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2013年9月30日 第2回 積立金基本指針に関する検討会議事録

年金局

○日時

平成25年9月30日(月) 14:00~16:00


○場所

全国都市会館3階 第1会議室
東京都千代田区平河町2-4-2


○出席者

米澤 康博 (座長)
浅野 幸弘 (委員)
臼杵 政治 (委員)
小島 茂 (委員)
川北 英隆 (委員)
山崎 泰彦 (委員)

○議題

(1)積立金の管理及び運用に関する基本的な方針について
(2)積立金の資産の構成の目標に関する基本的な事項について
(3)その他

○議事

○米澤座長 それでは、まだ定刻より早いのですけれども、全員お集まりのようですので、ただいまから「積立金基本指針に関する検討会」を開催したいと思います。7月に続きまして、本日は第2回の会議になります。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最初に事務局から委員の出欠状況等について御確認をお願いしたいと思います。では、よろしくお願いします。

○森大臣官房参事官 担当参事官の森でございます。委員の皆様方には、本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。

 本日の会議の出席状況でございますけれども、本日は全員に御出席いただいております。

 また、前回に引き続き、今回も各運用主体の方々に御参集いただいております。

 また、9月1日付の人事異動によりまして、厚生労働省大臣官房審議官に藤井が着任いたしましたので、紹介させていただきます。

○藤井審議官 藤井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○森大臣官房参事官 なお、本日は年金課長の度山は欠席のため、企画官の成松が代理で出席しております。よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第に配付資料の一覧がございますので、そちらも参考にしながら御確認をお願いいたします。

 資料1、事務局作成の「積立金の管理及び運用に関する基本的な方針に係る各制度の現状」、A3横のものでございます。

 資料2「基本ポートフォリオに関する基本的な事項の各制度の現状」、これもA3横のものでございます。

 あと、本日、各ポートフォリオの作り方につきまして、運用主体の皆様からヒアリングということになっておりますので、資料3-1でございますが、GPIFの中期計画の変更。

 資料3-2、国共連の基本ポートフォリオの策定。

 資料3-3、地共連の基本ポートフォリオの策定方法等について。

 資料3-4、日本私立学校振興・共済事業団の年金積立金運用に係る基本ポートフォリオ。

 資料4「独自運用について」ということで、別途資料でございます。

 あと、前回、宿題になっておりました一元化後のキャッシュフロー等につきまして、資料5で用意しております。

 資料6、先日、内閣官房で公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議が「中間論点整理」をまとめまして、それも本検討会に関係しますので、お付けしております。

 また、参考資料でございますが、「一元化後の積立金の管理及び運用について」。これは前回お出しした資料でございますが、参考として付けさせていただきます。

 以上でございますが、もし不足等ございましたら、適宜事務局までお知らせください。

○米澤座長 よろしいでしょうか。

 それでは、早速議事に入りたいと思います。

 初めに、前回の資料にもございましたが、積立金基本指針に規定すべき事項の検討に当たりまして、論点が大きく4つあったかと思います。そのうち本日は、最初の2つに関して議論いただきたいと思います。その後、今、御説明ありましたように、前回質問のありました一元化のキャッシュフロー等についてに関しまして、事務局から説明をお願いしたいと考えております。

 それでは、1つ目の論点としまして、4つあるうちの積立金の管理及び運用に関する基本的な方針について議論を行いたいと思いますので、最初に事務局から説明をお願いしたいと思います。では、よろしくお願いします。

○森大臣官房参事官 今回、積立金の基本方針について、先生方に御議論して定めていただくわけでございますが、考え方としては、国のほうで積立金基本方針を定めて、さらに運用団体のほうで、それに基づきまして管理運用方針を定めていただきまして、実際の運用が行われることになります。現行でも、積立金の管理運用につきましては、国のほうで方針等を示している場合があり、運用主体のほうで内規等を決めており、そして実際の運用が行われるということでございまして、今回の積立金基本方針に規定すべき4つの事項のうち、第1、積立金の管理及び運用に関する基本方針につきまして、厚生年金なり3共済のほうでどのように国が規定し、それで各団体のほうでどのように規定がなされているか、御説明いたしたいと思います。

 まず、1枚目、厚生年金保険の関係で表を作っております。運用の基本的方針、運用の基本的目的、運用の目標ということで、基本的な方針を3分しておりますが、内容等、若干オーバーラップするところがございますので、枠を一緒にしているところがございます。また、運用の目標につきましては、一番下の※印でございますが、別途、社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提及び積立金運用に関する専門委員会等で御議論いただいているところでございますので、本日は御紹介ということでございまして、具体的な議論につきましては、そこの議論等が出ましたら改めて検討していただきたいと考えております。

 まず、民間の被用者、厚生年金保険の関係でございますが、国の運用の方針、運用の目的等、まず法律レベルでございますが、厚生年金保険法で運用の目的等を定めております。79条の2、年金積立金の運用は、専ら厚生年金保険者の被保険者の利益のために運用する。長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことによって、厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として行うという形で定めております。

 これは、一元化後の厚生年金保険法におきましても同様でございまして、同じ79条の2にございますけれども、厚生年金勘定の積立金及び実施機関の積立金のうち厚生年金保険事業に係る部分に相当する部分として政令で定める部分、ここの後段が共済の積立金の話でございますが、それにつきましては、同じような形で、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行って、厚生年金保険事業の運営の安定に資するという目的が定められることになっております。

 厚生年金保険の関係でございますが、これは厚生労働大臣が保険者なのですが、GPIFに寄託して運用することになっていますので、別途GPIF法におきまして、3条でございますが、厚生労働大臣から寄託された積立金につきまして、その収益を国庫納付するということが目的で定められております。

 また、GPIFは独立行政法人でございまして、今でも国が中期目標を定めて、それに基づきましてGPIFのほうで中期計画を定めるという形になっておりますので、別途中期目標というものがございます。中期目標は、今、申しました厚生年金保険法を大体なぞっておるものでございますが、また別途、第2の一番下でございます。裁量的な運用ではございませんで、年金積立金の管理及び運用については、具体的方針を策定して行うことが中期目標で定められております。

 法人のほうは、これに関しましてどのような中期計画を立てているかということでございますけれども、内容的には国の目標をなぞっておりますけれども、今、申しました年金積立金の管理及び運用の具体的方針に対応するところとしまして、分散投資を基本とし、長期的な観点からの資産構成割合を策定し、年金積立金の運用を行うというものを定めております。

 運用目標でございますが、共済のほうは、定量的な利回り目標を示しまして、それを基に団体が運用してもらう形になっておりますが、GPIFにつきましては、当時第2期でございますけれども、年金制度の抜本的な見直しが予定されていることから、安全・効率的かつ確実を旨とした資産構成割合を定めるという定性的な目標を与えているところでございます。そして、市場に急激な影響を与えないことが明記されております。

 また、GPIFの特徴でございますが、国のほうでベンチマーク収益率の確保、各資産の市場の平均的な収益でございますが、これを確保することを運用の目標として定めております。資産ごとに各々のベンチマーク収益率を確保するよう努めるとともに、中期目標期間において、各々のベンチマーク収益率を確保することとなっております。さらに、国のほうでベンチマークのあり方につきまして、市場を反映した構成、投資可能な有価証券により構成、指標の詳細が開示されているという要件も示しております。

 それに基づきまして、GPIFが中期計画で定めている事項につきましては、ほぼ国の運用目標をなぞっている形になっております。特徴的な話としましては、ベンチマーク収益率の関係で、国のほうは各年度においてベンチマーク収益率を確保。中期目標期間において、ベンチマーク収益率を確保ということを定めていますが、GPIFのほうでは、一番下の継続的な運用の目標ということを定めており、この目標にあわせまして5年通期でベンチマークの収益率を確保することも目標に掲げております。

 めくっていただきまして、国家公務員共済の関係でございます。共済のほうは、各共済組合が保険者でございまして、これから後も同様でございますけれども、国のほうはそれほど細かい目標等を示していないケースが多くございます。国家公務員共済につきましては、国は、組合の業務上の余裕金につきましては、そもそも長期給付、年金給付だけではございませんが、事業の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的に行うことが定められておりまして、そのうち、長期給付につきましては、積立金等の運用の基本方針におきまして、国家公務員共済組合法上の長期給付に関する規定の適用を受ける組合員の利益のために、長期的な観点に立って、安全かつ効率的に行わなければならないとされています。

 また、連合会の積立金の運用に当たっては、国家公務員共済の財政を安定的に運営していく上で必要とされる総合収益を長期的に確保することを目指さなければならないと定めております。

 それで、運用目標でございますが、国家公務員共済組合連合会は、財務大臣が少なくとも5年ごとに行われる財政再計算において定める予定運用利率を実質的に上回ることを目標としておりまして、一番最後の「なお」でございますが、積立金の運用利回りが当該予定運用利率を下回る局面にあっては、その乖離幅を極力縮小するものとするが、運用上のリスクを過度に取る運用を行ってはならないということで、リスクに関しまして規定を置いています。

 地方公務員共済組合につきましても、国のほうとしましては、業務上の余裕金についての一般論がございまして、同じように長期給付積立金につきましては、安全かつ効率的な方法により、かつ、組合員の福祉の増進又は地方公共団体の行政目的の実現に資するよう運用しなければならないと定めております。

 地共連のほうは、これを受けましてなぞるような形でございますが、基本運用方針におきまして、長期的な観点に立って、安全かつ効率的、また、年金財政を安定的に運営していく上で必要な総合収益の確保を定めています。運用目標につきましても、国共連と同じような形で、総務大臣が定める予定運用利回りを上回ること。また、リスクにつきましては、予定運用利回りと実際の運用利回りが乖離した場合でも、過度のリスクを取ってはならないということを決めております。

 私学共済につきましても、国のほうは何も示してございませんが、事業団のほうでは、長期的な観点に立って、安全かつ効率的な運用をすることとしております。また、収益につきましても、長期給付事業を安定的に運営していく財源として、必要とされる収益を確保ということでございまして、文科大臣が定める利率を目標とし、過度なリスクは取らないという形で運用目標を定めておるところでございます。

 私からの説明は以上でございます。

○米澤座長 どうもありがとうございました。

 ただいま、現状でどうなっているかという御説明をいただいたわけです。それで、今後、一元化になるわけですが、その中でどういうふうに整理すべきなのか、整理していったらいいのか、その考え方に関していろいろ御意見等をいただければいいかなと思っております。国のほうは法律もありますので、そこは所与になるかなと思いますので、各運用主体に関します基本方針とか目的に関して、いろいろ御意見いただければと思います。いかがでしょうか。浅野委員。

○浅野委員 運用の基本的目的については、多少の文言の違いはあっても、長期的な観点から安全かつ効率的に運用する、年金事業の運営の安定に資するということが大体書かれているので、それには異存はないと思うのですが、それを実際達成するときの目標ということになると、少し違いが出てくるという気がします。国とGPIFについては、今中期計画は暫定的なということで、目標が何なのかよくわからないともいえますが、これは多分ほかの機関で言っている、実質的に予定利率を上回ることというのが本来の目標で、その数字が暫定的になっているだけだと思います。

 その場合、なぜ暫定的になっているかというと、2009年の財政検証のときの予定利率が高過ぎて、実際、それに合うような基本ポートフォリオが策定できなかったことにあったのではないかと思います。その意味で、財政の収支を合わすために必要とされる利率が、実際に運用の目標としてフィージブルかどうかという問題が残ると思います。

 したがって、目的からすると、予定利率を実質的に上回る運用利回りが即、目標になるかどうか、若干疑わしいこともあると思います。というのは、運用は年金を安定的に運営していくということが目的であるならば、年金ALM的な運用というものが本来いいのではないかと思うからです。これは、また後で議論があると思うのですが、実際、国家公務員共済はそういう運用をされているわけですね。

○米澤座長 近い運用をしている。

○浅野委員 ええ。ただ、その場合の債務は、前回も確認させていただいたのですが、名目で給付が固定されて債務が計算されているということです。しかし、公的年金の場合にはインフレスライドがついているわけだから、それは実質で債務を把握する必要がありますし、それを実際にどうやって把握するかという問題もあります。また、それを把握した後、債務をヘッジするようなポートフォリオが実際に組めるのか。あるいは、それを上回るような運用をするとした場合に、どの程度のリスクをとっていいのかというのも課題として残ると思います。

 ですから、目的から具体的な運用目標へどうつなげるかというところは、そう単純ではないし、現状でも差があるのではないかと思います。

○米澤座長 ありがとうございます。冒頭、説明も少しはしょったのですけれども、確かに厚生年金保険の運用目標、国の運用目標のところは、ほかの共済と違って数字も入っていなくて、しかも暫定的という言葉があった。今、その状況は、浅野委員が説明していただいたとおりのことで、特に民主党政権に変わったもとで数値が高過ぎるということがあって、まさにこのような表現になったということです。

 普段であれば、むしろほかの共済のところに書いているような数字が入ってくるはずだったのですけれども、このときはまさに暫定的という格好で書いてあった。もちろん裏には、そこにちょっと書いてありますが、「今後年金制度の抜本的な見直しを予定しているとともに」という文言も入っていますので、そういう含みもあって、こういう書き方になっているわけです。

 今、浅野委員のことはごもっともなのですけれども、このページの欄外に、積立金の運用目標については、年金財政における経済前提及び積立金運用に関する専門委員会等の検討を踏まえ、別途議論する機会がここでもありそうですので、数字の置き方、目標の置き方は、それが出てくるとき、ないしは出てくる前後でもう一度議論させていただくことでいいでしょうか。それで問題がないということは全くなくて、立て方ですね。その数字とか出し方は、しばらく置いておいて、それ以外のところでいろいろ御議論いただければと思います。

 私の説明が長過ぎましたけれども、ほかにいかがでしょうか。それを別にすれば、浅野委員のおっしゃったことは、そう大きく各主体と違ったことはないという御理解と承ったのですけれども、今の説明だとそういうことでしたね。

○浅野委員 ちょっと違いまして、予定利率を運用目標にすることは、必ずしも運用目的を達成することにはなりません。ちょっと微妙なずれが出るのです。というのは、本来だったら債務を実質ベースで把握して、それに対応するように資産を維持するように、年金ALMで運用するのが年金の本来の姿だと思います。それと、予定利率を実質的に上回るというのと、果たして合うのかどうか。それは、少し違うのではないかと思うということです。

○米澤座長 違うのは違うと思いますけれども、例えばどんな格好で目的から目標とするとき、まだ具体的な細かな話でなくていいのですけれども、例えばどのようなことがあるのか。

○浅野委員 その場合、運用という観点から言うと、債務との兼ね合いで、これは実質ベースで把握してということですが、運用する。それはまず、もし完全にヘッジできるのだったら、それをヘッジするというヘッジポートフォリオになります。しかし、目標は多分もっと高いところに置かれているので、それを達成するためには、ある程度リスクを取らないといけなくなるわけです。果たして、どれぐらいリスクを取っていいかということと、運用目標として与えられているというか、予定利率が果たして整合的かどうか。リスクはこれぐらいだったらというのを超えた高い運用目標になりはしないかという懸念があるということです。

2009年のときは、必ずしもそういう考え方が明示的にされていたわけでないのですけれども、実質的には今、指摘したようなことが起こったということです。債務をヘッジするポートフォリオと、それから乖離してある程度リスクを取って運用するポートフォリオ、それをあわせて予定利率が達成できるかどうか。予定利率の決め方が別の論理で行われているわけだから、それでうまく整合性がとれるかどうか、大いに疑問があると思います。

○米澤座長 わかりましたというか、目標の与え方が今までのとおりだとすると必ずしも十分でないので、もう少し負債を考慮しながら、うまい目的の与え方があるのではないだろうかということですね。それに関しては、この一元化ということで見れば、特に差はなくて、どこに対しても同じような格好で与える必要が出てくるということですね。

○浅野委員 もちろんそうですね。

○米澤座長 では、臼杵委員、どうぞ。

○臼杵委員 今の浅野委員のお話に重なる面もあるのですけれども、次回以降、さっき座長からもおっしゃったように、その辺はもっと具体的な目標の定め方の議論がある。その前提のもとで、私の意見を申し上げると、まず方針があって、目標があって、そこからモデルポートフォリオが出てくると思います。そうすると、恐らくは各運用機関の自主性をある程度認めることになる。その上で、何らかのたがというか、縛りをかけなきゃいけない。そのときに、基本方針に多分もう一回戻っている、あるいはその目標に戻ることになると思うのです。安全かつ効率的というのをどうやって縛りに落とし込むかということになると思うのです。

 だから、1つは、モデルポートフォリオと同じぐらいのリスクというしばりで各組織が目標を達成することになるかなと思うのですが、そのときに目標は大事になってきて、今のお話の中で一番わかりやすいけれども、若干問題があるかなというのは、単なる名目の予定利率の、今であれば4.1%と言うのかどうかわかりませんけれども、それを達成することができるというのが一番問題で、それはさっきお話があったように、負債サイドを全く考慮していない。

 次に、同じリスクの中で実質利回りをできるだけ達成するということなのですが、これは例えば物価や賃金が下がった場合には、当然期待される利回りも低くていいということがある程度ここに反映されているという意味では、最初に申し上げた名目利回りよりは大分いいだろうと思います。今回いただいた中で、はっきり実質と書いてあるのは国共済さんだけのような気もしますので、その辺も調整の必要があるのかなという気はします。それでも、先ほどの浅野委員のお話にもあったように、実際にはもっとキャッシュフローとか、同じ実質利回りであっても、テクニカルに言うと、より求められているのは時間加重利回りではなくて金額加重利回りのはずですから、キャッシュフローをきちんと考慮することですとかが重要です。

 それから、その場合に物価や賃金をどの程度変動するものとして扱うか。つまり、一定のものとしてではなくて、確率的に変動するものとして扱うか。その中で、例えば資産と負債が均衡した時点でモデル所得代替率がどのぐらいになるかということまで考慮する、、そこまでやるのが一番厳密と言えば厳密かなと思います。だから、3段階あっても、3段階目をどこまで取り入れるかなというのが議論になるのかなと思います。

○米澤座長 ありがとうございます。少し技術的な話になってしまったわけですけれども、この辺は避けて通れないかと思います。

 今の話は、経済前提の結果がどういう格好で、今までの予定利回りみたいなものを同じような格好で出してくるのか、ないしはそれが出てきたとしても、受けとめるほうでリスクのこととかも少し考慮して、リスクのこと、負債のことも考慮して解釈し直すのか、その辺との兼ね合いがあるので、私も今どういうものが出てきて、どういうふうにしたら一番いいのか、まだ判断しかねているところなのです。

 1つは、負債とか実質ベースをどうするかということと別に、リスクで与えるというのもあるのではないか。臼杵さんが最初のほうにおっしゃったかもしれません。そうした場合、リスクを与えるのも1つなのですけれども、年金財政のことを考えると、名目にしろ、実質にしろ、リターンが欲しいわけです。リターンがないと財政が組めないわけですので。ですから、リスクだけというのもなかなか難しいのかなという感じがします。

○臼杵委員 今のお話。私もリスクと言いましたけれども、もちろんリスクを与えている中で、それぞれの共済が目標となるリターンを達成できると考える方法があれば、それを認めるという。そういう意味です、済みません。

○米澤座長 浅野委員、どうぞ。

○浅野委員 今のやり方ですと、ある程度リスクをとって、リターンを上げないといけない。財政上の必要性から、運用目標というのはどうしても高目に設定されてしまうという問題があります。それについて、経済学的にどうかというと、将来の給付は確定しているというか、実質で将来幾ら払うというのが決まっているわけだから、それを債務にするにはリスクフリーの実質金利で割り引くことになる。それが本来の経済学的な姿です。

 そういう観点から言うと、今の実質金利は幾らかというと、マイナス金利です。10月7日に新しい物価連動国債の入札があるので、幾らになるかわかりませんが、私どもが直近にアンケート調査した結果だと、マイナス0.2%です。マイナスということは、割り引きでなくて割り増ししないといけないことになります。それに対して、今、年金財政の計算をしている経済前提云々のところがどういう数字を出してくるかわかりませんけれども、過去の例から言うと、たぶん実質金利1%+αという数字が出てくるでしょう。

 それはどういうことを意味するかというと、高い運用目標を設定して、それを使って割り引いていることに等しく、残念ながら債務を過小評価して将来にツケを回していくということになりかねない懸念があるということです。だから、そういうような水準を運用目標にしていいのかどうかというのは、経済学者としてはいささか疑問を持つということです。

○米澤座長 はい、川北委員。

○川北委員 お二人の意見が出たわけですけれども、1つは、もちろん実質金利が設定されていて、それを上回るということになるのですけれども、そのときに今の経済前提の結論と報告がどうなるのか、わからない。確率的にというか、範囲で出される可能性があるわけですね。そのときにこの検討会でどういう運用目標の設定の仕方をするのか。実質ベースで設定するのは私も正しいと思うのですけれども、実質ベースと言っても、もしも範囲があるのであれば、どういう範囲の設定をするのか、もしくは書きぶりとしてどうするのか。

 それから、運用目標の範囲があるわけですから、運用主体がいずれにしても分かれる中で、どこまで自由度を認めるのか。そういう問題が1つ出てくると思うのです。

 そのときに、これは多少違う観点からなのですけれども、気になるのが、今いただいた資料1で、GPIFのほうはベンチマーク収益率ということで、ポートフォリオありきで決めている。それに対して、ほかの機関は全て与えられた予定運用利率というもので決めている。予定運用利率が与えられ、その中で各機関とも予定運用利率を上回るようなポートフォリオを決めていると思うのです。そういう意味では、運用目標をどの段階から与えるのかというのも結構大きな問題だろうと思います。

 結局は、多分モデルポートフォリオみたいなものを一元的に与えて、それに対して、そこからの乖離度をある程度認めることになると思うのですけれども、その辺もきちんと決めておかないと、各機関の運用がばらばらになってしまう可能性がある。以上の2点ばかり、議論を聞いていて感じたところです。

○米澤座長 その辺のところがこの議論の中心になるかなと思っております。

 山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 運用目標を見せていただきまして、私、何となく落ち着きがいいのは国共済でございます。目標として、予定運用利率を実質的に上回る。その運用利率につきましては、物価控除後の実質をということと、それから、運用利回りが下回る局面にあっても、リスクを過度に取る運用をしてはいけない。この過度に取る運用を行ってはならないというのは、各共済、同じように書いておりまして、先ほど来の議論にもあったわけでございまして、問題は過度の解釈とか程度をどのように考えるのかなということ。

 ただし、ここで物価上昇率控除後の実質と言っているのですが、これは賃金かもわからない。今は物価よりも、むしろ賃金が落ちているわけでございまして、そうすると浅野委員が懸念されましたけれども、賃金に対してはプラスの利回りがでるという局面もあるわけでございまして、その辺を総合的に考えることになるのかなと思って聞いておりました。

○米澤座長 ありがとうございました。今、山崎委員がうまくまとめていただいたような気もするのですけれども、この運用目標のところから見ると、年金財政の真意が一番うまく書かれているのは国家公務員共済かもしれない。実は、GPIFも、私が委員をやっていた頃はこれと同じ趣旨で書かせていただきたく、いろいろ努力したのですけれども、最後はだめで、こういう格好になってしまったという経緯はあったわけですね。

 最初、技術的な話に入ってしまいました。1つは、少なくとも前回と同じような格好で目標が出たとしても、最低限実質で皆さん合意されるような格好になった。浅野委員に言わせれば、それでも必ずしも十分じゃないので、もう少しうまい算出の仕方があるのではないか。とりあえず、その辺で先に進めさせていただこうかと思っていますが、どうぞ。

○浅野委員 私は、年金ALMを実質的にということを主張したのですが、それは難しいことは認めざるをえません。それにかわるものとして実質運用利回りということになるだろう。それはやむを得ないかなと思っているのですが、その場合、もう一つ、国共済の場合、条件として挙げている過度にリスクを取らないというときに、リスクをどう測るのか、把握するのかという問題が残ります。これは名目でのリスクではないはずで、年金ALM的に考えると実質ベースでのリスクです。あるいは、山崎先生のおっしゃったことに絡めて言うと、賃金上昇率と運用利回りが乖離するのをリスクとして把握するとかです。

 今まで各運用主体では、そこまでリスクについて議論されていないように思うので、そこはもうちょっと踏み込んでいただく必要があるのではないかと思います。

○米澤座長 テイクノートさせていただきたいと思います。

 森参事官、ここに関しては、事務局としては、例えば目的とか運用目標に関して、緩やかながらも皆さん同じようなところに収れんした格好でまとめ上げる必要があるのか。そこをどういうふうにお考えなのか、今の段階で考えていらっしゃることがもしありましたら、ちょっとお教えいただきたいと思います。

○森大臣官房参事官 運用目標につきましては、冒頭説明いたしましたように、まず社会保障審議会の年金部会の年金財政における経済前提及び積立金運用に関する専門委員会、ここで名目なのか実質的なのか、及びリスクからか、リターンからかも含めまして御検討いただいておるところでございますので、それを踏まえて、議論の整理を見まして、一元化された被用者年金につきましても、それをどのような形で受けとめるかということを御議論いただけばありがたいと存じております。

○米澤座長 わかりました。

 あと、各主体、GPIF、国家公務員共済連合会等、そこで現在は趣旨は同じですけれども、微妙に違う言葉が書いてあるのですけれども、こういうものは今後、もう少しまとめていく必要があるのか、いや、それは各主体に任せて書くのかという問題に関しては、ここで議論する必要はありますか。

○森大臣官房参事官 繰り返しになり恐縮ですが、運用目標自体は前述の専門委の御議論を踏まえてお願いしたいと存じます。

○米澤座長 というか、それにかかわることですね。運用目標は与えられたとして。

○森大臣官房参事官 基本ポートフォリオに関する基本的な事項について、統一的なものを定めるということでございますので、それを受けまして、書かなければ裁量性があるということになるかもしれませんけれども運用目標等につきましても、何らか書いていただきたいと考えております。

○米澤座長 小島委員。

○小島委員 その前提になる運用の基本的方針なり基本的目的というところは、先ほど説明があったように書き方は微妙に違う。それらを、同じ内容・表現にするのですか。

○米澤座長 事務局はどういうお考えでしょうか。

○森大臣官房参事官 積立金の基本指針で定められたことにつきましては、とにかく各管理運用主体で共通のことになりますので、そこは一律の規制になります。それを踏まえまして、管理運用主体のほうで管理運用方針を作っていただいて、各大臣で承認いただく。また、ポートフォリオにつきましては、4主体のほうでモデルポートフォリオという一つのものを作られまして、そこを参酌しましてそれぞれのポートフォリオを作ることになります。被用者年金一元化でございますので、同じ被用者年金としての一体感を持ったような形でこの指針が働くということを考えております。

○米澤座長 よろしいでしょうか。要するに、そんなにばらばらじゃ困るということで、ばらばらであれば意味がないということ。

 ちょっと時間のこともありますので、またここと関係しますので、次の議事に進ませていただきたいと思います。2つ目の論点としまして、積立金の資産の構成の目標に関する基本的事項に関して議論したいと思います。

 それでは、この点に関しまして事務局から説明をお願いしたいと思います。

○森大臣官房参事官 最初に私から、基本ポートフォリオに関しまして国のほうでどう定めているのか、もしくは各運用主体でどう定めているかにつきまして説明させていただきます。

 まず、厚生年金保険のほうでございますけれども、GPIFの関係でございますが、基本ポートフォリオの策定につきましては、手続ということで、運用委員会の議を経なければならないとGPIF法で定めております。定め方でございますけれども、中期計画の記載事項の2、3ですが、まず一般に認められている専門的知見。学会の特殊な意見ではございませんで、現在ですといろいろ御議論があると思いますが、まだモダンポートフォリオ理論が公式理論だと思いますけれども、そういうものを踏まえて実施する。並びに、内外の経済動向を考慮することになっております。年金積立金につきましては、市場に占める額も大きいということがございまして、年金積立金の運用は市場その他の民間活動に与える影響にも留意すべきと定めております。

 また、年金積立金の運用が特定の方法に集中せず、つまり分散投資ということでございまして、次に先ほど説明いたしました厚生年金保険法等の目的、年金財政の安定化ということ等に適合するものでなければならないという形で、ポートフォリオの策定方法を定めています。

 また、今、年金の負債面の御議論がございましたが、3の財政の現状及び見通しを勘案する。かつ、年金積立金の運用収入の変動の可能性ということでございます。賦課方式ですと、サープラスALMとかマッチングALMではなかなか難しい面もありますので、普通はシミュレーションALMとかを使いますけれども、いずれにしろ年金のキャッシュフローなり財政の見通しを踏まえて、給付にも留意してポートフォリオをつくれという話が規定されております。

 また、中期目標につきましては、GPIF特有でございますけれども、特に株式のリターン・リスクについて、そのリスク特性に配慮しつつ、慎重に推計を行うことが留意事項として国から示されております。

 また、見直しにつきましては、急激な市場の変動があった場合には、必要に応じて行うという形で国のほうは指示しております。

GPIFが具体的にどう作っているかということでございますが、主要事項、考え方等につきましては、国から示されたものをほぼなぞっておりまして、ポートフォリオのアセットクラスとしましては、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、短期資産ということで、乖離許容幅を定めていることになっております。これはGPIF関係でございます。

 めくっていただいて、国共済の関係でございます。国共済のほうは、国からは特段何も示しておりません。

 国共済の積立金等の運用基本方針におきまして、基本ポートフォリオの策定でございますが、安全かつ効率的な運用を行い、もって運用の目的を達成するためということでございまして、時価ベースにより中長期的観点から策定し、毎年検証を行うとともに、諸条件に著しい変化があった場合は可及的速やかに見直しを行うという話。

 あと、リスク許容度につきまして、年金成熟度が一貫して高まりを見せている現状に鑑み、安全性を十分確保したものとするという形で基本方針が定められております。

 基本ポートフォリオにつきましては、目的収益率、標準偏差、その割合を定めるとともに、アセットクラスとしましては、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、短期資産のほかに不動産と貸付金という7つにしておりまして、国内債券にはさらに債券と預託金と分けておりまして、それぞれ乖離幅を定めております。

 また、注のところでございますが、金利上昇に基づきまして順次超長期債券に切り替えていくこと、また、外国株式のヘッジ、外国債券のヘッジ比率について定めておるというのが特徴でございます。

 めくっていただきまして、地共連でございます。地共連につきましても、基本ポートフォリオの策定ということで長期的な観点から作成し、これに基づく資産配分を維持するというやり方でございまして、アセットクラスとしましては、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、短期資産でございますが、国内債券には生保一般勘定と義務運用資産を含む形にしております。また、数値につきましては、原則時価ベースという形になっておりまして、見直しにつきましては、策定時の前提条件等を毎年1回検証し、必要に応じて見直すこととしております。

 また、私学共済に移らせていただきますが、考え方としましては、中長期的な観点から策定し、これに基づく資産配分を維持するというやり方でございまして、アセットクラスとしましては、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、短期資産の5つでございまして、国内債券のうち貸付金等を別途サブのカテゴリーとして分けている、乖離幅を示しているということでございます。ここは、方針の中で一番下にございますが、資産運用検討委員会は、外部の学識経験者等で構成するものとし、その設置要綱については別途定めるということで、そういう意見を聴くことを定めております。また、見直しにつきましては、毎年点検することにしております。

 規定は以上でございます。

○米澤座長 ありがとうございます。

 それでは、続きまして、モデルポートフォリオは今後、管理運用主体が共同作成していただくことになりますが、本日は参考としまして、現在の各運用主体における基本ポートフォリオの策定方法につきまして説明していただきたいと思います。今、森参事官の説明したことと重ならないように、追加的な必要な事項のところを中心に御説明いただければと思います。

 それでは、改めまして、最初に年金積立金管理運用独立行政法人からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○年金積立金管理運用独立行政法人 清水調査室長 それでは、私から資料3-1に従いまして、これはこの6月に私ども基本ポートフォリオを変更したところでございますけれども、これにつきまして御説明させていただきたいと思います。

 まず、1ページ目、概要でございます。今回の変更の背景でございますけれども、ここに書いてございますとおり、昨年10月、会計検査院から基本ポートフォリオについて定期検証を行ったらどうかという指摘を受けて、それを踏まえて厚生労働省からも要請があり、これを受けた形で検証を行った結果、下のほうに書いてございますとおり、基本ポートフォリオの変更を行ったということでございます。

 次のページで、今回はどのような形で検証したかということでございますけれども、今回、私どもといたしましては、第1期から第2期の基本ポートフォリオ策定のときの枠組みに沿った形で検証したということでございますので、ここで従前の基本ポートフォリオの策定をどういうふうにしたかを簡単に御説明させていただきたいということでございます。

 まず、第2期、具体的には2010年4月から始まっているわけでございますけれども、この中期計画の策定時において、真ん中にそのときの中期目標といたしましては、きょうも冒頭、森参事官からお話がありましたとおり、1つは年金制度の見直しが予定されているということで、目標自体が暫定的だということ。

 2番目といたしまして、これは法律上のターミノロジーでもございますけれども、「安全・効率的かつ確実」を旨としたポートフォリオを定めて、これに基づき管理する。

 3点目として、市場に急激な影響を与えないという目標が示されて、これを受けまして、1期から2期にかけて策定した結果、結果的には1期のポートを引き続き継続使用するという結論になったわけでございます。

 そのとき、「安全・効率的かつ確実」という内容を、リスクの水準自体が国内債券並みのリスクであることを前提にして、分散投資効果ということを踏まえまして、ポートフォリオ理論におきます有効フロンティアを、そのときまでのデータに基づきまして、各資産の期待リターンあるいは相関係数を精査した上で、その第1期のポートフォリオが有効フロンティアに近いかどうかという検証を行ったという経緯がございます。結論的には、その検証の結果、1期のポートフォリオが有効フロンティアにかなり近いということで、引き続きポートを継続使用したという経緯があるわけでございます。

 また、そのとき同時に、中期目標におきましては、基本ポートフォリオの見直しにつきまして、急激な市場の変動があった場合には、中期計画期間中であっても、必要に応じて見直しの検討を行うといった内容でございます。これにつきましては、ギリシャ危機、震災等々のときに適宜検証を行ってきて、それまでのところ、結果的には見直す必要はないだろうということであったわけでございますけれども、今回、検査院の御指摘を踏まえて、先ほど申し上げた1期の検証の枠組みでデータ等を更新いたしまして検証した。その結果、ポートフォリオを見直したほうがいいだろうという結論を運用委員会も含めて得て、変更を行ったということでございます。

 それでは、具体的な検証の内容が3ページ目でございます。

 まず、(1)期待リターン・リスク・相関係数の検証ということでございますけれども、前回、1期から2期のときは2008年までのデータを用いまして、期待リターン等々についてセットした上で数字的なチェックを行ったということでございますけれども、今回、2012年までのデータを用いて検証したということでございます。これを同様に、各資産のリスク・相関係数につきましても、データのアップデートを行ったところでございます。

 その結果、参考の1ページ目が前回、各資産の期待リターンとしてどういう数字を使ったのか。今回、データをアップデートして検証した結果、結果的には第1期から2期にセットした期待リターンを継続使用しても問題ないだろうという結論を得たということでございます。

 次に、参考の2ページ目につきましては、各資産のリスク、相関係数につきまして、直近までのデータを用いて再計算した結果でございます。若干御説明いたしますと、例えば2008年にリーマンショックがあったことも反映いたしまして、前回から今回にかけまして、国内株式、外国債券、外国株式の3つのリスク資産と呼ばれている資産のリスクにつきましては、リーマンショック後、落ち着きを取り戻したことを反映して若干リスク水準が下がっていることが見てとれるところでございます。

 一方、下の部分でございますけれども、国内債券のリスクは、ここに書いてございますとおり、前回6%という数字をセットしたわけでございますけれども、それはその当時、NOMURA-BPIのデュレーションが6.32と長期化していることを踏まえて、こういう形で数字をセットしたということでございます。今回、そこのアップデートをしたわけでございますけれども、足元、例えば201212月現在でBPI自体、7年を超えるデュレーションになっている。今後将来を見通すと8年弱という水準であることを踏まえて、国内債券のリスクについては6.5%程度と再設定致しました。

 こういう数字のリバイズをして、有効フロンティアを書いたのが参考の3ページでございます。これを見ていただくと、有効フロンティアが2つ書いてございますけれども、下の点線が1期から2期のときに実際書いた有効フロンティアでございます。このときには、変更前の基本ポートフォリオは極めて有効フロンティア上に近いということだったわけでございます。ここで右の軸の0.0というのが国内債券並みのリスクと御理解いただければ。

 そういたしますと、今回、このデータをアップデートいたしまして新たに有効フロンティアを書くと、上のほうの実線になるということでございます。これを見ていただきますと、現行の基本ポートフォリオは、逆に新たな数字を使って再計算いたしますと、リスク水準はかなり下がる。逆に申し上げますと、国内債券並みのリスクという同じ水準で、これまでのポートフォリオよりもかなり効率性が高いポートフォリオが明らかに存在することが確認されたということでございまして、こっちへの変更を運用委員会も含めて議論したところでございます。

 それで、最後でございますけれども、年金財政との関係もチェックが必要だろうということで、4ページでございます。これは年金財政上のシミュレーションということで、2038年は、マクロ経済スライドの調整がちょうど終わった時期でございます。このときにいろいろなポートフォリオを実際に運営していたときに、そのマクロ経済スライド調整年にどのくらいの財政的な感じになるのかを1万回ぐらいシミュレーションした結果を示したものでございます。これを変更前の基本ポートフォリオと変更後の基本ポートフォリオで比較したということでございます。

 変更前、一番右でございますけれども、6711、8、9というポートフォリオに対して、先ほど見ていただいた、新たな有効フロンティアで候補となるポートフォリオが60121112となるわけでございますけれども、このポートフォリオに対してシミュレーションを行うとどうなるかということでございます。

 例えば真ん中、長期金利が今後10年間で3%まで上昇というシナリオのもとに、将来、2038年にどうなるかを考えますと、1万回のシミュレーションのうち50tileを見ますと、変更前の基本ポートフォリオが224.5兆円。これが財政検証上の予定積立金が206兆ということで、これを上回っているわけでございますけれども、それが今回の変更後を見ていただくと約240兆円ということでもございます。

 また、ポイントといたしまして、長期の予定積立金額を下回る額の期待値。これは、専門用語でコンディショナル・バリュー・アット・リスクと呼ばれている指標でございますけれども、これを見ていただくと、変更前が21.6兆円だったのに対して、変更後は19.2兆円であり、変更後のほうがダウンサイド・リスクが小さくなっているということでございます。

 最後、もとのページの3ページ目でございますけれども、こういった検証をした上で、60121112というポートフォリオに変更を行ったということでございます。

 以上でございます。

○米澤座長 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして国家公務員共済組合連合会から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○国家公務員共済組合連合会 長谷川資金運用部長 国共済連合会資金運用部長谷川と申します。それでは、お手元の資料3-2の御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、1ページ、基本ポートフォリオの概要でございます。直近の改定でございますが、平成21年の財政再計算の経済前提や、その直前に起きましたリーマンショックのようなマーケットの状況を踏まえまして見直しを行っておりまして、平成22年度以降の適用ということでございます。

 運用目標は、先ほどもごらんいただきましたが、財政再計算の経済前提を実質的に上回るということで、CPI控除後でございます。それから、これは先ほども御紹介いただきましたが、平成21年財政再計算の経済前提で、予定利回りが安定する巡航速度になりますところの、平成32年度までの11カ年の平均ということで、1.6%というのを使っているということでございます。

 2ページにお進みください。基本ポートフォリオ策定における基本的な考え方でございます。負債サイドでございます年金給付債務と、資産サイドをあわせて管理いたしますALMを踏襲いたしましたLDIの考え方を採用しております。ALMの考え方は、平成17年度以降の適用でございます。すなわち、資産を概念的には2区分しておりまして、年金給付債務を重視する負債ヘッジポートフォリオと、必要なリターンを確保する観点で補完的に導入させていただきますリターン追求ポートフォリオの2つに分けまして、運用目標・役割を明確化するということでございます。

 まず、負債ヘッジポートフォリオでございますが、負債とのデュレーションマッチングに向けまして国内債券において超長期投資を行うことによりまして、実質的な金利リスクの中立化、それから超長期投資を実施することに伴う期間プレミアムの獲得を目指します。リターン追求ポートフォリオにつきましては、資産サイドのデュレーション長期化の過程で負債ヘッジポートフォリオのリターンだけでは不足する必要なリターンを確保するために、リスク資産で構成するという構成でございます。

 負債の要求収益率のベンチマークでございますが、後ほども出てまいりますが、NOMURA-BPI(超長期)を採用してございまして、リスク・リターン特性がこれに近づくようなサープラスの最適化を行って、資産構成を導出するということでございます。その結果の基本ポートは、先ほども御紹介いただいたとおりでございまして、国内債券の比率が相対的に高くなっているということでございます。

 3ページにお進みください。投資対象資産でございますが、伝統的4資産でございます。なお、下にはオルタナ関係の位置づけを基本方針上は定めてございまして、委託運用資産残高の1%以下の範囲で残高制限を設定し、この範囲で投資ができるという規定としてございますが、現時点では実績はまだございません。

 4ページにお進みください。実際の基本ポートフォリオの導出における考え方の整理でございます。まず、負債のデュレーションを複数のシミュレーションによりまして、15年ということで推計いたしており、負債のベンチマークをデュレーション15年のNOMURA-BPI(超長期)を採用してございます。その結果、資産サイドのデュレーションが負債サイドのデュレーションとマッチングすることができれば、負債ヘッジポートフォリオが完成し、実質的な金利変動リスクが中立化されるという格好でございます。

 基本ポートフォリオの最適化計算は、資産最適化ということではなくて、サープラスの最適化ということでございまして、デュレーションの長期化の過程で不足するリターンについては、リスク資産で構成するリターンの追求ポートで獲得するということでございます。負債のデュレーションに資産のデュレーションが近づいていけば、このリスク資産ウエートが縮小するという格好が、3つ目の箱でございます。

 その上でリスク許容度につきましては、ストレスケースも含めまして、5年から20年程度のスパンで積み立て水準を推計するシミュレーションを実施して、現行のデュレーションを前提とさせていただきますれば、リターン追求ポートフォリオは10%が最も望ましいという結論を得たということでございます。

 その他の附属資料でございますが、期待リターン等の基本ポートフォリオ導出に当たっての前提計数でございます。ポイントだけ御説明させていただきたいと思います。6ページまでお進みください。前提計数の総括表でございます。期待リターンの詳細は、次ページ、7ページに詳しく記載させていただいてございますが、基本的にはビルディングブロック方式で、CPI控除後の実質値でございます。

 株式のリスクプレミアムにつきましては、コンサル会社の計数を採用の上、委託運用コスト等を差し引いたネットベースにしてございます。

 それから、期待リスクと相関係数につきましては、過去10カ年の実績が前提で、リーマンショック以降のリスクの高まり、それから資産間の分散がききにくい状況を踏まえまして、定性的な判断、すなわち保守的にリスク量を大きく見積もったり、あるいは分散効果を低めるような判断を加味させていただいたコンサル会社の計数を採用し、リスク計数の厳格化を前提としてございます。

 7ページ、8ページは、以上の前提計数の詳細でございますので、省略させていただきます。

 御説明は以上でございます。

○米澤座長 続きまして、地方公務員共済組合連合会から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○地方公務員共済組合連合会 川島資金運用部長 地共済連合会資金運用部長の川島でございます。それでは、私から資料3-3に基づきまして基本ポートフォリオにつきまして説明させていただきます。

 まず、1ページをお願いいたします。これは、現在の基本ポートフォリオの資産構成比でございますけれども、特徴といたしまして、地共連本体では直接年金給付を行ってございませんので、短期資産の割合が1%で、低目になっているということがあろうかと思います。現在のポートフォリオですけれども、17年度に策定いたしたものでして、策定時の前提条件につきましては、毎年検証作業を行ってございます。その結果、現在まで当時のポートフォリオを維持している状況でございます。

 次に、2ページをお願いいたします。各資産の期待リターンの推計方法でございますけれども、まず概要でございますが、地共連では期待リターンの推計に当たりまして、国内経済見通しは内閣府、労働人口は国立社会保障・人口問題研究所、海外経済見通しはEIUの将来見通しを用いてございます。また、物価上昇率を控除した実質利回りで目標運用利回りを設定してございますので、期待リターンの推計に当たりましても物価上昇率を控除した実質ベースという形になってございます。

 次に、3ページをお願いいたします。投資対象資産の考え方でございますけれども、5つの資産区分を設定いたしております。考え方といたしましては、まず上のポツにありますとおり、過去の収益率を勘案いたしまして、期待収益率、標準偏差の特性が同一と見直すことができ、かつ安定していること。また、他の資産区分の期待収益率、標準偏差の特性と差異があり、かつ資産区分間の収益率の相関関係が小さいという考え方に基づいてございます。

 次に、4ページをお願いいたします。各資産の期待リターンの推計方法につきまして説明させていただきます。

 まず、短期資産につきましては、内閣府の数値の将来の長期金利から過去の長短金利差の実績差を差し引いて期待リターンを推計いたしております。

 続きまして、内債につきましては、短期資産と同様に内閣府の数値の将来金利から期待リターンを推計いたしております。

 続きまして、国内株式でございますけれども、予想配当利回りとEPS成長率、PER変化率に分解いたしまして、それぞれ推計いたしているところでございます。

 続きまして、外債でございますけれども、内債と同様の考え方によりまして、ベンチマークの主要5カ国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの加重平均で推計いたしてございます。

 外株でございますけれども、ベンチマークの主要5カ国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スイスでございますけれども、加重平均によりまして算出しているというところでございます。

 次に、5ページをお願いいたします。各資産のリスク、相関係数の推計方法でございますけれども、リスク、相関係数の推計に当たりましては、過去のベンチマーク、リターンの実績値から物価上昇率を控除いたしたものを利用しておりまして、検証期間が1978年1月から200412月の過去27年間を採用しているところでございます。

 続きまして、6ページをお願いいたします。ポートフォリオの候補の選出方法でございますけれども、資産ごとの期待収益率、標準偏差、相関係数を求めた上で、効率的フロンティアを算出いたしまして、確保する期待収益率、標準偏差を考慮いたしまして基本ポートフォリオを決定するという手法で計算いたしてございます。

 次、7ページでございますけれども、年金財政に与える影響の検討とも関連してくるところでございますけれども、地共連では冒頭に申しましたとおり、財政再計算上の実質利回りを達成することを運用目標といたしてございますので、想定運用期間であります10年後の積立金残高を計算いたしましてシミュレーションを行って、当該金額を下回る確率、金額も参考としているところでございます。

 以上、雑駁でございますけれども、地共連のポートフォリオの策定方法でございます。

○米澤座長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、日本私立学校振興・共済事業団から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○日本私立学校振興・共済事業団 酒井資産運用室長 それでは、事業団の基本ポートフォリオについて説明いたします。

 資料の1ページをごらんください。

 1つ目の丸、事業団では、平成14年度から運用方針を策定し、基本ポートフォリオに基づき管理・運用を行ってきました。

 2つ目の丸ですが、この基本ポートフォリオについて、平成18年度において見直しを行い、下表のとおり変更いたしました。国内債券65%、国内株式、外国債券、外国株式が10%ずつ、短期資産が5%となっています。

 2ページをごらんください。平成18年度に実施した基本ポートフォリオの見直しの内容となっております。

 まず、見直しの基本的な考え方といたしまして、1つ目の丸、想定投資期間について、当時予定されていました年金一元化が実施されるまでの3年間を対象といたしました。

 2つ目の丸ですが、目標利回りにつきましては、財政再計算の前提となった予定運用利回りを基本とし、賃金上昇率を踏まえた実質的な利回りを確保することとしております。

 次に、資産配分の算出等ですが、(1)各資産の期待リターンの推計方法として、国内債券、短期資産、貸付金等については、経済予測シナリオから推計。国内株式、外国債券、外国株式については、過去データを基にビルディングブロック法で推計しております。

 (2)標準偏差と相関係数につきましては、各資産のベンチマークから算出しております。

 (3)制約条件につきましては、まず、事業団は年金給付を直接行っておりますので、支払への準備金等として短期資産に5%。貸付金等につきましては、私学振興に果たす役割を踏まえ、貸付金残高実績及び貸付推計により18%としております。

 資産配分比率につきましては、ケース1からケース3までの制約条件を設定しております。

 以上御説明しました(1)から(3)をもとに資産配分の最適化を行いました。

 3ページをごらんください。ただいま御説明しました各種の推計による各資産における期待リターン・標準偏差・相関係数の具体的数値による表となっています。上段の表が資産別の期待リターンと標準偏差、下段の表が相関係数となっております。

 4ページをお願いいたします。資産配分比率の最適化を行った結果を載せています。

 制約条件に応じまして、ケース1からケース3まで、そして上段の表の一番下に事業団の平成17年度末の時価ポートフォリオを記載しています。これらの資産配分について検討した結果、まず短期間の見直しであること。17年度末の時価ポートフォリオとの乖離が小さいこと。制約条件を全てクリアしていることなどから、ケース1を採用することといたしました。

 この新基本ポートフォリオについては、端数処理などの結果、下段の表のとおりの資産配分比率となりました。

 5ページをお願いいたします。将来シミュレーションでございますが、まず概要です。試行回数1万回、期間4年間、積立度合の将来見通しについて、財政再計算と新基本ポートフォリオによる試算の比較を行いました。

 下段ですが、結果といたしまして、想定投資期間である平成21年度までの財政再計算による積立度合を上回る結果となりました。

 6ページをごらんください。

 1つ目の丸ですが、事業団においては、基本ポートフォリオは「運用に関する基本方針」において、「運用環境の変化に対応すべく、少なくとも毎年点検し、必要に応じ見直すものとする」とされております。

 2つ目の丸ですが、平成18年度に見直しをしました基本ポートフォリオは、想定投資期間を21年度までとしておりましたことから、21年度において有効性についての検証を行っております。

 3つ目の丸ですが、検証の結果、その有効性が確認されたこと。22年度から予定されていた年金一元化が実施されなかったことなどから、この基本ポートフォリオに基づく積立金の管理・運用を継続することといたしました。

 最後のページに、資産区分、投資対象資産の考え方、各資産のベンチマークにつきまして、参考として載せております。

 説明は以上でございます。

○米澤座長 どうもありがとうございました。

 もうちょっとお待ちいただいて、引き続き国家公務員共済以下は独自運用がございますので、それがどうなっているのかお聞きしたいと思います。独自運用といたしまして、福祉事業への貸付等が行われており、今後モデルポートフォリオの取り扱いのときにどうするかということも出てきますので、まずはどうなっているのかということで説明をいただきたいと思っております。

 それでは、GPIFはありませんので、国家公務員共済組合連合会から順次御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○国家公務員共済組合連合会 其田総務部長 国家公務員共済組合の其田と申します。資料4の国家公務員共済の欄をごらんください。

 一番左の組合員への貸付とございますのは、組合員への貸付のための原資を単位共済組合に貸し付けているもので、1,650億円ございます。その他福祉事業への貸付とございますのは、老朽化した病院の建替資金などでございます。その右、不動産とございますのは、防衛省の宿舎の建物などでございます。こちらが1,677億円ございます。合わせて3,966億円が、いわゆる福祉事業の貸付金等の運用といった部分に該当いたします。

 その右、財政融資資金への預託等という欄がございますが、財政融資資金への預託義務につきましては、被用者年金一元化と同時に廃止されます。直近の預託は4兆円強の残高がございます。

 国共済からは以上でございます。

○米澤座長 ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、地方公務員共済から説明をお願いします。

○総務省自治行政局公務員部 藤原福利課長 地方公務員共済関係は、私から説明申し上げます。

 それぞれの事業の性格づけにつきましては、今、国共済から御説明があったとおりでございます。地方公務員共済としては、組合への貸付が1兆897億円、その他福祉事業への貸付が642億円、不動産が972億円という数字になっておりまして、トータルで1兆2,511億円となっております。

 また、財政融資資金への預託等につきましては、警察共済の関係で財政融資資金への預託が298億円余りございます。これは、先ほどもお話がありましたように、被用者年金一元化と同時に預託義務は廃止となるものでございます。

 また、地方債・地方公共団体金融機構債の購入に関しては努力義務がございまして、これが現在3兆4,236億円になっております。

 以上でございます。

○米澤座長 どうもありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、私立学校共済から説明をお願いします。

○文部科学省高等教育局私学部私学行政課 渡部私学共済室長 私立学校教職員共済におきましての独自運用でございますけれども、組合員貸付の原資といたしまして528億円の貸付を行っております。それから、その他福祉事業への貸付ということで、過去におきまして福祉施設の整備資金といたしまして496億円。それから、不動産といたしまして、これも福祉施設の用地を持っておりますけれども、550億円ということで、合計1,574億円となっております。

 それから、右のほうの財政融資資金の関係でございますけれども、財投協力の一環といたしまして、政保債の購入ということで、現在残高が2,565億円。それから、助成事業のほうで行っております私学への融資の財源の一部といたしまして、助成勘定への貸付ということで、残高1,926億円の貸付を行っております。これらは、現在のところ毎年度の長期勘定の資産増加額の3分の1を充てなければならないという義務づけがなされておるところでございます。

 以上でございます。

○米澤座長 ありがとうございました。以上で基本ポートフォリオの策定に関すること、それから独自運用部分に関することの説明をいただきました。

 それでは、これを今後、モデルポートフォリオ策定に向かって、どういうことを考えていかなくちゃいけないのか。特に、独自運用みたいなところをどのように扱っていったらいいのかということ等に向かって収れんして議論していきたいと思います。

 まずは、各所のことに関して質問もあるかと思いますので、御自由に御議論いただければと思います。いかがでしょうか。小島委員。

○小島委員 今の最後の独自運用のところなのですけれども、国共済の基本ポートフォリオで不動産2%、貸付金4%と書いてある。これは、先ほどの資料4にある独自運用の、不動産1,677億円・2%、組合員への貸付とその他福祉事業への貸付を合わせて2,288億円・4%ということですね。

 あと、地共済は、連合会の基本ポートフォリオの中には福祉事業への貸付等は含まれていない。資料4にある独自運用としての組合員への貸付等は、単位共済のほうで貸付をやっているのか、地共済連合会でやっているのか。

○総務省自治行政局公務員部 藤原福利課長 お答えいたします。基本的には、単位共済あるいは市町村連合会といった地共連以外のところでやっております。

○米澤座長 ほかに。では、臼杵委員から。

○臼杵委員 地共済さんと私学共済さんに確認なのですけれども、リスク・リターン、期待リターン・標準偏差・相関係数が出てから、このポートフォリオを選ばれる途中で何らかのリスクに関する考慮をされて選んでいるのかどうか。効率的フロンティア上のポートフォリオというのは、非常に高いリスクから低いリスクまで、幾らでも書けるわけですね。そのときに、地共済さんでしたら、5ページから6ページに移るところで、抽象的には6ページのほうに、確保する期待収益率及び標準偏差を考慮してと書かれているかと思うのですけれどもね。

 例えばGPIFであれば、債券並みのリスクということが一つのリスクの制約になっているわけですが、どうして効率的フロンティアの中でも債券の6割前後のところ、あるいは6割から7割のところ来ているのかということです。

 それから、同じように、私学共済さんですと、3ページでインプットというか、期待リターンと標準偏差、相関係数と出てきて、そこから4ページの1、2、3の3つがどうして選ばれているかというところをもう少し具体的にお伺いできればと思います。

○地方公務員共済組合連合会 川島資金運用部長 地共連でございますけれども、これは効率的フロンティア上のポートフォリオを幾つか候補を抽出いたしまして、それぞれについて先ほどのシミュレーションを行いまして、具体的に最終的に。

○臼杵委員 済みません、その候補はどうやって選んだのかということなのです。

○地方公務員共済組合連合会 川島資金運用部長 候補の選び方でございますけれども、シミュレーションの対象につきましては、候補が7個ぐらいあるのですけれども、それぞれ期待リターンとリスクなどが違うのですけれども、ある程度効率的フロンティア上にあるものを適度な水準で選び出して、具体的に国内債券並みのリスクと決めはしないで、幅広く検討はいたしている状況でございます。

○米澤座長 私学共済は。

○日本私立学校振興・共済事業団 酒井資産運用室長 私学事業団でございます。4ページの上段の表でケース1からケース3までの選び方でございます。最適化の結果、様々な配分比率がございまして、2ページにお戻りいただきたいのですが、ポートフォリオの策定等で下段のほう、(3)の制約条件のところでございます。

 資産配分比率といたしまして、まずケース1の場合では、外国債券と外国株式、いわゆる外貨建資産につきましては、配分比率がイコールであるか、もしくは外国株式が上回ること。あと、外国株式と国内株式の比率では、イコールであるか、もしくは国内株式が上回ること。ケース2といたしましては、外国株式と国内株式の比率がイコールであるか、もしくは国内株式が上回ること。ケース3としては、それらの制約が全てないもので制約条件を求めまして、その結果によりまして4ページのほう、いろいろな最適化の中から選ばれております。その中で、現実的な平成17年度末との比較で乖離が少ないものについて選定することとしました。

 この当時、3年間という短期間ということで、大幅な修正を避けたかったことと、それにより費用がかさむことも想定されたものですから、現実的には17年度末の時価ポートフォリオに近く、かつ制約条件を全てクリアし、最適化として求められたものという形で1を選んだような状況でございます。

 以上でございます。

○地方公務員共済組合連合会 川島資金運用部長 1点だけ追加させていただきます。

○米澤座長 どうぞ。

○地方公務員共済組合連合会 川島資金運用部長 候補群の選び方でございますけれども、実質的な期待収益率の目標が当時2.20%だったわけですけれども、そこから0.05%刻みでそれぞれ7個、上に上げていきながら選んだということでございます。あとはシミュレーションで最終的な結論を出したという状況でございます。

○米澤座長 ありがとうございました。

 では、浅野委員。

○浅野委員 各運用主体の基本ポートフォリオの決め方を拝見していまして、1つ思ったことがあります。それは、運用目標として長期的に実質利回りを確保するということが大体共通だったと思いますが、それを具体的に基本ポートフォリオにおろすときに、どういう形でそれが出てきているのかというのが、残念ながら、基本ポートフォリオの組み方のところでは全く見えていません。幾つかの機関は、名目の運用利回りからCPIを引いたという形でやっておられるので、これで実質化されているように見えるのですが、そういうことも全然触れていないところもあります。果たして本当に実質になっているのかどうか疑問が残ります。

 それから、実質化するときに、テクニカルにいうと、各月の過去の実績の利回りからCPIを引くという形で各月の実質の利回りを出して、それをずっと累積していくという方法と、例えば3年なり5年なりの累積で名目のリターンとCPIを出して、それを引いてとやるのでは、随分違った結果が出るのです。

 長期的にというときには、どういう方法をとったらいいのだろうか。これについては、残念ながら今まで余り議論されたことがないのです。ないのだけれども、公的年金の運用に関して言うと、非常に重要で、その辺はもっと議論する必要があります。逆に言うと、その辺、まだ定説というのはないわけだし、これがいいという方法もないわけだから、そういうことを考えたら、ここで1つに決められるのかどうか疑問があります。問題提起というか、そういうふうに思います。

 1つと言いながら、もう一つ追加ですけれども、テクニカルにはかなり細かなところで結構大きな差があるようです。それは例えば債券を見ると明らかですが、債券のベンチマークとしてNOMURA-BPI総合を使うかどうかです。GPIFはそうだろうと推測されるのですが、ほかのところは超長期を使ったり、ラダーを使ったり、いろいろあります。それから、GPIFは債券のリスクを基準にしてといっていますが、その債券のリスクも、過去のどの期間をとるか、どの債券をとるか。先ほどのベンチマークの違いを見れば、どれをとるかによって随分違うわけです。GPIFなどは、過去のデータから計算したリスクに最近の情勢を入れて、ちょっと修正されているようです。

 確かにNOMURA-BPIのデュレーションは結構長くなっています。6~7年になっているのでしょうか。ところが、金利の変動は以前と比べてうんと小さくなっており、NOMURA-BPIのリスク自体は5%ぐらいだったのが、最近はせいぜい2%ぐらいになっているのではないですか。ということで、テクニカルでどうとるかということにも随分差があります。それから、ベンチマークも随分違います。こういう状態の中で、果たしてモデルポートフォリオがこうですよと言えるのか。あるいはそうやって言ってしまうのがいいのかどうか。

 私はむしろ、とても言える状況ではない。ある程度運用目的は共通の合意ができている。運用目標についても、何%かは別にして、実質的な運用利回りを長期で確保するということでは、大体合意ができている。だけれども、それを具体的にポートフォリオに落とす段階では、まだまだ開発する余地がある、研究する余地がある。あるいは、商品だって、こういう運用をしますよと言ったら出てくるかもわからない。物価連動国債など、長期で実質利回りを確保するなら、もっと運用しますよと言ったら、財務省はもっと出すかもわからない。あるいは、金融機関がこういう運用がいいよと、もっと工夫してくれるかもわからない。

 そういう状態だから、私はむしろ1つにモデルポートフォリオを定めるのではなくて、こういう方法でやりなさいというのではなくて、運用目的とか運用目標のところまでは、大体こんなものですよということを決めても、その後はもう少し弾力的にやったほうがいいのではないか。むしろ、そこで各運用団体が工夫して競争する。利回りの競争をするというのではなくて、どういう運用をするのかという競争をしたほうがいいのではないかと思います。

○米澤座長 川北委員、どうぞ。

○川北委員 競争するのかどうかはともかくとして、私も実際のポートフォリオに落とす段階でいろいろ違いが生じうるのではないかというのが1点。これは浅野さんと共通の点として思いました。

 もう一点、きょうお配りしてもらっている有識者会議の中間論点整理に全面的に賛成しているわけじゃないのですけれども、アセットクラスをどういうふうに考えるのかということに関しても議論があると思うのです。アセットクラスは、ほとんどのところが共通して内外、あと株式か債券かで分けているわけで、それに貸付等の独自運用が少し入っているという違いなのですけれども、例えば内外の株式を分けることが正しいのかどうか、そういうところから本当は考えないといけない。つまり工夫の余地のある部分というのは結構ある。

 それから、ベンチマークにしても、浅野さんは国内債券のことを中心におっしゃったわけですけれども、国内株に関しても、これは中間論点整理に書いてあるのですけれども、本当にTOPIXがいいのかどうかという議論もあるわけです。これも1つ考える要素としてあるわけなので、競争すべきかどうかはともかくとして、このあたりは具体的なポートフォリオに落とす段階で考えないといけない。もしくは、弾力的に運用を委ねることにし、ある程度の縛りはかけないといけない。そういう工夫の余地というのは、ここで議論するべき問題なのかどうかは、私は余りよく理解していないのですけれども、考えるべきじゃないかと思います。

○米澤座長 今のお二方の御意見というのは、私の理解だと、まさにここで本当に議論していただきたいテーマ。特に、浅野委員の後半のところ、一つのポートを作るかどうかの話も含めては、この場で議論していただきたいと思っています。

 仮にこういう方法でこういうアセットクラスを作りましょうと、モデルポートフォリオを作ったとして、それにどのぐらい縛られるのか。それから、どのぐらい自由度があるのかというところまで、というか、そこに自由度が非常にあれば、各自独自工夫の余地があるわけですし、余り自由度があり過ぎると、モデルポートフォリオとは何かということになるかと思います。その辺のところの兼ね合いですね。一応モデルポートフォリオを策定するという方向のもとで、各所のよさというか、工夫みたいなものを入れ込めるような格好でうまくまとめらないかというのがひとつの考え方です。

 ですから、そこでもって、こういう点でこちらのほうがいいとか、モデルポートフォリオを認めたとしても、まだ幾つかはアセットクラスも含めて改善点がある。伝統4資産でもって作るというのが適当かどうかは、疑問の余地がありますよということも含めて、まだ多少期間がありますので、御研究も含めて御検討いただければいいかなと考えているわけです。

 加えて、さっき言った独自資産というのがあるわけですから、これをどうするかという問題もあるわけですから、この辺はきょう現在ですと少し幅広に議論いただくとうれしいなと思っています。

 例えば川北委員のご発言と関連しますけれども、アセットクラスを流動資産とか非流動資産という格好で分けることも外国の公的年金資産では結構ありますよということで、私も拝見させていただいてびっくりしたことがあります。

 ほかにいかがでしょうか。では、臼杵委員、どうぞ。

○臼杵委員 繰り返しになりますけれども、私も各基金ないし機関に独自のある程度の裁量を認めるということについては、全く賛成です。あとはそれをどう縛るかという話で。そうすると、リスクというところをどうしても縛らざるを得ない。同程度のリスクの中で各機関がよりよい運用ができる、あるいはより目標を達成する確率が高いと考えるのであれば、それは許されるべきだと思うのですが、そのときに何をリスクの指標として、それを同程度のリスクかというのを誰が判断するかというところがポイントかなと思います。

○米澤座長 ここまでの議論ですと、かなりリスクのところは押さえながら、自由度を少し高めてもいいのではないかという御議論が大勢とは言いませんけれども、中心かと思います。

 ただ、次のテーマにさせていただいて、話はちょっと前後するかもしれませんけれども、一元化のキャッシュフローですね。前回、宿題になったかと思いますけれども、ここがある意味では根幹にかかわってくるところでもあります。前回質問がありまして、一元化のキャッシュフロー、拠出金と交付金の仕組み等に関しまして、この段階で明らかに我々の共通理解を得たほうがいいと思いますので、事務局から説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○成松企画官 資料5をごらんいただければと思います。「一元化後のキャッシュフロー(拠出金・交付金の仕組み)等について」、前回の委員会で御質問いただきましたので、全体像が一元化後どうなるかというのを御説明させていただければと思います。

 1ページ目、被用者年金一元化後の拠出金・交付金の仕組みというところをごらんいただければと思います。右のほうから、各被保険者が保険料を納めまして、それぞれ一元化後は実施機関という形になりますけれども、実施機関に納めていただく形になります。臼杵先生から先日御質問がございました財政調整のお話、最後のほうにさせていただくとして、それぞれの実施機関から拠出金という形。これまでは基礎年金拠出金という形で基礎年金勘定に1階部分を出していただいておりましたが、2階部分相当ということで拠出金を厚生年金勘定に出していただく。これをまた厚生年金勘定から各実施機関に交付金という形でお渡しして、それを受給者の方々に給付していただくという仕組みになっております。

 右下のほうに拠出金・交付金の算定方法を簡単に書いてございます。拠出金のほうは、1各年度における給付費全体を政府及び共済組合が負担ということで、原則応能負担。先日も申し上げましたが、標準報酬総額と積立金残高で按分する。

 2共済組合の負担分は、拠出金として特別会計の厚生年金勘定に計上いたします。

 3政府は民間分を支給し、公務員分は共済組合等に交付金を交付することになっております。これは、見込み額を基に算定して、翌々年度、実績値で精算する形になります。

 1枚おめくりいただきまして、2ページ目、具体的な算定方法の資料でございます。黒枠の部分をごらんいただければと思いますが、各実施機関からの拠出金という形でございます。イコール、拠出金の算定対象額ということで、下に行ったり上に行ったりで恐縮ですが、※1のところを見ていただければと思います。※1、拠出金算定対象額が、厚生年金給付費と、あるいは基礎年金拠出金から国庫・公経済負担を引いた額の合計額。これは総額でございます。

 これに掛けることの括弧の部分ですね。標準報酬比率が※2でございます。被用者の方々の全標準報酬を分母として、各実施機関の標準報酬総額というのが標準報酬比率でございます。掛けることの保険料財源比率、これもすみません、下の※5をごらんいただければと思います。保険料財源比率とは、一定期間の支出に占める保険料財源分の割合であり、後ほど出てきます、1-保険料財源比率とは、積立金財源割合を指す。当該比率は5年ごとに見直しまして、現在の試算では保険料財源比率が単純平均で8割、積立金財源比率が2割となっております。

 すみません、また戻っていただきまして、これが標準報酬×保険料財源比率というところでございます。これに足すところの積立金比率。これは※3に書いてございます。分母が全実施機関の1・2F積立金、分子として実施機関の1・2F積立金ということでございます。これに掛けるところ、先ほどの試算では0.2。これがいわゆる応能負担としての、本則に書いてございます部分でございます。これを本則といたします。しかしながら、これをそのまますぐ適用すると、従来の支出よりもちょっと過度になってしまう部分があるということで、激変緩和というものを附則のほうで書いております。

 いわゆる応能負担の部分について5割を掛けまして、残りの部分は各実施機関の支出費比率。こちらのほうは※4に書いてございます。全支出分の実施機関支出という形で、こういう支出比按分をつけ足して激変緩和という形にしております。

 同じページの黒枠の実施機関への交付金というのは、厚生年金給付費という形になっております。

 3ページは、拠出金の計算イメージでございますので、割愛させていただきまして、4ページ目です。国共済・地共済の財政調整についてということで、これはそもそも被用者年金一元化前の平成16年に、既に財政単位の一元化というのを国共、地共、公務員という職域で行っております。これによって保険料率を統一することと、長期給付全体を対象とした財政調整を実施しております。

 今回の被用者年金一元化に際して、国共済と地共済の財政単位が引き続き一元化されていることを前提に、積立金仕分けなどの制度設計を行ったということから、一元化においても引き続き財政調整を行うということとされております。こうした一元化につきましては、費用負担を両共済でやっていただくことを通じて、より安定的な財政運営をしていただいて、厚生年金・基礎年金への拠出を安定的に行うことができるという効果が考えられます。

 キャッシュフローの御説明としては、以上でございます。

○米澤座長 どうもありがとうございました。

 改めまして、こういうような仕組みと言っても、私も必ずしも100%理解できていないのですけれども、いかがでしょうか。浅野委員。

○浅野委員 なかなかよく考えられたキャッシュフローだと思うのですけれども、この資料を拝見して、まず最初に思ったのは、これは本当に一元化なのだろうかということです。はっきり言って、今までどおりで、給付のところを調整するだけという印象を受けたのです。まさにそういう印象どおりの言葉が今の説明にありまして、応能負担という言葉です。本当に一元化と言うのだったら、前回も申し上げましたが、一つのファンドを分けて運用する。その中で競争が起こって、いいアイデアのところ、運用成果が上がっていることも一つだと思うのですけれども、そういうところに資金をもっと配分するという仕組みが欲しいなと感じました。

○米澤座長 どうぞ。

○成松企画官 被用者年金一元化という形で法律が出ておりまして、先生も御指摘のとおり、給付の部分がこれまで共済が有利であった、例えば遺族年金の転給といった部分は厚生年金に制度として合わせることが1つ。もう一つ、保険料につきましても、今まで各共済あるいは厚生年金で揃っておらなかったところも、これも徐々に合わせていくということで、負担と給付を揃える。財政単位も一緒にしていくということで、今回、一元化という制度を組ませていただいております。

○米澤座長 その意味ではいいわけでしょう。

○浅野委員 ステップとして、ここで終わらないでほしい。当面はしようがないかとは思いますが、一元化と言うのであれば、もう少し踏み込んでいただきたいという感じがします。

○米澤座長 山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 私、共済と厚生年金を見ておりまして、共済も3つに分かれているわけですが、報酬水準もかなり違いがあります。にもかかわらず、今まで基礎年金拠出金が頭割りでしたけれども、それが実質的に応能負担になったというのは非常に大きな成果だと思っております。ですから、その限りで言うと、共済グループ、特に地共済が一番報酬水準が高かったと思うのですが、そちらから厚生年金グループにかなり資金が移転されるという成果があったと思っております。

○米澤座長 それから、浅野委員、ちょっと私、聞き間違いだったら教えてください。これだったら、各運用主体の成績がうまく出てこないということをおっしゃいましたか。

○浅野委員 そうです。

○米澤座長 そうですか。それは、測り方というか、評価の仕方として。

○浅野委員 成績は出るのだけれども、この方式だと、成績がよかったらたくさん負担するということになるわけで、それはそれでいいのかもわかりませんが、その考え方自体はまだ、それぞれみんな別々に自分のものですよという意識が残っているということです。これは私の分ですという、地共済が地方公務員から集めた分は私が運用します。ただ、給付のところでは応能で少し他人の分も負担してあげましょうという感じになっているということかなと思ったということです。

○米澤座長 そこは、支出費比率激変緩和措置というところが多少ブラックボックス的なのでよくわからないのだけれども、それを除けばみんな同じですね。保険料が入ってきて、拠出しなくちゃいけないというので、右側のほうに関しては、どこも共通の。

○浅野委員 そうなのです。だから、それはある意味では今のままということですね。

○米澤座長 同じというか、差がないという理解でいいのではないかしら。その激変緩和のところは差をつけるのでしょうけれども、それを無視すればほかのところの、日本年金機構から始まって、そもそも国共と地共は本当に一緒に考えているのですよと。それと私学も入れて、そこに関しては同じと考えていいのではないでしょうか。

○浅野委員 成果をどのレベルで考えるかによって、差があります。

○成松企画官 今回、一元化法ということで、1階、2階と3階部分を仕分けをしまして、1階、2階部分もそれぞれの実施機関で分けて運用していただくことになりますが、座長おっしゃったように、ここは1階、2階部分の共通財源ということで、これは仮に積み上がったら、先ほど申し上げた2ページ目の積立金比率という形で、そこの部分が膨れ上がりますので、応能という形で負担していただく形になりますから、今までと一緒という御指摘は必ずしも当たらないのではないかと考えております。それぞれ同じ財布というか、同じ厚生年金の1階、2階部分として、共通的性格を帯びるということです。

○米澤座長 逆にライアビリティーも一緒と考えていいのではないか。同じライアビリティーということで一緒という意味で。

○香取年金局長 一元化法のスキームの議論、できてしまったものなので、今さら変えられないものなのであれなのですけれども、3ページの表を見ていただきたいのです。一元化の形を作るときに、御案内のように、完全に制度的に1本にする。それから、積立金も完全に一元化して運用するという形に持っていくことができたかということで、御案内のように、年金は長期給付ですし、それぞれ成熟度も違う。保険料水準も違うし、給付水準も違うという中で、実質的に各保険者間の負担と給付を将来にわたって一元的に行うという形を形としてつくると。短期給付ですと、保険者をくっつけてしまえば済むわけですが、それがなかなか難しいということで、今回、この形になっているわけです。

 今、企画官が説明しましたように、全体の給付については、保険料財源と積立金財源、それぞれから一定の拠出をしていただく。基本的に各制度の間で一元化以降の年金の給付と負担については、実質的に同じ負担をしていただくという形で、それぞれ保険料水準、賃金水準、標準報酬に見合って給付の総額を負担していただく。いわば2階部分の厚生年金、共済年金の給付全体をそれぞれ応能割、保険料負担の割合で同じに負担していただく形にする。

 基礎年金は定額給付、定額負担なので、設計上、加入者の数に応じて負担してもらうわけですが、厚生年金は報酬比例年金ですから、報酬に見合って将来の給付が決まるわけで、報酬に応じて出してもらう。積立金については、御案内のように1階、2階相当部分の積立金という概念を作って、その1階、2階の積立金の額に応じて、それぞれ負担してもらう。つまり、そこでそれぞれの機関の運用実績との関係で言えば、これも将来的には積立金がふえれば、運用がよければ、それに見合って積立金比率が上がってくる格好になるわけですから、これも将来的には揃えると。

 最後のよくわからないブラックボックスとありましたけれども、これはもし必要であれば、正確には数理課長から説明させますが、現段階では成熟度がかなりそれぞれ違っていますので、成熟度の違いを揃ってくるまでの間調整するという考え方で、一定の激変緩和をかけるということなので、確かにおっしゃるように完全に保険者が一本になっていないわけですけれども、将来的に全部厚生年金で引き取る、厚生年金から給付するという完成形の給付の形をつくった上で、段階的、実質的に負担と給付と積立金の比率をそろえていくという形で実質的な一元化を図ると。基本的にはそういう考え方ででき上がっているものです。

 ですので、積立金については、申し上げたように、確かに直ちにそれが反映するわけではないわけですけれども、積立金の実績ということは、ここにある積立金比率という形で拠出金に反映することになりますので、その意味では、それぞれ調整していただくことになるわけですが、それなりに運営実績が出れば、厚年部分の積立金相当から出てきた収益は、それに見合って拠出していただいて給付に使うという形になるので、いわばこの部分の積立金は、形の上では、バーチャルに言えば厚年本体の積立金を預かって運用している形になっているということなので、その点御理解いただければと思います。

○米澤座長 より細かく手当てはしてくれているわけですね。積立金のところ、厚生年金と同じで比率で全部統一しまいましたね。何年分とかで。

○臼杵委員 積立比率。

○米澤座長 ですね。私は、あそこの調整と理解しているのですけれども、成熟度の関係で。もう一度、特に浅野委員などは、こういう格好になっていますので、改めてそういう議論があったときには、ここをベースにまた議論をお願いします。とりあえず、きょうはこういうことになっていますとお聞きしたということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○米澤座長 それでは、もう時間も少なくなってきたのですけれども、最後に、先週、公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議において中間論点の取りまとめが行われましたので、その内容について事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○森大臣官房参事官 内閣官房で公的年金、これは独法の資金、国立大学法人等を含めまして、公的・準公的資金の運用・リスク管理の高度化につきまして検討が行われておるところでございますが、去る9月26日に中間論点整理という形で公表されましたので、関連する部分等につきまして、私からかいつまんで御説明させていただきます。

 まず、開いていただきまして運用目的のところでございます。これにつきましては、日本再興戦略の一環として検討していることから、その点を重視すべきじゃないかという御意見もございましたが、大勢は、特に公的年金につきましては、真ん中ぐらいにございますけれども、被保険者の利益を優先する資産運用は、結果的に、日本経済に貢献するということで、被保険者の利益を優先して運用すると、ウィンウィンということで経済成長との好循環が期待されるということが書いてございます。

 2番目の運用目標・方針のところの1でございますけれども、一番最初、国内債券を中心とする現在の各資金のポートフォリオについては、デフレからの脱却を図り、適度なインフレ環境へと移行しつつある我が国経済の状況を踏まえれば、収益率を向上させ、金利リスクを抑制する観点から、見直しが必要ではないかという問題提起がされています。また、その観点から、積立金の取崩しが当面見込まれる部分以外は、長期的な視点でポートフォリオを構築すべきではないかという問題提起もされております。

 2でございますが、先ほどもちょっと御議論ございました運用のリスク・リターン等につきまして、各委員からそれぞれ御議論があったところでございます。その中で一番最後でございますけれども、リターンを最大化する努力が、十分に行われていないのではないかという問いかけがされております。

 飛ばさせていただきまして、3のポートフォリオのところでございます。GPIF等につきましては、市場環境の整備やリスク管理の進捗を踏まえつつ、新たな運用対象を追加することにより、運用対象の多様化を図り、分散投資を進めるべきではないかという意見がございました。他方、これにつきましては、資金の性格を踏まえた上で、国民の理解を得るため、十分な情報提供を行うことが求められるという意見もあったということでございます。

 また、2のベンチマークの話、先ほども御議論いただきました。株式のパッシブベンチマークにつきまして、TOPIXが広く使われているわけでございますが、より効率的な運用が可能となる指数を利用するなどの改善策を検討すべきではないかという御意見もございました。

 また、3で、今、年金の関係では、ほとんどが戦略的なアセットアロケーションが採用され、長期的なポートフォリオ運用ということでございますが、委員の中には、より機動的な見直しを行うべきとの意見もございました。

 また、4 ガバナンスのところは、まさにこの検討会、主務大臣のほうで積立金の基本指針を示しまして運用機関に与えるものでございますが、そこで、1、主務大臣が最終責任を負う体制が、運用機関の自主性や創意工夫を損なっているという意見。または、最終責任を持つのは当然としつつ、各資金により柔軟性のある運用を認めるべきという意見があったということでございます。

 2から4はガバナンス、その他の話でございますので、省略させていただきます。

 リスク管理につきましては、フォワード・ルッキングということで、今後の経済状況の見通しを踏まえたリスク分析を行う必要があり、過去のデータのみに依存したリスク分析を行うことでは不十分だという御意見がございました。

 また、デフレ脱却を見据えた対応策ということで、我が国経済がデフレを脱却することを見据えて、金利上昇に備えたリスク管理や資産評価のあり方について十分検討し、速やかに対応策を講じるべきだという御意見がございました。

 一番最後、6のところ、公的年金につきましては、先ほどGPIFのところで紹介しましたように、かなりの市場シェアを持っておるところでございますけれども、このような資金につきまして、公的・準公的な立場を有しているとしても、被保険者の利益を代表して、運用受託機関を通じた投資先との緊密な対話や適切な議決権行使などが求められるのではないかということで、今、金融庁で行われている日本版スチュワードシップ・コードに係る検討の結果等を踏まえた対応を行うべきではないかという御意見がございました。

 一方、経営への過度な関与や、一律の方針設定に基づいた形式的な議決権行使が行われないよう、留意が必要であるという意見。もしくは、財務的な要素に加えて、非財務的な要素である「ESG」、エンバイロメント、ソサエティ、ガバナンス等を考慮すべきとの意見もございました。

 この提言自体は、秋に、伊藤座長のお話では11月にまとめるということでございますが、論点整理がございましたので御紹介させていただきます。以上です。

○米澤座長 ありがとうございます。当初は、日本再興戦略の一環としてという位置づけでスタートしたので、もう少しおどろおどろしいものが出てくるかと思ったのですけれども、まだ両論併記の箇所が多々あるということもあるかもしれませんけれども、かなり落ち着いた格好でまとめられているのではないか。一言釘を刺しておきたいという方がいらっしゃいましたら。よろしいですか。これは、後日何かありましたら、私のほうに言っていただければ伝えておきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、本日はここまでにしたいと思いますので、ありがとうございました。

 事務局のほうで、何か連絡事項がありましたらお願いいたします。

○森大臣官房参事官 本日はありがとうございました。次回の日程につきましては、座長とも御相談させていただきまして、また日程調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○米澤座長 では、どうもありがとうございました。本日は終わりにしたいと思います。

 


(了)

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