ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会)> 第133回労働政策審議会雇用均等分科会の議事録について(2013年10月22日)




2013年10月22日 第133回労働政策審議会雇用均等分科会の議事録について

雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課

○日時

平成25年10月22日(火)16時00分~18時00分


○場所

中央労働委員会講堂(7階)


○出席者

公益代表委員

田島分科会長、権丈委員、武石委員、中窪委員、山川委員

労働者代表委員

石田委員(關委員代理)、齊藤委員、曽根崎委員(中島委員代理)、松田委員

使用者代表委員

川崎委員、中西委員、布山委員

厚生労働省

石井雇用均等・児童家庭局長、定塚総務課長、成田雇用均等政策課長
中井職業家庭両立課長、源河調査官、飯野育児・介護休業推進室長

○議題

1 今後の次世代育成支援対策推進法について
2 その他

○配布資料

配付資料 資料1 一般事業主行動計画及び認定制度についての論点(案)
資料2 一般事業主行動計画について
資料3 10月10日の分科会におけるご指摘事項について(補足資料)

○議事

○田島分科会長

 第 133 回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は奥田委員、關委員、半沢委員、中島委員、加藤委員、渡辺委員が御欠席です。なお、關委員の代理として、全国労働金庫労働組合連合会中央執行委員長の石田様、中島委員の代理として、日本労働組合連合会男女平等局長の曽根崎様に御出席いただいております。

 議事に入ります。議題は、「今後の次世代育成支援対策推進法について」です。資料について事務局から御説明をお願いします。

 

○中井職業家庭両立課長

 次世代育成支援対策推進法について、第 2 回目ということで御審議いただければと思います。資料は、資料 1 「論点 ( ) 」、資料 2 「一般事業主行動計画について」、資料 3 「前回分科会における御指摘事項について ( 補足資料 ) 」です。

 本日は、主に一般事業主行動計画に関して御議論いただければと考えておりますので、そちらの関連の資料の説明をいたします。

 資料 1 です。前回分科会での御質問、御意見、併せて効果検証研究会で課題などの整理をさせていただいたことを、論点案として提示したものです。

 本日は、一般事業主行動計画ということでお願いできればと思っておりますが、全体的には認定制度も含めた整理になっておりますので、そこは適宜御覧になっていただいて、完全に切り離せない部分もありますので、そういった趣旨だということでよろしくお願いいたします。

 資料 1 の最初からの枠で囲っている所、「一般事業主行動計画及び認定制度についての横断的な論点」ということで、まず整理をしています。両方に関わる話というのは、制度全体としてあるわけなので、このような形になっています。主な論点案として、順次説明いたします。

 「非正規労働者について」は、「近年、非正規労働者が増加しているにもかかわらず、非正規労働者が次世代育成支援対策推進法の取組の対象となっていない場合がある」という指摘について、どのように考えるべきか。

 「男性の育児参加について」は、「育児においては男性の育児参加が重要であるにもかかわらず、男性の育児休業の取得や家事・育児時間が向上していない」との指摘についてどのように考えるか。

 「所定外労働の削減及び年次有給休暇の取得促進等働き方の見直しについて」は、「多くの企業が所定外労働の削減及び年次有給休暇の取得促進等を行動計画に盛り込んでいるにもかかわらず、効果が認められていない」という御指摘について、どのように考えるべきか。

 「継続して取り組んでいる企業について」は、「行動計画に係る取組を継続して行っている企業においては、更なる取組として何を行えばよいのか分からない場合がある」という御指摘について、どのように考えるべきかということです。

 「企業間の取組等の差について」は、行動計画の策定が義務付けられてから期間が短い、 101 人以上 300 人以下の企業は平成 23 年度の 4 月から義務化されたわけですが、そういった中で、「期間が短い中小企業等において、取組に伴う効果の認識度合いが低いなど、行動計画に係る取組を継続して行っている企業と、取組を始めてからまだ期間が短い企業との間に取組や効果の差が生じている場合がある」という御指摘について、どのように考えるべきかということです。

 「女性の活躍促進について」は、「行動計画に係る取組を継続して行っている企業の中には、女性が子育てをしながら継続的に就業し、キャリアを発展できるよう、女性の活躍促進などを図るなどといった取組を行っている企業がある」という御指摘について、どのように考えるべきかということです。

 裏面です。一般事業主行動計画そのものということで、 1 点の論点を挙げています。「策定の手続に負担を感じる場合がある」との指摘について、どのように考えるべきかということです。

 次に「認定制度についての論点」です。「認定取得のインセンティブ・メリットについて」です。「現行の認定にはインセンティブやメリットがなかなか感じられないため、認定の認知度の向上、あるいは経済的なインセンティブの付与、取組が進んでいる企業をより評価する仕組みを設けることを含め、認定取得のインセンティブやメリットを強化することが必要ではないか」との指摘について、どのように考えるべきかということです。

 「認定取得の手続について」です。これは行動計画にも関連しますが、「手続に負担を感じる場合がある」との御指摘があり、どのように考えるべきかということです。

 「認定基準について」ということで、特に「中小企業では育児休業の対象となる男性がおらず、認定が取得できない場合もあり、現行の認定基準は企業の実情に応じたものとなっていない」との指摘について、どのように考えるべきかということです。

 「その他」ですが、今後も御議論いただく中で、新たな論点等が出てくることが想定されます。順次整理させていただいて、今後の議論の参考にさせていただければと思っています。論点については以上です。

 引き続き、資料 2 です。「一般事業主行動計画について」ということで、全体的に制度の概要を説明してから、効果・課題などについても説明いたします。

3 ページ、 4 ページですが、次世代育成対策推進法全体の概要と一般事業主行動計画に係る部分の概要です。前回説明させていただいたこともあり、次の資料の内容とも重複する部分がありますので、割愛させていただきます。

5 ページは、「一般事業主行動計画策定、実施、くるみん認定の流れ」ということで、一連の取組の流れを整理したものです。1行動計画の策定に当たっては、自社の現状や従業員のニーズを把握していただくところから始まり、それを踏まえた形で、2行動計画を策定します。これについては、平成 23 4 1 日から、 101 人以上の規模の企業まで策定義務を拡大しました。3策定した行動計画を公表し、従業員に周知いただくということで、こちらの公表と周知は、平成 21 4 1 日から義務化されているものです。4行動計画を策定した旨を都道府県労働局雇用均等室に届けていただきます。

 そのようにして届けていただいた行動計画ですが、これは行動計画そのものではなく、策定したことを所定の様式で届けていただく形です。そのようにして策定した行動計画については、計画期間中において、環境整備等に取り組んでいただきます。なお、くるみん認定取得を目指す場合には、 2 年以上、 5 年以下の計画期間で取り組んでいただくことになっています。

 続いて、くるみん認定を受けたい場合に、6行動計画期間終了後に、都道府県労働局に認定申請を行い、その後労働局で審査をさせていただきます。それで、審査の結果認定するとなった場合、7「子育てサポート企業」として認定、くるみんマークを付与することになっています。以後、この流れを繰り返して取り組んでいただく形になっています。くるみん認定基準というのは、下に 1 から 9 まで書いていますが、これについては本日は割愛させていただきます。

6 ページは「行動計画策定指針」ということで、告示で公表しているものです。この指針を参考にして、企業には行動計画を策定していただきます。内容は以下のとおりです。上のほうが「策定に関する基本的な事項」で、 1. 計画策定に当たっての基本的な視点、1労働者の仕事と生活の調和の視点、2労働者の仕事と子育ての両立の視点、3企業全体での取組等の視点、4企業の実情を踏まえた取組の視点、5社会全体による支援の視点等ということで、そういった視点をもって策定していただくということです。計画期間については、望ましい期間として 2 年から 5 年ということが記載されています。

3. 達成しようとする目標ということで、制度の利用状況や制度の導入について、企業の実情に応じて達成状況を客観的に判断できる目標を設定していただきます。

4. その他、計画策定に当たっては、推進体制の整備、労働者の意見の反映、計画の公表及び周知等が重要です。公表と周知は義務化されています。また、基準に適合する一般事業主の認定 ( くるみん認定 ) を申請することを念頭に置き、計画策定・実施を行うことが望ましいとしています。

 その下ですが、「内容に関する事項」です。大きく 3 つに整理しています。 1 番目として、「子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備」、以下主な取組として、妊娠中及び出産後における配慮、子供の出生時における父親の休暇取得の促進、育児・介護休業法の規定を上回るより利用しやすい育児休業制度の実施等を挙げています。

2 番目は「働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備」です。例として、ノー残業デーの導入・拡充、企業内の意識啓発等による所定外労働の削減、年次有給休暇の取得促進、短時間正社員制度の導入・定着等を挙げています。

3. 「地域における子育て支援等」です。具体例として、託児室・授乳コーナーの設置等による子育てバリアフリーの推進、地域における子育て支援活動への労働者の積極的な参加の支援等、子供・子育てに関する地域貢献活動の実施等が挙げられています。こういった内容を踏まえて、各企業の実情に応じた行動計画を策定していただくということで、取り組んでいただいています。

 そういった中で、策定し慣れていない企業、最初に策定するといったときに、どのような計画を策定すればいいのかという御相談があるわけでして、次の 7 ページから 11 ページまでに、「モデル行動計画」を整理しています。これはホームページでも公表していますし、各都道府県労働局において、企業から御相談等を頂いた場合、こういったものを参考にしてくださいと提示させていただいています。

 それぞれの企業の実情に即してということですので、自社はどういう状況であるか、それを踏まえての目標設定、それに伴う対策ということで、どういった取組をしていただくか。そういった形で作っていただくということです。

 何点か例を挙げます。「育児をしている社員が多く、いろいろなニーズのある会社」ということで言えば、内容としては目標 1 にありますが、妊娠中の女性社員の母性健康管理のパンフレットの作成と配布、 2 番目として、小学校就学前の子を持つ社員が利用できる短時間勤務制度を導入する、 3 番目の目標として、子の看護休暇制度を拡充すること、そういったものが目標として考えられるのではないかというものです。

 次の、「育児をしている社員が多いが、長時間労働になりがちな会社」で言えば、子供の出生時に父親が取得できる休暇制度を導入する、従業員全員の所定外労働時間を数値を設けて取り組む、「子供参観日」を創設するといった目標が挙げられるのではないかということです。

 以下、幾つかのパターンで、こういった場合にはこういう目標、取組があるのではないかということをお示ししたものが、 11 ページまでです。繰り返しになりますが、それぞれの企業の実情に応じた目標設定をしていただくということで、その内容について企業が自由に設定ができて、取り組んでいただける内容になっています。

12 ページ、「一般事業主行動計画に係る効果・課題」を説明いたします。これは「効果検証研究会報告書」の関連部分の抜粋で、一部前回お示しした資料と重複する部分は割愛します。

 基礎データとして、 17 ページ、 18 ページは、全体的な女性の継続就業率の現状です。第 1 子出産後に 6 割が離職していて、継続就業率は約 4 割というグラフです。 18 ページは、それを正規社員、パート、派遣別に見たときに、正規職員は継続就業が進んでいる一方で、パート、派遣は進まないという実態があるというグラフです。

 そういった現状の中ですが、行動計画についてデータを見ていきます。 19 ページです。行動計画はいろいろと自由に盛り込めるという話をいたしましたが、どのような制度を盛り込んだかについて、特に行動計画策定回数ごとに見たものです。上から、おおむね多い順に並んでいますが、育児休業制度、短時間勤務制度、子供の看護休暇制度等を盛り込んで、取り組んでいただいている状況になっています。

20 ページは、制度面以外の環境整備の取組です。こちらは前回資料と重複しますが、所定外労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進、両立支援制度の周知といったものが上位に挙がっています。

 続いて 21 ページ、「計画策定に当たって取り組んだことや工夫したこと」です。従業員への情報提供、推進担当者の外部セミナー、研修等への参加、他社の情報収集、計画策定のための体制整備といったところが、取組としては高い割合になっています。

 一方、従業員の制度利用状況の調査、アンケート調査、従業員のインタビュー、先ほど少し説明をした従業員のニーズの把握に関わるような取組が、余り多くない状況もあります。実際には、ニーズを踏まえて実情把握ということを考えたときには、こういった数字がもう少し伸びていく必要があるのかなと考えております。

22 ページ、「行動計画の提出回数」です。左側が規模 300 人以上、右側が 200 人から 299 人です。 101 人以上が義務化されたのが平成 23 4 月からなので、右側は行動計画が 1 回の企業が大半です。左側の 300 人以上は、当然 2 回、 3 回と作っていただいているわけですが、規模が大きいほうが策定回数は多い傾向にあり、小さいほうは策定回数が少ない傾向になっています。

 続いて 23 ページ、くるみんの認定も入っているのですが、行動計画を策定している所と、していない所です。現時点では、 101 人以上は義務化されているので、策定していただくわけですが、そういった中で策定している所としていない所というのは、アンケート調査で見た場合にどうなっているかです。策定している企業のほうが策定していない企業に比べて、両立支援制度を導入している傾向が見られています。

24 ページです。行動計画の策定をきっかけに、育児休業制度や短時間勤務制度等について、新設又は拡充しているという企業、これを契機に制度を充実させたという企業が、おおむね 3 割前後で、規模の大きな所では 4 割以上という状況です。

25 ページから効果を見ていきます。効果として高いのは、出産・育児を理由とした退職者の減少、女性従業員の制度利用促進、労働時間や時間制約に対する意識の向上、年次有給休暇の取得率の向上、従業員の制度認知度の向上といったところが高くなっているということで、特に出産・育児を理由とした退職者の減少が最も高くなっています。

26 ページは、従業員に対して、行動計画をきっかけに制度の新設、拡充した両立支援策別に、自社はどのような環境にあるかを見たものです。表の数値は、「そう思う」「ややそう思う」から、「余りそう思わない」「そう思わない」の合計を差し引いた DI のような数字の作り方をしていますが、数字が高いほど、そうだという傾向が強いというように御覧になってください。

300 人以上の企業で、「女性が結婚・出産後も辞めることなく働ける環境にあると思う」というところは、育自休業、短時間勤務制度は 7 割を超えています。特に、その場で制度を改めて充実しなかった、その中には、それまでもきちんと制度を作っていたという企業もあると思いますが、新たに取り組んだというところのほうが、全体的には効果として高くなっている面があるということです。「全体的にはそうだと思う」というのが、こちらは 7 割、あるいは「育児休業は取りやすい環境にあると思う」というところも、 7 割前後になっています。

299 人以下の企業であっても、「女性が結婚・出産後も辞めることなく働ける環境にあると思う」というのが、 5 割を超えています。「育児休業は取りやすい環境にあると思う」が 4 割前後という状況になっています。一方で、「短時間勤務は取りやすい環境にあると思う」という割合は、前者の 2 つに比べて高くない状況、あるいは「男性の育児休業取得に積極的であると思う」ということについては、マイナスが強くなっていて「そう思わない」と考えられている面が強いということです。

27 ページは、行動計画策定別の女性の勤続年数です。

 行動計画を策定している企業においては、女性正社員の平均勤続年数が 10 年未満の企業の割合が、 5 割を下回っています。左の行動計画を策定していない企業を見ますと、一番高い割合が、勤続年数 4 5 年の 23.3 %となっていて、全体的に短めです。その後、「計画を策定した」あるいは「認定を受けた」を見ていくと、だんだん勤続年数が長い社員の割合が高くなっている状況にあります。行動計画を策定したところで見ますと、 6 年から 9 年が 30.6 %、 11 年から 15 年が 28.8 %といった状況になっていますので、女性の継続就業、勤続年数の長さと行動計画の策定の有無については、一定の相関があると考えられるのではないかと思います。

28 ページは、「従業員数 300 人以上の企業における行動計画策定回数による効果」を企業の人事担当者に聞いたものです。全体的には、行動計画の策定に何回も取り組んでいただいていることで、全体的な効果が高まるという状況になっていて、特に、仕事と子育ての両立に対する理解が各階層で高まった、あるいは育児休業取得者が増えたと実感されている割合が高いということです。一方で、所定外労働の削減が進んだ、あるいは有給休暇の取得率が増加したことについては、策定回数を重ねたときの伸び方が小さくなっていて、ここは回数を重ねれば重ねるほど効果が伸びるという状況には、必ずしもなってはいないというデータです。

29 ページは、行動計画を策定あるいは推進する過程での課題や苦労を企業の人事担当者に聞いた結果です。全体的には、「目標の設定が難しい」が、全体的に高くなる傾向があるのですが、特に 301 人以上の企業等では、既に法定以上の制度整備、これ以上の整備が難しいとしている割合が高くなっていることも挙がっています。

30 ページ、「行動計画の策定や認定に関わる課題、要望」ですが、計画策定や認定の具体的なメリットを増やしてほしい、計画策定あるいは認定手続の負担軽減を図ってほしいという割合が、一定程度ある状況です。

 以上のような調査結果等も踏まえまして、 13 ページからは、報告書の抜粋ということで、「一般事業主行動計画の効果」です。全体的には、行動計画策定企業は、各種両立支援制度を導入している割合が高いということが言えます。それから、策定によって、策定前と比較して、出産・育児を理由とした退職者の減少、女性従業員の制度利用促進、あるいは労働時間等に関する意識の向上、従業員の制度認知度の向上という効果を評価する割合が高くなっています。それと、実態として、計画策定している企業では、女性正規社員の勤続年数が長い傾向にあるということです。また、全体的には、策定回数が増えると、支援制度の利用促進策に取り組む企業の割合が増加することが言えます。

 こういったことから、行動計画の策定は、これを契機とした制度の促進、あるいは従業員の制度認知の向上等、社会全体の取組に対する意識の向上という点で効果があったと考えられるということです。

 なお、所定外労働の削減、年次有給休暇の取得促進については、策定回数に伴う変化が余り見られなかったということが書かれています。

 次に 14 ページの「課題」です。取組の策定回数について、新たに平成 23 年度から策定が義務付けられた企業と、それ以前から取り組まれている企業において、効果の認識度に差があることが整理されています。また、数字として、「非正規社員の継続就業率は若干改善したものの、なお正規職員より低い状況にある」ことが書かれています。そういった中で、男性の育児休業取得については、認定を取得している企業における取組はある程度進んできているものの、男性の育児休業取得率は、いまだに低い状況にあるということも書かれています。

 加えて、働き方全般に係る項目である所定外労働の削減、年次有給休暇取得率の向上については、行動計画に盛り込んでいるにもかかわらず、データ上は余り変化が見られていない状況があります。これがマクロ的に見た状況として、整理されているものです。

15 ページは、「制度面から見た課題」です。継続的に取組を進めてきた企業では、新たな取組として何を行動計画に盛り込むべきか苦慮している面もあるということ。また、行動計画上、正規社員だけではなく、非正規社員も含むとしているにもかかわらず、周知が徹底されておらず、企業における非正規社員についての取組が行動計画上、必ずしも明らかではないのではないかということも書かれています。

 所定外時間労働、あるいは年次有給休暇については、先ほど申し上げたような状況で、なかなか効果が見られないという話が書かれています。それから、一番下に行動計画の策定等の手続に負担感があるというのも、先ほど見ていただいたとおりです。

16 ページは「継続的に取組を進めてきた企業からの問題意識」です。新たな取組として何を盛り込むべきか苦慮している面があるということです。また、「その他の企業からの問題意識」ということで、行動計画の策定が義務付けられてからの期間が短い中小企業については、まだまだ効果の認識度合いが見られていない面があるのではないか、又は制度面の課題なども書かれています。そういったことも踏まえて、資料 1 に整理したような論点とさせていただいています。資料 2 については以上です。

 資料 3 は、前回御議論いただいたときに、御質問等を頂いたものについて追加で用意いたしました。 1 ページは、全体の非正規比率が高まっている中で、女性の 25 から 34 歳層についてどうなっているかという話について前回も数字を説明させていただきましたが、改めてデータとして出しています。なお、非正規の話については、「全体像を見ていかなければいけない」という御指摘もありましたので、引き続き整理をしてみたいと思っています。

2 ページは、前回の御質問でも説明いたしましたが、「妊娠・出産前後で退職した理由」です。左側が正社員、右側が非正社員です。正社員で見ますと、「家事・育児に専念するために自発的にやめた」が 39.0 %で一番高くなっています。一方で、「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」が 26.1 %です。その具体的な理由が少し書いていますが、「勤務時間が合いそうになかった」「職場に両立を支援する雰囲気がなかった」「自分の体力がもたなそうだった」「育児休業を取れそうもなかった」「子供の病気等で度々休まざるを得なかった」「保育園等に子供を預けられそうもなかった」というのが、理由の上位に挙がっています。

 また、本当はあってはならない、「解雇された」「退職勧奨」が 9 %で、こういった不本意に辞めざるを得なかった層があることについて、我々として問題意識を持っているということです。右側は非正規社員ですが、こういった数字があるということで、御覧になっていただければと思います。

3 ページ、 4 ページです。前回「 100 人以下の企業で、くるみん認定取得の企業はどのくらいあるのか」という御質問を頂いて、整理させていただきました。 3 ページは、平成 25 8 月末の最近の数字です。全体として、行動計画の届出率、認定数、特に策定が義務化されているところについて、企業数を行政として把握して、取組を促している中で、こういった数字になっています。

100 人以下は 153 ですが、 4 ページのグラフでは、それを時系列に示しています。 100 人以下を集計し始めたのが前回の改正以降の関連ということで、平成 21 6 月末からです。当時は 18 でしたが、現在は 153 まで増加しています。

5 ページです。前回、くるみん認定を受けたことがない理由について、「その他」の割合が一定程度ありましたが、「その内容について分かることがありますか」という御質問がありました。

 全体としては、「自社で取り組むメリットを感じない」「実務的な負担が大きい」といった割合が高かったのですが、「その他」は自由記述欄に記載されていた事柄です。これは制約があるので、その範囲内ということなのですが、それを見ますと、「認定基準を満たしていない」が最も高くて、その関連で「計画で定めた目標の未達成」も 11 件あって、実際には取得のための認定基準を満たさなかったというところが一番高くなっています。また、「行動計画の未満了」、「認定を申請中又は申請予定」ということで、新たに行動計画を策定していただいた企業については、まだ行動計画の期間が終わっていない、あるいは終わったばかりで申請中のところの数が一定程度あった状況でした。

6 ページです。「申請件数と認定件数の差はどのぐらいあるのか」という御質問を頂きましたので、直近 3 年間について整理しました。全体の平均としては、申請件数に対する認定件数は、 95.8 %で、実際にくるみん認定を取得されるに当たっては、事前に相談をされている場合も多いこともありまして、申請していただくとほとんどの企業で認定を取得できています。

7 ページは、「くるみん税制の実績について」という御質問がありました。今、公表されているのが平成 23 年度のみですが、数字としてこうなっております。適用法人数は連結も含めて 18 件、適用額は 22 5,000 万円余りという実績が上がっています。

8 ページです。前回「経営トップの理解が進むと、進んでいない企業に比べてどのような効果があるのかは集計できないか」ということで、別の調査で御質問いただいたところですが、確認をしたところ、その調査が厚生労働省からの委託調査でなかったこともあり、そのデータの再集計が厳しいと関係者の方に御回答いただいたので、その再集計は断念しました。

 その代わりにデータを調べたところ、厚生労働省からの委託調査の再集計をしたデータがありましたので、紹介させていただきます。両立への取組に経営トップがどう関わっているかということで、「トップ主導で取組」「トップが担当部署を積極支援」「担当部署任せ・トップの関心なし」、別にその仕事を続けている人が多いかということで聞いてみたものです。

 それを見ますと、サンプル数は少ないので幅をもって見る必要があるかもしれませんが、トップ主導で取り組む企業ほど、継続就業している従業員が多い傾向がある数字になっていますので、トップの取組度、理解度で、結果にも差が一定程度あるのではないかというデータです。以上、私からの説明を終わらせていただきます。最初に戻って資料 1 の論点を踏まえて御議論いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○田島分科会長

 ありがとうございました。ただいまの事務局の御説明について、委員の皆様から御意見、御質問があればお願いいたします。

 

○山川委員

 細かいことですが、ただいまの経営トップの理解による効果という所で、トップ主導ということと積極支援ということとあるのですが、具体的に主導と支援がどのように違っているのか、もし具体的な中身が分かれば教えていただければと思います。

 

○中井職業家庭両立課長

 その中身については、今、詳細が手元にないので、また調べて何らかの形でお返ししたいと思います。

 

○山川委員

 すみません。

 

○中西委員

 まず、事務局の皆様方、前回の分科会において質問させていただいた事項について、補足の資料を御作成、御提示いただき、ありがとうございました。御礼申し上げます。

 本日の論点についてですが、非正規労働者についての項で、「次世代育成支援対策推進法の取組の対象となっていない場合がある」との記載がありますが、この点については、法の内容や計画等について、まずは「周知徹底を図る」ということが何より重要であると思いますので、行政として御尽力いただきたいと思います。以上でございます。

 

○齊藤委員

 今の非正規労働者についての部分なのですが、資料 3 1 ページを御覧になっていただくと分かるように、正に少子化対策のターゲットとなる 25 歳から 34 歳の女性の 4 割も非正規雇用である。行動計画の策定の効果がこの層に及ばなければ、法律本来の目的を果たすことができないのではないかと思っております。

 一般事業主行動計画は、非正規労働者も対象であるということですが、それがどこまで認識されているのか分からないと思っております。仕事と育児の両立が難しいために就業継続を断念する非正規労働者の割合が、その次の 2 ページの図では 16.4 %とあります。この人たちが仕事を続けられる環境を整備していくことが大事だと考えております。

 私ども UA ゼンセンは、百貨店やスーパー、外食産業の労働者が多く、組合員の過半数が非正規であり、女性組合員に限っては約 4 分の 3 が契約社員やパート社員といった非正規労働者です。ですので、現在、この両立支援のためにどのような取組をしているのか、若干御紹介させていただきたいと思います。

 育児休業制度については、制度対象者に有期契約労働者を明記し、非正規労働者に対しても適用するように取り組んでおります。調査した結果、回答した組合の約 8 割以上が、実際にこのような取組を行って、そのような結果になっているということです。

 ただ、法を上回る部分については、非正規労働者も対象とするという加盟企業も多いのですが、中にはやはり、正社員のみを対象としているケースも残念ながら実際的にあります。このような場合については、非正規労働者をターゲットにして、法を上回る取組をするということも実際的には行っております。

 例えば、短時間勤務制度について、正規労働者は小学校入学までとか、小学校 3 年生までとかあるのにもかかわらず、非正規労働者に対しては法定通りの場合には、その非正規労働者に対しても、法を上回る小学校入学までとか小学校 3 年生までとかという取組をして、実際的にはそのような取組が進んでいるという企業もあります。

 ただ、悩ましいことに、非正規、有期契約労働者は、 1 年以上でなければ、法律では育児休業が取れないということでして、それを 1 年未満でも取れるようにして、実際に育児休業を取ったのですが、雇用保険の育児休業給付金が受けられなくて、残念ながら正社員と非正規というのはこういうところにも問題があるのだなと感じたところもあります。

 このように、有期労働者が多い私たちの組合でさえ、まだ正社員と有期でレベルが大分違っているという状況ですので、組合もない所、あるいは組合があっても非正規労働者を組織化していない所については、さらにその非正規労働者の雇用環境は悪いのだろうと推測されます。これを改善するためには、やはり行動計画において、非正規労働者に対する取組をどのようにしているかを明確にしていく必要があるのではないかと思っております。

 

○布山委員

 非正規労働者の件で確認なのですが、基本的に非正規労働者が次世代法の取組の対象となっていることは承知しているのですが、全ての取組において、いわゆる非正規の方を対象にしなければいけないという形になっているのでしょうか。

 

○中井職業家庭両立課長

 それについては、例えば育児・介護休業法で、一定の要件を満たす期間雇用者、非正規の方も対象にしてくださいということで言えば、一定の要件を満たさない方はまだ取得はできないという差があるのは事実としてあります。そのときに、行動計画の中で各種取組をしたときに、制度面で当然そういった方が入ってくるというのは御理解いただいているということだと思います。

 そのときに、ただ、非正規の方々については、理念的に取り組んでいただくときに、具体的にはこの制度ではここまで、というのがある中で、それを明確にどうするということを決めているものではありません。ただ、法を上回る取組を推奨している面もあるので、そこは理念的に言うと、可能な限り多くの非正規の方を対象としていただくのがいいのではないかとは考えています。

 

○布山委員

 では例えば、勤務時間の短縮に関して、パートの方が入っていないというのは、通常、もともと短時間で働いているということで差し障りがないなどという理解でよろしいのですか。

 

○中井職業家庭両立課長

 今の話は、短時間の人が、勤務時間短縮という枠内に、もともと短時間だから入りようがないという現状があるということですか。

 

○布山委員

 いや、より短時間にするという方法もあり得ますけれども、そういうことではないですよね。結局、対象にしているということは分かるのですが、やれることと、やれないことがあるのではないかと思っているので、それは、当然そういうことであるという理解でよろしいのですね、ということを聞きたかったのです。

 

○中井職業家庭両立課長

 今の話そのものについて、もう 1 回整理が必要だとは思っておりますが、 6 時間以下であればそこはやらなくていいという形になっています。

 

○布山委員

 その上で、「論点」の 1 つ目について伺いたいのですが、取組の対象となっていない場合があるということなのですが、具体的にはどの資料を見ればよろしいのでしょうか。

 

○中井職業家庭両立課長

 データ的にそれが出ているものは現時点ではなくて、今までの事例というか研究会におけるヒアリング調査や、あるいは個別の現場というか雇用均等室で把握している事例などを根拠に申し上げているので、統計データということで言えば、現時点では存在しないということです。

 

○布山委員

 現場の均等室で、そういう場合があることを把握されたということで、これまで施行から約 10 年、どんな御周知をされてきたのですか。前回配られたパンフレットが、今の最新版の次世代法のパンフレットということでよろしいのですか。

 

○中井職業家庭両立課長

 そうです。

 

○布山委員

 そこで、具体的に全部が対象になっているというのは、どの辺に書いてあるのですか。何か分かりづらいのではないかという気もするのです。さっと読んだときに、全てが対象になっているということが分かるようなパンフレットになっているのかということなのですが。

 

○中井職業家庭両立課長

 そこについては、個別の認定基準の所で、期間雇用者も含まれるということをあらかじめ書いておりますので、御覧になっていただいていると思いますが、認定基準の 5 6 7 も、それぞれ含まれますという形になっているので、それは当然、行動計画の対象としてもみなすということで説明をさせていただいています。

 パンフレットを御覧になっていただければ分かると思いますが、 8 ページの「認定基準」の 7 の一番下の○の所に、「これらの措置は 3 歳から小学校就学前の子どもを育てるすべての従業員に適用する必要があります。期間雇用者などを除外することはできません」と書いてありまして、期間雇用者などを除外することはできませんという書き方もされているわけで、こういったところも対象になることを明確に書かせていただいています。

 ただ、おっしゃるとおり、全てについて、「期間雇用者などを除外することはできません」というのは自明でしょうということも含めてですが、必ずしも念押しで書いているわけではないとは思いますけれども、そういう所を見ていただければ明らかなのではないかということです。

 

○布山委員

 では、ここから意見なのですが、そうであれば、先ほど中西委員がおっしゃったように、まずはパンフレットに分かりやすく書いていただいて、もし分かっていない事業主がいるのであれば、周知をしていただきたいということ。それが、まず第一なのではないかと思います。

 

○中井職業家庭両立課長

 曖昧な運用が仮にあるとすれば、それは改善をしなければいけないと思っておりますので、そういったところをより明確にしていく。あるいは、取り組まれる事業主さんが、あらかじめそういうことを認識しなくて、後で困ったということにならないように、そういうことはしっかりやっていきたいと思います。

 

○松田委員

 ほかの点でよろしいでしょうか。働き方の見直しということに関して、申し上げたいと思います。前回の審議会でも申し上げましたが、いくら両立支援制度が充実をしても、所定外労働の削減など、男性の働き方の見直しなくして次世代対策はないと考えております。論点として「男性の育児参加について」ということが挙げられていますが、男性の育児参加ということを考えるときに、やはり、長時間労働の是正が非常に重要で、長時間労働が是正されれば育児にも参画しやすくなるということだと思います。

 そこで、この行動計画の取組でも、所定外労働の削減を目標に掲げるというだけではなくて、例えば、実際に労働時間削減の実効性が上がったり、有給休暇の取得率が上がった場合には、例えば、くるみんのもう 1 つ上のランクを認定するとか、ワーク・ライフ・バランスに優れた優良企業を表すマークなどがあってもよいのではないかと思います。

 

○石田委員代理

 今の発言に関連をしていますので発言させていただきます。先ほど御説明をいただいた資料 2 30 ページです。計画策定や認定の具体的なメリットを増やしてほしいということが非常に高い数値だという説明が先ほどありました。個人的には、メリット、デメリットでやるべきものではないという考えはあるのですが、それはさて置き、やはり、メリットを感じないという企業があるというのは、依然として子育てイコール女性というイメージがあるのではないかと思っています。メリットというのは与えられるものではなくて、どちらかといえば、この取組をすることで企業がどのようにその効果を出すのかというふうに考えていかなければいけないのだろうとは思っています。

 実は昨日、私の職場で育児休職を取った人間が復職してきました。彼は第二子が誕生し、第二子ができたときに、育児休職を是非取りたいと言ってきましたので、いいことだから取りなさいと、そういうことで取りましたが、そのように、若い人たちには、私たち世代と比べてと言っていいのか分かりませんが、男女で家事又は子育てをするという感覚が非常にありますので、現在の企業文化と同化させるのではなくて、そういう新しいライフスタイルを支援していくということが、企業には非常に求められているのだろうなと思っています。

 さらには、これからますます少子化が進む中で、くるみん認定を受けた企業はいい企業なのだというふうに思われる、特に今の時代でブラック企業などという言葉も出ている時代ですので、そういう中で、いい企業だというふうに思われるような、企業イメージを上げる社会的メリットというのでしょうか、それを是非検討いただければなと思っています。

 

○曽根崎委員代理

 資料 2 にある研究会報告書ですが、 14 ページに「マクロ的に見た状況」という項目があります。その中に、くるみん認定を取っている企業においては、男性の育児休業の取得率が高く、認定なしの企業では低いということがあります。これは当然、認定の基準に男性の育児休業を取るということがあるためだと思いますが、一方で、その対象者自体がいないということで、認定基準を満たせない企業もあろうかと思います。

 男性の育児休業取得の促進や育児参加の促進のためには、現在の「育児休業取得者が 1 名以上」という基準は堅持すべきだと考えますが、対象者がいない企業においては、先ほどワーク・ライフ・バランスの話も出ましたが、ワーク・ライフ・バランスにつながる労働条件の整備のための措置を講じるだけでなく、目標数字も挙げて、それを達成すれば認定するといったことも考えられるのではないでしょうか。また、例えば、地域の子育てを支援している NPO に対する取り組みを対象にするなど、認定基準自体にもう少し幅を持たせてもいいのではないかという感じがしております。

 

○川崎委員

 「論点」の上から 4 つ目の「継続して取り組んでいる企業について」という所で、弊社の場合もくるみんの認定を複数回取るという取組をやっています。そこの実態を少し御紹介したいと思います。

 最初、くるみんを取得するための行動計画は、主に制度面の充実というところでやってまいります。制度が充実した後の行動計画としては、制度の周知、利用促進を取り組んでいき、そこも一定の達成がされてくると、今度は管理職の意識の問題や職場の環境、風土などといったものにも、どんどん手を加えていくというところでやってきております。

 そこまでやると、今度は更に何を取り組むのかというところが大分難しくなってきておりまして、実際のところ、もう作った制度は法定を上回るものができていますと。利用も一定の希望する従業員については利用できるような環境にあり、職場の中でもそれを支援する環境ができてきた中で、さらに認定していただくための取組を積極的にやろうとしても、現在の仕組みの中で、それがなかなか成り立ちにくい。作っているものを更にプラスアルファして何か作れと言っても、もう難しいところまで来ている企業も実態の中にはあるということをしっかり踏まえた上で、是非、検討をしていただきたいと思います。

 今回の行動計画自体の策定を義務ということで課せられている企業は、規模によってスタート時期が違うと認識しておりますが、いずれの企業においても、複数回くるみんの認定を取るための行動計画を作っていくとなると、そういう段階にくることが想定されますので、今後の検討のときには、是非それを踏まえて検討をよろしくお願いいたします。

 

○齊藤委員

 やはり、継続して取り組んでいる企業と、日が浅い企業の取組については、今、川崎委員がおっしゃったようなことは十分考えていく必要があるのだろうと思います。次世代法施行以前、又は施行当初から、両立支援制度の整備について積極的に取り組んでいる企業においては、これ以上の制度の整備が難しいということですので、それらの企業では、どのような制度がどれほど法定を上回って整備されているのかが、もしデータとしてあれば、後でいいので頂ければ有り難いと思います。

 今言われたように、既に法定を上回る制度が十分整備されている企業、これは正社員だけでなくて非正規の労働者に対してもなのですが、そういった企業に対しては、例えば働き方の見直しに資する労働条件の整備、ワーク・ライフ・バランスに関する取組に力を注ぐなど、取り組み方を変えることもあってもよいのではないかと思っております。

 一方で、行動計画に取り組んでまだ日も浅く、制度面の整備が十分でない企業においては、やはり、働き続けられる環境の整備という意味でも引き続き取り組んでもらう必要があると思っております。例えば、状況は時間が経てば変わっていきますので、行動計画の策定・実施に当たっての自社の現状や雇用環境、従業員ニーズの把握などを丁寧に把握・評価して、その上で、これ以上の新しいメニューを追加するよりも、従前からのメニューを着実に実施することだと判断できる企業については、そのような評価の仕組みを作ってもよいと考えております。

 

○松田委員

 今、齊藤委員のほうからワーク・ライフ・バランスに関する取組に注力をするなどという発言がありましたので関連してなのですが、やはり、特にこの制度の整備がかなり充実した会社で、取組を継続していて、もういろいろと制度は充実している会社について、男女労働者のワーク・ライフ・バランスを進めること、ワーク・ライフ・バランスに関する取組を行うということは重要ではないかと思います。

 もちろん、川崎委員の会社で、そういった面からも積極的に取り組まれているということもよく存じ上げています。それでもやはり、日本の会社では、ワーク・ライフ・バランスがこれで十分だという会社は多分、滅多にないのではないかと思いますし、例えば欧米であれば、いわゆる付き合い残業はないし、お父さんも保育園にピックアップに行くとか、飲み会もないとか、そういう職場文化が日本と違うというところなどを聞いても、日本ではなかなかこれで十分だという会社も、多分、余りないのではないかと思います。職場文化の見直しや労働時間を含む働き方の見直しというところについては、生産性向上の観点からも必要ではないかと思います。

 布山委員が以前、ワーク・ライフ・バランスということで、生産性向上ということを強調されていたかと思うのですが、生産性向上という観点からも本当に重要なことだと考えております。少なくとも、長時間労働による仕事漬けで過労死してもおかしくないような仕事の仕方をしている人がたくさんいるわけですから、そういったところを改めていく必要があるのではないかと思います。

 

○曽根崎委員代理

 資料 3 の「くるみん税制の実績」について出していただいています。 18 件で 22 億ですから、 1 件当たり 1 億円以上という実績になっているということで、かなり大きなものではないかと思います。

 一方で、同じ資料 3 4 ページで「認定企業数の推移」を見ると、これは平成 23 年度の実績ですので、平成 24 年の 6 月の時点とその前年を比較すると、 200 件ぐらい増加しているということがありますが、その 200 件ぐらい増加しているという数字の中で、くるみん税制が適用されたのは 18 件ということになっています。

 メリットとしては大きいのですが、要は法人税を 7 割が払っていないという現実がある中で、そのメリットを生かしていくとなると、メリットが生かせない企業がたくさんあるということですので、何か償却を増やして法人税を軽減するというような方法だけではなくて、ほかのインセンティブというか経済的な取組を検討していく必要があるのではないかということで提案したいと思います。

 

○石田委員代理

 先ほど説明していただいた資料 2 6 ページですが、「行動計画策定指針」という策定に関する基本的な事項の中の5「社会全体による支援の視点」という所です。やはり、企業だけでこの取組を進めるのには限界があることは十分承知しておりまして、そういう意味では、地域社会の支援が非常に重要になってくるのではないかと思っています。

 先ほど紹介した私の同僚の話をしますと、やはり家事や育児というのは初めてやるときの不安も非常にあったと。そのときに地域の方々のお料理教室なり育児の体験のような所に参加をしていたことで、非常に、 100 %ではないけれども安心感があったという感想も昨日聞いております。そういうことからすると、例えば企業が地域の人たちを呼んで、地域と共同で育児教室などをやるとか、そういう連携があるのではないかと思っております。もし、そういう具体的な地域ぐるみの子育て支援、連携者取組事例などを把握されているようであれば、紹介をしていただければと思います。

 

○中井職業家庭両立課長 今の事例把握も含めて、何点か実態把握ができていればという話がありました。ちょっと即答できない面もありますので、そこは改めて整理をさせていただいて、出せるものは次回以降提出させていただきたいと思っております。

 

○松田委員

 「くるみん取得のメリット」という所なのですが、 100 人以下の事業所の届出数とメリットということで、現在、一般事業主行動計画策定義務が課されているのは 101 人以上の企業なのですが、資料 3 3 ページを見ると、届出義務のない 100 人以下の企業においても 2 1,790 社もの企業が行動計画を策定をして届出をしているということです。 301 人以上の企業においても、義務化される以前から多くの企業が行動計画を策定していたという資料が出されていたかと思うのですが、この点が非常に重要なのではないかと思います。

 これら 100 人以下の企業については、義務がなくても自発的に取り組んでいるというところです。これは、この取組自体に意味があって、社員がより良く働くために有効だと感じて、これら企業が取り組んでいるということです。この点が非常に重要だと思っております。

 石田委員も個人的にメリット、デメリットでやるべきではないという話などもあったのですが、何か御褒美がもらえるなどということではなくて、この取組自体が非常に意味があるというところを感じて、これだけの企業が自発的に取り組んでいるということで、そういった企業がよりたくさん出てくるようにしていけたらいいのではないかと思います。

 

○中井職業家庭両立課長

 今の、規模の小さい企業も取り組んでいただいているということは重要だという御指摘について少し御説明いたします。

1 つは、我々は両立支援助成金という助成金を持っておりまして、特に中小企業さんに対していろいろ支援メニューを取り揃えて取り組んでいるということで、前回の資料にも付けさせていただいていますが、そういった助成金をインセンティブとして取り組んでこられた小さな企業さんはいらっしゃると。これは事実としてあります。当然、我々は事例として伺っているに当たって、意識の高い企業さん、実際にそれに取り組んでいただいて、取り組んでいただくことは結局自分の会社のためにもなったという好事例みたいなものも、当然幾つか持っているわけですが、そういったインセンティブも一定程度機能したのではないかと考えております。

 いずれにしても、行動計画策定ということについて言えば、自社の職場環境を良くするためのツールということで取り組んでいただいている面もあるので、それを活用して、結果的に自社のためになったという形になるのが望ましいと思っておりますので、そういったこともメリットだということも含めて、継続的なインセンティブということもありますが、この取組というのは企業にとってもプラスであるということを、事例を積み重ねることも含めて取り組んでいければと考えております。

 

○田島分科会長

 そのほか御意見、御質問ございませんか。

 

○武石委員

 この次世代法をこれからどうするかということで、今いろいろな御議論を聞いている中で、これまでの取組が大企業さんだともうやることがなくなったというか、ちょっと手詰まり感があるというようなお話もあるのですが、何となく制度を導入して法定以上のものを導入することについて、それに非常に価値を置くような全体的な雰囲気ができたかなと。それは悪いことではないのですが、多分、もっと重要なことは、ここにあるような、先ほどから出ている働き方の見直しであったり、男性がもっと育児に参加する、女性が活躍できるようになるというような部分だろうと思うのです。

 そうすると、もう制度が十分です、ですからやることがありませんというよりは、やはり、まだまだ日本の働き方というのはいろいろなところで課題があるので、その制度の導入というほうに、もし次世代法が展開するのだとすると、そちらよりは、中小企業さんはやはり法定通りのものをきちんと入れて、それが運用されれば問題ないと思いますので、そういうものがきちんと運用できるような環境であったり、それから、法定どおりの制度であっても育児に男女が関わっていけるという方向を目指していくべきではないかなという気がしています。

 それで、ある一定のレベル以上になった所は、例えば何かくるみんとは違う仕組みで、行動計画は作らなくてもいいような、もしそういうものがあったとしても、そこの中身というのは制度が整っているということよりは、やはり働き方や女性がきちんと活躍できている、男性も育児に参加できているという実態を捉えたところで、何かそういう別の枠組みに移っていけるという基準を設けるべきであって、ちょっと制度のところでの議論になっていくことについて懸念を感じたので、意見を申し述べさせていただきました。

 

○布山委員

 私が言うのも何なのですが、先ほど川崎委員がおっしゃっていたのは、多分、ある程度の規模の企業の場合、何かするときには制度を作ってそれに基づいてやるということですが、その後お話があったように、ではそれをどういうふうに周知していくか、それに関わる環境整備で、先生がおっしゃったところは恐らく、その環境整備の部分、どういうふうに利用率を上げていくかということも含めた中身だったと思うのです。

 そこまですると、その後どうすればいいかという問題だったので、企業は制度を作ればいいというふうには思っておりませんし、ただ、推進していくには制度がないより、あったほうがいいというのは、これまでのここの議論で再三いろいろあった議論だったのではないかと思います。今ここで、ある程度の規模の企業が頭打ち感があるというのは、ある程度そこまでやってきて、その後どうするかということなので、それも含めて議論をさせていただければと思います。

 

○田島分科会長

 ほかに御意見ございませんか。

 

○布山委員

 念のため申し上げておきたいのが、先ほど松田委員からワーク・ライフ・バランスと、いわゆる生産性の向上の話がありましたが、ワーク・ライフ・バランスをすることによっての生産性の向上というよりも、私がこの間申し上げたのは、生産性の向上を伴うワーク・ライフ・バランスでないといけない。私たちが考えているワーク・ライフ・バランスはそういうことですということなので、ただ、同じ言葉を使っているのですが、多分、上下すると全然意味が違うのではないかと思いますので、一応、確認させていただきます。多分、松田委員がおっしゃっているのと若干意味が違うのではないかという気がするので。

 

○松田委員

 おっしゃっていることは分かりますが、ワーク・ライフ・バランスについては、政労使で一致して憲章などを作っていますので、その点は一致をしているのだというふうに理解をしております。

 

○布山委員

 ただ、多分、その中身が違うのではないかというのを、この間から問題提起しています。

 

○山川委員

 先ほどの制度の話とちょっと関係があるかもしれないのですが、余り行動計画の詳細例について詳しくはないのですが、例えば各企業で今の段階でこうであって、後をどうしたらいいのか、やるべきことが何かあるのかということを、例えばこの分科会で検討するのかどうか。やるべきことが何かあるのかということは基本的には企業で検討して、そのこと自体が行動計画の中に入るということがあり得るのか。つまり、 PDCA サイクルのチェックの部分の制度を行動計画の中に、各企業の取組として持っていくということが、もう既にあるのかもしれませんが、何か新しい制度などということを分科会で議論することももちろんいいのですが、それを各企業で、例えば労使委員会と裁量労働で言えば、そういう制度の中で議論すること自体も一種の PDCA サイクルのチェックの仕組みに入るのではないかという感じもします。そういう視点を加えると、制度というものが具体的な対策ではなくて、考えること自体が制度というふうに結び付かないのかなと、素人というか抽象的な話ですが、そう思った次第です。

 

○田島分科会長

 予定されている時間は残っていますが、本日の時点では特に御発言はありませんか。よろしいですか。御発言がないようでしたら、ちょっと早いのですが、本日の議事はこれで終了させていただきます。

 本日の署名委員ですが、労働者代表は松田委員、使用者代表は川崎委員にお願いいたします。

 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。皆様、大変お忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省雇用均等・児童家庭局
職業家庭両立課
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(雇用均等分科会)> 第133回労働政策審議会雇用均等分科会の議事録について(2013年10月22日)

ページの先頭へ戻る