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2013年12月16日 地域医療再生計画に係る有識者会議(第8回) 議事録

医政局指導課

○日時

平成25年12月16日(月) 14:00~16:00


○場所

航空会館501・502会議室(5階)
(東京都港区新橋1-18-1)


○出席者

委員

梶井委員 (座長)
内田委員 鈴木委員 田城委員 林委員 正木委員

○議題

地域医療再生計画の変更・延長等について

○配布資料

資料1 地域医療再生計画事業の延長等について
資料2 茨城県地域医療再生計画の変更申請
資料3 奈良県地域医療再生計画の変更申請
資料4 鳥取県地域医療再生計画の変更申請
資料5 地域医療再生計画に係る有識者会議による現地調査における主な意見
参考資料1 地域医療再生計画事業の延長一覧
参考資料2 地域医療再生計画の変更一覧

○議事

○佐々木室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「地域医療再生計画に係る有識者会議」を開催いたします。議題が始まるまでの間、進行を務めさせていただきます私は78日付けで医師確保等地域医療対策室長を拝命しました佐々木です。

 委員の皆様方におかれましては、本日大変年末のお忙しい中、遠方より御出席を賜りまして心からお礼を申し上げます。なお本日は齋藤構成員、水田構成員、西村構成員、藤本構成員、宮井構成員より御欠席との連絡をいただいております。まず、開催に当たり、厚生労働省・原医政局長より御挨拶を申し上げます。
 

○原医政局長 医政局長の原でございます。先生方お忙しい中、この有識者会議にお集まりいただきましてありがとうございます。地域医療再生基金につきましては、平成21年度の補正予算で基金を設置して以降、何回かの補正予算等による積み増しは震災復興のための1,100億円を含めまして合計6,050億円となりました。この基金は、震災対応もありますけれども、地域の中で様々問題になっていた医療崩壊の立て直しのため地域医療再生計画を実行するための基金で、都道府県からは貴重な財源として、御好評をいただいているところであります。平成25年度で一応、基金の計画期間は終了しますけれども、実際の施行そのものはもう少し後までかまわないという、その辺りは後ほどまた説明があると思います。

 さらにこの基金自体は、6,050億円、これで一応終了となるわけでありますが、一方で社会保障制度改革国民会議の中でこの地域医療をしっかりと、高齢者社会に対応すべく、地域の中でそれぞれ地域医療ビジョンというものを作って、それを受けて、医療機関の機能の再編や強化をしていくためにも新たな財政支援制度が必要ではないかという御提言をいただいておりまして、平成26年度以降、関係省庁と調整をしていくところでございます。

 今日の議題としましては、再生基金について年度末に向けてそれぞれ計画変更等の考え方などを整理していただきますとともに、今年の夏に、大変暑い中、先生方には現地調査で全国各地に行っていただきまして、様々な意見交換などにつきましても、新たな地域医療ビジョンに基づいた新たな地域医療再編に向けてのところにも引き継いでいきたいと考えております。いずれにしましても、この地域医療再生計画のそれぞれ視点が違っていた、なかなか私も見ていておもしろいなと思いましたけど、地域の中の課題を、考えていただけたものと思います。残された期間は限られた財源を有効に活用できますように、さらなる御議論、御検討をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 

○佐々木室長 それでは、議事に入ります前に、資料の確認を事務局よりいたします。
 

○岩城専門官 配布いたした資料ですが、まず1枚目、「議事次第」、次に「構成員の名簿」、続きまして「座席表」、さらに「資料1」「資料2」として茨城県の計画変更の申請、「資料3」奈良県の計画変更の申請、「資料4」鳥取県の計画変更の申請、さらに「資料5」として地域医療再生計画に係る有識者会議による現地調査における主な意見の4枚紙をお配りしております。不足等ございましたら、おっしゃっていただければお配りいたします。よろしいでしょうか。
 

○佐々木室長 それでは、以降の進行は梶井座長にお願いいたします。
 

○梶井座長 本会議の座長を努めさせていただいています梶井です。本日はよろしくお願いいたします。ただいま、原医政局長様からお話がございましたように、5年目を迎えます。ちょうど私座長を務めさせていただきましたのは5年になりますけれども、ずうっとこの再生計画の動向を見守らせていただきました。少なくとも、大きな前進させる原動力にはつながっていると確信しております。同時に、私自身もいろんなノウハウを各都道府県から見せていただいて、大きな学びにつながっています。それをまた別の都道府県にお届けするようなことを、私のみならず委員の先生方がこの5年間やってこられました。

 この夏には、各地に行かせていただきまして、再生計画の動向・状況をつぶさに拝見させていただきました。また今日、それについての御報告がありますので、あとで御意見をいただければと思います。ただいまから始めさせていただきたいと思います。円滑な運営に努めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。質疑等がございます場合には挙手をしてから、私が指名しますので御発言をお願いいたします。それでは、議事に入ります。お手元の議事次第のとおり3点あります。最初は、地域医療再生計画事業の延長等について。2つ目は地域医療再生計画の変更について。3つ目は地域医療再生計画に係る有識者会議による現地調査について(報告)です。それでは、初めに、事務局より【議題】1.地域医療再生計画事業の延長等についての資料の御説明をお願いいたします。
 

○岩城専門官 議題1「地域医療再生計画事業の延長等について」を御説明いたします。資料1を御覧ください。まず表紙ですが、「地域医療再生計画事業の延長等について」ということで、平成21年度補正予算、平成22年度補正予算、平成24年度予備費のうち茨城県分、平成24年度補正予算により作成された地域医療再生計画の延長手続について御説明いたします。復興計画については、今回の議事の対象とはなっておりませんので御留意ください。

2ページですが、延長については管理運営要領の規定の中で「基金による事業の実施期限は、平成25年度までとする。ただし、平成25年度末までに開始した基金事業については、厚生労働大臣の承認を受けた上で、基金事業が完了するまで、基金事業として必要な経費の支出、運用益の繰り入れ及び精算に関する業務のみを行うことができる」という定めがされております。(1)延長できる事業というのは、平成25年度末までに開始した事業ということで、「開始」の解釈については後ほど御説明いたします。

 (2)は、延長して行える内容です。開始した事業の実施に必要な経理事務のみとなっております。平成26年度以降は計画内容の変更はできませんので御承知おきください。

3ページは、「平成25年度末までに開始した事業」の解釈です。原則として、平成25年度末までに以下のところまで実施することで、平成25年度末までに開始したものとみなすとしております。1つ目は施設整備事業ですが、こちらは建物の実施設計の完了までです。2つ目の設備整備事業については、整備する全ての設備にかかる契約締結まで。3つ目はソフト事業で2種類あります。実施主体を事業者として、事業自体に対して支援を行う場合で、これは、事業を開始していることとなります。例としては(契約を交わしたうえで事業を行う場合は契約の締結)までということを示しております。2つ目は、都道府県が直接補助事業を実施するものである場合です。これについては、補助要綱の策定・周知を行っていることで、事業を開始したとみなすということとしております。

4ページは、計画の延長をする事業についてどれぐらいの事業があるかを示しています。完了年度別事業数というところで、事業の総数はこれまで3,820事業ありました。そのうち、下のグラフの中の平成26年度以降行われる事業として1,400事業余が延長する形になっております。執行額については、復興計画分を除きますので、総額約5,000億円で、そのうちの1,400億円程度が延長となります。個別の事業については、先生方のお席のほうにお配りしております参考資料1にまとめております。参考資料は机上配布としておりますけれども、会議終了後にホームページに掲載したいと考えております。

5ページは、延長申請・承認の方法です。都道府県からの申請については「各事業の年度別執行予定額」「平成25年度末までに行う内容」といったことを記載した一覧表を添付して申請していただきます。その内容について、厚生労働省で精査し、「平成25年度末までに行う内容」について、実施することを条件として承認の手続を行うということで進めさせていただきます。

6ページで、計画変更についても併せて御説明させていただきます。御承知のように計画の変更については、管理運営要領の中で「厚生労働大臣は、都道府県の地域医療再生計画の軽微な変更を除く計画の変更について、有識者会議の意見を聴くものとしております。この定めに対し、平成24312日の有識者会議における確認事項で、軽微な変更を除く計画の変更の承認に当たり、有識者会議の意見を聴く場合は2億円以上の新たな事業に取り組む場合とされております。

7ページは、今回の執行残余額(当初計画と実績の乖離)とか、運用益を活用して、新たな事業の追加又は事業内容の拡大を行う「計画変更」については、増減合わせて約2,000事業以上の申請がありました。このうち2億円以上の新たな事業を行う計画変更は3事業提出されております。2億円以上の新たな事業を行う計画変更については、各県からこの後に説明を行っていただきます。軽微な変更については、平成24115日の第5回会議以降の変更分について参考資料2にまとめてあります。軽微な変更についても、先生方からの求めにより、御不明な点がありましたら事務局へお問い合わせいただければお答えいたします。

8ページは、今後のスケジュールです。本日の会議で了承いただきました計画変更等については、年末をめどに承認を行いたいと考えております。その後発生したものについては、平成262月上旬までに申請されたものについて、2月末をめどに承認を行う予定としております。それまでの間に急を要する計画変更がありましたら随時対応するという形で計画の変更等を進めさせていただきます。

 なお、新規2億円以上の事業が発生したら、2月半ば頃にまた有識者会議という形でお集まりいただき、先生方の御意見を頂くことを考えております。新規2億円以上の事業がない場合は、本日お配りした参考資料2のような形で一覧表を作成し、先生方に御報告することで計画の変更の承認を得たいと考えております。資料1の御説明は以上です。
 

○梶井座長 ただいまの、事務局からの資料の説明について御質問や御意見がありましたらお願いいたします。計画の延長、それから変更についての案が示されました。私たちの手元には各都道府県から提出された延長と変更の一覧が分かりやすくコンパクトにまとめられております。大変な作業だったと思います、ありがとうございました。皆様からの御質問、御意見はないようですので、ただいま示された案のとおり進めるということでよろしいですか。
 

                                   (異議なし)
 

○梶井座長 ありがとうございました。続いて、議題2の「地域医療再生計画の変更について」に入ります。事務局からの説明にもありましたとおり、2億円を超える新たな事業への変更申請が3県からありました。この後に各県から御説明いただき、その都度質疑応答をさせていただきます。まず、茨城県の変更について概要の説明をお願いいたします。
 

○茨城県 茨城県保健福祉部医療対策課長の近藤です。茨城県の計画の変更の概要について御説明させていただきます。説明案件は2点ありますので、私のほうからは「特定診療科修学資金について」御説明いたします。薬物由来の健康被害対策の充実強化については後ほど薬務課長より御説明いたします。

 特定診療科修学資金は、医学生に対する修学資金制度、あるいは地域枠の制度について、一次計画には位置付けられておりますけれども、今回、二次計画の中に位置付けたいということで申請させていただきました。

 背景については別途お配りいたしました、茨城県の追加資料1を御覧ください。本県における人口10万人当たりの医師数は全国を大きく下回っており、下から2番目で、全国46位で本県にとっては、医師の確保が県政の最重要課題となっております。診療科別に見ると、産婦人科で全国40位、小児科で最下位の47位、救急で40位と、県民が安心して暮らせる医療体制の整備のために不可欠となる診療科について、いずれも医師不足が顕著な状況となっております。

 周産期母子医療センターや小児救急、救急医療機関等の体制や機能がいずれも十分に確保できない状況となっております。周産期医療の要である周産期母子医療センターにおいては、日立地区の病院がその機能を休止したままであること。また、県庁所在地である水戸地区の病院でも、一時的に分娩予約の停止をするなど危機的な状況となっております。小児救急についても、子育て環境や患者の専門医志向の高まりなどにより患者が集中し、救急の搬送人員が10年前と比較して1.5倍に増えるなど厳しい状況にあります。救急医療機関についても、医師の不足や高齢化などにより、受入体制が弱体化し、平成22年の救急要請から搬送までに要した時間が、平成10年と比較して1.5倍近くに増えるなど、こちらも厳しい状況となっております。

 病院ばかりではなく、診療所においても診療所医師数が全国最下位という中で、これまでへき地医療を支えてきた医師の高齢化が非常に進んでおり、10年後にはそういう地域で医療体制が維持できなくなることが懸念されております。例えば、県北山間の人口2万人の町ですが、現在いる14人の医師のうち、半数は70歳以上ということ、そのうち4人は80代だという状況です。一番若い方が51歳ということで、非常に医師の高齢化が進んでいます。県としても、医学生を対象に23日程度の地域医療研修を実施したりして、地域医療の魅力をPRしているところですが、なかなかその改善が図られない状況にあります。

 こうした中、本県において十分な医療を提供していくためには、これまで述べさせていただいたような診療科で、即戦力となる医師の確保と定着が不可欠です。そこで産婦人科、小児科、救急科、へき地医療に従事する総合診療科の4科の医師の確保と定着を図るために、診療科を特定した修学資金制度を創設するものです。具体的には、現在既に私立大学に設置しております地域枠の一部を特定診療科に限定するものとし、将来知事が指定する医療機関で、特定の診療科で、医師として従事する方に対し、月額の修学資金の貸与に加え、入学金や授業料などの学生納付金についても貸与の対象としたいと考えております。基金交付額については34,820万円となっております。なお、この変更に伴う財源については事業の見直しによる減額分を活用いたしますので、他の事業へ影響が及ぶことはありません。特定診療科修学資金の説明は以上です。

 今回、計画変更と併せ、事業の延長申請をさせていただいております、筑西桜川地域における新中核病院整備事業の現状と今後の見通しについて、この場をお借りして簡単に御説明させていただきます。この事業については、筑西下妻医療圏における急性期医療のなどに適切に対応できる医療機関を整備するため、地域医療再生計画に位置付け、その実現を図るべく地元市・県並びに関係者において鋭意協議・調整を重ねてまいりました。その間、平成233月には東日本大震災が起き、両病院とも大きな被害を受けました。長い間、建設場所の問題で両市の意見がまとまらない状況が続きましたけれども、本年4月と10月に両市長の選挙があり、それぞれ新市長が誕生し、その後、鋭意協議を進め、去る1213日に建設場所を含めた基本事項の合意書の取り交わしが行われました。

 今後は、年内に基本構想、基本計画のための委託契約の締結、年明けには新中核病院の具体的な機能や中身を検討する推進会議の立上げ等のスケジュールで進んでおります。どうぞ、このような状況を御理解いただきまして、引き続き御指導・御支援を賜りますようお願い申し上げます。以上で私からの説明を終わります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 

○岩城専門官 ただいま茨城県から説明のありました計画の延長については、参考資料128ページ、事業管理番号083003でお示ししております。
 

○茨城県 引き続き、「薬物由来の健康被害対策の充実強化」について御説明いたします。茨城県で薬務課長をしておりますシマダです。資料23枚目、追加でお配りした追加資料2の横のカラーを御参照ください。背景については、近年、インターネットの普及等により、健康食品や違法ドラッグ等が身近に流通し、それらに起因する健康被害の発生が深刻な社会問題となっております。これらの健康被害に対しては、その原因薬物を特定し、速やかに適切な治療につなげることが重要です。

 本県における課題としては、昨今、有害物質等を含有する違法ドラッグ等が原因の健康被害が発生し、救急搬送される事例が散発しております。その中では、救急搬送された患者等に用いられた薬物が特定できず、適切な治療に支障を来たす事例もありました。本県においては、特に医療資源が不足していることから、医療現場での負担を軽減し、適正な医療提供を図るためにも、行政が主体となった検査体制の確立と連携強化が重要であると考えております。

 そこで、県民の健康被害の未然防止を図るため、薬物の含有が疑われる製品の実態調査及び検査などによる違法製品の排除のほか、県民や医療機関に対する情報提供を行うなどの事業について、今回計画の変更をお願いするものです。計画の変更により、新たに生ずる事業の内容ですが、総事業費3,8298,000円、うち基金を2,7106,000円を活用させていただき、主に2つの事業を考えております。

1つ目は、薬物由来の健康被害防止に向けた情報発信です。医療関係者や県民に対し、健康食品や違法ドラッグ等に係るリーフレット、ポスターなどを用い、その危険性や特性等について情報提供を図ってまいりたいと考えております。また、行政と医療機関との情報共有を目的として、会議や研修会などの様々な機会を通じ、広く情報交換を行い、共通認識の醸成を図っていきたいと考えております。

 次は検査体制の強化についてです。分析機器GC/MS/MSを整備させていただき、医療機関からの依頼に基づく血液・尿などの分析を行い、原因薬物の特定を行い、適切な医療提供につなげるとともに、市場流通品の検査を実施し、違反製品の排除を行うことにより、健康被害発生の未然防止を図ってまいりたいと考えております。なお、今回の事業による効果については、健康被害の未然防止、適切な医療の提供、医療現場での負担軽減の3つを期待しております。説明は以上です、どうぞよろしくお願いいたします。
 

○梶井座長 ただいま御説明いただきましたけれども、御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。
 

○田城構成員 それぞれの事業で質問があります。特定診療科修学資金なのですが、まず学生の資金の全額を肩代わりということですが、国公立と私立で金額が大分違ってくるのですが、それはどちらでも構わないということですか。
 

○茨城県 現在考えているのは、私立の2大学です。現在地域枠として、茨城県の定員枠を持っている大学のうち、協力が得られる大学ということで、東京医大に4人、北里大学に1人、年間5人の枠を考えています。
 

○田城構成員 以前からありましたが、それを振り分けるということなのですが、専門医を取ってからということですから、専門医取得後であれば6年でなくてもいいわけですね。5年で取れる診療科もあるから、5年で取ったらそれ以降と。とにかく専門医を取ってから9年間。この制度をこれから始めるとしたら、この新しい事業で戦力になるのにどう考えても12年とか、11年先なのですけれども、それを待てるだけのゆとりがあるのかということ。その時にはまた人口がちょっと変わってくるというところの見通しは大丈夫なのですか。11年後ぐらいの悠長なことで。
 

○茨城県 それまでの間については、現在地域枠の学生の一番上が大学5年生になっておりますので、そういう生徒に対して、地域医療支援センターの事業などを活用しながら、専門医をキャリアアップしながら地域医療に従事できるような体制を取りつつ、育てていきたいと考えておりますけれども、如何せんどの診療科を専門にするかというのは個人の自由に委ねているところがありますので、なかなか我々の望む診療科に必ずしも行っていただけない部分があります。それを、無理に押し付けるわけにもいきませんので、若干長いスパンで考えていかなければならないのかと考えております。

 特に、現在我々が地域枠の面接をやっていても、小児科や周産期医療とか、へき地医療といった診療を志す学生はたくさん面接に来てくださるのですが、いつの間にか志が違う方向に行ってしまっているということもあります。初志貫徹ではないですけれども、それを後押しできるような制度にしたいと考えております。
 

○田城構成員 例えば、私は東京都で順天堂で地域枠の学生を最初からお預かりしています。東京都では、最初からこの4領域に特定し、なおかつ卒業の義務年限の間に専門医を取れるような病院、今はそこも地域の中核ですが、そのようなことをやっている実例が他都道府県にきちんとあります。だから、それが当初からできないはずはなかったので、それは当初の見通しが甘かったのではないかという気がしないでもないのです。今時の学生の気質で15年も縛られる前に、例えば6年間の間にお金をためて返済することもあり得るので、実効率が結構落ちるというか、目減りするのではないかという見通しがあると思うのです。

 それから、このBコースなのですが、これは私の勘違いかもしれないのですが、2年間の納付金と10万円ですけれども、初期研修終了後9年間と書いてあるのですが、これは3年か何かの間違いではないのですか。2年の給付は、普通はその貸与期間の1.5倍というのが世間の相場なのですが、これは9年間で間違いないのですか。
 

○茨城県 この制度は、現在ある地域枠制度の上に乗る制度として設計しておりますので、この5年生、6年生に貸したとしても、それまで1年生の間からずっと地域枠のお金は貸しておりますので、義務年限は短くはしないという設計です。
 

○田城構成員 でも、その地域枠自体が、1年から6年間の貸与ではないのですか。
 

○茨城県 地域枠として入った学生に対して、診療科を限定しますよという見返りで納付金の肩代わり、納付金分も貸与するという制度ですので、9年間の義務はこれまでどおりと。ただし、その4診療科に限る義務という設計にしております。
 

○田城構成員 本来の茨城県の地域枠がどういうものだったかを手元で参照していないのですが、これは二重ではないのですね。分かりました、後でもう一度資料を調べます。それから 最後ですが、薬物由来の健康被害対策についてのお気持ちはよく分かりますし理解できるのですが、やはり直感的に言って、地域医療再生基金には若干馴染まないのではないか。それは、他の46都道府県と比較しての問題ですけれども、茨城県が特に薬物で地域医療とか救急医療の崩壊が特にひどいということであればやむを得ないのかもしれませんが、優先順位としては他にやることがあるのではないかということが1つです。

 例えば、分析機器の整備なのですが、これは茨城県衛生研究所だけの本来の事業で、本来県知事とか県でやるべき機器の整備の枠内ではないか。つまり、本来業務を、再生基金を流用しているだけではないのかということがあります。それと同じようなことが情報発信で、これも本来県の事業としてやるべきことではないのでしょうか。わざわざ再生基金を財源にしなければいけないほどの強い理由があるのかが理解できないのです。
 

○茨城県 茨城県の問題点ということですけれども、やはり茨城県は首都圏に非常に近いということで、そういう薬物関係の事例が起こりやすいベースがあります。おっしゃるように、本来県のお金でやるべきだという先生の御指摘もごもっともかと思うのです。基本的に基金以外でやっている部分もありますので、今回は特に茨城県の新しい医療計画の中でも位置付けを強化しようということがあるものですから、更に基金を活用させていただいて、更にそれに乗せて強化してやりたいということで出させていただきました。
 

○内田構成員 修学資金の貸与事業についてです。確かにこの診療科は茨城県では非常に手薄になっているということです。1つは、この貸与を受ける方の立場に立って考えると、やはりキャリアパスの形成が非常に重要なモチベーションになってくるということが1つです。

 もう1つは、この診療科に関しては、特に小児科、産科、救急科というのは非常に業務負担が大きい所で、医療提供体制の整備・再編というところが継続的にその事業を続けていく、あるいはその診療科に従事していく上で非常に重要になってくると思うのです。そのところで現場といいますか、医療提供体制の中でどのような所に配置していくかとか、どういうキャリアを積んでいただくかというところで、現場の方、医師会とか大学とか、病院などの関係者が集まった所で配置なり、あるいはキャリア形成なりということを検討していただくことが非常に重要になってくると思います。その辺の取組について、ただ当初こういうシステムを立ち上げるということではなくて、その後の運用について、その辺の体制整備がどのように取り組まれているかというのを説明していただけますか。
 

○茨城県 この修学資金だけではなくて、従来からの地域枠とか、一般の修学資金の卒業生が、現在は茨城県でも出てきているところです。こういう方々については、義務年限が6年ないし9年ということで非常に若い時期、研鑽を積む時期の若い医師を我々県としてもお預かりさせていただいているという意識です。

 茨城県でも、平成24年度から地域医療支援センターを立ち上げ、大学とか地域の医療機関、医師会、県といった各関係者を中心として何層かの会議を重ね、現在は各科ごとのキャリアパスを考えているところです。そのキャリアパスについては、各科の指導医の先生方に意見を頂いた上で、県の地域医療支援センターの専任医師の方が組んで、またフィードバックして、修正をしてという形でキャリアパスを作っているところです。

 例えば市中病院、特に本県医師不足地域で働いていただくという条件にしておりますので、その地域での教育病院・研修病院がないとか、大学の医局に入らないとなかなか専門医が取れないというような診療科、例えば脳外科みたいな所なのですが、そういうキャリアパスを組むのに現在取り組んでいるところです。また、平成29年度からの新しい専門医制度にも対応していかなければならないということで、非常に取組を強めているところです。

 先生がおっしゃったように、産科とか小児科、救急は確かに勤務環境は非常に厳しい分野であろうかと思います。これら産科や小児科については、県内3地域に分けた総合周産期センター、それから拠点病院、小児拠点病院などを中心としたピラミッドの形の体制を組んでいるところで、その3地域ごとに責任を持って受けていただけるような体制。それから、どうしても無理な場合には、そこに配置しているコーディネーターが他地域を照会しながら搬送先を探していくような形にしております。

 また総合診療科、へき地医療についても県北の山間地域では、とにかく周りに医療機関がありませんので、必ずその町の中で一旦は受けるような体制を取っています。そういう各科非常に厳しい中で、先生方の処遇といいますか、勤務体制にしても、その処遇にしても十分に考えていかなければいけない部分だろうと考えております。
 

○内田構成員 先ほど田城先生からも質問があったのですが、Aコースを見ると卒業後6年経過後9年間ということになると、最長で15年間の縛りになるということですね。

 
○茨城県 補足させてください。確かにおっしゃるように最長で15年間になってしまいますが、最初の卒業後の6年間については、県内であればどこでもと。自分で専門医を取るまでは自由にキャリアを積んでいっていいですよと。その後の9年間については、県のほうから個別に医療機関を指定させていただくということです。15年間がんじがらめということではありません。
 

○内田構成員 その場合に、例えば卒業後6年間でお金をためて、貸与された金額を全部返還した場合には、残りの9年間の義務年限というのは免除になるのですか、それは許さないのですか。
 

○茨城県 基本的には、この4診療科以外の診療科に就いた場合というのは、通常の地域枠に上乗せした分は返していただこうと思っています。
 

○林副座長 修学資金についても若干質問したいところですが、本日は薬物健康被害対策に絞って質問させていただきます。このような事業というのは、先ほど田城先生から話が出たように、県側の気持ちも私はよく理解できますが、果たして地域医療再生のカテゴリーとしてぴったりするのかどうかというところで若干疑問がないわけでもないのです。

 全国の衛生研究所についての傾向は多分茨城県も同じかと思うのです。非常に長い間にわたって人員の削減及び予算の削減がずうっと続いてきたわけです。その中で、一体どういう事業に衛生研究所は絞り込めばよいのかということが広く議論されてきたわけです。衛生研究所の位置付け自体が、研究所という名があるとおり、必ずしも実務ばかりをやっているわけではなく、研究事業もやっているわけです。そこで効率的な運営を図るためには一体どうすればよいのか。いろいろな県で評価委員会が立てられて、そしてその在り方について議論されてきたわけです。

 しかも、県のあれですから、例えばインフルエンザが流行したときに、PCRの検査の依頼が一遍に押し寄せて来るようです。それが、また1件につき非常に高い価格なものですから、とても要望には応えきれない事情があります。そうすると、県でどこまでカバーしていいのかということがいつも問題になってきます。このことに関しては、茨城県の衛生研究所の在り方について県のほうはどのように考えているのか。これは組織自体の在り方です。例えば秋田県の場合には、衛生研究所は独法化されましたが、そういう形態もあり得るわけです。病院からの依頼検体について、どのような取扱いをするのかというのは、いろいろな考え方ができようかと思います。

 もう1つは、茨城県には中毒センターという有名なセンターがあります。全国的に情報を提供しているわけですが、そことの関係がこのシステムの中に見えてこないのですが、どのようにお考えになっているか、この2点について教えていただけますか。
 

○茨城県 衛生研究所の機能強化というかその役割分担の御質問ですが、茨城県でも長年にわたって予算とか人員が減らされてきた経緯があります。それに対して在り方検討会という形で議論をしてきたところです。これは、まだ正式に決まっているわけではないのですけれども、保健所に検査課があるので、それと衛生研究所を合体し、人も予算も増やして機能を強化すると考えております。

 この事業については、本来は医療機関それぞれでこういうものの原因が分かるような検査ができればいいのですけれども、それは現実には難しいので、それを衛生研究所のほうで集約といいますか、どこの医療機関に関してもこれは行政検査として無料で分析するような体制を作れば、それはそれぞれの医療機関にとってメリットがあるのではないかという観点でこれは出させていただきました。

2番目の御質問の、中毒センターとの関係です。中毒センターは筑波にありますけれども、これは独自のネットワークを作り、医療機関からの問合せとか、一般の方にも応じているものです。この事業については、一応県内の医療機関が対象ということで、そことの関係性は、今回は特に考えておりません。
 

○正木構成員 修学資金の貸与事業というのはどこの県でも行われていて、茨城県だけではないのですけれども、最終的には先生方が非常になりづらい救急とか小児とか産婦人科という所にお金を十分に付けて、お金でどうにかしようではないかと。裏にはそんなことはないと思うのですけれども、ただ、お金だけでいってしまうと、非常に関係が薄くなってしまうような気がするのです。もちろん資金は出すけれども、先生方のいろいろな育成をしっかりやっていくとか、是非とも茨城県に住んで治療をしたいという気持になっていただくような裏付けの事業をやっていただく必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 

○茨城県 先生がおっしゃられるように、学生時代から、ずっとそのモチベーションを高く保ったまま地域に出ていただくのが理想だと考えております。私ども、地域枠については各大学に地域枠のための委員会といいますか、大学の先生と県のほうが一緒に協議する場を各大学に設けております。その場で、いろいろな課題について協議したり、時には学生を加えて三者で協議をしたりということをやっております。個別の面談も、県職員が出向いていって、最低でも年に1回は実施しております。

 また、1226日に予定しておりますけれども、修学生の集いということで、一般修学生、地域枠の学生、自治の生徒、卒業医師が一同に会し、ケースのカンファレンス、発表会をやったり、講演会を聞いたり、最後には懇親会といいますか情報交換会を実施しています。それぞれの大学の縦のつながりだけではなくて、同じ地域枠、一般修学生についても違う大学の横のつながり、本県には筑波しかありませんので、全国各地の大学に散らばっている学生が、安心して茨城県に戻ってこられるように、学生時代から情報交換なり顔の見える関係を作っていけるような取組を実施しています。今後とも強化していきたいと考えております。
 

○正木構成員 是非とも努力していただきたいと思います。
 

○鈴木構成員 茨城県は私の地元なので、医師不足も看護師不足も本当にひどい、厳しい所なのは理解しており、他の県と同じようには論じられないという気すらいたします。そういう中で筑西の中核病院は私も気にしていましたけれども、何とか決まったということを報道で知りましたが、非常によかったと思います。

1つ教えていただきたいのは、御説明の中で、特定診療科修学資金、水郡医師会の話が出ていますけれども、これは私の地元の隣の医師会で高齢化と過疎化で非常に厳しい医師会だというのは分かっています。あそこは民間の医療機関しかない所で、2つの小病院と、1つの診療所が40年以上にわたってタライ回しのない体制を作っています。他とは30km以上離れている孤立した地域ですので、そこは医師会の先生方が非常に頑張られたと思うのですが、そこの話が出ているわけです。そこを今度の仕組みでサポートするということですが、具体的にはどういう仕組みでサポートしようと思っているのですか。
 

○茨城県 先生がおっしゃられたように、3つの病院と診療所が組んでやっているわけです。いわゆる法律といいますかその補助要綱でいうへき地診療所ではありませんけれども、そこがなくなったらその地域は無医村になってしまうような民間病院、民間診療所は県内に非常に多く存在しております。そういう診療所の多くを守っている先生方も既に高齢化しているし、なかなか後継者も戻ってこられないという現実があります。いわゆるへき地診療所に準じたような取扱いが県独自でできればいいと考えております。
 

○鈴木構成員 私は、県のへき地の会議にも出ておりましたが、正におっしゃるとおりで、今のへき地の拠点の所だけをサポートしても、話はとても解決しません。そこで今現実に頑張っている民間の医療機関をどうサポートするかを考えていかないと、大子地区は30年後には人口が半分近くに減ってしまうということですが、それでも、まだ1万人以上の方がいらっしゃいますから、へき地医療を守らなければいけないという視点で、是非そういう対応も、他の県の例を見ても必要ではないのかと思っておりましたので、よろしくお願いいたします。
 

○田城構成員 梶井先生も多分御質問があると思いますが、違法ドラッグの薬のほうです。検査体制の強化の、分析機器の整備で事業費が2,331万円としか書いてないのですが、内訳、積算根拠、それをどこに設置するのか、それが明らかにならなければ、これだけでは「はい、そうですか」と言うわけにはいかないのだと思うのです。過去には他の事業の積算根拠は一応資料として付けていただいておりますが、どうなっているのでしょうか。
 

○茨城県 これは、GC/MS/MSの機械1台分の価格です。これを衛生研究所に設置するということです。
 

○田城構成員 1台ですか。
 

○茨城県 1台です。
 

○田城構成員 どれぐらい使うかとか、そういう検査件数というのはここの事業効果と書いてある所でいいのですね。
 

○茨城県 はい。
 

○田城構成員 可動率とか、本当にこの2,300万円の機械を1台衛生研究所に置くと、救急搬送が60人が30人に減るとか、対応時間が1,200時間が600時間に減るということでよろしいのですか。
 

○茨城県 正直、医療現場での負担軽減という部分はかなり推計の部分ということになってしまいます。これを半分にするというのを目標にいろいろな事業をやっていきたいということです。半分になればこのぐらいの削減効果が期待できるという試算です。
 

○田城構成員 分析機械1台を研究所に置けば半分になると。
 

○茨城県 もちろんそれは置くだけではなくて、それに伴った我々行政の人間と研究所の人間が一緒に事業をやってということです。
 

○田城構成員 裏返して言えば、茨城県の場合は半分は違法ドラッグと薬物の患者が救急に来ているということを言っているわけですよね。
 

○茨城県 はい。
 

○田城構成員 半分は薬物だと。
 

○茨城県 救急はもっと多いですけれども、薬物が原因の患者はこのぐらいだということです。
 

○田城構成員 なるほど、分かりました。実は先ほども言いましたけれども、東京都は初めからこれと同じように産婦人科、小児科、救急、総合でやっています。先ほど、該当する大学と県でお話をしているとおっしゃいましたが、他の都道府県の例を参考にするとか、参照するというのはとても大事なことで、県庁内部と、該当する大学の中だけの内輪の話合いだけだと、世間の標準からずれても気が付かないことがあります。要するに、これは最初からできて然るべきではなかろうかと思うので、他の県がどうなのかということを、常に参照することは重要かと思いますので、是非お願いいたします。
 

○茨城県 ありがとうございます。国内19県でこういった診療科特定の修学資金制度はやっているようです。多いのは産科と小児科、救急だと考えております。ただ、茨城県ではその他の診療科も非常に逼迫している現状があります。例えば200床クラスの地域の中核病院であっても、内科医が2人とか3人という病院がザラだという現状もありますので、そういう課題も踏まえながら、これまでの修学資金制度は続けてまいりたいと考えております。
 

○内田構成員 議論があちこちへ行ってすみませんが、薬物由来のほうの話です。1つはそもそも論で、初めに田城先生がおっしゃったように、地域医療再生基金をここに使うということが、この事業に本当に馴染むのかどうかという検討が1つです。もう1点は、これは林先生からもありましたけれども、中毒センターがあります。その仕事と、この新しくここに機器を導入して取組を進めるということ。国民の視点で言うと、消費生活センターとか、消費者安全の取組というのが、国レベルでも様々展開されている中で、県レベルでこういう取組を展開する必要性があるのか、この事業が再生基金に馴染むのかということと、他の取組との整合性というか調整というか、その辺のところがどうもすっきりしないところがあります。
 

○茨城県 他の機関との連携という部分ですが、この手の薬物の分析というのは、例えば医療機関がそれを疑った場合に、どこでその特定ができるかを考えたときに、民間の委託の検査センターではまずこういうものはできないということ。それから、消費生活センターと中毒センターでもこれは現実的にできないことがありますので、やはりそういった非常に特殊な薬物の分析の受皿ということで、やはりこれは衛生研究所に設置したいということです。
 おっしゃるように、この事業を他でやっているかということになると、東京ではやっていると聞いているのですが、なかなか他の県ではありません。茨城県でこの事業をやって、例えば1つの症例に対して、その原因の薬物がはっきりした上で、治療とか1つの症例を提示していただくことで、茨城県がそういう情報を発信していけば、他の県の先生方にも助けになるだろうということです。これは、本県独自の取組ということで出させていただきましたので、御理解をいただければと考えております。
 

○梶井座長 皆様から御質問、御意見が多々出ました。最初の修学資金に関しては6年間過ごした後に、これはある意味で自由ですよね。その後に9年間の義務という、ここの負担感が、修学資金を受ける人たちにとってどれぐらいかということが一番のポイントだろうと思います。今は、全部で9年間なら9年間ということになっていますから、そこの中に必ずしも連続ではない研修期間が入っていてという仕組みになっていますので、そことはかなり違うのです。ですから皆様がおっしゃったように、卒前の育て方が、これは実は大きいのだろうと思います。

 例えば、東京医大には4人だけです。北里大学には1人だけ。皆さんが見るとこういうことではないわけです。そういう中で、どのように育てていくかというのは、今、相当検討しておられるし、実行しておられると思います。それを更にもっと身近に地域のことを、茨城県のことを感じてもらえるようなことを盛り込んでといいますか、事業としてやっていかないといけないのかと思いました。

 それから、9年間がどのような配置になるかというのは、病院や診療所を今から指定しておくわけにはいかないのですけれども、そこの基本的な考え方とか、勤務の内容とか、支援の体制、あるいはその間に定期的な研修が1週間に0.5コマとか1コマ受けられるとか、何かそのようなことをきちんと明記しておくと、9年間というプレッシャーが軽減して、むしろそれが前向きに捉えられてとなるのではないかと思います。是非その辺りを御検討いただければと思いながら私は聞かせていただきました。

 それから薬物由来の健康被害対策の充実強化についてですが、もし置くとしたら私も衛生研究所が一番対象となるかと思っておりました。現在、こういう分析機器、GC/MS/MSをということですが、今、分析できる装置はないということですね。
 

○茨城県 はい、ありません。
 

○梶井座長 私たちがこの申請の諾否を決定するわけではありません。飽くまでも有識者会議は意見を取りまとめてということになっております。最終的には大臣の決定だと思います。そこに向けて、先ほどの修学資金のこともそうですけれども、皆様から出た意見を踏まえ、少し見直していただければと思います。地域医療にとって、なぜこれが必要かというのがちょっと伝わってこないので、再生計画をあえて使う意味を皆さんがまだまだ受け止めていないのではないかと思います。その辺りを書き込んでいただければと思います。

 それから、筑西・桜川地区に関しては意見を申し上げるということではなくて、よくここまでという感じがします。逆に、今、急いで何か形をというよりも、ここまで来られたので、しっかりと練り込んでいただいて、基本構想、その次に進んでいただければという感じがいたしました。以上です。どうもありがとうございました。
 

○茨城県 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 

                                   (茨城県退室)
 

○梶井座長 続きまして、奈良県の変更について概要の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 

○奈良県 奈良県医療政策部地域医療連携課の表野と申します。よろしくお願いします。医師、看護師確保対策室長のオイカワです。
 

○奈良県 オイカワです。よろしくお願いいたします。
 

○奈良県 それでは、お手元の「資料3」、奈良県の地域医療再生計画の見直しについての文章です。1ページです。計画全体のイメージを書いてありますけれども、本日は中程にあります平成21年の奈良県地域医療再生計画2の変更の協議です。まず、本県の地域医療再生計画を作成したときの経緯です。奈良県では平成18年、19年と妊婦搬送事案がありまして、平成205月から地域医療等対策協議会を設置し検討を重ね、その成果を基に平成21年度補正予算による地域医療再生計画で、上側ですけれども、県北部の西和地域、それと県中南部の(中南和)地域の2つの地域に分けて計画を策定しております。

2ページです。計画の内容は拠点となる高度医療拠点病院(マグネットホスピタル)と表示しておりますけれども、それを位置づけて救急、小児、周産期、がんなど、各分野の医療連携体制の整備、充実を図ろうとするものです。また医療従事者を安定的に確保できる体制を構築しようという内容です。これによって県全域の医療体制を立て直そうとしているものです。地域医療再生計画につきましては毎年度評価していますが、これまでe-MATCHによる救急搬送ルールの運用を始めて、搬送データの分析、検討を今進めていること。また様々な相当事業を進めることにより、医療機関の中で役割分担の意識が高まっているところです。医師、看護師の確保につきましては県全体で取り組む事業として位置づけていたところですが、そのうち修学資金貸付事業、真ん中より下に書いてありますけれども、それにつきまして今回平成21年度補正予算による中南和地域の地域医療再生計画を変更して基金を充当したいと考えておりますので、担当の医師、看護師確保対策室のオイカワ室長から内容を説明させていただきます。
 

○奈良県 失礼いたします。奨学金の変更の概要につきまして私から説明をさせていただきます。ただいま表野課長の説明にありましたように、奈良県では平成21年度の補正予算による地域医療再生計画におきまして(北和地区)(中南和地域)2つの地域に分けて計画を策定しております。いずれも計画の拠点となります高度医療拠点病院を整備して医療提供体制の整備、充実を図ろうというものです。これらの計画の医療提供体制の基盤となります医師の育成、確保策につきましては、まず北和地域の計画では医師確保修学資金貸付事業により、特に新県立奈良病院を中心とした救急医療を担う人材を育成することとして、当該基金を充当していたということです。また、もう1つの計画です。中南和の計画による医師の確保策としては、県が策定しました広域研修プログラム、総合医のためのへき地研修プログラムによります総合医の育成、医師配置システムの運営による適正な医師配置を目指すこととして、それらの事業に基金を充当していたということです。しかしながら中南和、東和地域にあります公立の4つの病院の医師数ですが、直近の7年間で約32%減少しているという状況で、平成28年度に竣工します新救急病院を中心とする南和地域の医療再編を踏まえ、医師の確保が大変重要な課題となっております。そのようなことから、今回中南和地域におきましても医師確保、修学資金貸付事業を実施したいということです。なお県が医科大学に設置しました地域医療医学講座におきまして、昨年度に県費奨学生のキャリアパスを作成しました。これは地域の医療への貢献と十分なキャリア形成の両立を図ることを目指しているものです。このキャリアパスの中にはへき地医療体制の確保や、特に中南和の病院で求められる幅広い診療能力を持った医師を育成するため、奈良県立医科大学附属病院と地域の公的医療機関、へき地診療所での研修を行います地域医療の総合医を目指すためのキャリアコースなども設定して、県全域で育成を図ることとしたところです。そのようなことから繰り返しになりますけれども、今回中南和地域におきましても医師確保修学資金貸付事業を実施して基金を充当させていただきたいということです。よろしくお願いいたします。
 

○奈良県 4ページです。中南和地域の計画の各事業を精査しましたところ、平成25年度末で約83,600万円の執行残額の見込みです。その主な要因としては中南和の高度医療拠点病院、これ医大附属病院ですけれども、その整備について別途財源を確保して事業を実施することにより執行残額が確保できることなどです。今回事業延長の可能性が生まれましたので、改めて計画の変更について検討していましたけれども、先ほど説明しました新期事業化の医師確保修学資金貸付事業で43,000万円、現在協議をしておりますけれども、ほかの事業において計画達成のための事業延長を申請している事業費が総額で約43,000万円ということで、ほかの事業計画の執行残額及び運用益を活用して実施するものです。また、ほかのいずれの事業も必要額を確保しておりますので、延長をお願いしている事業を合わせても計画内の他の事業へ影響することがない状況です。以上のとおりです。よろしく審議をお願いします。
 

○梶井座長 御説明ありがとうございました。ただいまの説明に対して御質問、御意見お願いいたします。いかがでしょうか。
 

○田城構成員 この変更した後の県の修学資金、研修資金の貸与の対象者ですけれども、元の資料がないのであれですが、従前は奈良県立医大の入学者を対象としておられたかと思うのですが、今回も対象の大学はそこでしょうか。それとも、県によっていろいろなパターンがあって、山形県も4パターンぐらいあるのですけれども、要するに県の出身者で県外の大学の卒業生だけど奈良県にもってきたいとか、いくつかパターンがあると思うのですけれども、対象者はどなたを考えられているのか改めて。よく読んでもそこがみえなかったので。
 

○奈良県 奈良県の奨学金制度は2種類あります。1つが県立医科大学、それから近畿大学医学部の特別推薦枠入試の医学生を対象とした緊急医師確保修学資金、それからもう1つが県内外の医学生や臨床研修医、専門研修医を対象としました医師確保修学研修資金の2種類です。今回対象者は同じと考えております。
 

○田城構成員 どちらでもいいということですね。
 

○奈良県 はい。
 

○梶井座長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。
 

○内田構成員 この計画変更を拝見しますと、元々施設も医師も手薄なところに医師を配置しようという計画変更ですよね。中南和に医師をもってくると。医師も施設も手薄なところに医師を配置するということは、配置される医師にとってはキャリアパスという点でも、経験を積むとか教育指導体制、そういう点での体制整備がないと、「分かりました。はい、行きます」という話にはなかなかならないのではないかと思うのですね。ですから、その辺のサポート体制をしっかり作って、キャリアパスの形成に喜んで参加できるようなバックアップ体制がやはり必要になってくるのではないかと思いますが、その辺のところについては今後の取組ということで、どういうことをお考えでしょうか。
 

○奈良県 御指摘のとおりだと思います。修学資金制度で重要なことは、単に義務を履行することではなく、まずは地域医療に貢献するのだという気持ちを継続させること。それから借りてよかったと言ってもらえるようなキャリアパスを提供して、地域医療に貢献できる立派な医師として育っていただくということが重要だと思っております。平成2210月に県立医科大学に地域医療枠講座を奈良県の寄付講座という形で設置しております。そこで県費奨学生のキャリアパスを昨年度に作成をしております。キャリアの支援についても研究を行っていたということです。今後増加します県費奨学生の支援体制を強化するため、今年の10月に県費奨学生配置センターを県と医大との共同設置という形で医大に設置しております。奨学金を貸与した医師の適正な配置や、キャリア形成支援をそこで行っていくということにしており、今は学生の頃からしっかりと専任医師の方に面談を行っていただいて、彼らのキャリア形成支援を行っているところです。
 

○内田構成員 その際に学生への修学資金の貸与というのはもちろんよく分かるのですけども、指導に当たる施設や教官への支援ということも同時に考える必要があるのではないかと思います。ただ負担だけ増えて、教育もやりなさい、指導もやりなさい、責任も取りなさいという話ではなかなか大変なことなので、是非その辺も御配慮いただければと思います。
 

○梶井座長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。
 

○鈴木構成員 奈良県というと南和地域が十津川村みたいなところもあって非常に過疎で大変なところだと思うのですが、説明を見ると南和と中和と東和が一体だといってますが、それはどうしてそのようにしたのでしょうか。奈良市やその周辺はよろしいのでしょうけれども、それ以外のところで南和は大変だと思うのですが、それ以外に中和と東和も含めてとしたのは、どうしてなのか、その辺は比較的医療機関はあるというような話も書いてあるのですけども、その理由を教えていただけますか。
 

○奈良県 奈良県のへき地といわれる地域ですけれども、南和と東和、中南和地域にへき地地域が集中しておりますので、そこをてこ入れしたいということで今回変更をお願いしたいということです。
 

○鈴木構成員 南和以外の中和、東和の中でも、実際にへき地医療が相当不備なところということですね。
 

○奈良県 そういうことです。
 

○鈴木構成員 分かりました。
 

○正木構成員 奈良県は今奈良県立病院を建て替えながらまた新しく踏み出そうとされてますよね。それについて私も少し奈良県に話に行ったりしております。ドクター、看護師さん、いろいろなコメディカルや医療に携わる人に対してのいろいろなモチベーションアップといいますか。少し、今まで県はホッタラカシという言葉は適当ではないと思うのですけども。もっと医療のほうをみながら先生方に対して資金を貸し付けて、せっかく奈良県に住み着いていただいていろいろないい医療をしようとすると、ただお金だけの関係ではなくて人間的な豊かさやそういった、奈良県でやってみたいという気持ちを全国に先駆けて何かやれるのではないかなという気がしているのですけどね。そうでないと、いろいろな意味でお金だけの関係を作ると、またお金がいいところにまた流れてしまうだろうし。本当に医療人としての育成で、いたいとおっしゃる先生方を作っていくには、コメディカルも非常に協力的な体制があるとか、そういった医療人を全体的に大切にしていくような雰囲気、そういったものを新しく作っていくという。県病院の再生と一緒に新しくそういったものを計画されるといいのではないかという気がしますけど、いかがでしょうか。

 
○奈良県 御指摘のとおりだと思うのですけれども、今喫緊の課題であります医師、看護師の確保というところで全力を挙げて取り組んでいるところです。今後コメディカルのことも含め、モチベーションをもって奈良県で勤めていただけるような形が取れるような取組に向かっていきたいなという思いはありますので、またいろいろとお教えいただければと思います。

 
○佐藤構成員 基金の延長ということですけども、これ平成27年度までには終わるわけですよね。その後実施する事業ということで9つほど書かれてあって、やっぱりその後に県が独自で事業実施をしていく体制や考え方というのは非常に大事だと思うのですね。お金の切れ目が縁の切れ目だとなってしまっては何もならないということが多いわけですけども、そういう意味でどうなのでしょうか。へき地医療が非常に大変だという現状は奈良県だけではないと思うのです。いろいろなところでそういった問題は挙げられていて、例えば17ページにある7の終了後に実施する事業で、(1)に「地域医療総合支援センター(仮称)」となっていますけれども、こういったもののイメージや、それから(6)にあるような全体の医療の質の改善に取り組むと書いてありますけれども、医療マネジメント人材のイメージがもしあれば、そういったものも教えていただいて、ほかの県にも非常にそういった考え方が役に立つと思いますので、もし今お答えがあればお願いしたいと思います。

 
○奈良県 総合支援センターの関係ですけれども、今までは先ほど申しました地域医療枠講座の研究に基づいて地域医療総合支援センターで医師の適正な配置について協議を行い、そこで医師の適正な配置を行っていこうという構想で動いてきたのですけれども、今回県立医科大学の第2期の中期目標の中で、適切な医師派遣システムの確立が掲げられ、来年の4月には医科大学に医師派遣センターを設置する予定です。そこで公立公的病院からの医師派遣要請に対応した医師の派遣を行っていくような取組を行っているところで、今後は医科大学と十分連携しながら、そのような取組を進めていきたいと思っております。それから医師の供給の部分ですけれども、まず大事なのは各民間の病院もですけれども医療経営の部分が大事というところで、やはり安定した魅力のある病院には医師や看護師が集まってくるというところから、県としては昨年度から病院経営講座を開催しておりまして、各病院の経営力のアップに向けた取組を進めております。各病院からもかなり好評をいただいており、参加にも計画でしっかりとした各病院に経営感覚を身につけていただいて、魅力がある経営をやって医師、看護師が奈良県に来て働きたいなと思うような病院をどんどん増やしたいなという取組を進めているということです。

 
○奈良県 少し付け加えて申し上げますと、(6)の医療の質の改善に取り組むためという言葉が書いてありますけれども、先ほどの資料の中でソフト事業の中で重要疾患の医療機器の収集・分析とか、要はこの再生計画で私のほうで臨床指標の項目を設定して、皆さんに使いませんかということで今、御案内をさしあげているところです。そのようないろいろなツールを再生計画で作って医療者に使っていただくようになっていったら、こういう質などそういうものも将来的に効果があるのかなと、使っていただけるのかなという思いで再生基金の事業をさせていただいています。以上です。

 
○梶井座長 よろしいでしょうか。いろいろな御質問に対してお答えいただきました。基本的には今出されました意見を踏まえて必要な計画を書き込んだり、修正したりということを行った上で実施していくということで、皆さん、御了解よろしいでしょうか。

 
(了解)

 
○梶井座長 今、お話を伺ってるとすごくいいストーリーがみえてくるのですけども、何かどうしても申請しようということでそういうところが入っていないのですよね。当事者というのはこれを受ける学生ではないかと思うのです。あるいは研修医だったり、彼らにとってここにいくとこういう支援体制もあるし、あなたたちを支援している指導員も時々行ってみますよとか、あるいは再生計画はあってもこういうことを考えていますというような、そういうストーリーがきちっと盛り込まれていると、すごく魅力的な変更申請になるのではないかと思うのですけれども。どこまでということではないのですけれども、そういうことをお考えになられて少し手直しできるところは手直ししていただければと、私は考えながら皆さんの意見を聞かせていただきました。よろしいですか。

 
○奈良県 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

 
(奈良県退室)

 
○梶井座長 続いて、鳥取県の変更について概要の御説明をお願いいたします。

 
○鳥取県 鳥取県医療政策課医療政策担当課長補佐をやっております前田と申します。本日はよろしくお願いいたします。鳥取県の地域医療再生計画の変更について説明させていただきます。資料4で説明いたします。

 資料41つ目の見直しについての通知の次の資料から説明させていただきます。「看護師養成所の施設整備への支援事業(事業管理番号312025)」というタイトルの事業です。この事業のそもそもの背景ということで、まず1番目にある鳥取県の看護職員不足の現状があります。病院勤務看護師は、平成247月時点で226人不足していて、この不足が解消されても、看護基準の変更や数年後の定年退職等や産休・育休代替のための人員確保ということで、更に225人の増員が希望されている現状があります。

 当県で実施した第7次需給見通しでは、平成23年から平成27年までの間、毎年200300人程度の看護職員の不足が見込まれています。更に、当県で開催した「看護師養成の抜本的拡充に向けての検討会」を今年の11月にまとめたのですが、そこでは、県内の看護職員は平成12年から平成22年の10年間で約1,600人増加していますが、現在、病院や福祉施設を中心に深刻な看護師不足という状況があります。また、中長期的にも、高齢化の進展により、看護職員は引き続き需要の増加が見込まれ、不足状況が継続することが推測され、新たにこの事業を実施させていただきたいと考えております。

2番目に「事業の目的」です。本県の現在の深刻な看護師不足と看護教育の高度化等のために、新たな看護大学設置に対して一定の公的支援を行うことを目的としております。

3番目の「事業の概要」ですが、大学の設置者として学校法人藤田学院という所にやっていただくことになっております。この学校法人は、現在、県内で短大を経営している学校法人です。大学の名称ですが、新しい大学は鳥取看護大学という名称です。設置場所ですが、倉吉市と書いてありまして、これは鳥取県の真ん中辺りにある自治体です。

(5)番目です。設置学部等については、看護学部看護学科、これは1学年当たり80名で(収容定員を320)ということで考えております。開学時期が平成274月、総事業費が約30億円、補助対象経費ですが、文科省の標準経費等及び校舎建設に付随する設計費等を考えております。この度の事業実施期間ですが、今年度、平成25年度中に建物の実施設計を行い、来年度、平成26年度に工事を着手し、その年度中に完成する計画です。

 「平成26年度の要求額」、これは(平成25年度中に債務負担行為)をとるのですが、地域医療再生基金で26,700万を考えております。平成27年度までで総額では、括弧の一番左に書いてありますが(79,300万円)を県全体の支出として考えております。

 次のページの5番目の「大学の構想」です。設置の背景は、そもそも4年制大学の設置が県内で強く要望されていました。それに加えて、先ほどから説明しておりますとおり、看護師の不足や高齢化の進展などがあって設置に向かうということです。(2)の「大学が育成する看護師像」ということで「向き合う力」「寄り添う力」といった力を持った学生を育てていきたいと考えております。

6番目です。この度の新規事業を実施するに当たって、ほかの事業から減額分を持ってくるということなのですが、表にある3つの事業を考えております。一番上の「医師等環響改善のための医療クラーク採用のための支援事業」、次に「鳥取大学医学部への寄付講座開設事業」、もう1つが「Web型電子カルテシステムの整備事業」、これはITを活用した電子カルテのネットワークシステムの事業なのですが、これらの3事業の減額から新しい事業に充てたいと考えております。更に、一番最後にある運用益も充てようかと考えております。

 計画の変更の具体的内容ですが「計画変更詳細」に書いてあるとおりです。今回の変更による課題への影響ですが、やはり、県内にそういう看護大学が設立されるということで、一番下にあるとおり看護師不足の解消に向けて大きく前進できることが期待されているということがあります。今回の事業実施によるほかの事業の見直しによる影響ですが、見直しによる減額分を活用することとしておりますので、ほかの事業に影響を及ぼすことはないと考えております。

 変更後の計画ですが、地域医療再生計画の変更版の8ページにアンダーラインで書いてありますが、ここにこういった事業を入れて、この事業を実施させていただきたいと考えております。以上です。

 
○梶井座長 ありがとうございました。ただいまの御説明に対して何か御質問はありますか。

 
○田城構成員 地域医療において医師不足もさることながら、看護師が足りないというのは、実は東京でもそうでして、看護師がいないがために病棟が開けないということもよくありますし、71が少し減ってくれば、101になると看護師が少し捻出されるかもしれません。看護師が足りないというこの計画はとてもすばらしく、高く評価できると思います。

 基金充当額の減額分という根拠、その資料もきちんと提出されていて、それも大変すばらしいと、どこからお金を捻出したかということをちゃんときれいに示していただいて、これも丁寧なお仕事で、高く評価できると思います。その中で、Web型電子カルテシステムの整備事業、これは「マメネット」ですよね。

 
○鳥取県 それは島根さんです。鳥取は「おしどりネット」です。

 
○田城構成員 失礼しました。そこを見ていると、予定どおり立たないという所のボックスの下に「医療課題の解決に向けて事業そのものを見直すことも検討する」と書いてあるのです。これを見ると、2億円減額しているのですが、事業そのものを見直すということは、逆に言うと、それまでに使ったお金がどうなってしまうのかという疑問が少しだけ生じるのです。

 
○鳥取県 それまで使ったお金がどうなるかということですか。

 
○田城構成員 はい。事業そのものを見直すという意味ですか。国語の意味なのですが。

 
○鳥取県 見直すというのは、廃止などというわけではなく、とりあえず平成25年度中までにそのネットワークに加入してもらえる病院には加入してもらえて、システム自体は作り上げます。一応、基金は平成25年度までということですので、その後の運営というものがどうしても出てきますので、それについては、ちょっと基金を使わせてもらいたい。整備費ほどお金はかかりませんので、運営費についてちょっとお金を使わせてもらいたいと考えております。

 ただ、その運営自体も、島根さんのマメネットは島根県が中心となってやっているのですが、鳥取のおしどりネットは鳥大病院さんが中心となってやっておられるのです。県はそれを支援している立場でやっているのですが、鳥大さんとも今いろいろ話をしておりまして、基金が終わったらどういうふうに運営するのかと。島根さんでしたらNPO法人を立ち上げて運営するなどとやっておられますし、鳥取県は岡山さんも隣接するのですが、岡山さんも確か一般社団法人か一般財団法人だかを立ち上げてやろうとされています。そういうことも鳥取県として考えていかなければいけないのではないかということを提案されて、鳥大さんと今いろいろとお話させてもらっている最中です。ですので、正直、平成27年度までソフト事業などが延長させてもらえるというのが非常に有り難いと思っておりまして、この2年間で何某かのめどを付けていきたいと考えているところです。

 
○梶井座長 ありがとうございます。先生の御出身ですよね。

 
○田城構成員 そうです。

 
○正木構成員 看護師不足への対策がいろいろ本当に、ありとあらゆることをやっておられます。これで、それでもなおかつ少ないという状況なのですか。一番最初のほうには、まだ今でも200300人足りないなどとありますが、増えてはいるのですよね。

 
○鳥取県 毎年着実に増えてはいるのですが、供給を上回る需要ということで、とにかく毎年、現場からは悲鳴の声ばかりが聞こえてくるということです。

 
○正木構成員 そうすると、最後の手として看護大学ということになるわけですか。

 
○鳥取県 看護大学の設置ということは、昭和の終わりぐらいからずっと要望し続けてこられていました。県としても、県立の大学を作るのかということで、一時期検討した時期もあったのですが、財政難ということでなかなかできないということになり、昨年の夏に、地元の看護連盟が立ち上がりまして、いよいよとにかく看護師不足を何とかしてほしいということで、先ほども御説明したように地元の短大を経営している法人に作ってくれという話になり、それで、様々な地元経済界などの応援も出てきたということで、県としてもそれらを引き取って、どういう問題点があるのかということで全県を揚げて協議を重ねてきて、今どれぐらいどういうふうに足りないのかということや、問題点として教員をどこでどういうふうに調達してくるのか、資金の面はどうかなどということで、やっと、今議会で県、地元の市、町の合意が得られそうだということになりましたので、今回このような形で計画変更ということで提出をさせていただきました。

 
○正木構成員 今まで、学生さんが県外に出てしまっているのが、少し取り戻しができるなどという思惑があるのですか。

 
○鳥取県 そうですね、毎年大体150名ぐらいから、近年では170名超の県外流出となっています。今回、同じ時期に鳥取県東部にも専門学校ができる予定でして、同じく80名です。ですから、定員としては合計160名の看護学生1学年で増員が見込まれています。しかしながら、それ以上の県外流出がここ何年も継続されているという現状です。

 
○正木構成員 ありがとうございました。

 
○林副座長 今の質問と内容的に重なるところがあるのですが、この大学に対して助成をするというのは分かるのですが、その卒業生が定着するであろうという見込みについて、どのようにお考えになっているのか。この再生基金を利用することによって、果たしてその見込まれている人数が定着できる担保とまではいかないにしても、ちょっとその辺りが漠然としているような気がするのです。大学との話し合い、あるいはそれを定着できるように何かほかの仕組みも一緒に抱き合わせて考えられているのかどうか。その辺りを知りたいのです。

 
○鳥取県 この件については、今議会でも質問が出てきたところです。県として具体的に考えているのは、今、鳥取県では、とにかく将来看護職として働きたいという人には、漏れなく修学資金を提供させていただいております。県内の方でも、県外に出ている学生でも、当然、修学資金の対象としています。しかしながら、県内に新たな看護師養成所ができることを受けて、これまでも手が挙がり続けるような現状が続くのであれば、県内の養成校を優先するという条件での修学資金の提供を、今後検討していきたいと議会答弁を行っております。

 
○鈴木構成員 倉吉というのは医療圏としては中部ですか。

 
○鳥取県 はい。

 
○鈴木構成員 医師会の看護学校もありますよね。

 
○鳥取県 医師会のはございます。

 
○鈴木構成員 あれは准看ですか。

 
○鳥取県 はい。

 
○鈴木構成員 医師会との関係はどうなのでしょうか。看護大学を出た方は医師会の医療機関にはなかなか就職されないということもあるのですが、そこにそういった方々が流れてしまうということも、そんなに人口が多い所ではありませんので懸念されるのではないかと思うのです。その辺りについて、医師会の先生方はどのような御意見を持たれているのか。あるいは、こういった基金を使うからには、医師会の先生方の医療機関に就職していただくような働き掛けなども必要ではないかと思うのですが、その辺りについての御意見をお願いします。

 
○鳥取県 今回の看護大学の設置について、医師会のほうから意見を聴取しておりますが、特に反対意見は出ていません。医師会としても看護の学生が増える、看護の修学先が増えるということで歓迎の意を示すと言っていただいております。今の准看さんはほとんど、その後進学される方が半数近くにもなりますので、看護の高度化ということは、医師会の諸先生方も十分了解しておられます。

 それから、こういう看護大学の設置については、先ほど申し上げました看護師養成のための抜本的な拡充のための検討会という会を立ち上げておりますが、座長には医師会の会長になっていただいて、各種調整を行った上でこういうふうな設置が必要だという結論に至っているということです。

 
○内田構成員 この学校法人藤田学院というのは、もともと愛知県が本拠の藤田保健衛生大学とは違うのですか。

 
○鳥取県 全く関係ございません。

 
○内田構成員 関係ないのですか。

 
○鳥取県 はい。鳥取県の地元で短大と保育の関係を行っている施設です。

 
○内田構成員 分かりました。そうすると、この看護大学を作ってということになると、施設整備に主にお金を付けていますが、やはり、学生の確保、教員の確保、それから、看護大学の場合には研修施設の確保も非常に大事なのですが、その辺りの目安は学院任せでやっていらっしゃるのですか。それとも何か運営協議の中に、そういうシステムが立ち上がっているのでしょうか。

 
○鳥取県 看護の大学を作るに当たり、今御指摘いただいたことが大きな問題点となっておりました。まず、学生が確保できるのか、教員が確保できるのか、実習先が確保できるのか、それから、施設整備のお金が調達できるのか、この4点を中心として1年間検討してきました。学生の確保については、県のほうでニーズ調査を行い、定員を上回るニーズが確認できました。教員確保については、地元の学校法人が積極的に動かれて、全国公募等を行い、教員のほうもほぼめどが立ったところです。施設整備については、今の議会で対応中ということですし、実習先の確保についても、看護連盟がかなり積極的に動いていただき、鳥取県中部というのは御指摘のとおり非常に人口の少ない所ですので、鳥取県の東から西まで全県下、場合によっては島根県の一部と隣県の岡山県の一部を含むことで、実習先を確保しております。これは既に100%確保できております。要望があれば、保健師に必要な単位の取得もできるようなところまで、実習先は十分確保できております。

 
○梶井座長 ありがとうございました。かなり詳細に御説明いただきまして、いろいろ調査をされたり、準備を進められていることが非常に伝わってきたのではないかと思います。よろしいでしょうか。

 書類の5番目に、鳥取看護大学の構想というのがあるのですが、今のような話がこの後に続いて書かれていると、非常に実効性があることが伝わると思うのです。もうここまで来ていますということが伝わって、実際にこういう変更申請を出していますということが伝わると、非常に具体的な内容になってよいのではないかと思います。いずれにしても、学生の確保ができるかどうか、その学生が将来、県内に定着してくれるかどうか、先ほどお話がありましたが、その辺りも、今検討してこういうことになっているということが書き込まれていると、非常に分かりやすくて伝わっていくのではないかと思いました。

 今、皆様から出されたような意見を踏まえて、必要な計画の手直しをしていただいた上で実施していただくということでよろしいでしょうか。

 
○田城構成員 私も順天堂で2つ目の看護学部を立ち上げるのに委員として関わったので、今、梶井座長がおっしゃったとおりですが、いつちゃんと文部省との協議をして、教員が認められていて、何月に開校で、募集開始が何年ということですが、開校は平成27年ですね、文部省の協議はもうしていて、全部認可が取れているということでよろしいのですね。

 
○鳥取県 文科省との正式な協議は、3月に申請を出すということになっていまして、その前の下話の協議に年明けの1月から入ります。それまでの更なる下話というか事前の協議については、今年の始めから何度か協議はしております。

 
○田城構成員 事前協議はある程度進んでいて。

 
○鳥取県 はい。進んではいます。

 
○田代構成員 分かりました。

 
○梶井座長 ありがとうございました。

 
                                 
(
鳥取県退出)

 
○梶井座長 続いて、議題3に移りたいと思います。「地域医療再生計画に係る有識者会議による現地調査についての(報告)」に入ります。事務局から御説明をお願いいたします。

 
○岩城専門官 それでは、資料5について事務局より御説明いたします。

 本年7月から9月にかけて有識者の先生方には長時間拘束させていただき、現地調査の開催にご協力いただきました。ありがとうございました。全都道府県を対象として、県職員等を中心に、県医師会、医療審議会、住民団体等と有識者による意見交換・質疑応答等を実施いたしました。以下に、現地調査の際に有識者の皆様方から頂いた主な意見を<医師等確保関連>などの事項ごとにまとめました。幾つか御紹介させていただきながら進めたいと思います。

<医師等確保関連>については、1つ目、修学資金受給者を県内にとどまらせる方策が必要であると。何もせずに定着すると思っていたら、その認識は甘いという厳しい御意見も頂いております。その2つ下ですが、再生基金を活用して女性医師の復職が進んでいることは良いことであり、進めてもらいたいという再生基金に対する評価も頂いております。

 次のページの<医療連携・ITネットワーク関連>ですが、1つ目、再生基金によりITネットワークシステムを構築した場合、基金終了後も確実に運用ができるよう、ランニングコストが確保できる仕組み作りが重要であるという御意見も頂いております。また、中ほどですが、ある県では、内科で開業している先生が県立病院の当直をされているなどの官民連携が行われているといった事例も御紹介いただき、こういった取組も可能ではないかといった御意見も頂いております。

<病院の再編統合>については、1つ目、病院の再編等は施設の整備をして終わりではない。その後にきちんと運営できているかが重要であるという御意見を頂き、その後の運営についてきちんと検討することが必要であるという御意見を頂いております。

 下の段の<在宅医療関連>として、2つ目、市町村に医療の担当部署がないことが多いと。市町村にも医療の意識を持っていただきたいという御意見を頂いております。

 次のページの<その他>ですが、全体的に再生計画はきめ細かに実施されていると思うが、現状に重きを置きすぎで、もう少し先を見て計画的にやってはどうかと。市町があれもこれもと要望をあげてくるなか、県の全体像を描いてそれを調整するのが県の役割であるという御意見を頂いております。中ほどですが、大学は基本的に研究機関でありますが、今回の地域医療再生計画によって、各大学が各地域の地域医療を自ら考える契機になったことは大きな成果であるといった御意見も頂いております。

 このように、現地調査について、種々御意見を頂きました。現地調査の際に直接お話を聞いた県だけではなく、各都道府県に共通する事項も多くあります。この資料は厚生労働省のホームページにも掲載されますので、こうした御意見をこれからの地域医療再生の参考にしていただければと思います。事務局からの説明は以上です。

 
○梶井座長 続いて、次のページに「地域医療再生計画現地調査まとめメモ」ということで、47都道府県全ての調査に立ち合われた田城構成員から提出されています。田城構成員のほうから御説明をお願いしたいと思います。

 
○田城構成員 すみません、この会に出席できない可能性がありましたので、事前にメモとして準備させていただきました。急いで作ったので誤字脱字があることに気が付きましたが、それはお許しください。

 それから、今、梶井座長から御説明がありましたように、47都道府県全てのヒアリングというか説明会に出席できたのは私一人で、それから、今年の2月に愛知県と北海道の現地調査、その後、平成24年度の補正予算の基金500億、それの調査、評価のためのヒアリング、それら全てフル参加できました。ある意味、地域医療再生計画の生き辞引的な存在になっていますので、先ほど茨城県のときにもお話しましたが、47都道府県を一気に聴くのは我々にとっても非常にいい経験で、左右を見て、それで相互比較の観点から思ったことを書きました。時間も限られていますので全部を読むことはいたしません。かいつまんでお話します。

 まず、地域医療再生計画及び基金は非常に有効で、全ての県の担当者の方に、この基金は良かったですかという聞き方をしましたが、全ての県がこの基金の計画を立てて、懸案事項が、全てとは言わないまでも解決できたと。それから、基金方式は非常に極めて有効なお金の使い方だということはよく分かりました。原局長の一番最初の御挨拶に、地域医療の整備のための新たな財政支援策を検討されているというのは、やはりこの基金が非常に有効であったことが評価されたからだと思います。

5つ目の民間病院を含めた病院再編ですが、これは先ほどの鳥取県の看護大学にも通じるのですが、数十年来の懸案事項があって、なかなかきっかけがつかめなかったときに、民間病院と公的病院の再編がそうなのですが、この基金があるということで、くどいのですが、懸案事項を打開するきっかけになったと。そういう、一石を投じるというと変ですが、きっかけになったということで、効果があったと思います。

 地域連携クリティカルパスは、この計画ができた当初は全県統一型というのが華々しく出たのですが、どちらかというと、まだ実効性がない、パスを作ってみたけれども運用がうまくいかないということがあったので、これは指導課のほうでもう一揉みする必要があるのではないかと思います。

 真ん中ぐらいですが、先ほど茨城県のときにも御指摘しましたが、都道府県によって、いろいろな意味において、プレゼンテーションや資料の厚さや積算根拠、例えば、県によってはネジ1本の値段まで書いてくるような非常に緻密な積算根拠の資料を出してくる所と、ざっくりと何々について何々一式幾らとしか書いてこない県があったり、かなりばらつきがあります。県の担当者、大学関係者、住民の方々は、かなりの部分はホームページに出ていますから、是非、よその都道府県の分を読んで、御自分の所と読み比べる、若しくは同じ担当者同士、電話をかけて「どうなっているの」というふうに、是非、情報共有をして、レベルをそろえていただくというか、レベルアップを図っていただきたい。

 これは将来の地域医療ビジョンの策定のところに極めて大きな影響が出てくると思います。地域医療策定ビジョンというのは県の責任でされることになりますが、そのためにはこの地域医療再生計画、それから、この間の地域医療計画で国からいろいろ指導などがあったと思いますが、是非、よその県がどうなっているのかということで、今回の資料を使ってもらいたいと思います。

 積算根拠のことは、ほとんど同じようなものなのに、大きな違い、金額が違うとか、1個当たりの値段が違うことがあって、ICTのことはもう一回言いますが、一番端的に思ったのが、平成24年度の補正予算のときのヒアリングですが、DMAT車が数倍、5倍ぐらい、そもそもの車体の規格、車体の価格、高規格かどうか、それに搭載する機器も随分違っています。それから、ドクターヘリ搭載通信機というちょっとマニアックなことも書きましたが、これも明らかに他県と価格が違うにも関わらず、高い値段を設定しているなどということが、実は、47都道府県全てをヒアリングすると一気に分かってきますので、是非足並みをそろえるというか、これはそろえていただきたいと思います。

 次のページです。愛知県のことを書きましたが、愛知県の公立病院等地域医療連携のための有識者会議というものがあって、非常に地域医療、特に医師の確保ですが、異なる4つの大学の関係者が話し合って、要するに市立大学では地域のエゴと言うと変ですが、どこの首長さんも自分の市立病院に医者が欲しいというものを、しかもそれは大学にばらばらに頼みに行くということが通常は行われるわけですが、それではなく、全て話し合って、極めて自制的な医師の配置をしています。ですから、A市に多く集中して医師を派遣して、B市には、申し訳ないけれどもいざというときにはA市に行ってくれと。その結果が、救急車のベスト10のランキングが週刊ダイヤモンドであったのですが、ベスト10に市立病院が2つ入っていますし、ベスト25のうちに5つ、ベスト50の中にも一宮市立市民病院などの市立病院がベスト10に入り、岸和田徳洲会病院よりも多いということになっています。

 次の、トネットをやっている埼玉県の利根保健医療圏、ここは極めて特殊な地域ではありますが、やはり首長さんが入って議論する。ですから、自制的にきちんと地域の自治体も巻き込んだことをやっていただければと思います。

 時間がないので飛ばしますが、あとはICTがとても大事で、ID-LinkHuman Bridgeで大体、全ての7割ぐらい、それから独自システムがありますし、ほかの省庁、総務省のお金を使ったシステムができていて、それに地域医療再生基金で上乗せをするというようなことがあります。基本的に、技術的には病院同士、それから大きな診療所との情報共有が可能だということは、実感としてはっきり分かりました。更に、SSMIX2という規格の中継サーバーを入れればつながらないことは全くないと。ただ、個別として、そのセキュリティや、どこをメンバーにするとか、情報をどこまで共有するかということは別です。ランニングコストについても、その基金がなくなるとランニングコストということがありますが、ランニングコストは、本来はユーザーが価値があると思って払っていただければとは思いますが。

 ●の所がとても大事なのですが、連携用のサーバーシステムの病院当たりの導入費や回線使用料等の維持費で、都道府県によって数倍の差があります。もしかすると10倍近い差が出ています。これはちょっとどうなのかなという気がします。それはどうしてかというと、どうも仕様書をまとめて、県ごとにベンダーがやって来てプレゼンして入札してということで、ばらつきが出てきて、事業者の能力というか、そこによって数倍の価格差を受け入れているというか。これは先ほどの全ての所にも書いてありました。先ほど事務局が読むのを飛ばしたとは思うのですが、47都道府県で一致団結してサーバー使用料等をなるべく妥当なところに統一するべきではないかと思いました。これは多分、今回のヒアリングでよく分かった、明らかになった点だと思います。

 介護連携のシステムは、非常に地域も小さいし、ユーザーの方がヘルパーさんも多いので、その言い方はちょっと失礼かもしれませんが、ICリテラシーのこと等もありますので、iPadやスマートフォンのようなものを活用されていることもあり、その場合にもアプリケーションソフトで地場のベンダーさん若しくは有志の方が作る、それからSNS、フェイスブックのようなものが別にシステムがありますので、それに入っているというふうに、多彩というかちょっと混乱があるような気がします。ここは病院のカルテに比べれば統一に少し時間がかかるのではないかと思います。

 最後に在宅医療ですが、これは本来、老健局のほうですか、在宅医療連携拠点事業をやっていたのが仕分に遭ったので、平成25年度分以降は地域医療再生基金を使うということになり、金額的にも十分なのですが、平成25年度、過去2年分の連携拠点を引き継ぐのも各県によってかなりばらばらです。その例はそこに書いてあるとおりなのですが、2つだけコメントすると、1つは、某県は本来2,000万円というものを、600万だったと思いますが、下げて数を増やして年数を伸ばしています。その県の方に聞きますと、600万円で十分できますというお返事だったので、ではもしかすると当初の2,000万というのが過大だったのかもしれないなと。初年度の10か所はかなり実験的ですから2,000万は妥当だったと思うのですが、平成24年度に数を増やしたときに、同じ2,000万というのは実は過大だったというようなことがあったかと思います。

 下から2番目です。これで最後にしますが、拠点単位でお金を出すのではなくて、事業別に細かく分けて助成をするというタイプに変わっている県もありましたので、そうすると、拠点という意義がちょっと薄れるのかなと思いました。ちょっと長くなりましたが、以上です。

 
○梶井座長 ありがとうございました。委員の先生方から何か御意見はありますか。

 
○正木構成員 先ほどもお話がありましたように、すごい金額が導入されて、この数年間、これだけの金額をいろいろな所に投じてきていますので、成果として、日本の医療が変わってきているというような何らかの数字が、例えば平均在院数が0.5下がったでもいいですし、何かの数字が欲しいなという気がします。その辺りがこれから先、どのような数字が変わっていくのか、やはり何かを変えていくべきではないかという気がしたのです。何か変わっていれば幸いだという気がします。

 
○梶井座長 ありがとうございました。今回の現地調査もそうですし、その前の中間報告もそうですが、ここで全ての成果を評価ということはなかなかできません。今後、やはりフォローアップしながら評価をしていく、そして、それを取りまとめていくという作業は不可欠だと私も思います。

 まだまだ御発言されたい委員の方はいらっしゃると思いますが、これで終わらせていただきます。

 以上で本日の議題は全て終了いたしました。事務局から連絡事項等ありましたらよろしくお願いいたします。

 
○佐々木室長 今年度の次回の開催については、2つパターンがあり得ます。1つは、本日の議題1のように、2億円以上の新たな計画変更がありましたら、2月末を目途にもう一度開催させていただきたいと思います。パターン2は、軽微の変更のみの場合は、基本的に書面のみの御相談をさせていただきたいと考えております。

 今、最後のところでも御議論がありましたとおり、そもそもこの基金、計画によってどのような成果があったのか、その評価等については、また別途、事務局で整理をしたいと思っております。

 田城先生の在宅医療連携拠点事業は、医政局指導課の予算で、老健局にというのは、今、社会保障審議会の中で平成27年度を目途に移せないかという議論をしているので、ちょっとそこは事業の整理を御報告させていただきたいと思います。私からは以上です。


○梶井座長 ありがとうございました。それでは、本日の有識者会議はこれで終了させていただきます。委員の皆様、ありがとうございました。


(了)

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