ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会)> 第5回遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会議事録(2013年11月15日)




2013年11月15日 第5回遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成25年11月15日(金)10:00~12:00


○場所

三田共用会議所 大会議室C~E


○出席者

(委員)

山口委員長 谷委員長代理
伊藤委員 梅澤委員 小野寺委員
辰井委員 中村委員 那須委員

(事務局)

厚生労働省:三浦技術総括審議官 宮嵜課長 中山研究企画官 許斐課長補佐 松倉専門官
文部科学省:伊藤安全対策官

○議題

1.前回(第4回)委員会までの主な議論について
2.遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討事項について
3.その他

○配布資料

資料1 第3回委員会以降の専門委員会での遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討すべき事項の主な議論
資料2 遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討事項
資料3 7 多施設共同研究について
8 審査について
9 実施施設から厚生労働大臣への各種報告について
10 情報の公開について
参考資料1 総括責任者の責務と調製機関について
参考資料2 各指針における研究に係る業務を統括する者及び、複数の機関で実施する研究において研究全体に係る業務を総括する者の定義

○議事

○中山研究企画官 

少々早いですが、先生方、お揃いですので、第5回 遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 本日の委員会ですが、位田委員、今村委員、中畑委員、本田委員から御欠席の連絡をいただいております。

 次に、配布資料の確認をいたします。議事次第、座席表、委員名簿とともに、資料1「第3回委員会以降の専門委員会での遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討すべき事項の主な議論」、資料2「遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討事項」、資料3は一番上に、「7 他施設共同研究について」と書いてあるものです。

 参考資料1として、「総括責任者の責務と調整機関について」があります。それから、いつものとおり、この青いファイルがありますが、これは参考資料として置いてあります。毎回使いますので、お帰りの際はそのまま置いていただくようにお願いいたします。過不足等ありましたらお知らせください。よろしいでしょうか。それでは、山口委員長、お願いいたします。

○山口委員長 

早速、議事に入ります。【議題】の「1. 前回(4)委員会までの主な議論について」、事務局より説明をお願いします。

○許斐課長補佐 

資料1を御覧ください。○の部分は前々回までの議論とまとめで、●は第4(前回)の議論の内容とまとめです。「1 遺伝子治療の定義および指針の適用範囲について」です。1-1では、自然変異型腫瘍溶解性ウイルスについて、指針の対象として含めるかどうかについて、前回再度議論をいただきました。

 その内容として、●自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスは欧米との整合性の観点から遺伝子治療の定義に含めないほうがよい。自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスを本指針の対象に含めないにもかかわらず、国で審査するのであれば、その理由はリスクが高いからか。自然変異型を含め、腫瘍溶解性ウイルスは腫瘍選択的に体内で増殖する。ヒトからヒトへの感染やその場合の人体への影響など予測ができない部分がある、といったものがありました。

 そこで、これらを踏まえて新たに、●自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスによる治療は現行の遺伝子治療臨床研究に関する指針の対象には含まれない。一方で、国による確認を行うべきとの観点もあるため、当該ウイルスを用いた臨床研究は本指針の対象には含まれないが、各施設のIRB等の要請により、国において当該臨床研究の安全性等の評価ができることにしてはどうか、とまとめを追加いたしました。

 続いて、「1-2 予防も適用範囲として含めるか」については、前回特に新たに議論をいただいておりませんので、先に進めます。

4ページの「2 対象疾患について」です。こちらでは、対象疾患について、現行指針の要件のままでよいかという点につき議論をいただきましたが、予防も含めることになりましたので、最初の●ですが、治療だけでなく、予防も含め、利益と不利益の概念で対象を整理できるのではないか、という議論がありました。

 まとめとして、1つ目の●予防については当該疾患の予防の利益が不利益を大きく上回ることが十分予測される場合など、留意が必要である。要件1、こちらは隣のページに「関連条文」となっており、「第三 対象疾患等」の中の123を示しております。

 ●要件1については、重篤な遺伝性疾患、がん、後天性免疫不全症候群その他の生命を脅かす疾患又は身体の機能を著しく損なう疾患であること、となっておりますが、慢性疾患への対応等も考慮して疾患を限定する必要はないのではないか。

 要件2については、遺伝子治療臨床研究による治療効果が、現行では現在可能な他の方法と比較して優れていることとなっておりますが、これを同等以上であることが十分予測されるものであることとしてはどうか、としました。

 要件3については、治療については現行と同じですが、被験者にとって遺伝子治療臨床研究により得られる利益が、不利益を上回ることが十分予測されるものであること。また、予防については利益が不利益を大きく上回ることが十分予測されるものであることとしてはどうか、といたしました。この2点を付け加えました。

 続いて、6ページの「3 iPS細胞を用いた臨床研究の取り扱いについて」です。これについても、特に前回追加で議論をいただきませんでしたので、次に移ります。

7ページを御覧ください。前回初めて議論いただいた検討項目として、「4 ベクターの品質・安全性に関する基準について」「5 臨床研究と治験の整合性について」「6 海外の規制との整合性について」がありました。これらについての議論として、4<ベクターの品質・安全性に関する基準について>5<臨床研究と治験の整合性について>は、以下●の部分ですが、遺伝子治療臨床研究の指針も、遺伝子治療用医薬品の指針も、品質・安全性について同様の内容にすべき。遺伝子治療の実用化を考慮すると安全性の担保は重要であり、安全性の基準については臨床研究と治験において、なるべく一致させるべき。品質・安全性について全ての項目について遺伝子治療用医薬品の指針と同一の基準にするのは難しいのではないか。品質・安全性について一定の基準を設けた場合に、本則に記載するのか、別表等に書くのかは検討の余地がある。遺伝子治療臨床研究の指針の本則に細かな基準まで今回書き込むと、遺伝子治療用医薬品の指針と将来的に齟齬が生じる可能性がある。本指針ではあくまで概念や定義を書くにとどめ、具体的な内容については遺伝子治療用医薬品の指針に準ずることにしてはどうか。臨床研究に治験と全く同一の基準を設けると研究が進まなくなる可能性もある。臨床研究では、治験における非臨床試験のGLPについて全て合わせるのは難しいのではないか、といった意見をいただきました。

 また、「6 海外の規制との整合性について」は、海外とのハーモナイゼーションは必要である。臨床研究の基準をすべて治験と同様にした場合、海外の生物由来材料などが使用不可となる可能性もある、といった意見をいただきました。

 そこで、これらをまとめ、4<ベクターの品質・安全性に関する基準について>5<臨床研究と治験の整合性について>1つにまとめました。遺伝子治療臨床研究に関する指針の品質・安全性に関する基準については、臨床研究の質を担保できるよう、遺伝子治療用医薬品の指針の見直しと併せて、当該指針における基準と同程度に定めることとする。6<海外の規制との整合性について>は海外の規制とも整合性を図り、国際共同研究を推進していくために必要と考えられる事項については海外の規制と齟齬のないよう、留意しながら作成する、といたしました。以上です。

○山口委員長 

それでは、それぞれ幾つかまとめて議論をしたいと思います。

1点目は、「1-1 遺伝子治療の定義と適用範囲について」は、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスに関しては、遺伝子治療の指針には含めないと。定義としては遺伝子治療薬ではないという意見が多かったように思っております。しかし、一方では安全性の観点から国で評価が必要ではないかという意見があったことから、先ほどまとめていただきましたように、各IRBからの要請に応じて、安全性等について国で評価ができるような方向で検討してはいかがかという提案をいただいております。

 これについて、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。したがって、国が、この意見ですと強制力はもちろんありません。ただ、申請に応じて各IRBで評価しきれないところを国が代わって評価をすることになろうかと思いますが。

○谷委員長代理 

基本は、これでよろしいかと思います。具体的にどういった機関が担当されるかというのは。

○山口委員長 

もしこの審査を要請に応じてすると、どこで審査をするかということですね。

○中山研究企画官 

これは、遺伝子治療の審査をやっておられる所と同じと考えていただいてよろしいかと思います。

○谷委員長代理 

そこが管理しているということですね。

○中山研究企画官 

はい。

○山口委員長 

よろしいですか。では、那須委員、どうぞ。

○那須委員 

私も、その部分はIRBの要請ですね、どういう所に基準があったら、IRBは国に要請するのかと。多分、私が思うには、このIRBの委員の中にウイルスの専門家などが、将来IRBの委員の研修や教育も関係してきますが、各施設でウイルスの専門家がいないような所を想定するのかと思いました。

○山口委員長 

あとのほうで、IRBの要件についても議論いたしますが、多分そういう所で、このようなケースでということで、まずは国で代わって審査をする場合には、国で審査の条件などを決めていったほうがいいと思いました。よろしいでしょうか。それでは、今事務局にまとめていただいたような案で進めていけたらと思います。

 次に、1-2の予防については適用範囲に含めるということでよかったと思います。「対象疾患について、予防を含めてどのようにするか」ですが、今回のまとめでは3点ほどありましたが、何か御意見がありましたらお願いします。恐らく、予防に使う場合には、より厳格な適用が必要かというまとめだったと思いますが。いかがでしょうか。

 私から、1点お尋ねします。「まとめ」の中身そのものは異論がないのですが、書いていただいた文章で、「遺伝子治療薬により得られる利益が不利益を上回ること」というのは、治験を始める前にそこまで分かっていないような気がしており、言葉の点だけなのですが、「遺伝子治療臨床研究により期待される有効性が得られた場合に利益が」というようなことかなと私なりに思ったのですが、いかがでしょうか。

○許斐課長補佐 

文言については御指摘の部分もありますので、よく検討して、今後の課題としたいと思います。

○山口委員長 

いかがでしょうか。以前から様々な議論をしてまいりました123に関して、そのような適用についての考え方をまとめていただきました。これでよろしければ、これは事務局の提案どおりとしたいと思います。

○谷委員長代理 

この文言ですと、対象疾患は、全て外す方向になるのでしょうか。

○山口委員長 

例えば、重篤な疾患に限るものではないということになるかと思いますし、以前は同等以上、同等では駄目という解釈になるところは外れることになろうかと思いますが。

○谷委員長代理 

例えば、ここで第 I 相研究から第 III 相研究まで全部含む形になってくるのでしょうか。

○山口委員長 

多分、これは臨床をスタートする時点の話になると思います。

○谷委員長代理 

アーリーフェーズになりますね。がんなどの場合は、標準療法が必ず付くのですが、そういったところまで引っ張るのか、それとも適用として、そういったものを書かずに置いておくのかということですが。

○山口委員長 

今、私は理解できていないのですが。

○谷委員長代理 

悪性腫瘍の場合、アーリーフェーズになりますと、標準療法に不要なものは基本的に対象になってきますので、そこまで文言を入れるのか、それとも入れないのか。

○山口委員長 

その辺りまでは、ちょっと。事務局から回答をお願いできますか。

○中山研究企画官 

ちょっと完璧にはできていないのですが、基本的にはこの疾患の縛りはなくすということですが。

○谷委員長代理 

なくしたということで、いわゆる通常の臨床研究のルールに従うという考え方でよろしいですか。

○中山研究企画官 

よろしいと思います。

○山口委員長 

ありがとうございました。

○伊藤委員 

余り詳しいことは分からないのですが、先ほど委員長が要件2で、同等以上の「以上」を外すというようなことをおっしゃったと思うのですが、「以上」を外すと余り意味がないような気もするのですが。

○山口委員長 

すみません、どこでしたか。

○伊藤委員 

要件2の所で。

○山口委員長 

すみません、「比較して、同等以上であるが」、すみません、ちょっと言い方を間違えておりました。「同等以上である」ということです。

○伊藤委員 

ということで、「以上」を外すのではないですね。

○山口委員長 

はい。よろしいでしょうか。では、2に関しては、そのようにまとめたいと思います。文言については、事務局で検討をお願いいたします。次に、3iPSについては、臨床研究の取り扱いについては特に意見がありませんでしたので、このままとしたいと思います。

 それでは、前回の議論内容の456について、まとめていただいております。事務局にまとめていただいた内容について、御意見等がありましたらお願いします。資料2の最後のページの2ポツに書いていただいておりますが、「指針の安全性に関する基準について」は、遺伝子治療薬との整合性を図るというか、同程度の基準を適用する。それから、海外の規制との整合性についても図っていくというようなまとめをいただいたかと思います。

○小野寺委員 

基本的には、これでいいと思います。読んでみて、2ポツの「なるべく一致させるべき」、そのあとは「一致させると難しい」と言っていることがかなり難しいところがあるので、問題はこれをどこまで文章として落とし込めるかということだと思います。どの部分を一致させて、どの部分は一致しないでもいいかが、多分今後の問題点となるのではないかと思います。

○山口委員長 

この点については、ワーキンググループでまず検討していただき、その後それを基にまたここで検討していただくことになると思います。一致させる部分、あるいは薬の部分と記載ぶりの辺りはかなり変わってくるというか、requirementで書いたり、あるいは遺伝子治療薬の場合には承認申請を見据えた書きぶりになるかと思いますので、その辺りは大きく変わるのではないかと思うのですが。事務局で、何か追加はありますか。

○中山研究企画官 

おっしゃるとおりだと思います。

○山口委員長 

ほかにありませんか。では、まとめる方向としては、2ポツに書いていただいたような形でまとめていただくことにしたいと思います。

 それでは、本日の検討事項に移りたいと思います。資料2と資料3の論点7について、事務局より説明をお願いします。

○許斐課長補佐 

資料2を御覧ください。こちらには、これまで見直しをしていただいた検討事項と、これから検討していただく事項が書かれています。本日、検討いただく事項に関しては、「7 多施設共同研究」「8 審査について」「9 実施施設から厚生労働大臣への各種報告について」「10 情報の公開について」となっています。

 続きまして、資料3を御覧ください。「7 多施設共同研究について」の論点ですが、「多施設共同研究を円滑に行うにあたって、新たに規定すべき、あるいは留意すべき事項はあるか」としました。

 <現状と課題>ですが、これまで多施設共同研究を念頭に指針は書かれていませんけれども、複数の研究機関で共同研究を行う場合、共同研究(全体)に係る業務を総括する者についての規定がありませんでした。一方、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針では、研究(全体)に係る業務を総括する者を総括責任者と定義し、総括責任者は参考資料1に示した責務を負うことになっています。

 参考資料1を御覧ください。こちらに、ヒト幹指針における総括責任者の責務が記載されていますが、(4)のように、他の研究責任者に必要な指示を与えるとともに、教育及び研修を行ったり、(5)のように、重大な事態が発生した場合には、研究機関の長及び全ての研究責任者に対し、速やかに、その旨を報告したり、研究機関の長の指示を受ける前に、ヒト幹細胞研究の中止又は暫定的な措置を講ずることができるなど、研究機関同士をまとめる役を担っています。

 再び資料31ページにお戻りください。現行の指針では、共同研究を行う際、治療を行わない機関(ベクター等の作製やベクター等で遺伝子導入した細胞等を作製する機関)についての定義はない。一方、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針では当該臨床研究のために用いられるヒト幹細胞等を調製する機関を「調製機関」と定義し、調製機関が果たすべき要件を掲げている。

 こちらも先ほどの参考資料1を御覧ください。下のほうの<調製機関>で、施設としてヒト幹細胞の品質を保つための要件とか、倫理審査委員会を設置することなどが規定されています。

 資料3に戻っていただき、現行の指針においては、「調製機関」といった定義はありませんが、遺伝子治療臨床研究で使用される遺伝子その他の人に投与される物質については共同研究であるか否かに関わらず、治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)において求められる水準に達している施設において製造されるものに限られている、といった規定が書かれています。

 <検討のポイント>ですが、多施設共同研究を行う場合、研究(全体)に係る業務を総括し、研究を円滑に進めるための責任者を、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針と同様に新たに規定する必要があるか。上記の検討のポイントについては、現在見直し中の「疫学及び臨床研究に関する倫理指針」とも整合性を図ってはどうか。共同研究を行う際、治療は行わないが研究で必要となるベクター等や、ベクター等で遺伝子導入した細胞等を作製する機関を、新たに調製機関と定義して上乗せの要件を定める必要があるか、とさせていただきました。

 また、※の部分ですけれども、参考資料2を御覧ください。表になっていますが、こちらは現行の「各指針における研究に係る業務を統括する者及び、複数の機関で実施する研究において研究全体に係る業務を総括する者の定義」を比較しています。これを見ると分かっていただけると思いますが、現行の遺伝子治療臨床研究に関する指針における総括責任者というのは、臨床研究に関する倫理指針等における研究責任者に相当していますので、今回の指針の見直しでは、この定義については他の指針と整合性を図っていきたいと考えています。以上です。

○山口委員長 

ありがとうございました。ただいまの論点7を幾つかまとめていただいていますが、これについて御議論をお願いいたします。特に「総括責任者」、この場合はひょっとして「研究責任者」と言うのが適切なのかもしれませんが、これの規定及び調製機関についての規定、この2つが論点の中心ではないかと思います。いかがでしょうか。

○小野寺委員 

まず1点目の「総括責任者」ですが、以前は遺伝子治療が単一機関で行われていて、同じ遺伝子をやる場合でも別々に申請するということで、これは効率のことを考えると時間や労力がかかるということで、このような形で「多施設」というのは正しいと思います。ただ、遺伝子治療というのは各施設での副作用や重大事故がありますし、それを一括的に止めるという意味で、本当の意味での総括責任者が必要だと思いますから、私的には総括責任者を置いて各研究機関に研究代表者という形をとり、多施設における遺伝子治療を1つの形として行うのが、よろしいのではないかと思います。

2点目の「調製機関」に関しては、ヨーロッパもそうですが、最近、細胞を調製するという意味で、インハウスで行うのは問題が多いということで、かなりGMP準拠になってきていますから、多分、ヒト幹でもそうだと思いますが、一定の監査というか、チェック機構が必要になってくると思います。名称は置いておき、こういう機関を置いて何らかのチェック機構、監査機構が必要になってくるのではないかと思います。

 それに関して、ヒト幹においては各調製機関に倫理委員会がありますが、遺伝子治療の場合はヒトの細胞を扱う場合とウイルスを作る場合がありますので、これを一律に調製機関において倫理委員会が必要かというと、多分、その点は論議になると思います。例えばヒトの細胞に遺伝子を入れる場合は、倫理性の問題も出ますので必要かと思いますが、単純にウイルスベクターを作るような所に倫理委員会が必要かということがあります。多分、その辺は明確に調製機関といえども、区別したほうが分かりやすいのではないかと思います。

○山口委員長 

ありがとうございました。事務局から何か。

○中山研究企画官 

1 つ加えさせていただくと、現行の指針においても、この3つ目の●ですが、外部の調製機関と言われるものを使うにしても内部でやるにしても、いずれにしても、いわゆる治験薬GMPと言われる「製造管理と品質管理に関する指針」があります。それにおいて求められる水準において実施しなければいけないというのは、現行の指針においても掛かっているということなので、そこよりも更に上乗せという形をすべきかどうかという点であるということで、お願いしたいと思います。

○山口委員長 

梅澤先生、お願いします。

○梅澤委員 

1 つ確認させていただきたいのですが、参考資料1の<調製機関>の丸3「ヒト幹細胞等の取り違えが起こらないよう、設備上及び取扱上の配慮がなされること」とあります。「ヒト幹細胞等の取り違え」というのは、ex vivoで遺伝子導入した細胞についての話ですから、一部は再生医療新法(案)に入っています。逆にこちらの「遺伝子治療臨床研究に関する指針」に入る部分というのは、一体、どのような部分かを教えていただけますか。

○山口委員長 

多分、これはヒト幹のほうの例示をちょっと引っ張ってきたということかなと思いますが、いかがですか。

○許斐課長補佐 

山口委員長のお言葉のとおり、これは現行のヒト幹指針を持ってきたということです。再生医療新法ができましたら、ex vivoのほうはそちらに含まれているのは存じていますので、それに応じた形で進めていきたいと考えています。

○梅澤委員 

よく分かりました。失礼いたしました。

○谷委員長代理 

最初の問題点に関しては、安全上の問題から臨床試験をやっている場合には誰かが総括をして、各々の機関に対しての情報の周知徹底というのがあると思います。あと事務機能の問題もありますので、こういった新しい多施設でやった場合に、総括責任者を1人置き、あと研究責任者というふうにして情報交換をスムーズにするという考え方はあるべき姿だと思います。

 それと調製機関に関しては、先ほどのGMPのレベルでの作製に関してかなりのコストがかかりますので、これを各機関に求めるのは、今後、臨床試験が、逆にaccelerateでなくdecelerateする可能性もあると思います。調製機関は何か所かにハブを置いて、そこでやって供給ができるようなシステムにしていけば、各機関の金銭的負担を軽減するとともに、臨床研究を促進する立場から望ましいのではないかと考えています。

○山口委員長 

谷先生の御意見は、小野寺先生と近い御意見のような気がしましたが、谷先生、調製機関の上乗せの要件はどうでしょうか。先ほど小野寺先生は、それ以上、あまり上乗せするのはどうかという話がありましたけれども、例えば調製機関に倫理委員会を設ける必要があるかについては、いかがですか。

○谷委員長代理 

倫理委員会という形でいいのかどうか分かりませんが、ある程度、何を作るかということに対する倫理というのは、その機関で考えなくてはいけない問題ではあると思います。実際にそういった機関で、今は大学がほとんどGMPを持っている。橋渡しで作っていただいたとか、AROの厚労省で作っていただいている所に関しては、全て現実的に倫理委員会がありますので、そこは現実的には問題にならない。それと、ある意味で誰が、どうレギュレートするかというのは、どの機関でも必要ではないかと私自身は思っています。

○山口委員長 

今の御意見は、大学と企業が臨床研究に参加して作製される場合、上乗せの要件についてはちょっと違ってくるということですけれども。

○那須委員 

多施設共同については全く賛成です。今までそこの名簿がなかったものですから、多施設共同をやるときにいろいろ議論が出て、まとまらなかった経緯があったということ。ただ、細かな明文を書いたときに、審査の仕方で実施施設が国の審査を通ったら、その審査をもって、他の施設はIRBだけでいいというのでなく、そういう方法と、5施設やったとすれば、5施設がIRBを通してそれをまとめて国へ持って来るのかという方法論の問題はあると思います。

 あと調製機関について、幹細胞とは少しニュアンスが違い、幹細胞はお一人お一人の患者さんから採取して、それを調製して配るというイメージですが、in vivoの遺伝子治療の場合はベクターを大量に作って、それをディストリビュートするということで、調製というよりむしろ作製というイメージですから、ex vivoは除けておいたとしても、この遺伝子治療の中にわざわざ調製機関を入れるというのは、私は少し違和感があります。

○山口委員長 

外部機関に倫理委員会を求めると。

○那須委員 

要するに企業に作るという場合で。

○山口委員長 

ベクターだけを作る。

○那須委員 

ベクターだけを作る場合でも、ほとんどそういう倫理的なところはなくて、できたものをIRBで審査となりますから、あまり明記しなくてもいいのではないかというのが私の意見です。

○谷委員長代理 

通常の企業ですと、クオリティがどこまで信頼できるかということだと思いますが、我々の経験で海外にお願いしたときに問題が発生した経験もあるものですから、その辺も含めて、ある程度のレベルを決める。そこをどうやって決めるかとなると、外部委員が入って、そこの機関自体がプロダクトを作るのにしっかりした人員と工程を持っているかどうか、確認していく必要があるのではないかという私の考えです。

○山口委員長 

今、谷先生がおっしゃった内容は見直しの裏に書いていただいているのですが、治験薬GMPに相当する、あるいは品質・安全性が担保されていることは、どこかが確認する必要があるという趣旨で、よろしいでしょうか。ほかにございませんか。

 今、御意見をたくさんいただきましたが、1点目に関して、多施設共同研究を行う場合に、名称はともかく、研究を総括する立場の方が必要というのは御異論がないと思います。製造のみをする調製機関についても全く御異論はないと思います。ただ、そこで求めている、更に上乗せ、現状では治験薬GMPに準拠する、それに相当するような製造が必要という点に関しても、御異論はなかったと思いますが、そこの施設においても倫理委員会を求めるかどうかに関しては、幾つかの御意見の違いがあったと思います。

 大学でやる場合は、大学のIRBは結構揃っている現状がある気がしますが、研究の一環としてベクターのみを企業で作製するケースにおいて、企業だと外部委員に入っていただくのは結構難しいケースもある、倫理委員会を作った場合にですね。その辺は事務局的にはいかがですか。

○中山研究企画官 

基本的にヒト幹指針で、なぜ倫理審査委員会まで加わっているかというと、我々がいろいろ聞いたところでは、ES細胞を扱うといった特別なところがあるので、そういったところで調製する中でも、倫理をきっちり判断できるようにすべきという観点で置いたようですが、遺伝子治療の場合、そこまでは該当しないのではないかと思っています。

○山口委員長 

ex vivo の遺伝子治療の場合だけ、少し特殊かなという気がします。「ベクターを作るのみ」というケースでは、必ずしも調製機関でIRBが必要でないという方向で、いかがでしょうか。そのようにまとめさせていただくことでよろしいでしょうか。

○小野寺委員 

今の議論で先ほど谷先生が言われた点ですが、遺伝子治療の場合、1つはウイルスの問題があって、これは多分、かなり企業が作っていることが多いと思いますので、俗に言う治験薬GMPという基準はかなり満たされると思います。

 ただ、問題はex vivoの場合です。先ほど言いましたようにインハウスで行っている場合があり、これを全てここで言う治験薬GMPで行うと。先ほど谷先生も言われたように、そういう基準をよりはっきりさせてしまうと、今後はかなり制限が掛かる。ヒト幹は多分、そういう形で進んでいく。細胞の種類がちょっと違うところはあるのでしょうが、今後は多分、そこが非常に議論となってきて、1つは今のままで比較的緩めにやっていくのか。それとも先ほど言ったヨーロッパはかなり進んでくるそうですから、本当にセンター化して、ex vivoにおける細胞調製自体も、GMP準拠で行わなければならないのかという点で、かなり方向性が変わってくると思います。それは結局、先ほど言った監査というか、各インハウスにおけるCPCを監査するのか、どこまでチェックするのかとなってくると思います。なかなか明確には決められないと思いますが、そこは留意しておいたほうが今後のためにいいのではないかと思います。

○山口委員長 

ありがとうございました。多分、今のような複数の想定もされることを考えると、ここはあまり明確にしておかないほうがいいという気がしましたが、それでよろしいでしょうか。事務局から何か。

○中山研究企画官 

これは、基本的に治験薬GMPを遵守すると、そういった水準に達していることの1つの目安と考えています。それは大学の中でやる場合と、外部の企業でやる場合に、その求める内容が一律に同じというわけにいかないことは分かっています。ただ、どこでやるにせよ、品質管理をするための最低ラインはしっかり守ってもらわなければいけない。その1つの目安が治験薬GMPになるのだと思います。

 ただ、この治験のGMPというのは、基本的に企業が治験を行う際に求める水準としての話ですから、当然、これをそのまま企業が守るがごとく大学で守ろうとすると、それはとても無理という話になってしまうと思います。そこは水準というものが、大学の中でやる場合にどの程度なのかというのは、また違うレベルの話になると思います。

○山口委員長 

よろしいでしょうか。たしか細胞加工製品の治験薬GMPというのは、細胞組織加工医薬品の改正のときに同時に作られたと思うので、ちょっと見せていただきましたが、先ほどの交叉汚染とか取り違えなど、割と書きぶりとしては常識的なことが書いてあります。ただし、それをGMPの中でやると、結構大変な作業になるということですね。

○中山研究企画官 

そうだと思います。ここの基準として書いてあることは、基本的なことしか書いていなくて、その運用の仕方を企業レベルでがっちりやると、それではとても手が届かないという話なので、ここには基本的なことしか書いていない。そこのレベルをきちっと守って作ることは、最低限、必要ではないかということになるのだと思います。

○山口委員長 

よろしいでしょうか。多分、このまとめは先ほどまとめさせていただいたとおりで、それで進められると思いますが、本日は、7に関してはそのようなまとめにさせていただきます。次は論点8に移りたいと思います。事務局から説明をお願いします。

○許斐課長補佐 

2 ページを御覧ください。「8 審査について」です。ここでの論点ですが、「8-1 現行の指針では施設内倫理審査委員会(IRB)による審査と実施施設の長が厚生労働大臣に意見を求める2段階審査を行っている。IRBの審査の質を担保するため、審査委員の責務として新たに規定すべきことはないか」といたしました。

 <現状と課題>ですが、現行の指針では、IRBが満たすべき要要件について、下記の「関連条文1」の二の1のように、専門性については規定されています。「1 審査委員会は、遺伝子治療臨床研究の実施に関する医療上の有用性及び倫理性を総合的に審査できるよう分子生物学、細胞生物学、遺伝学、臨床薬理学、病理学等の専門家、遺伝子治療臨床研究の対象となる疾患に係る臨床医、法律に関する専門家及び生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者を含めて構成されるものであること」となっています。審査の質を担保するための委員の教育及び研修については規定されていません。

 一方、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針では、下の「関連条文2」の(2)のように、IRBの委員に対する適切な教育及び研修についての規定が設けられています。

 <検討のポイント>ですが、IRBは研究計画について倫理的観点及び科学的観点から審査を行っているが、遺伝子治療臨床研究に関するIRBでの審査の質を担保するため、当該審査委員会の設置者が、委員の教育及び研修に努めるよう規定してはどうか、とさせていただきました。以上です。

○山口委員長 

ありがとうございます。今までの遺伝子治療臨床研究の指針、ヒト幹の指針との比較から、特に最後に述べていただきましたように、IRBにおいて委員の教育及び研修等を追記しておくと。そのことによってIRBの一定の品質を担保することを求めると御提案いただいています。

 それから、先ほど那須先生から御提案がありましたが、IRBで審査するときに、「ウイルスの専門家」という文言をどう盛り込むか。あるいは、それは「専門家」という言葉の中に含まれるのか、その辺も含めて御議論をお願いいたします。

○谷委員長代理 

こういった審査に関して、倫理委員の教育及び研修については、今、いろいろな方向で進められていると思います。遺伝子治療に関してはかなり特殊性がありますので非常に重要ですし、例えば学会等を利用して講習会を設けるといったことは十分に可能だと思いますので、是非、これは盛り込んでいただければと思います。

○小野寺委員 

谷先生のおっしゃるとおりで、成育医療でも臨床研究の倫理委員会があり、ヒト幹の倫理委員会があり、そして遺伝子治療の倫理委員会と、実際、かなり重複して倫理委員会が並列的に並んでいます。多分、担当の先生がかなり併任しているところがあります。もちろん、そのときに担当の審査の先生を代えることは必要になってくると思いますから、基本、こういう形でもよろしいと思います。ただ、一般的な教育という意味での研修ですが、これを各施設に求めるのはかなり厳しいと思います。ですから、谷先生が言われるように学会とか、もうちょっと上のアカデミアが統一したというか、何かそういうことをしないと専門医が少ない中で、それを教育する専門医は多分、いないのではないかと思います。そこはもうちょっと幅広い範囲で考えていただければと思います。

○山口委員長 

多分、事務局としては、教育・研修に関しては学内だけでなく、外部へ行ったり研修も含めるという感じのイメージかと思います。

○中山研究企画官 

それでよろしいかと思います。

○山口委員長 

これは我々だけでなく、学会のほうも御協力いただかないといけない。谷先生、小野寺先生、那須先生、学会のほうのこういう教育について何かありますでしょうか。

○谷委員長代理 

遺伝子治療に関しては、皆さん、喜んでお引き受けできると思います。ですから年に2回とか。1回ですと委員の方の御都合があって来られないと思いますので、2回か数回は可能だと思います。

○山口委員長 

例えば、学会のときに同時に。

○谷委員長代理 

学会のときに1つ、間に2回ぐらいしておけば、どこかでお受けになることはできると思います。

○中山研究企画官 

今ですと、eラーニングといった手段もあるので、そういったところで提供いただくと。

○谷委員長代理 

そうですね。eラーニングもいいシステムだと思いますし、実際、米国ではそういった倫理委員の研修システムがあります。ただ、あのシステムを作るのは結構時間がかかりますので、よろしくお願いいたします。

○山口委員長 

中村先生、お願いします。

○中村委員 

現在、改定作業中の臨床研究に関する倫理指針の中でも、審査委員のトレーニングという話は入っていますし、そういう意味で入れざるを得ないというか、社会の要請だと思います。ただ、あまりこれを厳しくすると、今度、倫理審査委員の負担がものすごく大きくなる。その辺は何らかの手立てを考えなければいけないと思います。というのは、私もうちの大学の倫理審査委員をやっていて、疫学研究、臨床研究ですけれども、月に1回の倫理審査委員会で時間を取られる。その前に学内委員は出てきた計画書に目を通して、申請者といろいろやり取りして詰めていくわけです。学内委員が通してもいいよというところまで持っていったら、初めて委員会にかけるということで、そこでも負担がかかっています。それに加えて、委員たるべき立場ということで研修・教育を受けなければいけないというと、またこれで時間が取られる。そうなると、それこそ委員を集めること自体が難しくなる可能性もずいぶんあります。その辺も十分御配慮いただきたいと思っています。

○山口委員長 

ヒト幹の審査のとき、IRBの委員の方がかなりいろいろな施設で重複していて、かなり御負担をかけているんだろうなっていうのはよく分かっています。先ほどeラーニングというお話がありましたが、そういうのを一度作ってしまえば、かなり。

○谷委員長代理 

1 回、投資しておけば、あとは大丈夫だと思います。

○山口委員長 

ひょっとしたら、厚生科学課が予算を付けてくれるのかなという気がします。先ほど那須先生がおっしゃっていた、「ウイルスの専門家」という言葉に関しては、文言を入れなくても大丈夫でしょうか。それとも入れておいたほうがよろしいでしょうか。

○那須委員 

8 の「関連条文2」のヒト幹のを見ると、項目一は「分子生物学、細胞生物学、遺伝学、臨床薬理学又は病理学の専門家」と書いていますが、当該の臨床研究に特化したものを審査する専門家とか、よく委員長が指名する者などが各大学等の規定にありますが、もし入れるとしたら、特に自然変異型ウイルスのことを考慮すれば、「研究の内容に応じた専門家」というような文言を入れるとしたら、そういうものかなと思いますが、もちろん、これで十分カバーしているとは思います。

○山口委員長 

ありがとうございます。その辺は事務局に検討していただいてもいいかと思います。よろしくお願いいたします。8-1についてのまとめですが、「遺伝子治療臨床研究に関するIRBでの審査の質を担保するために、IRBの構成委員の教育及び研修に努める」といった、努力規定みたいな形の規定を設けるということで、よろしいでしょうか。

○中山研究企画官 

一応、このヒト幹細胞の臨床研究の指針では、受けなければならないとなっていて、今、臨床研究のほうの見直しも、どちらかというと、そういう方向だろうということもあり、負担になりすぎるやり方はよくないのは分かっていますので、基本的には受けなければならないとして、この文章は努力義務という形で書いてありますが、義務といった方向の検討にさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山口委員長 

ですから、先ほどおっしゃったように、学内だけでやるとかなり負担がかかる部分をどのように担保していくか。その辺の技術的な問題もあると思いますので、その辺は検討していただければと思います。よろしいでしょうか。

○辰井委員 

今の点ですが、ここの議論ではどちらかというと、「設置者の義務」として、そういう機会を設定しなければいけないというムードで議論されていたかと思いますが、臨床研究指針などは、委員に対して受ける義務を課すという方向で議論が進んでいると承っています。

 ただ、ヒト幹に関しては法律化に伴って省令が作られていますが、それも議論の過程ですのでどうなるか分かりません。委員に対して義務付けまではしないで、一応、設置者側にそういう機会を作る。設置者側が機会を作ること自体は義務付ける形になっています。ここをどこまで踏み込むかというのはひとつ、ポイントかと思います。

○小野寺委員 

委員の先生方が非常に負担になるというのは、かなりあると思います。遺伝子のほうは先ほどお話しましたように、倫理委員会の場合は臨床研究としての倫理性を審査するための、例えば教育、それは各IRBがやられているわけです。問題はそれプラス、遺伝子治療を受けなければならないかという話になってくると思います。

 もう1つ、遺伝子治療とヒト幹は2段階審査になっていて、国の機関としてかなりベクターといったところを論議するわけですから、各施設が倫理機関を設置するのはいいと思いますが、それを義務的に審査委員の方は、それも受けないと遺伝子治療の審査委員会の審査もできないとなると、かなり厳しくなります。もう少しそこは、2段階審査ということを加味して緩やかにしてもいいのではないか、

○山口委員長 

今、辰井先生から御紹介いただいたのは、IRB審査委員の義務としてそれを研修しておかないといけないという雰囲気なのか。それとも研修の機会を施設として提供する。別に施設の中でやらなくても、先ほどの議論にあったような遺伝子治療学会とか、そういうものが提供されている研修の機会をコーディネートしていくことでも、よろしいのかなと思います。そういう観点でよろしいでしょうか。ではそのようにさせていただければと思います。

○伊藤委員 

専門の方々のことはよく分からないですが、ヒト幹細胞についても、他についても、それぞれの研究によって基準がいろいろ違うのは、素人から見ると、非常に混乱するのではないかという感じもするのですが、研究者の皆さんは、この研究はこういう方向で、こういう委員会があって、こっちは別なのでということでも大丈夫なのでしょうか。混乱はないのでしょうか。

○中山研究企画官 

そこについては、基本的に全ての指針と整合性を図る。違う部分があるなら、その理屈をきちんと立てることで整理していかなければいけないと思います。

○伊藤委員 

そうしますと、ヒト幹のほうでは、先ほど皆さんからも、あまり負担がかからないようにとか、学内だけでなくていいのではないかなど、いろいろな御意見があったように思います。ヒト幹のほうでは、「研究機関の長が設ける」とはっきり書いてありますね。そうすると、これは各研究機関ごとになるわけで、これが負担なわけです。片方でそう書いてあり、ここのところはどうするのですか。向こうに直せとなるのか、こういうことがあっても別に構わなくて、そこはクリアできるということなのでしょうか。ちょっと教えていただきたい。

○中山研究企画官 

ここについては、それぞれの規定がどうかと、きちんと整合性を図るべきところは図ることで整理させていただきたいと思います。次回のときに、一応、それぞれどうしてこういう規定でこうなっているのか。整合性を図るべきところはここで、違うところはここだという説明をさせていただきたいと思います。

○山口委員長 

伊藤先生、よろしいですか。

○中村委員 

ヒト幹の「研究機関の長が設ける適切な教育及び研修」というのは、例えば学会が主催する研修会を、何とか大学の長があれをこれと認めるみたいな形で置き換えることとは可能なのですか。

○中山研究企画官 

ここの「研究機関の長が設ける」について、どう解釈するかは、違う部局の解釈の仕方があると思います。そこも含めて確認させていただきたいと思います。

○山口委員長 

辰井先生、どうぞ。

○辰井委員 

一般的にですけれども、こういうので、教育・研修というのはそれほど大掛りなものとは普通は考えられていないと思います。ですから、倫理委員会のときに10分ぐらい時間を作って、役所の人に来てもらって説明をしてもらうとか、そういったことも十分これに含まれるという考え方ですから、当然、ほかの学会とかで作ったものに、参加してくださいと言って参加することはむしろ非常にすばらしい高度な教育・研修に属すると思います。

○中村委員 

辰井委員のおっしゃるとおりだと思いますが、現場での解釈で、より安全なほうということで厳しいほう、厳しいほうにいくのが一般的みたいなのです。そういう意味で、研究機関の長はそういう義務があり、倫理審査委員が受ける義務は書いていないけれども、組織内の規定で受けなければならないという話になるし、10分ぐらいでいいとこういう所では解釈していても、それぞれの施設に行くと1時間半とか半日とか、そんな話になりかのねないので、そこの配慮は何かあるといいと思っています。

○山口委員長 

うちの研究では、かなり厳しめに解釈しているところがあります。

○谷委員長代理 

例えば文章でいくと、(2)に「倫理審査委員会の委員は、研究機関の長が設ける適切な教育及び研修を受けなければならない」とあり、「設ける」は「設ける」か、「指定する」という文言にしていただくといいのかもしれないと思いました。

○山口委員長 

事務局のほうで検討していただけますか。それでは、8については構成委員の教育及び研修に努めると、この辺の文言の最後の調整については事務局と調整させていただきます。

 次の論点8-2について、事務局から御説明をお願いいたします。

○許斐課長補佐 

次の検討事項ですが、「8-2 遺伝子治療臨床研究の新規性の判断の要件を見直す必要はあるか」についてです。<現状と課題>ですが、現行の指針では、遺伝治療臨床研究の新規性の判断として下記の「関連条文」の三、1~4を要件として掲げています。「1 疾病の治療のための遺伝子が組み込まれたDNA又はこれを含むウイルスその他の粒子であって、当該遺伝子を細胞内に導入する際に用いられる新規のもの又は新規の遺伝子投与方法を用いていること」「2 新規の疾病を対象としていること」「3 新規の遺伝子治療方法を用いていること。(一又は二に該当するものを除く)」「4 そのほか個別の審査を必要とするような事項を含んでいること」となっております。

2つ目ですが、新規性の有無は厚生労働大臣が複数の有識者の意見を踏まえて、総合的に判断しています。これまでの判断では、例えば組換え型腫瘍溶解性ウイルスを用いた遺伝子治療臨床研究については、進行性膠芽腫に対する適応の審査が終了した後、当該腫瘍溶解性ウイルスを用いた前立腺がんや進行性嗅神経細胞腫に対する適用は新規性なしとなっております。

 以上を踏まえ、<検討のポイント>として、遺伝子の臨床研究の新規性の判断は、従来の方法のままで良いか、としました。以上です。

○山口委員長 

この辺が遺伝子用の審査というか、その辺含めて迅速に進められるかどうかという点にも関わってくると思うのです。先ほど事務局から、かなり柔軟に、あるいは十分な科学的な妥当性、科学的に説明できる場合には新規性無しという判断をしていると、適応疾患が変わっただけとかいうケースにおいて、これまでどおりに個別に判断していっていいのではないかということだと思うのですが、御意見をいただければ。

○小野寺委員 

基本はこのとおりでよろしいと思うのですね。1234の特に1344はちょっとあれですが、これはかなり新規性高いと思う。まあ、2ですね。ある疾患で、個別のがんがあって、あるがんに対して承認されて、それを違う臓器に対して行う場合はかなり新規性に関しては低いのでは、同じウイルスベクターを使った場合は低めではないかと思います。先ほど出ていた「複数の有識者の意見を踏まえて総合的に判断」、あえてここを変えることはないと思うのですが。あとは、ここ、迅速にするという点の1点だと思うのです。

 もう1点が、ちょっとこれに関係あるかどうか分からないのですが、迅速な審査という意味で、軽微なものを、果たして国の審査が必要であるか。例えば追加施設ですとか、根本的に遺伝子治療に関わらない部分ですよね。そういうプロトコールの基本遺伝子のほうに関わってこないようなプロトコールの変更に関しても、それを国の審査を必要とするのか、あるいは院内のIRBの承認で認めるのかという点も、かなり遺伝子治療を迅速に進める意味では重要ではないかと思います。もし可能であれば、この辺も定義していただけると、早くなるのではないかと思います。

○山口委員長 

2つの点について御指摘いただいたと思います。特に、適応疾患については、例えばがん種が異なった場合に、それぞれ個別に判断はすることになるかと思います。もしがん種の話など、特に谷先生、那須先生、御専門なので、後で御意見をいただければありがたいのですが。

 もう1つ、小野寺先生がおっしゃった話は恐らく施設の中の、例えば人事異動とかで替わった場合に、個別にやはり作業部会のほう、委員会のほうで審議をしないといけないか。あるいはIRBで適切な場合、あるいは事務局審査みたいな形でいいのかという、その辺の問題提起かなと思いました。事務局としてはいかがでしょうか。

○松倉バイオテクノロジー専門官 

変更の場合の手続ですが、現状の指針では、変更については事後の届出で足りる場合と、申請という形で出してもらって国で審査する場合と、二通りあります。何を基準に分けているかというと、具体的に明確なものではないのですが、重大な変更の場合は国で審査をします。それ以外のものについてはIRBで承認されれば、それでOKで、国には事後報告をしていただければ足りるとなっています。

 重大な変更として国で審査しているものとして、これまでの事例を紹介しますと、1つは総括責任者の変更、研究の責任者が代わるということで、研究体制として重大な変更に当たるということで、これは国で審査をしています。

 もう1つは、研究施設を追加する変更とか、従来単施設でやっていたものを複数施設でやるように施設を拡大する。新たに追加される施設のほうは新規の申請として上がってくるのですが、従来その承認を受けてやっていた所については施設が増えるということで、変更の形になります。これも、研究計画の大きな変更ということで審査をしている状況にありますので、今その重大な変更として扱っているものを引き続き審査という扱いにするのか、それはIRBに任せてよいとするのか、そういう論点が1つあるのかなと思います。

 もう1つ補足的に申し上げると、国で変更審査している場合も、今ここの論点になっている、新規性のある・無しを判断した場合に、基本的に新規性無しという扱いになろうかと思います。遺伝子の導入のためのベクターとか疾患とかというのは基本的に変わらないので、新規性無しとして判断すれば、それは審査するのだけれども、手続はかなり簡略化される。具体的には、申請から30日以内に大臣が回答をするという形にはなっていますので、普通のきっちりと時間をかけて審査するものに比べれば、変更の審査というのはかなり簡略化されている現状は既にあります。

○山口委員長 

いわば、医薬品の軽微変更と遅延みたいな感じですかね。それぞれの論点について、御意見をいただければと思います。

○谷委員長代理 

先ほどのがん種の問題ですが、例えば悪性進行性膠芽腫に対するウイルス療法に関して、これは脳に投与していたのを、前立腺がんや嗅神経芽腫に投与を変更したので、どちらかというと投与方法が簡便化されているような印象を受けます。

 逆に投与が皮下脂肪に打っていたのを脳腫瘍に打とうとしたような場合に、軽微な変更で済むのかどうか。いわゆる投与方法に伴う安全性の問題が1つは生じますので、それはもちろん、ここの関連条文の4で対応は可能だと思うのですが、そういったものも含めていく必要があるかと考えます。

 ベクターに関しても、同じものを、今はパテントなどの問題でほとんどあり得ないと思うのですが、昔、アメリカから中国に同じベクターを持っていって、製剤化したというのは有名な話です。そうしたことが、同じベクターについて違う施設で全く違う製造方法で同じものを作るということもあり得ますので、その場合は新規性が問われないのかどうかという、2点を私から。

○那須委員 

先ほど前立腺がんの話が出ましたが、この場合は同じ薬剤を使って前立腺がんに投与するという観点と、既に私どものところでベクターを前立腺に投与することをやっていましたので、その手技、手法に対する安全性は十分担保が取れているということで、同じ手法を使ってやるということで、使うものは違いますが、手法は同じというところの、別のプロトコールを参考にして、新規性無しという判断に至っております。かなりケースバイケースというようなことがあり得ると思います。

 もう1点、これとは別にここで、新規性無しとなった場合も、いわゆる第一種規定についてまた別の論点があるのではないかということです。

○山口委員長 

ありがとうございます。恐らく、あと投与量が増える、初期の量が設定されていない投与量が増えた場合などは、ひょっとしたらここに新規性があるという判断になるのかなとちょっと思ったのですが、そういう感じでよろしいでしょうか。

 今まで挙げていただきましたように、リスクが増大するような投与量になるというようなケース、あるいはその投与量が増えてくるケース、あるいは生産施設が替わってくるようなケース、その場合においてはケースバイケースで判断していくことになるかなとは思いました。新しい新規性についても判断をしていかないといけないかというように思います。新規性の判断に関して、今のような御意見を踏まえますと、恐らく従来の新規性の判断をケースバイケースでやっていくという、先ほど事務局でまとめていただいた案で、御異論はないのかなと思いました。

○小野寺委員 

基本、その形でよろしいと思うのですが、このような変更は非常に難しいと思うのです。必ず2段階審査ですので、まず院内のIRBに掛かった後にもう一度ということで、非常に時間が掛かると思うのです。ですから、問題は、どちらでやるかは今置いておくとして、ある程度一定の基準が満たされて、承認されて。そのベクターが変わるというのは非常に問題ですが、先ほど那須先生が言われたようなものを、もちろん那須先生のほうで多分学内のIRBに掛かっていると思いますので、つまり2段階審査であることを考えて、全ての項目に関して2段階でやっていかなければならないとなると、初めての申請であれば、当然必要になるかと思うのですが、今ある程度承認されていて、その一部を変えるときに果たしてその2段階審査まで必要なのかという点は、やはり重要なのではないかと思います。

○山口委員長 

その辺も含めて、今までの従来のケースの判断ができるような記載というので、それほど大きな問題はないのかなと。

 松倉さんから御説明あったような、実際、こういうベクターそのものの話ではなくて、研究に参加している研究主任者が代わったときなどは新規性ありとなる。様々な遺伝子量そのものよりも、割と施設的な話とか、追加の施設とか、そういうものに関しては審査はするのですが、先ほど言った軽微な変更の手続というので対応していることに関しては、いかがでしょうか。すぐに回答が出る、あるいはそういうことであればそれほど大きな問題はないのかなという気がするのですが。先ほどの小野寺先生のその辺の話について何かありますか。

○小野寺委員 

そうです、例えばデータの取り方ですとか、どういう項目を加えるかとか、もちろん異動された場合とか、新しく入った場合ということがありますので、それは常に院内のIRBに掛けるのです。

 すみません、私、事後というところは余りそこは認識してなかったので、そういうことであるのであれば、遺伝子治療を継続しながらやっていけると考えてよろしいのですね。

○山口委員長 

では、先ほど事務局でまとめましたように、現行の新規性の判断については従来の記載、内容的には今議論したような内容は含まれていると思いますので、そのようにさせていただければと思います。伊藤さん、どうぞ。

○伊藤委員 

これも全く質問なのですが、4ページの関連条文、前のだと思いますが、分からない言葉なので教えていただきたいのです。「1 疾病の治療のための遺伝子が組み込まれたDNA又はこれを含むウイルス」まではいいのですが、「その他の粒子であって」というのは、専門家の方はお分かりなのだと思うのですが、「その他の粒子」ということはどういうことなのか。この表現でもいいのでしょうか。それを伺っておきたいのです。

○山口委員長 

間違っていたら訂正をお願いします。ウイルス以外の粒子、例えばプラズミドDNAだけのものをリポゾームの中に封入させて使うとか、そういうケースも想定して書いていると理解しております。

○伊藤委員 

その場合の「粒子」という言い方でいいのかどうかというのは、ちょっと分からなかったのです。今、粒子と言うと、宇宙物理学で盛んに言われているのを、何となく国民もみな、粒子と理解するわけですが、同じ言葉を使いながら、科学で分野が違うと全く意味が違ってしまうということで、これでいいのかなという気がするのです。

○山口委員長 

多分、全然違う意味で、この粒子は使ってしまっているかと思います。ヒッグスス粒子とか、ああいうものを想定しているのではなく、リポゾームというか、ナノ粒子、ナノパーティクル、そういうものまで含めて、粒子ということになってしまいます。

 では進めまして、論点については、現行の指針を変更しないということにさせていただきました。

 続きまして、論点9について御説明お願いします。

○許斐課長補佐 

では、5ページを御覧ください。「9 実施施設から厚生労働大臣への各種報告について」です。検討事項として、「現行の指針では実施施設の長は遺伝子治療臨床研究の実施について厚生労働大臣に意見を求める他、当該研究の質及び安全性の担保のため以下に示す報告に関する業務を行うこととなっているか、提出期限等について細かい規定はない」とさせていただきました。

<現状と課題>ですが、現行の指針では遺伝子治療臨床研究の進行状況について、実施施設の長は必要に応じ厚生労働大臣へ報告を行うこととなっているが、総括責任者が実施施設の長に定期的に報告する責務はない。ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針や臨床研究に関する倫理指針では、研究責任者(総括責任者)は研究機関の長(実施施設の長)に対して、当該臨床研究の進捗状況については少なくとも年1回報告する責務があります。また、現行の指針では被験者の死亡その他遺伝子治療臨床研究の実施に際して生じた重大な事態及び遺伝子治療臨床研究の実施に影響を及ぼすおそれがある情報について、速かに厚生労働大臣に報告することになっています。また、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針でも、重大な事態については同様に速かに厚生労働大臣に報告することになっていますが、いずれの指針も提出期限を定めておりません。ただし、本指針の施行通知(平成14327)においては15日以内を目安に報告することとなっています。

 そこで<検討のポイント>ですが、遺伝子治療臨床研究の質及び安全性の担保のために、当該研究の進捗状況について、総括責任者(研究責任者)は実施施設の長(研究機関の長)に定期的に報告することを求めてはどうか。その場合、「疫学及び臨床研究に関する倫理指針」の見直しと併せて同様の規定を置くこととしてはどうか。重大な事態及び遺伝子治療臨床研究の実施に影響を及ぼすおそれのある情報については、一定期日内に厚生労働大臣に報告することとする。ただし、期日についてはガイダンス等で、薬事法における治験での報告事項や再生医療新法()と整合性を図ることとしてはどうか、とさせていただきました。

○山口委員長 

大臣への報告か、あるいは施設の長への報告など、様々な報告はするべきことがあろうかと思います。確かに、重大な報告については明確になっているのですが、進捗状況の報告等はまだ明確化されてはいない。明確に記載されてはいないということだと思うのですが、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。

○辰井委員 

重大な事項、何かあった場合の報告のほうなのですが、これはどういう趣旨の報告なのですか。基本的に情報収集ということなのか、それとも今度の再生医療新法などでは、停止命令が国から出せるようになっていますので、そのための報告だと、15日でもちょっと長い感じがいたします。この趣旨によって期間も大分変わってくるかと思いますので、質問します。

○松倉バイオテクノロジー専門官 

重大な事態を報告してもらう趣旨は、おっしゃるとおり、この臨床研究の継続に問題があるとか、そういうことについて国の審査委員のほうで御意見をいただき、必要に応じて厚生労働省から意見を述べるというために報告をしていただいております。

○山口委員長 

具体的には、例えば死亡例があったときに、当該遺伝子治療薬に関連するかどうかということの議論も含まれるかと思います。

○小野寺委員 

今の15日、多分ここで遺伝子治療の申請書を出されている先生は多いと思うのですが、基本、大体72時間以内に有害事象があったときはまず第1報を入れるというのは、かなりコンセンサスはあると思うのですね。その段階で、有害事象との関連性ということは多分その後の各施設での評価委員会ですとか、安全委員会で行うということで、第1報に関してはかなり明確に、72時間というのはどの申請書にも書かれていると思います。15日と書かれると、かなり遅いなという気がしますので、そこはちょっと違うのではないかと思います。

○中山研究企画官 

基本的に、この辺りも、例えば治験の場合の取扱いとか、そういったものとの整合性は図ろうという形で考えています。ちなみに、治験でいいますと、7日以内の報告事項、死亡または死亡につながるおそれのある症例というものは7日以内というのが表向きの基準です。ただ、先生から御指摘いただいたとおり、遺伝子治療の臨床研究については研究の計画を出していただく際に、第1報については「3日以内、72時間以内」に出してもらうことで事実上運用しているといいますか、審査ではまずそこは求めるということでやっていますので、そこは変えないでやっていきたいと思っています。

○山口委員長 

かなり迅速には、例えば第1報をファックスですぐに送ってくるとか、そういう運用上はされているということかと思います。事務局から提案しましたのは、この辺に関しては他の疫学や臨床研究に関する倫理指針、あと一定期日内に厚生労働大臣に、特に重篤なものについての報告についての整合性を図っていってはどうかということだと思うのです。実際の運用と、その他の臨床研究倫理指針との整合性を図っていくというまとめではいかがかと思うのです。よろしいでしょうか。

○谷委員長代理 

それは私、大賛成です。

○山口委員長 

ありがとうございます。もし、よろしければ今のまとめていただいたように、他の研究倫理指針との整合性を図るということで、これの成案ができたときにも合わせていただければと思いますが、よろしくお願いいたします。

○小野寺委員 

もう1点、アニアルレポートの件なのですが、これは単施設だとこの形で成り立つと思うのですが、問題はやはり総括責任者が自分のところなのか、あるいは各研究のところ、代表者は自分のところで出すのか。そこがかなり明確にしておかないと。

○山口委員長 

そうですね。もし施設ごとに出す必要があるのか、もう多施設共同研究として実施されている場合には多施設で総括研究責任者(研究責任者)が出せばいいのかという、私は多分、後者でいいのではないかと思うのですが、事務局としてはいかがでしょう。

○許斐課長補佐 

基本的には、施設ごとにそんなに非常に詳しくは必要ないと思いますので、研究機関ごとで出していただくのが一般的かとは考えております。

○山口委員長 

簡単な研究機関の報告を出した。

○許斐課長補佐 

研究機関内で研究の責任者が研究機関の長に出すという考え方でよいのかと思います。

○山口委員長 

分かりました。例えば総括研究責任者はそれをまとめるというようなイメージでしょうか、もし全体としてまとめて報告をするという場合に。

○許斐課長補佐 

はい、特にそこまでは設けていないと思いますが。

○小野寺委員 

あと1つは、どちらでもいいというわけではないのですが、そういう方法もあります。あるいは研究代表者が1枚のアニアルレポートを作って、全て共有するというのもありかと思うのです。つまり、研究代表者の名前で、もちろんその同じ文面を全ての他施設の状況も1施設に送れるというのですか、これは論点、どちらでもしてほしいのですが。

○山口委員長 

施設ごとに書いて、やはり施設の長に提案しておくことにするのか。あるいは共同研究を行っている場合には他施設、研究責任者が1つのレポートとしてまとめて、それぞれを研究施設ごとに同じものですが提出することでいいのかということだと思うのですが。

○中山研究企画官 

基本的には、やり方は柔軟でいいのだろうと思いますが、そこも整理はさせていただきたい。ほかの研究の場合にどういうふうな運用をされているかも含め、確認した上でやりたいと思います。別に実施施設の機関の長がきちんと知るべき事項を知ればいいと思うので、やり方は柔軟でいいのではないかと考えます。

○山口委員長 

よろしいでしょうか。多分、その辺の柔軟性が担保されていれば、逆にいえば、研究計画を出すときにその辺のやり方も書いておいていただければいいということになるのかと思うのです。

 最後になるかと思いますが、論点10についての御説明をお願いいたします。

○許斐課長補佐 

では、7ページを御覧ください。「10 情報の公開について」です。検討すべき内容として、「遺伝子治療臨床研究における情報の公開について、どのような方法で行うか」としました。

<現状と課題>ですが、現行の指針では、実施施設の長は計画又は実施している遺伝子治療臨床研究に関する情報の適切かつ正確な公開に努めるものとされておりますが、具体的な情報公開の方法(研究計画を登録する者や登録方法)については規定されておりません。ただ、遺伝子治療臨床研究の実施については、実施施設の長は厚生労働大臣に意見を求めておりますが、提出された研究機関等の情報については審査の過程で公開されております。一方、臨床研究に関する倫理指針では、下記に示すような研究の場合、具体的には侵襲性のある介入研究となりますが、こういった研究の場合には当該研究に係る臨床研究計画を研究責任者が登録するように求めており、研究機関の長は当該研究の登録がなされ、臨床研究計画および臨床研究の成果の公開が確保されるよう努めるものとされております。

 以上を踏まえ、<検討のポイント>としては、遺伝子治療臨床研究に関する指針においても情報の公開については、臨床研究に関する倫理指針で規定されている方法と同様の規定を置くこととするか、としました。以上です。

○山口委員長 

少し論議があることかと思いますが、情報公開について、どのように。現在は明確な規定というか、詳細については書かれていないのですが、これについては臨床研究倫理指針と合わせるような形で、公開を求めるような形にしてはどうかということと思うのですが。

○中山研究企画官 

遺伝子治療臨床研究にしても臨床研究の範疇ですので、基本的には臨床研究の指針で規定されていることで、適用はされていることになると思うのですが、念のために追加しておくかというような程度の話になるのではないかと思います。

○山口委員長 

御意見等がいただければと思います。多分UMIN等は登録されているかと思いますが、UMIN等に登録された場合、結果を登録できるような形になっていますでしょうか。

○那須委員 

はい、定期的に報告を求められていますので。

○山口委員長 

そうすると、NIH ClinicalTrials.govからとられるのだと3ページぐらい、ページが変わって結果の報告部分もある形になっていると理解してよろしいでしょうか。

○那須委員 

例文にアクセスして、記入するようになっています。

○山口委員長 

その辺は事務局からの御提案では、臨床研究の指針に沿った形で、ここにも記載しておくような姿勢はどうかということと思うのですが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。本日の議論は710まで、最初の資料2に記載しております「多施設共同研究」から「情報公開」までを議論させていただきました。ほかに何か、もし追加でコメントなどありましたら、よろしいでしょうか。

 では、事務局から何か御連絡等ございましたら。

○中山研究企画官 

毎回そうですが、今回また議事録を作成いたしまして、先生方に確認した上で公開することにさせていただきたいと思います。

 次回ですが、先生方に今年中にもう一度お願いしたいと思っておりまして、1220日、13時からということで、こちらの三田共用会議所での開催を考えております。今後改めて正式には御連絡をしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。事務局からは以上です。

○山口委員長

以上をもちまして、第5回の専門委員会を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。


(了)
<問い合わせ先>

 厚生労働省大臣官房厚生科学課
 担当:情報企画係(内線3808)
 電話:(代表)03-5253-1111
     (直通)03-3595-2171

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会)> 第5回遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会議事録(2013年11月15日)

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