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2013年10月4日 第33回医療部会

医政局

○日時

平成25年10月4日(金)13:00~15:00


○場所

TKP赤坂ツインタワー7階 ホール7A


○議題

○総務課長 それでは、定刻でございますので、ただいまから第33回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中を御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まず、本日の御出欠について御報告申し上げます。
 御欠席との連絡をいただいております委員の皆様でございますが、遠藤委員、大西委員、永井部会長、花井委員、邉見委員、山口委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 それでは、議事に入ります前に、お手元の資料を確認させていただきます。
 議事次第、座席表、委員名簿に続きまして、本日は資料を3点お配りしております。
 資料1、医師確保対策。
 資料2、看護職員確保対策。
 資料3、医療機関の勤務環境改善
ということでございます。
 不足等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと存じます。
 それでは、議事に入らせていただきますが、先ほど申し上げましたとおり、永井部会長が御欠席でございますので、以降の進行は田中部会長代理にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田中部会長代理 部会長にかわり進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、委員の欠席の場合にはかわりに出席される方の扱いについて、これまでこの会では、事前に事務局を通じて部会長の了解を得た上で、当日の部会において承認を得て参考人として参加し、発言をいただくこととされています。
 本日の会議については、花井委員の代理として、小林参考人の御出席を認めていただきたいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田中部会長代理 ありがとうございました。
 では、早速ですが議事に移ります。
 本日は「医療従事者の確保、医療機関の勤務環境の改善について」を議論いたします。
 資料は3種類用意されています。それぞれ区切って議論していきますが、相互に関連する内容ですので、場合によっては、必要とお感じになれば全体についての御意見を言っていただいても結構です。
 初めに資料1「医師確保対策について」事務局から説明してください。
 では、お願いします。
○指導課長 資料1をお願いいたします。
 おめくりいただきまして「医師確保対策に係るこれまでの議論」ということで、1ページ目には、23年12月の医療部会での意見の抜粋ということで「地域の実情に応じた医師等確保対策」。
 (1)に、地域間、診療科間の偏在の是正は重要な課題であり、都道府県が担う役割を強化、地域の実情に応じた医師確保対策の構築ということ。
 (2)で「医師の養成、配置のあり方」で、実効性のある地域枠の設定云々という記載があり、(3)で「医師確保対策のあり方」ということで、医師不足地域の医師確保の観点から、キャリア形成支援等を通じて都道府県が地域の医師確保に責任を持って取り組むための法制化等により、都道府県の役割を明確化すべきということが、一度一昨年の12月に医療部会でおまとめいただいているところでございます。
 次のページは、これまでも御紹介しております「法制上の措置」の骨子の部分ですけれども、(3)の2に下線を引いてございます。「地域における医師、看護職員等の確保及び勤務環境の改善等に係る施策」。きょうの議題はここについてということでございます。
 4ページで、現行の医師確保対策について整理をしたものであります。
 5ページに関係の条文も用意しておりますので、適宜ごらんいただければと思います。
 「医師確保に関する現行の医療法の規定」ということで、前回の第5次医療法改正の際に「地域医療対策協議会」という規定が設けられました。そこの協議会において、僻地等の特定地域、小児科、産科などの特定の診療科における医師不足の深刻化に対応して協議会を制度化ということで、この協議会では、特定機能病院、地域医療支援病院、公的医療機関、大学、その他の医療従事者の養成に関係する機関等の協力を得て、医療従事者の確保に関する施策を定める旨を医療法に規定しています。5ページに30条の12ということで、関係者を各項に並べてそういった規定を設けてございます。
 これの規定に基づきまして都道府県が施策を定めてこれを公表するわけですけれども、ここで定めた施策の実施については、30条の13というところで、これに対して医師、歯科医師、薬剤師、看護師、その他の医療従事者は、実施に協力するよう努めなければならないという規定があり、さらに31条という規定で、地方自治体の医療機関であったり、日赤、済生会等々ですけれども、公的医療機関は、先ほどの規定により都道府県が定めた施策の実施に協力しなければならないという規定が設けられておるということでございます。
 なお、医療計画においても都道府県は「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の確保に関する事項」を定めることになってございます。
 6ページ「地域医療支援センター事業」について御説明したいと思います。
 地域医療支援センター事業は、国の補助事業として平成23年度から設けたものでありますけれども「都道府県が責任を持って医師の地域偏在の解消に取り組み、地域医療に従事する医師のキャリア形成支援策などと一体的に医師不足病院へ医師の派遣やあっせん等を行うシステムを構築するため」ということで、都道府県を事業主体として行っているもので、このページの下に実施道府県を記載してございますけれども、初年度の23年度は15の道府県で、24年度から5カ所ふやして20カ所、今年度は10カ所ふやして30カ所ということで事業を行っており、さらにこの補助を受けずにやっている自治体も5件ございます。26年度はさらに42カ所を想定した概算要求も行っているということでございます。
 事業実績ということで書いてございますけれども、この補助事業の30道府県分、今年度開始したところはまだ始まったばかりでありますが、どういったところに設けているか、これまでの実績はどうかにつきまして資料を用意してございます。
 18ページに地域医療支援センター運営経費の補助事業自体のポンチ絵を用意しております。下に25年度現在、30道府県で行っており、23年度以降で1,069名の医師を各道府県内の医療機関へのあっせん・派遣などの実績を上げていますと記載しておりますけれども、各道府県の状況を19ページ、20ページに一覧にしてございます。設置場所として、道府県の県庁に置いたり、県内の大学病院に置いたり、県立病院に置いたり多々ありますけれども、どこに置いているか。あるいはそこにおける専任医師、専従職員の体制はどうか。具体的な専任医師というのはどういう方がなっておられるかということ。
そして、どういう方を派遣しているのかということで、一番上で言いますと、北海道ではこれまでに常勤45名、非常勤を245日で常勤換算をしまして26名という形になりますけれども、それを職業紹介として依頼のあった方であったり、県職員である医師を派遣したり、その他という形で人数を記載してございます。各道府県、自治医科大学の卒業生とか、修学資金を貸与した方をどこに派遣するか。そういった調整をこの地域医療支援センターで行っているということでございます。
 では、どういうところに派遣しているのか。これも膨大になりますので、21ページと22ページに岩手県と滋賀県の例をつけてございますけれども、岩手県の例で言いますと、二次医療圏が9つあって、その二次医療圏によって10万人当たりの医師数もさまざまあります。二次医療圏分布の真ん中あたりにある、10万人当たり医師数145人とか142人というあたりにやや多めに派遣もしているということであったり、右側の診療科別でいうと、岩手県の場合、内科、小児科の件数が多いということ。
 その下は、10万人当たり医師数が最小である場合と、最大である場合に違いがあるかどうかということで表をつくっておりますけれども、上の1番、2番あたりを主にごらんいただければと思います。
 また次のページの滋賀県のケースでいいますと、1番に二次医療圏別の分布で、10万人当たり医師数の少なめな郊外、東近江あたりに多めに派遣をしているとか、滋賀県の場合は、診療科別でいいますと、僻地診療所への派遣というケースが右上の欄で見ますとその他19人という形で、そういった派遣を行っているということでございまして、それぞれの都道府県で県の協議会で定めて、具体的に支援センターでキャリアのことも考えながら派遣を調整しているということで、実績が積み上げられてきているということでございます。
 戻りまして7ページで「医学部の定員増及び地域枠の設定」ということで、医学部の入学定員は平成20年度から増員を開始しまして、1,416人を増員して、25年度には過去最大の9,041人となっているということで、また、22年度からは、定員増に当たり特定の地域や診療科での勤務を条件とする「地域枠」というのを設けて、25年度では地域枠の入学定員が476人となっていると記載してございます。
 13ページに、入学定員の年次推移ということで、最近ふやしてきているということと、14ページに地域の医師確保を目的とした都道府県の地域枠ということで、具体的な内容を記載してございます。
 下に22年度の地域枠入学定員が313。その後、毎年新しい入学定員として372、437とふやしてきていて、22年度の地域枠入学定員の方は28年度以降、医師として地域医療等へ貢献できるということで、これがどんどん積み上がっていきますので、先ほど地域医療支援センターでの派遣の話もしましたけれども、そういったところでの派遣の対象になってくるお医者さんが、地域地域でこういった形で派遣可能になってくる方々が出てくることが想定されているということでございます。
 8ページに戻りまして「対応の方向について」ということで、論点整理をさせていただいております。
 「○」が4つございますけれども、1つ目が、現在、補助事業として実施している地域医療支援センターについて、キャリア形成支援とあわせた医師の地域偏在・診療科偏在の解消の取り組みをさらに進めるために、地域医療対策協議会で定めた施策のうちのこれらの取り組みを実施する地域医療支援センターの機能を医療法に位置づけることをしてはどうか。
 ただ、その地域医療支援センター機能自体はそのための組織を必要とするものではなくて、また、都道府県がみずから実施ということに限らず、病院あるいは大学、現在もそういった都道府県がありますけれども、そういった公益法人等に委託することも可能とする機能として位置づけていく必要があるのではないか。
 また、都道府県知事が、医師不足病院等への医師派遣要請等を行うことができるということを医療法上、明確にして、地域医療支援センターの機能というのを法律に位置づけ、その機能を担う者が医師派遣要請等に関与していくこともできるようにしてはどうかということを3つ目の「○」で記載してございます。
 4つ目の「○」ですけれども、地域医療対策協議会で定めた施策のうち医師確保の取り組みの実効性を持たせるために、医療従事者の確保に関する施策、その他都道府県において必要とされる医療の確保に関する施策への協力義務、または協力の努力義務の対象とする医療関係者の範囲を広げてはどうか。
 具体的には、地域医療対策協議会の参加者となっている者のうち、特定機能病院、地域医療支援病院、大学、その他の医療従事者の養成に関係する機関につきましては、先ほどの4ページ、5ページの条文をごらんいただいても、協力義務の対象になっていない。公的医療機関は対象になっています。協議会のメンバーであるけれども、協力義務の対象になっていないということでございますが、そういったところにつきましても、知事からの医師派遣要請を含めた施策への協力に努めることが考えられるのではないかということを、対応の方向として整理させていただいております。
 これにつきまして、御意見、御協議いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田中部会長代理 ありがとうございました。
 皆様方から御意見を伺う前に、荒井委員と中川委員から資料が提出されています。それをまず、簡単に御説明いただきます。
 初めに荒井委員、よろしくお願いします。
○荒井委員 恐縮でございます。お手元に3枚紙の資料を配付させていただいております。医師確保だけではなしに看護師確保も関係しておりますが、一括して簡単に御説明をさせていただきたく存じます。
 まず、医師確保対策のところでございますが、言われているところでございますが「偏在」の客観的資料による把握と有効な手段の導入。都道府県への実効的な権限の付与が、医師確保対策に重要。それが地域医療ビジョンの基盤になると考えます。
 しかし、実情は大変難しいことであるように思いますので、都道府県の実務者も知事も大変関心を持っておりますので、議論を重ね、また厚労省とも協議を重ねて、医師確保対策が確立できるように努力をしたいと思います。
 2番目の地域医療支援センターのことでございますが、これまでの経緯を見ますと、今回法律上位置づけられるということと、都道府県知事が医師派遣の要請をする権限を創設される、あるいは医療関係者の範囲を拡大されるなどの御提案は、高く評価をさせていただきたいと思います。また、このような法律上の権限付与とともに、合わせ技、関連する措置をとることが有効だと思います。
 例えばの例を書いておりますが、臨床研修制度の見直しの中で、僻地研修の必修化でございますとか、専門医の取得に際する地域医療への貢献などは、医師個人の幅を持たせる効果もあるように思います。
 また、既存の支援センターでも就学資金対応者に対するキャリアパスをつくる工夫が各県でされておりますが、修学資金制度の制度的な工夫によって医師確保が進むようにも思います。
 2点目の看護師確保対策でございますが、潜在看護師に対する再就職あっせんの観点からの届出制度は必要だと考えます。
 また、ナースセンターの機能強化策には賛成をさせていただきます。
 ハローワークとの連携、実務人材の確保などもあわせて行うことが必要だと存じます。
 看護師の方には女性が多いわけでございますので、女性のキャリアパス、スキルアップの支援策が必要だと思います。女性看護師のためのワークライフバランスをつくるというのを共有の目標感にさせていただけたらと思います。
 3つ目は、チーム医療のことでございますが、チーム医療は大変重要なことでございますので、論点を整理して、法律上概念を明確化していただけたらと思います。また、現場が多様でございますので、多様な現場の実情を踏まえたチーム医療のあり方については、さらに議論を深める必要があろうかと思います。
 最後に3番目の勤務環境の改善でございますが、一日も早い勤務環境の改善が必要だと思います。
 今回提案されております医療勤務環境改善支援センター(仮称)につきましては、都道府県の実務者からはセンターの実効性に疑問の声が多く上がっております。今後、国、都道府県、医療機関等の役割分担についての十分な議論が必要だと思います。
 最後に(3)で奈良のケースを書いておりますが、最近判例が出まして、どの病院でもございます宿日直手当につきましては、全ての時間に払うべきとの判例が出ました。実務に応じて割増手当を払っておりますが、これは救急患者が来られたときにはその時間に応じて払っている実情がございますが、来ても来なくても全ての時間に割増手当を払えという判決でございます。
 全国の病院においては、実務に応じて払われている病院が多いと聞きますので、地裁でございますが、強行法規の労働基準法の解釈として行きわたりますと、全ての時間について時間外割増手当を払うことになりますので、現実と労働基準法の解釈というのを埋めていただく必要があろうかと思います。労基法の通達が出ておりまして、救急患者の突発的労働には割増賃金を払うべきという通達でございますが、判例では、宿日直は断続的労働ではない。全ての拘束時間に払うべきということでございます。それに対して医療法は空白でございます。このような労働基準法と医療法、またその狭間に入ります判例は現場に深くかかわる話でございますので、必要な手当てを早急にお願いしたいと思っております。奈良県ではとりあえず、地裁の判決に対しまして控訴しようかと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中部会長代理 ありがとうございました。
 続きまして、中川委員、お願いします。
○中川委員 提出資料をお願いいたします。よろしいでしょうか。
 医師不足は、医師の絶対数の不足と偏在だと思いますが、絶対数については、厚生労働省と文科省の御努力で、直近6年間で1,416人の医学部定員増で、手当ては終わった、一定のめどはついたと認識しております。
 そこで偏在解消策について提出資料にありますが、以前医療部会でも説明させていただきましたが、事務局も変わりましたし、委員の皆様もお忘れになった方もいると思いますので、再度説明させていただきます。
 1枚おめくりください。目次がございます。主に一番下の10ページから抜粋して資料としましたのでお願いいたします。
 まず「臨床研修システム」ですが「医学部の5年生、6年生の診療参加型臨床実習、臨床研修2年間のトータル4年間で、プライマリ・ケア能力を獲得することを目指す。特に臨床研修の2年間、臨床研修医は地元出身大学に軸足を置きつつ、より実践的な地域医療を身につける。地域では、医師会、行政、住民などが協力して、地域であたたかく医師を養成する」。
 「大学臨床研修センター(仮称)」の設置を提案します。
 各大学に臨床研修センターを設置する。
 研修希望者は、原則として出身大学の「大学臨床研修センター(仮称)」に研修先についての希望を提出する。研修先の地域は問わない(都道府県は自由に選べる)。
 センターは、研修希望者と面談して研修希望先を確認した上で、必要があればアドバイスを行って、研修先を選定する。もし希望がかなわなかった場合、改めて相談して調整する。
 臨床研修病院は、臨床研修医が、どの大学のセンターに所属しているかも含めて「都道府県医師研修機構」に臨床研修医の受け入れ状況を報告する。
 「都道府県医師研修機構(仮称)」についてです。
 これを都道府県ごとに設置する。
 この研修機構は、医師会、行政、住民代表、大学(医学部、附属病院)、大学以外の臨床研修病院で構成する。
 各都道府県の医師研修機構を束ねる「全国医師研修機構連絡協議会(仮称)」を設置する。この全国協議会は「人口や地理的条件など、地域の実情を踏まえて、研修希望者数と全国の臨床研修医の募集定員数が概ね一致するよう、都道府県ごとの臨床研修医募集定員数を設定する」。
 都道府県の研修機構は、当該都道府県ごとの募集定員数をもとに、県下の研修病院における臨床研修医募集定員数を調整する。
 13ページの図と12ページをお願いします。
 「都道府県地域医療対策センター(仮称)」の設置を提案します。
 以下の4者を発展的に「都道府県地域医療対策センター(仮称)」に再編すべきではないかと思います。
 4者とは、医療法に基づく「都道府県地域医療対策協議会」。
 現在モデル事業でやっている「地域医療支援センター」。
 先ほど提案した「大学臨床研修センター(仮称)」。
 同じく「都道府県医師研修機構(仮称)」。
 「臨床研修医は、『都道府県地域医療対策センター(仮称)』に臨床研修修了後の就業先を届け出る。同センターは、『大学臨床研修センター(仮称)』や研修先病院等の協力も得て就業先を把握し、医師養成および医師確保対策を推進する」。
 このセンターは「臨床研修修了後の医師のその後の異動や配置についても継続して把握する。これらの情報にもとづき、医師確保および偏在解消を推進するとともに、医師の生涯におけるキャリア形成支援を行っていく」。
 「将来は、『都道府県地域医療対策センター(仮称)』が把握した医師の異動に係る情報を全国レベルで統合していく」。
 そして将来的には、この地域医療対策センターは、若い医学生や臨床研修医にその県の、例えば脳卒中の患者はこれぐらいいて、それにかかる医師の数が今、足りているのか、足りていないのか。がんの患者はこのぐらいなのだという情報をリアルタイムに提供して、医師の偏在解消の突破口にする。これは十分に有効な手段であると思います。
 一見遠い道に見えますが、実は一番近い道ではないかと思って、ぜひ医療法改正等にもこの道筋をつけることを考えていただきたいなと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中部会長代理 ありがとうございました。
 では、皆様から御質問、御意見を伺います。どなたからでもどうぞ。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 今までの議論というのは、大体長期的な展望に立った対応策のような気がしているのです。この問題を考える場合に、長期的展望と短期的な展望と両方考えなければいけないと考えています。
 では、即効性のある短期的な展望というのはどういうことかというと、私は国家公務員の兼業規定を廃止するべきだと思います。現在、公務員は兼業できないことになっています。地域の公務員の先生方の兼業規定を廃止することによって、地域の民間病院に勤務してくれる非常勤の先生方がふえれば、少なくとも非常に疲弊している民間病院の疲労度が少なくなると感じています。幸いなことに荒井知事さんが出ていますので、知事会で、県立病院の職員の兼業規定を緩めるということは検討していただけないものでしょうか。
○田中部会長代理 荒井委員、お願いします。
○荒井委員 各論に入って恐縮ですが、医師の民間病院への派遣は奈良だけではないと思いますが、かつて県立病院が医局の先生に民間病院が頼んで、派遣指導して個別に渡して派遣をする実態がありました。それは刑法違反でございましたので収賄の罪にとらわれたケースがございます。したがって、今、民間派遣については大変見える化をして、個別の医局の先生の派遣ではなく、公的なプロセスで派遣するというふうに変わっております。
 今回の地域医療支援センターは、派遣のあっせんをハローワークで公的なプロセスでするということでございますので、公的な公務員の民間病院勤務は派遣法なりのことでございますが、職員派遣法が変わりまして、財団法人へ県の職員を派遣すると違法だという法律があって、判例も出ておりますので、医師についてはどうなのかということですけれども、法律に抵触するかもしれません。
 これは職員の兼業禁止という話に、職員を派遣することを禁止する法律でございますので、法的な検討が必要かと存じます。政治的判断以前に、現状の法的な職員派遣ということについての制約をクリアーしなければいけないと、今のところとっさの感触ですが感じるものでございます。
○山崎委員 ありがとうございます。
○田中部会長代理 藤本委員、どうぞ。
○藤本委員 ありがとうございます。
 初歩的な質問を申し上げて恐縮なのですけれども、まず「医師確保対策について」というところに出ておりました、医師がこれから何人ふえて、何年後にこれだけの医師がとありました。それは、大学を卒業してすぐのドクターの数と思われます。
 荒井知事、それから中川先生から出していただいた医師会の資料にある医師の派遣というのは、いわゆる研修を終わった後のドクターということですから、タイムラグがそこに出てくるわけです。
 実際卒後何年目くらいからのドクターを、こちらの研修が終わったドクターということで想定していらっしゃるのか教えていただきたいと思います。こちらの資料は大学卒の人数だったのですけれども、こちらの御意見のほうに出てくるドクターというのは、研修が終わった後のドクターと考えてよろしいのですか。
○田中部会長代理 事務局ですか。それとも中川委員ですか。
○藤本委員 事務局の資料は卒後すぐということで理解できたのですけれども、中川先生の医師会の資料に出てくる。
○中川委員 私の何ページのところですか。
○藤本委員 研修センターのあたりです。
○中川委員 これは6年生卒業間際のことです。
○藤本委員 すると学生さんの時点でということですね。
○中川委員 そうですね。その次からは卒業して1年目、2年目の話ですね。
○藤本委員 そうすると研修医ということで。
○中川委員 そうです。その後も書いてあることは、地域医療対策センターは医師になったら、その医師がどこに行ったかずっと把握している。現状は、大半の卒業生がどこに行ったかわからなくなっているのです。言葉は悪いですけれども、医師免許を取ったらその後の消息は逃がさないぞというものです。、医師免許を持っているのですから当然だと思います。そういう把握をして偏在解消のためのデータにするという意味です。
○藤本委員 ありがとうございました。
 加えて質問させていただきたいのですけれども、学会の認定医、専門医資格を取得するのはそれ以降の話になってくるということですが、そうすると、学会の指導医がいるところがかなり医師の偏在是正には大きなポイントになってくると思われますが、その辺はいかがですか。
○中川委員 専門医の数がどのぐらい必要、適正かというのは、長い話になりますのでここでは控えたいと思いますが、先ほど言ったように、若い医師とか若い医学生は自分が医師としてどういう診療科に進むのか。どこで働くのか。医師として生涯を終えるのかということはいろいろ考えます。そのときに今はデータがないのです。その時の気分でやるとか、自分がやりたい科に行くとか、そういうことになっていますけれども、しかし、やはり情報を提供するシステムをつくって、自分はどういう環境にいて今、医師として活動しているのかということがわかれば、自然と医師の少ないところで頑張ってみようかとか、困っている診療科があるならそこに行ってみようかとなると期待しているという意味です。
○藤本委員 ありがとうございました。
○田中部会長代理 加藤委員、どうぞ。
○加藤委員 各論に入る前にちょっと質問します。
 4ページに現行の医師確保対策というのがありまして、平成19年4月に「地域医療対策協議会」が制度化されたということになっておりまして、ここにいろいろな施策があってこのようなことがありますが、実際のこの協議会がつくられた後に、どのような成果があったか、どの程度の効果があったかということを具体的に示していただきませんと話が先に進まないと思うので、その後に出てくる地域医療センターもやはり施策のうちの中で入ってきていると思うのですが、これもまた医療法に位置づけるということになっておるので、地域医療対策協議会そのものの使命はここに書いてあるのですが、与えられた使命に対してどのような責務を果たしたかということがわからないと、話が先に進まないと思うので、その辺のところを事務局から御説明いただきたいと思います。
○田中部会長代理 事務局、お答えください。
○指導課長 地域医療対策協議会につきましては、この法律の施行以降、各都道府県でこういった会議体が設置をされて、そういった場でその地域の大学の関係者、あるいは病院関係者、公的医療機関が加わって、県内の医療の状況の分析なども行い、そしてそういう地域にどう医師を派遣するかということを、この地域医療支援センターの機能を使って派遣もしているということです。
 開催の頻度は、年に1回のところもあればもうちょっと頻度の多いところはあるということはございます。ただ、そこでの議論を踏まえて実際に具体的に地域の僻地の診療所に派遣をしようかとか、あるいはどういうキャリアプログラムをつくっていこうかということの議論をする場として協議会を設けたといった経過でございます。
○田中部会長代理 よろしゅうございますか。
 白鳥委員、どうぞ。
○白鳥委員 私、今、医師の育成機関の代表としてここに座っているということで、少し意見を言わせていただきたいのですけれども、質問は、資料の19ページにある地域医療支援センターの派遣実績で、各県で何名の医師を常勤で派遣したとか、非常勤で派遣したという表が載っているのですけれども、これはやはり医師の派遣した後の継続性です。例えば1年だけ行っていなくなってしまうとか、そういったこともあるのかなと思いまして、派遣された常勤の先生方が、きっちり根づいてそこで勤務されているのかどうかという情報を教えていただくことが、派遣実績の本当の実績になるのではないかなと思いますので、それをお願いしたいと思いました。
 もう一つ、やはり地域の医師不足が非常に表面化したきっかけは、初期の臨床研修制度が変わったことが私自身はきっかけになっていると思っております。そのために、大学病院が、従来いろいろいな意味で地域医療を支えさせていただいた部分は当然あるわけなのですが、小さなことですけれども、うちの消化器内科でも20カ所ほど派遣はしていたのですが、この制度が変わってから10カ所に切りました。院長先生からも泣かれましたけれども、結局うちでも指導医がいなくなってしまうということで、研修制度の条件をクリアーするためには、指導医を手元に置かなければいけないということで医師の引き上げ、それが結果的には地域の医師不足になってしまったということもあるわけです。
 それから、入学した学生さんの数もふやされたわけですが、そうなると、学生に対する基礎教育から臨床教育から、指導教官は医師なのです。ほかの人にはできない。となると、やはり大学病院は教育機関として、たくさん入った学生さんに対する教育活動の負担も各医師にふえていく。そして、大学ですので文科省から研究活動を求められますので、その実績も出していくということで、非常にそういう意味で、本当に我々自身もせっぱ詰まった状況でのやりくりをやっているということも、先生方に御理解をいただいておいてもらいたいなということがございましたので、そういう立場で一言申し上げさせていただきました。
 ただ、勤務の継続状況については教えていただきたいのです。
○田中部会長代理 指導課長、お願いします。
○指導課長 実際の実績についての御質問をいただきましたけれども、今、委員から実際に根づいているのかという御質問のされ方だったのですが、これ自体は地域に行きっ放しという話ではなくて、1年なり2年なりで派遣をして、その後はまた別のところで、全体のキャリア形成の中での地方勤務なり1、2年なりという話なので、その人がその地域に根づいたかということは若干違う面もあると思います。
 ただ、実際1年の約束で行ったのに途中で帰ってきたということがあるのかという質問でしたら、これは事業が始まってまだ1年目とかだったりするので、現時点でそういった資料があるかどうか検討させていただきたいと思いますけれども、行きっ放しではなくて、1年なり2年なりということで行って、また次はやるような病院とかいろいろ回る中での派遣だということで御理解いただければと思います。
○田中部会長代理 高智委員、どうぞ。
○高智委員 資料1の18ページと、この部分の論点であります8ページについて見解と質問をしたいと思います。
 まず、18ページで、地域医療支援センターの目的といたしまして「都道府県が責任を持って医師の地域偏在の解消に取組むコントロールタワーの確立」といったことが掲げられているわけでございます。地域医療支援センター機能を病院や大学、公益法人などに委託する場合には、丸投げするような形ではなくて、都道府県が適宜状況を把握できる、責任ある管理体制をしくことが必要ではないかということでございます。
 8ページの関連でございますけれども、2つ目の「○」でございます。
 「地域医療支援センター機能は、そのための組織を必要とするものではなく」という記述がありまして「都道府県が自ら行うことに限らず、病院や大学、公益法人等に委託することも可能とすべきではないか」。今、申し上げたところとも関係するわけでございますが、もう一度18ページのポンチ絵をごらんいただきまして、下の枠に「地域医療支援センターの役割」と書いてございます。これを読んでみますと、決して軽いものではなく、大変重責を負うセンターであるということが明々白々でございます。
 そこで質問ですけれども、地域医療支援センター長は誰が任命するのかということについて、ひとつお答えいただきたいと思います。要するに、このポンチ絵は役割でとまっているわけでございますけれども「役割・任務」としていただいたほうがよりわかりやすくて、そう軽々に運営がスムーズに進むものではなく、絶えず大きな課題を背負っていく。それが地域医療支援センターではないかと思っております。まず、地域医療支援センター長の任命権者についてお教えいただきたいと思います。これが1つの質問でございます。
 以上でございます。
○田中部会長代理 お答えください。
○指導課長 今の御質問につきましては、どのような制度化をしていくのかにもよるところはありますけれども、いろいろなパターンがあると思います。ただ、地域医療支援センターという組織を都道府県の中につくって、センター長は知事が任命することになろうかと思います。
 次に、地域医療センター機能というのを外部に委託する形にして、ただ、都道府県事業ですけれども、その事業の実施を外部に委託すると、そういった場合センター機能を委託した先がセンター長を任命するのかなと思いますけれども、そこは組織なり体制のつくり方によってくるかと思います。
○田中部会長代理 中川委員、どうぞ。
○中川委員 地域医療支援センターの事業を拡大するということには賛成なのですが、質問なのですが、19ページの実績を見て、例えば北海道は平成23年4月に設置して、ことしの7月31日現在の実績で、45人の常勤と非常勤26人となっていますが、これはうまくいっていると思っているのですか、そうでないと思っているのですか。どちらですか。
○指導課長 一定の機能を果たしていただいていると。
○中川委員 先ほど白鳥先生がおっしゃいましたけれども、例えば新しい臨床研修制度の始まる前は、大学の医学部から医師を派遣していましたね。十分と言わないまでも、かなり要望に応えて派遣していたと思います。例えば1年で戻って、ちょっと置いてまたほかのところに1年行くというときに常勤2人という計算になりますね。
 そう考えると、こういう数え方で19ページの表をつくると、各県は最低数百単位となると思うのです。地域医療支援センターはこのように、多めのところでも北海道45、青森63となりますが、例えば地域医療支援センターに医師が足りないから何とかしてほしいという要望を、大学の医学部にお願いして派遣したら、地域医療支援センターの実績になるわけですね。どうですか。悪いと言っているのではないですよ。
○支援課長 今の質問は、地域医療支援センターに医療機関が依頼をして、地域医療支援センターが調整をして派遣をしたということでよろしいですか。
○中川委員 ですから大学から行った場合は、この実績に入るのですね。
○支援課長 地域医療支援センターが依頼を受けて、そこであっせん調整をして結果としてどこかの大学から派遣をしたということであれば、これをカウントには入れています。
○中川委員 となれば、甚だ機能は不十分だと思います。
 そこで、私が先ほど提案したように13ページのこの地域医療支援センターだけ頑張るのではなくて、地対協も新しいシステムの大学臨床研修センターも医師研修機構も合体して、何とか県の医療を守りたいという機能を早急にスタートさせていただきたいと思います。もちろん地域医療支援センターもどんどんやってください。とりあえずは47都道府県全県に設置するということは最低限していただきたいと思います。
○田中部会長代理 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 まず、高智さんがおっしゃいましたセンター長は誰が任命するのか、責任を持つのか、責任を明確にしたらいいではないかということは、そのとおりだと思います。支援センター長は県庁に置かれるということで、県庁の責任を明確にするということは前提だと思います。センター長は誰になるのかというのは、県知事が任命いたしますが、その際は奈良県の場合でありましたら私がセンター長になります。責任を明確にするということが前提になると思います。
 それと、もう一つ、藤本さんから御質問がありました、お医者さんはどういうように動かれるのかということにも関係いたしますが、医師の流動性ということでございますが、研修はよく地域でもマッチング率というのを切り出します。研修の機会を提起して、どれだけ人気があるのか、地域のマッチング率を上げるのに熱心な地域とそうでない地域がございます。奈良県はあれやこれやでして、マッチング率が低かったのが大変上昇いたしました。
 これは関係するお医者さんが数名連合を組んで、研修環境をよくしようということで努力された結果でございますので、研修医師の派遣機能がどこかにあったわけでは全くございません。研修環境をよくしようという努力がある地域は、研修医がたくさん来ていただける流動性が基本的にあるということで、お医者さんはどうもどこがいい研修してくれるのかよくサイトで調べられて選ばれたと後で聞きます。
 それに対して、医師のロケーションをどういう機能でするのか。自由な流動性、あるいは引き合いということを超えて、偏在をどう是正するのかというのは今の議論のテーマでございます。
 どなたかおっしゃいましたように今までは医局の支配がありました。医局の支配は今も残っているところがあります。奈良県では県立医大がありますので、医大内で医師のハローワークをつくってくれというので、県と県立医大と協定を結んで、医師のハローワークがよく機能すればちゃんと病院を建てかえるよと、こういうバーターでやっているのが実情でございます。やはり病院をよくしたいので一生懸命やりますと学長は言って、学長はセンター長ですけれども、学長は言ってくれますが、抵抗勢力がございます。それは医局です。俺の支配で医師を派遣するよと、こういう医師がおられるのです。それを超える見える化とか派遣の公正さというのを確保するのに今、直面をしております。
 そうしますと派遣について大事なのは、今、ハローワークと申しましたが、医師のニーズと供給サイドのニーズをマッチングさせる機能が要るということでございますので、マッチング機能はどこかで、医局でもできますし、学校でもできますし、地域の医師会でもできるのですが、それを統括する機能が要るというのが今回の法改正の最重要事項ではないのか。それは分散的であると過去に戻るのではないかと私は思います。責任の主体を明確に統合するというのが今回の法改正の要点ではないかと思います。マッチング機能を現実にやられるのは医大であったり医師会であったりするわけですけれども、それを統合するというエビデンスをはっきりする主体を県に置くということは大賛成でございます。
 それとともに、先ほどの研修医の機能で、いい医者を育てる機能を強化するというのは、あわせてする必要があると思いますが、お医者さんはどのように流動されるのかというのは、いいお医者さんのいるところに行きたい。これはみんな変わらない要求でございますので、いいお医者さんがどこにいるのかとともに、いい指導医を育てるというのは大事な機能でございますので、これは地域の医療関係者の責任として認識することも大事ではないかと思う次第でございます。
○田中部会長代理 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 まず1つ、基本的な問題として、その医療機関にどういう医師がどれくらい不足しているのかはどうやって把握するのでしょうか。というのは、私たちはいろいろな病院にかかわっていますと、この病院そんなに医師は要らないよね、この病院にそんな専門医師は要らないよねというところが、そういう専門医師が欲しいという要望をたくさん出しているのです。その病院にそういう医師を派遣しようとして医師不足と言っている。要するに、私が言いたいことは、初めに地域医療ビジョンがあって、その地域医療ビジョンを達するためにこれだけの医師が、これくらいの範囲に必要なのだということがあって初めて不足が出て、どういう不足があるかというのがわかるというのが論理的な流れだと思うのですが、今は現状こうやっているから足りない分をくださいというのが、把握している現状だと私は思っています。それに対して不足分を補おうとすれば、当然私は足りなくなってくるのが当たり前だと思っておりますので、そこをどうするのか。
 18ページには不足を分析して、そしてどういうところに優先的に派遣するのかを決める。この地域医療支援センターがそれをすると言っていますが、残念ながら今、1年に1回の会議でそんなことを十分に議論してできるはずはありません。これが第1点です。
 第2点は、たとえそれが公正であっても、滋賀県の例を見てもわかると思うのですが、22ページ、支援センターを派遣したところは、恐らく公立病院とか公的病院ばかりです。私は病院会で、地域対策事業でこういうことをやっているというぐあいに持っていくと、医療法人の先生からコテンパンに叩かれます。医療法人の病院はあっせんしてもらったことがない。一体どういうことで公平性を保ってやっているのか。その基準というのはあるのか。示せと言われて、私は申しわけございませんと言っていつも謝っております。というのが現実であるということが第2点。
 3点は、今、皆様方の議論の中では、卒後臨床研修とその後のいわば卒後臨床研修後の後期研修と一般的には言っているのですが、そことがごちゃまぜになって議論されています。これはすっぱり切るべきです。初期臨床研修がどうであって、たくさんの初期臨床医を集めたにしても、医師がそこに必ず後期研修として残るということはありません。恐らく調べてもらえば、そんなにパーセントはないと思います。
 地域の不足のところに派遣するのは初期研修医ではありません。初期研修が終わった後の医師です。しかも卒後研修が終わって1年目、2年目では1人でそんなところに派遣するのは極めて危険です。ですから、恐らく後期研修が終わった後の医師たちをどうするかということが、私は大きな課題ではないかなというぐあいに思っています。
 そういう医師をどういうぐあいに確保して、どう配置していくかということが、本当に今の仕組みの地域医療支援センターでできるのだろうかということを疑問に思っていますので、そこの仕組みを変えない限りは無理ではないかなと思っている。この3点を申し上げたいと思います。
 以上です。
○田中部会長代理 御意見ありがとうございました。
 尾形委員、どうぞ。
○尾形委員 8ページに「対応の方向について」ということで事務局から提案が行われておりますので、2点、意見を申し上げたいと思います。
 まず、1点目は最初の3つの「○」の部分ですが、全体として見ると今までお話が出ているように、現在、予算措置として実施している地域医療支援センターを医療法に位置づけるということですが、これは私は基本的には賛成です。法制化することによってさらに機能強化を図っていくということを期待したいと思います。
 4つ目の「○」ですが、ここでは現在、公的医療機関以外の医療機関等が、都道府県知事への協力義務、または協力の努力義務の対象となっていないということで、それを広げてはどうかという提案ですが、その後の「具体的には」というところを見ると、特定機能病院、地域医療支援病院、大学、その他の医療従事者の養成に関係する機関等に対しても、都道府県の施策に協力するよう努めることとするという、努力義務規定の提案になっています。
 最低限努力義務規定は必要だろうと思いますが、むしろさらに進めて、公的医療機関と同じく協力義務としてもよろしいのではないかというのが私の意見です。あるいはそういうことをすると、特定機能病院とか、地域医療支援病院の要件の見直しに波及するのかもしれませんけれども、波及してもいいのではないかと思います。
 以上です。
○田中部会長代理 藤本委員、どうぞ。
○藤本委員 先ほど相澤委員がおっしゃっていたように、まさにドクターがどういう思いや考えで働く場所を探しているかというところでいくと、要は自分が勉強できるところ、自分のキャリアを積んでいけるところで勤務したいと考えていらっしゃる方が大変多い。ですから、このような派遣のシステムをつくったとしても、派遣するところの力というか権限が、本当に一人一人のドクターに対して及ぶのだろうかという疑問を感じております。
 荒井委員がおっしゃったように、研修環境とかスキルアップするための環境を整えるというところで努力をするほうが、お互いにウイン・ウインの関係になれるのではないかと。
 派遣するための強制権のようなものをつくるよりも、キャリアアップのための環境整備に対する支援というところをやったほうが、回り道のような気はしますけれども、実行性があると思います。
○田中部会長代理 中川委員、どうぞ。
○中川委員 相澤先生と意見が大部分同じです。
 荒井知事がおっしゃいましたけれども、地域医療支援センター長が知事御自身なのですか。そこがちょっと違うかなという気がします。
 6ページをごらんいただくと、体制として専任医師が1名いて、専従職員が何名かいる。この貧弱な体制では到底機能しないと思うのです。ぜひそのところを予算づけとしてお考えいただきたいなと。
 お聞きしたいのですが、今、大学医学部の派遣機能がほとんどなくなって、次の議題の看護師不足もあって、民間医療機関は特に民間の医師、看護師、紹介業者、あっせん業者に頼らざるを得ないという場面がすごくふえているのです。そこで莫大な手数料をとられて、一部には余り信じたくないですが、年収の2割の手数料をとって1割を本人にバックしているという変な噂も出るくらいモラルハザードが生じています。
 そこでこの医療部会でもお願いしたことが何度かありますが、実態調査をぜひやってほしいとお願いしているのです。きょうは職業安定局の課長補佐の方がいらしているはずですので、ぜひ調査がどうなっているかお願いしたいのですが。
○田中部会長代理 では、職業安定局、お願いします。
○職業安定局課長補佐 職業紹介制度を所管しております、職業安定局需給調整事業課でございます。
 まず、本来、本日は課長が対応すべきところでございましたけれども、労働政策審議会において現在行っております、労働者派遣法にかかる見直しの審議の対応で日程の都合がつかなかったものですので、御容赦をいただければと思います。
 ただいまお尋ねのありました、医師や看護師の方々にかかる職業紹介の実態調査の検討状況でございますけれども、事務的な話になりますが、現在調査会社への委託という形で行うこととしておりまして、業者の選定を進めておるところでございます。
 中身の話でございますけれども、少し話が広がりますが、有料職業紹介事業のあり方につきましては、政府の規制改革会議からも本年度中の検討の着手ということを求められておるところでございまして、当方といたしましても、その閣議決定を踏まえた検討に着手するべく、まずは、業界の事業運営の実態を把握した上で検討に着手するということを考えております。
 各論でございますけれども、ただいま御指摘のありました医療従事者の方々にかかる照会の実態ということにつきましても、全体の調査の中でしかるべき項目を設けてその実態を把握したいと考えております。
 引き続き、医政局の協力を得ながら実態を把握できる調査項目を設定した上で、速やかに調査を行いたいと考えております。
 以上です。
○中川委員 説明ありがとうございました。
 非常におそいですね。スピード感を持って、ぜひ今の3倍ぐらいのスピードでやっていただきたいなと思います。ぜひよろしく、課長にお伝えください。
○田中部会長代理 荒井委員、どうぞ。
○荒井委員 資料の6ページの支援センターの事業内容で、都道府県が責任を持って解消に取り組むと言っていただいて、私は知事が責任を持つのはおかしいと言われるのは、はっきり言って余計なお世話です。こちらで決めることですから、責任を持って決めますので、そういうことを言っていただきたくないです。
 どのように実際にできるかどうかというのは、課題があります。先ほど相澤さんがおっしゃいましたが、民間病院とは言いませんが、医療機関は診療報酬で維持をされていますので、稼げる医者がたくさん欲しいという傾向はあると思います。
 それに対して、地域偏在、診療科偏在というのは何か。偏在を客観的資料で把握するというのは、今、どこの機関もなかなかしておりませんので、県民に対してこれだけの偏在があるよ。過疎地域、医療過疎の特に産婦人科がないとぴいぴい困っておられるわけですが、偏在をはっきりするという機能が前提になると申し上げたわけですけれども、その偏在を公正な立場で客観的に把握して、それを是正する機能をしようということですから、民間の稼ぐ医者を送れというのにあっせんする機能は、医療センターの仕事の外ではないかと私は思います。偏在を明確にするということと、あっせんの仕組みを見える化する。
 今、医師を強制的に配置できるのは一部の医局の先生だけです。そこに行かなければ後は知らんぞというように、行ってできるぐらいですので、今、医師にどこに行けと言える機能が全国は余りないと思います。支援センターですので、配置センターではありませんので、支援をどのようにするかというのと、あっせんと育成が中心になろうかと思っております。
○田中部会長代理 中川委員、どうぞ。
○中川委員 私は余計なお世話だと思わないのです。
 知事、稼げる医者をよこせと言っているというのは間違いですよ。医療機関は法律で決められた医師配置基準というのがあるのです。医師不足は、それすらも満たせないという非常に深刻状況なのです。そういうことはもちろんおわかりで言っているのですね。
 そして、どの診療科がどのくらい医者が足りないということは、各県大変な努力をして把握しています。そういうデータに基づいて偏在の解消ということを言っているのです。県内の地域間偏在、診療科間偏在、これを何とかしようと既に動いているのです。そういう認識のもとにやっていただきたい。
 ですから、そういう意味では地域医療支援センターの長が知事であるというのは、地位として偉すぎる方だと思います。もっと実務的な方がなるべきだと私は申し上げているのです。
 以上です。
○田中部会長代理 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 今の議論はちょっと食い違いもあるのではないかと思います。
 知事が最高責任であるのは間違いないけれども、センター長をするのかということはまた別だろうと。その辺りがちょっと行き違いがあったのではないかと思います。
 また、民間は稼げる医者を望むという発言については、中川先生と同じで、考え方を改めていただきたいと思います。
 私たち民間の場合は、正直言いまして補助金もありませんし、赤字になったからといってどこからも補填はありません。ということは、私たちが地域に対して良質な医療を提供して継続するためには、やはり黒字でなければなりません。ですから稼げる医者ではなくていい医者をよこしてくれと言っているはずです。しっかり住民から信頼されて、患者さんがたくさん来てくれるような医者を送っていただきたいということですので、これは民間病院であろうと、公的医療機関であろうと同じ要望だと思います。
 私たちは今、公的皆保険の中で医療をしていますから、設立主体が公であろうと私であろうと、言い方を変えると公的医療保険でやっているということでは全てがパブリックという考えもできるのではないかと思います。そういうことで、ぜひ設立主体で差別することなく、地域にとって必要な医療機関であれば同じような支援をしていただきたいと思います。
 それと、今回の方向ですが、地域医療支援センターをつくること自体は原則的に反対ではないのですが、言い方によっては公の仕組みみたいで、強制でするイメージも若干あります。そうなってはいけないと思います。
 やはり強制で行かされると医者は、行ってもモチベーションが上がりませんから、なかなかきちんと働かないのではないかなと思います。そういうことで医師派遣では何が大事かというと、先ほどいろいろな意見がありましたが、やはり医師が行ってもいいという環境づくりとか、片方では支援センターで、医師の意識改革もしていただきたいと思います。医師になった以上はきちんと地域医療に貢献するのだという教育、これも大事だと思います。
 それから、医療機関も少し考える必要があるのかなと。知事が言ったように、稼げる医者をよこせと言っているような、儲けだけを考えているように思われているのであれば、私たちは反省しなければならない。そうではないということを理解してもらうように私たちは努力していきたいと思っています。
 そういうことで、いろいろ総合的に支援する。ぜひそういうセンターをつくっていただきたいと思っています。
 以上です。
○田中部会長代理 相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 日本の医療というのは、それがいい、悪いにかかわらず、さまざまな設立主体があって日本の医療というのを支えています。それによって国民は恩恵をこうむっているのだろうと私は思っています。だから、設立主体がどこであるかということではなくて、その地域にどんな医療がどれくらい必要なのかということを私は把握すべきだと思っています。そういうことによって、そこに必要な医師数だとか、あるいは病院の数がわかってきて、それが公立病院なのか公的病院なのか、医療法人病院なのかは関係なく、国民の健康と生命を守るために必要なのだという視点で、まず、考えていただきたいなというぐあいに思います。
 そこの中であえて言うと、どうしても今の地域医療支援センターの制度というのは、残念ながら知事が先ほどちょっとおっしゃっていたように、どうしても公立病院寄りであり、公的病院寄りであるのは間違いのない事実だと思います。そして、私が聞いた話によると、ある県によっては大学の医師派遣の仕組みの代がえを今はやっているだけだというところもあるやに私は聞いております。
 それでは国民すべからくの幸せにならないわけです、ですから、この地域医療支援センターの仕組みというのは非常に重要だと思っていますし、ここに私は公平を持って、きちんとした判断基準を持った仕組みをつくっていただきたいなというぐあいに思っております。
 以上です。
○田中部会長代理 白鳥委員、どうぞ。
○白鳥委員 私が聞いていて非常に気になるのは、どこに何人置けばいいとか、何人必要だとか、私も医師なのですけれども、単に頭数をここに配置すればいい。そのための人数は何人だ、そのための制度はどうだと、そういうふうに聞こえてしようがなくて、私は自分も医師ですけれども、生涯勉強していくという、医師というのはどの医師も当然だと思うのですけれども、生涯研修していかなければいけない。
 そうなったときに、先ほども御意見があったと思います。ただ紙1枚で、君、あそこに行きたまえでは、今の若い人たちは行きません。私も院長をしていますけれども、申しわけありませんけれども、私の一言で誰も動きません。
 やはり今は、その病院にいかにこういう魅力があるか。そしてその期間、そこへ1年でも行けばこういう研修ができると。そういうものが明確に出ていないと、単に3人行かせたからどうのとか、2人行かされたからどうの。そういうことは無理に行かせても、結局途中で帰ってきてしまうのです。
 私もうちの派遣する関連病院の先生方にはいつもお願いしているのですけれども、やはり魅力ある研修プログラム、それは民間病院でも同じだと思うのです。そういったものをしっかりと提示できる。そしてそういう意味で指導体制なり、それは別に専門医の先生の必要はありません。臨床経験豊富な方、こういった指導員がいらっしゃるということさえあれば、かなり遠くても行ってみたいと言ってくれる先生は絶対いると思うのです。
 ですから、この地域医療支援センターでは、先ほど藤本委員もおっしゃったように、ぜひ単にあっせん業ではなく、むしろ各医療施設の特徴をいかにアピールして、そこにアピールできるような制度なりそういったものに支援するといった方向性というのは、長い目で見たらそのほうがずっと自然に先生方が行ってくれるようになるのではないかと、そうつくづく思いましたのでつけ加えさせていただきました。
○田中部会長代理 ありがとうございます。
 まだ議論があるかもしれませんが、さらに資料を2つ議論しなければならないので、一応ここで終わりにします。
 支援センターの機能が十分かどうかは別として、医療法に位置づけるという方向について特段の反対はなかったので、きっと皆さんは賛成だと思います。
 時間の都合で、資料2と3をまとめて説明をお願いします。
○医療労働企画官 医療労働企画官でございます。
 まず、資料2「看護職員確保対策」について御説明を申し上げます。
 1ページおめくりいただきまして、これまでの議論についてということでございますが、この部会の一昨年12月22日の報告、国民会議の報告においても看護職員確保の必要性について触れられているところでございます。
 また、3ページ「法制上の措置」いわゆるプログラム法の中身を閣議決定したものでございますが、こちらにおきましても、真ん中のところに線を引いておりますが、看護職員確保対策について位置づけられているという状況でございます。
 4ページ、現状と背景ということで3点ほど書かせていただいておりますが、偏在を背景とした看護職員不足についての医療現場の指摘がございます。
 現行の第7次需給見通しですと、ほぼ需給が拮抗するという見通しの数字が出ておりますが、やはり偏在ということを背景として、看護職員は足りないという御指摘があるところでございます。また、夜勤・交代制勤務など厳しい勤務環境の指摘、あるいはワークライフバランス確保の指摘がございます。さらに、3点目としては、社会保障・税一体改革の推進に向けたマンパワー増強の必要性ということでございまして、これは23年6月の医療介護にかかる長期推計の試算などということでございますが、一定の前提を置いた上で、2025年に看護職員数約200万人という試算が出されているところでございます。
 次に、4ページの下半分でございますが、平成23年度の数字でございます。年度によって前後ございますが、約5万人ほど毎年新規で免許取得をされる一方で、やめたり戻ったりする中で年々2~3万ずつ減少している。この年でいうと、約2.4万人の看護職員が看護の世界から外れているということでございます。
 そうした中、就業者数は約150万という状況でございますが、一方でいわゆる潜在看護職員は、最新の厚生労働科学研究による推計ですと、71万人という状況でございます。
 次に、5ページ、こうした現状を踏まえてどのような確保対策を行うかということでございます。
 (2)の勤務環境については次の議題のところで御説明申し上げますが、医療法の改正により、医療機関の勤務環境を改善する仕組みを導入すべきではないかということでございます。
 (3)につきましては、新規養成についてということでございまして、少子高齢化が進む中で18歳人口が減るということを想定しまして、これからはいわゆる大卒社会人経験のある方を看護職として取り込んでいく必要があるのではないかという問題意識でございます。
 今回の法改正で必要な事項ということでございますが、先ほど約71万人と御紹介しました潜在看護職員の確保という観点で、(1)を赤枠で囲んでございますが、看護師等免許を持っている方について、現状、業務従事中の者については届出の制度がございますが、非従事者については把握はできないということでございます。
 そこで、ナースセンターという制度、これは47都道府県に県知事が指定をするという形で、看護師等人材確保促進法に基づいて運営をされており、看護職員の復職支援の機関という形で法律に位置づけられた制度でございますが、ここを活用して離職後も一定の「つながり」を確保しまして、ライフサイクルを通じて適切なタイミングで復職支援をすることが必要ではないかということでございます。
 具体的な法改正の方向性につきましては、6ページをご覧ください。
 先ほど御説明しましたとおり、現状、潜在看護師を把握する仕組みが存在しないという中で、一方で、今、御紹介しました看護師等人材確保促進法に基づきまして、各都道府県ごとに無料職業紹介事業を実施する「ナースセンター」という制度がございます。しかし一方で、必ずしも十分機能していない実情にあるということでございます。
 こうした中で、対応の方向性でございますが、ナースセンターについて、さきほど委員から民間職業紹介に関する御意見もございましたが、まずはこうした公的な職業紹介事業の機能強化を図っていくべきではないかということでございます。
 2点目「その際」というところでございますが、もう一つの、看護だけではなくて、全ての業態を対象としました公的な職業紹介機関である、ハローワークとの連携の促進ということは、これまでも取り組んできているところでございます。既に連携のモデル事業等も実施しているところでございますが、こうした取り組みを進めつつ、さらにきめ細やかなナースセンターを活用した復職支援を進めていく、潜在看護職員の掘り起こしを進めていくという観点から、1点目、まずは看護師等を把握するということでございまして、看護師等、これは保・助・看・准看含めてということでございますが、看護師等資格保持者のうち一定の方に対して、ナースセンターに対して住所等の連絡先、必要な情報の届出を義務化することとし、ナースセンターが資格保持者の情報を把握できるよう制度的な対応を講じてはどうかということでございます。
 また、効果的な事業実施という観点で、これは免許の関係とか、あるいはハローワーク等の情報ということでございますが、既に行政機関が保有している情報について、いろいろ制約はあると思いますが、その活用についてもあわせて検討してはどうかということでございます。
 2点目、そうした把握をするだけではなくて、ナースセンターのサービスの中身の強化というところも必要でございます。スムーズな復職支援をするためには、ナースセンターによるサービスの機能強化を図っていく、中身自体の見直しを図っていくことも必要でございまして、そうしたナースセンターの提供サービスの改善・充実が必要ではないかということでございます。
 3点目、そうしたナースセンターのサービスの見直しを図るためには、看護師等資格保持者(求職者)や医療機関(求人側)、そういうユーザーサイドのニーズについてしっかり調査・研究をして分析をするべきではないかということでございます。
 こうした点について御審議をお願いしたいと思います。
 また、一括で説明をというご指示でございますので、あわせて資料3に進んでいきたいと思います。
 医療機関の勤務環境改善についてでございます。
 2ページですが、医療部会の先の報告の中でも、病院勤務医の疲弊、看護職員の不足、こうした点から、医療従事者の労働環境改善についての指摘がございます。
 また、国民会議でも同様の指摘があるところでございます。
 それを踏まえまして、法制上の措置の骨子の閣議決定の中にも、2のところでございますが、明確に勤務環境の改善等に係る施策が位置づけられているという状況でございます。
 4ページ、厚生労働省のこれまでの取り組みということで御紹介をさせていただきます。
 省内のプロジェクトチームということではございますが、本年2月8日に労働行政だけではなくて、医療政策としても、医療機関の勤務環境改善に取り組むという取りまとめをしたところでございます。
 また、日本医師会、日本看護協会、これら関係団体の取り組みとの連携をするという方針で取り組んでいるところでございます。
 5ページにつきましては、こうした勤務環境改善の必要性について、やはりニーズを踏まえたきめ細やかな支援の必要性ということで、厚生労働科学研究を活用した報告書の中でも提言をいただいているところでございます。
 6ページ、今の背景ということで若干データ的なものを触れさせていただいております。
 少子高齢化、医療ニーズの多様化で、さらに環境が厳しくなっているという状況。
 「偏在」を背景とした医療スタッフ確保困難な指摘が現場からあるという状況。
 また、若い世代の職業意識の変化ということでございまして、昔はプロ意識ということで業務を進めていたわけですが、最近は若い世代を中心に労働環境に対しての意識が非常に強くなっているというデータが出ているところでございます。
 下半分については労働時間についてということで、厳しい労働時間についてのデータということでお示しをさせていただいております。
 これらを踏まえまして「対応の方向 医療機関の勤務環境改善システムの構築」ということでございます。
 まず、やめない環境づくり、働きやすい環境づくりということで、国が指針を策定いたしまして、各医療機関がいわゆるPDCAサイクルを活用して働きやすい環境整備を図る、そういうシステムをつくるということでございます。こちらは国のほうで今、厚生労働科学研究等を活用しまして、制度化に向けたガイドラインづくり等の研究をしているところでございます。
 また、あわせて、こうした取り組みを支援する支援体制を構築してはどうかということでございます。
 右半分のところに載ってございますが、必ずしも中小病院を中心に、なかなか簡単に勤務環境を改善というところが進まないという御意見もございますので、そうした病院に対する支援を行うという観点で、各都道府県ごとに医療機関のニーズに応じた相談支援あるいは専門家派遣、これは労務管理、医療経営面を含めてということでございますが、そうした支援センターをつくってはどうかということであります。
 これは県が設置主体ということですが、県は、医師確保、看護職員確保等の医療従事者の確保対策は既に担っておられるということで、そうした機能の一環として都道府県の事業ということで位置づけてはどうかということでございますが、その運営については、医療団体等、一定の団体に委託するなどの柔軟な実施体制を想定しているということであります。
 その上で、運営協議会的なものをつくりまして、地域の医療関係者等がこの運営に参画をする体制をしいてはどうかという提案でございます。これまで医政局のほうで、いろいろ医療機関に対する経営支援のための事業も実施してきたところでございますので、そうした取り組みも参考にしながらこの制度を仕組んでいきたいと考えております。
 8ページ、ガイドラインについてのイメージということでございます。
 医療従事者の定着支援ということですので、もちろん労務管理の面、つまり働き方・休み方という面は含まれるわけですが、それ以外にも、例えば医療スタッフの健康支援、あるいはもう少し幅広く院内保育所の整備、休憩スペースの設置、子育て中の方に対する残業免除等の働きやすい環境整備、ハラスメント対策、あるいは、自分がこの医療機関で働いて働きがいを感じるようなキャリア形成支援、といった幅広い分野について、各医療機関の中で現状の分析をして、勤務環境改善計画づくりをしていただくことを想定しているところでございます。
 具体的に、実際人繰りが苦しい中でどう対応するかということでございますが、9ページ以降にデータ的なものを書いてございます。
 これは既に平成20年以降、診療報酬の中で勤務環境改善の措置が講じられているところでございますが、保険局医療課の調査でございまして、病院勤務医等の負担軽減に有効であったという施策がまとめられております。これは既に公表されているデータでございますが、9ページ、10ページ、11ページ等をごらんいただければと思いますが、要するに医療機関内での役割分担の推進、勤務体制の工夫、ICTツールの活用、どのようなことが効果があったのかというデータが示されているということでございます。
 最後に、12ページ、今後の対応の方向、論点ということでございます。
 医師、看護職員をはじめとした医療従事者の確保を図るという観点から、医療機関の主体的な取り組みを通じまして、労務管理面のみならず、ワークライフバランスなど幅広い観点を視野に入れて、働きがいのある医療機関づくりを推進してはどうかということでございます。これは「医療従事者の離職防止・定着対策」を講ずるという視点で必要ではないかということでございます。
 こうした対応を効果的に推進するという観点で、国においても研究事業等を活用しまして、指針を策定するということであります。
 さらに「あわせて」ということで、都道府県において、こうした改善に向けた取り組みを行う個々の医療機関の個別の状況、ニーズに応じて、きめ細やかに支援を行う、そういう総合的、専門的な支援体制を構築することが必要ではないかということでございます。そうすることによって、より医療従事者の定着率を高める必要性が高い医療機関などに対して、都道府県が地域の医療関係団体等々と連携をしまして、効果的な勤務環境の改善策を積極的に助言・指導するような対応ができることとしてはどうかということでございます。
 以上でございます。御審議よろしくお願い申し上げます。
○田中部会長代理 ありがとうございました。
 質問・御意見をお願いします。西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 済みません、途中で退室しなければならないものですから、意見だけ言わせていただきます。
 まず、1つ目のナースセンターの件ですが、こちらは看護師の対策ということで、機能強化はよろしいと思っています。
 ただ、資料の18ページを見ますと、ナースセンター、ハローワークの実績がありますが、ハローワーク5.1万人、ナースセンター1.2万人ということで、比べると現在のところハローワークのほうが非常にいい。このような機能をナースセンター中心でやるということになれば、この今の実績、組織では、ナースセンターでは無理だろうと思うので形を変えていただきたい。要するにナースセンターに置くのはいいのですが、組織がどういう構成になっているかわかりませんが、その中にやはり医療機関だとか、病院団体とか医師会とか、そういうところの代表も入れて、ナースセンターとしていただきたいと思います。ナースセンターへの登録自体は賛成でございます。
 3番目ですが、医療機関の勤務環境改善はしなければならないと思っています。
 しかしながら、勤務環境改善というのは、すなわち医療機関の経営がよくなければできないということです。経営が悪い中ではできないということで、やはり支援というのはある意味でお金のことと人のことであると思います。お金のほうはやはり診療報酬できちんとつけていただきたい。人のほうはなかなか僻地では難しいとなれば、そこをどう工夫するかも問題だと思っています。
 勤務環境改善ということは、言い方を変えると、経営改善支援ということにもなると思っています。経営改善支援ということでは、厚労省のほうでかなり前からやっております。私の記憶でも平成7年から8年にかけて当時の厚生省の健政局で、たしか病院の経営改善支援事業などがあったのではないかなと思っています。私は北海道ですが、北海道の病院協会も多分委託を受けて相談員を置いて、研修を行ったり、各医療機関の相談に行った記憶があります。そのときの相談内容は、医療従事者が少ないからどうしたらいいのかなどで、かなり勤務環境についての相談を受けた記憶がございます。そういうことで、過去のいろいろな実績もぜひ洗い出していただいて、今までやって非常によかったものは取り入れてやっていただければと思います。
 以上でございます。
○田中部会長代理 今村委員、どうぞ。
○今村委員 医療機関の勤務環境の改善のお話につきましては、先ほど事務局からの御説明の中でも、日本医師会の取り組みということで御紹介いただいたので、補足の説明をさせていただきたいと思います。
 労働環境についての調査は今までさまざまなところから出ていますので、過重労働であることははっきりしているわけですけれども、国民の方に安全・安心の医療を提供するためには、医療関係者らが健康でなければならないという当然の前提がある中で、ちょうど6年ほど前、日本医師会で1万人の調査をしたところ、メンタルを含めて極めて厳しい状況にあるということがわかりました。
 したがって、日本医師会は、勤務医の方たちの健康状況をいかに改善できるかということを最優先として取り組もうということで、さまざまな取り組みをした中で、1つが、いわゆる勤務環境改善のワークショップというものを全国の県医師会、あるいは医学会の分科会に開催をしていただいたわけです。私も産業保健の担当理事で、産業保健制度というのは日本の企業の中にあるわけですけれども、日本医師会で今、8万6,000人の産業医を養成しておりますが、最も産業保健の恩恵から取り残されているところの1つが医療機関ではないかという認識を持っています。今ある制度をどうやって活用するのかということも大変重要だと思っています。
 その中で、ワークショップを開いた中で気がついた、これはそれぞれの県内の医療機関の経営者、院長先生、産業医等が集まっていただいたわけですけれども、今ある法律そのものも十分に認識されていない。きょう、ここにお集まりの病院の先生方は当然そんなことはよく熟知されていると思いますが、今のさまざまな労働に関係する法律というものも十分には周知されていない。
 もちろん法律どおりがんじがらめに実施したら、今の医療が回らなくなるのは当たり前のことですが、少なくともこういった法律があって、それに向かってどう改善するかということを、やはり医療現場で認識することがとても大事だということが、そのとき参加された多くの院長先生や、病院経営者の皆さんの御意見でありました。
 そういった中で日本医師会としては、中段にもありますような勤務環境改善のための医師の働き方のガイドラインのようなものを既につくらせていただいているわけで、私としては、いわゆる今までのような労働基準監督署の取り締まりという形で医療機関の勤務環境を改善するのではなくて、医療機関がみずから自発的に、今ある中で何の取り組みができるのか、何をしていかなければいけないのかという認識を持って進むことは大変大事なことです。その大前提として西澤先生がおっしゃったような病院経営があります。人とお金の話はなければどうしようもないことなので、それは当然のこととして、でも現場としてできることをやっていきたいという中で、医療関係者にこういう支援センター的なものを任せていただいて取り組みができるということは、非常に有意義なことだと思っています。
○田中部会長代理 ありがとうございました。
 日野委員、どうぞ。
○日野委員 きょうの議題につきましては、大筋においては結構なことで、気合を入れてやっていただきたい。担当者はだらしないですね。働いていないという印象を非常に受けます。そこらを話してほしいのですが、2つ言いたいことがあります。
 1つは地域偏在の問題で、相澤先生がおっしゃられた、ここにこういうニーズがあるからこういう配置をしろという考え方をして、効率的に医療資源は分配しないと、荒井知事の言われたような過疎地に産科医を置けと言って、過疎地で子供が生まれますか。そういうことを考えてください。そういうことではなくて、過疎地はむしろインフラとしてドクターヘリなり、道路の整備は大げさですけれども、別の対策を考えないと、地域偏在というのは2種類ありまして、東京のように自分の子息をいい学校に入れたいということで、医師が過剰になっている地域偏在。これは問題ないと思います。自分の勝手ですからそれはやってもらっていいと思います。
 過疎地につきましては、果たして過疎地に専門医とか、高度な医療が要るのかということをきちんと整理して論じていかなければいけないと思います。私は要らないと思います。
 もう一つ頭の中にぜひ入れておいていただきたいのは、疾病構造の変化でして、病院で医師を雇用する際に、40歳未満の医師はなかなか難しい。というのは、患者さんの75%はもう既に高齢者なのです。高齢者とコミュニケーションができないのです。歳だけの問題でなくて無論できる方もおられるのですが、非常に少ないです。育ってきた環境も違いますし、本当に戦後というか、第二次世界大戦の後、復興してきた経験を持つ世代の人の考え方と、それよりもっと若くて一度も食うに困った経験のない人とでは話が合わないのです。
 ですから、もうおっしゃられましたけれども、卒業したての医者はどうかというので、卒業したての医者は使いものになりません。
 それを考えて、数だけ出して論じるのではなく、使ってみてというのは失礼な話ですけれども、勤めていただいて、非常に病院の中で中核的な役割を果たしていただいて、患者さんにも納得してもらえるというのは、少なくとも50を超えた先生でして、そういう先生がやがて10年、20年たてばどうなるかということも頭に置きつつ論議を進めていただけたらと思います。
 以上です。
○田中部会長代理 ありがとうございました。
 菊池委員、お願いします。
○菊池委員 資料2の看護職員確保対策につきましては、6ページに対応の方向が出ておりますけれども、復職支援を強化するためにナースセンターの機能強化を図るという方向性に賛成です。
 1に記載されております、ナースセンターへ看護資格保持者が届け出るという制度は、平成4年の看護の人確法の制定以来、初めて追加のシステムということで考えられている大きな話と認識しています。
 実効性のあるシステムにするには、新たな仕組みの構築に際して、システム開発やシステムの運営のあり方、そこに従事する職員の確保に向けた財政的支援など、国や県からの支援が必要と考えおります。
 また、6ページに書いてあります行政機関が保有する情報の活用ということにつきましては、ハローワークとの連携や、保助看法上の看護師籍や業務従事者届出などとの連動ができれば、看護職の利用者の利便性も高まって効果的になるのではないかと考えますので、御検討いただければと思います。
 また、看護職員確保の状況は地域によって異なりますので、新たな仕組みの構築には、県内でナースセンターの運営協議会などで十分に協議する必要があると考えております。
 質問ですけれども、看護資格保持者のうち一定の者に対し届出を義務化すると書いてございますけれども、一定の者というのは具体的にどういうことをお考えなのかということを御説明していただければと思います。71万人の潜在看護職員が既におりますけれども、ある県では県内の全病院との連携で、潜在予備軍となりやすい退職者についてナースセンターの登録に取り組んだ結果、登録に結びついたという事例もございますので、そういう先行事例を踏まえまして、再就業への実効性が伴うような一定の者というのを検討する必要があるのではないかと思います。
 もう一つ質問なのですけれども、先ほどの図の中で潜在看護職員が71万人とございますが、その内訳は、年齢階層、地域、職種などもう少し具体的なことがおわかりでしたら御説明をいただければと思います。
○田中部会長代理 企画官、お願いします。
○医療労働企画官 まず、1点目の御質問について、6ページの1の看護師等資格保持者のうち一定の者についての「一定の者」の中身であります。
 これは結論から言いますと今後検討ということでございまして、登録の義務化をする場合に、効果を上げるために一定のターゲットを絞ってやる必要があるのではないかという問題意識で書かせていただいております。
 今後はいろいろ御議論をしていただいて詰めたいと思いますが、例えば今、御指摘のように離職者に絞る、あるいは年齢で絞る、これから新規取得の方に絞る、いろいろな案が考えられると思いますので、そのあたりの中から最も効果的なものについて、これから検討していきたいと思います。
 それから、2点目であります。
 今、手元に詳しい数字がないわけでありますが、厚生労働科学研究の中で試算したものがございますので、後ほど数字・データについて可能なものを提供させていただきたいと思います。
○田中部会長代理 高智委員、どうぞ。
○高智委員 看護職員確保対策の問題でございます。
 14ページの退職理由のうち、周囲からのサポートがあれば退職しないで済む方策が見出せるのではないかというところもございます。ただ、出産・育児のため、超過勤務や夜勤の負担、休暇取得の難しさなどを見ますと、保育所の充実、特に病気のお子さんあるいは病み上がり後のお子さん、これらの方々を見るという保育所でございます。あるいはチーム医療の推進などを通じた業務の分担を図ることなどをいたしまして、勤務環境の改善をしないと、いくら登録制度を整備・推進したといたしましても、状況は余り変わってこないのではないかと思っております。
 潜在看護師の発掘ということでございますけれども、これは机上のプランがあまり有効でないということ。人心をとらまえる意味で言えば、仮に新たに潜在看護師として発掘された方御自身の目線に立ちますと、非常に大きな不安が前に立ちはだかると思います。マニュアルの進化、ヒヤリ・ハット集の追記、新薬、新しい注射、リンゲル等の技術、装着技術など日々医療は進歩しており、昔から見れば浦島太郎のような状態ということだと思います。
 その辺をきちんと見て差し上げるためには、ここに書いてございます研修ということにもう少しライトを当てまして、即効性のある、そして深みのある、現場のプラクティカルな目線でカリキュラムを新しくつくる必要があろうかと思います。
 資料では、女性の数が多い職場というフレーズも出ているわけでございますけれども、やはり看護師という名前になったわけでございますので、男性の看護師の採用につきましても、同時に組み合わせて考えていくべきではないか。
 それから、資料には載っておりますけれども、非常に難しいと思いますがぜひやっていただきたいのは、大卒、社会人経験者の新規養成。その方たちに対しましては、やはりきちんとしたガイダンスが必要であろうかと思います。
 以上でございます。
○田中部会長代理 小林参考人、お願いします。
○小林参考人 ありがとうございます。
 ありがとうございます。
 同じく看護職員の確保に関して、ページ14に「看護職員として退職経験のある者の退職理由」がありますけれども、私たち連合で行った調査で把握するところと比較しますと、結果として若干温度差があるなと思ったのが賃金の問題でして、私どもの調査ですと、看護職を辞めようと思った方に聞いたのですが、最も多かった理由は努力に見合った賃金がないということでございました。従って、賃金を引き上げていくという観点もぜひ忘れないでいただきたいと思っております。全体的な勤務環境改善については、資料3の8ページ、ガイドラインの中にいろいろな「改善」領域が例示されていますけれども、これも看護調査によれば、時間外労働時間が長いほど看護職を辞めようと思った方の割合が高まっている傾向が見られておりまして、そこの改善が必要ではないかという問題意識を持っております。
 また、所定の業務開始時刻前に皆さん責任感を持っていろいろな準備、点検をなさっているところを、時間外労働として申請しいない実態もあり、その辺の職場の点検活動がまず重要なのではないかと思っております。
 ほかにも夜勤の負担や、休暇がなかなか取れない、あるいは勤務と勤務の間隔が非常に短い例が見られるほか、ハラスメントについてもパワハラ、セクハラを受けているという回答もありました。概ねここに例示されているのですが、そういったものの実効性をしっかり確保していただきたいと思っております。
 私どもでできる役割があるのは承知しておりますので、その辺は頑張っていきたいと思っております。
○田中部会長代理 和田委員、どうぞ。
○和田委員 なかなか歯科のほうからの発言というのは、かかわりがあるのかなと思われるかもわかりませんが、2点、歯科のほうからお話といいますか、お願いをしたいと思います。
 資料1にありますいわゆる医師確保対策の部分ですが、(2)に医師の養成とございます。やはり歯科医師の養成に関しても、今の医療提供体制の中では大変難しい状況にあるなというのは、1つは高齢化時代でございまして、今まで歯科というのは基本的に外来を主として、診療所と完結するという状況でございましたけれども、高齢者あるいは在宅医療、老健の場面、医科の入院の患者さん、そういう私どもがかかわっている場面が大変広がっておりまして、これに対応するために、ぜひ歯科医師の臨床研修の場でこういうそれぞれの場面に対応できるような現場の研修というのを充実させていただきたいなと思っております。
 それから、資料3のいわゆるチーム医療という形でそれぞれの負担軽減のお話が出ていますが、例えば医師、看護師の業務分担というのであれば、いわゆる医師、看護師と私ども歯科医師・歯科衛生士が口腔管理の業務分担を担っていけば、この負担の軽減の一助にもなるし、あるいは高齢化時代の患者さんのQOLを上げていくということ、または入院日数の短縮だとか、術後感染症の軽減とかそういういろいろな事例が報告をされておりますので、ぜひこういう業務分担という目線の中で医科歯科連携、いわゆる医科医療と歯科の部分が連携できるような形も、有効な策ではないかという思いがいたしましたので発言をいたしました。
○田中部会長代理 安部委員、どうぞ。
○安部委員 資料3の勤務環境改善について一言申し上げさせていただきたいと思います。
 9ページから11ページに勤務医及び看護職員の負担軽減の有効策に関して、取り組みの調査というものが示されております。現場感覚から言っても、実際に本当にこれは重要なポイントと感じております。
 この中に薬剤師のかかわりについても示唆いただいております。前回の診療報酬から薬剤師が病棟で配置されることが評価されまして、現在約1,000医療機関で病棟薬剤管理実施加算というものが算定されるまでになりました。
 そういった意味では、薬剤師もこの勤務改善の中で病棟配置等を通して、負担の軽減でありますとか、医薬品の適正使用、インシデントの防止というものに十分に貢献できると考えております。
 そういった意味では、勤務環境改善を考える上で、9ページ、11ページの一番最初に書いてございます「チーム医療の推進」というのは、非常に大きなポイントになるのかなと思っております。
 ただ、チーム医療については別途議論をされているので、今後その議論を待ってこの中に入ってくるのかもしれませんが、今回については、例えば12ページの対応の方向性でありますとか、ガイドラインのあり方というのが勤務体制の工夫とかにフォーカスしているので、今後チーム医療の議論等が進んだ場合には、このガイドラインでありますとか、取り組みの方向性については、チーム医療の観点というものも絡めて、総合的に検討していただきたいなと考えております。
 以上です。
○田中部会長代理 今村委員、どうぞ。
○今村委員 このチーム医療の話というのは、とても重要な課題だという認識は今の御発言のとおりだと思っています。
 これは厚生労働の中で今、役割分担についての議論が進んでいるわけですが、私は今回ここにこれが提案されているのは、チーム医療をどうするかということをここで議論するのではなくて、それぞれの医療機関の現場の中で医師と、うちの病院だったらこういうことを今の法律の範囲の中で、もうちょっと工夫したほうがいいのではないかということをアドバイスする仕組みをどうするかを議論しているのだという理解をしておりますので、大事な視点だとは思いますが、そのことだけを余り取り上げるということではないほうがいいかなと思っていいます。
○田中部会長代理 藤本委員、どうぞ。
○藤本委員 このそれぞれの医療機関の職場改善とは大変重要だと思っていますが、これ以上患者さんをできるだけふやさないようにするための取り組みが、大変重要になってくると思っています。
 そういう意味では、先ほどお話にあった潜在看護師さんにうまく職場に復帰していただくことも大事なのですが、例えば、地域で病気予防のための保健的な介入ができるような準保健師としての訓練を看護協会のほうでするなり、あるいは看護学部のあるようなところでするなりして、病院でのハードな勤務はできないけれども、パートの勤務で地域を周回って病気予防の介入や、保健的な事業だったらできるという看護師さんの活用も一つの方法であるあると思います。
 また救急の患者さんの軽傷者を減らすことも大事な視点だと思います。
 私たちの地域では医師不足ということで、医療資源を大切に使いましょうという啓発活動をしてきました。救急搬送の患者の重症度別割合を見ますと、軽傷者が圧倒的に多いのは、実は病気ではなくて交通事故なのです。交通事故は、必ずと言っていいほど事故が起これば救急車を呼ぶという流れになっているので、交通事故を減らすことも医療現場の方たちの忙しさを軽減するために非常に重要です。医療機関の中の努力と同時に、以上のような不要不急の患者さんをできるだけふやさないようにするといった取り組みも、しかるべき部署が責任を持って、これからしっかりやっていく必要があると思いました。それが医療法の中に位置づけられるかどうかはわかりませんが、やはり行政のほうでしっかりやっていただきたいと思いますので、発言させていただきました。
○田中部会長代理 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 勤務環境の改善ですが、医師にしても看護師にしても絶対数が足りないということなのです。したがって、これはその中でどうやっていくかというのは、幾ら総論的に考えても実態的な効果がなかなか出てこないという感じがしております。
 それと、ナースセンターの機能を強化するということは賛成ですが、実質的にナースセンターを通じて就業したのが1万人、ハローワークを通じて就職したのが5万人という数で、5倍も違うわけです。これがどうしてこうなっているかということをきちんと検証しなければいけないと思います。実はナースセンターは非常に人事が硬直化し、天下り人事みたいな経営が実際的に行われているセンターが非常に多いのです。したがって、センター長が自分のセンターの役割をきちんと考えられ、モチベーションのあるセンター長を置かなければ、幾ら強化をすると言っても、実態的には動かないのではないか感じています。
 次に出てくるのは薬剤師の問題だったと思いますが、実は今、精神科病院の勤務薬剤師が紹介あっせん業者を通して、調剤薬局にかなりの数が引き抜かれています。民間病院ではとても支給できないような高給で、現在の年俸プラス200万とか250万とかとんでもない給料で引き抜いていかれてしまうわけでして、それだけの報酬を払えるという、診療報酬のあり方もきちんと検証するべきだと思います。
 もう一つは、医師の過重労働の話ですが、荒井知事さんのところの奈良県立医大の裁判の話があったわけですが、年120日というとんでもない数の当直日勤をしているわけです。
 したがって、年120日の当直日勤を看護師さんに強いたら大変な話になるのですけれども、医者にそういう労働を強いても、余りみんな変だと思わない社会的な環境というか、そこをきちんと整理をしないと、この問題は解決していかないのかなと考えています。
○田中部会長代理 看護問題ですので、看護協会の発言をどうぞ。
 あと2人で終わりにします。
○菊池委員 2点、まず、ナースセンターの関連ですけれども、先ほどからハローワークとの実績の違いということが言われておりますが、これにつきましては、ナースセンターは全国に60カ所もないということで、ハローワークは600カ所ぐらいあるということと、ハローワークは雇用保険の手続で行かなければいけない場所ということで、そういう条件の違いがございますので、そこは考慮していただければと思います。
 ナースセンターの職員につきましても、県行政からの委託事業ということで、かなり賃金は安い形で抑えられておりますので、なかなか若い人を職員として採用しづらいということもあるかと思いますので、そこら辺の体制強化については、これから図る必要はあるとこちらも考えてはおりますけれども、そういう点も今の段階ではあるかと思っております。
 2点目の医療機関の勤務環境改善につきまして、こちらは看護職員確保の対策の柱にも挙げられておりますように、看護職員確保対策としても非常に重要なことだと考えております。
 本会が全国の43の都道府県でワークライフバランスのワークショップ事業を展開しておりますけれども、その中で取り組んだ病院では離職率が低下したなどの効果が出ております。
 医療機関の勤務環境改善がうまくできるためには、3つの成功の鍵があるのではないかということを考えておりまして、1つは、各病院が改善に取り組むということのための枠組みを示すこと。2つ目は、うまくできているところの好事例を参考として示すこと。3番目として、外部からの看護管理や人事労務管理等の専門家の支援があるということが、成功の鍵になっていたということが経験からわかりました。
 この3点が有効に機能するには、地域の中で、その県の中で推進する実施体制があるということが非常に効果的だということで考えておりますので、今回提示されていますように、都道府県において医療勤務環境改善の支援を行うということは、非常に重要であり、有効だと考えております。
 以上です。
○田中部会長代理 安部委員、相澤委員、それぞれ簡潔にお願いします。
○安部委員 山崎委員のほうから薬剤師の給与のことで御発言がありました。
 薬剤師の給与はいろいろございます。先ほどから話がありますように、人材派遣会社を通しているかとか、薬剤師が極めて少ない地方の給料、労働環境、さまざまな違いがございます。この場ではそれを深く議論する場ではございませんので、今後、中医協等で薬剤師の給与が出てくると思いますので、そのところで客観的な数字をもってお話をいただければと思います。
 以上です。
○相澤委員 今、若い方とつき合っていても非常に感ずるのは生き方、いろいろなものに対する価値観、労働に対する考え方、すごく多様化しています。さまざまな考え方があって、昔のように医師は医療のために命も投げ打ってという医師は、ほとんどいないと言ってもいいくらいの状況になっています。
 そういう中で、私は若い人たちが望んでいるのは、大勢をサポートするのではなくて、自分をサポートしてくれる人なのです。マイサポーターなのです。マイサポーターをつくるためには、恐らく県に1カ所センターを置いても私はだめではないかなと思っています。
 医療機関の勤務改善の14ページに、労働基準局の予算で労働管理支援事業と医政局の予算で医業分野アドバイザーがいて、この方々が一体的な支援をするとなっているのですが、予算が異なるところから出るとなかなか協力し合えないものがあって、ぜひこれを実のあるものにしてほしいということと、この事業で、ナースセンターと地域医療支援センターがうまくつながって、マイサポーターをつくる仕組みをぜひつくっていただきたい。それが現代の価値観が多様化し、働き方が多様化している中で、私は一番効果があるのではないかなと思うので、ぜひそのような仕組みをつくっていただきたいということをお願いしたいと思います。
○田中部会長代理 予定の時間になりました。皆様から貴重な御意見ありがとうございました。本日の議論の内容については、12月末の意見書取りまとめに向けて、事務局にて整理していただくことになります。
 最後に、事務局から補足すべき事項がありましたらお願いします。
○医療政策企画官 次回の開催については、来週11日を予定しております。よろしくお願いいたします。
○田中部会長代理 では、本日はこれまでとさせていただきます。
 お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(了)

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