ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金記録問題に関する特別委員会)> 第9回年金記録問題に関する特別委員会議事録(2013年12月20日)




2013年12月20日 第9回年金記録問題に関する特別委員会議事録

○日時

平成25年12月20日(金) 14:58~16:02


○場所

厚生労働省 専用第18~20会議室


○出席者

(委員)

磯村委員長、岩瀬委員、大熊委員、大戸委員、金田委員、喜田村委員、斎藤委員、白石委員、三木委員

(日本年金機構)

水島理事長、薄井副理事長、矢崎理事、深田理事、松田理事 ほか

(厚生労働省)

佐藤厚生労働副大臣、樽見年金管理審議官、赤澤事業企画課長、梶野年金記録回復室長、大西事業管理課長

○議事

(磯村委員長)

 年末、押し迫ってからお集まりいただいて、本当にありがとうございます。

 定刻1分ほど前でございますが、第9回の年金記録に関する特別委員会を始めたいと思います。

 委員のほうでは、大熊委員がご出席予定なのですが、渋滞で少し遅延なさるそうでございます。

 本日は、佐藤厚生労働副大臣がお見えいただいておりますので、副大臣から一言ご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

(佐藤厚生労働副大臣)

 皆さん、こんにちは。ただ今ご紹介いただきました、厚生労働副大臣を拝命いたしております衆議院議員の佐藤茂樹でございます。

 第9回年金記録問題に関する特別委員会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

 委員の皆様におかれましては、12月の師走の大変ご多忙の中、ご出席を賜りましてありがとうございます。

 年金記録問題につきましては、さかのぼると平成19年、政府・与党で決定いたしました方針等を踏まえ、ねんきん特別便、ねんきん定期便を送付するとともに、ねんきんネットを整備し、年金記録を国民の皆様にお伝えしてまいりました。また、紙台帳とコンピュータ記録の突合せなどの作業を実施し、記録回復に取り組んでいるところでございます。

 年金記録の管理をきちんとすることが、国民の皆様の年金制度への信頼に直結いたします。今後、このような問題が二度と起きないよう、厚生労働省及び年金機構は年金記録の管理により一層、気を引き締めて取り組まなければならないと考えております。

 この特別委員会では、年金記録問題の解決に向けて、1つには、今後なお必要な対応策についてご審議いただくとともに、2つ目には、これまでの取組内容等についての審議結果を報告書としてまとめていただくことをお願いしているところでございます。本委員会では、今年3月26日を第1回目といたしまして、これまで8回にわたり年金記録問題への今後なお必要な対応策などについて、精力的にご審議をいただいてまいりました。本日の委員会では、これまでの調査・審議の検討結果や、委員の皆様からいただいたご意見等を報告書案という形でご議論いただくと伺っております。

 私も、事前に今回の報告書案を拝見いたしましたけれども、本文で193ページ、説明資料で235ページというかなりの大作でございまして、磯村委員長をはじめ、委員の皆様方のご尽力に御礼申し上げます。本当にありがとうございます。

 委員の皆様方におかれましては、ぜひとも忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げまして、私の冒頭の挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 

(磯村委員長)

 ありがとうございました。

 佐藤副大臣でございますが、他のご予定もありますので、途中からご退席なさるように伺っております。お時間の許す限り、よろしくお願いいたします。

 それでは、予定に従いまして議事をお願いいたします。

 

(梶野年金記録回復室長)

 本日の議題であります、この年金記録問題特別委員会の報告書案につきまして、委員長から趣旨や取りまとめに至った経緯などについて、ご説明をお願いいたします。

 

(磯村委員長)

 それでは、私のほうからざっとした趣旨や取りまとめに至った経緯をご説明したいと思います。

 お手元にございますのは、本当に素案でございます。素案の「ソ」の字もいろいろございますけれども、そこはひとつ、どの素案かお考えいただきまして、よろしくお願いしたいと思います。

 この年金記録問題に関する特別委員会では、委員会を設置いたします設置要綱というものがございまして、第1回目にご披露したところでございますが、その設置要綱には狙い、目的が3点あったかと思います。

 第1点は、年金記録問題への今後なお必要な対応策についての意見や提言を出してほしい。第2点は、年金記録問題に関わるこれまでの取組内容をきちんと整理してもらいたい。第3点は、年金記録問題に関わるこれまでの取組内容の整理のほかに、その他の年金記録問題の対応に資する取組、再発防止策とか、あるいは事務処理誤りなどについての提言も出してほしい。この3点であったと思っております。

 これらについてご審議していただいてまいりましたが、本日はこれまでの調査・審議の結果や委員の皆様からいただいたご意見などを報告書案としてまとめましたので、皆様のご意見を改めて伺いたいと思っております。

 この報告書案の執筆でございますが、事務局の材料を基にいたしまして、起草委員をお願いいたしました岩瀬委員、三木委員のお二方のお手をお借りしながら、極力お役所言葉は回避しようではないかというふうなことで平易な記述に努めたつもりであります。

 ただ、年金関連の用語というのは、非常に難しいものが多ございますので、この報告書をご覧いただきますとお分かりのように、随所に注書きを加えてございます。それからまた、記録問題はその原因なり背景なり、あるいはその事象なりが重層的かつ多面的に関連いたしますので、これらの説明や注書きについても、それぞれのところでなるべく書いておきましたから、あるいは通してご覧になりますと、随分重複があるではないかとお思いかも分かりませんが、これはご覧いただく方の便を考えてのことでございますので、ご理解をいただきたいと思っております。

 では、お手元の報告書案について、簡単にその趣旨をご説明いたしますと、まずこの報告書の報告事項の対象でございます。平成19年から世上を騒がせました年金記録問題について、年金記録問題検証委員会というのが総務省に設置されまして、平成1910月に報告書が出されております。また、もう一つ、標準報酬遡及訂正事案等に関する調査委員会というのが厚生労働省に設置されまして、これが平成2011月に、同じく報告書を出してくださっております。

 この報告書の提出と相前後いたしまして、厚生労働省の中に年金記録問題作業委員会というのが設置されました。これが平成20年1月でございます。この解散後に、続いて年金記録回復委員会というのが平成2110月に設置されました。

 ただ、この2つの委員会は、国民目線からなるべく広範な審議をしよう、あるいは是正策の提言をしようということで行われたのでございますが、政権交代に伴いましてそれぞれ任務終了となりまして、いずれも審議状況や提言などについて、公式の報告書を提出するには至らずに任務終了となりました。いわば、それぞれに懸案課題を抱えたまま役割終了期を迎えたということでございます。

 この間、政府のほうでは、この年金記録問題の集中処理の目途が平成26年3月末ということにされましたので、そのようなことから、この平成19年からの6年間、年金記録問題の全般的整理が必要だということになりまして、その整理のために法的根拠を持った審議機関として、この特別委員会が設置されたわけでございます。設置の場所は、社会保障審議会日本年金機構評価部会の特別委員会という位置づけでございました。

 したがいまして、この年金記録問題の正常化に関する調査・審議は、年金記録に関する作業委員会と年金記録回復委員会、この2つの委員会の後も受けまして、担当委員会が変わっても審議に必要な事項というのが次の委員会に受け継がれておるというふうな認識でおり、この6年間で、検討すべき事項は国民の皆様にほぼ開示できたのではないかと思っております。

 このようなことから、この報告書では、記述内容の連続性の観点もあり、報告書の作成される機会のなかった前の2つの委員会、すなわち、年金記録問題作業委員会と年金記録回復委員会、この厚生労働大臣の諮問機関である2つの委員会における審議経過の主な部分も、この報告書の中に取り込みまして記載の対象といたしました。したがいまして、この報告書素案の見出しが、お手元にございますように、「年金記録問題-正常化の軌跡と今後の課題」ということになっておりますが、この軌跡は6年間の軌跡というふうにご理解いただければ、大変ありがたいと思います。

 次に、この報告書の構成でございます。

 報告書の本文と、その個別説明や関連資料をまとめた説明資料の2部構成としてございます。各章の内容は、後で概要の説明がございますので、そちらに譲りますが、目次をご覧いただきますとお分かりのように10章から成っておりまして、内容的に見ますと、まず年金記録問題の7つのケースとその整備状況を、主に第1章、第3章、第6章で、それから年金記録回復のためのこれまでの取組を主に第2章、第4章、第5章、第7章で、それから特にその中で設置要綱にも書いてございます事務処理誤りにつきましては、その現状と再発防止を第8章で、次に年金記録回復の全体実績と投入費用を第9章で、記録問題に直接関連する今後の課題と対応を取りまとめの第10章で、最後に、「おわりに」といたしまして、厚生労働省と年金機構の連携強化など、あるいはそれに関連する各委員の所感などをまとめた、こういう構成としております。

 したがいまして、この報告書では、記録問題に関する責任の追及でありますとか、あるいは見方によっては、記録問題の根底にあると思われる年金制度面の諸問題といった、この委員会の審議対象外ではないかと思われる事項につきましては、言及を割愛させていただいております。この辺は、ご了解いただきたいと思います。

 それからまた、報告書が予想以上のページ数となりましたことから、報告書の冒頭部分に概要を加えました。この概要部分は、報告書のエッセンスを抽出したものでございまして、本文から切り離してのご利用もいただけるようになっております。本日は、お手元に両方がセットになって入っていると思います。

 ただ、先ほど少し申し上げました説明資料のほうでございますが、まだ細部の説明や、あるいは体裁などについて調整が行き届いていないところがございますので、この辺は次回の委員会までにきちんと調整した上で、改めてお示ししたいと思っております。

 それからもう一つ、この報告書の中に取り込んでありますいろいろな計数面でございます。大部分が平成25年9月末という数字になっておると思いますが、一応、この報告書をまとめるように指示されております期限が来年の26年3月ということでございますので、その26年3月時点の計数につきましては、後で追いかけて厚生労働省及び日本年金機構が補正したものを6、7月ごろにホームページに載せる、こんな善後策を講じたいと予定しております。

 したがいまして、この報告書の記載計数は、大部分がこの報告書作成の直近時点、すなわち25年9月末というのが多かろうと思っております。この辺も、ご了解いただきたいと思います。

 最後でございますが、この報告書の狙いは、まだ残されております年金記録問題の諸課題についての今後の対応姿勢や対応策についての提言でございます。併せて、来年度から始まるようですが、日本年金機構の次の中期計画の材料となるものをまとめたものでございまして、決して記録問題の幕引きのための報告書ではございません。これだけはひとつ、予めご理解を十分いただきたいと思っております。

 この後、事務局から内容について簡単に説明する予定をしておりますが、今申し上げたような観点から、この報告書についてのご審議、ご意見を改めていただきたいと思います。

 私のほうからの趣旨並びに取りまとめの姿勢については、こんなことでご報告とさせていただきます。併せて、後でご意見をいただきます。

 では、続いて、よろしくお願いします。

 

(梶野年金記録回復室長)

 ありがとうございました。

 それでは、事務局のほうから、この概要版について簡単にご説明をさせていただきたいと思います。

 概要版ですけれども、この概要1ページ目の「はじめに」につきましては、今、委員長からお話がありましたので、次のページの第1章からご説明させていただきたいと思います。

 第1.年金記録問題の事象パターンとそれらの概要ということで、まず年金記録問題とは、この加入記録と基本情報のどれかにもれや誤りがあるため、現在、正常な年金受給ができていない、あるいは将来、正常な年金受給が期待できない状況のことということでございまして、次の7つのパターンに区分できるということです。

 1つ目は、未統合記録、いわゆる「宙に浮いた年金記録 5千万件」とされる持ち主が分からない未統合記録の存在、これは、年金事務所間でのデータ共有が不可能な時代において、本来は手帳記号番号を一生涯同じ番号で管理することこそもっとも重要なポイントだったと言えるが、この前提を崩したことが最大の原因。

 2点目が、厚生年金保険における「標準報酬の遡及訂正事案」でして、いわゆる「消された年金記録」と称されたもの。

 それから3点目は、元々のオンライン記録の誤りで、旧社会保険庁側の転記ミスや入力ミスなどのケースです。

 それから4点目、いわゆる「第3号被保険者の不整合記録問題」。

 5点目は、厚生年金基金においての記録と国の記録とが一致しないケース。

 6番目は、共済年金と厚生年金・国民年金との、年金記録の連続性の不備の問題。

 7番目は、被保険者が脱退手当金の支給事実を知らず認識できていなかったケース。

 続きまして、第2章ですけれども、年金記録回復のための作業基盤の整備ということで、(1)オンライン記録の不備を補う「紙台帳の画像検索システム」での確認作業ということでございます。3行目ですけれども、約9.5億件の紙台帳とオンライン記録との突合せでの確認が必要になったということで、紙台帳を電子画像化し、それらの画像が個人単位で集約して端末に表示されるシステムを構築した。そういった基盤整備を行った上で、非常に効率的に実施したということです。

 下の段にありますように、この紙台帳との突合せによって、約137万人の方の年金額が増加見込みであり、増額が見込まれる方1人当たりの平均増加見込額は約1.4万円、回復見込額の累計は約192億円と見込まれています。

 次のページですけれども、その他の作業としてはサンプル調査など、およそ10項目にわたる事前整備が行われました。

 第3章です。年金記録問題の主な事象ごとの整備状況ということで、先ほど第1章にありました7つのケースですけれども、まず1点目、“宙に浮いた”未統合記録「5千万件」の是正ということで、2段落目ですけれども、この5千万件の是正結果は、「解明された記録」は2,983万件ということで、その内訳はこの下の表のとおりでございます。少しご説明しますと、この下の表の左、ローマ数字1、解明された記録の中で、まず(1)基礎年金番号に統合済みの記録が1,738万件、(2)死亡者に関連する記録及び年金受給に結びつかない記録として1,245万件。その内訳として、1つ目としては死亡者に関連する記録が690万件、2点目として年金受給に結びつかない記録が555万件ということでございます。

 表の下のローマ数字2、解明作業中又はなお解明を要する記録が2,112万件ということで、(1)現在調査中の記録が4万件です。(2)として名寄せ特別便等の対象となったのですけれども、未回答とか、そういった事情のため持ち主が判明していない記録が863万件、その内訳がマル1からマル7まで書いてあります。

(3)持ち主の手がかりがいまだ得られていない記録が927万件、(4)として、(1)から(3)の記録と同一人と思われる記録が318万件。

 続きまして、概要4ページ、(2)です。7つのケースのうちの2つ目ですけれども、厚生年金保険における「標準報酬の遡及訂正事案」ということで、2段落目ですが、不適正に処理された可能性のある2万件について訪問調査をしました。その結果、「記録回復の申し立ての意思あり」との回答があった事案は1,602件ということで、これらについては全て対応は終了しています。それから3段落目、更に回復基準に沿った記録回復も進められております。

 それから、(3)国民年金特殊台帳のオンライン記録の入力誤りということで、2行目、平成20年5月からオンライン記録との突合せを実施し、平成22年6月末時点で全ての突合せを完了しています。

 それから、(4)第3号被保険者の不整合記録ということで、これは下から3行目ですけれども、いわゆる「運用3号」通知を発出しましたけれども、この取扱いは23年3月に廃止され、法律で改めて対応することとされました。その後、本年6月に法律が公布され、現在に至っています。

 概要5ページでございます。(5)厚生年金基金記録と国記録との不一致ということで、3段落目です。国記録と基金記録の突合せの結果、国のほうの記録が誤っているとして基金に回答したものは、国の記録が訂正されるということで、24年1月以降で約5.5万件の記録が回復し、年金額が回復した方の平均増加年額は約6,000円となっています。

(6)共済年金と厚生年金・国民年金との連続性の不備ということで、いわゆる共済過去記録につきましては、基礎年金番号と結びつく可能性がある方に茶色便というお知らせを送付しております。この回答に基づいて記録が統合されています。

(7)脱退手当金の支給事実が確認できないケースということで、5行目ですけれども、実際に脱退手当金の支給を受けたかどうかを確認いただくためのお知らせを送付しております。それから、「まだら脱手」と呼ばれる「脱退手当金の算定に当たって算定していない期間が判明した案件」について、記録回復基準を定めているということでございます。

 それから第4章、各種のお知らせ便の送付による記録の回復ということで、(1)「もれや誤り」の確認と是正ということで、2行目からですけれども、「ねんきん特別便」をはじめ、「ねんきん定期便」、「受給者便」が相次いで送付されました。それから、5行目になりますけれども、「名寄せ特別便」とか「グレー便」とか「黄色便」とか、各種のお知らせ便を送付しました。それで確認をいただいているということです。

 続きまして、次の概要6ページです。こういったお知らせ便により、この回答票の対応は、2行目ですけれども、おおむね終了しています。

(2)各種のお知らせ便への未回答と未到達の多さへの対応ということで、この未回答と未到達が対応すべき課題だったということで、年金機構としては、3行目ですけれども、分かりやすい文書とするため、定期的に外部から文書モニターを募集し、表現方法の改善を行いました。

 それから、次の段落ですけれども、送付者に対する未到達者の比率は、これまでの累計送付数での平均値が2.3%、これも極力直近の住所を把握し、各種便の再送付が行われました。その状況は、下の表のとおりです。

 続きまして、概要7ページ、第5章、ご本人からの“確認のお申出”による記録の回復ということで、(1)相談体制の充実。3つありますけれども、1つ目が年金事務所の相談窓口ということで、この窓口での待ち時間が、特にピーク時には、2行目にありますように、1時間以上の待ち時間が228カ所発生しておりましたけれども、その後、各都道府県社会保険労務士会への業務委託による出張相談所が開設されるなどして、待ち時間は大幅に短縮してきております。

 マル2電話での相談(コールセンター)。全国に4カ所コールセンターがあり、1日平均約2万2,500本の照会電話を受電しております。5行目にありますように、応答率は平成20年度の27%から、平成24年度には78.7%になってきています。

 マル3の、ねんきんネットです。年金機構は、これを第3の情報提供サービスの柱と位置づけて取り組んできております。3段落目ですけれども、このような観点から、「ねんきんネット」を通じて、年金記録の確認や検索機能の更なる充実などを行って、記録問題の再発防止だけではなく、利用者サービスや年金制度に対する理解の向上を図るということと、更に事務の効率化にもつなげていくということとしています。

(2)気になる年金記録、再確認キャンペーンということで、記録の持ち主を見つけるためには、どうしてもご本人からの情報提供が必要でございます。次のページ、概要8ページですけれども、1行目、そこで、平成25年1月から、「もれや誤り」が気になる記録について、ご本人から心当たりの記憶を申し出ていただく「気になる年金記録、再確認キャンペーン」が実施されております。

 続きまして、(3)関係団体への協力依頼と情報提供ということで、2行目ですけれども、市町村、農協・漁協・郵便局、経済団体、業種別団体、各企業などのご協力をいただきまして、とりわけ全国社会保険労務士会連合会からは、年金記録問題の対応への社会的意義に基づき、全面的なご協力をいただいております。

 第6章、「未解明記録約2,112万件」の更なる解明ということで、(1)まだ2,112万件も残っている背景の推測ということで3つ書いております。

 1点目、記録の持ち主の死亡や海外への転居と考えられる件数が、約538万件(25%)と推測。

 2点目、加入期間が1年未満の件数が約842万件、それから1年以上5年未満の件数が約551万件、合わせると約90%と圧倒的多数を占め、ご本人も失念されていたり、関心がないとも考えられる。

 3点目、これまで各種のお知らせ便の送付や、紙台帳検索システムの活用で、極力持ち主と思われる方にはご連絡して統合を進めてきていますが、これ以上はご本人からの申出とご記憶などを基に調査をしていく方法しかないこと。

 その推計がその下に図で出ております。

 続きまして、概要9ページですけれども、(2)として、それでもなお、お心当たりの「気になる年金記録」が見つからない場合ということで、この点については、ご本人が「加入していたはず」などの思い違いのケースや、脱退手当金をご本人が受領して年金額に反映しない期間となっているケースなどが考えられます。また、「紙台帳検索システムに収録されている記録の中の判読不能の記録」、それから「戦災・災害などで元々の紙台帳などが焼失しているなど、紙台帳検索システムに収録されていない記録」といった「紙台帳検索システムでも発見できない記録」があるケースも考えられる。なお、オンライン上に記録はあるものの、その中には判読不能の画像や滅失し電子画像化されていない紙台帳などが一定数存在するはずであるが、その概況などは不明であり、未解明記録の背景となっている懸念が残る。

 それから、第7章でございますけれども、年金記録の回復処理の仕組みとその整備・活用ということで、まず1点目、年金記録関係特例2法ということで、1つ目は年金時効特例法、それから2つ目は厚生年金特例法ということで、この2つが施行されております。

(2)年金記録確認第三者委員会と年金事務所段階における記録回復基準ということで、マル1第三者委員会でございますけれども、総務大臣が旧社会保険庁長官今は厚生労働大臣ですが、年金記録の訂正を「あっせん」するに際し、そのあっせん案を第三者の立場で作成する機関ということで、現在、個々人からの確認の申出は、ピーク時の約8割減と低下してきております。

 マル2年金事務所段階における記録回復基準ということで、次のページ、概要10ページですけれども、これは第三者委員会の調査審議を経ないで、年金事務所段階で記録訂正が行われるよう、これを年金事務所段階での回復基準として定型化しているというものであります。これまでが取組です。

 第8章が、事務処理誤りの現状と再発防止策ということで、3行目ですけれども、事務処理誤りについては、何としても根絶を期すという強い意志を機構全体に徹底することが必要ということで、(1)ですけれども、事務処理誤りの再発防止策ということで総合再発防止策が取りまとめられております。

(2)として、事務処理誤りの判明後の対応と是正基準の策定や法律改正の必要性ということで、2段落目ですけれども、顧客側に責任がなく、事務処理誤りなどによって保険料が納められないということで将来の年金額が減額となることは、国民感情を損なうことになりかねない。このような観点からすると、現行法の下で救済が困難なケースにつきましては、その事務処理誤りを事後的に是正するための新たな法的措置の検討が必要であると考える、ということでございます。

 続きまして、概要11ページ、第9章ということで、これまでの取組の全体実績、投入経費の意義ということで、(1)投入経費ですけれども、19年度から25年度までに年金記録問題に要した経費は約4,013億円。それから、(2)年金記録の回復の全体像ということで、年金額が回復した人員は約269万人であり、年金回復額は年間の年金額で946億円、生涯受給額で1.9兆円となっております。

 続きまして、概要12ページです。

 実績がこの表に出ております。章としては、最後の章の第10章ですが、第9章まではこれまでの取組が中心となっていますけれども、第10章は今後の課題と対応方向のまとめということでございまして、まず大きく(1)ということで記録問題の再発防止策です。

 1点目ですけれども、まずご本人による確認ということで、正確な年金記録の管理につきましては、国(年金機構)側で十分な注意を払うことは当然ですけれども、一方で、ご本人自身にも確認いただいて、必要に応じてお申し出いただく仕組みをつくることも重要ということでございまして、下のローマ数字にありますように、ねんきん定期便、それから次のページにありますように、「ねんきんネット」を活用していただくことが重要ということでございます。

 それから、13ページの真ん中よりちょっと上ですけれども、再発防止策の2点目ということで、マル2として基礎年金番号の整備。これは3段落目ですが、この対策としては、要は基礎年金番号の重複付番を防止する対策と、今、重複付番されている方や番号を持たない方の解消を図る対策、この2つが必要で、いろいろな対策が講じられております。

 さらに、平成28年1月に社会保障税番号制度の本格施行が予定されております。その3行下ですけれども、新しい番号制度導入後は、個人番号と基礎年金番号をひもづけて事務処理を行って、重複付番の防止を確実に行うといったことが効果的に実施できるということでございます。

 それから3点目、事業主、自治体からの届け出の電子化ということで、2段落目ですが、本来は事業主や市町村で電子化された情報を、そのまま年金機構側で利用することがベストであるはずということで、次のページですけれども、概要14ページ、2行目、したがって今後の対策としては、利用者側に対する届出書の電子化の促進を図るとともに、機構側では電子化に向けた業務プロセスの改善、ペーパーレス化を図っていく必要があるということでございます。

 それから4点目、厚生年金基金への情報提供ということで、これはその不一致を防止するため、国の保有する基金加入員の記録に関する情報を定期的に基金のほうに提供する仕組みを平成26年度をめどに構築することとしております。

 その他の記録問題の再発防止策としては、予定されている法改正に関するフォロー、文書保存の合理化、受付進捗管理システムなどの実効性ある活用、受給待機者への対応、システム面の再構築などがございます。

(2)として、平成26年度以降の年金記録問題への取組ということで、この記録問題への対応は、これまでの様々な取組がなされ、紙台帳とコンピュータ記録の突合せなどもこの期間に鋭意進められ、ほぼ終了する予定でございます。記録問題対応も一つの大きな節目を迎えることになります。

 しかし、年金記録問題への対応はこれで全て終了するものではなく、また今後も顧客から年金裁定請求時などに、過去の年金記録を調査してほしいとの申出は続くことになります。これらの顧客からの年金記録に関するお申出に対し、平成26年度以降も迅速、適切に対応していくことが重要ということで、マル1記録調査方法の確立ということで、2段落目、紙台帳検索システムも活用し適切に調査ができるよう、統一的調査手順が構築されております。今後、この手順の徹底した活用が望まれる。

 それから、マル2ご本人への働きかけ、記録問題は、ご本人へ記録への注意喚起を図って、なるべく早い時点で記録のもれや誤りを申し出ていただいて、訂正することが重要でございます。このため、平成26年度以降も引き続き以下の対応を行うこととされているということで3つ書いてありますが、定期便や裁定請求時のターンアラウンド通知において働きかけを行う。2点目は、持ち主が明らかでない記録の検索ができる「ねんきんネット」を充実して、その利用者の拡大、記録確認の推進を図るための周知などを行うということです。それから3点目、先ほどもありましたように、未判明記録は加入期間が短いものが多いと考えられるので、平成2710月に予定されております受給資格期間の短縮、25年から10年に短縮しますけれども、この際に行う広報の中で、ご自身の記録確認を働きかける、ということでございます。

 それから、概要15ページ、「おわりに」ということで、当委員会としての提言とは別に、年金機構の業務運営や機構と厚労省との連携関係についての提言、これまでの報告事項に関する委員個々人の所感など、検討会で言及された事項を整理して掲載しております。

(1)組織牽引力の強化による年金機構における事業経営上のハンディキャップの克服ということで、3行目ですけれども、厚労省と機構の連携緊密化策として、厚労省には制度改正を行う際とか、その運用・解釈とか、次の3点の面で配慮が求められる。

 それから、(2)お申出の記録検索が困難な場合の今後の対応ということで、4行目の最後のほうからですけれども、現在、顧客の請求に基づいて年金記録を訂正することを可能にするということが必要になっております。これは、別の専門委員会で審議が行われたということでございます。それから、例えば、何らかの判断基準によって「突合せが不可能な記録」についての“推定回復”を行うことを、別途検討する必要もあるように思われる。

(3)刷新システムの開発の「進め方」についてということで、2段落目ですけれども、刷新システムの開発を進めるに当たっては、実際の顧客、それから利用者の特性を想定した業務プロセスも踏まえて、例えば「住所」などのオンラインシステムの各種情報定義を明確にして、業務部門とシステム部門の間の徹底した質疑応答や現場意見の聴取などによる擦り合わせが欠かせない。

 それから、次の最後のページですけれども、(4)年金機構における“人手のひねり出し”ということで、年金機構は各種基幹業務の充実は元より、今後の制度改正や徴収対策強化のため、ますます人的必要性は大きくなります。このための要因の増とともに、一方で一人一人の質の増加、つまり1人当たりの作業量の増加などが必要ということでございます。

 それから、(5)パネルデータなどの蓄積ということで、できる限りのパネルデータの蓄積と活用策を、予め企図すべき。

 それから、(6)年金機構の業務上のリスクと健全な労組活動との協調ということで、機構にはオペレーショナルリスクと人事リスクがある。職員や顧客からの声の収集制度が絵に描いた餅とならないように、実効性のある活動が望まれる。それから、妥当性を欠く労組活動の再来懸念に対する“未然防止のアンテナ”を確保するということが必要。

 それから、(7)年金業務の適正な運営のための今後の第三者による検討の場ということで、この年金業務の適正な運営のためには、これを担っている厚労省及び年金機構に対して、引き続き第三者の知見を活用した国民目線からのチェックが欠かせない。当委員会の任務終了後も、このような問題意識の下にその年金業務の運営について調査審議を行って、改善を提案する第三者による何らかの検討の場が必要ではないかと考える、ということでございます。

 概要は以上でございます。

 委員長から補足があれば。

 

(磯村委員長)

 ご苦労さまでした。

 今、概要版のエッセンスだけを読み上げていただいたのですが、全部を通してというと大変でございますので、細切れにしてご意見やご提言を伺いたいと思います。

 まず最初に、私から縷々(るる)申し上げました、この報告書の取りまとめの趣旨や考え方も含めて、「はじめに」と第1章から第3章まで、ここについて何かご意見、ご提言はございませんでしょうか。

 どうぞ。

 

(斎藤委員)

 今ごろになって恐縮なのですけれども、改めてこの資料でタイトルを見ましたら、「正常化の軌跡」ということで、正常化がもう完成して、そこに向けての軌跡のように受け取れるので、「正常化への軌跡」というほうが現状をあらわすのかなと思いました。今ごろですみません。タイトルを全然見ていなかったものですから。

 

(磯村委員長)

 ありがとうございました。

 委員の皆さん、いかがですか。

 事務局、「へ」の字を1字入れると、何かまずいですか。

 

(梶野年金記録回復室長)

 大丈夫です。

 

(磯村委員長)

 大丈夫ですか。

 ご提案ありがとうございました。気がつきませんでした。確かにそうですね。

 ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、続きまして第4章から第7章、この概要版でいきますと第4から第7ということでございますが、この辺は何かございますでしょうか。

 もしございませんようでしたら、私のほうから再確認も含めてつけ加えたいのですが、恐れ入りますが、この分厚い本文の106ページをお開けいただけますでしょうか。

 本文の106ページの一番上に、図表6-6というのがございまして、ここに紙台帳検索システムだけでは、オンライン記録との突合せが不可能な場合がある理由ということで、先ほど概要版の説明でありましたようなことが縷々(るる)書いてございますが、実はその次の107ページ、上から8行目ほどに、マル1旧台帳記録における判読不能の比率についてとか、飛びまして真ん中辺、マル2オンライン記録に結び付かない紙台帳1.2億件の内訳説明についてですとか、あるいはずっと下のほう、下から7行目のマル3事故台帳のうちの事故記録について、などなど非常に突合せが難しそうな記録のことについての記述が、あちこちの委員会やら社会保険庁30年史などにあるものを抜き出してここにまとめてございます。これらの記録の部分については、心ならずも委員側が持っております懸念、「おい、大丈夫かね」というものと、「いやいや、それはこうこうこういう理由だから今は分からないよ」とか「いや、多分それは大丈夫だよ」という事務局側の説明と、実は両説併記の格好にしてございます。理由は、今となっては実態がなかなかきちんとつかみにくいからだということでございまして、もう少し歯切れのよい説明ができればなと思ったのですが、なかなかうまくできなかったものですから、こういう形をとらせていただきました。この辺はよろしゅうございましょうか。

 もし何かご意見がございましたら、また次の委員会までまだ若干の時間がございますので、ぜひご指摘いただきたいと思います。

 ほかにないようでございましたら、では、次のパートへ参りたいと思いますが、よろしゅうございますか。

 では、次の第8章から第9章、第10章、おわりに、この部分の先ほどの事務局の説明に、何かご意見、ご提言はございますでしょうか。よろしゅうございますか。

 どうぞ。

 

(岩瀬委員)

 委員長からもお話があったことですけれども、この報告書は次期中期計画に役立てていただきたいということでつくられてきたということですので、ぜひともこの「おわりに」のところの(6)健全な労組活動との協調というところを、機構側はもう一度きちんと受け止めていただきたい。記録問題というのは、いろいろ複雑な要因があったとは思うんですけれども、やはり不健全な労使関係というのが複雑化させ、そして手を打てるべきものを打たないでやり過ごしてきたという要因が多々あったと思います。もちろん、これは年金局、機構だけの問題ではなくて、当時の大蔵省がきちんとした予算をつけなかったという問題もあったとは思いますけれども、その点を次期中期計画ではきちんと配慮した上で、こういうことが二度と起こらないように対応していただきたい。これは、報告書に対する意見というよりも、それを受けての年金局、機構に対するお願いということで受け止めていただければと思います。

 

(磯村委員長)

 ありがとうございました。

 この概要版なり報告書なりのほうで、何か表現ぶりで直さなければいかぬようなことはございませんか。

 

(岩瀬委員)

 今のところは、私は、これで。もう一度、きちんと読み直します。

 

(磯村委員長)

 そうですか。あとは心構え、気持ちの問題ということですね。

 

(岩瀬委員)

 そういうことです。

 

(磯村委員長)

 何か機構のほうから特にございますか。本日は控えておきますか。

 

(日本年金機構薄井副理事長)

 中期計画は、厚生労働省から示される中期目標を受けてつくることになりますけれども、当然、おっしゃる趣旨はよく分かりますので、どういう形でそれをあらわしていくかということだと思っております。

 

(磯村委員長)

 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。

 どうぞ。

 

(大熊委員)

 概要版には入っていませんけれども、本文の165ページの上のほうに、「あえて言えば、仮に個人番号制度が諸外国のようにもっと早く導入され、年金記録の管理に活用されていれば、年金記録問題もここまで大問題にはならなかったのではないかと考えられる」というのを入れてくださったのは、大変うれしいことだと思います。

 私は、あまり年金は詳しくなくて、医療福祉が専門なんですけれども、医療の世界では医療事故が起きたときに、ルートコーズアナリシス、根本原因分析というのをいたします。日本での医療事故は、1999年に横浜市大で患者さんを取り違えたり、広尾病院で消毒薬を静脈に入れてしまったりということがあって、あたかもそれは看護師がうっかりしていたというふうに表面上は見られたり、その少し前のあそこが悪かったということもあるけれども、根本に立ち返ると、そういうふうにする仕組みが元々あったというところを押さえなければいけないというふうになっています。

 ですので、この問題の根本には、この番号制度が日本で非常に様々な考えの人たちの反対によって遅れてしまったということが、こういう事件を起こした方たちからは言いにくいことかもしれませんけれども、事実の問題として、日本だけに起こってしまったこの問題の原因を書き込んでいただいてよかったと思います。

 

(磯村委員長)

 この程度の表現でよろしゅうございますか。

 

(大熊委員)

 はい。本当は、概要版にも目立たないように入れておいたほうがいいですけれども。

 

(磯村委員長)

 説明資料のほうにも、諸外国の番号状況が入っておるようでございますので、ひとつぜひ。

 ほかはよろしゅうございますか。

 どうぞ。

 

(三木委員)

 今の大熊先生のご指摘に一言だけ付言させていただいて、多分、本質は一緒なのですけれども、実は手帳記号番号という仕組みで単一IDとして、元々は加入者に対して管理体制というのが一応あったわけです。

 ところが、実際、これはコンピュータとかネットワークのない時代に、それぞれの事務所に来た人が手続をするときには、一々それを全部問い合わせていたら手続が進まないので、いったん受けて、それを受給するときに全部自分で言ってもらって、それぞれの事務所からデータを全部寄せるというのが、1つ、コンピュータ時代以前の制度の在り方として、それはそれであったのだと思うのです。

 ただ、大前提は、それはできる限りというか、原則として手帳記号番号を、その人が手帳をずっと持って歩いて、その手帳でやっていればほとんど問題はなかったのですが、それを、どうしてもないとか、いろいろな事情によって、手帳記号番号を新しく発番してしまったということが起きたというのが、一番大きな根本的な原因の一つだったと思うのです。

 それを更に、途中で気がついて基礎年金番号という、今までの手帳記号番号を全部名寄せした番号をもう一つつくろうというところまではよかったんですけれども、基礎年金番号についても重複付番という、また同じように事務所に来た人に、「どうしても今すぐ健康保険も欲しいから出してくれ」と言って出すというようなことが起きて、これがいわゆる宙に浮いた5,000万件というような問題を引き起こした一番大きな原因だったと思います。マイナンバーが今後導入されるというようなことで、基本的にはそれできちんと管理されるようになるはずだというようには思うんですが、これが例えば事業主への確認であったりとか、そういうことがきちんとされないまま、やはりマイナンバーとちゃんとひもづけできない人がどういう理由かによって出てくる可能性もあるので、この年金記録問題ということの教訓として、今後の制度の中で一番大事なことは、マイナンバーで絶対に1人について番号が1対1で完結しているという関係を業務プロセス上も維持していく。システム上も、ネットワークできちんと結んで、リアルタイムにきちんと管理できるようにしていくというようなことが、これほどの大問題の実は一番大きな教訓ではないだろうかというように思います。この報告書の中にも全部書いてありますけれども、そのことをぜひともきちんと世の中にも、いろいろな関係部署についても広めていただいて、同じようなことが起きないように、ぜひともしていただきたいというように思います。

 

(磯村委員長)

 ありがとうございました。

 機構側から、何か決意表明はございますか。

 どうぞ。

 

(日本年金機構水島理事長)

 おっしゃるとおりでございまして、肝に銘じて対応してまいります。

 

(磯村委員長)

 よろしゅうございますか。

 ほかはいかがでしょうか。

 それでは、私のほうから再確認を一、二、申し上げたいと思うのですが、実は第8章の事務処理誤りのところが、本文のほうでは、正直、まだうまくまとまっておりません。理由は、本文をご覧いただければありがたいのですが、146ページ以降でございます。真ん中辺に8-6として、上記の是正処理基準の整理ということで、一応、何かまとまっているような表がありますけれども、正直これを読んだだけではなかなか難しいんです。その理由は、今、何か現行法でどこまで対応できるかということと、いや、それではできないので、必要な部分は法改正ができないだろうかということで、どうも年金局を中心に作業をやってくださっているようなんですけれども、どこまでを現行法で、どこまでは法改正でという整理を、何か今、しつつあるようでございまして、この辺の推移を見ながら、次回までにきちんと書き直してみたいと思っております。

 したがいまして、現状は本当に素案の素案という状況でございますので、ここはひとつ、私と事務局のほうに原案づくりをお任せいただきまして、また追いかけてメールでご意見を伺いたいと思っております。

 事務局も、そんな方向でよろしゅうございますね。

 

(大西事業管理課長)

 はい、結構です。

 

(磯村委員長)

 ということで、ぜひご了解をいただきたいと思っております。

 それからもう一つ、確認でございます。本文の154ページをお開けいただきたいのでございますが、先ほども概要版のところで説明がございました年金記録問題に関する経費、約4,000億円だということで、この辺はたしか第5回の委員会で皆さんからも随分ご意見やご議論がありまして、その4,000億円というのは一体どう考えたらいいのかというふうなお話がございましたが、つらつら考えてみますと、この表の中の上から3つ目の枠でローマ数字2、紙台帳とコンピュータ記録の突合せ関係で、ずっと右を見ていただきますと1,950億円、それからもう一つ、飛びましてローマ数字5、下から4つ目の枠でございます。「ねんきんネット」関係(システム構築など)で約71億円という数字が出ておりますが、この両方を足しました約2,000億円の、どれくらいかよく分かりませんが、半分前後は設備投資ではなかろうか。正直、お役所の経費には設備投資という概念がございませんので、どこからどこまでが償却対象資産なのかは分かりませんけれども、後々、これから何年かかるのか分かりませんが、記録問題の照会があったときに、いつでも読み出せるという意味での将来的な部分も含めた設備投資だというふうな考え方も1つできるのではないか、こう思いまして、本文の146ページなどにも将来に向けての投資部分と考えられるというような表現を入れておきました。これではちょっとかったるいかも分かりませんが、こんな書きぶりで1つご理解をいただければと思うのですが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

 それから、最後に概要版の「おわりに」のほうで、次の委員会がやはり必要なのではないかというふうな意味のことを書いておきました。どういう格好で、いつからどうなるのか、まだよく見えませんけれども、一応、我々の気持ちとしては、このままではやはり収まらぬだろうというところを書いてみたつもりでございます。こんな書きぶりでよろしゅうございましょうか。

 あと、全体を通して、何かこの際、追加しておけ、あるいはここはまずいよというふうなところはございませんでしょうか。よろしゅうございますか。

 どうぞ。

 

(大熊委員)

 この概要版のことではないんですけれども、今回、途中から取材された方は気づいてなかろうかと思うんですけれども、この特別委員会の座席表ですけれども、一般的に厚労省の検討会では役職のみが書かれておりましたけれども、この会では全部、ご本人のお名前が書いてあるというところは、これからぜひ厚労省でやっていただきたい。前、特許関係の審議会が入っていたときに、特許を審査した人は必ずその人の名前を書くという、責任の所在が曖昧になるというのが今回のこの問題にも通じることで、やはり人の顔が見える行政というのを、これをきっかけにやっていただけるといいなというふうに思っています。

 

(磯村委員長)

 ご返事はよろしいですね、特に。

 

(大熊委員)

 はい。うなずいていただいたので。

 

(磯村委員長)

 どうぞ。

 

(喜田村委員)

 今、委員長が言われた154ページの上のところで、これはシステムについて2つの支出が、単なる経費ではなく投資と考えられるというので、ご説明は非常によく分かりますし、それで結構なのだろうと思いますけれども、公会計で投資という言葉を使うのがどうなのかなということが少し気になりましたので、そこは事務局とのお話の中で、これでよろしいということであれば、それで結構だと思いますので、その点だけご確認をお願いいたします。

 

(磯村委員長)

 ありがとうございます。

 その辺は、事務局、いかがでございますか。

 

(梶野年金記録回復室長)

 確認いたしまして、委員長とご相談します。

 

(磯村委員長)

 これを書きます段階では、実は投資的経費という表現を私は使って書いたら、「いやいや、役所にはそういう言葉はないんだ」ということで、単純に経費というふうに書いたんです。したがって、これも単なる経費ではなく投資と考えられるということで、裏側にそういうものが潜んでいるんだというニュアンスをにじみ出したわけでございます。

 念のため、では、この辺の表現ぶりを確認してみてください。よろしくお願いします。

 ほかはよろしゅうございましょうか。

 これは、本来はご意見を伺ってはいかぬことなのですが、せっかくの機会ですから、年金局なり機構なりから、この報告書の素案について何かありますか。あったらぜひ。突然言われても困るというなら、次回でも結構です。

 

(樽見年金管理審議官)

 まさに、これまで本当にこの報告書は、委員長、それから起草委員会の皆さんを中心に、非常に細かく過去のこの6年間のことをまとめていただいたというふうに思っています。そういうことでいいますと、特に今ご指摘がありましたような言葉遣いとか、私どものほうでしっかり見なければいけないところというのは、まだ残っているかもしれないなという気もいたしておりまして、そういうところは私どもも、役所の事務的な観点からというところのチェックといいますか、間違いがないようにということも、引き続いてしっかりとやっていきたいと思っております。全体としては、これは年金局内で相談したというわけではありませんけれども、私としてはこれまでの6年間のいろいろなやったことについて、本当に頭のほうで書いてありましたけれども、飾らずに全て書くということで、少し長いなという感じが率直に言っていたしますけれども、しっかりおまとめいただいているということで、ありがたいという気持ちでおります。

 

(磯村委員長)

 突然ですみませんでした。

 ほかはよろしゅうございますか。

 では、報告書の素案の関係の審議は、一応これでよろしゅうございますか。

 では、ほかは何か事務局のほうからございますか。

 

(梶野年金記録回復室長)

 本日、一部ご意見をいただきましたので、その修正、反映のさせ方につきましては、また委員長とご相談させていただきたいと思います。

 それから、次回の日程につきましては、また別途連絡させていただきます。

 

(磯村委員長)

 では、細かい直しその他は、また事務局と私のほうにお任せいただいて、その都度、メールでご相談をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 では、本日はこれでよろしゅうございますか。

 

(梶野年金記録回復室長)

 はい、どうもありがとうございます。

 

(磯村委員長)

 では、1時間で終わってしまいましたけれども、本日はこれでお開きにしたいと思います。

 年末、お忙しいところ、本当にありがとうございました。少し早いのですが、どうぞよいお年をお迎えくださいますように。また来年、もう少し残っておりますので、よろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。


(了)

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