ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会> 第3回 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会(2013年11月7日)




2013年11月7日 第3回 食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会

医薬食品局食品安全部監視安全課

○日時

平成25年11月7日(木)9:30~11:30


○場所

航空会館701・702会議室


○議事

○山本座長  それでは、定刻になりましたので「食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会」を開催いたします。

本日は、五十君委員、池戸委員が所用のため御欠席とのことです。また、オブザーバーとして、農林水産省食料産業局企画課食品企業行動室の上久保補佐に御出席いただいております。

それでは、議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いします。

○事務局  配付資料の確認をさせていただきます。

まず資料1「検討会 中間とりまとめ概要(案)」で、1枚のポンチ絵になってございます。

資料2「食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会中間とりまとめ(案)」で、文章編になってございます。

資料3「HACCP導入型基準のイメージ(食肉、食鳥肉)」で、食肉、食鳥肉についての概要をまとめたものがございます。

参考資料1が、と畜場法並びにその施行規則でございます。

参考資料2が、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律、いわゆる食鳥検査法でございますが、それと施行規則の抜粋でございます。

参考資料3が、この検討会の第1回目の資料になってございます。

参考資料4が、2回目の検討会の資料でございます。

以上でございます。資料の不足等はございませんでしょうか。

○山本座長  よろしいでしょうか。

それでは、議事に入りたいと思います。これまでの委員の方々からの御意見、参考人の方々からのお話を踏まえ、今後の方向性について取りまとめを行いたいと考えております。

資料に基づき、事務局より説明をお願いします。

○事務局  まず、お手元の資料1を御覧ください。これまで議論いただきました内容に基づきまして、中間取りまとめ案、その概要ということでまとめさせていただいております。

具体的な内容は資料2になりますので、資料2に沿って御説明させていただければと思います。資料2としまして「食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会中間とりまとめ(案)」とさせていただいております。

「1.趣旨」といたしまして、食品製造または加工における衛生管理については、コーデックスのガイドラインが示されておりますHACCPによる工程管理の普及推進をしてきたところでございます。

HACCP が国際的な標準として世界的に普及している現在の状況を踏まえますと、食中毒の発生防止、違反食品の製造等の防止、これらを一層推進する、進める観点から、HACCPによる工程管理の普及を加速させる必要がある。

また、再興戦略においても、食品の大幅な輸出促進が求められておりまして、それらの中で海外から求められる安全基準に対応するHACCPの普及が不可欠となっております。

こうした状況を踏まえ、HACCPの普及が食品の安全性のより一層の向上が期待されることから、工程管理を普及推進するための施策等について検討を行った。

「2.経緯」でございます。

「(1)HACCP(ハサップ)について」です。HACCPの内容について記載させていただいております。簡単に御説明しますと、HACCPによる工程管理は、コーデックス委員会において、1993年にガイドラインが示されて、各国に採用を推奨して、現在、世界的に導入が進められております。

HACCP は、原料の受け入れから最終製品までの全ての工程で、あらかじめ発生し得る危害要因を特定して、その防止措置を明らかにして、特に重要な工程を特定して、継続的に監視・記録するという工程管理のシステムとなっております。

2ページ目に参りまして、HACCPによる工程管理は、従来の最終製品の検査による衛生管理に比べ、より効果的に問題のある製品の出荷を未然に防止することができる。また、仮に問題が生じた場合でも、原因の遡及を容易にすることができる。なお、コーデックス委員会では、2003年にガイドラインを改訂して、小規模・発展途上の企業における、より柔軟な対応の必要性という文言が盛り込まれている。

それから、コーデックス委員会におけるHACCPの導入に関するガイドラインは、もともとは食品衛生の一般原則の附属文書として規定されております。この一般原則自体は我が国では食品衛生法第50条第2項に基づいて、都道府県等が条例で規定する際の技術的な助言として、食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)、管理運営基準のガイドラインといいますけれども、そのガイドラインにおいて示しているというところでございます。

「(2)我が国におけるHACCPに関する諸制度」として「(1)総合衛生管理製造過程の承認制度」というものです。平成7年の食品衛生法の改正の際に、HACCPに基づく衛生管理の方式として創設された。この制度自体は、営業者からの任意の申請に基づいて承認を与え、承認を受けた場合は、食品衛生法第11条に基づく製造・加工基準によらずに承認を受けた方法で製造・加工することができるという規定になっております。

平成12年に大規模な食中毒事件が発生して、制度の強化等を行っております。

「(2)その他のHACCP認証制度」として、米国やEUに輸出される食肉や水産食品については、相手国の規則に基づいてHACCPの導入が必須とされております。厚生労働省では、実施要領を作成して、都道府県・地方厚生局による現地調査等の結果を踏まえ、施設の認定を行っております。

また、地方自治体においては、地域の製造業の衛生管理水準の向上、または振興の観点も含めまして、食品関連事業者を対象に、HACCPの考え方を参考に衛生管理に関する認証制度等を策定し、運用されている状況でございます。

「(3)これまでの厚生労働省による普及対策」です。厚生労働省では、営業者等への技術的な支援として、危害原因物質に関する情報、それから、標準モデルの策定など、厚生労働科学研究等の成果を情報提供するほか、技術的・専門的助言を行う自治体職員であるとか、関係団体が実施する講習会等への講師派遣、それから、地方厚生局・自治体におけるHACCP導入前後における指導や助言、検証などを実施してきたところでございます。

また、リスクコミュニケーションの一環として、消費者を対象に施設見学を含めて実施している状況です。

それから、平成10年には、農林水産省と共管の法律として、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法という法律が制定され、HACCPの導入に当たって施設等の整備に対する融資等の支援というものを実施してきたところです。

「(4)我が国におけるHACCPの普及状況」です。農林水産省が実施した平成24年度の導入状況実態調査によると、大規模層では約8割が導入済みという回答が得られておりますけれども、中小規模層では27%であったということでございます。

「(5)海外におけるHACCP制度」です。米国では、1973年に低酸性缶詰食品のGMPの制度、それから、現在では水産物及びジュース、食肉・食肉製品の製造等に対して、HACCPによる衛生管理が義務づけられております。

また、2011年に成立しました食品安全強化法が完全に施行されれば、米国内で消費される食品については、HACCPの概念を取り入れた食品安全計画の策定・実施が義務づけられることになります。当然、これは米国へ輸入される食品にも適用されることになります。

EU では、1990年代から、水産食品、乳・乳製品、食肉製品などの動物性食品を中心に、HACCPによる衛生管理が義務づけられ、2004年に一次生産を除く食品産業にHACCPの適用が義務づけられております。ただし、中小企業等においては、弾力的に運用するということが認められております。

それから、カナダ、オーストラリア、台湾、韓国などにおいても、一部の食品でHACCPによる衛生管理が義務づけられている状況にあります。

「(6)食品の輸出促進」で、本年6月に閣議決定されております日本再興戦略において、農林水産物・食品の輸出促進等に係る需要の拡大を図るということで、輸出額の増額を目指すということが閣議決定されております。

「(7)HACCP支援法の改正」です。先ほども少しありましたが、HACCP支援法が本年6月に改正されております。

HACCP 支援法というものは、もともとHACCPを導入しようとする段階で、必要な施設整備に対する融資の措置をしているものです。有効期限が本年6月30日までということでしたが、食品製造業界の太宗を占める中小企業による導入が伸び悩む中で、引き続き推進するということを目的として、HACCP導入を支援対象とする現行制度に加えまして、(1)高度化の基盤となる施設整備の支援対象化、(2)法律の有効期限の延長、(3)輸出促進の位置づけの明確化等という改正がなされております。

「3.HACCP普及の必要性」。これまで説明してきましたとおり、HACCPは世界的に普及が進展しており、食品の衛生管理の国際的な標準としての位置づけが確立されているところです。また、欧米を初め他国からの輸入要件としてHACCPを位置づけるなど、貿易上の必須の要件になりつつある。他方で、我が国では導入率、普及率は低いままである。

また、支援法の改正によって、より一層の普及のために、HACCPの基盤となる施設整備も支援の対象とするという段階的なアプローチが導入された。さらに、日本再興戦略においても、食品の輸出促進を推進することとしており、HACCPの普及が不可欠である。

これらのことから、さらなる安全性の向上の観点からも、HACCPによる工程管理を普及推進する必要がある。

「4.これまでの施策の課題及び今後の施策の方向性」です。

「(1)HACCPの段階的な導入について」ということで記載をしております。繰り返しになりますけれども、HACCPの普及方策については、国際的にも検討され、コーデックス委員会のガイドラインにおいても、小規模な企業における導入を促進するための柔軟性を持った取り組みが進められている状況にございます。

一方、我が国では、HACCP導入が総合衛生管理の承認を得ること、また、施設設備の大規模な改修等が必要となりコスト負担が大きいとの認識があり、承認を得ること自体が目的化していた面があることも否定できない。

委員からは、承認や認証にこだわらないで、本来の目的である安全性を向上させることが重要であること、指導が施設設備の観点が多くなっており、箱物ありきではいけない。国際標準に沿ったものにしていくことが大切との意見があった。

また、一般的衛生管理を適切に実施することの再認識が重要という意見があり、HACCPを既に導入している企業さんからのお話によると、危害要因の分析を行うことで、より危害要因が認識できて一般的衛生管理の効果的な遵守が可能になるという意見もあった。

さらに、HACCPそのものが高度で難しいという誤解を招いている。それから、多大な資金が必要になるという誤解を招いているという指摘があった。

これらを踏まえて、HACCPの段階的な導入を図る観点から、コーデックスのガイドラインに基づくHACCP導入型基準を設定するために、食品衛生法第50条第2項に基づいて、都道府県等が条例で規定する際の助言として示している管理運営基準のガイドラインを改正して、従来の基準と選択できることとすべきである。また、食肉・食鳥肉の処理段階においても同様に、関係規定の見直しについて、関係者の意見を聞きながら検討すべきである。

それから、営業者における導入支援として、具体的な例示を作成して、導入を強力に促進するべきである。

また、このHACCP導入型基準の作成に当たっては、HACCP導入の際の施設・体制整備についてHACCP支援法による融資の対象となるよう整合性をとるべきである。

さらに、既存の総合衛生管理製造過程との関係について明確にするとともに、自治体において進めている認証制度等についても、このHACCP導入型基準と相互に推進していくような制度とすべきである。

なお、委員から、HACCPを義務化することが必要という意見もございましたが、食中毒の発生状況、中小企業における普及状況、本来事業者による自主的な衛生管理であることを踏まえれば、現時点において幅広く普及させる仕組みづくりが重要である。

「(2)HACCP導入に資する支援」としまして、支援法の改正によって、基盤整備のみに取り組む場合についても、支援の対象とされたことを踏まえ、事業者への技術的な支援をさらに強化していく必要がある。

技術的な支援に当たっては、書類を作成することが目的とならないように、また、施設整備に重点を置いた指導とならないような適切な指導が必要である。

特に、HACCPそのものは施設の状況であったり、製造される食品によって適合したシステムになってこそ効果が発揮されるものであって、より施設に適合したHACCP導入のためには、適切な助言が可能な人材育成を行う必要がある。具体的には、個々の施設で、事業者に対して適切な指導を行える指導者の育成が必要であって、これらの人材をどのようにふやしていくかが課題である。

また、支援の実施に当たっては、これまで普及に努めてきた団体等の力をかりて実施するべきであって、一般消費者に対しても理解や認識を深める必要性の意見もございました。

これまで取り組んできた研修等に用いられたソフト資産を活用しつつ、HACCP導入の意義、導入支援の方法等について、研修等を実施することによって、HACCPの導入が促進されるように助言、指導等の導入支援を行うことが必要である。

また、引き続き消費者を対象としたリスクコミュニケーションについても実施すべきである。

「(3)HACCP導入によるメリット」。事業者によっては、安全性の問題がない場合においては、あえてHACCPを導入しようとしないことも考えられます。

HACCP を普及させるには、事業者の意識の改善・普及啓発が必要で、継続して取り組みが行われるようにするにはメリット感を出すことが重要である。従来の管理に比べて、HACCPの管理がすぐれているという根本的な理解など、HACCPの正しい理解のための普及が改めて必要であること、それから、導入している事業者の衛生・品質管理への取り組みが消費者に認知される環境づくりも重要であるという意見があった。

これらを踏まえまして、改めて食品の安全性の向上というメリットを周知するとともに、輸出施設の認定促進であるとか、導入施設名の公表、マーク等の普及方策について検討を行うべきである。

「5.中間とりまとめにあたって」としまして、2つ目のパラグラフになりますけれども、本報告書を踏まえ、都道府県等と連携のもと、HACCPを普及させるための技術的支援等を図り、食品の安全性の一層の向上、国際標準への準拠、輸出の促進に資するなど、より実効性のある体制が確立されることを期待するとしております。

なお、今後、具体的な管理の例示を作成して、本取りまとめに追加するものとしております。

9ページ、別紙1が改正案の概要となっております。

コーデックスのガイドラインに基づく基準を設定するために、管理運営基準のガイドラインを次のとおり改正する。なお、従来の基準と選択できるものとする。

従来の規定に加えまして、新たに以下のような基準を設定する。

1.のところが第2の6、従来の第2の6で食品等の取扱いというところがございますけれども、これにHACCPのガイドラインの7原則。

それから、次の10ページに参りまして、手順等を追加する。

それ以外については、現行のとおりとさせていただいております。

11 ページ、別紙2として、食肉・食鳥肉の処理についても先ほどの例と同様に、見直しについて、関係者の意見を聞きながら検討するとさせていただいております。

食肉については、と畜場法第9条という規定に基づいて、衛生措置については、と畜場法施行規則第7条に規定されておりますけれども、こちらに導入型基準を設定する。

(2)で、食鳥肉に関しましては、食鳥検査法第11条の規定に基づいて、衛生基準が食鳥検査法施行規則第4条に規定されておりますけれども、これらについてもHACCPのガイドラインに基づいた考え方を導入するというものでございます。

続いて資料3に参りまして、前回まで一般食品の例示をお示ししてきたところですが、同様にと畜場法に基づく規定のイメージとして、先ほど申し上げましたと畜場法施行規則の規定について、HACCP導入型の基準を導入する、または従来の基準も生かしつつ、いずれかを選択するようなイメージというものを示させていただいております。

次のページの4番のスライドのところに、食鳥検査法のイメージを同様に記載させていただいております。

説明については以上でございます。

○山本座長  ありがとうございます。

それでは、続けて追加の説明をお願いいたします。

○事務局  補足をさせていただきます。

今の資料3の4ページで「(参考)対米輸出食肉認定要綱の概要」ということで紹介させていただいておりますけれども、これまでHACCPの普及につきましては、輸出の観点からも普及を進めていく必要があるという御議論をいただいておりますが、食肉等に関しまして、その輸出の観点で少し説明させていただきます。

資料にお示ししているのは対米輸出食肉認定要綱で、食肉をアメリカに輸出するに当たって、日本側のと畜場が満たすべき要件としてアメリカ側が求めているものを示したものでございます。

施設・設備等の構造・材質基準、いわゆるハードの基準が一般事項から施設周囲の整備、施設・設備の構造・材質、あるいは機械・器具の構造・材質、それぞれの項目にわたって、下線部を引いておりますものがアメリカ仕様として、現在、施行規則等で日本のと畜場の、ハードの基準を定めておりますけれども、それに加えて、対米仕様に対応しなければいけない事項ということで下線を引いてございます。

一般事項のところで言えば、他の獣畜処理施設との完全な区画、あるいは食肉処理場との併設、と殺・解体から分割まで一貫工程で処理をしなければいけないといったこと。

施設周囲の整備として、水たまり及びじんあい防止のための舗装及び排水溝の設置ということで、1枚めくっていただきますと、対米施設の一つの状況について参考までに写真をおつけしてございます。

上のところに、施設外周の舗装及び排水溝の設置ということで、水たまりがないような環境を整えたということで、このような整備が必要になるということです。

それから、施設・設備の構造・材質ということで、給水設備に逆流防止弁を設置するということで、写真のところにも描いてございますけれども、そういう逆流防止弁を設置する必要があるということ。

内壁と床のアール構造ということで、これは丸みを帯びた構造で、清掃しやすくする、ごみがたまらないような構造である必要があるということ。

次に、窓枠の傾斜角ということで、矢印で示しているところがいわゆる窓の桟のところに砂ぼこり等がたまらないような構造である必要があるということ。

写真で申し上げれば、その下に窓の高さについての要件、あるいは自動開閉式の扉を設けなければいけないとか、1枚めくっていただきますと、手洗い設備等について、自動あるいは足踏み式の手洗い設備が必要であるということ。

それから、処理施設の中での要件としての例でございますけれども、その下に放血前区域のドライ化ということで、いわばベッドといっていますけれども、これは処理するときに牛を気絶させるということで、気絶した牛がこのベッドの上に転がる。それをつり上げて放血をするということで、その放血場所にこういった放血した血液が流れて、施設をウエットな状態にしないような形でドレーンするということでドライ化を図るということが求められています。

その下に、機械等の耐食・防錆処理が施されていなければいけないということで、左側の写真は食肉を、枝肉をつり下げるものですけれども、そういったものがさびていれば、そのさびが落下して食肉を汚染することもございますので、そういうことがないような構造処理をしておかないといけないということでございます。

このように、輸出に当たっては相手国の要件を満たす必要があるということでございまして、今回のHACCP導入型の基準を用意しまして、それを選択していただくことで、相手国側から求められるHACCPの要件についてはこれでクリアするということで認識しておりますけれども、今、申し上げましたように、それに加えてハードの面、あるいはソフトの面についても、動物愛護であるとか、そういう観点でプラスアルファの部分があるということでございまして、その点については輸出に当たって留意すべき事項であるということをあわせて御紹介させていただきます。

以上でございます。

○山本座長  ありがとうございました。

国内のと畜場施設と食鳥処理施設をいきなりこれにするというわけではなく、輸出するに当たっては、これぐらいの追加の施設・設備の整備が必要であるという御紹介であったと思います。

それでは、この中間取りまとめにつきまして、項目ごとに御意見・御質問をいただきたいと思います。

まずは「1.趣旨」「2.経緯」までのところで、何か追加もしくは御質問等ございますでしょうか。

ここはこれまで述べられてきた改正の趣旨と経緯が書いてあるわけですが、HACCPが必要であるということで、これからどんどん普及をしていきたいという考えを持っているわけですが、よろしいですか。

また後で何か思いつかれるようでしたら御意見をいただくとして、それでは「3.HACCP普及の必要性」「4.これまでの施策の課題及び今後の施策の方向性」に行きます。

「3.HACCP普及の必要性」に関しましては、委員の先生方の合意は形成されているのではないかと思います。書き足しとかがございましたら、おっしゃっていただければと思います。

それでは「4.これまでの施策の課題及び今後の施策の方向性」ということで「(1)HACCPの段階的な導入について」「(2)HACCP導入に資する支援」「(3)HACCP導入によるメリット」となっておりますけれども、この中で何か御意見はございますか。

それでは、田崎委員どうぞ。

○田崎委員  今回の検討会を前に、各自治体に対し調査と意見等の募集をしたところでございます。

6ページ目の168行目で「これらを踏まえ」というところのくだりがございます。ガイドラインに基づく基準というものが紹介されておりまして、食品衛生法第50条第2項に基づいてという、これは各自治体が条例で規定する場合の技術的助言として国がガイドラインを示していただいているところでございます。

選択制とするというところですが、実際は各自治体が条例改正、法改正を行うということで、各自治体の、例えば法制部局との調整とかが、今後、必要になると思いますけれども、実際にガイドラインと同様の規定はなかなか難しいと思います。

選択制ということですが、第52条は既に皆さん御存じのとおり、食品の安全性を確保するための、食品事業者が守らなくてはいけない必要最低限の遵守なので、それが2つあるということで差別化されているわけです。そこを選択するにあたり、どちらも最低限の基準なわけですので、例えば第50条第2項に基づかない形の、例えば条例・要綱などでも規定できるような形を各自治体が考えていけないのかと思います。

むしろ、第50条第2項の中ではなくて、例えば第50条第3項とか、新しい項目として作っていただきたいと考えています。ただ、この方法は、法律を改正しなくてはいけないということも理解しております。ですから条例とか要綱で規定できる部分についてもガイドラインの中に記載するといった御配慮ができないでしょうか。

もう一つは、この第50条第2項で設定すると、第63条に基づく食品衛生上の危害の発生を防止するための行政上の処分とか、あるいは行政指導のための書面による指導というものがあります。これは公表対象になりますので、指導したときには公表されます。最低限のHACCPの、管理運営基準に定められたときミニHACCPの基準がクリアできないときに公表することになります。一方、マル総についてはそういう制度はないので、結構厳しい条件になってくると考えます。そこら辺で事業者の方が選択するときに躊躇する部分も出てくるのではないでしょうか。

その辺の議論、これからの話だと思いますけれども、総論的には問題ないと思いますが、この辺の自治体との調整の部分を考慮していただければと考えております。

○山本座長  ありがとうございました。

総論といいますか、この中間取りまとめに書いてある趣旨や方向性は賛成していただけるということなのですが、実際の運用面の問題でいろいろなことが今後懸念されるというところでしょうか。

○田崎委員  そうです。

○山本座長  事務局から何か御意見ございますか。

○事務局  過去の資料でも若干御説明をしたかと思いますけれども、両方、従来のものと選択型をということでは、総論的に管理をする方法と、例えば危害分析に基づいた、施設に合った管理を行うということで、方法が違うということで、基本的には両方併記することは現時点で可能ではないかと考えておりますが、条例改正等々においていろいろと我々としても御協力をさせていただくとともに、先ほどお話のあった今後の調整というところについてはより一層図っていきたいと思います。

○山本座長  ありがとうございました。

そういうことですけれども、田崎委員いかがでしょうか。

○田崎委員  よろしくお願いしたいと思います。

○山本座長  さまざまな調整をしていかなければいけないことがあると思うのですけれども、HAをきちんと行って、それでそれぞれの製造施設に対してオーダーメード的な衛生管理ができるという方法と、それから、今までの管理運営基準ですと総花的に全部やらなければいけないのですよということを言っているので、本当でしたら管理の負担はそちらのほうが逆に大きいのではないかというイメージを私としては持っていたのです。

しかし、どうも、HACCPの方法論の理解が余り十分できていないところがあって、どうしても今までのものよりも高度なとか、より難しいやり方を選択することになるのではないかという、もう少し理解を進めていけばそういう誤解は解けるのではないかという部分があると思うのですけれども、なかなか一気には解決できないのかなという気はしております。

ただ、そうはいっても、一部にどうしても施設的なものを改善しなければならないという場合がありますので、それは支援法と言われているものをうまく利用していきながら改善していっていただければなというのが私の今のところの感想なのですが、ほかに6ページ以降でも追加の御意見がございましたらお願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。何かございますか。

特にこの文章を、今、ここで変更するわけではなく、これまでに御意見いただいたものを繰り返すことでもよろしいかと思いますけれども、こういう考え方を持ってやっていただきたいという御意見とか、その辺も言っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

高谷委員、どうぞ。

○高谷委員  先ほどからずっと説明を聞かせていただいて、大体、方向としてはこうかなと思うのですが、特に御説明の中で4ページのところに、特にEUの場合には、HACCPの適用が困難な中小企業や地域における伝統的な製造等に対しては、弾力的に適用するということがあります。この考え方も踏襲していただけると思うのですけれども、そういうことも含めて、今後、HACCPの国内の中小零細企業のところに普及していくには大変重要なことであると思っていまして、そこを含めてやっていただけると、先ほどの第50条第2項のところの改正のあり方も考えていくのではないかなと思うのです。

一気に形の上で第50条の何ぼをやると言いますと、条例の改正というものは都道府県がかなり大変だろうなと考えていまして、やはりこういう考え方を、4ページのEUの考え方を、やっている話なので、今後導入していただけるのがいいのかなと考えております。

○山本座長  ありがとうございました。

法律の中に文章が出てきますと、日本の場合、柔軟な対応がなかなか難しい部分があるとは聞いておりますが、これを解決する方法を、ちょっと知恵を絞っていっていただきたいとは思うのですけれども、今の時点でその案というものが何かございましたら事務局からお願いします。

○事務局  今、御指摘ございましたように、これまでの議論でもEUとかアメリカのほうでもそれぞれ弾力的な運用ということについては各国工夫をされている状況もございますので、そういったことを踏まえまして、我が国での運用については柔軟性を持った対応ということも考えながら進めてまいりたいと思っております。

○山本座長  その辺は今後の検討課題かなとは思いますが、ほかに委員の先生方から何かございますか。

田崎委員、どうぞ。

○田崎委員  細かい点になるかもしれないですけれども、10ページの別紙1の287行目でHACCPチームの編成の話が出てまいります。

「食品衛生法に基づく食品衛生管理者又は」以降のくだりで、恐らくこれは各自治体が定めている食品衛生責任者のことを指していると思いますが、食品衛生責任者については、6時間の講習会を受けて取得することができます。しかし、受講者の中には講習会で初めて黄色ブドウ球菌という言葉を聞くとか、そういう方も多うございまして、一律にHACCPチームを編成できるのかというところは非常に難しいところです。

管理者は特に問題はないと思います。柔軟な書き方ではあると思いますけれども、それに見合った責任者の設置と。ここでは「営業者が定める」というところで、恐らく一定レベルの知識を持った方でなければならないと考えます。ここら辺についても御配慮していただく必要があるのかなと思っています。

極端に言えば、一般の講習会だけ受けた方では、必ずしも十分ではないと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

○山本座長  ありがとうございます。

事務局から御説明をお願いします。

○事務局  コーデックスのガイドラインでも、チームの編成に関して、望ましいという規定はありますけれども、特に資格要件を求めているものではないところもあります。

また、いろいろと御意見の中で、導入に当たってチームの編成というものがまず難しいという御意見もあります。ただ一方で、やはり適切に運用していくにはそういった責任を持って取り組んでいただける方というのが重要で、そういった方への講習であるとか、技術的な研修であるとか、そういったものがやはり重要であると思っておりますので、これまで農林水産省さんでも講習会なんかも実施していただいておりますけれども、関係団体等の協力なんかも得ながら進めていきたいと思います。

○山本座長  ありがとうございました。

山田委員、どうぞ。

○山田委員  この中間取りまとめ(案)はそのとおりで、何らけちはつけられないと思うのですが、だからといって、これが出たから中小メーカーさんの27%の普及率が上がるかとは思えません。

小売業の品質管理の責任者として、いろいろな食品工場を回らせていただき現場を見る中で、ほとんどのメーカーさんは自社の商品を輸出する気はありません。ふだんの業務の中でHACCPの必然性も感じていらっしゃいません。導入のメリット以前に、やってみたいと思わせる入り口が必要であると考えます。

90 の自治体が何らかのHACCPの取り組みをなさっていると書いてあるのですが、例えば北海道HACCPなどは、非常に段階を踏んで、入りやすく、レベルが決して高くない水産業者さんでもやってみようという気になります。関心を持っていらっしゃる小さな工場はたくさんありますので、そういった段階を踏んだ、「やってみよう」と思わせる入り口をつくってあげることが大事ではないかと思います。

○山本座長  ありがとうございます。

具体的な導入に向けての大変いい御示唆だったと思いますが、中間取りまとめの段階では、今のところこういう、理想形という言い方は変ですけれども、その形でやっていきたいと。方向性も含めて、皆さん方としては、それはいいだろうということだと思うのです。ただ、それではこれが出たからすぐにという話になるかどうかというのは今後の対応の仕方で、この中間取りまとめの中にも書きましたけれども、やはりHACCPに対する理解をもう少し深めないと、企業の方たちも何がメリットになるのかというのも見えてこないのではないか。

もう一つは、流通業界といいますか、今、そういう大手のほうではコンソーシアムみたいなものをつくって、ある程度の衛生管理という中にこれも入れていただくといいますか、日本版の取り組みを持っていただくということになってくれば、さらに普及は進んでくるような気もしております。

ほかに何か。

どうぞ。

○川崎委員  食品産業センターの川崎です。

今回出されました、これからの方向性については、普及を進める意味で大変理解もできますし、賛成できる内容であると捉えています。

ただ、今、座長が触れられていましたように、やはりこれが本当に普及策になるかどうかという視点から、今後、基準や指針の整備と並行して、普及のための具体策の検討を進めていくことが必要になってくると認識しています。

この検討会の前回2回までに、特に中小零細企業で普及がなかなか進まなかった背景とか課題がいろいろ出されたわけなのですけれども、これらを踏まえた普及策を本当のところどうしていくのかということは継続して検討していく必要があると思います。

特に、先ほど高谷先生が触れられていましたけれども、私も全く同感なのですが、前回、山口大学の豊福先生がいろいろ御説明していただいた中で、ECの規則、あるいはEUHACCPという中でフレキシビリティーの考え方を紹介していただきましたけれども、やはりあれを聞いていまして、私自身はHACCPの本来のポイントである、事業者の自主的、主体的な取り組みで安全面・衛生面を向上させていくということが、それがやはりああいうフレキシビリティーの考え方も導入することで本当に進むのではないかなと思った次第です。

そう考えたときに、やはり日本では、特に中小零細企業では、一度この会でも申し上げたのですけれども、取組の骨になる危害分析、CCPの設定、それから、管理基準の設定、このあたりが現実的には非常に難しいと思います。この辺を、これも前回申し上げたと思うのですが、事業者の立場に立って、あるいは現場レベルでという表現がいいのかもしれませんけれども、一緒に考えて指導あるいは支援をしていく指導者あるいは支援者の人材を育成・確保していく、あるいはそのための仕組みをつくっていく等々の施策がやはり並行して今後検討して、実現に向けていくことが必要ではないかなと考えています。

もう一点は、ちょっと細かいことなのですが、HACCPマークを普及策の一つにあげられていますが、普及策全体を今後検討していく中の一つの案ということで書かれていますので、そういうことと認識していますが、やはり慎重な検討が必要と思います。

例えば、要するにどのぐらい効果があるかです。やはり前提として、消費者の皆さんがHACCPのことをよく理解しない限りはHACCPマークをつけても目的どおりに効果を発揮しないのではないかと思いますし、また、ある意味、HACCPマークをつけていくということは認証ということになりますので、誰が、あるいはどの組織・機関が認証をしていくのか、そのことに対する責任所在をどうするのか。そういう仕組み全体をつくった中でないと、なかなかマークというものは浸透しないといいますか、有効にならないと思います。

さらに言えば、もっと細かい話なのですけれども、いろいろ食品の表示の話をするときに、スペースの問題とか、それから、そのことによる費用の問題がどうしても避けられないわけで、今後そういうことを含めて、検討に当たっては我々業界も入らせてもらって、慎重な論議を進めていくことをお願いしたいと思います。

以上です。

○山本座長  ありがとうございました。

やはり運用面、それから、実際に導入していくための仕組み、この辺をまだまだ継続的に検討していかなければいけないなという気がしております。

ほかに何か御意見ございますか。

それでは、どうぞ。

○田崎委員  6ページ目の182行目のところに、新制度導入に当たって「自治体が進めている認証制度等についても」というくだりがありまして、先ほど山田委員のほうからお話もありましたが、例えば北海道のHACCPとか、自治体が現在実施しているそういったHACCPについて書いていただいているので、そこら辺もかなり考慮していただけるとは思っておるのです。

例えばHACCP支援法の認定についてですが、柔軟に考えていただいて、自治体の認証を受けている場合にも、今後HACCPに取り組むというところについて、実際に認証を受けている事業者に対して認定を受けたものとみなしていただくとか、そういった柔軟な対応も必要ですし、今ある制度、それぞれの自治体が行っている制度も究極的に同じ方向に、同じベクトルに向いているということで、導入の考え方に含めていただければと思います。

○山本座長  それに関して、特に事務局から何かありますか。

○事務局  今回、管理運営基準の中に位置づけたというのはまさにそういうところがございまして、新たに事前の認証制度という形ですと、それでは、自治体のHACCPの認証制度はどうなのだという形になってきますけれども、これはあくまで営業者が守るべき自主管理の基準の一環であるということですから、対立するような概念では全くなくて、お互いがお互いの持ち場の中で推進をしていければいいなと考えております。

それから、先ほど山田委員、川崎委員からもありましたけれども、やはりこれができた後に入り口をいかにつくるか、やってみたいと思わせるかということでありますので、そのあたりは認証してやるからやるのではなくて、自主管理をつくっていく上で、これはこれまでの食品衛生監視員の監視業務が少し変わってくるのかなと。いわば指摘型の監視指導がこれまでは行われたと思うのですけれども、このHACCP型の概念を管理運営基準の中に入れることによって、むしろ指導型といいますか、営業者といろいろ意見交換しながら、自主管理のあり方としてHACCPの考え方をお互い認識しながらつくり上げていくという発想の転換も、あるいは求められるのかなと考えておる次第であります。

○山本座長  ありがとうございます。

それでは、参考人の上久保補佐、どうぞ。

今のことに関連してですね。

○農林水産省  支援法の話が出ましたので。

考え方としては、今、自治体のHACCPの認定を受けていれば自動的に支援法のというお話があったのですが、逆かなと思いまして、といいますのは、HACCP支援法はHACCPを導入するために、最低限の施設の改修であったり改善が必要であるというときのための計画を認定して、融資が受けられるようにするということですので、どちらかといいますと、例えば自治体のHACCPを事業者さんが受けようというときに、やはり一部、施設の改善とかをする必要がある。そのときにHACCP支援法を利用いただいて、融資を活用して、施設の改修ができると。そういう整理かなと思いますので、一言だけつけ加えさせていただきます。

○山本座長  今、課長がおっしゃっていた指導型といいますか、そういうことになりますと、川崎委員から出ました、これをやっていることの確認とか、マークのことが触れられていますけれども、マークをつけるということはやっていることを認めたということなので、それでは、誰が認めたのかを明らかにする方策を、今の時点で答えていただけるかどうかはわからないのですが、それがないとなかなか難しいのかなという気がしますが、その辺についても事務局から何かありますか。

○事務局  通常の監視指導をする中で、施設の立ち入りをした際に、どういう管理をなさっているかということを確認した上で、それを踏まえてチェックをして、必要な指導・助言等を行っていくということでしょうけれども、我々としては承認制度という形で運用しない場合であっても、そういう形で確認をした上で、そのような監視指導というものはできると考えております。

○山本座長  取りまとめの中にも、公表するであるとか、そういうことが書いてありますので、何らかの形で登録をしてあるのかなということかと思うのです。

○事務局  そうです。マークの話であるとか、あるいは公表ということになりますと、何らかの形でそれを把握した上でということの必要性もございますので、そういったところもあわせて検討しなければいけないと思ってございます。

○山本座長  ありがとうございました。

それでは、工藤委員どうぞ。

○工藤委員  委員の皆様がお話しされていますけれども、今後のことかと思います。目標となる金額も、輸出額というものも出ていますし、HACCP支援法が延びるという限定の年度もありますので、そういったところをめどにどうするかということなのかと思うのです。そこに至るまで、普及率27%から何%に上げるかという目標、タイムスケジュールといいますか、どういう部署が責任を負って、どうやっていくかという具体的策ですね。そういったものがこれから必要になってくるのかと思います。

それから、消費者側といたしまして、やはりHACCPの概念による、工程管理による安全性の向上を消費者すべてが理解することは難しいのかもしれませんが、例えば川崎委員がおっしゃったように、認証マークとしてHACCPマークがつくとすれば、そのマークがどんな意味かを理解した上でないと、双方のメリットとなりません。きちんと理解するには消費者側に、今までとは少し違った、きめの細かい、ただの告知ではない、パンフレットだけではないような啓発方法、そういったものも必要なのかと思います。

当然、消費者団体側も勉強会なり、理解する努力をしていかなければならないのかなと思うのです。

以上です。

○山本座長  ありがとうございます。

逆に、この中間取りまとめをすることによって今後の課題がかなりたくさんあるということが見えてきたということなのかと思いますが、この検討会自体を今後の課題の検討も含めて続けていくということが考えられているのでしょうか。事務局としてはいかがですか。

○事務局  これまで3回御議論いただきましたから、大体HACCPを普及推進していかなければいけないという共通認識のもと、こういうやり方があるのではないかということで、大体、基本的な考え方については合意ができているのかなと思っておりますけれども、今後、そうは言っても、それでは、具体的にはどういう基準になって、どういうふうに動かしていくのかという各論のところがまだ見えてきておりませんから、そういった各論についてもこちらのほうで少し準備を進めさせていただいて、もう少しイメージを具体化しながら、さらに検討を進めていっていただければなと考えております。

○山本座長  今の時点では、この方向性ということでの中間取りまとめをさせていただいたということですので、さらにはそれぞれの各論の部分についての御提案とか、そういうものがあるのだろうとは思います。そのときの議論、それから、皆さん方から各論の部分について、こういうふうにしていったらいいという御提案は今後盛り込んでいくことにしまして、ほかに全体的に全く抜けたところがないかどうかということとか、御意見を。

お願いします。

○内堀委員  事前にいただいて、御説明も受けていましたので、書いている中身について特にないのですけれども、ここでもいろいろと出ていますように、方向性としてはいいのだと思うのですが、それを実現するための手段のところがまだ見えないので、やはりそういう意見が多く出るのかなという感じはするのですよ。

私も読んでいて気になって、段階的であるとか、柔軟な運用であるとか、そういう言葉だけ出てくるのですけれども、それでは、具体的にどういうことを考えているのですか。9ページのところに盛り込む中身が書かれているのですけれども、9ページの263行目の1.から10ページの307行目の6.まで、具体的に言いますと301行目の4.ですか、結局、これを全部やらないとだめなのだなという感じも受けるのです。

しかし、実際に私たちがつき合っているメーカーさんで、いろいろな苦情が多いとか、商品事故を起こしてしまったとか、あるいは検査をやったら基準外が出ましたということで、そんなデータをもとに現状分析をやって、ABC分析で区分して、Cになったところには、こちらもかなり手を入れないと改善できないところなのですけれども、例えばそのメーカーさんにとってみると、異物が多いと。それで、異物の由来は原料であると。でしたら、やはり原料に絞って改善させるというふうにやっていく中で徐々にレベルを上げていくみたいなことをやらないと、なかなか改善していかないのですよ。

そういうものが、私が見て段階的という言葉を理解しようとすると、そんなイメージで捉えてしまうのですけれども、そんなようなことで考えているのか。やはり1.から6.までのところはこれを全部一遍にやらないとだめなのですよみたいな形になってしまうのか。その辺がまだよく見えないという感じを持っています。その辺をもう少しイメージを膨らませていかないと、やはり言葉だけで勝手な理解をされてしまっても困るでしょうし、その辺かなと思います。

それから、7ページの223行目、事業者にとってのメリットということなのだと思うのですが、当然、この事業者の中には製造者だけではなくて、我々のような販売者のところも意識して書いておられるのかなという感じもするのですけれども、現実的にプライベートブランドを開発して、ブランドの責任を持っている立場としては、やはり製造委託工場に対して監査をしますので、社会的な仕組みとしてこういうHACCPが普及していって、そのレベルが確保されているのであれば、我々も特別にその部分だけ監査しなくてよくなるわけですよ。ですから、そういった意味でも我々販売者にとってのメリットがあるわけですから、そういうこともちゃんと明確に書いておいていただいたほうがいいのかなという感じもします。

あと、やはり普及のための人材育成というのでしょうか、地方自治体の方々が中心になるのかもしれませんけれども、先ほど言ったみたいに、我々もメーカーさんに対して改善していただこうと思えば、現実的にはかなりマンパワーを使ってやるしかないのです。それをもうちょっと重点的にといいますか、わかるように書いていただくのがいいかなという感じもします。

あと、全体的なイメージでといいますか、この中間的な取りまとめということで、検討会のまとめなので、話し合った中身はすべて盛り込んでということなのですけれども、例えばこの文書をそのまま消費者に見せて、消費者の人たちが何をやろうとしているのかを理解してもらえるかということも考えていただいたほうがいいのかなと思っていまして、生協も組合組織なものですから、これを持って、例えば組合員さんに説明しようと思っても、何をやろうとしているのかがこれだけを見てもなかなか伝わってこないというのがあって、もうちょっと書き方というのでしょうか、目的、やるための手段とか、何を目指してやっていこうとしているのかとか、明確に言い切るというのですか、あれもあり、これもありではなくて、シンプルな表現にしていただいたほうがいいのかなという感じはしています。

私からは以上です。

○山本座長  ありがとうございました。

この文書全体が今までの議論をそのまままとめていったような内容になっているという御指摘で、もう少しわかりやすく、具体的な内容を盛り込んでほしいという御意見だったかと思います。特にメリットとか、最終的に目指すものは何かということとかが書き込まれる必要があるのかなということでしょうか。

最終的には、やはりHACCPでの管理ということの有効性を目指して、それを普及させていこうというところであると思うのですけれども、なかなかすぐにそれを言うとなると、段階的にという言葉がどうしても出てきて、それでは、段階的にはどういう段階を踏んでいくのかということだと思うのですが、それぞれの製造者の考え方で、危害要因をどう分析していくかというものがなく今までやっていたのではないかという気がしておりますので、その辺をもう少し認識していただいて、力をつけていっていただければさらなる向上があるのかなというところが私の感想です。

ただ、田崎委員やそのほかの委員からもありました点につきまして、もう少し具体的に書き込むところがあるかなという気がいたします。ただ、このまま会議としてやるということではなくて、もしよろしければですが、座長と事務局との間で相談しながら書き込んだものにつきまして、もう一度、委員の皆様方にお回しして御意見をいただくと。その間、自治体との調整も少しはさらに必要な部分が出てくるでしょうから、その辺についても事務局のほうで調整していただくということで、まとめを私と事務局に一度お預けいただくということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○山本座長  それでは、お預かりして、また皆様方にはメールで御確認いただき、また、どうしても議論が必要だということになれば、もう一度お集まりいただくことになるかもしれませんが、とりあえずはその形で進めさせていただきます。

また、ガイドラインの出し方については、もう少し調整が必要であると思いますので、その辺については自治体ともよく調整していただくということでお願いしたいと思います。

ほかに、特に御意見ございますか。

それでは、特にないようでしたら、少し早いのですけれども、今後の予定について事務局からお願いいたします。

○事務局  この中間取りまとめにつきましては、今、御議論いただいていましたようなことも踏まえまして、少しイメージができるような形で、年度内に具体的な管理の例示を添付することを考えておりまして、それを添付することで取りまとめといたしたいと考えております。

また、先ほども議論の中でございましたような、今後の運用といいますか、具体的な普及に当たっての方策については、今、座長からございましたように、座長と御相談させていただいて、この中で書き込める部分については書き込んで、また委員の皆様方にお見せして御意見をいただくということで対応してまいりたいと思います。

以上です。

○山本座長  ありがとうございました。

それでは、少し時間が早いですけれども、本日の検討会はこれで終了いたします。

長時間の御議論、ありがとうございました。


(了)

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