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2013年8月29日 第3回 PDCAサイクルを通じた医療計画の実効性の向上のための  研究会議事録

○日時

平成25年8月29日(木)  14:00~16:15


○場所

厚生労働省共用第9会議室(19階)


○議題

1.医療計画策定体制等についての都道府県へのヒアリング
2.PDCAサイクルを通じた医療計画の実効性向上に向けての具体的な方策について
3.その他

○議事

○笠井指導課長補佐 先に事務局から資料の確認をさせていただきますので、お手元の資料を御覧ください。本日お配りしておりますのは、議事次第、構成員名簿、参考人名簿」「座席表、資料1「本日の議論について」、資料2「前回の議論の概要」、資料3~資料5までが、宮城県、千葉県、長野県の各県から御提出いただいた資料です。参考資料として、社会保障制度改革国民会議報告書、社会保障制度改革推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」の骨子についての2つです。もし不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。

 

○久保木医師確保等地域医療対策室長補佐 定刻になりましたので、第3回「PDCAサイクルを通じた医療計画の実効性の向上のための研究会」を開催いたします。本日は、皆様には御多忙のところ御出席を賜り、誠にありがとうございます。最初に本日の出席状況については、構成員全員に御出席いただいております。また、本日は参考人として、宮城県保健福祉部医療整備課より医療政策専門監の大久保様、千葉県健康福祉部健康福祉政策課より政策室副参事兼室長の淡路様、長野県健康福祉部医療推進課より課長補佐兼医療係長の小林様にお越しいただいております。それでは、以降の進行は尾形座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

 

○尾形座長 それでは議事に入りたいと思います。本日の議題は3つあります。「医療計画策定体制等についての都道府県へのヒアリング」「PDCAサイクルを通じた医療計画の実効性向上に向けての具体的な方策について」「その他」ということです。まず、御用意いただいている資料について事務局から説明をお願いいたします。

 

○笠井指導課長補佐 資料について御説明いたします。資料1「本日の議論について」です。今、座長より御説明いただきましたように、本日は宮城県、長野県、千葉県よりお越しいただいている方々に医療計画策定状況等に関して御説明をいただく予定です。資料1に記載している内容を踏まえて、各県に資料を事前に御準備いただいております。なお、今回3県を選定させていただいた理由については、資料1の表面一番下にお示ししたとおりです。宮城県については、二次医療圏の見直し・再編を実施しておられること。千葉県については、医療計画期間中に見直しを実施されていること。長野県は、保健医療計画7つを一体的に策定されたということが、それぞれ特徴的と考えまして、今回選定させていただきました。

 なお、資料1の裏面に、PDCAサイクルを効果的に機能させる方策を検討するための論点について記載しております。本日は都道府県からのヒアリングも踏まえ、誰がどの役割を、何を使ってPDCAサイクルを回していくのかという御検討をいただきたいと思いますが、その参考として御活用いただければと思います。

 資料2については、前回御議論をいただいた内容についてまとめたものですので、適宜御参照ください。

 参考資料ですが、参考資料126ページ~30ページ辺りまで、参考資料23ページ辺りに、医療計画に関連する記載があります。議論の参考として御用意しましたので、適宜御参照いただければと思います。説明は以上です。

 

○尾形座長 それでは具体的な議事に入りたいと思います。本日は、県の立場から医療計画の策定に関して御説明を頂いたあと、質疑、議論をお願いしたいと思います。時間の制約もありますので、1県辺り25分程度を予定しております。つまり、最初にプレゼンテーションを123分でお願いして、そのあと質問及び議論を123分という形で進めていきたいと思います。まず、宮城県から御説明をお願いします。

 

○宮城県 宮城県医療整備課で医療政策専門監をしております大久保と申します。よろしくお願いいたします。初めに、東日本大震災後の復旧・復興に際しては、委員各位をはじめ、日本国内外の皆様から心温まる御支援、励ましのお言葉を頂戴いたしまして、心より感謝申し上げます。

 本日は、策定した「第6次宮城県地域医療計画」につきまして御説明の機会を与えていただき誠に感謝申し上げます。限られた時間ですので、簡潔に説明させていただきます。

1ページ、本県の「医療計画の特徴」についてです。本県においては、保健に関わる計画については、別の所管課において、「みやぎ21健康プラン」という名称の計画を策定していることから、前回の第5次計画から医療分野に特化した計画として策定しております。

 また、二次医療圏ごとの地域計画は策定しておりませんが、各圏域の医療の現状を記載しました。

 被災県であることや、震災復興を計画に位置付ける必要があることから、震災からの復旧・復興に関わる取組等を記載しました。

 二次医療圏の設置については、今回の国の見直しの方針に基づいて、震災復興や連携を踏まえ、中・長期的、広域的な視点から、これまでの7医療圏から4医療圏に再編することとしました。なお、再編に関わる経過については、後ほど御説明します。

 また、二次医療圏の再編に伴い、医療圏ごとの医療機関の機能分担、連携・強化のあり方について記載しました。

5疾病・5事業及び在宅医療については、医療機関の体制整備の方向性を明示するとともに、各疾病においては急性期・回復期・維持期等、ステージごとに医療機関の機能分担を記載しました。その他、5疾病以外の疾病対策や、健康危機管理対策、医療従事者確保対策、また医療と福祉の連携推進として、ICTによる医療福祉情報ネットワーク構築の取組、地域包括ケアシステムの推進などの取組も記載しました。

2ページ、「計画の策定体制」について御説明します。まず、「計画策定懇話会」の設置です。計画策定に関わる意見聴取のため、有識者による懇和会を設置しました。構成委員については、6ページの参考資料1に、21名の委員名簿を掲載しておりますので御参照ください。

 計画記載における関係機関への理解を得るための調整です。1つ目として、懇和会委員との個別協議、計画の執筆や監修の依頼。2つ目として、計画案の医療関係団体、市町村、各地域の「地域医療対策委員会」に対する意見照会を行いました。3つ目として、県民へのパブリックコメントを実施しております。最終的に計画策定懇和会において、計画の最終案を確定し、医療審議会に諮問しました。

 医療提供体制の整備における関係機関への担保については、二次医療圏の再編に伴い、医療圏別の地域の医療機関において、求められる医療機能や機能分担、連携強化のあり方について計画に記載しました。7ページに参考資料2としてまとめておりますので御参照願います。

2 ページの下の2つ目の○に戻ります。国から多大な御支援をいただいている地域医療再生臨時特例基金を活用して、地域医療再生計画・復興計画において、実施されている事業について、事業の進捗状況を確認するとともに、各疾病・事業ごとの会議等において、今後の医療提供体制の整備に向け、検討することとしております。

3ページ、医療と介護の連携については、地域包括ケアシステムの推進、医療福祉情報ネットワークの構築を記載したほか、介護保険事業支援計画との整合性を図りながら、医療と介護の連携について記載しました。

 続きまして、医療計画の内容です。はじめに現状把握、課題抽出、目標設定のプロセスについてです。現状把握については、国が公表しているデータはもとより、県の独自調査、関係者からの聞き取り等により把握しました。独自調査としては、計画策定の基礎資料とするため、震災から10か月後の平成241月に「宮城県医療機能調査」、「宮城県患者調査」を実施しました。本県における医療機能の把握、並びに震災後における患者の受療状況を確認するための調査です。また、各圏域の地域医療の現状把握として、各保健所を通して、各地域の地域医療対策委員会において、医療の現状と課題を評価・分析しました。

 過去の計画評価については、計画策定懇和会において、前回の第5次計画の目標達成の評価を実施しました。指標については、8ページの参考資料3を御参照願います。厚生労働省から示された指標の中から、本県において、今後の医療提供体制で取り組むべき課題の中で、重要であると思われる項目を3項目ずつ掲げております。また現在、在宅医療に関する市町村別の指標については、市町村からの前データが得られなかったため、県全体のデータを計画に記載しました。なお、本年度は在宅医療に関わる調査を市町村はじめ、関係機関を対象に実施する予定です。

 次に、有用であった独自の指標については、9ページの参考資料4を御覧願います。なお、これらの指標については、いずれも数値目標として第6次医療計画の中に設定しているものです。

4ページ、具体的かつ効果的な施策策定に当たっての留意点については、施策の方向性について具体的な事業内容を記述するよう極力努めるとともに、がんや精神疾患等、他課が所管する協議会や審議会においても議論を行って、計画策定の補完に努めました。

 続きまして、二次医療圏見直しについては、経過も含め御説明します。初めに10ページを御覧ください。参考資料5に記載のとおり、県患者調査の結果、◎の付いた4つの二次医療圏は国から示された3要件全てに該当することが分かりました。

4ページに戻ります。計画策定懇和会における意見として、将来にわたる震災復興や連携を踏まえて、中・長期的、広域的な視点で医療提供体制を構築していくこととし、また、地理的状況も勘案して、4医療圏再編の基本的方向性が示されました。見直しの方向性については、再編対象となる地域を訪問の上、関係者からの意見聴取を行ったところ、二次医療圏が広域化されることによって、地域における医療機能の低下を危惧する意見がありました。これらの意見に対して、今回の再編は各地域において整備してきた医療提供体制をいかしつつ、不足する部分を補完することで、地域の医療提供体制を底上げすることを目的としているという意思を説明しました。それでもなお、今回の再編に御理解をいただくため、2月の医療審議会において、参考人として再編対象地域の首長等に御出席をいただき、御意見をいただくこととしました。その意見も考慮した上で審議が行われ、審議の結果として、再編地域における医療機能低下の強い懸念を重く受け止め、附帯意見を付すことになりました。その後、医療審議会からの答申に基づき、地域医療再生臨時特例基金を活用した財政支援、循環的な医師配置のほか、計画の進行管理について、「再編前の旧二次医療圏単位のデータを基にきめ細かく行う」という旨を加筆修正し、計画最終案を取りまとめた上で、特に二次医療圏再編に反対の姿勢を示されていた「再編対象自治体」からの理解を得て、計画策定に至ったものです。

5ページを御覧ください。国の分析ツールや研修会については、これらの内容を踏まえ、計画を策定しました。

 続きまして、計画の評価・見直しについてです。第5次計画に関わる評価・見直しについては、条例で設置が義務付けられている地域医療推進委員会において、計画の進捗状況を報告しましたが、最終的な目標達成の評価は、第6次計画の計画策定懇和会、医療審議会に報告しておりました。今回の計画では、施策の進捗状況や、1112ページの参考資料6に記載のとおり、計画を推進しておくために、5疾病・5事業及び在宅医療はもとより、他の項目を含めた目標値の達成状況について、評価・見直しを行うため、PDCAサイクルを推進していきます。

 具体的には、既存の会議等を活用しながら、5疾病・5事業及び在宅医療、それぞれの進行調整課組織を設置して、毎年度進行管理を実施するとともに、実効性のある計画となるよう、今後の医療提供体制の構築に向けた議論も併せて行っていくことで進めていくこととしております。

 最後に、県では1日も早い震災からの復興を目指して、日々業務に取り組んでおりますが、沿岸部における医療機関の復旧は進んできてはいるものの、まだ十分ではありません。実効性のある医療計画の推進はもとより、被災された医療機関の再開支援などについても、喫緊かつ重要な施策です。国からは多大なる御支援をいただいている地域医療再生臨時特例基金についても、基金を活用した地域医療再生計画・地域医療復興計画の進捗状況も踏まえて、医療計画の進行管理を講じていくなど、鋭意取り組んでまいりますので、引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。以上、本県の医療計画について御説明させていただきました。ありがとうございました。

 

○尾形座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御発表について、御質問、御意見をお願いします。

 

○今村構成員 今日はありがとうございました。幾つか教えていただきたいのですが、まず、二次医療圏の見直しを実際にするに当たり、どういうことが一番難しかったとか、問題になったかということです。実際に今回、見直しをされたわけですが、見直しの成果を、進行管理していく指標としてどういうものが、どんなふうに動いたら成功したと考えておられるかと、何が難しかったかということと、どうやってこの成果を確認しようと考えておられるか。少し難しい質問かもしれませんが、よろしくお願いします。

 

○宮城県 特に二次医療圏の再編に係る対応が一番大変だったと思います。実際に地元のマスコミ等に大きく取り上げたりして、徐々に再編対象地域である自治体からの賛否両論の御意見が出されて、調整に苦労したことが挙げられると思います。

 自治体への御説明も1回だけではなくて、数回行って、地域の市町村、あるいは医師会、地域の主要病院の皆様に御説明して、御了解を得たり、あるいは議員の方々が県庁までいらして説明会を開催するとか、そういうこともありましたので、それには丁寧に対応し御説明しました。医療機能の低下ということを皆さんは一番御心配でしたので、それについては先ほども申し上げましたが、今まで構築してきた医療提供体制は、そのままそれを活かして、更に不足する部門を補っていく。例えば、救急や小児、周産期などは以前の二次医療圏では不足するところもありましたので、こういうものについては広域対応が必要ということで御納得いただきまして、今回の再編に至りました。

 

○今村構成員 都市部は賛成だと思いますが、地域部は結局「取られる」という言い方をするので、そこをどのようにメリットなどを説明されたか。それが本当にそうなっているかを確認してください、進行管理してくださいという話が出てくると思うので、その辺をどういうお話をされたか、どういう指標で確認をしていこうとされているのでしょうか。

 

○宮城県 患者さんの動きについてでしょうか。

 

○今村構成員 はい。

 

○宮城県 患者さんの動きについては、毎年ではないと思いますが調査をして、それについては流入・流出等で見ていきますが、実際には現在、二次医療圏の中で、分娩を取る医療機関が中核となる病院にはないとか、あるいは小児の入院もみていないとか、そういうところもあります。あとは救命救急センターがない医療圏もありますし、そういう意味では、医療圏として機能するように再編することで御説明を頂きました。

 

○尾形座長 ほかにいかがでしょうか。

 

○高橋構成員 同じような質問ですが、二次医療圏は以前、5つが2つになって、宮城県で言うと登米の医療圏が際立って医療支援が少なかったのが、今回やってみると、石巻と気仙沼が一緒になって、その少なさが消えてしまったというのは、データを触っていたときに一番感じたところなのですが。要は3つを一緒にした場合、問題が見えにくくなったというのは間違いなくデメリットかと思いますが、そういうデメリットも含めて、くっ付けたときのメリット、デメリット、良かったこと等を教えていただければと思います。

 

○宮城県 特に医療従事者は、そういう地域は平均の半分ぐらいしかいないということで、その辺りの御意見もありまして、データとしては旧二次医療圏ごとにきちんと出して、登米が不足しているということで、ここには医療資源を投入する必要があることを担保するということで対応しております。それ以外の医療資源についても、例えば、精神的な医療については広域の中でやりますが、それ以外の在宅医療のように狭い地域の医療については、二次医療圏としてだけではなく、地域ごとに狭い範囲での対策・構築をやっているということで御説明しておりますので、必ずしも全て二次医療圏で医療資源を整備していくことにはなっておりません。

 メリットとしては、広域で必要な急性心筋梗塞や脳梗塞、あるいは3次救急の出産、小児とか、ある程度広域で整備するほうがいいという所は、やはり広域で整えていく。ただ、登米や栗原という所が、急性心筋梗塞や脳梗塞の体制が不要かというと、またそれはそれで、何分で医療機関まで到達できるかとか、そういうことも踏まえて、今後、疾病・事業ごとの会議等で検討して、必要なものについては二次医療圏にこだわらないで整備していくこともあると思います。

 

○尾形座長 よろしいですか。松田構成員どうぞ。

 

○松田構成員 合併のさせ方についてですが、参考資料5を見ると、登米医療圏は流出で言うと、仙台と栗原が12番でたくさん出て、新しい医療圏で見ると、流出している栗原とか登米に付けないで、こちらに付けているわけですが、患者さんの流出の医療実態と違う形で合併を行われていますが、この辺は何か理由があるのですか。

 

○宮城県 登米医療圏が仙台医療圏へ流出している方が多いということです。

 

○松田構成員 仙台から栗原にも出ていますね。この2つで27ですから半分以上になると思いますが、栗原のほうにこれを付けないで、あえて石巻、気仙沼に付けている理由があれば教えてください。

 

○宮城県 栗原医療圏も今回3つの項目に合致したわけではないのですが、栗原と登米を一緒にした場合は、そこでは三次救急医療や周産期医療、小児救急医療が同じような状況ですので、二次医療圏としてはそれが不足することになりますので、再編としてはふさわしくないのではないかと考えました。仙台医療圏は少し離れていますので、地理的な状況を勘案して、登米・石巻・気仙沼としました。

 

○松田構成員 データだけで見ると、登米医療圏を栗原医療圏と大崎医療圏に付けてしまったほうが、流出率から見ると良いような感じがするのですが。これはあえて気仙沼と石巻のほうに付けているわけですが、例えば救急だけで見ると違う動きになるということですか。

 

○宮城県 そうですね。初期救急、二次救急も含めて、山陸自動道が整備された関係で登米は石巻のほうに来ている者が多いということがあります。登米医療圏は確かに大崎のほうへ行くというのはあるのですが、道路状況や、全体としては、実際には登米の患者さんが、やはり石巻のほうに来ているという内容もあります。この調査結果では、石巻はそんなに多くないのですが、山陸道ができために、石巻医療圏に来ていることを、登米の医療圏の関係者からもお聞きしておりますので、そこは登米を石巻・気仙沼と一緒にしました。

 

○高橋構成員 仙台より北というと、石巻の日赤と大崎市民病院が拠点病院であり、登米は地域によって大崎へ行く人と石巻へ行く人がいて、まさに高速道路ができて、石巻のほうが引きが強くなったと。去年、石巻日赤へ行ったときに聞いたとおりの話です。医療圏が変わって、患者さんの流れは変わるものですか。どうなのですか。やっぱり大崎へ行く人は大崎へ行っているという感じですか。余り関係ないのですか。

 

○宮城県 二次医療圏になってから調査等はしていないのですが、ただ、二次医療圏になったからと言って、患者さんは意識していないと思います。我々も広報等で説明するときに、患者さんの受診を制限するものではないということを御説明しておりますので、患者さんはこれまでどおり今までかかっていた医療機関に行っていると思います。

 

○高橋構成員 なるほど。

 

○尾形座長 よろしいですか。再編対象地域の首長さんからいろいろ意見交換等をされているようですが、医師会と医療関係団体はどんな意見だったのでしょうか。

 

○宮城県 医師会及び医科大学や拠点となる病院の先生方に会議に入っていただいております。再編については、おおむねこの方向で賛成ということでした。ただ、登米と栗原の旧医療圏の医師会と医療関係団体や、拠点となる病院の院長先生等からはやはり反対の御意見もありました。

 

○尾形座長 それはどういう理由で反対ですか。

 

○宮城県 やはり、医療機能の低下や医師、医療資源が減るというか、医師の確保等がますます難しくなるのではないかという御意見でした。

 

○尾形座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それではどうもありがとうございました。引き続いて、千葉県から御説明をよろしくお願いします。

 

○千葉県 千葉県健康福祉政策課の淡路です。本県の資料ですが、全体に通しページを振っておらず、例えば1枚目に出てくる保健医療計画の一部改定について1とか2という形で資料が構成されておりますので、12という形で説明いたします。

 初めに、「保健医療計画の一部改定について1」です。本県の場合、平成234月に全面改定を行っていることもあって、昨年聞いたときには、47都道府県中、千葉県のような県が7つぐらいあると聞いた記憶があります。そういうことで、今回行ったのは計画の一部改定で、作業過程も省略させていただいていることを御承知おきください。では、改定した主な事項を御説明します。

1つ目は「精神疾患」の循環型地域医療連携システムの構築を図ったということです。循環型地域医療連携システムそのものが、患者を中心に必要な医療等、保健福祉サービスを連動させる体制ということで、千葉県は平成20年度から取り組んでいます。以前から県立の精神科医療センターを中心に連携体制づくりを進めてまいりましたが、この機会に体制の見直しや充実を図ったところです。

2つ目は、「認知症」の循環型地域医療連携システムの構築を図りました。本県では、以前から統合失調症などの精神疾患と高齢化に伴う認知症とは分けて取組を進めており、今回の改定でも別々のシステムづくりを目指しました。

3つ目は、東日本大震災の教訓をいかし、災害時の医療対策を統括する災害医療本部や、DMAT調整本部を設置するなど、「災害医療」の体制強化を図りました。

 最後に「在宅医療」について、医療と介護の連携を図るために、市町村圏域を基本に整備を進めていくことを明記し、施策の整備や追加を行いました。

 次ページの「計画の一部改定について」2です。その他としては、国から示され指標を参考に目標値となる指標の見直しや追加を行いました。また、「地域医療再生計画」や同時期に改定が行われた「がん対策推進計画」「健康ちば21」などの関連する他計画との整合性を図っております。

 一方、計画期間、二次保健医療圏、基準病床数については、今回は一部改定ということで改定しておりません。医療圏の見直しの要件に該当する地域がなかったこともありますし、現在進めている事業の展開や病床の配分に混乱が生じることを避けるために、その辺はいじりませんでした。また、本県の場合、平成20年度に医療圏の一部変更を行ってからは、結果的にその後、変更は行われておりません。

 次に、「保健医療計画の特徴1」です。本県の医療計画の特徴について、若干御説明いたします。1つ目は、循環型地域医療連携システムの構築です。5疾病5事業ですが、本県はへき地がありませんので、4事業ごとに医療や保健福祉サービスを連動するために循環型地域医療連携システムの構築を図っております。システムを担う医療機関のリストを計画の別冊1として公表しているほか、共有パスやITネットを開発し、関係機関同士の情報共有を促進しております。今回の改定では、新たに統合失調症などの精神疾患、鬱病、認知証の3つのシステム構築を図りました。

 「保健医療計画の特徴2」は、精神疾患(鬱病を除く)の循環型地域医療連携システムのイメージ図です。縦軸に症状の重症度を、横軸に時間の流れを取り、患者の状態に応じた医療・副祉関係機関の連携の在り方を図式化しています。

 「医療計画の特徴3」は、別冊1の抜粋です。イメージ図の()入院から回復までの治療やリハビリテーション、家族教室の開催を担う医療機関について、このような表形式で機能を掲載しています。本県では精神疾患が5疾病目に位置付けられたことを前向きに捉えており、これまで余り明らかではなかった精神科の治療内容を公表することで、一般の医療機関とも連携を進めていきたいと考えています。

 「医療計画の特徴4」です。(2)在宅医療関係機関の機能を明らかにしているところです。前回の計画改定のときに、県下の在宅療養支援診療所、支援病院、支援歯科診療所、薬局と訪問看護ステーションを対象に訪問診療等の実態について調査を行い、医療機能を公表するとともに、関係者間で課題の共有や検討を行っております。

 「医療計画の特徴5」ですが、3つ目の特徴としては、ストラクチャー(基盤)プロセス(過程)アウトカム(結果)に分類した指標の設定について、平成20年度から取り組んでいます。現行の計画では、144指標を設定しており、[参考資料2]に指標一覧を添付しています。

 次に、「医療計画の策定体制1」です。計画に当たっての体制についての説明ですが、全面改定の場合は、二次医療圏の見直しや基準病床数の算定に必要な調査等を含めて、約2年近く掛けてやっています。今回は一部改定だったので、昨年度4月に医療審議会を開催し、基本的な改定方針の決定を行うところから始まりました。医療審議会では、精神疾患、災害医療、在宅医療の3分野について見直しを行うことや医療保健や病床数の見直しは行わないことを決定しました。これを受けて、作業部会に該当する医療審議会の地域保健医療部会においては、どんな方向性で改定を行うか、どんな調査が必要かなど、具体的な審議・決定が行われました。医療審議会の構成員は参考資料1に付けてあります。

 「医療計画の策定体制2」ですが、分野ごとの審議会や協議会において詳細な検討を行っております。この段階で連携体制や施策の在り方をはじめ、計画の文言や目標値の在り方など、細かい部分まで話合いをしました。全体としては、県でたたき台を作成し、審議会や協議会に提案して御意見を頂き、修正して会議にブラッシュアップという流れで進み、その途中で全体の進捗状況を医療審議会に報告して作る計画の体制でした。昨年12月頃、ある程度形になった時点で、二次保健医療圏ごとに設置している地域保健医療協議会で説明や意見交換等をしております。地域の協議会では、在宅医療や災害医療に関心が高く、資源が少ないことや、役割分担についての不安の声もありましたが、総じて理解を得ることができました。

 「医療計画の策定体制3」です。全体がまとまった段階で市町村の意見照介やパブリックコメントを実施しております。市町村からは保健福祉など、市町村に関わりの深い分野についての意見が多く、総じて市町村ですので医療に関しては意外に関心が、国の問題だ、県の問題だという感じの受け止め方が多かったような気がしました。パブリックコメントでは、患者の地域医療支援などについて御意見があって、施策の記載を一部修正するなど、県の反映を行っております。

 「医療計画体制の4」ですが、関係機関との合意形成という点では、今回は特定の分野に限って検討したことで、全面改定のときよりもかなりきめ細かい議論が行われたと思います。精神疾患については5回にわたる審議会で、医師だけでなく、患者や家族団体の代表、権利擁護に携わる方なども含めて活発な議論を行い、様々な立場から連携システムの在り方について検討を行っております。

 在宅医療についても関係者と意見交換する中で、調査上のデータと現場の実態との間には距離があるとよく言われました。後ほどお話しますが、これを目標値設定の参考にしております。昨年度は市町村職員を対象とする在宅医療の説明会を初めて開催し、在宅医療に関する認識を深めてもらいました。

 災害医療についても、災害拠点病院や市町村など、関係者向けに説明会を開催し、新たな災害時の体制や各人の役割について認識してもらいました。関係者が議論を重ねることで計画に対する合意形成が図られ、役割分担も明確になり、取組がスムーズに運ぶことを期待しております。ただ、医療機関の見直しも含めた全面改定を行う場合には、分野ごとにどこまできめ細かい議論ができるかは難しい面もあり、どこに重点分野を絞っていくかなど、今後工夫が必要だと考えております。

 「医療計画の改定内容1」です。改定に当たっては、本県として実施した調査等、主張について御説明します。今回、精神疾患、災害医療、在宅医療について、県で独自調査を実施しました。調査対象は県下全病院278機関、精神科標榜診療所149機関で、回収率は病院が98.2%、精神科診療所が86.6%でした。

 「計画の改定内容2」ですが、災害医療は施設、設備の保有状況のほか、自家発電機や飲料水、食料等の備蓄状況、訓練の実施状況やマニュアルの策定についての診療録のバックアップを取っているか、後方支援病院を確保しているか、他の地域へ救護班の派遣が可能かどうかなどを調査しました。

 在宅医療は退院時支援の実施状況や地域医療連携室にどのような職種が配置されているのか、訪問診療や在宅療養支援の実施状況、在宅療養支援診療所や介護老人保健施設等との協力体制があるかなどを調査しました。在宅医療については前回の改定のときには在宅療養支援診療所、歯科診療所、訪問看護ステーション、訪問薬剤指導薬局を対象に調査を実施していますので、今回は病院を対象に調査しました。

 精神疾患については、統合失調症や鬱病をはじめ、アルコール依存、薬物依存、てんかんなど、症状別の治療実績を調査しました。また、精神科救急や身体合併症、地域移行支援の取組状況について詳しく聞きました。

 「医療計画改定内容3」です。この調査結果の中で、特に参考になったのは、精神科医療では精神科を持たない一般病院の精神科患者への対応の有無、地域移行支援や身体合併患者への対応の有無についてでした。どれも精神科医療の現場で課題になっている項目ですが、今回、一般の病院も含めて実態を調査したところ、思っていたよりも現場の取組が進んでいることが分かり、連携システム(医療計画の改定内容4のイメージ図)の構築に役立ちました。

 在宅医療については、今回の調査で初めて退院時カンファレンスの実施状況や病院と在宅療養支援診療所との連携状況なども把握できました。特に円滑な在宅移行に必要な多職種が参加したカンファレンス開催はほとんど実績がないことが分かり、今後はこの辺りが課題になると考えております。

 「医療計画改定内容5」の指標についてです。国から提供された指標の中で有効だった指標と活用し切れなかった指標について申し上げます。精神疾患について有効だったのは、アウトカム指標に関するもので、本県は精神科の救急医療に早期から取り組んできた一方、平均在院日数が全国平均より長いという課題があるため、退院状況をよく見ていく必要があると考えています。

 一方で、やや特殊なケースを表す指標は活用が難しかったと考えています。在宅医療について、在宅療養支援診療所を活用しなかった指標に挙げたのは、在宅医療を提供しているのは在宅療養支援診療所だけではないという、地元医師会代表者等の声もあり、本県では訪問診療実施診療所の数を指標に用いたところです。

 「医療計画改定内容6」の将来推計の実施についてです。今回は一部改定だったことから、高齢化率や高齢者人口の推移を除いて将来推計は行っておりません。今年度末を目処に進めている将来推計に関する事業について、参考までに千葉県の状況をお知らせします。現在、千葉大附属病院へ委託事業として、医師・看護職員の長期需要調査を実施しております。昨年度は二次保健医療圏等の高齢化率や高齢者人口の推移や入院患者数の予測を行ったところであり、今年度は更に二次保健医療圏ごとの医師・看護師の必要数の推計や確保対策について検討を行っております。このほか、同じく千葉大病院において地理情報システムを活用した医療需要の将来推計と可視化、在宅医療の需要研究等にも取り組んでおり、こちらは簡便な推計の指標を確立しようというものです。いずれもその成果については、次期の医療計画に生かしてもらいたいと考えております。

 今回は一部改定だったことと、県独自の調査を実施したことから、国から提供のあったデータやシステムは活用していません。他の都道府県で効果的に活用されている事例案があれば、今後の参考にさせていただきたいと考えております。

 次に医療計画の評価と見直し1です。今回の一部改定では評価を実施しておりませんが、前回の平成234月の全面改定のときに行った計画の評価について参考までにお話しますと、前回は計画に盛り込まれていた176の目標値の達成状況について、既に目標値を達成している場合は◎、評価時点で目標を達成していないが目標達成年度までに達成が見込まれる場合は○、目標年度までに達成が見込めない場合は△、現状値より悪化している場合は×としました。この絶対評価を基本に、他の都道府県との実績との比較による相対評価も加味しております。この相対評価は、同様の指標を設定している他の都道府県の実績値を把握して、これと千葉県の実績値と比較して、全国の中で千葉県がどのぐらいの位置にあるかを評価したものです。

 次に「医療計画の評価と見直し2」です。目標達成済みが47項目、達成見込みは11項目、達成できなかったものが69項目、目標を設定した中で悪化したものが27項目、評価できなかったものは22項目でした。ストラクチャー、プロセス、アウトカム別に見ますと、ストラクチャー指標は達成割合が3割、プロセス指標は達成割合が2割という低い水準で、対策の強化が必要であると認識しています。

 次に「医療計画の評価と見直し3」です。これらの評価結果を基に新たな指標を設定しました。例として救急医療の指標を御覧ください。目標値を達成したものは、目標を上方修正するか、新たな指標を設定しています。目標を達成できなかったものや悪化してしまったものについては、その理由を分析し、施策の進捗状況等を考慮して適切な目標値になるよう修正しています。例えばプロセス指標の2つ目、救急隊覚知からの医療機関収容時間の平均は現状値が悪化した指標ですが、救急医療体制は整備したものの、高齢化によって救急医療の需要が予想以上に伸びたためです。今後も需要が増加することを加味して、目標値をやや下方修正しております。

 「医療計画の評価と見直し4」ですが、前回は指標ごとの評価を実施し、その評価結果を分析して新たな指標の設定を行い、医療審議会に報告して審議しました。今後の課題としては、指標ごとではなく、疾病・事業の分野ごとの評価や計画全体の評価方法について、また、県民や医療関係者等に評価結果を分かりやすく公表するにはどうするかなどを検討していきたいと考えております。本県では今年度に計画の中間評価を行う予定です。本日の皆様方の意見交換の内容を是非参考にしながら、取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。以上で千葉県の説明を終わります。

 

○尾形座長 それでは、ただいまの御発表について御質問、御意見をお願いします。

 

○今村構成員 発表ありがとうございました。今回、特に精神のことについて非常に詳しくやっていただいているようなので、そこで是非教えていただきたいのです。精神の医療計画と精神保健福祉計画、つまり福祉側の計画と医療計画と2つあって、同じ患者を診ているわけですが、その仕切りです。施設としてのグループホームが福祉の方に行くのは分かるのですが、現実に医療計画は入院で、例えば平均在院日数を短くするとなった場合には、平均在院日数を短くして、福祉の側の受入体制が必要になってくるわけで、その議論をどのように進められたかが1つです。  もう1つは、看護師の需給を千葉大へ委託研究されていて、医療側からの看護師の需給計画だと思うのですが、全く同じことで福祉の方も看護師が必要になります。特に医療計画はどんどん平均在院日数を短くして在宅に持っていこうとしているわけで、在宅サイドの福祉サイドの看護師は必ず医療から出ていってもらった人の分だけ福祉の方に看護師が必要になると思うのです。医療の方の看護師数はまあまあ足りるという計画だと思いますが、福祉の方に出ていく分を見ると、足りなくなると思います。福祉の方は患者が来ないという前提で計画が組まれていると思うので、その辺は推計の中で議論なり、すみ分けなりが何か行われているのですか。その2つを教えていただきたいと思います。

 

○千葉県 まず医療と福祉の連携について、マクロ、ミクロにしたとしても、千葉県はそこまで踏み込んでおりません。

 看護師については、実は千葉県も医療資源としての看護師はかなり不足しております。したがって、県が行っている看護師の需給調査でも、今後の看護師不足が見込まれるのですが、それとは別にもっと長期のスパンで、医師も看護師も含めて現在、千葉大に長期需要調査を実施していただいています。その結果をベースに、医師・看護師対策を考えていこうという状況です。今村先生がおっしゃったように、本当は医療の面からと福祉の面からの出入りというか、そういう視点を入れるべき必要性を感じているのですが、まだ今のところは、その辺は残念ながらできておりません。

 

○今村構成員 看護師需給に関しては、医療の方も看護の方も、それぞれ足りないと言っているのですが、医療の方も平均在院日数を短くして、今までの患者を外に出すという計画を作っていて介護の方も施設は増やさないという中で、入院が短くなった人が医療から出てくるという前提では組まれていません。ですから、両方とも組まれていない部分があって、現実に患者がいるという状態に対して、需給計画が余りされていないので、医療サイドからの数字と、福祉サイドからの数字を足しても不足はしていますが、大した不足にならないということになるのですが、現実には両方とも出ていくはずだという部分の数が浮いているように思えるのです。今後、もし大学が分析されるのだったら、是非そういうところも考えてもらえると我々にも参考になると思うのでお願いします。

 

○千葉県 今、今村先生から頂いた御意見は、今後、千葉大病院との調査の中で、取り入れることを含めて話してみたいと思っています。

 

○尾形座長 若干関連しますが、看護職員の需給見通しについては、長期見通しも示されています。第七次看護職員需給見通しの中で、東京医科歯科大学の伏見先生が中心になって、2025年モデルを前提にして長期的な需給はどうかというのを一応弾いているので、それも御参考にしていただくとよろしいかと思います。これはもちろん日本全体の話ですが、それを見ると、5年ごとの計画では、いつも需給が一致するような美しい絵が描かれていますが、2025年という長期で、現在出ているような機能分化と連携を進めた2025年の将来像を前提とすると、かなり看護師不足が生じる可能性があるという結論になっているので、その辺も参考にされるといいのではないかと思います。

 

○千葉県 ありがとうございます。その辺も参考にさせていただきます。

 

○尾形座長 ほかにいかがですか。

 

○松田構成員 指標をきちんと評価されて、◎、○、×を付けたのは非常に素晴らしいと思います。いろいろな所の医療計画を見せていただいているのですが、こういう形で評価している所は非常に少ないので、非常に素晴らしい取組だと思います。

 その上で質問ですが、書かれた目標を達成するためには、実行をどのように担保するかが課題になってくると思います。日本のように民間病院が主体で医療をやっている場合は、実行をどのように担保するかというのは、一番私たちも頭を悩ましているところですが、千葉県はこの辺に関して、どのような工夫をされているのか。例えば、実行を促進するために地域医療再生基金などをツールとして使ったのか、実行をどのように担保しているのかについて、千葉県で取り組まれていることがあれば教えていただきたいと思います。

 

○千葉県 実は保健医療計画そのものの位置付けが、県が全てをやるものではないという考え方があって、県として主体的にやるものと、医師会などが主体的にやるものとがあります。

 ですから、松田先生がおっしゃったように、今回厚労省から地域医療再生臨時特例交付金などを頂いたときに、そういうのは特に指標の少ないものに対して投入していくという1つの根拠にもなるのですが、指標が低いから重点的に県が予算を回せるかとか、そういうことの連携とかで考えると、そこは非常に弱いところです。財政当局も、保健医療計画でこういう指標があるのは分かるが、だからといって、それを総合的に見て優先してくれるわけではないということもあって、非常に限られた財源の中でやり繰りしなければいけないというのは辛いところです。

○松田構成員 基本的には、実行は各医療機関というか医療関係者の自発的な意思に任せているという感じになりますか。もし仮にそうだとすると、こういう指標が県下の医療職や医療関係団体に周知されていなければいけないと思うのですが、そういう努力はされているのでしょうか。

 

○千葉県 指標を設定するに当たっては、医師会、看護協会、医療従事関係者の団体等と協議して、例えば千葉県は訪問看護ステーション数が少なくて、看護協会から、もっと県の積極的姿勢を示せということで、訪問看護ステーション数の数字をもっと上げろということも言われていて、一緒に力を合わせてやっていきましょうということで出しているものはあります。

 

○高橋構成員 この指標の設定について伺いたいと思います。千葉県は東京湾沿岸の東葛南部・北部、成田、千葉辺りまでの大都市圏型と、太平洋に面した海匝、山武、安房という過疎型地域という全く違う医療環境が2つ合体しただけで、その差が非常に大きいという感じの県だと思います。

 この指標を見ていると、県の中で大きな地域差があるのですが、バッと見たところでは、一律に評価している感じがして、地域性がほとんど感じられないのです。県内の地域差と、この指標の設定に関して、何か工夫されたこととか、ここを見たらこのようにちゃんと使い分けているのだという所があったら教えていただきたいのですが、いかがですか。

 

○千葉県 申し訳ありません。千葉県の指標は、今、先生がおっしゃったように、地域別に出しているものはありません。飽くまでも全体として捉えていますので、今後、地域別の指標の必要性も御意見を頂いていますので、今年度また評価をしたときに、その辺も加味して、今後できるかどうかも検討していきたいと思っております。

 

○高橋構成員 特に東葛の人口140万~150万人の所と、安房は確か20万人あるか、なかったぐらいだったと思いますが、同じ指標で1と立った場合でも、人口割合で見ると、7分の1とか8分の1になって、恐らく幾つかの指標に関しては人口割合でやらなければ駄目だという声は必ず出てくると思いますが、一律でやった場合、どの辺の地域から改善要望が一番出そうなのかを教えていただけたらと思います。非常に興味のあるところです。

 

○千葉県 千葉県で非常に地域格差が大きいのは、医師の偏在です。どうしても東葛とか東京近辺、あとは千葉県の特殊性があって、民間病院、安房の特別大きな病院がありますが、あの辺は医師数で見れば非常に多いのですが、逆に山武とか、海匝、香取方面といった都市部ではない所では、非常に医師不足で、本当に困っているという偏在が出ています。

 

○高橋構成員 まだ、その辺は指標でコントロールすることはできていない、目標設定に組み込むことはできていないということですね。

 

○千葉県 例えば、医師確保についても、拠点病院を位置付けて、そこと連携するような保健医療計画の作りにはしているのですが、具体的に、この地域に医師を何人とか、そのような目標設定はしていません。

 

○尾形座長 先ほど松田構成員がおっしゃったように、千葉県の特色として医療計画の評価をきちんとやられているというところが大きいのかなと思うのですが、医療計画の評価と見直しの4に、今後の検討として、「疾病・事業の分野ごとの評価、計画全体の評価方法について」と書いてあって、確かにそのとおりだろうと思いますが、何かこういったことについて、今の時点でイメージをお持ちのことがあるのでしょうか。例えば独法の評価などでは、分野別にABCD評価みたいなものを、目標値の達成状況を踏まえてやったりしていますが。

 

○千葉県 具体的にそれをやることが難しかったから、こういう形になっているのかもしれませんが、例えば、分野別にというのは、がんとか。がんに指標がいっぱいあって、指標は評価されているのですが、それは一体、がん施策としてどうなのというのは、県民がどう感じるのか。千葉県の場合、総合計画など、大きな目標の場合はアンケートを取ってやっている例が多いのです。保健医療計画の場合はそのような手法を取り入れておりませんので、今後は県民世論調査というようなものも、うまく工夫できないかなと考えております。

 

○尾形座長 よろしいですか。

 

○松田構成員 宣伝になってしまうのですが、二次医療圏単位で医療指標を計算したものを医療計画の担当者にお配りしてあります。例えば、がんの化学療法をどのぐらいの人が受けているのかをレセプトで把握したものは医療圏単位で多いか少ないかというのを、千葉県基準と全国基準で見られるものですので、それも活用していただけたらと思います。

 

○千葉県 春先に、確かに頂きました。今回、議論もあったのですが、一部改定ということで、取りあえず従来のものを踏襲したのですが、全部改定の時期が迫ってくると思いますので、参考にさせていただければと思います。

 

○松田構成員 恐らく、これは毎年作って、出していきますので。

 

○千葉県 ありがとうございました。

 

○尾形座長 ありがとうございました。それでは引き続き、長野県より御説明をよろしくお願いします。

 

○長野県 長野県医療推進課課長補佐の小林です。日頃は皆様方にお世話になっておりまして、ありがとうございます。資料5、長野県の保健医療計画です。1ページで、我が県の計画の特徴を4点掲げております。1点目は、他の都道府県もそうだと思いますが、地域完結型医療を進めるということです。「地域全体で医療を支える体制の構築」と、あえて地域完結型医療という言葉を使わずに、こうした表現にしています。それから御案内のとおり、これから多死社会を迎えようとしておりますので、それを前提にした在宅医療を特に打ち出したというのが1つのポイントです。

2点目は、私どもでは特に大きな点です。二次医療圏の見直しに当たっては、詳細なレセプトデータの分析を行い、その上で疾病・事業ごとに医療提供体制が脆弱な二次医療圏を抽出し、そこに関して今回の計画で初めて、二次医療圏を特定して連携体制を取るような方向を示したということです。

3点目は、この保健医療計画の策定に当たり、その他ちょうど期を逸にして、保健医療関連の計画が策定時期を迎えておりました。そこで、健康増進計画などをはじめとする7つの計画を一体的に取りまとめ、これぐらいの厚さになってしまったのですが、これで一本の計画にしました。特に、共通のテーマとして、長野県は既に長寿県ということにはなっているのですが、これから目指すべきは「健康長寿」であろうということで、健康長寿を1つの目標に掲げて、共通の理念にしながら7計画を一体化しました。これによって、保健医療関連の政策が1つの理念の下に統合されるということ。関係する医療従事者が一覧性をもって、様々な政策分野について計画を見られるということ。もう1つは、私ども職員の計画策定の効率化です。1つの保健医療計画というのも総合的なのですが、分野計画を改めて作るということの二重の手間を効率化することも併せ持った形になったのかと考えています。

4点目は、定量的評価ということで、500を超える数値目標を今回の保健医療総合計画では掲げました。一般の医療関係者、あるいは県民の供覧に供するように120に及ぶコラムを設けているところが特徴的です。

2ページ、3ページと「信州保健医療総合計画」の目次の部分を載せてあります。表側でそれぞれの項目、それから表頭に、保健医療計画から始まって感染症の計画まで7つの計画を掲げてあります。それがここのどこに該当するかを◎○で落とし込んであります。御覧いただくと分かるように、それぞれの分野別計画が非常に重なっています。特に本県では保健医療計画を従前からやっておりますので、健康増進部分も包含しておりましたので、それだけに重なる部分が多かったということです。見ていただくと、「医療費の適正化計画」に係る部分と「自殺対策」に係る部分だけは保健医療計画では見ていなかったところですが、これが包括的に統合されたことになります。

4ページは、保健医療計画の策定体制です。その前に、資料の14ページの次に、一枚もので「長野県の二次医療圏図」を掲げてあります。白黒ですので分かりにくいかと思いますが、これが県全体の二次医療圏図です。長野県は御案内のとおり、県土が広域で広大にわたっています。しかも、それぞれの地域が特徴を持った所の集合体になっていることもあります。御覧いただきますように、上が北信医療圏から、下が飯伊医療圏まで10の医療圏で構成されております。ここに、それぞれ主要な病院を落とし込んでおります。御覧いただきますとおり、長野医療圏、あるいは松本医療圏には病院数が多いわけですが、特に左上にあるような大北医療圏には総合病院は2つしかありません。右上の北信医療圏は、1つ精神科単科の病院はあるのですが、総合病院としては2つしかない。中段の木曽医療圏には1つの病院しかないということで、医療資源の偏在があるという状況が分かっていただけるかと思います。この医療圏は、私どもの広域行政圏と一致していて、それぞれの所に保健所があります。それぞれ地域性を持っている状況の中にあって、保健医療計画の策定に当たったということです。これを御承知置きください。

 その上で4ページに戻って、2の「保健医療計画の策定体制」です。本県では、医療審議会の部会として策定委員会を構成し、7回会議を開いております。更に各疾病・事業ごとに5つのワーキンググループに分けて、この5つのワーキンググループを4回ずつ合計20回の会議を重ねて計画の策定をしております。そのワーキンググループの委員には、医療機関関係者、関係団体代表者、更には受療側の代表として市町村の代表者と患者代表者(公募市民)を入れております。こうした中で、計画の協力体制を担保するための措置を取ってきました。

 先ほど来、申し上げておりますとおり、長野県には10の医療圏がありますので、その圏域ごとに、圏域連携会議を2回開催し、10圏域ありますので合計20回圏域ごとの会合を重ねました。更に県民関係団体としてのパブリックコメントも行っております。特に二次医療圏の見直しに当たっては医師会、これは県の医師会のみならず、郡市医師会、更には対象となる市町村長や拠点病院の先生方からも、直接足を運んで意見を聴取してまいりました。

3の「保健医療計画の内容」は、我々の過去の5次計画についての進捗状況評価を前倒しして、ワーキンググループにその評価結果を提供して議論していただいています。人口、あるいは高齢化率について、これは私どもの企画課で、ちょうど「総合5か年計画」の策定もあり、推計しております。それをもとにして、今後の対策を立てています。私ども保健福祉部では独自に、生産年齢人口をいじり、通常は15歳から64歳が生産年齢人口ですが、これを20歳から70歳という枠組みにして、その上でそれぞれの生産年齢人口、支える側と支えられる側がどのような対比になるかということまで、この計画に書き込んでおります。

 私どもの県では、農業者などは高齢になっても農業などで活躍していることもあります。今後もなお一層、高齢者の就労、あるいはボランティアでの活躍やNPOでの活躍などが進むだろうということで、これによって支える側の人口が支えられる側よりも大きくなったということで、こうした分析もしています。

 その他、医療機関に対する機能調査を2回ほどやりました。県民へのアンケート調査もしております。国から示されたストラクチャー・プロセス・アウトカムの指標は、後ほど申し上げますが、全て調査をした上で、表とグラフに表して、ワーキンググループに提供しました。そのワーキンググループにおいては圏域設定を含む連携体制の検討などもしました。これも後ほど申し上げます。

(2)「二次医療圏の見直しの検討」の1患者調査があります。これは基本となるところで、厚労省から示された患者調査で、5ページの上の表1で、我が県では上伊那、木曽、大北、北信という4医療圏が見直し統合の対象になっておりました。それに対して2NDBによる検討をしております。厚労省から、NDBのデータも頂戴いたしましたので、このNDBを踏まえた分析を、患者調査とは別に行いました。その結果が下の表2です。これは一般病床しか書いてないですけれども、御覧いただきますとおり、当初の対象になっていた上伊那、木曽、大北、北信の流出患者の割合が実は20%を切っていることが明らかになりました。

6ページの(3)「二次医療圏の設定」です。いろいろ書いてありますが、患者調査の結果もありますが、NDBの調査のほうが、より信頼がおけるデータであろうということで、私どもとしては、NDBを基本に考えたらどうかということ。先ほど申し上げた各医療圏の関係者からの聴き取り調査も踏まえて2点掲げております。NDBによる結果では、おおむね標準的な今現在の二次医療圏の医療提供体制が一体的に確保されている。2点目として、面積が広大で過疎地域を多く持っている本県の特性を考えると、二次医療圏の見直しを進めることは、医療過疎を招くこともあり、二次医療圏の見直しは行わないという方向性を出し、また決定をしました。

(4)「医療提供体制の把握」ですが、医療機能調査を具体的に行い、7ページの表3は在宅医療の一部を抜粋したものです。病院から診療所まで調査をした上で、機能別の在宅医療の機関の一覧を作り、これをワーキンググループで議論してもらいました。

2で県民意識調査を行い、県民3,000人に対しアンケート調査をし、意識調査をした上で分析に役立てました。

3は指標データの活用です。これは国から示された指標も含め、ストラクチャー、プロセス、アウトカムに分類した上で、表4のような資料を作った上で、8ページの指標の表5です。これは、厚労省の研修会も踏まえ、全ての指標にこのようなグラフを作成し、市町村別あるいは二次医療圏別のデータも出し、これをワーキンググループ、それから策定委員会へ提供し、具体的な議論に供しました。

9ページの(5)「疾病・事業ごとの圏域の設定及び二次医療圏の連携体制の設定」です。これに関しては、私どもで医療計画の策定に取りかかり出したのが平成23年度なのですが、平成23年度に医療提供体制分析事業として、産業医科大学の松田先生に御協力をいただき、委託させていただきました。一連の電子レセプトデータの蓄積・分析のツールを作成していただきました。このデータは、公務員共済や生活保護等を除く保険者のデータを全て取り込んだものです。これを、疾病・事業ごとの圏域設定に対して利用しました。

 表6は、様々な疾病ごとに、更に入院別に、入院あるいは外来ごととか、様々な切り口で出せるわけですが、こうしたデータを出してあります。これを見ると、これは脳卒中の入院ということになりますが、上段が二次医療圏ごとの流出の割合、下が実際のレセプトの件数(実数)になります。例えば、1-008に大北医療圏とあり、33.09%という数字が入っています。これは、大北医療圏が松本医療圏に流れていると。脳卒中の入院医療に関して、3割を超えて隣の松本医療圏に流出している状況が分かります。こうしたものを5疾病・5事業に関して全てデータを出し、ワーキンググループへ提供し、どうあるべきかという議論をしていただきました。

 その結果は10ページの表7で、それぞれの二次医療圏ごとの、表側が二次医療圏、表頭が5疾病・5事業プラス在宅医療となっています。それごとに、それぞれ二次医療圏で完結できるもの、完結できないものを出し、このような整理をしました。この表の○が、その医療圏で疾病・事業に関して完結できるもの。一方で■は脆弱な部分です。●を中心にして連携体制を取っていかないと、適切な標準的な医療が提供できないということで、このような形で連携体制を取ることを、今回の計画で新たに打ち出しました。

 次ページの4「保健医療計画の評価」です。私どもは、今回の計画の前計画(5)の段階でも評価をやっております。数値目標の達成度を3段階で評価した上で、実は前の計画では必ずしも全ての施策事業に数値目標がないものですから、評価の仕方に迷うところなのです。それで、そこに事業の進捗状況を勘案し、施策ごとに4段階での評価をする方法を取りました。今年度行った最終評価では、そこにあるとおりの状況になっております。

6次計画に関しては、既に500を超える数値目標を掲げていることもありますので、この指標の管理を基本に考えていきたいと思っております。厚労省で、このPDCAサイクルの研究会ができて、そのツールを頂けるというお話も聞いておりましたので、そうしたものも含めて検討していきたいと考えております。

 その他にいろいろな資料を付けておりますが、二次医療圏の設定に当たっては、付いているような参考資料を医療審議会に提供し、具体的な検討に供したところです。特に、参考の12ページに、二次医療圏の現状分析(まとめ)があります。これは一般病床、療養病床別に、二次医療圏ごとに、20%を1つの基準としてABCで評価をしております。13ページでは、二次医療圏の設定例を3つ示しております。14ページでは統合した場合の医療圏の移動距離や面積からの評価もしております。15ページは参考ではありますが、医療政策へどんな影響があるかということも作って提供しています。

 最後に指標の関係です。概括的に申しますと、指標に関してはアウトカム指標が評価には一番よろしいものだとは承知しているのですが、県の計画というのは体制整備の計画ですので、やはり県のコントロールの利く指標ということで、ストラクチャー指標が非常に有効であったと言えます。一方でプロセスやアウトカム指標では、一部入手困難な指標もあり、例えば脳卒中の発症から救急通報を行うまでに要した平均時間、脳卒中の再発率というものは、データの入手が困難でした。

 指標に関して申しますと、国で医療施設調査を3年ごとにやっておりますが、これが良いデータになります。1つは個表が県に来ていない面があります。専ら国公表のものを県がもらっているだけだということです。例えば、放射線治療の実施件数の二次医療圏ごとの数字を把握しようとした場合に、実際に厚生労働省にお願いしないと入手できなかったという点があります。この辺が、今後どうかなということです。もう1点は、3年ごとの調査ですので、5か年の間に最大でも2回、下手すれば1回しか評価ができないことになりますので、こうした点も課題かと考えております。以上御説明申し上げました。よろしくお願いいたします。

 

○尾形座長 ただいまの御発表について、御質問なり御意見をお願いいたします。

 

○今村構成員 発表をありがとうございました。特に、ナショナルデータベースを活用して分析しているような所は余りないと思うので、すごいなと思いました。その中で、5ページの表2に流入率・流出率が、患者調査とナショナルデータベースで違う結果になっています。患者調査の数字と、ナショナルデータベースでは、ナショナルデータベースのほうが小さく出ているのですが、その差はなぜ生まれてきているのか分かりますか。差がはっきりしているのならば、見ているものが違う可能性があります。それを患者調査の流出率20%という基準で切って見て問題はないのか。この2点について、もし分かれば教えてください。

 

○長野県 6ページの図3を御覧ください。私どもの認識としては、患者調査は1日の調査で0.1千人単位と、非常に粗い調査だという認識を持っています。私どもの認識では、NDBは患者調査とは異なって、6か月分の電子レセプトデータです。ただ悪い点としては、国保、後期高齢者、生活保護等市町村単位でデータが把握できる患者分のみということで、そうしたもとになるデータの偏りがそれぞれにあるということです。大きく言うと、NDBのほうが長期間の数として取っていることもあって、こちらのほうが精度が高いということで、我々としてはこちらのデータを採用しました。

 

○今村構成員 NDBのほうが精度は高いと思うのです。患者調査は1日の調査なので、その日に入院してきた人の数ですから、長期の方も1と数えるし、短期入院の方も1で数えて、その上で流入・流出を出しているのだと思うのです。それに対してNDBは長期の方と短期の方を同じような比率では見ていないのではないかと思うのです。そうすると、必然的に長期の人が流出しているか流出していないかという影響が強く出てくる。患者調査は、その日1日に入院していた患者さんでの流出率と見ているはずなのです。NDBから見ると患者分布が変わると思うので、それを同じ基準で見てもいいかというところは何か検討されているかと思ったのです。

 

○長野県 先生の御指摘はあると思いますが、私どもはそこまでは考慮していなかったというのが正直なところです。

 

○今村構成員 多分見ているものが変わってきていて、入院患者の平均在院日数を見るのと、退院患者の平均在院日数を見るような関係になると思うのです。だから、流入・流出の意味が変わってくるのではないかと思うのです。その辺は、NDBを使う上では今後の検討課題になるだろうと思うのです。

 

○長野県 そうですね。

 

○今村構成員 同じように1日で見て、逆算するという方法もあるかと思います。

 

○長野県 なるほど、性格の違うものではないかということですね。

 

○今村構成員 はい。

 

○松田構成員 患者調査のほうは、入院の所が一般とか急性期とか分けられないので、基本的には30日超入院した人と、30日未満の入院の人とに分けて推計しています。ナショナルデータベースのほうは、入院基本料のデータが入っているので、一般病床の入院、療養病床の入院と分けています。そういう意味では、病床別の入院動向というのは、ナショナルデータベースのほうがきちんとつかまるという形になっています。入院期間別の受療動向というのは、どちらかというと患者調査のほうでつかまると。そういう意味で性格が異なります。

 

○今村構成員 ナショナルデータベースでやったほうが正確だと。

 

○松田構成員 そのとおりだと思いますし、それを使っていくべきなのです。今までの基準を使うかどうかはまた検討の余地があるとは思います。その点は、また今後研究を進めてもらえると有り難いです。

 

○長野県 はい。

 

○高橋構成員 表7に非常に興味を持ちました。木曽医療圏が、急性心筋梗塞に○が付いていて、昔、全国のPCIを調べたときに、確かここはPCIをやっていないエリアだという記憶があります。病院規模から見て、胸部外科があるはずもないという感じがするのですが、ここに○が付いているのはどういうニュアンスなのですか。

 

○長野県 御案内のとおり、木曽医療圏は木曽病院しかないのですが、一応循環器の医師がいて、カテーテル治療が十分できます。

 

○高橋構成員 そういうことなのですか。200件で見ていたから落ちたのだと思うのですけれども、やっているわけなのですね。

 

○長野県 はい。そういうことで、ここは○になりました。脳卒中のほうはまだできないのですが、そういう整理になりました。ここの脳卒中と心筋梗塞の木曽の医療圏に関しては、実はいろいろ議論があったところで、木曽医療圏側はできるというのに対し、我が方の判断としては無理だろうというところで、いろいろ議論し調査をしたゆえの結論です。

 

○高橋構成員 長野県は東信、南信、中信、北信と分かれていて、それぞれに基幹病院がはっきりしている。それで後ろのほうの案2で、4つに分けるというのが基幹病院と周辺の依存関係があって、そこに北信と長野との関係とか、大町と木曽と松本の依存関係は非常にはっきりしているから、外部的に見ると1つにしたほうが絵が描きやすそうな感じがします。長野県というのは非常にバランスがよくて、山が多い所なのに医療提供体制が計画的というか配置からすると非常によくできていると思って、個人的には非常に評価の高い県なのです。

 今回の見直しに関して言うと、ここはくっ付けるべき所が全く変わらなかったというのは非常に違和感を持ちました。特に木曽には1個しかなくて、依存関係がすごく強いから、むしろくっ付けて連携を強化したほうがいいのではないかと思って見ていました。多分そういう議論もかなりあったのではないかと思うのです。

 

○長野県 先生がおっしゃるとおりです。東・北・中・南部を4ブロックと言っていますが、これは三次医療圏とか県一本ではなくて、この4ブロックも三次医療圏と称することにしているのです。

 

○高橋構成員 長野県だけですものね。あと北海道と。

 

○長野県 そうです。そうした中にあって、佐久と上小、長野と佐久と上小、長野と北信、大北と松本と木曽を一体的にしたほうがいいのではないか。取り分け先生がおっしゃった表7を見ますと、表7の中では木曽と大北が、かなり医療提供体制が脆弱なのが分かります。ここは、松本と一体的にやったほうがいいのではないかという話もありました。一方で、木曽と大北ではそれぞれの少ない病院に関して、市民レベルでの守る会なども出来ております。それぞれの首長がこの医療に関して極めて積極的な取組をしている。私どもの関係者である県議会議員も、そうした形で動いている状況の中にあって、ここは飽くまで連携体制を取るということに今回はとどめました。圏域の設定までは行かずに連携体制、しかもそれは各医療ごとに見ると、できる所はできていますので、できない部分の疾病に関しては連携体制を取ることにして、地域の皆さんの合意も取ったという状況です。

 ただ、先生がおっしゃるとおり、医療資源から考えると、取り分け木曽・松本・大北とか、長野・北信などという所は、そうしてもいいかという議論は確かにあるところです。

 

○高橋構成員 長野だけに限らず、先ほどの登米の話も全く共通なのですけれども、少ない所と大きい所をくっ付けると、少ない所が消えてしまって無視されるのではないかという恐怖があるというのはよく分かるのです。

 

○長野県 そうなのです。

 

○高橋構成員 それ以外に、これを一緒にされる、要は大変なのに忘れられてしまうと見られる以外に、一緒になることに対して地元が反対する理由はあるのですか。

 

○長野県 1つは長野県の特性からすると、常に10の広域圏で行政が全て回っている。これは、恐らく全国で長野県だけだと思うのですが、この10広域で全部広域連合が出来ています。10の広域連合が出来ていて、これは長野県だけなのです。埼玉県ですか、全県で広域連合というのはあります。こうした広域の単位というのは非常に強く、歴史的にもあるということです。それが松本と木曽が一緒になってしまうと、医療のみならず様々な政策にも影響を及ぼすことがあろうかと思います。

 もう1つ私どもで一番気にしているのは、脳卒中と急性心筋梗塞で、表7を見ますと、当面と将来とに分けています。そうは言っても、実は中心の木曽、松本、大北で1つにしてしまうと広大な医療圏になってしまう。そうしたときに、時間を争う脳卒中や急性心筋梗塞が、果たして木曽の人間を松本へ連れて行っても大丈夫かということです。大北の一番端に小谷村という所があるのですが、ここから松本へ行くと大変な距離になります。がんなどは時間的余裕はありますが、少なくとも脳卒中や心筋梗塞などは急速を要するので、これぐらいはその圏域の中で完結できなければいけないのではないか、そうした考え方で当面と将来に分けています。将来はその医療圏で完結できるように、これぐらいはしなければいけないのではないかという思いもありました。

 

○尾形座長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。3県それぞれからプレゼンをしていただきました。ここからは、今までの御質疑も踏まえて少し議論をしたいと思います。事務局から話のあった資料1の裏面に、「PDCAサイクルを効果的に機能させる方策を検討するための論点」ということで3点挙がっています。1点目は「地域の医療が抱える課題が適切に評価され、解決に向かうにはどのような方策が必要か」、2点目は「PDCAサイクルを回していくために、各ステージにおいて都道府県にとって必要となるものは何か」、3点目は「関与すべき関係者、各々の果たすべき役割」ということで、一番下に書いてあるように、「誰が、どの役割を、何を使ってPDCAサイクルを回すのか」という辺りについて御議論いただければと思います。なお、ここからの議論については、3県の本日御参加いただいた方々も自由に御発言いただければと思います。

 

○今村構成員 先ほどの質疑の中でも何度か申し上げているのですが、医療の解決策として、例えば平均在院日数を短くするとしたら、その人たちがどこへ行くのかということが、どの議論からも抜け落ちていると思うのです。医療ではないからここの議論ではやるべきではないというのは正論ではあるのですけれども、介護のほうでも同じような議論があります。福祉サイド、医療サイドでは、そこが宙に浮いていると思うのです。

 先ほどの看護師の需給計画などは最たるもので、医療サイドの看護師の需給計画を作っていく過程と、福祉サイドの需給計画を作っていく過程を、両方とも並べて見ていると、今のままお互いの所からは来ないというのが前提で作られています。それを足しても少し足りないという計画になっています。それは、一番最初に困るのは県のはずなのです。国では計画がきれいに立ち上がっていても、実際に患者さんがあふれてきて困るというのは県だと思うのです。県の立場からそれを考えられるように、指標としてそこも考えていくということを言っていかないとしんどいなと。

 実際に県での数字の作り方も、例えば介護保険を見ていると、市町村単位で需給を見ています。そうすると、市町村で介護保険の計画を作る際には、施設を何個造りますかという観点で作るから、簡単に隣の市に行ってくれるはずだという計画で各市町村は立ち上げます。それで足し上げた結果を県の計画として立ち上げます。その中には、平均在院日数を短くした部分が出てくるなどという計画はもともとなくて、自分の所でこのまま高齢化が進んだとしても、他の所でみてもらうという計画で作られています。全部の市町村がそうやって作っているので、総数としての介護保険の中では出てくるのですけれども、介護施設とかヘルパーさんとか、看護師さんの量の中では出てこないのです。

 その中で、特にこれから実人数としての総患者数が増えてくる。医療のほうでどうするか、今我々が計画を作っている内容では、その平均在院日数を短くして受け入れようとしている。そこまでは計画としてはきれいなのですけれども、その先は非常にunknownな未知な世界になっていて、その問題をまだ余り議論している様子も、都道府県で考えていただく際にも余り大きな議論になっていないというのは、ちょっと危機感を感じます。今の計画をうまく進めていくということと、近い将来、来たるべき行き場を失う患者さんたちのことをもう少し踏み込んで考えていくべきではないかという、総論としての意見です。この議論の外だと言われれば外なのですけれども、でも、ここできれいに計画を作る結果として生まれることだと思うので、是非検討の対象にしてもらいたいと思います。

 

○尾形座長 今の御意見について何かありますか。

 

○松田構成員 多分いろいろな関係の組織体が医療と介護とをつないで、今は連結分析をする仕組みを開発しています。仮に国保中央会のKDBが動き出せば、医療と介護と合わせてどのぐらいのサービス量が必要なのかというのが、これからデータとして出てきますので、それを使ってやっていけば、トータルとしてどのぐらい必要なのかというものは多分出せるだろうと思います。

 ただ、そのときに問題なのは、今、私たちは福岡県で少しそういうのをやっているのですけれども、今の利用状況をベースとして、これから増えてくる高齢者に当てはめてしまうと、明らかに看護師さんは足りなくなります。ホームヘルパーさんも足りなくなります。そうすると、今の看護師さんがやっている業務内容を、看護助手というか、ホームヘルパーといった方たちに、ある程度の権限を委譲していくことも少しずつ進めていかないといけないと思うのです。

 その議論を始めると、厚生労働省全体を巻き込む話になるのだろうと思います。いずれにしても、これから医療と介護をつないでデータを分析するというのは一般化してくると思うので、多分この23年のうちに、そのデータは出てきます。それを踏まえて需給の在り方は改めて議論するという段取りになるのではないかと思います。

 

○高橋構成員 指標がたくさんあって、それをかき集めて全体像で目標を設定したときに、地域として本当に進まないといけない方向に進むのかということに非常に疑問を感じます。医療提供体制を考える場合に、その地域は急性期病床がかなりだぶついてきて、将来相当減らしていかなければいけないと。これは、地域医療ビジョンの話なのかもしれないのですけれども、そういう一番大きな方向性というのは、この指標からは、なかなか見にくいのではないか。そこが、この指標を見たときの疑問なのです。

 一つ一つ改善していって、全部良くなれば良い方向に進むかもしれないという考え方も成り立つかもしれないのだけれども、各指標の前にもっと大きな、地域としてどっちの方向に進むべきだという話。それから大都市なのか、地方都市レベルなのか、過疎地レベルなのかによって指標の置き方は多分変わると思うのです。その指標のグルーピングをして、過疎地だったらこういう指標が重要になるとか、大都市だったらこういう指標群が大事になるという整理がなくて、一律に100個なら100個、200個なら200個の指標を使って、全部改善を目指していくという形が本当にいいのかどうかというのは一度検討する必要があるのではないか、ということを本日の議論を聞いていて感じていました。

 千葉県でいうと、先ほど言った東葛周辺と、房総周辺とを同じ指標で見ていくような形では無理があるのかなという感じがするので、その辺は地域全体で目指す大きな方向性と指標の関係は整理する必要があるというのを、本日の発表を聞かせていただいて感じました。

 

○今村構成員 最初の私の意見と、今の高橋先生の話の続きなのですけれども、今は数字の出所の多くが患者さんを受け入れる側の数字なのです。私は病院の運営をさせてもらっていて、いかに受け入れるかということが重要で、地域全体としても、この地域医療計画ではそのことを計画しています。しかし受け入れるためには出さなければいけないのです。

 そのために、実際の病院の運営では、多少重たくても出ていってもらうということをやっています。実際に平均在院日数が短くなって、出ていく人は非常に重たい人が出ていくので、この医療計画を遂行するためには、重たい人を出すということも平行して行われています。その重たい人を出すときに、急性期病院からは亜急性期病院へ行って、それから慢性期病院へ行きますけれども、結果的には押し出される人たちは非常に重たい人が世の中にあふれてくる。だから、年齢構成だけで数が増えるということに加えて、実際に重たい人の率が在宅では増えてくるという問題があって、その在宅に対してのアプローチというのは、実際には地域医療計画の中で非常に弱いのです。だから、在宅のほうでも受入れの数字が本来あるはずなのですけれども、病院からあふれてきた部分に対しての受入れという数字がないので、その数字としては全体が完結していないところが1つ問題点なのではないかと思います。

 

○高橋構成員 これから人口が減っていって、かなり余ってくるのが大きな問題になります。この指標で置いているときに、充足したらマルという形になって、余りすぎということに対しての評価がほとんどないということが1つの大きな問題なのです。PDCAサイクルというのは、改善や拡張型のときには合っている部分もあるのですが、余りすぎている場合は減らそうという、使いようによれば下方修正をして、そっちのほうへ近付けるという目標設定もありだと思うのです。その辺に関してはまだ余り意識されていない点だと思いますので、これからそういうのが非常に重要視されてくるのではないかということを、人口問題を取り扱っている者からすると感じるところであり、1つの大きな検討課題ではないかと思います。

 

○尾形座長 せっかくの機会ですので、県の方からも少し感想、あるいは先ほどの発表で、まだ言い足りないことがあれば是非お聞きしたいと思います。

 

○宮城県 宮城県は医療分野に特化した計画になってしまっています。福祉計画との整合性は取ったのですが、市町村ごとの計画を全部チェックしたかというと、していないということがあります。医療を中心に書いておりますので、今後は福祉との関係の視点も重要だと思いました。宮城県では患者調査と、医療機能調査をしたのですが、それはこの計画でどのような計画にしていくかということを、本当に基礎資料とするためには、やはりその前から検討して調査をすることが必要だったのですが、策定懇話会が調査をする段階ではやっていなかったのです。そこは他の県のを見せていただくと、やはり早くからやっているのだということが分かりましたので、次回はそういう準備を早くしたいと思いました。今のところはこんなところです。

 

○尾形座長 千葉県はいかがですか。

 

○千葉県 先ほど今村先生からも話が出ていたのですが、うちの場合も医療と介護、福祉の連携というときに、福祉サイドでも地域包括ケアシステム構築という大きな課題として取り上げてやっています。うちはうちで、例えば在宅医療は地域包括ケアシステムの大きな構成要素になる。お互いが、ただそれを個々に確かに計画の中で位置付けてやっているのですが、今村先生がおっしゃったような、その看護師はどうなるのだとか、お互いその数字でうまく説明できないものですから、どうしてもその理念的な説明で対外的に終わってしまっているというのはジレンマを感じています。

 

○尾形座長 長野県はいかがですか。

 

○長野県 医療と介護のデータの繋ぎ、連携に関しては、政府でもそういう話があると聞いておりますので、それに分析を期待するところです。厚生労働省からのデータも我々は期待したいと思っております。それから、二次医療圏ごとの指標ということですが、私どもは従前の計画では、二次医療圏の意識が我が県では強いので、二次医療圏単位の部分があります。圏域ごとに保健所が中心となって計画を作るということが、この後半に作るということで、当初それで動いていたところです。そうした中にあっては、それぞれの二次医療圏で重点を置くべき事項が全然違いますので、そうした場合には置くべき目標も変わってくることになろうかと思います。ただ、現行は県一本ですので、そこは二次医療圏単位で差を付けて、目標設定をすることはなかなか難しかったということです。

 評価の仕方ですが、人口減で資源が余るのではないかという話がありました。我々も一部でそういう話があります。そうした話はなかなか地域の皆さん方には受け入れられていませんで、なおも医療資源は全く足りないという状況とか、これから人口が減ってきてどうなのでしょうかという話をしても、なかなかそこは受け入れられないのが現場の実情です。また、そうした形の中で、数量的な評価をいかにするかというのは非常に難しいです。我々長野県においても、従前から行政評価制度を入れて、政策評価制度を入れて、様々な政策分野で数量的な評価をやってはいますが、それはなかなか難しいところかということを感じてきています。

 

○尾形座長 まだ15分ぐらいありますが、いかがでしょうか。

 

○梶尾指導課長 今、福祉と介護の関係等々がありました。今日はせっかく参考資料の1にあるので、国民会議や法制上の措置では、今後どういうことを想定しているのかを紹介したいと思います。参考資料186日にまとめられた国民会議の報告書ですが、21ページからが医療・介護分野になります。一度お読みいただければと思いますが、25ページを開いていただくと、25ページの中ほどに、これは改革の考え方ですが、「病院完結型」の医療から「地域完結型」の医療への転換については、行き先をきちんとつくっていくべきだと書いてあり、それは提供側、在宅介護までの一連の流れ、そして緊急の場合でも受け入れできる体制の整備とセットで考えていかなくてはいけないということがこの辺に考え方として書いてあります。

 具体的なというか政策的な所で、医療計画、地域医療ビジョンの関係で言えば、26ページの下のほうに地域医療ビジョンの策定が書いてあります。一番下の行からですが、地域医療ビジョンについては、都道府県において現状分析・検討を行う期間を確保する必要はあるものの、次期医療計画の策定時期である2018年を待たずに速やかに策定する。その具体的な在り方は、国と都道府県とがよく協議するということが書いてあります。

28ページの下方の(4)は医療と介護の連携と地域包括システム」というネットワークの構築ですが、この関係では一体的でなくてはいけないことと書いてあります。29ページの中ほどには、地域包括ケアシステムの構築に向けて、2015年度からの第6期以降の介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置付けて、各種の取組を進めていこうと。30ページの上のほうに「いずれにせよ」というパラグラフがありますが、地域包括ケアシステムの確立は、医療・介護サービスの一体改革によって実現するということで、将来的には、介護保険事業計画と医療計画とが、市町村と都道府県が共同策定する、一体的な「地域医療・包括ケア計画」とも言い得るほどに連携を深めていくべきであると。

 こういうことをやっていくべきではないかということが、国民会議で提案され、こういうことを踏まえて、今後、厚労省の中でも社会保障審議会の医療部会や介護保険部会で検討を進めていくことになります。

 参考資料2に、こういった報告書を受けて、あるいはこれらの会議の議論を受けて、今後どうしていくのかということで、821日に推進法第4条の規定に基づく「法制上の措置」の骨子として、法制上の措置を講じるとなっていますが、今は国会をやっていないので、こういう内容で法制上の措置を講じることを政府として決めたのが、参考資料2の閣議決定です。これを受けて、秋の臨時国会で、これを具体化するというか、これを法律の形にした、こういうふうに進めていくという法案を臨時国会に出すという予定にしています。

 その中の2ページから医療制度で、(3)に医療関係があります。地域医療のことなど、いろいろ論点が書いてありますが、これらについては(5)に書いてあるように、次期医療計画の策定時期が平成30年度ですから、それまでに順次講ずるべく、その一環として平成26年通常国会に医療関係の法案を提出しましょうということが書いてあります。

 また、5ページからは介護保険の関係が書いてあります。ここも様々、地域包括ケアシステムや在宅医療と在宅介護の話もあります。これも並行した議論を進めていって、次の介護保険事業計画は平成27年度からだということを念頭に、やはり来年の通常国会に介護保険関係の法案を出すと。最近の国民会議の議論を踏まえて、今後、そういったことを進めていくことを、一応、政府としては方針として出し、この秋は介護保険部会、医療部会等でこういったことについて議論していくと。そのベースとしては、ばらばらではなくて一体的な医療の連携対策は、出口の行き先がきちんとできないことには話にならないのは当然の問題意識として、ただ、それを具体的に進めていくためには、どういう指標を設定し、どういう評価をしながら進めていくのかが課題になっていくのだと考えています。

 

○尾形座長 ただいまの指導課長の説明も含めて、御意見等あればどうぞ。

 

○今村構成員 今、国が進めている方向については、私はこの方向で正しいと思うのです。ただ、地域包括ケアシステムの一番のコアになるのは、地域包括ケアセンターと在宅支援診療所ですが、実際に支援診療所とケアシステムを動かすには、ドクターと看護師の強烈な関与が必要で、実際に機能しようとすると、スーパードクターが1人いないとなかなか回らないという現状があって、その強烈なドクターや看護師の配置計画が地域医療計画の中に余り書かれてなくて、介護保険事業計画に書かれているところに現実離れしたところがあります。医療計画で余り深く考えられていないドクターや看護師のことが、介護保険のほうから要るのだ、要るのだと言っても、実際には動かないのです。

 医師会も実際には聞いていないという話になるので、この地域医療のことを地域包括ケアシステムを動かすために必要な医療需給も含めて、この計画の中にもっと指標として入れていかないと、今、国が出そうとしている方針がうまく回らないと、私は思うのです。そういったところがまだ抜けているのではないかと思うところです。

 

○梶尾指導課長 おっしゃるとおり、実際に具体的に現場で回るようには、どう進めていくかという指標をどう設定し、あるいは支援に向けての政策をどうしていくかは、そういうことかと思います。ただ、今おっしゃる中のスーパードクターがいなければいけないという話では多分ないと思うのです。そうではなくても回る仕組みを作るために、どういう目標を立て、どういう施策をやっていくかのコメントは必要だと思います。実際にそれができるようにしていくために、どういう目標を立てて施策を打っていくかという原稿は作っていきたいと思います。

 

○今村構成員 ただ、スーパードクターという表現がよくなかったですが、例えば在宅支援診療所を1人で回すのは実際には無理で3人ぐらいで回すのだと、結局、3日に1回は輪番でずっと張り付いていなくてはいけなくて、呼ばれたらすぐに行く体制が必要になってきます。非常に熱心な人で、それがすぐに収入につながるわけではないので、余りお金に捕らわれない。しかし、それでいて実際に家で亡くなられることが一番重たいので、在宅で看取ることを説得するという、すごくしんどいことを医療従事者に、病院ではなく在宅で看取ることをやってもらう前提であることが含まれていますので、それはものすごく熱心な一部の先生しか実際にはやっていないことなのです。

 それがどのドクターでもできるはずという前提で進められているので、私の目から見ると、ごく一部の先生しかできていないことが計画に載っていて、皆がやるのだというのが当たり前のように進んでいるので、実際に県で新制度を立ち上げる際には、なかなか立ち上がらないという事態になっている原因が、その部分です。ただ、地域医療計画の中でその部分がもう少しフォローされていないと、実際には立ち上がりにくいという意味で、すごく熱心な、なぜそこまでの自己犠牲ができるかというような先生が実際はやっている。今の包括センターのやり方では、なかなかしんどいだろうと思われたということです。

 

○佐々木医師確保等地域医療対策室長 今、PDCAを御議論していただいて、1年後の平成26年度には各都道府県で実際にPDCAを回していただいている中で、今度は地域医療ビジョンを国が指針を策定し、平成27年度ぐらいからは、都道府県で地域医療ビジョンを考えていただいて、平成29年度ぐらいには平成30年からの医療計画、しかもそれは介護保険事業支援計画、地域包括ケア計画との整合性を取れたものとして策定されます。

 このスケジュールの中で、ここから先、構成員、参考人の皆さんに伺いたいのですが、もっとこういうツールがあれば都道府県はやりやすいのにとか、また構成員のお立場からも、こういうのがあれば都道府県も作業しやすいのではないかと、そういう御提案を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。

 

○松田構成員 実際、地域医療計画や介護保険事業計画など、いろいろな所で作ることで実際やらせていただいているのですが、基本的には現場の担当者の方がどのぐらい理解されて、どのぐらい積極的にやってくれるのかに掛かってくるだろうと思っています。今回、別にお世辞ではなくて、長野県のことを少しお手伝いしたのですが、このようにシテムを作った仕組みを活用してくれた県は実は長野県だけです。私たちは最初少しお手伝いをしただけで、あとは長野県の担当者の方がそれを使いこなしていったことだと思うのです。結局、現場の方が、どのぐらいこの医療計画や介護保険事業計画などの重要性に気づいて、認識してくださって、それを実際の日常業務の中できちんとやってくださるかにかかっていると思うのです。

 今の話の地域包括ケアや地域医療ビジョンのほうに落としていくことになると、多分、都道府県だけでは駄目だと思うのです。例えば、長野県であれば、長野県の県庁の担当者の方と、もう1つ何かモデル的にどこかの自治体の方に入っていただいて、その県の医療計画と地域の地域医療ビジョンの策定という作業を、一体的にやっていくという事例を各地域に作っていくことが大事ではないかと思うのです。その事例ができた上で、それを今度はカスケード方式で横の自治体に広げていただく。そういうように戦略的に地域で実務を担当する方を育てていくと、多分そこが一番大事なポイントになっていくのではないかと思います。

 

○高橋構成員 先ほどからの繰返しに近い話になるのですが、まずそれぞれの地域が、医療が足りないのか、人口減で余り気味かという大きな方向性を共通認識として持つ必要があるのではないかと。それは、ある程度いろいろな指標を組み合わせて、それでこういう地域だということは共通の基準で記述はできるのではないかと。だから、まずそこをベースにしてそれぞれの地域の方向性を考えていく、スタートラインの方向性をそろえる必要があるのではないかと思います。

 例えば、宮城県の場合、仙台と登米地域を同じ指標で、同じもので進めて行っても無理な話なので、その地域によってどちらに進んでいくかは最低限示す、何らかの共通目標で、誰が見ても分かる大きな方向性を示すことに関しては、全国共通で、ある程度作る必要があるのではないかと思います。そこから先は地域で、具体的にこれを実現するためにという形になれば地域の問題になると思うのですが、その大きな目標の方向性が誤っていたら、いかに細かい指標をたくさん積み上げていっても間違った方向に進むので、そこに関しては二次医療圏単位で、進んでいく方向性を共通の物差しで地域ごとに示してあげることが必要だろうと。

 それが決まると、重要な指標が地域によって変わってくると思うので、二次医療単位あるいは二次医療圏をセットにした、例えば宮城で大雑把にいうと、仙台セットとその他セットになるのかというイメージだと思うのですが、地域によって使う指標群が違ってくるのではないかと私は思うので、そういう整理の仕方で指標を提示していくことが非常に大事ではないかと思います。

 

○今村構成員 私も高橋先生と似ているのですが、県全体で見たときに、日本全体もそうですが、高齢化が進んでいったときに、今の人口推計をそのまま掛けていけば、まず年をとれば病気が増えていくという推計は単純にできると思うのです。では、病気の方が何人生きるかと、それもセットで、人口さえ入れれば変えられるように、有病率も若干違うので、変えられるようにすればいいと思うのですが、それはできると思うのです。

 そのあと、そのうちどれだけが医療のほうに行くのですか、そのあとどれだけ介護のほうに行くのですかということは、システムの中に入っていて、医療のほうで平均在院日数を短くしていくという計画を立てると、数字として、あふれた人たちが介護のほうに行くと、そういうソフトやエクセルの表を作って、全体としては、パイは変わりませんと。そのパイを触ると、このように人は動くということが、基本情報として県に行っている必要があるのかと。それを各県で考えるのはなかなか大変なことです。だから、そこまでは数字としては、数的に、どれだけの人に対応を取らなくてはいけないかというところが見えるように提供していくのは、今後の進行管理の中で、重要点の1つだと思います。その出てきた数をどのように県全体として捌いていくかを、計画の指標として、また進行管理として立てていく形が一番いいと思うのです。

 

○尾形座長 県の方、いかがですか。特に指名はしないので、御自由に。よろしいですか。

 

○高橋構成員 個人的に長野県に、松田先生の作られたナショナルデータベースから、これほどいろいろ使った事例はないということを松田先生が言われていたのですが、使ったことによって何が変わりましたか。

 

○長野県 推測を基にしたナショナルデータベースではなくて、また別の医療保険者から頂いた電子レセプトデータでデータベースを作っています。それで事業ごとに分析をしたのですが、これは、うちの県で今まで疾病・事業ごとの流出を特定したことが全くなかったということで、今回、圏域の設定まで行かなかったのです。しかし、圏域連携には、それが疾病・事業ごとの連携体制に非常に客観性を持って説明ができたので、これは非常に有用だったと。

 取り分け脆弱な医療圏は浮彫りになってきているので、更に細かい分析もできるようになっているのですが、病院単位でできたり、市町村単位でできたりするのですが、そこまで使っていけば、更に深く、そこに介護のデータも入ってくれば、介護は市町村の単位になってくるので、そうすると、またなおさら非常に使いやすく、分析も非常にできやすく、説得力あるものになろうかと思っています。

 

○松田構成員 在宅医療の分析もしています。全部のレセプトなどもある。医療行為単位で全部取れるので、薬剤の分析も取れるようになっています。

 

○尾形座長 そろそろ予定の時間ですので、まとめと若干一構成員としての意見を申し上げたいと思います。今日は、先進的な3県から医療計画に関して具体的な御報告を頂き、大変有意義だったと思います。それぞれについて若干コメントをすると、宮城県の場合は、医療圏を統合した1つのモデルケースだと思うので、今日はいろいろお話も伺いましたが、そのプロセスも含めてどういう議論があって、どういう形でまとめていったのか、この辺は厚労省としても資料の形でまとめて、医療圏を統合していく場合の議論あるいは手続のようなことを、是非まとめていただきたいと思います。それが1点です。

 次に、千葉県の場合、これは先ほどお話したことですし、また高橋構成員からも御意見が出ていまして、指標と各事業分野ごとの評価は、まだ若干のギャップがあるので、今後、分野ごとの評価あるいは全体評価につなげていくというお話だったのですが、その辺は、どのように統合を評価していくのかが1つの大きな課題かと思います。しかし、方向としては、おっしゃるとおりだと思います。

 長野県の場合は、先ほど議論になりました表7が、非常に興味深いもので、ある程度の評価、あるいは将来のビジョンも含めて当面と将来を分けている。これは1つの表現形態かと思います。残念ながら、これをもって医療圏の統合につながってはいないわけですが、これは現状を非常に明確に示しているという意味では、1つの参考になる事例かと思います。

 せっかく今日お配りいただいた資料1の裏側に関して、1点だけ私の個人的な意見を申し上げておくと、主な関係者、ステークホルダーはできるだけ幅広くいろいろな人たちに入ってもらうというのは、そのとおりだと思うのですが、その中で医療保険者は大事だと思います。

 特に、社会保障制度改革、国民会議の報告書もそうですが、都道府県単位で医療保険者を統合していこうという方向が出ています。そういう中で、負担の担い手に納得して負担してもらうためには、医療提供体制についてもきちんと意見を言ってもらう必要があるのではないかと思います。どういう形で意見を表明するかはあるのですが、そういう意味では、医療保険者の役割は非常に大事だと私は思っています。これは個人的な意見として申し上げておきます。

 時間を5分ほどオーバーしてしまいましたが、本日の議論は、ここまでとしたいと思います。事務局から何か連絡事項はありますか。

 

○久保木医師確保等地域医療対策室長補佐 次回の研究会の開催ですが、本日まで3回御議論いただきました。今後、ある程度まとめたいと思います。第1回研究会で紹介したデータブックの作成を近々開始したいと考えており、その進捗を踏まえた上で、次回の研究会の開催をしたいと思いますので、次回の日程については、改めて連絡します。

 

○尾形座長 第3回研究会をこれで終了します。長時間にわたりご議論いただき、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局指導課 医師確保等地域医療対策室
03-5253-1111(内線2557)

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