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2013年10月11日 第2回改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成25年10月11日(金)
14時00分〜16時00分


○場所

経済産業省別館第312会議室


○出席者

【委員】山川座長、阿部(一)委員、阿部(正)委員、北野委員、小出委員、塩野委員、田中委員、富永委員、伊藤氏、加藤氏

【事務局】内田高齢・障害者雇用対策部長、藤枝障害者雇用対策課長、田窪主任障害者雇用専門官、境障害者雇用対策課長補佐、寺岡障害者雇用専門官

○議題

1. 関係者からのヒアリング
 ・一般財団法人 全日本ろうあ連盟理事 松本 正志 氏
 ・社会福祉法人 全国盲ろう者協会事務局 庵 悟 氏
 ・社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会副会長 阿部 一彦 氏
 ・社団法人 全国脊髄損傷者連合会副理事長 大濱 眞 氏
 ・NPO法人 日本脳外傷友の会理事長 東川 悦子氏
 ・社会福祉法人 日本盲人会連合会長 竹下 義樹 氏
2.その他

○議事

○山川座長 

座長の山川です。それでは、ただいまから第 2 回「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」を開催します。本日は前回、欠席されていた委員にも御出席いただいていますので、御紹介させていただきます。

 日本身体障害者団体連合会副会長、阿部一彦委員です。

○阿部 ( ) 委員 

阿部です。よろしくお願いします。

○山川座長 

中央大学経済学部教授、阿部正浩委員です。

○阿部 ( ) 委員 

阿部正浩です。

○山川座長 

NPO 法人おおさか地域生活支援ネットワーク理事長、北野誠一委員です。

○北野委員 

北野です。どうぞよろしくお願いします。

○山川座長 

富士通株式会社ダイバーシティ推進室長兼総務人事本部人事労政部シニアディレクター、塩野典子委員。

○塩野委員 

塩野です。よろしくお願いします。

○山川座長 

本日、欠席されている委員は市川委員、栗原委員、杉山委員、武石委員、本郷委員です。なお、市川委員の代理として加藤委員、それから杉山委員の代理として伊藤委員に御出席いただいています。

 前回同様、発言をされるときにはお手を挙げて名前を言っていただいて、それから発言することにしていただければと思います。

 本日はヒアリングのため、 6 団体の発表者の方々にお越しいただいています。大変、お疲れさまです。

 それでは早速、本日の議題に入ります。本日の議題は、差別禁止や合理的配慮の在り方について、障害者団体からヒアリングを行いまして、その後質疑を行いたいと思います。まず、 6 団体の皆様に御発表をいただきまして、その後で全体の質疑を行うという流れにしたいと思います。各団体の皆様方には、御提出いただいた資料のうち特に強調したい部分を御発表いただきますようお願いします。また、発表後の意見交換の時間を十分に確保して、より充実した議論を行いたいと考えていますので、発表時間につきましては、各団体 10 分程度、最大伸びましても 15 分をお守りいただきたいとお願いします。場合によりましては、私のほうから時間の経過について注意喚起のようなことをさせていただくこともあるかもしれませんけれども、よろしくお願いします。

それではヒアリングに移らせていただきます。議事次第の順序に従いまして、まず一般財団法人全日本ろうあ連盟理事、松本正志様から御発表をお願いします。

○松本氏 

皆様こんにちは。御紹介いただきました全日本ろうあ連盟の松本正志と申します。私たちの団体は、連盟というような呼称を使わせていただいています。今回のヒアリングにおいて、連盟代表として意見を述べさせていただく機会を設けていただきまして、ありがとうございます。しかし、障害者権利条約の理念から考えますと、私たちのことを私たち抜きに決めないでというスローガンどおり、障害者雇用分科会において、聴覚障害者の代表が参加をして意見を述べるということが一番いいと思っています。それがかなわずに残念に思っています。

 まず、ヒアリングについてですけれども、資料は 3 枚提出しています。 2 枚はヒアリング項目について書いてあります。 3 枚目は参考資料として添付をしています。

 まず、「差別禁止」の部分について申し上げます。第 1 の指針の構成について。第 2 に基本的な考え方、対象となる障害者の範囲。これについては、障害者基本法の障害者の定義を入れ込むということ、またそれぞれの障害特性に基づく配慮を行うこと、その基本的な内容を記載すべきという意見です。

 次に、第 2 の禁止される差別の具体例についてです。まず、募集・採用のときの差別の具体的事例、 2 つあります。募集のときに業務内容、特に事務職だと思いますが「電話の応対」ですとか、「接客対応」というふうに書いてある場合が多いと思います。この業務が勤務上、音声が必ず必要なのか、またはメール・ FAX 等の代替の措置が可能なのかどうかということがはっきりと書いてありません。そのために応募ができないという事例があります。例えば、もし電話対応・接客対応が必須ではないという場合には、障害による配慮が可能というふうに明確に書いていただきたいと思います。これは現在、統一された形にはなっていませんので、今後、統一した形で記載をしてほしいと思っています。

 それから、採用後における差別の具体事例。仕事上、スキルアップのために教育訓練のための研修を受けることがあります。その際に、障害特性による配慮がはっきりしていないという部分があります。そのために、社内だけではなく社外においても、資格取得また教育訓練等の研修を受ける際に、聞こえる人との差が大きく出てしまいます。

3 つ目ですが、その他のところです。国の責務を明確に記載してほしいと思います。障害者の雇用、労働分野での問題というのは、個別の問題ではなく社会的な問題ですので、国の責務をきちんと国が責任をもって行うということを明記してほしいと思います。

 それから、直接差別だけではなく間接的な差別を解消するためにも、差別防止の取組についてもはっきりと記載をしてほしいと考えています。

 また「対象となる事業主」は、国家公務員また地方公務員である国の公共団体が入っておりませんけれども、公共団体の指針も必要ではないかと考えています。

1 つ漏れましたけれども、募集・採用のときの差別事例について。会社に行くときに、初め面接があります。面接が初めてという方も多いと思います。口話でのやり取りができる場合でも、十分に意思疎通ができるかどうか不安に感じます。なぜ手話通訳や要約筆記を付けないのかといいますと、自分の力でできますということを示すために、わざわざ手話通訳や要約筆記を付けないという例が多く見受けられます。もし通訳を付けた場合、それで採用がされないという心配があるから面接者は付けない場合があります。口話でやり取りができるといっても、十分な意思疎通ができない場合が散見されますので、そういったことも配慮していただきたいと思います。

 「合理的配慮」の部分に入ります。第 1 の指針の構成について。この中に、特に合理的配慮は、障害者からの申入れにより行うということになっていますけれども、申入れがないからやらなくてもいいということではなく、障害者の状況を見て必要と判断したならば、企業主が行うということが必要です。なかなか障害者自身からはっきりと申入れができない、申入れをしてしまうと不利になるから、申入れをしないという人もいるかと思います。障害者からの申入れがなくてもやっていただきたいと考えます。

 次に、合理的配慮の具体例について。採用後に一番の問題になるのは情報保障です。聴覚障害者の場合は聴覚による情報収集ができないため、周囲との情報量に差が生じてしまいます。仕事上のやり取りはメールや FAX 等で補完ができたとしても、周囲との日常的なコミュニケーションができないという場合もあります。そのために行き違い等が起こり、職場定着が困難になるという場合もあります。障害者がその能力を発揮するためにも、聴覚障害者の採用の際には、「情報をいかに本人に合った形で共有することができるか」という辺りを考えていく必要があります。

 また、会議や朝礼等の情報保障について。会議ですとか会議の議事録やメモが渡されることが多くありますけれども、これはあくまでも「記録の補完」ということであって、会議や朝礼の場で何が行われているのかということをリアルタイムに知り得るものではありません。その話合いの場で、どのような情報がやり取りされているのかということを知り、その場で自分の意見を発言する、そういった機会を保障することが必要です。会議が終わった後にメモをもらっても、発言ができないという例が多くあります。

 これから中小企業で採用される例が増えていくと思います。そのときには、財政面でなかなか障害者に対する合理的配慮ができない部分もあるかと思います。下に 3 つ書いてありますように、労働局の主催で障害の特性を知る研修などをしていただき、合理的配慮を図るための支援機器の購入の助成制度等を導入していただきたいと考えています。

 次に、過重な負担の判断要素について。必ずしも、その手話通訳料等にこだわることではなく、できない場合には別の方法で、例えば、文字通訳ですとか、ホワイトボードに書くですとか、そういったことで意思疎通ができるものもあると思いますので、考えていただきたいと思っています。

 最後ですけれども、これをまとめて出した後に聴覚障害がある薬剤師の方と話す機会がありました。そのときに言われたのが、「どこの職場も今は大変。話が声でやり取りされているので自分だけが孤独になってしまうということがあって、だからなかなか一緒に仕事ができない、それが一番苦しい。そういった面があるので、みんなと一緒につらくても頑張れるという連帯感が大切だ」というお話がありました。そのためにも、聴覚障害者に対する配慮または職場環境を改善したということを、毎年 1 回、ハローワークや労働局に報告をする義務付けをしてほしいという意見がありました。

 時間の関係で、以上、意見を終わります。

○山川座長 

続いて、社会福祉法人全国盲ろう者協会事務局、庵悟様、お願いいたします。

○庵氏 

ただいま御紹介いただきました、全国盲ろう者協会の庵と申します。本日、この場にお招きいただきまして、誠にありがとうございます。資料を確認しながらの発言になりますので、座っての発言をお許しください。

 まず、「差別禁止」です。別添の指針の構成 ( ) については、あらゆる項目に通じることだと思うのですが、障害特性を踏まえた情報・コミュニケーション保障や移動保障などが必要であることを、きちんと明記していただきたいと考えます。

 差別の具体例については、私ども盲ろう者の場合は、視覚と聴覚の両方の障害を合わせ持っています。特に仕事をしていく上で、今、就労がなかなか難しいと考えています。というのは、採用される前の段階で、とにかく自力で 1 人で通勤ができることが、募集や採用の条件となっていることが多いです。私ども盲ろう者の中には、マッサージ師の資格、免許を持っている者が多いわけですが、就職を希望していても、また能力があっても、自力で通えないことがすごくネックになっています。そういう意味で、これは自力で通勤を条件とすることは差別に当たると考えています。

 次に、「合理的配慮」に移ります。まず、指針の構成についてです。第 3 「合理的配慮の内容」では、障害種別ごとに具体的な事例を記載するとしています。盲ろうという言葉は、法的にはまだ日本では位置付けられていなく、視覚障害と聴覚障害の重複障害であるという認識が、今、一般的に多いです。実は、視覚障害+聴覚障害ではなく、視覚障害×聴覚障害と考えていいと思います。見えない又は見えにくい、あるいは聞こえない、聞こえにくいというような二重の障害を持つことで、 3 つの困難があることが特徴です。 1 つは、周りの情報、新聞やラジオやテレビからの情報や、すぐ目の前にある情報。今この会場にいろいろな方が座っていますが、どういう方がどういう立場で参加しておられるのか、自力では情報を得ることが困難です。

2 つ目は、人とのコミュニケーションが困難であることです。これが、盲ろう者といっても私のように音声+今はパソコン通訳を受けていますが、ほかにも触手話や指点字など、一人一人様々なコミュニケーション手段を用いています。そういった面で、コミュニケーションが非常に困難です。

3 つ目は、自力での移動が困難です。盲ろう者の場合は、この 3 つが同時に 1 人の盲ろう者に全部覆いかぶさってきます。そのような特徴がありますので、盲ろうという障害を独自の障害として捉えていただいて、ここにも障害種別の 1 つとして位置付けていただければと思います。

 合理的配慮の具体例についてです。例えば募集をする場合、どこかインターネットのサイトで募集要項が載っていることがあります。 PDF で載っていることも多く、 PDF の中にもそれをテキスト化して音声読上げや点字ディスプレイで読める場合もあるのですが、画像や文字として読めない PDF データが多いので、テキストデータで載せていただきたいと思っています。

 それから、本日この会議で当日配布資料が配られていますが、私自身はこれは単独では読めません。例えば、事前にメールで本日の資料を電子データとして配布していただければ、自分のパソコンで自分の見やすい文字の大きさや画面設定で読めるのです。盲ろう者といっても、いろいろな人がいます。点字が必要な人、私の場合は今はこのように白黒反転で拡大して読むようにしています。こういった配慮なども、合理的配慮として必要だと考えています。

 過重な負担の判断要素についてです。盲ろう者の場合は、雇用に関しては、例えば通勤は職務の本質的な要素ではないですから、盲ろうという障害があるために通勤する上での困難を生じている場合は、通勤の移動支援という形でこの困難をサポートすることは、基本的に合理的配慮の提供と考えています。しかし、このためにはやはり費用がかかります。全てを事業主の負担とするか否かは別の政策的判断の問題であり、事業主の過重な負担とならないよう、他の政策による支援を行うことも今後の検討課題と考えられます。

 最後に、相談体制の整備等についてです。これは、あらゆる場面で言えることなのですが、盲ろう者の場合は基本的に移動保障を含めた通訳・介助員の配置がないと、なかなか相談に行けない状況がありますので、そういった個々の障害特性を踏まえた対応が不可決だと考えます。以上が、私どもからの発言です。どうも、ありがとうございました。

○山川座長 

続いて、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会副会長、阿部一彦委員からお願いします。

○阿部 ( ) 委員 

日本身体障害者団体連合会です。まずは、「差別禁止」の所の指針の構成についてです。これに関しては、おおむねそのとおりだと思います。ただ、 1 つ盛り込む内容として、この中にも読み取れるのかもしれませんが、職場復帰については強調しておきたいと思いました。中途障害受障後や、障害の重度化に伴う長期療養その後の職場復帰に関しては、様々な行き違いで差別の取り扱いがあると指摘されていますが、これも事業主との細やかな話合いをもてることによって、合理的配慮により職場復帰が可能になることもあるのではないかと思いますので、強調させていただきました。

 それから、禁止される差別の具体例については、ただいまろうあ連盟、盲ろう者協会さんからもありましたが、コミュニケーションと移動についても、私たちはここに記させていただきました。先ほどのものは、募集・採用におけるコミュニケーション、移動のことです。

 それから、採用後に禁止されることでいいますと、障害があるとなかなか人事異動もなかったり、昇任、昇給の機会もなかったりすること。それは本来の働く力だけではなく、障害によってそのような機会を持てなくなっている場合が多いのではないか、ということが上がってまいりました。

 先ほどお話しましたが、中途障害で具体的な例として上がってきたのは、長期療養後の職場復帰に関して、地方には障害があってもできる総務関係の仕事がないという理由で東京勤務を命じられたが、東京に転勤することは事実上不可能なので職場を辞めざるを得なくなった、という事例などがあります。そうしますと、その他のところですが、今回のヒアリングはとても大事なことだと思いますが、やがてこの進行状況に従って、地方の雇用環境についても十分に検討していただきたいと思いました。東京、大阪だけではなく、地方の事情もあるのかと思いました。

 それから、「合理的配慮」に関しては、指針の構成についても、おおむね賛成です。ただ、分科会の意見書にあるように、合理的配慮の枠組みについては、マル 1 施設・設備の整備、マル 2 人的支援、マル 3 職場のマネジメントに関する配慮というように、枠組みを示して説明すると分かりやすいのかと思いました。

 合理的配慮の具体的例についてです。募集・採用時においては、そのときに個別的配慮が必要な場合には事前に申し出ることが可能であることを、募集・採用時に周知していただければと思います。これは、とても大事なことだと思います。そのことによって、移動やトイレの問題は私たちにとってはとても大事なことですし、筆記試験の形態だけではなく、口頭あるいは点字による試験や、パソコンを使用することも配慮として認めていただければ、その働く力を示すことはできるのではないかと思いました。

 採用後における合理的配慮についてです。これも私たちにとっては段差や動線の確保、トイレの問題、また車いすを利用する場合には机の高さなど、様々な配慮ができるのではないかと思いました。ただし、この場合に一番大事なのは、入社直後から特に社内での移動や業務に慣れるまでの間、上司、同僚との定期的なミーティングを行う例があるとお聞きしています。そのようなことを基に、個別的な事情を話しやすい環境を作ること。合理的配慮の入口は、やはり気軽に相談できるということなのではないかと思いました。

 その上で、できた例ということで、ここに記しましたが、ちょうどそのようなお話を伺いました。例えば、駐車場への入場時にカードを差し込む必要があったのだが、ほかの方は皆そうしています。障害がある方も複数働いていて大丈夫なのだが、重度障害のためにカードを差し込むことができなかった方にリモコンでゲートを開くようにしたという例もあります。また、車いすを使用している方がトイレで移乗するとき、高さが違ったので使いづらいときには、電動で高さの高低調整可能な便器に変えたと。これらも、制度を使って助成金で行った例です。また、ドアの開閉に困難を感じていたと。当初は、社員の方々が支援してくださいましたが、やがて引き戸に変えてもらったということで、自由に出入りできるようになったのは、とても大きいことだと思います。引き戸、自動ドアの活用というのもあるのかなと思いました。

 それから、例えば私は仙台からまいりましたが、車を駐車していて帰りに雪が積もると大変ということからですが、身体障害者の駐車場所を事業所入口近くに設置し、屋根を掛けて雨に濡れないよう。もっと大きいのは、雪が積もったら帰りが大変なのですが、そのように配慮した例もあります。それから、既に出ましたが、資料として点字資料、音声資料、その他の資料を作っていただくことは、研修時など大切なことだと思います。それらについては、地域生活支援事業で点訳や手話や音声朗読の仕組みがありますので、それを地域生活支援事業の資源を職業のほうにも生かせるようなことをすれば、企業の負担も少なくなるのではないかと思いました。

 というようなことで、一部過剰な負担の判断要素についての話になりましたが、やはりその負担が少なくなるように、既存の縦割りではなく、応用できるものは応用できるようにすれば、企業の負担も少なくなるのかなと思いました。

 また、例えばこの間出てきたのは、私たちのほうからというよりも、例えばコミュニケーションのときに、今スマートフォンで音声入力とありますので、あれを使って音声入力をすれば、聴覚障害の方も話の内容が分かることも含めて、いろいろな工夫があるのではないかということ。そして、何よりも大事なのは、合理的配慮については、事例を基に企業でもできるのではないかと思っていただくためには、事例をしっかりと挙げていくことが大切だと思います。

 それは、第 4 の相談体制の整備等についてとも共通するのですが、プライバシー、個人情報は大事にしながら、やはり成功した事例を示すことが、雇用主の方々に大きな力となるのではないかと思いました。基本的なことですが、気軽に話せる環境を作って、そして雇用主、事業主の方々も様々な事例を知ることによって、又はスーパーバイズ機能を持つことも、どこかで設けることもありますが、使いやすくなっていく様々な支援の枠組み、社会資源を使いやすくなっていくのかなと思いました。

 その他に書かせていただきましたが、様々な団体が合理的配慮や障害の理解促進に向けて、それぞれの持っている特性を基に、社内研修などを行っていくようなことも考えられると思いますので、そのようなときの助成の仕組みも大事かなと思いました。以上、日身連でお話させていただきました。ありがとうございました。

○山川座長 

続いて、社団法人全国脊髄損傷者連合会副理事長、大濱眞様、お願いいたします。

○大濱氏 

脊損連合会の大濱です。本日は、このようなヒアリングの機会をありがとうございます。今般、指針の策定に当たっての私たちの基本的な立場としては、内閣府にある障害者政策委員会の差別禁止部会における部会意見と、障害者差別解消法の内容と、衆参両院の附帯決議、この辺りをきちんと踏まえていただきたいと思います。それと同時に、私たちは総合福祉法の骨格提言を出しております。その 3 つを踏まえて、議論していただきたいというのが、冒頭のお願いです。

 具体的な内容に移ります。「合理的配慮」から、先に説明いたします。私たちの資料の 2 ページを御覧ください。以前、障害者雇用に関するヒアリングを受けたときにも申し上げましたが、たまたま職場が高層階にあって、それだと非常時に避難できないということで、それを理由に解雇されたという事例をご説明したと思います。

 実は、新聞でも報道されていたと思いますが、つい最近、東京の消防庁が避難誘導用エレベーターに関する指針を発表し、指導を始めています。非常用エレベーターは、災害時に停電が起きても動くように特別に設計されていて、消防隊がこのエレベーターを使って消火に当たるわけです。ですから、当会の資料の、合理的配慮の■の上から2番目、現に非常用エレベーターを設置している高層ビルに事業場を置く場合の事業主は、高層建物火災の避難のときに、歩行困難な障害者が「避難誘導用エレベーター」を優先的に利用できるよう、事業場内の座席の配慮をしていただきたい。さらには、きちんと研修や訓練を行う必用もあるかもしれません。したがって、避難誘導用エレベーターを優先的に障害者が使えるようにという御配慮をお願いしたいというのが、 1 点目です。

2 点目は、障害者雇用納付金制度に基づく助成金制度についてです。特にこの助成金は、様々な障害者が働きやすい環境を作り出すというのが大目的ですので、助成と同時にきちんとした指導も必要です。この助成金は、申請方法や使い方が非常に複雑で、特に中小企業では活用が難しいと思います。そういう企業には、きちんと助成や指導を重点的に行っていただきたいというのが、 2 点目のお願いです。

全脊連

 続いて、 1 ページに移ります。「差別禁止」の指針についてです。特例子会社についてです。これは法律の第 44 条に規定があります。確かに、特例子会社は今まで非常に障害者雇用に寄与している点では、私たちは非常に評価しています。しかし、その一方で、有能な人材がいても、親会社と人事交流がないために、特例子会社から親会社になかなか異動できないというような事例も聞いています。

 ウィキペディアで特例子会社を引きますと障害の雇用に特別な配慮をした会社であると書かれています。要するに、合理的な配慮をして障害者が働きやすい場所を提供するのがもともとの特例子会社の目的ということです。そうであれば、今後、合理的配慮の指針が策定されて、親会社にも合理的配慮の提供義務が課せられてくると、特例子会社の制度がそろそろ時代遅れになるのかなと思います。つまり、これまでのように差別解消法がない時代では、特例子会社ではなく、普通の会社で障害者をきちんと雇うことこそ、合理的配慮の理念をきちんと生かした形だと思うわけです。したがって、今後の課題として、場合によっては第 44 条の見直しもきちんと取り上げていただきたいと考えています。

 それと同時に、幾つかの特例がこの法律に規定されていて、第3章第 5 節が障害者の在宅就業に関する特例となっています。例えば、在宅就業の場合でも特例調整金や特例報奨金などの対象となっています。したがって、従来ある第 44 条の特例子会社ではなく、在宅就業などの人たちを今後は積極的に支援していくという国の方向を打ち出していただきたい。それが、本当の意味での合理的配慮ではないかと考えております。

 最後になりますが、 3 ページを御覧ください。■の一番最後になります。障害者が会社で働く場合、現行制度では、通勤中や職場内での介助として障害者総合支援法のサービスが使えません。したがって、御存じのように、雇用助成金の中に通勤支援や職場介助のメニューが設けられているわけですね。しかし、障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会の骨格提言で私たちが申し上げたのは、居宅内から通勤中、職場内の介助まで利用できる、シームレスな制度を作っていただきたいということでした。同じ厚生労働省の中にあるのに、労働と福祉の部局が所管する別々の制度を使わなければならないというのは、やはり合理的ではありません。是非この辺りは前向きに検討していただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。

○山川座長 

続いて、 NPO 法人日本脳外傷友の会理事長、東川悦子様、お願いいたします。

○東川氏 

東川です。大変簡単な資料しか提出しておらず、申し訳ありません。外傷性脳損傷、主に交通事故や転落、転倒などによる脳の損傷及び、現在では外傷だけではなく、脳血管障害、脳腫瘍等、いろいろな方々が入っている会です。いわゆる、高次脳機能障害という分野で活動している団体です。

 行動の指針として、どこの団体からも御要望のあったことですが、まず通勤の支援です。障害の特性で一番問題になるのが、脳の損傷によって記憶ができなくなっていること。それから、注意力が欠けていること。脳細胞がたくさんやられてしまっています。あるいは、神経回路の断裂などが起こっているために、注意力がない、非常に疲れやすいという障害の特性があります。そのようなことから、外見では分からないために、いろいろ問題行動を起こすことが社会的行動障害だなどと言われているわけです。その障害の特性をよく御理解いただきたいということです。通勤経路などを覚えることに非常に問題があります。一度覚えてしまえば、割合確実に入るのですが、補助がないと覚えられないことがありますので、通勤の支援をしていただけたら有り難いと思います。

 それから、長時間労働が非常に苦手である、脳が非常に疲れやすいと。適当な時間で休憩を取る、あるいはよく水を飲むといいと言われるのですが、姿勢を正してとか、仕事中にそういうことをやると怠けているように見られてしまうのですが、認めていただき、ある程度の休憩を取らせていただきたいと。それから、楽しい職場であること。意欲がある仕事に就けると、前向きに復帰できる人がいますので、楽しい職場になるような余暇時間の指導や援助があれば、なおよろしいなということです。

 例の 3.11 のときに通勤している人たちが非常に困ったことは、臨機応変がなかなかできない人たちですので、通勤経路が断絶してしまい、うちへ帰ることができなく、大変家族も心配したということが東京でも起こっております。ですから、災害時等の対処の仕方のようなものが、これもどの障害にとっても大事なことだと思いますが、それがあればなお有り難いなということです。

 禁止される差別の具体例についてですが、どこの企業あるいは自治体でも、まず第一次試験は筆記試験ですよね。そうすると、記憶に障害がある彼らにとっては、昔覚えていたことでもなかなか思い出すのに困難があると。ですから、この筆記試験の重視を改めていただきたいと。それから、純粋に高次脳機能障害だけという人は非常に珍しく、脳の損傷によって麻痺などが起こっているものが多いです。ですから、筆記ができない。理解はしていても筆記ができないというものがあります。あるいは失書、書くことができなくなっている障害もあります。それから失読、読むことができなくなっている障害もあります。ですから筆記試験の重視ではなく、面接でできた職場への配置等を考えていただくような方法を取っていただけたら有り難いと思います。

 特に、公務員試験はほとんど筆記試験が重視ですから、公務員になりたい、あるいは公務員の仕事に職場復帰したいという当事者がありますが、なかなかそれが難しい状況になっております。そういったことを別な機器を使って、今たくさん補助機器が工夫されておりますので、適当な仕事に就ける者もたくさんおりますので、そういったものを使ってもいいというような試験の手段に変えていただけたら、大変有り難いと思います。

 その他としては、とにかくどの障害も同じですが、障害の特性を個々によく理解していただき、適材適所で活用し、雇用をしていただきたいというのが願いです。

 今のことに関連しますが、指針に障害特性の理解、高次脳機能障害について。一応障害の定義としては、器質性精神障害の範疇に入ることになっております。これは、十分私どもも承知しておりますが、脳細胞の多くが損傷してしまっている、あるいは神経回路が断絶してしまっているようなことは、若干統合失調症の方、あるいはパニック障害の方にダブる部分もありますが、障害の特性として違うのではないかという部分を多く感じます。ですから、高次脳機能障害という、私の住んでいる市で障害のマニュアルができたということで昨日検索してみましたら、一応精神障害とは別に高次脳機能障害という項目を作って、ガイドブックを作っていらっしゃいます。そういったお考えが、私たちにとっては非常に有り難いです。全ては、障害の特性を理解した上で対処していただきたいという一言に尽きるかと思います。

 「合理的配慮」についてですが、先ほども申し上げましたが、記憶を補うために、国リハではメモリーアシストを開発していただきましたし、今、 iPad やスマートフォンでいろいろなやり方が取り入れられておりますから、そういったものを職場の環境の中でも使わせていただき、仕事の上で役立てるような仕組みを考えていただきたいと思います。

 過重な負担の判断要素についてです。これも先ほど申しましたが、易疲労性、非常に疲れやすいという障害の大きな特性がありますので、長時間労働を避けてほしいと。中には一生懸命頑張って、もちろん 8 時間労働で就労している者もいますが、グループ就労や短時間就労という形態をもっと取り入れていただけたら有り難いと思います。「短時間就労グループ就労」にポツを入れて、「短時間就労・グループ就労等の形態を施行していただきたい」と変えていただきたいと思います。

 相談支援体制の整備について。プライバシーの保護、合理的配慮に関した相談等を理由とする不利益取扱いの禁止の周知を記載することでよいかと思います。これは、本当に徹底していただけたら有り難いと思いますので、これでよいと思います。

 その他ですが、雇用者側がうっかり障害の特性を理解しないで行った、あるいは就業規則の中に書き入れたことで、障害者サイドから見ますと、しばしば差別や拒否などと受け取ってしまうことが多いと。上司にこんなことを言われた、もう私は通勤できないなどと言って、辞めてしまうような話もよく聞きます。ですから、多くの具体的な事例を集めて、職場への障害の理解をしていただくような配慮があれば有り難いと思います。

 ここで 1 つ例を紹介したいのですが、この人は重度の事故で高次脳機能障害になった方です。一生懸命頑張って調理師学校に行って、調理師の試験にも合格しました。夢はホテルに就労することだったのですが、どこのホテルからも断わられました。差別用語をあえて使わせていただきますが、「気違いに刃物」ということで、調理師としてお客様の食事を預かるホテルでは採用できないと断わられたということです。これは、もう明らかに差別だと思います。「気違いに刃物」などという言葉自体も差別ですが、そういうことを言われて職場からオミットされた。あるいは復職の方でもそういう場合はありますね。もともと調理師だった方が復職したいときに、やはりそういう懸念から元の職場に戻れなかったというような話も聞いております。そういう差別を無くしていただけるよう、お願いしたいと思います。以上です。

○山川座長 

はい、ありがとうございました。最後に、社会福祉法人日本盲人会連合会長、竹下義樹様よりお願いいたします。

○大濱氏 

できれば温度を下げていただければ大変有り難いのですが。私たち脊髄損傷者は体温調節できないので、これも合理的配慮の一環ということでお願いします。

○山川座長 

大濱さんありがとうございました。ここの部屋、確かに暑いと思いますので、できるかどうか事務局のほうでお願いいたします。

                                 ( ブラインド下げ )

○山川座長 

座長です。これで少し違うかもしれません。既に部屋が暖まっておりますので、下げるには空調の都合で考える必要があると思います。取りあえず進めてもよろしいですか。では竹下さんお願いいたします。

○竹下氏 

社会福祉法人日本盲人連合の竹下と、大胡田のほうでお答えさせていただきます。本日は、視覚障害者の就労の場における差別と合理的配慮を進めるための意見の機会を頂き、ありがとうございます。本日は、視覚障害者の働く、いわば青年層を代表して大胡田と、最後に私のほうで若干補足する形で時間内での意見発表をさせていただきます。

○大胡田氏 

ではまず大胡田のほうから、今回の意見書の流れに沿ってかい摘んで御説明したいと思います。

 「差別禁止」です。指針の構成の点で、事業者の範囲と障害者の範囲についてコメントします。事業者の範囲で昨今はパート・アルバイト・派遣といったように働き方が多用になっております。いかなる働き方をしている障害者についても、差別が禁止され合理的な配慮が提供されるように強調していただきたいと思っております。

 また、障害者の範囲です。視覚障害者といっても全盲からロービジョン、視野狭窄、あとこれらを兼ね備えて持っている重複障害の方、多用な障害の状態があります。それに加えて障害者手帳を持っている・持っていないという問題もありますので、どのような条件に合う障害者であっても差別は禁止され、やはり合理的配慮を受けられることも強調したいと思います。

 次に禁止されるべき差別の具体例です。募集・採用時、この段階では主に募集条件また採用はされる業務という点から説明します。募集条件としては、募集の段階で普通文字が読めること、自力通勤ができること、また視力が一定以上であること、といった条件を付すことは禁止されるべきです。

 採用される業務です。これについては、例えば、障害者は正社員にはせずに契約社員にしかしませんという募集の仕方ですとか、障害者枠で採用された労働者は昇進や昇格をしない。そんなレールをあらかじめ引くことは禁止されるべきと考えます。

 採用後に禁止されるべき差別です。ここのポイントは、賃金、キャリア形成、解雇や退職勧奨、この 3 点がポイントかと思っております。賃金については、障害者と健常者を別の賃金体系とすることは禁止されるべきと考えます。キャリア形成について言うと、企業に入ると社内外の研修を積んで、いろいろな部署を配転して転々としているうちにキャリア形成が進んでいくということになりますが、視覚障害があるとこういった研修を受けられない。あるいは、一箇所の部署に固定されてそれ以外の仕事をさせてもらえない、といったことがよく起こっております。ですので、一般の社員と同様のキャリア形成が可能な仕組みが求められます。

 また、解雇等で特に中途障害者に多いですが、仕事をしている中で視力が下がるとそれを理由に解雇されてしまったり、そろそろ辞めたほうがいいのではないかというような退職勧奨がよく行われております。これも明らかな差別として禁止されるべきと考えております。

 次に「合理的配慮」の意見ですが、具体例から入ります。募集・採用時に求められる合理的配慮。これについては、募集時の情報保障、採用試験の配慮がポイントかと思います。募集時の情報保障は、先ほどどなたかの団体の意見がありましたが、ホームページで募集がされていても PDF ファイルになっていて読めないこともよくありますし、紙に書かれたパンフレット等でしか応募書類が配布されていないなどということもあります。こういった場合には、点字あるいは電子データ、録音等でも同じ情報を得られるような仕組みが求められます。採用試験についても、点字あるいはパソコンの使用、録音の問題、口頭試問、面接によって試験を実施しますが、これでも採用試験は実施する等の柔軟な対応が求められます。

 次に、採用された後の合理的配慮です。この段階では、機器類の整備、人的な援助、研修等の配慮、通勤、この 4 つがポイントかと思っております。機器類の整備で、昨今 IT 機器の進歩によりまして、視覚障害があってもパソコンの音声読上げソフト、スキャナー、点字プリンタといったいろいろな機器を使うことによって、かなりの作業ができるようになっております。こういった機器の整備について、適切な配慮がされるべきです。

 専門的な話になってしまいますが、特に IT 化が進んだ企業に多いかと思います。グループウェアといって、会社の中でネットワークになったシステムを使えないと仕事にならない、そういう会社もあります。そういった会社においては、グループウェアが音声読上げで操作可能な対応が求められます。

 これもまた情報化が進んだ会社に多いようですが、フリーアドレスといいまして、特に固定の席がなくその日に好きな席で仕事をしていいよという仕組みがあるようです。これは視覚障害者にとって非常に働きにくい体制だと聞いております。こういった場合には、視覚障害者はここの席だと固定していただいたほうが働きやすいと考えております。

 人的援助で、これは職場のヒューマンアシスタントを必ずどの障害者も使えるような配慮が求められるという点です。

 研修等ですが、先ほど申しましたように、キャリア形成の上で必要となります社内外の研修が十分に視覚障害者にも受けられるように、この資料の点字、電子データの提供が求められます。また、この障害者にとって固有の研修といえば研修なのですが、中途で視力が下がった場合に職業リハビリティーションをきちっと受講できるような体制。また、盲導犬を使っている視覚障害者にとっては、一定期間で盲導犬の切替えが必要になります。その間は、長い場合は 4 週間程度研修で仕事を休まなければいけないと聞いておりますが、この休暇も保障されなければなりません。

 通勤の問題です。先ほどの団体の話の中にもありましたが、現在、通勤にはガイドヘルプを使うことができないという状態です。企業側で、きちっと通勤についての保障を障害者に対して行う必要があります。中にはタクシーを使えれば通勤できるという視覚障害者も多いかと思いますので、こういった場合にはタクシー代の補助といったことも考えられます。

 過重な負担の考慮要素についてです。この過重な負担については、企業の規模・業績等、企業側の事情に加えて、当該配慮がどのぐらい不可欠なのか、不可欠性ということも加味して判断されるべきだと思っております。一定程度、費用が掛かる合理的配慮であったとしても、それがなければ仕事にならないという場合には、この過重な負担において相当な考慮がされるべきと考えております。

 相談支援体制の整備です。これについては、その障害者が属している部署の直属の上司、その障害者のことを一番よく知っている上司、人事等で一定の権限をもった上席の者がきちっと相談を受ける体制が望まれます。

 最後に「その他」で、こういった差別の禁止、合理的配慮を行き渡らせるためには、社内全体が障害者雇用に対して理解を深める必要があります。機会を作って、必ず全社員を対象とした障害者雇用に対する研修等が行われるべきと考えております。また、これは今回の指針の守備外かもしれませんが、社外の相談体制です。ハローワーク、障害者職業センター等について、視覚障害に対する理解が不十分だ、特に地方では不十分だと聞いております。全体の仕組みとして、こういった社外の支援体制の底上げが求められます。私からは以上です。

○竹下氏 

あと 2 3 分で竹下のほうから補足させていただきます。第 1 点は、大胡田君が指摘した社員研修の関係です。障害者が面接を受けた場合に冒頭に言われるのは、うちの会社には見えない人にできる仕事はない、と言われるのが 100 件中 99 件といっても過言ではありません。すなわち、入口の点において見えないことの理解と、見えなくてもできる仕事に対する理解がないために、まず機会が与えられないということが、重要な弊害あるいは壁となっております。この点を克服するための仕組みづくりを求めたいと思っております。

2 番目に、これも大胡田君が指摘した過重な負担の絡みもあるわけですが、現に実現可能な補助が、それが過度の負担として実現されない場合に、そのことによって就労が拒否されることがあっては決してならないと思うわけです。仮にそれが過度として直ちに実現できなかったとしても、就労可能にする代替措置が講じられない限りは、設備が実現できないことをもって解雇あるいは就労拒否にならないようにしていただきたい。

3 点目に、見えないということに対する理解が不十分であることから起こる問題点が、視覚障害者自身にも把握できない場合があります。なぜならば、自分が就労しようとする業務内容を理解できない段階で、その判断をされてしまったのではどうしようもないからであります。すなわち見えなくてもできるか、できないかについては、常に業務担当者、会社側の専門の立場の方と視覚障害者、ときにはジョブコーチ等を交えたところでの懇談を前提として、職務の本質がこなせるかどうかについての判断をしていただきたいことを強くお願いいたいわけです。

 締めくくりとして、常に視覚障害という特性がどういう形で克服可能であるかについての理解をしないままでの判断は、絶対しないということの大原則をお願いしたいと思っております。どうもありがとうございました。

○山川座長 

6 団体から御発表をいただきました。いずれも時間に配慮を頂きまして、大変ありがとうございます。先ほど、温度の関係で窓を開けましたので、風が入って多少違ったかもしれませんが、その分、多少音が生じておりますので、そこは御容赦いただきたいと思います。

 それでは、これまでの御発表について質疑応答に入ります。御質問等がありましたらお願いします。

○竹下氏 

日盲連の竹下です。ガイドラインづくりのときに、私は大きな 2 つの立て方があるのではないかと思っております。 1 つは、いわば現時点の社会的な通念として、あるいは日本におけるほぼ共通認識に立てる基盤としての条件づくりがあるかと思います。「社会環境・社会条件」と呼んでもいいのかもしれませんが、そういうものを実現すべき基礎条件として示すべきではないかと思います。

 それに加えて、個別の障害に対応した、更に言うなら、同じ視覚障害でも、ここにいる大吾田と竹下はともに全盲ですが、ハンディの現れ方は違うと言い切っていいわけです。簡単な話、大吾田君はパソコンを縦横無尽に使いこなしております。私はこなし切れておりません。そういう意味でも、一人一人の障害に対する対応の仕方は明らかに異なってくるということで、個別への対応の仕方におけるガイドライン、基準化が必要ではないか。そのことの配慮を実現するための条件を実現する過程もシステム化、基準化すべきではないかと考えております。そういう大きな意味での共通する、現時点でほぼ理解が行き届いているはずの分野における条件整備と、個別性の強いところでの配慮という 2 段での基準をお願いしたいと思います。

○山川座長 

座長の私から御質問するのはどうかと思いますが、幾つかお聞きする項目、ポイントがあったように思います。差別禁止の内容、あるいは合理的配慮の内容といった内容面の問題。ほぼ共通してあったと思われるのは障害の特性、それは個々人のということも含めてかもしれませんが、障害の特性への理解。また、かなり共通して出てきたと思われるのが、相談やコミュニケーションのしやすい職場を作るということ。さらに、制度的な観点で様々な支援制度、合理的配慮なり差別禁止なりと様々な支援制度との関わりをどう見るかといった点も提起されていたと理解しております。

 私からお聞きしたいのは、 2 番目に申し上げたコミュニケーションや相談のしやすさといったものをどのように実現していくか。 1 つは、先ほどお話のあった社内研修等で理解をいただくということがあると思いますが、個々の障害特性を理解する、あるいは対応していただくことと、相談なりコミュニケーションはかなり関連しているように思いますので、その辺りについて何か情報、お知恵があればお伺いしたいと思います。相談しやすい、あるいはコミュニケーションを取りやすい職場の実現の仕方ということです。

○阿部 ( ) 委員 

日身連の阿部です。ある中小企業の事例で、精神障害の方々が働いている会社なのですが、そこではいわゆる健常者の方が就職するときの条件として、精神障害の理解をしていただいてから雇用する事業所もある、ということを付け加えたいと思います。

 また、細やかにコミュニケーションを図ることがあればこそ、個別的な配慮が申し入れやすくなるわけですから、合理的配慮の場合には、配慮として細やかなことが言える。少なくとも入社直後からどのぐらいの期間かは、定期的に上司、同僚とその事情について話をするということが盛り込まれないのかなと思いました。

○山川座長 

今の最後の点は、御本人と職場の上司等とのコミュニケーションの機会を定例化するというお話ですね。

○阿部 ( ) 委員 

はい。それ自身を事例としてしっかり雇用主の方々に知っていただく、それはお互いにとって大事なことではないかと思います。知らないでという差別になることが多いと思いますので。

○竹下氏 

日盲連の竹下です。今の座長の御質問にお答えするつもりで、 2 点の提案をしたいと思います。 1 つは、現在の社会福祉法に苦情処理のシステムが作られております。これを少し参考にすべきではないかと思います。例えば、社会福祉法第 80 条以下には、社会福祉施設における苦情処理として、苦情受付担当者、苦情解決責任者、更には第三者委員を各事業所に設置することを求めていますが、障害者を雇用した事業所においては、常に最低 1 人の障害者の相談を担当する担当者を設けることによって、その方が自分の思っていることを意見として出しやすい条件を作ることができるのではないかと思います。

 もう 1 つは、北欧で行われている事例です。北欧では、障害者が雇用された場合には、その職場においてジョブコーチを含めたチームを作ることによって、その方の職場における問題点を共有化していくことが行われております。障害者を雇用する場合、あるいは雇用された場合に、その方を含んだチームによって定期的な協議の場が持たれることで、日頃感じている問題点や求める内容が出しやすい状況が作り出せるのではないかと思っております。よろしくお願いします。

○山川座長 

ほかに、私の質問以外でも結構ですので、これまでのヒアリングで頂いた御意見、御発表に関して何か御質問等ありましたらお願いします。

○田中委員 

日本盲人会連合の田中です。ヒアリングの皆さん、今日はありがとうございました。

 障害者団体の皆様に 1 つ伺いたいのですが、就労の継続には、社内における障害の理解が非常に大事になってくると思うのです。禁止される差別の事例ということでいろいろとお話を頂いたのですが、直接差別にも間接差別にも該当しづらい、ハラスメントのような形態のことが行われる可能性があるのではないかと思うのです。これは非常にマイナスなお話ですが、入社した障害者が気に入らないという場合には、障害とは直接関係のない基準を立てて、常にその障害者を排除するようなやり方を行う。例えば、 4 人の新入社員がいて、 3 人が東京出身で 1 人が地方出身という場合には、東京出身者の会を作って 1 人を常に排除する。

 なぜそういうことをするかというと、居づらさを作出するわけです。どこに狙いがあるかというと、居づらさを感じた障害者が自発的に「私はこの会社を辞めます」と言うことを狙いとしているということがあり得るのではないかと。もう少し言えば、障害のある人と障害のない人が同じ立ち位置で仕事をすることについての抵抗感があるのではないかと思うのです。そういった場合には、せっかく就労しても続かないということがあり得ます。これは、雇用促進法の趣旨の潜脱にもつながるような気がするのです。

 このハラスメントを意識した内容を、今回の禁止される差別の事例か合理的配慮の中に入れるのか、あるいは別項目として立てるのか、その辺りについて、もし御意見があればお聞かせいただきたいと思います。

○山川座長 

ハラスメントについて何か御要望があるかという御質問ですが、どちらの団体でも結構ですので、何か御意見、情報提供等はございますか。

○阿部 ( ) 委員 

ハラスメントについては、虐待防止法との兼合いをどう考えていくかが大事かと思いました。田中委員の質問に直接答えることはできませんが、虐待防止法との関係をどう整理していくかが非常に大事なことかと思います。

○竹下氏 

日盲連の竹下です。今の阿部さんの発言を受けて、確かに虐待防止法との境界線が差別との関係であるわけですが、その 2 つを合わせ持っても、今の田中委員の御質問に対する対応は困難になってくるのです。なぜならば、私は弁護士業をやっていて、実務の中で経験するのですが、それは障害や女性に対する嫌がらせではないという形で必ず返して来られます。

 私が記憶しているのは、京都市の自治体における鬱病を持った職員への嫌がらせに対して、職場における発言等を問題にしたときに、それは決して欝に対する攻撃でも嫌がらせでも何でもないという形ではね返してきました。そのときに私が思うのは、現に障害を持った働き手に対してなされたハラスメントは、表現上は、あるいは形式上は障害に対する嫌がらせや差別でないとしても、そのハラスメント、嫌がらせをもって障害に対する主観的な思いが入っている可能性があるとして取り上げる姿勢が重要だろうと思っております。単に証明できる、できないという話ではなく、現実に障害を持った労働者に対する嫌がらせがあったときには、そうした嫌がらせの中には主観的な意図が含まれている可能性があるという前提で対応すべきではないかというのが、私たちの思いです。

○阿部 ( ) 委員 

竹下委員のおっしゃることは、そのとおりだと思います。

○松本氏 

ろうあ連盟の松本です。ハラスメントについて、直接答えになるかどうかは分かりませんが、会社から聴覚障害者で研修や会議の内容を知りたいと、分かりやすい方法をしてほしいと言っても、「まあまあ、お金がないから」とか、何らかの言い訳を付けて、結局は障害者が諦めてしまう例が多いと思うのです。これはハラスメントまでは言いませんが、そういった例は、聴覚障害者関係ではまだよく聞きます。

○山川座長 

田中委員、よろしいでしょうか。

 それでは、ほかの点についても何かありましたらお願いします。

○竹下氏 

視覚障害者の一般就労については、極めて低い数字となっております。これは 2 つの現実があります。 1 つは、視覚障害者の場合には、鍼灸マッサージという伝統的職種において職業的自立を成り立たせてきたという経過があります。それ以外の職種に就労できている視覚障害者は、本当に僅かでしかありません。 1,000 人はいかないと思います。鍼灸マッサージへの就労を除いた視覚障害者の就職率・就労率の数字は出ておりませんが、極めて低いものとなっております。

 それはなぜかというと、視覚障害に対する理解に尽きるのかもしれませんが、先ほど申し上げたように、見えないイコール何もできないという極めて固定的な偏見が前提となっているからだと言わざるを得ません。それに対する啓発、研修はこれまで厚生労働省においてやってきていただいているとは理解していますが、これを今度の改正を機会に指針化していくときに、どういう形で雇用の機会を広げていただけるかということに尽きるかと思います。先ほど大吾田が申し上げたような、いかに視覚障害者に対する情報提供、逆に求人の希望を持っている企業に対して、常に視覚障害に対する基礎的な理解を前提とした求人に結び付けていただけるガイドラインを、是非お願いしたいと思います。

 もう 1 つ、視覚障害者の就労が低いことの最大の原因は、情報の共有性の問題かと思っています。すなわち、我々は点字での文字処理を基礎としているわけですが、その点字をほかの同僚に理解しろというのは無茶だと思っております。そうなると、普通の活字を点字化する、音声化する、データ化するのも、視覚障害者にとっては重要であると同時に、視覚障害者が主の文字としている点字等のデータを他の社員と共通化できる情報に返換するためのシステム、又は援助を合わせてやらないと、 1 つのセクションにおける業務が成り立たないという現実があるわけです。このことも、落とし書きになりますが、是非意識した形でのガイドラインづくりもお願いしたいと思います。

○松本氏 

ろうあ連盟の松本です。聴覚障害者の立場から言うと、聴覚障害の場合は、職場の定着ということで手話を付けてほしいと要望する場合があります。手話通訳を付けないと合理的配慮の提供ではない、差別に当たると言っておりますが、企業としては、なぜこれが差別なのかが分からない。ですから、むしろ良い方法としては、ある会社に聴覚障害者が雇われて、合理的配慮の具体例を全国的に広める必要があると思います。

 先ほど自分の発言の中で、聴覚障害者を雇った場合、どのような方法で合理的配慮をして本人の能力が発揮できるかという例を、自分の近くの労働局又はハローワークに報告する義務付けをする。それを集めて全国に情報を流す。会社はそれを見て、なるほど、簡単でもこういうことで合理的配慮になるのだ、こういうことができるのだと分かってもらう。そういう仕組み・システムが必要かと思います。今までは、手話通訳を付けなければ差別だと言っていましたが、これも難しい。良い例をどんどんと提供していくこと。もう 1 つは、企業の中に障害者に対する理解がある上司の場合はまあまあ働きやすいけれども、人事異動で上司が他の所に行ってしまう、別の上司が来る。その方が余り積極的ではないという例もあります。

○山川座長 

先ほど来、情報の話を幾つか御意見として頂いており、その情報の中身も障害特性に関わること、あるいは問題になっている職務ないし業務に関わること、更には事例に関わることと、どういう情報が問題になるのかという点も、これから整理していく必要があるかと感じております。

○小出委員 

育成会の小出です。知的・精神系は次回のヒアリングということになって、議論の趣も変わってくると思いますが、 1 点、座長がおっしゃった相談とコミュニケーションのできる職場ということについて申し上げます。

 一般的に、私どもが雇用される側の世界、企業は、どちらかというと話す言葉、いわゆるレポート・トークといわれる、各業種、会社によってそれぞれ話す内容、コミュニケーションの文化が違います。そのときに、入社時の導入的な支援と、その社会・文化になじんだときに起きる支援という段階的な支援がコミュニケーション支援というもので、それを雇用側が認識できているかという気付きと配慮が、今後必要になってくるのではないかと思います。

○阿部 ( ) 委員 

日身連の阿部です。先ほど山川座長がお話された中で、様々な助成制度と結び付いているということに関してですが、高齢・障害・求職者雇用支援機構では、好事例レファレンスサービスをしていて、私は何例かに関わったことがありますが、これまで蓄積して、少なくとも 47 都道府県で 1 年に最低 3 つずつ以上は事例が挙がっているので、そこで合理的配慮を解決した例もたくさんあると思いますし、そこにどういう助成金制度を使ったかということもあるので、あれを整理することも大事なのかなと。それが委員の皆様がおっしゃっているように、雇用主側に使いやすい制度があることを理解してもらうことにつながるのではないかと思います。

 差別解消の合理的配慮は、こちらの雇用関係はその制度があることを、今まである制度ですから、もっと知っていただいて使うことができる。雇用以外の差別解消はどうするかという不安もありますが、仕組みとして整っているところはきちんと整理して紹介するというように詰めるべきではないかと思いました。

○山川座長 

今のは、高齢・障害・求職者機構の調査結果か何かの形で公表されているということでしょうか。

○阿部 ( ) 委員 

そうですね。私は幾つか地域の事例を出していますが、あれはホームページに全て報告がありますし、あそこを読み取ると、それぞれ個別的配慮にどういう助成制度を使ったかも明らかになっていると思いますので、それを整理するのも、企業主にとっては分かりやすいかと思いました。

○障害者雇用対策課長補佐 

障害者雇用対策課長補佐の境です。今、御紹介いただいたデータベースは、高障求機構のホームページにデータベースで載っています。それには、業種別や障害別等で検索できるようになっております。合理的配慮の事例をどのように事業主の皆様に周知していくのかが非常に重要であると考えており、既存のデータベース、いわゆる雇用管理の好事例ですが、そういったところに合理的配慮の事例を集めて載せて、そのデータベースを充実させていくことも、これからの施行に当たって重要と考えております。

○山川座長 

そこは、支援制度と合理的配慮の結び付けのヒントにもなり得るという理解でよろしいでしょうか。

○障害者雇用対策課長補佐 

はい。どのような形で行っているかということも書いておりますので、データベースの整備の際に頂いた御意見も踏まえながら、そのような整備を行っていきたいと考えております。

○北野委員 

前回欠席しましたので、前回の流れが踏まえ切れておりませんので、前回とつながらない発言になってしまうかもしれませんが、今回、 6 つの団体のヒアリングを聞いて疑問に思ったことを正直に申し上げます。

 合理的配慮を怠ることが差別に当たるかどうかについて、前回議論されたと思いますが、合理的配慮を怠ることが差別であるということを前提にすると、今日の議論は非常にスムーズに理解できるのです。例えば、脳外傷友の会の発言は、差別禁止の項目の中に通勤支援や休息、余暇指導・援助、あるいは災害時の特性に応じた支援が要るということ。脊損協会でも労働時間や再雇用についての配慮が要ると。

 これをどう理解すべきかですが、障害に対する異別取扱いを差別と考えると、募集及び採用の場合ですと、あなたは障害者だから雇用を申し込んだらいけないとか、来てはいけないというのは明らかに異別取扱いですが、自力通勤がどうであるとか、車の運転がどうであるとか、電話応対が義務化されるということが書いてある場合に、自力通勤や車の運転や電話応対が、はたして求めている業務のエッセンシャル・ファンクションなのか、それができなかったら絶対にその業務がこなせないものなのか。合理的配慮が形成されると、エッセンシャル・ファンクションが基本的にできるものなのか。エッセンシャル・ファンクションでないから、それを求めることが間違っている、ということを踏まえるかどうかということが 1 つです。ですから、直接差別かどうかという問題です。

 もう 1 つは、そういう問題ではなく、募集や採用に関して障害特性に応じた特別な配慮・支援が要るのだというところでの、合理的配慮をしないことが差別であるというところでの議論なのか。例えば採用に関して、パソコンの作業や手話通訳、点字などは、絶対要ることになります。同じように、賃金の場合でも、同一労働同一賃金を確保する、障害者だから違う賃金体系にするのは差別であるということなのか。それとも東川委員がおっしゃったようにグループ就労を保障していくとか、フレキシブルな労働時間に対応するとなると、賃金に関して全く同一なのはどうかという問題については、違う部分での配慮が必要になります。

 そう考えると、募集・採用、賃金、配置、昇進・降格、教育訓練等、幾つか項目が挙がっていますが、今日挙がってきている余暇指導・援助、労働時間のフレキシブルな対応、出勤時間の対応、職場復帰の支援、再雇用の支援、通勤支援、災害時における非常時の対応支援、職場環境、発達障害の方の場合は職場調整、環境調整の配慮といったことをしないことが差別に当たると考えると、そういうものは全て差別禁止の項目に入ってこなければいけないと。前回の議論を聞いていないので、どこまでどういう形でそれをまとめられたのかをお聞かせいただきたいと思います。どちらも私たちは大事だと思っておますので、きちんとそこの議論をしていただければと思います。

○山川座長 

ただいまの御質問は、前回の研究会で最後に少し議論が出た合理的配慮と差別禁止の関係に関わることだと思いますが。

○北野委員 

いや、問題提起をさせていただいただけです。

○山川座長 

問題提起という御趣旨ですか。

○北野委員 

はい。

○竹下氏 

今の北野先生の御質問は、研究会の中での議論をちゃんとやってほしいということに尽きるかもしれませんが、それに関連して 2 つお聞きします。例えば運送会社の乗務員募集で、運転ができないことを差別としろということはあり得ないわけです。ところが、一般職の事務職で、現実には、中小企業では事務員をやっている人にこの書類を別の事業所まで届けてということを車でやらせる、あるいは荷物を運ぶことが一般職の事務の 1 つに入っている。それができないことをもって、募集している職員、あるいは事務員の適正に外れるというのは、どう評価するかの問題なのです。

 すなわち、かつてから言われてきた、中途失明の場合に特に言われてきたのですが、それまでこなしてきた仕事が 100 とすれば、そのうちの 99 までできる。残りの 1 つは失明したことによってできなくなったときに、 1 つができないことをもって適正がないというのではなく、その部分を外した形での業務の組み方があるだろうし、もっと極端な場合には、従来が 1 人の業務としてされていたものをもう一度組み直して、 1 人の障害者がこなせる業務内容に組み立てることによって、事業所全体の効率化が崩れることがないとすれば、それをやることも 1 つの合理的配慮として検討の土俵に上るべきではないかというのが 1 点です。

2 点目は、時には合理的配慮と不当な差別の禁止が観念的な区別としては誰でも理解できるわけですが、区別ができない場面は大いにあり得ると理解しております。先ほど申し上げたように、職場のバリアフリー化ということがあったとします。そのバリアフリー化は合理的配慮という言い方もできるでしょうし、逆に段差を解消することはできないと、段差を越えて来られない人は雇わないというのを差別と見るのか、不利益取扱いと見ることも可能なわけです。ですから、指針づくりの段階では、一応体系としての差別禁止と合理的配慮はあってしかるべきだと思いますが、最後の時点ではその部分にこだわらず、現実の業務を可能にするという視点からの指針づくりが必要ではないかと思っております。

○障害者雇用対策課長補佐 

障害者雇用対策課課長補佐の境です。分科会意見書で合理的配慮の不提供についてどのように書かれていたかということで、該当箇所を読み上げます。「合理的配慮 ( 過度の負担となる場合を除く。 ) の不提供を差別として禁止することと合理的配慮の提供を義務付けることはその効果は同じであると考えられることから、端的に事業主への合理的配慮の提供義務とすることで足りると考えられる」となっております。これは、実際に法律上の条文で書くに当たってどのように規定するかが問題となっており、その際、法律上は合理的配慮の提供を義務付けるのだと結論付けております。

 一方で、先ほど竹下さんからも御発言があったように、そこが概念上どこまで明確に区切られるかという問題は別途あろうかと思いますが、御指摘いただいたような点については、まずは合理的配慮の提供義務を守っているか否かといった観点で見ることになるのではなかろうかと考えております。例えば、 100 ある職務のうち 1 つだけができないから、それをもって採用しないということについて、その 1 つを何らかの形で配慮することは合理的配慮ではなかろうか、という御発言があったと認識しておりますが、そういった配慮をすることについて、合理的配慮の提供義務とはどういうものかはこれから御議論いただくわけですが、仮にそれが合理的配慮の提供義務として位置付けられるのであれば、当該事業所において過重な負担とならない範囲において義務として実施できるのかどうかを判断することになろうかと思います。

 そういった意味で、個々の事例に応じて、特に事業主の状態にも応じて、合理的配慮の提供義務を果たしているかどうかという観点から、まずは考えていくことになるのではないかと考えております。

○山川座長 

北野委員、よろしいでしょうか。

○北野委員 

皆さんのヒアリングの中で、差別禁止のところで幾つか指針の構成にこういう項目を書いていただいたので、これをどのようにこれから取り扱って採用していくか、どこにどう入れ込むのかについての議論はこれからしていくと考えてよろしいでしょうか。

○山川座長 

それは委員の皆様方のこれからの御議論次第です。私としては、この指針が一体どういう位置付けになるかということで、人事管理と、あるいは実務的に使いやすくて実効性があるかということで詰めていって、どうしても位置付けによってしか結論が出てこないような問題があるかどうかも含めて検討していくと。取りあえず実効性という観点から考えていったらどうかというのが私の個人的な意見ですが、それはこれから委員の皆様方の御意見によって検討していきたいと思います。この辺りは、富永委員が理論的な面では非常に御造詣が深いと思いますが、何かありますか。

○富永委員 

富永です。私も同じようなことを考えていて、例えば産休を与えない、つまり労基法にちゃんと書いてあるのに使用者が与えないということは、女性に対する差別であると言えるし、単に産休を与えないという合理的配慮の不提供の一類型でもあるともいえます。特別ルールと一般ルールのような類型で考えると、「差別」と言うのは障害者に対する不利益な取扱い一般と捉えられます。性差別の場合で産休を与えるというのは、障害者雇用促進法でいう合理的配慮を提供しているといえます。それ(産休)を与えないのは広い意味でいう差別の一類型でもあるかもしれない。ただ、法律上は特別ルール、特殊類型を抜き出して産休を与えてくださいと言っていて、性差別とはしてはいません。そう考えると、障害者雇用促進法の場合も、特に合理的配慮という概念を特に立てて整理したというお話ですので、位置付けとしてはそちらで整理するほうが理論的にはしっくりくるのかなと、個人的には思いました。

 障害者雇用促進法では、合理的配慮を与えなさいということと、差別をしてはいけないということは、効果自体は同じで、法律上の効果として助言、指導、勧告などができます。効果として同じだとすると、例えば採用面接に手話通訳や要約筆記等の通訳が配置されないことが差別の例に挙がってきますが、位置付けとしては合理的配慮に挙げるほうが、使用者としてはより分かりやすいのかなという気もしました。法的な効果が違わないのであれば、整理としては合理的配慮でくくって、残りで差別禁止ということはあり得るかと思いました。

○山川座長 

私の理解するところでは、差別禁止と合理的配慮の理論的位置付けは様々で、かつ詰めていくとどちらに分類されるかという問題はあろうかと思いますが、取りあえず合理的配慮の具体的な中身ということから検討していく方向も合理的であるという御意見と、簡単にまとめ過ぎてしまいましたが、そういう理解でよろしいでしょうか。

○富永委員 

はい。たくさんしゃべりましたが、正しくそのとおりかと思います。

○竹下氏 

竹下です。富永先生の御発言を正確に理解できていないかもしれませんが、私は理論的な区別はつくと思いますが、具体的にはつかないと思うのです。例えば、今、手話が例に出ましたが、この会場で講演会がある、あるいはヒアリングがあるとします。手話は準備しませんということは、これは合理的配慮の問題だということは誰でも分かります。ところが、その講演会や研修会で手話を準備しないことによって、聴覚障害者を排除している、研修を受けさせない、講演を聞かせないというのは、間違いなく不利益な扱いそのものという面は持っているわけです。ですから、そこにこだわっていることの有意性、必要性は余りないと思うのです。

そうではなくて、座長がおっしゃったことに賛成なのですが、大事なのは現実に就労を可能にすることに向けての指針である以上、それが類型上差別禁止であろうが合理的配慮の提供であろうが、そこがポイントになるのではなく、その障害の特性に応じた支援、あるいは配慮がその障害者の就労を可能にすることに尽きるという点で、是非整理していただきたいと願っております。

○松本氏 

松本です。今の富永先生のお話がよく理解できなかったのですが、障害者権利条約の差別の概念というものがあります。直接差別、合理的配慮の不提供を 1 つにくくっていると思いますので、手話通訳についてどちらかと言われると、どちらも差別だと私は思っています。

○山川座長 

よろしいでしょうか。時間の関係もありますので、これは今後更に検討していくことかと思いますが、先ほど申し上げたように、この研究会の使命としては、理念的な位置付けでどれだけ差が生じる問題なのか、という点も含めて検討していく形になるのではないかと理解しております。

議論が非常に盛り上がってきたところではありますが、時間が超過しております。本日はこの辺りで終了したいと思います。御発表の皆様方、大変ありがとうございました。次回も引き続きヒアリングを行います。日程等について、事務局から説明をお願いします。

○障害者雇用対策課長補佐 

障害者雇用対策課長補佐の境です。次回は第 3 回になりますが、 10 24 ( )15 17 時になります。引き続きヒアリングを予定しており、ヒアリング団体は、全日本手をつなぐ育成会、全国精神保健福祉会連合会、全国精神障害者団体連合会、日本てんかん協会、日本発達障害ネットワーク、日本難病・疾病団体協議会となっております。以上です。

○山川座長 

それでは、これをもちまして、本日の研究会は終了いたします。お忙しい中どうもありがとうございました。


(了)

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