ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 救急医療体制等のあり方に関する検討会> 第7回 救急医療体制等のあり方に関する検討会(議事録) (2013年9月18日)




2013年9月18日 第7回 救急医療体制等のあり方に関する検討会(議事録)

○日時

平成25年9月18日(水) 9:30~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議事

○田中救急・周産期医療等対策室長 

   定刻になりましたので、第7回「救急医療体制等のあり方に関する検討会」を開催します。本日は、先生方には御多忙のところ御出席を賜り、誠にありがとうございます。

 なお、本日の出欠ですが、加納構成員から欠席の御連絡を頂いています。それから、本日の議題に関連して、参考人として、帝京大学医学部救急医学講座主任教授の坂本哲也様、全国消防長会救急委員会の菩提寺浩様にお越しいただいています。それからあと、社会・援助局障害保健福祉部精神・障害保健課から竹口補佐に出席いただいています。

 それでは以降の議事運営につきましては座長にお願いします。有賀先生、よろしくお願いします。

 

○有賀座長

  みなさん、お早うございます。早速、始めたいと思います。最初に資料の確認をお願いします。

 

○辻救急医療専門官

  冒頭のカメラ撮りに関してはこれまでとさせていただきますので、御協力の程、お願いします。

 それでは資料の確認をさせていただきます。本検討会の議事次第、構成員名簿、参考人名簿、座席表、開催要綱が付いています。

 資料1「救急医療体制等のあり方に関する検討会中間取りまとめ()」と「構成員コメント」。資料2「高度救命救急センターについて」。資料3「日本の外傷治療における患者数と転帰の関係」。資料4「メディカルコントロール協議会の実態調査」。資料5「メディカルコントロール協議会の現状について」。資料6「救急医療の適正利用に関する各地域の取組」。

 続いて参考資料1「一般救急と精神科救急における連携と現状の課題(まとめ)」。参考資料2「認知症高齢者の救急医療と身体合併症医療」。参考資料3「日本外傷データバンク報告2012」です。

 資料の不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。よろしいでしょうか。それではお願いします。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございます。議事次第に今日の議題が並んでいます。順番でよろしいと思います。最初は、この検討会の中間取りまとめ()について、資料の説明をお願いします。

 

○辻救急医療専門官

    まず、中間取りまとめ()について御説明します。資料1を御覧ください。前回の検討会でも中間取りまとめ()を提出しましたけれども、そこから修正又は追記した部分に関しまして検討事項を中心に御説明します。

4ページの第2「救急医療体制や取組に関する現状及び課題」について、それぞれの背景を記載しています。御確認いただければと思います。

 飛びまして8ページです。第3「今後検討すべき事項と方向性」について御説明します。1.救急患者搬送・受入体制の機能強化について。(1)メディカルコントロール体制の充実強化について。この段落の4行目で、MC協議会についてはこれまで法的位置付けとしていましたが、今回、「医療法の体系の中に位置付け」と記載しました。また同じく4行目に「人的及び経済的に必要な措置を講じることを検討すべき」と、より具体的な記載としました。この段落の6行目、「MCに従事する医師」についての記載も「身分や業務時間、給与等を確保」と具体的に記載しています。同じく8ページ、(2)「救急医療情報に関する地域連携について」ですが、このページの下から3行目、救急患者の受入れの情報共有についての所ですが、これまではリアルタイムに情報を入力する形にしていましたけれども、「速やかに更新」という指摘を受けましたので変更をしています。

9ページ、(3)「♯8000について」。この段落の2行目で、応需不能時間帯や応需不能率の改善に対する改善点に関して、対応案といたしまして、求められる対応策について具体的に「運営時間の延長や複数回線化」「定期的に実態調査を行い改善する必要」と記載しています。

 同じく9ページです。(4)「院内トリアージについて」。この段落の4行目です。「トリアージの趣旨や方法について医療機関において患者や患者家族に対して指示することは、適切な受療行動につながるため、啓発していく必要がある」と、より分かり易く記載を変えました。同じく9ページの2「救急医療機関・救急医療体制の充実強化について」。(1)救命救急センター(高度救命救急センター)の充実強化についてです。この段落の56行目の「その上で」で始まる文章ですが、これまでの議論を受け「一定の機能を果たしてない施設については、改善を求めると共に救命救急センターとしての指定が妥当か否かについても検討が必要である」と追記しました。

10ページの(2)「二次救急医療機関の充実強化について」。この段落の1行目に、医療機関に求められる事項をより明確に記載しています。6行目、高齢者救急に対する二次救急医療機関の対応について、「二次救急医療機関の対応能力の底上げが必要」と記載しました。7行目、「特に」から始まる部分に関しましては、断らずに対応していただいている医療機関に対する支援措置を記載しています。

11ページです。(3)等については変更等ありません。3(2)「高次医療機関からの転院搬送等について」。搬送のための費用につきまして、「医療保険の取扱いの整理その他の適切な対応がなされる仕組み」としました。

 同じく11ページの4「小児医療における救急医療機関との連携について」。12ページの上から10行目ですが、先天性疾患の急変等については、まず、現状を把握することが必要との御意見があったことから記載を変更しています。

12ページの5「母体救命事案における救急医療機関との連携について」。ここからは前回まで論点整理での記載でしたが、前回の検討会の議論の中で、周産期連絡協議会とMC協議会の連携について議論に及びましたので追記しています。

1213ページの6「身体合併症があり、精神疾患を有する患者の受入体制の構築について」ですが、13ページの2行目で、前回の議論を受けて、「受入れを行う救急医療機関については、都道府県や医療機関は、救急医療機関と精神科医療機関との連携、救急医療機関内の救急部門と精神科との連携を一層整備するとともに、身体的には問題がなくても精神科的な判断に苦慮する場合があるため、精神科医が救急医と連携できるシステムを構築する必要がある」と記載しています。

 続いて、「構成員コメント」。前もって構成員の先生方にはこの資料を見ていただき、コメントを頂いています。主なコメントを列記していますので御覧ください。

 まず第2「救急医療体制や取組に関する現状及び課題」です。4ページの「MC体制について」の所です。「MCとは」という項目を作り、今までの変遷や実態を細かく書いてはどうか、という御意見を頂いております。同段落の4行目に「救急患者の受入れに関する個別の調整」とあるが、現在、個別調整はMCに求めてられてはいないのではないのか、という御指摘もいただいています。

5ページ、「院内トリアージについて」ですが、院外トリアージと院内トリアージの結果を双方で活用する仕組みを整備したほうがよいのではないか、という御指摘をいただいています。

7ページ、「高次医療機関からの転院搬送について」です。「高度救命救急センター」を同段落1行目に追加すべきではないか、という御意見を頂いています。「他の医療機関に転院させる際の移動手段に係る費用」を「移動手段として救急車が利用できないため、その輸送に係る費用」に変更し同段落4行目に記載すべきではないか、という御意見を頂いています。

7ページ、「小児医療における救急医療機関との連携について」ですが、「救急医等の他科の医師による小児医療への参画が進んでいない現状がある」を「救急医療の他科の医師による小児医療への参画も漸次進んでいるが、患者の親らがそれで安心しない」という現状があるというふうに変更し、同段落3行目に記載すべきではないか、という御意見を頂いています。

7ページ、「身体合併症があり、精神疾患を有する患者の受入体制の構築について」ですが、表題を「精神疾患を有する患者の受入れ、並びに対応後の精神科との連携体制の構築について」に変更すべきではないか、との御意見を頂いています。

 第3「今後の検討すべき事項と方向性」についてです。1、救急救急患者搬送・受入体制の充実強化について、9ページ、(3)「♯8000について」ですが、同段落最終行に「いずれ、♯7119との連携、役割分担なども議論していく必要がある」を追記すべきではないか、という御意見を頂いています。

10ページの(4)「院内トリアージについて」。同段落4行目の「医療機関において患者や患者家族に対して指導する」を「医療機関や消防機関において」に変更すぺきではないか、と御意見を頂いています。

2「救急医療機関・救急医療体制の充実強化について」。911ページの(1)「救命救急センター(高度救命救急センター)について」ですが、「妥当な場合は、果たせていない機能を補完するための支援が必要である」を同段落8行目に追記すべきではないか。「ピュア・レビューや日本医療機能評価機構による第三者評価(救急医療付加機能等の導入」を10ページの6行目に追加すべきではないか、という御意見を頂いています。

 同じく10ページ、「二次救急医療機関の充実強化について」です。下から7行目に「また上記のとおり、二次救命医療機関の対応能力を各地域で全体的に底上げするためには、救命救急センターのような充実段階評価の導入は時期尚早である」と追記すべきではないか、という御意見を頂いています。

12ページ、「小児医療における救急医療機関との連携について」。「このような判断能力(家庭看護力)を行政機関主導にて地域で醸成し、継承していくべきである」を同ページの4行目に加えるべきではないかという、御意見を頂いています。

12ページの5ですが、「母体救命事案における救急医療機関との連携について」です。「各地域、各施設において母体救命患者を初期治療フローチャートを作成し、シミュレーションをしておく必要がある」を同段落最終行に加えるべきではないか、という御意見を頂いています。

1213ページ、「身体合併症があり、精神疾患を有する患者の受入体制の構築について」ですが、12ページの1行目、「急性アルコール中毒」は精神疾患ではないため、省くべきではないか。「身体合併症があり、精神疾患を有する患者の受入れについては、緊急・重篤である場合については問題のない一方で、速やかに対応が必要な者については受入れが円滑にできるよう整備を進めるべきである」を2行目に追記すべきではないか、という御意見を頂いています。

 この他につきましても、各構成員の方々から御意見を頂戴しております。今後、最終取りまとめを作成する上で、参考にさせていただきたいと考えております。また、本日の議論も更に追及すべきこと等がございましたら、御議論いただければと思います。事務局からは以上です。

 

○有賀座長

   まずは、この中間取りまとめ()についての御意見を頂きたいと思います。順番にというほどに、体系的にやらなくても、御自身が気がついたところを適宜発言されるとよろしいのではないかと思います。

 最初に私から伺いますが、13ページの上から3行目のパラグラフですが、こういう日本語は極めて分かりにくいのです。書き手は分かっていると思いますが、「受入れを行う救急医療機関については、都道府県や医療機関は、かくかくしかじかをすべきである」ということが書いてあるのですが、「は」があって、また「は」があるから、日本語としては極めて分かりにくくなるので、こういう部分についてのチェックは、最終的に1回しましょう。国語の先生とは言わないけれども、誰かが指摘せねばならないかもしれませんが。

 

○辻救急医療専門官

  申し訳ありません。

 

○有賀座長

 このようなことも含めて、適宜御発言ください。

 

○石井構成員

 そういう細かいチェックは座長に任せて、全体のcontextでいうと、我々がここで議論したことはかなりうまく盛られたというイメージです。それですので、全体のところでの議論はありません。

 

○有賀座長

 第3「今後検討すべき事項と方向性」の所の1(1)「メディカル コントロール(MC)体制の充実・強化について」ですが、ここはかなり具体的に、医療法の体系の中に位置付けて給与等を確保するという、大変力の込められた状況で書いておりますが、地域の医師会の先生方から見ても、このようなことが推進されることは大変いいことだという認識でよろしいですか。

 

○石井構成員

 正にそう思います。地域医療と救急の専門の先生方、行政は、本当に一体で、総力戦でやらないと、ここから先は救急搬送が減るような状況にはないというのは明瞭です。まして、今夏の熱中症の問題とか、こういうその時点、その時点のissueがそれに乗ってくるわけですから、恒常的に増えつつあるところに、そういうものがスポットで乗る。これはある種の非常事態だと思いながら、したがって、誰か犯人探しをしたり、誰かがsabotageするようなシステム作りはとてもできないし、するべきではないと思うのです。

 そこから先は、私のイメージは、これはthird party organizationとしてしっかりとコミュニティの中で存立を取っていただく。それで、行政のトップにも物を言える、逆にいえば国の在り方についても物が言えるような、そういうしっかりとした存立を作っていってもらえれば、それが一番地域の住民のためになると思っています。そこまで書くべきだと申し上げる気はありませんが、イメージとして申し上げておきます。

 

○高城構成員

 奈良県ですが、今回の取りまとめについて、様々な分野にわたってよくまとまっているなと思いました。やはりメディカル コントロール体制を充実させたり、救急センターの充実、2次救急医療機関の充実ということで、「充実」ということがうたわれています。それで、要件の厳格化等で、より質の高いものを目指していくという方向性が示されています。これに対しては、進むべき方向だと思います。

1点、この報告書の中で、どこに書いてあるのかなと思って見ていたのですが、結局いろいろな自治体の意見を聞くと、医師が足りない自治体が結構あるという現状があるので、総論的な話になりますが、地域の実情も加味したような評価が柔軟にできるように配慮していただきたいという点が1点です。

 それから、救急医療に携わる医療従事者をしっかり育成、育てるという点が、どこかに入るといいのかなと思いました。

 

○有賀座長

 今、その地域における状況に鑑みながら評価をしていくとおっしゃいました。そういう意味では10ページの上の所の3行目は、「さらに、救命救急センターうんぬん」というのは、最後の所で「ピア・レビュー等の導入を検討すべき」とありますが、ピア・レビューは地域の先生方のピア・レビューという話に文脈ではなると思うのですが、資料で、ときどき利用した日本医療機能評価機構の評価があります。ここで私は中間取りまとめの予めの案が送られてきたときに、医療機能評価機構も既に行われているものなので、地域によってはまだ温度差があるかもしれませんが、せっかくの救急医療のバージョンについては使ってもいいのではないかと思った次第です。

 地域そのもののベースを土台に置いて、ある施設が、その中で何をしているのか、何を担うべきかということを見ながら、それだからその施設は○だとか、△だとか、もう少しという話をするような仕組みになっているのです。ですから、そういう意味では、非常に使い勝手がいいのではないかということです。ほかにございますか。

 

○横田構成員

 報告書の13ページの第4「その他」に、私が発言した部分だと思うのですが、検討会等でまとまった内容について、数年の間、それが実行されているのかどうかを検証する仕組みは必要だということを書いていただいたことは、大変有り難いと思います。これが実行できるように、どのようにしていくかということも、次のステップなのだろうと思います。

 救急医療体制が、質を含めて充実してきているかを評価していく際に、もう1つ私の発言と関連することで、4ページの終わりから5ページにかけて、病院前救護の段階で使っているICTの活用があります。搬送あるいは受入れのためにICTを活用する議論があったと思いますが、5ページの上から2行目に、「これらの取組について、情報の更新の問題や、得られたデータを有効に検討する場の不足などの課題も指摘されている」とあります。このICTの活用では、データそのものは今の現状では検証に必要な項目が十分に得られていません。

 私が発言したのは、「結果として、患者が医療機関でどういう転帰になったのか、いわゆる診療情報との照合も含めたデータベース化と分析が必要ではないか」と言ったつもりなのです。

 この文章でいきますと、「得られたデータを有効に検討する場の不足」というよりも、「運用後の検証に必要な診療情報データの収集等が、まだまだ未解決になっている」というような文言のほうが、ふさわしいのかなという気がいたしました。

 それに呼応して、課題の所の文章は少し変わってくるのかなと思うのですが、もし時間が許すのであれば、再検討していただければなと思います。

 

○辻救急医療専門官

 ありがとうございます。検討させていただきます。

 

○行岡構成員

 高城さんから御発言がありましたように、本来、我々医育教育機関に勤めている者が言うべきことであると思うのですが、ありがとうございました。是非その部分、今ここで、どこにどうこうということではないですが、検討して加えていただける方向で、コメントを出したいと思います。どうもありがとうございました。

 

○有賀座長

 きっと、今、言ったような、そういう人たちを社会の大事な要素として育てていこうという形での書き込みは、大事なのだということだと思います。

 

○鈴川構成員

 全体的には非常によく書いていただいて、よくここまで書けたという気がして読みましたが、1つ気になったのは、MCというのが既に決まったものであるかのように書いてあるのですが、県によって、人によって、MCというものに対するイメージが、随分違うのではないかというところを心配しているのです。

 栃木県の例を言えば、MCと搬送協議会とは全く別だということで動いてしまっているのが、1つのネックになっているという実情もありますので、これはコアの部分と、それに付随して非常に広い意味でのMCというイメージが、1つどこかに出てくるとうれしいというのが、私が意見を言った1つです。

 もう1つは、前回から今までの間に、医師会の先生、地元の先生と随分お話をしたのですが、メディカルコントロールという言葉を知っている方はほとんどいらっしゃらないのです。そういう状況でありますので、何か周知をしていくとか、そういうところがどこかにあってもいいのかなと思いながら拝見しておりました。

 

○有賀座長

 雑な意見を言わせていただきますと、建物の名前で、例えば行岡先生のいる新宿の辺りにどんどんビルディングが建ちますが、片仮名の名前というのはほとんど分からなくて、覚えきれないのです。私たちの文化は、漢字、平仮名、片仮名が上手に混じるような話でないと、脳味噌に滲みてこないのではないかと思うのです。

 ですから、「メディカル コントロール」という言葉そのものは相当程度使われていて、私は昔から「何とかならないか」という話をしているので、医師会の先生方は、メディカルコントロールと言った瞬間は分かってくれると思うのですが、家に帰った頃には忘れているということは、十分に想像されるのです。悪気があってとか、そういう問題ではなくて、言葉そのものが私たちの国になじんでいないのではないかということを深く懸念する次第です。

 私より上の世代の先生たちに私は随分言ったのですが、いいのだ、いいのだというような感じで、この落とし前はこれだと思っているのです。石井先生、何か言ってください。

 

○石井構成員

 最近、また片仮名用語が増えまして、トリアージという言葉は、もともと救急とか災害のトリアージとか、ロジスティックスとか、それがまだ日本語になっていないのに、どんどんまた増えているわけです。

 確かに、これはいわゆる独特の業界用語調のようになってしまっている。国民のものにするのは、一緒に考えますが、academia側でもよく考えてもらう必要があるかなと思います。

 

○有賀座長

 鈴川先生のおっしゃった話の雑な付録ではなくて、とは何かという部分については、4ページのメディカル コントロール体制についての中は、その気になれば読めるわけですよね。分かってしまえばと言ったほうがいいのかもしれません。

 だから、分かっていない人たちに、MC体制とはこういうことだという文面が、どこかにないと、読み手は途中で読むのをやめてしまうということではないかと。

 

○辻救急医療専門官

 最終報告に向けて、こういった意見も受けて、何とか書き込んで、この報告書を見て判断する方も多くいらっしゃると思いますので、この報告書だけでも分かるような形で読み込めるように努力していきたいと思います。

 また、最終報告書に関しては、構成員の先生方、座長にも確認いただきたいと思います。

 

○有賀座長

 その昔、いわゆる医療事故に関する報告書というのを作ったことがあって、そのときに、この報告書だけできちんと分かるようにするためにはどうするかという議論をしました。そのときに、後ろの半分は医学辞典のようにしてしまおうとなって、「低血糖発作」についての説明とか、そのようなものを並べたことがあるのです。そのようなことをしてしまうと、どうにもならなくなってしまうのではないか。

 

○石井構成員

 今、思い付いたのですが、「地域医療調整統括体制」ではどうでしょうか。これは全部網羅しているかは別として、実際はメディカルコントロールの果たしている様々なものを包含した概念です。

 

○横田構成員

 言葉の表面的なものが何を意味するかというよりも、今、石井構成員が言われたように、例えば訳してしまうと、逆に今までの本来的な意義が、またその言葉の語感によって変わってしまう懸念があります。

 そもそもメディカル コントロールは救急救命士等に特定医行為等をやらせるのに、質の保障をするために生まれてきた、最初は対象の狭いものだったのですが、ひるがえって考えてみると、病院前で行われるプレホスピタルケアあるいは病院前救護といってもいいのかもしれませんが、それを医学的にきちんとした指導体制を作るという意味では、やはりメディカルなのです。

 そういう意味において、搬送先を決定することもそうですし、こういう受け皿がないのであれば調整することも必要でしょうし、そこに関わる救急隊員とか救急救命士の技能的なものに問題があるのであれば教育をしたり、そういう人たちの生涯研修をどのように考えるかということも、メディカルな立場で関与していくことも含まれます。したがって、最初に一言、例えば「病院前救護における医学的管理である」ということを述べればいいのではないでしょうか。ここに書いてあるメディカルコントロール体制について、役割を11つ書いていますが、このように書いてしまうと、かえってよく分からない。

 だから、最初にきちんと、本来持っていたメディカルの意味をきちんと、それも、しかも病院前救護の中でということを明記すべきだろうと思います。

 座長には申し訳ないのですが、「この言葉は輸入用語だからよくないよね」という意味だとすれば。

 

○有賀座長

 片仮名だけの言葉というのは、私たちの社会の中ではなかなか定着しないのではないか。だからマンションの名前にしても、ビルディングの名前にしても、片仮名の横文字由来のものだけで物事が分かるようになるためには、もう少し時間がかかるのではないかと。

 

○横田構成員

 そういう意味では理解はできるのですが、そもそも日本語に訳すのには適切な言葉がないということになって、むしろ、本来英語が持ち合わせている語感が非常に的確に表現されているのであれば、これを受けていかざるを得ないと思います。

 

○有賀座長

 業界筋はそれでいいのです。業界筋ではないところと、どのようにコミュニケーションするかということで、こういう話をしているのです。

 

○高城構成員

 メディカル コントロールの定義をするときに病院前救護までの話で完結させるのか、救命率だとか、その後の事後評価には、病院に行った後の救命率まできちんと検証していくべきなのか。要するに、病院に移った後の救急の評価というのは、MCという言葉の定義の外になるのか、中に入っているのか。その辺りの解説をいただけると。

 

○横田構成員

 メディカル コントロールという限りは、医療機関内において、医師が他の医療関連職種に対して行っている指示も入っていると思います。今、ここで議論されているのは、病院前救護におけるメディカル コントロールと私は理解しています。

 ただ、病院前救護におけるメディカルコントロールの質を検証しようとすると、医療機関との連携で、患者にとってアウトカムがどうであったかというデータの照合は不可欠だろうと思っています。

 

○有賀座長

 ですから、横田先生が先ほど発言されたのは、5ページの上の所の2行目の「得られたデータを有効に検討する場の不足」という文言より、もう少し踏み込んでほしいということで、病院前の様々な情報と臨床的な治療結果を照合できるような仕組みがあるといいなと。そういう話です。

 

○久保構成員

 今、聴いていて、石井先生はいいなと思ったのですが、「地域医療統括管理」より「救急医療統括管理」という言葉のほうが、具体的で分かりやすいように思うのですが、いかがでしょうか。そういう言葉だとよく分かってもらえる。「統括管理」というのは、すごく分かりやすい言葉だなと思います。

 

○石井構成員

 「調整統括」と申しました。調整機能が入らないと。管理だけしていると、何か上から目線。

 

○有賀座長

 ここでその言葉を決めなければいけないという話ではないのですが、この手の話を国民の目線から見て、もう少し分かりやすくするためには、そういう議論も交わしておいたほうがいいのではないかと思います。

 

○久保構成員

 とすれば、最後の所にそういうことを入れればいいと思います。

 

○有賀座長

 そういう議論がここであったという話は、極めて重要だと思うのです。個人的にいえば、あの先生に言ったこともあるし、この先生に言ったこともあると。だけれども、そのように言ったということがどこの記録にも残っていないです。個人的に言っているわけですから、当たり前です。そういう意味では、こういう所でそういう議論があったという話は、入っていていいのではないかという意味です。

 

○久保構成員

 これを見ていくと、問題点とセットになっています。MCに関して言えば、一部しか行っていないと言いながら、こちらに書いてあるのは医療法だけで体系にすればいいという答えになっているのですが、もう少し具体的に、人的、経済的ではなく、全ての時期で完全実施をするというような、具体的な表現をされたらいかがかなと。もちろん医療法に体系ができなければできないと思うのですが。

 

○有賀座長

 この部分は、基本的に厚生労働省の中での議論を、場合によっては財務省とか、そういうところと法律を変えるときには、経済的な背景についての保障をどうするのかということもあるので、議論することになると思うのです。

 今の御意見について、田中先生からコメントはございますか。今の話は、医療法の体系の中に位置付けるのはそのとおりなのだけれども、消防法との関係とか、そういうことについては、特にここでは触れなくてもいいということになるのでしょうか。

 

○田中救急・周産期医療等対策室長

 そうですね。消防法に関しては既に位置付けがありますし、共管していくことで引き続きやっていくことになります。MCに従事する医師に関しては、まだ財務省と協議中ではありますが、今回予算要求として、医師の手当であるとか、受入病院における搬送調整といったところの予算要求をしているということで、御理解いただければと思います。

 

○久保構成員

 そうすると、なぜ処遇をされているのに一部しか実施されていないという現状が起こってくるのですか。やらなければいけないという体制の中でやるのだったら、やらなければいけないというdutyはないということですか。消防法はよく分かりませんが。

 

○消防庁救急企画室齋藤室長

 正確に申し上げれば、消防法の法律の条文自体の中に、明確にMCの根拠があるわけではありません。体系の中に、通知なりでMCというのも立ち上げてきて、それを医政局との協働の中で、この仕組みを作り上げてきたというのが現状です。

 ですので、現状を申し上げれば、後ほど私も御報告の機会を頂いているのですが、全国にMC協議会自体は存在しています。ただ、その中で、MCによって、地域によって活動実態に地域差があるということで、それが今の現状です。そこの全体をどのように底上げをしていき、質を上げていくのかというのが、今後の課題だと思っています。

 

○横田構成員

 「MC協議会を医療法の体系の中に位置付け」という文言は、私の感覚から言いますと、これがそのまま前に進めば、非常に画期的な言葉だと思います。

 本来、医療は医療施設の中で中心に行われて、それをするためのいろいろな基準が定められていると仮定したときに、救急の場合、発症した直後から治療を始めるほうが、当然転帰がよくなることを念頭に入れて、医療体系、医療法の体系の中に入れようと厚生労働省が考えているのであれば、時代の流れとしては当然だと思います。

 ただこの1行しかここにはありませんので、どういう文言で表面に出てくるのかは、今後興味のあるところですが、個人的には非常に画期的なことだと思います。以前はこういう発言をすると、医療法では病院前救護のところまでは被せられないと否定された時代もありましたので、そういう意味では画期的なことだと思いました。

 

○有賀座長

 ということで、この中間取りまとめについての意見が出ました。

 

○久保構成員

MCだけだったのですが、周産期に関係することを幾つかです。11ページの(2)で、「高次医療機関からの転院搬送」ということで、「途切れのない医療を提供する」と表現されていますが、実際は高次医療機関が患者であふれてしまって動いていない現状があって、そういう言葉を具体的に入れてほしいと思います。

 もう1つは広域搬送です。地域の中で救急は完結するかもしれませんが、周産期に関しては、県では完結しないところまできているので、「広域搬送」という言葉を是非どこかに入れてほしいと思います。

12ページの5の周産期医療とMCの連携ですが、これは非常に有り難いことなのですが、そこに具体的にどうかというのがもう少し入ると思います。もう1つは、母体救命のためには、従来の周産期母子医療センターの受入れに加えて、連携というのがよく分からないのですが、コーディネーターなど全部が一定になっている。この前議論したのは、そのこととは別に、今はなぜ問題になっているかというと、救急患者は本来ERで治療すれば救命できたので、周産期母子医療センターに来てしまって、後手後手になって、最終的には母体を失っているという現状なので、そこら辺をもっと周産期の患者にしても、母体救命のためにはER、施設内の調整、活用というのを、具体的にもう少し盛り込まないと、同じ程度で書かれていると、一般の人は理解できないと思います。

 そこが池田班の一番の分析の大きなところで、本当なら私たちではなくて、ERの先生がいれば助かっていただろうという症例がすごく多いので、是非それを具体的に書いていただければ有り難いと思います。

 

○辻救急医療専門官

 分かりました。最終報告書にはまとめられるようにいたします。

 

○田邉構成員

 先ほどの横田構成員の御発言に関連してです。実行できているかどうか、この報告した後の検証が必要だといったことに関連してです。8ページの第3「今後検討すべき事項と方向性」の文章の多くは、「~すべきである」「努力が必要である」といった形で終わっています。そのような文章のそれぞれに、どこがすべきかということ、都道府県がすべき、厚生労働省がすべきだということが明確にされている文章も多くあるのですが、そこが曖昧になっている文章も多いので、そういったことは役割分担では難しいかもしれませんが、そこを書いていくことで、検証がよりやりやすくなるのではないかと思います。ですから、最終的な取りまとめのときに、少しずつそれが整理できればいいなと思います。

 

○有賀座長

 確かにそうなのですが、そこら辺は書き手が、上手に分かるようにしてくださるだろうと待っていますので、お願い申し上げます。

 時間のこともありますし、全てが中間取りまとめにfeedbackされてくることになるはずなので。すみません。先に千葉先生から御意見をお伺いします。

 

○千葉構成員

 前回精神科と一般の連携について、たくさんの御意見及び御発言を頂きまして、精神科の医療の高度化に対する期待、役割の重要性について認識できたというか、確認できたということで、それらのまとめをこの中にどう落とすのかということが、これからになるわけですが、うまくまとめて、今の中間まとめにしていただいていますが、それらについて、参考資料として最終的なまとめのつもりで作ってきましたので、御覧いただき、確認いただきたいと思います。

 参考資料1です。図1については、これまでの流れをもっとシンプルに、連携の図として、北九州の伊藤先生からも御指摘を頂いた図等を、私なりに整理を付けさせていただきました。救命救急センター内における並列モデルとしての問題と、地域の精神科医療システムへの並列モデルというのは、このような図で整理されると。この中に、かかりつけ医がない、あるいはかかりつけ医の医療機関、精神科の医療機関は応受不能という問題を、かなり前回にお話を頂いたと思っております。

2「連携の問題点(現在)」でまとめました。ここにある問題が、現在あります。これらについて今後どのような取組をしていくのかが課題になるかと思います。1から5まで整理をしました。

 まず、夜間救急に診療応需不能、連絡が取れないというところを含めて、精神科の医療機関があります。主にこれは、ビル診療を行っている、「9時~5時診療」の精神科の診療所が主体で、一部は病院ということもあります。

 緊急重篤でない合併症患者の身体的治療の受入れが円滑でない。高次救命救急のところでは、もちろん待ったなしの状態のところで受け入れてくれないということは、まずあり得ないと考えていますが、ileusであったり、肺炎であったり、骨折であったりといった、比較的対応の時間に余裕のある場合に、2次の救急の病院等にお願いしても、精神疾患があるが故に受入れを断られるという問題があります。

 救命救急センターを有する総合病院において、精神科及び精神科病棟が設置されていないということで、連携やコンサルテーションが得られないということで、結局並列モデルがうまく機能しないというのが現状に多くあります。

2次救急病院と精神科病院、特に2次の場合はそうかと思いますし、救命救急センターを有する総合病院においても、そういった精神科が設置されていない場合について、地域内の精神科の病院との協力病院関係を病病連携として、きちんと構築していくことが、まず基本に大切なのではないかと思います。その上で、情報センター、精神科救急システムといったところを利用していただくことになろうかと思うのですが、その整備が十分に行われていない、機能が充実していないということがあります。情報センターはまだ2年ですので、これからそこの整備に取り組んでいかなければならないということです。

 それ以降については、私の私案ですが、どういったような状態の人たちが、どういうような経路で下方の流れになるのかということが、34です。5は、認知症などの老年期精神障害の問題としての流れについて整理しています。

6以降に、精神科救急学会の理事長である平田先生から資料を頂いています。見ていただきたい資料は、11のスライドの「精神科救急入院料認可施設」というものです。精神科救急を単独で行っている常時対応型の精神科施設というのは、まだこれだけしか整備されていません。今後これらの整備が必要だということになります。

12以降は、総合病院精神学会の理事長の佐藤先生から頂いている資料です。ここが大きいかと思いますが、16を見てください。「救命救急センターに指定され、かつ精神科病棟を有する病院数」です。全国で、大体4割の救命救急センター設置の病院には、精神科の病棟を有することになります。また、病棟を有していないまでも、単独で外来の精神科を有している所を加えると、8割以上の所においては、当該の病院の中に精神科医があり、そこでのコンサルテーションやリエゾンを受けられる体制の構築が可能だということになるかと思います。

17、佐藤先生に、「そこにいれば、いなければ」ということを書いていただいております。23のスライドを見ていただくと、総合病院精神科の現状は、総合病院の中で精神科が廃止の憂き目に遭っています。そこに医療経済的な基盤、精神科の医療費が低いという問題や医師の偏在の問題があって、どんどん取り潰されているという悲鳴が聴こえてきているとお考えいただきたいと思います。

 ただ、一方で36を御覧いただきますと、「新しい総合病院精神科設立の動き」ということで、このように、幾つもの病院が精神科を有しながら、一般救急、救命救急に取り組まれているという現状があります。このような状況にあるということで、これらの課題をまとめております。

 もう1点は、一般医の中で、精神科の診療技術というか、精神科に対する技能といったもの、逆もありますが、精神科の中で一般科としての、generalistとしての技能も必要ですが、精神科の理解や技能、知識といったところを、一般医の方々が学ぶ場がないのが現状になってきています。臨床研修システムの中でも、精神科が選択になっているわけで、この辺も今後の課題としては。一定程度の知識をもって医師になっていただくことは、大切なのではないかということも言われてきています。

 参考資料2については、これからの議論の糧になるかと思い、御用意させていただきました。「認知症高齢者の救急医療と身体合併症医療」、その後に、「救命救急センターにおける認知症高齢者の救急医療」ということで、東京都長寿医療センターの粟田先生から頂いた資料です。この先に資料が必要かと思いまして、御用意させていただきました。以上です。

 

○有賀座長

 先生からの御発表について、取分けということがあれば、どうぞ。

 

○行岡構成員

 ここでの議論というのは、地域医療としてどのようにしていくか。今まで考えていたのは、病院前救護をして、病院の救急部門を充実させてということ、それをどのように結び付けてというか、地域を一つの医療機能体として捉えるような時代になってきているのではないかと思います。

 そのように考えると、精神科の先生方も、例えばある病院に精神科を充実して、そこの精神科の先生が診るといったら、やがて疲弊してへとへとになって辞めていくということになってはいけないので、resourceがあれば、その先生方を必要な所に、必要な時にシフトを組んでとやっていただければ、そういう制度を作れば、これは産科にも適応できるし、いろいろな所にも適応できると思うので、ネットワーク化していくこと、調整ということです。是非、それは制度として国のサポートをいただけると、動きやすいのかなと思います。

 何を言っているのかというと、精神科の先生にボランティアでやってくださいというのは、難しい問題であるし、制度的なサポートをしていただけると、時期的には乗れるのではないかと、私は救急医として思います。

 今の文脈は、どのように地域の医療を具現化していくかという1つのパターンなのではないかと思います。先生の言われていることがそうであれば賛成です。

 

○千葉構成員

 今日の資料には載せませんでしたが、精神科診療所協会という協会があります。精神科診療所の先生方がお作りになっているところで、アンケート調査を行って、もし情報センター等の機能が十分に機能するのであれば、輪番制なり何なりということで、それらの当番をやってもらう。地域のサポートに参加していいという診療所の先生方が50%いるというデータもあります。

 ですから、今後それらのシステムを考えると、病院の精神科医だけがひいひい言っている時代ではなくて、診療所の先生方の中でも、有志の方々はある程度の御協力を頂くという、一般医療における診療所の当番システムのようなものも並列してできれば、かなり負担が減り、なおかつ役に立つようなシステムになるのではないかと考えています。

 

○有賀座長

 千葉先生ありがとうございます。

 ふと思い出しましたが、品川区の区長と医師会や病院の人たちが集まって議論をする会が、年に何回かあります。区長いわく、品川区全体が病院だと思って行います。品川区全体が病院ですから、医師会の先生方も、クリニックの方たちも病院の一部にいて、場合によっては、どこかのちょっとした施設がナースステーション、スタッフステーションということになるのかなという議論もある。行岡先生の話と今の話をミックスすると、先へ行く見通しが出せるような気がしました。上手に入れてください。

 次に、高度救命センターです。お願いします。

 

○辻救急医療専門官

 それでは「高度救命救急センターについて」説明します。資料2を御覧ください。1ページです。高度救命救急センターの規定については、救急医療対策事業実施要綱で定められており、中段にありますように、広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒等の特殊疾患を受け入れるものとされています。

2ページです。高度救命救急センターの支援について記載しています。設備整備事業として医療機器の購入費の補助を行っています。また、診療報酬上も所定の点数への加算や急性薬物中毒への診療に対する評価もあります。

3ページです。高度救命救急センターとして認定を受けている施設の一覧を示しています。本年81日現在で、全国に30施設あります。

4ページからは、高度救命救急センターとその他の救命救急センターとを比較しています。高度救命救急センター、救命救急センターにおける専従医師数又は専従医師数に占める救急科専門医数を示しています。これは有意な差をもって高度救命救急センターがともに多い状態です。

5ページです。高度救命救急センターの要件でもある重症急性中毒や重症熱傷について比較しています。どちらも有意な差をもって高度救命救急センターが多くの患者を診療しています。

6ページです。重症外傷、そして重症外傷を含む重篤患者数で比較しています。高度救命救急センターと救命救急センターで有意な差は認められませんでした。

7ページです。救急自動車による事故種別出動件数構成比の推移を示しています。交通事故・一般の負傷の割合は、年々減少していることが見てとれます。

8ページです。重症の急病患者は、平成14年の24.6万人から27.6万人と増加していますが、重症の外傷患者は、平成14年の8.2万人から平成23年には7.7万人と、5,000人減少しています。一方で、救命救急センター数においては、161か所から243か所と、82か所増加しています。このことは1施設当たりの症例数が減少しているものと考えられます。

9ページです。今回、地域の三次救急医療体制における高度救命救急センターと救命救急センターからの連携案として、2点挙げています。左の「集約化パターン」です。高度救命救急センターは、通常の救命救急センターで対応困難なあらゆる症例を集約し、治療を行う。高度救命救急センターでの治療後、状態が安定した時点で、救命救急センターが後治療を行う。高度救命救急センターで、専門的な教育・研修、研究を実施するというものです。右の「連携パターン」です。高度救命救急センターは、近隣の救命救急センターの特性を考慮しながら、地域で求められる三次救急医療体制を構築する。近隣救命救急センターは、地域の医療体制構築に必要なデータや医療資源を高度救命救急センターに提供する。高度救命救急センターは、近隣の救命救急センターと連携しながら、専門的な教育・研修、教育を実施する体制を構築するというものです。

10ページはこれらを踏まえた論点です。高度救命救急センターは、救命救急センター本来の機能として求められている「全ての重篤な救急患者を24時間体制で必ず受け入れる体制」を構築すべきではないか。高度救命救急センターは、現行の指肢切断に限らず、重症外傷に対する医療を提供すべきではないか。高度救命救急センターは、地域の救命救急センターの要として、地域の救命救急センターと連携をとり、地域で求められる三次救急医療体制を構築すべきではないか。高度救命救急センターは、上記の体制の構築に必要なデータ収集・解析を率先して行うとともに、高度救急救命医療に求められる専門的な教育・研修、研究を行うべきではないか。これらの点について、御議論いただきたい。お願いいたします。事務局からは以上です。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございます。これに関連して坂本先生の外傷の治療という話に連動するのだと思いますので、続けてやってもらえますか。

 

○坂本参考人

 現行の高度救命救急センターについて、重症外傷は、これまで高度救命救急センターには特に集約されていないという実態がありました。重症外傷の患者数自体も減っているという御報告があります。その中で、質の高い治療のためには重症外傷を集約したほうがいいのではないかという、特に欧米、アメリカのレベルワン・トラウマセンターの報告が今まで数多くありましたが、本邦において、重症外傷患者が、これまでのように263の救命救急センターに均一に搬送される状況がいいのか、あるいはもう少し集約をすることにより改善の余地があるのではないかということの基礎資料として準備をしました。資料3は参考資料3にあります日本外傷医学会と日本救急医学会の共同の事業である日本外傷データバンクに登録されたデータによる研究で、一昨年の米国外科学会で発表したものです。

 日本外傷データバンクは、最近のデータでは約200施設が5年間で8万件ほどの外傷データを登録しているのですが、今回のデータは2年前の発表ですので、2004年から2009年の5年間のデータです。この当時は5年間で42,000件のデータが登録されており、そのうちISSというのは外傷の解剖学的な重症度、いわゆる病名による重症度で、RTSというのは血圧であるとか、呼吸数などのような患者の実際のバイタルサインによる重症度です。年齢、最終的な転帰が全て入力済みの22,000例についての分析をしました。この22,000人がどの施設で診療されたかということで、施設ごとの症例登録数が分かるので、22,000人を3分割して、1施設当たりの症例数が少ない施設から84施設目までを合計すると全体の3分の17,590例に達するので、これがLow Volume施設群で診た患者群です。その次の3分の1Moderate Volume、そして、症例数の多い所、High Volume7,138人、これは6施設です。ちなみにModerate Volumeであると大体年間の平均で126人ぐらい、High Volumeだと238人ぐらいの重症外傷を診ていることになります。全症例で見ますと、生存率に差がありますが、重症度であるとか、生理学的な重症度、あるいは年齢にも有意差があるので、これらの背景を揃える必要があります。

3ページです。ISSというのは解剖学的な重症度です。36以上、つまり死亡率が50%程度になるぐらいの重症例に限って分析をしてみますと、この重症例に限りますと、解剖学的な重症度であるISSRTSという生理学的なサインに関しては、この3群間で差がなくなります。年齢に関しては若干High Volumeの病院が低かったということになります。最終的な生存率は49.8%、54.5%、64.7%と、どうもHigh Volumeのほうがよいのではないかという傾向が現れています。

 最終的に、多変量ロジスティック解析という解析方法で、これらの解剖学的な重症度や生理学的な重症度、年齢による因子を全て調整したものが4ページになります。右から2つ目の調整オッズ比というのを見ていただくと、年間250例ぐらい重症を診ている患者の所の生存率を1とすると、LowModerate、それ以下の症例数の施設でも、調整のオッズ比は0.616ということで、95%の信頼区間を考えても、有意に低いということになります。また、下の行で、Lowを基準として考えて、症例数の少ないところを基準と考えて、中等度の症例数と多い症例数の所の両方を足したものを比較しても、今度は中等度と患者数の多い所のほうが1.13で、それよりも良いということで、どちらも有意という結果になっています。まだいろいろとバイアスが入って、この研究には限界がありますが、一定の患者数が診れるような施設で予後がよいのではないかということが推測されました。これは、従来の厚生労働科学研究で、島崎班で大友先生がTRISS法という方法で予測生存率を見たときに、非常に施設間にばらつきがあるという御報告がありましたので、その1つの因子ではないかと思います。

 症例数が多い所はそれだけ準備するために麻酔科、脳外科、外科、整形外科医が常時いて、輸血も準備してあってというそういう十分な準備の体制が整っていることが恐らく大きな要因だと思っています。今の全国の救命救急センターで、そのような理想的な外傷診療ができる体制が維持できているかというと、当直医の数等も含めて、厳しい所が非常に多いだろうと思います。全ての救命救急センターでこのHigh Volumeと同じようなレベルにまで体制を準備していくことは現実的ではないので、そうすると、やはりある程度のヘリコプター等も使った集約化で今後は外傷に対して十分に準備ができている施設を選んでいく必要があるのではないかというのがこの研究の結論です。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございます。何か御質問はございますか。坂本先生が冒頭に外傷患者は均一に地域の救命センターに運ばれているという御発言がありましたが、実は本当は均一ではないのです。今、言ったように、その地域、その地域で一番いいと思うことを何とか考えてやっているというのが多分一番正しい言い方だと思います。均一にいっているから、助かる人が死んでいるみたいな、そのようなメッセージではないということでよろしくお願いします。

 

○行岡構成員

 今の外傷のことに関してですが、これもやはり地域の医療をデザインするということで、何も集約だけだという話でなくて、いくつかやるのか。これは地域の救急医療だけではなく、医療のデザインという発想が出てくるのではないかと思います。

 別に文句を言っているわけではないのですが、資料24ページの向かって右側の図を見ると、救急科専門医、056101115で、その下の表にあるように高度救命29と救命214を比較するのは、これだけばらつきがあるものを比較すること自体難しいのかと。もし比較するなら1115名のところが9施設、6施設と、こういう所を比較するとまだ意味があるのかと。もっと低い所はもっと極端な差が逆に出るかなと。

 確かに高度救急センターは、私はこういう場でどういう立ち位置にあるのかと。私は前の熱傷学会の代表理事をやっているのですが、このリストを見させていただくと、現在は熱傷学会の代表理事は東海大学の先生なので、まさに熱傷をやっている所が入っているのですが、過去10年間は違う所ばかりが続いていたので。何を言っているかというと、必ずしも熱傷を一生懸命にやっているとは言えない、言わざるを得ない所、しっかり見ておられる施設もあると思うのですが、というと、どういうズレが出てきているのかな、その辺りを、政策上のことなので、どのように考えなければいけない時期にあるのかと、そういうコメントです。

 

○久保構成員

 坂本先生に質問ですが、このHigh Volume群とLow Volume群は症例数だと思うのですが、このHigh Volume群に含める高度救命救急センターの割合とはどうなのですか。

 

○坂本参考人

 今回使ったデータは、施設名がABCということで匿名化されているデータで分析しているので、この中でどの施設が高度かどの施設が高度でないかということに関しては、分析対象には入っていません。もしそのことをやるのであれば、匿名化を外したデータの研究を両学会に許可をいただければ、高度と高度でないところでアウトカムに違いがあるのかどうかということは、技術的には出せます。

 

○久保構成員

 高度の議論をしているので、多分そのHigh VolumeLow VolumeというのはNICUでも同じで、1,000g以下の赤ちゃんの管理数が多いほうが施設の救命予後がいいというデータも出てきているので、それはよく分かるのですが、NICUに関しては多くは総合で行っているのでいいのですが、高度と高度でないところを議論するときに、それとのリスクの話はあるのですか、ないのですか。これを見た大学病院系の施設が多いのですか。

 

○坂本参考人

 この研究からではありませんが、日本外傷データバンクでは、参加施設がログインをすると、自分の施設が、現在登録数の全体の何番目ぐらいのところにいるかが出ますので、自分の施設がどのくらいの外傷症例数であるかということがベンチマークとして分かります。我々が委員会のレベルでお互いに、先生の所はどのくらいということで持ち寄った内輪の話で見ますと、症例数の多い施設はほとんど高度でない救命救急センターで占められているというのが実態です。

 

○有賀座長

 そうなのですか。

 

○横田構成員

 外傷の話と高度救命救急センターの話を同じ土俵の上で論じているのでややこしくなるのだろうと思いますが、まず、高度救命救急センターに求められる役割と救命救急センターの図を最初の説明で2つほどいただきました。いわゆる集約をするのか、並列連携をするのかということですが、集約化パターンのほうは一見良さそうに見えますが、重症度の高い患者をこういう形でもらったりやったりするというのは非常に非現実的なところがあって、連携パターンでいくのがいいのではないかと思います。

 もう1つは、重度外傷を集約化しないといけないだろうというのは、今坂本参考人がおっしゃったとおりです。私は外傷学会の代表理事をしていますが、学会の中でも技能を維持していく、あるいは施設がある程度しっかりとした施設基準を満たしている中で診療をしないと、治療成績はよくなりませんよということは学会員全体が持っている意見です。それは間違いありません。しかし、そうだからといって、例えば今の高度救命救急センターに集約するのかどうかという議論とは一致しないと思います。というのは、都会型の搬送体系、あるいは医療資源の密度の濃さと、過疎県、あるいは過疎地域での重度外傷の発生事案と地理的広さ、時間の関係でいえば、それはもう当然のことながら搬送手段で解決すべき問題と、都会型のようにトラウマバイパスと言いまして、全てがやらなくて、密度の濃い所では色合いを付けてやるというようなことになってくるのかなと思います。高度救命救急センターがいかにあるべきかということと、いわゆる米国のような、レベル1、レベル2、レベル3といった外傷センターを作るべきだという理論とは一緒にしてしまうと混乱するのかなというので、意見を言わさせていただきました。

 

○有賀座長

 坂本先生が、最後に言われましたが、高度救命救急センターに集約しろということを別に言っているわけでは全然なくて、high volumeとそうでないものを比べるとこのような差があるので、地域医療を構築するときにはこのような観点で物事を考えるとよい、そういうことがとても大事だということを言っておられるのだと思うのです。

 

○坂本参考人

 そのとおりです。現行の高度救命救急センターには重症外傷を診るという役割も設定されていませんし、今後、もしHigh Volumeのセンターを、特に救命救急センターが密集している所であれば、役割分担をしようといったときに、現行の高度救命救急センターがその役割を担うべきという根拠は今のところはないだろうと思います。

 

○有賀座長

 私もそう解釈はしているのですが、ディスカッションの流れの中で、高度救命救急センターのテーマの続きとして今出てきたということと、厚生労働省の資料の10ページのところの「課題と論点」の2行目に「高度救命救急センターは、現行の指肢切断に限らず、重症外傷に対する医療を提供すべきではないか」という流れのこの文章と、坂本委員の発表があったので、意図的に引っ付いてくるようなことがないように、あえてお話をさせていただいたということです。

 これは私自身が考えたのではなくて、昭和大の薬剤部の人たちが「高度救命救急センターは薬物中毒について一生懸命頑張ると少し点数がいいみたいですよ」と何年か前に言われたことがあって、何を言っているのかと思ったら、実は高度救命救急センターのことでした。実はうちの薬剤部は薬学部の出店なので、もうからっきし難しい話をがんがんやってくれちゃう。ガスクロとか液クロとかいっぱいあって、そういう意味ではこういう厚生労働省が作ったルールは、それはそれで意味があると思うのですが、多分、今坂本先生がおっしゃったように、普通の救命救急センターでがんがんやっている外傷がいっぱいいるということからすると、その地域その地域で得意なことを一生懸命にやっているということで、今は全体が流れている。

 ただ、そうは言っても多少集約化する。例えば東京のお子さん、子どもの救急救命という意味では私たちも運んでいます。結果それほどではなかったというのもありますし、結果運んでよかったというのもあります。とりあえず子どもさんで、こんな小さい子でえらいねというときは、もう先生の所にお願いするということをやっていますので、それはそれで、地域地域でのいろいろな議論の集積があるのだろうなと思います。

 

○久保委員

 今日来てすごいびっくりしたのは、救命救急センターで高度はあったのです。多分その上みたいな話を私たち外部の者はすごく思っていたのですが、今の話を聞いていて、全然違うなということを、多分一般の人は知らない、産科医が知らないのですから一般人は知らないのではないですか。

 

○有賀座長

 だからきっと点数が高度なのですよね。

 

○行岡構成員

 ちなみに、有賀先生の所も私の所も坂本先生の所も救命センターですが、高度ではありません。

 

○横田構成員

 ちょっとよろしいですか。高度救命救急センターの議論の中で、示された5ページの例えば急性中毒とか重度熱傷というのは、その疾患症状に対する治療の特異性から考えれば、こういう形で集約、そして現実もそうなっているということは、見直す必要のないことでいいと思うのです。ただ、文言の上で診療報酬上というか、いわゆる定義の中に、再接着、いわゆる切断肢云々という文言がありますが、これは日常の診療で再接着をされる先生方は、高度救命救急センターと違った医療機関で活動しています。再接着のグループがどこかの整形外科の病院に移動すると、その地域の再接着の大半を集中的にとっていただけます。現実と非常に乖離した言葉がここに残っているということで、もちろんこれを活用して救命救急センターの中に再接着の整形外科の先生たちに入ってもらっている所もあるのだろうとは思うのですが、私どもの周辺を見ていますと、高度救命救急センターよりは二次の救急病院で頑張っていらっしゃる所をリスト化して、地域でうまく運用しているのが実態です。

 

○石井構成員

 コンセプトというか、印象だけ言えば、高度救命救急センターの、カテゴリーの作り方は30年ぐらい前の概念ではないかと思います。だからそこをどう評価するかというよりは、どうアップデートするかという議論にもっていったほうがいいと思います。地域医療の実態というのは横田先生がおっしゃったとおり、もうその新しいグループができたり、ネットワークができて、もう常に動いているものなので、その情報が一番密接にあるのは地域なので、本当に困ったり大事な患者を送りたいというときにはそこにアクセスがいきますから、こういうタイトルでカテゴライズするというのは、もうそういう時代ではないと思います。

 

○有賀座長

 現に坂本先生の所も私の所も形成外科があってやっていると思いますが、救命救急センターとは直に関係していなくとも、ある日ある時接着している、そういうふうな景色ですよね、きっと。

 

○坂本参考人

 いや、一応依頼は救命救急センター経由で、全く生命の危機がない指肢の切断で再接着が必要な患者に関しては、救命救急センターに連絡がきますが、手術を行うのは救命救急センターのスタッフというよりは、マイクロサージャリーが得意な形成外科の先生がやっているということです。

 

○有賀座長

 そういうことではないですか。

 

○田邊構成員

 これから新たに位置付けるというのはなかなか難しくて、アップデートというのは賛成です。というのは、今の資料の9ページの集約化パターンを見てみても、これは高度救命救急センターと救命救急センターが書いてあるので何となく良さそうですが、この救命救急センターの周りにはいっぱいの二次救急医療機関があって、そうすると、二次救急医療機関と救命センターとのかかわり、あるいは救命救急センターと高度救命救急センターとのかかわりというのがとても曖昧になってしまう。この連携パターンについても、ここに外傷メインとか熱傷メインとか書いていますが、中には脳卒中メインでやっている二次救急医療機関がいっぱいあって、では、それは救命救急センターではないのかといったような議論になってしまうので、やはり高度救命救急センターをまた新たに別の枠組で位置付けるのはなかなか難しいかなと思います。

 

○有賀座長

 大阪大学はどうですか。

 

○嶋津構成員

 大阪大学は高度救命救急センターですが、これまでの話の中で中毒についてあまりなかったので申し上げたいと思います。中毒患者の診療で、高度救命での診療報酬の加算というのがあります。これは実際には薬物濃度を測ったりした、かなり重篤な患者だけが対象となるもので、実際にこれを請求できる患者は少ないと思いますし、私たちは比較的遅い時期になって高度救命になりましたので、分析機器等の配備は受けておらず、現実的にはこの加算の請求はできていないという状況になっています。それと中毒症例ということに関しては、以前は一酸化炭素中毒とか、農薬とか、重症の患者がたくさんいたのですが、最近はいわゆる眠剤系の中毒が多く、一部には覚醒剤とかいろいろな脱法ドラック系の中毒で難渋する例はありますが、全般的に中毒症例については、重症度が下がっているというのが一般的な傾向ではないかと思います。

 日本中毒学会としても中毒の症例に対する診療報酬の評価が課題となっており、高度救命には加算がついていますが、一般の救命センターも何らかの加算、しかも、もう少し現実的な加算を認めていただきたいという要望が多く出ています。そうしますと、260の救命センターに入院した中毒患者の全部が対象となるということで、かなり財政的な負担は大きくなるかもしれませんが、中毒、特に睡眠薬による自殺事例等は非常に症例数が多く、同時に、受入先の選定に難渋する症例でもあるので、救命センターにとってのインセンティブという意味での意義も考えていただけたらいいかと思います。そういった中毒患者全体に対する治療体制の構築の中で、高度救命をどうするかということは、もう一度考えていただく必要があるのではないかと思います。

 

○坂本参考人

 参考人の範囲を超えて、高度救命救急センターについて一言だけ意見を言わせてください。先ほど石井委員からございましたように、やはり高度救命救急センターは、特殊疾患患者に対する救急医療の確保ということで、先ほどから言っている中毒、熱傷、指肢切断を対象として、これまでその枠組できているわけです。一方で救命救急センターが従来の100なかった所から260まで増えている中で、地域の中にも複数の救命救急センターができました。その中で教育・研修であるとか、研究であるとか、あるいはいろいろな連携の要となるような本当の意味での高度救命救急センターなり、あるいは救命救急センターの基幹的な病院というようなものを位置付ける必要があるのかどうかということは、これまでの高度救命救急センターが何をしてきたかということとは分けて、そろそろ1回考え直してみる必要があるのではないかということで、重傷外傷の話もその1例として考えて出させていただきました。

 

○横田構成員

 今、嶋津先生がおっしゃったように、中毒患者の様態が変わってきています。ただ、高度救命救急センターとか救命救急センターに中毒の検査等に関する加算点が逆にできたために、眠剤中毒とか、中毒を疑われるような患者が来ることの多い二次の救急病院では、例えばトライエージのような中毒検査の費用が認められません。そういう不合理さが逆に起こってしまっていて、診療対象の多い中等、軽症の患者にスクリーニングの検査はしたいのですが、検査が通っていないというアンバランスが生まれています。ということは、あまり階層化して、階層化したものがより重症な患者を診るために特殊な検査だけは付けますよという、ここの部会の話ではありませんが、別の局の話でしょうけれども、付けてしまっているのが、逆に現場に混乱を起こしていることもありますので、高度救命救急センターとか救命救急センターが何をすべきかということをあまり言ってしまって、それが診療報酬の上に転嫁されたマイナス面があるということも御理解いただきたいと思います。

 

○有賀座長

 ということを含めてアップデートしていきましょうねという話ですね。世の中がだんだん変わってきて、何年前にできたか知りませんが、もし30年たつとすれば、もう十二分に考える時期ですね。ですから、今言った診療報酬のことも含めて、今日の明日のという話ではない大事なテーマという位置付けで、そちらのほうで書き込むかどうか分かりませんが、よろしくお願いいたします。

 まだ議題がありますので、先へ進みたいと思います。次はMC体制、MC協議会について、これは資料4以下になると思いますが、事務局お願いします。

 

○辻救急医療専門官

 まずは消防庁から、発言を頂こうかと思います。

 

○消防庁救急企画室齋藤室長

 分かりました。それでは、資料4を御覧ください。こちらは昨年度、全国791の消防本部を対象として、調査をしたものです。その結果について、かいつまんで御説明します。

3番目のスライドを御覧ください。回収状況ですが、全ての消防本部から回答が得られていまして、回答率が100%という状況です。調査項目は以下のとおりですが、それぞれの概要、MC協議会、その中での専門部会の設置状況などについて、また、プロトコル、気管挿管認定救急救命士の運用、オンラインMC、事後検証、再教育、こうしたラインナップで調査をさせていただきました。

8番目のスライドを御覧ください。MC協議会の会長ですが、管轄人口規模が大きくなればなるほど、救命センターの医師の割合が多くなっています。9番目のスライドを御覧ください。協議会に設置されている専門部会の状況です。これも規模が大きければ大きいほど、県のみに設置されている割合が減少している。逆に申し上げれば、地域に設置されている、あるいは県と地域の両方に設置されている割合は高くなっています。

12番目のスライドを御覧ください。消防本部などで、MCの事務局の運営費、又はその負担金を予算計上している所と、していない所を比べますと、している所のほうが総じて各種の活動が活発であるという結果が出ています。13番目のスライドを御覧ください。同じくそういう所のほうが、専門部会の設置割合としても高いという状況になっています。

16番目のスライドを御覧ください。これは先ほども出てまいりましたが、全体の86%のMCで、専門部会を設置しています。次の17番目のスライドですが、専門部会を設置しているMCのうち、53%のMCで救命センターの医師あるいは医師会の医師が関与しているという状況です。その下を御覧いただきますと、概して医師の関与があるMCのほうが、活動項目数が多いという結果が出ています。

21番目のスライドを御覧ください。気管挿管認定を取得した救急救命士について、ほとんど全ての消防本部で、現場での運用が開始されています。その下を御覧ください。ただ、その気管挿管の病院実習として必要な30例をこなすために、最大で1,482日、実に4年以上の期間がかかった例があります。逆に最短が4日と、大きな開きがありました。平均が79.3日という結果でした。

23番目のスライドを御覧ください。特に中小規模の本部におきましては、この30例の病院実習を実施するのに、苦労している所があるのではないかということが、見て取れたと考えています。

26番目のスライドを御覧ください。気管挿管の認定救命士は、3年ごとに再教育を行うこととされていますが、その実施率は全体で51%という状況でした。

27番目のスライドを御覧ください。それができていない理由として、予算確保ができない、あるいは人員確保ができないといった理由が挙げられていまして、やはりこれも小規模な本部において、再教育の難しさが出ていると思っています。

31番目のスライドを御覧ください。オンラインMCによる指示要請の24時間体制の確保について、10の本部で実施できていないというものでした。その下を御覧ください。その理由は様々ですが、やはり人員の確保の問題、あるいはMC体制の浸透不足といった指摘もありました。

34番目のスライドを御覧ください。24時間体制での指示体制について、これが確立されていない10の本部については、収容医療機関からの指示体制をとっている所が多いということでした。あと、MC体制の周知についても、更に意を用いる必要があるのではないかと考えています。35番目のスライドを御覧ください。いずれにせよ全ての地域において、24時間体制での指示体制を確立する必要がある。このように考えています。

38番目のスライドを御覧ください。特定行為の指示要請から具体的な指示があるまでの時間です。最大で6.3分、最小で0.2分、平均で1.5分という状況でした。39番目のスライドを御覧ください。指示要請が直接指示医師につながる割合です。やはり大きな本部ほど高いという結果になっています。

 その下を御覧ください。逆に指示医師に直接つながらない場合は、やはり時間がかかるということが、この図からも見て取れる結果となっています。

43番目のスライドは事後検証です。一次検証について、82%のMCで行われています。46番目のスライドです。二次検証についても99%のMCで行われているとされているところですが、今後それが具体的にどういうやり方で行われているか、更なる検証が必要かと考えています。

59番目のスライドを御覧ください。救命士の再教育に関する専門部会について、ちょうど半分のMCで設置されています。その下ですが、一方、2年で128時間という再教育の達成割合については、4割のMCで達成されているという状況でした。

61番目のスライドを御覧ください。ただ、専門部会の設置の有無というのと、規定時間数を達成できたかどうかということについては、はっきりとした相関は見られなかったところです。

 最後のページですが、今後、MC体制の更なる強化が求められる中で、今後とも各地域の取組について、より一層きめ細かな把握と、それについた対応が必要かと考えています。以上です。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございました。ただいま総務省消防庁救急企画室の齋藤室長さんからプレゼンテーションを賜ったところですが、全国消防長会の菩提寺様には、資料は。

 

○辻救急医療専門官

  特に資料はございません。

 

○有賀座長

  では、すみませんが、今のことに関連して、消防長会からコメントをお願いします。

 

○辻救急医療専門官

 すみません、座長。まず私から説明させていただいて、御発言を頂こうかと思います。

 

○有賀座長

 では、先にどうぞ。

 

○辻救急医療専門官

 申し訳ありません。では、資料5を御覧ください。「メディカルコントロール協議会の現状について」ということで、今回、構成員の先生方に御協力を頂きまして、各MC協議会の現状を把握すべく、アンケートを実施しました。御協力を頂きました構成員の先生方、この場を借りて感謝を申し上げます。

 まず1ページです。これまでも何度かお出ししている「メディカルコントロール協議会の役割」ということです。平成13年の通知において、協議事項として、ア)からキ)ということで示されています。第1回検討会並びにこの検討会の中で、カ)、キ)については、まだ一部のMCでしか対応できていないということがありました。

2ページは「地域メディカルコントロール協議会の数について」ということです。地域メディカルコントロール協議会の数が1とありますが、この部分に関しては地域MCがなく、都道府県MCのみを意味しているので、御説明しておきます。

3ページは、今回対象としたMC協議会について示しています。チュウシとタンショとしましたのは、大都市でMC1つの東京、地方都市でMC1つの奈良県、大都市で地方MCを有する大阪、地方都市で地方MCを有する栃木、そして、本日参考人として御参加いただいています、菩提寺参考人が所属する北海道札幌市の状況です。

4ページは都道府県MC協議会について比較しています。事務局として比較しますと、東京都は東京消防庁です。奈良県、大阪府、北海道は防災主管部局、栃木県に関しては、衛生主管部局となっています。従事医師の要件については特に設けていないという回答が多かったのですが、どのMCについても、基本的に救急医療に精通する医師が行うことになっているとお聞きしているので、追加しておきます。

57ページにかけては、各MCの組織図を示しています。御提供いただいた所だけ載せています。8ページは東京都MC協議会の専門委員会についてですが、こちらについては事後検証委員会、指示指導医委員会、処置基準委員会、救急隊員の教育に関する委員会と4つあります。開催頻度は事後検証委員会が年24回、その他が年1回とお聞きしています。

 事後検証委員会については、各消防署によって行われる一次検証、消防本部によって行われる二次検証、そして医師検証という3段階を設けていまして、この医師検証が年に24回とお聞きしています。

10ページです。奈良県MC協議会の専門委員会ですが、指示体制委員会、検証委員会、教育研究委員会の3つがありまして、指示体制委員会は年に3回、そのほかは年に1回程度開催されます。事後検証会議については、2か月に1回、医師を交えて行われているとお聞きしています。

 大阪、栃木、北海道に関しては、地域MCを中心に説明させていただきますので、11ページを御覧ください。この中では、北海道は道央圏MC協議会がありまして、かなり大きな組織です。そこで5圏域に分けて、地域検証部会を設置しているとお聞きしています。

12ページでは、堺地域MC協議会の専門委員会を提示しています。堺地域MC協議会では、傷病者搬送及び受入実施基準等に関する検討小委員会及びその検証委員会も開催しています。事後検証についても年に12回。その内容は、疾病以外の症例も検討されているとお聞きしています。

13ページは、豊能地域MC協議会についてですが、検証小委員会、教育小委員会、消防部会の専門委員会が3つありまして、検証会議は年に12回開催されているとお聞きしています。

 下の道央圏MC協議会(札幌市地域検証部会)ですが、札幌市としては地域検証部会がありまして、三次検証として行われまして、年に34回開催されているとお聞きしています。

 小山・芳賀地域分科会は6つの専門医員会があり、ドクターカーWG検証委員会等があります。検証会議については年に12回、3時間程度行われているとお聞きしています。

15ページは協議主体を一覧にしているので、御参考ください。どの地域、どのMCにおかれましても、地域の実情に合わせ、様々な運営がなされていることが見て取れます。

 そこで今回の論点ですが、MC協議会の議事事項に示された機能を、十分に発揮するための指標や方策が明らかにするべきではないか。これまで議論が行われていました、MC協議会に従事する医師が、行うべき仕事や専門性について明らかにするべきではないか。MC協議会において、実施基準に基づく傷病者の搬送及び受入れの実態について検証し改善するべきではないか。これらの点について、御議論いただきたいと思います。事務局からは以上です。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございました。ここで、いよいよ菩提寺さんに御発言を賜りたいと思います。お願いします。

 

○菩提寺参考人

 札幌消防局の菩提寺です。全国消防長会の救急委員長都市というよりは、北海道札幌の現状ということで御紹介させていただきます。先ほど御紹介がありましたように、北海道は広いものですから、北海道の中に危機管理室の所にMCの事務局がありまして、北海道を6つに分けて、それぞれ地域のMCがあります。

 ただ、予算に関しては年に12回の会議費、会議を運営するための旅費、報償費のみでして、その他の予算というのが、北海道のほうでも組めていないという状況です。更に専門部会として、北海道として設けているのは、ワーキンググループとしての救急隊員の活動ですとか、更には救急患者の受入れの実施基準に基づくワーキンググループのみでして、検証部会などはそれぞれの6つの圏域、更に札幌があります道央圏に関しては、札幌を含め、道央圏を5つに分け各消防本部や協議会ごとに、それぞれが検証を行っているという状況です。

 更に指示体制や病院実習などもそれぞれの消防本部単位が実施しているというのが、札幌、北海道の現状です。

 

○有賀座長

 どうもありがとうございました。ということで、今のテーマ、MC協議会に関する予定されたお話を、お三方から頂きました。

 

○久保構成員

 齋藤室長と辻専門官のお話を聞いて、ますます分からなくなったのですが、中間取りまとめに救急患者受入れかつ個別の調整については、未だ一部のMC協議会でしか実施されておらずということです。全国のMC協議会の、そういうアンバランスが出てくるのかなと思ったのですが、実際は260ですか、それは実質どうなのか。これを見たら、ほとんど89割のいろいろな所が見直しされているようで、十分な調整が行われていない所は一部と言うと、ずいぶん乖離があるのですが、そういう現状は、もっとはっきりするのでしょうか。

 確かに検証とか再教育に関しては、低い所があるというのは出ているのですが、この中間取りまとめにある問題点である個別の調整とか、未だ一部とか、そういう表現はあまり適切ではないのでしょうか。

 

○行岡構成員

 東京を例にすると、そこのMC、それ自体が個別の事例に対して調整するというところまで踏み込んではいないと思います。だけど、例えば8ページの東京都のMCの所を見ますと、事後検証委員会の中で、「これは搬送をこういうふうにしようよ」などというのを、逆に書いてくる。

 私もこれだけ多様なのは今回が初めてで、非常に多様だなと。この8ページを見ていただくと、私は、向かって右側の「救急隊員の教育に関する委員会」の委員長をしているのですが、真ん中を見ると年2回、2時間程度しかやっていないのか、その程度かという、それにしてはどうも忙しいなと思って、その下に※でいろいろ書かせてもらったのですが、こういうことをやり、一番下などは救急救命士の免許を持ってきた人に、東京のプロトコールを教えて、それを試験してやるのは、実は救命センターの医者が言っているのです。あれはMCの仕事なのと。MCの仕事なのです。しっかりそれを、我々医者も意識をしていないというと語弊がありますが、意識しなければいけない。

 隣の処置基準委員会というのは、有賀先生が委員長で、ここでこういうのを変えると言ったら、教育の委員会はすぐそれをどう教育しようかというので、ここでとらえられていないのを、いろいろ動かしている所を、もう少し浮かび上がらせないと。一番最後の「MC協議会に従事する医師が行うべき仕事」というのが、これだけ見ると、年1回、2時間の委員会に出たらいいということにおさまってしまうと、非常に具合が悪い。

 多分、北海道でも堺でもどこでもこれを浮かび上がらせる指標をまず出していただかないと、現場の人たちがあれだけやっているのに全部評価されていないと。これは厚労省の資料に残るのですが、私たちはたった1年に1回、2時間の委員なのですかということになるので、これは確かに言われているように、指標というか、実際に働いていることと、それとどういうものを具備すべきであるか、これはやはり検討しなければいけないと思います。

 

○有賀座長

 ほかにありますか。

 

○横田構成員

 素朴な質問ですが、メディカルコントロール協議会というか、メディカルコントロールという仕組みを全国的に展開している中で、総務省消防庁からのデータを見ると、間々活動実績があるが地域で格差があるという話と、メディカルコントロールを医師が専従でやらないといけないほど仕事量があるのだという話とが、うまく結びつきません。

 この厚生労働省で整理していただいている資料というのは、ここの構成員になられている先生の地域、私自身が入っていながら、こんな言い方をするのはおかしな話ですが、まあまあ頑張っていらっしゃる地域の実態がまとめられていると考えていいと思うのです。

 メディカルコントロールの活動をやっている、今までの経過の話を聞きますと、ほとんどはやはり過疎地域、過疎県、それから消防本部自身が小さくて、広域行政でなかなかメディカルコントロールのスクラムを組めない所、そういった所がやはり苦労されていると思います。

 そういった所も含めて、救急医療の質を底上げしようとすれば、きっかけになるのは恐らくメディカルコントロールを動かすしかないだろうというのが、私どもの考えです。だけど、そうしようとすると、医師が専従で、あるいはその辺りを専門的に見据えながら、少し広域行政まで口を出して、医療機関の受け皿も、それから消防のあり方も、通信指令がばらばらではなくて、もう少し広域で患者さんの依頼をかけられるようにしてほしいということが言えるような場が必要なのだろうと思います。

 

○久保構成員

 とすれば、よく出来ている所だけ資料に残ってしまうと、実際行われていない、現状が分からないまま、物事が一人歩きしていってしまうという危惧をするわけです。

 例えば論点の所を見ても、「指標と方策」とありますが、やはり今の話を聞くと、予算化とか、どこからどう下ろすというお金の話というのがないと実際に動かないわけで、そういうものもなくてやれと言ったら、誰も動かないのは当たり前だと思うのですが。

 

○有賀座長

 素朴な疑問というのは、ほとんど正解を得ていると言うか、的の真ん中に矢が飛んでいっていると考えるほうが正しいのではないかと思います。齋藤室長さんが出してくださった、16ページの分析2の16番ですよね。これは、要するに設置されていないとか無回答というのは、ほとんどアクティビティがないと言うか。だから先生の話は、そういう所にまで、ばらつきがある中でという話ですよね。

 だから、やはりそこら辺は、やれと言ったらやれと、これだけの酸素とブドウ糖をくれてやるから頑張れと、そういう仕組みをある程度作らないといけないのではないかというのが、今の素朴な疑問という話ですよね。

 

○久保構成員

 大きい所がなぜできていないのか。だから、そのために何が必要なのかを出してあげないと、多分やれないことが続いていくのではないかと思います。

 

○有賀座長

 恐らく苦労されている鈴川先生。

 

○鈴川構成員

 私たちの栃木県は5つ協議会があって、恐らく私たちはその中では一生懸命頑張っているということで、ここに紹介させていただいているのだと思うのですが、やはり消防庁さんで出している、全国のMC協議会のデータをそのまま見ても、実状がストレートに出てきていないと思います。1例を挙げれば、事後検証をとってみるとその具体的な内容、こういう症例がありました。CPAで挿管したのがあって、「これはうまくいっていますね、おしまい」という所から、うちは最初はそれから始めましたけれど、今は例えば搬送困難事例は、全て二次検証でやるということにしてしまって、そうやってフィードバックをするというような所まで全部やっているのは、恐らくうちだけだと思うのです。今回、厚労省のこういう所でMC協議会の実態の話が出てきたのは、例えばうちのように人数は少ない所で、どうやってこれだけのワーキンググループを確保して、それで動かすかというような所をフィードバックできるというのが大きいのではないかと思って、実はスライドをたくさん送ったのですが、1つも出てこないのです。例えば私たちは、コア業務の所は、一番密接なのは救急救命士なのだから、救急救命士の人たちをたくさん入れてワーキンググループを作ろうよというところで、医師よりも救急救命士の割合が非常に多いワーキンググループをたくさん作って、私たちはきちんとコントロールするのだというスタンスで運営しています。

 だけれども、今、だんだん話が大きくなってきて、その地域全体の医療をということになってきたので、今度は救急救命士だけではなくて、医師、医師会の先生、行政などを入れた、もう少し広いMC体制を、私たちの地域で今作ろうと。それには、やはり指導的な専従の人が必要だろうと、今考えているところです。

 そのような、それぞれの特徴ある各地域での活動などを、きちんといい所は拾っていただいて、それをみんなにフィードバックするような、全国のMC協議会とか、そういう所で今後出てくる話、出てくるといいなと思っています。

 

○石井構成員

 ちょうどそれで、先ほど切っておいた話になると思うのですが、まさにこれが、今メディカルコントロールということに求められて、これからますます求められることだと思います。あえて言えばメディカルコントロール協議会という、これは狭義のメディカルコントロールであって、その体制を論じるという今回の中間答申でも、今後どうするかというときには、体制の充実強化となります。ここで皆さんが話し合ったことは、プレホスピタルケアの底上げと、それから充実というフェーズは、まだ少し残っている部分はあるとしても、かなりいったなというところだと思うのです。まだばらつきもあるし、いろいろやらなければいけない。

 ただ、問題なのは、これからはメディカルコントロール体制をどうやって充実強化するかというと、これは実は今回の答申をずっと見ていっても、急性期医療のあり方そのものを広く論じているわけです。この身体合併症、母体救急、小児、精神科救急とどうコラボしようかというのは、もう病院前救護体制の問題ではなくて、急性期医療全般を今ここで話し合っているわけです。ということは、それを地域に落としてみれば同じことになるわけです。そういう医師をどうやって底上げしながら平準化して、しかもそこからまた次のステップにどういくかと。

 座長が先ほど少し言ったように、1つのコミュニティが1つの病院だと考えようということです。病院という言い方よりは、医療体制そのものと考えれば、そこで知恵を出し合ってという形をとっていくとすれば、それに応え得る組織というのはどこにあるかというと、医師会はもちろん地域医療の責任を持ってやろうとしていますが、これはやはり具体的な議論をしながらやっていくとすれば、このメディカルコントロール体制そのものを、どうやって各地に根付かせていくかということだと思うのです。

 だから全国のメディカルコントロール協議会は、総務省と厚労省と共管で、そこに日本医師会が責任を取りますということで混ざって、最初からスタートしているので、この地域医療と全体のフィードバックという形を、ここからもう1つ先に進めるにはどうしたらいいかと、今やそういう所に来ているのではないかと思うのです。

 

○横田構成員

 今の石井委員の平準化という言葉を受けての話ですが、今はそういう意味において、メディカルコントロール協議会の位置付けが、都道府県によって異なります。例を挙げますと、例えば資料55ページと6ページに、たまたま東京都と大阪府のメディカルコントロール協議会の組織図が描かれていますけれど、東京都のメディカルコントロール協議会はきちんとした形で、東京都の附属機関という位置付けになっています。

 大阪府のメディカルコントロール協議会というのは、これはいわゆる改正消防法のときに、これを府の附属機関に位置付けるという議論があったのですが、結局それは駄目で、従来から行われている救急医療対策審議会が知事の附属機関なので、それで代用しています。

 このため、大阪府の場合は、従来消防主管部局が行ってきたメディカルコントロール協議会は、実は府の付属機関ではなく行政上は少し脇に置かれてた形になっています。そのために改正消防法等でいう、搬送と受入れの実施基準の運用はメディカルコントロール協議会ではなく救急医療対策審議会および地域保健医療協議会でなされ、保健所が事務局になるという流れになっていて、実は二重構造になっている。

 医療法の中でメディカルコントロールをとらえていきますよということが、私が先ほど画期的だと言ったのは、もし本当にそういう形で文章化されれば、このボタンの掛け違えも整理ができていくのかなと思っています。一番最初の文章と、今ここで出てきた56ページ。これは単に図柄を見て、一見同じように見えますが、全然体質が違うものなのです。

 そういったことも少し浮き彫りにしないと、地域、地域で組織の構造が異なっているものですから、予算の取り方も違いますし、いろいろ構成員にお願いするときでも、これは知事委嘱でいくのか、単に一介のメディカルコントロール協議会の会長という形でいくのかで、実はだいぶ変わってくるということがあって、そういう苦労は皆、地域、地域であるのだということも、理解していただきたいと思います。

 

○行岡構成員

 今、我々が抱えている問題というのは、地域の医療をどのように守り抜くかだと思います。そのためには、すごく大きなチャレンジができるというか、しなければならないと思っています。

 救急医学会も今議論の最中なのですが、専門医制というのは蘇生をしたり、外傷を診療したりすることも、もちろんその能力は必要なのですが、同時に、地域全体を鳥瞰図的に眺めて、それをどう調整していくかという能力も、それらと同じように大事だろうというようにシフトし始めています。

 多分これはがんの医療とか慢性の難病の医療も、地域全体で考えていかないと、これからの時代、立ち行かないのではないか。そういう意味では、医療法に書いていただく場合に、是非ともそういう精神というか、基本的な考え方がずれない。消防法に書いてあるから、そのカウンターパートとして横に書いてあるということではなくて、これからの課題を解くような方向性をちゃんと導いてほしいと思います。それは学会もコラボレーションしていけると思います。

 

○有賀座長

 今、大阪の問題が出ましたけれど、恐らく東京だって、これはこのようになっていますので、そういう意味では東京消防庁が全面的にやることにはなるものの、そうなると先ほど言った地域の医療全体という意味においては、少し偏在した価値観が入り込む。つまり東京都医師会で議論しなければいけないようなことで、接触するような問題点をMC協議会で出しても、なかなか乗り切れないということも実は起こっているわけですので、是非この辺の時代の途中の部分は、そういう意味では共有化しながら、じわじわと何となく先へ進むということに、多分なるのでしょうね。

 先生が言われたセットアップというか、調整しながら先へ進んでいくような、そういうことが各地で多分起こるとは思うのです。それでも先ほど久保委員が言われたように、何もなくてやれという話にはならないだろうというのは、全くそのとおりでないかという気もします。

 一応、メディカルコントロールの現状についての議論は、その……問題点がここにあるように、何をするのかという話がありますけれど、もう少し議論を深めていかないといけないかもしれませんね。

 

○久保構成員

 先ほどから検証の話が出て、すごくいいなと思っていたのですが、検証が地域医療の中にフィードバックするだけでは、ものすごくもったいなくて、その検証されたことがほかのMC協議会にとって、すごい財産になる可能性があります。是非できれば何か検証されたものが、ウェブ上でもアップして頂きたい。そういうものが匿名化された格好になると、ほかの所がそれを使って物事をやっていけます。検証するのだったらそこだけで終わらせるのではなくて、単に本数だけでは、たぶん誰も見ないので、何かうまい利用法が出来ないのかなと思います。

 

○石井構成員

 それは、全国連絡会が出来上がっていまして、そこでシェアする、また、そこでプレゼンをしたり、それからデータベースはこういう形になっていますよというのが、だんだん立ち上がって混ざってくれば、シェアできるような形になっているわけです。それを、これからもっとブラッシュアップしていけばいいわけですよね。

 

○有賀座長

 そういう意味では、まだ官主導で行われているというのが実態なので、それぞれの地域の問題意識が、その問題意識の存在故に、それが発信されていくという、そのようなレベルまで、つまり私たちが学術団体としてやっているようなレベルにいくまでには、もう少し時間がかかるだろうという話だと思います。

 

○嶋津構成員

 東京のMCについて少しお尋ねしたいのですが、東京では東京消防庁の消防指令に、救急医が出ておられますね。これは、MC協議会とは何か関係があるのですか。それとも、全く無関係の役割としてやられるのでしょうか。

 

○行岡構成員

 これは指示指導医で、指示指導委員会から集めてやっています。それで、この中でやってくれと。

 

○嶋津構成員

MC協議会の活動として、救急指令に出ておられるという理解でよろしいですか。

 

○行岡構成員

 出ている所は、各病院との契約だと思います。だけど、選ぶ内容はMCが関与している。これも委員長が、いろいろ細々したことがあった頃にインタビューされて、統一した指示ができるようにと。本当にボランティアで一生懸命してくださって、その状況を結構みんなで共有しています。

 

○有賀座長

 ということで、確認したいことやら何やらが山ほどおありだと思いますが、事務局から課せられた議題というのがありますので、次に行きたいと思います。

 

○田中救急・周産期医療等対策室長

 奈良県さんも是非。

 

○有賀座長

 そうですか。何かありますか。

 

○高城構成員

 すみません。今、別の話をしていたのですが、事後検証についてのお話が出てきていたので、その関連なのですが、今、救急搬送のあり方だとか評価という意味で、時間だとか、何回回ったとか、そういうことに注目が浴びがちなのですけれど、例えば搬送困難事例というのは一体どういうもので、どういうことをすればスムーズに流れるのかという、そういう観点から事後検証というのは非常に大事なのではないかと思っています。

 そうした中で少しお尋ねするのですが、消防庁さんのほうから事後検証についての考え方というのが、私が今手持ちで持っているのは平成153月の「救急業務高度化推進委員会報告書」という中で、当面は医師による医学的観点からの事後検証については、当面の間、CPA、心肺停止状態の消防を対象にやってくださいというようなことがあったのですが、実際に搬送困難事例というのは、多分CPAだけではなくて、心筋梗塞ですとか脳卒中、今の精神であったり、小児科、周産期であったり、いろいろあると思うのですが、この辺り、それぞれの重症な搬送困難事例の代表例についても、例えばそういう事後検証の中で、しっかり取り組んでほしいというような話というのは、この平成153月の報告書以降、例えば出ていたりするのかどうなのか。

 多分こういった通達に基づいて、自治体のほうはそれに向かって体制を組んだりすると思うので、栃木県さんは今聞いたところでは、CPA以外のものについても事後検証にしっかり取り組んでいるという中で、例えば全国的にそういうことを広めていこうとするのであれば、そういったお知らせというか、周知という勧告も必要なのかなと思った次第なので、この後アップデイトされていたら大変失礼な話ですが、そこの確認だけ。

 

○消防庁救急企画室齋藤室長

 選定困難事案をできるだけ減らしていこうということで、様々な取組が各地域で行われていて、奈良県さんもいろいろ取組をしていただいているところなのですが、そういった全体の困難事案を減らしていく様々な取組の中で、例えばこの事案は、なぜこういうことになってしまっていたのだろうかというような検証というのも、各地域なりで行われているところだと思っています。そういうことを含めて、いろいろな取組の中で、そういうことを進めていかなければならないのかなと思っています。

 

○行岡構成員

 ちょっとよろしいですか。恐らく質問は、いわゆる心肺停止患者を主体とした検証以外の重症例についても検証しなさいという通知文が、それ以降出ているのかという御質問ですよね。

 

○高城構成員

 ええ。実はうちの事案を申し上げますと、うちも事後検証委員会というのはあるのですが、これはどういうことをやっているのかと確認しましたら、やはりCPAに絞ってやられているということなので、それだったら、それ以外の疾患、例えば心筋梗塞だとか脳卒中、これも大事なのではないのかということがあったので、こういうのがありますからということもあって。

 

○横田構成員

 私個人の記憶で失礼なのですが、恐らく新たな通知はないと思います。恐らくメディカルコントロールを担当されている先生たちとか救急隊、消防機関の要望から、少しはまだバイタルサインがある患者さんも含めて検証してくださいとか、救出困難例を見ていきましょうというのは、その地域の中で修正しているということで、CPAだけやっておけばいいというような流れから、次第に広がってはいると思いますが、通知としてはないと思います。

 

○行岡構成員

 答はイエスで、みんな広くやっています。東京の場合、事後検証でいつも挿管例、アドレナリン除細動例というのが、延々たくさんリストが出るのですが、どうしてかなというのは、その通知をしっかり守っているために、それが知らされる。でも、議論の8割は違うこと。違うことというか、もっと非常に広いことをやっています。だから現場は、現実のほうが先へ進んでいっているのではないでしょうか。

 

○有賀座長

 これは、だから今言った国からのメッセージを最低ラインと考えて、どんどんいろいろ考えていくというのが、多分普通の人のやり方だとは思います。しかし、お役人の中には、それさえやっておけば100分の100OKよねという方がおられるのかもしれないという感じを、今の質疑応答で感じました。

 恐らく後半で言ったことは当たっている可能性がありますので、是非、地域住民のために働くという、公僕という立場でいけば最低ラインなので、次へ頑張ろうということを提案するというのが、多分正しいやり方ではないかなと思う次第です。

 すみませんが、どちらにしてもとりあえず議論だけしておいて、時間切れで次へというのがあっていいのではないかと思います。「救急医療の適正利用」という資料6について、簡単に説明してください。

 

○辻救急医療専門官

 資料6について説明いたします。前回の検討会において高齢者救急について更なる議論をという意見を頂戴しておりました。そこで今回、そういった意見について、地域で様々な取組が行われておりますので、御紹介させていただこうと思っております。

 まず1ページですが、大阪府浪速区医師会のブルーカードプロジェクトについて御報告いたします。搬送困難が予想される患者の受入促進に向け、かかりつけ医が患者情報を事前に登録し、クラウド化した患者情報を、地域の医療機関と患者情報を共有する仕組みを浪速区医師会を中心に開発されております。

2ページですが、かかりつけ医が在宅患者や外来患者といった患者に説明を行い、同意を得られた者に対して、ブルーカードを交付いたします。また、ブルーカードをあらかじめ指定したある地域医療機関に登録、また同時に医師会を通して情報共有システムに登録します。

 患者に緊急事態が生じたとき、かかりつけ医より地域連携病院に連絡、また連絡が取れなくても地域連携病院に搬送されることとなります。患者の情報はあらかじめ把握しておりますので、受入れは円滑に行われます。

 もし連携病院が受入困難や対応困難の場合でも、情報共有システムを通してその他の連携病院が患者情報を把握することができることになっております。

 ブルーカードプロジェクトの救急医療体制に対する利点として、救急医療を用いる際に、病態の複雑な高齢者や在宅患者の情報が連携医療機関の間で共有できることから、受入医療機関が対応しやすくなる。入院中に在宅かかりつけ医が必要となった場合、その受入れ先が円滑に決められることから、救急医療機関の有効活用に資することが挙げられます。

3ページですが、京都府医師会による在宅療養あんしん病院制度について御説明いたします。こちらについては、救急医療に対してというよりは、在宅患者が適正に医療機関にかかれるための仕組みです。かかりつけ医が在宅患者から前もって状態が悪化した際の入院医療機関を決めておき、その医療機関に対し情報提供を行います。患者が体調不良や食欲不振等を訴えた際、連携先の医療機関にスムーズに入院できるシステムです。この利点としては、事前に入院予定が立てられる患者が調子を崩したとき、高度な救急医療を利用しなくても必要な医療が受けられること。早期の医療介入と退院後の支援が並行して行われるため、社会的要因に伴う入院の長期化が回避しやすいことが挙げられます。

5ページですが、埼玉利根保健医療圏とねっとについて御説明いたします。こちらは「地域完結型医療」を目指して、救急患者への適切な処置と搬送先選定の迅速化に活用すべき取組が行われているものです。

6ページですが、あらかじめ「とねっと」に参加している者に対しては、IDの付いたカードが渡されます。緊急事態が発生すると、救急隊員はIDから患者情報を入手します。搬送先医療機関では「とねっと」を通じて患者情報を取得し、診療に役立てることができます。

 「とねっと」の救急医療体制に対する利点として、かかりつけ医と中核医療機関との間で患者の受診履歴、検査データや診療画像を共有できる。患者搬送時の情報共有による救急隊との連携等に活用が可能となっている。更に、患者自身による健康管理の実施が可能ということが挙げられます。

3つの地域の取組を御紹介しましたが、ここから今回の論点として、平時から、かかりつけ医と救急医療機関との間に、顔の見える関係を構築することが必要ではないか。急変のリスクが高い高齢者や基礎疾患を有する患者は、かかりつけ医と共に医療機関の受診方法を事前に検討し、適正に医療が受けられるように準備しておくことが必要ではないか。こうした患者が急変した際には、ICTに集積した情報を用いる等、地域全体で円滑に受入れができるようセーフティーネットを整備することも必要ではないか。という点について御議論いただきたいと思います。事務局からは以上です。

 

○有賀座長

 ありがとうございます。各地域ごとにいろいろな工夫があるということで、それを踏まえて、別に普遍的なという言い方はしなくていいと思いますが、合理的な救急医療体制の利用ということについて、どのように考ますかという話だと思います。もう時間がほとんどないのですが、本日、御発言を賜っていない許先生は何かありますか。その後、阿真先生にも、よろしくお願いいたします。

 

○許構成員

 実は先ほどのメディカルコントロールのことでどうしても発言をしたかったのですが、チャンスを逃してしまいました。すみません。こちらのほうに関しては、よく知らなかったもので。

 

○有賀座長

  では、MCで。

 

○許構成員

 よろしいですか。もう終わっていますが、申し訳ありません。MC協議会に従事する医師が行うべき仕事という専門性について明らかにすべきではないかと、課題と論点で最後に挙げていただいていますが、私たち救急医は院内の救急をやっていればプレホスピタルのこともある程度分かって、理解、精通して、救命士さんにもちゃんと指示ができるのだということにされているように思いますが、実際は必ずしもそうではないと思います。欧米のことを言いますと、また欧米のことかとお叱りを受けるかもしれないのですが、あちらにはEMSのフェローシップというのものがあり、そこでは病院前の救急医療、それは救命士さんの処置だけではなくて、ここに挙がっているような地域の救急医療体制を、行岡先生が言われた鳥瞰図的に見るようなことも含めたトレーニングをされていると私は理解をしています。何となしに救急医がそこに参加して今まではやっていたのかもしれないのですが、病院前の救急医療体制、地域の救急医療体制を担うような人をしっかりと育てるようなトレーニングプログラムと言いますか、そういったものが必要になってくるのではないかなと思っています

 

○有賀座長

 ついでに言いますと、私が日本救急医学会の指導医を受けるときに、「先生、指導医の指導とは何ですか」とお聞きしたら、当時の大塚先生が、今言われたそのことができるようになることなのだと、だから指導医と名前が付いているのだよと言われたのを今、思い出しました。

 

○阿真構成員

 この話に戻ります。私、週2回、前にも言ったと思いますが、栗橋の地域に行ってますので、「とねっと」の圏域で活動をしていて、病院の中で「とねっと」の説明、埼玉県のケースですけれども、「とねっと」の説明をする機会が多くあって、非常によいシステムで、例えば小児の食物アレルギーを持っているお子さんは、かかりつけ医、それから消防、2次の医療機関、それぞれ同じ情報を共有して、どこに搬送するかということも決定してやっておりますので、すごくいいシステムだと思うのですが、問題として、登録がすごくめんどうということと、あと、開業医の先生が情報を入力をすることがすごくめんどうで、最初の1回はやっても、その後は入力していただいていなかったりして、情報が結局更新されていないということもあるので、非常によい仕組みなので、ほかの地域のことも少し勉強しながら、もっと活用をするにはどうしたらいいかということをこの地域で考えていきたいなと思います。

 

○有賀座長

 要するに、このカードその物は持っていても、普段の先生が少し新しい情報を入れてくれないといけないという、そういう話ですよね。

 

○横田構成員

 そういう意味でちょっと、事務局で整理していた中で、京都府医師会の在宅の療養あんしん病院制度と出ていますが、京都府は京都医療センター中心にポケットカルテと言いますか、日常診療から地域の医療機関の先生と病院とが共有できる、いわゆるICTを使った地域共通診察券を展開しているはずです。多分、京都市、それから南にある宇治市とか、生駒、一部奈良の生駒市なども、割と広域で取り組んでいると聞いているのですが、それと京都府医師会の療養あんしん制度のICT化とは連結はしていないのですかね。お調べになりましたか。

 

○中林小児・周産期医療専門官

 この制度を用いて実際に患者登録するときには、所定の用紙に記載する形で登録をしていますが、電子カルテとの連結に関しては具体的に確認をしておりません。

 

○横田構成員

 なぜそういう質問をするかといいますと、救急だけのためにこういうデータをかかりつけ医の先生に入れてくださいというのはなかなかうまく運用ができないだろうと思うからです。いわゆる、「俺は救急で運ばれることはめったにないよ」みたいな人が意外と急病になることが多いことを考えますと、やはり日常の診療データというものがかかった先で毎日更新されておれば、データは救急でもうまく使えるのかなと思うのですね。ただし、これはいろいろプライバシーやセキュリティーの問題があって、広がらない障害にはなっているのですが。ですから京都府のこの考えが、医療センター等中心にやっているマイカルテとうまく連動していれば、恐らくそういうことは回避できているのではないのかと思います。

 

○石井構成員

 医師会から見て分かっている限りで言うと、例えば今、全国で140ぐらいの地域のICT連携モデルが動いているのです。厚労省とコラボしたり、経産省と一部コラボしたりしながら、それをバックアップする形です。1つは認証局というドクターの認証を、日医の中にコンテンツがありますから、それを提供しながらいろいろなパターンを見せてもらっております。ですから、それとこういうものは当然、相乗していくという形を取るのが、次の姿なのだと思います。

 ただ、やはりプロジェクトで立ち上がって、予算が付いているうちは動いているけれども、メンテナンスに無理が掛かってくると、途中で段々に劣化していって分解するということも間々あり得ることなので、これはこの先の事象として、どこまでブラッシュアップできるか。だけどそのコストと手間をどうやって折り合っていくかということをやっていくことが必要だと思いますね。

 さっきの長崎のあじさいネットは蔵出しの情報を書き込んだりはできないが、ただ、見ることだけはできるということでのセキュリティーと、手間の問題をそのように解決したり、いろいろな解決があるので、ちょうど今、これが段々共有化されて見えてくると、どこが、どの線が非常に適当かということが見えてくるのではないかと思っています。また、別の機会にそれは。

 

○久保構成員

 今の石井委員がおっしゃった経産省とか厚生労働省は結構縦割りで、経産省は企業化が目的なので、スタートラインのときは支援するのですが、その後、予算を切っちゃうのですよね。ですから経産省のやったシステムはその後が続かなくなっている。だから、そこは経産省と厚生労働省がコラボして、例えばEカルテにしても、いろいろな電子化というものも、両方で共有していないので結構難しいのです。そういうものは省庁を越えてやっていただければ、すごくいいシステムになるのかなと思っております。

 

○千葉構成員

 医師会にいたときに情報システムをずっと担当をしていました。今、石井先生がおっしゃったように、全国でポツポツとこういう取組が行われている。これをそろそろ統一化しないと、みんなバラバラな言葉が出来上がって、隣の圏域に行ったら違うカードを持っていなければならないみたいな、そのような話になってしまうのです。これをもう20年やっていますから、そろそろちゃんとしたものを、きちんと全国に共通のものという形で整備を進める方向に是非いっていただきたい。現在、レセプトのオンライン化もほとんど90何パーセントですか、なっているわけですから、その辺の所のビックデータをどのように使うのかということも含めて、是非考えていただきたい。医師会的にはいろいろと問題があるのかもしれませんが、やっていただきたいと思います。

 

○有賀座長

 ということで、是非ここで一言がもしあれば、よろしいですか。

 では事務局、最後の辺りは尻切れトンボなので、次の検討の日程のこととも関係があるかもしれませんが、少し検討していただけますか。よろしいですね。

 本日は12時がきましたので、これで終わりにしたいと思います。

 

○田中救急・周産期医療等対策室長

 どうも本日は長時間の御議論をありがとうございました。一応、事務局が用意した議題は大体ほぼ出尽したということもございますし、一方で深掘りすればきりがないですが、特に議論いただいたMCに関しては、本日も議論がありましたように、医療法の改正に盛り込むであるとか、予算要求の中でMC協議会に従事する医師、搬送の調整とか、受入れ病院の整備といったことに是非活かしていきたいと思っております。

 また、細やかな最終報告へ向けての議論ということでございますが、少しお時間を頂きまして、個々の書きぶりなど、座長を含めて委員の皆様とやり取りをさせていただきたいと思っております。今後、改めて日程調整を御連絡申し上げたいと思いますが、少しお時間を頂いて、当初の予定どおり、一応、年内にもう一度開催させていただきたいと思っておりますが、ほかの情勢等を踏まえて日程調整させていただきたいと思っております。以上でございます。

 

○有賀座長

 これで本当に終わりたいと思い ます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局 指導課 救急・周産期医療等対策室
救急医療専門官 辻(内線2559)
救急医療係長 森口(内線2550)
(代表電話)03-5253-1111
(指導課直通電話)03-3595-2194

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 救急医療体制等のあり方に関する検討会> 第7回 救急医療体制等のあり方に関する検討会(議事録) (2013年9月18日)

ページの先頭へ戻る