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2013年10月30日 第72回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録について

職業能力開発局

○日時

平成25年10月30日(水)16:00~18:00


○場所

合同庁舎5号館 厚生労働省専用第18・19・20会議室(17階)


○議題

(1)雇用保険制度(学び直しの支援措置)について
(2)ポリテクセンター・ポリテクカレッジの都道府県への譲渡について
(3)その他

○議事

○小杉分科会長 定刻になりました。定足数に達しておりますので、ただいまから第 72 回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。

 本日は所用により三村委員、澤田委員、高倉委員、大野委員、諏訪委員が御欠席です。また、諏訪委員代理として高山さんに御出席いただいております。

 議事に先立ちまして、職業能力開発分科会に所属されています委員に交代がありましたので御報告させていただきます。労働者側代表の林委員に代わり全国建設労働組合総連合会の田口委員が御就任されました。

 

○田口委員 田口でございます。よろしくお願いします。

 

○小杉分科会長 交代後の名簿は、お手元に参考として配布しておりますのでご覧ください。それでは議事に移ります。議事次第にありますとおり本日の議題は、「雇用保険制度 ( 学び直し支援措置 ) について」「ポリテクセンター・ポリテクカレッジの都道府県への譲渡について」の 2 件です。

 まず、「雇用保険制度 ( 学び直し支援措置 ) について」です。内容について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○青山能力開発課企画官 能力開発課の青山です。学び直し支援措置について御説明させていただきます。資料は 1 です。説明に入る前に経緯を簡単に申し上げます。学び直し支援措置については、かねてより学び直し措置全般を議論する職業安定分科会雇用保険部会との連携を図りながら議論を頂いておりますが、当分科会としては前回 9 18 日の分科会で、その対象となる訓練の在り方等について論点を基に御議論いただきました。その後、今月 10 8 日の雇用保険部会において、給付面の支援策等に関するたたき台を、訓練のイメージも含め提示して議論いただいておりますが、訓練の内容については主に当分科会で議論いただくという分担ですので今回お示しするものです。雇用保険部会の資料などについては、後ほど御紹介いたします。

 資料 1-1 1 ページ以降の説明をいたします。学び直し支援措置の対象と考えられる訓練については、前回の分科会等においても対象者や目的などによって訓練の内容等も異なるのではないか、既存の訓練との対比も含めて関係を示すべきとの御意見もあったことを踏まえ、既存の関係施策を含めた関係図を作成しました。端的なものにすべく各制度の内容を大きく単純化しているきらいがあるのでお許しいただければと思います。

1 ページの表で、離職者の訓練としては公共職業訓練、求職者支援訓練が早期再就職を目的としますので、主に基礎的あるいは実践的な訓練を受けさせるもので、高度・専門的なものを自発的に受けるものが学び直しの訓練かと思います。在職者については、会社が即必要な能力の開発のためにその主導で訓練をする部分があり、他方で自発的に高度・専門的な訓練を受けるのが学び直し訓練かと思います。

2 ページは、そういう関係について特に非正規雇用労働者等について、関係を整理したものです。特に離職者の部分を御覧いただくと、非正規の離職者や職業能力が不十分な者等で早期再就職を望み、そのために主に基礎的な能力を身に付ける方は公共職業訓練、求職者支援訓練を受け、早期再就職を図る。他方、中長期的キャリア形成を望み、資格等のキャリアアップできる能力を身に付けることを希望する人は学び直し訓練を受け、正社員・専門職としての就職に進むという、訓練とキャリアアップの姿かと思います。

3 ページは、以上の 2 ページの関係をやや細かくマトリックスに書き込んだものです。企業による訓練は今説明をしたとおりですが、離職者は左の下にあるように、公共職業訓練や求職者支援訓練が早期就職に必要な基礎的・実践的訓練ということで、行政の受講指示等によって 1 年や 6 か月以内の短い期間で学科・実技といった訓練を促成的に受けさせるものです。そういう趣旨で訓練費用は無料で、その分は公費が持っているという費用負担かと思います。

 右のほうは、自発的な能力開発の部分で、行政の指示等ではなく労働者が既存の講座等から自発的に選び取るものですが、今、広く行っている教育訓練給付の中で更に今回、学び直しというものを抽出して行う。具体的には後ほど御説明しますが、「中長期的キャリア形成に資する特に高度・専門的訓練」という趣旨で、資格等に向けた所定の教育課程として長期のものを対象とし、それを一定の自己負担で自発的に受けるという類型かと思います。そういう関係で役割等が違ってくるのかなと思っております。

 具体的な訓練の内容は 4 ページで、学び直し支援措置の対象と考えられる教育訓練内容のたたき台です。訓練の基本的な考え方として、キャリアアップ、キャリアチェンジを目指すのが本措置の趣旨から、「中長期的キャリア形成に資する特に高度・専門的な教育訓練」として、以下の類型の教育訓練を基本的な対象とし、今の教育訓練給付講座と同じように厚労大臣が指定することとしてはどうかという形で掲げております。

 類型ローマ数字1(大文字)は、特に専門性の高い実践的な能力を習得するためのもので、「人材育成イメージ」のところにあるように、非正規雇用の方も含めて在職者・離職者いずれもがキャリアアップ、キャリアチェンジをし、各職業に不可欠、重要な能力を用いて専門的に職務を遂行できる人材を目指すというキャリア形成を想定した訓練の在り方かと思います。具体的には、マル1業務独占資格、名称独占資格の取得を目指す訓練や、マル1に準ずる職業上の効果の高い ( 特に実践的である等の ) プログラムが考えられるかと思います。具体的には企業等と連携した専門学校のプログラム等で、文部科学省の開発中のプログラムというものも視野に含まれ得るかと思います。内容的には、情報、環境等、様々な分野の実践的な分野が関わってくるかと思います。

 類型ローマ数字2(大文字)は、特に高度な職業能力を習得するための教育訓練で、中堅以上の在職者等がその職域等で更にキャリアアップをして、変化等に対応した企画、業務遂行をリードできるようになるというキャリア形成を想定しております。訓練内容は、大学院の修士・博士・専門職学位といった課程等のプログラムで、経営、会計等の分野が開かれております。

5 ページは、今の訓練類型と比較いただくために現行の教育訓練給付の対象教育訓練の基準や例をまとめたものです。以前お示しした部分もあるので詳細は省略しますが、資格等を目標とする様々な分野、期間での訓練を指定している現状にあります。

6 ページは、対象者の属性に応じた訓練の受講・効果のイメージをまとめたものです。上の 3 分の 2 ぐらいが在職者の部分です。受講形態としては、働いているので、勤務時間外を利用する夜間、土・日あるいは通信という場合が多いかと思います。訓練内容、対象者等は、例えば非正規雇用の方が資格を取得し、資格を有する正社員、責任者になることや、正社員でも資格を有しない人が資格を取ってそれを活用できる地位に上がったり職種を転換する、昇格する、実践力を強化するといったキャリア形成のために、先ほどの類型ローマ数字1(大文字)の資格の関係の訓練や実践的な訓練を受講するのが有用と考えられます。

 具体例として、補助的な職員等の非正規雇用の人が、資格を取って正規の専門職として仕事をするようなイメージも示しております。また、上の等級の資格を取る、建築士 2 級から 1 級に代表されるようなものでキャリアアップする場合や、実践的な訓練としては、マル2にあるように専門学校の企業と連携した実践的なプログラムを受講し、一定の分野での責任者になれるといったキャリア形成を例で挙げております。右のほうで、中堅以上の正社員等になりますと、類型ローマ数字2(大文字)のような大学院の修士等を取って変化に対応した業務等をリードするキャリア形成かと思います。例にあるように、 MBA を取り、経営戦略を担う人材になることや、技術職・研究職の方でも、技術経営という技術と経営を統合した課程で学び、経営的能力を高めイノベーションを推進・先導するというキャリア形成が想定されるかと思います。

 下のほうが離職者ですが、平日に働いていませんので、平日昼間の課程が受講できる方かと思いますが、これは若者・女性等を含め非正規雇用からの離職者が各種職業に重要・不可欠な資格取得、その他の実践的な課程の受講により専門性・実践性をいかした正社員での安定した就職が期待できるキャリア形成が想定されるかと思います。看護師等の資格を取るような例を掲げているほか、専門学校が企業等と連携して実施する課程の例、一定程度の期間を掛けてやる課程の例等も挙げております。それによって関係する企業に就職といったことも望めるのではないかと思います。

7 ページで、今、イメージで示しましたが、参考となり得る事例を当局で集めたものを示すものです。 7 ページは資格取得の例です。例えば上の 3 つは、非正規雇用も含めた労働者が資格を取得し、キャリアアップや職域拡大等を果たした例で、一番下の 4 つ目の○は、非正規雇用だった者が離職して、看護師の資格を取るために学校に入り直して学び、資格を取り、病院に正規で就職できた例等です。

8 ページは、先ほどの類型ローマ数字1(大文字)の中でも必ずしも特定の資格を目指すものではないが、実践的な訓練を受講していたようなケースで、これらも非正規雇用だった方が専門・実践的な訓練を受け、それをいかし正社員になり、専門的な仕事に就く例です。御参照いただければと思います。

9 ページは、先ほどの類型でいうと、中堅以上の社員が大学院の専門職学位課程等を受けるような例の参考になるものです。大学院の MBA のプログラムとか、理工系大学院の技術経営といって技術と経営を融合したプログラム等の例を掲げておりますが、ここにあるように、働きながら大学院で学び、修了後業務をリードする人材になれたという効果が経験として語られております。御参照いただければと思います。

10 ページは参考資料で、これまで様々な教育制度を前提としたプログラムの例を示してまいりましたが、その前提となる教育制度の御紹介です。専門職学位課程であれば、大学院の高度専門職業人の養成に特化して設けられている制度で、経営・会計等の分野で社会人向けの教育が展開されているものですし、大学院の修士・博士も、社会人向けの様々な分野の課程が設けられております。特に 3 つ目の○の「開講形態」を御覧ください。社会人向けですと、先ほど少し示したように平日の夜間・土日の開講が多く行われております。平日の昼間も一部あります。教育訓練給付も夜間・土日開講の大学院の講座を割合としては多く指定しているところです。この下にあるカリキュラムは、実際の大学院の社会人向けのものですが、このように平日夜か土日に授業時間を集中して設けられ、実際個々の人で見ても、火・木曜日の夜と土曜日など、そういう形で受講されている例もあるので参考に載せました。

11 ページは、大学等の、先ほど見たように学位を取るような 2 年、 3 年の課程以外で社会人が活用し得る、かつ社会人に開かれている制度を参考として掲げております。 2 の「履修証明プログラム」というのは、社会人に提供する体系的なプログラムで、単位・学位まではもらえないが、履修証明を発行するもので、様々なプログラムが開かれております。

 下の「科目等履修生制度」は、正規の科目をほかの学生以外の人にも開き、履修を認め、単位を与えるもので、これも一定の、複数の単位を与えるものをコース化しているもの等は、教育訓練給付でも指定をし、社会人の教育として使っていただいているかと思います。以上が学び直し支援措置の対象の教育訓練の説明でした。

12 ページは、支援措置の関連ではありますが、本人への直接支援と並んで考えられます事業主への助成措置に関する論点です。事業主への助成についても前回から論点に掲げておりましたが、更に今回、論点を具体化して示しております。事業主の助成措置として、従業員の能力開発を行う事業主に助成するキャリア形成促進助成金、非正規雇用労働者のキャリアアップを支援するキャリアアップ助成金がありますが、 1 つ目のポツにあるとおり、今、御説明した学び直し支援措置の対象とする訓練において、これらの助成を通じてより手厚い支援を行うことについてどう考えるか。

2 つ目のポツは、対象とする訓練について、学び直し支援措置の対象のものと同様とすることについてどう考えるか。 3 つ目のポツは、現在の助成では事業主が負担した訓練経費や賃金への助成をしておりますが、学び直しを事業主が支援する場合には、上限額をより高額とすること等についてどう考えるか。 4 つ目のポツで、キャリア形成促進助成金のほうは中小企業が今は対象になっておりますが、本措置については大企業も対象とすることについてどう考えるか。

13 14 ページで、これは今、御説明した現行のキャリア形成促進助成金とキャリアアップ助成金の概要です。訓練中の賃金助成や訓練経費を支出した場合の経費助成を一定割合にし、上限額も設けられている形ですので、これを今回、手厚い支援とすることの論点を示しております。

15 ページは、文部科学省の作成資料を提示しております。文部科学省の学び直しオーダメード型プログラムの開発状況を説明しているものです。 16 ページは前回も出したものでもありますので、詳細は省略しますが、要は文部科学省でのプログラム開発は 2 つの流れがあります。 1 つ目は左にあるような中核的専門人材育成型で、 2 つ目は高度人材育成型です。それについて 1 つずつ次のページ以降で説明します。

17 ページは、「成長分野等における中核的専門人材養成の推進」です。これは実は 23 年度から実施している事業で、専修学校、大学等と産業界とが成長分野ごとにコンソーシアムを組織して、その下で職業ごとに分かれてプロジェクトを設け、実践的なプログラムの開発を行うものです。左の半分にあるように、本年度までは環境・エネルギー、医療・福祉・健康等の幾つかのプロジェクトで全国的な標準のモデルカリキュラムを開発し、実証するということです。来年度の概算要求においては、そのモデルカリキュラムを活用して各地域の専修学校等で地元の企業等のニーズを踏まえたオーダメード型プログラムを開発し、それを実証する予定で、これに更にノウハウを蓄積して、更なる全国展開を進めていきたいということです。

2 つ目の流れが、 18 ページの「社会人学び直し大学院プログラム」です。これは、 26 年度概算要求を新たにされている取組で、これも産業界と協働でオーダメード型の高度な、大学院レベルのプログラム開発を支援するものです。下のほうにある夜間であるとか場所等で、社会人が学びやすい環境も整備しながら、大学院レベルの高度かつオーダメードのプログラムを開発すると聞いております。

19 ページに「職業実践専門課程」という資料があります。これは、学び直しに特化した取組ではないのですが、参考として示しております。現在、専修学校では、 1 年以上等の一定の基準を満たしたものを専門課程として設けておりますが、その専門課程の中でも企業等との密接な連携によって最新の実務の知識等が身に付けられる教育を行う職業実践専門課程というものが設けられることになっており、文部科学大臣の認定を経て来年度からスタートするところです。 2 年以上で、カリキュラム編成から実習・評価等の全て企業との連携が必要ということで、実践的なものですので参考として示します。以上、 3 つほど文部科学省のプログラムを示しましたが、学び直しの対象とする訓練となる場合には、厚生労働省において学び直し支援措置の趣旨に即した内容等であるかという観点で、一定の基準に基づき改めて判断して指定することになると考えております。以上が資料の 1-1 です。

 次の資料 1-2 以降は参考ですのでかいつまみます。 1-2 は、 10 8 日の雇用保険部会の資料です。先ほどの支援と重なる部分もあるので、一部関係のある新たな部分について説明します。大変申し訳ありませんが、 5 ページまで飛ばします。 6 ページで、支援措置の内容です。 2 つ目の○は費用支援の在り方で、現在の教育訓練給付の 2 割給付を、学び直しの訓練の受講については、全期間の受講費用に関する給付率を 40 %程度まで引き上げてはどうかという提示をしております。さらに次の○で、資格取得等の成果が上がった場合に、更に 20 %程度上乗せしてはどうかという提示です。これは事務局たたき台です。

7 ページで、若年の離職者については、離職前の賃金に応じた一定額を訓練期間中の支援として提示しております。

 もう 1 つこの資料の中で当分科会に関係したもので、 10 ページに給付の流れを示しております。これは前回の分科会でも質問がありましたので説明します。最初に「キャリア・コンサルティング」とあります。これは、当分科会でも必要性については議論いただきましたが、キャリアアップのために必要な、かつ有効な訓練はどのようなものかを相談するために、本人があらかじめキャリア・コンサルティングを受講することとして、給付に当たり、本人が受けたことを確認することとしたいと思います。企業の承認を受けた場合には、確認の省略は可能と考えておりますが、その手続案も提示しております。その後一定期間ごとに給付を払うことや、資格を取得したら追加を払うという点についても流れを示しておりますので、御参照いただければと思います。

 資料 1-3 は、今、説明したものが示された 10 8 日の雇用保険部会での議論です。これもかいつまみます。 1 つ目、 2 つ目の○で、非正規やフリーターといった人が中長期的キャリア形成というものに本当に入っていけるのか、対象者と訓練はマッチしているかという御意見がありました。 3 つ目、 4 つ目の○にあるように、雇用保険の原理からすると対象を限定すべきで、その場合、そこから漏れるのが問題なので、どの制度、どの層が拾えるのかを整理すべきではないか。学び直しの財源も論点に加えて検討すべきという意見がありました。その他、下から 4 つ目の○で、濫給についての意見もありました。最後の○にあるように、公共職業訓練、求職者支援訓練のような実践的訓練についても対象とすべきという御意見も頂いております。資料 1-3 は以上です。

 最後に資料 1-4 は、前回の当分科会で出た御意見です。先ほど申したとおり様々な制度との関係、対象者、内容、目的との関係をきちっと示すべきという御意見が多々出ましたことを踏まえ今回、資料を提示しておりますので、詳細は省略いたします。説明については以上です。

 

○小杉分科会長 ただいまの説明について、皆様から、御質問、御意見を受けたいと思います。いかがでしょうか。

 

○高橋委員 資料 1-1 4 ページに、今回新たに、学び直し支援措置の対象と考えられる教育訓練の例を示していただいています。ローマ数字1(大文字)のマル1の「業務独占資格、名称独占資格の取得を目指すもの」というのが一番分かりやすい例だと思いますので、これで話しますが、この例にある税理士、建築士、介護福祉士、保育士というのは、いずれも現在も教育訓練給付の指定講座になっているものですね。そうすると、今度、新しい学び直し支援措置の対象として、こうした資格取特を目指すものを厚生労働大臣が指定する場合、これらの資格取得は現行の教育訓練給付にも残り、この新しい学び直し支援措置の教育訓練としても残る、要するに両方併存する形になるのでしょうか。その辺りがよく分かりませんでしたので質問したいと思います。

 

○青山能力開発課企画官 現行の教育訓練給付との関係については、雇用保険制度上の検討のたたき台では、教育訓練給付の中で学び直し訓練を受ける場合には給付率を上げるということですので、今回の学び直しとして対象とするものに当たれば新しい給付率が適用される。現行の教育訓練でも、それに当たらないものについては現行の給付率が適用されることになります。制度的には抽出されるというのでしょうか、移行するというか、そういう関係になると思います。

 

○小杉分科会長 どちらか一方だけということですね。両方もらえることはないという話ですね。

 

○青山能力開発課企画官 はい。講座が学び直しに該当するかどうかです。その関係図は、資料 1-2 の雇用保険部会資料の 9 ページを御覧ください。先ほどは流れで見ていた 10 ページの前のページの図です。これを見ますと、現行教育訓練給付は広く指定していますが、その中で新しい学び直しの訓練の対象にされるものがあれば、このように給付率が上がるということで、当たらないと従来どおりの給付率のままだという整理で御理解いただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 よろしいですか。

 

○高橋委員 確認します。もしそうだとすれば、例えば、税理士の取得を目指すプログラムは、学び直し支援措置の対象の教育訓練にしてしまうということですね。

 

○青山能力開発課企画官 そうです。

 

○高橋委員 税理士の取得を目指すプログラムは、現行の教育訓練給付ではなくて、新しい学び直し支援措置の教育訓練給付プログラムに移し替えるということですか。

 

○青山能力開発課企画官 そうです、そういうことになります。教育訓練給付の拡充という形で示していますので、その拡充版が今回できて、それが新しいものになるというイメージです。

 

○小杉分科会長 補足はございませんか。

 

○青山能力開発課企画官 その辺りの詳細は整理したいと思います。

 

○高橋委員 続いて、よろしいでしょうか。 1 つの考え方としては、併存を認めないということは分かりやすい考え方ではないかと思いますので、現行の教育訓練給付の指定講座なども含めて、教育訓練給付の指定講座となるものと学び直し支援措置の講座が重複しないということはよろしいと思いますが、もしそうなればなるほど、学び直し支援措置の対象となる教育訓練給付の具体的な認定要件をもう少し明確にしていく必要があるのではないかと思っています。そうすると、単純に業務独占資格あるいは名称独占資格だから自動的に学び直し支援措置の対象になるというのも、かなり乱暴な感じもしています。だからと言って、私に良い対案があるわけではありませんが、せっかく給付率を高めていくということであるならば、例えば現状のニーズや社会的に人数が不足しているとか、高率給付をするにふさわしい理由などが必要なのではないかと思います。

 

○尾形総務課長 今の高橋委員のお話は正に御指摘のとおりだと思いますので、改めて詰めさせていただきたいと思います。教育訓練給付と学び直しの新しい給付の関係については、まだ事務的に詰めるべき点もあるのではないかと思っていますので、ここはまた改めてと思います。例えば、学び直しの給付として受けられなかった場合に、それが教育訓練給付としても受けられないことになるのかならないのかという別の議論があろうかと思いますので、そこは検討させていただきたいと思います。

 

○新谷委員 各論に入る前に、前回も申し上げましたが、ここは訓練について検討する能開分科会である一方で、お金の流れは雇用保険部会で考えているわけです。ところが、訓練の中身は、財源がどこにあるかによって当然変わってくると思います。学び直しは雇用保険を使ってやるという事務局提起になっていまして、もともと雇用保険を使うという発想は、今の失業等給付の積立金残高が 6 兆円近く、 5 9,000 億円も貯まっているという収支のアンバランスがあって、収入である保険料の在り方や給付の在り方の見直しの中で、大きな支出項目としてこの学び直しが出てきたという背景があるわけです。ですから、ここに投入するお金が半端な額ではないと思われるのです。それは、本日お配りいただいている資料 1-2 、お金の流れを検討している雇用保険部会の資料の 6 ページを見てください。ここに挙がっている案では、全期間の受講費用の 40 %、学位取得や資格取得等一定の成果が上がった場合にはプラス 20 %で最高 60 %を給付してはどうかというものがあって、例として出ているものでは、大学院の理工系で 99 万円、専門職大学院で 125 万円、歯科衛生士は 3 年間で 90 万円です。それぞれに給付率を掛けると幾らになるかということなのです。これが個人への給付として雇用保険から流れていくお金なのです。例えば大学院に 2 年行くと 120 万円です。歯科衛生士では、 90 万円を 3 年分で 60 %ですから、約 160 万円流れていくのです。こういう巨額なお金が雇用保険から流れていくという設計を雇用保険部会では提案を受けていて、労働側としては首を縦に振れないということです。雇用保険というのは、もともと、失業というリスクに備えて、労働者が皆で分担して、使用者もお金を積んで、国も一般財源からお金を投入して、まさしく勤労権の保障という憲法の内容を実現する社会的なセーフティネットとしてあったわけです。その雇用保険の失業給付に当たっては、受給資格を 2 つに分けて、非自発的な離職で、リストラや解雇や倒産など、本人が意図せずにいきなり労働市場に放り出されてしまったときに、安心して求職活動ができるための給付としての仕組みの対象者と、もう 1 つは、自発的な離職者で、あらかじめ計画して離職をする方。後者の給付は、あらかじめ計画しているのだからということで、非常に低い給付金額になっています。例えば、 10 年未満ですから 119 か月も雇用保険料を払い続けていても、自発的離職者ですと 3 か月しか保険給付はもらえないのです。例えば、平均すると給付日数は約 110 日で、平均の日額は 4,851 円ですから、平均的には約 50 万円なのです。失業したときにもらえる手当が平均すると 50 万円しかないのに、予定したこういう学び直しという仕組みの中では 120 万円とか 160 万円というお金が流れていく仕組みを検討しているわけなのです。お金の流れは雇用保険部会で考えることになっていますが、この制度について、入口で、誰が保険料を負担するのかということをセットで論議をしないと変な仕組みができてしまう可能性があります。

 資料 1-1 の中にも、被保険者資格との関係で「離職者」が出てきています。 4 ページに類型のローマ数字1(大文字)とローマ数字2(大文字)があって、具体的なものとしては 7 8 ページに「フリーター」などが出てきています。フリーターの方などは、訓練の機会がなくて労働市場に出ていくので、スキルアップをしていくというのは重要だと思いますが、それを保険の仕組みとしてやるのかどうかということなのです。

 雇用保険の被保険者の最下限の賃金日額は 2,310 円です。今は 1 週間に 20 時間以上働けば雇用保険に入れるようになっていますので、 2,310 円で 30 日働いて、納める保険料は約 700 円です。仮に、 12 か月、 1 年の被保険者期間があれば学び直しができるという制度を作ると、 700 円で 12 か月ですから、 8,400 円の雇用保険料を納めれば、 3 年間で 160 万円もらえるシステムでいけますということを本当に設計するのかどうか。保険の原則からいって、学び直しが本当にリスクなのかということを考えないといけません。

 これはもともと政府の日本再興戦略の中で出てきて、我々労使が求めたものではなく、政府がこれをやるということで閣議決定して方針を決めたわけなので、そうやってお決めになるのであれば、財源は労使の保険料ではなくて、一般財源を使うとか、雇用保険 2 事業のお金を使うとか、本来はそういうことで設計されるべきであると思います。雇用保険の本来のセーフティネットの回復を検討せず、この制度を雇用保険の中に入れることに対するアンバランス感が非常にあります。その問題がクリアにならないと、我々としてはその先に、訓練がどうあるべきかという検討に進めないのです。この後、各論の話はもちろんさせていただきますが、その前提として、これを保険の仕組みでやるのかどうかというところが解決しない限り、非常にアンバランスなものが雇用保険の中に入ってくることを申し上げておきたいと思います。

 それで、お聞きしたいのは、このような国の施策として、個人に 100 万円を超えるような個人給付を行う仕組みがほかにあるのかどうか。もしお分かりになるのであれば教えていただきたいと思います。

 

○小杉分科会長 アンバランスの話と、最後に質問でしたが、いかがでしょうか。

 

○青山能力開発課企画官 御質問の点については、こちらも網羅的にパッと調べられるものが頭の中にないのですが、個人に給付する仕組み自体が制度としては多くない中で、今のところ思い浮かぶものはありません。探せばあるかもしれませんが分からない状況です。

 前者の点については、雇用保険制度全体の問題として、能開局だけで対応する能力はありませんが、雇用保険部会で引き続き十分に御議論いただく部分ということで、保険部会事務局にもお伝えして御議論をお願いするようにしたいと思います。能開局の立場では、確かに今回のたたき台としてはこういう率ですが、教育訓練受講というのはキャリアアップや仕事の質の向上、就職の可能性を高め、だからこそ、逆に言うと、費用的、時間的コストも掛かるものだと思います。生み出す効果が大きく持続的であることも認識していますので、できるだけ支援することをキャリア形成の観点からは進めたいと言いますか、評価したいと思っています。もちろん、雇用保険制度の中でどうするかは保険制度の議論だということは重々承知しています。

 

○新谷委員 いずれにしても、お金の話は雇用保険部会で話をしますが、非常にアンバランスだと感じます。訓練自体は私どもとしても有意義だと思っていますが、これを基本手当の改善なしで雇用保険の仕組みとして組み込まれることに対する違和感を申し上げて、入口の論議が前提としてあるということで各論に入りたいと思います。

 

○冨高委員 まず、前回の審議会の要望を受けて、いろいろな資料を作っていただいたことに御礼を申し上げたいと思います。その上で、資料 1-1 1 ページの全体的な概念整理は、腰を据えて学び直しを行う労働者に対しては学び直しの訓練、それから、短期的かつ実践的なスキルアップを目指す離職者に対しては公共職業訓練と求職者支援訓練、それに加えて企業による訓練がある、という全体的な概念図だと思っていますが、それぞれの訓練の関係性や違いについてもう少し精査が必要ではないかと思います。

 それから、先ほどの高橋委員と事務局のやり取りを聞いていて思ったのですが、同じ資料 1-1 3 ページに、訓練関係の制度等の全体像と学び直しの位置付けの表を付けていただいていますが、先ほどのやり取りを聞いていると、なぜ今回、新たな措置を検討するのか、今のものでもいいのではないかとも思ってしまうところもあります。そもそも要素ごとの違いがきちんと分かるような、例えばマトリックス表のようなものがないと、なぜ私たちが今回新たな措置を検討するのかの根拠が不明瞭になって、先ほどのような論議につながるのではないかと思います。これらの整理をするような資料の準備をお願いしたいと思います。

 少し先ですが、同じ資料 1-1 7 9 ページに参考事例を挙げていただいています。これも前回の要望を受けてということだと思います。学び直し訓練の具体的なイメージはできましたが、財源が無限にあるということではないと思いますので、ここで掲げるような訓練を無差別に指定するようなことにはならないのだろうと思っています。新たな学び直しの訓練を指定するに当たって、真に就職やキャリアアップにつながるような訓練を指定するための何らかの基準や尺度が必要であると思います。その基準や尺度を検討するに当たっては、今回の参考事例のような形よりは、就職率などの定量的なデータが必要で、それに基づいて議論を行う必要があるのではないかと思います。例えば、高橋委員からもあった、業務独占資格や名称独占資格の取得というのは、ある程度、就職やキャリアアップにつながるというのは理解できますが、一方で、ここに準ずる職業上の効果が高い特に実践的であるようなプログラムまで指定対象にするというのであれば、しっかりしたエビデンスに基づく論議が必要だと思います。

 今までの教育訓練給付の経験もありまして、やはり趣味や教養にしか役立たない訓練を指定すると濫給が起きるようなことも考えられますので、事務局でデータ等を整備していただくようお願いしたいと思います。

 

○小杉分科会長 基本的にはデータ整備の必要性ですね。

 

○冨高委員 はい。

 

○青山能力開発課企画官 今の冨高委員、また先ほどの高橋委員のお話にもありましたが、確かに、もう少し切り分ける基準を考えなければいけないと思っています。もちろん引き続き議論をいただきますし、法律にどこまで書くかということもありますので、施行までの間にも細かい基準も含めてルールを詰めて、順次お諮りしたいと思っています。離職者が受けるようなタイプのものについては就職率というのは 1 つのメルクマールとは思いますが、在職者の方が使っている訓練などもありますので、その辺りの物差しをどうするかは悩ましいので、御意見も参考にしたいと思っています。資格以外の実践的なものについては企業などと連携しているプログラムの開発が進んでいます。正に社会、企業、産業ニーズを捉えた点では参考になるやり方なので、それも参考にしながら、本当に職業に役立つという視点を持って基準を考えたいと思います。

 

○大久保委員 もし今回の案がそのまま決まれば、個人にとっては相当にインパクトのある案だと思います。インパクトがあるので良い動きになることもあるのですが、同時に、その周辺に様々なリスクが出てくるので、気になる所が 3 つほどあります。それらについて、どのようにお考えになっているのかを聞きたいと思います。 1 つは、新卒でどこかの会社に入って 1 年たったという人が、なかなかうまく会社になじめないので、じゃあ大学院に行こうかと思って行く。 2 年間行くと結構なお金が支援されますので、そういうことを考える人が多くなるのではないかという気がします。正直、大学院に行けば皆がハッピーになるかというと、そういうこともないわけで、それが何かモラトリアム的に問題の先送りになってしまうことになると、かえってキャリア形成を阻害してしまう危険性もある。そういうものがたくさん出てきはしないかということが心配事の 1 点目です。

2 つ目は、講座を選択して受講して給付を受けるためには、キャリア・コンサルティングを受けなければいけないことになっていますが、私が知っている限り、キャリア・コンサルティングというのはコンサルティング手法の技術を履習して取る資格です。要するに、業務独占資格や名称独占資格を取ることがどのくらい職業に結び付くのかということについて、知識として持っているキャリア・コンサルタントの人たちはそんなにいないはずだと思います。その先の就業可能性などについて理解している人は一部でしかないと思います。だから、キャリア・コンサルティングを実施するから大丈夫ですということにはならないような感じがします。その問題はどうするのかということが 2 つ目です。

3 つ目は、業務独占資格や名称独占資格の中にも職業として現在非常に需要があってそれを習得することが望ましいものと、そうではないものとが、混在しているのだろうと思います。同じ資格の中にもメリハリがあるのだろうと思いますが、単純に業務独占資格、名称独占資格ならば全部 OK としてしまっていいのか。もう少しその中で精査する必要があるのではないかという気がします。それが 3 つ目です。この 3 つについて、どのようにお考えになっているのか教えてください。

 

 

○青山能力開発課企画官  1 つ目、モラトリアム的にならないようにという話については、正に大久保委員の 2 つ目のお話になってしまうかもしれませんが、本人がきちんとキャリアプランを立ててキャリアアップやキャリアチェンジすることに資するものでなければいけないというのが本来の趣旨なので、キャリア・コンサルティングでそこはきちんと相談をして、単なるモラトリアムでない、将来を見据えての訓練受講に結び付けるような相談を、キャリア・コンサルティングの質の向上も図りながらしていかなければいけないと思います。

2 つ目の話と重なってしまうのですが、そのためには、キャリア・コンサルティングの質の向上は重要だということで、研修等を通じて進めていきたいと思っています。

3 つ目については、業務独占資格、名称独占資格としましたのは、一定の独占性があることは職業上それに対する評価が公的に認められている、業務独占までいきますと、その人にしかできない業務なので、業務上の高い効果や評価が確定しているのではないかと思って掲げていますが、確かに個々に精査する必要はあると思っています。それは今後、鋭意もっと研究してやっていきたいと思っていますので、御意見も参考に検討させていただきます。

 

○浅野キャリア形成支援室長 御指摘のように適切なキャリア・コンサルティングを行えるということが非常に大きなポイントであると考えています。キャリア・コンサルタントの資格がある者はもちろんですが、資格がある者といっても 140 時間の講座を受け、ベースを身に付けているということです。資格を持っていて、かつ、キャリア・コンサルティングの知識やスキルや経験もあって、かつ、企業の中で職業能力開発についての企画や指導などの経験があるとか、人材育成についての知識、経験がある、あるいは、おっしゃるように、資格や訓練などについてよく知っていたり、労働市場に精通しているといったようなことが必要だと考えています。では、そういう者がたくさんいるのかということですが、今現在たくさんいるとまでは私どもでは考えておりません。実際にこの学び直しを担うキャリア・コンサルタントに対しては、資格や職業訓練や労働市場についてしっかり学ぶ機会を与えて、その知識や経験、スキルなどを高められるように、しっかり研修したいと考えています。

○原委員 今は総論的な質問を受け付けている段階だと思われるので、私も総論的なことです。学び直しという形の政策的な介入をすることの理論的な根拠は何なのでしょうか。高橋委員や新谷委員と同じ趣旨のことだと思いますが、学ぶという活動は、できる人に対して公的な支援をする必要はないわけです。したくてもできない、何らかの障害、障壁があって、できない人たちに初めて政策的に支援することの理論的根拠が生まれてくると思うのです。高橋委員から公的資金を投入することの妥当性は何なのかという御質問がありましたが、それと関連します。特に、学び直しの、資料 1-1 4 ページの類型ローマ数字2(大文字)などは、かなり恵まれている人を対象にしているのではないかという印象を持っています。やりたくてもできない、例えば資本市場で何らかの制約に直面している人です。将来の人的資本の形成を元に今お金を借りられるという状況であれば幾らでもお金は借りられるのですが、それは実際問題難しい。やはり、かなりの人が資金制約に直面している。そういう状況であれば公的に資金を投入して支援していくというのは重要だと思いますが、類型ローマ数字2(大文字)のような形の比較的恵まれた、給料も高いような人たち、正社員の人たちで中堅の中核を担うような人たちに公的な支援をすることは、恵まれている人に更に公的な支援をするような印象を持ってしまいます。その辺りは、どうして学び直しということを政策的に行わなければいけないと考えているのか、理論的に、各論に移る前にまず教えてください。

 

○水町委員 併せてよろしいですか。私の認識では、伝統的に雇用保険や失業保険というのは、社会的リスクに対して個人の企業や労働者に負担を負わせるのではなくて皆で保険料を出してリスクに備えようというのが原点であるはずです。失業して生活保障を受けられないというのはリスクだということがありますが、果たして、それ以上に大学院にやって中長期的なキャリアアップをするというところまでリスクとして皆の合意、コンセンサスが得られるかというところが問題です。

 日本の雇用保険を振り返ってみれば、本来やるべき失業手当が十分になっているかというと、ヨーロッパと比較すると、やはり失業手当の支給期間が短かったり、まだ不十分な失業手当の制度であるのに、そちらについての議論は余りしないで、もっと上のほうだけやっていこうとしている。ヨーロッパでは、社会的リスクに対して社会保険、雇用保険でやることを前提としていながらも、日本でいう休職者支援給付や生活保護をどこまで税財源でやって、どこまでが社会保険でやるのかという議論をきちんと積み重ねながらやっています。日本は雇用保険 4 事業とか 3 事業、 2 事業が出てきて、いろいろな所に行って財源に余裕があればそこになるという話で、一時的にはいいかもしれませんが、中長期的に見ると逆にうまく回らないことがあるかもしれません。そこの原点をきちんと認識しながら、本来的な役割をきちんとやって、まだ余裕があってコンセンサスが得られればどこまで広げるかという議論をきちんとしたほうがいいと思います。それが 1 つです。

 もう 1 つ、各論の部分です。先ほどから、どういう教育訓練を対象とするかという話がありましたが、例えば日本再興戦略で失業なき労働移動のためにこういうことをやっていこうというのであれば、これは正に政策的なものなので、じゃあ税財源でここまでやりましょうという議論になってくると思います。しかし、ここで出ているのは、日本再興戦略で失業なき労働移動のためにこういう成長産業にこれだけ投資しましょうというものと、余りメニューが重なっていません。旧態依然として厚生労働省、労働省でやっていたものの積み重ねでいえばこの辺で、少し上乗せして 2 割を 4 割、 6 割にしましょうというイメージが強い。日本再興戦略との関係であるとすればどういうメニューになるかを精査して、そこでは税財源との関わりが出てくるかもしれません。もしこれを雇用保険でやるとすれば、これは厚生労働大臣が指定することになっていますが、お金を負担している労使がきちんと議論をしながら定期的に見直していくなり、きちんと労使で話し合った上でメニューを絶えず検証しながら進めていかなければ。余りステレオタイプで見えやすいようなこういう資格にします、これでずっとやっていきます、というと少し危なくなるので、そういう制度的なケアも必要ではないかと思います。

 

○豊島委員 関連して、よろしいですか。在職者、離職者、求職者がこの学び直し訓練の支援対象として位置付けられていて、資料を見ていますと、 MBA から文部科学省のプログラムから何から、総花的にたくさん出ています。雇用保険でやる学び直し訓練の対象の基本的な一般的な考え方をあらかじめ整理しておかないと、必ず個別の問題でぶつかるのですから、これはこういうことだから、こういうものが必要だというところをもう一度、文章で少し整理していただきたいと思います。先ほど理論的な根拠ということを原委員もおっしゃいましたし、新谷委員も基本的なところの話をしていましたが、私もやはり同様に、まずその整理から始めないと各論にはなかなか入りづらいと思います。

 キャリアコンサルタントの話もありましたが、浅野委員の話を聞くと、かなり難しいという話でしたが、今その候補者がいるのかということです。今この人たちが、現在コンサルティングしているコンサルタントがいるから、この制度が始まったら即時対応できるという自信があるのかどうなのかということも伺いたいと思いました。

 それから、「フリーター」という言葉をいつまで使うのかと個人的には思いますが、資料の中にはフリーターとかアルバイトがたくさん出ていて、その方たちも対象にするという話ですが、これは雇用保険に入っている方が前提であるということでよいのかどうかも各論ではお伺いしたい。

 また、大久保委員がおっしゃったことで、私も似たようなことを考えていましたが、例えば、初めから大学院に行きたい、専門学校に行きたいと思っている人が、それはキャリアコンサルティングの段階で引っ掛かるのかもしれませんが、少し 1 年働いて雇用保険の有資格者になってから大学院に行くという話になれば、場合によっては、そこにお金が行くこともあり得るのです。これは考え過ぎだと言われれば考え過ぎかもしれませんが、そういうリスクもあることも考えなければいけないとも感じています。

 前回の話にあったことに被るかもしれませんが、各論では、支給要件の問題で、被保険者期間を原則 3 年とすることや、支援措置を受けられるのは 1 回のみとして複数回受講することは認めないとすべきだということも、重ねて申し上げておきたいと思います。

 

○小杉分科会長 基本的に財源とも絡んできますが、まとめて最後に答えてもらうことにします。

 

○新谷委員 関連する話です。皆様方に御発言いただいたことと同じことで、これを雇用保険として行うのであれば、雇用保険法の趣旨に沿った形での訓練あるいは対象者でないとうまくはまらないのではないかと思っています。先ほど原委員もおっしゃったように、 6 ページの絵を見ると、在職者の類型ローマ数字2(大文字)の所が雇用保険法で給付対象とするような対象者なのかが本当に疑問なのです。在職者で、中堅以上の社員で、 MBA に行きます、というような層ですね。これは社会的なリスクとしてこれを保険給付の対象にするような人なのか。従来であれば、大企業を中心にして企業派遣で派遣されていた対象層が多いと思いますが、それを雇用保険の仕組みの中から 6 割給付をします。 100 万円以上給付をする。これは大企業を中心にやられていた企業派遣の肩代りではないかというように見えてしまうのです。ですから、対象をどうするかというときに、雇用保険法に規定されているような「失業の予防」などというところに注目して、対象層なり、整理をしてもらっている類型を考えていくべきだと思います。もし本当にこれをやるのであれば、少なくとも在職中の類型ローマ数字2(大文字)というのは対象にはならないのではないかと思います。

 

○小杉分科会長 まとめてお答えいただくので、ほかにありますか。

 

○上原委員 前回もマトリックスの話が出て、少し表は出てきましたが、具体的にそれぞれに相当する人数とか年齢、例えば 35 歳が上限などのように切るのか、その辺についてももう少し突っ込んで整理していただくとよく分かるのではないかと思います。

 前回 2 回出ていませんので、少し議論がぼけていますが、今回の資料を見させていただいて感じたのは、先ほど新谷さんも言われていましたが、 4 ページのローマ数字2(大文字)のほうの、特に高度な訓練で、 MBA や会計士など、こういう領域が、基本的には企業としては企業の中でキャリアアップをする、力をつけるという意味では、こういうことを積極的にやりたいのですが、世の中一般的には MBA などを取ったら転職という形になるのです。日本全体としては当然いいことですが、一企業から見ると、そういうことに国のお金を突っ込んでやるというのはいかがなものなのか。本来であれば個人や企業が必要な人に受けさせるというのが筋ではないかと、この部分には違和感を非常に感じます。

 

○高橋委員 これは恒久的な措置として講じていくものなのか、期間を限って一定期間行うようなものなのかということが、まず私の関心事項です。仮に恒久的な措置として講じていくとした場合、やはり今までの皆さんの御議論を聞いていても、いきなり間口を広くやっていくことは疑問なしとはしません。先ほど水町委員がおっしゃったことに感銘を受けましたが、当面、失業なき労働移動を想定するならば、当初は教育訓練の対象として成長産業にフォーカスを置いて、そちらに労働力を移動していくようなプログラムを重点的にして、その効果を見ながら段々広げていくというような進め方もあるのではないかと感じました。

 

○小杉分科会長 まとめて答えていただくものはこれで最後にしたいと思いますが、よろしいですか。私からも 1 つだけお聞きします。私どもの研究所では、訓練の効果測定のような研究をしましたが、そのときに一番問題になったのがデータです。制度設計には、設計の段階から訓練効果が測れるようなデータを入れていく必要があります。その辺はどうなるのかということです。つまり、この場合には学位が取れたことが成果ではなくて、これを雇用保険でやるということは、就職して雇用保険の加入者になってもらう、そこまでいって初めて成果という形に結び付くのだと思います。例えば、訓練を受ける人の雇用保険番号を提供してもらうことを最初から契約しておいて、就業後数年間はその雇用保険番号については追跡するとか、何らかの形で成果を測れるような仕組みを組み込めないものかどうか。現実的にどこまでが可能かどうか分かりませんが、何らかの形で成果を測る仕組みを考えるべきではないかと思っています。

 以上たくさんありましたが、青山さんと浅野さんにお願いします。

 

○青山能力開発課企画官 まとめての回答になる部分があり順番が不同かもしれませんが、お話いたします。政策介入をする必要性の視点や、本来リスクがある場合にこそやるべきではないかという御意見につきましては、大学院などの類型別の以前に、本人が自己啓発する場合には費用面の問題が非常に障害になっていることは我がほうでやっている調査でも分かっています。確かに一部費用に困っていない方もいらっしゃるかもしれませんが、大学院も含め、企業の企業派遣が少なくなってきているとか、金額が大きいことも含め、費用面で苦労されている方が多いことを考えますと、そういうものを支援することには有効性があるのではないかと考えて今回提示した次第です。もちろん、対象とするものがどこまでかということについては今後御議論を頂くことになると思っています。

 訓練の中身として、失業なき労働移動に資するこういう分野だとか、こういう訓練に何人という人数など、あるべき訓練の類型化、分野を示すという視点につきましては、成長分野でメリハリという御意見はあろうかと思いますが、コンセプトにも書かれていますが、中長期的なキャリア形成に資するもの、そういう訓練を受けて身につければ、持続的に高い効果でいきてくるというものを考えると、余り分野を初めから限定するのではなく、資格の有効なものや実践的なものということを捉えて、まず広く考えてみてはどうかということで今回お示ししています。この分野なら間違いないとか、その分野以外はいいのか、また、在職者の方が多分に利用することを考えると、初めから対象とされる業種の方が偏ってしまうのもどうかということもありまして提示したということです。

 特に大学院で、企業がやればいいのではないかという御意見もありました。確かに、大学院を含めた自発的な学びについては、企業におけるパフォーマンス向上にも資しますので、生産性向上を通じて企業にも効果があると思っていますので、企業がそういう支援をすることは望ましいということはおっしゃるとおりだと思います。これは、 10 何ページで示しました事業主助成であるキャリア形成助成金等の見直しでも支援を強化するということで、両々相まって企業支援も含めて進めていくということではないかと思っています。それでも企業がお金を出し切れない場合などもあり得ると考えると、個人への支援も必要性としては評価したいと思っています。

 それから、「フリーター」とあるが雇用保険に入った人でしょうかという御質問でしたが、もちろん雇用保険制度上の給付なので、雇用保険の被保険者か被保険者であった人が対象であることは間違いありませんので、それはそのとおりです。被保険者要件について御提言がありましたが、これは正に保険部会で議論されていますので、保険部会サイドにも伝えて、併せて御議論いただくようにお願いしたいと思っています。

 措置が恒久的かどうかについては、保険部会に提示されている事務局のたたき台では、恒久措置として、若年の離職者の基本手当の半分相当の支援は「当面の措置として」という表現が入っていますが、少なくとも受講費用の分については時限という提示はされていません。水町委員が言われましたように、不断に内容を見直していくべき、成長分野などに関連して見直すべきということも併せて言うべきでしたが、これはもちろんこの制度の運用においても何か課題が生じれば、審議会にお諮りして、指定基準の在り方などについては御審議いただいて適切な方向に制度を導いていただくことはもちろんだと思っています。

 基本的な考え方については、今回も多少は、多少はというのは失礼ですが、 4 ページの初めに 1 2 行で恐縮ですが、キャリアアップ、キャリアチェンジを目指すということで、中長期的なキャリア形成に資する高度、専門的な教育訓練というコンセプトは掲げています。確かにこれをもう少しかみ砕いて説明すべきだったかもしれませんが、今後は説明する努力はしたいと思っています。いずれにしても、そういう能力を取得すれば、それが中長期的にかつ高い効果を持って続いていく。ひいては、それが能力開発はもちろん、キャリア形成かつ雇用の安定にも資するということであれば、雇用保険制度の本来の趣旨にもマッチするのではないかということで、雇用保険部会と相まっての御議論をお願いしているというのが我々の立場です。不十分かもしれませんが以上です。

 

○小杉分科会長 本日の議論を踏まえてもう一度整理して、次回にはよろしくお願いいたします。

 

○浅野キャリア形成支援室長 

学び直し支援に係るキャリア・コンサルティングを適切に行えるようなキャリア・コンサルタントの候補者はたくさんいるのか、ということですが、資格を有するキャリア・コンサルタント等は大体4 万人ぐらいいます。そのうち、企業などで人事管理などの経験があるという方がかなりいらっしゃいますので、そういった方は一定程度キャリアアップに係る知識や経験のようなものはお持ちの方だろうと思います。ただ、 1 1 つのいろいろな資格について精通しているとか、それに係る労働市場ということになると、そこまでではないかと思いますが、その辺りについては、知識、情報の話であろうと思います。そういう意味では、この担い手となる方にしっかりとした情報提供、また、必要な研修を行って、適切なキャリア・コンサルティングを行えるようにしたいと考えています。

 

○小杉分科会長 この話はここで終わりにして、次の議題に移ってよろしいでしょうか。次は、ポリテクセンター・ポリテクカレッジの都道府県への譲渡についてです。内容を事務局から説明してください。

 

○宇野調査官 資料 2-1 、資料 2-2 です。 8 1 日の分科会で、ポリテクセンター・カレッジの都道府県の移管交渉についての現状を報告しています。最初に、その後、どういうことを我々がしたかについて、資料 2-1 を基に説明いたします。

 資料 2-1 にありますとおり、平成 25 5 月に道府県の意向調査を行いました。その結果が 2 ページにあります。これは前回説明いたしましたが、その後「国が責任をもって運営すべき」というような回答をされていない、少しは移管の可能性があるのではないかという県を選びまして、職業能力開発局長をはじめ、職業能力開発局の課・室長クラスが、 12 道府県を訪問しました。そこで移管の要請を改めて行うとともに、移管可能な条件、また今後の要望について、意見聴取を行いました。その結果を報告いたします。

1 番目にあるとおり、訪問した 12 道府県は全て、移管はできないとのことです。 2 番目の移管期限の延長については、 1 道府県だけが、移管条件を大幅に見直すべきと回答されていますが、残りの県については、移管期限の延長は希望されないということです。また、移管が可能となる条件については、 3 番のグラフにあるとおり、 12 道府県全てで、地方負担が生じない恒久的な財源負担を希望されています。また、 9 道府県で、職員の引受割合によらない無償譲渡を希望されています。また、今後のポリテクの在り方について、都道府県との連携という観点から御要望を伺ったところ、人事交流、施設・設備の共同相互使用とか、様々なニーズがあることが判明したところです。

 以上で訪問結果の説明は終わりますが、そうしますと、移管期限が来年の 3 月に迫っていますので、移管期限後の取組について、そろそろ方針を決めていく段階になってきたところです。

 御存じのとおり、この方針については、廃止法の附則第 16 条に基づき、労使の御意見、関係都道府県の御意見を伺うことになっておりますので、そのうちの労使の御意見について、これからこの当分科会において、御報告を頂きたいと思っております。そのための論点ペーパーが資料 2-2 です。論点ペーパーについては、大きく 4 つあります。今日御議論いただきたい論点について、 3 4 で、計 7 つの論点を提示しています。

1 番目に、先ほど申し上げた廃止法附則第 16 条の検討について記述しています。廃止法附則第 16 条においては、廃止法施行後、必要に応じポリテクセンター・ポリテクカレッジの規定を含む高障求機構の業務について、検討の上、必要があると認められる場合には必要な措置を講ずるとされています。第 2 パラグラフには、ポリテクセンター・ポリテクカレッジの移管期限が本年度末に到来するので、今後、この点も検討を行うことということです。 3 つ目の○にあるとおり、第 16 2 項で、 1 項に基づいて、特に職業能力開発業務に検討を加えようとするときには、労働者代表、事業主代表、関係都道府県の意見を聴くこととされています。

2 番は、ポリテクセンター・ポリテクカレッジの現状について説明しています。 1 つ目の○が、ポリテクセンター・ポリテクカレッジの現状です。ポリテクセンターは、全国に東京都を除く 46 道府県 61 か所ほどあります。離職者訓練、高度な在職者訓練を実施しています。マル2にあるとおり、ポリテクカレッジは 24 道府県 23 施設、大学校 10 校、短大 1 校、大学附属短大 12 校がありまして、高卒者等を対象にした高度な学卒者訓練や高度な在職者訓練を実施しています。

 これらのセンター・カレッジは、全国ネットワークによるスケールメリットを活かしまして、全国異動により計画的に育成された職業訓練指導員、総合大学校を中心に、プラス各施設からの改善提案も加味したカリキュラムなど、全国規模で訓練水準を維持・向上させる取組を実施している、という記述をしています。 2 ページにあるとおり、これらの取組により就職率は、ポリテクセンターは 84.9 %、ポリテクカレッジは 97.8 %で、我々のアンケート調査では、事業者からの高い満足度を上げているところです。

 続いて、 3 番目の「今後の職業訓練の在り方について」です。今、申し上げている廃止法の諮問答申に先立ち、平成 22 3 月に当分科会で、「国が行う職業訓練と雇用・能力開発機構の今後の在り方について」という御報告を頂いています。その中に、国、都道府県、民間については、以下のような記述があります。国については、スケールメリットを活かすことで初めて実施可能となるものづくり訓練を中心に、国以外の主体では的確かつ確実な実施が困難な分野の訓練の実施を担うことが適当だということです。また、都道府県については、地域の産業における人材ニーズに応じた職業訓練を行うという役割分担で行うべき、民間については、民間教育訓練機関で実施可能な訓練分野については民間で実施すべきということで、報告を頂いております。

3 ページは、今の報告を踏まえた現状です。 (2) の○にあるとおり、報告に基づいてそれぞれやっております。特に、マル3の民間教育訓練機関については、平成 23 10 月から求職者支援訓練も始まりましたので、民間教育訓練機関の訓練数は大変増えております。

2 つ目の○にあるとおり、平成 24 年の実績ですと、求職者支援を含めた年間の離職者訓練は全体で 25 万人ありますが、そのうちの 21 万人が民間教育訓練機関で実施されている状況です。まず、本日お願いしたい論点としては、こういった役割分担は今後も維持していくことが適当かどうかについて御議論いただければと思っています。

4 番の「ポリテクセンター・ポリテクカレッジの在り方」です。運営主体について、今のところ移管がないということです。運営主体について、今後どこが引き続き運営主体となるかということがありますが、その前に、都道府県が言っている移管条件について、緩和すべきかどうか御議論いただきたいと思います。

 移管条件としては、ローマ数字1(小文字)の地方負担が生じない恒久的な財源措置を講じるべきか、ローマ数字2(小文字)の職員の引受割合に関わらず施設を無償譲渡すべきか、ローマ数字3(小文字)の地方独自に職業訓練の内容を設定できるようにすべきかということについて、このような緩和が必要かどうか。

4 ページの「論点 3 」です。一方で、高障求機構のメリットについて、どのように今後維持していくべきなのか。「論点 4 」については、ローマ数字1(小文字)、ローマ数字2(小文字)、ローマ数字3(小文字)を踏まえて、移管が進まない場合、ポリテクセンター・ポリテクカレッジをどこが担うべきかについて御議論いただければと思っています。

(2) の平成 26 4 月以降の在り方については、論点を 3 つ提示しています。ポリテクセンター・カレッジの移管が進まない施設について、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会からも、定員充足率の改善などの指摘がありますので、そのような見直しが必要ではないかというのが「論点 5 」です。それも含めて、効率的な組織運営の在り方の論点が「論点 6 」です。

3 番目の都道府県との連携です。今回、都道府県は移管が進まない状況なのですが、一方で職業訓練については、都道府県単位で関係機関の連携が強化されています。特に求職者支援訓練で、法律上でも地域訓練協議会というのがありまして、その中に都道府県、地域の労使団体、機構、民間教育訓練機関などが入りまして、労働局が事務局となり、関係機関の連携が進んでいます。こういった状況を踏まえ、「論点 7 」として、産業政策や教育政策を担う都道府県とポリテクセンター・カレッジは今後一層連携していくべきではないかという論点を上げています。

 以上の論点ですので、どうかよろしく御議論いただければと思っています。

 

○小杉分科会長 論点についての議論に先立ちまして、資料 2-1 、資料 2-2 について、質問はございますか。

 

○豊島委員 資料 2-1 で説明していただいて状況は分かりました。雇用・能力開発機構廃止法案に基づいて、これまでずっと努力されてきたということだと思いますが、こういう結果を受けて、その後に資料 2-2 が出てくるのは何でかというのがよく分かりません。

 法律を改めて読ませていただくと、今、おっしゃったとおり、移管について触れております。廃止法第 7 条に、都道府県が当該職業能力開発促進センター等の設置及び運営を行うこととした場合において、厚生労働大臣が一定の条件を満たしていると認める場合に譲渡することができると書いてあって、第 2 項に職員の引受比率、財源の問題が出ています。

 資料 2-2 4 ページに総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会からの指摘などもありますが、ここの議論なり、委員の皆さんの御発言を受けて、厚生労働省としていろいろ検討しなければいけないこともあるかと思いますが、この委員の皆さん自身が、能力開発なり機構の業務、あるいは制度、雇用・能力開発機構の廃止法案の中身を十分に御承知の上で議論されているのかどうか。

 例えば国が全都道府県にポリテクセンターなどを配置していることが、押し付けだと思っている方がいるのではないか。そもそも、この法律で地方に譲渡することができるということが書いてあるのですが、譲渡希望者がなかったら、その施設は要らないということだと勘違いしている人がいるのではないか。地方協議会で議論して、あるいは機構の分担がちゃんと話をされていることを理解した上で、いろいろな指摘があるのかどうなのか。そうであるならば、そういった会議にも厚生労働省から参加をされて、いろいろな説明をされているのだと思いますが、その説明をして理解をしてもらうのが先で、十分に理解してもらった上での指摘なり、要望なりがあったら、この分科会で議論することも必要かと思いますが、そうでないことをここに持ち込まれても、迷惑だなと思うのです。

 ということで、もし私が、見てもいない、聞いてもいない政独委の委員の先生方に対する認識が間違いであれば御指摘いただければと思いますが、参加されているのは厚生労働省の役人の皆さんだと思いますので、そういう状況も含めて、政独委の議論はどうなっているのかも報告してもらいたいと思います。

 いずれにしても、 8 月のときに使用者側委員からも、ユーザーの立場から具体的に、今、機構がやっている業務に対する評価、これからの充実の必要性なども指摘されておりますし、そういったこれまでの議論の延長線上で対応していただきたいと思います。

 

○宇野調査官 今のお話は 2 点あったと思います。 1 点目の、なぜこの分科会は資料 2-2 のような形で検討しなければいけないのかについてです。おっしゃるとおり、法律の体系では、規定自体は都道府県が希望すれば平成 26 3 月までに移管することができるということで、このまま何もしなければこのままになります。

 ただ、一方で、附則の第 16 条というのがありまして、ここで明示はされていないものの、第 16 条については、職業能力開発業務に検討を加えようとするときには労働者の代表、事業主代表、関係都道府県の意見を聴くこととされています。この解釈ですが、これに関しては、今回の移管が進まなかった場合は、第 16 条に基づいて検討を加えようとするのは、これは行政解釈なのですが、これに基づいて今回意見聴取をお願いしたいというのが、我々としてのお願いです。その上で、豊島委員がおっしゃったような御意見ということであれば、そのことも踏まえて、対応していくように頑張っていきたいとは思っています。

 もう 1 点です。政独委のほうですが、これは勧告の方向性ということで、今年の 1 月に出ています。これは第 3 期中期目標計画という、 4 月から始まる機構の中期目標計画の中で、こういった勧告の方向性が出ています。これは、あくまでも「訓練定員の見直し等を行っても改善に至らない場合、統廃合を含めて検討する」ことですので、必ずしも廃止ありき、統合ありきということではありません。実際にこの前の 8 月の御議論で、豊島委員からも御意見を頂きましたし、全国知事会からも、安易な統廃合はよくないという御意見を頂いていますので、そういったことを踏まえて、これは意見聴取ということなので、御意見を頂ければと思っています。

 確かに、政策評価・独立行政法人評価委員会というのは、法人の監査、管理に造詣の深い方が入っていると思いますが、職業能力開発、職業訓練の専門家かという点については、御指摘の部分はあると思うのですが、その一方で、我々としても説明は十分にしたつもりではありますが、不十分な点があったかもしれません。そこは、職業訓練の重要性、職業能力開発の重要性、機構の果たしてきた役割は、引き続き説明責任を負っていきたいと思っていますので、御理解いただければと思っています。

 

○小杉分科会長 ということで、附則の第 16 条第 1 項に基づきということで、一応議論することは御了解いただけましたでしょうか。

 

○豊島委員 第 16 条の「法律の施行後必要に応じ」というのは、第 7 条に書いてあるような希望がなかったから、その必要性があるということなのですね。分かりました。

 

○小杉分科会長 ということで、改めて論点 1 から 7 について、御意見を聴取させていただきたいと思います。最初に 1 から 4 についての御意見をください。

 

○高山氏 ( 諏訪委員代理 )  ポリテクセンター・ポリテクカレッジにつきましては、全国の商工会議所から、今までの貢献度を評価する声がございます。「廃止法」という名前から、少し混乱が起きているのかもしれませんが、なくなってしまうのではないかということについての不安が広がっていますので、早く落ち着いてほしいと思っています。地域の雇用、産業人材の育成に、これまでの貢献度は非常に高く、満足度も就職率も高いということで、是非今後も国が責任をもって運営してほしいという声を多く伺っています。

 論点 5 6 の効率運営については、もちろん引き続きやっていただければと思いますが、設備が古くなっているというような指摘もありますので、そういうところは直していただきながら、是非今後とも国が責任をもって運営をしていただきたいというのが、全国からの声でございます。

 

○小杉分科会長 今のお話は、論点 1 の、上記の役割分担で国の責任を果たしていくと、以下全てについてという感じですね。

 

○高山氏 ( 諏訪委員代理 )  そうですね。

 

○豊島委員 今後の在り方について、各論の論点の話ということですので、論点に沿って触れさせていただきます。

 論点 1 については、「上記の役割分担は今後も維持していくことが適当と考えてよいか」ということですが、今後も適当であろうと思います。

 論点 2 については、「現行の移管条件を緩和して、都道府県の移管を進めるべきか」ですが、これまでの厚生労働省の取組、報告いただいた資料 2-1 の中身を見て、こういうことではないのではないかと思います。もともと、こういうことを認めていって、第 7 条にある、厚生労働大臣が認めるような訓練ができるのかどうか。その点で少し心配になります。もし国が全部出すのであれば、国がこれまでどおり続ければいいと思います。

 論点 3 について、「どのように維持していくべきか」、論点 4 は「運営をどこが担うべきか」。これはいろいろお話がありましたが、いろいろなことを見直すこと、 PDCA サイクルということでやっていくのは大事だと思います。これは新たに生まれて何年目ですか。

 

○宇野調査官  3 年目です。

 

○豊島委員 そこで様々なシナジー効果なども、新しく生まれた法人の機能をいかして、ますます充実していくべきであろうと思います。

5 6 は指摘に沿って検討していただいて、この分科会での議論を踏まえて対応していただければと思います。

7 は、今後より一層都道府県と連携していくべきだと思います。今でも、地方自治体の中で、都道府県との連携がうまくいっているところもあれば、そうでもない所もあるというのも聞こえてきますので、地域の需要に沿って、ますます充実していくことが大事だと思います。

 

○小杉分科会長 ほかに御意見はございますか。

 

○高橋委員 論点 2 と論点 4 について簡単に述べます。どの都道府県も移管を希望していないことが明らかになっていますので、無理やり地方移管を目指す必要はないと思いますので、論点 2 については、議論をする必要がないのではないかと思っています。

 先日、横浜のポリテクセンターを視察させていただきました。限られた時間ではありましたが、現場の訓練指導員の方々の熱意溢れる御指導、 PDCA サイクルをまわしながら、訓練ノウハウの向上、蓄積に努められている姿の一端を垣間見させていただきまして、大変感銘を受けた次第です。

 そして、日々ノウハウの向上に努められた訓練指導員の方々が全国異動で転勤をしていくことによって、訓練レベルの地域的な偏在をなくしていく効果もありますし、仮に都道府県に一部移管していく形になれば、そうした全国的なネットワークが途切れる形になりまして、結果として我が国のものづくり産業に大きな影響を及ぼしかねないと懸念しているところです。是非、現在のような全国的なネットワークを維持していただきたいと思いますし、現在、国が責任をもって、高障求機構で実際の運営を担っていただいていますので、現在の体制を今後とも維持していただきたいと強く念願しています。

 

○小杉分科会長 ほかにございますか。

 

○新谷委員 豊島委員から発言しましたが、補足させていただきます。今、高橋委員がおっしゃったことと同様なのですが、これは国が行うナショナルミニマムのサービスだと思うのです。どこかに穴が開いてしまったら、その地域での労働者、離職者が訓練を受けられないということになると、ユニバーサルサービスとしての責任が果たせないと思いますので、全国レベルで国が責任をもって対応するべきだと思っております。

 実は、国から地方に移管して失敗した例が幾つかあるのですが、労働の分野ですと、雇用保険 4 事業と言っていた時代に、地方労政行政というのがあったと思うのです。あれは雇用保険の使用者負担から地方にお金を流して、労働者の相談、研修をやっていて、地方は労政事務所などを何箇所か設けていたのですが、お金を絞られて、地方の独自の財源でやれといったら、労政事務所がどんどん閉められていって、現実的には地方労政行政というのは終息してしまっている現状があります。ポリテクセンター・ポリテクカレッジを地方に移したときに、都道府県が本当に責任をもって訓練を残してくれるのかといったら、かなり疑問だと思いますので、ここは国として責任をもって、全国ネットワークを維持してほしいと思います。

 

○小杉分科会長 ほかに御意見はございますか。

 

○上原委員 よく思い出してみると、もともと雇用・能力開発機構の廃止が出てきたのは、私のしごと館に代表される無駄という流れの中で、様々な見直しがあって、機構の廃止が出てきたような思い出があります。当時は地方分権という議論も大変盛んでしたから、地方にできることは地方に任せようという流れだったと思います。

 結論として、建物にしても人にしても、お金を出してくれないと受けないというのはよくない。地方も予算なり、お金がないと、できないということですから、もう一回改めて考えてみる必要があるということに尽きるのではないでしょうか。一方で、私も幾つか視察させていただいたことはあるのですが、地方は地方で職業のニーズが違ったりするのはあります。そういうものを十分に織り込んでいるのか。あとは、都道府県の数よりポリテクセンターの数は多いわけで、確かに北海道のように大きな所は 1 か所では困るというのはあるのでしょうけれども、棚卸しして、よく調べてみると、改革すべき点が多々あるのかもしれません、産業も随分変わっていますから、いつまでも溶接などでいいのかというのもあるのかもしれません。もっと高度化していることも、多々あるのだろうと思います。棚卸しをしていくことを条件に、中央制御の部分は必要なのではないかと思います。

 

○小杉分科会長 ほかに御意見はございますか。

 

○水町委員 比較的前向きな意見が多いのですが、ここで議論のためにですが、論点 1 、論点 2 、論点 7 に関わる点で、 1 つだけお話をさせていただきます。

 東京はもともと外れていますが、東京は国に移したいと考えているかどうかです。東京は、ポリテクセンター・ポリテクカレッジを我々の財源でやりたくないので、是非国でやってくれという意見があるのか、それとも東京は自主財源で自分で好きなようにする体制を今後も維持していこうと考えているかという点で、ほかの 46 道府県はそうではないにしても、 3 道府県の意見、東京都、その他 43 で少し温度差があるので、全国一体で制度設計をするというときには、東京が外れたままで、恐らく今後も外れたままで、自主財源でやろうかという所と説明が整合的になるように考えなければいけないというのが 1 つです。

 その他多くの道府県は、論点 1 のマル1マル2マル3の役割分担についても、マル2の部分も財政との関係で対応に苦慮していて、なかなか難しいという状況になってきています。マル1マル2の住み分けのところで、マル2で一部道府県がやれなくなってきたものを、マル1に吸収していくような制度設計、職業能力開発の幅を持たせられるかというのが、今後重要になってきます。それが論点 2 のローマ数字3(小文字)の「地方独自に職業訓練の内容を設定できるようにすべきか」というので、制度自体は国が持つにしても、地方の独自の状況に合わせたものを、場合によってはポリテクセンター・ポリテクカレッジで部分的にやっていくという制度になっていくことが望まれるかもしれないし、それが論点 7 の都道府県との連携を一層強めていくという方向だとすることが望ましいかなと思いました。

 

○小杉分科会長 私からも 1 つだけ申し上げます。論点 3 に関わるのですが、教育上の訓練のカリキュラム、指導法に非常に専門性があって、蓄積が必要な分野なのです。そういう意味では、これまで蓄積がある能開機構から高障求機構の財産だと思うので、それが離散しないように、そこはこれからも国の財産になるものだと思うので、しっかりとどめられるようにお願いしたいと思います。ほかにございますか。

 

○大久保委員 論点 2 が気になっているのですが、地方は自分たちが負担をしない形でなければ受けられない、施設も全部無償譲渡だといっているわけですね。仮にそういうことをやったとしても、今、一括管理しているものを 47 都道府県で分割管理運営をするとしたら、常識的に考えてコストは上がります。つまり、全体の運営に関する生産性は下がると考えるのが自然です。もともと、これは行政改革からきているわけで、要するに効率化が図れるということがもともとの狙いだとすれば、 47 都道府県の皆さんがそのように言っているということは、効率化が図れると思っていないということだと思うのです。

 民間企業でも、研修センターをあちこちに分散して作って、バラバラに運営したらコストが悪くなるので、一括できるものは一括でやるという方向で運営するのが常識で、むしろその観点から考えても、今、全部を移管することは合理的でないということが、一連のヒアリングの結果として分かってきたということなのではないかと思いますので、特に 2 の観点については、今の状態の、 47 都道府県の声のままに強引にルールを変えて進めていくことは合理的ではないと思います。

 

○小杉分科会長 実質的に、論点の 5 から 7 までを全て含めた議論をしてきましたが、特に追加の御意見はございますか。

 

○大久保委員 論点 2 が気になっているのですが、地方は自分たちが負担をしない形でなければ受けられない、施設も全部無償譲渡だといっているわけですね。仮にそういうことをやったとしても、今、一括管理しているものを 47 都道府県で分割管理運営をするとしたら、常識的に考えてコストは上がります。つまり、全体の運営に関する生産性は下がると考えるのが自然です。もともと、これは行政改革からきているわけで、要するに効率化が図れるということがもともとの狙いだとすれば、 47 都道府県の皆さんがそのように言っているということは、効率化が図れると思っていないということだと思うのです。

 民間企業でも、研修センターをあちこちに分散して作って、バラバラに運営したらコストが高くなるので、一括できるものは一括でやるという方向で運営するのが常識で、むしろその観点から考えても、今、全部を移管することは合理的でないということが、一連のヒアリングの結果として分かってきたということなのではないかと思いますので、 47 都道府県の声のままに強引にルールを変えて進めていくことは合理的ではないと思います。

 

○宇野調査官 例えば離職者訓練の場合に、県域を越える場合がありまして、今おっしゃった大阪府のハローワークで、いろいろな事情があって京都のポリテクセンターにというときは、大阪から京都のポリテクセンターへの受講指示をしまして、適用になっています。

 

○小杉分科会長 ほかに御意見はございますか。

 

○高橋委員 論点 7 ですが、ポリテクセンターと都道府県の連携について、「一層連携していくべきではないか」と書いてありますが、現在の連携の状況はどうなっているのでしょうか。

 

○宇野調査官 論点に書いてある運営協議会、訓練計画を作るような形で、計画の調整、訓練については、今は求職者支援のこともありますので、実際に連携をしています。もう 1 つは、機構のポリテクセンターの訓練が都道府県と重複しないか、民間と重複しないか、そういうところの調整も都道府県とはやらせていただいています。今、申し上げたのは全ての県でやっていますが、それプラスより前向きな連携という面では、全てではないのですが、工業高校にポリテクセンターの訓練指導員が行って、工業高校の先生、生徒に指導をしています。県とは違いますが、大学関係でも、一部の県立の大学でもやっているという話を聞いています。

 ただ、それ以上のことをやっているのかということで、今回の資料 2-1 で要望内容を伺ったところ、まだまだニーズがあるのかなと思いましたので、そういう意味では「一層」というのは、それも含めてだということで書いたものです。

 

○小杉分科会長 それでは御議論はここまでということにさせていただきまして、本件の今後の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○宇野調査官 本日は大変貴重な御意見を頂き、ありがとうございました。事務局としましては、頂いた御意見を踏まえ、論点を肉付けし、報告書 ( ) ということで御提示したいと思います。

 先ほど来申し上げていますとおり、廃止法附則第 16 条では、関係都道府県の御意見も伺うことになっています。関係都道府県の御意見の伺い方については、全国知事会事務局と調整中です。その上で、若干お時間を頂くことになりますので、分科会報告書 ( ) を提示させていただくのは、次々回以降になりますので、御承知置きいただきますよう、お願いいたします。

 

○小杉分科会長 ただいま事務局から説明のあった進め方ということでよろしいですか。

 

                                  ( 異議なし )

 

○小杉分科会長 そのように進めることにさせていただきます。そのほかにございますか。

 

○新谷委員 議題 1 について、発言のタイミングを失してしまって、 1 点申し上げたい点がございました。資料 1-1 12 ページに、 2 つ目の論点が記載されていまして、これについての発言のタイミングを逸しましたので、発言の機会を許していただきたいと思います。

 ここに幾つか論点が書かれているのですが、例えば下から 2 つ目のポツで、従業員の学び直しを支援する場合に上限額をより高額とする等の内容が書かれておりますし、またキャリア形成助成金について、中小企業のところを大企業にも拡充するという記載があります。

 これについて、改正をしなければならない立法事実というか、なぜこれをしなければいけないのか、何を狙っているのか、政策効果は何なのだというところをもう少し書いてもらわないと、いきなりこれがポンと出てきても、背景がよく分かりませんので、次に記載をお願いしたいと思います。

 それと、先ほどのやり取りの中で事務局から御答弁がありましたが、それをそのまま私どもは理解しているわけではありません。あくまでも学び直しを雇用保険の仕組みでやるのであれば、先ほど申し上げたように、在職中の類型ローマ数字2(大文字)というのは対象とするべきではない。社会保険のシステムとして対応すべきは、もっと弱者である女性、ハンディキャップを持った方、要するに雇用保険として、労働市場で国として訓練をやらなければならない方に対して、これを重点的に行うべきであり、より強い人、中堅社員を大学院の MBA にやるということに対して公的に 100 万円出すというのは、ちょっと違うのではないかと思います。

 確かに、答弁を聞いていてよく分かるのは、雇用保険の失業等給付の積立金残高も 5 9,000 億円も貯まって、大きな支出項目を作らなければいけない、だからたくさん間口を広げなければいけないというのは分かるのですが、それだからといって、濫給的にお金を出すべきではないと思いますので、そこは改めて申し上げておきたいと思います。

 

○小杉分科会長 今日のところはここまでとさせていただきます。次回以降の分科会の日程については、改めて事務局から連絡させていただきます。本日の議事録署名人ですが、労働側は豊島委員、使用者側は大隈委員にお願いいたします。本日はこれで終了します。ありがとうございました。


(了)

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