ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会労働力需給制度部会)> 第192回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録(2013年8月30日)




2013年8月30日 第192回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成25年8月30日(金)10:00~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室(6階)


○出席者

(公益代表)鎌田委員、柴田委員、橋本委員、阿部専門員
(労働者代表)石黒委員、新谷委員、春木オブザーバー
(使用者代表)秋山委員、小林委員、高橋委員、青木オブザーバー、大原オブザーバー

事務局

岡崎職業安定局長、宮川派遣・有期労働対策部長、鈴木企画課長、富田需給調整事業課長
松原派遣・請負労働企画官、亀井需給調整事業課長補佐、木本企画調整専門官

○議題

1. 労働者派遣制度について(公開)
2. 一般労働者派遣事業の許可について(非公開)
3. 有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

○議事

○鎌田部会長 定刻より早いのですが、委員の皆様もおそろいのようなので、ただいまから「第 192 回労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、議題 (1) の「労働者派遣制度の在り方について」を公開で行い、その後、許可の諮問に係る審査を行うこととしています。後者については、資産の状況等、事業主に関する個別の事項を扱うことから非公開とさせていただきます。その際、傍聴されている方々には退席いただくこととなることを、あらかじめ御承知いただきたいと思います。

 労働者派遣制度の在り方を御審議いただくに際し、派遣労働の実態に通じた方々に御参加いただく等の観点から、部会の構成員を追加したいと思います。委員等の出欠状況と合わせて、事務局から御説明をお願いいたします。

○亀井補佐 資料の確認と合わせて御説明させていただきます。まず、お手元の議事次第の配布資料を御覧ください。議題の (1) 、「労働者派遣制度の在り方について」に係る資料としては 6 種類お配りしています。過不足等はございませんでしょうか。

 それでは、資料 1 の「労働力需給制度部会委員等名簿」を御覧ください。労働者派遣制度の在り方に関し、委員の方々に準じて審議に参画いただくべく、部会長の指示を踏まえ、公益代表に専門委員、労働者及び使用者代表にオブザーバーの方々を、それぞれ 2 名ずつ増員することとしています。これらの方々につきましては、定足数には算入せず、また、議決権を有さず、許可の審査につきましては審議に参画いただかないこととしています。

 本日の出欠状況と合わせて御紹介させていただきます。公益代表の専門委員として、中央大学経済学部教授の阿部正浩様、本日は御欠席ですけれども、早稲田大学法学学術院准教授の竹内 ( 奥野 ) 寿様です。

 次に、労働者代表のオブザーバーとして、情報産業労働組合連合会書記長の春木幸裕様、また、本日は御欠席ですが、 JAM 書記長の宮本礼一様です。

 続きまして、使用者代表のオブザーバーとして、ランスタッド株式会社執行役員の青木秀登様、株式会社ビッグアビリティ代表取締役専務の大原博様です。

なお、宮本一委員におかれましては本日御欠席と伺っております。御説明は以上です。

○鎌田部会長 ありがとうございました。労働者派遣制度の在り方の審議に係る部会の構成と運営については、このようにさせていただくということでよろしいでしょうか。

                                    ( 了承 )

○鎌田部会長 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきたいと思います。

 本日の議事に移ります。最初の議題は労働者派遣制度の在り方についてです。まず、岡崎職業安定局長より御発言をお願いいたします。

○岡崎局長 おはようございます、職業安定局長の岡崎です。委員の皆様方には労働力需給調整制度に関し、日ごろから御協力いただきありがとうございます。

 今、座長からありましたように、本日から労働者派遣制度の在り方について御議論いただくわけでございます。本来であれば、田村厚生労働大臣が冒頭御挨拶する予定でしたが、本日閣議ということもあり、冒頭に参加できませんので、代わりまして、冒頭の挨拶は私からさせていただきます。

 労働者派遣制度につきましては、平成 24 年、前回の改正法が国会で審議されたわけですが、国会の審議の過程において、衆参両院ともに附帯決議がございました。その中で登録型派遣制度の在り方、製造業務派遣制度の在り方、あるいは特定労働者派遣制度の在り方につきまして、改正法施行後 1 年を追うごとに論点を整理して、その上で審議会での議論を開始すること等が附帯決議の中で御指示があったわけでございます。

 この附帯決議を受けまして、昨年の 10 月以来、「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」を設置、鎌田部会長にその座長を務めていただきましたけれども、有識者の方々に御参画いただき、関係労使団体等からのヒアリング等、 16 回にわたり熱心に御議論いただきました結果、 8 20 日に研究会としての報告を取りまとめていただきました。これから御説明いたしますけれども、派遣労働者や雇用の安定、派遣労働者のキャリアアップの促進、あるいは労使双方にとって分かりやすい制度というようなことを視点に置きまして、種々の基本的な考え方の整理をいただいたわけでございます。その中では期間制限の在り方、派遣先の責任の在り方、派遣労働者の待遇とキャリアアップの在り方など、様々なことにつきまして論点の整理をいただいて、かつ解決の方向性につきましても一定の考え方を提起いただいているということでございます。

 この制度は、これまでもいろいろ議論がありましたし、労使それぞれのお立場からいろいろな御意見もあると思います。ただ、私ども厚生労働省としましては、この労働者派遣制度が派遣労働者、派遣元、派遣先とそれぞれの立場から見て、より良い、分かりやすいものになることが非常に重要だろうと考えています。この報告書も踏まえつつ、制度の在り方につきまして審議会で議論を深めていただき、閣議決定では年内に検討・結論ということですので、やや短い期間ですが、是非皆様方の御協力の下、精力的な御議論、そして取りまとめをしていただければありがたいと思っています。よろしくお願いします。

○鎌田部会長 どうもありがとうございました。本日の部会では、事務局より、今月 20 日に取りまとめられました「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」等の関係資料を説明していただき、その内容に係る質疑応答の後、この部会での今後の進め方について御議論いただくようにしたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いします。

○亀井補佐 研究会報告書を中心とする、本日の資料について御説明いたします。まず、お手元の資料 2 を御覧ください。今般の労働者派遣制度の在り方の検討の契機となっております、衆参両院の附帯決議を両面コピーでお配りしております。

 続きまして、資料 3 でございます。ただいま、挨拶でも言及させていただきましたが、 6 14 日に閣議決定されました「規制改革実施計画」におきまして、 4 の労働者派遣制度の見直しに係る決定がなされています。概要は御覧のとおりです。時期としては平成 25 年検討・結論、結論を得次第、措置ということが決定されております。

 資料 4 5 です。資料 4 につきましては、この 20 日に取りまとめられました、「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会報告書」のポイントを概要形式でまとめたものです。資料 5 につきましては、報告書の本体、及び報告書の章立てに即しまして参考となるデータ、制度の解説などを取りまとめた参考資料を付けさせていただいています。報告書と参考資料自体は非常に大部にわたりますので、本日は御審議いただく時間を確保する観点から、資料 4 の概要に即してその内容を御説明させていただき、過不足等がございましたら質疑によって対応させていただく形にいたしたいと思います。

 資料 4 、研究会報告書の概要を御覧ください。今般の報告書におきましては、第 1 として制度の在り方の検討に当たっての基本的な考え方をまとめております。これは附帯決議などにおいて指摘された個別の論点の議論に入る前に、まず制度の在り方に際しての横断的な、基本的な視点として研究会委員の皆様に取りまとめていただいたものです。

3 つの視点がございます。制度の検討に当たっては、 ( ) 労働者派遣制度の労働力需給調整における役割を評価しながら、派遣労働者の保護及び雇用の安定等を積極的に図ること。 (2) 派遣労働者のキャリアアップを推進すること。 (3) 労使双方にとって分かりやすい制度とすること。附帯決議にも盛り込まれておりますが、以上、 3 点を基本的な視点として持つことが適当ということです。以下、個別の論点ごとの整理でございます。

 第 2 として登録型派遣・製造業務派遣の在り方です。 1 つ目の○は課題です。登録型派遣は労働力需給調整の仕組みとして有効に機能しており、仮に禁止した場合、経済活動や雇用への影響が懸念される。 2 つ目の○が整理です。登録型派遣については、雇用の不安定性への対応が必要であり、後述の雇用安定措置を講じていくことが考えられる。 3 つ目の○が、製造業務派遣についての整理です。製造業務派遣の在り方について指摘されている問題は、製造業務の有期雇用労働者一般に関係する事項である。したがって、労働者派遣制度の中で対応すべき理由に乏しい。雇用の不安定性につきましては、登録型派遣をめぐる雇用の不安定性の議論の中で検討すべきと整理いただいております。

 続いて第 3 、特定労働者派遣事業の在り方です。 1 つ目の○は課題ですが、特定労働者派遣事業には、雇用されている労働者の中に無期の方と有期雇用を反復更新されている方が両方含まれている。有期雇用を反復更新されている方については、雇用が必ずしも安定していない状況である。 2 つ目の○は整理ですが、特定労働者派遣事業の要件である「常時雇用される」という部分を「期間の定めのない」ものと再整理することにより、特定労働者派遣事業は、全ての派遣労働者を無期雇用する派遣元に限定することが適当ではないかというものです。

 続いて第 4 、期間制限の在り方等です。理念と方策ごとに非常に丹念に整理をいただいています。まず (1) 、現在の期間制限の仕組みである 26 業務という区分に基づく規制の在り方についての整理です。 1 つ目の○、この 26 業務を切り分ける「専門性」という概念ですが、これは時代とともに変化するために判断基準を明確に定義するのが困難である。 2 つ目ですが、現場におきましては、この 26 業務の該当の有無をめぐって関係者間で解釈の違いが生じるケースが発生している。また、いわゆる付随的な業務についても、どこまでやれば付随的な業務に収まるのかといった、該当の有無の判断が難しいという意見がございます。 3 つ目、現在の 26 業務という区分に基づく期間制限の在り方については、その廃止を含めて労働政策審議会で議論していくことが適当という整理をいただいております。

(2) として、現行の常用代替防止策の課題です。いくつか整理いただいております。まず 1 つ目として、この常用代替防止という目的は、派遣労働者の保護や雇用の安定とは必ずしも両立しない場面がある。 2 つ目として、派遣という働き方を一律に対象としておりますので、正規雇用労働者の方と必ずしも待遇がそう変わらない方まで一律に抑制の対象になっている。そういうことが果たして適当かどうか。 3 つ目に、期間制限があり、派遣労働者の雇用の不安定性の一因となっている。 4 つ目、派遣労働者の所属する単位を変更すれば、同一の派遣労働者の受入れを長期間続けることができる仕組みとなっているということです。

 このような現状と課題の認識を踏まえ、 (3) で常用代替防止の再構成という考え方を整理しております。 1 つ目の○、派遣労働者全てということではなくて、派遣元との雇用契約期間が有期か無期かで区分して、有期雇用派遣につきましては間接雇用であり、かつ有期雇用であるため、派遣労働者の雇用の不安定性、キャリアアップの機会が乏しい、派遣先での望ましくない派遣利用、これは報告書に中身を書いておりますけれども、派遣労働という働き方の強みの部分と申しますか、必要なときに必要な業務を担える人材を確保できるという部分というより、比較的安上りであるとか、期間が終われば契約を更新しないことができるとか、望ましくない利用が拡大する可能性がある。そういった特徴があることから、有期雇用の派遣につきましては一定の制約を設け、無限定な拡大を抑制していくことが今後とも望ましいという整理です。

 これを踏まえ、常用代替防止の考え方を再整理する。具体的には、対象を有期雇用の派遣と整理した上で個人レベルと派遣先レベルでの策を講じる。 1 つ目の個人レベルの策ですが、個人の方々が特定の仕事に有期雇用の形で固定されない、また、労働市場全体で有期雇用の派遣が無限定に拡大しないという常用代替防止が必要である。 2 つ目は派遣先レベルの策ですが、派遣先の常用労働者の方々が有期雇用派遣の方々に代替されないという常用代替防止も必要。この 2 つを組み合わせた考え方に再構成してはどうかという内容です。 3 つ目ですが、無期雇用の派遣の方々は常用代替防止の対象から外してはどうか。しかし、単に常用代替防止の対象から外すということではなくて、無期雇用の労働者にふさわしい良好な雇用の質の確保を、後ほど説明するキャリアアップ措置などで図っていくことが望まれるという内容になっています。

 このように常用代替防止の考え方を再構成した上で、今後の制度としてどのような方向が考えられるかを整理したものが (4) でございます。まず 1 つ目の○、今後の常用代替防止のための制度については、有期雇用の派遣を対象として、先ほど申し上げた個人レベルと派遣先レベルの対策を講じることを中心に検討していくことが望まれるということです。 2 つ目の○、個人レベルの対策として、同一の職場に一定期間という、継続性をどう判断するかにつきましては、継続性をどのような判断基準で判断するかという、範囲の設定によって様々な案が考えられるということです。派遣先の労使のチェックの仕組みですが、これも具体的にどのような方法を取るかということで様々な案が考えられます。 4 つ目、個人レベルで派遣期間に上限を設けることとセットで、上限に達した有期雇用の派遣労働者の方には、派遣元が雇用の安定のための措置を講じることが適当と整理いただいています。

 このように、報告書の中では今後の制度についての考え方を整理いただいているわけですが、今後の議論にお役立ていただくという観点から、少し具体的に制度をイメージしてみるとこのような感じかなというのが、線で囲ってある部分でございます。今申し上げた考え方に基づいて、少し具体化したイメージを書いておりますので御覧ください。 1 つだけ補足いたしますと、雇用安定措置の中身、 (2) であります。報告書においては主に 3 つの具体策を提案しております。派遣元が有期雇用派遣労働者が受入期間の上限に達する場合、御本人の希望を聴取した上で、 3 つありますが、まず、派遣先に直接雇用を申し入れていただく。その上で残り 2 つの策ですが、新たな派遣就業先を提供する。または、自社、派遣元で無期雇用化などの措置を講じること。こうした雇用安定措置を講じていただくのはどうかという内容をまとめております。

 下の○ですが、個人レベルの策として、上限を設けることとしてはどうかとしておりますが、上限の考え方としては個人単位、派遣先ともに、 3 年を中心に検討してはどうかということを整理いただいております。

3 ページ、このほかの論点について順次御説明申し上げます。第 5 、派遣先の責任の在り方、具体的には派遣先の団体交渉応諾義務について論じている部分です。こちらについては集団的労使関係法上の使用者性は、労働者派遣法の範疇で対応すべきものではないのではないか。今後とも労働組合法の枠組みの中で考えていくことが適当という形で整理をいただいています。

 続きまして第 6 、第 7 で派遣労働者の待遇とキャリアアップ措置について、それぞれ整理いただいています。派遣労働者の待遇につきましては、均等・均衡待遇と労働・社会保険の適用促進に分けて整理いただいています。まず 1 つ目の○、均衡待遇については派遣労働者の待遇の改善につながるだけでなく、待遇が低いことによる派遣労働者の安易な利用を抑制する効果もある。したがって、今後ともこの均衡待遇の取組を進めていくべきであるということです。 2 つ目の○、均衡待遇を更に進める上では、派遣元だけの努力には限界があり、派遣先に更なる協力をいただくことが不可欠である。具体的には派遣労働者の賃金水準、教育訓練の在り方、そして派遣先における福利厚生施設の利用などの面で、更なる役割が期待されるのではないかということです。また、派遣元に対して、派遣労働者の方の待遇を決定する上で、どのようなことを考慮して決めているかということの説明義務を設けることも考えられるのではないか。

 なお、こちらの概要には、均等待遇についての中身を掲載しておりませんけれども、均等待遇、主に欧州などで採用されている仕組みですが、我が国の労働市場や賃金決定メカニズムとの相違などから、短期的には難しいのではないかという形で整理させていただいているところです。

(2) の労働・社会保険の適用促進ですが、これは現在指針でも定められております、加入を促進するためには、派遣先が御本人に加入を確認するという仕組みが有効ではないかということです。

 続きまして第 7 、派遣労働者のキャリアアップ措置です。一般労働者派遣については現在許可を行っていますけれども、この許可の要件にキャリアアップ措置に関する事項、例えば能力開発の計画などを盛り込むことなどが適当ではないかということです。 2 つ目として、均衡待遇の部分でも申し上げましたが、キャリアアップには派遣先の協力も重要であって、 OJT 等の取組を行うことが望まれると少し具体的に書いております。また、意欲と能力を有する派遣労働者には、派遣先などでの直接雇用を推進することが適当ということを重ねて記しております。個々の企業の努力はもちろんですけれども、国や業界団体の果たす役割も重要であることを改めて整理いただいております。

 なお、「キャリアアップ」という言葉につきましては、報告書の 3 ページの注 6 で定義を置いておりますので、御参考までに御覧ください。

 最後に第 8 、「その他」でございます。今申し上げた論点以外についての整理を行っています。まず、 1 つ目の○は特定目的行為に係るものですが、派遣元で無期雇用という形であれば事前面接は規制の対象から除外することが適当ではないか。こちらは、概要では漏れていますが、一定のルールメークの下にという形で報告書ではまとめております。 2 つ目、無許可・無届の事業者に対しては、現在、刑事罰のみ科されているのですが、こちらについて事業停止命令等、行政監督の手段を講じることにより迅速な指導・監督を可能とすることで、その強化を検討してはどうかということです。最後の 3 つ目、平成 24 年改正法につきましては、まずは円滑な施行に努め、それぞれの項目の施行状況に係る情報の蓄積を図ることが重要であると整理しております。ただ、日雇派遣の原則禁止は、様々なお立場から様々な御意見をお寄せいただいていることもあり、労働政策審議会において今後の制度見直しに向けた議論の必要性を含め、御判断いただくことが適当ではないかという形で整理をいただいております。簡単ですが、報告書のポイントは以上です。

○鎌田部会長 それでは、ただいまの研究会報告書を含め、説明のあった資料について御意見、御質問があればいただきたいと思います。

○新谷委員 ただいま御説明をいただいた研究会報告書の取扱いについて、一言申し上げます。この需給制度部会での派遣法改正に向けての審議についても後ほど意見を申し上げますが、まずはこの報告書について申し上げます。

 ただいま御報告いただいた報告書の内容については、派遣労働者の雇用の安定を積極的に図る、またキャリアアップを推進するといった派遣労働者保護を重視する姿勢が示されており、一定の評価を与えうる部分もありますが、一方で、派遣期間制限に係る提案内容や常用代替防止の在り方については、非常に問題点が多いと言わざるを得ないと思っております。したがって、私ども労働側としては、今後の本部会での議論に際しては、本報告書の内容を今後の論議のたたき台や前提とするのではなく、一から、あるべき労働者派遣制度の在り方について議論をすべきであると、まずもって申し上げたいと思います。

 その上で、今後、この報告書についてはこの部会の中で余り取り扱わないと思いますので、この報告書で出されている各論に対する労働側としての見解や所感について、たくさんあるので少し長くなるかもしれませんが、申し上げます。

 まず、常用代替防止の在り方です。本報告書の中で、常用代替防止に関連して、その再構成ということで 26 業務の業務区分を廃止すること、無期雇用派遣については派遣期間制限の対象外とすること、有期雇用派遣の場合もその上限について現行の原則 1 年、上限 3 年という規制を 3 年を原則とするように見直すこと、派遣期間制限の上限に到達した後に 3 つの雇用安定措置を図るといったことが提起されております。このような報告書の基本的な骨格は、人材派遣業界の皆様が提起されている内容とほぼ同じ内容であると感じております。私どもはこの研究会の中でヒアリングにお招きをいただいたので、その場でも我々としての意見を申し上げてきたところですが、今回の報告書の内容を拝見すると、余りに人材派遣業界の意見に沿った内容ではないかというのが率直な印象です。この報告書の提言内容について、仮にそうした見直しを行った場合、現在、労働者派遣法第 40 条の 2 1 項第 1 号に規定されている、「労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及び雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわない」という常用代替防止の基本原則について、大幅な後退が生じかねないという懸念を持っております。

 また、本報告書の冊子の 8 ページに書かれておりますが、常用代替防止の再構成を図るに当たって、「近年パートや契約社員を中心に非正規雇用労働者は増加を続けており、それにも関わらず派遣労働者のみを常用代替防止の対象とし続けることには十分な整合性はない」という分析をされているわけですが、そもそもこうした分析は、良質な雇用の維持をしていく、あるいは拡大していくという積極的な労働市場政策を推進する視点が欠落しているのではないかと感じております。雇用の原則は、期間の定めのない直接雇用であるべきと私どもは考えておりましたが、こうした中で労働者派遣事業が認められたのは、労働者供給事業を禁止する職業安定法第 44 条の例外として容認されたものであって、あくまで臨時的、一時的な労働需要への対応、あるいは雇用弱者と言われている方々に対する雇用機会、職業訓練機会の提供を目的として創設されたはずだと認識しております。今後の見直し議論に当たっては、こうした基本、原点に立ち返り、派遣労働はあくまでも直接雇用原則の例外であって、そういった意味からは、報告書では派遣期間制限の対象外とされた無期雇用派遣を拡大させたり、あるいは、現在は無期雇用派遣労働者に対する派遣先の雇入れ申込み義務があるわけですが、こういったものを放棄するなどして、今後、あるべき直接雇用原則を放棄し、我が国に常態的な間接雇用法制を持ち込むことは、決して行うべきではないと考えております。

 世界の潮流を見たときに、 EU では 2008 年に EU 派遣労働指令が出されており、それを受けて EU 諸国では派遣法の見直しが行われてきたわけですが、この EU 派遣労働指令の中には、明確に派遣労働は臨時的なものであるとされております。最近も、ドイツにおいて労働事件に関する最高裁である連邦労働裁判所から「派遣労働は臨時的なものである」という判断が示されたところです。こうした派遣労働は臨時的なものであるという国際的な標準から見たときに、今回の研究会報告の内容については、どうもベクトルが違うのではないかという印象を受けております。たくさん申し上げましたが、常用代替防止についてのこの研究会報告に対する所感です。以上です。

○鎌田部会長 ほかに御質問、御意見はありますか。

○オブザーバー ( 大原 )  今、新谷委員から、今回の報告書の案については派遣業界の要望、提案に沿った内容になっているのではないかという御指摘がありましたが、私どもは必ずしもそのようには考えておりません。その点も踏まえて、全体的なこの報告書に対する見解、印象を少し申し上げます。

 確かに御指摘のとおり、 26 業務区分の撤廃や派遣期間の単位を業務から人へ変更する、また、派遣労働者の方々のキャリア形成を支援していくという事柄については、一定私どもが提案してきた見直し案と同じ方向感と受け止められる部分も、もちろんあります。しかし、報告書の冒頭に記されている基本的な視点の中で、労働者派遣制度の役割を評価しつつも、実際の報告書の中身においては、一般登録型派遣事業の中心である有期雇用派遣の位置付けが、必要以上にネガティブな捉え方、位置付けになっているのではないかと。在り方研究会のヒアリング等でも、労働者派遣事業が我が国に果たしてきた意義や役割、あるいは実績についても御説明をしてきましたが、その点が十分に反映されているとは考えておらず、全体の印象としては更なる検討、修正も必要ではないかという印象を持っております。

 もう 1 つ、今回の御提案の中心の議論、常用雇用代替の考え方、あるいは派遣期間の考え方について、具体的な制度のイメージの中で、とりわけ期間制限について言えば、無期雇用派遣と有期雇用派遣を対峙することによって、有期雇用派遣については大変多くの課題がある働き方である、あるいは労働市場と本人双方にとって必ずしも望ましくない働き方であるという指摘がなされております。結論として、有期雇用派遣に対してのみ常用代替防止の考え方を堅持して、派遣期間については個人レベルと派遣先レベルのダブルの期間制限をイメージされていることは大変重要なポイントで、この点は私どもの考えとは異なると理解しております。なぜなら、派遣先レベルの受入期間を決める、いわゆる労使チェックの仕組み次第においては、現行の期間制限を受けない専門 26 業務の有期雇用派遣に対して大変な規制強化につながりかねないということで、大変危惧をしております。

 いずれにしても、無期雇用という働き方はもちろん望ましい働き方ですが、それのみが正しいという認識ではなく、現に目的を持って、誇りを抱いて働いている大勢の有期雇用の派遣労働者の方々がいらっしゃいます。そうした方々全てにとって納得感が持てる制度を検討していく必要があるのではないかと、この報告書の全体の見解、印象としてそのようなことを申し上げたいと思います。

○オブザーバー ( 青木 )  まず、この部会に業界団体の関係者を参加させていただいたことに感謝申し上げます。実際に派遣労働で働き、また、その管理に携わった経験のある者として、派遣労働の現場において実際どのようなことが起こっているのかを、この部会で今後率直に申し上げていきたいと思っております。

 先ほど御主張のあった私ども業界の主張どおりということですが、そのようには思っておりません。それに対して、この研究会報告書の見解、印象について私からも述べさせていただきます。一部報道について規制緩和のようなものもありましたが、規制強化されている項目も多数あり、私ども日本生産技能労務協会としては、規制緩和の研究会報告書などとは思っておりません。是非、今回の見直しで、規制一辺倒に流れていて、現在の状況に適切に対応していない派遣法を、こちらの「基本的な考え方」にあるように、労使双方にとって分かりやすい制度とし、現在の状況に適切に対応した派遣法にしなければならないと考えています。報告の中では、派遣労働者ごとに不公平感がなく、仕事によりキャリアアップできるよう、人ごとに 3 年の期間制限にすることが記載されていますが、これに関してはとても評価できることであり、派遣労働者にとって喜ばしい内容が書かれたと思っています。

 また、このことにフォーカスし過ぎて、平成 24 年改正法についての記載が十分でないところもあると思います。多くの問題が明らかになっているとともに、情報の蓄積も十分できているので、このことについてもしっかり議論したいと考えております。具体的には、労働契約申込みみなし、日雇派遣の原則禁止及び 1 年以内に離職した労働者の派遣の禁止規定の削除、マージン率の情報公開の再検討なども、当然しっかり議論してもらわなければいけないと考えております。

○新谷委員 今、派遣業界のオブザーバーお二人から見解の表明がありましたが、触れられたような無期雇用の話や派遣で働く労働者の方々の納得感の問題に関連して、この報告書の記載について重ねて申し上げます。

 今回の報告書を拝見すると、今お二方からは発言がありませんでしたが、「派遣労働者の保護」というところが非常に弱いのではないかと思っております。この報告書には、均等待遇原則の推進は難しいということで、これも世界の潮流、ヨーロッパの主流になっている考え方を簡単に否定されてしまっているわけですが、今回の改正においては派遣労働者保護を大きな論点にすべきだと思っております。一部の識者には、常用代替防止という考え方と派遣労働者の保護は相容れないとおっしゃる方がおられます。これは内閣府で検討が進められている、規制改革会議の雇用ワーキングの座長をされている方のペーパーにも入っていますが、私どもはそういったことについて非常に違和感を覚えております。私どもは常用代替防止を堅持した上で、同時に派遣労働者の処遇改善に向けて均等待遇原則を追求するべきであると考えております。常用代替の防止と派遣労働者の保護は二項対立的に捉えるべきではなくて、不即不離の関係で考えていくべきだと考えております。

 そういった意味で、この研究会報告の資料を拝見すると、昨年 12 月に行われたこの研究会で、厚労省がかなりのサンプルサイズの派遣労働者個人向けのアンケートを実施されていて、その中で雇用形態別の年収分布を取られていたと思います。有期雇用派遣と無期雇用派遣でそれぞれの年収のゾーンをプロットしたグラフがあったわけですが、現状の派遣労働者の年収分布を見ると、無期雇用派遣であっても有期雇用派遣であっても、年収の分布が全く変わっていないのです。ほぼ同一というか、ほとんど同じ分布になっていて、派遣業界においては無期雇用の派遣労働者だからといって長期雇用システムに基づく適切な処遇を受けているわけではないということが、このアンケートの結果から見て取れると思います。

 確かに、有期雇用と無期雇用のどちらが雇用が安定するのかと言えば、かつて派遣業界で起こったような違法な解雇が起こらなければ、そういう前提に立てば、有期雇用は雇止めという雇用の不安定さがあるので、無期雇用のほうが雇用が安定することは確かです。しかし、一方で現状を見ると、いかに長く派遣元で働いたとしても、また、それでスキルを伸ばしたとしても、処遇においてはほとんど改善が見られないという状況です。派遣労働者の保護を真に実現することは、今回報告書にも出されておりますキャリアアップを実現させることだけではなく、均等待遇の実現に向けて真剣に考えなければいけないと思っております。派遣労働者を保護することは、生涯、派遣のまま働き続けられる環境を整備していくことではないと、私どもは思っております。

 先ほど納得感という話が出ておりましたが、今日配られている資料の 37 スライドを見ると、派遣労働者の方々が希望する働き方の第 1 位は、「正社員として働きたい」ということです。これが 60.7 %で、無期雇用の派遣労働者も 55.9 %が正社員として働きたいと希望されているわけです。第 2 位が「派遣のまま働きたい」、あるいは「派遣会社での無期派遣として働きたい」という数字は 20 %を下回っておりますので、派遣労働者の方々がどういった納得感で働いておられるのかを見たときに、どうも業界団体のおっしゃるものと派遣労働者の意識が違うのではないかと考えております。派遣労働者については、直接雇用の無期の雇用に誘導していく政策が必要ではないかと思っております。

 いずれにしても、研究会報告では詳細なアンケート等も取られておりますし、今後の検討に当たっては、今、派遣労働者がどのような状況に置かれているかを詳細に分析する必要があると思っております。現状の分析なくして、今後の在り方について論議はできないと思っております。特に私どもには、全国から労働相談ダイヤルを通じて派遣労働者の非常に痛切な声も寄せられておりますし、派遣切りと言われる状況があったのは僅か 5 年前のことです。離職した派遣労働者の 9 割近くが違法な解雇をされたというのは僅か 5 年前の話でありますので、そういった派遣会社、派遣業界のコンプライアンスの問題も含めて現状の分析をしっかりとやって、今後の論議につなげていくべきと考えております。長くなりましたが、以上です。

○秋山委員  中小企業の立場から、特に気になる点について意見を申し上げます。報告書にありますように、特定労働者派遣事業については、全ての派遣労働者を無期雇用する派遣元に限定してはどうかということと、有期雇用派遣を行う派遣元の場合は許可制にしてはどうかという考え方が示されておりますが、特定労働者派遣事業については現行の届出制を維持すべきと考えております。理由の 1 つは、許可制にすると基準資産額などが設定されますが、例えば許可制と同じ基準額は、中小企業にとっては厳しい要件ではないかと思うのです。中小企業の中でも、専門性があって優良な企業はたくさんあるので、その辺りを考慮していただきたいと思っています。もし、特定労働者派遣事業の規制強化の理由が悪質な企業の参入を排除するためということなら、派遣元責任者講習の義務付けや罰則の強化などを図ることで、対応していただければと考えております。

 また、派遣される労働者は、無期雇用ではなく、常用雇用のままでいいのではないかと思っております。理由としては、有期雇用の労働者でも、労働契約法により 5 年たてば無期雇用になりますし、短期派遣しかできない季節的な事業もあるので、常用雇用のままで特定労働者派遣事業を認めるべきと考えております。規制強化により、地方において、特定労奏者派遣事業を行う中小企業がなくなると、働く場が狭まりますし、寡占になりますし、業界の競争力や活性化がなくなってきてしまうことを危惧します。

 もう 1 つ、前回の平成 24 年の改正において原則禁止された日雇派遣は、例外となる収入要件が 500 万と定められましたが、この改正は、既に労使双方とも混乱が生じていると思います。是非、日雇派遣の原則禁止については、今回の審議の中で、見直しをしていただきたいと思います。

○石黒委員 本報告書の中で、派遣期間制限の問題で派遣先レベルの 3 年超の受入れを、労使チェックを条件としてやろうと書かれております。詳細は報告書を読んでもよく分からないのですが、派遣先での労使のチェックの具体的な方法としては、基本的にこの報告書では、ドイツの事業所委員会の制度を参考にしたいと書かれているように思います。しかし、我が国の集団的労使関係の法制の枠組みとしては、現状、労働組合、過半数代表者、労使委員会等々いろいろなものが併存する中で、報告書にあるような新たな仕組みをどう作るのかという問題について、労働者の派遣制度の在り方を検討するこの部会で検討を行うことができるのか、また、ふさわしいのかという点に大いに疑問を感じております。

 また、冒頭にお話がありましたように、この部会のスケジュールとしては年内に労働者派遣法の改正に向けた建議を取りまとめることになっているので、検討できる時間もほとんど限られています。こうした中で、派遣先の労使のチェックの仕組みの在り方について具体的な結論を出すことはできないと考えております。

○鎌田部会長 よろしいですか。それでは、今後の進め方に係る事項について御意見をいただければと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○石黒委員 労働者派遣法の在り方については、労働政策審議会だけでなく、規制改革会議の雇用ワーキンググループでも、秋口以降、同時並行で議論が行われる予定と聞いております。雇用・労働政策について後々閣議決定がされるような政府の指針を策定する諸会議に労働者の代表が参画できていない現状については、我が国も批准している ILO 144 号条約や第 85 号条約の三者構成原則の考え方に抵触しており、極めて良くないことであると、労働側としては以前から再三申し上げております。改めて申し上げるまでもなく、労働者派遣制度のような雇用・労働問題は、本来 ILO で定めている三者構成原則に基づく労働政策審議会の場でこそ取り扱われるべき問題であって、こういった原則から離れたような規制改革会議において、並行的に実質的な議論が行われるということであれば、それには強い違和感を感じざるを得ません。したがって、政府部内において、この両者の関係についての整理を明確に行った上で、本審議会の運営をしていただきたいということを強く要望します。

○オブザーバー ( 春木 )  今後の進め方について、私からも一言申し上げます。今回の部会での論議の中身は、労働者派遣制度の根幹に関わる部分が多々ありますし、論議の仕方によっては制度の根幹そのものが変わってしまうという極めて重要な案件だと思っています。特に我々労働者代表としては、今回の労働者派遣制度の見直しに当たっては、「常用代替の防止」の観点と「派遣労働者の保護」の双方の観点に立って、慎重な検討を進めていくべきだろうと思っています。

 例えば、常用代替防止の見直しばかりに力点を置いて、派遣労働者の保護という観点での均等待遇原則の在り方等についての検討が不十分に終わってしまうことは、あってはならないと思っています。事務局からは、年内に議論をまとめて建議を行いたいという意向が示されておりますし、我々としてもいたずらに時間を引き延ばすつもりはありませんが、期限ありきではなく、今回の議論の重要性に鑑みれば、論議の前提となる実態把握などもしっかりと行うことも含めて、丁寧な審議が尽くされるべきだろうと思っています。その点については、是非ともそういう立場での議論をお願いしたいと思います。

○鎌田部会長 進め方について御意見はありませんか。

○新谷委員 先ほど石黒委員が申し上げた規制改革会議の雇用ワーキンググループで派遣労働を取り扱うという件と、労政審の本部会でこれから審議を始めるということについて意見を申し上げます。これについて、現在、厚労省がこういう事態に対して、どういう見解をお持ちになっているのかをお伺いしたいと思います。

○富田課長 規制改革会議においても、労働者派遣制度の見直しが論点の 1 つに挙がっております。昨日、雇用ワーキンググループのヒアリングがありましたが、私どもとしては、規制改革会議は、政府の一組織として検討が進められていると理解しております。一方で、労働に係る制度の見直しは公労使三者構成の審議会で行うべきであると思っており、その点は規制改革会議の委員の先生方にも申し上げておりますので、厚生労働省としては、その辺りの整合性は取れるという形で調整を行っていきたいと思っております。

○新谷委員 見解をお伺いした趣旨は、 6 14 日に規制改革実施計画が閣議決定されたわけですが、いずれにしても雇用・労働政策の重要な部分が労使の代表が入らない場において、僅か 5 人か 6 人の有識者という方々の意見をまとめて、それを閣議決定するということが起こらないように、是非、政府としても、我が国は ILO 条約を批准しているということの重みを踏まえて対応いただきたいと思っております。

○鎌田部会長 今のは要望ということでよろしいですか。

○新谷委員 はい。

○高橋委員 今後の進め方に関して一言申し上げます。派遣制度の在り方を検討していくに当たっては、平成 24 年改正があって今があるので、改正の結果どのような状況が出現しているのかを注意深く見た上で、議論を進めていくことが適当であると考えております。まずは平成 24 年改正の影響を皮切りとして、議論を開始すべきであると考えております。

○小林委員 今の高橋委員の見解と同様に、先ほど青木さんからもお話がありましたが、平成 24 年改正の部分、まだ施行されていないみなし規定などもありますが、特に私どもの傘下の業界団体からの意見で、日雇派遣の原則禁止については、運送、特に引越しの業界、イベント会社の業界から意見があって、この原則見直しに対する意見も出ております。ですから、平成 24 年改正の部分を含めて、是非とも議論をしていただきたいというのがお願いです。

○オブザーバー ( 青木 )  進め方としてのところで、その中でのこの研究会報告書の扱いだと思っていますが、私ども業界団体もヒアリングを受けましたし、使用者側、労働者側も意見を述べてまとめられた研究会の報告書でもあり、中身を見ると、論点・議論は整理されている部分もあるので、スタート地点として活用していくのはいいのではないかと思っています。ただ、先ほどからお話がありますように、平成 24 年の改正案については記載が十分でなく、運用の面でも問題があるので、そこはしっかり議論するような時間を取って、十分議論していただけるような形で進めていただければと思っています。

○鎌田部会長 進め方について、何かほかに御意見等はありますか。よろしいですか。

 それでは、今の進め方ですが、研究会の報告書の取扱いについては事前に御意見を頂きましたが、各論点があります。論点の項目というのは、平成 24 年改正についても議論してほしいと。また、常用代替、あるいは期間限定についても議論してほしいということがありましたが、こういった論点については、特に研究会報告にないようなもので論点として付け加えてほしいとか、こういった観点で全体の議論をしてほしいということがあれば、少し御意見を頂ければと思います。事務局で論点の 1 つの参考資料のようなものを出されていますが、これは研究会報告で議論したものということで出されているのですか。それとも、 1 つこの部会での考えられる論点ということで出されているのでしょうか。

○富田課長 資料 6 については、研究会報告と同じ柱立てではありますが、これは国会の附帯決議、あるいは閣議決定の中で検討せよとされている項目ですので、この項目は是非とも御審議いただきたいと考えております。これは国会に対する宿題にもなっております。それを踏まえて、その他のところで皆さんの御意見があれば頂きたいと考えております。

○オブザーバー ( 青木 )  先ほど、項目にないものというお話がありました。確認ですが、先ほどからお話しているように、平成 24 年改正法に関しては記載されている項目が 2 つだと思っております。 1 つは労働契約のみなし、もう 1 つは日雇派遣の原則禁止です。こちらに関しては書かれてはいますが、先ほども言いましたように、 1 年以内に離職した労働者の派遣の禁止の規定、マージン率の情報公開も、しっかり議論していただかなければいけないテーマだと思っておりますので、よろしくお願いします。

○新谷委員 資料 6 の論点については、国会での附帯決議を踏まえての内容であるということなので、論点については十分に網羅されていると思っております。ただ、平成 24 年改正法の取扱いについては、昨年 10 1 日の施行以来そんなに日時もたっていないし、今、出されたマージン率の開示についても、事業報告終了後 3 か月か 4 か月後に開示をすることになっていると思いますが、その辺りの取扱いも実態がどうなっているのかも踏まえて、論議をするのであれば論議をしたいと。我々はそれを強化する方向での論議をしたいということです。

○鎌田部会長 平成 24 年改正の項目ということで幾つか提案されましたが、それは今後の進行の中で調整するということでよろしいですか。

○オブザーバー ( 大原 ) 1 点だけ確認です。今の平成 24 年改正の項目について、事務方に整理をしてという部会長の御発言がありましたが、今この場で項目立てとして発言をしておかないと取り上げられないということではないのですか。

○鎌田部会長 そういうつもりではありませんが、今、挙げていただいても結構です。

○オブザーバー ( 大原 )  それでは、いわゆるグループ派遣の 8 割規制の問題です。外部労働市場から派遣スタッフをリクルートしてグループ内に派遣をするという、労働力需給調整にきちんと資するグループ派遣もあると理解しておりますので、一律禁止規制については見直す必要があるのではないかと思っております。私としては項目に入れていただきたいと思っております。

○新谷委員 平成 24 年改正法の項目について、今、業界団体のオブザーバーの方から御発言がありましたが、先ほど申し上げたように、我々としては、改正法施行から間もないわけですから、この法律をきちんと遵守することをまずやっていただいた上で、現状がどうなっているのかについての論議をしたいと思っております。

○鎌田部会長 議事に戻ります。本日は、研究会報告書を含めた資料についての御意見と、今後の進め方についてのお考えをお聞きしました。これについて更に付け加えることがあれば御発言をお願いします。田村大臣におかれましては、ただいま様々な用務があり、今すぐお出でになることは難しそうですので、もし何もなければ諮問に移りたいと思います。これは非公開の許可案件の話になるので、公開の部分で付け加えることがあればお聞きします。何かありますか。

○亀井補佐 ただいま大臣の用務が終了し、こちらに向かっておりますので、今しばらくお時間を頂ければと思います。

 補足ですが、許可案件に移るに際して、岡崎局長、宮川部長、鈴木課長についても併せて退席させていただきます。退席される方々に向けてお知らせですが、次回の日程は 9 17 ( )14 時からです。場所は 12 階の専用第 12 会議室で行う予定ですので、御承知おきください。

○鎌田部会長 大臣はこちらに向かわれているのですね。それでは、非公開にしないで、このままの状態で少しお待ちすることにいたします。

 今、次回の話も出ましたが、本日、多くの御意見を頂いたところで、今後の進め方については御意見を頂いた項目なども参考にして、労働者派遣の現状について幅広に御議論いただくと考えております。この進め方については、改めて項目立ても含めて事務局と私で相談した上で、また御相談するということで進めたいと思いますが、そういった手はずでよろしいでしょうか。

                                    ( 了承 )

○鎌田部会長 ありがとうございます。そのような手はずで進めたいと思います。事務局に用意してほしい資料などがあれば、この場ですぐにというのは難しいかと思いますが、アンケート調査結果を含めて、希望があれば御連絡いただければと思います。

○富田課長 次回用意する資料ですが、今、事務局として 1 つ認識しているのは、先ほど新谷委員から御要望があった 12 月に当省が実施した調査結果です。紙媒体とインターネット媒体がありますが、それをお出しするというのが 1 つです。

 もう 1 つ、新谷委員に御確認ですが、コンプライアンスの状況ということがありましたが、それについても資料をお出しするということでよろしいですか。

○新谷委員 はい。

○富田課長 分かりました。

○鎌田部会長 使用者側でも資料等で要望があれば、今でなくて結構ですので、おっしゃっていただければと思います。現在、労働者派遣制度の在り方についての議論で、双方から御意見を頂きましたが、田村大臣がお越しになりましたので、一言御挨拶を頂ければと思います。

○田村大臣 遅れて参りまして申し訳ございませんでした。今日は閣議があり、遅れましたことをお詫び申し上げたいと思います。大変お忙しい中、本日はお集まりをいただきまして誠にありがとうございます。

 派遣の在り方に関して改正労働者派遣法が国会で審議をされたときに、附帯決議の中で例えば登録型派遣の在り方、製造業派遣の在り方、また特定労働者派遣事業の在り方に関して論点を整理した上で、審議会で御議論いただくようにという決議をいただき、本日このような形で皆様方からいろいろな御意見を頂く機会を得たわけです。とりわけ、いわゆる専門 26 業務に関しては、これに該当するのかしないのかが非常に分かりづらいわけで、それらのことも含めた上で派遣労働者の方々、更には派遣元・派遣先、それぞれの事業主の方々が分かりやすいような形を考えるべきではないかという意見をいただく中、一方で派遣元の事業主の方々に関しても、派遣労働者の方々の教育訓練をはじめとして、派遣労働者の方々の処遇の改善、能力開発といったことを含めて、どのような在り方があるのか、どのような仕組みを作っていけるのかということも、しっかりと皆様方に御議論をいただきたいという場でもあるわけです。

 いずれにしても、研究会で約 16 回にわたって御議論をいただきました。論点に対しても、考え方についても整理をいただいてきたわけで、皆様方それぞれのお立場でいろいろな考え方があろうかと思いますが、この報告書を、ひとつのたたき台にしていただきながら、これから御議論をいただければ有り難いと思います。最終的には労働政策審議会で御決定をいただいて、それを基に我々が政策を組んでいくことになろうと思いますので、よろしくお願いを申し上げながら、冒頭の御挨拶に代えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○鎌田部会長 ありがとうございました。田村大臣におかれましては、公務の都合上、ここで退席されるとお聞きしております。大臣、本当にありがとうございました。

                            ( 田村大臣退席 )

○鎌田部会長 それでは、本日の労働者派遣制度に係る議論については御意見を多数頂きましたので、先ほどお話したような考えで相談をして進めたいと思っております。それぞれの御意見を踏まえた上で、今後の進め方も考えていきたいと思っております。よろしいですか。

 引き続き、一般労働者派遣事業、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問に係る審議に移ります。許可の審査については、資産の状況等、個別の事業主に関する事項を扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、非公開とします。専門委員、オブザーバー、傍聴者の方々には、ここで御退席をいただきたいと思います。

               ( 専門委員・オブザーバー・傍聴者退席、事務方入替え )


(了)

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