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2013年11月15日 障害年金の額改定請求に関する検討会(第4回)議事録

○日時

平成25年11月15日(金)10:00~


○場所

中央合同庁舎5号館共用第8会議室(19階)


○出席者

構成員

石本晋一構成員 草野佐構成員 小沢忠彦構成員 田熊淑男構成員
竹田宏構成員 豊原敬三構成員 中島八十一構成員 和田高士構成員

○議事

○中島座長 それでは定刻になりましたので、ただ今より第4回障害年金の額改定請求に関する検討会を開催します。本日は大変お忙しい中、本会合にご参集いただき、誠にありがとうございます。なお、市原構成員は本日欠席と伺っています。

 それでは本日の資料と議事について事務局よりご説明をお願いします。

○和田事業管理課給付事業室長補佐 本日の会合資料の確認をします。お手元の座席表・議事次第のもと資料1として「額改定請求の待機期間を要しないこととする対象について」、資料2として「障害年金の額改定請求に関する検討会報告書(案)」をお配りしています。お手元にございますか。不足がございましたら、お申し出ください。

 続いて本日の議事ですが、資料1のうち「1.額改定請求の待機期間を要しないこととする対象」についてご確認いただいた後、「2.引き続き検討が必要な項目について」及び「3.旧法に関する取扱い」について構成員の皆様方からご意見をお伺いします。その後、資料2の「障害年金の額改定請求に関する検討会報告書(案)」についてご意見をお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○中島座長 早速議事に入ります。初めに資料1の「1.額改定請求の待機期間を要しないこととする対象」・「2.引き続き検討が必要な項目について」について事務局からご説明をお願いします。

○栗原障害認定企画専門官 初めに「1.額改定請求の待機期間を要しないこととする対象」からご説明します。お手元にございます資料1の1ページをご覧ください。前回の議論で規定が可能であるとされた15項目について、再度ご確認していただくため、読み上げます。マル1「両眼の視力の和が0.04以下となった場合」、マル2「両眼の視力の和が0.05以上0.08以下となった場合」、マル3「両眼の視野がそれぞれ5度以内となった場合」、マル4「両眼の視野がそれぞれ中心10度以内におさまるもので、かつ、10度以内の8方向の残存視野の角度の合計が56度以下となった場合」、マル5「両耳の聴力レベルが100デシベル以上になった場合」。なお、マル5については前回の検討会で規定が可能と思われる項目にございました人工内耳を入れた後、両耳の聴力レベルが100デシベル以上になった場合を吸収しています。マル6「両耳の聴力レベルが90デシベル以上になった場合」、マル7「四肢又は指の切断(再接着手術が行われていない場合に限る)」、マル8「四肢又は指の麻痺(完全麻痺に限る)(脳血管障害又は脊髄の器質障害については6か月以上継続した場合に限る)」。なお、マル8については前回の検討会で脊髄障害も含めるべきではないかとのご意見がございましたので、障害認定基準に記載がございました脊髄の器質障害という言葉を当てはめ、修正の意味で下線を引いています。本日は市原先生がご欠席ですが、内容について事前にお話しさせていただいたところ、了承していただいていることを申し添えます。マル9「心臓移植又は人工心臓(補助人工心臓を含む)の使用」、マル10「人工透析療法の施行(3か月以上継続した場合に限る)」、マル11「人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合(人工肛門については6か月以上継続した場合に限る)」、マル12「人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合(6か月以上継続した場合に限る)」、マル13「人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする状態)にある場合(6か月以上継続した場合に限る)」、マル14「脳死状態又は遷延性植物状態になった場合(遷延性植物状態については3か月以上継続した場合に限る)」、マル15「人工呼吸器の装着(1か月以上常時継続した場合に限る)」の以上です。

 次に2ページをご覧ください。前回の議論で規定が困難であるとされた5項目について読み上げます。マル16「白血病等個別の病名によるもの」、マル17「胃ろうの造設をした場合」、マル18「手術後に状態が悪化したもの」、マル19「悪性新生物による終末期の状態にある場合」、マル20「悪性新生物について積極的治療は行わず緩和ケアを行っている場合」の以上です。

 最後に(3)の引き続き検討が必要な項目は3項目あり、3ページ以降で項目ごとにご説明をします。次の3ページをご覧ください。引き続き検討が必要な項目について、1つ目としてマル21「(重症心不全により)CRT、CRT-Dを装着した場合」です。こちらについては前回の検討会で取りまとめすることができず、引き続き検討が必要となった項目です。検討事項については、「CRT、CRT-Dの装着は必ずしも重症心不全の患者に限らないことについてどう考えるか」です。前回の検討会では構成員の先生よりCRTを装着しただけでなく、心機能やイジェクション・フラクションの値を見ながら認定を行っている。今後、医療の進歩において重症心不全でなくてもCRTやCRT-Dを装着する例が出てきて、いろいろな場合で適用される懸念があるので、「重症心不全により」を「重症心不全を呈し」と修正してはどうかとのご意見がございました。そこで事務局において対応案として下段にメリット・デメリットを記載しました。3つの案をご提示しています。対応案についてご説明します。案1は重症心不全に限定した場合です。メリットとしては重症心不全でない方の請求を除外することができます。デメリットとして請求する方や受付窓口において請求者が重症心不全かどうか判断することは難しいのではないかと考えています。案2は重症心不全に代わるEF値などの検査数値により限定した場合です。メリットとして先ほどお話しした案1より判断基準は明確になります。デメリットとして重症心不全の方を特定することができるか。さらに請求する方や受付窓口において、診断書の検査数値まで確認して請求可能か判断が難しいのではないかと考えています。最後の案3は、(重症心不全により)を削除し、CRT、CRT-Dを装着した場合とするものです。メリットとしてCRT及びCRT-Dを装着していれば請求が可能なため、判断基準として明確です。デメリットとして認定の結果、重症心不全でないことから上位等級に該当しないケースについても含まれるため、十分な周知が必要ではないかと考えています。これらの点も踏まえ、構成員の先生方のご意見をお伺いしたいと思います。

 引き続き資料1の4ページをご覧ください。検討が必要な項目の2つ目としてマル22「一般状態区分オに該当すると判断される場合(ウ及びエも同様)」です。こちらの検討事項については「一般状態区分表のオに該当するもの等を、額改定請求の待機期間を要しない事例として規定することについてどう考えるか」です。前回の検討会では構成員の先生方より、「臓器の障害の程度と一般状態区分との整合性が取れていない場合があり、軽いにもかかわらず一般状態区分がオ、また、その逆で重いにもかかわらず一般状態区分がイというように、診断書作成医によって一般状態区分の判断が異なることがあるので難しいのではないか」、「判断の時点によって一般状態区分のどこに当てはまるかが変わってしまうのではないか」、「対象を厳格に規定すると、どうしてもそこから漏れてしまうものがあるので、そのようなものを拾う意味で、補足のようなものとして一般状態区分が必要ではないか」とのご意見がございました。参考として5ページに一般状態区分表を添付していますので、これらも踏まえ、構成員の先生方のご意見をお伺いしたいと思います。

 次に資料1の6ページをご覧ください。引き続き検討が必要な項目の3つ目としてマル23「喉頭全摘出手術を施した場合」についてです。こちらについては前回の議論で規定が困難であるとされた項目です。前回の検討会では3級の言語障害がある方が喉頭全摘出手術を行うケースはないのではとのことでしたが、日本年金機構において障害厚生年金の新規裁定の事例を確認したところ、嚥下機能の障害で障害年金を受給している方がおりましたので、事前に石本先生にご相談したところ、その中には今後、喉頭全摘出手術が行われる可能性がある事例があるとのことでしたので、再度検討会でご議論していただくため、引き続き検討が必要な項目に追加しています。検討事項については、「喉頭全摘出手術を行ったことによる、額改定請求の事例があり得るか」です。参考として日本年金機構において確認をした、嚥下機能の障害で障害厚生年金の新規裁定を行った内容を記載しています。平成25年4月から10月までの約半年で、嚥下機能の障害により新規裁定された件数が5件ございました。3級の障害厚生年金が2件、そのうち原因となる傷病名は中咽頭癌や上咽頭癌です。また、2級の障害厚生年金が3件、原因となる傷病名は下咽頭癌や右舌下腺癌再発です。今述べた事例について喉頭全摘出手術を行えば、上位等級に認定されることも考えられますので、これらの事例も踏まえ、構成員の先生方にご意見をお伺いしたいと思います。資料1については以上です。

○中島座長 ありがとうございました。ただ今、事務局から「1.額改定請求の待機期間を要しないこととする対象」と「2.引き続き検討が必要な項目について」のご説明をいただきました。最初に資料1の1ページを開いていただき、「1.額改定請求の待機期間を要しないこととする対象」の「(1)前回の議論で規定が可能であるとされた項目」と、「(2)前回の議論で規定が困難であるとされた項目」の2項目について構成員の先生方からご意見を承りたいと思います。何かご質問あるいはご意見などがございましたら、挙手いただければ幸いです。いかがですか。よろしいですか。それでは(1)の規定が可能である項目と、(2)の規定が困難である項目それぞれの区分分けについては、これにて確定ということで結論としたいと思います。

 続いて資料1の「2.引き続き検討が必要な項目について」、これは前回までの議論で積み残しになっている項目ですが、このうち、ただ今事務局からご説明がございましたマル21「(重症心不全により)CRT、CRT-Dを装着した場合」についてはいかがですか。和田構成員、いかがですか。

○和田構成員 この検討について厚生労働省から対応案として3つ提示していただきました。この中で最も的確なのは案3だと思われます。すなわち限定を付さない。3ページ目のマル21の括弧付けを取ることが適切だろうと思います。と申しますのは、1ページのマル7「四肢又は指の切断」のように、どのような状況で、あるいはどの程度のものかということまでは、ここでは記さなくても良いだろうということを例に取り、また、現行の障害年金の認定基準においても、そこまで言及していないということから私は案3の採用を望みます。

○中島座長 ありがとうございました。ただ今、和田構成員から案3が妥当ではないかというご意見があり、(重症心不全により)という括弧書きを取ることのご提案をいただきました。他の構成員の方々、ご意見はございますか。

○豊原構成員 日本年金機構の豊原です。実際に障害等級の認定現場で診断書に記載されているCRT、CRT-Dを入れた方の心不全の状態を見ると、これはざっとした印象ですが、9割方は医学的に言う重症心不全に対して装着している場合が多いと思います。ただ、残り1割について本当に重症心不全に対してCRT、CRT-Dを入れたかどうかというのは疑問な点がございます。ですが、ほぼ8割から9割は、現状では重症心不全に対してCRT、CRT-Dを入れているので、括弧を除くということも良いかと感じています。

○中島座長 ありがとうございました。他にご意見はございますか。それでは和田構成員のご意見に従い、マル21の事項については、(重症心不全により)という括弧書きを取ります。その上で対象に含めるものとして合意が得られたとして取扱いたいと思います。もう一度繰り返しますと、マル21の心不全の事例につきましては、「CRT、CRT-Dを装着した場合」として額改定請求の待機期間を要しない対象とするということにしたいと思います。

 続いてマル22「一般状態区分オに該当すると判断される場合」についてはいかがですか。どなたかご意見はございますか。

○豊原構成員 一般状態区分オについてですが、私が障害等級の認定をするに当っては、診断書を見て現在までの治療の内容、臨床所見、諸種検査データ、予後などを見て、だいたい自分の頭の中に1級・2級・3級・不該当ということをイメージしてから、最後に一般状態区分に目を通しており、その間の整合性がなければいけないと考えています。内部障害についてどう認定するかというのは、臓器レベルの障害と、それによって日常生活動作がどのくらい制限されているかの個人レベルの障害、そしてそれによって実際に社会生活上のハンディキャップつまりソーシャルハンディキャップがどの程度あるのか、そしてその3つの間に整合性がなければいけないと考えています。実際に診断書を見ると別傷病、例えば外部障害、肢体障害、または別傷病の内部疾患を含めて一般状態区分が評価されているということが稀ならずございます。1年を待たずしてという場合に、純粋に受給傷病のみによる評価にしなければいけないのにもかかわらず、その他の障害が入っていて一般状態区分がより重く評価されていることがございます。受給傷病による治療の内容、臨床所見、検査データ、予後の間に整合性がなければいけないということなので、一般状態区分がオと付けられた診断書を請求者が受付に持っていったとしても、現場で認定する側にとっては、なかなかそれが認められないというケースも稀ならずあると考えています。

○中島座長 ありがとうございました。田熊先生、よろしくお願いします。

○田熊構成員 今回は額改定請求ですので、今まである程度一般状態が比較的保たれていた人が、より悪くなったことをきっかけにして申請したいというお話になります。内部障害の審査に当たっていると、今回決まったマル15までいろいろ規定されるもの以外に、例えばCOPD、血友病、肝硬変の方など、わりと出てくるのではないかという感じで、そのような病気の方々のことを考えると、今回どれも盛り込まれていません。そのようなことを考えると、何がしかの必ずやそのような疾患の審査が今後出てくるのではないかという危惧があるため、拾うものがあるべきなのではないか。ただ、豊原先生がおっしゃる通り、記入する医師によって全く整合性のない診断書がしょっちゅうあります。ですから、もしこのようなものを盛り込むとすると、医師に記入の仕方を周知徹底していただくということを行わなければ、とても成り立たないと思います。そうなると検討会では収まらない話になってきますし、議論も収拾がつかなくなってくると思うので、事象が発してから、またいろいろな要求に応じて変更するということでも私は構わないと思います。

○中島座長 ありがとうございました。竹田先生、いかがですか。

○竹田構成員 竹田です。例えば呼吸器系の障害の場合などですと、状態を見るのに一般状態区分だけではなくて、呼吸困難の程度から見た活動能力を一緒に見ます。呼吸困難の程度から見た活動能力は、従来から呼吸困難の半定量的なヒュー・ジョーンズ分類のようなものがあるのですが、例えばそちらはイで一般状態区分はオなど、そのような診断書はしばしば上がってきます。要は一般状態区分だけで見ると、請求病名のこと以外で一般状態が悪化しているという場合もあるので、そこの判断が一般状態区分だけで拾ってくると、なかなか難しい。ですから、実際に診断書で内容を見て、もちろん新規裁定の場合もそうですし、通常の額改定の場合もそのように行っているので、すでに前回お話が出ている「臓器障害の程度と一般状態区分との整合性が取れていない場合が」ということが非常に問題になるのかと思います。私は、結論としては一般状態区分だけで今回の対象とするのは問題があると考えます。

○中島座長 ありがとうございました。他にどなたかご意見はございますか。ただ今のお三方のご意見を伺っていますと、私座長としては、田熊先生のご意見は誠にもっともな点があると思います。ただ、仕組みというのは円滑な運用ということも極めて大切なことで、要するに誤解を招かない、現場の混乱を招かないということも非常に大切な視点だと思います。従って、将来さらにこの仕組みが進化するときには大切な見解と存じますが、今回は一般状態区分については対象としないということで結論にしたいと思いますが、先生方はいかがですか。よろしいですか。それではご賛同が得られたということで、マル22「一般状態区分オに該当すると判断される場合」については、額改定請求の待機期間を要しない対象とはしないということで、規定が困難と思われる項目に分類したいと思います。

 続いてマル23「喉頭全摘出手術を施した場合」についてはいかがですか。こちらについては、前回の議論では額改定請求としての事例は考えにくいとされた項目ですが、石本先生に今一度ご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○石本構成員 実際に日本年金機構で嚥下機能の障害ということで3級・2級の方を調べていただいたところ、今後、喉頭全摘になるような症例が何例かあったということで、特に気管切開をして一時的にしのいでいる方あるいは完治しておらず再発などが疑わしい症例などは1年以内に喉頭全摘に持っていかざるを得ない場合もあると思いますので、前回、喉頭全摘出手術を施行した場合は額改定の症例がないのではないかということでしたが、喉頭全摘出手術を施行した場合は1年を満たないで額改定をしていただければと思います。実際に可能性のある症例があるということなので、マル23は含めていただきたいと思っています。

○中島座長 先に述べたように腫瘍の浸潤等により喉頭全摘出手術を行うような事例が確かに見つかったということで石本先生からお話がございましたように、これは額改定請求の待機期間を要しない対象とする方向にしたいというご意見が提出されました。これは前回の積み残しの議論ではなく、あらためて提案されたことですが、他の構成員の先生方はいかがですか。現実にそのような事例があるということが確認されてのことですので、マル23「喉頭全摘出手術を施した場合」については額改定請求の待機期間を要しない対象とするということで合意が得られた形にしたいと思います。ありがとうございました。

 続いて「3.旧法に関する取扱い」について、事務局からご説明をお願いします。

○栗原障害認定企画専門官 続いて資料1の7ページをご覧ください。旧法の障害年金に関する取扱いについてご説明します。年金制度については、昭和61年4月施行の「国民年金法の一部を改正する法律」により基礎年金が導入され、昭和61年4月以前に受給されている方は旧法が適用され、障害認定日が昭和61年4月1日以降のものについては新法が適用されるようになっています。また、昨年8月に成立した「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」により額改定請求の待機期間の見直しについては、旧法の障害年金も対象となり、認定に当っては改正前の政令別表や障害認定基準により判断することになっています。これまでの検討会では新法の政令別表や障害認定基準に関する検討を行ってきましたが、新法と旧法の政令別表や障害認定基準の違いを踏まえながら、7つの条件に照らして、新法に関する規定に準じて対象を定めることが適当ではないかと考えています。新法と旧法の別表や障害認定基準の違いの例として中段以降に記載しています。新法の視力障害では両眼の視力の和が0.04以下となった場合が1級となっていますが、旧法の厚生年金では両眼の視力が0.02以下となった場合となっており、数値等が相違しています。また、新法では人工透析療法の施行の場合は2級と認定していますが、旧法の厚生年金では3級と認定されており、等級の判断が相違しています。

参考として8ページ以降に新法と旧法の別表の対照表を添付しています。なお、下線を引いている部分が相違している部分です。新法と旧国民年金法で同様なものについては同左という表記をしています。2級については、旧法の国民年金法は記載していませんが、新法の国民年金施行令別表と旧厚生年金保険法別表については、相違している部分は各々下線を引いており、これをご覧いただければお分かりになるかと思います。以上で旧法に関する取扱いについて、ご説明を終わります。

○中島座長 ありがとうございました。ただ今の新法・旧法の解説ならびに旧法に関する取扱いについて何か構成員の先生方からご意見あるいはご質問はございますか。

○豊原構成員 豊原です。人工透析の場合、人工透析施行中のものは旧法では3級で、新法では2級です。これは非常に不公平だと思います。旧法で3級を受給中の者が待機期間を設けずに2級になるという事例はどの程度あるのでしょうか。そこがよく分かりません。おそらく人工透析で3級を受給中の者が上位等級になるというのは、長期間の人工透析により、例を挙げると大動脈弁の石灰化・僧帽弁の石灰化等によって弁膜症が新たに発生するという場合、心不全の症状が出てくることがあるので、2級になる可能性もあるかと考えています。他の先生方のご意見はいかがですか。

○和田事業管理課給付事業室長補佐 今、豊原先生から旧法の取扱いに係るお話がございましたが、今回、新法と旧法ではそれぞれ分けて規定をすることになるので、人工透析療法の施行は旧法の障害厚生年金になれば3級ですから元々該当しないということになります。新法の方だけが該当するという取扱いになります。よろしくお願いします。

○中島座長 豊原先生、よろしいですか。他に何かご質問はございますか。それでは次の議題に入る前に資料1の全体を通して何かご意見はございますか。

○豊原構成員 切断に関する取扱いです。資料1のマル7「四肢又は指の切断」についてですが、一般的に認定基準は政令別表にはっきりと記載された項目と医学的観点から作られた認定基準、いわゆる認定要領というものと2つ取り入れられています。そうするとマル7「四肢又は指の切断」については政令別表で障害の1級・2級に該当する場合というのを明確に規定されているので、それを用いた方がよろしいのではないかと思います。それによって受給者や受付窓口でも分かりやすく、請求人にとっても不必要な期待や負担を掛けることも少なくなるので、今回の趣旨に合っていると考えています。ただ、それ以外のCRT、CRT-D、運動麻痺などの項目については、はっきりとした別表の規定がないので、上位等級に該当しない方がある程度請求人の中でいらっしゃるということは、現状では仕方のないことだと考えています。四肢又は指の切断についてははっきりしていますので、政令別表がより重きを持ちますので、政令別表での1級の規定・2級の規定を用いた方が、より明確化されると感じています。

○中島座長 ありがとうございました。ただ今の豊原先生のご意見は、現行の「四肢又は指の切断」という文言を、切断部位できちんと規定し、政令別表との擦り合わせが可能な方向に持っていく方が、現場としての混乱は少ないのではないかというご意見だったと思います。その点について何か構成員の先生方、ご意見はございますか。それでは、ただ今の豊原構成員のご提案については今のご意見を踏まえた上で事務局で文言の整理をお願いしたいと思います。

 続いて資料2の「障害年金の額改定請求に関する検討会報告書(案)」について事務局からご説明をお願いします。

○栗原障害認定企画専門官 お手元に配布している資料2の「障害年金の額改定請求に関する検討会報告書(案)」について説明します。こちらは今までの議論の内容等を取りまとめたものです。時間の関係がございますので、全て読み上げることはせずに、かいつまんでご説明します。検討会の目的は省略します。

「2.検討に当っての考え方」は、法令の趣旨やこれまでの検討結果を踏まえると、7つの条件、2ページに示しているアからキまでの全ての条件を満たすことが必要と考えています。再度7つの条件について読み上げます。「ア.原因となる傷病名は特定せずに増進した障害の状態で規定すること」、「イ.急激に障害の程度が増進したこと、また、個人ごとの状態を評価しなくても増進したことが明らかであること」、「ウ.障害の固定が認められること」、「エ.精神の障害でないこと」、「オ.判断する者によって結果が異なることのないよう、明確な要件であること」、「カ.一定期間、安定的に適用できるような判断基準であること」、「キ.法令上、紛れなく規定することができること」です。なお、今回の額改定請求については、1年間の待機期間の例外規定を設けたものであり、障害年金を受給できる範囲そのものを定めるような趣旨ではなく、また、必ずしも上位等級が認められるものではございません。その点については受給者に誤解が生じないよう、十分な周知が必要と考えています。

構成員の先生方のご意見を踏まえてまとめられた額改定請求の待機期間を要しないこととする対象案をいくつかご説明します。4ページをご覧ください。特徴のあるものについてご説明します。先ほど石本先生よりご説明していただいたマル7「喉頭全摘出手術を施した場合」については、先ほどの議論で規定が可能と思われる項目として取りまとめられましたので、〈検討中〉は削除することといたします。

マル8「四肢又は指の切断」については、再接着手術が行われた場合、障害の程度の増進が明らかでなく、障害の固定が認められるまでに一定の期間が必要であるため、最後に括弧書きで限定していますが、先ほど豊原構成員から政令別表の規定の方が良いのではないかとのご意見がございましたので、それを踏まえて検討したいと思います。

マル9「四肢又は指の麻痺」については、完全麻痺以外の麻痺は、障害の程度の増進が明らかでなく、また、明確とは言えないため、脳血管障害等は障害の固定が認められるまで6か月程度必要ということで、括弧書きで限定しています。

マル11「CRT又はCRT-Dを装着した場合」については、先ほどの議論で「重症心不全により」という文言を削除することにより、規定が可能な項目として取りまとめられましたので、〈検討中〉は削除することといたします。

マル12「人工透析療法の施行」については、一時的な人工透析療法の施行を除外するために括弧書きで限定しています。

マル13からマル15の人工肛門関係については、新膀胱以外の人工肛門、尿路変更及び完全排尿障害の一時的な状態を除外するため、括弧書きで限定しています。

マル16「脳死状態又は遷延性植物状態」については、障害の固定が認められるまでに3か月程度必要ということで、括弧書きで限定しています。

最後にマル17「人工呼吸器の装着」については、一時的な人工呼吸器の装着を除外するため、括弧書きで限定しています。

続いて「(2)規定が困難と思われるもの」の事例のマル2「一般状態区分オに該当すると判断される場合」ですが、先ほどの議論で規定が困難ということで取りまとめられましたので、〈検討中〉は削除することといたします。

6ページの旧法に関する取扱いですが、昭和61年改正前の旧法の障害年金においても今回の額改定請求の待機期間の前倒しの対象となっております。認定に当っては昭和61年改正前の政令別表や障害認定基準を適用することとしておりますが、先ほど2ページでご説明した7つの条件に照らし、新法に関する規定に準じて対象を定めることが適当であると考えています。

最後の「4.終わりに」になりますが、本検討会では額改定請求の1年間の待機期間を要しないこととする対象については構成員の先生方の医学的見地からの意見等を踏まえて意見を取りまとめたもので、機能強化法の額改定請求に係る部分が施行される平成26年4月に向け、上記2で述べた留意事項について十分な周知を行い、また、窓口となる日本年金機構での準備を着実に進めることにより、本制度が円滑に施行され、十分に活用が図られるよう望むという内容です。

以上、「障害年金の額改定請求に関する検討会報告書(案)」について説明を終わります。

○中島座長 ありがとうございました。ただ今、事務局から「障害年金の額改定請求に関する検討会報告書(案)」についてご説明がございましたが、これについてご質問・ご意見はございますか。いかがですか。眼科については小沢先生、いかがですか。

○小沢構成員 異議なしです。

○中島座長 草野先生はいかがですか。

○草野構成員 1つだけお願いしたかったのですが、3ページの真ん中に「・」が2つございます。1つ目で「障害年金を受給できる範囲そのものを定めるような趣旨ではない」、2つ目で「障害の程度を審査した結果、必ずしも上位等級が認められるわけではない」とあります。もちろんそうですが、一番心配なのは人工肛門です。その後に手術をし直しということも半年では、この前お話ししたように、人工肛門を落とす手術をなさる方も出てくる、あるいは他の部分も良くなることもあると思いますので、ここで「必ずしも上位等級が認められるわけではなく、有期を永久とするものでもない」というような言葉を入れていただければありがたいと思ったのですが、皆さんのご意見をお伺いしたいと思います。

○中島座長 上位等級が認められるわけではなく、その後の有期ですか・・・。

○草野構成員 「有期を永久とするものでもない」です。現場ではもちろん、審査をなさる先生は十分ご存じですが、一般の人たち、受付の人たちが、説明のときに間違わないようにという意味で入れていただければと思ったのですが。

○中島座長 事務局、いかがでしょう。

○池上事業管理課給付事業室長 ご趣旨としては、請求が認められて一旦何かの等級が付いたとしても、その後、変更もあり得るということをしっかり周知する必要があるという趣旨だと承りました。表現振りについては有期認定と、それ以外の永久の認定というところが分かりにくい面もございますので、例えば「必ずしも上位等級が認められるわけではなく、また、その後の状態の変化に応じて等級そのものについては、また認定を行う」など、そのような趣旨を追加することは今後準備していく上での周知事項として適切であろうと考えています。

○中島座長 それでは草野先生のご意見を踏まえて、より良い理解を得るための書き振りという点については事務局にお願いすることといたします。草野先生、よろしいですか。

○草野構成員 結構です。

○中島座長 石本先生、いかがですか。

○石本構成員 特にございません。

○中島座長 田熊先生、いかがですか。

○田熊構成員 特にございません。

○中島座長 竹田先生、いかがですか。

○竹田構成員 特にございません。

○中島座長 和田先生、いかがですか。

○和田構成員 ございません。

○中島座長 豊原先生、いかがですか。

○豊原構成員 ございません。

○中島座長 ありがとうございました。それでは草野先生のご意見を踏まえて報告書をいくらか整理していきたいと思います。ご議論いただいたことについては結論が出たということで、これを変更することはございませんが、運用上の問題としていくらか整理が必要なところが出てくる可能性はあると思います。その点について、事務局何かございますか。

○和田事業管理課給付事業室長補佐 今日の議論の中で先生方からご意見のあった事項については、座長をはじめ構成員の皆様方に事前にご連絡を申し上げて整理をしたいと考えています。

○中島座長 それでは今後の修正については構成員の先生方にご確認いただき、最終的な取りまとめは私にご一任いただくということでよろしいですか。

(構成員から「異議なし」の声)

○中島座長 どうもありがとうございます。それでは今後の予定等について事務局からお願いします。

○和田事業管理課給付事業室長補佐 今後の予定については、本検討会の結果を受け、法令審査を行うとともに、省令案について行政手続法に基づく意見公募手続(パブリックコメント)を経て省令を規定し、平成26年4月の施行ということになっています。なお、本日の資料と整理後のご確認をしていただいた後の報告書については、後ほど資料として厚生労働省のホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いします。

 最後になりますが、本来なら大臣官房年金管理審議官からごあいさつする予定でしたが、所用により出席することができません。代わりまして年金局事業管理課給付事業室長の池上よりごあいさつを申し上げます。

○池上事業管理課給付事業室長 申し訳ございません。本日、年金管理審議官の樽見が国会対応で国会に出ており、代わりに私からごあいさつさせていただきます。座長をはじめ構成員の皆様におかれましては、本日も含め9月から4回に亘り熱心にご議論をいただき、どうもありがとうございました。今回の検討会においてはさまざまな医学的知見についてご意見を頂戴しました。制度の適正・公平な運営という点についてもさまざまなご意見を頂戴し、ありがとうございました。おかげさまで額改定請求の前倒し請求を認める事例について、細かな文言調整は若干残っていますが、具体的な案をおまとめいただけたものと思っています。心からお礼を申し上げます。今後は厚生労働省で省令としての規定に向けて必要な手続き等を進めていきたいと思っていますが、そのプロセスの中で、また何かご相談させていただくような事項があれば、またアドバイスを頂戴できれば大変ありがたいと思っています。最後に私ども行政としては、国民の皆様への周知や施行に向けた準備をしっかりと行っていき、この検討会の成果を実際の運用に生かしていきたいと思っていますので、今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

○中島座長 ありがとうございました。4回の検討会を通じ、構成員の先生方には実に前向きなご議論をいただき、座長としても大変ありがたく感謝を申し上げます。障害年金を通じて障害者の生活がより良くなる方向に一歩前進したと私は思います。また、当事者団体のヒアリングを通じて、一部から、「自分たちを医療モデルではなく社会モデルの中で評価してほしい」というご要望もございました。それが将来的に広く国民のコンセンサスにつながっていくものかどうか現時点では分かりませんが、時代の変遷とともにおそらくご要望の内容も変わっていき得るものだと思います。従って、その折には新たな価値に向かって皆様方のご協力を得たいと思いますので、そのようなお願いと本日までのご尽力に感謝して本検討会を終了させていただきます。構成員の先生方、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省年金局事業管理課給付事業室

代表: 03-5253-1111(内線3603)
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