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2013年11月29日 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会 第62回議事録

○日時

平成25年11月29日(金)11:48~12:37


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

印南一路部会長 関原健夫委員 森田朗委員 野口晴子委員
白川修二委員 花井圭子委員 石山惠司委員 伊藤文郎委員
長瀬輝誼委員 鈴木邦彦委員 堀憲郎委員 三浦洋嗣委員
十河功二専門委員 昌子久仁子専門委員 田村誠専門委員
<事務局>
木倉保険局長 神田審議官 宇都宮鈴木医療課長 佐々木医療課企画官
竹林保険医療企画調査室長 近澤薬剤管理官 田口歯科医療管理官 他

○議題

○ 特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準の改定に向けた議論の取りまとめについて(案)
○ その他

○議事

○印南部会長

 ただいまより第 62 回「保険医療材料専門部会」を開催いたします。

 まず委員の出欠状況について御報告いたします。本日は全ての委員が御出席です。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 これまで保険医療材料専門部会で御議論いただいてきた論点について、議論がほぼ一巡しましたので、今回はこれらの議論について取りまとめた資料が事務局から提出されております。

 事務局、説明をお願いいたします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 中医協材-1をお願いいたします。これまでの議論の取りまとめでございます。

 早速、3ページ、4ページをお願いいたします。

 1つ目、外国価格調整の関係でございますが、5点ございます。

 1つ目は4ページ目で、外国平均価格の算出対象国についてでございますが、前回改定よりオーストラリアを追加しておりますが、導入して間もないということで、引き続き、現在の5カ国を維持してはどうかとしております。

 5ページでございます。新規収載品に係る取り扱いでございます。外国平均価格の参照国間で価格の開きが大きいケースが存在しまして、その場合の取り扱いでございます。

 1つ目が、最高価格が最低価格の3倍を超える場合は、当該最高価格を除外した相加平均とします。

 そして、価格が3カ国以上あって、そのうち最高価格がそれ以外の価格の相加平均値の2倍を上回る場合は、当該最高価格を除外した相加平均値の2倍相当として算定した相加平均値を用いることとなります。

 そのような実例を下に挙げさせていただいております。

 この場合の影響でございますが、 24 年度から現在までの収載につきまして、このルールを適用しますと、3製品が適用になります。

 7ページをお願いいたします。既収載品に係る取り扱いでございます。現在、価格の上限につきまして、直近2回の材料価格改定を通じた下落率にかかわらず、 1.5 倍を上限として取り扱っておりますけれども、下落率 15 %以内のものについては、 1.3 倍を上限としてはどうかということでございます。

 8ページ目がその影響でございますが、 24 年度に再算定を行った分野にしますと、 15 の機能区分がそれに該当しているということでございます。

 9ページをお願いいたします。外国平均価格比が著しく低い製品の取り扱いでございますけれども、これは類似機能区分比較方式におきまして、新たな機能区分を設けておりますが、 24 年度以降、4製品につきまして、 0.5 倍以下が生じております。これに関して、原価計算方式で申請してもよいとしてはどうか。しかし、その場合の取り扱いとして、積み上げの上限は 1.0 倍までとしてはどうかというものでございます。

10 ページ目でございますが、原価計算方式における特例に関してでございます。これに関しましては、種々御議論いただいておりましたので、少し内容を改めておりまして、原価計算方式による算定の際、より詳細に原料費が積み上げられた資料が提出された場合については、外国平均価格を用いた価格調整の対象から除外することはどうかとしておりましたが、することについて、今後とも部会で引き続き検討するという位置づけとしてはどうかとさせていただいております。

11 ページ目をお願いいたします。ここからがイノベーションの評価の関係のものでございます。

12 ページは迅速な保険導入に係る評価でございます。前回改定で、米国よりも先に材料の収載等々があった場合ということで、導入しております。

 その結果として、 13 ページ、 14 ページにございますような製品が、既に中医協で御審議いただき、保険収載がされておるという結果となっております。これにつきましては、今、試行的に導入という位置づけでございますが、これもその影響を今後とも見極めるということで、引き続き試行的な取り扱いを継続してはどうかとしております。

15 ページをお願いいたします。原価計算方式におけるイノベーションの評価でございます。原価計算方式に関しては、営業利益のところで、現在+- 50 %として取り扱うというルールになっております。

16 ページにございますとおり、医療機器産業実態調査で、営業利益の数字を出しておりますけれども、企業の規模等々を見ますと、若干中小企業が多いという機器産業の状況等々を踏まえまして、革新性の度合いに応じて、+ 50 %を+ 100 %にさせていただきたいという提案にしております。

17 ページは、現状の原価計算方式の算定状況でございます。これは既に御説明しておりますので、省略いたします。

18 ページからは機能区分の特例でございます。より革新性の高い画期性加算や有用性加算を受ける製品、原価計算方式では同様の加算要件を満たすものも含むとしておりますけれども、イノベーションの適切な評価の観点から、2回の改定を経るまで、単独の機能区分を維持することとしてはどうかということです。

 また、本特例に関連し、類似機能を持つ製品等について、以下のように取り扱うこととしてはどうか。

 具体的には、後から申請された B 区分製品については、特例を用いない製品と同様の価格設定としてはどうか。

 本特例を導入した際の影響について、次回及び次々回の診療報酬改定でも検討することとしてはどうか。

 また、希少疾病用医療機器に関しても、同様の取り扱いであります。

 具体例は、 19 ページ、 20 ページ、なぜ2回にしたかということでございます。これも既にお示ししたものでございます。

20 ページもイメージ図ですが、これもお示ししておりますので、省略させていただきます。

21 ページ、補正加算要件の追加でございます。人その他生物(植物を除く)に由来するものを原料または材料として用いた既収載品に比して、全ての生物由来原料等を除いた場合で、かつ、同等の機能を有することが客観的に示された場合について、改良加算の要件に追加してはどうかというものでございます。

 これは未知の感染症等のリスクを低減する効果が期待できるということでございます。

 本日の内容の残りでございますが、 23 ページをお願いいたします。これも前回御提示したものと同じ内容でございますが、現在、費用対効果評価専門部会におきまして、新規医療材料の保険適用に対する議論をしていただいているところでございますので、この議論を踏まえて、今後また検討するとさせていただいております。

24 ページでございますが、3点ございまして、従来やっております、機能区分の合理化・細分化につきましては、引き続き実施をしてはどうか。その際、調査結果に基づき、同一機能内のものについても、検討してはどうかと書かせていただいております。

 新規の医療材料については、申請時における予測販売数と市販後の実販売数が異なる場合もあるため、予測数の設定根拠を含め、より詳細なデータを提出するよう、申請様式を改めてはどうかとしております。

 審査期間の短縮を図る観点から、薬事審査において、後発医療機器として承認を得た製品については、A1、A2及びB区分で申請することを基本としてはどうかとしております。

 以上でございます。

○印南部会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの御説明について、質問等がありましたら、お願いします。質問、御意見の両方です。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員

 同じような話を前回もしたような気がするので、また一つ一つお話する必要があるのかどうかということもありますが、全体について簡単にお話させていただきます。

 4ページに関しましては、よろしいのではないかと思います。

 5ページに関しましても、○1○2ともよろしいのではないかということでございます。

 7ページに関しても、よろしいのではないかと思います。

 9ページなのですが、前回は原価計算方式が難しいのではないかということで、慎重な発言をしたのですが、製品が非常に少ないこともありますので、よろしいのではないかと思います。

10 ページに関しましては、いかなる場合においても、外国価格調整の対象から外すべきではないと思います。前回の書きぶりに対しては、反対ということですが、引き続き検討と変わっておりますので、検討するのはいいのではないかと思います。

12 ページの迅速な保険導入は試行的な継続ですので、前回もそういうことであれば、よろしいのではないかというお話をさせていただきましたが、加算の額が高いようなものもありますので、そういう見直しと、検証も含めて、継続であれば、よろしいと思います。

15 ページでございますが、これは薬価でも同じような話があり、薬価では定量的な基準を入れるという話になっていたと思いますが、やはり同様にすべきであり、同じような考えを入れるべきだと思います。中小企業が多いから無条件に上げるというのは、それなら、中小病院も無条件に上げてくれるのかと言えば、そんな甘くないわけです。いろんな条件をつけられて、上がったり、下がったりで、全体で上がっていると思ったら、下がっていたということも多々あるので、そこはそう簡単にはいかない話だろうと思います。薬価と同じような考えで定量化を図った上でということなので、保留になると思います。

18 ページの機能区分の特例でございますが、これも前回は反対したのですが、今回もう一回見直しまして、例えばこれは2回の改定を経るまでとなっていますが、1回の改定までであれば、様子を見てもいいと思います。前回は歯止めがなくなるというお話をしましたが、1回だったら修正が効く可能性もあると思います。

 それを受けますと、○が2つありますが、上のほうはそういうことでよろしいと思いますし、2つ目の○は、次回及び次々回ということですが、次回のみになると思います。

 一番下の希少疾病用の医療機器については、前回もやむを得ないのではないかというお話をさせていただきましたので、これは2回でもよろしいと思います。

21 ページに関しましては、前回もよろしいのではないかというお話をさせていだたいたと思います。

23 ページの費用対効果は、引き続き検討していただきたいと思います。

24 ページ、黒ポツの1番目の上、引き続き合理化・細分化の実施というのはよろしいと思いますが、下のほう、いわゆる同一機能区分内複数価格帯制度は、機能区分制度を形骸化しかねないので、賛成はできないということだと思います。

 残りの2つの黒ポツは、前回もよろしいのではないかというお話をさせていただきました。

 以上でございます。

○印南部会長

 今の御発言は全て御意見だったと思います。

 その他ございますか。

 白川委員、お願いします。

○白川委員

 今回につきましても、鈴木先生とほぼ同意見でございまして、ただ、少しだけ違う部分もございますので、意見を述べさせていただきたいと思います。

 鈴木先生と同意見のところは、省略させていただきます。

 シートの 15 枚目の 100 %加算の話でございますが、これは鈴木先生もおっしゃったとおり、薬価のほうでは、定量的な基準を設けようということになっておりますので、材料についても同様の仕組みが必要だと考えております。導入するとすれば、薬と同時に同基準でやったほうがよろしいということだけ、つけ加えさせてさせていただきます。

18 枚目の機能区分の特例でございます。これは薬のほうで、日本発の薬について、加算という話が提案されまして、そのときにも申し上げましたが、より革新性の高い画期性加算・有用性加算を受ける製品でございますが、有用性加算はたしか5%からで非常に幅があると思います。改良加算とは違いますが、それと似たような有用性加算もあると思っております。今さら有用性加算を1と2に分けろと言う気はございませんが、かなり革新性が高いということであれば、少し限定したほうがよろしいと思っております。

 それから、1回か2回かという話ですが、個人的には2回の改定を経るまでの間でよろしいと思っておりますが、その場合でも、今、技術革新が非常に早いスピードで進んでおりますので、1回終えたところで検証してみるというステップは踏んだほうがよろしいと思っております。

 あとは鈴木先生と同じ意見でございます。

 最後の 24 枚目のシートでございます。 1 つ目の論点については、調査をした上で検討しようという提案でございまして、同一機能内に複数の価格帯を設けるということは、機能区分別収載の原理原則からいうと、おかしなことになるということで、基本的には反対でございますが、前回の業界の説明でも、なぜそういう事態が発生するのかが、私自身よく理解できていないものですから、調査をしていただくのであれば、どうしてそういうことになっているのかということの具体的例も併せてこの場に出していただければ、検討自体はやぶさかではないと思っております。

○印南部会長

 どうもありがとうございました。

 ほかにございますか。

 石山委員、お願いします。

石山委員

 白川委員と鈴木委員と意見はほとんど同じです。

 その中で、今、意見で出たように、スライド 15 ですが、これは幅を 100 に上げてもらいました。これだけの幅になりますと、定量的な分析をきちっとしないで、恣意的にやられると非常に困ります。薬価専門部会でもいろいろ議論がなされているとおり、定量的な分析をきちんと加味した上で、判断をしていただきたいと思います。この意見はほとんど同じです。

 あと一番最後のページのその他の論点ですが、今、白川先生がおっしゃった1ポツの下段のところです。同一機能であれだけの幅が本当に出るのかというのは、ちょっと不思議に思うんです。非常に安いところもあるし、高いところもある。本当に同一機能なのか、機能的に別なものなのか、その辺は専門ではありませんので、よくわかりませんので、本当に同一機能でくくっていいのかどうかを含めて、検証をしていただきたいと思います。

 以上、意見です。

○印南部会長

 その他ございますか。

 堀委員、お願いします。

○堀委員

 意見は大体同じなんですが、確認といいますか、少しわからないところがあるので、お聞きしたいんですが、 10 ページの原価計算方式における特例のところで、前から気になっているんですけれども、原価計算方式の特例等の議論をすると、どうしても外国の平均価格の比較方式の信頼性と相入れないような議論になってきているのではないか。つまり外国の製品については、経費が把握できないためとなっているので、そこをしっかり整理していただかないと、この議論をする一方で、今、やっている制度が悪い、信頼性がないということになりかねないので、そこを整理した御見解をお聞きしたいというのが1点です。

 もう一点は、 15 枚目になります。これも、今、委員の先生方から出たことと同じなんですが、薬価のほうでは、来年3月に答申という予定の検討会を設置されるということでありますので、それを前倒しで了解したことがいいかどうかは別なんですが、医療機器の方もそういった対応が検討されているのかどうかを確認したいと思います。

 もう一点、先ほども出ましたが、業界の規模ということで、薬と材料は違うんだというお話なんですが、ほかにも業界等の違いで、例えば複数価格帯の導入であるとか、そういったことに関しても考慮するような違いがあれば、お聞きをしたいと思います。いかがでしょうか。

○印南部会長

 3点ほど御質問がありました。お願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

10 ページの原価計算方式における特例の議論でございます。これに関しましては、まさに、今、堀委員から御指摘いただきましたとおり、最初に私どもから提示させていただきました案では、何か評価をしたいということはわかるんだけれども、そもそも外国価格調整制度の考え方との整合性ということがありましたので、事務局のほうで、まずは透明性といいますか、情報をきちんと出していくということに関して、何らかの評価ができないかという思いで提案をしたのですが、もうちょっと違った提案の仕方も含めて、一旦、精査をさせていただいた上で、また部会に提案をさせていただきたいということでございます。

 そういう意味では、従来の書き方が残っておりますので、最終的に価格調整の対象除外にこだわっているかのような感じになっておりますが、趣旨としましては、より詳細な原料費が積み上げられた場合と、相でない場合との差を評価できるような手法があれば、何とかならないかということが論点でございますので、そこは機会を捉えて、部会で御審議いただきたいと思っております。

15 ページの考え方は、複数の委員の先生方からも御指摘いただいておりますが、こういった+ 100 にする場合、何らかの指標が必要ということで、今、薬価専門部会でそういう議論になっております。我々のほうは、研究班等、現段階で用意はできておりませんが、材料専門組織等々を含めて、どの程度のものが準備できるかということはありますけれども、検討はさせていただこうと思っております。

 今のところ、私からは以上でございます。

○印南部会長

 3つ目の質問、違いをもたらす業界の事情みたいなものについては、どちらからですか。事務局あるいは田村専門委員からですか。

 田村専門委員、お願いします。

○田村専門委員

 医薬品と医療機器はさまざまな点で違いますけれども、ここの関連で申し上げますと、1製品当たりの市場規模がかなり異なるだろうと思います。今、正確な数字は持っておりませんが、特定保険料材料の医科が大体 9,000 億円ちょっと、機能区分が 700 区分少しですので、1区分当たり 10 億円少しです。1つの機能区分の中に、複数の製品が入っておりますので、1つ当たりの製品の規模というのは、数億円かもしれません。データははっきり持っていませんが、大ざっぱに言うと、薬とは相当違うだろうと思います。

 利益率の関係でいえば、売り上げが小さいために、ある程度利益が出ないと苦しいんだろうとは思います。ただ、そうはいっても、製品も大きなものから、小さなものがありますから、全部について言えるわけではないですが、平均すると、その違いは大きいと思います。

○印南部会長

 堀委員、今の御回答でよろしいでしょうか。

 昌子専門委員、お願いします。

○昌子専門委員

 昌子でございます。

 今の田村専門委員の発言に加えまして、一言つけ加えさせていただきます。

 薬と材料がどのように違うのかというお話ですけれども、薬は有効成分で規定されているものです。つまり薬は発見されて医薬品になっていきます。医療機器は道具という一面があり、設計されて製品が開発されていきます。物の成り立ちが異なります。よって、薬には新薬と後発のカテゴリー、新薬に対して、ミートゥーということがありますけれども、医療機器に関しては、デザイン、設計ですので、全く同じものがありません。デザイン等に特許がかかっているということです。

 機能という点で考えると、A社のA製品とB社のB製品は1つの機能区分の中に入っていくことになりますけれども、それぞれ製品には性能があって、道具という一面もありますことから、使い勝手等々が異なっていきます。そういうものが違いを生んで、同じ機能であっても、市場の価格が違ってくると考えております。

 以上です。

○印南部会長

 よろしいですか。

 ほかに御質問等はございませんでしょうか。

 関原委員、お願いします。

○関原委員

 前回も申し上げたんですけれども、産業構造上、医薬品と医療機器は相当違っているわけです。今の規模もそうですし、何かを開発しようと思いますと、規模が違うということは、資金調達ができないわけですし、特に小規模な場合には借入金は難しいので、どうしても欧米等でやっているようなベンチャーというか、リスク資金を投資家から集めなければいかぬということになります。そうすると、最初からリターンが低いという話になりますので、より資金調達も難しくなるということで、薬とデバイスというのは、同じレベルで考える話でもないと思います。

 利益率はもちろん規模もありますし、薬の場合には、製薬メーカーの次に調剤ということで、みんなそこに利益がきているわけですけれども、これはまさにユーザーとの直の取引ですし、流通も相当違うということなので、その辺の産業的な違いも含めて考えることが大事ではないかと思います。

 それから、今の日本の産業の中で、もともとメカニカルとか、イレクトリカルというのは、日本が非常に優位にあったわけで、製薬会社以上に、日本にある意味では向いている産業であるというのが、日本の全体の認識なものですから、それを中小企業、日本のものづくりの技術も含めて、トータルとして世界に売っていこうということなので、薬と同じだからという考えで判断しないほうがいいのではないかというのが、私の意見です。

 以上です。

○印南部会長

 ありがとうございました。

 ほかにはございますか。

 昌子専門委員、お願いします。

○昌子専門委員

 いろいろな議論を重ねていただきまして、本当にありがとうございます。

 今回の改定におきましてお願いが2つ、次回改定に向けてお願いが2つございます。

 我々日本市場を中心に活動している日本企業にとりまして、現行の機能区分制度、つまり他社の外国での販売実績の価格に影響を受けるという制度は、大変厳しいものであります。しかしながら、日本市場で活動している我々も、当然のことながら、製造上のいろいろな工夫を重ねて、コスト削減をしていくというのは、当たり前のことであり、適正価格に向けて努力をしていく所存でございます。

 しかしながら、さらにイノベティブな製品を開発していくことを考え合わせたときに、先ほど来議論がありますけれども、 24 ページに書いてありますように、細分化を引き続き進めていただくとともに、価格帯の調査、実際はどのようになっているかということを検討していただくようお願いをしたいと思います。

 2つ目は、先ほど来あります外国価格調整、つまり再算定の話でございますけれども、対象を一定の条件下で 1.5 倍から 1.3 倍に引き下げるということでございますが、この件に関しまして、製品の安定供給等に支障がでないよう、激変緩和等の措置を御検討いただきたいと思います。

 続きまして、次回以降の改定においてお願いをしたいことがあります。

 前回の中医協の業界陳述におきまして、業界は安全性にかかわる費用の評価の導入を要望しているところでございます。しかしながら、今般、薬事法が改正され、市販後調査等の運用が見直されることになったと聞いております。つきましては、薬事法改正に伴う市販後調査等の運用の実態を見つつ、引き続き検討していただくことをお願いしたいと思います。

 最後に業界は複数機能を持つ製品の評価について、提案とお願いをしております。これにつきましても、次回、引き続き検討をお願いしたいと思います。

 どうぞよろしくお願いします。

○印南部会長

 ほかにございませんでしょうか。

 なければ、この議論はこの辺りとしたいと思います。

 それでは、次に「○ その他」として、専門委員連名で、国内の医療機器供給・流通の実態と海外比較について資料が提出されておりますので、田村専門委員は説明をお願いします。

○田村専門委員

 ありがとうございます。

 医療機器がどのように医療機関まで供給されているのか、また流通の体制はどうなっているかという御質問を、何回かこの部会でいただいておりましたので、本日は少しお時間をいただき、専門委員3名を代表して、資料に沿って御説明させていただきます。

 2ページ目の医療機器の基本的な供給・流通の実態です。通常はメーカー等から製品を卸売業者が仕入れ、直接あるいは二次卸業者等を通して、医療機関に製品を供給いたします。

 また、メーカーが卸売業者と共同で臨床支援等を医療機関に行うことも、頻繁に行われています。

 3ページは、物の流れを具体的に示したものです。製品の発注をいただきました後、卸売業者の倉庫から医療機関に配送いたします。この際、小口・多品種であることが、医療機器供給の特徴の1つであると考えます。

 医療機関によって、院内在庫あるいは預託在庫の場合があります。預託在庫につきましては、後ほど説明をさせていただきます。

 臨床技術支援や緊急対応などの適正使用支援を行い、さらにメンテナンス等のアフターサービスを行います。

 4ページは、整形外科手術の例です。手術のオーダーを医療機関から卸売業者が受け、製品を準備し、配送いたします。あらかじめ必要性が予想される人工関節などの医療材料をそろえ、また、同時に手術に用いる整形外科手術用の工具、機械、例えば専用のハンマーですとか、のみ、ドライバーなどですが、それらをメーカーから借り受け、結局この写真のように、多くのものを医療機関に持ち込むことになります。

 手術で使用される医療材料はその一部であり、手術終了後、使わなかった医療材料とともに、工具、機械を引き上げます。

 5ページは、ペースメーカー手術の例です。同じく医療機関から手術のオーダーを受け、製品を準備し、配送いたしますが、患者様の症状や体の大きさにより最適な機種が異なりますので、事前の準備は、写真のように多くの種類が必要となります。

 手術で使用される製品はその一部であり、手術終了後、製品を引き上げます。

 6ページは、預託在庫についてです。預託在庫とは、使用が想定される医療機器を医療機関にあらかじめ預け置くことです。在庫は卸売業者またはメーカーが所有・管理をしており、実際に使用した時点で、使用したものだけを医療機関が購入するシステムです。

 グラフに示してありますとおり、預託在庫を行っている医療機関は、増加傾向にあります。

 7ページからはコストとの関係で、日本と海外の医療供給の相違について、御説明申し上げたいと思います。

 8ページは、これまでこの部会でも何度か御報告させていただきました、三菱総研の調査結果です。日本と欧州3カ国を比較したとき、医療機器を医療機関までお届けするコストとして差があるのは、薬事関係費用もありますが、医療供給に係るコストが大きな割合を占めています。

 グラフでごらんいただきますと、心臓血管系医療機器で、欧州が 84 に対し、日本が 352 です。

 医療供給に係るコストというのは、ここまで御説明してまいりました、適正使用情報提供・営業費及び在庫関係費です。

 こうしたコストの差が生じる背景としては、医療機関における症例の集中度が、日米では大きく異なってからだと考えております。それが9ページにお示ししてあります。

 9ページの資料は、私どもの不手際で、資料がやや見にくくなっておりますが、グラフの一番左にありますのが、それぞれ集中の例数の少ないものでございまして、例えば PTCA バルーン及びベテメタルステントですと、日本の一番左に 59.3 とありますのが、下の凡例でいうと、年 200 例以下でございます。

 3つの製品群の症例の集中度をグラフにしてありますが、欧米諸国でも差があります。ただ、全体的にいいますと、全ての製品群で、日本は症例の集中度が際立って低いことがおわかりいただけるかと思います。

 このグラフでは、分布を示しておりますが、ペースメーカーについては、日本不整脈デバイス工業会の調べなどにより、1医療機関の平均の年間症例数は 30 例と推計されます。このグラフで申し上げますと、年 50 例以下が 86.2 %となっていますので、 30 例というのは、妥当な数字だと思いますが、これですと1カ月平均 2.5 例で、症例の集中が進んでいるとは言えない状況です。

10 ページは、症例の集中度が進むと、医療機器の供給体制あるいはコストにどのような影響を及ぼすかを御説明したものです。

 1点目は、1件当たりの製品供給のコストが下がるということです。先ほど具体的な例で御説明しましたとおり、製品供給そのものにかなりの手間がかかるものがありますが、個々の医療機関での症例がふえれば、当然1件当たりのコストを下げることができます。

 2点目は、症例の集中により、医療従事者様の習熟度が上がり、場合によっては、医療機器の適正使用を行う専任スタッフが雇用されることになり、メーカー、卸売業者からの支援は少なくて済むようになります。

 3点目は、症例が集中すると、預託在庫ではなく、買い取り在庫にすることが可能になり、メーカーや卸売業者の在庫負担費用を抑えることが可能になります。

 スライドの説明は以上ですが、最後に1点申し上げておきたいことは、三菱総研調査の結果にせよ、コスト構造の差異にしても、これは製品や国によってかなり異なる可能性があるということです。

 先ほどの三菱総研調査のグラフでも、循環器関係の製品と整形外科関係の製品では、コスト構造はかなり異なっています。

 国ごとに見ても、医療機器供給の姿は、その国の医療機器提供体制に応じて変わってきておりますので、今回お示ししていますデータとか考察は、なるべく医療機器供給の全体を捉えようと努力していますが、製品や国により、個別には多くの違いも存在することに御留意いただければと存じます。

 お時間をいただき、ありがとうございました。以上です。

○印南部会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの御説明について、御意見、御質問等はありますでしょうか。

 関原委員、お願いします。

○関原委員

 前回、私が質問したことに答えていないような感じがします。海外との比較のグラフは前回も出ているわけです。これは医療機関の集中度の話なわけで、そのために流通コストがかかるという話なんです。日本に流通業者というのは幾つぐらいあるのか。むしろそちらを海外とのあれで知りたいと申し上げたわけで、流通のほうを大きくすれば、トータルとしてコストは相当下がってくると思うので、医療機関の数だけを問題にしておられるので、そこの資料というか、御説明をお願いしたつもりなんですけれども、その点について、もう一度、御意見をいただきたいです。

○印南部会長

 十河専門委員、お願いします。

○十河専門委員

 十河でございます。

 残念ながら、流通の会社数の正確な数はわかっておりません。ただ、参考までに申しますが、日本医療機器販売業協会の会員数は、現在、約 1,100 社ございます。

 この数が多いかどうかということについては、私は判断しかねますが、現在の医療提供体制の実態に合わせた結果、この数になっておると思っております。

○印南部会長

 よろしいですか。

○関原委員

 諸外国の医療体制を知りたいわけで、そこがわからない、トータルとして 1,100 ありますということだと、流通コストがこれだけ差があるわけです。これを単なる病院が多いから、つまり小さい病院をいっぱいやっているからだという説明では、納得しにくいと思います。

○印南部会長

 いかがですか。よろしいですか。

 ほかに質問、御意見等はございませんでしょうか。

 石山委員、お願いします。

石山委員

 今回提供されたスライド9の表を見ていますと、スライド 10 に関係していて、非常におもしろい症例の集中度という数字が出ています。これを見ますと、確かに流通だとか、そういう問題よりも、スライド 10 のポツの2つ目にある通り、医療機関にとっての習熟度だとか練度を本当に高めるために、症例の集中度を上げていくべきだと思います。そのための方策なりを、事務局として考えられているのか。急にご覧になったので、考えていないかもしれないですけれども、方策なりはあるんですか。

○印南部会長

 事務局、お願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 今、妙案があるかと言われれば、そこまではないですが、こういった実態も踏まえて、これは材料の問題だけでなく、材料を使って手術をするという意味では、診療報酬全体の話なので、総会で議論いただくような話かもしれません。過去にも点数設定等々で御議論いただいたこともございますし、またさまざまな機会を捉えて、議論をしていただくことは必要かと思っております。

○印南部会長

 石山委員、どうぞ。

石山委員

 具体的にいろいろ考えていっていただきたいというのが、お願いです。

 あと、業界が提出された資料の中で、三菱総研が作っている、症例の集中度といった非常におもしろい資料があるので、厚労省の方で、単年ではなくて、経年で追いかけていただけませんか。これはお願いです。

○印南部会長

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員

 この図表を見せていただくと、特に9ページです。皆さんもここを注目されているようですが、私が見ますと、この3つの治療は、超高度医療ではないと思います。こういった医療が身近なところで受けられるというのは、患者さんにとってもメリットがあるのではないかと思います。例えばペースメーカーとか、バルーンもそうですけれども、手術をした後に経過を診てもらったりする必要があります。そういうときに、身近な同じところに通うこともできるでしょうし、わが国のあり方にもメリットがあるのではないかと思います。

PTCA バルーン、ペースメーカーは、日本以外のほかの国の中でも、かなり分散しているような感じでありながら、人工股関節のところは、かなり集中しているような図がありますが、これを見ると、私などからすると、人工股関節は、イギリスではかなり待たされるのだろうと思います。ですから、必ずしもこの図は、日本に問題があって、外国がいいとか、そういうことだとは一概には言えないと思います。もっと高度急性期にレベルが上がってくると、どうなのかという気はいたしますが、これは我が国の中小病院とか、有床診療所を含めたレベルの高さをあらわしているのではないかと思います。

 以上、意見でございます。

○印南部会長

 ほかにございますか。

 田村専門委員、どうぞ。

○田村専門委員

 石山委員からございました、業界が三菱総研調査みたいなものを経年でできないかということですが、業界に話してみますが、これを 2009 年にやったときも、業界の協力を得るのはかなり大変でございまして、御案内のとおり、コストデータというのは、製品技術情報の中核と同様なぐらい、企業にとっては非常に重要な情報でございまして、それを出すというのは、非常に抵抗がございました。

 それから、かなり細部のデータを要求いたしましたので、さんざん苦労いたしましたので、またこれに業界が協力するかどうかはわかりませんが、話してみます。

 もう一つ、鈴木先生がおっしゃった、ここにあるのは超高度医療ではないというのは、多分おっしゃるとおりだろうと思います。逆説的な言い方になりますが、医療機器を改善していきますと、いろんな方に使いやすくなるということなんだと思います。

 一番左の冠動脈インターベンションで、病院数が減っているかというと、そうでもなくて、より使いやすくなっているために、病院数が増えていることもあります。我々が努力しているせいもあるんだと思いますが、より簡便にお使いいただけるようになっているという面もありますので、そこはいろんな要素が絡んでくると思っております。

 以上でございます。

○印南部会長

 よろしいでしょうか。

 ほかに御意見等ございませんでしょうか。

 ほかに御質問等もないようですので、本日頂戴いたしました御意見や御提案を踏まえ、事務局に改革の骨子案を作成していただくことします。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○印南部会長

 次回の日程について、事務局からお願いします。

○佐々木医療課企画官

 医療課企画官でございます。

 次回の日程は未定でございます。また御連絡いたします。

○印南部会長

 それでは、本日の保険医療材料専門部会はこれにて閉会といたします。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

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