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2013年9月19日 第4回精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成25年9月19日(木)9:30~12:00


○場所

厚生労働省 専用第18会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

伊澤構成員、伊藤構成員、伊豫構成員、岩上構成員、柏木構成員
長谷川利夫氏(香山構成員代理)、河崎構成員、吉川構成員、城所敏英氏(倉橋構成員)、佐藤構成員
澤田構成員、田川構成員、田邉構成員、近森構成員、千葉構成員
中板構成員、中島構成員、長野構成員、樋口構成員、平田構成員
広田構成員、三上構成員、山本構成員、良田構成員

○議題

1 良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案(叩き台)について
2 その他

○議事

○北島精神・障害保健課長

 皆様、おはようございます。それでは、定刻となりましたので、只今より第4回「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」を開催させていただきます。構成員の皆様方におかれましては、大変御多忙の中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 本検討会は公開のため、検討会での審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了承くださいますようお願い申し上げます。

 次に、本日は、構成員の代理として2名の方に御出席いただいておりますので、御紹介申し上げます。

 香山構成員代理、一般社団法人日本作業療法士協会、長谷川利夫さんでございます。

 

○長谷川代理

 長谷川でございます。どうぞよろしくお願いします。

 

○北島精神・障害保健課長

 倉橋構成員代理、全国保健所長会理事、城所敏英さんでございます。

 

○城所代理

 城所です。よろしくお願いします。

 

○北島精神・障害保健課長

 また、本日は、田邉構成員におかれましては、御都合により1130分ごろ御退席の予定とお伺いしております。

 また、伊澤構成員におかれましては、やや遅れているようでございます。

 そして、野沢構成員より御欠席との御連絡をいただいております。

 それでは、ここからの議事は座長にお願い申し上げます。

 

○樋口座長

 おはようございます。座長の樋口でございます。

 本日は、指針の中間まとめの元となる叩き台を作成しております。叩き台につきましては、これまでの関連する検討会等あるいは第3回までのヒアリング、あるいはその御議論の中で皆様方からいただきました御発言を基に作成いたしました。

 まずは、事務局の方から叩き台の説明をしていただき、その後皆様で御議論してまいりたいと思います。

 では、事務局、よろしくお願いいたします。

 

○江副課長補佐

 それでは、資料1を御覧ください。「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案(叩き台)」につきまして御説明させていただきます。適宜、かいつまみながら御説明できればと思います。

 まず、全体的な方向性についてですが、入院医療中心の精神医療から地域生活を支えるための精神医療の実現に向け、全ての関係者が目指すべき方向性を定める指針として定義。

 精神障害者の社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加を促進するための精神障害者の障害の特性その他の心身の状態に応じた良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保する。

 精神障害者の医療及び保護の観点から、最大限人権に配慮した医療を提供する。

 偏見を払拭し、精神疾患に関する知識の普及啓発を図る。

 それから、国及び地方公共団体は、連携を図りながら、本指針を実現するための環境整備に努め、医療機関、保健医療福祉サービスの従事者その他の精神障害者を支援する者は本指針に沿った医療の提供を目指すということを全体的な方向性として、まず掲げさせていただいております。

 第一としまして、精神病床の機能分化に関する事項となります。

 その一 基本的な方向性ですが、限られた医療資源を最大限有効に活用し、精神障害者の入院医療から地域生活への移行を促進するため、精神病床の機能分化を進める。

 機能分化は段階的に行い、人材・財源を効率的に配分するとともに、地域移行を更に進める。結果として、精神病床は減少するとさせていただいております。

 二としまして、入院医療から地域生活への移行の推進としまして、まず、精神病床の機能分化に当たっては、精神障害者が早期に退院するための体制を確保し、退院促進に取り組む。

 それから、病院内で退院支援に関わる者は、入院中からの働きかけや環境整備を推進する。

 また、退院後の生活環境の整備状況等を踏まえつつ、精神障害者に対する入院医療の必要性について、検討する体制を整備する。

 三点目として、急性期の患者に対して医療を提供するための機能となります。

 新たに入院する患者の早期退院を促進するため、急性期の患者に対し手厚い医療を提供するための機能を確保する。

 精神科入院医療における医師及び看護職員の配置を手厚くするとともに、多職種による退院支援を推進する。

 また、救急患者に対して適切な医療を提供できる体制の確保を推進する。

 四点目が、入院期間が1年未満の患者に対して医療を提供するための機能です。

 可能な限り在院期間が1年を超えないうちに退院できるよう、退院に向けた取組を行いつつ、必要な医療を提供するための機能を確保する。

 そのために、多職種による退院支援を推進するとなっております。

 五点目が、重度かつ慢性の患者に対して医療を提供するための機能です。

 重度かつ慢性の患者の定義を調査研究により十分に検討し、定義を踏まえてその特性に応じた医療を提供するための機能を確保する。

 六点目が、重度かつ慢性の患者以外の入院期間が1年を超える長期在院者に対して医療を提供するための機能。

 重度かつ慢性の患者以外の患者は可能な限り1年を超えないうちに退院できるようにする一方で、既に1年を超える入院をしている重度かつ慢性以外の長期在院者については、地域移行を推進する。

 そのために、多職種による退院支援を推進する。

 また、原則として、行動制限は行わないこととするとさせていただいております。

 七点目が、認知症患者に対して医療を提供するための機能としまして、認知症の行動・心理症状で入院が必要な場合でも、できる限り短い期間での退院を目指すとさせていただいております。

 八点目が、身体疾患を合併する精神障害者に対して医療を提供するための機能の在り方としまして、身体疾患を優先して治療すべき場合や一般病棟に入院している患者が精神症状を呈した場合等に、身体疾患を一般病床で治療することのできる体制を確保する。

 また、いわゆる総合病院精神科の機能の確保及び充実も図りつつ、精神病床においても適切に対応できる体制を確保する。

 以上が第一になりますが、第二としまして、3ページですが、精神障害者の居宅等における保健医療サービス及び福祉サービスの提供に関する事項としまして、まず、基本的な方向性として、精神障害者が入院医療に頼らず、地域で安心して生活することができるよう、患者の状態に応じて必要な時に必要な保健医療サービス及び福祉サービスをいつでも提供できる体制を確保する。

 二点目、居宅における医療サービスの在り方として、まず1点目のアウトリーチ(多職種チームによる訪問支援)について、それを行うことのできる体制を病院及び診療所において整備し、必要な医療へのアクセスを確保する。

 それから、精神科訪問看護につきましても、看護師や精神保健福祉士等の多職種による連携を図るとともに、保健、医療、福祉サービスを担う職種と連携した支援を図るとさせていただいております。

 三点目が、外来・デイケア等の通院患者に対する医療の在り方としまして、外来医療体制の整備。それから、専門的かつ効果的なデイケア等を行える体制の確保を推進するとしております。

 四点目が、精神科救急医療体制の整備としまして、1点目が24時間365日対応できる医療体制の確保としまして、都道府県として、24時間対応できる精神科救急医療システムや相談窓口等を整備することを推進する。

 2点目が、身体疾患を合併する精神疾患患者の受入体制の確保としまして、精神科医療機関は、身体疾患を合併する精神疾患患者を医療機関で速やかに受け入れられる連携体制を構築する。

 都道府県は、精神科と身体科の両方の関係者が参加する協議会の開催等の取組を推進する。

 同じく都道府県は、身体疾患を合併する精神疾患患者について、全医療圏で身体疾患を合併する精神疾患患者の受入体制を確保する。

 おめくりいただきまして、4ページですが、いわゆる総合病院精神科の機能の確保及び充実も併せて推進するとなっております。

 3点目が、評価指標の導入として、個別医療機関ごとに相互評価等を行いまして、精神科救急医療機関の質の向上を推進するとさせていただいております。

 五点目が、一般医療機関との連携としまして、身体疾患に対する医療の提供の必要性が認められた場合には、適切な治療を行うことのできる医療機関との連携を行うとしまして、特にうつ病、認知症等は一般内科医等のかかりつけ医が最初に診療する場合もあることから、かかりつけ医等の診療技術等の向上に努め、かかりつけ医と精神科の医療機関との連携を強化する。

 六点目が、保健サービス及び福祉サービスの提供で、保健所や精神保健福祉センター等における訪問支援や相談を通して、精神疾患を持つ患者が早期に適切な医療にアクセスできる体制の整備を推進する。

 それから、障害福祉サービス事業を行う者等と医療機関との連携を進める。

 その他就労支援等も含む様々なサービスを推進する。

 それから、グループホーム等の居住の場の充実を推進するとさせていただいております。

 次が、第三としまして、精神障害者に対する医療の提供に当たっての医師、看護師その他の医療従事者と精神保健福祉士その他の精神障害者の保健福祉に関する専門的知識を有する者との連携に関する事項、いわゆるチーム医療に関する事項ですが、まず、一点目の基本的な方向性としまして、精神障害者に対する医療の提供、地域移行のための退院支援及び地域で生活するための生活支援においては、多職種によるチーム医療を行うことが重要であることから、多職種チームで連携して医療を提供できる体制を確保する。

 二点目、入院患者に対する医療における多職種連携の在り方として、精神障害者に対する医療の質の向上のため、多職種との適切な連携を確保する。

 それから、入院早期から早期退院を目指した取組を推進する。

 5ページ目になりますが、精神障害者の退院支援等における多職種の連携に当たって、家族や患者の支援や関係機関との連携を行うことを推進する。

 三点目が、地域で生活する患者に対する医療における多職種連携の在り方です。

 アウトリーチチームにおいては、受療中断者等に対して、医療関係者を中心としつつ、保健所等の保健師、また障害福祉サービスの相談支援専門員等を含む多職種とも連携して、必要な医療を確保する。

 四点目が、人材の養成と確保としまして、精神障害者を支援する人材の育成と質の向上を推進する。

 それから、各専門職が研修の際に精神科での経験を積むことを推進する。

 また、精神保健指定医の人材の確保及び効率的な活用並びに質の向上を推進する。

 次が、第四 その他良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供の確保に関する重要事項としまして、一点目が関係行政機関の役割です。

 そのうちの1点目、保健所等としまして、精神障害者が適切な医療を受けることができるよう、保健所の有する機能を最大限有効に活用するための方策を、市町村等の他の関係機関の在り方も含めて検討する。

 未治療者やその家族に対して精神疾患に関する知識の普及を図ることにより治療の必要性を説明し、早期に適切な治療につなげることを目指す。

 特に重い精神症状を有する精神障害者に対しては、必要に応じて移送による医療保護入院を検討し、調整する等、関係機関と連携して適切な医療を精神障害者に提供する。

 また、措置入院患者については、医療機関や障害福祉サービスの事業者等の支援の調整を行う。

 2点目が精神保健福祉センターとしまして、精神保健福祉センターとしても専門的な相談や訪問支援を行う。

 また、アルコールや薬物等の依存症等の専門的な相談に対応できるよう相談員の質の向上を推進する。

 6ページですが、3点目が精神医療審査会として、精神障害者の人権に配慮しつつ、専門的かつ独立的な機関として審査を行う。

 第四の二点目ですが、人権に配慮した精神医療の提供としまして、行動の制限は最小の範囲としまして、可能な限りインフォームド・コンセントに努める等、精神障害者の人権に配慮した医療を行う。

 また、診療所の精神保健指定医が積極的に精神保健指定医としての業務を行う体制の整備を推進する。

 三点目、多様な精神疾患・患者像への医療の提供としまして、そのうちの1点目が自殺・うつ病等ですが、自殺予防の観点からの精神科医療の質の向上を図る。

 それから、自殺未遂者や自殺者遺族等のケアを行うため、自殺予防の観点からの一般救急を担う医療機関と精神科の医療機関との連携を図る。

 それから、医師、薬剤師等の連携の下、過量服薬防止を図るとともに、適切な医療へのアクセスの向上の取組を進める。

 2点目が依存症としまして、依存症治療拠点機関の整備、また重度依存症入院患者に対する医療提供体制の確保等、適切な依存症の治療が行える体制の整備を推進する。

 3点目、児童精神ですが、未成年者のこころの診療の拠点病院を中心とした診療ネットワーク等を整備する。

 4点目が摂食障害としまして、摂食障害の患者に対する治療や支援方法の確立を行うための体制を整備する。

 また、摂食障害患者に対して、身体合併症の治療や栄養管理等を行いながら精神科医療を提供できる体制の整備を推進する。

 7ページ目になりますが、5のてんかんです。適切な服薬等を行えるよう正しい知識や理解を得るための普及啓発を推進する。

 また、てんかんに対する診療ネットワークを整備する。

 6番、高次脳機能障害ですが、支援拠点機関において専門的な相談支援を行うとともに、普及啓発を推進する。

 7番がその他の必要な医療としまして、まず災害医療としまして、平時から情報連携体制の構築に努め、災害発生時には早期に被災地域で精神科医療及び精神保健活動の支援を効率的に行える体制を確保する。

 2番目が心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する医療としまして、指定医療機関における医療の水準の向上を推進する。

 四点目が精神医療の標準化で、精神疾患に関してガイドラインの整備等を通じた診療の在り方の標準化を図る。

 それから、適正な向精神薬の処方の在り方を確立する。

 また、認知行動療法等の薬物療法以外の療法の普及を図る。

 五点目が精神疾患に関する知識の普及啓発としまして、精神疾患に対する偏見を払拭し、精神疾患にかかった患者が必要な医療の提供を受けられるようにするとともに、その疾患について理解を得ながら地域で生活することができるよう学校、地域及び企業と連携しながら精神疾患に関する知識の普及啓発を推進する。

 六番目が精神医療に関する研究の推進としまして、精神疾患の治療に有効な薬剤の開発の推進を図るとともに、薬物治療以外の治療法の研究を推進する。

 それから、脳科学、ゲノム科学、情報科学等の進歩を踏まえ、精神疾患の病態の解明、バイオマ一カーの確立を含む早期診断と予防の方法及び革新的治療法の開発に向けた研究等を推進する。

 七番目、最後になりますが、他の関連する指針等との関係の整理としましては、ここに掲げられております方針等に配慮して本指針を定めることとさせていただいております。

 資料1の説明としては、以上になります。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。

 それでは、これからは質疑応答、意見を頂戴してまいりたいと思います。今日は、少し区切ってといいますか、段落としては大きく第一から第四まで示されておりまして、その前に全体的な方向性という項目立てがございます。一応「全体的な方向性」から始めて、第一から第四へと少し区切って御意見を頂戴したいと思いますが、これは便宜的なことでございまして、例えば途中で退席される方が、御発言がある場合に、必ずしも第一から第四にとらわれることはございませんので、その場合には適宜御発言をしていただいて結構ですし、また言い落としていたことがあって、さかのぼって前の項目立てのところに御発言いただくことも結構でございます。大枠としてはそういうことで進めてまいりたいと思います。

 まずは、「全体的な方向性」として5点ほどまとめてございます。この点につきまして、何か御質問あるいは追加等の御発言がございますでしょうか。どうぞ。

 

○澤田構成員

 「全体的な方向性」と、指針案(叩き台)全体についての意見なのですけれども、大変すばらしいと思います。ぜひこのとおりに邁進して実現していただきたいと思います。そのために、これは他の構成員の先生方からも御指摘があったことなのですけれども、数値目標がほとんどないのですね。それと期限も定められていないということ。これは、指針、つまり方向性ですから、必ずしも設けなくてもいいのでしょうし、ここではその時間もないと思うのですけれども、この検討会の後、指針が定められて、その後に数値目標なり期限なりを設けることも決まっていないと聞きまして、大変心もとなく思ったのです。

 方向だけで、数値がなければ、それはゼロベクトルですから、ほとんどの人にとっては方向があったのかなかったのかもわからないものになってしまって、この検討会も無駄になってしまうのではないかと危惧しております。この場でこの後、別な組織になると思うのですけれども、数値目標とか期限とか、数字だけでない具体的なものを策定して、ぜひこれを実現していただきたいということをこの場で申し上げておきたいし、記録に残していただきたいと思うのですね。

 具体化の例を2つ申し上げたいのですけれども、1つは、5ページの第三の四です。「各専門職が精神科での経験を積む」とあるのですけれども、どのような経験かということを具体化する必要があると思うのです。ただ精神科に行けばいいというだけではないと思うのですね。

 もう一つの例としましては、6ページの二の1つ目の「最小の範囲」とか「可能な限り」とか「努める」という言葉があるのですけれども、これもガイドラインを作らなければ何も変わらないだろうと思うのです。前にどなたかが、何度も検討会をしてきて変わらなかった。今度こそということをおっしゃっていたと思うのですけれども、本当に今度こそこのすばらしい指針を実現していただきたいと思います。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。

 事務局から何か今のことに関してコメントございますか。どうぞ。

 

○尾崎課長補佐

 まず、全体的に数値目標についてなのですけれども、この指針に数値目標は今のところ位置づけていなくて、基本的には3年ごとに見直す障害福祉計画とか、5年ごとに見直す医療計画の中で数値目標として定めて、その名のとおり計画的に推進していくものかなと。片や、今回の指針というのは、改正された法律に基づく新たな大臣告示として、今後の方向性を定めるものということで、計画との役割分担があるかなと思っています。

 それから、障害福祉計画における数値目標とか、重度かつ慢性の定義といったものがまとまっていない中で、現段階において指針で数値目標を定めることは想定していないところでありますけれども、今後の対応については、状況等を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

 

○樋口座長

 どうぞ。

 

○岩上構成員

 前回のときに、何度も検討会等をやっているのだから、ちゃんと進める方法を考えなきゃいけないということを私が発言しましたので。

 

○広田構成員

 そうでしたか。

 

○岩上構成員

 私もみんなも発言しました。それで、四のところですが、後でまた発言しようと思っているのですが、推進体制というものがないのですね。ですから、保健所とか精神保健福祉センターは出ているのだけれども、国として何をやるのか。このような指針を国が出すときに国の役割を書くか書かないかというのは、また議論することだと思うのですけれども、推進体制がないということは問題かと。

 ここには、国及び地方公共団体は目指しますということは書いてあるけれども、今、澤田さんがおっしゃったように、目指した後、誰がモニタリングするのか。今まで厚労省だけでモニタリングして、次の政策に反映してきたところに問題があって、国民に見えないというのはそういうところだと思います。ですから、きちんとモニタリングをしていかないと、今お話になった重度かつ慢性もまだわからないからということですが、わからなかったら、次、わかったときにどうするのということを書いておかないと、いつモニタリングして、それを推進するのをどうするのかということです。そのことを全体の方向性として示す必要があるというのは、この検討会の構成員の皆さんは同意される話ではないかと思うので、ぜひその点についての御意見を座長から皆さんに聞いていただけたらいいかなと思います。

 

○樋口座長

 どうぞ。

 

○広田構成員

 私は、澤田さんが今日初めて発言されたことに拍手したし、厚生労働省にきちんと意見を言われたことに対しても拍手です。2人入れていただいたことで意見が全く違うから、よかった。私は全然すばらしくない、遅れていると思います。

 それから、全体的なことを言えば、ポツの2つ目、「精神障害者の社会復帰の促進及びその自立と」の後に「社会貢献」と入れていただきたい。それで、点を入れて「社会経済活動への参加を」。これは、9年前に総理官邸で、小泉総理と会談させていただいたときにも、「精神障害者は社会貢献したい、タックスペイヤーになりたいのです」と言っています。この2点を併記していただきたい。

 下から2つ目の「偏見を払拭し」というのは、ずっとこの間、この世界で厚生労働省を舞台に発言していますが、今や偏見が一番多いのは、家族、本人、ここにいる関係者です。国民に向けた場合には「偏見を払拭し」は取った方がいいと思います。何度も言うように、精神障害者は108万人から3倍に膨れ上がった320万人までになっていて、朝日新聞も神奈川新聞も厚生労働省も財務省等の霞ヶ関も、そしておそらく各都道府県警察も、あらゆる職域で精神疾患が課題のこの時代に、「偏見を払拭し」というのはおかしい。

 精神科に行っていて「治せないで、困っている。広田さん」というのが各職場のニーズです。ですから、取った方がいいです。これは20年前の話。国民に笑われてしまいます。

 

○樋口座長

 御意見を頂戴いたしました。

 どうぞ。

 

○河崎構成員

 日精協の河崎ですが、まず「全体的な方向性」につきましては、これまで国がいろいろと検討会あるいは検討チーム等で行ってきた内容を踏まえて、今回のこの検討会での3回の議論を踏襲しながらのまとめだと思っております。

 ただ、1点お願いしたいなと思っておりますのは、5つ目の黒ポツのところ、「国及び地方公共団体は、連携を図りながら、本指針を実現するための環境整備に努め」ということで、今回、国及び地方公共団体がこういうことに努めなければならないという記載がはっきりございますが、この検討会でもありましたけれども、ここにしっかりと「財源を確保する」ということを私は明記すべきだと思います。

 「環境整備」の言葉の中には、当然それも含まれているということになるかもしれませんが、これまでのいろいろな議論の中でも、しっかりと財源を確保していかなければいろいろな施策が進まないというのは、全ての構成員の一致するところであろうかと思いますので、ぜひそういう言葉をこの全体的な方向性の中に入れていただきたい。これはお願いでございます。

 

○樋口座長

 他はいかがでしょう。どうぞ。

 

○田邉構成員

 全国精神保健センター長会の田邉です。

 推進体制という岩上さんのお話と、ちょっと関係するのかもしれませんけれども、4点目の中黒のところで、「精神障害者が早期に適切な医療を受けるとともに、その疾患について」とあっさり、「早期に適切な医療を受ける」ことが「知識の普及啓発」のみで受けておられるのですけれども、実際には早期に適切な医療を受けるというのはもう少し体制を整備していかないと、これは一番難しいところです。

 全体的に医療の中断者とか長期入院者の地域移行ということに、すごく丁寧に、前より踏み込んだいろいろなことが盛り込まれていますけれども、現在、医療を受けていなくて疾病をまだ否認しているような人の対策については少し弱いので、ここはそういう適切な医療を受けられる体制を整備しと、少し進めた方がよろしいかと私たちは思っております。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。今のところは、そうすると、先生の御提案では「精神障害者が早期に適切な医療を受けられる体制を整備するとともに」という書き方で。

 

○田邉構成員

 はい。

 

○樋口座長

 どうぞ。

 

○広田構成員

 その受けられる整備とはどういうことですか。とにかく広がり過ぎてしまって、「治せなくて困っている」と言っている社会と、まだここへ呼び込んで患者を増やそうとしている、中国の覇権主義みたいな業界。どういう体制なのですか。

 

○田邉構成員

 例えばさまざまな依存症などは、病気のことを病気として理解することが難しくて、あるいは実際の家族もどこに相談に行ったらいいかわからなかったというのは、いまだに依存症対策の検討会でも出てきているのですね。

 それから、初めて精神病性の障害を持って混乱しているときに、実際は入院の必要性があっても、保健所等を含めた早期の介入というものが難しいわけですね。アウトリーチチームの前提は、今までのお話ですと、医療機関がどちらかといえば医療中断者に対して行う体制は、かなり踏み込んだ表現になっていますけれども、今まで全くノーコンタクトの状態の方へアプローチする体制については、余り具体的には後段ではそんなにたくさん書かれていないのですね。保健所の訪問支援ということは後に出てきますけれどもね。だから、ここにもそのことを全体的に表現しておいた方が、私はよろしいと思いました。

 

○樋口座長

 どうぞ。それでは、先に。

 

○三上構成員

 本指針における精神障害者の対象については、統合失調症に限らず、後ろに書いてあるとおり多様な精神疾患として、うつや依存症、てんかん等も含むのであれば、先ほど、「偏見を払拭し」という文言を取るようご意見がございましたけれども、特にてんかんについては、適切な診断・治療を行えば普通の生活を送ることができるにも関わらず、現在もまだ偏見や差別が非常に多く、そのために職を失ってしまう方もいらっしゃいます。また早期診断・早期治療のできる体制が整っていない自治体もあります。

 ですので、ここのところは「偏見を払拭し」という文言を残していただいて、更に、「早期に適切な医療を受けられる体制を整備するとともに」という文言にしていただきたいと思います。

 

○樋口座長

 どうぞ。

 

○広田構成員

 偏見と知らないというのは違っていて、私の親友が同性愛のエイズで亡くなったり、また難病の方もたくさん周囲にいらっしゃるけれど、偏見ということを書いたこと、イコール遅れているのですよ。今日、「家庭の医学」を持ってこようと思ったら、午前中のラッシュアワーだったから持ってきませんでしたけれど、このぐらいの本を買うといろいろなことが書いてある。偏見と言っただけで引いてしまう。入れない方がいいと思います。30年前の全家連さんができた頃の話だったら偏見かもしれないけれど。

 でも、これだけ爆発的に広がって、昨日も午後からアルコールと薬物の専門病院の研修に私も行ってきました。先日は横浜刑務所に行って、薬物の方の認知行動療法にも参加させていただいています。全国の精神科病院を泊まり歩いて、いろいろなところへ行っていますが、時代は変わった。変わっていないのはこの業界だけです。この業界が変わらなければ、厚生労働省は逆立ちしても変えられない、国民が変わるのではない。この業界が変わらなきゃ。こんなことをまだ入れているのだったら、後戻りで全然変わらない。偏見と言っただけで国民は引く。

 距離を作るから、やめた方がいい。申し訳ないけれど、三上さんの偏見です。

 

○樋口座長

 それでは、もうお一方。どうぞ、伊澤さん。

 

○伊澤構成員

 自分の読んでいるときにはわからなかったのですが、先ほどの江副さんの朗読を伺っていて気づいた点なのですけれども、当事者の方々を表すときに「精神障害者」という表現と「精神疾患患者」という表現と、後半の方にもいろいろ類似する「精神疾患を持つ患者」という表現とか「地域で生活する患者」。表現に非常にばらつきがあるというあたりで、この辺は揃えた方がいいのではないかということがあります。もし分けて表現するとすれば、その辺の意図は何なのか、逆にお聞きしたい感じもいたします。

 以上です。

 

○樋口座長

 そのあたりは、整理するということになろうかと思います。

 どうぞ、中島構成員。

 

○中島構成員

 さまざまな御議論はいいと思うのですけれども、5つの黒ポチ以外にぜひ入れていただかないといけないと思うのは、精神病床数及び平均在院日数を、少なくとも国際的レベルに近づけるという1点が抜けていると思います。抜けているから、この冊子全体が全く無意味なものになっているのではありませんか。よろしくお願いいたします。

 

○樋口座長

 どうぞ。

 

○柏木構成員

 「全体的な方向性」については、岩上さんのおっしゃっているように、検証の仕組みというのをぜひ入れていただきたいと思います。実現するために検証の仕組みを考えるということを入れていただきたいということと。

 3ポツのところなのですけれども、病識がない場合があるという精神障害者の特性に応じというところは、病識の有無で人権に配慮するというふうにとれないことはないので、どちらかというと、精神障害者の特性ではなくて、強制治療や身体拘束等の御本人の同意なく行われる治療は、精神科医療の特性であると思われる。

 

○広田構成員

 事前説明で、取ってもらいました。

 

○柏木構成員

 変えてあるのですね。失礼しました。では、いいです。申し訳ないです。

 

○樋口座長

 それでは、少し先に進んで、また今のところに戻っていただいて結構です。

 「第一 精神病床の機能分化に関する事項」、これが最もボリュームがありますので、ここに少し時間をかけたいと思います。一から八までございます。一括して、その中での御意見を頂戴してまいりたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

 

○平田構成員

 たくさん事項があるので、細かいところから。

 第一の二の3ポツ、これは退院した後のフォローの話だと思うのですけれども、「精神障害者に対する入院医療の必要性について、検討する体制を整備する」という文言があります。退院した後の再入院も含めた病状悪化時の対応を整えることが、結果的に地域移行につながるということを言いたいのだと思うのですけれども、入院医療だけに限定するのはちょっと狭いと思います。ですから、正しく表現するとすれば、「随時、精神障害者に対する危機介入の必要性」と置き換えた方が、もっと幅が広いと思います。入院だけに限定する必要はない。

 

○樋口座長

 どうぞ。

 

○江副課長補佐

 今の点で若干コメントさせていただければと思います。

 御趣旨は確かにそのとおりなのですけれども、第一が精神病床の機能分化ということで、入院医療を基本的には念頭に置いていますので、そういう意味でこのような表現になっておりました。趣旨を踏まえて、また表現については考えたいと思います。

 

○樋口座長

 どうぞ。

 

○広田構成員

 二の3行目、「病院内で退院支援に関わる者は、相談支援専門員や介護支援専門員と連携しつつ」と書いているけれど、昨日も依存症の病院の前に他の一般の精神科病院にも行ってきました。いろいろな精神科病院のPSWの話を聞いていると、柏木さんとちょっと違っている。私は人を信じるところから、人の可能性を信じることから、危機介入の活動をしている、人間としてもそうですけれども。ここにいると、福祉の人が医療に不信感を持って、医療の中を変えたいと騒いでいるのですね。

 そこで、「どうなの」と聞きに行くと、医療の人は福祉の人を不信じゃなくて「当てにできない」と言う。「送り出しているのに、そこでまともにサポートできないで、結局何だかんだ言って入院させてくる」と。相互が信頼できていなくて何が連携ですか。医者の診立てに依存している福祉、そして今度は中に行って中を開拓したいと。

 私、ずっとここで感じています。例えば私が何か課題を抱えたら、誰か1人が受けとめてくれればいいので、私の課題を連携などされたら、余計ややこしくなる。「病院内で退院支援に関わる人は、精神障害者が地域で生活するため、入院中からの働きかけや環境整備をする」だけではだめなのか。相談支援員や介護支援相談員と連携しなきゃいけないのかということを、まず率直に伺いたい。これ、本当にいっぱい病院で聞いています。

 昨日も、「住居はどっちが確保している」と言ったら、その病院は病院側がやっている。横浜市内ですと最近、自アシというのも出てきて、「生活支援センターを6時間しか開けてなくて、週休2日、8人ぐらい職員がいて」、「広田さん、メンバーより職員が多いけれど、横浜市、よほどお金が余っているのね」とたくさん言ってくる。

 そういうところならいざ知らず、普通だったら住居まで病院のPSWがやったとして、地方自治体とか国が住居の政策を整備すれば、出た人をきちんと福祉等が受けられれば、その方が患者も安心できる。警察の留置場までは警察庁がやるけれど、刑務所に入ったら法務省。けれど、法務省に行ったら冷房がないよというのが横浜刑務所の実態でしたが。そういうふうに役割分担を明確にして、それぞれが責任を持ってやってもらいたいというのが患者の本音です。

 柏木さんと違う多くの精神科病院の力のないPSWかしら、あなたに力があるとしたら。それぞれが役割分担を明確にしてやるところをやらないと、結局はあいまいで、どっちを頼ったらいいのということ。人間、迷ったり困っているときに、そんなにいっぱい占い師が出てきてしまったら余計に迷い始めてしまう。1人、中はこの人、出たらこの人と、この方がすごく暮らしやすい。それが、特に長いこと入院している患者の本心でもあります。なぜこんな形で連携しなきゃいけないのか。私は取った方がいいと思う。

 

○樋口座長

 それでは、今のことも含めて御意見ございますか。別の御意見でも結構です。では、どうぞ。

 

○田邉構成員

 別の意見なのですけれども、先ほど、今回は数値目標がないということが出たけれども、七の認知症医療に、50%が退院できるまでの期間を2カ月と、ここは踏み込んだ数値目標が出てきています。ちょっと細かなところなのですけれども、私、たまたまそういうケースを最近経験したものですから言います。退院には死亡退院もありますので、認知症患者さんが医療保護入院で急に増えて、実際にごく短期間で死亡退院される、というのも退院です。これは、一部の病院ですけれど。そういう傾向になってはいけません。八のリエゾンチームとの連携を図って身体疾患を一般病床で治療する環境、これが進めばそういうことはなくなるのでしょうが、総合病院で認知症を診るというのが余りなくなってきています。ここで死亡退院まで同じレベルでカウントしては、いかがなものかということで、ここの文言は「地域や家庭に退院する」という文言にしていただけたらと思いました。

 

○樋口座長

 それでは、どうぞ柏木さん。

 

○柏木構成員

 まず、広田さんの御質問に対してですけれども、少なくともそんなに考え方が違っているとは思っていません。と言いますのは、おっしゃられるような形で今、私も同じように、地域に出た方たちを精神科のPWSが外来支援という形でコーディネートして関わっています。ただ、そのやり方がいつまでもたくさんのケースを追い続けられるだけの余力があるかというと、これから3カ月という短い期間での退院を次々と送り出していくことになると、医療機関に属している精神科のソーシャルワーカーがどこまで後追いしているか。その時間的な余裕というのは非常に厳しいものがあると思います。

 

○広田構成員

 役割分担。間違えないで。

 

○柏木構成員

 そうすると、突然地域に帰した段階で、相談支援専門員とか介護支援の専門員さんたちにお願いするというよりは、シームレスに入院中から関わっていただいて、地域に行くときにその人が不安にならないように、安心して生活を送れるように、入院中から関わっていただきましょうということだと思うのです。

 大変失礼ながら、私は相談支援専門員さんがそれほどまだ力量があるとは思っていません。ただ、高齢の精神障害者の方、認知症の方もほとんどそうですけれども、入院時からケアマネさんがついてくるわけです。そうすると、その人たちが、先ほどの先生のお話にも関連すると思いますが、認知症の方を短い期間で退院させようと思ったら、入院中にケアマネジャーの人たちとかが介入する必要性はあると考えています。ですので、おっしゃっていることとそんなに違うようには思えない。ただ、私は精神科のPSWはもう少し地域に視野を広げて、そして地域の人たちにお願いして送り出すという力をつけたいとは思っていますけれども、おっしゃられていることはよくわかります。

 もう一つ、ついででいいですか。

 

○樋口座長

 どうぞ。

 

○柏木構成員

 ついでに認知症のことなのですけれども、精神科病院にだけ2カ月、50%が退院できるまでにということの負荷をかけていただいても、なかなかうまくいかないというのが現実だと、私は自分のところの認知症治療病棟を見ていて思うのです。地域に帰せと言っても、都会の場合、高齢・単身でどうしようもなくなって入院してくるというケースが多く、その人たちを短い期間で退院させるといっても、在宅に帰すこと自体、難しいわけです。

 そうすると、当然施設ということになるのですけれども、お金のある方は別でしょうけれども、低所得で選択肢がないような方は特養というところしか入ることができないわけです。そうすると、特養待機でいつまでも入院を継続せざるを得ない。そのうちに、はっきり申し上げて認知症治療病棟の人員配置というのは非常に厳しいものがあって、今、平均でいくと15対1か、ちょっと忘れてしまったのですけれども、看護師の数が足らず、十分な観察やケアをするにはかなり厳しい状況にあって、長期入院すればするほど身体合併症は併発するわ、ADLは落ちていくわ、どんどん在宅に帰せなくなっていくわけです。

 だから、入院の精神科の看護体制自体も、短い期間であっても急性期並みの看護配置をしていただくようにして、少なくとも入院した時点よりもADLを悪くしないような人員配置をとっていただきたい。

 これは、認知症の人たちの退院後の地域の受け皿は、精神科医療だけの問題ではなくて、在宅医療や介護側の認知症の計画といったものとかなりリンクしてやっていただかないと、精神科病院だけに早く出せと負荷をかけていただいても、問題は解決しないのではないかと思っております。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。今のところをちょっと補足しますけれども、先ほどの数値目標の最初の議論のところにありましたように、これは計画の中でこれから数値目標とか時期を含めて検討するという話になっていきますので、認知症のところだけ数値が出ているというのは非常に不自然だと、私も認識いたします。この辺は、事務局で後ほど整理してもらうことにいたします。

 それでは、佐藤構成員が先ですね。その後、田川構成員。

 

○佐藤構成員

 「一 基本的な方向性」の2つ目の最後のところ、皆さんお気づきだと思いますけれども、「結果として、精神病床は減少する」という、非常に主体性がない、力弱い表現になっていますね。これは、「精神病床を減少させるために地域移行をさらに進める」とか、あるいは「結果として精神病床を強力に減少させる」とか、そういう力強い表現に変えていただきたいと思います。それがないと、全体が動かない。

 それから、広田さんが指摘したところですけれども、「併せて、病院内で退院支援に関わる者」の次ですけれども、相談支援専門員、病院外のスタッフを想定しているのでしょうけれども、ここは病院外ということがあまりはっきり書いていないために、院内のスタッフだけでやるようなニュアンスにとれます。これは、相談支援専門員じゃなくてもいいのですけれども、「病院外の支援員と連携しつつ」という、「病院外」という言葉を入れていただいた方がいいかなと思います。

 以上です。

 

○樋口座長

 ちょっと待ってくださいね。どうぞ、田川構成員。

 

○田川構成員

 田川です。二の3つ目のポツに「入院前に診療を行っていた地域の医療機関」云々ということを入れていただいたのは、とてもうれしいなと思います。というのは、ある機関からある機関に引き継いでいくときに、全く離れてしまうとその方の支援に一貫性が出ない。支援というのは重なり合いながら続けていかなきゃいけないと思うのです。

 入院中に退院した後の支援をする者がそこに関与するということは、重なり合いながらやっていくという意味ではとてもいいと思うのですけれども、一面識もない地域の支援者が入院中の初めて会った方に、この人、二、三日したら退院しますと説明されても、ああ、そうですかとしか言いようがないと思うのです。でも、地域でその方を入院前に見ていたところが関与すれば、この方はこんなふうに生活しておられた。だから、こういう支援があればいいのではないかというのを、御本人も含めて具体的に相談できる。そういう意味では、外来でのいろいろなコメディカルスタッフがとても重要な役割を果たすと思うのです。

 そこに医者が行ければいいですけれども、診療所の医者は診察に没頭されていますから、なかなか指定された時間に行けない。それをつないでいけるようなキーとして、外来医療機関のコメディカルスタッフというのはとても重要だと。それが今回、全体の中であまりはっきり書かれていないので、それは少し残念です。

 以上です。

 

○樋口座長

 広田さん、どうぞ。

 

○広田構成員

 本人不在です。みんな自分が患者になったつもりで。私、話して、なるほどと意気投合したりするのは、警察官とかいろいろな省庁の官僚とか新聞記者とか救急救命士、大変なところの仕事をやっている人です。相談支援専門員はのんびりしちゃって、何を話したらいいのというぐらいで、申し訳ない。ACTの人にも先日会いましたけれど、「何をやっているの」と言ったら、「話し相手」だと言うから、「ではコミュニケーショントレーニング指導員ですか」と笑ったのです。

 私、相談支援専門員は要らないと思う。そこを通過しなきゃいけないということはおかしい。アメリカのADA法を持ち出すまでもなく、コンシューマーがサービスを拒否する権利をアメリカは二十何年前に法律でうたっている。上下関係の古い、いつまでも差別だ、偏見だという塩漬けの中に、嫌がって、うつになったエリートたちがばかにして通り過ぎていくわけですよ。「何だ、これは」と。ピアサポート飲み会をやったりしていますが。

 だから、もっと目を開いて、いつも言っているように、電車の中でサラリーマンと話をする、若者と話をする。すねを出して、暑いから短いズボンをはいている若い子、制服の男の子、女の子たちともいっぱい話をします。日本が今どんな状態なのか。外国人がいっぱいいて、刑務所にもいっぱいいて、病院にもいっぱいいて、25カ国語が必要だとやっている時代。さっきの介護のケアマネジャーは母が利用していました。とても優秀でした。これは認知症でいいかもしれないけれど、相談支援専門員、要らないと思う。

 だって、そこを通過しなきゃいけないというのは、全ての道がローマに通ずるなど、おかしい。何で、一旦精神科に入院したら、そこに行かなきゃいけないわけ。他の病気になったとき、地域の人が来るわけではない。それに、支援員などという言い方はおかしい。有給の従事者だから。

 

○樋口座長

 それでは。

 

○岩上構成員

 相談支援専門員なので。

 

○樋口座長

 その話ですね。どうぞ。

 

○岩上構成員

 いろいろとご指摘ありがとうございます。前から伺っているお話なのですが、私も、そうはいっても、ここ七、八年で六十数人の退院支援をしてきています。ここに書いてあるのは「連携しつつ」なので、必ず連携しろということではないと思います。

 

○広田構成員

 ひとり歩きするのよ。

 

○岩上構成員

 しかし、ひとり歩きも何も、法改正で地域援助事業者と連携・紹介するとなっていますので、私はここはぜひ入れていただいて、その上で今、御指摘のあるような相談支援専門員の質の問題については、また別途、きちんと質を上げていくことの議論が必要だと思います。私は、介護支援専門員も相談支援専門員も、地域の仕事をするのですが、そこと医療機関の連携というのが本当に課題だと思いますので、ぜひ入れていただくということをお願いしたいと思います。

 もう一つは、厚労省の中で、基本的に精神障害者は医療の問題だという認識がまだまだ強いのですね。ですから、福祉もきちんとやるのだという意味でも、福祉が何をするかというのをこの中に巧みに盛り込んでいただいて、障害福祉課にも頑張っていただかなきゃいけないと思っています。それは、国民の目線じゃないとおっしゃるかもしれないけれども、私はそういうことが必要で、その上でこの指針ができ上がることを望みたいと思います。

 

○広田構成員

 コンシューマーが必要としている場合よ。

 

○岩上構成員

 必要としている場合ですから、「連携しつつ」でいいじゃないですか。

 

○樋口座長

 次に。

 

○中島構成員

 細かいことを言えば非常にたくさんあるのですけれども、厚労省として、この法改正に伴ってきちんとした指針を出そうというのであれば、先ほど言った先進国のレベルに近づけるということと、もう一つ、精神病床の機能分化と言う以上は、病棟機能分化の報告制度が一般病床でできようとしているときに、その報告制度から全く除外されている状況を何とかしなきゃいけない。1つになることは難しいと思いますけれども、軌を一にしながら足並みを揃えて、精神科においても病棟の機能の報告制度を作り、それに基づいて都道府県が今後の地域精神科医療のビジョンを打ち立てることがなかったら、何のためにやっているかわかりません。

 だから、ぜひそのことを私はよろしくお願いしたい。このことはぜひ入れてほしいと思っております。

 

○樋口座長

 それでは、三上構成員、どうぞ。

 

○三上構成員

 今のお話ですが、病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会の構成員をしておりますので申し上げますけれども、一般病床、療養病床については、高度急性期、急性期、回復期と慢性期という4つの機能に分類するという形で最終的に決着するということです。今、精神病床については、精神一般病床と精神療養病床と認知症治療病床に分かれているわけですが、中島構成員がおっしゃったところを加えるのであれば、精神一般病床のところを高度急性期と一般といいますか、急性期に分けるという形で、回復期については、ポストアキュートという意味合いだけに使うことに限定されておりますので、精神病床についてはない形になって、精神療養病床というのが慢性期に当たるのではないかと思います。

 また、地域生活への移行を促進するために精神病床の機能分化を進めるというのは、方向性としては少し違うのではないかと思います。先ほど柏木構成員がおっしゃいましたけれども、認知症等については、退院はいつでもできるけれども、受け皿がないために退院できないケースが多いという問題がありますので、地域移行を促進するためには、まずは地域の受け皿を整備することが重要であるということを書き加えていただきたいと思います。

 それに加えて、昨日の介護保険部会において、特別養護老人ホームの入所要件を要介護3以上に限定しようかという案も提示されており、特に従来、認知症の要介護度は軽く出る傾向にありますので、BPSD等で特別養護老人ホームから一旦、精神病床に入院した後、再び戻れなくなるといった問題も危惧されますので、その辺は老健局と社会・援護局が連携して対応していただきたいと思います。

 そして、多職種での連携による地域移行の促進について、一般病床においては、診療報酬体系の中で退院時共同指導料2という形で、在宅で診ておられる訪問診療を行う医療機関あるいは訪問看護ステーションやケアマネジャーなどの多職種との連携が評価されており、更に、その注2で多職種カンファレンスの加点も当然あるわけですけれども、そういった仕組みを精神科の医療の方にも入れていただくことが必要ではないかと思います。

 

○樋口座長

 それでは、河崎構成員、先に行きましょうか。

 

○河崎構成員

 今、三上先生もおっしゃられたように、この検討会の一番重要な課題でもあろうかと思いますけれども、地域基盤をどういうふうにしっかりと整備していくか。それがこれまでのいろいろな議論の中でも、みんな重要だと思っているのは間違いないと思います。まず、それがあって、その後、その地域の中で精神障害者の方を支えていくシステムを作りながら、精神病床の機能分化も行っていく。多分、そういう同時並行的なものが、私は一番実際的なのだろうと思っています。

 ですので、確かに現状で、まず精神病床を減らして、そしてその人たちを支える地域の基盤を作りましょうということは、これは大きな問題を生じてくる可能性もあるのだろうと思っていますので、文章的には、「結果として、精神病床は減少する」という形でいいのではないか。多分、この文章は、これまで行われてきた精神科医療の機能分化と質の向上等に関する検討会にも、同じような文章として記載されているのが、そのままここに入っているのだろうと思っていますけれどもね。

 逆に、こういう指針の中に「結果として、精神病床は減少する」という文言そのものが入ることは、ちょっとどうかなという印象さえ持ちます。他の今回の指針の案の中に、いろいろな施策の方向性が示されているわけですけれども、そこに結果として云々という表現は何もない。そういう中で、精神病床は減っていくのだということを、こういうシンボライズされた形で用いられているのだろうと私は思っていますので、これはこれまでの検討会等での表現をそのまま踏襲されるということで、大きな問題はないのではないかと思っています。

 もう一点、認知症の問題です。これは、2ページ目の「七 認知症患者に対して医療を提供するための機能」というところに、唐突に50%あるいは2カ月という数値が入っていることの御指摘がございました。これは多分、一昨年、取りまとめられています検討チームの第2ラウンドの認知症の議論の結果を、そのまま出しておられるのだろうと思いますが、そのときの議論でもございましたけれども、いみじくも今、柏木構成員がおっしゃられたように、精神科病院の方からどんどん在宅へ、あるいは地域へということを努力しても、その受け皿あるいは地域基盤が認知症の方に対しても不十分であることは間違いないと思います。

 さらに、先ほど田邉構成員がおっしゃられた生命的な問題云々は、一般的な話ではないだろうと思っていますけれども、それ以上に大きな問題は、もう既に精神科病院に認知症の方を入院していただくときに、2カ月しかおれませんよという形で運営せざるを得ない状況が起こっているのです。果たして、これが認知症の方や御家族にとって幸せなことなのかということは真摯に考えなければいけないと思っております。ですので、この数値の取り扱いは、先ほど座長の方から御指摘もございましたので、事務局とも議論していただいて、お考え願えればと思います。

 以上です。

 

○樋口座長

 それでは、吉川構成員から先に。

 

○吉川構成員

 七と六についてなのですが、七、先ほどから出ています認知症に関することです。

 受け皿の課題とか数値目標の課題も出ているのですが、認知症の行動・心理症状で入院が必要になった方の医療を提供するときに、現状、現場の方で療養環境に関する課題というものがあるといった声がよく聞かれています。例えば、病院によっては、急性期病院に認知症の患者さんが入院されて、そこで治療・療養を受けられるということがあって、そういった環境の中で転倒されたり、行動制限が増えるといった課題もあるようですので、ここはぜひ「適切な療養環境の確保」というものを入れていただきたいと思います。

 それと、六の重度かつ慢性患者以外の入院期間が1年を超える患者さんへ医療を提供するための機能についての最後のポツですが、「原則として、行動制限を行わない」というのと、「外部の支援者との関係を作りやすい環境」にすること、これは非常に大切だと私も思っています。ただ、最後の「地域生活に近い療養環境の確保を推進する」というのは、現場から見たときに何を示しているか、ちょっと見えにくいところがありますので、方向性がわかるような書きぶりにしていただけたらと思います。

 以上です。

 

○樋口座長

 それでは、中板構成員から行きましょう。

 

○中板構成員

 日本看護協会の中板です。

 まず、全体的な印象からお話をさせていただきたいと思いますが、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供」ということで、私は医療提供側というよりは、地域の中で支援する側という立場からお話をさせていただきたいと思います。「良質かつ適切な」というものの医療という枠も見えづらいなと思いました。今、さまざまな障害、疾患をお持ちの方たちへの支援というのは、いわゆる病院完結型から地域完結型に移行している状況の中で、この指針全体が医療中心型というのが非常に色濃いという印象を受けております。

 これは、実際に医療の提供を確保するための指針ですので、仕方のないことなのかなと読みますけれども、全体の方向性の中で、地域生活を支えるための医療の実現、それから社会復帰の促進・自立、先ほど社会貢献というのもありましたが、社会経済活動への参加の促進、それから早期に適切な医療を受けるとともに、地域で生活することができるといったことを目指すものだと全体の方向性としては示されております。そう考えると、「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供」という中に、当事者の生活者としての視点というものが全体として非常に欠落しているのではないかなという印象を受けています。

 精神障害者が疾患を抱えながら、あるいは障害を抱えながら地域で生活していくために、どのような医療が必要なのかということが前提にあって、その中で1次予防、2次予防、3次予防という視点の方向性が明示されるといいなと思いました。

 初期介入ですか、今まで未治療で医療を受けていない方たちが、なるべく早い段階で医療を受けるという1次、2次予防のレベルに関しても、地域がそういった方たちの相談を受けながら医療につないでいくということも、後の保健所の機能の中には入っていますが、疾患・障害を抱えながら生活し続けるという体制をどう整えていくかが非常に重要なことではないかと思います。

 その点については、この文言の中の機能分化の事項でいきますと、この機能それぞれのところ、四も五も六もそうなのですけれども、1年未満、重度・慢性期も含めて、当該機能の確保のために、「多職種による退院支援を推進」するという言葉が使われていますけれども、多職種による退院促進というものが、果たしてどのようなイメージなのかということが非常に不鮮明だなという印象を持ちました。医療から地域へといったときに、つなぎ目をどのような体制で支援していくのかということを、もう少し具体的に書かれた方がいいのかなと思います。

 認知症のことについては、今まで出ておりますので、私も同感でございます。認知症に限らず、全てにおいて地域での受け皿が非常に脆弱な中で、多職種による退院支援というものが、結果的には非常にあいまいになっているのだろうと思いますので、受け皿の整備ということについては、1つきちんと項目を出して書いていただきたいと思っています。

 また、認知症患者については、例えば介護保健施設等でもなかなか受け入れがたいということもあり、その背景には、訪問看護ステーションも同様ですけれども、人員の問題とか24時間対応ができないなど複数訪問ができないといった体制の問題が非常に大きいです。七の数値目標は検討会でも出ていることなので書かれたのだと思いますけれども、今回の検討会の中ではこの話は一切していないと思いますので、再度、ここは検討して、体制整備が、受け皿の脆弱さということをしっかり書いた上で、全体として今後の方向性というものを、誰が、どのような形で進めていくのかを明記して頂きたいと思います。

 指針は羅針盤ですので、いろいろな関係者が自分たちは今後何をするということが、今後の方向性として見えやすい形で明記していただきたいなと思います。全体として主語が非常にあいまいだなという印象を受けています。

 

○樋口座長

 それでは、近森構成員。

 

○近森構成員

 先ほど多職種による退院支援というお話が出ましたけれども、私は多職種によるチーム医療というのは、退院支援は結果であって、チームで患者さんを良くして家へ早く帰そうという目的が一番大事です。その結果として、退院支援があると思います。

 私は精神科医ではありませんので、外から見させていただいて、精神科医療の診療報酬を見ると、これとこれしかできないという非常に限定的なものです。若い統合失調症の患者さんの患者モデルが診療報酬点数の基本になっているのではないかと思います。現在は高齢社会ですし、精神障害者である以前に人間です。そして、お年寄りです。そういう患者さんに対して、若い統合失調症の患者モデルの診療報酬というのは、もう時代に合っていなくて、こういう指針を作る以上、身体的な疾患の医療と同じように、精神疾患の患者さんも、眼科の患者さん、循環器の患者さん、耳鼻科の患者さん、外科の患者さん、みんな違うわけですけれども、身体疾患は同様の診療報酬がついています。

 こういう指針が作られる時代において、私は施設基準さえ病院が取れば、いろいろなサービスを提供できるような、開かれた、また患者さんを治す急性期の精神科の病院になるのではないかと私は思います。そういう意味で、私は患者さんをよくするサービスとしては、薬学的管理、栄養サポート、リハビリテーション、そしてソーシャルワーカーの働きだと思っています。この4つぐらいじゃないかと思います。少なくともそういうサービスが精神科の病棟でも提供できるような診療報酬上の裏打ちがないと、今、話している新しい精神科の医療は提供できないと思いますし、ぜひそういう診療報酬上の裏打ちというのをやっていただきたいなと思っております。

 

○樋口座長

 それでは、千葉構成員、長野構成員という順番にいって、中島構成員と広田構成員は少しお休みください。

 

○千葉構成員

 ありがとうございます。今までのところを聞いていての私の意見を幾つか述べさせていただきたいと思います。

 まず、実際に指針の叩き台案、かなりよく作っていただいているなと思います。最後に指摘が幾つかあるとおりだと思いますけれども、基本的な方向性を打ち出すというのが指針の目的だとすれば、どうしても総花的にならざるを得ないし、いろいろなものを取りまとめて、いろいろなものを入れていて、それをまとめた形、包括した表現になれば、具体的な逐一のところはここに入っているねという読み込み方で見ていくしかない。現実的には、実際に具体的に何かを立案する、プランを立てていくことになれば、またこれを元に、それらのさまざまな検討会なり実行するための計画を立てていくことになるのだと思います。

 あまり微細なところにいく話にはならないのかなと思っております。まず、この中にどこかに読み込めるものがちゃんと入っていれば、それでいいのかなと考えているところです。

 報告制度の話がちょっと出ていました。中島先生のところのように大きい病院であれば、病棟も幾つもありまして、この病棟は何の機能を持っている、この病棟は何をするという形でのアピールができるのかもしれません。ただ、これから恐らくどの精神科病院も、病床を減らして小規模になっていくことを考えると、1つの病棟が多機能の病棟になっていくといった場合に、病棟ごとの機能の報告は難しいですね。病院としてどういう機能を持っているのかということをじっくり考えた形が、まず最初に必要で、一般科の方では確かにそういう病床の機能分化を進めているところですけれども、十分な時間をかけて、その辺はした上でないと、なかなか難しいのかなと思っています。

 それから、佐藤構成員の方から、先ほどの「結果として、精神病床は減少する」の文言なのですが、これは私も検討会に出させていただいておりました。逆に、これは行政側に対してもそうですけれども、かなりプレッシャーをかけた文章になっていると思っております。これまで、いろいろなあり方検討会、報告書等でも、統合失調症を26年度までに15万床にするとか、さまざまなことは言ってきています。

 ただ、それらがどうだという話はないわけで、これらのことをしなければ、逆に精神病床は減らないよ。しなさいねというプレッシャーがかかっている文言で、かなり強い内容のものだということです。精神病床が減らないのは、こういうことをちゃんとしなかったからだろうという無言の圧力をこの中に込めたということが、検討会の中での仕掛けだったと思います。

 最後に、1年以上の入院者をできるだけ作らない、そのための仕組みを作るという文言として、新たな1年以上の人たちを作らないという形で、検討会の方は報告をまとめております。これの仕組みを作る部分は非常に重要なことだと、私はずっと主張させていただいております。つまり、受け皿、受け入れ、そういったものの整備が先であって、それらをきちんとしてくれないと、出しようにも出せない状態が今まで続いてきている。この部分をしっかりと作っていただきたいと思うのですが、只今の指針案を見ますと、どうもその辺のところがどこにも見当たらないといいますか、頭出しがされていないと思います。

 ここの部分は、しっかりとした形で項目を作ってでも、ぜひ入れていただきたいなと思います。認知症の退院にしても、それから1年を超える生活障害の強い方々の退院にしても、いずれにせよ地域での受入整備ということが大前提になるわけでして、そこなしにやれということだけが進んでいっては、また結果として精神病床は減らないことになってしまいかねないと思いますので、そこの部分は大きなことなので、指針の中にぜひ入れていただきたいと思います。

 以上です。

 

○樋口座長

 長野構成員、お願いします。

 

○長野構成員

 長野です。非常に印象的な話かもしれないのですが、基本的な方向性の一番初め、「限られた医療資源を最大限有効に活用し」という言葉で始まるところにとても違和感がありまして、機能分化が結局何のために行われるかというと、急性期は急性期できちんとした医療を受けられる体制を整えましょうということの中に、財源の再配分が前提かのような文章から始まることがいいのかどうかということにとても違和感があります。

 逆に、入院から地域への移行を促進するために機能分化をきちんとすることを前文としながら、下の「人材・財源を効率的に配分する」前に、この「限られた医療資源を最大限有効に活用し」を入れても違和感はないのかなと思うと、黒いポツの1個目も2個目も財源を再配分しますよということでしか読み取れないのではないか。機能分化は、きちんとその適切な治療を受けるために行うということは、文章として整理してもいいのかなと感じています。

 あと1点、しつこいようなのですけれども、先ほど千葉先生もおっしゃっていましたけれども、これから大病院だけになると機能分化ができないということが必ず起きてきますので、地域の実情にあわせて機能分化が可能な方策を検討するとか、そういう文言がどこかに必要ではないかと思います。結局、大病院の大規模、複数病棟を持っているところでしかできないとなってきますと、ますます患者さんの生活から医療が遠ざかっていますので、ますます帰れなくなる。これは最大限配慮しないと、どの医療でも中心化が起きていると思いますので、この機能分化の項目のどこかにどうしても一文入れていただければと思います。

 以上です。

 

○樋口座長

 それでは、良田構成員、お願いします。

 

○良田構成員

 家族会の良田です。

 いろいろな意見があったのですけれども、また最初に蒸し返すようですが、家族の立場から私どもがいつも思っておりますことは、家族は入院させるにしても、退院するにしても、誰に相談していいかわからないというのが正直なところです。病院のソーシャルワーカーである人が必ずしも相談に乗ってくれるかどうか、ソーシャルワーカーが病院にいるという知識もない場合もありますし、相談支援専門員とか介護支援専門員も、そういうことも知らない。それが現状ですね。これから、そうじゃなくしていくためには、もう少し相談支援専門員という人が相談にのってくれる仕組みにするということについてもっと強い方針の打ち出しといいますか、そういうものが必要なのではないかと思います。

 それから、早期に退院ということが、強く打ち出されていて、この指針の中にもそれが色濃く出ているのは当然だと思うのですけれども、全体的に、先ほどどなたかおっしゃったように、退院と、それに向かっての医療という面が中心で家族や当事者の生活という面があまり考慮されていないのではないかということを感じました。退院をするにしても、必ずしもとても良好な状態で退院するとは限らないわけで、それを家族が引き受けていくこともあるわけですね。そういうときに家族は大変苦労して、どの人に、どのように相談したり、支援したりしてもらうのか。それがはっきりしないと、またどこかの病院に入院させて、それが長期化してしまうという悲しい現実が今も起こっています。

退院後、どうやって安心した生活をしていくのか。それから、退院をさせるというよりも、よりよい退院をするという支援。よい退院をして、自分たちで安心できる生活を続けていかれるかということをみんなで考えていただきたいと思います。それが再発の防止でもあり、入院者を減らしていくことにもつながっていくのだと思うので、もうちょっと退院後の生活の部分というものをここに入れ込んでいけないかと思います。

 それから、家族会の立場としては、もう少し家族を含んだ、もちろん本人も含んだ家族全体の支援、生活全体の支援。そして、そこに適切な医療が保障されているというイメージを持ったような指針ができないかなと思っております。

 非常に抽象的なのですけれども、今日の段階では抽象的にしか考えられないので、ぜひそんなふうにお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。

 ちょっとここで一段落にさせていただきたいのは、全体のスケジュールのことを考えますと、あと約1時間でございます。それで、これから第二、第三、第四と、まだボリュームがございまして、これからは第二、第三はまとめて御発言いただきますが、第二、第三に移りながら、先ほどのところへ戻っていただく御発言も含めて、とりあえず進めさせていただきたいと思います。

 フォーカスするところは、第二、居宅と保健医療サービス、福祉サービスの提供に関する事項、それから第三の医療の提供に当たっての医療従事者と精神保健福祉士その他の保健福祉に関する専門的知識を有する者との連携、この2つの項目を中心に、また一に戻っていただいても結構でございますので、進めさせていただきます。

 それでは、伊澤構成員、お願いします。

 

○伊澤構成員

 先ほど千葉構成員の方から少しお話がありました一項目めの基本的な方向性の末尾のところで、「結果として」という表現について、私はここがニュアンスとして、あらかじめ想定しないとか、それを求めないというふうにどうしても読み取ってしまうのです。ですから、先ほど佐藤構成員もお話ありましたけれども、削減を目指す、あるいは地域移行をさらに進めながら精神病床を削減していくのだという強い意思表示をしていただきたいと感じております。

 それから、2ページの四項目めの入院期間が1年未満の患者に対して医療を提供するための機能のところです。昨年6月28日のまとめにおきましては、「新たな長期在院者を作らないための取り組みを推進するために、重度かつ慢性を除き、入院医療は1年を上限とする」という、つまり「可能な限り」という表現はつけていなかったのですね。この「可能な限り」の表現をつけるか、つけないかで議論があったと記憶しておりまして、それを「おおむね」にするとか「原則」にするとか議論があったのです。でも、結果としてとったわけでありまして、ここはしっかりとした覚悟も含めた意思の表明だったわけです。ですから、「可能な限り」を取ると改めていただきたい。

 同時に、六項目めの最初の黒丸の「重度かつ慢性の患者以外の患者は可能な限り」、ここも含めて、というふうに感じております。

 それから、第二につきましてもよろしいのでしたか。

 

○樋口座長

 第二の方に入っていただきます。

 

○伊澤構成員

 4ページの六項目めの保健サービス及び福祉サービスの提供に関しましては、マルの3つ目に「その他就労支援等も含む様々なサービスを地域において」云々とございますけれども、就労支援サービスが何か特記されているといいましょうか、そこが強調されて書かれておりますけれども、ここで恐らくおっしゃりたいのは、日中活動系といいましょうか、日中の時間をどう過ごすかというところを意味していると思います。

 そうなりますと、そういう日中活動系の事業という表現に改めた方がよろしいのではないか。就労支援だけに限りませんので、居場所機能や、みんなで集まって交流を深めるという機能も多様に持っております。そういうことで、そのような表現に変えていただきたい。

 それと、順位がどうかということでもないのですけれども、「グループホーム等の居住の場の充実を推進する」ということがございます。うまい表現がまだ浮かびませんけれども、私のプレゼンのときにも申し上げましたけれども、ホームファーストという言葉がございますように、退院支援のまず一歩に居住支援がございますので、そういう意味ではもう少し強調した表現といいましょうか、強い語調でまとめていただきたいと思っております。

 以上です。

 

○樋口座長

 それでは、伊豫先生、いきましょうか。

 

○伊豫構成員

 まず、4ページの五の2番目のポチの「うつ病」なのですけれども、これは6ページ目の三の1の自殺・うつ病とも関係しますが、一般的にうつ病というと、単独うつ病をどうしても想定してしまいます。そうすると、うつ病、イコール抗うつ薬による治療となるのですが、例えば双極性うつ病であると、抗うつ薬治療によってより自殺念慮が増える可能性があり、また衝動的な行動が増える可能性がありますので、ここはもう少し別の形で双極性うつ病を啓発するような表現にしていただければと思います。

 それと併せて、今のうつ病の啓発と関係がありますし、それから先ほどから出ている重度かつ慢性の方々への治療に関係するのですが、ちょっと飛んでしまうのですけれども、7ページの四、精神医療の標準化のところで、もう一項目、地域精神医療の質の向上のための精神科医療者への相談体制を作るというか、構築することも必要だと思っております。これは、前回、治療抵抗性に関して御提案させていただいた治療のチームなのですが、イギリスなどでゼネラルプラクティショナーの上にコンサルタント病院、コンサルタント医というのがいると思うのですけれども、そういった格付けは日本ではなかなか難しいと思います。そうであるとすれば、そういったチームを作ることが重要であると思うためです。

 戻していただきまして、5ページの四の人材の養成と確保のところで、ポチの2番目の最後の方、「各専門者が精神科研修を積む」としていただきたい。

 それから、今の文章のちょっと前に、「一定の知識」とございますが、これは「知識・技術」としていただいて、この文書の最後の「精神疾患の知識の普及」に関しても、「知識・技術の普及啓発」と、「技術」という文言を入れていただければと思います。

 以上です。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。

 それでは、田川構成員、どうぞ。

 

○田川構成員

 田川です。

第二の項目ですけれども、先ほどから言われていますように受け皿がしっかりしていないと、それこそ回転ドアになってしまう。退院しても、また入院してしまうという意味では、しっかりした受け皿が必要だと思います。その中、外来精神科医療が受け皿のかなり大きな部分として入るだろうと思います。ですから、3ページの上の「基本的な方向性」のところに、「地域で安心して生活することができるよう、地域の精神科外来医療、保健、福祉等の充実を図り、患者の状態に応じて必要な時に必要な保健医療サービス」云々という形ではっきり書いておいた方がいいのではないかと思います。

 もう一つは、「二 居宅における医療サービスの在り方」と、「三 外来・デイケア等の通院患者に対する医療の在り方」ですけれども、基本的には、アウトリーチ機能も、長期の方が退院されてきた後、どんなふうに受けていくかという医療。また、外来で診ていた方が調子を崩されて、その方が入院しないで、それを切り抜けて、何とかその方が望んでおられるように地域で生活を続けていけるようにするというのも、これは外来医療であって、その中にアウトリーチとか、多職種、外来医療におけるコメディカルスタッフの意義、訪問看護、そういうものがとても重要になってくるのです。アウトリーチについても評価が低いということはわかっていますが、この項目、二と三を外来精神科医療の充実とか在り方と組み替えていただいて、まず外来精神科医療、その中でコメディカルスタッフを配置して他機関と連携を図りながら、外来患者の療養生活も支えることができるような体制を整備するという形にしていただきたいと思います。

 あと、四の救急医療で「精神科と身体科の両方の関係者が参加する協議会の開催」というのは賛成です。精神科診療所は誤解をされているところもありますから、現場でしっかりとその辺の意見調整をしていくのはとても大事だなと思いますし、これを入れていただいたのはありがたいと思っています。

 以上です。

 

○樋口座長

 ちょっと待ってください。こちらから行きましょう。

 

○澤田構成員

 2点あるのですけれども、まず1つ目は、4ページの第二の六、3項目め、就労だけでなく活動を入れるというのは賛成です。ただ、それだけでは不十分だと思います。次の居住の場の充実、ここに活動や就労も含めた方がいいと思います。3つ目は、連携体制の整備とあるのですけれども、連携の前に資源が全然足りませんので、4番目の場の充実のところに入れる必要があると思います。

 もう一つは、うつ病のことなのですけれども、近年、他の病気に関心が移ってきて、うつ病への注目度がやや下がっているような感じがするのですけれども、私の友人がうつ病専門の自助グループの代表をしておりまして、10年以上前からうつ病の専門病棟を作ってほしいと。それは、実際難しいのかもしれませんけれども、いろいろな病気の患者さんと一緒に入院させられていると、男性の場合は毎日けんかや口論が起こって、とてもうつ病の患者が休める環境ではない。ぜひうつ病の患者が安心して休める環境を整備してほしいということを、もう10年以上前から訴えているのですけれども、まだ届いていないような気がします。

 私にも経験があるのです。うつで入院したのに、怒りっぽい患者さんと同室にされて、何も悪いことをしていないのに怒られて、余計うつが悪化したことがありましたので、そういうことのないようにしていただきたいと思います。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。

 それでは、どうぞ。

 

○田邉構成員

 「精神障害者の居宅における保健医療サービス及び福祉サービス」という章と、第一章の精神科病床を削減する方向の章とあるのですけれども、ここで第二章の3ページの「基本的な方向性」で、「入院医療に頼らず、地域で安心して生活することができるよう」ということになっているのですけれども、入院医療に頼らずのところで、いわゆる危機介入の医療ということの強調がもう少しあっていいのだと思うのです。患者さんはいきなり入院したいわけではありません。家族も入院させたいわけではありませんので、「地域で安心して生活することができる」の前に「危機介入の医療の対応を充実させ」という方向性が書かれるべきではないか。

 それで、居宅における医療サービスの在り方も、先ほど田川先生、外来医療の充実というお話をされましたけれども、本当にアウトリーチというところで済むのかということもあるかなと。例えば、これからも危機介入のための短期間のショートステイ的な制度の外来での整備とか活用ということも、どこに入れるのか、見ていたのです。外来デイケアの医療の在り方なのかとか、いろいろ考えますと、危機介入への新たな医療サービスの充実という視点が、ちょっと強調が弱いのかなという印象を持ちました。

 それと、4ページの「六 保健サービス及び福祉サービスの提供」ですが、私たち精神保健福祉センター長会は、通常さまざまな複雑・困難な相談業務を行っていますが、複雑・困難な相談業務は保健所や精神保健福祉センターは通常やれることなのですが、実はその六のポチの1番目、「保健所や精神保健福祉センターにおける訪問支援や相談を通して」。あっさり訪問支援と書かれているのですが、実は私たちがやる訪問支援という場合は、引

きこもりとか、精神障害があって困難なケースへのコンサルテーションということを通して、保健所と一緒に訪問するとか、市町村と一緒に訪問する。

 これは通常業務ではなくて、訪問支援自体が精神保健センターの運営要領にもまだ書かれていません。ですから、これはむしろ「精神疾患を持つ患者が早期に適切な医療にアクセスできる体制の整備」の方に訪問支援は入ります。今、先駆的な精神保健センターによる訪問のアウトリーチ活動をやっているところもございますけれども、まだまだそういう現状ですので、この部分では、保健所と精神保健センターの複雑・困難な相談という一般業務と、医療につなげるための訪問支援とは、別の軸で整理していただければと思いました。

 以上です。

 

○樋口座長

 発言されていない方を優先しますので、どうぞ、城所さん。

 

○城所代理

 全国保健所長会の城所と言います。今回、倉橋構成員の代理で初めて参加したものですから、ちょっと流れが読めていないのですけれども、第二の六に我々も参加しますし、ちょうど今、田邉構成員がお話された最初の部分です。最初に訪問支援が来たので、私もちょっと戸惑ったので、相談から入れば納得です。

 それで、訪問支援の場合、東京都の精神保健福祉センターだとアウトリーチを進めておられますけれども、まだ完全にそういう業務には位置づけていないところもございますので、相談の問題と訪問支援については分けて書いていただいた方がいいかなと。

 特に、先ほど良田構成員がお話になったように、相談に保健所が出てこないのは、やや残念というか、共通認識として、精神疾患相談のときに保健所があってほしい。その上で、倉橋構成員も指摘したと思うのですけれども、保健所が都道府県中心で、実際の相談機能について市町村でも行うようになってきて、必ずしも保健所という名称じゃないところで行えるところがありますので、その辺をどういうふうに表現したらいいのか、ちょっと悩んだところです。その辺では、この1行目で「保健所や精神保健福祉センター等」という、この「等」は何なのかと思ったのです。相談機関と読むのか、「等」の中身については明らかにしておいた方がいいかなと思います。

 それから、2ポチ目で感じたのは、「精神障害者が地域で福祉サービスを受けながら適切な医療を受けられるよう」。福祉サービスにつながるためには、まず医療につながって、あるいは主治医の意見書とか、何らか医療からのあれがないと、最初から福祉サービスというのはあまりないのではないか。

 そういう意味では、この書きぶりは、医療中断とか再治療の方を想定したのかなと思いますけれども、この辺が原則的な流れからすると、1段落目にあるような早期の適切な医療につながる中で、地域での福祉サービスを受けていくといった流れになるのではないか。結果的に障害福祉サービス事業を行うものと医療機関との連携を進めることになるわけですけれども、その辺の書き方の順序について検討が必要かなと思いました。

 下の2つのポチについては、先ほど構成員からも御意見ありましたけれども、実はここの部分については、主に行政的には市町村が中心になってサービスを行っているわけですけれども、この辺が第四に関係行政機関の役割というのがあるので、そこに保健所等と精神保健福祉センターと精神医療審査会となっていますけれども、行政機関と市町村をどういうふうに書くのか。ただ、第四のところで市町村を書くのもちょっときついのかなという気がしています。第四の一の保健所にも「等」がついているのですね。この「等」は何なのかということがあります。

 倉橋構成員に聞いたら、意味合い的には、保健所にも都道府県型の保健所と、政令市や特別区などの行政単位としては福祉とも非常に密な関係のものがあるので、そういう意味合いでの福祉機能と非常に密な関係にある保健所機能の部分というニュアンスを、彼としては主張したことがあるのですけれども、実際には都道府県型の保健所と市町村とは行政単位が分かれていますので、市町村の役割という問題についてどう記載するか。それは第四で出すよりは、第二の六の後半部分が実際には市町村が中心になっているサービスなので、そういう意味合いで書いた方がいいかな。

 背景には、障害者総合支援法との関係だろうと思うので、逆に言うと、そちらの方の取り組みが、社会資源が非常に進んできていますので、この指針の中でそれにどのように言及するのか、厚労省のスタンスはわからないのですけれども、そういった領域についてまで言及していくのだったら、特に、地域では自立支援協議会といったことを通じた連携という機能もありますので、そこを書き込んだらいいかな。

 ちょっとまとまりがないですけれども、以上です。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。今の「等」に関しましては、事務局から何かコメントございますか。

 

○江副課長補佐

 御指摘のとおり、基本的には市町村のあり方が今後の課題と考えておりましたので、市町村を主に念頭を置いております。

 

○樋口座長

 ちょっとお待ちください。順番がどうなっていたかというと、長野構成員、広田構成員。

 

○広田構成員

 私、後でいいです。新しい人。

 

○樋口座長

 では、新しい、手を挙げていらっしゃらない方、順番に行きますので、まずは長野構成員。

 

○長野構成員

 手短に。田川構成員とほぼ同義になるかもしれないですが、外来医療体制の充実が物すごく大事だと思うのですが、実は外来医療を地域でやるときに、PSWも含めたコメディカル、多職種の財源配置根拠がありません。基本的に事務員お一人とドクターお一人でやっているところの診療所のフィーも、PSWをたくさん配置して相談支援体制を整えているところのフィーも全く同じという状況で、ドクターフィーを切り分けて体制を整えているのが一生懸命な状況です。

 実は、そういう体制が相談支援体制加算のようなことも含めたものがないと、外来体制が整えられないと、幾らアウトリーチの事業と訪問看護でということになっても無理ですし、今の訪問看護はPSWは不可能ですから、多職種を配置する根拠が示されるような書きぶりがどうしても必要なのではないかと思います。他のところの財源をそこに持ってきて、ナースの配置ももちろんそうなのですけれども、それで持たせているのが今の状況であろうと思いますから、そこを連携でぼかさずに、しっかり多職種を配置するということを明確に書くことが、この第二の二、三項目では必要になってくると思います。

 関連して、第三の三ですけれども、「地域で生活する患者に対する医療における多職種連携」と書きながら、アウトリーチのことだけ書かれています。実際、アウトリーチは補助事業ベースの非常に限定的なところでの展開でありますので、初めに診療所も明記されていますので、今後、全展開していくということかもしれないのですけれども、ここの方が多職種連携、とても大事だろうと思っていて、外来医療と連携するとか、職種で書かれているのですけれども、どこにいらっしゃる職種なのかがとても大事になる。この職種がそもそも置けないと連携も何もありませんので、配置のベースを明確にした上で連携としていかないと、絵に描いた餅になっていくのではないかと思います。

 ここにもう少し書き込まないと、実際地域で支えられないと、住居とか何とかという受け皿はわかりやすいのですが、地域で支える受け皿の部分をもう少し書き込む必要があるのではないかと思います。

 以上です。

 

○樋口座長

 ありがとうございます。

 それでは、山本構成員、お願いします。

 

○山本構成員

 まず、全体的なのですが、確かに先生方が言われているように、ちょっと具体性に欠けるところがあるかなと思うのですけれども、千葉先生も言われたように、指針という性格上は、これからやるべき全体的な方向性を、ここはやらなきゃいけないということを書き込むということですので、全体的には大体これでいいのではないかと思っております。あと、具体的なところは、さらに検討を重ねて、具体的な手続等を通知とか通達等で出すという形でやっていくべきだろうと思います。

 2点目なのですが、精神科救急体制の整備というのが書かれているので、これは大変重要なことだと思うのですが、これと別に移送制度について、保健所のところでしか書かれていないのですね。だけれども、移送制度に関しましては、精神科救急とはまた別の役割があると思いますし、これが現在、どこでも使いにくい状況になっているということなので、まず移送制度の整備ということをどこかでうたって、その上で保健所の役割という形で書くべきではないだろうか。移送制度の整備ということをどこかに書き込むべきだということが2つ目です。

 もう一つは、第二の六ですが、「保健サービス及び福祉サービスの提供」、関係諸機関が連携を深めるというのは非常に重要なことだろうと思うのですけれども、その際、患者さんに関する情報の共有ということがどうしても必要になってくるだろうと思います。そのときに情報の出し方ですね。これは、現在、個人情報保護とかの関係で非常にセンシティブな問題になっておりますので、その点も人権という点から配慮する記述が必要なのではないだろうか。そういうことを配慮した上で情報共有していくということの指摘が必要なのではないだろうか。

 3点です。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。

 それでは、どうぞお願いします。

 

○平田構成員

 私は、手短に言います。救急医療体制の整備です。3ページ、第二の四です。1の1ポツの2行目、「地域の実情に合わせて」という文言が入ると、結局何もしなくてもいいという免罪符になってしまう可能性が高いのです。指針なのですから、もうちょっと前向きに近未来の方向を示すことを書き込まなくちゃいけない。これは削っていただきたい。あるいは、入れるのであれば、地域の特性を生かしてとか、もう少しポジティブな言い方をすべきだと思います。

 それから、今の山本先生の移送制度という話がありましたけれども、移送制度と言い切ってしまうと、入院のための窓口ということになってしまうので、もう少し広げて、医療へのアクセス体制という形にすべきだと思います。ですから、そこに入れるとしたら、1ポツ目の最後の「相談窓口等」の「等」のところに「医療へのアクセス体制」というものを入れれば、必ずしも入院に限らない、アウトリーチも含まれるので、そういう文言に変えてはいかがかという提案です。

 それから、4ページ目の一番上の「評価指標の導入」です。この点について、「個別医療機関ごとに総合評価を行う」。これは、矛盾ですね。総合評価というのは複数医療機関ですから、ここに文言を入れるとしたら、「医療機関ごとの個別評価及び複数機関による総合評価」と書いていただきたい。それぞれの物差しもちゃんと用意してありますので、正確に書いていただきたいと思います。

 もう一つついでに言えば、先ほど澤田さんの方から、うつ病の専門病棟がないのは困るというお話がありました。実は、今までストレスケア病棟という名前であることはあったのです。だけれども、診療報酬の裏づけがなかったこともあって、全国普及しませんでした。現在、救急入院医療病棟の中にうつ病専門の複数病棟を持っているところで、統合失調症圏の人とうつ病圏の人と分けて入院しているところがあります。でも、これもなかなか難しいので、基本は入院環境だと思いますね。4人部屋、6人部屋にいろいろな人が雑居しているような部屋を、とにかく個室中心にする。個別性を重視できるような構造に変えていくことが大事ではないかと思います。

 以上です。

 

○樋口座長

 それでは、広田構成員。

 

○広田構成員

 資料を出していますが、ごめんなさい、傍聴人の方、冊数が足りなくて。まずは厚い方で、訂正があります。これは日本精神科病院協会さんのアドバイザリーボードをやらせていただいて、飯島勲さんも櫻井よしこさんも広田和子さんも同じ謝礼をいただいています。それは、国及び地方自治体の住宅施策が全くできていないという中で駆け込み寺等をやっていたりしていますから、そこにお金を投入させていただいているということです。

20ページに私の静かな写真が出ていますけれど、そこの広田の3行目の「かなりバリバリ仕事をしていた」で丸です。注射を打たれた話が次に出てきますけど、1988年までに、何年も間がありますから。これをぜひ読んで次回、来てください。福祉、福祉と騒ぐけれど、作業所に行ったために就職するときに質が落ちている。力量、昔の体験がそぎ取られちゃう。人間的にもいろいろな部分で。それがここに出てきますから。

 それから、私よりもっといろいろな経歴のある竹中ナミさんも出てくる、飯島勲さんも語っている、元財務省次官の丹呉さんも出ています。ぜひお読みいただいて臨んでいただきたい。

 中島豊爾さん、豊ちゃんと呼んでいる私の弟だか兄のような人がいますけれど、さっき国際基準に照らして病床削減というお話が出ました。国際もいいと思います。ただ、社会的背景とか、精神科病床という名をつけないで、「イタリアにも普通の病床の中に精神科の患者がいて、そこは日本の精神科病院より劣悪だ」という話を聞いて、それなら日本はよかったということではないけれど、病床削減というところに入れるのではなくて、私の資料、もう一枚、これです。

 今、この国の厚生労働大臣、田村さんとおっしゃるそうです。まだお会いしていません。そのうち、この辺に来るかどうか知りませんけれど、田村さんが医療費削減ということで、いろいろな病気を予防して5兆円削減しようという非常にいい話をしています。その一環として、日本国のために田村さんに協力したい。これから大人になっていく子供たちにも、将来税金が増えないように、「広田さん頑張っているわよ」と呼びかけて、2歳ぐらいの子も握手しています。そのためにも、うつ予防大作戦と認知症予防大作戦ということで、ここにぜひ1つ予防ということを入れていただきたい。

 国の方針ですから。私、内閣府に呼ばれて30日に総理官邸に伺ったときに出した資料です。ホームページに出ています。裏側が大事です。地域の愛が大事だとも書いてあります。

 「愛の伝道者」と、私が、内閣府の総合福祉部会、厚労省の講堂でお話したときに言われましたけれど、愛が何より必要です。そして、1つ目、社会的入院者の解放。いわゆる国内の拉致被害者ですね。2つ目、精神科病床の削減、現存している34万床を私は20万床ぐらいに。現在の入院者、22年、308,615人です。それから、この国の中で他科に比べて少ないマンパワーが歴然としているわけですね。それをきちんと手厚くして、何とか先生がさっき言っていた安い診療報酬も上げる。この4点セットを全体のところに盛り込んでいただきたい。そして、予防を1つ柱に立てていただきたい。

 次回持ってきますが、さっき話していた「家庭の医学」という本には、生活習慣病の予防という項目がありますから、蒲原さんでも江副君でも、ああいう出版社に働きかけて、精神疾患の予防を一つ入れてもらう。よく寝ること。まず、厚生労働省自らが勤務時間を削減しなきゃいけない。省庁全て、都道府県警もみんなそうです。そうすれば、電気も節約できて、原発も少し減るわけです。そういうことを含めて、国家的なプロジェクトぐらいで入れ込む形の指針にしていただきたいということ。それが大きな話です。

 かつて大臣の尾辻さんが社保審障害者部会に来て、「あなたが有名な広田和子さんですか」と言われた。田村さんがここに来れば、きっとハグするぐらい意気投合すると思います。

 それから澤田さん、さっき平田先生が話していたストレスケア病床に去年、私は過労で入院しましたが、個室に入っていました。毎日お風呂に入れることがすごくよかった。精神科病院にお訪ねして、お風呂に毎日入れないことも生活の辛さだと思っていますから。

 4ページ目、「一般医療機関との連携」。ここは何でも連携が好きで、先日、今局長の岡田さんが部長だった時代、福田さんが課長だった時代に、「あなたの奥さんも出てきて、私も出ていって、厚生労働省と職場の人もみんな出てきて、同窓生も出てきて、連携しなきゃいけないような話がいっぱい出てくるわね」と言ったのですけれど、それではひっそり医療機関にも行けない。精神科と言ったら、私、何々病院ですとみんなに言わなきゃいけない。プライバシーもないのかという連携が多過ぎます。

 五の最後、「また、かかりつけ医と精神科の医療機関との連携を強化する」というのは、これは質問です。私は現在、眼科、歯科、内科、精神科、みんな何十年も利用している。その先生たちは、個別に精神医療の被害者の広田和子を受けとめて、「精神科で大変な思いをしましたね」とある先生が昔、言ってくれた。連携されたらそういう話もできなくなるから、そういう連携ですかという素朴な質問です。絶対に反対ですが。

 以上です。

 

○樋口座長

 それでは、ここで田邉構成員が退席の前に一言ということだそうです。

 

○田邉構成員

 第四の「精神保健福祉センター」の5ページの一番下の2です。精神保健福祉センターは、精神保健の向上云々とありますが、「総合技術センターとして」の後に現在の精神保健福祉センターが担っている課題を具体的に書いていただいた方がいいかなと。例えば災害時の心のケアとか自殺予防対策あるいは発達障害など、新たな現代の精神衛生課題に相談対応ができるための体制を整備すると入れていただきたいと思います。

 なぜかと言いますと、全国の精神保健福祉センターの都道府県の3分の1の16のセンターが10人以下なのです。それで、手帳の判定も全てやっておりますし、精神医療審査会の事務局も全てやっておりますし、新たなメンタルヘルスの課題にも対応している現状がございます。ですから、この後に「アルコールや薬物等の依存症等専門的な相談に対応できるよう相談員の質の向上」とございますけれども、ここも「質の向上と相談体制の強化」というような言葉を入れていただきたい。外部からの職員の導入でもいいのですが、非常に小さなセンター、全国の中に4人とか6人でやっているセンターもある現状がございますので、ぜひその体制を強化したいということです。

 その後は、私、退席するので、気のついたところをお話して終わりたいと思いますが、同じ6ページの二で、今回、保留になった代弁者制度とか権利擁護のことに言及しなくていいのかなと思います。認知症の方が医療保護入院でBPSDがとれても長期に入院しているときに、家族だけが同意や保護ということになりますと、家族はみんな大変ですから、ずっと長くいてほしい。そして、家族は社会資源のサービスをあまりよく知らないことも多い。そういう中では、医療保護入院の認知症の方の専門的な権利擁護が必要なのではないかと思います。ですから、人権に配慮した精神医療の提供のところで権利擁護のことは言及された方がいいのではないか。

 それから、三の「1 自殺・うつ病対策」のところでございますけれども、自死「遺族は自殺のリスクが高いことから、これらの者のケアを行いつつ」医療につなぐと書いてありますけれども、家族にしたら、いきなり医療というのはかなり飛躍があるので、ここは自死遺族の精神保健相談、これも精神保健福祉センターが既にやっております。それから、自死遺族の当事者グループの育成支援、これらのケアというところにもうちょっと具体的なものを書き込んだ方が、いきなり自死遺族が医療かというのも、ちょっと飛躍があるのではないかと思います。

 最後、7ページの7の「災害医療」のところで、「早期に被災地域で精神保健活動の支援を効率的に行う」。今、DPATとか、いろいろな体制ができて、非常に心強く思っておりますが、ここで大規模災害の中長期の支援体制という言葉もあった方がいいのではないか。早期にみんな駆けつけて、あっという間にいなくなってしまうということではなく、大規模災害での中長期の支援体制も検討の材料にしていただきたいなと思ってございます。

 以上です。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。

 それでは、時間が大分残り少なくなってまいりましたので、第四まで広げます。今も幾つか既に指摘されておりますが、第四から最後までのところも含めて、残りの時間で御意見を頂戴したいと思います。

 では、まだ御発言されていない長谷川代理から行きましょう。

 

○長谷川代理

 日本作業療法士協会の長谷川です。3点申し上げます。

 3ページにございます第二の「二 居宅における医療サービスの在り方」のところですけれども、アウトリーチということで、多職種チームによる訪問支援。ここの職種のところで「医師、看護師、精神保健福祉士等」となっていまして、その次の「2 訪問看護」の職種のところも「看護師や精神保健福祉士等」となっています。それに対しまして、5ページの第三の「三 地域で生活する患者に対する」云々のアウトリーチのところは各職種が書かれているということで、まず整合性がないのかなと思います。

 少なくとも、例えば3ページ目の「居宅における医療サービスの在り方」においては、アウトリーチ、多職種の中に作業療法士も入るわけですし、訪問看護も診療報酬上、精神科訪問看護の中で作業療法士の職名がきちんと記載されているわけですので、ここには職種名をきちんと全て記載していただきたいと思います。要は、チーム医療ですから、職種ごとの対等性が確保されていないとできないと思いますので、こういうふうに「等」の中に含まれてしまうと、作業療法士が全国にいて、指針が決まってから、この「等」の中に作業療法士が入っているのだけれどもと、あえてそういう説明をこちらが戻ってからしなきゃいけないことになります。

 これは、指針の作成については、今回に限らず、職名の記載については最大限御配慮いただきたいと思います。

 2点目は、先ほど田邉構成員がおっしゃられたことも若干重なるところがありますが、6ページ目の第四の精神医療審査会のところです。これを読むと、「精神医療審査会は、精神障害者の人権に配慮しつつその適正な医療及び保護を確保するため」とありますけれども、精神保健福祉法の第38条の5においても、精神医療審査会というのは、患者さんの処遇が適当であるかどうかを審査する場だと明記されております。よって、患者の権利擁護というのが最も大切な観点であって、その観点のことについて触れていないのは、ちょっとまずいのではないかと思います。

 ですから、文章の中に「患者の権利擁護の観点から」という言葉をどこかに織り込むとか、権利擁護に関する言葉を必ず入れていただきたいと思います。

 それと、後段に「精神科病院に入院している精神障害者の処遇等について専門的かつ独立的な機関として審査を行う」と書かれておりますけれども、これは現状に対する評価がないので、専門的かつ独立的な機関としてと言っても、例えばある立場の方からすると、今でも医療委員と法律家委員が入っているから専門性はありますねと。病院内の審査機関じゃないから独立的ですねと言われかねない。だから、現状であっても専門的かつ独立的な機関なのだという余地が、この文章の中に残っていると思うのですね。

 ですから、そういうことを現在より前進させるのだということを明確に出すためには、その「専門的かつ独立的な」の前のところに、例えば「現在より」とか、そういう言葉を一言入れることによって、現在よりもより専門的・独立的な形にするのだという、前進するスタンスを指針としては示すべきではないかと思います。それが3点目です。

 その下の「二 人権に配慮した精神医療の提供」のところですけれども、ここも「インフォームド・コンセントに努める等、精神障害者の人権に配慮した医療を行う」となっています。精神障害者の人権に配慮した医療を行うのは当たり前のことであって、今までそういう医療が行われてきていたかどうかという観点から、今まで欠けていた部分もあるかもしれないので、より配慮した医療を行うことを示すためには、例えば配慮の前に「人権に最大限配慮した医療を行う」とか「最大限」という言葉を入れることによって、より前に行くというスタンスを示せるのではないかと思います。

 それから、その上の「行動の制限は最小の範囲とし」とあります。澤田構成員の方から最初の方に話がありました2ページ目の六のポツの3つ目が「原則として、行動制限は行わない」となっていまして、こちらは行動制限ですけれども、今、申し上げた方は「行動の制限」。これは、人権に配慮した精神医療の提供ということで、より広い行動の制限ということを示していると思います。ただ、そうすると、最初の方は行動制限だから隔離・身体拘束だなと思うけれども、ここにおける行動の制限というのは何なのかということが、ちょっとわかりにくい。

 とするならば、例えば精神保健福祉法第37条第1項に基づく基準の第5にあるような、例えば任意入院者の開放処遇の制限についてというのがございますけれども、それがまだ十分でないという認識。100%、そういうことが達成されていないということも含めるならば、例えばその前に「任意入院者の開放処遇の制限を含む行動の制限は」と、より明確に入れていただかないと、その前段の行動制限というのと、ここにおける行動の制限というのの違いがちょっと明確でないと思うので、以上3点について強く要望したいと思います。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。

 まだ御発言がない方を優先的にと思いますので、伊藤構成員、お願いします。

 

○伊藤構成員

 ありがとうございます。七の指針に医療計画が入っていますので、健康日本21とかがん対策基本法、自殺対策基本法、発達障害者支援法、また健やか親子21という政策もあります。こういったところとの関連の記述も必要ではないでしょうか。

 最初に政策の進捗管理のお話が出ました。最近、政策・計画を立てて、そして法律に基づいて進めるという中長期の政策と法律の両輪を柱とすることが一般的になってきていると思います。例えば中医協に提出する場合にも、2004年のビジョンや2009年のあり方検討会報告書が出て、そして中医協で議論されてきました。特に中長期の政策を改定するというプロセスは海外に説明する上でも大事だと思います。

 もう一点が、中島構成員、三上構成員、千葉構成員が一般医療での審議についての御指摘がありました。それぞれの構成員でご意見は異なることも理解しました。私はできる限り一般医療と同じように議論する必要があると考えています。一般医療では、一般病床から療養病床が分かれ、老人保健施設ができ、その後回復期リハができたという20年ぐらいの歴史があります。その過程を経て公表という議論がなされています。できるだけ一般の方向と整合性が合う形で精神医療も進めていくというのは、大変大事な点だと思います。

 3つ目、広田構成員が拒否の話をされました。これは大変大事で深い内容を持っています。退院される方全てが今回出ているメニューを全部受けるわけではありません。一方で退院した後、本人に治療継続の意思がなくても治療を続けないと再入院リスクが高まる方がいらっしゃるのも事実であります。また、退院された方に責任の一端をご本人もシェアするという側面もありますので、なかなか難しい論点です。唯一、今回の議論の中で解決、もしくは可能性があるとするのは、退院の後、調子が悪くなったらどうするかというところを、本人と合意を得た上で退院していただくという仕組みが大事だと盛り込むことだと思います。

医療観察法の中ではクライシスプランが策定されるのが一般的になってきています。また障害保健福祉の領域でも策定されている事例を複数存じ上げています。退院支援という観点であれば、退院後のことを御本人も交えた形で考えていくことが必要で、そういう形であれば盛り込むことができるのではないかと思います。

 以上です。

 

○樋口座長

 ありがとうございました。

 それでは、まだ発言されていない方はいいですか。大体全て回りましたか。そうしたら、残りが10分ちょっとでございます。4人ぐらいですね。たくさん手が挙がっていますので、全部は無理かもしれません。まず、そちら。

 

○岩上構成員

 頑張って1分で。岩上でございます。

 推進体制をきちんと明記する。これは、第四の一に挙げていただきたい。推進体制を明記して、それでこのモニタリングをする検討会を設置する。でなければ、これはできたものがどうなっていくかわからないままになるということです。ですから、推進体制を作るということが重要です。

 もう一つは、エンジンになるのは都道府県なので、都道府県にこういう医療計画等と連動するということは明記してあるのだけれども、都道府県も縦割りですから、そこを動かすためにどうするのかということを載せないと。保健所、精神保健福祉センター頑張れだけでは進みません。ですから、保健所、精神保健福祉センターの前に都道府県の役割が必要です。先ほど来、お話がありましたように、市町村にも頑張っていただいているわけですから、市町村も明記するということをお願いしたいと思います。

 

○樋口座長

 では、お隣、柏木構成員。

 

○柏木構成員

 まず、早期の退院支援というのは、外来精神医療の充実とセットじゃないと、再発防止、再燃防止につながらないと思いますので、ぜひ早期の退院支援だけではなくて、今後の外来精神医療の充実というものをセットにした形で急性期の段階から関わるということを明記していただきたいと思います。

 それから、何人もがおっしゃっておられることと同じことなのですけれども、保健所等においての保健師さんとか精神保健福祉相談員といった方たちの配置を推進するということを、ぜひ明確に入れていただきたいと思います。

 言いたいことはいっぱいありますけれども、もうこれだけにさせていただきます。

 

○平田構成員

 第四も話をするのですか。

 

○樋口座長

 いや、もう第四まで移っております。次回という意味ですか。もう一度やります。ですから、今日が全てではありませんけれども、一応意見出しをしていただいて、今日、御発言が十分出なかった方はペーパーで事務局の方に出していただいて、それを取りまとめて、次が最終の中間まとめになります。そのときには、今日と同じ議論をやっていると多分まとまらなくなりますから、最終確認的なものとして。

 

○広田構成員

 三までで切ったのですよ。

 

○樋口座長

 いや、申し上げました。議事録を確認してください。

 それでは、どうぞ。

 

○河崎構成員

 1点だけお願いしたいと思います。

 3ページ目の「精神科救急医療体制の整備」のところですが、これは、御存知のように国の方からも運営事業費としての補助金が出ている医療でございます。「1 24時間365日対応できる医療体制の確保」の頭の黒ポチが「都道府県は」となっておりますが、これはここに「国及び都道府県は」というように、国がこの運営体制をしっかりと作っていくということをお示しになっていただきたいと思います。

 それと、今日最初に申し上げましたように、それらは全て財源という問題にも関わってくるわけでございますので、ぜひ全体的な方向性の中のどこかに財源をしっかりと確保していくという決意を記載していただきたいということをお願いします。

 以上です。

 

○樋口座長

 では、佐藤構成員。

 

○佐藤構成員

 何人か言われましたけれども、市町村の役割の記載が非常に少ないので、ちゃんと書いていただきたい。我々のところは、救急病棟もありますから、退院前に地域のスタッフあるいは自治体の職員を呼んできて、何とか退院できるようにカンファレンスをやるのですけれども、その自治体にもよりますけれども、当事者意識が非常に乏しいところがあります。

 積極的な自治体もありますけれども、民間医療機関とか支援センターに丸投げで、なるべく長く病院に入っていてもらいたいという意識を出してくるところがあります。地域生活中心の時代になりますと、医療機関が責任を持つというよりも、まず自治体が責任を持って、医療機関につながらない人に責任を持つことが大事ですので、ぜひ市町村、自治体の役割を強く書いていただきたい。

 

○樋口座長

 それでは、田川構成員。

 

○田川構成員

 田川です。先ほど外来精神科医療の充実というのは言いましたけれども、5ページの「三 地域で生活する患者に対する医療における多職種連携の在り方」で、これはアウトリーチしか取り上げていないので、外来精神科医療を充実する中でどうしていくかという形で書いていただければなと思います。

 その次、日中活動ももちろん大事です。けれども、よく誤解されるのですが、就労支援というのは御本人が仕事をしたいと思わなければ始まらない。仕事をしたくない人に支援しても、絶対うまくいかないシステムです。大阪で、就労支援を希望されたお二人が通っていた作業所から、この2人は絶対仕事ができない。この2人に仕事ができたら、うちに通っている人はみんな仕事ができるよ、という話があったお二人が、就職されて、今も働き続けておられます。だから、就労支援というのは、例えば作業所で今、見ておられるのと随分イメージが違う。

 就労支援で今、一番問題になっているのは、就職じゃないのです。いかにその方が働き続けていくのを支援するか。この支援体制が全然ない。例えば地域生活支援センターでも、登録している人で働いている人はわずかしかいないです。どこが中心になって支援していくかというと、医療機関のコメディカルなのです。その人たちが職場へ訪問したり、相談に乗ったりしていくことがとても大事です。大阪のJSNでは、6年間で154名就職しましたし、その8割の方が仕事をし続けています。これは診療所のワーカーが、就労定着、職業生活の継続支援を非常によく頑張ってくれたからと我々は思っています。

 3つ目ですけれども、「四 精神科医療の標準化」というのがあります。

 1つは、この頃は、「あなたの医療はガイドラインに反していた」からということで訴えられる時代になっています。だから、ガイドライン作成も現状に照らした形で慎重に進めていただきたい。

 それと、適正な向精神薬の処方。これはもちろんそうなのですけれども、例えば先ほど言った、非常に調子の悪い方に1週間、2週間、いろいろやって、2日に1回、3日に1回来ていただいて、その方が何とか入院せずに済むようになるときの処方というのは、多分ここで言う適正に出される処方とえらく違うだろうと思うのです。だから、これも現状に照らして考えていただきたい。

 3つ目の認知行動療法に対して、私はとても危機感を持っています。精神科医の目を一切通過しないで認知行動療法が行われているという現状がある。認知行動療法1、2というのが診療報酬上ありまして、うつ病及び気分障害に対してなされます。心理療法としたら、認知行動療法は副作用の少ない治療だと私は思っているのですが、少なくとも診断とその療法が適応かどうかは、精神科医の目を通さないととても危なっかしいので、ここのところ、御検討いただければと思います。

 以上です。

 

○樋口座長

 さて、まだ手がたくさん挙がっていますけれども、時間が迫っておりまして、この後については、先ほど申し上げましたように、次回までにできるだけ早い時期に事務局の方に御意見を紙かメールでお寄せいただいて、そして取りまとめをして、次回、もう一度議論をする機会がございます。そういうふうにさせていただきたいと思います。本日は、こういうことで、まだまだ積み残しの御議論があろうかと思いますけれども、今のようなことで御協力をいただきたいと思います。

 事務局の方から、次回の予定も含めて、アナウンスをお願いします。

 

○江副課長補佐

 次回の日程につきましては、9月30日月曜日の17時半から、場所は省内の6階にございます専用第23会議室でございます。今、座長の方からもございましたように、それまでになるべく早く、今日御発言できなかった御意見等がございましたら、形式は問いませんので、事務局の方にお寄せいただければと思います。よろしくお願いします。

 

○樋口座長

 それでは、本日はお忙しい中を長時間にわたりまして、ありがとうございました。大変貴重な御意見をたくさんいただいたと思います。

 これをもちまして、第4回の検討会を終了させていただきます。ありがとうございました。


(了)

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