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2013年10月28日 第2回社会福祉法人の在り方等に関する検討会 議事録

社会・援護局福祉基盤課

○日時

平成25年10月28日(月)15:30〜17:30


○場所

三井住友海上駿河台新館3階お茶の水カンファレンスセンターC会議室


○出席者

浦野構成員 雄谷構成員 高橋構成員 田島構成員 田中構成員 (座長)
対馬構成員 西元構成員 藤井構成員 松原構成員 松山構成員
宮田構成員 森構成員 (千葉構成員欠席)

○議題

社会福祉法人が地域から期待される「更なる取組」について

○議事

○田中座長 皆さん、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第2回「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」を開催いたします。

 皆様方におかれましては、お忙しいところ、お集まりいただき、どうもありがとうございました。

 本日は、千葉正展構成員から欠席の連絡をいただいています。

 早速、議事に入ります。

 カメラはここまでなので、よろしくお願いします。

(報道関係者退室)

○田中座長 本日の議題は「社会福祉法人が地域から期待される『更なる取組』について」となっています。

 初めに、事務局より資料の説明をお願いし、その後、浦野構成員、西元構成員から、それぞれの法人で実施している取り組みを発表していただきます。

 事務局の説明が先になりますが、よろしくお願いします。

 では、事務局から資料の確認等をお願いします。

○正野補佐 それでは、今日の資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料は、前回の主な御意見と資料1、2、3、参考資料となっておりますが、皆様、お手元にございますでしょうか。問題ありませんでしょうか。

 前回の主な御意見につきましては、事務局で構成員の皆様の御意見を概要としてまとめさせていただきました。それぞれ便宜的に小見出しをつけております。本日は、地域における社会福祉法人の更なる取り組みということで、前回、法人の更なる公益的な取り組み等についていろいろと御意見をいただきましたので、それを踏まえまして資料を用意させていただいております。

 まず資料1について御説明したいと思います。前回、公益的な取り組みとあわせて、公益事業の実施のため、資金の外部拠出についてもっとできるようにすべきという御意見もございましたので、参考資料のには資金の外部拠出について現状を記載しております。こちらは、資料1とあわせて適宜御参考にしていただければと思います。

 まず、資料1を1枚おめくりください。今回の資料1は、大きく3つの章に分かれておるのですけれども、まず最初は「『公益性』について」という章です。

 こちらは、前回の議論で社会福祉法人の公益性・非営利性など、法人の性質を前提にその役割を確認すべきという御議論がありましたので、まず、社会福祉法人の基本的な性格を確認しようという観点で資料を御用意いたしました。

 3ページ目は「社会福祉法人の基本的性格」という資料でございます。まず、社会福祉法人は、その沿革から、学校法人、宗教法人と同様に、旧民法34条に基づく公益法人として発展した特別法人です。この公益法人の特徴は2つありまして、公益に関する事業を行うこと、営利を目的としないことという、公益性、非営利性という要件がございます。公益性とは「不特定多数の利益」を、非営利性とは「事業から生ずる利益を構成員に帰属させないこと」を意味すると解されておりまして、基本的にこういった意味合いを前提にこの法人制度ができております。

 なお、※印にありますように、公益法人、旧民法34条法人については平成18年に改革が行われておりまして、要件が法律上具体化されておりますので、またこの後のページで御説明いたします。

 社会福祉法人は、まず、公益性の高い社会福祉事業を行うことを目的としていること、そして、残余財産は社会福祉法人その他の社会福祉事業を行う者、最終的には国庫に帰属しなければならないという非営利性を備えております。

 次に「純粋性・公共性」というのがございます。旧社会福祉事業法制定前の民間社会福祉事業は民間の法人で経営されていましたけれども、財政的窮乏から収益事業の経営のほうが主になっているような場合もあったので、社会福祉事業が主であるようにすべしということで、社会福祉事業法で社会福祉事業の純粋性・公共性の度合いを保つためにさまざまな所轄庁の監督等の規制が敷かれております。

 こうした規制が行われている一方で、公の支配があります。社会福祉法人は公金、補助金等の助成を受けられていることの反面、所轄庁の監督に服するという関係になっております。

なお、そうであっても、社会福祉法人に社会福祉事業を転嫁するわけではなく、国・地方・公共団体はその責任を行政としてしっかり担うこととされております。

 4ページは、平成18年に改革が行われた公益社団法人・財団法人の認定要件の資料でございます。公益社団・財団の認定につきましては、大きく分けまして、公益目的事業を行っていること、認定基準を満たしていること、欠格事由に該当しないことという3つの要件がございます。

 まず、公益目的事業に関しましては、社会福祉事業と類似した事業も含めて、学術関係であるとか、その他国際関係の業務など、かなり幅広なものが公益社団・公益財団の認定要件の公益事業に挙がっております。

 また、2の認定基準を見てみますと、社員、理事などの法人関係者に特別な利益を与えないとか、清算、解散すべきときには残余財産の類似の事業を目的とする公益法人もしくは国や地方公共団体に帰属しなければならないということで、社会福祉法人と同様の非営利性の担保がされております。

 5ページ目は、一般社団・一般財団法人の法人税が非課税になる場合の要件です。こちらも先ほどの公益法人の認定要件の非営利性と同様、非営利性が徹底された法人、共益的活動を目的とする法人、両方の要件を満たした場合には、一般社団・財団法人でも非営利法人として税制優遇を受けることができるとなっております。その内容を見ますと、剰余金の分配を行わないことや、残余財産を国や地方団体など公益的な団体に贈与するということを定款上定めている場合には、非営利としての要件があると認められることになっております。

 2番目の章に移ってまいりたいと思います。

 先ほど、社会福祉法人は公益性を帯びていることを確認しましたが、社会福祉事業はもちろんのこと地域においてどのような取り組みを行っていくことが現在望まれているかということについて資料を用意しております。

 まず、7ページ目は、今日的な社会福祉で望まれているニーズとしてどんなものがあるかということを資料にしたものでございます。平成12年の検討会のときの資料を事務局でリバイスしておりますが、こちらの資料では、貧困といった経済面だけでは計れない、例えば社会的排除や摩擦、孤立や孤独、心身の障害、不安といったことによって、制度で想定されている以外のニーズが地域社会に存在していることを示しております。

 次のページから7ページほどは、社会福祉法人における先進的な制度外のニーズに取り組んだ事例を紹介させていただきます。

 まず、1つ目。8ページ目は、生活保護世帯の子供への教育支援ということで、特別養護老人ホームの一室を利用して生活保護世帯の子供たちに居場所を提供して、そこで学習支援を行うといった取り組みがございます。

 9ページ目は災害時の要援護者に対する社会福祉法人の取り組み事例で、役所で福祉避難所を開設したところに各社会福祉法人が介護員を派遣するといった形で、社会福祉法人が制度外、通常の本体の社会福祉事業以外にも取り組んだ事例でございます。

10ページ目です。3つ目は、複数の法人が拠出金を出し合って人材育成をした取り組みです。複数の法人がそれぞれ公益事業として対等にお金を出し合って、そのお金でスーパーバイザーを確保して、複数法人間の人材育成や組織の標準化を図っていくといったことを行った事例でございます。

11ページ目は、制度のはざまの生活困窮者に対して複数の法人で相談・支援を行った例として、複数の社会福祉法人が社会貢献基金ということでお金を出し合いまして、これを原資に社会福祉協議会が生活困窮家庭の相談・支援・見守りといったことを実施している事例でございます。

12ページです。5番目としては、事業そのものというか、取り組みの考え方のところに特徴のある事例で、法人が本来負担すべき固定資産税相当額を地域福祉支援積立金として別建てにして、そこのところを各運用審査会で審査した事業によって地域福祉、地域づくりのための活動に助成をする、また、法人本体の地域福祉の促進のための活動に使うといった取り組みをしている事例でございます。

13ページにまいります。6番目としては、社会福祉法人として成年後見制度について積極的に取り組んでいる事例ということで、権利擁護や身上監護に関する専門性を持って組織的に行うために取り組みを行っている事例でございます。

14ページ目です。7番目は高齢者の生活支援の取り組みをしている事例です。商店街の空き店舗を利用して、総合相談であったり、地域の住民の方の集いの場としての機能を持った拠点をつくっている事例で、西元構成員の法人で実施している取り組みですので、後ほどプレゼンをしていただく予定です。

 最後8番目は、個別の取り組みではないのですけれども、介護保険制度下における生活困難者に対する利用者負担ということで、経営主体が本来受領すべき利用者負担の総額の1%以上利用軽減をした場合には、その負担部分の半分を公費によって助成するという事業です。こういったものは、ある程度公費の助成もありますので、社会福祉法人としても積極的に取り組んでもらいたいと思われる事業として取り入れております。

17ページですが、1から8まで、駆け足ですけれども、社会福祉法人において実際に行われている取り組みや、取り組みが望まれるような事例として見てきましたが、本体の社福社会福祉事業がこの真ん中の四角のような形であるとすれば、それから横出しして、少しアウトリーチして、新しい事業といったものを見つけてきてやっていく取り組みや、8の本体の社会福祉事業そのものにおいて一層の配慮を行うという上乗せのような取り組み、例えばこういった、横出し・上乗せといった観点で取り組みが整理できないかということで考え方を少し概念化しています。

18ページは、今までの例を見たときに、地域を取り巻く環境の変化の中で今どういうことが社会福祉法人に望まれているかということを資料にしました。かつては、社会福祉事業を行うことを目的に設立された法人で、もちろん、それ自体の公益性が非常に高いわけですけれども、現在、地域を取り巻く環境は、経済・雇用情勢の変化に伴って新たな地域のニーズが発生している。また、過疎化や核家族化が進行していて住民同士のつながり方が以前に増して希薄化している。そういった中では、地域で福祉の専門知識・資源を持っている社会福祉法人がこれまでよりさらに一歩プラスワンして積極的な取り組み、参入をしていくことが期待されているのではないかと考えられます。

 次のページはどんなニーズに対して事業を行っていくかということですが、類型化が非常に難しいところではあるのです。19ページの真ん中の「公的な福祉サービス」の上にどんな取り組みがあり得るかということで丸で5つ囲んでありますけれども、「制度で拾いきれないニーズ」や、「制度の谷間にあって制度の給付要件に該当せず、制度の恩恵を受けられない方への対応」、また「地域で生活している人にしか見えないニーズ」「社会的排除」「複合的なニーズ」、こうした5つぐらいのカテゴリーでニーズを見ることもできるのではないかと考えられます。

 次のページは3つ目の章です。今までは社会福祉法人が行っている地域でのさまざまな取り組み事例等を見てきたのですけれども、このような取組は、今の制度上どのように位置づけられるのかを御説明していきたいと思います。

21ページです。まず、社会福祉法というのが社会福祉事業であったり、社会福祉法人について定めている法律ですけれども、この法律の第1条の「目的」のところに「社会福祉事業」と「社会福祉を目的とする事業」が出てきます。「社会福祉事業」については、第1回のときに御説明しましたけれども、第一種、第二種社会福祉事業がありまして、事業が法律で決まっておりますが、「公明かつ適正な実施の確保」を図っていくものとされております。それと対象に「社会福祉を目的とする事業」というのは法律上は定められておらず、社会福祉法上も健全な発達を支援するということになっております。

 先に22ページを見ていただきます。今、趣旨のページで見ていただいた「社会福祉事業」と「社会福祉を目的とする事業」を図にしてみるとこういった形でして、社会福祉事業という法律上の事業として列挙されたものと、その回りに、法律上は列挙されないのですけれども、社会福祉を目的としている事業ということで法律上概念化されています。

 社会福祉に関する活動は、事業に至らないボランティア活動などということで、こちらも法律上の言葉であるのですけれども、先ほどの各種の地域貢献、地域で行われているさらなる取り組みというのは、恐らく、社会福祉法人は社会福祉を目的とする事業というところに類されてくるものであろうと考えられます。

23ページですけれども、社会福祉事業として位置づけられるためのメルクマールということで、先ほど、社会福祉事業の外縁として社会福祉を目的とする事業があるという御説明をしましたが、かつて社会福祉事業を限定列挙したときにどういう要件、要素で勘案していたかというと、ここに書いてある1から5のような要件がありまして、

1利用者が日常生活を送る上で欠くことのできないサービスであること

2サービスの安定的な供給を確保するためには、公的助成を通じた事業の普及、育成が必要であること

3利用者への影響が大きいため、サービスの質の確保のために公的規制が必要であること

4規制の対象とすることにより、ボランティアなどによる自由な活動を通じた事業の発展を妨げないこと

5一般的に提供されている同種のサービスとの明確な区分が可能であること

こういったことを判断要素に社会福祉事業のメルクマールが定められております。

24ページです。先ほどは社会福祉に関する活動一般について「社会福祉事業」と「社会福祉を目的とする事業」という概念があるという御説明をしたのですけれども、社会福祉法人が行う事業として、言葉の定義、考え方を整理しますと、左の2つの枠にある社会福祉事業が中核ですが、それのほかに社会福祉の増進に資する事業として公益事業を行うことができるようになっている。そして、社会福祉事業または公益事業にその収益を充てることができるものとして収益事業を行うことができるといった枠組みになっております。

25ページは、この公益事業と収益事業についてはどのような定義がされているかを御説明した資料です。

 まず、公益事業については、社会福祉事業に支障がない限り公益を目的とする事業を行うことができるとされておりますが、社会福祉事業に対して従たる地位である必要があるとされています。その事業の性質としては、社会福祉事業と密接な関連を有する事業かつ事業実施により社会福祉の増進に資する事業ということでして、下の点線の枠で囲ってあるような例示が国から所轄庁に対して示されています。中を見てみると、社会福祉事業に関連する相談事業や連絡調整事業ですとか、右のほうにまいりまして、介護予防サービス事業であるとか、有料老人ホームを経営する事業といったものも公益事業の中に入ってまいります。

 収益事業については特に定まってはおりませんで、その事業の実施が社会福祉事業、公益事業の経営に充てられることを目的とする事業とされております。

 最後の26ページです。今までいろいろ御説明しましたが、最後「地域から期待される『更なる取組』にかかる論点」ということで、論点をまとめているのですが、まず「1.社会福祉法人の使命・役割に照らし、『更なる取組』とは、どのようなものであるべきか」ということで、その下に論点を4つ記載しております。

 1つ目としては、社会福祉法人が地域において果たすべき役割は何か。そして、2つ目として、その役割の中で果たすべき「更なる取組」としてどのような福祉の需要に対応するべきか。また、福祉需要をどのように把握していくことができるのか。3つ目として、「更なる取組」として位置づけられるための要件。例えば事業を実際に定めるということもあるのかもしれませんが、先ほど見たように、制度外のニーズがいろいろあるという前提に立ったときにどういった要件が考えられるのか。4つ目として、既存の事業体系との関係でどのように考えるかということがあるのではないかと考えられます。

 「2.どのようにすれば『更なる取組』が幅広く実施されるようになるか」ということです。まず1つ目としては、「更なる取組」が広がらないことについて何か障害が存在しているか。2つ目としては、それがさらに幅広く実施されるようになるためにはどのような方策が必要かといった論点があるのではないかと考えております。

 資料1の説明は以上です。

○田中座長 ありがとうございました。

 これに対する質問は発表が終わってからお願いします。

 続けて、浦野構成員から発表をお願いします。

○浦野構成員 それでは、資料2を御参照いただきながらお願いしたいと思います。

 御用意した資料は、神奈川県の社会福祉法人関係者で始めました「かながわライフサポード事業」という事業の概要について御説明をしたものでございます。どんな事業かということですけれども、ページをめくっていただきますと事業の概要を載せております。

 まず「対象を限定しない(すべての生活困窮者を対象とする)総合相談と緊急経済支援の活動」が基本的な性格でございます。その取り組みの仕方として、社会福祉法人が資金を拠出して行う共同の取り組みという性格がございます。この際に、県の社会福祉協議会にライフサポート基金という基金を設置しまして、前年度の経常収支差額の5%もしくは常勤換算職員数×5,000円を各法人が拠出する。そして、その基金を原資にして活動していくということでございます。このお金は、事務局の運営費のほか緊急の経済支援のためのお金として使っていくものでございます。県社協に基金を設置したのは、それが行政の理解を一番得やすいというか、話を通しやすいということもございます。

 また、この総合相談の活動につきましては、各法人が設置・運営しております施設や事業所の人員基準に抵触しない範囲で職員がコミュニティーソーシャルワーカーとして従事をする。これは社会福祉法人が持っている専門職人材を積極的に活用していこうという意味がございます。

 2点目としては、縦割りを超える事業であるということでございます。行政の委託費・補助金等を一切いただいていないということで、対象を限定する必要がない。そういう意味では、公費を使わないことの強みを生かそうということでございます。

 3点目は、オールかながわの取り組みを目指そうということでございます。高齢であるとか、障害であるとか、児童であるとか、事業種別の枠を超えようと。この発想は、複合的な生活課題に立ち向かうといったときに、それぞれの事業を縦割りでやっていたのでは十分に対応できない。社会福祉法人は当然さまざまな事業をやっている法人が複数あるわけですから、法人間の連携によってこのような複合的な課題にも対処ができるようになるのではないかという発想でございます。

 それから、神奈川県内には政令市が3つございます。この政令市ごとの仕事が非常に多いのですけれども、今回は政令市や一般市町村の枠を超えて点ではなく面で取り組もうということで、県内津々浦々存在する社会福祉法人の面的な広がりを活用しようということでございます。

 4点目の特徴は、伴走型の事業にしていこうということ。既存のさまざまな相談窓口はあるのだけれども、そこにたどりつけない人がいるということで、情報をキャッチしたら、こちらから積極的に出かけていくということを基本にしております。

 5点目は、相談だけではない具体的なアイテムを持とうということで、10万円を上限とする経済的な支援、現物給付をしていく。これは、仮に制度が適用可能な人であっても、制度につながるまで、あるいは制度が動き出すまで待てない人々がいる。今日明日の食材費であるとか、電気代を払わなければならないとか、そういうことが結構あるということで、これを各法人の施設長決裁で翌日もしくは即日のうちに必要があれば実施をしていこうと。ただ、現金を給付するということは一切せずに、コミュニティーソーシャルワーカー、施設の職員がクライアントとともに出かけていって、買い物をしたり、公共料金の支払いをやっていくということにしております。

 こういった事業を、今年、正確には、最終的には今年の8月5日の県社協の理事会で定款変更をし、そこから正式なスタートということでございますが、1年半ほど準備をしておりました。1年半準備する間に幾つか障壁として感じられたものをここに載せております。

 やはり社会福祉法人自身の問題が一番大きかったなと思っております。我々社会福祉法人の伝統、かつては民間福祉人の実践が制度をつくってきたという認識の希薄化が進んでいて、制度に従って施設をつくり、制度に従って運営することが自分たちの仕事だという思い込みが強くなってしまっている。また、これは経営者のみならず施設のソーシャルワーカーもそうですけれども、制度でスクリーニングされた利用者しか見ていなくて、社会の中の生の福祉課題に接することが少なくなってきていると思います。こういう社会福祉法人側の問題もかなり大きかったと思っております。

 一方、制度側の問題としては、共同事業を行うための資金拠出が一般的に資金の外部流出に当たりそうだということで、そういう制約がある。今回、我々は、県社協の会費の一種なのだということで、ある種、方便を使っているというところでございます。

 それから、人員配置基準。これは施設のソーシャルワーカーが兼務するときに基準割れが心配になることがあります。ある程度規模の大きな法人ですと、それなりに人員に余裕を持って配置しているということがあるわけですけれども、小規模な法人の場合に、ソーシャルワーカーの仕事を年に2、3件やってもそれは基準割れになりかねない。そういう問題があるということでございます。

 この事業の立ち上げの経緯でございます。先ほど資料1にも大阪府社協老人施設部会の例がありましたけれども、私たちはこれを大阪の事例を手本にしてことしから始めたということでございます。

 大阪の先行例から学んだことを箇条書き的に書きますと、そこにございますようなことになっていると思います。これはごらんいただければと思います。

 現状でございますが、とは言いながら、参加している法人はまだわずかに30の法人でございます。神奈川県社協に加入している社会福祉法人は約500ございますので、まだ初年度6%でございます。我々としては、初年度中に1割の50法人、2年目に100、3年目に200と倍倍ゲームでふやしていくことを目標にしております。

 しかしながら、まだ業界側に消極的な意見が根強くあるということで、その代表的なものをここに3つほど示しております。

 1つは、保育所の仕事ではないとか、特養の仕事ではないとかいう認識があると思います。それをいかに社会福祉法人の仕事であるという認識を持ってもらうように広げていくかということが必要だと。

 もう一つは、行政がまず制度をつくるべきだという御意見が少なくありません。これについても、これまで民間の先駆的、開拓的な実践が制度を生んできたということを思い出す、そういう啓発が必要になってくると思っております。

 3つ目は、民間でそんなことをしたら行政がサボタージュをするのではないかという御意見でございます。我々は、補助事業や委託事業でないからクライアントの立場で行動できるので、むしろ必要な場合には行政を督促する。例えば、いわゆる水際作戦などと世情言われているようなことがもし行政にあれば、我々は、それは行政からの補助事業でやっていることでないので、行政にきっちりと物を申すということも可能な取り組みだと考えております。

 こういった取り組みをすることによって私たち社会福祉法人が得るものですけれども、1つは、職員の資質向上が非常に大きいと考えております。今まで制度で切り身にされてきたニーズを見てきた。ニーズを切り取って、対処できないものを切り捨ててきた。ここで改めて丸ごとのニーズに向き合う。何とかすることによって、大変だけれどもやりがいのある仕事だと。従来の認識は、制度とは従うべきものだと思っていたものが、この事業を取り組むことによって、制度とは使うものだという認識を職員が徐々に持ってき始めていると思います。

 それから、地域社会での認知の向上ということです。例えば介護施設と見られていたのが、こういった取り組みをすることによって社会福祉の実践者集団と認知が変わってくるのではないかと思っております。

 今後の課題と展望です。まずは、参加法人を拡大していかなければいけないと考えております。先ほど、2年目には100、3年目には200と申し上げましたけれども、そのために実践事例集をつくるとか、事例発表会等というようなことをこれからやっていきたいと思っております。

 2点目は、経済的な支援以外の支援がかなり必要だと幾つかの事例から見えてきております。例えば住むことです。これについては、社会福祉法人はそれなりに建物を持っておりますし、例えば職員宿舎の空き部屋等もありますので、長く永住していただくということではないにしても、一定の期間、住まいを提供することも必要になってくるだろう。

 3点目としては、地域社会のインフォーマルな資源を開拓して組織化していくことが必要だと考えております。現在のところは、社会福祉法人が収支差額の5%というような形でお金を出すということですけれども、これからは地域社会から資源を獲得しながらまたそれを地域社会に返していくというような循環構造をつくっていく必要があるのだろうと思っております。

 我々としても、今後こういう取り組みを、例えば地域の商工会とか、そういうところにお伝えして、そういうところから御協力をいただくというようなこともやっていこうと考えております。

 この取り組みをやってみて改めて感じたこととして、社会福祉法人が持っている特徴、潜在的な可能性は5点ぐらいあると思っております。

 1つは、1万7,000の社会福祉法人があって、やろうと思えば、点ではなくて面で取り組むことができる。それから、専門職人材を持っている。財務基盤もそれなりのものを持っている。もうからない仕事をやっても株主さんから文句を言われることもない。法的に禁止されている事業も余りないということで、そういう潜在的な可能性を生かしていきたいと思っております。

 最後は、このライフサポート事業のチラシでございます。まだまだ始まったばかりで、お金が十分には集まっていない状況の中でございますので、各法人がこのチラシを自分の法人で刷り増しをして、今、地域に向かってどんどん配っているという状況です。ライフサポート事業の委員会としてはこの原版をつくるところまでやって、印刷は各法人でやってくださいという形で、これを地域にどんどん配りましょうということでやっております。

 現在のところ、8月5日に県社協で決定をして、8月中は広報・宣伝ばかりにかなり忙殺されていたようで、9月ぐらいから相談事例が上がってきています。現在のところ、まだ十数事例でございますけれども、私の法人自身でも、今、2事例のクライアントを抱えております。

 その中の1事例は、先ほどもちょっと言いましたけれども、住む場所の提供ということで、アパートの引っ越しを予定していたのだけれども、年金の現況届をきちんと出していなくて年金が入ってこないので引っ越し費用がないという障害者のカップルの話でした。年金を受給すれば引っ越し費用は出てくるのだけれども、それまでの間ということ。引っ越し費用を丸々そのまますぐ出してしまうということは問題で、そこまでする必要はない。ただ、今住んでいるところが本人たちにとって余り適切な住環境ではないということで、今、その方たちに法人の職員宿舎にお住まいいただいて、年金が支給されるまでの間、引っ越しができるまでの間ここで暮らしましょうというよう支援もやっているところでございます。

 まだまだ始まったばかりの事業で、大阪府の規模に比べるとまだまだ小さい規模でございますけれども、大阪の事業のこれまでの取り組みと唯一違っている点は、老人福祉施設の取り組みではなくて社会福祉法人の取り組みとしてオール種別でやろうということ。参加している法人の中には、高齢者をやっている法人もあれば児童をやっている法人もある、保育をやっている法人もある、障害をやっている法人もあるということで、オール種別で取り組むということで、まだまだ規模は小さいのですけれども、そういう芽は出てきたというような事業でございます。

 まだ十分な実績報告ではなくて、取り組みが始まったばかりという御案内でございます。

 以上でございます。

○田中座長 新しい取り組みの紹介、ありがとうございました。

 続きまして、西元構成員、お願いします。

○西元構成員 私のほうは資料3をごらんいただきたいと思います。これは私の法人であります青山里会という法人の取り組みの御紹介でございます。まず1ページ目の写真が載っているところから御説明申し上げます。

 当法人は、1974年(昭和49年)ですが、小山田特別養護老人ホームを100床、ショートステイを20床で事業を開始。これが最初です。当時は、いわゆる寝たきり老人が自宅での介護に浴することがなかなかできなくて、それが困難で、介護サービスは極めて脆弱でした。また、寝たきりのお年寄りのほとんどの人に医療が必要な状況もあって、医療と福祉の連携を一つの理念としておりました。現在では、地域福祉事業をポリシーとして、コミュニティーソーシャルワークの視点で事業展開をしていく方針をとっております。

 次のページは、その地域福祉活動の中身の御紹介です。まず、地域交流ホームの御紹介です。幾つかの地域福祉事業のうちの一つですけれども、これは昭和61年(1986年)に日本自転車振興会のパイロット事業でありました地域交流ホームという事業になります。たまたま私どものほうに天然温泉があるものですから、温泉を利用して地域の人々が自由に利用できるようにするという形をとっておりました。障害者の方や高齢者の方が一般の地域の人々と気兼ねなく交流できる場所としております。現在は、地域包括支援センターとか、在宅介護支援センター、コミュニティーレストランなどを設置して、その中では、保健活動だとか、介護予防を目的として小山田温泉ヘルシークラブなどをつくったりしております。

 ノーマリゼーションというのがもう一つの理念になっておりますので、それの啓発事業として、遊びの世界のようですが、ノーマリゼーション共和国といったものをつくって、地域の方々が気楽に足を踏み込める場所をつくっております。

 次のページをお願いします。そうした活動の中で、地域の方にいろいろ信頼していただくための取り組みが必要になってまいります。地域の勉強会というものを一つの主眼にしておりますが、平成2年5月から月1回のペースで地域学習会を開催してきました。当時は「安心して終える街づくり・健康長寿のまちづくり」をゴールにしておりましたけれども、実のところは、地元住民の方から地域の文化だとか歴史、人間関係などを教えていただいて、私たちからは自分たちの老人ホームの内容や医療を聞かれたときにお話しする、そんな形で進めてまいりました。

 地域のニーズを酌み取ることは簡単ではない。だから、私たちは日ごろから地域の人々との交わりが大事だと考えております。さまざまな場面を活用することで日常的なかかわりと信頼関係が生まれて、困ったときに私たちを頼りにしてもらえるのだと考えております。そして初めて地域の困り事がわかってくるのだというところであります。

 次のページは、今御説明申し上げた〇○学校とか○○塾とかいったものは、今、8カ所で動いております。そして、延べ回数がこれぐらいに上っているというところの表でございます。

 次は「健康まもりたい(隊)」という名前をつけての取り組みに関してです。先ほど申し上げた地域交流ホームのヘルシークラブというのを、会員さんが中心ですけれども、数年前から事業の一つとしてやってきました。「健康まもりたい()」事業と言っておりますけれども、この事業の理念は、もともと個人がお持ちになっている力を活性化する。生きる意欲とみずからの生活はみずからの責任で生き方を決めながら生きる覚悟を持って、そして楽しい人生を送っていただくためのきっかけメニューとして進めてまいりました。基本的な考え方は、ICFとかストレングスモデルの考え方に基づいております。

 次のページは、取り組み内容ですけれども、一人一人のニーズに合った健康づくりができるということをコンセプトにして、週1回さまざまなメニューを私どもの居住施設のスタッフや地域包括支援センターのスタッフのチームワークで行っております。専門職は、ここの図にもございますように、保健師だとか社会福祉士、プロの歌手も務めております。それと音楽セラピスト。これは資格を持っている人です。そのほか、作業療法士だとか、管理栄養士、介護福祉士等で対応しているということです。

 次のページは「一年間の参加者数の平均推移」です。ごらんいただければおわかりだと思います。最近は50人以上の方が参加をされるようになってまいりました。何に一番人気があるかというと、やはり音楽療法です。歌声喫茶みたいなことをやっておりますけれども、それが一番人気が高いと言えます。

 次のページをお願いします。その中の一つに「旅助くん」という企画で、名前が遊びの内容になっていて何だと思われるかもしれませんけれども、旅行に関してのニーズというのは非常に高くて8割以上が旅行には行きたい人。けれども、行けない人は7割いる。そんなデータがありまして、年をとっても、介護が必要になっても安心して旅ができるという夢のプランをつくっていくメニューです。これまでに沖縄に旅行したり、ここの写真では、近くにあるマリーナを利用してクルージングなどをしているところです。かなり高齢の方も参加され、初めてこういうことをやったということでこうした体験はアクティビティーという意味では非常に日常生活おける活性化ができると思います。

 次のページは、先ほども御紹介していただいた地域包括ケアの取り組みの10余りのモデル事業の一つです。平成20年度の老健事業での研究の補助をいただきました。孤立化防止拠点構築が研究課題でありました。とりわけ単身高齢者や老老世帯を対象に孤立化の現状とそうした方々の生活ニーズの調査を行いました。方法としては、調査用紙を民生委員さんに一人一人に直接配布していただきました。回収するのも、民生委員さんにまたおうちへ行っていただいて回収という、いわゆる留置法という形での調査であります。配布数は2,000枚ですけれども、回収が89.8%、1,798枚というかなり高率で回収することができました。

 私たちは、まず、孤立とは何なのか、孤独との違いは何なのかというような疑問から、孤立の定義付と共通理解を持つという作業から始めております。

 次のページはアンケートの調査結果の抜粋でございます。これは詳しく申し上げるほどのものではないのですけれども、私たちはちょっとがっかりでした。推測していたこととは全然違いまして、孤立に関するニーズが予想以上に少なかったわけです。大きく問題化するとか表面化するということはこの調査では確かめられなかったということであります。

 次のページは、しかしながらということなのですけれども、アウトリーチで、ひとり暮らしの方に対しての事例検討を重ねていきました。結果、このペーパーにありますようなニーズが多々見られることがわかってきました。要するに、ニーズというのは掘り起こして発見していかないと、一人一人のニーズがなかなか把握できない、困難だということがこのことから痛感させられました。そのニーズというのを見てまいりますと、介護保険制度とか公的な制度ではカバーできない生活支援に関する内容といったものが多く見られたということであります。

 次のページは「見えてきた孤立化防止に必要な拠点機能」。こうした研究調査といったところから、量的調査より事例検討による調査が中心になりますけれども、必要な拠点機能が3つほどございました。

 1つには総合相談の機能が必要、2つ目が地域住民が集える場所、居場所といったものが必要、3番目にはフードデザートと言われる食の砂漠化が起こっていることがわかってまいりまして、食の確保。この3つが重要項目だろうとわかってきました。

 この中身はこれから御説明申し上げます。

 次のページの「孤立化防止拠点構築への取り組み」という表題のところでございますが、この拠点というのは、老健局さんの「地域支え合い体制づくり事業」の交付金を利用させていただいて、2カ所の団地で立ち上げることにいたしました。しかし、市の担当課のほうに相談をいたしましたら、当初は予算化の問題、特に煩雑さ。議会にかけていかなくてはいけないので、市のほうで予算を出す必要はないとしても、それが面倒だからだめだというようなことも言われました。何度か交渉を繰り返していくことで何とか申請することができました。

 私たちがこの拠点を立ち上げるために最も重要視した部分というのは、もちろん行政さんへのお願いもそうですけれども、地域とのやりとりでした。

 2つの団地のうちの一つは高花平と申しますけれども、これは平成8年に在宅介護支援センターを開設してから個別ケースとか会議、地域の行事などに積極的にかかわりを持ってきたところです。やりとりが非常にスムーズになっていた地域です。しかし、もう一つの三重西団地というところは、私たちの法人としては拠点がなくて地域とのラポールもとれていない。本当にスタートからの取り組みになりました。

 次のページをごらんいただきたいと思います。早口で申しわけございません。これが2つある拠点の概要でございます。高花平というところは三重県では一番古いところで昭和39年、三重西団地は昭和46年というところでございました。7年ぐらいの差ですけれども、高齢化率も大きな差がある。こんなに違うのだなということであります。

 その次のページは「食の確保&(居場所)」になります。これは商店街の空き家を借りて行っている事業で、コミュニティーレストランに関してです。利用状況についてお示し申し上げていますけれども、性別につきましては男性の利用率が約4割と高いということです。一つの成果として着目できるのではないかと思っております。また、年代別で見ると、60歳以上の高齢者の利用が中心であるということなのですけれども、一方、若い世代の方も、例えば育児中のお母さんが一緒にコミュニティーレストランなどにお越しになるということもあって、それが徐々にふえてきておりますので、高齢者との新たなコミュニケーションの場となりつつあります。一日平均の利用は今ここにお示しするような人数であります。

 次のページをお願いします。もう一つの必要な機能として総合相談機能を持たなければいけないわけですが、この部分は、在宅介護支援センターの機能を活用すべく、法人独自の単独型在宅介護支援センターとして県に届け出をして総合相談等を行っています。ここでの相談の特徴は、要介護認定までいかないような比較的元気な高齢者の方が来所されることも多くて、また、コミュニティーレストランでの世間話とか日常的な会話の中からのちょっとした困り事などを早い段階から拾い上げることができるということにつながっております。

 次のページは「交流の場&(居場所)」になります。地域ケアネットワーク会議とか、地域団体の会合等に活用されたり、カラオケサークルとかパソコン教室などにも活用されていて、交流の場としては十分利用されています。先ほど申し上げましたような男性に関してもぼつぼつ数がふえてきていて、なかなか出不足の男性というのがちらほらということで、こちらもよかったのかなと思っております。

 地域のニーズを酌み取ると言いましても、先ほども申し上げましたけれども、簡単にはなかなかできない。だから、私たちはさまざまな場面を活用することで日常的なかかわりと信頼関係が生まれるように活動します。困ったときに私たちを頼りにしてもらえるという信頼関係から出てくる。そして初めて地域に編成された福祉事業の展開が可能になってくると考えております。

 次のページは、ライフサポート三重西というものが1年たたずしてでき上がってきたのですけれども、当初申し上げましたように三重団地というラポールが最初から全然ついていなかったところに拠点を置かせていただくことで地域の自治会さんが独自で動き始められました。この事業は、助け、助けられという保険の性格を持つ会員制度組織ということを地域の自治会の方はおっしゃっていて、現在200世帯ぐらいの方が登録をしてみえて、年会費2,000円でございます。

 その趣旨というのがこの絵に2つ書いてあります。1つは「自らの生活は自らが守る」ということで「出来るだけ長く在宅生活を続けるために、高齢者世帯の生活を住民自ら守る覚悟を持つ」。2つ目が「地域完結型“住民の、住民のための、住民による”日常生活支援事業の実施」。これは私たちは全然申し上げておりません。自治会の会長さんがまずこれをつくり上げて、地域の人たちがそうだ、そうだというようなことになっていった。私たちとしては非常にびっくりするような力を地域の力としてはお持ちなのだということがわかってきました。

 次のページは「生活支援サービス」の中身です。ごみ出しだとか、自宅の清掃だとか、食事の配達、屋外作業、買い物支援、受診の付き添い、書類の代筆、本当にいろいろなものなのですけれども、私たちが設置させてもらっている拠点を中心に、人(スタッフ)、モノ、お金、情報などを提供させていただくということで、住民の方々独自の気づきの中でいろいろなサービスが実現してきています。それが結果としてあらわれてきております。

 次のページは、私どもの法人の公益的な事業の取り組みと考えているものであります。後で御一読いただければありがたいと思います。

 最後のページは「今後の課題」です。まず最初に、こうした効率化防止の拠点機能としては、さきの研究から見えてまいりました「総合相談」「交流の場」「コミュニティーレストラン」を中心に展開していく中で、地域住民と協働しながら、地域性を生かした新たな日常生活支援サービスメニューを開発しています。これは行政に提言していく必要があるのだろうと私たちは考えています。

 2番目。拠点整備・運営に係る財源確保。地域支援事業の推進方策についての検討が必要である。要するに、今、厚労省さんで新しい総合事業を御提言されておりますけれども、これに関連した事業にもなってこようかと考えております。

 3番目に、在宅介護支援センターの機能を生かして、総合相談・実態把握から個別ニーズの把握・集積を行って、地域ニーズに合った、要するに地域に編成されたサービスメニューの開発を地域・行政・多団体等と連携・協働しながら行うことが大事。括弧書きで書かせていただきましたが、小学校区だとか小地域単位に老人福祉法による老人介護支援センター、在宅介護支援センターですけれども、これらを社会福祉法人の地域貢献事業として設置・運営することを御提案したいと思います。このことによって、守秘義務だとか罰則規定まであるわけですから、地域の信頼も得られやすいと思います。

 4番目。住民がみずからつくり上げるライフサポートシステム等の推進に対して、社会福祉法人の持つ人・モノ・金・情報を効率的に駆使して地域への貢献を行っていくことは社会福祉法人の使命であり理念の一つと考えるべきだと思っております。

 以上でございます。

○田中座長 長い歴史のある取り組みの御報告、ありがとうございました。

 では、ただいまの役所の説明と2つの報告をもとに意見交換を行ってまいります。

 先ほどの資料1の最後のページに論点が書かれています、この2つの論点を区別するのは実際には難しくてまじってしまうとは思うのですが、まずは論点1「社会福祉法人の使命・役割に照らし、『更なる取組』とはどのようなものであるべきか」を取り上げます。下に4つ書いてありますが、こちらに近いほうからということにいたしましょう。実際には2つにはっきりと分けられないので、下にかかわることが出てきても結構です。どたなでもお手を挙げてください。もちろん質問でも結構です。

 では、藤井構成員、お願いします。

○藤井構成員 質問です。

 資料2、資料3に基づいて西元構成員と浦野構成員から御発表いただきまして大変感銘を受けました。私自身、ある程度お聞きしていたつもりなのですけれども、ここまでやっておられる社会福祉法人があれば、こんな場がそもそも存在しなかったはずなのですが、非常にまれだということで、こんな場があり、しかも発表していただいたと思うのです。

 ちょっと別の角度の質問になるかもしれないのですが、浦野構成員のところでも、財源の話で収支差額の5%、あるいは職員1人当たりという設定があったかと思います。西元構成員からは、この財源のほうはやはり最後のほうに「拠点整備・運営に係わる財源確保」ということで書いておられて、1つは「地域支援事業」云々とあるのです。

 お2人にお聞きしたいのは、浦野構成員のほうは明確に多法人による利益から出していくべきだというお考えだと思うのですけれども、この利益に該当するものを社会福祉法人として出すべきだということをある程度義務づけるではないですが、社会福祉法人とすれば当然であるという考え方をされるのかどうなのか。西元構成員のほうは、法人として持ち出しでやっておられるので、すばらしいなとなると思うのですけれども、行政からの委託になった瞬間にそうでもないなという感じがしてくるように思うのです。そのあたりどのようにお考えになるかというのを、お2人、お聞かせいただけますでしょうか。

○浦野構成員 収支差額の5%ないしは常勤換算職員数×5,000円ということで、通常は順調に経営していると職員数×5,000円のほうが低いということにはなるのだろうと思います。かなり厳しいと、常勤換算職員よりも収支差額の5%のほうが低いということもあると思いますが、いずれにしましても、一定の範囲で社会福祉法人が利益を社会に還元することが必要だと思います。かつてのように、措置費で実費弁償という世界でやっていたときには、収支差額が出たら返すのが本旨だし、逆に言えば、そこで外へ出すのであれば報酬を下げればいいという話になってしまうわけですけれども、介護報酬なり支援費なりという世界になってきたときには、ある程度自由に使えるからこそ、そこに社会還元していくことが必要なのだろうなと我々は考えております。

 当初は10%ないしは掛ける1万円という話をしていたのですけれども、最初からそれだとハードルが高いぞという意見もありまして、最初はその半額ぐらいから始めて、だんだん定着してきたところでもうちょっとふやそうと。もちろん、この事業だけがそれぞれの法人で取り組んでいらっしゃる仕事ではないので、ほかの面で社会に還元されていること、取り組みをなされている法人もあるので、そういうものを合わせると10とか20とかいう数字にだんだんなっていくのかなと思いますが、これは個々の法人ではなくて共通の取り組みとしてやろうということで、その範囲ではまず5%と出していきましょうという話にしております。

○田中座長 西元構成員もお願いします。

○西元構成員 まず、ハード面でいきますと、地域支え合い事業ということで拠点づくりをさせていただきました。450万ぐらいの交付金だったと思いますけれども、1,200万ぐらいはハードづくりで必要でありました。これに関しては行政は一切見向きもしてくれなかったということと、その後の運営費というのは一切出ないわけです。運営費というのは、私たちと地域で一緒に賄っていくことになろうかと思うのですけれども、法人の持ち出しは2つあるうち2つとも一緒ぐらいなのですが、400万ぐらいが年間持ち出しになります。今、制度外事業と言われるもので持ち出しているのが5,000万ぐらいになります。私のところの年間の売り上げと言われるものに関しては45億ぐらいしかございません。そういったところでの事業になります。

 これが委託になるとどうなるのだろうとおっしゃられたのですけれども、例えばコミュニティーレストランなどの場合ですと、宅配給食というのがあるわけです。行政でやっているのは1食500円です。ワンコインというのは、地域のお年寄りにとってはなかなか出せないお金。200300円というところがせいぜいだろう。高くても400円、350円までだろうということで、今、コミュニティーレストランで出している食事は200円から300円ぐらいのものです。住民の方がやっていらっしゃるサポート三重というところでは宅配費用を50円とられるようです。ですから、高くても350円ぐらい。これは委託事業として行政が全部お金を持つということは現状ではまず考えられない事業ということになります。

 買い物の支援にしても一緒です。私のところが車を提供させてもらったり、人を提供させてもらったり。これは行政さんはなかなか手を出されないのではないかと思っています。もちろん、委託になれば、多少なりとも支援がいただけるのかなと思っています。そういうところです。

○田中座長 松山構成員、どうぞ。

○松山構成員 先ほどの藤井構成員が提起なさった財源の問題というのは私も非常に重要だと思います。私が社会福祉法人の勉強を始めたときに、ある社会福祉法人の理事長さんから提言をいただきました。それは、制度に乗っかっていない事業を新たにやるときの財源として、全社会福祉法人に強制を義務づけるということも考える必要がある、それに社会福祉法人が反対するのであれば課税されても仕方ない、というものでした。その後2年間勉強した結果、それも有力な案だと再認識しています。

 実は昨日財務データの集計、分析が完了しました。東京都にある社会福祉法人のうち、都がウエブで情報公開している約1,000法人の中で、施設経営をしていて集計に値する財表が閲覧できた534法人の平均経常収支差額率は5%でした。それから、厚労省直轄の法人の中で302法人の平均経常収支差額率を集計しましたら、平均で6.5%です。この302法人には規模の大きな済生会と聖隷福祉事業団は含めていません。それで逆算すると、社会福祉全体の経常収支差額黒字額は少なくとも毎年5,000億円あります。利益率は平均で6%弱ぐらいだと思うのですけれども、2012年度の東京証券取引所に株式公開している企業の平均経常利益率は、2012年度実績で4.6%です。恐らく来年、仮にこの検討会に基づいて財務諸表を集めてデータを集計してみたら、実は社会福祉法人の利益率は上場企業よりも高いということがわかると思うのです。そのときに、今の社会福祉法人を守っていくというか、発展させるためのロジックをきちっと考えておかないと課税論というのが出てくるのではないかというのが私の今の印象です。

 以上です。

〇田中座長 貴重なデータを示していただきまして、ありがとうございます。

 対馬構成員、どうぞ。

○対馬構成員 私ども、社会福祉法人ノテ福祉会設立してから30年たっています。30年前に特養をつくって、その翌月にデイサービスセンターを立ち上げました。法人としては早い時期に在宅の取り組みをしました。運営の仕方がよくわからなかったので、当時の厚生省に指導を仰いだところ、「在宅から通ってくるデイの利用者にニーズを聞いて運営をして下さい」という話でありました。そのためにさまざまなアンケート調査を実施しました。その中で、21世紀の高齢社会に必要と思われる新しいニーズについては事業開発を行い、11本の在宅事業を法人単独事業でやってまいりました。そういった経緯の中から平成18年に「夜間対応型訪問介護」が制度化され、そして平成24年の「定期巡回随時対応型訪問介護看護」の制度化に繫がりました。

 そんな意味で、私は、特養で培った介護のノウハウを在宅に転用するべきだと考え、在宅の高齢者のニーズをチェックしながら、国が制度とするべきと考える事業を次々開発してきました。ただ、どうしても生活支援のところがおろそかになっていましたので、これらを支えるために「ライフサポート事業」を始めました。これは社会福祉法人の社会貢献事業です。生活支援に始まって、食事の宅配とか洗濯サービス、それから、私どもが行っている24時間の定期巡回のサービスを使ってお助けコールという緊急時対応サービスを安価で行っています。

 なおかつ、その価格で費用の負担ができなければ、利用料金の30%、50%、100%の減免もしています。

サービスだけではなくてボランティアスクール事業を行い、ボランティアも育成しています。ボランティアスクールを修了した人は、当法人の施設だけではなくて、地域のボランティアとして活躍しています。

 さらに、最近力を入れていますのが知的障がい者の雇用です。当法人が運営する社会福祉施設で障がい者を積極的に雇用して、社会的に自立をしてもらうことを目的に就労継続A型事業として行っています。すなわち本業で得た利益から持ち出しで地域貢献しているといえます。私は、介護報酬の中でビジネスをしていますので、その中で利益を生んだということであれば、それはしっかり地域に還元をすべきだという信念をもっております。

 先ほど先駆的な2つの事例がありましたが、もっと全国の社会福祉法人がさまざまな地域貢献をするべきだと思っています。私どもの社会福祉法人は高齢者分野の介護サービスを行っていますので、私は、介護で地域貢献をしたいと考えています。そのことによって、介護事業が地域社会に認められることに繋がると思います。

○田中座長 ありがとうございました。

 では、雄谷構成員、どうぞ。

○雄谷構成員 社会福祉法人の今の浦野構成員、西元構成員の例は非常に先駆的な例だと捉えていますが、今日の議題が「社会福祉法人が地域から期待される『更なる取組』について」ということで、「更なる取組」というのは、見方とすると、2つに分けて考えないといけないのかなと。

 1点は財源論。今、収支を言われていますけれども、財源論と方法論を分けて考える。財源のほうは、今、皆さんから御意見をたくさんいただきましたので、考えていく必要はもちろんある。この後の収入、収益の取り扱いの現状というところでもあるのでしょうけれども、もう一点は方法論。この方法論というのは、今、挙げていただいた例を見ますと、目の前にある現実に対処しなくてはいけない。それに対して社会福祉法人は制度を超えて対応するのだということに関しては当然の義務として受けとめるのだろう。ポジションを決めているような法人は、ポジション外の球を取りに行くのだという考え方であろうかと思います。

 もう一点は、やはり地域を醸成していくという役割です。ここはどういったことかというと、どれだけその場の現実に対応しても、戻るべき地域が崩壊していたのではずっと同じことを繰り返すことになる。その地域をどうつくり上げていくかというコミュニティーデザインを社会福祉法人が担うべきではないか。一方で、大きな長い目で捉えていく。どういうことかというと、地域において地域をつなぎ合わせていく。特に社会福祉法人の役割だけではなくて、企業、例えばNPO、民生委員、学生、地域にあるいろいろな資源を核となってつなぎ合わせていく、それが社会福祉法人の役割ではないかと思います。

 そういった役割というのはあるようでない。社会福祉法人が担うべき役割とすれば、それをつなぎ合わせていく役割。それが大きな目で見た社会福祉法人の方向性ではないかと思います。これが一歩進めば、社会福祉法人によるコミュニティーデザインというものを一つ大きく掲げた上で、目の前にある現実には適切に対応していく。この2種類のことが方法論としてあるのではないかと思います。

 以上です。

○田中座長 順番に。高橋構成員。

○高橋構成員 ただいまの御意見に関連するのですけれども、児童福祉法に関わるお話はこういう席ではなかなか出ないのですが、実際には、児童養護だとか保育にしても、児童福祉法による施設は社会事業法が制定される以前から始まっていた。児童福祉法は、昭和22年公布されて23年ですね。ですから、割に単独法人が多いのです。そういう中で今日まで進んできているというのがこの多様なニーズに応え切れないものもある。

 もう一方、先日も地域のある人が、公園にたむろしている若者たちは何とかならないかということを施設のほうに言ってこられた。これは、確かに居場所がないからそこに集まっているのかもしれないけれども、行ってみて、ちょっとかかわりにくい。ならば、一定の、例えばコミュニティーソーシャルワーカーのようなグループが話し相手になるとか、場合によっては警察に同行してもらってでも行くかというようなことにもなるのかもしれませんけれども、地域のそういうニーズが徐々に変わっている中で、例えば養護施設であっても、もう一つ、高齢児に対する仕事というのがあるのだろうと思うのです。

 前回も私はちょっとお話ししましたけれども、基本的には15歳の義務教育を終えた後の教育というのは、養護施設に対しては特別な扱いなのです。今でも、高校に行くのは特別育成費として教育費が出ないわけですけれども、実際には、今、社会では60%以上の人たちが高校を卒業しても大学に行っている。児童養護施設の子供たちで大学に行かれるのはいまだに十数パーセントです。というのは、お金がない、居場所がない、食べられないということが前提にあるわけです。だから、そういう法整備ももっとした上で公益性を考え、法人としては何をするのかということも考えなければいけないと思っています。

 実際には、措置施設であるわけですから、そういう特別な事業をするにはやはり資金を導入しなければいけない、寄附金など資金を集めなければならないわけです。ですから、先ほどのように、おおよそ民間比5%分というのは法人にも繰り入れることはできるかもしれないけれども、児童養護施設がそれだけの社会貢献をしようとすれば、赤字覚悟でみんなやっているわけです。

 でも、自分たちが今見ている子供たちの将来、いわゆる恒久的な人生を共有するようなつもりでやらないと、児童相談所で措置された中で見ればいいのではないのです。今は非常に重篤なケースが多くなってきていますから、医療も福祉も教育も、時には心理のセラピストも相当多く必要としています。先進国ではほとんどそれがセットになって見ているのです。日本はまだ同世代の人口の14%ぐらいが社会的養護を受けている。先進国はもっとです。40%以上の者がなんらかの公的な支援の中で生活している。イギリスなどはさらに24歳までは見ようと。今、25歳まで延ばす運動をしているというのが先日のバーナードの話でした。

 そういう意味では、まず自分たちの手元の周辺の事業がある意味では社会貢献的な部分、公益性を前提にした仕事だろうと思います。しかし、法人として考えれば、そこに介護報酬でやる事業もあれば、資金構造としてそこから浮くお金はそちらに回すこともできるのです。だから、法改正でそこの垣根を何とか取り除くことができれば、先ほどのお話のように、自前のお金でもできるのではないかと思うのです。

 私も先日、高齢児の施設をつくりました。大学に行かれる施設をつくりました。そのためには、約半分は寄附金を集めました。今の施設整備のお金ではできないです。借金しても返すことができないですから、そういう企業等の社会貢献を前提にしてお金をつくらなければならないです。いろいろな種別によってそれぞれの事情があるわけですけれども、法人が非常に多角的に仕事をしていけば、その中である意味ではそれも可能になっていくのではないか。

 最初に戻りますけれども、施設ありきで法人ができている、そういう時代の施設を何とか束ねていくことも必要なのではないか。高齢者の施設の中に児童養護も加えていくとか、そんな中で目的としていることが達成できるのではないかということも私が考えていることであります。

 以上です。

〇田中座長 ありがとうございました。

 先ほどから手が挙がっています松山構成員。

○松山構成員 今のお話の続きですけれども、きょうの議題である社会福祉法人に求められる新たな取り組みには、一つの法人で完結できるものと地域全体で共同運営しないといけないものがあると思うのです。いずれの場合でも、先ほど申し上げた、社会福祉法人全てに強制拠出をお願いするというのは、財務省に税金でとられるということではなくて、地域の中にお金をプールするということであり、共同運営もしくは個々の法人が頑張っておられる新しい取り組みの財源とするということなのです。

 ちなみに、米国の場合は、例えばピッツバーグにある医療・介護・福祉事業体で、UPMCという大きな地域ネットワークがありますけれども、そこは、貧富の連鎖を断ち切るために、貧困家庭の子供が高等教育、つまり大学に行くときの学費を数十億円単位で病院事業から出しています。それは、今お話のあった養護施設に入っておられた子供さんたちを大学まで行かせてあげるための財源の確保の方法として、これまでは日本でも寄附とか個別の法人が努力するということがあったと思うのですけれども、私はそこは割り切って、地域全体で社会福祉法人が共同拠出ということも検討すべきではないか。

 最後に1点。新しい取り組みのお話を伺っていると、それはかなり専門的な人材が必要なのです。かなり高度な知識を持った人が必要。ということは、その人たちの能力に応じた給与もある程度確保しないといけないのです。

 ちょっと記憶違いかもわからないのですけれども、大阪の生活困窮者支援のプログラムの中でも、専門人材の給与を確保できなくなって、たしか府が補助金をカットしたという話があって、運営自体が非常に大変なことになったとお聞きしているので、そういうことがないように、自治体に頼らなくても自分たちでできるような仕組みをみずからつくっておくというのは非常に重要なのではないか。

 2週間前に英国のエジンバラに行って学会に出ていたのですけれども、ニュースを見ていましたら、あのイギリスで貧困高齢者の介護サービスの公的プログラムで何が起きているかというと、無資格者を介護に充てているのです。何で無資格者かというと、安い賃金で雇えるからということです。それが事故を多発していまして、イギリスでこんなことが起きているのかというようなことを感じました。それに比べると、日本の場合は社会福祉法人の中に専門人材がたくさんいるわけですから、かなり進んだことができるのではないかという印象を持っています。

 以上です。

〇田中座長 森構成員、どうぞ。

○森構成員 まずは、藤井先生に資料を送っていただきましてありがとうございました。これを読ませていただいてつくづく思いましたのは、リスクをとって先駆的なことをやっていらっしゃる方には、必ず後から国あるいは行政機関がついてくる。今お話を聞いておりまして、やはり社会福祉法人自体にリスクをとる、要するにそれはいろいろな事業。先ほど高橋先生もおっしゃいました。例えば、自分の周辺のもので何でもそうなのでしょうけれども、そういうことまずやってみるという気迫というか気持ちがなければ。

 実は、今日こちらにお見えの田中先生、田島先生、浦野先生が18年8月に社会福祉法人経営者研究会か何かのあの冊子、報告書が出ている。恐らく、あれが一つのガイドラインと私は思っていたのですけれども、あのときから7年余たってまだこの状態だということは、ある面で、社会福祉法人自体が、ゆでガエルの状態で、どんどん。気がついたときにはもうという状況になっている。先ほど来のお話のように、要するに課税してもいいではないかという話になってくる。そういうことの中に、私は、自分のところの過去の経験の中で1つ。

 実は今、全国に1,750近い自治体がございますけれども、平成1213年のところでたしか地域福祉計画。これは行政計画で自治義務だったのです。いわゆる2000年(平成12年)に地方自治の分権ということで、行政計画でありながら義務化をやらなかった。このことによって、地域福祉計画その実施状況は1100余自治体、実施率63%強です。地域福祉計画は先ほど来お話のように、住民の皆さん方と社会福祉事業者等がそこで一緒に議論して、見える化を図る。そうすると、自分の地域の課題がわかってくる。それにどのように取り組むかということ。行政はもちろん下支えをするけれども、ある面では、そこに社会福祉法人が自分たちの、要するにこれからやっていかなければいけない。地域福祉計画によって地域が見えたのだと。だったら、見えたことをどのように処方箋を書いてやっていくか。

 一つの例を申し上げます。そのときに私どもでこういう例がございました。障害者の御家族の方たちが自分たちの居場所。そしてもう一つは、養護学校の高等部を卒業していわゆる授産所へ来る。御案内のように、授産所では、賃金的な問題でそんなに大きな収入が得られないわけです。そうすると、親なき後の問題を常に心配をされて、何とかこの子たちの就労の場をと言う。高等部を卒業して、その後どのようにしていくか。

 そのときに、厚労省のほうからいろいろ御指導をいただく中で、昔の戦争未亡人でやっていった社会福祉法人が休眠状態であった。これを私ども行政が生き返らせようと。そして、そこに卒業してきた子を。そして、それを就労につなげるためのジョブコーチを市でバックアップしようということで、今現在、例えば私どもですと、自動車関連を含めて、あるいは私どもの市が100%出資している会社の清掃業務、こういうところに精神の方も知的の方も障害の方も就労する。そうすると、そこでは一定の収入が得られる。そういう点で、地域福祉計画で見えたことを具現化していく。そこに社会福祉法人の大きな役割がある。

 それが今度は、先ほど申しましたように、例えば障害者の就労ということで、いわゆるタックスイーターからタックスペイヤーになることができるのだと私は思っております。いろいろな意味で、社会福祉法人の果たす役割というのは、自分の目の前というのですか、住む地域の中にあるのだということでリスクをとっていただくか、手を出していただく。恐らく、行政は地域の課題を解決するためには、もちろんNPOも必要でしょうし、住民も必要でしょう。あるいは、社会福祉法人というのは大きな地域資源ですから、これも必要だと。先ほどもおっしゃいましたように、いかにそのような連携をしていくか。そういう中から問題解決ができるのではないかと思います。

○田中座長 ありがとうございました。

 平成18年の報告について、確かにおっしゃるとおりですね。

 宮田構成員、どうぞ。

○宮田構成員 先ほど浦野構成員から御紹介があった事例で、先行事例としての大阪府の取り組みを若干補足させていただきながら、私の思っていることをお話ししたいと思います。

 資料1の11ページをもう一度ごらんいただけたらと思います。

 大阪府でやっている社会貢献事業ですけれども、10年たちました。今まで老人施設部会だけでやっていた事業なのですけれども、今回、一番上の四角の3つ目の〇で、保育部会でもスマイルサポーター、地域貢献支援員を配置して、総合相談に対応している。ほかの種別についてもこういった取り組みをやっていこうと。あと、ちょっとネックになっているのが措置施設のグループで、その辺の拠出金の関係をどうするかということ。今後そういうこともクリアしながら、全体としてできるだけセーフティネットの目を細かくしていきたいと考えて取り組んできているところであります。

 先ほど浦野構成員からございましたけれども、これの特徴は、社会福祉事業というのはそもそもきちんとニーズが精査されて、こういう人のこんなニーズに対してこんな援助をしてくださいねと、すごくきちっと分けられたのです。

 一方、こういった取り組みというのは、見守り、発見、介入、つなぐ、援助という、社会福祉援助の全てのステージにかかわるようなことをするわけです。松山構成員がおっしゃったように、だからこそすごくスキルの高い人材も必要ですし、そういう援助を通しながら支援員が成長していくということもあります。

 先ほどおっしゃっていただきましたけれども、大阪府の個々のコミュニティーソーシャルワーカーは社会福祉法人の職員でやっていました。社会貢献支援員というこの部分は今20人になっていますけれども、このメンバーが、当初、大阪府の補助金で配置されていたのです。その補助金がカットされて、これも社会貢献基金の中から雇用するというようなことで、人員が当初より半分以下に減ったということなのです。決して、補助金がなくなったので援助能力が下がったとかいうことではなくて、これはこれで、今まで行政に頼っていた部分を全てみずからの経済基盤の中でやっていくというようなところで、ある種、自負も生まれてきて、自立的な、逆に言うと、行政から何を言われてもいいよというぐらいの事業に育っていったのだろうなと、私はいいほうに受けとめているのです。

 そういったことで、10年たって、現在、コミュニティーソーシャルワーカーが約800名、社会貢献支援員が20名、今までの相談実績が3万件以上で、経済援助が5,000世帯以上。一番下に「地域住民からの寄付物件を活用した物品支援1,000件以上」と記載がございますが、私はこれがすごく重要なことだと思っています。つまり、そういう仕組みの中で、それに共感した一般市民とか会社とかがいろいろな形で支援をしてくれている。例えば、大きなお米屋さんの会社が食料支援のために米を年間何トンとかいう形で寄附してくれているとか、そういう協力が得られてきている。私は、そんなことが社会福祉基礎構造改革で言われた福祉文化の創造に貢献しているのではないかと思っています。

 そのような取り組みを進めていく環境をつくっていくことが重要で、社会福祉法人としては、そういう面としての取り組みと、個々の法人として、例えばいろいろな法人の特色、うちは保育をやっているのでこういう子育て支援を地域でやっていますよというようなことも多分それぞれで重要だと思うのです。そういう重層的な取り組みというのが今後ますます重要になってくるのだろうと思っております。

 以上です。

○田中座長 ありがとうございました。

 論点1だけではなく論点2のほうですね。障壁は何かとか、促進策といった制度論のほうについて触れていただいても結構です。

 藤井構成員。

○藤井構成員 4点ほど述べさせていただきたいのです。

 まず、雄谷構成員が先ほど財源論と方法論と分けていただいて、非常に明確になったかなと思いました。

 財源論のほうに関しては、私も松山構成員と同様に、今の社会福祉法人で利益に当たるものは一定額還元していただこう、できないのであれば課税という手段もあるのではないかと考えます。

 アメリカ、あるいはドイツの高齢者は、ノンプロフィット、プロフィットがあって、かなりイコールフッティングになっていると思いますけれども、アメリカなどはイコールフッティングになりますと、例えば病院でも、クリームスキミングできるような神経内科、循環器、整形外科は営利が非常にあるけれども、それ以外の診療科はなかなか取り組まないで、リスクがあるもの、もうかりにくいものをノンプロフィットがやる。

 高齢者の分野で言いますと、スタンドアローンのナーシングホーム、すなわち日本で言う特別養護老人ホームはほとんどリスクがないので、営利の比率が高い。それに対して、CCRC、田島構成員がこの9月までおられた、元気なうちから入っていただくような、みずからが選択して入ってくるタイプのものは「長生きリスク」など様々なリスクがあるので、営利がやらずに非営利の比率が高い。営利はクリームスキミングをやって、非営利はリスクがあったりもうからないものをやっていくというのがあるようですけれども、日本の場合は、入所施設のような安定的にもうかるものを社会福祉法人が譲らないという構造がございますので、当然その結果は、よりしっかりと還元していただくということなのだろうと思います。

 ただ、今、制度上の立てつけというのがややこしくなっていまして、障害にしろ、高齢にせよ、一旦、法人税法上の収益事業としておいて、そのうちの医療保健業である、社会福祉法人が行う医療保健業だから非課税だという妙な立てつけになっています。ですから、わざわざ厚労省の所管しない税法のほうを手間をかけて変えてもらって、厚労省が頑張ってとってきた財源を財務省に返すということになり、そんな必要はないので、非課税というよりは、報酬を下げる。厚労省に戻してもらう。そして、そのお金をプールしてもらって使うとか、課税、非課税でない知恵の使い方があるのではないかと思います。

 1番目がこの財源論の話で、2番目が雄谷構成員の言われた方法論です。

 一定程度もうけたお金は使っていただきましょうと言いましても、資料1の17ページのような横出し・上乗せという見方もあるのでしょうが、先ほど来、松山構成員のほうから相当な専門性という話がありました。例えば社福の減免などというのは誰でもできるわけでございまして、これをたくさんやりましたと。やらないよりはいいですけれども、専門性があるとも言えませんし、立派だとも言えません。東京都では「社会福祉法人等」になっていますので、たしか株式会社も対象にしておりまして、株式会社でもやっているところがあると聞いておりますので、別に社会福祉法人でなくてもできるというゾーン。

 それから、大阪府とか神奈川県のように、ほかの法人がやろうと言ってくれたものに乗るとか、先ほど森構成員がおっしゃった、行政から声がかかって乗るとか、それなりの意思と意欲とその気がなければやらないけれども、イノベーションであるとか、経営者としての能力が買われるものではないレベルのものの第2ゾーンがあります。

 第3ゾーンは、雄谷構成員が地域を改めてつくり直すといったような趣旨のことをおっしゃっておられましたけれども、どれぐらいできるところがあるのだろうかというタイプのもの。結局、方法論で言いますと、社会福祉法人が生き残るためにはこの第3ゾーンがどれぐらいできるか。お金で解決する話であれば、課税にして吸い上げて行政がやればいいという話になるわけであります。社会福祉法人でないとできない、社会福祉法人の専門性でやれること、しかも、その地域、地域に合ったことを地域と一緒に決めてやれる分権的な仕組みとなると、社会福祉法人の専門性がそこで生きているというものをいかにつくっていくかというのが問われているのだろうと思いますので、これをどういう形で入れていくかだろうと思います。

 3番目の論点になるのですけれども、こうしたことは無理に強制するとやらなくなると私は思いますので、事後にきちんとチェックするものが必要だと思うのです。このチェックする仕組みですね。ここの法人がどれぐらいちゃんとやっているかというのを見える化していく。それで、ある程度の条件をクリアしていれば社会福祉法人でやっていただいていいけれども、クリアできないのであれば、来年度の報酬を下げますよとか、松山構成員のおっしゃるような税金をとりますよでもいいのですが、ペナルティがある。そこのチェックの仕組みは、地域の住民の参加したボード、あるいは専門性のある方がチェックしなければいけないと思いますし、ある程度ピュアな評価。例えば社会福祉法人の経営者協議会というのが都道府県ごとにコンサルテーションもやっているようですけれども、そういったところが入って、できないからだめだとつぶすのではなくて、こういうふうにやればいいよということを伝えながら、チェックもし、コンサルテーションもするようにして社会福祉法人を育てていくという仕組みが必要なのではないかと思います。

 4番目の最後の論点ですけれども、論点に書いてありますように、今の枠組みが社会福祉事業、公益事業、収益事業となっている。ところが、資料にもありましたように、公共性、純粋性というものが言われまして、これは2000年に社会福祉法ができる以前で言いますと、公共性というのは経済学で言う公益財とは違う使われ方をして、政府がやるもの、あるいは、社会福祉事業の経営主体は本来国や地方公共団体が行うものという意味の公共性です。つまり、社会福祉事業が公共性なのだという理屈であり、社会福祉法人は社会福祉事業だけやっていればいいというのが純粋性だという言葉で使われていたと思います。

 これも前回申し上げました名古屋大学の先生が監修しておられるコンメンタールに書いてあったのですけれども、法の24条で経営ということをうたったのは、これを打破しようと。社会福祉法人の創意工夫とか自立性を改めて車の両輪でうたっていこうということで法の24条ができたわけです。では、法ができて13年たったけれども、どうなったか。途中、森構成員がおっしゃったように、いろいろなものが出ているのですけれども、そこが変わっていない。地方公共団体では、むしろこの純粋性、つまり社会福祉法人は社会福祉事業だけやっていればいいのだという方はまだかなりいらっしゃると思います。これがかなりハードルになっていて、やりたいと思って行くと、それは何事業ですかと。社会福祉事業は形式からチェックするというつくりでございますから、時間が短いものは、例えば6カ月かからないですねと。人数が少ないもの、これは社会福祉事業ではないという立てつけでございます。例えば、わかりやすいのが「年越し派遣村」の事業。あれだけ社会的に必要なことをやったとしても、6カ月やっていませんから社会福祉事業にならない。社会福祉法人がやろうとしたら、あれは公益事業ですねということにならざるを得ない。

 これは、社会福祉事業が明確に定義された枠組みなので、これはこれでよかろうと思うのですけれども、片方で純粋性みたいなことを言われて、社会福祉法人は公益事業はやるなという自治体が非常に多いことに鑑みますと、むしろ社会福祉事業の残余としての公益事業ではなくて、もう一本しっかりした軸をつくってもらって、社会福祉事業とともにやらなくてはならない事業、そういう事業がある。ここは頭を使うのだ、技術も使うのだみたいな法律上の立てつけをつくっていただかないと、地方公共団体で意識を変えていただけるところがないのではないか。

 法律ということを持ち出しますのは、厚労省の方々もいて申しわけないのですけれども、昨今、混合診療とか、薬の通販等々、省令でお茶を濁そうとすると、最高裁まで行ってしまう。社会福祉法人の中には、社会福祉法人になりたくてなったのではなくて、特養がもうかるからやりたいという方が入ってきておられるわけです。そういう方は最高裁まで争うかもしれない。

 混合診療のほうは勝ったからいいようなものの、やはり法律にちゃんと書きなさいと言われました。薬の通販に関しては、国会でそんなことを議論していないではないか、だめと言われたわけでございますから、社会福祉法人が社会福祉事業とともにやらねばならぬ事業があるのだというのは法律上もきちんと明記していただいて、これができないのであれば、社会福祉法人として欠落しているよという言い方ぐらいまでしないと、私は、この十何年間を見ていて、地方公共団体及び社会福祉法人の経営者の皆様方の気持ちが変わらないのではないかと思っています。

 ただ、あくまでむちで打つという形で経営者の皆さん方を変えると、その専門性なり力が生きませんので、どうやってその気になっていただくかということは重要とは思いますけれども、そろそろむちも必要かというのが現状ではないかと思っています。

 以上です。

○田中座長 よい整理、ありがとうございました。

 私も一言。田島構成員、ちょっとお待ちください。

 藤井構成員が指摘した17ページの図は、今言われた言葉遣いで表すと、社会福祉法人が持っている専門性とかイノベーション、あるいは革新、そういう図柄になるほうがいいなと感じました。

 どういう意味かを説明すると、介護保険の世界では、別な収入源として、一部負担とは別に利用者からお金をいただく方法の言葉遣いとして上乗せ・横出しという用語を使ってきているため、社会援護局が利用者からさらに金をとろうと思っているのかと誤解されてもいけないので変えた方がよいでしょう。さっき対馬構成員が言われたことなどは、まさにイノベーションのために利益を使ってきた話ですね。新しい介護事業のあり方、在宅事業に資金を使った。よって言葉を工夫したほうがいいかなと感じました。

 では、田島構成員、どうぞ。

○田島構成員 藤井構成員にいろいろ言われてしまいましたけれども、現状どうなっているかというのを少し御報告申し上げたいのです。

 社会福祉法が法律の名前も変わって10年ぐらいたって、経産省の下部団体といいましょうか、独立行政法人の経済産業研究所で1万5,000の非営利法人の調査をしたのです。回答率が一番いいのが社会福祉法人なのです。ですから、非常に真面目なのです。当然のように、就業規則等の規則も99.8%ぐらい整備している。法律を守って大変真面目にやるのですが、法律で強制されていないことはやらないのです。

 例えば、定款を公開しているところはたった3%です。地域の方に、個人のものではありませんというものを。定款の一番最後のところに残余財産のことが書いてありますから、これは積極的に公開して、地域の財産なのだということを本当は言うべきなのに、ほかの法人に比べて大変少ないです。それから、寄附金が少ないです。収入に占める寄附金の割合は、いわゆる狭義のNPO、特定非営利活動法人の3分の1ぐらいしかない。恐らく、創設者の方が役員や施設長報酬の中から借金返済のために寄附金を入れているという実態がほとんどではないか。先ほど浦野構成員から出たように、外からのお金をもらおうという感覚が余りない。それは、自分で何か制度外のことをやろうとしないために財源を必要としない。ですから、松山構成員がおっしゃるように、財源を先にとるのか、法人がやらなければいけないことを見つけるのが先なのか大変難しいと思っています。

 また、経産研究所の調査によると、現状は、地域の課題解決のために頑張りたいという社会福祉法人は非常に少ないのです。複数回答ですが、障害者や高齢者の活動に対して事業拡大志向を持っている社会福祉法人は30%とか50%あるのですけれども、地域の課題に取り組みたいというのは15%しかない。50%の公益財団法人が地域の新しい課題に取り組みたいと考えている。これを変えていかないと、単にお金を出し合っても使い道がない。そうすると、別のところで使われてしまうことになってしまう。私も社会福祉法人の経営に加わっていましたが、ここを真剣に考えないといけないのだなと思います。

 藤井構成員が最後におっしゃった地方の行政の非常にかたくなな対応、割合までは出しませんけれども、半分ぐらいはそうではないかと思うのですが、新しいことはやるなとか、社会福祉事業以外はやってはいけないとか、収益事業などはもってのほか、絶対もうかる証拠を出せというわけです。絶対もうかるというのはどなたもなかなか言いにくいと思うのですけれども、少なくとも大きな赤字を出さずに中間的な就労から一般就労に移っていくようなものを社会福祉法人の収益事業で行うとか、そういうことをもっと自由に。自由にと言うと問題かもしれませんが、一定の枠の中で認めさせることを厚労省の皆さんにもぜひ地方に向かってきちっと告げていただかないと。田中先生と一緒に加わった法人経営改革の委員会の後の課長会議等では財源の移譲等について大分詳しく言っていただきましたけれども、なかなか浸透していないという現状をぜひ知っていただきたいと思って、追加的な発言になりましたが、いたしました。

○田中座長 ありがとうございます。

 お2人から続けて論点2の適切な課題を指摘していただきました。

 松山構成員、どうぞ。

○松山構成員 今のお話との関連で地方自治体の対応です。私も複数の社会福祉法人の職員の方から懇願されたのですけれども、社会福祉法人が職員の給与をアップしようということで市の当局者に報告に行ったら、それはまかりならぬと言われたそうであります。社会福祉法人なのだから、給与は安くてもいいだろうということを市の職員が言うというのです。これは法律のどこにも書いていないし、とんでもないことなのですけれども、そういうカルチャーが市町村レベルではあるらしいのです。

 ことしの4月1日から社会福祉法人の所轄が県から市におりましたけれども、私はやはり県に戻すべきではないかという気がします。県の職員でも複式簿記はわかりませんけれども、市はもっとわからないのです。だから、行政はできないはずなのです。そうすると、これから地域包括ケアで社会福祉法人が大きな役割を果たしていかなければいけない。その計画をつくるのが県であることを考えても、社会福祉法人の所轄は県に戻していただいて、厚労省のほうから全国がきちっと見られるような仕組みにしておかないと、多分、相当非効率的なことが起こるのではないかという懸念を持っています。

○田中座長 浦野構成員、どうぞ。

○浦野構成員 いかにこういったさらなる取り組みを促進していくかということなのですけれども、資料1の25ページに具体的な運用について記載されております。これは、審査基準に例示とか審査要領に例示とかいう形で例示をされるのですね。これが都道府県におりていき、市におりていくと、この例示が金科玉条になるのです。この例示を増やしていけばいいのかもしれないですけれども、幾ら増やしていっても。どんどん追い駆けてふやしていくという手法もあると思うのですけれども、例示ではなくて別の仕組みも必要なのかなという気がしております。

 例えば、いろいろな提案が出てきたときに、それを客観的に審査する仕組みとかをつくって、そこには社会福祉事業の経験を十分有する人とか学識経験者とかで基本的に審査をする、そこでオーケーが出たものは行政庁は九分九厘オーケーを出すというぐらいの仕組みをつくっていったほうが、例示だけではちょっと。多分、例示が金科玉条になるというのは常のことだろうという気がしておりますので、そんな仕組みも考えられればと思います。

○田中座長 大事な提案ですね。

 森構成員、どうぞ。

○森構成員 先ほど松山構成員がおっしゃいましたことは、とりわけ市町村のほうはある面では能力的にないと私には感じられました。例えば、先ほど申しましたように、実際に地域福祉計画をやって、職員もそこへ入って、社会福祉事業者も一緒に入ってやっていくと、そこの中できちっと。問題は、今、松山構成員がおっしゃったように、いわゆる財務諸表の見方ということ。専門性の問題はあると思います。しかし、いろいろな意味で現場にネタが落ちている。そうすると、中二階の県よりも、一番近いところで、住民に身近なところできちっと拾って、それをどのように処方箋を書くか、そういうことというのは一番基礎的な自治体ではないかと思います。介護保険でも、また同じように県がやれというようなことになっていってしまったら、せっかくここまで来たことが水泡に帰すのではないかという懸念をしました。

 財源的ないろいろな問題は松山構成員とそう変わりませんけれども、この問題だけは私は考えを異にします。

○松山構成員 私が申し上げたいのは、ガバナンスのところは県が握るべきで、もちろん現場は市に頑張っていただくというのは必要だと思うのです。市にしかできないと思うのですけれども、そこは仕組みで切り分ける必要があるのではないかと思うのです。

 市が所轄するようになって何が起きたかというと、私が財務諸表を集められなくなったのです。無限に時間を使えば集められますけれども、以前でしたら、県庁に電話をかけて相談して、実際にリストをつくってお願いしたら資料が来たわけです。ところが、東京都でも市におりてしまったので、情報開示請求が非常に困難になりました。それは何とかしてほしい。もちろん、厚労省が将来的に財務諸表を全部集める仕組みをつくってくれればそこは解決します。

○藤井構成員 財務諸表はおっしゃるとおりなのですが、私もたまたま院生に都庁の人間がおりまして、昨年度、区市に移行するに関して、区市のインタビューとか、区市の社会福祉法人に関してどうだというアンケートを行いました。私も松山構成員と同じく全く懐疑的で、区市におろすことはいいことは一つもないのではないかと実は思っていたのです。その都庁の人間も結構そう思っていたのですが、区市の職員も、社会福祉法人も結構なことだと言っている。一つの書類を持っていくにしても、今は都庁に行かなければいけないのを身近なところで相談できる。実態も分かった上での指導・助言がある。

 ただし、補助金を出すところと規制するところが一緒で大丈夫なのだろうかという懸念はあるにせよ、区市ですから、市のレベルで能力がないところというのはもちろん一部にあるのかもしれません。財務諸表の問題は、おっしゃるように、都道府県に上げても読めませんので関係ないと思いますから、それ以外のことに関して言うと、できないところとか問題のあるところは区市にきちんと改めていただく。その場合に、先ほどの浦野構成員の例示の話ではないのですけれども、担当者がいろいろ変わってわからないというようなことをおっしゃるのであれば、きちんとそれを周囲で支えるような仕組みがそろそろ必要かなと。

 ただ、東京都の区市に限って言いますと、多くの区市は、地方行政を担っていく、自分たちが身近な自治体でやるといったときに、1つの部署で3年ごとに入れかえるなどという強引なやり方はどんどんやらなくなっていて、福祉なら福祉の部署で人を育てる。ある区は、私は今の部長が係長時代から知っていますけれども、そういう形で人を育てるということをそろそろ始めて、区市が力を持ち始めたときでございますので、結果的には、社会福祉法人の許認可事業を区市に落としたというのは大変いいことだと私は思っております。先ほどの森構成員と同じように、それ以外は松山構成員に全部賛成ですけれども、この件はよかったと思っております。

 以上です。

〇田中座長 では、あと1人、2人で。

 松原構成員、どうぞ。

○松原構成員 3点だけ簡単に述べさせていただきたいと思います。

 第1点は、本日、社会福祉法人の更なる取り組みとしていろいろな事例を御紹介いただきまして、本当にすばらしいと思います。市場に任せたらなかなか成立しないようなこうしたサービスは社会福祉法人がどんどん積極的に行っていくべきで、そこで行政とか社協とか社会福祉法人自身に問題があるのであれば、そこの解決は早急に図っていく必要があると思います。

 2点目としましては、そうした更なる取り組みが義務として強制的になったときの財源は何なのかということです。財源としては、寄附か、補助金か、従来事業の利益かと思います。寄附や補助金というのはこれからどれほど期待できるのか。主な財源は本来事業からの利益になるかと思うのです。

 本来事業の利益というのはどういうものかというと、例えば、社会福祉法人で利益が多いと批判されてきたのは主に特養の部分が多いかと思いますが、特養の報酬というのは、当然、公定価格、公共料金として定められているものです。公共料金というのは、効率的な経営のもとで適正なコストと適正な利益になっているはずだと。適正な利益とは何なのかというと、基本的には単純な再生産が賄える利益だということだと思うのです。営利企業のように際限なく拡大再生産、ほかを買収したり、どんどん新たな事業を創設するための利益ではなくて、単純再生産を賄う利益を原則想定しているかと思うのですけれども、そこら辺の利益のはずが、本来事業以外にほかにどんどん使われていくということがどこまで社会的に許されるのか。

 今、介護保険料がこれから高齢化の中でますます上がっていく。ここをどうやって適正化していくかということを議論していく中で、特養のほとんどが過剰な利益を出して、その過剰な利益をどんどんほかの事業に使っていくよということが制度化になっていくとなると、国民の理解は得られないのではないかと私は思っております。

 ここに挙げていただいたようなこうした事業であれば、多額の拠出をしていくという話ではないと思いますので、ふだんの事業の中でちょっと気がついたことに手を出すというレベルだと理解しておりますので、こうしたことに対して私は反対するのではなく、どんどんやっていただきたいと思っておりますが、これが行き過ぎると、もともとの介護報酬なり、プライシングの問題を指摘されるだろうということです。

 3点目は、そもそもこんなことが議論になるのは、本来業務がちゃんと社会貢献、地域貢献しているのかというところがあるかと思うのです。本来業務がきちんと社会貢献しているのであれば、私は堂々と胸を張って非課税組織であっていいと考えております。その本来業務のところに対して、例えば、自分の特養は高所得の人しか入れませんとか、問題のある人は全部お断りしますなどというところが増えているのであれば、ここは必ず是正されていくべきで、本当にそこが非課税でいいのかということが問われていくべきだと思います。国民に対してその本来業務に関するアカウンタビリティーですね。ちゃんと地域貢献しているのだということを今後示していくことが求められるのであって本来業務はどうなのか。再度、ここのチェック、認識、社福の説明といったことが必要ではないかと思います。

 御参考までにアメリカの非営利病院がどんなことになっているかと申し上げますと、あちらは自由料金なわけです。自由料金ですから、とりやすい人にふっかけていく、こういう世界です。何を言いたいかといいますと、チャリティーケアは物すごくしているのですけれども、そのチャリティーケアの財源は何かというと、本来のコスト以上にふっかけてきて、それでとってきている利益だということなのです。我が国のように、公定価格でできていて、それでほとんどのコストが賄えているという世界とはまた違いますので、御参考までに。

 以上です。

○藤井構成員 今の3つあるお話のうちの1と3は賛成なのですが、2番目はちょっと留保が必要かなと思うのです。

 アメリカの話が例に出たので。ナーシングホームですと、御存じのように1カ月までメディケアで、後は財産を売り払って、最後はメディケイドという形式。財源上から言うと、4割ぐらいがメディケア・メディケイドで、それは公費でございます。そのときに利益は当然出て、利益が出たものについてその部分の税金分は地域に返していこうといったことが、現地の介護をやっておられるノンプロフィットの団体は我々のミッションだと。

 なぜかというと、これが税金で政府にとられるような形で使われるよりも、我が国民は分権的に自分たちでこれを使っていって地域に還元するほうを歓迎しているからだといったような言い方をします。

 松原構成員がおっしゃるように、これは日本国民が受け入れてくれるかどうかということにかかってくると思うのですが、私は、受け入れてくれるといいますか。逆に言うと、それを受け入れてくれないのならノンプロフィットも税金をとるしかないという話になってしまうと思いますので、2番目の点は、私は松原構成員のおっしゃっているのとは意見が違います。

 以上です。

○田中座長 最後に、対馬構成員。

○対馬構成員 私は学校法人の経営者でもあり、社会福祉法人同様に非課税法人です。3、4年前、大学を経営している学校法人が繰り返し資金運用をして何十億かの損失を出しました。そのときは国民から、こんなに稼いでいるのなら税金を払えという話は全くありませんでした。しかし、なぜ今、社会福祉法人の利益について厳しい批判があるのか考えてほしいと思います。

 これはなぜかというと、特別養護老人ホームの高齢者を施設でケアしているだけでは社会から認められないということが一番大きい理由だと考えます。介護保険で事業を行う社会福祉法人は、施設に入所している高齢者のケアはもとより、その地域における介護にしっかりと関わることで地域社会から認められることに繋がると確信しています。

○田中座長 ありがとうございました。

 まだほかにあるかもしれませんが、時間を過ぎましたのでここまでとさせていただきます。

 事務局から次回の会合についての説明をお願いします。

○友藤課長 次回の開催は1118日月曜日を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○田中座長 では、これにて本日の議事を終了いたします。皆様、御協力いただきましてどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省社会・援護局福祉基盤課

(電話): 03−5253−1111(内線2870、2871)

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