ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会乳肉水産食品部会食肉等の生食に関する調査会)> 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会食肉等の生食に関する調査会議事録(2013年12月26日)
2013年12月26日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会食肉等の生食に関する調査会議事録
厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課
○日時
平成25年12月26日(木)
10:00~12:00
○場所
厚生労働省 専用第23会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館6階)
○出席者
委員
朝倉委員 | 五十君委員 | 石川委員 | 加藤委員 | 小林委員 |
高橋委員 | 田崎委員 | 戸部委員 | 西内委員 | 野田富雄委員 |
野田衛委員 | 松永委員 | 山本委員(座長) |
事務局
新村食品安全部長 | 國分企画情報課長 | 長谷部基準審査課長 | 滝本監視安全課長 | 梅田補佐 |
先崎補佐 | 新谷専門官 | 仲川専門官 |
○議題
(1) 座長の選出について
(2) 食肉等の生食について
(3) その他
○議事
○事務局 それでは、定刻となりましたので、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会食肉等の生食に関する調査会」を開催させていただきます。
本日は、御多忙のところ御参集いただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、調査会を設置して1回目の会合となりますので、座長が決まりますまでの間、食品安全部の仲川が議事を進めさせていただきます。
初めに、食品安全部新村部長より御挨拶を申し上げます。
○新村食品安全部長 おはようございます。
本日は、お忙しいところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
食肉等の生食につきましては、一般的に食中毒の危険性があるということから基本的に避けるべきであるということで、普及啓発に取り組んできたところですけれども、生食用食肉、いわゆる牛肉のユッケ及び牛の肝臓に関する規格基準の策定後、今まで生食用として提供されていなかった食肉等が提供されているという実態も報告されております。
このため、現在、食品衛生法に基づく規格基準の対象となっていない生食用食肉等につきまして、公衆衛生上のリスクの大きさを分析し、どのようなリスク管理措置が必要か検討するため、薬事・食品衛生審議会における乳肉水産食品部会のもとに本調査会が設置されました。
検討に当たりましては、公衆衛生上のリスクの大きさに応じた規制のあり方について、本日お集まりいただきました様々な分野の専門家の皆様方に幅広い視点から御議論をいただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○事務局 ありがとうございました。
続きまして、資料の御確認をお願いいたします。
まず初めに、議事次第、次に座席表、資料1、2、3、4、5、6、7、8までございます。
参考資料といたしまして、参考資料1、2をつけております。
また、参考資料3-1と3-2でございますが、今回は初回ですので、御参考までに薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会審議参加規程をつけております。
添加物・農薬等の特定の品目に関する規格または基準の設定その他の管理措置であって、事業者または事業者団体からの要請に基づく審議を行う際は、利益相反の有無について確認をし、その確認書についてもホームページ上で公開することなどが定められております。今回は申請に基づく審議ではありませんので、利益相反の対象ではありませんが、本調査会もこれらの規程にのっとって運営することになりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。
本日お手元にお配りしております資料は以上でございます。
不足等がございましたら、お気づきの際に事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。
それでは、調査会の設置に当たり、13名の先生が委員に就任されましたので、五十音順に紹介させていただきます。
まず、国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第一室長の朝倉宏委員でございます。
○朝倉委員 朝倉でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部長の五十君靜信委員でございます。
○五十君委員 五十君です。よろしくお願いします。
○事務局 日本医師会常任理事の石川広己委員でございます。
○石川委員 よろしくお願いします。
○事務局 一般社団法人日本フードサービス協会専務理事の加藤一隆委員でございます。
○加藤委員 加藤でございます。よろしくお願いします。
○事務局 全国食肉事業協同組合連合会専務理事の小林喜一委員でございます。
○小林委員 小林でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局 一般社団法人日本食鳥協会事務局長の高橋照義委員でございます。
○高橋委員 高橋です。お願いします。
○事務局 全国食品衛生主管課長連絡協議会会長の田崎達明委員でございます。
○田崎委員 田崎です。よろしくお願いいたします。
○事務局 公益財団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会消費生活研究所所長の戸部依子委員でございます。
○戸部委員 よろしくお願いします。
○事務局 西内岳法律事務所の西内岳委員でございます。
○西内委員 よろしくお願いします。
○事務局 一般社団法人日本畜産副産物協会専務理事の野田富雄委員でございます。
○野田(富)委員 野田でございます。よろしくお願いします。
○事務局 国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第四室室長の野田衛委員でございます。
○野田(衛)委員 よろしくお願いいたします。
○事務局 一般社団法人Food Communication Compass代表の松永和紀委員でございます。
○松永委員 松永です。よろしくお願いいたします。
○事務局 東海大学海洋学部水産学科食品科学専攻教授の山本茂貴委員でございます。
○山本委員 山本です。よろしくお願いいたします。
○事務局 本日は、本調査会委員13名中13名、全員の委員の方々に御出席いただいておりますので、本日の調査会が成立いたしますことを御報告申し上げます。
続きまして、行政側の出席者の紹介をさせていただきます。
食品安全部部長の新村でございます。
○新村食品安全部長 よろしくお願いいたします。
○事務局 企画情報課長の國分でございます。
○國分企画情報課長 どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 基準審査課長の長谷部でございます。
○長谷部基準審査課長 よろしくお願いいたします。
○事務局 監視安全課長の滝本でございます。
○滝本監視安全課長 よろしくお願いします。
○事務局 私は基準審査課の仲川でございます。よろしくお願いいたします。
なお、報道の方の冒頭の頭撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○事務局 それでは、早速ですが、議題「(1)座長の選出について」です。
まずは資料1、本調査会の設置要綱をご覧ください。
目的としましては、厚生労働省は、食肉等の生食は食中毒の危険性があることから基本的に避けるべきであるということを普及啓発してきたところですが、生食用食肉及び牛肝臓に関する規格基準の策定後、今まで生食用として提供されていなかった食肉が提供されているという実態があります。
このため、現在、食品衛生法に基づく規格基準の対象となっていない生食用食肉等について、どのようなリスク管理措置が必要か検討する必要が生じているところでございます。
その状況を踏まえまして、消費者や関係業界の意見も踏まえながら、既存の規制手法のみならず、リスクの大きさに応じたさまざまな手法等について幅広く検討を行うことが必要であることから、本調査会を設置することといたしました。
「2.調査会の検討事項」でございます。
(1)食肉等の種別ごとのハザード、リスク等の整理。また、(2)既存の規制手法以外の対応方策を含め、リスクの大きさに応じた対策の検討などを調査、検討することとしています。
「3.調査会の組織 (1)調査会の委員は、部会等の委員、臨時委員及び専門委員の中から分科会長が指名する委員をもって構成し、互選により座長を選出する」等とあります。
それでは、座長の選出をお願いしたいと思います。先ほどの3の(1)にありますように、委員の互選により座長を選出することとしています。どなたか御推薦いただけませんでしょうか。五十君委員、お願いします。
○五十君委員 食肉の衛生の分野で実績があります東海大学の山本教授にお願いしたらよろしいと思います。
○事務局 そのほか。戸部委員、お願いいたします。
○戸部委員 私も山本委員にお願いしたいと思います。フードチェーンの関係者との調整等の御経験があると思いますので、山本委員を推薦させていただきます。
○事務局 ありがとうございます。
その他、どなたか御意見ありますでしょうか。
(「異議ありません」と声あり)
○事務局 ありがとうございます。
それでは、御賛同いただきましたので、座長に山本委員が互選されました。
それでは、山本委員、座長席にお移りいただけますでしょうか。
(山本委員、座長席へ移動)
○事務局 それでは、山本座長から一言御挨拶をお願いいたします。
○山本座長 乳肉水産食品部会長も兼ねておりますけれども、このたびのこういう調査会というのは、部会でこういうことが必要だろうということで、皆様方にお集まりいただきました。忌憚のない御意見を伺いながら、リスクについて議論が深まればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。
それでは、以降の議事進行を山本座長にお願いしたいと思います。
○山本座長 よろしいでしょうか。
それでは、審議に入りたいと思います。
議題の「(2)食肉等の生食について」審議を行いたいと思います。
本年8月2日の乳肉水産食品部会において、生食用として提供される食肉等について、検討が行われました。
参考資料1としても配付されておりますけれども、消費者がリスクを十分に理解する、リスクの大きさに応じた対応を検討していく必要がある等の意見がありました。
これらを踏まえまして、本調査会の設置に関して、乳肉水産食品部会の部会長として事務局に資料を作成するようお願いしましたので、まずは事務局から説明をお願いします。
○事務局 それでは、資料3に基づきまして説明させていただきます。
「食肉等の生食に関する調査会における検討の進め方(案)」として、まず「検討の方針」でございます。既に検討がなされた牛の肉や肝臓、馬肉、これら以外の食肉等につきまして、生食用としての提供実態、関係業界における取り組み、汚染実態、食中毒発生状況、食中毒原因物質による危害の程度等をもとに、牛の場合のリスクと比較しつつ、リスクの大きさに応じてどのような対応が妥当かを検討していただく。
また、ガイドライン、提供禁止等の既存の行政手法のほかに、新たな考え方による対応がないか、こういったことについても検討していただきたいと思っております。
「検討の視点」です。これまでの部会等に寄せられた御意見を5つのグループにまとめさせていただきました。
まずは<リスクに応じた規制>ということで、危険なものは法的に規制すべきでありますが、比較的リスクの低いものまで一律に厳しい規制を設けるべきではないのではないか。
食肉の生食が不可能となるような規制は厳し過ぎるのではないか。
生食用食肉や牛肝臓の規格基準対象外の部位が生食用として提供されており、規格基準と不整合ではないか。こういった御意見が寄せられております。
<選択の自由>というところでは、国民が何をどう食べるかは個々人が自己責任のもとで自由に選択することであり、いたずらに国が関与すべきではなく、法規制は必要最小限に抑えるべきではないか。
ある程度のリスクが認められることをもって、直ちに法規制することは疑問である。一定のリスクは承知の上で飲食したいという消費者がある限り、公共の福祉に反しないものであれば、基本的にその判断は個々人の自由意志に委ねるべきではないか。こういった意見もございます。
<リスクコミュニケーションの推進>といたしまして、食肉等の生食にはリスクがあることを消費者に対してもっと注意喚起すべきではないか。
一定のリスクを理解した上で、生で食べることを選択できるように、必要な警告表示をすべきではないか。
続きまして、<自治体による監視指導>というところでは、リスクが高い食肉等については、強制力を持って監視指導を行うため食品衛生法に基づく規格基準を策定すべきという意見もございます。
<関係業界等の取組>といたしまして、関係業界等における取り組みについて、ヒアリングするなど調査をしながら検討を進めるべき等の意見が寄せられております。
裏面をご覧いただきたいのですが、こういった検討の視点を踏まえながら、真ん中の箱にありますように、リスクの大きさに応じた規制のあり方について検討していければなと思っております。
食肉等の種別ごとに、危害要因、流通量、リスク低減対策を分析し、リスクの大きさ、検討の優先順位を決定する。
まず、危害要因の性質等でございます。汚染実態ですとか食中毒発生状況、健康被害の重篤さや頻度等に関するデータをもとに、食肉ごとの危害要因を分析していければと思っております。
さらに、流通量といたしまして、自治体に対し流通実態の調査(アンケート調査)を実施したり、自治体からのヒアリングとして、生食用としての食肉等の流通実態を確認したり、関係事業者団体からもそういった状況を提供していただくことで、実際どれぐらい流通されているのか、そういったことを踏まえる。
また、リスク低減策といたしまして、食肉等の生食に関する自治体の取り組みとか、事業者団体での取り組み、厚生労働省で行っております厚生労働科学研究とか、そういった研究等の内容を全て勘案しまして、食肉等の種別ごとに公衆衛生上のリスクの大きさを決定する。
それを決定したところで検討の優先順位を決定する。
規制手法の具体的な検討といたしまして、優先順位に従いまして、リスクの大きさに応じた規制手法、ガイドラインとか提供禁止、もしくはその他の方法、そういったものを検討していただく。
リスクが大きく提供禁止が必要となる食肉以外については、新たな対応方策についても検討していただきたい。こういうふうに進め方をまとめさせていただきました。
また、8月の乳肉水産食品部会のほうでは、ハザードの大きさから、牛の肝臓以外の内臓について今年度検討するとしておりますけれども、このようなことも踏まえまして、調査会でも検討していただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。資料の説明は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
今日は最初の調査会ですので、委員の皆さんの意見を伺いながら進めていきたいと思いますが、まずは今、御説明があったような進め方、危害要因を特定していくということを最初に行って、次に流通量等を勘案して、最終的にはリスク低減効果を含めて、その優先順位を決めていくということ。8月の部会では、一応牛の内臓の規制のあるもの以外を優先させていくという話があったということを少し念頭に置いておいていただければと思います。
それでは、御自由に発言していただきたいと思います。まず、進め方とかそういったことに関しまして御意見がございましたら、お願いいたします。では、野田委員。
○野田(富)委員 副産物協会の野田でございます。
ただいまの資料3の裏「検討の進め方(案)」のところについて、若干視点として欠けていやしないかということを思っておりますので、それを申し上げます。
「規制のあり方について検討」と四角に囲ってあるところの真ん中にある部分でございますけれども、この考え方は、あくまで素材としての食材が持っておりますリスクの大きさに応じた規制を強化しようではないか、あるいはリスクが小さければいいではないか、そういう視点だけがここに入ってきているのだろうと思えるわけでございますが、もう一つ大きな視点として考慮すべき事項といたしまして、それを実際に消費者の方々が食べるときにそういったリスクを認識しやすいかどうか。
例えば先だって規制されました牛の生レバーについては、ある程度危険だという知識がありさえすれば、食べることについては容易に避けられるわけでございます。
簡単に申し上げれば、焼き肉屋さんでレバ刺しを注文しなければ済んでしまうのだと。
ところが、大方の加工食品の中に例えばアレルゲンとしてのそば等々が入っているといった場合、見た目では全く分からぬわけです。そうした場合に、表示というものが非常に重要となってくるわけでございますが、見た目で簡単にそのリスクについて推測がつくかどうかといったこと、そういった視点が必要だろう。要するに、そのものを食べたときに回避する、消費者が逃れる容易さみたいな視点が必要だろうと思っております。
さらに加えれば、これは食品のリスクだけを考慮されているわけでございますけれども、社会的にある程度認知されております食品というものには、それ相応のメリットというものが当然あるわけでございますので、そのメリットとデメリットの両方を慮った上で、どの程度のリスクを課すべきかといった視点も当然要ります。
公衆衛生上の観点から言えば、そういったリスクのある食材を摂取したとき、被害を及ぼす範囲というものがどの程度か。すなわち、摂取した個人でおさまるのか、あるいはそれが例えば感染性の伝染病みたいにうつりたくもない人にどんどんうつってしまうといったものとは全く違うのだろうと思うので、そういったことも当然考慮してもらわなければいきません。
例えばたばこを例にとって申し上げますと、たばこを吸わない人にとってみれば、あんな肺がんリスクの高いものを何で吸わないといけないのだろうと思うのは当然だと思うのですが、一方で、たばこの愛好者にとっては、これほど至福のときというのはないわけでございます。起きがけの一服、食後の一服、そういったものの楽しみというのは何物にもかえがたいのだろうと思います。
さらに、そういったものの原料なり製品を扱っておられる、あるいは販売に携わるもろもろの方々が背後におられます。
あえて申し上げますれば、それによって国に税収が入ってくるというメリットも当然あるわけでございます。
したがって、たばこの危害が個人に限定されるのであれば何ら問題ないのだろう。したがって、現在でも肺がんリスクが高いということを表示した上で自由に販売されている。
ところが、問題は吸いたくもないものを吸わされてしまう、いわばはた迷惑な問題が一方で存在するわけでございます。すなわち、受動喫煙というものは、こうむりたくもない被害をほかの方がこうむるのだということ。こういったものについては規制をしっかりやっていかなければいかぬ。そこら辺りから、今、分煙化というものがしっかり進められているという状況になっているのだろうと思うわけでございます。
生食の話についてもそこら辺り全体をよくよく考えていただいて、考慮して、どうするかということについて考えていただきたいと思っております。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございました。
進める上で、消費者のリスク認識という視点が欠けているのではないかという御意見と、もう一つは、アレルゲンと病原微生物の話でちょっと違いがあるかなと思いますけれども、アレルゲンそのものについては、食べて大丈夫な人とだめな人がいるので、区別をする。病原微生物の場合には、食べて大丈夫な人はほとんどいませんので、その辺がちょっと違うのだろうということです。
メリット、デメリットの話は非常に大事な話で、これは管理をする上での考え方、考慮するべきものの一つにはなります。ですから、そこのところも最終的にリスク低減策を考えるときの一つの判断材料にはなるかと思っております。
たばこの例と全て一致するかというと、難しいところがあるのですけれども、いい例を挙げていただいたと思います。
ほかに御意見ございますでしょうか。石川委員。
○石川委員 今の御意見は大変参考になると思いますが、幾つかの点でちょっと違うかなと思うところもあります。
消費者がリスクと感じるかどうかということについては、その人が受けてきた教育だとか、さらされた啓蒙活動、メディアにどういうふうに触れてきたかとか、そういったことによっても違うと思います。
たばこの例もありますけれども、例えば生食などは、10年ぐらい前は、私などは豚のレバーも酒を飲むところで食べたりしていました。私は35年医者をやっていますので、そのときに、やめろと言う人もいるし、これはうまいぞ、ぜひ食ってみろと勧める人もいます。
しかし、こういう場に入っていろいろと考え、私こそがそういうものをやめなければいけない、みんなに教育しなければいけない立場になると、さらにきつくやめたほうがいいのではないのかと。ホタルイカも7~8年前は刺身で食べたりしましたけれども、今はほとんど食べておりません。
言いたいことは、私たちがこういう会議をやって、生食がどうなのかということできちんと指針を立てて、それについてプロパガンダしたり、教育あるいは啓蒙で持っていくことが大事だと。リスクとかメリットということは、そういうものを見ながらその人たちが判断していけばいいのだろうと考えております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
リスクの認識の中で、情報が提供されていない部分での認識不足ということが非常に大きいという御意見だったと思います。
ほかに御意見ございますか。どうぞ。
○戸部委員 私も消費者の認識というのはすごく大事だなと思っています。
今、お二人の委員方のお話をお伺いしていて思ったことですけれども、「進め方(案)2」の中に「関連データの分析」というテーマがありますが、この中で、これまで牛の生食あるいは肝臓に関しての規制が追加されたわけですけれども、その前後で健康被害の状況とか、あるいは食べている人の状態の変化というか、規制の前後でどういうふうに変わったのかという視点で分析するのも一つあるのかなと思いました。
あと、流通量のところで、量はさることながら、どの種類の家畜のどの部位がどのくらい提供されているのかということが知りたいなと思います。結局、優先順位を考える上で、割合の多いものと危害の大きさ、その辺のバランスを正確に知る必要があるかなと思うのですが、提供実態の把握の状況、どの程度実態に近いデータがとれるのかなというところについて非常に興味があります。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
規制前後の食中毒の発生状況に関しては、食中毒統計等の報告を見るということができるかと思いますが、それ以外に自治体でのそういう報告例、今の段階で御意見をいただけるのでしたら、田崎委員、何か変化があったということはありますでしょうか。
○田崎委員 規制が始まってからは、 生食肉 関係 では 、特に 生 レバーの規制 があって以来 、実際の影響がどの 程度 あったかは 把握できていませんが分からない 、 生レバー等による キャンピロ食中毒 など が、東京都 については 若干減ってきた という感触 です。若干の変化 があったと思います。
今、 指名されたので併せてお話させていただきます。
資料3の頭のところで「検討の方針」とか「検証の視点」ということでお話がありましたが、いたずらに国が関与すべきでないというのはそのとおりだと思います。
ただ、いろんな方が食品を 召し上がるわけで、 例えば天然由来のフグとか、キノコとか、山菜とか、自然界に由来する食物による食中毒が結構 ありこういった方は自己責任だと考えます。ただ、食品安全基本法にも記載がありますけれども 、公衆衛生上の問題として、営業を行う事業者の方は、 提供する食品について 一義的責任が あると思います。
<選択の自由>というのが2つ目にあると思いますが、選択がきちんとできるような普及啓発とか、あるいは表示の問題も あり、 議論の視点としては重要 です。
ただ、リスコミについては非常に難しくて、これまで生食 には リスクが あることを 東京都でも映画館とか電車の中でのスポットCMなどで流させていただいたのですが、なかなか費用対効果が出ないというのが現状 です。また、 消費者向けの講習会などで 消費者に 話をさせていただいても、 その反応として、「生食が危険なことはわかったが分かる 、消費者の視点としては、飲食店等で お金を払って食べる 食事というのは安全なものが出ると みんな 思っている 」といった旨、 多くの方から意見をいただいています。
そういった中で、選択 の自由 というのがありますが、例えば表示をするにしても、これは食べると食中毒に かかる旨の 表示は難しく、選択するための条件設定 をおこなうことは疑問ではあります 。
たばこのような長期間暴露による健康影響 とも 違ったところも ありますし 、 一方、 ハイリスクグループに対しての思いやりというのも必要だと思っております 。 現場で安全なもの が提供されること が原則 だと思いますが、仮にリスク 表示 がなされた食品での 事故 発生の際に 、その対応をどうするか など 、 困難な問題 と考えております。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございます。
実際の現場で規制する立場としての難しさというものをお話しいただいたわけですけれども、キーワードとしては、基本的には食品衛生法上は飲食店が安全なものを提供する義務があるということ。それから選択の自由とはいえ、それを選択するための情報、そこの提供の仕方の難しさというものがある。
もう一点は、ハイリスクグループが存在するので、そういった人たちの啓発、逆に言うと、そういった人たちに提供しないような仕組みをどういうふうにつくるかという難しさがあると思いますが、最終的にはその辺のことを考えて加えていければと思います。
どうぞ。
○石川委員 先ほどお聞きすればよかったのですけれども、この表題が「生食に関する」と書いてあるわけです。そうすると、例えば大抵の食肉というのは、生食でなく加工されて出てくるものが多いわけです。しかし、生の肉から手指、食器、そういったもので感染する可能性もあるので、ここに出てくるのだと思うのですけれども、これはあくまでも生食のものについて議論するということでよろしいでしょうか。
○山本座長 それでよろしいですね。
(事務局 うなずく)
○山本座長 調理して食べるというのが基本で、調理不足によって起こった食中毒のことについて議論することではない。もともと生で食べる可能性のあるものについて議論をしていきたいということです。
ほかにございますか。
それでは、貴重な御意見をいただいたわけですけれども、今回は、資料3の2にある3本柱でいこうと思っていますが、2回目以降が今日いろいろな御意見をいただいた本丸に当たると思うのですけれども、その前に危害要因についてしっかりと認識をしておいていただきたいということと、その食品との関係を今後検討していくということなので、まず危害要因の性質について議論をしていただきたいと思います。
それでは、資料の説明を事務局からお願いいたします。
○事務局 それでは、資料4、5、6、この3つを使いまして御説明させていただきます。
まず、資料4「危害要因の性質等について」ということで、こちらのほうでは微生物についてまとめております。
表1といたしまして、細菌とウイルスについてまとめております。
上の囲み「概要」にございますけれども、表1につきましては、食肉等の生食により食中毒の原因となり得る主な細菌・ウイルスの性質等について取りまとめております。
それぞれについてヒトの主な症状等を踏まえ、ヒトに対する影響の大きさも分類しております。
この影響の大きさというものは、一般集団に対する重篤性、後遺症や重篤化して死に至るかどうか。または感染性とか最小発症菌数を考慮しまして、注意を要するものから順にAからDの4種類に分類しております。
表中の病原体は全て注意を要するものでありますけれども、このまとめを見ますと、腸管出血性大腸菌及びE型肝炎ウイルスが特に留意すべき危害要因として考えられるのではないかと思っております。
表1のほうを見ていただきますと、まず病原体といたしまして腸管出血性大腸菌がございます。主な獣畜としては牛でございます。腸管出血性大腸菌につきましては、哺乳動物とか鳥類の腸管内に生息していますが、特に牛の腸管や糞便からの分離が多いものでございます。ヒトの腸管内でベロ毒素を発生しまして、感染症法の三類感染症というものに入っております。感染性がちょっと強いものということになります。国際的な微生物の分類でいきますと、I.Aというところで一般集団に対して深刻なハザード、生命に脅威である等の分類に分類されております。また、最小発症菌数は、2~9個と1桁台で発症することもあるとなっております。ヒトへの主な症状といたしましては、下痢、腹痛、重篤になりますと、溶血性尿毒症症候群や脳症を併発し、死に至ることがあります。HUSの患者の1~5%が死亡すると言われております。
続きまして、サルモネラ属菌でございます。主な獣畜は、牛、豚、羊、鶏と非常に多い獣畜に感染するというものでございます。今回はチフスとかは除外させていただいております。動物を宿主として、環境中にも存在しております。乾燥には強いのですが、低温保存は菌数低減には有効と言われております。また、国際的な微生物の分類でいきますと、IIというところで重大なハザード(耐えられないが生命に脅威ではない)というところに分類されております。最小発症菌数は100~1,000個というところで、少ない菌量でも発症する。主な症状といたしましては、下痢、腹痛、発熱、嘔吐や、重症の場合は粘血便や血中に菌が侵入し、基礎疾患のある場合は死に至ることもあるというものでございます。
続きまして、リステリア・モノサイトゲネスでございます。牛、豚、鶏等が主な感染源になりますが、環境中に広く分布しておりまして、主に食品を介してヒトに感染するものでございます。4℃以下で増殖可能ということで、調理済みで低温で保存する食品が原因となっております。国際的な微生物の分類ではIIということで、重大なハザードである。最小発症菌数につきましては、103 ~106 個。非常にレンジが広いわけでございますけれども、健常者の場合は、106 個とかなり高濃度でないと発症しないのですが、高リスクグループ、妊婦とか高齢者といった方には103 個程度でも発症してしまうというものでございます。症状といたしましては、非侵襲性疾病というものと侵襲性疾病というものがございまして、非侵襲性疾病では悪寒、発熱、下痢、筋肉痛等という一般的な食中毒症状がございますが、侵襲性疾病では菌血症とか髄膜炎、中枢神経系症状、こういったものを起こすこともございます。ハイリスクグループの方が感染すると流産などもありますし、重篤化して死に至ることもあるというものでございます。
続きまして、カンピロバクター・ジェジュニ/コリでございます。牛、豚、鶏等の腸管内に生息し、食品中では増殖しないと言われております。乾燥に比較的弱く、また、凍結・解凍によって菌数が低減すると言われております。こちらも500個程度の少ない菌量でも発症するとされておりまして、下痢、腹痛、発熱、頭痛、全身倦怠感などを起こします。合併症として敗血症とか肝炎、胆管炎、髄膜炎、関節炎、ギラン・バレー症候群などを起こすこともあると言われております。
2ページ目に移りまして、エルシニア・エンテロコリチカでございます。家畜、特に豚が原因となりまして、家畜ではございませんが、ネズミなどが保菌している。4℃以下でも増殖可能。国際的な分類で言いますと、IIというところで重大なハザード。最小発症菌数は109 ということで、かなり大量に摂取しないと発症しないと言われております。主な症状といたしまして、発熱、下痢、腹痛。2~3歳児の幼児に多く、成人ではまれである。年齢によって症状が異なり、年齢が高くなると腸間膜リンパ節炎などを示すことがあるというものでございます。
続きまして、E型肝炎ウイルスでございます。豚、猪、鹿等が主な獣畜となります。自然界における感染のサイクルは不明でありますが、我が国でも豚、猪、鹿などからE型肝炎ウイルスの遺伝子や抗体が検出されております。宿主動物の肝臓で増殖し、糞便中に排泄されるとされておりまして、媒介食品中では増殖しない。ヒトからヒトへの感染はまれである。こちらは、感染症法での四類感染症に指定されております。ヒトの主な症状といたしまして急性肝炎がございまして、慢性化やキャリア化することはない。大半は安静にして寝ていると治癒しますが、劇症化し、死に至ることがある。死亡率が1~3%と言われております。また、妊婦ですと、死亡率がかなり高まる。不顕性の感染例も認められる。こういったものであります。
ヒトの主な症状とか最小発症菌数、感染性、こういったものを加味しますと、腸管出血性大腸菌とE型肝炎ウイルスが特に注意をするもの。サルモネラ属菌とリステリア・モノサイトゲネスがその次に続く。カンピロバクターがその次。この中では、エルシニアについては危害要因の大きさはそれほど大きくないのではないかというふうに分類しております。
続きまして、寄生虫でございます。表2のほうに寄生虫をまとめさせていただいています。食肉等の生食により、ヒトへ障害を及ぼす主な寄生虫について取りまとめをしております。細菌、ウイルスと同様に、一般集団に対する重篤性を考慮し、ヒトに対する影響の大きさを分類しております。
上3つ、有鉤条虫、トキソプラズマ、旋毛虫につきましてです。
まず、有鉤条虫は、豚、猪がヒトへの主な感染源というところで、筋肉中にいる。ヒトの主な症状といたしまして、囊虫を有する豚肉を摂取すると有鉤条虫症というものになりまして、症状は軽微でございますが、腹部膨満感とか悪心、下痢、便秘などを起こす。虫卵を摂取すると有鉤囊虫症というものになりまして、脳に寄生すると致死率が60~90%とかなり高くなるというものでございます。
トキソプラズマは、ヒトへの感染源といたしまして、豚、羊、山羊等がございます。筋肉や脳に寄生しております。ほとんど不顕性でございまして、重篤な場合はリンパ節炎、肺炎などを起こし、死に至ることがある。妊婦に感染しますと、胎児が先天性トキソプラズマ症を起こすということが言われております。
続きまして、旋毛虫(トリヒナ)は、豚、猪、熊などの筋肉に寄生する。主な症状としては、筋肉痛、発熱、悪寒、浮腫、好酸球増多。重症の場合は心不全、肺炎を併発し、死に至ることがある。致死率は0.2%と言われております。
この3つにつきましては、死に至ることがあると言われておりますので、危害の大きさはBとしております。
下の4つでございます。
無鉤条虫は、牛、羊、山羊等の肉がヒトの主な感染源になりまして、一般的には無症状でございますが、食欲不振、腹痛などを起こす。囊虫症は起こさないと言われております。
続きまして、肉胞子虫は、牛、豚、馬の筋肉に生息する。消化管サルコシスティス症といたしましては、下痢や嘔吐等がある。筋肉サルコシスティス症といたしまして、発熱や筋肉痛。症状は一過性で、自然に治る。重篤化事例の報告はないと言われております。
続きまして、アジア条虫でございます。豚の肝臓に寄生すると言われておりまして、下痢と不快感というところで、便と一緒に寄生虫の切片が出てくるということで、不快感があるというものでございます。虫卵を摂取しても囊虫症を引き起こすことはないとされております。
最後になりますが、ウェステルマン肺吸虫でございます。猪の筋肉に生息しておりまして、咳や血痰というものがございます。皮膚や脳に寄生というものもありますが、虫の移動に伴い腫脹が見られるというものでございます。
下の4つにつきましては、死に至ることはないというところもございまして、危害要因の大きさをCとさせていただいております。
続きまして、資料5でございます。こちらの表につきましては、食中毒・汚染率といったものについてまとめさせていただきました。
まず、食中毒についてでございます。2ページ目の表1を見ていただければと思います。
まず、肉料理です。これは加熱したものも含めたものでございますけれども、これの食中毒発生状況を平成15年から24年、10年分を取りまとめたものでございます。肉料理での食中毒の発生は、実数でいきますと1,005件報告されておりまして、病原物質でいきますと、カンピロバクターが一番多く、続いて腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌と続くというものでございます。患者数で見ますと、カンピロバクター、ウェルシュ、サルモネラと続いております。また、死者ですけれども、腸管出血性大腸菌で6名死者が出ているというものでございます。
表2は、食肉等の生食、生で食べることを目的としたものが原因食材の一つとなっていたものをまとめたものでございます。それをさらに獣畜別に分類しておりますが、牛で一番多いのがカンピロバクター、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌と続いております。豚ですと、サルモネラ属菌、カンピロバクター。鶏ですと、カンピロバクター、サルモネラ属菌となっております。ウイルスのほうを見ていただきますと、ノロとかE型肝炎という食中毒の報告もございます。寄生虫につきましては、馬肉の報告はあるというところでございます。
2ページの下のほうでございます。
食中毒統計では報告されておりませんが、肉類の生食と関連づけられたE型肝炎ウイルスにより劇症肝炎を起こし死亡した事例が、豚と猪でそれぞれ1名報告されています。また、平成11年から平成20年第26週までの感染症報告を見ますと、E型肝炎の報告のうち経口感染で豚の記載があったものが52件、猪が31件、鹿は24件と報告されております。
続きまして、3ページ目以降でございます。
それぞれの肉ごとの汚染実態について、過去に報告されているものをこちらで収集し、取りまとめたものでございます。
3ページ目からは牛の市販品でございまして、腸管出血性大腸菌とかサルモネラ属菌、カンピロバクターについて、牛の内臓についての汚染実態調査等々の表をまとめております。
生体の保菌実態ということで、牛の腸管出血性大腸菌とか、6ページに移りますと、サルモネラ属菌、カンピロバクター等、知見があったものを取りまとめております。
7ページ目からは豚、E型肝炎ウイルスとかサルモネラ、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター等々についてまとめております。
12 ページからは鶏です。
鶏につきましては、生食用とそうでないもので分かるものについては分類して、線で分けて取りまとめをしております。腸管出血性大腸菌とかサルモネラ属菌、14ページにはカンピロバクター等の知見がさまざま出ております。
こういったものを踏まえまして、資料6「危害要因の性質等について」ということで、まとめの案を作成させていただきました。
病原体の種類及びその検出状況は畜種ごとに異なりますから、資料4の表1、表2における「危害要因の影響の大きさ」並びに資料5の病原体の検出状況等を踏まえまして、畜種ごとの危害要因の分析の対象(案)を提案させていただいております。
畜種ごとの危害となり得る病原体については、食中毒の報告がされているものを中心に整理しております。
「危害要因の影響の大きさ」がAまたはB、それぞれの危害となり得る病原体、腸管出血性大腸菌ですとA、サルモネラ属菌ですとB、リステリア・モノサイトゲネスですとB、市販品で検出状況が「少ない」以上。「少ない」というのは、市販品で1%以上の汚染実態があるもので、食中毒事例があるものをまずは危害要因の分析の対象としたらいかがかなと。
また、「危害要因の影響の大きさ」がC、カンピロバクター・ジェジュニがCになりますが、これで市販品での検出状況が「中程度」以上、2桁の汚染実態があり、食中毒の報告があるものを検討対象とすべきではないかと提案しておりまして、●を付しております。
また、汚染状況等のデータが少なく、その危害要因について個別に検討する必要がある畜種については、△を付しております。
今後、畜種ごとに流通量や、検討対象とされた危害要因に関する「リスク低減策の有無」を分析した上で、リスクの大きさ、検討の優先順位を決定できればと思っております。
また、食中毒統計の報告でございますが、これが食中毒の原因であると確定したものではなく、一緒に食べられていたものも全て含まれておりますので、その判断には少し御注意いただければなと思っております。
下の*1になりますが、寄生虫につきましては、上記品目で食中毒事例もなく、汚染実態からヒトへの影響が余り大きくないと考えられますが、哺乳類や鳥類の生態に広く寄生する種類もありますので、それを念頭に置いていただければと思っております。
また、野生鳥獣、いわゆるジビエにつきましては、一般に生食されることがないと考えられまして、食中毒事例がほとんどないというものでありますが、狩猟前にどのような病原体等に汚染されているか不明である。また、と畜検査や食鳥検査の疾病対策といったものも経ていない現状もございます。現在、厚生労働科学研究で汚染実態を調査しておりまして、今後、結果が出ましたら、調査会のほうにも報告させていただければと思っております。
そういうことで、取りまとめでございます。
牛につきましては、こちらの案といたしましては、腸管出血性大腸菌とサルモネラ属菌を中心に見ていければなと。
豚につきましては、サルモネラ属菌とE型肝炎ウイルス。
鶏につきましては、サルモネラ属菌とカンピロバクター・ジェジュニ/コリ。
猪につきましては、E型肝炎ウイルスを中心に見ていただければなという提案でございます。
また、馬、羊、山羊、鹿、ジビエ等のその他の鳥獣につきましてはデータが少ないものですから、個別に検討していただければなと思っております。
説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○山本座長 ありがとうございました。
膨大な資料の御説明でしたので、なかなか頭にすんなり入ってこない部分もあったかと思いますけれども、まずは危害要因としての病原微生物の分類、危害要因の影響の大きさの案としての分類の仕方、この辺りに御意見がございましたら、お願いしたいのですけれども。どうぞ。
○小林委員 その前にちょっと質問なのですが、このデータを見て非常にショックだったのですよ。例えば資料5の9ページのところに豚肉のひき肉が36件中33件、黄色ブドウ球菌に汚染されていますよと。同じく、その上の豚肉のものにつきましても1,300、5%ですね。これはイギリスのものです。
少なくともE.coliですね。大腸菌。
○山本座長 小林委員、ちょっとお待ちください。8ページの表14でよろしいですか。
○小林委員 いやいや、例えば9ページの表16、豚のひき肉は91.7%が汚染されています。これは生で食べるとか食べないとかという以前に、こんなに汚染されている汚い肉は食べられませんよ。みんな食べなくなりますよ。加熱したってこんなものは食べませんよ。
本当にこういう実態なのかどうかというのをもう少し精査してほしい。どういうサンプル採取をしてこういう結果になったのか。
それから、E.coliのところの資料がありますね。大腸菌で、いわゆる腸管出血性大腸菌でなくて、E.coli、豚でも牛でもかなりのウエートで汚染されていますよと。特にひき肉については高度な汚染の実態になっているのですね。
我々が例えば卸をやっていて、食品スーパーに検査表を出しています。それは定期的に出さざるを得ないですね。加工場の検査をし、肉の検査をし、そして汚染実態を、落下細菌から何から調べて出しているわけですよ。その際に、基本的に大腸菌群陰性であるというのが第一の要件なのです。
まず、委員にお聞きしたいのは、大腸菌陽性というのは、糞便汚染されているということなのではないですか。そういうものがこんなに多頻度で出てきているということ自体、非常にショックなのです。我々はこんなものを提供しているか。私どもは提供しないと思っていますよ。
この調査がどういう調査で行われたのか、そういうものを明らかにしてもらわないと、こういう資料をマスコミなどが世間一般に配っているはずですね。そういうもので判断されたのでは本当にたまらないという気持ちですよ。
肉については、特に厚生労働省もきちんとした処理段階で検査しているのです。検査しているのは食肉だけですよ。生体の検査をしています。枝肉の検査をし、内臓の検査をし、例えば豚などで腸管が破れたときの資料がありますが、そういうものは皆、基本的には食肉検査所で廃棄処分ですよ。それは流通に出てこないのですから、こういうものを示すことによって誤解を招くという部分がかなりあると思いますね。それはちょっと気をつけていただきたい。
特にデータとしておかしいのは、例えば1検体をして100%と出ているのです。どこかにありました。そんなのを調査資料として出すべきではないのではないですか。
だから、新たにどういう状況下で調査すべきか、きちんとやってほしいと思います。衛生的な処理を心がけて食肉の加工業者、小売業者はみんな一生懸命やっているわけですから、その辺を覆すような資料になっている。
この前、この資料を事前に渡されたので、そういう疑問がありますよということは事務局のほうにも言ったのですが、それをまずお伺いしたい。
それから、最初の質問で、まさに大腸菌群が検出されるということは、糞便汚染なのです。その部分だけ、石川委員と山本委員にまずお聞きしたい。どうなのですか。大腸菌、E.coliですね。大腸にいるから、糞便にあるから、「大腸菌群」とついているのだと思うので、それはあってはいけないものなのではないですか。食品スーパーなどではそういうものは拒絶されますよ。その面だけちょっと教えてください。
○山本座長 食肉に関しては、大腸菌群ではなくて、糞便系大腸菌のゴシックで書いたE.coliの規制がたしかあったと思うのですけれども、それをおっしゃっているということですか。
○小林委員 はい。
○山本座長 ここにあるのは、それぞれの文献としてもう既に出てきてしまっているものですので、新たに我々が意図的にまとめたというわけではなくて、集められるものを集めてみると、こういう結果であったということを素直に見ている。それだけですので、わざと汚染が多いものを取り上げてやっているというわけではないということをまず御理解いただきたい。
それを見た上で、黄色ブドウ球菌の汚染率のことをおっしゃっていますが、これ自体は、汚染をしていたから毒素を産生するかというと、それはそのときの管理の状況で違ってくると思います。
また、その辺の今後の検討課題として、汚染がこれだけ多いのと、実際の食中毒との関連ということで考えていっていただければと思います。
これに関して、五十君委員、朝倉委員、その辺について何か御意見がございましたら、お願いします。
○五十君委員 先ほどの9ページの豚肉、表16の黄色ブドウ球菌の件につきまして、まず、この文献について私も確認しました。神戸大学の先生のグループが調査した論文でして、レフリーを含めて、査読済みの信頼できる調査結果でございます。
恐らくパーセンテージで見られているので非常にびっくりされたと思うのですけれども、ひき肉の場合は、作業中に機器等を通じて加工するということがありまして、手指からの黄色ブドウ球菌の混入がありますと、これは定性法で増菌して検査しておりますので、こういった値が出てくるのは一般的でございまして、これをもって即その肉が非常に危ない肉という意味ではないという理解をしております。
特に手の加わった食肉に関しては、定性で増菌をしますと、生菌が1つでも入っていれば検出されてくるという非常に高感度な方法でやっておりますので、こういったデータが出てきてもそれほど不思議なデータと認識されていないというのが食品衛生上の常識ではないかと思います。
先ほどの大腸菌の件につきまして少し解説いたします。
病原体と挙動が一緒の菌を衛生の指標という形で見るというのは、国際的にも一般的に考えられているということです。
日本の場合は「大腸菌」と表現していますが、正確には「糞便系大腸菌群」というグループを検査しているわけでございますが、こちらにつきましては、指標として糞便汚染があった可能性があるという認識で調べているものであります。
以上です。
○山本座長 どうぞ。
○小林委員 具体的にE.coliのところでいくと、7ページの下「食品中の食中毒菌汚染実態調査結果」で、ミンチ肉は796の検体中572がE.coli陽性なのでしょう。70%以上のものが陽性なのですよ。これは、こんなものを私どもの専門店あるいは食品スーパーで提供しているのですよということを言っているのですね。
そうでないならそうでないとはっきり言ってもらわないと、これは市販豚肉の汚染実態調査なのです。こういうものがひとり歩きされると、本当にね。私だって、もしもこういう実態なら豚のミンチ肉なんか食べませんよ。
汚染しないように私どもは衛生のマニュアルをつくっている。本当は今日お配りしたかったのだけれども、次回にしてくれという話だったから次回にしますけれども、きちんとした加工、衛生的な加工をしようと思って頑張っているのです。にもかかわらず、これは本当なのかということですよ。
もう一度どういうことでこういう検査結果ができてきたのかということを教えてほしいと思います。それで、食品スーパーあるいは専門店のミンチを改めて調査させてください。これほどまでひどいと、私どもで調査しますよ。
糞便汚染というのは、言ってみれば、人が手洗いへ行って手を洗わないで加工したということなのですよ。
食品スーパーにしても普通の加工のところにしても、ほとんど手に触れないような加工をしているのです。チョッパー、機械で人の手に触れないような加工をしていますから、こういうものは非常にショックでした。それが1つ。
意見として言わせていただきたいのは、こういう実態がある可能性はあります。本当に衛生的な加工をしていないような加工業者なり飲食店があったわけです。だから、O157による痛ましい犠牲者が5人出てしまったという実態がある。ああいうけしからぬ連中がいるわけですから、そこに対する指導等をきちんとするということ。
もう一つは、どうすればそういうものが低減されるかという方向、最初の図、リスク低減策というのをきちんと示していきたいなと。それは私どもだけでなくて、厚生労働省としてもそういう方向でぜひ生食の検討方向として方向性を持っていただきたいなと思います。
私どもは食肉だけであれなのですが、要は、食品全般でいきますと、この表でいっても食肉に関する食中毒のことが出ていましたけれども、ほかの業界を責めるのは嫌いなのですが、例えば魚の刺身は、板さんが木のまな板の上でさばいて、おいしく食べますよ。私も大好きですから食べますよ。絶対量としては魚での食中毒が一番多いのではないですか。肉よりも魚の絶対数のほうが多いはずです。それも基本的には低減策があるからいろんな業界でも努力してやっているし、地元の保健所などもそういう指導をして食中毒を減らしているという実態があるわけです。1つはリスク低減策を考えていただきたい。
ほかの業界との兼ね合いです。肉は厚生労働省さんがちゃんとして、地方自治体の食肉検査所で公的な検査を必ずしている。牛も豚も鶏も第三者がチェックしてやっているから、安心ですと言っているわけです。
ほかの食品につきましては、それこそ先ほど出ていた人間の糞便汚染ということで考えると、そういうチェックは一頭一頭されていないです。牛、豚、鶏はきちんと1頭ずつやっていますよ。だけども、マグロを1匹ずつやっているかというと、できないからやっていないこともあるし、衛生管理上も、土間に置いて人間の長靴で踏んでやっているような実態もあるわけですから、肉だけを取り上げてやるということ、特に内臓を取り上げてやること自体、おかしいのではないですかということですね。
ほかの食品と同じレベルでリスクを提示して、考えていただきたい。浅漬けで何人か亡くなられています。ドイツでサラダ、シイタケか何か知りませんが、何十人か亡くなられています。これもO157で亡くなられています。ですから、その原因究明もさることながら、横並びのことを少しお考えいただいたらなと。私どもはなるべく衛生的な処理に努めるということを今後もやっていきますが、ぜひそういう方向でお考えいただきたい。
以上でございます。
○山本座長 御意見ありがとうございました。
さまざまな視点からの御意見でしたので、ちょっと錯綜している部分があるかと思います。
1つは、表11で汚染がミンチ肉と豚肉の段階で表示されているわけですけれども、ミンチ肉の汚染ということになりますと、豚肉の汚染が約十何%あった、豚肉で大腸菌に汚染されていたとして、その一部が他の清潔な肉とまざってひき肉にされますと一気に拡大します。ですから、ひき肉として汚染率が上がってくるというのは、どうしてもしようがない話ではあると思います。
加工段階でのそういう衛生管理というのは当然努められているわけですけれども、人の手が触れなくても、最初の汚染肉がミンチにされますと、機械にどうしても汚染が残るということで、常に清潔にされていたとしても汚染がどんどん次に行ってしまう。
そういうことから、この調査自体がどうこうということに関して、私は意見を申し上げませんが、そういう現実があるということは把握していただきたいと思います。
そういうことで、汚染実態がかなり現実を反映していないという小林委員の御意見でしたので、もしそういうデータを別途提供していただけるのであれば、また御提供いただければと思っております。
これは1つのデータとして考えていって、我々が考えなければいけないのは何かというと、この肉を生で食べるか、食べないかというところが視点だと思うのです。通常、豚の生ミンチを食べていることはほとんどないのではないかと考えていますけれども、そういうことで言えば、加熱を十分にして食べるという方策に持っていくということも。だから、生肉のそれを推奨する形で行くというものではないかなと。意見を言ってしまうとまずいのですが、そういうことだと思っています。
ですから、その辺を全部含めてリスクとして考えなければいけないということになりますし、今日は、豚ならどう、牛ならどうという危害の要因として挙げていくものはこういうものでまずよろしいでしょうかということを検討していただきたい。
A、B、C、Dのランクに分けていますけれども、実際皆様方の感覚も含めてで結構ですので、これで印象がおかしいということであれば、変更することも可能です。その辺の御意見をいただければと思います。
それからもう一点、と畜場の話は、検査はヒトへの病気という意味も含めて、要するに、人獣共通感染症等、動物の病気を含めての一頭一頭の検査ですが、と畜場でも衛生管理は当然しております。それで漏れてきている部分がまだあるということがこの汚染の実態の一部に反映されている可能性はあると思いますので、別途HACCPの導入とかそういうものを検討しながら、厚生労働省のほうも対策を考えていっておられるようですので、その辺は見ていきたいと思います。
ほかに御意見ございますでしょうか。どうぞ。
○石川委員 資料4のほうのお話なのですけれども、今、生産者の関連の方から大腸菌のお話が出ましたが、あえて腸管出血性大腸菌としているわけですね。例えば普通の病原性大腸菌は、臨床的にも感染が多いですし、例えばプローベ的に病原性大腸菌というふうにしてちょっと分けて、リスクとしてはBになるのかもしれないのですけれども、認識する必要は生食のいろいろ取扱いということで出てくるのではないかと思うのです。
それとは全く別に、サルモネラなのですが、特に日本の食文化の中で卵というのは、サルモネラ、大変危険なわけです。鶏の中に括弧で「卵」というふうに明確に入れたほうがいいと思うのです。これからリスクコミュニケーションをするときに、生卵をかけて食べる風習、ぶっかけ何とかとか、すき焼きに生卵をつけて食べるとか、サルモネラというところで生産者の方も注意しているのですが、大変危険性があることは一応リスクコミュニケーションとしてやらなければいけないので、「鶏」とだけ書いたのでは誤解があるかもしれませんので、それをちゃんとしておいてもらいたいと思います。
それからもう一つ、方法論として、生食に関してということです。1つは、肉の中に菌体、寄生虫の包虫でもいいですが、原因菌がいるのか、それから手指、食器の感染でうつるのか、感染経路を明確にするべきだと思います。先ほど糞口感染だというのは最もそうなのですけれども、それはコンタミを起こしてなるわけで、肉そのものから来るリスクというのはどうなのかということをきちんと明確にしたほうがいいです。
その議論は、レバ刺しのときに、実はと畜後にごろごろするから、レバーの中に病原性大腸菌が入るのだというような話があったように、本物のレバーは、生きている間は大丈夫なのかどうなのかという議論も、きちんとここで結論を出して、リスクコミュニケーションをするべきだと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
レバーの話は今回の中には入っておりませんけれども、生きているときに菌がいるかいないかという話になると、恐らくいないということで、それを生きたまま取り出すわけにはいきませんので、そこが問題なのです。だから、レバーのことはもう少し方法論が出てくれば、また検討するということになっておりますので、それを待ちたいと思います。
肉については、今おっしゃっていた話で、腸管出血性大腸菌とほかの病原大腸菌を分けて考えるときに、そのリスクを考えた上での肉の対応となると、なかなか難しい部分が出てくるのです。そちら側が低いので、それだけならよろしいという話になるかということですけれども、リストとしては挙げておいてもいいのかなという気はします。
ただ、やはりターゲットとなるべきは、もう少しハイリスクのほうかなという気もします。
事務局に腸管出血性大腸菌以外のものについては、もう一度おまとめしていただくということをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
五十君委員。
○五十君委員 今の御指摘ですが、確かに病原性大腸菌については、生食肉の汚染で食中毒にも関係していることがあると思います。腸管出血性大腸菌と一緒に扱うのは難しいと思いますので、カテゴリーを分けて、腸管出血性大腸菌を除く病原性大腸菌という項目で新たに立てまして、危害要因の大きさをそちらについて限定して評価していただければ、後で議論がやりやすいと思います。
○山本座長 ありがとうございます。
もう一点、卵ですが、これは鶏と卵という形で、鶏肉、卵を別途取り扱うかということなのですけれども、卵について、いかがいたしましょうか。
○事務局 事務局からです。
卵については、御指摘がございましたように、従前サルモネラ・エンテリティディス等の食中毒が多いということで、これは平成8年から9年、10年ぐらいかけて、食品安全対策ということで、期限表示を設けるとか、あるいは原料の規定、破卵とかの原料の卵は使わないようにするとか、保存基準を定めるなど、規格基準という形で卵についてはサルモネラ対策を行ってございまして、その後食中毒は減ってきたということで、昨年等であれば、件数もほぼ2桁、20件とかその程度だと記憶しております。
ただ、御指摘がございましたようなリスコミという点では、当時からやってございますけれども、サルモネラについては、卵の食中毒防止ということでは引き続きやってきたいと思っております。
○山本座長 そうしますと、今回の検討対象の中から卵は。
○事務局 整理上は、今回、特に生食の食肉ということを検討いただくということでございますので、卵については資料の中では明記していないという整理でございます。
○山本座長 石川委員。
○石川委員 この会議は、水産物の生食は議論しないということはいいと思うのですけれども、卵というのは、恐らく日本人が生食するのに一番多い形態なのです。
子供たちにサルモネラ中毒が起こるわけです。培養されたりすると、これはどこから来たのかと。臨床家のほうでは卵かなというふうに考えているところもあるわけですよ。
きちんと調べていただいて、大丈夫だということであればいいですが、そうでなくて、危険性があるのだったら、きちんとお母さん方に。我々小児科の臨床医は、実際問題、今も全部お母さん方にリスクコミュニケーションをしているのです。そういうこともありますので、水産物以外の生食ということであれば、これはどこかに書いていただいたほうがいいと思います。検討しないということではなくて。それは大事なことだと思いますよ。
○事務局 もちろん、検討しないということではございませんで、別途必要であればやっていくものと思っております。この調査会の中で卵の扱いについてどうするかということについては、座長とも御相談させていただきたいと思います。
○山本座長 畜産物の生という範疇の中には入ってくるかなということですが、それも含めて優先順位をまずは決めていかなければいけない。動物種、その内臓肉であるのか、食肉そのものであるのかということの優先順位を決めつつ、では、どういうレベルの規制が必要なのかというのをまずは考えていこうというのが、この調査会でやっていくことだと思いますので、忌憚のない御意見、ありがとうございました。
もう一点、小林委員から御指摘がありました水産物の話でありますけれども、腸炎ビブリオにつきましては、既に対策をとってきておりますので、食中毒の報告が激減している。
それ以外にもウイルスがあるわけですので、その辺が今後の課題としては残っているのだろうと思います。
浅漬けにつきましては、今般ガイドラインを出すことができましたが、その対応で今のところ行くということで、現在のところそれ以上に規格基準化するという話にはなっていないという状況を御説明させていただきたいと思います。
ほかに何か御意見。田崎委員。
○田崎委員 事務局案で資料6を出していただきましたけれども、おおむねこういう落としどころなのかなというふうに思います。
確認と御質問を含めてなのですが、資料4のサルモネラなのですが、聞き漏らしたかもしれないのですが、TyphiとS.Paratyphi Aは、感染症法でほかの食中毒菌よりも上位のリスクに定められています。これらは食品媒介の発生例としては多分少ないというところから、この区分においているように思われたのですが、この2物質が原因だった場合にはAランクになるのではないかと考えます。というのが1点。エンテリティディスについては、事例は少なくなりましたがO9やO4の血清型の食中毒はハイリスクと考え、Aランクと思いますが、いかがでしょうか?
さらに、裏面の寄生虫なのですけれども、B、Cと分けたレベル感ですが、例えば無鉤条虫とかアジア条虫とか、これは無症状病原体保有者として考えられるかと思うのです。確かに非常に気持ち悪くて、衛生上の問題や重要性はあるのですが、直接の被害がないところで、このレベルがCとなっていることについて、ウェステルマン肺吸虫とかと一緒にするべきなのか、というのが1つ疑問です。
細菌でカンピロバクターについてはかなり件数も多いのですが、これは危害要因としてはCになっていますが、裏面の寄生虫のレベル感としては、カンピロのほうがリスクは上と思っています。ここら辺は、寄生虫とバクテリアと分けていらっしゃるのか、それとも同じフィールドで考えていらっしゃるのかということが2点目の質問で、確認したいと思います。それによって資料6の考え方も少し変わるのかなと思います。よろしくお願いいたします。
○山本座長 微生物の中で細菌・ウイルスと寄生虫というのは、範疇としては少し分けて考えているというのが基本であったと思います。
確かにウェステルマン肺吸虫をCにするというところは、事務局から説明しておいていただけるとありがたいのです。
○事務局 寄生虫につきましては、寄生虫一つ一つに対して見ていくということではなく、ある程度大きな分類で見ていければなというところで、死に至るか、至らないかというところで大きく2つに分けてしまっただけですから、御指摘のとおり、もうちょっと詳細に分けたほうがいいというのであれば、例えばCの中をまた2つに分けるとか、そういうことは問題ないと思いますので、御意見いただければと思っております。
○田崎委員 ありがとうございます。
あと1点よろしいですか。
○山本座長 はい。
○田崎委員 カンピロバクターなのですけれども、レベル感としてはBかC辺りだと思うのですが、それに応じて、資料6のほうでは、当然危害要因を検討することに値すると思います。
実際に事例的には鳥刺しとかレバ刺しとか、こういった具体的な食中毒の原因食品が挙がってきていますけれども、自治体の中では、喫食調査を行った結果、確実に現食品として特定されたものが報告されていると思います。
ですが、実は疫学調査にも限界があり、大抵の方はすべての料理をたべてしまうとその中にメニューとして鳥の生肉が入っていても原因食として特定できずに、会食料理として報告されてしまうケースが非常に多いと思うのです。なので、生肉によるカンピロバクターの事件件数というのは、3桁になっていますが、推定ではさらに多いものと理解をしています。
これは意見でございます。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
病原体のA、B、C分類は、その病原体の持つ危険性といいますか、そういうものを分類しているということで、最終的には検出状況、食中毒統計の報告等を勘案して、対象とするべきかどうかという案になっております。
ほかに。野田委員。
○野田(富)委員 資料6の●のついている候補のことで二つ意見を申し上げます。
まず、牛の生センマイについて●がついております。市販品は非常に少ないにもかかわらずということ。しかも、私が聞き及んでおります限りでは、生センマイという呼称で提供はされておりますが、その大半は一旦加熱工程を経ているということ。要するに、食べる感触が生っぽい、刺身っぽいということからこういうメニュー名でもって提供されている事例が非常に多いということでございますので、ここで挙げることについて疑問を持っているというのが1点。
下から3つ目の猪に●がついておりますけれども、死亡例が1名おいでになりますが、この程度のものがどれだけ流通しているのかなということで、これは大いに疑問を感じております。そもそも市販品というものはどういうものかということについて、ちょっと確認をさせてもらえればと思うのです。外食店で提供されている量なのか、それとも先ほどのお肉とかミンチ肉のように、むしろ小売店等で販売されているものも含んでしまっているのか、そこら辺りがちょっと不明確だなということで、ここら辺りをもうちょっと精査した上で、この対象を絞り込んでいったらどうかなと。対策としては、ほとんど似たようなものになろうかと思いますので、余り細かな、非常にレアケースのものを取り上げるということはいいことなのかということについて、私は疑問を感じております。
以上です。
○山本座長 ありがとうございました。
確かに市販品のところで考えなければいけないのは、スーパー等で肉として普通に買うかどうかということもあるのですけれども、飲食店での喫食で生を提供するというのが今までも一番問題になってきているのではないかなと。
通常、肉を生食するためにスーパーで買うというのはなかなか考えにくいのかなと思っておりますが、この分類に関して、事務局から何か追加はありますか。
○事務局 「市販品」というところの欄でございますけれども、これは実際報告されているものですので、基本的にスーパーとかで小売で買ってきているものも全部含んでおりますので、最終的に消費者が手にする状態のもので検査というところでございます。
もちろん、生食用のものというわけではなく、普通に豚肉とか、スーパーで売っているようなものなので、生食限定というものではございません。
○山本座長 そうすると、市販品の中を少し分ける必要があるのですかね。ちょっとややこしいかなと思いますけれども、何かありますか。
○事務局 「市販品」というところで「病原体の検出状況」というのを書かせていただいているのは、流通実態がどうかということではなく、そもそもその肉にこういったハザードがあるものなのかどうかという指標として整理をさせていただいております。これは、あくまで検討対象としてどういったハザードを対象にすべきかというものを整理したものですから、今後、流通実態としてレアなものに対してどういった対策を講じるかというのは、次回以降に流通実態であるとか、そういったところを中心に御議論いただいて、リスク低減策の有無と合わせてどういったことが必要なのかということを御議論いただければと思っております。
○山本座長 ありがとうございました。
野田委員、よろしいですか。
○野田(富)委員 はい。
○山本座長 そういうことですので、とりあえず考えなければいけない対象としては、●のついているところが考えなければいけない部分だろうということを決めていきたいと。
石川委員からありました卵というのも考えなければいけないものにはなってくるのかなということですが、ただ、それを今後どういう優先順位で考えるかは、流通実態等を踏まえて、次回以降の議論の対象ということにしたいと思います。
これに関して、ほかに御意見ございますでしょうか。どうぞ。
○小林委員 この要素以外に、主に食肉の卸、小売をやっているところについて、私どものほうから一応指導とか奨励事業をやっておりまして、誤解を与えてはいけないので、猪、鹿、熊、その他の類のジビエについては、基本的に取り扱うべきでない、物販すべきでないというふうにしております。
これは何かというと、今まで私どもが国産のものを安心して食べてくださいという一つの理由に、先ほどから申しました生体、枝肉、部分肉、あらゆるところで基本的には第三者、国の機関の検査をしているのですよ、だから安心ですよ、病気にかかったものは流通していきませんよということを言っているのです。
もう一つは、最近ですと、特に放射線セシウムの管理をどうやってコントロールしているかというと、牛、豚、鶏とも飼育動物ですから、水を検査し、その餌を検査し、そうすれば、出てくる肉も安心して食べられるものになっていますから、牛は全頭検査をやったのですけれども、今や100ベクレル以下になっていますので、牛も豚も鶏も全頭・全羽の検査ができないという状況で、モニタリング調査ということで、皆さんには説明しているのです。その際そういう理由でやっているのです。
ジビエ、猪とかなんとかというのは飼養管理されていませんから、そんなものは危険ですよと言ってはおかしいけれども、そういう理由で推奨できませんよということにしておりますので、ここで余り放射線セシウムのことを取り上げていくことはないと思いますが、食肉についてのそういう危害要因ではありますので、ちょっとつけ加えておきます。
それから、物販としてはそういうものを扱っていない。恐らく通販でやっている部分、前から外食で猪を提供しているところは幾らでもあるわけで、刺身でやっているかどうかは定かでありませんけれども、やっているとすれば外食のところで一部あるかもしれないということですので、別のところで検討すべきことではないかなと思います。
○山本座長 ありがとうございました。
こういう野生鳥獣肉の問題につきましては同列で扱うべきかどうかというのは、当然議論があるべきだと思っておりますので、今回はこういう形で取り上げておりますけれども、最終的には優先順位の下のほうになれば、そこは今回の検討対象から外れていくということも、皆さんの御意見の上で、あり得ることだと思っております。
松永委員。
○松永委員 私は消費者団体もやっておりまして、科学ライターをしておりますので、取材する限りでは、野生鳥獣に関しては、これから消費が伸びていくものであります。農村で今も鳥獣害というのは大変なことになっておりまして、食べるということで鳥獣害を減らしていくという方向性を農水省は明確に打ち出しておりますので、現状の実態の把握とともに、今後の消費の伸びということも考慮していただいたほうがいいと思います。
ですので、今回は危害要因、ハザードとしてはAランクであると。その後に喫食量、暴露量ということ、リスクの検討に入るわけですけれども、そこを整理して、喫食量というところで今後の消費動向ということも加味して、その上で判断していただければと思います。
以上です。
○山本座長 ありがとうございます。その辺を加味しないといけないわけですけれども。
監視安全課長、どうぞ。
○滝本監視安全課長 ジビエにつきましては、ちょうど今日午後一で農林水産省のほうで関係省庁が集まって会議がございます。松永委員の御意見どおり、野生鳥獣による害が非常に広まっておりまして、一つはこれを食用として利活用することによって減らしていこうということがございます。
そういったものが生で食べられると大変なことになりますので、我々としては、まずはきちっと加熱をしてくださいということを先週、厚生労働省のホームページにも注意喚起という意味で掲載をさせていただいております。
そもそもこういった野生鳥獣はと畜場法とか食中毒検査の対象になっておりませんので、どういった病原体を持っているのかという調査が十分進んでいないということもございましたので、厚生労働科学研究を用いまして今、研究を進めておりまして、その成果については今年度取りまとめる予定にしておりますので、それをこの調査会でも御議論いただければなと考えておるところでございます。
○山本座長 野生鳥獣の問題は、鳥獣保護の問題で環境省が関係していますし、農作物のそういう被害防止ということで農林水産省、また食用にということで厚生労働省、3つもしくはそれ以上の省庁が絡んでくる話ですので、ぜひ省庁間の協議をよくやっていただいた上で、厚生労働省としてはどういうふうに安全に食べていくかという考えに至っていただければなと思います。
ほかに。どうぞ。
○加藤委員 ちょっともとへ戻るのですけれども、小林さんが先ほどおっしゃった豚肉のミンチのことについて、当委員会においてこのデータの扱い方という問題提起だと思っています。そういう意味でいきますと、私は、この委員会は生食用の食肉に関する調査・検討ということであると理解しておりました。
そういう意味で、先ほど座長委員から、もともとミンチ肉というのは生食で食べることを予定していないのではないかというお話があったわけです。そういう意味では、小林委員が心配しておられるのは、このデータがひとり歩きしていきますと、どうしてもこの数字自身の大きさで、食べたくない、いわゆる健康被害として非常にリスクが大きいのだ、そういうことになるのは余りいいことではないのではないかと思っています。
その辺のことについて、今後の進め方で、ここのデータの中に肉製品というのも入っているわけですけれども、これらは加工工程の中で汚染されたものも入っての汚染率ということであるならば、当委員会の管理措置を決めるときの基礎データとしては、ただし書きをつけてちゃんと取り扱うか、あるいはこのデータはこういうふうに資料として入れないとか、そのようなこともしていただくと。私どもは外食産業ですが、消費者に接触して、参加している者からすると、そういうところは非常に気になるところでございます。
今、ジビエの話がありましたが、リスクの大きさではやはり議論していかなくてはいけないときに、例えば鹿などはうちの業界でミンチにして、鹿バーガーというのが非常にヒット商品になっている一部の企業があるのですけれども、こういう例を見ますと、ミンチにしたものを扱うときは特別に考えたほうがいいのだな、あるいはその調理工程の中に新たな管理措置を入れなくてはいけないということも出てくるのかなというふうに今、勉強したわけです。
そういう意味では、完全にデータから外すということではないかもしれませんが、ただ、生食のものについて、こんなに怖いというふうな形のデータになるのは問題ではないかなと。質問を含めて、要望として申し上げておきます。
○山本座長 汚染のデータというのを使うときには、もちろんリスクのことに絡んでくるわけですけれども、対象としているもの、ミンチを今後どう使うかということになったときの話だと思うのです。だから、かなりの汚染率があるということを承知した上で、ミンチは生で食べないのだということに持っていく話になるのか、それとも工程が別の方向でやれるものがあれば、そのミンチはオーケーとするのかというのは、流通とか加工の実態を踏まえた上で判断していくべきものだと思うのです。だから、汚染率というのは、今のところ判断の材料としてはこの形で出てくるしかないので、かなり高いものだということを踏まえた上で、では、どうしましょうかと。もし小林委員のほうからも、そういうのではないというデータがあれば出していただければということをお願いしておきたいと思います。
○小林委員 私はないと言っているのではないですよ。これはちゃんとしたデータだと思いますよ。この資料、E.coli云々というのは厚生労働省がつくられた調査資料ですから、ほかの学者先生がやったものではないから、どういうふうなサンプル採取をしてやったのですかということを聞きたい。こんなひどいことになることはないのではないかという感想で言っただけで、このデータが間違っているとかなんとかという話ではない。
私どもは、データがあるかというと、一つずつの企業はきちんとやっていますよ。それは得意先があって、届け出ていることがあるので、そういうことをやっているわけで、業界の団体としてきちんとしたそういうデータを整えているかというと、整えていませんから、それはこれからのことで、やっていこうと思っています。
○山本座長 ありがとうございました。
厚生労働省は20年から24年の食中毒菌汚染実態調査というデータからこの表をつくったということでありますが、サンプリングの仕方とかそういうことについては、自治体が実際に市販品を収去する形で集めてきて検査を行うという形のデータを集めたということです。特に意図的に汚染が高いものを集めてくるとか、そういう話は聞いておりませんが、実際に流通しているものがこういう状況にあったというのが今回のこのデータということにはなると思います。
ですから、こういうデータが出てしまうと、消費者のほうは非常に驚かれるということもあると思うのですけれども、これを実際調理して食べていて病気になっているかというと、なっていないという現実も一方であるわけです。ですから、生で食べるものについてどうかということを考えていただきたいということですので、そこのところをぜひ混同しないようにしていただきたいと思います。
どうぞ。
○事務局 今、座長からございましたように、このデータ自身は既存の公表されたデータを使わせていただいているということでございまして、小林委員ほかから御指摘いただいたように、これをもって生で食べるリスクに直接つながると受けとめられ、誤解されるとすれば、そういうものではないという位置づけのものとして。
潜在的にはこのデータをもって、生でそのまま食べれば確かにリスクとしてはあり得るということを示しているにすぎないのかもしれませんけれども、ただ、実際にこれを生で食べるに当たってどうかということについては、次回以降、その取り組みであるとか、どのような形で処理すべきかということも含めて議論していただければと思っているところでございます。
○山本座長 それでは、ほかに御意見がないようでしたら、このデータとしては現時点のものということで、新たな知見が加われば、さらにそこに加えていこうとは思いますが、資料6にありました危害要因分析の対象としての●は、この状態でよろしいでしょうか。
次回までにそういうことで御意見がまたございましたら、事務局のほうに御連絡いただければと思いますけれども、今回の検討会では、「危害要因分析の対象(案)」から「(案)」を取った形でやっていくということにしておきたいと思います。
資料4と6の内容については、最終的には本調査会の報告事項として乳肉水産食品部会へ報告したいと思います。
ありがとうございました。
時間が余りないのですが、「公衆衛生上のリスクに応じた対応方策」ということについて、御議論を少しだけいただきたいと思いますので、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料7について御説明いたします。
「公衆衛生上のリスクに応じた対応策について」、基本的な考え方をまとめたものでございます。
食肉等の種別ごとにどういった対応策が必要かということについては、本日の御議論を踏まえまして、次回以降に具体的に御議論をいただきたいと考えております。
この資料は、その対応策を検討するに当たっての基本的な考え方をお示ししているものでございます。既に御議論の中で関連する内容についても御意見をいただいているかと思いますので、簡単に説明をしたいと思います。
「基本的な考え方」でございます。
食肉等の種別ごとに、本日御議論いただきました危害要因を踏まえまして、次回以降、流通量、生食としての流通実態が果たしてどれぐらいあるのかということとか、リスクの低減対策があるのかどうかといったことを分析した上で、公衆衛生上のリスクの大きさについて議論いただき、対応策を検討するということが必要であろうと考えております。
こういったリスクの分析の結果、公衆衛生上のリスクが高いと考えられるものについては、国民の健康被害を未然に防止するという観点から、加熱義務も含めて規格基準で規定するかどうかということについても検討する必要があろうかと思います。
一方で、相対的に公衆衛生上のリスクが低いと考えられるものにつきましては、提供に当たって必要となるリスク低減措置があるということであれば、それを規格基準とかガイドラインにおいて規定をして、それを徹底するとともに、国民の意識、行動等を勘案した上で、リスク低減措置以外に有効な手法があるのかどうかということについても御検討いただければと考えております。
資料の下半分につきましては、対応方策のイメージということで書かせていただいておりますが、本日、危害要因の性質等について御議論いただきましたが、それを踏まえまして、次回以降、生食としての流通実態がどれぐらいあるのか、果たしてリスク低減策があるのかということも含めまして御議論いただいて、公衆衛生上のリスクの大きさについて分析、御議論いただきたいと考えております。
その上で、「リスクの大きさに応じた規制のあり方」についてということで、イメージといたしましては、ページ下の真ん中辺りに書いてありますが、特に生食のリスクが大きいというものについては、加熱義務を規定することも含めて御検討いただく必要があろうかと考えておりますが、そのリスクの大きさに応じたグラデーションのある対応といたしまして、例えば製造・加工・調理の基準を規定するとか、衛生基準目標(ガイドライン)として作成するとか、これまでもやっておりますが、監視指導、注意喚起を一層徹底するとか、こういったことを御検討いただくことになろうかと思います。
あわせまして、「新たな手法」ということで書かせていただいておりますけれども、検討の視点といたしましては、本日の中でも既に御意見があったかと思いますが、自治体において監視指導を適切に行う前提といたしまして、生食用として食肉等を提供している事業者についてあらかじめ把握するということで、効率的、効果的な監視指導ができるのではないかという視点。
2つ目に書いておりますのが、消費者がきちんとリスクを理解した上で選択することができるように、リスク等に関する警告表示をしてはどうかという視点。
3点目は、食肉等の生食に関する国民的理解の向上ということで、リスクコミュニケーションについても、どういったメッセージを発していくべきか、どういった形で発していくべきかといったことについても御議論いただきたいと思っております。
資料の説明は以上でございます。
○山本座長 ありがとうございます。
今回、この観点については、特に深い議論というのは時間的にもできませんので、こういう新たな視点、つまり、規制だけが先にあるような考え方でない、別の方策も導入できるのではないかという視点があるという御提案だと思いますので、皆さん方からこれについて特にという御意見がございましたら、今、この場でお聞きしておいてもいいと思いますけれども、何かございますか。では、野田委員。
○野田(富)委員 最初に申し上げましたことと重複してもいけませんので、それ以外のことを1点だけ申し上げます。
この検討会につきましては、あくまで本人が生で食べるというリスクだけを検討するのだということのようでございますが、公衆衛生上の観点から見てそれだけで十分だろうかということについて、若干疑問を持っております。
といいますのは、例えば牛の生レバーについて禁止しましたということで、では、生レバー由来の食中毒がそれで完全になくなるかといったら、決してそんなことはないのです。例えば外食店で生レバーというものを扱って、それを焼き材として提供していくわけで、決して生レバーの取扱いそのものがなくなるわけではない。それを調理する過程でまな板とか包丁を使用する。例えば生レバーを調理した後に野菜サラダをつくるということになれば元も子もないわけでございます。特に生食として食べないにもかかわらず、こういったものの二次汚染でもって被害をこうむる。思いもかけない被害をこうむるといったことこそが公衆衛生上については重要な視点だろうと思っておりますので、今回のこの議論の結果を波及させて、国民全体、消費者の方々の衛生、安全を守っていくということにつなげていっていただきたいと思っております。
○山本座長 ありがとうございます。
非常に重要な御意見なのですけれども、今回の検討の中ではなかなか難しい部分でもあるのです。二次汚染の問題を考え始めますと、全ての食材は生の肉とは扱えない。先に生のものを扱かったところは、生で食べるサラダ等はだめですよという話というのは以前から出ていた話です。だから、公衆衛生上の問題という意味では、そこを考え始めると、生食肉の取扱いについては別途の考え方を導入しなければいけない。議論としてはあっていいと思うのですが、今回直接それを対象としてやるとなると、少し論点がずれてくると思います。
公衆衛生上の問題を考えるには、食べた人が病気になったときに、次に広がっていくのかとか、そういう問題が一つは大きな問題だし、それから知らずに食べてしまうようなこと、子供たちが親から食べさせられるとか、そういうことは非常に問題だろうということ、この辺は議論の対象になっているのかなと思います。
どうぞ。
○事務局 今の御指摘については非常に重要だと我々も思っておりまして、従前から取扱いにおける交差汚染とか、そういったことについては、一般的な事項として衛生管理の周知徹底というものは行われてきたわけでありますけれども、今回の議論を通じて得られた情報を踏まえて、改めて周知徹底することの重要性というのはあるかと思っております。
○山本座長 ありがとうございます。
<「新たな手法」の検討の視点>で3つの例が挙げてありますが、一つ一つの中でもやり方というのがいろいろ考えられると思います。ですから、そういったものについてもさらに細分化したような方法論、これに載っていないような方策というものについても皆様方のアイデア、お考えがありましたら、ぜひ提示していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今日はちょっと時間がなくなりましたので、この点につきましてはこれで打ち切りたいと思いますが、今後の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料8に基づきまして説明させていただきます。
次回になりますが、流通実態とかリスク低減措置等について報告していただき、それについて検討していただこうと考えております。
第3回辺りで食肉等の種別ごとのリスクの大きさ、検討の優先順位等について検討していただく。また、優先順位の高いものからリスクの大きさに応じた規制手法について検討していければなと思っております。
ここら辺までの結果について、食肉等の生食に関する調査会の検討結果を乳肉水産食品部会に報告できればと考えております。
また、来年度以降におきましても、検討の優先順位等に従いまして、食肉等の種別ごとに規制手法のあり方について引き続き検討していただきたいと考えております。
以上でございます。
○山本座長 ありがとうございます。
そうしますと、第3回辺りまでを年度内ぐらいのペースでやっていくというような考え方でよろしいでしょうか。
○事務局 委員方との日程調整の問題もありますので、年度内というのは厳しいかもしれませんけれども、そこら辺を目途にやっていければなと思っております。
○山本座長 ありがとうございました。
ちょっと長丁場になるかもしれませんが、よろしく御検討をお願いいたしたいと思います。
それでは、今日の時点での検討材料というのは以上だと思います。
次回から関係者からの御報告、研究されている方々の研究内容等について御報告いただくことになりますので、皆様、御協力よろしくお願いいたします。
議題の「(3)その他」がありますけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 特にございません。
○山本座長 それでは、次回の予定について、事務局からお願いしたいと思います。
○事務局 次回の調査会の日程については、改めて調整させていただきますので、よろしくお願いします。
○山本座長 それでは、長時間にわたる御議論ありがとうございました。本日はこれで終了したいと思います。
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