ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会)> 第135回労働政策審議会雇用均等分科会の議事録について(2013年11月12日)




2013年11月12日 第135回労働政策審議会雇用均等分科会の議事録について

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成25年11月12日(火)14時00分~16時00分


○場所

厚生労働省専用第14会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館22階


○出席者

公益代表委員

田島分科会長、奥田委員、中窪委員、山川委員

労働者代表委員

石田委員、齊藤委員、南部委員、半沢委員、松田委員

使用者代表委員

川崎委員、中西委員、布山委員、渡辺委員

厚生労働省

石井雇用均等・児童家庭局長、鈴木大臣官房審議官、定塚総務課長
成田雇用均等政策課長、中井職業家庭両立課長、田中短時間・在宅労働課長
源河調査官、飯野育児・介護休業推進室長、安藤均等業務指導室長

○議題

1 男女雇用機会均等法施行規則の改正等について
 ・「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」(諮問)
 ・「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針の一部を改正する告示案要綱」(諮問)
 ・「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針の一部を改正する告示案要綱」(諮問)
 ・「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針案」(諮問)
2 今後の次世代育成支援対策推進法について
3 その他

○配布資料

資料1 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針の一部を改正する告示案要綱」、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針の一部を改正する告示案要綱」及び「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針案」(諮問)
資料2 一般事業主行動計画及び認定制度についての論点(案)(第133回労働政策審議会雇用均等分科会提出資料)
資料3 次世代育成支援対策推進法の延長等の検討の背景
参考資料1 「今後の男女雇用機会均等対策について(報告)」(平成25年9月27日労働政策審議会雇用均等分科会)
参考資料2 これまでの労働政策審議会雇用均等分科会における主なご意見

○議事

○田島分科会長

 定刻になりましたので、ただいまから「第 135 回労働政策審議会雇用均等分科会」を開催いたします。本日は、奥田委員、権丈委員、武石委員、加藤委員が御欠席です。

 それでは、議題に入ります。議題 1 は「男女雇用機会均等法施行規則の改正等について」です。本年 9 27 日に、当分科会において取りまとめました労働政策審議会雇用均等分科会報告「今後の男女雇用機会均等対策について」を受けて、資料 1 のとおり、本日「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要項」、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針の一部を改正する告示案要綱」、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針の一部を改正する告示案要綱」及び「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針案」について、厚生労働大臣から労働政策審議会長あてに諮問が行われました。これを受けて、当分科会において審議を行うこととしたいと思います。

 まず、資料 1 について、事務局から説明をお願いします。

 

○成田雇用均等政策課長

 議題 1 「男女雇用機会均等法施行規則の改正等について」説明いたします。関係する資料は、資料 1 と参考資料 1 です。参考資料 1 にありますとおり、今後の男女雇用機会均等対策については、昨年 10 月から当分科会で審議を行っていただき、本年 9 27 日に参考資料 1 のとおり報告を取りまとめていただいたところです。この報告において、男女雇用機会均等対策として、省令、告示の改正等に速やかに取り組むことが適当であるとされたところです。この報告を受けて、先ほど分科会長からもお話がありましたとおり、厚生労働省において関係する省令の改正案要綱などを作成し、本日資料 1 のとおり、厚生労働大臣から労働政策審議会会長に諮問させていただいたところです。

 この諮問において、男女雇用機会均等法施行規則の改正案要綱、 2 つの指針の改正案要綱、新たに制定する指針の 4 件について審議いただくことをお願いしておりますので、順に説明いたします。

 「別紙 1 」は、男女雇用機会均等法施行規則の一部を改正する省令案要綱です。内容は、第一に記載されているとおり、間接差別の関係で、均等法第7条の厚生労働省令で定める措置のうち、コース別雇用管理における総合職の募集又は採用に当たって転居を伴う転勤に応じることができることを要件とするものについて、総合職の限定を削除するとともに、昇進及び職種の変更を措置の対象に追加することにより、労働者の募集、採用、昇進又は職種の変更に当たって転勤に応じることができることを要件とするものとすることとしております。また、第三にありますとおり、この改正については、来年 7 1 日から施行することとしております。これに合わせ、今回の告示の改正等についても、全て来年 7 1 日から適用する案になっております。

 次に、「別紙 2 」は、「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針の一部を改正する告示案要綱」です。内容としては、大きく 2 つあります。 1 つ目は、「第一」にありますように、均等法第6条により禁止される差別の事例を追加するものです。具体的には、一の女性労働者についてのみ、婚姻を理由として「一般職」から「総合職」への職種の変更の対象から排除すること、二の定年年齢の引き上げを行うに際して既婚の女性労働者についてのみ、異なる定年を定めること、の 2 つを追加することにしております。

 改正の 2 つ目は、「第二」にありますように、今回均等法施行規則を改正し、間接差別となり得る措置の範囲を拡大することとしていることに伴い、一で、均等則第二条第二号に掲げる措置とは、労働者の募集、採用、昇進又は職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを選考要件とするすべての場合をいうとし、「転勤要件を選考基準としていると認められる例」を追加しております。具体的には、 ( ) に昇進を追加し、募集、採用又は昇進に当たって、転居を伴う転勤に応じることができる者のみを対象とすること又は複数ある採用又は昇進の基準の中に、転勤要件が含まれていること、としております。 ( ) は、職種の変更に関するものです。同じように、職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができる者のみを対象とすること又は複数ある職種の変更の基準の中に、転勤要件が含まれていること、とした上で、例として、コース別雇用管理を導入し、労働者を総合職と一般職に区分する場合に、総合職については、転勤に応じることができる者のみを対象とすること等が考えられる、としております。

 「別紙 3 」は、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針の一部を改正する告示案要綱」です。この指針については、 4 点改正をすることとしております。

1 つ目は、職場におけるセクシュアルハラスメントに同性の労働者に対して行うものも含まれることを明示することです。

2 つ目と 3 つ目は、性別役割分担意識に基づく言動に関するものです。第二では、事業主はセクシュアルハラスメントに関する方針の明確化及びその周知・啓発を行っていただくこととされておりますが、これに当たってセクシュアルハラスメントの発生の原因や背景には、性別役割分担意識に基づく言動もあると考えられ、こうした言動をなくしていくことがセクシュアルハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要であることを明示することとしております。

 第三では、事業主の相談対応について、セクシュアルハラスメントの発生のおそれがある場合やセクシュアルハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても対応していただくこととされておりますが、そういった場合の例として、放置すれば就業環境を害するおそれがある場合や、性別役割分担意識に基づく言動が原因や背景となってセクシュアルハラスメントが生じるおそれがある場合等が考えられることを明示することとしております。

 四点目は、被害者への対応についてです。事業主は事後の対応として、職場におけるセクシュアルハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、被害者に対する措置と行為者に対する措置を行っていただくことにされております。これについて、第四にありますように、行為者に対する措置と被害者に対する措置とに分けて規定するとともに、被害者に対する措置の例として、管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被害者のメンタルヘルス不調への相談対応を追加することとしております。

 次に、「別紙 4 」は、新たに制定することとしている「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針」の案です。これは、従来局長通達として定められていた「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」の内容について、より明確な記述となるように作成したものです。

1 に、「目的」を記載しております。コース等別雇用管理の適正かつ円滑な運用に資するよう、事業主が留意すべき事項について定めたものとしております。

 第 2 の「基本的な考え方」ですが、事業主は、均等法を遵守するとともに、その適正かつ円滑な運用を行い、どのようなコース等の区分に属する者であってもその有する能力を有効に発揮しつつ就労できる環境が整備されるよう、この指針で定める事項に留意すべきであるとしております。

 第 3 の「コース等別雇用管理の定義」ですが、事業主が、労働者の職種、資格等に基づき複数のコースを設定し、コースごとに異なる募集、採用、配置、昇進等の雇用管理を行うものをいい、一定の業務内容や専門性等によりコースに類似した複数のグループを設定し、処遇についてグループごとに異なる取扱いを行うもの及び勤務地の限定の有無により異なる雇用管理を行うものが含まれるものである、としております。

 第 4 に、コース等別雇用管理を行うに当たって実際に事業主にご留意いただきたい事項を書いております。事業主が行う事項ごとに分けており、一がコース等の新設、変更又は廃止、二が労働者の募集、採用、三が配置、昇進等、四が「その他」について記載し、それぞれの中で「法に直ちに抵触する例」、「制度のより適正かつ円滑な運用をするために留意すべき事項の例」、「労働者の能力開発、能力発揮のため実施することが望ましい事項の例」として、分けて記載しております。

 まず、一のコース等の新設、変更、廃止に当たって、事業主に、「次に掲げることに留意することが必要である」としております。法に直ちに抵触する例として、一方の性の労働者のみを一定のコース等に分けることなどを挙げております。

 留意すべき事項の例として、 (1) のコース等別雇用管理を行う必要性やコース等の間の処遇の違いの合理性について十分検討すること、 (2) のコース等の区分間の職務内容及び職務上求められる能力を明確にすること、 (3) の処遇を変更する場合には、その内容及び必要性を十分に検討すること、 (4) のコース等を廃止する際、結果的に一方の性の労働者のみに不利益な取扱いがなされることのないよう、配慮を行うことなどを挙げております。

 「実施することが望ましい事項の例」については、 (1) のコース等の区分に分ける際、労働者のその時点における意欲、能力、適性等を適切に評価することや、 (2) のコース等の区分間の転換を認める制度を柔軟に設定することなどを挙げております。

 二の労働者の募集、採用については、直ちに法に抵触する例として、募集、採用に当たり、男女別で選考基準又は採用基準に差を設けることなどを挙げております。また、留意すべき事項の例として、 (1) の応募者に対し、コース等ごとの職務内容、処遇の内容等の差異について情報を提供することや、 (2) の合理的な理由により転勤要件を課す場合は、応募者に対し、可能な範囲で情報を提供することを挙げております。実施することが望ましい事項の例として、 (1) の一定の勤務経験を経た後に、労働者の意欲、能力、適性等に応じて区分することも一つの方法として考えられることや、 (2) の性別に関わらず、労働者の意欲、能力、適性等に応じた採用の実施の徹底を図ること、 (3) の総合職の女性が、相当程度少ない場合には、女性応募者を積極的に選考することなどを挙げております。

 三の配置、昇進、教育訓練、職種の変更等については、直ちに法に違反する例として、配置、昇進、教育訓練、職種の変更等に当たり、男女別で運用基準に差を設けることを挙げております。留意すべき事項として、コース等ごとにそれぞれ昇進の仕組みを定めている場合には、これを明確にすること、実施することが望ましい事項の例として、一般職についても、相応の経験や能力等を要する業務に従事させる場合には、その労働者に対し適切な教育訓練を行うとともに、労働者の意欲、能力、適性等に応じて、総合職への転換を行うことを挙げております。

 四の「その他」です。 (1) コース等別雇用管理を行う場合において、制度を導入した後も、コース等別雇用管理の状況の把握などにより、必要があると認められる場合には、コース等別雇用管理を法に則したものとなるように、必要な措置を講ずることが重要であること、 (2) どのようなコース等の区分を選択した者にとっても家庭生活との両立を図りながら働くことのできる職場環境を整備することなどが重要であることとしております。

 資料の説明は以上ですが、今後の予定です。本日ご説明した改正案については、できれば明日 11 13 日から 30 日間、 12 12 日まで、パブリックコメントの手続を行いたいと思っております。そのあとで、その結果をこの分科会に報告し、引き続き議論をいただければと考えております。事務局からは以上です。

 

○田島分科会長

 ただいまの事務局の御説明について、委員の皆様から御質問、御意見がありましたら、お願いします。

 

○齊藤委員

 今回の改正省令案要綱第一において、報告どおりコース別雇用管理における総合職の限定を削除するとともに、昇進及び職種の変更の措置を対象に追加したことについては、歓迎したいと思っております。これまで議論をしてきましたように、転居を伴う転勤要件については、相談事例も報告されておりますし、問題となっておりました。この点が解消されることで、より多くの女性が活躍できるのではないかと考えております。

 ただ、私たちは間接差別については例示列挙、更には間接差別法理の導入なども求めてきており、この点については今後とも課題であるとも考えております。 1 つ質問なのですが、別紙1の第二にその他所要の改正と記載されておりますが、どういった改正なのかを教えていただければと思います。

 

○成田雇用均等政策課長

 別紙 1 の第二で、「その他所要の改正を行うもの」と書いてあります。ここで予定しているのは、直接間接差別とは関係はないのですが、調停申請書の様式が省令で定められております。そこに、現在は事業主の名称や住所等を書く欄がありますが、事業主だけではなく、実際に労働者の方が勤務しておられる事業場の名称や所在地等も書いていただけるような欄を追加する改正をしたいと思っております。

 

○松田委員

 ただいまの齊藤委員の発言に関連して、今回の昇進及び職種の変更の追加については歓迎をいたします。一方、繰り返しになって恐縮なのですが、ここに労働側は配置も追加すべきだとこれまで主張してきましたが、それがまとめに入っていないのは残念だということを、改めて申し上げます。法の整合性からいっても、入るのが自然だと思いますし、あえて除外する意味が、未だに私には分かりません。

 そもそも、間接差別というのは、合理的理由なしに取扱いに差を付けるのが差別になるということですので、合理的理由があれば差別でないわけです。およそ、どのような要件でも俎上に乗り得る広がりのある概念ということですが、均等法ではこのように限定列挙としており、るのは、やはりこれはおかしいと思います。

 我が国においては、現時点ではどのようなものを間接差別として違法とすべきかについて、十分に社会的合意が形成されているとはいえないから、この 3 つの要件に限定をしているのです。しかし、こんなに狭い要件に限定をしているから理解も進まないのであり、均等室に相談がこないのも当然のことだと思います。繰り返しになって恐縮ですが、あえて発言させていただきました。

 

○石田委員

 齊藤委員並びに松田委員からもありましたとおり、今回の指針改正で婚姻を理由とする差別禁止が、雇用の全てのステージでカバーされているのは、大いに評価できるのではないかと思っています。このことによって、婚姻を理由に不当な差別を受けることなく、女性がより活躍できるようになるのではないかと認識をしています。

 一方で、若干松田委員からもありましたが、この報告を見ますと、結婚をしていることを理由とする職種の変更等となっていますが、指針の改正案では、職種の変更に限定をしていると思われます。この「等」の中身として、例えば勤務場所の変更、担当職務の変更なども指針に明示すべきではないかと思っていますが、いかがでしょうか。

 

○成田雇用均等政策課長

 今の御意見につきましては、既に、指針において、婚姻を理由とする差別の事例は、他の雇用のステージにおいては例示されております。今回追加する職種の変更と定年のところだけ、婚姻関係の差別の例示がなかった経緯もありますので、今回その部分に追加しております。

 

○半沢委員

 ステージとしては、職種の変更又は定年が入ったことにより、全ての内容について対象とされたと思っております。実際の事例の中で多いのが、職種の変更に当たっても、職種の変更に類する内容として、勤務場所の変更や担当職務の変更というような内容だということがあり、この「等」の中身がこれだけ 2 つに限るのかというようなことではなく、むしろそういったところも指針に明示をしたほうがいいのではないかという趣旨かと思いますが、いかがでしょうか。

 

○成田雇用均等政策課長

 指針の例示ですが、飽くまでもこれは例示ですので、全ての事例を網羅することは難しいかと思います。ここに例示されていないことであっても、男女で差別があれば当然6条違反になるということで、雇用均等室として指導していくことになると考えております。

 

○田島分科会長

 よろしいですか。ほかに御意見等はありませんか。

 

○半沢委員

 今のお話では、あくまでもこの件については例示ということで、先ほどのような例があった場合も、実際差別と認定されるような事例については、御指導いただけるという理解でよろしいですね。

 

○成田雇用均等政策課長

 そういうことになります。

 

○半沢委員

 ありがとうございます。もう 1 点は、別の件です。セクシュアルハラスメントの事後の対応についてです。行為者に対する措置と、被害者に対する措置を分けて規定をしていただいたこと、また被害者に対する措置の例に「管理監督者又は事業場内産業保健スタッフ等による被害者へのメンタルヘルス不調への相談対応」が入ったことは、私どもとしても歓迎をしたいと思っております。

 ただ、 1 点、報告の前書きの中に、相談の対応に関して書いてある所を見てみますと、「相談や援助を受けることが可能であることを知らずに、退職してからはじめて相談や援助を求める事例もみられる」というような記載があります。つまり、これは相談の対応は実際の就労の継続に機能していなくて、退職をしてから相談をいただくという事例が多く、それについてはやはり課題と捉えていらっしゃる、そういう趣旨ではないかと思っております。この相談対応、事後対応について、被害者については、人間関係も含めて、安全を確保された環境の下で、就業継続を可能とすることが重要なのではないかと思っております。それが、男女がそれぞれを尊重され、また力を発揮できる基盤づくりにもなると考えております。

 先ほどの報告の文に戻って考えますと、本来ならば相談や援助を受けることにより、就業の継続が可能な場合もあるのに、退職してから初めて相談や援助を求めるといった事例もあるのだというような趣旨ではないかと考えるところです。メンタル不調の相談は、もちろん有り難いことだと思っておりますが、この就業継続の観点で労働者としての身分の確保についても、何らかの形で触れていくことが必要ではないかと思っております。具体的な指針改正案としては、現行指針のセクハラ被害者に対する措置に関するところに、「被害者の雇用継続の観点に十分配慮して」というような文言を入れると、これまでの施行の中で、残念ながら退職してから初めて相談、援助を受けて、就業継続が可能ではなかったということに関して、こういった相談対応にも対応していくのだという就業継続に関する趣旨が明らかになるのではないかと考えているところです。以上、意見です。

 

○松田委員

 私からも、セクハラに関するところなのですが、セクハラに性別役割分担意識に基づく言動が入ったことは、評価したいと思います。また、同性間のセクハラについても、指針に明記をされるということで、こちらも大変評価できると考えております。これにより、例えば男性が育児休職を取ろうとしたときに、男がそんなものを取るのはみっともないとか、評価を下げるなどと脅されるようなケースや、果ては子どもの世話もできないような女と結婚したのか、というような嫌がらせもあると聞いていますので、そういったことも減るのではないかと考えます。

 しかし、この指針案の同性間セクハラについての記載で、労働者に限定をしているというのは、これは間違いではないかと思うのです。報告では、そのようになっていなかったと思いますし、私どもは同性の労働者間に限定してというような議論をしたつもりはありませんので、女性労働者と女性労働者、男性労働者と男性労働者といったような労働者と限定している所は、削除をすべきではないかと思います。同性間セクハラは、管理職や取引先などとの間にも起こり得るものだと思います。やはり、上司との関係や、事業主との関係でも、しばしば起こるものでもありますし、そういった意味でここに労働者と限定する必要はないと考えますが、これはあえて記載を抜いたのでしょうか。

 

○成田雇用均等政策課長

 まず、先ほどの、辞めてから相談に来られる方への対応については、報告書にもありますように、まずは均等室や法律の周知をしていくことが必要であると考えております。

今、ご質問がありました件ですが、解釈便覧の 43 ページにありますが、もともと通達で、セクハラは同性に対するものも含まれているという解釈が書いてあり、その部分をそのまま今回告示案に持ってきたものです。通達のその前段の所に、今御指摘がありましたように、セクハラの行為者には事業主や上司、同僚に限らず、取引先、顧客等が含まれることも記載されており、それについては引き続き通達において明確にし、周知をしていきたいと思っております。

 

○松田委員

 通達でもいいのですが、本文にあえて労働者と書いているのが分かりません。指針の本文を修正すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 

○成田雇用均等政策課長

 行為者に事業主等は当然含まれますので、その部分は、通達で明確にしていきたいと考えております。

 

○半沢委員

 今の松田委員の件ですが、この指針の本文に女性労働者と書いてあっても、セクハラの範囲としては広く対象になる規定であり、女性労働者と書くことによって、同性のセクハラが女性労働者に限定をされるという解釈にはならないということで、よろしいのでしょうか。

 

○成田雇用均等政策課長

 今回、通達に同性労働者に関する所があったことも踏まえて、このような形にしておりますが、解釈は変わりません。

 

○南部委員

 今、解釈便覧の中の 43 ページの指摘をいただいているのですが、以下の部分を読み取らなければならないように私は思います。というのは「なお、事業者、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者及び学校における生徒等もセクシュアルハラスメントの行為者になり得るものであり、また、女性労働者が女性労働者に対して行う場合や、男性労働者が」と書かれていると、この「また」以降だけを取っていることに違和感を感じております。ですので、「なお」以降を正確に表したものを、この指針に載せなければいけないように私は思うのですが、そういったことはいかがでしょうか。

 

○成田雇用均等政策課長

 今回、報告書の内容を踏まえて、後段の部分の「また」以下の所をそのまま使わせていただきました。

 

○半沢委員

 確認ですが、そうすると前段の部分の対象者は、同性間のセクハラの対象にならないということですか。

 

○成田雇用均等政策課長

 当然、従来から解釈が変わりませんので、行為者は労働者に限られることではないと思っております。

 

 

○松田委員

 報告書に書いてあるとおりというのであれば、女性労働者、男性労働者という文言は報告書にはないので、それは適切ではないと思います。通達で書くということで、解釈が担保されるということなのですが、やはり通達というのは行政内部の連絡文書ということで、こういった措置を行っていく事業主からすると、やはり指針に書いてあるのと通達に書いてあるのでは、意味合いも違ってくると思いますので、誤解がないような表現にするべきではないかと思います。

 

○半沢委員

 報告では、セクシュアルハラスメントには同性に対するものも含まれることを明記することとしかなく、それが労働者間であることは、ここからは読み取れないわけですが、そこはどのような解釈なのですか。松田さんのあとになりますので、両方答えていただけると有り難いのですが。

 

○成田雇用均等政策課長

 事務局としては、同性に対するものも含まれるという部分が、通達に同じ趣旨の部分がありましたので、そこを引用した案を作成したということです。

 

○松田委員

 労働者という文言を入れなければいけないのかが、本当に分からないのですが。

 

○成田雇用均等政策課長

 今回諮問させていただいた案の作成の考え方を事務局としてご説明していますので、これから審議会でいろいろと議論をいただいくことだと理解をしております。

 

○田島分科会長

 松田委員の御意見ですと、これをどのように書き直せばよろしいのでしょうか。

 

○松田委員

 それは簡単で、「労働者」という所を削除するという意見です。例えば、指針の告示案要綱の第一で「職場におけるセクシュアルハラスメントには、女性労働者が女性労働者に対して行うもの及び男性労働者が男性労働者に対して行うものも含まれる」と案で書いてありますが、ここを女性が女性に対して行うもの及び、男性が男性に対して行うものとすればいいのではないかと思います。何か、不都合があるのでしょうか。

 

○田島分科会長

 「労働者」を全て削除するということですね。

 

○松田委員

 はい、この第一の所は、そうです。

 

○田島分科会長

 この点については、いかがでしょうか。

 

○山川委員

 今の意見は、女性労働者が女性労働者に対してのうち、最初の女性労働者がの「労働者」を取るということで、女性労働者に対してのほうの「労働者」は取らないという意味の発言ですよね。

 

○松田委員

 すみません、そうです。大変失礼しました。そのとおりです。

 

○田島分科会長

 それでは、その「女性労働者が」、というものを、「女性が」と変えるだけで、その下の「女性労働者に対し」の「労働者」は、残すということですか。

 

○松田委員

 はい。

 

○田島分科会長

 「男性が男性労働者に対して」も同じ修正ですね。松田委員から、そのように修正するという御意見が出ておりますが、ほかの委員の方々の御意見はありますか。

 

○中窪委員

 皆さん、意見がないのもどうかと思いますので、今おっしゃったのは確かに正しい指摘だと思います。報告書には、同性に対するものも含まれるということですので、この女性労働者が、と殊更にここで加える必要は確かにないと私も思います。その上で、下のほうの女性労働者というのは、確かにセクシュアルハラスメントの対象労働者ということで、残していてもいいとは思いますが、殊更にここにないといけないわけでもないので、女性が女性に、あるいは男性が男性にというのも、別にセクシュアルハラスメント自体が労働者を対象にするものですから、ここで取っても構わないと私は思いました。しかし、厳密にあっても悪くないということで、趣旨としてとにかく上のほうの労働者を取るというのが、私はそれでいいのではないかと思います。

 

○山川委員

 これは、指針のどこに盛り込むかにもよるかと思いますが、今でいうと、 2 ということですが、そこに独立の (1) (6) などとありますが、そこに独立の項目として盛り込むということでしょうか。それも、これから議論するという趣旨かもしれませんが。

 

○田島分科会長

 今のことは、事務局に対する御質問でしょうか。

 

○山川委員

 はい。

 

○成田雇用均等政策課長

 告示案そのものの表現ぶりが確定しているわけではないので、イメージですが、独立の項目を設けるというよりは、例えば二の (1) の中に書いていくというようなことを考えております。

 

○山川委員

 分かりました。いろいろとやり方はあろうと思います。 (3) に「労働者」という言葉が出てきますので、そこもあるかもしれません。趣旨としては、先ほどの通達のなお書き全体は維持されるということですので、私も中窪委員の言われたように、現在の趣旨あるいは報告の趣旨に則してということでしたら、最初のほうの「労働者」を取る形で訂正して結構ではないかと思いますが。

 

○田島分科会長

 ほかの委員の方で御意見はありませんか。皆さん、御提案のような修正でよろしいでしょうか。特に反対の御意見がなければ、そのように修正するかどうか、事務局からお願い致します。

 

○成田雇用均等政策課長

 本件については、引き続き御審議いただきますので、最終的な結論はそのときでもいいかと思います。

 

○田島分科会長

 分かりました。

 

○布山委員

 今、事務局からも御話がありましたが、本日、これは諮問をされて、これから議論するところですので、今日結論を出す形でなくて、持ち帰ってよろしいでしょうか。

 

○田島分科会長

 はい。では、この点については、引き続き御検討いただくということで。別の点について、御意見はありますか。

 

○南部委員

 コース別雇用管理区分に関する局長通達の指針格上げについてです。報告どおり局長通達が指針に格上げになることについては、労働側としても評価をしたいと思っています。しかし、今回の指針案において性別役割分担概念に関する表現が、全体として少し弱いというか落ちている感覚を持っています。これではもともとありました通達のこれまで言わんとしていた趣旨が、十分に反映されていないようにも思えます。そもそも性別役割分担意識が、コース別制度の雇用管理を介して顕在化している構造を考えましても、性別役割分担に関する指摘は指針にも引き継いでいただきたいと思っていますし、引き継ぐべきであるとも考えています。

 そこで、現行通達の 3-1 (1 にあります「職場における固定的な性別役割分担意識等もあって、実質的に性別による雇用管理になってしまっている場合も多く見られます」という文言や「このような事態にならないためには、固定的な性別役割分担意識を払拭することは必要です」という文言。さらに 4-4 の「固定的な男女の役割分担意識に根ざすこれまでの企業における制度や慣行が原因となって、雇用の場において男女労働者の間に事実上の格差が生じている場合」という部分。 また、「過去の経緯から職場で排除されてきた女性に対する採用担当の固定観念が、企業が求める人材の適正な選考の阻害要因となることを考慮し」ということも書かれていることから、以下の文言を加えるべきだと考えます。

 指針案にあります第 2 項の最後において、最後から 2 行目の「環境が整備されるよう」の後に、「また、固定的な性別役割分担意識により女性が能力発揮できないことの内容」ということで文章を入れていただくと、より現行通達の趣旨が明確になるのではないかと、通達の内容が正確に指針に反映されるのではないかと考えています。

 もう 1 か所、第 4 です。第 4 のその他(2)の冒頭に「固定的な性別役割分担概念により、女性の能力発揮が十分なされてないことも留意した上で、事業主は」ということで入れていただければ、より明確になります。また、第4に書いてありますように、 ( 法に直ちに抵触する例 ) にということで、 (1)(2)(3) と書かれていますが、これについても元の文章からかなり短く、分かりやすくはなっているのですが、しっかりと趣旨が届かないところもありますので、そこを先ほど言いました 2 つの文言を補強していただくことによって、元々の通達がより正確に格上げされるのではないかと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

○布山委員

 今の御意見に関連しているのですが、今回、コース別雇用管理を通達から指針に上げるということで案を頂いています。この分科会の議論でも、この通達ができた頃のコース別、いわゆる一般職・総合職から、コース別は変わってきているという話があったかと思います。

 今回、コース別の雇用管理の定義の中に、一般職・総合職的な雇用管理以外にも、一定の業務内容、専門性等によるコースに類似した複数のグループなど、コース別も多様になっていることが書いてあることを踏まえていただきたい。あまりこれまでの一般職・総合職的な雇用管理のことだけで書かれると、コース別が広がった中で今回書き換えるに当たってふさわしい内容なのかという感想を持っています。

 そういう意味では、この中身も本日頂いているので、中は内部で精査しますが、殊更、男女みたいなものが前面に出ない書き方で、コース別全体の雇用管理をすべき留意事項として頂ければと思っています。

 

○齊藤委員

 私からも南部委員と同様、今回の報告どおり局長通達が指針に格上げとなったことについては、評価をしたいと思っています。しかし、具体的な待遇格差についても、雇用区分を構成する要素や基準の 1 1 つの合理性を問題にして、不合理な格差を是正される部分がカットされているのではないかと考えています。こうした記述は意欲を労働者個人の問題として捉えず、待遇が意欲を引き出す観点から書かれている箇所と理解できますが、こうした部分が指針に反映されていないのは問題があるのではないかと思っています。

 そこで、現行の局長通達の 1-2 の「しかしながら、一方では本来は労働者を意欲、能力、適正や成果等によって評価し、処遇するシステムの一形態として導入されてきたものであり、性別による雇用管理システムではないはずのコース別雇用管理について、その運用において男女異なる取扱いがなされたり、例えば、総合職のほとんどを男性が占め」という部分、及び「事実上の男女別の雇用管理として機能させて」から「事例なども見られました」という部分、 3-1 (1) の「それと併せてあらかじめコース等で区分して雇用管理を行う必要性や処遇の違いの合理性についても十分に検討することが肝要です」と書かれている部分、それぞれの文意を汲み、先ほどの指針の第二の「基本的な考え方」にも、下から 2 行目の「環境が整備されるよう」の後に、先ほどの南部委員指摘の文言の前に、「コース区分の合理性やコース間の処遇の格差を十分検討、考慮した上で」という文言を入れるべきであると考えています。

 

○松田委員 布山委員がおっしゃった御意見ですが、この通達が書かれた頃とはコース別雇用管理の在り方が変わってきていて、広がりのあるものになっているということですが、今回の報告のまとめの前文にも、「コース別雇用管理を導入している事業主において、総合職の女性の採用が少なく、女性の割合が低いとの実態がある」と記載をしているところです。広がってきているといっても、どのぐらい広がってきているのか、それもよく分からないですし、依然として総合職の女性採用が少ないところは、男女の格差の是正になかなかつながっていかない。これは男女格差の大きな要因だと思っています。

 また繰返しになって、これまでも申し上げてきたことで恐縮ですが、だからこそ、もしこの均等法で、同一の雇用管理区分においてのみ差別を取る仕組みが広がってきたとおっしゃるのだったら、そこに均等法が機能しないということで、非常に時代にそぐわないものになっているのではないかと。これは意見ですし、これまでも何回も言ってきたことですが、そう思っています。

 その上で今回少なくともこの通達に書いてあることを指針に格上げということで、労働側は少なくともそれだけはということで主張してきたものです。その内容において、今、南部委員と齊藤委員から申し上げた性別役割分担意識に関わる所と待遇格差、不合理な格差を是正させる部分は一番重要な部分だと思いますので、そういった面から、少なくともその通達に書かれていることがトーンダウンしないようにしていただきたいのが、私の意見です。

 

○石田委員

 今ありましたとおり、通達をきちっと反映させる部分で 2 点ほど文言の追加の要請をしたいと思います。現行局長通達には 3 2 に「労働者の就業意欲を低下させるばかりではなく、コース等の区分間の労働者の摩擦の原因ともなりかねません。労働者の意欲を高め、能力を発揮させるためには、男女ともに労働者の能力や成果等を十分評価し、それに見合った賃金等の処遇をすることが必要です」と書かれています。そのことからすると、1つ目に、指針案第 4 の一、制度により適正かつ円滑な運用をするために注意すべき事項の例に関して「コース等の新設、変更又は廃止に際して、処遇を変更する場合には、その内容及び必要性を」という所には、「内容及び必要性を」というだけではなくて、その後に「及び各区分間の処遇の際や処遇の内容に見合った合理的なものになるよう十分考慮し」というものを記載する上で、この通達を反映させてはどうかと思っています。

2 つ目ですが、指針案四「その他」 (1) です。「コース等別雇用管理を行う場合において、制度を導入した後も、コース等別雇用管理の状況を把握し、それを踏まえ、コース等別雇用管理を行う必要性の検討を」という所ですが、 3 行目の「必要性」の後に「及び合理性」という文言を入れることが必要ではないかと思っています。どうでしょうか。

 

○田島分科会長

 今の御指摘は、四の (1) 3 行目ですか。

 

○石田委員

 「必要性」の後です。

 

○田島分科会長

 「必要性」の後に何を入れるのですか。

 

○石田委員

 「及び合理性」という文言の追加です。

 

○田島分科会長

 「必要性及び合理性の検討」となるわけですか。

 

○石田委員

 はい。

 

○成田雇用均等政策課長

1 点だけよろしいですか。

 

○田島分科会長

 はい、事務局、どうぞ。

 

○成田雇用均等政策課長

 今回、分科会報告にあるように、表現を明確化するということで局長通達を基に指針案を作成したのですが、そのときに端的に事業主に留意していただきたい事項とか、実施していただきたい事項、あるいは実施していただきたくない事項を指針案に盛り込んだ上で、従来の局長通達にはこの他にいろいろと趣旨等が書いてありますが、そういったものを落とすことで少し読みやすくしたいという趣旨で案を作っています。したがいまして、従来の留意事項でいろいろ記載している背景等については、例えば、引き続き通達等で明確にするといったことはありうるのではないかと考えています。

 

○南部委員

 今、通達で補充するというか補足するということで頂いたのですが、先ほど言いました指摘 5 点あります。これについては、本当にこれまでの通達で言わんとしているところのかなり重要な部分だと私たちは思っていますので、全てが難しいことになりましたら、もう一度検討といいますか、先ほどもありましたように、今後、パブリックコメントを経てまた議論になるので、そういった意見も踏まえた上での結果ということで、この場では最終的な確認は保留にしていただけたらと思っています。

 その結果、どうしても入らないのであれば、この通達にもう少し丁寧に読み取れるよう変えていただくことが前提です。しかし、先ほど労働側から言いましたように、通達はどうしても国から地方の自治体に行くものであって、民間企業の皆様にはきっちりと伝わらないので、周知の方法も含めて御検討いただけたらと思っています。そういうことで取扱いをよろしくお願いします。

 

○松田委員

 今回の省令指針案には入っていませんが、報告にはポジティブアクションの包活的推進方策について、「実態面での男女格差の縮小を図るため、企業の女性活躍を一層推進し、企業へのインセンティブ充実強化について、引き続き検討することが適当である」とされています。

 また、報告の前書きにも、「政権の女性の活躍促進が我が国の成長戦略の中核、重要な柱の 1 つと位置づけられ、雇用における男女間格差の縮小を目的とすること」と明確に掲げています。女性活躍であれば、優秀な女性人材が未だに仕事と妊娠・出産・育児・介護、それぞれの両立が難しいということで辞めてしまっている現状に鑑みて、インセンティブの強化だけでなく、女性の活躍をどう支援していくかについても、更に検討していくべきだと考えています。仕事と生活の調和、妊娠・出産と仕事の両立支援について、ポジティブアクションの具体化の中で課題として明示していくべきではないかと考えます。

 

○石田委員

 今の発言に関連をして言いますが、ポジティブアクションの周知徹底がこれまで以上に重要になってくるのだと思っています。今後どう周知徹底していくのかと、その点について考えがあればお伺いしたいと思っています。

 

○成田雇用均等政策課長

 ポジティブ・アクションの取組の促進については、現在も、例えば個別の企業への働きかけをするなど、様々な形で取組を進めています。また、以前、雇用均等分科会にもお諮りしましたが、本年度から例えば両立支援助成金の上乗せ制度を創設するなど、いろいろな形で取組を促進しています。また、これも先般、来年度の概算要求の内容について説明をさせていただいた中でも、来年度以降、施策の内容を充実させて取り組んでいくことについて説明をさせていただいたところです。引き続き、どういう形で進めていくのがいいのか、委員の皆様の御意見も伺いながら進めていきたいと思っています。

 

○田島分科会長

 石田委員、よろしいですか。

 

○石田委員

 はい。

 

○田島分科会長

 ほかに御意見、御質問はありますか。それでは、御意見等は出尽くしたようですので、議題 1 についてはこれで終了したいと思います。本件については、先ほど事務局から御説明がありましたように、今後、パブリックコメントの手続が予定されていますので、その結果を事務局から御報告いただいた上で、それを踏まえて引き続き分科会で御議論いただき、結論を出したいと思います。それでよろしいでしょうか。

 

                                   ( 異議なし )

 

○田島分科会長

 では、次の議題に移ります。議題 2 は、「今後の次世代育成支援対策推進法について」です。資料について、事務局から御説明をお願いします。

 

○中井職業家庭両立課長

 引き続き、次世代育成支援対策推進法について、説明申し上げます。資料については、お手元の資料 2 、資料 3 、参考資料 2 を用意しています。資料 2 については、これまでの分科会でも提出させていただいていました論点 ( ) ということで、内容については変更はありません。また、この論点 ( ) に則した形でこれまで頂いた御意見は、参考資料 2 で主な御意見を整理していますので、参考として付けさせていただいたところです。

 これらについては、現在、事務局で頂いた御意見等の整理をしていることを申し上げたいと思います。引き続きまして、資料 3 を御覧ください。次世代育成支援対策推進法の「延長等の検討の背景」という資料ですが、これについては 132 回の分科会の場で 1 度同じタイトルの資料を提出させていただいて、検討の背景について説明しましたところですが、その内容について、少しコンパクトに整理しましたものを用意させていただいています。

 内容については前回と同様ですので、詳しく説明は申し上げませんが、特に踏み込んだ内容としては、下から 2 番目の【社会保障制度改革国民会議報告書】においては、アンダーラインにも書いてありますが、「次世代育成支援対策推進法について、今後の 10 年間を更なる取組期間として位置付け、延長・見直しを積極的に検討すべきである」という内容です。また、その下にあります 10 1 日、日本経済再生本部決定されていますところでは、「次世代育成支援対策推進法の延長について労働政策審議会等で検討を行い、次期通常国会への改正案の提出を目指す」、そういったことが盛り込まれていることで、繰り返しになりますが確認です。

 その関連で 1 枚おめくりいただきまして、今回「参考資料」をお付けしています。この間「次世代育成支援対策推進法」については、各方面でいろいろ議論等がなされてきたところですが、そういった中で自治体から何件か提言がなされていますので、それを紹介申し上げます。 1 つ目として 10 9 日に全国知事会でなされています「少子化危機突破に向けた緊急提言」があります。その中で「次世代育成支援対策推進法の恒久化」が書かれていまして、アンダーラインの所ですが、「平成 26 年度までの時限立法である ( 次世代育成支援対策推進法 ) について、子ども・子育て新制度との整合をとったうえで恒久化を図るべきである」という提言がなされています。

 その 1 つ下ですが 10 22 日に、全国都道府県議会議長会の提言ということで、「 26 年度政府予算編成に関する提言」、その中に「子育て支援の強化、働き方改革、結婚・妊娠・出産支援のための「少子化危機突破のための緊急対策」を着実に実行する」という内容が盛り込まれています。ここで挙げられています少子化危機突破のための緊急対策は、 1 つページを戻っていただきまして、資料 3 、○の上から 4 番目にあります。平成 26 年度で期限切れとなる「次世代育成支援対策推進法」について、官民あげて「少子化危機突破」に向けた取組を推進する観点からも、その延長・強化を検討するという内容になっていまして、こういった中身も含めた形で提言がなされている状況ですので、この間の動きということでこの場を借りて報告をさせていただきました。

 

○田島分科会長

 ただいまの事務局からの御説明について、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いします。

 

○松田委員

 参考資料 2 のこれまでの主な意見ですが、前回、私が発言した内容が、多分私の言い方が余りうまくなくて、うまく伝わらなかったのかと思うのですが、前回発言した内容ですが、 1 つここに追加していただきたいことがあります。男性の育児参加を促進するためにも、男女賃金格差の解消を図ることが重要だということを申し上げたつもりでしたので、是非それを加えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○布山委員

 松田委員からそういう御発言の追加をということであれば、その議論の際に私からは、次世代法の議論の中身ではないのではないかという発言をさせていただいたと思いますので、そちらも明記をしていただければと思います。

 

○中井職業家庭両立課長

 今頂いた御意見については、再度これまでの御発言の内容を確認しまして、精査させていただければと思います。

 

○南部委員

 今、事務局から次世代法に対しての評価と今後の期待として、様々な委員会からの提言の紹介があったかと思います。そのことにつき、労働側の考えを発言をさせていただきます。この間日本は 2005 年から人口の減少が始まり、次世代育成支援対策推進法においては、 10 年間という期間で次世代育成支援に取り組んできたわけです。

 しかし、出生率はやや上昇したものの、人口減少に歯止めがかかるまでには至っていないのが現在の状況です。労働力人口が年々減少していく中で、男女共に仕事と家庭・育児の両立、取り分け女性の就業支援継続の必要性が指摘されていますが、女性については仕事と妊娠・育児を両立して働き続けるには、まだまだ環境が整っていない状況です。従って、継続的に次世代育成支援対策推進法の取組が必要だと考えています。

 次世代育成支援対策については、継続的に取り組むのが本来だと思います。全国知事会が言うように、恒久化も 1 つ念頭に置くべきであるとは思うのですが、ただ法律をつくれば、それで実現できるものではないというのが、この 10 年間の 1 つの反省でもあるかと思いますので、施行状況を振り返りながら、より妊娠・出産・育児と仕事が両立しやすい内容に見直していくこと、また、独身の女性が生き生きと働ける内容に見直していくことが求められているのではないかと考えています。

 

○山川委員

 単純な質問ですが、参考資料の全国知事会で、先ほど、今もお話にありました恒久化を図るべきであるという御意見ですが、これは知事会が出されていることとの関係で、どの部分の恒久化とか、そのあたりの詳細は更にこの文書以外にあるのでしょうか。事務局への質問です。

 

○中井職業家庭両立課長

 この内容については、特段、次世代法については、これまでも説明したとおり、一般事業主行動計画以外のところで、特定事業主、地域行動計画がありますが、それに特に限定をされた記述にはなっていませんので、全般的な取組を提言の中で趣旨として踏まえられているのではないかと、我々としては受けとめています。

 

○山川委員

 これ以上に詳しい文書みたいなものが特に付いているわけではないという理解でよろしいのでしょうか。

 

○中井職業家庭両立課長

 そういうことです。これが全てです。

 

○中窪委員

 似た趣旨になるかもしれませんが、資料 3 の下から 2 つ目の○について、「社会保障制度改革国民会議報告書」で、「次世代育成支援対策推進法については、今後の 10 年間を更なる取組期間として位置付け、延長見直しを積極的に検討すべきである」と書いてあるのですが、これは何かこの報告書の中で、今後の 10 年間について社会保障のいろいろな整備をする期間と位置付けて、その中で次世代法もそこをしっかり何とか支えるべきだと、そういう趣旨で、何かこれの本体と絡んで言っているのですか。それとも、たまたま今まで 10 年間やってきたから、もう 10 年とか、そういう感じで書かれているのでしょうか。その辺が分かりましたら。

 

○中井職業家庭両立課長

 ここでの 10 年間に絡めて、次世代育成支援対策推進法についてですが、この法律は、制定当時、少子化が更に、夫婦の出生力の低下という動きもある中で更に進んでいる状況を踏まえまして、我が国における急速な少子化等の進行が生じている中で、その少子化の流れを変えるために、次代の社会を担う子供が健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備を図る取組について、 10 年間の期限を定めて集中的、かつ、計画的に取り組むということで、時限的に取り組むという法律になっているわけです。

 その念頭に置かれているのは、少子化の流れが変われば、そうした取組が必要なくなることがありまして、現状はまだまだ少子化の流れということで反転はしているけれどという御意見も、先ほどあったとおりですが、今の次世代法については、そういった考え方の下、 10 年間集中的に取り組むということです。そういった中で社会保障制度改革国民会議報告における今後 10 年間は、現行の次世代法の 10 年間集中的に取り組むという理念を踏まえて、現状の中で更に取組期間として必要であると整理されているものと、我々としては理解をしています。

 

○中窪委員

 では、取りあえず次世代法だけ見てれば、見てればというと変ですが、そこの中で更に 10 年間やりなさいと、そういう趣旨ですかね。

 

○中井職業家庭両立課長

 はい。社会保障制度改革全般については、特に期限を切って取り組む話にはなっていませんので、今後の 10 年間は次世代法に関するものであると理解をしています。

 

○田島分科会長

 ほかに御意見、御質問はありませんか。議題 2 について、もしほかに御意見、御質問がありませんでしたら、本日の議題はこれで終了します。よろしいですか。それでは、本日の審議は、これで終了とします。最後に、本日の署名委員は、労働者代表が石田委員、使用者代表が布山委員にお願いします。本日は、皆様、御多用の中御参集いただきまして、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省雇用均等・児童家庭局
職業家庭両立課
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会)> 第135回労働政策審議会雇用均等分科会の議事録について(2013年11月12日)

ページの先頭へ戻る