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2013年11月6日 第1回 医療法人の事業展開等に関する検討会 議事録

医政局指導課

○日時

平成25年11月6日(水)9:30~12:30


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第18~20会議室(17階)


○出席者

委員

猪熊 律子 (読売新聞東京本社社会保障部次長)
今村 定臣 (公益社団法人日本医師会常任理事)
大道 道大 (一般社団法人日本病院会副会長)
梶川 融 (日本公認会計士協会副会長)
川原 丈貴 (株式会社川原経営総合センター代表取締役社長)
田中 滋 (慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授)
鶴田 憲一 (静岡県理事)
西澤 寛俊 (公益社団法人全日本病院協会会長)
長谷川 友紀 (東邦大学医学部教授)
日野 頌三 (一般社団法人日本医療法人協会会長)
松井 秀征 (立教大学法学部教授)
松原 由美 (株式会社明治安田生活福祉研究所主席研究員)
山崎 學 (公益社団法人日本精神科病院協会会長)

参考人

中山 美穂子 (医療法人社団KNI 経営企画室)
相澤 孝夫 (社会医療法人財団慈泉会 相澤病院 理事長 院長)
熊崎 博司 (社会医療法人財団慈泉会 相澤病院 国際交流室長)
西田 崇雄 (社会医療法人北斗 北斗病院 理事 事務部副部長)

○議題

1 医療法人制度に係る状況等について
2 医療の国際展開について
3 その他

○議事

○伊藤指導課長補佐 
 定刻となりましたので、第 1 回「医療法人の事業展開等に関する検討会」を開催させていただきます。
 議事に入ります前に、資料の確認をいたします。本日の資料は、資料 1 「医療法人の事業展開等に関する検討会開催要綱」、資料 2 「医療法人の事業展開等に関する検討会委員名簿」、資料 3 「医療法人の制度に係る状況等について」、資料 4 「医療の国際展開について」です。その他参考資料 1 「経済産業省における医療の国際展開に向けた取組」、参考資料 2 「厚生労働省における医療の国際展開に向けた取組等」、参考資料 3 「第 1 回医療法人の事業展開等に関する検討会参考人名簿」、参考資料 4 「医療法人社団 KNI 提出資料」、参考資料 5 「社会医療法人財団慈泉会提出資料」、参考資料 6 「社会医療法人北斗提出資料」です。資料に不備等がありましたら、事務局までお伝えください。
 それでは、議事に入ります。まずは、原医政局長より御挨拶を申し上げます。

○原医政局長
 おはようございます。医政局長の原でございます。本日は、委員の皆様方にはお忙しい中、当検討会に御参集いただきましてありがとうございます。
 医療法人制度については皆様御承知のように、平成 15 年の 10 月に医療経営の非営利性等に関する検討会を設置して、医療経営における非営利性、公益性の徹底の観点から、医療法人制度のあり方について検討していただきました。この議論の結果を踏まえて、平成 18 年、先の医療法改正が行われたわけであります。この中で解散時の残余財産の帰属先の制限などの医療法人の非営利性の徹底や、医療計画に位置付けられたへき地医療、小児救急医療などを担うべき新たな医療法人類型として、社会医療法人制度が創設されたわけです。
 この平成 18 年の医療法改正から約 7 年が経ったわけでありますが、医療法人のあるべき姿について、関係者より様々な意見が出されています。また、現在、病床の機能分化や連携などを進めるということで、いろいろ検討を進めておりますが、その中で医療法人制度に関しましても、国会に現在出しております社会保障制度改革のいわゆるプログラム法案においても、医療法人間の合併及び権利の移転に関する制度等の見直しについて検討していくことが明記されております。
 この法案の背景としては、本年 6 月に閣議決定されました、「経済財政運営と改革の基本方針について」の中で、医療法人間の合併や権利の移転等に関する制度改正を検討することとされております。また、先ほど触れました、「社会保障制度改革国民会議報告書」の中においても、医療法人等が容易に再編・統合できるよう制度の見直しを行うことが重要であることが指摘されております。
 また、違った観点からは、本年 6 月に閣議決定などがされました、日本再興戦略や健康医療戦略におきまして、医療に関して、まず国際展開に関連して、財務状況の健全性など一定の要件を満たす医療法人が、現地法人に出資可能であることを明確化すること、あるいは健康増進・予防や生活支援を担う市場・産業戦略分野として創出・育成するとされているわけです。医療法人の活動に関して、各方面から様々な期待あるいは指摘がされています。
 そこで、この度このような課題について必要な検討を行うため、医政局のもとに、医療法人の事業展開に関する検討会を開催することとしたところです。課題は先ほど言いましたように様々ございますが、まずは医療の国際展開及び医療機関等による健康増進、予防や生活支援の推進に関する事項について、議論をいただきまして、まずこれについて年内を目途に意見を取りまとめていただきたいと思います。
 更に医療法人等の間の連携を推薦するための合併や権利の移転等に関する事項、また、医療法人の本来のあるべき姿、あるいはその他、前回改正以降の諸課題等については、その後各委員からの御意見を頂き、論点を整理した上で、改めて議論をしていきたいと考えております。
 このように課題はたくさんございますが、委員の皆様におかれましては、是非忌憚のない御意見を頂き、医療法人の事業展開が円滑になされるための活発な御議論をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○伊藤指導課長補佐
 本日は第 1 回目の検討会ですので、委員の方を五十音順に御紹介させていただきます。読売新聞東京本・社社会保障部次長の猪熊律子委員です。日本医師会・常任理事の今村定臣委員です。日本病院会・副会長の大道道大委員です。日本公認会計士協会・副会長の梶川融委員です。川原総合経営センター・代表取締役社長の川原丈貴委員です。慶應義塾大学大学院・経営管理研究科教授の田中滋委員です。静岡県理事の鶴田憲一委員です。全日本病院協会・会長の西澤寛俊委員です。東邦大学医学部教授の長谷川友紀委員です。日本医療法人協会会長の日野頌三委員です。立教大学法学部教授の松井秀征委員です。明治安田生活福祉研究所主席研究員の松原由美委員です。日本精神科病院協会会長の山崎學委員です。また、本日は御欠席ですが、東京大学大学院・医学系研究科教授の橋本英樹委員も御参加いただくこととなっております。
 また本日は、議題 2 の「医療の国際展開について」に関して参考人をお招きしておりますので、御紹介させていただきます。医療法人社団 KNI の経営企画室の中山美穂子参考人です。社会医療法人財団慈泉会・理事長の相澤孝夫参考人です。同じく、社会医療法人財団慈泉会・国際交流室室長の熊崎博司参考人です。社会医療法人北斗・北斗病院事務部副部長の西田崇雄参考人です。
 次に事務局の紹介をさせていただきます。医政局長の原です。審議官の新原です。指導課長の梶尾です。医師確保等地域医療対策室長の佐々木です。医療法人指導官の小川です。最後に、私は指導課で課長補佐をしております伊藤と申します。よろしくお願いいたします。また本日は、経済産業省より森田ヘルスケア産業課長にも御出席いただいております。
 それでは、議事を始めます。本検討会の目的等につきましては、資料 1 の「医療法人の事業展開等に関する検討会開催要綱」を御覧ください。また、本会議の議事については公開とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 続いて座長の選出です。事務局としては田中委員にお願いしてはどうかと存じますが、いかがでしょうか。

( 異議なし )

○伊藤指導課長補佐
 それでは、これより田中座長に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田中座長
 指名により、座長、司会役を務めさせていただきますので、御協力のほどをよろしくお願いいたします。
 医療法人については、医療に対して果たしてきた役割は、皆が敬意を持って理解しております。しかし、全て今のままでよいかというと、そうではなく、局長が言われたように修正すべき点もあるということも、また理解しています。前回の非営利性の検討会はここにいらっしゃる何人かの委員とともに、当時としては進んだ形で議論を進めましたが、以来 7 年経ちましたので、また状況も変わります。それに合わせて皆様と一緒に前進できるように議論を進めたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 では、早速ですが、議事の 1 つ目「医療法人制度に係る状況等について」に入ります。初めに事務局から資料の説明をお願いします。

○伊藤指導課長補佐
 資料 3 「医療法人制度に係る状況等について」に沿って御説明いたします。まず最初に、医療法人制度の概要として、制度の趣旨、設立、運営について概要を書いております。詳しいこと等については、後ほどの資料で御説明いたします。
2 ページです。医療法人数の推移ということで、昭和 45 年から平成 25 年までの推移を示しております。
3 ページ、医療法人における「非営利性の確保」等の整理についてです。本日は第 1 回目ということもあり、医療法人の重要な要素である非営利性について、認識を共通にしていただきたいということで、資料を御用意しました。
4 ページの資料につきましては、前回の検討会及び前々回の検討会の委員でもある田中座長及び西澤委員に事前に御確認いただいております。
 まず、医療における非営利性の整理についてです。そもそも医療について、医療法の第 1 条の 2 に、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師等の医療関係者と患者との信頼関係に基づき、かつ患者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は良質かつ適切なものであることが求められる、と医療法で規定されております。例えば平成 17 年の検討会や平成 6 年の検討会の報告書から文章を引用しますと、この医療を提供する法人の使命は、地域で質の高い医療サービスを効率的に提供することであり、これが一番の目的となるものである。したがって、医療を提供する法人は、営利を目的としないこと、すなわち、法人の対外的活動による収益性を前提としてその利益を構成員に分配することを目的としないこと ( 非営利性の確保 ) が求められるということとなっており、医療を提供する医療法人については、営利を目的としないということが大きく求められるということです。
5 ページです。医療法人制度の設立目的等についてです。医療法人制度につきましては、昭和 25 年に創設されました。医療法人制度の趣旨としては、法人格取得の途を拓いて、資金集積の方途を容易に講ぜしめること等により、私人による病院経営の経済的困難性等を緩和しようというのが趣旨です。また、医療法人の性格については、病院又は一定規模以上の診療所の経営を主たる目的とするものでなければならないが、それ以外に積極的な公益性は要求されない。この点で民法上の公益法人とは区別されるということです。もう 1 つ、営利性については、剰余金の配当を禁止することにより、営利法人たることを否定されており、この点で商法上の会社と区別される。昭和 25 年の厚生事務次官通知ではこのように示されております。
 この考え方を踏まえ、医療法第 7 条第 5 項で、営利を目的とした病院等の開設は許可を与えないことができる。また、 54 条で、医療法人は、剰余金の配当をしてはならないという規定が整備されております。
 またもう 1 つ、医療法人に関する問題である、持ち分あり医療法人についてです。過去の医療法人のモデル定款において、「退社した社員は、その出資額に応じて払い戻しを請求することができる」と規定されていました。この解釈に関して、当時の医療法人の社員の 1 人が退社することになり、その際出資した土地の返還を要求するという事案に対し、当時、昭和 32 年の厚生省医務局総務課長回答によると、退社社員に対する持分の払戻しは、その土地ではなくて、退社当時当該医療法人が有する財産の総額を基準として、当該社員の出資額に応ずる金額でなしても差し支えないものと通知を出しておりまして、これに基づいて事実上社員の出資額に応じた払戻しが認められることになったという経緯があります。
6 ページです。「営利を目的としない」法人の考え方についてです。これについては、平成 15 年の検討会のときの報告書から引用しています。 1 つ目、営利を目的としない考え方については、大審院判例において、毎年利益配当しない場合であっても解散時にまとめて社員に残余財産ということにして分配することを契約にしているならば、法人形態として営利法人と違いはないとしております。また、公益法人制度改革に関する検討会の報告書を見てみますと、社団形態の非営利法人の社員における権利・義務の内容について、出資義務を負わないこと、利益 ( 剰余金 ) 分配請求権を有しないこと、残余財産分配請求権を有しないこと、法人財産に対する持分を有しないこととし、営利法人との区別を明確にしていました。
 こういった動きを横目に見つつ、医療法人について「社員の出資額に応じた払い戻し」が認められることは、医療法人における非営利性の確保に抵触するのではないかとの疑義が生じました。そこで、平成 15 年に「医業経営の非営利性等に関する検討会」を設置して議論を行い、その結果、医療法人の非営利性を徹底するという方向性が示されたところです。
7 ページです。こちらはその検討会の報告書です。この中の「医療法人制度改革の考え方」において、医療法人に求められる将来像として、医療提供体制の有力な担い手として、今後とも民間非営利部門の医療法人が中心となることが必要であると示されています。
 医療法人制度をめぐる考え方の整理として、昭和 25 年の医療法人制度創設以来、医療法人は剰余金を配当してはならないという民間非営利法人であり、今後ともその考え方を維持していくという方向性を示しております。問題となった残余財産の帰属先については、個人ではなくて、国、地方公共団体等に帰属することを医療法に規定すべきである。ただし、既に設立されている医療法人については、当分の間、経過措置を設けることで、経営に支障がないようにすべきということで、報告書はまとめられました。
8 ページは、この検討会の委員名簿です。
9 ページ、平成 18 年改正医療法による医療法人制度改革です。先ほどの報告書を踏まえ、平成 18 年の医療法では、 2 点大きな改正が行われました。資料の右側の部分、非営利性の徹底と経過措置です。非営利性の徹底については、残余財産の帰属先について、個人を除外すること、新設医療法人は、財団又は持分なし社団に限定することで、非営利性を図ることが方向づけられました。また、経過措置については、既存の医療法人には、当該規定を当分の間適用しないということと、いわゆる医療法人への移行は、自主的な移行を前提とするが、移行した場合には後戻り禁止という経過措置が整備されました。
10 ページです。今ある医療法人の類型については、「平成 19 4 1 日以降」の部分を御覧ください。後ほど述べますが、社会医療法人、特定医療法人、また、その他の医療法人として、財団や持分なしの社団医療法人といった持分なし医療法人のグループと、持分あり医療法人と出資額を限度として払い戻すことが認められる出資額限度法人といった持分ありグループに分かれています。
11 ページです。医療法人と特定医療法人、社会医療法人、また 3 月末で廃止された特別医療法人について、それぞれの主な要件をまとめております。
12 ページです。これまで医療法人の非営利性の確保についてご説明してきたところですが、もう 1 つ医療法人に係る大きな要素としては、公益性という要素があります。これについても前回の検討会の報告書を見てみますと、医療は、積極的に不特定多数の利益の実現を図ることを基本としたサービスであり、そもそも一定の公益性が認められるものと考えられます。これまで医療法人は、昭和 25 年時点での制度の立て付けから見ても分かるように、積極的な公益性は要求されないものとして、その仕組みが構築されてきたところです。ただ、積極的に公益性を求める医療法人が現に存在することや、公的医療機関がこれまで担ってきた「公益性の高い医療サービス」を公益性の高い民間非営利部門の医療法人も担うことなどによって、地域社会の要求に応えていくことが求められており、こういった新たに公益性の高い医療法人制度を再構築することによって、このような求めに応えていく必要がある。そこで、公益性の高い医療サービスについて、通常提供される医療サービスと比較して、継続的な医療サービスの提供に困難を伴うものであるにもかかわらず、地域社会にとってなくてはならない医療サービスと定義し、これを担う医療法人として、社会医療法人制度を創設すると報告書ではまとめられております。
13 ページ。これを受け、平成 18 年の医療法改正において、社会医療法人制度が創設されました。下の図の左側を御覧ください。社会医療法人の要件としては、役員、社員等については親族等が 3 分の 1 以下であること、いわゆる同族性の要件や、定款又は寄附行為において、解散時の残余財産を国に帰属する旨を定めていること、救急医療等確保事業、いわゆる公益性の高い医療サービスを実施していることなどとしており、社会医療法人となった場合には医療保健業の法人税非課税、救急医療等確保事業を行う病院・診療所の固定資産税等の非課税、また、収益事業の実施、社会医療法人債の発行ということが可能となっています。
14 ページは今まで述べてきた経緯をまとめた資料です。
15 ページは社会医療法人の認定要件です。救急医療等の事業に関する要件に関しては、現在、医療計画で、その医療提供体制をしっかり整備することとされている 5 事業、救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児救急医療のそれぞれに要件が定められています。
16 ページは、社会医療法人の税制上のメリットについて、具体的な例を挙げた上で整理したものです。
17 ページです。医療法人に係る規制としては、今まで述べてきたように、非営利性の確保の観点に加えて、他の政策目的による規制があります。まず、医療法の逐条解説、医療法の Q&A 等によると、医療において剰余金が生じた場合は医療に使うべきということで、剰余金は、施設整備、医療機器の整備、医療従事者の待遇改善等に充てるほかは、積立金として留保すべきという考え方に基づいて、医療法人が個人に配当する以外に出資等を行うことも、医療法第 54 条、「剰余金の配当の禁止」の解釈として禁止しています。また、平成 6 年の検討会の報告書を見てみますと、公益法人においては、収益を主たる事業の経営に充てることを目的とする、収益事業を行うことが認められていますが、医療法人においては、医業自体が収益性を有するものと考えられることから、医療法人は、収益を主たる事業の経営に充てることを目的とする収益事業を行うことは認めていない、という整理になっております。
18 ページは、前回の検討会の第 6 回の資料が元となっています。医療法人に求められるものとしては、一番大きいのは非営利性の確保である。その他は公益性の確保、効率性の向上、透明性の向上、また、安定した医業経営の実現が求められるとして、当時の資料では整理されています。
19 ページからは、医療法人に関する最近の取組状況についてです。
20 ページです。医療法人制度に関する規制の見直しということで、最近は主に 3 点行いました。 1 つ目は、医療法人の役員と営利法人の役職員の兼務ということで、兼務できる場合の例外となる要件について、都道府県によってばらつきがあったところを明示することによって運用の明確化を図りました。 2 つ目は、医療法人が他の医療法人に融資を行う際にガイドラインを制定しました。 3 つ目は、医療法人の合併手続について、明確化の観点から、具体的に持分あり医療法人、持分なし医療法人が合併した後の姿について整理をしたり、また手続の迅速化の観点から、必要に応じ都道府県医療審議会の部会の開催を随時に行う等、運営のお願いをしたりしました。
21 ページです。医療機関債については、最近詐欺の材料として使われてしまったということもあり、平成 25 8 月に一部改正を実施しております。具体的には、公認会計士の監査が必要となる発行額等の見直しをしたり、また事前に監督庁への届出を新設したり、購入対象者の明確化や、医療機関債の購入の勧誘方法について消費者保護関係の規定を追加するなどの改正を行っています。
22 ページです。平成 25 年度は医療法人に関する調査研究も行っております。 1 つ目、医療法人等の提携・連携の推進に関する調査研究ということで、各地域における医療法人が、経営の合理化・安定化を進めるとともに、地域の医療機能分化及び連携を進める上で参考となるよう、様々な事例について調査研究等を行っております。また、社会医療法人についても、必要な資料を収集しています。これについては松原委員を中心にやっていただいています。 2 つ目です。医療法人の適正な運営に関する調査研究ということで、医療法人が自主的に組織や財務、運営等の適正性を確認できるような指標が作れないかということで、チャレンジですが研究をしているところです。これについては川原委員のところでやっていただいています。
23 ページは社会医療法人の認定取消に係る運用です。社会医療法人につきましては、現在、認定要件を満たさなかった場合は取り消すことができるという法律上の規定しかありませんので、ここについてもう少し運用を明確化しようということで、次の案を考えています。具体的には 2 つ目の○の下線部です。社会医療法人が事業の継続の意思があって、都道府県知事が、認定要件を一時的に下回ったとしても、一定の猶予を与えれば改善が可能であると認める場合には、 1 年間の猶予を与えつつ、状況に応じて柔軟に対応していく運用を進めていきたいと考えております。
24 ページは、社会保障制度改革国民会議等における指摘についてです。
25 ページは、社会保障制度改革国民会議の報告書です。この中で、事業者間の競争よりも協調が必要であるということで、地域の医療・介護サービスのネットワーク化を図るためには、医療法人等が容易に再編・統合できるよう制度の見直していくべきとの指摘をいただいております。具体的には、例えばホールディングカンパニーの枠組みなど法人間の合併や権利移転等を速やかに行うことができるようにしてはどうかということで、これについては、第 3 回検討会において検討していこうと思っております。
26 ページは骨太の方針です。下から 2 行目の下線を御覧ください。ここでも、医療法人の合併や権利移転等に関する制度改正を検討するという、先ほどの国民会議の報告書と同じ趣旨の文章が入っております。
27 ページです。日本再興戦略の中では 2 点指摘をされています。 1 つ目は、健康増進・予防や生活支援を担う市場・産業を、戦略分野として創出・育成するということで、これについては第 2 回検討会において御議論いただく予定になっております。もう 1 つは医療の国際展開です。財務状況の健全性など一定の要件を満たす医療法人が、現地法人に出資可能であることを明確化するということで、これについては第 1 回検討会の後半で御議論いただくことにしております。
28 ページは健康医療戦略です。こちらは、疾病予防や疾病と関わる生活支援を担う産業を創出するということで、これについては第 2 回検討会で御議論いただく予定です。
29 ページは、社会保障制度改革推進法第 4 条の規定に基づく「法制上の措置」の骨子についてです。これも国民会議の報告書でありますように、医療法人間の合併、権利の移転に関する制度等の見直しについて検討することとされております。
30 ページです。前回の通常国会での医療法人制度関係の質疑をまとめたものです。 1 つ目は理事長要件の見直しについてです。みんなの党の江田議員より、非医師であっても優秀な方であれば理事長になれるようにした方がよいのではないか、という質問があり、総理からも前向きな答弁がされております。これについては、現在の運用上、基本的に理事長については医師等となっておりますが、非医師であってもその人の資質や経歴、また法人の状態等を総合的に勘案して、都道府県の医療審議会の意見を聞いた上で、理事長になれるというような仕組みがありますので、引き続きこの仕組みの周知を図っていきたいと考えております。
2 つ目は医療法人会計基準の策定です。こちらは日本維新の会の足立議員から、医療法人会計基準をしっかり作るべきではないかということで質問をいただいております。これについては田村大臣から、現在四病協で検討を行っているので、この検討状況を踏まえて速やかに進めていきたいということで答弁しております。
31 ページが、今後検討会において議論していただきたいテーマ等についてです。これは第 2 回、第 3 回に行う検討テーマのイメージとして示させていただいております。
32 ページです。このテーマについては第 2 回、第 3 回で修正等があるかもしれませんが、現時点でのイメージということで、御認識ください。 1 つ目は第 2 回検討会で議論する、健康増進・生活支援に係る取組については、医療法人が、通院している患者や入院又は通院していた患者等に対して配食を行う業務を、医療法第 42 条に規定する、病院等の業務に支障がない限り行うことができる附帯業務に位置づけてはどうか、ということで論点を挙げております。これについては実際に岡山市のほうから御提案がありますので、第 2 回検討会では参考人をお呼びして、お話を聞きつつ議論していきたいと思っております。
 第 3 回検討会で議論する予定である医療法人の合併等については、 1 つ目として、中小規模の医療法人を大規模集約する目的ではなくて、地域の医療提供体制において横の連携を強化し、地域医療の再構築を進める観点や、経営に行き詰まった医療法人を健全な形で再生するという観点から、医療法人の合併や権利の移転等に関して検討を行うべきではないかということで、目的を明確化しております。 2 つ目として、その手段として、国民会議等が提案する「ホールディングカンパニーの枠組み」や、例えば出資関係のない形での複数の医療法人のグループ化等について、その手段についてどのようなものが考えられるかということで、目的と手段を分けて議論していこうと思っています。資料の説明は以上です。

○田中座長
 はい、ありがとうございました。では、本日後段で話す国際展開、それから第 2 回、第 3 回の話は別として、それ以外のただいまの詳細な説明について、確認の質問・御意見でも結構ですので、御発言ください。厳密ではありませんが、めどとしては、およそ 40 50 分ぐらいと考えております。どうぞ、どなたからでも発言お願いします。

○山崎委員
 平成 18 年の医療法の改正で、法人を持分のない方向へ誘導をしていくという事が決められて、当分の間、経過措置型を作ったわけです。そのときに、厚労省から、剰余金を振り替えて基金拠出型の持分のない法人に変われる、という説明を受けて、持分のない法人に移行しようと思ったところ、とんでもない話で、相続税法第 33 条が適用され、その項目をクリアしてないと、その法人にみなし譲渡課税をかけますよということになって、平成 18 年の非営利の検討会で作ったスキームが全く使われないままできたという経緯があります。
 つまり、そのときに、国税との詰めがきちんとついていなかったのです。この問題について、その後の課税状況について何か話し合われたのか、あるいは、国税と交渉しているかどうか、ということをお聞きしたいと思います。

○伊藤指導課長補佐
 はい、山崎委員からは、日頃から、持分なし医療法人に関していろいろと御意見をいただいております。今いただきました、持分なし医療法人への移行に関する税制の関係ですが、まず、みなし贈与、つまり持分を有する者が全員放棄した場合に、最終的に法人にみなし贈与税がかかるという件については、財務省主税局ともいろいろ話していますが、特に同族性の要件等も含めて、医療法人に限らず、法人共通のルールであるということで、医療法人だけ特別扱いを行うことは、正直なかなか難しいという状況です。
 ただ、持分なし医療法人への移行を進めていくためには、これまで、病院団体や、日医の方で行っていただいたアンケート等によりますと、例えば、移行期間中に相続税が発生した場合に納税猶予をするなどの税制の特例措置ができないかということで、御要望、御指摘等もいただいておりますので、これを踏まえて、現在、財務省主税局等ともいろいろ話をさせていただいているところです。
 また、今回の検討会においても、また社会医療法人も含めて様々な税制に関する御意見がまとまることがあると思いますが、その際には、今、山崎委員に御指摘いただいたように、税務当局とも調整した上で、しっかり対応していきたいと思っております。

○山崎委員
 もう 1 つ。今日の資料の 15 頁に、「社会医療法人の認定要件」がありますが、当時、どういうことを認定要件にするかということで、検討会の中で随分もめたのですが、国税がこういう条件でなければ、 OK しないということで、 5 年後には見直しますよ、という説明があってこの条件をのんだという経緯があります。
 どういうことかというと、この条件を見るとわかるのですが、夜間・休日の搬送の受入れ件数が認定要件になっています。しかし、地域の医療状況が変わると、救急搬送の数というのは変動するわけです。従って、救急要件で社会医療法人の判定条件を決めるのではなくて、むしろ、病院が持っている機能で、指定条件を付けるべきだと思っています。変動件数ですると、地域の事情で救急件数が減ったときに、この条件を満たさなくなってしまうし、また、その近くに社会医療法人がもう 1 個できますと、今度は救急患者の取合いになって、お互いにだめになってしまうということがおきます。今回の検討会のどこかで、 1 回見直すことを検討していただきたいというのが 1 点。
 それから、このときに税務関係で問題になったのは、社会医療法人が取り消されると、認定されたときまで遡って一般法人課税をするというルールがあるのです。おかしいと思うのは、その取り消される前までは、きちんと社会医療法人として、地域で機能していたわけですから、取り消された後で一般法人課税という話ならばわかるのですが、遡って課税する根拠はないと思います。その辺のことも、今回の検討会で、税務の人も呼んでもらって、どうしてこういう仕組みになっているのか、という説明をしていただきたいと思います。

○田中座長
 認定要件、それから遡っての数、これの検討をしてほしいという御依頼ですが、それについては、事務局のほうはどうお考えですか。

○伊藤指導課長補佐
 社会医療法人の認定要件については、資料 1 ページの「開催要綱」の検討内容の中に、「社会医療法人制度のあり方」ということで、検討項目に入っております。その中で、当然ながら認定要件についても、その元になる公益性の高い医療サービスというのは、前回の報告書でも時代によって変わるものだということで、御指摘もいただいておりますので、これも踏まえて検討していただこうと思っています。
 また、その認定要件の不安定さについても、いろいろと関係者の意見を聞いてみますと、おっしゃるとおりの状況であると考えています。その一方で、社会医療法人が非課税であるということを考えると、例えば、特定医療法人のように体制がとれていればよいというだけではなくて、ある程度公益性の強さというものが求められると思います。そうした中でどのような要件が考えられるか、ということをまた是非、議論していきたいと思っております。
 もう 1 つ、社会医療法人が取り消された場合の一括課税の問題につきましては、これは、社会医療法人だけのペナルティーというわけではなくて、財務省主税局によると、非課税の公益法人の一般的なルールとのことです。
 したがいまして、一般ルールを覆すというのは、正直難しいということですが、主税局ともいろいろと話をしながら、どういう形で、例えば何十年もやってきたところで一気に単年度で税金かけて返せというのも、正直難しいところですので、現実的な対応として何ができるかというものを、主税局ともいろいろと話をしているところです。引き続き相談しつつ、また、この場にもいろいろ報告しつつやっていきたいと思っています。

○田中座長
 山崎委員、よろしいですか。議論で取り上げるとのことです。ほかに、資料に対する質問でも、御意見でも結構ですので。日野委員どうぞ。

○日野委員
 いまの山崎委員の発言されたことに関連してですが、社会医療法人に関しては、 23 頁に書かれてますように、事業の継続の意思がある場合のみが考えられているのですが、現実に、隣に大きな病院ができたとか、あるいは、へき地で医療をやっていて隣に病院を建てられたとかいう事例は、容易に想定することができて、このときに、自らの意思で社会医療法人を辞めるということが考えられてないのです。もし、それが可能であれば、遡って課税ということも避けられるわけで、特定医療法人のように、持分放棄のまま、持分なしで一般社団でやっていくという道が開けないものかということも、検討していただければありがたいと思います。

○田中座長
 それは、答を求めますか、それとも要望で結構ですか。

○日野委員
 宿題で結構です。

○田中座長
 それも可能ならば取り上げてほしいということです。ほかに、非営利性や社会医療法人について、御意見・御質問ございませんか。
 後に遡っていただいても結構ですので、もう 1 つの議題である「医療の国際展開」のほうに移ります。参考人もいらしていますので、そちらに移らせていただきます。
 こちらでは、現在、国際展開に取り組まれている法人の方々を、先ほど紹介ありましたように、参考人としてお呼びしております。ヒアリングをお願いします。
 初めに、「医療の国際展開について」、事務局より説明をお願いします。

○伊藤指導課長補佐
 それでは、資料の説明をいたします。まず、手元にある資料 4 と、参考資料 1 、参考資料 2 を御準備ください。まず、順番に資料 4 から。今回、後半で議論していただきたい 4 点について、簡単に私のほうから御説明させていただきます。
 資料 4 1 ページです。医療法人が海外で病院を運営する事業について、本来業務である、病院等の業務に支障がない範囲で行われること、海外においても、適正な内容の医療を行うことを条件に認めてはどうかということです。
 ○の 2 つ目は、具体的には、医療法人が海外で病院を運営する事業については、医療法第 42 条に規定する、国内の病院等の業務に支障がない限り行うことができる附帯業務に位置付けてはどうか。また、海外で行う医療の適正性を担保するため、例えば、定期的に事業報告書を厚生労働省に提出させるとともに、適宜必要に応じて報告を求めるなどの仕組みを導入してはどうか、ということで 4 点を出しております。
2 ページが関係する条文です。
3 ページです。医療法人が海外で病院を運営する事業を行うに当たっては、当該医療法人が、海外で病院を運営する現地の法人に対して出資する必要がある。これについて、海外における業務が失敗したとしても、国内における医療の提供に与える影響を最小限にするため、例えば、出資の価額については、医療法人の剰余金の額の範囲内にするなど一定の要件を設けることを前提に認めてはどうか、ということで論点を設定しております。
 次の参考資料 1 については、経済産業省のほうから説明させていただきます。

○森田ヘルスケア産業課長
 経済産業省のヘルスケア産業課長の森田です。本日は御説明の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。簡潔に、私どもの取組について御紹介申し上げたいと思います。
 参考資料 1 1 ページです。また後ほど厚労省のほうからも御説明あるかと思いますが、いま日本再興戦略の中で、日本の医療の海外展開ということを、積極的に推進したいということを考えています。書いてありますとおり、海外に日本の医療拠点を設置し、海外の医療市場を獲得する。その際、日本の医療機器・サービス等をパッケージ化して、海外に持っていきたいということを考えています。
 私ども経済産業省といたしましては、こういった海外での事業の支援という観点から、平成 23 年度より委託調査という形で、そういう海外への進出を希望される方々に対してのフィージビリティ等を調査する事業に対して支援をするということをやっています。最近では、そういった海外展開のいろいろな気運の高まりを踏まえまして、実証調査のほかに海外現地へ日本医療を紹介するためのミッション団を派遣する、あるいは、日本のいろいろな技術を紹介するような書類を作成して、現地で配布するということをやっています。
2 ページ、これが実例ですが、個々に説明はいたしませんが、いろいろな地域、特に私ども新興国、アセアン諸国、それから中東諸国、少し南米のブラジル等とも入ってます。こういった主にこれから新しい日本の医療が活用いただけるような地域を重点的に展開先として考えているところです。件数ですが、平成 24 年度については 17 件程度新規、それからその前年度から 5 件ということで 20 件ぐらい。
3 頁です。これは平成 25 年度の事業ですが、 20 数件程度の採択をしています。それぞれの実施主体の方々はまちまちです。実施主体として、病院という形で、フィージビリティをお考えになる場合もありますし、あるいは、医療機器企業が主体となって、現地の展開もいろいろありますが、基本的には、現地でのそういったサービス事業等がしっかりと成立するようなものについてよく調査をしていただいて、その結果を踏まえて、海外展開が可能であるものについては、次のフェーズへ進んでいただくということで考えております。
4 ページ、 5 ページで、具体的に進捗しているものについての御紹介ということです。 1 つはロシアに画像診断センターというものを設立していただいて、現地の医師などといろいろ画像診断をしていただいた結果を、ときどき日本の病院のほうに、助言等を求めて、現地でのオペレーションがうまく進むということをやっているものがございます。
 それから、 5 ページは後ほど参考人のほうから御紹介があると思いますが、カンボジアに今救命救急センターを作るというプロジェクトです。
 最後、 6 ページ、これも後ほど御紹介あるかと思いますが、中国でこういう日本式のリハビリテーションをやっていただくということに対する支援事業ということです。個々の詳細につきましては割愛させていただきますが、現状、いろいろな方々からの御要望、あるいは、かなり意欲を持ってこの事業を実施したいという方々が、相当程度いらっしゃるということを、少し御紹介として、御説明したいと思います。以上です。

○新原審議官
 引き続いて、参考資料 2 を御説明します。「厚生労働省における医療の国際展開に向けた取組等」と書いてあります。前半にちょっと政府の動きが書いてありますが、先ほど指導課から政府なりの動きの説明がありました。関連するところだけもう 1 回確認をします。 
1 ページです。これは、安倍総理の成長戦略のスピーチですが、総理に随行しているとよくいろいろな所でこの話をされています。真ん中辺りです、「食文化、エネルギー、医療システム」、最近はこれに教育などが加わっているのですが、「など幅広い分野で、トップセールスで海外展開の動きを本格化させます」と言われています。一番最後の辺り、今、経産省から紹介がありましたが、高度な医療技術を、世界に展開する母体が必要ですということで、「メディカル・エクセレン・ジャパン」を設立して成長の種としていきますと言われています。
 そして、 2 ページ、 3 ページ辺りは省略します。 3 ページ以下が成長戦略の中身です。 5 ページ、そして 6 ページの所に文章が書いてありますが、先ほど指導課が御紹介した部分です。大切なことは、これは 6 14 日に閣議決定をされています。閣議決定ということは、要するに政府としての最高意思決定機関での決定ですので、大臣も含めて私どもがこの文章に拘束をされているという状態です。
 今日、御議論をいただくものとの関係で言うと、この閣議決定の中に、「財政状況の健全性など一定の要件を満たす医療法人が、現地法人に出資可能であることを明確化する」と書いてあります。この決定文の中に、先ほどもいろいろな分野で紹介がありましたが、例えば「見直す」と書いてあったり「検討する」と書いてあったりする。これは検討することが義務になっています。検討してくださいとなっているわけですが、ここは、明確化するというふうに決定されていることを御留意いただきたいと思います。ときどき、これはおかしいのではないかという議論があるのですが、いろいろな御意見があると思いますが、これは閣議決定がされていることは前提に置いていただきたいと思っています。
7 ページ、総理は、「新興国等の医療、介護に貢献しつつ、日本が育んだ医療技術・サービス等を事業として国際展開することは、この分野が成長産業となるための鍵」と言われています。
8 ページです。図が書いてあります。これは有り体に言うと、やや私見も含めて申し上げますが、国際展開の所は、今説明をされた経産省、あるいは内閣官房を中心にしてやられてきていました。これは事実です。そして、厚生労働省はほとんどその議論の中に入っていなかったというのは、これも実態です。私の所に知事もセットアップして、この 2 か月半ぐらいこの分野に参入をして議論をしています。なぜかと言えば、医療である以上は、その医療の quality とかいう所についてきちんと厚生労働省が見ていかなければいけないと私自身は思っています。ということで、我々が関与をして、議論を少し、一部充実をするなり修正をしたりしてきているのがこの 2 か月半の動きです。
8 7 日のタスクフォース決定は、多少在来の議論を修正しているわけでして、 MEJ でいろいろな案件をやる、あるいは経産省がいろいろな案件をやる、これはいいことだと思っていますが、国際展開と言うと、それだけでは医療では済まないわけです。例えば、相手国の保険制度をどうしていくのか、あるいは、人材育成をどうしていくのかとセットでなければ、なかなか今、経産省が調査された実証調査も現実のものになりにくいだろうと私としては思っています。
 そこで、 8 ページのように全体のフローを作って、これは私どもが書いて内閣官房に提案をしたのですが、どの省に入ったとしても、 JICA に入ろうが厚労省に入ろうが経産省に入ろうが、とにかく内閣官房で 1 回議論をして、そして出口をきちんと分けていく議論をしています。その意味は、今の民間でやっているもの以外にも、例えば JICA を使って医療の協力を行う、あるいは ODA の活用、あるいは人材育成などで人の交流を行う、あるいは医療制度、保険制度、薬事法などについての制度構築の支援を行う。こういうふうな分野は当然あるわけでして、このように政府が絡んでいく部分については、 MEJ ではなくて外務省を立ててきちんと外交交渉で行っていく。この内閣官房との議論の結果、これは民間案件だと整理された場合には、これは MEJ でやっていただくことになるわけです。その仕分けの所についても MEJ に噛んでもらうのですが、政府が関与するものを広範にきちんと広げてやっていくことを合意しました。
 それに基づいて私どもがやっているものが 9 ページ以降でして、「厚生労働省の取り組み」と書いてあります。先ほど、余りこの分野は厚労省がやっていなかったことを申し上げましたが、正直言って、例えば、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを我々は議論をするわけですが、具体的にそれをやるためには、相手国の健康省に保険制度を入れてもらうなり、補助制度を作ってもらうなり何かしなければいけないわけです。ところが、医療の分野では 2 国間の協力関係は現実問題として 1 個もありませんでした。 2 か月半までにバーレーンの保健省と結んだものが最初の合意文書になります。ということで、これまでこの分野は弱かったものですから、新興市場各国の保健省との協力関係を新たに樹立することをこの 2 3 か月やってきています。
 私どもからオファーしているテーマには、一番目に、医療についての技術移転とか、医療機器、医薬品の紹介、政府調達のセールス、これは今、縷々経産省も含めて説明している所以外に、 2 番目として、国民皆保険を実現した我が国の公的医療保険制度についての経験の移転。もし、相手国に、私どもからかなり説明をして興味があれば人を派遣する、あるいは人を受け入れることも含めてそういうところについての協力をさせていただく。 3 番目、承認プロセスです。医薬品とか医療機器の承認プロセスについて、規制当局同士で議論をする場を作っていくこと。実際、これは 10 24 日から 25 日にかけて、タイとの間では PMDA の理事長に出席をしていただいて、向こうの FDA との関係でトークを開催しました。といったテーマをオファーしていて、この 2 か月半の間で 10 か国ぐらいといろいろな合意をしている、あるいはしつつある状態です。
 マレーシアですが、医療分野協力の覚書を締結しました。秋葉副大臣と私以下で行ってきまして、先方の保健大臣と議論をして、皆保険についての保険制度の経験の移転を中心に合意をするということで、今、詳細な文章を作っています。タイともレコードを交わすことで合意をしています。ここは、実は、保険についてもオファーしたのですが、やや難しいと言われています。それからバーレーン、これが初めての厚労省の覚書となります。 8 月に総理が行かれたときに覚書に署名しています。カタールについても包括的な協力に向けて今議論をしています。
 トルクメニスタンが 9 月に総理の前でこれも署名をしています。それから、アサン、これから発展する国です、カンボジア、ラオス、ミャンマーあたりです。カンボジア、ラオスについては、協力覚書の交渉に合意をしていて、カンボジアは保険制度などについての導入も含めて勉強したいと言っています。それからミャンマーです。これも大臣に私から 2 時間ぐらい説明した後に田村大臣にもお会いいただきましたが、先方から、やはり 1 回考えてみたいということで、公的医療保険制度の経験を学ぶためにスタッフを日本側に送りたいと発言をしています。
 そして、実際、一連の国際展開がされる前から、厚労省としてもそういう所は地道に取り組んでいる分野があって、次の国立国際医療研究センターの国際医療協力についてのパワーポイントがありますが、専門家を、これは ODA なので派遣国が制約されるというか、何て言うか、今発展の新興市場の所はもう卒業国なので送りにくいという問題があるにはあるのですが。例えばカンボジアなどの場合だと、 1997 年にこういうセンターを創り、乳幼児の死亡率を出生 1,000 人当たり 95 人から 45 人に減らす、妊産婦の死亡率を出生 10 万人当たり 937 人から 206 人に減らすという効果を出しています。ここは、できれば早晩、私どもとしては安倍総理にも視察をいただきたいと思っています。
 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジで、左側、これは先ほど言ったマレーシアとの協議の場ですが、見ていただくと分かるように、秋葉副大臣と先方の大臣で協議をしてもらったのですが、机の上にかなりいろいろな物が、ガチャガチャ食べ物とか置いてありますが、これは相当な時間を費やして保険制度について説明をして御理解をいただくという努力をしているわけです。
 そういう中で、もう 1 回元に戻ります。資料 4 に戻りますと、私どもとしては、もちろん閣議で決まっていることもあるわけですが、医療法人が出資することについて、出資して病院経営をやるのであれば、やはり適正な内容の医療を行ってほしい、それから、病院の業務に支障がない範囲で行ってほしいという思いはあるわけです。ただし、相手国の医療法は、皆さん御存じのとおり、ほとんどこの辺の quality についての規定がありません。それから、法律は国内でしか適用されませんので、相手国が整備しない限りにおいてはそこはフリーになるわけです。今どうなっているかと言うと、したがってなのですが、病院の理事長なり病院長が個人で株式会社を作って向こうに進出をしてやるという場合には、何の制限もないわけです、現にないわけです。それも 1 つのルートですが、私どもとしては、やはり、できればこの医療法の中で。だから、そういう意味では国内とは事情が違っているわけで、今ルートがないわけではないのです。それをきちんと位置づけて、やはり病院等の業務の支障がない範囲でやってもらいたい、適正な内容の医療をしてほしいと。せっかく日本型のものを輸出するわけですから。そうであるとすれば、事業報告書なども厚生労働省に出してほしいという意味で、今日の資料 4 の提案をさせていただいたということです。以上です。

○田中座長
 ありがとうございました。続けてヒアリングを行います。 1 団体 10 分を目処にお願いします。医療法人社団 KNI 、社会医療法人財団慈泉会、社会医療法人北斗の順に説明をお願いします。よろしく。


○中山参考人
 私から、「北原グループにおける海外事業の取組み」ということで説明します。まず簡単に、医療法人社団 KNI ですが、私どもの医療法人社団は、平成 7 年に北原脳神外科病院として設立しました。その後、北原国際病院とリハビリテーション病院、北原 RD クリニックと国内での医療の施設を増やしていきながら、平成 22 年に医療法人の名前も KNI と改訂して、今の医療法人の体系はこの資料にあるとおりです。現在、医療法人社団 KNI の傘下に日本国内で 5 施設があります。
 私どもが行っている海外事業は、医療法人社団 KNI の理事長であります北原の理念から始まり、設立当初から「より良い医療をより安く」と、「日本の医療を輸出産業に育てる」の 2 つを掲げてきました。カンボジアに関しては、この 2 つ目の日本の医療を輸出産業に育てるという理念を形にするための大きな事業となります。こちらは 2008 年にアセアンの経済研究センター( ERIA )からの委託調査から始まっていまして、そこでカンボジアでの HHRD モデルを提案し、その後それを事業化していくために 2011 年、 2012 年と経済産業省の「日本の医療機器・サービスの海外展開に関する調査事業」で 2 年間調査をし、現在カンボジアにおいて救命救急センターの設立に向けての準備中です。こちらは、我々だけではなく、我々と民間の企業がコンソーシアムを組み、事業化に向けて現在進めています。
 では、そもそもの話になるのですが、私がなぜ一番初めのところで北原グループの取組と言ったかというと、先ほどの話にもありましたが、実際にこの海外事業を行っているのは医療法人社団 KNI ではありません。もともとこの海外事業を始めたときに、医療法人の中では様々な規制があり、なかなか海外事業を進めていくには難しい問題がありました。、そこで海外事業を実際に行うために、もともとは株式会社北原脳神経外科病院という名前だったのですが、株式会社のほうを設立しました。
 全体図が北原グループの組織図の所にあるのですが、それが今改名して KITAHARA MEDICAL STATEGIES INTERNATIONAL という株式会社になっています。ここで私どもの今の海外事業を行ったり、もともと我々の理念であった、医療を産業化するという考えを形にするためのプロジェクトなどを行っています。それ以外に、関連団体として NPO 法人を持っています。ここでこういった 2 つの体制をと思っています。医療法人社団の経営内容に関しては、この KITAHARA MEDICAL STATEGIES INTERNATIONAL の傘下の位置づけとしています。カンボジアにおいて実際に収益事業を行ったりとか、実際に国立の病院で貧困層を対象にした活動を行うに当たって、それぞれの対象によって活動の母体を変えながら事業を行っているのが我々の事業です。
 少しここで議論するべき趣旨から外れてしまうのかもしれないのですが、我々のもともとの理念が医療を産業化するところにあるので、それを実際に医療法人なり、医療を提供してきた私たちがやっていくにはどういう形にすればいいのかというところで試行錯誤し、行ってきて、形になったのが今の我々の組織図で、集大成として今の我々の組織図の形になりました。実際に医療法人でできなかったことは何かと言うと、先ほどからもいろいろとこれから恐らく議題になるだろうということで挙げられている 3 点だと思っています。

1 つは投資活動で、海外事業をするに当たって、やはり現地法人に出資しなければいけないけれど、そこに規制があったという点で、 1 つは投資活動。 2 点目は、やはり収益活動かなと思っています。今、投資するに当たってもやはりある程度の財源がないと、プロジェクトの発展性は限界ができますし、そもそも医療を産業化させていくべきという我々の理念を実現させていくには、やはり収益活動は欠かせないものだと思っています。 3 つ目は、医療従事者の海外活動で、今まで海外医療事業は、医療法人が行う附帯業務に位置づけられておらず、それを実現するために実際は株式会社で活動していました。
 最後に、私たちが目指しているところですが、海外に向けて日本の医療を産業化していく必要があると思っています。医療は施しではなく、しっかりとしたサービスであり、商品になるものだと思っていますので、その価値をもう一度見直しをする必要があるのではないかと思います。そして、そこに競争力をもたせることによって質の向上を目指し、従来の医療にとどまらない発想の転換を起こしながら更なる quality の向上を目指していきたいと思っています。その後、恐らく議論になるのが医療の公益性のところになると思うのですが、そこに関しては、必要な所にきちんと適切な医療が提供されるようなシステム構築をしていきたいと思っており、今のこの人口分布や時代の流れに沿った保険システムの見直しなどをする必要を感じています。そのため、海外事業の中で現地に即したシステムの実証もしていきたいと思っております。以上、簡単になりましたが、説明となります。

○田中座長
 ありがとうございました。それでは、慈泉会お願いします。

○相澤参考人
 それでは説明をします。私たちの法人は、平成 20 年から社会医療法人として経営を行っているわけですが、実はその中で、中国との人材交流を進めてきました。特に、表紙の裏側にあるページに書いてあるような、天津の泰達国際心血管病医院との交流を進めてきました。その中で、泰達国際心血管病医院が脳外科の病院を作りたいと、それに際してリハビリの協力をしてもらえないかということからこの話は始まりました。その中で、向こうの病院と話していると、相澤病院あるいは日本のリハビリをしっかりと中国に位置づけるには、そこに病院という形態がないといかんと言われました。実は北京にも日本が協力して作ったリハビリテーションセンターがあるのですが、非常に旧時代的で、一度関与するとあと継続性がないと。 1 回協力しただけでそのまま放ってあるので、何か日本のリハビリはこんな程度かと国際的に思われてしまうような非常に寂しい状況です。そういう中で、継続してサービスを提供していくためにはどうしても病院が必要ではないかという中国からの働きかけもあって、それではどうやったら協力できるかということで検討してきたわけです。
 一番問題になるのは、国内法もありますが、中国でどうなっているのかということで、 2 ページの「リハビリテーション施設の設立に対する出資スキーム」ですが、中国で医療を展開していくためにはどうしても合弁会社を作らざるを得ません。その中で、中国の法律により決められているのが出資率です。日本の病院だけで作ることができなくて、中国からの出資を 30 %以上受けなければならないという法律があって、その時点で日本の資本だけで行うことができないことがあります。今度は日本の法律で、この会社を慈泉会が継続的に経営を行っていくためには、やはりそこでの経営の主導権を取らなければならないと思います。そうすると、少なくとも 51 %以上の出資をしなければならなくて、そうなると、日本の法律上の、そこの会社を支配する出資率を持ってはならないというのがあるので、 51 %以上の出資はできないのです。そこで考えたのが、慈泉会の出資は 50 %未満にして、他の企業から出資をもらったらどうかを考えたのですが、よくよく考えると、そういうことになると、日本の企業にそこから頂いたお金に対して利益供与をすることにならないだろうかというのがあって、そうなると、どうしても、私たちの医療法人だけからの資本で何とかできないだろうかということが、今ネックとなっています。
 そして、もう 1 つ、中国でやっていく場合に関しては、総投資額というのが決められていて、日本円で約 3 4,000 万円を下回ってはならないという法律があります。そうすると、これ以上の出資をしなければならないということがあります。ただ、中国には投資総額の中に登録資本という、最初に登録する資本をある程度決めておきなさいというのがあります。これを目一杯使ってしまうと、今度病院の経営をしていったり、あるいは赤字が起こったときにお金を借りざるを得ないのです。そこで生まれてくるのが、そこの表の下にある「借入枠」を設定することができる。これは、初めに設定すると、これ以上借りることができないというものがあるので、そうすると、これを使って運営をしていかざるを得ないときに、この借入枠の借入れをどこから行うのかが非常に難しいところがあって、現地の日本の銀行から借りるのか、あるいは親子ローンという形で借りていくのか、いずれにしろ非常にここに制限があって、中国で病院を設立してやっていくには国内法を少し変えてもらうしか、もう中国では病院を作って自分たちが継続的にそこで医療を提供していくのはかなり難しいという具合に、その壁を越えるのにどうしようかということで、今、頓挫と言いますか中断をしているのが現実です。以上です。

○田中座長
 ありがとうございました。では最後に、北斗よりお願いします。

○西田参考人
 北斗の西田です。お願いします。資料のまず一番最終のページにプレスリリースのペーパーをお付けしました。こちらで案件の概要を皆様に御案内します。本年の 5 28 日に開業をしました。実際の診断、それからここに書いてある脳ドック、心臓ドック等を中心とした展開を 6 月の頭から開始しています。今、大体 1 日当たり 20 名から 30 名の方々にお出でいただいていて、本日に至っている現状です。ここにあるとおり、現地の保養場のストロイチェリ、それから建設機器商社のアキラ社のこのロシア側 2 社と、それから、ロシア事業に精通した専門 PJL と北斗の 4 社で合弁会社を設立して、その合弁会社でロシアで事業を行うという形をとっています。
 出資の規制に関しての考え、現状について御案内します。 2 ページです。今、出資社の一覧を御案内しましたが、過半数以上は持てないことを北海道庁から私どもは指導をいただいているので、右側にあるとおり、 49 %、過半数以下で設定しています。したがって、仮に例えば追加投資を行うときにも、このロシア側の人たちと合意形成をしなければ、例えば追加投資ができないとか。実際にこれをもしやるにしても、2にあるとおり、ロシア国内の一般的な、日本で言う会社法に該当するルールがあって、 3 分の 1 以下になるといろいろな権利が制限されるので、例えば 3 分の 1 以上仮にロシア側が拘ったとすると、ストロイチェリとかアキラにも同じ額を増資してもらわなければいけない。実際にそのぐらいの財務能力があるのかどうかというところでそれぞれ議論が分かれてくる可能性があります。結果として増資自体も難しくなってしまうという懸念を今の時点で持っています。
3 ページです。出資というか、今、過半数以下でしていますが、その場合できなかったら融資になるのかという議論ですが、そもそも融資なるものを医療法人がやるべきではないというのが私どもの基本的な考えです。右側の図にあるとおり、ノウハウを持っていて案件の格付けとか審査とかいうことをして事業リスクをきちんと低く抑えることができれば、そう高い負担ではない融資をやっていくのはリスクとリターンの観点でも見合うものになるかと思いますが、医療法人に案件の格付け、プロセス等というノウハウ等は基本的には持ち合わせていないので、融資を行うとなると、実は出資と同じぐらいのリスクを取りながら融資をしにいくという、リスク・リターンの観点も非常にアンバランスな形になってしまいます。あくまでヒト、モノ、カネを用いて医療介護事業を経営していくというのが医療法人の領域であると理解していますので、その観点でも出資の規制なるものの緩和を是非御検討を賜りたいという考えです。
 最後のページです。今申し上げたとおり、出資者としては過半数以下ですのでガバナンスが効き難いというところです。それから、では出資ができないなら融資なのかですが、融資を仮にするとすると、そのリスクなるものは、実は出資していくことと変わっていかないというところです。それから、将来的な追加投資に関して、株主間の見解の違いが出てくる可能性、若しくはロシア側の持っている持分は今後どうなっていくのかという観点で、のっとり事業リスク等が高まる可能性もあります。したがって、この赤の所ですが、ウラジオストックの事業については、帯広での医療・介護事業に影響を及ぼさない範囲でヒト、モノ、カネを投じて経営しているのが現状です。これらの範囲の中で、過半数以上の若しくは全額等の出資規制の緩和を御検討賜りたい。以上です。

○田中座長
 ただいまの厚生労働省、経済産業省、 3 つの法人からの発表について、御質問、御意見をお願いいたします。

○今村委員
 国際展開の話が出ていますが、説明にもありましたように、医療法人制度の理念というのは、元来地域に良質な医療を提供することが大きな基本となっています。海外展開については既に閣議決定がされているということで、それはそれとして非常にいいことだとも思います。その考え方を一歩外に向けて踏み出したということだろうと思います。すなわち、途上国において我が国の良質な医療を、医療法人を通じて提供することが、大きな考え方にあるだろうと考えます。特に、我が国が誇る非常に優れた医療制度を含めて、そのようにして展開をするということは、途上国の社会福祉に非常に寄与すると思っています。
 一方、医療の産業化ということも言われましたが、医療は営利産業化という面で見てはいけないと思っております。そういう意味で、医療法人は飽くまでも非営利性を堅持すべきだと思います。
 御案内のように、日本でも医療資源は非常に不足していると言われている中で、あえて海外に進出するというときには、最後の「社会医療法人北斗」のお話にもありましたように、日本での医療法人の事業あるいは経営に支障を来さない範囲はどうしても考えていただかなければ、地域医療を蔑ろにしたまま海外で展開するということは、正に本末転倒になるのではないか、そういう視点を忘れてはいけないと思います。

○田中座長
 松原委員、どうぞ。

○松原委員
 資料について教えていただきたいのですが、 KNI 様の資料のまとめの方で、海外出資ができるようになるだけで、全てが解決されないのではないか。そもそも利益が得られないシステムである、非営利形態、国民皆保険の限界など御指摘いただいているのですが、もう少し具体的にどのような意味か教えていただけますか。

○中山参考人非営利性というのはもともとの医療法人の形態だと思うのですが、例えば国民皆保険制度により、診療報酬が定められているため、病院として必要な利益を得ることができない。今では多くの海外で医療は産業として考えられており、それが製品として認められるため、病院は必要な利益を得て、それを医療のサービス向上や質改善、また良い治療を提供するための機器購入のために使用することができる。医療の公共性を重視する日本の考え方を否定するわけではないのですが、例えば、消費税増率を例にとるとサービスには税がかからないけれども、療養のほうで購入するものに対しては消費税がかかるところで、それだけでも必然的に病院の経営にとってはマイナスになってしまう。そういった総合的なところを考えると、自分たちで収益を得にくい、利益を得にくいシステムであることを指摘させていただきました。

○山崎委員
2 つあります。 1 つは、外国に行った場合、日本人医師、看護師が外国で働くときの資格は、そのまま使えるのですか。あるいは資格の総合乗入れのような、政府間の認定をしなければ駄目なのでしょうか。日本人医師が外国に行って診療するときです。

○田中座長
 国が違うので、それぞれお答えください。

○中山参考人
 カンボジアにおきましては、日本の医師の資格を使えるようになっております。もちろん向こうの保健省に提出する資料などはあるのですが、その一連の書類と、日本の資格のコピーの提出で、向こうでの医療行為が認められます。

○山崎委員
 もう 1 つは、今の発展途上国を中心にした日本の医療を輸出するという話になっているのですが、例えば在留邦人が何十万人といる所は、日本の医療を外国で受けたいというニーズがかなりあると思います。アメリカの在留邦人の多い所で、日本が病院を開設して、在留邦人相手の医療をして、日本の医療保険を使うことは可能でしょうか。
 日本から外国に病院が出て行ったとしますと、アメリカが日本に病院を作りたいと入ってきた場合、現行法では作れないのでしょうか、あるいは作れるのでしょうか。
 心配なのは、 TPP が入ってくると、「お前のところは外国に病院を作っているのに、うちには日本に病院を作らせないのか」ということを、アメリカから言われると、 ISD 条項に引っ掛かって、訴えられる可能性もあると思います。その辺の疑問はどなたに答えていただけますか。

○田中座長
 最初に医療職の資格について、中国、ロシアの例を答えてください。

○相澤参考人
 中国では、日本人の医師で日本の国家資格を得ている人は、 1 年以下であれば、それが使えます。ただ、それを超えては使えません。そのほか、例えば看護師は全く使えません。リハビリに関しては、もともと中国にはリハビリという国家資格がありませんので、フリーという状況です。

○西田参考人
 ロシアの現状は、ドクター、看護師とも、日本の資格をそのまま使うことはできません。したがいまして、飽くまでもロシアのドクター、ロシアの看護師に対する技術支援、サポートといった形で、うちの職員が勤務しています。

○新原審議官
 国によって違うのです。総括して申し上げると、幾つかのグループに分けられると思うのです。 1 つはカンボジアの例がありましたが、途上国の中で、日本で言われているように、医療法などがきちんとまだできていない国があります。これは将来的にはだんだんできていくと思うので、そのときには我々が向こうで診療する場合にいろいろな制約が出てくると思います。そこは議論しなければいけません。ない国というのは結構ございます。
2 つ目のカテゴリーで、大きくいうと 2 つです。 2 つ目のカテゴリーは、既にある地域について、そこに日本人が診療する場合について、一定のルールを 2 国間で作っているものがあります。例えば、先ほど山崎委員が言われましたが、在留邦人が多い所については、日本語で診療を受けたいというニーズがかなり強くあります。保険についても、日本のサラリーマンだと使えるというところもあります。
 一番分かりやすい例でいうと、シンガポールの場合ですと、これは在留邦人はかなり多いのですが、日本の関係の国が 7 つぐらい開業しています。私どもとシンガポール政府との間の、ある種の agreement で、向こうで上限 30 人、人数はときどき変動させているのですが、その枠の中で、日本人を相手に診療するならいいとなっているものがあります。ここは国によっても違っていて、先端医療ならいい、日本人向けならいい、そういういろいろな制約があります。そもそもロシアのようにそれを認めていないものもあります。これは、私どもが 2 国間でいろいろな協議を作ってきている由縁でもあるのですが、相手国政府とお互いに議論しないといけないというところです。
TPP の議論などもありましたが、注意点は先ほども申し上げたように、今、日本の病院を作ることを規制されているわけではありません。この議論は、日本国内の医療法人が出資するのか、株式会社が別途作ってやるのかという議論をしているだけであって、そもそも向こうで日本の病院を作ることについて規制があるわけではありませんので、そういう議論にはならないと思います。
 今村委員の言われた、国内の医療資源の不足と相手国への貢献ですが、これは我々も全く同じ問題意識を共有しております。だからこそなのですが、ルートがほかにあったとしても、きちんと日本の医療の考え方で一定のルールを作ることが、私どもとしては意味があると思っているわけです。

○田中座長
 山崎委員の言われた逆の話はどうかという御質問ですが、日本から出て行くのだったら外国からの進出はどうなるか。

○新原審議官
 もちろんどこの資本であったとしても、日本の医療法に基づいて整理をするのであれば、それは今でもできるわけです。ただ、それは外国人だからといって例外があるわけではありません。今、そういう実態は余りないということです。

○山崎委員
 今、日本国内で、オリックス、セコム、日清といった、いわゆる株式会社、ファンドが、随分倒産した病院を買って、実質はオーナーなのだけれども、実際に診療をしている人は雇われているというようなケースがあります。そういう形が整っていれば、特に違法ではないということになるわけですね。

○伊藤指導課長補佐
 そこはおっしゃるとおりで、医療法人については、社員、理事、理事長については、それぞれ規定がありまして、また営利企業の職員の兼任についても通知等はありますので、それを遵守している範囲であれば、問題ないという整理になっています。当然ながら、今の現実がそれに合っていないということで御指摘があれば、今後いろいろ検討していただいて、そういった規制についても見直しの可能性はあると思っています。

○山崎委員
 そうすると、アメリカの病院が日本の病院を買っても、直接オーナーをしていて、診療は日本人がしている場合は違法ではないわけですか。

○伊藤指導課長補佐
 今のところ、社員については国籍について規制をかけているというわけではありませんし、そういった現実が出てきた段階で、日本の医療に与える弊害が大きいものであれば、新たな規制等を考えていかなければならないというのはあると思います。

○山崎委員
 私は TPP を被害的に考えていまして、アメリカの病院は相当資本力を持っていますから、今危ない大規模の病院はありますから、そういう所をまとめてポンと買って、 TPP で入ってくる危険性というのは、相当の確率であると考えています。そうなったときに、法整備をきちんと準備しておかないと、入られてしまってからではどうにもならないのではないでしょうか。また、 TPP でアメリカの民間保険が入ってきて、アメリカ型の医療に持っていこうというのは目に見えています。従って、病院の経営、売買の部分に、足かせをきちんと付けておかなければ危ない気がします。

○田中座長
 国際展開について、御意見でも結構ですし、御質問でも結構ですが、いかがでしょうか。

○松井委員
 海外展開については成長性があるということですから、検討はすべきだろうと思います。もちろん検討した結論がどうなるかはいろいろありうると思いますが、展開の可能性は探るべきだと思います。
 そこで、厚生労働省のご報告の中でお伺いしたい点があるのですが、仮に海外に展開をするという場合、その海外においても適正な内容の医療を行うよう求めたいとされています。これは、抽象的には望ましいことだと思います。ただ、適正性が担保されているかどうかは、事業報告書その他の報告を求めるということで、これは医療法に基づいて行うことになります。医療法は、あくまでも日本国内で医療が適正に行われることを念頭に置いているわけですので、海外の医療が適正に行われるかどうかは、本来、規制の対象外のはずです。
 そうしますと、海外での医療の適正性について日本で報告を求める、しかもそれを医療法を根拠に行うというのは、どういう利益を守ろうとしてやっているのだろうか。どういう整理になるのかというところだけをお伺いできればと思います。

○新原審議官
 おっしゃるとおりで、本来の医療法の目的というのは国内にいる人の保護です。だから、そういう意味では、最初に戻りますが、基本的には各国の法律で quality は担保するのが原則なわけです。これはもうそういう仕切りになっているわけです。ですから、放置しておけば相手国で病院を作るわけですから、日本の株式会社が行ってやる分には、相手国が規制しなければいいということなのです。それが、今、現状なわけです。ですから、それは規制されてもいないという状態です。
 ですけれども、私どもとしては、国際展開をする以上は、先ほど今村さんが言われたように、国内の事情もかなり医師も厳しいわけですし、相手国に貢献できるのかということもあるよねと。そういう政策論があることから、そこを少し wing を伸ばせないかと思っているのです。
 そういう意味で法律の整理としては、こういう趣旨を認めるときに、認可条件というか附帯条件としてそういうものが付いてくる。そうすると、中を見て、これは困るという場合には私どもが関与できるようになるということです。そこは、確かに伸びている状態になっています。

○松井委員
 お伺いした話からしますと、おそらく 2 点に整理ができそうです。 1 点は、今村委員からもございましたように、日本国内の医療がまずあって、そこは適正に運営されなければいけない。海外の医療がなされることによって、国内医療の適正さが損なわれるのであれば、これは医療法が直接ケアしなければいけない。そこで海外医療の展開が適切に行われて、国内医療に支障がないということを、報告を通じて確認したいということになりそうです。
 もう 1 点は、今、審議官がおっしゃったとおり、相手国において医療に対する規制の不十分さもありうるので、その限りにおいて医療法が手足を伸ばしていく。このような理解で整理をしてよろしいでしょうか。

○伊藤指導課長補佐
 そうです。法律の立て付けだけ申し上げると、資料 4 2 ページを御覧ください。今、提案させていただいているのは、第 42 条の附帯業務の 1 つとして認めてはどうかということで、具体的には第 6 号の保健衛生に関する業務の中で読んではどうかということで、話しております。
1 つは、当然ながら、今、おっしゃっているのは 1 つ目、本来業務である国内の病院の運営に支障を与えないことの確認については、第 42 条に、業務に支障がない限り、附帯業務として次に掲げる業務の全部又は一部を行うということで、いわゆるこの規程からの適正性という観点から見るというのが 1 つだろうと思います。
 もう 1 つは、医療法人の業務内容については、附帯業務だから何でもいいというわけではなくて、その業務内容の適正性というのは、当然チェックされるものだと思っています。
 また、今、審議官が申し上げたように、そこの業務としても、何でもいい業務ではなくて、適正な内容の医療を海外で提供する業務ということで書くことによって、そこの 2 つの観点からのチェックというのは、法律の建て付け上は、そういう形でできるのではないかと考えています。

○梶川委員
 私は医療の専門ではありませんので、見当違いのことを言うかもしれません。日本の良質な、適正な医療を海外展開というふうに考えた場合、適正性、良質性というのは、医療の提供サービス自身の問題もありますが、保険者というか保険システムがあって初めて考えられる公益性なのではないかと思うのです。医療の quality というのは、保険者というのはある意味では負担者でして、それを保険サービスとして提供される。
 海外展開を考えた場合、厚生労働省が取り組まれている各発展途上国、またアジアに対する保険システム自身に対する consultation というのでしょうか、これはここでの海外展開の大前提として、ある意味では日本の医療の quality の高さの大前提としては、公的保険システムを前提とした意味で定義されているのではないかと思うのですが、海外展開に当たっても、今は向こうの国にそれぞれの制度がありますが、こういったものの考え方で、日本はアジア等に貢献していきたいという考え方で、この海外展開を捉えていいのでしょうか。保険システムとの関連をお聞きしたいと思いました。

○新原審議官
 非常に重要な問題なのですが、このように考えております。今私どもは 10 数箇国に当たっているのですが、保険を前提にするということは、ほとんどの国にやり方があるというのが現状です。保険以外の民間貢献の場合であったとしても、私どもは見ていて、この医療機関へ行けば現地の人にものすごく貢献するという実態はあるとは思っているのです。ですから、それを前提とするということは、ほとんど海外展開はできなくなりますので、そうは思っていないということが 1 つあります。
 ただ、委員が言われたとおり、こういう成長期の国に対しては、将来のことを考えても、何らかの保険措置があるべきだし、あったほうがいいと私どもとしては思っているわけです。
 議論していたときに難しいのは、 3 つぐらいのグループに分かれまして、先ほどマレーシア、カンボジアは勉強すると言っています。これは真ん中のグループなのですが、ほかに 2 つグループがあるのです。このグループに残る人は結構多いので大変なのですが、第 1 のグループはシンガポールのようなケースで、我々とは明らかに相入れない面があるのです。要するに保険など入れたら働かなくなるから、働かざる者食うべからずと考えてしまい、そこは私どもと議論しても、我々は国としてやるつもりはないと。それを前提に、在留邦人にどういう医療を提供していくかという議論をしなければいけないというカテゴリーの人たちがいます。
 もう 1 つは、今度は反対側で、例えばタイのようなケースでいくと、途上国は大体そうなのですが、保険が入っていないので、国立病院に対して大量の税金で補助をしているわけです。それによって、今は人数が少ないので、ものすごく値段は安く提供しているわけです。タイの場合も、シリーズでメディカルツーリズムみたいな所と、国立でものすごく大量の人が来ている所と分かれているのです。彼らは 30 バーツ医療といって、 90 円で医療を受けられますと言っているのです。保険を入れると、企業に負担を求められると。それから、補助に負担を求める。政権として非常に難しいという、反対方向の議論があります。
 それを我々としては一生懸命我々の経験、いいところ悪いところを全部含めて、何か将来のことを考えたらやったほうがいいのではないかということを、努力していきたいと思っています。

○梶川委員
 前提というのは、今の現状という意味ではなくて、理念的な将来像を、どういう前提を置きながら議論に参加させていただいたらいいかなということで、今の保険システムの話をしました。
 先ほど、アメリカのように保険者の形が違う、受益と負担を近接させようというところと、我が国のように広い範囲で受益と負担を公平化するという。医療の質に関しても、公平、フリーアクセスも、その中に非常に大きく入ると思いますので、その辺も含めて、どう考えたらいいかなという部分も、前提としてお聞きしたところです。

○田中座長
 大変大切な視点です。

○鶴田委員
 静岡県は地域外交政策として、各国との医療交流を進めています。私は中国と韓国に行ってきましたが、 1 つは医療の質、もしくはサービスを考えると、各国によってサービスのレベルが違うし、求められている医療も違う。従って日本と同じ概念を海外に適応する必要があるのかなというのが、まず第 1 点です。
 第 2 点目は、韓国では IT 産業が非常に進んでいて、医療の色々なシステム、病院管理等の病院経営を一つのパッケージとして売ろうとしています。私自身、病院経営という観点からすると、ほとんどの収益を医療機器、医療情報関連産業に取られているという感じがしなくもないです。私がある病院群の経営に関与した時に、医業収益が年間に数億あったある病院に、電子カルテを導入したら 20 億円ぐらいかかった。そうすると、医業収益が年間 4 億あっても、 5 年分の収益を全部電子カルテシステムに取られているという勘定になります。韓国の戦略は、医療の提供ではなくて、産業としてそういうものを育てていって、国益に寄与するという戦略を取っているという感じがしています。
 そうした中で、日本の医療法人が海外展開するという概念、海外で医療提供をし、病院経営する時に日本と同じ感覚で展開するのがいいのかどうか、そこの議論もあって然るべきかなと思います。日本の医療経営の概念をそのままにして、外国で医療をやるという戦略では上手くいかないのではないかという気がします。
 北原さんのグループが、海外で行っている方法を見ると、国内のやり方と国外のやり方は違うのだと思うのです。だから、企業として、株式会社として経営していくというふうに進められているのは、当然のことではないかという感想だけ述べておきます。

○長谷川委員
1 点は、事務局に対する確認です。資料 3 の最終ページには、「今後」となっていますが、今日も含めて、「医療法人の非営利性の確保等を前提にした議論」に限定するという理解でよろしいのかどうかお教えください。
2 つ目は問題提起です。適正な医療の提供を担保した上で国際展開を可能にするとありますが、ここで問題になるのは、医療の適正性とは何かということです。通常、医療の質、医療システムの観点からは、アクセスは決定的な医療の質の構成要素です。参考人が挙げられた事例は、多くは途上国で、そういう国でも、首都でお金持ち用の病院というのは整備されています。そういった方に対する医療提供というのは、ビジネスに乗りやすいのが通常です。多くの方々はアクセスができないのが問題です。
 日本の役所が病院に報告を求めるとすると、事業報告として収支など、医療内容についてですと、オペの件数などが考えられます。本当に確認するためには、施設を訪問することが必要です。例えば日本だと医療監視等の形で、現場の確認を行います。そういった権限をそもそも有さない国外において、質管理、質保証の方法論からして、適正な医療の提供を保証するには限界があります。適正というのは何かということは、 1 回御議論していただいたほうがいいと思うのです。
 日本が、そもそも権限を持たないところで、日本の役所が適正性を保証するような枠組みを作ることになります。誰に対する適正性なのかを 1 回整理しないと、逆に非営利性を担保するからには、そこまで含めた議論をしないと、なかなか難しい話ではないかということで、問題提起させていただきたいと思います。

○田中座長
 後段は問題提起でしたが、前段の質問にお答えください。

○梶尾指導課長
 前段の非営利性の確保を前提かということです。資料 3 の最後のページに書いてあるのは、この 2 つの論点に限らず、この検討会では非営利性の確保等を前提にということでお願いしたいと思っています。
 なお、「非営利性」という言葉についてですが、今日の前半でも説明しましたが、医療を継続していくためには収益を上げていかなければいけないというのは当たり前のことですので、それを否定しているわけではありません。前のほうでありましたとおり、その利益を公正に分配することを目的とするのを営利性と定義していますので、利益を公平に分配することをしないことを前提とした事業運営を前提に御議論していただきたいという趣旨です。

○新原審議官
 後段の御意見については、いろいろな御意見があるものですが、先ほど松井先生が提起された、国内の医療に影響を与えないというのは、医療法そのものの問題だと思っています。外の quality というのは、基本的には相手国の問題だとは思っているのです。ただ、日本の医療法人がさっき指導課が申し上げたように、附帯義務としてやるのであれば、自ずと常識的な考え方というのはあるだろうなと思っています。
 ただ、そこについて、飽くまでもこれは相手国の問題ですから、ぎりぎりやって、これでなければ駄目だと議論をしても、そもそも相手国で株式会社を展開することは自由なので、相手国の法律で認められていればそこは何でもやっていい、何か起きたときに私どもが何も関与できないという状態はいかがなものか、附帯業務である以上という考え方です。

○伊藤指導課長補佐
 法律上の権限ですが、今回の海外展開については、医療法人の附帯業務として行いますので、医療法第 63 条で、医療法人の業務又は会計等について、そういう問題があれば調査を行う旨の規定がありますので、権限自体はその規定でやる話だと思います。ただ、やり方についていろいろ考えていかなければいけないというのは、おっしゃるとおりだと思いますので、その辺について考えていきたいと思います。

○鶴田委員
 質問です。北原グループが出された資料の後ろから 3 ページ目です。例えば海外事業を行う場合は株式会社形式、国内事業をする場合は医療法人、こういう形式で医療法人が海外で医療提供を行った場合、海外事業をする部分の株式会社については、今でも医療提供することは可能であると考えて良いのですね。本検討会では、国内の医療法人がこれにどう関与するかについては、非営利性を求めるというか、このような場合の医療法人の在り方だけの議論ということでよろしいのですよね。

○新原審議官
 これは先ほど御説明があったように、北原グループは既にカンボジアで医院を開業されたわけです。

○川原委員
 カンボジアとか諸外国において、向うで医療行為を行って、得た利益を日本に還流できるのでしょうか。もしその利益を還流できるとすると、それについては日本の医療法の中での剰余金で発生した場合には、配当禁止という中に明確に位置付けられるという解釈でよろしいのでしょうか。還元できるかどうかという辺りからお聞きしたいと思います。

○伊藤指導課長補佐
 そこは全くおっしゃるとおりで、いわゆる出資した以上配当がきますので、附帯業務の収益として入ってきます。その後は、非営利性の確保の前提として、法人内で使うことになりますから、基本的に、海外での収益が国内でもいろいろ還元される形があるというのはおっしゃるとおりです。

○松原委員
 閣議決定されていることに反対を申し上げる立場にありませんから、留意点として申し上げたいことがあります。皆さんが非常に気になっているのは、これによって非営利性が崩れるのではないかということと思いますので、そこが一番御留意いただきたい点だと思います。
 具体的には、医療法人が海外に進出するとなると、その原資はどこからきたかというと、社会保険料、税が原資のはずです。強制的に国民が徴収される税や社会保険料で賄われている事業、そういうものを原資として海外に投資していくということですので、これは本当によほど安全なところに使わなければいけないお金のはずです。従来だったら、せいぜい国債を買うレベルにしてねというところが、公益法人改革があって、そこで横並びで、社会医療法人などでも株式はいいということになりました。最初はその株式を買ってもいいというのは、飽くまでも portfolio investment のつもりが、今ではそうではなくて direct investment も認めましょうという話になってきています。下手をすると、海外展開するのにもっとお金が必要だということで、医療本体でもっと利益を得なければいけないということでドライブがかかってきていく可能性があるのではないか。
 そうしますと、今、医療の産業化ということが議論になっていますが、医療の産業化というときも、飽くまでも医療機器、医薬品会社のところをどんどん産業化して、国際展開していく必要があるのであって、病院事業本体が産業化されていきますと、これは私たちの保険料や税金がどんどん上がることにつながっていきます。だからこそ、日本の病院は必要以上には儲からないのです。先ほどの資料にもありましたとおり、余り利益が出ないとなっています。これもどうしても、国民皆保険を守ろうとしていくと、公定価格でぎっちり押さえて、そうそう過剰な利益は出ないようなシステムにならざるを得ない、そういう仕組みで、今の日本の医療制度はできておりますので、ここをどうか覆さないような形で、運営を図っていっていただければと思います。

○今村委員
 今の松原委員の御意見というのは、非常に大切にしなければならない論点です。本体業務である程度の収益があって利益が出る、そして配当ができないから、そちらのほうを海外展開に仕向けるというような変な循環ができてしまうと、ややもするといわゆる過剰診療、混合診療の導入に引き継がれていくという危険も十分にあるので、そこの監視は非常に大事だと思います。
 相手国における医療制度の整備、人材の育成、そういうことにこそ政府が関与して、事業展開するべき分野だろうと私も思います。

○田中座長
 よろしゅうございますか。ほかにございますか。

○今村委員
 先ほど山崎委員から TPP の交渉下で危惧される事項について発言がありました。例えば米国の資本が医療機関を買収して、そこで医療を展開していく、その危険性はどうかということをおっしゃられました。正にそういうことが考えられるわけです。しかしながら、それが非営利性というか、松原委員が言われたように、そんなに収益が出ない構造になっている、あるいは国民皆保険制度を実質的に守るというような制度を、きちんと担保していれば、恐らくそういう触手は動いてこないのだろうと思いますので、今の優れた日本の医療制度は、これこそ厚生労働省が中心になって守らなければならないことだろうと思いますので、是非そのことも念頭に置いていただきたいと思います。

○西澤委員
 今まで医療法人の在り方ということで議論して、更には公益性を論じた中で、今回の海外への出資等、今まで我々が考えていたのと全然違うことなので面食らっているのですが、普通の会社の経営については素人ですので、素人的な質問をさせていただきますが、出資した場合に、リスクというのは出資の範囲内で抑えられるのか、特に日本と海外は違いますので、何らかでその事業が失敗したときに、負債を負ったときに、リスクというのはどのように考えたらいいのかというのを教えていただければと思います。

○新原審議官
 出資ですから、ほかに附帯金の契約というのがあり得るわけですが、出資とある以上は、有限責任だから出資という理解です。出資そのものについては、出したお金が限界ということになります。

○西澤委員
 ただ出資するだけではなくて、恐らくそこで医療事業を、何らかの合弁でやったときには、運営的な責任などはあると思うのですが、例えば北斗さんの場合でも、ガバナンスは知財等とありますが、過半数以上の出資になった場合に、かなりガバナンスは利くわけですし、経営的にどのように絡んでいくのかが今一つ見えません。経営に絡んでいくとなれば、リスクもそこでプラスされるのではないかと思いますが、その辺りを教えていただければと思います。

○新原審議官 それは国の契約によるとしか言い様がないのですが、出資の性格であったら、有限責任であったらそうです。
 ただ、そうであるが故になのですが、私どもが提案申し上げているのは、株式会社については何の制約もないのですが、私どもがここでやるときの 1 つの大きな案として、剰余金の範囲の中でということは御提案申し上げています。だから、違うようになってきているというのは、どうして委員がそう思われたのかと言ったら、私はちょっとよくあれですけれども、現行進行していることは何なのかというと、海外は国内と違っているのは、相手国の法律によっているので、その法律がほとんどの国は株式会社を認めているわけです。そういう意味では、我々が維持しようとしている制度とは違うのです。相手国は、それに基づいて作ることは認めているので、放置しておけば普通に株式会社はできるわけです。それをもう少し医療法人の中で附帯義務として位置付けて、ある種のルールを作ることをやったほうがいいのではないかという御提案を申し上げているのです。
 そうであるが故に、さっきの閣議決定の所は、そのように明確化すると決まっているということなのだけれども。

○西澤委員
 出資のことは分かっていますが、あくまでもリスクは出資の範囲内で、それ以外はないのかという質問です。

○伊藤指導課長補佐
 全くおっしゃるとおりです。基本的には出資というのは有限責任ですので、出資者として捉えると、責任はあくまでも出資の額の範囲内だと思います。
 西澤先生が御指摘というのは、それ以外にも各国によってリスクがあるから配慮をしてやっていくべきだという趣旨だと思いますので、それについては、基本的には、出資というのはそういうことで考えていますが、引き続き各国によって状況が違うと審議官も言っているように、認めるに当たっても、そこら辺の話をしっかり聞いた上でしっかり運用していきたいと考えています。

○西澤委員
 分かりました。医療機関がやる場合には出資だけをするのではなくて、運営等をするわけですから、その面でのリスクをこれから調べて、分かれば教えていただきたいと思います。これも各国によって違うと思います。
 もう 1 つです。今はリスクのほうですが、逆に収益が出た場合、附帯業務とするという話ですが、本日参考人に出て来ていただいた所は、 2 つとも社会医療法人です。社会医療法人は、 80 %規定があります。場合によっては、それを越えることが考えられる。

そうした場合にはその事業を、 20 %以下にしなければならないということで、縮小も考えられるのですが、そういうときに臨機応変にできるかという不安も少しありますので、その辺りの検討もお願いしたいと思います。

○伊藤指導課長補佐
 そこは全くおっしゃるとおりで、社会医療法人の 8 割規制の話は実際に現場から話を聞くと、今回の海外展開以外にも、サ高住をやったり、積極的に地域に貢献しようとすればするほど、足かせになってくるという御指摘は聞いていますので、そこは社会医療法人制度全体を議論する際に、 8 割規制について、一定のものを除外するとか、そういうことも含めて、いろいろ御議論いただきたいと思っています。

○梶川委員
 海外展開における非営利性というのは、先ほどの御質問とも関係するのですが、日本の非営利法人たる医療法人の出資行為としての非営利性、非営利法人の出資という行為の限度の話と、出資先に対しての運営に関して、どのような relationship をもっていくか。それが、運営先に対する支援行為のような形態と、今のルールではできないかもしれませんが、過半数認める認めないという話で、 governance 主体になった場合に、日本での立振舞と先方国での立振舞の非営利性、公益性というのは、先ほどお聞きした現状の保険制度等の前提が違う場合に、どういう範囲まで立振舞が許されるかという、出資行為と運営上の支援、又は主体的 governance と、少し次元の違う非営利性の話が起こってくるのかなという気がするのです。
 もちろん、将来理念的には日本のいい公的保険制度に類似するようなもので、向こうの社会に貢献していけるという方向性はあるのですが、今の現状においては、先ほどおっしゃったほかの国の、より収益性の高いビジネスとして医療を手掛けている国なりという段階で言えば、その事業が継続するためには多少相手国の風土に合わせた範囲で、経営的な運営をされるということもあり得るかもしれませんので、そうでなければ competitive にはならなくなってしまうので、その辺の整理が必要になるのかなという気がしました。

○田中座長
 西澤委員、梶川委員ともに、出資して、後は何もタッチしないという話だったら、出資額しかリスクは負わない、しかし経営にタッチする、更には 51 %に達したならば、経営の責任があるので、それはどうなるのだとの疑問が、お二人が言っておられることだと思います。

○新原審議官
 明確に申し上げておかなければいけないのは、ここで総理のスピーチを御紹介しましたが、医療法人のお金があるから portfolio 投資をしてくださいといっているわけではないのです。日本の優秀な医療サービスを海外で展開して、相手国に貢献してくださいということを申し上げています。そういう意味で総理が言っているのは、医療機器、医薬品の販売を排除しているものではありませんが、主には病院の展開ということを考えています。
 そういう意味では、病院を経営する手段として、出資を考えるということです。多分、お三方ともそうだと思います。 portfolio だと思っている方はいないと思います。そこはそういう前提で、御議論いただくといいことだと思います。
 先ほどから指導課が説明している第 42 条の附帯業務というのは、正に portfolio の投資を考えているわけではなく、ここに挙がっているものというのは、例えば養成学校、研究所、 aerobics の施設を作る、老人ホームを経営する、温泉施設を作るというのが挙がっているわけで、これは実態としての経営を言っているわけです。附帯業務として位置付けるというのはそういうものだということです。
 そういうものについても、もちろんリスクはあるもので、今回のものというのは、海外で何でもやるというよりは、病院をやることを考えているということです。今、私が縷々国内で申し上げたものについても、もちろんリスクというのはあると思います。

○松井委員
 先ほど、西澤委員の御懸念に対するコメントです。おっしゃるとおりで、過半数以上の出資をした場合に、出資をした者が責任を負わされるのではないかということは懸念としてあり得ます。たとえば、仮に純粋に日本の国内問題として考えたときに、 100 %出資しました、人も送り込みました、そして実質的に親と子がほとんど同一だと評価できる状態だと、出資した者が責任を取らされる可能性はゼロではありません。そこは法人格を否認して、親子一体とみなしますということはありえます。
 海外に対しても同じように、 100 %出資し、人もほとんど親と子で一緒、その他の経営状況等をみても親と子を同一視できますといった場合、相手国の法律の問題として法人格を否認されて親と子を同一視され、親が責任を取らされる可能性はゼロではないと思います。
 もっとも、そのような場合は基本的に例外で、あくまでも厚生労働省のご説明のように、出資した額が限界であるということが大原則になります。全く親子一体であると見なされる特殊な状況がなければ、出資だけで責任を取らされることはまずないだろうと思います。
 それとは別に、親の医療法人の理事が、外国の病院等に悪意をもって指図をするようなことがあると、その外国の法律によってその理事が責任を取らされる可能性は別途あるかもしれません。ただ、これもかなり特殊な場合であって、適正な経営をしているときに責任を取らされるという可能性は、よほど特殊な法律を現地で持っていない限りはないだろうと思います。むろん、各国でどういう法律になっているかは分からないので、こういう問題を考えるときには、日本から出ていく可能性がある国の法律の状況がどうなっているか、一応ある程度確認しておいたほうがいいのかもしれません。
 最後に 1 点、お分かりになれば参考人の方に教えていただきたいことがございます。先ほど厚生労働省から、外国では医療法がきちんと整備されていなかったり、 quality の担保がどうなっているかは必ずしも一様ではなかったりするという話がありました。実際、参考人の方が進出されている国では、 quality の担保というのがどのような形で行われているのでしょうか。そもそも法律があるのでしょうか。法律であればそれに従ってやるのでしょうが、なければ運用でどう行われているのか、もしお分かりになれば教えていただけたらと思います。

○田中座長
 答えられればという限定付きですので、どなたかいかがですか。

○相澤参考人
 中国では、まだ保険制度をどうつくっていくかということと、どういう保険制度を取っているかというのが各省によって違うのです。基本的には、中国は農村籍と都市籍で、戸籍が違うのです。完全に身分制度のようなものがありまして、都市籍の患者に対して、我々は医療を提供しようとしているわけです。それを、日本のようにすべからく国民全部に医療を提供するというのは、残念ながら中国では非常に難しくなっていますが、それを変えようとしているというのが、今の中国の現状だと思います。
 病院の質に関しては、中国の優秀な病院、私たちが今度一緒にやろうとしている病院も含めてですが、医療の質を担保するために JCI(Joint Commission International) という国際的な病院の質評価を取ろうとしています。そういう病院は、私たちの知っている限りでは、中国では非常にしっかりとした医療をやっていて、少なくとも都市籍を持っている患者に対しては平等な医療を提供しています。
 ただ、日本と同じように、個室を使って個室料を取らないと経営がうまくできませんので、ある一定程度の個室を作って、そこから差額を取って、運営しているのが現実だと思います。

○田中座長
 お二方は質の担保の仕方について御存じですか。

○西田参考人
 ロシアで、具体的にどういう法律でどのようなものがうんぬんというところまでは押さえてはおりません。ただ、極めて insure されている範囲は限定されてはいますが、一部保険のようなものがロシアにもございます。ですから、その制度を担保するために一定のルールはあるのだろうかと思っています。

○中山参考人
 私もしっかりとは答えられないのですが、私が知る限りでは、カンボジアではまだ保険制度が皆無です。国での質を担保される方法はないのではないかと思っております。ようやく民間の保険会社が入り始めましたが、全く保険制度というものが成り立っていなかったり、国には NGO で運営されている病院があったり、最近は外資で、タイやいろいろな国から入り始めていますが、施設によってバラバラであるような現状だと思います。


○田中座長
JCI という国際機関による標準は、かなり高いですから、それは 1 つの方法でしょうね。

○川原委員
 細かい言葉の定義を確認させていただきます。資料 4 3 ページで「剰余金の額の範囲内で」という話ですが、ここでいう剰余金の定義というか、第 54 条で剰余金の配当禁止があるのですが、具体的に貸借対照表などでここをというようなイメージがあるのでしょうか。あと、これは出資する年度の部分なのか、それともその後、出資の額も追加出資などで変わったり、剰余金自体も年度によって増減は十分に想定されるかと思うのですが、単年度なのか継続年度なのか、その辺のイメージをお聞かせいただけますか。

○伊藤指導課長補佐
 この条件については、出資する際の条件として考えています。出資の中には追加出資も含むということで考えています。
 剰余金については、おっしゃったように、貸方の下の部分に記載されるものの額をイメージしていますが、具体的には公認会計士協会などと協力しながら、そこの詰めについてはやっていきたいと思っております。

○松原委員
 収益事業は本来は、現在行っている病院事業以外の事業を行うという意味で、例えば収益事業を例にとると、収益事業を行っている病院は過半が赤字なのです。本体事業には何の支援にもなっていません。何が言いたいかと申しますと、本来事業以外に手を出すことは非常に難しいということです。これは医療法人だけの話ではなくて、営利企業も同じです。例えば保険会社も、生保が損保、損保が生保をしてもいいと相互乗りになりましたが、多くのケースで失敗しています、同じ保険事業であっても。
 というように、多角化というのは非常に難しいので、今回同じ医療をやるということですが、他国ということでカントリーリスク、為替リスクもある、いろいろなリスクを背負って行っていくことですし、出資範囲だけの痛手ではなくて、出資した以上、経営がうまくいかなければまた追加で投資して、何とか救おうということになっていくのが、ビジネスです。一旦始まってしまえば出資した範囲だけでは痛手が止まるものではないということです。
 その財源は日本の国民の保険料や税で賄っていきますから、そういった点に対する留意、チェックというのが、非常に重要になると思います。


○田中座長
 実際の経営の観点からすると、 1 回出資して 1 年たって、赤字だからパッと損切りをしてやめることは滅多になくて、追加していく。

○松原委員
 それプラス、例えば中国などですと、撤退したくても撤退させてもらえなくて、撤退にも非常にコストがかかるということもあります。そういった様々なリスクがあるということです。

○田中座長
 最初からもっといろいろ考えなければならないということですね。ありがとうございました。よろしければここまでにいたします。様々な事務局、参考人の発言をもとに、皆様方の専門的な観点からの御意見、コメントをありがとうございました。参考人の方々にも感謝申し上げます。次回等について説明をお願いいたします。

○伊藤指導課長補佐
 本日はありがとうございました。次回は 11 28 ( ) 16 時より予定しております。

○田中座長
 御出席ありがとうございました。以上にて終了いたします。


(了)

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