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2013年10月9日 障害年金の額改定請求に関する検討会(第2回)議事録

○日時

平成25年10月9日(水)17:00~


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

構成員

石本晋一構成員 市原眞仁構成員 草野佐構成員 小沢忠彦構成員
田熊淑男構成員 竹田宏構成員 豊原敬三構成員 中島八十一構成員 和田高士構成員

○議事

○中島座長 それでは定刻より少し早い時刻ですが、本日ご参加予定の皆様方がそろいましたので、ただ今より第2回障害年金の額改定請求に関する検討会を開催します。本日は大変お忙しい中、本会合にご参集いただき、誠にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。それでは本日の資料と議事について事務局よりご説明をお願いします。

○和田事業管理課給付事業室長補佐 本日の検討会資料の確認をします。「座席表」、「構成員名簿」、「参考人名簿」、お手元の議事次第のもと資料1に「第1回検討会の議論の内容」、資料2に「社会福祉法人日本盲人会連合からの意見要旨」、資料3に「一般財団法人全日本ろうあ連盟からの意見要旨」、資料4に「社団法人全国脊髄損傷者連合会からの意見要旨」、資料5に「一般社団法人日本難病・疾病団体協議会からの意見要旨」をお配りしています。お手元にございますか。不足がございましたら、お申し出ください。

続いて本日の議事ですが、まず初めに前回の検討会の議論の内容について事務局からご説明した後、本日ご出席いただいた団体の皆様方から「障害の程度が増進したことが明らかである場合」の事例等に関する意見などについてヒアリングを行います。それぞれ約10分から15分程度のお話をいただいた後に、構成員の皆様方からご質問いただく時間をそれぞれ5分程度取りたいと思います。またヒアリングの順番については障害認定基準における疾患ごとの順番に即した形で行っていきたいと思いますが、参考人の小中様が所用により先に退席させるとのことですので、最初にお願いします。なお本日の検討会は、構成員の皆様は全員出席で、オブザーバーの方は欠席になります。どうぞよろしくお願いします。

○中島座長 ただ今、事務局から本日の議事についてご説明がございましたが、まず前回の議論の内容について事務局からご説明をお願いします。

栗原障害認定企画専門官  初めに第1回検討会の議論の内容についてご説明します。お手元にございます資料1をご覧ください。1ページから2ページは前回の検討会における「具体的な事例を検討するに当っての論点」について取りまとめたものです。再度3つの論点について確認していきます。

 【論点1】の傷病名の規定については、「障害の程度が増進したことが明らかである場合」として規定するに当たり、マル1、原因となる傷病名は特定せずに増進した障害の状態で規定する方法と、マル2、原因となる傷病名を特定した上で、増進した障害の状態を併せて規定する方法が考えられる。こちらについては数多くある傷病名ごとに規定することは無理であり、また、傷病名よりは障害の状態で整理した方が全体を補足するという点では適切であるため、原因となる傷病名は特定せずに増進した障害の状態で判断すると取りまとめられました。

 次に【論点2】の対象となる障害の範囲については、障害の程度の増進は、いったん行われた診査からあまり時間をおかずに、急激に障害の程度が増進する場合が対象となります。1年間待機せずに額の改定請求を認めることになるので、症状の一時的な悪化ではなく、症状が固定していることが必要と考えられるが、マル1、永続的に固定する症状のみを対象とするのか、マル2、一定程度症状の固定が認められ、その後改善する可能性もあるものの基本的には症状の改善が期待されないものも含めて対象とするのか。こちらについては永続的に固定する症状のみとすると対象がかなり限定されてしまうため、一定程度症状の固定が認められ、その後改善する可能性もあるものの基本的には症状の改善が期待されないものも含めて対象とすると取りまとめられました。

 最後に【論点3】の精神の障害については、障害年金制度における精神の障害は、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」、「症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む)」、「てんかん」、「知的障害」及び「発達障害」に区分されています。こうした精神の障害について、「障害の程度が増進したことが明らかである場合」として規定することは可能かどうか。こちらについては、精神障害については、疾病の特性として1年以内に急性増悪し、その後固定するという状態には当てはまらないため、今回の議論の対象としないことと取りまとめられました。

 続いて3ページをご覧ください。こちらは前回の検討会において急激に障害の程度が増進するケースとして各構成員の方々よりご指摘いただいた事例です。こちらの事例については、「具体的な事例を検討するに当っての論点」を議論いただく前に、幅広にあげていただいたものです。今後こうした事例や本日のヒアリングであげられた事例等を基に、第1回でご議論いただいた論点についての考え方も踏まえ、厚生労働省令による規定の具体案を検討することが必要と考えています。

 (1)から(7)において各構成員の方々より急激に障害の程度が増進するケースとしてご指摘いただいた事例を記載しています。各々読み上げます。(1)小沢構成員、「糖尿病性網膜症など、1年以内に急激に不可逆的に進行するもの」。(2)石本構成員、「人工内耳を入れる際に内耳が壊れてしまうことによる聴力の障害」、「突発性難聴や特発性難聴など進行する難聴」。(3)市原構成員、「糖尿病その他の血管障害で切断部位が何か所か追加された場合」、「人工骨頭や人工関節を一度に複数箇所そう入置換した場合」、「人工骨頭や人工関節を手術した者に何らかのトラブルが生じ一時的に外さなければならない状態」。(4)豊原構成員、「神経難病、変性疾患で急激に進行するもの」、「感染症のうち治らないで必ず進行するもの」、「白血病」、「悪性度の高い悪性リンパ腫」、「各臓器の腫瘍性疾患」。(5)竹田構成員、「人工呼吸管理を使う状態を呈し、一定期間離脱が困難と見込まれるもの」。(6)田熊構成員、「人工透析療法の施行」。(7)草野構成員、「肝移植の実施」、「腸ろうが何か所も出てくるような状態」、「人工肛門プラス人工膀胱の造設」。

 以上で資料1のご説明を終わります。

○中島座長 ありがとうございました。ただ今、前回取りまとめた内容のご説明と前回の検討会の最初に各構成員からお話しいただいた事例のご紹介をいただきました。本日はまず前回の検討会ではご欠席されていましたが、今回ご出席を賜っている和田構成員から、ご専門の循環器内科のお立場から心疾患領域で急激に障害の程度が増進したと認められるケースについて、どのような事例があるかをお話しいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

○和田構成員 ただ今ご紹介いただいた慈恵会医科大学の和田と申します。私が日ごろ担当しているのは心臓疾患です。ただ今、中島座長から急激に障害の程度が増悪するケースはどのようなものがあるかということで機会をいただきましたので、述べさせていただきます。

 心臓疾患においては主たる疾患として弁疾患(心臓弁)、心筋疾患、虚血性心疾患(心筋梗塞)、難治性不整脈、大動脈疾患、先天性心疾患、重症心不全が障害認定基準にあげられている区分です。急激に障害の程度が増進した場面には、心機能が低下していることを表しますが、症状固定、明らかに分かるものとしては心臓移植、人工心臓という場面を迎える1級相当、また人工臓器であるCRTあるいはCRT-Dという2級相当のものをそう入しなければならないような事態、このようなものが考えられますが、ただしCRTを入れたからといって3級から2級になるわけではなく、心機能状況のejection fraction等を勘案して障害程度を3級から2級に上げるなどの考慮が必要だろうと考えます。以上です。

○中島座長 ありがとうございました。ただ今の和田構成員のご発言も前回の他分野での構成員の事例に加えて今後まとめていきます。ありがとうございました。

 続いて障害者団体等の皆様からヒアリングを行っていきます。まず参考人としてご発言いただく皆様方には、お忙しい中、本検討会にご出席を賜ったことについて心から感謝の気持ちを表します。大変限られた時間ではございますが、質疑応答を含め、それぞれの方々にお伺いします。それでは最初に全日本ろうあ連盟の小中様からお話をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○(財)全日本ろうあ連盟 小中参考人 一般財団法人全日本ろうあ連盟の副理事長を務めている小中と申します。今回、意見発表の機会をいただき、ありがとうございます。今日は最後までいたいのですが、台風の影響のために乗車予定列車の運行が取りやめになってしまい、1列車早めなければいけないということで、順番を変えていただきました。ありがとうございます。

意見書を提出しています。これに合わせてお話しします。手話通訳を通してお話をします。聴覚障害に関しては、障害の程度が急激に重くなると心身の状況に大きく影響が出るだけではなく、生活上の面でもコミュニケーションが全く取れなくなるなどのために仕事ができなくなり、やむを得ず辞めてしまったという報告を多々受けています。生活上にも非常に支障がある場合があります。今回の法改正により急激に重くなった場合の申請がスムーズに受けられるようになることを期待しています。そのように進めていただくことをお願いしたいと思っています。

障害の程度が急激に重くなった場合の例をご説明できる範囲で申し上げたいと思いますが、いろいろな病気による難聴や、原因が分からない難聴、突発性難聴等々、突然聞こえなくなってしまったということがあります。私は、聴覚障害者情報提供施設で相談支援の仕事をしています。病気の名前は失念しましたが、ある病気のために難聴になった方が相談に来られました。30歳ぐらいから聴力が落ちてきて、手話を勉強したいということで来所されました。更に聴力が落ちているので、「手帳を改定した方が良い」とアドバイスをしました。病院に行って診断を受けられたのですが、「今、診断して程度を上げることはできるけれども、また急激に落ちる可能性があるから、また申請するとなるとやりにくい。今度急激に落ちたときに申請したら良いのではないか」と言われ、待つのが良いのではないかという難しい相談を受けたことがあります。そのようなケースもあるので、一度程度をあげた後に、また急激に落ちた場合にもスムーズに申請が受けられるようにしていただきたいと思っています。

補聴器の進歩、また人工内耳もかなり普及していることも、いろいろな影響はあるかと思います。人工内耳を装着することにより聴力の回復が30デシベル程度に戻るという報告は聞いています。実際には個人差があり、人工内耳の調節がきちんと合うのかどうか、マッピングの問題もあります。今まで聞こえていた音を人工内耳で通して聞くと、人工的な違った音に感じるので、やはり言語訓練が必要です。聞く気持ちがしっかりとあるかどうかも関係し、効果があるのか、ないのか、いろいろなケースがあるようです。また人工内耳を外したときには全く聞こえない状態になります。電池も非常に高価で、消耗も早いため購入の負担もかかります。人工内耳を付けることも聴覚障害の程度が重くなることと同じように見るのが良いのではないかと考えています。

補聴器を装着する場合は、あまりないのですが、そのために聴力が下がるケースがまれにあると聞いています。

聴力検査についてですが、聴覚障害の程度の診断というのは平均聴力により決まります。平均聴力ではそんなに落ちなくても、4,0008,000ヘルスの高い音が全く聞こえなくなると言葉の聞き取りに大きな影響があり、語音明瞭度が非常に落ちてしまう場合もあると思います。そのような面もきちんと検査をして、平均聴力はあまり落ちていなくても言葉の聞き取りが急激に悪くなったという状態についても、ご検討いただきたいと思います。

最後に、今回の議論の範囲に入っていませんが、今度のご検討をお願いしたいという意味で、障害の程度をどのように判定するのか、聴力レベルだけで判定して良いのかどうか、ということも考えて頂ければと思っています。障害者権利条約の批准がまもなく行われるというお話も聞いていますが、障害は社会的なバリアとの関わりもあるので、生活の上でどのような支障があるのか、それらも踏まえ医療・福祉・教育・障害当事者団体を含め、総合的な観点からご検討していただきたいと思っています。私は以前、ろう学校の教員をしていました。地域の中学校を卒業した後、ろう学校に入ってくる生徒もたくさんおります。中には聴力があまり悪くはないのですが、小学校・中学校でお客様扱いのために発語もできず、学力も全く伸びていない、手話も覚えていないためコミュニケーションが全く取れず、非常に生活の質の悪い状態で入ってきた生徒もいました。高等部の3年間で少しでもコミュニケーションが取れるようになるよう苦労した経験があります。聴力だけでは決められないという面もあること、生活上の質のレベルも含めて総合的にご検討していただければありがたいと思っています。以上です。ありがとうございました。

○中島座長 どうもありがとうございました。ただ今の参考人のご意見及び意見書の内容に対して構成員の皆様から何かご質問などはございますか。どなたかご発言はございませんか。

○石本構成員 耳鼻科を行っている石本と申します。参考人の方からご指摘のあったことがまさにそうで、補聴器や人工内耳の広がりで補聴するような方向にはありますが、特に人工内耳に関してはそれを行ったことによって壊れるので、それによって全くろうになってしまいます。ですから、110デシベルという1級に該当するようになるので、その時点で2級から1級に上がると思います。全体的には参考人の方がおっしゃられたように、聴力レベルだけでなく、純音聴力というピーピーという音だけではなく、「あいうえお」、「かきくけこ」などの語音の判定なども当然加味して行っていると思います。あとはここに記載しているようなことで、どなたが判定していくのかということに関しては、障害年金に関しては現在のシステムでは医師の先生に記載していただき、それを認定医で判定するシステムになっていますが、その辺の仕組みを変えていくことはなかなか難しいのではないかと個人的には思います。確かにそこを変えるとするならば、おっしゃられているように各界の方からご意見をいただいて変えていかなければいけないかとは思います。現時点では、今回変わるということで、急激に変化がある症例に対して等級を上げる、上げないということに関しては、現在のシステムで行っていくのではないかと思っています。

○中島座長 ありがとうございました。ろうあ連盟のご提言には非常に深い内容が込められているように理解しますが、今回の額改定請求に関する事項についても該当するご意見だということをご指摘いただいたように思います。他に何かご質問はございますか。なければ、小中様、どうもありがとうございました。

 続いて日本盲人会連合の鈴木様にお願いします。

○(福)日本盲人会連合 鈴木参考人 ただ今ご紹介にあずかりました日本盲人会連合の副会長をしている鈴木です。今回ここで提出させていただいた意見を述べさせていただきます。まず視覚障害の場合は、いろいろな判断をする場合に主に視力と視野で判断することが前提になっているのだろうと考えています。視力と視野が急激に変化する場合にどのようなことがあるかということで見ていったものが、意見書にあります。元々、視力と視野が現状よりも悪くなる、短期間に悪くなるということを考えていくと、不可逆性というか、治りそうで治らないようなもの、治療をしてもなかなか難しいということで病状が変更していくものではないかと考えています。

1つ目に緑内障という病気があります。病気のことで詳しくということではないのかもしれませんが、緑内障の場合は頭が痛くなったり眼痛があったりし、それに耐え切れず、眼球を摘出するというケースも多々ございます。それによって症状的には良くなるのですが、視力的には全く眼球がなくなるということで、この場合は著しくというよりも完全に視力がなくなるという状況ですので、これはすぐにでも視力低下が起きるということで考えられます。

糖尿病性網膜症はどちらかと言うと糖尿病自体の進行に伴って眼底の状態が悪くなり、その結果、急激な視力低下や視野狭窄を呈する場合がございます。そのようなときには、このような対象になるのではと考えています。

3つ目の網膜色素変性という病態の場合は、元々このような症状の人は緩慢な進行をしますが、検査を受けた段階が等級ぎりぎりのところだと、1年も待たずに等級が変化するくらいの変更が起きることは結構見られています。そのような場合は支給の見直しをするべきところだろうと思います。これに限らず進行性の病変は、元々緩慢な感じで進行しますが、時としてそのスピードが早まることが多々あるので、そのような場合は対象になっていくと考えています。

同じような状態で視神経萎縮などの病気がありますが、これは視野が欠損してきます。真ん中が見えなかったり外側からどんどん見えなくなったり急激に進行することがあります。そのような場合は対象になるのだろうと考えています。

これは他の病状のときも含めてですが、網膜剥離を起こす状態がございます。これは眼疾患の合併症や単純に網膜の剥離などがありますが、このような場合は急激な視力の低下や失明なども多々あります。この場合は短期間において状況が変化することが考えられるので、対象になるのではないか。これ以外にも眼底出血という病状があり、網膜のところで出血を起こします。これは糖尿病だけではなく、それとはまた別にさまざまな原因により眼底出血を起こすことが考えられます。そうすると、どうしても視力が落ちたり視野が欠損したりすることがあるので、病態が変化することがあります。

今5つほど例をあげましたが、眼疾患そのものはいろいろな病状を呈しますが、そのような中では急激に変化をし得る病態かと考えています。短いですが、以上です。

○中島座長 どうもありがとうございました。ただ今の鈴木参考人のご意見ならびに意見書の内容について構成員の皆様から何かご質問はございますか。

○小沢構成員 眼科医の立場からご質問というよりもコメントをさせていただきます。今の鈴木様の症例の提示はふさわしいと思います。眼科医として臨床の現場でも今のような症例は遭遇する機会が多いと思います。特に糖尿病性網膜症は現在非常に激増しており、両眼同時に発症という非常に現場の人間としては悲惨な状況を目にします。更にこれらは眼球の障害の特徴として非可逆的変化、絶対といってよいくらい治らない病気で、それを何も待機する必要が全くないという状況の中で待機せざるを得ないという現場を見るにつけ、待機期間の矛盾を日々、我々眼科医としても感じています。以上です。

○中島座長 どうもありがとうございました。他に構成員の方からご質問はございますか。特にご質問がなければ次に移ります。少し順番が異なりますが、全国脊髄損傷者連合会の前野様にお願いします。どうぞよろしくお願いします。

○(社)全国脊髄損傷者連合会 前野参考人 全国脊髄損傷者連合会近畿東海ブロック事務局の前野です。副理事長の大濱から命があり今回出席させていただきました。今回の論点は、障害年金の額の改定請求の時期についてだと思います。労災事故、交通事故、疾病、さまざまな原因により脊髄損傷になりますが、私の知っている範囲では障害等級4級から1級まで障害の程度によってさまざまです。その中で現在の等級よりも重度化するケースとして、今回は、分かりやすい事例をあげさせていただいた交通事故ですが、何らかの原因で脊髄損傷になり例えば3級・2級の障害等級が与えられたものが、新たに交通事故や労災事故などで現在の障害部位よりも上位の部位を損傷した場合、事故を起こす前の障害よりも重度化することが当然考えられます。脊髄損傷の障害は分かりやすいと言えば分かりやすいですが、脊髄は皆さんがご存じのように頚髄から腰髄まであります。上に行くほど重度化すると簡単に説明すると分かりやすいと思います。腰髄損傷で不全麻痺、クラッチなどを使って歩いている人、クラッチなしでつたい歩きができる人、そのレベルになると3級くらいの等級が与えられます。そのような人が交通事故や労災事故、疾病、また、ウイルスが脊髄に入り上位の脊髄を損傷し障害を負うケースがあると思います。歩けていた人が頚髄レベルの損傷を負うと、歩行できていたものが歩行できなくなったり、上肢が麻痺したりするケースが考えられます。

それ以外にもウイルス性や腫瘍で脊髄損傷になった場合、進行するもの・進行しないもの、さまざまなケースがあると思いますが、進行性の疾患にかかっているのであれば、どんどん悪化していくケースも、私の仲間におりました。症状固定の時期は、それぞれの担当医の判断によるものかと思います。どのタイミングを症状固定とするのか。脊髄損傷でもリハビリを長く行えば症状が良くなるケースもあります。逆にリハビリを長く行っても症状が良くならないケースもありますから症状固定の時期はかなり難しいと思います。例えば半年で症状固定をされるケース、1年で症状固定をされるケース、1年半で症状固定をされるケース、それぞれのいろいろなケースが考えられますが、障害の程度が重くなった初診の障害程度と半年、1年、1年半経過したときの障害の程度がどれくらい変わったのかを診ていただきたいと思います。初診から半年、1年、1年半で症状が変わっていないのであれば、初診のときが症状固定日です。その時期に遡って改定請求できるようなシステムにしていただきたいと思います。これは、お願いしたいところです。

2番目にあげているところは、今回の論点ではありませんが、症状固定がされると、これ以上、障害の程度が良くなることが見込めないことからリハビリが受けられないケースがあるので、そのようなことがないようにしていただきたい。症状固定してもリハビリが必要です。例えば関節が硬くならないようにリハビリを行うなど、脊髄損傷の場合はそのようなことも必要になってきます。症状固定のタイミングがリハビリの打ち切りにならないように、ぜひともご留意いただきたいと思います。

○中島座長 すみません。ろうあ連盟の方々が退席されるので、僅かな時間ですが中断します。

 

((財)全日本ろうあ連盟の方々が退席)

 

○中島座長 それでは引き続き大濱副理事長からお願いします。

○(社)全国脊髄損傷者連合会 大濱説明補助者 急激に障害の程度が増悪する場合ということで、今は悪くなる方を中心に議論されていると思います。ですが、例えば先ほど循環器のご説明がございましたが、大阪大学の澤芳樹先生の心筋シートによって心機能が大きく改善する画期的な業績も出ています。網膜に関して言うと、理科学研究所の高橋政代先生の研究が進展しており、加齢黄斑変性症や網膜色素変性症など、かなり早い段階で再生医療が実現するのではないかと私どもは考えています。脊髄損傷についても、文部科学省の再生医療実現拠点ネットワークプログラムでは急性期または慢性期も含めて5年以内の臨床応用が考えられています。その辺りの逆のパターンについてこの検討会では一切ご議論されないのかどうか、そこを確認したいと思います。以上です。

○中島座長 ありがとうございました。ただ今の前野様と大濱様のご意見は切り分けて扱った方が良さそうですので、取りあえず先に前野様のご発言について構成員からご意見あるいはご質問はございますか。

市原構成員 肢体障害を担当している市原と申します。ただ今のお話ですが、脊髄損傷の程度が急激に増悪することは多々あると思います。ただし、この場合、我々が今問題にしているのは元々3級あるいは2級に認定されている方が、本来認定されている事故または病気によって、その障害が増進した場合に限られているので、その方が新たな事故あるいは別の病気にかかったために、更に悪くなったというようなことは今回の検討の中には含まれていません。ですから、その方が本来背負われた障害が、元々障害が生じた同じ理由により増進した場合はできるだけ早期に認定すべきだと思うので、1年を待たずに診断書が出されれば、それを我々がきちんと拝見し、相当する障害として等級を上げることは全く問題ないと思います。

 後の方がおっしゃられたことについても私の考えを述べさせていただきます。いろいろな医学の進歩で障害が改善することは将来大いに期待できることです。我々では従来、永久固定としてもうこれ以上変化がないと認定していたものが、実際には何らかの医学的な新しい技術で元に戻ることはあり得ると思うので、それは特に何か我々が新しい方式を作らなくても、永久固定としないで例えば5年間有期固定という形で見ていけば、新しい状況に対応できると考えています。よろしいですか。

○(社)全国脊髄損傷者連合会 大濱説明補助者 市原先生がおっしゃっているのは、脊髄損傷の重度化で言えば、例えば交通事故による外圧などの場合は想定していないということと、例えば腫瘍による脊髄損傷で、腫瘍を完全に取りきれなくて、その後進行した場合には申請できるということと、そういう意味合いで考えて良いのですか。

市原構成員 こちらの文章にもなっているもので、「交通事故などにより、より高位の部位を損傷することによって」というものは大いに問題があると申し上げています。これは全く別の事故によるものなので、それは新たにその方に請求をする条件が整っている場合には新たな請求はできると思いますが、別の交通事故により障害が更に増悪したということについては我々が認定業務に当たることは元々含まれていないと思います。この辺は事務の方からご説明していただくと分かりやすいのではないかと思います。

中島座長 市原先生、ありがとうございました。大変すっきりまとめていただきました。まず脊髄損傷の場合にも当然今回の額改定請求の対象になるような事例があり得るということ、そしてここに出てきた事例の中には今回の問題としては制度上なじまないものがあるというご指摘ならびにリハビリテーションあるいは良くなるケースについてどう考えるかという、また別途のご意見がございましたので、それぞれについて事務局からもう一度見解をご確認したいと思います。よろしくお願いします。

○和田事業管理課給付事業室長補佐 ただ今の全国脊髄損傷者連合会の皆様からのご意見ですが、1番目の交通事故で更に重症化するという問題については、先生からもご指摘がございましたが、今回の対象となるのは同一傷病で支給されているものが急激に増悪するということで、違う原因の傷病で悪くなるという場合は別疾病という取り扱いになります。制度としてはそのような形で運営しています。

 リハビリとの関係については、今回の額改定請求の待機を例外規定として定める要件と実際のリハビリ実施が認める要件というのは全く別の制度で、今回の決定でリハビリが受けられなくなることはございませんので、そこもご理解いただきたいと思っています。以上です。

中島座長 それと良くなる事例についてもお願いします。

池上事業管理課給付事業室長  最後の大濱さんから投げ掛けのあった、昔では想定できなかったようなケースについても治る事例が出てくるというお話もございました。現在、障害年金については定期的に現況のご報告をいただく仕組みになっており、それに関しては自発的に額の改定請求をいただくようなケースとは異なり、特段の待機期間という仕組みにはなっていません。定期的に診断書をご提出していただく中で状況の改善が認められれば、診断内容に基づき、場合によっては軽度の障害年金あるいは相当程度良くなっている場合には障害年金の支給停止もございます。ただ、またその後悪くなければ支給が再開されることもございます。

中島座長 全国脊髄損傷者連合会の皆様はよろしいですか。

○(社)全国脊髄損傷者連合会 前野参考人 最後にご確認ですが、先ほどおっしゃられた別の請求になるということは改定請求に当たらないということで理解して良いのですか。今までいただいていた年金のものは白紙に戻して新たに申請ということになるのですか。

池上事業管理課給付事業室長  障害が別の部位などであったら、それぞれ別の障害と見ます。場合によっては併合し、これとこれを足し合わせてもっと上位の等級となるという仕組みもございますので、別個の2つの傷病があれば、まずはそれについて申請をしていただく。元々のものが白紙に戻るというイメージではございませんが、併せて更に上位の等級になるかどうかが判断されることになります。

○(社)全国脊髄損傷者連合会 前野参考人 ありがとうございました。

中島座長 次に移りたいと思いますが、よろしいですか。続いて日本難病・疾病団体協議会の伊藤様からご意見をお願いします。

○(社)日本難病・疾病団体協議会 伊藤参考人 日本難病・疾病団体協議会の伊藤と申します。この4月から総合支援法の中に難病も取り入れていただいたことで、さまざまな変化が今起きています。その中において障害年金について少し私どもの意見を述べたいと思います。資料5で私どもの意見もペーパーで提出していますが、それと違った角度で少しお話をさせていただきます。私伊藤は難病対策が始まってからちょうど40年間、第一線で相談事業を担当してきました。障害年金や障害者福祉との関わりも大きいのですが、関わってきた印象では障害者福祉の制度よりも障害年金の制度の考え方の方が進んでいるとずっと感じていました。それはどういうことかというと、障害年金は疾患名で対象を見るのではなく、状態の中で判断していくという考え方で、障害者福祉も大きく変わって難病も入り、その前には内部障害という形で長期慢性の疾患等が取り入れてきましたが、40年前はそのような考え方もなく、非常に限定された、固定された障害だけを対象とするという考え方が中心だった時代に障害年金の認定のあり方を私どもは進んでいると感じました。しかし、この4月から身体障害者の制度も総合支援法に変わっていき、難病が加わってきたことで大きく内容も変貌したと受け止めています。従来の障害者の定義は、固定・永続ということが大前提であったものが、大きく症状が変化する難病も対象にしたことにより、私どもは定義も大きく変化したのではないかと感じています。例えば来年から施行される予定の障害程度区分という分け方から障害支援区分に認定の方法も変えていくということで、さまざまなモデル事業や調査が行われていますが、厚生労働省としても何らかの動作ができる、できないというものが併存している、できるときもあればできないときもあるという考え方を従来はできると認定したものを、できない状態を中心に認定していくと今作業を進めていると聞いています。これは従来の障害者の定義、支援についても大きく変わっていく兆しだと考えています。

ご存じのように難病は大きく症状が変化します。治ることもあれば治らないこともあり、かつ1日の中でもできる時間、できない時間が変化します。そのような患者にとって支援区分が大きく変わることは非常に大きな朗報でもありますし、先ほど参考人からもお話がございましたように治療法も今大きく変化しています。iPSを用いたもの、再生医療、遺伝子治療のように変化していきますし、治療法の変化も大きいものがあります。そのようなものに伴い、疾病像、病気の像も大きく変化していると感じています。しかし、それらのさまざまな治療法の変化や症状の変化の中で、病気、疾病の変化だけを捉えて障害年金の対象とするのか、しないのかということが、今後大きな課題になっていくと感じています。つまり、さまざまな科学的な進歩により疾病の像も変わっていきますが、生活上の困難、生活のしづらさなどに大きく着目していかなければならないだろうと思っています。医学的な判定だけで今後ともずっと続けていくのか、生活のしづらさ、しにくさ、困難というものをもっと評価していくのかということが、私ども難病の場合はとりわけ大きな要素を持ってくるかと思っています。

今回お尋ねいただいた、状態、病気の変化、症状の変化にどのようなものがあるかということについては、難病といっても非常に進行の早い神経難病、代表としてALSもありますし、皮膚疾患、消化器の疾患、自己免疫の疾患、さまざまな臓器の疾患と多様にあり、それぞれにより大きく状態は違ってきますし、それが更に年齢や個体差によって大きく変化するので、一概にまとめて難病という状態はこうだとは言えませんが、進行にしろ、改善していくのにしろ、日内変動にしろ、症状は変わるということが大きな特徴かと思っています。

患者を支える制度はさまざまあります。大きくは医療保険制度やら難病対策やらたくさんありますが、患者の生活を直接支える制度は生活保護と障害年金しかないと言ってよいと思います。従来の障害者のような法定雇用率があり守られる、あるいは税金の補助がありさまざまに守られるというような、主に収入に関わる支援としては生活保護と障害年金しかありません。しかし、障害年金がこれから大きく課題になっていくところだろうと感じています。

 難病患者の生活ニーズ調査では、回答者の60%以上が年収200万円以下でした。そのうち16%は収入がゼロです。300万円以内とすれば全回答者の80%を超えます。難しい病気や長い間の闘病を必要とする病気の患者の場合には、収入の面から大きく困難に向かい、かつ支出の面でも治療費が大きいという問題があるときに、障害年金に期待するという声は非常に大きいです。障害年金の目的・意義はご存じの通りだと思いますが、私どもも単に障害の固定などだけではなく、もっと生活に直面した本来の患者の生活、障害者の生活を支えていく、生き方を支えていくというところに着目したものに、これからの課題があると感じています。私どもも今後そのような点についてもっと調査をし、まとめて課題として発表していきたいと思っています。ぜひ今回の検討会におかれても、そのような観点から大きな困難の中にある難病を福祉の中に入れていただいたと同時に、障害年金についても患者の生活を支えるという面でご検討をぜひ進めていただきたいと思います。以上です。

○中島座長 ありがとうございました。どなたか構成員の中から、ただ今のご意見に対してご質問等はございますか。

○豊原構成員 日本年金機構で主に内部疾患の障害等級の認定を行っていますが、本当に難病を扱うことが多いです。難病といってもいろいろと種類がありますが、例えば神経内科絡みであれば、スローウイルス感染症である進行性多巣性白質脳症のようなものや、脳や脊髄などの神経白質にある神経線維の髄鞘が脱髄を起こす脱髄疾患であれば多発性硬化症、その中の急性増悪という例もありますし、あとは純粋に感染症ではありませんが、神経細胞の中に異常なプリオンタンパクというものが蓄積するクロイツフェルト・ヤコブ病、そのようなものは1年を待たずしても額改定請求をしても良いと考えています。その後も症状が増進して1年を待たずして額改定請求をして良いのであれば、更に上位等級にして良いと考えています。

○中島座長 ありがとうございました。何分にもこの領域は今年の4月からスタートしたという点では極めて歴史性が浅く、これから慎重に議論を重ねることが多い分野だと認識しています。事務局から何かご意見はございますか。

池上事業管理課給付事業室長  特にありません。

○中島座長 大変丁寧なご説明をいただいたので、今回の額改定請求においても該当する事項があるということは既に構成員のご意見で確認済みですので、より慎重にこの検討が進められることを期待します。

 それでは順番がいくらか異なってきましたが、最後に日本身体障害者団体連合会の山本様からご発言をお願いします。

○(福)日本身体障害者団体連合会 山本参考人 ご紹介を賜りました日本身体障害者団体連合会の理事の山本です。最初にお断りしなければいけないのですが、私ども団体として事前の提出資料が未提出で誠に申し訳ございません。本日は私と事務局長である森と中込でオストメイトの関係でお邪魔しています。私からまず口火を切らせていただき、変な言い方になるか分かりませんが、国民基礎年金と厚生年金との関連で1つ、それから今まさしく失語症という病気があまりにも国内的に正式な障害名になってないものを含めて、私はこの2つを申し上げます。まず制度上のことですが、皆さんからのご意見にもございましたが、今回の改定は厚生労働省の省令により1年かかっていたものが該当するものは早く適正な状態に置いていただくものであり、なおかつこれについては、先ほどの伊藤さんのご意見ではございませんが、障害年金の額の改定の見直しについてということからしても、みんなお金に関わってくることではないかということで、内部調整はしていませんが、障害者は障害年金を基本にした中での生活があるべきだと思います。この大事な会議にご出席させていただいていることについては、日ごろの不勉強を恥じるとともに大変重要な課題です。国民年金は1級・2級、厚生障害年金は1級・2級・3級があります。そのような中で障害程度をしっかりと見直していただき、時代的なスタートはこのようなことであったのかは知りませんが、障害年金という立場でしっかりとした結論を出していただき、この間の差がなくなるようにしていただきたいということが1点目です。

 もう1つは皆様もご存じで、このようなことを私が言うのはおかしいのか分かりませんが、今の障害という概念が従来と全く変わっています。目の不自由な方、耳の不自由な方、私は三重県から来ていますが、三重県立としての盲学校・ろう学校というのは、私どもが小さいときでしたら、1学年に30人という生徒さんがみえました。しかし、今は1学年が1人か2人しか在籍していません。障害児教育のいろいろな問題もたくさん含んでいます。反面、今申し上げるように失語症というか、脳障害による部位によって全部障害が違うものが、まだまだ正式に障害認定、失語症という病名では、努力はしていただいているとは伺っていますが、そこら辺の整備もぜひ行っていただきたいということが2つ目です。

 まだまだたくさんございますが、その辺は次に中込さんがご発言します。

○中島座長 よろしいですか。それでは中込様お願いいたします。

○(福)日本身体障害者団体連合会 中込説明補助者 日身連の構成団体、日本オストミー協会から人工肛門・人工膀胱について今回話題に上っていますので、意見を述べさせていただきたいと思います。まず前回の議論の内容の最後の4ページに草野構成員が人工肛門プラス人工膀胱の造設という形でご指摘されています。これも当然そうですが、逆もあり得えます。人工膀胱を持っている方が人工肛門になるという方もいらっしゃいます。ですから、その辺もくみ取っていただきたいのです。人工肛門にもいろいろございます。大腸がんによって人工肛門になった、あとは難病のクローン病や潰瘍性大腸炎などで大腸全摘をしてなった、それと人工膀胱、そのような種類があります。特にここの場合は人工膀胱を造設した場合という形で言っていますが、今申し上げた通り逆もあります。特にクローン病などについては、一旦人工膀胱を作ったとしても小腸を次から次へ切って、短小腸、1メートル以下の小腸になる、ひどいものもあります。そのような場合はどうしようもありません。ですから、そこら辺も加味した形での何らかの判断をしていただきたい。人工肛門だけではないということ、それにも何種類かあるということです。特に大腸を全摘したような場合には人工膀胱と同じような形で常に便が出ているような状況になります。通常の人工肛門の方は6~7割くらいですが、その他の方も結構いるということです。確かにこれは1年診てからという形ですが、以前は人工肛門の場合の障害認定、手帳の認定については6か月待って、それから認定されていましたが、手術をすればすぐ障害手帳の申請ができる形に変更になりました。そのような形もございますので、ここは当然1年も待たず行っていただきたい。あとは1年6か月待たなくてはというのも基本的な問題ですが、その辺も考え直す必要があります。私どもは手術さえすれば障害手帳が発行される形です。ただ最近は医療も進歩し、一時人工肛門にし、それをまた戻す形のものもありますが、それはそれなりの手続きで行う形になってきているので、それはそれで良いのではないかと思いますが、1年待ってということではなく、すぐ行いたい。人工膀胱を持っていて人工肛門にした場合も同じ形で判断していただかないと困ります。同じことを繰り返しますが、人工肛門の場合でも小腸が1メートルもない人がいます。そのような人は非常に大変です。ですから、その辺も加味したような、人工肛門だけで3級ということではなく、そのような状況も診て2級なりにしていただく方向で、これは今日のものとは違うと言われるかもしれませんが、そのようなことでご検討いただければと思います。よろしくお願いします。

○中島座長 山本様、中込様ご両名から大所高所からのご意見を賜りましたが、今回の検討会の趣旨は障害を持った方が1年を待たずに障害が増悪したときの取り扱いをどうしようかという、かなり限定した議論を続けていますので、今頂戴したご意見は何かの折に検討会で議論の俎上に載せていただくこととし、障害が増悪したときの救済という観点から草野先生、今のご意見に何かございますか。

○草野構成員 草野です。中込さんのおっしゃる通りです。人工膀胱を作っておいて、その後に人工肛門になってしまったという方は2つ合併して認定しますので、それはおっしゃる通りです。中込さんがおっしゃる通り人工肛門はピンキリで、作る場所により生活の質が違ってくることは私どもも痛感しており、患者さんにとっても一番ADLを決める形になっていると思います。ただ人工肛門といっても一言だけでは片付けず、全体像をみる。もちろん診断書の中にコメントを記載する部分はたくさんあるので、主治医の先生が記載していただければ、それを考慮しながらみていきます。

 山本さんのおっしゃった失語症の問題です。私も常々この概念がなぜ入っていないのかと思います。ただ私たちが見ている中で失語症、私は現場を離れてしまいましたが、ほとんど脳血管障害に伴って失語症が起こってくるので、その概念がありませんが、他の方でほとんど見ている。他の方とは表現が悪いですが、肢体障害でほとんど見ているので、それにプラスして失語症が入ってくれば等級は上がるのではないかということで山本さんもおっしゃっていると思います。私も疑問に思っています。これは今回の問題とは違うので、申し訳ないのですが、いずれ何かの機会に失語症という問題も、コミュニケーションが取れないので、患者さんにとって非常に精神的な圧迫になっているはずなので、何かの機会で、今回のこの場所ではないのでしょうが、違う場所でご議論していただきたいと私も思っています。

○中島座長 ただ今の山本様、中込様のご発言に対して他の構成員の方々から何かご意見はございますか。

池上事業管理課給付事業室長  事務局から若干補足します。失語症についての問題提起がございました。おっしゃる通りで非常に日常生活に制約を与えてしまうような障害かと思います。現在、障害年金においては言語機能の障害ということで、そこを見る節は設けられており、それ以外にも脳血管障害による別の障害というものもあるのかもしれませんが、発話できない、音声を出すことができないというところについても、対応する仕組みとしています。以上です。

○中島座長 ありがとうございました。以上ご出席いただいた参考人の方々全てのご意見を頂戴しましたが、全体を通して構成員の先生方から再度ご質問あるいはコメントがございましたら承りたいと思いますが。

 それでは私から各団体の方々にいくつかのご質問をしたいと思います。各団体において1年経過しなければ額改定請求ができなかったという、今回のテーマにしている額改定請求の期間を短くしてほしい、また、実際に困ったという不満の声、そのようなものが現実におありになったかどうかについて、ご経験された方がおられましたらご意見を頂きたいと思います。

○(社)日本難病・疾病団体協議会 伊藤参考人 そのようなケースは難病の場合は比較的少なくはないといってよいかと思います。今ざっとしたところで言うと、今日に向けて簡単なメモがあるのですが、例えば拡張型心筋症、ALS、間質性肺炎というようなもので、初めのうちはみんな等級が低いが、認定に手間取っている間にどんどん、申請をしている間あるいは申請準備中の間に進行して間に合わなかったというケースは多発しています。他の病気の中でも、その病気あるいはその病気に伴う障害で年金をもらっている間に症状が少しずつでも進行していく。だんだん食事ができなくなるなど、そのような中でも症状が固定してはっきりするまでの間は、なかなか申請が認められないケースも出ています。先ほどどなたかがおっしゃっていたコミュニケーション障害というか、失語症はコミュニケーションの障害ですが、これはなかなかその病気あるいは障害の本体とはみなされないで、そこでの精神的な苦痛は非常に大きいのですが、全くできなくなるまで認められないというケースが私どもの手元にもたくさんあり、病気の進行、特に不可逆的な進行の場合は、良くなったり悪くなったりではなくて確実に進行しているという場合には、早めに認めていただかないと、一番大変なときに障害年金の制度が患者・家族の支援になっていかない。そして、なくなった途端に即ですから非常に停止は早いです。本当に闘病や生活を支援するものになっていくためには、そのような状態に至った場合には即変更があっても良いかと思うくらいのことです。座長がお尋ねでしたので、そのようなことがありますということのお話をさせていただきました。以上です。

○中島座長 ありがとうございました。他の団体の方々ではいかがですか。

もう1つ団体の方々にお尋ねしたいのですが、症状の固定あるいは障害の固定が、このような会議では頻繁に出てきますが、症状の固定あるいは障害の固定というものについて、それぞれの団体の皆様方にはすっきりと受け入れられるものでしょうか。あるいは腑に落ちないものがございますでしょうか。ご意見を伺わせてください。

○(社)日本難病・疾病団体協議会 伊藤参考人 私は先ほどお話しさせていただきましたが、難病も障害者福祉制度の対象になっていくというような時代からしても、それはないだろう。今は固定された障害といってもさまざまな医療や技術の進歩で今後治っていく可能性や変化の可能性は山ほど出てきていますし、遺伝子治療までターゲットになっていますから、ヨーロッパなどの国々の規定から言ってもそうですが、固定永続性というのは世界標準ではないだろうと感じます。良くなれば良くなったで、対処の方法はあると思うので、ここら辺で日本の障害年金の考え方も変化していく時期なのではないかと思っています。以上です。

○中島座長 ありがとうございました。他にどなたか団体の方々でご意見はございますか。

○(福)日本身体障害者団体連合会 森説明補助者 日身連の常務理事の森です。今日は遅れて誠に申し訳ございませんでした。少し離れるかも分かりませんが、今日本の国で障害という観念が医学的モデルから社会的モデルになってきているという大きな変化があると思います。そのような形から言うと、障害の手当の問題は難しいという気がしています。社会的モデルという観点から、これからは障害の年金等についても検討する必要があるのではないかという気がしてなりませんので、一言ご説明させていただきました。ありがとうございました。

○中島座長 ありがとうございました。今日のご議論を通じて団体の方々からは複数の方から医療モデルから社会モデルの中での評価ということを考えていただいてはいかがかというご意見もございましたので、また今後の参考にしたいと思います。他にご意見はございますか。

○(社)全国脊髄損傷者連合会 前野参考人 脊髄損傷の障害固定のタイミングは私の主観ですが、「これ以上リハを続けても良くなりません」とドクターに宣告されたタイミングが症状固定のタイミングかと思っています。ただ実際にはどうなのかというと、いろいろな仲間がいますが、少し状態が良くなっている者、逆に悪くなっている者がいます。現状では「これ以上ここの病院にいても無理です」と言われたタイミングが今の症状固定のタイミングなのかと認識しています。以上です。

○中島座長 ありがとうございました。その他のご意見はございますか。

○(社)日本難病・疾病団体協議会 水谷説明補助者 JPA事務局長の水谷です。意見書の中で一言、障害の固定永続というのが今の時代ではないという観点からすれば、意見書にも出していますが、今回の省令においても制限をするような書き方だと、そこから漏れる人たちが出てくると思います。ですから、1年を待たないでという省令においても、窓口での混乱を招くことのないようにするためにも、制限を設けないで請求者から請求があったらみていくような形にしていただきたいと思います。以上です。

○中島座長 ありがとうございました。参考人の方々のご発言は今が最後の機会になってきますが、何かこれだけは付け加えておきたいというようなことはございますか。

○(福)日本身体障害者団体連合会 森説明補助者 今日の検討会の内容とずれるかと思いますが、日身連の傘下は各都道府県、政令指定都市にございまして、このようなお話を私がしたところ、このようなご意見をぜひお願いしていただきたいということがありましたので、読ませていただいてよろしいですか。「脳性麻痺の二次障害あるいはポリオの二次障害など、さまざまな障害には障害の増進が考えられる。脳血管障害に脳性麻痺以外に高次脳機能障害が後で認められる場合もある。障害基礎年金、障害厚生年金受給を認めていなかった障害者や、認定されず手当とされていた障害者も障害が増進して支給の権利が生じる場合、等級が増進する場合には速やかに申請が認められないだろうか」、これが第1点です。

 第2点は「障害年金に関する書類を記載するのは診療をなさった医師であるため、必ずしも年金のための申請を熟知できているわけではなく、認定に躊躇する場合もあったり障害者に障害年金に関する情報が伝わらない場合が生じる可能性があると考えられる。年金受給に関する認定と身体障害者手帳の認定では趣旨は異なると思うが、身体障害者手帳の認定時に障害年金の情報について確認したり、手帳の認定を症状固定に関する認定時に参考にするような配慮も必要なのではないかと考える。また年金認定時に身体障害者手帳に関する情報について確認することも大切ではないか。障害者に対する支援の仕組みについて障害者手帳を持たないために支援に結び付かない状況が生じないようにしなければならない。今回の検討会により、医療者や社会保険労務士なども障害年金に更に熟知が図られることを期待いたします」。これは要望のような形ですので、今日の事項とは違うかもしれませんが、ぜひお話しいただきたいということがございましたので、ご報告させていただきました。ありがとうございました。

○中島座長 どうもありがとうございました。

 それでは時間になりましたので、この後は構成員の先生方のご議論に移ります。参考人の皆様方はご退席いただいても結構ですし、引き続きその場で傍聴いただいても結構です。

 それでは、構成員の先生方には第1回検討会の議論の内容である資料1をご覧いただき、この中の3ページの「急激に障害の程度が増進するケースとしてご指摘をいただいた事例」について今一度ご検討を加えていただき、お互いの認識を深めておきたいと思います。これをご覧になって何かご意見はございますか。あるいは前回のご意見に付け加えるべき点あるいは修正すべき点がございましたら、ご発言をお願いします。本日の和田先生のご意見はここに加える形になります。本日のご議論の中にありましたが、ここに記載していることは全てを網羅しているというわけではないということが大前提でございます。それではこの点に関しては後刻やはり述べておくべきだったということでお気づきになられましたら、改めてご意見を承ります。

○石本構成員 耳鼻科のところですが、2つ目の「突発性難聴や特発性難聴など進行する難聴」ということで前回ご指摘しましたが、突発性難聴は通常1回しか起こらず、特発性難聴は徐々に進行する難聴なので、この書き方だと両方の病気が進行すると取られますので、ホームページに載ることがあるようでしたら、「突発性難聴が生じたり、特発性難聴などが進行した場合」と書き換えていただいた方が、はっきりするかと思いました。

○中島座長 分かりました。それではここの項目については「突発性難聴が生じたり、特発性難聴などが進行した場合」ということですね。

○石本構成員 特発性難聴や遺伝性難聴でよいです。

○中島座長 「突発性難聴が生じたり、特発性難聴や遺伝性難聴などが進行した場合」のように文章を整理します。

○小沢構成員 眼科ですが、本日は日本盲人会連合の鈴木様からいくつかの代表的な疾患が出ていますので、それを加えるべきだと思います。私のところは「糖尿病網膜症、緑内障、網膜色素変性症など、1年以内に急激に視力・視野障害が不可逆的に進行するもの」とさせていただきたいと思います。

○中島座長 「糖尿病網膜症、緑内障、網膜色素変性症など、1年以内に急激に視力・視野障害が不可逆的に進行するもの」という表現ですね。事務局の方から、細かい文言についてはそれぞれの先生方にお伺いするようにします。

○市原構成員 今ここで具体的な事例を全て決めてしまおうということですか。

○中島座長 骨格を定めるという意味でお願いします。

○市原構成員 私は前回の検討で、ある程度具体的に記載しなければいけないということで、このように記載しましたが、今日の各団体の方などのお話を伺うと、できるだけ制限をせず、年金を受けていらっしゃる方から申請があった場合には広く認定を受けるようにしていただきたいという、これが今日の中心になる要望だと考えます。それを考えると肢体障害についての文章を作るとしたら、「肢体障害に関して急激な増進が認められた場合」と整形外科として言ってしまえば、脊髄損傷の方もどなたもみんなそこへ含まれてきます。ただ本来の我々に与えられた使命ではありません。そのようにはしないというお話で始まったと思います。そこが私は困っています。ただ、できるだけ広く受け入れることにすれば、一番皆さんに受け入れられる改定になるのではないかと思います。

○中島座長 先生のおっしゃることは全くもっともで、その通りです。参考のタイトルに掲げたように事例の列挙ですので、これを抽象化して、一方でいろいろな制限を加えるということではないと思います。事務局はそれでよろしいですか。

池上事業管理課給付事業室長  今、座長からおっしゃっていただきましたが、この資料は前回個別の論点をご議論する前に幅広に事例としてご紹介いただいたものをまとめたという位置付けです。従って今後更に具体的に個別のケースも含めてご検討いただくことになるかと思いますが、そのような際にはこのページの前にある各論点についての前回のご議論や本日のヒアリングの中でご指摘のあった事項などを念頭に置きながらご議論いただければありがたいと思っています。

○中島座長 市原先生、それでよろしいですか。

○市原構成員 はい。

○中島座長 他に何かご意見はございますか。本日は多くの団体の方々から貴重なご意見を伺うことができました。また構成員の先生方からは、この議論を一歩進める貴重なご提言をいただいたように思います。本日については時間の都合もございますので、これで議論を終了したいと思います。次回の検討会がございますので、次回の検討会の進め方や日程について事務局からお願いします。

○和田事業管理課給付事業室長補佐 本日は構成員の皆様ならびに団体の皆様方、お忙しい中にも関わらず、ご出席いただきまして、大変ありがとうございました。次回は本日のご議論、ヒアリングなどを踏まえまして、増進した障害の状態に関する具体案についてご議論をお願いいたします。今日の資料で前回幅広にいただいた事例もございますが、更に対象となる事例などがあるかどうかについて事前に構成員の皆様にお伺いできればと思っています。後日メール等でご案内いたしますので、その際はどうぞよろしくお願いします。次回の日程は1030日水曜日の午後5時からの開始を予定しており、後日改めて開催場所等のご連絡を差し上げます。以上です。

○中島座長 次回は1030日ということで、構成員の先生方にはまたご足労を願いまして、額改定請求に関する検討会をより充実したものにしたいと思います。最後になりますが、本日のところで何かご意見がございましたら承ります。いかがですか。なければ本日の会合はこれにて終了いたします。構成員の皆様方には長時間に亘り、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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代表: 03-5253-1111(内線3603)
直通: 03-3595-2796

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