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2013年12月18日 第2回歯科専門職の資質向上検討会

医政局 歯科保健課

○日時

平成25年12月18日(水)13:00~15:00


○場所

経済産業省別館 104号会議室


○議題

1.歯科医師ワーキンググループ報告書(たたき台)について
2.歯科技工士ワーキンググループ報告書(たたき台)について
3.その他

○議事

○小椋課長補佐
 定時より早いですけれども、ただいまから「歯科専門職の資質向上検討会」第2回を開催いたしたいと思います。

 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、開催に先立ちまして、委員の変更がございましたので、そちらについてお知らせしたいと思います。

 日本歯科医師会副会長の富野副会長でございます。

○富野委員
 富野です。どうぞよろしくお願いします。

○小椋課長補佐
 日本歯科医学会の松村副会長でございます。

○松村委員 
 松村です。どうぞよろしくお願いいたします。

○小椋課長補佐 
 また、本日は、オブザーバーといたしまして、文部科学省高等教育局医学教育課平子企画官にも御出席いただいております。

○平子企画官 
 どうぞよろしくお願いいたします。

○小椋課長補佐 
 また、事務局におきましても、ことし4月に異動がございましたので、御報告いたします。

 歯科医療専門官の小畑でございます。

○小畑歯科医療専門官 
 小畑です。よろしくお願いいたします。

○小椋課長補佐 
 では、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)


○小椋課長補佐
 では、座長、よろしくお願いいたします。

○大塚座長 
 こんにちは。1年ぶりになるのですが、その間、歯科医師のワーキンググループと歯科技工士のワーキンググループのメンバーの先生方には、本当に御苦労さまでございました。

 おのおののワーキンググループでまとめられました報告書(たたき台)が作成されました。本日はその議論をいただくということでございますが、まず、配付された資料の確認を事務局からお願いします。

○小椋課長補佐 
  まず、資料の確認についてでございますが、歯科専門職の資質向上検討会(2回)の議事次第、1枚物です。

  次が座席表でございます。

次が資料一覧という形になってございます。

次が、資料番号はついておりませんが、「歯科専門職の資質向上検討会」の設置要綱ということで、裏表の資料という形になってございます。

次が資料1でございますが、7ページまでございます。

次が資料2です。こちらは31ページまでの資料でございます。

続きまして、参考資料1といたしまして、1枚物の資料。

参考資料2といたしまして、1枚物の資料がございます。

次が参考資料3-1、こちらも1枚の資料という形になってございます。

次が参考資料3-2、こちらも1枚物の資料という形になってございます。

次が参考資料3-3という形になっておりまして、4ページまでの資料でございます。

最後は参考資料3-4で、6ページまでの資料となってございます。

それ以外にも、先生方の机の上に青いファイルを置かせていただいております。こちらの青いファイルは、歯科医師ワーキンググループの第1回目から第6回目までの資料でございます。

配付資料につきましては、以上です。

乱丁、落丁等ございましたら、途中でも構いませんので、事務局のほうにお申しつけください。

○大塚座長 
  ということで、資料については、今、説明していただきました。

それでは、議題に入ります前に、きょうの会議の進め方について、大きくはワーキンググループからのたたき台、それぞれ提出されたものとなると思いますけれども、説明を事務局のほうからいただきたいと思います。

○小椋課長補佐
   全体的な進め方について、少し説明させていただきます。

参考資料1と2をごらんください。

  今後、歯科医師ワーキンググループと歯科技工士ワーキンググループのたたき台について、先生方に御意見をお伺いしたいと思っておりますが、歯科医師ワーキンググループにつきましては、参考資料1をごらんいただきますと、一番上が平成251218日ということで、これが本日の検討会ということになっております。

 それの下に、平成26年1月15日と平成26年2月から3月にかけて、歯科医師のほうにつきましては、ワーキンググループをあと2回行うという予定になってございます。

それに対しまして、参考資料2は歯科技工士のワーキンググループでございますが、今後の予定といたしましては、2月にあと1回ワーキンググループを開催するという予定にしてございます。

それらの意見、途中パブリックコメントとかも行いますが、それらの結果を踏まえて、今年度の3月末ぐらいにもう一度この検討会を開催させていただきまして、最終的な報告書という形にさせていただきたいと考えております。

歯科医師と歯科技工士で残されたワーキンググループが1回と2回で大きな差はないかもしれないのですけれども、歯科医師のほうはあと2回ワーキンググループがございますので、たたき台の内容が大きく変わる可能性がございます。ですので、歯科医師のほうの御意見といたしましては、細かな「てにをは」というよりは、できたら大きな方向性とか、そういう形で御意見をいただけたらと思っております。

それに反しまして、歯科技工士のほうはあと1回ワーキンググループがございますが、1回では、それほど大きな方向性の変更はないと思いますので、歯科技工士のほうについては、細かな「てにをは」も含めて御意見をいただければと考えておりますので、本日の議論の際には少し念頭に置かれてその御発言をお願いしたいと思っております。

説明としては以上です。

○大塚座長 
  歯科医師ワーキンググループのほうはあと2回ございますということで、取り組み方について先生方の御意見を大所高所からの見方でお願いしたいということがメーンになろうかなと思います。

技工士のほうについては大分詰まっているということでございますので、細かいことまで御指摘をいただければなと。そんな大筋になろうかと思います。

よろしいですかね。そのような流れできょうの会議を進めていきたいと思います。

それでは、まず歯科医師のほう、資料1について、事務局のほうから説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○高田歯科医師臨床研修専門官 
  資料1について御説明をさせていただきます。

資料1「歯科専門職の資質向上検討会 歯科医師ワーキンググループ報告書(たたき台)」についてです。

歯科専門職の資質向上検討会の報告書は、現在まで6回のワーキンググループを行った結果、委員からいただいた意見、または今後どのように進めていくべきかということをまとめさせていただいているものでございますので、この場で御報告をさせていただきます。

まずはじめに、医療技術の進展等により、国民の求める歯科医療サービスも高度化・多様化しており、歯科医師臨床研修制度においても、より資質の高い歯科医師を養成する必要がある。

次に、歯科医師臨床研修制度は、平成18年度から必修化され、「歯科医師が、歯科医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、歯科医学及び歯科医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付けることのできるものでなければならない」という基本理念のもと、開始されたものでございます。

今回平成25年の見直しにつきましては、平成28年度の研修歯科医から適用される見込みとなっております。

平成25年2月以降、「歯科専門職の資質向上検討会歯科医師ワーキンググループ」において歯科医師臨床研修の関係者からのヒアリングや、研修歯科医へのアンケート結果などを分析することによって、議論を重ねてきたところでございます。

それでは、内容に入りたいと思います。

「1.臨床研修施設の在り方について」ということです。

内容が多岐にわたりますので、少しずつ分けて御説明をさせていただきたいと思います。

まずは、「1)研修プログラム(到達目標、必要な症例数、研修期間)」について御説明をさせていただきます。

〈現状〉といたしましては、臨床研修に関係する医政局長の通知におきまして、歯科医師臨床研修の到達目標というものを示しております。

この到達目標を達成できるよう、各臨床研修施設が臨床研修プログラム、年間どのように臨床研修を行うのかという計画を立てていただいているところでございます。

委員の先生方の机上に水色のファイルを用意させていただいておりますが、このファイルは、これまでの歯科医師ワーキングの議論をつづったものでございます。

ファイルで、3つタックインデックスがつけておりますが、上から3番目、「到達目標」と示した部分を見ていただけているでしょうか。臨床研修の到達目標につきましては、「基本習熟コース」として、研修歯科医みずからが確実に実践できるものということで設定しているものと、「基本習得コース」として、自ら臨床研修において頻度高く経験することが望ましいとから構成されております。「基本習得コース」は、臨床研修終了後、数年以内には、みずから実践できるよう、臨床研修では経験をするようにということで設定をされております。

次に、評価についてです。臨床研修施設によって指導歯科医だけでなく、コデンタルスタッフ、診療所や病院のスタッフ評価を行っているところもあります。また、方法として、記述式のポートフォリオ、患者情報、診療内容等を記録するとともに評価を行うことのできるDEBUTというソフトを使うなど、プログラムごとに研修歯科医の到達度の評価方法も多岐にわたっているのが現状でございます。

臨床研修の期間につきましては、現在、歯科医師法において「1年以上」と規定されており、1年または2年のプログラムで実施されているところでございます。

続きまして、〈課題〉についてですが、委員の先生方から出た主な御意見をまとめさせていただいたものでございます。

歯科訪問診療、医科・歯科連携など、今現在も到達目標として掲げられているのですが、超高齢社会に対応した到達目標については、より充実させるように、という御指摘がございました。

また、インシデント・アクシデント等に対する行動目標についても、今もありますけれども、より充実させるように。例えばレポートを提出させるようにとか、症例検討をさせるようにといった形で、より具体的に取り組むべきとの御意見が出ております。

3つ目、臨床研修アンケートの結果によれば、経験した症例数が極端に少ない。例えば1年間に延べ患者数が5例を切るような例が散見され、そのような場合でも、延長なく修了できているという実情がございます。

4番目は、症例数についてです。必要最低限の症例数等について示すべき。何症例しないと修了できないというふうにするべきという考えがある一方、症例数のカウントの仕方ははまちまちで、あるひとつの処置だけをもって数える場合もあれば、治療計画の立案から始まって、患者管理を行うことを持って1症例とすりプログラムもありますので、数え方が難しいという御意見もあります

または、症例を定めることで、既にそのゴールに到達している研修歯科医が貪欲に成長できなくなってしまうのではないか、その成長を止めてしまうのではないかと懸念される御意見もありました。

臨床研修の修了判定につきましては、各単独型・管理型臨床研修施設に設置されている研修管理委員会で行っていますが、例えば症例の著しい偏りや少ない症例数でも修了できてしまうという例が散見されることから、各研修管理委員会の評価が適切になされていないのではないか、最低限の統一基準を示してはどうかという指摘がありました。

次に研修期間についてです。臨床研修は1年以上と規定されておりますが、臨床研修の制度につきましては、昭和62年に補助制度が開始され、大学附属病院でまず臨床研修が開始されました。これは研修希望者人だけが臨床研修を実施するものした。

平成7年から歯科医師法に努力義務として規定され、8年から大学附属病院や歯科診療所等で臨床研修が開始されました。このときにも1年なのか、2年なのかという議論があったところでございますが、その当時、1年にすべきという意見と、きちんと歯科医師を養成するためには在宅や麻酔等の研修もして2年にするべきという御意見もあったところでございます。

今年の検討会の中では、2行目後半からですが、これまでとは、逆の現象が懸念されているところです。卒前実習で習得すべき内容が、臨床研修への持ち越されており、昭和62年や平成7年の検討会では議論にのぼらなかった持ち越しが問題視され、安易に研修期間を伸ばすべきではないという議論が主でした。

見直しの方向性としましては、1枚めくっていただきまして、地域医療の現場を、より経験できるよう、協力型臨床研修施設や研修協力施設を活用することにより、効果的に臨床研修が行われることが望ましい。

2つ目の○です。歯科訪問診療、全身管理等の知識、態度、技能を習得できるための項目を充実させたプログラムを立案することが望ましい。

また、インシデント・アクシデントについての行動目標として、具体的に何をすべきという設定すべきではないかという方向になっております。

また、どのような症例内容をどれぐらいの数やるのか、また、どのような環境下で行うのかということが、今の研修プログラムでは見えにくいというところがございます。そのため、年間に実施する予定の症例の内容や数、指導体制、評価方法等研修プログラムごとに明記していくこととしております。症例数の全国統一基準等の設定はまだ難しいですが、各プログラムにどれぐらいの数を行うのかぐらいは書いてもらおうというところで落ちついているところでございます。

また、症例数、内容等については、プログラムに書かれた内容や実績等を蓄積し、次回の検討を行いたいということで考えております。

最後の○です。臨床研修修了の判定でございますが、現状の基準については、今後、全施設について調査を行う予定ですが、今回の見直しについては、ワーキング委員等の所属する臨床研修において、先進的に取り組んでいるプログラムの内容について幾つか挙げさせていただきまして、報告書に記載し、他の臨床研修プログラムの参考にしていただければと考えております。

以上でございます。

○大塚座長 
 今、説明がございましたけれども、座長の俣木先生のほうから何かございますか。追加でお願いします。

○俣木委員 
 1点だけ。2ページ目の〈課題〉の一番最後の○でございます。臨床研修開始時に円滑なスタートを切るためには、卒前の実習で診療参加型の臨床実習をやっていることが望ましい、求められるわけですけれども、現在、歯学教育の質保証あるいは認証評価ということで、歯学教育全体の質の評価をするようなことになっておりますので、そういう点も含めて、卒前臨床実習のより充実を図るということ。ですから、卒前と卒後の有機的な連携ということを今後もより一層進めていかねばならないと考えております。

以上です。

○大塚座長 
  それでは、きょうのメンバーの皆様から御意見をいただくようにしていきたいと思いますけれども、説明の最初にあった研修プログラムのいろいろな課題について、何か御意見ございますでしょうか。どうぞ。

○眞木委員
  眞木ですけれども、この中で2点ほど指摘をさせていただきたいと思います。

第1点は、症例数を今回随分強調していらっしゃいますが、症例数自体は、本当に技能、知識、態度といったものを担保するのでしょうか。その辺のところは俣木先生のほうがよく御存じかと思いますが、当初からそんな議論があったような気がするのです。でも、症例数ではその担保がなされないので、内容を高めようというふうなことで来たように思うのです。なので、私自身も、症例数というよりも、その内容がというほうが一般的ではないかな。

大学病院に今、集中しがちで、地域の歯科医師会の協力もというところが後半に出てくると思いますが、この辺と矛盾しますね。症例数をふやすのであれば、やはり大学病院だし、地域に行った場合には、例数を10とか20とか診られないケースも多いので、その辺のところ、症例数に本当にこだわるべきかなと疑問を持ったところです。

もう一点は、現在、これは全て必修ですね。できれば選択とか選択必修とか、そんな形で、症例とはまでは言いませんが、見られないところを見るような形で組み込んではいかがかなと思った次第です。以上です。

○大塚座長 
  という御意見が今、ございました。

どうぞ。

○山口委員 
  山口でございます。

唯一患者の立場で検討会に入らせていただいて、私はワーキンググループにも籍を置かせていただいております。

実はワーキンググループのこの議論のときにたまたま出席できなかったので、文書で意見を述べさせていただいたこともあるのですけれども、患者から歯科医療の安全、安心ということを考えましたときに、今の御発言、数をふやせばいいという問題ではないのではないかということについて、私も確かにそう思います。患者とすれば、内容も経験も両方ともふやしていただきたいというのが気持ちとしてはございます。

そんな中で、1年間に5例しか経験していない人もいらっしゃるという現実を拝見したときに、数をふやせばいいというよりも、全体のレベルを考えると、最低ライン、ここまでは確保してくださいというレベルを決めて全体的に高めていただきたい。そうでないと、患者から見て、こういうばらつきがあるということは安心にはつながらないと思いました。

 見直しの方向のところでも目標がしっかり設定をされていますけれども、どのようなプログラムを各大学が実施しているのか、どこで研修した人だったら、きちんとした訓練を積んでいらっしゃるのだろう、知識があるのだろうということが患者には見えていません。これからは患者がそういったことも理解できるようにしていくということが開かれた歯科医療になって、全体のレベルを上げるということにつながるのではないかなと思いましたので、できるだけ全体の底上げをするような方向で議論をし、変更もしていただけたらありがたいなと思います。

○大塚座長 
 ありがとうございます。

 ほかの委員。どうぞ。

○富野委員 
 日本歯科医師会の富野と言います。初めて出ますので、少し焦点がずれるかもしれません。

 資質を高めるということですので、世の中がどのような歯科医師を求めているかということが前提になります。ですから、それに対して教育的にどういうふうに応えるかということになりますと、1つは、時代の流れとともに、これからは多職種が連携しないと歯科医療は成り立っていかないという大きな目標がございます。

2点目は、歯科特有の技術を高めるということですから、この両面がこのプログラムの中に設定をされると思いますので、そこが抜けないようにしていただきたいなと思っています。

最初に申し上げました多職種連携というのは、歯科医療の現場ももちろんですけれども、医療全体の現場を長年見てきた立場として、例えば介護の世界へ入りますと、ケアセンターの世界に入って、内科医と看護師とか、いろいろな多職種が言葉を交わすわけですが、そこで孤立するのは歯科医師です。共通語が理解できない。それは教育の大きな問題点で、教育内容の変更を求めているのに、多職種と会話ができない歯科医師をこのままつくり続けるということに教育の最大の欠点があります。これは早急に是正しないと、多職種連携、医療連携と言っても、言葉だけが優先してしまって、実態を担う歯科医師にはなり得ないということで、私ども歯科医師会としても大きな問題としておりまして、ここには厚労省を初め、大学、文科省の方がいらっしゃいますので、そのあたりを少し煮詰めていただけないかなと思っております。

先ほど症例数を優先するか、中身を優先するかという議論がありましたけれども、これは卵が先か、何が先かという議論と同じようなものでございまして、症例数をたくさん経験する中に質的な問題、中身というものが附随してくるものでありますので、最初から中身を優先しますと、極めて症例の選択の幅が狭くなってしまうという危険がありますので、臨床医というのは、数多くの臨床を経験する中で、その中身の大事なところを捉えるという傾向がございますので、学生の卒後教育においても、先ほど最低レベルの設定という話がございましたけれども、ある程度の症例、数を決めて、それをきちっと最初から最後まで経験させるということが、質を見る、一つの目を養う形になるのではないか。

私は、反論ではございませんが、40年の臨床経験からしてそのように考えてございます。

○大塚座長 
 ほかに。どうぞ。

○安井委員 
 安井でございます。

 全体プログラムの話なのですが、歯科医師臨床研修は、最初に全人的医療を理解した上で、個々の基本的な診療能力を養っていくというのが当初からの前提だったと思います。そういう意味からいきますと、最初から余りケースにとらわれてしまうと、全人的な部分を捉えていくのが困難になることも考えられます。

ケースになってしまうと、大学でも各診療科を回せばそれで済んでしまう話ですが、それでいいのでしょうか。例えば総合診療部のような診療科において、学生のときの臨床実習から引き続いた形でその患者さん全体の把握をして、生活面だとか倫理面だとか、色々なことを研修しながら、その中で基本的な手技というものを学修する。そういったストラテジーをきちっと出していかないと、最初研修が始まったときと、方向性がちょっとずつずれていって、テクニックが中心になっていってしまう。臨床研修が開始されたときは、最初に総合歯科、 General Dentistryを経験して、その後、専門のそれぞれの領域に進みましょうよ、というお話だったと思います。医科もそのように進んでいるはずですので、ぜひそういった仕組みづくりを一度考えていただきたいなと思っています。

富野先生、今、教育の中ではそういったことを今の学生さんには教えているところです。あとは実際に連携施設との兼ね合いが非常に重要だと思っていますので、今、そこのシステムがうまく進んでいないのだろうと思いますので、そこを改善すべきというのは私も同意見であります。けれども、全く言葉がわからない学生を卒業させているわけではございません。

○大塚座長 
 座長のほうでその辺の追加は?

○俣木委員 
 多分平子さんのほうからそのことについて。

○大塚座長 
 では、平子さんのほうから。

○平子企画官 
 文科省の平子です。

 先ほど御指摘いただいた中で、特に学生の学部教育のところですけれども、平成21年以降、かなり大幅な形で改定を進めてきております。御指摘があった中では、コアカリキュラムを平成23年度に改定しておりますが、例えばすぐれた歯科医師というのはどういうことなのかといったことの中に、例えば口腔と全身疾患のかかわりでありますとか、あるいは高齢者や全身疾患を有する患者さんへの対応とか、そういった最近の動向を踏まえた形でのカリキュラムの改定が行われております。

 また、多様な社会的なニーズへの対応ということで、医療安全、先ほど御指摘いただいたチーム医療の観点、そういったことの充実もあわせて図られておりまして、これからカリキュラムの改定が行われた後ということになりますので、もう少し時間はかかりますけれども、これまでにも一部含まれていて、さらに充実を図っているということについて、補足ですが、申し述べさせていただきます。

○大塚座長 
  ありがとうございました。

俣木先生のほうから何か。その点については、多分会の中で御議論もあったと思うのですが。

○俣木委員 
  このたたき台の中に文言として「多職種連携」というのが見事に出てこないものですから、富野先生は恐らく御心配になったのだろうと思うのですが、今、平子さんから御説明があったように、卒前でも知識のレベルではそういうものがかなり入ってきておりますので、臨床研修のほうではぜひそれを経験するということで、考え方としては「歯科訪問診療」という中に包含されていて、ここの中で歯科治療するだけではなくて、このときに多職種連携で進めていくというイメージを持った形でなっていると思います。

〈課題〉の一番上のところに「(歯科訪問診療、医科・歯科連携等)」とありますけれども、ただ医科と歯科が連携するだけではなく、御指摘のように、多くの医療多職種との連携ということも含めて、そういうことも加えていきたいと考えています。

御指摘どうもありがとうございました。

○大塚座長 
 ほかに御意見いかがでしょう。お願いします。

○末瀬委員 
 これは多職種連携ということで、非常に大事なことで、そういったことはどんどんやるべきだと思うのですが、それよりもっと大事なことは、同じ歯科医療を形成する中で、歯科技工士、衛生士としての歯科医師とのかかわりというのは非常に大事だと思います。前回の議論もありましたけれども、衛生士、技工士も専門化をしているわけで、歯科医師とともに歯科医療というものをなしていくべきですから、多職種もさることながら、根幹の歯科医療の中での連携についての教育は、臨床研修といった場でしかできないようなところだと思うので、そういったこともぜひ検討していただきたいと思います。

○大塚座長 
  ほかに。どうぞ。

○山口委員 
  もう一つだけ。済みません。

いろいろ資料を拝見したときに、患者としてとても気になるのが、施設によってのばらつきがかなりあることです。どれぐらいばらついているのかとか、どれだけ違いが出ているのかということが見えるような仕組みにしないと、全体として大きく変わってこないのかなと感じます。このような検討会やワーキンググループに参加して、今まで余り知らなかったデータをたくさん拝見する中で、驚いたことが幾つもあります。

そんな中で、今回の見直しの方向ということで、プログラムにどんな内容をしているかということを明記することとするというのがあるのですが、具体的にどの施設がどういうふうにしているか。とても熱心にやっているところは多分これからも熱心になさるのだと思うのです。そうではないところ、改善の余地があるところをあぶり出すと言うと言葉はよくないかもしれませんが、明確にしていくような方向性で変えていかないと、本当の意味で変わってこないのではないかなと思いました。ここに例えば研修内容、プログラムを明記するということだけで本当にいいのか、御専門の方からごらんになって、どの部分が見えてくることでそういうことが明確になるかということを、もしよろしかったら聞かせていただきたいなと思っております。

○大塚座長 
 どうぞ。

○俣木委員 
 ありがとうございます。今、山口さんからの御指摘の意図は全くそのとおりでございまして、プログラム申請等をするときに、その施設の従来までの実績を書くような欄を設けて、そこに当施設ではこのプログラムに関してはこのぐらいの症例数をやっている、実績がありますよと。そういう制度にしておくと、こういうことが大事なのだということが各施設にだんだん浸透するだろうと考えております。

○大塚座長 
 いずれにしましても、量と質の問題というのがそのベースにはなろうかと思いますが、ある程度のガイドラインというか、メーンが大学病院にならざるを得ないですね。

協力型施設との問題が一番大きいのだと思うのですが、大学病院のほうも、ここまで経験を積むと、山口委員が御心配になっている、各研修施設のある程度の差が見えてきていると思います。ですから、よりはっきりせざるを得なくなってくるような時代になってきているのかなということは感じております。

 1のほうの話題で研修プログラムのほうを中心に話していただきましたので、課題としては、より明確な研修のあり方を開示していかなければいけないということに尽きるのかなという気がいたします。

 その中で、当然卒前と卒後のめり張りをきちんとするとか、あるいは研修施設について、2)のほうにございますが、構成がこれでいいのかどうかということもかかわってくる問題になろうかと思います。

今までの部会のほうでの施設の指定とか取り消しということと、今の研修内容の差の話がどうしてもはっきりせざるを得ないのかなという気がします。

○高田歯科医師臨床研修専門官 
  先生方からいただきました意見については、あと2回ワーキンググループのがございますので、検討会の報告書の中に盛り込めるよう、積極的に議論してまいりたいと思いますが、俣木座長、よろしいですか。

○大塚座長 
  大変なことにはなろうかと思いますけれども、座長のほうにその辺はよろしくお願いしたいと思います。

○俣木委員 
  わかりました。

○大塚座長 
  見える化というか、どこでも今、情報の開示という時代になっているので、研修施設についても、主の機関である大学のほうと協力型のほうと話し合いをより深めていってほしいと思います。

どうぞ。

○富野委員 
  歯科医師会の富野です。

  臨床研修というのは、卒後研修のスタートだというふうに認識をしてございます。今の大学の6年生、特に私立大学は国家試験の勉強ばかりして、その勉強に対して授業料を何百万も払っているわけですよ。こんなことはあり得ないだろうと思うのですね。

  昔に戻すというわけではありませんけれども、本来行うべき臨床実習が前のほうへずれ込んで、極めてコンパクトに終わっているように思います。私はある大学を二、三見ていますけれども、その補完として卒後研修が位置づけられるということは極めてまずい。これは生涯研修のスタートの時点ですから、補完の立場ではなくて、スタートとしての位置づけをしっかりしていただいて、カリキュラムをつくるべきだと思います。

○大塚座長 
  ありがとうございます。

○俣木委員 
  引き続き、2のほうの説明を事務局に。

○大塚座長 
  どうぞ。

○高田歯科医師臨床研修専門官 
  それでは、「2)臨床研修施設群の構成」の説明に入らせていただきます。

臨床研修施設の指定につきましては、現在、臨床研修に係る厚生労働省令で規定をされております。

前回の平成23年度に行いました臨床研修制度の見直しにおきまして、より地域医療を学べるように、また、協力型の地域偏在が著しいということから、新たな臨床研修施設として常勤の歯科医師1人が要件である連携型臨床研修施設を追加したところでございます。

また、3つ目、現状といたしましては、歯科医師法には、臨床研修の実績がない臨床研修施設を取り消すという規定がございません。

これらの課題について出された主な意見としては、連携型臨床研修施設が制度として浸透しておらず、新規申請が少ない。ちなみに、現在、全国に4施設、1プログラムしかありません。

また、臨床研修施設の指定申請手続が常勤歯科医師1人の歯科診療所にとっては、煩雑過ぎるのではないかという意見もありました。

研修管理委員会については、臨床研修施設群を構成する協力型の受入状況や指導体制についての管理が不十分ではないかという御意見がありました。

これは、例えば臨床研修施設群において、大学と診療所が1対1対応をしておれば、あまり問題ないと思いますが、現状といたしましては、例えば高田歯科診療所は日大さんとも医科歯科さんとも東京歯科さんとも組んでいるというような状況でして、今、協力型臨床研修施設に研修歯科医が何人いて、どういう研修をして、幾ら給与をもらって、どういう体制でやっているのかがかなりわかりにくい状況にあるということでございます。

次のページでございます。

4つ目です。協力型臨床研修施設の指定を取り消す規定を設けてはどうかということでございます。

〈見直しの方向性〉といたしましては、そもそも、連携型臨床研修施設は、指定の申請方法が煩雑だからないのか、それともプログラム責任者からの要望が無いため導入されないのか、そのあり方等について、いま一度検討すべきではないか。ただ、23年に制度が始まったばかりで、まだ1~2年しかたっておりませんので、今回の見直しでは、ちょっと様子見とさせていただいて、今後の導入の伸びがどのようになっていくかを見ていきたいと考えております。

2つ目の○です。複数の管理型臨床研修施設群に属している協力型臨床研修施設の受入状況について、調整できる枠組み、例えば協力型臨床研修施設から逆引きで親を検索できるようなシステム等をつくってはどうかと考えているところでございます。

今、臨床研修プログラム検索サイトとして、D-REISというのがございますが、そういうものの改修の予算の有無等にも左右されます。積極的にそういう予算をとっていきたいと考えております。

3つ目の○です。臨床研修の質の担保の観点から、複数年連続して研修歯科医を受け入れていない、または研修管理委員会に複数年出席していない等の何らかの条件を設定させていただきまして、指定取消を検討していきます。協力型臨床研修施設は原則として群構成から削除され、いずれの臨床研修施設群にも属さなくなった場合、指定を取り消されるという整理です。しかし、当然ながら不運にも、その協力型臨床研修施設に研修歯科医が行かなかった例というのがあるでしょうし、研修管理委員会として、ぜひここは残してほしいという施設もあるでしょうから、そこは研修管理委員長の意見や実地調査等の結果を踏まえ総合的に判断しますが、ぜひ残すべきであるという理屈のない場合は原則取り消していくということで考えております。

4つ目でございます。研修歯科医が経験する症例数が著しく少ない事例が散見されることから、臨床研修施設は受け入れる全ての研修歯科医が到達目標を達成できるように、患者の確保に努めるということでございます。

今の臨床研修施設の指定基準の中に「臨床研修を行うために必要な症例があること」という文言はありますが、幾つということが通知にはきちんと規定されておりませんで、例えば研修医1人当たりどれだけ症例を経験できるかではなくて、医療機関として、例えば常勤1人当たりどの程度の患者がいれば、研修環境として適切か、また、このような内容を臨床研修施設の指定基準にしていってはどうかという意見もありました。しかし、今回は、その数については設定せず、プログラムに明記するということとしております。

以上です。

○大塚座長 
  研修施設について、先生方から何か御意見がございますでしょうか。どうぞ。

○松村委員 
  歯科医学会から参りました松村でございます。

今の高田専門官の御発言に対しまして、臨床研修の施設として、大学病院の立場からちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。

ただいま御説明にありましたような連携型臨床研修施設は、大学病院、特に歯科大学病院にとりましては極めて有意義な、ありがたい施設ではないかと思います。と申しますのは、今、全国に総合病院歯科とか、あるいは医科も併設している歯科の施設がございますが、残念ながら常勤の歯科医師が1人という施設は意外と多いです。常勤は1人なのですが、派遣のドクターがいらっしゃるとか、そういう施設が多いと思います。

そういう施設が積極的に臨床研修に参加いただくには、今おっしゃったような連携型の周知が不可欠と思われます。歯科は、標榜は4科でございますが、特定の専門の歯科医、いわゆる専門医がいらっしゃるケースが多うございます。したがいまして、今、御発言にありましたような連携型施設の充実というのが臨床研修の充実に直結する部分もあろうかと思いますので、引き続き御検討をお願いしたいと思います。

以上です。

○大塚座長 
 ありがとうございました。

 そのほかございましたら。どうぞ。

○山口委員 
 〈見直しの方向〉の3つ目のところに複数年連続して研修歯科医を受け入れていない施設があるとございます。名乗りを上げていると受入施設だということを院内表示できるというお話を伺ったのですけれども、実績がなければ表示できないようにすべきではないかと思います。全く受け入れていないのに受入施設だと思わせるというのは、患者に対して誠実ではないと思います。標榜するなら実績が伴わないといけないという変更はできるのでしょうか。

○大塚座長 
 そのことを今、厚労省と話をしてはっきりさせようということですね。

○高田歯科医師臨床研修専門官 
 はい。

○山口委員 
 ぜひそうしていただきたいと思います。

○大塚座長 
 それは、ここまで継続してきて課題として見えてきたというところになろうかと思います。

 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

○眞木委員 
 先ほどの松村先生の考え方とちょっと反対になるかと思いますが、これはあくまでも私自身の意見ですが、医療機関の協力型施設はかなり厳しい基準でやっていると思うのです。2人以上の常勤が必要だということで、1人いなくとも、あと1人の人が研修医の指導ができるということで保障されていると思うのです。したがって、連携型というものをふやすということよりも、要件を若干緩和してでも協力型をふやしたほうが、実質研修医の指導・教育にとってはいいのかなと思っていた次第です。

○大塚座長 
 どうでしょうか。どうぞ。

○松村委員 
 ただいまの眞木先生の御発言は、確かにおっしゃるとおりかと思います。これは地域的な問題も少し考える必要があろうかと。私どもも眞木先生も関東地方の都会の大学ということで、周囲にも複数のドクターが勤務する歯科診療施設は大変多うございます。一方におきましては、例えば北海道とか九州地区、離島では、なかなか複数の常勤ドクターを確保できないというところがございまして、私が先ほど申しました病院等、例えば国公立診療所、あるいは国保病院、自治体病院等で常勤は1人なのですが、パートは大学から見えているとか、そういう施設のことをちょっと頭に置いて発言いたしました。

ですから、先生のおっしゃることも非常によく理解できるところなのですが、地域的な面でドクターの偏在と申しますか、そういった面も鑑みれば、全くなしではなくて、基本的には先生のお考えを踏襲しつつも、研修がちゃんとできる施設であれば、連携も少し取り入れていただくのもいかがかという意味で発言いたしました。

○大塚座長 
 どうぞ。

○眞木委員 
 ただ、気になるのが、今のところ4施設のみと。これは周知が悪いのか、それともその基準が問題なのか。もし基準とかであれば、その辺のところを改正して広げる必要があるだろうと思います

○大塚座長
 基本的には複数名ということでの指導というのが協力型であったわけで、それを一括して全部連携と呼ぶか、協力と呼ぶかわかりませんが、1人以上というのも、今、問題になっていることにつながっていってしまうこともあろうかと思うのですが、いかがですか。余り曖昧になってしまうと。研修施設としてのあり方という基本路線はしっかり守らないといけないかなと思うのですけれども。

 このことに関して、ほかに何かございますでしょうか。どうぞ。

○松村委員 
 先ほど富野先生のときに連携型施設の話をしたのですが、例えば在宅とかそういうことを考えていきますと、そこへ行けるチャンスをふやさない限り、協力型の研修施設の先生だけが全部を賄うというのは無理という意図もこの中には当然入っていたと思います。協力型の研修施設に対して、連携型がぶら下がっているという話だと思いますので、その辺の仕組みをもう一回確認をした上で、在宅とかそういう経験が研修医のときにできるような、そういう方向を向いたほうが積極的ではないかと私は思っております。

○大塚座長 
 ありがとうございます。

 協力型というのは無理だということで、そういう分野においては連携型を有効に大学のほうも使っていかなければいけない。将来の医療に対する展望も、都会の大学病院みたいになってしまうと、なかなか見えない部分もあろうかと思うので、各地の歯科医師会のほうで要求されているような診療の範囲というものも将来展望で少し入れていかなければいけないのかなと思っております。

 ほかに何かございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、最終的な指導・管理体制をしっかりしないといけないということになろうかと思いますけれども、この辺について、事務局のほうからお願いします。

○高田歯科医師臨床研修専門官 
 「2.指導・管理体制」について説明させていただきます。

臨床研修制度の中で、研修歯科医は、指導歯科医という方から直接指導、または上級医を介して屋根瓦方式という形で指導を受けております。

また、プログラム責任者が指導歯科医をとりまとめております。

指導歯科医になるには指導歯科医講習会の受講が必要であるが、複数回の受講規定はありません。現在の指導歯科医の要件は、臨床経験が5年または7年で、都道府県歯科医師会長の推薦があること、または日本歯科医学会の専門分科会の認定医、専門医を持っていること等です

2番目です。指導歯科医講習会の開催につきましては、開催指針に規定をされておりまして、合計16時間以上、2泊3日以上が望ましいとされています。

3つ目です。プログラム責任者は、指導歯科医、研修歯科医に対する指導を行うために、必要な経験、能力を有している必要があり、研修プログラムごとに配置されているところです。

プログラム責任者の要件といたしましては、先ほど申し上げた指導歯科医の要件と全く同じでありまして、プログラム責任者講習会は任意受講となっております。

続きまして、〈課題〉についてです。現行の制度では、指導歯科医講習会の繰り返し、複数回の受講等の義務は設けていませんが、継続して研さんを積むべきという指摘があります。

指導歯科医は、指導歯科医講習会の受講によって、更新すべきであるという指摘があります。

また、現在、指導歯科医講習会は連続する2日間という形で実施されているが、病院歯科や歯科診療所の先生方にとっては非常に受講しにくく、現実的ではない、という御意見をいただいているところです。このため、例えば単位制にしたり、または受講しやすくするため、土曜と次週の土曜とか、日曜と次週の日曜とか、そういう形にすべきではないか。または、初回は、2日間の研修を受講すべきだが、更新制としたときには、2回目の受講は半日でいいのではないかとか、1日でいいのではないかとか、そういう意見もあります。

4番目です。大学等で開催している研修等の受講経験も加味してはどうかというような意見もありました。

最後ですが、プログラム責任者は、今はプログラム責任者講習会の受講が必須ではありませんが、より充実したプログラムを立案できるようにするためには、積極的に受講すべきという指摘がありました。

見直しの方向性といたしましては、平成16年6月、指導歯科医講習会の開催指針が示されましたが、指針の内容等についても、適切な実施方法、内容について、検討することとしております。

2つ目です。指導歯科医講習会の受講機会を確保し、例えば繰り返し受講をさせるためには、そのためのキャパシティーが必要になりますので、安易に繰り返し受講というのではなくて、そのキャパシティーも含めて制度の枠組みを設定する必要がある。

3つ目です。指導歯科医講習会を受講しやすい環境を整備するために、実施方法については引き続き検討する。

4つ目です。プログラム責任者講習会の受講要件化についても検討する。

これら4つにつきましては、指導歯科医講習会の開催指針の再検討のときにあわせて検討を行いたいと考えております。

以上です。

○大塚座長 
 ただいま説明をいただきましたけれども、このような問題点について、先生方から御意見をいただければと思います。このようなことが必要だということで、さらに詰めてもらうということでよろしいですか。どうぞ。

○眞木委員 
 わからないところがあるので、教えていただきたいのですが、この中で、指導歯科医講習会への単位制の導入ということがあって、何日かに分けてとか、部分部分でということのようですが、これは従来やってきたワークショップ形式での実施をやめるということですか。

○高田歯科医師臨床研修専門官 
 そういうことではございません。大学教員としてのカリキュラムワークショップの受講経験を加味し、一部の研修を免除することについての提案でございます。また、免除される者が増えることで、指導歯科医講習会の受講機会を与えられる者も増えるのではないかと考えております。また、単位制の導入は、委員の先生方から提案された提案の一つです。これらは、あくまで案であり、指導歯科医講習会の見直しにおいて、併せて議論したいと考えております。

○眞木委員 
 そうですか。では、意見を言わせていただきます。

 解消の可能性もゼロではないということなのですが、私自身は、ワークショップ形式できちっとした指導歯科医講習会を実施すべきだと思います。だから、いい案があれば、カリキュラムプランニングということが最重要課題だと思うので、今の2日以上、3日でも4日でも構わないのですが、そういう場合は短期間にする必要があるでしょうけれども、このワークショップ形式は崩さないでいただきたいと思っています。

○大塚座長 
 どうぞ。

○俣木委員 
 眞木先生、どうもありがとうございます。

 全く先生のおっしゃるとおりで、私も個人的にはワークショップ方式の講習会が望ましいと考えています。

単位制にするという考え方は、大学教員については、歯学教育に関するワークショップということで、カリキュラムプランニングのワークショップを既に受講しているという臨床系の教員も一部にはいるわけであります。ですから、また同じことをということがありますので、そういう方については、別途それにプラス臨床研修にかかわること、例えば厚生労働省の地方の厚生局から係官に来ていただいて、臨床研修制度の説明、概要を聞いたり、医療安全の講習会を聞いたりということで、それを単位制という形で加えられれば、ほぼ同等のものになるのではないか。そういうイメージで書いておりますので、全てを単位制するとか、そういうことではなくて、カリキュラムプランニングを二度聞かなくてもいいような仕組みというものもあったほうが、大学の臨床系の教員、指導医の資格としては適切でないか。そういうふうなアイデアでございます。

○高田歯科医師臨床研修専門官
 簡単に補足しますけれども、大学というのは指定施設ではございませんで、大学の先生は、指導歯科医講習会の受講は必須になっていません。その先生が開業等に際して、は大学の教員でなくなった瞬間に指導歯科医ではなくなってしまうのです。せっかく大学で指導の経験をたくさんされていた人を逃す手はないということで、何か工夫できないかということでございます。

○大塚座長 
 どうぞ。

○眞木委員 
 意味はよくわかります。ただ、大学でのカリキュラムワークショップは、アンダーグラデュエートの学生の教育なわけです。テーマとして全く同じではないので、その点まで含めたらどうかなと。そうすると、大学にいた先生とそうでなかった先生、臨床経験の多い先生などはもっとうまいのかもしれないということで、その辺も御一考いただきたいと思います。

○高田歯科医師臨床研修専門官
 はい。

○大塚座長 
 ありがとうございました。

 この分野についてはそのぐらいでよろしいですか。いずれにしても、何らかの打開策がもしあるのでしたらということで、検討いただければと思います。

 そうすると、最後に一番大きな問題になろうかと思います。

○高田歯科医師臨床研修専門官 
 最後になりますが、「3.その他」について説明させていただきます。

 現状といたしまして、歯科医師の地域偏在でございますが、人口10万対歯科医師の分布を見ると、首都圏と歯科大学の周辺に歯科医師が集中しております。歯科医師臨床研修の募集定員は、例えば昨年で言うと、トータル3,594人の定員のうち、歯科大学で確保していただけている者が2,940ということで、8割以上を歯科大学に依存しております。新規参入の歯科医師についても、特に歯科大学の周辺地域が歯科医師の過剰感が増しているところです。 また、協力型臨床研修施設についても、首都圏または都市圏に集中しており、歯科大学の周り、または大都市に集中している状況でございます。

 2つ目です。歯科医師の臨床研修制度については厚生労働省ホームページ等で周知を行っており、大学関係者、都道府県関係者等に対しても、機会を捉えて情報提供を行っているところです。

 しかしながら、例えば病院等に対してポスターを配布するなど、各医療機関が円滑に臨床研修を実施できるような臨床研修指定施設等に対し、直接的に厚生労働省が広報を行ってはおりません。

3つ目は、歯科医師臨床研修マッチングプログラムの運用についてです。病院歯科や一般診療所など、研修歯科医の募集定員が1人または2人と非常に少数だった場合に、採用したその研修希望者が国家試験で落ち空席ができて新待った場合の特例措置として、たとえ、他の臨床研修施設にマッチしていたとしても、臨床研修施設及び研修歯科医、双方が異動しても構わないという場合には、異動を認めております。

最後です。歯科医師臨床研修歯科医の採用につきましては、ほとんどの施設で面接試験、筆記試験、小論文等を行っているところです。

こららの議題についての〈課題〉として、今後の日本の歯科医療を支えるべく、臨床研修について国民に周知するということについて、厚生労働省からももっと働きかけるべきであるという意見が出ています。

2つ目です。より優秀な研修歯科医を採用して、国家試験の結果による空席を抑えるために、マッチングの面接において、例えばCBTOSCE等の試験の結果等を面接時に持参してもらうというのはどうかという指摘がありました。

3つ目です。臨床研修が円滑に実施できるように、マッチングの面接時または臨床研修開始時に、その研修希望者が大学の学部教育の中でどのような臨床実習を行ってきたかというのを見られるように、ログブックなりを参考にしてはどうかという指摘がありました。

〈見直しの方向性〉といたしましては、今後の歯科医師需給、地域偏在等を勘案しましても、研修歯科医が経験すべき患者数等による検討も進めながら、定員調整、大学のほうに過重にお願いしている定員調整も含めまして、引き続き検討をしていくこととしております。このためには、協力型臨床研修施設の充実が喫緊の課題となってくるということでございます。

次のページへ行きまして、臨床研修歯科医の採用時には、参加型の臨床実習・臨床研修連携手帳、CBTの結果等を活用する、こういう媒体があるのだということを臨床研修施設等に周知して、推奨していくこととしております。

最後に、今後についてですが、1点目として引き続き繰り返し臨床研修制度についての見直しをしていくこととしております。

2点目です。次回以降の見直しについて、プログラムに明記された症例数、症例内容等を集積したものについて分析をした上で、修業年限または到達目標等と一体的に見直していくということでございます。

また、制度が一層向上できるように期待するというところで、結んでおります。

以上でございます。

○大塚座長 
 ありがとうございました。

 非常に大きなことにもつながっていくことなのですけれども、この辺について何かいい提案がございますでしょうか。

病院が大きなまちにあるというのは、逆に研修の施設にとってはネックになってしまうということもあるわけですね。

○俣木委員 
  はい。

○大塚座長 
  その後、その周りに残ってしまうということですね。

○高田歯科医師臨床研修専門官 
  そのとおりです。

○大塚座長 
  そういう流れが結構できてしまって、地域に偏在するという傾向が強くなってくる。なかなかいいアイデアを出せないですね。どうですか。なかなか難しい。

先生のところもいろいろあるでしょうけれども。

○富野委員 
  これは今さらという感じがしまして、国策の失敗がここにはね返って書かれるのかなということで、これはいかんともしがたいですね。国が責任を持ってもらわなければいけない。

○大塚座長 
  なかなか難しいことですね。

どうぞ。

○眞木委員 
 余り建設的な意見ではないのですが、これはちょっとおかしいのではないのかなと思った点が1点あります。〈課題〉と〈見直しの方向〉というところにあるCBTOSCEということは、今までしてきた歯学部の学業途中の総括評価の結果を参考とするということですね。これはナンセンスではないかなと思うのです。

せいぜい臨床実習の評価ぐらいを参考にするのであれば、参考にすること自体、いい悪いはわからないのですが、直近の臨床実習自体であって、総括評価をここに持ってくるべきではないのではないかと思った次第です。

あとは、先ほどから言っているように、症例数に余りこだわる必要はないのではないでしょうかということです。

○大塚座長 
 CBTは、2年前の知識みたいな話になる。

○俣木委員 
 そうだと思いますけれども、ただ、これは国家試験とかなり高い相関があるというエビデンスが出ていますね。ここに書いてある文章は、空席を抑えるためという目的なのですね。国家試験に受かる人を採りたいと。

○眞木委員 
 その辺もおかしいのではないですか。少なくともそれはいい歯科医師、患者目線には全くない話ではないでしょうか。私はそういうふうに思います。

○俣木委員 
 でも、国家試験に受からないと研修を始められませんので。

○眞木委員 
 これはこちらの都合ですね。本人にとってもかわいそう気がする。

○大塚座長 
 臨床実習の実績みたいなものですか。

○俣木委員 
 それは一番大きいと思います。臨床実習の連携手帳とか、こういうものに関しては、実際にかなり積極的に一部の大学では電子化されたものをつくっています。西日本のほうの国立大学の幾つかではそれが進んでいますので、それを将来的に統一化するという必要もないでしょうけれども、各大学でそういう努力を始めたということは非常に大きいことかなと思います。

○大塚座長 
 どうぞ。

○安井委員 
 確かにCBTの成績は国家試験の成績との相関はあるので、国家試験に不合格になりそうな人をチェックするというのは、論理としてはあり得るかもしれませんが、マッチングするときに、必ずその人たちは順位が下へ下がってしまう。そうすると、マッチしないということも十分に考えられるので、その辺のことも考えていかないといけないのが1つ。

今、議論になっていますけれども、いつまでも1日の試験がずっと尾を引いているという話を制度化してしまうというのはいかがなものかと思います。

もう一つは参加型臨床実習ですけれども、これもコアカリでF領域できちっと出されていますので、その領域をちゃんとやることは大学として進めていくべき話であって、臨床研修になりますと、研修の場、行ったところの状況など、色々と内容が変わってくる可能性もあります。一貫してログブックで判断すべきことかどうかというのは、もう少し議論をしていただきたいなと思っております。

以上です。

○大塚座長 
 わかりました。今、学生の実績を記録で残してやるというのは、文科省のほうでも盛んに進めて、自分の学習成果というものをしっかり残すという方式になってきていますので、臨床実習においても、我々も何らかの記録というか、そういうことを大事にしていかなければいけないなと思っております。

CBTと国家試験の結びつきというのは、言われてはいるのですけれども、それは2年前のことなので、努力していないと決めつけるのもちょっとかわいそうかなという気もします。ただ、全国テストで一番判断しやすい材料にはなっているわけですね。

○眞木委員 
 さかのぼれば、高校時の成績とか中学校のときの成績とか。

○大塚座長 
 そんな話になってしまうのです。

○安井委員 
 マッチしなくなります。

○眞木委員 
 僕もそう思います。

○大塚座長 
 課題はまだあるようですけれども。

どうぞ。

○山口委員 
 現状の周知のところですけれども、臨床研修歯科医を育てていくためには、国民、患者の協力が必須だと思っています。

 医科の研修医の存在は当たり前になっていて、多分テレビのドラマなどで取り上げられることも影響していると思うのですが、歯科の研修医ということに対しての理解がまだまだ十分ではないのではないかと思っています。

大学病院に行けば研修医がいるだろうということは予想できたとしても、連携4施設ということですけれども、協力型のところに研修医がいらっしゃるということは余り想像ができません。

だとすれば、どうやって国民にこの研修制度を知らせていくのかが大切だと思うのですけれども、厚生労働省のホームページにおいて周知してあると書いてあります。しかし、今から歯科治療を受けようという人が厚生労働省のホームページは見ないと思うのですね。

ですので、国民に広く周知するためには、例えば研修医がいる施設は、国が作成したチラシを印刷できるようにする。チラシには、こういうことを理解してくださいという内容や、最低限患者に知らせたい内容を明示する。そのチラシを患者さんに配るなり、院内に張るなりしてくださいというような、具体的な取り組みをしていただきたい。先ほどもっともっと全人的に広めていかないといけないとか、協力型をふやさないといけないというお話がございましたけれども、それをふやすとしたら、患者側の理解はもう避けて通れないと思いますので、より具体的な、ホームページで終わらない取り組みをしていただきたいと思います。

○大塚座長 
 わかりました。

 よりよい診療所であるという認識をいただくことまで我々もアピールしていかなければいけないのかなと思います。その辺を考えながら、少し手を加えていかなければいけないなと思っています。ありがとうございました。

大分時間も過ぎてきましたので、その辺を踏まえて、俣木先生、大変な課題が残るかもしれないですが、あと2回ということで、こちらについては御協力をいただくということでよろしいですか。

○俣木委員 
 はい。

○大塚座長 
 ありがとうございました。

 それでは、よろしければ、技工士ワーキンググループのほうの報告、たたき台のほうに入りたいと思いますが、まず事務局のほうから説明していただけますか。

○小畑歯科医療専門官 
 では、資料2のほうをごらんください。

「歯科技工士ワーキンググループ報告書(たたき台)」ということで、歯科技工士のワーキンググループでもこれまで6回の御議論をいただきまして、それをまとめた結果ということになっております。

1.はじめに

○ 我が国では多様化するライフスタイル、人口の急速な高齢化、医療技術の進展により、基礎疾患を有する高齢者の歯科診療の受診機会の増加や在宅歯科医療のニーズの増加等、国民の求める歯科医療サービスも高度化、多様化してきている。

○ このような中、平成23年に「歯科口腔保健の推進に関する法律」が成立し、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士等の責務が明文化され、歯科口腔保健を総合的に推進していくことが必要とされている。

○ 一方で、歯科技工技術はめざましい進歩を遂げてきており、国民に安全で質の高い歯科医療を提供する観点から、歯科技工士に係る教育を充実させ、より資質の高い歯科技工士を養成していくことが不可欠である。

ということで、昨年の11月にこの検討会が新設され、歯科技工士ワーキンググループの設置が認められ、議論が行われてきたということになっております。

では、「2.歯科技工士の養成について」ということで、御説明いたします。

1つは「教育内容の見直し」ということ、それから「教育体制の見直し」につきましては、指定規則の改正及び指導要領の改正、この2つの項目がございますが、まとめてお話をいたします。

まずは「教育内容の見直し」ということで、教育内容の大綱化と単位制の導入ということになっております。

〈現状〉です。

現在、歯科技工士学校養成所指定規則において、指定基準の教育内容は学科目ごとに時間制が採用されております。

1枚おめくりいただいたところの囲みのところがそれになっております。

一方で、歯科衛生士等の他の医療関係職種につきましては、指定基準の教育内容は学科目が大綱化され、単位制が採用されているという現状になっております。

〈課題〉

○ 教育内容を学科目ごとの時間制から単位制に変更する場合、教育現場で混乱が生じないよう事前に広く周知する必要がある。

○ 教育内容の中で歯科技工実習につきましては、歯科技工士養成施設で行う実習のみでは、歯科技工を実施する施設で働くことになった際に現場の仕組みが理解できておらず、直ぐに実践することができないとの指摘がある。

○ しかし、学生が歯科技工を実施する施設を訪れ、見学等をすることについては、受け入れ体制等を整える必要がある。

〈見直しの方向性〉

○ 歯科技工士養成施設が独自性を発揮して、弾力的なカリキュラムの編成に積極的に取り組めるよう最低限必要な知識や技能を見直し、別紙1を参考とし、教育内容の大綱化を図り、単位制導入に向けて検討する。

○ ただし、大綱化及び単位制を導入する場合は、教育現場の混乱を避けるとともに、歯科技工士国家試験の出題範囲を明確にするため、歯科技工士国家試験出題基準の見直しもあわせて行う必要がある。

○ また、教育内容につきましては技術革新や修復材料の多様化にも対応できるよう、CAD/CAM、インプラント等についても習得することが必要であると考えられますが、新たな器具や機械の整備等により歯科技工士養成施設に多大な負担がかからないよう配慮する必要がある。

「教育体制の見直し」に移ります。

「歯科技工士学校養成所指定規則の改正について」ということです。

〈現状〉

○ 現在、歯科技工士学校養成所指定規則において、歯科技工士の修業年限は二年以上とされており、学生の学級定員については、一学級10人以上35人以内としている。また、学生を教授する専任教員については、歯科技工に関して相当の経験を有する歯科医師、歯科技工士とすることが求められている。

資料を1枚おめくりいただきます。

〈課題〉

○ 歯科技工士の教育内容をさらに充実したものとするためには、歯科技工士養成施設の修業年限の延長や学級定員の減員について検討する必要があるとの指摘がある。

○ しかし、短期間のうちに修業年限の延長を行う場合、学生の確保や施設設備の増設等に伴う費用負担が必要となる等歯科技工士学校や養成施設における経営上の問題も指摘されている。

○ 専任教員については、教員の質により学生に教授する内容にばらつきが生じる可能性があるため、専任教員の養成や教育が望まれている。

〈見直しの方向性〉

○ 現状は35人を1学級としているが、より細やかで充実した指導を行う等の教育の質の向上の観点から30人にすることが必要であると考えられる。

○ 専任教員の養成、教育が課題として挙げられていることから、今後は専任教員になるための年限等の要件や教員のための講習会等を充実していくことが必要と考えられる。

「歯科技工士養成所指導要領の改正について」に移ります。

〈現状〉

○ 歯科技工士養成施設の指定や変更の承認の申請については、授業を開始しようとする日(変更承認にあっては、変更を行おうとする日)の「5か月前まで」に、申請書は都道府県知事を経由して、厚生労働大臣に提出しなければいけないが、歯科衛生士等の他の医療関係職種では「6か月前まで」としている。

○ 歯科技工士養成施設の入学審査のため、学生は健康診断書を提出しなければならないが、歯科衛生士等の他の医療関係職種においては、現在入学審査のために学生に健康診断書の提出を求めていない。

○ 養成施設が教育のために備えるべき機械器具や標本、模型は、歯科医療技術の発達やその教育方法の変化により、不要となっている物や新たに追加するべき機械器具等がある。

○ 寄宿舎に関する事項については、通知当初の昭和51年から養成施設や学生のニーズが変化している。

 〈見直しの方向性〉

○ 歯科技工士養成施設の指定や変更の承認の申請については、他の医療関係職種と整合性を保つため、授業を開始しようとする日(変更承認にあっては、変更を行おうとする日)の「5か月前まで」を「6か月前まで」とすることが適切と考えられる。

○ また、他の医療関係職種との整合性や現代のニーズに鑑み、健康診断書及び寄宿舎に関する事項を削除することが適切であると考えられる。

○ 養成施設が教育のために備えるべき機械器具や標本、模型は、歯科技工現場や教育現場を考慮したうえで、別紙2の内容を参考とした改善を行う必要がある。

  以上です。

○大塚座長 
  今の説明はワーキンググループでまとめたものでございまして、養成のあり方についてのお話が中心でございます。教育の体制等の見直しということでございますが、何か御意見ございますでしょうか。どうぞ。

○古橋委員 
  日本歯科技工士会の古橋です。

  今、御説明をいただきまして、2点意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、「教育内容の見直し」の項についてですが、後の話も一緒なのですが、養成の在り方検討会というのが平成13年に議論をして、報告書を出しました。そこからもう12年で、13年目になろうとしているのです。同じ議論をして、同じペーパーを出して、進まないという現状が、先生方御案内のような非常に深刻な状況に陥っているということであります。これはぜひスピード感を持って進めていただかなければいけないと思います。

まず、「教育内容の見直し」のところで、大綱化と単位制というお話がありました。13年にも大綱化を図り、単位制を導入していくことが必要だというふうにしているのです。現に広島大学や東京医科歯科大学、4年制で教育をしているところは、これに沿って進めています。

10ページの別紙1「教育内容と必要な単位数および教育目標について(案)」というのがあります。これは13年にまとめたままですから、先ほど今後のスケジュールをお聞きしましたので、方向性としては単位制と大綱化を求めていく、進めていくということで、これをもう一度見直し、検討した上で、ぜひ進めていただきたい、最終報告書にきちっと明記していただきたい。このように思います。

もう一点、これは断じて容認できないのですけれども、同じような話で、指定規則を変えようという話ですね。現状、先生方御存じのように、定着しないですね。教育を充実させて、資質の高い歯科技工士を養成していくということですから、ここに書かれているように、30人にして、1学級当たりの人数を減らすということ。これは異論がないところだと思います。実際の養成数からして、そう問題点もないように思います。

もう一つは、教育年限の延長と言いながら、「見直しの方向性」のところにはなぜないかということです。先ほども出ているように、新しい技術や教育すべき内容が入っているのに、今で手いっぱいで教育が足りない、教育を充実させようと言いながら、ここが欠落していると思います。先ほど説明したように、短期間にやったら無理がある。どこが始期なのですか。きょうから短期間ならあれだけれども、12年前に言っておいて、進めないでいて、短期間にやったら無理ということですから、これは一定程度の周知期間というか、そういうものも入れながら、3年制を明記する方向で最終報告書にはぜひ書いていただきたい。このように強く要望して、意見といたします。

○大塚座長 
  ほかの方。どうぞ。

○俣木委員 
  細かいところで恐縮です。同じ別紙1についてでございますが、これは以前から十分に練られた資料なのであろうと思いますけれども、一番上の「基礎分野」の「科学と技術の基盤 人間性と社会生活との理解」で単位数が4ということで、その右側に「教育の目標」として3つの文章が書いてございます。その2番目「加工技術の基礎となる知識を修得する」。ここの場所だけ「修得」の字があえて変えてある。ほかはみんな「習得」になっておりますので、この辺の意図は何なのかということ。

3項め「国際化及び情報化社会に対応しうる能力を育成する」ということで、これの主語についてです。ほかはみんな「学習者」が主語になっておりますが、「育成する」というのは、学習者が育成するのでしょうか。そうでないとすれば、適切な述語に変えたほうがいいのではないかと思います。

○大塚座長 
  ありがとうございました。

○古橋委員 
  いずれにしろ、ちょっと見直してもらったらいい。方向性としては結構です。

○大塚座長 
  どうぞ。

○上條歯科保健課長 
  今、日本歯科技工士会の古橋会長からいろいろ御提言をいただきましたが、もちろん、教育内容らの大綱化については、事務局といたしましても、今回の報告書が出て、まとまってからと考えております。

○古橋委員 
  遅いね。

○上條歯科保健課長 
  遅いという批判は確かにあるものの、努力をしていきたいと思います。

ただ、修業年限の問題について事務局としては、あくまでも検討会の委員の先生方の御意向なり御意見なりの集約をさせていただく形になりますので、御意見として強い意見があることはよく承知しておりますが、それは恐らく委員の先生方の意見が集約されるかという視点の問題になっていくのではないかと現時点で思っています。

○古橋委員 
 ならば、もう少し言わせてください。

 今の流れの中で果たして何年たったでしょう。この後で議論するものはまとまりかかっていますけれども、昭和57年に免許権者が変わって、国家試験について、30年たってようやく来年の通常国会に提案されるという状況ですよ。この間に高齢社会の中で歯科技工士の技術がますます重要になってきている。こういうときに、それを担う歯科技工士の就業者、年齢階級別に統計をとっていますけれども、50歳以上が全体の50%ぐらいですよ。ますます若年齢層が少なくなっている。悠長なことを言っている間にもっともっと深刻になってきますよ。20%だったのが30%。つい2年前までは3839%でしたかね。それが2年間でまた数ポイント上がっ40 %過ぎた。黙っていれば、これはますますそういう状況になってきます。

その辺のことは皆さん、よく承知していると思うので、私も無理は言いませんけれども、合意形成をした上で、先ほどの経過措置を置いてやるということはぜひ明記していただくように重ねてお願いをしたいと思います。

○大塚座長 
 では、座長のほうで何か一言。

○末瀬委員 
  ワーキンググループをさせていただいたのですけれども、今回は歯科技工士教育内容と国家試験について検討させていただきました。教育の見直しについて、要は、後の国家試験の統一化ということを前提にこういったことが生じて、やっていただいている。今、古橋会長がおっしゃったように、10年どころか、20年来さわっていないようなところも、今回改めて改善策というものを出していただいていること、遅いですけれども、メスを入れていただいたということには感謝をしたいと思っております。

先ほどおっしゃいました大綱化の内容については、13年のときにもかなり議論をしておりますし、それ以降も議論をしてきましたので、中身についてはほぼこのような形かなと思います。ただ、先ほどの文言の訂正については十分修正をしていきたいと思います。

今、古橋会長は3年制のこともおっしゃっておられます。我々教育現場の中でも、今は2年制以上ですので、3年制にすることもやぶさかではありませんし、現実的には3年制が1校、4年制大学が2校あります。

ただ、現在は53校の中で、他の50校は全て2年制という現状の中で動いています。2,200時間の規定、規則がありますけれども、現場では2,500時間やっているというのが実情です。

そういったことを鑑みますと、やはり古橋会長がおっしゃる3年制というのは必然的なことになってまいります。

ただ、学校によりまして、現状、学生が集まっていない中で、それを実施できるのかどうかということもいろいろ意見はあります。現実的に3年制を出た者あるいは4年制大学を出た者が臨床のほうあるいは技工所に勤めたときに、2年制の場合との環境の問題、特に給与の問題について、いささかの進展もないというのも聞いております。それだけの教育をして出しているわけですから、受入体制としても、そういったことも今後十分検討していただきたいと思います。

我々にとっても、3年制というのは必然のことだろうということで、ここには出ておりませんが、大綱化の中で3年制の単位制ということについても十分議論をしているところでございます。

もう一点ですが、3ページの〈課題〉の2つ目「歯科技工士養成施設で行う実習のみでは、歯科技工を実施する施設で働くことになった際に現場の仕組みが理解できておらず」ということなのですが、特に最近入学してくる学生は歯科技工というものを全くわかっていない、見たことがないという人が随分多く来ております。

もっと言えば、歯科技工というのは、歯科医療の中でどの位置づけにあるのかということ、どうして模型が出てきているのか、そして模型上で作業してどうなっていくのかということを全くわかっていない学生がいます。極端な話、そういった学生が技工士学校に来て教育を受けて技工所に勤めてしまえば、歯科医療の現場を全く知らないわけです。

技工士というのを医療技術者とするならば、診療所の中でそういったことを見学したり、あるいは学生の間に歯科技工所を見学したり、そういったことは極めて重要ではないかということを思っております。

したがって、これは2年制の中でそれが入れられるかどうかということはまだまだ議論しないといけませんけれども、3年制になった暁には、臨床実習とまではいかなくても、臨地見学等々のことはぜひこういう形で盛り込んでいきたい。そういった所まで現在検討はしております。

以上です。

○大塚座長 
  そんな流れの中で、何かございますか。どうぞ。

○松村委員 
  きょうの別紙1の単位のことについて、ちょっと参考になろうかと思いまして発言をさせていただきます。

2011年からなのですが、小平にございます大学評価・学位授与機構が学士(口腔保健学)の中で、口腔保健衛生学に続いて口腔保健技工学専攻の学士を発行することに決定しました。2011年の制度開始ですので、2011年、2012年の履修者が初めて学士が取れるわけですが、私の勤務先の日本大学におきまして科目等履修生制度を制定しまして、2013年8月に初めて学士を取得した者が出ました。

その基盤として、専門学校卒業者が専門学校において習得した時間数が単位として認められるというのが、1年生、2年生に当たる単位になります。機構に対しましては、その単位を提出しないといけません。

したがいまして、本校は2,200時間で教育しておりますので、それを講義と実習に分けまして単位を換算して、既に学則に載せております。

それを簡単に御説明しますと、講義は50分掛ける約15週で、定期試験ありで1単位になります。一方、実習は、その3倍の時間を履修しないと1単位になりません。

講義と実習を割り振って2,200時間を単位に換算しますと、本校の場合は73という非常に多くの単位になります。

きょうの別紙1に書いてございます62単位というのは、4年制大学を卒業するに当たって、1年当たり31単位が最低必須の単位で、2年の課程ということで、その半分に当たるわけです。ですから、62と記載されている。

ですから、今、現実問題として、2,200時間の講義・実習を行うと70以上の単位になるということなのです。そのことを踏まえられて、大綱化に当たっては、科目の内容とともに、別紙1のような単位の割りつけを検討する必要があろうかと考えます。

以上です。

○大塚座長 
  この単位では数が少ない、もっとやっているのではないかということですね。

○松村委員 
  そうですね。大多数の専門学校では、2,200時間を割りつけると70近くの単位になってくる可能性があろうかと思います。

○大塚座長 
  では、数値は見直すという。

  今のままやるとそうなるということですから、それを単位にすると、やらなくなってしまうわけですね。ですから、これは見直しですか。これは最低単位になってしまうから、多分62ということはないと思いますが。

  どうぞ。

○上條歯科保健課長  
  そのあたりのところは、なぜ62としているかというと、各医療関係職種の単位数というのは、実は相当余裕を持たせて設定しております。

大綱化というのは、ある程度多様性を持たせるという視点から、実は93というのが3年制の単位数で、歯科衛生士等の医療関係職種も同様の単位数であるという意味合いから、当初13年に検討会をしましたときに62という単位数に設定されていますが、これは最低限になりますから、それで見ているということで、実情はおっしゃるとおりではないかと思います。

○松村委員 
 2年で62ですね。3年だったら93ですね。

○大塚座長 
 その辺は、やっていたら62ではおさまらなくなって、多分70ぐらいにはなってしまうのではないかなと。

 眞木先生、何かございますか。

○眞木委員 
 私もこの作業を十数年前、歯科衛生士の教育のときにやりました。

 実際はこのままやると時間は確かにオーバーになります。でも、単位時間の考え方で、例えばここは50分ですが、45分から60分であれば1単位時間が認められます。実習も同じように幅がありますので、その辺のところ。ただ、もともと文科省の基準とかいろんなものをあわせて、3年制の専門学校教育のほうは93単位ということで決めさせていただきましたので、単位は妥当だと思うし、時間もそれにあわせておやりになればいいのかなと私は感じています。

○大塚座長 
 実際の単位は必要に応じて各学校でおやりになると思います。

 どうぞ。

○山口委員 
 素朴な疑問をよろしいですか。

 私も歯科技工士が国家資格になった後、30年も国家試験でなかったというのは非常に驚いたのですけれども、ほとんどの国民が知らないと思っています。改革も十何年前からという話を伺いました。

今、お聞きしていて3つほど素朴に疑問を覚えたのですけれども、そもそも人数がふえないというのは何に原因があるのかということ。そして、歯科技工士が何をする仕事かわからず入ってくる学生がいらっしゃるというお話がございましたが、極めて専門的な内容を選択して入ってくるのに、どうしてそういうことが起きているのだろうということ。

先ほど3年、2年の話がありましたが、ここに「技術革新や修復材料の多様化にも対応できるよう」とあるのですが、今、必要とされている技術を2年で習得することは実質可能なのでしょうか。その3つを教えていただきたいと思います。

○大塚座長 
 どうぞ。

○末瀬委員 
 最初の質問は先生に答えてもらったほうが。

○古橋委員 
 それでは、教育のことは末瀬先生にということで。

現場の状況ですね。昨年11月に私はここで歯科技工の精密性、巧緻性のお話をいたしました。歯科技工はサイエンスです。テクノロジーであり、アートでもあると思うのです。オンリーワンを精魂込めてつくり上げるという仕事です。

これはパッケージだと思うのです。先ほど末瀬先生のほうから少しお話がありましたけれども、出口のところで評価をしないということも1つ問題があると思います。

今、役所にお願いしていることは人事院の俸給表。これも昭和40年代のままですよ。学歴免許欄に高卒と短2しかないのです。知らないでしょう。短3もあり、大卒もあるのです。そこをきちっと評価しなければだめですよ。そのスピード感が全くないと思います。

ですから、出口が明確でない。非常に高度な金属材料や高分子材料やセラミックという材料の特性を活かしながら、まさに一つ一つつくっていくのです。私はすばらしい仕事だと思います。

制度が十分でないので続かないということと、山口先生がおっしゃるように、入るときに少し易し過ぎるなと思います。定員割れしているというお話がありましたね。そういう状況をつくってはだめですよ。若者が人々の健康のためにこういう仕事を希望を持ってやっていく。学校に入るときもそうですね。そういうところから見直さなければいけない。だから、パッケージなのです。

私が問題点として挙げていることを早くやらないと、先ほどの繰り返しになりますが、高齢社会の中でますます需要が増してくる。一方では、その担い手が減ってくるわけですから、私たち団塊世代が高齢者になったときに誰がやってくれますかという話になりますので、ここはぜひそういう仕組みだということを理解してもらう。

教育のことは末瀬先生から。

○末瀬委員 
 2つ目の質問は、なぜ学校へ入ってこられるのかということですね。

逆に言えば、入ってこられないのが多いのですけれども、昔は歯科医院あるいは技工所でバイトをして、要は、国家資格を取りたいという人がほとんどで、たくさん来られました。ところが、今はそういう人は全くおらないわけです。

高校などに行きますと、ほとんどの人は技工士の仕事を知らない。一般の人、国民の人は御存じでない。表に出ませんから。ましてや、歯科医院で入れ歯ができてきても、これは技工士がつくっているという説明は全くないわけです。先生は自分でつくったような顔をして入れていますから。悪ければ、技工士が悪いというふうに言われるのですけれども、それはさておき。

そういう状況の中で、患者さんはこれを誰がつくったのかということはほとんどわからない。技工士というのは表に出てこない仕事なので、高校の先生も、技工士の仕事は何かということを御存じない人と、よく知っておられる人は、これは余りよくないことかもわからないけれども、低賃金、長時間労働と環境が悪いので、技工士はよくないよということをおっしゃる。二分されるのです。

では、なぜ技工士学校に技工を見たことがない人が来ているのかというと、進路を選択するときに、どこの高校へ行ってもそうですけれども、大体8割は大学です。あとの2割を専門学校で取り合いをするわけです。特に医療系が多いのですが、その中で、技工士というのは、まず親に勧められる。親がしておられる方、あるいは技工関係、医療関係の人から、技工士という仕事があるので行ったらどうという説明を受けてきたという人がいる。あるいはインターネットを見てくる。あるいは物づくりが好きだから。そういうちょっと特殊な人が来ているのが現状です。これが1点です。

もう一点は、技術革新等々があって教育ができるのかということですが、これはあくまでも専門学校ですから、例えば新しい技術だけをやろうと思えば、可能なことは可能です。ただ、それだけを教えるわけではなく、その前後があるわけですから、そういうことを考えてくると、先ほど古橋先生がおっしゃった3年制ということも視野に入れないといけないと思う。

ただ、4年制の大学というのはまた違った方向です。大学と専門学校は確実に違いますから。大学をつくって、歯科技工学といったことを追求していく、研究をしていくとか、そういったことに特化していく大学も必要だと思いますので、これからそういった方面はどんどん伸ばしていくべきだと思いますけれども、だからといって全て大学にしてしまう必要はないと思うので、専門教育というのは残すべきだと思います。

○山口委員 
 ありがとうございます。

○大塚座長 
 余り見えないのが事実なのです。

○山口委員 
 今、お聞きして、その辺の根源的な問題があるということが初めてわかりましたので、先ほどから歯科は特にチーム医療が必要だということで、実際に技工士さんは私たち患者の前にはあらわれませんが、私もとても大切なお仕事をされていると思っています。ふえないと困るということからすると、根源的な問題を打開していくという方向性が必要ではないかと思いました。

○大塚座長 
 ありがとうございます。

 どうぞ。

○富野委員 
 先ほど説明がありましたけれども、技工士さんは高齢化しています。低賃金、長時間労働、最悪な環境で、私はこの資料を見たときに、まだこんなことをやっているのかと率直に思いました。何十年こんなことをやっているのだろうと思いました。本当にスピード感を持ってもう少しやっていただきたいということです。歯科技工職が崩れたときに歯科医療が崩壊する、絶対にそういう時代になるだろうと思っています。

そういう意味で、この中身を読ませていただきましたし、改善をしていただきたいのですが、1点だけ、こんなことがあっていいのかなと。入学試験のときに健康診断の診断書を出す必要はないと書いています。健康にかかわる人間が健康診断書を出さないで入学するということで、健康診断は17歳で切れますけれども、それ以降40歳までいわゆる成人健診がないわけですよ。どこかの事業所に勤めれば別ですけれども。歯科が先頭を切ってこういうことが入学試験で堂々と通るのか。入学試験のとき、いいのですね。健康診断書が要らない。

○大塚座長 
 今は全部やめています。

○富野委員 
 そうですか。

○大塚座長 
 ないのです。入ってからです。大学の中や、所属したところで診断します。健康問題で門前払いをしないようにということです。

○眞木委員 
 差別をしてはいけませんということなのです。

○大塚座長 
 ですから、そういうので条件から全部削除されてきています。

○富野委員 
 それは差別なのですか。

○大塚座長 
 いろんな意味もありますが。だから、内部ではやっていますから御安心ください。

○富野委員 
 はい。

○大塚座長 
  入り口については、このような形で、シフトする第1弾、単位制にする。進める方向はこのような形にしていきたいということでよろしいですか。

よろしければ、次は国家試験の在り方ということで、お願いします。

○小畑歯科医療専門官 
 「歯科技工士国家試験について」でございます。

4項目ございまして、「実施体制について」「学説試験について」「実地試験について」「合格基準について」となっております。

〈現状〉

○ 昭和57年の歯科技工士法の一部改正により、歯科技工士免許が都道府県知事免許から厚生大臣免許(現在は厚生労働大臣免許)になったが、実技試験の実施の面から試験は当分の間、歯科技工士養成施設の所在地の都道府県知事が行うこととされた。

○ 試験科目、試験時間、合格基準、試験の出題基準等の試験内容は「歯科技工士国家試験実施要綱」(以下、「実施要綱」という。)で厚生労働省が定めており、試験形式等の詳細な事項に関しては、各都道府県知事が試験委員会を開催して試験問題を作成している。

「実施体制について」です。

〈課題〉

○ 試験日と合格発表の日については、現在は各都道府県でその日時を決定しておりますが、試験を統一化した後もできるだけ速やかに歯科技工士免許の登録を行い、新年度から歯科技工の業務を行うことができるようにすべきとの指摘がある。

 学説試験と実地試験を同日に行うこととすると受験者の負担が増大するため、学説試験と実地試験は別の日に設定することが望ましいとの指摘がある。

 試験会場は試験運営等の効率性等を図る観点から、会場を集約する必要があり、さらに実地試験については歯科技工を行うことができる実習室等の会場を確保する必要がある。

 試験会場については、想定される受験者数や試験実施体制を考慮する必要がある。

〈見直しの方向性〉

○ 試験に合格した者が、新年度当初から歯科技工の業務を行うことができるように年度内に合格発表を実施できるようにする。

○ 試験会場については、想定される受験者数や他の医療関係職種の国家試験実施体制等を踏まえて決定する必要がある。

「学説試験について」です。

〈現状〉

○ 各都道府県が実施している現行の歯科技工士国家試験の試験問題数は、記述式や語句記入式を含めて60題から100題(平均80題程度)である。

〈課題〉

1)試験科目

○ 試験科目については、歯科技工士法施行規則で歯科理エ学、歯の解剖学、顎口腔機能学、有床義歯技工学、歯冠修復技工学、矯正歯科技工学、小児歯科技工学、関係法規と定めているが、今後見直しが予定されている教育内容の大綱化と単位制を踏まえて検討する必要がある。

2)出題基準

○ 現行の平成24年版歯科技工士国家試験出題基準についても、今後見直しが予定されている教育内容の大綱化と単位制を踏まえて改善を検討すべきである。

3)出題形式。

○ 歯科医師国家試験等は5肢以上の択一形式の問題についても採用しているが、5肢以上の選択肢を作成することにより、試験問題作成に係る体制を強化する必要が生じ、試験委員の確保が困難になるとの指摘がある。

4)試験問題数

○ 実地試験を実施する場合は、実地試験の出題内容を考慮して試験問題数を決定すべきであるとの指摘もある。

5)試験時間

○ 受験生が問題を解くために、十分に判断できる時間を確保する必要があるとの指摘がある。

〈見直しの方向性〉

 試験科目については、教育内容の大綱化と単位制を踏まえた別紙1を参考として見直す必要がある。

 現行の平成24年版歯科技工士国家試験出題基準についても、教育内容の大綱化と単位制を踏まえた別紙3を参考として見直す必要がある。

 受験者の知識、技能をより適切に評価していく観点から、出題形式は客観式の4肢択一形式を原則として出題し、禁忌肢については設定しない方向で検討する。

 試験問題数については、1.CAD/CAM,インプラント等の技術革新や修復材料の多様化等を評価するため、出題範囲を拡げる必要があること、2.出題形式を原則として4肢択一形式とすること等から、実地試験を実施するのであれば、120題程度とするのが妥当である。

 試験時間は1題2分換算を基準として、試験時間を決定することが望ましい。

次に、「実地試験について」でございます。

〈現状〉

○ 各都道府県が実施している実地試験の試験問題は「歯科技工士国家試験実施要綱」や「歯科技工士国家試験における実地試験実施マニュアル」に基づき、共通問題3.5時間と任意問題2時間を実施している。問題数は平均4問である。

〈課題〉

○ 現在、他の医療関係職種では、国家試験の中で実地試験を行っている職種はなく、実地試験は学説試験の臨床問題等で担保している。

○ 1.歯科技工士は歯科医療の用に供する補てつ物、充てん物又は矯正装置を作成し、修理し、又は加工することを業とする者であること、2.また、歯科技工士学校養成所指定規則で定めた学科課程では歯科技工実習が全体の約1/4以上を占めており、他の医療職種より教育上で実技に費やす時間の割合が大きいこと、3.歯科技工士の修業年限は2年以上であるが、他の医療職種の修業年限が3年以上となっていること等から、実地試験により技能評価をするべきとの指摘がある。

 実技試験の内容について、歯科技工士は歯科技工指示書に基づいて歯科補てつ物を製作するため、その指示によって対応できる技能を身に付ける必要があることから、これらを考慮したものとすべきである。

○ 現行は学説試験だけではなく、実地試験を実施してきたところであるが、実地試験の内容は、例えば、歯形彫刻やろう型形成、線屈曲等の客観的な評価が実施可能なものに限定することが必要であるとの指摘がある。

〈見直しの方向性〉

○ 歯科技工士として具備すべき条件について、学説試験のみで評価することは困難であり、歯科技工士国家試験においては、実地試験を実施して、技能を評価していくことが必要であると考えられる。

 実地試験の内容については、現行の都道府県が実施している試験を踏まえた上で、歯科技工士として必要な知識及び技能について客観的評価が可能である試験内容を検討していく。ただし、受験者の試験内容の公平性が最大限に保てるよう考慮すべきである。

「(4)合格基準について(実地試験を含む)」です。

〈課題〉

  ○ 現行は、科目別得点のいずれかが、その科目の総点数の30%未満のものがあるものは不合格となるが、科目により問題数にばらつきがあり、問題数が少ない場合は一問の比重が高くなるとの指摘がある。

〈見直しの方向性〉

○ 現行の歯科技工士国家試験の合格基準を踏まえて、統一化した歯科技工士国家試験の合格基準については、「総点数の60%以上のものを合格とする。ただし、科目別得点のいずれかが、その科目の総点数30%未満のものがあるものは不合格とする。」として、歯科技工士国家試験の合否を決定することが望ましいと考えられる。

○ だたし、科目の総点数の30%未満のものを不合格とする場合は、問題数が少ない科目で比重が著しく大きくならないよう、配慮すべきである。

4.おわりに

○ 本ワーキンググループでは歯科技工士の養成について、教育の見直しや歯科技工士国家試験の統一化等について議論を行い、本報告書にその内容をとりまとめた。

○ 今後も時代の変容により歯科技工士を取り巻く環境が変化する可能性は十分に考えられるため、歯科技工士の養成及び国家試験については必要に応じて見直しを行っていく必要がある。

○ なお、修業年限の延長等の課題については、今後歯科技工士技術に関する動向等を踏まえ、検討していくことが望まれる。

○ 本報告書に基づき、歯科技工士養成及び歯科技工士国家試験の統一化がより適切に行われることを期待する。

以上となっております。

○大塚座長 
 ということで、技工士国家試験の中身の話が書き込まれて、実地試験は残すという方向でということでございます。

 これについて、先生方から御意見があればと思います。よろしくお願いします。

○古橋委員 
 これは確認ですが、「おわりに」の3ポツ目のなお書きのところを先ほどの「教育体制の見直し」の「見直しの方向性」のところへきちっと明記してくださいよ。このままではだめですよ。この表現だと、いつまでたってもできませんよ。先ほどから足りない、足りない、他の職種がどうだということは言いませんけれども、少ないのですから。資質の高い歯科技工士を養成するために検討していくと言って10年も20年も30年も検討して何も実施しないということでは困るので、ぜひこれを繰り上げていただきたい。よろしくお願いします。

○大塚座長 
 わかりました。そのような方向性がぜひとも欲しいということですね。

○古橋委員 
 はい。

○大塚座長 
 先生方からほかにございますか。

 では、具体的な方向性、試験のあり方はこんな形で進めさせていただくということでよろしいですか。

 座長から何かございますか。

○末瀬委員 
 ありがとうございます。

 この点については、ワーキンググループでも1項目について1回のワーキンググループの時間を割いて検討させていただきましたし、また、厚労省のほうからも御意見を賜っております。先生方に十分御審議いただきまして、早急に実施していただければと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○大塚座長   
  眞木先生、どうぞ。

○眞木委員 
  1点だけちょっと気になるところがあるのです。試験問題数はまだ決まっていないというふうに認識していますが、9ページの〈見直しの方向性〉の合格基準というところに「科目の総点数の30%未満のものがあるものは不合格とする」と従来の記述をそのままやっていますが、100問とか120問で、これは科目ごとというのはどういうことか。1問当たりがかなり低いので、相当難しいかなと。

○大塚座長 
  だから、群で考えるとか何かしなければ無理な場合があるのですね。

○眞木委員 
 そういうことですね。それが1点。

 実地試験も、何問出すかわからないけれども、1問でも30点未満のものがあれば不合格。これもちょっと不合理、かわいそうかなと思った次第です。

○大塚座長 
 そうですか。でも、技工ができないというのは困ってしまうのはないですか。

○上條歯科保健課長 
 現行は、実技試験のところは、科目は1つになっています。

それと、中には小児歯科技工や矯正歯科技工など非常に少ない単位の科目がありますから、それについて課すのはちょっと無理があるので、次のところに、科目の比重を考慮して試験を実施するということを考えております。

○大塚座長 
 余り分野別だと数問になって、そういうことも出てくるので、群というか、グループ化を考えないと、ちょっと無理な場合があるのかなと思います。

○眞木委員 
 そう思っていてもいいかなというふうに私は思った次第です。

○大塚座長 
 わかりました。ありがとうございます。

 大筋そんなところでよろしいですか。試験を統一化していくという方向で進めます。

○古橋委員 
 ようやくそこまで来ました。ありがとうございます。

○大塚座長 
  では、そのような方向で進めさせていただくということでよろしいでしょうか。

時間も迫っておりまして、きょうは歯科医師のほうの今後のあり方、あるいは技工士のほうの今後のあり方、それぞれたたき台ということでございました。本当に貴重な意見をありがとうございます。

 そのようなことについてワーキンググループでさらに検討を加えていただきまして、まとめていただくという形で、この会議が3月ぐらいになるのですか。

○小椋課長補佐 
 はい。

○大塚座長 
 この間、先生方のワーキンググループでなお詰めていただいて、事務局とよく詰めていただきたいと思います。

 この会議の日程については、後日連絡があるだろうと思いますけれども、きょうは本当に貴重な意見をありがとうございました。

 事務局から何かございますか。

○小椋課長補佐 
 本日は、非常にたくさんの御意見をありがとうございました。いただきました御意見につきましては、事務局のほうで整理いたしまして、また、各ワーキンググループのほうで御検討いただきたいと考えております。

また、座長からもございましたが、今年度末、平成26年の3月末に第3回のこの検討会を開催させていただきたいと思っておりますので、日程等につきましては、また改めて御連絡させていただきます。

以上でございます。

○大塚座長 
 それでは、本日の検討会、本当に貴重な、また盛んな御意見をいただき、大変ありがとうございました。

以上で閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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