、引き続き検討会の下で、早急に議論を進めていこうということが、ここに記載されておりまして、「可否を含め」という文言が追加されたところです。

 それから、広田委員からの御意見ですが、これまで検討会の中でも、様々なこういった御意見を頂きまして、ピアサポートや、医療機関と地域援助事業者との連携、普及啓発などについて、御意見を頂戴しております。そういったことも踏まえて、幾つかの事項に分けて、この本文に反映してきたつもりですが、なかなかまとめて委員の御意見を記載できていない点では、ちょっと申し訳なく思っております。また、4点セットにつきましても、社会的入院の解消、病床の削減、診療報酬上の措置、うつ病予防についても、それぞれその項目について記載はさせていただいたところですが、また広田委員の御意見を伺いながら、こういった運用の中で、させていただければと考えています。

 それから、湯崎委員ですが、地域の受け皿づくりには、十分配慮してほしいという御意見でしたが、私どもも病床の転換というところの記載の中で最も重要な部分は、地域の受け皿作りという点であるというように考えておりまして、それが本流であることは間違いない問題ですので、そういった点に重点を置いて、十分検討をしていきたいと考えております。

 それから、石野委員の御意見ですが、権利条約の批准に則した形でということは、事務局としても十分考慮していく課題であると考えております。また、家族がいなかった場合、誰が本人を代弁するのかという点については、資料1-21ページ目の3の「検討規定」というのを御覧ください。精神保健福祉法の中には検討規定が設けられています。「入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方について検討を加え」という文言がありまして、本人の言葉を代弁するということについては、引き続きの検討とされております。今後重要な課題として、対応したいと考えており、現在、研究を実施しています。以上です。

 

○駒村部会長 

ありがとうございました。まず、資料1-1の「可能な限り」の文言修正、本来は入っていない言葉だということですね。これはこの時点で削除してください。

 

○大濱委員 

石野委員の権利条約を尊重してという意見に対して、今、北島課長から説明がありましたが、そういうことであれば、精神保健福祉の今後の検討については、精神障害の当事者の意見をもう少し反映できるようにしていただきたいと思います。当事者委員が相当少ないと聞いておりますので、当事者委員の意見がきちんと反映されるような、そういう委員会にしていただきたいと思います。

 

○伊藤委員 

やはり病床削減ということも当然入ってくるわけですが、一般病床と同等の配置を目指す、又はアウトリーチということを重点化するというときに、診療報酬上の問題でやはりそれをバランスをどう取るかによってどんどん推進させていくことも可能だと思うのですが、診療報酬上の問題というと、なかなかほかの部での問題にもなるので、その辺の所をかなり力を入れて、精神のほうを推進できるようにしていただきたいと思います。

 それから、救命救急と精神科救急なのですが、やはり別個に語られてきていますので、今後は一体化、隣接させるというような形で、両方を救っていけるような形を推進してもらいたいと思います。

 

○駒村部会長 

よろしいですか。ほかにはよろしいですか。今の点はどうでしょうか、事務局。

 

○北島精神・障害保健課長 

今いただきました御意見は、今後の検討に十分反映をさせていただきたいと思います。また、診療報酬上の問題については、大変厳しい状況の中ですが、その他の財源も含めて、鋭意努力をしているところでございます。

 

○駒村部会長 

ありがとうございました。この議論になった、病床を転換するという表現回りですが、そういう可否を含めての議論だと。樋口委員からこの辺の議論について、もし補足があればと思いますが。

 

○樋口委員 

これまでの議論を聞かせていただきまして、様々な重要な御指摘を頂いていると思います。この検討会の中で、最後の6回目、7回目になって、地域移行、病床転換ということについて話題が出てきたのは、このままこの検討会を終わらせてしまうと、もう既に改革ビジョンが出されて10年経っていて、一向に先に進んでいないのではないか。またここで議論を終えてしまうと、次の検討会がいつか分からないという事態になり、そこでまた同じことをやっていくというのは、非常に生産的ではないだろう。考え方の違いがあるのは当然ですが、どうやったら地域移行に持っていけるかという知恵出しをして、みんなで議論を進めようではないかというのが、共通の皆さんの思いだったと思うのです。

 そういう意味で病床転換という言葉が入っていますが、病床転換を推進するための言葉ではなくて、それは議論の中で指摘があったので、病床転換の可否も含めて議論をしていきましょう、それだけではない。本質は地域移行をどのようにして、具体的にどのように進めていくのか、みんなで知恵を出さないと、また10年経ってしまうという思いが皆さんの中にあったということだと思います。

 私が検討会の座長をさせていただいた立場からいたしますと、本日の御議論の内容については今後、実行していく上で、運用面の中で十分に配慮していただきたいと思いますし、これを事務局に是非お願いしたいと思います。

 

○駒村部会長 

ここの文言というのは、委員長や事務局からもお話がありましたように、議事録が残る形で、そういう意味なのだという解説もありました。そういう意味の表現ということで、部会としては、先ほどの「可能な限り」というのは修正するとして、それ以外については原案で了承としたいと思います。議論があった部分については、そういう方向への議論であるという点を確認して、御意見いただいた点については、今後の運用面での課題ということを前提とするわけですが、了承したいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                 (了承)

 

○駒村部会長 

では、本部会としては、若干の修正はあったものの、原案のとおりとして了承させていただいて、次の議題に入ります。議題2の「障害福祉計画に係る基本指針の見直しについて」です。事務局から資料2についての説明をお願いします。

 

○井上企画課長 

私から資料2-1に沿いまして、「平成27年度に向けた障害福祉計画に係る基本指針の見直し()」について説明申し上げます。最初に主なポイントということで、今回の見直しのポイントを整理しています。1つ目が、計画の作成プロセスに関する事項でして、PDCAサイクルの導入です。「成果目標」「活動指標」の見直しと明確化、各年度の中間評価、評価結果の公表等といった内容を盛り込もうと考えています。

2つ目、個別施策分野の1で成果目標に関する事項ということで、ここに掲げてある4つの事項、特に3つ目の地域生活支援拠点等の整備を新たに追加することを考えている成果目標の事項ですが、こういった事項について成果目標を掲げ、内容についても一定の見直しをしたいと考えています。

3つ目が、個別施策分野の2その他でして、障害児支援体制の整備に関する記述を追加していきたいと考えています。また、計画相談の連携強化、研修、虐待防止といったことについても、従来の記述の見直しを行っていきたいと考えています。

1.基本指針の全体の構成等の案です。基本指針の全体の構成については、1ページの下にあるとおり、第一、第二、第三ということで、第一が障害福祉サービス等の提供体制の確保に関する基本的事項、第二が障害福祉サービス等の提供体制の確保に係る目標、第三が障害福祉計画の作成に関する事項ということです。さらに、最後に別表ということで、各指標の見込値を定める上での勘案事項等を整理すると。こういう全体の大まかな構成になっていまして、こうした構成については、現行どおり踏襲していきたいと考えています。

 このうち一番最初の第一の一に、施策の推進に当たって各分野に共通する基本的理念をまとめています。新しい指針では、現行指針を踏襲した上で幾つかの内容を追加したいと考えています。

2ページを御覧ください。23ページにかけて点線の枠囲いで書いてあるのが、現行の指針における基本理念の記述の部分でして、この中では、基本的理念の1つ目で障害者等の自己決定と自己選択の尊重、2つ目に市町村を基本とした身近な実施主体と障害種別によらない一元的な障害福祉サービスの実施等、3つ目に地域生活移行や就労支援等の課題に対応したサービス提供体制の整備と、こういった基本的な事項、基本的理念を掲げているところです。

 これについては、2ページの一番上の12ですが、「一元的な障害福祉サービスの実施」の一環として、難病患者等について引き続き法に基づく給付の対象となっている旨の周知を図っていくということで、今年度から総合支援法が施行されて、難病患者等が障害福祉サービスの対象に含まれるようになってきたことを踏まえた、記述の見直しをしたいと考えています。

2つ目に、「サービス提供体制整備」の一環ということで、今後、障害者の重度化・高齢化や「親亡き後」を見据えた視点に立ち、地域において求められている相談、体験の機会・場の提供、緊急時の受け入れ・対応、専門的な対応、地域の体制づくり等の機能を強化すること、その際、相談支援を中心として、学校からの卒業、就職、親元からの独立等、生活環境が変化する節目を見据えた中長期的視点に立った継続した支援を行うこと。これは地域生活の検討会でも議論なされましたが、障害者の地域生活の支援を行う観点の記述を更に付け加えたいと考えています。

3ページの下のほうの(3)です。こうした制度横断的な基本理念を踏まえつつ、新しい指針では、1障害福祉サービス、相談支援、障害児支援の各分野における提供体制確保に関する基本的考え方、2障害福祉サービス等の提供体制の確保に係る目標、すなわち成果目標、3つ目に基本理念及び成果目標等を踏まえた障害福祉サービス、相談支援、障害児支援等の各分野における取組の状況を分析するための指標、すなわち活動指標、こういったものを定めることとしたいと考えています。

 このうち成果目標については、提供体制確保の一環として、基本指針の中で、基本理念等を踏まえて国全体で達成すべき数値目標を設定したいと考えています。都道府県・市町村は、基本指針の規定に沿ってそれぞれの成果目標を設定し、少なくとも年に1回は、その進捗状況を評価した上で必要な対応を行うこととしたいと考えています。

 活動指標ですが、国全体で達成すべき数値目標の形では設定しないけれども、都道府県・市町村において、基本理念とか、提供体制の基本的考え方、成果目標、こういったものを達成するために必要なサービス提供量等の見込みを定め、その確保状況の進捗を定期的に(成果目標よりも可能な限り頻回に)分析・評価することにしたいと考えています。

 活動指標については、都道府県・市町村において見込値を定めるに当たって、勘案すべき事項等を基本指針の別表の中で定めていくことを考えています。また、この活動指標は3つの種類に分けることができると考えていまして、1つ目が、成果目標と実質的に同じだけれども、より頻回に分析・評価を行うために、活動指標としても位置付けるもの。2つ目に、成果目標の数値を勘案して見込値を立てることによって、個別の成果目標と密接な関連付けを行うもの。3つ目に、訪問系サービス、また日中活動系サービスの中で、成果目標との密接な関係付けを行えないけれども、基本指針の基本的な考え方において明記されている全体的な基盤整備の方向性に沿って、拡充の方向で見込値を立てるもの、という3つに分けられるのではないかと考えています。

 このうち3つ目の全体的な基盤整備の方向性は、4ページの真ん中に枠囲いで書いてありますが、現行の基本指針に基本的な考え方が書いてあります。1つ目に、訪問系サービスの保障ですが、訪問系サービスの充実を図り、全国どこでも必要な訪問系サービスを保障するとしています。

2として、日中活動系サービスの保障ですが、希望する障害者等に日中活動系サービスを保障するという考え方を示しておりまして、こういった考え方に沿って拡充の方向で見込値を立てるものについても、活動指標の中に入れていく考えです。

2.基本指針の主な内容の1施策分野別です。個別分野の記載内容としまして、今申し上げました全体の構成等を踏まえつつ、今回新たに基本指針に盛り込む、又は既存の内容を変更するものがありますが、これを整理しますと、5ページの最初の所にあります17に掲げている事項になります。17についての個別の内容については、また資料2-2ということで整理していまして、後ほど担当課室長から説明を申し上げます。17の事項ですが、このうち14が成果目標に関わる事項でして、57がその他の個別施策に関する事項になっています。

 成果目標と活動指標との関係ということで、今申し上げた14の成果目標に係る事項それぞれについて、成果目標と活動指標、これを抜粋して、その関係を整理したものが、(2)の内容です。なお、都道府県・市町村においては、基本指針で国が定めるところの成果目標・活動指標に加えて、独自の目標なり指標なりを設定することもできることにしたいと考えています。

1の施設入所者の地域生活への移行については、成果目標として、地域生活移行者の増加、施設入所者の削減というこれまでと同様の内容を、目標として掲げたいと。具体的な目標数値などは一定の見直しを行うということですが、こういった目標を掲げ、それを勘案して見込値を定める活動指標としては、ここに(a)から(h)まで掲げていますが、生活介護の利用者数、利用日数等々、こういった福祉サービスの利用実績を中心とした活動指標を定めたいと考えています。

5ページの下に、PDCAサイクルに関わる記述を書いています。都道府県・市町村においては、計画最終年度の成果目標、各年度ごとの活動指標をそれぞれ定めることにしたいと考えていまして、成果目標・活動指標については、少なくとも1年に1回中間評価を行う。これは、基本的には次年度の予算・事業を検討する際を想定しています。そして、必要に応じて評価結果を次年度予算等に反映させる。さらに、活動指標については、可能な限り、より頻回に状況を確認し、達成見込み等を含めた状況の分析・評価を行うこととしたいと考えています。

6ページ、2入院中の精神障害者の地域生活への移行ということで、成果目標については、都道府県のみが定める形を考えています。これは従来の目標を今回の精神医療の指針の内容も踏まえつつ、少し見直しを行いたいと思っていまして、入院後3か月時点での退院率の上昇、入院後1年時点での退院率の上昇、在院期間1年以上の長期在院者の退院者数の増加、こういったものを成果目標にしたいと考えています。活動指標については(a)から(f)に掲げたものを考えています。この成果目標については、計画最終年度の成果目標を都道府県のみが定め、各年度ごとの活動指標については都道府県・市町村が定めるということで、PDCAサイクルの回し方については、基本的には1と同様です。

3として、これは新たに成果目標の事項として追加するものですが、障害者の地域生活の支援を盛り込みたいと思っています。成果目標としては、障害者の地域生活を支援する機能の集約等を行う拠点等について、平成29年度末までに各市町村又は各圏域に、少なくとも1つの拠点等を整備することとしたいと考えています。これについては、都道府県・市町村が協議の上で、拠点等の整備に関する具体的な計画を定めることにしたいと考えておりまして、活動指標は特に定めませんが、それぞれの市町村・圏域における計画の進捗状況について、年に1回は中間評価を行うこととしてはどうかと考えています。

4福祉施設から一般就労への移行です。これは従来からある成果目標に関わる事項でして、成果目標の内容としては、福祉施設利用者の一般就労への移行者の増加、就労移行支援事業の利用者の増加、事業所ごとの就労移行率の増加という形に見直ししたいと考えています。

 活動指標については大きく2つに分けていまして、1つ目の塊が成果目標を勘案した見込値を定める活動指標ということで、就労移行支援の利用者数、利用日数、就労移行支援事業者等から一般就労への移行者数といったものを考えています。活動指標の2つ目の塊が、その他都道府県が労働部局との連携により見込みを立てる活動指標ということで、公共職業安定所におけるチーム支援による福祉施設の利用者の支援件数等々、(a)から(e)に掲げてある障害者雇用施策に関わる指標を示したいと考えています。これらのPDCAサイクルの回し方については、基本的に12と同様です。

 活動指標についての全体像ということで、78ページにかけて表でまとめさせていただいています。障害福祉サービス関係、障害児支援関係というふうに2つに分けています。この表の縦に、サービスの種類を並べています。この表の横に、それぞれの指標を定めるに当たって、どのような事項を勘案すべきかという勘案事項を掲げていまして、該当するものに○が付いているということで、それぞれの指標について自治体で見込みを立てる際に、どのような事項について勘案したらよいかが分かる形になっていまして、これを基本指針の別表に載せていきたいと考えています。

 障害福祉サービスの関係の表については、多くのものが、現に利用している者の数、障害者等のニーズ、平均的な一人当たり利用量といったものを勘案するものが大半を占める形になっています。その後の3つは成果目標に関係する勘案事項でして、関係するものに○が付いている形になっています。

9ページです。3.基本指針の主な内容の2で、計画作成手続面での留意事項等です。基本指針の第三の一、障害福祉計画の作成に関する基本的事項という部分ですが、この中では定期的な調査及び分析・評価について言及しています。新しい指針でも現行指針を踏襲した上で、さらに次のような点を追記したいということです。

 活動指標については、例えば四半期ごとに実績を把握する等の方法により、成果目標の達成状況の分析・評価を行うことが望ましいこと。成果目標については、各年度においてその実績を把握し、活動指標と共に計画の中間評価として分析・評価を行い、必要があると認めるときは、計画を変更することその他の必要な措置を講じることが適当であること、また、中間評価の際には、協議会や合議制の機関等の意見を聴くと共に、その結果について公表することが望ましいこと、といったことを記述したいと考えています。これらのほか、ここに掲げてある14に書いてある事項が現行の指針で記載されていまして、これについては今回も基本的に同様な形で記載することにしたいと考えています。

 以上が基本指針の見直しに関する総論的な部分でして、今申し上げた内容について、資料2-32つ後に付いていますが、これは図表の形で今申し上げた内容を整理したものでして、参考にしていただければと思います。

 資料2-2に沿って、各論部分について、担当課室長から説明を申し上げます。

 

○辺見障害者福祉課長 

資料2-2のうち1及び2を飛ばして345について、私から説明をいたします。内容的に重複する部分もありますので、基本的な考え方を押さえながら少し飛ばしながら説明いたしたいと思います。

1ページ、施設入所者の地域生活への移行に関する部分です。こちらの現行の指針においては、下のほうになりますが、2(1)成果目標の所に書いてありますように、平成17101日という自立支援法施行前の時点を起点として、3割以上が平成26年度末までに地域生活に移行、また、同じく平成17101日を起点として平成26年度末までに施設入所者の定員を1割以上削減していくことが規定されています。

 こうしたことを基に新たな指針においては、少し上に戻りますが、基本的理念を定めます「基本的事項」において、地域移行の必要性について(1)のとおり重ねて書いた上で、(2)ですが、障害者支援施設について、定員について数を規定するだけではなくて、質的な向上、また地域との交流などについて、地域に開かれていることが望ましいといったことを、施設に望まれることとして記載をしたいと考えています。

 また、成果目標の内容については、下のほうの2(1)1に行きますが、先ほど申し上げましたように、これまでの目標値は起点を平成1710月としていましたが、これを平成25年度末として、できるだけ計画の最初の時点である平成27年度に近い時点、これは1年ずれていますのは、確定値が取れるところにしたほうがいいということで、計画の始まりの1年前の時点を初期値にしたいと考えています。そうしますと、その時点まで従来からの計画をうまく達成してきた地域もあれば、そうでない地域もあると思いますので、そのあたりは計画どおりにいってなかった所がまた低い時点を出発点にならないように、少し調整する規定を置きたいと思っています。

2ページ、2つ目の○、3つ目の段落になりますが、ただし書ですが、具体的な数値、地域移行者の数値をどう定めるのか。平成17年ベースに30%となっていたところですが、こちらの点については現時点ではペンディングといたしています。一応、添付しています資料2-43ページがありますが、こちらには実はグラフを掲載していまして、従来の第1期計画、第2期計画、これは6年間で10%、第3期計画までで30%に上げるという少し「く」の字に上がる形だったのですが、それをベースにして、トレンドを出すと、平成25年から平成27年度末までということで、12%の移行率となると考えています。これは一応試算した数値ということで、参考にお示しをいたします。

 一方、施設入所者の削減率に関してです。こちらについても、同様に基準点を平成25年度末時点といたしたいと思っています。どのぐらいの率にするかがポイントですが、こちらも同じ資料の資料2-44ページです。ここに書いてありますのは、従来の実績等から算出した数値でして、平成25年度末から平成29年度末までで、削減率が4%ですので、一応4%という試算をしています。これをベースに少し詳細を詰めたいと考えています。また、同じくこれまで第3期計画就労時点まで各地域ごとに実績が異なると思いますので、達成している所、未達成の所、未達成の所が有利になったりすることがないように調整をするようにしたいと考えています。活動指標等については、先ほど企画課長から説明のあったとおりです。

9ページです。障害者の地域生活の支援です。こちらは現行の指針においても若干これに触れている所があるのですが、今回は項目を立てて拡充をして記載をしたいと考えています。基本的な考え方として1に書いてありますが、キーワードとしては、相談、体験の機会・場の提供、緊急時の受け入れ・対応、専門的な対応、地域の体制づくり、こういった5つの機能をしっかりと整備することと、中長期的視点に立った継続的な支援、こういったことをキーワードにしていきたいと考えています。

 また、これを整備する際に、グループホーム又は障害者支援施設に付加した拠点の整備を進めることについても、選択肢の1つとして記載をしたいと思っています。ただ、この場合、条件として地域に開かれたものとすることが必要であることです。

 なお、施設の方向性について先ほどの項目で触れましたように、当然、前提としてこうした地域との関係が支援全体としての前提となってまいります。また、この拠点を必ずしも設けろということではなくて、先ほど私が申し上げました5つの機能を拠点としてではなくて、面的に整備をすることも可能と考えています。また、整備のベースは基本的には各市町村又は各圏域ですが、市町村計画に記載していただくことによって、基本的には市町村が単独で又は連携をして設置していただくことを考えています。都道府県においては、広域的な見地からこうしたものの調整のお願いをしたいところです。

11ページです。就労の関係です。従来の目標値と見直しをする所は、一般就労への移行を明確にしていきたいというところです。このため、現行の目標は2(1)にありますように、就労移行実績を4倍にするといったことのほかに、福祉施設の利用者のうち就労移行の利用者を2割以上にするとか、就労継続支援のA型の利用者を全体の3割以上にすると、こういった規定を置いているところです。ただ、基本的な組立てとしては、同じページの一番下の1にありますように、一般就労への移行実績を2倍にするということと併せて、12ページの2ですが、就労移行支援事業の利用者を6割に増加させる。3ですが、就労移行支援事業所のうち就労移行率の割合を高めていく。要は、2で量的に増やして、3で質的にアップさせることによって、全体としての就労移行を押し上げていくところです。

 なお、A型に関する目標を全国一律の数値目標としては、今回、規定をしない形にしようかと思っています。これは、全体としてA型の事業について普及が進んできていることと、地域によってばらつきがあるという状況で、必ずしも一律に示すということではなくて、活動指標の中にA型の整備状況を盛り込むことによって、整備状況について各地域の実情に照らして把握をしていくと、こういう形に切り換えていきたいと考えています。

15ページです。支援の質の向上です。研修等に関する事項ですが、新たなニーズに応える形で強度行動障害者支援研修、精神障害者に関する研修、触法の障害者の特性に応じた研修、こういったものを位置付けでいきたいと考えています。また、虐待に関しましても、現行の規定をベースにいたしますが、高齢者等の虐待に関する関連分野との連携、権利擁護の取組に関する研修、こういったことを追加記載していきたいと考えているところです。

 

○北島精神・障害保健課長 

5 ページ、「入院中の精神障害者の地域生活への移行:基本指針への記述のポイント()」です。現行の指針では、入院中の精神障害者の地域生活への移行に関しては、1年未満の平均退院率と5年以上の入院かつ65歳以上の者の退院者数について目標を定めております。新しい指針におきましては、先ほど企画課長から御説明したおり、現在検討している指針()の内容を踏まえて、入院後3か月時点の退院率、入院後1年時点の退院率及び在院期間1年以上の長期在院者の退院者数を新たな目標とすること等の改正を行うこととしたいと考えております。

1.第一「基本的事項」において記載する事項については、入院中の精神障害者の地域生活への移行に関する基本的考え方については、施設入所者の地域生活への移行と併せて、基本指針第一の二の3において記載されており、新たな基本指針においても踏襲いたします。主なポイントは、地域における居住の場としてのグループホームの充実。地域移行支援・地域定着支援、自立訓練事業等の推進により、入所等から地域生活への移行を進めること。

2番目は、入院中の精神障害者の地域生活への移行の方向性等として記載する事項です。(1)成果目標については、ただいま御説明したとおり、従前の成果目標については、「1年未満入院者の平均退院率」と「5年以上かつ65歳以上の退院者数」の成果目標を設定することとしておりましたが、今般の指針を踏まえて、成果目標の具体的な内容については、これまでの実績等からどのように設定するか、現在、精査をしております。具体的な内容については、次回以降の部会でお示ししたいと考えております。

6ページ、活動指標については、各都道府県・市町村が、以下に掲げる活動指標の見込値を見込む際には、上記の成果目標を踏まえて設定するものとします。また、中間評価等においては、当該活動指標ごとの実績を把握し、成果目標の達成状況の評価・分析を行うものとするとして、この類型、考慮すべき事項については、この表のとおり検討をしたいと考えております。

3.その他です。医療計画における基準病床数の見直しについては、基本指針における目標の達成状況を踏まえつつ、医療計画の次期見直し(平成30年度からの実施分)において、基準病床数の見直しを行うことができるよう、現在の指針にある医療計画における基準病床数の見直しに係る記載を残すこととしたいと思います。

 医療計画との関係については、入院中の精神障害者の地域生活への移行に係る成果目標の達成に当たっては、地域の医療サービスに係る体制の整備が重要であり、特に医療計画との関係に留意する旨を記載したいと考えております。また、現在医政局を中心に検討されている地域医療ビジョンについても、これを視野に入れて対応していくことを考えております。御説明は以上です。

 

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 

引き続きまして、地域生活支援推進室長の阿萬です。17ページ以降、6計画相談の関連、7障害児支援の関係について御説明いたします。

17ページの計画相談支援についてです。現行の指針と比べて、新しい指針については、平成27年度以降を期間とするとありますので、より内容の充実に向けて、関係者のネットワークの強化などを中心とした記述に改めることとしたいと考えております。

1.第一「基本的事項」において記載する事項の中で、(1)は既存の現行の指針と同様ですので割愛します。(2)については、新しい指針において、支援の質の更なる向上を図るという観点から、追加する事項を整理しております。

1は、当然平成27年度以降も利用者の数は増えていくものと想定しておりますので、それに対応する形での更なる体制の確保の必要があることをまず挙げております。その上で、2は、計画の中身について、総合的な支援を行うということ。利用者の方々の生活状況を定期的に確認した上で、モニタリングをした上での見直しを行わなければならない。そのような所に対して、3は、都道府県・市町村において、しかるべく支援を行っていただきたいということで書かせていただいております。

45については、これまで現行の指針では地域相談支援について、記載がそれほどなかったので新しく付け加える形にしております。4は地域移行支援の提供体制の確保について言及しております。5は地域定着支援の充実について言及を図っております。6は協議会、総合支援法に基づく、従来は「自立支援協議会」と呼んでいた協議会の更なる活性化の点です。現行の指針においても、部会の開催などについては言及がありますが、今回は更に加えて専門機関との連携の確保。例えば都道府県・指定都市においては、発達障害者支援センターとの連携などを進めることが望ましいということを明記したいと考えております。

2.今後の体制整備の方向性です。今申し上げた状況を踏まえて、平成27年度からの計画ということで考えますと、その段階で何らかの成果目標、数値目標を定めることはなじまないものと考えております。更に個々の利用者の方々の生活の質の向上の観点で考えますと、それはサービス利用計画の中で、それぞれモニタリングをしつつ、必要に応じた見直しなどを行うこととされておりますので、その中で支援の質が担保されているものと考えております。

 一方、活動指標として、障害福祉サービスを利用される方の数については、しかるべく適切に見込んだ上で、それに基づきどのぐらいの件数が計画相談支援として必要なのかということについては、きちんと見込みを立てていただいた上で、必要に応じて更なる確保策を定めるように努めていただきたいと考えております。

 前回の部会において、そもそも現在の計画相談の体制の進捗状況が進んでいないのではないかという御指摘もいただいております。そのような中、今の現状と今後、我々国としてどのような対策を進めていく考えなのか簡単にまとめております。

19ページの2、現在の障害福祉計画、平成24年度~平成26年度の計画の中では、平成27年度から全てのケースに計画相談に対応するためには、平成26年度においては平均して毎月18.9万件に対応できるような体制になっている必要があると見込んで、各自治体の計画を足し合わせた数字ですが、そのような数字になります。ただ、それと対応する実績を確認しますと、平成258月を見ても、月3.4万件にとどまっておりますので、やはりそこはきちんとした促進策を更に打っていく必要があると考えております。

20ページ、そのような中、各都道府県の状況を見ますと、計画作成の進捗状況、これは市町村ごともかなりばらつきがありますが、都道府県ごとにもかなりばらつきがあります。一番進んでいる所と進んでいない所の都道府県ベースで言うと、大体5分の16分の1ぐらいの差が出てきております。進んでいる所のペースをいかに維持しつつ、進んでいない所の底上げをどのような形で図っていくのか。これはいわずもがな点ですが、今後の対策のポイントであると考えております。

 今、我々のほうとして取り組んでいることについては、20ページの(2)今後の対応で書かせていただいております。最近我々で取り組んでいるのが、市町村の方々への直接御説明をする機会を作るということで、1129日に市町村セミナーを開催いたしました。これは嬉しい誤算ですが、150名の予定が300名の申込みがありましたので、1月に急遽2回目のセミナーも開催することとしております。その中で、計画相談支援の運営や、その趣旨を再度周知の上で、それぞれ市町村の担当者の方々に啓発を進めるとともに、サービスの作成が進まない原因や対策の説明、実際にサービスの計画の作成が進んでいる自治体の事例の紹介などを行って、そのような形での周知や啓発を行っていきたいと考えております。

2の相談支援専門員、実際に計画を作っていただく専門員の方の確保が重要だと考えております。これは都道府県において研修を行っていただいているところですが、そのような所についても、引き続き各都道府県にお願いをしていきたいと考えております。研修修了者は既に6万人弱おりますが、相談支援専門員の従事者は9,000人に過ぎない状況です。そのような中で、既に研修を受けている方の活用なども今後想定されると考えております。

 その他、今後の状況も踏まえつつ、我々もこの対策だけで十分な形での体制整備が進むとは思っておりませんので、今後は更にいろいろな対策を考えていきたいと思っております。差し当たりまして、平成25年度の補正予算、平成26年度の予算などでの財政支援についてもいろいろ検討をしており、一定程度のものを盛り込む予定ですので、それについても、正式にまとまり次第、都道府県・市町村に周知していきたいと考えております。

7の障害児支援については、時間がなくなってきましたのでポイントだけ御説明いたします。「基本的事項」については、基本的にお読みいただければと思いますが、特に今回、子ども・子育て支援法の施行の中で、各都道府県・市町村におきまして、子ども・子育て支援に関する事業計画を作っていただく形になっております。そのようなところも踏まえた上で、障害福祉の分野の中で障害児支援についての計画を作っていただきたいという趣旨です。

 その中で成果目標については、それぞれの地域において、子育て支援の環境そのものが大きく異なるという観点から、一律の成果目標を定めることはなじまないと考えておりますので、成果目標を示す形にはしておりませんが、一方でそれぞれの地域の状況に応じて活動指標を定めていただきたいと考えております。

 その他、22ページにおいては、障害児支援の基盤整備を進める上で、重視すべき事項、15まで定めております。これは数ということではなく、重視すべき事項ということで定めているものです。また、その他、障害福祉計画における位置付けについては、障害者総合支援法に基づく計画ということですので、法律的に申し上げますと、児童福祉法に基づくサービスは直接の関係はないということになりますが、障害児の方々は障害福祉サービス自体一部利用されるということもありますので、基本的に関係機関との連携の観点で、きちんとこの計画の中に障害児の支援についても定めていただくことが重要だと考えておりますので、そのような形で書かせていただきたいと考えております。全体としては以上です。

 

○駒村部会長 

この福祉計画に関する議論というのは、再度議論する余地があるわけで、今日は時間が許す範囲で議論したいと思います。議論の進め方については、時間も押し迫っておりますので、少し整理しながら進めていきたいと思います。

 資料2-1と資料2-3がほぼ同趣旨の内容です。資料2-11ページ、点線で囲ってある部分の詳細は資料2-5に書いてある構成になっております。資料2-1を手掛かりに分けて議論したいと思います。

1ページ、四角で囲ってある1.基本指針の全体構成のブロック。4ページの2.基本指針の主な内容の施策分野別の議論。これは資料2-2と資料2-4とかかっているということです。9ページの3.手続面での留意事項、大きく3つあります。2.個別施策のところが、議論が多く出るかと思いますが、最初に資料2-11ページの1.の全体構成と、9ページの3.手続面で、現時点でコメントがあれば挙手を頂きたいと思います。その上で、できましたら続けて前の議論と乗っかる形でまとめたいと思います。伊藤委員から最初お願いします。

 

○伊藤委員 

日本難病・疾病団体協議会の伊藤です。2ページの1、周知を今後していただけるということで、大変有り難いと思っております。

 最近、現場から聞こえてくる声で、難病患者等となっている「等」は何だということです。難病患者等居宅生活支援事業から、この4月に移行した段階では、総合支援法では、例えばリウマチについても、悪性関節リウマチと関節リウマチを合わせて関節リウマチとしていただいたところです。ところが、他の部局では、関節リウマチというのは難治性疾患克服研究事業に入っていないので、それは対象にならないという見解もあって、現場では、相談員の方は仕事が分かれていないので、難病患者等というので、実際どれが本当なのかということで、同じ厚生労働省としてどこかまとめていただければと思います。

3ページの点線の中の3について、少し懸念しているのは、私どもも差別なくサービスが受けられるようになることは有り難いのですが、3のところでは、例えば成果目標が導入されると、患者はついていけなくなるのではないかという懸念がありまして、かえって自信を失わせることになっても困りますので、何かそこで留意事項やポイントのところで、病気を持ちながらサービスを利用する場合への配慮みたいなものが書かれてあれば助かるかと思います。個別のことですが、この2点を質問したいと思います。

 

○駒村部会長 

今は全体論と手続きのところで、佐藤委員、お願いします。

 

○佐藤委員 

全体の構成のことについて、全般の議論で、精神障害者の方々の地域移行の問題が議論されました。この問題の発端のキーワードは、社会的入院ということだったと思います。その点で言いますと、特に知的障害者の入所型の施設は、基本的に全員が社会的入所と言っていいわけです。つまり、入所施設は、濃密な医療や医療的な意味での治療を提供する場ではないわけですから、その他の事情によって入所を選んだ方々だと思います。したがって、精神病院の中では、これは本当かどうか分かりませんが、20%と想定されていた社会的入院に比べて、知的障害者の施設からの地域移行の問題は、ある意味ではもっと広く、深刻かもしれないという問題意識を持っています。したがって、個別政策分野の中で、福祉施設からの地域生活への移行や、精神病院からの地域生活への移行が当然重視されることは同意できますが、しかし、3つ目に書いてある地域生活支援拠点等の整備というのは、私はそういうことよりもっと大事なことだと思っています。

 施設や病院からの地域移行は、ある意味ではプロセスであり、最も基本になるいわゆる総合支援法も、法の目的として、共生の地域や共生社会づくりということをうたっているわけです。それを具体的に言えば、地域に非常に多様な、しかも大量なサービスがある。そういうことが共生社会を支える最も重要な基盤だと思うわけです。地域移行も、そういう地域社会でなければ当然容易には進みません。

 さらに、もっと問題は、施設に既に入所して暮らしている人たちの5倍と言って差し支えない、あるいは6倍かもしれません。現に障害福祉サービスを使っている人や、あるいは児童で障害福祉関連のサービスを使った人を合わせると80万人にのぼる人がいます。手帳を所持する人も確か70万人だったと思います。つまり、知的障害を持つ人たちや子供たち圧倒的に現に地域で生活している。この人たちが地域生活を安定的に維持できるような体制を地域に作っておかないと、自動的にこの人たちが施設入所の予備群になる。しかも、現実に今、相当な人たちが施設の前に並んでいる状況があるわけです。地域生活支援の整備というのは非常に重要で、拠点を作るということだけれど、具体的にイメージされるのは、各圏域に1つ作ることが目標になっているだけです。実はこれでは全然手ぬるいと思うわけです。是非、地域生活支援の拡充を今後議論していくべきだと思います。

 具体的には、相談支援の計画作りに関してもなかなか進まない問題を解決すること。また、単独型のショートステイも、あるいは施設に付属しているショートステイでさえ予約制という、本来のショートステイが果たすべき役割とは必ずしも一致しない予約制でしか使えないということがあったりします。こういうことを解決するためには、行政が利益誘導を是非やってほしい。つまり予算を重点的に配分するということです。ここ20年か30年の中で、障害福祉に関してのサービスは、確実に積み上げられてきたと思います。それは、そういう仕事に取り組めば、率直に言えば金になると。ある意味では利にさとい施設経営者も含めて大変予算の付き方に関心が強いと。であるならば、行政は是非そういう点を積極的に活用して、我々の共通の目的である共生社会づくりに向けて利益誘導してほしいと思います。計画を作っていく上で、いろいろと議論が進められれば良いのではないかと思います。

 

○清原委員 

全国市長会三鷹市長の清原です。資料2-1の案について、2点簡潔に申し上げます。1点目、全体構成の中に、「障害児支援体制の整備」が個別施策分野に新規に入ったことを評価したいと思います。

 障害児支援体制については、現在、事務局からも御説明がありましたように、内閣府で「子ども・子育て支援新制度」について検討されています。また、文部科学省でも、「特別支援教育」ということで、障害児を対象にした教育について「インクルーシブ教育」の方向性などが議論されていますが、しっかりと各自治体が作る障害福祉計画の中に、障害児の支援体制について明確に位置付けることは極めて必要であり、全体構成の中にそれが入ったことを評価し、また私たちの責任も自覚したいと思います。

2点目は、資料2-19ページ、基本指針の主な内容の「計画作成手続面での留意事項等」が列挙されております。障害福祉計画は3年です。私たちのいわゆる長期計画、基本計画は10年から12年ですが、3年というのは総体的には短いスパンであるため、自治体の現場では、その計画を策定・改定した2年経過後には、実態調査、あるいはニーズ調査を行い、3年後にまた計画を策定・改定するという段取りになっています。

PDCAのサイクルを1年単位で回すことは、この3年間の計画の中でのいわば中間的な位置になるのであって、今回、手続面では、例えば「活動指標については四半期ごとに実績を把握するなどの方法により」と書いてあったり、1年の間に、中間評価もということがあって、これは期待されることはよく分かりますし、私たちも1年に1回、このような集計をしながら、次年度の予算編成もしていることから、これは一定の妥当性はあると思うのです。しかし、頻回にわたっていろいろなことを自治体に期待されても、なかなか困難であるということは1点申し上げざるを得ません。

 併せて、都道府県と自治体との協議や、あるいは自治体においても住民の意見を、当事者も含めて反映するという手続面があります。これも極めて重要ですが、時間的な要因から、それを適切に行うには、四半期とか半年というのはなかなか難しい。ただし、このことについてしっかりと進行管理はしていきたいと思いますが、困難もある案が示されていることについて、自治体の市長会の1人として本音を申し上げました。建設的に取りまとめていただければ有り難いです。以上です。

 

○駒村部会長 

今、竹下委員、河崎委員、石野委員から手が上がっています。これは総論、手続論に係るところということでよろしいですか。時間もありますので、ひとまず総論についてのお話は切らせていただきます。あと各論がありますので、竹下委員お願いいたします。

 

○竹下委員 

竹下です。短く申し上げます。2ページ、第一の一の2、市町村を基本とした云々の問題です。障害種別によらない一元的な障害福祉サービス、これ自身はいいのですが、問題はこれを理念として強調した結果どうなるかというと、成果目標や活動指標のときに、障害種別が無視されることは非常に危険だと思っております。なぜならば、例えば視覚障害者で言いますと、障害者全体から見れば1割以下です。そうすると、数字だけで示されるときに、視覚障害者に対する福祉サービスが前進していなくても、それは成果目標で上がってしまうおそれがあります。その点、障害種別を考慮することをどこかで一言触れられるべきであると思います。以上です。

 

○石野委員 

石野です。基本的には問題ないのですが、先ほどの御説明によりますと、成果目標について、地域生活支援事業というのがありました。意思疎通支援事業のほかにも、いろいろな事業がありますが、成果目標に含まれていないと資料から読めるのですが、なぜ含まれていないのか理由を御説明いただきたいと思います。以上です。

 

○駒村部会長 

それでは、湯崎委員からお願いします。

 

○湯崎委員 

資料2-2にも関連するのですが、清原委員がおっしゃったポイントと関連で、我々もPDCAは非常に大事だと思っております。これは項目も多岐にわたりますので、かなりの評価や確認と人的な負担が想定されるのです。これが、今自治体は正直言ってかなり人を絞っていることもあるので、それも踏まえて実行性があるように、御配慮いただきたいというのか、御理解いただきたいというのか、そこはお考えいただきたいということです。

 成果目標を達成していくために手を打っていく。これは例えば人的な配置も含まれるかもしれませんが、そこに必ず財政負担の問題があります。これも今御承知のように、地財計画は少し増えたのですが、基本的には消費税もいただいたのですが、例えば来年の消費税の増分というのは、我々の試算を見ると、従来の伸びの中で全部消えてしまっているような状況なので、そこも十分に財政負担について御配慮いただきたいと思います。

 

○駒村部会長 

ここまでで、事務局からポイントを絞って回答を頂ければと思います。

 

○井上企画課長 

時間の関係もあるので、11つについてお答えするというよりは、今日いただいた御意見を踏まえて、更に内容を検討させていただいて、次回はそこも含めて御説明し、御議論を頂ければと思います。

 

○駒村部会長 

それでは、各論の4ページの2.に関する点です。これも、今日は時間もありませんので、今日是非ともという形で御発言を頂きたいと思います。先ほど河崎委員から手が上がったので、橘委員、小澤委員、伊藤委員の順番でお願いします。ここで切らせていただいて、また後日お願いします。簡潔にお願いします。

 

○河崎委員 

日本精神医科病院協会の河崎です。資料2-25ページ、入院中の精神障害者の地域生活への移行という部分があります。前回も意見を述べさせていただきましたが、今回、新たに入院後3か月時点の退院率の上昇、入院後1年時点での退院率の上昇、そして、在院期間1年以上の長期在院者の退院者数の増加、これを成果目標にするということですが、これは今日の前半部分の精神の指針の方向性についてというところからも、十分成果目標を挙げるのは理解はできます。ただ、例えば入院後3か月時点の退院率の上昇を見ますと、これはかなり医療の充実によって、この辺りの退院率は上昇するところだと思うのです。これは急性期の医療をどのように充実させていくか。それが結果として、3か月時点の早期での退院を実現していくことにつながっていきます。これが障害福祉計画の中で、確かに先ほど北島課長さんから、医療計画との関係について十分に留意しながら、地域の医療サービスに係る体制の整備が重要であるという御説明がありましたので、そちらのほうを是非しっかりと、医療と障害福祉サービスの連携を、精神の方については十分な配慮、あるいは考慮をお願いしたいと思います。以上です。

 

○橘委員 

日本知的障害福祉協会の橘です。虐待問題について一言発言させていただきます。私ども協会会員施設事業所は、全国に約5,500か所ありますが、この度、その会員施設において、まだはっきりはしておりませんが、死に至るという重大な虐待事件が発生したことに対して、協会として声明を出しましたが、亡くなられた方、御家族の方に深くお詫びを申し上げます。

 私どもは、このように看過できない虐待事件が発生していることで、かねてより、協会内に第三者委員を加えた人権倫理会を立ち上げて、倫理綱領や職員行動規範を作成し、研修会等を実施し、虐待ゼロ、権利侵害無きの啓発活動を進めているところですが、いまだこれが不十分であると思います。

 日々、真面目に取り組んでいる多くのスタッフがいる反面、一部の心ないスタッフがいることに強い憤りを持っております。今後とも虐待根絶に向けて、誠心誠意改めて強い姿勢を持って臨みたいと思います。併せて、平成27年度に向けた障害者福祉計画に係る基本指針、その記述のポイント、資料2-215ページに支援の質の向上として、障害者虐待防止関係が記されています。これらに基づいて、虐待防止に向けて、特に強調した文言発信をお願いしたいと思います。本当にいろいろと御迷惑をおかけして申し訳ありません。以上です。

 

○小澤委員 

小澤です。端的に申し上げますと、17ページの計画相談に関してです。1つ目は、これは計画相談に関する言及のみであり、いわゆる計画相談以外の相談、基本相談に関する何らかの言及が必要ではないか。

 もう1つは、内容の充実というのは非常に賛成です。実は、この中に出てくる(1)2、基幹相談支援センターが望ましいと前から言われていることが、もう一遍繰り返されているだけなので、具体的にどうすれば設置が推進するか。この辺ははっきりと書いていただきたいということです。

3点目は、質の評価をここできちんとやっていただかないと、望ましい程度で終わるのではないかと。ここのところを是非お願いしたいと思います。以上です。

 

○伊藤委員 

再三ですみません。先ほど竹下委員から、一元的な福祉サービスについて懸念すべきことがあると発言されましたが、もちろんそれはあるわけですが、同じく、2ページの一番上に、「障害種別によらない一元的な障害福祉サービスの実施」の一環として、難病患者等が対象になったということもあるものですから、私どもも障害種別によらない一元的な障害福祉サービスということに非常に期待をしており、将来的な課題でもあると思っておりますので、是非、ここについては理想と現実の狭間の問題もあると思いますので、何らかの形でいろいろ議論は進めていただければとお願いをしておきたいと思います。以上です。

 

○湯崎委員 

先ほどの点と関係するのですが、資料2-15ページ、PDCAに関して、評価結果を踏まえて、次年度の予算等に反映させるというように、かなり踏み込んで書かれてあります。これは質問ですが、国がこういう形で明確にお書きになるということは、地方公共団体が必要として予算計上したものについては、国として何らかの財政的な支援が講じられるものとして考えてよいものなのかどうかお伺いできればと思います。

 例えばグループホームが必要であるという場合、全国での施設整備に要する補助金は十分確保しますとか、あるいは新たな基金を創設する検討があれば有り難いとは思いますが、そういった点について御教示いただければと思います。先ほど申し上げた財政的な負担とも直結することではありますが、お願いをいたします。

 

○藤堂委員 

発達障害についてです。就労、教育、児童について、今回法体制が違うということで、今まで触られていなかったことがきちんと位置付けられたことは大変有り難いと思います。この中で、特に懸念していることが2つあります。発達障害というのは、私もそうですが、見た目が分かりません。結果、うつになってしまったりとか、誤診で統合失調症と見られたりということで、ひどい目に遭っている方たちもいる中で、予防的な措置として、児童のときから是非きちんと対応してほしいと思っています。

 特に教育は、またその中でも鬼っ子になっておりまして、触ってはいけない分野みたいな形で、なかなか踏み込めない。福祉と相入れない部分があるような分野ですので、その垣根が取り除かれる形で動いていただきたいと思います。以上です。

 

○阿由葉委員 

11 ページの福祉施設から一般就労への移行について、前回の部会でも意見させていただきましたが、一般就労の移行や就労移行支援事業の利用者数増といった目標を実現するためには、ただ数値目標を掲げてその進捗状況をチェックするだけではなく、現行制度の改善をセットで進める必要があります。

 一般就労を促進するインセンティブを持たせた報酬体系の構築、就労移行支援事業所が実施する定着支援をより効果的にするための運用の改善等が必要です。また、一般就労への移行の推進を図るのであれば、受入先となる企業等からの視点も当然必要になってきます。障害者雇用の状況を見る限り、障害者雇用ができていない中小・零細企業にいかに障害者を雇用してもらうかが大きな課題です。企業が障害者雇用に躊躇なく進めるように、インセンティブを与えるような制度の構築も必要ではないかと思います。

 障害者トライアル雇用制度はそのための有効な手段です。良い制度だと評価していましたが、奨励金の支給対象が障害者雇用の経験のない企業に制限されたためそれにより使い勝手が悪くなり大変な問題になっています。是非、この制度をもう一度見直し、企業のみならず就職を希望する障害者のニーズにも応えられるものにしていただきたいです。以上です。

 

○本條委員 

計画相談について一言申し上げます。確かに利用者全員に対するということで、計画相談を充実していこうという意味は分かるのですが、今、計画相談をされている状況を見ますと、相談支援というよりは、むしろケアマネジメント、あるいはケアプランという感じがするわけです。やはり、利用者本位ということですから、もう少し利用者の立場に立って、選択権が担保されているような形が必要ではないか。

 そういう意味から言いますと、もちろん専門的な知識は必要ですが、同じ障害を持っている、あるいは家族もある程度の知識が必要だと思いますが、そういう人も相談支援に登用する道を開いたほうがいいのではないかと思います。

 

○駒村部会長 

どうもありがとうございました。事務局のほうから、今の時点で、これは優先的に答えておきたいことはありますか。よろしいですか。今の御質問については、次回に回答を頂くものもあるかと思いますので、そちらのほうでお願いできればと思います。大変申し訳ありませんが、実はまだ議題3の「その他」として、事務局から資料34の説明があると思いますので、これを簡潔によろしくお願いします。

 

○辺見障害福祉課長 

資料3-1について、3-23-3を合わせた形になりますが、説明させていただきます。「消費税率の引上げ等に伴う障害福祉サービス等報酬の取扱いについて」は、消費税率が現行5%から8%に引き上げられることに伴って、介護保険の分野等でも報酬改定が予定されております。障害福祉サービスにおいても、影響分について改定を行うこととしております。

 改定の方法については、1にありますが、基本報酬単位に上乗せをしていく。これは人件費等は非課税ですので、これを除いた形で一定の算出をして、基本報酬に上乗せをするということです。

 加算等についても、相当額がかかってくる面もありますが、加算は基本単位が小さかったりしますので、1単位に満たないケースもありますので、加算の分についても基本報酬に上乗せで組み込んでいくと考えております。訪問ケアサービスについての国庫負担基準については、報酬単価が改定されることに連動して見直しを行うこととしております。

 平成26年度施行分に伴う報酬については、グループホーム、ケアホームが一元化されることに伴って、外部サービス利用型と介護サービスの包括型のタイプを考えておりますが、それぞれの報酬をセットしたいということです。それと併せて、日中の支援、夜間の支援、医療が必要な方に対しての支援、自立生活に向けての支援、こうしたことについての加算等について、算定要件等の見直しを行うこととしております。

 生活介護における医師配置の見直しについては、前回、知的障害者福祉協会からも御要望があったところです。医師配置基準については、今必要な数を置くとなっているところです。この運用を見直して、措置がとられている場合には、必要な数を置くという中で、医師を配置しないことについても認められるように見直しを行っていきたいと考えております。これに伴って、基本報酬についても必要な見直しを行いたいと思っております。今後の日程については、1月に入ってパブリックコメントを実施した後で、年度内に報酬告示を出して、41日から施行と考えております。以上です。

 

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 

資料4について簡単に御説明します。基本指針への障害児支援についての記載と併せて、1月をめどに今後の「障害児支援の在り方に関する検討会」を立ち上げたいということで進めております。メンバーについては、資料43ページに整理しておりますので御覧いただきたいと思います。

 来年の夏ぐらいをめどに、最終報告を取りまとめて、また部会への報告をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。

 

○駒村部会長 

ありがとうございました。かなり時間も押してますが、今の報告について

是非とも御意見ということがあれば御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 

○日野委員 

全体的なことでよろしいでしょうか。毎回、2時間では無理のような気がするのです。今日も、私もいろいろ発言したかったのですが、途中でお帰りになった方もいらっしゃいますし、例えば、当初から2時間半という時間を設定していただければ十分意見交換ができるのではないかと思いますので、よろしく御配慮をお願いいたします。

 

○駒村部会長 

本件については、毎回時間オーバーで申し訳ございません。時間というのは、皆さんにとっては資源の制約ですし、ただ一方で、丁寧に議論しなければいけないものも多いテーマですので、私としてもなるべく御発言は尊重したいと思っておりますが、時間については、テーマによってはもう少し弾力的にできないか、事務局と御相談して進めたいと思います。これは次回以降検討させていただきたいと思います。このテーマについて、ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。今回も時間がオーバーして大変申し訳ありませんでした。最後に事務局から、今後の予定をお願いします。

 

○井上企画課長 

本日は御多忙の中、御議論を頂きましてありがとうございました。次回の部会については、来年124()16時~18時、厚生労働省9階の省議室を予定しております。

 

○駒村部会長 

暮れのぎりぎりまで御参集いただきまして大変ありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。本日はこれで閉会といたします。

 


(了)
<照会先>

【社会保障審議会障害者部会事務局】
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課企画法令係
TEL: 03-5253-1111(内線3022)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(障害者部会)> 社会保障審議会障害者部会(第54回)議事録(2013年12月26日)

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