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2013年12月18日 第5回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

平成25年12月18日(水) 10:00 〜12:00


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室(12階)


○出席者

委員

樋口座長、神林委員、黒田委員、鶴委員、宮本委員、両角委員

事務局

岡崎職業安定局長、宮野職業安定局次長、宮川職業安定局派遣・有期労働対策部長、古都大臣官房審議官、藤澤労働政策担当参事官、尾形職業能力開発局総務課長、土田労働基準局総務課長、成田雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課長、本多職業安定局雇用政策課長、藤井職業安定局雇用政策課労働市場分析官、高橋職業安定局雇用政策課長補佐

○議事

○樋口座長 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから「第5回雇用政策研究会」を開催いたします。
 お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 これまで雇用政策研究会で、今後、5年ないし10年を見通した雇用政策のあり方についていろいろ御議論いただいてきましたが、本日はその議論を踏まえまして、雇用政策研究会の報告書案について御議論いただきたいと考えております。
 まず、事務局から案について説明をお願いいたします。
○高橋雇用政策課長補佐 それでは、資料1−1、資料1−2をごらんください。こちらにつきましては、これまでの研究会での御議論と前回以降、先生方の御意見をお聞きしまして、事務局のほうでたたき台として整理させていただいたものでございます。
 資料1−1が全体像ということで、目次という形で整理させていただきました。こちらは適宜ごらんいただきながら、資料1−2のほうで御説明をさせていただければと思っております。
 まず最初「成長のための雇用政策」ということで、こちらについては、今回、雇用政策を考える上で、成長を支えるものであるということが必要という中で「人的資本のポテンシャルの最大活用」を図りながら量的な拡大を目指すということで、「全員参加の社会」の実現を目指していくということです。あと3つ目のところですが、経済成長はそれ自体が目的ではなくて「国民生活が物心両面において向上することが最終的なゴールである」ということで、良質な雇用、公正・安定・多様性ということを満たしつつ「仕事を通じて成長できる雇用社会を実現する政策」が必要ということを整理してございます。
 最後のところでは、消費需要を十分に確保していくことが成長には欠かせませんが、そういった中で、安定した雇用と経済成長の果実の配分といったことも重要な課題であるということで、整理してございます。
 第1章のところでは、「人的資源の最適配置と最大活用」ということでございます。
 (1)として「現在の労働力配置の状況」ということで、労働力の過不足感が各産業とかの中でも見られている状況ということで、2つ目のところで調整が進んでいない要因として、1つはこれまでの調整の仕方が事業の転換とか出向といった形で実現してきたということで、関係のない企業へ転職という形でのノウハウ、支援体制が現段階では未整備であるということ。もう一つは受け皿となる雇用機会の質と量の問題があったということで、労働移動を円滑に進めていくためには市場機能の強化と受け皿となる雇用機会の整備の整備が不可欠と整理をさせていただいております。
 2ページ目のところで「(2)内部労働市場(企業内部での人材配置と活用)の課題と方向性」ということで指摘してございます。
 最初の「企業内の労働力配置の柔軟性と長期的な人材育成は日本企業の強み」ということで、最初の○のところでは、企業で労働者の能力・意欲・経験等の情報を掌握しまして、それをもとに人材を活用しているということが1つ、日本企業の特徴ということで、こういった中で職務、勤務場所、労働時間について企業の裁量度の高さということがあったわけですけれども、そういった柔軟さに加えまして、非正規雇用労働者の労働者を活用するということで、企業が市場変化などへの対応を図ってきた。
 一方、この柔軟さと引きかえに、企業は、労働者に対しまして、定年までの雇用を原則として保障するということを行いまして、相互関係に基づく関係というものが労働者の企業特殊的技能の習得、労使関係の信頼の基盤ということになって、企業の競争力の源泉となってきた面があろうということであります。
 一方、そういった中でも成果主義的な要素の取り込みでありますとか、多様な雇用形態の導入などを行いまして、内部労働市場の市場環境、競争環境の変化への対応を行ってきたということで整理をしております。
 次が「内部労働市場の今後」ということでありますが、今後我が国の企業では、引き続き新規学卒から始まる長期雇用を維持していく姿勢を示していく。その一方で、環境変化はスピードを増しているという状況がございますので、その中で中途採用する企業もふえているという状況にあります。したがいまして、内部労働市場と外部労働市場のベスト・ミックスをそれぞれの企業が追求していくことになるだろうということで考えております。
 2つ目のところで、企業の強みは「市場」で買えない技術、ノウハウを企業内でつくり出すということで、人材の長期的な育成と安定的な雇用は今後も重視されるべきであるということで整理しております。
 3つ目のところでは、一方で日本では、中高年を60代まで活用するための仕組みがないといった企業とかがまだある。さらに、主体的なキャリアの選択が重視されていない状況にありますので、「労と使が知恵を絞り内部労働市場の改善を進めることが必要」ということで整理をしてございます。
 (3)は「外部労働市場の課題と方向性」でございます。
 最初のところは「外部労働市場の役割」ということで、事業活動の新陳代謝のスピードが速まっている。その一方、労働者の職業生活も高齢化で長期化しているということで、1つの企業で同じ職務で働き続けることが難しくなっているという状況にあるということです。
 3ページでございますけれども、したがいまして、これまでやってきた企業あるいは企業グループ内での活用ということには限界があるという状況の中で、外部労働市場を通じた中途採用、その再配置が円滑に行われる必要があるということでございます。
 「労働移動の現状」といたしましては、現状では同産業、同職種間での移動が多いという状況ですが、今後は異なる産業、異なる職種への移動が高まってくる。その中で、現状を見ますと、賃金低下とか労働条件の低下が起きている現状がありますので、そういった低下をいかに食いとめるかというのが今後の課題ということでございます。
 続きまして、外部労働市場の三要素ということで、マッチング機能、能力開発・評価、良質な雇用機会ということで、外部労働市場を通じた再配置を円滑に行うために、今、申し上げたここにありますマッチング機能、能力開発・評価、良質な雇用機会というこの3つが全て機能していることが必要であろうと整理をまずしてございます。
 そのうちマッチング機能につきましては、(4)のところでございます。「(4)マッチング機能の強化の取組」ということです。
 「マッチング機能のそれぞれの強みを活かして最大の効果を発揮するために」ということで、ハローワーク、民間人材ビジネスなどさまざまなマッチング機関がございますが、それらの得意の分野・手法によって役割を果たしていき、全体としてマッチング機能を最大化していくことが必要である。
 そういった中で、ハローワークにつきましては、外部労働市場全体としてのその市場インフラとしての役割はあるのではないかということで、例えば3ページの下のところですが、「ハローワークの求人情報を広く他のマッチング機関にも提供し」ていくというようなこと。
 4ページに行きまして、ハローワークに来所する求職者に対しましても、マッチング機関に対しての情報機関も提供することによりまして、本人に合った適切なサービスを受けられるような支援を行うといったことが考えられるのではないかということで整理をしてございます。
 次が「民間人材ビジネスの活性化・活用」でございますが、民間人材ビジネス、さまざまなサービスを組み合わせた総合的な人材サービス、高度人材のマッチングなどで強みを発揮しているということで、こういった活性化を図る機能の強化を図っていくことが必要であると。
 そういったビジネスモデルの開発への支援といった環境整備を進めていくことが考えられるのではないかということであります。その利用者にとって、自分が合った事業者を選択できるよう各事業所が自社の強みをわかりやすく伝えるような環境を整えていく必要もあるということであります。
 一方で、民間人材ビジネスの質の向上といったことを推進していくことも必要であるということで整理をしてございます。
 次が「民間人材ビジネスとハローワークの連携」でございます。ハローワークと民間人材ビジネスは、外部労働市場の中で相補的な役割を果たしている。それぞれの強みを発揮することとあわせて、連携してシナジー効果を生かしていくということで、マッチング機能の強化を図るということが必要である。
 長期失業者の再就職支援でありますが、民間人材ビジネスの強みを発揮できるものにつきまして、国から民間人材ビジネスに委託をして、ノウハウを構築していくということ。一方で、先ほど申し上げましたような、利用者が安心して利用できるように、民間人材ビジネスの質の向上、活性化をあわせてやっていく必要があるということで整理してございます。
 次が、「地方公共団体とハローワークの連携」ということでございます。地方公共団体、現在地域の課題に応じて、各種の雇用対策をやっておりますが、そういった国と地方との連携を強化して、一体となって雇用対策を進めていくことが引き続き必要である。
 2つ目のところで、現在一体的実施でありますとか雇用対策協定といった地方公共団体の取り組みを行ってございますが、それを引き続き深化させていくことが必要ということでございます。
 5ページ目にいきまして「ハローワークの機能向上」ということで、「PDCAによる継続的な改善、職員の資質の向上、ITを活用したイノベーション」ということでございます。
 ハローワークの業務を効果的に実施するために、現在でもPDCAによる目標管理、進捗管理を徹底してきているところでございますが、さらなる機能向上のためにはハローワーク間での競争原理がうまく働くような手法も含め、目標設定のあり方、管理の手法を検討していく必要があるということです。
 その際ですが、これまで行ってきた取り組みを検証、再評価するということ、利用者の意見などをサービスにフィードバックしていくということも重要であるということであります。
 あと、窓口に従事する職員の相談・紹介技能を高めて、専門性を高めていくことが必要であるということでございます。そして、そういった職員をマネジメントするスキルも必要ですが、そういったことが全体としての機能強化を図る上で必要であるということでございます。
 次のところは、ハローワークで保有しておりますビッグデータでありますとか、現在のIT技術などを活用しまして、ハローワークのIT化、効率化を推進していくということが必要である。労働市場の情報把握・分析、データに基づいた効果的なマッチングをしていくといったことが考えられ、そういったためのシステムのイノベーションを行っていく必要があるということでございます。
 最後のところは、IT技術の効果的な活用によって、求職者の利便性を高めるということで、例えば対面の相談以外は自宅のパソコンを活用するといったスタイルなど、そういった観点からのシステムの構築も必要であるということで整理をしております。
 「その他マッチング機能」のところでございますが、円滑な労働移動には、信頼できる情報が重要ということであり、例えばということで、前の会社の雇用主によるあっせんというマッチングの機能も重要であるということでございます。
 6ページのところで、出向・移籍による労働移動支援に関する情報提供、相談を行う機関として、産業雇用安定センターがあるわけですが、こういった機関の機能を強化させていくことが必要であるということで整理をしております。
 (5)が「失業なき労働移動のための切れ目のない支援」ということで、失業なき労働移動を行っていくためには、これまで申し上げましたような施策も含めて、そこに整理しております支援といったことを各労働移動の段階で切れ目ない支援を実施していくといったことが必要であるということで整理をしております。
 (6)のところは、「人材の能力を最大に発揮させるための雇用管理」ということで、「質の高い成長、質の高い雇用管理」ということであります。
 その企業業績の向上のためには、人材を量的に確保するということではなく、それぞれが意欲を高めて、最大限その能力を発揮してもらうということが必要であるということで、そのためには雇用管理のあり方が大きく影響するということで、2つ目の丸にありますように、そのような点での重視した雇用管理をしっかり行っていく必要があるということで整理してございます。
 その外部労働市場の整備が進んできますと、人材がさらに流出する可能性も高くなってまいりますので、それを防ぐという観点からも各企業におきまして、社外の相場よりも労働条件をよくするということで、労働者のリテンションという観点からの雇用管理の工夫といった視点も重要になってくるであろうということであります。
 若者の「使い捨て」が疑われる企業に関しまして、労働関係法令違反に対しましては、法令の履行確保を図ることは必要でありますが、また、このような企業につきましては、当該企業自身はもとより、業界全体のイメージ、さらには人材確保に影響を与えるということ。さらには、全員参加を実現する中で、働くことが嫌になってしまうということで、そういった要因でマイナスになることも考えられるということでございます。
 さらに質の高い雇用管理のためということで、雇用管理に関する啓発・指導を行うということと、各企業の雇用管理の状況について情報開示を推進することで、「若者応援企業」でありますとか求人票の記載事項の充実といったことをやっていくということ、そうしますと、適切な企業選択が求職者が行えるように支援することが必要であるということで整理をしてございます。
 「労使コミュニケーション、労使自治の尊重、紛争処理」が次でございます。その労使コミュニケーションにつきましては、現場を含めました労働者による仕事の工夫を引き出すという積極的に生産性の向上につなげる効果と、労働者の苦情や不満を解消して、生産性を阻害するものを取り除くという効果といった点が期待できるということで整理をしてございます。
 労働者の意見や不満に対しては、まず身近な相談相手である上司に相談できることが必要であるということ。管理者のほうも部下への対応がおろそかにならないように留意すべきということで整理しております。
 企業内の苦情・紛争処理の仕組みにつきましても、労働組合や従業員組織が関与することは、コンプライアンスの観点からも意義あるということ。さらに企業内で解決が困難な場合ということもありますが、企業内の紛争処理の制度についても周知を図っていくことが重要ということでございます。
 最後の丸のところですけれども、企業を取り巻く環境変化に対しましては、労使の話し合いが重要であるということで、その活性化が求められる。さらには、その個別企業内で対応できない重大な社会的問題については企業の枠を超えて労使で話し合いを行うことも重要であるということで整理をしております。
 8ページ以降が「第2章 雇用の受け皿」ということで「労働市場は二極化するのか」という点です。近年、雇用が増加しているのは付加価値生産性が相対的に低い分野という状況でございます。
 IT化や海外生産の進展によりまして、定型的な仕事が減少する。一方で、非定型的な仕事はまだ残っていくということであります。
 3つ目の丸のところですが、一方、労働供給の側から見ますと、大学・大学院進学率の高まりなどによりまして、今後も高学歴化、高度化が進むと考えられます。
 こういった動向を踏まえますと、重要なのは付加価値生産性の高い仕事(非定型・高スキル)のような仕事をふやしていくことと、そういうものをつくり出せる人材を育成することが重要ではないかということで整理してございます。
 非定型で低スキル、低賃金の仕事については、IT化による省力化を進めて、今後、減少する労働力人口を有効に活用していく努力が必要であると整理をしてございます。
 次が「今後、地域の雇用機会の確保が一層課題に」ということでございます。今後、総人口が減少、さらに高齢者、65歳以上人口でさえ減少する地域も出てくるということであります。若い層を見ますと都市部への移動が高まっておりまして、これは地域の雇用機会が少ないことが一因であると考えられる。今後、高齢者が減少してまいりますと、その地域の重要な雇用機会であります介護分野の雇用も減少するということで、地域の雇用機会が大きな課題ということであります。
 最後でございますけれども、例えば、地域の人口減少していく中で、地域が活力を維持していくための将来像を示していく必要があるということで、例えば、コンパクトシティ化が機能の集積、人口の集積を図ってきて、その中で雇用対策につきましても地域づくりに関する方針との調和を図っていくことが必要であるということで整理しております。
 9ページのところが(2)で労働需要の増加、人手不足が見られる分野の課題と対応の方向性ということで、ここでは「サービス業」「介護」「建設」「農業」について挙げております。
 「サービス業」につきましては、新規大卒・高卒者の離職率が全産業の平均を上回るという状況でありまして、適切な雇用管理、人を育てるという視点を業界全体で持っていく必要があるということでございます。
 「介護」のところについては、離職率については事業所による二極化が見られるという中で、業界の魅力改善のため、雇用管理の改善でありますとか賃金水準の問題あるいは保険制度におけます介護労働者のキャリアパスへの配慮といった整備が必要であるということであります。
 あとは事業所の好事例を提供することと業界自身が業界の魅力向上の取り組みをしていくことが必要。
 最後のところでは、介護保険制度の見直しのところで、高齢者向けの生活支援サービスの提供形態が多様化してまいりますこの分野の雇用の場として、念頭に置いておく必要があるという形で書いております。
 「建設」のところにつきましては、若年労働者の確保が課題ということで、その建設分野の技能習得には長期視点による人材育成が重要であるということでありますので、若い人に魅力を伝える、さらにはそういった大事に育成していく取り組みを業界自身がしていく必要があるということであります。
 さらに、建設分野の労働条件につきましては、重層下請構造などの問題もありますので、関係省庁、業界が連携して取り組むことが必要ということで整理しております。
 「農業」につきましても、今後、成長産業と位置づけられておるわけですけれども、高度化、競争力強化を推進できる人材の育成・確保が必要でありまして、そういったことにつきまして魅力のPR、賃金水準の問題など、関係省庁の取り組みが必要であると整理をしております。
 10ページのところが「付加価値生産性向上が鍵」ということで、労働力人口の希少性が高まってくるという中で、できる限りの省力化が求められるということで、今後はサービス業でありますとか、医療・福祉など労働集約的な産業でそういった余地を追求するということが必要。この点は、産業政策の問題でもあるということで、業界、関係省庁が取り組んでいく必要がある。あわせまして、プロダクトイノベーションによって、新たな成長の源泉を生み出していく視点も必要であるということと、最後に人材について業界自身が中長期的視点で育成していくという意識を持つことが重要ということで整理をしております。
 11ページからが第3章として「人的資本の質の向上」ということで、まず(1)が「企業内人材育成の維持・強化」でございます。
 新規学卒者などの若者を長期間かけて育てていく慣行は尊重すべきであるということ。一方で、労働移動が一般的になってまいりますと、自社がみずから人材を育成するインセンティブが低下するということで、それに対しまして政府が支援を行うこと、さらには、企業のみに依存せず能力開発における政府の役割を拡大していくことが考えられるということで整理をしております。
 (2)が「個人主導の能力開発への支援」ということで、競争環境の変化でありますとか、そういった中で労働者の技能の陳腐化という問題が起きるということで、さらに企業自身も長期的な展望が持てない中で、企業が提供するキャリアパスのみに依存することもリスクを伴うという中で、労働者が主体的に個人、自己の能力開発・キャリア形成に取り組むことが必要ということであります。
 長期化した職業生活の途中で、スキルが無用化するといったリスクも高まっておりますので、変化への対応を織り込んだ能力開発が必要ということでありまして「職業・産業共通の能力を、学生時代に身につけることが必要である」ということで整理してございます。
 政府のほうとしては、労働者が主体的に能力開発・キャリア形成に取り組むことができるような環境の整備が必要であるということであります。
 企業の職業訓練はOJT中心でありますが、より普遍的な学びを得ることができるよう大学の教育機関とかが、そういった教育の機会を提供していくことが望まれるということでございます。
 そういったキャリア・アップ、キャリア・チェンジの場面では、企業がどういった能力を求め、労働者が有する能力がどの程度あるかということを明確化していくことが必要でありまして、そういったことのもとに能力開発をしていくことが必要であります。したがいまして、そのキャリア・コンサルタントの養成でありますとか、中長期的にキャリア形成に資する知識・技能を習得するための経済的支援といったことが求められるということでございます。
 企業におきましても、労働者が訓練を受講するための金銭面・時間面の配慮でありますとか、訓練を受けたことの結果の評価、処遇への反映といった支援も必要であるということでございます。
 (3)は「非正規雇用労働者に対するセーフティネットとしての能力開発の強化」ということでございます。
 産業構造の変化、非正規雇用労働者の増加の中で、ニーズ・状況に応じて訓練を受けられるよう、公共職業訓練、求職者支援訓練の実施の重要性が増しているということでございます。
 その担い手として、民間の教育訓練が役割を高めているということで、その育成・振興を図るとともに、質の向上の取り組みが必要であるということでございます。
 技術革新が進む中、ものづくり分野の人材育成については、ポリテクセンターでありますとかポリテクカレッジによる高度な訓練が重要であるということで、さらにものづくり分野の人材育成につきましては、学校段階から魅力の発信であるとか、キャリア教育を一層進めていくことが人材確保・育成の観点から必要であるということでございます。
 非正規雇用労働者などに対しまして、それぞれに応じた多様な訓練メニューを受講する機会が確保されるよう公共と民間の訓練のベスト・ミックスを目指していくことが重要であると整理しております。
 (4)の「職業能力の『見える化』」ということでございます。
 職業能力の見える化に関しましては、内部労働市場の観点あるいは外部労働市場の観点からも重要ということでございます。
 多様な働き方の推進にあわせまして、非正規雇用労働者のキャリア・アップが課題として顕在している業種を重点的に業界固有かつ、業界共通性の高い職業能力の「ものさし」といったことを整備していくことが必要である。
 それに加えまして、ジョブ・カードの活用も一層推進していくことが重要と整理してございます。
 こういった認識のもとに、現在、研究会を開催しておりまして、以下に掲げておりますような方向性のもと、評価制度のあり方について検討しているところでございます。
 そういった結果も踏まえまして、職業能力評価制度・体系の整備を図っていくことが必要と整理をしております。
 14ページからが第4章として「『全員参加の社会』の実現に向けて」ということでございます。
 まず最初の「全員参加の社会」は、年齢、性別、心身の状況、生活環境にかかわらず、誰もが、働く意欲、能力の発揮を通じて経済的自立など、生きがいなどを追求できる社会であります。多様なライフスタイル、価値観を持った人たちの参加の促進のためには、雇用以外にもそこにありますような働き方の活動というものがございますが、多様化が必要であると考えてございます。
 まず、技術の進展に伴いましてテレワークなどの在宅勤務も普及が期待されるという整理をしてございます。
 (1)が「あらゆる状況にある若者をしっかり育成」ということで、中長期的に考えますと、少子化に歯止めをかける、社会の担い手の技能蓄積を図るという観点から若者の支援が重要ということで、総合的な対策を推進していくことが重要ということで整理してございます。
 したがいまして、若者について学校から職場への移行、職場への定着、転職といった段階で、働く意欲を失ったり、不本意に脱落してしまうことがないようサポートが必要ということであります。
 そういった能力開発につきましても、若者が長期的に着実に技能を蓄積できること、高度な能力開発にチャレンジできることが重要であるということであります。少子化を防ぐ観点からの結婚・子育てができる水準の収入と労働条件を備えた雇用機会を提供していくことも重要であるということで整理してございます。
 学校から職場への移行を円滑にするためには、労働行政と教育行政との連携強化が必要ということで、学校の進学指導でも、キャリアを見据えた学校、学科選択をできるようにする必要があるということで、そういったキャリア教育のためのプログラム開発でありますとか、人材養成の体制整備を行っていく必要があるということであります。
 学卒の未就職者への対策については、一定の成果を上げておりますが、就職を途中で諦め就職することなく卒業した者でありますとか、中退した方への支援ということが重要でありまして、まずは教育行政でしっかりとここは対応すべきということで整理をしてございます。
 15ページのところですが、若者が適切に企業を選択することができるよう、雇用管理の状況の情報開示でありますとか、経営者の理念、賃金といった判断材料となる企業情報を提供することが重要である。また、インターンシップにつきましても、全ての学生が参加することができるようにするということと、受け入れ体制の整備といったような抜本的な強化が必要ではないかということです。
 その次のところでは、若年層を恒常的に大量に雇用して、技能形成ができない単純労働に低水準の労働条件で就労させることを前提としたビジネス・モデル自体について、その見直しも必要ではないかということでございます。
 続きまして、ニートでございますが、地域若者ステーションにおいて支援を行っているところであります。こういったことの成果も出ているところでございますが、今後とも引き続きその地域の関係機関とのネットワークを活用して、一層の支援を図っていく、強化を図ることが必要である。その評価につきましても、職業的自立だけではなくて、活動自体に対する評価の視点といったことも重要であると整理をしております。
 (2)が「労働者の希望を生かした多様な働き方の実現」でございます。ここにつきましては、今後の労働力人口の減少を見据えますと、多様化する働き方へのニーズに対応しつつも、仕事を通じて成長し、企業の生産性の向上につながる良質な雇用の場をつくり出すということも経済成長を支えるためには必要であるということでございます。
 非正規雇用につきましては、それを一くくりにするのではなくて、それぞれの層に応じた対応が必要であろうということで、まず、正規雇用を希望しながらそれがかなわず、非正規雇用で働く者に対しましては、正規雇用への転換に向けた支援といったことを行っていく必要があるということであります。
 16ページに移りまして、それの前提としてでございますが、正規雇用の場を提供できる産業でありますとか、各地域での地域の就労ニーズにあった産業の育成を図っていくことが必要であるということであります。
 一方、パートタイム労働者や派遣労働者がそういった形で働き続けることを希望する方に対しましては、能力開発を進めて、みずからの希望に応じてキャリア・アップを図ることができるような支援ということと処遇の改善が必要であるということであります。
 次のところで、労働者がライフスタイル等に応じて働き方を通じて職業能力を発揮できるよう「多様な正社員」の普及・促進を図っていくということで、企業において多様な働き方が提供される環境を整備する必要があるということでございます。
 「さらに、成長産業の人材確保のためには、労働者が能力に応じた処遇を求めて自発的に他の企業に転職することでキャリア・アップするような働き方を実現していくこと」も必要である。そのためには外部労働市場の活性化が重要ということで整理してございます。
 あと、非正規雇用労働者として働く場合でありましても、正規雇用との不合理な格差の固定化を招かないように留意していく必要があると。公正な処遇がなされるよう引き続き関係法令の周知、指導を実施していくということであります。あわせて、その労働関係法令の適用につきまして、非正規雇用労働者に十分認識されることが必要ということで整理をしてございます。
 次が(3)で「高齢者も経済成長の一翼を担う」ということで、今後を見据えていくと、高齢者層がどの程度就労するかということが重要であることで、働く意欲のある高齢者が培った能力や経験を生かし、現役社会で活躍し続けられる社会を実現するということで、例えば、以下に挙げてございますような多様な働き方を創造していく必要があるということで整理してございます。
 17ページに移りまして、企業におきましても、若年人口が減少するということを念頭に置きまして、高齢者が活躍できるような業務設計に取り組むことでありますとか、あるいは高齢期に備えたセミナーを開催することといったことも考えられますし、シルバー人材センターがホワイトカラー向けの業務を拡充していくことが重要であるということで、整理してございます。
 高齢者の生活支援・孤立防止など地域の支え手という役割として、高齢者の期待は大きいということで、企業から地域への移行ができるように、架け橋となるような仕組みが必要であるということで整理してございます。
 続きまして(4)が「障害者等が能力と適性に応じて活躍できる社会を目指して」ということであります。ここでは、障害のある方が障害のない方と同様「その能力と適性に応じた雇用の場に就き、地域で自立した生活を送ることができるような社会の実現が必要」ということで、先般行われました法改正がありますけれども、その施行に向けて雇用施策と障害者福祉施策との有機的な連携ということを図って、支援を行っていくことが必要ということであります。
 精神障害者の雇用に企業が着実に取り組むことができるよう、その支援の大幅な拡充ということが必要である。あわせまして、発達障害者、難病患者に対しましても、その支援ということが必要であります。
 加えまして、その福祉、教育、医療などから雇用への円滑な移行を一層進めるためには、障害者自身のみならず、企業、保護者、就労支援機関などの理解・協力といったことが不可欠である。さらにがん患者の長期にわたる治療が必要な疾病を抱えた者に対して、就労支援ということも強化していく必要があるということであります。
 17ページの下のほう、最後ですが「『女性の活躍は当たり前』という社会へ」ということでございます。女性の活躍促進につきましては、本人のためという観点だけではなく、社会の持続的発展、企業の発展、個々の世帯の経済的安定といった観点からも不可欠ということで、男女がともに働き、家事、育児、社会生活、家庭責任を果たしていくことが必要な時代になっているということであります。
 出産前後の女性の継続就業を進めるためには期間雇用者、中小企業への支援を進めていく必要がありますが、その状況の把握について育児休業取得率という指標でよいのか検討していく必要があるということです。
 次は、ポジティブ・アクションをこれまで以上に進めていく必要があるということで、そういったポジティブ・アクションに取り組む企業が社会的により評価されるようにすることでありますとか、経済的インセンティブの付与、事例の提供といったことに加えまして、個々の企業の多様な実情を踏まえたより実効性のある方策についても議論が必要であるということであります。
 妊娠・出産を機に離職した方の再就職支援もしっかりと行っていく必要があるということで整理をしております。
 (6)が「介護と仕事の両立は男性にとっても大きな課題」ということで、介護と仕事の両立は女性の問題だけではなくて、働き盛りの男性を中心に大きな問題であるということで、個人も企業も介護と仕事の両立に向けた備えを進めていく必要があるということで整理をしてございます。
 次が「『時間意識』を高め、『正社員=いつでも残業』を変えよう」ということで、全員参加の社会を実現して、国民各層の潜在能力を引き出していくためには、いつでも残業できなければ正社員になれないという現状を変えていく必要がある。
 恒常的な長時間労働につきましては、人的資本の形成の観点からも問題がありますし、あるいは女性の活躍の阻害要因となっている面もあるということであります。
 したがいまして、恒常的な労働時間がなく、年次有給休暇を取得できるといった働き方を進めていく必要があるということで、社会全体のコンセンサスを形成し、そのための総合的な対策を講じていく必要があるということであります。
 そのために、まず、企業、顧客・取引先のそれぞれが「時間意識」を高めるということで、時間=コストという観点で考えていく必要があると整理してございます。
 19ページにいきまして、個人の立場でございますけれども「利便性や快適さを追求する消費者」であると同時に「安定した生活を必要とする労働者」であることを自覚して、消費行動の社会的影響を省みることが必要だということで整理してございます。
 労働者自身につきましても、働く時間の長さではなくて、効率的に仕事を進めて成果を上げるということを認識することが必要でありますということで整理してございます。上司や会社による評価といったものも大きな影響を与えるということで、労働時間の長さではなくて仕事の効率性を評価するようにすべきだということで整理をしてございます。
 最後に無駄な作業を生むといったことを避けるために上司との円滑なコミュニケーションということが必要であるということで整理をしております。
 19ページの真ん中以降「外国人材の活用により我が国の経済活性化を」ということでございます。日本経済の活性化、国際競争力強化という観点から、高度外国人の受け入れ及び定着を支援していくことが重要であるということでありまして、企業の高度外国人材の活用を積極的に推進していくということとともに、外国人留学生の就職・定着支援について、関係機関、大学など企業とも連携しつつ、効果的な支援を行っていくということ、さらには、その日本人留学生など海外経験者が帰国した際の就職支援といったことも重要であるということで整理しております。
 また、定住者、日本人の配偶者などにつきましても就労促進が必要であるということで、日本語能力の改善を図る研修でありますとか、職業訓練の実施を通じて安定した雇用の確保を図っていくということが必要であると整理してございます。
 外国人技能実習制度につきましては、実践的な技能・技術・知識の発展途上国への移転ということを図って、「人づくり」に貢献している制度でございますが、それにつきまして人権侵害等の不正行為が発生しないよう、技能実習制度の適正化を図っていくという必要があるということでございます。
 外国人の受け入れ範囲につきましては、現在、出入国管理法上「我が国の産業及び国民生活に与える影響」を総合的に勘案して決定しているところでありまして、これにつきましては労働市場など地域社会への影響といったような、国民生活への影響も踏まえまして、国民的議論をしていく必要があるという形で整理をしてございます。
 21ページにございますが、第5章の労働力需給の結果につきましては、現在、作業中でございますので、最終回に向けて整理をさせていただくということであります。
 「まとめ」につきましても、本日の議論などを踏まえまして、全体のほうが整理され次第、整理させていただきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○樋口座長 どうもありがとうございました。
 それでは、このたたき台に基づきまして御議論を自由にお願いしたいと思います。どうしましょうか、順番に見ていきますか、それとも全体で最初からやっていきますか。全体で21ページありますが。
○鶴委員 ちょっと全体のフレームワークについてよろしいですか。
○樋口座長 では、それから。
 どうぞ。
○鶴委員 ありがとうございます。
 非常に多岐にわたる議論、委員の意見を取り入れていただいて、非常にわかりやすく、なおかつ違和感なく報告書を読ませていただきました。ありがとうございます。それで、全体の枠組みで、これは前回の会議で山川先生が全体のフレームワークの話をされて、最初、この議論が始まるときに人的資源の配置の話と、全員参加型という非常に大きな2つの柱があると。それに沿ってどう報告書をまとめるのでしょうかというお話をされて、私も全く同じ問題意識でお伺いしていました。
 それで、そのとき思ったのは、その2つの枠組みに必ずしも入らない話が出てきて、それをどう報告書におまとめになるのかなということを思っていたのですけれども、今回、2章の「雇用の受け皿」、それから3章の「人的資本の質の向上」、この2つがつけ加わったということなので、むしろその全体のフレームワーク、これは成長を促進するために、雇用ということなので労働供給側から考えましょうと。そのときに量的な拡大ということはこの4章の全員参加のところであると。
 あと、それだけではなく成長の寄与ということは、今度は質ということですけれども、生産性ということだと思うのです。そこは2つあって、最適配置の問題と人的資本をどう高めるのかと。そうすると、要は供給側からどうやって成長に寄与するのか、非常にある意味全体を尽くしてわかりやすい構成になるのかなと。
 一方で、雇用の受け皿というのは、労働需要からの観点です。それは労働供給とその表と裏にある労働需要の話ということなので、ちょっとお願いしたいのは章構成はこれでいいと思うのですけれども、序章のところで少し全体の枠組みでどう成長につながるのか、それぞれの章がどういう関係にあるのかというのをもう少し明確に書いていただいて、多分、ポンチ絵というか、1枚紙で御説明される紙もつくられると思うのですけれども、それもそれぞれの章の構成がどうなっているのかというところが、1つの考え方の枠組みということで、わかりやすくお示しをお願いできればというのがお願いでございます。
 以上です。
○樋口座長 ほかにどうでしょうか。
 私も序章がタイトルが「成長のための雇用政策」となっているのですが、これでいいのかとまず大問題から議論をスタートしたいなと思うのですが、中に書いてあることを読むと、単に成長のための雇用政策、国のためあるいは経済のためということではなく、一方、個人というものを尊重するというようなトーンが全体的にあると思うのです。だから、むしろ成長のためというだけではなくて、安心してどう職業能力を発揮できるのかといったための雇用政策という視点も必要ではないかと、まずタイトルのところで感じるところがありましたので、どのようにすれば労働市場の機能を発揮できるのか。今、発揮していないところもあるし、逆に発揮し過ぎているところもあるしというようなことを想定して、そのための社会インフラあるいは法制度、あり方ということを議論していくのだということも重要なポイントかなと思うのです。
 後で展開しているのはそうなっているので、まず、この序章のところをちょっとここら辺を少し書いて。
○本多雇用政策課長 御指摘ありがとうございます。
 今、御指摘いただいた点なのですが、類似の観点から前回と今回の間に各委員の御意見を伺った際に御指摘がありまして、序章のタイトルは成長のためのということで変えていないのですが、その下の文章の中で、例えば3つ目の丸のところで「経済成長それ自体が目的なのではなく、国民生活が物心両面において向上することが最終的なゴール」というところですとか、あとは、同じ丸の最後のところで「誰もが仕事を通じて成長できる雇用社会を実現する政策」ということを言っておりまして、この成長は経済成長だけではなく、人の成長も前提に含めたものではないかということは出していこうと思っておりまして、ただ、タイトルはここで成長とだけ書くと、当然経済成長と捉えられるかと思いますので、そのあたりをもう少しわかりやすく打ち出していくということでよろしいでしょうか。
○樋口座長 全体的なまず序章のところが御議論になりましたけれども、そのほか序章のところで何かありますか。
 よろしければ、今度は中に入ってということにしたいと思いますが、どうでしょう。
○両角委員 それでは、まず、第1章なのですけれども、第1章の「(3)外部労働市場の課題と方向性」というところで、3要素としてマッチング機能と能力開発と良質な雇用機会というのが3ページのところにあります。マッチング機能についてはその後、4で非常に詳しく書かれているのですけれども、能力開発についてはちょっと飛んで、後ろの第3章にいっているかと思うのですが、そこで能力開発についてなのですけれども、この研究会の議論を聞いて、恐らく外部労働市場の能力開発の雇用政策で国が全部行うことはあり得ないのですけれども、もちろんそれは民間の機能もあるのですが、能力開発の仕組みをつくっていく、立ち上げるみたいなことは雇用政策の今後の柱なのではないかと思っておりまして、11ページ以降にもいろいろ書いてあるのですが、何かそういうトーンがちょっと弱い。雇用政策としてそういう仕組みを立ち上げていかなくてはいけないみたいなメッセージがもうちょっとどこかにあってもいいかなと感じたのですけれども、いかがでしょうか。
○樋口座長 はい。どうでしょうか。これは公開でやっているから、余り思い切ったことをなかなか言えないのだけれども、私はちょっと読んで違和感というか、最近どうかなと思っているのが内部労働市場という言葉なのです。企業内部に労働市場が存在するのかという大前提で、労働市場というのは売り手と買い手あるいは今ので言えば雇用主と労働者の間の、お互いの希望を表現し、そして、それに基づいていろいろ取引が行われていく、決定がなされていくと思うのですが、最近いろいろ読んでみると、内部労働市場というよりは、むしろそこにおいてはここで示されているような企業の裁量度の高さに基づく雇用管理というのが行われていく中において、どこまで労働者の選択といったものが認められているのだろうかという。それが制限されているとすれば、労働市場という言葉を使うのはどうかなと。少なくとも外部労働市場についてはそういった面があると思うのです。その仕事を受け入れるのかどうか、あるいはオファーする側についてもあるのだけれども、この中で出てくるのが多分国際基準あるいはスタンダードとはちょっと違っている日本の実態としての労使の関係といったものがあるのかなと思っていまして、それがすんなりとほかの国で展開されているものをそのまま日本に持ち込めない1つの理由という感じがするので、ちょっとこの表現、やはり慎重に使ったほうがいいのではないかなというのがまず最初にありました。
 鶴さん、まさに最初のガードのところが。
○鶴委員 私もどちらかというと樋口先生の今の御意見に近い感じで、どうもずっと内部労働市場、外部労働市場という考え方で分けていったのでは、なかなか分け切れない話というのが実はあって、これは例えばいろいろな分け方、メンバーシップ型なのか、ジョブ型なのかとか、限定型なのか無限定なのか、就社型なのか就職型なのかとか、いろいろな議論がされているのですけれども、実はそれぞれみんな軸を分けてやっていくと、みんな同じところできれいにそろうということではないのです。
 今の樋口座長のお話は、内部労働市場ということで海外もそういう仕組みは当然あるのですけれども、その中でその裁量というのがどれぐらい強いのか、そういうところも実は違いがあるというのは現状ということだと思うので、ある意味で内部、外部という1つのこの基準でばっさり割って、それだけで議論ができる問題ということなのか。それはもうちょっときめ細かく見ていく必要は当然あるのだろうなと。
 これまでもこの議論の中でもいろいろな問題について幾つか違った軸で見ていかないと、どうも実情がよくわからないというのがここでの議論だったような感じもしますので、今の問題意識、お話、ずっとこの場合、特にこの経済学者のこの言葉は内部労働市場、外部労働市場、ずっと使い続けてきて、私も前回の雇用政策研究会とかそういうところでも申し上げたことも多分あったのだと思うのですけれども、どうも私自身も違和感が何となく続いているというのはありますので、これは全く問題意識としてはおっしゃる点は重なると思います。
○樋口座長 はい。ありがとうございます。
 余り座長がしゃべるのはよくないのかもしれませんけれども、やはり、外部労働市場の重要性は高まっているのは間違いないと思うのです。そうすると、ここで言う内部労働市場と外部労働市場というのは表裏一体の面があって、片方を変えていくのであれば、片方もやはり変えていかざるを得ない面というのが多々あるのかな。
 例えば、その後に外部労働市場の機能を高めるというところでマッチングの話が大分出てくるのですが、このマッチングがうまくいく、これは重要であることは間違いないのですが、前提があるのだろうと思うのです。それはやはり基準がはっきりしているというところで、その基準は職業能力を軸として、人間性とか何とかというものももちろんありますけれども、そういった全体的なものがはっきりしないと、ここで言うマッチングとか能力開発、能力評価の方法とかそれが確立してきたとして、これは今までもずっと言ってきたことなわけです。
 何でこれが大きく変わっていかないのかなということを考えると、ふだんの企業の中における働き方と密接に関連していて、そこにおけるキャリア形成という一環として考えていかないと、従来の無限定な働き方ということのままで外部労働市場を強化しましょうということが、果たしてうまくいくのかどうかということに疑問を持っているところがあるのでという感じがします。
 それからこの問題で言うと、2ページの一番上の(2)のタイトルのところで、長期的な云々、企業内の柔軟性と長期的な人材育成は日本企業の強みとなっているのだけれども、間違いなく強みであることは言うまでもないのですが、一方において、その限界があるということでも言わないとまずいのかなと思います。そこはどこまで書き切れるのかというのは個人の論文だったら書きます。
○本多雇用政策課長 用語の使い方も非常に専門的な話でございますので、また御指摘を踏まえてと思います。外部労働市場の活性化のためには内部労働市場のほうも外部労働市場と親和的になるようにというか、そういったアレンジが必要であるとか、あるいは内部労働市場の限界については、一部書いてはいるつもりではあるのですが、そういったところをもう少しわかりやすくしたいとは思っております。
 ただ、ちょっと気になりますのは、一労働者の視点から見ると、内部労働市場の中で調整を受けるのか、あるいは外部で調整を受けるのかというのは1つの企業なり、企業グループとの雇用契約の延長線上でいけるのか、あるいは一旦その契約を切った上で別の契約に乗りかえる必要があるのかということで、労働者の観点からするとやはり内部と外部というのが非常に影響が大きいと思っておりまして、そこはどうしたらいいのかというのが少し気になる点でございます。
○樋口座長 要は内部と外部が完全に分断されている仕組みというものの全体の市場強化、資源配分とか、先ほどのような議論を考えたときに、この厚い壁のままどうするのかというところのまさに問題が、今、起こっているのだろうとそこは思います。後で何かその移動コスト、転職コストをいかに下げるかという議論は出てくるので、まさにそこの厚い壁というのが、外部市場だけを変えればという話でもないのではないか。両方をやはり調整できるようなコーディネーションが必要なのだと思うので、宮本先生も。
○宮本委員 全体としては先ほど鶴委員がおっしゃったとおり、大変丁寧に書かれていて、御苦労を多としたいと思います。
 その上で今の忘れないうちに内部、外部の話からしますと、私は経済学者ではございませんので、そのあたりのタームの問題は通じてはいないのですけれども、恐らく内部と外部の関係が変化しつつある、そこを捉えようとされていると思うのです。
 ちょっと章が変わってしまうのですけれども、3章の頭のところで「企業内人材育成の維持・強化」というところで、要するに外部労働市場がそれなりの発展を見せている中で、逆に育成した人材が他社に流出してしまって、投資したコストが無駄になってしまう。だから、訓練の投資を手控えるという、ある種変化の狭間で非常に不幸な関係が起きてしまっている、合成の誤謬といいますか、ここを何とか恐らく捉えたいのではないかと思うのです。
 であるからして、そこを少し企業サイドにもこの変化の局面で安心して投資できる条件づくりという形でその内部と外部の比重の変化を見通すことを可能にしていく、そんなイニシアチブが必要なのかなと思います。
 そこはそれで戻って、先ほどの冒頭の序章と1章のところをひっくるめてお話しさせていただきますけれども、座長がおっしゃった成長のための雇用政策という表現でよいのかどうかという話です。
 今、成長というシンボルが全面に出てきているので、これを1つ糸口にするのはいいと思うのですけれども、成長シンボルがひとり歩きをしてしまって、これが社会全体に均霑していくとか、逆に底上げ型の成長につながって循環していくとか、そこがややもすると忘れられがちになっているということで、恐らくこの報告書自体がやはり成長を持続させるためにも最適配置であるとか新しい受け皿への注目だとか全員参加型の巻き込みだとかが大切だぞというメッセージだと思いますので、成長のためのというよりは成長を支える雇用政策、成長を持続させる雇用政策とか少し表現を変えたほうが、その意図は明確に出るのかなと思います。
 その上で、1章に関しては6ページの失業なき労働移動、これもこの言葉が産業競争力会議等から打ち出されるのはある種必然的なことだと思うのですけれども、その失業なきという部分がきちんと担保されるためにも、例えば丸の冒頭のところ、細かい話で恐縮ですけれども、労働移動を阻害している要因というよりは、失業なき労働移動を阻害している要因、それから、その中の矢印、三角形の4行目ですか、労働移動に伴うコストの支援とリスクの管理とかリスクへの対応といったように、ちょっと失業なき労働移動がややリスキーな労働移動に流れがちな傾向もございまして、そのあたりを少しフォローしていくということをお願いしたいと思います。
 それから、申し上げようと思うのは2章に入りますので、ここはここで一旦まずとめさせていただきます。
○樋口座長 1章でほかに。黒田さん。
○黒田委員 大部な資料を用意してくださってありがとうございます。
 私も、今、樋口先生や鶴先生、宮本先生のお話と似たようなことを感じました。一番最初の研究会で申し上げたのかもしれないですが、内部と外部というのは樋口先生がおっしゃったように表裏一体の関係なので、どちらかだけをフィックスして、どちらかを動かすということは難しいと思います。
内部労働市場は、一時点の生産性と賃金が一致していないので、その結果、外部労働市場でマッチング機能を強化してうまくマッチさせようとしても、内部の中になかなか入ってこられないということがあるのだと思います。そういう意味では、先ほど宮本先生が御指摘になった6ページの下から2つ目の丸のところですけれども、外部労働市場の整備をしていこうという感じのメッセージを出しつつも、内部労働市場の人たちのリテンションを高めるために賃金を高める必要があるという提案は、若干議論に矛盾が生じる部分ではないかと思いますので、ここは少し整理していただきたいと思います。
○樋口座長 どうぞ。
○神林委員 済みません、何となく全員1回発言しなければという空気になってしまったので短く。皆さん御指摘のように、基本的に内部労働市場と外部労働市場というのはトレードオフの関係にあるというのが私たちの基本だと思います。なので、外部労働市場を発展させれば内部労働市場が収縮するというのが、基本的なメカニズムなので、両方とも発展するというのは、何か特別な説明が必要なのだと思います。
 これは以前申し上げたと思うのですけれども、その点でそのときの答えが、たしかベスト・ミックスを考えるという表現でそれをカバーしているとおっしゃっていまして、今、ちょっとどこにいってしまったかよくわからないのですけれども。何ページですか。
○本多雇用政策課長 2ページの。
○神林委員 真ん中辺ですね。この「内部労働市場と外部労働市場のベスト・ミックスをそれぞれの企業が追求することになるだろう」というところで、何となく押さえているというお話だったのですが、その辺はもう少し全面に出したほうがいいのかなと思いました。
 あとは第1章に関しては質問が1点ありまして、5ページのハローワークに関する点なのですけれども、ハローワークの機能向上という項の2つ目のところに「ハローワーク間での競争原理がうまく働くような手法を含め」と書いてあるのですが、ハローワークは基本的に管轄が押さえられています。それと競争というのがちょっと概念的に矛盾するのではないかと思うのですけれども、ハローワークも都立高校みたいにフリーにして、どこの求人でも、求職者は基本的にどこでもいいわけなのですが、求人サイドに関してもどこでも求人受け付けますということであれば、競争原理はうまく働くとは思うのですけれども、
求人だけ固定されていて、求職だけで競争するというのは、ちょっと違和感があります。なので、この点に関してはどういうことで競争するのかというのは、具体的にもう少し書いていただいたほうがいいのではないかと思います。
○樋口座長 今の点、どうぞ。
○本多雇用政策課長 前段の御指摘については、ベスト・ミックスの関係は、書き方を工夫したいと思っております。
 ハローワーク間での競争原理なのですが、おっしゃるとおりそもそも本来的な意味での競争はハローワーク間にはありませんので、ここで競争原理という言葉で表現したかったのは、ハローワーク同士でパフォーマンスを比較するとかそういったことで競争的な仕組みを何らかの形で取り入れたいということでございますので、少し競争原理という言葉を使ってしまったのが適切でなかったのかと思いました。こちらの表現を修正したいと思います。
○樋口座長 どうぞ。
○鶴委員 今の点なのですけれども、確かに神林先生おっしゃるように、直接競争しているわけではないということなのですけれども、例えば、地域独占の電力とか、そういうところのレギュレーションの仕方、やり方に関してヤードスティック・コンペティションという考え方があって、それぞれのところを比較する、相対評価することによって、お互いに相手が自分の物差しになるということで、地域独占なのだけれども、その効率をより高めるという手法です。そういうヤードスティックコンペティションという考え方があるので、そこまできっちりしたことをお考えになっているということではないのだろうと思うのですけれども、それでもいろいろハローワークでやっていらっしゃる非常にいい事例とかベストプラクティスとかそのようなほかのところも逆に見倣いながら、全体として効率化していくということは1つの仕組みとして考えていってもいいのではないかというのはあるので、せっかくこういう話をお書きになっていただいているので、何かうまくベストプラクティスをまとめながら、余り相対評価というとまたいやらしくなってしまうのであれなのですけれども、ぜひそこはそういうことを工夫していただければなと思います。
○樋口座長 ほかにどうでしょう。
 皆さんの話のところを少しまとめて反映させていただければと思います。あえて内部労働市場という言葉で考えれば、現状として労使の間のバージョニングポジションの違いというのがあるということは間違いないだろうと思うのです。労働側、組合ということではなくて、働いている者のほうが相対的に弱いと。
 それを逆にいえばどう高めていくのかという声を出せるようにというときに、この7ページのところで労使コミュニケーション云々とか労使自治の尊重、紛争処理、これはすごく重要な問題なのですが、同時に組織率がここまで下がっている中において、労使に全てそういったチェック機能、バージョニングポジションの弱さを補うということが、限界があるのかなというところも感じていまして、これは組合に対する応援のメッセージなのですが、同時にそこに入っていない人たちが相当多くなっているという現実もあるわけですから、そこをどうするのかということもありますし、さらには、これはこの間学生が調査をやって、大学生において労働法の内容をどれぐらい知っているのかというのをアンケート調査をやったグループがあって、余りにも知らないというので愕然とする、回答率20%というのは正解ですが、80%の法律的な、基礎的な内容なのですけれども、知らない。そのまま会社に入っている。
 では、定年退職するときに知っているのかというと、どうもそこもよくわからないで、要するにみんな法律を知っているという前提であるいは守っているという前提でやっているのですが、そこのところを相当に崩れてきているし、法律の周知とかあるいは教育の問題あるいはそれを今度は担保するようなところをどう制度として考えていくのかというのも重要なところなのではないでしょうか。
○本多雇用政策課長 ありがとうございます。
 若者を対象にした例えば今の労働法教育については、14ページのところの下から2つ目の丸で、労働法教育を含むキャリア教育が必要ということは書いてあるのですが、ただ、これは学校段階の話でございまして、仮に学校段階でそういった知識を得られなかった場合のフォローも、今、お話を伺っていて必要なのかなと感じました。
 7ページは労使コミュニケーションと法令遵守、紛争処理という話が書いてあるのですが、そもそも企業が法令遵守をしているかどうかが察知できるように、労働者がまず労働法について知っている、自分の権利を知っているということが前提かと思いますので、ちょっとこの7ページのところにも労働法の周知ですとかそういった趣旨のことが書けないか検討してみたいと思います。
○樋口座長 確かに労働者側だけではなくて、使用者側もどこまで法律知っているのかという問題もありますから。
 よろしければ、2章の、ただ7ページまでのところでこれは内部労働市場と取り上げているからなのかもしれませんけれども、後で出てくる労働市場の二極化の問題、要するに非正規が40%になっているところは書かない。それは(2)内部労働市場を書いているからということですかね。
○本多雇用政策課長 非正規の話は内部労働市場との関係では、2ページの1つ目の丸のところに内部労働市場が非正規雇用労働者の労働者を活用することで、そういった変化への対応を図ってきたということで言及をされていますが、退職については後段の全員参加のほうで。
○樋口座長 そうしたら、8ページからの「第2章 雇用の受け皿」、はい、どうぞ。
○鶴委員 ありがとうございます。
 8ページの最初の労働市場を二極化するのかというところの、一番最後の丸のところなのですけれども、これはいろいろ海外、アメリカでオーターらが指摘されている話をここでも御紹介いただいて、要は中抜き現象が非常に深刻化しているということだと思います。そうしたときにどう対応するのかということで、最後から2つ目の丸のところで、確かに高度人材というところをもう少し育成しなければいけないと、これは確かだと思います。ただ、そこに行ける人たちはすごく少ないわけです。そうなると、この一番最後の丸のところで、低スキル、低賃金の仕事ということで、これはなるべく省力化を進めましょうということなのですが、最後「希少な労働力を人でなければできない仕事に振り向けて」と。人でなければできない仕事というのが具体的に何なのか。何かもうちょっとさらにパラフレーズしていただきたいというか、何かここで切り捨てているような感じが非常にしていまして、その上に先ほど低スキルだから非定型、手仕事的な労働の需要を増加させるということで、非常に対面型のサービスというものが、先ほどの高度専門的なもの、医者とか弁護士も対面型のサービスなわけですけれども、そうでないものについても非常に逆に言うとこれから需要が、それはいろいろサービス業なり飲食業であり、そういうところだと思うのです。
 今、流行語大賞でもおもてなしというのが出てきたわけですけれども、何かもう少し人でなければできない仕事というところを、上でもそういう話をちょっと頭出しをされているので、少しここは書き込んで、こういうところももっと頑張れば需要がふえていくし、それに対する対価をちゃんと支払わなければいけないという議論もここであったと思うのです。そういうところをセットに、こういうところも将来性がある、頑張れるというぜひともメッセージを入れていただかないと、これだけだと要は高度専門職みたいな人たちは生き延びるけれども、それ以外の人たちはみんな沈没ですかという、非常に冷たい感じがするなという印象を受けましたので、ぜひここは書き込んでいただきたいなと思います。
○樋口座長 はい。
○神林委員 ここの点なので、ただの表現上の問題なのかもしれないのですが、そもそも2番目でITによる代替はできないと言っていて、最後でIT化による省力化を目指すと書いてあるのは、多少読む人が読むと何言っているのかわからないということになるのだと思います。
○樋口座長 ここはちょっと検討していただいて。はい、どうぞ。
○両角委員 同じところなので、ほとんど鶴先生と同じ意見かもしれないのですけれども、特にこの中でも対面型のサービスで介護とか保育とかそういうものについては、これは仕事の本質上相手の感情を満足させる、感情労働が仕事の本質なので、省力化とか生産性という概念を正しく理解していないかもしれないですけれども、生産性を上げるということ自体が職業の本質とどこまで両立するのか、私はよくわからなくてちょっと疑問を持っていまして、だから、生産性が上がらないから賃金が上がらないからという話はあるかもしれないけれども、この仕事の価値はそこにあるのではないので、何かもうちょっと別の考え方でこの仕事を評価して、もし必要があればそれを何らかの形で守るみたいな政策も必要ではないかと思うのですけれども、そういうことももしあれでしたら、少し書いていただけるとありがたく思います。
○樋口座長 これは前回、どなたかが出された問題で処遇の問題、賃金の問題、それをここでどう扱うのか、扱うのか扱わないのか、この二極化の話とも合わせて。例えば、OECDのレポートで労働分配率の時系列比較をやっているのが最近出ていて、日米英仏独、どこにおいても長期的に1980年からずっと見てくると、分配率がトレンド的には下がっている。景気によって上がったり下がったりというのはありますけれども、トレンド的に下がっている。その中で日本の下がり方が異常に高い、大きい。
 1980年ぐらいは大体この5カ国で見ると真ん中ぐらいだったのが、今は一番下に来ている。何ではかるのかという分配率自身も、そこにはGDPに占める労働者報酬という形ではかっていますけれども、そういった問題とか、あるいは最近だとまさに格差の問題として、労働者間の格差のところがこの二極化と関連して出てきていて、それをどうするのかというか、問題意識がちょっと明確になっていないかなと思うのですが、そこは触れないと。
○本多雇用政策課長 そこはもう研究会の御議論次第だと思っているのですが、今、報告の中では賃金、処遇の問題については、個別のこういった場面での処遇の改善が必要とかあるいは処遇の公正性とか、そういった観点から触れてはいるのですが、分配、再分配といった観点ではこれまでそこまで御議論がなかったかと思っておりまして、そこについては触れておりません。
○樋口座長 どうぞ。
○宮本委員 2章についてこれまでの委員の先生方の御議論と重なるのですけれども、2の(1)のところで労働市場は二極化するのか。雇用政策の文章としては、やや突き放した、傍観的な表現になってしまっているのがちょっと気になって、これはもちろん問題意識はそのとおりだと思うのですけれども、1つは、二極化といったときにここでベースになっているのは恐らくライシュ的な、シンボリックアナリストとそれ以外という二極化がベースになっていると思うのですけれども、企業規模あるいはグローバル市場と連携した企業とどのようにしていくとか、それから正規、非正規とか、今、言ったシンボリックアナリストとルーティンとか、いろいろな二重構造が連携しているわけです。
 そのあたりの二極化は何を指しているのか、少し丁寧に書いていただくのと、もう一つは希望の光といいますか、それぞれの二重構造の中で、例えばドメスティック企業の中にいろいろな人気産業が生まれてくるとか、非正規であっても高度な職種がオランダモデルなどでよく紹介されますけれども、非正規のあるいはパートタイムの管理職とかあるいは低生産性部門からそれこそ新しいイノベーションが生まれて介護ロボットが成長を牽引するとか、そういった二極化、二重構造が崩れていくダイナミクスみたいなものをちょっとここにも書き込んでいただいて、そこにつなげていくという話にしていただいたほうが、二極化するのかみたいな感じの記述になってしまうと、少し弱いかなという気もします。表現の問題になるかと思います。
○樋口座長 はい、どうぞ。
○本多雇用政策課長 この点については、ぜひこの研究会で御教示をいただきたいと思っていたところなのですが、ここのタイトルの二極化するのかという投げかけた形にしているのは、いろいろ文献を見た限りでは、非常にアメリカとかでは二極化の議論が盛んに行われているようなのですけれども、日本で行われた分析は、主なものとして池永先生と神林先生がされた実証分析が中心なのかなと思っておりまして、その分析を見てもIT化やグローバル化にプラス日本固有なのかどうかわかりませんが、この2つ目の丸に書いてある「高齢化や世帯規模縮小によるサービス消費構造の変化」も二極化に影響しているという問題提起で、まだ、そういったアカデミックな世界でも定説がそこまで確立していないのかなという認識で、ちょっと言い切れる自信がなくてここでは問題提起をしているというところでございます。
 ですので、データで示しているように定性的な書き方で、将来に向けた問題提起をしたというところで、少しパラフレーズが足りなかったり、あるいは今後にどうつながるのかが見えないことになっているのかもしれません。できる範囲でもう少し工夫はしたいと思っております。
○神林委員 その辺よろしいですか。ウォーター流の二極化ということに関しては国際比較はほとんどできていません。日本で私と池永さんが今やっていることと、また、ドイツで似たようなことをやっている人たちがいて、大体それぐらいしか成果は出てきていません。それに比べますと、グースマニング、LSEのアラマニングが中心になってやっているもう少し簡便な二極化の計測の仕方があるのですけれども、それは今、ユーロファンドというところがEU27カ国だけではなくてアジア、南米、アフリカ諸国まで含めて、同じような指標を使って二極化の傾向がどれぐらい進んでいるのかを確かめようというプロジェクトが現在進行中で、私も参加しています。
 つい先日、それがブリュッセルで会合がありまして、大体プレリミナリーがリザルトが出てきているのですけれども、実は二極化が進行している国というのはメジャーではありません。日本、アメリカ、イギリスといったアングロサクソンの国と日本に関しては二極化が進行するのですけれども、そういう指標で見ると、例えばお隣韓国に関しては全く二極化は進行していません。なので、二極化は必ず進行するわけではないだろうという話が出てきております。ただ、その原因に関しましては、実はまだよくわかっておりません。どうしてそういう国とああいう国が分かれるのだろうと。
 欧州でもドイツとフランスというのは状況が大きく異なっています。そういったことなので、この辺はまだちょっと本当にクエスチョンというところではないかと思います。
 補足すれば、池永さんと私が、今、考えている筋というのは供給サイドが1つ問題になって、日本の場合にはまだ労働力率が欧州並みに高くないですから、労働供給を考えたときに部分的に労働供給してくれる人がまだいっぱい追加的にいるわけです。ですので、賃金が上がってこないということがあるので、IT価格と賃金との相対価格をとると、どうしても相対的に賃金が安いという仕事がふえてしまうだろうと。
 だとすれば、そういうところでジョブがふえるということは理にかなっていると。フランスのように労働供給の圧力、労働供給の余地もほとんどなくなってきていて、かつ最低賃金が上がっているようなところに関しては、最低限の賃金とIT価格を比べたときにITのほうが相対的に安くなるということが起こると、そういう低賃金のところはITで代替しようという動きが出てくるのではないかという仮説は出てきております。その程度です。
○樋口座長 はい。
○鶴委員 ありがとうございました。
 ちょっと神林先生に御質問なのですけれども、ドイツなどでは同じような、さっき御紹介された方々が分析をやっていたと思うのですけれども、割と二極化が進んでいるというのを見たことがあるのですけれども、そうなると大陸、ヨーロッパでもそういうちょっと例があるということと、あと日本は、はっきり言ってどこまでITというのが浸透しているのか、使いこなしているのかという問題点もそもそもあるのだと思うのです。まだ、日本というのはそういう意味では逆におくれているところがあって、ただ、そこがある意味でアメリカ並みみたいになっていった場合にどうなるのかということになると、かなりやはりそういう状況になる可能性というのは、もしかして高いのかなという、これは済みません、私の印象論で、今、御説明していただいた今の学会の状況はそういうことだと私も理解しております。
○樋口座長 どうぞ。
○神林委員 ドイツの場合には、これはドイツの研究者が言っていたのですけれども、やはり旧東欧諸国との間の言語的な壁が非常に低くて、EU統一後、外国人というのでしょうか、EU内外国人の方の流入が他国に比べて非常に多いという状況があるそうです。なので、フランスに比べますと、明らかに追加的な労働者に払う賃金の額が低いという理由があるそうです。
 これは、昨今、報道されていますけれども、ドイツには最低賃金制度がありません。最低賃金は労働契約の各所適用で今までやってきたわけですけれども、それをカバーする範囲が70%を切ってきているということが言われておりまして、今度の政権で最低賃金を入れるかどうかという話をし出しているわけですけれども、それはやはりそういう状況があるということだと思われます。
○樋口座長 二極化とか所得の不平等、格差問題というのは、1つは政府の再分配機能の問題。これは事後的な所得格差であるというところの問題はあると思いますが、もう一方では、事前的な所得、給与にもいろいろな影響が出てきている。それに対する対策は、従来から積極的雇用政策の重要性が強調されてきたので、少しそこは書き込んだほうがいいのではないかと思います。能力開発であるとか職業紹介ももちろんありますし、どうやって付加価値限界生産力が結果的に下がってしまった人たちをサポートしていくかという施策は必要なのだろうと思いますが、幾つかここに書いてあることをまとめればそんな話になってくるだろうと思います。確かに最賃のことも各国とも議論になってきて、クルーグマンがこの間、唯一のアメリカをよみがえらせるのは最賃を引き上げることだということを書いていますけれども、そこはどう考えるかは別として、そんなことも議論にはなっているということで、ほかにどうでしょうか。
○神林委員 ここは労働需要のセクションになっていると思うのですけれども、こういう議論はこういう場でふさわしいかどうかわからないのですけれども、結局、労働需要は派生需要にしか過ぎないので、雇用政策で何とかなる部分というのは、かなり限定されていると思うのです。直接的な賃金補助という手段というのはあり得るかと思いますけれども、むしろ産業政策のほうで産業を発展させるということがこの労働需要を増進させる王道といえば王道になりますので、そういう考え方は入れておいてもいいのかなと私は思います。
○樋口座長 では、そこはぜひ入れてということでよろしいでしょうか。はい、どうぞ。
○宮本委員 同じ章で(2)の3の建設のところで、これもオリンピックにかけてこれから1つ焦点になっていくと思うのですけれども、国土強靱化といいますか、既存施設の修繕維持管理に向けた業界の技術や人員の配置転換は、実はそうスムーズに進んでいないように思いまして、ここをきちんと都道府県なんかでは随分積極的に取り組んでいるところはあると思うのですけれども、この文章としてもちょっと頭出し的にその必要性について触れるということをお願いしたいと思います。
○樋口座長 よろしければ、第3章のほうに入りたいと思いますが。ここはかなりキャリア形成のことを書いてもらっていて、その短期的な人的資本の向上だけではなくて、あるいは能力開発だけではなくて、人生を通じてのキャリアの形成を通じて、どうしていくかという問題意識もかなり書かれているかな。これが多分、次のところの多様な人材がというところに今度はつながってくるのかなと思います。ここは何か追加すべきことというのはよろしいですか。はい、どうぞ。
○宮本委員 つまらないと言えばつまらないところなのですけれども、今、樋口先生おっしゃったことが大事であるからこそ、11ページ「(2)個人主導の能力開発への支援」、もろもろの3番目の○のところで、先ほど先生おっしゃっている能力だとか相手の感情を理解するあるいは物事を伝える能力、これは学生時代に身につけることが必要である、ちょっとこれはどうなのだろうかと思います。むしろ学生時代の前、就学前教育の重要性だとか、働き始めてからこういう能力を高め続けることができる条件とか、それ以外のスパンが大事なのかなという気もしますので、ちょっとここは再考を願いたいと。
○樋口座長 はい、どうぞ。
○鶴委員 今まさにおっしゃる点なのですけれども、非認知能力ということになると、非常に学校に行く前が大事だという研究もあるわけなので、今のお話はそうだと思います。
それでこの1章のほうで、先ほどちょっと議論になった内部労働市場、外部労働市場ということで、先ほどベスト・ミックスというお話もあったのですけれども、ある意味、内部労働市場に対応するところがこの企業内人材育成の維持・強化というところで、個人主導というのは別に外部ということではないと思うのですけれども、ある意味でそういうところのミックスをこれからちょっと変えていこうかなと。その中で内部、外部の環境を考えるときに、このキャリアを一本の筋を通して、こういう能力開発をしていくことが出てくると思うので、何か3章になるとそれまでの話ということの関連は全然書いていないので、何かどこか例えば1章との関係が明確になるような導入をしていただいたほうがわかりやすいのではないかなと考えます。
 以上です。
○神林委員 それはそうだと思います。なので、内部労働市場を通じた人的資本の蓄積というのと外部労働市場を前提とした人的資本の蓄積というのは、ちょっと話が違ってくるので、それは明確に区別をしたほうがいいと思います。(1)は内部の話をしていて、(3)、(4)は外部の話をしているので、ある程度分けられているかなと思うのですけれども、この個人主導というところは両方あり得ますので、外部労働市場の場合には定義によって個人主導でなくてはあり得ないわけですけれども、内部労働市場であっても自分のキャリア形成を企業の中で考えるときに、一方的にあれやれ、これやれと言われるという状況が、今、そうだと言われていますけれども、それとも自分である程度キャリアを企業の中で形成するときにイニシアチブを発揮するというのは、幾つかの先行的な企業で出てきていますので、そういうところは個人主導の内部労働市場での人的資本形成となりますので、その辺のグラデュエーションは区別して書くとわかりやすいのではないかと思います。
○鶴委員 ちょっといいですか。
 今の話に関係して、確かに外部労働市場というのは個人が自分でいろいろ責任持って、自分でやっていかなければいけないという面もあるのですけれども、でも、実は公的職業訓練という役割を考えると、実は割と外部的な、これは歴史的な経緯からいうと1950年代、60年代ぐらいまではむしろ職種別の仕様をつくっていこうということで、厚労省さんも割とそういうところを重視していたという、それが70年代、割と企業の特殊な投資を重視するために補助金を出していくとか、そう政策が変わっていったということもあるので、要は外部労働市場と結構公的職業訓練の連関もあるので、そこを何章か私は分かれていると思うので、ちょっと整理は必要なのかなと思います。
○樋口座長 この全体は職業選択ができるという企業の中においても、内部公募制ではないですが、企業選択ではなくてそこにおいて能力開発をどうしていくかというつなげるものは、これを有効に機能させるためには前提が幾つかあって、その前提を少し書き込むということなのではないでしょうか。
 職務が不明確であるとかいろいろなところもあって、実態としてあなたの仕事とは何ですかというところが結局は問われてくるような問題があると思いますので。
 よろしければ14ページから。どうぞ。
○両角委員 小さい点なのですけれども、11ページの下から3つ目の政府は、社会人となってから、労働者が主体的に能力開発に取り組むことができるような環境を整備していくことが必要であると、本当にそのとおりなのですけれども、もうちょっと具体的に、どのような形でということがもしあれば、もう少し具体的に書いていただいたほうがいいように思います。
○本多雇用政策課長 そこは、今、まさに進めているところでございますので、少し具体的に触れたいと思います。ありがとうございます。
○樋口座長 第3章、よろしければ14ページからの第4章の「全員参加の社会」の実現に向けてというところはいかがでしょうか。どうぞ。
○宮本委員 この第4章のところで、(1)からずっと丁寧に書いていただいているのですけれども、やや縦割り的な記述になっていて、もちろんそれぞれの柱を丁寧に書き込むことは大切なのですけれども、(1)の前の部分、つまり総論的な部分で全員参加型社会を求めていく、大げさに言えば基本的な理念とか哲学みたいなもの、つまり日本社会はこれまで支える側と支えられる側の二分法がかなり明確であったところがあって、もともと雇用を重視した社会だったので、支えられる側は働けない人みたいに随分絞り込んできたのですけれども、みんな働くことにいろいろなハンディを負うようになってきて、この二分法がそのままでは維持できなくなってきている。
 1つは支える側を支えることで、支えられる側が支える側に入っていきやすくするという大きなシステムの転換みたいなものが求められていると思うのです。そのあたりのことを少し膨らませて総論的に書いていただけないかということ。
 もう一つ言うと、そこは一連の各論のところにも生活困窮者といった表現は出てきてなくて、実は今、各論のところで述べられているいろいろな要因が絡まり合って参加できないという形が非常に大きいわけです。そういう意味でもせっかく新しい法律もできたところでありますので、生活困窮者という言葉を使うかどうかは別として、もうちょっと参加に困難を抱えている人たちを支える社会の理念、哲学みたいなものをちょっとお書き願えないか。
 ついでに申し上げると、今、ちょっといろいろ調査などもさせていただいているところで、青山にアイエスエフネットというIT会社がありまして、ここは20大雇用というのを掲げていて、20大は生活保護の受給者、これは川崎市との協定で100人ぐらい生活保護の受給者を雇うと言っているのですけれども、それから、DV被害者とか障害者とか雇用に困難を抱えている20分野の人たちを雇って、それを生産性に結びつける。まさにダイバーシティマネジメント、経営哲学の転換みたいなことをやって、実際業績を伸ばしているわけですけれども、こんなところも念頭に置いて経済であれ社会であれ、大げさに言うとパラダイム転換みたいなことを書いていただいて、恐らくここでは論じられているのだろうなと思います。
 とりあえずそういうことです。
○本多雇用政策課長 今、お話しいただいたことの前段で、ちょっと支える側を支える、そのあたりをもう少し御説明いただけますでしょうか。
○宮本委員 要するにこれまでの日本社会、まんまるぴかぴかの個人がちょっとくしゃっとした人を支えるみたいな構図があって、24時間戦いますかみたいな話になっていたわけです。
 ところが、実際は現実にはみんな会社は潰れることがあるし、それから、子供の送り迎えもしなければいけないしということになってくると、何かまんまるぴかぴかではいられないところがあって、だからこそ、保育であれ、能力開発であれ、現役世代、全世代対応の社会保障を問う。そこにサポートを広げていく。逆にここがサポートが入ることで、支えられる側がこちらに入ってきやすくなるということを考えると、さっき言った支える側、支えられる側という頑固な二分法からはある程度自由にならなければいけないという、それが全員参加型の社会なのかなということです。
○本多雇用政策課長 わかりました。
○樋口座長 鶴さん。
○鶴委員 ありがとうございました。
 今、宮本先生がおっしゃられた話とかかわるのですけれども、4章の一番最初のところで、その後が縦割りになっているので、横串的な話を入れなければいけない。私も宮本先生の御議論、まさにそのとおりだなと思って、ちょっとお話の中にいた、やはり労働時間の問題というのが、この会議でも何回も出ていると思うのですけれども、この2つの丸のところにどこにも労働時間という言葉が出ていないなと。何かそれを入れていただいて、それをいろいろ考えることで全員参加は1ついろいろきっかけが出てくる、先へ進むのだよというものをここでにじませていただいたほうがいいのではないか。後でしっかり書き込んでいただいているので、むしろ頭出しみたいなことをお考えいただきたいと思います。
 それとあと済みません、もう一点なのですけれども、(1)のあらゆる状況にある若者をしっかり育成と。これは非常に言いたいことがよくわかるのですけれども、何となく日本語になっていないかなという。あらゆる状況にあるということは余り言わないなと、僕はいつも気になるのはしっかりという言葉が、僕もよくしっかりという言葉は使ってしまうのですけれども、何をしっかりなのかというのは、しっかりという言葉の中でわからないのです。きめ細かくやるのか量的にやるのか全力でやるのか、しっかりといったときに具体的にそこは何なのでしょうかというのがあるので、少しさまざまな状況にあるとか、若者をどうきめ細かく育成するのか。そうやってしまうと非常に色あせてしまうのかなという感じもあるのですけれども、ちょっと日本語だけの問題なので、少しお考えいただければと思います。
○樋口座長 最初のところにその労働時間の問題を、要するに暮らしと仕事のバランスをどう考えるか。そこから個別の例えば若者とか女性とか高齢者、外国人という話が出てくるので、ここをどうするかということですね。そういう順番の問題だけではどうもなさそうだなと、その最初のところに少し書き込む必要があるだろうと。18ページの(6)で、介護と仕事ところに限定しているのだけれども、介護も確かに重要な問題なのですけれども、介護と仕事だけでいいのだろうかということです。育児もあるだろうし、家庭生活もあるだろうし、個人生活もあるだろうし、自己啓発もあるだろうし。何となく介護だけが出てきたのがちょっと目立つので。
○本多雇用政策課長 女性の観点からは両立の話を書いてあるのですけれども、特に介護と仕事の両立は最近のホットイシューというか、これまた急速に、深刻になっていくので独立して項目立てをしてみたところなのですが、介護だけでないとすると、ここにやっぱり育児の話も書くということなのか、どういった点をつけ加えればよろしいでしょうか。
○樋口座長 加えなくても男性の。
○本多雇用政策課長 男性の。
○樋口座長 男性のまた大きな課題というのはちょっとあれなので、どうでしょうか。
○黒田委員 私も同じことを思ったのですけれども、男性は長時間労働ができるのが前提という世の中から、多様な働き方を男性でもできるというメッセージをこのあたりで織り込んでいただけるといいと思います。男性も育児と介護以外にもやりたいことはほかにもあるという方は多々いらっしゃると思いますので、その点を入れていただければと思います。
 それから、引き続きよろしいでしょうか。
○樋口座長 はい、どうぞ。
○黒田委員 長時間労働の(7)のところですけれども、恒常的な長時間労働の問題点として、人的資本の形成ができなくなることと、女性の活動を阻害する要因という2点を挙げていらっしゃるわけですけれども、そこに加えて労働者の健康を阻害する要因にもなり得るということを入れていただいたほうがよろしいかと思います。前回、労働時間の議論の回に私は参加できなかったので、余りどういう議論がなされているか把握していないのですが、メンタルヘルスなどの健康問題は多くの企業が悩んでいる問題となってきておりますので、そういったことも書いていただければと思います。
 それから、同じ長時間労働のところで、先ほど樋口先生がどうやって労働者のバーゲニングパワーを上げていくかというところで、1つには先生がおっしゃっていたように、法律をいかに周知させるかあるいは法律でどれだけ守るのかということもあると思うのですけれども、ちょうど昨日ブラック企業に関する調査も公表されたようですが、長時間労働という過酷な現場で働かざるを得ない状況を選択している労働者は、アウトサイドオプションが乏しい可能性もあるのではないかと思います。
 そういう意味では、労働条件があまりに過酷であれば他の企業に移っていけるという中途採用市場の厚みを強化するということが、結果としてアウトサイドオプションをふやし、過酷な長時間労働を防ぐということにつながっていくと思います。つまり、ここでの長時間労働の議論も、また1章に戻っていくという感じで書いていただければなおわかりやすいのではないかと思います。
○神林委員 主に構成なのですけれども、先ほど来、縦割りという言葉が出てきているのですが、私が読んだ感じだと縦割りの部分とそうではない部分が混在しておりまして、この「労働者の希望を生かした多様な働き方の実現」という項は、念頭に置かれているのは恐らく非正規労働者が中心だと思われるのですけれども、これは別に非正規労働者に限らない一般的な問題だと思います。正社員であっても多様な働き方を実現したいという要求はあるわけなので、これは縦割りではなくてもっと最初に持ってくるべき話題なのかなと思います。
 そういう意味では、長時間労働の1つのメカニズムというのも一般的といえば一般的なのですけれども、この辺はちょっとグレーかなと議論を聞いていて思いました。ただ、私の好みで言うと、この2つの節は一番前に出すべきだと思います。その後にある属性を持った集団に対しての一つ一つのトリートメントを考えていくという構成のほうがわかりやすいかなと思いました。
 あともう一つは、この労働者の希望を生かした多様な働き方を実現するというこの項なのですけれども、1つちょっと違和感があるのは、この希望というのをどうやって表面化させるのかということに関してのアイデアが、これを見る限りは恐らく外部労働市場を発展させて、エグジットアンドボイスの考え方で言うと、エグジットのオプションを充実させることで、結果として、多様な希望、多様な働き方を実現させ、希望を実現させるというメカニズムが前提になっているかのように感じたのですけれども、それとは別の労使コミュニケーションを通じて多様な希望を実現していくという手段もあり得ますので、その辺エグジットを中心にした実現の仕方を考えるべきなのか、それともボイスを中心にした実現の仕方を考えるのかという、2つの方法があるのだということは書いたほうがよいのではないかと思います。
○樋口座長 あるいはそこは両方でもいいという。
○神林委員 両方、もちろん。
○樋口座長 ボイスとエグジット。あとは考えはこうなのでしょうけれども、具体的にそれをどうサポートする制度をつくっていくかとか、法的にどうするのという話は、ここでは書かないでいいのですか。長時間労働は問題だとか有給休暇の取得率が低いのは問題だ。それを意識向上という話が出てくるのだけれども、意識向上ももちろん重要なのだけれども、その意識を向上させるための施策とかあるいは意識だけではなくて、制度的にそれを担保できるような法改正の必要性であるとかというのは、やはりここでは難しくて書き込めないということなのですか。
○本多雇用政策課長 今回の報告書全体なのですけれども、足元の施策を細かく説明すると切りがないということと、あと今後についてはこういうものですので、余り不確実性の高いものも書けないということで、ただ、できるだけその方向性をどこまで踏み込んで具体的に書けるかということですので、御指摘の点については何か具体的なものを書ける範囲で、ただ、足元の施策の説明にはとどまらないようにということで書いてみたいと思います。
○樋口座長 特に長時間労働の解消というのは年次有給休暇の取得というところがかなり問題だというのが明確に書いてあるので、であるとすれば、それを意識改革だけではなくどうするのかという、要はワーク・ライフ・バランスの重要性はわかっているのだけれども、それをどう雇用政策として推し進めるのかというところは、こんな意見も出ましたぐらいでいいのかもしれないけれども、合意とるのは難しいでしょうから。
 あとキャリア選択という話になってきたときに、これも制度の問題として、例えば産業医と同じようにカウンセラーを企業に置くとかキャリア・カウンセラーとかコンサルタントなどというのも考えられるかなと思いますが、そこまでキャリア形成が重要だというところでおさめるのですか。
○本多雇用政策課長 御提案の趣旨は企業内でキャリア・カウンリングを受けられるような体制を。
○樋口座長 そういうことですね。本当は組合がやるというのも組合にとって重要な、いろいろな問題を抱えている労働者をサポートしていくところでも重要なのでしょうけれども、そこに期待するということでいいのかな、よくわからない。
○鶴委員 今、長時間労働のお話も出たのですけれども、確かにどういう制度設計をやるのかで書き込めることと書き込めないことがあると思うのですけれども、今、また長時間労働、若者のブラック企業の話も先ほど出ましたけれども、非常にまた焦点が当たってきている問題だと思うのです。
 これは私もここでは申し上げましたけれども、20年ぐらい前に生活大国だと言ってから、それはいろいろやりましょう、やりましょうといってずっとできていない課題で、また、今、その議論が大きく盛り上がってきている。これは本当に何とかしなければだめだということが、この報告書を読んだ人が、これまでとこの問題の取り組みについてはかなり抜本的にみんな意識も変えなければいけないし、やらなければいけないというものが、何か読んだときに感じられるような文章に少なくともしていただきたいという感じがあって、これは企業のいろいろな取り組みということにやっていただくしかしようがない、それはそうだと思うのですけれども、何かこの問題は本当に、今、まさしく大事なのだというニュアンスをぜひとも最後の報告書のときに、我々が見てはっとするようなものをぜひともお願いしたいと思います。
○樋口座長 はい。
○本多雇用政策課長 今の鶴先生の御指摘については、文章力の限界もあるのですけれども、頑張ってみたいと思います。あと、先ほどのキャリア・カウンセリングの話なのですが。
○樋口座長 カウンセリングは1つの例であって、いろいろな施策があると思うのだけれども、どこまでそれを書くかということです。
○本多雇用政策課長 今、思いつくのは企業でも本人がキャリア・デザインを意識して、コーチングをするとか、そういったことの取り組みの事例は何かあるのではないかと思いますので、例えば、そういったことを紹介しながら、そういう姿勢が大事であることを少し盛り込めないかどうかということです。
○樋口座長 なのだろうかと、それでいいのだろうかというところだと思います。
○神林委員 その辺はむしろもっと強制的にカウンセリングをしなさいというルールをつくってしまうという話があり得るということではないかと思います。
 例えば、大学でしたらジュニアファカルティに対して、シニアファカルティはちゃんと面倒見なさいと、勝手にやってろというのではなくて、もう少しこうやったほうがいいのではないかとか、こういうフィールドに手を伸ばしたほうがいいのではないかというアドバイスをちゃんとするようにしなさいみたいなルールをつくるとか。
○宮川職業安定局派遣・有期労働対策部長 今回、派遣法の改正の中で、派遣元事業主に対してのキャリア・アップを進めていく。まさにこれはちょっと足元的な話なので、御紹介としてお聞きいただければと思うのですけれども、その中で、今後、今、まさに議論されている最中ですので、これから詰めるという話の中で、この間の公益委員の素案の中にも、そういうキャリア・アップ。その中には当然のことながらキャリア・カウンセリングですとか、その支援体制とか、そういうものについて派遣元事業主、雇用主にそういうものを進めていこうという方向性は今のところ出ているところでありますので、そういう動きを含めて何か書き込めるものがあればという形で、それをさらに一般企業までどこまで進めるのか、あるいは大学とかそういうところ、あるいは民間の職業紹介機関とかそういうところまでどこまで進められるかということについては、今後の方向性という形でふわっとしか書けないかもしれませんが、そういう感じではないかと思われます。
○樋口座長 法律の専門家に聞かないとちょっとわからないのだけれども、いろいろ調べてみて有給休暇について、労働者の権利だと言っている国は割と少なくて、雇用主の与えなければならない義務だとやっている国のほうがどうも多いようで、日本ではまだ労働者が申し入れれば取れる権利ですかとこの間も聞かれたところもあって、すごい大きな問題なわけですけれども、という感じもします。どうぞ。
○両角委員 年次有給休暇についてはそのとおりで、労働者が申し入れなければ与えなくていいわけなので、そこは変えるということはあり得ますし、労働時間規制についても時間外労働手当てをたくさん払わせるという金銭的なインセンティブで抑制するのではなくて、その時間そのものを規制することももちろん考えとしてはあり得るわけですけれども、そういう国ももちろんあるわけですけれども、それをどうするかということだと思います。
○樋口座長 ちょっと議論に出たとどこかにとめてということだと思います。
○神林委員 ちょっといちゃもんに近いのですけれども、19ページの2番目の「個人の立場では」というこのパラグラフは物すごく読んでいるとおっしゃりたいことは十分わかるし、僕自身賛成なのですけれども、何でここにあるのと思ってしまうところがありますので、場所を考えていただきたいと思います。
○樋口座長 どうぞ。
○両角委員 (6)の介護のところで、先ほど男性はこれだけではないと、それは全く私も賛成です。それから、もう一つ、介護休業は労働者自身が直接介護するためのものではないことを理解するとともにというところがあるのですが、確かに介護休業はそうなのですけれども、一方で、時間外労働の免除とか深夜業の免除の制度もあって、全く労働者が介護しないというのではなくて、多分言いたいことは主たる介護者としてやるのではないけれども、介護する時間が必要なわけで、その両方を含めた両立だということがわかるように、もうちょっと表現を丁寧にされたほうがいいかと思います。
○樋口座長 ほかによろしいですか。
 まだ、議論も続いていますが、時間も過ぎましたので、この後は皆さんの御意見をメールか何かで送っていただくということをお願いしてということでよろしいですか。それを反映した形で、次回、修正した案を出してもらうという形で。
 では、そのように進めてまいりたいと思います。
 それでは、次回以降の説明を御紹介いただけますでしょうか。
○高橋雇用政策課長補佐 次回、第6回の研究会は1月27日の2時から4時を予定しております。場所は同じ場所でございます。なお、先ほど座長のほうからもお話がありましたけれども、本日いただいた意見とか御欠席の先生方もいらっしゃいますので、またそういった意見も踏まえまして修正した報告案をお示しさせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
○樋口座長 それでは、本日は以上で終了します。
 どうもありがとうございました。


(了)

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