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2013年10月4日 第8回足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会 議事録

労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室

○日時

平成25年10月4日(金)13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

参集者(敬称略)

小林謙二(座長) 田村幸雄
鈴木芳美 小野辰雄
原田保 金森勝三
鈴木敏彦 小島政章
才賀清二郎 宗像祐司
児玉猛 高橋元
加藤正勝 宮本一

オブザーバー

屋敷次郎 (国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長)

事務局

半田有通 (安全衛生部長) 奈良篤 (安全課長)
野澤英児 (建設安全対策室長) 釜石英雄 (主任技術審査官)
川越俊治 (技術審査官) 磯崎勇太 (指導係長)

○議題

(1)全国仮設安全事業協同組合からの意見表明
(2)一般社団法人仮設工業会からの意見表明
(3)一般社団法人全国中小建築工事業団体連合会からの意見表明
(4)一般社団法人日本建設業連合会からの意見表明

○議事

○事務局 では、定刻になりましたので、ただ今から第8回「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」を開催いたします。

本日は、お忙しい中、本検討会に御出席いただき、誠にありがとうございます。事務局を務めます厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室の磯崎と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、検討会の委員の変更があります。一般社団法人仮設リース業協会からの推薦で、関山会長が委員でしたが、体調不良のため同協会の原田保常務理事に委員を変更する旨の連絡がありました。今後は、同協会からの委員は原田様ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

次に、本日の出席状況です。臼井委員、大幢委員から欠席との御連絡をいただいております。

続きまして、資料の確認をさせていただきます。次第下部に書かれているとおり、資料1から資料6まであります。

資料1 足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会開催要綱

資料2 足場の種類別墜落・転落災害発生状況

資料3 意見表明日程

資料4 全国仮設安全事業協同組合からの提出資料

資料5 一般社団法人仮設工業会からの提出資料

資料6 一般社団法人日本建設業連合会からの提出資料

となっております。不足がありましたらお知らせください。

なお、資料2につきましては、前回の検討会において委員から要望がありましたもので、厚生労働省で集計した足場の種類別の墜落・転落災害発生状況です。事前に各委員にはお送りしておりますが、それと同じものです。

本日及び次回の検討会は、本検討会スケジュールのとおり、関係団体等から意見表明を行います。順番については資料3に記載してあります。1団体につき意見表明20分程度、質疑10分程度、合計30分程度を予定しております。

次に、傍聴される方への注意事項を御説明いたします。事務局の指定した場所以外に立ち入ることはできません。携帯電話等、音が出る機器については、電源を切るかマナーモードに設定してください。写真撮影やビデオカメラ等の使用は、事務局の指示に従ってください。会議の妨げとならないように静かにしてください。その他、座長と事務局の指示に従っていただくようお願いします。

また、報道関係者におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御了承ください。それでは、以降の進行を小林座長にお願いいたします。

○小林座長 座長を仰せつかっております関東学院大学の小林です。本日はお忙しいところ、どうもありがとうございます。

本日のメーンのテーマは、各団体からの御意見をいただくということですので、どうぞ活発な御意見をよろしくお願いしたいと思っております。1番目は、全国仮設安全事業協同組合からの意見表明ということですので、小野委員、よろしくお願いします。

○小野委員 こんにちは。私に、全国仮設安全事業協同組合の理事長の小野です。私の方から発表させていただきます。

前回の会議で、提言書を出させていただきました。それに関連して「提言」の補強ということで資料4-1を出させてもらっています。資料4-1の詳細説明のための資料が4-2となっております。それでは、内容について発表させていただきます。

まず、今回の会議の目的ですが、大きく捉えまして「労働災害撲滅道程の帰結」という標題にさせてもらいました。その帰結するところはどこにあるのかということですが、墜落・転落災害などの労働災害の撲滅のためになすべきことはハードとソフト、両面の防止措置を講じることであり、そのためには安全経費及び労災保険料を別枠計上し、確実に行き渡るように実施することに帰結する。いろいろ問題はありますでしょうけれども、とにかくやるべきことをやれば、労働災害は撲滅できるのだということをここで大まとめに言っております。

「提言」の補強の部分に入らせていただきます。まず【「国家の社会問題」として解決すべき背景】。国家の社会問題としてという意味合いのことは足場議連が言われていることですが、私たちもそう思います。なぜかといいますと、建設業における死亡災害は著しい、建設業就業者数10万人当たりの死亡災害は、建設業を除く全産業就業者数10万人当たりの死亡災害の10倍になっております。中でも墜落・転落による死亡災害は建設死亡災害の40%を占める。年間200人以上となっております。ですから、墜落死亡災害を撲滅すれば建設業の部分で40%が無くなりますという意味です。いずれにしても、こういうことは放置できないということでどうすればいいかということです。

さて、今年の2月ですが、第12次の労働災害防止計画が発表されました。それによりますと、本会議に関係があることでは、労働者の安全にかかわる問題は「全国民的課題」と位置付けて、究極の目標である「労働災害をゼロにすること」の実現に向けということをこの12次防では言っております。そのためには「建設業では『墜落・転落災害』に着目した対策を講じる」としております。

また、具体的には足場からの墜落・転落災害防止対策の推進に加え、屋根などからの墜落・転落災害を防止するための機材・手法を開発し、普及させるとしている。もちろんこの機材・手法については既にJISで多くが定められております。また、この12次防の中でももちろんJISを引用して迅速な対応を図る必要があるということが述べられております。この12次防は、私たちが提言したそのものでありまして、足場からの墜落・転落災害防止対策における手すり先行工法などの「より安全な措置」が迅速に法制化され、かつ「墜落・転落災害」は足場からということのみならず、その全体が対象としてこの会議で審議されなければいけないと思います。

次に、前回出しました提言1、2、3に関する補強の説明をさせていただきます。提言1では「墜落災害ゼロを目指す3つの絶対的対策の制度化」ということで提言していますが、その中には「手すり先行工法」という言葉があります。手すり先行工法の適用は、あくまでも枠組足場あるいはくさび緊結足場などの「自立型組立足場」に適用されます。適用されないのはどういうことかというと、例えばランダムに使用した場合の単管足場、屋根や法(のり)の斜面、はしご・脚立・作業台・うま足場など。また、つり足場・張出し足場あるいは高所作業車・ゴンドラなどの機械式足場については、もちろん手すり先行工法は適用外ですということをこの辺ではっきり言っておかないと、何でもかんでも全てが手すり先行工法だと取られるとごっちゃになってしまうという御意見がありましたから、ここでこの辺の仕分けをしました。

同じく、墜落災害ゼロを目指すためのソフト面では、点検のことを言っておりましたが、点検もただ点検をやればいいということではなくて、第三者の目による点検が必要だということを申し上げておりますが、第三者とはどういうことかといいますと、例えば国土交通省の重点対策にあるとおり「足場の組立て作業を行った者以外の者」と規定しております。ですから、足場の組み立て作業に直接関与した人がその関与した足場の点検をやるということでは、第三者の目ではありませんということを言っています。また、この件に関しては12次防で外部の専門機関の活用などをしなさいということを言っております。詳細は説明の資料のところに書いてあります。

この件に関してですけれども、建築基準法ではどうなっているかといいますと、建築基準法第1条及び第90条に基づき、墜落災害の起因となっている最も重要な工事用の工作物である足場や支保工の倒壊などについても防止措置を政令で規定すべきであるということで、私たちは提言します。なぜならば、工事用の工作物である例えば仮囲いであるとか、クレーンであるとかあるいは基礎工事用の機械については規定してあるのですが、最も大事でよく事故がある支保工の座屈であるとか足場の倒壊であるとかについてはここに規定されておりませんので、この中に入れるべきであるということを提言いたします。しかし、国交省は既にJISの関係、法面・斜面の工事用の仮設設備あるいは屋根工事用の足場及び施工方法については、既に共通仕様書や技術指針に盛り込まれて実行されております。ですから、民間工事もこれに習って安衛則に規定すべきだということです。

提言2に関することです。安全経費と労災保険料の別枠計上を図るという内容ですが、これについては、安全経費については12次防では「安全のためのコストは必要不可欠」と位置付けられております。それとともに、発注者はそれにかかわるコストを負担すべきだということを言っておりまして、そのコストについては関係請負人にその経費が確実に渡るように発注者に要請しております。また、安全経費の内容につきましては、厚生労働省が建災防に委託した委託事業で調査されて、その安全経費の内容については既に報告されております。詳細は別添で説明しています。

労災保険料の問題ですけれども、労災保険料の問題に大きくかかわるのは一人親方問題です。一人親方というのは、労災に加入していない方がまだ54万人もおられます。労災に加入していないというのは、好きで加入していないのではなくて、お金がなくて加入できないのがほとんどなわけです。それで苦しんでおります。ですから、こういうものは別枠計上を図ることで、一人親方も労働者とみなされ救済されることになって、これで労災にかかわる一人親方問題は解決されるということになります。これに関係してですが、建設業法では19条の3で「不当に低い請負代金の禁止」という部分があるのですが、ここで低価格受注の放置による労働災害の惹起を防止するとともに、請負人を保護するということが建設業法でもうたわれております。ですから、こういうことを具体的に一体どうやるのかということです。

提言3ですが、幾ら決め事をしても守らなければどうしようもないのではないかという話です。そのためには民間人を活用した監視員制度などの導入も考えられるのではないか。例えば、道交法による放置車両確認事務などを行う「駐車監視員制度」などがもう現実に行われているわけです。こういうものも参考にして民活を利用する手もあるのではないかということです。みんなで災害を防ぐのだと、そのためには悪い箇所を発見してそれを直していこうではないかということです。

同じく提言の中では、その他の重要事項という課題を提起しておりましたが、その中で足場をかけるのが事業者として困難だという場合は、事業者の判断によって足場をかけないで安全帯をして仕事をしなさいということが決められていますが、そこがぼやけているわけです。とにかく何でもかんでも困難だと、事業者が困難だと判断すれば足場や何かの措置をしなくてもいいという具合に取られている。そういうところに大きな抜けがあるわけです。事業者が困難だと判断する基本ポイントはどこに置くべきかということですが、例えば技術的に困難な場合というのは次のような場合でいいのではないかというのが私たちの考えです。例えば橋梁などの裏面の点検の部分であるとか、ビルのガラス清掃、屋根の軽微な補修といったロープワークにかかわる仕事等、点的、線的な軽作業に限定して、その場合においても防護さくや安全ネットなどの墜落防止措置を講じるべきであるということです。だから、困難な場合というのをそういうところにある程度範囲を区切らないと、何でもかんでも困難だということになってしまい、それが事業者の判断に任されている間はだめなのですということです。一定の技術的な範囲を決めていかないとだめだということです。

高さ規制の問題ですけれども、2メートル、5メートル、10メートルといろいろな切り方が安衛則でされておりますが、今、2メートル以上に焦点が当たっているわけです。安衛則は2メートル以上を対象としていろいろ決めようとしています。では、2メートル未満はどうなのだということですが、2メートル未満もすごく大事であり、解決すべき問題だと思います。例えばイギリスなどは2メートルという数字を取り払っています。そういう先進国もあります。なぜならば、2メートル未満の墜落死傷災害は全体の40%。これは放置できない。確かに死亡者は少ない。しかしながら、死傷災害は40%。そのためには、はしご、脚立、作業台などの使用に当たっては、2メートル未満のものも含めて安衛則に定める使用基準などをしっかり遵守させなければならない。これは我々事業者自身の問題です。2メートル以上ばかりでなく、2メートル未満も同等に扱っていきたいということです。5メートル問題ですけれども、高さ5メートル以上については作業主任者の配置をしなさいと言っていますが、5メートル未満はどうなのでしょうかということです。5メートル未満の災害の発生率は全体の70%を占めているということから、5メートル未満についても作業主任者の配置は絶対に大事だということです。高さ10メートルの問題ですけれども、10メートルを超えた足場であっても、組み立てから解体まで60日未満なら届出、88申請はする必要がないということになっています。しかし、ここの部分はかなり大きな問題なのです。60日未満の現場などはたくさんあるわけです。最近は、特にメンテナンスの時代に入っていますから、そういう現場は非常に多いということです。ですから、88申請はまず足場の計画の段階から入るのですが、88申請をしないとなるとその辺がお粗末になるわけです。ですから、計画が作成されていないと検査をする場合でも非常に問題なのです。図面による検査もできなくなりますということですから、こういう切り口ももう一度仕切り直ししなければいけないということを言っています。

重要課題の3番の一側足場の件です。この一側足場ですが、今回、建対室から追加の資料が送られてきました。それによると、一側足場からの墜落・転落死傷災害は全体の21%になっている。これはものすごく大きなことです。現実、どうなっているかというと、本当に一側足場しかかけられないような狭隘なスペースしかない場合もあります。しかし、スペースが十分であっても結局一側足場であれば安衛則の規制がかかりません。このような場合に、何故、一側足場を使用するのだということです。そういうことで、例えば躯体からのスペースが1メートル未満に限って一側足場の使用を認めるなどの使用規定を制度化したらいいのではないですかということです。一側足場を使っていれば、外から見た監督署の監督官はこれは規制外だということになってしまうわけです。二側足場を建てるには1メートルもあれば十分なわけです。ですから、提言にあるようにきちんと規定して制度化しなければ、一側足場がどんどん横行していくということでは事故の原因になりますということです。

手前みそですが、私たちアクセスはこの13年間にわたっていろいろな安全活動をしてまいりました。例えば現場の足場の点検をする仮設安全監理者というものを育成しました。取得者は既に7,000人を超えています。その7,000人のうちの半分以上は組合員以外の建設事業者の従業員であります。アクセス組合員がどうのこうのという規定はしておりません。広くオープンに門戸を開放して、いろいろなところに点検の専門家がつけられるようにやってきています。その仮設安全監理者が第三者点検という形で、累計で8万6,000件やっています。そこで改善依頼を行って直してもらった結果、死亡災害は点検を行った現場からはゼロですということです。

足場の安全に関する研修会、これは累計で800回を超えています。受講者は6万人を超えています。これは発注者の団体、あるいは建設事業者、労働局から国交省の関係あるいは地方自治体等からの依頼を受けて実施しており、安全に関して勉強した受講者は6万人を超えています。これが私たちアクセスの安全活動の成果です。しかし、こういうことをやってもやっても災害が減らないというのは、本当にざんきに堪えないのです。ですから、建設業で一致団結して、この建設業をいい業界にするためには、まずは労働災害をなくそうではないかということです。そこで働く労働者が生き生きとして、地位と名誉と所得なども確保していけるような業界にしていきたいというのが、アクセスの今日の提言です。以上です。

○小林座長 どうもありがとうございました。予定時間ちょうどということで、20分お話しいただきました。今、全国仮設安全事業協同組合から御意見の表明をいただきましたけれども、これに関して御質問あるいは御意見もありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○小島委員 小野委員の出されている資料4-1の2ページ目の「第三者による点検」というところです。安衛則567条と655条という条文に対しての論点ということで皆さん方は検討なさっていると思います。

この2ページ目と資料4-2の1ページ目の参考事項の国土交通省様の資料のところを若干参考にしていただけたらなのですが、御質問というのは、外部専門機関の活用とか第三者というところなのですが、ここでいうところの点検というのは国土交通省では足場の組立て完了時等の点検と、「等」をどこまで広げるかは別にしまして、そういう1つの条件を付けていらっしゃいまして、小野委員の方もそこに限定した話として聞かせていただいていいのか、安衛則の567条にありますように、その日の作業を開始する前に点検をしなさいというところがありまして、その辺りいかがなものかと思って、ここでその辺りを小野委員の提言について話がまだかみ合わないところもあるので、そこだけ確認させていただきたいのです。

○小野委員 わかりました。安衛則もそうであり、国交省のものもそうですが、組立て・解体・変更時のことを言っているわけです。私たちもそれを言っています。日々の点検は第三者の目でなんてできません。ずっと現場についていなくてはいけないから、それはできません。ですから、自動車の整備の定期点検と同じようなもの、日々の点検は運転者がやるのだということです。

○小林座長 どうぞ。

○加藤委員 建設労務安全研究会の加藤と申します。A3の資料4-2「『提言』の補強」説明資料の中の左から2つ目の「現行法制と労働災害の現状等」というところの上の方の、仮設安全監理者は約8万6,240現場の足場の点検を行い、15.7%の現場に対して改善を依頼した結果、点検実施現場における死亡災害はゼロであるということなのですが、数字が8万6,240現場と挙げてあって、なおかつ指摘した現場が15.7%というのは、報告書が上がってくると考えてよろしいわけですか。

○小野委員 上がっています。ですから、約8万6,000件の点検表が上がってきています。

○加藤委員 そうしたら、休業災害件数は何件ぐらいあるのですか。

○小野委員 それは分かりません。

○加藤委員 死亡災害ゼロというところも。ではどういう感じで。

○小野委員 死亡災害ゼロというのは、これも私たちが直接捉えているわけではないですけれども、しかしながら、死亡災害が発生した場合は必ず私たちに連絡が来るはずなのです。

○加藤委員 どうしてそれが言えるのですか。

○小野委員 それは言えませんけれども、しかし、点検をやったところで死亡災害が起きたら私たちは必ず追求されます。

○加藤委員 でも、義務付けてなかったら。

○小野委員 例えば監督署の死傷病報告などにも関連してきますから。

○加藤委員 それでも、死傷病報告とかを出すときに仮設安全組合さんのあれ(点検)を受けましたよとか何とかというか、あるいは仮設安全組合さんがやった現場に対して後で問い合わせるとか、一切していないわけですね。だから、死亡災害がゼロだとか休業災害とかその辺まで捉えていないと、こういうことは言えないのではないかと思うのです。

○小野委員 死傷災害のところまで捉えられませんけれども、少なくとも死亡災害に関係することならば必ず関係してきます。なぜならば、点検表も全部現場に置いてきていますから。安衛則では点検表を残せとなっているわけですから。

○加藤委員 点検表を置いてくるのはいいのだけれども、点検表を置いてきたからそれによって死亡現場を起こしたところは必ず監督署に報告しなさいよということにはなっていないわけでしょう。

○小野委員 そこまでは決まってはいないと思います。

○加藤委員 それの確認だけです。死傷災害数も取っているのかと思って聞いたのです。

○小野委員 改善依頼書は必ずトータルすると15%前後なのです。だんだん低くはなってきていますけれども、改善依頼書を発行してまたそこに行って依頼したことが改善されているかどうかのチェックもしています。

○小林座長 どうもありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。

○田村委員 民間人にお願いして監視の強化をする。これはもう少し具体的に、ちょっと漠然としてよく理解ができなかったのですけれども、日常的にそういう方を配置しておくということですか。

○小野委員 駐車違反の監視員制度なども道交法で運用が始まっているので、そういうものもいい成果を上げているのではないか。いずれにしても、全てを監督署の監督官が指導するということでは追いつかない話です。周囲の人が注意をし合うという形をとるということです。再三注意して、危ないのに直してもくれないということなら監督署に相談する等民活をしたらいいのではないかということです。全てを監督官に依頼して指導するというのはとても無理ですね。そういう意味で、こういう方向でもいろいろ検討の余地はあるのではないでしょうかということです。

○小林座長 どうもありがとうございました。具体的な話ということではなくて、全体としてそういうことを考えようということですね。

○小野委員 いろいろな方策を検討すべきだと思います。

○小林座長 どうぞ。

○高橋委員 まず1ページの冒頭の【「国家の社会問題」として解決すべき背景】のところに数字が書いてありますが、これは平成何年の数字ですか。

○小野委員 23年ですかね。

○高橋委員 平成23年に墜落災害が年間200人以上あったということですか。

○小野委員 200人というのは、一人親方の死亡も含めて言っています。

○高橋委員 そういうことですか。分かりました。

○小野委員 この内訳書は添付されています。別紙Aというものです。

○高橋委員 分かりました。平成23年ですね。

○小野委員 23年です。

○高橋委員 分かりました。3ページの提言3のところなのですが、道路交通法によることを事例に挙げておっしゃいましたけれども、立入り権限とか立入り者の安全確保という問題も出てくるのではないかという印象です。以上です。

○小野委員 当然そういうことも出てきますね。ですから、余り厳しいようなことでやっても、実態が良くならなければしようがないので、もっと緩やかでもいいですから、みんなで監視し合って注意をし合うとか、そういうこともできると思います。危ないといって催告しても全然言うことを聞かなかったということになれば、初めて監督署に相談する。そういう制度もいいのではないかということで、駐車監視員制度などはもう既にありますよということをここで言ったわけです。

○小林座長 よろしいでしょうか。どうぞ。

○才賀委員 2ページの【提言1「墜落災害ゼロを目指す3つの絶対的対策の制度化」の補足】というところの1つ目で、手すり先行工法と出たでしょう。これは足場組み立て・解体とかにしておかないと、この間も言うように少しインパクトが強過ぎるので、何か考えてもらえないですか。次は第三者による点検でしょう。特別に手すり先行という名前が出てしまっているから、その次に枠組足場、くさび足場といろいろな足場が出ているから、その中に手すり先行工法という足場の1種類であるならばいいけれども、頭が手すり先行足場になってしまうと、聞いていてよろしくないと思います。

○小野委員 全ての足場を手すり先行工法足場だということではなくて、手すり先行工法が適用されるような足場はどういうものでしょうかということで大別して、自立型の組み立て式足場の範疇ではないかということで入れたわけです。

○才賀委員 それであるならば、先ほど言ったように足場組立て・解体とかにしてもらった方が、いろいろなところで通りがいいのではないかと思います。

○小野委員 ただ、手すり先行工法そのものは組立て・解体だけに寄与するだけではなくて、通常の作業時にもそのまま残っていますので、安衛則を全部満たすことに結果的になっているということになろうと思います。

○小林座長 いかがでしょうか。どうぞ。

○宮本委員 2ページの一人親方問題の解決というところに、一人親方の54万人が労災に加入できずと書いてあるのですけれども、この数字というのはどちらの方から出されたものでしょうか。

○小野委員 これは総務省が出されている資料であります。91万人のうち、54万人が労災加入がされていないということです。

○宮本委員 雇無業主というものがありますけれども、そういうものですか。要するに、この一人親方という定義でもって数字は出されていないと思うのです。一人親方ということでは数字は出されていないのですよ。総務省の統計は一人親方という表現はないと思うのです。雇無業主というのはあると思うのです。要するに雇用されていないという人たちですね。だから、一人親方という数字がないものですから。

○小野委員 一人親方という言葉をちゃんと使っています。公の資料を見ながら引っ張っていますので、また次回にそれは出させてもらいます。

○宮本委員 済みません。ちょっとよく分からなかったものですから。

○小林座長 時間もありますので、皆さんの御意見を伺ってからその後の多分時間が取れると思いますので、以降、先へ進ませていただきたいと思います。よろしいでしょうか。2番目の意見表明ということですが、一般社団法人仮設工業会からの意見表明ということをお願いしたいと思います。

○鈴木(芳)委員 仮設工業会の会長の鈴木です。皆様方のお手元に資料5ということでペーパー1枚半ほどのもの、私ども意見表明というよりは要望の事項ということで出させていただいております。

後からまた補足説明いたしますが、私ども日常的に仮設機材に関して工学的というか技術的に扱うということで、日常の業務として携わっておりますので、そういった立場からお願いする事項というのは、我々しか言うことができないのではないかということでペーパーを出させていただいています。

私ども、仮設工業会というのは、基本的に仮設機材のメーカーの集まりですけれども、各メーカーがいろいろな仮設機材を製造しているわけですが、その構造でありますとか強度でありますとか、そういったものは厚生労働省の方がおつくりになっている構造規格あるいは私どもが業界の規格ということで自主的に定めております認定基準というものがありますけれども、そういったものに合致しているかどうかということで、各メーカーさんの製造工場での品質管理の状況を調査、あるいは私どもの試験所、これは東京と大阪に1カ所ずつ、2カ所試験所を持っております。そういった試験所で試験をして、その結果に基づいて各メーカーさんがつくられている仮設機材の製品の認定とか承認ということを行っております。したがって、私どもの会員は仮設メーカーさん、ざっくり言って100社ほど、そればかりではなくて仮設機材のリースとかレンタルをしていらっしゃる企業さんが200社ほど、仮設機材のセンターをお持ちの建設会社等が約50社、こういったいろいろな会員さんがいらっしゃいます。したがって、一つ一つの事案につきましては、いろいろな立場の会員さんがいらっしゃいますので、それぞれ異なるさまざまな意見がありますので、そういったことはまず最初に御理解をいただきたいと思います。

その上で、私ども仮設工業会として先ほど申し上げたようなことで要望事項を3点ほど挙げさせていただいております。これは今回の検討会で厚生労働省さんの方で論点を4つほど整理をしていただいているのですが、その整理された4つの論点からはちょっと視点が違ってきているかと思います。その点は先ほど申し上げたような事情ですので、御理解をいただきたいと思います。

第1番目のお願い事項ですけれども、新しい仮設機材の開発、その普及といったものを阻害するようなことがないようにしていただきたいということです。仮設機材のメーカーの集まりですので、私どもいろいろな工事現場のいろいろな作業といったものに適切に合致するような、安全で使いやすい仮設機材というものを製造、提供していくということは私ども会員の使命あるいは役割であると認識をしておりますし、今後もそういった活動を続けていきたいと考えているわけでありまして、いろいろな仮設機材の開発、改良、工夫ということを続けていかなければいけないわけですが、そういった意味で新しいいろいろな仮設機材、そこには手すり先行工法と呼ばれていますけれども、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、そういったものに限らず、いろいろな新しい形の足場、そういったものを改良・開発していく。それの足を引っ張るようなことだけはないようにしていただきたいというのがお願いです。そういった意味で、労働安全衛生規則などの体系も少し整理をし直す必要があるのかと思っております。以上が1つ目のお願いです。

2つ目の点ですが、このペーパーにはくさび緊結式足場について今後御検討いただきたいということで書いてありますが、先ほどの体系を少し整理し直すということとも通じるかもしれません。御存じのように、くさび緊結式足場というのは、現在、広く普及しております。しかしながら、労働安全衛生規則上では明確な定義がありません。現在、どうなっているかというと、それは単管足場とみなされて対応しているというのが現状です。

ちょっと細かい話になってしまうので、2つだけ下のほうに例示を挙げさせていただいておりますが、安衛則のいろいろな定めの中にはくさび緊結式足場の製品としての特徴だとか、そういったものが生かし切れない。ある意、味制約になっているという点が幾つかありますので、そういったことをもし規則改正ということを検討されるのであれば、一緒に御検討いただければということです。

ちょっと細かくなりますが、1つ目の例として、壁つなぎの間隔の定めがあります。単管足場の垂直方向の壁つなぎの間隔ということで5メートル以下という定めがあるわけなのですが、これはどういうことで決められてきたかといいますと、層高が1.65メートル、これの3層分ということが基になっていると理解しております。最近のくさび緊結式足場は、3層分の高さというと例えば5.4メートルでありますとか、5.7メートルとかいろいろなものがあるわけですが、こういったものを使うときに、安衛則を守ろうとすると2層ごとに壁つなぎを設けなくてはいけないということになります。ある意味過剰な設備あるいは作業といったものを伴うことになって、現実的ではない。そういったことから、この辺も値を考え直す必要もあるのではないかと思います。ただし、壁つなぎの高さを5メートル以上、6メートル近くまでもし仮にすると、単管足場の場合は座屈強度が弱くなってきますので、その辺もあわせて精査をする必要があろうかということで、例として一つ挙げさせていただきました。

2番目の例として、安衛則の571条に建地の高さが31メートルを超える場合は鋼管を2本組みにしなさいという定めがあります。これは非常に重要な決まり事であると理解しています。ただし、くさび緊結式足場の場合は高さが31メートルを超えても支持力に問題がないというものも実際にあります。そういった場合でも、安衛則を守ろうとすると2本組みにしなければいけない。くさび緊結式足場の場合は2本組みにすること自体難しい部分もありますし、いろいろな意味で無駄なというか、余計な作業を伴うということになります。そういったことを避ける意味もあるのではなかろうかということで、その辺も考えていく必要があるのではなかろうかと思っております。以上が2つ目のポイントです。

最後に3つ目のポイントですが、仮に規則改正等が行われる場合には、公布から施行までの間、十分な期間を設けていただきたいということをお願いしたいと思います。前回、規則改正が平成21年にあったわけですが、このときは公布から施行まで3カ月という期間でした。実際、我々の会員のメーカーさんでは、その期間では十分に準備ができなかった、対応ができなかったという経緯がありました。もちろん改正の内容によりまして、機材の仕様の変更でありますとか、あるいは製造に必要な準備期間でありますとか、そういったことは当然いろいろ違ってきて、一概には言えないとは思いますけれども、前回の場合は会員さんの声を聞くと1年ぐらいはほしかったという声がありました。そういった意味で、その辺もぜひ配慮していただければということで、3番目としてそこに書かせていただきました。以上です。

○小林座長 ありがとうございました。仮設工業会の御意見をいただきました。これについて御質問あるいは御意見をいただきたいと思います。どうぞ。

○高橋委員 私ども建災防では、メーカーさんにはいろいろお願いしておりまして、1番のとおり、新しい各種の仮設機材の開発や改良、その普及を阻害することのないように、これは私どもも大賛成といいますか、ぜひともこれはお願いしたいと思います。実をいうと、仮設機材だけでなくて丸のことかグラインダーのような工具類、建設機械といったものも新しくていいもの、安全なものにどんどん改良してくださいとお願いしている次第です。よろしくお願いします。

○小林座長 どうぞ。

○宮本委員 今の仮設の機材の開発だとか改良ということなのですけれども、仮設工業会さんの中に研究所だとかがあるのでしょうか。それとも外注といいますか、ほかのほうに委託をされてそういうことをなさっているのでしょうか。ちょっとお聞きしたいのです。

○鈴木(芳)委員 私どもは研究所を持っているわけではありません。試験所を大阪と東京、東京といっても所沢ですけれども、2カ所に持っております。そこで必要な試験をしているわけですが、中には承認品といってシステム承認みたいな足場全体の実大の実験をしたりとか、試験方法をいろいろ工夫しながらということで、ある意味研究所の活動のような業務もありますけれども、基本的には研究所は持っておりませんで、試験所として活動しています。

必要な場合には、いろいろな先生方に集まっていただいて、委員会の形式でいろいろ検討します。必要であれば、実際に実物大の実験なり部材の試験をするということで活動しております。よろしいでしょうか。

○小林座長 どうもありがとうございました。

 小島委員、どうぞ。

○小島委員 全建の小島です。1番のところ、先ほど高橋委員の方からのお話とも関連するのですけれども、私も若いころ現場にいたり技術部の畑にいたり、研究所にいたりした立場なのですが、いわゆるここでいうところの仮設機材を開発・改良・工夫といったことをやるときには、まずもって現行法がどうでそれに対してどう適用できていて、もし改良して、本当は安全で使いやすいというイメージで、もちろんユーザーが使いやすいイメージでこういうものがいいねと考えてやるのですが、それが例えば安衛則上まずい状況になるので、そういった普及を阻害するようなことはないようにという意味で捉まえてよろしいのでしょうか。

○鈴木(芳)委員 そのとおりです。私どもの業務の中に、皆さんはほとんど知らないかと思うのですけれども、適用除外のお手伝いをするという業務がありまして、安衛則で定めのあるもののとおりその製品が作られれば何の問題もないのですが、いろいろメーカーさんは工夫をされています。軽量なものを作るとか、そういった場合に極端なことを言うと安衛則の違反になるものを作ってしまうこともあり得ます。そういったことを避ける意味で、いろいろ私どものところへメーカーさんが相談に来られます。そのときには、私どもで分からないことであれば、もちろん担当の厚生労働省さんに問い合わせをするということも含めて、いろいろ対応しているという業務もありますので、その点も御理解いただければと思います。

○田村委員 一番最初のことと2番目のことはかなり関係しているのだと思うのです。2番も考えようによっては、例えば1.65メートル×3層で5メートルですね。5メートルで例えば壁つなぎがぎりぎりだったら5.7メートルにするともたないわけですから、それは駄目ですよね。それは荷重と耐力との関連で決まるものですので、例えば1番もそういう意味でいくと同じで、簡単に言えば「荷重を上回るように耐力を設定しろ」という一文で全てが解決するのです。けれども、それでは、いろいろな計算を独自に全てのパターンについてやらなくてはいけなくなってきたりして、非常に複雑で分かりにくいことに結果的になる。

法令というのは、仕様規定的な部分があって、何メートルピッチで付けなさいとか、何層ごとに付けなさいというのは、分かりやすさとか使いやすさということを考えるからだと思うのです。それは多分、今の現状にある程度あわせて、間違って使われないようにとか、いろいろなことから単純化とか、仕様規定化されるのだと思うのです。その辺の兼ね合いはかなり難しいかと思うのですけれども、ある程度使いやすさというのは必要です。そういう規定で、ある程度変えやすい部分というか、フレキシブルに対応できる部分と、根本的な理念として不変の部分、そういうふうに分けるようなことも必要なのかと思います。

○鈴木(芳)委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。全くそのとおりでして、ただ、例えば、今、枠組足場だと、ちょっと変な言い方になるかもしれませんけれども、高さの制限はないわけです。ちゃんと持てばいいのだという対応の仕方もあるわけですので、例えばくさび緊結式足場の場合でも、そういう扱い方ができないかということでここに書かせていただいたわけです。

○加藤委員 仮設材のいわゆる認定試験というか、認証をやっていると思われるのですけれども、当然手すり先行工法についても認証をしているのですか。

○鈴木(芳)委員 当然やっております。

○加藤委員 手すり先行工法のうち、手すり先送り方式というものも認証で当然オーケーだったわけですね。

○鈴木(芳)委員 そのはずです。

○加藤委員 それがアクセスさんは、今、手すり先送り方式はだめだといったのは、ちょっとその辺の理由がよく分からないのです。認定で良くてなぜだめなのか。

○鈴木(芳)委員 いろいろな物の見方ということがありますので、先ほども申し上げましたとおり、私どもいろいろな立場の会員さんがいらっしゃいますので、その辺も含めて、私どもは部材の強度とか構造とか、その辺についてこれは大丈夫ですよということを言っているわけで、使用基準ももちろん必要なのですが、正直に言いまして、その点が不足している部分もあります。少し補足していかなくてはいけない部分もあるかとは思います。

○加藤委員 一般論としては、手すり先送り方式も当然規格は満たしていますよと考えてよろしいわけですね。

○鈴木(芳)委員 はい。

○小林座長 ありがとうございました。

○小野委員 今、ちょうど手すりの先送り方式の話が出ました。この前、厚労省から出たデータの中にも、先送り方式を使ったために事故が起きたという例も出ています。現実問題、手すり先送り方式は組立てのときもどんどん上にクライミングさせていかなければいけない。解体時もそうなのです。解体する前にあらかじめ恒久な手すりがあるうちに先送り手すりを下に送っていくということなのです。そういう繰り返しです。ですから、どうしても先送り方式の欠陥は、上に上げるときは容易かもしれません、しかし、下に下げるときも恒久な手すりもその後を追いかけてつけていかなくてはいけないわけです。解体のときは上から下へ、ばらすときも恒久な手すりの外側を下におろしていかなくてはいけないという繰り返しになるのです。二重の作業になって危ないということです。

そのために、先送り方式の欠陥というものはそういう安全作業面でも出ておりますよということです。認定や何かはまた別な話ですけれども、使用中に起きるものなのです。ですから、先送り方式はそれに使ったにしても通常の作業時の安衛則の規格を満たしていない場合があるということになります。その他の据え置き方式であるとか専用方式ならば両方満たすということになります。

○小林座長 よろしいですか。それでは、ほかに御質問、御意見があれば。いただいた資料の中で、非常につまらないことなのですが、1ページ目の一番下の例2のところに「建地の高さが31mを超える」と書かれていらっしゃいますけれども、誤解を招くような表現ではないか。てっぺんから31メートルということで。

○鈴木(芳)委員 申し訳ありません。

○小林座長 ちょっと訂正していただければと思います。それでは、ほかによろしいですか。よろしければ、3番目ですけれども、一般社団法人全国中小建築工事業団体連合会からの御意見の表明をお願いしたいと思います。

○金森委員 すみません。私、文書を出すのが遅れまして、今、資料の文書にはないわけですけれども、もしよければ皆さんにお配りしてもよろしいですか。

○小林座長 是非。

(資料配付)

○小林座長 それでは、今、資料をお配りいただきましたけれども、配っていただいているのは6までですね。ということは、資料7としてメモしていただきたいと思います。

○金森委員 大変申し訳ありません。うちのほうからは、足場からの墜落防止措置の効果検証ということで、いろいろ考えてみた結論ですけれども、今、種々いろいろなことが提起されましたが、私たちは建築28種に属する職人の団体であります。この身近にいつも使っている足場というものを使っている観点から、ちょっといろいろ考えてみました。

一番上の各論という点から、まず文章を読ませていただきたいと思います。組立て・解体時における足場の最上層部からの墜落・転落災害について、安全帯の仕様等の措置については事故件数から鑑みて、同条に基づく災害防止効果は非常に高く、規則の強化ではなく、規則の遵守の徹底を図るべきと思っております。また、足場作業主任者に関しては、今後も安衛則に基づく作業主任者の選任等を徹底する必要がある。また、能力向上教育は実際に受講終了している作業主任者が足場作業主任者講習修了者の中で、どれぐらいの方が全国でいるのか分からないが、場合によっては各都道府県労働局からの受講奨励も必要かもしれない。

また、事業主や受講者の負担を減らすために、上記講習受講に対する助成等を充実させることも良いのではないか。文章にしてしまうと何となく堅苦しくなってしまって、何か自分たちの思いがちょっと届かないような文章になっているのでありますけれども、実際問題として、この足場作業主任者というものを取ってから、自分の例を挙げますと、私は昭和48年に足場の講習を受講しているのです。こうした人間が現場でずっとやってきて、その間、今までの間に再度新しい知識を入れるために受講した経緯があるかということになれば、ほとんどないのです。1回1日だけ足場の主任者の講習を受講して、資格をいただいて、それ以降何もしない。能力向上の問題はあるでしょう。能力向上のいろいろなことはあるわけですが、実際の現場の職人としてはほとんどそういうものは出ないのです。一旦もらった資格なのだからこれでいいわという状況で出ないのが現状です。

私たちが考えるのは、一番いいのは、今、建築士等でもやっておりますけれども、長くて3年から5年ぐらいの間にこういう資格を取った人たちが再受講する。そういう制度をやっていかない限りは、せっかくいい規則をつくってもその知識が入っていかないということになるのではないかと思って、この各論1を書かせていただきました。ただ、これをやるのには、今は余りにも職人さん方は不景気になっているため、これを国として補助しながら、助けながらやっていくということも考えてほしいということであります。

また、各論の2でありますけれども「通常作業時に墜落・転落災害について」ということで、通常作業時における足場からの墜落・転落災害の発生状況は、いただいた資料から見るとそのほとんどが安衛則に基づく処置の不十分及び処置自体を実施していなかった現場での災害であるので、まずは規則の遵守徹底を図るべきであり、更なる規則強化には反対である。特に、墜落・転落防止用の幅木に関しては、作業所の幅が45センチ以下の場合、歩行等の大きな障害となるので、非常に危険である。規則に入れる必要はないということを提言しております。ただ、これもやはり、今、ここに書かれてあるとおりでありまして、余りにもやり過ぎると逆にそれが災いとなるということもありますので、十分考慮してほしいということです。

その他として「一側足場について」若干うちの方からも提言をしたいと思って書かせていただきました。一般的な住宅現場には狭小地がほとんどであり、その足場作業所は、200350mmがほとんどである。実際の作業所を見れば分かるが、墜落・転落防止用の幅木をつけた場合、その作業自体に大きな支障を来すのは事実である。

また、中さんについても、腰をかがめて作業する場合、中さんに腰などがぶつかってしまい作業に大きな支障を来す。このような理由から、作業に大きな支障を来し、場合によっては逆に災害につながりかねない墜落・転落防止の幅木並びに中さんを一側足場に導入及び規制することには反対したい。そういう思いです。これは本当にやり過ぎてしまうとなかなか私たち民間の工事をしている場合ですと、特に狭いところで工事をしている関係がありまして、こういうことが切に感じられますので、こういうことを書かせていただきました。御検討よろしくお願いします。

○小林座長 どうもありがとうございました。今の金森委員からの御意見ですが、御質問はいかがでしょうか。どうぞ。

○小野委員 各論1の「組立・解体時における足場の最上層部からの墜落・転落災害について」。現行法は十分だから必要ないよというお話のようですが、しかしながら、この前いただいた厚労省からのデータを見ますと、組立て・解体時の実施していない、安衛則を守っていない部分が約80%もある。これはかなり異常なわけです。この場合、上に手すりがないわけですから、安全帯をどこにかけますかという問題なわけです。躯体にかけるところがあればいいかもしれません。

いずれにしろ、安全帯は腰高より上のところでかけなければいけない。自分が立っている足元にかけても意味がないわけですね。ですから、これは結局、安全帯を付けなさいという、要するにない場合は安全帯を使いなさいという安衛則、これを守ること自身が非常に無理がある。だから80%やっていませんよということなわけですね。だから、これで非常に効果があるということは言えるでしょうかということです。

いずれにしろ、安全帯を使うのは結構です。安全帯を付ける場所をどうやって確保するのですかということです。ですから、手すり先行工法はそのためにもあるわけですね。下からもう既に腰の高さにあるわけですから、そこに付けられるわけですねということです。通常時も一緒ですからね。それから「一側足場について」なのですが、結局200とか300だという部分には、やはり手すりをつけるといっても、手すり先行工法の対象にするのは非常に難しいのだと思います。とにかく足場を確保するのがおぼつかないわけですから。ですから、それは一側足場の人よりも狭隘な部分については、なるべくそういうところにマッチした墜落防止対策をきちんとしていくということだろうと思います。主として安全帯をしていくべきだと思います。

ただし、やはり1メートルを超えるようなスペースがある場合は、ぜひ二側足場をきちんと使うべきではないかということを私は申し上げました。

○金森委員 今、お話されたスペースのある部分は二側足場ということは、今、職人でも実際問題としてやはりだんだん広がってきています。そのほうが安全性もとれるし、やってきているのですけれども、やはり先ほども申したように、狭い部分というところが非常にあるので、規制されてしまうと、それが逆に狭い部分まで適用になってしまうようなことになると、やれないだろうということも踏まえながらの意見でした。

それと、あともう一つだけ。先ほど申し上げなかった部分というのは、本当に資格を持った方がたくさんいるはずなのに、もう資格の内容すら分かっていない。自分が足場主任者の資格を取ったのがいつだったかなということすらも分からないような状況になっているということは私は一番やはり大変なことだなと思います。したがって、やはり、ぜひ足場に関するものは、いろいろな団体があるわけですので、団体でもってみんな指導をしていく。我々であれば、建設業の28業種に属する職人さん方を抱えている団体であります。

そうした中で、もし1回目の資格を取得するのがいろいろな期間であれば、その後に講習等をしながら指導していくのは、やはり我々の団体みたいなところでもいいので、それをもう完全な義務付けをしていただかないと、職人さん方はなかなか乗ってこないということです。やっても、やらなくても、手間をとるのは一緒だよということではならないので、やはりそれなりの位置付けをしてあって、資格者たちも受講しないと、これはなかなか進んでいかないなという思いであります。

○小野委員 ちょっといいでしょうか。それに対するコメントで。私だけで申し訳ないのですけれども、私も昔から作業主任者の仕事は非常に大事だと認識しているのです。何で皆さん、作業主任者をきちんと配置しないのですかということです。それは言うなればお金がないからなのです。みんな私にも言うのです。「そんなもの一々できるかよ。」、「どこにそんな金があるのだよ。」、「俺らが組みながらやっているのだよ。」と。誰も第三者がいるわけないではないから、それが当たり前で、今の現状です。

建災防から厚生労働省に提出されている安全経費に関する報告書の中にも足場に関係する点検の経費ももちろん含まれております。ただではできないのです。だから、安全はきちんとした経費、コストがかかるということをやはり発注者に理解していただいて、きちんともらうことですね。そうすれば、「お金をもらえばやりますよ。」、「お金がなくてはみんなできないのです。」ということにはならないのです。それが結論です。

○小林座長 どうもありがとうございました。どうぞ。

○児玉委員 私ども造船関係なので、ちょっとここの中小建築の連合会の意見というものがどうも理解できないのですけれども、まず一つは、足場作業主任者、これはもう自分たちでも再教育するのは当たり前ではないかと思うのです。うちなどでも、足場作業主任者、今、小野さんの言われたものとちょっと違うのですけれども、足場作業主任者の資格を持っている人間はいっぱいいるのです。

該当する職場の作業主任者に選任される人間、それが指揮を執ればいいわけですけれども、正直言って、足場作業主任者が一生懸命仕事をしてしまっているのです。足場作業主任者の仕事ではなくて、足場作業者の仕事を第一線でやってしまっていて、全然仕事を監視していないから、誰かが落ちたと。

だから、そんなことはもう年がら年じゅう足場作業主任者の教育というのは、そういうところを中心にやっていかないと何のために足場作業主任者を配置、選任したのかという意味が何もない。

皆さんの現場でもそうなのかもしれないですけれども、足場作業主任者は経験豊富な人ですから、もう自分が仕事をやりたくてしようがないのだけれども、それではだめなのだという方向に持っていかないと、いつまでたっても事故はなくならない。

あと質問なのですけれども、特にここの「墜落・転落防止用の幅木」に関しという言葉が幾つか出ていますけれども、この前提は、物が落ちることに対する幅木は付けなければいけないという認識なのですか。

○金森委員 そうですね。付けないままで、その部分も上がることはあるでしょう。しかしながら、全部が全部狭い床のところに付けられると、逆に危ないということなのですね。

○児玉委員 だから物の落下防止に対する幅木もやはり中小の現場では邪魔になる。

○金森委員 私どもは、まず、やれない場合はネットを張ったりなどしてやっているわけですけれども、やはり幅木がものすごく邪魔になる場合というのは、多々あります。

○児玉委員 私はやはり絶対に必要だと思うのです。物の落下防止というのは。どうしても幅木でできなければネットでやるだとか何かでやっていかないと、やはりほかの災害というのは絶対増えてきます。

ここは墜落・転落の話だけですけれども、飛来があった災害もばかにならない数が起きているわけなので、やはりここに対する幅木を仕事がやりにくいから省略するだとか。

○金森委員 いや、この一側足場の場合だけです。

○児玉委員 各論2のほうはそういうことではないのではないですか。最初の方の。

○金森委員 この墜落・転落の災害についての各論2ですか。これは主に私たちは、今、考えたのは、これは一側足場のことが主に頭にあって、私は。

○児玉委員 各論2は最初から一側足場ということですか。

○金森委員 そのつもりだったのですけれども。

○児玉委員 途中でその他一側足場についてということなので、後半のほうだけが一側足場のことを言っているかと思いました。

○金森委員 いやいやそうではないです。ちょっと文章的に、私も少し勉強不足でしたけれども、ここで、各論2の下の方に作業床の幅が45センチと書いてありますね。作業床45センチ以下の場合のということで、私、書いてあるのですけれども、普通の幅広に取れる足場だったら、こういう書き方をしなくてよかったのですけれども、一番問題なのは、一側足場が一番頭にあって私は書いたのです。

○児玉委員 墜落・転落防止用の幅木ということで、一側足場で考えると、壁際のほうにそんな高いものをつけてあったら仕事にならないというところがあるかと思うのですけれども、やはり物の落下防止ということに対する措置というのは、絶対に私は必要だと思います。

○金森委員 必要がないと私も申しませんけれども、やはりあくまでも作業する立場からいくと、幅木がものすごく邪魔になる面が多いのです。

○児玉委員 作業する立場からは邪魔になるかもしれないけれども、その下に誰が通っているかわからないので、特に一側などの場合は、落ちたものがどうやって跳ね返ってどこへ飛んでいくか分からないので、やはり幅木でできないのだったら、ネットでやるだとか、そういう措置は絶対に必要だと思います。

○金森委員 そうですね。私ども通常はそういう形でやっています。

○小林座長 先ほどの御質問の中に、作業主任者の再教育、継続教育ということに関しては、業界の中で自分たちでしっかりやれというような御意見で、それから作業主任者が本来というよりも、普通の仕事をしているのではないかという御意見に対してはいかがでしょうか。

○金森委員 確かに、今、言われたことも一理ある話ですけれども、実際問題として、現場で我々は、私も昭和48年の当時だと、まだ現場で自分で動いていました。そうしたときに、やはり監督するためにではないのです。私が取ったのは。自分でやるために、しっかり覚えて資格を取って現場でやろうという意味で、職人さんというのは大体取っています。一般的な木造の職人さんであれば、これは監督するために取るのではなくして、自分が現場でやるために取得しているような状況なのです。

今、実際問題、我々の現場でも、大半の職人がうちの方は持っています。だけれども、それを誰が管理するかというと、社長なり専務が資格を持って管理するというような形にしているのですけれども、その資格を持っている人でさえも、もう取ってから何年もたっている。能力向上などなかなか講習会の機会があったかもしれないけれども、なかなかそういうことは義務付けられてはいないので、受講しないというのが現状です。

確かに、取った人がちゃんと指示をしながらということは建前であり、分かる話ですけれども、実際、現場ではそうではないのですね。一般木造の住宅等では。

○児玉委員 そういう意味で、その意見は全然違うと思いますね。資格を持っているのと、作業主任者に選任するものとまるっきり違う話なので、足場作業のことを勉強するために作業主任者の資格を取る。これは幾ら取ってもらっても構わない。非常に勉強になることなので。そういう資格を持っている人の中から、作業主任者を選任して、そこの現場の作業主任者として作業の指揮に当たる、安全の確保に当たるということなので、危険物などと同じように、本当に選任するためには何年間か作業主任者に選任されたことがない。資格は持っているけれども、2年でも3年でも選任されたことがなければ、もう一回能力向上教育、自主的な業界の中でも構わないと思うのですけれども、そういうものを受けなかったら、選任される資格がないという扱いをしていかないと、足場作業主任者を事故の防止のために置いている意味が何もなくなってしまうと思うのです。

だから、そういう仕組みを考えていくというのが、多分、足場作業主任者なども、何年間もやっていなければ、もう一回能力向上教育とか再受講しなければやってはいけないという方向に持って行かないと危なくてしようがないと思うのです。特に、有機溶剤などはもっとそうだと思うのです。

○金森委員 まさにそのとおりなのです。私、ちょっと舌足らずで大変申し訳ないのですけれども、公共の工事をやるときでも、やはりちゃんと選任しています。私の方でも選任しているのですけれども、選任した場合であっても、そういう人が持っている、今、まさに義務化してしっかり3年に1回、5年に1回そういうようなものをきちんと再講習を受けるような形をつくらないとだめだということが一番言いたい趣旨であります。

○小林座長 ありがとうございました。さらに御意見。どうぞ。

○才賀委員 今の再教育していないというお話ですけれども、我々建設業界専門工事業者なのですけれども、しょっちゅう再教育はされています。職長教育にしろ、足場にしろ、再教育はどんどんさせていますし、また、現場で年をとってくると、機械の種類も変わってきますので、そういう教育も建災防さんを通してやっております。

それと、先ほど小野さんが経費の問題で云々という話が出たのですけれども、今は標準見積表を専門工事業者全業種、約40団体が、国交省さんへ出して、9月26日に委員会で決定して、ゼネコンさんに請求する、見積書を出すということで、経費の別枠、それから社会保険の未加入の問題で、社会保険も別枠、それから消費税も別枠ということで、初めて業界の中で経費を別枠で専門工事業者がゼネコンさんに見積もりを出せると決まっていますので、今の安全経費もそういうところで見れると思います。

○小林座長 どうもありがとうございました。よろしければ、先に進ませていただきたいと思います。4番目ですが、一般社団法人日本建設業連合会からの御意見をお願いしたいと思います。

○鈴木(敏)委員 日建連の鈴木です。日建連の意見を述べさせていただきます。資料6を見ていただいて、足場の墜落災害というところに絞って、論点に従ってこれは意見を述べさせてもらうということです。

まず「論点1」ですが、足場の組立て又は解体時の最上階からの労働安全衛生規則に基づく墜落防止措置は十分かということなのですが、後ろに資料を付けております。別紙1です。「平成2123年度における組立・解体時における足場の最上階からの墜落・転落災害発生状況(死傷災害)」ということですけれども、分析対象が308件。その事案のうち安衛則第564条第1項第4号に基づく措置です。これを適切に行わなかったケースとして、措置のなかったものと不十分だったものというのが287件。それで、措置はあったけれども不安全行動があったというものが15件、両方合わせると302件となっています。全体のこれは98%を占めているという状況です。日建連としては、災害事案の大多数が適切な処置を講じていなかったという事実から、安衛則に定める措置を講じれば、十分な墜落災害防止効果があると考えております。

安衛則に定める措置は、災害防止効果は高くて、適切な作業計画と安全帯の点検の徹底等が必要であって、先ほど来からお話があった足場の組立等作業主任者の選任及び職務の徹底。これと作業主任者の資質の向上、再教育等を図ることが必要であると考えています。

以上のことから、日建連としては、現行の規則で十分と考え、更なる強化には反対ということです。

視点を変えてみますと、分析対象308件のうち「わく組足場」における災害を抜き出したものが、別紙1の裏側。これが別紙1-1のようになっています。ほかの足場も後ろに付けておりますけれども「わく組足場」で見ていただいて、対象災害件数、これは85件。全体の28%です。安衛則の改正の主対象の「わく組足場」の全体に占める割合はこれはそれほど高くなかったなと思っています。

また、事故原因は、安衛則に基づく措置が「無」又は「不十分」が76件で89%と非常に大きな比率を占めています。したがって、これについても組立て、解体時における事故防止を図るためには「わく組足場」以外での災害防止措置の検討と作業主任者の責務の徹底、作業員に対する教育の充実が重要かなと考えております。

手すり先行工法についてなのですが、妻側及び躯体側に先行手すりが取り付けられないものが多くて、また形状の複雑な建築工事等においては、やはり部分的に設置できない部分が多く発生するのではないかと想定されます。ということから、結局のところは手すり先行工法とは言いながら、安全帯に頼らざるを得ないと思っています。そのようにも指導をしているところです。先行手すりのみでは、足場上、移動する場合には、その際には安全帯を付け替えるということが必要になります。その作業も結構危険であるために、手すり先行工法が本質的に絶対安全だというのは言えないのかなと思っています。

それから、足場の組立て・解体作業については、もともと何もないところから墜落防止措置を含めた作業用の足場を組み立てるという作業と、また逆にそれを何もない状態に戻すという、そんな作業の性質上、通常作業時等の墜落防止措置と同等の措置はなかなか難しいということで、ハードのみならず、いかに不安全行動をなくすか、安全帯を確実に使用させるなど、本人の質を上げたり、作業主任者の監視指導の徹底、そのソフトの両面の対策によって、墜落災害の防止を担保しているというのが現状かと思います。そのため、日建連としては、墜落防止措置の更なる強化というよりむしろ現行規則に基づく措置の周知徹底を図ることが重要であると考えています。

論点2なのですが「通常作業時等の安衛則に基づく足場からの墜落防止措置は十分か」ということなのですが、これも別紙2「平成2123年度における通常作業時における足場からの墜落・転落災害発生状況(死傷災害)」を見ていただいて、これによりますと、不明等を除く分析対象の859件の事案のうち、やはり安衛則の第563条第1項第3号に基づく措置、これを適切に行わなかったケース。つまり、先ほどと同じように措置のなかったものとか不十分、これが781件あって、措置はあるけれども不安全行動が69件なのです。それらを合わせると850件。全体の99%を占めているということです。

論点1と同様に、日建連としてはまことに遺憾なのですが、災害事案の大多数が適切な措置を講じていなかったという事実から、安衛則に定める措置を講じれば、十分な墜落防止効果があると考えています。

以上のことから、日建連としては現行の規則で十分と考え、更なる強化には反対ということです。

通常の作業時も、組立て、解体と同様に、視点を変えて分析の対象を859件のうち「わく組足場」における災害を抜き出したものが別紙2-1になります。対象災害件数は、293件。全体の34%であって、安衛則改正の主対象になっている「わく組足場」の全体に占める割合は、これも思ったほどではなかったなと思っています。また、事故原因は安衛則に基づく措置が「無」又は「不十分」というのが267件あります。91%を占めているということです。

したがって、安衛則の563条第1項第3号に基づく措置の災害防止効果は高く、引き続き措置の徹底を図ることがまずは適当であると考えます。また、通常時における「わく組足場」以外での災害防止措置の検討と確立、作業員に対する教育の充実が重要と考えています。部長通達による「より安全な措置」については、安衛則に定める措置を徹底すれば十分という今回の分析結果を受けて、新たに規制を盛り込む等の必要はまずはないのかなと思っています。

論点3ですが「安衛則に基づく足場の点検義務は十分か」ということですが、これはここに書いてあるとおりです。足場の点検については、点検のみならず点検の結果、明らかになった問題点を直ちに補修するということが事業者に義務付けられています。第三者による足場の点検は、労働者の生命に係る点検を法律上自ら我々が責任を放棄するようなことにもなりかねないということで、これを認めることは事業者としてないと言ったものです。責任を負わぬ者による点検は、認められるべきではないのではないかということです。

足場の点検については、足場の組立て等作業主任者及び当該足場の使用者が自らの責任においてこれを行っていまして、日建連では第三者による点検は必要ないと考えています。足場の点検は、日々の使用前の点検や現場巡視でのフォローが重要だと思っています。足場は施工の各段階ごとにさまざまな業者が利用するものであって、その間には、設備の取り外しとか、盛り替え等が行われるために、日々の点検が欠かせないと思っています。

また、足場は個々の現場によって形状が相当異なります。点検対象となる足場が安全に作業を行うことができるものとなっているかを確認するために、足場の構造を良く理解して、知識を豊富に有していることが必要かなと思います。「足場を用いて行われる作業の状況」、「足場の周辺で行われる他工事による足場構造への影響」などを把握している当該現場の関係者による点検が必要不可欠ということです。

さらに、災害事案のほとんどが安衛則に基づく墜落防止措置が不十分だった事案であるために、安衛則に基づく足場の点検の実施について、さらなる徹底が必要であって、点検実施者の能力の向上、確実な点検と普及も併せて必要であると考えています。

論点4ですが「安衛則に基づく墜落防止措置を履行させるための取組は十分か」ということなのですが、今までの分析結果を受けて、行政が速やかに行うべき取組ということでは、規則改正による「更なる対策の強化」というよりも、むしろ「更なる対策の周知」、つまり現行規則の周知徹底が大事で、それがすなわち「対策の強化」へとつながるものと考えます。

日建連としては、安衛則に基づく措置を適切に行わなかった事案がこれだけあったという事実はまことに遺憾だと思っています。その周知徹底を図るに当たって、何が阻害要因であったのかを究明しつつ、これまで以上に規則の周知徹底に努めていくという所存です。

それから、足場は、敷地境界との関係や構造物の形状等を勘案して、施工者が計画を立案して設置するというものです。やむを得ず、本足場以外の足場を設置せざるを得ない場合も多々あります。組立て・解体時の死傷災害の本足場以外の足場の占める比率は62%と大変大きな比率を占めています。

今後は、本足場の手すり方式の議論よりも、組立て・解体中の事故防止のためにも、本足場以外のハード面での対策が急務であろうかなと思っています。仮設資材メーカーとともに研究開発が必要であろうと思っています。日建連としての意見は以上です。

○小林座長 どうもありがとうございました。日建連の鈴木委員からの意見表明ということでした。これに関して、御質問あるいは御意見ありましたら。宗像委員、お願いします。

○宗像委員 今の日建連さんの御提示に対してということではないですけれども、全体的に感じたことをちょっと申し上げておきたいなと思ってマイクをいただきました。

法律というものが適用されるときに、よく法律の規定というのは最低限だという言われ方をすることがあります。法律で規制されること、ハード面の対策というのは、作業者、足場を使って作業する人にとっては、ある意味鎧なのだと思うのです。その鎧が余り重たくなってしまうと、鎧が大きければ大きいほど安全ではあるのですけれども、余り重たくなってしまうと、作業をするのに不都合を生ずるようなことになりかねないかなと感じています。というのは、安全な足場を作るということは、作業者にとって使いやすい足場が安全だという面を見逃してはいけないのだと思うのです。それだけでくくれるものではないと思いますけれども、そういう視線があるということをいろいろな団体の御発表の中で感じましたし、自分たちも住団連ですけれども、次回の発表の中ではそういった視点に立脚して何か展開できるほどのものではないのですけれども、そういう視線を忘れてはならないかな、そういう面を考慮しながら、安全な足場ということに向けて議論が進むといいなと思っています。そんなことをちょっと感じましたもので。

○小林座長 どうもありがとうございます。そのほかの御質問や御指摘。小野委員、どうぞ。

○小野委員 今の鈴木委員の御発言ですが、現行の安衛則で十分だと。それを守りさえすればいいのだということが大方の取りまとめた意見だと思います。

過去7回こういう会議をやってきまして、一生懸命現行法でやってきた結果、今、どうなのでしょうかということなのです。どんどん減っているのでしょうかということです。責任は誰が取るのかという話も出ました。責任はどうやって取られているのでしょうねということもそれに関係すると思います。

それで、私、前回の提言書で指摘させていただきました。この検討会は、安衛則を守りさえすれば、それで十分だということは3回続けられてきたのです。だから、データをもとにです。そういう視点だけではありませんよ、ということは、この前、私は提言させてもらいました。より安全な措置である手すり先行工法を使った場合のデータはどうなるのでしょうかということで、厚労省さんからいただいた過去3年分のデータをまとめてこの前発表させてもらいました。

例えば、平成23年の場合は、手すり先行工法を使っていた現場は、使わない現場の58分の1の事故率になっています。422人の死傷災害が出ていたのですが、もし全部に手すり先行工法を当てはめた場合は、38分の111人に激減しますと言われています。22年から。それはデータからした比例方式です。それは3カ年分のデータを全部集めてここで書いています。

ですから、今、鈴木委員が言われたことは、安衛則を守っていた場合はどうのというのは、安衛則を中心に考えました。私は手すり先行工法をやっていればということのデータに基づいて分析をしました。ですから、この会議は手すり先行工法をやっていたらどうなったのかということで焦点も少しは当てていただかないと困りますということなのです。

現実に、例えば国交省がこれを仕様書化しています。国交省は事故が起きていないのです。死傷災害。それは国交省が2年分発表になっています。そういういい例があります。何でこれが難しいのでしょうかということです。妻側に手すり先行は取り付けられない。躯体側にも取り付けにくいところがあるから。だからそれで絶対的な安全とはいえない。確かに私も絶対的安全とは言っていません。しかしながら、このとおり先ほど言ったような形になります。平成23年度の分だけ捉えれば、58分の1の事故率であったわけです。手すり先行工法を使った現場は。なぜならば、組立て解体に最上層のみならず、通常作業、床も全部満たすことになるからなのです。総合的にもということなのです。そういう視点からも捉えていただきたいと。現行法で守っていきましょう、守っていきましょうと。これだけみんなして努力して本当に激減していますか。

○小島委員 よろしいでしょうか。その話は十分理解させていただきました。今まで小野委員が展開なさっている話は。それで、各論という話ではないのですけれども、例えば私などもゼネコンの人間ですから申し上げるのですが、何も手すり先行工法の足場が悪いとは言っていませんし、できることなら使うことがベターだと思っていますけれども、使う側の立場からしますと、さまざまな条件があって、使いたくても使えないという状況もあるということも御理解ください。

それで、現行法というのは、それ以前から随分と議論をやって4年前に改正が行われて、それに対していかがなものかということの論点での効果、検証、評価というところで論じてくれという厚労省さんからの論点のポイントで、先ほど来、鈴木委員の方がそこに絞った形でお話しなさったのではないかと理解しております。

小野委員が冒頭からおっしゃっていますように、本当に働いている人たちの安全を守るにはどうするのかという、壮大なテーマで我々も当然、我々の立場でもそれをいかがなものかというのを考えているのですが、今、ここの場の目的は法改正するのかしないのか、要するに規則としての強化をするのかしないのかというところがかなりな論点になっているので、そこへ絞った形でお話をしているのではないかと思っていまして、多くの方々の話は、と私は理解しています。

さまざまな提言は、当然、必要なもの、そうではないもの、先ほど来、仮設工業会さんからも出ているような話も含めて、非常に重要な話ですけれども結論を出すためのステップが随分あると思うのですけれども、ここでは4年前に規制強化したものがいかがなものか、更に強化をする必要があるのかというところを検討、評価をしていきましょうという話ではないかと思っているのです。

○小林座長 どうもありがとうございました。先ほどの日建連からの御意見、小野委員に対して何かありますか。

○鈴木(敏)委員 今、小島委員がおっしゃったことにほぼ尽きると私は思います。余りに壮大な話まで持って行っても、それもなかなか話がつくものでもないし、誰も職人や鳶がけがをしていい、亡くなっていいという話は一切あるわけではないし、皆さん同じ思いなのです。その上のベースに立って、ただ法的に更にプラスしていくのかどうかというところを論じ合っているのであって、決してその手すり先行足場そのものを否定しているというわけでもないと思います。いいですか。

○小野委員 ちょっといいでしょうか。本当に皆さんの御意見、よく拝聴いたしました。安心しました。いかにも手すり先行工法、より安全な措置がくだらないものなのだというような言い方に聞こえました。なぜならば、現行法の強化の必要はないとないないづくしで言われました。ですからそう言ったのですから、そうではないことが分かりまして、安心しました。

私は壮大ななどという気持ちは全然ないです。とにかく墜落災害撲滅の全体を捉えていかないとだめではないか。その中の例えば今回の足場からのというのは、その一部ですよ。これを切り口にして、とにかく墜落災害全般にわたっていく案のようにしないと意味がないですよ。これだけの関係者が全員そろって、いや本当ですよ。そこをやって、やはり世の中の人にそれを認めてもらうということなのです。端っこから1が片付けられれば2に行かないということではなくて、全体を捉えながら1、2、3、4ということもできる。できるものからやっていかなければいけないのではないでしょうか。

○小島委員 それで、先ほど来、金森さんとか児玉さんの話に出ているのですけれども、私自身も足場の作業主任者をはじめ、さまざまな作業主任者がありまして、それは、一度主任者の資格を取ればおしまいという、それでオーケーということですけれども、そこら辺りが再教育、能力向上教育というものをどういった形でそれこそ義務化していくかとか、あるいは実際に作業主任者になる人は、本当に再教育を受けていないとだめですよとか、そういったところに論点があると思うのです。点検から膨らませた話としてあると思うので、これは今回のこういった会議の中で、提言として皆さんが共通の認識を持つのか、いやいやそういうことではないのではないですかとか、ここの議論の中に入ってくるのではないかと思っています。

先ほど来、ハード、ソフトという話が出ているように、完全なハード面の話とソフト面の話とそれは切り分けて話をしていくというのも重要なことではないかなと思っております。

○小林座長 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 今の小島委員の能力向上教育につきましては、建災防でも積極的にやりたいと思っています。5年前の法改正の時には、能力向上教育をかなりたくさん実施しました。あれから5年経っていますので、ちょうどいい時期ではないかなと思います。そういう意味で、私どもはお手伝いをさせていただきたいと思います。

また、厚生労働省さんと日建連さんの分析を見ますと、やはり不安全行動というのは非常に多いですね。不安全行動をいかにしてなくすかというのは非常に難しいのですが、この能力向上教育、こういった教育をすることによって、作業主任者の職務をしっかり全うすることによって、かなりの不安全行動はなくしていけるものと思っております。以上です。

○小林座長 どうもありがとうございました。先ほどの日建連からの御意見を越えた御意見が出てきていると思いますので、それでは、一応、日建連から鈴木委員のお話は伺ったということにして、さらに今まで4団体からのお話をいろいろ伺いましたけれども、それ全体としての御意見あるいは御質問、確認したいことなどを伺いたいと思うのです。金森委員。

○金森委員 私、最後に一言だけ申し上げたいのは、能力向上、確かにいいことですし、今までもやってきていることだとは思うのですけれども、ただ、現場の人間はなかなかそれにはついていかないので、やはり義務化をすることが必要だということを私は強く訴えたいと思います。

○小林座長 ありがとうございました。どうぞ。

○宮本委員 済みません。最後の日建連さんの1ページのマル2のところの下線を引いてあるところなのですけれども「『わく組足場』以外」ということなのですけれども、書いてあることはそのとおりだと思いますけれども、ここで言う作業員に対する教育という点が書かれておりますけれども、ここは元方責任の範囲でやっていくべきなのだということなのですか。それとも、ここの事業者責任でやるべきだということなのか、その辺のことについてお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○鈴木(敏)委員 基本的には事業者責任だと思うのですが、元方のほうもいろいろな講習、研修とかをまた自らやっている部分もありまして、よそを向いているというわけにはいかないと思っています。

○宮本委員 というのは、この作業者という捉え方が、次回、私もソフト面での主張をさせていただきますけれども、いわゆる一人親方というのですか、名ばかり事業主みたいな方が大分最近増えていまして、これはみんな労働者、手間請けでやっていても労働者、本来は労働者でありますけれども、手間請けですから、実際は事業主。まさに名ばかり事業主といった状況がかなり増えている中で、事業者責任と言っても、なかなか一人ではやれないような環境があります。

元方の責任ということで言えば、安全衛生法の31条で、特定元方事業者の講ずべき責任というものがありますけれども、その辺が十分周知されないままになっていくと、その作業者が労働者というよりも、それぞれの責任でとなりかねないなという懸念を持っているものですから、どういうお考えだったかなということで。

○鈴木(敏)委員 多くのゼネコンにおいては、事業者に送り出し教育を実施してもらっています。一人親方が直接、一次の業者になっているというのは非常に少ない例なのかなと思っています。一人親方の方が一次でくる場合は、送り出し教育を元請で実施しているところが多いと思います。

○小林座長 どうもありがとうございます。ほかに御意見あるいは御質問、確認事項はありますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、ちょうど予定の時間になりましたのですが、一応、4団体からの御意見を伺うということの本日の予定は終わらせていただきたいと思います。あと事務局で何かありますか。

○川越技術審査官 それでは、次回も同様に意見表明を行うということになっております。10月7日月曜日、15時からです。厚生労働省12階の専用第13会議室で実施予定です。

次回、意見表明を行う団体は、建設労務安全研究会、一般社団法人建設産業専門団体連合会、全国建設労働組合総連合、一般社団法人住宅生産団体連合会です。よろしくお願いいたします。私からは以上です。

○小林座長 週末に引き続き、週の初めという予定で、お忙しいところ申し訳ありませんけれども、来週の初めも各委員におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。

4団体に関しましても、意見表明よろしくお願いしたいと思っております。そのほか、何か全体的に今日のことに関して何か。よろしいでしょうか。何かありましたら。

それでは、なければ、本日の第8回の検討会を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 


(了)
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