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2014年1月14日 第15回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録

健康局水道課

○日時

平成26年1月14日(火)13:00~15:00


○場所

厚生労働省18階専用第22会議室


○出席者

相澤委員 秋葉委員 遠藤委員 大垣委員 大澤委員
大住委員 岡部委員 小笠原委員 瀬川委員 中野委員
永井(恵)委員 永井(雅)委員 那須委員 西村委員 藤井委員
山根委員

○議題

(1)水質基準等の見直しについて
(2)水質基準に係る今後の検討事項について
(3)水道行政の最近の動向について
(4)その他

○議事

○田中水道水質管理官
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第15回「厚生科学審議会生活環境水道部会」を開催いたします。本日は御多忙のところ御参集をいただき、厚く御礼申し上げます。
議事に先立ちまして、佐藤健康局長より御挨拶を申し上げます。

○佐藤健康局長
健康局長の佐藤でございます。本日はお忙しい中、お集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。
気づきますと、1月ももう2週間が過ぎておりまして、あっという間ではございますけれども、御多忙の中お集まりをいただいたことと思います。本当にありがとうございます。
本日は水質基準の中でも、亜硝酸態窒素に関わるものの設定など、水道課長の設置しております水質基準逐次改正検討会の方針に基づきまして、水質基準等の見直しについて、昨年度末の第14回に引き続きまして御審議をいただくということになっております。
このほかにも、水質基準に関わる今後の検討事項、あるいは、水道行政に係る最近の動きにつきましても御紹介をさせていただきまして、併せて御審議をいただければと考えている次第でございます。
お忙しいところとは思いますが、委員の皆様におかれましては、御専門の見地から忌憚なく御議論いただければ幸いに存じます。
簡単でございますが、冒頭の挨拶にかえさせていただきます。今年もどうかよろしくお願いいたします。

○田中水道水質管理官
本日でございますが、委員・臨時委員20名中、現在のところ15名の委員に御出席をいただいており、秋葉委員からは少し遅れていらっしゃるという御連絡を受けております。したがいまして、定足数に達していることを報告させていただきます。
御出席の委員は、お付けしております座席表に書いてある方々でございますが、さらにこれに追加で、臨時委員の永井雅師さんに御出席をいただいておるということを御報告申し上げます。
さらに、昨年新たに委員になられた方のうち、3月に開きました前回の部会を御欠席された委員をここで御紹介いたします。
中部大学生命健康科学部スポーツ保健医療学科教授の那須委員でございます。

○那須委員
那須です。どうぞよろしくお願いします。

○田中水道水質管理官
続きまして、前回以降に異動のありました事務局の紹介をさせていただきます。
先ほど御挨拶をいたしました、健康局長の佐藤でございます。
水道課長の宇仁菅でございます。
水道計画指導室長の福田でございます。
私は水道水質管理官の田中でございます。よろしくお願いをいたします。
なお、局長は公務のため、途中退席させていただく予定でございます。
また、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと
思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○田中水道水質管理官
それでは、これ以降は大垣部会長に議事の進行をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。

○大垣部会長
遅くなりましたけれども、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
本日は大変重要な議題が並んでおります。よろしく御審議のほどお願いいたします。
それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○豊住水道水質管理室長補佐
事務局のほうから、配付資料の確認をさせていただきます。委員の皆様方にはクリップどめで配付しております。
クリップをお取りいただきますと、1枚目が議事次第となっておりまして、めくっていただきますと、配付資料の一覧となっております。
一枚目に座席表がございます。
続いて、資料1-1 亜硝酸態窒素に係る水質基準の設定等について
参考1 食品健康影響評価の結果の通知について
参考2 水質基準に関する省令等の一部改正案等に関する意見の募集の結果と
その対応について(案)
参考3 検査方法告示等の一部改正案に関する意見の募集の結果と
その対応について(案)
資料1-2 最新の科学的知見に基づく今後の水質基準等の改正方針(案)
資料2-1 突発的水質事故等による水質異常時の対応に関する考え方(検討状況)
参考 水質事故等による水質基準値超過時の対応に関する検討
資料2-2 浄水施設での対応が困難な物質について
資料3 水道行政の最近の動向
参考資料1 厚生科学審議会生活環境水道部会委員名簿
参考資料2 生活環境水道部会について(開催経緯)
参考資料3 厚生科学審議会及び生活環境水道部会に係る関係法令等
以上となっておりますが、資料につきまして不足等ございましたら、事務局のほうにお申し付けいただければと思います。
以上です。

○大垣部会長
よろしいでしょうか。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
まず、1つ目の議題として「水質基準等の見直しについて」であります。事務局から説明をお願いいたします。

○田中水道水質管理官
資料1-1、資料1-2を用いて、続けて説明をさせていただきます。着席をして説明をさせていただきます。
まず、資料1-1をご覧ください。この資料は新たな水質基準の項目として、亜硝酸態窒素を追加するなどの措置について説明するものでございますけれども、これらの措置を導入するという方針に関しましては、昨年3月のこの審議会において御検討いただいて、御了解をいただいたものでございます。したがって、本日の説明は、その際に御承認いただいた方針に従いまして所要の手続を行った結果について御報告をし、最終的に省令等を改正するということについて御検討いただくためのものでございます。
まず「(1)水質基準の改正等について」をご覧ください。これは法令に基づいて改正する措置の内容を示している部分でございます。
亜硝酸態窒素が今回対象になりますけれども、これに関しましては、昨年御了承いただきました方向性に従いまして、水道法に基づく水質基準の項目として追加するということといたしまして、これに関しまして、食品安全基本法に基づいて、食品安全委員会に意見を求めましたところ、参考1という資料でお示しをしておりますが、食品安全委員会のほうから耐容一日摂取量というものについて、厚生労働省のほうに通知がございました。
この値は先にこの審議会で、基準値案を御検討いただいたときにお示しをした値と同じ値でございましたので、従来の方針どおり、基準値0.04mg/Lで新たな水質基準項目として「水質基準に関する省令」を一部改正して追加することとしたいと考えております。
あわせて、この項目に関しましては浄水過程などにおいて水に注入される薬品に関する薬品基準、それから、それらの過程で水に接する資機材の材質に関する資機材材質基準、給水装置の浸出性能に関する基準についても設定することとし、水道水質基準0.04mg/Lを担保するための、それぞれの基準設定の考え方を適用いたしまして、表1に掲げている基準値を導き出しております。
これに関連いたしまして、表の少し上に書いてございますが「水道施設の技術的基準を定める省令」「給水装置の構造及び材質の基準に関する省令」を改正したいと考えております。
また、水質検査の回数などについて規定をしております「水道法施行規則」、それから「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則」におきまして、亜硝酸態窒素の水質検査の回数などについて規定するよう改正することを考えております。
具体的には、水道法に関しましてはおおむね3か月に1回以上、建築物における衛生的環境の確保に関する法律に関しましては6か月以内ごとに1回、定期でございます。この頻度は従来から水質基準項目となっていて、亜硝酸態窒素と挙動が同様と考えられます「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」という項目と同等としております。
2ページをご覧ください。さらに基準に関する検査方法につきまして、亜硝酸態窒素の検査方法などを追加するなどのために、関係の告示を改正するということを考えております。
一つは「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法」という、水道水質基準の検査方法を定めている告示でございます。これの中に新たに亜硝酸態窒素の検出法を追加するということといたしますが、既にこの告示の中で示しております、陰イオンを一斉に分析するイオンクロマトグラフ法という方法にて検出が可能ですので、そのように告示の記載を改正する予定でございます。
そのほか、亜硝酸態窒素をこの方法で測定する際の化学分析の詳細な条件について、記述を加えることを考えております。
その次の「イ その他の事項」として書いておりますところは、亜硝酸態窒素の水質基準化とは直接の関係のない事項でございますが、今般の告示改正で取り組みたいと考えているのでお示しをしているものでございます。
水質基準の検査では、ガスクロマトグラフを使用する場合に、そのキャリアーガスはこれまで99.999v/v%以上のヘリウムガスに限ってまいりましたけれども、他の種類のガスでも同等以上の検出感度が得られるものがあるということ、それから、ヘリウムの供給量が不安定になっているという状況があることから、同程度の感度が得られるほかのキャリアーガスの使用も認めるよう、告示を改正しようというものでございます。
そのほか、告示の中での記述ぶりを統一するという改正も行う予定でございます。
続いて、2ページの下のほうの「(2)水質管理目標設定項目に係る改正について」というところをご覧ください。これは省令等ではなくて、通知に基づく措置の改正内容を示している部分でございます。
水質管理目標設定項目につきましては、平成15年の健康局長通知「水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等について」というものでお示しをしているところでございます。
昨年、この審議会で御了承いただいた目標値の改正に関する内容を踏まえて、この通知の一部改正をしようとするものでございます。
具体的な項目は、次の3ページの表3に書かれているものでございますが、アンチモン及びその化合物、ニッケル及びその化合物、表2に掲げております2種類の農薬、表3に掲げております10種類の農薬類でございます。
目標値強化となるものもあれば、緩和となるものもあります。新たに目標値を設定するというものが表3のものでございます。
3ページの下のほうの「2.意見募集の実施等」というところをご覧ください。ここまで述べた一連の改正につきまして、昨年後半から今年にかけまして、何回かに分けてパブリックコメントを募ってまいりました。
1ページ目で説明した亜硝酸態窒素の基準化のうち、水道法関連のものにつきましては計24件、建築物における衛生的環境の確保に関する法律関係のものは1件。
2ページ目の検査方法の告示の改正に関するものが39件。
2ページから3ページにかけての水質管理目標の設定項目のうち、表2のものについては4件、表3のものについては1件の意見が寄せられました。
意見の概要と、それに関する考え方については、同じく綴じております資料の参考2、参考3として、資料に添付をしてございます。
これらの全てを紹介いたしますというのは現実的ではないので、かいつまんで御紹介をさせていただければと思います。
まず、参考2の2ページ目の2番をご覧いただければと思います。亜硝酸態窒素の薬品の基準に関しての意見でございますが、水道用薬品として使っております次亜塩素酸ソーダ、苛性ソーダにつきましては、亜硝酸態窒素を含有しないというのが明らかなので、基準の適用外としてほしいという意見でございました。計8件の意見がございました。
同様の意見を、検査方法に関するパブコメでもいただいているところでございます。
これに関しましては、物質の性状から判断して、基準以下であることが明らかな項目に関しては、試験を省略できるというふうに、既にこの薬品の検査方法の中で定めておりますので、個別の場合の省略の適否の判断は各水道事業者と御相談をいただきたいと考えているところでございます。
3ページ目の5番の意見をご覧ください。同じく亜硝酸態窒素の薬品の基準に関しまして、低濃度での分析を確実にできる方法を示してほしいという意見、計6件が寄せられております。
これに関しましては確実にできる方法を把握しておりますので、それを別途お示しするということを考えております。
4ページの1番をご覧いただければと思います。ニッケルの目標値に関してでございます。今般は水質管理目標の設定だけがされているが、今後もし給水装置の浸出性能基準を検討するときは、ニッケルが給水装置のさまざまな材料として使われているということで、対応が困難な場面があるので、十分な検討をしてほしいという意見でございました。
これにつきましては、ニッケルに関しては、今後御指摘の給水装置の浸出性能基準等の必要性について検討していくという予定ですので、その中で御意見を参考とさせていただければと考えております。
それから、同じく4ページの4番をご覧ください。農薬に関する意見でございます。今回採用いたしましたメコプロップという農薬の許容一日摂取量(ADI)は食品安全委員会によらない暫定値ではないかということです。食品安全委員会の評価が出るまで現行目標値でよいのではないかという御意見でございました。
この農薬は非食用の農薬で、採用したADIは環境省で設置されております検討会で検討・制定されたものでございますが、専門家の検討を経たものでございますので、この値を採用するということが妥当だと考えておるところでございます。
続きまして、分析法に関するものでございますけれども、参考3をご覧いただければと思います。
2ページ目の2番のところをご覧いただければと思います。亜硝酸態窒素の分析法についてでございますが、今般指定しているイオンクロマトグラフ法だけではなくて、分光光度法等も採用すべきではないかという御意見でございました。
これに関しましては、これまでも公定検査法と同等以上と認められる方法は公定検査法として取り入れるという取組みを、厚生労働省ではしております。今後も最近の科学的知見を踏まえて、適宜見直しをするという方針で臨んでいきたいと考えております。
最後に3ページ目をめくっていただきまして、5番をご覧ください。今般示しております亜硝酸態窒素を含む陰イオンの一斉分析法というものでは、水道水に入っている塩素の亜硝酸態窒素への影響を打ち消すために、エチレンジアミンという物質を添加することを求めておりますが、亜硝酸態窒素は測定せずに、他の陰イオンのみを測定するという場合には、このエチレンジアミンの添加は不要ではないかという御意見でございました。確かにごもっともと考えられますので、この意見は取り入れるということといたしまして、亜硝酸態窒素を測定しない場合にはエチレンジアミンの添加は省略できるということといた
しまして、この形で現在の資料をつくっております。
資料1-1の2ページ目に戻っていただきまして、ここに示す告示の分析法の中では、エチレンジアミンの添加を省略することができるということを書き込んでおるところでございます。
以上がパブリックコメントに関しての対応の概要でございます。また、この資料の4ページ目の「2.意見募集の実施等」の最後のところをご覧いただきたいのですけれども、((4))でございます。給水装置及び水道用資機材は、国際的な流通がある物品でございますので、亜硝酸態窒素に係る今回の基準設定に関しまして、「貿易の技術的障害に関する協定」に基づきまして、WTOに通報いたしまして、加盟国からのコメントを受け付けました。結果、特に意見はないという状況でございました。
以上、パブリックコメント、WTO通報等の状況を踏まえまして、さまざまな検討をし、最初に御説明をした「(1)水質基準の改正等について」のところのとおり、省令、告示、通知の改正を行い、平成26年4月1日からの施行をしたいと考えているところでございます。これが資料1-1でございます。
資料1-2を続けて御説明をさせていただければと思います。
ここまで御説明をいたしました、資料1-1で御検討いただいた項目は、健康影響評価結果に基づく水質基準値、それから、目標値といったものを昨年御審議いただいて、御了解をいただいたものばかりでございます。
これから御検討いただく資料1-2のものは、基準値・目標値の見直し、新設定を初めて御検討いただくというものでございます。
基準などの見直しの方法は、1ページ目にございますように”Rolling Revision”(逐次改正方式)という形にしておりまして、新しい知見に基づいて逐次見直しを行っております。
新しい知見というのは、一つは安全性評価でありまして、食品健康影響評価等の最新の知見であり、もう一つは水道水からの検出状況ということで、これらを重ね合わせて考えたときに、下のピラミッドで示します、法に基づく水質基準、通知に基づく水質管理目標設定項目などの、どれに該当することになるのかを検討していく。こういう作業を毎回行っているというところでございます。
2ページ目をご覧ください。まず、安全性評価に関する最新の知見の状況でございます。
食品安全委員会では、ヒトが摂取する可能性のあるさまざまな物質について、順次評価を行っております。水道水に関連するものとして、新たな評価結果が出ていながらこの審議会で未検討のものは、(1)に書いてございますが、農薬以外では、水質基準項目としてはクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸の3種類でございます。これらは全て消毒副生成物として水道水に混入する可能性のある物質でございます。
水質管理目標設定項目としては、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)の1種類です。これはプラスチックの可塑剤などとして利用されている物質でございます。
これら4物質でしたので、評価結果を受けた水道水質基準値等の目標値の考え方を、3ページ以降で個別に示してございます。
まず、3 ページ目をご覧ください。クロロ酢酸でございます。現行の水質基準値は0.02mg/Lですけれども、これの根拠となりました耐容一日摂取量(TDI)と、今般新たに示された食品健康影響評価のTDIは、着目している健康影響は異なっておりますけれども、結果的にTDIの数値そのものは、同じ3.5μg/kg体重/日と同じですので、水質基準値としては変更せず維持するということが適当と考えられます。
4ページをご覧ください。ジクロロ酢酸でございます。新しい食品健康影響評価は、発がん性、非発がん毒性の双方について評価がなされていまして、発がん性に関しましてはTDI、発がんユニットリスクの両方について算出がなされております。
これらの値から、従来と同様の算出方法、すなわち、TDIからは消毒副生成物に適応される水道の寄与率20%を用いて、発がんユニットリスクの場合は10-5に相当するリスクそのものの値から、ヒトの体重50kg、飲水量2Lを用いて、評価値に該当する値を算出しましたところ、発がんリスクから算出される0.03mg/Lという値が最も低くなりますので、安全の観点からこれを採用するというのが適当と考えられます。現行の評価値は0.04mg/Lですので、少し基準値を強化するということになります。
5ページのトリクロロ酢酸をご覧ください。新しい食品健康影響評価は、最近の慢性毒性試験の結果をもとに評価を行っております。発がん性、非発がん毒性、いずれもTDIとして6μg/kg体重/日という値が設定されております。
これは現行の基準値のもととなったTDI32.5μg/kg体重/日よりも厳しく、同じ算出方法から算出される水道水質基準値としては、評価値案は0.03mg/Lと、現行の0.2mg/Lからかなり強化をするということになります。
このように、法に基づく基準として、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸の2物質に関しましては、基準値を強化するということになります。
基準値を強化して遵守はできるのかという点がございます。この点に関しましては、まず2ページの下半分のあたりをご覧ください。最近の水質測定データと新基準値(案)を比較したということでございます。全国の5.896の測定地点中、新基準値(案)を超過するケースが、ジクロロ酢酸では6地点、トリクロロ酢酸では22地点ございました。
これらの地点に対しまして、原因、対応状況などについてアンケートを行っております。
その詳細をこの資料の12ページ以降に掲載をしてございます。これについて個別には御説明をいたしませんが、ジクロロ酢酸が新基準値を超えて検出された6地点に関しましては、いずれも超過時に活性炭注入が行われていないという状況でございました。今後は水質監視をより綿密に行っていただいて、それに基づいて、塩素注入時点の変更だとか、場所によっては活性炭注入を適時に行っていただくことで、原因物質が除去されれば、新基準値達成は可能と考えております。
トリクロロ酢酸が新基準値を超えて検出された地点では、活性炭注入、中間塩素処理、後塩素処理等の消毒副生成物の抑制対策をある程度講じている地点でも、新基準値がかなり厳しくなるということから超過しているところがあって、地点数としては1桁ではありますが、基準達成が困難と回答されていらっしゃるところもございます。
この件に関しましては、私ども事務局も別途浄水処理の専門家と相談をいたしました。
実際の検出の最高値を見ると、新基準値(案)の0.03mg/Lの2倍までの範囲で収まっているということです。そういったことから、現行の対応方針の延長線上で対応可能と考えられます。消毒副生成物であって、通年的に超過しているというのではなくて、季節的に対応を強化すれば対応できるのではないか。例えば、活性炭の注入量を手動で臨時的に、大幅に増やす等の対応で達成可能ではないかと考えられることから、超過したいずれの地点でも基準達成は可能と考えております。
ただ、そういった水道事業者に対しては、我々厚生労働省も基準達成のための適切な、技術的なアドバイスをしていかなければならないと考えているところでございます。
検討状況の話を続けます。6ページをご覧ください。フタル酸ジ(2-エチルへキシル)についてでございます。
生殖発生毒性に関する新しい研究成果が公表されております。それに基づいて設定されたTDIは、現行目標値設定の際のTDIの4分の3の値となっております。水質の目標値もこれに対応して、0.1mg/Lから、有効数字を1桁に丸めるということで、0.08mg/Lへと強化することを考えております。
7ページ目の農薬類でございます。新しい食品健康影響評価が出たものが、表にございますように15物質ございます。個別には説明をいたしませんが、いずれについても新しいADIに基づいて、新評価値を算出してございます。今後、これを適用したいと考えているところでございます。
以上が安全性評価に関する最新の状況でございました。この後は、8ページ目以降は、もう一つの最新の知見でございます、水道水からの検出の状況について説明をしたものでございます。
表1は分類見直しの考え方を示したものでございます。分類要件1という名前で示しました、最近3か年継続で評価値の10%超過地点が1地点以上存在している場合というのが、水質基準と分類する最低の要件としておりまして、さらに分類要件2の、評価値50%を超過する地点が存在するか、または最近5か年の間に評価値そのものの値が超過する地点が存在するかどうかで、水質基準項目と水質管理目標設定項目との間の出入りを決定するという方式としております。これは平成22年に御了承をいただいた方針でございます。
この考え方に改めて照らし合わせてみまして、平成19年度から23年度までの浄水(給水栓水)の水質検査結果を整理いたしました。もちろん、今般基準値、あるいは目標値の見直しをしようとしている項目に関しましては、新しい基準値・目標値と比較して調べました。その結果が9ページの表2です。これは農薬以外でございます。
それから、10ページの表3が農薬についてでございます。こういった形で整理されました。
結果として、分類見直しの要件に合致をいたしましたのは、まさに資料1-1でご覧いただいた亜硝酸態窒素のみでございました。これに関しては、既に水質基準化の手続に入っているところでございます。
今般、これだけの知見を基に基準値・目標値の見直し、それから、基準項目と管理目標設定項目の分類見直しの方針について、御決定をいただきたいと考えているところでございます。
事務局の案として考えておりますのは、この資料の11ページにありますように、水質基準値案を強化することを考えておりますジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸に関しましては、今後食品安全基本法に基づき、食品安全委員会の意見を聞き、パブリックコメントを経て、平成27年4月1日から新基準値として施行することを考えております。
また、水質管理目標設定項目は、法に基づく基準ではございませんので、食品安全委員会の意見を求める手続はかかりません。これに該当いたしますフタル酸ジ(2-エチルへキシル)及び、7ページで示しました農薬類のうち、評価値が変更になって、対象農薬掲載リスト農薬に該当する2種類のものに関しましては、パブリックコメント手続のみを執り行って、同じく平成27年4月1日から新目標値として適用することを考えております。
また、対象リスト掲載農薬以外で、評価値が変更になる農薬2種類に関しましては、昨年の取扱いと同様に、本部会の審議をもって新目標値として設定し、平成26年4月1日から適用することを考えてございます。
さらに、3-2に書いてございますとおり、分類の見直しに関しましては水質基準化の手続を行っている亜硝酸態窒素を除き、今般は変更しないという案を考えているところでございます。
資料1-1、資料1-2の説明は以上でございます。

○大垣部会長
説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問あるいは御意見等がございましたら、挙手の上御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。大分大部で、多岐にわたるのでいかがでしょうか。
山根委員、どうぞ。

○山根委員
御説明ありがとうございました。
大変素朴な質問ですが、2つさせていただきたいと思います。
まず、パブリックコメントの説明もありがとうございました。このパブリックコメント提出者の内訳なのですけれども、ほとんどが水道関連事業者の方でしょうか。一般消費者の方もこの中には含まれているのかどうかというのを、参考までにお聞きできればと思います。
それと、基準値の強化のところですけれども、この強化策に適切に応対できるようにということで、今後技術的なアドバイス等を行っていくということでしたけれども、具体的にはQ&Aなどの作成をして、それを提示するということが中心になるのでしょうか。そのあたりも教えていただければと思います。

○大垣部会長
事務局、よろしくお願いします。

○田中水道水質管理官
パブリックコメントをある程度の数受けておりますが、主に関連の業界の方々からの意見が多いという感じを受けました。一般の消費者の方からの意見かどうかは、ちょっと分からない状況です。
それから、今後基準を達成するために、水道事業者に対してさまざまな方策を講じていかなければならないと考えておりますけれども、具体的には個別にいろいろと水道事業者のほうから御相談があれば、技術的な対応方策などについて、研究機関の力も得ながら対応し、お答えをしていくということを、まずやっていかなければならないかと考えているところでございます。

○大垣部会長
山根委員、よろしいでしょうか。

○山根委員
はい。

○大垣部会長
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、特にこれ以上御意見がないようですので、資料1-1及び資料1-2について、皆様が御了承いただいたということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○大垣部会長
どうもありがとうございました。
それでは、そのような方向で、事務局でお進めいただきたいと思います。
次の議題2に移ります。2つ目の議題は、水質基準に係る今後の検討事項についてであります。説明をお願いいたします。

○豊住室長補佐
それでは、資料2-1及び資料2-2につきまして、御説明差し上げたいと思います。
まず、資料2-1「突発的水質事故等による水質異常時の対応に関する考え方(検討状況)」でございます。
本件はまず「1.検討の必要性」にございますとおり、一昨年5月に利根川水系で発生いたしましたホルムアルデヒド前駆物質による水質事故によりまして、千葉県内で87万人規模の断水が発生したことを受けて、今日、水道が、飲料水のみならず生活用水として市民生活に不可欠であるということを鑑みまして、基準超過時にその項目と程度によっては、給水停止を行うことなく対処することが、水道事業者等の選択肢として適切に判断できるように、考え方をとりまとめているものでございます。
このような検討を進めることにつきましては、昨年3月に開催されました前回第14回の部会におきまして御説明し、御了承をいただいているところでございます。
そこで、この検討に必要となる、例えば海外の事例ですとか、給水継続可能な水質レベルの検討などを、本年度から開始をされております厚生労働科学研究「水道における水質リスク評価及び管理に関する総合研究」の中で進めていただいているところでございます。
その進捗状況につきましては、同じ資料の参考2として添付させていただいているところでございます。こちらの参考資料につきましては、後ほどご覧いただければと思います。
それでは、資料2-1の本編に戻っていただきまして、今回の検討内容でございますが、水質基準逐次改正検討会でも議論いただいてございますけれども、それを進めるにつれて、その捉えられ方によって、これまで築き上げてきた安全な水の供給確保のための努力が緩むことにつながってはいけない、という声が上がっております。
水道事業者等が、安全な水を安定的に供給するために求められてきました各種対策の必要性につきましては、今回の検討を通じまして、何ら変わることはございません。そのことを確認するために「2.検討にあたっての前提」を記載しております。
まず、水道法に規定のとおり、水道事業者は一般の需要に応じまして、飲用に適する水を常時給水することが求められております。そのために原水の質及び量、地理的な条件、水道の形態等に応じた施設整備を行い、施設の管理及び運営水質検査等を行う必要がございます。そのために、原水の質の悪化ですとか、突発的な水質事故などがあったとしても、給水への影響は最小限にとどめるような対応が必要でございます。具体的には、あらかじめ監視体制や、浄水施設の高度化、配管のループ化、配水池容量の確保、緊急連絡管の整備等を行うことが必要です。
また、水道により供給される水につきましては、水道法第4条に掲げる要件を備えている必要がございます。その具体につきましては、先ほども議論をいただいておりますが、水質基準に関する省令におきまして、具体的な項目と値を定めているところでございます。
これらの水質基準項目につきましては、いわゆる健康関連項目と生活関連項目とからなっておりまして、また、その健康関連項目につきましても、病原微生物に係るような短期的な影響を考慮した項目と、長期的な影響を考慮した項目とがございまして、それぞれの基準値の科学的な意味合いというのは異なっております。
さらに水道事業者等は、供給する水が人の健康を害する恐れがあるということを知ったときには、水道法に基づき、直ちに給水を停止しなければならないとされております。
法令上のこれらの規定の下で、実際の水質異常時の具体的な対応につきましては、状況に応じて、水道事業者等において個別に、適切に判断する必要があります。
2ページ目をご覧ください。今回検討しております「3.摂取制限等を伴う給水継続の考え方」ですが、(1)に定義付けをしております。
摂取制限等を伴う給水継続とは、突発的な水質事故等が発生した場合に、水道事業者等が最善の措置を講じてもなお一時的に、浄水中の有害物質の濃度が基準値を一定程度超過する場合におきまして、水道事業者等が低減化対策を講じつつ、利用者に対して水道水の直接飲用を控えるよう広報し、あるいは煮沸勧告しつつ給水を継続することとしております。
この対応につきましては、先ほどの前提の際の説明とも関連してまいりますけれども、水道事業者等が安易に行うというものではなく、水道の安全性を確保した上で、利用者の負担を軽減するために給水停止を可能な限り回避するというための手段でございます。
なお、病原微生物につきましては、昨今のクリプトスポリジウム等の検出状況ですとか、検出技術の進展といったものを踏まえまして、別に検討したほうがよいと考えてございますので、ここで掲げております煮沸勧告につきましては、VOCの超過といったものを念頭に置いているものでございますので、御留意いいだければと思います。
また、水道事業者等が直ちに必要な措置を講じて、事態が改善をし、摂取制限等に至らずに収束するといった場合ですとか、生活関連項目に関するものにつきましても、今回の検討の趣旨から対象とはしてございません。
次に(2)でございますが、摂取制限等を伴う給水継続の条件を掲げております。先ほど述べました前提とも関連するのですが、平常時は水質基準を満たすものであるという、これは至極当然のことではありますけれども、まず第一に挙げてございます。
また、摂取制限等を伴うとはいっても、広報が届かずに、万が一飲んでしまうということも想定されますので、そのような場合であっても、健康への影響がないレベルであるということを挙げております。
また、この対応を検討する趣旨でもございますように、生活用水としての利用に支障のないものが、条件の一つとなっております。
今回の措置で極めて重要なこととして、逐次改正検討会や研究班の中でも議論されておりますけれども、摂取制限等についての周知がございます。特に乳幼児ですとか、妊婦、病院の入院患者など、特に配慮が必要な集団に対する周知への配慮が重要であると認識いたしております。
また、繰り返しになりますけれども、単に摂取制限をするのではなく、直ちに水道事業体等は原因究明ですとか、必要な低減措置を講じること、そして、応急給水等により、飲用水を確保するということを条件として挙げてございます。
また、最後に、事態が収束した後、摂取制限等の解除が必要となってまいりますが、その解除の考え方として、給水栓における水質異常に係る項目についての基準適合の確認を挙げてございます。
今回の検討では、項目によって基準値は超過しても、一定レベルであれば給水継続して問題ない場合といったものを対象にいたしますので、そのレベルはどの程度かといったことを示すことが必要になってまいります。こちらが「(3)健康影響の視点からの給水継続に関する指標」でございます。
この検討は、例えば全ての対象項目について、基準値の2倍ですとか3倍といった数値を一律に出すということではなくて、各項目の健康影響評価の結果を踏まえて、一つ一つ検討していく必要があると考えられますので、現在、国において、先ほど紹介いたしました研究を活用して、一つ一つ確認しながら情報を整理しているという状況でございます。
次に「(4)利用者への周知と飲用水の供給」でございますが、先ほど(2)で挙げました条件のとおり、利用者への周知が極めて重要ですので、飲用水の確保とあわせて、ここで掘り下げて記載をいたしております。
先ほど挙げましたように、乳幼児、妊婦、病院の入院患者などのセンシティブなグループへの配慮はもとより、食品製造業等が水道水を原料として使っているという場合がございますので、こういった場合でも水質基準を超過する場合の対応というのをあらかじめ周知しておくことや、摂取制限等を行う場合の連絡方法などを確立しておくことが必要です。
次に3ページをご覧いただきまして「4.摂取制限等を伴う給水継続実施にあたっての留意点」でございます。
今後、摂取制限等を伴う給水継続を実施しようとする場合に、水道事業者等においては、先ほど挙げました給水継続の条件について、平常時にあらかじめ方針を定めておくことが重要です。そのために必要と思われる具体的な検討事項を、こちらに幾つか掲げてございます。
さまざまな検討事項を挙げておりますけれども、この中で特に、迅速で周知徹底しやすい広報の方法ですとか、摂取制限解除の方法、食品製造業や病院への対応の方法などにつきましては、国におきましても、特に中小の事業体などにとって参考になるような資料の整備を行っていきたいと考えているところでございます。
以上で資料2-1の説明とさせていただきまして、続いて資料2-2「浄水施設での対応が困難な物質について」を簡単に説明させていただければと思います。
こちらは、この資料の囲みにございますとおり、こちらも厚生労働科学研究の「水道における水質リスク評価および管理に関する総合研究」の中で進められております。
こちらも、先ほどの資料2-1の検討事項と同様に、一昨年の利根川の事故を受けました検討として、前回の第14回の部会におきまして御説明、御了承をいただいているものでございます。
今回検討の対象とした物質を((1))から((4))までお示ししておりますが、これは前回の部会で掲げさせていただいているものと同趣旨のものでございます。また、ホルムアルデヒドを生成しやすく浄水処理が困難な物質につきましては、こちらも表1、表2とありますけれども、前回部会でお示しをさせていただいたものと同様となっております。
それから「3 ホルムアルデヒド以外の副生成物を生成しやすい物質」につきましても同様ですが、最後の4の表には物質を追加しております。
今回、一昨年の事故の原因物質に類するものから、過去に水質事故の原因となった物質まで、実験ですとか文献情報を基にリストを作成しているものでございますが、表4の下にスルファミン酸を追加しております。
これは、これまでとりまとめてきたリストに追加で情報収集いたしまして、追加したものでございます。
また、5ですけれども、水質事故の過去の事故情報から、水質への影響の詳細につきましては、残念ながら詳細が不明なものでございますけれども、水質事故の報告があるその他の物質としてもう一つ立てて、追加しているところでございます。
今後、このような形でリストを充実しながら、また、関連情報を充実しながら、水道事業者等や環境部局への情報提供等を通じまして、水道原水へのこういった物質の流入防止に資するものとしたいと考えているところでございます。
本資料につきましての御説明は以上とさせていただきます。

○大垣部会長
説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら、お願いしたいと思います。いかがでございましょうか。
大澤委員、どうぞ。

○大澤委員
私は建築物衛生にかかわっている者でございまして、利用者の側から今回の異常時の対応に関する考え方は、大変すばらしいものだと思いますので、御意見を申し上げます。
建築物衛生には、最終的な利用の場という観点からすると、いろいろな健康リスクがあります。水質の問題の他にも、建築物衛生からすると、普通の洗浄水とか、そういった生活用水が途切れたときに生じる健康リスクというのが別途あり、災害時の高層建物などではそちらが非常に大きくなる場合があると思います。
その点で、制約があると思いますけれども、改善の方向に検討していただいており、トータルのリスク低減という意味で、非常に有益かつ賛成できるものだと思います。
以上です。

○大垣部会長
ありがとうございます。
ほかにはいかがですか。
中野委員、どうぞ。

○中野委員
給水継続の御審議をいただいていることを、大変ありがたく思っております。ただ、災害事故というのは待ったなしといいますか、いつ起きるということが想定できないわけでございまして、いわゆる利用者のいろんなものを考えたときに、とりまとめの時期といいますか、タイムスケジュール的にいつぐらいまでを目途に指標・指針としてとりまとめをされようとお考えなのか、その時期について若干お尋ねをしたいと思います。

○大垣部会長
よろしいですか。

○田中水道水質管理官
御指摘ありがとうございます。
委員が御指摘のとおり、事故はいつ起こるかわかりませんので、こういった取り組みに関してはなるべく早くまとめなければならないとは考えております。
ただ、一方で、こういった措置を始めますと、その影響というのは相当各方向に及びますので、並行して慎重に検討せよという声も上がっております。その両面をにらんで、なるべくいろいろな方の御意見を聞いた上で早目に決定したいと思っておりまして、一つは措置全体の枠組みに関しましては、今年末か来年度内ぐらいにまとめられればと思っております。
技術的な検討といたしまして、この資料2-1の中にございますが、健康影響の観点から給水継続に関する指標を設定するということを3.の(3)で書いてございますが、これに関しましては専門的なさらなる知見の収集も必要ですので、その時期より、ものによっては遅れていくというようなこともあるのではないかと考えております。
以上でございます。

○大垣部会長
よろしいでしょうか。
説明はいいですか。ほかにはいかがでしょうか。
相澤委員、どうぞ。

○相澤委員
水に溶けるものではないのですけれども、例えば火山の噴火に際して水質が汚染されて、水道にも影響があるというようなことを、桜島のことをニュースで知ったのですけれども、そういった対策といいますか、緊急時の対策としてどういうことが考えられるかということも御検討いただいているかということを伺いたいと思います。

○大垣部会長
いかがでしょうか。例えば火山の爆発なんかの影響です。

○田中水道水質管理官
今、聞いておりますところでは、まず、火山の爆発によってさまざまな粉じんなどが飛んでくるということに対しては、浄水場の広い面積において開放型のところがございますので、そういったところで、そういった火山灰などが入ってこないように覆いをするという措置をまずやって、そういった影響はなるべく取り除くということをやっていらっしゃると聞いております。
また、普通、浄水処理の中では、そういった粒子系のものに関しては取り除くことができるような浄水システムになっておりますので、そういったものに関してはある程度除去できるのではないかと考えております。

○大垣部会長
原水に灰なんかが入って高濁度水になったら、通常の洪水なんかのときと同じような、多分原水の汚染の問題という形の処理で、場合によっては取水制限というようなこともあるのではないかと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。

○相澤委員
はい。

○大垣部会長
ほかにはいかがでしょうか。
西村委員、どうぞ。

○西村委員
この緊急時の対応というのは、私もすごくいいと思っていますけれども、こういう時期は一般の国民の方が非常に混乱をしているので、3ページに書いてあるように、平常時からの周知というのを徹底していただきたいと思っています。そのときに、できればQ&Aみたいな形で、一般の方々がわかりやすいような情報を提供していただいて、そのときに慌てて混乱をして、誤解を招くようなことがないようなことをしていただけると、すごくいいのかなというので、ちょっとコメントさせていただきました。
以上です。

○大垣部会長
ありがとうございます。
何か特に。

○田中水道水質管理官
そういった点は非常に重要な、こういった対策をとる場合、周知というのは非常に重要な対策だと思っております。
資料の中では4.の中で、今後取り組むべき措置として、国・水道事業者で検討を進めていくということの中で「摂取制限等を伴う給水継続実施に関する平常時からの周知」というのを挙げております。私どもだけでなくて、実際の現場を預かる水道事業者の方々のこれまでの御経験を踏まえて、より的確なものができるよう、我々も音頭をとっていかなければならないと思っております。

○大垣部会長
ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
私が意見を言うのもあれなのですが、たまたま1月9日にアメリカのウエストバージニア州で工場の事故が起きて、水源が汚染されたということがありまして、今、水道事業体といいますか、会社と政府はDon’t use water alertを出している。それこそ今のQ&Aがずらっと出ていまして、使ってはいけないけれども、トイレット用水と消防には使っていい。それ以外は禁止であるということです。
そのほかに、ここに出ているようないろいろな対策をとっているわけですけれども、現実に今、起きていて、大体もう工場から出るのは収束しそうなのですけれども、そういうことで、日本でも多分いつ、どのようなことが起きてもおかしくない状況ですので、やはり先ほど御指摘のように、できるだけ早目にこの対応ができるようにする必要があるのではないかと思います。
もう一つ私の意見を申し上げさせていただくと、摂取制限給水で水質の健康影響面からの検討が主体で進んでいますけれども、災害時に社会インフラとしての水供給をどうするかという観点も重要かと思いますので、いろいろと周知の難しさはあるけれども、それを十分、今、御指摘のあったように平常時からいろいろと社会に浸透して、災害時にいろいろな対応をして、水が消防や水洗便所などで十分使えるということは非常に重要なことですので、そのための対応を是非御検討を続けていただきたいと思います。
私が勝手に言いましたが、ほかに御意見はよろしいですか。
瀬川委員、どうぞ。

○瀬川委員
ちょっと細かい話なのですが「(2)摂取制限等を伴う給水継続の条件」の((2))なのですが「誤って飲用しても直接的な健康への悪影響が生じるものではないこと」というのは、ちょっと理解ができないのではないかと思うのです。具体的に定義ですとか「直接的な健康への悪影響」といのうは、具体的にはどのようなものを指しておるのでしょうか。

○豊住室長補佐
こちらは具体的にはどういうものになるかというのが、この(3)で検討しているものになるのですけれども、それぞれの項目に対するこれまでの健康影響評価の結果を踏まえうて、急性でも慢性でも影響がないレベルというものを対象にしようと考えているところでございます。

○瀬川委員
急性はわかるけれども、慢性でも影響ないというのも「直接的な健康への悪影響」なのですか。

○豊住室長補佐
失礼いたしました。慢性につきましても影響の期間を、例えば米国の、ヘルスアドバイザリーの例のように、生涯ではなく、短期間に飲用した場合の影響として水質のレベルを勧告値として示しているものがございまして、今回の検討では、それに類するような形のものをお示しできればと考えています。

○瀬川委員
例えば、化学物質だろうが何だろうがそうなのですけれども、体内に入ってその影響がすぐ出るものと、長期間滞留しながら徐々に出てくるものってありますね。そうすると、すぐ出るものだったら、誤って飲用してもそんなに問題ないだろうという判断ができるのですけれども、そういうのはある程度具体的な明示をされるとか、そういうところはお考えになっているのでしょうか。

○田中水道水質管理官
(3)のところに書いてございます指標というのを、いずれは物質ごとに出すと考えておりまして、そのときには単に指標だけではなくて、どういった健康影響の観点からこの数値を定めたのか、その考え方もあわせて示すと考えておりますので、その中で、そういった影響に関してもある程度説明できるような形にしていかなければならないと思っております。

○瀬川委員
どうもありがとうございました。

○大垣部会長
よろしいでしょうか。
ほかには。
那須委員、どうぞ。

○那須委員
すみません。今、出ていた質問に関連して、私はここが、普通TDIというのは慢性影響から計算しますので、ただ1回、ちょっと飲んだからといって、それが健康影響に与えるものではないということをおっしゃりたいのかと理解したのですけれども、そういうことでもないのですね。

○豊住室長補佐
基準の設定に当たりましては、TDIを用いて毎日2L、生涯飲んでということで設定がなされますので、事故の期間、超過する期間は、事故によって違いますが、ある一定の短い期間と想定されますので、現状の水質基準の設定条件と、一時的に超過しているときの影響というのは違ってまいります。そこをしっかり詳細に見て、事故への対応をしっかりしていこうという考えでございますので、今、委員がおっしゃったようなTDIの性質を踏まえて、今回の検討をしているということでございます。

○那須委員
いずれにしましても、読む人によってきっと違った捉え方をするかもしれませんので、ちょっとここは文章を工夫していただいたほうがよろしいのではないかと思います。

○豊住室長補佐
承知いたしました。ありがとうございます。

○大垣部会長
微生物汚染などの場合はあれですね。煮沸条件を出したりとか、物質によっていろいろ違いますね。
すみません。遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員
いや、今、ちょうどそのことを申し上げようと思ったところです。
基本的な考え方に「病原微生物に係る短期的な影響」と書いてあるのです。病原微生物についても検討されているということでしょうか。

○豊住室長補佐
今回は、摂取制限等を伴う給水継続の考え方の中で、2ページ目の3.の「(1)定義」で書いてございますとおり、病原微生物に係る項目については対象から除いてございます。

○田中水道水質管理官
追加で御説明をいたしますと、病原微生物による影響というのは非常に直接的で短期的な影響かと考えられますので、御説明はしませんでしたけれども、資料2-1の後ろのほうにお付けをしておりますが、別紙というところで、現時点においても、水質基準を超過したときの対応に関して、厚生労働省から通知を出してございます。
それの中の2番目で書いてございますが、一般細菌及び大腸菌については、病原微生物の汚染の可能性、存在状況というのは直接的な影響を示すもので、それの評価は検査ごとの結果を基準値と照らして、直接的に一回ずつ判断をして、所要の措置を講じる。水質異常時とみなして考えようという措置の体系になってございます。

○大垣部会長
よろしいでしょうか。
相澤委員、どうぞ。

○相澤委員
すみません。制限を、給水継続ということになりますと、こういった制度ができますと、多分これまで以上に、事業体のほうでこの規制を使う場所が多くなると思うのです。そうしますと結局、制限が発生したときの水道料金の措置です。これは3ページにも書いてありますけれども、毎年制限とかを行って、料金25%を減にしたとか、最近でもそのような事例があったかと思いますけれども、そういったときに、例えば料金とかの補助制度とか、そういうことはどのようにお考えになっているのでしょうか。

○豊住室長補佐
水道料金に関しましては、水道事業体が供給の規定の中でどう位置づけるかということによると思います。
一方で、例えば水質の事故で、例えば赤水が出たときに、どういった対応がとられたかといった実例もありますので、そういったものも見ながら、事業体においてどうしていくかということを考えていただき、具体的な対応がどうなるのかは、さまざまではないかと思っております。

○大垣部会長
ほかにはよろしいですか。
永井委員、どうぞ。

○永井(雅)委員
2ページ目の「3.摂取制限等を伴う給水継続の考え方」の中の(2)の((7))です。これは解除の関係ですね。これについては給水栓と入れていますが、イメージとして、末端給水栓といったらわかるのだけれども、一言でいえば、給水栓といったらどのようなところをイメージしているのかです。
もう一つは、水質基準に適合していることを確認するということですが、実態としては、例えば濁度だとか残留塩素だとか、そうした簡易なものの検査は可能だと思うのですけれども、実際に水道基準に適合しているかと言われたら、これは現場の話になると思いますから、これはいかがなものかと。
例えば、現場で採取した水のサンプルを水質検査機関にまで持っていけと、そこの試験場まで持っていくというのであればわかりますけれども、その辺のことをお伺いしておきたいと思います。

○豊住室長補佐
給水栓というのは末端給水栓という考え方でありまして、通常その事業体が水質検査をしている末端の給水栓を念頭に置いております。
ある項目が超過をしたということであれば、((7))のところで書いてあるように、水質異常に係る項目については、やはり基準適合は確認をしてくださいという考え方です。
水質基準項目は50、今後追加で51ということになってまいりますけれども、それらを網羅的に、摂取制限解除に当たって全てやるということではなくて、それに関する項目は末端給水栓でもやるべきであろうというのが、これまでの議論の中で上がっておりますので、そのような認識で記載しております。

○大垣部会長
よろしいですか。
ほかにはいかがでしょうか。
今のお話の、全体の管路の水を入れ替えるとか、具体的な作業はいろいろとあると思いますけれども、その上での水質の確認ということかと思います。
瀬川委員、どうぞ。

○瀬川委員
しつこいようですけれども「((1))平常時においては、水質基準を満たすものであること」の平常時というのは、どういう解釈をすればよろしいですか。

○田中水道水質管理官
これをわざわざ書いたのは、水道の原水が、上流の開発などによって恒常的に汚れているといった場合に、こういった措置を適用するということではなくて、あくまで非常に突発的な事故で水質基準を超過した場合に適用する考え方であると考えております。したがって、通常状態において水質基準に満足できていないのであれば、その場合にはこの摂取制限をするということではなくて、まず、施設の整備などによって水質基準を担保できるようにしてほしいという趣旨で書いておるところでございます。

○瀬川委員
水質基準を満たしているものという意味ですね。

○田中水道水質管理官
はい。

○大垣部会長
日本語として常に満たしているということですね。そういう表現にしたほうがいいという御意見です。
よろしいでしょうか。資料2-1が主でしたが、資料2-2のほうに関しましては、御意見はよろしいでしょうか。
今、いろいろ御意見が出ましたけれども、先ほど申し上げましたけれども、やはり単に水質、健康という問題だけではなくて、スタート時点は災害時にどういうふうに水道を運営するかというか、供給するかということに対する問題提起であったと思いますので、是非、東日本大震災を出すまでもなく、災害は必ず来ますので、そのときにどういう対応を全国ですることができるかという方向を打ち出していかないといけないのではないかという気がいたします。

○田中水道水質管理官
委員の先生方、さまざまな御指摘をしていただき、ありがとうございます。
資料2-1に関する課題、資料2-2に関する課題、いずれに関しましてもまだ検討の途中でございますので、今日いただいた御意見も参考にして慎重に、かつ、なるべく早く結論が出せるように努めてまいりたいと思います。

○大垣部会長
ありがとうございます。
それでは、今、まとめられたようなことで、検討を継続していただきたいと思います。
次の議題に移りますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○大垣部会長
それでは、議題3です。「水道行政の最近の動向について」、説明をお願いいたします。

○日置水道課長補佐
「水道行政の最近の動向」ということで、資料3について説明させていただきます。私は水道課の日置と申します。よろしくお願いいたします。
資料3の全体は報告事項でございまして、水質以外の水道行政の最近の動向ということで、予算関係、震災関係、施設の耐震化、アセットマネジメント推進の議論といった内容で構成をしているところでございます。
まず、最初が「1.平成26年度予算案等」ということでございまして、1枚めくっていただきますと、パワーポイントの打ち出しが上下に分かれております。
上のほうは「平成26年度水道関係予算(案)」ということでございます。26年度の予算案でございますけれども、太枠で囲ったカラムが2つございます。右のほうのカラムは「平成25年度補正予算案+平成26年度予算案」です。これが来年度の執行可能額ということでございまして、一番下の711億ということで確保しているところでございます。
内訳は来年度の本予算と、今年度の補正予算ということで、それぞれ255億、457億ということで内訳になっているところでございます。
この中で東日本大震災復興関係が149億ということになっておりますが、その説明が下側のスライドになります。「水道施設の災害復旧に対する支援(復興)」ということで、こちらは149億ということで、その内容を説明しているところでございます。
平成24年度と平成25年度の補正予算に比べまして、来年度は67億ほどプラスで多く確保しているということでございます。全国の水道事業体の要望等を踏まえて、こういった額で対応してまいりたいと考えているところでございます。
予算につきましては以上になります。
次は「2.東日本大震災の被害及び復旧」というところでございます。
この下側のスライドになりますが「水道施設の復旧・復興」ということでございまして、こちらは施設の災害復旧、災害査定の状況を示したスライドでございます。平成23年度から平成25年度の3年間かけて災害査定を行いまして、202の事業者に対して災害査定を行いました。通常査定は315億、特例査定は1,024億となっております。特例査定というものでございますけれども、津波等の被害を受けて、また、復旧方法を確定することができないといった早期の災害査定の実施が困難な場合におきまして、特例査定ということで、一定のルールに基づいて査定を行ったものということでございます。
この特例査定は実際に災害復旧に入る際には、保留解除という手続を行っていくことになるのですけれども、こういった手続も財務当局と速やかに行いながら、現地の復旧・復興に努めていきたいと考えているところでございます。
では、次のスライドは「3.浄水発生土の放射性物質汚染」ということでございまして、その下側のスライドは「浄水発生土の放射性物質濃度の状況」ということでございます。
こちらは放射性物質を含む浄水発生土の、これまでの累積の状況を表したものでございます。右から2つ目のカラムに「計」というところがございます。ここの約89万トンが、これまでに発生した浄水発生土になります。放射性物質を含む浄水発生土になるわけでございます。
内訳を見ていきますと、8,000Bqを超えて10万Bq以下が、約6,000トンほどございます。
それ以外のものが8,000から100以下ということで、内訳を書いているところでございます。
このような状況で、これらが次のスライドに書かせていただいているように、保管なり最終処分なり再利用ということで処分されているという状況でございます。
「浄水発生土の処分状況」というところでございます。一番右の「計」というところで、89万トンということになっております。
「保管」というのが一番左のほうで、都道府県の横のカラムに書いていますけれども、全体で18万トンほどが保管しているという状況になります。
それ以外のものにつきましては「最終処分」が27万トンです。セメント原料ですとか園芸土に再利用されているという状況になっているところでございます。
その下のスライドにつきましては、これまでの累積を棒グラフで表したものでございまして、近年の傾向といたしまして、棒グラフが2つあるうちの右側になりますけれども、この中の、ちょっと色が見にくいのですけれども、約20万トンの下のところで色が変わっているところがあるかと思うのですけれども、ここが「保管」というカテゴリーでございまして、これがここ最近、ほぼ横ばいになっているということでございます。こういったところで、ほぼ20万トン弱で保管する量が横ばいということは、発生した浄水発生土が、最近はほぼ処分なり再利用なりに向かっているということを表しているグラフということになります。
現在、浄水発生土はこのような状況になっているところでございますが、一時保管するにしても、スペースが逼迫しているような水道事業者があったり、そういったところには厚生労働省としてもアドバイスをしていきながら、この発生土の問題に対応してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
次のスライドは「4.原子力損害賠償」ということでございます。
こちらの原子力賠償につきましては、そちらに書いております原子力損害賠償紛争審査会が中間指針というものを定めまして、それに基づいて行われているということでございます。
その下のスライドの表ですけれども、これはこれまでの賠償に関する経緯を整理したものでございます。第1回目の水道事業者の損害賠償請求受付が平成24年5月1日から始まりまして、その中では検査ですとか、放射性物質の低減、摂取制限対応、汚染発生土保管/処分等に係る追加費用といったものが賠償対象となりました。
一部先送りとなった事項もございますが、第2回、第3回というところ、平成25年1月31日の第3回目に減収分、逸失利益ですとか人件費といったものが請求対象に追加されているというところでございます。
現在、第4回の受付開始を昨年の7月に行いまして、第5回、第6回と続いていく予定と考えております。その中で、個々の事案におきまして、こういった合意できないケースにつきましては、原子力損害賠償紛争解決センターといったところの申立ても一部行われながら、賠償に関する手続が行われているというところでございます。
厚生労働省といたしましても、こういった紛争解決センターでの動向も注視しながら、早期の解決、情報提供といったものに努めながら、水道事業者の手助けをしてまいりたいと考えているところでございます。
次は「5.水道施設の耐震化の推進」ということでございます。
次のスライドの下側でございますけれども「水道基幹管路の耐震適合率(平成24年度末)」のデータでございます。こちらを見ますと、昨年度の32.6%から、今年度は全国平均で33.5%ということで、0.9ポイント上昇したということでございます。
この棒グラフをご覧いただければと思うのですけれども、一番高いところで60.0%を超えている都道府県、また、一番低いところになると、ほぼ20%といったところがあるということでございまして、こういった低いところの底上げというのが、今後必要になってくるということでございます。
また、全体としても決して高いという状況にはございませんので、全体的な上昇というものを、これから引き続き考えていかなければならないということでございます。
次のスライドになります。これは管路も含めた施設についての耐震化の状況を表した3つの棒グラフになります。
基幹管路は先ほども申し上げたものでございまして、昨年からは0.9ポイント上昇しているということでございます。
真ん中が浄水施設ということでございまして、伸びている率は23年度から比べますと1.7ポイント伸びているわけなのですけれども、全体として2割ということで、他の施設に比べて低いということでございます。こういった伸び率のみならず、そもそもの率というものも上げていく必要があるということでございます。
ただ、浄水施設というのは更新する機会というのがなかなか難しいということなので、このような状況というのがあるのですけれども、これも上げていく必要があるという話でございます。
配水池につきましては今、44.5%ということでありまして、平成23年度から3.2ポイント上昇しているということでございます。こちらは単独での改修というのが行いやすいということで、比較的進んでいるという状況が見てとれるわけでございます。
次は「6.アセットマネジメントの推進」ということでございます。
ページをめくっていただきまして「厚生労働省のアセットマネジメントに関する取り組み」というスライドになります。
このアセットマネジメントは、口頭で補足させていただきますと、水道サービスを継続するために必要な補修・更新といった施設管理と、そのための財源というのを算定いたしまして、長期的に管理・経営するという考え方の取り組みでございます。こういう取り組みは非常に重要でございますので、厚生労働省は平成21年7月7日に、手引きを作成したところでございます。
ただ、この手引きはなかなか浸透するのが難しかったということでありまして、その下の表を見ていただければと思うのですけれども、アセットマネジメントをどのくらい実施しているかということであります。人口5万人未満から50万人以上と、用水供給事業者も含めて整理をしているところでありますけれども、平成24年度の中で5万人未満が12.5%しか行っていないということがございます。
平成22年度から伸び率というのは、それほど変わらないのですけれども、そもそもの実施している状況が低いというのが、この5万人未満の事業者ということでございます。
こういった状況を何とかしようということで、平成25年6月に簡易支援ツールというものを作成いたしまして、今この普及に努めているということでございます。具体的にはアセットマネジメントの講習会を都道府県単位でいろいろと、水道事業体の方に集まっていただきまして、厚生労働省の担当者から説明するということを取り組んでおります。平成25年度中、45都道府県で開催という予定で、ほぼ全国に展開しながら普及に努めているということでございます。
次は最後の項目の「7.新水道ビジョンの推進について」ということでございます。
新水道ビジョンに関しましては、ちょうど1年前、その案についてこの場で御確認いただいて、さまざまな御意見をいただき、年度末に公表させたいということでございます。
今回、その中身を確認するようなスライドも若干入れているところでございますけれども「新水道ビジョンの基本理念」というスライドを1つ用意いたしました。その基本理念は「地域とともに、信頼を未来につなぐ日本の水道」ということでございまして、その左上のほうに書いています、これからの水道が直面する枚挙にいとまがない課題です。人口減少ですとか、料金収入の減少ですとか、職員数の減少、東日本大震災を踏まえた危機管理対策といったさまざまな課題を、関係者が一丸となって対応しなければならないということからまとめたものでございます。
新水道ビジョンの前には水道ビジョンというのがございまして、これは「世界のトップランナーとしてチャレンジし続ける水道」ということを基本理念といたしました。そのランナーのバトンをつなぐという意味も込めまして、今回の新水道ビジョンというのを策定したということでございます。
その下側のスライドは「水道ビジョンから新水道ビジョンへ」というスライドです。こちらは新水道ビジョンの構成を表したスライドと考えていただければと思います。真ん中に理想像というのを掲げております。「安全」「強靭」「持続」と、大きな3つの理想像に対して、右側からの実現方策をもって達成していこうということでございます。
実現方策に関しましては《関係者の内部方策》、《関係者間の連携方策》、《新たな発想で取り組むべき方策》ということで、大きく3つに分けておりますが、《関係者の内部方策》については施設のレベルアップですとか、資産管理、人材育成、危機管理対策、環境対策といったところを取り組むということです。
《関係者間の連携方策》は住民との連携、発展的広域化という水道事業者等の連携、官民連携、技術開発、調査・研究の拡充、国際展開です。
《新たな発想で取り組むべき方策》については、これまでやろうと思ってもできなかった料金制度の最適化ですとか、小規模水道対策、多様な手段による水供給といったことで、これからの「安全」「強靭」「持続」を達成していこうということでございます。
ただ、これから前例のない時代に入っていくということでございまして、それ自体が挑戦ということで、また、さまざまな主体が連携して、より効率的に達成していこうということも込めまして「連携」と「挑戦」という語句も位置づけたところでございます。
こういった内容で新水道ビジョンというものが構成されているということでございます。
次のスライドにまいりまして「新水道ビジョンの策定とその推進」ということでございます。新水道ビジョンの推進体制を表したスライドということでございます。新水道ビジョンはさまざまな水道の理想像を決めまして、それに向かうためのさまざまな方策を書き示したというものでございますが、それをどのようにしてやっていくのかというフォローアップが重要だということでございます。
そのフォローアップの中で、国の役割として関係者との連携、意見交換、推進方策の検討の場を持つということがございました。また、ロードマップの作成を行うということをビジョンの中に書かせていただいたところもございまして、こういったことを受けて、下半分の枠囲いの中の「新水道ビジョン推進協議会」というものを立ち上げることにいたしました。
この中で、先ほど申し上げた新水道ビジョンのフォローアップに関する取り組みというのを行っていきたいということでございます。意見交換ですとか情報共有といったものを、水道関係団体等と行いたいということでございます。
さらに、厚生労働省主催で「新水道ビジョン推進に関する地域懇談会」というものを、こちらにつきましては全国の水道事業体の方々と先進事例の共有をしていきたいということで、都道府県水道事業者を対象に行っていきたいということで、この2つを立ち上げているということでございます。
下のスライドの「新水道ビジョン推進協議会」は、先ほど申し上げた協議会の詳細を書いたスライドでございます。その協議会の構成メンバーとして書いているところが具体のメンバーになるわけなのですけれども、厚生労働省を含め、国の関係団体の方々にメンバーになっていただいて、学識経験者の方にも入っていただくことで開いているところでございます。
活動に関しましては右の箱に書いていますけれども、平成25年度の8月28日に第1回を開催いたしまして、また、1月、3月にも開催する予定でおるところでございます。
先進事例の収集、ロードマップの作成といったものを発信するウェブサイトといったものを設けたいというのが、今年度の目標でございます。
平成26年度以降につきましては、平成25年度の取り組みを一層推進する形で、リバイスなり検証なりフォローアップをしていきたいということでございます。
次は地域懇談会というものです。先ほど申し上げたもう一つの総会になります。この地域懇談会でございますが、その上のスライドの「1 開催概要」というところに書いていますが、全国各地の水道事業者による各種推進方策について、取り組みの内容を都道府県及び水道事業の担当者らが情報共有するということです。全国的にそれを広く発信するということでございます。それで地域内の連携を図りつつ、新水道ビジョンに示した施策を積極的に推進することを目的とするということでございます。
新水道ビジョンに書いている内容は、今までやったことがないことも結構あるということでございます。ただ、そうは言いつつも、参考になるような取り組みをしている水道事業体の方々は、探していけは結構いるということでございます。そういった方々を招いて、その取り組みを説明していただいて、それについて意見交換を行うという構成で、地域懇談会というものを始めることにいたしました。
開催日程はその下の表に整理していますけれども、第1回は昨年の11月25日に行いまして、対象地域は北海道・東北、場所は盛岡市で行いました。7道府県から64名に参加いただきまして、先進事例として、北海道、八戸圏域水道企業団、岩手県矢巾町のゲストスピーカー3名について、それぞれ先進事例を説明していただき、この人たちを中心に3グループに分かれて意見交換を行いました。
第2回も2月の後半に予定しておりまして、今度は九州・沖縄地域を対象に開催したいということでございます。この場合、ゲストスピーカーとしては北九州市、大牟田市、宮崎市、沖縄県の方々にそれぞれ先進事例を発表していただいて、意見交換を行いたいということでございます。
第3回以降も地域を変えつつ、その地域の優良事例を紹介・発信していきたいと考えているところでございます。
最後のスライドでございます。「地域水道ビジョンの推進」ということでございます。
新水道ビジョンの中では、それぞれの都道府県水道事業者が新水道ビジョンを受けて、それぞれのビジョンを策定するということが役割分担として明示されているところでございます。これまでそういったビジョンについては、下半分のところに書いていますけれども、都道府県に関しては『広域的水道整備計画及び水道整備基本構想について』といった通知に基づいて作るということになっていました。水道事業者については『地域水道ビジョン作成について』ということで、これも平成17年の通知に基づいて行うということになっておりました。これを今回、新水道ビジョンというものができたことを契機に、新たに都道府県ビジョン、水道事業ビジョンということで作成できるような手引きというのを、現在検討しているということでございます。こちらについても今年度内には公表することにいたしまして、新水道ビジョンに書いています都道府県水道事業者の役割分担に基づくビジョンが策定できるように、厚生労働省としても手助けしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
水道行政の最近の動向という点については、以上でございます。

○大垣部会長
御苦労様でした。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問あるいは御意見がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
最近の動向は予算から震災からの復旧まで多岐にわたりますけれども、いかがですか。
何か御質問、御意見はよろしいでしょうか。
大住委員、どうぞ。

○大住委員
先ほど、耐震化の推進状況についての御説明があり、特に基幹管路の耐震適合率の数字についてお話があったのですが、その中で結論として、事業体間と地域間で大きな差があるということで、全体として底上げが必要だということなのですが、この点は全くおっしゃるとおりかと思います。
ところが、具体的にどういう対策をとっていけばよいのか。要するに、底上げのために何をしていくのかが、少しあいまいだったと思いますので、補足して説明をいただければと思います。

○日置水道課長補佐
耐震化につきましては、現在厚生労働省で行おうとしている、一つは必要な予算の確保、補助の確保と、もう一つ、耐震化の管路の適合が若干先送りになっていた感じがございまして、そういった自治系の管路といったものを、東日本大震災の経験を踏まえて再評価をしております。そういったものがあるとなれば、それを使って事業体も進めることができるでしょうし、また、さらにそれを使った全体のガイドラインといったものも見直すことによって、事業体の耐震化を支援してまいりたいということでございます。

○大垣部会長
よろしいでしょうか。
大住委員、どうぞ。

○大住委員
関連してですが、アセットマネジメントにつきましては昨年度の部会でも御説明いただきまして、特に今日御報告いただきましたとおり、中小の事業者さん向けに簡易支援ツールを作成していただいたということで、非常に精力的に取り組まれているということなのですけれども、なかなかそれでも浸透しない状況があるというのが、きょうの御報告にもあったと思うのです。特に計画給水人口5万人未満の、小規模の事業者さんの中で、これは事業者数では、平成24年度での実施率は12.5%ということで、なかなか浸透しないということが改めて確認されてしまいました。今年度は講習会が45都道府県で順次開催されて
いるということなのですが、開催された際の事業者さんの感触、受け止め方というのが多分あると思うのですけれども、どういう感想なり御意見があったのでしょうか。

○日置水道課長補佐
基本的に講習会を行った後、こういう知識を知ることができてよかったということを、我々としては非常に聞いておりまして、基本的には好評をいただいているというものでございます。
ただ、24年度の結果を受けて、25年度を頑張っているところですので、これをフォローアップしながらできるだけ、少しでもアセットマネジメントについて考え方を理解する事業者を増やしていきたいと考えています。また、こういったものを今後、補助金の要望の際に求めるなど、どんどん事業者に対して取り入れてもらえるような取り組みを進めています。さらには、アセットマネジメントを今後、周辺事業者との広域化した場合の効果を評価するツールに活用するなど、そういった発展させた形で進めていきながら、この12.5%というのを上げていきたいと考えているところでございます。

○大垣部会長
よろしいでしょうか。

○大住委員
はい。

○大垣部会長
ほかにはいかがでしょうか。ほかの委員の方、よろしいでしょうか。
山根委員、どうぞ。

○山根委員
すみません。説明があったかもしれないのですが、水道ビジョンあるいは新水道ビジョンといのうは、厚労省が主体となって進める施策ということなのでしょうか。国を挙げて省庁と連携をして進めていくものなのでしょうか。

○日置水道課長補佐
新水道ビジョンというものは、我々の認識として、水道界全体が向かうべき方向を整理したものと考えております。もちろん、その中には、国が責任を持っている話もございますし、あるいは、水道の供給者たる水道事業者、水道を利用する住民の方々、さらには関連する業界の方々、関連団体、それぞれの方々のやるべきことを整理したと考えているものでございまして、そういう意味ではもっと大きな形の文書と捉えております。

○山根委員
そうしますと、いろいろな省庁間でも連携をしてという、今後の予定につながるということでよろしいですか。

○日置水道課長補佐
そうですね。国としても関係省庁と連携してということも、もちろん盛り込まれておりますので、それに沿った対応をしてまいります。

○大垣部会長
よろしいですか。ほかにはいかがですか。
それでは、ないようですので、この議題3に関しましては審議を終わりたいと思います。
今までほかの議題に関しましても、何か御質問、あるいは御意見が改めてございましたら、全体を通して何かございましたらお願いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
それでは、長時間にわたり活発な御議論をありがとうございました。事務局にお返しします。

○田中水道水質管理官
先生方、ありがとうございました。
1件、事務的な御連絡がございます。本日の議事録に関しましては、皆様に御確認をいだいた上で公開するという形にさせていただきます。いずれお送りいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最後になりますが、高島大臣官房審議官より御挨拶をいたします。

○高島大臣官房審議官
本日の部会での御審議、大変ありがとうございました。
新年早々ということでお忙しいところをお集まりいただきましたけれども、本日は水質基準ということで、亜硝酸態窒素につきましてはこの4月1日から、省令や告示を見直しまして適用するように手続を進めてまいりたいと思います。
今日特に御議論をいただきましたのは、水質事故に対する対応の仕方とか、もう少し幅広く災害対応につきまして、各委員の方々から大変貴重な御意見をいただきました。厚生労働省としても検討しながら、しっかりした体制がとれるように、これからしっかり検討してまいりたいと思います。
今日は大変ありがとうございました。

○大垣部会長
それでは、以上をもちまして、本日の部会を終わりたいと思います。どうも熱心な審議をありがとうございました。


※本文中の((数字))は丸囲み数字


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局水道課
TEL: 03-5253-1111 (内線4013)

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