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2013年11月26日 平成25年度第4回血液事業部会運営委員会

医薬食品局血液対策課

○日時

平成25年11月26日(火) 14:30~15:30


○場所

全日通労働組合ビル 大会議室C
(東京都千代田区霞ヶ関3-3-3)


○出席者

委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 田崎 哲典 花井 十伍
◎牧野 茂義 山口 照英

日本赤十字社:

田所 憲治 碓井 達夫 日野 学 五十嵐 滋

事務局:

浅沼 一成 (血液対策課長) 野村 由美子 (血液対策企画官)
上田 恵子 (血液対策課長補佐) 山本 あや (疾病対策課長補佐)

○議題

1.血液製剤に関する報告事項について
2.その他

○議事

○血液対策課課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「平成 25 年度第 4 回血液事業部会運営委員会」を開催いたします。なお、本日は公開で行うこととなっていますので、よろしくお願いします。委員の出欠状況です。大平委員の到着が遅れていますが、本日、 6 名中 6 名の委員に御出席の返事を頂いておりますことを報告します。

 また、本日は、日本赤十字社血液事業本部より経営会議委員の田所様、総括副本部長の碓井様、副本部長の日野様、安全管理課長の五十嵐様、以上 4 名にお越しいただいていますので、どうぞよろしくお願いします。

 次に、事務局からの紹介があります。本日は、血液対策課の事務局に加えまして、疾病対策課、山本あや課長補佐に同席いただいています。よろしくお願いします。

 カメラの頭撮りですが、ここまでとさせていただきたいと思います。御協力をお願いします。

 以降の進行については、牧野委員長にお願いします。

○牧野委員長 議題に移ります。事務局から資料の確認をお願いします。

○血液対策課課長補佐 お手元の資料を御覧ください。資料 1-1 「複数回献血者の HIV 検査が陽転した事例の概要について」ということで、その裏には、別添のポンチ絵があります。資料 1-2 として、日本赤十字者提出の資料で、「当該献血者血液の検査結果」です。参考資料として、参考マル1「献血の同意説明文書」、参考マル2「お願い!」、参考マル3「血液事業の重要なお知らせ」 ( 日本赤十字社ホームページより抜粋 ) 、その裏が「問診票」になっています。参考マル4「今一度、ご確認をお願いします!」、参考マル5「血液製剤の安全性確保対策の変遷」、参考マル6「その他」の資料になります。資料の確認は以上です。不足等がありましたら、事務局に御連絡ください。

○牧野委員長 議題 1 「血液製剤に関する報告」に入ります。事務局から説明をお願いします。

○血液対策課課長補佐 お手元の資料 1-1 を御覧ください。事務局から今回の事例の概要について説明を申し上げ、その後、日本赤十字社から詳細な説明として補足をしていただきます。

 概要ですが、今回の事例は、 11 月初旬、献血血液の HIV スクリーニング検査で抗体陽性が確認され、これを契機に遡及調査が開始されました。当該献血者の前回献血時、これは本年 2 月になりますが、この献血の保管検体について、個別 NAT 、つまり個別の核酸増幅検査を 3 回実施したところ、 1 回陽性の結果が得られました。

 この前回献血血液を原料として、赤血球製剤及び新鮮凍結血漿が製造されており、 2 つの医療機関に納入が確認されています。これらの製剤はそれぞれ 1 名ずつに、すなわち、赤血球製剤を 1 名、新鮮凍結血漿を 1 名に投与されていたことが確認されました。

 なお、前回及び今回の献血時の問診票では、*にある様な HIV のリスクコード等に対する申告がありませんでした。すなわち、検査目的であるかどうか、あるいは、 6 か月以内の男性間性的接触等があるかどうかを質問し、これらの該当する方に対しては献血を断っているという対策に対し、献血者からは申告がなされておらず、 HIV の自己申告もなかったということです。

 今後の対応の部分に移りますが、引き続き、赤血球製剤及び新鮮凍結血漿を投与された患者の調査を実施していきます。現在までに得られている結果について、後ほど日本赤十字社から御説明を頂くこととしています。

○牧野委員長 引き続いて、日本赤十字社から資料の説明をお願いします。

○日本赤十字社五十嵐安全管理課長 その裏の別添を御覧ください。今、血液対策課から御説明していただいたものを、絵にしています。発端は、本年 11 月の献血で HIV 抗体検査の陽転が確認されました。それに伴いまして前回献血を見たところ、 HIV の個別 NAT 3 回中 1 回陽性であったことから、この献血で製造しました赤血球製剤、新鮮凍結血漿製剤を投与された患者につきまして、現在、遡及調査を実施している事例です。

 資料 1-2 を御覧ください。当該献血者血液の検査結果ですが、マル1で、マル1の後に「ス」が抜けてしまっています。「スクリーニング時検査結果」です。本年 11 月の今回については、 HIV-1/2 抗体が陽性、個別 NAT が陽性、 WB(HIV-1) が陽性という結果でした。その前回になりますが、本年 2 月の献血については、 HIV 抗体が陰性、 20 プール NAT も陰性、個別 NAT についてはその下に詳しく述べています。

 マル2の前回献血時保管検体の個別 NAT ですが、 3 種の方法で行いました。その方法の検出感度ですが、 A 法及び B 法については 95 %の検出感度が出ていまして、 20 24IU/mL という方法です。 C 法については、 95 %検出感度は出ていないのですが、反応当たり 30copies/tube ということで、これは 4 回実施して 4 回とも陽性であったということです。感度的には、 3 法ともほぼ同じ感度を有しているのではないかと考えています。

 この 3 種類の方法で個別 NAT を実施しましたが、 A 法では検出せず、 B 法で陽性、 C 法で検出せずという状況でした。したがいまして、前回の保管検体については、個別 NAT の検出限界に近いウイルス濃度であったと考えられます。

 今回、献血血液の HIV 解析結果ですが、献血者は 40 歳代の日本人男性です。接触した医師の話によりますと、本年 2 月の献血の直前に男性との性的接触があったということを聞いています。今回血液の NAT では、 HIV-1 が陽性、 HIV-2 が陰性です。 HIV-1 のサブタイプは B で、核酸配列を決定した env 領域に特別な変異は認められませんでした。今回のウイルス濃度については、 4.7 × 104copies/mL という結果でした。

 裏面ですが、受血者の情報になります。受血者 (1) の方は、詳細については現在調査中ですが、本人は特定をしています。赤血球は本年 2 月に輸血をされています。受血者 (2) については、 60 歳代の男性で、 FFP が投与されていると。輸血の年月日は 6 か月の通常保管後になりますので、本年 10 月で、原疾患は慢性消化器疾患でした。この方の検査結果については、抗体検査は輸血前が陰性、輸血後が陽性という結果が得られています。遡及の結果は以上です。

 現在、参考で日本赤十字社が行っています安全対策について、簡単に説明をさせていただきます。参考マル1で、現在、献血をしていただく際には、マル1にあります「献血の同意説明書」を読んでいただくとともに、 3 行目にあります一緒にお渡しした「お願い!」パンフレットも併せてお読みくださいということで、参考マル2の「お願い!」のパンフレットを献血者に献血の前にお渡しして、読んでいただくことをお願いしています。

 その中で 1 ページのマル4「エイズ検査を目的の方」、あるいはマル5「 6 カ月以内に男性どうしの性的接触があった方」については、献血をご遠慮くださいとのお願いをしています。

 また、「お願い!」パンフレットの 4 ページですが、「より安全な輸血医療のために」ということで、「検査目的の献血はお断りをさせていただきます」ということ、あるいは、「エイズ検査をご希望の方は、最寄りの保健所にお問い合わせください」との記載をしています。この「お願い!」パンフレットを読んでいただいて、献血の同意を頂く流れになっています。

 参考マル3ですが、これは 2011 ( 平成 23 4 ) に問診票の改定をしました。参考マル3の 1 ページの一番下、 4. 「エイズ感染リスクを判断する質問について、記載を変更しました」ということで、「エイズウイルスの感染初期には、最も鋭敏な検査方法を用いても検出できない期間があります。質問事項 20 に該当する人は、検査で感染の有無がわかるようになるまでの 6 カ月間、献血をご遠慮いただきます。なお、新たな異性との性的接触についても、性感染症のリスク行動となることを踏まえ、念のために性的接触開始後 6 カ月間は献血をご遠慮いただきます」ということです。

 裏面に実際の問診票があります。この中の問診質問事項の 19. 「エイズ感染が不安で、エイズ検査を受けるための献血ですか」という質問。 20. 6 カ月以内に次のいずれかに該当することがありましたか」ということで、「不特定の異性または新たな異性、男性どうしの性的接触、麻薬・覚せい剤、エイズ検査の結果が陽性だった」等についてお伺いをして、該当する場合には献血をお断りしています。

 さらに、参考マル4ですが、献血終了後に「今一度、ご確認をお願いします!」ということで、この紙をお渡ししています。それで、今お話した「 6 カ月以内で次のいずれかに該当することがあった方は、電話で ( 録音専用の電話です ) 採血番号と生年月日をお知らせください」ということをやっています。以上の安全対策を実施しています。参考マル5については、献血の開始から主な安全対策の変遷の一覧を添付しています。

 最後、参考マル6ですが、これは青い線が日本で見つかった HIV 感染者の数の推移、赤い線がエイズ患者の推移、棒グラフが献血者から見つかった HIV の陽性者の数です。最近、 2 3 年間を見ていただきますと、 HIV 感染者、エイズ患者は共にほぼ横ばいの状況ですが、献血者から見つかった HIV 陽性者の数については、棒グラフにありますように若干減少傾向を示していまして、問診票の改定等が有効であったのかと考えています。私からは以上です。

○牧野委員長 ここまでの資料、それから状況の説明を受けて、委員の先生方から御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○田崎委員  2 つ確認させてください。 1 つ目は、この方が問診票に虚偽の記載をしたのかということです。自覚して、嘘を書いてしまった、ということは間違いないのでしょうか。 2 つ目は、この方が 2 月に献血したのが初めての献血だったのかということです。それともリピートドナーだったのでしょうか。

○日本赤十字社五十嵐安全管理課長 この方は、資料 1-1 の別添にあるように、平成 25 11 月が今回、 2 月が前回です。その前は平成 24 1 月に献血があります。その前にも 2 回ありました。そういうことで、計 5 回献血をされています。それから問診票に虚偽という話ですけれども、接触した医師の話によると、直近に男性と性的接触があったことを述べていますので、正しく答えられていないのではないかと思っております。

○岡田委員 資料 1-2 のマル2で、今回問題となった、前回献血時の NAT の検査なのですけれども、 3 回やって 1 つの方法のみ陽性ということだったのですが、 C 法は tubu 当たりの感度が書いてあるのですけれども、実際血漿とすればどれぐらいの量が相当していますか。

○日本赤十字社五十嵐安全管理課長  0.5 ミリ前後だったと思います。

○岡田委員 これは、日本赤十字社が採用している方法で、リピートしなくて異なる方法でやったという理由は何かあったのでしょうか。

○日本赤十字社五十嵐安全管理課長  A 法と B 法でやるということは手順上決めています。それで 1 回ずつでしたので、もう一法でやってみたということです。

○花井委員 関連です。資料 1-2 のマル2の件ですけれども、今回のケースはギリギリではあるけれども、シングルをやれば捕捉できたということなのですか。通常の手続で。何か、ちょっとギリギリっぽいのですけれども。

○日本赤十字社田所経営会議委員 検出感度ギリギリだったと考えています。ですから、たまたまウイルスが入った検体については陽性、そうでなかったものについては陰性という結果になったのだと思います。

○花井委員 と、いうことはこのぐらいの量だと、今 20 プールをシングルに全部やったとしても、場合によってはギリギリ、そのシングルすらすり抜けるぐらいの量だという理解ですか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 そうです。

○大平委員 先ほどの質問と関連するのですが、この方は平成 24 1 月にも献血されていて、その前に 2 回献血されている。この方についての献血歴というのは、同じ場所で、同じ血液センターというのでしょうか、採血場所が違うのでしょうか。

○日本赤十字社五十嵐安全管理課長 同じ献血場所で献血されたことはありません。全て違う場所で献血されています。

○大平委員 この方のこれまでの献血歴というのは、同性間かどうか分かりませんけれども、性的接触のあった後に、常に献血されているというのは分からないわけですね。

○日本赤十字社五十嵐安全管理課長 それは分かりません。間隔が一番古いのはかなり古かったと思いますので、結構間が開いています。

○岡田委員 今回の献血で陽性になったので、塩基配列は一部解析してあると思うのです。日本赤十字社が使っている今のシステムのプライマーで検出可能かどうかということは、この塩基配列が、まだ一部なのでそこまでは解析していないのでしょうか。要するに低めに出てしまう、実際の値よりも低めに出てしまうような可能性はどうなのでしょうか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 少なくとも次回献血時の濃度であれば、陽性としてきちんと出ましたので、そういう意味で検出できないような変異はないだろうと推定されます。

○花井委員 受血者情報で、赤血球の方は調査中で、 FFP を受けられた方も陽性ということなのですが、これは、輸血後の検査は両方ともしていなかったという理解でよろしいのですか。

○日本赤十字社五十嵐安全管理課長 受血者 (2) の方については、本年の 10 月の輸血ですので、まだ期間的に、 3 か月までにという話ですので。 (1) の方は、そういう期間が来る前に転院されていたようで、検査は行われていませんでした。

○山口委員 先ほど田所先生から、検出限界ギリギリだろうということで、個別 NAT をやっても、恐らく引っ掛かるか引っ掛からないかというようなところかなとの説明であったかと思います。ただ、今後の方針を決めるのに教えておいてほしいのですけれども、もし個別 NAT をこの件でやるかどうかは別にして、やるとすると相当な投資をしないといけない、あるいはシステムそのものを変えていかないといけないということはあるのですか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 個別 NAT 検出限界ギリギリであっただろう、ということは変わりはないと思います。ちなみに、今まで個別 NAT で完全に陰性の血液で感染した例の報告はないので、今回の例についても極めて希な例だろうと思っています。 NAT は現在 20 プールで、これから個別 NAT にした場合どれぐらいかということですが、費用の問題でいうと、 NAT は従来、先進国だけで行われていた状況から、かなり広く行われてきている状況もありますので、検体数が 20 倍になったら価格そのものが 20 倍になるかということは決してなくて、ドナー当たりで見れば同じですので、法外に上がることはないことも考えられます。世界的には、個別 NAT を実施している国があるわけですけれども、必ずしもプールに比べて非常に高いお金を払っている、ということではありません。昔の状況は大きく違いましたけれども、最近は少し状況が変わってきていると考えています。

○山口委員 ここでは A 法、 B 法は IU で出されていて、 C 法はコピー数で出されていて、 HIV に関しては IU 単位とコピー数単位ではそれほど差がなかったような気がするのですが、そういう理解でよろしいですか。

○日本赤十字社田所経営会議委員  IU は、コピー数× 0.6 ですか。

○山口委員 その場合は。

○日本赤十字社田所経営会議委員 逆ですね。コピー数が IU × 0.6 です。

○山口委員 もう 1 つは、いわゆる PCR 法というよりも、いわゆる TMA 法のような、要するに RNA 特異的なほうがより HIV に対しては感度が高いのだろうとは思うのです。それに変えろという意味ではないのですけれども、もし、そういう TMA 法を使っていれば、これは検出可能な量なのでしょうか。質問するのが難しいのですが。

○日本赤十字社田所経営会議委員 どちらで計っても検出限界ギリギリなので、その方法によるというものではないと思います。今、世界的に PCR TMA 法とほとんど感度的には同じぐらいになってきています。方法による違いはないだろうと思っています。

○大平委員 これは、かなり前に HIV の検査をすり抜けて、そして感染の事例というのが起きたわけです。それ以降は全く起きていなくて、献血血液に対しての、 HIV に対しての安全性というのはかなり確保されたのではないかと私たちは自信を持っているところがあったと思うのです。残念ながら今回こうしたケースが出てきたということです。検体の検査の方法としてはかなりギリギリで、今後どういう方策を取ることができるのかということ。それから、一番の問題は問診のところで十分であったのかどうかというところはもう一回検証して、献血者に対しての注意事項で十分配慮が足りるのかどうかというところは再度検討しないといけないのではないかと思うのです。

 全体に日本の HIV 感染者というのは、今の厚生労働省の発表では減っている方向にあるのですけれども、今年はどうか分からないですけれども、ここのところは減っていると。検査件数も、保健所での検査件数も減っているというのもあります。そういう面では、多分献血のほうで検査している人がどのぐらいの割合で検査目的に来ているのかがはっきりは把握できないから、なかなか難しいところもあると思います。どうやったら、検査目的で来られる方たちについては遠慮してもらえるか。感染したということになると、いろいろ法律上の問題も出てくる問題だと思うのです。

 そういう点で、そういう献血での問診票の書き方の中にどういうことが盛り込まれるのかどうか。あとは、これまでは献血できた方について、 HIV で陽性が判明した方について、表向きは公表はしていないところがありますけれども、健康指導というような形で、結果は本人にお知らせしているところもあると聞いております。そこは、やはりきちんと知らせて、もう少し合理的な方法で今後こういう問題が起きないようにしていくにはどうしたらいいのかというのが、今回の大きなテーマではないかと思うのです。それについて、日本赤十字社としてはどのようにお考えでしょうか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 幾つか論点があったかと思います。今回は確かにウイルス濃度が検出限界ギリギリでした。 HIV ウイルスが赤血球 1 バッグの血漿量 20mL に有るところから個別 NAT で検出できるまで 11 日かかります。それから更に 11 日たつと抗体で見付かると考えられています。ただ、ウイルスが血液中に出てくるまでにもう 1 か月ぐらいその前にあるかもしれないということですので、 1 か月以上、少し余分を見れば 2 か月以上たたないとその抗体検査ではなかなか見付からないと言われています。

 当面はそれでも個別 NAT と、 NAT のプール検査では 20 倍感度が違いますので、我々も個別 NAT の導入を以前から予定をしていて、来年の夏ぐらいまでには入れたいと考えています。 HIV のウイルスは増殖スピードが結構速いので、 20 倍になるのに 2 日ちょっとぐらいです。ですから、検出できるまでの 2 日ちょっと分ぐらいしか時間は短くはならないとは言いますけれども、その分は改善するということがありますので、それを目指していきたいと考えています。しかし、同時に個別 NAT にしても、やはり限界はあることはきちんと認識していただく必要があります。そういう意味では、 HIV に感染するリスク行為があった人はすぐには献血に来ないようにしていただかなくてはいけなくて、今まではリスク行為から 1 年だったのを、一昨年から 6 か月と明示して、 6 か月は献血に来ないようにしてくださいと、かなり期間を短縮して、明示したわけです。それは、是非守っていただきたいと思います。

 ただ、引き続き献血者での HIV 陽性者率というのは、国民一般での陽性率のまだ倍なのです。減ってきたとはいえ、まだ倍近くあるという事実は検査目的の方が来られている可能性があるということだと思います。そうだとすれば、 HIV の検査目的で献血に来ることは、人を傷付けたり、下手をすると感染させるかもしれないという重大なことだということを献血者にきちんと伝えなければいけないと思っています。と同時に、そういう人たちが本当に安心して、きちんと検査ができる場所を作る必要があります。これは、 3 年ぐらい前に大阪で HIV 陽性者がかなり増えたときに議論をさせていただきましたが、やはり保健所等で無料検査をするというのを充実していただくことが必要です。現状は、市町村の合併で更に行きづらくなっていて、しかもエイズに対する関心が薄れてきて、そのうえ予算が減ってきて、週に 1 回もできていないような所すらあります。この点は、国にもきちんと指導していただいて、改善するというのが 1 つです。

 それから、保健所だけではなく、例えばエイズの拠点病院など、一般診療の中でも検査はできます。秘密保持さえできれば、保健所に限定する必要はないわけですから、もう少し行きやすい病院の中でやったらどうかという問題も少し議論していただく必要があるのではないかと考えています。

 また、問診票については、今までの「不特定の人との性的接触」ということに加え、「新たな人との性的接触」ということまで入れました。それを入れた分、期間を限定してきちんと言ってくださいというお話をさせていただいて、問診の前のインフォームド・コンセントについても受付の段階から対面でこの同意を取るようなことも行っています。

 あとは、どうしてもやるとすると、オーストラリア、シンガポール、ミャンマーのように虚偽の申告をすると、罰則を加えるという方策もあるかもしれませんけれども、これが日本の風土に合うかどうかは慎重に検討する必要があると思います。

○山口委員 先ほど御説明いただき、今も追加で説明していただきましたけれども、 NAT の技術的にはかなり限界に近付いているという理解をさせていただきましたが、多分そのとおりではないかという気がいたします。もちろん個別 NAT にしていただければ、予算的な点は別にして、他のウイルスに関して高感度化が可能となりますので、それはそれで努力をしていただきたいのです。今回のケースを考えた場合には、それだけで対応できている話ではないのだろうと思います。おっしゃられるように、未必の故意の犯罪に近いようなところを私は感じるところもあるのですけれども、そう簡単に言ってしまえない点もありなかなか難しいところもあるだろうと思います。特に、多くの善意の献血者の善意をくじかないところの対応は非常に大切なのではないかという気がするのです。

 あとは、献血の問診票の中で書き込める量が、昔から非常に努力はしてきているのだけれども、なかなかそこで全部伝えるのは難しい。それ以外の方策として、昔はクリファイド・ドナーということで、ちゃんと身分証を出すとか、その辺でいろいろな対応をされてきたと思うのです。そのような意味で、他の追加の方策も少し考えていく必要があるのかと。例えば、重大な傷害を他人に及ぼす可能性があるとか、そのようなことをちゃんと PR していく必要性も感じるのです。その辺も検討されているとは思うのですが、こういう委員会としてそういうことを要請するほうがやりやすいのかという気がするのですが、その辺でもし日本赤十字社のほうでお考えがありましたら。

○日本赤十字社田所経営会議委員 医療機関への広報ということと、国民への広報というのがあります。献血者にはこういうことがありますので気を付けてくださいというお話をしていますが、今後は献血者になる可能性のある国民全般に対しても、輸血についてはこれほどの安全対策をしても、なおリスクがあり、そのリスクはこれぐらいで、それを防ぐためにリスクの行為があったときには献血をしないでください、ということをもう少し積極的に広報していきたいと考えております。

○花井委員 質問と意見です。 1 つは問診の在り方についてです。問診医というと、それなりの経験を積んだ臨床の先生がやられているのではないかと思うのです。ヨーロッパでは、問診のインタビューのトレーニングを受けて、スペシャリストを育成しているというのがあったと思います。その辺の問診体制で、日本では法律上のこともあるのですけれども、問診を強化するという意味で、今より何かできるということではないでしょう。例えば、問診スペシャリスト育成プログラムみたいな、現状でそういうものは特にないのでしょうか、今後、そういうことは可能性としてあるのでしょうかという質問です。

○日本赤十字社田所経営会議委員 外国では、例えばイギリスでは一般の方が 50 時間訓練を受ければ、受付も採血もできます。看護師の資格は一切要りません。インタビューは、医者の資格は要らないことになっています。問題があれば医師に相談するという形です。日本では、インタビューは診療の一環として医師がしなければいけない、採血も看護師がしなければいけないことになっていますので、最終的な判断は医師がしなければいけないことになっていて、そういう体制で臨んでいます。

 ただ今おっしゃられた意味は、問診で上手に詳しく聞ける人を配置して、予備問診というか、医師の代わりに聞いておく方法はどうかという御提案だと思います。我々の中でもそういう案があるということで、話題として検討の課題に上がることはあるのですけれども、現実にそういう人を置くというのはかなり人が要るということです。そういう人を訓練した上で、特別に置かなければいけないという状況があります。その辺の体制をとるべきかどうか、今後、事業としてそれだけの負荷をかけてやることについては、大いに検討の余地はあるし、そういう方向で考えていかなければいけないと思いますけれども、それだけ費用もかかるということも含めてお互いに議論していっていただければと思います。我々も、それは前向きに考えたいと思います。

○花井委員 是非お願いいたします。以前にヨーロッパで見たときに、そこでそのスペシャリストは、いかに目を光らせてはじくかということに特化した人で、割と問診に特化したような方がおられました。こういう人が日本にもいてもいいかと思ったのです。

 もう 1 つは検査体制の充実について日赤のほうから御提案がありましたが、私も賛成です。以前に大阪で問題があったときには、いわゆる保健所での検査をもっと充実するという方向も出たのですけれども、欧米では HIV についてはスティグマの問題があって、 HIV の検査をするというのはそこに非常に配慮した体制が要求されてきたという背景があります。当時、現実に大阪の検査施設でも正にそれはスペシャルにトレーニングされた人たちがその検査システムを運用していました。ところが、そのようなシステムをもっと広げようとするとそのお金がかかる。むしろそれが減っている中で、やはり医療の中で普通に検査を受けることを推奨すべきだというのは、アメリカでも 2006 年にそちらの方向に大きく舵切りをしたと承知しています。

 我が国においては、診療報酬上は前回の改訂でかなり必要な検査を行いやすくなりましたが、全体の中でもっと検査を医療の中で引き受けて、医師が「これは可能性がある」というときには、どんどん積極的に検査をするような方向にはまだ十分舵取りがされていません。その辺については、もちろんスティグマの問題がありますので、患者の団体とか、 MSM の団体とかいろいろな所と相談は必要かと思います。やはり、もっと広く検査を受けやすい装置を、今までのような保健所だけではなくて、複数のチャンネルで確保することを是非国としても検討していただきたいと思います。

○疾病対策課課長補佐 アメリカの例を御教授いただきありがとうございました。広く検査しやすい体制、保健所だけではなくという御意見は課に持ち帰って検討材料にさせていただきます。疾病対策課としては、エイズ予防指針というものがあり、感染症法に基づく指針ですが、こちらに「検査・相談体制の充実をしよう」とうたっております。これを踏まえ、土・日・祝日を含めた無料匿名検査体制の充実を進めています。早期発見、早期治療を推進し、感染拡大防止に努めてまいりたいと思っています。

 エイズ予防情報ネットでも、検査実施日とか、時間の情報を提供しております。大都市においては夜間・休日・迅速検査というものも、受検者の利便性に配慮した検査として行っています。それなので、引き続きこの取組の推進に努めてまいりますとともに、自治体ごとに特殊性がある、特徴があると先ほど日赤の方からも御意見を頂きました。自治体の取組状況をきめ細かく把握し、利便性が高い検査・相談事業が一層推進されるように取り組んでまいりたいと思っております。御意見をありがとうございました。

○岡田委員 その検査に関してですが、やはり HIV を心配している方がそういう検査システムを利用せずに、日赤の献血システムで検査をやろうというのが今回の感染事故だと思うのです。その時に来やすいとか、検査を受けやすい環境を作ることが重要だと思うのです。いくら利便性があっても検査を受けにくいということ。 HIV に特化してしまうと行きにくいと。そうなると、例えば C 型とか、 B 型とか、風しんとか幾つかを入れて、 HIV もその中の 1 つの項目だとすると、敷居が大分低くなる。そうなると検査目的でない人も検査を受けるかもしれないけれども、心配な人は検査を受けやすいのではないかと思うのです。

HIV の患者数を見ると、大都市圏である東京、大阪、名古屋の 3 つですので、そういう所にモデル的な検査所みたいなものを作り、そこで実際に検討し、それで有効性が確認されれば、次の政令都市に拡大するというような考え方で、検査をしやすいシステムを作ることが重要かと思います。

 ついでに言うと、今回は防げなかったのですけれども 4 つあって、 1 つは検査目的ということが、日赤のシステムを使わなくても検査ができれば、こういうことは起こらなかったということがあります。もう 1 つは度々出ていますけれども、 ID-NAT で若干ですけれども感度を上げることによってウインドウ期を 3 日か 4 日ぐらい短縮することができる、というのは技術的に可能だということです。

 もう 1 つは、赤血球を輸血された方の結果は分かっていないのですけれども、もしこの方が陽性になっていた場合、輸血後 3 か月で検査をするシステムが今はありますので、それが有効に動いていれば、少なくともこの FFP を投与された患者さんは、感染を防げたことが期待できます。そういう面では、輸血後の検査というのを、各医療機関においては努めていただきたい。特に他院へ転院してしまった患者さんはなかなか検査しづらいのですけれども、可能な限り輸血後の検査を実施し、 2 人目の感染者を防ぐ努力が必要ではないかと思っています。

3 つ目ですが、今回は FFP で感染したのですけれども、こういうウインドウ期の場合、ウイルスが非常に少なくとも感染性は高いのです。そうすると、 FFP というのは、投与された場合は感染しやすいということです。そうなると、今は FFP に関してクアランチンに 6 か月やっていますけれども、 FFP に関してはアクティブ・クアランチンに、つまり、次回献血者が来て、それで陰性が確認された血漿を FFP として医療機関に供給する。原料血漿に関しては、今までどおり半年で供給するという、そういう二本立てということを考えてもいいのかと思います。

 その場合に、恐らく FFP の有効期間をある程度延長しないとそれは実現しないかと思います。海外でもアクティブ・クアランチンをやっている国があります。来ない場合は、原料血漿でやる。原料血漿の場合は、今の分画製剤の製造過程で導入されているウイルスの不活化・除去はかなり高度ですので、今のシステムで入っても、それは製剤になるまでには完全に除去できることが期待できますから、そうなると FFP は不活化も何もありませんので、二本立てにし、しかも原料血漿に比べれば量が少ないということで、半年とか 1 年ごとに規則正しく献血に来られているようなドナーを一応候補としてシステムを作れば可能なのではないかということです。

 これは私というか、日本赤十字社でそれが可能かどうかというのは検討していただく必要がありますけれども、そういうアクティブ・クアランチンというのも、今回のような感染を防ぐことができる 1 つの方法かと考えております。

○牧野委員長 最後のことに関して日本赤十字社から何か御意見はありますか。

○日本赤十字社日野副本部長 この場は運営委員会ということで、血液事業を日赤がいかに安全対策を打っていくかということを話す場だと思うのです。 HIV の問題というのは、日赤だけではどうしても検査の感度もありますし、問診もきちっと答えてもらわなければならないところがありますので、どうしてもすり抜けみたいなのが出てくると思うのです。そういう意味では、 HIV にかかわらず日本全体で HIV の数を少なくするのだというような運動を継続的にやっていってほしいと思います。

HIV に関しては、当初はいろいろとありましたけれども、マスコミで取り上げられる回数も減ってきていますし、 HIV の検査に関するホームページへのアクセス数というのは、以前はエイズ動向委員会が報告する度にポンとアクセス数が上がったのですが、ここ数年はポンと上がる現象が見られない状況もあります。やはり、 HIV に関しての関心は非常に薄くなってきているのだろうと思います。本日は検査の話だったのですけれども、予防・啓発ということも含め、国民全体で考えていく必要はあると思っています。

○牧野委員長 先ほどの保健所のことで、現在、都市部では日曜とか、夜間も検査を導入していて、その日に結果が出るような迅速な検査も既に導入しているのですね。他に何かありますか。

○田崎委員 一部重複してしまいますが、医療機関に勤める者としてインフォームド・コンセント、我々は学生に教育をしていますけれども、その重要性をまず再認識したということです。それから、当たり前のことですけれども、無駄な輸血はしないということ、そして輸血後の検査をするということです。また、以前は自己血がはやっていたのですけれども、最近は血液の安全性が高くなったということでやや実施率が低下しているようですが、やはり、こういうことがあると自己血の推進も医療機関としては大事なことと認識しました。

 今のとは関係ないのですが 2 つお聞きします。問題は血液センターに検査を目的に献血されている方がいるということだと思うのです。この情報が正しいかどうか分かりませんので確認しますが、血液センターでは結果を教えてくれるのではないか、という情報は正しいのでしょうか。血液センターの対応が、センター間で若干違うのでしょうか。現在は HIV の治療も格段に進歩しておりますので、そういう意味では早めに知らせて、そして治療に結び付けるのが妥当ではないかということを考える先生もいらっしゃるかもしれません。とすれば、検査目的の献血はあり得ます。センターでの対応が本当に統一されているのかどうかということも含めお聞きします。

2 つ目は、どんなにウインドウピリオドが短くなっても、ゼロリスクはないわけですから、これは必ず将来、同じようなことが起こり得るのでは。今回のケースは、どこの世界のラボで行っても、多分すり抜けたのではないかという症例です。そうすると、結局はまた元の対策になってしまいますが、いわゆる不活化とか、人工代替物の開発などです。そういう意味で血液センターの関与するところの不活化の問題に関して、コメントを頂きたいのです。

○日本赤十字社田所経営会議委員  HIV の検査結果について、センターが違うのではないかと。センターの業務として、お伝えしないということは明確にしておりますので、その意味でセンターの業務としては統一されています。この方針は先ほども申しましたように、まだ献血者における HIV の陽性率が一般国民よりも高い。そういう状況で知らせますということであれば、正に検査目的のために来る人が増えるだろうということで行われている対策です。陽性献血者の数は減りはしましたけれども、まだ 2 倍近いぐらいの陽性率ですので、先ほど言われたような検査体制を少し整備していただく必要があるだろうと思います。ただ、委員がおっしゃったように、陽性の人は治療したほうがいいだろうと、医者は誰でもそう思うわけですから、そう思う医者がいれば対応はするかもしれません。

 不活化についてはずっと議論してきました。不活化のメリット、デメリットもありつつ検討して、現状、委員会の中では血小板を優先順位としてその不活化を導入しましょう。それについては引き続き in vitro の検査を行って、メーカーの言っているデータともきちんと整合性が合うかどうかということも確認しつつ、海外の動きも合わせ、導入の準備をしましょうという議論になっております。ですから、それに沿った活動をしていきたいと思っております。

○花井委員 今の件なのですけれども、献血をして HIV 陽性の結果を伝えていると明確にしている国もあります。それにもかかわらず、さほど陽性率は上がっていない国もあるようです。そこには、日本の対策より優れた何かがあるのか、お国柄なのか、その辺は日本赤十字社内で分析されていますか。かねがね私はそれが不思議なのです。

○日本赤十字社田所経営会議委員 血液センター側の対策だけではなくて、社会的にどれだけ受け入れや検査体制があるのかという問題と、 HIV に対する社会的な考え方の違いが大きいかと思っています。もちろん、オーストラリアなどでは先ほど言ったような厳しい法律があって、現実にもオーストラリアでは献血者における HIV 陽性率が低いという結果はあります。その他で委員が御指摘になるような何か良い点があるかということについてはまだ把握しておりません。把握してみたいと思います。

○花井委員 意見です。このドナーを責めるつもりはないのですが、事の重大さをそれほど認識されていなかったのではないかと推察します。ある種その責任を持つことの意味が希薄な状況になっているのではないか。懲罰というのは極端な例かもしれませんが、それなりの重い責任を持つことをうまくどのように伝えられるかということはまだやることがあるのかもしれません。

○大平委員 花井委員と同じような考え方になってしまうのですが、前から私が主張していますけれども、この前のシャーガス病の問題とか、いろいろ感染性の問題として、やはりドナーは善意の献血ということで、文言として配慮されている告知の言い方というのはされていると思うのです。ただ、献血責任というのはあると思うのです。こうした事故とか、今後ドナーがなかなか現れなかったときに、いろいろ追跡調査する場合の情報提供というのも含めて、献血者としてそれをきちっと義務として、義務というよりも責任としてそういうのを何か署名するというような形は必要なのかというところを、今回の問題で改めて感じました。

 今後の検査で、自分で告知する欄については十分見ていただきたいということがあると思うのです。「検査目的ですか」と聞いても、「うん」とは多分言わないと思うのです。その在り方というのをもう一度よく検討していただいて、私たちも何かお手伝いすることがあったらしたいと思います。そこを明確にして、今後はこうした事故が起こらないように、献血の問題として考えたいと思います。

 先ほどの HIV の検査については知らせないという話でした。世界的には早く検査をして、そして医師へ行って、そして早く治療して、感染リスクをどんどん減らしていこうという傾向にあります。抗ウイルス剤でうまくコントロールできるようになった人たちからの、二次感染とかそういうのはかなり少なくなってきていて、全体として世界でも感染者数は減ってきている。そういう傾向を踏まえると、本来は検査の結果を知らせて、その方に早く治療を受けていただくという形にしていただくのが良い方向なのではないか。これは個人的な意見として考えています。日赤のほうで検討されるかは分かりませんけれども、ただ、世界の潮流としてはそういう傾向なので、是非検討の中に入れていただければ有り難いと思います。

○岡田委員 やはり、献血以外で検査を容易にできるようなシステムを作ってからでないと、献血のほうに検査目的の人が集まってしまう可能性があって、現在よりもリスクが高まる可能性があります。告知はしないということで、その受皿として一刻も早く容易に検査ができるようなシステムを立ち上げるほうが、輸血の安全性の向上のためには必要かと思います。

○牧野委員長 そうですね、今は年間 1,000 人以上の新しい HIV 感染者が出ています。最近はちょっと横ばいになりましたけれども、毎年それぐらいの新しい方がいるという現状があります。そういう方々の検査の機関がある程度限られているために、日赤に検査目的で来る方がいるという現状があります。そういうことがありますので、やはり保健所での検査法の利便性を上げていくということが 1 つの大きな課題です。

 あとは、施設で検査できるようにする。我々が施設にいると、 HIV の検査をするときには同意書が必要なのです。それがないと採血ができないということがあります。その辺りで面倒なところがあるということで検査をしないということもあります。いろいろな体制そのものを変えて、改善していく必要があるだろうと思います。そんな中で、献血に来られた HIV 陽性者にその情報(ほかで検査ができること)を伝える手段を工夫して、そういう体制を行っていくということがあろうかと思います。

 血液製剤の安全性の向上を考えると、検査法を高めていくのは当然なことではあるわけですが、非常に限界があることが分かっています。先ほどお話が出ておりましたけれども、 20 プール NAT から個別 NAT にという話も出ております。それで防げる感染症の数は少ないかもしれませんがあると思います。費用的にそれが可能であれば、やはり検査法の向上というのは 1 つの方法であろうと思います。今回、委員の先生から出ておりましたが、やはり問診の所でのブロックを更に幾つか工夫していくことが必要であろうと思います。他に何かありますか。事務局からはいかがですか。日赤からは大丈夫でしょうか。

 今回は、輸血を受けた患者さんが 2 人いらっしゃいます。赤血球製剤、血漿製剤、 FFP とあるのですけれども、 FFP のほうは検査をして陽性を確認しております。輸血後の HIV の感染を確認しております。それが、赤血球製剤に関しては、まだ遡及調査が終わっておりませんので、その結果も今後日赤のほうの結果が出次第それを報告していただきたいと思います。本日は、委員の先生方から、今回のこの件に関しての問題点、対策、今後の方策が出ましたので、そういうことを踏まえ、今後の安全対策を推進していきたいと思います。国と日赤、それから施設と皆で改善していかないと防げないものであろうと思います。

 他に特にないようでしたら、今回の議題はこれで終わります。次の日程は後日事務局から連絡がありますので、よろしくお願いいたします。本日は、御多忙中ありがとうございました。


(了)

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