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2013年11月11日 平成25年度第1回血液事業部会適正使用調査会

医薬食品局血液対策課

○日時

平成25年11月11日(月) 17:00~19:00


○場所

航空会館 501・502会議室
(東京都港区新橋1-18-1)


○出席者

出席委員:(11名)五十音順、敬称略、○座長

稲田 英一 稲波 弘彦 薄井 紀子 大戸 斉
兼松 隆之 小山 信彌 田中 純子 種本 和雄
○半田 誠 牧野 茂義 三谷 絹子

欠席委員:(4名)五十音順、敬称略

鈴木 邦彦 鈴木 洋史 田中 政信 益子 邦洋

参考人:

北澤 淳一 田中 朝志

日本赤十字社:

遠藤 正浩 西田 一雄 籏持 俊洋

事務局:

浅沼 一成 (血液対策課長) 野村 由美子 (血液対策企画官)
上田 恵子 (血液対策課長補佐) 新村 浩幸 (需給専門官)

○議題

1.座長選出
2.輸血用血液製剤の供給量について
3.アルブミン製剤の供給量について
4.平成24年度血液製剤使用実態調査(日本輸血・細胞治療学会)
5.平成25年度血液製剤適正化方策調査研究事業について
6.その他

○議事

○上田血液対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「平成25年度第1回血液事業部会適正使用調査会」を開催いたします。

 なお、本日は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、委員に異動がありましたので、お知らせいたします。高橋考喜委員が退任されたことを受けまして、慶應大学医学部輸血細胞療法センター教授の半田誠委員が就任されましたので、御紹介いたします。

 また、高橋委員の退任を受けまして、ここで議論に先立ちまして、議題1である議長選出に入りたいと思います。事務局としましては、半田誠委員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか

○上田血液対策課長補佐 ありがとうございます。

 それでは、半田委員に座長をお引き受け願いたいと思います。座長席にお移りください。

(半田委員 座長席へ)

○上田血液対策課長補佐 それでは、半田委員、一言御挨拶をよろしくお願いいたします。

○半田座長 ただいま御紹介いただきました慶應義塾大学の半田です。

 大変つたない司会進行ですけれども、どうか委員の先生方、御協力をよろしくお願いしたいと思います。

○上田血液対策課長補佐 ありがとうございました。

 次に、本日の委員の出欠状況を御報告いたします。鈴木邦彦委員、鈴木洋史委員、田中政信委員、益子邦洋委員より御欠席との連絡をいただいておりますが、15名中11名の委員に出席いただいておりますので、お知らせいたします。

 また、本日は参考人としまして、日本輸血・細胞治療学会より、東京医科大学八王子医療センター臨床検査医学科準教授、田中朝志先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。

 また、黒石市国民健康保険黒石病院小児科輸血療法管理室、北澤淳一先生にもお越しいただいております。よろしくお願いいたします。

 さらに、日本赤十字社血液事業本部より副本部長の西田一雄様、供給管理課長の籏持俊洋様、学術情報課長の遠藤正浩様、以上3名にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に、事務局の異動がありましたので御紹介いたします。

 7月1日付で加藤血液対策課長の後任としまして、浅沼が就任いたしました。

○浅沼血液対策課長 血液対策課長の浅沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○上田血液対策課長補佐 丈達血液対策企画官の後任として、野村が就任いたしました。

○野村血液対策企画官 野村と申します。よろしくお願いいたします。

○上田血液対策課長補佐 最後に私、上田が笠松に代わりまして血液対策課課長補佐として着任しておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、カメラの頭撮りは、ここまででよろしくお願いいたします。

 この後の進行につきましては、半田座長にお願いいたします。

○半田座長 それでは、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。

○上田血液対策課長補佐 お手元の資料のクリップを外していただきます。一番上に議事次第、次に座席表、続いて委員名簿となっております。

 続きまして、資料1、輸血用血液製剤の供給量について。

 資料2-1、アルブミン製剤の供給量について。資料2-2、血症分画製剤の自給率の推移。

 資料3-1、平成24年度血液製剤使用実態調査、牧野委員提出資料になっております。資料3-2、同調査の北澤参考人の資料でございます。資料3-3、こちらも同調査、田中参考人の資料となっております。

 資料4、血液製剤使用適正化方策調査研究事業関連資料。

 資料5、アルブミンの適正使用ガイドラインが1枚ございます。

 資料は以上になります。不足等がございましたら、事務局までお知らせいただけると幸いです。

○半田座長 それでは、議事に入りたいと思います。

 まず、第1に議事2、輸血用血液製剤の供給量、議事3、アルブミン製剤の供給量についてということで、資料1、資料2を事務局から御説明願います。

○新村血液対策課需給専門官 まず、資料1について御説明させていただきます。

 本調査会におきまして、毎回報告させていただいている資料でございますが、輸血用血液製剤についての資料です。平成18年を100%の基準にしまして、直近である平成24年までの輸血用血液製剤の供給量の推移をお示ししている資料でございます。データは血液製剤調査機構調べとなっております。

 上から赤血球製剤、新鮮凍結血漿、血小板製剤となっております。昨年と比較しまして大きな変動はございませんが、微増となっております。

 赤血球製剤につきましても資料では113%となっているのですが、四捨五入の関係で同じ数値となっておりますが、実際は微増となっております。今後も人口の高齢化に伴いまして、がんなどの患者さんが多くなることもありまして、輸血医療の増加が考えられることから、輸血用血液製剤の供給量につきましては、増加傾向が続くことが予測されるところでございます。

 続きまして、資料2でございますが、こちらにつきましても本調査会におきまして毎年御報告させていただいております血漿分画製剤ついての資料でございます。

 まず、資料2-1ですが、アルブミン製剤の供給量と自給率の推移を示しているグラフになります。前回まで供給量と自給率につきましては、別々にお示しさせていただいていたところですが、今回から供給量のグラフに自給率を重ねてお示しさせていただいたところでございます。

1980年代に世界生産量の3分の1が我が国で使用されておりましたアルブミン製剤でございますが、その後の適正使用の推進・普及によりまして、供給量は減少してまいりました。供給量の減少に伴いまして、国内自給率は上昇していることがわかると思います。直近3年間の推移でございますが、わずかずつですが、供給量は減少傾向にあります。適正使用が進み、今後も減少傾向がこのまま続いていくのかは、もう少し今後の推移を見ていくことが必要であると考えられます。

 アルブミン製剤の適正使用につきましては、資料5で後ほど牧野委員から御報告いただくことになっておりますが、使用指針の改定につながるアルブミン適正使用ガイドラインの策定に関しまして、厚生労働科学研究が行われておりますので、今後、研究成果を踏まえながら使用指針などの改定に反映させていくことになると思います。

 続きまして、資料2-2でございますが、こちらは血漿分画製剤のうち主要な3製剤の国内自給率の推移をお示ししたグラフです。平成24年度の自給率でございますが、前年度と比較しますとアルブミン製剤につきましては、資料2-1の数値と重複することになりますが、昨年度の58.5%から1.1%上昇し、59.6%となっております。グロブリン製剤につきましては、昨年度の95.3%から0.4%上昇し、95.7%となっております。一方で、第8因子製剤につきましては、遺伝子組換え製剤の供給が年々増え、遺伝子組換え製剤を含め全体で見ますと、前年度の19%から2.3%下降し、16.7%でございました。

 遺伝子組換え製剤の供給量が増加する中、国内献血由来血漿製剤を使用し続けたいという患者さんがいることや、第8因子製剤の8割程度を占めている遺伝子組換え製剤が何らかの理由で供給されなかった際の危機管理の観点からも、安定供給に支障を来さないよう国内献血由来血漿製剤の製剤能力を維持していくことが必要であると考えております。

 以上、簡単でございますが、資料1及び資料2について御説明させていただきました。

○半田座長 ありがとうございました。

 それでは、質疑応答にいきたいと思います。何か御意見あるいは御質問ございますか。いかがでしょうか。特にございませんか。

 では、私のほうから。3つの輸血用血液製剤の使用量は、まだ微増傾向が続いているということですね。また後で出てくると思いますが、どこの部分で増加しているかというと多分、大規模施設のようですが、患者数が増加しているのか、あるいは医療が高度化して患者あたりの使用量が増えたのかということがあると思いますけれども、その辺は、分析はされているのですか。

○新村血液対策課需給専門官 国としては特に分析はしていないのですが、この後ご報告いただく血液製剤使用実態調査の中で、分析されているのかもしれません。

○半田座長 多分問題は、今後、将来的に自給率、いわゆる輸血用血液製剤が本当に献血との間でそごが生じるかどうかというのは問題だと思いますけれども、今の予測だとこの増加率というのは、以前にも予測されましたよね。それに比べてどうなんでしょうか。10年くらい前に多分予測が出たと思います。それから10年たって、今の増加率からいうと今後払底する可能性は出てくるのでしょうか。

○新村血液対策課需給専門官 先を見込んだ予測というのは現時点ではやっていないのですが、この傾向から見ると、年々増えているということもありますので、一概にどれくらいとは言えないのですけれども、増加していくと考えられます。

○半田座長 ほかにございませんか。

○稲田委員 稲田でございますけれども、これは量の5%の比ということで、実際に赤血球製剤は何単位くらい、それに対してFFP(新鮮凍結血漿)はどのくらい、血小板製剤はどのくらいということで、恐らくそれが実態として反映されてくるのではないかとは思います。例えば、赤血球製剤の使用は微増にとどまっているけれども、血小板製剤は何単位も多く使われていますといった分析も必要ではないかという気がいたします。比で見ることの問題点があろうかと思います。

○新村血液対策課需給専門官 単位換算ではカウントしておりますので、今後比ではなくて、そういった単位換算での検討もしていく必要があるのかなと思っております。

○半田座長 ほかにございませんか。

 それでは、事務局におかれましては、今の御意見等々を勘案していただいて、適正使用の推進をよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして議題4、平成24年度の血液製剤使用実態調査ということで、まず、事務局から調査の背景を御説明願って、その後で資料3-1、3-2、3-3についてそれぞれ牧野委員、北澤参考人、田中参考人から説明をお願いしたいと思います。

 それでは、事務局よろしくお願いいたします。

○上田血液対策課長補佐 まず、事務局から調査の経緯や背景を御説明いたします。

 本議題にございます2012年度血液製剤適正使用実態調査といいますのは、医療機関における血液製剤の使用実態を把握することを目的として、国が日本輸血・細胞治療学会に委託して毎年実施いただいているものです。

 本日は、前回の調査会同様、当学会から牧野委員、田中参考人に調査結果を発表いただくとともに、今回初めて北澤参考人にも発表をいただきます。発表順ですが、牧野委員には輸血管理体制の整備状況、それから、輸血検査等を中心に。北澤参考人には、対象施設を中小施設に絞った詳細な解析をお願いいたしました。また、田中参考人には、血液製剤の使用状況を中心に発表をお願いしたいと思います。

 それでは、よろしくお願いいたします。

○半田座長 それでは、牧野委員、よろしくお願いいたします。

○牧野委員 よろしくお願いします。資料3-1をごらんください。今回2012年におきまして、アンケート調査を依頼しました施設は、2011年に日赤より血液製剤が供給されました1万1,348施設で、回答施設が4,812ということで、回答率42.4%でした。これは2008年以降、学会が委託事業として行い始めたアンケート調査の中では一番高い回答率でした。

 スライド2ですけれども、今回依頼しました1万以上の施設におきまして、病床数が確認できています施設1万597施設の病床数の内訳を示したものです。つまり、本邦において輸血医療が行われています病床の規模を示したものです。最も多い規模が2099床の3,024施設でありまして、次が0床の2,239と続いています。300床未満の施設が9,523施設で、全体の90%を占めているというのが一つ特徴かと思います。残りの10%を占めます300床以上の施設ですが、後で田中参考人から発表があるかと思いますが、血液使用量を見た場合に、赤血球製剤などは300床以上の施設が74%、血小板は80%以上を300床以上の施設が使用しているということで、施設数は圧倒的に300床未満の施設が9割なのですけれども、血液使用から考えますと8割以上が300床以上の施設であるということがわかります。

 それから、今回の施設で使用されました血液製剤をトータルしますと、日赤から供給されています血液製剤の74.3%を反映するデータであるということもわかっております。

 スライド3で回答率を都道府県別に見てみました。まだまだ一番高いところと低いところが2倍以上の差があることがわかると思います。

 スライド4の調査回答施設としましては、医療法人関連病院が一番多いということです。

 スライド5、データを年次別、2012年を中心とした調査ということで分けて解説していきます。2012年調査結果は300床未満、300499500床以上の3つに分けて解析しました。それから、年次別の推移としましては、2005年の調査で対象施設が20床以上の施設だったものですから、年次別の輸血管理体制の推移、検査などの変化は20床以上の施設を対象として行いました。

 スライド6に輸血管理体制のシェーマがあるかと思いますけれども、スライド7に検討項目があります。

 スライド8に、具体的な年次別の輸血管理体制の整備状況の推移を示しております。2006年に輸血管理料が施行されましたので、2005年からの変化を提示しております。輸血業務の一元管理、輸血検査の24時間体制、輸血療法委員会の設置、その辺りに関しましては、2005年と比べて2008年から急速に上昇しておりますし、特に300床以上の施設は90%以上の整備率であることがわかります。300床未満の施設では6070%の整備率です。あと、輸血責任医師の任命、輸血担当検査技師の配置に関しましても、全体としましては6070%の整備率なのですが、スライド9で見ておわかりのように、病床数が低い施設、つまり輸血責任医師の任命で見てみますと、300床未満の施設におきます専任及び兼任の輸血責任医師の任命は57.57%と低く、担当技師の配置も66.42%と300床以上の施設と比べますと若干の差が認められました。

 スライド10は、都道府県別の輸血管理体制の整備状況です。これも例年示していますけれども、最も整備されている山形県と一番低い宮崎県の差が2倍ぐらいありまして、これはこの2~3年ほとんど変わっておりませんで、縮小傾向は余りないという状況です。

 スライド11で、ブロック別に見てみました。北海道、東北、関東、九州という形でブロック別に解析しましたところ、北海道と九州ブロックで若干、管理体制の整備状況が低めであることがわかりました。

 スライド12で見ました輸血管理料ですけれども、2012年4月に保険改定で一部改正されまして、輸血管理料を輸血管理料と適正使用加算の2つに分けまして、管理体制が整えば管理料が取得できるという形になったものですから、今回のアンケート調査では、スライド13に示しますように、2013年で急速に輸血管理料1及び2を取得している施設が増加していることがわかるかと思います。全体で1,477施設が取得しておりまして、これは今回アンケートに答えていただいた施設の36.2%ということで、昨年が20.96%でしたので、かなり上昇していることがわかります。

 次のスライド14に適正使用加算取得施設がありますけれども、去年までは適正使用の基準を満たしておかないと輸血管理料が取れなかったわけですが、昨年から別々になりましたので、適正使用加算をクリアーできていなくても管理料が取れるようになったものですから見てみたのですが、管理料1では19%の施設が適正使用加算がまだとれていない。それから、2は3分の1の施設がとれていないことがわかりました。この施設に関しましては、今後、適正使用を進めていただいて、適正使用加算を取得していくようにということだと思います。

 取得できない理由としましては、スライド15ですけれども、赤血球分のFFPや赤血球分のアルブミン、両方だめというのがありまして、小規模医療施設におきましては両方の基準をクリアーできないという施設が多いことがわかります。

 スライド16で都道府県別で管理料取得率を見てみましたが、山形県が一番高くて65.22%の取得率で、最も低いのが長崎県であったわけですけれども、やはりその差は4.69倍と結構高いことがわかります。

 ただ、今回取得率、各医療施設の各都道府県での輸血管理体制の整備率を比較した場合、スライド17ですけれども、昨年の状況からしますと、グラフには提示しておりませんが、輸血管理体制も少し進み、それから、管理料取得率もかなりふえたということで、右上に全体的にシフトしていました。

 ここまでが管理体制です。

 スライド18からは、各医療機関における施設の機能と血液使用量を見たものです。全身麻酔はそれぞれの規模のところで実施されておりますけれども、心臓手術、それから、造血幹細胞移植というのは500床以上の大規模施設中心で行われていることがわかりました。

 スライド19、施設機能別血液使用量は、心臓手術や移植や血漿交換などを行っている施設では血液使用量がかなり高いということがわかります。

 スライド20が血液検査の実施状況ですけれども、ABO式血液型検査を見てみますと、小規模施設では、日勤帯で35%ほどの施設が院外でABOの血液型をオーダーしていることがわかりますし、それから、夜間では検査自体を行っていないというところも含まれます。中規模、大規模におきましては、院内でほとんど検査されているという状況です。

 スライド21、血液の検査で行っているものとしましては、小規模の施設では試験管法で行っていますけれども、大規模になりますとカラム凝集法を使っていることがわかります。検査内容につきましては、ウラ試験を行っていないのが小規模施設で12.88%と若干多いことがわかります。

 不規則抗体スクリーニングや適合試験が、スライド2223でありますけれども、これも先ほどと同じように、院外にオーダーしている施設が小規模施設で半分以上を占めることがわかりますし、交差適合試験においても小規模施設では26.6%が院外の検査機関にオーダーしていました。

 スライド24がコンピュータークロスマッチですけれども、多くの施設がまだまだコンピュータークロスマッチは行っていなくて、大規模施設ですら56.8%の施設でまだ実施していないということです。

 スライド25、自動輸血検査機器の利用率としましても、中規模以上の施設で半分以上の施設が利用していますが、小規模医療施設ではわずか5.3%の施設でしか利用されていなくて、その利用していない理由としましては、やはり輸血の検査が少ないし、ランニングコストがかかるということで、経済的な理由が大きなものであることがわかりました。

 スライド2627で輸血前後の検体保存と感染症検査を見ていますけれども、小規模施設では輸血前の検体保存も行っていない施設が多いですし、それから、輸血後の検体保存も小規模施設では55.59%が実施していませんでした。しかしながら、中規模・大規模施設でも40%以上の施設が行っていないこともデータとしてありますし、輸血前検査におきましても、入院時の検査や術前検査とあわせて行っているという施設が多くを占めておりました。

 スライド28で、輸血の副作用の報告体制としましては、中規模・大規模施設では90%以上の施設が輸血用血液製剤の副作用報告体制がありました。小規模施設では60%ということですから差が認められますし、輸血用血液製剤と血漿分画製剤では若干差があります。血漿分画製剤の副作用報告体制が若干低めだということがわかりました。

 最後、スライド29ですが、輸血製剤の適正使用に関する取り組みとしましては、300床以上の施設で7割以上の施設が取り組んでいると回答されているのに対し、小規模施設では37%ということで若干低いことがわかります。

 今回、300床以上と300床未満で、いろいろな輸血の管理体制、検査の実施体制で差が認められまして、これは2005年からの経過を見てみましても、若干頭打ちになってきていることがありますので、今回、300床未満の施設におけるもっと詳細な状況を把握するということを目的に、北澤参考人から、その小規模施設に焦点を合わせた報告を今回お願いしております。

 以上です。

○半田座長 ありがとうございました。

 ただいまの資料3-1の御説明に関しまして、何か御意見あるいは御質問はございますか。

 では、私から。実態調査で、例えばスライド3、回答率が低い県があるわけですけれども、ある程度の地域に偏っているということです。それから、実際、輸血の体制整備が遅れていると思われる都道府県が同じような分布をしています。ですから、適正使用の状況、輸血の管理体制、そして回答率はみんな連動しているように思えるのですが、いかがですか。

○牧野委員 今回、都道府県別に分けている理由の一つが、今、合同輸血療法委員会というのがほとんどの都道府県でできておりまして、その活動状況というのは若干地域によって差があります。合同輸血療法委員会が非常に活発にされているところは、こういうアンケート調査の回答率も高いですし、それから、管理体制の整備状況も高いようです。これをプロットしますと、スライド17に示しますように、実は東北地区が非常に高いです。九州地区で若干輸血管理体制の低さが目立つところがあります。やはりこれは合同輸血療法委員会で一つのテーマとして取り上げたものとして、こういう形で都道府県別に出しておりますので、今後も適正使用調査会でのデータを各都道府県の合同輸血療法委員会に提示して、話し合って回答率が上昇するように活動してもらいたいと思っています。

○半田座長 ありがとうございました。いかがでしょうか。委員の方々から御質問あるいは御意見はおありでしょうか。よろしいですか。

 それでは、確認なのですけれども、こういう意識レベルあるいは体制レベルを改善するための具体的な方策というのは、やはり合同輸血療法委員会ですか。

○牧野委員 日本輸血・細胞治療学会としましては、今回集めていますこういうアンケートのデータを各都道府県の合同輸血療法委員会に生データとしてお渡ししまして、その都道府県が全国のどの位置にいるのか、どこに問題点があるかということをデータから解析していただいて、活動の一つの材料にしていただきたいということで提示していくことにしておりますので、ぜひ利用してもらいたいと思っています。

○半田座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

 それでは、続きまして、資料3-2、北澤参考人から小規模施設に関する実態調査について、御説明をよろしくお願いいたします。

○北澤参考人 北澤です、よろしくお願いします。

 スライド2をごらんいただきたいと思います。先ほどの牧野委員の御発表とちょっと異なっているところが、一番大きい施設として200床で区切ったというところが違います。200300床の病院でアンケートに答えてくださっているのが、およそ100施設くらいしかないということで、少しデータのnが小さくなるということと、DPCや診療報酬等でも200床というところがキーワードになっておりますので、200床で区切って、200床以上とそれ以下の小規模施設ということで検討してみました。

 検討した項目はスライド3に示したとおりです。

 スライド4をごらんください。管理部門ということで、輸血業務の管理と輸血用血液の管理をごらんいただいても、無床診療所から200床以上の病院にいくにつれて、輸血部門や検査部門でやっているというところが多いのですけれども、やはり院外の検査機関に委託しているという施設が、無床あるいは有床診療所で非常に高いことがわかりました。

 アルブミンとグロブリンの管理部門が、特に無床診療所、有床診療所ではその他となっておりますけれども、この2つの製剤を使っている率が非常に低いので、使わないから管理していないということなのかもしれません。

 スライド5をごらんいただきたいと思います。こちらは、検査や製剤の一元管理あるいは輸血責任医師や輸血担当の検査技師、輸血業務担当の薬剤師の有無で、診療所に関してはかなり低い割合になっております。

 スライド6をごらんいただくと、輸血管理料については病床数が上がるにつれて輸血管理料を取得できているのですけれども、診療所でできているところはかなり少なくなっております。適正使用加算も算定が減っておりますが、アルブミン使用状況を把握しているかというところは、使っているところでは把握しているのだと思いますが、把握していないというところと余り差はなくて50%でした。適正使用加算が算定できない理由は、両方クリアーできないということでした。

 スライド7は、適正使用に関する取り組みなのですけれども、診療所では輸血療法委員会は医師の数が少ないからなのか、そういう委員会がないというところが9割方でした。主治医に使用量改善を促す体制も診療所ではほとんどなくて、適正使用に関する病院としての取り組みとしても、グラフでごらんいただくように、診療所等では10%程度ということで、レセプトの減点というものが響いているということも見えます。

 スライド8をごらんいただきたいと思います。ABO血液型検査の担当者ですが、日常業務時間帯と休日・夜間とで比較したところ、やはり診療所系ではしっかりした検査技師さんが検査してくださっているのが10%程度ということで、休日・夜間帯では検査をしないという回答も多くなっております。また、院外の検査機関に委託というものも診療所で非常に多くなっていることがわかりました。特に、有床診療所で一番下の赤から3つ目の青いところ、看護師さんがやっている率が高くなっているところが目につきました。

 スライド9、Rh血液型検査の担当者も同じような傾向でした。

 看護師さんは実際は今、輸血認定看護師がふえてきておりますけれども、大規模病院、中規模病院で、このような診療所でそのような勉強をしている方は余りいないかと思いますが、看護師さんが非常に辛い思いをしているかなと考えます。

 スライド10をごらんいただきますと、血液型検査のダブルチェックということで、一番下の濃い青が一番いいやり方でなされているのですけれども、非常に少なくなっておりますが、200床以上の病院でも2つの異なる検体をダブルチェックで血液型を判定しているというのは20%に満たないということでした。

 スライド11では、不規則抗体と交差適合試験について、どういう方法をとっているかです。血液製剤の使用指針等では、間接抗グロブリン法が一番重要だとされているのですが、これは特殊な機械が必要だと思いますが、診療所では20%行われているということが本当なのかはちょっと疑問が残る結果でした。院外に委託しているということもあるのかもしれません。

 スライド12をごらんいただきますと、血液型の確定に主治医の判定を採用しているか、検査技師以外の職員が交差適合試験を行って赤血球を輸血したことがあるかを見ても、100床以下の病院ではちょっと危険な状態になっているのかなというところでした。

 スライド13は、輸血前の検体保存ですけれども、やはり診療所では保存していないというところが60%程度ありまして、これは特別冷凍庫を持つことができないということもあるのかもしれません。

 スライド14、輸血後の検体保存についても、これは大きい施設でも同様でしたけれども、保存していないという施設が多くあります。これはガイドラインでも推奨されているだけで、必ずとっておいた方がいいということが強く言われていないことも影響しているかと考えています。

 スライド15、感染症マーカー検査の実施率ですが、輸血前の検査も輸血後の検査も大きな差は見られないかと思いますが、緑色のグラフが入院時の検査や術前検査としてあわせて行っているということで、輸血後の検査ではない、輸血前の検査として決められているものではないと判定されます。

 スライド16で、赤枠で血液製剤の使用指針等で推奨されている検査項目を示しておりますけれども、HBs抗原、HBs抗体、あるいはHCV抗体というのは、入院時あるいは手術前に検査されていることが多い項目なので、輸血前の検査としてはHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体とHCV抗体、HCVコア抗原を行うことがいいとされていますが、実施率は低くなっております。

 また、輸血後に関しては、HBVDNA核酸増幅検査とHCVコア抗原を行ってほしいとされていますけれども、実際はHBs抗原やHCV抗体を輸血後の検査としてやっていると答えている施設も多くありました。特にHBVDNA PCRに関しては200床以上の病院でのみ、このようにバーが出てきたというところです。

 スライド17では、検査の保険請求を行っているかという質問に対する答えですけれども、保険請求していないという答えがどこの群でも多くなっておりますが、これは恐らく輸血前として、あるいは輸血後としての検査ではない検査をしているので請求していないのかなとも予想されます。

 スライド18は、コンピューターシステムの利用ですが、先ほどの牧野委員の御発表にありましたように、小さい施設では導入が難しいというところが見えました。

 スライド19では、マニュアルの準備やインフォームドコンセントの状況をお答えいただいたものを解析しましたけれども、病床数が少なくなるにつれて、十分なインフォームドコンセントを行う体制が整っていないということがわかりました。また、特に有床診療所、無床診療所では、感染症の対応等は非常に不十分だと言えます。

 スライド20は、血液法や改正薬事法の両指針の院内周知等に関しては、比較的院内に周知しているところがあるという結果でした。

 右側の事故の防止対策や輸血実施手順の決定と実施状況等については、大規模施設と比較すると、病床ごとにだんだん低くなっていって、診療所ではそのような体制が非常に悪い状況であることがわかりました。

 スライド21では、副作用報告システムがどのようになっているかということで、スライドがちょっと小さくなってしまって判例が全部見えないのですけれども、グラフの一番右のピンクはその他で、右側にある水色は副作用を報告する体制がないという答えです。主治医がカルテに記載するのみということが診療所では最も多くなっておりますけれども、血漿分画製剤でも血液製剤でも同様な結果で、厚生労働省への副作用の報告や血液センター、日赤への報告についても、余り十分取り組まれている状況ではないと思います。

 スライド22は、病院外、在宅での輸血ということでお答えいただいたものですけれども、左側のグラフはスケールの一番下が84%になっておりますので、ちょっと数が見えにくいのですが、無床診療所、有床診療所で介護施設あるいは往診等をしている先生たちの中で、輸血をしてくださっているところが多いのかなという状況がわかりました。

 その中で、交差適合試験は院内と同様に行っている、あるいは院外に依頼しているという施設を合わせると、4分の3でクロスマッチがきちんとされているということでした。

 5分、15分の観察も、院内と同様に行っているという回答が、およそ3分の2の施設からありました。

 また、副作用への対応も院内と同様というところが半数で、4分の1ぐらいの施設は連絡をもらうとなっておりますけれども、ここの実態は反映されていない可能性があるかなと思っています。個人的な経験では、血液製剤を注射して多分15分の観察が終わったら、その後往診から帰ってしまっているところも結構あるのではないかと予想していますが、これはデータがございません。

 スライド23は、都道府県別の病床別医療機関の割合を示しました。都道府県名が入れられなくてわかりづらいのですけれども、01の北海道から47の沖縄まで順番に並べてあります。

 以上です。

○半田座長 ありがとうございました。

 小規模施設での輸血の実態調査の結果を御報告いただきました。ただいまの御説明に関しまして、御意見あるいは御質問はおありでしょうか。

 小山委員どうぞ。

○小山委員 先日の委員会でもこの問題が出まして、小規模のところで、実際に輸血が行われていることは間違いないのですけれども、実態の把握がわからないということでした。やはり、これですと小規模、特に有床診療所あるいは無床診療所の場合には、輸血に対して何らかの問題点があると言ってもよろしいのでしょうか。

○北澤参考人 かなり問題点が大きいと思っております。青森県で平成18年に合同輸血療法委員会の研究の中で報告書を上げていると思うのですけれども、県内の血液製剤を取り扱っている180施設のアンケート調査を行ったことがあるのですが、その中でも例えば、血液型の判定とかクロスマッチにガラス板法という、こんなことはやっていけないと先生に怒られるような方法をやっている施設があったり、非常に大変な状況であるということと、今でもRCCの中に生食100ccを入れてから輸血したりとか、アニメックをまだ使っていたりとか、きちんとした情報が伝わっていない施設というのはかなりありまして、そのような施設は合同輸血療法委員会で勉強会をやろうとしても出てきませんし、何か資料を送っても読んでもらえないし、どうやって教育すればいいのかがわからないという状況です。

○小山委員 これは供給側も一生懸命努力しているようですけれども、供給するときの要件をもう少し厳しくしていく必要があるというような考え方でよろしいですか。

○北澤参考人 日赤のMRの方々が届けるときには、必ずいろいろな資料を持っていってくださっているようです。ただ、日本の現状、特に青森県のような、きょうも吹雪だったのですけれども、そのような状況を考えると、小さい施設での輸血をやらせないような状況というのは、恐らく地域の放下につながるかと思いますが、そのような制限していくような方法よりは、教育の機会を何とかふやしていくほうがいいかなと考えます。

○半田座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

 実態としては、ある程度予想されたとおりで、血液法の規程である輸血の安全と適正使用に関して両方の危惧があるということで、これをいかに改善するかが重要だと思いますが、北澤先生、何か具体的な方策はおありでしょうか。

○北澤参考人 まず、合同輸血療法委員会が各県にあっていろいろな活動をしていると思うのですが、その中で石川県はかなり進んでいて、今、石川県の赤十字血液センターのホームページに載っているいろいろな資料を出してくださっているところもあります。うちの県でもインフォームドコンセントをとるのにやりやすいような紙芝居みたいなものをつくって、それを配るようにしました。

 実際、血液製剤を2年に1回しか使わないような施設とかも結構ありますので、そのような施設に合同輸血療法委員会から働きかけるということが一つと、合同輸血療法委員会に我々のところは入っていなくてまずいなと思っていたのが、医師会の先生方にしっかり入っていただいて、その中で協議していくことが必要かなと考えています。

○半田座長 この件に関しまして、何か委員の先生方からこういうアイデアもあるのではないかという御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 いかに周知するか、教育するか、研修するかをまず第一に考えていくということですね。小規模施設での輸血医療に対して、抑制的にいくのか、あるいは推進していくのかというのはなかなか難しいと思いますが、御指摘のように、今は地域医療や在宅医療のほうに方向を切っているということもありますし、なかなか抑制的にはいかないところもあると思うので、その辺は今後の状況によっては変えていかなければいけないのではないかと思います。ありがとうございました。

 それでは、続きまして、資料3-3、田中参考人から御説明をよろしくお願いいたします。

○田中(朝)参考人 私からは輸血療法の実績について御説明いたします。

 私からは輸血療法の実績について御説明いたします。

 まず、資料3-3の1ページをごらんいただきます。輸血の実施患者数の表をお示ししますが、これはそれぞれ病床数に応じた施設数、回答率、輸血実施率などから、日本全体の輸血予測患者数を出したものです。

 まず、回答率を見ていただきたいのですが、100ベッド以上のところは約6割以上の回答率があって、比較的状況が把握できておりますけれども、99ベッド以下のところは回答率が5割に至っておりませんので、状況がどの程度わかっているのかが若干心もとない状況ではあります。施設数としては先ほど牧野委員からも説明がありましたが、20から99ベッド台のところが3,000施設と一番多い状況ですが、輸血予測患者数として一番多いところは100ベッド台のところで、右から3列目ですけれども、約15万人で、この病院群で一番多く輸血が実施されているだろうという予測です。

 上記の概算から、日本全体での同種血輸血患者数を推定いたしますと約1046,000人。自己血の実施患者数は9万5,000人ということになります。

 2ページを見ていただきまして、表1bで同種血輸血患者数並びに自己血輸血患者数の推移をお示ししております。2011年は御存じのとおり大震災がありまして、被災4県の調査をしておりませんが、去年と比べると2012年は若干、同種血輸血患者数が増えているものの、2012年には及ばないという状況です。自己血輸血患者数は年々減っていまして、2012年も減少傾向が続いているという状況です。

 続きまして全血製剤ですけれども、これは日赤からの供給実績が1年間で800単位しかないですが、このアンケート調査で答えていただいた単位数を足すと4,000単位を超え、全血製剤と全血液製剤を取り間違えている可能性があると考えられます。これは、アンケートの中でもう少し工夫をして正確なデータを出すつもりですが、使用理由をみると、新生児の心臓手術や急性大量出血など妥当と思われるものは全体の1割位で、答え違いが多いと言う印象でした。

 3ページをごらんください。こちらでは、それぞれ赤血球、血小板、血漿製剤について今回アンケート調査でどのくらいの補足率があるかを示しました。日赤からの供給量と本調査で回答された総使用量との比較を示していますけれども、2012年については赤血球製剤が69%、血小板で77%、血漿で75%、ほぼ7割以上の補足率となっております。

 病床群ごとに使用量を見ますと、赤血球製剤では500ベッド以上の大規模病院で約半分で、300499ベッドの中規模で4分の1、それ以下の299ベッド以下で4分の1という使用割合でした。血小板と血漿については大規模病院で60%以上と、ほぼ大規模病院でたくさん使われている状況です。

 4ページでは、赤血球製剤と血小板製剤の最近7年間の推移をお示ししておりますが、先ほど日赤での供給実績が示されましたが、アンケート調査でも同様で、赤血球、血小板については、少しずつ増加傾向という状況でございます。

 5ページでは、血漿製剤とアルブミン製剤ですけれども、血漿製剤も微増傾向が示されていますが、アルブミン製剤は横ばいという状況です。

 6ページでは、輸血を受けた一患者当たりの赤血球使用量と一病床当たりの赤血球使用患者数を示していますが、これが7ページにグラフ化されているので、そちらをごらんいただきます。2011年から傾向が変わりまして、それまで一患者当たりの赤血球使用量は減り、一病床当たりの赤血球使用患者数は増えていたのですが、2011年からは赤血球使用量がふえ、一ベッド当たりの使用患者数は減るという状況になっております。これが今後続くかどうかは、さらに調査が必要かと考えております。

 8ページは、診療科別の各血液製剤の使用状況を示しております。2011年と2012年の比較でお示ししますと、赤血球製剤の使用量が多い科は、血液内科、心臓外科、消化器外科等で変わっておりませんが、推移を見ますと血液内科、心臓外科では増加しており、他の科では、その他の内科、整形外科などで増えていますが、それ以外の診療科においては余り変化がない状況でした。

 9ページは血小板製剤ですけれども、血液内科が断トツに多く、20112012年にかけても若干増加しているという状況です。第2位の心臓血管外科でも軽度に増加しておりました。

10ページは血漿製剤ですが、余り大きな変化はありませんけれども、使用量の多い心臓血管外科、消化器外科などでは、わずかでありますが増加傾向でした。

11ページでは、等張と高張両者を合わせましたトータルのアルブミン製剤の使用量の推移を示しています。使用量の多い科は消化器外科、心臓血管外科、消化器内科などですけれども、増加傾向を示したのは消化器外科、心臓血管外科、外科系などでした。

12ページでは、等張アルブミン製剤の使用量の多い診療科ですが、前年と同じで、心臓血管外科、消化器外科、その他外科と外科系で多いという結果です。

13ページでは、高張アルブミン製剤の使用量の多い診療科ですが、消化器内科、消化器外科、その他内科など、消化器系で多いという結果でした。

14ページでは、免疫グロブリン製剤の使用量の推移を示していますけれども、一番多いのが神経内科で、恐らく神経難治性疾患への大量免疫グロブリン療法に使用していると思われますが、経時的推移を見てもふえているという状況でした。

15ページからは、各血液製剤の購入量と廃棄率などを示します。まず、赤血球製剤についてですが、先ほど、日赤からの供給量がふえているのはなぜかという御質問がありましたけれども、棒グラフが購入量ですので、大規模病院、特に800床台と900床台の施設でグンとふえているという傾向が見てとれます。

 廃棄率については、2011年と2012年を比べますと、各病床群とも低下傾向になっていまして、廃棄率の低減に各病院とも努力いただいた結果かと存じます。

16ページは、上のグラフは赤血球の総廃棄量ですけれども、トータルとして見ると、小規模の病院での総廃棄量が多いのですが、努力により少し減っています。500ベッド以上では使用量もふえておりますので廃棄量も少し増えておりますが、廃棄率として見ると減っている状況です。

 表5で廃棄率の年次推移を示しておりますけれども、20112012年の推移を見ますと、各血液製剤ともに低下傾向になっております。ただ、長期的な推移を見ると、血漿製剤は横ばいですが、赤血球と血小板は漸減傾向が見てとれるかと存じます。

17ページをごらんください。こちらでは、血小板製剤の購入量、廃棄率並びに廃棄量を示していますけれども、えているのは大規模病院でして、目立つのは800床台と1,000ベッド以上の施設で購入量がふえているという状況です。

 廃棄率については、各病床群ともに減っているところが多いという結果でした。

18ページでは、血漿製剤の購入量と廃棄率などを示しておりますけれども、血漿製剤については各病床規模の施設ともで少しずつふえており、廃棄率についてはすべての規模の病院で少しずつ減っているという状況でした。

 次の19ページからは、都道府県別の各血液製剤の一病床当たりの年間使用量の差異を見ております。なぜ差異があるのかまではなかなか考察できておりませんが、一番多いところと少ないところの格差が縮小してきているかどうかということと、先ほど牧野委員からも御説明がありましたが、こういった資料を各都道府県の合同輸血療法委員会の資料として役立てて、使用量が多い都道府県におかれては、なぜかという議論をして減らす努力をしていただきたいと考えております。

19ページの赤血球製剤の使用量につきましては、格差が年々徐々に減ってきている状況ではあります。

20ページの血小板製剤についても、広島県、奈良県で非常に多いのですけれども、特別多い県を除いて、それ以外の都道府県での差異は少しずつ縮小してきております。

21ページの血漿製剤については、都道府県の格差は余り変わっておりません。

22ページのアルブミン製剤についても、余り変化がない状況です。

23ページ、24ページの等張、高張アルブミン製剤についても同じです。

25ページの免疫グロブリン製剤については、格差が少し低下しているという状況でした。

26ページは、未照射血液製剤の使用状況ですけれども、日赤の未照射血と院内同種血全血の未照射血と2つ調べておりますが、日赤の未照射血については使用量が少し減っておりますが、院内同種血全血の使用量は余り減っておりません。理由を聞きますと、日赤未照射血の場合には緊急に輸血するからという理由が7割以上を占めていまして、院内でできなかったのは、緊急で行う場合に照射装置が院内にないということでした。

 そして、院内同種血は図5-2に全血採取の理由が示されておりますけれども、RCCを頼んでもなかなか来ないということと、血漿もなかなか来ないということと、あえて新鮮血を使いたいという理由が多いという状況でした。

27ページのマル5では、カリウム除去フィルターの院内在庫の有無についてお調べしましたが、大規模病院では6割強の病院で在庫がありますけれども、中規模、小規模では3割、1割以下と少ない在庫率でした。高カリウム血症対策の対象疾患としては、腎不全が過半数を占めていまして、その他新生児、大量輸血、心臓手術などが挙げられておりました。

28ページでは、赤血球を一日10単位以上使用した症例の調査をしております。これは詳細調査中の項目で、対象施設が中規模以上の約800施設なので、ちょっと施設数が少ないのですが、大量輸血例は全輸血症例の3.7%であるものの、RCCの使用量としては全RCC使用量の17%を占め、FFPについては29%を占めていました。症例数は少ないけれども、輸血量はかなり多いという状況で、これは去年と余り変わっておりません。

 次の29ページでは、主要な診療科別の症例数、血液製剤使用量をお示ししておりますが、一番多いのは心臓血管外科、次に救命、消化器外科、産婦人科、整形外科と続いていました。今回初めてクリオとフィブリノゲン製剤の使用量をお調べしております。クリオもフィブリノゲン製剤も、クリオは日赤からの供給がなく、フィブリノゲン製剤は保険適用が後天性の大量出血等にはなく、非常に使用しづらい状況ですが、特徴としては、救命ではクリオは一切使われず、フィブリノゲン製剤のみ使われているというところと、産婦人科でもフィブリノゲン製剤が多いということ、使用量の少ないところでは脳神経外科でクリオが比較的使われているという点でした。

 次の30ページ目では、貯血式自己血の使用量の推移をみると、年々低下傾向でありますが、診療科別に見ると産婦人科のみ少しだけ去年より増加しているという状況でした。その他の診療科では減っております。

31ページでは、貯血式以外に希釈式、回収式などの使用量を調べて比較しております。使用量、単位数で比較しますと、回収式は行っている施設数はそれほど多くないのですが、使用量は比較的多いという結果でした。

32ページは、抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)の使用実績についてですが、管理部門は薬剤部門で8割以上を占めておりますが、使用した施設の割合としては大規模で8割、中規模で6割、小規模で2割弱、全体として3割弱の施設で使われていました。

33ページでは、使用目的別の実施件数と使用本数を示しております。実施件数で見ますと、母子感染予防が圧倒的に多いのですが、1,000単位換算の使用本数で見ますと、症例数は少ないのですが、肝移植後の発症予防に圧倒的にたくさん使われているという状況でした。

 最後に、アルブミン製剤の管理・使用状況を示します。それぞれの5%、20%、25%製剤の国産あるいは海外産の採用製剤の状況です。国産のみか、海外産のみか、両者を採用しているかという状況をお調べしたのですけれども、5%製剤については、去年と比べて若干両者採用施設あるいは国産のみという施設がふえているのですが、高張製剤のほうでは余りふえていない、横ばいという状況でした。

35ページでは、それぞれの等張・高張製剤の使用量の推移を示しておりますけれども、先ほど少しだけ自給率が上がったというデータがありましたが、こちらのアンケート調査で見ますと、5%製剤では少しだけ国産製剤の割合がふえているのですが、20%と25%製剤では長期的には少しずつ減っていました。去年から今年にかけては高張25%製剤が少しだけふえているので、これがが影響したのかもしれません。

 以上です。

○半田座長 ありがとうございました。

 ただいまの御説明に関しまして、御質問あるいは御意見はいかがでしょうか。種本委員どうぞ。

○種本委員 詳細にありがとうございました。2ページの自己血輸血患者数が年々下がり続けていて、これは微減ではなくて著減と言えるぐらい減ってきておりまして、ことしもさらに減っているということで、下がり止まらないのですけれども、これについて原因をいろいろ我々も考えておりますけれども、どのように考えていらっしゃるかをお聞かせいただければと思います。

○田中(朝)参考人 診療科別の使用状況を30ページの図8-2でお示ししておりますけれども、各科とも使用量が減っている状況です。この中で落ち込みが一番大きいのが泌尿器科なのですけれども、病院によってはロボット手術などを導入し、手術手技が進歩してほとんど出血しなくなったので要らなくなったという施設があるとお聞きしております。

 その他、整形外科や心臓血管外科でも減っているのですが、こちらがなぜ減っているかについてまでははっきりとはわかりかねますが、整形外科などは定型的な手術ですので、適正な量の設定の仕方によってかなり変わってくるのではないかと思います。心臓血管外科については、これも心外の先生の方針に依存するところが大きいのですが、恐らく貯血式よりは術中回収式のほうが主体になっていて、貯血式は少し下火になっているのかなと考えております。ですから、手術手技の進歩や主治医の方針など、いろいろな要因があってこの状況になっているのかなと考察しております。

○半田座長 よろしいでしょうか。

 兼松委員どうぞ。

○兼松委員 種本委員と同じところで、私も外科ですので、そのような感じがしたのですが、本来だったら自己血輸血がふえたり、あるいは推奨されることが望ましいのではないかと思います。減っていることに対してどうしてかなと思っておりました。特に、整形外科みたいなところは、今御説明にもありましたように、大体どれくらい出血するかわかっておりますし、その原因が患者さん方が自己血採血あるいは希釈液を使うのを嫌われるのか、あるいは施設としてなかなかそういうことがしにくい状況にあるのかというあたりの解析は、今後の自己血輸血に対しましても非常に重要なところかなと思っております。

 それから、泌尿器科につきましては、例えば内視鏡手術、ダヴィンチみたいなものが泌尿器科の手術に入ってきたので少なくなったとおっしゃいましたけれども、これは輸血をした中でどれくらいの率で自己血輸血したのか、あるいは保存のものを使ったのかという解析ではないのですか。

 その2点をお伺いしたいと思います。

○田中(朝)参考人 私が今申し上げたのは、周りの状況から見た一つの考察といいますか、このアンケート調査の中でわかった状況ではありません。ですから、泌尿器科の中で前立腺がんだったり、膀胱がんだったり、腎臓手術だったりいろいろな病態で自己血を使われていると思いますけれども、その中でどの病態で使われたのか、使われなかったのか、あるいは手術の手技がどうだったかという細かいところまでは調べ切れておりません。その点については、もし必要であれば今後の調査で明らかにしていきたいと思っております。

○半田座長 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、私のほうから。先ほど資料1で、輸血用血液製剤の供給量が年々微増ですけれども、ふえていると。実際に今の資料3-3の7ページを見ますと、輸血を受けた一患者当たりの赤血球の使用量は、やはり大規模施設でふえていると。要するに、この微増の原因というのは大規模施設において、一患者当たりの血液の使用量がふえている。それから、患者数もふえていると推測してよろしいのでしょうか。

○田中(朝)参考人 そうですね、このデータからはそのように受け取れます。このアンケート調査で補足されているのが全体の約7割ぐらいで、小規模のところでの補足率が余り高くありませんが、大規模については恐らく正確なデータが得られていると考えています。大規模については先生がおっしゃるとおりだと考えてよろしいかと思います。

○半田座長 ということは、資料3-3の1ページにある実際の輸血実施予測患者数から言うと、500床以下が一番大きくなっています。この辺の捕捉率として低いので、全体の実態にはまだ迫っていないと考えてよろしいのですか。

○田中(朝)参考人 そうですね。今回の予測実施患者数で一番多いところが20500ベッド台のところですので、300ベッド以上のところは恐らくある程度正確だと思いますが、それ以外のところが本当に正しいのかというところは、もう少し追及する必要があると考えております。

○半田座長 ほかにいかがでしょうか。

 では、もう一点、アルブミンに関してなのですけれども、35ページ、各種アルブミン製剤の国産・海外産別使用割合推移で、5%と20%、25%の高張製剤との間でこれだけ海外と国産の割合の違いが歴然としています。5%に関しましては、なぜ海外製品がすごく多くなって、高張製剤に関しては国産が多いと。この差はどういうところから来ているのですか。

○田中(朝)参考人 これもアンケート調査では調べていないので、あくまで推測なのですが、5%製剤については海外品のほうが先発品として、早く日本に入っています。最初に入ったメーカーのものを採用して、それがずっと続いている状況が考えられるのと、1990年代、2000年代初めくらいは安定供給がされにくい状況があったと聞いておりまして、それが原因になっている可能性が考えられます。今は全くそういうことはないのですけれども。採用状況を見ていただいても、変わりにくい状況があるので、一旦入ってしまうとその状況がずっと続いてしまう。だれかが手を挙げて状況を変えるということをしていかないと、なかなか変わらない状況があるのではないかと推測しております。

○半田座長 ですから、もしかしたら国内自給率の増加を図るのであれば、等張製剤に目標を絞るのも一法ではないでしょうか。さらに、高張製剤とで間の適応の相違を明示して、適正使用を推進することもポイントではないかという気がするのですが、それはいかがですか。

○田中(朝)参考人 先生のおっしゃるとおりだと思います。ですから、5%製剤については今でも少しだけふえたと言っても、国産品の使用割合が3割しかありませんので、これはやはり等張製剤についても国産品の使用を推奨するということが重要ですし、そのためにはまず院内に国産品の等張製剤を導入していただく、この各施設の取り組み・努力が求められるのではないかと考えております。

○半田座長 ありがとうございました。

 薄井委員どうぞ。

○薄井委員 このアルブミン製剤の各病院の採用についてですが、例えばDPCの病院ですと結構コストを考えて、国産よりも安価な海外製剤を入れたりすることが多いということもあると聞いています。その影響についてはいかがでしょうか。

○田中(朝)参考人 それも当然影響しております。大規模な500床以上の病院ではほとんど8割以上がDPCなので、ほぼDPCのデータとお考えいただいていいと思います。各施設の状況を見ると病院として方針を決めて、今まで国産品だったものをすべて海外品にするとという病院も中にはございます。ただ、全体としては、わずかに自給率が上がったので、少しそういった意識も変わってきたのか、あるいは変えていただきたいとは思っているところです。

○半田座長 いかがでしょうか。種本委員どうぞ。

○種本委員 先ほどの話の続きで申しわけありませんけれども、8ページを見ていただくと、自己血がどんどん減ってきているという中で、心臓血管外科に関して言えば依然としてヘビーユーザーです。その中で毎年ふえてきているという状況があります。30ページを見ていただくと、心臓血管外科の貯血式自己血輸血の使用量は、2011年、2012年で下がってきておりまして、これは多分、10年前のデータと比べていただくと、いかに下がっているかということがよくわかると思います。そのくらい自己血離れが進んでいまして、これをより安全な輸血の自己血に戻して同種血の使用量を減らすとすれば、何らかの政策的誘導が必要であろうと考えています。

○半田座長 ありがとうございます。

 今の点に関して、何かほかに委員の先生方からコメントはおありでしょうか。政策誘導というお話も出ましたが、よろしいでしょうか。

 それでは、ただいまの御意見等々を参考にしていただいて、事務局におかれましては適正使用の推進をよろしくお願いしたいと思います。

 それから、今年度も実態調査の委託事業があると思いますが、その内容に関しましても、今の御意見等々を参考にしていただいて、よりよい調査を実施していただければと思います。ありがとうございました。

 それでは、議題5、平成25年度血液製剤適正化方策調査研究事業についてということで、資料4について事務局から説明をお願いします。

○上田血液対策課長補佐 資料4ですが、本議題は報告事項になります。資料4を全体的に説明いたします。

 本事業は、平成18年から実施しております血液製剤使用適正化方策研究事業について、今年度も実施させていただいているため、この報告をいたします。

 先ほどの議論より再三御意見をいただいております輸血合同委員会への支援事業となっております。輸血合同委員会は皆様御存じのとおり、各都道府県の血液製剤適正使用の指導的役割を担っていただいておりますが、これらの委員会から応募された研究のうち、適正使用に貢献すると考えられる研究を選択し、調査研究を依頼するという形で事業を実施させていただいております。

 一番最後のページにですが、今年度は24の都道府県から応募をいただきまして、そのうち10の課題を採択いたしました。ここにございますように、平成25年度血液製剤使用適正化方策調査研究事業の採択課題としては、神奈川県、新潟県、石川県、山形県、岡山県、福島県、福岡県、佐賀県、秋田県、広島県と、これらの県が採択されております。

 これにつきましては、来年度も同様形式で事業を行う予定でございます。公募の日程等の詳細はホームページ等でも御連絡いたしますので、各地区の皆様方に御連絡の上、御応募いただき、適正使用の推進に向けて事業を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 説明は以上です。

○半田座長 ありがとうございました。御報告ということですが、いかがでしょうか。委員の先生方から御意見あるいは御質問はおありでしょうか。

 それでは、私から1つ。一番最後のページで、採用された10県をざっと見ますと、非常に輸血医療が進んだ地域がずっと連続してこの事業に採択されているようです。多分体制も整って点数がいいということで連続して採択されているところが多いと思うのですが、この事業の基本的な目的は底上げということになると、むしろ体制が整っていないような地域の採択も促進するような手だても、重要かなと考えますが、いかがでしょうか。採択の評価に関してはどうなっていますか。

○上田血液対策課長補佐 事務局からお答えいたしますが、この事業は評価基準というものがございまして、読み上げますと、まず、大原則として専門的・技術的観点からと行政的観点から重要な課題を採択する、そして5段階で採点する。

 それから、評価事項ですけれども、2点ございまして、1点目は、血液製剤の適正使用推進体制が十分であること、すなわち参加医療施設の数や都道府県の担当者が明確であること、それから、各血液センターと各種の協力があること、運営の効率性があるといったことが評価基準になっております。2点目の評価事項項目ですけれども、血液製剤使用事業計画に注目して審査するようにということで、内容としましては、適正使用研究計画の有効性と実現性、それから、研究成果の活用可能性というようなことが評価基準としてございます。これに沿って各評価委員に審査をしていただいているわけですが、今、半田座長がおっしゃいましたことは非常に重要な点かと思いますので、委員の先生方の意見をいただきながら、事務局でも今の御意見を考えてみたいと思いますが、どうでしょうか。

○半田座長 ということで、いかがでしょうか。むしろ、底上げを図っていくためには評価基準を少し見直す必要があるのかなと思います。連続的に採択されているところには大変申しわけないのですが、いかがでしょうか。御意見等々あるいは賛成・反対、今の基準でいいのか、その辺はいかがでしょうか。

○牧野委員 各調査研究の内容というのは非常にすばらしいものがありまして、この発表の場というのは多分2施設ぐらいではないかと思うのですが、内容をもっとほかの施設も十分研究内容が見られる環境にあると非常に参考になると思いますので、それぞれの地域は非常に積極的にやっていますので、そういうものが発表できる場というものももっと出していくといいのかなと思います。

○半田座長 田中委員どうぞ。

○田中(純)委員 広島県は輸血療法委員会ができたのが、つい3年前でございまして、そのときにこの調査事業をアプライしましたら採択していただいて、その採択していただいたということが非常に前向きな活動の源になったと思います。ですので、10課題ありましたら、例えば5つはとても先進的にやっている優秀なところを選んでいただいて、あと5つは、できたばかりでまだよちよち歩きのところを後押しするということで事業をつけていただくといいかと思います。

○半田座長 大戸委員どうぞ。

○大戸委員 少し意見が近いのですけれども、予算規模がそんなに大きくないながらも先進的なところの勢いはそがないで、かつ、これからやろうとするところをエンカレッジするようなシステムの両方を評価できるといいなと思います。

 一つは、報告書の印刷代がかなり重いんです。例えば、印刷代をなるべく小さいものにしてくださいとか、印刷代は何万円以下に抑えてくださいとか、そちらに余り金がかからないような形を進めてもらえると、ひょっとしたらいいかもしれないです。

○上田血液対策課長補佐 ありがとうございます。いろいろ御意見をいただきましたので、来年度の公募まで少し時間もございますし、考えてみたいと思います。

 あと一点だけ追加させていただきます。先ほども申し上げましたとおり、応募が24件ということで、いまだ多いとはちょっと言えない状況でございます。ので、先ほどよちよち歩きのというお話もございましたが、どんな研究であっても、まずは、ぜひ応募していただいくということが重要であると思いますので、よろしくお願いいたします。

○半田座長 ありがとうございました。

 それでは、その他ということで、アルブミン適正使用ガイドラインについて、資料5を牧野委員から御報告願います。

○牧野委員 その他ということで、アルブミン適正使用ガイドラインを紹介したいと思います。きょうの資料2-1でアルブミン製剤の供給量というものが、ここ3年ぐらい見ましても減少してきております。アルブミンの使用量に関しては過去はかなり多い量を使用していたのですが、今では世界的に見ましても大体ちょっと多いぐらいかなというところに位置してきていまして、使用量というのはかなり減ってきているのがわかるかと思います。しかしながら、本邦におきますアルブミンの使用指針の中に書かれてあります適用の病態というものが、過去10年以上余り見直しされていないという現状があるかと思います。

 それから、さらに、アルブミンの投与が有効であるにもかかわらず、その適用の中に含まれていない病態もあるために、保険で適用がとれない、使用できないというものも含まれていると聞いておりますので、ここで過去の10年、20年のデータ、論文などを見直しまして、そのアルブミン製剤の適正使用ガイドラインに結びつくようなものをつくっていきましょうということで、アルブミン製剤の適正使用に関するガイドライン作成を開始しました。文献として3,000くらいのアルブミンに関する使用文献を抽出しまして、そこから非常にクオリティーの高い論文を選んできまして、かなり絞ってはきているのですが、間もなくエビデンスレベルと推奨グレードを示すことができるかと思います。本日のこの会に間に合わなくて残念なのですが、そういう形で我々はクリニカルクエスチョンを出しまして、それに対する文献的な考察を加えて推奨グレードをお示ししたいと思います。

 お手元に資料5がありまして、そのいきさつがありますが、一番上に2年前に行っていました班研究が実は今年の3月31日で終わりましたけれども、それを引き継ぐ形で「科学的根拠に基づく輸血ガイドラインの策定等に関する研究」というのが引き続き開始されまして、その中にアルブミン製剤の適正使用法の策定という文献的考察というものが引継ぎで研究されていますので、それを進めて次の適正使用調査会ではこういう臨床病態の中で有効な病態を明らかにしていきたいと思います。

 ただ、これは輸血細胞治療学会が文献のみで判断するものではなくて、やはりアルブミンを多く使用されています科・部門におきまして了解・承認を得て、みんなが同意するようなものにして提示していきたいと思っております。間もなくではあるのですが、そういう形で進めております。

 あと、5番と6番目にアルブミン投与による上昇値はどのように予想されるかとか、評価はどうするかということがありまして、今まではアルブミン投与に関する評価というのは余り言われていなかったわけですけれども、各病態におけるアルブミンの1回の投与量や一日の投与量、間隔も明らかにしていく必要がありますし、先ほども話題になっていました等張と高張のアルブミンの適用も明らかにして、最終的には添付文書、等張も高張も添付文書が全く同じ内容であるわけですけれども、そういうものの改訂にもつなげるようなものにしていきたいということで、今その研究を進めているという状況です。

 以上です。

○半田座長 ありがとうございました。

 ただいまの御報告に関しまして、何か御意見・御質問はございますか。稲波委員どうぞ。

○稲波委員 医療機能評価機構でできたガイドラインを掲載するようになっていまして、アグリーはアグリー2になっておりまして、出版社が同意すればですが、できるだけそれに即した形でおつくりになられると、早く掲載されることになると思います。

○牧野委員 了解しました。その方向で。

○半田座長 ほかにいかがでしょうか。三谷委員どうぞ。

○三谷委員 私どもの学内では、従来のアルブミンの適正使用ガイドラインをかなり遵守させていただいていまして、それでアルブミン使用の適正化が進んできたのではないかと思っています。先生のつくられた資料の4番に、以下の病態に対するアルブミン投与は有効か、推奨されるかということで、拝見しますと、上のほうは従来うたわれている適正使用に合致するものではないかと思いますが、下のほうに書かれています、例えば栄養補給ですとか末期がん患者とか、単なるアルブミン濃度の維持というようなことが適正使用ではないということが今後見直される可能性があるということでしょうか。

○牧野委員 これは適正使用ではないことを文献的にしっかり証明しようということが一つと、例えば脳虚血、これは外傷性のものですけれども、むしろ禁忌という形で示していきたいなと思っています。

 追加しますと、1番上の肝硬変に伴う難治性腹水は今まであったのですが、その右側の肝腎症候群、特発性細菌性腹膜炎に関しましては、有効性が非常に高いということが証明されてきていますので、そういうものも明文化していきたいということで、こういう項目の中で推奨するもの、推奨しないものを明らかにして整理していきたいと思っています。

○半田座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

 それでは、今後の進め方に関しまして、事務局からお願いします。

○上田血液対策課長補佐 ただいま牧野委員からほぼ全て御紹介があったので補足のみです。今回御紹介にありました松下先生の研究班「科学的根拠に基づく輸血ガイドラインの策定等に関する研究」では、アルブミンのみならず指針の大幅な改定がしばらくぶりに行われる形になっております。この指針の改定作業というのは、引き続きこの調査会にて議論いただくようなことになるのですが、当研究が終了する平成27年度までに確定することを目指しております。先ほど各科の調整、いろいろな科の協力が必要というお話もございましたし、迅速にパブリッシュするためには協力体制も必要というお話もございましたが、スケジュール的にも非常に大変かとは思いますけれども、皆様のお知恵をかしていただいき、御協力いただければと思います。

 今後の議論の場となります次回の調査会の日程を含めまして具体的なスケジュールは、事務局から決定次第、御連絡いたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○半田座長 ありがとうございました。

 ほかに何かございませんでしょうか。これだけの先生方が一堂に集まるというのはなかなかない機会ですけれども。よろしいでしょうか。

 それでは、調査会を終了させていただきます。本日は、どうもありがとうございました。


(了)

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