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2013年12月5日 第72回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成25年12月5日(木)10:00〜12:02


○場所

厚生労働省 講堂(低層棟2階)


○議題

産科医療補償制度について

○議事

○遠藤部会長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第72回医療保険部会」を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。

 それでは、本日の委員の出欠状況について御報告申し上げます。

 本日は、岡崎委員、齋藤正寧委員、武久委員、福田委員、森千年委員より御欠席の御連絡をいただいております。

 続きまして、欠席委員のかわりに御出席される方についてお諮りしたいと思います。

 武久委員の代理として中川参考人、森千年委員の代理として藤原参考人の御出席を御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に移らせていただきます。

 本日は、「産科医療補償制度について」を議題といたします。

 本日は、日本医療機能評価機構の運営委員会における「補償対象となる脳性麻痺の基準等および補償水準等の見直し」および「制度見直しに係る議論のとりまとめ」について御説明していただく予定でございます。そのため、日本医療機能評価機構から、産科医療補償制度運営委員会の小林委員長、上田理事、後理事にお越しいただいております。

 それでは、日本医療機能評価機構の上田理事、後理事から資料の説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○上田理事

 私、日本医療機能評価機構で産科医療補償制度の事業管理者を務めております上田でございます。これまで産科医療補償制度運営委員会において、補償対象となる脳性麻痺の基準などについて見直し検討を行い、今般、最終報告書を取りまとめましたので、本日御報告いたします。

 まず初めに、運営委員会の小林委員長から一言お話をさせていただきます。次に、お手元にあります日本医療機能評価機構提出資料のそれぞれの項目について、当機構の理事の後から説明いたします。

 よろしくお願いいたします。

○小林参考人

 産科医療補償制度運営委員会委員長の小林と申します。運営委員会では、1年10カ月にわたりまして制度の見直しを慎重に議論してまいりました。

 議論の過程では、5年弱の制度運営の中で明らかになった課題を改善する。それから、最近の産科・周産期医療の成果を取り込んで、医学的に不合理な点を是正する。さらに、制度創設時で十分にデータがなかったという点について対応することを議論の中心に据えて、審議を行ってきました。中間報告書は本年6月に、そして最終報告書をこのたび取りまとめましたので、報告いたします。

 詳細につきましては、後理事のほうから報告してもらいますが、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

○後理事

 それでは、資料の説明に移らせていただきます。資料1をお願いいたします。適宜、45ページ以降、別添の資料にも飛びながら御説明させていただきます。

 まず、1枚おめくりいただきまして、1ページをお願いいたします。産科医療補償制度の制度見直しの検討結果についてという表題でございまして、その下の1.制度見直しの検討結果でございます。

 1つ目の○に書いてございますことは、産科医療補償制度は、準備委員会報告書において、遅くとも5年後をめどに適宜見直しを行うとされた。

 2つ目の○ですが、このため、運営委員会において、24年2月から議論を開始し、補償対象となる脳性麻痺の基準、その他等を見直しに係る検討課題として挙げております。

 3つ目の○ですが、これらの課題のうち、補償対象となる脳性麻痺の基準等の検討に先立ち、小児神経科医等の専門家から構成される医学的調査専門委員会を設置し、データの収集・分析を行い、25年7月に医学的調査専門委員会報告書として運営委員会に報告されました。

 次の○ですが、この報告書に基づき、対象となる脳性麻痺の基準等について運営委員会で議論した結果を、以下のとおり報告するとしております。

 次、2.補償対象となる脳性麻痺の基準について。

 (1)補償対象となる脳性麻痺の基準の見直しです。その下の行からですが、制度創設時の経緯を踏まえ、趣旨の範囲内で検討を行った。具体的には、5年の制度運営の中で明らかになった課題や医学的に不合理な点の是正、新たに得られたデータに基づく適正化の観点で、必要な医学的根拠等を踏まえ、検討を行った。

 検討の結果の概要は、以下のとおりであるということですが、検討結果の報告書は別添1で、10ページから44ページと大部になっておりますので、その内容はその次の行から書かれておりますので、このまま進めさせていただきます。

 次の行が1一般審査の基準です。これは、後半の別添資料2から4になりますので、45ページから47ページを適宜御参照いただきながら、御説明も続けさせていただきます。

 点線の囲みの中ですが、在胎週数の基準。制度創設時に「通常の妊娠・分娩」の範囲について、脳性麻痺の発生率が異なる在胎週数に着目し、現行の33週以上と設定した経緯にある。

 このことを踏まえ、今般の見直しにおいても、制度創設時と同様に、発生率が異なる在胎週数に着目し、検証したところ、次のとおりであった。ここの部分の在胎週数ごとの発生率は、別添2、45ページになります。

 次の行ですが、「脳性麻痺の発生率が異なる在胎週数」について、2006年から2009年、これは別添2の、カラーの資料をお持ちの方はピンク色のほうでございます。白黒の方は、3本の棒の一番右側でございます。2006年から2009年における32週の脳性麻痺の発生率は、同時期の33週や34週の発生率とほぼ同水準である。31週の発生率は32週の3倍、30週の発生率は31週の3倍である。

 このことを統計学的な観点から確認するため、この結果が別添3、46ページでございます。33週の脳性麻痺の発生率と各週の発生率との間の有意差を検定したところ、30週以下については統計学的な有意差があるものの、3132においては33週との有意差は認められないとの結果でありました。

 これは別添3、46ページを少し御説明させていただきます。統計学的検定の結果でございまして、33週を軸といたしまして各週を比較しております。ダイヤのマークですが、この33週を1といたしまして、1のところにはラインが引いてあります。それに比較して、ほかの週の脳性麻痺の発生率が多いか少ないかを見たものでございますが、各週の発生率にはそれぞれ誤差がございますので、誤差範囲を横棒で記しております。したがって、各週の発生率はダイヤのマークと横棒で示されております。この横棒が1のラインをまたげば、1かもしれないということで有意差なし、またがなければ有意差ありということになりまして、結論としましては、30週より小さい週数におきましては有意差あり、それ以外は、31から37までは有意差なしということでございました。

 そして、また資料2ページに戻っていただきまして、1行あきまして、したがって、週数の基準について、現行の33週以上から31週以上へ見直すことが適当と考えられる。

 なお、これまでの実績を重視し、個別審査として申請が行われた事例において対象と判断された事例を検証すると、これが47ページになりますが、32週以降の申請事例では高い割合で補償対象とされていること、脳性麻痺の発生率が33週や34週とほぼ同水準であることから、32週へ見直すことの根拠はより確実という御意見もありました。

 続いて、3ページに参ります。続きまして、出生体重の基準です。基本的には同じことを行っております。

 1段落目ですが、出生体重の基準は、同様に脳性麻痺の発生率が異なる体重に着目し、2,000g以上と設定した経緯にあります。このことを踏まえ、同様に検定しております。

 3段落目ですが、出生体重2,000gにおける脳性麻痺の発生率と、100gごとの体重群の発生率との間の有意差を検定した結果、これが別添6、49ページになります。別添5が発生率で、別添6が検定結果になります。基本的には、先ほどのものと同じ方法論です。その結果、1,400g未満については統計学的な有意差があるものの、1,400g以上では2,000g以上との有意差は認められなかったということでありました。したがって、現行の2,000g以上から1,400g以上とすることが適当と考えられる。

 また、個別審査として申請が行われた事例において対象と判断された事例でも、1,400g以上で高い割合で補償対象とされていました。これは50ページになります。そこで、1,400g以上へ見直すことの根拠になるとの意見もございました。

 ここで補足ですが、33週、2,000g以上との比較を行っているわけでございますけれども、これらの原因分析を1件に当たり1年かけて行った結果を見ましても、本来制度が対象としていない未熟性による脳性麻痺。例えば、胎児の発育遅延とか早産のみによって脳性麻痺となっていた事例はありませんでした。そこで、332,000g以上の現行の基準が有効に働いているという前提のもとで、比較を行っております。

 それから、下の2個別審査の基準です。

 囲みの中の1行目ですが、現行の基準は、臍帯動脈血ガス分析値や胎児心拍数モニター上の所定の所見に限定しており、緊急性等によって、必ずしも取得されていない事例がある。この課題に対しては、アプガースコア(1分値3点以下)、生後1時間以内の児の血液ガス分析値(pH7未満)のいずれかの所見が認められる場合を加えることが適当と考えられる。なお、低酸素状況をきたす可能性のある疾患については、胎児母体間輸血症候群、それ以降の詳しい病名は省略させていただきます。

 4ページに参ります。

 1行目ですが、これらの病態が認められる場合を加えることが適当と考えられる。

 また、低酸素状況であっても現行の基準の胎児心拍数パターンを示さない事例がある。この課題に対しては、胎児心拍数パターンと基線細変動消失との関係を、現行の「かつ」から「または」に変更し、さらに、基線細変動の減少を伴った高度徐脈、サイナソイダルパターンを加えることが適当と考えられる。これらを加えた修正案がその下の四角の中になりまして、下線が引いてあるところが修正部分です。同じものは、別添8−1、51ページにございます。

 なお、学会や医会が作成しているガイドラインの作成委員会においても、これらの所見は分娩中の低酸素状況の存在を示唆する指標として妥当であるとされております。これが別添8−2で、52から53ページにガイドライン作成委員会の意見書がございます。

 そして、同じページの下3行ですけれども、先天性要因や新生児期の要因等の除外基準、重症度の基準、補償申請期間についても検討を行ったが、これらの見直しは行わないとの結論に至った。

 5ページに参ります。(2)基準見直し後の補償対象者数。

 1補償対象者数の推計値です。その下の行で、31週以上かつ1,400g以上とし、個別審査の基準を見直した場合、以下のとおりということで、点推定が年間635人、区間推定が481から789となりました。

 その下の行で、なお32週以上かつ1,400g以上、個別審査の基準を見直した場合、以下のとおりということで、点推定571、区間推定が423から719となります。

 2補償対象者数推計値の根拠です。7月の医学的調査専門委員会の推計は、沖縄県の1998年から2007年に出生した脳性麻痺の全例について、一般審査と個別審査のそれぞれについて、発生数などより、全国推計値を算出しております。同時に、誤差を考慮する必要があることから、95%信頼区間を算出して、その結果、点推定が481人、95%信頼区間は340から623人としております。

 見直しの推計に関しましても、同様に行っております。なお、個別審査基準については、詳細な情報が確認できる宮崎県のデータも用いております。

 6ページに参りまして、具体的な算出方法は別添9でございます。これが54ページと55ページで、54ページは31週で推計した場合、55ページは参考までに32週で推計した場合となっております。

 次の3.補償水準・支払方式に参ります。現行の3,000万円という補償水準が看護・介護に係る経済的負担の軽減の一助と、紛争の防止・早期解決に照らして効果を生み出しているかについて議論を行った。また、終身年金払方式、有期年金払方式の導入の是非についても議論を行った。いずれの論点についても、議論の結果、現状を維持することとなった。検討結果は、最終報告書に記載しております。

 それから、4.掛金水準等でございます。

 その下の1現行制度において必要な保険料水準です。補償対象者推計の上限である623人をもとに算出した保険料水準は、下線を引いておりますが、2.2万円程度となります。算式をその下に示しております。

 それから、7ページに参ります。2見直し後制度において必要な保険料水準です。31週以上の場合は、下線を引いておりますが、2.7万円程度となります。それから、1行飛びまして、なお32週の場合ですけれども、下線を引いておりますが、2.5万円程度となります。

 それから、3剰余金からの充当額でございますが、考え方を黒ポツ3つに示しております。まず、1つ目のポツですが、剰余金の額は、対象者数を仮に毎年481人とすると、21年契約から26年契約の6年分で合計800億円。2つ目のポツで、長期安定的制度運営の観点で、剰余金が枯渇した際の掛金への影響を考慮し設定することが望ましい。3つ目のポツで、充当期間、充当額については、今後の医療保険部会の議論も踏まえ、保険料水準が確定する段階で決定する。

 参考までに、充当期間が20年としますと0.4万円程度、15年で0.5万円、10年で0.8万円程度の充当ができるということでございます。

 次の5.26年1月の保険契約における事務経費等についてでございますが、その下の行で、前回の医療保険部会に御報告したとおり、26年1月の契約において、以下の見直しを行うこととしている。

 1剰余金の返還の最低水準です。調査専門委員会による補償対象者数推計の区間の下限値は340人であり、創設時と同様に最低水準を設定すると、その340人となりますが、補償対象者数を最も少なく見積もった場合の下限値として278人が示されておりますので、制度の公的性格等に鑑み、300人から278人に引き下げるということでございます。

 8ページをお願いいたします。2剰余金の運用益の部分ですが、26年1月契約以降、補償原資に剰余が生じた場合、返還される剰余分に運用益相当額が付加されて返還される仕組みとする。なお、運用益相当額の算出方法については、第三者の有識者から構成される運用利率に関する検討会議において検討を行った結果より、別添10のとおりとするということで、別添1056から58ページでございます。

 特に、57ページに運用利率設定の考え方をまとめております。簡単に御説明いたします。

 1.剰余金の運用方法ですが、2つ目の○で、資産・負債総合管理、いわゆるALMを前提に、信用度・流動性が高い日本国債をベースとした運用方法を運用益相当額算出の前提とするということ。

 それから、2.運用利率の決定方式・水準として、その下の1つ目の○で、日本国債をベースとしたALM運用を前提として、「保険料計上時点の市場金利の実績値を用いて事後的に運用利回りを設定する方式」により、運用利率を決定する方式が適切とされました。

 一番下の2行ですが、参考までに10月末現在の金利を基準にすると、残存期間5.5年の国債の運用年率は0.14%となります。

 資料8ページに戻っていただきまして、次の3制度変動リスク対策費です。その下の行で、現行制度における推計値より、500人の見込みから481人の見込みに変更し算出する。制度変動リスク対策費は、(1)医療水準向上に伴い脳性麻痺児の生存率が統計データ取得時点より上昇するリスク。(2)データ母数が少ないため推計値が大幅に外れるリスク。(3)20年間の長期にわたる支払い業務に伴う予期できない事務・システムリスク等の予期できないリスクに対応する費用であり、(2)については、引き続き5%の範囲内でリスクが残っている他、(1)のリスクや(3)の事務・システムリスクは依然として存在しており、481人にもとづき設定する。算出式をその下に書いております。

 上記を踏まえた、21年から26年の契約における事務経費等の推移は、これが資料最終ページになりますが、59ページです。別添11のとおりでございます。一番上の棒で書いてある部分が事務経費になっておりまして、その内訳の数字で示したものが、その下の表になっております。

 一番下の円グラフは、御参考までに、収入保険料に占める事務経費の割合を円グラフで示したものです。

 その他、制度変動リスク対策費の算出方法なども含めて、9ページまで記載しております。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、御意見等、ございましたらどうぞ。小林委員、お願いいたします。

○小林委員

 ありがとうございます。

 産科医療補償制度は、産科に関わる医事紛争を予防し、医療安全の向上に資する極めて重要な公的制度であります。したがって、制度の運営には透明性の確保が強く求められ、このことは私ども保険者だけではなくて、本部会のほかの委員の方からも指摘されたことではないかと思います。この認識が大前提となりますが、本日の御説明を伺っても全く納得できない立場から、幾つかの疑問点を申し上げたいと思います。

 まず、今回提出されました別添1「産科医療補償制度 見直しに係る最終報告書」であります。前回、本部会での議論では、遠藤部会長からも、財団において議論がある程度まとまった段階で当部会に改めて報告をいただき、それを基に当部会で結論を出していきたいという段取りが確認されました。しかし、14ページに「報告書の取りまとめに当たって」という資料がありますが、財団において既に最終取りまとめを行ってしまったということであれば、大変不信感を抱かざるを得ません。最初に、この点について指摘したいと思います。

 次に、補償対象となる脳性麻痺の基準についてです。財団としては、2ページの枠内の下の方にあるとおり、現行の在胎週数33週以上から31週以上へ見直すことが適当とし、出生体重については、3ページの最初の枠内の中ごろにあるとおり、現行の出生体重2,000g以上から1,400g以上とすることが適当とあります。産科医療補償制度は、その元をたどれば社会保険料などで成り立つ公的制度であり、その補償基準をどう考えるのかということについては、前回申し上げたとおり、保険者をはじめ、費用を実質的に負担する側の理解と納得を得ることが求められ、また制度の趣旨を誤ることなく、医学的エビデンスに基づく議論が必要であります。しかし、本日の御説明を伺う限り、果たしてそのような議論が行われたのかという疑問を感じざるを得ません。

 また、私は統計の専門家ではないので素朴な疑問を申し上げますが、「統計上の有意差が認められない」という結果は、「現時点の情報からは差があるのか否かについて、どちらとも判断できない」ということではないかと思います。そういうことであれば、どうして2ページにあるような結論となるのか、全く理解できません。基準の拡大ありきで議論しているのではないかという疑念を抱かざるを得ません。

 また、出生体重2,000g以上を1,400g以上に引き下げるという考えについても、限られた症例数にもかかわらず、統計上の有意差がないという主張であり、同じく理解できません。そもそも、現行基準の妥当性については、ほとんど検証が行われておらず、本日のような説明資料では、この見直しの基準の議論の根拠としていいものかどうか、判断ができません。公正かつ透明性のある議論のためには、財団の提出資料について、客観的な第三者的立場の方で、財団の当事者でなく、このような医学・生物学の領域で統計学の専門家の御意見が必要だと思います。その上で、保険者として意見を申し上げたいと思います。また、こうした進め方について、部会長の御理解をぜひお願いしたいと思います。

 続いて、見直し後の掛金水準等についてです。5ページにある見直し後の補償対象者数についての疑問があります。財団の基準の見直しに関する主張は、それ自体に疑問があるということは先ほど申し上げたとおりでありますが、医学の進歩により脳性麻痺の発生率自体が低下し、現行基準の33週の場合と差がなくなっているから、現行基準を31週までに拡大する必要があるという内容でした。しかし、その一方で、見直し後の基準による補償対象者数については、1998年から2007年までという、いわば制度創設時の古いデータを用いて推計しております。脳性麻痺の発生率が低下していると主張するならば、発生数自体も減少しており、そうした効果を見込んだ上で推計すべきであるにもかかわらず、説明が一貫しておりません。

 最後に、個別審査基準の見直しについて確認いたします。本日の財団からの提出資料には、52ページの別添8−2に日本産婦人科医会等からの意見書が添付されており、見直し案の内容は妥当とありますが、個別審査基準は健康保険法に基づく大臣告示で規定されており、審査基準などが妥当なものかどうかを判断するのは財団ではなく本部会であり、行政当局であります。その上で事務局に確認しますが、行政当局はこの意見書をどのように評価しているのでしょうか、見解をお伺いしたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 財団に対する御質問、それから私に関して進め方についての御提案、それから医政局に対する御質問ということだと思いますので、まずは機構のほうでお答えできるところをお願いしたいと思います。

○後理事

 それでは、お答え申し上げます。

 まず、御質問の1つ目で、報告書作成の段取りということでございました。私どもの理解では、私どもの運営委員会だけで、この制度の見直しについて全部決めることはできないと考えておりまして、こちらの医療保険部会で医療保険財政を負担していただいているお立場の方々の御理解も得ながら進めていくという理解で、変わっておりません。その上で、私どもの運営委員会で行う役割といいますのは、医学的・統計学的にエビデンスを踏まえて、その観点から見るとどのような見直しがふさわしいかということであろうと考えております。

 その観点から、報告書を医学的・統計学的に議論してまとめてきたというものでございます。それをまとめておりますけれども、その内容について、こちらの医療保険部会の観点からは、その実現についていかがでございましょうかということで報告させていただいているという流れと理解しております。

 それから、2つ目で、統計学的に見ますと、33週を31週に変更することについて、30週より小さい週数は有意差がなかったということでございます。これは、もとをたどってみますと、小児神経の分野の先生方、つまり重度脳性麻痺の診療をしておられる方、あるいは新生児科の先生方から見ますと、28週から31週までの脳性麻痺の発生率が最近非常に下がってきております。これは、周産期医療の進歩によりまして、非常に好ましいことでございます。したがって、出産されたお母さんたちに対する説明として、1,000分の36.8ですから、100人に数人しか脳性麻痺にならず、さらに重度の人はその一部ぐらいの割合。100人に九十六、七人は重度脳性麻痺にならないという説明が可能であるわけです。

 しかし、この制度の言っているところの通常の妊娠・分娩の範囲に入っていない。このあたりに非常に不合理が感じられるということから、28週から一律対象としてはどうかという御提案がございました。これらを1週ごとに統計学的に見ましたところ、30週以下は有意差がございますので、今の時点でまだそこまで一律対象にするのは難しいだろうということで、残った31週、32週は一律対象にしてもいいのではないかという絞り込みを行ったという流れでございます。

 同時に、有意差があるということも、ないということも非常に重要な情報でございまして、この統計学的手法は、私どもがふだん服用している薬とか抗がん剤の開発などにも使われている手法です。統計学的有意差がある場合も、ない場合も重要な判断を下す情報になります。そのために、統計学的有意差がないことをもって、こういった重要な判断ができないということではないと考えております。

 それから、限られた症例数で分析しているということでございます。これにつきましては、実際に限られた症例数でございますが、これは脳性麻痺自体の特性でございます。例えばがんでありますと年間70万人発生しますが、重度脳性麻痺は年間500人でございますので、非常に少ない。この数字を何年集めていってもかなりの規模の数字にはならない。これは、脳性麻痺の特性でありまして、その人数が低いことはこの好ましいことでもあるわけです。したがって、この限られた数字の中でいかに対応していくかを考えなければいけない疾患であるということを御理解いただければと思います。

 それから、現行基準の妥当性につきましてでありますが、まず私どもの運営委員会でも現行基準で運営して、補償や審査、それから医療の質の向上、紛争の防止、早期解決につながっているかという点は検証して、有効であるという結論を得ております。同時に、現行基準の33週、2,000g以上でありますが、先ほど補足で申し上げましたけれども、私どもが制度創設時に対象としなかった未熟性が原因の脳性麻痺については、ことしの5月に公表した再発防止報告書で対象とした188例を検証したところ、未熟性のみが原因で脳性麻痺となった事例は、1年かけた原因分析報告書を見ても一例もなかったということでございましたので、現行基準は有効に機能していると考えております。

 それから、対象者数の推計でありますが、これも先ほどの脳性麻痺の数が少ないというポイントをぜひ御理解いただきたいと思います。対象者数が毎年かなり少ないので、信頼できる推計数を出すにはかなりの期間のデータを集積しないといけないことになりまして、調査専門委員会では手に入るだけの22年間のデータで推計しようという考えもございましたが、先ほど御指摘のように、最近では脳性麻痺の発生率が減少しておりますので、その減少も織り込みつつ、同時に統計学的に信頼に足るデータにするために、直近の10年間、98年から2007年ですが、そこをとって推計したということでございます。

 もう一つ、追加させていただきます。私どものこのような推計方法につきましては、第三者の疫学を専門とする先生にも見ていただいておりまして、この方法が妥当であるという意見書もいただいております。

 失礼いたしました。以上です。

○遠藤部会長

 小林委員長、お願いします。

○小林委員長

 私のほうから追加をさせていただきます。

 御指摘、もっともな点がございますが、運営委員会では機構のほうを通しまして、こちらの部会の意見を反映させております。それから、10月末の部会に私も初めて出席させていただきまして、その場の状況を運営委員会のほうにはフィードバックしております。

 時間のあるときに報告書の本体のほう、この資料でいいますと、21ページから23ページぐらいになるかと思いますが、議論の過程を読んでいただければ、当初、運営委員会では、周産期の専門家、複数から見直しの基準について意見をいただきまして、28週まで下げるのが妥当であるという意見をいただいております。ただ、そこまで下げてしまうと、医療保険部会の御意見も反映できませんし、委員会としても適当ではないということをその後議論いたしまして、データのほうをよく確認いたしまして、3031週のところで明らかな差があるだろうということで結論を出しております。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 それでは、事務局に個別審査につきましてのコメントがあったかと思いますけれども、事務局、何かございますか。

○大坪室長

 医政局でございます。

 個別審査の見直しをするといったお話がなぜ起こったかということが、別添の資料に記載があったと思います。27ページをお開きいただきますと、個別審査の基準を見直す背景といたしまして、(1)に1と2とございます。1を拝見しますと、緊急時には必ずしもモニターがとれない場合があるといったこと。それから、2には、低酸素状況であったとしても、この基準を満たさない場合があると。この2つの御指摘をいただいて検討されたと理解しております。

 それで翻って、今回、御提案のものを見てまいりますと、資料の4ページにお戻りいただきまして、基準の見直し後の改定案の(二)のイからヘまでは、モニター上で読める所見なのだろうと思います。また、トとチにつきましては、モニターを必要としない所見ということで、2つ意味合いが違うのだろうと、説明を伺っていて思っております。イとヘに関しましては、参考資料等々にありますように、産科のガイドラインについて、重篤である、レベルの4以上であるということを学会でも認めていらっしゃいますので、これについては特に問題はないのではないかと思っております。

 一方、トとチにつきましては、依拠するガイドラインがございませんので、ここに関しましては、先ほどの必ずしも緊急時にはモニターがとれない場合があるといったところがモラルハザードにならないように、モニターをとらないほうが有利に働くことがないように、審査委員会のほうで、事務局のほうで、今後もきちんと審査していただけるということであれば、特に問題はないのではないかと思いますので、そこだけ確認させていただきたいと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 まず、小林委員の御質問に対して、機構のほうから幾つかお答えいただいたということであります。

 それから、1点、この統計解析について、むしろ第三者の評価が必要なのではないかという御提案があったわけであります。それに対しまして、機構は第三者の評価・指導も受けているというお答えだったわけであります。

 まず、お答えに対して、小林委員、いかがお考えですか。コメントがあればいただきたい。あと、統計については、皆さん、いろいろお考えがあると思いますので、多くの人にお聞きしたいと思います。

○小林委員

 御説明そのものは理解しましたが、私どもはまだ納得できない部分もありまして、ほかの委員の皆さんからも御意見を聞いていただけたらと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 1つ確認だけさせていただきますけれども、ここに報告書があるわけでありますけれども、基本的にこの制度そのものは当部会の意向をきちんと反映した形で行うということでありますので、当然、本日の内容については変更可能であるという認識でよろしいということを改めて確認したいと思います。それでよろしゅうございますか。

○上田理事

 これまでお話していますように、運営委員会においてずっと審議してまとめた報告書でございます。したがいまして、これまでも御指摘がありましたように、この報告書をこの医療保険部会に報告しまして、内容について御審議いただいて、方針あるいは考え方が示されましたら、それを運営委員会に報告したいと思っております。

○遠藤部会長

 報告はしたい。だから、最終決定権はこちらにあるということを御納得いただいたわけですね。

○上田理事

 はい。

○遠藤部会長

 その確認だけで結構です。ありがとうございます。

○上田理事

 医療保険部会で考え方を示していただきたいと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 それでは、関連しまして、統計のことも含めて。白川委員、どうぞ。

○白川委員

 若干、小林委員と意見あるいは質問が重複する部分があるかと思いますけれども、そのほか追加の質問もございますので、意見を述べさせていただきたいと思います。私どもの基本的なスタンスは小林委員と同じでございますので、前回も申し上げましたし、これ以上申し上げるつもりはございません。

 まず、今、部会長のほうから、制度の見直しは医療保険部会で決定する事項という確認をしていただきましたので、安心しておりますけれども、報告書の全体の印象といたしましては、これが最終結論みたいな書き方、決定するとか、何々することとするという書き方をされております。また、機構がこの業務を委託され、始められてから5年間たっているわけですけれども、その5年間の資料がこの中にはほとんど入っていない。5年間は何をされていたのですか、なぜ入っていないのかというのが1つ目の私の質問でございます。

 それから、2つ目は、有意差がある、有意差がないという言い方をしておりますけれども、統計学上、有意差がないというのは、有意差がないから同じグループだというのとは全然違う話だと私は理解しておりますけれども、それが統計の御専門家の意見を聞いたら、有意差がないということは同一グループだという結論だったという意味でしょうか。それを確認させていただきたい。

 それから、3つ目は、先ほど小林委員もおっしゃったとおり、発生率がずっと下がっているという状況でございますね。資料で言いますと、45ページです。この資料を見ますと、沖縄県の98年から2009年までのデータということで、なぜ2009年でとまっているのか、まず1つ理解できないのですけれども、データがないということなのでしょうか。発生率が減っているので、10年間を推計値のベースとして用いたという御回答だったと思いますけれども、この10年間を見ても数倍下がっているという状況で、直近のデータをなぜ入れないで、1998年からのデータをとったのかという理由を聞かせていただきたいというのが質問でございます。

 それから、きょう御提出いただいた資料の6ページ目でございますが、下のほうに現行制度において必要な保険料水準2.2万円程度という記載がございますけれども、たしか前回御提出の資料では2.1万円になっていたと思いますが、なぜ突然1千円ふえたのかということを質問させていただきたい。

 次に、8ページ目の制度変動リスク対策費の話でございますが、これはもう数年前からおかしいと我々指摘しておりまして、なぜこの費用が必要なのかということを申し上げてまいりました。それに対して、8ページの中段に(1)から(3)まで、このリスク対策費が必要な理由を書いておりますけれども、一番最後の59ページに過去の制度変動リスク対策費の推移が書いてありまして、上のグラフで言いますと、この資料ではEの部分が制度変動リスク対策費で、平成21年は15億強という数字、これでよろしいのですね。

○上田理事

 はい。

○白川委員

 この制度を委託している民間の保険会社がこの分を制度変動リスク対策費として受け取ったということですね。26年度は別にして、全部足しますと74億円という金額になりますけれども、74億円は民間の保険会社の利益になっているという意味と解釈してよろしいのですね。では、この間リスクがあったのですか。300億円の保険料を集めて、実績は200人、推計値で480人という数字で、どこにリスクがあるのですか。だから、これはやめてくださいと申し上げている。リスク対策費と名をかりた保険会社の利益以外の何ものでもない。

 さらに、今回は見直す提案をしていただいておりますけれども、保険会社には運用益も入っている。公的な保険を使って、なぜこんなことが起きるのか。私どもとしては、医療機能評価機構の責任は重大だと考えております。

 それから、これも以前申し上げましたけれども、こういう公的な保険にもかかわらず、特定の1社が長い間、3分の2ぐらいのシェアをとって、5社か6社か失念しましたけれども、コンソーシアムを組みながら異常な運用をしているということは、私は重大な問題だと考えておりますので、制度変動リスク対策費の存続については全く納得がいきません。

 それから、少し前の問題に戻りますけれども、傍聴の方もいらっしゃるので念のため申し上げておきますが、厚生労働省医政局が作成された参考資料で、産科医療補償制度の概要をまとめていただいたものでございますけれども、その2ページ目の表は、現行制度でどういうところが対象になっているのかというのを示した表でございます。現行、33週以上かつ2,000g以上の児については、原則一律該当となっている。28週から32週については、「『分娩に係る医療事故』によるものか否かを個別に審査し決定する」という仕組みになっております。これは、もう御存じのとおりだと思います。

 この仕組みで何か不都合があるのでしょうか。私どもは、先ほど資料の中でも、こういう個別審査で何人補償対象にしましたという表が提示されておりまして、適切に個別審査されている、必要な方には必要な補償が行っていると理解しておりますけれども、現行の仕組みで何が問題で、これを31週まで下げるのですかということを質問させていただきたいと思います。

 

○遠藤部会長

 ありがとうございます。少し数が多いので、もしフォローできなかったところがあれば質問していただければと思いますので、恐縮ですけれども、医療機能評価機構、お願いいたします。

○後理事

 それでは、お答えいたします。

 まず、有意差の問題でございます。これは先ほども申しましたけれども、有意差があるグループが30週以下であったということでございまして、31週、32週は、33週との間に有意差なしということであります。これらは、全く同じである。例えば誤差もなくぴったり一致しているという意味とは、もちろん理解しておりませんし、そのようにはなりません。有意差がなかったということでございます。同時に、先ほど申しましたけれども、有意差がないということで何か決断ができないという意味でもないということを申し上げました。

 次の御質問で、発生率が下がっているという御指摘でございまして、そのとおりでございます。

 そして、データが2009年でとまっているということでございました。これも脳性麻痺の自然史といいますか、病気の特徴を想像していただきたいのですけれども、出生して余りに重症であれば、その場で診断がつくという割と早い時期の診断もございますが、かなりの部分は、健診に行って、発達がどうもおくれているけれども、そのうち追いつくでしょうと言われながら、また健診に行くと、またおくれている。またほかの子と発達が追いつくのではないかと思ってリハビリをすると、なかなかこれが追いつかない。そして、結局は車いすの生活になるといった、重度脳性麻痺まで診断するのには時間がかかるお子さんもたくさんおられます。

 そのために、調査時点の12年末では、2009年より後のデータについては、まだ脳性麻痺の診断が終わっていないお子さまがおられるということもありまして、対象に入っておりません。そのように脳性麻痺の診断には時間がかかるというイメージを御理解いただければと思います。

 それから、直近の2008年、2009年を入れずに脳性麻痺の全国推計を行っている理由でございますが、これも今、申しましたのと同じ理由でございまして、調査専門委員会の報告書にも書いてございますけれども、直近の20082009年あたりのお子様は、2012年末の調査時点では、まだ診断が終わっていない子どもさんもいるかもしれないということで、そこは慎重に考えて、その2008年、2009年は推計のデータには加えなかったということで、そこまでの直近の98から2007年までの10年間を用いたということでございます。同時に、減少傾向にあることもその中に織り込んでいるという理解で、調査専門委員会の報告書は書かれております。

 それから、現行制度の掛金が、確かに前回の資料では2.1万円となっておりまして、今回の資料では2.2万円なのですが、これは前回資料では、今年度の事務経費の見込みで前回資料提出時点に計算したものでございますけれども、脳性麻痺のお子様の申請がふえておりましたり、原因分析とか、それ以降、いろいろな経費がかかりましたり、また申請漏れを防ぐために広報なども積極的に行っておりますので、その事務経費分がふえて、今回の資料では2.2万円となっております。

 それから、制度変動リスク対策費でございますけれども、この部分は先ほど(1)(2)(3)で、こういうリスクに対応するということを申しました。その(1)(2)(3)とも、依然としてリスクは残っているものと考えております。同時に、リスクが発生した場合は保険会社の損失になりますし、リスクが発生しなかった場合は保険会社の利益になるという性質のものでありまして、これは民間の保険を活用した産科医療補償制度の枠組みということですので、このような格好になるものと思っております。現在のところ、そのリスクが発生したということはございません。

 それから、シェアにつきましてですが、公的な保険でもシェアが過半を占めるような共同引受保険というものがあると伺っておりますので、この産科医療補償制度の保険が特異なものであるとは、私どもは必ずしも理解しておりません。

 それから、一般審査と個別審査が現行のとおり5年行われてきたわけですけれども、その不都合についてでございます。

 まず、一般審査部分は、これも先ほど申しましたけれども、28週から31週の脳性麻痺の発生率が非常に下がってきているということを、データ上も、それから診療しておられる先生方も感じておられまして、実際に外来に来られる患者さんへの説明は、まずは重度脳性麻痺になりませんよという説明ができるようになってきている今日の医療の中で、それでも33週のお子さんと異なって、31週、32週がカバーされていないことの矛盾といいますか、違和感を強く感じておられて5年間御指摘を受けてきている部分でございます。これが不都合の1でございます。

 それから、体重につきましても、33週の平均体重は1,900gぐらいですけれども、現行基準は2,000gになっておりまして、そのあたりは不都合があるという御指摘もいただいております。

 それから、個別審査基準は、制度創設時は脳性麻痺となった事例の中でも、特に分娩の最中に低酸素状況が起こったということをかなり強く証明できる、限定された厳しい基準で設定しております。重度脳性麻痺の原因となる低酸素状況等が起きたということを言い当てるすばらしい指標があれば、それ1つで結構なのですけれども、今日の医学をもってしても、その指標があるという状況ではございませんので、個別審査の基準というのは万能ではないということでございます。どうしても漏れてしまうお子様が出るということでございます。

 個別審査基準のモニターとか、その検査を、測定した時点で悪ければいいわけですけれども、測定した時点以外のところで低酸素状況が起こっていたら、それはつかまえられないといったこともございます。そこで、個別審査の基準の項目をもっとふやしたりする必要があるという不都合があって、今回の見直し案を考えております。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 小林委員長、お願いします。

○小林委員長

 若干の追加をしたいと思います。御指摘のとおり、有意差がないということと、有意差があるということは確かに違う点でありまして、有意差があるということを重視すべきであります。その点で、報告書のほうにありますように、3031週の間の違いが大きいということを記載しております。

 それから、厚生労働省のほうで用意していただいた2ページ目の長四角といいますか、2掛ける3のボックスですが、この枠組みは変わっておりません。右上の「この範囲の児については、『通常の妊娠・分娩』かつ『分娩に係る医療事故』によるもの」ということで、ここは分娩に係る蓋然性が高いということで一律補償する。ただし、分娩に係るものですから、重篤な先天性の障害とか、分娩後、出生後に起こった感染症等は除くという除外基準を設けております。

 逆に、この左側は、「『分娩に係る医療事故』によるものか否かを個別に審査」するというものは、専ら未熟性によるものであろうということで、ここで線を引いております。民間保険の枠組みを使っておりますので、最初に条件を明示しないといけないところがあるのと同時に、分娩に係ることを個別に審査するのは非常に大変な作業です。先ほど後理事が説明したように、むしろここで争いが起こることが多い、難しい、今の医学でもなかなか判定しづらいところですので、この一律という右側の部分が非常に大事になってきます。そういうことで、今回、33週を31週に変更したいということで、報告書のほうでは取りまとめております。

○遠藤部会長

 追加でお願いいたします。

○上田理事

 先ほど、この見直しに当たって、産科医療補償制度の実態を十分把握して見直しを行ったのかという御指摘がございました。実は、ことしの6月に中間報告書をまとめております。この中を見ていただきますと、これまでの取り組みについて、それぞれ内容を分析しまして、これらを踏まえながら、今回の最終報告書に至った経過がございます。

 それから、先ほど申し上げましたように、再発防止委員会で整理した原因分析報告書を検証いたしまして、結論は、未熟性等によるもののみが原因となった脳性麻痺はございませんでした。このことにつきましては、口頭で御説明いたしましたが、詳しい内容につきましては今後御説明をしたいと思っております。

 最後に、制度変動リスク対策費の御指摘でございます。これまでも白川委員からたびたび御指摘がございます。私ども、きょうの資料の内容で御説明させていただいております。そこで、この問題は非常に大きい課題と思いますので、白川委員の御指摘を踏まえて、制度変動リスク対策費のあり方については検討していきたいと思っております。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 白川委員、コメントがあればお願いします。

○白川委員

 お話を伺っていますと、結局、産科の専門の先生方から要望があり、補償基準を変えるという前提で検討しましたと聞こえるのですけれども、それはおかしいでしょうと申し上げているわけです。産科学会等が大臣あてに基準を変えてほしいという要請書を出したと伺っておりますけれども、そういう意見だけを前提にして、どうしたら基準を広げられるかという観点で検討されていると私どもには見えるわけです。それがおかしいでしょうと申し上げているわけです。この5年間の医療機能評価機構のさまざまな事業活動を通して、いろいろなことを学ばれたはずなので、それを反映させるようなことをなぜされないのですか。

 今、n数が非常に少ない、しかも脳性麻痺と判定するのにかなり長時間かかるのだという説明もありましたけれども、それは私にしてみたら詭弁にすぎない。例えば、最初の年でも200件とか300件ぐらい補償対象がいるわけですね。毎年何件かというのは、年によって直近は数が少ないのでしょうけれども、いろいろな推計もできるでしょうし、個別審査された方々のノウハウも随分蓄積されていると思うのですけれども、そういうものがなぜこの報告書に反映されないのかというのが、私には理解できない。基本的な問題として、この報告書は納得いかないと申し上げているわけでございます。

 統計の話は、はっきり言えば見解の違いだと思っております。統計で有意差がないのは同一グループだと強弁される。これだけの少ないn数で同一グループだと言われることについては、私は納得がいきません。見解の違いかもしれません。

 それから、リスク対策費については、今、上田理事のほうから見直しを考えたいという発言がございましたので、これ以上は申しませんけれども、ぜひ公的保険という意味合いを考えて善処をお願いしたいと思っております。

 繰り返しになりますけれども、全体として、保険者としてはこの報告書は全く納得がいかないということを重ねて申し上げたいと思います。

 

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 お待たせしました。高橋委員、お願いします。

○高橋委員 ありがとうございます。連合の高橋でございます。

 私どもとしましては、まず日本医療機能評価機構におかれましては、19回にわたる議論を経て最終報告を取りまとめられたということで、その点については評価しているところでございます。補償対象となる基準の見直しについては、結論から申し上げますと、制度創設時の検討経緯を踏まえながら、医学的根拠に基づき、統計学的な観点も踏まえながら検討を行ったということですので、1つ目の一般審査の基準、並びに2つ目の個別審査の基準の両方とも運営委員会の結論を尊重すべきだと考えております。

1023日でしたか、この部会で検討状況を報告いただいたときに、産科医療補償制度の医学的調査専門委員、岡先生のヒアリング資料が添付されていたかと思いますが、そこには、現状では在胎28週から原則対象とするのが妥当といった分析成果も書かれておりました。また、在胎31週あるいは32週で線引きするのかというところについて、最終報告の別添2から5にありますように、さまざまな資料を用いて専門家による検討を深めた結果、31週と結論づけられたものと理解しているところでございます。したがいまして、今回は運営委員会の結論を尊重し、補償対象を拡大するということで前進を図るべきではないかと思います。

 また、最終報告書の別添4でございますけれども、個別審査における在胎週数ごとの審査結果が一覧になっております。これを見ると、28週でも該当するケースが一定程度あるということですので、個別審査はぜひ丁寧に実施していただきたいということを要望したいと思います。

 また、1023日の本部会でも申し上げましたが、産科医療補償制度による原因分析と再発防止の取り組みを進めることは、産科医療の安全性を高め、脳性麻痺になってしまう子どもたちを減らすことにつながるものだと考えますので、引き続き原因分析と再発防止の取り組みを強化・徹底していただきたいと思っております。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。御意見ということでよろしゅうございますね。

 それでは、柴田委員、お願いいたします。

○柴田委員

 まず、この基準、補償対象範囲の決め方の話については、小林委員あるいは白川委員と同じでありまして、何か納得いかないというのが正直なところであります。

 話を聞いても、また沖縄県だけのデータです。少しは補充しているようですけれども、狭い範囲でのデータで言われていることでありますし、それから、1998年以降、どんなことがあったからこういうことになっているというのが、もう少し説明がないのかなという感じもします。一般論として周産期医療が発達しています。それは、時間がたてばそうだというのは何となくわかりますけれども、その辺もすっといかないという感想を持っています。

 いつまでも沖縄県とか限られたデータで、この話をこれから議論していくのかというのを私はちょっと疑問に思っていまして、誰がやるのかというのはありますけれども、こういう調査は厚生労働省がやったほうが相手も協力しやすいのではないか。それはどちらでやっていただいても構いませんけれども、そんなことも考えていただいたらいいのではないかと思っています。それ以外は、お二方と考え方が一緒であります。

 それから、白川委員から制度変動リスク対策費の話が出ておりました。今の私の立場で物を言うのがいいのかどうかというのはありますけれども、この産科補償制度を一番最初につくるときに、私は当時、内閣府の少子化担当の政策統括官をやっておりました。産科医不足を何とかしなきゃいけないという話がありまして、それの一つとして、この産科補償制度も考えなきゃいけないということで、日本医師会あるいは政治家の先生方も何とかならないかという話があったことを記憶しております。内閣府も厚生労働省に何とかしてくれということで、何度もお願いした経緯がございます。

 そういう中で、最初は非常に難航していたということも伺っております。例えば損保会社にしてみれば、余りやったことのない保険でデータもないということで、本当に引き受けて大丈夫なのかという心配が多分あったのだろうと思います。なかなか協力してもらえないという話も聞いたことがございます。

 最終的に評価機構がやる、そして損保会社を活用するというスキームになっているわけでありますけれども、こういうスキームであるならば民間会社が引き受けるための鍵があるのではないかと思います。少なくともいただいている資料で見ますと、民間会社が引き受けたら、引き受けた結果としての利益がどこに行くのだろうかというのがどこにも見えていない。見えているのは、さっき白川委員がおっしゃったように、制度変動リスク対策費が結局そうなのだろうと思います。

 これは、制度変動リスク対策費という問題がないような形での名前にしているのではないかと私は思いたくなりますけれども、民間会社に仕事をしてもらうのだから、それは必要なのだという説明をもっと正面からしたらいいのではないかと私は思います。白川委員はゼロにしろとおっしゃっているのです。ゼロにして、民間会社が本当に引き受けていくのでしょうか。

 そういうことも考えて、私は何も民間会社に過大な利益を生じるようにしろということを言っているわけではありません。公的な費用でやっているわけですから、適正な水準にすべきですけれども、その辺をちゃんと踏まえて説明者のほうも説明していただかないと、議論がいつまでたっても同じところをぐるぐる回るのではないかと思っています。

 ちょっと言い過ぎたかもしれませんけれども、私はそういうふうに思っています。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 では、先ほどからお挙げになっている方で、横尾委員、お願いします。

○横尾委員

 ありがとうございます。

 基本的なところで厚労省に教えてほしいのですけれども、いただいたレポートの19ページに気になる表現があります。「我が国には全国的な脳性麻痺児の登録制度がないことから」云々と述べられているのですね。これはないわけですか。要するに、正確な数字はわからないと認識していいのでしょうか。厚労省として。あるいは機構でもいいです。

○大坪室長

 現在では、脳性麻痺に関するサーベイランス、登録はしておりません。

○横尾委員

 数字がわからない。だから、800から481の推計値でやっているということですか。

○大坪室長

 そうです。民間の方がやっていらっしゃる沖縄の調査結果をもとにしているということです。

○横尾委員

 ところが、国民は日々生まれてきて天寿を全うされているのですけれども、それを国としてちゃんと把握しようとか、そういう理念はないのですか。

○大坪室長

 ちょっと所管が違いますものですから、医政局として、きょうお答えすることが難しいです。

○横尾委員

 国会でもそういう議論はないですか。要は、統計学上の数字に基づいた政策だけを考えていては、具体的に目の前に何人の方がどうなっているというエビデンスに基づいた行政や政策を考えていくことに永遠にならないですよね。どこかで考えなくてはいけないのではないかという思いを強くしました。

 それと、先ほど来いろいろな委員もおっしゃっているように、古いデータよりは、より新しいデータがいいですし、より精緻なデータがいいわけですけれども、そのためにもそういったものが必要なのかなと思います。そういったものも片方では確立しながら、専門の知見などに基づく、また医学的、免疫学的なさまざまなものを投入して万全を期していかなければいけないと思いますので、そういったことは今後ぜひ議論すべきかと思っています。

 これは、ほかの病理にも、例えばがん登録もなかなか進まないというのがあったりしますけれども、家族にとっては非常に重大な関心事なのです。出生児がこういった問題を抱えるということは、レポートの最初のほうにも、「ほっとしたけれども、実は課題を抱えているケースもある」と、小林委員長のコメントから1文が載っています。そういった意味をぜひ考えてほしいという印象を強く持ったところです。ぜひそういったことをお願いできないかというのが1点です。

 それと、まとめていただいたレポートですけれども、委員の方全員の賛成でまとまったものなのか、幾つか違う意見もあったのかを教えてください。

○遠藤部会長

 それでは、これは機構のほうでどなたか。小林委員長、お願いします。

○小林委員長

 議論が激しくなったものもあります。それに関しては、報告書の中に少数意見といいますか、別途そういう意見もありましたということを記載しております。

○遠藤部会長

 横尾委員、よろしいですか。

○横尾委員

 ありがとうございました。

○遠藤部会長

 それでは、何人かお手を挙げているので、鈴木委員、菊池委員、藤原参考人、岩本委員の順番でお願いしたいと思います。では、鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員

 私どもは、従来から、この問題に関しましては、日本産婦人科学会・医会の意向を尊重して対応させていただいております。この報告書を見ますと、委員に学会・医会の先生方がたくさん入っていらっしゃり、統計学的にどうかというお話もありましたが、それに対しては、第三者の専門家の意見も聞いた結果、統計学的にも意味があるということですので、この報告書の内容を尊重すべきであると考えております。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 では、菊池委員、お願いいたします。

○菊池委員

 参考資料1の医政局資料によりますと、この制度の目的について、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の子どもの救済、早期の紛争解決、事故原因の分析と再発防止であることが書かれております。制度が開始されて約5年経ち、目的に沿った効果がある程度出ているということは、以前の医療保険部会でも報告されていたように思いますので、この制度のさらなる周知も含めて、制度を普及・充実していくことが今後、重要と考えております。

 ただ、実際に支払われた補償金が当初の計画より少なく、多くの剰余金が出ている状況がございますので、制度の目的に沿って、できるだけ早く見直したほうがよいと思います。そして、見直しに当たっては、保険契約における事務経費等の適正化を行った上で、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の子どもの救済という観点から、補償対象となるべき子どもがこの補償制度を利用できるように基準を見直すべきだと思います。

 制度設計当初は、財源不足から制度が破綻しないように補償対象をかなり絞ったと聞いておりますが、現在、剰余金が出ている状況がありますので、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺の子どもの救済を、本来の目的に沿って充実すべきと考えております。その意味で、産科医療補償制度運営委員会においてデータをもとに検討を重ね、取りまとめていただいた今回の御提案をもとに、例えば1一般審査の基準について、在胎週数の基準を31週以上とするなどに見直すということは、妥当だと考えます。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 続きまして、藤原参考人、お願いいたします。

○藤原参考人

 ありがとうございます。

 質問1点だけなのですけれども、統計学的なデータ分析を重視しているとおっしゃっているので、お伺いしたいのです。ここで使われているデータは全て沖縄県のデータということなのですが、沖縄県のデータが全国を代表する標本であるというエビデンスがあるのかどうかをお伺いしたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 それでは、機構のどなたでも結構です。小林委員長、お願いします。

○小林委員長

 先ほど登録制度がないという話がありましたが、実際の対象者を調査するのが大変で、脳性麻痺児の調査自体も大変で、さらにこの補償対象制度になる児をその中で絞っていくというのは、法令の根拠等がありませんので、非常に大変な作業です。沖縄県は、20年前から小児科医の有志が県内の脳性麻痺児を把握するという仕組みをつくっておりました。我々、脳性麻痺だけではなくて、補償対象のさまざまな要件もさらに加えて調べなければいけないので、追加で調査いたしまして、22年間のデータを得ることができました。沖縄県は島で構成されていまして、児の移動が少ないですので、対象をきちんと把握するという点では日本国内で一番すぐれていると思います。

 今回、ほかの県でも調査を始めております。この調査をぜひ続けて、さらに沖縄県を補強するデータとしたいと思いますが、現状では沖縄県のデータが最大で、かつ最良のデータということになるかと思います。

○藤原参考人

 私が伺っているのは、沖縄県のデータがすぐれているかどうかじゃなくて、これは全国を対象にしている制度なので、全国を代表しているサンプルとして沖縄がすぐれている、または代表しているのだということがちゃんと実証できているかということを統計学的に検証できているかということをお伺いしたいということです。

○遠藤部会長

 お願いします。

○後理事

 1点補足でございますが、沖縄県のデータから推計した値、以前お示しいたしましたのが、点推定が481、区間推定が340から623でございますが、11月現在で私どもの制度創設初年、平成21年生まれのお子様の審査が終了した件数と審査中の件数、それから申請準備中の件数を合わせますと、現在450件程度になります。来年1月以降は、順次5歳のお誕生日が参りますので、来年12月に締め切り、申請期限が来ることになりますから、もう少し件数がふえると思いますが、その点推定の481を考えましても、あるいは区間推定の幅を考えましても、その間におさまるという推移をしております。したがって、沖縄を用いた全国推計は、私どもは信憑性が高いと思っております。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、岩本委員、その次、和田委員、お願いします。

○岩本委員

 統計学的な議論がされていますので、その点について少しコメントしたいと思います。技術的なことになりますが、かみ砕いてお話したいと思います。ここでやられているのは、ある仮説が正しいかどうか、データを用いて検証しようという、統計学の分野で仮説検定と呼ばれるものなのですけれども、統計学は確率の世界ですから、絶対正しい、絶対間違っていると断定できるわけではありませんので、そこには誤差が含まれる。その誤差をできるだけ少なくしながら、そこのところは割り切って、次、何をするかというときに統計的な検定が使われるということだと思います。

 それで、在胎週数ごとに脳性麻痺の発生率が同じであるという仮説をまず検定しようとしているのですけれども、その場合、ここでやられていることで統計的手法に基づいて、これについてはエラーがあるかもしれないけれども、脳性麻痺児出生率が同じであると考えて、次へ進むというステップを踏むことは統計的には正しい手続だと思います。ただし、ここでやろうとしているのは、脳性麻痺児発生率が同じかどうかが目的ではなくて、脳性麻痺児について一律該当にするか個別審査にするかを決めることになるわけです。ですから、統計で検証されているものと、その後の判断というものが離れているわけです。

 評価機構さんの御説明のほうで、この統計的手法は薬の効果とか有害性に使われると言ったのですけれども、その場合は薬が有害かどうかということはデータとして観察できて、それをそのまま用いているということで、統計的に検定される仮説が、まさに我々が見たいものに合致しているわけです。

 ただ、今回の場合、距離があります。これは、統計のほうでは補助仮説と言うのですけれども、これを一律該当として扱うに適当である、要するに通常の分娩であると判断するに当たっては、ここで脳性麻痺発生率が同じであるというほかに、幾つかの仮説が組み合わさってできているということで、その部分の検証されない仮説は補助仮説と呼ばれるものになるわけです。補助仮説は、統計的な検定では全く問うていない。それが正しいかどうかに関しては、判断できないということです。その部分が疑わしければ、これは統計的にある部分検証しても、そこからは全体の結論を導き出すことはできないわけです。

 ですから、私が問いたいのは、脳性麻痺発生率が統計的に違うことが有意ではないという結論がこの場合、出たということなのですけれども、それは在胎週数が少ないことによる脳性麻痺の発生が入っていないことに直接つながるかどうかという問題だと思います。これは統計では検証できなくて、医学的な根拠をつけなければいけないので、統計的に検証しました。したがってと結んでいるところは論理に飛躍があって、この部分は補助仮説の部分に関して医学的な根拠をつけないと、根拠は薄弱ではないかと考えます。

 それで、制度創設時の変曲点といいますか、在胎週数の違いで大きな変化があったということが見出されたのですけれども、それは在胎週数に由来する脳性麻痺が存在する根拠の一つになると思いますが、それだけではありません。それが観察されないからといって、そういった要因がないわけではないのです。ですから、資料の46ページを見ますと、ダイヤモンドが観察値になるのですけれども、37週から始まって緩やかに上昇していく傾向があるということです。不連続でもないのですけれども、在胎週数が短くなると脳性麻痺発生率がふえていくという傾向があるわけです。

 これは、統計のほうではデータの制約で確実に検出できないのだけれども、このように緩やかにふえていくものがあるかもしれないというのは、ダイヤモンドを素朴に眺める限り存在するわけです。そうすると、33週という分かれ目をとって、隣の32週と比べているのですけれども、その違いが統計的には検出できなくても、違いがないと進めていいかどうかという問題が出てまいります。例え話でいきますと、お風呂に入っていて10秒前と温度は余り変わらない。ところが、1分、10分、20分たつとどんどん温度が上がっていってゆで上がってしまうことが起こるかもしれない。

 ですから、余り大きな不連続な変化がなくても、隣と比べて余り有意に違いがないから広げていくと、ドミノ倒しでどんどん広がっていく可能性もあり得るので、直近の33週と隣を比べて有意な違いがないからといって、これを一律該当にするという結論に直接結びつけることも少し問題があるかと思います。

 さらに言いますと、45ページの発生率、直近のほうで非常に少なくなっているということですけれども、脳性麻痺の発生件数が2とか1とか、非常に小さいわけです。データが少ないときの考えられるベストな検定手法を用いているということですけれども、学術論文を書くのであればこれでいいのでしょうけれども、この研究を一律該当範囲をどこに決めるかというときにどう使うという問題はむしろ政策的な判断になってくる。民間の制度ですから、政策という言い方はちょっと変かもしれませんけれども、行動の判断になってくるのですが、今、産科医療補償制度のもとでデータが集まってきているわけですから、これよりもはるかに数が多い、あるいはいいデータが集まってくるのが先に見えているわけですね。

 そうすると、なぜ今、一律該当の範囲をこの段階で変えることを急ぐのかという問題があるかと思います。ちゃんとデータが集まって変えるのを1年2年待つことで、どれだけ損害があるかということも念頭に置いて考えなければいけないと思います。今の不完全なデータで急いで決める緊急性がどれだけあるのかという問題があると思います。

 その点につきましては、参考資料1の2ページの図がわかりやすいのですけれども、統計的検定は、薬が有害かどうかという場合には、その薬を認可するかしないか、黒白、はっきり決着をつけるというときによく使われるのですけれども、こちらの場合はそうではなくて中間にグレーゾーンを設けている。一律該当にするか、一律対象外にするかということで白黒はっきりつけるということではなくて、間に個別審査というグレーゾーンを設けているので、最初に申し上げました統計的な検定というのはエラーを伴うのですけれども、そのエラーをカバーする仕組みがここに入っているわけです。

 すなわち、対象にすべきでないものを対象にしてしまうという問題や、対象にすべき人を対象にしないといった問題があるのですけれども、まずこの個別審査が28週をとっていることについて、対象とすべき人を漏らしてしまうことは十分カバーされている状況です。ですから、ここが一番深刻な問題だと思うのですけれども、それはもうここで手当てを打っている。あとは、この33週をずらすところは、一律該当にすべき人を個別審査に回してしまうということですけれども、その損害はそんなに大きくないわけですから、こちらの33週の線を動かすことをおくらせることの損害は余りないと思います。これは、白川委員がおっしゃったことに通じるかと思います。

 そういった状況ですと、このようなデータのもとでずらすことに関しては、少し早急な気がしますし、また根拠についても、先ほど申し上げたように医学的根拠がもう少しなければいけないのではないかという気がいたします。

 もう一点、脳性麻痺の発生率が32週以下で下がってきている。非常にいいことなのですけれども、そうすると、この時間的な変化というのはちゃんと捉えて、長期のデータの場合にはトレンドを調整するといった手段をとるのが、統計学的にも適切な方法だと思います。単純平均というのは、ちょっとミスリーディングな数字になるかなと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 何か機構としてコメントございますか。では、小林委員長、どうぞ。

○小林委員長

 1つ、制度の誤解があると思うのですが、本制度を続けても、本制度で集まってくる脳性麻痺のデータというのは対象児のデータしか集まってきませんので、現行では33週以降で、なおかつ除外基準に当てはまらない児のデータしか集まりませんので、脳性麻痺児の全体のデータは集まらない。別途集める必要があるかと思います。

○遠藤部会長

 どうぞ、続けて。

○上田理事

 2点お答えしたいと思います。まず見直しはデータがそろってからでよいのではないか、緊急性があるのかという御指摘ですが、先ほどからお話しておりますように、昨今の周産期医療の進歩等によって、早産児における脳性麻痺発症率が著名に減少しております。そうしますと、一般審査の補償対象は、通常の妊娠・分娩にもかかわらず脳性麻痺となった場合、これを補償するということでありますが、その範囲が創設当時に比べて低い週数の児になっておりますので、そのような児を補償対象とするという見直しは必要だと考えております。

 それから、2点目は、現行は33週以上かつ2,000g以上でございます。これは、沖縄の調査の155例のうち未熟性と思われる脳性麻痺を除外して、そのような基準になったわけであります。かつ、厳しい基準にしたわけであります。しかしながら、今回の審議の中で、脳性麻痺に関する神経発達は、出生体重よりも在胎週数により強く相関するということが専門家の間で言われました。現行は33週以上かつ2,000g以上でありますが、実は33週の平均出生体重は1,900g弱でございます。そうしますと、同じ33週でありながら、2,000gに該当しないために、一般審査に当てはまらないということが起こるというかなり大きい問題が出ております。

 それから、ちょっと長くなって申しわけございません。小林委員長からもお話ありましたが、もう一度改めて、医政局から出されています補償対象範囲との関係について申し上げますと、脳性麻痺の原因はわからないことが多い、あるいはお産は安全であるという期待感との落差が大きいことから、産科医療における紛争が多くあったため、産科医療保障制度が創設されました。

 それで、これまでもよく未熟性というお話がありますが、明らかに分娩と関連しない未熟性が脳性麻痺の発症と考えられる事例を除いて、広く補償するということでこの制度がスタートしております。したがいまして、脳性麻痺の発症率が低くて、未熟性が脳性麻痺の原因と考えがたい在胎週数、出生体重を一律に補償する、今、申し上げました基準を設定しております。この一律に補償するということは、分娩に係る医療事故であるかどうか、あるいは過失か否か、判断しません。したがいまして、分娩に関連すると思われる、すなわち未熟性でないという、脳性麻痺の発生率が非常に低いグループでありますから、ここは制度の趣旨に従いまして、一律補償対象にしていただくことが大事ではないかと考えております。

 それから、個別審査につきましては、未熟性による脳性麻痺もあるということで整理されていますが、厚生労働省の基本的考え方の2)にありますように、絶対的基準は難しいために、個別審査を設けています。ここでは、分娩に関連する医療事故、具体的には低酸素状況であれば対象となります。したがいまして、この個別審査では、あくまでも低酸素状況がなければ補償となりません。一方、一般審査は、先ほどから申し上げておりますように、必ずしも原因がわからない事例につきましても、制度の趣旨から一律補償対象としております。

 したがいまして、同じ制度でありながら、一般審査と個別審査がこのような考え方のもとで設計されておりますので、ぜひこの点については御理解いただきたいと思っております。

 済みません、長くなりました。

○遠藤部会長

 どうも御丁寧にありがとうございました。

 和田委員、お待たせいたしました。

○和田委員

 ありがとうございます。

 本来的には、先ほどから幾つも出ていますように、もっと充実したデータが必要かと思います。沖縄県でできるということは、ほかの県でもできるはずだと思いますし、あるいは国の政策として、そういうデータをきっちり集めていくことを考えていくことも必要だと思うのです。ただ、長期的な課題としては、そういうことは当然必要であろうと思いますが、他方で医療が発展する、医学が発展する中で、この数年の間でも実際に変化が生じてきている。こいう状況に即応する形で制度というものはある程度柔軟に対応していく必要もあるかと思います。沖縄のデータだけに基づいていることは問題があるかもしれませんが、それでも一種の決断として、そこは対応していかざるを得ないでしょう。

 あと1つ、実際にこういう救済を受けられる御家族の観点ということから考えれば、こういうことが起こったときに、その結果が納得できるかできないかということは、絶対的な結果そのものによって規定されるというよりは、自分のケースが自分に近しい集団の中でどのように扱われているのか、相対的な評価が実は納得の形成ということに非常に大きくかかわっていると思います。

 そういう観点から見れば、在胎週数で言えば31週前後、あるいは出生体重で1,400gあたりで、全体との差異が大きくありそうだということですね。ここは決断でしかないと思うのです。その際、家族の側が納得を構成するにはどうすべきかを考えていくことが必要です。つまり、結果そのものについての納得だけでなく、この産科医療補償制度でどう扱われるかということについての公平感から考えていけば、納得の形成のためには、ここで提示されている在胎週数31週、それから出生体重1,400gというのは比較的妥当な線ではないだろうか。そういうところで決断していくしかないのかなと、短期的には思います。

 ただ、先ほど申し上げましたように、長期的には、データをどういう形で収集して、よりエビデンスに基づいた制度にしていくことは、課題としては残ると思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 それでは、樋口委員、お願いいたします。

○樋口委員

 私は、統計学的にも産婦人科的にも全く知見のない人間でございます。ただ、いとこの娘にもう60歳になります重度の脳性麻痺者がおりまして、その人を通して親の何人かに接触してきたという立場から申し上げたいと思います。

 こういう場で余り体験的・情緒的な発言はするまいと思って、控えておりましたけれども、この問題が統計分析に終わっていいのだろうかという疑問を、さっきから思っていました。というのは、制度ができた経緯を考えてみますと、まずこうした事故に対して、産婦人科医師が大変萎縮して数も不足しているということに対応して、少子化対策もあり、次世代対策もあり、こういう制度ができたと私は理解しております。とすると、この制度の第1のメッセージは、産婦人科医を志す人に、どうぞ安心して産婦人科医になってくださいよ、不測の事態になったときは国がサポートしますよということだと思います。

 もう一つは、今、和田先生がおっしゃいましたように、これから高齢出産などがふえてまいりますから、脳性麻痺とは限らず、障害を持つお子さんの出生ということは、むしろ広くなるのではないかとも考えられます。にもかかわらず、どうぞ元気よく出産してくださいよ。万が一のことがあったら、それは国がある程度サポートいたしますよ。そういう子どもさんを持つ家族、特に母親に対する強力なメッセージだったと思っております。

 それが結果として、ある程度うまくいっているのだったら御同慶の至りでございます。原爆被害から水俣病被害まで、線引きというのは非常に過酷な制度でございまして、この線の外へ出る人にとっては非常に納得がいかない。納得形成できない。ですから、このお金がないときに予算をふやしてとは言いませんけれども、もし今の範囲内でできることでしたら、私は少しでも範囲を広げる方向で救済していただきたいと思います。低体重児でも育つこと。1,400と聞いて、私などはあっと思いました。むしろ周辺では1,000gぐらいですくすく育っている子が幾らでもいますので、周産期医学の発達を思いますと、もっと範囲を広げていいのではないかということが1つ。

 ですから、これは保険者の先生方のお気持ちには反することかもしれませんけれども、そういう子どもを生んだ側から言えば、これは100%なのです。統計数値じゃないのです。100%、その子をこれから生涯、どうかすると60年かかわっていかなければならないことであって、国がそこでサポートしてくれる、これはとてもありがたいことです。

 もう一つ、これは保険者の先生がおっしゃることにかなり賛成なのですけれども、そのサポートにリスクテイカーとして民間の損保会社が入らなければいけないのだろうか。入ってくるのだったら、それなりの説得力のある数字といいますか、根拠を出していただきたいという意味では、保険者の先生方がおっしゃったことに賛成ですし、あるいは機構さんのほうでも統計を出して、非常によくやっていただいたと思いますけれども、私も皆さんおっしゃいましたように、なぜ沖縄県なのか。私ども小さな運動体でも、よく調査いたします。統計学的にしっかりした調査ではございません。機縁法による調査ですけれども、それでも5,000から1万のバルクを集めることはよくございます。

 こういう素人の調査ですら、集まりましたら地域分布をきちんとして、その中からサンプルを全国的に取り出してということぐらいはいたします。気候風土、その他の条件が決して標準的でない違う県を持ってくるならば、そこに説得性を持っていただきたいし、400500という数なのでしたから、各県から例えば2人3人抽出するということはそんなに難しいことではないと思いますし、この機会に脳性麻痺児のその後の動きなども、ぜひ厚生省としては御用意いただきたいと思います。

 あと1つ、質問と要望です。この制度も日本のあらゆる社会保障制度、社会保険制度と同じように、申請主義でございます。診断が難しいから5歳までが期限とされておりますけれども、この5歳の理由はどういうことでございましょうか。

 申請主義であり、重大な問題であればあるほど、こうしたお子さんをお産みになると世の中から隠れて、言ってみれば引きこもりになりがちな親御さんもございます。もっと周知徹底して、申請主義だけではない、むしろこういう制度をアウトリーチのつもりで進めていっていただきたいと思いますし、引きこもっている親子さんでも、行政が絶対かかわるのは6歳の就学時なのです。そのときには、子どもに向けて情報の量が物すごく多く出されます。なぜ6歳でなく5歳なのですか。そのあたり、質問したいです。

 以上です。長くなって済みません。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、御質問のあった5歳の根拠について、お願いいたします。

○後理事

 脳性麻痺のお子様の診断がいつ行われるかということは、創設時に沖縄県の調査者の方に調べていただきまして、かなりの部分は2歳までに診断されておりました。これは、沖縄県のデータです。また、一般には重度脳性麻痺の方は障害者手帳を3歳ぐらいに取得されます。それまでは症状が動揺といいまして、よくなったり悪くなったりということを繰り返しますから、固定するのが3歳ぐらいということで、3歳が節目となっており診断が行われます。さらに、診療録などの保存の期間は5年で終わりますので、記録の面も若干考慮いたしまして、かなり余裕を見て5歳にしております。

 制度初年のお子様につきましては、実はまだ申請が続いておりまして、私どもも広報を強めておりますが、制度が始まった初年の方の締め切りが来るという時期にありますので、まだその周知が足りない部分もございます。そこで、ラジオとかテレビとか新聞とかインターネット、ありとあらゆる方法を導入して周知を図っているところでございます。5歳を決めてきた理由は、以上のようなことでございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。よろしゅうございますか。

○樋口委員

 はい。

○遠藤部会長

 それでは、堀委員、お願いいたします。

○堀委員

 本制度がかつての産科医療の崩壊の抑止に大変重要な役割を果たしたことは事実でありますし、またいろいろな事例を一元化して分析することによって、再発防止をしていくという大変大きな役割を持っていることも事実で、その意味から、この制度の充実を図ることにつきましては本部会では一致した意見だと思っております。今、議論がありました一般審査、個別審査。個別審査ではなかなか基準が厳しい。できるだけ一律に対象とするようなことで、現場からの御意見が拡大を求めているということであれば、今回、正式な手続を経た報告であります出産と体重のところの結論については、私はそれで了解してよろしいのではないかと思います。

 1点、私も気になりますのは、制度の運用上の問題について、なかなか明確な回答が出てこなかった。これは、民間会社に委託しているという特性もありますが、資金を拠出される保険者の皆様が聞いていることに、機構のほうからなかなか明確な回答が出てこないということは事実だと思います。今回、運用益については剰余金に組み入れるといった方策が出ておりますが、従来から言われております体制変動リスク対策費ということについては、繰り返しお話があるにもかかわらず、きょうになって、またもっともだから検討するというのはいかがなものかと思います。

 そういったところは保険者の方々が納得するような合理化・透明化をぜひ図った上で、この制度の充実が進むような対応を、機構は大変御苦労されていると思いますけれども、さらに御尽力いただきまして、そういった方向で議論が進むようにお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、岩本委員、お願いします。

○岩本委員

 2回目になりますけれども、大きな話なのですけれども、この産科医療補償制度というのは非常に重要な制度だということは疑いを持たないのですけれども、その制度が私的な制度として運用されていて、法律も何もない形で運用されているわけです。民間ベースの制度なのですけれども、それについて、この公的な場で議論されている。しかも、この議論の内容を聞いていて、非常に違和感を感じる部分があるのです。これは、制度創設の経緯から、当時非常に深刻な問題になったので緊急性を要するということで、法整備を待たずに民間制度で始まったのですけれどもね。

 これは本当に大きな話なのですけれども、公的な制度として、しっかり法律まで整備してやるということまで考えたほうがいいのではないか。運用がここまで来ていますと、さまざまな問題がありますので、そのほうが制度自体がもっとうまく回るのではないかと感じております。この制度変動リスクの問題なのですけれども、なぜ民間保険会社がこの部分、最終的には利益になるものを取るかというと、医療保険は法律がないわけですから、この制度は関与できない部分が相当あるわけです。

 そうすると、保険の機能というのは民間が背負わなくてはいけないということで、結果的に公的医療保険が民間保険に保険を掛けているという状態があって、そこからさまざまな問題も生じているところもありますし、医療保険側は金を出しているのですけれども、この制度をコントロールできているかどうかということにつきまして、この場でいろいろ議論があるということですから、これは非常に大きな話で、私、一委員の発言でどう変わるわけでもありませんけれども、問題提起として、根本から制度のあり方を組みかえることを考えてもいいのではないかと思っております。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 小林委員、お願いします。

○小林委員

 今後の進め方についてですが、本日の財団の説明には疑問点が多く、委員の皆さんからも様々な御意見がありました。また、私どもとしては、先ほど申しました統計の問題については、客観的な第三者的立場の方で、当事者でない医学・生物学の領域で統計の専門家の御意見を聞きたいとお願いしました。そういった意味で、さらに議論を深める必要があるのではないかと思います。ただ、議論を先延ばしすることは制度の信頼性を損なうおそれもあり、一刻も早く見直しの方向性をまとめる必要があります。部会長、それから事務局におかれましては、できれば年内にもう一度議論できるようにぜひ御配慮いただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、岩村部会長代理、お願いします。

○岩村部会長代理

 もう時間がありませんので、簡潔に申し上げたいと思います。

 きょう議論になっている産科医療補償制度というのは、何人かの方からも御指摘がありましたように、非常に重要な制度だと私も思っておりますし、一般論として、その充実を図るということについては、多分誰も反対しないだろうと思います。ただ、他方で、きょうも保険者の皆様からも御指摘があったように、その原資になっているのは強制徴収された保険料であり、かつ税金であるというところからして、当然のことながら、その制度の運営については透明性ということが必要でありますし、また制度の見直しということをするのであれば、やはり十分に納得できるだけのきちんとした理由が必要であると考えます。

 その観点から、きょうの機構の側の御説明をいろいろ伺っても、残念ながら私自身は、今回この制度を見直すことについて、必ずしも十分な説明がなされていなかったのではないかと思わざるを得ない。制度の見直しをするということであれば、もっとデータをふやしてというのが普通の議論ではないかと私は思います。そうだとすると、なぜ今、急いでやらなければいけないのかということも、私には余り納得がいかない気がいたします。もともと5年程度で見直しをということだったのですが、違っていたら御指摘いただきたいのですけれども、印象としては、積立金が非常に余ってしまって、それをどうするかという議論が始まったところで、この制度の見直しの議論も時期を早めて何となくセットで出てきたという印象もあるところです。何か検討の経緯というところからして、やや釈然としないところがあるのかなと思います。

 もう一つ、きょう統計の話もいろいろお話になって、岩本委員の御発言もありました。それに対しての機構の側の御説明を伺っていると、これも違っているのかもしれませんが、統計のデータからしてこうなっている。したがって、31週とするのが妥当であるという御説明として報告書はでき上がっている。概略のところはそういうふうに書かれていると思います。ところが、その後の機構の御説明ですと、現場でのお医者さんのお話では、明らかに発生率が下がっているということも挙げられました。でも、さっきの説明だと、いや、最近のデータはないのですという御説明だったのです。

 そうすると、なぜ最近、発生率が下がっているということが言えるのか、そういう御説明になるのかが私にはよくわかりませんでした。かつ、お医者さんのお話というのは統計データではないですね。あくまでも個別の御経験の集積にすぎない。それは、そもそもきょう御説明いただいた資料の中には入っていない。そうすると、結局、統計データで出てきたから、したがって、ということではなくて、ほかの要因もあって31週にしましょうという御説明ではないのか。

 また、岩本委員からの御指摘で、ちょうど統計的によくわからないところは個別審査でカバーしているでしょうと言ったら、いや、33週のところで体重が1,900gだと個別審査になってしまって、おかしいのですというご回答でした。でも、それも統計から導かれる話じゃないですね。かつ、個別審査のところもいろいろ難しい問題があって、審査が難しいようなものがあって、紛議のもとになるのですとおっしゃったのですが、個別審査をやって、しかし、後で実は見逃したのですという問題点があったのかどうかということの指摘も、きょうの御説明の中にはなかったと思います。

 ですので、報告書を受けて医療保険部会で、これをきょう了承するというのは、私の感じでは非常に難しいのではないかという気がしますので、何人かの委員からも出ましたけれども、きょうの御議論を受けて、もう一度機構内部で御検討いただければというのが私の最終的な意見です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。まだ御意見があるかと思いますけれども、予定していた時間を1時間もオーバーしておりますので、このぐらいにしたいと思います。

 基本的にきょうのお話、きちんとした報告書を出していただいたわけでありますけれども、内容につきましてはおおむね賛同するという御意見もありましたけれども、中身についてさまざまな御指摘があった。場合によっては非常に納得がいかないというものも含めてあったということで、部会として、これをこの段階で認めるという合意は形成されなかったと、ただいま岩村部会長代理がおっしゃったとおりの対応が適切だと思いますので、まずはそのように対応させていただきたいと思います。

 その上で、本日、御指摘のあったことを踏まえまして、もう一度機構さんのほうで御検討いただいて、先ほど小林委員からは今月中にというお話もありましたけれども、できるだけ早い段階で、またこちらで御報告いただければと思っておりますので、そういう対応にまずはさせていただきたいと思いますけれども、はい、どうぞ。

○上田理事

 今からデータをそろえなさいと言われましても、現実にはなかなかできないと思います。私どもがこれまで説明させていただきましたが、きょう、まだ委員の皆さん方に理解が得られませんでした。ですから、ただ今部会長のお話がございましたので、説明不足のところはもう少しきちんと整理をしたり、データをそろえるといってもできない範囲もございますが、できるだけ御指摘の点を我々としても努力するということでよろしいでしょうか。

○遠藤部会長

 確かに追加の調査をするなりという形になりますと、1カ月以内にというのはなかなか難しいかと思いますので、いかがでございましょうか、とりあえずはことし中にでき得る範囲でやっていただくことを優先するという考え方もあるかと思います。まず、そういう対応でよろしゅうございますか。これから調査をという話になったり、また解析のし直しということになると、少しあれなのかなという気はしないでもないですけれども、いかがでしょうか。小林委員、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

○小林委員

 はい。

○遠藤部会長

 白川委員、今後の検討でございますけれども、いかがでしょうか。

○白川委員

 部会長のおっしゃるとおりでいいかと思うのですが、先ほど申し上げたとおり、この機構の5年間の実績を何らかの形で資料にまとめて御報告していただくというのは、ぜひともやっていただきたいとお願いいたします。

 以上です。

○遠藤部会長

 お願いいたします。つまり、できないことが山ほどあって、だから出さなかったという対応はできるだけとらずに、積極的に御指摘に対する対応はしていただければなと思います。

 もう一点、ペンディングにしていることは、機構さんがやっていただいた分析について、第三者的な統計の専門家に分析をしていただいて解釈していただくということ。岩本委員に既にやっていただいたわけでありますけれども、それをさらにやる必要があるかどうか。小林委員からはこういう御指摘であったわけでありますけれども、いかがでございましょうか。小林委員、どうぞ。

○小林委員

 先ほど岩本委員から御説明いただきましたので、私はそれで結構でございます。

○遠藤部会長

 新たに別の人からの評価ということは、よろしゅうございますか。特段必要ないですか。岩村部会長代理。

○岩村部会長代理

 時間の問題もありますけれども、きょう岩本委員からもお話を伺いましたが、岩本委員がそうじゃないという話ではありませんけれども、できれば統計学の専門家にレビューしていただくといいかなと思います。

○遠藤部会長

 はい。それでは、新たな解析をするということではなく、既にあるものについての解釈でありますけれども、それを適切な専門家の方にお願いするという方向でさせていただきたいと思いますので、ちょっと事務局と相談して進めさせていただきたいと思います。

 ほかに何かございますか。はい。

○後理事

 最後に一言だけですけれども、先ほど補償対象者数が少なかったから拡大しているように見えるというお話がございましたが、そういったことは全くございませんので、ここで明言しておきます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、そういう方法で進めていただければと思います。

 それでは、きょうは本当に非常に充実した議論ができたと思います。どうもありがとうございました。司会の不手際で1時間も時間をオーバーしてしまいまして、申しわけございませんでした。

 それでは、本日はこれまでにさせていただきます。

 小林委員長、上田理事、後理事におかれましては、長時間、本当にどうもありがとうございました。

 それでは、次回の開催につきましては、追って事務局より御連絡することにしたいと思います。

 本日は御多忙の中、長時間ありがとうございました。


(了)

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