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2013年11月14日 第52回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成25年11月14日(木) 12:28~15:31


○場所

グランドアーク半蔵門「華」


○出席者

山崎、井上、内田、大西、勝田、河原、久保田(代理:酒向参考人)、
黒岩(代理:小島参考人)、 小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、齊藤(正)、鷲見、高杉、
土居、内藤、林、平川、藤原、布施、本間、桝田、山本、結城 の各委員
(岩村、岡 の各委員は欠席)

○議題

1.費用負担の公平化について
2.予防給付の見直しと地域支援事業の充実について

○議事

○吉田企画官 定刻より前ではございますが、委員の皆様、お集まりでございますので、始めたいと思います。ただいまから第52回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、カメラ撮影の方々はこれで御退出ください。

(カメラ退出)

○吉田企画官 それでは、以降の議事進行を部会長にお願いいたします。

○山崎部会長 まず、議事に入ります前に委員の出席状況を確認いたします。

 本日は、岩村部会長代理、岡委員、久保田委員、黒岩委員が御欠席です。

 久保田委員の代理として酒向参考人、黒岩委員の代理として小島参考人が御出席でございます。お認めいただければと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山崎部会長 はい。

 それでは、議事に入ります。

 本日は、2巡目の議論の2回目ということで、「費用負担の公平化」について、そして、前回に引き続き「予防給付の見直しと地域支援事業の充実」について、議論します。

 まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。

○榎本介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 まず、資料1「費用負担の公平化について」ということで御説明申し上げます。9月25日に、費用負担の公平化の関係につきましては、一度御議論いただいたところですが、その際に御意見と宿題をいただいておりますので、その関係をまず用意してございます。

 2ページですが、要介護高齢者のいる世帯の消費支出ということで、介護者のいる世帯について、消費支出がむしろ高いのではないかという御指摘をいただいていたところですけれども、要介護者のいる夫婦高齢者世帯の消費支出につきましては、夫婦高齢者世帯全体の消費支出と比較すると、逆に低いというデータがあるところです。

 また、2人以上世帯全体と要介護高齢者のいる2人以上世帯の消費支出を比較してみますと、要介護者のいる2人以上世帯の消費支出というのは、確かに要介護者のいない2人以上世帯の消費支出と比較しますと高い状況です。ただ、図の下に平均世帯人員をそれぞれの区分ごとに入れておりますけれども、世帯人員の数が違うことには留意する必要があるとところです。

 それから、3ページですが、世帯主の年齢階層ごとで消費支出を比較してみたらどうだろうかという御指摘を頂戴しておりました。各年齢階層別に2人以上世帯の消費支出の状況をグラフでお示ししているところです。これを見ますと、40代から50代に向けて高くなって、それからまた低くなるという傾向にあります。高い世代のところでは、教育費、その他の消費支出が多いという状況です。

 また、世帯主が高齢になりますと保健医療費は増加してまいりますけれども、全体的に消費支出は少なくなっているという傾向があります。

 それから、4ページです。これは、大都会と地方とで消費支出の状況に違いがあるのではないかということがございましたので、比較しているものです。これをご覧いただきますと、所得階層ごとに、全国、大都市、中都市、小都市A、小都市B・町村という区分で比較しておりますが、大都市が突出して高いという状況では必ずしもないのではないかと思われます。

 それから、5ページから8ページにかけまして、要介護度別、そして所得階級別の居宅サービスの利用状況のデータをおつけしてございます。これは、所得が高いと、高いサービスを基本的に使うのではないか。何かそういう研究データがないかという御指摘があったものです。これについては、実は社会保障制度改革国民会議の方でも同じような議論がございまして、その際に国民会議に提出された資料をおつけしておりますが、結果から申し上げますと、在宅において介護を要する方の中で、高所得の方が居宅サービスを多く利用しているかどうかという点については、必ずしも顕著な傾向が見られるということではないのではないかということです。

 それから、飛びまして9ページです。一定以上所得者につきまして、まず御議論いただいたところですけれども、これは前回ご覧いただいた資料ですが、それに生活保護基準の金額、154万円というものをつけ加えたものです。後の並びにつきましては、前回ご覧いただいたものと同じです。

 今後、この一定所得者の基準をどういうふうに引いていくかということで御議論をいただいていたところですけれども、10ページに、これまで各委員からいただいた御意見を簡単に整理させていただいております。事務局案につきましては、青で塗ったところ、○1被保険者全体の上位20%、○2課税層の上位50%ということで御提案申し上げておりましたが、それを挟んで、より幅広いレンジでは、住民税課税層とすべき、それからモデル年金が一つの指標になるのではないかという御意見。一方でさらに狭い範囲で考えていきますと、第6段階以上という御意見。それから、医療保険制度の現役並み所得がよいのではないかといった御意見を頂戴しております。

 本日はこういった点について、さらに先生方の御議論を頂戴したいと思っておりますが、その際の留意点として、上の四角の中に御議論いただく際のポイントと考えられるものを整理させていただいております。

 1つは、実際に応分の負担ができると考えられるのかどうか。それから、世代内の公平の観点から理解が得られるのかどうか。それから、今後の保険財政の負担、そして若い世代の負担を増やさないようにする方向につながるのかどうか。そして、基準としてわかりやすいものになっているのかどうか。こういった観点から御検討いただいたらどうだろうかということです。

 その際に、留意点として2点ほど挙げております。1つは、要介護状態となったときには、確かに長期化するリスクがある。これは、前回も御指摘があったところですけれども、一方で、認定率は、全体としては医療に比べればそう高くないということがございます。それから、負担割合が1割から2割となりますと、実際の負担も2倍と受けとめられる向きもあるのですけれども、一方で、高額介護サービス費や高額医療・介護合算制度というものがあり、それによって負担増の歯どめがあることも留意していただきながら御議論いただければ幸いと思っております。

 そして、11ページは参考ですけれども、これまで事務局案1で被保険者の上位2割ということでご提案申し上げてきておりますが、実際にサービスを利用する段階になってまいりますと、実はサービス利用者全体の2割になるということでは必ずしもなくて、例えば在宅ですと、在宅利用者の中で所得階層の高い方の割合は、被保険者全体の割合に対して比較的減ってくるということがあります。これは、特養とか老健施設についても同様の傾向が見られるところですので、実際に影響を受ける方というのは、在宅であれば約15%、特養で約5%、老健で約12%ではないか。非常に粗い試算ですけれども、そういったことを推計しているものです。

 それから、12ページです。個人単位か世帯単位かということで比較をしております。実は、私ども、一定以上所得者を捉える際には、個人単位で、御本人の合計所得金額が基準を超えるかどうかということで判定したらどうかということで考えていたところですけれども、一方で関係者の御意見をいろいろ伺っておりますと、世帯の中で2割に該当する方が、例えば旦那さんが2割に該当するということでおられれば、奥様御本人については1割ということで判定されるけれども、世帯として捉えて、奥様も2割にしたらどうだろうかといった御意見が出てきたりしているところです。このあたり、どのように捉えて考えていくべきか、先生方の御意見を頂戴できればと考えているものです。

 それから、13ページですが、これは市町村の実務の話ですけれども、各保険者では定率負担の負担割合について、事業者としてこのサービス利用者が1割なのか2割なのかということを明確に判別できるようにする必要がありますので、毎年、夏の時期に1割なのか2割なのかということを、前年の所得をベースに判別する事務を行う必要があるということです。事務負担をできるだけ省力化するために、私どもとしてはこれをシステムで判定できるような形でやっていきたいと考えております。なお、負担証を発行する際には、現にサービスを利用している方のみに対して発行すればよいと考えておりまして、被保険者全体に対して、これを発行する必要まではないと考えております。

 それから、14ページです。一定以上所得者の議論を考える際に、今まで私どもとしては1号被保険者の高齢者の方の収入をベースにモデルを設定して考えてきたところですが、実際にサービスを利用しておられる方の中には、40歳から64歳に該当する2号被保険者の方も十二万人ほどおられます。そういった中で、この2号被保険者についても一定以上所得をどういうふうに整理していくべきかということを御議論いただければと思っております。

 その際には、今回の見直しは、高齢者の世代内での負担の公平化を図るものであること。そして、2号被保険者の世代というのは、抱える家族が高齢者よりも多く、また子どもの学費等を負担して、高齢者に比べて消費支出が高いという傾向があるのではないか。また、御本人が就労していた場合には離職せざるを得ないということで、収入が低下することも考えられるといったことを踏まえて、どのように考えていくべきか、この辺も先生方の御議論をお願いしたいと思っております。

 ページが飛びまして17ページですが、今回、一定以上所得者の議論の中では、高額介護サービス費の限度額につきましては、基本的には据え置くということで前回、申し上げてきておりました。ただ、その中でも特に所得の高い方については4万4,400円に引き上げるということで、医療保険の現役並み所得に相当するような方については、この4万4,400円としたらどうだろうかということを御提案申し上げております。

 これを具体的にどのように判定するかということで、18ページに基本的な考え方を整理いたしております。医療保険では課税所得145万円以上の方が世帯の中におられれば、同一世帯内の方も当たることにするというのが基本的な考え方です。ただ、課税所得145万円でも、収入額がそれほど高くないケースもありますので、収入の合計額が世帯内で520万円を下回る場合には、もとの1割に戻すという整理にしたらどうかと考えております。

 なお、介護保険の場合は対象者を捉える区分が医療保険と若干違ってまいりますので、ここでは同一世帯内の1号被保険者についてそれを見るということで整理したらどうかということで御提案いたしております。

 以上が一定以上所得者の関係でして、次に21ページからです。補足給付に当たっての資産勘案ということですが、対象とする預貯金につきましては、基本的には預貯金、有価証券を、活用と確認が容易なものということで対象としてはどうだろうかと考えております。また、負債につきましては、申告していただいた上で相殺するという整理でどうかと考えております。また、生命保険などがある場合については、事故に対する保障を目的とする資産というのは対象としないという整理でどうかと考えております。

22ページですが、預貯金につきましては、現在、網羅的に公的な機関が把握できる仕組みが実はないという状況でありまして、今後番号制度が施行されても、現在のところまだ名寄せが予定されていないという中で、今後の検討が期待されるところです。そうしますと、預貯金等の勘案については、正確に把握すべきだということを強くおっしゃる方もおられるのですが、もしそれを前提条件といたしますと、当面、この預貯金の把握ということについては実施の目途が立たないということになります。

 この点につきまして、事務局としては、確かに自己申告とした場合の公平性への批判もありますが、何も手立てを講じないままに格差を存置して不公平を増大させるよりも、今ここでできるだけ可能な手段を使って、格差の大きい世代内の費用負担の公平化を図ることがより望ましいのではないかということで、御提案しております。

 なお、実際の確認方法につきましては、補足給付は基本的に御本人の申請でやっておりますので、その申請書の上に、場合によっては金融機関の調査が入るということ。そして、不正受給に対しては加算金があるということをあらかじめはっきりと明記し、金融機関への調査に対する同意もいただいた上で、御本人から自己申告いただくというやり方で、できるだけ適正に申告していただくようにしたらどうだろうかということで考えております。

23ページには、そういった金融機関の調査に対する根拠規定ということで、介護保険法の203条の抜粋を載せております。

 また、24ページでは、これまでそういった預貯金の把握について、全くやったことがなかったかというと、実はそうではなくて、社会福祉法人等による負担軽減の取り組みの中で、一部やってきているものがあるということをお示ししております。

 なお、25ページでは、これは実務的な話でございますけれども、金融機関の照会などの対応について整理させていただいております。

 それから、26ページから不動産勘案の関係です。前回は農地や山林といった御提案もあったところですが、幾つか調べてみますと、基本的に取引の件数が少ない、また全般的に価格もそう高くはないということがありますので、まずは宅地を対象として整理したらどうだろうかと考えております。

 それから、27ページから30ページにかけまして、幾つかの都道府県での取引の実態を調べたものを載せております。これをご覧いただきますと、都市部において資産価値、不動産価値が高いものが多いということが伺われるところです。

32ページですけれども、今後、不動産担保貸付とセットで一定額超の不動産を有する方は補足給付の対象外とすることで御提案しておりましたが、市町村の実務からいたしますと、こういった不動産担保貸付を直接実施するのは、恐らくなかなか難しいのではないか。担当ベースからもそういうお話を伺っているところです。そういった状況を踏まえまして、できるだけ外部に委託できるようにするという方向で、これまで整理を進めておりまして、また、私どものほうでも、自治体なり公的あるいは民間の金融機関の方々といろいろ御相談申し上げてきたところです。

 そういった中で、現段階では、32ページにありますような事業化に向けての幾つかの課題を指摘いただいているところです。課題自体については、それぞれ着実に検討を進めていきたいと思っておりますが、現段階で具体的に委託先が確保できる状況ではないということですので、事業化に向けては、さらにスキームの詳細なり費用対効果を引き続き検討することが必要だという状況に至っております。

 私どもとしては、こういった御指摘を踏まえながら、33ページにありますような事業化に向けての検討課題をさらに整理して、引き続き検討することで取り組んだらどうだろうかと考えているところです。

 それから、34ページでは、補足給付の資産勘案の中の一環として、非課税年金であります遺族年金、障害年金につきまして、これを第2段階、第3段階の年金の収入額を判定するに当たって、収入としてカウントしてはどうだろうかということを御提案申し上げております。これにつきましては、遺族年金、障害年金、年金としての性格がそれぞれ異なるものがございますので、こういったものを踏まえまして、どのように考えていくべきか、先生方の御議論をお願いしたいと思っているところです。

 以上が費用負担の公平化の関係です。38ページに飛びますが、前回、こういった費用負担の公平化の提案の中で、財政影響がどれぐらいになるのか、それを示してほしいという御意見をいただいております。それを踏まえて整理いたしましたものでございまして、利用者負担の見直しにつきましては、案1で申しますと、給付費ベースで年間750億円の節減が出る。そして、補足給付の見直しということでございますと、給付費ベースで700億円の減少を推計しているものです。

 非常に駆け足でございますが、私の説明は以上です。

○朝川振興課長 引き続きまして、資料2を御説明させていただきます。「予防給付の見直しと地域支援事業の充実について」です。

 1ページ目ですけれども、前回、御提案させていただいているものから、少し見直しを入れさせていただいております。まず、その趣旨と概要についてです。

 趣旨は、1つ目の○にありますとおり、予防給付の見直しにつきましては、何よりも実施主体である市町村による円滑な事業実施が重要でございますので、この部会などの場におきまして、保険者から幾つか意見をいただいてきております。

 主なものとしては、受け皿を十分整備するには時間がかかるということ。2つ目は、事業費の総額に上限を設けることについて、それを超えた場合の取扱いがどうなるのかといった点。3つ目は、市町村に全てを任せるのではなく、市町村が効率化に向けた取組を行いやすくなるような制度設計とすべきなどの御意見でございます。このため、これまで御提案申し上げてきた案につきまして、基本的な考え方は維持しながらも、一定の見直しを行わせていただいたらどうかということです。

 その概要でございますが、1つ目の○にありますとおり、前回の制度改正で導入されております介護予防・日常生活支援総合事業を発展的に見直す形にして、これを新しい総合事業として、すべての市町村で平成29年4月までに実施いただく。

 2つ目は、多様な主体による柔軟な取組により、効果的かつ効率的にサービスの提供をできるよう、予防給付のうちの訪問介護と通所介護、この2つについては、平成29年度末までに事業にすべて移行。

 3つ目の○で、その他のサービス、訪問看護から始まります、いろいろなサービス、福祉用具なども入りますが、そういったものは引き続き予防給付によるサービス利用を継続する。

 4つ目の○は、総合事業の実施によりまして、既存の介護事業者を活用しながら、住民主体のサービスの拡充等を推進し、効率的に事業を実施していく。その際、今、設定されております総合事業の事業費の上限につきましては、給付から事業に移行する分を賄えるように見直しをしていく。

 最後は、総合事業実施に向けて基盤整備を推進するということです。

 以下、変わったところを中心に御説明させていただきます。

 2ページ目は、上半分のところは、今、御説明したとおり、予防給付から事業に移行するということを書いてございます。

 下半分は、この予防給付の見直しとともに、一体的に実施する地域支援事業の充実がございます。これも、既にこの部会で御説明させていただいておりますが、ここに4つ書いてございますとおり、在宅医療・介護連携、初期集中支援チームを初めとする認知症施策の強化、地域ケア会議、生活支援・介護予防の充実。そういったものを、地域支援事業を充実していくという形で、予防給付の見直しと一体的に行わせていただきたいと考えております。

 さらに1ページおめくりいただいて、3ページ目は、新しい総合事業について、図の形でお示ししているものでございます。図を見ていただきますと、左側に要支援者、右側に今で言う2次予防対象者、介護予防・生活支援サービス事業対象者、緑のところでございますが、この2つに分かれてございますが、いずれの方も市町村・地域包括支援センターがケアマネジメントを実施してサービスを利用いただく。違うところは、要支援者に該当する方については認定を受けていただいて、右側の緑のところの該当者は、認定をあえて受けていただかなくて、チェックリストで判断していく。

 要支援者につきましては、一番左に介護予防給付と総合事業と、青いところに書いてございますが、訪問看護以下のサービスが残ります、介護予防給付、新しく給付から事業に移行する訪問介護・通所介護などが包含されます介護予防・生活支援サービス事業と、あと、一番下にあります、それ以外の予防事業ですね。一般介護予防事業と、ここでは書いてございますが、この3つを組み合わせながらサービスを御利用いただくという形になります。

 給付のサービスを利用する必要がないと判断される場合には、チェックリストの緑側のほうの流れに乗っていただいて、ケアマネジメントを実施した後は、介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業の2つを組み合わせながらサービスを御利用いただく。

 さらに、右に灰色で書いてございます一般の高齢者につきましては、一般介護予防事業を引き続き御利用いただく。

 これらを総合して、新しい総合事業という形にしていこうという提案内容でございます。

 4ページ目は、サービスの種類ごとにどう変わる、変わらないということを整理したものでございまして、左側に現在の予防給付のサービスメニューが書いてございますが、下のほうの訪問看護より下のサービスメニューにつきましては、従来どおり要介護認定を受けた上で、予防給付でサービスを受けていただく。

 変わりますところは、上の訪問介護と通所介護につきまして、右に矢印が伸びておりますが、総合事業に移行していただく。移行して、多様なサービスの形を生み出していく類型にしていきたいということでございます。その中で、訪問型サービス、通所型サービス、それ以外の生活支援サービスという内容で、介護予防・生活支援サービス事業を構成するというものでございます。

 1ページおめくりいただいて、5ページ目は前回と同様の資料ですので、6ページ目でございます。現在の介護予防事業につきましては、これまでのこの部会でも一次予防事業と二次予防事業を区別せずにということで見直しを提案してきているところでございます。それを、今回の総合事業の見直しに則した形で整理し直しているものでございます。

 内容については大きく変わっているものではございませんが、左側の下のほうにあります通所型介護予防事業、訪問型介護予防事業は、一般的に運動・口腔・栄養と言われているような事業でございますが、これについては、右下のほうに矢印が伸びてございますとおり、先ほど3ページで見ていただいた枠でいきますと、介護予防・生活支援サービス事業の中に入れていって、その中で対象者を限定した上で引き続き実施していくという枠組みでございます。

 それ以外のものを一次予防、二次予防を区別せずに、ということで、右上から対象者の把握。これは、いろいろな地域の活動の場などもを含めて、多様なルートから何らかの支援を要する人を把握し、その1個下の普及啓発事業や地域介護予防活動支援事業のほうにつなげていく。さらに、新しく地域リハビリテーション活動支援事業ということで、3つの要素にバランスよく働きかけるために、地域においてリハ職を活かした自立支援の取り組みを推進するという内容に見直したらどうかというものでございます。

 7ページ目、8ページ目は、今、図で見ていただきましたものを文字に落としているものでございます。基本的に説明が重複しますので、省略していきますが、大きい1番、概要のところは、この総合事業総体について書いているところです。構成要素としては2つありまして、介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業の2つからなる総合事業という位置づけでございます。予防給付の訪問介護、通所介護はすべて事業に移行していくということが2)にありまして、3)は一般介護予防事業の説明でございます。

 大きい2番は、このうちの介護予防・生活支援サービス事業の概要でございます。これも、今まで提示してきている内容とほぼ同様でございますが、特に3)対象者につきましては、要支援認定を受けた要支援者と、今で言う二次予防対象者に相当します介護予防・生活支援サービス事業対象者でございます。

 利用手続きにつきましては、要支援者については認定を受けていただいて、ケアマネジメント、さらにサービス利用。※にありますとおり、介護予防・生活支援サービス事業のみを利用する方は、基本チェックリストを受けていただいて、ケアマネジメント、サービス利用という流れになります。

 事業費の単価のところは、総合事業に移行する訪問型・通所型サービスのところにつきまして、市町村による単価設定を可能とするということでございます。

 利用料につきましても同様でございます。

 8)限度額管理につきましては、利用者個人の限度額管理は引き続き実施するという形で、今後は給付と事業を併用されるケースが出てまいりますので、その場合は給付と事業の総額で管理するという形にしたらどうかを検討していこうということでございます。

 9)も前回の資料にありますが、介護保険法に基づく大臣の指針を策定し、市町村の事業の実施を支援していくということでございます。

 3番は、一般予防事業の概要でございます。

 1枚おめくりいただいて、9ページ。これも前回までにほぼ同様の図をお示ししております。予防給付から総合事業に移行していくスケジュールのイメージでございますが、変更点は、移行するサービスが訪問介護と通所介護という形にしましたので、その2つのサービスについて、このような図にのっとって、平成29年度末までに全て移行していただく。そのための経過措置期間として、27年度、28年度を置くということでございます。

 あと、矢印の中に文字が書いてございますが、留意事項として、既にサービスを受けている方については、事業移行後も必要に応じて既存サービス相当のサービスを利用可能とするということと。

 もう一つ、下のほうに書いてございますが、事業に移行した後、新しくサービスを受ける方につきましては、多様なサービスの利用を促進しながら、必要に応じて既存サービス相当のサービスを利用可能とすると書かせていただいています。

10ページ目は、先ほど国がガイドラインを提示するということを申し上げました。それを少し詳し目に書いたものでございまして、1つ目の○は、市町村の事業の円滑な実施を推進するということで、法に基づく指針を策定する。

 2つ目の○は、その中身として、市町村がさまざま創意工夫をしていただくための参考になりますような先進的な例でありますとか、事業で対応する際の留意点といったものを少し小さい字で書いてございますが、主にこのようなイメージのものをガイドラインの中に記載していく。

 3つ目の○は、いろいろな創意工夫をして効率的な取り組みが進んでいく中で、総費用額の伸びを低減させていくことも目標にすることをこのガイドラインの中に記載したらどうかということ。

 4つ目の○は、今でも市町村は介護保険事業計画を3年サイクルでつくっていただいておりますが、その中で要支援者のサービスの提供の在り方、その費用について明記し、その結果を3年ごとに検証する。そういうことを改めて介護保険法に法定化し、各市町村が計画期間中の取組や費用等の結果について検証して、次の計画期間につなげていくという枠組みを構築したらどうかというものでございます。

11ページ目、12ページ目は前回どおりでございまして、13ページ目、総合事業の事業費の上限についてでございます。今の総合事業は、地域支援事業の枠組みの中で、原則上限2%と規定されています。大臣協議で3%まで引き上げることも可能になっています。

 それを、見直し後の姿としましては、この総合事業の上限について、現行制度も踏まえながらですが、予防給付から訪問介護と通所介護が事業に移行してくるので、それが賄えるように設定する。具体的には、当該市町村の予防給付から移行します訪問介護・通所介護の費用と予防事業の費用、その合計額を基本にして当該市町村の後期高齢者の伸びなどを勘案して設定した額とする方向で検討したらどうかということです。

 さらに、一番下の○にありますとおり、仮に市町村の事業費が上限を超えるような場合につきましては、制度施行後の費用の状況等を見極める必要がありますので、個別に判断する仕組みを検討したらどうかということでございます。

141516は前回どおりで、17ページですけれども、費用の効率化のイメージをお示ししています。上のほうに下に向いている矢印がございますが、これは上限をイメージしているというよりも、いろいろな取り組みを推進した結果として費用の効率化が図られていくということを示しているものでございます。

 矢印の下に幾つか文字がありますけれども、総合事業にサービスを移行して、介護予防の強化をする。そのことによって、住民主体のサービスの利用が拡充したり、体操の集いなどで介護予防が強化されることによって、認定率の伸びが抑制されたり、重度化予防が推進されたりということで、一番下のところですが、結果として中長期的に費用の伸びが、効率的なサービス提供を通じ、後期高齢者の伸び程度になることを目安として努力していきましょうということをあらわしたものでございます。

18ページ目は、サービスの広がりをイメージしたものでございます。見方としましては、真ん中の少し濃く網かけをしているところが、介護保険制度による財源措置の枠組みの中で対応するもの。上と下に薄く網かけをしておりますところは、上は互助とか民間サービスということで、下のところは、既に市町村の一般会計でやっていただいているような外出支援なども、それぞれの財源で強化されていく。そういう地域づくりを進めていきましょうというイメージを示したものでございます。

 あとは、参考資料でございます。

 以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 それでは、今回の資料に関しまして、資料1、2を一体として御発言をお願いいたします。多くの委員が発言されますので、要領よく御発言いただきますよう御協力お願いします。

 早期に退出予定の委員の方からお願いします。まず、土居委員にお願いいたします。

○土居委員 途中で退席いたしますものですから、恐れ入ります。

 御説明、どうもありがとうございました。きょうのテーマであるものの3つについて、コメントさせていただきたいと思います。

 まず、一定以上所得者の利用者負担についてでありますけれども、私も前々からこの会合で申し上げておりますように、基本的には住民税の課税対象となる方の第1号被保険者に利用者負担の2割を求めるべきではないかと思いますけれども、事務局○1、その途上で上から20%の方にするということは、いい案ではないかと思います。第2号被保険者にさらなる負担を求めることが見込まれている今後のことをかんがみますと、主たる利用者である第1号被保険者の方々のしかるべき割合の方々に利用者負担をお願いしなければいけないと思います。

 特に、今回、財政影響が資料1の38ページに示されておりますけれども、この案によりますと750億円程度の金額が給付費の抑制につながるということでありますので、それなりの重要な意味を持つ金額だと思います。これぐらいの規模でないと、何のために利用者負担のお願いをするかということが、効果としてなかなかわかりにくいと思います。医療保険で言われている現役所得並みということでは、対象者は7から8%程度しかいないということですので、そうしたインパクトは得られないと思います。

 それから、補足給付についてでありますけれども、これは事務局案の資料2の20ページにあるとおりで、私はよいと思います。

 特に、預貯金についてでありますけれども、資料22ページにも書かれてありますけれども、預貯金の確認方法は、とりあえずはマイナンバーの仕組みがさらに整備されなければ不十分といえども、今のマイナンバー法案でも、社会保障の目的のためであればマイナンバーを活用してよいということでありますから、預貯金について付番がされる前でも、そのマイナンバーを用いて資産を勘案するということの制度的な準備を介護保険法で整えておいて、その後、検討が3年後に行われて預貯金について付番がなされれば、直ちにより正確な勘案が補足給付においてできることになるのではないかと思います。

 私もメンバーでかかわっております政府税制調査会のマイナンバー・ディスカッション・グループにおきましては、預貯金の付番については、マネーロンダリングを防止する観点、それから預金保険法で、既に金融機関に対しては預金口座の名寄せが義務づけられているということから、マイナンバーを活用して、そういう義務づけに対してのサポートをするということはできるのではないか。もちろん、今の法律ではまだできませんけれども、今後、法改正を行えば、それができるのではないか。ないしは、それを積極的にやるべきだという意見が多数出ているということをかんがみますと、それに備えて、介護保険の制度でもその準備をしておくことは、よいことではないかと思います。

 もう一つは所得のことでありますけれども、補足給付はまず所得要件があってのことでありますけれども、さらに所得が当然保険料の水準に影響を与えるわけですが、資料の34ページにございますように、非課税年金の勘案というのは急務だと私は思います。今、既に遺族年金については基礎年金番号で付番がされておりますから、日本年金機構などにデータの提供を要請すれば可能ではないかと思います。

 今の仕組みでは、まだそれを要請することにはなっていないので、それは勘案されないことになっておりますけれども、より公平・公正な負担をお願いするということであるならば、非課税年金の課税・非課税をどうするかという問題は、これは別の次元の問題でありますけれども、介護保険の保険料を決めるという段階で、遺族年金などを勘案するのかどうかということは真摯に受けとめつつ、今でも年金機構からデータの提供を求めればできる可能性があるということですから、第6期からでもこれを勘案するという方向で考えてはどうかと思います。

 最後に、地域支援事業の充実ということでありますけれども、資料2の7から8ページに概要が書かれてありますけれども、これは私もこの方向でよいのではないかと考えております。特に、これまでも私が申し上げたように、各地域でのニーズに則して市町村の裁量で工夫が行えるようにするという意味でも、新しい総合事業をより拡充していくということは非常に重要なポイントだろうと思います。

 特に、資料2の20ページにありますように、今回、地域支援事業に移行することにした通所介護・訪問介護は、費用ベースで見ますと60%ぐらいになっておりまして、そういう意味では、それなりのインパクトを持って移行ができるということなのだろうと思います。

 資料2の3ページに、介護予防・生活支援サービス事業対象者についてはチェックリストで判断するということで、簡素化されているということではあるのですけれども、そういうことの対応としては、私は資料13ページにありますように、事業費に上限をしっかり設けることでもって、簡素化は簡素化で行いつつも、事業費の全体の枠はきちんとはめて、過度な負担にならないようにしながら進めていくということでよろしいのではないかと思います。

 以上です。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 続きまして、大西委員にお願いします。

○大西委員 ありがとうございます。

 まず、1点目の一定所得以上の利用者負担についてでございます。これにつきましては、これからどんどん介護費用等が増大してまいりますので、それをかんがみますと、ある程度公平性の視点からも、これまでのように高齢者を一律低所得と捉えるのではなくて、所得に応じた利用者負担を導入する、見直すことはやむを得ないものと考えております。ただ、あくまで制度として安定的かつ持続可能なものとして全体の国民の負担増大を抑制するという目的でございますので、まずは基盤的な財政負担として国費負担といったものをきちんと拡充していただく。その上で利用者負担の適切な見直しを行うことが必要だと思っております。

 それと、あくまでこれは市町村の事務として行わなければなりませんので、高所得の利用者を特定する事務等が煩雑にならないような配慮は、ぜひお願いしたいと思っております。

 それから、2点目の補足給付の関係でございますが、これにつきましても、まず低所得者対策ということで、これはセーフティーネットということでございますので、国の責任において確実に財源を確保した上で、総合的かつ統一的な対策を講じていただきたいと思っております。この補足給付についての資産の勘案ということでございますが、その必要性というのは認めますけれども、現実には事務負担としてなかなか大変だということがございます。したがいまして、市町村の事務負担に配慮していただきながら、現実的な手法として確立していただきたいと思っております。マイナンバーとか、先々の話もございますけれども、その辺も見越した上で、具体的に現実的な手段として、どのような方法が適当なのかを判断していただきたいと思っております。

 それから、予防給付の見直しをして地域支援事業を充実していく、そちらの方向で新しい総合事業化を目指していくということでございます。これまで私どもが主張してきておりますように、この介護予防給付の地域支援事業への移行につきましては、それぞれの市町村によって財政力格差はもちろんございますし、それぞれ受け皿としての基盤整備の状況が大きく異なっております。そういう実情等を踏まえて検討して結論を得ていただきたいということで、ある程度の移行期間も踏まえながら考えていただきたいというお話をさせていただきました。

 今回、新たな見直し案というのが出てきておりますが、基本的には徐々に移行していく。まずは訪問介護、それから通所介護サービスから移行していくという方向性でございますので、それはそれで私はいいのではないかと思っております。ですから、今回の3年間の期間において、その移行状況を十分踏まえた上で、さらなる平成30年度から先というものをきちんと判断していただきたいと思っております。そのためには、それぞれの市町村が地域の実情に応じて安定的に事業実施ができるように、国のガイドラインも示していただけるということでございますが、ガイドライン等によりまして適切な支援、それからあわせて十分な財政措置をきちんと講じて、利用者に混乱が生じないように、準備期間、周知・広報等をきちんとやっていただきたい、十分配慮していただきたいと思っております。

 この総合事業と地域支援事業につきまして、一定の枠を設定することというのは、全体の効率化を図る上で、ある程度は仕方がないかなと思っておりますが、移行期でもございますし、この介護予防の分野をより充実すれば、全体の介護財政が効率化されるのだという考え方も必要でございますので、一定の枠を設定したとしても、個々の事例等に応じまして、弾力的な対応をぜひ図っていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 以上です。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 小林委員も途中退席されるそうですから、お願いします。

○小林委員 途中で退席いたしますので、先に発言させていただきます。

 予防給付の見直しと地域支援事業の充実についてですが、地域支援事業について、サービス内容やその利用料の設定を市町村の裁量として充実させるということは理解できます。しかし、前回の制度改正から一貫して申し上げておりますとおり、その財源については問題があると言わざるを得ません。保険料は、保険事故に対する給付に充てることが基本であり、市町村の裁量による事業であるにもかかわらず、2号被保険者の保険料が引き続き充てられ、現役世代にさらに負担を強いるのは制度設計に無理があります。2号被保険者という費用負担者としては、2号被保険者の保険料は財源から外すべきであることを改めて強く申し上げたいと思います。

 その上で、事業費の上限の設定の見直しについて、前回の部会では明確にお答えいただいておりませんが、具体的にどうキャップをはめていくのか、お示しいただきたいと思います。

 それから、資料2の13ページの最後の○に「市町村の事業費が上限を超える場合の対応」とありますが、後期高齢者の伸びをベースに予算を組み立てる場合、その予算に応じて公費と2号保険料を充てるが、それ以外は市町村の負担ということなのか、また公費に連動して2号保険料の負担が増えるということなのか、あらかじめ関係者がわかるように、負担の考え方、基準を明確にしておくべきであります。この点について明確にお答えいただきたいと思います。

 以上です。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 それでは、あらかじめ意見を提出されている方にお願いします。簡潔にそれぞれお願いしたいと思いますが、最初に内田委員、お願いします。

○内田委員 ありがとうございます。

 今回、お出しした資料の中で関係があるのは、3ページ目の5.生活支援サービスと介護予防給付の地域支援事業への移行についてというところでございます。前々から申し上げているのですけれども、市町村の格差が非常に大きくて、例えば介護事業の実地指導などにも手が回っていないといった市町村もある中で、今回のように総合事業のほうに移行していくということで、果たしてできるのかどうか。そのことで非常に地域格差が広がってしまわないか。同じ保険料を払っているのに、受けられるサービスがえらく違ってしまうということがありはしないかというのが心配されるところでございます。

 それで、実際に今度の訪問介護と通所介護のほうを受けるのが、非常に多様な事業主体ということです。ボランティアでもよくてということで、実際にボランティアの方に、仮にある程度研修を受けていただいたとしても、予防のためのサービスが何かできるのかどうかというのがありますし、それから、訪問介護のほうも、今まで予防のための生活援助ということでやっていたものが、全てを請け負いますといったことになってしまうのは、非常にまずいのではないかということがあります。それと、基本チェックリストだけでアセスメントができるのかということもあります。

 ですから、一番肝心なのは、お一人の方をずっと追っていけるような仕組みというものがつくれるかどうかというところにあるのではないか。そういう中で、ずっと御説明の中には、地域包括支援センターがそれらをなさるということになるようなのですけれども、地域包括支援センターのほうでは要支援者とか介護予防の2次予防といったことをいろいろやっていくということで、果たしてできるのかどうか。

 それから、コーディネーターという方がモデル事業ではうまく働いているけれども、それはモデル事業だから、相当な力を注いでやれているということで、組織的にコーディネーターが育成されていかないと、全然できないということにもなります。ですから、地域包括支援センターをとにかく拡充する。人数もふやすといったことと。

 あとは、今回の提案書の中にも入れさせていただいたのですけれども、生活支援というところで、例えば介護福祉士等を新たな職種ということで入れていただくといった地域包括支援センターの拡充をぜひともお願いしたいと思っております。

 それと、費用負担の公平化のほうでは、例えば単身者で280万円以上で2割負担ということなのですが、一般庶民として、280万円というのがそんなに高い収入とはとても思えないというのがあります。ですから、何のデータもなしにそんなことを申し上げるのもどうかと思いますけれども、国民の感じとしては280万円で納得できるのかというのが、まずあります。

 それから、2割負担にすることが介護サービスを使うことを抑制するということにつながって、もっと介護度を重くしてしまうといったことも心配されますので、ぜひとも御検討をいただきたいと思います。

 以上です。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、勝田委員。

○勝田委員 ありがとうございます。

 出さていただいたものの前に、現在、国会のほうで社会保障プログラム法案が審議されて、介護保険制度についても要支援者の給付の見直しとか利用者負担の見直し、補足給付の厳格化などが盛り込まれています。安倍総理は衆議院の議員の質問に、介護保険制度の見直しについて、「社会保障制度審議会介護保険部会において論議を行っているという理由で答弁できないとおっしゃっています。プログラム法案と来年の通常国会に提出される改正案と、今、私たちが審議している介護保険法の改正案との関係について整理した説明をお願いします。

 それでは、意見と質問に移ります。まず費用負担の公平化については、私たちは前々から提言も出させていただいていますが、当事者団体としては、既に介護保険料でそれぞれの収入に応じた負担を行っているので、公平化の名のもととする、今回の一定所得以上は1割から2割に上げることについては反対します。

 そして、その立場から考えると、一定以上の所得者というのは高額所得者ではありません。厚生労働省が示した平成21年度の全国消費実態調査でも、65歳以上の高齢者の収入の9割は年金収入に頼っています。

 それで、私たち家族の会としては、提言の基本的な考え方として、高福祉を応分の負担でとして、高福祉高負担か、低福祉低負担か、中福祉中負担かではなくて、高福祉応分の負担の社会保障制度であること。心にゆとりを持って安心して生活することができ、過分でも過小でもない国民の負担であることを求めています。

 そういう点では、今回出された利用者負担を1割から2割に引き上げる対象者の線引きは、余りにも低い金額となっています。そういう点では、高額介護サービス費や合算制度による負担増の歯どめは、49回資料でも要介護1、2にはほとんど該当者がありませんし、要介護4、5でも半数しか対象にならないとされています。被保険者の費用負担のリスクとか費用が倍増することで利用控えをして、結果として症状が悪化し費用負担が増大するということを懸念しています。

 そのことにかんがみて、今回の資料2ページにあります高齢者世帯の消費支出は、夫婦高齢者世帯全体の消費支出と比較して低いという説明が先ほどもありましたが、この消費支出に介護費用は含まれているのでしょうか。また、なぜ要介護者のいる高齢者夫婦の消費支出が低い、そのように理由づけされた理由をお示し下さい。

 2つ目の質問ですが、2号保険者を見直しの対象としない。確かに若い方には、子どもの学費などの問題もあります。若年の認知症の収入状況などは、確かに減収となっています。対応策としては、障害年金とか児童手当など別建ての制度の充実こそ図られるべきと考えます。同じ制度の中で、受ける方の年齢によって、1割になったり、2割になったりということ自体が複雑化させますし、事務方の複数の制度を勘案した考え方について、再度お示し下さい。

 補足給付については、本来、住民税課税は対象外として、必要に応じて戸籍の照会を行うとありますが、個人単位を原則とし、世帯全体の負担能力は勘案しないとしながらも、高額サービスとか世帯勘案も実施するという矛盾があります。利用者である高齢者にも理解できるように、個人単位と世帯単位の位置づけについて、わかりやすい説明をお願いしたい。

 また、補足給付関係については、23ページにも資産全体を金融資産を網羅できる仕組みがないとありますが、公平化という視点から、実施後に皆さんから不満とか苦情が出されるのではないかということも検討されていると思いますので、お示し下さい。

 また、25ページに、社会福祉法人等による軽減制度の説明がありますけれども、そのときの預貯金の把握方法と、また年間収入には非課税収入や仕送りなども含むとありますが、これらの把握方法についてはどのようにお考えなのか、お示しください。

 次は、予防給付のほうに入ります。これについては、私たちは利用者の受給権を得ることも含めて、第47回部会でも申し上げています。認知症の場合、特に初期のときこそ専門職がケアすることで重度化を防ぐ。これは再三申していますが、それと要支援認定者の地域支援事業への移行は、厚生労働省が推進している認知症施策5カ年計画とも相いれないと私たちは思っています。要支援認定者の地域支援事業への移行案については、再度反対を表明します。

 また、高齢者虐待の発見にはケアマネジャーやホームヘルパーなどの介護労働者が貢献していますので、例えば制度が関与しない非該当高齢者の孤立死とか孤独による高齢者犯罪、消費者トラブルなどは増加の一途です。介護保険制度が高齢期の生活を守っているという側面も十分考えられます。その点についてご意見をお示し下さい。

 地域支援事業の今回の予防給付は、訪問介護は59.5万人、デイサービスでは60.8万人。要支援者の中で最も人気の高いサービスで、この2つを合わせると89.6%にもなります。それ以外のサービスは従来どおりということですが、サービス内容によって別の扱いをすること、また限度額管理を行うとありますが、誰がどのように管理するのか、お示しいただきたい。

 質問の5番目です。私たちが一番懸念していることは、すべての市町村の受け皿が29年度末までに準備できるのかということです。136自治体ですが、地方自治体職員へのアンケートの結果もお聞きしましたが、「多様な実施主体で受け皿となる団体がない」とか、自治体以外に委託するとか、ボランティアでは実施主体とはなり得ないということを聞いています。

 私たち家族の会も、この34年間、全国で毎月、介護家族や本人が集まるつどいを行い、電話相談も行ったり、昨年来、認知症カフェにも取り組んで居場所づくりに頑張っています。しかし、それは通所介護に代ることはできません。しっかりした公的な介護サービスの支えがあるからこそ、その上でのボランティア活動なのです。多様な実施主体や受け皿団体とありますが、現在、行われている各地域の取り組みも、あくまでも補完的なボランティア活動であります。安心して介護サービスが受けられることこそ大切です。介護予防ホームヘルプサービスとかデイサービスをこの期限内にやれるのか、本当に私たちは懸念して心配しています。

 また、国によるガイドラインの提示についても、この中にサービスの提供のあり方とその費用について明記することとか、その結果を3年ごとに検証することを法定化するとありますが、この場合、誰が検証する主体となるのかもお示しいただきたい。

 また、新しい総合事業の対象者のうち、基本チェックリストだけで判断を行おうとしていますが、例えば2ページでは、移行後の事業も介護保険制度内のサービス提供であり、財源構成も変わらないとしています。もう一度わかりやすいように説明をお願いします。

 最後になりますが、認知症施策と地域包括支援センターの役割についてです。今でも地域包括支援センターは大変な中で頑張ってくださっています。この中では、2ページに初期集中支援チームや地域支援推進員を配置するとありますが、例えば地域包括支援センターの財源構成は新しい包括的支援事業になっています。13ページの総合事業の事業費の上限との関係ではどうなるのか。

 何よりも65歳以上の28%が認知症や軽度認知障害ですから、私たちは国家戦略として認知症施策5カ年計画は何としても実施していただきたいと思います。そのためには、地域支援事業の中に入れると埋没してしまうのではないか。国家戦略ですので、一般財源で財源を確保して、オレンジプランをしっかりやっていただきたい。そういう中で、今回示された地域支援事業への移行とオレンジプランの実現の整合性について、お答えいただきたいと思います。

○山崎部会長 続きまして、平川委員、お願いします。

○平川委員 ありがとうございます。平川でございます。介護保険制度の改定に関する意見というペーパーをつけさせていただいておりますので、意見として申し述べさせていただきます。

 最初に、予防給付の見直しでございます。

 前回の介護保険部会でも意見として言わせていただきましたけれども、1点目は、社会保険制度の原則にかかわる問題がなかなか解決されていないのではないかと考えているところでございます。

 新しい総合支援事業の財源構成は、公費と1号に加えまして、2号の保険料が財源とされています。社会保険の仕組みを原則的に言いますと、保険料の納付があって、その納付の権利として個人への給付が担保される状況でありますが、新しい総合支援事業につきましては、あくまで市町村の裁量で決められるということでありますので、事業に対する被保険者の権利性は低くなってしまいます。制度設計の仕組みに大きな問題が生じかねないのではないかと考えています。これは、2号の権利性をどういうふうに担保していくのかというのが大きな課題ではないかと考えております。

 また、今回、若干見直しがされましたけれども、要介護認定の問題であります。要介護認定というのは、市町村が措置的な判断のもとで認定を行って、それが同時に権利につながっていくという仕組みです。しかしながら、その整理は十分されていないのではないかと思いますし、場合によっては、認定そのものが大きく左右されるような懸念があるのではないかと考えているところです。

 3つ目の○でございますけれども、介護保険制度の財源でございます。保険料と公費で折半しているということが原則でありますし、給付が伸びれば、公費・保険料も伸びていく仕組みとなっておりますが、その仕組みがなくなるということについては、逆に財源保障の仕組みが十分でなくなってしまうのではないかという懸念を持っているところであります。

 2点目に、自治体間格差の問題です。1つ目には、運営基準や人員基準等々について柔軟に設定していくということでありますが、地域資源の有無でサービス格差が生じていくということ。

 2つ目の○として、給付に対する国費の投入が比例しない形でありますので、これまでの供給量を維持しようとすれば、自治体の負担がふえ、財源が厳しい自治体については量と質の低下ということも懸念されるのではないかと考えております。

 また、3つ目の○としまして、新しい総合支援事業の導入によりまして、ボランティアやNPO法人等を活用するとなっておりますけれども、これによって既存の介護職員の処遇低下等々を含めて、生じるのではないかということを懸念しているところであります。特に、ボランティアにつきましては、各自治体で育成を頑張っているところでありますが、実態としてはなかなか思うように進んでいかない状況でありますし、育成というのは大変重要でございますけれども、市町村にボランティアを育成していくような体制が本当に整っているのかということも指摘せざるを得ないかなと考えています。

 3点目に、サービス水準の問題でございます。1つ目の○ですが、新しい総合支援事業におきましては、介護予防給付と自治体の単独事業を一体的なものとするということでありますけれども、残念ながらボランティアなどで行っている単独事業は、率直に言って給付の単価が低いものが多いのではないかと考えています。それが結果として、給付水準の低下につながる可能性があると考えています。

 2つ目の○として、新しい事業の導入の結果、サービス水準の切り下げというのを先ほど指摘させていただきましたけれども、それが事業者の撤退につながるなどして、サービス提供体制に大きな影響を与えるのではないかと考えています。

 また、3つ目の○として、新しい総合支援事業によるサービスですけれども、これまた柔軟な運営基準によるとしておりますけれども、これについても懸念があると考えているところであります。そういった意味で、今回、新しい総合支援事業の関係につきましては、若干見直しがされておりますけれども、残念ながら、これらの指摘に対して十分にこたえていないのではないかと考えております。

 次に、地域包括支援センターの課題であります。これは、各委員の方々からも指摘されております。権限の強化、機能強化ということが言われておりますけれども、基本的に権限をどう担保していくのか、財源につきましてもどう担保していくのかというのが大きな課題だと考えております。特に予防給付のケアプランについては、大変低い単価だと言われておりますし、運営費についても、人件費等、一般会計からの持ち出しというのもございますので、ぜひとも財源の問題についても前向きな検討ということが必要ではないかと考えているところであります。

 最後に、このペーパーには書いておりませんけれども、費用負担の公平化について1点だけ考え方を述べさせていただきたいと思います。2号被保険者の取り扱いでございます。今回の事務局案の中においては、導入するに当たってさまざまな課題ということで指摘されているかと思います。2号の給付というのは、1号に比べて大きく違います。御存じのとおり特定疾病に限定されていて、ある意味制限があるということです。

 そして、実際、若年性の認知症の方の課題について言いますと、16ページに書いてありますが、収入が減収もしくは全くなくなってしまう状況でありまして、大変生活が苦しい状況に陥ってしまうという状況もあります。

 また、率直に言って、例えば若年性認知症の方に対してのサービス提供体制が本当に整っているのかという声もあります。これはデータではなかなか出ておりませんので、正確にはわかりませんけれども、若年性認知症の方が使えるサービスが本当に少ない。実態として保険外サービスを使っているという声もよく聞こえてくるところであります。そういった意味で、2号被保険者の取り扱いにつきましては、生活実態や制度の問題、そしてサービス提供体制の課題などから、1号の利用者負担と同列で議論するのは問題があるのではないかと考えているところであります。

 以上でございます。

○山崎部会長 次に、本間委員、お願いします。

○本間委員 ありがとうございます。1点だけコメントさせていただきたいと思います。

 予防給付の見直しと地域支援事業の拡充についてになります。今までの資料の中では余り触れられていなかったと思いますが、例えば要介護認定のときに、ある更新のときには要介護1、その次の更新のときは要支援2、また要介護1になるといった、行ったり来たりするという状況は決して珍しくないわけです。ただ、これは数字としてのデータが手元にありませんので、何%ぐらいかということは申し上げられません。

 そうすると、介護給付のときには事業者のケアマネ、要支援になってくると地域包括に変わったりするということがありますから、特にサービスを受ける側に認知症がある場合には混乱の1つになることも、外来の患者さんの例で経験したりしています。そのときの要介護認定の更新時によって結果ができるだけばらつかないように、より平準化というのでしょうか、そのための手立てをより積極的にまた改めて進めていただきたいと思います。

 それから、ほぼ同じような状態の例でも、複数の合議体がある地域が多いと思いますが、ある合議体では要支援2、ある合議体では要介護1、もっと幅が広いときもあります。そういうばらつきがあるということもよく知られているわけです。これもそれこそ平準化ということになると思いますが、できるだけなくす手立てというのをぜひ考えていただきたいと思います。

 以上です。

○山崎部会長 それでは、結城委員、お願いします。

○結城委員 ありがとうございます。ペーパーを用意しましたので、それに沿って発言いたします。

 まず、1点目、費用負担の公平化についてですけれども、従来から述べているように、私は医療保険制度の水準を導入すべきだと考えています。きょうは、今後の介護保険料、医療保険料がふえていく表を簡単に政府資料から持ってきました。これは、年金はほとんど上がる見込みがありませんので、段階的に目減りしていきます。ですから、現段階で、特に第6段階になりますと、今の考えでいくと1.5を掛けなければいけません。そうなると、徐々に年金が目減りしていくことを考慮して自己負担の2割というものをきちんと議論するのであれば、初めて2割自己負担を入れるのであれば、まずは医療保険制度から、そしてそれを検証しながら徐々におろすという考えが一番妥当だと政策的に思います。

 次に、特定事業所加算、これは給付費分科会で議論すべきなのかもしれませんが、いきなり2割層をふやしてしまうと、恐らく厚生労働省はいい事業所を目指そうと取り組みをしているのですが、今でも特定事業所加算は1割自己負担にはね返るので、少し敬遠するという事業所も幾つか聞いたことがございますが、2割負担の層を広げてしまうと、なおさら特定事業所加算に手を挙げない事業所がふえるのではないかということで、政策のミスマッチを私は非常に懸念しております。

 次の議論の補足給付につきましては、20ページにあるように資産要件、私は預貯金は事務局案に関しては賛成でございます。世帯の夫婦のこととか、そういうことに関しても事務局案でいいと思いますが、宅地などの資産勘案は、私は従来から申しているように反対でございます。

 また、非課税の年金の勘案につきましては、遺族年金のみを算定すべきであり、障害者年金は、私は反対でございます。これは、障害者年金の歴史をよく考えていくと、今はもう数は少ないと思いますが、障害者福祉年金とか、いくたびか年金を改正していこうと。特に無拠出年金とか、そういう歴史をきちんと議論していかないと、まだ障害者年金というのは福祉的要素があると私は考えています。ですから、単純に現金給付で年金という議論は、もうちょっと詳しくやっていかないと私は危険だと思いますので、この補足給付の非課税年金勘案は、まずは遺族年金だけで行うべきと思います。

 3つ目の今回の予防給付の見直しでございますが、これまで事務局が提案していたものは一部改定したとありますが、これまでの審議会の議論では少し唐突感が否めないと思います。ここの議論においては、少し急な改定案だったかなと思います。特に、今回の事務局案のポイントは、今まで要支援1、2の給付をとりあえず全部事業に移行するという案が基本だったと思いますが、簡単に言うと給付を一部残すという議論が今回の事務局案の再提案だと思います。この区分けについてきちんと議論をしていないので、不十分だということと、これを基本的にはヘルパーとデイで区分けしている。この案に私は反対です。なぜサービス種別で区分けしているのか、今回の事務局の説明ではいま一理解できません。

 また、3、4ページに書いてあるとおり、利用者像で区分けしているというよりも、サービス供給側のシステム、特に市町村事務に余りにも重きを置きながら今回の改定案を出したのではないか。本来であれば利用者像をきちんとやって、予防とかニーズに応じて、給付に残すもの、事業に移行するものを決める。今までのものは全部事業に移すというのが非常にわかりやすいですけれども、利用者にしてみると非常にわかりにくい制度で、介護保険がどんどん複雑化してくると私は理解いたします。

 もう一つは、各委員の先生からも出ていますが、要支援1、2のヘルパーとデイを基本チェックリストで判断する。今までは介護認定でその切り分けをしていましたが、これは逆にモラルハザードの危険性を私は懸念しております。私の理解ですけれども、簡単に言うと、今の2次予防事業にヘルパーとデイを使う人は、それに移行すると理解できなくもない。事務局のあれを見てみますと、基本的にはヘルパーとデイは認定を伴わず、基本チェックリストでやる。本当にそれでモラルハザードを防げるのかどうか、私は非常に疑問でありますし、財政的にもなかなか難しいのではないかと思います。

 なお、私の案は、従来から言っているように、給付に残す、残さないをもしやるのであれば、とりあえず要支援1、2といった利用者像で、これはきちんと今も制度はまがりなりにもそうなっているわけですから、それでやったほうが利用者への説明もわかりますし、市町村だって住民に説明するときにわかりやすいと思います。介護保険がどんどん複雑化していくのが私は非常に心配でございます。

 事務局への質問ですけれども、先ほど申した1番目、事業所加算への影響について、どうお考えかということ。

 2つ目ですけれども、今回はどうして通所と訪問のみを給付から事業化するのか、もう少し詳しく理論的に説明していただきたい。

 3つ目ですけれども、今度は要支援1、2のデイと通所だけの場合は、ケアマネジメントはどこがやるのか。今までは、要支援1、2はまがりなりにも予防・給付のケアマネジメントでやっていましたけれども、私が察するに地域包括支援センターにかなりの負担で、何でもかんでもできるのか、非常に心配でございます。今、委託していますけれども、これはどうなのかということですね。

 4つ目ですけれども、介護予防・生活支援の利用料が実質1割から2割負担になることが可能なのか。これは前回もお聞きしたのですけれども、もう一度お聞きします。

 5つ目ですけれども、これはほかの委員の先生方からも出ていましたけれども、限度額ですね。今は要介護認定で限度額が決まっていますが、今度は事業のみ、それから給付のみ、それから事業と給付のミックス、こういう限度額調整はどうなるのか。それとも、これは市町村の裁量権がある程度認められるのかどうかという点、以上5つ質問したいと思います。

 以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 それでは、ここで事務局からお答えをお願いします。

○榎本介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 勝田委員から幾つか御質問を頂戴しております。

 まず最初に、資料の2ページの関係で、要介護者のいる夫婦高齢者世帯の消費支出について、この消費支出に介護費用が含まれるのかということでございますが、介護費用につきましては消費支出の中に含まれているということです。また高齢夫婦世帯に要介護者がいる場合に、なぜ消費支出が低いのかということでございますが、数字がそういう形になっているということで、こう書かせていただいたものですけれども、中身を見ますと、教養・娯楽費あるいは交通費などが比較的小さくなっている状況です。

 それから、2号被保険者の方の関係で、対応策として障害年金、児童手当など別建ての制度の充実といった御意見をいただいております。事務方の考え方を聞くということでございますけれども、確かに2号の方で特定疾病に該当することになった方の収入確保というのは、非常に大きな課題だろうと思っております。御提案いただいている障害年金、児童手当といったものについては、それぞれしかるべき場で御議論いただくべきであろうと思っておりますが、この場におきましては、介護保険の利用者負担をどうするべきかという観点で、御議論をぜひお願いできればと思っております。

 それから、私どもが提出した資料の21ページの関係で、世帯分離のときに必要に応じ、戸籍などの照会を行うということで、これが世帯勘案ということとなり、本来、介護保険は個人単位じゃないかという御意見をいただいております。介護保険につきましては、例えば保険料の賦課徴収につきましては個人単位で判定することが基本になっておりますが、一方で、保険料とか高額介護サービスにつきまして、低所得の方について一定の配慮をするときには、その世帯の課税状況もあわせて勘案する仕組みになっているものです。

 そういう意味で、補足給付につきましては、一般的には在宅との並びということがありますので、御自身で負担するというのが原則ですが、低所得者の方に限って居住費・食費を保険で給付するという経過的な給付ですので、本来、真に負担能力の低い方に対して給付を行うべきものであると考えております。そういう意味で、現在でもこの補足給付の支給に当たりましては、世帯の課税状況を勘案しているものですので、これまでの取り扱いに沿った取り扱いなのではないかと考えております。

 なお、12ページの資料は、低所得者の判定に当たって、どういう単位で考えるか、御議論いただく際の資料ということで提出したものです。

 あと、資料の23ページに関連いたしまして、預貯金の勘案の関係で対象外と想定される方々から、どういう不満・苦情が想定されるかということでございますけれども、総論的に申し上げれば、預貯金の捕捉が完全になされていないではないかという点についての御意見が恐らくあろうかと思います。ただ、この点につきましては、資料でも御説明申し上げましたとおり、金融機関の調査とか不正なことが明らかになった場合のペナルティーといったことで、できるだけ適正に申告していただくように促すことが大事ではないかと思っております。そういう意味で、利用者の方に対しても、在宅の方にはこういった補助がないのだということを丁寧に御説明していく必要があるものと考えております。

 それから、社会福祉法人の軽減ということで、25ページに例をお示ししておりましたけれども、これの把握方法についてのお尋ねをいただいております。これにつきましては、御本人から申告いただいて預貯金の写しなど添付書類もつけていただいて、市町村で確認するというのが基本的なやり方で進めているものです。

 私からは、以上です。

○朝川振興課長 振興課長です。

 小林委員から御質問、御意見をいただいています。

 まず、予防給付の見直し後の事業のほうに2号保険料財源を入れるべきではないという再度の御意見をいただいております。私どもも再度、御理解いただきたいということでございますが、改めて整理いたしますと、今回、事業に移行します訪問介護・通所介護が訪問型サービス等になっていくわけですけれども、これは今まで給付でやってきたものを多様化していく要素がまずあるということでございます。さらに、その多様化していく中で住民主体の取り組みなどを促しながら効率化も図っていくということでございますので、そういう現行制度からの延長線上の形で今回、提案させていただいておりますので、ぜひ御理解いただければと思います。

 次に、資料の13ページの上限についてでございます。上限を超えた場合の負担のあり方ということでございますが、今回、提案しておりますのは、13ページ目、一番下のところで、仮に上限を超えるような場合、これは新しく制度を実施する話でございますので、その制度施行後の状況、どんな状況が生じるかということがありますので、その辺の状況を見きわめながら、個別に上限を超えた場合については判断していく必要があるのではないかということを提案させていただいています。

 これは、大西委員から弾力的な対応をという御意見をいただいておりますが、そういったことを踏まえて、そういう必要があると判断しております。その上で、上限の範囲内におさまれば、基本的には同じ財源構成で費用を負担するという制度の仕組みを考えているところでございます。

 次に、内田委員でございますけれども、地域格差の問題につきましては地域づくりをしていくという要素が非常に重要でございますので、地域の実情に応じていろいろな形をそれぞれの自治体中心に考えていただくということも重要だと思っています。一方で、不必要な格差が拡大するということは好ましくないということだと思いますので、そういったことはガイドラインとか、国からのいろいろな助言・支援といったことで対応していきたいと思います。

 あと、ボランティアの活用について不安であるという御意見だったと思いますけれども、これは高齢者も含めて社会参加の場を拡大し、支援を必要とする人にとっても身近なところでいろいろな活動に参加できるような場をふやしていく、あるいはひとり暮らしの方のちょっとした困りごとへもきめ細かく対応できるようにしていく。そういう地域づくりを進めていく中での、今回は御提案でございます。それは、予防給付の見直しという文脈でもそうですし、地域支援事業の充実として提案させていただいている生活支援・介護予防の充実という文脈でも、そういうことを今回、目指していきたいと考えているわけでございます。

 そういう中で、訪問型サービスあるいは通所型サービスについては、専門性のあるものからボランティアのところまで連続性があると思いますけれども、いろいろな形が想定されますので、そういう住民主体の取り組みを盛り上げていく中で、支援を必要とする人にふさわしいサービスを実現していくという考えでございますので、御理解いただければと思います。

 それと、訪問介護も予防のために今やっている。その色彩が弱まってしまうのではないかという指摘もありました。その点につきましては、10ページ目をごらんいただきますと、これから国が提示するガイドラインについては、施行に向けて内容を深めていきたいと思っていますけれども、例えば今、想定している例として、真ん中の一番下のポツで書いてございますが、訪問介護・通所介護として実施していただいているサービス。

 今、それぞれのサービスで個別サービス計画をつくっていただいて、一定の短期的な目標のもと、評価をしながらサービスを提供していく枠組みに今でもなってございますが、ここのところを、例えば、今、様式が地域によってばらばらで、ケアマネジャーさんと訪問介護事業所あるいは通所介護事業所で情報の共有がしづらいという問題もありますので、その様式を統一していくとかを考えながら、このプロセスをしっかり回せるように、予防に資するように、自立支援に資するように、そういうサービスを強化していくこともあわせて考えていく必要があるのではないかと思っています。

 あと、アセスメントがチェックリストでちゃんとできるのかという御指摘がありました。このことについては、資料の3ページ目でございますが、緑色、右側のところの対象者につきましても、チェックリストの後、包括支援センターによるケアマネジメントをしっかり入れていただきながら、サービス利用につなげていくことを考えているところでございます。

 あと、ほかの委員からも御指摘ありましたけれども、包括支援センターの体制面で、しっかり予防給付を見直した後の事務ができるかという不安をいただいております。これは、これまでも地域包括支援センターの機能の充実について幾つか提案させていただいております。基本的にはそういうことを考えながら、今後、要介護者、要支援者がふえていきますので、それに応じた職員体制の充実とか、今回、いろいろな地域包括支援センター絡みで充実するネタがございますので、そういう充実に伴う体制強化といったことはしっかりしていけるように考えていきたいと思います。

 次に、勝田委員でございますが、意見3のところで御質問のような形になっておりましたので申し上げますと、一番最後の「なお」のところです。むしろ私どもの気持ちとしては、生活支援の充実あるいは予防給付の見直しといったところを通じて、住民同士で支え合う、あるいは高齢者同士で支え合うような地域づくりの深化をしていけたらと強く思っているところでございます。そういう意味では、最後に書いていただいているようなことにも対応しやすい地域づくりができていけるのではないかと考えています。

 さらに、1個上の段落で1,647億円抑制できるという記述をしていただいていますが、我々はこういう額ありきで目標を設定して、それに当てはめていくという提案を今回、しているものではございませんので、そこのところは御理解いただければと思います。

 そして、質問の4ですけれども、訪問介護・通所介護に限る理由は後で御説明しますが、限度額を誰がどういうふうに管理するかということにつきましてです。限度額管理、基本的に要支援者のところについては、現在の予防給付の支給限度額を参考にしながら考えていくのであろうと思います。これは、事業と給付が組み合わさった場合も基本はそうではないかと思います。

 あと、ケアマネジメントにつきましては、これまでどおり地域包括支援センターを基本にしながら考えていくということです。あと、限度額管理については、市町村の事務負担の問題もございますので、国保連合会がしっかり活用できるように我々としても対応していきたいと思います。

 質問5についてですけれども、まず訪問介護・通所介護の事業への移行は、移行後も既存の介護事業所を含めてサービス提供していっていただく。その際、できる限り多様な主体というのも生み出していきながらということでございますが、既存の介護事業所も含めて対応していくということでございます。これについては、介護保険の事業計画が3年でございますので、それを踏まえながら29年度末までの移行ということを提案させていただいているところでございます。

 質問6についてでございますが、3年の検証、誰が主体なのかという点につきましては市町村ということになりますが、市町村は介護保険事業計画の3年のサイクルの中で行っていただく。そして、検証する中で次の計画に反映していっていただくということだと考えています。その際、各市町村が今でも計画の策定委員会とかを活用いただいておりますので、そういうことは引き続きと思います。なお、厚労省では別途、介護医療関連情報の見える化というものに取り組んでございまして、都道府県、市町村が、全国、都道府県、市町村、日常生活圏域別の特徴とか課題とか取り組みを客観的かつ容易に把握できるようにするためのシステムの構築を現在行っておりますので、この3年の検証の際にも参考にしていただけるような環境づくりをしていきたいと考えています。

 質問の7でございますが、地域支援事業の上限につきましては、基本的に現在は事業全体で給付の3%という形になってございますが、これにつきましては新しい総合事業のところは区分して上限管理していくということだと考えています。したがって、今で言う包括的支援事業・任意事業とは別に上限の管理はするということを考えてございます。

 あと、認知症の初期集中支援チームあるいは地域支援推進員につきまして、これはオレンジプランに基づいて政策を進めていくというものの一つでございますけれども、これについては、必要な経費を確保しながら地域包括支援センターなど適切な機関に設置・配置していく予定でございまして、上限の管理について総合事業の費用の上限管理とは別ということになると考えています。

 さらに、一般財源か介護保険かというところにつきましては、認知症施策は当然、オレンジプランに基づいて早期診断・早期対応といったことで取り組みを進めていきます。今回の対応は、専門的な初期集中支援あるいは相談体制について、恒久的な制度的位置づけを図っていきたいというものでございます。そうすると、介護保険制度の中で対応していくということだと考えています。

 一方、予防給付の見直しを通じて住民主体の体操の場の地域展開など、多様な高齢者のニーズに対応した多様なサービス提供が実現されるように、市町村が地域づくりに取り組んでいく。このように市町村が中心となった地域包括ケアの実現によって多様なサービス提供が可能になって、認知症高齢者を含めた高齢者が住みやすい地域を実現していきたいというものでございます。

 次に、平川委員からいただいております。

 1番につきましては、総論的に御意見、御質問の形になっているかと思いますけれども、保険料納付と給付ということで申し上げますと、今回、修正して御提案させていただいている案は、要支援者に対しても給付を残しながらという案になってございます。保険料納付に対応して給付が出るという仕組みでございます。なお、通所介護・訪問介護につきましては、給付という形か事業という形か、どっちのほうがサービス提供が展開しやすいかということを考えたときに、地域づくりを進めていくとともに、多様な形でのサービス提供を目指していくことを考えたときに、それは事業という形で進めさせていただいたほうがよいのではないかということで提案させていただいているものでございます。

 大きい2番と3番につきましては、今回、事業に移行した後につきましても、ケアマネジメントで専門的なサービスが必要であると判断される方々につきましては、その内容に応じたサービスをしっかり提供していく必要があると思いますので、そういうサービスについてはその内容に応じた単価設定というものがされてしかるべきだと考えております。

 最後のローマ数字2につきましては、これも先ほど申し上げました。地域包括支援センターについては、ますます重要な位置づけになってまいりますので、その機能強化というのは必要であると考えています。

 最後に、結城委員からいただいております御質問についてです。

 まず、Q1につきましては、予防給付の見直しと違う2割負担の話でございますけれども、2割負担のところは榎本課長から御説明申し上げておりますとおりの趣旨で、一定の所得以上の方については御負担いただけないかという提案でございます。一方で、訪問介護事業所の特定事業所加算というのは、質の高いサービスを提供していく必要もあるということで設けられている加算でございます。質の高いサービスの単価を高く評価するという趣旨でございますので、その点を御理解いただければと思います。

 次に、Q2、なぜ通所系と訪問系のみというところでございます。まず、唐突感があるという点につきましては、前回までお示ししている案も訪問介護と通所介護のところを多様なサービスにしていくという提案になっておりまして、訪問看護以下のところについては、基本的には今までどおりの基準で事業に移行してサービスを提供ということを申し上げていました。したがいまして、今までの案と今回の案は、その点においてはかなり近いものでございまして、唐突に提案しているという気持ちは事務方としては余りないと考えています。

 その上で、なぜ通所介護・訪問介護なのかということについて考えてみますと、これも繰り返しになりますが、住民主体の多様なサービス、地域づくりと密接にかかわるところでございます。そういうものになじみやすいサービスとして、この通所介護・訪問介護の類型があると思っております。一方で、訪問看護などを考えてみますと、これはしっかりとした基準でサービスが提供される多様な形というのがなかなか考えにくいサービスでございますので、ここについては基準が変わらないのであれば予防給付に残してということで、今回、提案させていただいているところでございます。

 モラルハザードの御指摘の点につきましては、当然、現在で言う2次予防対象者、緑のところの方々につきましては、新しい住民主体のサービスといったものを地域にふやしていくことで、そういったサービスの利用を促していくという視点が非常に重要だと考えておりますので、そういう中で、できる限りモラルハザードが生じないようなことをやっていくということだと考えています。

 Q3でございますが、今の総合事業も同じでございますけれども、総合事業利用のみのケアマネジメントにつきましては、基本的には地域包括支援センターに対応いただくということだと思っています。その際、今後、詳細は検討していく必要があると思いますが、事務的な限界という課題もありますので、居宅介護支援事業所、ケアマネジメントの事業所への委託といったことも視野に入れながら考えていく必要はあると思いますが、基本的には地域包括支援センターに対応いただく。その財源については、今の総合事業も同じような仕組みですけれども、総合事業の中で見る。少し誤解が生ずるといけませんが、予防給付と事業が組み合わさっている方については、給付の中でケアマネジメント代を出すということだと思いますが、事業のみの利用という形になった方については、ケアマネジメントについては総合事業の中で対応するということだと考えています。

 Q4でございますが、1割負担、2割負担の話でございます。ここは、多様化していくサービスということで、サービスの内容がさまざまになります。そうすると、単価もさまざまになりますし、利用料の決め方も定率で利用料を御負担いただく形ばかりではなく、実費徴収とか、いろいろな形のものが出てくるかと思いますので、そこを一義的に定め切る形にはならないと思います。その上で、今、予防給付で行っているようなサービスが移行したもの、要するに既存の事業者が提供するようなものは、基本的には介護給付のほうの利用者負担との整合性ということを考えていただきながら、市町村にお考えいただくということではないかと思っています。

 Q5でございますが、限度額管理についてです。これは、先ほどもちょっと申し上げました。予防給付のみの場合、あるいは予防給付と事業が組み合わさる場合については、基本的には今の支給限度額を基本に考えていくのだと思います。事業のみの場合については、支給限度額という形がいいのかどうかという問題はありますが、一定の限度というのが必要だと思っておりますので、それは制度施行に向けてよく考えていく必要があると考えています。

 例えば住民主体のサロンのようなものを考えますと、開いているところに行くという形で、1回ごとに費用が発生するものではありませんので、そういうものは限度額の対象にはなかなかなじみにくいというものが入ってまいりますので、そういうことを踏まえながら検討していきたいと思います。

 以上です。

○高橋総務課長 総務課長です。

 勝田委員から、いわゆるプログラム法と今回の御議論との関係を改めて説明をということでございました。プログラム法は、社会保障制度改革についての全体像と進め方を明らかにするという法案でありまして、介護保険制度については、幾つかの項目、例えば要支援者への支援の見直しとか、一定以上の所得を有する方の利用者負担の見直しとか、こういう項目が掲げられておりまして、項目について検討を加え、結果に基づいて必要な措置を講ずると規定されておる。これに基づきまして、今後、介護保険制度改革を議論していく。それが当部会で御議論いただいている内容でございます。

○迫井老人保健課長 恐縮でございます。長くなっておりますので、簡単に1点。認定制度につきまして、本間委員、平川委員から御指摘いただいております。

 本間委員のほうから、要支援と要介護を行ったり来たりするような方々について、それから合議体の違いといったことについて平準化すべきだと。御指摘のとおり、要介護認定制度については公平・公正に運用すべきということが非常に重要だと考えておりまして、私どもといたしましても、従来から要介護認定の適正化事業という取組みで、例えば審査会の場に実際に訪問いたしまして技術的な助言をするとか、認定審査員に対する研修を行う、こういった直接的な支援のほかに、間接的にさまざまな研修の教材とか研修支援といったものについても実施しておりまして、御指摘のとおり、引き続き積極的にこういった平準化の努力は続けてまいりたいと考えております。

○山崎部会長 お待たせしました。高杉委員。

○高杉委員 時間がございませんので、簡単に。

 6ページ、7ページ、8ページに出ています地域リハビリテーション事業あるいはリハ職の活躍、これから予防が大切だと。意味はよくわかるのですけれども、既に働いているリハをどのようにするか、あるいは新しい展開を求めるのか。各地を回るといろいろな質問がございます。

 もう一点、若年性認知症に対して、16ページだけで、この人たちは大変なハンディを持って、収入が変わらないというデータもあるようですけれども、これはもうちょっと注目して、これはいわゆる老人対策でやることとは別じゃないか。これは以前も申しました。

 もう一つ、認知症をオレンジプランでやるということですが、早期診断支援チームにしても医師会でいろいろなことを、サポート医とかやっていますけれども、早期診断は医療保険になるのか介護保険になるのか、ここを明確にしていただきたいと思います。

 それから、地域包括支援センター、朝川振興課長がきょういろいろとお触れになりましたけれども、この前も私は書き込みが少ないと言いました。非常に大切な機能ですから、これをきちんと報告書には書き込んでください。

○山崎部会長 内藤委員。

○内藤委員 ありがとうございます。

 資料1の38ページに制度改正の財政影響の推計というのが示されておりますけれども、この案1と案2だけではなくて、9ページに戻りますけれども、例えばモデル年金の場合あるいは医療保険の現役並み所得の場合といった推計を出していただいた上で、案1、案2だけではなくて、きちんと議論できるようにしていただければありがたいと考えております。

 また、14ページの2号被保険者の取扱いについて、案○1、案○2、案○3と示されておりますけれども、2号被保険者が要介護状態に見舞われるというのは、予期せぬ疾病あるいは障害の発生ということですから、生涯設計も不十分、備えも不十分というケースが多いような気がいたしております。そういう意味では、この案○1、案○2、案○3を見ますと、私は案○3という格好で考えていくべきではないかと思っております。

 また、17ページにあります一定以上所得者の高額介護サービスの限度額の見直しについては、医療保険の現役並み所得に相当するような見直しということでよろしいかと考えております。

20ページ、補足給付の見直しのイメージということですけれども、老健施設の補足給付の対象者は、利用者のほぼ60%に上っています。ただ、この補足給付の見直しのイメージの図を見ますと、これはどう考えても住まいの契約を想定したような資産の把握ではないか。我々のような在宅復帰を前提とした利用者にサービスを提供する施設類型にとって、この所得要件とか預貯金あるいは不動産資産などを提示しろということ自体が、我々にとっては最大の疑問でありますし、困難なのではないかと考えております。ですから、住まいの類型と我々のような中間施設の類型は、ちょっと違うのではないかということを考えていただければありがたい。

 認知症高齢者も含めて、私はこの自己申告というのは、権利擁護という観点から十分に検証しなければいけないと思いますし、介護保険法上、金融機関に問い合わせも可能だと報告されておりますけれども、我々現場にいる人間にとっては、金融機関の個人情報保護法を盾にとっての対応が非常に多いわけですから、その法的な整合性について、もう少し論議を積み立てる必要があるのではないかと考えております。

 それから、資料2の17ページの総合事業へのサービス移行の推進による費用の効率化ということですけれども、何よりも最大の課題は、予防給付による健康寿命の増進とか、介護状態を予防していくことで費用を効率化するということだろうと思います。そういう意味では、市町村による介護予防事業の構築ということが非常に大切ですし、ぜひ市町村格差を最小化するような格好での取り組みをお願いしたい。市町村を見ますと、今までの慣例にとらわれて、今、リハビリテーション職の活用とか民間事業所の活用といった視点が欠けているところがあるのではないかということを危惧しております。

 また、地域包括支援センターの業務量が大変に多くなっておりますので、予防給付等について、居宅介護支援事業所等の役割について、見直しをしていただければありがたいと思っております。

 以上です。

○山崎部会長 鷲見委員。

○鷲見委員 ありがとうございます。

 まず、今回の改正や地域における準備の不安などから、地域資源、サービスの充実に重点を置かれるかもしれませんが、利用者、サービス事業者などに改正に至った経緯と趣旨が一貫して丁寧に説明されることがとても大事になるかと思います。

例えば補足給付について、入所を検討する際には、入所に係る費用は入所の是非や入所先の決定に非常に大きな要因の一つになります。ですから、今回の改正のような複雑な流れは、市町村に問い合わせがあった時、情報の共有と提供がスムーズに行われて、遅滞なく利用者に伝えられるようにすることが必要です。

 それから、状態像に合わせた給付の重点化を実施するにあたり、予防から要介護まで的確なケアマネジメントのもとに支援を受ける側も支援をする側も、どういった目的でこの支援が提供されるかということを理解することが非常に重要だと思います。そうしませんと、効果的なサービスにはつながらないことが多いと思います。もう一度自立ということを考え、状態像の変化に気づき、利用者に一貫したケアマネジメントが行われるように、ケアマネジメントに精通した専門職が行うべきだと思います。そうすれば、支援の組みかえが行われても安心して支援が受けられると思います。またガイドラインなどには、要介護認定、チェックリストなどが有効的に活用が行われるように「使い方」をあわせて示し、後々までが継続して適切な実施ができるよう充実が望まれます。

 以上です。

○山崎部会長 齊藤正身委員。

○齊藤(正)委員 多くの委員が言われていることと同じような不安を、私も最近持ち始めています。それは、今回の議論は大きく変わることが多いので、果たしてこれをうまく説明していけるだろうか、理解してもらえるだろうかということが根底にあります。

 またかと言われるかもしれませんが、通所介護が今回かなり細分化されていくと思います。そうなると、より一層複雑で、どう選択したらいいかが非常に難しい。例えば5ページに通所介護として通所型サービスを4つに分けてありますが、機能訓練等。ミニデイサービス。ミニデイサービスの定義が私はよくわかりません。それから、運動という言葉が出てきて、最後はリハビリが出てきて、一体何がどれなのかよくわからない。リハビリと機能訓練はどう違うという意味で書いているのかもよくわからないので、きちんと整理したほうがいいのではないかということは、毎回言っていることです。

 特に、運動の機能向上がとてもいいことなのだという研究事業をもとにして今回も出てきていると思うので、その研究班の内容をよく読んでみると、機能訓練という言葉はほとんど出てこず、運動の機能向上サービスとか運動の機能向上プログラムとか、少し言い方が変わってきています。このあたりの文言を統一するか、あるいは整理していく必要があるのではないか。そうでないと、今後、通所リハの場合は予防給付が存続するわけですから、ここで言うリハビリと、さっきから出ているものがどう違うのか、またもめる。どうしたらうまくいけるかということでいくのは、少しおかしいかなというので、そこをぜひ提案させていただきたいと思います。

 それから、地域包括支援センターのことですが、体制強化をしていくということは前回のときに幾つか内容が出てきたと思いますが、例えば人員体制を強化と言ったままなので、人員体制の強化というのは人数を増やすだけではきっとないだろうと思うので、どういう職種をどう配置するのかということが具体的に出てこないと、いいよと言えない。具体案がもう少し出てきて、特に地域包括支援センターはみんな戦々恐々としていますので、そのあたりはできるだけ早く具体的に。どこの地域ではどういうふうにやっていると言っても、地域包括支援センターは委託が多いですし、個々で苦労して、基幹型のあり方、委託のあり方というのをもう少し丁寧に説明していただければというのが今回の意見です。

 以上です。

○山崎部会長 齊藤秀樹委員。

○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。

 まず、一定以上所得ラインの問題であります。前回、第49回でも申し上げたことと重なりますけれども、一定以上の所得ラインについては、入れるとすれば医療保険の現役並み所得以上とすべきと考えております。御承知のとおり、医療においては現役世代との所得バランスで考えるという考え方。しかし、一方、今回の介護の提案では、高齢者同士の所得バランスで考えるということでありますし、また、きょうの高額介護サービス費の限度額の見直しについては、これは医療保険と横並びで考えようという案であります。

 これは、一般からすると整合性がなくて非常にわかりにくい話であります。その都度物差しがあちこちから持ってこられるという印象がありますので、これはわかりやすく御理解いただく、また気持ちよく御負担いただくという意味でも、整合性をちゃんととるべきではないかと思います。

 また、年金の減額、消費増税、医療・介護保険料の引き上げ。先ほど結城委員からも御指摘がありましたとおり、可処分所得が減少するわけでありますから、納得感が得られるように、この取り扱いは慎重であってほしいと要望しておきたいと思います。

 2点目、補足給付でございます。

 預貯金に関して1,000万円。これが正確に捕捉できないとすれば、必ずと言っていいほど問題が出てくるだろうと思います。これに対してどういうふうにするのかということは、各方面から極めて関心が高い問題ではないかということを指摘しておきたいと思います。

 不動産に関しては、ここに資料がありますように、検討すべき課題が非常に多岐にわたっておりまして、見る限りにおきましては時期尚早ではないかと考えます。

 それから、遺族年金・障害年金の問題でありますけれども、これは本来、非課税扱いの是非について議論を先行させるべきではないかと思います。仮に今回、非課税のまま収入勘案するということをするのであれば、その全てを所得と捉えずに、一定程度の減額率を設けるべきではないかと思います。なお、そもそも遺族年金・障害年金を非課税議論で議論していただきたいと思いますけれども、これは意味合いが異なるものではないかと思いますし、障害年金の取り扱いは慎重であってほしいと思います。

 3点目は、予防給付と総合事業でありますが、今回、総合事業への移行は、繰り返し事務局から御説明がありますように、多様な主体の柔軟な取り組みに大変大きな期待が寄せられておりますのと、逆にこれは非常に不安だという2つの要素をはらんでいるわけであります。今回、このことに関して、給付と事業に分ける分野、とりわけそれがより可能なサービス分野に絞り込んだ点は、私は評価したいと、むしろ思います。しかし、移行期の混乱リスクは利用者にとっても非常に心配な点でありますから、そういう意味ではマイルドな提案になったのではないかと思います。

 また、実施に向けたスケジュールの中で、きょうの資料では微妙な表現にはなっておりますが、既にサービスを受けている者と、新しくサービスを受ける者とで利用可能なサービスに大きな違いを設けないという趣旨の修正案であるとすれば、これも賛同申し上げたいと思います。しかし、全体として市町村の裁量が増せば、効率的・効果的に事業が進むという保障はないわけでありますから、国のガイドラインにおいて創意工夫の好事例を紹介していくということが出ておりますが、それはそれで大事だと思います。

 しかし、一方で、例えば行き過ぎた給付抑制とかサービスの質にかかわるようなことについても注視していただいて、市町村格差や、サービスの質において問題があるという好ましくないと考えられる事例等について、その町村名を出す必要はないと思いますけれども、積極的にそれらも記載していただきながら指導に役立てる。そして、それによって全体のレベルアップを図っていくという方向であってほしいとお願いしておきたいと思います。

 以上であります。

○山崎部会長 齋藤訓子委員。

○齋藤(訓)委員 

 まず、予防給付と地域支援事業のことから意見を申し上げます。これから地域包括ケアシステムの構築というのは、地域のまちづくりに相当することになってまいりますので、市町村が中心になって、さまざまな事業体を効率よく活用しながら、高齢でも、認知症で独居でも、そこで生活を続けられるまちをどうやってつくるかということだと思っております。ですので、私どもとしては、この生活支援サービスを重層的にしていく改革の提案については賛成です。

 ただ、利用者の立場になって考えると、この転換期に今まであったサービスが本当にちゃんと受けられるのだろうかというのが一番の根底にある不安だと思うのです。不安を解消するための担保になるのが、この資料にある国が示すガイドラインなのだと理解しているのですが、そのガイドラインの中身に、サービスの質の担保等をしっかり書き込むことが重要だと思います。利用者に対してわかりやすく、納得が行く説明を必ずするということ。

 それから、今まであったサービスがないとか、利用者が不満や疑問に思うことも出てくると思いますので、それがきちんと市町村側に届くルートを整備していくということも、ガイドラインの中に盛り込んでいただきたいと思っております。

 これからさまざまな事業者が関わって、この事業をやっていくことになるのですけれども、市町村がサービス事業者に決して丸投げしないということが非常に大事だと思います。ですので、そのサービスの組み合わせ方あるいは利用方法が、本当に生活者の自立支援に資するものになっているのか、それから利用者の状態の変化を定期的にアセスメントすることについて、その責任主体が決してあいまいにならないように、もちろん実施主体は市町村だと思いますけれども、そういった質の担保については、事業者に丸投げにならないようなガイドラインの書き込み方をしていただきたいと思います。

 それから、これは1つ、事務局にお願いなのですが、資料2のペーパーの中にさまざまな事業名が出てくるのですね。地域支援事業にはこういうものがあって、その中の予防のところに今回は新たな仕掛けをしていくということだと思うのですけれども、示されたイメージ図では、そこのところの理解が私は全然できなかったので、これも一度整理していただきたいと思っております。これはお願いでございます。

 それから、費用負担のほうにつきまして、今回は2号被保険者の取り扱いのことが出ておりましたけれども、先ほど内藤委員がおっしゃっていたように、2号被保険者の取り扱いにつきましては、案○3に私は賛成したいと思います。2号被保険者の場合はやはりいろいろ特殊な事情がございます。扶養家族があれば、当然、消費支出も高くなりますし、介護が長期化していくということもあります。現段階で1号被保険者と同じ取り扱いにするという判断材料もなかなかないと思っておりますので、引き続き検討事項ということでよろしいのではないかと思っています。

 以上です。

○山崎部会長 きょうは3時15分までの予定になっておりますので、できるだけ簡潔にお願いします。

 では、小島参考人。

○小島参考人 それでは、毎度のことですが、都道府県の立場から申し上げたいと思います。今回、事務局から示された案というのは、全体的に市町村の事務量に配慮していただいた内容なのかなと思っております。また、各委員が言われているように、これから示していただく国のガイドラインというのが相当重要性を増すのではないかと思っております。

 そうした中で若干申し上げたいのは、国のガイドラインの10ページに示された3つ目の○で、総費用額の伸びを低減させることを目標とするという記載がありますと、削減ありきで進めているのかな。もともと振興課長さんが説明されているように、今後の超高齢社会を迎える前に、介護保険制度の持続可能性をここで再構築するのだと、今後の10年間でPDCAサイクルを回しながら地域包括ケアシステムを充実ならしめるのだというお話の中で出てきた話じゃないかな。

 今まで、介護予防を1次予防、2次予防、さらには予防給付といったものがなされていたわけですけれども、その区分が一般の利用者から見ればわかりにくいという点があって、それぞれを一体化してやるほうが、むしろ効果的ではないか。特に2次予防においては、市町村がハイリスクの高齢者を把握するのにきゅうきゅうとして、実際の事業実施対象者というのが1割にも満たないということは前からも御指摘申し上げているわけでございますので、今回、新たな介護予防・生活支援サービスを展開するというメニューが示されれば、4月の頭から利用者の方は新たなサービスで介護予防が実施できる。

 それが、ひいては重症化・重度化の予防にもつながるのかなと思いますので、そういった意味合いを、国のガイドラインの中で、今回の見直しというのがどういう視点で行われるのかということを、市町村、または実際に受け皿となる事業者あるいは民間ボランティア団体等の方々にわかるようなものを示していただきたいなと思っております。特に、民間ボランティアの活用というのは、今後、10年後には、後期高齢者が都市部においては1.8倍になるわけでございますので、今のままでは担い手が存在するかどうかということが疑わしいわけでございます。そうした担い手不足を解消するためにも、できるだけ幅広い人材を、社会資源を活用していくという方向性は正しいと思っております。

 そのためにも、単純に民間団体の方に丸投げするのではなくて、一定の資質を伴った状態でやったほうがいいと思いますので、特に担う事業者の方々に備えていただく資質。先ほども齊藤委員から、運動機能向上、機能訓練、言葉の定義がはっきりしていないという話がありますので、漫然と例えば体操をやればいいとか運動をすればいいという話ではないのであれば、そのコーチングをする指導者の資質というものをどういうレベルに置くべきなのかといったものも、介護予防従事者のマニュアル。これも変更されると思いますので、そういった中に明確に記載していただきたいなと思っております。

 また、新たな地域支援事業の上限設定の話の中で出てきたときに、制度が移行して最初のときはまだわからないので、状況を見て個別に判断するという中で、振興課長のほうからは、もし特別に認めるということであれば、新しい制度のもとでの財源構成で負担することになるのではないかという御発言があったかと思いますので、その点、もう一度確認したいと思います。市町村のほうの不安は、上限を超えた場合は、国保のように一般財源の投入をせざるを得なくなるのかといったことを危惧してございますので、その点の確認をしたいと思います。

 以上です。

○山崎部会長 酒向参考人。

○酒向参考人 ありがとうございます。

 まず、新しい総合事業の財源についてでございますが、事業につきましては2号被保険者の保険料は外していただきたいというのが基本的な考え方でございます。特に、6ページから8ページに示されております一般介護予防事業の点でございます。こちらにつきましては、元気高齢者も2次予防の事業対象者も分けることなく対象とする。そして、高齢者が体を動かす機会をふやす、あるいは集いの場を充実させるための事業を実施するという方向性が示されているところでございます。こうした地域づくりにかかわる事業につきましては、本来税財源で実施すべきものであり、特に2号被保険者の保険料を外していただきたいと思っております。

 8ページ目に新しい総合事業の一般介護予防事業の説明がございますが、この中に財源が明示されておりません。2号保険料を外していただく形で明記していただきたいと思っております。恐らく現状でも、全ての1号被保険者を対象とする事業について、2号被保険者の保険料が入っており、その延長上の施策であるから、引き続きお願いしたいという御主張かと思いますが、今回の見直しの中で改めていただきたいと思っております。

 資料2の13ページの総合事業の事業費の上限の部分でございます。一般論として、予算制約のない事業はないと理解しているところでございますが、この書きぶりですと、上限が上限として機能するのかどうか、またその上限をどういう考え方で設定するのかという点が明確化されておりません。こうした中で、制度改正に合意せよということでございますと、税や保険料の負担者の納得感がないのではないかと思います。

 資料1に関してでございますが、基本的に私どものほうからモデル年金が1つの線引きになるのではないかと申し上げたところでございます。これは、現役時代に平均的な収入があった方は、2割を負担するというのが当然視される状況になっていくべきではないかという考え方でございますが、当座のところ、事務局の御提案でも考え方としてはあるのではないかと思っております。

 補足給付の資産勘案につきましては、預貯金の把握が難しいということもあろうかと思いますが、しっかり手続きを踏んでいただきまして、適正な自己申告を促すような制度を導入していただきたいと考えております。

 最後ですが、2号被保険者の取り扱いにつきましては、御提示いただいた16ページにある資料だけでは生活の状況がなかなかわかりませんので、今回につきましては結論を出すことは難しいのではないかと考えております。

 以上でございます。

○山崎部会長 河原委員。この後、事務局からお答えをお願いします。どうぞ。

○河原委員 時間の関係もありますので、予防給付の見直しのところだけ触れさせていただきます。

 何人かの方から出ておりましたけれども、確認なのですが、スライド3にある基本チェックリストというのは、いわゆる介護認定の74項目の基本調査のことですか。ということのお尋ねです。

 それから、スライド7ですが、これは平川委員も触れられておりましたので重複いたしますけれども、今回、訪問介護・通所介護の単価が現状の報酬以下ということで、かなり明確になりました。これは介護に働く方たちの賃金にも極めて深く関係いたしますので、私からも発言しますが、単価設定の基準については事業者が撤退せざるを得ないように、自由裁量ですけれども、全国共通の留意点というような内容事務局のほうから指針としてを出していただけないかなと思います。

 次、スライド8の事業者のところでございますけれども、これも安定した労働の確保ということにも関係いたしますので御質問いたしますが、事業者に市町村が委託する場合、委託する方法と認定により特定するという分け方がございました。多分、委託する方法というのは1年ごとに変わっていくことを指されていて、認定、特定するというのは、事業者が数年変わらないというイメージかと思いますけれども、私は安定した労働の確保ということであれば、認定等により特定するという案のほうを支持したいと思いますが、このときの認定等により特定するという認定というのはどういうことなのか、イメージがあれば教えていただきたいということでございます。

 それから、何年かにわたって特定した事業者がずっと続けることになると、仮にすぐれた事業者がそこにあらわれた場合、参入できない、競争ができなくなるということも考えられるのですけれども、そういった関連性について、どう思われているのかということを教えていただきたいと思います。

 最後ですが、スライド10でございます。ガイドラインの下のほうに、介護保険事業計画については3年毎に検証することを新たに法定化することを検討するということが書いてございました。法定化については理解いたしますけれども、一方では、第6期介護保険事業計画から地域包括ケア計画という名称に変えるといいますか、そういうことまで位置づけていらっしゃいました。ということならば、その重要性にかんがみて、3年に1回ということではなくて、法定以外にも1年に一度ぐらいの中間的な検証までするというぐらいの踏み込んだ記載も、私はあってしかるべきではないかと思います。

 以上です。

○山崎部会長 それでは、事務局からお願いします。

○榎本介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 内藤委員から2点ございました。

 1つは、財政影響につきまして、モデル年金とか医療保険現役並みということで試算をというお話でございます。この点につきましては、今回、事務局案ではじいておりますので、引き続き、整理させていただきたいと思っております。

 もう一点、補足給付の関係で、基本的に老健施設は在宅に復帰するということを想定した施設だということで、利用者の方に資産を見せろということまではなかなか難しいのではないかというお話でございましたけれども、私ども、もともと補足給付につきましては、市町村が判定するという仕組みで考えておりますので、施設の方でそれをもって市町村の権限を代行させるようなことを想定しているということではございません。あくまでも判定事務は市町村でやることになります。

 ただ、利用者に対するサービスの一環として、こういう仕組みになっているということをお話いただいたり、場合によっては必要な書類を市町村のほうの窓口に提出していただく際のお手伝いをしていただくということは、もしかしたら可能性としてはあるのではないかと思っているところです。

 以上でございます。

○朝川振興課長 振興課長です。

 高杉委員、内藤委員、鷲見委員、お三方のサイトウ委員から貴重な御意見をいただいておりますので、今後、しっかり対応していきたいと思います。

 御質問があった分でございますが、小島参考人から総合事業の上限について御質問をいただいています。これは、13ページ目の一番下のところでございます。これは先ほども御説明申し上げましたとおり、制度を実施してみていろいろなことが起きる可能性がございますので、上限を設けますけれども、その上限を仮に超えたときに、それは個別に判断させていただいて、個別に判断した上で、その上限を超えていることについて、それは仕方ないというか、妥当であるということであれば、当然、介護保険の枠組みの中で費用を出していく、そんなことをイメージして書かせていただいております。

 酒向参考人から2ついただいておりますけれども、1点目、2号保険料を入れることについての厳しい疑念、御意見をいただいているわけです。まず1点目は、先ほども申し上げましたとおり、今回、事業に移行するのは、今まで給付で訪問介護・通所介護ということで、2号保険料も入った形でサービスを提供していたものを、費用の効率化ということも結果として考えながら事業という形で移行するということでございますので、その点をまずぜひ御理解いただきたいというのが1つ。

 2つ目は、個別に御指摘いただいたところで、一般介護予防事業のところで御指摘いただいているところについては、今の介護予防事業というのは1次予防と2次予防に分かれていますが、いずれも2号保険料も入れていただいて、いろいろな予防に資する活動をやっていこうということになっている部分でございます。これは、訪問介護・通所介護から移行するところとは、また別に、予防事業として2号保険料を御負担いただいているところでございます。そこをできる限り1次予防、2次予防と区別せずにやっていこうということですので、これも今の形をできるだけいい形に機能強化していきたいという見直しでございますので、御理解いただければと思います。

 もう一つ、3点目としましては、前回の資料にも一部入れましたし、9月4日の資料の中でも御提示申し上げましたが、こういういろいろな体操の集いとか地域づくりに資するような取り組み、住民主体の取り組みといったことを、先行で熱心に取り組まれている事例というのはたくさんございまして、その事例を見ていただくと、認定率自体を結構下げてきているという事例がたくさんあるという状況でございます。そういったことを踏まえて、介護予防の効果があるような形で総合事業を展開していきたいというものでございますので、全体の費用の効率化という観点からも、この見直しは資するものであると我々は強く理解していますので、そこのところの御理解を2号保険料の負担者の皆様方にも共有していただければ幸いでございます。

 あと、河原委員からいただきました御質問です。

 まず、1個目のチェックリストといいますのは、要介護認定の訪問調査のことではなくて、今、2次予防事業対象者を把握するのに使っております基本チェックリストを活用してということを考えています。

 それと、7ページ目の訪問介護の報酬以下の単価というところについては、専門性の高いサービスを必要とする人に専門職種がサービスを提供するところについて、単価の意味のない引き下げがあるというのは好ましくないと思いますので、そういう混乱が生じないようなことを我々は施行に向けて考えていく必要があると思っています。

 それと、8ページ目の事業者を特定してというところで、「認定等」と書かせていただいておりますのは、今の指定事業者制と似たような感じで仕組みとしては考えていけたらと思いますが、ここは全体が市町村の事業でございますので、市町村のお考えによって基準とかを決めていただいて、あらかじめ事業者を特定して、あとは国保連に乗せたお金の流れになるような仕組みとして提案しているものでございます。したがいまして、1回事業者を特定したら、それ以降、事業者の参入ができなくなるというたぐいのものとしては考えていません。

 あと、3年に1回の検証ではなくて、毎年ということでございます。これは当然、市町村は毎年度、予算を組み、決算を出しながら事業をしておりますので、当然やっていただくということだと思いますが、まずは介護保険事業計画の3年という期間がありますので、全ての市町村が27年度から一斉にスタートするわけでもないということも踏まえますと、一定程度時間が経過したところで検証していただく。制度的にはそういう形がいいのではないかということで、提案させていただいているところです。

○迫井老人保健課長 2点ほどお答えさせていただきます。

 まず、1点目、高杉委員のほうから、リハ職の活用に関する、今回、新しい事業の提案といたしまして、地域リハビリテーション活動支援事業ということで、6ページ、7ページ、8ページに御提案させていただいております。具体的な様子がわかりにくいということでございましたが、これは、基本的には今後具体化していく中で、御指摘のようなことを踏まえまして、現場に十分伝わるようにさせていただきたいと思っております。現時点で念頭に置いておりますのは、9月4日に1巡目の議論をさせていただいたときに、さまざまな地域の取り組みをお示ししましたが、その中で、例えば大東市の取り組み、あるいは岡山県総社市のような取り組みで、地域の活動の中にリハビリテーション専門職が専門性を生かされながら、従来の利用者の個別指導ということではなくて、例えば地域住民の啓発とか、さまざまな運動法の指導をするといったアプローチをされていることが成功事例になっているということでございます。我々としては、こういったことを念頭に、活動を支援するような形でリハビリテーション専門職が参画して事業を展開できるように、御指摘の点を踏まえて、現場に十分伝わるようにさせていただきたいと思っております。

 2点目ですが、齊藤正身委員から、機能訓練、それからリハビリテーション、さまざまな概念とか用語の使い方について混乱があるという従来からいただいている御指摘でございます。他の方も、今回の見直しについては、複雑でわかりにくいというさまざまな御指摘がございますので、今後、具体化に当たって、そういったことに十分応えていけるように我々としても努力させていただきたいと思っております。

○勝又認知症・虐待防止対策推進室長 高杉先生の御意見でございまして、2点あります。

 まず、1点は、若年性認知症の方に対しての取り組みでございますが、御指摘のように、診断されてからの相談先がないとか、障害サービスや介護保険のサービスにスムーズにつながっていないなどの指摘がさまざまなところから挙がっております。現在、一部の都道府県で、国の補助金を活用していただきまして、就労支援とかサービス受給契約に関する支援、あるいは居場所づくりをワンストップで進めているところもございます。このような取り組みについて、今後、拡大を図ってまいりたいと考えております。

 次に、オレンジプランでは、早期診断については、かかりつけ医、サポート医の協力を得まして、認知症疾患医療センターが行うこととなっております。確定診断は診療報酬で、その診断結果を受けて、地域の中で生活していくための医療と介護の連携や支援については、介護保険分野でしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

○山崎部会長 3時15分を少々延長せざるを得ないと思いますが、お急ぎの方は優先します。

 藤原委員。

○藤原委員 町村保険者として不安事項がありますので、お願いしたいと思います。

 まず、補足給付の不動産勘案についてです。今回の導入は時期尚早ではないか、見送るべきではないかと思っています。市町村の現体制では、不動産を担保に貸付業務を実施するということは非常に困難ではないかと思っています。委託先さえ見つからないという状況でありますので、もし実施すると現場に混乱を生じさせるという懸念があります。

 次に、預貯金の勘案についてであります。その方向性は理解いたします。しかし、町村保険者は、今、行政改革等で職員数が大幅に減ってきておりまして、どこまで実効性が担保できるかというのは非常に不安であります。具体的には、サンプル調査によりまして、預貯金等の資産に加えまして、負債まで確認することで、どの程度事務が発生するか、事務のボリュームがどのぐらいあるのか、非常に見通せないという不安があります。また、サンプル調査の対象となる被保険者は、何を基準に選択するのか。そこに公平性が欠如するのではないかという疑問がありますので、これらについては十分に検討を行って導入していただきたいと思っています。

 それから、資料2、予防給付の見直しと地域支援事業への移行について、前回までの部会での議論から大きく中身が変わって修正されておりますので、本当にびっくりしております。前回までの主な意見として、我々は農山村を中心にNPOやボランティア等が地域的に非常に偏在していることと、事業の実施主体である市町村の判断で、人員基準や運営基準、単価、利用者負担等を柔軟に設定すること、そして、事業者の上限設定により予防給付の利用が制限され、結果として要介護度が進行するのではないかという心配がありましたので、そのような問題をずっと指摘してきたところでありますが、今回新たに提示された案は、訪問介護・通所介護について新しい総合事業に移行することになったわけであります。

 引き続き、先ほど申し上げました指摘事項、問題点等について検討を行っていただくとともに、財政力等によりまして地域間格差が大きく出てしまうと、これはまた大きな問題になりますので、ぜひ毎年度、必要な予算を確実に確保して、安定的な事業が実施できるようお願いしたいと思います。

 以上です。

○山崎部会長 布施委員、お願いします。

○布施委員 ありがとうございます。

 まず最初に、今回の議題1、議題2を検討するに当たりまして、重要なことは、介護保険制度の持続可能性を高めることになっているかどうかということを考える必要があろうかと思います。そのためには、どうしても給付の重点化・効率化は避けて通れないということを、まず前提にして議論したいと思います。

 議題1の費用負担の公平化につきましては、前回も被保険者全体の2割程度が該当する水準がおおむね妥当ではないかと発言いたしましたけれども、ぜひその方向で進めていただきたいと思います。また、現役世代でありながら要介護状態にある約0.4%のごく少数の第2号被保険者でございますけれども、この方については利用者負担割合を当面維持すべきではないかと思います。

 議題2の予防給付の見直しと地域支援事業の充実につきましてですけれども、移管するサービスが訪問介護と通所介護に限定されて、提案の内容が大幅に変化したわけでございますけれども、先ほど説明がございましたけれども、その理由を聞いた限りではまだ不十分ではないか。その理由がもう一つ見えないと思います。資料20ページによりますと、移管する訪問介護と通所介護の費用が合わせて2,807億円と、全体の6割を占めるわけでございます。当然のことですけれども、この部分については事業の枠組みの中で管理して効率化を図っていただきたいと思います。

 また、予防給付に残る4割の部分についても、従来のままでよいということではなくて、必要な効率化に取り組んでほしいと思います。今回、事業に移行できなかったとしても、次回の見直しでも移行できるよう、体制を整える必要があると思います。

 前回、事業規模の上限設定について、前年度の実績を上回らないことを原則として、その上で特に必要であるということが認められる場合は、一定の伸びを認める方法を検討したらどうかというお話をさせていただきました。ここは非常に重要な問題でありますので、ぜひ厳しい姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 以上です。

○山崎部会長 桝田委員。

○桝田委員 まず、補足給付の見直しについてでございますけれども、今まで所得要件だけで補足給付が決められていた。低所得者対策を考える場合に、所得のみじゃなくて、資産を勘案するというのは、公平性の観点から言いますと必要なことだろう。ただ、問題点があるから今まで導入できなかったということもございます。資産要件の中で、預貯金については、社会福祉法人の軽減制度で350万円枠というものが設定されて、今もずっとやってきている。その動きから見ますと、事業者側から見るとそう大きなトラブルはなかった。ただ、市町村負担については、こういう形が全部入るとどうなるかは別問題なのですけれども、それは不確かなのだろうけれども、可能ではないか。

 不動産資産の分については、理論上は預貯金も不動産も同じになりますけれども、現実的に考えると、これを現時点で導入することはかなり非効率で、逆に経費的にそちらのほうが高くつくのではないか。広げても、多分非常に少ないのではないか。そうなると、不動産要件というのは次の課題として、まずは預貯金からスタートするのが現実的な問題ではないのかと思います。

 それで、預貯金の分で、単身で1,000万円という数字が、とりあえず仮置きという形で出ています。そこで事務局のほうに質問なのですけれども、とりあえず数字を1,000万円と置きますと、預貯金が2,000万円もある方、1,500万円の方、いろいろあると思うのですけれども、1,000万円を上回る場合には補足給付の申請ができない。では、補足給付の申請なしに、例えば介護施設に入所して何年か経過していきますと、預貯金額が1,000万円を割ってきた。そのときに補足給付の申請ができるのは、どのような考え方で見るのか。

 1つの案とすれば、1,000万円を割れば補足給付が受けられるようになるのか、それとももっと少ない金額で、例えば9月25日の資料では、ユニット型施設に入所した場合でも、預貯金500万円程度あれば、年金額が低い者でも補足給付を受けながら10年間居住できるという記載もあるから、500万円という半額のラインも出ている。それと、この部分は、1年単位で6月、7月のラインで見直しをしていくというのが一つのラインかと思いますので、その辺をどのようにしていくのかというのが、ある意味では公平性の部分でちゃんと決めておくのが必要な部分じゃないかと思います。

 社会福祉法人の軽減は、単身の場合、350万円ラインを割れば、補足給付を受けている方であって、さらに普通の方で4分の1の減免をする、生活保護の方は2分の1の減免をするという制度ですので、何らかの形が必要なのかなと思います。

 もう一つ、地域支援事業に移す場合で、資料の14ページなのですけれども、市町村による新しい地域づくりの推進。介護予防・生活支援の充実というペーパーが以前から示されていますけれども、まずコーディネーターをいかにつくるかが、その地域で介護予防・生活支援の充実を行う上で非常に重要な役割になる。このコーディネーターの配置について、11ページに記載がございますけれども、予算的な措置を国が行うのかどうかというのが一つの関心でございます。

 それと、14ページの右のほう、赤枠で囲っています。研修を受けたボランティアが地域の集会場で介護予防教室を運営、次に小規模多機能居宅介護に交流施設を併設、この2つの件なのですけれども、介護予防教室になってきますと、単にボランティアさんが研修を受けて行えるものじゃなくて、それなりの専門職がかかわるべきであろう。

 もう一つは、小規模多機能に交流施設云々じゃなくて、あらゆる介護保険の施設なり福祉施設なりが、その役割を果たすべきだろう。特に高齢者の福祉施設の場合、特別養護老人ホームでもケアハウスでも養護老人ホームでも、昔、整備したときに地域交流スペースをつくるのであれば補助しましょうというものがございまして、今でも東京都あたりは地域交流スペースをつくるときの補助がございます。そこの部分を使っていくというのが、まず第1段階で、既存施設でそういう地域交流的な部分を持っているところは、専門職もかなりおります。そこを有効活用していくというのが非常に重要なのかなと。

 全国老施協のほうでも、入所施設であっても地域とともに歩んでいく、この介護予防生活支援というのを社会福祉法人として担っていかなければ、社会福祉法人として非課税法人である意義がないですよというのをかなり強調しています。ですから、ここの部分というのは地域包括ケアのベースになる部分ですので、ボランティアさんだけじゃなくて、専門職から介護保険事業者も、みんながかかわって地域づくりを行っていくというのが一つの大きな形かと思います。

○山崎部会長 山本委員。

○山本委員 時間もありますので、手短に申し上げます。

 まず、2割負担の部分につきましては、我々民間事業者として利用控えが発生するのではないかという懸念を多分に抱いております。まず、これが1つです。

 それから、予防給付の見直しについて、総合事業あるいは予防給付なのかと分かれるところですが、この点については、いずれかのサービス利用になったとしても、従来の予防給付で受けていたサービスの機能がなくなるということがあってはならない。そのための環境整備あるいは運営基準なりをぜひとも担保して、従来の機能から劣ることにはならないような措置をお願いしたい。そのためには、国が示すガイドラインが、非常に重要なものになってくるのではないかと考えております。ガイドラインの丁寧なつくり込みをぜひともお願いしたいと思っております。

 それから、住民サービスで重層的にいろいろなサービスを提供するということについては、持続可能性という点からも当然の流れだろうと思っています。住民だけで十分な質の高いサービスが担保できるかというと、そこにはまだ疑問が非常に残ります。国民全部で制度を支えるという趣旨、共同連帯ということから、趣旨・理念としては非常に大賛成ですが、先ほども出ておりましたが、そのためにサービスの質を担保する研修等の財源措置を十分講じ、住民ボランティアあるいはNPOの人たちあるいは協同組合、そこに集う地域住民の人たちへの教育研修機会も併せて、ぜひとも十分な体制を整えるように措置を講じていただきたいと思っております。

 以上です。

○山崎部会長 井上委員はいかがですか。はい。

○井上委員 もうほとんど出尽くされたところでお恥ずかしいのですが、まず、これは私の要望というか、何人かの方がおっしゃってくださいましたけれども、とにかくわかりやすいものにしていただきたい。人に聞かれることが多いので、そういうときに簡単に説明できる、わかりやすいものにしていただきたい。そして、必ずこれがいいのだ、方向性は間違っていないということが自信を持って言えるようなものであってほしいと思うのです。抽象的な話ですけれども、これが2点です。

 それで、質問なのですけれども、先ほど勝田委員が出された質問6の最後のところで、介護保険制度内でのサービス提供であり、財源構成も変わらないとしていることについて、わかりやすい説明をしてください、とありましたが、これについてもう一度わかりやすく説明をお願いしたい。

 予防給付の見直しと地域支援事業の充実についてというところで、資料2の2ページ目の3番目に、「移行後の事業も、介護保険制度内でのサービスの提供であり、財源構成も変わらない。」という勝田委員も指摘されている文章です。そうしますと、現在、要支援1、2というものを要介護認定でやっておりますけれども、これはずっと永続してやるということですね。そうしなければ財源構成も変わらない、ということが保障されない事態が起こるわけですから、改めて確認したいと思います。

 ところで、資料2の後のところを見ますと、要支援者という形で出ております。要支援1、2を分けないで、ひっくるめて要支援者ということになりますと、私は要支援1と2とでは大きく違うと思いますのでその辺がちょっと不安です。

 それから、担い手不足の解消のために、みんなが支えるようにボランティア制度というのが出てきましたけれども、内田委員がおっしゃいましたように、これについてはとても不安です。介護認定を受けなくてもいいような方には、リハ教室とか体操教室はいいと思うのですが、要支援認定者には専門職がきちんとかかわって自立支援をやっていくということが必要だと思いますので、これをボランティアに委ねるというのは、ちょっと研修をやれば誰でも介護ができるといった考えにつながり、介護専門職の地位向上が課題となっている現状で、私はかなり不安を感じています。要支援1、2をまとめることに対する不安、介護をボランティアでやっていくことへの不安、地域格差への不安、そういうものを感じております。

 では、要支援1、2をやらなくてもいいという地域が、地域支援事業でやるという、その財源はどこから出てくるのか。要支援1、2があって財源がつくれるわけですね。それをなくした場合は、地域の財源はどうなるのかということも、私のつたない質問で申しわけないのですが、教えていただけるとありがたいです。

○山崎部会長 林委員、最後になりましたが。

○林委員 データの件、どうもありがとうございました。消費支出のところなのですけれども、これは世帯の規模が違うので、世帯の規模を等価尺度を使って調整して数字を出してもらったらわかりやすいかなと思います。

 特に3ページの年齢階層ごとの消費支出ですが、これも本当は等価尺度で調整しなきゃいけないのですけれども、これを見ただけでも、高齢者よりも49歳までの世帯のほうが消費支出が低くなっている。さらに、教育支出を引くとこれよりもさらに小さくなることを、今後の高齢者負担を考えるときには、皆さんの頭に入れてもらいたいなと思います。

 関連して、利用者負担を増額するという前提で、どこで線を引くかということなのですが、これは所得だけ見て1本、線を引くというのではなくて、介護サービスで例えば2割負担ということになると、利用料に応じて負担が変わってきますので、考え方としては、そのような負担の後でも一定の消費を担保できるような線引きができるような制度が本来は必要と思います。要するに、高額負担のところをどうつくるかとか、補足給付のところをどうするかということになるかと思いますけれども、世帯所得と介護サービスの利用者負担をあわせたところで見ていくのも一つの手かなと思います。

 問題は、このように担保する一定の消費量なのですけれども、私は、生活保護制度では生活保護基準をもって、健康で文化的な最低生活とあるので、それでいいのではないかという気もしないでもないです。ただ、それは通らないでしょうから、先ほどのデータからは、夫婦世帯の平均的な消費支出は300万円弱ぐらいで、単身だと200万円前後となっています。平均がそこということを頭に入れて考えると、どこかで線引きする場合、上位の2割の280万円なり360万円というのは、どうかなという感じがあります。これは利用者負担を前提とした議論なのですけれどもね。

 あと1割から2割にふやすときに、1つの所得の閾値を超えて負担額をジャンプさせるように負担を増やしてしまうのも問題です。高齢者の収入が年金が主になっているならば、そんなにチーティングはないと思うのですけれども、1つの閾値をこえるだけで負担が倍増になる場合は、出来る人は割と簡単に所得を操作するインセンティブがつくと思います。これは、昔、配偶者控除で議論された制度だと思いますけれども、なだらかに負担が上がっていくというのが人々の意思決定を一番ゆがめさせない方法だと思います。もちろん、実務的には調整が難しくなるかもしれません。

 今までの議論は負担をふやすという前提で議論したのですけれども、前回、申し上げたとは思いますが、公平性という観点から言うと、2割負担は問題と考えることも出来ます。介護サービスを受けざる得ない人は単に運が悪い人だと私は思っているので、運が悪い人がもとの生活をリトスアするために介護サービスを受けるのですけれども、そういうサービスを受ける運の悪い人たちに対して、さらに負担を増やすのはどうなのかという議論もあるかなと思います。私は、むしろ保険料で幅広く負担すべきというのが基本的な立場です。

 ただ、今進んでいるプログラムの都合もあると思うので、利用者負担を上げることには特に強く反対いたしませんけれども、哲学としては、保険なので、運がいい人が運が悪い人のリスクをシェアしてあげるという観点からは、保険料を上げ、保険料を所得に応じて大小を決めるというのがあるべき姿かなと思います。

 あと、2つだけ。まずは農地のことです。中山間地の農地には言及しませんが、都市部や都市近郊の農地の取引がほとんどないのでという議論はちょっとおかしいと思います。というのは、私、実家が農家なのでわかるのですけれども、特に都市部、都市近郊の農家というのは、制度がああいうふうになっているので、将来の土地価格の値上がりを見込んで農地をホールドしているというのが現状です。だから、土地税制、特に農地に対しての税制にゆがみがなければ、本来はちゃんと評価して売りに出るような土地も多く存在するはずなので、書きぶりをちょっと変えられたほうがいいかなと思います。

 最後に、地方の事務負担がふえるという議論がいろいろなところから出てきましたけれども、基本的に日本では地方交付税制度で財源保障しているはずです。特に総務費の場合は、一般会計のほうから多分法定で繰り入れてしているはずだと思います。その場合、総務費は交付税措置を多分されていますね。ということで、制度上は担保されているはずなので、問題は、地方と国とで財源措置、交付税の基準財政需要額をどうするかという議論だと私は思っています。

 以上です。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局からお願いします。

○榎本介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。

 資産勘案の関係で、桝田委員から1,000万円の基準についてお尋ねをいただいております。これは、9月25日に御提案申し上げた際にも申し上げておりますが、基本的にこの1,000万円の基準というのは、補足給付を受けながら、9割ぐらいの方が特養に10年ぐらいまで入所される方がおられるということなので、それを前提としてはじいてみると、500万円ぐらいあれば、補足給付を受けながら賄えるのではないかということが見込まれます。

 その上で、ある程度在宅に戻る可能性もあるということで、それを倍にして1,000万円の基準として設定したものでございます。このラインについては、1,000万円を下回ることになりますと、補足給付を受給できることになるということで整理していきたいと考えております。

 では、これを具体的にどのような基準で見直していくのかということについては、市町村の事務負担との兼ね合いで考えていくことになるのではないかと思っておりますが、御提案のように1年単位で見直していくというのも一つの決め方かもしれませんけれども、実際に先ほど藤原委員のほうからも、事務負担、かなりボリュームが出てくるのではないかというお話もございましたので、そういったものを見ながら、現場の実務の方の御意見も聞きながら整理していきたいと思っております。

 以上です。

○朝川振興課長 振興課長です。

 まず、藤原委員から幾つか御意見いただいていて、例えばボランティアの偏在の問題。この点については、少しでも多くの高齢者が支え手側に回っていただけるように、生活支援の強化を地域支援事業の枠組みの中でやっていきたいと思っています。その他、基準の柔軟性あるいは財源確保といったことはしっかりやっていきたいと思います。

 あと、布施委員から、訪問介護・通所介護に限定したところについての変化の理由が、まだ十分でないのではないかというところ。ここは、住民主体のサービスなど、多様な選択肢を考えていくべき、あるいは地域づくりとかかわりの深いところ。そういったところに着目しますと、この2つのサービスで考えていくことが適当であると、当初から提案している案でもそうだったわけですけれども、そういうふうに考えています。そこで、それになじんでこないような訪問看護以下のサービスについては、基準が同じなのであれば給付に残してということで、今回、案の見直しをさせていただいているということでございます。

 それと、訪問介護・通所介護で、事業の6割を占めているという現状ですけれども、給付に残ったところについての効率化という視点と、その前年度を上回らないようにという厳しい姿勢で臨むべきという点についてでございますが、あくまでも総合事業への移行については、財源の削減ありきということで取り組むものではないと我々は考えていますが、介護予防あるいは重度化予防、地域づくりといったことを通じて、より軽度者の方々にふさわしいサービス提供が地域で構築されていけば、結果として効率化されていく姿が実現できる。そういう姿勢で効率化を図っていきたいと思っています。当然、4割の給付に残されるものについても、自立支援に資する内容になるように不断の見直しは必要だと考えております。

 それと、桝田委員から、資料の14ページ目のコーディネーターのところで、予算措置がちゃんとつくのかという点、あと、山本委員から、同様に研修などが必要なので財源措置が要るのではないかという御指摘につきましては、きょうの資料の2ページ目の一番下、紫色の生活支援・介護予防と書いてあるところ。これは、地域支援事業を今回の制度見直しの中で充実していこうという項目でございますが、そういった中で財源確保という課題が我々、残されておりますが、できる限り充実していきたいと思っております。

 また、桝田委員から、14ページ目の一番右側に書いてあるのは例示なので、別にこれだけだと全然考えていないわけですが、例えば小規模多機能しか例示がされていないところについて、少し失礼申し上げておりますが、私どもも特別養護老人ホームはもう地域に定着したものとして非常に期待しておりますので、大変心強い御発言をいただきましたので、一緒に取り組んでいけたらと思っております。

 最後に、井上委員からもう少しわかりやすくという御質問をいただいております。

 3ページ目をごらんいただきますと、まず左側に要支援者と書いてありますが、ここは今と同じ要支援認定というのを受けた方を想定しています。その中で要支援1、要支援2を分けないということは考えておりませんで、表記していませんが、今までどおり要支援1、要支援2というのは分けた上で、要支援認定を受けた方ということを考えています。

 その上で、右側、介護予防・生活支援サービス事業対象者と書いてあるところについては、要支援認定は受けないけれども、一定程度、チェックリストで支援が必要であると判断された方の枠組みで、これも含めて、図に書いてあるところについては、給付のところはあれですけれども、全体を総合事業と考えていますので、そこは全て同じ財源構成でと、2ページ目で表現しているのは、そういう意味でございますので、右側のところは財源は別だという提案をしていないということでございます。

 まだ不十分かもしれませんが、以上、御説明申し上げました。

○山崎部会長 それでは、本日はここまでにしたいと思います。きょうも非常に活発な御意見をいただきましたが、その一方でかなり多様な意見もございまして、私としては取りまとめがだんだん心配になってきているのですが、引き続き御協力をお願いいたします。

 今後の予定につきまして、事務局からお願いいたします。

○高橋総務課長 次回の本部会につきましては、1127日水曜日の9時から12時まで、会場は東海大学校友会館を予定しております。

 本日はありがとうございました。

○山崎部会長 それでは、御多忙の中、ありがとうございました。


(了)

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