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2013年12月18日 第1回 医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成25年12月18日(水)
17:00~


○場所

航空会館702+703会議室


○議事

○事務局 それでは定刻になりましたので、第 1 回医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会を開催いたします。本日の検討会は公開で行うこととしておりますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし、喧噪にわたる行為はしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、申込時の留意事項の遵守をお願いいたします。

 まず、この検討会の座長については、開催要綱にて、「本検討会に座長を置き、構成員の互選によってこれを定める」としております。開催前に構成員による互選の手続を事務局で行った結果、自治医科大学学長の永井良三先生にお願いすることといたします。一言、御挨拶をお願いいたします。

○永井座長 自治医科大学の永井でございます。既にこのプロジェクトは進行しておりますが、より良いものにするために、皆様方から忌憚のない御意見を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございます。続きまして、構成員の御紹介をさせていただきます。本日は 13 名中、 12 名の御出席を頂いており、 50 音順に紹介いたします。日本製薬団体連合会の青木事成構成員です。明治薬科大学公衆衛生・疫学教室教授の赤沢学構成員です。川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療情報学科准教授の秋山祐治構成員です。日本医師会常任理事の石川広己構成員です。和光大学経済経営学部教授の井出健二郎構成員です。東京大学大学院医学系研究科医療情報経済学分野教授の大江和彦構成員です。浜松医科大学医学部附属病院薬剤部教授の川上純一構成員です。日本薬剤師会副会長の土屋文人構成員です。日本歯科医師会常務理事の冨山雅史構成員です。大阪大学大学院医学系研究科医学専攻教授の松村泰志構成員です。東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野教授の山口拓洋構成員は、本日、御欠席です。医療情報システム開発センター理事長の山本隆一構成員です。

 事務局側を紹介いたします。厚生労働省及び医薬品医療機器総合機構の紹介をいたします。大臣官房審議官医薬担当の成田です。医薬食品局安全対策課長の森口です。同じく、安全対策課安全使用推進室長の広瀬です。独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監の山本です。同じく、安全第一部長の渡邊です。最後に私、安全対策課医療事故情報専門官の河辺です。よろしくお願いいたします。

 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 以降の進行については、永井座長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○永井座長 それでは、議事に入る前に座長代理を指名させていただきたいと思います。山本隆一先生にお願いいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

 それでは、山本先生、よろしくお願いいたします。

 では、最初に事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 それでは、お手元にお配りしました資料の確認をさせていただきます。まず、一番上に議事次第がありまして、その裏に資料一覧をお示ししております。併せて御確認ください。

 開催要綱と裏面に構成員名簿があります。資料 1 「医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会設置の背景について」です。資料 2 「医療情報データベース基盤整備事業について」です。資料 3 「検討課題について ( ) 」です。資料 4 「今後の進め方について ( ) 」が 1 枚紙になっています。別にファイルでとじた参考資料があります。こちらの中には、参考資料 1-1 「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて ( 最終提言 ) の概要」です。参考資料 1-2 は報告書です。参考資料 2-1 「『電子化された医療情報データベースの活用による医薬品等の安全・安心に関する提言』概要」です。参考資料 2-2 は報告書です。参考資料 3-1 「医療情報データベース基盤整備事業の実施要綱について」です。参考資料 3-2 「協力医療機関の公募について」です。参考資料 3-3 「実施要領」です。参考資料 4 「日本再興戦略」です。参考資料 5 「平成 25 年度行政事業レビュー ( 公開プロセス ) に関する資料等」です。最後に参考資料 6-1 「医療情報データベース基盤整備事業における医療情報の利活用要綱 ( 試行期間用 ) 」です。参考資料 6-2 「医療情報の取扱いに関する倫理上の取扱い」です。以上ですが、資料の不足や乱丁等がありましたら事務局までお知らせください。

○永井座長 よろしいでしょうか。それでは続いて事務局より、議事 4 「本検討会の開催について」の説明をお願いします。

○事務局 それでは、本検討会の開催に至った背景及び経緯等を含めて、検討会の趣旨を説明いたします。資料 1 をお手元に御用意ください。

 スライド 2 を御覧ください。こちらには検討会設置の背景となった提言等の経緯を示しております。本日は関係する資料を参考資料としてファイルにとじた形でお配りしています。時間が限られますので、資料 1 を用いて説明いたします。引用している参考資料の番号も付記しておりますので、適宜御参照ください。

 スライド 3 を御覧ください。本事業の発端の 1 つは、「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」による提言、参考資料 1 の「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて」です。

 スライド 4 を御覧ください。参考資料 1-1 、最終提言の概要です。この委員会は、薬害肝炎事件の発生及び被害拡大の経過及び原因等の実態について、多方面から検証を行い、再発防止のための医薬品行政の見直し等について提言することを目的として設置されたものですが、平成 20 5 月から平成 22 3 月まで 23 回開催されたものです。検討委員会の成果としては、本日は資料から省略いたしましたが、平成 21 4 30 日に第一次提言が公表され、その 1 年後の平成 22 4 28 日に参考資料 1-2 に当たる最終提言が公表されました。委員の一覧については、参考資料 1-2 10 11 ページにあります。本日、御欠席の山口構成員もメンバーに入っておられました。最終提言の中で、データベースについては、項目「第 4 薬害防止のための医薬品行政等の見直し」の「 (4) 市販後の安全対策等」の「2得られた情報の評価」の項で述べられています。

 スライド 5 を御覧ください。参考資料 1-2 57 ページの「電子レセプト等のデータベースの活用」の項にあるように、「諸外国の活用状況等を調査の上、薬害発生防止に真に役立つものとなるよう、行政においても、個人情報の保護等に配慮しながら、電子レセプト等のデータベースを活用し、副作用等の発生に関しての医薬品使用者母数の把握や投薬情報と疾病発生情報の双方を含む頻度情報や、安全対策措置の効果の評価のための情報基盤の整備を進めるべきである。」

2 点目です。「このような膨大で多様な安全性情報を医学・薬学・薬剤疫学・生物統計学・情報工学等の専門家が効率的・効果的に活用できるよう、組織・体制の強化を図るとともに、電子レセプト等のデータベースから得られた情報を活用し、薬剤疫学的な評価基盤を整備することが必要である。」という提言がなされています。これは平成 21 年の第一次提言、平成 22 年の最終提言とも同じ内容となっています。

 スライド 6 を御覧ください。先の検討委員会における一次提言を受けて、「医薬品の安全対策における医療関係データベースの活用方策に関する懇談会」が設置されました。この懇談会の提言である参考資料 2 「電子化された医療情報データベースの活用による医薬品等の安全・安心に関する提言 ( 日本のセンチネル・プロジェクト ) 」が本事業のもう一つの発端となっています。この懇談会では、先の提言等を踏まえて、医療情報データベースの安全対策への活用方策等について、提言を取りまとめることを目的として設置されたもので、平成 21 8 月から平成 22 7 月まで 8 回開催されたものです。

 スライド 7 を御覧ください。懇談会で取りまとめられた提言のポイントです。先の提言や政府の IT 戦略における検討状況、社会的状況等を鑑みながら検討を重ね、提言が取りまとめられました。こちらの構成員の一覧については、参考資料 2-2 4 ページにあります。永井先生が座長として、山本先生が副座長として、また、構成員として、川上先生にも御協力いただいていたものです。

 スライド 8 を御覧ください。参考資料 2-2 の提言の 19 ページにあるように、「平成 25 年までの概ね 3 年以内を目標として、薬剤疫学等の研究を実施するため、大学病院等の医療機関等においてデータベース拠点を国内に数箇所構築する。」また、「その拠点を中心として、医薬品等の規制当局、医薬品等の安全に関する研究者 ( 医療従事者、研究者等 ) が情報提供者等の協力を得つつ、薬剤疫学等の手法を活用してデータを解析し、医薬品等に関わる疫学的な研究が国内で推進できるような体制を整備すべきである。」という提言がなされています。

 スライド 9 を御覧ください。参考資料 2-2 の提言の 8 ページにあるように、「新たなデータベースにおける利活用可能なデータ規模の目標」として、米国における状況や 1 万分の 1 程度の頻度で発生する重大なリスクの検出などの安全対策上の課題を踏まえて、「医薬品等の安全性について必要な分析を行うためにはある程度のデータ量が必要となることから、まずは、 5 年間で 1,000 万人規模を目指すことが必要であると考えられる。」と提言されています。

 スライド 10 を御覧ください。「医薬品等の安全対策に利活用が可能な情報ソースとしては、病院での医療情報 ( カルテ、検査、オーダリング ) やレセプトの医薬品使用情報のデータ等が必要」とされており、本事業もこれに沿った計画として開始されています。また、後ほど議論いただく事項にも関係しますが、「データベースを構築する病院の受診圏などを勘案した周辺地域における医療機関等との医療情報と連結することも目指す必要がある」ことも指摘されています。

 スライド 11 を御覧ください。厚生労働省としては、これまでの 2 つの提言を踏まえて、平成 23 年度より本事業を開始することといたしました。本事業の協力医療機関については、参考資料 3-1 の実施要綱や参考資料 3-2 に基づき、平成 23 3 月から 4 月に募集を行いました。

 スライド 12 を御覧ください。平成 23 5 26 日に、外部専門家及び有識者による厳正な審査の結果、本事業の拠点となる協力医療機関として、次のスライド 13 に示す 10 医療機関が選定されました。また、本事業が効率的かつ迅速に実施できるよう PMDA 、協力医療機関等による会議体を設置することとし、スライド 14 に示すように、協力医療機関ワーキンググループを設置して、検討を行っています。

 スライド 14 を御覧ください。協力医療機関ワーキンググループは平成 23 6 月以降、非公開のものですが、これまでに 11 回開催しており、大江先生を中心に平成 23 年当初はシステム等の要件の検討、その後、利活用要綱や倫理上の取扱いなど、利活用のルールについて御検討いただきました。ワーキンググループで合意が得られたことを受けて、平成 25 4 月に推進検討会を新たに立ち上げ、公開の形で 3 回開催しました。こちらも大江先生のほか、秋山先生や三師会の先生方に御尽力いただき、参考資料 6 のとおり、本事業の試行期間における医療情報の利活用要綱と倫理上の取扱いについて取りまとめられました。今後、試行期間においては、このルールに基づいて利活用されることとなっています。

 スライド 15 を御覧ください。本検討会の設置の背景の 1 つとして、参考資料 4 としてお配りした、 6 14 日に閣議決定された日本再興戦略があります。

 スライド 16 を御覧ください。日本再興戦略の中で、本事業のデータベースに関して、「データ収集の拠点となる病院の拡充や地域連携の推進を図ることにより、利活用できる十分な情報を確保し、医薬品の有効性・安全性評価や健康寿命の延伸につなげる」とされています。また、本日の参考資料にはありませんが、世界最先端 IT 国家創造宣言においても、「医療情報データベースを活用した医薬品等の安全対策に関する取組を推進できるようにするなど」として、データの活用推進が求められています。

 スライド 17 を御覧ください。日本再興戦略で推進を求められている一方で、本事業について 6 21 日に行われた、厚生労働省内に設置された行政改革推進室にて実施されました行政事業レビュー公開プロセスの対象事業となりました。

 スライド 18 を御覧ください。行政事業レビューの外部有識者のコメント結果として、参考資料 5-5 のとおり、事業全体の抜本的改善との厳しい御評価を受けています。取りまとめのコメントの概要のとおり、「データベースの規模や達成時期等の検証・明確化、手法の再検討、費用負担の在り方の検証を念頭に更なる見直しを行い、概算要求へ適切に反映させることが必要」との御指摘がありました。個別のコメントの内容については、後ほど資料 3 で御説明いたしますが、それらの課題等についても有識者の先生方に御検討、御提言いただきたく、本検討会の設置に至っております。

 スライド 19 を御覧ください。本検討会の開催要綱に示すとおり、目的として、「本事業における進捗や状況の変化に伴い対応が必要となる各種の課題を改めて整理し、今後の本事業のあり方について検討し、今後の政策に反映する」ことを目的とし、本事業のあり方、協力医療機関、連携医療機関の拡充等のあり方などについて、御検討をお願いいたします。具体的な検討課題については、後ほど資料 3 で説明いたします。最後に構成員としては、スライド 20 のとおりとなっています。

 冒頭の説明で、設置の背景となった検討委員会や懇談会、協力医療機関の選定委員会、ワーキンググループ、推進検討会のほか、行政事業レビュー等で御協力いただいた先生方に本検討会の御参画をお願いし、今後のあり方について改めて御検討いただければと考えております。よろしくお願いいたします。資料については以上です。

○永井座長 ただ今の御説明について、御質問等ございますでしょうか。細かい点は、この後の議題として、本事業の現状、行政事業レビューにおける指摘内容について御説明いただくことになっておりますので、全体的な事項で、御質問、御意見がありましたら。石川構成員、どうぞ。

○石川構成員 冒頭に事務局にお聞きしたいことがあります。今回、これはデータベースの基盤整備事業のあり方ということで検討していくわけです。明日はレセプトデータのナショナルデータベースの検討会もあるのですが、基本的には私も 4 年間ぐらい、医療情報についてずっと議論してきたわけです。途中には、こういう機微性のある医療情報の取扱いについて、日本の個人情報保護は十分ではないという議論があり、そういったところでは、個人情報保護についての個別法という検討も途中までやられていたと思うのですね。私たちは安全にこういうものを、非常に機微性の高いものですし、セキュリティ高く扱うということについて、やはりそういった法整備が十分裏側でされるかどうかは大変重要な問題だと思うのです。そういう点で、こうやってこの議論をする途中に、同時進行的にでも、国民のいろいろなプライバシーだとか、個人情報を守る権利だとか、そういったものを法的に守っていただけるような法整備も、厚労の側だとか、そういう所でやっていただかないと、これは大変片手落ちになるのではないかと。システムだけどんどんやって、情報を第三者的に利用するとかいうことばかり、そのシステムだけをやっていてはいけないと考えているわけですね。ですから、その辺の見通しについて、まず最初に御発言いただきたいと思うのです。

○安全使用推進室長 構成員に御指摘いただいたことは、正にそのとおりかと思います。私たちもそのようなことをしている部局のほうに、今日このようなコメントがあったということはお伝えしていきたいと思います。まだちょっと具体的な見通しとか、そのような細かい内容を把握してないものですから、お答えが難しいかと思っております。

○石川構成員 それでは、私たちも前向きにデータベースの整備とか、そういうものを利用できるように検討しているわけですから、同時に、そういう作業をやっていただかないと、国民に対しての責任がやはり貫徹できないと思っているのですね。ですから、厚労省を挙げて、そちらのほうも整備することを努力していただきたいと、強い要望です。

○安全使用推進室長 ありがとうございました。

○永井座長 個人情報保護のあり方については、後ほど御議論いただきたいと思いますが、ほかにいかがでしょうか。

○川上構成員 川上と申します。今の御説明の最後のところで、行政事業レビューで大変厳しい評価を頂いたとありました。今回の基盤整備事業以外の他の事業も、恐らく行政事業レビューに掛かっていると思うのですが、全体の中でも、この事業だけが著しく厳しい評価を得たのか、それとも、ある程度、事業全般が厳しく見られている中の 1 つであったのか。全体の相対的な評価の位置付けも伺わせていただければと思うのですが、いかがでしょうか。

○安全使用推進室長 ちょっとこれは詳細に分析したものではないので、多分印象としての御回答になるかと思います。この事業だけ特別に厳しく言われたということはなくて、恐らく他の事業でもそれなりに御評価をされているのではないかとは思っております。

○川上構成員 ありがとうございます。

○永井座長 よろしいでしょうか。

○赤沢構成員 明治薬科大学の赤沢と申します。先ほどの石川先生からのお話もあったのですが、やはりこのデータベースをうまく活用していくことを疫学の観点から考えると、いろいろなリンケージという話が必ず出てくると思うのです。現在では有効活用しようといった中で、いや、データベースは今、法的にくっ付けることができないのだよということで話が終わっていて、そこから先に何も進まない状況でいつも終わるのです。できましたら、こういうデータベースをきちんと使っていくためにはどうしたら一番いいかということも併せて、是非。この中で決められることではないと思いますが、法整備という意味では、そちらのほうもできれば考えていただけたらうれしいと思っています。

○安全使用推進室長 御要望として承りたいと思います。この問題自体は、実は医療情報に限らず、恐らくいろいろな ICT IT の技術を活用した解析の中で、個人情報をどう守りつつ、いろいろな研究とか有益な情報を出していくかというような議論が、もう少し上の国家レベルでも話し合われたりしているところもございますので、そのようなことも含めて対応させていただきたいと思っています。

○永井座長 よろしいでしょうか。よろしければ、議事 4 の議題に入りたいと思います。議題の( 1 )医療情報データベース基盤整備事業の現状と今後のあり方について、です。前半と後半に分けて、最初に本事業の現状について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料 2 をお手元に御用意ください。医療情報データベース基盤整備事業の概要について、説明申し上げます。

 スライド 2 を御覧ください。経緯については、先ほど申し上げたとおり、 2 つの提言を踏まえて平成 23 年度より本事業を開始いたしました。

 スライド 3 は、大規模医療情報データベースの必要性を示した資料です。現在は、医薬品等の副作用情報の収集は、主に薬事法に基づく副作用報告制度にのっとり行われております。本報告に基づき、医薬品等の安全対策を実施していますが、副作用報告には一定の限界があることも知られています。例えば、医薬品の投与人数、すなわち母集団を把握できない、他剤との副作用発生頻度の比較や、安全対策措置前後での副作用発生頻度の比較等ができない、原疾患による症状と副作用の鑑別が難しい、医療関係者が報告しなければ、副作用の存在が分からない等の限界があります。もちろんこれらの限界はあっても、副作用報告制度は非常に重要な情報であり、現在はこれに基づき安全対策を実施しているのですが、今後、副作用報告制度に加え、医療情報を利活用することにより、母集団が明らかな集団における副作用発生頻度の調査や、医薬品が投与されていない患者との比較、また、安全対策の措置の前後の比較などを行い、定量的な情報を基に安全対策につなげる方策を実施したいと考えております。

 スライド 4 を御覧ください。米国・欧州等では、既に 1,000 万人から数千万人規模のデータベースが存在し、医薬品の安全対策に積極的に利用されております。例として、こちらには 3 つ挙げておりますが、このようなことが欧米では実施されております。日本でも、諸外国に匹敵する定量的な安全性評価を行い、日本人患者の安全性を確保するためには数百万から 1,000 万人規模のデータベースが必要と考えました。

 スライド 5 を御覧ください。そこで厚生労働省としては、医療情報データベース基盤整備事業を開始いたしました。この事業は、医療情報データベースを活用した薬剤疫学的手法による医薬品等の安全対策等を推進するための基盤を整備することを目的としており、 1,000 万人規模のデータを収集するための医療情報データベースを拠点となる医療機関に構築するとともに、 PMDA に情報分析システムを構築するものです。また、将来的には医薬品等の製造販売業者による市販後調査等のためのデータベースの利活用や、薬剤疫学の研究者の利活用による安全対策への寄与等も想定しております。

 本事業で期待される成果としては、先ほどのスライド 3 で示したような比較・検証など、「医薬品等の迅速で的確な安全対策の実施」を期待しております。また、本事業の予算については国が 50 %、 PMDA 50 %それぞれ出しておりますが、 PMDA 50 %は製薬企業からの安全対策拠出金となっております。平成 23 年度から平成 25 年度の予算額については、右上に示したとおりです。

 スライド 6 は、本事業の計画についてです。平成 23 年度に、スライド 7 に示しております 10 の協力医療機関を選定したことは、先に申し上げたとおりです。その後、東京大学において医療機関側システムを開発するとともに、 PMDA において分析システムを開発しました。それと並行して 10 拠点の医療機関内のコードのマッピング、すなわち医療機関内のコードと標準コードのひも付けを実施しました。

 その後、スライド 8 に示すように、平成 24 年度より 6 拠点、平成 25 年度に 3 拠点に、順次、医療機関側システムを構築し、それと並行して、それまでに構築したシステムの一部改修を行っております。東京大学に構築したシステムについては、データの蓄積が黄色の矢印で示したように始まっております。現在は、システムのテストを行っているところで、今後、試行利用を始める予定です。また、並行して分析手法のガイドライン策定のためのバリデーション事業を開始しております。平成 27 年度までの試行期間の後、平成 28 年度からはシステムの本格運用に進んでまいりたいと考えております。

 スライド 8 は、協力医療機関のうちグループ病院についても構築先の病院を示しております。赤字で示した導入予定の 3 拠点も含め、合計 23 病院に順次導入を進めているところです。

 スライド 9 は、本事業で構築する医療情報データベースと利活用の概略です。上半分の緑色の枠内に示す協力医療機関内に存在する電子カルテや DPC 、レセプト等のデータから、傷病、処方、検査情報を協力医療機関内に設置するデータベースに収集します。データベースの利活用者である PMDA のデータ分析部門、将来的には製薬企業や研究者等も含まれることを想定しておりますが、これらの利活用者は、まず利用目的等を記載した利活用計画を PMDA の管理部門に提出いたします。原則として、 PMDA は有識者会議の合議による意見を求め、その後、利活用が承認された場合には、実際に医療機関のデータベースを用いて、データを利活用することになります。アウトプットとしては、左下にあるように医薬品のリスク・ベネフィットの迅速な評価を考えております。

 スライド 10 は、本事業で構築する医療情報データベースの基本構成を示したものです。スライドの上半分の協力医療機関の病院 A を例に説明いたします。まず、病院の電子カルテ等、病院情報システムからデータを標準化した上で、 SS-MIX2 標準化ストレージ等にデータを集積します。これをデータ検索に適した形に変換し、右側の統合データソースに集積します。 PMDA 等の利活用者は、抽出条件を集合したものなどをスプリクトという形でまとめ、それを医療機関に送付します。医療機関はそれを確認の上、実行しますと、利活用者が必要なデータが統合データソースから抽出されます。抽出後のデータは、右側にある抽出後個票 (ID なし ) となります。そして医療機関内で統計処理をし、集計結果データを作成します。医療機関からは、複数施設統合データ処理センター、以後「センター」と申しますが、こちらの分析システムを構築したセンターにデータを格納します。その際、緑色で示した集計結果データと、利用目的等に応じ青色で示した抽出後個票などから成る分析用データセットの 2 種類のデータが、センターに格納されます。なお、分析用データセットの格納に当たっては、あらかじめ PMDA と医療機関相互の合意を取ることとしております。センターにおいては、複数施設統合処理システムを用い、 10 協力医療機関のデータを統合分析し、分析結果たる統計情報を得ます。最後に、統計情報を PMDA 等の利活用者が手元にダウンロードするようになっております。

 スライド 11 は、本事業における基本情報の流れに特化した図です。一番左側に示す、医療機関が固有に保有する病院情報システムには、当然ながら実名でデータが入っております。これを標準化した上で、データベース用標準化ストレージに集積するのですが、この際は実患者 ID 、氏名、住所、郵便番号、生年月日を有する状態で集積されます。

 続いて、これをデータ検索に適した形に変換し、統合データソースに集積するに当たっては、実患者 ID については一方向関数で変換し、新たな ID を付番します。また、氏名、住所はこの段階で削除いたします。なお、本事業で構築する医療情報データベースは、医療機関自らが統計処理等に使用することもできるようになっており、その場合の利用想定範囲は青い枠で示しております。

 次に、一番右側に示す、 PMDA 等の利活用者が利活用する場合について説明いたします。利活用者は、統合データソースに集積されたデータについて、医療機関に対し抽出依頼を行います。医療機関は、依頼された抽出処理を実施し、抽出後個票 ID を作成いたします。右下の枠内に示すように、利活用者が取り扱える情報においては、統合データベースにある実患者 ID を変換し新たに付与された ID は削除され、シーケンス番号として新たに付与します。郵便番号については抽出対象とならないようにシステムを設計しております。また、生年月日等の日付情報は、同一患者の情報を一括して乱数で一定の日数の範囲内で前後させ、元の日付が分からなくなるように加工いたします。この際、処方、副作用発生日等のイベント情報の前後関係を維持するため、全ての情報を一括して同一日数ずらします。 更に、抽出前後の情報の対応表については、作成いたしません。ここで赤枠で囲んでいる部分が、閉じたネットワークを形成していることを示しております。つまり、本事業で構築されたネットワークは、利活用者と組織のネットワークとはつながらないものとなっております。利活用者はセンターでの利活用の終了後、解析結果をセンター接続用の専用端末を介してダウンロードいたします。ここまでが本事業における情報の流れとなっております。

 スライド 12 は、システムの導入状況などの概要です。東大へのデータベース設置及び PMDA の分析システムは導入済み、 6 拠点はシステム導入作業中で、順次システムのテストを開始しているところです。 3 拠点については、調達等の都合で着手が少し遅くなっておりますが、平成 25 年度中の導入完了を目途に準備中です。

対象となるデータ蓄積期間については計画では、過去データについては一部の施設を除き、基本的に平成 21 1 月からのデータを対象に移行する予定です。また、各施設において、システム導入・運用後から新規データの蓄積が開始されます。

実際のデータの集積状況としては、先行して導入した東大については、過去データは移行を完了し、現在、リアルタイムに病院情報システムと連携中です。 6 拠点は、過去データ移行作業に着手されており、現在データの整備中です。 3 拠点は、病院情報システムを改修中でありまして、準備中の段階です。このように導入作業が現在進行中でもあり、実数が確認できておりませんが、ちょっとさかのぼる情報ですが、 10 拠点選定時点の患者データの集積見込みとしては、 5 年間で 300 万人程度としておりました。

 続いて、スライド 13 を御覧ください。先に申しました協力医療機関ワーキンググループについては、これまでに 11 回開催し、今後も引き続き必要に応じ開催していく予定です。推進検討会において取りまとめられました試行期間の利活用要綱と倫理上の取扱いを受けて、 PMDA における利活用に関する有識者会議の設置等により、試行期間における利活用の申し出の審査等のための体制が現在整備されております。また、バリデーション事業については、各医療機関においてそれぞれ 2 年間実施する予定です。

 最後に、スライド 14 を御覧ください。本事業の今後についてです。データ特性の把握、医療機関の協力を得てバリテーション事業の実施、分析手法ガイドラインの作成、利活用の試行、更に本検討会の議論にも関わりますが、協力医療機関の今後の拡大や、データベースの改修に向けた検討、また、試行期間終了後、すなわち平成 28 年度以降の利活用の枠組みなどの検討を考えております。資料 2 については、以上です。

○永井座長 これまでの御説明について、御質問、御意見はいかがでしょうか。事務局からどうぞ。

○安全使用推進室長  1 点だけ補足させていただきたいと思います。スライド 10 ですが、この医療情報データベースの基本構成のところで、集計用データセットの緑のものと、分析用データセットの青のもの、これが使い方によって 2 種類出ますが、これが毎回 2 種類発生するということではなく、その目的ごとに青のものが出る場合と緑のものが出る場合とあって、これは審査結果等の状況に応じて対応させていただく予定で考えております。

○永井座長 大江先生、もう東京大学では動き始めているということですが、状況を御説明いただけますか。

○大江構成員 まだ過去データの蓄積が終わって、リアルタイムのデータが追加されている状況ですので、 5 年間分たまっているわけではないのですが、平成 21 1 月から 3 年と 11 か月後ぐらい、現在たまっている状況です。今年の夏の時点で、およそ 26 万件位の異なる患者のデータが構築されています。現在、バリデーション事業といいまして、幾つかの課題について、データ抽出をして、その件数とか、あるいは抽出された結果が正しくというか、本来抽出されるべきものが抽出されているかというようなチェックを行っていると、そんな状況です。

○永井座長 それは、どういうアウトプットが出てくるかですね。ある薬を使っている方が、こういうレセプトデータが出てきた、そして恐らくこれは副作用であろうという推測をする、そういうデータでしょうか。

○大江構成員 まだそこまで具体的にいろいろな課題での抽出は行われていなくて、現在、データの検証段階です。

○永井座長 まずはつなぐということ、それからコード化あるいは匿名化の技術がきちんと動いているかどうか、そのような検証ですか。

○大江構成員 それもありますし、それから、このバリデーション事業というのは具体的には 1 つ例を挙げますと、急性膵炎の患者さんを抽出してカルテと比較したときに、きちんと全員本当に急性膵炎の患者かどうかとか、そういった辺りをチェックしています。それから、ある幾つかの医薬品を同時に投与しているデータを抽出したときに、それが実際に処方されていたかとか、その辺りの点検を今しているところです。そういう点検をしながら、幾つか同時に並行して、病院の既存のデータベースを使った抽出と、今回の医療情報データベース基盤整備事業で構築したデータベースの抽出とで、どういう差があるかというような、詳細なチェックを今している段階にあります。

○永井座長 いかがでしょうか。

○石川構成員 以前の会議の確認になるかもしれないのですが、 11 番目のスライドですね。これは連結可能匿名化と、連結不可能匿名化というのがありまして、この連結不可能匿名化が、その利活用者の取扱い情報だというふうになっているのですが、例えば経年的に、やはりデータを見たいということが、必ずこの副作用という点で考えても、数年後、 5 年とか 10 年とか、そういう長いスパンで出てきたときに、この新しい研究として、もう 1 回その医療機関のほうにデータ提出を求めてやるということになるわけですね、連結不可能ですから。

○安全使用推進室長  1 1 回のデータをつないで解析できませんので、経年的に見たい場合には、もう 1 回、同じ対象の範囲の方を選ぶようなスクリプトを投げていただいて、見ていただくことになるのかなと思います。

○石川構成員 新たな研究として、もう 1 回申請し直すということですね。

○安全使用推進室長 はい、そうなるかと思います。

○石川構成員 分かりました。もう 1 つよろしいでしょうか。もう 1 つは、この 11 枚目のスライドで、青の枠内の医療機関の利用できるものというのはございますね、この範囲。この範囲は、この自院だけ、例えば東大病院だったら東大病院だけということの認識でよろしいですね。

○安全使用推進室長 私たちはそのように認識しております。

○石川構成員 ちょっと違う論議がありまして、研究機関であれば、結構タイアップして、これを相互に使えるという議論も若干あったので、一応確認しました。自院だけということでいいですね。

○安全使用推進室長 また、そういう形での使い方をする場合には、当事者の医療機関同士できちんとお話し合いいただくとか、その病院を受診されている患者さんにきちんと了解を取ってやっていただくとか。多分このデータベース事業の枠組みとはちょっと違う形で、そもそもその病院で保有する医療情報をどう扱うかということで、医療機関同士でのやり取りと、対外的な了解の下になされるものだと思います。私たちがこの医療情報データベースの中でやっている範囲で想定しているものは、自院の医療機関の範囲内だけだと認識しております。

○石川構成員 ちょっと待ってください。今のお話の中で、例えば、これだともうシステムができている東京大学と東北大学が相談して、それで新たにまた患者さんの了解を得ればということですか。

○安全使用推進室長 当然その医療機関同士での研究の際にも、恐らくそういう基本的な、何というのでしょう、自由にその病院のデータを他機関とやりとりしていいということまでは、患者さんの同意は取れてないのかなと思いますので、行う場合には患者さんの同意、若しくはそこのところをどうするのかというのは、ちょっと私も、この事業の難しいところもあるのかもしれませんが、やはりきちんとデータの持ち主の方の御了解、御本人といいますか、患者さんというか、そこの御了解が何らかの形で取られるべきなのだろうというふうには思っています。

○石川構成員 分かりました。これは大江先生が座長の推進検討会のときに、ちょっと議論した話でして、やはり患者さんには、医療機関に掛かったときに、これは PMDA とかそういった所で再利用するようなことになるかもしれないということを、きちんと了承を得るということですね。この青いところは連結可能匿名化ですから、要するにこれは個人情報の扱いとしてはきちんとしなければいけないので、他院に出すときには、他院にも出すよと、あるいはグループ内でそういうやり取りをするよという、了承が必ず必要だと思います。例えば受付のところに、ここで掛かった患者さんのデータは、集積されてこのデータベースの基盤整備事業に使われますというようなことは明示するのだと思うのですが、それを再利用する場合には、連結不可能匿名化するのだけれども、連結可能匿名化では、必ずグループの中でやることを明示した上ででないと使えないというルールだと確認してよろしいですね。

○永井座長 同意の取り方の問題だと思うのです。東大病院の場合、今どうしているのでしょうか。

○大江構成員 この青の範囲は、自分の医療機関のデータを、この医療機関に所属する者が使うという範囲に限られていると思います。もちろん複数の大学の研究グループで解析するという場合は、この青の範囲のものを皆で集めて解析するというのではなく、それぞれの大学病院が自分の所のこの青の部分を解析して、この右にある集計結果のようなものにした上で、それを持ち寄って、多施設研究とするというスタイルになると思います。

○永井座長 そういうことでよろしいでしょうか。それでは後半の部分についての説明をお願いしたいと思います。本検討会の本題であります、本事業の今後のあり方についてです。よろしくお願いいたします。

○事務局 資料 3 は、本検討会における今後の議論のたたき台としていただくべく検討課題の案として提示するものです。

スライド 2 です。先に申しましたとおり、日本再興戦略で求められている病院の拡充や地域連携とともに、行政事業レビュー ( 公開プロセス ) での御意見などを踏まえて、まず、本事業の見直しとして、本事業の実施・継続も含め、皆様に御評価いただきたいと考えております。

 スライド 3 です。見直しに当たって抽出される課題としては、本事業のあり方はもちろんのこと、例えば、データベースの規模やデータの代表性、拠点病院の拡充のあり方などがあります。その下に本検討会における目標を事務局案として提示しておりますが、今後、数回に分けて、皆様にいろいろと意見交換、検討を行っていただいて、課題の整理、課題解決の方向性を示していただきたく存じます。それに基づくロードマップを作成し、今後の政策へ反映していきたいと考えております。次のスライド以降に、各課題についてブレークダウンしてお示ししております。

スライド 4 、本事業のあり方についてです。上段の枠内には、参考資料 5-5 の行政事業レビュー ( 公開プロセス ) における外部有識者のコメントの中から、本事業のあり方に関するものを抜き出したもので、以降のスライドについてもコメントの内容により、課題ごとに分けてお示ししております。本事業のあり方に関しては、「そもそもナショナルレセプトデータの構築が狙いであったならば原点に立ち戻るべき」とか、 4 点目になりますが、「大学病院のデータだけでレセプトと連携していない状態では効果がないこと、なかでも東大のような特殊な大学病院から始めることは最も効果がないこと、データ数もせいぜい数百万人分しか集まらず、今後幾らかければ実効性が得られるかも不明であることなどから、廃止すべき」といった御意見がありました。

 これに関して、その下の左側に示すように、現状としては先ほど赤沢構成員からの御指摘もありましたが、他のデータベースとの連結については、技術的にも環境的にも、また本事業のシステムも現在、仕様を変更して改修を行うことは、現状、財源的にも困難と考えております。保険局にて構築しておりますナショナルレセプトデータに関する御指摘もありましたが、匿名化の処理がされていることから、現状は連結はできないものと考えております。

 このような状況を踏まえて、右側に今後の議論のたたき台として、検討課題の例示をしております。例えばデータベース間の連結については、社会的合意形成などの環境整備が必要ではないか。また、将来的には連結ができる状況を想定した場合に、技術的な課題やそれに係るシステム改修のための財源など、運用上の課題についても考えておく必要があるかと存じます。

 以上のように、現状を把握して、本事業として取り組むべき課題を整理していただいたので、本検討会における目標として、本事業の継続性、他のデータベースの連結やシステムの統合の実効性などについて分析・考察していただき、それを取りまとめていただきたいと考えております。

 スライド 5 、データベースの必要な規模についてです。行政事業レビューでは、「 1,000 万人達成に向けたシステム構築、試行の全体像、 1,000 万人を必要とする理由が明確でない」といった御意見がありました。

現状としては、先に申しましたように、 1,000 万人規模の目標設定としては、日本のセンチネル・プロジェクトの最終提言で、「まずは 5 年で 1,000 万人規模のデータベースを目指すことが必要」とされたことを受けて、事業を開始した経緯があります。しかし、 10 拠点選定時点の試算としては、 5 年間で約 300 万人程度の患者データが集積見込みという状況です。ただ、現状、システムの導入が進行中であることから、すぐに実数、患者数を出すことができないという状況にあります。

必要なデータ規模について検討するに当たっては、施設数、導入後の新規データ蓄積期間や移行対象とする過去データの期間等、一定の仮定をして、それに基づき協力医療機関などの御協力を得て、実態に沿うような試算も必要かと考えております。仮に集積する期間を長くするとした場合、医療情報の保存期間の問題とか、そもそもデータベースの仕様上、どの程度の年数・患者数を想定して設計・構築しているか等の制約条件についても、併せて考える必要があるかと思います。また、本事業の目的である安全対策等への利用可能性については、例えば 1,000 万人規模、あるいは 300 万人規模のデータベースの活用により、それぞれ検証可能なこと、できないことなど、これに関しては行政事業レビューの際の事務局の説明では十分に伝わらなかった点もあるかと思いますので、これについては疫学や統計の専門家の先生方に説得力のある説明をお願いできればと考えております。それらを受けて、最終的に医療情報データベースとして必要な規模について、その根拠とともに御提示いただければと考えております。

 スライド 6 、データの代表性 ( 一般化可能性 ) の課題についてです。行政事業レビューでは、「データベース化の必要性は分かるが、今の 10 病院が目的と合わせて適切であるのかどうかが明確でない」「拠点病院が代表的サンプルを提供するとは思えない」といった御意見がありました。

本事業の公募の際の選定基準は、参考資料 3-2 にありますが、病院の規模や医療情報の保有実績、電子化の状況、疫学研究の状況、システム開発・維持への協力、地域の拡大といった点について評価対象となりました。公募の結果としては、募集に対して申請については 20 者ありまして、選定委員会の予備審査の結果 14 者に絞られて、その審査の結果 10 病院が選定され、事業が開始しております。

調査の目的等によっては、データの代表性が必要か否かという議論もあろうかと思いますが、現状の考察として、御指摘のあったような大学病院等を受診する患者背景や調査研究における限界等は何か、また、それらを踏まえて、データの規模、代表性の確保策について御検討いただき、最終的な目標としては、拡充が必要と考えられる場合、そのあり方の提言、本事業の趣旨に合致した医療機関の選定基準を御提示いただければと考えております。

 スライド 7 、地域連携のあり方についてです。行政事業レビューでは、「保険者からレセプトデータを収集し、特定個人が複数の医療機関で受診した結果を追いかけられるようにするべきではないか」とか、「事業の目的の重要性は理解できるが、拠点病院単位ではなく、診療所による投薬状況も含めた個人ベースのデータを収集できるシステムに再構築する必要がある」といった御意見がありました。

本事業の現状としては、 10 の協力医療機関内においては、レセプトデータも含めデータベース化をしております。しかし、データの利活用に際しては、先ほどの資料 2 のスライド 11 で説明したとおり、利活用できるデータは連結不可能匿名化しており、別の情報源のデータと連結して患者単位で追跡することはできないという現状があります。

 このようなことを踏まえて、地域連携のあり方や技術的・倫理的な課題の検討、実証的な調査研究の必要性などについて御検討いただき、また他の地域連携事業の状況といった情報の整理などの上、本検討会において地域連携のあり方の提言、協力医療機関の候補の選定基準などについて、御提言いただければと考えております。

 スライド 8 、本事業に参加する協力医療機関のメリット等についてです。行政事業レビューでは、「どのような意義が医療機関にあるのか。データの活用について、もっと明確な方向性を打ち出しておくべきではないか」とか、「協力機関の拡充のための具体策を更に検討する必要がある。例えば協力するインセンティブを与えたり、公募要件の見直しなど」といった御意見がありました。

現状で考えられる協力医療機関のメリットとしては、自施設データの解析に加え、統合データの解析が可能です。ただし、統合データの解析には利活用に関する有識者会議による審査等の手続は必要となっております。逆に、協力医療機関の負担としては、参考資料 3-3 の本事業の実施要領に従って、施設内の設備維持費、設置のスペース、電源・電気代等の環境整備に係る経費は、現在は各施設に御負担いただいている状況です。

 このような現状を踏まえて、試行期間における利活用の環境整備や利用価値の向上、また PMDA ・医療機関の人材も含めたリソース確保、システムの維持・管理費等に係る負担軽減策の検討も含めて、医療機関のメリット・インセンティブについて御提言いただければと考えております。

 スライド 9 、データベースの活用 ( 試行 ) による実績の提示についてです。現状については、先ほど申し上げましたように、システムの導入や過去データ移行の作業が進行中のため、すぐに具体的な結果をお示しできないところが苦しいところなのですが、推進検討会にて取りまとめられた利活用要綱に基づき、今後は利活用の申し出を PMDA に設置された有識者会議で承認されれば、利活用が行われるという体制が整備されております。試行期間における利活用の具体的な事例の提示により、安全対策に活用する意義・メリットを医療機関だけではなく、広く一般にも示していくことが重要と考えております。現状は、拠点医療機関と厚生労働省、 PMDA に限られますが、それらの試行状況を踏まえて試行期間終了後における利活用の枠組みの検討として、製造販売業者などを含めた利活用のあり方など、その方向性についても本検討会において御提言いただければと考えております。

 スライド 10 、本事業の運営等のあり方についてです。行政事業レビューでは、「費用は利用者負担で考えるべき」とか、「製薬メーカーの自己負担の余地もあり、国費投入ありきというのは疑問」「民間資金 ( 受益者負担 ) の導入も踏まえた国費の投入方法を検討すべき」といった御意見がありました。

平成 25 年度までに 10 拠点のデータベースシステムの構築はほぼ完了予定で、平成 26 年度以降は開発や導入のフェーズから運用に移りますので、平成 26 年度の概算要求としては 1.4 億円となっております。これは現時点では要求中ですので、御理解のほどお願いいたします。

 今後、事務局側の課題になるかとは思いますが、これらの実績も参考に、必要経費の概算として、事業の継続に係る経費や拡充に係る経費、 PMDA における運営費などの見積りも踏まえて、本検討会では費用負担のあり方として、国、 PMDA 、製薬企業、医療機関、受益者等の各者の負担など、体制整備も含めて御提言をお願いいたします。

 スライド 11 、その他として現状の課題、今後の課題について、そのほかにもいろいろ御意見がおありかと思います。それらを含めて御検討のほどよろしくお願いいたします。なお、検討の進め方やスケジュールについては、次の議題、資料 4 にて御確認いただきます。本日は第 1 回目ですので、総論的な御議論になるかと思いますが、今後、数回にわたりまして、各課題を深掘りしていく形で進めていただければと思います。また、検討材料として必要な事項などがありましたら、本日は難しいですが、次回以降の各論の際にはお示しできればと考えております。資料 3 については以上です。

○永井座長 非常に多くの課題がありますが、いかがでしょうか。どこからでも結構ですので、現状に対する評価と提言を御発言いただければと思います。次回以降もありますので、本日は総論的な御意見でも結構ですので、次回以降の議事に反映していきたいと思います。

○松村構成員 副作用の原因薬剤をセレクトするというのが 1 つ、この事業の目的になるのだろうと思うのですが、そのときに 2 つ要素があって、 1 つは副作用と思われるイベントを把握するということと、イベントがあったときの服用されている薬剤を把握するということ、 2 つ必要だと思うのです。恐らくイベントを把握するというのは、電子カルテ等のデータベースからある程度、把握できると思うのですが、そのときに服用している薬剤の把握といったときに、その患者がその医療機関だけを受診している場合であればいいのですが、ほかの医療機関も受診していると、結局そこの部分が見えなくなってしまって、データの信用性に制限が掛かってしまうのではないかということを少し懸念しますが、そういったことは議論されましたでしょうか。

○永井座長 いかがですか。

○安全使用推進室長 そのようなことも議論はありましたが、結局、今、現状できることとしては、その機関の情報をきちんと正確に把握していくということと、同じようなことはレビューの際にも御指摘を受けているわけです。そのようなこともありまして、今後、地域連携という、拠点病院を核として周りの診療所の受診状況などの情報なども活用できるような絵姿を考えていきたいと思っております。

○永井座長 恐らくこれは 100 %厳密なデータというよりも、まずはネットワークを作って、おおよそのところで網に掛けていく、数をたくさん集めることによって、細かい点の誤差は除いていこうという発想だと思うのです。ですから、 100 %正しいかと言われても、多分それは多くの間違いがあるので、それを踏まえた上で大量データ、 300 万とか 1,000 万という話が出ているという理解だと思いますけれども。

○石川構成員 今の松村構成員のお話ですが、 3 年半前に日本のセンチネル・プロジェクトの話があったときに、レセプトから薬害情報だとか、薬剤の副作用情報を捉えると、かなり一元的な言われ方をしていたので、私は一刀両断にそれは無理だということを言いました。しかし、今こうやって 10 医療機関の御協力で、 DPC データに近いような内容のもので、少しは前よりは副作用等の情報というか、そういうものは取れるのではないかと思っております。ですから、今、座長がおっしゃられましたように、限界性がありながらも、日本の中でデータ収集して、これはもちろん個人情報などといったことをきちんと守りながらということですが、そうすればそれなりに良いものができるのではないかということは期待されております。ですから、私はきちんとルールを作って、前に進めていきたいと考えております。

○松村構成員 そういうことから言うと、レセプトからというのは、なかなか難しい面もあるのではないかと思うのですが、少なくともレセプトには薬の情報が全部入っていますので、その患者が服用している全薬剤を網羅的につかまえるというデータソースとしては非常に適しているように私は感じていたもので、そのように発言させていただきました。

○石川構成員 レセプトは、いわゆる保険病名と、やった処置とか、薬剤はそのとおり書いてあると思います。しかし、細かな患者の症状などといったことについては、ほとんど分からないというのが現状ですので、私はそういった点で詳細にレセプトだけで取るのは無理だと思います。しかし、入院の DPC のファイルがあれば、一定は評価できるかと思います。

○大江構成員 この行政事業レビューでいろいろ指摘されたことの中には、もっともだなと思うところもある反面、やや理想を追求しすぎている指摘もあるのではないかと思ってお聞きしていました。例えば代表性、あるいは一般化可能性といった点に関して、大学病院、特に東大は、かなり特殊な病院なのでということが、しきりに強調されていますが、もちろんそういう面もあるのですが、一方で日本の大学病院にはごく普通の生活習慣病の患者も非常にたくさん通院されていて、その方々の治療方針は大学病院でない所での医療機関に掛かった生活習慣病の患者の治療方針と、それほど特殊な違いはないと。といいますのは、様々な診療ガイドラインが普及している中で、同様の医療を受けているということからすると、大学病院の 10 病院を集めることで、非常に大きな N が短期間で確保できるという意味では、私はスタートとしては間違ってはいないだろうと思っています。

 このデータベース、地域連携のあり方、あるいは今、松村先生が御指摘のように、確かに大学病院以外のほかの医療機関で検査を受けたり、あるいは副作用が発生したときにそちらにかかられたり、あるいは同時に別の医療機関でも別の病気でかかっていて、飲んでいる薬も確実に把握できるわけではないというのは事実だと思います。

 そういう点を考えると、例えばクラウドコンピューターのようなもの、クラウドセンターに全ての医療機関の匿名化したデータを集めて、そこにレセプトも全部集めて、一気に解析すれば、非常に効率の良い解析ができるのは確かに事実なのですが、今の個人情報保護、あるいは特に匿名化していても組み合わせることで、個人を特定できるリスクが一定程度あるこういう医療データで、それをしてしまっていいのかというと、そこはもっと慎重に考えないといけないという議論がこれまでにもあったわけです。そういう中で、現在のこの仕組みがまずはできていると私は理解していまして、レセプトのデータだけではなく、いわゆるオーダリングシステム、電子カルテの検査結果が入っているというのは非常に大きな意味があると思っています。これをいかにうまく使うかのほうが大事ではないかと。

 言い換えると、ある投薬を受けている患者に、ある副作用が起こったときに、もちろん副作用には例えば吐き気のような、カルテの文章からでしか捕捉できないものもありますが、一方で全身に発疹が出たとか、そういったことがあれば、それに関する何らかの診療を受けるだろう。そうすると、その受けた診療の行為がレセプトにも残りますし、何か検査を受ければ、検査異常は検査結果として現れてきます。そういうことをうまく組み合わせて、何とか捕捉できないだろうかというのが、この事業の特徴でもあると思いますし、一方でそれが、できたこのデータベースの活用の腕の見せどころでもあると思っています。ですから、先ほど石川先生がおっしゃったように、もちろん N も大きくしていかないといけないでしょうけれども、このデータベースの質をきちんと評価して、何ができるのかということ、得られるものをまず得ることが大事で、何もなければそれはできないわけです。そういう意味で、いろいろ御指摘はあるでしょうけれども、私はこの方針で進めていくというのを前提に、どう改善していけばいいのかという議論をこの検討会でしていくことが大事ではないかと、そのように思います。

○秋山構成員 拡充のあり方について、事務局の考え方を少しお伺いしたいのですが、日本再興戦略で拠点病院を増やせということが出てきているかと思うのです。推進検討会の際には、協力医療機関の 10 医療機関の中で試行してみて、そこで今、大江先生のお話にあったような、どのような結果が得られるのかという議論だったと思うのですが、拠点を増やす際に、今、各地で地域連携でデータベースといいますか、 SS-MIX2 を使ったストレージなども出ていますが、そういうものを利用していくようなことを考えられているのか、それともこの事業の中で拡充まで少し捉えられているのか。もう既に構築の時期を過ぎたので、持っておられる予算はグッと減ってきたと思うのですが、その辺りについてどのようにお考えなのか、教えていただけますでしょうか。

○安全使用推進室長 まず、現在の事業については、この事業の中でというのは、計画の範囲がもう決まっていますので、拡充は難しいと思いますが、拡充する場合には新たな枠組みとして、拡充に向けた予算の確保などといったことが必要になってくるのかとは思っています。

○秋山構成員 ありがとうございました。

○赤沢構成員  2 つほど確認させていただきたいのですが、 1 つは期間の問題で、これから新しくデータを蓄積していくので、当然 2 年とか、 5 年とか、 3 年というデータにはなると思うのですが、副作用の問題は結構長い間、多分 10 年とか、追いかけていかないと分からないものもたくさんあるのだろうなと認識していたのですが、先ほどの説明の中でデータの保存期間という話が出てきて、結局、医療機関では何年保存する義務があるという話になると、データベースとしては長く保存していただきたいのに、元となるデータがなくなってしまうという可能性があるとすると、データベースの有用性が結構大きく損なわれるのではないかと思ったので、その辺を議論するのかしないのかというのは確認したいということが 1 つです。

 もう 1 つは、いろいろな医療機関に入っていただいて、東京都内の問題と、地方の医療機関の中では、例えば東大病院ですと、いろいろな医療機関が周りにあるので、本当に大事なものは東大病院に行かれるかもしれないけれども、そうでないものはいろいろな所に行かれる可能性もある所と、地方の中核病院のように、どんな病気であってもそこに行かれるという話であると、議論する内容とか結構違うと思うのです。先ほどの話だと郵便番号がなくなるということで、どこの患者かというのは、基本的に今は分からないシステムではないかという懸念があります。

 どこであるかは別に構わないのですが、例えば医療圏の情報とか、ポピュレーションが何人の、どういう医療機関がある地域、そんなことを言うと分かってしまうかもしれないのですが、そのようなどこから来たデータベースで、どのように解釈したらいいのかということがある程度分かるようなことがあれば、多少今まで議論の中で出てきたような問題点を解決できるようになるのではないかとは思っているのですが、そういう可能性はこの中で議論していくのでしょうか。 2 つです。

○安全使用推進室長 御指摘いただいたような点も含めて、多分、今後のこの検討会の中で御議論いただきながら、今の拠点病院の全てに地域連携を広げていくというのは、その病院病院の特性がありますので、難しいのかとは思っております。ですので、御指摘がありましたように、例えば地域の中核病院みたいなもので、地域連携が取れるような病院とか、今後の拡充機関の中にそういった病院を入れたほうがいいのではないかとかいうことを、今回、検討していく中で。私たちとしては拡充の方向性を、まずきちんと有識者の先生方からの御意見を頂きたいと思っておりますので、それをベースに今後の事業の構築を組み立てていきたいというのが、今回この検討会を設置させていただいた背景の 1 つでもあります。そのようなことも含めて、今後、議論していきたいと考えております。

○赤沢構成員 ちなみに、別に医療機関の地域連携の話をしたわけではなくて、データが出たときにどういう医療圏、若しくはどういう状況のものかが分かるようなものなのかという話です。だから、ちょっと地域連携とは別の話ではあるのですけれども。

○安全使用推進室長 実情としては、データの基本的な取扱いについては、今回は基本的なルール自体は、推進検討会などで決めているルールでやっていきますので、恐らく中のつなぎ方みたいなものを変えるというのはちょっと難しいのかなとは思っております。

○冨山構成員 この事業の方向性について確認なのですが、最初の説明にもありましたように、いわゆる医薬品情報の部分を収集するデータベースを作るというのが基本で、今後それを利活用するという中で、地域連携のあり方が今回出てきました。地域連携というのは、ここにも書いてありますが、標準化の問題とか、簡単に行かない部分だと思うのです。協力医療機関をもっと充実させて増やして、データベースの部分を増やしていくことをメインにするのか、それとも地域連携も入れると、かなり難しい問題になるので、今後の方向性をどのように考えているのか、お教え下さい。

○安全使用推進室長 第一義的には、私たちはもともと日本のセンチネル・プロジェクトの御提言を受けた形で、それを実現したいと思っておりますので、 N 数の確保を主体的に考えておりますが、その過程で病院ごとに 1 1 個システムを置いていくというのもなかなか難しいことがありますので、できればある拠点病院にデータシステムは置かせていただくのですが、その周りの連携の情報も取れるような形も 1 つあると有り難いかなという点が 1 点です。あとは、いろいろ病院病院によってかかられている疾患、先ほど大江先生のほうから、必ずしも東大が特殊ということではないという御意見だったとは思いますが、ほかにもこういう病院が入ったほうが、より広い情報が取れるのではないかということがもしあれば、そういう病院を拡充する対象の病院の中に含めていくとか、そのような形で、トータルとして最終的な目標として、 1,000 万人を何かうまく集めるような絵姿が描けないかなと思っております。ですので、必ずしも地域連携にこだわっているということではないかなと。

○冨山構成員 例えば協力医療機関の 1 つに、モデル的にどこかでやってもらうとか、具体的にそういうことは考えていないということでよろしいのですか。

○安全使用推進室長 今回、協力医療機関で入っていただいている佐賀大学の病院で、少し地域連携を目指したような取組もなされているというようなことも聞いております。

○永井座長  SS-MIX を入れて、レセプトデータ、検査データをうまく共通、標準化するというのは、相当大変なことだと思うのですね。メンテナンスをするシステムエンジニアの人件費も大変です。いずれそういう方向には持っていくとしても、とりあえずはまずこの拠点でシステムを作るというところがゴールだったのではないのですか。将来の視野には入っていると思うのですけれども、現実にはなかなか診療所とつないでいくというのは難しいように思います。ただ、将来の電子カルテがそうした SS-MIX 対応のようになっていれば、また状況は違うのではないかと思うのですが、大江先生、そこはいかがですか。

○大江構成員 そのとおりだと思います。これは「地域連携」という言葉が、ちょっと誤解を招きやすい表現ではないのかなと思います。多分、指摘されていることは、電子カルテとか、そのレベルで地域の医療情報連携をすべきということではなくて、ほかの医療機関で投与されている投薬情報ぐらいはレセプトから取れるはずなので、同じ特定の個人がいろいろな所で受けた医療のレセプトは保険者に全部集まるわけだから、それを何とか利用するようなこのシステムとの連携の仕方はないのかと、そういうトーンで指摘されたのではないかと思います。ただ、そうは言っても、それ自体はまた超えなければいけないいろいろなハードルがありますので、そこに何か一定の方向性を出せるのかどうかは議論はしたほうがいいと思います。

○松村構成員 こちらの参考資料を読ませていただいたときに、今、現状としては自発報告で有害事象の把握をしているわけですが、そのときに母数が分からないので比較しようがないと。だから、母数を求めることも必要ですということが書いてあったと思うのです。その場合は、むしろ網羅的に、要するにある地域で、どういう薬剤をどのぐらい消費されているかと、何人に使われているかという数字が必要なのではないかというイメージをしたのですが、いわゆる自発報告の評価のためにデータを集めるという考え方は今はないのですかね。先ほどのプランを聞いていると、その医療機関の中で発生した有害事象と薬剤の関係性を評価しましょうというプランのように聞こえたのですが、海外などだったら、自発報告と組合せで評価しているというように私は聞いたような気がするのですが、そういうチャレンジはしないと。

○安全使用推進室長 自発報告は自発報告で、またその情報の活用の仕方はあるのだと思います。今そもそも現状の中で、母集団が分からないというのが自発報告である限りは、そういう状況になってしまうのですが、何か悉皆的にその薬を使った人の情報を集めようというよりは、その薬の使われた方を、ある集団を特定した上で、その集団における発生率とか、そういった研究で何か新たにデータが得られるものがあるのではないかという期待をして、このような事業に結び付いているという理解をしています。

○松村構成員 それは理解しているのですが、そういう自発報告の母数を調べることは、視野には入っていないということですね。

○安全使用推進室長 そこまでは視野に入っていないと。

○山本座長代理 このプロジェクトにはそれが視野には入っていないですが、今は NDB (ナショナルレセプトデータベース)がありますので、母数を求めるのはそんなに大変ではない。ですから、それはわざわざプロジェクトを組むほどのことなく、簡単に求められるものだろうと思いますけれども。

○松村構成員 ただ、そのときに先ほどおっしゃった地域の情報があったほうがいいのかなと、ふと思ったものですから、ちょっとそういう質問をしたのですけれども。

○山本座長代理 レセプトですから、患者の住所はもう消えてしまっているので、それで医療機関の場所しか分からないですね。

○松村構成員 それでもいけるんだな。すみません。

○永井座長 あと、受益者負担を考慮せよと書いてあるのですが、受益者というのは、具体的には製薬企業も入ると考えてよろしいのですか。

○安全使用推進室長 この受益者というのは、いわゆる利用者ということで、今現在は試行期間中ですので、拠点病院の先生方と PMDA で試行的な取組をいたしますが、平成 28 年度以降はほかの方にも御利用いただく予定ですので、その際に利用する手数料みたいなものを御負担いただくということ。これも今後、検討いただく内容だと思いますが、それを含めて、その中から一部、医療機関のほうで情報の管理とか収集とかメンテナンスなどに必要なお金を、また医療機関のほうにそういう収益の中からお支払いするようなことができないかどうか。そういったことも含めて、ちょっと検討していく必要があるのかなと思っております。

○青木構成員 問題として、私も行政事業レビューも拝見させていただいたのですが、少し違和感があったのは、データベースの規模と一般化可能性について御指摘があったかと思うのですが、それは大江先生がおっしゃるような感じで、正しく一般化可能性に関してそんなに期待するものかと考えると、諸外国のデータベースは必ずしも一般化ということをそんなに追求していないですよね。だから、多様性があるデータベースの特性を利用して、その長所をうまく使うことで、同じ研究をして同じ方向を見るかどうかという使い方をするから、むしろ私などは規模や一般化可能性というのは大きな問題とは捉えていなくて、重大な問題として考えているのはデータベースの価値だと思っているのです。

 先ほど赤沢先生がおっしゃったように、例えば郵便番号がないという情報はどのぐらいの損失を生むのかということの御議論ができるかどうか。つまり、郵便番号が欲しいわけではなくて、新潟県であるとか、甲信越地方であるとか、その情報があることによって、どれだけこのデータベースの価値があるか。例えば個人情報の保護に関しても、今のこのやり方であると、手術したときが 53 3 か月と 3 日という情報まで分かってしまうので、手術歴などを見ると、かなり個人情報が特定できる可能性がある。それはもちろん生年月日が分からなくてもですよ。こういったところの中で、冒頭、石川先生がおっしゃったように、情報保護ということが落ち着いていない中で、データの価値の正当な議論ができるかどうかということはちょっと不安があるのですが、そこら辺はどうでしょうか。

○大江構成員 ワーキンググループの座長で 11 回だか議論をしましたので、私の分かる範囲で説明しますと、先生の御指摘のとおりで、あるデータを失うことがどの程度損失で、逆にそれによって個人の特定性がどの程度高まるのか、このトレードオフをきちんと定量的に議論して、一つ一つが決められればいいのですが、現実問題それはできないという中で、多くのワーキンググループの出席者の中で議論して、落とし所を探って実現したというのが今回の事実だと思います。

 資料 2 11 番目のスライドを見ていただくと、正に悩み所、落とし所が御理解いただけるかなと私は思うのです。例えば、実は医療機関で独自に利用できるブルーの範囲の最後の統合データソースの中には、郵便番号 7 桁が残してあるのです。これはそういう議論の経緯を反映していまして、その医療機関内で患者の地域分析をする場合には郵便番号は必須ですので、この範囲では使えるようにと。ですので、抽出をある程度そこで行った上で右側に出すことは、医療機関内ではできるわけなのです。

 注意いただきたいのは、その青枠内の統合データソースから抽出処理をして右に出したところで郵便番号の情報は消えるということですので、必ずしも郵便番号別に抽出・集計ができないわけではない。ただ、個票で右側へ出ていくときには郵便番号は外されているということと、その郵便番号の下に書かれている日付情報も、これもワーキンググループでは随分議論があったのですが、落とし所として一人一人ごとに日付を乱数でずらすということで、できる限り匿名性を高める工夫をしたというのがワーキンググループの中での方針でした。

○青木構成員 ありがとうございます。先ほどのコメントの趣旨というところに関わるのですが、最近、商用データベースをやっていらっしゃる会社は、特段、国費を使わずともデータベースとして運営していらっしゃる会社があるという状況もあって、また MID-NET プロジェクト(医療情報データベース基盤整備事業)の中に関わっている施設で、この間も日本薬剤疫学会で 820 万人のデータを解析したという御講演を拝見したりする中で、国費を使うという話も課題にあるように、我々製薬団体としましては、ある意味で製薬団体を顧客として見立てて、これの活用に何らかの財務的な提供をすることによって、より適切なデータの品質や保持や運営が長く続けられたらいいのかなと思ったのです。

 その意味で、顧客として考えたときに、このような行為をすることは、顧客としてどのぐらいデータベースの損失価値があるのかとか、どれだけ魅力があるのかという議論に、もう少し製薬団体も参加させていただいたほうが、それこそ手術したときの情報なんて 50 代とか 40 代とか、それだけでもいい可能性があって、今は少しその部分ではむしろ個人情報としては豊潤すぎて、これは頂くと取扱いが大変怖いということもあるので、できればそうした議論の中に顧客を想定した方が入るようなものがあると、より財務的に良いディスカッションができるような気がしたのですが、いかがでしょうか。

○永井座長 これからの進め方ということですね。

○青木構成員 そうですね。

○永井座長 いかがですか。

○赤沢構成員 今の御発言に関連して、もともと薬害肝炎の提言というのは、薬害再発とか安全対策にということで、当然、今、行政のほうではリスク最少化、管理計画という形で製薬企業を中心にした法整備が進められて、いわゆる仕組みは作っていると思うのです。今、青木先生がおっしゃられたように、そういうところにつなげていくためにこのシステムを使おうというところが、何かここから抜けているような気がしていて、むしろ今、青木先生がおっしゃられたように、やらなければいけないことと、それを使うためにはどうしたらいいかというところを一緒に議論していかないと、例えばデータの価値をどうするかという話のときに、こういうデータは必要なのだという話を、最初からこれは個人情報の保護の問題だから駄目だよという話をしてしまうと、本来、提言されたものの価値が全く。データベースを作るのが目的になってしまって、そういうデータベースを何のために使うかというところから離れていくような気がしているので、是非そういう議論もしていただけたらと思います。これは要望というか、お願いです。

○石川構成員 ただいまの青木構成員の、ある学会で 800 何十万のデータが出たということについては、私たちはそういうものの入手がかなりグレーゾーンの中で出てきているのではないかということを考えているわけなのです。ですから、私などはレセプトとか、そういった医療情報の発出者として、きちんと責任を持った情報の発出と。それは国民に対してですよ。それから、国にきちんと使ってもらうルールを作るために出てきているわけなのですけれどもね。医療情報は、そのグレーゾーンの所でもういろいろな流通がしているというのが現状で、私などもよく知っているのです。それをやると、本当にこれから先、遺伝子情報だとかそういったものが入ってくる中で、私どもはやはり個人のプライバシーだとか、個人の機微性のある医療情報を守れないだろうということで、これがあると思うのです。

 今、赤沢構成員のおっしゃったことの中には、最初に薬害だとかそういったものが文言にきていますが、例えば資料 2 9 ページ辺りのパワーポイントを見て分かるように、「医療情報データベースの概略」で赤の所の「医薬品のリスク・ベネフィット」、ベネフィットです。要するに効果。そこの赤い所にも、「医薬品の有効性の評価」といったことも、これでできるんだということですね。

 実は私も日本のセンチネル・プロジェクトの一番最初の案を聞いたときに、先ほども言いましたように、大体レセプトでそんなのはできないよと。だけど、薬がこの地域でこうやって使われているとか、こういう病名で使われているとか、これは長く使われていたら一定の効果があるだろうとか、そういった推測ができるから、有効性の評価ということではできると。更に、これはもっと詳しくして、 10 病院の協力医療機関があれば、もっと詳しくこういうこともできるだろうと。それを日本の中で、ルールにのっとった形でやっていくというのが、ここの作業かなと。そうでないと、そういうブラックな所、ブラックと言ってしまいましたが、グレーの所ですね、それがいっぱい存在して、そういうことをやられていたのでは、たまらないというのが私たちの考えです。

○青木構成員 石川先生がおっしゃったとおり、我々がここにかなり拠出をしている一番の理由は、グレーではないという、国を挙げてのプロジェクトであることに大変な意義と貢献したいということを考えておりまして、投資をしているという意味では、まさしく先生がおっしゃられた指摘のとおりだと思います。また、ベネフィットということでいうと、例えば終末期医療の中で転院をしてしまうと、その方が亡くなっているかどうかも分からないという限界もありますが、どの範囲でベネフィット・リスクができるかという議論の中で、このデータの価値をきちんと分析していきたいということはまさしく賛成です。

○川上構成員 先ほど大江先生もおっしゃったのですが、行政事業レビューの内容を拝見して、もちろんごもっともだなという指摘もあるのですが、一方ではやや誤解かなとか、大変失礼ですけれども、理解不足に基づく指摘かなというものも含まれているかという気がいたします。特にどの内容がどうとは今ここでは申しませんが、本検討会では、この行政事業レビューの内容を受けて、基盤整備事業のあり方を少し見直していくと思うのですが、それに加えて、国の事業としてこの基盤整備事業を進めているわけなので、我々はそういった誤解を与えないような説明をするとか、事業そのものの意義をもう少し積極的に説明して見せていくことも含めて、本検討会を進めていけると意義があるかと感じました。コメントです。

○井出構成員 今日、随分様々事業レビューのお話が出ていますが、バックボーンは私は事業レビューから出てきておりますので、一言、これも感想めいたものです。恐らく御指摘のように、事業レビューのほうは、資料 3 でまず現状とか課題の前に、こういう御指摘が様々あるんだというところの中に、最初の四角で囲ってある所の指摘は、正直、 6 人いた個々の一人一人が言いたい放題と言うと失礼なのですが、言った結果でありますので、それこそ理解の差はかなりあるのだと思います。そこは本当に一員としては申し訳ないというか、理解が足りない面はあると思います。

1 つ、何か事業レビューとか公開プロセスというと、仕分けのようなものになってしまっていますが、これは事業レビューの中のメンバーもちょっと誤解があるのですが、決して今の事業レビューは仕分けではなくて、ですからこの事業が良い悪いというわけではなくて、この事業をやっていただくのに、本当は限られた予算の中でどう効率的に達成いただけるかということを議論しなければいけなかったのに、これが必要だとか必要でないとかという議論まで、この間のレビューはしてしまったので、そこは私の中ではレビュー自体に誤解があるのだと思っています。

 レビューは局のほうにしましたので、 1 つお話させていただくと、恐らく今日の話ですとか、この検討会が開催されるというのは、私としてはあのレビューを受けていただいた大きな結果、いわゆる改善改革だと思っているので、それはもうこれで本当に感謝をしております。

 もう 1 点、これは私もお聞きするいろいろな課題とか現状とか問題点がある中で、こういう検討会に参加していただく中で、私もメンバーの 1 人ですが、これからいろいろ有効な提言をされていく中で、 1 つは是非、局にも、何も予算を減らすだけではなくて、こうした検討会があって、こういう提言がある中で、こういう提言があるからこそ、むしろ予算を拡張していくというか、大きく取っていくということも事業レビューとしての結果であって、大きい小さいはともかく、事業レビューは毎年なされているので、私はむしろ次回の事業レビューを担当させていただく中で、この事業が上がってくるとは思えないのですが、前回のこういう指摘を受けて、こういう提言を受けて、大きく予算を拡大することに、私は事業レビューの良さを感じたいなと思っているのです。是非、縮小ではなくて大きく拡大していただく意味で、私も中に入っておりますが、この検討会を良いものに作り上げたいなと、感想めいたことで申し訳ありません。

○土屋構成員 やはりこのレビューというのは、そうは言っても素朴な疑問なのかなという気はするのです。普通、医療情報であるとか、電子化とかいうと、何でもできるように思われているところは現実にあるのだと。だから、電子カルテが入っている所だったら、こういうことはできるだろうとか、それに対して現実はそうではないという、そこに大きなギャップがあって、そこを 1 つずつどうやって解決していったらいいかというところに対して、やはりまだそれができていなくて、薬もよく「夢の薬」とかそういうのが言われてしまいますが、そこをどうきちんと説明するのかというところは丁寧にしておかないと、素朴な疑問で、それはどうってことないよというのではなくて、そういうところに対する説明の仕方をきちんと見ていかないと、また大きな誤解などが生じる可能性もあります。今やっていることは確実に 1 個ずつ押さえていって、やれればいいということはいくらでもあるのですが、そこに個人情報のことをきちんと考えるとか、いろいろルールを考えながらやっていくと、そこまではまだ自由にできないんですよというところがあります。ですから、そういったことをここの検討でいろいろ明らかにしていけばいいのかなという気がいたします。

○安全使用推進室長 事業レビューに関しては、事務局でも十分に説明しきれなかった部分もありますので、そういった部分で若干誤解につながっている部分もあるかと思います。井出構成員から御指摘、御意見を頂きましたように、レビューの結果も含めて、今回このような検討会で今後のあり方も検討させていただくということで、 1 つは今後、拡大というのも当然あるのだというお話だったと思いますが、きちんと見直すべきところは見直した上で、より良いものを作り上げていきたいという趣旨に立ち返って、今回この検討会の中で良い形であり方を検討いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○永井座長 大分、時間が押してきましたので、いろいろお気付きの点がおありでしたら、次回以降も議論が続きますし、またメール等で事務局にお寄せいただければと思います。今後の検討の進め方について、事務局から御説明いただけますか。

○事務局 資料 4 は、本検討会の今後の進め方について、事務局案を示したものです。本日は第 1 回として、検討会設置の背景を説明して、本事業の現状と今後の課題について御確認いただいたところです。本日の御議論などを踏まえて、資料 4 で今後の進め方についても御確認いただき、議論の順などについても変更・追加等ありましたら御指摘いただければと思います。

 まず、次回、第 2 回ですが、 1 20 日、 18 時から 20 時に開催予定です。議題としては、主にデータの規模とかデータの質、達成時期等について、拠点病院の拡充のあり方、地域連携のあり方について、御意見を頂ければと考えております。

 第 3 回と第 4 回については、先日、日程を御案内したところですが、第 3 回は 2 24 日、 18 時から 20 時開催予定で、議題としては医療機関等における参加の意義・メリットについて、事業運営の在り方について御議論、御検討いただきます。第 4 回は 4 2 日、 17 時から 19 時に開催予定で、議題としては第 3 回までの課題、議論について整理の上、報告書の骨子を御検討いただきます。できましたら最終回の第 5 回を平成 26 5 月から 6 月頃をめどに開催して、最終的な報告書を想定した案について御検討いただければと考えております。ただ、検討会当日のみの御議論、御検討では時間が限られますので、構成員の先生方の御意見等を事前に書面等にて御提出いただいたり、必要に応じメールベースでの御議論を含めて、御協力をお願いできればと考えております。また、議題によっては、構成員に加えて、その領域に詳しい有識者に別途、参考人として御協力いただきまして、ヒアリングするなどの要否についても御検討いただければと思います。

 目標としては、平成 25 年度内に事業のあり方等に関する提言等の骨子を取りまとめることと、平成 26 年度の上半期をめどとして、事業のあり方等に関する最終的な提言等を取りまとめることをお願いできればと考えております。資料 4 については以上です。

○永井座長 今後の進め方について、御質問、御意見はありますでしょうか。もしよろしければ、また適宜お気付きの点は、事務局へお寄せいただければと思います。本日、予定していた議事は以上です。そのほか何かありますか。

○大江構成員 今日の議論を聞いていて、最後に一言だけ、どうしても申し上げたいなと思ったことがありますので、ちょっと発言させてください。今回の 10 の医療機関、東大病院もその協力医療機関の 1 つですが、全ての協力医療機関は、一切のファイナンシャルサポートなしに、この事業の立上げに協力してきているわけですが、正直言って初めてのシステムの立上げですので、大変な手間が掛かっているというのが事実です。その上で、ここまで来ているわけです。なぜそれでも協力しているかというと、受益者が国民だからだと思ってやっているわけなのです。

 行政事業レビューのこの資料を見ますと、まるで受益者はデータベースの利用者であるというように思い込んでいるような節がありますが、データベースそのものの利用者が受益者なのではなくて、そこから得られる結果で医療が変わって、国民が質の高い医療を更に受けられるようになると思うからこそ協力しているわけです。そういう意味で、受益者はデータベースの利用者ではないということを前提に、是非、今後の議論はしていただきたいと思っています。

○山本座長代理  2 つ申し上げたいことがあって、 1 つは私も YouTube でレビューを見たのですが、事務局もおっしゃったように、やはり説明が少し足りないというところがあって、その最大の問題はこのプロジェクトの全体の中での位置付けです。例えば NDB もありますし、 PMDA が持っている副作用報告のデータベースもあるわけですから、そういった様々なデータベースの中でのこれの位置付けです。何も 1 つのデータベースで全てができるわけではないので、そういった観点が最初に大きな地図がないと、なかなか理解しにくいのではないか。

 もう 1 点は、大江先生が言われたように、規模の拡大もそれは意味があると思いますが、それでも 300 万人のデータが集まるのですから、そこから成果を出すことがまず一番大事だと思うのです。 PMDA MIHARI プロジェクトといって、試行調査をずっとやってきたのですが、高々数十万人分のレセプトとか、高々数病院の SS-MIX のデータベースを使って、一生懸命試行をやってきて、それなりに成果が出そうだという感触はあるのですね。それに比べると、はるかに規模の大きいデータベースですので、これはやってみる価値は十分にあるわけですし、恐らくそれなりの成果があると思います。

 成果が出た上で、こういうプロジェクトは成果が価値ですから、数が価値でも何でもないので、その成果が出た上で、改めてこれからどうするかという議論をもう一度することが必要だと思いますので、この議論を続けながらも、やはり視点はまず成果を求めるのだということを出していく。そのときに、石川先生がおっしゃるように、プライバシーの問題などは必ず出てまいります。もし必要であれば、私はパーソナルデータの検討会に入っていましたので、それなりにお話をしてもいいと思いますので、そういった意味で議論を深めていただければと思います。

○永井座長 確かに 1 万人とか 10 万人に 1 件起こるような副作用というのは、なかなか直感的には分からないですね。それが分からないときに、誰が一番影響を受けるかというと、それは国民なのですね。こういう研究というのは、もちろん研究者が実績を上げるという面もありますが、実際は患者が自律的に判断するためのものなのだと思います。そこはもっと強調すべきだろうと思いますけれども。いかがでしょうか。もしほかにありませんでしたら、本日は活発な御討論をありがとうございました。本日の検討会の議事録案は後ほどお送りさせていただきますので、また修文等をお願いいたします。この議事録は皆様に御了解いただいた上で公表となるということです。事務局から何かありますでしょうか。

○事務局 先ほど申し上げましたように、次回の検討会は 1 20 ( )18 時から 20 時、場所は厚生労働省内の会議室を予定しております。詳細については改めて御案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○永井座長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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