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2013年10月2日 平成25年度第3回血液事業部会運営委員会

医薬食品局血液対策課

○日時

平成25年10月2日(水)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(6階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

出席委員:(5名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 田崎 哲典
◎牧野 茂義 山口 照英

欠席委員:(1名)

花井 十伍

日本赤十字社:(5名)

碓井 達夫 西田 一雄 日野 学
井上 慎吾 五十嵐 滋

日本血液製剤機構:(6名)

上田 英彦 秋山 裕治 石川 隆英
鈴木 享 伊藤 浩和 筒井 秀真

事務局:

浅沼 一成 (血液対策課長) 野村 由美子 (血液対策企画官) 上田 恵子 (血液対策課長補佐)

○議題

1.議事要旨の確認
2.感染症定期報告について
3.血液製剤に関する報告事項について
4.日本赤十字社からの報告事項について(平成24年度の取り組み)
5.「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」に基づく公募の方法の一部改訂について
6.「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」に基づく新規事業について(追加検討)」(非公開)
7.日本血液製剤機構からの報告事項について(非公開)
8.その他

○議事

○上田課長補佐 それでは、定刻となりましたので「平成25年度第3回血液事業部会運営委員会」を開催いたします。

 なお、本日は前半部分を公開で行いますが、御案内の後に非公開の議論を用意しております。よろしくお願いいたします。

 まず、本日の出欠状況をお知らせいたします。花井委員より欠席の御連絡を受けております。したがいまして、本日は運営委員会委員6名中5名の委員に御出席いただいていることを御報告いたします。

 また、本日は日本赤十字社血液事業本部より参考人にお越しいただいております。順に御紹介いたします。

 総括副本部長の碓井参考人。

副本部長の西田参考人。

献血推進課長の井上参考人。

副本部長の日野参考人。

安全管理課長の五十嵐参考人です。どうぞよろしくお願いいたします。

 カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。

 それでは、以降の進行を牧野委員長にお願いいたします。

○牧野委員長 それでは、初めに事務局より資料の説明をお願いします。

○上田課長補佐 それでは、本日は議題が多くなっておりますので、資料の確認をお手元の資料でよろしくお願いいたします。

 資料1-1「平成25年度第1回血液事業部会運営委員会議事要旨(案)」

 資料1-2「平成25年度第2回血液事情部会運営委員会議事要旨(案)」

 資料2-1「感染症定期報告(研究報告概要一覧表及び個別症例報告概要)」

 資料2-2「感染症定期報告(研究報告詳細版)」

 資料3-1「供血者からの遡及調査の進捗状況について」

 資料3-2「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例について」

 資料3-3「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性検査について」

 資料4「日本赤十字社からの報告事項について(平成24年度の取り組み)」

 資料5「『献血血液の研究開発等での使用に関する指針』に基づく公募の方法の一部改正について」

 資料6「『献血血液の研究開発等での使用に関する指針』に基づく新規事業について」

 資料7「日本血液製剤機構からの報告事項について」

 資料8-1「シャーガス病の安全対策・疫学調査について」

 資料8-2「献血血液におけるシャーガス病に対する安全性対策」

 資料9「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」

 非常に多くございますが、過不足がありましたら事務局のほうに御連絡ください。

 以上です。

○牧野委員長 それでは、議題1から始めたいと思います。

 議題1は「議事要旨の確認」ですが、資料1-1の第1回運営委員会の議事要旨(案)、資料1-2の第2回運営委員会議事要旨(案)について御意見があれば、事務局まで御連絡いただきたいと思います。

 次に、議題2「感染症定期報告について」です。

 まず、事務局から資料の説明をお願いします。

○上田課長補佐 それでは、資料2をごらんください。平成25年5月から7月までに報告された感染症定期報告のうち、資料2-1が文献資料の概要になります。全部で16件の文献が報告されておりますが、その詳細は資料2-2でございます。説明は資料2-1を用いてさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 また、文献が多くございますので、最初に文献1から文献10までを一区切りとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、文献1からまいります。文献1は米国からHEウイルスに関する報告でございます。2000年~2003年にプール血漿から精製されたSD処理血漿、またはクリオ上清血漿を大量に投与された血栓性血小板減少性紫斑病の患者様においてHEウイルスの感染の可能性を調べたものです。

SD処理血漿の17例のうち4例で6カ月後にIgGが陽転していました。また、このうち2例でIgMが陽転したとのことです。なお、SD処理で1カ月後にIgGが陽転した4例については、6カ月時には全員でRNAは陰性であったものの、IgMも共に陽転した2例については、1カ月後のRNAが陽性であったという結果も記載されております。一方、クリオ上清を用いた19名では、血清学的検査も陰性ということでした。

 続いて、文献2にまいります。文献2は2005年に発見されたヒトボカウイルスの総説です。これは呼吸器感染の小児から分離されたウイルスで、ウシ及びイヌの微小パルボウイルスと類似したノンエンベロープ型のDNAウイルスです。1型~4型まで報告されておりますが、1型は呼吸器血清から検出され、呼吸器感染罹患時の1030%が保有。2型は小児糞便の26%、成人の4%から検出されると言われています。

また、それぞれ臨床症状と関連づけるデータも得られているということで、いまだ不明点が多いものの、診断には血清学的評価やPCR、臨床的評価等が必要だとされております。

続きまして、文献3、4です。こちらは鳥インフルエンザH7N9に関する報告ですので、まとめて説明いたします。2013331日、皆様御存じのように最初の3例が中国から報告されました。これが文献4になります。3例については重症呼吸不全を呈し2例は死亡、1例は重篤な転帰をたどりました。

文献3ではこれまでに、これまでにと言いますのは、この文献のパブリッシュまでにということで、132例の症例が報告され、37例が死亡例として報告されております。小規模なヒトヒト感染は4件見られるものの継続的な感染はなく、家畜からの感染が主な感染源とされております。

なお、最新情報ですけれども、9月10日現在、感染者は135名、死亡例が45名、6月以降の発症は2例のみということです。国内対応といたしましては、8月30日に感染症研究所からリスクアセスメントと対応が発表されております。国内発症及び明らかな血液感染はございません。

続きまして、文文献5、7、8、9です。これらはまとめまして、新規コロナウイルス、いわゆるMERSの報告になります。

文献5ですが、これはイギリスから中東への渡航歴がある発端者から渡航歴のない家族2例にヒトヒト感染が確認されたという報告です。

文献7~9については、それぞれの症例の続報になります。最終のものだけ御紹介いたしますが、文献9で7月10日時点の報告となっております。中東の症例及び渡航歴のないヨーロッパ症例も含む80例が報告されているということで、この時点では45例、すなわち56%が死亡しているということでした。

この後、さらに最新情報を得ておりまして、9月7日現在の情報です。患者数は111名、死亡数が54名とのことです。流行地域に関しては、ほぼ変わりはございません。渡航者の感染もございます。また、濃厚接触者での感染も確認されておりますが、国内での発症や明確な血液感染を疑うといった情報はございません。

1つ飛ばしました文献6にお戻りください。これは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の文献報告になります。こちらについても前回の運営委員会でも報告させていただきましたが、皆様御存じのように新型グニアウイルスによって引き起こされ、2007年より中国で報告されてきた疾患になります。この文献については血液を介した感染と思われる中国の3症例の報告になっております。

少し御紹介いたしますと、発端者は血小板減少、出血、発熱等の典型的な症状を呈し、死亡に至りました。しかし、その血液と濃厚接触があったと考えられる兄弟2人及びもう1人を含む3例が感染したということです。また、そのうち兄弟例は死亡されたております。

SFTS についても最新情報がございます。9月13日現在ですが、国内発症は43例、死亡例については16例とのことです。国内情報ですが、血液を介した感染については明確なものは報告されておりません。

前半最後、文献10をごらんください。中国のテンプスウイルスの報告です。当ウイルスはカが媒介し、アヒル、ガチョウ等の感染が知られております。アヒルを扱う家畜業者の血清サンプルの約71.9%で抗体が陽性であったこと、また、47.7%でRNAが陽性であったといった報告が載っております。

また、この際、分離されたウイルスはアヒルの産卵低下を引き起こすウイルスと95.5%の相同性を示したとされております。これらの結果は今まで人畜共通感染症が見過ごされていた可能性があるということを示すと考察されております。

まず、ここまででお願いいたします。

○牧野委員長 ありがとうございます。

 ここまでの報告に対しまして、委員の方々で御質問、御追加、コメント、何かございませんでしょうか。岡田委員。

○岡田委員 最初の文献のSDプラズマによるE型肝炎に感染したという報告ですけれども、SDプロズマはエンベロープを持つウイルスに対しては強力な不活化効果を示しますが、ノンエンベロープに対しては効果がないということで、このSDプラズマは数百人規模の人の血漿を集めてSD処理をしてからSDを取り除いて、さらにそのバックのほうに小分けされるという製品なので、陽性ドナーが混入してしまうと多くの人が感染してしまうという、そのことを示しています。

 これは2001年~2003年までの間なので、恐らく今、米国では、このSDプラズマは承認されていないのではないかと思いますけれども、ヨーロッパではこのSDプラズマはよく使われていて、こういう事例があるということでEUでは数年以内には、このE型肝炎のNATを導入するということで調整をしているという情報が伝わってきております。

 追加で、実はこのSDプラズマの採血国は米国で、クリオの上清はカナダです。クリオで感染例がなかったというのは、クリオのほうにE型肝炎のウイルスが落ちてしまって上清のほうには来ないから感染が成立しなかったという可能性もありますが、もともとカナダのドナーにE型肝炎のウイルスが混入していなければ感染は成立しないので、これはまだ地域的なものなのか、そのクリオの上清の差なのかは判断できません。ですから、これは同じようなウイルスが入っていた血漿でそのつくり方によって差が出たというよりも、原料の違いも十分に考慮しなくてはいけないということです。

 これは発症例がないと思いますが、これは実は御存じのように米国ではジェノタイプがドミナントですので、そういう面では3型が感染しても不顕性感染が多いということを反映しているのではないかと考えます。

 以上です。

○牧野委員長 ほかにございませんでしょうか。

○山口委員 6番のSFTSウイルスですけれども、先ほど事務局から御説明いただいたように結構人数が多くなっていて、ちょっとびっくりはしていますが、多分発症までの時間は結構短いと思いますので、血漿分画製剤は十分な不活化工程が得られていることから全然問題ないとは思いますが、輸血用血液製剤に関してはその発症までが短いということで、感染が成立していれば発症でわかるだろうという理解でよろしいですか。

○日野参考人 前回の運営委員会でも血液対策課のほうからそういったお話がありまして、今、先生がおっしゃられたように期間が短いということと、かなり重篤で口腔とか鼻腔から出血の状態が見られるということで、献血できるような状況ではないという説明があったと思います。

○牧野委員長 ほかに大丈夫でしょうか。田崎委員。

○田崎委員 まず説明のときにITPとおっしゃいましたけれども、TTPですね。

○上田課長補佐 TTPで間違いございません。

○田崎委員 それから、先生、発症していないということでいいですか。これはVox Sanguinisのアブストラクトですね。フルペーパーにはなっているんですか。

○岡田委員 すみません。これは確認していません。

○牧野委員長 よろしいでしょうか。

それでは、引き続き11番からお願いします。

○上田課長補佐 それでは、11番をお願いいたします。

11番、12番については、クロイツフェルトヤコブ病関連の報告になります。文献11ですが、米国から異型クロイツフェルトヤコブ病の定量的リスク評価に関する報告がまいりました。これは英国に旅行した米国人が感染した可能性というものを英国の2つの想定有病率から推定したものです。2つの有病率のうち高有病率というものは、扁桃腺や虫垂検体から検出された異常プリオンタンパクのデータから算出されたもので、低有病率といいますのは、モデリングから引用したものとされております。

 推定有病率は前者で48万分の1、後者で134万分の1でした。米国では後者を妥当と考えており、FDA等に現在諮問の最中ということです。

 文献12のほうは、フランスからの報告です。これはクロイツフェルトヤコブ病を発症したドナーからアルブミンが生成されていたことが判明したため回収を行ったという報告です。なお、プリオンは製造過程で低減されるとされており、アルブミン投与による感染例も今のところないということが添えられております。

 次に、文献13にまいります。文献13は米国からバベジア症の陽性率に関する報告です。コネチカット州で2009年8月~10月までに採取した1,002例のうち25例、すなわち2.5%が血清学的に陽性、3例すなわち0.3%がPCR陽性という結果でした。PCR陽性の2例のうち1例はIFAが陰性でありました。ウインドウ期の可能性もあると考えられるとのことです。媒介はダニでありまして、ダニがふえる季節にはウインドウ期を検出する検査のアルゴリズム等が必要ではないかということも考察されております。

補足ですけれども、日本国内での輸血感染が1例、2000に皆様御存じのとおり文献報告されております。 * 本症例への輸血は1998年、報告は1999年及び文献報告は2000年、

次に、文献14です。これは輸血によるエールリッヒ症の報告です。エールリッヒ症はマダニが媒介するリケッチアによる疾患ですが、2011年に米国で9歳の白血病加療中男児が輸血後に発症したという報告がございました。この患児は発熱、疲労、不安感、嘔吐、下痢等の症状をきたしまして、患児に投与された輸血のドナーの8人中1名にエールリッヒ症の検査が陽性であったことが判明しました。したがって、この患児の由来は輸血由来の感染であると診断されております。

投与された製剤は血小板製剤、凍結血漿、赤血球でありまして、いずれも白血球除去及び放射線照射が済んでおりました。また、遡及調査も行っておりまして、8名のドナー中、生存されていた5名のうち4名で本症は陰性でした。1名については詳細な記載がございませんでした。当該症例はテトラサイクリン系の抗生物質で48時間以内に解熱して転帰は良好といった報告でございます。

最後、文献1516をまとめて御説明いたします。これらはFDAのガイダンスです。

15 は梅毒に関するドナースクリーニングのガイドライン、16は血漿タンパク質製剤協会か精製した血漿分画製剤のドナースクリーニングの質問票についてのものです。これはFDAの要件及び勧告にのっとるものであるということを認めたという内容でありまして、各質問に対するアルゴリズムが示されているといったものでございます。

以上で資料の説明を終わります。

○牧野委員長 それでは、後半の6題につきまして、御意見、御質問がございましたらお願いします。

○山口委員 文献11ですけれども、先ほど事務局からの説明がありましたように、FDAが赤血球輸血でのvCJDの伝播リスクを評価しているのですけれども、高リスクという推定をしたのは、ここで行われた扁桃と虫垂炎のポジティブ率から計算しており、低リスクのほうは英国での実際の人での発症リスクの2つを用いて、それぞれ高リスクと低リスクで比較をして、実際にもしそれでそれなりのリスクがあったときにイギリスや米国で患者が発症するかという、そのアルゴリズムを使って計算をしている。高リスクだと英国で289人、米国で9人と計算され、低リスクモデルでは、米国で0人、英国で1人と計算されますが、実際には英国で3名の発症、米国では発症なしとなり、リスクとしてはむしろ低リスクのほうが妥当だという先ほどの説明のとおりだと思います。

 逆に言いますと、扁桃とか虫垂炎で推定したリスクというものが意外と合っていない、実際の発症とはずれてしまっていることを逆に示していることなのかなという気がいたします。

○牧野委員長 ほかは大丈夫でしょうか。岡田委員。

○岡田委員 文献12番で、フランスで孤発性のCJDに起因するアルブミン製剤を回収したという報告が出されていますが、日本ではどういう決まりがあるのでしょうか。恐らくvCJDを発症した人の血漿があったら、それも回収することは間違いないと思うんですが、何か決まりはあるんですか。

○野村企画官 日本では、孤発性の場合は回収の対象にしていないです。感染型と孤発型と最初に分けていまして、ほとんどが孤発型になるものですから、それでそのあたりでアルゴリズムが違ってくるということで判断しております。

○牧野委員長 よろしいですか。

○岡田委員 文献1314はともにまれな疾患であって、なおダニが媒介するということで、そう考えると6番のSFTSもダニで、これまで余りB型肝炎とかC型肝炎とかのほうに注目がされて、非常にリスクが低いダニ媒介の感染症が、BとかCのほうが検査の強化によって検出されて、実際に輸血によって感染するリスクは非常に減ったというために、非常にもともとリスクが低いダニの媒介感染症が注目というか浮上したような感じですが、やはり輸血はある程度のリスクはあるということで、臨床の現場では患者さんにそういう説明、もちろん安全になったけれども、非常に低い率で今でも感染症があるということは伝えてほしい。

あとはやはり輸血をした後に、それまでの臨床経過からほかの説明ができないような症状が出た場合に、非常にまれな感染症も考慮する必要があるかなと。特に末梢血の白血球の中に桑の実みたいな細胞が見えたりとか、病原体はわからなくてもそういうスメアを引いたりすれば見つかることがあるというので、病院などで原因不明の感染症が起こったときに、そういう検査をするのも発見の糸口になるかなということを示していると思うんです。

以上です。

○牧野委員長 よろしいでしょうか。

 それでは、事務局はただいま出ました御意見を含めて、引き続き感染症の定期報告の収集をお願いします。

 次に移りたいと思いますが、議題3「血液製剤に関する報告事項について」です。ここは3-1、3-2、3-3の3つの報告がありまして、供血者からの遡及調査、医療機関からの感染症報告事例、そしてHIVがありますので、この3つの報告をお願いします。

○上田課長補佐 それでは、まず資料3-1をごらんください。供血者から始まる遡及調査の実施状況になっております。

 3ページめくっていただくと実施状況の表がございます。右上に参考とあるものです。この資料の一番右側の列、これが平成25年4月1日~7月31日とありますが、ここが最新の情報になっております。

この資料によりますと、一番上の2,863という数字がございます。これは期間中に遡及調査の対象となった献血件数、すなわち個別NATが実施された件数を示しております。前回の運営委員会でも御説明申し上げましたが、平成23年~平成24年にかけて、こちらの件数が大幅に増加しておりますのは、平成24年8月よりHBV抗体の基準を厳格したことにより一時的に遡及調査が増加しているものと理解しております。

一方、下を見ていただきまして、28という数字がございます。この数字は遡及調査の対象のうち、個別NATが陽性となった件数になります。28件のうち27件がHBVでありまして、1件がHVCでした。このHCVというのは今までの報告の左側の欄を見ていただきますと、久しぶりに出た1例となっております。

これは2008年8月に現行のNATシステムに変更しましてから、初めて、いわゆるすり抜けの事例として報告された形になります。後ほど補足がありましたら、日赤のほうからよろしくお願いいたします。

 さらに下のほうを見ていただきまして、受血者情報が判明した件数の中で陽転事例はこのHCVの1件のみでございました。これが上記のものによる感染例と考えられます。また、このHCVの症例については後ほど出てまいりますが、資料3-2の症例報告の中には詳細は今回上がってきておりません。これは報告時期の問題でこのような形になっておりますので、詳細情報につきましては次回の運営委員会のほうに情報が提示されるといった形になっております。

 以上で簡単ですが、3-1について終了いたしまして、次に3-2をごらんください。「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」になります。

 2ページ、まず今回の調査機関において輸血用製剤で感染が疑われる事例のうちで、劇症肝炎及び死亡例といったものの新規報告はございませんでした。こちらに挙げている表になりますけれども、過去に報告された死亡症例と劇症肝炎の症例について継続調査をまとめたものになります。これは定期的に運営委員会で報告させていただいておりますが、今回更新された新たな情報はございませんでした。

 3ページ、感染症報告事例のまとめについて、ごらんください。これは平成25年5月から7月までに輸血用血液製剤について感染症報告として挙がってきた事例、新規報告と追加報告を合わせたものになっております。合わせて25件の報告がございました。B型肝炎ウイルス感染事例が9例、C型が7例、HIV感染報告事例はなく、その他の感染症報告として9例がございました。この9例のうち7例は細菌感染でした。後ほど述べますが、残りの2例についてはサイトメガロウイルスの感染疑いということで挙がってきております。

 順に説明をいたします。

2番のHBV感染報告事例です。HBVについては9件の報告中、個別NATが陽性になったものが2件ございました。

 次にC型、3番です。こちらのほうは7件の陽転事例のうち、NAT陽性事例はございませんでした。

HIV は先ほど述べましたとおり、報告事例はございませんでした。

一番下、細菌感染のところですけれども、細菌感染は7例ございましたが、保管検体の試験、無菌試験の陽性事例はございませんでした。

次にもう一ページめくっていただきまして、こちらは今、述べました感染症報告事例の詳細の表になっております。表の一番端、日赤番号の部分にグレーの色がついているもの。こちらが過去の運営委員会でも報告があったものですございますが、追加情報として今回挙がっているものがこの色で分類されております。そうでないものは新規報告になります。

幾つか補足を説明させていただきますと、まず1ページ目、HB感染報告事例では、輸血前後で陽転した事例9例のうち、献血者の個別NATが陽性であった件数は2件と御報告いたしましたが、この2例がこのページに載っております2例になります。1例はごらんのとおり前回も報告されておりますので、追加情報ということになっております。したがいまして、今回NATを新規陽性というのが、この下の1例のみということになっております。

3ページほどめくっていただきまして、輸血による細菌等感染報告例(疑い例を含む。)のほうです。

先ほど申しましたとおり、その他の細菌等感染報告例の中では、9件の報告のうち7件が最近、2件がサイトメガロウイスルの報告ということでした。サイトメガロウイルスの報告についてがこのページの一番下、日赤番号で申しますと3-13000057、次のページの3-13000058になっております。いずれも申請事例で臨床症状がサイトメガロ感染が疑われましたが、保管検体にて個別NATが陰性と報告されております。

細菌感染の報告が7件と申し上げましたが、うち4件で同一採血番号の血漿、または投与中心の当該製剤を用いた再培養試験で陰性を確認しております。

もう一つ、最後のページに試行的HEV20プールNAT実施状況についてがございます。これは皆様御存じのとおり、北海道で実施しておりますE型肝炎に関する20プールNATスクリーニングの結果でございます。御存じのとおり北海道ではHEVRNA陽性率が高いことや劇症化が懸念されるジェノタイプの4が高いということで、試行的にこのスクリーニングが実施されておりますが、今回の情報としては一番下の行から2つ目、平成25年1月~6月というこの部分が新しく更新されたものでございます。

例年に比べまして、今回はまだ速報値ということで半年のデータでございますが、特段留意すべき傾向はないかと考えております。

資料3-2は以上になりまして、次の3-3をお願いいたします。

3-3ですが、献血数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数というものが一番最初の表紙にございます。これは経年の表形式で示しておりますが、一番下の行に直近の情報がございます。これも1月~6月までの速報値になっております。37件の報告がございまして、女性が1件、核酸増幅検査陽性が1件という結果でした。前年比では10万件あたりの陽性率が1.417とやや高く見えますけれども、速報値ということで経過観察をしているといった状態です。

2ページ目、陽性者数を年代別に示したものです。これは昭和61年からの類型値となっております。2030代の日本人男性が全体の7割という、この傾向はこれまでと同様の傾向で変わってございません。

3ページ目、これは都道府県別の陽性者数になります。平成25年1月~6月まででは17の自治体から陽性者の報告がございました。東京、神奈川、大阪といった大都市周辺に多い傾向は変わってはございません。

4枚目、5枚目の資料になりますが、4枚目は陽性者数をブロック別に示したものであります。これについては10万件あたりの陽性者数が北陸・甲信越ブロック以外では前年度に比べ横ばいか増加という結果でした。また、昨年、陽性者数の報告がなかった四国ブロックにおいても1件報告があったというところが変わったところでございます。

次のページの年齢別の分布。これもあわせまして、こちらのほうは特段、例年に比べて変わった傾向はないかと考えております。

最後、グラフをごらんください。これが資料3-3の最後の資料になります。平成25年1月~3月までの10万人あたりの男女別の陽性者数を示しております。最後は013年の値になりますが、前年に比べて男性が増加傾向、女性が減少傾向と見えます。これもことしの速報値がまだ半年分ですので、経過を見ている最中といったところです。

以上で資料3の説明を終わります。

○牧野委員長 それでは、ただいまの報告はかなりボリュームがありましたけれども、その報告に関しまして、どなたか御意見、御質問がありましたらどうぞ。

○山口委員 まだ細かい情報がないのかもしれませんけれども、もし情報があれば、資料3-1でC型肝炎のすり抜け事例があったのですが、これは日赤のほうで高感度化されている初めての事例かと思いますか、実際にどれくらいのパーミリリッターのIUであったのか、もしわかっていれば教えていただけますでしょうか。

○五十嵐参考人 IUでいいますと68.3IU/mLでございます。

○山口委員 わかりました。

○牧野委員長 今回のすり抜けの症例の詳細はまた次回に詳しくですね。

 ほかにございませんでしょうか。

○大平委員 C型肝炎のほうの問題もそうなんですが、B型とかでその後の調査が遡及のほうで止まっているケースもあったりして、いつも言わせていただくのですが、なるべく救済の適合するのかしないのかということも結構判断としては重要だと思いますので、できるだけこの献血の方について、情報としてこういったケースが出たということについてお知らせして、多分献血に来られないと対象となる人の検体は検査できないまま眠ってしまうのだろうと思うのですが、そういうことがないように何とか工夫ができないのか。プライバシーの問題とかいろいろあると思いますが、ただ、そういう不幸にして感染した場合にその人の救済の問題も含めて、全体として考えてあげる必要があるのではないかと思うのですが、その点は少しは前向きな姿勢で考えて考慮していただけるのでしょうか。

○牧野委員長 いかがでしょうか。

○日野参考人 以前この運営委員会の中でドナーさんのほうに再採血の依頼通知を差し上げてくださいという話があって、対象の症例についてはドナーさんを呼び出してお願いしています。献血をしてくださる前にパンフレットがございまして、その中には1つ、献血後、製剤が輸血用として使用された場合に後で医療機関から感染症報告かあって、その後の献血がなければ再採血のお願いをすることもありますということが1つ。

 もう一つは、現状では症例数的には完結している症例といいますのは5~6割程度ですけれども、1人でも来なければ、それが完結しないということがあって、対象ドナーの完結度においては7~8割程度のドナーさんが協力していただいているということです。もちろん、この中には次回の献血ということも入っております。

○牧野委員長 ほかはよろしいでしょうか。

○岡田委員 C型肝炎のすり抜けについて、情報はわかっているだけで結構ですけれども、この感染がわかったのは輸血後の3カ月後の検査で判明したのか。それともドナーが次に来て、それで陽転化していたので、直近の検体を調べて陽性になったので、遡及してこの患者さんが感染していることがわかったのか、どちらか。情報をもう既に入手していれば教えていただきたいです。

○五十嵐参考人 このドナーさんが本年の6月に献血していただいて、そこで抗体陽転を確認いたしました。前回にさかのぼって2009年の献血が輸血されていたということで、この2009年のものが個別NAT陽性でした。

○牧野委員長 輸血自体は結構以前にされたものですね。

○五十嵐参考人 はい。

○牧野委員長 ほかはよろしいでしょうか。

○田崎委員 資料3-2です。表の右のほうに感染症等の転帰、それから単純に転帰と書いてあります。まず感染症等の転帰ですが、これには重篤化、非重篤化、その2つしか選択肢がないんですか。これで見ますとほとんどが重篤です。要するに輸血後感染症で重篤と評価されたと考えてよろしいのでしょうか。

○上田課長補佐 事務局からお答えいたしますが、これの感染症転帰は確かにこの表では非重篤、重篤のみですが、確認をいたしますけれども、転帰が軽快等、に分類されるものもたしかあったかと思います。詳しい情報、重篤・非重篤のみの欄の意味や転帰の軽快等が本当にあったか等、そのあたりはもう少し確認いたしまて、御連絡をさせていただければと思います。

○田崎委員 そうですね。そのとなりに単に転帰というのがあるものですから。患者さんはもともと何か疾患があるわけですから、それも含めての転帰なのか、この辺が曖昧です。その非重篤化、重篤化、軽快という判断はあくまでも報告者が決めているというか、特に基準があるわけではないんですね。

○野村企画官 医療機関からの報告については、報告した医師の御判断で重篤度を決めていただいております。

○田崎委員 わかりました。

○牧野委員長 それでは、事務局、日赤におきましては、ただいまの御意見を念頭に置きつつ、血液製剤の安全性に関する情報を引き続き収集していただければと思います。

○大平委員 HIVの件ですけれども、今回は昨年に比べてもかなり症例数としては多いので、これは多分まだ今後3月までのまとめが出るまでははっきり数字が出てこないと思いますが、前年よりふえているかなというところが推測されるので、少しその献血への意識として、献血への協力について、検査目的の問題については回避していただけるようにということを少し、ここのところは広報としては少なくなっているかなと。ですから、そういう点は何か働きかけをぜひお願いしたいのと、疾病対策課に言っていただいて、なるべくその検査機関での検査をきちんとするようにということで誘導していただけるようにお願いしたいと思います。

○上田課長補佐 ありがとうございます。1つ補足ですけれども、疾病対策課のエイズ動向委員会のほうでもこの資料を御紹介させていただいていまして、確かに先生のおっしゃるように、ことしのペースが速いなというのは皆さん認識しているところです。

一方、2011年、2010年のデータと比較しますと、本当に本年が多いと言えるのかというところが議論になるところでございまして、やはり先生のおっしゃるとおり1年間のデータを待って、今の働きかけのお話等も念頭に置きつつ対応してまいります。ありがとうございました。

○牧野委員長どうぞ。

○山口委員 質問しようか悩ましいところですけれども、次回に議論するにしても、C型肝炎のすり抜けで先ほど御説明いただいたのですが、多分プールNATだと恐らくIU弱くらいしかないので、多分今の技術では、これは当然なるのではないかという気がしていて、もしこれを対応するとしたら、正直に申し上げて、それをやれという意味ではないのですが、個別NATくらいしかもうないだろうなと、そういう印象を持ちました。

○牧野委員長 恐らく次回のディスカッションになるのではないかと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、情報の収集を引き続きよろしくお願いします。

 それでは、資料4「日本赤十字社からの報告事項について」について、参考人である日赤のほうから説明をお願いいたします。

○碓井参考人 それでは、日本赤十字社のほうから平成24年度の取り組みについて御報告させていただきます。

 まず、お手元の資料4をお出しください。血液事業本部のこの1年の取り組みについて御報告いたします。

 初めに「1.献血者の確保対策」についてですが、平成24年度の献血者数及び献血量は、ともに前年度とほぼ同等の結果となりました。献血者数は合計約525万人で、前年度に比べ約1,000人の減少となっております。また、献血量につきましては約204万Lで、前年度より約1万L微増となりました。

平成24年度における献血者確保対策としては「(1)若年層を対象とした対策」、2ページ目の「(2)献血者の年齢層に応じた献血推進対策」、「(3)企業等における献血の推進対策」、「(4)複数回献血協力者の確保」などを実施してまいりました。

また、これらの確保対策の効果を上げるため、「(5)献血推進キャンペーン等の実施」といたしまして、二十歳の献血キャンペーン、3ページになりますが、ラブインアクションプロジェクトなどの各種献血推進キャンペーンを昨年度に引き続き実施し、献血者の確保とともに献血への理解促進に努めたところでございます。

これまで御説明いたしました献血者の確保対策のほか、「(6)安心して献血ができる環境の整備」といたしまして、献血ルーム等のイメージアップ、初回献血者への対応、献血サービス等の実施などに取り組みました。献血ルームにつきましては休憩スペースの十分な確保や地域の特性の合わせたイメージづくり等の環境整備に努め、一層のイメージアップに努めております。

また、初めて献血する方の不安を払拭するため、献血手帳や献血後の過ごし方について、映像やリーフレット等を活用して十分な事前説明を行っております。このほか献血者の健康管理に資するため、希望者に対し生化学検査や血球計数検査、こちらの成績をお知らせするサービスを引き続き実施しております。

また、ヘモグロビン濃度が低かったことにより献血に御協力をいただけなかった方には、健康相談等を実施し、次回への献血につながるように努めております。

4ページをごらんください。「(7)献血による健康被害の救済制度」。こちらにつきましては、本制度の対象となる健康被害を負った献血者からの請求を血液センターで受理し、国の定める判定基準に基づき給付判定を実施しております。平成24年度については1,033件の申請があり、全ての請求が給付の対象となり、救済が行われております。

「2.輸血用血液製剤の安全対策」について御報告いたします。安全対策につきましては「(1)感染性因子不活化(低減化)技術の導入に向けた評価・検討」及び「(2)HBc抗体検査における評価基準の改正」について取り組んでまいりました。感染症因子不活化技術につきましては、薬事申請に必要な海外の承認状況等に関する情報収集、低減化技術の安全性、有効性及び品質に関する評価試験を継続しております。

また、低減化処理後の保存中に血小板の凝集塊が生じる原因を解明し、バッグの改良を指定するなどの成果を得ております。これらの結果もあわせ、血液事業部会や本委員会における審議結果に基づき、低減化技術の導入に向けて準備を進めております。

一方、輸血によるB型肝炎の感染防止に対しては、輸血後、感染事例からHBs抗原検査及びHBs抗体検査の判定基準を強化することが、さらなる安全性の向上につながることが明らかになりました。このため献血者確保の強化することにより、輸血用血液製剤の安定供給を維持できると判断し、平成24年8月に当該検査の判定基準を改定いたしました。

「3.血液製剤の供給・販売実績」につきまして御報告させていただきます。近年、輸血用血液製剤の供給状況は全体として、若干ではありますが増加傾向にあり、平成22年度におきましては赤血球製剤が約654万本、血小板製剤は約905万本、血漿製剤は約327万本を供給いたしました。

また、平成24年度における血漿分画製剤につきましては、アルブミン製剤を約39.9万本、血液凝固第8因子製剤を約6.8万本、静注用免疫グロプリン製剤を約13万本販売いたしました。

「4.合理的・効率的な事業運営の推進」についてですが、「(1)業務集約の実施状況」につきましては、安全で均質な血液製剤の製造を目的として実施し、平成24年度末までに検査業務を全国で9カ所、製剤業務を15カ所に集約しています。

また「(2)広域的な事業運営体制の構築」につきましては、平成24年度より血液事業における一元的な在庫管理を行い、県境を越えた迅速な供給体制を構築し、さらなる血液製剤の安定供給と有効活用を図るべく、従来の都道府県単位の運営から全国7つのブロックを単位とする広域事業運営体制を開始いたしました。

次に「(3)次期血液事業情報システムへの移行」につきましては、さらなる業務の効率化等を目的として、現行の血液事業統一システムを刷新し、平成24年4月から「血液事業情報システム」として経理・用度部門のシステムを先行的に導入しております。このほかの各部門のシステムにつきましては、段階的に導入する予定としております。

続きまして「(4)医薬品品質システムの導入」につきましては、さらに高品質な血液製剤を安定的に供給することを目指し、採血から供給に至るまでの一連の工程を適切に管理するため、医薬品品質システムを導入し、全国の品質保証部門において品質モニタリングや品質システムに係る周知活動を行うなど、段階的に運用を開始しております。

6ページの「5.研究施設の整備」でございます。血液事業における研究は、血液事業本部直轄の中央血液研究所及び3カ所のブロック血液センターを中心に進めておりますが、今後輸血用血液製剤の安全性及び有効性向上のための研究にさらに充実させるため、体制整備を行ってまいります。

「6.国際協力事業」についてです。平成24年度につきましては、アジア地域の7カ国の赤十字・赤新月社から8名の血液事業関係職員を受け入れ、血液事業本部及び各ブロック血液センターにおいて、血液製剤の検査、製造や品質管理など、血液事業の各分野の研修を実施いたしました。

最後に「7.関連事業」についての御報告でございます。

「(1)骨髄バンク事業への協力」につきましては、平成24年度には血液事業の広域事業運営に伴い、各ブロック血液センターにブロック骨髄データセンターを設置して、ドナー登録者のデータ管理等を行い、地域骨髄データセンターにおいてドナー登録希望者の登録受付を行っております。

また「(2)さい帯血バンク事業」につきましては、平成24年度よりさい帯血バンク事業を血液事業の関連事業として位置づけ、北海道、関東甲信越、近畿及び九州の4カ所にブロック血液センターにさい帯血バンクを設置し、会計基準の見直しや技術水準の均一化

などを行い、血液事業本部の統一した方針のもと、事業運営を行っております。

以上、簡単ではございますが、平成24年度の血液事業本部の取り組みについて御報告をさせていただきました。

資料には参考といたしまして、「平成24年度の採血及び供給実績」をおつけしておりますので、後ほどごらんいただければと存じます。今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

以上でございます。

○牧野委員長 委員の先生方から何か御質問、御追加はございませんでしょうか。

○大平委員 2~3お伺いしたいと思います。

1つは、広域的な事業運営体制の構築が進んでいるということで、24年から始まって、血液事業の一元的な在庫管理とかいろいろな形で有効性を発揮しているのだろうと思いますけれども、どのような効果が生じてきているのかを次回でもいいので、この統一運営体制の構築という公益的なブロックで集約して、それがどういうふうに効果的に日赤に反映しているのかを教えいただきたい。

 また、去年に日本血液製剤機構ができて、血漿のほうの製造部門が完全に分離されて、輸血後、血液の安全管理に集約されてきていると思いますけれども、そういうことでコスト面でも少しは形質的に負担が軽くなってきたのではないかと思うのです。そういったところでいろいろな輸血用血液製剤としての販売価格とか、そういうものがなかなか同じでという形ではなくて、少しは軽減されていくのかどうか。そういう見通しも少し教えていただけたらと思います。

 もう一点だけ。iPS細胞の問題については、多分研究が進んでいると思うのですが、それの進捗状況が今回ここの中には載っていないので、それはまた別途の話なのか、それとも日赤の中で含まれている話なのか、そこは教えていただきたいと思いました。

 以上です。

○牧野委員長 日赤のほう、どうでしょうか。

○碓井参考人 まず最初の広域的な事業運営体制についてですけれども、1年半をやっと過ぎまして、今、先生がおっしゃったように事業評価を含めて、どういった効果的なものがあったのか。現に需給管理に一元化しておりますので、かなり供給が迅速になったとか、あとは期限切れ率がかなり減少したとかの効果は少しずつ表れておりますので、また機会を設けて一遍御報告をさせていただければと思います。

JBPOができて分画事業が日赤から離れてから、かれこれ1年になるのですが、その辺も含めて24年の新体制で、どういう効果があるのかというものを検証しておりますので、それも今度含めまして一括で御報告をさせていただければと思います。よろしいでしょうか。

○牧野委員長 iPSについては事務局から。

○野村企画官 それでは、事務局のほうから御説明をさせていただきます。iPS細胞については御案内のとおり、京都のiPS細胞研究所のほうで山中先生が発見をされたということで、現在いろいろな研究に使われているところですが、1つはそのものを使った、いわゆる再生医療というような研究がございまして、具体的には今、理化学研究所の高橋政代先生のところで網膜の細胞をつくるようなことで適応に関する臨床研究が始まると伺っております。

 これとは別途、そのiPS細胞を使って病態の研究を介して、薬の開発につながるのではないかというような研究の方向もございまして、こういったものについては種々の研究所なり、そういったところが取り組んでいると伺っております。これに関連して申し上げますと、再生医療に関してはiPSも含めて、ほかの幹細胞などもございますけれども、現在そういったものの進捗が非常に進んでおりますので、安全性を確保しつつ推進をするという観点で薬事法の一部改正を計画をしておりまして、また、これに関連して恐らく運営委員会、それから部会のほうでも御審議をお願いしたかと思いますが、採血にかかる部分について今まで血液製剤のみとなっていたところについて、こういったものに使う採血についても含めていただくようにということで、現在国会に法案が提出されておりますが、継続審議中ということで次期の臨時国会で御審議をいただけるのではないかと考えております。御説明がお答えになっているかどうか、不足の点がありましたら御指摘をいただければと思います。

○牧野委員長 よろしいですか。

岡田委員。

○岡田委員 1つ確認したいのですけれども、(7)献血による健康被害の救済制度」の中に死亡給付請求書が1件と記載されているのですが、これは以前、運営委員会に報告された死亡例なのか、ほかにまた生じたのか。その辺を教えていただきたいです。

○碓井参考人 昨年度の1件は、前回御報告いたしました、その1件のみです。

○山口委員 

関連事業ということで、さい帯血バンク事業あるいは骨髄バンク事業の協力があるのですが、たしかこれは造血幹細胞移植法が施行されて、その関連で日赤がここら辺の採血の支援機関に想定されていると伺っているのですが、その理解でよろしいですね。

ただ、もう一つは、気になのるは日赤が検査とかさい帯血事業とかに関して、かなり積極的にかかわってほしいという要望があると思うのですが、薬事法の係る血液事業と薬事法以外のこういった事業への支援が平行して実際される可能性があるので、その辺の区分けをどういうふうに今後、日赤のほうでされるのか。

私は別の委員会でも質問させていただいたのですが、例えば、さい帯血バンクで検査を日赤でやってほしいという要望があると思いますが、そういう薬事法でないところのものと薬事法でやっておられる日赤の血液事業と、どういうふうに配分していくのか。実際に運営していくのかというところがもし日赤で今、検討されていれば、教えていただければと思います。

○碓井参考人 先生の御質問された件については、私は今、答えられませんので、持ち帰って回答を用意したいと思います。申しわけないです。

○牧野委員長 ほかはよろしいでしょうか。

○大平委員 「5.研究施設の整備」ですけれども、血液事業本部直轄の中央血液研究所及び3カ所の血液センターに設置されているということですが、日赤が日本人の献血によっての血液の一番いろいろな情報について知り得る立場かなというところで、研究とかこういった献血血液を生かしての今後のいろいろな血液の問題について、中央血液研究所のほうでどういった規模で行なわれているのか。

 それから、赤十字で血液事業をやっている国はそんなに多くはないと思いますが、そういった国々と比較して、日本の血液研究所のやっているレベルどういうものなのかというのは、後でもいいですけれども、知らせていただければ、大変重要な研究をされていると思いますので、そこをこれまでもなかなか予算が余り少ないのではないかということの指摘はあったわけですが、こうした問題について、どのようにお考えかを教えていただきたいと思います。

○牧野委員長 日赤のほうはどうでしょうか。

○碓井参考人 きょうはたまたま研究所の田所所長が来ていないのですが、今の先生の御質問でどういったレベルでやっているか、どういった研究をやっているといった研究報告書もございますので、機会を改めて、その研究所の内容について御報告をさせていただきたいと思います。

○牧野委員長 よろしくお願いします。

 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題5「『献血血液の研究開発での使用に関する指針』に基づく公募の方法の一部改正について」、事務局から説明をお願いします。

○上田課長補佐 資料5をごらんください。献血血液の研究開発等での使用に関する指針に基づく公募方法の一部改定ということですが、昨年よりこの指針に基づきまして、平成25年度分の献血血液の使用に関する公募が実施されております。その結果、献血血液の研究への提供というものがなされているところです。

 ですが、今般、平成26年度分の公募2回目に当たりますが、これを行うに当たりまして、手続の円滑化を目的として公募方法の一部改正を行うことを考えております。

改正箇所の1つは「1.申請内容のうち『献血血液の対象期間』のみを延長する場合の手続き」を明確化することです。

 背景としましては、本指針に基づき提供される献血血液は、各年度における余剰血液でありますので、平成24年度の公募要項において提供されている献血血液の対象期間は、原則的に1年間とされています。

 一方で、研究の特性上の理由により、申請者が次年度も同様研究を献血血液を用いて行うことを希望される場合が想定されます。その場合、年度ごとに新たに申請を求めることは必要以上に公募手続の負担を強いることになると考えます。

 以上を考慮しまして、今回の2回目の公募における対応として、献血血液の対象期間の延長について年度を超える場合も変更・追加申請書の提出により対応することを考えております。この点について公募要項に明記すること、これを現在考えておるところです。

 続けて説明いたしますと、さらに「2.その他、公募作業円滑化に係る事項」といたしまして、申請書に記載すべき情報が明確になるよう申請書様式の整備を行いたいと考えております。

 これにつきましては、別添に新旧対照表をお示ししております。主には記載整備のような形になりますので、詳細は対応表のほうをごらんください。また、申請内容の変更手続に関しては、必要であれば取り扱いをQAにて明示することで対応したいと考えております。

 例えば申請書の記載内容に軽微変更手続があった場合には、ここにQA案として一番下のほうにございますが、変更追加申請書様式2のみを提出することで手続を簡略するといったようなことを明示していこうかというようなことを考えております。

 以上の一部改正方針について、今回の運営委員会で御了承いただけましたならば、今後の作業について検討していく方針でございますので、よろしくお願いいたします。

○牧野委員長 これは結局、簡略化していくということで、期間延長の場合は変更・追加申請書をつくって、それを利用していただくということ。2番目は、申請書の様式で、よりわかりやすく細かく分けて、あとの審査を簡略化しようということ。最後に、採血とかの希望する血液製剤の量とか何をどれだけとかいうのをはっきり選べるようにしているところが大きなところだろうと思います。

 この改定につきまして、何か御意見、御質問がありましたら、どうぞお願いします。

○田崎委員 この追加申請の申請書のフォームはまだ提示されていないんですか。

○上田課長補佐 現在、最終版を作成しておりますので、案としてつけてございますのが別添になります。

○田崎委員 私どものところでというか、認定輸血検査技師の実技試験のときにこの血液を毎年使わせていただいているんですね。同じことを毎年やっているので、変更とか追加申請だけで毎年申請ができるのであれば、非常に助かります。毎回細かく書かなければいけないのでは、大変なので。

○上田課長補佐 ありがとうございます。まさにその辺の簡略化を目指しておりますので、御了承いただければと思います。

○牧野委員長 昨年から始まって、ことしは2年目ということで、徐々にこういうフォームそのものも簡略化、スムーズにできるように改良していきたいと思います。

 それでは、今回の訂正に関しまして、この公募方法の改定方式について了承とさせてもらってよろしいでしょうか。

 それでは、事務局は今回提示された方針で作業を進めていただければと思います。

 それでは、次の議題6と議題7は非公開の内容ですので、その前に議題8「その他」に移らせていただき、そちらのほうを先に行いたいと思います。

 まず、前回の運営委員会で報告されました献血血液から初めてシャーガス病の抗体陽性が確認された件に関しまして、その後の遡及調査の結果が先月9月20日に開催されました血液事業部会安全技術調査会において報告されましたので、その内容を事務局からお願いいたします。

○上田課長補佐 それでは、その他の議題の最初の部分です。資料8を用いて説明いたします。シャーガス病の安全対策並びに陽性例の経過につきまして報告いたします。

 資料8ですが、8月14日に皆様にお集まりいただきました運営委員会で報告させていただきました献血時のシャーガス病疫学調査における抗体陽性例についての進捗情報でございます。本件は9月20日に安全技術調査会において遡及調査の結果などが報告されました。

資料8-1及び8-2は、調査会で使用した資料になっております。遡及調査の結果というのが資料8-1の3ページ目の表になってございます。抗体陽性が判明した献血者が過去に献血した血液を原料とした輸血用製剤というのは、合計11名の患者に投与されていることがわかっておりましたが、遡及調査によりますと、これらの中に感染は確認されたものはいなかったという結果になっております。

詳しく申し上げますと、11名中5名の方では、原疾患等により死亡されており、5名が抗体検査を実施することができ、陰性を確認できました。1名については検査の御同意がいただけなかったということで、不明という形になっておりますが、以上のような結果になっております。

補足ですけれども、この安全技術調査会において、新たに2人目の抗体陽性例が報告されております。疫学調査の中で抗体検査をした中の献血者の抗体陽性例でございます。当該献血者、献血に来られた方は初回献血でありまして、過去に献血歴はございませんでした。

資料8-2でございますが、裏面のイラストをごらんください。安全技術調査会において現状においては平成2410月よりとられている安全対策、すなわち製造制限、問診でマル1.中南米出身者、マル2.母親が中南米出身者、マル3.中南米に4週間以上の滞在がある方に対して献血の血漿分画製剤の原料血漿のみに使用するという製造制限がとられているということで、安全対策はなされているということが確認されました。

また、シャーガス病に対する安全対策を開始した、この平成2410月以前の血液について、シャーガス病が輸血感染で行っている可能性の有無ということに関しましては、保管検体を用いる等などして、可能な限り調査を行う方針が確認されました。これらは今、日赤のほうで行っております疫学調査が一段落した段階でこれらの評価を行いまして、今後の対策について協議を行う予定となっております。

以上、資料8の御報告を終わります。

○牧野委員長 まずは5,000件の検査を行って、その段階でその後の対策というか方針を決めていくということですね。

○上田課長補佐 ちょうど5,000になるかはまた御相談ですけれども、ある一定の時期でもう一度、審議会で調査の結果の評価をいたしましょうということです。

○牧野委員長 ただいまの報告に対しまして、御意見、御質問はございますでしょうか。2例目は初回で、もうそのときで終わっているんですね。

○上田課長補佐 はい。

○牧野委員長 よろしいでしょうか。

 それでは、引き続きまして、資料9について事務局から説明をお願いします。

○上田課長補佐 資料9ですが、こちらは定例で行っておりますフィブリノゲン製剤納入先医療機関への追加調査の御報告でございます。

最新情報ですが、前回の運営委員会後に2人の元患者様にお知らせしたという連絡が入りました。したがいまして、今回は6月28日付で情報が更新されているものが皆様のお手元にございます。具体的には、2の「(4)元患者の方への投与の事実のお知らせ状況」の数値が更新されてございます。この情報につきましては、ホームページにも公開をしておりますので、御確認いただけますと幸いです。

簡単ですが、以上になります。

○牧野委員長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 以上までが非公開の議題6と7以外の議題が終わりましたけれども、特にここまでで何か御質問で追加はございませんでしょうか。

 それでは、非公開の議題を始める前に事務局の方から連絡がありますので、よろしくお願いします。

○上田課長補佐 そうしましたら、次に非公開の議題を開始いたしますので、その前に参考人の交代がございます。5分ほど休憩をとらせていただきまして、入れかえをさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 非公開になりますので、傍聴者の方々は御退席をお願いいたします。

 

(休  憩)

 

○上田課長補佐 それでは、準備が整いましたので、議題を再開させていただきます。

 会場設備の都合上、非公開議題は、議題7「日本血液製剤機構からの報告事項について」から始めたいと思いますが、まず本議題に関しまして参考人の方々にお越しいただいておりますので、紹介させていただきます。

 日本血液製剤機構より、理事長の上田参考人。

 副理事長の秋山参考人。

 総務人事部長の石川参考人。

 製品戦略部長の鈴木参考人。

 経営企画部長の伊藤参考人。

 経理財務部長の筒井参考人です。よろしくお願いします。

 では、以後の進行は牧野委員長にお願いいたします。

○牧野委員長 それでは、資料7の日本血液製剤機構からの報告事項について、参考人である日本血液製剤機構の担当者のほうから説明をよろしくお願いします。

○上田参考人 理事長の上田でございます。

  一言御挨拶を申し上げます。お陰さまで、10月1日で我々が事業開始をして2年目に入ることができました。最初のスタートのときには、いきなり改善命令という負荷を背負い込みまして、いささか慌てたところでございますけれども、この中から我々も新法人としてのスタートの中で学ぶこともたくさんございました。お陰さまでこの9月18日に総括報告書を厚生労働省のほうに提出させていただきまして、受理をいただきましたので、本件につきましてもお陰さまでちょうどこの1年の中で解決できましたことを御報告申し上げます。

 この問題解決の中でさまざまな宿題があったわけですが、私どもとしても組織とか人とかあるいはライン、こういうものを思い切った改善をいたしました。今後二度とこういう事故を起こさないために、まだまだ残されている課題はありますが、早急に手当をしなければいけないところは手当をしながらやってまいったということを御報告申し上げます。

 細かなことは、これから石川常務理事のほうから御報告を申し上げますが、私どもも来年の4月1日がJBPO日本血液製剤機構としての真のスタートになります。現在は販売ルートも田辺三菱ルート、日赤ルートという2ルートを使っていますし、従業員も全て日赤からの出向あるいは田辺三菱さんからの出向という形で現在JBPOの運営をしています。

そういう形をとっていますが、混乱もなくスムーズな経営がお陰さまでできていると思っておりますが、来年の4月に向けて、人事制度を含めて、いろいろな制度を現在詰めているところでございまして、将来に向かってのいろいろな夢を実現するものにも実際に取り組んでおりますので、きょうの石川のほうからの御報告の中で報告させていただければと思っております。ぜひ今後ともよろしく御指導をいただきますようお願い申し上げます。ありがとうございました。

○石川参考人 それでは、私のほうから、お手元の資料7に基づきまして、日本血液製剤機構の事業開始からの1年ということで御説明をいたします。

 スライドの右下に番号が書いてありますが、2ページにまいります。日本血液製剤機構、長いので英語名の略称でJBPOと言わせていただきますが、我々は血漿分画製剤の安全性と信頼性を高め、献血血液による国内自給の達成と安定供給を目指し、昨年10月から事業を開始したところでございます。

 私たちは新法人といたしまして、その事業開始に当たりまして、株式会社と非営利組織が統合いたしましたので、この法人の設立趣旨を示す基本理念、ビジョンを制定し、全ての役職員が共通の認識を持つべく努めてまいりました。その基本理念とビジョンをまず御紹介をさせていただきます。

 基本理念は「善意と医療のかけ橋。私たちは善意の献血による血液製剤を通じ、高い倫理観と使命感を持って人々の健康に貢献します」としております。

 ビジョンは5つございますが、一番最初に「安心・安全を最優先に血液製剤の安定供給と国内自給の達成に貢献します」というものを持ってきております。

 以下、患者・医療関係者との最善のパートナーを目指す。国内及び世界における血漿分画事業のリーダーを目指す。革新に挑戦し、限りある資源からの血液製剤の可能性を追求する。誇りと生きがいを持って働ける企業文化をつくっていくというふうにしております。

□□□□□

資料3でございます。次にJBPOの第一歩としてのこの1年の経緯でございます。10月1日に事業を開始したわけですけれども、先ほど理事長から話がありましたように、9月28日にベネシスが厚生労働大臣から業務改善命令を受け、1029日にJBPOとして改善計画書を提出いたしました。

本件につきましては、厚生労働省、PMDAを始め関係各機関から改善状況の確認をいただいております。9月18日に総括報告を行い、最終の確認をいただき、これによりまして改善対応を完了することができたわけでございます。改善命令からほぼ1年にわたり厚労省を始め、関係各機関から御指導を賜りましたことを深く感謝申し上げます。

本年に入りまして、2月15日に第1回評議委員会、7月17日に第2回評議委員会を開催いたしましたが、この評議委員会と申しますのは、当機構の事業運営に関しまして、理事長に提言をいただく機関として設置をいたしたものでございます。医療関係者、患者団体、有識者で構成いたしております。

3月には今後3年間の中期経営計画を策定し、将来の姿を含め、方向性を打ち出したところでございます。

6月25日には、毎事業年度終了後に開催することとしております社団法人の定時社員総会。我々は会員と申しております。この第1回報告を行いました。なお、当機構の会員は田辺三菱製薬と日本赤十字社の2社でございます。

資料の4番でございます。次に事業統合の状況でございますが、第1段階として安定提供給に支障を来さぬことを最優先し、ベネシス並びに日赤の業務をJBPOの体制のもとに引き継ぎをいたしました。第1期が終了した本年3月を目途に、経営、業務、意識の面での統合を進め、順調に第一歩を踏み出せたものと認識をいたしております。

第2段階といたしましては、今年度末を目途に進めているものでございます。基幹情報システムは現在、田辺三菱製薬のコンピュータシステムを利用させていただいている状況でございますので、独自に構築をしております。

2つ目として、学術宣伝に係るプロモーション活動につきましても、田辺三菱製薬、日本赤十字社に協力を仰いでいるところですが、独自のプロモーション体制を確立する予定でございます。

3つ目として、営業拠点につきましても、現在は田辺三菱の拠点を間借りしている状況でございます。こちらも順次独立した拠点の整備を行っております。

4つ目として、血漿分画製剤の物流に関しましても、物流センターを発足いたします。これらのことによりまして、供給の一元化に向けての準備を進めているところでございます。

また、先ほども理事長からありましたように、現在、両者からの出向という形でJBPOに勤務をしているわけでございますけれども、来年4月に転籍をしていただくことになっております。そのために独自の人事制度の構築を進めております。

第3段階としては、統合の効果を着実に上げていくために現在着手をしているものでございます。製品構成、生産体制において重なっている部分を市場の混乱を来さないことに最大限の注意を払い、整理統合し効率的な体制づくりを進めております。機能の集約化というところでは、2工場間での機能を集約すること。また、分散しております研究機能を中央研究所に集約することとしております。

大規模分画工場につきましては、既に幾つかの海外の工場を見学いたしております。そて、計画に着手しているところでございます。このように統合の狙いである生産段階、供給段階でのコストの低減による事業の健全性確保に向けて、さまざまな取り組みを行っているところでございます。

資料の5番目でございます。事業そのものの活動について御説明をいたします。製品開発面では幾つかの成果が得られつつございます。□□□□□

既存製品でございますが、利便性を向上させるため投与量を半減した血液凝固第8因子製剤、クロスエイトMCの承認を取得し、販売を開始したところでございます。

ヒト免疫グロブリン製剤では、ことしの1月に国内初となります10%製剤、日赤ポリグロビンN10%の販売を開始いたしました。

また、旧ベネシス製品でございますけれども、献血ヴェノグロブリンにおいては天疱瘡の効能追加の承認を得たほか、引き続き効能追加に向けて、さらなる開発を準備しております。

事業構造改革に向けては、今後、経済的な成長が期待されておりますアジアの新興国の血漿分画事業への支援を通じ、JBPOとしても共に成長する機会がないか模索してまいります。□□□□□

また、自由貿易圏にありながら巨大な血漿分画メーカーへの依存を高めず、地域における一定の自給を維持している国や非営利分画事業所がヨーロッパにありますので、そうした事例を参考にしてまいりたいと考えております。□□□□□

財務体質の改善も大きな課題でございます。収益性の改善はもとより、資産構成面においては原料血漿やペーストなどの中間製品を多く保有しておりまして、これらの資産の現金化を進め、有効に事業に活用することが必要であると認識をいたしております。原料血漿の受け入れ量などで調節する部分もあろうかと考えおりますので、関係各方面の御理解と御深遠をいただければと存じます。

また、血漿分画事業は連産品が製造される構造になっております。アルブミン製剤は製造工程を重ねた最終段階のほうで製造されますので、国内自給を考えた場合、製造各社が応分に費用負担し、努力することが必要でございます。財務面においては国内各社とも大きな課題であると認識をしております。

資料6の最後になりますけれども、2013年~2015年までの中期経営計画とその財務指標について内容を御説明いたします。今年度から3年間は統合後の事業安定化ステージから中長期ステージへと進む段階ととらえております。内外の環境変化は厳しい時期となることが予想されますが、柔軟に対応し中期経営計画を確実に達成したいと考えております。

□□□□

以上、概略を御説明申し上げましたけれども、今後ともこのような機会をちょうだいいたしまして、関係者の皆様の御理解と御支援のもとで健全な事業運営に努めてまいりたいと考えております。

以上、説明を終了いたします。

○牧野委員長 ありがとうございます。

 ただいまの報告に対しまして、御意見、御質問があれば、お願いします。このスライド5の欧州の高自給率国はどこでしたか。

○伊藤参考人 経営企画部長の伊藤でございます。

 ヨーロッパにおきましては、もともと赤十字様からの発展というところで血漿分画事業を自国の血漿を一手に扱われるような国が幾つかございます。例えばフランスのLFBなどもそうでございますし、オランダにおきましてはサンキン、ベルギーにおきましてはCAFDCFといったところがそのようなことを実施して、100%という国はなかなかございませんが、50%を超える自給率を長年にわたって維持している国がある□□□□ということでございます。

○牧野委員長 ありがとうございます。

○牧野委員長 岡田委員、どうぞ。

○岡田委員 ちょうどサンキンの例が出ましたけれども、サンキンは世界でサンキンともう一社しかつくっていない非常に貴重な血漿分画製剤を製造して、もちろん国内の自給は十分に賄っていますので、余剰は海外に売っていると。そういうことで自国の自給だけではなく、その余剰を海外に出して、その利益でほかの製剤のコストとかも削減しているというような話を聞いておりますので、例えば日本赤十字社で新しい技術で新しい分画製剤を開発しても、国内の使用量は非常に少ない製剤であっても、世界を相手にすると十分にペイする製剤もあると思いますので、実際にそれを国外に出すのは法律的な面もいろいろあると思いますが、製剤によってはそういう新しいものを製剤してつくって世界に出すということも検討されてはいいのではないかと思います。

○牧野委員長 大平委員、どうぞ。

○大平委員 きょうは御苦労さまです。国内自給の達成を目指して運営委員会、血液事業部会で期待されて、2社が一緒になってつくられているということで、日本のほかの製剤メーカーでも4社くらいですかね。タケダとかいろいろなところが集まると市場規模としては大変大きいという講演を聞いたことがあります。

 ですから、ほかの2社も一緒になってやっていただけると、市場規模はそれほど大きくはならないかもしれませんけれども、ただ、やはり血液製剤メーカーとして、きちんとした確率を目指せるかなと期待はしております。特にきょうは出かけに遺伝子組換え製剤の話をしていまして、遺伝子組換え製剤についても海外のメーカーは製造の過程が度重なって、いろいろ改善されているのか、改良されているのか。

そういうふうにされていて、なかなかずっと安定した形での製剤の供給は、これまで余り見られていないところもあるので、そういった点で何か問題が起きたときに、海外のメーカーですと最近いろいろ問題になっているほかの製剤の問題でも、なかなか現地まで調査するとか、いろいろな形でハードルが高いかなというところがあります。

 やはり国内でつくられていれば、血漿分画製剤もそうですし、今後、遺伝子組換えも始まるかもしれません。そういった問題についてもやはり厚労省がきちんと指導をしていただければ、そこでリスクが止まるということとか、そういうことが直接、私たちの目に止まるということがやはり安心感につながることだと私は思っておりまして、そういったリスクも考えて、ぜひ頑張って、これからも続けていただきたいなと。これからなんですけれども、続けていっていただきたいなと思っております。

 特にきょう、日本赤十字社からのいろいろな事業報告を伺って、システムとか公益化がうまくいっているという話を聞きましたので、何とか原料血漿を安く手に入れられるようにしていただいて、そしてコストを下げて、いろいろな製剤をつくっていただけるということがこれからも期待されていくのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っています。

 私たちも国内自給を推進する立場としては、ぜひ頑張っていただきたいなとは思いますので、本当に2つの合わさったものが来年4月からきちんと営業ができるような形で、ぜひよろしくお願いいたします。

○牧野委員長 安全な血液製剤の安定供給、国内自給、非常に国民として大きな期待を持っていると思いますので、よろしくお願いします。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 多分一番大きな目的が合併によってスケールメリットを生かすことによって国内自給を上げるということで、今はほかの委員の方がおっしゃったとおりだと思うのですけれども、ぜひその辺に取り組んでいただければと思います。

5番に挙げていただきましたように、フィブリノゲンはいろいろな歴史がありますので、なかなか難しい点もあろうかと思いますけれども、例えばフィブリノゲン関連製剤、止血製剤など、そういうものについて、ほとんどが今は国内自給率でないと思うので、その辺はできるだけ取り組んでいただけないか、特に先天性のものについては十分な技術をお持ちだと思いますので、その辺をできるだけきちんと開発していけるような取り組みをしていただければと思います。

もう一つ、それ以外の多くの製剤について効能を追加されたりしているのは、ぜひ続けていただきたいと思う点と、場合によっては血液製剤と遺伝子組換え製剤の両方を使って国内自給率で上がれば、それも1つの方法かなとは思うのですが、□□□□□できるだけ自分たちの技術を上げていただければと思います。

特に幾つかの血液製剤関連の遺伝子組換え製剤については、多分バイオシミラーが特許とかの関係で開発できる時期になってきていると思いますので、その辺も見すえてやっていっていただければと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

○牧野委員長 どうぞ。

○上田参考人 大平先生と山口先生のご意見に関連したところで、ちょっとお答えを申し上げます。スケールメリットという経営の効率化をしながらコストを下げて利益を出して、次の事業にどんどん投資ができるようにするためには、スケールメリットはもちろん必要です。□□□□□

 また、まずそういう他社を含めた規模というもののほかに、自分たちの会社の中でまずアルブミンもガンマグロブリンも全部2つずつ持っていますので、これを2つやっているのは大変無駄なことです。これを1つに早急にしようというのでプロジェクトの中で検討をしておりまして、こういうものもやりながら、経営の効率を図っていきたいと思っております。

 それから、組み換えの製剤。国内自給は我々の第一の仕事だと思っていますので、まず献血由来の製品を使ったもので本当に国内自給をまずきちんとやる。それと同時に患者さんのニーズに応えるように、遺伝子組換え製剤も当然やらなければいけないことだと思っています。これは本来は今、山口先生がおっしゃるように、全て自分でやるのが一番だと思っていますが、残念ながら日本のメーカーには、この技術とかいろいろな知識が非常に乏しゅうございます。

 □□□□□

○牧野委員長 ありがとうございます。

 ほかはよろしいでしょうか。それでは、議題はここまでにしまして、事務局からお願いします。

○上田課長補佐 血液製剤機構の皆様、ありがとうございました。

 これから議題6のほうに入りたいと思いますが、こちらのほうは参考人の方々は御退席をいただきますようよろしくお願いいたします。委員の先生方、事務局につきましては、引き続き着席でお願いいたします。

 

(議題6は非公開で行われた)

 

○牧野委員長 特になければ、本日の議題は全て終了となりましたので、次の日程等につきましては、後日、事務局から連絡があると思いますので、よろしくお願いします。

 本日は長時間、御多忙のところをまことにありがとうございました。お疲れさまでした。


(了)
<照会先>

医薬食品局血液対策課:上田(内線:2905)・野田(内線:2914)

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