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2013年3月22日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録

医薬食品局

○日時

平成25年3月22日(金)
18:00~


○場所

厚生労働省講堂


○出席者

出席委員(16名) 五十音順

◎五十嵐   隆、 石 井 則 久、 遠 藤 一 司、 生 出 泉太郎、
 金  澤    實、 斎 藤    充、  高 杉 敬 久、 戸 部 依  子、
 新 見 伸 吾、 林    邦 彦、 日 野 治 子、 槇 田 浩  史、
 三 宅 良 彦、 村 島  温 子、 矢 野    哲、 渡 邉 治  雄
(注) ◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名) 五十音順

○大 野 泰 雄、 柿 崎   暁、 加 藤 進 昌、 國 頭 英 夫、
  倉 山 英 昭、 三 谷 絹 子

行政機関出席者

俵 木 登美子 (安全対策課長)
渡 邊  伸 一 (安全使用推進室長)

○議事

○事務局 定刻になりましたので、平成24年度第3回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会を開催いたします。本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので御理解、御協力の程よろしくお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし喧騒にわたる行為はしないこと、座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の会議は、大野委員、柿崎委員、加藤委員、國頭委員、倉山委員、三谷委員より、御欠席の御連絡を頂いております。渡邉先生の到着が遅れるとのことですが、現在15名の委員の先生の御出席を頂いておりますので、本部会の定員は22名でありますことから、定足数の過半数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 最初に、薬事・食品衛生審議会の委員の改選が1月に行われまして、この部会につきましても、新しく委員の任命が行われたところです。つきましては、お手元の委員名簿に即しまして、御出席委員の先生方を事務局から御紹介申し上げます。

 国立成育医療研究センターの五十嵐委員です。国立感染症研究所の石井委員です。明治薬科大学の遠藤委員です。日本薬剤師会の生出委員です。埼玉医科大学の金澤委員です。御新任であります、東京慈恵会医科大学の斎藤委員です。日本医師会の高杉委員です。御新任であります、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の戸部委員です。国立医薬品食品衛生研究所の新見委員です。群馬大学の林委員です。公立学校共済組合関東中央病院の日野委員です。東京医科歯科大学の槇田委員です。聖マリアンナ医科大学の三宅委員です。国立成育医療研究センターの村島委員です。国立国際医療研究センターの矢野委員です。国立感染症研究所の渡邉委員です。

 また、報告事項議題5「その他()小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品の使用者に発生した全身性アレルギーに係る報告について」に関しまして、小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品使用後にアレルギーを発症した患者の調査を行っております藤田保健衛生大学の松永先生に、参考人として御出席いただいております。

 また、この部会の部会長ですが、1月28日に開催された薬事分科会において選出されておりまして、医薬品等安全対策部会は五十嵐委員に部会長をお願いすることとされておりますので、事務局から御報告申し上げます。さらに、部会長代理ですが、規定により部会長から御指名いただくこととなっております。五十嵐部会長、よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 本日は御欠席ですが、大野委員にお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

ありがとうございます。

○事務局 部会長代理は大野委員にお願いいたします。これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以降の議事進行は、五十嵐部会長にお願いいたします。

○五十嵐部会長 委員の先生方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。まず、事務局から「審議参加に関する遵守事項」について御報告をお願いいたします。

○事務局 薬事分科会審議参加規定について、御説明いたします。本日の審議事項は、チキジウム臭化物とジクロフェナクナトリウムのリスク区分の見直しについてです。チキジウム臭化物については、製造販売業者の大正製薬株式会社及びその競合2社、エスエス製薬株式会社、エーザイ株式会社の合計3社、ジクロフェナクナトリウムについては、製造販売業者のエスエス製薬株式会社、同仁医薬化工株式会社、久光製薬株式会社及びその競合3社、ニプロパッチ株式会社、小林製薬株式会社、興和株式会社の合計6社からの、過去3年度における寄附金等の受取について、御申告いただきました。

 なお、競合品目・競合企業については、事前に各委員に資料をお送りして御確認いただいております。

 議題1のチキジウム臭化物のリスク区分については、林委員から大正製薬株式会社より50万円を超え500万円以下の受取との申告、三宅委員からエーザイ株式会社より50万円を超え500万円以下の受取との申告がございました。林委員、三宅委員におかれましては、当該品目の審議に当たり、出席し意見を述べることはできますが、議決には加わらないことといたします。

 また、ジクロフェナクナトリウムのリスク区分については、日野委員から久光製薬株式会社より50万円を超え500万円以下の受取との申告、三宅委員から興和株式会社より50万円を超え500万円以下の受取との申告がございましたので、日野委員、三宅委員におかれましては、当該品目の審議に当たり、出席し意見を述べることはできますが、議決には加わらないことといたします。

 その他、今回の審議への参加及び議決に加わることのできない委員はいらっしゃいません。参考人については、審議に参加できない参考人はいらっしゃいません。

 また、議題2以降は報告事項となりますので、議決を要する審議には該当しないことから、全ての委員及び参考人が、出席し意見を述べることができることを御報告申し上げます。

○五十嵐部会長 ただ今、事務局から「審議参加に関する遵守事項について」の御説明がございました。御意見はございますか。特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含めて、御了解いただいたと判断いたします。

 事務局から、今日の配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 各委員の先生方には事前に資料を送付させていただいておりますが、お手元の資料の御確認をお願いいたします。

 座席表の次に議事次第、委員名簿、配布資料一覧がございます。

資料1は、「一般用医薬品のリスク区分について関連」でございまして、資料1「製造販売後調査の終了等に伴うリスク区分の変更について」、資料1-1「チキジウム臭化物のリスク区分について」、資料1-2「ジクロフェナクナトリウムのリスク区分について」、参考資料1「リスク区分変更に係るパブリックコメントに寄せられた御意見」です。

資料2は、「医薬品等の市販後安全対策について」でございまして、資料2-1「医薬品等の使用上の注意の改訂について」、資料2-2「ワクチンの安全性に関する評価について」、資料2-3「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理手順の見直しについて」です。資料3は、「医薬品等の副作用等報告の状況について」でございまして、資料3-1「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報告について」、資料3-2「国内副作用報告の状況」、参考資料3-2「薬効分類表」、資料3-3「国内副作用報告の状況」、資料3-4「国内感染症報告の状況」、資料3-5「外国における新たな措置の報告状況」、資料3-6「研究報告の報告状況」です。

資料4は、「医薬品の感染症定期報告の状況について」でございまして、資料4-1「感染症定期報告感染症別文献一覧表」、資料4-2「感染症定期報告の報告状況」です。

資料5は、「その他」でございます。資料5-1「小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品の使用者に発生した全身性アレルギーに係る報告について」、資料5-2「ゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用報告の報告件数等について」、資料5-3「市販直後安全性情報収集事業結果(テラプレビル等)について」、資料5-4「医薬品リスク管理計画の導入に伴うGVP・GPSP症例の改正等について」、資料5-5「ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査(概要)」、資料5-6「再生医療製品患者登録システム整備事業」、資料5-7「小児と薬情報収集ネットワーク事業について」以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。皆様のお手元の資料で不足のものはございますか。よろしいでしょうか。それでは議事に入ります。事務局より審議事項議題1についての概要説明をお願いいたします。

○事務局 審議事項議題1「一般用医薬品のリスク区分について」御説明をいたします。

資料1、資料1-1、資料1-2、参考資料1を御覧ください。

まず資料1「製造販売後調査の終了等に伴うリスク区分の変更について」御説明いたします。現在、第1類医薬品であるこれらの2成分、チキジウム臭化物、ジクロフェナクナトリウムにつきまして、製造販売後調査の終了に伴い、リスク区分の変更の検討をお願いするものです。

 2ページにございますとおり、一般用医薬品のリスク区分の変更につきましては、安全対策調査会におきまして、専門家の方々や関係学会等の御意見を踏まえ、事前整理をした上で、その事前整理の結果とパブリックコメントの結果を踏まえて、安全対策部会で調査、審議を行い、指定の変更の要否について答申を得るものとされております。

 1ページに戻りまして、これら、チキジウム臭化物、ジクロフェナクナトリウムの2成分につきましては、昨年の平成241128日に開催された安全対策調査会で検討されましたので、その整理結果とパブリックコメントの結果を御報告し、御審議をお願いするものです。

 各成分について御説明いたします。資料1-1「チキジウム臭化物のリスク区分について」を御用意ください。まず、胃腸鎮痛鎮けい薬のチキジウム臭化物についてです。資料1-1にチキジウム臭化物の製造販売後調査報告書、添付文書をお示ししております。安全対策調査会におきましては、「これらの医薬品では、心臓疾患、前立腺肥大、緑内障の方には、注意して使用する必要があるが、添付文書で注意喚起が行われている。ブチルスコポラミンと同様に第2類医薬品とすることが適当である。」との御意見を頂きまして、第2類医薬品が適当とされました。その後、その結果を受けて1か月間、パブリックコメントを行っております。パブリックコメントの結果につきましては、参考資料1「リスク区分変更に係るパブリックコメントに寄せられた御意見」を御覧下さい。チキジウム臭化物につきましては、引き続き第1類医薬品とすることが適当である旨の御意見が、1件寄せられております。

 続きまして、ジクロフェナクナトリウムについてです。薬効群は、鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬(パップ剤を含む)です。資料1-2「ジクロフェナクナトリウムのリスク区分について」に、ジクロフェナクナトリウムの製造販売後調査報告書と添付文書をお示ししております。

 安全対策調査会で「ジクロフェナクナトリウムは、接触皮膚炎を引き起こす薬剤として知られているが、その頻度はインドメタシンやピロキシカムと同程度と考えられる。インドメタシンやピロキシカムと同様に、第2類医薬品とすることが適当である」との御意見を頂きまして、第2類医薬品とすることが適当とされ、1か月間のパブリックコメントを行いましたが、ジクロフェナクナトリウムに関連したパブリックコメントはございませんでした。以上です。御審議の程よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 ただ今の事務局からの御説明に対しまして、御意見、御質問がございましたらお願いいたします。

○生出委員 日本薬剤師会の生出でございます。参考資料1を御覧いただきたいと思います。チキジウム臭化物の区分変更についてパブリックコメントを出させていただきました。重篤な副作用報告は上がってはおりませんが、抗コリン作用による眼圧変動との関連性も否定できないので、薬剤師によるコメントで示唆されているように、緑内障、前立腺肥大患者への投与は絶対に避けなければなりません。

 また昨今、医療用の方等で言われているのは、認知症患者では、抗コリン作用によりBPSDに影響を及ぼす恐れも示唆されており、注意が必要であるということも言われておりますので、これらを踏まえますと、患者、生活者の方々の病歴等を聴取して情報提供を行う第1類医薬品のままでとどめておくべきではないかと感じております。

○五十嵐部会長 ほかにいかがでしょうか。同じ成分の薬に関しては、既に第2類医薬品になっているのですが、それでも、あえてこれを第2類医薬品にするべきではないと、生出委員はお考えですか。資料1-1の「参考」の箇所にございますが。ほかにはよろしいですか。反対意見は1人いらっしゃいますが、同調される方はいらっしゃいませんか。

 そうすると、専門の部会では、第1類医薬品から第2類医薬品に変更すると御提案いただいているのですが、それでよろしいでしょうか。これに関しましては、林委員、三宅委員は、議決への参加を御遠慮いただきますが、その他の委員の先生方、第2類医薬品に変更するということで、よろしいですか。生出委員以外はよろしいとのことですので、異議なしとさせていただきます。ありがとうございました。

 次に、ジクロフェナクナトリウムについてです。これも第1類医薬品から第2類医薬品にするという御提案です。これについてはいかがでしょうか。こちらにつきましては、日野委員、三宅委員におかれましては、議決への参加は御遠慮いただきますが、御異議はございませんでしょうか。

これについても異議なしとさせていただきます。ありがとうございました。ただ今、御審議いただきましたチキジウム臭化物、ジクロフェナクナトリウムのリスク区分について、今後の予定の御説明を事務局からお願いいたします。

○事務局 御審議ありがとうございます。御審議いただきました結果、チキジウム臭化物及びジクロフェナクナトリウムにつきまして、第2類医薬品に変更するということで、これらの変更に係る告示の改正を進めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

○五十嵐部会長 続きまして、報告事項議題2です。事務局より資料の御説明をお願いいたします。

○事務局 恐縮でございますが、議題5の「その他」の()「小麦加水分解物を含有する医薬部外品・化粧品の使用者に発生した全身性アレルギーに係る報告」に関しまして、藤田保健衛生大学の松永先生に参考人として御出席いただいておりますので、先に議題5、()を御報告させていただければと思います。

○五十嵐部会長 皆様、よろしいでしょうか。御異論がないようですので、議題5の()を先に行います。事務局から、資料の御説明をお願いいたします。

○事務局 資料5-1です。小麦を加水分解した成分を含有した石鹸の使用者において、小麦含有食品を摂取後に運動した際、全身性のアレルギーを発症した事例が報告されたことを受け、平成2210月以降、小麦加水分解物を含有する部外品・化粧品について、小麦アレルギーに関する注意喚起、副作用報告の徹底、さらに、製品の自主回収及び使用者に対する注意喚起等の安全対策を実施してきております。このような経緯につきましては、前回の部会においても御報告いたしました。

 副作用報告の集積状況については、前回同様、資料の2ページ、別紙1でお示ししております。また、3ページの別紙2におきましては、「茶のしずく石鹸」以外の小麦加水分解物を含有する部外品、又は化粧品の使用者に発生したアレルギーについてお示ししております。前回報告以降、新しい報告はございませんでした。

 なお、今回の集計におきまして、症例の追加情報を踏まえて、評価・集計をやり直しましたので、前回部会報告より、症例数の増減がございますが、これらは報告された情報の範囲で因果関係などを評価して、まとめたものでございます。

 この石鹸を使用して、全身性アレルギーを発症した症例についての詳細調査を、厚生労働科学研究におきまして、医薬部外品・化粧品に含有される成分の安全性確保に関する研究として、藤田保健衛生大学皮膚科学の松永先生に実施していただいておりますので、本日は、現時点までの結果を御報告いただくことにしたいと思います。それでは松永先生、よろしくお願いいたします。

○松永参考人 藤田保健衛生大学の松永です。「化粧品に含まれた加水分解コムギによる経皮感作コムギアレルギー」について報告いたします。

 これが「旧茶のしずく石鹸」というものなのですが、お茶の色をしていて、とても泡立ちがよく、もちもちした感じで、美白効果があると口コミがあり、女性が丁寧に顔を洗っていました。2010年9月26日まで、グルパール19Sが入っておりましたが、ここからもっと分子量の小さなプロモイスというものに変え、その後201012月7日に加水分解シルク液になり、その後は加水分解物が含まれないものが、現在は販売されております。

 ここで、「水解小麦末」と記載されているものが、グルパール19Sという加水分解コムギでした。当該石鹸は、グリチルリチン酸カリウムが入っておりますので、抗炎症効果があるということで、薬用石鹸として販売されていたものです。

 さて、この加水分解コムギ末は、香粧品原料として従来から汎用されていたのですが、近年、その一種であるグルパール19Sを含有した石鹸を使用した人に、小麦製品を食べるとアナフィラキシーが起こるという患者が多発いたしまして、社会問題になっています。

 このコムギ摂取で全身性のアレルギー症状を発症した約半数の症例では、呼吸困難以上の、アナフィラキシー症状を起こしておりまして、生命の危機に脅かされた重症例でございました。

 軽度の症状では、小麦を食べた後に、最初の症状としての特徴的な症状として眼瞼浮腫が起こり、従来の男の子、あるいは男性によく起こる、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーというものとは、目の所が腫れるという点で違っておりましたが、症状としては非常に似通っておりました。これまでに、グルパール19S以外の加水分解コムギ末で、このような大規模な有害事例が起こった報告はございませんでした。

 そこで日本アレルギー学会は、「化粧品中のタンパク加水分解物の安全性に関する特別委員会」を2011年7月4日に作りました。私が委員長に指名されまして、そのほか、ここにお示しします委員の先生方と、これまで活動してまいりました。

 委員会の到達目標ですが、加水分解タンパク含有化粧品は小麦に限らない、そういう化粧品が本当に障害例があるのかということも大きな目的で、委員会にこの名前が付きました。

 2番目として、茶のしずく石鹸の障害実態の把握。3番目は、それに含まれたグルパール19Sの感作抗原性の分析と、これがどこまで交叉反応性を持っているのか。そして、このような多くの重篤な症例が出ましたが、その患者たちを診療する対策が立てられる施設の情報、あるいはこの疾患についての広報をすることを、委員会の目的にいたしました。

 そして、このような事例を受けて、医薬部外品・化粧品の中で、再度障害例が出るということをいかに防ぐのか、さらに情報を収集し、対策を立てるシステムの構築を作るということです。最終的には多くの人は治っているのですが、中には治りにくい患者さんもいらっしゃいます。この抗原解析を進めて、最終的には患者さんの治療方法を開発することを目的にいたしました。

 旧茶のしずく石鹸等に含まれた加水分解コムギによるアレルギーの診断基準ですが、一つ目は、石鹸を使ったことがある。そして二つ目は、臨床症状があること。石鹸で顔を洗ったときに顔がかゆい、蕁麻疹が出るまたは、小麦を含む食品を食べたときに目が腫れたり、鼻水が出たり、息が苦しい、あるいは悪心、嘔吐、下痢、血圧低下のような、全身性の小麦アレルギーがある。以上のどちらかの臨床症状がある。そして三つ目は、特異IgE抗体を証明することができる。それはプリックテストが、一番感度が高いのですが、ドットブロット、ELISA、ウエスタンブロットなどの免疫学的な方法で、これを証明することができる。もう一つは、特定の機関ですが、非常に特異度が良いのですが、好塩基球の活性化試験が陽性である。このいずれかがあれば良いということで、1、2、3の全てを満たすものを確実例といたしました。また、グルパール19Sの0.1%の溶液でプリックテストが陰性の症例は、その時点で否定できるという基準も作りました。以上のような検査をしていないけれど、1、2の症状があるものを疑い例といたしました。

 さて、最初の予想は、15002000ほどの症例があるのではないかと推測いたしました。このような症例を把握するのに、ウェブサイトで登録システムを作りました。このような、先生が記入していく症例登録票、あと問診票をダウンロードしていただき、患者さんに記入してもらい、医師がウェブサイト上で問診票を入力できるシステムを作りまして、集計いたしました。2月20日の集計結果を、お手元に記しております。

 まとめますと、2月20日時点で、このような診断基準の確実例は1808例でした。女性が圧倒的に多く96%、男性4%、1歳の男児~93歳の女性までの幅広い年齢ですが、多くは20代~60代の女性でした。

 細かい数字はお手元にございます。折線グラフが、人口動態統計による男の人、女の人の年齢分布と、棒グラフが患者の分布をお示ししております。

 そして、都道府県別の茶のしずくの石鹸の出荷数をメーカーから聞きまして、それがグリーンのバックにあります。それに比較した各都道府県の患者の登録数をお示ししております。トップが福岡県の会社で作っているのですが、最多で237、次が北海道で116、東京都で108、大阪府で105です。このような分布から見ると、まだ登録できていない都道府県もあると思います。

 この症例登録に御協力いただいた施設は、244施設です。このようなプリックテストができ、即時型のアレルギーを診療できるという非常に良いネットワークが構築できました。

 症例の報告数の推移です。昨年の8月をピークに症例登録数は減っております。3月20日の時点で、1830例になっておりますが、それはウェブサイトの箇所でお示しいたします。

 さて、患者さんたちは石鹸の使用をやめています。そうすると、小麦に対するIgE抗体、グルテンに対するIgE抗体は、きれいに減少していきます。グルパール19Sに対して、ELISA法という抗体検査を無償で行っておりますが、大体5.1か月で抗体価は半減しております。

 患者さんたちのその後の経過を知るために、また、発症時の状態を知るために、問診票の結果をまとめております。使用状況では、高い石鹸ですので、ほとんどの人は顔に使用していて、3割ほどの方が、体と顔に使っております。

 症状ですが、洗顔中あるいは小麦を食べたあと、両方にアレルギーの症状の出る人が70%です。洗顔後の症状はないが、小麦のアレルギーが出る人が30%です。顔を洗っただけのときに症状のある人は1%に過ぎません。つまり、アレルギーになったときに、最初に出る症状は全身症状です。ひどくなった後に、初めて顔にかゆみが出てくることが分かります。

 洗顔中若しくは洗顔後の症状ですが、症状がないという方もいらっしゃいます。私はこの事実を知り、非常に危ないと思いました。化粧品にかぶれるということが分かるためには、化粧品を使ったとき、最初にかゆくなるということが多いので、気が付いてやめることができるのですが、このように、何ともないけれども全身症状が出るということが、この疾患の診断を早期にできなかったことの原因であると思います。しかも、顔に症状があれば化粧品をやめないといけませんが、「諦めないで、きれいになるから」という宣伝もあり、なかなかやめられなかったということが実情です。

 そして、小麦を食べた後、ショック症状を起こした人が25%、呼吸困難・下痢が27%、軽い症状の人は35%となっております。

 さて、アレルギー疾患の背景ですが、このような、40歳代~60歳代の女性に、アレルギー性鼻炎は人口の40%ほどはあると言われております。特異的にアトピーが多いとも言えませんでした。このような人が、今どうなっているのか、昨年の1211日現在の話をいたします。207例から経過が分かりました。9割は小麦を食べています。症状が出る人、出ない人があるのですが、その中で、最初のこの棒グラフは、1が症状の軽い人、4が重くて、ショックになった人たちです。どのようなレベルのアレルギーの人も、これは小麦を食べていない人たちの推移を表していて、小麦を食べられるようになっています。

 まとめますと、石鹸の使用を中止することにより、特異IgE抗体価が減少してきていて、石鹸の使用中止後、小麦の摂取が再開できる例も報告されております。

 さて、私たちはこのような事例を受けて、化粧品中に含まれた、ほかの加水分解物が同じような食物のアレルギーを起こす可能性はないのか非常に懸念されるところですので、現在、特別の緊急疫学調査という厚生労働省の科研費を頂きまして、検討しております。

 そして、課題1です。グルパール19S以外の小麦アレルギーという感作したものはないのか。これは、今、疑わしい症例が34例登録されていて、これから詳細を詰めるところです。ここでは30例となっておりますが、今日もう一度確認したところ、34例ということが分かりました。

 課題2です。小麦以外のタンパク質の入ったもので、食物アレルギーが疑われる人はいないのか。これは23例、うちの症例も入れて33例、この中で確実にはコチニール、加水分解コラーゲン、豆乳、あるいは加水分解卵白が入っている化粧品もございまして、卵アレルギーになった患者もいらっしゃいました。そういうことで、私たちの委員会は、最終的には加水分解蛋白含有化粧品の障害実態を把握して、どのように厚生労働省としては対策を立てていくことが必要なのかの検討のために、研究をしております。

 また、抗原解析や患者さん側の遺伝子多型についても、今後詰めていきたいと考えております。以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。御質問はございますか。よろしいですか。大変興味深い結果で、大変勉強になりました。松永先生、どうもありがとうございました。

 次の議題です。事務局から報告事項議題2の御説明をお願いいたします。

○事務局 報告事項議題2、資料2-1「医薬品等の使用上の注意の改訂について」御説明いたします。昨年1119日に開催された前回の医薬品等安全対策部会以降に、改訂の通知を発出したものの一覧です。平成2412月4日に10件、平成25年1月8日に9件、2月19日に5件の改訂を行いました。

 これらの使用上の注意の改訂につきましては、本部会の先生方に事前に御確認を頂いたものです。また、これらの改訂はPMDAメディナビで配信するとともに、PMDAの情報提供ホームページと、医薬品医療機器等安全性情報にも掲載しておりますので、詳細な御説明は省略させていただきますが、このうち1件について御紹介いたします。

 資料2-1の5ページ、12-111を御覧ください。抗HIV薬の使用上の注意の改訂です。「重要な基本的注意」の項の免疫再構築症候群に関する記載を、「本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず、無症候性日和見感染症等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること」等と改め、注意喚起いたしました。以上です。

○事務局 続きまして、資料2-2「ワクチンの安全性に関する評価について」御説明いたします。本年3月11日に開催された安全対策調査会において、子宮頸がん等3ワクチン、不活化ポリオワクチン、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチンの安全性について、御評価を頂きました。

 まず、1「子宮頸がん予防、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンの副反応報告状況」です。昨年9月1日~12月末までの副反応報告について御議論いただきました。この期間の副反応報告は、子宮頸がん予防ワクチンのサーバリックスは、医療機関から28名、うち重篤は3名、製造販売業者からは30名が報告されております。同じく子宮頸がん予防ワクチンのガーダシルでは、医療機関から49名、うち重篤は2名、製造販売業者からは23名が報告されています。Hibワクチンにつきましては、医療機関からは52名、うち重篤は15名、製造販売業者からは19名が報告されております。

 小児用肺炎球菌ワクチンは、医療機関からは66名、うち重篤は12名、製造販売業者からは22名が報告されております。これらの副反応の報告頻度は、これまでの報告状況と比べて大きな変化はございませんでした。

 注目する副反応としては、子宮頸がん予防ワクチンについては、接種後に失神するという報告がございますが、これまでと比べて報告頻度に大きな変化はなく、引き続き注視していくこととしております。また、Hibワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの同時接種、又は単独接種後の死亡7症例を報告いたしましたが、このうち評価が行われた5名につきましては、ワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないとされております。

 2「不活化ポリオワクチンの副反応報告状況」についてです。昨年10月~12月までの期間の副反応報告は、単味製剤イモバックスでは、医療機関から42名、うち重篤6名、製造販売業者からは11名でした。また、昨年11月より接種が開始された混合不活化ポリオワクチンでは、医療機関から4名、うち重篤2名、製造販売業者からは1名でした。

 3「インフルエンザワクチンの副反応報告状況」についてです。今シーズンの12月までの出荷数量は5151万回分で、副反応報告は医療機関から261名、うち重篤47名、製造販売業者からは67名で、右側にお示ししている前シーズンと比べて減少しています。また、死亡症例は医療機関から4名、企業から6名の合計10名が報告されておりますが、このうち評価が行われた7名につきましては、ワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないとされております。

 4「日本脳炎ワクチンの副反応報告状況」についてです。昨年11月~本年1月までの期間、医療機関からは41名、うち重篤は11名、製造販売業者からは8名でした。本報告状況については以上です。

○事務局 続いて、資料2-3「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理手順の見直しについて」、御説明いたします。サリドマイド製剤及びレナリドミド製剤については、催奇形性を有することから、厳密な管理を担保するため、それぞれサリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)及びレブラミド適正管理手順(RevMate)が作成され、関係者に遵守が求められております。これらTERMS及びRevMateにつきましては、2.の「安全対策調査会における見直しの経緯」にございますとおり、昨年3月9日と、1128日の安全対策調査会において、胎児へのばく露防止及び患者アクセスの確保の両立の観点から、見直しの検討が行われまして、その後、本年3月11日の安全対策調査会で、両製剤の製造販売業者から提出された改訂案を基に、改訂について審議が行われました。

 審議の結果、両手順について、妊娠可能性のない女性患者の定義の見直しや残薬の確認方法の合理化などについて、改訂が了承されました。

 2ページ以降は、今回の改訂内容を医療機関へ周知し、注意喚起するための各自治体あての通知の文書を添付しております。

 3ページの「記」以下の部分に、今回の改訂の主な変更点について記載しております。以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの御説明に対しまして、御意見、御質問はございますか。特に無いようですので、報告事項議題3に進みます。事務局から資料の御説明をお願いいたします。

○事務局 報告事項議題3、資料3-1「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等の報告について」御説明いたします。平成24年8月1日~平成241130日までの4か月間に受け付けた、副作用報告等に関する状況を御報告するものです。報告事項は大きく分けて二つです。一つ目として、1.にお示しする「製造販売業者等からの医薬品等の副作用・感染症等報告」、二つ目として、2.にお示しする「医薬関係者からの医薬品の副作用・感染症報告」でございます。

 1.()は製造販売業者からの国内症例の報告状況ですが、医療用医薬品については1万5125件、一般用医薬品について61件、合わせて1万5186件の報告を受け付けております。また表の右側、感染症報告は、医療用医薬品について52件の報告を受け付けております。前回の部会に御報告しました、その前の4か月間の副作用報告は1万5534件、感染症報告は40件でしたので、あまり変化がございません。1.()は外国症例の報告状況です。この4か月間で副作用報告は9万8229件、感染症報告は20件ございました。なお、その前の4か月間の報告は、副作用報告が8万1234件、感染症報告が7件であり、あまり変化はございません。1.()は外国での新たな措置の報告状況です。この4か月間で441件の報告を受け付けております。その前の4か月間の報告数は352件であり、あまり変化はございません。1.()は研究報告の報告状況です。この4か月間で427件の報告を受け付けています。その前の4か月間の報告数は335件でしたので大きな変化はございません。2.は医薬関係者からの御報告です。この4か月間に1515件の報告を受け付けています。その前の4か月間の報告数は1396件であり大きな変化はございません。

 資料3-23-6は、副作用報告、感染症報告、外国措置報告、研究報告の概要資料です。資料3-2「国内副作用報告の状況」を御覧ください。この4か月間に報告された医療用医薬品の国内の副作用報告について、医薬品別、副作用名別の件数を整理したものです。薬効分類別で並べておりますが、薬効分類については参考資料3-2「薬効分類表」を御参照ください。表の見方に幾つか注意事項がございますので御注意ください。

 1)として、これらの副作用報告は、医薬品との因果関係が不明なものを含め製造販売業者等から報告されたものであり、個々に医薬品との関連性を評価したものではございません。2)として、副作用報告の件数については、平成24年8月1日~平成241130日までに報告されたものですが、同一症例に複数の被疑薬が存在し、同じ症例が複数の企業から報告された場合は重複してカウントしておりますので、ここで報告された件数がそのまま症例数にはなりません。3)として、副作用報告の件数ですが、本報告期間中に報告されたものであっても、本報告期間中に追加情報により因果関係が否定された場合や重篤性が変更となり報告対象外となった場合には、報告件数から除外しております。4)として、報告件数は、副作用名別の件数をお示ししたものであり、1症例で複数の副作用を発現する場合がございますので、報告件数を合計した数が報告症例数になる訳ではございません。以上です。

 資料3-3「国内副作用報告の状況」を御覧ください。一般用医薬品の国内の副作用報告です。一番左のカラムに薬効群の名前をお示ししております。資料3-4「国内感染症報告の状況」です。多くが輸血用血液製剤に関連する感染症の報告です。資料3-5「外国における新たな措置の報告状況」です。資料3-6「研究報告の報告状況」です。副作用等の報告状況については以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの御説明に対しまして、御意見、御質問はございますか。それでは次の報告事項議題4に進みたいと思います。事務局より資料の御説明をお願いいたします。

○事務局 報告事項議題4、資料4-1「感染症定期報告感染症別文献一覧表」及び4-2「感染症定期報告の報告状況」に基づきまして、医薬品の感染症定期報告について御報告いたします。今回は、昨年8月~11月末までに報告された感染症定期報告を取りまとめておりますが、合計で404件の報告がございました。資料は二つで、資料4-2が感染症定期報告の報告ごとの整理調査結果ですが、医薬品原材料ごととなっており、感染症単位でまとまっておらず、同一文献が何度も出てくること、また前回まで部会に御報告済みのものもございますので、それらを新規の文献について感染症ごとに整理したものが資料4-1です。

 資料4-1には、昨年8月~11月末までに報告された新規の文献及び報道記事等、102件をまとめております。今回、比較的多かった感染症は、インフルエンザが14件で最も多く、次いでウイルス感染が13件、細菌感染が6件などの報告がございました。今回も事前に渡邉先生、石井先生、新見先生に御確認いただき、直ちに安全対策措置を講ずるものはなかったということです。また石井先生より、ウシ胎児血清のウイルス感染につきましてコメントを頂けると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○石井委員 資料4-1の9ページ、59番ですが、これは市販のウシの胎児血清(FBS)から検出された非定型ウシペスチウイルスに関する報告です。これは地理的に異なる起源の市販のFBSが、新興のウシペスチウイルスに汚染されていたという報告です。FBSというのは、トロンビン製剤やワクチンを含めた生物学的な製剤の製造に使用されております。ウイルス不活性化あるいは除去工程が製造工程にありますが、製造原料に入り込む危険性を示唆しており、今後、注意が必要と考えられます。ヒトへの病原性については、今のところ明らかではないようです。ワクチンの品質管理などでは迷入ウイルスの否定試験を行っているということですが、参考レベルで注意をする必要があると考えております。以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの御説明に対して御意見、御質問がございますか。特にないようでしたら資料5-1は終わりましたので、事務局より資料5-2の御説明をお願いいたします。

○事務局 報告事項議題5、資料5-2「ゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用報告の報告例数及び死亡例数」について、御報告いたします。資料5-2を御覧ください。ゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用の報告の件数につきましては、これまでも安全対策部会や安全対策調査会の機会に、定期的に御報告させていただいているところですが、今回は平成2412月末までの状況について、アストラゼネカ株式会社よりデータが提供されましたので、御報告させていただきます。

 資料の1~4ページまでが、平成2412月末までのゲフィチニブ服用後の急性肺障害・間質性肺炎等に係る副作用の報告例数及び死亡例数の推移を、月ごとにお示ししているものです。1ページがグラフで、2~4ページがそれぞれを数値にまとめた表となっております。報告例数につきましては4ページの下を御覧いただければと思いますが、累積で総数が2350例で、これは前回報告の9月末時点の集計から23例増えています。また、そのうち死亡例数につきましては862例で、こちらは9月末時点の集計から5例増えております。5ページは、ゲフィチニブに係る新規処方患者数及び継続投与患者数等について、四半期ごとに整理した表です。新規処方患者の数が大体17002000人程度、継続投与の患者数につきましては大体80008500人程度で、特段の大きな変化はなく推移しているところです。以上です。

○事務局 続きまして、資料5-3「市販直後安全性情報収集事業結果について」御報告させていただきます。本事業に関しては、新たに承認された医薬品のうち、新規性の高いものや国内外において使用経験が少ないものなどに関して、特に市販直後の安全確保が必要と判断されるものに関して、原則として6か月間、その医薬品の使用状況や副作用の発現状況、また臨床現場への製造販売業者による安全性情報の提供状況などの情報を、毎月、医療機関より提供していただき、必要な対応を図ることを目的とした事業になっております。

 資料5-3の関係ですが、今般、事業が終了した「テラビック」と「エビリファイ」について御報告させていただきます。まずテラビックですが、製造販売業者は田辺三菱製薬株式会社、効能・効果はセログループ1のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善で、()として血中HCV RNA量が高値の未治療患者、()がインターフェロン製剤の単独療法、又はリバビリンとの併用療法で無効又は再燃となった患者です。

 調査に御協力いだいた医療機関に関しては、JA北海道厚生農業協同組合連合会帯広厚生病院、独立行政法人国立病院機構大阪医療センター、社会医療法人財団互恵会大船中央病院、国家公務員共済組合連合会新小倉病院、山口大学医学部附属病院の5医療機関でした。これらの医療機関における、この医薬品の使用状況や副作用の発生状況、また製造販売業者による安全性情報の収集・提供状況などについて、平成231128日の販売開始以降、各医療機関での採用期間から6か月間、毎月1回、医療機関から御報告をいただきました。

 使用状況に関しては、全ての医療機関で採用されまして、約110名の患者さんに使用されました。副作用などの発現状況に関しては、調査実施中に重篤な副作用としては皮疹や腎機能障害、倦怠感といったものが認められ、また非重篤な副作用としては貧血や下痢・嘔気といったものが認められましたが、いずれの症状も適切な対応を実施するとともに、製造販売業者又は厚生労働省の方に副作用情報の提供を行っていただいた旨の御報告がございました。

 また製造販売業者の活動状況に関しては、医療機関への訪問頻度や副作用の発現状況に関する情報提供に一定の評価がありましたが、腎機能障害に関する適正使用のお知らせの配布に関しては、情報の収集・提供や対応の迅速性に関して、御指摘があったところです。そのため調査期間終了後、製造販売業者へ情報提供の体制、その活動等について聞取りを行いました。その結果、1、本剤の安全性情報の収集・提供などのために特別に担当者を設置していたこと。2、安全性情報の評価や対応に関して、外部専門家を活用していたこと。3、Webを活用した迅速な情報提供、4、併用する薬剤の製造販売業者との協力体制の構築といった取組みを行っているとの話でした。また製造販売業者より、引き続き適正使用を推進するため、継続的な資材の作成・配布を行っており、今後も注意喚起を実施していく旨の見解が示されました。

 資料の3ページですが、エビリファイに関して御報告させていただきます。製造販売業者は大塚製薬株式会社です。今回、調査の対象となったのは効能・効果の下線を引いている双極性障害における躁病の改善です。調査に御協力いただいた医療機関は、独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター、財団法人愛成会弘前愛成会病院、山口県立こころの医療センター、昭和大学附属烏山病院、松阪厚生病院、長野赤十字病院の6医療機関です。これらの医療機関における当該医薬品の使用状況や副作用の発生状況、また製造販売業者による安全性情報の収集・提供状況などについて、平成24年1月18日の効能追加承認日以降、6か月間、毎月1回御報告いただきました。

 使用状況に関しては、全ての医療機関で採用され、約500名の患者さんに使用されました。副作用などの発現状況に関しては、調査実施期間中、重篤な副作用として嚥下障害による誤嚥性肺炎が認められ、また非重篤な副作用としては錐体外路症状が認められましたが、いずれの症例も適切な対応を実施した旨の御報告がございました。

 また、製造販売業者の活動状況については、安全性情報などの提供が適切に行われていた旨の報告がございましたが、薬剤部への副作用情報の提供などに関して、より充実した説明が望ましい旨の御指摘もございました。調査期間終了後、製造販売業者へ情報提供の体制、その活動等について聞取りを行ったところ、医師及び薬剤師への市販直後調査への積極的な協力依頼の実施、海外の安全性情報の迅速な共有、検討を行う体制の構築といった取組みを実施していたとのことでした。引き続き、こちらに関しても製造販売業者より適正使用を推進するため、継続的に資材の作成・配布を行い、今後も注意喚起を実施していく旨の見解が示されました。以上です。

○事務局 続きまして、資料5-4「医薬品リスク管理計画の導入に伴うGVP・GPSP省令の改正等について」御報告いたします。開発段階から製造販売後に至るまで、一貫して医薬品のリスクを適切に管理するため、それまでに得られた知見から、安全性上の検討課題である「安全性検討事項」を明らかにし、必要な情報を収集するための使用成績調査等の試験調査の計画である「医薬品安全性監視計画」とともに、適正使用のための資材の作成・配布など、リスクを最小化するための方策の計画である「リスク最小化計画」を含めた、「医薬品リスク管理計画」(RMP)の策定を制度として導入するため、平成24年4月に関連の通知を発出いたしました。本制度は、平成25年4月1日以降に製造販売承認申請される新医薬品及びバイオ後続品について適用することとしております。本件につきましては、昨年の本部会で御報告したところです。

 このたび、RMPの策定及び実施の確実な履行の確保を図るため、製造販売業者に課せられている市販後の安全管理、及び市販後調査等の実施に関する基準を定めている「医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令」及び「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」の改正を行い、平成25年3月に公布しましたので御報告いたします。

 本省令改正では、RMPの策定・実施を、製造販売業者の許可要件である基準の下で行うこととする、製造販売後の安全管理と試験・調査のそれぞれの実施責任者が相互に密接な連携を図る、といった事項を新たに規定いたしました。資料5-4の裏側にある図は、改正後のGVP・GPSP省令の関係をお示ししたものです。本省令は平成2610月1日から施行することとしております。

 資料5-4の表に戻っていただきまして、一番下ですが、さらにRMPは、医薬品医療機器総合機構のホームページにおいて公表することとしております。これにより医薬品の安全対策について医療関係者の皆様に一層の理解を得て、適正使用の推進と試験・調査の円滑な実施に資することを期待しており、平成25年3月に公表に当たっての取扱いについて通知を発出いたしました。以上です。

○事務局 続きまして、資料5-5「ワクチン接種と乳幼児の突然死に関する疫学調査」について御説明いたします。乳幼児期においてはワクチン接種の機会が多く、また原因不明の突然死が起こる時期と接種時期が重なる恐れがあるため、接種後に死亡した場合には、ワクチンとの関連が疑われることになります。専門家による個別の検証で、ワクチン接種との直接的な因果関係はこれまで否定されていますが、国内では疫学的にそれを検証したデータがないのが現状です。小さなお子さんを持つ保護者の方々のワクチン接種に対する不安を解消して、国民の皆さんがワクチンを安心して接種できるように、平成24年度から厚生労働省では国立感染症研究所に依頼し、国内の疫学データを集めることとした次第です。

 この疫学調査のデザインですが、ケースコントロール・スタディとして行われるものです。全国の協力いただける医療機関にお願いし、原因不明の乳幼児の突然死に遭遇した場合に、別途、厚生労働省の研究班で作成したSIDS診断のための問診・チェックリスト(平成24年度版)を、診断に用いることについて普及がされておりますので、これを用いて、その写しを御報告いただくことでワクチン接種歴の情報を収集し、国立感染症研究所感染症情報センターにおいて解析を行います。同時に、それぞれの突然死の症例と性別、年齢若しくは月例が同一である乳幼児の対照例2例の収集もお願いし、これらを1組として症例の収集をお願いして、突然死の症例群と対照例群とでワクチンの接種歴、その他の乳幼児の突然死に関連すると考えられている項目に差がないかを検証いたします。

 この疫学調査の実施計画につきましては、国立感染症研究所の研究倫理審査委員会の承認を受けて、昨年12月から調査が開始されております。本年1月31日には有識者から成る評価検討会の第1回会合を開催し、現在のプロトコールで調査を進めることを御確認いただいたところです。

 乳幼児突然死症候群と診断されるケースは、年間150件程度と非常に少ないことから、この疫学調査は2年~3年がかりになる予定です。可能な限り多くの症例を収集する必要があり、日本小児科学会、日本小児救急医学会の御協力も得まして、3月の時点で、およそ全国の600を超える医療機関から御協力をいただける旨の返事をいただいております。また、一部の施設から既に症例情報の報告が始まっているところです。引き続き、この調査を積極的に進めていくことにしたいと考えております。

 続きまして、資料5-6「再生医療製品患者登録システム整備事業」について御説明いたします。再生医療によって、これまで治療法のなかった多くの患者さんを救えるようになるという期待が一段と高まっております。その一方で、世界最先端の医療として再生医療の実用化を進めていくに当たっては、同製品の安全対策に万全を期す必要がございます。このため、再生医療製品の特性を踏まえた承認審査や市販後対策の在り方について、薬事法改正に向けた検討に加えて、安全対策のための体制整備というものが重要となります。この事業では、再生医療製品の市販後情報収集体制はどうあるべきか、など、国内外の実態を調査し、その結果を検討材料として最終的に再生医療製品の使用患者全例について中央登録システムを構築することを目指しているものです。

 このシステムにつきましては、イメージ図がございます。再生医療製品の市販後調査を含む市販後安全対策の一環として、医療機関における再生医療製品の市販後使用症例に関する情報を収集し、データベース化して、当該製品の市販後長期の安全性及び有効性の把握などに利用されることを想定しています。今年の1月16日に、日本再生医療学会などの有識者から成る検討会の第1回会合を開催し、患者登録システムの在り方の検討を始めるとともに、企画競争によって調査事業者を選定し実態調査も開始したところです。

 3枚目に今後のスケジュールがございますが、今後はその調査結果も踏まえ、平成25年度をかけて登録システムの在り方について議論を重ね、平成26年度からはシステムの設計に入る計画です。この再生医療製品の中央患者登録システムにつきましては、国内外で前例がございませんので、そのシステムの構築に関する全てのステークホルダーにとって有益なシステムとなるように、しっかりと検討していきたいと考えております。以上です。

○事務局 続きまして、資料5-7「小児と薬情報収集ネットワーク事業について」御報告いたします。小児に用いられる医薬品は承認段階での情報が少なく、医療現場では、小児用量が設定されていない医薬品の投与量を減らすなどして使用されているという実態がございます。また、今後、新薬などの開発、供給が更に進むことが予想されますが、小児に対しても安全に医薬品等を投与できる環境を整えることが重要です。そこで、このような問題に対処するため、平成24年度より小児と薬情報収集ネットワーク事業を開始いたしました。本事業では、独立行政法人国立成育医療研究センターに「小児と薬情報センター」を設置し、全国の小児医療機関などから成る小児医療機関ネットワークを活用して、副作用情報や投与量情報などを収集・解析・評価する体制の整備を図ることで、小児用医薬品の安全対策の更なる向上を目指すことを目的としており、医薬品の投与量や投与方法、副作用・副反応の発生状況等に関する情報を収集し、評価・分析するためのデータベース構築することを目標としております。

 資料5-7の裏面にある図が、システムの構築イメージ図になっております。今後、小児医療機関ネットワークを活用したデータベースの構築とともに、副作用情報などを収集・分析・評価する体制の整備を進めていきたいと考えております。以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今事務局から7つほど御説明がございましたが、御意見、御質問、ございませんでしょうか。それでは、ないようでしたら議題5につきまして、終了といたします。本日、予定していた議題は以上ですが、事務局からほかに何かございますか。

○事務局 特にございません。

○五十嵐部会長 ありがとうございます。では、これで本日の部会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。  


(了)

備考
 本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 安全対策課 課長補佐 黒羽(内線2752)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録(2013年3月22日)

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